(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-16
(45)【発行日】2024-08-26
(54)【発明の名称】自動体外式除細動器設置位置案内方法、消防指令システムおよび消防指令装置
(51)【国際特許分類】
G08B 25/04 20060101AFI20240819BHJP
H04M 11/04 20060101ALI20240819BHJP
G08G 1/005 20060101ALI20240819BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20240819BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
G08B25/04 K
H04M11/04
G08G1/005
H04M11/00 302
G01C21/26 P
(21)【出願番号】P 2023015290
(22)【出願日】2023-02-03
【審査請求日】2024-05-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】598127321
【氏名又は名称】株式会社ドーン
(74)【代理人】
【識別番号】100092956
【氏名又は名称】古谷 栄男
(74)【代理人】
【識別番号】100101018
【氏名又は名称】松下 正
(72)【発明者】
【氏名】品川 真尚
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2022-500731(JP,A)
【文献】特開2016-076090(JP,A)
【文献】特開2003-216742(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0381307(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2022/0359064(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第116074761(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 21/00-31/00
G01C 21/26
H04M 11/04
G08G 1/005
H04M 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通報者の携帯端末から119番通報を受け取る消防指令装置と、電話およびデータ通信が可能な携帯端末であり、前記消防指令装置に119番通報を行う第1の携帯端末と、前記第1の携帯端末の近くに位置し、前記第1の携帯端末の操作者とは異なる操作者が操作する携帯端末であって、他の携帯端末の表示画面に表示される画像化コードを読み取って、前記画像化コードが表す情報を表示可能な第2の携帯端末と、自動体外式除細動器設置位置を記憶する自動体外式除細動器設置位置記憶装置とを備えた消防指令システムにおける自動体外式除細動器設置位置案内方法であって、
前記第1の携帯端末より119番通報がなされると、前記消防指令装置は、前記第1の携帯端末とデータ通信路を確立するとともに、前記第1の携帯端末に動画データを送信させ、操作者からの救護活動の指示を前記通報者に送信し、
前記消防指令装置は、前記自動体外式除細動器設置位置記憶装置から自動体外式除細動器設置位置データを受け取って自動体外式除細動器の設置位置アクセス情報を生成するとともに、この設置位置アクセス情報を画像化コードに変換して、この画像化コードを前記第1の携帯端末に送信し、
前記第1の携帯端末は前記消防指令装置から受け取った画像化コードを表示し、
前記第2の携帯端末は、前記第1の携帯端末に表示された画像化コードを読み取って、前記設置位置アクセス情報を取得して、前記第2の携帯端末の操作者を引き取り対象の自動体外式除細動器の設置位置まで案内すること、
を特徴とする消防指令システムにおける自動体外式除細動器設置位置案内方法。
【請求項2】
通報者の携帯端末から119番通報を受け取ると、当該携帯端末とデータ通信路を確立して、当該携帯端末から動画データを送信させ、前記通報者に救護活動の指示を与える消防指令装置、
電話およびデータ通信が可能な携帯端末であり、前記消防指令装置に119番通報を行うとともに、前記動画データを送信する第1の携帯端末、
前記第1の携帯端末の近くに位置し、前記通報者とは別の操作者が操作する第2の携帯端末、
自動体外式除細動器設置位置を記憶する自動体外式除細動器設置位置記憶装置、
を備えた消防指令システムであって、
前記第2の携帯端末は、前記第1の携帯端末の表示画面に表示される画像化コードを読み取って、前記画像化コードで示される情報を表示可能であり、
前記消防指令装置は、その操作者から、前記救護活動として自動体外式除細動器の使用要請を受け取ると、前記自動体外式除細動器設置位置記憶装置から自動体外式除細動器の設置位置データを受け取って設置位置アクセス情報を生成するとともに、この設置位置アクセス情報を画像化コードに変換して、この画像化コードを前記第1の携帯端末に送信し、
前記第1の携帯端末は、前記消防指令装置から受け取った画像化コードを表示し、
前記第2の携帯端末は、前記第1の携帯端末に表示された画像化コードを読み取って、前記設置位置アクセス情報を取得すること、
を特徴とする消防指令システム。
【請求項3】
119番通報を受け取って、通報者との電話音声通信を行う電話通信手段、
第1の携帯端末とデータ通信路を確立する通信路確保手段、
前記第1の携帯端末に対して、撮像した救命現場の動画データを送信させる要求を行う送信要求手段、
を備えており、操作者が前記動画データを参照して、前記通報者に救護活動の指示を伝えることができる消防指令装置であって、さらに、
自動体外式除細動器設置位置記憶装置から自動体外式除細動器設置位置データを受け取って、自動体外式除細動器設置位置アクセス情報を生成する生成手段、
前記自動体外式除細動器設置位置アクセス情報を画像化コードに変換する画像化コード変換手段、
前記画像化コードを、前記第1の携帯端末とは異なる第2の携帯端末が読み取り可能とするために、前記第1の携帯端末の表示部に表示させるように前記第1の携帯端末に送信する送信手段、
を備えた消防指令装置。
【請求項4】
請求項3の消防指令装置において、
前記第1の携帯端末の位置データを取得する位置データ取得手段を備え、
前記生成手段は、前記設置位置アクセス情報として、前記位置データに基づいて決定した自動体外式除細動器設置位置への案内データを生成すること、
を特徴とする消防指令装置。
【請求項5】
請求項4の消防指令装置において、
前記自動体外式除細動器設置位置への案内データは、前記位置データに基づいて決定した自動体外式除細動器設置位置および、前記第1の携帯端末の位置を地図データ提供サーバに提供して得られた地図データを含むこと、
を特徴とする消防指令装置。
【請求項6】
請求項5の消防指令装置において、
前記地図データは、前記位置データから前記自動体外式除細動器設置位置への案内地図データおよび、前記自動体外式除細動器設置位置から前記位置データへの案内地図データを含むこと、
を特徴とする消防指令装置。
【請求項7】
コンピュータを,通報者の携帯端末である第1の携帯端末から119番通報を受け取ると、当該携帯端末とデータ通信路を確立して、当該第1の携帯端末から動画データを送信させ、操作者が前記動画データを参照して、前記通報者に救護活動の指示を伝える消防指令装置として機能させるプログラムであって、前記消防指令装置は、以下の手段を備えていること、
自動体外式除細動器設置位置記憶装置から自動体外式除細動器設置位置データを受け取って、自動体外式除細動器設置位置アクセス情報を生成する生成手段、
前記自動体外式除細動器設置位置アクセス情報を画像化コードに変換する画像化コード変換手段、
前記画像化コードを、前記第1の携帯端末とは異なる第2の携帯端末が読み取り可能とするために、前記第1の携帯端末の表示部に表示させるように前記第1の携帯端末に送信する送信手段。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、消防指令システムに関し、特に、救命現場におけるAED引き取り案内に関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1には、救命現場において、通報者のスマートフォンを使い、救急現場などの映像を消防指令センタに送信して、管制員が映像を活用した応急手当を口頭指導する仕組みが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】東京消防庁,“Live119を活用した口頭指導の流れ”,[online],東京消防庁ウェブサイト,[令和5年1月26日検索],インターネット<URL:https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/topics/119/data/live119/live119_data01.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記映像を活用した口頭指導する仕組みにおいては、以下のような問題があった。
【0005】
たとえば、管制員が、救護対象者の様子から心臓マッサージが必要と判断した場合、通報者にはかかる応急手当を依頼する。そして、かかる心臓マッサージでは不十分な場合、管制員はAEDの利用を前記通報者に要請する。ここで、通報者は心臓マッサージをそのまま続ける必要がある。そのため、通報者は近くにいる人(以下、協力者という)にAEDの引き取り要請を行うこととなる。この場合、管制員は、この協力者にAEDの設置位置を知らせなければならない。
【0006】
その手法として、通報者の携帯端末に、AED設置位置までの案内地図データを送って、協力者がかかる携帯端末を持って、AEDを引き取りに行かせることも考えられる。
【0007】
しかし、かかるやり方では、救命現場からの動画配信ができなくなるだけでなく、前記通報者が躊躇することも考えられる。なぜなら、当該協力者が通報者の携帯端末をそのまま持ち去るおそれがあるからである。
【0008】
この発明は、上記の問題点を解決して、通報者以外の第三者が簡易、かつ安全に、自動体外式除細動器の引き取りができる消防指令システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明にかかる自動体外式除細動器設置位置案内方法は、通報者の携帯端末から119番通報を受け取る消防指令装置と、電話およびデータ通信が可能な携帯端末であり、前記消防指令装置に119番通報を行う第1の携帯端末と、前記第1の携帯端末の近くに位置し、前記第1の携帯端末の操作者とは異なる操作者が操作する携帯端末であって、他の携帯端末の表示画面に表示される画像化コードを読み取って、前記画像化コードが表す情報を表示可能な第2の携帯端末と、自動体外式除細動器設置位置を記憶する自動体外式除細動器設置位置記憶装置とを備えた消防指令システムにおける自動体外式除細動器設置位置案内方法であって、前記第1の携帯端末より119番通報がなされると、前記消防指令装置は、前記第1の携帯端末とデータ通信路を確立するとともに、前記第1の携帯端末に動画データを送信させ、操作者からの救護活動の指示を前記通報者に送信し、前記消防指令装置は、前記自動体外式除細動器設置位置記憶装置から自動体外式除細動器設置位置データを受け取って自動体外式除細動器の設置位置アクセス情報を生成するとともに、この設置位置アクセス情報を画像化コードに変換して、この画像化コードを前記第1の携帯端末に送信し、前記第1の携帯端末は前記消防指令装置から受け取った画像化コードを表示し、前記第2の携帯端末は、前記第1の携帯端末に表示された画像化コードを読み取って、前記設置位置アクセス情報を取得して、前記第2の携帯端末の操作者を引き取り対象の自動体外式除細動器の設置位置まで案内する。
【0010】
したがって、前記第1の携帯端末の操作者による救護活動を途切らすことなく、前記第2の携帯端末の操作者に前記自動体外式除細動器設置位置アクセス情報を伝達することができる。これにより、前記通報者以外の第三者が簡易、かつ安全に、自動体外式除細動器の引き取りができる。
【0011】
(2)本発明にかかる消防指令システムは、通報者の携帯端末から119番通報を受け取ると、当該携帯端末とデータ通信路を確立して、当該携帯端末から動画データを送信させ、前記通報者に救護活動の指示を与える消防指令装置、電話およびデータ通信が可能な携帯端末であり、前記消防指令装置に119番通報を行うとともに、前記動画データを送信する第1の携帯端末、前記第1の携帯端末の近くに位置し、前記通報者とは別の操作者が操作する第2の携帯端末、自動体外式除細動器設置位置を記憶する自動体外式除細動器設置位置記憶装置、を備え、前記第2の携帯端末は、前記第1の携帯端末の表示画面に表示される画像化コードを読み取って、前記画像化コードで示される情報を表示可能であり、前記消防指令装置は、その操作者から、前記救護活動として自動体外式除細動器の使用要請を受け取ると、前記自動体外式除細動器設置位置記憶装置から自動体外式除細動器の設置位置データを受け取って設置位置アクセス情報を生成するとともに、この設置位置アクセス情報を画像化コードに変換して、この画像化コードを前記第1の携帯端末に送信し、前記第1の携帯端末は、前記消防指令装置から受け取った画像化コードを表示し、前記第2の携帯端末は、前記第1の携帯端末に表示された画像化コードを読み取って、前記設置位置アクセス情報を取得する。
【0012】
したがって、前記第1の携帯端末の操作者による救護活動を途切らすことなく、前記第2の携帯端末の操作者に前記自動体外式除細動器設置位置アクセス情報を伝達することができる。これにより、前記通報者以外の第三者が簡易、かつ安全に、自動体外式除細動器の引き取りができる。
【0013】
(3)本発明にかかる消防指令装置は、119番通報を受け取って、通報者との電話音声通信を行う電話通信手段、第1の携帯端末とデータ通信路を確立する通信路確保手段、前記第1の携帯端末に対して、撮像した救命現場の動画データを送信させる要求を行う送信要求手段、を備えており、操作者が前記動画データを参照して、前記通報者に救護活動の指示を伝えることができる消防指令装置であって、さらに、自動体外式除細動器設置位置記憶装置から自動体外式除細動器設置位置データを受け取って、自動体外式除細動器設置位置アクセス情報を生成する生成手段、前記自動体外式除細動器設置位置アクセス情報を画像化コードに変換する画像化コード変換手段、前記画像化コードを、前記第1の携帯端末とは異なる第2の携帯端末が読み取り可能とするために、前記第1の携帯端末の表示部に表示させるように前記第1の携帯端末に送信する送信手段を備えている。
【0014】
したがって、前記第1の携帯端末の操作者による救護活動を途切らすことなく、前記第2の携帯端末の操作者に前記自動体外式除細動器設置位置アクセス情報を伝達することができる。これにより、前記通報者以外の第三者が簡易、かつ安全に、自動体外式除細動器の引き取りができる。
【0015】
(4)本発明にかかる消防指令装置においては、前記第1の携帯端末の位置データを取得する位置データ取得手段を備え、前記生成手段は、前記設置位置アクセス情報として、前記位置データに基づいて決定した自動体外式除細動器設置位置への案内データを生成する。したがって、より簡易に、自動体外式除細動器の引き取りを可能とすることができる。
【0016】
(5)本発明にかかる消防指令装置においては、前記自動体外式除細動器設置位置への案内データは、前記位置データに基づいて決定した自動体外式除細動器設置位置および、前記第1の携帯端末の位置を地図データ提供サーバに提供して得られた地図データを含む。したがって、地図を参照しつつ、自動体外式除細動器設置位置へ案内が可能となる。
【0017】
(6)本発明にかかる消防指令装置においては、前記地図データは、前記位置データから前記自動体外式除細動器設置位置への案内地図データおよび、前記自動体外式除細動器設置位置から前記位置データへの案内地図データを含む。したがって、前記自動体外式除細動器設置位置から救命現場まで確実に戻ることができる。
【0018】
(7)本発明にかかるプログラムは、コンピュータを,通報者の携帯端末である第1の携帯端末から119番通報を受け取ると、当該携帯端末とデータ通信路を確立して、当該第1の携帯端末から動画データを送信させ、操作者が前記動画データを参照して、前記通報者に救護活動の指示を伝える消防指令装置として機能させるプログラムであって、前記消防指令装置は、以下の手段を備えている。自動体外式除細動器設置位置記憶装置から自動体外式除細動器設置位置データを受け取って、自動体外式除細動器設置位置アクセス情報を生成する生成手段、前記自動体外式除細動器設置位置アクセス情報を画像化コードに変換する画像化コード変換手段、前記画像化コードを、前記第1の携帯端末とは異なる第2の携帯端末が読み取り可能とするために、前記第1の携帯端末の表示部に表示させるように前記第1の携帯端末に送信する送信手段。
【0019】
したがって、前記第1の携帯端末の操作者による救護活動を途切らすことなく、前記第2の携帯端末の操作者に前記自動体外式除細動器設置位置アクセス情報を伝達することができる。これにより、前記通報者以外の第三者が簡易、かつ安全に、自動体外式除細動器の引き取りができる。
【0020】
本明細書において用いた用語について以下、説明する。
【0021】
「第1の携帯端末」および「第2の携帯端末」とは実施形態では、それぞれ、通報者の携帯端末である携帯端末200、通報者とは別の操作者が操作する携帯端末である携帯端末300が該当する。
【0022】
「自動体外式除細動器の設置位置アクセス情報」とは、「案内データ」である場合と「案内データ」ではない場合のいずれをも含む。「案内データ」とは、「地図データではない案内データ」および「案内地図データ」を含む。「地図データではない案内データ」とはたとえば、住所、ビル名、またはビルの外観の写真などがある。「案内地図データ」とは、AED設置位置管理サーバ自体が地図データを有している場合と、別途地図サーバにアクセスして、地図データを生成する場合がある。前者は、現在位置が分かれば、それを中心とした地図を候補設置位置とともに表示する。後者は、2点の位置を含む地図データ取得要請があると、その範囲の地図データを生成する。双方とも、さらに案内経路を提供してもよい。
【0023】
また、前記案内データにおける救命現場位置データの取得方法としては、119番通報時に消防指令装置が取得している場合、第1の携帯端末の位置データを取得する場合、または、第2の携帯端末の位置データを取得する場合のいずれをも含まれる。
【0024】
「画像化コード」とは、情報が画像化されており、読み取り機器で読み取られることにより、読み取り機器に前記情報を受け渡せる画像データをいい、実施形態では、2次元コードが該当する。なお、2次元に限定されず、3次元などの多次元コードであってもよく、また、読み取り可能であれば、画像データ中に埋め込んだものも含む。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】消防指令システム1の全体構成を示す図である。
【
図2】消防指令装置100を、CPUを用いて実現したハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】携帯端末200のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】AED設置位置管理サーバ400に記憶されたAED設置位置データのデータ構造を示す図である。
【
図5】消防指令システム1における各装置間でのデータのやりとりを説明する図である。
【
図6】携帯端末300に表示される案内地図データの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明における実施形態について、図面を参照して説明する。
【0027】
(1. 全体構成)
図1に、本発明の1実施形態にかかる消防指令システム1の全体構成を示す。 消防指令システム1は、消防指令装置100、携帯端末200、携帯端末300、自動体外式除細動器設置位置管理サーバ400、および地図サーバ500を備えている。
【0028】
携帯端末200は、少なくとも、電話通信手段201、動画配信手段203、表示手段205、および位置検出手段207を備えている。電話通信手段201は119番通報が可能である。動画配信手段203は、カメラ部(図示せず)を含んでおり、かかるカメラ部で撮像する動画を配信する。表示手段205は後述する画像化コードを受信すると、これを表示する。位置検出手段207は、GNSS(Global Navigation Satellite System)により、現在位置データを検出する。
【0029】
携帯端末300は、携帯端末200の近くに位置する携帯端末であり、少なくとも、ウエブブラウジング手段301、読み取り手段303、および表示手段305を備えている。ウエブブラウジング手段301は、一般的なウエブブラウザプログラムを含み、アクセスするURLが入力されると、かかるURLにアクセスして、結果を表示手段305に表示する。また、読み取り手段303は、2次元コードを読み取って、結果をウェブブラウジング手段301に与える。
【0030】
自動体外式除細動器設置位置管理サーバ400は、設置位置データ記憶手段401に設置位置データを記憶しており、かかる位置データの取得要請を受けると、これを提供する。
【0031】
地図サーバ500は、地図データを記憶する地図データ記憶手段501、および地図データ生成要請があると、地図データ記憶手段501から地図データを読みだして、地図データを特定するとともに、特定した地図データにアクセスするための特定情報を返信する地図データ特定手段503を備えている。
【0032】
消防指令装置100は、電話通信手段101、データ通信手段103、送信要求手段105、生成手段107、画像化コード変換手段109、画像化コード送信手段111、および位置データ取得手段113を備えている。電話通信手段101は、119番通報を受け取って、通報者との電話音声通信を行う。データ通信手段103は第1の携帯端末とデータ通信路を確立して、データ通信を行う。送信要求手段105は前記第1の携帯端末で撮像した救命現場の動画データを送信させる要求を行う。アクセス情報生成手段107は、自動体外式除細動器設置位置記憶装置から自動体外式除細動器設置位置データを受け取って、自動体外式除細動器設置位置アクセス情報を生成する。
【0033】
画像化コード変換手段109は、前記自動体外式除細動器設置位置アクセス情報を画像化コードに変換する。画像化コード送信手段111は、前記画像化コードを、前記第1の携帯端末とは異なる第2の携帯端末が読み取り可能とするために、前記第1の携帯端末の表示部に表示させるように前記第1の携帯端末に送信する。位置データ取得手段113は、前記第1の携帯端末の位置データを取得する。
【0034】
なお、生成手段107は、前記設置位置アクセス情報として、前記位置データに基づいて決定した自動体外式除細動器設置位置への案内データまたは、前記自動体外式除細動器設置位置および、前記第1の携帯端末の位置を含む地図データを生成することもできる。
【0035】
また、前記案内データは、前記位置データから前記自動体外式除細動器設置位置への案内地図データおよび、前記自動体外式除細動器設置位置から前記位置データへの案内地図データを含めるようにしてもよい。
【0036】
以下、消防指令装置100から案内地図データを携帯端末300に表示させて、前記自動体外式除細動器設置位置へ案内する概要処理について説明する。
【0037】
携帯端末200の操作者である通報者は、電話通信手段201から119番通報を行う。消防指令装置100の電話通信手段101は、これを受電するとともに、必要な救急車の手配を行う。
【0038】
また、消防指令装置100の操作者(管制員)は、携帯端末200と通信路を確保する。本実施形態においては、119番通報時の電話番号にショートメッセージを利用した通信路を確保したがこれに限定されない。消防指令装置100の送信要求手段104は、携帯端末200の動画配信手段203に動画配信を要求する。動画配信手段203は救命現場の撮像動画を送信する。表示手段105は、かかる撮像動画を表示する。消防指令装置100の操作者(管制員)は、かかる撮像道が参照して、携帯端末200の操作者(通報者)に、救急車が到着するまでに可能な救急処置を通報者に指示することができる。
【0039】
消防指令装置100の操作者(管制員)は、自動体外式除細動器を用いた救命処理が必要と判断した場合、位置データ取得手段113から携帯端末200の位置検出手段207に位置データ取得要求を行う。位置検出手段207は、かかる位置データ取得要求を受けると、現在の位置データを消防指令装置100に送信する。消防指令装置100のアクセス情報生成手段107は、自動体外式除細動器設置位置管理サーバ400に、前記救命現場の位置データの近所で、かつ、現時刻において利用可能な自動体外式除細動器の設置位置の提供を要求する。これにより、消防指令装置100は、救命現場および、引き取り対象である自動体外式除細動器の位置を取得できる。アクセス情報生成手段107は、かかる2点の位置データを含む地図データの提供要求を、地図サーバ500に行う。
【0040】
地図サーバ500は、かかる要求に基づいて、地図データ記憶手段から地図データを特定し、前記2点の位置データを含む地図データを特定し、その案内地図データを格納したURLをアクセス情報生成手段107に送信する。かかる地図データは予め生成しておいても、その都度生成してもよい。
【0041】
これにより、消防指令装置100は、自動体外式除細動器設置位置アクセス情報としての地図案内データを取得する。
【0042】
画像化コード変換手段109は、かかる自動体外式除細動器設置位置アクセス情報を画像化コードに変換する。画像化コード送信手段111は、前記画像化コードを、携帯端末200に送信する。携帯端末200は受け取った画像化コードを表示手段205に表示する。かかる画像化コードは携帯端末300の読み取り手段303によって読み取られ、画像化コードに含まれるURLをウェブブラウジング手段301は与える。ウェブブラウジング手段301は、携帯端末300は、与えられたURLにアクセスする。これにより、携帯端末300は、地図サーバ500が特定した地図案内データを取得することができる。かかる地図案内データは表示手段305に表示される。
【0043】
携帯端末300の操作者は表示された案内地図データを参考にして、自動体外式除細動器の設置位置へ誘導される。これにより、携帯端末300の操作者は、自動体外式除細動器を引き取ってくることができる。
【0044】
このように、通報者が救命活動している場合で、かつ、自動体外式除細動器が必要となった場合であっても、消防指令装置100から、前記通報者の近くに存在する者に、自動体外式除細動器の引き取りを簡易に依頼することができ
(2. 消防指令装置100のハードウェア構成)
図1に示す消防指令装置100のハードウェア構成を、
図2を用いて説明する。同図は、消防指令装置100を、CPUを用いて構成したハードウェア構成の一例である。
【0045】
消防指令装置100は、CPU23、メモリ27、ハートディスク26、モニタ30、電話通信部32、データ通信部31、入力デバイス28,音声入出力部24、光学式ドライブ25、およびバスライン29を備えている。CPU23は、ハードディスク26に記憶された各プログラムにしたがいバスライン29を介して、各部を制御する。
【0046】
ハードディスク26は、オペレーティングシステムプログラム26o(以下OSと略す)、メインプログラム26pが記憶される。また、ハードディスク26は、データ記憶部26dを有する。
【0047】
メインプログラム26pの処理は、後述する。
【0048】
データ記憶部26dには、携帯端末200、自動体外式除細動器設置位置管理サーバ400、および地図サーバ500から受け取ったデータが一時記憶される。
【0049】
電話通信部32は、119番通報を受け取ると、音声入出力部24により、通報者との電話回線での音声通信を行う。データ通信部31は、前記通報者との間でデータ通信を行う。
【0050】
本実施形態においては、オペレーティングシステムプログラム(OS)26oとして、LINUX(登録商標または商標)を採用したが、これに限定されるものではない。
【0051】
なお、上記各プログラムは、光学式ドライブ25を介して、プログラムが記憶されたDVD-ROM25aから読み出されてハードディスク26にインストールされたものである。なお、DVD-ROM以外に、USBメモリ等のプログラムをコンピュータ可読の記録媒体から、ハードディスクにインストールさせるようにしてもよい。さらに、通信回線を用いてダウンロードするようにしてもよい。
【0052】
本実施形態においては、プログラムをDVD-ROMからハードディスク26にインストールさせることにより、DVD-ROMに記憶させたプログラムを間接的にコンピュータに実行させるようにしている。しかし、これに限定されることなく、DVD-ROMに記憶させたプログラムを光学式ドライブ25から直接的に実行するようにしてもよい。なお、コンピュータによって、実行可能なプログラムとしては、そのままインストールするだけで直接実行可能なものはもちろん、一旦他の形態等に変換が必要なもの(例えば、データ圧縮されているものを、解凍する等)、さらには、他のモジュール部分と組合して実行可能なものも含む。
【0053】
(3.携帯端末200のハードウェア構成)
図1に示す携帯端末200のハードウェア構成を、
図3を用いて説明する。同図は、携帯端末200を、CPUを用いて構成したハードウェア構成の一例である。
【0054】
携帯端末200は、一般的なスマートフォンの構成であり、CPU123、メモリ127、フラッシュメモリ126、表示部130、通信部128、操作部125、音声入出力部124、位置情報検出部122、カメラ部121、およびバスライン129を備えている。
【0055】
位置情報検出部122は、GNNS(Global Navigation Satellite System)により位置情報を検出するモジュールである。
【0056】
CPU123は、フラッシュメモリ126に記憶された各プログラムにしたがいバスライン129を介して、各部を制御する。
【0057】
フラッシュメモリ126は、オペレーティングシステムプログラム126o(以下OSと略す)、メインプログラム126mを有する。本実施形態においては、OSとしてAndroidOS(商標)を採用した。
【0058】
メインプログラム126mは、カメラ部121で撮像したデータを動画データとして、通信部128から送信する。また、通信部128が受信したデータが表示対象のデータである場合、表示部130に表示する。
【0059】
携帯端末300のハードウェア構成は携帯端末200と同様である。なお、携帯端末300のメインプログラムは、カメラ部にて画像化コードを読み取って、かかる画像化コードで特定されたデータにアクセス可能である。
【0060】
(4.自動体外式除細動器設置位置管理サーバ400のハードウェア構成)
自動体外式除細動器設置位置管理サーバ400のハードウェア構成については、一般的なデータベースと同様である。記憶する自動体外式除細動器(以下AEDと略す)の設置位置データの一例を
図4に示す。本実施形態においては、名称、位置(絶対座標)、住所、利用可能時刻、詳細場所、利用不可日を記憶している。他の構成は一般的な構成なので説明は省略する。
【0061】
また、地図サーバ500についても、同様である。
【0062】
(5.AED設置位置案内処理)
図5にAED設置位置への案内処理フローチャートを示す。携帯端末200より、119番通報がなされると(ステップS1)、通報者と消防指令装置100の操作者は、電話による音声通信が可能となる。
【0063】
消防指令装置100は、データ通信路を確保するためのURLをショートメッセージで携帯端末200に送信する(ステップS2)。携帯端末200の操作者がかかるURLをクリックすると(ステップS3)、携帯端末200と消防指令装置100とは、データ通信が可能となる。
【0064】
消防指令装置100は、携帯端末200に位置データを要求する(ステップS4)。携帯端末200の操作者(通報者)がこれを承認すると、携帯端末200の位置データが消防指令装置100に送信される(ステップS5)。
【0065】
消防指令装置100から、携帯端末200に映像配信要求がなされ(ステップS6)、携帯端末200の操作者がこれを承認すると、映像データが消防指令装置100に送信される(ステップS7)。
【0066】
消防指令装置100の操作者(管制員)は、配信された動画を見て、AEDによる救命処置が必要と判断すると、AED設置位置取得指示を消防指令装置100に与える。これにより、消防指令装置100は、前記携帯端末200の位置データを、自動体外式除細動器設置位置管理サーバ400(以下AED設置位置管理サーバ400という)に与えて、当該携帯端末200の位置に近いAEDの設置位置データ(以下、引き取りAED位置データという)の提供を要求する(ステップS11)。AED設置位置管理サーバ400は、
図4に示すAED設置位置のうち、前記引き取りAED位置データとなるAED設置位置を、消防指令装置100に送信する(ステップS12)。
【0067】
なお、かかる特定は、AED位置データと、前記携帯端末200の位置から消防指令装置100が行うようにしてもよい。
【0068】
消防指令装置100は、引き取りAED位置位置データを受け取ると、これを携帯端末200の位置データとともに、地図サーバ500に送信して、かかる2点を含んだ地図データおよびその推奨経路データ(案内データ)を要求する(ステップS14)。
【0069】
地図サーバ500は、前記2点を含んだ地図データおよびその推奨経路データを生成し、そのデータが保存されたURLを消防指令装置100に送信する。(ステップS15)。
【0070】
消防指令装置100は、受け取ったURLを2次元コード化し(ステップS21)、この2次元コードを携帯端末200に送信する(ステップS22)。携帯端末200はこれを表示部130に表示し(ステップS23)、携帯端末300の操作者は、かかる2次元コードを携帯端末300で読み取る(ステップS24)。読み取った2次元コードにはURLが含まれているので、携帯端末300はかかるURLにアクセスする(ステップS27)。この場合、かかるURLには、地図サーバ500がステップS14に基づいて生成した地図データおよびその推奨経路データを含む案内地図データが記憶されているので、携帯端末300にはかかる案内地図データが送信され、携帯端末300の表示部に表示される(ステップS29)。
【0071】
表示された案内地図データの一例を
図6Aに示す。この図では救命現場から引き取り対象のAED1までの経路を含む案内地図データが表示されている。また、AED1の設置位置の詳細も合わせて表示されている。
【0072】
携帯端末300の操作者は、かかる案内地図データに基づいて、引き取り対象のAEDの設置位置まで移動する。AEDの設置位置に到着すると、AEDの設置位置から救命現場への案内地図データ(復路案内地図データ:
図6B参照)に切り替わる。このように往路および復路が表示されることにより、携帯端末300の操作者が、救命現場の地理に不慣れであっても確実にAEDを引きとって、救急現場まで戻ってくることができる。
【0073】
(6.他の実施形態)
本実施形態においては、AEDの設置位置アクセス情報として、地図案内データである場合について説明したが、地図データ以外の案内データであってもよい。すなわち、案内データとは、地図データではない案内データおよび案内地図データを含む。地図データではない案内データとは、たとえば、住所、ビル名、またはビルの外観の写真などがある。
【0074】
本実施形態においては、救命現場の位置データを携帯端末200から取得するようにしたが、消防指令は救急車の手配のために電話で救命現場の住所を把握しているので、それを用いてもよい。その場合、AEDの設置位置アクセス情報をAED設置位置管理サーバ400に要求する際には、救命現場の概要位置データとして採用し、地図サーバ500へ携帯端末300がアクセスしたタイミングで、携帯端末300の位置データを送信するように要求して、その位置データを用いて、案内地図データを地図サーバ500に生成させるようにしてもよい。このように、地図サーバ500に地図データを要求するタイミングでは、携帯端末200または携帯端末300の位置データを用いず、地図データだけ作成させ、案内の経路データは、地図サーバ500へ携帯端末300がアクセスしたタイミングで、携帯端末300の位置データを要求して、案内地図データに生成するようにしてもよい。
【0075】
また、本実施形態においては、AED設置位置管理サーバ400と地図サーバ500を別体の場合として説明したが、一体に形成してもよい。
【0076】
また、消防指令装置100、AED設置位置管理サーバ400または地図サーバ500の各手段の全部又は一部を、SAAS(Software as a Service)として提供することもできる。
【0077】
また、消防指令装置100を119番通報を受けて、通報とのやりとりを行う機能のみとして、他の処理、例えば、通報者の携帯端末にショートメッセージを送ったり、地図サーバ500へ要求したりする処理については、別途データセンターコンピュータを設けて、当該コンピュータに処理させるようにしてもよい。
【0078】
なお、
図6では1のAED設置位置を案内するようにしたが、複数候補を表示して、それを選択させるようにしてもよい。また、AED設置位置管理サーバ400は、利用可能日、利用時間帯などを考慮して、案内先のAED設置位置を消防指令装置100に伝えるようにしてもよい。かかる絞り込みは、消防指令装置100またはその操作者が行うようにしてもよい。
【0079】
上記実施形態においては、
図1に示す機能を実現するために、CPU23を用い、ソフトウェアによってこれを実現している。しかし、その一部もしくは全てを、ロジック回路などのハードウェアによって実現してもよい。なお、プログラムの一部の処理を、オペレーティングシステム(OS)にさせるようにしてもよい。