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  • 特許-回転型おりん 図1
  • 特許-回転型おりん 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-16
(45)【発行日】2024-08-26
(54)【発明の名称】回転型おりん
(51)【国際特許分類】
   A47G 33/00 20060101AFI20240819BHJP
【FI】
A47G33/00 L
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020210186
(22)【出願日】2020-12-18
(65)【公開番号】P2022083370
(43)【公開日】2022-06-03
【審査請求日】2023-12-15
(31)【優先権主張番号】P 2020194060
(32)【優先日】2020-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】392031790
【氏名又は名称】株式会社小泉製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100114074
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 嘉一
(74)【代理人】
【識別番号】100222324
【弁理士】
【氏名又は名称】西野 千明
(72)【発明者】
【氏名】小泉 俊博
【審査官】葛谷 光平
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-128546(JP,A)
【文献】登録実用新案第3132463(JP,U)
【文献】特開2006-130305(JP,A)
【文献】実開昭56-108774(JP,U)
【文献】特開2012-11192(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持台と、前記支持台に立設した支持部と、前記支持部に回転可能に載置したりん部とを有し、
前記りん部は外側上部に回転操作するためのつまみ部を有し、
前記つまみ部は上部側に平面状の載置部を有することで前記りん部を支持部から外し逆さに裏返して前記平面状の載置部にて自立可能であることを特徴とする回転型おりん。
【請求項2】
前記りん部は下部側が開口した椀形状であり、前記支持部から外し、前記つまみ部を介して逆さに載置すると、上部側が開口した椀形状のおりんとして機能することを特徴とする請求項に記載の回転型おりん。
【請求項3】
前記りん部は前記支持部に対して揺動可能に載置されていることを特徴とする請求項に記載の回転型おりん。
【請求項4】
前記りん部の内側と前記支持部とのうち一方に凸部を形成し、他方に凹部を形成することで前記りん部が回転及び揺動可能になっていることを特徴とする請求項に記載の回転型おりん。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、りん棒等で打りんして使用する仏具の1つであるおりんに関し、特にりん部が回転可能になっている回転型おりんに係る。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、先に下側が開口したりん部を揺動可能に支持させたおりんを提案している(特許文献1)。
これはりん部を揺動可能に支持部材で支持させたことにより、りん棒等で打りんすると、りん部にゆらぎが生じ、優れた音色や余韻の長いおりんが得られている。
本発明者は、このりん部を回転させると振動音がいわゆるドップラー効果により、周囲に居る人には振動音にゆらぎが生じ、音色にさらなる特徴が付加されること及びりん部が回転すると、例えばデザインコマのように回転像が出現することに着目し本発明に至った。
【0003】
特許文献2には、りんの上部につまみとなる擬宝珠を設けたものを開示するが、共振箱を支持棒から取り外すためのつまみであって、同公報に開示するりん具はりんを回転させることができるものではなく、また、つまみ部でりんを逆さにして載置できるものでもない。
【0004】
特許文献3は、図5につまみを有する例を開示するものの、このつまみは単に鈴具を持ち運びやすくするためのものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第4907141号公報
【文献】特開2012-81193号公報
【文献】実用新案登録第3203314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ドップラー効果を応用した回転型おりんの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る回転型おりんは、支持台と、前記支持台に立設した支持部と、前記支持部に回転可能に載置したりん部とを有し、前記りん部は外側上部に回転操作するためのつまみ部を有することを特徴とする。
りん部を支持部に回転可能に載置するとは、りん部を回転させた状態で支持部に載置できることをいい、つまみ部を指等で摘まむことで、りん部を容易に回転できる。
前記つまみ部で前記りん部を回転させると回転像が出現してもよい。
つまみ部のデザインによっては、つまみ部がりん部の回転に装飾を加えるものとなり、振動音に生じるゆらぎを耳から楽しむだけでなく、回転するりん部(つまみ部を含む)に回転像が出現し、視覚的にも楽しむことができる。
なお、この回転像はいわゆるデザインコマのように残像により出現するものである。
【0008】
本発明において、前記つまみ部は上部側に載置部を有することで前記りん部を支持部から外し逆さに載置可能であってもよい。
つまみ部を把持し持ち上げると、りん部を支持部から外すことができる。
【0009】
本発明において、つまみ部の上部側に載置部を有するとは、つまみ部を下側にして、りん部を祭壇やテーブル等の平坦面に載置できることをいう。
従って、つまみ部の上部側に設けた載置部は平坦面に限定されるものではなく、この平坦面形状の他に、ドーナッツ状、三角形状及び多角形状等の枠形状や、3点以上の複数の突起や脚部で平坦面に支持させる平面構造等が例として挙げられる。
【0010】
本発明に係る回転型おりんは、りん部の形状や構造として、いろいろなものを採用することができる。
例えば、前記りん部は下部側が開口した椀形状であり、前記支持部から外し、前記つまみ部を介して逆さに載置すると、上部側が開口した椀形状のおりんとして機能を有するようにすることができる。
また、前記りん部は前記支持部に対して揺動可能に載置されているようにすることができる。
この場合に、前記りん部の内側と前記支持部とのうち一方に凸部を形成し、他方に凹部を形成することで前記りん部が回転及び揺動可能になっているのが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る回転型おりんは、りん部を支持部に支持させた状態でつまみ部を摘まみ、簡単に回転させることができるので、打りんした際の振動音にドップラー効果によるゆらぎが生じる。
また、つまみ部が異形状であると、回転により残像による回転像が出現し、視覚的にも楽しめる。
この場合に、りん部の表面に装飾模様を施してあってもよい。
さらに、つまみ部を指でつかみ、りん部を支持部から外して、そのままこのつまみ部を介して祭壇等に自立載置できれば、おりんとしても使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る回転型おりんの構造例を示す。(a)は外観図、(b)は断面図、(c)はりん部を逆さにして自立させた状態を示す。
図2】回転型おりんの支持部構造例を示す。(a)は支持部側に凹部を設けた例、(b)はりん部側に凹部を設けた例を示す。
図3】支持台が円盤状の例を示す。(a)は外観図、(b)はつまみ部で逆さに載置した状態を示す。
図4図3のタイプの断面構造例を示す。
図5】(a)~(e)に各種つまみ部の形状例を示す。
図6】(f)~(h)に各種つまみ部を有する回転型おりんの外観例と、(i)~(k)にその回転例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る回転型おりんの構造例を以下、図に基づいて説明する。
【0014】
図1は、第1の実施例を示す。
図1は(a)に示すように、外観が全体として略球形状にした例である。
断面図を図(b)に示す。
支持台11の上面側の中央部付近から柱状の支持部12を立設し、この支持部の上端部に開口部13aを下側に有する略逆さのお椀型のりん部13を載置してある。
この支持部12は、支持台11の上面に一体的に設けても、別部品をねじ部や溶接等にて立設してもよい。
りん部13の外側の上部の中央部には、つまみ部14を一体又は別部品として設けてある。
本実施例では、つまみ部14の上部側が平面状の載置部14aになっていて、図1(c)に示すように図1(a)の状態からつまみ部を摘まみ、逆さに裏返して平坦な載置面Gに自立載置できる。
このようにすると開口部13aが上部側に位置するお椀形状のりんとして使用できる。
本実施例は、図1(b)に断面図を示すように支柱状の支持部12の上端部に凸部12aを形成し、これにりん部13の内側の中央部に設けた凹部13bを載置するようにして支持させた例となっている。
これにより、図1(a)の状態では、つまみ部14を軽く摘まみ、廻すことでりん部13が矢印Wで示すように回転する。
また、りん棒等で軽く叩くと、りん部13が支持部12の凸部12aを支点にして図1(b)にfで示すように揺動する。
これにより、回転によるドップラー効果と揺動する動きが一体化した特有の音色が発現する。
【0015】
図2に他の実施例を示す。
図2(a)は実施例2として、支持部12の上端部に凹部12bを形成し、これに対応するようにりん部13の内側の中央部に凸部13cを形成した例である。
図2(b)は実施例3として、りん部13の内側に肉厚部13dを形成することで振動数が変化し、音色を調整した例である。
【0016】
図3図4は実施例4として、支持台11の形状を円盤形状にした例を示す。
図4(a)は、つまみ部14をりん部13とは別部品として、ねじ、溶接、嵌合等にて連結した例である。
図4(b),(c)は、つまみ部14をりん部13に一体的に設けた例となっている。
【0017】
図5は、つまみ部の各種形状例を示す。
本実施例においては、つまみ部はりん部13を回転させることができるとともに、りん部13を持ち上げて裏返し載置することで上部側が開口したお椀タイプのりんとして使用できるものであれば、つまみ部の構造に制限はない。
(a)は、小さな円柱状のつまみ部14Aで上面が平坦になっている例である。
(b)は、側部が凸面状のボタン型のつまみ部14Bとした例である。
(c)は、側面が円錐台状に傾斜したつまみ部14Cとした例である。
(d)は、摘まみやすいように外形を(a)~(c)よりも大きくするとともに、りん部13を安定して自立載置できるように円盤状にし、それよりも径の細い連結部14bを介してりん部13に連結した例である。
この場合に円盤状のつまみ部14Dの載置部は限らずしも平坦である必要はなく、3点以上の突起部で水平に支えるようにしてもよい。
(e)は、つまみ部14Eの載置部に凹部14cを形成することで、ドーナッツ状の枠形状からなる載置部にした例である。
【0018】
図6は、図5とは別の実施例であり、つまみ部の各種形状例として、特に回転するりん部13に装飾を加える特徴的な形状例を示す。
本実施例において、つまみ部14は回転した際にいろいろな回転像が出現するように、例えば上下方向や左右方向に非対称であることが好ましいが、つまみ部14の形状に特に限定はない。
また、指等で摘まみやすいように、つまみ部14はりん部13から外側に大きく突出していてもよく、つまみ部14が必ずしも載置部14aを有する必要はない。
(f)は、例えばうさぎや猫等の動物の耳に似たつまみ部14Fを2つ、りん部13の外側に設けた例である。
設けるつまみ部14Fの数や位置、形状等に限定はなく、例えばつまみ部14Fに模様が描かれていてもよい。
(g)は、連結部14bと載置部14aの間に2つの側面視で略楕円状の突出部14gを有するつまみ部14Gとした例である。
(h)は、連結部14bに連結する円盤連結部14dから、さらに突出する2つの略楕円状の突出部14hを有するつまみ部14Hとした例である。
上記(f)~(h)の回転型おりんは、つまみ部14を軽く摘まみ、廻すことで、(i)~(k)に示すようにりん部13、つまみ部14が矢印Wで示すように回転する。
このように回転することで、ゆっくりした回転の場合には、つまみ部14に回転による動きが生じ、比較的回転が速いと残像による回転像が生じる。
例えば、回転前の(f)では、つまみ部14Fがまるでりん部13から生えた翼や耳のようであるが、回転状態の(i)ではつまみ部14Fが回転することで、りん部13の上部で径の小さなリングが回転しているようにも見える。
【0019】
本発明において、支持台及び支持部の材質に制限がなく、りん部を載置し保持できればよい。
これに対してりん部は、おりんとしての音色や余韻の長さから金属製であるのが好ましい。
【符号の説明】
【0020】
11 支持台
12 支持部
12a 凸部
12b 凹部
13 りん部
13a 開口部
13b 凹部
13c 凸部
14 つまみ部
14a 載置部
G 載置面
図1
図2
図3
図4
図5
図6