(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-16
(45)【発行日】2024-08-26
(54)【発明の名称】硫酸塩不含クレンジング組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/46 20060101AFI20240819BHJP
A61K 8/41 20060101ALI20240819BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20240819BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20240819BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20240819BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20240819BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20240819BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
A61K8/46
A61K8/41
A61K8/81
A61K8/86
A61K8/73
A61K8/19
A61Q5/02
A61Q19/10
(21)【出願番号】P 2020563558
(86)(22)【出願日】2019-05-07
(86)【国際出願番号】 EP2019061752
(87)【国際公開番号】W WO2019215201
(87)【国際公開日】2019-11-14
【審査請求日】2022-03-07
(32)【優先日】2018-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ガルピン,アニー・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】マッケン,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】プンタンベカール,スミタ
(72)【発明者】
【氏名】ライリー,ロバート・ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】スタルク,ピエール
【審査官】田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-538707(JP,A)
【文献】特開2016-113383(JP,A)
【文献】特表2016-540008(JP,A)
【文献】特開2015-178466(JP,A)
【文献】特開2007-153791(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
C11D 1/00-19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硫酸塩界面活性剤不含の、毛髪および頭皮用クレンジング組成物であって、
水性連続相において、以下:
下記からなるアニオン性界面活性剤、両性界面活性剤及び双性イオン界面活性剤の総量:
(i)100%活性で、全組成物の3重量%~13重量%の一般式(I)のアルファオレフィンスルホン酸アニオン界面活性剤:
R
1-CH=CH-CH
2-SO
3
-M
+ (I)
(式中、R
1は、11~13個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状のアルキル基およびその混合物から選択され、Mは、可溶化カチオンである);
(ii)1~6%重量の、以下から選択される両性または双性イオン界面活性剤:
一般式(II)のアルキルベタイン:
R
2-N
+(CH
3)
2-CH
2-COO
-M
+ (II)
(式中、R
2=C12(ラウリル)またはココ由来である);
一般式(III)のアルキルヒドロキシスルタイン:
R
3-N
+(CH
3)
2-CH
2-CH(OH)-CH
2-SO
3
-M
+ (III)
(式中、R
3=C12(ラウリル)またはココ由来である);
一般式(IV)のアルキルアミノプロピルヒドロキシスルタイン:
R
4-CO-NH-(CH
2)
3-N
+(CH
3)
2-CH
2-CH(OH)-CH
2-SO
3
-M
+ (IV)
(式中、R
4=C12(ラウリル)またはココ由来である);
一般式(V)のアンホ酢酸アルキル:
R
5-CO-NH-(CH
2)
2-N(CH
2-CH
2-OH)(CH
2-COO
-M
+) (V)
(式中、R
5=C12(ラウリル)またはココ由来である);
およびそれらの混合物;
(iii)0.05重量%~0.9重量%の
PEG45M;
(iv)0.05重量%~10重量%のシリコーンエマルション;
(v)組成物の総重量に基づき、0.05~1重量%の、pH7で平均電荷密度が0.2~2 meq/gのカチオン性ポリガラクトマンナン;
(vi)無機電解質、ならびに
(vii)水;
を含み、
(i)対(ii)の重量比が、1:1~6:1であり、
pHが、3~6.5であり、
Brookfield V2粘度計(スピンドルRTV5、1分間、20rpm)を用いて30℃で測定したときの粘度が、3,500~15,000mPa.sである、組成物。
【請求項2】
一般式(I)のアルファオレフィンスルホン酸アニオン界面活性剤の量が、組成物の総重量に基づき、かつ、100%活性で、3~12.85重量%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
一般式(II)、(III)、(IV)又は(V)の両性又は双性イオン界面活性剤の量が、(組成物の総重量に基づき、かつ、100%活性
で)1~4%である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
(i)及び(ii)の組み合わせた量が、(組成物の総重量に基づく重量で)5重量%~15重量%の範囲である、請求項1~3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
前記アルファオレフィンスルホン酸アニオン界面活性剤(i)対両性又は双性イオン界面活性剤(ii)の重量比が、1.5:1~4.5:1である、請求項1~4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
前記両性または双性イオン性界面活性剤(ii)が、
ココベタインである、一般式(II)のベタイン両性界面活性剤;
ラウリルヒドロキシスルタインである、一般式(III)の両性界面活性剤;および
それらの混合物
から、1~4%の量で(組成物の総重量に基づく重量、かつ、100%活性で)選択される、請求項1~5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
Brookfield V2粘度計(スピンドルRTV5、1分間、20rpm)を用いて30℃で測定したときの粘度が、4000~12,000mPa.sである、請求項1~
6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
安息香酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、1,2-アルカンジオール、ヨードプロピニルブチルカルバメート(IPBC)、5-クロロ-2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オン、2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オンおよびこれらの混合物から選択される1つ以上の保存剤をさらに含む、請求項1~
7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
増粘ポリマーから選択される増粘剤、および、(ii)で定義されていない第2の界面活性剤を0.4重量%未満含む、請求項1~
8いずれかに記載の組成物。
【請求項10】
等方性界面活性剤相を含む、請求項1~
9のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
前記シリコーンエマルションが、0.5~6.5重量%の量で存在する、請求項1~
10のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
組成物の総重量に基づいて、1~3重量%の量の無機電解質を含み、かつ、
(i)対(ii)の重量比が、2:1~4:1である、請求項1~
11のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
組成物の総重量に基づいて、1~5重量%の量の無機電解質を含み、かつ、
(i)対(ii)の重量比が、4:1~6:1である、請求項1~
11のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
請求項1~
13のいずれか一項に定義される組成物を、毛髪および頭皮に塗布する工程を含む、頭髪および頭皮の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、硫酸塩不含の、刺激の少ない、毛髪および頭皮用クレンジング組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
背景と先行技術
微細構造とレオロジーは、製品性能だけでなく消費者の受容にも影響するため、パーソナルケア製剤における重要な因子である。界面活性剤の選択、量および相対量は個人のクレンジング組成の微細構造に寄与する。次いで、微細構造は、組成物粘度および粘度ビルディング特性などのレオロジー特性に影響を与え、組成物安定性にも寄与する可能性がある。
【0003】
界面活性剤分子がミセルに集合し、ミセルが凝集して構造を構築するには、通常、十分な量の界面活性剤が必要である。市販の水系クレンジング組成物は、12重量%以上の界面活性剤を含む。かかる組成物の主要な界面活性剤成分は、通常、アルキルおよび/またはアルキルエーテル硫酸塩界面活性剤であり、ラウリルおよびラウレス硫酸塩と共に、良好な洗浄性を与えることが知られている界面活性剤は、一般に使用される硫酸塩界面活性剤のひとつである。硫酸塩界面活性剤は、陰イオン界面活性剤として知られる物質の一種に属する。硫酸塩界面活性剤は、両性補助界面活性剤と一緒に頻繁に使用され、コカミドプロピルベタインなどのベタイン界面活性剤は、一般に使用される両性界面活性剤のひとつである。ベタイン界面活性剤は、硫酸塩界面活性剤の界面活性力がないにもかかわらず、泡立ちを促進し、硫酸塩界面活性剤よりも一般的に穏やかである。有利には、硫酸塩界面活性剤をベースとするパーソナルクレンジング組成物は、通常、単純な塩の添加によって増粘させることができる。
【0004】
パーソナル洗浄組成物における硫酸塩界面活性剤の広範な使用にもかかわらず、アニオン性界面活性剤が、硫酸塩不含の界面活性剤である組成物を含む、より刺激の少ない代替物に相当の関心が寄せられている。
【0005】
許容可能な組成物粘度を達成することは、制御された方法で適用でき、かつ使用において容易に広がることができる、刺激の少ないパーソナルクレンジング組成物を提供する上で重要な因子である。組成物粘度は、発泡性などの特性とともに、そのような製品の消費者の認識にも影響を及ぼす可能性がある。硫酸塩界面活性剤が排除される場合、望ましいレオロジー特性をもたらす微細構造の開発は、特に、低い界面活性剤濃度を有する低刺激の組成物の場合に困難なことがあり;加えて、単純な塩の添加によるそのような組成物の粘度の構築は、問題となり得る。硫酸塩界面活性剤を排除することは、酸性pHで安定な、低刺激のクレンジング組成物を配合することに関しても問題となり得る。
【0006】
硫酸界面活性剤不含の増粘系の問題に対する1つのアプローチは、高分子増粘剤とともに、硫酸塩不含の界面活性剤を用いることであった。高分子増粘剤は、例えば、投与、適用および使用中の広がりの間に経験されるような、低せん断条件下で通常ニュートンレオロジーであるものを有する製品を、非ニュートンレオロジーに変換するゲル化作用を有することができる。かかる増粘剤の使用は、製品基準からの望ましくない逸脱として消費者により検出可能であることに加え、単純な塩を使用して組成物粘度をその後調節する能力をさらに制限することがある。
【0007】
比較的高レベルの非硫酸界面活性剤を用いることも、硫酸界面活性剤を含まない系の粘度を構築するのに役立つ可能性がある。しかしながら、必要とされる非硫酸界面活性剤のレベルは、従来の規範よりも高く、また、比較的不安定な液晶構造またはドメインを有する非等方性界面活性剤系をもたらす可能性がある。発泡効率を促進する傾向のある等方性界面活性剤系とは対照的に、液晶微細構造の比較的不安定な微細構造は、界面活性剤を「捕捉」し、発泡性を損なう傾向がある。さらに、液晶構造またはドメインは、光透過を妨げ、組成物に混濁または曇った外観を与え得るが、これは、半透明性が望まれる場合に問題となる可能性がある。
【0008】
望ましいレオロジー特性を有する、毛髪および頭皮に適した、低刺激の、硫酸塩不含のクレンジング組成物が必要とされており、これには、界面活性剤濃度が比較的低い組成物が含まれる。特に興味深いのは、硫酸塩界面活性剤不含の低界面活性剤含有組成物であり、単純な塩などの電解質の添加によって当該組成物の粘度を増加させることができる。
【0009】
国際公開第18002557A1号は、高濃度(35~60%)の界面活性剤混合物を用いており、硫酸不含の、両性の、非イオン性のものを含み、ラメラ相領域にアクセスしてレオロジーを制御する。これらの処方に塩は添加されていない。ラメラ相における高い界面活性剤濃度はレオロジー構築の課題を解決するが、それらは低刺激の利点を支持しないか、あるいは、使用中の適用および官能特性、例えば、透明な外観およびフラッシュフォーム(flash foam)を有さない可能性がある。
【0010】
米国特許出願公開第2017319453A号明細書は、アルファオレフィンスルホン酸(AOS)にグリセリン脂肪酸エステルと両性界面活性剤(ベタイン)とを組み合わせると、刺激がないか、あるいは、刺激を低減し、優れた泡の質を有し、特に経時的および/または高温下で安定である可能性があることを教示する。酸性pH下では、エステル結合は攻撃を受けやすく、不安定になることがあり、これは時間とともに等方性の処方を薄くする傾向がある。これらの不安定化反応は、熱によって加速されるであろう。
【0011】
米国特許出願公開第2016095804A号明細書では、硫酸塩不含の界面活性剤の複雑な組み合わせ(例えば、アニオン界面活性剤に、両性界面活性剤および任意の非イオン界面活性剤を加えたもの)を使用しているが、それらを親水性変性の高分子量ポリマーで構成している。また、カチオン性コンディショニング剤(ポリマーとシリコーンまたは機能性シリコーンとの混合物)を使用している。しかしながら、洗浄処方に構造化ポリマーを添加すると、不十分な清潔感、コーティングおよび粘着性の形で有害な感覚性能をもたらす可能性があることが見出された。
【0012】
米国特許出願公開第2017079899A号明細書および米国特許出願公開第2017095410A号明細書によると、高濃度および特定の比率で異なる連鎖長(C16+C18)を有するアルファオレフィンスルホネートのブレンドは、処方の粘度を上昇させるために高分子材料の形態の懸濁剤を必要とする。ベタインのような両性または双性イオン性材料を使用すること、および、脂肪性材料のような少なくとも1つのフォームブースターを含有させることもまた想定される。
【0013】
米国特許出願公開第2012157365A号明細書では、ポリグリセリルと、非イオン性の、硫酸塩不含のアニオン性界面活性剤の混合物をpH5.4未満で使用し、安息香酸ナトリウムなどの有機酸を保存剤として使用する。ポリグリセリルと両性との比は0.05:1~3:1であり、硫酸塩不含アニオン性と両性との比は0.3:1~4:1である。
【0014】
米国特許出願公開第2017/0340540号明細書は、角質基材の洗浄およびケア用の化粧品組成物を開示しており、当該組成物は、(i)1以上の直鎖状トリ-オレフィンスルホネート、(ii)1~20重量%で存在する、化合物(i)以外の1以上の非オキシアルキレン化アニオン性界面活性剤、ならびに、(iii)両性界面活性剤および非イオン性界面活性剤から選択される1以上の更なる界面活性剤を含む。一例として、0.7重量%のポリクォタニウム-10と共に、アルファオレフィンスルホネートおよびコベタインが挙げられる。
【0015】
米国特許出願公開第2017/0360688号明細書は、少なくとも1種類の界面活性剤を含む化粧品組成物に、アニオン性高分子電解質と陽イオン性高分子電解質とを組み合わせて使用することを開示している。安定した粘度と降伏応力とが得られる。シャンプー配合物へのシリコーンの添加は、泡立ち性能、例えばフラッシュフォームおよび泡高さに対して、有害な影響を有することが知られている。
【0016】
本発明者らは、硫酸塩不含の主要な界面活性剤としてアルファオレフィンスルホンネート(AOS)を特定した。硫酸塩ベースのシャーシの場合と同様に、補助的な界面活性剤は、塩を用いて粘度を構築するのを助け、泡を制御し、より低いCMCによって低刺激性の便益の送達を助けるのに必要である。
【0017】
製剤に使用される界面活性剤のレベルは、(低刺激性と環境便益のため)低下させることが望ましい。しかし、界面活性剤の量を減らすと、製剤の粘度が望ましくないことが見出された。
【0018】
しかしながら、典型的な補助的界面活性剤、コカミドプロピルベタイン(CAPB)は、主要界面活性剤としてのアルファオレフィンスルホネート(AOS)による低い総界面活性剤濃度で粘度を構築することを許容しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【文献】国際公開第18002557A1号
【文献】米国特許出願公開第2017319453A号明細書
【文献】米国特許出願公開第2016095804A号明細書
【文献】米国特許出願公開第2017079899A号明細書
【文献】米国特許出願公開第2017095410A号明細書
【文献】米国特許出願公開第2012157365A号明細書
【文献】米国特許出願公開第2017/0340540号明細書
【文献】米国特許出願公開第2017/0360688号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
ここで、本発明者らは、アルキルベタイン、アルキルヒドロキシスルタイン、アルキルアミノプロピルヒドロキシスルタインまたはアルキル両性酢酸塩の少なくとも1つを、AOSと規定された比で組み合わせることが、低い総濃度の界面活性剤で、塩添加を伴う粘度構築を可能にできることを見出した。これは、他の増粘剤、例えば、ポリマーおよび他の補助的な界面活性剤の必要性を打ち消すものである。
【0021】
濃縮した両性比でアニオン性と両性の硫酸塩不含の界面活性剤との組み合わせ;減少した界面活性剤濃度;特定の主要硫酸塩不含の界面活性剤レベル、カチオン性コンディショニングポリマーおよびシリコーンエマルションを有する、本発明に従う組成物は、良好な発泡性、湿潤剥離、シルキーでスムースな感触を与える乾式潤滑、および、望ましいレオロジー特性を与えつつも、皮膚および毛髪タンパク質に対する低刺激性を維持する。
【0022】
発明の定義
第1の態様において、本発明は、硫酸塩不含の、毛髪および頭皮用のクレンジング組成物であって、水性連続相において、
以下からなるアニオン性界面活性剤、両性界面活性剤及び双性イオン界面活性剤の総量:
(i)100%活性で、全組成物の重量の3重量%~13重量%の一般式(I)のアルファ-オレフィンスルホン酸アニオン界面活性剤:
R1-CH=CH-CH2-SO3
-M+ (I)
(式中、R1は、11~13個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状のアルキル基およびその混合物から選択され、Mは、可溶化カチオンである);
(ii)1~6%重量の、以下から選択される両性または双性イオン界面活性剤:
一般式(II)のアルキルベタイン:
R2-N+(CH3)2-CH2-COO-M+ (II)
(式中、R2=C12(ラウリル)またはココ由来である);
一般式(III)のアルキルヒドロキシスルタイン:
R3-N+(CH3)2-CH2-CH(OH)-CH2-SO3
-M+ (III)
(式中、R3=C12(ラウリル)またはココ由来である);
一般式(IV)のアルキルアミノプロピルヒドロキシスルタイン:
R4-CO-NH-(CH2)3-N+(CH3)2-CH2-CH(OH)-CH2-SO3
-M (IV)
(式中、R4=C12(ラウリル)またはココ由来である);
一般式(V)のアンホ酢酸アルキル:
R5-CO-NH-(CH2)2-N(CH2-CH2-OH)(CH2-COO-M+) (V)
(式中、R5=C12(ラウリル)またはココ由来である);
およびそれらの混合物;
(iii)0.05重量%~0.9重量%のカチオン性コンディショニングポリマー;
(iv)0.05重量%~10重量%のシリコーンエマルジョン、
(v)カチオン性堆積ポリマー、
(vi)無機電解質、ならびに
(vii)水;
を含み、
(i)対(ii)の重量比が、1:1~6:1であり、
pHが、3~6.5である、組成物を提供する。
【0023】
第2の態様において、本発明は、第1の態様によって定義される組成物を、毛髪および/または頭皮に塗布する工程を含む、毛髪および/または頭皮の処理方法を提供する。
【0024】
好ましくは、当該方法は、第1の発明の組成物を、髪および頭皮にマッサージする追加の工程を含む。
【0025】
好ましくは、当該方法は、髪をすすぐ追加の工程を含む。
【0026】
発明の詳細な説明
ここで用いる分子量はすべて、特段規定する場合を除き、平均分子量である。
【0027】
水性連続相
「水性連続相」とは、その主成分として水を有する連続相を意味する。
【0028】
適切には、本発明の組成物は、(組成物の総重量に基づく重量%で)約75~約95%、好ましくは85~95%、より好ましくは87~95%の水を含む。
【0029】
好ましくは、組成物は等方性界面活性剤相を含み、この相では、希釈下で、等方性ミセルは空気/水界面により高いアベイラビリティの単量体を提供する一方で、異方性はより遅い速度で拡散し、より低いフラッシュフォーム特性をもたらし得る。このように、等方相は、製品の外観、透明性および良好なフラッシュフォーム特性に有利である。
【0030】
ここに記載する量はすべて、特に記載のない限り、100%活性(又は「活性な」)に基づくものである。100%活性(又は「活性」)とは、物質が希釈されておらず、100%v/v又はwt/wtであることを意味する。パーソナルケア製剤に使用される材料の多くは、種々の活性濃度、例えば、70%活性または60%活性で市販されている。例えば、70%活性の界面活性剤100mlは、100%活性の界面活性剤70mlと同量の活性物質を提供する。したがって、材料の活性にバリエーションをもたらすため、量はすべて、100%活性の物質に基づいている。
【0031】
水性連続相は、以下の(i)および(ii)からなるアニオン性、両性および双性イオン性界面活性剤の全量を含む。すなわち、更なるアニオン性、両性及び双性イオン性界面活性剤は本発明の組成物中に存在しない。好ましくは、他の界面活性剤、例えば、非イオン性界面活性剤は、本発明の組成物中に存在しない。
【0032】
(i)アルファオレフィンスルホンネートアニオン性界面活性剤
本発明の組成物は、(i)一般式(I)のアルファオレフィンスルホネートアニオン界面活性剤1つ以上を含む。
R1-CH=CH-CH2-SO3
-M+ (I)
(式中、R1は、11~13個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状のアルキル基およびその混合物から選択され、Mは、可溶化カチオンである)
【0033】
一般式(I)におけるR1は、C14 またはC16の直線状のアルキル基であることが好ましい。
【0034】
一般式(I)におけるMは、アルカリ金属カチオン(ナトリウムまたはカリウムなど)、アンモニウムカチオンおよび置換アンモニウムカチオン(アルキルアンモニウム、アルカノアンモニウムまたはグルカモニウムなど)から選択するのが好ましい。
【0035】
一般式(I)の市販のアルファオレフィンスルホンネートアニオン界面活性剤は、天然ガス由来のC14-16オレフィンを硫酸化することにより製造されてもよい。当該プロセスでは、同族体と、低レベルの未反応オレフィンとの混合物も生じる。
【0036】
特に好ましいのは、平均14~16個の炭素を有するアルファオレフィンスルホネートである。このような材料の適当な例は、Bioterge AS40(ex Stepan)である。
【0037】
一般式(I)の100%活性でのアルファオレフィンスルホネートアニオン界面活性剤の量は、3~13%、例えば3~12.85%、好ましくは3.5~12%、より好ましくは3~10%、さらにより好ましくは3~9%、最も好ましくは3.25~8%(組成物の総重量に基づく重量で)の範囲である。
【0038】
(ii)一般式(II)、(III)、(IV)又は(V)の両性又は双性イオン界面活性剤
本発明の組成物は、(ii)両性または双性イオン界面活性剤を含み、以下から選択される:
一般式(II)のアルキルベタイン:
R2-N+(CH3)2-CH2-COO-M+ (II)
(式中、R2=C12(ラウリル)またはココ由来である);
一般式(III)のアルキルヒドロキシスルタイン:
R3-N+(CH3)2-CH2-CH(OH)-CH2-SO3
-M+ (III)
(式中、R3=C12(ラウリル)またはココ由来である);
一般式(IV)のアルキルアミノプロピルヒドロキシスルタイン:
R4-CO-NH-(CH2)3-N+(CH3)2-CH2-CH(OH)-CH2-SO3
-M+ (IV)
(式中、R4=C12(ラウリル)またはココ由来である);
一般式(V)のアンホ酢酸アルキル:
R5-CO-NH-(CH2)2-N(CH2-CH2-OH)(CH2-COO-M+) (V)
(式中、R5=C12(ラウリル)またはココ由来である);
およびそれらの混合物。
【0039】
好ましい界面活性剤(ii)は、ココベタイン、ラウリルヒドロキシスルタイン、ココアミノプロピルヒドロキシスルタイン、ラウリルアンホアセテートおよびそれらの混合物から選択され、最も好ましくは、ココベタイン、ラウリルヒドロキシスルタインおよびそれらの混合物から選択される。
【0040】
一般式(II)、(III)、(IV)または(V)またはそれらの混合物の両性または双性イオン界面活性剤の量は、好ましくは1~6%、より好ましくは1~5%、最も好ましくは1.2~4%(組成物の総重量および100%活性に基づく)の範囲である。
【0041】
本発明による好ましい組成物では、両性または双性イオン界面活性剤(ii)は、ココベタイン、ラウリルヒドロキシスルタイン、ココアミノプロピルヒドロキシスルタイン、ラウリルアンホアセテートおよびそれらの混合物から、1~4%(組成物の総重量に基づく重量および100%活性)の範囲の量で選択される。
【0042】
より好ましい組成物では、両性または双性イオン界面活性剤(ii)は、一般式(II)のベタイン両性界面活性剤、ココベタイン、ラウリルヒドロキシスルタインである一般式(III)の両性界面活性剤、およびそれらの混合物から、1~4%(組成の総重量に基づく重量および100%の活性)の量で選択される。
【0043】
本発明による特に好ましい組成物は、(i)3.25~8%の範囲の量のアルファオレフィンスルホン酸塩(組成物の総重量に基づく重量および100%活性物質);および(ii)1~4%の範囲の量(組成物の総重量に基づく重量および100%活性物質)のココベタイン、ラウリルヒドロキシスルタイン、ココアミノプロピルヒドロキシスルタイン、ラウリルアンホアセテートまたはそれらの混合物から選択される両性または双性イオン界面活性剤を含む。
【0044】
(i)および(ii)の合計量は、4~19重量%、好ましくは5~15重量%、最も好ましくは5~11重量%(組成物の総重量および100%の活性に基づく)である。
【0045】
アルファオレフィンスルホンネートアニオン界面活性剤(i)対両性界面活性剤(ii)の重量比は、1:1~6:1、好ましくは1.5:1~4.5:1、最も好ましくは2:1~4:1である。
【0046】
本発明の組成物のpHは3~6.5、好ましくは3.5~5.1、より好ましくは4~5の範囲である。
【0047】
低pHを達成するために、プロトン化剤を用いることができる。適当なプロトン化剤は酸である。本明細書で有用な適当な酸としては、塩酸、クエン酸、酢酸、酒石酸、フマル酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸およびそれらの混合物が挙げられる。好ましくは、酸はクエン酸、酢酸、酒石酸、塩酸、フマル酸、乳酸およびそれらの混合物からなる群より選択される。
【0048】
(iii)カチオン性コンディショニングポリマー
本発明の組成物は、(iii)1以上のカチオン性コンディショニングポリマーを含む。かかるポリマーは、組成物における湿潤感覚の利点の送達を増強する可能性がある。
【0049】
本発明で使用するカチオン性コンディショニングポリマーは、約0.3~約4meq/g、好ましくは約0.4~約3.5meq/gの範囲のカチオン電荷密度を適当に有する。本発明の文脈における用語「カチオン電荷密度」は、ポリマーが構成されるモノマー単位上の正電荷の数対当該モノマー単位の分子量の比である。ポリマー分子量を乗じた電荷密度は、所与のポリマー鎖上の正に荷電した部位の数を決定する。カチオン電荷密度はKjeldahl法に従って決定することができる。当業者は、アミノ含有ポリマーの電荷密度は、pHおよびアミノ基の等電点に応じて変化し得ることを認識するであろう。電荷密度は、意図する使用のpHでは上記の限界内にあるべきである。
【0050】
本発明での使用に適したカチオン性ポリマーとしては、カチオン性セルロース誘導体、および、カチオン性デンプン誘導体などのカチオン性多糖誘導体が挙げられる。
【0051】
本発明で使用する好ましいカチオン性多糖誘導体には、カチオン性セルロース誘導体が含まれる。
【0052】
本発明に用いるための好ましいカチオン性セルロース誘導体の例としては、ポリ(1,2-オキシエタンジエニル)-2-ヒドロキシ-3-トリメチルアンモニウムプロピルクロリドセルロースエーテル(INCI:ポリクォタニウム-10)が挙げられる。
【0053】
好ましくは、カチオン性コンディショニングポリマーは、800,000~2,500,000g/molの範囲のMwおよび0.5~1.8meq/gの範囲の電荷密度を有するポリクォタニウム10、および、それらの混合物から選択される。
【0054】
別のクラスの適切なカチオン性コンディショニングポリマーは、高分子量ポリエチレングリコール(PEG)ポリマー、例えばPEG45Mであり、DowからPolyoxとして入手可能である。
【0055】
上記ポリマーのいずれかの混合物を使用してもよい。
【0056】
本発明による好ましい組成物は、カチオン性コンディショニングポリマー(それ自体活性成分)の量は、(組成物の総重量に基づく重量で)0.05~0.9%、より好ましくは0.1~0.6%、最も好ましくは0.15~0.5%の範囲である。
【0057】
シリコーン
本発明の組成物は、エマルジョンの形態のシリコーンを含む。シリコーンの混合物を使用することができる。
【0058】
シリコーンは、好ましくは、シリコーンオイルおよび不揮発性シリコーンから選択される。
【0059】
適当なシリコーンはシリコーンオイルである。本発明の目的のために、「シリコーンオイル」という用語は、少なくとも1つのケイ素原子、およびより詳細には少なくとも1つのSi-O基を含むオイルを意味する。
【0060】
本発明に使用する適切なシリコーンオイルの例には、25°Cで約0.65~約50、好ましくは約1.5~約5cS(mm2.s-1)の動粘度を有する直鎖状または環状シリコーンオイルが含まれる。このような材料の例には、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサンおよびそれらの混合物などの2~7シロキサン単位を有する直鎖または環状ポリジメチルシロキサンが含まれる。好ましいのは、3~5シロキサン単位を有する線状ポリジメチルシロキサンおよびそれらの混合物である。このような材料は、例えばダウンコーニング(登録商標)200シリーズ流体として市販されている。
【0061】
別の適当なシリコーンは不揮発性シリコーンである。本発明の組成物は、好ましくは、1マイクロメトリー以下の平均液滴直径(D3,2)を有する不揮発性シリコーンの乳化液滴を含む。好ましくは、平均液滴直径(D3,2)は、1μm以下であり、より好ましくは0.5μm以下であり、最も好ましくは0.25μm以下である。
【0062】
平均液滴径(D3,2)を測定するための適切な方法は、Malvern Mastersizerのような器具を用いたレーザー光散乱によるものである。
【0063】
本発明の文脈における用語「不揮発性シリコーン」とは、25℃における蒸気圧が1000Pa未満のシリコーンを意味する。
【0064】
好適なシリコーンとしては、ポリジオルガノシロキサン、特にポリジメチルシロキサン(ジメチコン)、ヒドロキシル末端基を有するポリジメチルシロキサン(ジメチコン)、およびアミノ官能性ポリジメチルシロキサン(アモジメチコン)が挙げられる。
【0065】
好適なシリコーンは、分子量が100,000を超え、より好ましくは分子量が250,000を超える。
【0066】
ここで用いる分子量は、別に規定する場合を除き、すべて平均分子量である。
【0067】
好適なシリコーンは、好ましくは50,000cS(mm2.s-1)を超える動粘度、より好ましくは500,000cS(mm2.s-1)を超える動粘度を有する。本発明の文脈におけるシリコーン動粘度は、25℃で測定され、さらに1970年7月20日のDow Corning Corporate Test Method CTM004に定められているようにガラス毛管粘度計によって測定することができる。
【0068】
本発明で使用するのに適したシリコーンは、ダウンコーニングおよびGEシリコーンなどの供給業者からあらかじめ形成されたシリコーン乳剤として入手可能である。このような予形成シリコーン乳剤の使用は、シリコーン粒子サイズの処理および制御の容易さのために好ましい。このような予形成シリコーン乳剤は、典型的には、適当な乳化剤を追加的に含み、乳化重合のような化学的乳化プロセスによって、または高剪断ミキサを用いた機械的乳化によって調製され得る。平均液滴直径(D3,2)が0.15マイクロメートル未満の既成のシリコーン乳剤は、一般にマイクロエマルションと呼ばれる。
【0069】
好適な予形成シリコーン乳剤の例は、エマルションDC2-1766、DC2-1784、DC-1785、DC-1786、DC-1788、DC-1310、DC-7123およびマイクロエマルションDC2-1865およびDC2-1870を含み、これらは全てダウンコーニングから入手可能である。これらはすべてジメチコノールのエマルション/マイクロエマルションである。また、DC939(Dow Corning製)およびSME253(GE Silicones製)などのアモジメチコンエマルジョンも好適である。
【0070】
上記シリコーンエマルションのいずれかの混合物を使用してもよい。
【0071】
本発明の組成物中のシリコーンの量は、含まれる場合、(組成物の全重量に基づく総重量100%の活性シリコーンによる)0.05~10%、好ましくは0.1~8%、より好ましくは0.5~6.5%、最も好ましくは1~3%の範囲とすることができる。
【0072】
沈着ポリマー
本発明の組成物には、pH7で平均電荷密度が0.2~2 meq/gのカチオン性ポリガラクトマンナンから選択され得るカチオン性沈着ポリマーが含まれる。このようなポリマーは、消費者使用中に組成物から皮膚および/または毛髪表面へのコンディショニング剤の送達を増強し、それにより得られるコンディショニング便益を改善するのに役立つ可能性がある。カチオン性沈着ポリマーの混合物を使用してもよい。
【0073】
本発明の文脈において、「電荷密度」の語は、単量体ユニット上の正電荷の数の比を意味し、そのうちのポリマーは単量体ユニットの分子量に対して構成される。ポリマー分子量を乗じた電荷密度は、所与のポリマー鎖上の正に荷電した部位の数を決定する。
【0074】
ポリガラクトマンナンは主にガラクトースとマンノース単位からなる多糖で、通常はグアー、イナゴマメ、ハニーローカスト、ゴウシュウアオギリ(flame tree)などのマメ科種子の胚乳に見られる。グアー小麦粉は、大部分がガラクトマンナンで構成されており、本質的には一員ガラクトース枝が1本ある直鎖マンナンである。マンノース単位は1-4-β-グリコシド結合で連結され、ガラクトースの枝分かれは交互のマンノース単位上の1-6結合によって行われる。したがって、ガーポリマー中のガラクトースとマンノースの比率は1対2である。
【0075】
本発明で使用するのに適したカチオン性ポリガラクトマンナンには、グアーのようなポリガラクトマンナン、および一つ以上の誘導体化剤との化学反応によってカチオン修飾されたヒドロキシアルキルグアー(例えば、ヒドロキシエチルグアーまたはヒドロキシプロピルグアー)のようなポリガラクトマンナン誘導体が含まれる。
【0076】
誘導体化剤は、典型的には、エポキシ基、ハロゲン化物基、エステル基、無水物基またはエチレン性不飽和基のような反応性官能基、およびカチオン性窒素基のような少なくとも1つのカチオン性基、より典型的には第四級アンモニウム基を含む。誘導体化反応は、典型的には、一般に、酸素原子が反応したポリガラクトマンナン骨格上のヒドロキシル基に対応するエーテル結合を介して連結された、ポリガラクトマンナン骨格上に横方向のカチオン基を導入する。
【0077】
本発明で使用する好ましいカチオン性ポリガラクトマンナンには、グアーヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドが含まれる。
【0078】
本発明に使用するグアーヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドは、一般に、エーテル結合2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド基で官能化された非イオン性グアーガム骨格から構成され、典型的には、グアーガムとN-(3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウムクロリドとの反応によって調製される。
【0079】
本発明で使用するためのカチオン性ポリガラクトマンナン(好ましくはグアーヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド)は、一般に、500,000~3,000,000g/mol、より好ましくは800,000~2,500,000g/molの範囲の平均分子量(サイズ排除クロマトグラフィーによって測定される重量平均分子量(Mw))を有する。
【0080】
本発明に使用するカチオン性ポリガラクトマンナンは、一般に電荷密度が0.5~1.8 meq/gの範囲である。
【0081】
好ましくは、カチオン性ポリガラクトマンナンは、電荷密度が0.5~1.8 meq/g (およびそれらの混合物)の範囲にあるグアーヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドから選択される。ポリマーのカチオン電荷密度は、窒素測定のための化学試験下で米国薬局方に記載されるように、ケルダール法を介して適切に決定される。
【0082】
好ましいカチオン性ポリガラクトマンナンの具体例は、0.5~1.1meq/gのカチオン電荷密度を有するグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドである。
【0083】
また、カチオン性ポリガラクトマンナンの混合物であって、カチオン電荷密度が0.5~1.1 meq/gであり、カチオン電荷密度が1.1~1.8 meq/gであるものが適当である。
【0084】
カチオン性ポリガラクトマンナンの好ましい混合物の具体例は、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドの混合物で、カチオン電荷密度が0.5~1.1 meq/gのものと、カチオン電荷密度が1.1~1.8 meq/gのものがある。
【0085】
本発明で使用するカチオン性ポリガラクトマンナンは、JAGUAR(登録商標)C13S、JAGUAR(登録商標)C14およびJAGUAR(登録商標)C17としてSolvayから市販されている。また、Esaflor 0X 14Bは、Lamberti社から入手可能である。
【0086】
本発明による好ましい組成物において、カチオン性ポリガラクトマンナンは、0.5~1.8 meq/g (およびそれらの混合物)の電荷密度を有するグアーヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドから、組成物の全重量に基づく0.15~0.2重量%の範囲のレベルで選択される。
【0087】
カチオン性沈着ポリマーは、組成物の全重量に基づいて0.05~1重量%、好ましくは0.1~0.5重量%、最も好ましくは0.15~0.2重量%の量存在することが好ましい。
【0088】
無機電解質
驚くべきことに、本発明者らが、本発明の組成物が、粘度構築に非常によく適していることを見出した。こうして、富化された界面活性剤比で、より低い濃度で粘度を構築することが可能である。これは本発明のさらなる利点である。
【0089】
本発明の組成物は、少なくとも1つの無機電解質を含む。無機電解質は組成物に粘度を付与する。
【0090】
組成物の粘度は、適切には、30℃でBrookfield V2粘度計(スピンドルRTV5、1分間、20rpm)を用いて測定した場合、2,500~25,000mPa.s、好ましくは3,000~20,000mPa.s、より好ましくは3,500~15,000 mPa.s、最も好ましくは4000~12,000 mPa.sの範囲である。
【0091】
これらの範囲では、本発明者らの製品は、濃厚な組成に対する消費者の欲求を満足するのに十分濃厚であるが、注入可能である。
【0092】
適切な無機電解質には、金属塩化物(塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化第二鉄および塩化アルミニウムなど)ならびに金属硫酸塩(硫酸ナトリウムおよび硫酸マグネシウムなど)が含まれる。
【0093】
無機電解質は、本発明の原料中に存在し得る任意の無機電解質とは別個のものであることが意図される。
【0094】
本発明で使用する好ましい無機電解質の例には、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウムおよびそれらの混合物が含まれる。
【0095】
上記材料のいずれかの混合物も適当であり得る。
【0096】
本発明の組成物中の無機電解質の量は、(組成物の総重量に基づく重量により)好ましくは0.5~10%の範囲であり、より好ましくは0.75~7%の範囲であり、さらにより好ましくは1~5%の範囲であり、最も好ましくは1~3%の範囲である。
【0097】
本発明の好ましい組成物は、(i)一般式(I)のアルファオレフィンスルホン酸アニオン界面活性剤と(ii)一般式(II)、(III)、(IV)、(V)またはそれらの混合物の両性または双性イオン界面活性剤との重量比が、2:1~4:1であり、組成物の総重量に基づく1~3重量%の無機電解質の量を含む。
【0098】
さらに好ましい本発明の組成物は、(i)一般式(I)のアルファオレフィンスルホン酸アニオン界面活性剤と(ii)一般式(II)、(III)、(IV)、(V)またはそれらの混合物の両性または双性イオン界面活性剤との重量比が、4:1~6:1より大きく、好ましくは5:1~6:1であり、かつ、組成物の総重量に基づき、1~5重量%、好ましくは3~5重量%より大きく、より好ましくは4~5重量%の無機電解質の量を含む。
【0099】
好ましくは、本発明の組成物は、増粘ポリマーから選択される増粘剤、および、(ii)に含まれない補助的界面活性剤を含まない。本発明の文脈において、含まない、の意味は、全組成物の重量で、0.4重量%未満、好ましくは0.1重量%未満、さらに好ましくは0.05重量%未満、さらに好ましくは0.001重量%未満、さらに好ましくは0.0001重量%未満、および、最も好ましくは0重量%の増粘剤を有することを意味する。明確化のため、本発明のカチオン性ポリマー(iii)は、増粘性ポリマーを意図するものではない。
【0100】
防腐剤
本発明の組成物は、好ましくは、安息香酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、1,2-アルカンジオール、ヨードプロピニルブチルカルバメート(IPBC)、5-クロロ-2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オン、2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オン、またはこれらの混合物から選択される1つ以上の保存剤を含む。好ましくは、防腐剤は有機酸であり、最も好ましくは、防腐剤は安息香酸ナトリウムである。
【0101】
好ましい組成物は、3~5、好ましくは4~5のpHを有し、安息香酸ナトリウムである防腐剤を含む。
【0102】
その他の成分
好ましくは、本発明の組成物は、1つ以上の構造化剤をさらに含み、分散した有益剤の懸濁を助け、相安定性を提供する。適当な構造体としては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸の架橋ポリマー、メタクリル酸の架橋ポリマー、アクリル酸と疎水性モノマーとのコポリマー、メタクリル酸と疎水性モノマーとのコポリマー、カルボン酸含有モノマーとアクリルエステルとのコポリマー、カルボン酸含有モノマーとメタクリル酸エステルとのコポリマー、アクリル酸とアクリル酸エステルとの架橋コポリマー、メタクリル酸とアクリル酸エステルとの架橋コポリマー、ヘテロ多糖ガムおよび結晶性長鎖アシル誘導体が挙げられる。
【0103】
好ましい構造化剤は、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸の架橋ポリマー、メタクリル酸の架橋ポリマーおよびそれらの混合物から選択される。
【0104】
上記のいずれかの構造体の混合物を使用してもよい。
【0105】
構造化剤は、含まれる場合、総量は、(組成の総重量に基づく重量により)一般的に0.1~10%、好ましくは0.1~3%、より好ましくは0.2~2%、最も好ましくは0.3~0.9%である。
【0106】
好ましい組成物は、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸の架橋ポリマー、メタクリル酸の架橋ポリマーおよびそれらの混合物から選択される構造化剤を、(組成物の総重量に基づく重量で)0.1~10%、好ましくは0.1~3%、より好ましくは0.2~2%、最も好ましくは0.3~0.9%の量含む。
【0107】
本発明の組成物は、性能及び/又は消費者の受容性を高めるために、さらに任意の成分を含むことができる。かかる成分の例としては、芳香剤、染料および顔料が挙げられる。これらの成分はそれぞれ、その目的を達成するのに有効な量存在するであろう。一般に、これらの任意成分は、(組成物の総重量に基づく重量で)5%までの量で個々に含まれる。
【0108】
本発明の組成物は、主として、毛髪および頭皮への局所適用を目的としている。
【0109】
最も好ましくは、本発明の組成物を、毛髪に局所的に塗布し、その後、毛髪および頭皮にマッサージすることである。次いで、毛髪を乾燥させる前に、水で毛髪および頭皮から組成物をすすぐ。
【0110】
本発明は、以下の非限定的な例によって、さらに説明されるであろう。
【0111】
例
実施例1:本発明による組成物1~2および比較組成物Aの調製
リンスオフ水性毛髪クレンジングシャンプー配合物を、以下の表1に示すような成分を有するように調製した。
【0112】
シャンプーはすべて、以下の方法を用いて調製した:
1.容器には水を入れた。界面活性剤および任意の構造化剤を撹拌しながら添加した。
2.混合物を30℃に加熱し、完全に均質になるまで混合した。
3.次いで、任意のカチオン性ポリマーおよびシリコーンエマルションを添加し、よく混合した。
4.任意の保存剤を追加した。
5.pHはクエン酸を用いてpH4.5に調整した。
6.次に塩を加えて粘度を調整した。
【0113】
【0114】
実施例2:本発明よる組成物1および2ならびに比較組成物Aの粘度、発泡およびシリコーンの沈着特性
表1に示した組成物の粘度を、30℃でBrookfield V2粘度計(紡錘体RTV5、1分間、20rpm)を用いて測定した。
【0115】
フラッシュフォームおよび泡の容量は、以下の方法を用いて測定した。
-油性土壌(0.02g)とシャンプー(2g)を250mlの測定シリンダーに加え、合計20gまで水で作製した。
-シャンプーの混合を開始するために、液体を旋回(5秒)した。
-シリンダーを10回反転させ(定常的で再現性のある動きで)、フォームの高さを記録する前に30時間放置した(フラッシュフォームの読み取り)。
-その後、シリンダーをさらに20回振り、30秒間放置し、フォームの高さを記録した。
-最後に、シリンダーを30回振り、30秒間放置し、泡のレベルを記録した(フォーム容積読み取り)。
-これを各シャンプーの配合ごとに3回繰り返し、各点の平均値と標準偏差を算出した。
【0116】
シリコーン沈着:
バージンヘアススイッチを以下のように組成物で処理した:
【0117】
以下の方法を用いて組成物1、組成物2または比較組成Aで毛髪を洗浄した。
【0118】
ヘアススイッチは流水下で30秒間保持し、組成は毛1gあたり0.1mlの組成で適用し、毛に30秒間擦り込んだ。30秒間流水下で保持し、組成塗布を繰り返すことにより、余分な羽毛を除去した。毛髪は流水下で1分間洗浄した。
【0119】
スイッチは、シリコーンのレベルを、X線蛍光(XRF)を用いて定量する前に乾燥させた。
【0120】
【0121】
本発明の組成物は、シリコーンの存在にもかかわらず、優れた粘度および発泡特性を提供することが理解されるであろう。