(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-16
(45)【発行日】2024-08-26
(54)【発明の名称】処理ユニット及び照明管理方法
(51)【国際特許分類】
H05B 47/125 20200101AFI20240819BHJP
H05B 47/185 20200101ALI20240819BHJP
H05B 47/11 20200101ALI20240819BHJP
H05B 47/19 20200101ALI20240819BHJP
H05B 47/165 20200101ALI20240819BHJP
H05B 47/155 20200101ALI20240819BHJP
【FI】
H05B47/125
H05B47/185
H05B47/11
H05B47/19
H05B47/165
H05B47/155
(21)【出願番号】P 2020097591
(22)【出願日】2020-06-04
【審査請求日】2023-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】593006630
【氏名又は名称】学校法人立命館
(74)【代理人】
【識別番号】100111567
【氏名又は名称】坂本 寛
(72)【発明者】
【氏名】本間 睦朗
(72)【発明者】
【氏名】高部 航南
(72)【発明者】
【氏名】大倉 俊介
(72)【発明者】
【氏名】北村 拓也
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-195124(JP,A)
【文献】特開2017-098268(JP,A)
【文献】特開2015-002083(JP,A)
【文献】特開2018-088430(JP,A)
【文献】特開2015-069895(JP,A)
【文献】特開2017-215693(JP,A)
【文献】特開2007-018773(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 39/00-39/10
H05B 45/00-45/59
H05B 47/00-47/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御ネットワークを介して照明装置を制御する処理ユニットであって、
前記照明装置の位置を求めるために用いられるセンサデータを出力するセンサから前記制御ネットワークを介して取得した前記センサデータを用いて、前記照明装置が設置された位置を示す位置データを求める処理を含む認識処理を実行するよう構成され
、
前記認識処理は、
前記制御ネットワーク上において前記照明装置を識別するための識別データと、前記位置データと、を対応付けた対応テーブルを生成し、前記対応テーブルをメモリに記憶する処理と、
を更に含み、
制御対象となる対象照明装置の位置を示す対象位置データを受け付け、
前記対応テーブルを用いて、前記対象位置データから、前記制御ネットワークにおいて前記対象照明装置を識別するための対象識別データを求め、
前記対象識別データを用いた通信によって、前記対象照明装置を制御すること
を備える制御処理を更に実行するよう構成されている
処理ユニット。
【請求項2】
前記認識処理は、前記制御ネットワークにおける前記照明装置の存在が前記処理ユニットによって検出されたときに、前記処理ユニットによって実行開始されるよう構成されている
請求項1に記載の処理ユニット。
【請求項3】
前記センサデータは、前記照明装置に備えられた前記センサから取得される
請求項1又は請求項2に記載の処理ユニット。
【請求項4】
前記センサは、イメージセンサであり、
前記センサデータは、画像データである
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の処理ユニット。
【請求項5】
制御ネットワークを介して照明装置を制御する処理ユニットであって、
前記照明装置の位置を求めるために用いられるセンサデータを出力するセンサから前記制御ネットワークを介して取得した前記センサデータを用いて、前記照明装置が設置された位置を示す位置データを求める処理を含む認識処理を実行するよう構成され、
前記認識処理は、
前記制御ネットワーク上において前記照明装置を識別するための識別データと、前記位置データと、を対応付けた対応テーブルを生成し、前記対応テーブルをメモリに記憶する処理と、
を更に含み、
制御対象となる対象照明装置の対象位置データ及び調光動作データを含むシミュレーションデータを取得すること、
前記対応テーブルにおいて、前記シミュレーションデータに含まれる前記対象位置データに合致する位置データを求め、前記対象位置データに合致する前記位置データから、前記制御ネットワークにおいて前記対象照明装置を識別するための対象識別データを求めること、
前記対象識別データを用いた通信によって、前記シミュレーションデータに含まれる調光動作データに従って、前記対象照明装置を制御すること
を備える制御処理を更に実行するよう構成されている
処理ユニット。
【請求項6】
前記シミュレーションデータは、ビルディングインフォメーションモデリングデータを用いて前記対象照明装置の調光動作をシミュレートしたデータである
請求項
5に記載の処理ユニット。
【請求項7】
前記照明装置の制御に用いるために、前記センサデータを取得するよう構成されている
請求項1から請求項
6のいずれか1項に記載の処理ユニット。
【請求項8】
制御ネットワークを介して照明装置を制御する処理ユニットが、前記照明装置の位置を求めるために用いられるセンサデータを出力するセンサから、前記制御ネットワークを介して、前記センサデータを取得し、
前記処理ユニットが、前記センサデータを用いて、前記照明装置が設置された位置を示す位置データを求め
、
前記処理ユニットが、前記制御ネットワーク上において前記照明装置を識別するための識別データと、前記位置データと、を対応付けた対応テーブルを生成し、前記対応テーブルをメモリに記憶し、
前記処理ユニットが、制御対象となる対象照明装置を制御する、
ことを備え、
前記対象照明装置を制御することは、
前記対象照明装置の位置を示す対象位置データを受け付け、
前記対応テーブルを用いて、前記対象位置データから、前記制御ネットワークにおいて前記対象照明装置を識別するための対象識別データを求め、
前記対象識別データを用いた通信によって、前記対象照明装置を制御すること
を備える、
照明管理方法。
【請求項9】
制御ネットワークを介して照明装置を制御する処理ユニットが、前記照明装置の位置を求めるために用いられるセンサデータを出力するセンサから、前記制御ネットワークを介して、前記センサデータを取得し、
前記処理ユニットが、前記センサデータを用いて、前記照明装置が設置された位置を示す位置データを求め、
前記処理ユニットが、前記制御ネットワーク上において前記照明装置を識別するための識別データと、前記位置データと、を対応付けた対応テーブルを生成し、前記対応テーブルをメモリに記憶し、
前記処理ユニットが、制御対象となる対象照明装置を制御する、
ことを備え、
前記対象照明装置を制御することは、
前記対象照明装置の対象位置データ及び調光動作データを含むシミュレーションデータを取得すること、
前記対応テーブルにおいて、前記シミュレーションデータに含まれる前記対象位置データに合致する位置データを求め、前記対象位置データに合致する前記位置データから、前記制御ネットワークにおいて前記対象照明装置を識別するための対象識別データを求めること、
前記対象識別データを用いた通信によって、前記シミュレーションデータに含まれる調光動作データに従って、前記対象照明装置を制御すること
を備える、
照明管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、処理ユニット、照明装置及び照明管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、照明制御システムを開示している。特許文献1の照明制御システムは、建物の室内等の明るさ検出センサとしてカメラを使用する。特許文献1の照明制御システムは、カメラにより得られる画像情報により多くの機能を発揮することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
照明装置を制御する場合、照明装置の設置空間において、照明装置がどの位置に設置されたのかを把握することが望まれる。照明装置がどの位置に設置されたのかを把握するため、照明装置の位置データを人手によって、照明装置を制御する処理ユニットに入力する作業が必要されることがある。しかし、そのような作業は、非常に煩雑であるため、照明制御システムの構築を困難にする。
【0005】
一般に、制御ネットワークを介して照明装置を制御する場合、制御ネットワークにおける照明装置のIPアドレスなど、照明装置の識別データが必要とされる。すなわち、制御ネットワーク上の照明装置は、IPアドレスなどの識別データによって識別されるため、ある照明装置を制御しようとすると、制御ネットワークにおける、その照明装置の識別データを把握することが必要となる。
【0006】
しかし、照明装置を制御する処理ユニットが、照明装置の識別データを把握しても、識別データが示す照明装置が、照明装置の設置空間のどの位置に設置されたのかを把握できなければ、照明装置を適切に制御することができない。特に、デザイン性の高い調光制御をする場合、どの位置にある照明装置の明るさをどのように変化させるかが重要であるため、照明装置の設置位置の把握は重要である。
【0007】
したがって、照明装置を制御する処理ユニットが、照明装置の設置位置を把握できることが望まれる。
【0008】
また、本発明者らは、照明に関する多様なデータ(例えば、ビルディングインフォメーションモデリング(BIM)データなど)を利用して、照明装置に対する様々な制御を実現するという着想を得た。
【0009】
多様なデータの利用を促進するには、照明装置を制御する処理ユニットが、他のアプリケーションからデータを取り込むなど、他のアプリケーションとの連携が望まれる。しかし、単に照明装置を制御するだけの従来の処理ユニットでは、そのような連携は容易ではない。
【0010】
例えば、照明のデザイン又はシミュレーションが、BIMデータを用いて行われることがある。BIMデータには、照明装置の位置データ及び明るさの変化の仕方などの照明装置の動作データが含まれていることがある。BIMデータを用いたシミュレーションデータを、処理ユニットが取り込んで、照明装置の制御に利用できれば、照明のデザイン又はシミュレーション結果を、実際の照明装置の制御として実現することができる。
【0011】
しかし、照明のデザイン又はシミュレーションにおいて、照明装置が接続される制御ネットワークにおける照明装置の識別データまでが、わざわざ考慮されることはない。このため、照明のデザインに用いられたシミュレーションデータが存在しても、そのシミュレーションデータを照明装置の制御には直接は利用できない。したがって、制御ネットワークにおける照明装置の識別データが考慮されていないシミュレーションデータなどの他のアプリケーションデータを、照明装置の制御に利用可能にすることが、他の課題として望まれる。
【0012】
本開示のある側面は、制御ネットワークを介して照明装置を制御する処理ユニットであって、前記照明装置の位置を求めるために用いられるセンサデータを出力するセンサから前記制御ネットワークを介して取得した前記センサデータを用いて、前記照明装置が設置された位置を示す位置データを求める処理を含む認識処理を実行するよう構成されている。
【0013】
更なる詳細は、後述の実施形態として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、実施形態に係る処理ユニット及び照明装置を含むシステムの概略構成図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る照明装置の概略構成図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る照明装置の認識処理のフローチャートである。
【
図4】
図4は、実施形態に係る照明装置の位置検知処理のフローチャートである。
【
図5】
図5は、実施形態に係る照明装置が設置された実空間の概略図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る照明装置が設置された空間の3次元デジタルモデルである空間データの概略図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る処理ユニットにおいて生成される対応データのデータ構造図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係るシミュレーションデータによる照明装置の制御処理のフローチャートである。
【
図9】
図9は、実施形態に係るシミュレーションデータのデーターフロー図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係るシミュレータによって生成された空間の3次元デジタルモデルにおける照明装置の位置データである。
【
図11】
図11は、実施形態に係る照明装置が人を検知した場合の実空間の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<1.処理ユニット、照明装置及び照明管理方法の概要>
【0016】
(1)実施形態に係る処理ユニットは、制御ネットワークを介して照明装置を制御する。実施形態に係る処理ユニットは、前記照明装置の位置を求めるために用いられるセンサデータを出力するセンサから前記制御ネットワークを介して取得した前記センサデータを用いて、前記照明装置が設置された位置を示す位置データを求める処理を含む認識処理を実行するよう構成されている。実施形態に係る処理ユニットは、センサデータを用いて、照明装置が設置された位置を求めることができる。したがって、照明装置を制御する処理ユニットが、照明装置の設置位置を把握できる。
【0017】
(2)前記認識処理は、前記制御ネットワークに前記照明装置が接続されたことが前記処理ユニットによって検出されたときに前記処理ユニットによって実行開始されるよう構成されているのが好ましい。この場合、照明装置が制御ネットワークに接続されたことをトリガとして、認識処理が実行される。つまり、認識処理が、プラグ&プレイで実行される。
【0018】
(3)前記センサデータは、前記照明装置に備えられた前記センサから取得されるのが好ましい。この場合、照明装置から取得されるセンサデータから求められる位置データと、照明装置の識別データと、を対応つけるのが容易になる。
【0019】
(4)前記センサは、イメージセンサであり、前記センサデータは、画像データであるのが好ましい。この場合、画像データは、照明装置が設置された空間を映した画像となる。処理装置は、画像から、照明装置の位置を求めることができる。
【0020】
(5)前記認識処理は、前記制御ネットワーク上において前記照明装置を識別するための識別データと、前記位置データと、を対応付けた対応テーブルを生成し、前記対応テーブルをメモリに記憶する処理をさらに含むことができる。この場合、識別データと位置データとを対応付けた対応テーブルによって、処理装置は、照明装置の位置データと、制御ネットワークにおける識別データと、の対応関係を把握できる。識別データは、例えば、制御ネットワークにおけるIPアドレスである。IPアドレスなどの識別データは、処理ユニットによって照明装置に付与されてもよいし、処理ユニットが、照明装置から取得してもよい。
【0021】
したがって、処理ユニットは、制御対象となる照明装置の指定を、照明装置の位置データで受け付けても、その照明装置の識別データを得ることができる。例えば、処理ユニットは、照明装置の位置データを含む他のアプリケーションデータ(例えば、BIMを活用したシミュレーションデータ)を取り込み、その位置データを、制御ネットワークにおける識別データに変換することで、制御対象の照明装置の識別データを得ることができる。また、処理装置は、対応テーブルを参照することで、識別データから位置データを得ることもできる。
【0022】
(6)処理ユニットは、制御対象となる対象照明装置の位置を示す対象位置データを受け付け、前記対応テーブルを用いて、前記対象位置データから、前記制御ネットワークにおいて前記対象照明装置を識別するための対象識別データを求め、対象識別データを用いた通信によって、前記対象照明装置を制御することを備える制御処理を更に実行するよう構成されているのが好ましい。この場合、対象照明装置の制御が容易になる。
【0023】
(7)処理ユニットは、制御対象となる対象照明装置の対象位置データ及び調光動作データによるシミュレーションデータを取得すること、前記対応テーブルにおいて、前記シミュレーションデータに含まれる前記対象位置データに合致する位置データを求め、前記対象位置データに合致する前記位置データから、前記制御ネットワークにおいて前記対象照明装置を識別するための対象識別データを求めること、前記対象識別データを用いた通信によって、前記シミュレーションデータに含まれる調光動作データに従って、前記対象照明装置を制御することを備える制御処理を更に実行するよう構成されているのが好ましい。この場合、シミュレーションデータを利用して、照明装置を制御することができる。
【0024】
(8)前記シミュレーションデータは、ビルディングインフォメーションモデリングデータを用いて前記対象照明装置の調光動作をシミュレートしたデータであるのが好ましい。
【0025】
(9)前記処理ユニットは、前記照明装置の制御に用いるために、前記センサデータを取得するよう構成されているのが好ましい。センサデータは、例えば、センサが設置された空間の情報、より具体的には、室内の明るさなどの室内情報を取得することができる。室内情報は、照明装置の制御に用いることができる。
【0026】
(10)実施形態に係る照明装置は、光源と、前記光源の駆動回路と、制御ネットワークを介して前記光源の制御信号を受信し、前記制御信号に基づいて前記駆動回路を動作させる制御ユニットと、前記照明装置の位置を求めるために用いられるセンサデータを出力するセンサと、を備え、前記制御ユニットは、前記照明装置の認識処理を実行する処理ユニットへ、前記センサデータを送信するよう構成され、前記認識処理は、前記照明装置から、制御用通信ネットワークを介して取得した前記センサデータを用いて、前記照明装置が設置された位置を示す位置データを求める処理を含むことができる。
【0027】
(11)前記制御ユニットは、前記センサデータを、前記処理ユニットによる前記照明装置の制御用に送信するよう構成されているのが好ましい。実施形態に係る照明装置は、様々な制御アプリケーションの導入を可能とするプラットフォームとして位置付けることができる。
【0028】
(12)実施形態に係る照明管理方法は、制御ネットワークを介して照明装置を制御する処理ユニットが、前記照明装置の位置を求めるために用いられるセンサデータを出力するセンサから、前記制御ネットワークを介して、前記センサデータを取得し、前記処理ユニットが、前記センサデータを用いて、前記照明装置が設置された位置を示す位置データを求めることを備える。
【0029】
<2.処理ユニット、照明装置及び照明管理方法の例>
【0030】
以下、図面を参照しつつ実施形態を説明する。
図1は、実施形態に係るシステム1を示している。実施形態に係るシステム1は、実空間300に複数設置されている照明装置30,30Aと、照明装置30,30Aの処理ユニット10と、を備える。実施形態に係るシステム1は、設置された照明装置30,30Aの位置を認識する認識処理100を実行するとともに、照明装置30,30Aの制御又は監視をする制御処理110を実行する。
【0031】
処理ユニット10と照明装置30,30Aとは、制御ネットワーク20を介して通信を行うよう構成されている。制御ネットワーク20は、例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)である。制御ネットワーク20は、広域エリアネットワークであってもよい。広域エリアネットワークは、例えば、インターネット、移動体通信ネットワーク、又はインターネットと移動体通信ネットワークの組み合わせである。実施形態に係る制御ネットワーク20は、LANであり、より具体的には、一例として、LANケーブル21がスイッチングハブ20Aで接続されたものである。処理ユニット10は、制御ネットワーク20を介して、複数の照明装置30,30Aのセンサデータ85を取得するが、この点については後述する。
【0032】
実施形態に係る照明装置30,30Aは、屋内照明であってもよいし、屋外照明であってもよい。屋内照明は、例えば、建物内の天井301、壁面302、及び、床面305の少なくともいずれか1箇所に設置される。天井に設置されている照明装置は、例えば、シーリングライト、ペンダントライト、及び、ダウンライトの少なくともいずれか一つである。壁面に設置されている照明装置は、例えば、ブラケット、及び、フットライトの少なくとのいずれか一つである。床面上に設置されている照明装置は、例えば、フロアスタンド、及び、テーブルスタンドの少なくともいずれか一つである。屋外照明は、例えば、建物の外壁、及び、庭などの地面の少なくともいずれか一つに設置される。外壁に設置されている照明装置は、例えば、ポーチライトである。庭などの地面に設置されている照明装置は、例えば、門灯、及び、ガーデンライトの少なくともいずれか一つである。
図1に示す照明装置30,30Aは、建物内の天井に設置されている。
【0033】
照明装置30,30Aは、一例として、建物内の天井301に穴をあけて埋め込むことで設置する照明装置である。照明装置30,30Aは、天井301に埋め込まれるため、凹凸ができず、フラットな状態で設置することができる。
【0034】
照明装置30は、例えば、光を照射する照明装置本体36と、照明装置30の周囲に設けられた枠状のトリム38と、を備える。トリム38は、天井面に接し、天井301に形成された穴の縁部分を隠すことができる。実施形態に係る照明装置30,30Aのトリム38の形状は、丸形である。照明装置30,30Aのトリム38の形状は、四角、及び、長方形などであってもよい。
【0035】
実施形態に係る照明装置30は、センサ34を備える。照明装置30にセンサ34が設けられていることで、照明装置30を設置するとセンサ34も設置することができ、設置作業が容易になる。実施形態において、センサ34は、トリム38に設けられている。センサ34をトリム38に設けることで、センサ34は光の照射を阻害せず、照明装置30の外観も損なわない。センサ34の照明装置30における取り付け場所は、トリム38に限られない。以下では、照明装置30,30Aが設置されている実際の屋内又は屋外の空間を実空間300という。
図1に示す照明装置30,30Aは、窓308のある実空間300の天井301に設置されている。照明装置30,30Aは、実空間300の天井301に加えて又は代えて、壁面302、及び、床面305のいずれかに設置してもよい。
【0036】
実施形態に係る処理ユニット10は、照明装置30,30Aの位置を認識する機能を有する。また、実施形態に係る処理ユニット10は、照明装置30,30Aの制御監視装置10としても動作する。制御監視装置10としての処理ユニット10は、照明装置30,30Aの制御を行うとともに、照明装置30,30Aが設置されている空間の監視を行う。
【0037】
処理ユニット10は、汎用コンピュータによって構成されるサーバであってもよいし、タブレット又はスマートフォンなどのモバイル端末であってもよいし、インターネット上のサーバコンピュータであってもよい。処理ユニット10は、照明が設置される建物内又はその近傍に設置されていてもよいし、照明が設置場所の遠隔地に設置されていてもよい。
【0038】
処理ユニット10は、センサデータ85用いて、複数の照明装置30が設置されている位置を求め、それぞれの照明装置の制御監視を行う。処理ユニット10は、プロセッサ11と、メモリ12と、通信ユニット16と、を備えるコンピュータによって構成されている。プロセッサ11は、例えば、CPUである。メモリ12は、例えば、一次記憶装置、及び、二次記憶装置を有する。一次記憶装置は、例えば、RAMである。二次記憶装置は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)、又は、ソリッドステートドライブ(SDD)である。
【0039】
メモリ12には、コンピュータを処理ユニット10として動作させるためのコンピュータプログラム12Aが格納されている。コンピュータプログラム12Aは、認識処理100、及び、制御処理110をプロセッサ11に実行させるためのプログラムコードを備える。プロセッサ11は、メモリ12からコンピュータプログラム12Aを読み出して、実行する。認識処理100は、複数の照明装置30,30Aの実空間300における位置をそれぞれ求める処理である。制御処理110は、実空間300において制御対象の位置に存在する複数の照明装置30,30Aをそれぞれ制御する処理である。認識処理100、及び、制御処理110については、後述する。
【0040】
メモリ12には、対応テーブル13と、空間データ14と、が格納されている。対応テーブル13は、制御ネットワーク20上において、複数の照明装置30,30Aをそれぞれ識別するための照明装置データ131と、複数の照明装置30,30Aの実空間300におけるそれぞれの位置データ132と、を対応付けたテーブルである(
図7参照)。空間データ14は、処理ユニット10が、照明装置30,30Aの制御のために有するデータである。空間データ14は、少なくとも照明装置30,30Aの配置を示す3次元デジタルモデルであり、後述のデータのように建物等の設計用情報を含む必要はない。ただし、空間データ14は、BIMデータのように、実空間300の形状・色彩などを正確に理解できるような詳細なデータであってもよい。ここでは、説明の便宜上、空間データ14は、
図6に示すように、横軸(x軸)と、縦軸(y軸)と、奥行き(z軸)とで表現される3次元デジタルモデルであるものとする。
【0041】
通信ユニット16は、スイッチングハブ20Aを介して、複数の照明装置30,30Aのそれぞれのセンサデータ85を送受信する。通信ユニット16は、スイッチングハブ20Aを介して、複数の照明装置30,30Aに対してそれぞれの照明装置に応じた制御信号90を送信する。
【0042】
図2は、実施形態に係る照明装置30の概略構成図を示している。第2照明装置30Aについては、詳細な図示を省略するが、同様の構成を有している。
【0043】
照明装置30は、駆動回路31と、光源32と、を備える。駆動回路31は、光源32を発光させるための点灯回路である。光源32は、例えば、発光ダイオード(LED)である。光源32は、駆動回路31によって制御される。駆動回路31による制御は、少なくとも点灯及び消灯の制御を含む。駆動回路31による制御は、調光を含んでもよい。調光の制御により、光源32における光の明るさが調節される。
【0044】
実施形態の照明装置30は、センサ34と、通信ユニット40と、を備える。通信ユニット40は、処理ユニット10から制御信号90を受信する。通信ユニット40は、受信した制御信号90を、駆動回路31へ送信する。駆動回路31は、通信ユニット40から送信される制御信号90に応じて、光源32を制御する。通信ユニット40は、処理ユニット10との通信を制御するコントローラ41と、メモリ42と、を備える。コントローラ41は、例えば、マイクロコントローラである。メモリ42は、例えば、ROM、及び、フラッシュメモリである。メモリ42には、照明装置データ43が格納されている。
【0045】
コントローラ41は、処理ユニット10との間の通信(外部通信)を制御する。また、コントローラ41は、照明装置30内の通信(内部通信)を制御する。実施形態において、照明装置30内の通信は、駆動回路31との通信、及びセンサ34との通信を含む。
【0046】
実施形態に係るセンサ34は、位置を求めるためのセンサである。センサ34は、照明装置30に設けられていてもよいし、照明装置30とは別に設けられていてもよい。
図2に示すセンサ34は、イメージセンサである。イメージセンサ34は、センサデータとして、画像データ85を出力する。実施形態に係るセンサ34は、通信ユニット40へ画像データ85を送信する。通信ユニット40は、制御ネットワーク20を介して処理ユニット10へ、識別データ81とともに画像データ85を送信する。これにより、処理ユニット10は、制御ネットワーク20を介して、画像データ85を取得できる。識別データ81は、照明装置30のIPアドレスである。
【0047】
イメージセンサ34としては、例えば、工業用内視鏡に用いる2mm角の超小型イメージセンサを採用できる。小型のイメージセンサであると、解像度が低いが画素数が少ない。画素数は、例えば、数万画素程度でよい。これにより、画像データ85を送受信する場合の通信負担を軽くすることができる。なお、イメージセンサ34の画素数は、解像度の高くなるように、数百万画素程度であってもよい。
【0048】
また、通信ユニット40は、制御ネットワーク20を介して、処理ユニット10へ、メモリ42に格納された照明装置データ43に識別データ81を含んだ照明装置データ83を送信することができる。照明装置データ83は、例えば、照明装置30の名称と制御仕様データを含むことができる。照明装置30の名称と制御仕様データについては後述する。
【0049】
照明装置30は、パワーオブイーサネット(PoE;イーサネットは登録商標)により給電を受けるように構成されているため、電力線を別途設けることなく、LANケーブル21より電力95が供給される。したがって、制御ネットワークの敷設をすれば、照明装置30への電力供給のための配線を別途敷設する必要がない。
【0050】
さらに、後述のプラグ&プレイによって、実施形態の処理ユニット10は、照明装置30の位置を自動的に認識することができる。したがって、照明装置30を制御する処理ユニット10に、照明装置30の設置位置を人手によって入力する必要がない。すなわち、照明制御システムの構築が容易となる。
【0051】
図3は、実施形態に係る処理ユニット10における認識処理100の例を示している。処理ユニット10における認識処理100は、処理ユニット10のプロセッサ11によって実行される。実施形態に係る処理ユニット10における認識処理100は、センサ34より取得した画像データ85を用いて照明装置30,30Aが設置された位置を求める。これにより、処理ユニット10は、複数の照明装置30,30Aのそれぞれの設置位置を把握することができる。
【0052】
実施形態に係る処理ユニット10は、複数の照明装置30,30Aの照明装置データ131と複数の照明装置30,30Aそれぞれの位置データ132とを対応付けた、
図7に示す対応テーブル13を生成し、実施形態に係る処理ユニット10のメモリ12に保存する。これにより、処理ユニット10は、複数の照明装置30,30Aのそれぞれについて、照明装置データ131と設置位置との対応関係を把握することができる。
【0053】
認識処理100は、制御ネットワーク20における照明装置30,30Aの存在が処理ユニット10によって検出されたときに、処理ユニット10によって実行開始されるよう構成されている。照明装置30,30Aの存在の検知は、例えば、照明装置30,30Aが制御ネットワーク20に接続されたことの検知であるが、それに限られない。この場合、照明装置30,30Aが制御ネットワーク20に接続されたことをトリガとして、認識処理100が実行される。すなわち、認識処理100は、プラグ&プレイで実行される。認識処理100の実行タイミングは、例えば、制御ネットワーク20に複数の照明装置30,30Aがそれぞれ接続されたことを処理ユニット10によって検出された後に行われてもよく、実行タイミングは、検出時に限定されない。
【0054】
以下、
図3に基づき、
図5に示す第1照明装置30に対して認識処理100を行う場合の処理フローを説明する。
【0055】
実施形態に係る第1照明装置30の認識処理100においては、まず、処理ユニット10のプロセッサ11が、制御ネットワーク20に接続された第1照明装置30の存在を検知する(ステップS10)。制御ネットワーク20への接続は、例えば、制御ネットワーク20に接続されたLANケーブル21が第1照明装置30に接続されることで確立される。処理ユニット10のプロセッサ11は、第1照明装置30の存在を検知すると、第1照明装置30に対して識別データ81であるIPアドレス(Addr1)を付与する(ステップS11)。なお、IPアドレスは、処理ユニット10以外のもの、例えば、第1照明装置30、及び、制御ネットワーク20に接続されたルータ(図示省略)などが付与してもよい。この場合、ステップS10では、IPアドレスが付与されている第1照明装置30を検知し、ステップS11は省略する。
【0056】
プロセッサ11は、第1照明装置30の存在検知だけでは把握できなかった、第1照明装置30に関する情報を照明装置データ135として取得する(ステップS12)。
図5に示すように、照明装置データ135は、例えば、名称(AAA)、及び、制御仕様データ(Ctr1)を含む。また、プロセッサ11が取得する照明装置データ135は、照明装置データ135の送信元である第1照明装置30の識別データ81であるIPアドレス(Addr1)を含む。なお、名称(AAA)は、第1照明装置30の名前を示す。制御仕様データ(Ctr1)は、第1照明装置30の明るさを自由に調整できる機能の有無、及び、明るさの調整できる範囲を示す。
【0057】
ステップS12までの処理によって、
図7に示す対応テーブル13における第1照明装置30の照明装置データ135が取得されたことになる。
【0058】
プロセッサ11は、第1照明装置30の実空間300における位置データ136を求める処理を実行する(ステップS13)。第1照明装置30の実空間300における位置データ136を求める処理S13は、イメージセンサ34から、制御ネットワーク20を介して取得した画像データ85を用いて行われる。
図5に示すように、画像データ85は、第1照明装置30に備わったイメージセンサ34の視野185を撮像して得られた画像である。
【0059】
実施形態において、プロセッサ11は、処理S13のために、実空間300に設置された複数のイメージセンサ34から、複数の画像データ85を取得することができる。ここでの複数のイメージセンサ34は、位置データ136を求めたい第1照明装置30に備わったイメージセンサ34を少なくとも含むことができ、さらに、位置データ136を求めたい第1照明装置30以外の他の照明装置30Aに備わったイメージセンサ34Aを含むことができる。画像データ85が、他の照明装置30Aの像を含む場合、プロセッサ11は、その画像データ85を撮像したイメージセンサ34と他の照明装置30Aとの相対的な位置関係を求めることができる。その相対的な位置関係から、プロセッサ11は、位置データ136を求めたい第1照明装置30の位置データ136を求めることができる。
【0060】
なお、第1照明装置30の実空間300における位置データ136は、処理ユニット10のメモリ12に格納されている空間データ14と第1照明装置30のイメージセンサ34が撮影した画像データ85との対比によって求めてもよい。この場合、まず、処理ユニット10の通信ユニット16は、第1照明装置30が、第1照明装置30に備わったイメージセンサ34によって取得した実空間300における画像データ85を、第1照明装置30の識別データ81であるIPアドレス(Addr1)とともに取得する(ステップS13A)。
【0061】
プロセッサ11は、第1照明装置30より取得した画像データ85を用いて、第1照明装置30の位置を検知する(ステップS13B)。
図4は、第1照明装置30の位置検知の処理手順を示している。まず、プロセッサ11は、空間データ14を用いて、複数の照明装置430,430Aそれぞれの位置から見た画像データ485を対比用画像データ485として生成する(ステップS21)。プロセッサ11は、処理ユニット10のメモリ12に格納されている空間データ14から、対比用画像データ485を生成する。
【0062】
空間データ14は、
図6に示すように、実空間300と同等の仮想空間400を3次元デジタルによってモデル化し、実空間300における複数の照明装置30,30Aの配置を示すよう構成されている。空間データ14は、実空間300の建物の詳細情報を持っている。空間データ14は、天井401と窓408のある壁面402、及び、床面405を備えている。空間データ14は、実空間300と同じように複数の照明装置30,30Aに対応する仮想の照明装置430,430Aを備える。
図6では、実空間300における第1照明装置30,30A(
図5参照)に対応する仮想照明装置430,430Aが、仮想空間400において、第1照明装置30,30Aと同じ位置に配置されている。
【0063】
空間データ14は、空間データ14が示す仮想空間400内の任意の位置の視点からみた仮想空間400の視野画像を生成可能に構成されている。つまり、空間データ14は、仮想空間400における視点位置が与えられると、その視点位置からみた仮想空間400の視野画像を生成可能である。
【0064】
実施形態において処理ユニット10は、複数の仮想照明装置430,430Aそれぞれの設置位置を、仮想空間400における視点位置として用いて、複数の仮想照明装置430,430Aそれぞれの設置位置からみた、仮想空間400における視野画像データを、対比用画像データ485として生成する。複数の対比用画像データ485は、複数の仮想照明装置430,430Aそれぞれの設置位置に応じて、視野が異なる画像である。
【0065】
図6では、仮想照明装置430に備わった仮想イメージセンサ434を視点位置とする視野485が示されている。処理ユニット10は、仮想照明装置430の位置からみた対比用画像データ485として、視野485内の画像を生成する。
図6に示す仮想空間400における視野485は、
図5に示す実空間300における視野185に対応している。したがって、仮想空間400における視野485内の画像は、実空間300における視野185を撮像して得られた画像に、近似している。
【0066】
プロセッサ11は、複数の対比用画像データ485の中から、第1照明装置30がイメージセンサ34によって取得した画像データ85に最も合致する対比用画像データ485を選択する(ステップS22)。それぞれ視野の異なる複数の対比用画像データ485のうち、仮想照明装置430からみた画像(
図6に示す視野485内の画像)が、実空間300における視野185を撮像して得られた画像に近似しているため、画像データ85に最も合致する対比用画像データ485として、選択される。
【0067】
プロセッサ11は、選択された対比用画像データ485に対応する、空間データ14における仮想照明装置430の座標(空間における照明装置の識別子)を位置データ436として取得する(ステップS23)。例えば、空間データ14における仮想照明装置430の座標、すなわち位置データ436は、空間座標(x1,y1,z1)である(
図6参照)。
【0068】
図3に戻り、プロセッサ11は、仮想照明装置430の位置データ436である空間座標(x1,y1,z1)を対応テーブル13における位置データ136(
図7参照)として生成する(ステップS13C)。
【0069】
プロセッサ11は、第1照明装置30の照明装置データ135と、第1照明装置30に対応する仮想照明装置430の位置データ436である空間座標(x1,y1,z1)と、を対応付け、
図7に示すような対応テーブル13として生成し、処理ユニット10のメモリ12に保存する(ステップS14)。この結果、対応テーブル13は、照明装置30の識別データ81のひとつであるIPアドレス(Addr1)と、第1照明装置30の空間座標(x1,y1,z1)と、が対応付けられたものになる。この対応付けは、第1照明装置30から送信された照明装置データ135に含まれるIPアドレスと、第1照明装置30から画像データ85とともに送信されたIPアドレスとを用いて行われる。
【0070】
対応テーブル13は、
図7に示すように、照明装置データ131と位置データ(空間座標)132とを備える。照明装置データ131は、識別データ81であるIPアドレスと、照明装置30の名称、及び、照明装置30の制御仕様データからなる。位置データ(空間座標)132は、複数の照明装置30,30Aそれぞれの設置位置を座標で示したものである。すなわち、対応テーブル13は、識別データ81であるIPアドレスと位置データ(空間座標)132とを対応づけたテーブルである。処理ユニット10は、対応テーブル13によって、照明装置の位置データ132と、制御ネットワーク20における識別データ81(IPアドレス)との対応関係を把握することができる。
【0071】
なお、実施形態において、照明装置30に設けられているセンサ34は、イメージセンサ34である必要はない。センサ34は、照明装置30の位置を検出することができる他の種類のセンサであってもよい。他の種類のセンサは、例えば、物体の位置を検知するレーダセンサである。
【0072】
照明装置30の位置の検知は、位置検知のための対になる機器によって行われてもよい。この場合、照明装置30には、対になる機器の一方が備わっていれば足りる。対になる機器は、例えば、位置検知のための信号の送信器及び受信器である。信号は、例えば、電波、超音波、又は赤外線である。
【0073】
また、センサ34は、照明装置30に設けられている必要はない。照明装置30とは別に設けられたセンサ34は、例えば、実空間300の天井301、壁面302、床面305の少なくともいずれか一つに、1又は複数設置される。照明装置30とは別に設けられた1又は複数のセンサ34が取得したそれぞれの情報をもとに、照明装置30の位置を求めてもよい。
【0074】
図8は、実施形態に係る処理ユニット10における制御処理110の例を示している。処理ユニット10における制御処理110は、処理ユニット10のプロセッサ11によって実行される。実施形態に係る処理ユニット10は、制御対象となる対象照明装置30の位置データ536を受け付け、対応テーブル13を用いて、対象照明装置30の識別データ81を求める。制御対象となる対象照明装置30の位置データ536は、処理ユニット10に、照明装置の位置データ536を含む他のアプリケーションデータ(例えば、BIMを活用したシミュレーションデータ51)から取り込んでもよい。処理ユニット10は、対象照明装置30の識別データ81を用いた通信によって、対象照明装置30の制御を行う処理である。これにより、処理ユニット10は、対象照明装置30の制御が容易になる。
【0075】
以下、
図8に基づき、
図5に示す制御対象となる対象照明装置30に対して制御処理110を行う場合の処理フローを説明する。
【0076】
実施形態に係る制御対象となる照明装置30の制御処理110において、処理ユニット10のプロセッサ11が、シミュレーションデータ51を取得する(ステップS31)。シミュレーションデータ51は、
図9に示すように、インターネットなどのネットワーク25を介して、シミュレータ50から処理ユニット10に送信される。
【0077】
シミュレータ50は、照明デザイナなどによって、照明の動作のシミュレーションのために用いられる。シミュレーションデータ51は、例えば、建築物の形状データ511、建築物の属性データ512、照明の位置データ513、及び、照明の調光動作データ515を備える。シミュレーションデータ51は、例えば、BIMデータを用いて、照明装置の調光動作をシミュレートしたデータである。BIMデータは、建築物の3次元デジタルモデルであり、例えば、建築物の形状データ511、建築物の属性データ512、及び照明の位置データ513、を含む。
【0078】
BIMデータを用いたシミュレーションデータ51は、例えば、BIMデータに、照明の調光動作データ515を付加したデータである。調光動作データ515は、BIMデータに含まれる照明の調光動作に基づく。照明の調光動作は、例えば、照明デザイナによってデザインされる。
【0079】
以下では、シミュレーションデータ51において、位置データ536によって位置が識別される照明装置530を、「対象照明装置」という。また、対象照明装置530の位置データ536を、「対象位置データ」という。
【0080】
図10に示すように、シミュレーションデータ51は、BIMデータによって、対象照明装置530が設置される建物500の構造を示す。シミュレーションデータ51は、例えば、横軸(p軸)と、縦軸(q軸)と、奥行き(r軸)とで表現される3次元デジタルモデルである。シミュレーションデータ51の対象位置データ536は、空間座標(p1,q1,r1)を示す。調光動作データ538は、対象照明装置530の明るさの変化の仕方などの調光動作を示す。
【0081】
しかし、シミュレーションデータ51における対象照明装置530の対象位置データ536は、実空間300において接続される制御ネットワーク20における照明装置の識別データ81が、考慮されているわけではない。そのため、対象位置データ536、及び、調光動作データ538は、照明装置の制御に直接利用することはできない。
【0082】
そこで、プロセッサ11は、対応テーブル13を用いて、シミュレーションデータ51に含まれる対象位置データ536に合致する、対象照明装置30の位置データ136を求める処理を実行する(ステップS32)。
【0083】
実施形態において、対応テーブル13における空間座標系(xyz)とシミュレーションデータ51の空間座標系(pqr)の対応関係は既知であり、相互に変換可能であるものとする。
【0084】
プロセッサ11は、対応テーブル13とシミュレーションデータ51の対応関係に基づき、シミュレーションデータ51における対象照明装置530の対象位置データ536における空間座標(p1,q1,r1)を対応テーブル13の座標系(xyz)に変換する。変換した結果、対象位置データ536は、空間座標(x2,y2,z2)と求まる。
【0085】
プロセッサ11は、対応テーブル13に格納されている複数の照明装置30の位置データ132の中から、対象位置データ536の空間座標(x2,y2,z2)に最も近似している位置データ136である空間座標(x1,y1,z1)を検出する。これにより、シミュレーションデータ51における対象位置データ536に合致する実空間300における対象照明装置30の位置データ136が求まる。
【0086】
プロセッサ11は、対応テーブル13より求めた実空間300における対象照明装置30の対象位置データ136に基づいて、対象照明装置30の識別データ81(対象識別データ)を求める(ステップS33)。これにより、制御ネットワーク20において対象照明装置30を識別することができる。識別データ81は、制御ネットワーク20において対象照明装置30を識別するためのIPアドレスである。実空間300における対象照明装置30の識別データ81を、「対象識別データ」という。
【0087】
したがって、処理ユニット10は、制御対象となる照明装置30の指定を、照明装置の対象位置データ536で受け付けても、その照明装置の対象識別データ81を得ることができる。また、処理ユニット10は、対応テーブル13を参照することで、照明装置30の対象識別データ81から対象照明装置の対象位置データ136を得ることもできる。
【0088】
プロセッサ11は、シミュレーションデータ51に含まれる調光動作データ538に従った制御信号90を生成する(ステップS34)。プロセッサ11は、
図10に示す、シミュレーションデータ51に含まれる調光動作データ538(Dim1)に基づいて、対象照明装置30を制御するための制御信号90を生成する。
【0089】
プロセッサ11は、対象識別データ81で識別される対象照明装置30へ制御信号90を送信する(ステップS35)。プロセッサ11は、対象識別データ81であるIPアドレス(Addr1)を用いた通信によって、対象照明装置30へ制御信号90を送信する。これにより、処理ユニット10は、対象照明装置30を制御する。
【0090】
実施形態に係る処理ユニット10は、シミュレーションデータ51を利用して、照明装置を制御することができる。したがって、処理ユニット10は、制御ネットワーク20における照明装置の識別データ81が考慮されていないシミュレーションデータ51などの他のアプリケーションデータを、照明装置30の制御に利用することができる。
【0091】
実施形態に係る処理ユニット10が照明装置30の制御に利用することができる、他のアプリケーションデータとして、例えば、センサデータ85がある。センサデータ85は、例えば、照明装置30に設けられているイメージセンサ34によって取得される画像データ85である。
【0092】
実施形態に係る処理ユニット10は、照明装置30の制御に用いるために、例えば、画像データ85を取得するよう構成されている。処理ユニットは、画像データ85を、例えば、イメージセンサ34が設置された空間の情報、より具体的には、室内の明るさなどの室内情報として取得する。
【0093】
図11を参照しつつ、実空間300に設置されている第2照明装置30Aが人60を検知した場合の第2照明装置30Aの調光動作例を説明する。
【0094】
第2照明装置30Aのイメージセンサ34Aは、
図11に示すように、画像データ385Aを取得する。画像データ385Aは、イメージセンサ34Aが設置された空間(室内)の室内の明るさなどの室内情報として取得する。画像データ385Aには、人60が立っている場所60Aが含まれる。したがって、画像データ385Aは、「イメージセンサ34Aが設置された空間(室内)は暗い」という室内情報を示す。
【0095】
実施形態に係る処理ユニット10は、室内情報となる画像データ385Aに基づき、イメージ室内が明るくなるよう制御する。すなわち、照明装置30Aが点灯33する。このように、室内情報である画像データ385Aは、照明装置の制御に用いることができる。
【0096】
実施形態に係る照明装置30Aは、様々な制御アプリケーションの導入を可能とするプラットフォームとして位置付けることができる。
【0097】
なお、実施形態において、照明装置30に設けられているセンサ34は、イメージセンサ34である必要はない。センサ34は、センサ34が設置された空間の情報、より具体的には、室内の明るさなどの室内情報を取得することができる他の種類のセンサであってもよい。他の種類のセンサは、例えば、室内の明るさに応じて点灯・消灯する照度センサである。
【0098】
さらに、実施形態に係るシステム1は、システム1に他のアプリケーションを組み合わせることで、防犯、及び、防災に活用することもできる。他のアプリケーションは、例えば、人工知能による異常検知アプリなどである。このように、実施形態に係るシステム1におけるプラットフォームを活用して、様々なサービスを提供することができる。
【0099】
<3.付記>
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【符号の説明】
【0100】
1 :システム
10 :処理ユニット(制御監視装置)
11 :プロセッサ
12 :メモリ
12A :コンピュータプログラム
13 :対応テーブル
14 :空間データ
16 :通信ユニット
20 :制御ネットワーク
20A :スイッチングハブ
21 :LANケーブル
25 :ネットワーク
30 :第1照明装置(対象照明装置)
30A :第2照明装置
31 :駆動回路
32 :光源
33 :点灯
34 :イメージセンサ
34A :イメージセンサ
36 :照明装置本体
38 :トリム
40 :通信ユニット
41 :コントローラ
42 :メモリ
43 :照明装置データ
50 :シミュレータ
51 :シミュレーションデータ
60 :人
60A :場所
81 :識別データ
83 :照明装置データ
85 :画像データ(センサデータ)
90 :制御信号
95 :電力
100 :認識処理
110 :制御処理
131 :照明装置データ
132 :位置データ
135 :照明装置データ
136 :位置データ
185 :視野
300 :実空間
301 :天井
302 :壁面
305 :床面
308 :窓
385A :画像データ
400 :仮想空間
401 :天井
402 :壁面
405 :床面
408 :窓
430 :仮想照明装置
430A :仮想照明装置
434 :仮想イメージセンサ
436 :位置データ
485 :対比用画像データ
500 :建物
511 :形状データ
512 :属性データ
513 :位置データ
515 :調光動作データ
530 :照明装置
536 :位置データ
538 :調光動作データ