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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-16
(45)【発行日】2024-08-26
(54)【発明の名称】リニアガイドのためのガイドキャリッジ
(51)【国際特許分類】
   F16C 29/06 20060101AFI20240819BHJP
   F16N 25/00 20060101ALI20240819BHJP
   F16N 29/00 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
F16C29/06
F16N25/00
F16N29/00 F
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020097791
(22)【出願日】2020-06-04
(65)【公開番号】P2021032408
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2023-05-08
(31)【優先権主張番号】10 2019 212 497.6
(32)【優先日】2019-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515234440
【氏名又は名称】エスカーエフ・ルブリケイション・システムズ・ジャーマニー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【弁理士】
【氏名又は名称】丹野 拓人
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(73)【特許権者】
【識別番号】390029805
【氏名又は名称】THK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【弁理士】
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン・クロイツケンパー
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン・シュミット
(72)【発明者】
【氏名】ホルガー・シュミット
(72)【発明者】
【氏名】ツジュンジョト
【審査官】鈴木 貴晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-224713(JP,A)
【文献】登録実用新案第3132152(JP,U)
【文献】特開2014-196817(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 29/00-31/06,
33/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延伸する少なくとも1つの第1および第2の走行溝(8a、10a、12a、14a;8b、10b、12b、14b)を有する少なくとも1つの第1の部分ガイドキャリッジ(2)と、
軸方向に延伸する少なくとも1つの第1および第2の走行溝を有する少なくとも1つの第2の部分ガイドキャリッジ(4)と、を有する、
リニアガイドのためのガイドキャリッジ(1)において、
前記第1の部分ガイドキャリッジ(2)と前記第2の部分ガイドキャリッジ(4)との間に、潤滑剤供給要素(6)が設けられており、該潤滑剤供給要素(6)は、第1の軸方向側で、前記第1の部分ガイドキャリッジ(2)の前記第1および前記第2の走行溝(8a、10a、12a、14a;8b、10b、12b、14b)と、そして、第2の軸方向側で、前記第2の部分ガイドキャリッジ(4)の前記第1および第2の走行溝と、接続されている、軸方向に延伸する第1の接続走行溝(18a、20a、22a、24a)および軸方向に延伸する第2の接続走行溝(18b、20b、22b、24b)を有し、前記潤滑剤供給要素(6)は、少なくとも1つの前記接続走行溝(18a、20a、22a、24a;18b、20b、22b、24b)と流体的に接続されている少なくとも1つの潤滑剤供給路(16)を備えることを特徴とするガイドキャリッジ(1)。
【請求項2】
前記第1および前記第2の部分ガイドキャリッジ(2、4)には、複数の前記第1および前記第2の走行溝(8a、10a、12a、14a;8b、10b、12b、14b)が形成されており、前記潤滑剤供給要素(6)には、前記第1および前記第2の部分ガイドキャリッジ(2、4)の前記第1および前記第2の走行溝をそれぞれ接続する複数の前記第1および前記第2の接続走行溝(18a、20a、22a、24a;18b、20b、22b、24b)が形成されている、請求項1に記載のガイドキャリッジ(1)。
【請求項3】
前記潤滑剤供給路(16)は、複数の前記第1のおよび/または複数の前記第2の接続走行溝(18a、20a、22a、24a;18b、20b、22b、24b)と流体的に接続されている、請求項1または2に記載のガイドキャリッジ(1)。
【請求項4】
前記第1のおよび/または前記第2の接続走行溝(18a、20a、22a、24a;18b、20b、22b、24b)のそれぞれは、それぞれ1つまたは複数の別体の潤滑剤供給路(16)と接続されている、請求項1または2に記載のガイドキャリッジ(1)。
【請求項5】
前記ガイドキャリッジ(1)は、レールに沿って移動可能であり、前記第1の走行溝(8a、10a、12a、14a)と前記第1の接続走行溝(18a、20a、22a、24a)とは、少なくとも1つの転動体のための順行溝として形成されており、前記転動体は、前記レールに接触し、かつ、前記レールに対して前記ガイドキャリッジ(1)を移動可能に軸受けするように、設計されており、前記第2の走行溝(8b、10b、12b、14b)と前記第2の接続走行溝(18b、20b、22b、24b)とは、その中で少なくとも1つの前記転動体が、前記レールに接触することなくガイドされている逆行溝として形成されており、少なくとも1つの前記潤滑剤供給路(16)が、少なくとも1つの前記逆行溝(18b、20b、22b、24b)と流体的に接続されており、かつ/または前記潤滑剤供給路(16)のそれぞれが、それぞれ1つの前記逆行溝(18b、20b、22b、24b)と接続されている、請求項1から4のいずれか1項に記載のガイドキャリッジ(1)。
【請求項6】
前記潤滑剤供給要素(6)はさらに、少なくとも1つの受容部を備え、該受容部の中におよび/または該受容部に接して、規定の潤滑剤量を配分するために設計されている潤滑剤配分要素(26、28、30、32)、および/または潤滑剤供給を監視するために設計されているセンサ(40)が取付可能である、請求項1から5のいずれか1項に記載のガイドキャリッジ(1)。
【請求項7】
前記潤滑剤供給路(16)のそれぞれには、それぞれ1つの前記潤滑剤配分要素(26、28、30、32)が配設されている、請求項6に記載のガイドキャリッジ(1)。
【請求項8】
前記潤滑剤供給路(16)のそれぞれには、それぞれ1つの前記センサ(40)が配設されており、および/または前記潤滑剤配分要素(26、28、30、32)のそれぞれには、それぞれ1つの前記センサ(40)が配設されている、請求項6または7に記載のガイドキャリッジ(1)。
【請求項9】
前記潤滑剤配分要素(26、28、30、32)および/または前記センサ(40)のそれぞれは、別体の受容部に受容されており、前記受容部は、前記潤滑剤供給要素(6)内の空洞として形成されているので、前記潤滑剤配分要素(26、28、30、32)および/または前記センサ(40)は、前記潤滑剤供給要素(6)に組み込み可能である、請求項6から8のいずれか1項に記載のガイドキャリッジ(1)。
【請求項10】
前記第2の部分ガイドキャリッジ(4)は、前記ガイドキャリッジ(1)の端部キャップとして形成されており、前記端部キャップの第1と第2の走行溝は、Uターンレーンを介して接続されている、請求項1から9のいずれか1項に記載のガイドキャリッジ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、特許請求項1のおいて書きに記載のリニアガイドのためのガイドキャリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
リニアガイドまたはリニア転がり軸受は、極めて多様な適用範囲で使用され、移動するべき部材たとえば工作機械の部品のリニアガイドに規則的に使われる。そのようなリニアガイドは通常、ガイドレールと、このガイドレール上を転がり軸受けされて走るキャリッジとから成る。キャリッジ側には、エンドレスな少なくとも2つの転動体溝が備わっており、当該転動体溝内では、転動体たとえば玉またはローラが周回し、各転動体溝は、レールを走る転動体を受容していて負荷がかかる溝部分(順行とも呼ばれる)と、それに沿って転動体が戻されて負荷がかからない部分(逆行とも呼ばれる)とを備える。転動体は、キャリッジの軸方向の端部で、適当にUターンできるので、エンドレス溝がもたらされる。このためにキャリッジの端部には、それぞれUターンピースを備える2つのヘッドピースまたは端部キャップが備わっている。
【0003】
摩擦抵抗をできる限り小さく抑えるために、潤滑剤塗布が行われ得るので、レールの走行面にも転動体にも、潤滑膜が形成される。潤滑剤は通常、それぞれの端部キャップのUターンピースの領域に塗布される。
【0004】
しかしながら、ガイドキャリッジの全長にわたって十分に潤滑剤を塗布することは保証できないように思われ得る。これはたとえば、ガイドキャリッジが長い場合、つまり潤滑剤がすでにガイドキャリッジ内部で剥がれるような場合、および/またはガイドキャリッジの移行経路が短い場合、つまり供給された潤滑剤がガイドキャリッジの負荷がかかる部分にまで運ばれない危険がある場合に、起こりかねない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それゆえ本願発明の課題は、ガイドキャリッジの全長にわたる潤滑剤塗布を保証できる、リニアガイドのための改善されたガイドキャリッジ、特に改善された潤滑剤供給要素を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、特許請求項1に記載のリニアガイドのためのガイドキャリッジによって解決される。
【0007】
以下において、軸方向に延伸する少なくとも1つの第1および第2の走行溝を有する少なくとも1つの第1の部分ガイドキャリッジと、軸方向に延伸する少なくとも1つの第1および第2の走行溝を有する少なくとも1つの第2の部分ガイドキャリッジと、を有する、リニアガイドのためのガイドキャリッジが提案される。ガイドキャリッジの全長にわたる潤滑剤塗布を確実にするために、第1の部分ガイドキャリッジと第2の部分ガイドキャリッジとの間に、潤滑剤供給要素を設けることが提案され、当該潤滑剤供給要素は、第1の軸方向側で、第1の部分ガイドキャリッジの第1および第2の走行溝と、かつ第2の軸方向側で、第2の部分ガイドキャリッジの第1および第2の走行溝と、接続されている、軸方向に延伸する第1の接続走行溝および軸方向に延伸する第2の接続走行溝を有し、潤滑剤供給要素は、少なくとも1つの接続走行溝と流体的に接続されている少なくとも1つの潤滑剤供給路を備える。好ましくはそれぞれの部分ガイドキャリッジの走行溝と接続走行溝とは、互いに一直線に接続されている。その際部分ガイドキャリッジとは、ガイドキャリッジの一部分もしくは一部、または複数の部分ガイドキャリッジの接合体と理解され得る。
【0008】
第1の部分ガイドキャリッジと第2の部分ガイドキャリッジとの間に潤滑剤供給要素を設けることには、転動体が、潤滑剤供給要素を直線状に通り抜けるというさらなる利点がある。すなわち、潤滑剤供給はガイドキャリッジの端部で行われず、むしろガイドキャリッジ自体の中で行われる。それによって一方では、潤滑剤供給の配置性に関して、より高いフレキシビリティが達成され、他方では、ガイドキャリッジが長い場合でも潤滑剤の供給を改善して行うことができるので、長いガイドキャリッジ内部で潤滑膜が剥がれる可能性を軽減できる。これは、長いガイドキャリッジが分割されてよく、潤滑剤供給要素が2つの部分ガイドキャリッジの間に設けられてよいことによるものである。ガイドキャリッジの移行経路が短い場合、つまり供給された潤滑剤がガイドキャリッジの負荷がかかる部分にまで運ばれない危険がある場合でも、提案されるガイドキャリッジは、潤滑剤供給の配置性に関するより高いフレキシビリティによって、潤滑剤をガイドキャリッジの負荷がかかる部分の直前および/または直後に供給することを可能にする。言い換えれば、潤滑剤を、ガイドキャリッジの負荷がかかる部分のより近くに供給できる。さらに、直線部分での潤滑剤塗布によって、潤滑剤をより良好に転動体に分配させることが可能になる。
【0009】
潤滑剤供給要素自体への潤滑剤の供給は、たとえば潤滑剤供給要素内に設けられた潤滑剤タンクを介して可能になり得る。代替的にまたは付加的に、潤滑剤供給要素は、必要な場合にまたは永続的にタンクと接続されている潤滑剤メイン導管を備えてもよい。その場合タンクは、離れた場所に設けられていてもよい。
【0010】
好ましい一実施例に従えば、第1と第2の部分ガイドキャリッジには、複数の第1および第2の走行溝が形成されており、潤滑剤供給要素には、第1および第2の部分ガイドキャリッジの第1および第2の走行溝をそれぞれ接続する複数の第1および第2の接続走行溝が形成されている。それによって、負荷が複数の走行溝に分散されるので、レールでのガイドキャリッジのガイドを改善することができる。
【0011】
好ましいさらなる一実施例に従えば、潤滑剤供給路は、複数の第1のおよび/または複数の第2の接続走行溝と流体的に接続されている。
【0012】
これには、潤滑剤通路が簡単に複数の接続走行溝に潤滑剤を供給できるという利点がある。特に、潤滑剤供給路と流体的に接続されている第1のおよび/または第2の接続走行溝の数は、潤滑剤必要量に依存していてよい。
【0013】
代替的に、1つの接続走行溝に複数の潤滑剤供給路が配設されていても、もちろんよい。それによって、潤滑剤供給要素の全長にわたって潤滑剤を供給することができて、潤滑剤塗布が全体的に改善される。さらに、潤滑剤のために特に接続走行溝の周りに周方向供給位置を実装してもよい。
【0014】
好ましいさらなる一実施例に従えば、第1のおよび/または第2の接続走行溝のそれぞれは、それぞれ1つまたは複数の別体の潤滑剤供給路と接続されている。
【0015】
それで有利には、各接続走行溝には、1つまたは複数の自らの潤滑剤供給路を介して、潤滑剤が供給され得る。それで特に、それぞれの接続走行溝の個別の潤滑剤必要量に応じることができる。
【0016】
好ましいさらなる一実施例に従えば、第1の走行溝と第1の接続走行溝とは、少なくとも1つの転動体のための順行溝として形成されており、転動体は、ガイドキャリッジがそれに沿って移動可能なレールに接触し、かつ、レールに対してガイドキャリッジを移動可能に軸受けするように、設計されている。さらに第2の走行溝と第2の接続走行溝とは、その中で少なくとも1つの転動体が、レールに接触することなくガイドされている逆行溝として形成されている。好ましくは、1つまたは複数の転動体が備わっており、当該転動体は、たとえば転動体の連鎖の形状で存在してよい。転動体は、たとえば玉、ローラ、針またはその他の転動要素であってよい。
【0017】
好ましくは潤滑剤は、意図的に順行溝および/または逆行溝に供給されてよい。順行溝への供給には、潤滑剤を要素とレールとの間の接触領域に直接的に入れることができるので、潤滑剤が不足している状態を簡単に防ぐことができるという利点がある。それに反して、逆行溝への潤滑剤の供給には、レールに対する逆行溝の接触は負荷がかからないので、潤滑剤の損失を最小限にすることができるという利点がある。
【0018】
その際特に有利なのは、少なくとも1つの潤滑剤供給路が、少なくとも1つの逆行溝と流体的に接続されており、および/または各潤滑剤供給路が、それぞれ一の逆行溝と接続されているということである。
【0019】
好ましいさらなる一実施例に従えば、潤滑剤供給要素はさらに、少なくとも1つの受容部を備え、当該受容部の中におよび/または当該受容部に接して、規定の潤滑剤量を配分するために設計されている潤滑剤配分要素、および/または潤滑剤供給を監視するために設計されているセンサが取付可能である。
【0020】
それによって特に、規定の潤滑剤量が、1つまたは複数の潤滑剤供給路を介して、1つまたは複数の走行溝に供給され得る。その上潤滑剤供給を、潤滑剤供給要素において直接的に監視できる。
【0021】
さらに潤滑剤供給要素内には、センサ信号導線および/またはセンサ信号評価電子機器のための受容部が備わっていてもよい。代替的に、センサ信号はワイヤレスで伝達されてもよい。
【0022】
好ましいさらなる一実施例に従えば、潤滑剤配分要素は、配分ピストンの規定のピストンストロークで潤滑剤を配分する調量ピストンまたは調量インサートである。
【0023】
好ましいさらなる一実施例に従えば、各潤滑剤供給路には、それぞれ1つの潤滑剤配分要素が配設されている。
【0024】
これには、各潤滑剤供給路に、個別に調節可能な量の潤滑剤を供給できるという利点がある。それで特に、それぞれの走行溝に供給される潤滑剤量を、個別に規定することができる。
【0025】
特に、すべての潤滑剤配分要素は、潤滑剤メイン導管および/またはタンクと接続されていてよい。
【0026】
好ましいさらなる一実施例に従えば、各潤滑剤供給路には、それぞれ1つのセンサが配設されており、および/または各潤滑剤配分要素には、それぞれ1つのセンサが配設されている。
【0027】
センサと潤滑剤供給路および/またはセンサと潤滑剤配分要素との一義的な配設が存在することによって、有利には、対応する接続走行溝のための個別に規定可能な潤滑剤供給状況を監視できる。
【0028】
好ましいさらなる一実施例に従えば、各潤滑剤配分要素および/または各センサは、別体の受容部に受容されており、好適には受容部は、潤滑剤供給要素内の空洞として形成されているので、潤滑剤配分要素および/またはセンサは、潤滑剤供給要素に組み込み可能である。
【0029】
それによって有利には、潤滑剤供給要素を、よりコンパクトに形作ることができる。たとえば空洞を潤滑剤供給要素内に穿ち、かつ/または切削してよい。代替的にまたは付加的に、潤滑剤供給要素をその空洞もしくは受容部および/または通路を含めて、付加的な製造法を使って製造してもよい。
【0030】
好ましいさらなる一実施例に従えば、第2の部分ガイドキャリッジは、ガイドキャリッジの端部キャップとして形成されており、端部キャップの第1および第2の走行溝は、Uターンレーンを介して接続されている。
【0031】
さらなる利点と有利な実施形態は、記述と図と請求項とにおいて提示されている。その際特に、記述と図とにおいて提示される特徴の組み合わせは純粋に例示的なものであるので、特徴は個々にまたは別の組み合わせで存在してよい。
【0032】
以下において本発明が、図で表わされる実施例に基づいてより詳細に記述されることになる。その際、実施例と実施例において示される組み合わせとは、純粋に例示的なものであり、本発明の保護範囲を確定するものではない。この保護範囲は、従属請求項によってのみ規定される。図に示されるのは以下である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】一実施例に従った、リニアガイドのためのガイドキャリッジの概略的斜視図である。
図2図1に記載のリニアガイドのためのガイドキャリッジの潤滑剤供給要素の側面図である。
図3図2の線A-Aに沿った断面図である。
図4図2の線B-Bに沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下において、同一のまたは機能的に同じ作用をする要素には、同じ符号が付けられる。
【0035】
図1は、一実施例に従った、リニアガイドのためのガイドキャリッジ1の概略的斜視図を示している。リニアガイドのためのガイドキャリッジ1は、それぞれ1つの第1の走行溝8a、10a、12a、14a、と第2の走行溝8b、10b、12b、14bとを有して軸方向に延伸する4つの走行溝対8、10、12、14を有する第1の部分ガイドキャリッジ2を含む。
【0036】
ガイドキャリッジ1は、レール(図示されず)でガイドされるように設備されており、それぞれ走行溝対8、10、12、14の第1の走行溝8a、10a、12a、14aは、順行溝として形成されており、当該順行溝内で複数の転動体(図示されず)がガイドされ、当該転動体はレールと接触しており、ガイドキャリッジ1をレールで軸受けするように設計されているので、ガイドキャリッジ1はレールに沿って移動可能である。走行溝対8、10、12、14の第2の走行溝8b、10b、12b、14bは、逆行溝として形成されており、当該逆行溝内で複数の転動体がレールに接触することなくガイドされる。
【0037】
さらにガイドキャリッジ1は、示されるように端部キャップとして形成されていてよい第2の部分ガイドキャリッジ4を含み、それぞれの順行溝8a、10a、12a、14aを対応する逆行溝8b、10b、12b、14bと接続するUターンレーン(図示されず)が備わっている。代替的に第2の部分ガイドキャリッジ4は、第1の部分ガイドキャリッジ2のように、負荷がかかる機能を引き受けてよい。
【0038】
第1の部分ガイドキャリッジ2と第2の部分ガイドキャリッジ4との間には、図2において側面図で示されている潤滑剤供給要素6が設けられている。
【0039】
潤滑剤供給要素6は同様に、軸方向に延伸する複数対の接続走行溝18a、18b、20a、20b、22a、22b、24a、24bを有しており、当該接続走行溝は、第1の部分ガイドキャリッジ2の順行溝8a、10a、12a、14aおよび逆行溝8b、10b、12b、14bを、第2の部分ガイドキャリッジの順行溝および逆行溝と接続させる。
【0040】
潤滑剤供給要素6の接続走行溝18a、20a、22a、24aは、順行溝8a、10a、12a、14aのように、走行溝内でガイドされる転動体がレールと接触するように設備されており、それに対して、接続走行溝18b、20b、22b、24は、逆行溝8b、10b、12b、14bのように、レールに接触することなく転動体をガイドする。好ましくは第1の部分ガイドキャリッジ2の走行溝対8、10、12、14と潤滑剤供給要素6の接続走行溝18a、18b、20a、20b、22a、22b、24a、24bとは、互いに一直線に形成されている。さらに接続走行溝18a、18b、20a、20b、22a、22b、24a、24bと第2の部分ガイドキャリッジ4の走行溝対とは、互いに一直線に形成されている。
【0041】
潤滑剤供給要素6はさらに、少なくとも1つの潤滑剤供給路16(図3図4)を有し、示された実施例においては、4つの接続走行溝対18a、18b、20a、20b、22a、22b、24a、24bのそれぞれは、それぞれ1つの潤滑剤供給路と接続されている。全体図がよく分かるように、図3および図4においては、1つの潤滑剤供給路16のみが示されている。
【0042】
その際潤滑剤供給路16のそれぞれは、関連する接続走行溝18a、18b、20a、20b、22a、22b、24a、24bと流体的に接続されている。好ましくは潤滑剤供給路16は、逆行溝8b、10b、12b、14bに配設された接続走行溝18b、20b、22b、24bと流体的に接続されている。付加的にまたは代替的に、潤滑剤供給路は、順行溝8a、10a、12a、14aに配設された接続走行溝18a、20a、22a、24aとも流体的に接続されていてよい。
【0043】
好ましくは、それぞれの潤滑剤供給路16は互いに分離されて備わっているので、潤滑剤供給路16と付随する接続走行溝18a、20a、22a、24a、18b、20b、22b、24bとの間で、一義的な配設が存在する。複数の接続走行溝18a、20a、22a、24a、18b、20b、22b、24bを、同じ潤滑剤供給路16と流体的に接続させるか、または1つの接続走行溝18a、20a、22a、24a、18b、20b、22b、24bに複数の潤滑剤供給路16を配設することも、もちろん可能である。たとえば、結び付けられた接続走行溝18bおよび20bにそれぞれ、レールの一方の側で同じ潤滑剤供給路を介して、潤滑剤を供給してよい。
【0044】
図3は、図2の線A-Aに沿った断面図を示しており、その一方で図4は、図2の線B-Bに沿った断面図を示している。図3から分かるように、潤滑剤供給要素6には、4つの潤滑剤配分要素26、28、30、32が組み込まれている。
【0045】
潤滑剤配分要素26、28、30、32は、規定の潤滑剤量を配分するために設計されている。その際各潤滑剤配分要素26、28、30、32は、潤滑剤供給路16のうちの1つと流体的に接続されている(図4参照)。代替的に、潤滑剤配分要素26、28、30、32も、複数の潤滑剤供給路と接続されていてよい。潤滑剤配分要素26、28、30、32自体は、潤滑剤メイン導管連結部36と接続されている潤滑剤メイン導管路34を介して、潤滑剤が供給される。代替的に、各潤滑剤配分要素26、28、30、32も、別体の供給管を介して潤滑剤が供給されてよい。
【0046】
接続走行溝18a、20a、22a、24a、18b、20b、22b、24bへの潤滑剤供給を監視するために、潤滑剤供給要素6内には、それぞれ1つのセンサ40を受容するために設計されているセンサ受容部38(図4)が形成されている。センサ40は特に、潤滑剤流もしくは潤滑剤供給を監視するのに適していてよい。
【0047】
センサ40のセンサ信号は、センサ信号導線42を介して、センサ信号を適当に評価しかつ評価データを提供するために設備されているセンサ信号評価電子機器44(図2)へ送られる。好適にはセンサ信号評価電子機器44は、潤滑剤供給要素6に組み込まれていてよい。たとえば、潤滑剤供給要素6を受容可能な受容部が、備わっていてよい。代替的にまたは付加的に、センサ信号はワイヤレスで伝達されてもよい。好ましくは、各潤滑剤供給路のために、センサ受容部が付随するそれぞれ1つのセンサが備わっている。付加的にまたは代替的に、各潤滑剤配分要素のためにも、それぞれ1つのセンサが備わっていてよい。
【0048】
要約すると、リニアガイドの転動体が潤滑剤供給要素6を通り抜けるように、ガイドキャリッジ1の第1の部分ガイドキャリッジ2と第2の部分ガイドキャリッジ4との間に備わっている潤滑剤供給要素6が提供される。それによって一方では、潤滑剤供給の配置性に関して、より高いフレキシビリティが達成され、他方では、ガイドキャリッジが長い場合でも潤滑剤の供給を改善して行うことができる。
【0049】
さらに、各潤滑剤供給路16には、それぞれ1つの潤滑剤配分要素26、28、30、32とセンサとが配設されてよいので、個別に調節可能な量の潤滑剤を各潤滑剤供給路16に供給でき、この量も個別に監視可能なので、対応する走行溝のためのそれぞれの潤滑剤供給状況を制御し、監視することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 ガイドキャリッジ
2 第1の部分ガイドキャリッジ
4 第2の部分ガイドキャリッジ
6 潤滑剤供給要素
8、10、12、14 走行溝対
8a、10a、12a、14a 順行溝
8b、10b、12b、14b 逆行溝
16 潤滑剤供給路
18a、20a、22a、24a 接続走行溝(順行)
18b、20b、22b、24b 接続走行溝(逆行)
26、28、30、32 潤滑剤配分要素
34 潤滑剤メイン導管路
36 潤滑剤メイン導管連結部
38 センサ受容部
40 センサ
42 センサ信号導線
44 センサ信号評価電子機器
図1
図2
図3
図4