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特許7539656粉砕装置用容器及びこれを備えた粉砕装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-16
(45)【発行日】2024-08-26
(54)【発明の名称】粉砕装置用容器及びこれを備えた粉砕装置
(51)【国際特許分類】
   B02C 17/08 20060101AFI20240819BHJP
【FI】
B02C17/08
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020175765
(22)【出願日】2020-10-20
(65)【公開番号】P2021074712
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2023-09-04
(31)【優先権主張番号】P 2019199560
(32)【優先日】2019-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】513019818
【氏名又は名称】株式会社ビートセンシング
(74)【代理人】
【識別番号】100120396
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】森野 和喜
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0197223(US,A1)
【文献】特開平07-289569(JP,A)
【文献】特開2005-270955(JP,A)
【文献】特開2019-130456(JP,A)
【文献】特開平03-270741(JP,A)
【文献】特開2017-185463(JP,A)
【文献】特開2013-255901(JP,A)
【文献】特開昭62-144762(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
公転軸線を中心に回転可能な公転体と、前記公転体に保持されて自転軸線を中心に回転可能な自転体と、前記公転体と前記自転体とを回転駆動する駆動機構とを備えた粉砕装置に用いる容器であって、
前記自転体に取り付けられ被処理物を収納可能であり、
軸線が前記自転軸線と同じに設定される有底の筒状容器本体と、
前記筒状容器本体の上部を閉塞可能な蓋部と、
前記筒状容器本体内に設置され前記筒状容器本体の軸線に沿って延在する破砕用板部とを備え、
前記破砕用板部が、前記自転体の回転方向に対して主面を向けていると共に前記筒状容器本体の軸線から離間して配され
前記筒状容器本体の中心部に空間が形成され、
前記被処理物が、錠剤であり、
前記駆動機構が、前記自転体を前記公転体の回転数以上で回転させ、
前記自転軸線の角度が、前記公転軸線に対して15度以下に設定されて使用されることを特徴とする粉砕装置用容器。
【請求項2】
請求項1に記載の粉砕装置用容器において、
前記破砕用板部が、前記筒状容器本体の内周面からも離間して配されていることを特徴とする粉砕装置用容器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の粉砕装置用容器において、
複数の前記破砕用板部が、前記筒状容器本体の軸線を中心とした周方向に互いに等間隔で設置されていることを特徴とする粉砕装置用容器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の粉砕装置用容器において、
前記破砕用板部が、前記筒状容器本体の軸線側の側部に前記自転体の回転方向と反対側に折り返された折り返し部を有していることを特徴とする粉砕装置用容器。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の粉砕装置用容器において、
前記破砕用板部が、複数の貫通孔を有していることを特徴とする粉砕装置用容器。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の粉砕装置用容器において、
複数の前記破砕用板部が、その上部及び下部で互いに連結され
複数の前記破砕用板部の上部を連結する上部連結部と、
複数の前記破砕用板部の下部を連結する下部連結部と、を備えていることを特徴とする粉砕装置用容器。
【請求項7】
請求項6に記載の粉砕装置用容器において、
前記下部連結部が、前記筒状容器本体の内周面に沿って延在する円弧板状部を有し、
前記円弧板状部が、前記筒状容器本体の軸線方向の中心に向けて突出した突起部を有していることを特徴とする粉砕装置用容器。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の粉砕装置用容器において、
前記破砕用板部が、前記主面を前記筒状容器本体の軸線側に向けて傾斜させて配していることを特徴とする粉砕装置用容器。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の粉砕装置用容器において、
前記破砕用板部が、前記蓋部に固定されていることを特徴とする粉砕装置用容器。
【請求項10】
請求項1から8のいずれか一項に記載の粉砕装置用容器において、
前記破砕用板部が前記筒状容器本体内に収納され前記筒状容器本体の上部を前記蓋部が閉塞して取り付けられた状態で、前記筒状容器本体内の底面及び前記蓋部内の天面の少なくとも一方に付勢力を有して押し付けられる固定用付勢部を備えていることを特徴とする粉砕装置用容器。
【請求項11】
請求項6に記載の粉砕装置用容器において、
前記上部連結部及び前記下部連結部の少なくとも一方が、前記筒状容器本体の軸線方向の中心に向けて突出した部分を有していることを特徴とする粉砕装置用容器。
【請求項12】
請求項6又は11のいずれか一項に記載の粉砕装置用容器において、
複数の前記破砕用板部と前記上部連結部と前記下部連結部とにより破砕攪拌部材が構成され、前記破砕攪拌部材が、1枚の金属板を曲げ加工して作製されていることを特徴とする粉砕装置用容器。
【請求項13】
公転軸線を中心に回転可能な公転体と、
前記公転体に保持されて自転軸線を中心に回転可能な自転体と、
前記公転体と前記自転体とを回転駆動する駆動機構と、
請求項1から12のいずれか一項に記載の粉砕装置用容器とを備えていることを特徴とする粉砕装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば錠剤の破砕・粉砕などに好適な粉砕装置用容器及びこれを備えた粉砕装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、錠剤は成人容量が基本であるため、嚥下困難者に対しては病院調剤室や薬局等で粉砕が行われている。
錠剤等の被処理物の粉砕を行う方法として、回転刃のついたミルで行う方法の他、例えば被処理物を容器に入れ、この容器を自転及び公転させて被処理物の攪拌及び粉砕を行う装置を用いることが検討されている。
【0003】
従来、例えば特許文献1には、有底円筒状の攪拌容器内に被処理物(被攪拌物)を収納し、さらにこの攪拌容器内に粉砕補助を行うためのジルコニアボール等のボールを被処理物と一緒に入れた状態で、攪拌容器を自転及び公転させる回転攪拌装置が記載されている。すなわち、自転公転攪拌方式でボールミルとして粉砕を行う方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5984130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の技術において、以下の課題が残されている。
すなわち、従来、自転公転攪拌方式で粉砕を行う場合、粉砕補助を行うためのボールを入れてボールミルとする方法が提案されているが、粉砕後に粉末中からボールを除去するする必要があり、作業が手間であると共に、ボール混入によるコンタミネーションの問題もある。また、入れるボールの個数や大きさ等の条件設定が難しく、良好な粉砕を得ることが困難であった。
【0006】
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたもので、ボールを用いずに容易で良好な粉砕・破砕が可能な粉砕装置用容器及びこれを備えた粉砕装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明に係る粉砕装置用容器は、公転軸線を中心に回転可能な公転体と、前記公転体に保持されて自転軸線を中心に回転可能な自転体と、前記公転体と前記自転体とを回転駆動する駆動機構とを備えた粉砕装置に用いる容器であって、前記自転体に取り付けられ被処理物を収納可能であり、軸線が前記自転軸線と同じに設定される有底の筒状容器本体と、前記筒状容器本体の上部を閉塞可能な蓋部と、前記筒状容器本体内に設置され前記筒状容器本体の軸線に沿って延在する破砕用板部とを備え、前記破砕用板部が、前記自転体の回転方向に対して主面を向けていると共に前記筒状容器本体の軸線から離間して配されていることを特徴とする。
【0008】
この粉砕装置用容器では、破砕用板部が、自転体の回転方向に対して主面を向けていると共に筒状容器本体の軸線から離間して配されているので、回転する破砕用板部が錠剤等の被処理物に衝突し弾くことで、効率的に良好な破砕・粉砕を行うことができる。特に、筒状容器本体の中心部に形成された空間に、回転する破砕用板部によって十分な気流が生み出され、被処理物や破砕粉末を効率的に攪拌させることができる。
【0009】
第2の発明に係る粉砕装置用容器は、第1の発明において、前記破砕用板部が、前記筒状容器本体の内周面からも離間して配されていることを特徴とする。
すなわち、この粉砕装置用容器では、破砕用板部が、筒状容器本体の内周面からも離間して配されているので、筒状容器本体の内周面から離間して回転する破砕用板部により発生した気流が筒状容器本体の内周面に当たり、筒状容器本体の内周面に破砕後の粉末が付着することを抑制可能である。
【0010】
第3の発明に係る粉砕装置用容器は、第1又は第2の発明において、複数の前記破砕用板部が、前記筒状容器本体の軸線を中心とした周方向に互いに等間隔で設置されていることを特徴とする。
すなわち、この粉砕装置用容器では、複数の破砕用板部が、筒状容器本体の軸線を中心とした周方向に互いに等間隔で設置されているので、複数の破砕用板部により被処理物をさらに効率的に破砕可能であると共に、自転方向に均等に破砕用板部が配置されることで重量バランスが片寄らず、安定した回転が得られる。
【0011】
第4の発明に係る粉砕装置用容器は、第1から第3の発明のいずれかにおいて、前記破砕用板部が、前記筒状容器本体の軸線側の側部に前記自転体の回転方向と反対側に折り返された折り返し部を有していることを特徴とする。
すなわち、この粉砕装置用容器では、破砕用板部が、筒状容器本体の軸線側の側部に自転体の回転方向と反対側に折り返された折り返し部を有しているので、破砕用板部の強度を増すことができると共に、破砕用板部上への破砕粉末の付着を防止しながら、反対方向に破砕物を弾き飛ばすことができる。
【0012】
第5の発明に係る粉砕装置用容器は、第1から第4の発明のいずれかにおいて、前記破砕用板部が、複数の貫通孔を有していることを特徴とする。
すなわち、この粉砕装置用容器では、破砕用板部が、複数の貫通孔を有しているので、回転時、被処理物やその破砕物が破砕用板部上を移動すると共に攪拌用板材上を貫通孔に向かって流れる気流が発生することで、被処理物やその破砕物が貫通孔から抜け易くなり、破砕用板部への粉末の付着を抑制することができる。
【0013】
第6の発明に係る粉砕装置用容器は、第1から第5の発明のいずれかにおいて、複数の前記破砕用板部が、その上部及び下部で互いに連結されていることを特徴とする。
すなわち、この粉砕装置用容器では、複数の破砕用板部が、その上部及び下部で互いに連結されているので、互いに高い強度を確保することできる。
【0014】
第7の発明に係る粉砕装置用容器は、第6の発明において、複数の前記破砕用板部の下部を連結する下部連結部を備え、前記下部連結部が、前記筒状容器本体の内周面に沿って延在する円弧板状部を有し、前記円弧板状部が、前記筒状容器本体の軸線方向の中心に向けて突出した突起部を有していることを特徴とする。
すなわち、この粉砕装置用容器では、円弧板状部が、筒状容器本体の軸線方向の中心に向けて突出した突起部を有しているので、底面近傍で突出した突起部が周方向に回転することで、底面に滞留した粉砕物を運動させると共にさらに破砕することができる。
【0015】
第8の発明に係る粉砕装置用容器は、第1から第7の発明のいずれかにおいて、前記主面を前記筒状容器本体の軸線側に向けて傾斜させて配していることを特徴とする。
すなわち、この粉砕装置用容器では、主面を筒状容器本体の軸線側に向けて傾斜させて配しているので、傾斜した主面に当たった被処理物が筒状容器本体の中心部に弾き飛ばされ易くなり、高速かつ大量に被処理物を破砕することが可能となる。なお、低速かつ少量を破砕する場合は、主面を筒状容器本体の軸線側に向けて傾斜させず、自転の回転方向に対して直角に配置することが好ましい。
【0016】
第9の発明に係る粉砕装置用容器は、第1から第8の発明のいずれかにおいて、前記破砕用板部が、前記蓋部に固定されていることを特徴とする。
すなわち、この粉砕装置用容器では、破砕用板部が、蓋部に固定されているので、蓋部を筒状容器本体の上部に取り付けるだけで、破砕用板部も筒状容器本体内に設置することができると共に、蓋部を筒状容器本体の上部から取り外すだけで、破砕用板部も筒状容器本体から取り外すことができ、作業が容易となる。
【0017】
第10の発明に係る粉砕装置用容器は、第1から第8の発明のいずれかにおいて、前記破砕用板部が前記筒状容器本体内に収納され前記筒状容器本体の上部を前記蓋部が閉塞して取り付けられた状態で、前記筒状容器本体内の底面及び前記蓋部内の天面の少なくとも一方に付勢力を有して押し付けられる固定用付勢部を備えていることを特徴とする。
すなわち、この粉砕装置用容器では、破砕用板部が筒状容器本体内に収納され筒状容器本体の上部を蓋部が閉塞して取り付けられた状態で、筒状容器本体内の底面及び蓋部内の天面の少なくとも一方に付勢力を有して押し付けられる固定用付勢部を備えているので、蓋部を筒状容器本体に取り付けるだけで、固定用付勢部による付勢力で筒状容器本体内に破砕用板部をより安定して固定することができる。したがって、ネジ固定等が不要であり、蓋部を取り外すと破砕用板部の固定が解除されるため、分解し易く、各部材の洗浄等も容易となる。
【0018】
第11の発明に係る粉砕装置は、公転軸線を中心に回転可能な公転体と、前記公転体に保持されて自転軸線を中心に回転可能な自転体と、前記公転体と前記自転体とを回転駆動する駆動機構と、第1から第10の発明のいずれかの粉砕装置用容器とを備えていることを特徴とする。
すなわち、この粉砕装置では、第1から第10の発明のいずれかの粉砕装置用容器を備えているので、被処理物を効率的に破砕・粉砕することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明の粉砕装置用容器及びこれを備えた粉砕装置によれば、破砕用板部が、自転体の回転方向に対して主面を向けていると共に筒状容器本体の軸線から離間して配されているので、回転する破砕用板部が錠剤等の被処理物に衝突し弾くと共に気流を発生させ、粉末の付着を抑制しつつ効率的に良好な破砕・粉砕を行うことができる。
したがって、本発明の粉砕装置用容器及び粉砕装置では、ボール等を使わずに、効率的に被処理物を粉砕することができ、錠剤等の粉砕に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係る粉砕装置用容器及びこれを備えた粉砕装置の第1実施形態において、粉砕装置用容器を示す概略的な断面図である。
図2】第1実施形態において、破砕攪拌部材を示す斜視図である。
図3】第1実施形態において、粉砕装置用容器を示す正面図である。
図4】第1実施形態において、破砕攪拌部材を示す断面図(a)及び平面図(b)である。
図5】第1実施形態において、破砕攪拌部材を示す側面図(a)及び正面図(b)である。
図6】第1実施形態において、蓋部と破砕攪拌部材と筒状容器本体との写真である。
図7】第1実施形態において、粉砕装置を示す全体断面図である。
図8】第1実施形態において、主面が自転の回転方向に対して垂直な場合(a)と傾斜している場合(b)における粉砕装置用容器を示す模式的な断面図である。
図9】本発明に係る粉砕装置用容器及びこれを備えた粉砕装置の第2実施形態において、破砕攪拌部材を別々の方向から視た斜視図(a)(b)である。
図10】第2実施形態において、破砕攪拌部材を示す平面図である。
図11】第2実施形態において、破砕攪拌部材を示す側面図(b)及び正面図(b)である。
図12】本発明に係る粉砕装置用容器及びこれを備えた粉砕装置の第3実施形態において、破砕攪拌部材を示す斜視図(a)及び側面図(b)である。
図13】本発明に係る粉砕装置用容器及びこれを備えた粉砕装置の第4実施形態において、破砕攪拌部材を示す斜視図(a)及び側面図(b)である。
図14】本発明に係る粉砕装置用容器及びこれを備えた粉砕装置の第5実施形態において、破砕攪拌部材を示す斜視図(a)(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明における粉砕装置用容器及びこれを備えた粉砕装置の第1実施形態を、図1から図8に基づいて説明する。なお、以下の説明に用いる図面では、各部材を認識可能又は認識容易な大きさとするために必要に応じて縮尺を適宜変更している部分がある。
【0022】
本実施形態における粉砕装置用容器1は、図7に示すように、公転軸線L1を中心に回転可能な公転体2と、公転体2に保持されて自転軸線L2を中心に回転可能な自転体3と、公転体2と自転体3とを回転駆動する駆動機構4とを備えた粉砕装置100に用いる容器である。
【0023】
本実施形態における粉砕装置用容器1は、図1から図6に示すように、自転体3に取り付けられ被処理物を収納可能であり、軸線L3が自転軸線L2と同じに設定される有底の筒状容器本体5と、筒状容器本体5の上部を閉塞可能な蓋部6と、筒状容器本体5内に設置され筒状容器本体5の軸線L0に沿って延在する破砕用板部7とを備えている。
なお、被処理物は、例えば錠剤等の固形物である。
【0024】
上記破砕用板部7は、自転体3の回転方向に対して主面7aを向けていると共に筒状容器本体5の内周面及び筒状容器本体5の軸線L0から離間して配されている。
本実施形態では、複数の破砕用板部7が、筒状容器本体5の軸線L0を中心とした周方向に互いに等間隔で設置されている。すなわち、本実施形態では、2つの長板状のフィンである破砕用板部7が筒状容器本体5の軸線L0を中心とした周方向に互いに180度反対側に平行に配置されている。
なお、1又は3以上の破砕用板部7を筒状容器本体5内に設置しても構わない。
【0025】
破砕用板部7は、主面7aを筒状容器本体5の軸線L0側に向けて傾斜させて配しても構わない。
本実施形態では、破砕用板部7の主面7aを、図8の(a)に示すように、筒状容器本体5の周方向に対して直角に配しているが、図8の(b)に示すように、自転体3の回転方向と反対方向に最大で45度傾けて配置してもよい。すなわち、被処理物Mや回転数等に応じて破砕用板部7(主面7a)の角度が設定される。
【0026】
また、破砕用板部7は、筒状容器本体5の軸線L0側の側部に自転体3の回転方向と反対側に折り返された折り返し部7bを有している。
さらに、破砕用板部7は、複数の貫通孔7cを有している。
本実施形態では、4つの貫通孔7cが破砕用板部7の延在方向に互いに離間して並んで形成されている。
【0027】
上記2つの破砕用板部7は、その上部及び下部で互いに連結されている。すなわち、粉砕装置用容器1は、2つの破砕用板部7の上部を連結する上部連結部8Aと、2つの破砕用板部7の下部を連結する下部連結部8Bとを備えている。
このように2つの破砕用板部7と上部連結部8Aと下部連結部8Bとにより、破砕攪拌部材8が構成されている。この破砕攪拌部材8は、1枚のステンレス等の金属板を曲げ加工して作製されている。
【0028】
上記上部連結部8Aは半円板状であり、下部連結部8Bは円弧板状とされ、破砕用板部7の延在方向に対して直角かつ互いに反対方向に向いて破砕用板部7から折り曲げられている。
また、上部連結部8Aは、半円板状部8bと、2つの破砕用板部7の上部間に架け渡された帯状部8cとを備えている。
【0029】
破砕用板部7は、蓋部6に固定されている。
すなわち、上部連結部8Aには、蓋部6内の天井面に取り付けネジ6aでネジ止め可能なネジ孔8aが3つ形成されている。
なお、破砕用板部7は、蓋部6に固定することが好ましいが、筒状容器本体5内の底面に固定しても構わない。
【0030】
粉砕装置用容器1は、例えばステンレスで作製することが強度的に好ましいが,樹脂,セラミックス等の材料で作製しても構わない。
なお、筒状容器本体5の内周面に突起を形成したり、筒状容器本体5内の底面や蓋部6内の天面に突起を設けたりすることで、より破砕効果が向上する。
【0031】
破砕用板部7と筒状容器本体5の内周面との隙間tの距離は、一般的な錠剤を被処理物Mとする場合、2mm程度に設定される。この場合、錠剤は隙間tを通過できず、破砕用板部7により破砕されながら反対方向に飛ばされる。また、破砕用板部7による気流が筒状容器本体5の内周面に十分に伝わって、内周面への破砕後の粉末の付着を抑制できる。
なお、自転回転数が高い場合は気流が大きくなるため、隙間tを大きく設定し、自転回転数が低い場合は気流が小さくなるため、隙間tを小さく設定される。このため隙間tは、例えば0.5~5mmの範囲で設定することが好ましい。
【0032】
破砕用板部7の幅Wは、筒状容器本体5の内径に対して1/4程度に設定される。この幅Wを1/4程度とすることにより、筒状容器本体5の中心部に内径の1/2程度の空間が生まれ、十分な気流を生み出すことができる。
なお、破砕用板部7の幅Wは、被処理物Mを大量に投入する場合は中心部の空間を大きくするために小さく設定し、少量投入の場合は破砕面である主面7aを大きくするために大きく設定される。このため破砕用板部7の幅Wは、例えば上記内径の1/10~1/3の範囲に設定することが好ましい。
【0033】
上部連結部8A及び下部連結部8Bは、軸線L0を中心とした円周全部でなく一部のみ(本実施形態では半周)としている。
本実施形態では、破砕用板部7が対角180度に2枚配置されているため、上部連結部8A及び下部連結部8Bが円周の半周のみを連結しているが、例えば破砕用板部7が周方向90度毎に配置されて4枚設けられる場合は、円周の1/4の1箇所のみか、その対角を含めた2箇所を上部連結部8A及び下部連結部8Bにより連結する。
【0034】
上記貫通孔7cは、破砕用板部7の幅Wの1/3程度の直径に設定される。この大きさの貫通孔7cでは、破砕用板部7上の縦方向(延在方向)に発生した気流により破砕用板部7上を移動する破砕粉末が貫通孔7cから抜け易くなり、付着を防ぐことができる。
複数の貫通孔7cは、縦方向(延在方向)にその直径の4倍程度の間隔で離間して配置される。
【0035】
貫通孔7cの直径は、高回転で破砕する被処理物Mの場合には小さく設定され、低回転の場合は大きく設定される。このため貫通孔7cの直径は、破砕用板部7の幅Wに対して例えば1/5~1/2の範囲で設定されることが好ましい。
なお、本実施形態では、筒状容器本体5の内径が54mmであり、内寸高さが77mmである。
【0036】
また、本実施形態における粉砕装置100は、公転自転ミキサーであって、図7に示すように、公転軸線L1を中心に回転可能な公転体2と、公転体2に保持されて自転軸線L2を中心に回転可能な自転体3と、公転体2と自転体3とを回転駆動する駆動機構4と、自転体3に取り付けられ被処理物Mを収納する粉砕装置用容器1とを備えている。
【0037】
上記駆動機構4は、自転体3を公転体2と同等か公転体2よりも高い回転数で回転させるように設定されている。
本実施形態では、例えば自転体3の回転数を公転体2の回転数と同じに設定することで、公転体2の回転数が1000rpmであるとき、自転体3の回転数が1000rpmに設定される。なお、回転エネルギーは回転数の二乗に比例する。
【0038】
上記自転軸線L2は、粉砕装置用容器1の上部を内側に向けて公転軸線L1に対して傾斜している。すなわち、自転軸線L2は、垂直軸である内側の公転軸線L1に向けて角度θで傾いている。
したがって、上記粉砕装置用容器1は、上部を内側に向けて傾斜して取り付けられ、自転軸線L2の角度θが、公転軸線L1に対して15度以下に設定されている。すなわち、筒状部22の軸線L3の角度も、公転軸線L1に対して15度以下に設定される。
本実施形態では、例えば自転軸線L2を公転軸線L1に対して内側に10度傾斜させている。
【0039】
駆動機構4は、回転軸10aを有する一つの駆動源10と、駆動源10の回転軸10aに接続され駆動源10の回転力を公転体2と自転体3とに同時に伝達する動力伝達機構9とを備えている。
上記駆動源10はモータ等であり、回転軸10aには第1プーリー10bが固定されている。
【0040】
駆動源10は、本体ベース11の下面に固定され、回転軸10aが本体ベース11に形成された回転軸用孔11aに挿通されて本体ベース11の上面側に突出している。
回転ユニットである公転体2は、本体ベース11に立設された公転軸部11a回りに回転可能に支持されている。なお、公転軸部11aは、公転軸線L1と同軸に固定されている。
【0041】
上記公転体2は、半径方向外方に延在した一対の回転アーム12と、一対の回転アーム12の下部に固定された公転用の第2プーリー12aとを備えている。
また、第1プーリー10bと第2プーリー12aとには、公転用ベルト13が巻回され、駆動源10の駆動力が第1プーリー10bから公転用ベルト13を介して第2プーリー12aに伝達され、公転体2が回転駆動される。すなわち、第1プーリー10b、公転用ベルト13、第2プーリー12aは、動力伝達機構9の一部を構成している。
【0042】
回転アーム12の先端部には、自転軸線L2と同軸の自転軸部14とが立設され、自転軸部14に自転体3が回転可能に設けられている。
上記自転体3は、自転軸部14を中心に自転用ベアリング15を介して回転可能な容器ホルダHと、容器ホルダHの下部外周部に自転軸線L2を中心にして設けられた自転用歯車16とを備えている。
【0043】
なお、自転用ベアリング15は、自転用歯車16の内部に自転軸部14との間に設けられている。すなわち、自転用ベアリング15を介して自転用歯車16及び容器ホルダHが自転軸部14に対して回転可能に支持されている。
自転軸線L2と同軸の自転軸部14は、公転軸線L1に対して所定の角度で内側に向けて15度以下で傾斜しており、本実施形態では10度に傾斜している。
上記容器ホルダHは、硬質材料で有底筒状に形成され、内部に粉砕装置用容器1が設置可能になっている。
【0044】
上記公転軸部11aは、第2プーリー12aの中央に形成された第1公転軸用ベアリング12bと、回転アーム12の中央に形成された第2公転軸用ベアリング12cとに支持されて、上部が回転アーム12の上方に突出している。
また、公転軸部11aの先端部には、自転用マイタギア17が固定され、外周部に形成された歯部が一対の自転用歯車16にそれぞれ噛み合っている。すなわち、回転アーム12が回転すると、自転用マイタギア17に噛み合った自転用歯車16が回転し、自転体2が自転する。したがって、自転用ベアリング15及び自転用マイタギア17は、動力伝達機構9の一部を構成している。
【0045】
次に、本実施形態の粉砕装置100による被処理物Mの攪拌・破砕・粉砕方法について説明する。
【0046】
まず、粉砕装置用容器1内に被処理物Mを所定量入れ、その粉砕装置用容器1を容器ホルダH内にセットする。
この状態で駆動源10を駆動して回転軸10aを回転させると、第1プーリー10b、公転用ベルト13、第2プーリー12aを介して公転軸部11a回りに公転体2が公転する。このとき、回転しない公転軸部11aに自転用歯車16が噛み合っているため、自転用ベアリング15を介して自転用歯車16、容器ホルダH及び粉砕装置用容器1が自転する。なお、本実施形態では、例えば公転が右回りのとき、自転は左回りとなる。
【0047】
なお、自転及び公転の回転数は、例えば「自転の回転数:公転の回転数=1:1」となるように、各歯車が設定され、この場合、例えば自転の回転数が1000rpmとされると共に公転の回転数が1000rpmとされる。
上記公転により粉砕装置用容器1内の被処理物Mに遠心力が加わると共に自転により、粉砕装置用容器1内の被処理物Mが攪拌・粉砕される。
【0048】
このように本実施形態の粉砕装置用容器1では、破砕用板部7が、自転体3の回転方向に対して主面7aを向けていると共に筒状容器本体5の軸線L0から離間して配されているので、回転する破砕用板部7が錠剤等の被処理物Mに衝突し弾くことで、効率的に良好な破砕・粉砕を行うことができる。特に、筒状容器本体5の中心部に形成された空間に、回転する破砕用板部7によって十分な気流が生み出され、被処理物Mや破砕粉末を効率的に攪拌させることができる。
また、破砕用板部7が、筒状容器本体5の内周面からも離間して配されているので、筒状容器本体5の内周面から離間して回転する破砕用板部7により発生した気流が筒状容器本体5の内周面に当たり、筒状容器本体5の内周面に破砕後の粉末が付着することを抑制可能である。
【0049】
また、複数の破砕用板部7が、筒状容器本体5の軸線L0を中心とした周方向に互いに等間隔で設置されているので、複数の破砕用板部7により被処理物Mをさらに効率的に破砕可能であると共に、自転方向に均等に破砕用板部7が配置されることで重量バランスが片寄らず、安定した回転が得られる。
また、破砕用板部7が、筒状容器本体5の軸線L0側の側部に自転体3の回転方向と反対側に折り返された折り返し部7bを有しているので、破砕用板部7の強度を増すことができると共に、破砕用板部7上への破砕粉末の付着を防止しながら、反対方向に破砕物を弾き飛ばすことができる。
【0050】
また、破砕用板部7が、複数の貫通孔7cを有しているので、回転時、被処理物Mやその破砕物が破砕用板部7上を移動すると共に破砕用板部7上を貫通孔7cに向かって流れる気流が発生することで、被処理物Mやその破砕物が貫通孔7cから抜け易くなり、破砕用板部7への粉末の付着を抑制することができる。
また、破砕用板部7が、蓋部6に固定されているので、蓋部6を筒状容器本体5の上部に取り付けるだけで、破砕用板部7も筒状容器本体・内に設置することができると共に、蓋部6を筒状容器本体5の上部から取り外すだけで、破砕用板部7も筒状容器本体5から取り外すことができ、作業が容易となる。
【0051】
さらに、複数の破砕用板部7が、その上部及び下部で互いに連結されているので、互いに高い強度を確保することできる。
なお、主面7aを筒状容器本体5の軸線L0側に向けて傾斜させて配することで、傾斜した主面7aに当たった被処理物Mが筒状容器本体5の中心部に弾き飛ばされ易くなり、高速かつ大量に被処理物Mを破砕することが可能となる。なお、低速かつ少量を破砕する場合は、主面7aを筒状容器本体5の軸線L0側に向けて傾斜させず、自転の回転方向に対して直角に配置することが好ましい。
本実施形態の粉砕装置100では、上記粉砕装置用容器1を備えているので、被処理物Mを効率的に破砕・粉砕することができる。
【0052】
次に、本発明に係る粉砕装置用容器及びこれを備えた粉砕装置の第2から第4実施形態について、図9から図13を参照して以下に説明する。なお、以下の各実施形態の説明において、上記実施形態において説明した同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0053】
第2実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、上部連結部8Aが半円板形状であるのに対し、第2実施形態の粉砕装置用容器21は、図9から図11に示すように、上部連結部28Aが筒状容器本体5の内周面に沿った円弧板状部28bを有している点である。
すなわち、第2実施形態では、上部連結部28A及び下部連結部28Bの中央部が空けられている。なお、下部連結部28Bは、それ自体が円弧板状部となっている。
上部連結部28Aは、筒状容器本体5の軸線L0を中心とした周方向の半周に延在する円弧板状部28bと、2つの破砕用板部7の上部間に架け渡された帯状部28cとを備えている。
このように第2実施形態の粉砕装置用容器21では、上部連結部28A及び下部連結部28Bの中央部を空けていることにより、気流を有効的に発生させることができる。
【0054】
また、第2実施形態では、上部連結部28Aが蓋部6にネジ止めされていない点でも第1実施形態と異なっている。
すなわち、第2実施形態では、破砕攪拌部材28を筒状容器本体5内に収納した状態で蓋部6を筒状容器本体5の上部に取り付けた際に、破砕攪拌部材28の上下(上部連結部28A及び下部連結部28B)が蓋部6内の天面と筒状容器本体5内の底面とに挟まれて固定される。
なお、帯状部28c上には、蓋部6内の天面に当接する凸部28dが形成されている。
【0055】
次に、第3実施形態と第2実施形態との異なる点は、第2実施形態では、蓋部6内の天井面に帯状部28c上の凸部28dの先端が当接するのに対し、第3実施形態の粉砕装置用容器31では、図12に示すように、凸部28dに蓋部6内の天井面に当接可能な固定用付勢部38aが設けられている点である。
すなわち、第3実施形態では、破砕用板部7が筒状容器本体5内に収納され筒状容器本体5の上部を蓋部6が閉塞して取り付けられた状態で、筒状容器本体5内の底面及び蓋部6内の天面の少なくとも一方に付勢力を有して押し付けられる固定用付勢部38aを備えている。
【0056】
上記固定用付勢部38aは、ステンレス等の金属板片であり、一端が凸部28dに固定され、半径方向外方に向けて突出している。
この固定用付勢部38aは、蓋部6を締めた状態で蓋部6内の天井面に付勢状態で当接し、蓋部6の締め込み力に応じて生じる付勢力及び摩擦力によって破砕攪拌部材38全体を筒状容器本体5内に固定するものである。
なお、固定用付勢部38aの上面に、被処理物Mに接触し難いように、固定用付勢部38aよりも小さくフッ素シート等を貼り付けても構わない。
【0057】
次に、第4実施形態と第3実施形態との異なる点は、第3実施形態では、広い接触面積による摩擦力で破砕攪拌部材38を筒状容器本体5内に固定するため、固定用付勢部38aが板片状に形成されているのに対し、第4実施形態の粉砕装置用容器41では、図13に示すように、凸部28dから斜め上方に突出した棒状の金属製の固定用付勢部48aを備えている点である。
すなわち、第4実施形態では、凸部28dからステンレス等で形成された棒状の固定用付勢部48aがやや斜め上方に向けて突出している。
【0058】
この固定用付勢部48aは、上下方向に対してバネ性を有し、蓋部6を締めた状態で蓋部6内の天井面に押されて付勢状態で当接し、蓋部6の締め込み力に応じて固定用付勢部48aに生じる付勢力によって破砕攪拌部材48全体を筒状容器本体5内に固定するものである。
したがって、第4実施形態の粉砕装置用容器41では、バネ性を有した固定用付勢部48aにより、蓋部6を締めた状態で蓋部6内の天井面に対してより強く付勢力が生じ、破砕攪拌部材48全体を筒状容器本体5内により安定して固定することができる。
【0059】
このように第4実施形態の粉砕装置用容器41では、破砕用板部7が筒状容器本体5内に収納され筒状容器本体5の上部を蓋部6が閉塞して取り付けられた状態で、筒状容器本体5内の底面及び蓋部6内の天面の少なくとも一方に付勢力を有して押し付けられる固定用付勢部48aを備えているので、蓋部6を筒状容器本体5に取り付けるだけで、固定用付勢部48aによる付勢力で筒状容器本体5内に破砕用板部7をより安定して固定することができる。したがって、ネジ固定等が不要であり、蓋部6を取り外すと破砕用板部7を有する破砕攪拌部材48の固定が解除されるため、分解し易く、各部材の洗浄等も容易となる。
【0060】
次に、第5実施形態と第2実施形態との異なる点は、第2実施形態の下部連結部28B(円弧状板部)が単に筒状容器本体5の内周面に沿って円弧状に延在しているのに対し、第5実施形態の粉砕装置用容器では、図14に示すように、破砕攪拌部材58が円弧板状部である下部連結部58Bを備え、下部連結部58Bが筒状容器本体5の軸線方向の中心に向けて突出した突起部58eを有している点である。
すなわち、第5実施形態では、下部連結部58Bの中間部から半径方向内側に僅かに突出した位置から筒状容器本体5の軸線方向の中心に向けて立設した突起部58eが設けられている。
【0061】
また、第2実施形態では、破砕用板部7が筒状容器本体5の内周面から離間して配されているのに対し、第5実施形態では、破砕用板部57が筒状容器本体5の内周面に接触又は僅かな隙間を空けた状態で近接して配されている。
なお、第5実施形態の破砕用板部57には、折り返し部が設けられていない。
【0062】
さらに、第5実施形態では、破砕攪拌部材58が蓋部6に固定されておらず、破砕攪拌部材58を収納した筒状容器本体5の上部開口部を蓋部6で閉塞する際には、図示しないシリコン等のパッキン(フッ素ゴムやエチレンプロピレン等のパッキンも使用可)を蓋部6の下面に配すると共にパッキンを介して蓋部6で破砕攪拌部材58を下方に押さえ付けた状態で筒状容器本体5を閉塞することで、破砕攪拌部材58を筒状容器本体5内に固定可能に構成されている。
なお、この場合、破砕攪拌部材58を蓋部6に固定する場合よりも、安価に作製することができる。
【0063】
このように第5実施形態の粉砕装置用容器では、円弧板状部57が、筒状容器本体5の軸線方向の中心に向けて突出した突起部58eを有しているので、底面近傍で突出した突起部58eが周方向に回転することで、底面に滞留した粉砕物を運動させると共にさらに破砕することができる。
【0064】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0065】
1…粉砕装置用容器、2…公転体、3…自転体、4…駆動機構、5…筒状容器本体、6…蓋部、7…破砕用板部、7a…破砕用板部の主面、7b…折り返し部、7c…貫通孔、8,28,38,48,58…破砕攪拌部材、38a,48a…固定用付勢部、58e…突起部、100…粉砕装置、L1…公転軸線、L2…自転軸線、M…被処理物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
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図14