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特許7539703検査装置、検査制御装置、及び、検査システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-16
(45)【発行日】2024-08-26
(54)【発明の名称】検査装置、検査制御装置、及び、検査システム
(51)【国際特許分類】
   G01V 13/00 20060101AFI20240819BHJP
   G01V 3/00 20060101ALI20240819BHJP
   G01V 8/10 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
G01V13/00
G01V3/00 A
G01V8/10 T
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021051299
(22)【出願日】2021-03-25
(65)【公開番号】P2022149240
(43)【公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000140096
【氏名又は名称】株式会社ハシマ
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 健治
【審査官】佐野 浩樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-057170(JP,A)
【文献】特開2009-204312(JP,A)
【文献】特開2001-074700(JP,A)
【文献】特開2007-047086(JP,A)
【文献】実開昭54-141684(JP,U)
【文献】特開2006-113043(JP,A)
【文献】特開2012-189412(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N27/72-27/9093
G01V 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類等の対象物内に混入した金属類の被検出物を検出する検出センサーを備えた検針機において、前記検出センサーの動作確認を行うために利用される検査装置であって、
前記検針機の搬送ベルト上を搬送されるテストピースを受け止めるテストピース受部と、
前記テストピース受部を、前記搬送ベルトの搬送方向に交差する横方向へスライドさせるスライド部と、
前記テストピース受部が前記テストピースを受け止めたことを検知する検知部と、を備えたことを特徴とする検査装置。
【請求項2】
前記検知部は、赤外線センサーを備えることを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記テストピース受部は、凹状の収容部を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記検針機と、請求項1から3のいずれかに記載の検査装置に接続された検査制御装置であって、
前記検出センサーの動作確認を行うために、前記搬送ベルトを正転させて、前記テストピースを前記検出センサーの検出領域へ搬送するように、前記検針機の前記搬送ベルトを制御する工程と、
前記搬送ベルトを逆転させて、前記テストピースを前記テストピース受部に戻すように、前記検針機の前記搬送ベルトを制御する工程と、
前記検知部が、前記テストピース受部が前記テストピースを受け止めたことを検知した後、前記テストピースを前記横方向へ移動させるために、前記スライド部が前記テストピース受部を前記横方向へスライドさせるように、前記スライド部を制御する工程と、を繰り返し行うように構成されたことを特徴とする検査制御装置。
【請求項5】
検査システムであって、
請求項4に記載の検査制御装置から、前記検出センサーの動作確認に関する情報を受信する情報管理装置を備え、
前記情報管理装置は、受信した前記情報を記録装置に記録することを特徴とする検査システム。
【請求項6】
前記情報管理装置は、前記記録装置に記録された前記情報に基づいて、前記検針機に関する報告書を作成し、当該報告書を、ユーザが利用する電子機器に送信することを特徴とする請求項5に記載の検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、例えば縫製品、インテリア製品、食料品、玩具等の製造工程中において混入した縫い針等の金属類を検出する検出センサーを備えた検針機において、検出センサーの動作確認を行うために利用される、検査装置、検査制御装置、及び、検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1に示すような様々な検針機が開発されているが、どのような検針機であっても、稼働前や定期的に、検出センサーが正常に動作するか確認する必要がある。この動作確認作業では、金属製(主に、鉄が採用される)の球体状のテストピース等を、検針機の搬送ベルトにより、検出センサーを備えた検出ヘッドに向けて搬送して、検出センサーの検出値を測定し、検出センサーが正常に動作するかの確認を行っている。
【0003】
また、検出センサーの検出領域は、搬送ベルトの横方向へ広がっているため、検出領域全体において、検出センサーが正常に動作することを確認する必要がある。そこで、テストピースの位置を横方向へ少しずつずらし、再び検針機の搬送ベルトにより、検出センサーを備えた検出ヘッドに向けてテストピースを搬送して、検出センサーの動作確認を繰り返していた。ただ、テストピースの位置を横方向へ少しずつずらして、検出センサーの動作確認を繰り返すことは、利用者が手動で行っているため、利用者の負担となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-189412
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本願発明は、上記問題に鑑み、テストピースを用いた、検出センサーの動作確認を自動で繰り返すことができる検査装置、検査制御装置、及び、検査システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本願発明の検査装置は、衣類等の対象物内に混入した金属類の被検出物を検出する検出センサーを備えた検針機において、前記検出センサーの動作確認を行うために利用される、検査装置であって前記検針機の搬送ベルト上を搬送されるテストピースを受け止めるテストピース受部と、前記テストピース受部を、前記搬送ベルトの搬送方向に交差する横方向へスライドさせるスライド部と、前記テストピース受部が前記テストピースを受け止めたことを検知する検知部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
上記特徴によれば、ユーザがテストピースを手動で横方向へ動かす必要がなく、検出センサーの動作確認を自動で繰り返すことができる。
【0008】
さらに、本願発明の検査装置は、前記検知部は、赤外線センサーを備えることを特徴とする。
【0009】
上記特徴によれば、テストピースの重量に左右されず、確実にテストピースを検出できる。
【0010】
さらに、本願発明の検査装置は、前記テストピース受部は、凹状の収容部を備えることを特徴とする。
【0011】
上記特徴によれば、収容部にテストピースを収容して、テストピースを搬送ベルトの横方向に移動させやすい。
【0012】
さらに、本願発明の検査制御装置は、前記検針機と、記載の検査装置に接続された検査制御装置であって、前記検出センサーの動作確認を行うために、前記搬送ベルトを正転させて、前記テストピースを前記検出センサーの検出領域へ搬送するように、前記検針機の前記搬送ベルトを制御する工程と、前記搬送ベルトを逆転させて、前記テストピースを前記テストピース受部に戻すように、前記検針機の前記搬送ベルトを制御する工程と、前記検知部が、前記テストピース受部が前記テストピースを受け止めたことを検知した後、前記テストピースを前記横方向へ移動させるために、前記スライド部が前記テストピース受部を前記横方向へスライドさせるように、前記スライド部を制御する工程と、を繰り返し行うように構成されたことを特徴とする。
【0013】
上記特徴によれば、ユーザがテストピースを手動で横方向へ動かす必要がなく、検出センサーの動作確認を自動で繰り返すことができる。
【0014】
さらに、本願発明の検査システムは、前記検査制御装置から、前記検出センサーの動作確認に関する情報を受信する情報管理装置を備え、前記情報管理装置は、受信した前記情報を記録装置に記録することを特徴とする。
【0015】
上記特徴によれば、検出センサーの動作確認に関する情報を収集して一括管理し、当該情報を活用することができる。
【0016】
さらに、本願発明の検査システムは、前記情報管理装置は、前記記録装置に記録された前記情報に基づいて、前記検針機に関する報告書を作成し、当該報告書を、ユーザが利用する電子機器に送信することを特徴とする。
【0017】
上記特徴によれば、ユーザにとって非常に利便性が高い。
【発明の効果】
【0018】
本願発明の検査装置、検査制御装置、及び、検査システムによれば、テストピースを用いた、検出センサーの動作確認を自動で繰り返すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本願発明の検査装置の全体斜視図である。
図2】(a)は、検査装置の正面図、(b)は検査装置の平面図である。
図3】検査装置のカバーを取り外した状態の全体斜視図である。
図4】(a)は検査装置のカバーを取り外した状態の正面図、(b)は、当該状態の平面図、(c)はA―A断面図である。
図5】検針機の全体斜視図である。
図6】(a)は、本願発明の検査システムの概念図、(b)はB―B断面図である。
図7】検針機の検査装置周辺を拡大した平面図である。
図8】検針機の検査装置周辺を拡大した平面図である。
【符号の説明】
【0020】
100 検査装置
200 テストピース受部
300 スライド部
400 検知部
600 検針機
610 搬送ベルト
621 検出センサー
X 横方向
N 搬送方向
T テストピース

【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本願発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0022】
図1は、本願発明の検査装置100の全体斜視図、図2(a)は検査装置100の正面図、図2(b)は検査装置100の平面図である。また、図3は、検査装置100のカバー110を取り外した状態の全体斜視図、図4(a)は検査装置100のカバー110を取り外した状態の正面図、図4(b)は、当該状態の平面図、図4(c)はA―A断面図である。
【0023】
図1から図3に示すように、検査装置100は、長尺状の略直方体であり、後述する検針機の搬送ベルトを横方向に横断できる長さとなっている。そして、検査装置100の外側がカバー110で覆われており、内部のスライド部300が上面や背面に露出しないようになっている。また、カバー110内部に収容されているスライド部300は、図3及び図4に示すように、ボールねじの構成を備えており、検査装置100の長尺方向に延出するガイドレール310と、検査装置100の長尺方向に延出するねじ軸320と、ねじ軸320を回転駆動させる駆動源のモータ330を有する。ガイドレール310とねじ軸320は互いに平行になっており、ガイドレール310の両端に軸受321が固定されている。そして、両側の軸受321によって、ねじ軸320は回転可能に軸支されており、ねじ軸320の一端に連結されたモータ330が回転することで、ねじ軸320も回転することができる。また、ガイドレール310の両端には側方へ突出した載置部325が設けられている。
【0024】
また、テストピース受部200は、上下方向に延出する連結板210を備えており、連結板210の上端側は、ねじ軸320に螺合されたナット部340と連結固定され、連結板210の下端側は、係合部220によってガイドレール310に摺動可能に係合している。そのため、モータ330によってねじ軸320が回転すると、テストピース受部200は、ガイドレール310に案内されて、検査装置100の長尺方向、すなわち、横方向Xに沿って左右に自在に移動できるのである。なお、テストピース受部200を横方向Xにスライドさせるために、スライド部300はボールねじの構成を採用しているが、これに限定されず、スライド部300は、テストピース受部200を横方向Xにスライドさせることができるのであれば、任意の構成を採用することができる。
【0025】
また、テストピース受部200は、連結板210から正面側に突出するように、2枚の突出板230を備えており、連結板210と両側の突出板230とで囲まれて凹状に構成された収容部240を備える。この収容部240は、後述するテストピースを収容できる大きさとなっており、正面側からテストピースを受け入れることができるように、正面側が開口している。さらに、突出板230の正面側の先端231は、互いに離間するように外側に広がっており、正面側から収容部240内にテストピースを受け入れやすくなっている。
【0026】
なお、テストピース受部200の収容部240は、2枚の突出板230によって構成されているが、これに限定されず、収容部240はテストピースを受け入れることができるように窪んだ形状をしていれば、任意の構成とすることができる。また、テストピース受部200は、収容部240にテストピースを収容して、テストピースを搬送ベルトの横方向に移動させやすくしているが、これに限定されず、テストピース受部200は、テストピースを横方向に容易に移動させることが出来るのであれば、収容部240を備えてなくてもよい。例えば、テストピース受部200の連結板210の正面側に、接着テープ等を張り付け、テストピースを受け入れた際に、テストピースをテストピース受部200の連結板210に接着させる構成とすれば、テストピース受部200は、テストピースを横方向に容易に移動させることができる。
【0027】
また、ガイドレール310の両側には、検知部400が設けられている。この検知部400は赤外線センサー410を備えており、この赤外線センサー410は、互いの間に直線状の検知領域Yを備えている。また、図4(c)に示すように、検知部400の赤外線センサー410は、検知領域Yが突出板230に遮られないように、テストピース受部200の収容部240の上方(具体的には、テストピース受部200の突出板230の上方)に配置されている。そして、後述するように、赤外線センサー410の検知領域YにテストピースTが入り、検知領域Y内の赤外線を遮断することで、テストピースTがテストピース受部200の収容部240内に受け止められて収容されたことを検知するのである。また、検知部400の赤外線センサー410を、収容部240の上方であって、収容部240の正面側の開口241より後方へ配置することで、テストピースTがテストピース受部200の収容部240内に収容されたことを確実に検知できる。
【0028】
なお、検知部400の赤外線センサー410によって、テストピース受部200がテストピースTを受け止めたことを検知しているが、これに限定されず、テストピース受部200がテストピースTを受け止めたことを検知できるのであれば、検知部400はその他の構成であってもよい。例えば、タッチセンサから構成される検知部400を、テストピース受部200の連結板210に配置することで、テストピースTが検知部400に当接した際に、テストピース受部200がテストピースTを受け止めたことを検知する構成としてもよい。ただ、テストピースTは任意の構成であるが、テストピースTが、縫針等に見立てた小さな金属片をスポンジ等に載せた構成である場合は、テストピースTの重量が軽いため、タッチセンサでは、テストピースTが接触したことを検出するのが難しい。また、軽いテストピースTを確実に検出するために検出精度の高いタッチセンサを利用すると、コストが高くなることもある。そこで、検知部400を赤外線センサー410から構成することで、テストピースTの重量に左右されず、確実にテストピースTを検出可能にしたのである。なお、検知部400は赤外線センサー410を利用しているが、これに限定されず、赤外線センサー410と同様に、テストピースTが検知領域Yを遮ることで、テストピースTを検知可能な光学的な検出装置であれば、赤外線センサー410の他にも既存の検出装置を利用できる。
【0029】
次に図5に、検針機600を示す。なお、図5は、検針機600の全体斜視図である。図5に示すように、検針機600は従来から利用されている既製品であり、縫製品等を搬送する搬送ベルト610と、混入した縫い針等の金属類を検出する検出ヘッド620とを備え、搬送ベルト610と検出ヘッド620とを制御する制御装置630を備えている。搬送ベルト610は、前端611から後端612に向けて長尺状をしており、搬送ベルト610の両側には、搬送ベルト610から縫製品等の対象物が外へはみ出さないように、搬送ベルト610よりも上方へ立設する側壁615が設けられている。
【0030】
また、検出ヘッド620は門型形状であり、検出ヘッド620の内部には、複数の検出センサー621が搬送ベルト610の横幅方向に配置されている。そして、検出センサー621が、直流磁界を発生させており、この直流磁界に被検出物が通過することで、直流磁界は、乱されたり遮断されたりして変化する。この変化により誘起される誘起電圧(検出値)を測定することにより、検出センサー621は被検出物を検知することができる。また、この直流磁界は、被検出物を検出する領域であり、検出ヘッド620と搬送ベルト610との間の検出領域623となる。
【0031】
実際の検針機600の利用時には、搬送ベルト610の前端611側に衣類等の対象物を載置する。そして、制御装置630が、搬送ベルト610を正転させて、搬送ベルト610上の対象物を前端611から後端612へ向けて搬送する。搬送の途中で、対象物が検出ヘッド620の検出領域623を通過した際に、対象物内に縫い針等の金属類の被検出物が混入していれば、検出ヘッド620が被検出物を検出する。すると、制御装置630が、対象物内に縫い針等の金属類が混入している可能性を、検針機600のユーザに、警告音や警告表示等の手段で通知している。
【0032】
ところで、どのような検針機であっても、稼働前や定期的に、検出センサーが正常に動作するか確認する必要がある。当然ながら、この検針機600も例外ではなく、稼働前や定期的に、検出センサーが故障等しておらず、正常に動作するかの動作確認作業を行う。この動作確認作業では、テストピースTを利用して行っており、テストピースTは、略立方体形状をした設置台と、その設置台の上表面に配置された、金属製(主に、鉄が採用される)の球体等から構成されている。そして、テストピースTを検出ヘッド620に向けて、搬送ベルト610によって搬送して通過させ、検出センサー621の検出値を測定し、検出センサー621が正常に動作するかの確認を行っている。この確認作業を、搬送ベルト610の横方向へ広がる検出領域623全体において行うため、検針機600のユーザは、テストピースTの位置を横方向へ少しずらして、テストピースTを検出ヘッド620に向けて、搬送ベルト610によって再び搬送して通過させていた。そして従来は、この確認作業を、検針機600のユーザが手動で繰り返し行っていた。
【0033】
一方、本願発明では、この検出センサーの動作確認を自動で行うために、図6から図8に示すように、検査装置100、検査装置100を制御する検査制御装置700、及び検査装置100を用いて構築した検査システム900を利用している。なお、図6(a)は検査システム900の概念図、図6(b)はB―B断面図、図7及び図8は検針機600の検査装置100周辺を拡大した平面図である。
【0034】
図6に示すように、検査装置100は検針機600の前端611側に設置されている。具体的には、図6(b)に示すように、検査装置100のスライド部300の両側の載置部325が、搬送ベルト610の両側の側壁615の上端に載置されて、検査装置100は検針機600に取り付けられている。そして、図6(b)に示すように、検査装置100の載置部325によって、検査装置100のテストピース受部200及びスライド部300は、搬送ベルト610に接触せず、搬送ベルト610から少し上に離間して浮いた状態となっているので、検査装置100が搬送ベルト610の動作の邪魔になることはない。
【0035】
また、図6(a)に示すように、検査システム900では、検査装置100及び検針機600を制御して、検出センサーの動作確認を自動で行うための検査制御装置700が設けられている。この検査制御装置700は、検針機600とは別体であり、動作確認を行う際に外部から持ち込んで利用できるものである。具体的には、検査制御装置700は、検査装置100を制御するために、有線又は無線のLAN等の回線710によって検査装置100と接続されている。さらに、検査制御装置700は、検針機600の検出センサー621からの検出値を受信したり、搬送ベルト610の動作を制御するために、有線又は無線のLAN等の回線720によって検針機600の制御装置630と接続されている。
【0036】
また、検査制御装置700は、コンピューター等の操作用装置800に接続されており、ユーザは操作用装置800を操作して、検査制御装置700の検査の実行や各種設定を行い、画面810に表示された検査結果等を確認することができる。さらに、検査システム900は、検査装置100、検針機600、検査制御装置700、及び情報管理装置910を備えており、情報管理装置910は、操作用装置800又は検査制御装置700と、有線又は無線のWAN等の回線920によって接続されている。なお、情報管理装置910は、検針機600のユーザ側に配置された検査制御装置700や操作用装置800とは別の場所に配置されており、情報管理装置910は、検針機600のユーザに対して、検針機600に関する報告書や定期的なメンテナンス等を提供する企業側の管理下に配置されている。また、検査制御装置700は、検針機600とは別体に構成されているが、これに限定されず、検査制御装置700は検針機600に内蔵されていてもよい。さらに、操作用装置800は任意で設けるものであり、ユーザが検査制御装置700を操作できるのであれば、その他の携帯端末等の任意の装置を適宜利用できる。
【0037】
では次に、検査装置100によって、検出センサーの動作確認を自動で行う態様について説明する。
【0038】
まず、検査装置100のユーザは、操作用装置800を操作して、検査装置100によって検出センサーの動作確認を自動で行うための各種設定を行う。各種設定が完了し、検出センサーの動作確認を実行すると、検査制御装置700は、検査装置100のテストピース受部200が動作確認の開始場所に配置されるように、回線710を介して、検査装置100のスライド部300を制御する。具体的には、動作確認の開始場所とは、図7に示すように、搬送ベルト610の一方の側端616側である。そして、スライド部300の一方の端部(側端616側)には、タッチセンサが配置されており、スライド部300によって移動してきたテストピース受部200が、このタッチセンサに接触することで、テストピース受部200が検査の開始場所に配置されたことを検知する。また、スライド部300の他方の端部(側端617側)にも、タッチセンサが配置されており、スライド部300によって移動してきたテストピース受部200が、このタッチセンサに接触することで、テストピース受部200が検査の終了場所に到達したことを検知する。なお、テストピース受部200が、動作確認の開始場所又は終了場所に移動したことは、タッチセンサによって検知しているが、これに限定されず、任意の方法によって検知してもよい。
【0039】
次に、検査制御装置700は、検出センサー621の動作確認を行うために、搬送ベルト610を正転させて、テストピースTを検出センサー621の検出領域623へ搬送するように、搬送ベルト610を制御する工程を行う(以下、工程1と呼ぶ)。具体的には、検査制御装置700は、搬送ベルト610を検出ヘッド620へ向けて正転させるように、回線720を介して、制御装置630に指令を送信する。その指令に基づき、検針機600の制御装置630は、搬送ベルト610を正転させて、搬送ベルト610の上に置かれたテストピースTを検出ヘッド620の検出センサー621へ向けて搬送する。なお、テストピース受部200の収容部240は、テストピースTを両側から挟むように収容しているものの、収容部240下側は解放されており、テストピースTは搬送ベルト610の上に置かれた状態となっている。そのため、テストピース受部200の収容部240に収容されたテストピースTは、搬送ベルト610が正転すると、収容部240の開口241から前進してゆき、搬送ベルト610と共に検出ヘッド620の検出センサー621へ向けて搬送されるのである。
【0040】
そして、制御装置630は、搬送されてきたテストピースTが検出ヘッド620の検出センサー621を通過した際の検出値を、回線720を介して検査制御装置700に送信する。検査制御装置700は、受信した検出センサー621の検出値から、検出センサー621が正常に動作しているのかの動作確認を行う。検査制御装置700が、検出センサー621の動作に異常があると判断すると、操作用装置800の画面810に、検出センサー621が異常であることを表示させる。また、検査制御装置700が、検出センサー621の動作に異常がないと判断すると、操作用装置800の画面810に、検出センサー621が正常であることを表示させる。
【0041】
次に、検査制御装置700は、搬送ベルト610を逆転させて、テストピースTをテストピース受部200に戻すように搬送ベルト610を制御する工程を行う(以下、工程2と呼ぶ)。具体的には、検査制御装置700は、搬送ベルト610を前端611へ向けて(つまり、検出ヘッド620とは反対側へ向けて)逆転させるように、回線720を介して制御装置630に指令を送信する。その指令に基づき、検針機600の制御装置630は、搬送ベルト610を逆転させて、搬送ベルト610の上に置かれたテストピースTを検査装置100のテストピース受部200へ向けて搬送する。
【0042】
なお、搬送ベルト610は、直線状の搬送方向Nに沿って、正転又は逆転するので、テストピースTは搬送ベルト610の搬送方向Nに沿って前後に直線状に移動する。そのため、搬送ベルト610を逆転させれば、図8に示すように、検出センサー621を通過したテストピースTは、再び、元の場所の検査装置100のテストピース受部200へ戻るのである。
【0043】
そして、テストピースTがテストピース受部200に到達すると、検査装置100の検知部400がテストピースTを検知し、回線710を介して、テストピース受部200がテストピースTを受け止めたことを検査制御装置700に伝達する。すると、検査制御装置700は、搬送ベルト610の逆転を停止させるように、回線720を介して制御装置630に指令を送信し、制御装置630は、搬送ベルト610の逆転を停止させる。
【0044】
次に、検査制御装置700は、テストピースTを搬送ベルト610の横方向へ移動させるために、スライド部300がテストピース受部200を横方向へスライドさせるように、スライド部300を制御する工程を行う(以下、工程3と呼ぶ)。具体的には、検査制御装置700は、テストピース受部200を搬送ベルト610の横方向Xへ少しスライドさせるように、回線710を介して検査装置100のスライド部300に指令を送る。すると、図8に示すように、検査装置100のスライド部300は、テストピース受部200を横方向Xへスライドさせるので、テストピース受部200と共に、テストピースTが横方向X(他方の側端617へ向けて)へ少し移動するのである。なお、図8では、移動後のテストピースTを仮想線で示している。また、テストピースTはテストピース受部200の収容部240内に収容されているので、テストピース受部200と共に横方向へ確実に移動できるのである。また、搬送ベルト610の横方向Xとは、搬送ベルト610の搬送方向Nに交差する方向において、搬送ベルト610の一方の側端616から他方の側端617へ向かう方向である。
【0045】
そして、検査制御装置700は、工程3によってテストピースTが横方向Xへ少し移動した後、再度、工程1から工程3を順次繰り返して、テストピースTを横方向Xへ少しずつ移動させながら、検出センサーの動作確認を繰り返し行う。具体的には、工程1から工程3の繰り返しは、テストピース受部200がスライド部300の他方の端部(側端617側)まで移動して、テストピース受部200が検査の終了場所に到達したことを、タッチセンサが検知するまで行われる。すると、検出センサーの動作確認が、テストピースTを横方向Xへ少しずつ移動させながら繰り返し行われ(例えば、検出センサーの1回の動作確認でテストピースTを10ミリメートル[mm]動かして、その検出センサーの動作確認を数十回から数百回程度繰り返す)、その結果、検出センサーの動作確認が、搬送ベルト610の横方向へ広がる検出領域623全体において行われることになる。
【0046】
このように、本願発明によれば、ユーザがテストピースTを手動で横方向Xへ動かす必要がなく、検出センサーの動作確認を自動で繰り返すことができるのである。
【0047】
また、検査制御装置700によって検出センサーの動作確認を繰り返し行った際、その動作確認に関する情報(検出センサーの検出値や、検出センサーの異常の有無など)は、回線920を介して情報管理装置910に送られる。情報管理装置910は、回線920を介して受信した情報を、記録装置911(メモリ)に記録しておく。そのため、情報管理装置910は、検出センサーの動作確認に関する情報を収集して一括管理し、当該情報を活用することができる。
【0048】
さらに、情報管理装置910は、記録装置911に記録された動作確認に関する情報に基づいて、検針機600に関する報告書912を作成する。この報告書912は、検出センサー621の異常の解析結果、検出センサー621の異常の原因、検出センサー621の異常を改善する対策、検出センサー621の異常が起きないように今後のメンテナンスの案内など、検出センサー621の動作確認に関する情報から作成される内容であれば、適宜、任意の内容を含むことができる。そして、情報管理装置910は、検針機600のユーザ(検針機600を販売や保守等を行う仲介業者も含む)が利用する電子機器(コンピュータや携帯端末など)に、回線920を介して、報告書912を送信して提供する。そのため、ユーザにとって非常に利便性が高いのである。
【0049】
また、情報管理装置910を管理する企業側は、報告書912の提供を受ける検針機600のユーザ(検針機600を販売や保守等を行う仲介業者も含む)から、報告書912を提供したことに対する対価を得ることもできる。なお、また、情報管理装置910は、動作確認に関する情報(検出センサーの検出値や、異常の有無など)を用いて、検針機600に関する報告書912を作成する処理を実行可能なCPU(演算装置)と、本処理を実行するためのプログラムを記録したメモリ(記憶装置)を備えている。
【0050】
なお、本願発明の検査装置、検査制御装置、及び、検査システムは、上記の実施例に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲、実施形態の範囲で、種々の変形例、組み合わせが可能であり、これらの変形例、組み合わせもその権利範囲に含むものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8