(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-16
(45)【発行日】2024-08-26
(54)【発明の名称】連結具
(51)【国際特許分類】
E04B 1/348 20060101AFI20240819BHJP
F16B 21/02 20060101ALI20240819BHJP
F16B 21/04 20060101ALI20240819BHJP
B65D 88/12 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
E04B1/348 P
E04B1/348 U
F16B21/02 C
F16B21/04 H
E04B1/348 W
B65D88/12 A
(21)【出願番号】P 2022539894
(86)(22)【出願日】2020-07-30
(86)【国際出願番号】 JP2020029215
(87)【国際公開番号】W WO2022024290
(87)【国際公開日】2022-02-03
【審査請求日】2023-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】592161316
【氏名又は名称】ワゴー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100112900
【氏名又は名称】江間 路子
(74)【代理人】
【識別番号】100163164
【氏名又は名称】安藤 敏之
(72)【発明者】
【氏名】浅沼 清
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/157300(WO,A1)
【文献】特開2007-168875(JP,A)
【文献】特開2000-191083(JP,A)
【文献】特開平10-211845(JP,A)
【文献】特開2006-298298(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-613443(KR,B1)
【文献】韓国登録特許第10-1537106(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/348
F16B 21/02
F16B 21/04
B65D 88/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナに配設されるすみ金具と連結される連結具であって、
設置面に配されるベースプレートと、前記ベースプレートの前記設置面とは反対側に延びる周壁と、前記周壁の前記ベースプレートとは反対側に配設されるトッププレートと、を有するハウジングと、
前記トッププレートの前記周壁とは反対側に配設されるカラーと、
頭部と、軸部と、を有するコーンと、
前記軸部に配される、ハンドルと、ナット部材と、
を備え、
前記ハウジングは、前記ベースプレート、前記周壁、前記トッププレートで囲まれる領域が操作機構室とされ、
前記コーンの前記頭部は、前記カラーの前記トッププレートとは反対側に配され、
前記コーンの前記軸部は、前記カラーを挿通して前記操作機構室内に至るように配され、
前記操作機構室内において、前記軸部に前記ハンドルが、前記軸部の軸線方向に沿って移動可能、かつ、前記コーンを回動可能、さらに、前記トッププレートと当接可能、に配設され、
前記周壁は、前記操作機構室から前記ハンドルを露出させて操作可能とする開口部を有し、
前記開口部から前記ハンドルが突出して配され、
前記軸部の、前記頭部とは反対側、かつ、前記ハンドルより前記ベースプレート側には、前記ナット部材が螺合され、
前記ナット部材は、前記ハンドル及び前記コーンを締結可能とされ、
前記カラーは、前記頭部を配置可能な凹部を有し、前記凹部に前記頭部が配された状態で、前記頭部が前記すみ金具と係合し、前記ナット部材により締結されることで、前記すみ金具と連結されることを特徴とする連結具。
【請求項2】
平面視における、前記周壁の前記開口部の両端部が、前記ハンドルと当接可能とされていることを特徴とする請求項1記載の連結具。
【請求項3】
前記ナット部材の外周縁部には、軸線方向からみて等間隔に突部が配設されていることを特徴とする請求項1記載の連結具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナを建築物として利用するときに、コンテナどうし又はコンテナと基礎との連結を可能とする連結具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコンテナを居住空間として利用した建築物として特許文献1に記載されるものがあり、これによれば、板状フレームと、窓、出入口等を設けたコンテナを層状に重ねてなる少なくとも一階建て構造の建築物であって、コンテナとフレームは、コンテナの四隅の受け金具と、フレームに取り付けた、コンテナの受け金具と実質的に同じ形状の受け金具と、を止め金具で連結することによって、一体に固定されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の建築物では、コンテナの受け金具と、フレームの受け金具を重ね、互いに連通する穴に止め金具を挿入し、ついで、その軸回りに45度回して傘形突起を、コンテナの受け金具と、フレームの受け金具の穴の縁に掛止することとされていたので、止め金具の操作がしにくく作業性が悪いうえ、地震、台風等による振動で止め具が緩むおそれがあった。
【0005】
上記事情に鑑みて、コンテナを建築物として利用する場合であっても、作業性を向上させるとともに緩みを防止できる連結具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1記載の発明では、コンテナに配設されるすみ金具と連結される連結具であって、
設置面に配されるベースプレートと、前記ベースプレートの前記設置面とは反対側に延びる周壁と、前記周壁の前記ベースプレートとは反対側に配設されるトッププレートと、を有するハウジングと、
前記トッププレートの前記周壁とは反対側に配設されるカラーと、
頭部と、軸部と、を有するコーンと、
前記軸部に配される、ハンドルと、ナット部材と、
を備え、
前記ハウジングは、前記ベースプレート、前記周壁、前記トッププレートで囲まれる領域が操作機構室とされ、
前記コーンの前記頭部は、前記カラーの前記トッププレートとは反対側に配され、
前記コーンの前記軸部は、前記カラーを挿通して前記操作機構室内に至るように配され、
前記操作機構室内において、前記軸部に前記ハンドルが、前記軸部の軸線方向に沿って移動可能、かつ、前記コーンを回動可能、さらに、前記トッププレートと当接可能、に配設され、
前記周壁は、前記操作機構室から前記ハンドルを露出させて操作可能とする開口部を有し、
前記開口部から前記ハンドルが突出して配され、
前記軸部の、前記頭部とは反対側、かつ、前記ハンドルより前記ベースプレート側には、前記ナット部材が螺合され、
前記ナット部材は、前記ハンドル及び前記コーンを締結可能とされ、
前記カラーは、前記頭部を配置可能な凹部を有し、前記凹部に前記頭部が配された状態で、前記頭部が前記すみ金具と係合し、前記ナット部材により締結されることで、前記すみ金具と連結される。
【0007】
これによれば、開口部からハンドルを突出させて配することで、コンクリート基礎の上面に設置するような場合でも、操作をしやすくすることができる。また、ナット部材の操作でハンドル及びコーンを締結可能となるので、操作性の向上につながる。よって、コンテナを建築物として利用する場合であっても、作業性を向上させるとともに緩みを防止できる。
【0008】
また、平面視における、前記周壁の前記開口部の両端部が、前記ハンドルと当接可能とされている。
【0009】
これによれば、周壁の開口部の両端部を、ストッパとして機能させることができるので、コーンの回転させ過ぎによる操作ミスを防止することができる。
【0010】
また、前記ナット部材の外周縁部には、軸線方向からみて等間隔に突部が配設されている。
【0011】
これによれば、開口部から突部を、棒状の部材又は手で押圧することで、ナット部材を回動させることが可能となり、締結、締結解除の作業を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態の連結具の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の連結具の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の説明において、各図面に矢印が付される場合には、Fを前、Bを後ろ、Rを右、Lを左、Uを上、Dを下、とする。
【0014】
連結具10は、概略的には、
図1~3に示すように、ハウジング20と、カラー60と、コーン70と、ハンドル80と、ナット部材90と、を有している。本実施形態では、連結具10は、設置面としてのコンクリート基礎CFの上面に配され、
図2に示すように、建築物として使用されるコンテナ100の、すみ金具101の長孔状に形成された取付用穴102に進入して、コンテナ100と連結可能とするものである。
【0015】
ハウジング20は、
図1~3に示すように、ベースプレート30と、周壁40と、トッププレート50と、を有している。
【0016】
ベースプレート30は、金属製で、
図1~4に示すように、矩形平板状に形成され、平面視における、中央部に上下方向に円形に貫通する貫通孔31が配設されている。左右方向において、貫通孔31を挟んで上下方向に円形に貫通する取付孔32が二か所配設されている。
【0017】
ベースプレート30は、設置面としてのコンクリート基礎CFの上面に乗せられ、取付孔32にアンカーボルト35を挿通させてコンクリート基礎CFに打ち込み、ナット36で締結することで、コンクリート基礎CFに固定される。
【0018】
ベースプレート30の上面から、周壁40が立設されている。
【0019】
周壁40は、金属製で、
図1~3、5、6に示すように、円筒状のパイプを、軸線方向(上下方向)からみて、軸線を中心として、中心角が約107度となる円弧部分の壁を切り取ることで、開口部41が形成されている。詳説すると、開口部41は、後述するハンドル80の操作部83の回動方向における幅を考慮して、操作部83が90度回動するように形成されている。
【0020】
開口部41の周方向における端部42、43が、後述するハンドル80の移動を規制するストッパとして機能する。
【0021】
周壁40の上部に、トッププレート50が取り付けられている。トッププレート50は、金属製で、
図1~3、7に示すように、円盤状に形成され、平面視における、中央部に上下方向に円形に貫通する挿通孔51が配設されている。挿通孔51は、後述するコーン70の軸部72を挿通可能な直径に設定されている。
【0022】
本実施形態では、ハウジング20は、ベースプレート30、周壁40、トッププレート50、で囲まれる領域が、操作機構室21とされる。
【0023】
トッププレート50の上に、カラー60が取り付けられている。
【0024】
カラー60は、金属製で、
図1~3、8~10に示すように、左右方向に長い直方体状に形成され、上面から下面に向かうとともに、前後方向を開放させる有底溝として形成された凹部61を有している。カラー60には、凹部61の底面からカラー60の下面まで円形に貫通する挿通孔62が配設されている。
【0025】
凹部61には、後述するコーン70の頭部71が配置可能とされる。また、挿通孔62は、後述するコーン70の軸部72が挿通可能とされている。
【0026】
コーン70は、金属製で、
図1~3、11、12に示すように、頭部71と、軸部72と、を有している。
【0027】
頭部71は、上側が略四角錐台上に形成され、下側が略四角柱状に形成され、
図2に示すように、コンテナ100のすみ金具101の取付用穴102の周縁部103と係止可能とされている。また、コーン70は、平面視における、投影形状がカラー60と略同一に形成されている。
【0028】
軸部72は、円柱状で頭部71から下方に延びて形成され、カラー60の挿通孔62に挿通させて、操作機構室21内に至るように配置されている。軸部72の外周面の上下方向における中央上寄りの部位から下端まで、ねじが形成された螺合部73が配設されている。
【0029】
軸部72の螺合部73には、外周面側から軸線方向に向かう長尺な矩形状な有底溝として形成され、後述するハンドル80のキー部82が進入可能なキー溝74が、軸部72の軸線方向に沿って設けられている。キー溝74は、平面視において、頭部71の長手方向に対して約45度回転した位置に形成されている。
【0030】
ハンドル80は、金属製で、
図1~3、13に示すように、円環状に形成された取付部81と、角柱状に形成された操作部83と、を有している。
【0031】
取付部81の内周の操作部83との境界近傍には、内周面から中心に向かって角柱状に突出するキー部82が配設されている。キー部82は、キー溝74に進入可能とされるとともに、キー溝74内を摺動可能とされている。
【0032】
ナット部材90は、金属製で、
図1~3、14、15に示すように、円筒状に形成され内周面側がタップ加工されたナットを、外周面から内周面に向かう、断面略矩形状の有底溝を、等間隔に十二か所形成し、残った部分を突部91としている。突部91は、すみ金具101との連結時に、手又はタガネで押圧して、ナット部材90を回動させるものである。
【0033】
ハンドル80は、コーン70の軸部72の下端部から、キー部82をキー溝74に合わせて、進入させ、さらに、軸部72の螺合部73の下端部から、ナット部材90を螺合させることで、取り付けられる。
【0034】
連結具10の使用態様について説明する。
図1~3の状態においては、連結具10は、アンカーボルト35、ナット36により、コンクリート基礎CFに固定設置されている。そして、コーン70の頭部71と、カラー60の長手方向が揃った状態とされている。ナット部材90により、コーン70及びハンドル80が固定されている。ハンドル80は、端部42側に位置している。
【0035】
クレーン等でコンテナ100を吊り下げ移動させ、すみ金具101の取付用穴102に、コーン70の頭部71及びカラー60と、を進入させる。
【0036】
この状態から、ナット部材90の突部91をタガネで押圧して、ナット部材90を回転させ下側に移動させて、コーン70及びハンドル80の固定を解除する。すると、ハンドル80は、回動可能な状態となる。
【0037】
ハンドル80を手で持ち、端部43側に回動させる。それにともない、頭部71は回動する。周壁40の開口部41は、ハンドル80を端部43に当接するまで約90度回転することを許容されているので、頭部71も90度回転する。頭部71が90度程度回転すると、カラー60の凹部61内に進入する。頭部71が凹部61内に進入すると、若干下側に落ち、
図2の二点鎖線に示すように、すみ金具101の取付用穴102の周縁部103に乗る。
【0038】
頭部71が、周縁部103に乗ったら、ナット部材90の突部91を、タガネで先程とは反対側に押圧して、コーン70及びハンドル80を締結する。以上の作業により、コンテナ100が、連結具10により、コンクリート基礎CFに連結固定される。
【0039】
上記と逆の操作を行うことで、連結具10とコンテナ100との連結を解除することができる。
【0040】
上記構成の連結具10では、コンテナ100に配設されるすみ金具101と連結される連結具であって、
設置面としてのコンクリート基礎CFの上面に配されるベースプレート30と、ベースプレート30の設置面とは反対側に延びる周壁40と、周壁40のベースプレート30とは反対側に配設されるトッププレート50と、を有するハウジング20と、
トッププレート50の周壁40とは反対側に配設されるカラー60と、
頭部71と、軸部72と、を有するコーン70と、
軸部72に配される、ハンドル80と、ナット部材90と、
を備え、
ハウジング20は、ベースプレート30、周壁40、トッププレート50で囲まれる領域が操作機構室21とされ、
コーン70の頭部71は、カラー60のトッププレート50とは反対側に配され、
コーン70の軸部72は、カラー60を挿通して操作機構室21内に至るように配され、
操作機構室21内において、軸部72にハンドル80が、軸部72の軸線方向に沿って移動可能、かつ、コーン70を回動可能、さらに、トッププレート50と当接可能、に配設され、
周壁40は、操作機構室21からハンドル80を露出させて操作可能とする開口部41を有し、
開口部41からハンドル80が突出して配され、
軸部72の、頭部71とは反対側、かつ、ハンドル80よりベースプレート30側には、ナット部材90が螺合され、
ナット部材90は、ハンドル80及びコーン70を締結可能とされ、
カラー60は、頭部71を配置可能な凹部61を有し、凹部61に頭部71が配された状態で、頭部71がすみ金具101と係合し、ナット部材90により締結されることで、すみ金具101と連結される。
【0041】
これによれば、開口部41からハンドル80を突出させて配することで、コンクリート基礎CFの上面に設置するような場合でも、操作をしやすくすることができる。また、ナット部材90の操作でハンドル80及びコーン70を締結可能となるので、操作性の向上につながる。よって、コンテナ100を建築物として利用する場合であっても、作業性を向上させるとともに緩みを防止できる。
【0042】
また、平面視における、周壁40の開口部41の周方向における端部42、43が、ハンドル80と当接可能とされている。
【0043】
これによれば、周壁40の開口部41の周方向における端部42、43を、ストッパとして機能させることができるので、コーン70の回転させ過ぎによる操作ミスを防止することができる。
【0044】
また、ナット部材90の外周縁部には、軸線方向からみて等間隔に突部91が配設されている。
【0045】
これによれば、開口部41から突部91を、棒状の部材又は手で押圧することで、ナット部材90を回動させることが可能となり、締結、締結解除の作業を容易にすることができる。
【0046】
本発明の連結具10は上記構成に限定されるものではない。即ち、本発明の要旨を逸脱しない限り各種の設計変更等が可能である。
【0047】
例えば、上記の実施形態では、コンクリート基礎CFとコンテナ100を連結させていたが、コンテナ100どうしを連結固定することも可能である。この場合、連結具10を、コンテナ100の上面又は下面を設置面として、配置することになる。
【符号の説明】
【0048】
10 連結具
20 ハウジング
21 操作機構室
30 ベースプレート
40 周壁
41 開口部
42 端部
43 端部
50 トッププレート
60 カラー
61 凹部
70 コーン
71 頭部
72 軸部
80 ハンドル
90 ナット部材
91 突部
100 コンテナ
101 すみ金具
CF コンクリート基礎