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特許7539781化粧料用粉体、色持ち向上剤、及び色持ち向上方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-16
(45)【発行日】2024-08-26
(54)【発明の名称】化粧料用粉体、色持ち向上剤、及び色持ち向上方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/19 20060101AFI20240819BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20240819BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20240819BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20240819BHJP
   A61Q 1/04 20060101ALI20240819BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20240819BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
A61K8/19
A61K8/25
A61K8/46
A61Q1/00
A61Q1/04
A61Q5/00
A61Q17/04
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020059914
(22)【出願日】2020-03-30
(65)【公開番号】P2021155383
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000145862
【氏名又は名称】株式会社コーセー
(74)【代理人】
【識別番号】110000590
【氏名又は名称】弁理士法人 小野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梨子田 優佳
【審査官】伊藤 真明
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-123105(JP,A)
【文献】特開2001-098186(JP,A)
【文献】特開2021-138670(JP,A)
【文献】特開2008-056646(JP,A)
【文献】国際公開第2019/098134(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
白色度が80%以上であり、かつ、隠ぺい率が65%以下である透明性を有する粉体及び有機色素を含有する油性固形化粧料であって、透明性を有する粉体の含有量が1~20質量%、有機色素の含有量が0.1~40質量%であり、透明性を有する粉体が、平均粒子径12~50μmのアミノプロピルトリエトキシシラン及びジメチコノールで表面処理された合成金雲母である油性固形化粧料
【請求項2】
口唇化粧料である請求項1記載の油性固形化粧料
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料用粉体、色持ち向上剤、及び色持ち向上方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料、特に、ファンデーション、アイシャドウ、口紅などのメイクアップ化粧料に共通して求められる品質として化粧持ちが挙げられる。化粧持ちを良くするためには、様々な手法が知られている。最も一般的な手法としては、残存する液状油を少なくするために揮発成分、ワックス、粉体等を多量に配合する手法が知られている。他にも樹脂や粉末を配合することで肌への付着性を上げ、化粧持ちを上げる手法もある。例えば、化粧持ちが向上し、かつ使用時のにじみが抑えられた、紅筆タイプの口紅に用いるペースト状の口紅用組成物(例えば、特許文献1参照)等が知られている。また、化粧持ちを高めるために顔料に肌との親和性の高い表面処理をする技術もある。例えば、顔料粉体を、アミド基及び複数の水酸基を有する擬似セラミドと飽和脂肪酸で表面処理された処理顔料の粉体(例えば、特許文献2参照)等が知られている。着色化粧料は、外観と塗布色の審美性(くすみ感のなさ)が求められる場合がある。くすみ感のなさを具現化するには、くすみ感に寄与する粉末などの成分を抜く手法が最も一般的だが、粉体等の成分を抜かずに具現化することも知られている。例えば、外観色と塗布色のくすみが改善され、外観色と唇に塗布した後の塗布色が一致し、長時間経過後も塗布色がくすみにくい口唇化粧料(例えば、特許文献3参照)等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-218734号公報
【文献】特開2018-197330号公報
【文献】特開2015-117208号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで本技術は、外観、つけ色を損なう、くすみ感を生じさせずに、色持ちを高める粉体及び前記粉体を含有する化粧料、色持ち向上剤、色持ち向上方法を提供することを主な課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる実情に鑑み、本発明者は鋭意検討した結果、特定の透明性を有する化粧料用粉体を化粧料中に含有することで色持ちが向上することがわかった。透明性を有する化粧料用粉体は、白色度が高く、かつ隠ぺい率が低い粉体であると、化粧料中に含有した際に色持ち向上に加え、外観やつけ色がくすまない効果を奏することが分かった。さらに、透明性を有する化粧料用粉体に様々な表面処理を施すことで、色持ちが向上することを見出した。中でもアミノプロピルトリエトキシシラン及びジメチコノールで処理したものが最も色持ちにより優れることを見出した。
【0006】
すなわち、本発明は、化粧料の色持ち向上性を有する粉体であって、白色度が80%以上であり、かつ、隠ぺい率が65%以下である透明性を有する化粧料用粉体に関するものである。
【0007】
また、白色度が80%以上であり、かつ、隠ぺい率が65%以下である、透明性を有する粉体を含有する、着色組成物の色持ち向上剤に関するものである。
【0008】
また、白色度が80%以上であり、かつ、隠ぺい率が65%以下である、透明性を有する粉体を含有する、着色組成物の色持ち向上方法に関するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、化粧料を塗布した部位が、他の物質に触れたとしても、塗布した部位に色が残る色持ち効果を得ることができる。さらに、本発明の透明性を有する化粧料用粉体を含有する化粧料は外観やつけ色がくすまない、くすみ感のなさも得ることができる。さらに、本発明の透明性を有する粉体を含有することで、着色組成物の色持ち向上剤及び色持ち向上方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の詳細について以下に説明する。なお、本明細書において、「~」はその前後の数値を含む範囲を意味するものとする。また、本発明における「平均粒子径」とは、画像解析装置(ルーゼックスAP、ニレコ社製)による測定により求めたメジアン径D50値である。なお、非対称形状の場合、本発明においては最も大きい粒子径の分布から求めたメジアン径D50を平均粒子径とする。
【0011】
本発明における透明性を有する粉体、または化粧料に用いられる化粧料用粉体(以下、単に「透明性を有する粉体」と略す)とは、白色度が80%以上であり、かつ、隠ぺい率が65%以下の粉体である。本発明における透明性を有する粉体の白色度は、80%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、95%以上がさらに好ましい。この範囲であれば、色持ち向上効果に加え、化粧料における外観やつけ色がくすまないことにより優れるためより好ましい。
【0012】
また、本発明における透明性を有する粉体の隠ぺい率は、65%以下が好ましく、60%以下がより好ましく、55%以下がさらに好ましい。この範囲であれば、色持ち向上効果に加え、化粧料における外観やつけ色がくすまないことにより優れるためより好ましい。
【0013】
尚、本発明において粉体の隠ぺい率は、隠ぺい率試験紙を用いて評価することができる。隠ぺい率は一般的に隠ぺい率試験紙に塗布した膜を目視で評価する(例えば、色材,64(10)647-654(1991)参照)が、本発明では実測値基づきにて算出をした。試験方法は以下の通りである。まず油剤(トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル)80質量%(以下、単に「%」と略す)に試料となる粉体20%を添加し、卓上デスパで1500rpmにて3分撹拌し、均一に分散する。次に、撹拌した試料を厚み400μmとなるよう、隠ぺい率試験紙JISK-5600(TP技研株式会社製)に塗付する。尚、隠ぺい率試験紙への塗布は、試料が流れ落ちたり、塗布後5分以内に厚みに変化が生じないように水平な台の上で行う。隠ぺい率試験紙に塗布後すぐに、隠ぺい率試験紙の黒背景、白背景上に塗布された膜をそれぞれ分光測色計CM-600d(コニカミノルタ社製)で測定し、L*a*b*を取得する。隠ぺい率は以下の式(1)にて算出できる。
隠ぺい率=(黒背景部分のL値/白背景部分のL値)*100 (1)
【0014】
本発明において、粉体の白色度は、隠ぺい率試験紙を用いて評価することができる。尚、白色度の算出に用いられる数値の測定方法は、前記隠ぺい率測定用に調整した試料及び測定方法と同様である。白色度は白背景部分のL*a*b*を用いて、以下の式(2)にて算出できる。
白色度=100-〔(100-L値)+(a値+b値)〕0.5 (2)
【0015】
本発明における透明性を有する粉体は、特に限定されず、無機粉体、有機粉体の何れのものも使用することができる。また、球状、針状、板状、不定形等の粒子の形状、煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造も特に限定されず、何れのものも使用することができる。具体的には、マイカ、タルク、合成金雲母、ガラス末、シリカ、硫酸バリウム等が挙げられる。本発明においては、これらの1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの中でも、合成金雲母、ガラス末、硫酸バリウム、マイカよりなる群から選ばれる1種または2種以上が好ましく、合成金雲母、ガラス末、硫酸バリウムよりなる群から選ばれる1種または2種以上がより好ましく、合成金雲母、ガラス末よりなる群から選ばれる1種または2種以上がさらに好ましく、透明性を有する粉体が合成金雲母であると最も好ましい。
【0016】
また、本発明における透明性を有する粉体の平均粒子径は特に限定されないが、平均粒子径を特定することで、色持ち効果を更に高められるため好ましい。このような平均粒子径は、例えば、下限値としては12μm以上が好ましく、19μm以上がより好ましく、35μm以上がさらに好ましい。また、上限値としては、70μm以下が好ましく、60μm以下がより好ましく、50μm以下がさらに好ましい。この範囲であれば、色持ち効果により優れるため、より好ましい。
【0017】
本発明の透明性を有する粉体は、表面処理したものを使用することができる。本発明においては、表面処理していることで、色持ち効果により優れるため、より好ましい。表面処理としては、例えば、疎水化処理、親水化処理等の表面の親疎水を制御するものが挙げられるが、本発明においては、疎水化処理が好ましい。疎水化処理する処理剤としては、例えば、脂肪酸またはその塩(例えば金属石鹸等)等の脂肪酸処理、メチルポリシロキサン、ジメチコノール、メチルハイドロジェンポリシロキサン等のシリコーン処理、アモジメチコン、アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ変性シリコーン処理、トリエトキシカプリリルシラン、トリメトキシカプリリルシラン等のアルキルアルコキシシラン、パーフルオロヘキシルエチルトリエトキシシラン、パーフルオロアルキルジメチル・トリメチルシロキシケイサン等のフッ素化合物処理、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート等の有機チタネート処理等が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。本発明においては、表面処理剤を2種以上組み合わせて使用することで、色持ち効果により優れるため、より好ましい。2種以上組み合わせる表面処理剤としては、例えば、メチルポリシロキサン及びメチルハイドロジェンポリシロキサンで処理したもの、アミノプロピルトリエトキシシラン及びジメチコノールで処理したもの、トリエトキシカプリリルシラン及びメチルポリシロキサンで処理したもの、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート及びメチルハイドロジェンポリシロキサンで処理したもの等が挙げられる。これらの中でも、アミノプロピルトリエトキシシラン及びジメチコノールで処理したものが色持ち効果により優れるため、より好ましい。
【0018】
本発明における透明性を有する粉体の表面処理方法は、特に限定されず、公知の方法で処理することができ、表面処理剤の特性に合わせ、種々の手法を使用することができる。本発明における表面処理方法としては、例えば、溶媒を用いた湿式法、気相中で処理する乾式法、混合粉砕やせん断を伴うメカノケミカル法等が挙げられる。例えば、アミノプロピルトリエトキシシラン及びジメチコノールで処理する場合に、例えば、国際公開第2014/102862号パンフレットに記載された手法を使用することができる。
【0019】
本発明における着色化粧料とは、色素によって着色された化粧料を指す。ここで色素とは、顔料や染料、天然色素等を含むものである。具体的には、例えば、酸化チタン、ベンガラ、黄酸化鉄、黒色酸化鉄、酸化亜鉛、酸化セリウム、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット、チタン酸コバルト、群青、紺青、パール顔料などの無機顔料や、赤色3号、赤色10号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色213号、赤色218号、赤色220号、赤色223号、赤色225号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色404号、赤色405号、赤色504号、赤色505号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色204号、黄色205号、黄色401号、黄色403号、黄色406号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色205号、橙色206号、橙色207号、青色1号、青色2号、青色201号、青色202号、青色204号、青色205号、青色404号、褐色201号、黒色401号、紫色201号、紫色401号、緑色3号、緑色201号、緑色202号、緑色204号、緑色205号、緑色401号等の有機色素、シコニン、クチナシ、ベニバナ等の植物色素、β-カロチン、β-カロテン、アスタキサンチン等のカロテノイド、カルミン、カラメル等の天然色素が挙げられる。尚、本発明における着色化粧料に使用される有機色素はレーキ化されたものを用いても良い。
【0020】
本発明における着色化粧料の色素の含有量は特に限定されないが、本発明の色持ち効果を確認できる程度に含有している必要がある。そのような含有量は、例えば、下限値としては、0.01質量%(以下、単に%と略す)以上が好ましく、0.05%以上がより好ましく、0.1%以上がさらに好ましい。上限値としては、50%以下が好ましく、45%以下がより好ましく、40%以下がさらに好ましい。この範囲であれば、色持ち効果を確認できる点で好ましい。
【0021】
本発明は、着色化粧料中に透明性を有する化粧料用粉体を含有することで、色持ち効果を得ることができるが、その含有量を特定することで、着色化粧料の発色への影響を小さくし、色持ち効果により優れるため、より好ましい。そのような透明性を有する粉体の含有量として、例えば、下限値としては、0.01%以上が好ましく、0.1%以上がより好ましく、0.5%以上がさらに好ましい。上限値としては、50%以下が好ましく、35%以下がより好ましく、20%以下がさらに好ましい。この範囲であれば、色持ち効果により優れるため、より好ましい。
【0022】
本発明の白色度が80%以上であり、かつ、隠ぺい率が65%以下である透明性を有する粉体を含有する、着色組成物の色持ち向上剤は、着色組成物の色持ちに優れた作用を示し、色持ちを向上するために有効成分として利用することができる。ここで、着色組成物とは、色素によって着色された組成物を指す。ここで着色組成物に用いられる色素とは、顔料や染料、天然色素等を含むものである。具体的には、例えば、酸化チタン、ベンガラ、黄酸化鉄、黒色酸化鉄、酸化亜鉛、酸化セリウム、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット、チタン酸コバルト、群青、紺青、パール顔料などの無機顔料や、赤色3号、赤色10号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色213号、赤色218号、赤色220号、赤色223号、赤色225号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色404号、赤色405号、赤色504号、赤色505号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色204号、黄色205号、黄色401号、黄色403号、黄色406号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色205号、橙色206号、橙色207号、青色1号、青色2号、青色201号、青色202号、青色204号、青色205号、青色404号、褐色201号、黒色401号、紫色201号、紫色401号、緑色3号、緑色201号、緑色202号、緑色204号、緑色205号、緑色401号等の有機色素、シコニン、クチナシ、ベニバナ等の植物色素、β-カロチン、β-カロテン、アスタキサンチン等のカロテノイド、カルミン、カラメル等の天然色素が挙げられる。尚、本発明における着色組成物に使用される有機色素はレーキ化されたものを用いても良い。
【0023】
このような着色組成物における色素の含有量は特に限定されないが、例えば、0.01%以上が好ましく、0.1%以上がより好ましく、0.5%以上がさらに好ましい。上限値としては、50%以下が好ましく、35%以下がより好ましく、20%以下がさらに好ましい。
【0024】
本発明における着色組成物は、特に限定されないが、例えば、化粧料、皮膚外用剤、医薬品等が挙げられる。これらの中でも化粧料または皮膚外用剤に好ましく利用することができる。
【0025】
本発明の白色度が80%以上であり、かつ、隠ぺい率が65%以下である透明性を有する粉体を含有する、着色組成物の色持ち向上方法は、着色組成物の色持ちに優れた作用を示す。このような含有量は特に限定されないが、例えば、0.01%以上が好ましく、0.1%以上がより好ましく、0.5%以上がさらに好ましい。上限値としては、50%以下が好ましく、35%以下がより好ましく、20%以下がさらに好ましい。
【0026】
本発明の着色化粧料、色持ち向上剤または色持ち向上方法には、本発明の効果を損なわない範囲で、透明性を有する粉体以外に、化粧料または皮膚外用剤として許容される、種々の成分を含有させることができる。例えば、水性成分、油性成分、透明性を有する化粧料用粉体以外の粉体、界面活性剤、繊維、アルコール類(一価アルコール、多価アルコール等)、水溶性高分子、糖類、美容成分、香料、酸化防止剤、消泡剤、酸化防止剤、防腐剤、ゲル化剤、皮膜形成剤、pH調整剤、清涼剤、キレート剤等が挙げられる。
【0027】
本発明における剤または着色化粧料としては、その使用目的に応じて、固形状、半固形状、液状、粉末状等の種々の形態とすることができる。
【0028】
着色化粧料としては、クレンジング、洗顔料、化粧水、乳液、クリーム、マッサージ料、パック化粧料、美容液・ジェル、リップクリーム等のスキンケア化粧料、ファンデーション、フェイスパウダー、化粧下地、コンシーラー等のベースメイク化粧料、口紅、リップグロス、リップライナー、頬紅、アイシャドウ、アイライナー、マスカラ、アイブロウ等のポイントメイク化粧料、日焼け止め料、シャンプー、リンス、ヘアトリートメント、整髪料等のヘアケア化粧料等が挙げられる。着色組成物としては、前記着色化粧料、硬膏剤、軟膏剤、パップ剤、リニメント剤、ローション剤、塗布剤、貼付剤、エアゾール剤(スプレー薬)、マイクロニードルアレイ用組成物、イオントフォレーシス用組成物等が挙げられる。これらの中でも、色持ち効果の観点から、ベースメイク化粧料、ポイントメイク化粧料が好ましく、ポイントメイク化粧料がより好ましい。特に、飲み物を飲むこと等で、化粧料が落ちてしまい、色持ち効果に高い需要のある、口唇化粧料が好ましく、より具体的には、口紅、リップグロス及びリップライナーよりなる群から選ばれる1種または2種以上がより好ましい。
【実施例
【0029】
次に実施例を挙げて、本発明をさらに説明する。尚、これらは本発明をなんら限定するものではない。
【0030】
実施例1~7及び比較例1~4
本発明の透明性を有する粉体の色持ち効果について、以下に示す評価方法及び判定基準により評価判定した。本発明の透明性を有する粉体についてまとめたものを下記表1に示す。また、前記粉体を用いて、下記に示す処方及び製造方法にて得られる油性固形化粧料に添加し、前記粉体の色持ち効果を以下に示す評価方法及び判定基準により評価判定し、その結果を表2に併せて示す。
【0031】
【表1】
※1:アミノプロピルトリエトキシシラン及びジメチコノール 2%処理
※2:2%ジメチコン処理
※3:SE-MA-23(三好化成社製)
※4:2%アモジメチコン処理
【0032】
(油性固形化粧料の処方)
(成分) (%)
1.ポリエチレン 9
2.トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル 40
3.トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2 40
4.赤色202 1
5.化粧料用粉体 10
(油性固形化粧料の製造方法)
A:成分(1)~(3)を110℃にて混合溶解する。
B:Aの一部に成分(4)及び(5)を添加し、室温でロールミルにて混合分散する。
C:BをAの残量と90℃で混合し、容器に充填し、室温まで冷却して油性固形化粧料を得る。
【0033】
(透明性の評価方法)
表1に示す粉体について、透明性の評価を行った。まず油剤(トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル)80%に試料となる粉体20%を添加し、卓上デスパで1500rpmにて3分撹拌し、均一に分散する。次に、撹拌した試料を厚み400μmとなるよう、隠ぺい率試験紙JISK-5600(TP技研株式会社製)に塗付する。尚、隠ぺい率試験紙への塗布は、試料が流れ落ちたり、塗布後5分以内に厚みに変化が生じないように水平な台の上で行う。隠ぺい率試験紙に塗布後すぐに、隠ぺい率試験紙の黒背景、白背景上に塗布された膜をそれぞれ分光測色計CM-600d(コニカミノルタ社製)で測定し、L*a*b*を取得する。隠ぺい率は以下の式(1)にて算出した。また、白色度は白背景部分のL*a*b*を用いて、以下の式(2)にて算出した。
隠ぺい率=(黒背景部分のL値/白背景部分のL値)*100 (1)
白色度=100-〔(100-L値)+(a値+b値)〕0.5 (2)
(評価基準)
<隠ぺい率>
評価 :測定値
A : 60%以下
B : 60%より大きく65%以下
C : 65%より大きく70%以下
D : 70%より大きい
<白色度>
評価 :測定値
A : 90%以上
B : 85%以上90%未満
C : 80%以上85%未満
D : 80%未満
【0034】
(色持ち効果の評価方法)
上記油性固形化粧料を皮膚に塗布し、分光測色計CM-600d(コニカミノルタ社製)を用いて、油性固形化粧料を塗布した状態の色差を測定した。尚、油性固形化粧料は3cm×6cmの枠に重量0.04gとなるように直接皮膚に塗布をし、ティッシュを塗布部位に乗せ、200gの重さで2秒押さえつけた後の色差を測定し、ティッシュオフ前後の色差(ΔE)を算出した。得られた各油性固形化粧料に関するΔEについて、下記判定基準にて判定した。その結果を表2に示す。ここで、ΔEとは、下記式(3)で示される、ティッシュオフ前後の色差(L*a*b*)それぞれの差の平方根から求めることができる。
ΔE=[(L*-L*)+(a*-a*)+(b*-b*)0.5
(式(3)中、L*a*b*はティッシュオフ前の色差の値を、L*a*b*はティッシュオフ後の色差の値を示す。)
(判定基準)
A:ΔE<6
B:6≦ΔE<8
C:8≦ΔE<10
D:10≦ΔE
【0035】
【表2】
【0036】
表1及び表2の結果から明らかなように、実施例の化粧料用粉体は、比較例に比べて色持ちにより優れたものであった。一方、比較例は色もちとくすみ感のなさを両立し満足できるものが得られなかった。
【0037】
実施例8:口紅(スティック状)
成分 (%)
1.トリメリト酸トリトリデシル 15
2.(ビニルピロリドン/ヘキサデセン)コポリマー 18
3.トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2 残量
4.トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル 13
5.エチルヘキサン酸セチル 15
6.オクチルドデカノール 5
7.パラフィン(融点58℃) 9
8.(エチレン/プロピレン)コポリマー(融点95℃) 4.5
9.マイクロクリスタリンワックス(融点83℃) 1.5
10.ラウロイルグルタミン酸
ジ(フィトステアリル/オクチルドデシル) 2
11.ジブチルヒドロキシトルエン 0.1
12.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
13.シリル化処理無水ケイ酸 1
15.化粧料用粉体C 5
16.化粧料用粉体F 5
17.赤色202号 0.1
18.黒色酸化鉄 0.05
19.トリイソステアリン酸イソプロピルチタン
2%処理酸化チタン 0.03
(製造方法)
A.成分(1)~(10)を100~110℃にて均一に溶解する。
B.Aに成分(11)~(18)を加え、均一に混合分散する。
C.Bを脱泡後、100℃に加熱してスティック状口紅容器に直接流し込み、室温に冷却後、口紅を得た。
【0038】
以上のようにして得られたスティック状口紅は、色持ちが良く、くすみ感のなさにおいて満足のいくものであった。
【0039】
実施例9:口紅(液状)
成分 (%)
1.パルミチン酸デキストリン 3
2.(パルミチン酸/エチルヘキサン酸)デキストリン 1
3.トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2 20
4.トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル 13
5.エチルヘキサン酸セチル 残量
6.トリメリト酸トリトリデシル 8
7.ポリブテン 5
8.ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2 3
9.ジブチルヒドロキシトルエン 0.1
10.ジプロピレングリコール 0.2
11.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
12.シリル化処理無水ケイ酸 1
13.赤色202号 0.1
14.黄色4号 1
15.赤色218号 0.03
16.化粧料用粉体B 10
17.(アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10-30))
コポリマー 0.01
18.パーフルオロオクチルトリエトキシシラン2%処理
ホウケイ酸(Ca/Al) 1
19.ジメチコン2%処理雲母チタン 1
【0040】
(製造方法)
A.成分(1)~(9)を80~90℃にて均一に溶解する。
B.Aに成分(10)~(19)を加え、均一に混合分散する。
C.Bを脱泡後、90℃に加熱して容器に直接流し込み、室温に冷却後、口紅を得た。
【0041】
以上のようにして得られた液状口紅は、色持ちが良く、くすみ感のなさにおいて満足のいくものであった。
【0042】
実施例10:油性アイカラー
成分 (%)
1.ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン 2
2.(ジメチコン/ポリグリセリン-3)クロスポリマー 18
3.ポリエチレンワックス(融点95℃) 4
4.キャンデリラワックス(融点73℃) 1
5.パルミチン酸デキストリン 0.5
6.デカイソステアリン酸ポリグリセリル-10 10
7.トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2 残量
8.トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル 5
9.ミリスチン酸イソプロピル 3
10.ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル
/セチル/ステアリル/ベヘニル) 5
11.ジプロピレングリコール 0.3
12.無水ケイ酸 7
13.カオリナイト 10
14.(ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン
/シルセスキオキサン)クロスポリマー 1.5
15.パーフルオロオクチルトリエトキシシラン3%処理タルク 2
16.化粧料用粉体A 10
17.化粧料用粉体G 10
18.赤色201号 1
19.黄色4号 0.5
20.黒色酸化鉄 0.5
21.酸化チタン 1
22.ジブチルヒドロキシトルエン 0.01
23.パラオキシ安息香酸メチル 0.3
【0043】
(製造方法)
A.成分(1)~(10)を110℃~120℃にて加熱溶解後、成分(11)~(21)を加えて均一に混合する。
B.Aを脱泡後、金皿に流し込み充填し、室温に冷却して成型する。
【0044】
以上のようにして得られた油性アイカラーは、色持ちが良く、くすみ感のなさにおいて満足のいくものであった。
【0045】
実施例11:チークカラー
(成分) (%)
1.球状(スチレン/DVB)コポリマー ※5 10
2.球状(ジフェニルジメチコン/ビニルフェニルジメチコン
/シルセスキオキサン)クロスコポリマー ※6 5
3.赤色226号 0.5
4.赤色202号 0.2
5.黄色4号 0.2
6.赤色酸化鉄 0.2
7.タルク(板状、平均粒子径7μm) 5
8.マイカ 残量
9.セリサイト 10
10.化粧料用粉体C 10
11.窒化ホウ素 ※7 5
12.化粧料用粉体D 14
13.酸化亜鉛※8 2
14.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
15.(ジメチコン/ポリグリセリン-3)クロスポリマー 6
16.セスキイソステアリン酸ソルビタン 2
17.PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン 0.2
18.流動パラフィン 5
19.ワセリン 5
20.ジメチルポリシロキサン(10CS:25℃) 10
21.ジプロピレングリコール 0.1
22.ホホバ油 0.3
23.ラベンダー油 0.3
24.香料 0.2
25.オレンジ油 0.01
【0046】
※5:ガンツパールGS-0605(アイカ工業社製)
※6:KSP-300(信越化学工業社製)
※7:CCS102-jA BORON NITRIDE POWDER(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)
※8:XZ-300F(堺化学株式会社製)
【0047】
(製造方法)
A.成分(1)~(14)をスーパーミキサーで均一に混合する。
B.成分(15)~(25)を80~90℃にて均一に混合溶解する。
C.AにBを添加し均一に混合する。
D.Cを粉砕後、プレス成型し、チークカラーを得た。
【0048】
得られたチークカラーは、色持ちが良く、くすみ感のなさにおいて満足のいくものであった。
【0049】
実施例12:ファンデーション
(成分) (%)
1.黄色酸化鉄 0.3
2.ステアロイルグルタミン酸2Na3%処理赤色酸化鉄 0.2
3.黒色酸化鉄 0.2
4.窒化ホウ素 2
5.化粧料用粉体E 11
6.ジメチルポリシロキサン2%処理タルク 残量
7.トリエトキシカプリリルシラン2%処理タルク 10
8.球状ポリメタクリル酸メチル ※9 4
9.球状(HDI/PPG/ポリカプロラクタン)クロスポリマー 4
10.ラウロイルグルタミン酸2%処理酸化チタン ※10 8
11.酸化亜鉛 ※11 3
12.パラメトキシケイヒ酸エチルヘキシル 8
13.ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 3
14.トリプロピレングリコール 3
15.トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル 4
16.スクワラン 3
17.メドウフォーム油 5
18.コハク酸ジエチルヘキシル 1
19.ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン 3
20.(ジメチコン/ポリグリセリン-3)クロスポリマー 6
21.セスキイソステアリン酸ソルビタン 0.2
22.リンゴ酸ジイソステアリル 1
23.ヒアルロン酸Na 0.001
24.トコフェロール 0.01
25.1,3-ブチレングリコール 0.5
26.グリセリン 1
27.精製水 1
【0050】
※9:ガンツパールGM-2800(アイカ工業社製)
※10:MP-70(テイカ社製)」
※11:XZ-3000F(堺化学工業社製)
【0051】
(製造方法)
A.成分(1)~(11)をスーパーミキサーで均一に混合する。
B.成分(12)~(22)を70℃で加熱溶解する。
C.成分(23)~(27)を均一に溶解する。
D.AにB,Cを加え、均一に混合する。
E.Dを粉砕後、プレス成型し、ファンデーションを得た。
【0052】
得られたファンデーションは、色持ちが良く、くすみ感のなさにおいて満足のいくものであった。
【0053】
実施例13:軟膏
(成分) (%)
1.トリエタノールアミン 2.0
2.グリセリン 8.0
3.精製水 残量
4.セタノール 4.0
5.ワセリン 30.0
6.トコフェロール 0.01
7.ステアリン酸 18.0
8.セスキオレイン酸ソルビタン 1.5
9.化粧料用粉体C 1.0
【0054】
(製造方法)
A.成分(4)~(8)を75℃で均一に溶解する。
B.成分(1)~(3)を75℃で均一に溶解する。
C.AにBを徐々に加え、乳化する。
D.Cに成分(9)を加え、室温で均一に混合し、軟膏を得た。
【0055】
得られた軟膏は、色持ちが良く、くすみ感のなさにおいて満足のいくものであった。