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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-16
(45)【発行日】2024-08-26
(54)【発明の名称】包装設計装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/08 20240101AFI20240819BHJP
【FI】
G06Q10/08
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020096127
(22)【出願日】2020-06-02
(65)【公開番号】P2021189886
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】592184706
【氏名又は名称】SBS東芝ロジスティクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】戸田 太地
【審査官】中元 淳二
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-049909(JP,A)
【文献】特開2016-088630(JP,A)
【文献】特開2003-002325(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装設計に関する設計手順を標準化した複数の設計手順モジュールから一つ以上の設計手順モジュールを選択する選択部と、
前記一つ以上の設計手順モジュールと輸送品に関する輸送品情報とに基づいて、前記一つ以上の設計手順モジュールに対応する、前記輸送品の包装設計に関する設計結果を生成する生成部と
を具備
前記一つ以上の設計手順モジュールが、前記輸送品の輸送効率向上のための包装容積縮小シミュレーションをするモジュールである場合、
前記生成部は、前記輸送品を積み付ける輸送容器に関する輸送容器情報と、現行の設計レイアウトと、現行の前記輸送品の積載数に対する目標の積載数の割合とに更に基づいて、前記設計結果として前記目標の積載数を満たす設計レイアウトを生成する、包装設計装置。
【請求項2】
前記複数の設計手順モジュールは、コンテナ積載数を計算するモジュールおよび輸送効率向上のための包装容積縮小シミュレーションを行うモジュールを少なくとも含み、積載レイアウト図を作成するモジュールと、パレットへの積載数を計算するモジュールと、パレット保管効率向上のための包装容積縮小シミュレーションを行うモジュールと、包装箱の保管積段数を計算するモジュールと、段ボールの構成および材質を選定するモジュールと、トレイを利用した包装設計を行うモジュールと、緩衝材の材料および発泡倍率を選定するモジュールと、木箱を設計するモジュールと、防湿包装設計を行うモジュールと、静電気対応の包装設計を行うモジュールと、包装材の二酸化炭素削減効果を算出するモジュールと、プラスチック段ボールを設計するモジュールと、包装材使用量を計算するモジュールと、段ボール箱の図面を作成するモジュールと、包装材三次元モデリングを作成するモジュールと、緩衝材のクッション厚みおよび受圧面積を算出するモジュールと、緩衝材の図面を作成するモジュールと、製品への想定衝撃値を計算するモジュールとのうちの少なくとも一つを含む、
請求項1に記載の包装設計装置。
【請求項3】
前記一つ以上の設計手順モジュールが、前記輸送品を積み付ける輸送容器に積載可能な前記輸送品の数を計算するコンテナ積載数を計算するモジュールである場合、
前記生成部は、前記輸送容器に関する輸送容器情報に更に基づいて、前記設計結果として設計レイアウトを生成する、
請求項1または請求項2に記載の包装設計装置。
【請求項4】
前記輸送品情報および前記輸送容器情報を設定する設定部
を更に具備し、
前記輸送品情報は、前記輸送品の外形サイズと、サイズが異なる前記輸送品の種類と、前記サイズが異なる前記輸送品の数量比率とを含み、
前記輸送容器情報は、前記輸送容器の内寸サイズを含む、
請求項3に記載の包装設計装置。
【請求項5】
前記輸送品情報は、前記輸送容器の輸送方向に対する前記輸送品の積載方法および前記輸送品の保持方向の少なくとも一方をさらに含む、
請求項4に記載の包装設計装置。
【請求項6】
前記輸送品情報および前記輸送容器情報を設定する設定部
を更に具備し、
前記輸送品情報は、前記輸送品の現行の外形サイズと、前記輸送容器の輸送方向に対する前記輸送品の現行の積載方法とを含み、
前記輸送容器情報は、前記輸送容器の内寸サイズを含む、
請求項に記載の包装設計装置。
【請求項7】
前記輸送品情報は、前記目標の積載数を満たす設計レイアウトの生成における条件としての、前記輸送品の積載方法と、前記輸送品の保持方向と、前記輸送品に収容される内容物の外形サイズとのうちの少なくとも一つを含む、
請求項に記載の包装設計装置。
【請求項8】
前記生成部は、前記設計レイアウトを含むシミュレーション結果をテーブルおよびカラーマップの少なくとも一方として生成する、
請求項1、請求項6、および請求項7のいずれか一項に記載の包装設計装置。
【請求項9】
前記シミュレーション結果は、輸送品の積載数と、輸送品の外形サイズとが対応付けられている、
請求項に記載の包装設計装置。
【請求項10】
前記設計レイアウトは、輸送品の積載数と、輸送容器内の輸送品のレイアウトとを含む、
請求項から請求項までのいずれか一項に記載の包装設計装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、包装設計装置に関する。
【背景技術】
【0002】
包装設計を行う設計者(ユーザ)は、例えば共有化された設計に関する指針やルールなどの設計基準に基づいて設計を行っている。しかし、設計基準を満たすように設計を行っていたとしても、設計するための手順(設計手順)が各々異なっていれば、設計結果はそれぞれ異なる場合がある。よって、設計基準に基づいて標準化された設計手順を共有化し、それらを組み合わせて、効率よく設計する仕組みが求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記事情に鑑みて、本発明は、ユーザによらず最適な包装設計を行う包装設計装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
実施形態に係る包装設計装置は、選択部と、生成部とを備える。選択部は、包装設計に関する設計手順を標準化した複数の設計手順モジュールから一つ以上の設計手順モジュールを選択する。生成部は、一つ以上の設計手順モジュールと輸送品に関する輸送品情報とに基づいて、一つ以上の設計手順モジュールに対応する、輸送品の包装設計に関する設計結果を生成する。一つ以上の設計手順モジュールが、輸送品の輸送効率向上のための包装容積縮小シミュレーションをするモジュールである場合、生成部は、輸送品を積み付ける輸送容器に関する輸送容器情報と、現行の設計レイアウトと、現行の輸送品の積載数に対する目標の積載数の割合とに更に基づいて、設計結果として目標の積載数を満たす設計レイアウトを生成する。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、ユーザによらず最適な包装設計を行う包装設計装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本実施形態に係る包装設計装置の構成を例示する図。
図2図1に示す包装設計装置の動作の流れを例示する図。
図3】設計手順モジュールライブラリのウインドウを例示する図。
図4】選択された設計手順モジュールの一覧のウインドウを例示する図。
図5図3に示すコンテナ積載数を計算するモジュールの処理の流れを例示する図。
図6図5の処理の入力用フォームのウインドウを例示する図。
図7図6の輸送機器の内寸サイズを選択するドロップダウンリストの要素を例示する図。
図8図5の処理における計算結果のウインドウを例示する図。
図9図8の計算結果を用いた、図3に示す積載レイアウト図を作成するモジュールの処理の設計レイアウトを例示する図。
図10図3に示す輸送効率向上のための包装容積縮小シミュレーションを行うモジュールの処理の入力用フォームを例示する図。
図11図10の処理におけるステータス画面のウインドウを例示する図。
図12図10の処理におけるステータス画面のウインドウを例示する他の図。
図13図10の処理におけるシミュレーション結果をテーブルとして例示する図。
図14】テーブルの値を選択する前の出力用ウインドウを例示する図。
図15】テーブルの値を選択した後の出力用ウインドウを例示する図。
図16図10の処理におけるシミュレーション結果をカラーマップとして例示する説明図。
図17図10の処理における第1の方向についてのシミュレーション結果をカラーマップとして例示した図。
図18図10の処理における第2の方向についてのシミュレーション結果をカラーマップとして例示した図。
図19図10の処理における第3の方向についてのシミュレーション結果をカラーマップとして例示した図。
図20】カラーマップの値を選択した後の出力用ウインドウを例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら実施形態に係る包装設計装置について説明する。尚、以降、説明済みの要素と同一または類似の要素には同一または類似の符号を付し、重複する説明については基本的に省略する。例えば、複数の同一または類似の要素が存在する場合に、各要素を区別せずに説明するために共通の符号を用いることがあるし、各要素を区別して説明するために当該共通の符号に加えて枝番号を用いることもある。
【0008】
以降で用いられる文言は、次のように定義する。輸送機器は、例えば、輸送品を運ぶための空間が設けられた機器である。輸送機器には、例えば、輸送品を運ぶためのコンテナや、輸送品を運ぶためのパレット、或いは輸送品を運ぶための空間が設けられた車、船、鉄道、および飛行機などが含まれる。尚、輸送機器は、輸送容器と呼ばれてもよい。
【0009】
輸送品は、例えば、内容物を収容した包装箱、或いは内容物そのものである。内容物は、輸送対象となる物、或いは動物である。輸送対象は、既に梱包されているものも含む。尚、輸送品は、積載品と呼ばれてもよい。
【0010】
本実施形態に係る包装設計装置は、包装設計に関する処理を行うコンピュータである。包装設計は、輸送対象の包装に関するあらゆる設計を含む。本実施形態に係る包装設計装置は、例えば、包装設計に従事するユーザのコンピュータに実装される。
【0011】
図1は、本実施形態に係る包装設計装置1の構成例を例示する図である。例えば、図1に示すように、包装設計装置1は、互いにバスを介して接続されたプロセッサ10、通信機器11、入力機器12、表示機器13および記憶装置14を有する。
【0012】
プロセッサ10は、CPU(Central Processing Unit)やマイクロプロセッサなどの演算装置である。プロセッサ10は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などの専用の回路により構成されてもよい。
【0013】
プロセッサ10は、記憶装置14に保存された各種プログラムを実行することで、設計手順モジュール選択部101、設計条件設定部102、設計結果生成部103および表示制御部104の各機能を実現する。
【0014】
設計手順モジュール選択部101は、包装設計に関する設計手順を標準化した複数の設計手順モジュールから一つ以上の設計手順モジュールを選択する。設計手順とは、設計基準を満たす具体的なステップである。設計基準とは、設計する際の指針およびルールを規定したものである。設計手順モジュールの具体例は後述される。
【0015】
設計条件設定部102は、設計手順モジュールの設計条件を設定する。設計条件は、包装設計に用いられるあらゆる条件を含む。設計条件には、例えば、輸送機器に関する情報、積載品に関する情報などが含まれる。
【0016】
設計結果生成部103は、設定された設計条件に基づく設計手順モジュールの処理を行い、設計結果を生成する。設計結果には、例えば、コンテナ積載数や、積載レイアウト図などが含まれる。尚、設計結果生成部103は、複数の設計手順モジュールの処理毎に設計結果を生成してもよいし、複数の設計手順モジュールの処理を統合した設計結果を生成してもよい。
【0017】
表示制御部104は、表示機器13に種々の情報を表示する。具体的には、表示制御部104は、例えば、設計手順モジュールの一覧を表示する設計手順モジュールライブラリ、選択された設計手順モジュールの一覧、設計手順モジュールの処理の入力用フォーム、モジュールの処理における計算結果、積載レイアウト図、およびステータス表示などを表示機器13に表示する。
【0018】
通信機器11は、ネットワークを介してサーバ、或いは外部の記憶装置との間で情報通信を行う通信インタフェースである。
【0019】
入力機器12は、操作者の指示を電気信号に変換する。入力機器12としては、例えば、操作パネルやタッチパネル、キーボード、マウス、トラックボール、各種スイッチなどが用いられればよい。入力機器12としては、音声入力装置が用いられてもよい。入力機器12からの電気信号はバスを介してプロセッサ10に供給される。
【0020】
表示機器13は、各種情報を表示する。表示機器13としては、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electro Luminescence Display)、プラズマディスプレイなどの任意のディスプレイが用いられればよい。尚、表示機器13として、プロジェクタが用いられてもよい。
【0021】
記憶装置14は、各種情報を記憶するROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)、HDD(hard disk drive)、SSD(solid state drive)、集積回路記憶装置などのメモリ装置である。記憶装置14は、設計手順モジュールライブラリ141を有する。設計手順モジュールライブラリ141には、複数の設計手順モジュールが含まれる。
【0022】
次に、本実施形態に係る包装設計装置の動作例について説明する。
【0023】
図2は、図1に示す包装設計装置の動作の流れを例示する図である。図2の動作は、例えば、包装設計プログラムを実行することで開始される。
【0024】
(ステップST110)
ユーザが包装設計プログラムを実行すると、表示制御部104は、設計手順モジュールライブラリを表示する。具体的には、プロセッサ10は、記憶装置14に記憶されている設計手順モジュールライブラリ141を読み出す。そして、表示制御部104は、読み出された設計手順モジュールライブラリ141を表示機器13に表示する。
【0025】
図3は、設計手順モジュールライブラリのウインドウを例示する図である。図3のウインドウW1には、20個のアイコンI101からアイコンI120まで(複数のアイコンI101~I120)が表示されている。これら複数のアイコンI101~I120は、複数の設計手順モジュールの各々に対応している。
【0026】
具体的には、複数のアイコンI101~アイコンI120は、それぞれ「コンテナ積載数を計算するモジュール」、「積載レイアウト図を作成するモジュール」、「パレットへの積載数を計算するモジュール」、「輸送効率向上のための包装容積縮小シミュレーションを行うモジュール」、「パレット保管効率向上のための包装容積縮小シミュレーションを行うモジュール」、「包装箱の保管積段数を計算するモジュール」、「段ボールの構成および材質を選定するモジュール」、「トレイを利用した包装設計を行うモジュール」、「緩衝材の材料および発泡倍率を選定するモジュール」、「木箱を設計するモジュール」、「防湿包装設計を行うモジュール」、「静電気対応の包装設計を行うモジュール」、「包装材の二酸化炭素削減効果を算出するモジュール」、「プラスチック段ボールを設計するモジュール」、「包装材使用量を計算するモジュール」、「段ボール箱の図面を作成するモジュール」、「包装材三次元モデリングを作成するモジュール」、「緩衝材のクッション厚みおよび受圧面積を算出するモジュール」、「緩衝材の図面を作成するモジュール」、および「製品への想定衝撃値を計算するモジュール」に対応している。
【0027】
(ステップST120)
設計手順モジュールライブラリを表示した後、設計手順モジュール選択部101は、設計手順モジュールの選択を受け付ける。例えば、ユーザは、表示機器13に表示された図3のウインドウW1から、入力機器12を用いて所望の設計手順モジュールのアイコンを選択する。設計手順モジュール選択部101は、選択されたアイコンの情報を受け付ける。
【0028】
(ステップST130)
設計手順モジュールの選択を受け付けた後、表示制御部104は、選択された設計手順モジュールの一覧を表示する。具体的には、表示制御部104は、選択された設計手順モジュールのアイコンを配置させたウインドウを表示機器13に表示する。
【0029】
図4は、選択された設計手順モジュールの一覧のウインドウを例示する図である。図4のウインドウW2には、6個のアイコンI201からI206までが表示されている。具体的には、アイコンI201は、「コンテナ積載数を計算するモジュール」に対応し、アイコンI202は、「積載レイアウト図を作成するモジュール」に対応し、アイコンI203は、「輸送効率向上のための包装容積縮小シミュレーションを行うモジュール」に対応する。また、アイコンI204からI206までは、「未選択」となっている。例えば、ユーザは、「未選択」となっているアイコンI204からアイコンI206までのいずれかのアイコンを選択することによって、モジュールを追加することができる。
【0030】
なお、図4のウインドウW2は、図3のウインドウW1の各モジュールから選択されたモジュールが表示されているがこれに限らない。例えば、ユーザがウインドウW1で「積載レイアウト図を作成するモジュール」のアイコンI102を選択しなくても、ウインドウW2において「積載レイアウト図を作成するモジュール」のアイコンI202が含まれていてもよい。これは、例えば、ユーザが「コンテナ積載数を計算するモジュール」を選択した場合、設計手順モジュール選択部101は、自動的に「積載レイアウト図を作成するモジュール」も選択するようにしてもよい。即ち、設計手順モジュール選択部101は、選択されたモジュールと対応関係にあるモジュールを選択してもよい。
【0031】
(ステップST140)
選択された設計手順モジュールの一覧を表示した後、プロセッサ10は、選択された設計手順モジュールを用いた処理を実行する。具体的には、ユーザは、選択された設計手順モジュールの一覧から、実行させるモジュールを選択する。ユーザの選択を受けて、プロセッサ10は、選択されたモジュールのプログラムを記憶装置14から読み出し、実行する。尚、各々のモジュールを用いた処理の具体例は後述される。
【0032】
(ステップST150)
選択された設計手順モジュールを用いた処理を実行した後、表示制御部104は、ステップST140にて生成された設計結果を表示する。表示制御部104は、例えば、モジュールの処理における計算結果や、積載レイアウト図などを表示機器13に表示する。設計結果が表示された後、包装設計プログラムの処理は終了する。
【0033】
以降では、本包装設計装置の使用する際の具体例として、ユーザによって任意のモジュールが選択され、選択されたモジュール毎の処理が実行され、実行された処理に基づく設計結果が表示される場合について述べる。
【0034】
例えば、図2のステップST120において、ユーザは、例えば、アイコンI101の「コンテナ積載数を計算するモジュール」およびアイコンI104の「輸送効率向上のための包装容積縮小シミュレーションを行うモジュール」を選択したものとする。上記の選択を受け、ステップST130において、表示制御部104は、図4に示すウインドウW2を表示機器13に表示する。ウインドウW2において、ステップST120で選択していない「積載レイアウト図を作成するモジュール」が表示されているのは前述の通りである。
【0035】
ステップST140を実行する際、ユーザは、最初に「コンテナ積載数を計算するモジュール」を選択したものとする。ユーザの選択を受けて、プロセッサ10は、「コンテナ積載数を計算するモジュール」のプログラム(コンテナ積載数を計算するプログラム)を記憶装置14から読み出し、実行する。コンテナ積載数を計算するプログラムは、積載品のサイズと、輸送機器(例えば、コンテナなど)のサイズとを用いて、輸送機器に積み付けられる積載品の積載数を計算するプログラムである。
【0036】
(コンテナ積載数を計算するモジュール)
図5は、図3に示すコンテナ積載数を計算するモジュールの処理の流れを例示する図である。図5の処理は、前述のように、コンテナ積載数を計算するプログラムを実行することで開始される。
【0037】
(ステップST210)
ユーザがコンテナ積載数を計算するプログラムを実行すると、表示制御部104は、入力用フォームを表示する。
【0038】
図6は、図5の処理の入力用フォームのウインドウを例示する図である。図6のウインドウW3には、設計条件を設定するための項目を含む領域R10、領域R20、および領域R30が表示され、更に設定された設計条件でシミュレーションを実行するボタンを含む領域R40が表示されている。
【0039】
領域R10には、設計条件として、輸送機器の情報に関する項目が表示されている。領域R10は、ラジオボタンRB11と、テキストボックスTB11と、ボタンB11と、ラジオボタンRB12と、ドロップダウンリストDDL11と、テキストボックスTB12とを有する。
【0040】
ラジオボタンRB11は、輸送機器の内寸サイズについて、任意のサイズを入力する場合に選択される。ラジオボタンRB11が選択された場合、領域R10において、テキストボックスTB11と、ボタンB11とがアクティブになる。
【0041】
テキストボックスTB11は、輸送機器の内寸サイズの幅、長さ、高さ(W,L,H)をそれぞれ入力することができる。ボタンB11は、テキストボックスTB11に入力された内寸サイズを登録することができる。
【0042】
ラジオボタンRB12は、輸送機器の内寸サイズを、登録リストから選択して入力する場合に選択される。ラジオボタンRB12が選択された場合、領域R10において、ドロップダウンリストDDL11と、テキストボックスTB12とがアクティブになる。
【0043】
ドロップダウンリストDDL11は、登録リストから内寸サイズを選択することができる。テキストボックスTB12は、選択された登録済みの内寸サイズを表示することができる。
【0044】
図7は、図6の輸送機器の内寸サイズを選択するドロップダウンリストの要素を例示する図である。図7のリストLは、輸送機器の項目と、輸送機器の内寸サイズの幅、長さ、高さ(W,L,H)とが対応付けられている。具体的には、リストLは、項目「海上コンテナ40ft」と、内寸サイズW,L,Hをそれぞれ示す「2300」「11880」「2250」とが対応付けられている。
【0045】
領域R20には、設計条件として、積載品の情報に関する項目が表示されている。領域R20は、ラジオボタンRB21と、テキストボックスTB22とを有する。
【0046】
ラジオボタンRB21は、積載品の種類数を選択することができる。テキストボックスTB21は、積載品毎の数量比率である積載数量比率を入力することができる。テキストボックスTB22は、積載品毎に、積載品の内寸サイズの幅、長さ、高さ(W,L,H)をそれぞれ入力することができる。
【0047】
領域R30には、設計条件として、検討したい積載方法および検討したい内容物の保持方向に関する項目が表示されている。領域R30は、チェックボックスCB31と、五つのチェックボックスCB32からチェックボックスCB36と、チェックボックスCB37と、チェックボックスCB38とを有する。
【0048】
チェックボックスCB31は、積載品毎に、五つのチェックボックスCB32からチェックボックスCB36と、チェックボックスCB37と、チェックボックスCB38との全ての条件を選択することができる。
【0049】
五つのチェックボックスCB32からチェックボックスCB36までは、積載品毎に、検討したい五種類の積載方法を選択することができる。チェックボックスCB32は、積載品の長辺方向のみで積載する方法である。チェックボックスCB33は、積載品の短辺方向のみで積載する方法である。チェックボックスCB34は、積載品の短辺方向に積載し、最後にスペースが余った場合に追加で(例えば方向を変えて)積載する方法である。チェックボックスCB35は、積載品の短辺方向と長辺方向とが混在するかたちで積載し、最後にスペースが余った場合に追加で積載しない方法である。チェックボックスCB36は、積載品の短辺方向と長辺方向とが混在するかたちで積載し、最後にスペースが余った場合に追加で積載する方法である。
【0050】
チェックボックスCB37は、積載品毎に、積載品の幅方向を立てて検討するか否かを選択することができる。チェックボックスCB38は、積載品毎に、積載品の長さ方向を立てて検討するか否かを選択することができる。尚、以降、積載品の幅方向を立てることを「H=W」で表し、積載品の長さ方向を立てることを「H=L」で表してもよい。
【0051】
領域R40には、シミュレーションに関する項目が表示されている。領域R40は、チェックボックスCB41と、ボタンB41と、ボタンB42とを有する。
【0052】
チェックボックスCB41は、上記領域R10からR30までで設定された内容を保存するか否かを選択することができる。ボタンB41は、設定された設計条件に基づいてシミュレーションを実行することができる。ボタンB42と、入力用フォームを閉じることができる。
【0053】
(ステップST220)
入力用フォームを表示すると、設計条件設定部102は、ユーザからの入力を受け付ける。ユーザが入力用フォームにおける各々の設計条件を入力すると、設計条件設定部102は、入力された設計条件を設定する。
【0054】
具体的には、図6のウインドウW3において、ユーザは、ラジオボタンRB12を選択し、ドロップダウンリストDDL11から「海上コンテナ40ft」を選択し、ラジオボタンRB21から「1種類」を選択し、テキストボックスTB21に積載数量比率「100」を入力し、テキストボックスTB22にW「400」、L「500」、H「800」を入力し、チェックボックスCB31を選択し、チェックボックスCB41を選択しているものとする。尚、チェックボックスCB31が選択されているため、チェックボックスCB32からチェックボックスCB38までも全て選択されている。
【0055】
(ステップST230)
入力された設計条件を設定した後、ユーザがシミュレーションを実行するボタンを押下すると、設計条件設定部102は、必須項目が全て入力されているか否かを判定する。必須項目は、例えば、図6の領域R10および領域R20の項目である。必須項目が全て入力さている場合、処理はステップST240へと進み、そうでなければステップST220へと戻る。尚、ステップST220へ戻る際に、表示制御部104は、例えば、入力されていない項目をユーザへ知らせるためのウインドウを表示させてもよい。
【0056】
(ステップST240)
必須項目が全て入力されている場合、設計結果生成部103は、入力された設計条件に基づいて、シミュレーションを実行し、設計結果を生成する。尚、設計結果は、シミュレーションを実行するモジュールによって、計算結果と呼ばれてもよい。
【0057】
(ステップST250)
シミュレーションが完了すると、表示制御部104は、計算結果を表示する。具体的には、表示制御部104は、「コンテナ積載数を計算するモジュール」の計算結果を表示機器13に表示する。計算結果が表示された後、コンテナ積載数を計算するプログラムの処理は終了する。尚、ステップST250の処理は省略されてもよく、上記のステップST150の処理において計算結果を表示させるようにしてもよい。
【0058】
図8は、図5の処理における計算結果のウインドウを例示する図である。図8のウインドウW4は、上記ステップST250における「コンテナ積載数を計算するモジュール」の計算結果が表示されている。具体的には、図6の入力用フォームで入力された設計条件に基づき、積載品「#1」について、数量「616」および保持方向「H=H」が表示されている。
【0059】
また、図8のウインドウW4には、レイアウト用のCADデータを作成するためのボタンB4が表示されている。このボタンB4には、例えば、「積載レイアウト図を作成するモジュール」のプログラム(積載レイアウト図を作成するプログラム)を記憶装置14から読み出し、実行する処理が対応付けられている。積載レイアウト図を作成するプログラムは、積載品のサイズと、輸送機器(例えば、コンテナなど)のサイズとを用いて、設計レイアウトを生成するプログラムである。設計レイアウトは、少なくとも積載品の積載数と、輸送機器内の積載品のレイアウトとを含む。
【0060】
図9は、図8の計算結果を用いた、図3に示す積載レイアウト図を作成するモジュールの処理の設計レイアウトを例示する図である。図9の設計レイアウトCDは、例えば、ユーザが図8のウインドウW4に表示されているボタンB4を押下することによって表示される。
【0061】
設計レイアウトCDには、横方向からみたレイアウトイメージと、上方向から見たレイアウトイメージとが示される。更に、設計レイアウトCDには、輸送機器の内寸サイズ、包装外形サイズ、および積載数量が示される。
【0062】
なお、上記の設計レイアウトは、設計手順モジュールライブラリに含まれるプログラムとは別の、レイアウト図を作成するCADプログラムを実行することによって生成されてもよい。この場合、上記ボタンB4を押下することにより、CADデータが生成され、このCADデータを上記CADプログラムに読み込ませることによって設計レイアウトが生成される。
【0063】
以上より、「コンテナ積載数を計算するモジュール」は、設計基準に基づいて標準化された設計手順の一つであるといえる。尚、「コンテナ積載数を計算するモジュール」の機能に、「積載レイアウト図を作成するモジュール」の機能が組み込まれていてもよいし、その逆でもよい。
【0064】
上記ステップST140を実行する際、ユーザは、次に「輸送効率向上のための包装容積縮小シミュレーションを行うモジュール」を選択したものとする。ユーザの選択を受けて、プロセッサ10は、「輸送効率向上のための包装容積縮小シミュレーションを行うモジュール」のプログラム(輸送効率向上のための包装容積縮小シミュレーションプログラム)を記憶装置14から読み出し実行する。輸送効率向上のための包装容積縮小シミュレーションプログラムは、積載品のサイズと、輸送機器(例えば、コンテナなど)のサイズと、現行の積載品のサイズと、現行の設計レイアウトと、現行の積載数と目標の積載数との割合とを用いて、目標の積載数を満たす設計レイアウトを生成するプログラムである。
【0065】
(輸送効率向上のための包装容積縮小シミュレーションを行うモジュール)
輸送効率向上のための包装容積縮小シミュレーションを行うモジュールの処理は、図5に記載の処理の流れとほぼ同様である。そのため、以降では、コンテナ積載数を計算するモジュールの処理とは異なる、入力用フォームや表示ウインドウについて説明する。
【0066】
図10は、図3に示す輸送効率向上のための包装容積縮小シミュレーションを行うモジュールの処理の入力用フォームのウインドウを例示する図である。図10のウインドウW5には、設計条件を設定するための項目を含む領域R50、領域R60、領域R70、領域R80、領域R90が表示され、更に設定された設計条件でシミュレーションを実行するボタンを含む領域R100が表示されている。
【0067】
領域R50には、設計条件として、輸送機器の情報に関する項目が表示されている。領域R50は、ラジオボタンRB51と、テキストボックスTB51と、ボタンB51と、ラジオボタンRB52と、ドロップダウンリストDDL51と、テキストボックスTB52とを有する。
【0068】
ラジオボタンRB51は、輸送機器の内寸サイズについて、任意のサイズを入力する場合に選択される。ラジオボタンRB51が選択された場合、領域R50において、テキストボックスTB51と、ボタンB51とがアクティブになる。
【0069】
テキストボックスTB51は、輸送機器の内寸サイズの幅、長さ、高さ(W,L,H)をそれぞれ入力することができる。ボタンB51は、テキストボックスTB51に入力された内寸サイズを登録することができる。
【0070】
ラジオボタンRB52は、輸送機器の内寸サイズを、登録リストから選択して入力する場合に選択される。ラジオボタンRB52が選択された場合、領域R50において、ドロップダウンリストDDL51と、テキストボックスTB52とがアクティブになる。
【0071】
ドロップダウンリストDDL51は、登録リストから内寸サイズを選択することができる。テキストボックスTB52は、選択された登録済みの内寸サイズを表示することができる。尚、登録リストの内容は、図7と同様である。
【0072】
領域R60には、設計条件として、積載品の現行外形サイズを入力する項目が表示されている。領域R60は、テキストボックスTB61を有する。
【0073】
テキストボックスTB61は、現行外形サイズの幅、長さ、高さ(W,L,H)をそれぞれ入力することができる。
【0074】
領域R70には、設計条件として、現行の積載方法に関する項目が表示されている。領域R70は、ラジオボタンRB71と、ボタンB71と、テキストボックスTB71とを有する。
【0075】
ラジオボタンRB71は、現行の積載方法を選択することができる。ボタンB71は、輸送機器の内寸サイズ、積載品の現行外形サイズ、および現行の積載方法から現行積載数を計算することができる。テキストボックスTB71は、計算された現行積載数を表示することができる。
【0076】
領域R80には、設計条件として、改善ターゲット(積載改善率)に関する項目が表示されている。領域R80は、スライダーSLと、テキストボックスTB81と、テキストボックスTB82とを有する。
【0077】
スライダーSLは、積載改善率を設定することができる。テキストボックスTB81は、設定された積載改善率を表示することができる。テキストボックスTB82は、設定された積載改善率に応じた積載数を表示することができる。
【0078】
領域R90には、設計条件として、検討条件に関する項目が表示されている。領域R90は、チェックボックスCB91と、チェックボックスCB92と、チェックボックスCB93と、チェックボックスCB94と、テキストボックスTB91とを有する。
【0079】
チェックボックスCB91は、内容物の保持方向について、積載品の幅方向を立てて検討するか否か、および積載品の長さ方向を立てて検討するか否かを選択することができる。チェックボックスCB92は、チェックボックスCB93の全ての条件を選択することができる。チェックボックスCB93は、検討する五種類の積載方法を選択することができる。
【0080】
チェックボックスCB94は、内容物外形を考慮するか否かを選択することができる。チェックボックスCB94が選択された場合、領域R90において、テキストボックスTB91がアクティブになる。
【0081】
テキストボックスTB91は、内容物外形の幅、長さ、高さ(W,L,H)をそれぞれ入力することができる。
【0082】
領域R100には、シミュレーションに関する項目が表示されている。領域R100は、チェックボックスCB101と、ボタンB101と、ボタンB102とを有する。
【0083】
チェックボックスCB101は、上記領域R50から領域R90までで設定された内容を保存するか否かを選択することができる。ボタンB101は、設定された設計条件に基づいてシミュレーションを実行することができる。ボタンB102は、入力用フォームを閉じることができる。
【0084】
図10のウインドウW5の入力例として、ユーザは、ラジオボタンRB52を選択し、ドロップダウンリストDDL51から「海上コンテナ40ft」を選択し、テキストボックスTB61にW「250」、L「350」、H「300」を入力し、ラジオボタンRB71に「分からない」を選択し、ボタンB71を押下し、スライダーSLを「109」に設定し、チェックボックスCB91を選択し、チェックボックスCB92を選択し、チェックボックスCB94を選択し、テキストボックスTB91にW「238」、L「340」、H「280」を入力しているものとする、尚、チェックボックスCB92が選択されているため、チェックボックスCB93も選択されている。
【0085】
図11は、図10の処理におけるステータス画面のウインドウを例示する図である。図11のウインドウW6aは、シミュレーションの進行状況をユーザに通知する。ウインドウW6aは、例えば、ユーザが図10のボタンB101を押下することによって表示される。ウインドウW6aは、シミュレーションを中止するためのボタンB61を有する。時間がかかりすぎてシミュレーションを中止させたい場合、ユーザは、ボタンB61を押下することにより、シミュレーションを中止することができる。
【0086】
図12は、図10の処理におけるステータス画面のウインドウを例示する他の図である。図12のウインドウW6bは、シミュレーションの完了をユーザに通知する。ウインドウW6bは、シミュレーションが完了することにより例えばウインドウW6aの表示が遷移する。ウインドウW6bは、シミュレーション結果を確認するためのボタンB62と、このウインドウを閉じるためのボタンB63を有する。シミュレーション結果を確認したい場合、ユーザは、ボタンB62を押下することにより、シミュレーション結果を表示することができる。
【0087】
図13は、図10の処理におけるシミュレーション結果をテーブルとして例示する図である。図13のテーブルTは、例えばユーザが図12のボタンB62を押下することによって表示される。テーブルTには、改善後の輸送機器への包装品積載数量(PK_f)と、改善後の包装品幅(Wpk_f)と、改善に必要な包装幅縮小量(ΔW)と、改善後の包装長さ(Lpk_f)と、改善に必要な包装長さ縮小量(ΔL)と、改善後の包装高さ(Hpk_f)と、改善に必要な包装高さ縮小量(ΔH)と、積載数量改善率(Improvement Rate)とが対応付けられている。
【0088】
テーブルTにおいて、例えば一番上の行には、PK_f「2570」、Wpk_f「300」、ΔW「0」、Lpk_f「350」、ΔL「0」、Hpk_f「225」、ΔH「(-25)」、およびImprovement Rate「119」が対応付けられて表示されている。これは、例えば、包装高さを現行高さから「-25」とすることにより、現状よりも「119%」の積載が可能であることを意味し、具体的に「2570」の積載量が見込めることを意味する。
【0089】
なお、図13のテーブルTは、上記に限らず、他の項目がさらに対応付けられていてもよい。他の項目は、例えば、縮小容積当たりの積載量変化量(ΔPK/ΔV*10^9)、内容物保持方向の検討パターン(H=H、H=W、orH=L)、内容物外形を超過し検討結果有無の表示(over(超過した検討) or within(超過しない検討))、改善前の包装品積載数量(入力値ベース H=H)(PK_i_abs)、改善前の包装品積載数量(内容物保持方向ベース H=W、H=L)(PK_i)、改善前の包装幅(Wpk_i)、改善前の包装長さ(Lpk_i)、および改善前の包装高さ(Hpk_i)などである。
【0090】
図14は、テーブルの値を選択する前の出力用ウインドウを例示する図である。図14のウインドウW7aは、例えば、図13のテーブルTと共に表示される。ウインドウW7aには、テーブルTで選択された行のPK_f、Wpk_f、Lpk_f、およびHpk_fのそれぞれの値が表示されるようになっている。尚、ウインドウW7aは、行の選択を行う前の表示である。
【0091】
図15は、テーブルの値を選択した後の出力用ウインドウを例示する図である。図15のウインドウW7bは、テーブルTにおいて一番上の行が選択された場合の表示である。具体的には、ウインドウW7bには、PK_f「2570」、Wpk_f「300」、Lpk_f「350」、およびHpk_f「225」が表示されている。
【0092】
また、図15のウインドウW7bには、レイアウト用のCADデータを作成するためのボタンB7が表示されている。このボタンB7には、例えば、積載レイアウト図を作成するプログラムを記憶装置14から読み出し、実行する処理が対応付けられている。
【0093】
以上より、包装容積縮小シミュレーションによって、積載改善率を達成するために現行積載品のサイズ(幅、長さ、および高さ)をどの程度縮小する必要があるかを把握することができる。上記では、シミュレーション結果をテーブルで表示したがこれに限らない。例えば、シミュレーション結果をカラーマップとして表示することもできる。
【0094】
図16は、図10の処理におけるシミュレーション結果をカラーマップとして例示する説明図である。図16のシミュレーション結果SRは、積載品の保持方向に応じて、「H=H」、「H=W」、および「H=L」の三種類がある。また、シミュレーション結果SRには、カラーマップを含む領域RA、領域RB、および領域RCが表示される。カラーマップは、包装幅W方向、長さL方向をそれぞれ「1」ずつ縮小検討したときの積載数量(PK_f)を、マトリクス状に配列させたセルに入力された数値に応じて色分けをしたものである。カラーマップの横方向はLpk_fの縮小に対応し、カラーマップの縦方向はWpk_fに対応している。ユーザはカラーマップ上のセルを選択することによって、PK_f、Wpk_f、Lpk_f、およびHpk_fのそれぞれの値を設定することができる。尚、表示される領域は上記に限らず、少なくとも一つ以上の領域が含まれる。
【0095】
領域RAには、Hpk=x(Δ0)の場合の、カラーマップCMAが表示されている。Hpk=x(Δ0)は、積載品の高さ方向を縮小していないことを示す。カラーマップCMAは、例えば6行6列のマトリクス状に配列されたセルにそれぞれ積載数量が入力されている。また、カラーマップCMAのセルは、入力された積載数量に応じて色分けをしている。カラーマップCMAでは、例えば4種類(CMA1、CMA2、CMA3、およびCMA4)に色分けされている。また、カラーマップCMAでは、シミュレーションの開始は1行1列目のセル「A11」であり、シミュレーションの終了は6行6列目のセル「A66」である。シミュレーションの終了は、図10で設定した積載改善率に達したときである。
【0096】
また、カラーマップCMAには、縦境界線B1および横境界線B2が表示されている。縦境界線B1は、5列目と6列目の間に示され、横境界線B2は、5行目と6行目との間に示されている。カラーマップCMAにおいて、縦境界線B1より右、および横境界線B2より下のセルは、内容物外形を超過した検討結果を示す。即ち、カラーマップCMAでは、内容物外形を超過しないと積載改善率を満たす設定を行えないことがわかる。
【0097】
領域RBには、Hpk=x-y1(Δy1)の場合の、カラーマップCMBが表示されている。Hpk=x-y1(Δy1)は、積載品の高さ方向をy1だけ縮小したことを示す。カラーマップCMBでは例えば2種類(CMB1およびCMB2)に色分けされている。また、カラーマップCMBでは、シミュレーションの開始は1行1列目のセル「B11」であり、シミュレーションの終了は4行4列目のセル「B44」である。
【0098】
カラーマップCMBには、カラーマップCMAのような縦境界線および横境界線が表示されていない。よって、カラーマップCMBでは、4行4列目のセル「B44」の数値に対応する設定は、内容物外形を超過せずに積載改善率を満たしていることがわかる。
【0099】
領域RCには、Hpk=x-y2(Δy2)の場合の、カラーマップCMCが表示されている。Hpk=x-y2(Δy2)は、積載品の高さ方向をy2だけ縮小したことを示す。ここでy2は、y1よりも大きいものとする。カラーマップCMCでは、セルが一つしか表示されていない。これは、積載品の幅方向、長さ方向は縮小せず、高さ方向のみをy2縮小することで、図10で設定した積載改善率に達したことがわかり、シミュレーションの終了を示す。
【0100】
領域RBと領域RCとの間、即ちカラーマップCMBとカラーマップCMCとの間には、マップ境界線B3が示されている。シミュレーション結果SRにおいて、マップ境界線B3より下のカラーマップは、内容物外形を超過した検討結果を示す。よって、カラーマップCMCでは、内容物外形を超過しないと積載改善率を満たす設定を行えないことがわかる。
【0101】
以上より、シミュレーション結果SRにおいて、内容物外形を超過せずに積載改善率を満たしうる設定ができるのは、カラーマップCMBである。このように、カラーマップを表示させたシミュレーション結果SRによって、積載改善率を達成するために現行積載品のサイズをどの程度縮小する必要があるかを把握できると共に、次の二点についても更に把握することができる。一点目は、内容物外形を超過せずに積載改善率を達成できるのか、或いは内容物外形を超過しないと積載改善率を達成できないのかを把握できることである。二点目は、仮に内容物外形を超過しないと積載改善率を達成できない場合、どの程度内容物外形を超過する必要があるのかを把握できることである。これにより、例えば、製品形状(内容物外形)の形状変更についても検討することができる。
【0102】
以下では、カラーマップの具体例を説明する。次の図17から図19までは、それぞれ、「H=H」、「H=W」、および「H=L」での検討結果が示されている。尚、以降の検討結果は、図10で設定された積載改善率を満たす積載数量「2357」を基準としている。
【0103】
図17は、図10の処理における第1の方向についてのシミュレーション結果をカラーマップとして例示した図である。第1の方向は、保持方向「H=H」を意味する。図17のシミュレーション結果SR210は、カラーマップCM211を含む領域R211と、カラーマップCM212を含む領域R212とを有する。また、カラーマップCM211は、縦境界線B211と横境界線B212とを有する。
【0104】
カラーマップCM211は、14行14列のマトリクス状に配列されたセルにそれぞれ積載数量が入力されている。例えば、カラーマップCM211において、シミュレーション開始の1行1列目のセルには積載数量「2163」が入力されており、シミュレーション終了の14行14列目のセルには積載数量「2380」が入力されている。カラーマップCM211には縦境界線B211と横境界線B212とが表示されているため、カラーマップCM211では、内容物外形を超過しないと積載改善率を満たす設定を行えないことがわかる。
【0105】
カラーマップCM212は、一つのセルに積載数量「2472」が入力されている。カラーマップCM212には縦境界線および横境界線が無く、また、カラーマップCM211とカラーマップCM212との間にはマップ境界線が無いため、カラーマップCM212のセルに対応する設定は、内容物外形を超過せずに積載改善率を満たしていることがわかる。
【0106】
図18は、図10の処理における第2の方向についてのシミュレーション結果をカラーマップとして例示した図である。第2の方向は、保持方向「H=W」を意味する。図18のシミュレーション結果SR220は、カラーマップCM221を含む領域R221と、マップ境界線B221と、カラーマップCM222を含む領域R222とを有する。
【0107】
カラーマップCM221は、4行4列のマトリクス状に配列されたセルにそれぞれ積載数量が入力されている。例えば、カラーマップCM221において、シミュレーション開始の1行1列目のセルには積載数量「2313」が入力されており、シミュレーション終了の4行4列目のセルには積載数量「2358」が入力されている。カラーマップCM221には縦境界線および横境界線が無く、また、シミュレーション結果SR220の最初のカラーマップであるため、カラーマップCM221の例えば4行4列目のセルに対応する設定は、内容物外形を超過せずに積載改善率を満たしていることがわかる。
【0108】
カラーマップCM222は、一つのセルに積載数量「2570」が入力されている。カラーマップCM221とカラーマップCM222との間にはマップ境界線B221があるため、カラーマップCM222では、内容物外形を超過しないと積載改善率を満たす設定を行えないことがわかる。
【0109】
図19は、図10の処理における第3の方向についてのシミュレーション結果をカラーマップとして例示した図である。第3の方向は、保持方向「H=L」を意味する。図19のシミュレーション結果SR230は、カラーマップCM231を含む領域R231と、マップ境界線B232と、カラーマップCM232を含む領域R232とを有する。また、シミュレーション結果SR230は、カラーマップCM231とカラーマップCM232との間にマップ境界線B232を有する。
【0110】
カラーマップCM231は、13行13列のマトリクス状に配列されたセルにそれぞれ積載数量が入力されている。例えば、カラーマップCM231において、シミュレーション開始の1行1列目のセルには積載数量「2160」が入力されており、シミュレーション終了の13行13列目のセルには積載数量「2358」が入力されている。カラーマップCM231には横境界線B231が表示されており、12行13列目のセルを選択することで、内容物外形を超過せずに積載改善率を満たす設定を行えることがわかる。
【0111】
カラーマップCM232は、一つのセルに積載数量「2520」が入力されている。カラーマップCM231とカラーマップCM232との間にはマップ境界線B232があるため、カラーマップCM232では、内容物外形を超過しないと積載改善率を満たす設定を行えないことがわかる。
【0112】
上記の図17から図19までのカラーマップのうち、内容物外形を超過せずに積載改善率を満たしうる設定ができるのは、カラーマップCM212、カラーマップCM221、およびカラーマップCMC231である。
【0113】
図20は、カラーマップの値を選択した後の出力用ウインドウを例示する図である。図20のウインドウW8では、例えば、図17のカラーマップCM221における、12行10列目のセルが選択されている場合の表示である。具体的には、ウインドウW8には、検討パターン「H=H」と、Wpk、LpK、Hpk、PKの初期値「250」「350」「300」「2163」および改善値「239」「341」「300」「2296」とが表示されている。尚、カラーマップの値の選択として、プロセッサ10が最適値を予め選択していてもよい。
【0114】
また、図20のウインドウW8には、レイアウト用のCADデータを作成するためのボタンB8が表示されている。このボタンB8には、例えば、積載レイアウト図を作成するプログラムを記憶装置14から読み出し、実行する処理が対応付けられている。
【0115】
以上より、「輸送効率向上のための包装容積縮小シミュレーションを実行するモジュール」は、設計基準に基づいて標準化された設計手順の一つであるといえる。
【0116】
以上説明したように、本実施形態に係る包装設計装置は、包装設計に関する設計手順を標準化した複数の設計手順モジュールから一つ以上の設計手順モジュールを選択し、一つ以上の設計手順モジュールと輸送品に関する輸送品情報とに基づいて、一つ以上の設計手順モジュールに対応する、輸送品の包装設計に関する設計結果を生成することができる。よって、本実施形態に係る包装設計装置は、ユーザによらず最適な包装設計を行うことができる。
【0117】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明と同等の記載を付記する。
[1] 包装設計に関する設計手順を標準化した複数の設計手順モジュールから一つ以上の設計手順モジュールを選択する選択部と、
前記一つ以上の設計手順モジュールと輸送品に関する輸送品情報とに基づいて、前記一つ以上の設計手順モジュールに対応する、前記輸送品の包装設計に関する設計結果を生成する生成部と
を具備する、包装設計装置。
[2] 前記複数の設計手順モジュールは、コンテナ積載数を計算するモジュールおよび輸送効率向上のための包装容積縮小シミュレーションを行うモジュールを少なくとも含み、積載レイアウト図を作成するモジュールと、パレットへの積載数を計算するモジュールと、パレット保管効率向上のための包装容積縮小シミュレーションを行うモジュールと、包装箱の保管積段数を計算するモジュールと、段ボールの構成および材質を選定するモジュールと、トレイを利用した包装設計を行うモジュールと、緩衝材の材料および発泡倍率を選定するモジュールと、木箱を設計するモジュールと、防湿包装設計を行うモジュールと、静電気対応の包装設計を行うモジュールと、包装材の二酸化炭素削減効果を算出するモジュールと、プラスチック段ボールを設計するモジュールと、包装材使用量を計算するモジュールと、段ボール箱の図面を作成するモジュールと、包装材三次元モデリングを作成するモジュールと、緩衝材のクッション厚みおよび受圧面積を算出するモジュールと、緩衝材の図面を作成するモジュールと、製品への想定衝撃値を計算するモジュールとのうちの少なくとも一つを含む、[1]に記載の包装設計装置。
[3] 前記一つ以上の設計手順モジュールが、前記輸送品を積み付ける輸送容器に積載可能な前記輸送品の数を計算するコンテナ積載数を計算するモジュールである場合、
前記生成部は、前記輸送容器に関する輸送容器情報に更に基づいて、前記設計結果として設計レイアウトを生成する、[1]または[2]に記載の包装設計装置。
[4] 前記輸送品情報および前記輸送容器情報を設定する設定部
を更に具備し、
前記輸送品情報は、前記輸送品の外形サイズと、サイズが異なる前記輸送品の種類と、前記サイズが異なる前記輸送品の数量比率とを含み、
前記輸送容器情報は、前記輸送容器の内寸サイズを含む、[3]に記載の包装設計装置。
[5] 前記輸送品情報は、前記輸送容器の輸送方向に対する前記輸送品の積載方法および前記輸送品の保持方向の少なくとも一方をさらに含む、[4]に記載の包装設計装置。
[6] 前記一つ以上の設計手順モジュールが、前記輸送品の輸送効率を上げるための包装容積縮小シミュレーションをするモジュールである場合、
前記生成部は、前記輸送品を積み付ける輸送容器に関する輸送容器情報と、現行の設計レイアウトと、現行の前記輸送品の積載数に対する目標の積載数の割合とに更に基づいて、前記設計結果として前記目標の積載数を満たす設計レイアウトを生成する、[1]または[2]に記載の包装設計装置。
[7] 輸送品に関する輸送品情報と、前記輸送品を積み付ける輸送容器に関する輸送容器情報と、現行の設計レイアウトと、現行の前記輸送品の積載数に対する目標の積載数の割合とに基づいて、前記目標の積載数を満たす設計レイアウトを生成する生成部
を具備する、包装設計装置。
[8] 前記輸送品情報および前記輸送容器情報を設定する設定部
を更に具備し、
前記輸送品情報は、前記輸送品の現行の外形サイズと、前記輸送容器の輸送方向に対する前記輸送品の現行の積載方法とを含み、
前記輸送容器情報は、前記輸送容器の内寸サイズを含む、[6]または[7]に記載の包装設計装置。
[9] 前記輸送品情報は、前記目標の積載数を満たす設計レイアウトの生成における条件としての、前記輸送品の積載方法と、前記輸送品の保持方向と、前記輸送品に収容される内容物の外形サイズとのうちの少なくとも一つを含む、[8]に記載の包装設計装置。
[10] 前記生成部は、前記設計レイアウトを含むシミュレーション結果をテーブルおよびカラーマップの少なくとも一方として生成する、[6]から[9]までのいずれか一つに記載の包装設計装置。
[11] 前記シミュレーション結果は、輸送品の積載数と、輸送品の外形サイズとが対応付けられている、[10]に記載の包装設計装置。
[12] 前記設計レイアウトは、輸送品の積載数と、輸送容器内の輸送品のレイアウトとを含む、[3]から[11]までのいずれか一つに記載の包装設計装置。
【符号の説明】
【0118】
1…包装設計装置、W1,W2,W3,W4,W5,W6a,W6b,W7a,W7b,W8…ウインドウ、I101,I102,I103,I104,I105,I106,I107,I108,I109,I110,I111,I112,I113,I114,I115,I116,I117,I118,I119,I120,I201,I202,I203,I204,I205,I206…アイコン、R10,R20,R30,R40,R50,R60,R70,R80,R90,R100,RA,RB,RC,R211,R212,R221,R222,R231,R232…領域、RB11,RB12,RB21,RB51,RB52,RB71…ラジオボタン、TB11,TB12,TB21,TB22,TB51,TB52,TB61,TB71,TB81,TB82,TB91…テキストボックス、DDL11,DDL51…ドロップダウンリスト、CB31,CB32,CB33,CB34,CB35,CB36,CB37,CB38,CB41,CB91,CB92,CB93,CB94,CB101…チェックボックス、B11,B41,B42,B4,B51,B71,B101,B102,B61,B62,B63,B7,B8…ボタン、L…リスト、SL…スライダー、CD…設計レイアウト、T…テーブル、SR,SR210,SR220,SR230…シミュレーション結果、CMA,CMB,CMC,CM211,CM212,CM221,CM222,CM231,CM232…カラーマップ、B1,B211…縦境界線、B2,B212,B231…横境界線、B3,B221,B232…マップ境界線。
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