(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-16
(45)【発行日】2024-08-26
(54)【発明の名称】吐出キャップ及び吐出容器
(51)【国際特許分類】
B65D 47/20 20060101AFI20240819BHJP
【FI】
B65D47/20 300
(21)【出願番号】P 2021061949
(22)【出願日】2021-03-31
【審査請求日】2023-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】加瀬 舞
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-156958(JP,U)
【文献】特開2017-222429(JP,A)
【文献】特開2020-138779(JP,A)
【文献】実開平02-079251(JP,U)
【文献】特開2008-189322(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0199959(US,A1)
【文献】特開2014-148333(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1609993(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 39/00-55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1吐出口を備え、容器本体の口部に装着されるキャップ本体と、
前記キャップ本体にヒンジにより開閉自在に連結されたオーバーキャップと、
前記キャップ本体に着脱可能に係合する第1係合部と、前記オーバーキャップに着脱可能に係合する第2係合部と、前記第1係合部が前記キャップ本体に係合したときに前記第1吐出口に連なるとともに前記第2係合部が前記オーバーキャップに係合したときに前記オーバーキャップにより閉塞される第2吐出口とを備え、前記第2吐出口が前記第1吐出口よりも小さい内キャップと、を有
し、
前記オーバーキャップが、円筒状の篏合筒部を備え、
前記第2係合部が、前記篏合筒部の内側に篏合する円筒状であり、
前記第2吐出口が、前記第2係合部と同軸の円筒状の第2吐出筒の先端に設けられていことを特徴とする吐出キャップ。
【請求項2】
第1吐出口を備え、容器本体の口部に装着されるキャップ本体と、
前記キャップ本体にヒンジにより開閉自在に連結されたオーバーキャップと、
前記キャップ本体に着脱可能に係合する第1係合部と、前記オーバーキャップに着脱可能に係合する第2係合部と、前記第1係合部が前記キャップ本体に係合したときに前記第1吐出口に連なるとともに前記第2係合部が前記オーバーキャップに係合したときに前記オーバーキャップにより閉塞される第2吐出口とを備え、前記第2吐出口が前記第1吐出口よりも小さい内キャップと、を有し、
前記第1係合部が、前記第2吐出口の軸線を中心として前記キャップ本体に対して回動自在に係合し、
前記第2係合部が、前記第2吐出口の軸線を中心として前記オーバーキャップに対して回動自在に係合し、
前記内キャップが、前記キャップ本体の外周面に沿って前記第2吐出口の軸線を中心とした周方向に移動するフック部を備え、
前記キャップ本体が、前記内キャップが第1位置にあるときに前記フック部に係合して前記内キャップを前記キャップ本体に保持するとともに、前記内キャップが前記第1位置に対して前記第2吐出口の軸線を中心とした周方向にずれた第2位置にあるときに前記フック部から離脱する係止突起を外周面に備えていることを特徴とする吐出キャップ。
【請求項3】
前記内キャップが、前記軸線を挟んだ両側にそれぞれ前記フック部を備え、
前記キャップ本体が、外周面の前記軸線を挟んだ両側にそれぞれ前記係止突起を備えている、請求項
2に記載の吐出キャップ。
【請求項4】
前記内キャップが、前記第2吐出口の軸線を中心とした径方向外側に、前記軸線を中心として周方向に間隔を空けて並ぶとともに前記第2吐出口よりも前記軸線の方向に突出する複数の突起部を備えている、請求項1
~3の何れか1項に記載の吐出キャップ。
【請求項5】
前記第1吐出口が、円筒状の第1吐出筒の先端に設けられ、
前記第1係合部が、前記第1吐出筒の外側に篏合する円筒状であり、
前記第2吐出口が、前記第1係合部と同軸の円筒状の第2吐出筒の先端に設けられている、請求項1
~4の何れか1項に記載の吐出キャップ。
【請求項6】
前記内キャップが、前記オーバーキャップのカバー筒部の外方に突出する摘み部を備えている、請求項1~
5の何れか1項に記載の吐出キャップ。
【請求項7】
前記口部を備えた前記容器本体と、
請求項1~
6の何れか1項に記載の吐出キャップと、を有することを特徴とする吐出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の口部に装着して使用される吐出キャップ及びこれを用いた吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ケチャップ等の食料品などを内容物として収納する容器では、内容物を容易に適量だけ吐出させることを可能とするために、吐出口を備えた吐出キャップを容器の口部に装着して使用されるのが一般的である。
【0003】
また、上記のような吐出キャップを備えた吐出容器として、内容物を吐出する吐出口を大小に切り替えることを可能として、内容物の吐出量を容易に変更することができるようにしたものも知られている。
【0004】
例えば特許文献1には、容器の口部に装着されるキャップ本体に第1吐出口を設け、キャップ本体に第1ヒンジにより回動自在に連結された注出部材に第1吐出口よりも小さい第2吐出口を設けるとともに、軸線を挟んで第1ヒンジとは反対側に設けた第2ヒンジにより注出部材にオーバーキャップを回動自在に連結した構成を有し、注出部材をオーバーキャップとともにキャップ本体に対して開くことで第1吐出口から内容物を吐出させることができるとともに、注出部材をキャップ本体に保持させたままオーバーキャップのみを開くことで、第1吐出口よりも小さい第2吐出口から、より少量ずつ内容物を吐出させることができるようにしたものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の吐出キャップないし吐出容器は、互いに軸線を挟んで反対側に設けられた2つのヒンジを有する構成であるので、吐出口の切替え操作を行う際に、注出部材ないしオーバーキャップを、切替える前とは逆向きに開く必要があり、この点で切替え操作が煩雑であるという問題点があった。
【0007】
本発明は、このような問題を解決することを課題とするものであり、その目的は、吐出口の切替え操作を容易に行うことが可能な吐出キャップ及び吐出容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の吐出キャップは、第1吐出口を備え、容器本体の口部に装着されるキャップ本体と、前記キャップ本体にヒンジにより開閉自在に連結されたオーバーキャップと、前記キャップ本体に着脱可能に係合する第1係合部と、前記オーバーキャップに着脱可能に係合する第2係合部と、前記第1係合部が前記キャップ本体に係合したときに前記第1吐出口に連なるとともに前記第2係合部が前記オーバーキャップに係合したときに前記オーバーキャップにより閉塞される第2吐出口とを備え、前記第2吐出口が前記第1吐出口よりも小さい内キャップと、を有し、前記オーバーキャップが、円筒状の篏合筒部を備え、前記第2係合部が、前記篏合筒部の内側に篏合する円筒状であり、前記第2吐出口が、前記第2係合部と同軸の円筒状の第2吐出筒の先端に設けられていことを特徴とする。
本発明の吐出キャップは、第1吐出口を備え、容器本体の口部に装着されるキャップ本体と、前記キャップ本体にヒンジにより開閉自在に連結されたオーバーキャップと、前記キャップ本体に着脱可能に係合する第1係合部と、前記オーバーキャップに着脱可能に係合する第2係合部と、前記第1係合部が前記キャップ本体に係合したときに前記第1吐出口に連なるとともに前記第2係合部が前記オーバーキャップに係合したときに前記オーバーキャップにより閉塞される第2吐出口とを備え、前記第2吐出口が前記第1吐出口よりも小さい内キャップと、を有し、前記第1係合部が、前記第2吐出口の軸線を中心として前記キャップ本体に対して回動自在に係合し、前記第2係合部が、前記第2吐出口の軸線を中心として前記オーバーキャップに対して回動自在に係合し、前記内キャップが、前記キャップ本体の外周面に沿って前記第2吐出口の軸線を中心とした周方向に移動するフック部を備え、前記キャップ本体が、前記内キャップが第1位置にあるときに前記フック部に係合して前記内キャップを前記キャップ本体に保持するとともに、前記内キャップが前記第1位置に対して前記第2吐出口の軸線を中心とした周方向にずれた第2位置にあるときに前記フック部から離脱する係止突起を外周面に備えていることを特徴とする。
本発明の吐出キャップは、上記構成において、前記内キャップが、前記軸線を挟んだ両側にそれぞれ前記フック部を備え、前記キャップ本体が、外周面の前記軸線を挟んだ両側にそれぞれ前記係止突起を備えているのが好ましい。
【0009】
本発明の吐出キャップは、上記構成において、前記内キャップが、前記第2吐出口の軸線を中心とした径方向外側に、前記軸線を中心として周方向に間隔を空けて並ぶとともに前記第2吐出口よりも前記軸線の方向に突出する複数の突起部を備えているのが好ましい。
【0010】
本発明の吐出キャップは、上記構成において、前記第1吐出口が、円筒状の第1吐出筒の先端に設けられ、前記第1係合部が、前記第1吐出筒の外側に篏合する円筒状であり、前記第2吐出口が、前記第1係合部と同軸の円筒状の第2吐出筒の先端に設けられているのが好ましい。
【0012】
本発明の吐出キャップは、上記構成において、前記内キャップが、前記オーバーキャップのカバー筒部の外方に突出する摘み部を備えているのが好ましい。
【0015】
本発明の吐出容器は、前記口部を備えた前記容器本体と、上記何れかの吐出キャップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、吐出口の切替え操作を容易に行うことが可能な吐出キャップ及び吐出容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る吐出容器の要部の斜視図である。
【
図2】
図1に示す吐出容器の要部の側面視での断面図である。
【
図4】
図2に示す吐出容器の、オーバーキャップを開いた状態の側面視での断面図である。
【
図5】
図2に示す吐出容器の、オーバーキャップを開いた後、内キャップをキャップ本体に装着した状態の側面視での断面図である。
【
図6】
図5に示す状態の吐出容器を用いて、内容物を線状に吐出している様子を示す説明図である。
【
図7】
図5に示す状態の吐出容器を用いて、内容物を花形に吐出している様子を示す説明図である。
【
図8】花形に吐出された内容物の形状を示す説明図である。
【
図9】変形例に係る吐出容器の要部の正面視での断面図である。
【
図10】
図9に示す変形例の吐出容器の、フック部が第1位置にあるときの平面図である。
【
図11】
図9に示す変形例の吐出容器の、フック部が第1位置にあるときの要部の正面図である。
【
図12】
図9に示す変形例の吐出容器の、フック部が第1位置にあるときにオーバーキャップを開いた状態の側面視での断面図である。
【
図13】
図9に示す変形例の吐出容器の、フック部が第2位置にあるときの平面図である。
【
図14】
図9に示す変形例の吐出容器の、フック部が第2位置にあるときの要部の正面図である。
【
図15】
図9に示す変形例の吐出容器の、フック部が第2位置にあるときにオーバーキャップを開いた状態の側面視での断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明をより具体的に例示説明する。
【0019】
なお、本明細書及び特許請求の範囲においては、「上」及び「下」は、
図2に示すように吐出容器1を正立姿勢で配置した状態における「上」及び「下」を意味するものとする。
【0020】
図1に示す本発明の一実施の形態に係る吐出容器1は、例えば、ケチャップ等の食料品などを内容物として収納する用途に用いられるものである。この吐出容器1は、内容物を吐出する吐出口を大小に切り替えることで、内容物の吐出量を容易に変更することができるようになっている。
【0021】
吐出容器1は、容器本体10と、吐出キャップ20とを有している。
【0022】
図2に示すように、容器本体10は、軸線Oを中心とした略円筒状の口部11と、口部11に一体に連なる胴部12とを備えている。口部11は、外周面に雄ねじ13を一体に備えている。胴部12の内部は収納空間14となっており、収納空間14に内容物2を収納することができる。
【0023】
本実施の形態では、容器本体10は、ポリプロピレン(PP)製のブロー成型品となっており、胴部12は容易にスクイズ可能に構成されている。
【0024】
なお、容器本体10は、口部11を備えたものであれば、その材質や形状は種々変更可能である。
【0025】
吐出キャップ20は、容器本体10の口部11に装着されて、内容物2を容易に適量だけ吐出させることを可能とするものである。
図2に示すように、吐出キャップ20は、キャップ本体30、オーバーキャップ40及び内キャップ50を有している。
【0026】
キャップ本体30は、軸線Oを中心とした略円筒状の装着筒部31と、装着筒部31の上端に一体に連なる隔壁32とを備えている。装着筒部31の内周面には雌ねじ33が一体に設けられており、雌ねじ33が雄ねじ13にねじ結合することで、キャップ本体30は容器本体10の口部11に着脱可能に装着されている。
【0027】
隔壁32の上面には、第1吐出筒34が一体に設けられている。本実施の形態では、第1吐出筒34は、隔壁32から上方に向けて真っ直ぐに延びる円筒状となっており、口部11の軸線Oに対して偏心した位置に設けられている。第1吐出筒34の下端は隔壁32を貫通して収納空間14に連通している。一方、第1吐出筒34の上端(先端)は、円形の第1吐出口35となっている。第1吐出口35は、容器本体10の胴部12がスクイズされて収納空間14から口部11を通して第1吐出筒34に向けて押し出された内容物2を外部に吐出することができる。
【0028】
なお、キャップ本体30は、装着筒部31の内周面に雌ねじ33に替えて係止突起を備え、当該係止突起が口部11の外周面に設けられた円環状の突起にアンダーカット係合して口部11に装着される構成としてもよい。
【0029】
オーバーキャップ40は、装着筒部31と同軸の略円筒状のカバー筒部41と、カバー筒部41の上端に一体に連なる天壁42とを備えている。オーバーキャップ40は、軸線Oに対して第1吐出筒34とは反対側を向く外周縁部分において、ヒンジHによりキャップ本体30に開閉自在に連結されている。オーバーキャップ40は、
図2に示す閉じた位置にあるときには、キャップ本体30の上に同軸に配置され、第1吐出筒34ないし第1吐出口35を覆って外部から隔離する。一方、オーバーキャップ40は、
図2に示す閉位置からヒンジHを中心としてキャップ本体30に対して
図2中において時計回り方向に回動することにより開かれる。オーバーキャップ40が開かれると、第1吐出筒34ないし第1吐出口35は外部に露出し、内容物2を外部に吐出させることができる。
【0030】
オーバーキャップ40は、天壁42の下面に、第1吐出筒34と同軸の円筒状の篏合筒部43を一体に備えている。
【0031】
内キャップ50は、キャップ本体30とオーバーキャップ40との間に配置されている。内キャップ50は、第1吐出口35を覆う閉塞壁51を備えている。
【0032】
閉塞壁51の下面には、キャップ本体30に着脱可能に係合する第1係合部52が一体に設けられている。本実施の形態では、第1係合部52は、第1吐出筒34よりも大経の円筒状となっており、第1吐出筒34の外側に篏合するとともに第1吐出筒34の外周面に形成された円環状の突起36に係止突起53をアンダーカット係合させることで、第1吐出筒34すなわちキャップ本体30に着脱可能に係合している。
【0033】
閉塞壁51の下面に、閉塞壁51と第1吐出筒34との間を密封するシール筒54を一体に設けた構成とすることもできる。
【0034】
図2、
図3に示すように、閉塞壁51の外周縁には、オーバーキャップ40に着脱可能に係合する第2係合部55が一体に設けられている。本実施の形態では、第2係合部55は、オーバーキャップ40に設けられた篏合筒部43よりも小経の円筒状となっており、篏合筒部43の内側に篏合することで、篏合筒部43すなわちオーバーキャップ40に着脱可能に係合している。
【0035】
内キャップ50は、第2吐出口56を備えている。本実施の形態では、閉塞壁51の上面に第2吐出筒57が一体に設けられ、第2吐出口56は第2吐出筒57の先端に設けられている。第2吐出筒57は、第1係合部52及び第2係合部55と同軸の円筒状であり、その内径は第1吐出筒34の内径よりも小さくなっている。すなわち、第2吐出口56は第1吐出口35よりも小さい(小径の)円形の開口となっている。
【0036】
図2に示すように、内キャップ50は、オーバーキャップ40が閉じられた状態において、第1係合部52がキャップ本体30に着脱可能に係合しつつ第2係合部55がオーバーキャップ40に着脱可能に係合した状態となっている。
【0037】
第2係合部55がオーバーキャップ40に着脱可能に係合した状態において、第2吐出口56は、オーバーキャップ40の天壁42の下面に一体に設けられた閉塞栓44が第2吐出筒57の内側に篏合されることにより閉塞されている。また、第1吐出口35は、第2吐出筒57が閉塞された状態の閉塞壁51により覆われて閉塞されている。
【0038】
本実施の形態では、第1係合部52の第1吐出筒34(キャップ本体30)に対する係合力ないし篏合力は、第2係合部55の篏合筒部43(オーバーキャップ40)に対する係合力ないし篏合力よりも小さくなっている。これにより、
図2に示す状態からオーバーキャップ40が開かれると、
図4に示すように、第1係合部52の第1吐出筒34ないしキャップ本体30に対する係合が解除され、内キャップ50は、第2係合部55が篏合筒部43に係合してオーバーキャップ40に支持された状態でオーバーキャップ40とともに開かれるようになっている。内キャップ50がオーバーキャップ40とともに開かれると、第1吐出口35が解放され、容器本体10に収納されている内容物2を第1吐出口35から外部に吐出することができる。
【0039】
一方、内キャップ50は、
図4に示す状態から、第2係合部55の篏合筒部43に対する係合を解除することで、オーバーキャップ40から取り外すことができる。そして、
図5に示すように、オーバーキャップ40から取り外された内キャップ50は、第1係合部52を第1吐出筒34の外側に篏合させて第1吐出筒34に係合させることで、キャップ本体30に装着することができる。オーバーキャップ40が開かれて第2係合部55の篏合筒部43に対する係合が解除された状態で、内キャップ50がキャップ本体30に装着されると、第2吐出口56が第1吐出口35に連なり、容器本体10に収納されている内容物2を第2吐出口56から外部に吐出することができる。
【0040】
このとき、第2吐出口56は、第1吐出口35よりも小さくなっているので、
図6に示すように、容器本体10の胴部12をスクイズすることで、容器本体10に収納されている内容物2を、キャップ本体30に設けられた第1吐出口35から内容物2を外部に吐出する場合よりも細い線状として、内キャップ50に設けられた第2吐出口56から内容物2を外部に吐出することができる。
【0041】
また、内容物2を第2吐出口56から細い線状に吐出することができるので、吐出された内容物2で塗布対象に容易に絵を画くことができる。
【0042】
このように、本実施の形態の吐出容器1では、吐出キャップ20に、キャップ本体30に着脱可能に係合する第1係合部52と、オーバーキャップ40に着脱可能に係合する第2係合部55と、第1係合部52がキャップ本体30に係合したときに第1吐出口35に連なるとともに第2係合部55がオーバーキャップ40に係合したときにオーバーキャップ40により閉塞される第2吐出口56とを備え、第2吐出口56が第1吐出口35よりも小さい内キャップ50を設けるようにしたので、オーバーキャップ40を開くことで、内容物2を第1吐出口35から吐出させることができるとともに、オーバーキャップ40を開いた後、内キャップ50をオーバーキャップ40から取り外してキャップ本体30に装着するだけの簡単な操作で、吐出口をより小さな第2吐出口56に切り替えることができる。
【0043】
また、内キャップ50は、キャップ本体30及びオーバーキャップ40の両方に対して着脱可能であるので、吐出容器1ないし吐出キャップ20から内キャップ50のみを取り外して洗浄することができる。
【0044】
さらに、本実施の形態の吐出容器1では、第1吐出口35を円筒状の第1吐出筒34の先端に設け、第1係合部52を第1吐出筒34の外側に篏合する円筒状とするとともに、第2吐出口56を第1係合部52と同軸の円筒状の第2吐出筒57の先端に設けた構成としたので、内キャップ50の構成を簡素化しつつ、第1係合部52がキャップ本体30に係合したときに第2吐出口56が第1吐出口35に連なる構成とすることができる。
【0045】
さらに、本実施の形態の吐出容器1では、オーバーキャップ40を円筒状の篏合筒部43を備えた構成とし、第2係合部55を篏合筒部43の内側に篏合する円筒状とし、第2吐出口56を第2係合部55と同軸の円筒状の第2吐出筒57の先端に設けた構成としたので、内キャップ50及びオーバーキャップ40の構成を簡素化しつつ、コンパクトな構成としつつ、第2係合部55がオーバーキャップ40に係合したときに第2吐出口56がオーバーキャップ40により閉塞される構成とすることができる。
【0046】
図1、
図2に示すように、内キャップ50は、オーバーキャップ40のカバー筒部41の外方に突出する摘み部58を備えた構成とすることもできる。
【0047】
本実施の形態では、オーバーキャップ40のカバー筒部41の軸線Oを挟んでヒンジHとは反対側には、矩形形状の切欠き部41aが設けられている。内キャップ50には、第2係合部55に一体に連なるとともに切欠き部41aの内側に配置される円弧状の連結脚部59が設けられており、摘み部58は連結脚部59の外面の下端部分から外方に向けて突出して設けられている。このような構成により、オーバーキャップ40を開いた後、
図4に示すように、摘み部58を指で保持して、オーバーキャップ40から内キャップ50を容易に取り外すことができる。
【0048】
また、
図1に示すように、オーバーキャップ40が閉じられた状態において、摘み部58はカバー筒部41及びキャップ本体30の装着筒部31から外方に向けて突出しているので、摘み部58を指で保持してオーバーキャップ40を容易に開くことができる。
【0049】
図2、
図3に示すように、内キャップ50は、第2吐出口56ないし第2吐出筒57の軸線を中心とした径方向外側に、第2吐出口56ないし第2吐出筒57の軸線を中心として周方向に間隔を空けて並ぶとともに第2吐出口56よりも軸線の方向に沿った上方に突出する複数の突起部60を備えた構成とすることができる。本実施の形態では、円筒状の第2係合部55の上端に、5つの突起部60が周方向に等しい間隔を空けて並べて設けられている。
【0050】
このような複数の突起部60を設けた構成では、
図7に示すように、オーバーキャップ40を開き、内キャップ50をキャップ本体30に装着した状態で、複数の突起部60の先端を塗布対象面70に押し当て、この状態で容器本体10の胴部12をスクイズして第2吐出口56から内容物2を吐出すると、内容物2は複数の突起部60の内側に充填された後、隣り合う突起部60の間の部分から突起部60の外側に流れ出す。これにより、
図8に示すように、内容物2を、塗布対象面70に、5つの花びらを有する花のような形状として吐出することができる。
【0051】
また、内容物2を第2吐出口56から細い線状に吐出させて塗布対象面70に絵を画きつつ、複数の突起部60の先端を塗布対象面70に押し当てて内容物2を塗布対象面70に花のような形状として吐出することで、様々な絵や模様を塗布対象面70に描くことができる。
【0052】
図9、
図10、
図11に変形例として示すように、吐出容器1ないし吐出キャップ20は、内キャップ50に設けたフック部80を操作することで、内容物2が吐出される吐出口を第1吐出口35と第2吐出口56とに切り替え可能な構成とすることができる。なお、
図9、
図10、
図11においては、前述した部材に対応する部材に同一の符号を付してある。
【0053】
変形例の吐出容器1ないし吐出キャップ20では、内キャップ50に設けられた第1係合部52は、キャップ本体30の第1吐出筒34に、第2吐出口56の軸線を中心として回動自在に係合している。また、内キャップ50に設けられた第2係合部55は、オーバーキャップ40の篏合筒部43に、第2吐出口56の軸線を中心として回動自在に係合している。
【0054】
また、変形例の吐出容器1ないし吐出キャップ20では、内キャップ50は、それぞれ第2係合部55の下端に一体に連なるとともに第2吐出口56の軸線を挟んで対称に配置された一対の操作連結片81を備えている。これに対応して、オーバーキャップ40のカバー筒部41の下端には、第2吐出口56の軸線を挟んで対称に一対の切欠き41bが設けられている。一対の操作連結片81は、それぞれ対応する切欠き41bからカバー筒部41の外側に突出している。一対の切欠き41bの第2吐出口56の軸線を中心とした周方向長さは、一対の操作連結片81の第2吐出口56の軸線を中心とした周方向長さよりも長くなっている。したがって、内キャップ50は、それぞれの操作連結片81が切欠き41bの周方向の一端側にある第1位置(
図10、
図11に示す位置)と、それぞれの操作連結片81が切欠き41bの周方向の他端側にある第2位置(
図13、
図14に示す位置)との間で、第1吐出筒34ないし篏合筒部43の軸線すなわち第2吐出口56の軸線を中心として回動自在となっている。
【0055】
フック部80は、それぞれの操作連結片81のカバー筒部41から外部に突出する先端部分に対して下方に間隔を空けて配置されており、操作片82を介して操作連結片81の端部分に一体に連ねられている。操作片82はフック部80に対して第2位置の側にずれて設けられており、操作連結片81とフック部80との間は、周方向の第1位置の側に向けて開口する凹形状となっている。一対のフック部80は、内キャップ50が第2吐出口56の軸線を中心として回動すると、内キャップ50とともにキャップ本体30の装着筒部31の外周面に沿って第2吐出口56の軸線を中心とした周方向に移動する。
【0056】
キャップ本体30の装着筒部31の外周面には、第2吐出口56の軸線を挟んで対称に、一対の係止突起37が一体に設けられている。
【0057】
図9、
図10、
図11に示すように、内キャップ50が第1位置にあるとき、一対のフック部80はそれぞれ対応する係止突起37に下方側から係合する。これにより、内キャップ50は、キャップ本体30に対する上方への移動が規制されるようにキャップ本体30に保持される。したがって、フック部80ないし操作片82を操作して一対のフック部80を切欠き41bの周方向の一端側に移動させて内キャップ50を第1位置とし、この状態でオーバーキャップ40を開くことで、
図12に示すように、内キャップ50に設けられた第1係合部52の第1吐出筒34への係合を維持しつつオーバーキャップ40の篏合筒部43を第2係合部55から離脱させて、内キャップ50をキャップ本体30に装着した状態でオーバーキャップ40を開くことができる。このように、フック部80を操作して内キャップ50を第1位置とし、この状態でオーバーキャップ40を開くことで、容器本体10に収納されている内容物2を吐出する吐出口を第2吐出口56に容易に設定することができる。
【0058】
一方、
図13、
図14に示すように、内キャップ50が第2位置にあるとき、一対のフック部80はそれぞれ対応する係止突起37に対して周方向にずれて係止突起37との係合が解除される。これにより、内キャップ50は、フック部80と係止突起37との係合によるキャップ本体30に対する上方への移動の規制が解除され、キャップ本体30に対して上方に移動可能な状態とされる。したがって、フック部80ないし操作片82を操作して一対のフック部80を切欠き41bの周方向の他端側に移動させて内キャップ50を第2位置とし、この状態でオーバーキャップ40を開くことで、オーバーキャップ40の篏合筒部43の第2係合部55への係合を維持しつつ、内キャップ50に設けられた第1係合部52を第1吐出筒34から離脱させて、
図15に示すように、内キャップ50をオーバーキャップ40とともに開くことができる。このように、フック部80を操作して内キャップ50を第2位置とし、この状態でオーバーキャップ40を開くことで、容器本体10に収納されている内容物2を吐出する吐出口を第1吐出口35に容易に設定することができる。
【0059】
したがって、変形例の吐出容器1ないし吐出キャップ20では、フック部80を操作して内キャップ50を第1位置ないし第2位置に切り替えるだけの簡単な操作で、オーバーキャップ40を開いたときに、容器本体10に収納されている内容物2を吐出する吐出口を第1吐出口35と第2吐出口56とに容易に切り替えることができる。すなわち、吐出口の第1吐出口35と第2吐出口56への切替え操作を容易に行うことができる。
【0060】
特に、本実施の形態では、内キャップ50を、第2吐出口56の軸線を挟んだ両側にそれぞれフック部80を備えた構成とし、キャップ本体30を、装着筒部31の外周面の第2吐出口56の軸線を挟んだ両側にそれぞれ係止突起37を備えた構成としたので、オーバーキャップ40の上側に手をかぶせ、2本の指で一対のフック部80を挟むように把持しつつ回動方向に移動させて、吐出口の切替え操作をより容易に行うことができる。
【0061】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0062】
例えば、前記実施の形態においては、キャップ本体30に着脱可能に係合する第1係合部52の構造ないしオーバーキャップ40に着脱可能に係合する第2係合部55の構造は、上記構成に限らず、種々変更可能である。
【0063】
また、第1吐出口35は、キャップ本体30に設けられていれば、円筒状の第1吐出筒34の先端に設けられた構成に限らず、例えば隔壁32を貫通する貫通孔など、種々の構成とすることができる。
【0064】
さらに、第2吐出口56は、内キャップ50に設けられていれば、第1係合部52と同軸の円筒状の第2吐出筒57の先端に設けられた構成に限らず、種々の構成とすることができる。
【符号の説明】
【0065】
1 吐出容器
2 内容物
10 容器本体
11 口部
12 胴部
13 雄ねじ
14 収納空間
20 吐出キャップ
30 キャップ本体
31 装着筒部
32 隔壁
33 雌ねじ
34 第1吐出筒
35 第1吐出口
36 突起
37 係止突起
40 オーバーキャップ
41 カバー筒部
41a 切欠き部
41b 切欠き
42 天壁
43 篏合筒部
44 閉塞栓
50 内キャップ
51 閉塞壁
52 第1係合部
53 係止突起
54 シール筒
55 第2係合部
56 第2吐出口
57 第2吐出筒
58 摘み部
59 連結脚部
60 突起部
70 塗布対象面
80 フック部
81 操作連結片
82 操作片
O 軸線
H ヒンジ