(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-16
(45)【発行日】2024-08-26
(54)【発明の名称】開閉装置
(51)【国際特許分類】
E05F 15/60 20150101AFI20240819BHJP
E06B 9/13 20060101ALI20240819BHJP
E05D 15/00 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
E05F15/60
E06B9/13 A
E05D15/00 A
(21)【出願番号】P 2020066167
(22)【出願日】2020-04-01
【審査請求日】2023-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000134958
【氏名又は名称】株式会社ニチベイ
(74)【代理人】
【識別番号】100101856
【氏名又は名称】赤澤 日出夫
(72)【発明者】
【氏名】外村 英章
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0202224(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0277087(US,A1)
【文献】特開2019-183483(JP,A)
【文献】特開2018-133888(JP,A)
【文献】特開2004-116071(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00 - 15/79
E06B 9/00 - 9/92
E05D 15/00 - 15/58
H02J 50/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間を開閉する可動な遮蔽部を備えた開閉装置であって、
前記遮蔽部は、非接触で電力を受電することができる受電部と、該受電部で受電された電力によって機能する機能部と、前記遮蔽部の端部に位置して前記受電部を内蔵する内蔵部とを備え、
前記遮蔽部が可動する可動経路近傍に設けられて非接触で電力を送電することができる送電部の送電可能領域に、前記遮蔽部が閉状態において前記受電部が位置する場合に、前記受電部は前記送電部から受電して前記機能部を機能させ、
前記送電部からの前記受電部への受電の際に前記受電部と前記送電部との間に位置する前記内蔵部の壁面部分に、該内蔵部の内部空間と外部とを連通する開口が設けられて
おり、
前記機能部は、前記送電可能領域に前記遮蔽部が閉状態において前記受電部が位置する場合にのみ、前記受電部から供給された電力を消費することにより動作する電装品を含む
ことを特徴とする開閉装置。
【請求項2】
前記受電部は、前記遮蔽部の閉状態への移行動作中に前記送電可能領域内に進入する
ことを特徴とする請求項1記載の開閉装置。
【請求項3】
前記遮蔽部を支持する支持部と、
前記支持部に設けられ、前記遮蔽部を駆動する駆動部と
を更に備え、
前記機能部は、前記駆動部に駆動電力を供給するための第1バッテリを含み、
前記送電可能領域内において前記受電部が受電された電力を前記第1バッテリに供給し、前記第1バッテリが充電される
ことを特徴とする請求項1
または請求項
2記載の開閉装置。
【請求項4】
前記駆動部に接続されて駆動電力を供給する第2バッテリを更に備え、
前記遮蔽部が開状態となった場合に前記第1バッテリから前記第2バッテリに電力が送電されて前記第2バッテリが充電される
ことを特徴とする請求項
3記載の開閉装置。
【請求項5】
前記第1バッテリから前記第2バッテリへの送電は非接触で行われることを特徴とする請求項
4記載の開閉装置。
【請求項6】
前記駆動部は前記遮蔽部の上部に連結された前記支持部に設けられ、
前記第1バッテリは、前記遮蔽部の下部に設けられた前記内蔵部に内蔵され、
上下方向に延在するように前記遮蔽部に設けられ、前記第1バッテリからの電力を前記駆動部に供給可能に前記駆動部と前記第1バッテリとを接続する導電部材を更に備える
ことを特徴とする請求項
3記載の開閉装置。
【請求項7】
前記内蔵部はウエイトバーであり、該ウエイトバーに前記機能部が設けられている
ことを特徴とする請求項1~請求項
6のいずれか一項に記載の開閉装置。
【請求項8】
前記遮蔽部は間仕切りパネルであり、
前記機能部は、前記間仕切りパネルの上端および下端のうち少なくとも一方に設けられて、該間仕切りパネルから対向面側へ移動することにより、前記間仕切りパネルと対向面との隙間を閉塞するシール部材を含む
ことを特徴とする請求項1
または請求項
2記載の開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書に開示される技術は、例えばブラインドや間仕切り装置等の空間を開閉可能な遮蔽部を備える開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の開閉装置として、下記特許文献1に示されるような無線給電方式により電装部品に対する送電を行う開閉制御装置が知られている。
【0003】
この開閉制御装置は、ローラシャッタの下部に設けた送信機と、ローラシャッタを収納するシャッターボックスの内部或いはその近傍に固定された受信機とを備え、ローラシャッタの最下部が障害物に当接したことを検知して送信機から受信機に信号を送信して巻戻しを停止する機能を有し、送信機の電源は2次電池であり、シャッターボックスの内部或いは近傍に固定され且つ交流電源に接続した第1のコイルと、送信機側に設けた第2のコイルとを有する。
【0004】
このような開閉制御装置によれば、ローラシャッタが巻上げられた状態において、第1及び第2のコイル間の誘導結合により充電された2次電池により送信機を動作させることができるため、電源を接続する対象をシャッターボックス側のみとすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した開閉制御装置は、ローラシャッタを巻き上げた開放状態でなければ2次電池等の電力により機能する機能部に送電することができないという問題があった。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、少なくとも遮蔽部が閉状態にある場合に、機能部に対して送電することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る一態様は、支持部により可動に設けられ空間を開閉する遮蔽部を備えた開閉装置であって、前記遮蔽部は、非接触で電力を受電することができる受電部と、該受電部で受電された電力によって機能する機能部とを備え、前記遮蔽部が可動する可動経路近傍に設けられて非接触で電力を送電することができる送電部の送電可能領域に、前記遮蔽部が閉状態において前記受電部が位置する場合に、前記受電部は前記送電部から受電して前記機能部を機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、少なくとも遮蔽部が閉状態にある場合に、機能部に対して送電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1の実施形態に係るロールスクリーンの構成を示す概略正面図である。
【
図2】第1の実施形態に係るウエイトバーの構成を示す概略正面図である。
【
図3】第1の実施形態に係る非給電状態におけるウエイトバーを側方から見た概略縦断面図である。
【
図4】第1の実施形態に係る給電状態におけるウエイトバーを側方から見た概略縦断面図である。
【
図5】第2の実施形態に係るロールスクリーンの構成を示す概略正面図である。
【
図6】第2の実施形態に係る非給電状態におけるウエイトバーを正面から見た概略縦断面図である。
【
図7】第2の実施形態に係る給電状態におけるウエイトバーを側方から見た概略縦断面図である。
【
図8】別形態のウエイトバーの構成を示す概略斜視図である。
【
図9】第3の実施形態に係るロールスクリーンの構成を示す概略正面図である。
【
図10】第4の実施形態に係るロールスクリーンの構成を示す概略正面図である。
【
図11】第4の実施形態に係る開放状態におけるロールスクリーンの概略側面図である。
【
図12】第5の実施形態に係る移動間仕切り装置の構成を示す概略正面図である。
【
図13】第5の実施形態に係る間仕切りパネルが閉塞位置にある移動間仕切り装置を示す概略正面図である。
【
図14】第5の実施形態に係る間仕切りパネルが閉塞状態にある移動間仕切り装置を示す概略正面図である。
【
図15】第5の実施形態に係る複数の間仕切りパネルが閉塞状態にある移動間仕切り装置を示す概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1の実施形態>
以下、本発明に係る第1の実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態においては、本発明に係る開閉装置として電動でスクリーンを開閉するロールスクリーンを例にとり説明を行う。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0012】
(ロールスクリーンの構成)
本実施形態に係るロールスクリーンの構成について説明する。
図1は、本実施形態に係るロールスクリーンの構成を示す概略正面図である。
図2は、ウエイトバーの構成を示す概略正面図である。
図2においては、ウエイトバーの内部が縦断面で示されている。なお、本実施形態においては、ロールスクリーンが窓枠に取り付けられた状態において、その室内側を正面、窓側を背面と称し、これらの面垂直方向を前後方向、当該前後方向及び上下方向に直交する方向を左右方向と称して以後説明を行う。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係るロールスクリーン1は、2つのサイドプレート11、セットフレーム12、巻取パイプ13、シート状に形成されたスクリーン14、ウエイトバー15を備える。2つのサイドプレート11は左右方向に離間して配され、これらの間に巻取パイプ13を回転可能に支持する。セットフレーム12は、2つのブラケット2を介して固定面FXに取り付けられており、左右方向に延在してその両端部に2つのサイドプレート11がそれぞれ連結されている。スクリーン14は、ここでは不図示の窓から入射する光の光路又は取り付けられた場所を前後に仕切るように、空間を開閉するための遮蔽部材であり、その上端部が巻取パイプ13に連結されるとともに、その下端部がウエイトバー15に連結される。
【0014】
巻取パイプ13にはモータユニット130が内蔵されている。モータユニット130は、巻取パイプ13を回転させるモータ131と、このモータ131の回転量及び回転方向を制御する制御装置132とを有し、不図示の電源に接続された電源コード133を介してそれぞれに電力が供給される。モータ131は、巻取パイプ13を回転させることにより、スクリーン14の巻き取り及び巻き解きを行う。制御装置132は、不図示の操作パネルや操作端末からの制御信号を受信し、当該信号に応じてモータ131の回転制御を行い、スクリーン14の開放状態及び閉塞状態への移行制御を行う。例えば、日射遮蔽を行うためにロールスクリーン1を窓に取り付けた場合、ここでの開放状態とは、ウエイトバー15が最上方位置に位置付けられるまでスクリーン14が巻取パイプ13に巻き取られ、窓からの入射光の光路を開放した状態とし、閉塞状態とはウエイトバー15が最下方位置に位置付けられるまでスクリーン14が巻き解かれ、窓からの入射光の光路を閉塞した状態とする。また、ここでの光路を閉塞した状態とは、光路を完全に遮蔽又は一部遮蔽して調光された状態も含むこととする。また、制御装置132は、後述する受信部166から障害物を検知したことを示す検知信号を取得した場合には、モータ131によるスクリーン14を巻解く方向、即ちウエイトバー15を下降する方向への回転(以後下降回転と称する)を停止する。
【0015】
ロールスクリーン1は、障害物の検知に応じてモータ131の下降回転を停止する障害検知機能を実現するため、
図1及び
図2に示されるように、送電部161、受電部162、可動部163、検知部164、送信部165、及び受信部166、を備える。
【0016】
送電部161は、所定の電源に接続され、受電部162の下方に位置するように床面FLに載置されており、送電可能範囲内に位置する受電部162に対して電力を非接触で送電する。受電部162は、ウエイトバー15に内蔵されて検知部164と送信部165とに送電可能に接続されており、送電部161から供給される電力を非接触で受電すると共に、受電した電力を検知部164及び送信部165へ供給する。なお、受電部162は、ウエイトバー15に限らずスクリーン14の下端近傍に配設する等、送電部161に接近または離間するようにスクリーン14の可動経路上に配設されていることが好ましく、特に送電部161の送電可能範囲の関係上、可能な限り送電部161に近接する位置に配設することが好ましい。このような送電部161及び受電部162による非接触給電方式としては、例えばそれぞれをコイルで形成し電磁誘導を用いて給電を行う電磁誘導方式が挙げられる。その他、磁界共鳴方式、電磁結合方式、電波方式、レーザー方式等、給電方式は非接触での給電を実現できるものであればよい。
【0017】
また、送電部161と受電部162とによる非接触給電を良好なものとするために、
図2に示されるように、送電部161と受電部162との間に位置するウエイトバー15の底面部分に、ウエイトバー15の内部空間と外部とを連通する開口151を設けることが好ましい。
【0018】
可動部163は、ウエイトバー15の左右方向幅と同程度の長さを有する長尺部材であり、ウエイトバー15の内部空間に少なくとも一部が収容可能に係止されるとともに、上下方向に可動に且つ所定距離だけウエイトバー15から下方に突出している。検知部164は、ウエイトバー15に内蔵されて送信部165に検知信号を伝送可能に接続されており、受電部162により受電された電力が供給されることにより動作する押圧可能なリミットスイッチである。検知部164は、ウエイトバー15の上方向への移動に応じて押圧されることにより、ウエイトバー15の床面FLへの当接を検知し、検知信号を送信部165へ出力する。
【0019】
送信部165は、ウエイトバー15の側端部、ここでは図中右側端部に設けられ、受電部162により受電された電力が供給されることにより動作し、検知部164から出力された検知信号を無線により送信する。受信部166は、セットフレーム12に設けられ、モータユニット130と同様に電源コード133に接続されて電力が供給されており、送信部165により送信された検知信号を受信する。受信部166が受信した検知信号は、受信部166と伝送線により接続された制御装置132に入力され、制御装置132によるモータ131の下降回転の停止がなされる。
【0020】
(ロールスクリーンの動作)
以上に説明した本実施形態に係るロールスクリーンの動作として、障害検知機能が作動する開放状態からの閉塞状態への移行動作について詳細に説明する。
図3、
図4は、それぞれ、非給電状態、給電状態におけるウエイトバーを側方から見た概略縦断面図である。
【0021】
先ず、開放状態から閉塞状態へ移行するように制御信号を受け付けると、制御装置132がモータ131を下降回転し、スクリーン14を巻取パイプ13から巻き解いてウエイトバー15を下方に移動させる。当該下方移動により、
図3に示されるようにウエイトバー15が床面FLに接近することとなる。この状態から更に下方移動がなされると、
図4に示されるように送電部161の送電可能領域に受電部162が侵入し、受電部162が送電部161から送電された電力を受電すると共に、受電された電力が検知部164及び送信部165に供給される給電状態となる。
【0022】
給電状態において更にウエイトバー15が下方に移動すると、可動部163が床面FLに当接する。当接後、更にウエイトバー15が下方に移動すると、可動部163が相対的に押し上げられ、当該可動部163の押し上げにより検知部164のスイッチが押圧され、検知信号が検知部164から送信部165に伝送される検知状態となる。検知状態において送信部165は、検知信号を送信し、受信部166はこれを受信する。
【0023】
検知信号が受信部166により受信されると、制御装置132がモータ131の下降回転を停止し、これによって、ウエイトバー15が床面FLに当接した時点でスクリーン14の巻き解きが停止される。なお、可動部163が床面FLに当接するに先立って何らかの障害物に当接したとしても、送電部161の送電可能領域に受電部162が侵入していれば検知信号が出力され、モータ131の下降回転が停止されることが言うまでもない。
【0024】
以上に説明した本実施形態によれば、閉塞状態及び閉塞状態への移行中において送電可能範囲に受電部162が位置することで電装品である検知部164及び送信部165へ電力を直接供給することができ、これらを動作させることができる。また、受電部162が送電可能範囲外となれば検知部164及び送信部165へ電力が供給されなくなるため、不要な電力の供給を防止することができる。さらに、ロールスクリーン1は充電が可能な蓄電池を備えずとも、障害検知機能が必要である閉塞状態への移行中に当該機能を実現することができる。
【0025】
なお、本実施形態においては、障害検知機能を可動部163及び検知部164を用いたリミットスイッチタイプで実現したがこれに限定されるものではなく、光電センサを用いて障害検知機能を実現させてもよい。光電センサを用いた形態としては、例えば、ウエイトバー15の両端のみに互いに相対移動可能な可動部をそれぞれ設け、当該可動部の一方に投光部、他方に受光部を設ければよい。受電部162が送電可能範囲内に位置した場合に投光部及び受光部が機能し、可動部の少なくとも何れかが押し上げられ、投光部により投光された光が受光部により受光されない場合に障害物を検知したことを示す検知信号を出力することができる。また、スクリーン14やウエイトバー15の高さ位置を、光学系や電波系、超音波系の測距センサやGPSセンサ等により検知する手法や、横型ブラインドのスラット、ボトムレール等の傾斜角度をジャイロセンサ等の角度センサにより検知する手法により、スクリーンやブラインド等の遮蔽材の開閉状態を検知するようにしてもよい。即ち、上述した手段を組み込むことにより、受電部162が送電可能範囲内に位置した場合に遮蔽材の開閉状態を制御装置132が把握することが可能となる。
【0026】
また、本実施形態においては、検知状態においても送電部161からの電力の送電が維持されるが、送電部161と接続され、送信部165から検知信号を受信可能な受信部を別途設け、当該受信部が検知信号を受信した際に送電部161の電力の送電を停止するように構成してもよい。
【0027】
<第2の実施形態>
第1の実施形態では、障害検知を機能させるために、閉塞状態において受電された電力を検知部164や送信部165に供給すると説明したが、本実施形態では、閉塞状態において他の機能を実現できるロールスクリーンについて説明する。
【0028】
(ロールスクリーンの構成)
本実施形態に係るロールスクリーンの構成について説明する。
図5は、本実施形態に係るロールスクリーンの構成を示す概略正面図である。
図5に示されるように、本実施形態に係るロールスクリーン1aは、第1の実施形態に係るロールスクリーン1と比較して検知部164、送信部165、及び受信部166に代わり3つのファン17を備える点で異なる。ファン17は、左右方向に沿って互いに一定距離離間するようにウエイトバー15aに内蔵されており、受電部162から供給される電力により駆動する。ファン17は、正面側から吸気し背面側へ排気することにより不図示の窓に向けて送風することができ、これにより窓正面の空気を循環することができるため、屋内と屋外の外気温の差により生じる窓の結露を防止することができる。
【0029】
(ロールスクリーンの動作)
本実施形態に係るロールスクリーンの動作として、開放状態からファンが駆動する閉塞状態への移行動作について詳細に説明する。
図6は非給電状態におけるウエイトバーを正面から見た概略縦断面図であり、
図7は給電状態におけるウエイトバーを側方から見た概略縦断面図である。なお、
図7に示される符号Wは窓、W1は窓枠、矢印は空気の流動方向を示している。
【0030】
先ず、開放状態から閉塞状態へ移行するように制御信号を受け付けると、制御装置132がモータ131を下降回転し、ウエイトバー15aを下方に移動させる。当該下方移動により、
図6に示されるようにウエイトバー15aが床面FLに接近することとなる。この状態から更に下方移動がなされると、
図7に示されるように送電部161の送電可能領域に受電部162が侵入し、受電部162が送電部161から送電された電力を受電すると共に、受電された電力がファン17に供給される給電状態となる。
【0031】
給電状態においてファン17が駆動することにより、窓正面に対して送風がなされ、窓に吹き付けられる風が上方に流動することにより窓正面の空気が循環することとなる。なお、本実施形態においては空気の循環を行うため、
図7に示されるようにウエイトバー15aと床面FLとの間に空気が漏出するような間隙を形成せずに近接させた状態でファン17を駆動させることが好ましい。したがって、送電部161は閉塞状態においてウエイトバー15aの背面側に位置するように窓枠にW1正面に設け、開口151もウエイトバー15aの背面に形成することが好ましい。なお、床面FLに送電部161を埋め込むのであれば送電部161をウエイトバー15aの下方に位置付けてもよい。
【0032】
以上に説明した本実施形態によれば、閉塞状態において機能するべきファン17に対し、閉塞状態において電力を供給し機能させることができる。
【0033】
なお、本実施形態においてロールスクリーン1aは、巻取パイプ13をモータ131により回動させるものであるが、操作コードにより手動で巻取パイプ13を回転させる形態としてもよい。
【0034】
また、
図8に示されるように、ファン17に代わり間接照明としてLED18を設けてもよい。ウエイトバー15bの背面にLED18を設け、閉塞状態においてウエイトバー15bと床面FLとに間隙が形成されるようにすることにより、閉塞状態においては当該間隙からLED18の光を適度に漏出させることができ、意匠性の向上を図ることができる。この場合、送電部161は、ウエイトバー15bの背面よりも下方に位置付けることが意匠性の観点から好ましいが、LED18をウエイトバー15bの下方や正面に設ける等する場合には背面に設けてもよく、LED18の位置に応じて送電部161を好適な位置に位置付ければよい。
【0035】
<第3の実施形態>
第1の実施形態では、モータユニット130が不図示の電源に接続されて電力が供給されていると説明したが、本実施形態では、送電部161が送電する電力に基づいてモータユニット130を駆動させることができるロールスクリーンについて説明する。
【0036】
(ロールスクリーンの構成)
本実施形態に係るロールスクリーンの構成について説明する。
図9は、本実施形態に係るロールスクリーンの構成を示す概略正面図である。
図9に示されるように、本実施形態に係るロールスクリーン1bは、第1の実施形態に係るロールスクリーン1と比較して電源コード133、検知部164、送信部165、及び受信部166に代わりバッテリ167と導電線141とを備える点で異なる。
【0037】
バッテリ167は、ウエイトバー15cに内蔵され、受電部162が受電した電力を充電可能に受電部162と接続されている。導電線141は、導電性を有する部材、好ましくは導電性繊維からなり、上端部がモータユニット130に接続されると共に下端部がバッテリ167に接続されて上下方向に延在するようにスクリーン14aに設けられている。導電線141はスクリーン14aと共に巻取パイプ13に巻取り及び巻解きがなされるため、可撓性を有することが好ましい。バッテリ167は、この導電線141を介してモータユニット130に接続されるため、充電した電力をモータ131及び制御装置132に対して常時供給することができる。
【0038】
以上に説明した本実施形態によれば、閉塞状態において受電部162が受電した電力をバッテリ167に充電でき、バッテリ167からモータユニット130へ電力を常時供給することができるため、モータユニット130から電源コード133を不要とすることができる。
【0039】
なお、本実施形態においては、ロールスクリーン1bが閉塞状態を維持する場合は、バッテリ167が満充電状態となった後もバッテリ167への充電が維持されることとなる。このような過充電を回避するため、例えばタイマを設けて充電開始から所定時間経過後に送電、受電、またはバッテリ167への電力供給を停止するようにしてもよく、制御装置132にてモータ131の回転数(回転角度)から閉塞状態を判定し、当該閉塞状態から所定時間経過後に送電、受電、またはバッテリ167への電力供給を停止してもよい。
【0040】
なお、本実施形態においてはバッテリ167をウエイトバー15cに設けたが、これに限定するものではなく、バッテリ167を例えばモータユニット130や巻取パイプ13、セットフレーム12等に設けてもよい。この場合、導電線141は受電部162とバッテリ167とを接続することとなる。
【0041】
<第4の実施形態>
第3の実施形態では、導電線141を用いてモータユニット130にバッテリ167の電力を供給すると説明したが、本実施形態では、導電線141を用いることなくバッテリ167の電力をモータユニット130へ供給することができるロールスクリーンについて詳細に説明する。
【0042】
(ロールスクリーンの構成)
本実施形態に係るロールスクリーンの構成について説明する。
図10は、本実施形態に係るロールスクリーンの構成を示す概略正面図である。
図10に示されるように、本実施形態に係るロールスクリーン1cは、第3の実施形態に係るロールスクリーン1bと比較して送電部161、受電部162、バッテリ167、及び導電線141に代わり、第1及び第2送電部161a,161b、第1及び第2受電部162a,162b、第1及び第2バッテリ167a,167bを備える点で異なる。
【0043】
第1送電部161a、第1受信部162a、及び第1バッテリ167aは、送電部161、受電部162、及びバッテリ167と同様の機能を有するものであるが、第1バッテリ167aに関しては第1受電部162aと接続されると共に、充電した電力を供給可能に第2送電部161bと接続されている。第2送電部161bは、ウエイトバー15dに内蔵されており、第1バッテリ167aより供給された電力を送電可能範囲内に位置する受電部162bに対して電力を送電する。なお、第2送電部161bの送電可能範囲内に第1受電部162aが位置しないようにこれらを離間させることが好ましく、本実施形態においては、左右方向に連設するように
図10中右から第1受電部162a、第1バッテリ167a、第2送電部161bの順に設けている。
【0044】
第2受電部162bは、第2送電部161bの上方に位置するように固定面FXに設けられ、第2バッテリ167bと送電可能に接続されており、第2送電部161bから供給される電力を受電すると共に、受電した電力を第2バッテリ167bへ供給する。第2バッテリ167bは、固定面FXに設けられ、第2受電部162bが受電した電力を充電可能に第2受電部162bと接続されると共に、充電した電力を供給可能にモータユニット130と接続されている。第2送電部161bを内蔵するウエイトバー15dの背面側壁面には、第2送電部161bから第2受電部162bへ良好に電力を送電するための開口151が設けられている。なお、第2受電部162b及び第2バッテリ167bは、固定面FXに設けられるようにしたが、セットフレーム12内に形成される空間に設けるようにしても良く、この場合には、セットフレーム12とともにブラケット2を介して固定面FXに取り付けることが可能となる。
【0045】
以上のように構成されたロールスクリーン1cでは、閉塞状態または閉塞状態へ移行中に第1送電部161aの送電可能範囲に第1受電部162aが位置した場合、第1送電部161aが送電した電力を第1受電部162aが受電すると共に第1バッテリ167aへ供給することができる。一方、開放状態または開放状態へ移行中においては、第2送電部161bから第2受電部162bへ電力を送電することができる。
【0046】
第2送電部161bから第2受電部162bへの電力の送電について、
図11を用いて詳細に説明する。
図11は、開放状態におけるロールスクリーンの概略側面図である。なお、
図11においては、ウエイトバー15dのみ縦断面で示されている。
図11に示されるように、開放状態においては、ウエイトバー15dが最上方位置に位置付けられて第2送電部161bと第2受電部162bとが近接し、これにより第2受電部162bが第2送電す161bの送電可能領域内に位置することとなる。
【0047】
第2送電部161bは第1バッテリ167aから電力の供給を受けているため、この開放状態において第2送電部161bが送電する電力を第2受電部162bが受電することができ、給電状態とすることができる。この状態においては、第2受電部162bからの電力が第2バッテリ167bに供給され、第2バッテリ167bを充電することができる。第2バッテリ167bにはモータユニット130が接続されているため、モータ131及び制御装置132に常時通電することができる。
【0048】
以上に説明した本実施形態によれば、スクリーン14に導電線141等の導電部材を設けることなく、モータユニット130に電力供給する第2バッテリ167bに電力を供給することができるため、第3実施形態に係るロールスクリーン1bと比較してスクリーン14の意匠性を向上させることができる。
【0049】
<第5の実施形態>
第1の実施形態では、本発明に係る開閉装置としてロールスクリーン1を例にとって説明したが、本実施形態では、開閉装置として空間をスライディングウォール等の間仕切りパネルにより開閉可能な移動間仕切り装置を例にとり説明する。
【0050】
(移動間仕切り装置の構成)
本実施形態に係る移動間仕切り装置の構成について説明する。
図12は、本実施形態に係る移動間仕切り装置の構成を示す概略正面図である。
図12中の白矢印は間仕切りパネル33の移動方向を示している。
図12に示されるように、移動間仕切り装置1dは、不図示の天井壁に支持されるハンガーレール31と、一対のローラを有して該ローラがハンガーレール31内に収容されることにより支持され、ハンガーレール31の内壁に沿って移動するランナ32と、ランナ32に吊下げ支持されてランナ32と一体となって走行可能な間仕切りパネル33とを備える。
【0051】
ハンガーレール31には、その下端部に不図示の天井パネルが載置されるパネル載置部311が設けられており、このパネル載置部311に複数の送電部161が左右方向において所定距離離間して設けられている。また、床面FLにもパネル載置部311に設けられた送電部161と左右方向位置が同一となるように複数の送電部161が載置されている。なお、ここでの所定距離とは間仕切パネル33の左右方向長さとする。
【0052】
間仕切りパネル33は、ハンガーレール31が配設された屋内空間を所定の区画に仕切り、光路を閉塞するものであり、その上方部分及び下方部分にそれぞれシール機構330が上下対称に設けられている。シール機構330は、閉塞部材331と、駆動部332と、受電部162を備える。閉塞部材331は、対向面側端部が間仕切パネル33から突出しており、上下方向に往復動可能に間仕切パネル33内で支持されている。ここでの対向面は、下方に位置する閉塞部材331では床面FLであり、上方に位置する閉塞部材331ではパネル載置部311の下面である。閉塞部材331は、下方が開口する側面視断面略コ字状に形成され、その対向面側先端部にゴム等の弾性部材が設けられており、当該弾性部材が対向面に当接、好ましくは弾性変形する程度に対向面に圧接されることにより、間仕切りパネル33と対向面との間の間隙を閉塞する。
【0053】
駆動部332は、電力が供給可能に受電部162と接続されており、電力の供給に応じて閉塞部材331を圧接方向へ移動させ、対向面に閉塞部材331を圧接させて上述した対向面との間隙を閉塞する。ここでの圧接方向とは、上方に位置するシール機構330においては上方向にあたり、下方に位置するシール機構330においては下方向にあたる。したがって、駆動部332は、送電部161から送電された電力を受電部162が受電した場合にのみ、閉塞部材331を圧接方向へ移動させる。そのため
図12においては、送電部161の送電可能領域に受電部162が位置しておらず、駆動部332には電力が供給されていないため、閉塞部材331が対向面側に移動されておらず対向面との間隙が開放された開放状態となっている。
【0054】
(移動間仕切り装置の動作)
本実施形態に係る移動間仕切り装置1dの動作として、開放状態から対向面との間隙を閉塞する閉塞状態への移行動作について詳細に説明する。
図13は間仕切りパネルが閉塞位置にある移動間仕切り装置を示す概略正面図であり、
図14は間仕切りパネルが閉塞状態にある移動間仕切り装置を示す概略正面図である。
図15は、複数の間仕切パネルが閉塞状態にある移動間仕切り装置を示す概略正面図である。なお、
図14中の白矢印は閉塞部材331の移動方向を示している。
【0055】
図13に示されるように、間仕切パネル33が移動されて、側壁に当接する等して閉塞位置に位置付けられると、送電部161上に受電部162が位置して送電部161の送電可能領域内に位置することとなる。この状態においては送電部161から送電された電力を受電部162が受電し、駆動部332への電力供給が行われる。電力供給がなされると、
図14に示されるように、駆動部332により閉塞部材331が圧接方向に移動されて対向面との間隙を閉塞する閉塞状態となる。なお、閉塞状態においては、送電部161は閉塞部材331内に位置、具体的には閉塞部材331が下方が開口する断面略コ字状をなしていることから、その開放部分内部に位置することとなるため、閉塞部材331に接触することはない。
【0056】
先行する間仕切パネル33が閉塞位置に位置付けられた後、その後方に位置する間仕切パネル33を、
図15に示すように、閉塞状態にある先行する間仕切パネル33に当接するように位置付けることにより、送電部161上に受電部162を位置付けることができるため、後方の間仕切パネル33を同じく閉塞状態とすることができる。そのため、複数の間仕切りパネル33を隣接させて所望の仕切り位置に固定することができる。
【0057】
以上に説明した本実施形態によれば、移動間仕切り装置1dであっても、閉塞状態において送電可能範囲に受電部162が位置することで電装品である駆動部332へ電力を直接供給することができ、これらを動作させることができる。
【0058】
また、第3の実施形態に係るバッテリ167を用いた駆動部への電力供給を本実施形態に流用し、バッテリ167と、間仕切パネル33の電動移動を実現する例えばランナ32を駆動するモータとを更に設けて、モータへの電力供給をバッテリ167から常に行い、1つまたは2つの送電部161から1つまたは2つの受電部162へ電力を送電すると共に、1つまたは2つの受電部162からバッテリ167と駆動部332とに電力供給を行うようにしてもよい。
【0059】
また、第1~第5の実施形態においては、開閉装置としてロールスクリーンと移動間仕切り装置とを例にとり説明したが、スラットを有する横型ブラインドや、縦型ブラインド、プリーツスクリーン、ハニカムスクリーン、たくし上げカーテン、アコーディオンドアといったブラインド、カーテン等においても本発明は適用可能であることは言うまでもない。
【0060】
本発明に係る第1~第5の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、複数組み合わせる等してその他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0061】
1,1a,1b,1c ロールスクリーン(開閉装置)
1d 移動間仕切り装置(開閉装置)
12 セットフレーム(支持部)
13 巻取パイプ(支持部)
14 スクリーン(遮蔽部)
15 ウエイトバー(遮蔽部、内蔵部)
161 送電部
162 受電部
164 検知部(機能部)
33 間仕切りパネル(遮蔽部)
331 パネル載置部(遮蔽部、内蔵部)