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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-16
(45)【発行日】2024-08-26
(54)【発明の名称】カーポート
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/02 20060101AFI20240819BHJP
   E04H 6/42 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
E04H6/02 C
E04H6/42 C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2024000624
(22)【出願日】2024-01-05
【審査請求日】2024-02-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513326761
【氏名又は名称】株式会社 FD
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 政司
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 哲清
(72)【発明者】
【氏名】内木 洋一
【審査官】櫻井 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-114045(JP,A)
【文献】実開昭49-046533(JP,U)
【文献】登録実用新案第3196781(JP,U)
【文献】特開2002-070355(JP,A)
【文献】実開昭59-136854(JP,U)
【文献】実公昭56-019643(JP,Y2)
【文献】特開平09-279874(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H6/00-6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
土地に定着するカーポートであって、
地面上に設けられた基礎と、
前記基礎から上方に延びる少なくとも一つの支柱と、
前記少なくとも一つの支柱によって支持されており、駐車スペースの少なくとも一部を上方から覆う屋根と、を備え、
前記基礎は、前記駐車スペース内へ延在しており、前記駐車スペース内に位置する側面が、駐車される自動車の車輪に当接する輪留めとして機能する、
カーポート。
【請求項2】
前記少なくとも一つの支柱に対して、前記屋根が前記駐車スペースに向けて延在する方向と、前記基礎が前記駐車スペースに向けて延在する方向とが一致している、請求項1に記載のカーポート。
【請求項3】
前記支柱の下端は、前記基礎内に位置している、請求項2に記載のカーポート。
【請求項4】
前記支柱の下端は、前記基礎内に配置された板材に固定されている、請求項3に記載のカーポート。
【請求項5】
前記板材を構成する材料は、前記基礎を構成する材料よりも、高い引張強度を有する、請求項4に記載のカーポート。
【請求項6】
前記地面はコンクリートであり、
前記支柱の下端は、前記基礎内で前記地面にコンクリート用のアンカーボルトで固定されている、請求項3に記載のカーポート。
【請求項7】
前記少なくとも一つの支柱は、互いに反対側から自動車が出入りする二つの駐車スペースの間に位置しており、
前記基礎は、前記二つの駐車スペースの各々に向けて両側へ延在しており、一方の駐車スペース内に位置する側面と、他方の駐車スペース内に位置する側面とのそれぞれが、駐車される自動車の車輪に当接する輪留めとして機能する、請求項1から6のいずれか一項に記載のカーポート。
【請求項8】
前記少なくとも一つの支柱は、第1方向に沿って配列された複数の支柱を含み、
前記複数の支柱は、前記第1方向に沿って配列されているとともに互いに反対側から自動車が出入りする二列の駐車スペースの間に位置しており、
前記基礎は、前記二列の駐車スペースの各々に向けて両側へ延在しており、一方の列の駐車スペース内に位置する側面と、他方の列の駐車スペース内に位置する側面とのそれぞれが、駐車される自動車の車輪に当接する輪留めとして機能する、請求項1から6のいずれか一項に記載のカーポート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、土地に定着して自動車の駐車スペースを覆うカーポートに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、カーポートが記載されている。このカーポートは、地面に立設された支柱と、支柱によって支持された屋根を備える。屋根は、駐車スペースの少なくとも一部を覆い、駐車スペースや駐車された自動車を雨滴や日光から保護する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-14764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カーポートの支柱は、地面に対して強固に固定される必要がある。そのため、従来のカーポートでは、支柱を支持する基礎を地中に埋設したり、地面に打ち込んだ杭に支柱を連結するといった構造が採用されている。しかしながら、これらの構造では、基礎を埋設するために地面を掘り起こしたり、地面に対して杭を深く打ち込む必要があり、その施行において比較的に大掛かりな重機や作業が必要とされる。
【0005】
上記を鑑み、本明細書は、施工が容易なカーポートを提供するための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書が開示する技術は、カーポートに具現化される。このカーポートは、地面上に設けられた基礎と、基礎から上方に延びる少なくとも一つの支柱と、少なくとも一つの支柱によって支持されており、駐車スペースの少なくとも一部を上方から覆う屋根とを備える。基礎は、駐車スペース内へ延在しており、駐車スペース内に位置する側面が、駐車される自動車の車輪に当接する輪留めとして機能する。
【0007】
上記した構成では、支柱を支持する基礎が、地中に埋設されておらず、地面上に設けられている。このような基礎は、例えば地面上に型枠を配置することで、容易に成形することできる。その一方で、基礎が地中に埋設されていないことから、支柱を安定して支持するためには、支柱の足として機能する基礎の面積を、比較的に大きくすることが必要となる。しかしながら、基礎の面積を大きくすると、基礎による占有面積が拡大し、それに加えて駐車スペースを確保しうとすると、駐車場全体として必要とされる面積の拡大を招いてしまう。
【0008】
この点に関して、上記した構成では、基礎を敢えて駐車スペース内へ延在させるとともに、その側面が輪留めとして機能するように構成されている。このような構成によると、基礎の専有面積と駐車スペースとを部分的にオーバラップさせることができ、支柱の足として機能する基礎の面積を十分に確保しつつ、駐車場全体として必要とされる面積の拡大を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例のカーポート10の側面図。
図2】実施例のカーポート10の平面図。
図3図1のIII-III線における断面図。
図4図3中のIV-IV線における断面図であって、基礎30の内部構造を示す断面図。
図5】基礎30の内部構造の変形例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本技術の一実施形態では、少なくとも一つの支柱に対して、屋根が駐車スペースに向けて延在する方向と、基礎が駐車スペースに向けて延在する方向とが一致してもよい。このような構成によると、屋根の重量によって傾倒しようとする支柱を、同じ方向へ延在する基礎によって効果的に支えることができる。
【0011】
本技術の一実施形態において、支柱の下端は、基礎内に位置していてもよい。このような構成によると、カーポートを施工する際に、地面を深く掘り起こす必要がない。あるいは、支柱の下端を杭として、その杭を地面に打ち込む必要がない。なお、支柱の下端が基礎内に位置するとは、支柱の下端が基礎と地面との間に位置することを含むものとする。
【0012】
本技術の一実施形態において、支柱の下端は、基礎内に配置された板材に固定されていてもよい。このような構成によると、支柱の下端と基礎との間が、当該板材を介して強固に結合されて、支柱がしっかりと支持される。なお、例示ではあるが、ここでいう板材は、金属又はその他の材料で構成されたプレートや、金属又はその他の材料で構成されたメッシュ材であってもよい。
【0013】
本技術の一実施形態において、上記した板材を構成する材料は、コンクリートといった基礎を構成する材料よりも、高い引張強度を有してもよい。このような構成によると、支柱の下端が基礎に対して強固に結合される。
【0014】
本技術の一実施形態において、地面はコンクリートであってもよい。この場合、支柱の下端は、基礎内で地面にコンクリート用のアンカーボルトで固定されていてもよい。コンクリートは比較的に強度が高いので、そのような地面に対しては、支柱の下端をアンカーボルトによって直接固定することができる。
【0015】
本技術の一実施形態において、前記した少なくとも一つの支柱は、互いに反対側から自動車が出入りする二つの駐車スペースの間に位置してもよい。この場合、基礎は、その二つの駐車スペースの各々に向けて両側へ延在してもよい。そして、一方の駐車スペース内に位置する基礎の側面と、他方の駐車スペース内に位置する基礎の側面とのそれぞれが、駐車される自動車の車輪に当接する輪留めとして機能してもよい。即ち、カーポートは、支柱に対して一対の屋根が両側へ延在するT型又はY型の態様を有してもよい。
【0016】
本技術の一実施形態において、前記した少なくとも一つの支柱は、第1方向に沿って配列された複数の支柱を含んでもよい。この場合、複数の支柱は、第1方向に沿って配列されているとともに、互いに反対側から自動車が出入りする二列の駐車スペースの間に位置してもよい。そして、基礎は、当該二列の駐車スペースの各々に向けて両側へ延在しており、一方の列の駐車スペース内に位置する側面と、他方の列の駐車スペース内に位置する側面とのそれぞれが、駐車される自動車の車輪に当接する輪留めとして機能してもよい。即ち、カーポートは、上述したT型又はY型の態様で、駐車スペースの配列方向に沿って長く延びる構造を有してもよい。
【実施例
【0017】
図面を参照して、実施例のカーポート10について説明する。カーポート10は、駐車場に設けられ、複数の駐車スペース4を上方から覆う。各々の駐車スペース4は、一台の自動車2が駐車可能な面積を有する。一例ではあるが、複数の駐車スペース4は、第1方向(Y方向)に沿って二列で配列されている。二列の駐車スペース4は、互いに反対側から自動車2が出入りするように構成されている。地面GLには、各々の駐車スペース4を区分するための境界線6が描画されている。
【0018】
図1図3に示すように、カーポート10は、基礎30と、複数の支柱12と、一対の屋根20とを備える。
【0019】
基礎30は、コンクリートによって構成されており、地面GL上に設けられている。図示省略するが、基礎30の内部には、鉄筋又はワイヤーメッシュといった補強材が設けられている。基礎30は、二列の駐車スペース4の境界に沿って、第1方向(Y方向)に延在している。基礎30の地面GLから高さは、自動車2の一般的な最低地上高に応じて設計されており、例えば100-150ミリメートルである。また、基礎30の上面32には、第2方向(X方向)の両側に向けて勾配が設けられてもよい。
【0020】
複数の支柱12は、基礎30の上面32から上方(Z方向)に延びており、基礎30によって支持されている。複数の支柱12は、二列の駐車スペース4の境界に沿って、第1方向(Y方向)に配列されている。特に限定されないが、各々の支柱12は、鋼管で構成されている。鋼管の断面形状は、丸形であってもよく、角形であってもよく、その形状は特に限定されない。また、支柱12の数についても特に限定されない。
【0021】
一対の屋根20は、複数の支柱12によって支持されている。一対の屋根20の一方は、複数の支柱12に対して、第2方向(X方向)の一方側へ延在しており、二列の駐車スペース4の一方を上方から覆っている。一対の屋根20の他方は、複数の支柱12に対して、第2方向(X方向)の他方側へ延在しており、二列の駐車スペース4の他方を上方から覆っている。屋根20の具体的な構造については、特に限定されない。
【0022】
一例ではあるが、本実施例における屋根20は、複数の縦梁22と、複数の横レール24と、複数のソーラパネル26とを備える。各々の縦梁22は、支柱12から第2方向(X方向)の一方側又は他方側に延在している。なお、縦梁22には、水平に対して例えば5度といった勾配が設けられている。各々の横レール24は、第1方向(Y方向)に沿って延在しており、複数の縦梁22によって支持されている。そして、複数のソーラパネル26は、マトリクス状に配列されており、複数の横レール24によって支持されている。即ち、本実施例のカーポート10では、屋根20を構成するためのパネル材として、ソーラパネル26が採用されている。
【0023】
本実施例のカーポート10では、支柱12を支持する基礎30が、地中に埋設されておらず、地面GL上に設けられている。このような基礎30は、例えば地面GL上に型枠を配置することで、容易に成形することできる。その一方で、基礎30が地中に埋設されていないことから、支柱12を安定して支持するためには、支柱12の足として機能する基礎30の面積を、比較的に大きくすることが必要となる。しかしながら、基礎30の面積を大きくすると、基礎30による占有面積が拡大し、それに加えて駐車スペース4を確保しとうとすると、駐車場全体として必要とされる面積の拡大を招いてしまう。
【0024】
この点に関して、本実施例のカーポート10では、基礎30が、第2方向(X方向)の両側へ広く張り出しており、駐車スペース4内へ延在している。即ち、基礎30は、第2方向において、比較的に大きな幅を有する。そして、駐車スペース4内に位置する側面34、36が、駐車される自動車2の車輪に当接する輪留めとして機能するように構成されている。このような構成によると、基礎30の専有面積と駐車スペース4との両者を、部分的にオーバラップさせることができる。これにより、支柱12の足として機能する基礎30の面積を十分に確保しつつ、駐車場全体として必要とされる面積の拡大を抑制することができる。また、自動車2が支柱12に接触することが防止されるとともに、駐車スペース4に輪留めを別途施工する必要もない。
【0025】
本実施例のカーポート10では、複数の支柱12に対して、屋根20が駐車スペース4に向けて第2方向へ延在している。そして、基礎30についても、駐車スペース4に向けて第2方向へ延在している。即ち、複数の支柱12に対して、屋根20が駐車スペース4に向けてが延在する方向と、基礎30が駐車スペース4に向けて延在する方向とが一致している。このような構成によると、屋根20の重量によって傾倒しようとする支柱12を、同じ方向へ延在する基礎30によって効果的に支えることができる。
【0026】
図4に示すように、支柱12の下端14は、基礎30内に位置している。このような構成によると、カーポート10を施工する際に、地面GLを深く掘り起こす必要がない。あるいは、支柱12の下端14を杭として、その杭を地面に打ち込む必要がない。なお、基礎30内には、板材40が配置されている。そして、支柱12の下端14は、複数のボルト16によって、金属プレートである板材40に固定されている。
【0027】
板材40の具体的な構成は特に限定されない。一例ではあるが、本実施例における板材40は、スチール材といった金属で構成された金属プレートである。これにより、支柱12の下端14と基礎30との間が、板材40を介して強固に結合される。なお、板材40は、金属に限定されず、他の材料で構成されていてもよい。あるいは、板材40は、金属又はその他の材料で構成されたメッシュ材であってもよい。但し、板材40を構成する材料は、コンクリートといった基礎30を構成する材料よりも、高い引張強度を有するとよい。
【0028】
板材40は、屋根20が延在する方向(X方向)に対して、比較的に大きな寸法を有するとよい。例えは、板材40が支柱12から当該方向に延在する寸法は、支柱12の同方向における寸法に対して、三倍以上であるとよい。一例ではあるが、本実施例におけるカーポート10では、支柱12の第2方向における寸法が150ミリメートルであり、板材40の第2方向(X方向)における寸法は1000ミリメートルである。即ち、板材40が支柱12から第2方向に延在する寸法は500ミリメートルであって、支柱12の同方向における寸法150ミリメートルの三倍を超えている。
【0029】
上記のような板材40を利用した構成は、例えば地面GLがアスファルトや砂利であるときに有効である。アスファルトや砂利の地面GLは比較的に強度が低いので、そのような地面GLに対して、支柱12の下端14をアンカーボルト等で固定することは難しい。そこで、上記のような板材40を用いることで、支柱12の下端14と基礎30との間が強固に結合されて、支柱12がしっかりと支持される。なお、地面GLがアスファルトで覆われている場合、基礎30を施工する範囲については、アスファルトを剥離してもよい。
【0030】
一方、図5に示すように、地面GLがコンクリートで構成されている場合、支柱12の下端14は、基礎30内で地面GLにコンクリート用のアンカーボルト42で固定されてもよい。コンクリートは比較的に強度が高いので、そのような地面GLに対しては、支柱12の下端14をアンカーボルトによって直接固定することができる。
【0031】
上記したカーポート10は、支柱12に対して両側に駐車スペース4が存在し、屋根20及び基礎30のそれぞれが、支柱12に対して両側へ延在している。これに対して、他の実施形態では、カーポート10の一方側のみに駐車スペース4が存在し、屋根20及び基礎30のそれぞれが、支柱12に対して一方側のみへ延在する構成であってもよい。
【0032】
以上、本技術の実施形態について詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例をさまざまに変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独あるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数の目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0033】
2:自動車、 4:駐車スペース、 6:境界線、 10:カーポート、 12 :支柱、 14:支柱の下端、 20:屋根、 22:縦梁、 24:横レール、 26:ソーラパネル、 30:基礎、 32:基礎の上面、34:側面、 36:側面、 40:板材、 42:アンカーボルト、 GL:地面
【要約】
【課題】 施工が容易なカーポートのための技術を提供する。
【解決手段】 カーポートは、地面上に設けられた基礎と、基礎から上方に延びる少なくとも一つの支柱と、少なくとも一つの支柱によって支持されており、駐車スペースの少なくとも一部を上方から覆う屋根とを備える。基礎は、駐車スペース内へ延在しており、駐車スペース内に位置する側面が、駐車される自動車の車輪に当接する輪留めとして機能する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5