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特許7539709サイクロセリン化合物の塩およびそれらの用途
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-16
(45)【発行日】2024-08-26
(54)【発明の名称】サイクロセリン化合物の塩およびそれらの用途
(51)【国際特許分類】
   C07D 261/04 20060101AFI20240819BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20240819BHJP
   A61K 31/42 20060101ALI20240819BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240819BHJP
   A61P 7/12 20060101ALI20240819BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240819BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20240819BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20240819BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20240819BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20240819BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20240819BHJP
   A61P 25/22 20060101ALI20240819BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20240819BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20240819BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20240819BHJP
   A61P 31/06 20060101ALI20240819BHJP
   C07C 55/10 20060101ALI20240819BHJP
   C07C 57/145 20060101ALI20240819BHJP
   C07C 59/255 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
C07D261/04 CSP
A23L33/10
A61K31/42
A61K45/00
A61P7/12
A61P25/00
A61P25/04
A61P25/08
A61P25/14
A61P25/16
A61P25/18
A61P25/22
A61P25/24
A61P25/28
A61P31/04
A61P31/06
C07C55/10
C07C57/145
C07C59/255
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2021513786
(86)(22)【出願日】2019-09-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-04
(86)【国際出願番号】 CN2019105564
(87)【国際公開番号】W WO2020052620
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2022-09-12
(31)【優先権主張番号】16/130,836
(32)【優先日】2018-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518343246
【氏名又は名称】シニュークス インターナショナル(タイワン)コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100134784
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和美
(72)【発明者】
【氏名】クオチョアン エミル ツァイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン チン-チョン
(72)【発明者】
【氏名】シー ツァイ-ミャオ
【審査官】藤代 亮
(56)【参考文献】
【文献】チェコ国特許発明第00219409(CZ,B6)
【文献】チェコ国特許発明第00119472(CZ,B6)
【文献】米国特許第02840565(US,A)
【文献】Heterocycles,2012年,86(2),1575-1582
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 261/04
A23L 33/10
A61K 31/42
A61K 45/00
A61P 7/12
A61P 25/00
A61P 25/04
A61P 25/08
A61P 25/14
A61P 25/16
A61P 25/18
A61P 25/22
A61P 25/24
A61P 25/28
A61P 31/04
A61P 31/06
C07C 55/10
C07C 57/145
C07C 59/255
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式[A][B]の塩であって、
式中、[A]が、
【化1】
を有するサイクロセリンのカチオン形態であり、
[B]が、式(I)の化合物のアニオン形態であり、
【化2】
式中、
Xが、-OHであり、
およびLの各々が、独立して、C1~6アルキレンまたは2~6アルケニレンであり、C 1~6 アルキレンまたはC 2~6 アルケニレンは、-OHで置換されてもよく
【化3】
が、単結合または二重結合のいずれかであり、
前記塩中の[A]と[B]との比が、:1~1:の範囲である、塩(但し、[B]が酒石酸である時、前記塩中の[A]と[B]との比は、1:1でない)
【請求項2】
前記式(I)の化合物が、式
【化4】
の化合物であり、式中、
AおよびBの各インスタンスが、独立して、-OH、または-Hであり、

【化5】
が、-C-C-または-C=C-である、請求項に記載の塩。
【請求項3】
前記式(Ia)の化合物が、式
【化6】
の化合物であり、AおよびBの各インスタンスが、独立して、-OHまたは-Hである、請求項に記載の塩。
【請求項4】
前記式(Ib)の化合物が、
【化7】
からなる群から選択され、[A]と[B]との間の比が、:1~1:1の範囲である、請求項に記載の塩(但し、[B]が酒石酸である時、前記塩中の[A]と[B]との比は、1:1でない)
【請求項5】
前記式(Ib)の化合物が、
【化8】
であり、前記[A]と[B]との間の比が、2:1である、請求項に記載の塩。
【請求項6】
前記式(Ia)の化合物が、式(Ic)の化合物であり、
【化9】
式中、AおよびBが、独立して、-OHまたは-Hである、請求項に記載の塩。
【請求項7】
前記式(Ic)の化合物が、
【化10】
からなる群から選択される、請求項に記載の塩。
【請求項8】
前記式(Ic)の化合物が、
【化11】
であり、[A]と[B]との間の比が、1:1である、請求項に記載の塩。
【請求項9】
請求項1~のいずれか一項に記載の塩、および担体を含む、組成物。
【請求項10】
前記塩および担体から本質的になる、請求項に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物が、医薬組成物、栄養補助食品組成物、健康食品、または医療食品である、請求項または請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
請求項1~8のいずれか一項に記載の塩を含む、神経精神障害または細菌感染症を治療するための医薬組成物であって、神経精神障害または細菌感染症の治療を必要とする対象に投与される、医薬組成物
【請求項13】
前記神経精神障害が、統合失調症、精神病性障害、アルツハイマー病、前頭側頭型認知症、血管性認知症、レヴィー小体型認知症、老年性認知症、軽度認知障害、良性健忘症、閉鎖性頭部損傷、自閉症スペクトラム障害、アスペルガー障害、脆弱性X症候群、注意欠陥多動性障害、注意欠陥障害、強迫性障害、チック障害、小児期学習障害、月経前症候群、うつ病、大うつ病性障害、無快感症、自殺念慮および/または行動、双極性障害、不安障害、パニック障害、外傷後ストレス障害、慢性軽度および予測不可能なストレス、摂食障害、嗜癖障害、人格障害、パーキンソン障害、ハンチントン障害、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、運動失調、フリードライヒ運動失調、トゥレット症候群、夜尿症、非てんかん発作、眼瞼けいれん、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、脳卒中、慢性疼痛、神経因性疼痛、痛覚過敏、異痛症、糖尿病性多発神経障害、ならびに慢性疼痛症候群からなる群から選択される、請求項12に記載の医薬組成物
【請求項14】
前記神経精神障害が、運動失調症状、脊髄小脳変性症、自閉症、特定不能の広汎性発達障害(PDD-NOS)、神経性食欲不振症、恐怖症、広場恐怖症、および閉所恐怖症からなる群から選択される、請求項12に記載の医薬組成物
【請求項15】
前記細菌感染症が、結核である、請求項12に記載の医薬組成物
【請求項16】
日4回~3ヶ月に1回の頻度でヒトに投与される、請求項1215のいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項17】
経精神障害を治療するための1つ以上の追加の医薬品と併用される、請求項1214および16のいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項18】
前記1つ以上の追加の医薬品が、抗精神病薬、抗うつ薬、気分安定薬、抗不安薬、精神刺激薬、または認知障害もしくは認知症を治療するための薬剤からなる群から選択される、請求項17に記載の医薬組成物
【請求項19】
(a)前記抗精神病薬が、ブチロフェノン、フェノチアジン、フルフェナジン、ペルフェナジン、プロクロルペラジン、チオリダジン、トリフルオペラジン、メソリダジン、プロマジン、トリフルプロマジン、レボメプロマジン、プロメタジン、チオキサンテン、チオチキセン、ズクロペンチキソール、クロザピン、オランザピン、リスペリドン、クエチアピン、ジプラシドン、アミスルプリド、アセナピン、パリペリドン、アリピプラゾール、ドーパミン部分アゴニスト、ラモトリジン、カンナビジオール、LY2140023、ドロペリドール、ピモジド、ブタペラジン、カルフェナジン、レモキシプリド、ピペラセタジン、スルピリド、アカンプロセート、またはテトラベナジンであり、
(b)前記抗うつ薬または気分安定薬が、モノアミンオキシダーゼ阻害薬(MAOI)、三環式抗うつ薬(TCA)、四環式抗うつ薬(TeCA)、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、ノルアドレナリン作動性および特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NASSA)、ノルエピネフリン(ノルアドレナリン)再取り込み阻害薬、ノルエピネフリン-ドーパミン再取り込み阻害薬、セロトニン-ノルエピネフリン-ドーパミン再取り込み阻害薬(SNDRI)、またはセロトニン-ノルエピネフリン再取り込み阻害薬(SNRI)であり、
(c)前記抗不安薬が、ヒドロキシジン塩酸塩、ジフェンヒドラミン、アザスピロン、ベンゾジアゼピン、またはβ遮断薬であり、
(d)前記精神刺激薬が、アンフェタミン、モダフィニル、デソキシン、メタンフェタミン、コカイン、アレコリン、デクスメチルフェニデート、デキストロアンフェタミン、メチルフェニデート、リスデキサンフェタミンジメシレート、アトモキセチンクロニジン塩酸塩、グアンファシン塩酸塩、アレコリン、もしくはペモリンを含む、ADDおよび/またはADHDの治療のための薬剤であり、
(e)前記認知障害または認知症を治療するための薬剤が、タクリン、リバスチグミン、ドネペジル、フィゾスチグミン、ニコチン、アレコリン、フペルジンα、セレギリン、リルゾール、メマンチン、ビタミンC、ビタミンE、カロテノイド、またはGinkgo bilobaである、請求項18に記載の医薬組成物
【請求項20】
前記1つ以上の追加の医薬品が、5-ヒドロキシトリプトファン(5-HTP)、イデベノン、アマンタジン、フィゾスチグミン、L-カルニチンまたは誘導体、トリメトプリム/スルファメトキサゾール、ビガバトリン、ホスファチジルコリン、アセタゾラミド、4-アミノピリジン、ブスピロン、Q10、ビタミンE、およびN-アセチル-ロイシンからなる群から選択される、請求項17に記載の医薬組成物
【請求項21】
核を治療する、および/またはそのリスクを低減するための1つ以上の追加の医薬品をさらに含む、請求項12または15に記載の医薬組成物
【請求項22】
前記追加の医薬品が、イソニアジド、リファンピン、エタンブトール、ピラジンアミド、リファブチン、リファペンチン、カプレオマイシン、カナマイシン、アミカシン、ストレプトマイシン、フルオロキノロン抗生物質、プロチオナミド、パラアミノサリチル酸、エチオナミド、テリザドン、クロファジミン、クラリスロマイシン、リネゾリド、アモキシシリン-クラブラン酸塩、チアセタゾン、ベダキリン、デラマニド、またはカルバペンメム抗生物質である、請求項21に記載の医薬組成物
【請求項23】
前記抗うつ薬または気分安定剤が、フルオキセチン、パロキセチン、エスシタロプラム、シタロプラム、セルトラリン、フルボキサミン、ベンラファキシン、ミルナシプラン、デュロキセチン、ミルタザピン、ミアンセリン、レボキセチン、ブプロピオン、アミトリプチリン、ノルトリプチリン、プロトリプチリン、デシプラミン、トリミプラミン、アモキサピン、ブプロピオン、クロミプラミン、デシプラミン、ドキセピン、イソカルボキサジド、トラニルシプロミン、トラゾドン、ネファゾドン、フェネルジン、ラマトロジン、リチウム、トピラメート、ガバペンチン、カルバマゼピン、オキシカルバゼピン、バルプロエート、マプロチリン、ブロファロミン、ゲピロン、モクロベミド、イソニアジド、またはイプロニアジドである、請求項18に記載の医薬組成物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年9月13日に出願された「Salts of Cycloserine Compounds and Applications Thereof」と題する米国特許出願第16/130,836号の利益を主張し、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
D-サイクロセリン(すなわち、4-アミノ-3-イソキサゾリジノン)は、Streptomyces orchidaceusおよびStreptomyces garyphalusの天然産物であり、細菌の細胞壁の1つの成分であるD-アラニンの競合的アンタゴニストとして作用する。D-サイクロセリンは、アラニンラセマーゼおよびアラニンシンテターゼを阻害し、不完全な細胞壁成分の蓄積は、細菌の細胞壁に損傷を与える。1950年代後半から抗生物質として知られており、セロマイシン(登録商標)というブランド名で販売されている。それは、多剤耐性結核(MDR-TB)の治療のための二次治療薬として世界保健機関の必須医薬品リストに分類された。
【0003】
さらに、D-サイクロセリンは、中枢神経系(CNS)に浸透する可能性があり、ヒトにおけるN-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体のグリシン結合部位を標的とする独自の可能性を有する。選択的な部分的NMDAアゴニストとして、D-サイクロセリンが学習過程の神経メカニズムである長期増強(LTP)に影響を与えることが後にスライス標本で証明された。興味深いことに、それは、低用量ではNMDA受容体で正のモジュレーターとして作用するが、高用量では負のモジュレーターとして作用する。したがって、D-サイクロセリンの使用は、投与が不適切な場合の頭痛、眠気、うつ病、めまい、空間識失調、錯乱、知覚異常、構音障害、過敏性、精神病、けいれん、および震え(振戦)を含む副作用のために制限されている。一方、D-サイクロセリンの過剰投与は、不全麻痺、発作、および昏睡を引き起こす可能性があり、さらに、アルコール摂取は、発作のリスクも同様に高める可能性がある。
【0004】
LTPは認知機能にとって重要であるため、D-サイクロセリンは、アルツハイマー病、統合失調症、うつ病、強迫性障害、自閉症、心的外傷後ストレス障害、および不安障害などの神経学的および精神医学的状態に対する治療の可能性を評価するために、適切な投与量で神経精神医学研究に導入された。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、少なくとも部分的に、本明細書に開示されるようなサイクロセリン化合物の塩が、改善された品質、例えば、予想外に高い安定性および著しく低下した吸湿性を有するという発見に基づく。
【0006】
一態様では、本開示は、式[A][B]の塩を提供する。[A]は、サイクロセリン化合物のカチオン形態であり、[B]は、式(I)の化合物のアニオン形態であり、
【0007】
【化1】
【0008】
式中、
Xは、-NHまたは-OHであり、
およびLの各々は、独立して、C1~6アルキレン、C2~6アルケニレン、もしくはC2~6アルキニレンであるか、または原子価が許すように、LおよびLの一方が、N、O、もしくはSであり、他方が、C1~6アルキレン、C2~6アルケニレン、もしくはC2~6アルキニレンであり、
【0009】
【化2】
【0010】
は、単結合または二重結合のいずれかであり、
塩中の[A]と[B]との間の比が、10:1~1:10の範囲である。
【0011】
別の態様では、本開示は、本明細書に記載される式[A][B]の塩、および担体を含む組成物を提供する。組成物は、薬学的組成物、栄養補助食品組成物、健康食品、または医療食品であり得る。
【0012】
さらに別の態様では、本開示は、神経精神障害または細菌感染症を治療するための方法を提供し、この方法は、治療を必要とする対象に、有効量の本明細書に開示される式[A][B]の塩を投与することを含む。いくつかの実施形態において、対象は、神経精神障害または細菌感染症(例えば、結核)を有するか、またはそのリスクがあると疑われる。例示的な神経精神障害としては、統合失調症、精神病性障害、アルツハイマー病、前頭側頭型認知症、血管性認知症、レヴィー小体型認知症、老年性認知症、軽度認知障害、良性健忘症、運動失調症状、脊髄小脳変性症、閉鎖性頭部損傷、自閉症スペクトラム障害、自閉症、アスペルガー障害、特定不能の広汎性発達障害(PDD-NOS)、脆弱性X症候群、注意欠陥多動性障害、注意欠陥障害、強迫性障害、チック障害、小児期学習障害、月経前症候群、うつ病、大うつ病性障害、無快感症、自殺念慮および/または行動、双極性障害、不安障害、パニック障害、神経性食欲不振症、恐怖症、広場恐怖症、閉所恐怖症、心的外傷後ストレス障害、慢性軽度および予測不可能なストレス、摂食障害、嗜癖障害、人格障害、パーキンソン障害、ハンチントン障害、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、運動失調、フリードライヒ運動失調、トゥレット症候群、夜尿症、非てんかん発作、眼瞼けいれん、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、脳卒中、慢性疼痛、痛覚過敏および異痛症を含む神経因性疼痛、糖尿病性多発神経障害、ならびに慢性疼痛症候群が挙げられるが、これらに限定されない。
【0013】
本明細書に開示されるものなどの神経精神障害または細菌感染症の治療に使用するための本明細書に開示される式[A][B]の塩のいずれかを含む薬学的組成物、および本明細書に開示されるような標的疾患の治療に使用するための薬剤を製造するための式[A][B]の塩の使用もまた、本明細書で提供される。
【0014】
本開示の1つ以上の実施形態の詳細は、本明細書に記載されている。本開示の他の特徴、目的、および利点は、詳細な説明、実施例、および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0015】
定義
特定の官能基および化学用語の定義については、以下でより詳しく説明する。化学元素は、元素周期表、CAS版、Handbook ofChemistry and Physics、第75版、表紙裏に従って識別され、特定の官能基は一般にそこに記載の通りに定義される。さらに、有機化学の一般原則、ならびに特定の官能部分および反応性は、Thomas Sorrell,Organic Chemistry,University Science Books,Sausalito,1999、Smith and March,March’s Advanced Organic Chemistry,5th,John Wiley&Sons,Inc.,New York,2001、Larock,Comprehensive Organic Transformations,VCHPublishers,Inc.,New York,1989、およびCarruthers,Some Modern Methods of Organic Synthesis,3rd Edition,Cambridge University Press,Cambridge,1987に記載されている。本開示は、本明細書に記載される置換基の例示列挙によって、いかなる方法でも限定されることを意図するものではない。
【0016】
本明細書に記載される化合物は、1つ以上の不斉中心を含むことができ、したがって、様々な異性体型、例えば、エナンチオマーおよび/またはジアステレオマーで存在することができる。例えば、本明細書に記載される化合物は、個々のエナンチオマー、ジアステレオマーまたは幾何異性体の形態であり得る、またはラセミ混合物および1つ以上の立体異性体に富む混合物を含む立体異性体の混合物の形態であり得る。異性体は、キラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)ならびにキラル塩の形成および結晶化を含む、当業者に知られる方法によって混合物から単離することができ、または好ましい異性体は、不斉合成によって調製することができる。例えば、Jacques et al.,Enantiomers,Racemates and Resolutions(Wiley Interscience,New York,1981)、Wilen et al.,Tetrahedron 33:2725(1977)、Eliel,Stereochemistry of Carbon Compounds(McGraw-Hill,NY,1962)、およびWilen,Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions p.268(E.L.Eliel,Ed.,Univ.of Notre Dame Press,Notre Dame,IN1972)を参照のこと。本開示はさらに、他の異性体を実質的に含まない個々の異性体として、あるいは、様々な異性体の混合物として、本明細書に記載の化合物を包含する。
【0017】
値の範囲が列挙される場合、それは範囲内の各値および部分範囲を包含することを意図している。例えば、「C1~6」は、C、C、C、C、C、C、C1~6、C1~5、C1~4、C1~3、C1~2、C2~6、C2~5、C2~4、C2~3、C3~6、C3~5、C3~4、C4~6、C4~5、およびC5~6を包含することを意図する。
【0018】
「脂肪族」という用語は、飽和および不飽和の両方の直鎖(すなわち、非分岐)、分岐、非環式、環式、または多環式の脂肪族炭化水素を含み、これらは、任意で1つ以上の官能基で置換されている。当業者によって理解されるように、「脂肪族」は、本明細書において、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、およびシクロアルキニル部分を含むことを意図するが、これらに限定されない。したがって、「アルキル」という用語は、直鎖、分岐および環式のアルキル基を含む。同様の規則が、「アルケニル」、「アルキニル」などの他の一般的な用語に適用される。さらに、「アルキル」、「アルケニル」、「アルキニル」などの用語は、置換基と非置換基の両方を包含する。特定の実施形態において、「低級アルキル」は、1~6個の炭素原子を有するそれらのアルキル基(環式、非環式、置換、非置換、分岐または非分岐)を示すために使用される。
【0019】
特定の実施形態において、本開示で用いられるアルキル、アルケニル、およびアルキニル基は、1~20個の脂肪族炭素原子を含む。特定の他の実施形態では、本開示で用いられるアルキル、アルケニル、およびアルキニル基は、1~10個の脂肪族炭素原子を含む。さらに他の実施形態では、本開示で用いられるアルキル、アルケニル、およびアルキニル基は、1~8個の脂肪族炭素原子を含む。さらに他の実施形態では、本開示で用いられるアルキル、アルケニル、およびアルキニル基は、1~6個の脂肪族炭素原子を含む。さらに他の実施形態では、本開示で用いられるアルキル、アルケニル、およびアルキニル基は、1~4個の炭素原子を含む。したがって、例示的な脂肪族基には、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、-CH2-シクロプロピル、ビニル、アリル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、シクロブチル、-CH-シクロブチル、n-ペンチル、sec-ペンチル、イソペンチル、tert-ペンチル、シクロペンチル、-CH-シクロペンチル、n-ヘキシル、sec-ヘキシル、シクロヘキシル、-CH-シクロヘキシル部分などが含まれるが、これらに限定されず、さらに、1つ以上の置換基を有してもよい。アルケニル基には、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、1-メチル-2-ブテン-1-イルなどが含まれるが、これらに限定されない。代表的なアルキニル基には、エチニル、2-プロピニル(プロパルギル)、1-プロピニルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0020】
「アルキル」という用語は、1~10個の炭素原子を有する直鎖または分岐の飽和炭化水素基のラジカル(「C1~10アルキル」)を指す。いくつかの実施形態において、アルキル基は、1~9個の炭素原子を有する(「C1~9アルキル」)。いくつかの実施形態において、アルキル基は、1~8個の炭素原子を有する(「C1~8アルキル」)。いくつかの実施形態において、アルキル基は、1~7個の炭素原子を有する(「C1~7アルキル」)。いくつかの実施形態において、アルキル基は、1~6個の炭素原子を有する(「C1~6アルキル」)。いくつかの実施形態において、アルキル基は、1~5個の炭素原子を有する(「C1~5アルキル」)。いくつかの実施形態において、アルキル基は、1~4個の炭素原子を有する(「C1~4アルキル」)。いくつかの実施形態において、アルキル基は、1~3個の炭素原子を有する(「C1~3アルキル」)。いくつかの実施形態において、アルキル基は、1~2個の炭素原子を有する(「C1~2アルキル」)。いくつかの実施形態において、アルキル基は、1個の炭素原子(「Cアルキル」)を有する。いくつかの実施形態において、アルキル基は、2~6個の炭素原子を有する(「C2~6アルキル」)。C1~6アルキル基の例には、メチル(C)、エチル(C)、プロピル(C)(例えば、n-プロピル、イソプロピル)、ブチル(C)(例えば、n-ブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、イソブチル)、ペンチル(C)(例、n-ペンチル、3-ペンタニル、アミル、ネオペンチル、3-メチル-2-ブタニル、第三級アミル)、およびヘキシル(C)(例:n-ヘキシル)が含まれる。アルキル基の追加例には、n-ヘプチル(C)、n-オクチル(C)などが含まれる。特に明記しない限り、アルキル基の各インスタンスは、独立して、非置換(「非置換アルキル」)であるか、または1つ以上の置換基(例えば、Fなどのハロゲン)で置換される(「置換アルキル」)。特定の実施形態において、アルキル基は、非置換のC1~10アルキル(例えば、非置換のC1~6アルキル、例えば、-CH)である。特定の実施形態において、アルキル基は、置換のC1~10アルキル(例えば、置換のC1~6アルキル、例えば、-CF)である。
【0021】
「アルケニル」は、2~20個の炭素原子、1つ以上の炭素-炭素二重結合を有し、三重結合を有さない直鎖または分岐の炭化水素基のラジカルを指す(「C2~20アルケニル」)。いくつかの実施形態において、アルケニル基は、2~10個の炭素原子を有する(「C2~10アルケニル」)。いくつかの実施形態において、アルケニル基は、2~9個の炭素原子を有する(「C2~9アルケニル」)。いくつかの実施形態において、アルケニル基は、2~8個の炭素原子を有する(「C2~8アルケニル」)。いくつかの実施形態において、アルケニル基は、2~7個の炭素原子を有する(「C2~7アルケニル」)。いくつかの実施形態において、アルケニル基は、2~6個の炭素原子を有する(「C2~6アルケニル」)。いくつかの実施形態において、アルケニル基は、2~5個の炭素原子を有する(「C2~5アルケニル」)。いくつかの実施形態において、アルケニル基は、2~4個の炭素原子を有する(「C2~4アルケニル」)。いくつかの実施形態において、アルケニル基は、2~3個の炭素原子を有する(「C2~3アルケニル」)。いくつかの実施形態において、アルケニル基は、2個の炭素原子(「Cアルケニル」)を有する。1つ以上の炭素-炭素二重結合は、内部(2-ブテニルなど)または末端(1-ブテニルなど)であり得る。C2-4アルケニル基の例には、エテニル(C)、1-プロペニル(C)、2-プロペニル(C)、1-ブテニル(C)、2-ブテニル(C)、ブタジエニル(C)などを含む。C2-6アルケニル基の例には、前述のC2-4アルケニル基、ならびにペンテニル(C)、ペンタジエニル(C)、ヘキセニル(C)などが含まれる。アルケニルの追加例には、ヘプテニル(C)、オクテニル(C)、オクタトリエニル(C)などが含まれる。特に明記しない限り、アルケニル基の各インスタンスは、独立して、任意に置換される、すなわち、非置換(「非置換アルケニル」)、または1つ以上の置換基で置換(「置換アルケニル」)される。特定の実施形態において、アルケニル基は、非置換のC2~10アルケニルである。特定の実施形態において、アルケニル基は、置換されたC2~10アルケニルである。アルケニル基では、立体化学が指定されていないC=C二重結合(例えば、-CH=CHCHまたは
【0022】
【化3】
【0023】
は、(E)-または(Z)-二重結合であり得る。
【0024】
「アルキニル」は、2~20個の炭素原子、1つ以上の炭素-炭素三重結合、および任意で1つ以上の二重結合(「C2~20アルキニル」)を有する直鎖または分岐の炭化水素基のラジカルを指す。いくつかの実施形態において、アルキニル基は、2~10個の炭素原子を有する(「C2~10アルキニル」)。いくつかの実施形態において、アルキニル基は、2~9個の炭素原子を有する(「C2~9アルキニル」)。いくつかの実施形態において、アルキニル基は、2~8個の炭素原子を有する(「C2~8アルキニル」)。いくつかの実施形態において、アルキニル基は、2~7個の炭素原子を有する(「C2~7アルキニル」)。いくつかの実施形態において、アルキニル基は、2~6個の炭素原子を有する(「C2~6アルキニル」)。いくつかの実施形態において、アルキニル基は、2~5個の炭素原子を有する(「C2~5アルキニル」)。いくつかの実施形態において、アルキニル基は、2~4個の炭素原子を有する(「C2~4アルキニル」)。いくつかの実施形態において、アルキニル基は、2~3個の炭素原子を有する(「C2~3アルキニル」)。いくつかの実施形態において、アルキニル基は、2個の炭素原子(「Cアルキニル」)を有する。1つ以上の炭素-炭素三重結合は、内部(2-ブチニルなど)または末端(1-ブチニルなど)であり得る。C2~4アルキニル基の例には、エチニル(C)、1-プロピニル(C)、2-プロピニル(C)、1-ブチニル(C)、2-ブチニル(C)などが含まれるが、これらに限定されない。C2~6アルケニル基の例には、前述のC2~4アルキニル基、ならびにペンチニル(C)、ヘキシニル(C)などが含まれる。アルキニルの追加例には、ヘプチニル(C)、オクチニル(C)などが含まれる。特に明記しない限り、アルキニル基の各インスタンスは、独立して、任意に置換される、すなわち、非置換(「非置換アルキニル」)または1つ以上の置換基で置換(「置換アルキニル」)される。特定の実施形態において、アルキニル基は、非置換のC2~10アルキニルである。特定の実施形態において、アルキニル基は、置換されたC2~10アルキニルである。
【0025】
二価の架橋基であるアルキル、アルケニル、およびアルキニル基は、接尾辞-エン、例えば、アルキレン、アルケニレン、およびアルキニレンを使用してさらに参照される。
【0026】
本明細書に記載の原子、部分、または基は、明示的に別段の定めがない限り、原子価が許す限り、非置換または置換されていてもよい。「任意に置換された」という用語は、置換または非置換を指す。
【0027】
特に明記されていない限り、基は任意に置換される。「任意に置換される」という用語は、置換または非置換されていることを指す。特定の実施形態において、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリール基は、任意に置換される(例えば、「置換」もしくは「非置換」アルキル、「置換」もしくは「非置換」アルケニル、「置換」もしくは「非置換」アルキニル、「置換」もしくは「非置換」カルボシクリル、「置換」もしくは「非置換」ヘテロシクリル、「置換」もしくは「非置換」アリールまたは「置換」もしくは「非置換」ヘテロアリール基)。一般に、「置換」という用語は、「任意で」という用語が前に付くか否かにかかわらず、基(例えば、炭素または窒素原子)に存在する少なくとも1個の水素が、許容される置換基、例えば、置換すると安定な化合物(例えば、転位、環化、脱離、または他の反応などによって自発的に変換を受けない化合物)をもたらす置換基で置換されることを意味する、特に明記しない限り、「置換」基は、基の1つ以上の置換可能な位置に置換基を有し、任意の所与の構造の複数の位置が置換される場合、置換基は各位置で同じまたは異なるかのいずれかである。「置換された」という用語は、有機化合物のすべての許容される置換基、安定な化合物の形成をもたらす本明細書に記載の置換基のいずれかによる置換を含むことを企図する。本開示は、安定な化合物に到達するために、そのようなすべての組み合わせを企図している。本開示の目的のために、窒素などのヘテロ原子は、ヘテロ原子の原子価を満たし、安定な部分の形成をもたらす、本明細書に記載の水素置換基および/または任意の適切な置換基を有し得る。特定の実施形態では、置換基は炭素原子置換基である。特定の実施形態では、置換基は窒素原子置換基である。特定の実施形態では、置換基は酸素原子置換基である。特定の実施形態では、置換基は硫黄原子置換基である。
【0028】
例示的な炭素原子置換基には、ハロゲン、-CN、-NO、-N、-SOH、-SOH、-OH、-ORaa、-ON(Rbb、-N(Rbb、-N(Rbb 、-N(ORcc)Rbb、-SH、-SRaa、-SSRcc、-C(=O)Raa、-COH、-CHO、-C(ORcc、-COaa、-OC(=O)Raa、-OCOaa、-C(=O)N(Rbb、-OC(=O)N(Rbb、-NRbbC(=O)Raa、-NRbbCOaa、-NRbbC(=O)N(Rbb、-C(=NRbb)Raa、-C(=NRbb)ORaa、-OC(=NRbb)Raa、-OC(=NRbb)ORaa、-C(=NRbb)N(Rbb、-OC(=NRbb)N(Rbb、-NRbbC(=NRbb)N(Rbb、-C(=O)NRbbSOaa、-NRbbSOaa、-SON(Rbb、-SOaa、-SOORaa、-OSOaa、-S(=O)Raa、-OS(=O)Raa、-Si(Raa、-OSi(Raa-C(=S)N(Rbb、-C(=O)SRaa、-C(=S)SRaa、-SC(=S)SRaa、-SC(=O)SRaa、-OC(=O)SRaa、-SC(=O)ORaa、-SC(=O)Raa、-P(=O)(Raa、-P(=O)(ORaa、-OP(=O)(Raa、-OP(=O)(ORcc、-P(=O)(N(Rbb、-OP(=O)(N(Rbb、-NRbbP(=O)(Raa、-NRbbP(=O)(ORcc、-NRbbP(=O)(N(Rbb、-P(Rcc、-P(ORcc、-P(Rcc 、-P(ORcc 、-P(Rcc、-P(ORcc、-OP(Rcc、-OP(Rcc 、-OP(ORcc、-OP(ORcc 、-OP(Rcc、-OP(ORcc、-B(Raa、-B(ORcc、-BRaa(ORcc)、C1~10アルキル、C1~10ペルハロアルキル、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、C3~10カルボシクリル、3~14員のヘテロシクリル、C6~14アリール、および5~14員のヘテロアリールが含まれるが、これらに限定されず、各アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは、独立して、0、1、2、3、4、または5Rdd基で置換され、Xは、対イオンであるか、
または、炭素原子上の2つのジェミナル水素が、基=O、=S、=NN(Rbb、=NNRbbC(=O)Raa、=NNRbbC(=O)ORaa、=NNRbbS(=O)aa、=NRbb、または=NORccに置換され、
aaの各インスタンスは、独立して、C1~10アルキル、C1~10ペルハロアルキル、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、C3~10カルボシクリル、3~14員のヘテロシクリル、C6~14アリール、および5~14員のヘテロアリールから選択されるか、または2つのRaa基が結合して、3~14員のヘテロシクリルもしくは5~14員のヘテロアリール環を形成し、各アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは、独立して、0、1、2、3、4、または5Rdd基で置換され、
bbの各インスタンスは、独立して、水素、-OH、-ORaa、-N(Rcc、-CN、-C(=O)Raa、-C(=O)N(Rcc、-COaa、-SOaa、-C(=NRcc)ORaa、-C(=NRcc)N(Rcc、-SON(Rcc、-SOcc、-SOORcc、-SORaa、-C(=S)N(Rcc、-C(=O)SRcc、-C(=S)SRcc、-P(=O)(Raa、-P(=O)(ORcc、-P(=O)(N(Rcc、C1~10アルキル、C1~10ペルハロアルキル、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、C3~10カルボシクリル、3~14員のヘテロシクリル、C6~14アリール、および5~14員のヘテロアリールから選択されるか、または2つのRbb基が結合して、3~14員のヘテロシクリルもしくは5~14員のヘテロアリール環を形成し、各アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは、独立して、0、1、2、3、4、または5Rdd基で置換され、Xは、対イオンであり、
ccの各インスタンスは、独立して、水素、C1-10アルキル、C1-10パーハロアルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C3~10カルボシクリル、3~14員のヘテロシクリル、C6-14アリール、および5~14員のヘテロアリールから選択され、2つのRcc基が結合して、3~14員のヘテロシクリルまたは5~14員のヘテロアリール環を形成し、各アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは、独立して、0、1、2、3、4、または5Rdd基で置換され、
ddの各インスタンスは、独立して、ハロゲン、-CN、-NO、-N、-SOH、-SOH、-OH、-ORee、-ON(Rff、-N(Rff、-N(Rff 、-N(ORee)Rff、-SH、-SRee、-SSRee、-C(=O)Ree、-COH、-COee、-OC(=O)Ree、-OCOee、-C(=O)N(Rff、-OC(=O)N(Rff、-NRffC(=O)Ree、-NRffCOee、-NRffC(=O)N(Rff、-C(=NRff)ORee、-OC(=NRff)Ree、-OC(=NRff)ORee、-C(=NRff)N(Rff、-OC(=NRff)N(Rff、-NRffC(=NRff)N(Rff、-NRffSOee、-SON(Rff、-SOee、-SOORee、-OSOee、-S(=O)Ree、-Si(Ree、-OSi(Ree、-C(=S)N(Rff、-C(=O)SRee、-C(=S)SRee、-SC(=S)SRee、-P(=O)(ORee、-P(=O)(Ree、-OP(=O)(Ree、-OP(=O)(ORee、C1~6アルキル、C1~6ペルハロアルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~10カルボシクリル、3~10員のヘテロシクリル、C6~10アリール、5~10員のヘテロアリールから選択され、各アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは、独立して、0、1、2、3、4、もしくは5つのRgg基で置換されるか、または2つのジェミナルRdd置換基は、結合されて=Oもしくは=Sを形成することができ、Xは、対イオンであり、
eeの各インスタンスは、独立して、C1-6アルキル、C1-6パーハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3~10カルボシクリル、C6-10アリール、3~10員のヘテロシクリルおよび3~10員のヘテロアリールから選択され、各アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールが、独立して、0、1、2、3、4、または5個のRgg基で置換され、
ffの各インスタンスは、独立して、水素、C1-6アルキル、C1-6パーハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3~10カルボシクリル、3~10員のヘテロシクリル、C6-10アリールおよび5~10員のヘテロアリールから選択され、または2つのRff基が結合して、3~14員のヘテロシクリルまたは5~14員のヘテロアリール環を形成し、各アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは、独立して、0、1、2、3、4、または5Rgg基で置換され、ならびに
ggの各インスタンスは、独立して、ハロゲン、-CN、-NO、-N、-SOH、-SOH、-OH、-OC1~6アルキル、-ON(C1~6アルキル)、-N(C1~6アルキル)、-N(C1~6アルキル) 、-NH(C1~6アルキル) 、-NH(C1~6アルキル)、-NH 、-(OC1~6アルキル)(C1~6アルキル)、-N(OH)(C1~6アルキル)、-NH(OH)、-SH、-SC1~6アルキル、-SS(C1~6アルキル)、-C(=O)(C1~6アルキル)、-COH、-CO(C1~6アルキル)、-OC(=O)(C1~6アルキル)、-OCO(C1~6アルキル)、-C(=O)NH、-C(=O)N(C1~6アルキル)、-OC(=O)NH(C1~6アルキル)、-NHC(=O)(C1~6アルキル)、-N(C1~6アルキル)C(=O)(C1~6アルキル)、-NHCO(C1~6アルキル)、-NHC(=O)N(C1~6アルキル)、-NHC(=O)NH(C1~6アルキル)、-NHC(=O)NH、-C(=NH)O(C1~6アルキル)、-OC(=NH)(C1~6アルキル)、-OC(=NH)OC1~6アルキル、-C(=NH)N(C1~6アルキル)、-C(=NH)NH(C1~6アルキル)、-C(=NH)NH、-OC(=NH)N(C1~6アルキル)、-OC(NH)NH(C1~6アルキル)、-OC(NH)NH、-NHC(=NH)N(C1~6アルキル)、-NHC(=NH)NH、-NHSO(C1~6アルキル)、-SON(C1~6アルキル)、-SONH(C1~6アルキル)、-SONH、-SO1~6アルキル、-SOOC1~6アルキル、-OSO1~6アルキル、-SOC1~6アルキル、-Si(C1~6アルキル)、-OSi(C1~6アルキル)-C(=S)N(C1~6アルキル)、C(=S)NH(C1~6アルキル)、C(=S)NH、-C(=O)S(C1~6アルキル)、-C(=S)SC1~6アルキル、-SC(=S)SC1~6アルキル、-P(=O)(OC1~6アルキル)、-P(=O)(C1~6アルキル)、-OP(=O)(C1~6アルキル)、-OP(=O)(OC1~6アルキル)、C1~6アルキル、C1~6ペルハロアルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~10カルボシクリル、C6~10アリール、3~10員のヘテロシクリル、5~10員のヘテロアリールであるか、または2つのジェミナルRgg置換基を結合して、=Oもしくは=Sを形成することができ、Xは、対イオンであり、
ggの各インスタンスは、独立して、ハロゲン、-CN、-NO、-N、-SOH、-SOH、-OH、-OC1~6アルキル、-ON(C1~6アルキル)、-N(C1~6アルキル)、-N(C1~6アルキル) 、-NH(C1~6アルキル) 、-NH(C1~6アルキル)、-NH 、-(OC1~6アルキル)(C1~6アルキル)、-N(OH)(C1~6アルキル)、-NH(OH)、-SH、-SC1~6アルキル、-SS(C1~6アルキル)、-C(=O)(C1~6アルキル)、-COH、-CO(C1~6アルキル)、-OC(=O)(C1~6アルキル)、-OCO(C1~6アルキル)、-C(=O)NH、-C(=O)N(C1~6アルキル)、-OC(=O)NH(C1~6アルキル)、-NHC(=O)(C1~6アルキル)、-N(C1~6アルキル)C(=O)(C1~6アルキル)、-NHCO(C1~6アルキル)、-NHC(=O)N(C1~6アルキル)、-NHC(=O)NH(C1~6アルキル)、-NHC(=O)NH、-C(=NH)O(C1~6アルキル)、-OC(=NH)(C1~6アルキル)、-OC(=NH)OC1~6アルキル、-C(=NH)N(C1~6アルキル)、-C(=NH)NH(C1~6アルキル)、-C(=NH)NH、-OC(=NH)N(C1~6アルキル)、-OC(NH)NH(C1~6アルキル)、-OC(NH)NH、-NHC(=NH)N(C1~6アルキル)、-NHC(=NH)NH、-NHSO(C1~6アルキル)、-SON(C1~6アルキル)、-SONH(C1~6アルキル)、-SONH、-SO1~6アルキル、-SOOC1~6アルキル、-OSO1~6アルキル、-SOC1~6アルキル、-Si(C1~6アルキル)、-OSi(C1~6アルキル)-C(=S)N(C1~6アルキル)、C(=S)NH(C1~6アルキル)、C(=S)NH、-C(=O)S(C1~6アルキル)、-C(=S)SC1~6アルキル、-SC(=S)SC1~6アルキル、-P(=O)(OC1~6アルキル)、-P(=O)(C1~6アルキル)、-OP(=O)(C1~6アルキル)、-OP(=O)(OC1~6アルキル)、C1~6アルキル、C1~6ペルハロアルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~10カルボシクリル、C6~10アリール、3~10員のヘテロシクリル、5~10員のヘテロアリールであるか、または2つのジェミナルRgg置換基を結合して、=Oもしくは=Sを形成することができ、Xは、対イオンである。
【0029】
「対イオン」または「アニオン性対イオン」は、電子的中性を維持するために正に帯電した基と結合する負に帯電した基である。アニオン性対イオンは一価であり得る(すなわち、1個の正式な負の形式電荷を含む)。アニオン性対イオンはまた、二価または三価などの多価(すなわち、2つ以上の負の形式電荷を含む)であり得る。典型的な対イオンは、ハロゲン化物イオン(例えば、F、Cl、Br、I)、NO 、ClO 、OH、HPO 、HSO 、スルホン酸イオン(例えば、メタンスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、p-トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、10-カンファースルホネート、ナフタレン-2-スルホネート、ナフタレン-1-スルホン酸-5-スルホネート、エタン-1-スルホン酸-2-スルホネートなど)、カルボン酸イオン(例えば、アセテート、プロパノエート、ベンゾエート、グリセレート、ラクテート、タートレート、グリコレート、グルコネートなど)、BF 、PF 、PF 、ASF 、SbF 、B[3,5-(CF、BPh 、Al(OC(CF およびカルボランアニオン(例えば、CB1112 または(HCB11MeBr)を含む。多価であり得る例示的な対イオンとしては、CO 2-、HPO 2-、PO 3- 2-、SO 2-、S 2-、カルボン酸アニオン(例えば、酒石酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、リング酸塩、マロン酸塩、グルコン酸塩、コハク酸塩、グルタル酸塩、アジピン酸塩、ピメル酸塩、スベル酸塩、アゼライン酸塩、セバシン酸塩、サリチル酸塩、フタル酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩など)、およびカルボランが挙げられる。
【0030】
「ハロ」または「ハロゲン」は、フッ素(フルオロ、-F)、塩素(クロロ、-Cl)、臭素(ブロモ、-Br)、またはヨウ素(ヨード、-I)を指す。
【0031】
「アシル」は、-C(=O)Raa、-CHO、-COaa、-C(=O)N(Rbb、-C(=NRbb)Raa、-C(=NRbb)ORaa、-C(=NRbb)N(Rbb、-C(=O)NRbbSOaa、-C(=S)N(Rbb、-C(=O)SRaa、または-C(=S)SRaaからなる群から選択される部分を指し、式中、RaaおよびRbbは、本明細書で定義される通りである。
【0032】
窒素原子は、原子価が許す限り、置換または非置換であり、第一級、第二級、第三級、および第四級の窒素原子を含む。例示的な窒素原子置換基には、限定されないが、水素、-OH、-ORaa、-N(Rcc、-CN、-C(=O)Raa、-C(=O)N(Rcc、-COaa、-SOaa、-C(=NRbb)Raa、-C(=NRcc)ORaa、-C(=NRcc)N(Rcc、-SON(Rcc、-SOcc、-SOORcc、-SORaa、-C(=S)N(Rcc、-C(=O)SRcc、-C(=S)SRcc、-P(=O)(ORcc、-P(=O)(Raa、-P(=O)(N(Rcc、C1~10アルキル、C1~10ペルハロアルキル、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、C3~10カルボシクリル、3~14員のヘテロシクリル、C6~14アリール、および5~14員のヘテロアリールが含まれるか、または窒素原子に結合した2つのRcc基が結合して、3~14員のヘテロシクリルもしくは5~14員のヘテロアリール環を形成し、各アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは、独立して、0、1、2、3、4、もしくは5Rdd基で置換され、Raa、Rbb、Rcc、およびRddは、上記で定義される通りである。
【0033】
例示的な酸素原子置換基には、限定されないが、-Raa
-C(=O)SRaa、-C(=O)Raa、-COaa、-C(=O)N(Rbb、-C(=NRbb)Raa、-C(=NRbb)ORaa、-C(=NRbb)N(Rbb、-S(=O)Raa、-SOaa、-Si(Raa3、-P(Rcc、-P(Rcc 、-P(ORcc、-P(ORcc 、-P(=O)(Raa、-P(=O)(ORcc、-P(=O)(N(Rbbが含まれるが、これらに限定されず、式中、X-、Raa、Rbb、およびRccは、本明細書で定義される通りである。
【0034】
「塩」という用語は、酸と塩基との中和反応から生じるイオン性化合物を指す。塩は、1つ以上の「カチオン」(正に帯電したイオン)および1つ以上の「アニオン」(負に帯電したイオン)で構成されているため、塩は電気的に中性である(正味電荷なし)。本明細書に記載される塩は、本明細書に開示される好適な有機酸、例えば、ジカルボン酸に由来するものを含み得る。有機酸および無機酸の例には、酢酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、安息香酸、ギ酸、フマル酸、没食子酸、グルコン酸、乳酸、ラウリン酸、メタンスルホン酸、ニコニチン酸、シュウ酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、L-酒石酸、D-酒石酸、メソ酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、コハク酸、ステアリン酸、ペンテチン酸、プロピン酸、p-トルエンスルホン酸、ウンデカン酸、吉草酸、エチレンジアミン四酢酸、ホウ酸、塩酸、臭化水素酸、クロム酸、硝酸、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、硫酸、およびスルホン酸が含まれるが、これらに限定されない。
【0035】
「サイクロセリン化合物」という用語は、サイクロセリン(D型もしくはL型またはDL型のラセミ混合物)、あるいはそれらの薬学的に許容される塩もしくはエステル、またはそれらの機能的誘導体を指す。いくつかの実施形態において、サイクロセリン化合物は、ナノ結晶D-サイクロセリンであり得る。いくつかの実施形態において、サイクロセリン化合物は、ナノ結晶L結晶であり得る。他の実施形態において、サイクロセリン化合物は、ナノ結晶形態のDL-サイクロセリンのラセミ混合物である。サイクロセリンの化学構造を以下に提供する:
【0036】
【化4】
【0037】
サイクロセリンの機能的誘導体は、1つ以上の置換基、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、および/またはハロゲンを有するサイクロセリンの同じコア構造を有する化合物であり得る。
【0038】
投与が企図される「対象」とは、ヒト(すなわち、任意の年齢層の男女、例えば、小児対象(例えば、幼児、子供、または青年)または成人対象(例えば、若年成人、中年成人、または高齢者))または非ヒト動物を指す。「患者」とは、疾患の治療を必要としているヒト対象を指す。
【0039】
「投与する」、「投与すること」、または「投与」という用語は、式[A][B]の塩を移植、吸収、摂取、注射、吸入、または他の方法で導入することを指し、式中、[A]は、サイクロセリン化合物のカチオン形態であり、[B]は、対象中または対象上の、アニオン形態の本明細書に記載される式(I)の化合物、またはその組成物である。
【0040】
「治療」、「治療する」、および「治療すること」という用語は、本明細書に記載の疾患の逆転、緩和、発症の遅延、または進行の阻害を指す。いくつかの実施形態において、治療は、疾患の1つ以上の兆候または症状が発現したか、または観察された後に投与され得る。他の実施形態において、治療は、疾患の兆候または症状がない状態で投与され得る。例えば、治療は、症状の発症の前に(例えば、症状の病歴に照らして、および/または病原体への曝露に照らして)感受性のある対象に投与し、疾患の発生を遅延または予防することができる。症状が解消した後、例えば再発を遅延または予防するために、治療を継続することもできる。
【0041】
「状態」、「疾患」、および「障害」という用語は同義で使用される。
【0042】
本明細書に記載される式[A][B]の塩の「有効量」は、所望の生物学的応答を誘発する、すなわち、状態を治療するのに十分な量を指す。当業者によって理解されるように、サイクロセリンおよび本明細書に記載される式(I)の化合物の塩の有効量は、所望の生物学的エンドポイント、式[A][B]の塩の薬物動態、治療される状態、投与様式、ならびに対象の年齢および健康などの要因に応じて変化し得る。特定の実施形態において、有効量は、治療上有効な量である。特定の実施形態において、有効量は、予防上有効な量である。特定の実施形態において、有効量は、単一用量中の本明細書に記載される式[A][B]の塩の量である。特定の実施形態において、有効量は、複数用量中の本明細書に記載される式[A][B]の塩の合計量である。
【0043】
本明細書に記載される式[A][B]の塩の「治療上有効な量」は、状態の治療に治療上の利益を提供するため、または状態に関連する1つ以上の症状を遅延もしくは最小化するために十分な量である。式[A][B]の塩の治療上有効な量とは、単独で、または他の療法と組み合わせて、状態の治療において治療上の利益を提供する治療薬の量を意味する。「治療上有効な量」という用語は、全体的な治療を改善し、症状、兆候、または状態の原因を低減または回避し、および/または別の治療薬の治療効果を高める量を包含することができる。
【0044】
本明細書に記載される式[A][B]の「予防上有効な量」とは、状態、もしくは状態に関連する1つ以上の症状を予防する、またはその再発を予防するのに十分な量である。式[A][B]の塩の予防上有効な量とは、単独で、または他の薬剤と組み合わせて、状態の予防において予防上の利益を提供する治療薬の量を意味する。「予防上有効な量」という用語は、全体的な予防を改善する量、または別の予防剤の予防効果を高める量を包含することができる。
【0045】
神経疾患または精神障害またはCNS(中枢神経系)障害のいずれかを含む「神経精神障害」という用語は、器質性脳障害によって引き起こされる精神症状または症候群のいずれかを伴う障害を指す。神経精神症状の主な特徴には、様々な精神症状の発生、認知障害、神経症状、または初期の脳発達症状の可能性が含まれる。例えば、神経精神障害には、統合失調症、精神病性障害、アルツハイマー病、前頭側頭型認知症、血管性認知症、レヴィー小体型認知症、老年性認知症、軽度認知障害、良性健忘症、閉鎖性頭部損傷、自閉症スペクトラム障害、アスペルガー障害、脆弱性X症候群、注意欠陥多動性障害、注意欠陥障害、強迫性障害、チック障害、小児期学習障害、月経前症候群、うつ病、大うつ病性障害、無快感症、自殺念慮および/または行動、双極性障害、不安障害、パニック障害、外傷後ストレス障害、慢性軽度および予測不可能なストレス、摂食障害、嗜癖障害、人格障害、パーキンソン障害、ハンチントン障害、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、運動失調、フリードライヒ運動失調、トゥレット症候群、夜尿症、非てんかん発作、眼瞼けいれん、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、脳卒中、慢性疼痛、痛覚過敏および異痛症を含む神経因性疼痛、糖尿病性多発神経障害、ならびに慢性疼痛症候群が含まれるが、これらに限定されない。
【0046】
「健康食物」または「健康食品」という用語は、ヒトおよび動物に栄養を与えるため、基本的な行動機能、多動、不安、うつ病、感覚運動ゲーティング、疼痛閾値、記憶および/もしくは認知機能、体重を改善するため、または本明細書に記載される標的疾患のうちのいずれかの治療を容易にするために使用されるあらゆる種類の液体および固体/半固体材料を指す。「栄養補助食品組成物」という用語は、食品に見られる基本的な栄養価に加えて、食品源からの成分を含み、追加の健康上の利益を与える組成物を指す。
【0047】
「医療食物」または「医療食品」という用語は、経腸的に消費または投与されるように配合された食品を指し、本明細書に記載されるような標的疾患の特定の食事管理のために医師の監督下で通常使用される食品を含む。「医療食品」組成物は、治療を必要とする患者(例えば、病気に苦しむヒト患者、または特定の食事管理を介して疾患もしくは状態を緩和するための主要な活性剤として製品の使用を必要とする人)のために特別に配合および加工される(天然の状態で使用される天然に存在する食料の対語として)組成物を指す。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】Strides Shasun Ltd.からのD-サイクロセリンのH-NMRスペクトルを示す。
図2】コハク酸のH-NMRスペクトルを示す。
図3】D-サイクロセリンコハク酸の塩形態のH-NMRスペクトルを示す。
図4】Strides Shasun Ltd.からのD-サイクロセリンのX線粉末回折(XRPD)スペクトルを示す。
図5】コハク酸のXRPDスペクトルを示す。
図6】塩形態を確認する、D-サイクロセリンコハク酸塩(4:1)の塩形態のXRPDスペクトルを示す。
図7】D-サイクロセリンの熱重量分析(TGA)プロファイルを示す。
図8】コハク酸のTGAプロファイルを示す。
図9】D-サイクロセリンおよびコハク酸とは異なるD-サイクロセリンコハク酸塩(4:1)の塩形態を確認するTGAプロファイルを示す。
図10】Strides Shasun Ltd.からのD-サイクロセリンの示差走査熱量測定(DSC)プロファイルを示す。
図11】コハク酸のDSCプロファイルを示す。
図12】D-サイクロセリンコハク酸塩(4:1)の塩形態を確認するDSCプロファイルを示す。
図13】L-酒石酸のH-NMRスペクトルを示す。
図14】D-サイクロセリンL-酒石酸塩(1:1)の塩形態を確認するH-NMRスペクトルを示す。
図15】L-酒石酸のXRPDスペクトルを示す。
図16】D-サイクロセリンL-酒石酸塩(1:1)の塩形態を確認するXRPDスペクトルを示す。
図17】L-酒石酸のTGAプロファイルを示す。
図18】D-サイクロセリンL-酒石酸塩(1:1)の塩形態を確認するTGAプロファイルを示す。
図19】L-酒石酸のDSCプロファイルを示す。
図20】D-サイクロセリンL-酒石酸塩(1:1)の塩形態を確認するDSCプロファイルを示す。
図21】マレイン酸のH-NMRスペクトルを示す。
図22】D-サイクロセリンマレイン酸塩(1:1)の塩形態を確認するH-NMRスペクトルを示す。
図23】マレイン酸のXRPDスペクトルを示す。
図24】D-サイクロセリンマレイン酸塩(1:1)の塩形態を確認するXRPDスペクトルを示す。
図25】マレイン酸のTGAプロファイルを示す。
図26】D-サイクロセリンマレイン酸塩(1:1)の塩形態を確認するTGAプロファイルを示す。
図27】マレイン酸のDSCプロファイルを示す。
図28】D-サイクロセリンマレイン酸塩(1:1)の塩形態を確認するDSCプロファイルを示す。
図29】D-酒石酸のH-NMRスペクトルを示す。
図30】D-サイクロセリンD-酒石酸塩(2:1)の塩形態を確認するH-NMRスペクトルを示す。
図31】D-酒石酸のXRPDスペクトルを示す。
図32】D-サイクロセリンD-酒石酸塩(2:1)の塩形態を確認するXRPDスペクトルを示す。
図33】D-酒石酸のTGAプロファイルを示す。
図34】D-サイクロセリンD-酒石酸塩(2:1)の塩形態を確認するTGAプロファイルを示す。
図35】D-酒石酸のDSCプロファイルを示す。
図36】D-サイクロセリンD-酒石酸塩(2:1)の塩形態を確認するDSCプロファイルを示す。
図37】実施例5に記載されるように、40/75%RHで60日間保持した(1)Macleods Pharmaceuticals Ltd.およびStrides Shasun Ltd.からの新鮮なD-サイクロセリン(t=0日)、(2)D-サイクロセリンL-酒石酸塩(1:1)の塩形態、(3)Macleods Pharmaceuticals Ltd.からのD-サイクロセリン、および(4)Strides Shasun Ltd.からのD-サイクロセリンのHPLC分析を示す。結果は、D-サイクロセリンL-酒石酸塩(1:1)の塩は安定していたが、残りは安定していなかったことを示す。
図38】実施例5に記載されるように、40/75%RHで30日間保持した(1)Macleods Pharmaceuticals Ltd.およびStrides Shasun Ltd.からの新鮮なD-サイクロセリン(t=0日)、(2)マレイン酸、(3)D-サイクロセリンマレイン酸塩(1:1)の塩形態、(4)Macleods Pharmaceuticals Ltd.からのD-サイクロセリン、および(5)Strides Shasun Ltd.からのD-サイクロセリンのHPLC分析の結果を示す。30日後、D-サイクロセリンマレイン酸塩(1:1)の塩は安定していたが、残りは安定していなかった。
図39】実施例5に記載されるように、40/75%RHで30日間保持した(1)Macleods Pharmaceuticals Ltd.およびStrides Shasun Ltd.からの新鮮なD-サイクロセリン(t=0日)、(2)D-酒石酸、(3)D-サイクロセリンD-酒石酸塩(2:1)の塩形態、(4)Macleods Pharmaceuticals Ltd.からのD-サイクロセリン、および(5)Strides Shasun Ltd.からのD-サイクロセリンのHPLC分析を示す。D-サイクロセリンD-酒石酸塩(2:1)の塩のみが、条件下で安定している。
図40】実施例6に記載されるように、開放系で60日間、室温/95%RHでのStrides Shasun Ltd.からのD-サイクロセリン(上の曲線)、Macleods Pharmaceuticals Ltd.からのD-サイクロセリン、L-酒石酸、およびD-サイクロセリンL-酒石酸塩(1:1)の塩形態(下の曲線)の吸湿性試験の結果を示す。D-サイクロセリンL-酒石酸塩(1:1)の塩形態は、吸湿性ではなかったが、他は吸湿性であった。
図41】実施例6に記載されるように、開放系で30日間、室温/95%RHでのStrides Shasun Ltd.からのD-サイクロセリン(上の曲線)、Macleods Pharmaceuticals Ltd.からのD-サイクロセリン、マレイン酸、およびD-サイクロセリンマレイン酸塩(1:1)の塩形態(下の曲線)の吸湿性試験の結果を示す。D-サイクロセリンL-酒石酸塩(1:1)の塩形態は、吸湿性ではなかったが、他は吸湿性であった。
図42】実施例6に記載されるように、開放系で30日間、室温/95%RHでのStrides Shasun Ltd.からのD-サイクロセリン(上の曲線)、Macleods Pharmaceuticals Ltd.からのD-サイクロセリン、D-酒石酸、およびD-サイクロセリンD-酒石酸塩(2:1)の塩形態(下の曲線)の吸湿性試験の結果を示す。D-サイクロセリンD-酒石酸塩(2:1)の塩形態は、吸湿性ではなかったが、他は吸湿性であった。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本開示は、式[A][B]の塩を提供し、式中、[A]は、サイクロセリン化合物のカチオン形態であり、[B]は、本明細書に記載される式(I)の化合物のアニオン形態である。この塩またはその組成物は、対象の神経精神障害または細菌感染症を治療するために使用することができる。
【0050】
サイクロセリン化合物のカチオン形態および
式(I)の化合物のアニオン形態の塩
本発明の一態様は、式[A][B]の塩を提供する。[A]は、サイクロセリン化合物のカチオン形態であり、[B]は、式(I)の化合物のアニオン形態であり、
【0051】
【化5】
【0052】
式中、Xは、-NHまたは-OHであり、
およびLの各々は、独立して、C1~6アルキレン、C2~6アルケニレン、もしくはC2~6アルキニレンであるか、または原子価が許すように、LおよびLの一方が、N、O、もしくはSであり、他方が、C1~6アルキレン、C2~6アルケニレン、もしくはC2~6アルキニレンであり、
【0053】
【化6】
【0054】
は、単結合または二重結合のいずれかであり、
塩中の[A]と[B]との比は、10:1~1:10の範囲である。
【0055】
いくつかの実施形態において、Xは、-NHである。いくつかの実施形態において、Xは、-OHである。
【0056】
いくつかの実施形態において、LおよびLの各々は、独立して、C1~6アルキレン、C2~6アルケニレン、もしくはC2~6アルキニレンであるか、または原子価が許すように、LおよびLの一方が、N、O、もしくはSであり、他方が、C1~6アルキレン、C2~6アルケニレン、もしくはC2~6アルキニレンである。いくつかの実施形態において、LおよびLの各々は、独立して、C1~6アルキレン、C2~6アルケニレン、またはC2~6アルキニレンであり、C1~6アルキレン、C2~6アルケニレン、またはC2~6アルキニレンの各々。いくつかの実施形態において、LおよびLの各々は、独立して、C1~6アルキレン、C2~6アルケニレン、またはC2~6アルキニレンである。いくつかの実施形態において、原子価が許す限り、LおよびLの一方は、N、O、またはSであり、他方は、C1~6アルキレン、C2~6アルケニレン、またはC2~6アルキニレンである。いくつかの実施形態において、LおよびLの少なくとも一方は、C1~6アルキレン、C2~6アルケニレン、またはC2~6アルキニレンである。本明細書に開示されるように、C1~6アルキレン、C2~6アルケニレン、またはC2~6アルキニレンは、非置換であるか、またはハロゲン、-CN、-NO、-OH、-O(C1~6アルキル)、-NH、または-Nで任意に置換され得る。
【0057】
いくつかの実施形態において、LおよびLの少なくとも一方は、C1~6アルキレンであり、これは、置換または非置換のC1~6アルキレンであり得る。いくつかの実施形態において、LおよびLの少なくとも一方は、メチレンであり、これは、置換または非置換のメチレンであり得る。いくつかの実施形態において、LおよびLの少なくとも一方は、メチレンである。本明細書で使用される場合、メチレンは、非置換であるか、またはハロゲン、-CN、-NO、-OH、-O(C1~6アルキル)、または-NHで任意に置換され得る。いくつかの実施形態において、LおよびLのうちの少なくとも1つは、メチレンである。いくつかの実施形態において、LおよびLの各々は、ハロゲン、-CN、-NO、-OH、-O(C1~6アルキル)、または-NHで置換されたメチレンである。いくつかの実施形態において、LおよびLの各々は、-OHで置換されたメチレンである。いくつかの実施形態において、LおよびLの少なくとも一方は、非置換メチレンである。いくつかの実施形態において、LおよびLの両方は、メチレンであり、これら両方が置換メチレンであり得るか、または両方が非置換メチレンであり得る。いくつかの実施形態において、LおよびLの少なくとも一方は、C2~6アルケニレンであり、これは、置換または非置換のC2~6アルケニレンであり得る。いくつかの実施形態において、LおよびLの少なくとも一方は、C2~6アルキニレンであり、これは、置換または非置換のC2~6アルキニレンであり得る。
【0058】
いくつかの実施形態において、Xは、-OHであり、
【0059】
【化7】
【0060】
は、単結合である。いくつかの実施形態において、Xは、-OHであり、
【0061】
【化8】
【0062】
は、単結合であり、LおよびLの各々は、-OHで置換されたメチレンである。いくつかの実施形態において、Xは、-OHであり、
【0063】
【化9】
【0064】
は、二重結合であり、LおよびLの各々は、任意に置換されたメチレンである。
【0065】
いくつかの実施形態において、原子価が許す限り、LおよびLの少なくとも一方は、N、O、またはSであり、他方は、C1~6アルキレン、C2~6アルケニレン、またはC2~6アルキニレンである。いくつかの実施形態において、原子価が許す限り、LおよびLの少なくとも一方は、Nであり、他方は、C1~6アルキレン、C2~6アルケニレン、またはC2~6アルキニレンである。いくつかの実施形態において、原子価が許す限り、LおよびLの少なくとも一方は、置換Nであり、他方は、C1~6アルキレン、C2~6アルケニレン、またはC2~6アルキニレンである。いくつかの実施形態において、原子価が許す限り、LおよびLの少なくとも一方は、Oであり、他方は、C1~6アルキレン、C2~6アルケニレン、またはC2~6アルキニレンである。いくつかの実施形態において、原子価が許す限り、LおよびLの少なくとも一方は、Sであり、他方は、C1~6アルキレン、C2~6アルケニレン、またはC2~6アルキニレンである。
【0066】
いくつかの実施形態において、
【0067】
【化10】
【0068】
は、単結合である。いくつかの実施形態において、
【0069】
【化11】
【0070】
は、二重結合である。
【0071】
いくつかの実施形態において、塩中の[A]と[B]との比は、10:1~1:10、9:1~1:9、8:1~1:8、7:1~1:7、6:1~1:6、5:1~1:5、4:1~1:4、3:1~1:3、2:1~1:2、または2:1~1:1の範囲であり、[A]は、サイクロセリン化合物のカチオン形態であり、[B]は、式(I)の化合物のアニオン形態である。
【0072】
【化12】
【0073】
いくつかの実施形態において、塩中の[A]と[B]との比は、10:1~1:10の範囲である。いくつかの実施形態において、塩中の[A]と[B]との比は、9:1~1:9の範囲である。いくつかの実施形態において、塩中の[A]と[B]との比は、8:1~1:8の範囲である。いくつかの実施形態において、塩中の[A]と[B]との比は、7:1~1:7の範囲である。いくつかの実施形態において、塩中の[A]と[B]との比は、6:1~1:6の範囲である。いくつかの実施形態において、塩中の[A]と[B]との比は、5:1~1:5の範囲である。いくつかの実施形態において、塩中の[A]と[B]との比は、4:1~1:4の範囲である。いくつかの実施形態において、塩中の[A]と[B]との比は、3:1~1:3の範囲である。いくつかの実施形態において、塩中の[A]と[B]との比は、2:1~1:2の範囲である。いくつかの実施形態において、塩中の[A]と[B]との比は、2:1~1:1の範囲である。いくつかの実施形態において、塩中の[A]と[B]との比は、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、または1:1である。
【0074】
いくつかの実施形態において、サイクロセリン化合物は、式
【0075】
【化13】
【0076】
の化合物である。
【0077】
いくつかの実施形態において、サイクロセリン化合物は、
【0078】
【化14】
【0079】
である。
【0080】
いくつかの実施形態において、サイクロセリン化合物は、
【0081】
【化15】
【0082】
である。
【0083】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、式
【0084】
【化16】
【0085】
の化合物であり、
式中、AおよびBの各々は、独立して、-NH、-OH、または-Hであり、
【0086】
【化17】
【0087】
は、C-CまたはC=Cである。
いくつかの実施形態において、AおよびBの少なくとも一方は、-NHである。いくつかの実施形態において、AおよびBの少なくとも一方は、-OHである。いくつかの実施形態において、AおよびBの両方が-OHである。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、コハク酸、D-酒石酸、L-酒石酸、メソ酒石酸、フマル酸、マレイン酸、またはリンゴ酸である。
【0088】
いくつかの実施形態において、式(Ia)の化合物は、式
【0089】
【化18】
【0090】
の化合物であり、
式中、AおよびBの各々は、独立して、-OHまたは-Hである。いくつかの実施形態において、AおよびBの少なくとも一方は、-OHである。いくつかの実施形態において、AおよびBの両方が-OHである。
【0091】
いくつかの実施形態において、式(Ib)の化合物は、
【0092】
【化19】
【0093】
である。
【0094】
いくつかの実施形態において、式(Ib)の化合物は、コハク酸、D-酒石酸、およびL-酒石酸からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、式(Ib)の化合物は、コハク酸、D-酒石酸、L-酒石酸、およびメソ酒石酸からなる群から選択され、[A]と[B]との間の比は、5:1~1:1の範囲である。いくつかの実施形態において、式(Ib)の化合物は、
【0095】
【化20】
【0096】
であり、[A]と[B]との間の比は、4:1である。いくつかの実施形態において、式(Ib)の化合物は、
【0097】
【化21】
【0098】
であり、[A]と[B]との間の比は、2:1である。いくつかの実施形態において、式(Ib)の化合物は、
【0099】
【化22】
【0100】
であり、[A]と[B]との間の比は、1:1である。
【0101】
いくつかの実施形態において、式(Ia)の化合物は、式(Ic)の化合物
【0102】
【化23】
【0103】
であり、
式中、AおよびBの各々は、独立して、-OHまたは-Hである。いくつかの実施形態において、AおよびBの少なくとも一方は、-OHである。いくつかの実施形態において、AおよびBの両方が-OHである。
【0104】
いくつかの実施形態において、式(Ic)の化合物は、
【0105】
【化24】
【0106】
から選択される。いくつかの実施形態において、式(Ic)の化合物は、フマル酸である。いくつかの実施形態において、式(Ic)の化合物は、マレイン酸である。いくつかの実施形態において、式(Ic)の化合物は、
【0107】
【化25】
【0108】
であり、本明細書に記載される[A]と[B]との間の比は、1:1である。
【0109】
組成物
本開示の別の態様は、本明細書に記載される式[A][B]の塩および担体を含む組成物を提供する。
【0110】
いくつかの実施形態では、組成物は、医薬組成物、栄養補助食品組成物、健康食品、または医療食品である。
【0111】
特定の実施形態において、組成物は、健康食品である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される組成物は、健康食物または健康食品であり得、これは、ヒトおよび動物に栄養を与えるため、基本的な行動機能、多動、不安、うつ病、感覚運動ゲーティング、疼痛閾値、記憶および/または認知機能を改善するため、または本明細書に記載される標的疾患(例えば、本明細書に記載されるものを含む、神経精神障害および/または細菌感染症(例えば、結核))のうちのいずれかの治療を促進するために使用される任意の種類の液体および固体/半固体材料であり得る。健康食品は、食品(例えば、茶ベースの飲料、ジュース、清涼飲料、コーヒー、牛乳、ゼリー、クッキー、シリアル、チョコレート、スナックバー、ハーブ抽出物、乳製品(例えば、アイスクリーム、およびヨーグルト))、食品/栄養補助食品、または栄養製剤であり得る。
【0112】
本明細書に記載される健康食品は、1つ以上の食用担体を含み、これは、本明細書に記載される製品に1つ以上の利点を与える。食用担体の例には、デンプン、シクロデキストリン、マルトデキストリン、メチルセルロース、カーボンメトキシセルロース、キサンタンガム、およびそれらの水溶液が含まれる。他の例には、溶媒、分散媒体、コーティング、界面活性剤、抗酸化剤、防腐剤(例えば、抗菌剤、抗真菌剤)、等張剤、吸収遅延剤、安定剤、ゲル、結合剤、賦形剤、崩壊剤、潤滑剤、甘味剤、香味剤、染料、当業者に知られているような材料およびそれらの組み合わせなどが含まれる。いくつかの例では、本明細書に記載される健康食品は、魚油、亜麻仁油、および/または安息香酸塩などの神経保護食品をさらに含み得る。
【0113】
いくつかの例では、健康食品は、栄養補助食品組成物であり、これは、食品に見られる基本的な栄養価に加えて、食品源からの成分を含み、追加の健康上の利益を与える組成物を指す。本明細書に記載される栄養補助食品組成物は、本明細書に記載される式[A][B]の塩、ならびに良好な健康を促進し、および/または式[A][B]の塩の安定性および生物活性を高める追加の成分およびサプリメントのうちのいずれかを含む。
【0114】
栄養補助食品組成物の作用は、迅速もしくは/および短期であり得るか、または本明細書に記載されるような長期の健康目的を達成するのに役立ち得、例えば、神経精神障害を有するか、またはそのリスクがあるヒト対象において、例えば、基本的な行動機能、多動、不安、うつ病、感覚運動ゲーティング、疼痛閾値、記憶および/または認知機能を改善する。栄養補助食品組成物は、例えば、栄養補助食品または医薬製剤として、食用材料に含まれ得る。栄養補助食品として、ビタミン、ミネラル、またはアミノ酸などの追加の栄養素が含まれている場合がある。組成物はまた、飲料または食品、例えば、茶、清涼飲料、ジュース、牛乳、コーヒー、クッキー、シリアル、チョコレート、およびスナックバーであり得る。必要に応じて、組成物は、ソルビトール、マルチトール、水素化グルコースシロップおよび水素化デンプン加水分解物、高フルクトース・コーン・シロップ、サトウキビ糖、甜菜糖、ペクチン、またはスクラロースなどの甘味料を添加することによって甘味付けすることができる。
【0115】
本明細書に開示される栄養補助食品組成物は、溶液の形態であり得る。例えば、栄養補助食品製剤は、緩衝液、溶媒、希釈剤、不活性担体、油、またはクリームなどの媒体で提供することができる。いくつかの例では、製剤は、アルコールなどの非水性共溶媒を任意に含む水溶液中に存在する。栄養補助食品組成物はまた、粉末、ペースト、ゼリー、カプセル、または錠剤の形態であり得る。乳糖およびコーンスターチは、カプセルの希釈剤または錠剤の担体として一般的に使用される。ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤は、通常、錠剤を形成するために添加される。
【0116】
健康食品は、適切な投与経路、例えば経口投与用に製剤化することができる。経口投与の場合、組成物は、結合剤(例えば、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、充填剤(例えば、ラクトース、微結晶性セルロースまたはリン酸水素カルシウム)、潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルクまたはシリカ)、崩壊剤(例えば、馬鈴薯デンプンまたはデンプングリコール酸ナトリウム)、または湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)などの許容される賦形剤を用いて、従来の手段によって調製される、例えば、錠剤またはカプセルの形態をとることができる。錠剤は、当技術分野で周知の方法でコーティングすることができる。バーおよびその他のチュアブル製剤も含まれる。
【0117】
いくつかの例では、健康食品は液体形態であり、1つ以上の食用担体は、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール)、脂質(例えば、トリグリセリド、植物油、リポソーム)またはそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない溶媒または分散媒体であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングを使用することによって、例えば、液体ポリオールまたは脂質などの担体への分散による必要な粒子サイズの維持によって、例えば、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤の使用、またはそれらの組み合わせによって維持することができる。多くの場合、例えば、糖、塩化ナトリウム、またはそれらの組み合わせなどの等張剤を含めることが推奨される。
【0118】
経口投与用の液体調製物は、例えば、溶液、シロップまたは懸濁液の形態をとることができ、またはそれらは、使用前に水または他の適切なビヒクルで構成するための乾燥製品として提示することができる。一実施形態では、液体調製物は、フルーツジュースとともに投与するために製剤化することができる。そのような液体調製物は、懸濁剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体または水素化食用脂肪)、乳化剤(例えば、レシチンまたはアカシア)、非水性ビヒクル(例えば、アーモンドオイル、油性エステル、エチルアルコールまたは分画植物油)、および防腐剤(例えば、メチルまたはプロピル-p-ヒドロキシベンゾエート、ベンゾエートまたはソルベート)などの薬学的に許容される添加剤を用いた従来の手段によって調製することができる。
【0119】
特定の実施形態において、組成物は、医療食品である。医療食品は、経腸的に消費または投与されるように配合された食品である。そのような食品は、通常、本明細書に記載されているものなどの標的疾患の特定の食事管理のために医師の監督下で使用される。場合によっては、そのような医療食品組成物は、治療を必要とする患者(例えば、病気に苦しむヒト患者、または特定の食事管理を介して疾患または状態を緩和するための主要な活性剤としての製品の使用を必要とするヒト患者)のために特別に製剤化および加工(自然状態で使用される天然に存在する食品の対語として)される。いくつかの例では、本明細書に記載の医療食品組成物は、症状を管理するため、または疾患もしくは状態のリスクを低減するために、全体的な食事の一部として医師によって単に推奨されるものの1つではない。
【0120】
本明細書に記載される式[A][B]の塩および少なくとも1つの担体(例えば、本明細書に記載されるもの)を含む、本明細書に記載される医療食品組成物のいずれも、以下に詳述するように、液体溶液;粉末、バー、ウエハース、適切な液体または適切なエマルジョン中の懸濁液の形態であり得る。天然に存在するかまたは合成(非天然に存在する)のいずれかであり得る少なくとも1つの担体は、組成物中の式[A][B]の塩に1つ以上の利益、例えば、安定性、生物学的利用能、および/または生物活性を与えるであろう。本明細書に記載の担体のいずれかは、医療用食品組成物を製造するために使用することができる。いくつかの実施形態において、医療用食品組成物は、天然フレーバー、人工フレーバー、主要な微量および超微量ミネラル、ミネラル、ビタミン、オート麦、ナッツ、スパイス、牛乳、卵、塩、小麦粉、レシチン、キサンタンガムおよび/または甘味料を含むがこれらに限定されない群から選択される1つ以上の追加の成分をさらに含み得る。医療食品組成物は、適切な容器に入れることができ、これは、本明細書に記載されるものなどの少なくとも追加の治療薬をさらに含み得る。
【0121】
いくつかの実施形態において、組成物は、本明細書に記載される式[A][B]の塩と、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤および/または担体とを含む、薬学的組成物である。
【0122】
特定の実施形態において、本明細書に記載される式[A][B]の塩は、薬学的組成物中に有効量で提供される。特定の実施形態において、有効量は、治療上有効な量(例えば、神経精神障害および/または細菌感染症(例えば、結核)を治療する、および/またはそのリスクを低減することを必要とする対象において、それを行うのに有効な量)である。
【0123】
本明細書に記載される薬学的組成物は、薬理学の分野で知られている任意の方法によって調製することができる。一般に、そのような調製方法は、本明細書に記載される式[A][B]の塩(すなわち、「有効成分」)を担体もしくは賦形剤、および/または1つ以上の他の付属成分と会合させ、次いで、必要および/または望ましい場合、製品を所望の単一用量または複数用量単位に成形および/または包装することを含む。
【0124】
薬学的組成物は、単一の単位用量として、および/または複数の単一単位用量として、大量に調製、包装、および/または販売することができる。「単位用量」は、所定量の有効成分を含む薬学的組成物の離散量である。有効成分の量は、一般に、対象に投与される有効成分の投与量、および/またはそのような投与量の2分の1または3分の1などのそのような投与量の便利な画分に等しい。
【0125】
本明細書に記載される薬学的組成物中の有効成分、薬学的に許容される賦形剤、および/または任意の追加の成分の相対量は、治療される対象の同一性、サイズ、および/または状態に応じて、さらには組成物が投与される経路に応じて変化する。組成物は、0.1%~100%(w/w)の有効成分を含み得る。
【0126】
提供される薬学的組成物の製造に使用される薬学的に許容される賦形剤には、不活性希釈剤、分散剤および/もしくは造粒剤、界面活性剤および/もしくは乳化剤、崩壊剤、結合剤、防腐剤、緩衝剤および/もしくはpH調整剤、潤滑剤、担体、増強剤、徐放性試薬、ならびに/または抗沈降剤および/もしくは油が含まれる。カカオバターおよび坐剤ワックスなどの賦形剤、着色剤、コーティング剤、甘味料、香味料、および芳香剤もまた、組成物中に存在し得る。
【0127】
経口および非経口投与用の液体剤形には、薬学的に許容されるエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ、およびエリキシルが含まれる。有効成分に加えて、液体投与形態は、例えば、水または他の溶媒などの当該技術分野において一般に使用される不活性希釈剤、可溶化剤および乳化剤(エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミドなど)、油(例えば、綿実油、ピーナッツ油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、ゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにそれらの混合物を含み得る。不活性希釈剤に加えて、経口組成物は、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味料、香味料、ならびに芳香剤などの補助剤を含むことができる。非経口投与の特定の実施形態において、本明細書に記載されるコンジュゲートは、Cremophor(登録商標)、アルコール、油、変性油、グリコール、ポリソルベート、シクロデキストリン、ポリマー、およびそれらの混合物などの可溶化剤と混合される。
【0128】
注射可能な調製物、例えば、無菌の注射可能な水性または油性懸濁液は、好適な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を使用して、既知の技術に従って配合することができる。無菌注射可能な調製物は、例えば、1,3-ブタンジオール中の溶液として、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の無菌の注射可能な溶液、懸濁液、またはエマルジョンであり得る。用いることができる許容可能なビヒクルおよび溶媒の中には、水、リンガー溶液、U.S.P.、および等張塩化ナトリウム溶液がある。さらに、無菌の固定油は、従来、溶媒または懸濁媒体として使用されている。この目的のために、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含む任意の無刺激の固定油を用いることができる。さらに、オレイン酸などの脂肪酸は、注射剤の調製に使用される。
【0129】
注射可能な製剤は、例えば、細菌保持フィルターを通して濾過することによって、または使用前に滅菌水または他の滅菌注射媒体に溶解または分散することができる滅菌固体組成物の形態で滅菌剤を組み込むことによって滅菌することができる。
【0130】
薬物の効果を延長するために、皮下または筋肉内注射からの薬物の吸収を遅らせることがしばしば望ましい。これは、水溶性の低い結晶性または非晶質材料の液体懸濁液を使用することによって達成され得る。その場合、薬物の吸収速度は、その溶解速度に依存し、次に、結晶サイズおよび結晶形態に依存し得る。あるいは、非経口的に投与された剤形の遅延吸収は、薬物を油性ビヒクルに溶解または懸濁することによって達成することができる。
【0131】
経口投与用の固体剤形には、カプセル、錠剤、丸薬、粉末、および顆粒が含まれる。そのような固体剤形において、有効成分は、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウムなどの少なくとも1つの不活性で薬学的に許容される賦形剤もしくは担体、ならびに/または(a)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、およびケイ酸などの充填剤もしくは増量剤、(b)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロース、およびアカシアなどの結合剤、(c)グリセロールなどの吸湿剤、(d)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩、および炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、(e)パラフィンなどの溶液遅延剤、(f)第四アンモニウム化合物などの吸収促進剤、(g)例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤、(h)カオリンおよびベントナイト粘土などの吸収剤、および(i)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびそれらの混合物などの潤滑剤と混合される。カプセル、錠剤、および丸薬の場合、剤形は、緩衝剤を含み得る。カプセルの場合、有効成分は、賦形剤または担体なしでカプセルシェルにカプセル化することができる。
【0132】
同様のタイプの固体組成物は、ラクトースまたは乳糖、ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどのような賦形剤を使用して、軟質および硬質充填ゼラチンカプセルの充填剤として用いることができる。錠剤、糖衣錠、カプセル、丸薬、および顆粒の固体剤形は、腸溶性コーティング、放出制御コーティング、および薬理学の分野で周知の他のコーティングなどのコーティングおよびシェルで調製することができる。それらは、任意に乳白剤を含み得、それらが有効成分(複数可)のみを放出するか、または優先的に、消化管の特定の部分において、任意に遅延して放出する組成物であり得る。使用できるカプセル化組成物の例には、高分子物質およびワックスが含まれる。同様のタイプの固体組成物は、ラクトースまたは乳糖、ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどのような賦形剤を使用して、軟質および硬質充填ゼラチンカプセルの充填剤として用いることができる。
【0133】
有効成分は、上記のように1つ以上の賦形剤を含むマイクロカプセル化された形態であり得る。錠剤、糖衣錠、カプセル、丸薬、および顆粒の固体剤形は、腸溶性コーティング、放出制御コーティング、および製薬学の分野で周知の他のコーティングなどのコーティングおよびシェルで調製することができる。そのような固体剤形において、有効成分は、スクロース、ラクトース、またはデンプンなどの少なくとも1つの不活性希釈剤と混和することができる。そのような剤形は、通常の慣行として、不活性希釈剤以外の追加の物質、例えば、錠剤化潤滑剤およびステアリン酸マグネシウムおよび微結晶性セルロースなどの他の錠剤化助剤を含み得る。カプセル、錠剤、および丸薬の場合、剤形は、緩衝剤を含み得る。それらは、任意に乳白剤を含み得、それらが有効成分(複数可)のみを放出するか、または優先的に、消化管の特定の部分において、任意に遅延して放出する組成物であり得る。使用できる封入剤の例には、高分子物質およびワックスが含まれるが、これらに限定されない。
【0134】
すべての市販の腸溶性材料は、本発明の組成物に適用することができる。組成物のいくつかの実施形態において、腸溶性材料は、ポリメタクリレートベースのコーティング材料、フタレートベースのコーティング材料、セルロースエステルベースのコーティング材料、シェラック、アルギン酸ナトリウム、またはそれらの混合物から選択される。
【0135】
組成物のいくつかの実施形態において、ポリメタクリレートベースのコーティング材料は、1:1の比のポリ(メタクリル酸-co-エチルアクリレート)(すなわち、Eudragit L 100-55、Eudragit L30 D-55、Eastacryl 30 Dシリーズ、Kollicoat MAE 30 DP、Kollicoat MAE 100P、Acryl-EZE93シリーズ、およびAcryl-EZEMPシリーズ)、1:1の比のポリ(メタクリル酸-co-メチルメタクリレート)(すなわち、Eudragit L100、Eudragit L12,5、Eudragit L12,5P、およびOpadry 94シリーズ)、1:2の比のポリ(メタクリル酸-co-メチルメタクリレート)(すなわち、Eudragit S100、EudragitS12,5、Eudragit S12,5P、およびOpadry 95シリーズ)、ならびに7:3:1の比のポリ(メチルアクリレート-co-メチルメタクリレート-co-メタクリル酸(すなわち、Eudragit FS30D)から選択される。
【0136】
組成物のいくつかの実施形態において、フタレートベースのコーティング材料は、フタル酸酢酸ポリビニル(すなわち、Opadry 91シリーズ、およびSuretericシリーズ)、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(すなわち、HPmcp-HPグレードシリーズ)、フタル酸ジエチル、およびフタル酸酢酸セルロース(すなわち、Eastman(商標)C-A-P)から選択される。
【0137】
組成物のいくつかの実施形態において、セルロースエステルベースのコーティング材料は、トリメリト酸酢酸セルロース、コハク酸酢酸セルロース、およびコハク酸酢酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(すなわち、AQOAT ASシリーズ、およびENTERACT(商標)HPMCAS)から選択される。
【0138】
組成物のいくつかの実施形態において、腸溶性材料は、1:1の比の90.5%~98.49%のポリ(メタクリル酸-co-エチルアクリレート)、0.5%~2%のラウリル硫酸ナトリウム、0.01%~2.5%のクエン酸トリエチル、0.5%~2.5%のコロイド状二酸化ケイ素、および0.5%~2.5%のタルクを含む。
【0139】
組成物のいくつかの実施形態において、組成物は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースベースのコーティング材料から選択される10~50mgの単離層材料をさらに含む。具体的には、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの平均分子量は50000~125000であり、固形分は8%である。他の市販の単離層材料を、本発明の組成物に適用することができる。
【0140】
特定の実施形態において、1つ以上の単離材料は、10~50mg、15~45mg、20~35mg、または25~30mgで提供される。
【0141】
組成物のいくつかの実施形態において、単離層材料は、95.5%~99.49%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、0.5%~2.5%のタルク、および0.01%~2%のトリアセチンを含む。
【0142】
組成物のいくつかの実施形態において、組成物は、充填剤、結合剤、崩壊剤、および/または潤滑剤から選択される1つ以上の薬学的に許容される賦形剤をさらに含む。
【0143】
組成物のいくつかの実施形態において、充填剤は、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、リン酸カルシウム二塩基性無水物、微結晶性セルロース、およびそれらの混合物から選択される。組成物のいくつかの実施形態において、微結晶性セルロースは、例えば、3~10%、または3~5%の水分含有量を有する微結晶性セルロースである(例えば、微結晶性セルロースpH102)。
【0144】
組成物のいくつかの実施形態において、結合剤は、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、アカシア、およびそれらの混合物から選択される。
【0145】
組成物のいくつかの実施形態において、崩壊剤は、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩、デンプングリコール酸ナトリウム(SSG)、クロスカルメロース、クロスポビドン、炭酸ナトリウム、およびそれらの混合物から選択される。
【0146】
組成物のいくつかの実施形態において、潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウム、コロイド状二酸化ケイ素、タルク、ステアリン酸カルシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびそれらの混合物から選択される。
【0147】
組成物のいくつかの実施形態において、薬学的に許容される賦形剤は、50~500mgの充填剤、10~100mgの結合剤、10~200mgの崩壊剤、5~100mgの潤滑剤を含む。組成物のいくつかの実施形態において、充填剤の量は、50~500mg、200~450mg、250~400mg、300~380mg、または330~350mgである。組成物のいくつかの実施形態において、結合剤の量は、10~100mg、20~90mg、25~80mg、30~70mg、35~60mg、または40~50mgである。組成物のいくつかの実施形態において、崩壊剤の量は、10~200mg、15~180mg、20~160mg、25~140mg、30~120mg、40~100mg、または60~80mgである。組成物のいくつかの実施形態において、潤滑剤の量は、5~100mg、7.5~90mg、10~80mg、20~70mg、30~60mg、または40~50mgである。
【0148】
組成物のいくつかの実施形態において、薬学的に許容される賦形剤は、微結晶性セルロースpH102、ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、およびステアリン酸マグネシウムである。
【0149】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される局所投与用の薬学的組成物は、パッチを得るために不浸透性支持体上に広げられる。特に、不浸透性支持体は、マトリックスシステム(例えば、マトリックス分散システムおよび薬物溶解型粘着剤)、リザーバーパッチシステム、またはマイクロリザーバーシステムの支持体である。
【0150】
いくつかの実施形態において、経口投与用の薬学的組成物に含まれる少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤および/または担体は、カプセルである。硬質および軟質ゼラチンカプセル、HPMCカプセルなどを含む、すべての市販のカプセルを本発明の薬学的組成物に適用することができる。市販のカプセルの成分もまた、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ゼラチン、メチルパラベン(すなわち、メチル-4-ヒドロキシベンゾエート)、プロピルパラベン(すなわち、プロピル-4-ヒドロキシベンゾエート)、ラウリル硫酸ナトリウム、ブリリアントブルーFCF、新しいコクシン、二酸化チタン、サンセットイエローFCF、タートラジン、水、またはそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない、本発明のカプセル製剤に含まれる。
【0151】
いくつかの実施形態において、本発明のカプセル製剤は、カプセルの表面に腸溶性コーティングをさらに含む。本発明のカプセル製剤のために、すべての市販の腸溶性コーティングをカプセルの表面に適用することができる。好ましくは、腸溶性コーティングは、メタクリル酸およびアクリル酸エチルのコポリマーから選択される材料から構成され、より好ましくは、メタクリル酸およびアクリル酸エチルのコポリマーは、メタクリル酸とアクリル酸エチルとの比が1:1であり、固形分が30%である、Kollicoat(登録商標)MAE 30DP(BASF)である。
【0152】
コーティングの目的で、腸溶性コーティングの材料は、有機溶媒に分解される。好ましくは、有機溶媒は、プロピレングリコールである。
【0153】
本明細書で提供される薬学的組成物の説明は、主に、ヒトへの投与に好適な薬学的組成物に向けられているが、そのような組成物は、一般に、あらゆる種類の動物への投与に好適である。様々な動物への投与に好適な組成物にするためのヒトへの投与に好適な薬学的組成物の修飾はよく理解されており、通常の熟練した獣医薬理学者は、通常の実験でそのような修飾を設計および/または実施することができる。
【0154】
本明細書に記載される組成物は、典型的に、投与を容易にし、投与量を均一にするために、単位剤形に配合される。しかしながら、本明細書に記載される組成物の毎日の総使用量は、健全な医学的判断の範囲内で医師によって決定されることが理解されよう。任意の特定の対象または生物に対する特定の治療上有効な用量レベルは、治療される疾患および障害の重症度;用いられる特定の有効成分の活性;用いられる特定の組成物;対象の年齢、体重、一般的な健康状態、性別、および食事;投与時間、投与経路、および用いられる特定の有効成分の排泄率;治療期間;用いられる特定の有効成分と組み合わせて、または同時に使用される薬物を含む様々な要因、ならびに医療分野で周知の同様の要因に依存するであろう。
【0155】
キット(例えば、医薬品パック)も本開示に含まれる。提供されるキットは、本明細書に記載される薬学的組成物および容器(例えば、バイアル、アンプル、ボトル、注射器、および/もしくはディスペンサーパッケージ、または他の好適な容器)を含み得る。
【0156】
特定の実施形態において、本明細書に記載されるキットは、本明細書に記載される組成物を含む容器を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載されるキットは、神経精神障害および/または細菌感染症(例えば、結核)を治療する、および/またはそのリスクを低減することを必要とする対象において、それを行うのに有用である。
【0157】
特定の実施形態において、本明細書に記載されるキットは、キットに含まれる本明細書に記載される組成物を使用するための説明書をさらに含む。本明細書に記載されるキットには、アメリカ食品医薬品局(FDA)などの規制当局が要求する情報も含まれ得る。特定の実施形態において、キットに含まれる情報は、処方情報である。特定の実施形態において、神経精神障害および/または細菌感染症(例えば、結核)を治療する、および/またはそのリスクを低減するためのキットおよび説明書が提供される。本明細書に記載されるキットは、別個の組成物として本明細書に記載される1つ以上の追加の医薬品を含み得る。
【0158】
治療の方法
本発明の別の態様は、該対象に、有効量の、本明細書に記載される式[A][B]の塩、または本明細書に記載されるその組成物を投与することを含む方法を提供することである。
【0159】
いくつかの実施形態において、神経精神障害は、統合失調症、精神病性障害、アルツハイマー病、前頭側頭型認知症、血管性認知症、レヴィー小体型認知症、老年性認知症、軽度認知障害、良性健忘症、運動失調症状、脊髄小脳変性症、閉鎖性頭部損傷、自閉症スペクトラム障害、自閉症、アスペルガー障害、特定不能の広汎性発達障害(PDD-NOS)、脆弱性X症候群、注意欠陥多動性障害、注意欠陥障害、強迫性障害、チック障害、小児期学習障害、月経前症候群、うつ病、大うつ病性障害、無快感症、自殺念慮および/または行動、双極性障害、不安障害、パニック障害、神経性食欲不振症、恐怖症、広場恐怖症、閉所恐怖症、心的外傷後ストレス障害、慢性軽度および予測不可能なストレス、摂食障害、嗜癖障害、人格障害、パーキンソン障害、ハンチントン障害、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、トゥレット症候群、夜尿症、非てんかん発作、眼瞼けいれん、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、脳卒中、慢性疼痛、痛覚過敏および異痛症を含む神経因性疼痛、糖尿病性多発神経障害、ならびに慢性疼痛症候群からなる群から選択される。
【0160】
本明細書に開示される式[A][B]の塩または本明細書に記載されるその組成物のうちのいずれか1つは、神経精神障害を治療および/または予防するのに有用である。特定の実施形態において、神経精神障害は、統合失調症である。特定の実施形態において、神経精神障害は、精神病性障害である。特定の実施形態において、神経精神障害は、アルツハイマー病である。特定の実施形態において、神経精神障害は、前頭側頭型認知症である。特定の実施形態において、神経精神障害は、血管性認知症である。特定の実施形態において、神経精神障害は、レヴィー小体型認知症である。特定の実施形態において、神経精神障害は、老年性認知症である。特定の実施形態において、神経精神障害は、軽度の認知障害である。特定の実施形態において、神経精神障害は、良性健忘症である。特定の実施形態において、神経精神障害は、運動失調症状である。特定の実施形態において、神経精神障害は、脊髄小脳変性症である。特定の実施形態において、神経精神障害は、閉鎖性頭部外傷である。特定の実施形態において、神経精神障害は、自閉症、アスペルガー障害、および特定不能の広汎性発達障害(PDD-NOS)を含む自閉症スペクトラム障害である。特定の実施形態において、神経精神障害は、脆弱性X症候群である。特定の実施形態において、神経精神障害は、注意欠陥多動性障害である。特定の実施形態において、神経精神障害は、注意欠陥障害である。特定の実施形態において、神経精神障害は、強迫性障害である。特定の実施形態において、神経精神障害は、チック症である。特定の実施形態において、神経精神障害は、小児期の学習障害である。特定の実施形態において、神経精神障害は、月経前症候群である。特定の実施形態において、神経精神障害は、気分変調および死別を含むうつ病である。特定の実施形態において、神経精神障害は、大うつ病性障害である。特定の実施形態において、神経精神障害は、無快感症である。特定の実施形態において、神経精神障害は、自殺念慮および/または行動である。特定の実施形態において、神経精神障害は、双極I型およびII型障害を含む双極性障害である。特定の実施形態において、神経精神障害は、パニックおよび恐怖症障害を含む不安障害である。特定の実施形態において、神経精神障害は、パニック障害である。特定の実施形態において、神経精神障害は、神経性食欲不振症である。特定の実施形態において、神経精神障害は、恐怖症である。特定の実施形態において、神経精神障害は、広場恐怖症である。特定の実施形態において、神経精神障害は、閉所恐怖症である。特定の実施形態において、神経精神障害は、心的外傷後ストレス障害である。特定の実施形態において、神経精神障害は、慢性の軽度かつ予測不可能なストレスである。特定の実施形態において、神経精神障害は、食欲亢進および食欲不振を含む摂食障害である。特定の実施形態において、神経精神障害は、薬物依存または乱用を含む嗜癖障害である。特定の実施形態において、神経精神障害は、人格障害である。特定の実施形態において、神経精神障害は、パーキンソン病である。特定の実施形態において、神経精神障害は、ハンチントン障害である。特定の実施形態において、神経精神障害は、多発性硬化症である。特定の実施形態において、神経精神障害は、筋萎縮性側索硬化症である。特定の実施形態において、神経精神障害は、トゥレット症候群である。特定の実施形態において、神経精神障害は、夜尿症である。特定の実施形態において、神経精神障害は、非てんかん発作である。特定の実施形態において、神経精神障害は、眼瞼けいれんである。特定の実施形態において、神経精神障害は、デュシェンヌ型筋ジストロフィーである。特定の実施形態において、神経精神障害は、脳卒中である。特定の実施形態において、神経精神障害は、慢性疼痛である。特定の実施形態において、神経精神障害は、痛覚過敏および異痛症を含む神経因性疼痛である。特定の実施形態において、神経精神障害は、糖尿病性多発神経障害である。特定の実施形態において、神経精神障害は、慢性疼痛症候群である。
【0161】
特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、対象に追加の医薬品を投与することをさらに含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、生体試料を追加の医薬品と接触させることをさらに含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、組織を追加の医薬品と接触させることをさらに含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される方法は、細胞を追加の医薬品と接触させることをさらに含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される組成物は、神経精神障害を治療するための1つ以上の追加の医薬品と併用するための組成物である。特定の実施形態において、本明細書に記載される組成物および1つ以上の追加の医薬品は、同時にまたは連続して対象に投与される。
【0162】
本明細書に開示される式[A][B]の塩または本明細書に提供されるその組成物のうちのいずれか1つは、経腸(例えば、経口)、非経口、静脈内、筋肉内、動脈内、髄内、髄腔内、皮下、脳室内、経内、皮中、皮下、皮内、直腸、膣内、腹腔内、局所(粉末、軟膏、クリーム、および/または滴による)を含む任意の経路によって投与され得る。具体的には、企図される経路は、経口投与、静脈内投与(例えば、全身静脈内注射)、血液および/もしくはリンパ供給を介した局所投与、ならびに/または患部への直接投与である。一般に、最も適切な投与経路は、薬剤の性質(例えば、胃腸管の環境におけるその安定性)、および/または対象の状態(例えば、対象が経口投与に耐えることができるかどうか)を含む様々な要因に依存するであろう。
【0163】
有効量を達成するために必要とされる本明細書に記載される式[A][B]の塩の正確な量は、例えば、対象の種、年齢、および一般的な健康状態、副作用または障害の重症度、特定の本明細書に記載される式[A][B]の塩の同一性、投与様式などに応じて対象ごとに異なる。有効量は、単一用量(例えば、単一経口用量)または複数用量(例えば、複数経口用量)に含まれ得る。特定の実施形態において、複数用量が対象に投与されるか、または生体試料、組織、もしくは細胞に適用される場合、複数用量の任意の2つの用量は、異なる量または実質的に同じ量の本明細書に記載される式[A][B]の塩を含む。特定の実施形態において、複数用量が対象に投与されるか、または生体試料、組織、もしくは細胞に適用される場合、複数用量を対象に投与するか、または複数用量を組織もしくは細胞に適用する頻度は、1日3用量、1日2用量、1日1用量、隔日1用量、3日に1用量、毎週1用量、隔週1用量、毎月1用量、または隔月1用量である。特定の実施形態において、対象に複数用量を投与するか、または組織もしくは細胞に複数用量を適用する頻度は、1日あたり1用量である。特定の実施形態において、対象に複数用量を投与するか、または組織もしくは細胞に複数用量を適用する頻度は、1日あたり2用量である。特定の実施形態において、複数用量が対象に投与されるか、または生体試料、組織、もしくは細胞に適用される場合、複数用量の最初の用量と最後の用量との間の期間は、1日、2日、4日、1週間、2週間、3週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、1年、2年、3年、4年、5年、7年、10年、15年、20年、または対象、生体試料、組織、もしくは細胞の寿命である。特定の実施形態において、複数用量の最初の用量と最後の用量との間の期間は、3ヶ月、6ヶ月、または1年である。特定の実施形態において、複数用量の最初の用量と最後の用量との間の期間は、対象、生体試料、組織、または細胞の寿命である。特定の実施形態において、本明細書に記載される用量(例えば、単一用量、または複数用量のうちのいずれかの用量)は、独立して、1mg~3mg、3mg~10mg、10mg~30mg、30mg~100mg、100mg~300mg、300mg~1,000mg、または1g~10g(両端を含む)の本明細書に記載される式[A][B]の塩を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される用量は、独立して、100mg~1500mg(両端を含む)の本明細書に記載されるc式[A][B]の塩を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される用量は、独立して、300mg~1000mg(両端を含む)の本明細書に記載される式[A][B]の塩を含む。
【0164】
本明細書に記載される用量範囲は、提供された薬学的組成物を成人に投与するためのガイダンスを提供する。例えば、子供または青年に投与される量は、開業医または当業者によって決定され得、そして成人に投与される量よりも少ないかまたは同じであり得る。
【0165】
本明細書に開示される式[A][B]の塩または本明細書に記載されるその組成物のうちのいずれか1つは、神経精神障害および/または細菌感染症(例えば、結核)を治療する、および/またはそのリスクを低減するのに有用な1つ以上の追加の医薬品(例えば、治療上および/または予防上活性な薬剤)と組み合わせて投与され得る。本明細書に開示される式[A][B]の塩またはその組成物のうちのいずれか1つは、それらの活性(例えば、神経精神障害および/または細菌感染症(例えば、結核)を治療する、および/またはそのリスクを低減することを必要とする対象において、それを行うことにおける活性(例えば、効力および/または有効性))を改善する、生物学的利用能を改善する、安全性を改善する、薬物耐性を低減する、代謝を低減および/または修飾する、排泄を阻害する、および/または対象、生体試料、組織、もしくは細胞における分布を修正する、追加の医薬品と組み合わせて投与され得る。用いられる療法が同じ障害に対して所望の効果を達成し得る、および/またはそれが異なる効果を達成し得ることもまた理解されよう。特定の実施形態において、本明細書に記載される式[A][B]の塩および追加の医薬品を含む本明細書に記載される薬学的組成物は、本明細書に記載される式[A][B]の塩および追加の医薬品を含む(ただし、両方ではない)を含む薬学的組成物には存在しない相乗効果を示す。
【0166】
本明細書に開示される式[A][B]の塩またはその組成物のうちのいずれか1つは、1つ以上の追加の医薬品と同時に、前に、または後に投与することができ、これは、例えば、対象における神経精神障害および/または細菌感染症(例えば、結核)を治療する、および/またはそのリスクを低減することにおいて、例えば併用療法として有用であり得る。医薬品には、治療上活性な薬剤が含まれる。医薬品には、予防上活性な薬剤も含まれる。医薬品には、小有機分子、例えば薬物化合物(例えば、連邦規則集(CFR)で提供されるアメリカ食品医薬品局によってヒトまたは獣医の使用が承認された化合物)、ペプチド、タンパク質、炭水化物、単糖類、オリゴ糖類、多糖類、核タンパク質、ムコタンパク質、リポタンパク質、合成ポリペプチドまたはタンパク質、抗体、タンパク質に結合した小分子、例えば抗体、糖タンパク質、ステロイド、核酸、DNA、RNA、ヌクレオチド、ヌクレオシド、オリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、脂質、ホルモン、ビタミン、および細胞が含まれる。特定の実施形態において、追加の医薬品は、対象における神経精神障害および/または細菌感染症(例えば、結核)を治療する、および/またはそのリスクを低減するのに有用な医薬品である。特定の実施形態において、追加の医薬品は、対象における神経精神障害および/または細菌感染症(例えば、結核)を治療する、および/またはそのリスクを低減するために規制当局(例えば、米国FDA)によって承認された医薬品である。追加の各医薬品は、その医薬品について決定された用量および/またはタイムスケジュールで投与することができる。追加の医薬品はまた、互いに一緒に、および/または本明細書に開示される式[A][B]の塩もしくは本明細書に記載されるその組成物のうちのいずれか1つと一緒に単一用量で投与され得るか、または異なる用量で別々に投与され得る。レジメンで用いる特定の組み合わせは、本明細書に記載される式[A][B]の塩と追加の医薬品(複数可)との適合性、ならびに/または達成されるべき所望の治療および/もしくは予防効果を考慮に入れる。一般に、追加の医薬品(複数可)を組み合わせて、それらが個々に利用されるレベルを超えないレベルで利用されることが期待される。いくつかの実施形態において、組み合わせて利用されるレベルは、個々に利用されるレベルよりも低いであろう。
【0167】
特定の実施形態において、追加の医薬品は、神経精神障害および/または細菌感染症(例えば、結核)を治療する、および/もしくはそのリスクを低減するための薬剤、またはそれらの組み合わせから選択される。特定の実施形態において、本明細書に開示される式[A][B]の塩または本明細書に記載されるその薬学的組成物のうちのいずれか1つは、神経精神障害および/または細菌感染症(例えば、結核)を治療する、および/またはそのリスクを低減するための療法と組み合わせて投与することができる。
【0168】
特定の実施形態において、追加の医薬品は、抗精神病薬、抗うつ薬、精神刺激薬、気分安定薬、抗不安薬、注意欠陥多動性障害(ADHD)を治療するための薬剤、またはアルツハイマー病(AD)を治療するための薬剤から選択される、神経精神障害を治療する、および/またはそのリスクを低減するための薬剤である。特定の実施形態において、追加の医薬品には、抗精神病薬、抗うつ薬、気分安定薬、抗不安薬、精神刺激薬、および結核を治療する薬剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0169】
例示的な抗精神病薬には、ブチロフェノン(例えば、ハロペリドール(HALDOL(商標))、フェノチアジン(例えば、クロルプロマジン(THORAZINE(商標))、フルフェナジン(PROLIXIN(商標))、ペルフェナジン(TRILAFON(商標))、プロクロルペラジン(COMPAZINE(商標))、チオリダジン)、(MELLARIL(商標))、トリフルオペラジン(STELAZINE(商標))、メソリダジン、プロマジン、トリフルプロマジン(VESPRIN(商標))、レボメプロマジン(NOZINAN(商標))、プロメタジン(PHENERGAN(商標))、チオキサンテン(例、クロルプロチキセン、フルペンチキソール(DEPIXOL(商標)、FLUANXOL(商標))チオチキセン(NAVANE(商標))、ズクロペンチキソール(CLOPIXOL(商標)、ACUPHASE(商標))、クロザピン(CLOZARIL(商標))、オランザピン(ZYPREXA(商標))、リスペリドン(RISPERDAL(商標)、RISPERDAL CONSTA(商標))、ケチアピン(SEROQUEL(商標))、ジプラシドン(GEODON(商標))、アミスルプリド(SOLIAN(商標))、アセナピン、パリペリドン(INVEGA(登録商標))、アリピプラゾール(ABILIFY(商標))、ドーパミン部分アゴニスト(BIFEPRUNOX(商標)、NORCLOZAPINE(商標)(ACP-104))、ラモトリジン(LAMICTAL(商標))、カンナビジオール、LY2140023、ドロペリドール、ピモジド、ブタペラジン、カルフェナジン、レモキシプリド、ピペラセタジン、スルピリド、アカンプロセート、テトラベナジン(NITOMAN(商標)、XENAZINE(商標))などが含まれるが、これらに限定されない。
【0170】
あるいは、第2の治療薬は、抗うつ薬および/または気分安定薬であり得る。特定の実施形態では、抗うつ薬は、モノアミンオキシダーゼ阻害薬(MAOI)、三環式抗うつ薬(TCA)、四環式抗うつ薬(TeCA)、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、ノルアドレナリン作動性および特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NASSA)、ノルエピネフリン(ノルアドレナリン)再取り込み阻害薬、ノルエピネフリン-ドーパミン再取り込み阻害薬、セロトニン-ノルエピネフリン-ドーパミン再取り込み阻害薬(SNDRI)、セロトニン-ノルエピネフリン再取り込み阻害薬(SNRI)、気分安定剤、および/またはモノアミンオキシダーゼ阻害薬(MAOI)を含む。例示的なSSRIには、フルオキセチン(PROZAC(商標))、パロキセチン(PAXIL(商標)、SEROXAT(商標))、エスシタロプラム(LEXAPRO(商標)、ESIPRAM(商標))、シタロプラム(CELEXA(商標))、セルトラリン(ZOLOFT(商標))、フルボキサミン(LUVOX(商標))が含まれる。例示的なSNRIには、ベンラファキシン(EFFEXOR(商標))、ミルナシプラン、およびデュロキセチン(CYMBALTA(商標))が含まれる。追加の抗うつ薬には、ノルアドレナリン作動性および特定のセロトニン作動性の抗うつ薬(NASSA)(例えば、ミルタザピン(AVANZA(商標)、ZISPIN(商標)、REMERON(商標))、またはミアンセリン、ノルエピネフリン(ノルアドレナリン)再取り込み阻害剤(NRI)(例えば、レボキセチン(EDRONAX(商標)))、ノルエピネフリン-ドーパミン再取り込み阻害剤(例、ブプロピオン(WELLBUTRIN(商標)、ZYBAN(商標)))、アミトリプチリン、ノルトリプチリン、プロトリプチリン、デシプラミン、イミプラミン、トリミプラミン、アモキサピン、ブプロピオン、ブプロピオンSR、クロミプラミン、ドキセピン、イソカルボキサジド、ベンラファキシンXR、トラニルシプロミン、トラゾドン、ネファゾドン、フェネルジン、ラマトロジン、リチウム、トピラメート、ガバペンチン、カルバマゼピン、オキサカルバゼピン、バルポレート、マプロチリン、ミルタザピン、ブロファロミン、ゲピロン、モクロベミド、イソニアジド、イプロニアジドなどが含まれる。
【0171】
いくつかの実施形態において、抗不安薬には、アタラックス、ベナドリル、アザスピロン、ベンゾジアゼピン、例えばロラゼパム、プラゼパム、フルラゼパム、クロナゼパム、クロルジアゼポキシド、ハラゼパム、テマゼパム、オキサゼパム、クロラゼパム、ジアゼパム、アルプラゾラム、β遮断薬、例えばプロプラノロール、アテノロール、および熟練者に理解されるであろう他の抗不安薬が含まれる。
【0172】
いくつかの実施形態では、第2の治療薬は、ADDおよび/またはADHDの治療のための薬剤であり得る。適切なADHD薬には、アンフェタミン、モダフィニル、デソキシン、メタンフェタミン、コカイン、アレコリン、デクスメチルフェニデート(フォカリン、フォカリンXR)、デキストロアンフェタミン(デキセドリン、デキセドリンスパンスル、デキストロアンフェタミンER、デキストロスタット)、メチルフェニデート(コンサータ、デイトラーナ、メタデートCD、メタデートER、メチリン、メチリンER、リタリン、リタリン-LA、リタリン-SR)、リスデキサンフェタミンジメシレート(Vyvanse)、混合塩アンフェタミン(Adderall、Adderall XR)、アトモキセチン(Strattera)、塩酸クロニジン(Catapres)、塩酸グアンファシン(Tenex)、アレコリン、およびペモリンが含まれるが、これらに限定されない。
【0173】
さらに、いくつかの実施形態では、第2の治療薬は、認知障害、および/または神経変性を特徴とする状態(例えば、アルツハイマー病、またはパーキンソン病)の治療に使用するための薬剤であり得る。そのような治療薬には、タクリン、リバスチグミン、ドネペジル(Aricept(商標))、フィゾスチグミン、ニコチン、アレコリン、フペルジンα、セレギリン、リルテック(商標)(リルゾール)、メマンチン(AXURA(商標)、AKATINOL(商標)、NAMENDA(商標)、EBIXA(商標)、ABIXA(商標))、ビタミンc、ビタミンe、カロテノイド、ginkgo bilobaなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0174】
特定の実施形態において、追加の医薬品は、イソニアジド、リファンピン、エタンブトール、ピラジンアミド、リファブチン、リファペンチン、カプレオマイシン、カナマイシン、アミカシン、ストレプトマイシン、フルオロキノロン抗生物質(例えば、レボフロキサシン、モキシフロキサシン、オフロキサシン、ガチフロキサシン)、プロチオナミド、パラアミノサリチル酸、エチオナミド、テリザドン、クロファジミン、クラリスロマイシン、リネゾリド、アモキシシリン-クラブラン酸塩、チアセタゾン、ベダキリン、デラマニド、カルバペンメム抗生物質(例えば、イミペネム、メロペネム、およびドリペネム)から選択される結核を治療する、および/またはそのリスクを低減するための薬剤である。
【0175】
特定の実施形態において、追加の医薬品は、5-ヒドロキシトリプトファン(5-HTP)、イデベノン、アマンタジン、フィゾスチグミン、L-カルニチンもしくは誘導体、トリメトプリム/スルファメトキサゾール、ビガバトリン、ホスファチジルコリン、アセタゾラミド、4-アミノピリジン、ブスピロン、またはコエンザイムQ10およびビタミンEの組み合わせのうちの1つ以上であり得る。
【0176】
特定の実施形態において、追加の医薬品は、N-アセチル-ロイシンである。
【0177】
さらなる詳細なしに、当業者が、上記の説明に基づいて、本発明を最大限に利用することができると考えられる。したがって、本明細書で提供される特定の実施形態は、単なる例示として解釈されるべきであり、いかなる方法であれ、本開示の残りの部分を限定するものではない。本明細書で引用されるすべての刊行物は、本明細書で参照される目的または主題のために参照により組み込まれる。
【実施例
【0178】
実施例1:D-サイクロセリンコハク酸塩(4:1)形態の調製
D-サイクロセリン(250mg)およびコハク酸(145mg)を2mLの脱イオン水に添加し、800rpmで室温で撹拌した。溶液を50mLのイソプロパノールに滴加し、800rpmで室温で10分間撹拌した。混合物を濾過し、真空中で乾燥させて、D-サイクロセリンコハク酸塩(4:1)の塩形態を得た(収量=315.4mg、79.8%)。そのようにして得られた塩を、本明細書に記載されるように、H核磁気共鳴(H-NMR)、X線粉末回折(XRPD)、ならびに熱分析(TGAおよびDSC分析を含む)によって分析した。
【0179】
H-NMR:H-NMR分析は、25℃でジメチルスルホキシドまたは重水素酸化物などの重水素化溶媒中、Bruker Fourier 400(Bruker)上で実施した。
【0180】
XRPD:X線粉末回折パターンは、D8 ADVANCE(Bruker AXS Gmbh、Germany)上で取得した。試料を、Cu Kα放射線を用いて40kVおよび40mAの回転ステージ上で0.02°のステップサイズで4~45°(2θ)から連続モードで走査した。入射ビーム経路には、0.2mmの発散スリットおよび0.02mmの空気散乱スクリーンが装備されていた。回折ビームには、Niフィルターが装備されていた。検出は、Lynxeye検出器(Bruker AXS)を用いて行った。
【0181】
熱重量分析(TGA):TGAデータは、35℃~400℃の間で10℃/分の加熱速度で白金るつぼを備えたTGA Q50(TA Instruments)によって測定した。
【0182】
示差走査熱量測定(DSC):塩の形態の融点は、示差走査熱量計(DSC)法を使用して決定した。DSCデータは、40℃~300℃の間で10℃/分の加熱速度でT-ゼロアルミニウム低質量パンを備えたDSC 25(TA Instruments)によって測定および収集した。
【0183】
D-サイクロセリン、コハク酸、および実施例1に記載される方法によって得られた塩のH-NMR XRPD、および熱分析の結果を図1~12に示す。
【0184】
実施例2:D-サイクロセリンL-酒石酸塩(1:1)の塩形態の調製
D-サイクロセリン(1000mg)およびL-酒石酸(1470mg)を、それぞれ10mLおよび2mLの脱イオン水に添加し、それぞれ800rpmで室温で撹拌した。それらが溶解したら、L-酒石酸溶液をD-サイクロセリン溶液に添加した。得られた溶液を200mLのイソプロパノールに滴加し、800rpmで室温で10分間撹拌した。混合物を濾過し、真空中で乾燥させて、D-サイクロセリンL-酒石酸塩(1:1)の塩形態を得た(収量=2047.9mg、82.91%)。
【0185】
L-酒石酸および上記の実施例2に記載される方法によって得られた塩のH-NMR XRPD、および熱分析の結果を図13~20に示す。
【0186】
実施例3:D-サイクロセリンマレイン酸塩(1:1)の塩形態の調製
D-サイクロセリン(1000mg)およびマレイン酸(1136.8mg)を8mLの脱イオン水に添加し、800rpmで室温で撹拌した。この溶液をエタノール中の70%エーテル200mLに滴加し、800rpmで室温で10分間撹拌した。混合物を濾過し、真空中で乾燥させて、D-サイクロセリンマレイン酸塩(1:1)の塩形態を得た(収量=1563.7mg、73.18%)。
【0187】
マレイン酸および上記の実施例3に記載される方法によって得られた塩のH-NMR、XRPD、および熱分析の結果を図21~28に示す。
【0188】
実施例4:D-サイクロセリンD-酒石酸塩(2:1)の塩形態の調製
D-サイクロセリン(1000mg)およびD-酒石酸(1470mg)を、別個に10mLおよび3mLの脱イオン水に添加し、それぞれ800rpmで室温で撹拌した。それらが溶解したら、D-酒石酸溶液をD-サイクロセリン溶液に添加し、10分間撹拌した。得られた溶液を200mLのイソプロパノールに滴加し、800rpmで室温で10分間撹拌した。混合物を濾過し、真空中で乾燥させて、D-サイクロセリンD-酒石酸塩(2:1)の塩形態を得た(収量=2047.9mg、82.91%)。
【0189】
D-酒石酸および上記の実施例4に記載される方法によって得られた塩のH-NMR XRPD、および熱分析の結果を図29~36に示す。
【0190】
実施例5:ストレス研究のための閉鎖系における40°C/75%相対湿度(RH)でのD-サイクロセリンおよびD-サイクロセリン塩
200mgのStrides Shasun Ltd.およびMacleods Pharmaceuticals Ltd.からのD-サイクロセリン、L-酒石酸、マレイン酸、D-酒石酸、D-サイクロセリンL-酒石酸塩(1:1)の塩形態、およびD-サイクロセリンマレイン酸塩(1:1)の塩形態、およびD-サイクロセリンD-酒石酸塩(2:1)の塩形態を個別に無色のガラス瓶に入れ、それぞれストレス研究のための閉鎖系内で(すなわち、瓶のキャップを閉じた状態で)40℃/75%RHで維持した。
【0191】
当初、外観の結果は、Macleods Pharmaceuticals Ltd.からののD-サイクロセリン、L-酒石酸、マレイン酸、D-酒石酸、D-サイクロセリンL-酒石酸塩(1:1)の塩形態、およびD-サイクロセリンマレイン酸塩(1:1)の塩形態、およびD-サイクロセリンD-酒石酸塩(2:1)の塩形態は、依然として微細な白色粉末として残ったが、Strides Shasun Ltd.からのD-サイクロセリンは、淡黄色の力であったことを示した。しかし、1ヶ月のストレス研究の後、Strides Shasun Ltd.およびMacleods Pharmaceuticals Ltd.からのD-サイクロセリンの両方が崩壊し、濃い黄色に変わった。
【0192】
60日間のストレス研究の後、Strides Shasun Ltd.およびMacleods Pharmaceuticals Ltd.からのD-サイクロセリン、L-酒石酸およびD-サイクロセリンL-酒石酸塩(1:1)の塩形態、ならびにMacleods Pharmaceuticals Ltd.およびStrides Shasun Ltd.からの新鮮なD-サイクロセリン(t=0日)は、図37に示すように、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって分析した。D-サイクロセリンL-酒石酸塩(1:1)の塩形態のみが、60日間のストレス研究後に安定している。
【0193】
さらに、30日間のストレス研究の後、Strides Shasun Ltd.およびMacleods Pharmaceuticals Ltd.からのD-サイクロセリン、マレイン酸、D-サイクロセリンマレイン酸塩(1:1)の塩形態、ならびにMacleods Pharmaceuticals Ltd.およびStrides Shasun Ltd.からの新鮮なD-サイクロセリン(t=0日)もまた、図38に示すように、HPLCによって分析した。D-サイクロセリンマレイン酸塩(1:1)の塩形態のみが、30日間のストレス研究後に安定している。
【0194】
Strides Shasun Ltd.およびMacleods Pharmaceuticals Ltd.からのD-サイクロセリン、D-酒石酸、D-サイクロセリンD-酒石酸塩(2:1)の塩形態、ならびにMacleods PharmaceuticalsおよびStrides Shasun Ltd.からの新鮮なD-サイクロセリン(t=0日)もまた、図39に示すように、HPLCによって分析した。D-酒石酸、D-サイクロセリンD-酒石酸塩(2:1)の塩形態のみが、安定している。
【0195】
実施例6:ストレス安定性研究のための開放系を用いた、室温/95%RHでのD-サイクロセリンおよびD-サイクロセリン塩形態の吸湿性試験
Strides Shasun Ltd.およびMacleods Pharmaceuticals Ltd.からの200mgのD-サイクロセリン、L-酒石酸、マレイン酸、D-酒石酸、D-サイクロセリンL-酒石酸塩(1:1)の塩形態、およびD-サイクロセリンマレイン酸塩(1:1)の塩形態、およびD-サイクロセリンD-酒石酸塩(2:1)の塩形態を各々無色のガラス瓶に入れ、ストレス研究のための開放系内で(すなわち、瓶のキャップを閉じた状態で)室温/95%RHで維持した。化合物を瓶とともに毎日計量した。結果は、(図40に示すように)Strides Shasun Ltd.およびMacleods Pharmaceuticals Ltd.からのD-サイクロセリンが、それぞれ、60日目に59.2%および62.5%を吸収し、(図41に示すように)それらが、それぞれ、30日目に41.9%および41.3%の水を吸収し、(図42に示すように)それらが、それぞれ、30日目に42.7%および43.3%の水を吸収したことを示した。L-酒石酸およびD-サイクロセリンL-酒石酸塩の塩形態は、(図40に示すように)それぞれ、60日目に244.6%および18.9%の水を吸収した。マレイン酸およびD-サイクロセリンマレイン酸塩の塩形態は、(図41に示すように)それぞれ、30日目に100.4%および1.3%の水を吸収した。D-酒石酸およびD-サイクロセリンD-酒石酸塩の塩形態は、(図42に示すように)それぞれ、30日目に177.0%および1.3%の水を吸収した。これは、D-サイクロセリンL-酒石酸塩(1:1)の塩形態、D-サイクロセリンマレイン酸塩(1:1)の塩形態、およびD-サイクロセリンD-酒石酸塩(2:1)の塩形態が、D-サイクロセリンおよびカルボン酸単独よりもはるかに吸湿性が低いことを示唆した。
【0196】
同等物および範囲
特許請求の範囲において、「a」、「an」、および「the」などの冠詞は、反対に示されない限り、または文脈から明らかでない限り、1つまたは2つ以上を意味し得る。グループの1つ以上のメンバー間に「または」を含む特許請求の範囲または説明は、グループメンバーのうちの1つ、2つ以上、もしくはすべては、反対に示されない限り、または文脈から明らかでない限り、所与の生成物もしくはプロセスに存在する、用いられる、またはそうでなければ関連する場合に満たされているとみなされる。本発明は、グループの正確に1つのメンバーが、所与の生成物もしくはプロセスに存在する、用いられる、またはそうでなければ関連する実施形態を含む。本発明は、2つ以上またはすべてのグループメンバーが、所与の生成物もしくはプロセスに存在する、用いられる、またはそうでなければ関連する実施形態を含む。
【0197】
さらに、本発明は、リストされた特許請求の範囲のうちの1つ以上からの1つ以上の制限、要素、節、および説明用語が別の特許請求の範囲に導入されるすべての変形、組み合わせ、および順列を包含する。例えば、別の特許請求の範囲に依存する任意の特許請求の範囲は、同じ基本の特許請求の範囲に依存する任意の他の特許請求の範囲に見られる1つ以上の制限を含めるように修正することができる。要素がリストとして提示される場合、例えばマーカッシュグループ形式では、要素の各サブグループも開示され、任意の要素(複数可)をグループから削除することができる。一般に、本発明または本発明の態様が特定の要素および/または特徴を含むと言及される場合、本発明の特定の実施形態または本発明の態様は、そのような要素および/もしくは特徴からなるか、または本質的になることを理解されたい。簡単にするために、これらの実施形態は、本明細書にこれらの言葉で具体的に記載されていない。「含む」および「含有する」という用語は、オープンであることを意図しており、追加の要素またはステップを含めることを可能にすることにも留意されたい。範囲が指定されている場合、エンドポイントが含まれる。さらに、反対に示されない限り、または文脈および当業者の理解から明らかでない限り、範囲として表される値は、文脈により別途明らかに指示されない限り、その範囲の下限の単位の10分の1まで、本発明の異なる実施形態における記載された範囲内の任意の特定の値またはサブ範囲を想定することができる。
【0198】
本出願は、様々な発行された特許、公開された特許出願、ジャーナル記事、および他の刊行物を指し、これらはすべて、参照により本明細書に組み込まれる。組み込まれた参考文献のうちのいずれかと本明細書との間に矛盾がある場合は、明細書が優先するものする。さらに、先行技術に該当する本発明の任意の特定の実施形態は、特許請求の範囲のうちのいずれか1つ以上から明示的に除外することができる。そのような実施形態は、当業者に知られているとみなされるため、除外が本明細書に明示的に記載されていなくても、それらは除外され得る。本発明の任意の特定の実施形態は、先行技術の存在に関連するかどうかにかかわらず、理由を問わず、任意の特許請求の範囲から除外することができる。
【0199】
当業者は、本明細書に記載される特定の実施形態と等価なものを日常的な実験だけで多く認識するか、または確認することができるであろう。本明細書に記載される本実施形態の範囲は、上記の説明に限定されることを意図するものではなく、添付の特許請求の範囲に記載される通りである。当業者は、以下の特許請求の範囲で定義されるように、本発明の趣旨または範囲から逸脱することなく、この説明に対する様々な変更および修正を行うことができることを理解するであろう。
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