IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ PicoCELA株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-ノード、システム、方法及びプログラム 図1
  • 特許-ノード、システム、方法及びプログラム 図2
  • 特許-ノード、システム、方法及びプログラム 図3
  • 特許-ノード、システム、方法及びプログラム 図4
  • 特許-ノード、システム、方法及びプログラム 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-16
(45)【発行日】2024-08-26
(54)【発明の名称】ノード、システム、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 16/14 20090101AFI20240819BHJP
   H04W 16/26 20090101ALI20240819BHJP
   H04W 92/20 20090101ALI20240819BHJP
【FI】
H04W16/14
H04W16/26
H04W92/20 110
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2024534319
(86)(22)【出願日】2024-01-15
(86)【国際出願番号】 JP2024000828
【審査請求日】2024-06-07
(31)【優先権主張番号】P 2023004570
(32)【優先日】2023-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】509266251
【氏名又は名称】PicoCELA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小島 優輝
【審査官】石原 由晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-093289(JP,A)
【文献】特開2012-253807(JP,A)
【文献】特開2013-251926(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線バックホールシステムに使用されるノードであって、
第1チャネルを用いて端末装置と通信するアクセス回線通信部と、
第2チャネルを用いて隣接ノードと通信するバックホール回線通信部と、
前記バックホール回線通信部が前記第2チャネルを用いて隣接ノードと通信している時に、第3チャネルについてレーダー波のモニタを行うモニタ部と、
前記第2チャネルでレーダー波を検出すると、前記第2チャネルから前記第3チャネルにチャネル変更を行う制御を行う制御部と、
を備え、
前記バックホール回線通信部は、前記隣接ノードへ前記第3チャネルを示すモニタチャネル情報を送信する、
ノード。
【請求項2】
前記制御部は、前記第3チャネルを設定する
請求項1に記載のノード。
【請求項3】
前記制御部は、過去の履歴に基づいて前記第3チャネルを設定する、
請求項2に記載のノード。
【請求項4】
前記バックホール回線通信部は、1つの隣接ノードから前記モニタチャネル情報を受信すると、前記隣接ノードへ前記モニタチャネル情報を転送する、
請求項1に記載のノード。
【請求項5】
前記制御部は、受信した前記モニタチャネル情報に示される前記第3チャネルについて、過去の所定時間内にレーダー波を検出したか否かを確認する
請求項4に記載のノード。
【請求項6】
前記モニタチャネル情報の送信又は転送は、ブロードキャストにより行われる、
請求項1から5のいずれか1項に記載のノード。
【請求項7】
前記制御は、前記バックホール回線通信部がレーダー波を検出した場合、又は、前記バックホール回線通信部がレーダー波を検出したこと示す情報を受信した場合、前記バックホール回線通信部に対して、レーダー波を検出したことを示す情報を前記隣接ノードへ送信させる共に、前記バックホール回線通信部に対して前記第2チャネルから前記第3チャネルにチャネル変更を行わせる制御である、
請求項1に記載のノード。
【請求項8】
第1チャネルを用いて端末装置と通信する第1アクセス回線通信部と、
第2チャネルを用いて第1隣接ノードと通信する第1バックホール回線通信部と、
前記第1バックホール回線通信部が前記第2チャネルを用いて前記第1隣接ノードと通信している時に、第3チャネルについてレーダー波のモニタを行う第1モニタ部と、
前記第3チャネルを設定し、前記第2チャネルでレーダー波を検出すると、前記第2チャネルから前記第3チャネルにチャネル変更を行う制御を行う第1制御部と、
を有し、
前記第1バックホール回線通信部は、前記第1隣接ノードへ前記第3チャネルを示すモニタチャネル情報を送信する、
第1ノードと、
第4チャネルを用いて端末装置と通信する第2アクセス回線通信部と、
前記第2チャネルを用いて第2隣接ノードと通信する第2バックホール回線通信部と、
前記第2バックホール回線通信部が前記第2チャネルを用いて前記第2隣接ノードと通信している時に、前記第3チャネルについてレーダー波のモニタを行う第2モニタ部と、
前記第2チャネルでレーダー波を検出すると、前記第2チャネルから前記第3チャネルにチャネル変更を行う制御を行う第2制御部と、
を有し、
前記第2バックホール回線通信部は、前記第3チャネルを示すモニタチャネル情報を受信した場合、前記第2隣接ノードへ前記モニタチャネル情報を転送する、
第2ノードと、
を備える無線バックホール通信システム。
【請求項9】
共通チャネルを用いて互いに通信を行う複数のノードで構成され、
各ノードが、
共通チャネルを使用して隣接ノードと通信する通信部と、
使用中の共通チャネルとは異なるモニタチャネルをモニタするモニタ部と、
前記通信部で使用中の共通チャネルでレーダー波が検出された場合、前記通信部に対して、前記使用中の共通チャネルから前記モニタチャネルチャネル変更を行わせ、前記通信部に対して、前記使用中の共通チャネルでレーダー波を検出したことを示す情報前記隣接ノードに送信させる制御部と、
を備える、
無線バックホール通信システム。
【請求項10】
前記通信部で使用中の特定の共通チャネルでレーダー波が検出された場合とは
前記通信部で使用中の前記特定の共通チャネルでレーダー波を検出した場合、又は、隣接ノードから使用中の特定の共通チャネルでレーダー波を検出したことを示す情報を受信した場合、である、
請求項9に記載の無線バックホール通信システム。
【請求項11】
共通チャネルを用いて互いに通信を行う複数のノードで構成される無線バックホール通信システムの各ノードが、
隣接ノードへ、使用中の共通チャネルとは異なるモニタチャネルを示すモニタチャネル情報を送信するステップと、
前記モニタチャネルをモニタするステップと、
前記使用中の共通チャネルでレーダー波が検出された場合、前記使用中の共通チャネルから前記モニタチャネルに変更するステップと、
を有する方法。
【請求項12】
前記使用中の共通チャネルでレーダー波が検出された場合とは、前記使用中の共通チャネルでレーダー波を検出した場合、又は、隣接ノードから前記使用中の共通チャネルでレーダー波が検出されたことを示す情報を受信した場合、である、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ノードのプロセッサに対して、請求項11又は12に記載の方法を実行させるプログラム。
【請求項14】
無線バックホールシステムに使用されるノードであって、
第1チャネルを用いて隣接ノードと通信するバックホール回線通信部と、
前記バックホール回線通信部が前記第1チャネルを用いて隣接ノードと通信している時に、第2チャネルについてレーダー波のモニタを行うモニタ部と、
前記第1チャネルでレーダー波が検出された場合に、前記第1チャネルから前記第2チャネルに変更させるように前記バックホール回線通信部を制御する制御部と、
を備え
前記バックホール回線通信部は、前記隣接ノードへ前記第2チャネルを示すモニタチャネル情報を送信する、
ノード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ノード、システム、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
5GHz帯域での無線通信を行うノードは、日本の法令上、気象用レーダー等の各種レーダー波を検出した場合、10秒以内に通信を中断し、レーダー波を検出しない別のチャネルへ変更する機能を備える必要がある。この機能は、DFS(Dynamic Frequency Selection)と呼ばれている。
【0003】
また、法令上、ノードは、新しいチャネルへ変更する場合、新しいチャネルを使用する前に1分間のレーダー波の検知(以下、「モニタ」という)を行うことが必要であり、加えて、レーダー波が検出されたチャネルを、レーダー波の検出後30分間は通信に使用することができない。
【0004】
したがって、通信が中断される時間を短縮するため、ノードが、予め、使用していないチャネルについてレーダー波のモニタを行っておき、使用しているチャネルでレーダー波を検出した場合に、予めモニタしていたチャネル(以下、「モニタチャネル」という。)を使用して通信する、いわゆる高速DFSが行われている。
【0005】
特許文献1には、AP(Access Point)がレーダー波を検出すると、管理テーブルを更新すると共に、優先LANを介して管理テーブル更新要求を送出することで、各APが共通の管理テーブルを保持することで帰属端末との通信をチャネル移行後も継続可能する発明が記載されている。
【0006】
特許文献2には、レーダー波を検出すると、帰属端末に既存のAP情報を通知し、端末が接続先のAPを切替えることで、通信の継続を可能とする発明が記載されている。
【0007】
特許文献3は、マルチホップ環境におけるアドホックモードでのDFSを行うために、ビーコンの送信間隔を短くすることで、切断までの10秒以内にレーダー波を検出したことを通知することを可能とする発明が記載されている。
【0008】
特許文献4は、使用していないチャネルで予めレーダー波のモニタを行っておき、各APが端末との通信に使用しているアクセスチャネルでレーダー波を検出した場合に、各APがアクセスチャネルとして、レーダー波のモニタを行っていたチャネルに切替える発明が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2007-214713号公報
【文献】特開2008-011387号公報
【文献】特開2009-141901号公報
【文献】特開2010-278825号公報
【発明の概要】
【0010】
無線によりノード間を接続するネットワーク(以下、「メッシュネットワーク」という。)を構築する無線バックホールシステムでは、全てのノードが、同一のチャネルを使用して、他のノードと接続する。このため、無線バックホールシステムを構成するいずれかのノード(例えば、ノードX)一つが、使用中のチャネルにおいてレーダー波を検出した場合は、法令上、少なくとも当該ノードは、別のチャネルに変更しなければならない。
【0011】
上記の通り、法令上、各ノードで1分間のレーダー波をモニタすることが必要であるので、レーダー波を検出したノードがチャネルの変更を完了するまでに、当該ノードにおいて1分以上の切断が発生することになる。したがって、無線バックホールシステムにおいても、通信が中断される時間を短縮することが求められる。
【0012】
しかしながら、レーダー波を検出したノード単位でチャネルを切り替えても、同一の無線バックホールシステムにおいて複数のチャネルを使用するノードが混在することとなってしまい、メッシュ通信網を維持することが困難となる。これまで、無線バックホールシステムのように、全てのノードが共通のチャネルを使用する場合の高速DFSについては検討されていない。
【0013】
一態様に係る無線バックホールシステムに使用されるノードは、無線バックホールシステムに使用されるノードであって、第1チャネルを用いて端末装置と通信するアクセス回線通信部と、第2チャネルを用いて隣接ノードと通信するバックホール回線通信部と、前記バックホール回線通信部が前記第2チャネルを用いて隣接ノードと通信している時に、第3チャネルについてレーダー波のモニタを行うモニタ部と、前記第2チャネルでレーダー波を検出すると、前記第2チャネルから前記第3チャネルにチャネル変更を行う制御を行う制御部と、を備え、前記バックホール回線通信部は、前記隣接ノードへ前記第3チャネルを示すモニタチャネル情報を送信する
【0014】
一態様に係る無線バックホール通信システムは、第1チャネルを用いて端末装置と通信する第1アクセス回線通信部と、第2チャネルを用いて第1隣接ノードと通信する第1バックホール回線通信部と、前記第1バックホール回線通信部が前記第2チャネルを用いて前記第1隣接ノードと通信している時に、第3チャネルについてレーダー波のモニタを行う第1モニタ部と、前記第3チャネルを設定し、前記第2チャネルでレーダー波を検出すると、前記第2チャネルから前記第3チャネルにチャネル変更を行う制御を行う第1制御部と、を有し、前記第1バックホール回線通信部は、前記第1隣接ノードへ前記第3チャネルを示すモニタチャネル情報を送信する、第1ノードと、第4チャネルを用いて端末装置と通信する第2アクセス回線通信部と、前記第2チャネルを用いて第2隣接ノードと通信する第2バックホール回線通信部と、前記第2バックホール回線通信部が前記第2チャネルを用いて前記第2隣接ノードと通信している時に、前記第3チャネルについてレーダー波のモニタを行う第2モニタ部と、前記第2チャネルでレーダー波を検出すると、前記第2チャネルから前記第3チャネルにチャネル変更を行う制御を行う第2制御部と、を有し、前記第2バックホール回線通信部は、前記第3チャネルを示すモニタチャネル情報を受信した場合、前記第2隣接ノードへ前記モニタチャネル情報を転送する、第2ノードと、を備える。
【発明の効果】
【0015】
本開示の非限定的な態様によれば、無線バックホールシステムを構成する全てのノードが同じモニタチャネルをモニタし、使用しているチャネルでレーダー波が検出された時に、全てのノードが一斉に同じモニタチャネルへ変更することで、無線バックホールシステムによる通信を速やかに再開することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】無線通信システムの構成例を示す図
図2】ノードの内部構成を示すブロック図
図3】CNの動作を示すフローチャート
図4】SNの動作を示すフローチャート
図5】各ノードの動作を示すシーケンス図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を適宜参照して、実施の形態について説明する。本明細書の全体を通じて同一要素には、特に断らない限り、同一符号を付す。添付の図面と共に以下に記載される事項は、例示的な実施の形態を説明するためのものであり、唯一の実施の形態を示すためのものではない。例えば、実施の形態において動作の順序が示された場合、動作の順序は、全体的な動作として矛盾が生じない範囲で、適宜に変更されてもよい。
【0018】
複数の実施の形態及び/又は変形例を例示した場合、或る実施の形態及び/又は変形例における一部の構成、機能及び/又は動作は、矛盾の生じない範囲で、他の実施の形態及び/又は変形例に含まれてもよいし、他の実施の形態及び/又は変形例の対応する構成、機能及び/又は動作に置き換えられてもよい。
【0019】
また、実施の形態において、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、説明が不必要に冗長になること、及び/又は、技術的な事項又は概念が曖昧になることを回避して当業者の理解を容易にするために、公知又は周知の技術的な事項の詳細説明を省略する場合がある。また、実質的に同一の構成、機能及び/又は動作についての重複説明を省略する場合がある。
【0020】
添付図面及び以下の説明は、実施の形態の理解を助けるために提供されるものであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。また、以下の説明で使われる用語は、当業者の理解を助けるために他の用語に適宜に読み替えられてもよい。
【0021】
<システム構成例>
図1は、一実施形態に係る無線通信システムの構成例を示す図である。図1に示す無線通信システム1は、例示的に、複数のノード3と端末装置7を備える。図1には、非限定的な一例として、ノード番号#0~#7を付して示す8台のノード3が例示されている。端末装置7は、ノード3に接続されてもよい。ノード3の数は、2以上かつ7未満でもよいし9以上でもよい。端末装置7の数も2台でなくてもよいし、1つのノードに複数の端末装置が接続されてもよい。
【0022】
個々のノード3は、無線通信が可能な無線機器の一例である。そのため、ノード3のそれぞれは、「無線ノード3」と称されてもよい。無線通信には、IEEE802.11b/g/a/n/ac/ad/ay/axといった無線LAN(Local Area Network)関連規格に準拠した(あるいは、ベースとした)通信プロトコルが適用されてよい。
【0023】
個々のノード3は、無線通信が可能なエリアを形成する。「無線通信が可能なエリア」は、「無線通信エリア」、「無線エリア」、「通信エリア」、「サービスエリア」、「カバレッジエリア」、又は、「カバーエリア」等と称されてもよい。無線LAN関連規格に準拠した、あるいはベースとしたノード3が形成する「無線通信が可能なエリア」は、セルラー通信での呼称である「セル」に対応すると捉えてもよい。例えば、個々のノード3が形成する「無線通信が可能なエリア」は、「スモールセル」に分類される「フェムトセル」に相当すると捉えてもよい。
【0024】
ノード3のそれぞれは、他のノード3が「無線通信が可能なエリア」に位置する場合に、当該他のノード3と無線通信することが可能である。或るノードに対する隣接ノードとは、当該ノードと直接通信可能なノードである。複数のノード3は、例えば、ノード3とノード3の間の通信を無線によって中継する無線バックホール(BH:backhaul)回線によって、無線BHネットワーク9を形成する。「無線BHネットワーク」は、「無線」を省略して「BHネットワーク」と称されてもよい。
【0025】
ノード3は、基地局、AP(Access Point)、中継ノード、又は無線ノードと称されてもよい。端末装置7は、STA(Station)と称されてもよい。ノード3と端末装置7が無線通信する無線アクセス回線は、アクセスチャネル又はアクセスネットワークと称されてもよい。BHは、中継と読み替えられてもよい。隣接は、近隣、又は近傍と読み換えられてもよい。これらの用語において、「無線」は省略されてもよく、また、「BH」は「中継(Relay)」に読み替えられてもよい。
【0026】
なお、以下の説明において、「信号」という用語は、「フレーム」又は「パケット」といった、信号が時間的に区切られた単位の用語に読み替えられてもよい。
【0027】
ノードが使用可能なチャネルは、無線BH回線、無線アクセス回線のいずれにも使用することができる。無線BH回線及び無線アクセス回線には、互いに異なる周波数(チャネル)が割り当てられてよい。非限定的な一例として、無線BH回線には、5GHz帯(例えば、5.15~5.85GHz)のチャネルが割り当てられてよい。
【0028】
無線アクセス回線には、2.4GHz帯(例えば、2.412~2.472GHz)のチャネルが割り当てられてよい。無線BH回線に割り当てられる周波数とは異なる周波数であれば、無線アクセス回線に5GHz帯の周波数が割り当てられてもよい。
【0029】
5GHz帯には、例えば、5.2GHz帯(W52:5150~5250MHz)、5.3GHz帯(W53:5250~5350MHz)、及び、5.6GHz帯(W56:5470~5725MHz)のうちの少なくとも1つが含まれてよい。
【0030】
W52において使用可能なチャネル数は、36ch、40ch、44ch及び48chの4チャネルである。W53において使用可能なチャネル数は、52ch、56ch、60ch及び64chの4チャネルである。W56において使用可能なチャネル数は、100ch、104ch、108ch、112ch、116ch、120ch、124ch、128ch、132ch、136ch、140ch及び144chの12チャネルである。
【0031】
したがって、例えば、無線アクセス回線に、W52、W53及びW56のうちの1つ又は2つの周波数帯を割り当てる場合、無線BH回線には、W52、W53及びW56のうち、アクセス回線に割り当てられない残りの1つ又は2つの周波数帯が割り当てられてよい。
【0032】
ノード#0は、「コアノード(CN:Core Node)」、「中心基地局」と称されてよい。BHネットワーク9を形成する複数のノード3のうち、CN#0を除いた個々のノード3は、「スレーブノード(SN:Slave Node)」、「周辺基地局」と称されてよい。例えば図1において、ノード#1~#7は、いずれもSNである。CN3は、「第1ノード」の一例であり、SN3のそれぞれは、「第2ノード」の一例である。
【0033】
なお、図1において、個々のノード3に付した#0~#7は、個々のノード3の識別に用いられる情報(以下、「ノード識別情報」と略称することがある。)の一例である。ノード識別情報は、同じBHネットワーク9において個々のノード3を一意に識別可能な情報であればよく、例えば、ノード番号、機器の識別子、又は、アドレス情報等であってよい。アドレス情報の非限定的な一例は、MAC(Media Access Control)アドレスである。
【0034】
BHネットワーク9は、1つのCN3(#0)を有するメッシュ構造(以下、「メッシュトポロジ」又は「メッシュネットワーク」と称することがある)を有してよい。なお、本開示におけるBHネットワークは、メッシュトポロジである例に限定されない。例えば、BHネットワーク9は、CN#0をルートノードとしたツリートポロジを有してもよい。
【0035】
ノード3は、CN又はSNのどちらにもなり得る。個々のノード3がCNとなるかSNとなるかは、ノード間の伝送路品質により決定されてもよいし、ノード間の交渉により決定されてもよいし、ノード識別情報の大小により決定されてもよいし、バックボーンネットワークに接続されているか否かにより決定されてもよいし、その他の手法により決定されてもよい。
【0036】
<ノードの内部構成例>
次に、各ノード3の内部構成について図2を用いて説明する。各ノード3は、BH回線通信部201、アクセス回線通信部202、モニタ部203、制御部204、及びメモリ205を有する。
【0037】
BH回線通信部201は、BH回線に使用しているチャネル(例えば、チャネルC)で他のノード3と通信する。BH回線通信部201は、制御部204から指示されたチャネルを使用して、他のノードと通信する。また、BH回線通信部201は、他のノードから「モニタチャネル情報」、「モニタチャネル変更要求」、又は「レーダー波検出情報」の各情報を受信し、隣接ノードにこれらの情報をブロードキャストする。さらに、BH回線通信部201は、BH回線に使用しているチャネルについて、レーダー波のモニタを行う。以下では、BH回線に使用しているチャネルは、「BHチャネル」と称される場合がある。
【0038】
アクセス回線通信部202は、アクセス回線に使用しているチャネルを使用して端末装置7と通信する。アクセス回線通信部202は、制御部204から指示されたチャネルを用いて端末装置7と通信する。すなわち、端末装置7とノード3とは、アクセス回線を用いて通信し、ノード3同士は、バックホール回線を用いて通信する。アクセス回線通信部202は、アクセス回線に使用しているチャネルについて、レーダー波のモニタを行う。アクセス回線通信部202がアクセス回線に使用しているチャネルは、全てのノードで同一である必要はなく、ノード間で異なっていてもよい。
【0039】
モニタ部203は、制御部204から指示されたチャネルについて、レーダー波のモニタ(監視)を行う。モニタ部203は、複数のチャネルに対してレーダー波のモニタを行ってもよい。モニタチャネルは、BH回線で使用するチャネル又はアクセス回線に使用するチャネルでレーダー波が検出されると、BH回線又はアクセス回線で使用することになるチャネルであるから、同じ5GHzの帯域から設定される。
【0040】
BH回線通信部201、アクセス回線通信部202、及びモニタ部203が行っているレーダー波のモニタは、例えば、チャネルの信号レベルを測定することにより行うことが可能である。この場合、BH回線通信部201、アクセス回線通信部202、及びモニタ部203は、所定値以上の信号レベルを所定時間継続して検出すると、「レーダー波を検出した」と判断してよい。BH回線通信部201、アクセス回線通信部202、及びモニタ部203は、レーダー波を検出すると、制御部204にその旨を示す情報(以下、「レーダー波検出情報」という)を通知する。なお、モニタ部203は、複数のチャネルに対してレーダー波をモニタしている場合には、レーダー波を検出したチャネルを示す情報を制御部204に通知してもよい。
【0041】
制御部204は、ノード3全体の動作を制御する。制御部204は、プロセッサを備えていてもよい。プロセッサは、例えば、CPU(central processing unit)又はDSP(digital signal processor)であってもよい。
【0042】
制御部204は、BH回線通信部201で使用するチャネルを設定し、BH回線通信部201に指示する。また、制御部204は、アクセス回線通信部202で使用するチャネルとして、BH回線通信部201で使用するチャネルと異なるチャネルを設定し、アクセス回線通信部202に指示する。さらに、制御部204は、BH回線通信部201で使用しているチャネル及びアクセス回線通信部202で使用しているチャネル以外のチャネルを設定し、モニタ部203に指示する。
【0043】
また、制御部204は、BH回線通信部201が「レーダー波検出情報」を受信したか否かを監視する。制御部204は、BH回線通信部201が「レーダー波検出情報」を受信したことを検出すると、受信した「レーダー波検出情報」を、BH回線通信部201から隣接ノードに転送する。
【0044】
制御部204は、ノード3がCNとして動作している場合は、モニタチャネルを設定し、設定したモニタチャネルの情報(以下、「モニタチャネル情報」という)を、BH回線通信部201から隣接ノードに送信する。制御部204は、BH回線通信部201が「モニタチャネル変更要求」を受信したか否かを監視する。制御部204は、BH回線通信部201が「モニタチャネル変更要求」を受信したことを検出すると、新たなモニタチャネルを設定し、モニタチャネル情報を、BH回線通信部201から隣接ノードに送信する。
【0045】
制御部204は、ノード3がSNとして動作している場合は、BH回線通信部201が「モニタチャネル情報」又は「モニタチャネル変更要求」を受信したか否かを監視する。制御部204は、「モニタチャネル情報」又は「モニタチャネル変更要求」を受信した場合には、受信した「モニタチャネル情報」又は「モニタチャネル変更要求」を、BH回線通信部201から隣接ノードに転送(送信)する。制御部204は、「モニタチャネル情報」を受信した場合には、モニタ部203に、受信した「モニタチャネル情報」に含まれているモニタチャネルを設定させる。
【0046】
制御部204は、BH回線通信部201からレーダー波を検出したことが通知されると、BH回線通信部201で使用しているチャネルの使用を中断し、モニタ部203でレーダー波をモニタしているチャネルを、BH回線通信部201で使用して通信するように、BH回線通信部201を制御する。
【0047】
制御部204は、アクセス回線通信部202からレーダー波を検出したことが通知されると、アクセス回線通信部202で使用しているチャネルの使用を中断し、BH回線通信部201で使用しているチャネル及びモニタ部203でレーダー波をモニタしているチャネル以外のチャネルを、アクセス回線通信部202で使用するように、アクセス回線通信部202を制御する。あるいは、制御部204は、モニタ部203でレーダー波をモニタしているチャネルを、アクセス回線通信部202で使用するように、アクセス回線通信部202を制御し、モニタ部203でレーダー波をモニタしているチャネルを別のチャネルに変更させてもよい。
【0048】
制御部204は、モニタ部203からレーダー波を検出したことが通知されると、モニタ部203でレーダー波をモニタしているチャネルを別のチャネルに変更させてもよい。制御部204は、モニタ部203が、複数のチャネルに対してレーダー波をモニタしている場合は、レーダー波を検出したチャネルを別のチャネルに変更させてもよいし、全てのチャネルを変更させてもよい。
【0049】
メモリ205は、プロセッサに実行させるOS(operating system)のプログラム、アプリケーションプログラム、及びプロセッサによる処理に必要な各種データが記憶される。メモリは、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、SSD(solid state drive)、及び/又はHDD(hard disk drive)であってもよい。
【0050】
<CNの動作>
次に、CNの動作について図3のフローチャートを用いて説明する。
【0051】
CNは、SNと共に、BH回線で通信を開始する(S301)。
【0052】
CNは、BH通信を行っている間に、現在のBH通信に使用しているチャネルでレーダー波を検出した場合に変更する新しいチャネルをモニタチャネルとして設定する(S302)。モニタチャネルは、使用可能なチャネルの中から、チャネルの混雑度を考慮して設定されてもよいし、ランダムに設定されてもよい。モニタチャネルは、CN及びSNにおいてレーダー波を検出した履歴に基づいて、レーダー波が検出された頻度や回数が小さいチャネルが設定されることにより、レーダー波が検出されない可能性が高いチャネルが設定されてもよい。モニタチャネルは、レーダー波が検出された時刻及び現在の時刻が考慮されて設定されてもよい。法令により、レーダー波を検出したチャネルは、レーダー波の検出後30分間は使用できないので、過去30分以内にレーダー波が検出されたチャネルは、モニタチャネルとして設定されなくてもよい。また、複数のモニタチャネルが設定されてもよい。
【0053】
CNは、モニタ部が設定されたチャネルのモニタを開始する(S303)。
【0054】
CNは、モニタを開始したチャネルを示す情報を「モニタチャネル情報」として隣接ノードにBH回線により送信する(S304)。モニタチャネル情報の送信は、ブロードキャストでもよい。S302で複数のモニタチャネルが設定された場合は、複数のモニタチャネルの1つを示す情報が含まれているモニタチャネル情報を複数送信してもよいし、複数のモニタチャネルを示す情報が含まれているモニタチャネル情報を1つ送信してもよい。
【0055】
CNは、モニタチャネルでレーダー波を検出するか判断する(S305)。
【0056】
CNがS305においてレーダー波を検出した場合(Yes)、フローはS302のモニタチャネル設定に戻り、CNは、別のモニタチャネルを新たに設定する。S302で複数のモニタチャネルが設定された場合は、モニタチャネル変更要求は、変更要求を行うモニタチャネルを識別する情報が含まれていてもよい。
【0057】
CNは、S305においてレーダー波を検出しない場合(No)、モニタチャネル変更要求を受信するか判断する(S306)。
【0058】
CNがS306においてモニタチャネル変更要求を受信した場合(Yes)、フローはS302のモニタチャネル設定に戻り、CNは、別のモニタチャネルを新たに設定する。複数のモニタチャネルが設定されている場合、モニタチャネル変更要求は、変更要求を行うモニタチャネルを識別する情報が含まれていてもよい。
【0059】
CNは、S306においてモニタチャネル変更要求を受信しない場合(No)、BH回線で使用しているチャネルでレーダー波を検出するか判断する(S307)。
【0060】
CNは、S307においてレーダー波を検出した場合(Yes)、隣接ノードにBHチャネルでレーダー波を検出したこと(以下、「レーダー波検出情報」という。)をBH回線により送信する(S308)。レーダー波検出情報の送信は、ブロードキャストでもよい。レーダー波を検出したBHチャネルは、10秒以内に通信を中断する必要があるから、レーダー波検出情報をBH回線で送信するために、BHチャネルによる通信を中断する前にレーダー波検出情報の送信を行うことが必要である。
【0061】
CNは、S307においてレーダー波を検出しない場合(No)、レーダー波検出情報を受信するか判断する(S309)。
【0062】
CNは、S309においてレーダー波検出情報を受信した場合(Yes)、隣接ノードに受信したレーダー波検出情報をBH回線により転送(送信)する(S310)。レーダー波検出情報の転送は、ブロードキャストでもよい。
【0063】
CNがS309においてレーダー波検出情報を受信しない場合(No)、フローはS305に戻り、CNは、モニタチャネルでレーダー波を検出するか判断する。
【0064】
CNは、S308においてレーダー波検出情報を隣接ノードに送信した後、又は、S310でレーダー波検出情報を隣接ノードに転送した後、BH回線で使用するチャネルを現在のチャネルからモニタチャネルに変更する(S311)。複数のモニタチャネルをモニタしている場合には、所定の条件に基づいて変更するモニタチャネルが決定される。決定されるチャネルは、レーダー波を検出しない時間が最も長いチャネルとされてもよいし、識別番号が最も小さいチャネルとされてもよい。
【0065】
S303及びS304は、順番が入れ替わってもよい。また、S305、S306、S307、及びS309は、順番が入れ替わってもよい。また、S311において、モニタチャネルのモニタ時間が1分未満である場合、1分経過後にBH回線で使用しているチャネルがモニタチャネルへ変更されてもよい。
【0066】
<SNの動作>
次に、SNの動作について図4のフローチャートを用いて説明する。
【0067】
SNは、CN及び他のSNと共に、BH回線で通信を開始する(S401)。
【0068】
SNは、隣接ノードからのモニタチャネル情報を受信するか判断する(S402)。
【0069】
SNがS402において隣接ノードからモニタチャネル情報を受信しない場合(No)、フローはS402に戻り、SNは、再び、モニタチャネル情報を受信するかを判断する。
【0070】
SNは、S402において隣接ノードからモニタチャネル情報を受信すると(Yes)、モニタチャネル情報に含まれるモニタチャネルが過去30分以内にレーダー波を検出したか否かを確認する(S403)。
【0071】
ノード3が使用可能なチャネルは、BH回線で使用するチャネル、アクセス回線で使用するチャネル、又はモニタチャネルのいずれとしても使用可能である。モニタチャネル、又はBH回線で使用しているチャネルでレーダー波を検出した場合は、「レーダー波検出情報」が隣接ノードへBHチャネルにより送信又は転送することにより、最終的にCNがレーダー波検出情報を受信する。したがって、図3のS302で記載したCNによるモニタチャネル設定においてモニタチャネルとして設定されないから、過去30分以内にレーダー波を検出したチャネルが、SNが受信するモニタチャネル情報で通知されることはない。しかし、アクセス回線で使用しているチャネルでレーダー波を検出した場合は、レーダー波検出情報が隣接ノードへ送信されないから、CNはSNがアクセス回線で使用していたチャネルがレーダー波を検出していたことを知らない。したがって、SNにおけるアクセス回線に使用しているチャネルでレーダー波を検出したチャネルが、S302のモニタチャネル設定においてモニタチャネルとして設定される可能性があるため、S403の処理が必要である。SNが、アクセス回線に使用しているチャネルでレーダー波を検出した場合に、アクセス回線に使用しているチャネルでレーダー波を検出したことを示す「アクセス回線レーダー波検出情報」を隣接ノードへBHチャネルにより送信し、「アクセス回線レーダー波検出情報」を受信した場合に、「アクセス回線レーダー波検出情報」を隣接ノードに転送する場合は、SNがアクセス回線に使用しているチャネルがレーダー波を検出していたことを考慮してCNがモニタチャネル設定をすることができるので、S403の処理は不要である。
【0072】
SNは、S403において過去30分以内にレーダー波を検出していた場合(Yes)、モニタチャネル変更要求を隣接ノードへBH回線により送信する(S407)。モニタチャネル変更要求の送信は、ブロードキャストでもよい。複数のモニタチャネルを受信した場合、モニタチャネル変更要求は、レーダー波を検出していたモニタチャネルを識別する情報が含まれていてもよい。
【0073】
SNは、S403において過去30分以内にレーダー波を検出していなかった場合(No)、モニタ部203においてモニタチャネルのモニタを開始する(S404)。
【0074】
SNは、モニタを開始したチャネルをモニタチャネル情報として隣接ノードにBH回線により転送(送信)する(S405)。モニタチャネル情報の転送は、ブロードキャストでもよい。
【0075】
SNは、モニタチャネルでレーダー波を検出するか判断する(S406)。
【0076】
SNは、S406においてモニタチャネルでレーダー波を検出した場合(Yes)、隣接ノードへモニタチャネル変更要求をBH回線により送信する(S407)。モニタチャネル変更要求の送信は、ブロードキャストでもよい。SNがS407においてモニタチャネル変更要求をBH回線により送信した後、フローはS402に戻り、SNは、モニタチャネル情報を受信するか判断する。
【0077】
SNは、S406においてモニタチャネルでレーダー波を検出しない場合(No)、モニタチャネル変更要求を受信するか判断する(S408)。
【0078】
SNは、S408においてモニタチャネル変更要求を受信した場合(Yes)、隣接ノードへモニタチャネル変更要求をBH回線により転送(送信)する(S409)。モニタチャネル変更要求の転送は、ブロードキャストでもよい。SNがS409においてモニタチャネル変更要求をBH回線により送信した後、フローはS402に戻り、SNは、再び、モニタチャネル情報を受信するか判断する。
【0079】
SNは、S408においてモニタチャネル変更要求を受信しない場合(No)、BH回線で使用しているチャネルでレーダー波を検出するか判断する(S410)。
【0080】
SNは、S410においてレーダー波を検出した場合(Yes)、隣接ノードにレーダー波検出情報をBH回線により送信する(S411)。レーダー波検出情報の送信は、ブロードキャストでもよい。レーダー波を検出したBH回線で使用しているチャネルは10秒以内に通信を中断する必要があるから、レーダー波検出情報をBH回線で送信するために、BHチャネルによる通信を中断する前にレーダー波検出情報の送信を行うことが必要である。
【0081】
SNは、S410においてレーダー波を検出しない場合(No)、レーダー波検出情報を受信するか判断する(S412)。
【0082】
SNは、S412においてレーダー波検出情報を受信した場合(Yes)、隣接ノードへレーダー波検出情報をBH回線により転送(送信)する(S413)。レーダー波検出情報の転送は、ブロードキャストでもよい。
【0083】
SNがS412においてレーダー波検出情報を受信しない場合(No)、フローはS406へ戻り、SNは、モニタチャネルでレーダー波を検出するか判断する。
【0084】
SNは、S411でレーダー波検出情報を隣接ノードに送信した後、又は、S413でレーダー波検出情報を隣接ノードに転送した後、BH回線で使用するチャネルを現在のチャネルからモニタチャネルに変更する(S414)。複数のモニタチャネルをモニタしている場合は、所定の条件に基づいて変更するモニタチャネルが決定される。決定されるチャネルは、レーダー波を検出しない時間が最も長いチャネルとされてもよいし、識別番号が最も小さいチャネルとされてもよい。SNがS414においてBH回線で使用するチャネルを現在のチャネルからモニタチャネルに変更した後、フローはS402に戻り、SNは、再び、モニタチャネル情報を受信するか判断する。
【0085】
S403、S404、及びS405は、順番が入れ替わってもよい。また、S406、S408、S410、及びS412は順番が入れ替わってもよい。また、S414において、モニタチャネルのモニタ時間が1分未満である場合、1分経過後にBH回線で使用しているチャネルがモニタチャネルへ変更されてもよい。
【0086】
<各ノードの動作>
図5は、図1に示す無線通信システムを構成するノードのうち、CN#0、SN#1、SN#4の動作を示すシーケンス図の例を示している。CN#0は図3に記載される動作を行い、SN#1及びSN#4は図4に記載される動作を行う。CN#0及びSN#1は隣接ノードであり、SN#1及びSN#4は隣接ノードであるが、CN#0及びSN#4は隣接ノードではない。したがってCN#0とSN#4はSN#1が中継することで通信することができる。
【0087】
以下、チャネルCをBH回線で使用している状態で、チャネルAをモニタチャネルとして設定したが、チャネルAはSN#1においてレーダー波を検出していたので、モニタチャネルをチャネルBに変更し、チャネルCでレーダー波が検出された場合に、チャネルBに変更する動作例を説明する。
【0088】
CN#0は、モニタチャネル(例えば、チャネルA)を設定する(S501)。
【0089】
CN#0は、モニタ部203が、設定したモニタチャネル(例えば、チャネルA)について、レーダー波をモニタする(S502)。
【0090】
CN#0は、設定したモニタチャネル(例えば、チャネルA)を、「モニタチャネル情報」として、隣接ノードへ送信する(S503)。送信はブロードキャストでもよい。
【0091】
CN#0の隣接ノードであるSN#1は、「モニタチャネル情報」を受信する。
【0092】
SN#1は、受信した「モニタチャネル情報」が示すモニタチャネル(例えば、チャネルA)が、過去30分以内にレーダー波を検出したか否か確認する(S504)。30分は法令により決定されている時間であるから、法令の変更に伴って変更されてもよい。
【0093】
SN#1は、「モニタチャネル情報(例えば、チャネルA)」が示すモニタチャネル(例えば、チャネルA)が、過去30分以内にレーダー波を検出済みであったとする。つまり、SN#1は、過去30分以内にアクセス回線に使用していたチャネルAでレーダー波を検出していた。この場合、SN#1は、CN#0に対して設定されたモニタチャネルの変更を要求するため、「モニタチャネル変更要求」を隣接ノードに送信する(S505)。S505で送信される「モニタチャネル変更要求(例えば、チャネルAの変更要求)」は、S503で送信された「モニタチャネル情報(例えば、チャネルA)」に関する「モニタチャネル変更要求(例えば、チャネルAの変更要求)」であると識別することが可能である。
【0094】
CN#0は、「モニタチャネル変更要求(例えば、チャネルAの変更要求)」を受信すると、モニタチャネル設定を行って新たなモニタチャネル(例えば、チャネルB)を設定する(S506)。SN#1が送信した「モニタチャネル変更要求(例えば、チャネルAの変更要求)」はSN#4も受信するが、SN#4は受信した「モニタチャネル変更要求(例えば、チャネルAの変更要求)」に関する「モニタチャネル情報(例えば、チャネルA)」を受信していないから、受信した「モニタチャネル変更要求(例えば、チャネルAの変更要求)」を無視する。
【0095】
CN#0は、モニタ部が、設定した新たなモニタチャネル(例えば、チャネルB)のモニタを開始する(S507)。
【0096】
CN#0は、新たに設定した「モニタチャネル情報(例えば、チャネルB)」を隣接ノードへ送信する(S508)。モニタチャネル情報の送信はブロードキャストでもよい。S508で送信されるモニタチャネル情報は、シーケンス番号などにより、S503で送信される「モニタチャネル情報(例えば、チャネルA)」とは別の「モニタチャネル情報(例えば、チャネルB)」であると識別することが可能である。
【0097】
SN#1は、「モニタチャネル情報(例えば、チャネルB)」が示すモニタチャネル(例えば、チャネルB)が、過去30分以内にレーダー波を検出したか否か確認する(S509)。30分は法令により決定されている時間であるから、法令の変更に伴って変更されてもよい。
【0098】
SN#1は、「モニタチャネル情報(例えば、チャネルB)」が示すモニタチャネル(例えば、チャネルB)が、過去30分以内にレーダー波を検出していなかったとする。この場合、SN#1は、通知された「モニタチャネル情報(例えば、チャネルB)」が示すモニタチャネル(例えば、チャネルB)のモニタを開始する(S510)。SN#1は、過去30分以内にレーダー波を検出していなかったことの通知を、モニタチャネル情報を送信したCN#0に送信してもよい。
【0099】
SN#1は、「モニタチャネル情報(例えば、チャネルB)」を隣接ノードに転送する(S511)。S511で転送された「モニタチャネル情報(例えば、チャネルB)」は、シーケンス番号などにより、S508で送信された「モニタチャネル情報(例えば、チャネルB)」の転送であることが識別可能である。
【0100】
SN#1の隣接ノードであるSN#4は、「モニタチャネル情報(例えば、チャネルB)」を受信する。S511で転送された「モニタチャネル情報(例えば、チャネルB)」は、CN#0も受信するが、CN#0自身が送信した「モニタチャネル情報(例えば、チャネルB)」が転送されたものであるから、CN#0は受信した「モニタチャネル情報(例えば、チャネルB)」を無視する。
【0101】
SN#4は、「モニタチャネル情報(例えば、チャネルB)」が示すモニタチャネル(例えば、チャネルB)が、過去30分以内にレーダー波を検出したか否か確認する(S512)。30分は法令により決定されている時間であるから、法令の変更に伴って変更されてもよい。
【0102】
SN#4は、「モニタチャネル情報(例えば、チャネルB)」が示すモニタチャネル(例えば、チャネルB)が、過去30分以内にレーダー波を検出していなかったとする。この場合、「モニタチャネル情報(例えば、チャネルB)」により通知されたモニタチャネル(例えば、チャネルB)のモニタを開始する(S513)。
【0103】
SN#4は、BHチャネル(例えば、チャネルC)でレーダー波を検出する(S514)。
【0104】
SN#4は、BHチャネル(例えば、チャネルC)でレーダー波を検出したことを、BH通信ネットワークを構成するノードに通知するため、「レーダー波検出情報」を隣接ノードへ送信し(S515)、BH回線で使用するBHチャネルを、現在使用しているチャネル(例えば、チャネルC)からモニタチャネル(例えば、チャネルB)に変更する(S516)。
【0105】
SN#1は、「レーダー波検出情報」を受信し、「レーダー波検出情報」を転送する(S517)とともに、BH回線で使用するBHチャネルを、現在使用しているチャネル(例えば、チャネルC)からモニタチャネル(例えば、チャネルB)に変更する(S518)。S517で転送した「レーダー波検出情報」は、シーケンス番号などにより、S515で送信された「レーダー波検出情報」の転送であることが識別可能である。
【0106】
CN#0は、「レーダー波検出情報」を受信し、「レーダー波検出情報」を転送するとともに、BH回線で使用するBHチャネルを、現在使用しているチャネル(例えば、チャネルC)からモニタチャネル(例えば、チャネルB)に変更する(S519)。S517でSN#1が送信した「レーダー波検出情報」は、SN#4も受信するが、SN#4自身が送信した「レーダー波検出情報」が転送されたものであるから、SN#4は受信した「レーダー波検出情報」を無視する。また、CN#0は、S517で受信した「レーダー波検出情報」を隣接ノードへ転送するが、SN#1は自身が転送した「レーダー波検出情報」が転送されたものであるから、SN#1は受信した「レーダー波検出情報」を無視する。
【0107】
図5に記載されないSNについても、同様である。
【0108】
<実施の形態のまとめ>
以上説明したように、上記のとおり、無線バックホールシステムを構成する全てのノード3がBHチャネルとしてチャネルC、モニタチャネルとしてチャネルBを使用しているので、一つのノード3(例えばSN#4)がチャネルCでレーダー波を検出した場合に、各ノード3が、BHチャネルとして現在使用しているチャネルCの使用を中断してモニタチャネルであるチャネルBを使用すると、無線バックホール通信システムを構成する全てのノード3が、BHチャネルとしてモニタチャネルであるチャネルBを使用することとなる。つまり、全てのノードで同じモニタチャネルをモニタしておき、無線バックホールシステムを構成するいずれかのノード3においてレーダー波を検出した場合に、全てのノード3が同じモニタチャネルにバックホール回線に使用するチャネルを切り替えるので、無線バックホール通信システムにおける高速DFSを実現することができる。
【0109】
<変形例>
モニタ部は、複数のチャネルをモニタしてもよい。複数のチャネルをモニタする場合、「モニタチャネル変更要求」には、レーダー波が検出されたチャネルが含まれてもよい。
【0110】
アクセス回線通信部で使用しているチャネル(例えば、チャネルD)について、レーダー波が検出された場合、ノードは、モニタ部でモニタしているモニタチャネル(例えば、チャネルA)をアクセス回線通信部で使用し、モニタチャネルを変更するために、モニタチャネルの設定又はモニタチャネル変更要求の送信をしてもよい。各ノードに、アクセス回線の高速DFSを行うための「アクセス回線モニタ部」を設けて、アクセス回線で使用するチャネルを、現在使用しているチャネル(例えば、チャネルD)から、アクセス回線モニタ部でモニタしているアクセス回線モニタチャネル(例えば、チャネルE)に変更してもよい。アクセス回線モニタ部でモニタするチャネルは、BH回線通信部で使用しているチャネル(例えば、チャネルC)、アクセス回線通信部で使用しているチャネル(例えば、チャネルD)、及びモニタ部でモニタしているチャネル(例えば、チャネルA)以外のチャネル(例えば、チャネルE)とすればよい。
【0111】
アクセス回線通信部で使用しているチャネルを、「アクセス回線チャネル情報」として隣接ノードに通知し、受信した「アクセス回線チャネル情報」を隣接ノードに通知することにより、CNに、SNがアクセス回線通信部で使用しているチャネルを通知するようにしてもよい。あるいは、アクセス回線通信部で使用しているチャネルが「モニタチャネル情報」で通知された場合に、「モニタチャネル変更要求」を送信するようにしてもよい。
【0112】
「モニタチャネル情報」により通知されたチャネルが、SNがアクセス回線に使用しているチャネルであった場合は、「モニタチャネル変更要求」を送信してもよいし、アクセス回線に使用しているチャネルを変更してもよい。
【0113】
ノード3は、5G(第5世代携帯電話)アクセスポイント用のモジュールを備えていても良い。モニタ部がモニタしているチャネル(例えば、チャネルA)は、5Gアクセスポイント用モジュールでレーダー波を検出した場合の変更先チャネルとしてもよい。5Gアクセスポイント用のモジュールを備えるノードに「5Gモニタ部」を設けて、アクセス回線モニタ部と同様にモニタしてもよい。
【0114】
レーダー波が特定の時間帯に検出されるなどの場合、時刻に基づいてBH通信に使用するチャネルが変更されてもよい。所定時刻以後にBH通信に使用されるチャネルが、所定時刻以前にモニタされてもよい。
【0115】
BH回線通信部がBH通信を受信しなくなった場合、BHチャネルが切り替わった、又はBHチャネルが障害となった、と判断して別のチャネルを順に走査することができ、最初に走査するチャネルとしてモニタチャネルを設定することができる。
【0116】
(1)本開示の一実施例に係る無線バックホールシステムに使用されるノードは、第1チャネルを用いて端末装置と通信するアクセス回線通信部と、第2チャネルを用いて隣接ノードと通信し、前記隣接ノードへ第3チャネルを示すモニタチャネル情報を送信するバックホール回線通信部と、前記第3チャネルについてレーダー波のモニタを行うモニタ部と、を備える。
【0117】
(2)本開示の一実施例に係る無線バックホールシステムに使用されるノードは、(1)に記載のノードにおいて、前記第3チャネルを設定する制御部、をさらに備える。
【0118】
(3)本開示の一実施例に係る無線バックホールシステムに使用されるノードは、(2)に記載のノードにおいて、前記制御部は、過去の履歴に基づいて前記第3チャネルを設定する。
【0119】
(4)本開示の一実施例に係る無線バックホールシステムに使用されるノードは、(1)に記載のノードにおいて、前記バックホール回線通信部は、1つの隣接ノードから前記モニタチャネル情報を受信すると、隣接ノードへ前記モニタチャネル情報を転送する。
【0120】
(5)本開示の一実施例に係る無線バックホールシステムに使用されるノードは、(4)に記載のノードにおいて、受信した前記モニタチャネル情報に示される前記第3チャネルについて、過去の所定時間内にレーダー波を検出したか否かを確認する制御部、をさらに備える。
【0121】
(6)本開示の一実施例に係る無線バックホールシステムに使用されるノードは、(1)から(4)のいずれか1つに記載のノードにおいて、前記モニタチャネル情報の送信又は転送は、ブロードキャストにより行われる。
【0122】
(7)本開示の一実施例に係る無線バックホールシステムに使用されるノードは、(1)に記載のノードにおいて、前記バックホール回線通信部がレーダー波を検出した場合、又は、前記バックホール回線通信部がレーダー波を検出したこと示す情報を受信した場合、前記バックホール回線通信部に対して、レーダー波を検出したことを示す情報を前記隣接ノードへ送信させる共に、前記バックホール回線通信部に対して前記第3チャネルを使用するようにチャネル変更を行わせる制御部、をさらに備える。
【0123】
(8)本開示の一実施例に係る無線バックホール通信システムは、第1チャネルを用いて端末装置と通信する第1アクセス回線通信部と、第2チャネルを用いて隣接ノードと通信する第1バックホール回線通信部と、第3チャネルについてレーダー波のモニタを行う第1モニタ部と、前記第3チャネルを設定し、前記第1バックホール回線通信部に対して、前記隣接ノードへ前記第3チャネルを示すモニタチャネル情報を送信させる第1制御部と、を有する第1ノードと、第4チャネルを用いて端末装置と通信する第2アクセス回線通信部と、前記第2チャネルを用いて隣接ノードと通信する第2バックホール回線通信部と、前記第3チャネルについてレーダー波のモニタを行う第2モニタ部と、前記第2バックホール回線通信部が前記第3チャネルを示すモニタチャネル情報を受信した場合、前記第2バックホール回線通信部に対して、前記隣接ノードへ前記モニタチャネル情報を転送させる第2制御部と、を有する第2ノードと、を備える。
【0124】
(9)本開示の一実施例に係る無線バックホール通信システムは、共通チャネルを用いて互いに通信を行う複数のノードで構成され、各ノードが、特定の共通チャネルを使用して隣接ノードと通信する通信部と、使用中の共通チャネルとは異なるモニタチャネルをモニタするモニタ部と、前記通信部で使用中の共通チャネルでレーダー波が検出された場合、前記モニタチャネルを前記通信部で使用するチャネル変更を行い、前記通信部に対して、前記使用中の共通チャネルでレーダー波を検出したことを示す情報を、前記隣接ノードに送信させる制御部と、を備える。
【0125】
(10)本開示の一実施例に係る無線バックホール通信システムは、(9)に記載の無線バックホール通信システムにおいて、前記通信部で使用中の共通チャネルでレーダー波が検出されたことは、前記通信部でレーダー波を検出したこと、又は、隣接ノードからレーダー波を検出したことを示す情報を受信したこと、である。
【0126】
(11)本開示の一実施例に係る方法は、共通チャネルを用いて互いに通信を行う複数のノードで構成される無線バックホール通信システムの各ノードが、隣接ノードへ、使用中の共通チャネルとは異なるモニタチャネルを示すモニタチャネル情報を送信するステップと、前記モニタチャネルをモニタするステップと、を有する。
【0127】
(12)本開示の一実施例に係る方法は、(11)に記載の方法において、前記使用中の共通チャネルでレーダー波を検出場合、又は、隣接ノードから前記使用中の共通チャネルでレーダー波が検出されたことを示す情報を受信した場合前記使用中の共通チャネルでレーダー波が検出されたことを示す情報を隣接ノードに送信するステップと、前記モニタチャネルを使用して隣接ノードと通信するようにチャネル変更を行うステップと、をさらに有する。
【0128】
(13)本開示の一実施例に係るプログラムは、ノードのプロセッサに対して、(11)又は(12)に記載の方法を実行させる。
【0129】
(14)本開示の一実施例に係る無線バックホールシステムに使用されるノードは、第1チャネルを用いて隣接ノードと通信し、前記隣接ノードへ第2チャネルを示すモニタチャネル情報を送信するバックホール回線通信部と、前記第2チャネルについてレーダー波のモニタを行うモニタ部と、を備える。
【0130】
2023年1月16日出願の特願2023-004570の日本出願に含まれる明細書、図面および要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。
【産業上の利用可能性】
【0131】
本開示は、無線メッシュネットワークなどに用いられる無線バックホールシステムに有用である。
【符号の説明】
【0132】
1:無線通信システム
3:ノード
7:端末装置
9:BHネットワーク
201:BH回線通信部
202:アクセス回線通信部
203:モニタ部
204:制御部
205:メモリ
【要約】
無線バックホールシステムに使用されるノードは、第1チャネルを用いて端末装置と通信するアクセス回線通信部と、第2チャネルを用いて隣接ノードと通信し、前記隣接ノードへ第3チャネルを示すモニタチャネル情報を送信するバックホール回線通信部と、前記第3チャネルについてレーダー波のモニタを行うモニタ部と、を備える。
図1
図2
図3
図4
図5