(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-16
(45)【発行日】2024-08-26
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 5/04 20060101AFI20240819BHJP
【FI】
A63F5/04 631
A63F5/04 614B
(21)【出願番号】P 2020062064
(22)【出願日】2020-03-31
【審査請求日】2023-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】511232514
【氏名又は名称】株式会社BOOOM
(74)【代理人】
【識別番号】100157912
【氏名又は名称】中島 健
(74)【代理人】
【識別番号】100074918
【氏名又は名称】瀬川 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】加藤 正樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 庸元
【審査官】木村 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-176538(JP,A)
【文献】特開2017-144012(JP,A)
【文献】特開2018-110655(JP,A)
【文献】特開2018-042897(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の図柄を変動表示又は停止表示するための回転リールと、
前記回転リールの図柄を変動表示させるためのスタートスイッチと、
前記回転リールに対応して設けられ、対応する回転リールの図柄を停止表示させるためのストップスイッチと、
複数の当せん役のいずれかに当せんしたか又はハズレかの抽せんを行う当せん抽せん手段と、
前記複数の当せん役に対応する当せん領域を記憶した役抽せんテーブルと、
前記当せん抽せん手段の抽せん結果と前記ストップスイッチの操作とに基づいて前記回転リールの図柄の停止表示に係る制御を行うリール制御手段と、
前記回転リールが図柄を停止表示した際の前記回転リールの停止位置に基づいて前記複数の当せん役のいずれかに入賞したか又は入賞しなかったかの判定を行う入賞判定手段と、
遊技状態の管理を行うための遊技状態制御手段と、
を備え、
前記遊技状態が特定の遊技状態であり、かつ、前記当せん抽せん手段の抽せん結果がハズレである遊技において、前記回転リールに停止表示されたハズレの図柄組み合わせが、予め定められた特定の図柄組み合わせであったときに、遊技者に所定の利益が付与されるようにし、
前記特定の図柄組み合わせとして、複数の図柄組み合わせが設定されており、
前記複数の図柄組み合わせのうちのいずれの前記特定の図柄組み合わせが表示されるかは、前記ストップスイッチの操作タイミングによって変化するようになっており、
前記複数の図柄組み合わせのうちのいずれの図柄組み合わせが表示されたかによって、遊技者に付与される利益の内容が変化するようになっており、
前記特定の図柄組み合わせを表示することで遊技者に付与される利益は、
図柄の出現率に基づいた遊技者の目押しの難易度に応じて設定されている、遊技機。
【請求項2】
前記リール制御手段は、前記特定の図柄組み合わせを停止表示するときに、前記ストップスイッチによって停止操作がされたときの図柄表示位置を基準として、1コマ以下のスベリコマ数で前記回転リールを停止させることを特徴とする、請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記ストップスイッチの有利な操作態様を遊技者に指示する特定遊技を実行可能であり、
前記所定の利益は、前記特定遊技に係る利益であることを特徴とする、請求項1または2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記特定の遊技状態は、当せんしたボーナス役の入賞権利が持ち越されたボーナス内部中の遊技状態であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スロットマシンなどの遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の遊技機として、ストップスイッチの正解の押し順を報知することで入賞の利益を得やすくした遊技期間(ATやART)を設けたものが知られている。
【0003】
こうしたATやARTは、予め定められた所定の契機が達成されたときに開始するように構成されている。例えば特許文献1に記載されているように、予め定められた特定の役に入賞したとき(特定の役に係る図柄組み合わせが停止表示されたとき)に、ATやARTを開始する権利を遊技者に付与する構成が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記した従来の構成では、特定の役に当せんしなければ、ATやARTに関する優遇を受け取れない構成であった。
【0006】
そこで、本発明は、特定の役に当せんしなくてもATやARTに関する優遇などの利益を遊技者が獲得可能とし、これにより遊技者の興趣を高めることができる遊技機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、以下を特徴とする。
【0008】
すなわち、複数の図柄を変動表示又は停止表示するための回転リールと、前記回転リールの図柄を変動表示させるためのスタートスイッチと、前記回転リールに対応して設けられ、対応する回転リールの図柄を停止表示させるためのストップスイッチと、複数の当せん役のいずれかに当せんしたか又はハズレかの抽せんを行う当せん抽せん手段と、前記複数の当せん役に対応する当せん領域を記憶した役抽せんテーブルと、前記当せん抽せん手段の抽せん結果と前記ストップスイッチの操作とに基づいて前記回転リールの図柄の停止表示に係る制御を行うリール制御手段と、前記回転リールが図柄を停止表示した際の前記回転リールの停止位置に基づいて前記複数の当せん役のいずれかに入賞したか又は入賞しなかったかの判定を行う入賞判定手段と、遊技状態の管理を行うための遊技状態制御手段と、を備え、前記遊技状態が特定の遊技状態であり、かつ、前記当せん抽せん手段の抽せん結果がハズレである遊技において、前記回転リールに停止表示されたハズレの図柄組み合わせが、予め定められた特定の図柄組み合わせであったときに、遊技者に所定の利益が付与されるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は上記の通りであり、遊技状態が特定の遊技状態であり、かつ、当せん抽せん手段の抽せん結果がハズレである遊技において、回転リールに停止表示されたハズレの図柄組み合わせが、予め定められた特定の図柄組み合わせであったときに、遊技者に所定の利益が付与されるようにした。このような構成によれば、ハズレの抽せん結果の遊技において表示されるハズレの図柄組み合わせが、特定の図柄組み合わせであった場合に、遊技者に所定の利益を付与することができる。すなわち、役に当せんしなくてもATやARTに関する優遇などの利益を遊技者が獲得可能となるので、従来はゲームに影響しないハズレの抽せん結果であるゲームを利用して遊技者の興趣を高めることができる。
【0010】
また、遊技者が所定のタイミングでストップスイッチを操作する、いわゆる「目押し」を行うことで、特定の図柄組み合わせを狙って停止表示させることができるようにすれば、利益獲得について遊技者が介入可能となるので、今までにないゲーム性を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】スロットマシンの構成を概略的に示すブロック図である。
【
図3】スロットマシンの有効ラインを示す説明図である。
【
図4】スロットマシンの遊技状態の遷移を示す説明図である。
【
図7】特定の図柄組み合わせを示す図であって、(a)上段揃いスイカを示す図、(b)下段3連チェリーを示す図、(c)ベルリプダブテンハズレを示す図、(d)BAR右下がり揃いを示す図、である。
【
図8】特定の図柄組み合わせが表示されたときの特典内容を示す表である。
【
図9】変形例に係る図であって、特定の図柄組み合わせが表示されたときの特典内容を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施の形態を、遊技機としてスロットマシン10を例に説明する。
(スロットマシン10)
スロットマシン10は、
図1に示すように、四角箱状の筐体11と、筐体11の正面側に開閉自在に取り付けられる前扉31を有する。この前扉31には、遊技者側に向かって臨む表示窓12が形成されている。
【0013】
また、前扉31の高さ方向略中央部には、スロットマシン10を作動させるための操作部31Aおよびメダル投入口14が設けられている。操作部31Aには、ベットスイッチ16、精算スイッチ17、スタートスイッチ30、ストップスイッチ50などが設けられている。
【0014】
また、操作部31Aの下方には、下パネル31Bを挟んで、メダルを払い出すためのメダル払い出し口18と、メダル払い出し口18から払い出されたメダルを貯留可能な下皿31Cが設けられている。
【0015】
上記した前扉31の表示窓12には、背後の回転リール40の図柄を見ることができる図柄表示窓13が形成されている。回転リール40は、図柄表示窓13の裏側に配置されて、回転可能にスロットマシン10に取り付けられており、外周表面に表示された複数の図柄を変動表示又は停止表示するためのものである。本実施形態においては、左リール41、中リール42、右リール43の3個の回転リール40が設けられており、それぞれの回転リール40が個別に回転可能となっている。
【0016】
上記した図柄表示窓13からは、3個の回転リール40のそれぞれについて、上段、中段、下段の3段の図柄が表示されるようになっており、計9個の図柄が図柄表示窓13を通して表示されるようになっている。そして、この計9個の図柄の表示位置の組合せによって有効ラインが設定されている。有効ラインとは、3個の回転リール40のそれぞれについて表示位置にある図柄を1個ずつ繋いでできるラインのうち、入賞するために有効となる図柄組合せの並びを規定したラインである。本実施の形態においては、
図3に示すように、左リール41の中段の図柄と、中リール42の中段の図柄と、右リール43の中段の図柄と、を繋ぐラインLが有効ラインとして設定されている。この有効ラインに沿って役に対応付けられた図柄組合せが表示されると、当該役に入賞となる。
【0017】
また、本実施形態では、1回のゲームを行うために、メダルを1~3枚ベットする(掛ける)ことが可能となっており、1枚のメダルをベットした場合も、2枚のメダルをベットした場合も、3枚のメダルをベットした場合も、上記したラインLが有効ラインとなるように構成されている。
このスロットマシン10の内部には、図示しないが、スロットマシン10の全体の動作を制御するための制御装置20(
図2参照)が内蔵されている。
【0018】
(入力段)
上記制御装置20の入力段には、
図2に示すように、投入スイッチ15、ベットスイッチ16、精算スイッチ17、スタートスイッチ30、左ストップスイッチ51、中ストップスイッチ52、右ストップスイッチ53が接続されている。
なお、入力段に接続されるのは上記した各入力装置に限定されるものではない。
【0019】
(投入スイッチ15)
投入スイッチ15は、
図1に示すように、メダル投入口14の下方に内蔵されたスイッチであって、投入された遊技メダルを検知するためのものである。投入スイッチ15が遊技メダルを検知すると、最大50枚まで遊技メダルを遊技機内部に貯留(クレジット)することができるようになっている。このようにクレジットされた遊技メダルは、クレジット表示部32に数値として表示され、次ゲーム以降に使用することができる。
【0020】
(ベットスイッチ16)
ベットスイッチ16は、
図1に示すように、操作部31Aの上面に位置するスイッチである。ベットスイッチ16を押下することで、クレジットをメダル投入に代えることができる。クレジットをメダル投入に代えることで、ゲームを開始可能な状態となる。
(精算スイッチ17)
精算スイッチ17は、
図1に示すように、操作部31Aの上面左端に位置するスイッチであって、クレジットされているメダルを払い戻すためのものである。
【0021】
(スタートスイッチ30)
スタートスイッチ30は、
図1に示すように、操作部31Aの正面左側に位置するレバーである。ゲームを開始可能な状態でスタートスイッチ30を操作すると、後述するリールユニット60の駆動が開始し、回転リール40の図柄が変動表示される。
【0022】
(ストップスイッチ50)
ストップスイッチ50は、後述するリールユニット60の駆動を停止させるためのものである。具体的には、ストップスイッチ50は、
図1に示すように、各回転リール40(左リール41,中リール42,右リール43)に対応した3個のスイッチ(左ストップスイッチ51、中ストップスイッチ52、右ストップスイッチ53)から構成され、各回転リール40の下方に一個ずつ配置されている。回転リール40に対応したストップスイッチ50の操作により、当該対応した回転リール40が回転を停止し、回転リール40の図柄が停止表示されるようになっている。
【0023】
(出力段)
前記制御装置20の出力段には、
図2に示すように、リールユニット60、ホッパーユニット65、演出部66(画像表示部67、ランプ68、スピーカ69)、の各パーツが接続されている。
なお、出力段上記した各パーツに限定されるものではない。
【0024】
(リールユニット60)
リールユニット60は、特に図示しないが枠体に固定あるいは支持された3個のステッピングモータと、各々のステッピングモータの出力軸に固定された3個の回転リール40(左リール41,中リール42,右リール43)とから構成されている。各回転リール40は、短円筒状の回転ドラムと、この回転ドラムの周囲に貼付されるテープ状のリールテープとを備えている。このリールテープの外周面には、
図5に示すように、それぞれ20個の図柄が等間隔で表示されている。
【0025】
具体的には、左リール41には、回転方向に見て「スイカ」「チェリー」「赤7」「Replay2」「ベル」「スイカ」「スイカ」「BLANK」「Replay」「ベル」「スイカ」「青7」「青7」「Replay」「ベル」「BAR」「BAR」「BAR」「Replay」「ベル」の順に図柄が表示されている。
【0026】
また、中リール42には、回転方向に見て「スイカ」「BLANK」「赤7」「ベル」「Replay」「スイカ」「チェリー」「Replay2」「ベル」「Replay」「スイカ」「チェリー」「青7」「ベル」「Replay」「BAR2」「チェリー」「BAR」「ベル」「Replay」の順に図柄が表示されている。
【0027】
また、右リール43には、回転方向に見て「チェリー」「スイカ」「BAR」「ベル」「Replay」「チェリー」「Replay2」「赤7」「ベル」「Replay」「チェリー」「スイカ」「青7」「ベル」「Replay」「BAR2」「BAR2」「BAR」「ベル」「Replay」の順に図柄が表示されている。
(ホッパーユニット65)
ホッパーユニット65は、
図1に示すように、筐体11の内部に配置されており、ゲームの結果等に基づいてメダルを払い出すためのものである。
【0028】
(演出部66)
演出部66は、制御装置20の制御により、入賞等の報知など、種々の演出を行うものである。具体的には、演出部66は、画像表示部67と、ランプ68と、スピーカ69と、から構成されている。
【0029】
画像表示部67は、回転リール40の上方に設けられた窓部の背後に配置され、LED、ドットマトリックス、液晶画面等を用いて、入賞の報知その他の演出を表示するためのものである。なお、画像表示部67としては上記のものに限らず、例えば演出専用の回転リール40を設け、リールの図柄や文字等により演出を表示するようにしても良い。
ランプ68は、発光体の点灯又は点滅により入賞等を報知するためのものである。
スピーカ69は、入賞音の発生により入賞等を報知するためのものである。
【0030】
(制御装置20)
制御装置20は、スロットマシン10の作動を制御するためのものである。この制御装置20は、CPUを中心に構成され、ROM、RAM、I/O等を備えている。そして、CPUがROMに記憶されたプログラムを読み込むことで、各種の制御を実行するように構成されている。
【0031】
本実施形態に係る制御装置20は、
図2に示すように、遊技状態制御手段100、当せん抽せん手段110、役抽せんテーブル120、リール制御手段130、入賞判定手段140、ホッパー制御手段150、演出制御手段200、押し順報知制御手段210、設定手段220、特定遊技制御手段230、遊技区間制御手段240、の各手段として機能する。なお、制御装置20としては、上記した各手段に限定されるものではなく、他の手段を含んでいても良い。
【0032】
(遊技状態制御手段100)
遊技状態制御手段100は、遊技状態の管理を行うためのものである。本実施形態に係るスロットマシン10は複数の遊技状態を備えており、遊技状態制御手段100は現在の遊技状態を記憶するとともに、遊技状態の移行契機となる所定の事象が発生したときに遊技状態を切り替える処理を実行する。
【0033】
本実施形態に係るスロットマシン10は、
図4に示すように、少なくとも以下の遊技状態を備えている。この遊技状態は、リプレイ役の当せん確率等によって規定されるRT状態を含むものである。なお、遊技状態は以下に限らず、任意の遊技状態を設けることができる。(1)一般中状態(2)BB内部中状態(3)BB一般中状態(4)RB1内部中状態(5)RB1中状態(6)RB2内部中状態(7)RB2中状態
【0034】
このうち、一般中状態は、工場出荷時又は設定変更時に設定される初期状態である。この一般中状態へは、設定変更や有利区間の終了などで設定がリセットされたときや、BBゲームが終了したときに移行する。
【0035】
BB内部中状態は、後述するBB役に係る当せんフラグが成立した状態である。このBB内部中状態へは、BB役に当せんしたときに移行する。また、このBB内部中状態は、BB役に入賞することで終了する。
【0036】
BB一般中状態は、BB役に入賞してBBゲームが行われている状態(ただしRB役のに係る当せんフラグが成立しておらず、RBゲームも実行されていない状態)である。BB一般中状態へは、BB役に入賞したときや、RBゲームが終了したときに移行する。なお、本実施形態におけるBBゲームは、BBゲーム中のメダル払い出し枚数が規定枚数に到達すると終了する。また、このBBゲーム中に特定図柄が揃うと、ジャックインしてRBゲームに移行するようになっている。
【0037】
RB1内部中状態は、後述するRB役(RB1)に係る当せんフラグが成立した状態である。このRB1内部中状態へは、BBゲーム中にRB役(RB1)に当せんしたときに移行する。また、このRB1内部中状態は、RB役(RB1)に入賞したときや、BBゲームが終了したときに、終了する。
【0038】
RB1中状態は、RB役(RB1)に入賞してRBゲームが行われている状態である。RB1中状態へは、RB役(RB1)に入賞したときに移行する。なお、RB役(RB1)に係るRBゲームは、メダル払い出し枚数が規定枚数に到達すると終了するようになっている。このRB1中状態は、RBゲームまたはBBゲームが終了したときに終了する。
【0039】
RB2内部中状態は、後述するRB役(RB2)に係る当せんフラグが成立した状態である。このRB2内部中状態へは、BBゲーム中にRB役(RB2)に当せんしたときに移行する。また、このRB2内部中状態は、RB役(RB2)に入賞したときや、BBゲームが終了したときに、終了する。
【0040】
RB2中状態は、RB役(RB2)に入賞してRBゲームが行われている状態である。RB2中状態へは、RB役(RB2)に入賞したときに移行する。なお、RB役(RB2)に係るRBゲームは、メダル払い出し枚数が規定枚数に到達すると終了するようになっている。このRB2中状態は、RBゲームまたはBBゲームが終了したときに終了する。
【0041】
(当せん抽せん手段110)
当せん抽せん手段110は、複数の当せん役のいずれかに当せんしたか又はハズレかの抽せんを行うためのものである。すなわち、予め定めた抽せん確率に基づいて当せん役に係る抽せんを行うものである。そして、当せん抽せん手段110による抽せんの結果、所定の当せん役に当せんした場合に当せんフラグが成立し、この当せんフラグの成立中に、回転リール40の停止図柄の組み合わせが予め定められた当せん図柄と一致したことを条件に入賞し、遊技者にメダルの払い出しや、特別遊技等の利益が付与されるように設定されている。
【0042】
具体的には、当せん抽せん手段110は、乱数を所定の範囲内で発生させる乱数発生手段を備え、この乱数発生手段が発生する乱数をスタートスイッチ30の操作タイミングで抽出し、抽出した乱数を役抽せんテーブル120に照合することにより抽せんを行う。本実施形態に係る当せん抽せん手段110は、16bitで乱数を発生させるため、0~65535までの65536通りの乱数を発生させるようになっている。後述する役抽せんテーブル120には、この65536通りの乱数のそれぞれに当せん領域が割り当てられており、この役抽せんテーブル120に乱数を照合することにより当せん役またはハズレを特定することができる。
【0043】
本実施形態に係るスロットマシン10は、当せん役として、入賞によりボーナスゲームを開始するボーナス役と、入賞により遊技メダルを新たに投入することなく再度のゲームを行うことができるリプレイ役と、入賞により遊技メダルを払い出す小役と、を備えている。
【0044】
なお、ボーナス役は、入賞によりBBゲームを開始するBB役と、入賞によりRBゲームを開始するRB役を含んでいる。BBゲームは、所定枚数のメダルが払い出されるなど、所定の利益が遊技者に付与されるまで実行されるボーナスゲームである。また、RBゲームは、BBゲーム中に実行されるボーナスゲームであり、所定枚数のメダルが払い出されるなど、所定の利益(BBゲームよりも少ない利益)が遊技者に付与されるまで実行されるボーナスゲームである。本実施形態においては、RB役として「RB1」と「RB2」の2種類のRB役が設けられており、「RB1」に入賞したときにはRB1に係るRBゲームである「RB1ゲーム」が開始し、「RB2」に入賞したときにはRB2に係るRBゲームである「RB2ゲーム」が開始するように構成されている。
【0045】
(役抽せんテーブル120)
役抽せんテーブル120は、当せん抽せん手段110が抽出した乱数がいずれかの当せん役またはハズレに対応するかを定めたものである。この役抽せんテーブル120は、複数の当せん役に対応する当せん領域を記憶しており、具体的には、当せん抽せん手段110において発生する乱数と当せん役との対応表として設けられている。当せん抽せん手段110は、遊技状態や設定値等に応じてこれらの役抽せんテーブル120を切り替えて使用する。これにより、遊技状態ごとに当せん確率が変動するように構成されている。
【0046】
この役抽せんテーブル120は、遊技状態ごとに異なるテーブルが設けられており、これにより、遊技状態ごとに当せん役の当せん確率が変動するように構成されている。
【0047】
例えば、
図6に示すように、BB一般中状態においては、「ベル」の当せん領域に1/2.2の確率で当せんし、「リプレイ」の当せん領域に1/7.3の確率で当せんし、「チェリー」の当せん領域に1/80.0の確率で当せんし、「スイカ」の当せん領域に1
/80.0の確率で当せんし、「チャンス目」の当せん領域に1/128.0の確率で当せんし、「確定役」の当せん領域に1/4096.0の確率で当せんし、「RB1」の当せん領域に1/2.8の確率で当せんし、「RB2」の当せん領域に1/32.0の確率で当せんする。なお、このBB一般中状態においては、当せん結果が「ハズレ」となることはない。
【0048】
また、RB1内部中状態においては、「ハズレ」の当せん領域に1/2.8の確率で当せんし、「ベル」の当せん領域に1/2.1の確率で当せんし、「リプレイ」の当せん領域に1/7.3の確率で当せんし、「チェリー」の当せん領域に1/80.0の確率で当せんし、「スイカ」の当せん領域に1/80.0の確率で当せんし、「チャンス目」の当せん領域に1/128.0の確率で当せんし、「確定役」の当せん領域に1/4096.0の確率で当せんする。
【0049】
また、RB2内部中状態においては、「ハズレ」の当せん領域に1/2.8の確率で当せんし、「ベル」の当せん領域に1/2.1の確率で当せんし、「リプレイ」の当せん領域に1/7.3の確率で当せんし、「チェリー」の当せん領域に1/80.0の確率で当せんし、「スイカ」の当せん領域に1/80.0の確率で当せんし、「チャンス目」の当せん領域に1/128.0の確率で当せんし、「確定役」の当せん領域に1/4096.0の確率で当せんする。
【0050】
(リール制御手段130)
リール制御手段130は、有効なスタートスイッチ30の操作信号に基づいて回転リール40を回転させるとともに、特に図示しないがリール回転検知センサの検知信号に基づいて図柄の現在位置を認識しつつ、当せん抽せん手段110の抽せん結果および有効なストップスイッチ50の操作タイミングに基づいて、回転リール40の停止を制御するためのものである。
【0051】
このリール制御手段130は、メダルがベットされ、前ゲーム開始から所定時間(いわゆるウエイト時間)が経過しているなど、所定のゲーム開始条件を満たしている場合には、スタートスイッチ30の操作信号に基づいて全ての回転リール40の回転を開始させる。
【0052】
また、回転リール40が回転中にいずれかのストップスイッチ50が操作されると、ストップスイッチ50の操作信号に基づきストップ信号を出力し、操作されたストップスイッチ50に対応する回転リール40の回転を停止させる。
【0053】
なお、リール制御手段130は回転リール40を停止させる際、停止操作がされたときの図柄表示位置を基準として、最大4コマのスベリコマ数で図柄を回転方向に移動させて停止させることができる。このような制御により、当せん抽せん手段110の抽せん結果が「ハズレ」の場合には、3個の回転リール40の図柄が如何なる入賞の態様にも揃わないように蹴飛ばし制御を行う。また、抽せん結果が所定の当せん役に当せんの場合には、3個の回転リール40の図柄が極力当該当せんに係る入賞の態様となるように引き込み制御を行う。
【0054】
このような蹴飛ばし制御及び引き込み制御は、当せん抽せん手段110による役抽せんの結果や、ストップスイッチ50の操作タイミング、停止位置の優先順位などに基づいて計算されて実行される。例えば、2種類以上の役に同時当せんしている場合、各役に対応付けられた優先順位に従って、優先順位の高い役に対応する図柄組合せを有効ライン上に表示できるように引き込み制御が行われる。
【0055】
なお、後述する押し順小役に当せんしている場合には、正解の押し順で各ストップスイッチ50が操作された場合には、停止操作のタイミングに関わらず、当該押し順小役に係る図柄を有効ライン上に引き込んで、押し順小役を入賞させる。一方、その正解の押し順以外の押し順で各ストップスイッチ50が操作された場合には、当該押し順小役に係る図柄が有効ライン上に揃わないようにして、押し順小役が入賞しないように制御する。
【0056】
また、RB2中状態(RB2ゲームが実行されているとき)であり、かつ、当せん抽せん手段110の抽せん結果が「ハズレ」である遊技においては、少なくとも1つの回転リール40(本実施形態においては左リール41)を停止させる際に、停止操作がされたときの図柄表示位置を基準として、1コマ以下のスベリコマ数で回転リール40を停止させる制御を行うようにしている(いわゆる「ビタ止まり」または「1コマ滑り」で停止させる)。これにより、蹴飛ばし制御や引き込み制御を行わず、停止操作のタイミングで回転リール40を停止させるようになっている。この処理については後ほど詳述する。
【0057】
(入賞判定手段140)
入賞判定手段140は、ストップスイッチ50の操作により3個の回転リール40が停止したときに、その表示態様に基づいて、入賞したか又は入賞なしかの判定を行うためのものである。具体的には、すべての回転リール40の回転が停止した際に、いずれかの有効入賞ライン上に所定の図柄配列が揃うことを条件として、当該図柄配列に対応した当せん役に入賞したと判定する。そして、入賞がメダル払い出しを伴う場合には、ホッパーユニット65に払い出し入賞信号を出力する(もしくはメダルを払い出す代わりにクレジットに加算する)。また、入賞が遊技状態を移行させるものであれば、遊技状態制御手段100に通知して遊技状態を移行させる。また、リプレイ役が入賞した場合には、自動ベット処理を行い、遊技メダルを新たに投入することなく次ゲームを開始できるようにする。
【0058】
(ホッパー制御手段150)
ホッパー制御手段150は、入賞判定手段140からの払い出し入賞信号、精算スイッチ17の操作信号などに基づいて、ホッパーユニット65を作動させ、メダルの払い出しを制御するためのものである。なお、入賞がメダル払い出しを伴う場合に、この払い出しメダルを自動的にクレジットとして電子的に貯留し、クレジットの許容枚数を超過する払い出し分だけをホッパーユニット65から払い出させるようにしてもよい。
【0059】
(演出制御手段200)
演出制御手段200は、画像表示部67、ランプ68やスピーカ69等の演出部66の作動を制御するためのものである。この演出制御手段200は、ROMに記憶されている演出データをもとに、入賞の報知や押し順報知などの演出を行わせる。
【0060】
また、この演出制御手段200は、複数回のゲームにわたって連続演出を行わせることができる。所定の条件下においてストーリー性のある連続演出を行わせることで、遊技者に有利な状況を示唆し、ゲームを盛り上げることができるようになっている。
【0061】
(押し順報知制御手段210)
押し順報知制御手段210は、後述する有利区間において押し順報知を制御するためのものである。具体的には、この押し順報知制御手段210は、押し順小役に当せんしたときに、当該押し順小役を入賞させるための正解の押し順(ストップスイッチ50の操作順)を取得し、その正解の押し順を報知するための演出を選択する。押し順報知制御手段210が選択した演出は、演出制御手段200に通知されて実行され、これにより押し順報知が実行される。この押し順報知は、例えば、画像表示部67に操作順を表示したり、操作すべきストップスイッチ50をスピーカ69から音声で報知したり、操作すべきストップスイッチ50を光らせたりすることで行われる。
【0062】
なお、押し順小役は所定の押し順でストップスイッチ50が操作されたときに入賞図柄が揃うように制御される小役やリプレイ役である。押し順が報知されない場合、どの押し順小役に当せんしたかが分からず、正解の押し順も分からないため、押し順小役を狙って入賞させることは困難となっている。一方で、正解の押し順が報知される場合には、押し順報知に従ってストップスイッチ50を操作することで容易に押し順小役を入賞させることができるようになっている。
【0063】
押し順報知制御手段210は、一部または全部の押し順小役に関して、特定遊技(ARTまたはAT)中にのみ押し順報知が行われるように制御する。このため、特定遊技中は押し順小役が入賞しやすくなっており、一方、非特定遊技中は押し順小役が入賞しにくくなっている。
【0064】
(設定手段220)
設定手段220は、遊技者への有利度が異なる複数段階の設定値の中から設定値を設定するためのものである。この設定値は、鍵のかけられた筐体11の内部に設けられたスイッチを操作することで変更可能であり、スロットマシン10が設置されたホールの管理者によって、ホールの営業開始前あるいは営業終了後に予め設定される。図示しないが、この設定値ごとに異なる役抽せんテーブル120が設けられており、役抽せんにおいて設定値に応じた役抽せんテーブル120が用いられることにより、設定値に応じてメダルの払出率が変わるようになっている。本実施形態においては、設定値は1~6の6段階からなり、6が最も払出率が高く、5、4、3、2、1の順に値が小さくなるほど払出率が低くなる。払出率の点からでは、設定値として6が設定されているときが遊技者にとって最も遊技に関する有利度が高く、5、4、3、2、1の順に値が小さくなるほど遊技に関する有利度が段階的に低くなる。なお、本実施形態においては設定値を6段階としているが、これに限らず、設定値は5段階以下であってもよい。
【0065】
(特定遊技制御手段230)
特定遊技制御手段230は、特定遊技の実行を制御するためのものである。特定遊技とは、押し順報知制御手段210を作動させることで、遊技者に有利な操作態様を表示する指示機能を発動させた遊技であり、ART(アシストリプレイタイム)やAT(アシストタイム)と呼ばれる遊技である。
【0066】
この特定遊技制御手段230は、後述する有利区間中のゲームにおいて特定遊技抽せんを実行し、特定遊技抽せんに当せんしたときに特定遊技を開始する制御を実行する。なお、本実施形態においては特定遊技抽せんに当せんしたときに特定遊技を開始するようにしているが、これに限らず、特定遊技抽せんを介さずに特定遊技を開始するようにしてもよい。例えば、所定の条件下において有利区間に移行すると、有利区間に移行すると同時に特定遊技を開始するようにしてもよい。
【0067】
特定遊技制御手段230による特定遊技抽せんは、例えば、乱数発生手段が発生する乱数をスタートスイッチ30の操作タイミングで抽出し、抽出した乱数を特定遊技抽せんテーブルに照合することにより行われる。特定遊技抽せんテーブルにおいては、抽出可能なすべての乱数にそれぞれ「当たり」か「ハズレ」が割り当てられているため、乱数を特定遊技抽せんテーブルに照合することにより「当たり」か「ハズレ」を特定することができる。
【0068】
このように開始した特定遊技は、付与された特定遊技ゲーム数を消化するまで継続する。なお、特定遊技ゲーム数は、特定遊技の開始時に加算されるとともに、特定遊技中に実行される上乗せ抽せんに当せんしたときにも加算される。そして付与された特定遊技ゲーム数を消化したら、特定遊技制御手段230は特定遊技を終了させる。
【0069】
(遊技区間制御手段240)
遊技区間制御手段240は、遊技区間を制御するためのものである。本実施形態に係るスロットマシン10は、遊技区間として、ストップスイッチ50の押し順が報知されない通常区間と、ストップスイッチ50の押し順を報知可能な有利区間と、を備えている。
【0070】
通常区間とは、当せん役の入賞をアシストできない遊技区間である。具体的には、押し順報知制御手段210による押し順報知ができない遊技区間である。この遊技区間では上記した特定遊技を実行することができない。
【0071】
また、有利区間とは、当せん役の入賞をアシスト可能な遊技区間である。具体的には、押し順報知制御手段210による押し順報知が可能な遊技区間である。この遊技区間では上記した特定遊技を実行可能である(逆に言えば、特定遊技中は必ず有利区間である。ただし、非特定遊技中は有利区間の場合もあるし通常区間の場合もある)。
【0072】
この遊技区間制御手段240は、通常区間のゲーム中(例えばゲームの開始時)に有利区間抽せんを実行し、有利区間抽せんに当せんしたときに遊技区間を有利区間に移行する制御を実行する。遊技区間制御手段240による有利区間抽せんは、例えば、乱数発生手段が発生する乱数をスタートスイッチ30の操作タイミングで抽出し、抽出した乱数を有利区間抽せんテーブルに照合することにより行われる。有利区間抽せんテーブルにおいては、抽出可能なすべての乱数にそれぞれ「当たり」か「ハズレ」が割り当てられているため、乱数を有利区間抽せんテーブルに照合することにより「当たり」か「ハズレ」を特定することができる。
【0073】
この有利区間は、予め定められた所定の有利区間ゲーム数(例えば1500ゲーム)を消化するか、または、予め定められた増加枚数(例えば2400枚)を超えるまで継続する。所定の有利区間ゲーム数を消化したか、または所定の増加枚数を超えたら、遊技区間は通常区間に移行する。なお、このような処理に加え、特定遊技が終了したときに有利区間が終了するようにしてもよい。
【0074】
(ハズレ時に停止表示される特定の図柄組み合わせについて)
本実施形態に係るスロットマシン10においては、特定の遊技状態(RB2内部中状態)であり、かつ、当せん抽せん手段110の抽せん結果がハズレである遊技において、回転リール40に停止表示されたハズレの図柄組み合わせが、予め定められた特定の図柄組み合わせであったときに、遊技者に所定の利益が付与されるように構成されている。このため、RB2内部中状態に移行することで、遊技者に利益獲得のチャンスが付与されるようになっている。
【0075】
本実施形態においては、遊技者に利益が付与される特定の図柄組み合わせとして、
図7に示すような複数の図柄組み合わせが設定されている。具体的には、
図7(a)に示す「上段揃いスイカ」の図柄組み合わせ、
図7(b)に示す「下段3連チェリー」の図柄組み合わせ、
図7(c)に示す「ベルリプダブテンハズレ」の図柄組み合わせ、
図7(d)に示す「BAR右下下がり揃い」の図柄組み合わせの4種類が特定の図柄組み合わせとして登録されている。
【0076】
これらの特定の図柄組み合わせは、当せん役に入賞する図柄組み合わせとは異なるものが設定されている。言い換えると、これらの特定の図柄組み合わせが表示されても、入賞判定手段140は当せん役に入賞しなかった(ハズレ)と判定するようになっている。
【0077】
なお、リール制御手段130は、これらの特定の図柄組み合わせを停止表示するときに、ストップスイッチ50によって停止操作がされたときの図柄表示位置を基準として、1コマ以下のスベリコマ数で回転リール40を停止させる制御を実行することにより、遊技者が任意の図柄組み合わせを停止表示できるようにしている。
【0078】
本実施形態においては、特定の遊技状態(RB2内部中状態)であり、かつ、当せん抽せん手段110の抽せん結果がハズレである遊技において、左ストップスイッチ51が押下されて左リール41を停止するときに、1コマ以下のスベリコマ数で回転リール40を停止させるようにしている。
【0079】
そして、中ストップスイッチ52および右ストップスイッチ53が押下されて中リール42および右リール43を停止するときには、左リール41の停止位置を参照して、4コマスベリの範囲内で図柄を引き込み制御するように構成されている。すなわち、特定の遊技状態(RB2内部中状態)であり、かつ、当せん抽せん手段110の抽せん結果がハズレである遊技において、左リール41の停止位置が
図7に示す特定の図柄組み合わせのいずれかを構成するものであれば、中リール42および右リール43においても、当該特定の図柄組み合わせを表示できるようにできる限り引き込み制御をするようになっている。
【0080】
例えば、RB2内部中状態であり、かつ、抽せん結果がハズレである遊技において、まず左ストップスイッチ51が押下されて左リール41が停止したとする。このとき、左リール41の上段に「スイカ」の図柄が停止表示されていれば、
図7(a)に示す「上段揃いスイカ」の図柄組み合わせを停止表示可能であるため、中リール42および右リール43を停止表示するときには、可能な限り上段に「スイカ」を停止表示するように引き込み制御を行う。
【0081】
ただし、RB2内部中状態はRB2の当せんフラグが成立した状態であるため、RB2役に入賞する図柄組み合わせを引き込める場合には、上記した特定の図柄組み合わせよりも、RB2役に入賞する図柄組み合わせを優先して引き込み制御する。このため、特定の図柄組み合わせを停止表示するためには、RB2に入賞しないタイミングで回転リール40を停止操作することも必要となる。
【0082】
このような操作により、
図7に示すような特定の図柄組み合わせがRB2内部中状態において停止表示されると、
図8に示すような特典が遊技者に付与されるようになっている。すなわち、「上段揃いスイカ」または「下段3連チェリー」が停止表示された場合には、10%の確率で当せんする特定遊技抽せんが実行されるため、10%の確率で特定遊技を開始する特典が付与される。また、「ベルリプダブテンハズレ」が停止表示された場合、50%の確率で当せんする特定遊技抽せんが実行されるため、50%の確率で特定遊技を開始する特典が付与される。また、「BAR右下下がり揃い」が停止表示された場合、100%の確率で当せんする特定遊技抽せんが実行されるため、100%の確率で特定遊技を開始する特典が付与される。
【0083】
このように、複数の特定の図柄組み合わせのうちのいずれの図柄組み合わせが表示されたかによって、遊技者に付与される利益の内容が変化するようになっている。そして、どの特定の図柄組み合わせが表示されるかは、ストップスイッチ50の操作タイミングによって変化するようになっている。言い換えると、遊技者が特定の図柄を狙って回転リール40の停止操作を行うことで、狙った特定の図柄組み合わせを表示させる(またはさせない)ことが可能となっている。
【0084】
特定の図柄組み合わせを表示することで得られる利益は、停止表示の難易度に応じて設定されている。すなわち、遊技者にとっての「目押し」の難易度は「上段揃いスイカ」<「下段3連チェリー」<「ベルリプダブテンハズレ」<「BAR右下下がり揃い」の順で高くなっているため、遊技者が得られる利益については「上段揃いスイカ」=「下段3連チェリー」<「ベルリプダブテンハズレ」<「BAR右下下がり揃い」の順で高く設定されている。
【0085】
このため、遊技者は、利益が少ないものの揃えやすい「上段揃いスイカ」や「下段3連チェリー」を狙うこともできるし、利益が大きい反面揃えにくい「BAR右下下がり揃い」を狙うこともできる。このように、遊技者が目押しのターゲットを選択することでゲーム性が変化するため、遊技の興趣を高めることができる。
【0086】
(まとめ)
以上説明したように、本実施形態によれば、遊技状態が特定の遊技状態(RB2内部中状態)であり、かつ、当せん抽せん手段110の抽せん結果がハズレである遊技において、回転リール40に停止表示されたハズレの図柄組み合わせが、予め定められた特定の図柄組み合わせであったときに、遊技者に所定の利益が付与されるようになっている。このような構成によれば、ハズレの抽せん結果の遊技において表示されるハズレの図柄組み合わせが、特定の図柄組み合わせであった場合に、遊技者に所定の利益が付与される。すなわち、役に当せんしなくても特定遊技に係る利益を遊技者が獲得可能となるので、従来はゲームに影響しないハズレの抽せん結果であるゲームを利用して遊技者の興趣を高めることができる。
【0087】
また、遊技者が所定のタイミングでストップスイッチ50を操作する、いわゆる「目押し」を行うことで、特定の図柄組み合わせを狙って停止表示させることができる。このため、利益獲得について遊技者が介入可能となるので、今までにないゲーム性を実現することができる。
【0088】
また、複数の特定の図柄組み合わせのうちのいずれの図柄組み合わせが表示されたかによって、遊技者に付与される利益の内容が変化するため、遊技者がどの図柄組み合わせを狙うかによってゲームの流れが変化するようになっており、新たなゲーム性を生みだすことができる。
【0089】
なお、上記した実施形態においては、特定の図柄組み合わせが表示されたときに遊技者に付与される利益として、特定遊技の開始に係る利益を設定したが、これに限らず、特定の図柄組み合わせが表示されたときに遊技者に付与される利益としては種々のものが考えられる。
【0090】
例えば、
図9に示すように、特定の図柄組み合わせが表示されたときに、特定遊技の上乗せに係る利益を遊技者に付与するようにしてもよい。
図9に示す例では、「上段揃いスイカ」または「下段3連チェリー」が停止表示された場合、30%の確率で当せんする上乗せ抽せんが実行されるため、30%の確率で10ゲームの特定遊技が上乗せされるようになっている。また、「ベルリプダブテンハズレ」が停止表示された場合、20%の確率で当せんする上乗せ抽せんが実行されるため、20%の確率で50ゲームの特定遊技が上乗せされるようになっている。また、「BAR右下下がり揃い」が停止表示された場合、10%の確率で当せんする上乗せ抽せんが実行されるため、10%の確率で100ゲームの特定遊技が上乗せされるようになっている。このように構成すれば、「上段揃いスイカ」や「下段3連チェリー」のように揃えやすい図柄組み合わせを狙って少しずつゲーム数を上乗せしていく作戦や、「ベルリプダブテンハズレ」や「BAR右下下がり揃い」のように揃えにくい図柄組み合わせを狙って一発逆転で大きくゲーム数を上乗せする作戦など、遊技者が状況に応じて作戦を選択できるので、ゲームの幅を広げることができる。
【0091】
また、上記した実施形態においては、RB2内部中状態において特定の図柄組み合わせが表示されたときに、所定の利益を遊技者に付与するようにしており、RB2内部中状態以外の遊技状態においては、特定の図柄組み合わせが表示されても利益が付与されないようにしている(または、RB2内部中状態以外の遊技状態においては、特定の図柄組み合わせが表示されないようにしている)。しかしながら、これに限らず、RB2内部中状態以外の遊技状態において特定の図柄組み合わせが表示されたときでも、所定の利益を遊技者に付与するようにしてもよい。例えば、RB1内部中状態において特定の図柄組み合わせが表示されたときでも、所定の利益を遊技者に付与するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0092】
10 スロットマシン
11 筐体
12 表示窓
13 図柄表示窓
14 メダル投入口
15 投入スイッチ
16 ベットスイッチ
17 精算スイッチ
18 メダル払い出し口
20 制御装置
30 スタートスイッチ
31 前扉
31A 操作部
31B 下パネル
31C 下皿
32 クレジット表示部
40 回転リール
41 左リール
42 中リール
43 右リール
50 ストップスイッチ
51 左ストップスイッチ
52 中ストップスイッチ
53 右ストップスイッチ
60 リールユニット
65 ホッパーユニット
66 演出部
67 画像表示部
68 ランプ
69 スピーカ
100 遊技状態制御手段
110 当せん抽せん手段
120 役抽せんテーブル
130 リール制御手段
140 入賞判定手段
150 ホッパー制御手段
200 演出制御手段
210 押し順報知制御手段
220 設定手段
230 特定遊技制御手段
240 遊技区間制御手段