(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-16
(45)【発行日】2024-08-26
(54)【発明の名称】固形粉末化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/81 20060101AFI20240819BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20240819BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20240819BHJP
A61K 8/25 20060101ALI20240819BHJP
A61K 8/27 20060101ALI20240819BHJP
A61K 8/29 20060101ALI20240819BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20240819BHJP
A61K 8/891 20060101ALI20240819BHJP
A61Q 1/08 20060101ALI20240819BHJP
A61Q 1/12 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
A61K8/81
A61K8/02
A61K8/19
A61K8/25
A61K8/27
A61K8/29
A61K8/31
A61K8/891
A61Q1/08
A61Q1/12
(21)【出願番号】P 2020063013
(22)【出願日】2020-03-31
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000145862
【氏名又は名称】株式会社コーセー
(74)【代理人】
【識別番号】110000590
【氏名又は名称】弁理士法人 小野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 健一
(72)【発明者】
【氏名】森 洋輔
【審査官】伊藤 真明
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-187952(JP,A)
【文献】国際公開第2019/188842(WO,A1)
【文献】特開2016-185925(JP,A)
【文献】特開2019-137679(JP,A)
【文献】特開2020-033339(JP,A)
【文献】特開2004-210720(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)~(D);
(A)非水溶媒に分散可能な(メタ)アクリル酸アルキル(炭素数C4~30)骨格を含有する共重合体を1種又は2種以上
1~10質量%
(B)25℃で液状のIOB値0~0.4の(b1)揮発性油及び(b2)不揮発性油から選ばれる1種又は2種以上
(C)平均粒子径が5~200μmの
雲母、合成金雲母、二酸化チタン被覆雲母、二酸化チタン被覆合成金雲母及び酸化鉄被覆雲母よりなる群から選ばれる1種又は2種以上の板状粉体
10~67質量%
(D)平均粒子径が5~100nmの
シリカ及び/又は微粒子酸化亜鉛 0.3~3.5質量%
を含有し、
前記成分(B)が少なくともイソドデカンを含み、前記成分(C)及び(D)を含む全粉体総量
が45.6~75.5質量%であり、前記全粉体総量に対する前記成分(B)を含む全油剤総量の質量割合(全油剤総量/全粉体総量)が0.4~1.4である固形粉末化粧料。
【請求項2】
前記成分(A)と(B)の質量割合(A)/(B)が0.01~0.5の範囲である請求項1記載の固形粉末化粧料。
【請求項3】
前記成分(D)が屈折率1.8未満である請求項1または2記載の固形粉末化粧料。
【請求項4】
前記成分(A)の(メタ)アクリル酸アルキルのTgが10℃以上50℃以下である請求項1~3の何れかに記載の固形粉末化粧料。
【請求項5】
前記成分(A)が酢酸ビニルとの共重合体であり、(メタ)アクリル酸アルキルと酢酸ビニルを質量比30:70~95:5の範囲で共重合したものである請求項1~4の何れかに記載の固形粉末化粧料。
【請求項6】
さらに成分(E)架橋型シリコーンエラストマーを含有する請求項1~5の何れかに記載の固形粉末化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い保湿感、二次付着レス効果、ぼかしやすさ、白膜感の無さに優れ、かつ膜薄な化粧膜を形成する固形粉末化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
固形粉末化粧料は、使用方法が簡便な上に携帯性にも優れることからファンデーションやアイシャドウ等に広く用いられる剤型である。中でも粉体を主体とした固形粉末化粧料において、使用時の伸び広がりの良さやべたつかない仕上がり等の品質が好まれている。また、固形油及び液状油を主体とした油性固形粉末化粧料は、密着性やエモリエント効果、透明性に優れた特徴を有している。これらの化粧料は使用感や機能性、仕上がり等に応じて使い分けられており、それらの向上のために種々の検討が行われてきた。
近年、固形粉末化粧料と固形油性化粧料の両方の特徴を併せ持つ化粧料の開発がなされ、例えばタルクを含む粉体、油剤と部分架橋型オルガノポリシロキサン重合体を用いて、良好な使用感(塗布時のしっとり感、指での取れやすさ、透明性)と耐衝撃性、肌への密着性を向上させる技術(例えば特許文献1)、酸化チタンを含む粉体と特定のエステル油、シリコーン系樹脂を組み合わせることで、適度な伸びや心地良い使用感、化粧もちを向上する技術(例えば特許文献2)、層構造を有する光輝性粉体と皮膜形成剤を用いて、仕上がり効果と化粧持続性に優れた固形粉末化粧料の開発(例えば特許文献3)、吸油性粉体と特定の油剤を用いて耐衝撃性及び使用時の塗布の均一性に優れた固形粉末化粧料の開発等(例えば特許文献4)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-15675号公報
【文献】特開2014-129294号公報
【文献】特開2004-161681号公報
【文献】特開2008-201695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1の技術では、肌への密着性が高いことから、髪や手などが化粧膜に触れた際の二次付着を生じにくさの着眼がなく、指での取れやすさが高いことにより、着手で厚みのある化粧膜になりやすく、膜薄な化粧膜を均一に形成することに課題があった。また、特許文献2の技術では、硬くて脆い樹脂を用いて皮膜形成する効果を付与しているが、柔軟性のある膜が形成しにくく、ぼかしやすさに課題があった。さらに、隠ぺいする酸化チタンを必須とするため、透明感や白膜感のなさの着眼はなかった。多層構造を有する光輝性粉体と皮膜形成剤を用いる特許文献3の技術では、見る角度により発色が異なる仕上がりと高い化粧持続効果が得られるものの、粉体を多く配合するため、粉っぽくなり保湿感を感じにくいといった点は着目されていなかった。さらに、吸油性粉体と特定の油剤を用いる特許文献4のような技術では、塗布時の均一性に優れるものの、吸油した粉体により二次付着を生じやすいといった点には着目されていなかった。
そこで、本発明では、機能性と独特な仕上がりを併せもつ固形粉末化粧料を提供することを課題とする。より詳しくは、高い保湿感、二次付着レス効果、ぼかしやすさ、白膜感の無さに優れ、かつ膜薄な化粧膜を形成する固形粉末化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる事情に鑑み、本発明者らは鋭意検討を行った結果、非水溶媒に分散可能な(メタ)アクリル酸アルキル(炭素数C4~30)骨格を含有する共重合体、25℃で液状のIOB値が0~0.4の揮発性油または不揮発性油剤、平均粒子径が5~200μmの板状粉体、平均粒子径が5~100nmである粉体を組み合わせることにより、保湿感、べたつきがなく髪の毛や指等皮膚に接触するものにつきにくい二次付着レス効果、塗布中の伸ばしやすさによるぼかしやすさ、油剤と粉が一体化して濡れることで屈折率差が少なくなり透明感を付与できる白膜感の無さが向上し、厚みが出にくく適度な付着力により塗布した最初から膜薄な化粧膜が形成されることを見出した。
斯様にして、本発明者は、本発明を完成させ、本発明は以下の通りである。
【0006】
すなわち本発明は、
〔1〕
次の成分(A)~(D);
(A)非水溶媒に分散可能な(メタ)アクリル酸アルキル(炭素数C4~30)骨格を含有する共重合体を1種又は2種以上
(B)25℃で液状のIOB値0~0.4の(b1)揮発性油及び(b2)不揮発性油から選ばれる1種又は2種以上
(C)平均粒子径が5~200μmの板状粉体
(D)平均粒子径が5~100nmの粉体
を含有し、前記成分(C)及び(D)を含む全粉体総量と、前記成分(B)を含む全油剤総量の質量割合(全油剤総量/全粉体総量)が0.4~1.4である固形粉末化粧料である。
〔2〕
前記成分(A)と(B)の質量割合(A)/(B)が0.01~0.5の範囲である〔1〕に記載の固形粉末化粧料である。
〔3〕
前記成分(D)が屈折率1.8未満である〔1〕または〔2〕に記載の固形粉末化粧料
〔4〕
前記成分(A)の(メタ)アクリル酸アルキルのTgが10℃以上50℃以下である〔1〕~〔3〕の何れか記載の固形粉末化粧料である。
〔5〕
前記成分(A)が酢酸ビニルとの共重合体であり、(メタ)アクリル酸アルキルと酢酸ビニルを質量比30:70~95:5の範囲で共重合したものである〔1〕~〔4〕の何れかに記載の固形粉末化粧料である。
〔6〕
さらに成分(E)架橋型シリコーンエラストマーを含有する〔1〕~〔5〕の何れかに記載の固形粉末化粧料。
【発明の効果】
【0007】
本発明の固形粉末化粧料は、高い保湿感、二次付着レス効果、ぼかしやすさ、白膜感の無さに優れ、かつ膜薄な化粧膜を形成するものである。
ここに記載された効果は、必ずしも限定されるものではなく、本明細書中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。ただし、本技術は以下の好ましい実施形態に限定されず、本発明の範囲内で自由に変更することができるものである。尚、本明細書において百分率は特に断りのない限り質量による表示である。
なお、本明細書においては、~を用いて数値範囲を表す際は、その範囲は両端の数値を含むものとする。
また、平均粒子径は、走査型電子顕微鏡(日本電子製、JSM-7800prime)、または光学顕微鏡を用いて観察し、画像解析装置(ルーゼックスAP、ニレコ社製)による測定により求めた画像解析法によるものであり、メジアン径D50を示すものである。平均粒子径は、粒子の長径で判断するものとする。
【0010】
本発明で用いられる成分(A)非水溶媒に分散可能な (メタ)アクリル酸アルキル(炭素数C4~30)骨格を含有する共重合体とは、水に溶解せず固形状を維持し、アクリル酸アルキル(炭素数C4~30)及びメタクリル酸アルキル(炭素数C4~30)の中の1種以上のモノマーを共重合したものである。皮膜形成剤として粉末固形粉末化粧料に含有することで、保湿感、二次付着レス効果、ぼかしやすさ、膜薄な化粧膜を実現させる効果を奏するものである。本発明で用いられる成分(A)は通常の化粧料に使用されるものであれば限定されないが、具体的には、アクリル酸アルキル/スチレン共重合体、アクリル酸アルキル/酢酸ビニル共重合体、アクリル/シリコーングラフト共重合体が好ましく、保湿感、二次付着レス、ぼかしやすさ、白膜感のなさ、薄膜な化粧膜形成の観点からアクリル酸アルキル/酢酸ビニル共重合体がより好ましい。(メタ)アクリル酸アルキル骨格の中でも、炭素数が、下限として、C4以上を含むものが好ましく、さらにC8以上を含むものがより好ましく、上限として、C24以下を含むものが好ましく、C22以下を含むものがより好ましい。
【0011】
本発明の成分(A)のアクリル酸アルキル/スチレン共重合体は、(メタ)アクリル酸アルキルと、スチレンとを共重合して得られるものである。(メタ)アクリル酸アルキルとして、アルキル基の炭素数が1~4,8又は12の(メタ)アクリル酸アルキルの1種又は2種以上が用いられる。(メタ)アクリル酸アルキルとスチレンの質量比は特に制限されるものではないが、70:30~90:10((メタ)アクリル酸アルキル:スチレン)が好ましい。数平均分子量は50000~300000(ゲルパーミュレーションクロマトグラフィによるポリスチレン換算値)のものが好ましく用いられる。この範囲であると、非水溶媒、特に揮発性炭化水素油に溶解せず、良好な粒子状態で含有できる。また、この粒子は、遠心沈降法による平均粒子径が0.1~2.0μmであると好ましい。この測定方法は、樹脂粒子の非水ディスパージョンを適切な濃度に調整し、ガラスセルに当該分散液の一部を取り、遠心沈降式粒度分布測定装置(例えば、堀場製作所製:CAPA-700)を用いて平均粒子径を測定した。
(メタ)アクリル酸アルキルの割合が上記範囲よりも少ないとべたつきが増加し二次付着レス効果等が低下する可能性があり、上記範囲よりも多いと、ぼかしやすさ等が低下する場合がある。市販品としては、例えば、非水溶媒に分散したアクリル酸アルキル/スチレン共重合体のディスパージョンであるニッセツ U-3700A(日本カーバイド社製)等があげられる。
【0012】
本発明の成分(A)のアクリル酸アルキル/酢酸ビニル共重合体は、(メタ)アクリル酸アルキルと、酢酸ビニルとを共重合して得られるものである。INCI名(International Nomenclature Cosmetic Ingredient labeling names)で、ACRYLATES/VA COPOLYMERとして収載される成分に相当する。(メタ)アクリル酸アルキルとして、アルキル基の炭素数が1~4,8又は12の(メタ)アクリル酸アルキルの1種又は2種以上が用いられる。(メタ)アクリル酸アルキルと酢酸ビニルの質量比は特に制限されるものではないが、30:70~95:5((メタ)アクリル酸アルキル:酢酸ビニル)が好ましく、40:60~70:30の範囲がより好ましい。この共重合体は、非水溶媒のディスパージョン状態で配合されることが好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルの割合が上記範囲よりも少ないと疎水性が低いため、非水溶媒に分散しにくくなり、化粧持ちが悪くなり二次付着レス効果等が低下する可能性がある。逆に、上記範囲よりも多いと、非水溶媒、特に揮発性炭化水素油や油剤に溶解しやすく、粒子状態にならずに点接着にならないため、付着性が高まりすぎて、ぼかしやすさ等が低下する場合がある。
また、この粒子は、レーザー回折法を用い、以下の方法により求められる。
成分(A)を、縦5mm、横65mm、及び高さ80mm角のガラスセル中にパスツールピペットを用いて5mL採取し、これをレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置〔堀場製作所社製のLA-910A〕にセットする。レーザー光(赤色)の透過率が80%~90%になるように、成分(A)の濃度を調整した後、測定温度25℃±1℃の条件で測定した結果をコンピュータ処理することにより、非水ディスパージョン中の樹脂の粒子の平均粒子径を求め、体積平均(D50)の値を平均粒子径とする。成分(A)のアクリル酸アルキル/酢酸ビニル共重合体は、平均粒子径が0.1~2.0μmであると好ましい。
【0013】
本発明の成分(A)のアクリル酸アルキル/酢酸ビニル共重合体の数平均分子量は特に制限されるものではないが、二次付着レス効果と膜薄な化粧膜効果の観点から、好ましくは5万~50万であり、5~30万がより好ましい。数平均分子量は、ゲルパーミュレーションクロマトグラフィによるポリスチレン換算値である。また成分(A)を構成するモノマーのうち、(メタ)アクリル酸アルキルを重合した重合体のTgは下限として、10℃以上が好ましく、15℃以上がより好ましく、20℃以上が更に好ましく、上限として、50℃以下が好ましく、40℃以下がより好ましい。この範囲であると、保湿感、二次付着レス、薄膜な化粧膜形成、ぼかしやすさの効果を高めることができる。市販品としては、例えば、非水溶媒としてイソドデカンに分散したアクリル酸アルキル/酢酸ビニル共重合体のディスパージョンであるニッセツ U-3712A(日本カーバイド工業社製)等があげられる。
【0014】
本発明の成分(A)のアクリル/シリコーングラフト共重合体とは、分子鎖の片末端にラジカル重合性基を有するオルガノポリシロキサン化合物との(メタ)アクリル酸アルキル(炭素数C12~30)を主体とするラジカル重合性モノマーとを共重合して得られるものである。市販品としては、例えば、アクリル/シリコーングラフト共重合体であるKP561P((アクリレーツ/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマー)(融点25~35℃)、KP562P((アクリレーツ/アクリル酸ベヘニル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマー)(融点45~55℃)、また、アクリレートシリコーンの1種であり、構成にアクリル酸ステアリル及びメタクリル酸ヒドロキシエチルのモノマーを含む共重合体である、X-22-8338E(固形分30%イソドデカン溶液)(信越化学工業社製)があげられる。
【0015】
本発明の成分(A)の含有量は、特に制限されないが、下限として、1%以上が好ましく、2%以上がより好ましく、3%以上が更に好ましい。上限として、10%以下が好ましく、6%以下がより好ましく、5%以下が更に好ましい。この範囲であると、保湿感、二次付着レス効果、ぼかしやすさ、白膜感のなさ、薄膜な化粧膜形成の点から好ましい。
【0016】
本発明の成分(B)は、25℃で液状のIOB値0~0.4の(b1)揮発性油及び(b2)不揮発性油から選ばれる1種または2種以上である。IOB値とは、有機化合物の極性の度合いを、無機性(inorganic)と有機性(organic)のバランスで示す指標であり、IOB値=無機性値/有機性値として表される。IOB値がこの範囲であると、成分(A)の化粧料中での分散性を妨げることなく、成分(A)の効果を付与させつつ、高い保湿感と白膜感のなさをより高めることができる。成分(A)が成分(B)に予め分散・混合・溶解した場合には、室温20℃の状態で一定の大きさで均一に分散することが好ましく、化粧膜中に成分(A)が粒子状に分散し点接着することで、塗布時に伸び広げやすく、ぼかしやすさの効果をより高めることができる。特に成分(B)の中でも成分(b1)に予め分散すると成分(A)の粒子の大きさが安定し好ましいが、特に限定するものではない。
【0017】
本発明の成分(B)は、成分(b1)および成分(b2)から選ばれる1種または2種以上であるが、成分(b1)が含有されると、仕上がりの二次付着レス効果が高まり、成分(b2)が含有されるとより高い保湿感を付与することができる。具体的に、例えば、(b1)としては、揮発性炭化水素油(IOB=0)がより好ましい。揮発性炭化水素油とは、常圧における沸点が260℃以下の炭化水素であり、例えば、イソオクタン(2,2,4-トリメチルペンタン、2,3-ジメチルヘキサン等)、イソドデカン(2,2,4,6,6-ペンタメチルヘプタン等)、イソヘキサデカン、イソエイコサエン等の側鎖を有する炭化水素、イソパラフィン、或いはこれらの混合物、イソブテン、n-ブテン等を重合或いは共重合(重合度は4~6が好ましい)した後、水素添加したもの等を挙げることができ、必要に応じて1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。市販品としては、IPソルベント 1620 MU、IPソルベント 2028 MU(何れも出光石油化学社製)、ISODODECANE(IMCD社製)、アイソパー(エッソ化学社製)、マルカゾールR(丸善石油化学社製)等が挙げられる。
(b2)としては、25℃で液状のIOB値0~0.4の油剤であり、具体的に、例えば、スクワラン(IOB=0)、2-エチルヘキサン酸セチル(IOB=0.13)、イソノナン酸イソトリデシル(IOB=0.15)、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール(IOB=0.25)、ジカプリン酸プロピレングリコール(IOB=0.26)、リンゴ酸ジイソステアリル(IOB=0.28)、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン(IOB=0.16)、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリル(IOB=0.35)、ミリスチン酸イソプロピル(IOB=0.18)、イソノナン酸イソデシル(IOB=0.19)、ネオペンタン酸オクチルドデシル(IOB=0.13)、ネオペンタン酸イソステアリル(IOB=0.14)、パルミチン酸イソプロピル(IOB=0.16)、ラウリン酸ヘキシル(IOB=0.17)、エチルヘキサン酸ヘキシルデシル(IOB=0.13)、イソステアリン酸イソプロピル(IOB=0.15)、ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール(IOB=0.32)、トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン(IOB=0.33)、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル(IOB=0.35)、イソデシルベンゾエート(IOB=0.23)、ジカプリル酸プロピレングリコール(IOB=0.32)、イソノナン酸イソノニル(IOB=0.2)、イソノナン酸エチルヘキシル(IOB=0.2)、ネオペンタン酸イソデシル(IOB=0.22)、エチルヘキサン酸エチルヘキシル(IOB=0.2)、トリエチルヘキサン酸グリセリル(IOB=0.36)、コハク酸ジエチルヘキシル(IOB=0.32)、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル(IOB値=0.28)等が挙げられる。
【0018】
本発明の成分(B)の(b2)のIOB値は、下限値として、0以上が好ましく、0.13以上がより好ましく、0.2以上が更に好ましい。上限値として、0.4以下である。この範囲であれば、ぼかしやすさ、二次付着レス効果、薄膜な化粧膜の点においてより好ましい。
【0019】
本発明の成分(B)の含有量は、特に制限されないが、下限として20%以上が好ましく、30%以上がより好ましく、35%以上が更に好ましく、上限として、55%以下が好ましく、50%以下がより好ましく、45%以下が更に好ましい。この範囲であると、保湿感、二次付着レス効果、白膜感のなさ、薄膜な化粧膜の点から好ましい。固形粉末化粧料中の総油性成分中の成分(B)の質量割合は、40%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、80%以上が更に好ましい。
【0020】
本発明においては、成分(A)と成分(B)の質量割合(A)/(B)が、下限値として、0.01以上が好ましく、0.03以上がより好ましく、0.05以上が更に好ましい。上限値として、0.5以下が好ましく、0.3以下がより好ましく、0.15以下が更に好ましい。上記範囲であると、ぼかしやすさが好ましく、白膜感のなさや、膜薄な化粧膜を付与しやすい。
【0021】
本発明において成分(b2)を配合した場合に、成分(A)と成分(b2)の質量割合(A)/(b2)は、下限値として、0.05以上が好ましく、0.1以上がより好ましく、0.15以上が更に好ましい。上限値として、1.5以下が好ましく、1.0以下がより好ましく、0.5以下が更に好ましい。上記範囲であると、べたつきがなく、二次付着レス効果に優れ、保湿感にも優れるため好ましい。
【0022】
本発明に用いられる成分(C)の5~200μmの板状粉体は、特に限定されず、例えば、マイカ、セリサイト、合成マイカ、焼成セリサイト、タルク、焼成タルク、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、劈開タルク、無水ケイ酸、酸化アルミニウム、カオリン、窒化ホウ素、酸化チタン等の無機粉体類、雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、有機顔料処理雲母チタン、二酸化チタン被覆雲母、二酸化チタン被覆合成金雲母、二酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄被覆雲母チタン、紺青処理雲母チタン、カルミン処理雲母チタン、魚鱗箔、二酸化チタン被覆ガラス末等の光輝性粉体類、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有シリカ、酸化亜鉛含有シリカ等の複合粉体類、セルロース、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末等の有機粉体類が挙げられ、これらの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、白膜感のなさ、ぼかしやすさの観点から、マイカ、セリサイト、合成金雲母、タルク、窒化ホウ素、雲母チタンを用いることが好ましく、マイカ、合成金雲母を用いることがより好ましい。
これらの粉体は、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、金属石鹸、レシチン、水素添加レシチン、コラーゲン、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、ワックス、ロウ、界面活性剤等の1種又は2種以上を用いて表面処理を施してあってもよい。
【0023】
成分(C)の平均粒子径は、特に限定されないが、下限として10μm以上が好ましく、15μm以上がより好ましく、20μm以上がより好ましい。上限として、200μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましく、50μm以下が更に好ましい。この範囲であると、白膜感のなさ、保湿感、二次付着レス効果が高まって好ましい。
【0024】
また成分(C)の含有量は、特に限定されないが、下限として、10%以上が好ましく、20%以上がより好ましく、40%以上が更に好ましい。上限として、60%以下が好ましく、50%以下がさらに好ましく、47%以下が更に好ましい。この範囲であると、白膜感のなさ、保湿感、ぼかしやすさ、薄膜な化粧膜の効果が高く好ましい。
【0025】
本発明の(D)は平均粒子径が5~100nmである粉体であり、特に素材は限定されないが、可視光領域を反射しにくい前記の大きさである。特に表面が疎水性でも親水性でも特に限定しないが、疎水性であると凝集力が緩和されているので好ましく、水酸基が少なからず粉体表面に残存していると、表面の水酸基による水素結合によって成分(B)をゲル化・増粘させる効果を有することにより、硬さを調節し形状保持しやすくなるため好ましい。例えば四塩化ケイ素を水素と酸素炎中で加水分解して得られた煙霧状シリカ、または微粒子金属酸化物、例えば酸化チタンまたは酸化亜鉛等が挙げられる。白膜感の無さ、保湿感の観点から煙霧状シリカのように屈折率が1.8以下の低いものが好ましいが、可視光を反射しにくい大きさの平均粒子径5~100nmであれば特に限定するものではない。
成分(D)は疎水化処理したものであってもよい。疎水化処理としては、ジメチルジクロロシラン処理、トリメチルシリルクロライドやヘキサメチルジシラザンによるトリメチルシロキシ処理、オクチルシラン化処理、ジメチルシリコーンオイル処理、メチルハイドロジェンポリシロキサンを用いたコーティング焼付け処理、金属石鹸によるコーティング等が挙げられる。
【0026】
成分(D)の煙霧状シリカの市販品としてはAEROSIL50(平均粒子径 50nm)、AEROSIL130(平均粒子径 16nm)、AEROSIL200(平均粒子径 200nm)、AEROSIL200V(平均粒子径 12nm)、AEROSIL200CF(平均粒子径 12nm)、AEROSIL200FAD(平均粒子径 12nm)、AEROSIL300(平均粒子径 7nm)、AEROSIL300CF(平均粒子径 7nm)、AEROSIL380(平均粒子径 7nm)、AEROSIL380(平均粒子径 7nm) (以上、日本アエロジル社製)等、疎水化処理したものとしては、AEROSIL R972(平均粒子径 16nm)、AEROSIL R972V(平均粒子径 16nm)、AEROSIL R972CF(平均粒子径 16nm)、AEROSIL R974(平均粒子径 16nm)、AEROSIL RX200(平均粒子径 12nm)、AEROSIL RY200(平均粒子径 12nm)、AEROSIL R202(平均粒子径 14nm)、AEROSIL R805(平均粒子径 12nm)、AEROSIL R812(平均粒子径 7nm)、(以上、日本アエロジル社製)等が挙げられる。なお、成分(D)の微粒子金属酸化物、例えば酸化チタンの市販品としては、MT-100Z、MT-500SA、MTY-700BS(テイカ社製)、または酸化亜鉛の市販品としては、MZY-500SHE、MZY-505S、MZY-303S(テイカ社製)、XZ-100F-LP(堺化学工業社製)等があげられる。
【0027】
成分(D)の平均粒子径は、5~100nmであれば特に制限されないが、上限として、好ましくは50nm以下、さらに好ましくは40nm以下である。下限として、好ましくは7nm以上である。この範囲であると、ぼかしやすさと白膜感のなさの点から好ましい。
【0028】
成分(D)の含有量は、特に限定されないが、下限として好ましくは0.3%以上、より好ましくは1%以上、さらに好ましくは1.2%以上であり、上限として、好ましくは3.5%以下、より好ましくは2.5%以下、さらに好ましくは2%以下である。この範囲であると、保湿感、二次付着レス効果、ぼかしやすさ、白膜感のなさの点から好ましい。
【0029】
本発明においては、前記成分(B)を含む全油剤総量と前記成分(C)及び(D)を含む全粉体総量との質量割合(全油剤総量/全粉体総量)は、下限として0.4以上、0.6以上が好ましく、0.65以上がより好ましく、上限として、1.4以下、1.1以下が好ましく、0.85以下がより好ましい。この範囲であると保湿感、ぼかしやすさ、白膜感のなさ、膜薄な化粧膜の点から好ましい。
また、さらに前記成分(b2)を含む不揮発性油量と前記成分(C)及び(D)を含む全粉体総量との質量割合(不揮発性油量/全粉体総量)は、下限として0.1以上が好ましく、0.2以上がより好ましく、0.3以上が更に好ましい。上限として、1.0以下が好ましく、0.8以下がより好ましく、0.7以下が更に好ましい。この範囲であると、二次付着レス効果がさらに高まって好ましい。
【0030】
また、本発明の固形粉末化粧料には、さらに成分(E)の架橋型シリコーンエラストマーを含有することにより、薄膜な化粧膜とほぐれやすい使用感のバランスをとることができる。
【0031】
成分(E)の架橋型シリコーンエラストマーは、弾力性を有するエラストマーであれば、特に限定されない。具体的には、(ジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマーなどの架橋型メチルポリシロキサン、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーなどの架橋型メチルポリシロキサン、(ジメチコン/フェニルジメチコン)クロスポリマーなどの架橋型メチルフェニルポリシロキサン、ジメチコンコポリオールクロスポリマーなどの架橋型ポリエーテル変性シリコーン、架橋型アルキル変性シリコーン、(ラウリルジメチコン・PEG)クロスポリマーなどの架橋型アルキル・ポリエーテル変性シリコーン等が挙げられる。これらは、一種又は二種以上を適宜選択して組み合わせて用いることができる。また、市販品としては、KSP-100、KSP-101、KSP-102、KSP-105、KSP-300、架橋型メチルポリシロキサンとジメチルポリシロキサンの混合物として、KSG-6、KSG-15、KSG-16、架橋型メチルフェニルポリシロキサンとフェニルトリメチコンの混合物として、KSG-8、KSG-18、架橋型ポリエーテル変性シリコーンとジメチルポリシロキサンの混合物として、KSG-21、架橋型アルキル・ポリエーテル変性シリコーンと油剤の混合物として、KSG-31、KSG-32、KSG-33、KSG-34、架橋型アルキル変性シリコーンと油剤の混合物として、KSG-41、KSG-42、KSG-43、KSG-44(信越化学工業社製)等を好ましく含有することができる。
【0032】
本発明における成分(E)の部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物の含有量は、特に限定されないが、固形分量として、特に限定されないが、下限として好ましくは0.5%以上、より好ましくは1%以上、さらに好ましくは1.2%以上であり、上限として、好ましくは3%以下、より好ましくは2.7%以下、さらに好ましくは2.5%以下である。この範囲であると、白膜感の無さの点においてより優れたものになる。
【0033】
本発明の固形粉末化粧料には、本発明の効果を損なわない程度で、必要に応じて、前記必須成分以外の各種成分、例えば、界面活性剤、水性成分、水溶性高分子、固形の紫外線吸収剤、保湿剤、褪色防止剤、酸化防止剤、消泡剤、美容成分、防腐剤、香料などを各種の効果を付与するために適宜含有することができる。
【0034】
粉体の分散性向上を目的とする界面活性剤としては、化粧料一般に用いられている界面活性剤であればよく、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。例えば、大豆リン脂質を配合すると、化粧持続性と保湿性がさらに向上して好ましい。
【0035】
水性成分としては、水及び水に可溶な成分であれば何れでもよく、例えば、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、アロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液等が挙げられる。但し、本発明において、得られる効果を損なわないためには、水性成分の含有量は20%以下であることがより好ましい。また、成分(b1)の代わりに配合し、二次付着レス効果を付与するために、塗布後に蒸発させる手順を経ても構わない。
【0036】
水溶性高分子としては、グアーガム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸Na、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン、ケラチン等の天然系のもの、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の半合成系のもの、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム等の合成系のものを含有すると、保湿感が増し、化粧持続性が増して二次付着レス効果を上げることができる。
【0037】
固形の紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系、PABA系、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン等が挙げられる。酸化防止剤としては、例えばα-トコフェロール、アスコルビン酸等、美容成分としては、例えばビタミン類、タンパク質、消炎剤、生薬等、防腐剤としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール等が挙げられる。
【0038】
本発明の固形粉末化粧料は、ファンデーション、頬紅、口紅、アイシャドウ、アイブロウ、コンシーラー等のメーキャップ化粧料、日焼け止め化粧料等のスキンケア化粧料等が挙げられるが、本発明の効果が顕著に発揮される化粧料は、ファンデーション、アイシャドウ等のメーキャップ化粧料である。
【0039】
以下、本発明の固形粉末化粧料の実施例、比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0040】
実施例1~33及び比較例1~6:固形粉末化粧料
下記表1に示す処方の固形粉末化粧料を調製し、保湿感、二次付着レス効果、ぼかしやすさ、白膜感の無さに優れ、かつ膜薄な化粧膜について下記の方法により評価した。その結果も併せて表1に示す。
【0041】
【0042】
*1:(メタ)アクリル酸アルキルの重合体Tg30℃:ニッセツ U-3712A(日本カーバイド工業社製)
*2、*3:(メタ)アクリル酸アルキルの重合体Tg30℃
*4:(メタ)アクリル酸アルキルの重合体Tg15℃
*5:コポリマーの計算Tg-9℃
*6:ニッセツU-3700A(日本カーバイド社製)
*7:KP-562P(信越化学工業社製)
*8:KP-561P(信越化学工業社製)
*9:X-22-8338E(固形分30%イソドデカン溶液)(信越化学工業社製)
*10:XS66-B8636(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)(固形分50%、ジメチコン10mm2/s溶液)
*11:SR1000(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)
*12:SILFORM FLEXIBLE RESIN(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)
*15:KF-56(信越化学工業社製)
*19:PDM-20L(トピー工業社製)
*22:コロロナシェナスパークル(エンゲルハード社製)
*23:AEROSIL 300(日本アエロジル社製)
【0043】
【0044】
*13:合成ワックスP-200(日本ナチュラルプロダクツ社製)
*14:アラモル HD(クローダジャパン社製)
*16:コスモール42V(日清オイリオ社製)
*17:KF―96A-6CS(信越化学工業社製)
*18:PDM-40L(トピー工業社製)
*20:HELIOS R100S(トピー工業社製)
*21:HELIOS R300S(トピー工業社製)
【0045】
【0046】
*24:AEROSIL R972S(日本アエロジル社製)
*25:MZY-303S(テイカ社製)
*26:シリカマイクロビード P-1505(日揮触媒化成株式会社)
*27:KSP-100(信越化学工業社製)
*28:KSG-6(固体分60%KF-96A 6CS溶液:信越化学工業社製)
*29:KSG-8(固体分50%KF-56溶液:信越化学工業社製)
【0047】
(製法)
A.成分(1)~(44)を均一に混合する。
B.Aを容器に充填し、プレス後、アイシャドウを得た。
【0048】
(評価方法)
下記評価項目について各々下記方法により評価を行った。
(評価項目)
イ.保湿感
ロ.二次付着レス効果
ハ.ぼかしやすさ
【0049】
イ~ハの項目について、各試料について専門パネル20名の評価者による使用テストを行った。評価者全員が各試料を瞼に塗布し、評価者各人が、イ~ニの各項目を評価観点について下記絶対評価基準にて7段階に評価し評点をつけ、パネル全員の評点合計からその平均値を算出し、下記判定基準により判定した。各資料を塗布し、パネルに通常の生活をしてもらった後、6時間後に、保湿感を感じるかどうかを、イ.保湿感として、髪の毛等との接触により化粧膜が落ちていないかを、ロ.二次付着レス効果として評価した。また、塗布時に滑らかに伸ばしやすくグラデーションをつけやすいかを、ハ.ぼかしやすさとして評価した。
【0050】
(絶対評価基準)
(評点):(評価)
6 :非常に良い
5 :良い
4 :やや良い
3 :普通
2 :やや悪い
1 :悪い
0 :非常に悪い
(判定基準)
(判定):(評点の平均点)
◎ :5点を超える
○ :3.5点を超え5点以下
△ :1点を超え3.5点以下
× :1点以下
【0051】
(評価項目)
ニ.白膜感のなさ
ホ.薄膜な化粧膜
人工皮膚を用いた評価を行った。実施例1~33及び比較例1~6の各固形粉末化粧料を0.2g同量ずつ、ウレタン樹脂の人工皮膚(バイオスキン黒(Beaulax社製)厚さ5mm)上に幅1cmで200g荷重一定で移動塗布し、乾燥させた後、下記判定基準により評価した。
ニ.白膜感のなさとして、ハンディ色差計(KONICA MINOLTA社製)を用いて黒い人工皮膚との色差の違いのなさを評価し、ホ.薄膜な化粧膜として、膜の厚みを、形状解析レーザー顕微鏡において評価し、化粧膜の1回擦った時の最も厚い部分の厚みを評価した。
【0052】
ニ.判定基準
(判定):(評価)
◎ :バイオスキンとの明度差(ΔL)が5未満
○ :バイオスキンとの明度差(ΔL)が5~6.99
△ :バイオスキンとの明度差(ΔL)が7~9.9
× :バイオスキンとの明度差(ΔL)が10以上
ホ.判定基準
(判定):(評価)
◎ :バイオスキンとの厚み差 300μm未満
○ :バイオスキンとの厚み差 300μm以上500μm未満
△ :バイオスキンとの厚み差 500μm以上800μm未満
× :バイオスキンとの厚み差 800μm以上
【0053】
表1の結果から明らかなように、本発明の実施例1~33の固形粉末化粧料は、比較例1~6の固形粉末化粧料に比べ、保湿感、二次付着レス効果、ぼかしやすさ、白膜感の無さに優れ、かつ薄膜な化粧膜について優れたものであった。
一方成分(A)の代わりに合成ワックスを用いた比較例1では、保湿感に関しては満足のいくものが得られたが、二次付着レス効果、ぼかしやすさ、白膜感の無さ、薄膜な化粧膜については満足のいくものが得られなかった。成分(B)の代わりにIOB値0.4以上のシリコーン油を用いた比較例2については、二次付着レス効果、ぼかしやすさ、白膜感の無さに関しては、満足のいくものが得られたが、保湿感、薄膜な化粧膜の観点では満足のいくものが得られなかった。成分(B)の代わりにIOB値0.4以上のエステル油を用いた比較例3では、保湿感、白膜感の無さ、薄膜な化粧膜については満足のいくものが得られたが、二次付着レス効果、ぼかしやすさの点で満足のいくものが得られなかった。成分(C)を配合しない比較例4では、保湿感、二次付着レス効果に関しては、満足のいくものが得られたが、ぼかしやすさ、白膜感のなさ、薄膜な化粧膜に関しては、満足のいくものが得られなかった。成分(D)を含有しない比較例5は、保湿感、薄膜な化粧膜に関しては満足のいくものが得られたが、二次付着レス効果、ぼかしやすさ、白膜感の無さについては満足のいくものが得られなかった。粉体総量と油剤総量の質量割合(全油剤総量/全粉体総量)が0.3未満である比較例6では、ぼかしやすさと薄膜な化粧膜については、満足のいくものが得られたが、保湿感、二次付着レス効果、白膜感の無さに関しては、満足のいくものが得られなかった。
【0054】
実施例34:ファンデーション
(成分) (%)
(1)リン脂質0.5%処理酸化鉄処理酸化チタン(平均粒子径0.27μm)
20
(2)酸化鉄1.5%被覆六角板状酸化亜鉛(平均粒子径0.3μm)
5
(3)タルク 5
(4)ベンガラ 0.2
(5)黄酸化鉄 1.5
(6)黒酸化鉄 0.2
(7)微粒子酸化亜鉛(平均粒子径35nm)*25 1.5
(8)合成金雲母(平均粒子径 10μm)*18 残量
(9)コハク酸ジエチルヘキシル(IOB=0.32) 10
(10)アクリル酸アルキル/酢酸ビニル共重合体*1
(固形分45%イソドデカン溶液) 4
(11)ジカプリン酸プロピレングリコール(IOB=0.26) 20
(12)(ビニルジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー*29
固体分 1.5
(13)メチルフェニルポリシロキサン*15(IOB=0.28) 5
(14)メトキシケイ皮酸オクチル 3
(15)クロルフェネシン 0.1
(16)トコフェロール 0.1
(17)スクワラン(IOB値0) 0.1
(18)DPG 0.5
(19)酸化チタン20%被覆シリカ(平均粒子径30μm) 10
【0055】
(製造方法)
A.成分(1)~(18)を均一に混合分散し、成分(19)を添加混合する。
B.Aを容器に加圧押し出しカット充填し、プレス後、ファンデーションを得た。
【0056】
実施例34のファンデーションは、保湿感、二次付着レス効果、ぼかしやすさ、白膜感の無さに優れ、かつ膜薄な化粧膜について優れたものであった。
【0057】
実施例35:コンシーラー
(成分) (%)
(1)シリコーン処理酸化チタン 20
(2)シリコーン処理酸化亜鉛 5
(3)シリコーン処理マイカ 5
(4)シリコーン処理赤酸化鉄 0.5
(5)シリコーン処理黄酸化鉄 1.5
(6)シリコーン処理黒酸化鉄 0.2
(7)合成金雲母(平均粒子径 20μm)*19 残量
(8)イソドデカン(*6分散媒含む) 23
(9)メチルフェニルジメチコン(IOB値0.28)*15 10
(10)イソノナン酸イソトリデシル(IOB=0.15) 10
(11)シリカ(平均粒子径 7nm)*30 1.5
(12)(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー
1.5
(13)アクリル酸アルキル酢酸ビニル共重合体 *6の固体分 2.0
(14)ゴマ種子油(IOB値0.16) 0.1
(15)エチルヘキシルグリセリン 0.1
(16)トコフェロール 0.1
(17)トリ―2―エチルヘキサン酸グリセリル(IOB値0.35) 0.2
(18)ヒマワリ種子油(IOB値0.16) 0.1
(19)スクワラン(IOB値0) 0.5
(20)DPG 0.5
(22)ポリエチレン末(平均粒子径20μm) 5.0
*30:AEROSIL380(日本アエロジル社製)
【0058】
(製造方法)
A.成分(1)~(21)を均一に混合し、ローラー処理して分散後、成分(22)を添加混合する。
B.Aを容器に押し出し充填し、プレス後、コンシーラーを得た。
【0059】
実施例35のコンシーラーは、保湿感、二次付着レス効果、ぼかしやすさ、白膜感の無さに優れ、かつ膜薄な化粧膜について優れたものであった。
【0060】
実施例36:頬紅
(成分) (%)
(1)(アクリレーツ/アクリル酸ベヘニル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマー*7
4
(2)イソドデカン 20
(3)メチルフェニルジメチコン(IOB値0.28)*15 10
(4)リンゴ酸ジイソステアリル(IOB値0.28)*32 10
(5)シリカ(平均粒子径 16nm)*24 1.5
(6)合成金雲母(平均粒子径 20μm)*19 残量
(7)赤色226号 0.5
(8)黄色4号 1
(9)青色1号 0.1
(10)ベンガラ 0.5
(11)黄酸化鉄 0.3
(12)パラオキシ安息香酸メチル 0.2
(13)(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー*28 2
*32:ハイマレートDIS(高級アルコール工業社製)
【0061】
(製造方法)
A.成分(1)~(13)を均一に混合する。
B.Aを容器に充填し、プレス後、頬紅を得た。
【0062】
実施例36の頬紅は、保湿感、二次付着レス効果、ぼかしやすさ、白膜感の無さに優れ、かつ膜薄な化粧膜について優れたものであった。