(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-16
(45)【発行日】2024-08-26
(54)【発明の名称】情報処理装置及び動作検出装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20240819BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20240819BHJP
G06F 3/043 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
G06F3/041 512
G06F3/041 595
G06F3/044 120
G06F3/043
(21)【出願番号】P 2021022468
(22)【出願日】2021-02-16
【審査請求日】2023-09-19
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2020/029277
(32)【優先日】2020-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】WO
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【氏名又は名称】荒 則彦
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100169694
【氏名又は名称】荻野 彰広
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 英治
【審査官】菅原 浩二
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-508758(JP,A)
【文献】特開2019-091291(JP,A)
【文献】特開2020-046715(JP,A)
【文献】特表2015-510210(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0146619(US,A1)
【文献】国際公開第2020/124219(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/151254(WO,A1)
【文献】田中 剛平,リザバーコンピューティングの概念と最近の動向,電子情報通信学会誌,日本,一般社団法人電子情報通信学会,2019年02月01日,第102巻,第2号,第108-113頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/044
G06F 3/043
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された信号を送信する送信端子と、
前記送信端子から出力された情報を信号として受信する複数の受信端子と、を備え、
前記送信端子と前記複数の受信端子のそれぞれは、場を生み出し、
前記複数の受信端子のうちの一つの受信端子が受信した信号によって生み出された場は、他の受信端子の場に影響を及ぼし、
前記複数の受信端子のそれぞれで生じる場は、前記複数の受信端子に接近する対象物の位置、形、材質、大きさ、動作によって変化し、
前記複数の受信端子のそれぞれは、前記対象物を検出するセンサとして機能
し、
複数の電極を備え、
前記複数の電極のうちの少なくとも一つは、前記送信端子であり、
前記複数の電極のうちの少なくとも二つは、前記受信端子であり、
前記送信端子は、信号が入力される駆動電極であり、
前記受信端子は、前記駆動電極からの情報を検知する検知電極であり、
前記複数の電極のそれぞれが生み出す場は、少なくとも周囲の電極に影響を及ぼし、前記複数の電極のそれぞれは少なくとも周囲の電極と相互作用し、
前記複数の電極のうち少なくとも2つは、回路を介して接続され、
前記回路は、抵抗、コンデンサ及びコイルからなる群から選択される少なくとも一つを有し、
前記駆動電極に信号を入力する信号発生器と、
前記検知電極からの信号を識別する識別器と、
前記検知電極から前記識別器に至る信号の一部を前記信号発生器に伝えるフィードバック装置と、をさらに備え、
前記フィードバック装置は、前記検知電極からの信号を一時的に保持する信号保持部と、前記信号保持部で保持された信号を一定期間経過後に前記信号発生器に送る信号送信部と、を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記回路は、過渡現象を生じ、
前記回路の減衰時間は、前記駆動電極に入力される前記信号の周期の2倍以上である、請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記複数の電極のうち少なくとも2つは、スイッチング素子を介して電気的に接続されている、請求項
1又は
2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
入力された信号を送信する送信端子と、
前記送信端子から出力された情報を信号として受信する複数の受信端子と、を備え、
前記送信端子と前記複数の受信端子のそれぞれは、場を生み出し、
前記複数の受信端子のうちの一つの受信端子が受信した信号によって生み出された場は、他の受信端子の場に影響を及ぼし、
前記複数の受信端子のそれぞれで生じる場は、前記複数の受信端子に接近する対象物の位置、形、材質、大きさ、動作によって変化し、
前記複数の受信端子のそれぞれは、前記対象物を検出するセンサとして機能
し、
フィードバック装置をさらに備え、
前記送信端子は、波を信号として出力し、
前記複数の受信端子のそれぞれは、波を信号として受信し、
前記フィードバック装置は、前記複数の受信端子のうちの第1受信端子が受信した信号を、前記送信端子又はいずれかの前記受信端子にフィードバックし、
前記フィードバック装置は、前記第1受信端子と前記第1受信端子と異なる第2受信端子とに接続され、
前記フィードバック装置は、前記第1受信端子が受信した信号を、前記第2受信端子にフィードバックする、情報処理装置。
【請求項5】
入力された信号を送信する送信端子と、
前記送信端子から出力された情報を信号として受信する複数の受信端子と、を備え、
前記送信端子と前記複数の受信端子のそれぞれは、場を生み出し、
前記複数の受信端子のうちの一つの受信端子が受信した信号によって生み出された場は、他の受信端子の場に影響を及ぼし、
前記複数の受信端子のそれぞれで生じる場は、前記複数の受信端子に接近する対象物の位置、形、材質、大きさ、動作によって変化し、
前記複数の受信端子のそれぞれは、前記対象物を検出するセンサとして機能
し、
フィードバック装置をさらに備え、
前記送信端子は、波を信号として出力し、
前記複数の受信端子のそれぞれは、波を信号として受信し、
前記フィードバック装置は、前記複数の受信端子のうちの第1受信端子が受信した信号を、前記送信端子又はいずれかの前記受信端子にフィードバックし、
前記フィードバック装置は、前記第1受信端子に接続され、
前記フィードバック装置は、前記第1受信端子が受信した信号を、再度、前記第1受信端子にフィードバックする、情報処理装置。
【請求項6】
入力された信号を送信する送信端子と、
前記送信端子から出力された情報を信号として受信する複数の受信端子と、を備え、
前記送信端子と前記複数の受信端子のそれぞれは、場を生み出し、
前記複数の受信端子のうちの一つの受信端子が受信した信号によって生み出された場は、他の受信端子の場に影響を及ぼし、
前記複数の受信端子のそれぞれで生じる場は、前記複数の受信端子に接近する対象物の位置、形、材質、大きさ、動作によって変化し、
前記複数の受信端子のそれぞれは、前記対象物を検出するセンサとして機能
し、
フィードバック装置をさらに備え、
前記送信端子は、波を信号として出力し、
前記複数の受信端子のそれぞれは、波を信号として受信し、
前記フィードバック装置は、前記複数の受信端子のうちの第1受信端子が受信した信号を、前記送信端子又はいずれかの前記受信端子にフィードバックし、
入力された信号を送信する外部送信端子をさらに備え、
前記フィードバック装置は、前記第1受信端子と前記外部送信端子とに接続され、
前記フィードバック装置は、前記第1受信端子が受信した信号を、前記外部送信端子にフィードバックする、情報処理装置。
【請求項7】
入力された信号を送信する送信端子と、
前記送信端子から出力された情報を信号として受信する複数の受信端子と、を備え、
前記送信端子と前記複数の受信端子のそれぞれは、場を生み出し、
前記複数の受信端子のうちの一つの受信端子が受信した信号によって生み出された場は、他の受信端子の場に影響を及ぼし、
前記複数の受信端子のそれぞれで生じる場は、前記複数の受信端子に接近する対象物の位置、形、材質、大きさ、動作によって変化し、
前記複数の受信端子のそれぞれは、前記対象物を検出するセンサとして機能
し、
フィードバック装置をさらに備え、
前記送信端子は、波を信号として出力し、
前記複数の受信端子のそれぞれは、波を信号として受信し、
前記フィードバック装置は、前記複数の受信端子のうちの第1受信端子が受信した信号を、前記送信端子又はいずれかの前記受信端子にフィードバックし、
前記フィードバック装置は、入力された信号を非線形変換して出力する非線形出力回路を備える、情報処理装置。
【請求項8】
入力された信号を送信する送信端子と、
前記送信端子から出力された情報を信号として受信する複数の受信端子と、を備え、
前記送信端子と前記複数の受信端子のそれぞれは、場を生み出し、
前記複数の受信端子のうちの一つの受信端子が受信した信号によって生み出された場は、他の受信端子の場に影響を及ぼし、
前記複数の受信端子のそれぞれで生じる場は、前記複数の受信端子に接近する対象物の位置、形、材質、大きさ、動作によって変化し、
前記複数の受信端子のそれぞれは、前記対象物を検出するセンサとして機能
し、
フィードバック装置をさらに備え、
前記送信端子は、波を信号として出力し、
前記複数の受信端子のそれぞれは、波を信号として受信し、
前記フィードバック装置は、前記複数の受信端子のうちの第1受信端子が受信した信号を、前記送信端子又はいずれかの前記受信端子にフィードバックし、
前記フィードバック装置は、入力された信号を遅延させる遅延回路を備える、情報処理装置。
【請求項9】
入力された信号を送信する送信端子と、
前記送信端子から出力された情報を信号として受信する複数の受信端子と、を備え、
前記送信端子と前記複数の受信端子のそれぞれは、場を生み出し、
前記複数の受信端子のうちの一つの受信端子が受信した信号によって生み出された場は、他の受信端子の場に影響を及ぼし、
前記複数の受信端子のそれぞれで生じる場は、前記複数の受信端子に接近する対象物の位置、形、材質、大きさ、動作によって変化し、
前記複数の受信端子のそれぞれは、前記対象物を検出するセンサとして機能
し、
フィードバック装置をさらに備え、
前記送信端子は、波を信号として出力し、
前記複数の受信端子のそれぞれは、波を信号として受信し、
前記フィードバック装置は、前記複数の受信端子のうちの第1受信端子が受信した信号を、前記送信端子又はいずれかの前記受信端子にフィードバックし、
前記フィードバック装置に接続された前記送信端子又は前記受信端子は、ダイアフラムと前記ダイアフラムに接する圧電体とを有し、
前記ダイアフラムは、前記波によって振動でき、
前記圧電体は、前記フィードバック装置に接続され、フィードバックされた信号が入力される、情報処理装置。
【請求項10】
入力された信号を送信する送信端子と、
前記送信端子から出力された情報を信号として受信する複数の受信端子と、を備え、
前記送信端子と前記複数の受信端子のそれぞれは、場を生み出し、
前記複数の受信端子のうちの一つの受信端子が受信した信号によって生み出された場は、他の受信端子の場に影響を及ぼし、
前記複数の受信端子のそれぞれで生じる場は、前記複数の受信端子に接近する対象物の位置、形、材質、大きさ、動作によって変化し、
前記複数の受信端子のそれぞれは、前記対象物を検出するセンサとして機能
し、
フィードバック装置をさらに備え、
前記送信端子は、波を信号として出力し、
前記複数の受信端子のそれぞれは、波を信号として受信し、
前記フィードバック装置は、前記複数の受信端子のうちの第1受信端子が受信した信号を、前記送信端子又はいずれかの前記受信端子にフィードバックし、
前記フィードバック装置に接続された前記送信端子又は前記受信端子は、ダイアフラムと、前記ダイアフラムに固定されたコイルと、前記コイルに囲まれる磁石と、を有し、
前記ダイアフラムは、前記波によって振動でき、
前記コイルは、前記フィードバック装置に接続され、フィードバックされた信号が入力される、情報処理装置。
【請求項11】
入力された信号を送信する送信端子と、
前記送信端子から出力された情報を信号として受信する複数の受信端子と、を備え、
前記送信端子と前記複数の受信端子のそれぞれは、場を生み出し、
前記複数の受信端子のうちの一つの受信端子が受信した信号によって生み出された場は、他の受信端子の場に影響を及ぼし、
前記複数の受信端子のそれぞれで生じる場は、前記複数の受信端子に接近する対象物の位置、形、材質、大きさ、動作によって変化し、
前記複数の受信端子のそれぞれは、前記対象物を検出するセンサとして機能
し、
フィードバック装置をさらに備え、
前記送信端子は、波を信号として出力し、
前記複数の受信端子のそれぞれは、波を信号として受信し、
前記フィードバック装置は、前記複数の受信端子のうちの第1受信端子が受信した信号を、前記送信端子又はいずれかの前記受信端子にフィードバックし、
反射体をさらに備え、
前記反射体は、前記送信端子から出力された前記波を前記複数の受信端子のそれぞれに反射する、情報処理装置。
【請求項12】
請求項1~
11のいずれか一項に記載の情報処理装置と、
前記情報処理装置で演算された結果を外部に出力する出力装置と、を備える、動作検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び動作検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
モバイル端末のタッチパネル等には、静電容量センサが用いられている。例えば、特許文献1に記載のタッチセンサは、複数の列方向電極と複数の行方向電極との交点における静電容量変化からタッチ位置を検知する。特許文献1は、タッチセンサへの入力がユーザーの意図したものであるか否かを識別するために、機械学習を利用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
タッチセンサは、高度な処理を行うために、より複雑なユーザーのジェスチャー動作を認識することが求められている。しかしながら、特許文献1に記載のタッチセンサは、列方向電極及び行方向電極を順にスキャンしてタッチ位置を検知するため、検知に時間がかかる。また特許文献1に記載のタッチセンサは、タッチしたキーポイントの情報を追いかけることしかできず、ユーザーのジェスチャーが複雑化すると、その動作を確実に識別することができない。この課題は、タッチセンサに限られるものではなく、その他のセンサにおいても同様である。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、より複雑なユーザーのジェスチャー動作を認識することができる情報処理装置及び動作検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)第1の態様にかかる情報処理装置は、入力された信号を送信する送信端子と、前記送信端子から出力された情報を信号として受信する複数の受信端子と、を備え、前記複数の受信端子のうちの一つの受信端子が受信した信号は、他の受信端子が受信した信号と相互作用できるように構成されている。
【0007】
(2)上記態様にかかる情報処理装置は、複数の電極を備え、前記複数の電極のうちの少なくとも一つは、前記送信端子であり、前記複数の電極のうちの少なくとも二つは、前記受信端子であり、前記送信端子は、信号が入力される駆動電極であり、前記受信端子は、前記駆動電極からの情報を検知する検知電極であり、前記複数の電極のそれぞれが生み出す場は、少なくとも周囲の電極に影響を及ぼし、前記複数の電極のそれぞれは少なくとも周囲の電極と相互作用し、前記複数の電極のうち少なくとも2つは、回路を介して接続され、前記回路は、抵抗、コンデンサ及びコイルからなる群から選択される少なくとも一つを有してもよい。
【0008】
(3)上記態様にかかる情報処理装置において、前記回路は、過渡現象を生じ、前記回路の減衰時間は、前記駆動電極に入力される前記信号の周期の2倍以上であってもよい。
【0009】
(4)上記態様にかかる情報処理装置において、前記複数の電極のうち少なくとも2つは、スイッチング素子を介して電気的に接続されていてもよい。
【0010】
(5)上記態様にかかる情報処理装置は、前記駆動電極に信号を入力する信号発生器と、前記検知電極からの信号を識別する識別器と、前記検知電極から前記識別器に至る信号の一部を前記信号発生器に伝えるフィードバック装置と、をさらに備えてもよい。
【0011】
(6)上記態様にかかる情報処理装置において、前記フィードバック装置は、前記検知電極からの信号を一時的に保持する信号保持部と、前記信号保持部で保持された信号を一定期間経過後に前記信号発生器に送る信号送信部と、を備えてもよい。
【0012】
(7)上記態様にかかる情報処理装置は、フィードバック装置をさらに備え、前記送信端子は、波を信号として出力し、前記複数の受信端子のそれぞれは、波を信号として受信し、前記フィードバック装置は、前記複数の受信端子のうちの第1受信端子が受信した信号を、前記送信端子又はいずれかの前記受信端子にフィードバックしてもよい。
【0013】
(8)上記態様にかかる情報処理装置において、前記フィードバック装置は、前記第1受信端子と前記送信端子とに接続され、前記フィードバック装置は、前記第1受信端子が受信した信号を、前記送信端子にフィードバックしてもよい。
【0014】
(9)上記態様にかかる情報処理装置において、前記フィードバック装置は、前記第1受信端子と前記第1受信端子と異なる第2受信端子とに接続され、前記フィードバック装置は、前記第1受信端子が受信した信号を、前記第2受信端子にフィードバックしてもよい。
【0015】
(10)上記態様にかかる情報処理装置において、前記フィードバック装置は、前記第1受信端子に接続され、前記フィードバック装置は、前記第1受信端子が受信した信号を、再度、前記第1受信端子にフィードバックしてもよい。
【0016】
(11)上記態様にかかる情報処理装置は、入力された信号を送信する外部送信端子をさらに備え、前記フィードバック装置は、前記第1受信端子と前記外部送信端子とに接続され、前記フィードバック装置は、前記第1受信端子が受信した信号を、前記外部送信端子にフィードバックしてもよい。
【0017】
(12)上記態様にかかる情報処理装置において、前記フィードバック装置は、入力された信号を非線形変換して出力する非線形出力回路を備えてもよい。
【0018】
(13)上記態様にかかる情報処理装置において、前記フィードバック装置は、入力された信号を遅延させる遅延回路を備えてもよい。
【0019】
(14)上記態様にかかる情報処理装置において、前記フィードバック装置に接続された前記送信端子又は前記受信端子は、ダイアフラムと前記ダイアフラムに接する圧電体とを有し、前記ダイアフラムは、前記波によって振動でき、前記圧電体は、前記フィードバック装置に接続され、フィードバックされた信号が入力される構成でもよい。
【0020】
(15)上記態様にかかる情報処理装置において、前記フィードバック装置に接続された前記送信端子又は前記受信端子は、ダイアフラムと、前記ダイアフラムに固定されたコイルと、前記コイルに囲まれる磁石と、を有し、前記ダイアフラムは、前記波によって振動でき、前記コイルは、前記フィードバック装置に接続され、フィードバックされた信号が入力される構成でもよい。
【0021】
(16)上記態様にかかる情報処理装置において、反射体をさらに備え、前記反射体は、前記送信端子から出力された前記波を前記複数の受信端子のそれぞれに反射する構成でもよい。
【0022】
(17)第2の態様にかかる動作検出装置は、上記態様にかかる情報処理装置と、前記情報処理装置で演算された結果を外部に出力する出力装置と、を備える。
【発明の効果】
【0023】
上記態様にかかる情報処理装置及び動作検出装置は、より複雑なユーザーのジェスチャー動作を認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】第1実施形態に係る動作検出装置の模式図である。
【
図2】第1実施形態に係る動作検出装置の信号処理部の模式図である。
【
図3】第1実施形態にかかる情報処理装置が模擬するリザボアコンピューティングの概念模式図である。
【
図4】第1実施形態に係る動作検出装置の動作を説明するための模式図である。
【
図5】第1変形例に係る信号処理部の模式図である。
【
図6】第2変形例に係る信号処理部の模式図である。
【
図7】第3変形例に係る信号処理部の模式図である。
【
図8】第4変形例に係る信号処理部の模式図である。
【
図9】第5変形例に係る信号処理部の模式図である。
【
図10】第6変形例に係る信号処理部の模式図である。
【
図11】第2実施形態に係る動作検出装置の模式図である。
【
図12】第7変形例に係る信号処理部の模式図である。
【
図13】第3実施形態に係る動作検出装置の模式図である。
【
図14】フィードバック装置に接続される送信端子の一例の模式図である。
【
図15】フィードバック装置に接続される送信端子の別の例の模式図である。
【
図16】第8変形例にかかる動作検出装置の模式図である。
【
図17】第9変形例にかかる動作検出装置の模式図である。
【
図18】第10変形例にかかる動作検出装置の模式図である。
【
図19】第11変形例にかかる動作検出装置の模式図である。
【
図20】第12変形例にかかる動作検出装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本実施形態について、図を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、本発明の効果を奏する範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0026】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る動作検出装置100の模式図である。動作検出装置100は、情報処理装置と出力装置50とを備える。動作検出装置100は、例えば、タッチセンサ、超音波センサ等である。第1実施形態では、タッチセンサの例を示す。情報処理装置は、入力信号を高次元に射影し、入力信号を入力信号の情報を含む別信号に置き換える。情報処理装置の動作の詳細は後述する。出力装置50は、情報処理装置で処理された信号を外部に出力する。
【0027】
情報処理装置は、信号処理部10と信号発生器20と識別器30とを備える。信号処理部10は、信号発生器20及び識別器30と接続されている。
【0028】
信号発生器20は、信号処理部10の駆動電極Drに駆動信号を供給する。識別器30は、信号処理部10の検知電極Dtで検知された信号を識別する。
【0029】
信号処理部10は、複数の電極Eを備える。複数の電極Eは、例えば、基板上にある。複数の電極Eは、例えば、同一面内において離間して点在している。複数の電極Eの配置は、特に問わない。複数の電極Eは、例えば、行列状に配列している。
【0030】
複数の電極Eは、駆動電極Drと検知電極Dtとを有する。駆動電極Drは、信号発生器20と接続された電極Eである。駆動電極Drには、信号発生器20から駆動信号が入力される。駆動電極Drは、入力された駆動信号に基づく情報を送信する送信端子である。検知電極Dtは、識別器30と接続された電極Eである。検知電極Dtは、駆動電極Drから発せられる情報を検知する。検知電極Dtは、駆動電極Drから出力された情報を信号として受信する。複数の電極Eのうちの少なくとも一つは、駆動電極Drである。複数の電極Eのうち少なくとも2つは、検知電極Dtである。
【0031】
駆動電極Drと検知電極Dtの位置関係は、任意である。例えば、駆動電極Drは、複数の検知電極Dtに囲まれる。駆動電極Drが複数ある場合、例えば、駆動電極Drのそれぞれは、複数の検知電極Dtに囲まれる。複数の検知電極Dtが駆動電極Drを取り囲むことで、駆動電極Drの周囲のいずれの位置でも情報を検知できる。
【0032】
図2は、第1実施形態に係る動作検出装置の信号処理部10の模式図である。複数の電極Eのそれぞれは、場を生み出す。場とは、物理量を持つものの存在が、その周囲に影響を生み出す時空の各点に関連する物理量のことである。場は、例えば、電場、磁場、熱場、振動場、重力場である。場は、空間的に離間した複数の電極Eの間で生じており、ある電極Eのポテンシャルの変化が、電場、磁場、熱、振動等を介して別の電極Eに伝わり、別の電極Eのポテンシャルが変化する。
【0033】
複数の電極Eのそれぞれで生じた場は、少なくとも周囲の電極Eに影響を及ぼす。その結果、複数の電極Eのそれぞれは、少なくとも周囲の電極Eと相互作用する。周囲の電極Eは、ある電極Eを最初に取り囲む電極Eであり、例えば、ある電極を中心に放射状に広がる放射線と最初に触れる電極Eである。複数の電極Eのそれぞれで生じた場は、他の電極Eに影響を及ぼしてもよい。すなわち、複数の電極Eのそれぞれは、他の全ての電極Eと相互作用してもよい。
【0034】
例えば、複数の電極Eのそれぞれが接地されている場合は、複数の電極Eのそれぞれの電位は固定されているため、複数の電極Eのそれぞれは電気的には相互作用しない。例えば、複数の電極Eのそれぞれに電磁場シールドが設けられている場合は、複数の電極Eのそれぞれは電磁気的には相互作用しない。
【0035】
例えば、異なる電極間を繋ぐ場が電場の場合を例に説明する。
図2に示す複数の電極Eは、容量結合C1、C2している。容量結合C1、C2は、異なる電極Eの間の電場を介した結合である。異なる電極Eは、容量結合C1、C2により相互作用する。容量結合C1は、駆動電極Drと検知電極Dtとの間の容量結合であり、容量結合C2は2つの検知電極Dtの間の容量結合である。
【0036】
容量結合C1、C2の強さは、電極Eの間の距離に反比例する。最近接する電極Eの距離は、例えば電極Eの平均寸法の1倍以内である。最近接する2つの検知電極Dtの間の容量結合C2の強さは、例えば、最近接する駆動電極Drと検知電極Dtとの間の容量結合C1の0.25倍以上1.75倍以下であり、好ましくは0.5倍以上1.5倍以下であり、より好ましくは0.75倍以上1.25倍以下である。またある駆動電極Drを取り囲む検知電極Dtの間の容量結合C2の強さは、例えば、ある駆動電極Drとこの駆動電極Drを取り囲む検知電極Dtのいずれかとの間の容量結合C1の0.25倍以上1.75倍以下であり、好ましくは0.5倍以上1.5倍以下であり、より好ましくは0.75倍以上1.25倍以下である。
【0037】
次いで、情報処理装置の動作について説明する。情報処理装置は、入力信号を高次元に射影し、入力信号を入力信号の情報を含む別信号に置き換える。情報処理装置における動作は、リザボアコンピューティングにおける処理と同等である。
【0038】
リザボアコンピューティングは、人間の脳を模倣したニューラルネットワークを実現する一つの手段である。リザボアコンピューティングは、信号を相互作用させることで、再帰的な処理を行う。リザボアコンピューティングは、例えば、小脳の動作を模倣しており、再帰的なデータの処理やデータの変換(例えば、座標の変換)等を行う。リザボアコンピューティングは、非線形な時系列のデータを扱うことができるリカレントニューラルネットワークの一態様である。非線形な時系列のデータは、時間の経過とともに値が変化するデータであり、株価等はその一例である。
【0039】
まず情報処理装置の動作を説明する前に、リザボアコンピューティングについて簡単に説明する。
【0040】
図3は、第1実施形態にかかる情報処理装置が模擬するリザボアコンピューティングRCの概念模式図である。
図3に示すリザボアコンピューティングRCは、入力層L
inとリザボアRと出力層L
outとを有する。入力層L
in及び出力層L
outは、リザボアRに接続されている。
【0041】
入力層Linは、外部から入力された信号をリザボアRに伝える。入力層Linは、例えば、複数のニューロンn1を含む。ニューロンは、ノードと呼ばれることもある。外部から入力層Linのそれぞれのニューロンn1に入力された入力信号は、リザボアRに伝わる。
【0042】
リザボアRは、入力層Linから入力された入力信号を貯留し、入力された信号が互いに相互作用する領域である。リザボアRは、互いにランダムに接続された複数のニューロンn2を有する。リザボアR内では、信号は相互作用するだけであり、学習しない。入力信号が互いに相互作用すると、入力信号が非線形に変化する。また入力信号は、リザボアR内で互いに相互作用することで、時間の経過とともに変化する。例えば、ある時刻tにあるニューロンn2から出力された信号は、ある時刻t+1において元のニューロンn2に戻る場合がある。ニューロンn2では、時刻t及び時刻t+1の信号を踏まえた処理ができ、情報を再帰的に処理できる。
【0043】
出力層Loutは、リザボアRからの信号を出力する。出力層Loutは、例えば、複数のニューロンn3を含む。ニューロンn3は、ニューロモルフィックデバイスにおける出力端子である。リザボアRから出力層Loutに至る際に、学習が行われる。学習は、リザボアRのそれぞれのニューロンn2と出力層Loutのニューロンn3とを繋ぐ伝達経路(脳におけるシナプス)で行われる。出力層Loutは、学習の結果を外部に出力する。
【0044】
情報処理装置は、リザボアコンピューティングRCと同様の動作を行う。上述のリザボアコンピューティングRCの動作と比較しながら、情報処理装置の動作について説明する。
【0045】
まず
図2に示すように、初期状態として信号発生器20から駆動信号Sgiが駆動電極Drに入力される。駆動電極Drに駆動信号Sgiが入力されると駆動電極Drの電位が変化し、駆動電極Drと検知電極Dtとの間に電場が生じる。駆動電極Drと検知電極Dtとは、この電場により容量結合C1する。検知電極Dtの電位は、容量結合C1により変化する。検知電極Dtは、他の検知電極Dtとの電位の違いに応じて電場を生じ、容量結合C2する。その結果、複数の電極Eの上方に電場が形成された初期状態が生じる。それぞれの検知電極Dtは、自身の電位に基づく信号を識別器30へ出力する。
【0046】
次いで、
図4に示すように、複数の電極Eの上方のある位置に、対象物Obが接近する。
図4は、第1実施形態にかかる情報処理装置の動作を説明するための模式図である。対象物Obは、例えば、ユーザーの指である。対象物Obの接近は、リザボアコンピューティングRCにおける入力層L
inへの信号の入力に対応する。
【0047】
例えば
図4に示すように、ある駆動電極DrAとある検知電極DtAとの間に対象物Obが接近する。駆動電極DrAと検知電極DtAとの間に誘電率の異なる対象物Obが挿入されると、駆動電極DrAと検知電極DtAとの間の容量結合C3の強さは、初期状態から変化する。容量結合C3の強さが変わると、検知電極DtAの電位は初期状態から変化する。検知電極DtAの電位が変化すると、検知電極DtAと容量結合C4する検知電極DtBの電位も変化する。そして検知電極DtBの電位変化も、検知電極DtBと他の検知電極Dtとの容量結合によって、他の検知電極Dtへ伝搬する。
【0048】
この各検知電極Dtの電位の変化は、リザボアコンピューティングRCのリザボアRにおける信号処理に対応する。リザボアRは、入力層Linから入力された入力信号を貯留し、入力された信号を互いに相互作用させる。信号処理部10において、対象物Obが近付いたという情報は、容量結合を介して複数の電極Eの間で相互作用することで非線形に変化し、それぞれの検知電極Dtの電位という情報に置換される。
【0049】
それぞれの検知電極DtA、DtB、DtCの電位は、信号Sgo1、Sgo2、Sgo3となり、識別器30に至る。識別器30に至る信号Sgo1、Sgo2、Sgo3は、初期状態とは異なる。識別器30は、対象物Obが所定の位置にある場合に、信号処理部10から出力される信号を学習する。識別器30での処理は、リザボアコンピューティングRCの出力層Loutにおける信号処理に対応する。
【0050】
識別器30は、対象物Obの状態と信号処理部10から出力される信号との関係を学習する。識別器30が信号処理部10から出力された信号を識別することで、対象物Obの状態を特定する。対象物Obの状態とは、例えば、対象物Obの位置、形、材質、大きさ、動作等である。
【0051】
識別器30は、例えば、行列状に配列された複数の可変抵抗と、同じ行の可変抵抗のそれぞれに接続された複数の第1ビット線と、同じ列の可変抵抗のそれぞれに接続された複数の第2ビット線を有する。可変抵抗は、例えば、磁壁移動素子である。可変抵抗のそれぞれには、学習の結果求められた重みが与えられる。それぞれの可変抵抗の抵抗値は、それぞれの可変抵抗に与えられた重みに応じて異なる。
【0052】
識別器30に入力された信号は、第1ビット線のそれぞれを伝わり、それぞれの可変抵抗に至る。ぞれぞれの可変抵抗は与えられた重みに応じて抵抗値が異なり、信号がそれぞれの可変抵抗を通過することで、積演算が行われる。それぞれの可変抵抗で行われた積演算の結果は、第2ビット線に伝わる。同じ第2ビット線に接続された可変抵抗の積演算の結果は、同じ第2ビット線に集約され、和演算される。
【0053】
第1実施形態に係る動作検出装置100は、識別器30に至った信号に基づき、対象物Obの動作を認識する。第1実施形態に係る動作検出装置100は、複数の電極Eが互いに相互作用することで、入力信号を非線形に変換し、新たな情報に置き換える。入力信号と出力信号とは非線形な関係にあることで、第1実施形態に係る動作検出装置100は、必要な情報のみにフォーカスした出力信号を取り出すことができる。また第1実施形態に係る動作検出装置100は、ラインスキャンする必要がなく、対象物Obの動作をより素早く読み出すことができる。
【0054】
以上、第1実施形態の動作検出装置100を例に本発明について詳述したが、動作検出装置100の構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、種々の変形、変更が可能である。
【0055】
例えば、電極は、
図1に示す平面電極に限られない。例えば、
図5に示す電極E1のように、電極E1は、平面部PEと壁面部WEとを有してもよい。壁面部WEは、平面部PEから起立する。隣接する電極E1において壁面部WEが互いに向き合うことで、隣接する電極E1の間の容量結合が強まる。同様に、
図6に示すように、電極E2は、柱状体でもよい。
【0056】
また
図7に示すように、複数の電極E3のうちの少なくとも一つは、他の電極E3と形状が異なってもよい。複数の電極E3のそれぞれの形状は一定でなくてもよい。電極E3の平面視形状は、円形でも矩形でも不定形でもよい。また複数の電極E3の中に、平面電極と立体的な電極とが混在していてもよい。それぞれの電極E3の形状が異なることと、電極間の容量結合の強さが電極間ごとに異なる。容量結合の強さが場所によって異なると、動作検出装置100は入力信号をより非線形に変換できる。
【0057】
また
図8に示すように、複数の電極Eのうち少なくとも2つは、スイッチング素子SWを介して電気的に接続されていてもよい。スイッチング素子SWを接続すると、接続された2つの電極Eは等電位となる。電極Eの電位が変化すると、容量結合の強さも変化する。スイッチング素子SWが切り替わると、複数の電極Eの上方に形成される電場を切り替わる。すなわち、信号処理部10の初期状態も変化できるパラメータの一つとなり、信号処理部10は対象物Obからより多くの情報を読み取ることができる。
【0058】
また
図9に示すように、複数の電極Eは、異なる階層の層L1、L2にあってもよい。層L1に属する電極群と層L2に属する電極群とは異なる階層にある。例えば、層L1の電極群と層L2の電極群との間には、誘電体がある。層L1の電極Eと層L2の電極Eとは、互いに相互作用してもよい。層L1の電極Eがすべて駆動電極Drで、層L2の電極Eがすべて検知電極Dtでもよい。またこの逆の関係でもよい。また層L1及び層L2の電極群のそれぞれが、駆動電極Drと検知電極Dtとを有してもよい。
【0059】
またここまで、複数の電極Eの間の相互作用を担う媒体の一例として容量結合を示したが、相互作用を担う媒体は電磁誘導でもよい。すなわち、複数の電極Eのそれぞれは、磁場を介して他の電極Eと相互作用してもよい。
図10に示すように、電極E4の形状をコイル状にすることで、電極E4の間に電磁誘導が生じる。また複数の電極Eの間の相互作用を担う媒体として、容量結合(電場)と電磁誘導(磁場)とを併用してもよい。
【0060】
[第2実施形態]
図11に示す動作検出装置101は、情報処理装置と出力装置50とを備える。情報処理装置は、信号処理部10と信号発生器20と識別器30とフィードバック装置40とを備える。動作検出装置101は、フィードバック装置40を有する点が、動作検出装置100と異なる。以下、動作検出装置101のうち動作検出装置100と異なる点について詳細を説明し、同様の構成についての説明を省く。
【0061】
フィードバック装置40は、信号処理部10の検知電極Dtと識別器30との間にある。フィードバック装置40は、検知電極Dtで検知された信号の一部を信号発生器20に回帰させる。
【0062】
フィードバック装置40は、例えば、信号保持部と信号送信部とを備える。信号保持部は、検知電極Dtからの信号を一時的に保持する。信号送信部は、信号保持部で保持された信号を一定期間経過後に信号発生器20に送る。
【0063】
動作検出装置101は、時刻tにおいて出力された信号を信号発生器20に戻し、時刻t+1における計算に利用する。過去の時刻tにおける信号は、過去の時刻tにおけるタッチ位置の情報を含む。すなわち、過去のユーザーの動作を踏まえて、今のユーザーの動作を読み取ることができる。その結果、動作検出装置101は、より複雑なユーザのジェスチャーを読み取ることができる。
【0064】
また
図12に示すように、フィードバック装置40に変えて、又は、フィードバック装置40と共に、複数の電極のうち少なくとも2つは、回路Lを介して接続してもよい。回路Lは、抵抗、コンデンサ及びコイルからなる群から選択される少なくとも一つを有する。回路Lは、例えば、LCR回路である。回路Lは、過渡現象を生じる。
【0065】
回路Lの減衰時間は、例えば、駆動電極Drに入力される信号の周期の2倍以上である。回路Lの減衰時間は、回路Lに入力された信号の強度が1/eになるまでの時間である。
【0066】
回路Lが過渡現象を生じると、時刻tに入力された信号が回路Lに保持され、時刻t+1における計算に利用される。すなわち、過去のユーザーの動作を踏まえて、今のユーザーの動作を読み取ることができる。
【0067】
[第3実施形態]
図13は、第3実施形態に係る動作検出装置200の模式図である。動作検出装置200は、情報処理装置と出力装置50とを備える。動作検出装置200は、例えば、タッチセンサ、超音波センサ等である。第3実施形態では、超音波センサの例を示す。情報処理装置は、入力信号を高次元に射影し、入力信号を入力信号の情報を含む別信号に置き換える。情報処理装置の動作の詳細は後述する。出力装置50は、情報処理装置で処理された信号を外部に出力する。
【0068】
情報処理装置は、信号処理部12と信号発生器20と識別器30とフィードバック装置40とを備える。情報処理装置の具体的な構成が、第2実施形態にかかる動作検出装置101と異なる。信号発生器20は、信号処理部12の送信端子TTに信号を供給する。
【0069】
信号処理部12は、例えば、送信端子TTと複数の受信端子RTとを有する。送信端子TTは、複数でもよい。送信端子TT及び受信端子RTの数、配置は任意である。
【0070】
送信端子TTは、信号発生器20から入力された信号を波wとして出力する。波wは、例えば、超音波、電磁波等である。複数の受信端子RTのそれぞれは、波wを受信する。複数の受信端子RTが受信する波wの状態は、信号処理部12に近づく対象物の位置、形、材質、大きさ、動作等により変化する。動作検出装置200は、信号処理部12に近づく対象物の位置、形、材質、大きさ、動作等を波wの状態変化で検出する。送信端子TT及び受信端子RTの数、配置は任意である。
【0071】
送信端子TT及び受信端子RTのそれぞれは、ダイアフラムを有する。送信端子TTは、信号発生器20から入力された信号で、ダイアフラムが振動することで、波wを出力する。受信端子RTは、波wで振動したダイアフラムの動きを信号に変換する。受信端子RTは、波wや配線を介して、他の受信端子RTと相互作用する。
【0072】
フィードバック装置40は、受信端子RTと送信端子TTとに接続される。フィードバック装置40は、受信端子RTが受信した信号を、送信端子TTにフィードバックする。
【0073】
図13では、全ての受信端子RTとフィードバック装置40とが接続されている例を示したが、一部の受信端子RTのみがフィードバック装置40に接続されていてもよい。フィードバック装置40に接続されている受信端子RTを第1受信端子と称する。一部の受信端子RTのみがフィードバック装置40に接続されている場合、他の受信端子RTは識別器30に直接接続される。
【0074】
図14は、フィードバック装置40に接続された送信端子TTの一例の模式図である。フィードバック装置40に接続された送信端子TTは、例えば、ダイアフラム60と圧電体61とを有する。圧電体61は、ダイアフラム60に接している。
【0075】
圧電体61は、フィードバック装置40に接続されている。圧電体61は、フィードバック装置40から送られた電気信号が入力され、この電気信号に基づいて振動する。ダイアフラム60は、信号発生器20から入力された信号に基づいて振動する。送信端子TTは、ダイアフラム60の振動と圧電体61の振動とを重ね合わせ、波wとして出力する。圧電体61の振動が、信号処理部12へフィードバックされた信号となる。
【0076】
図15は、フィードバック装置40に接続された送信端子TTの別の例の模式図である。フィードバック装置40に接続された送信端子TTは、例えば、ダイアフラム60とコイル62と磁石63とを有する。コイル62は、磁石63の凸部の周囲を囲む。コイル62に電流が流れると、コイル62の内部に電磁力が生じる。コイル62は、ダイアフラム60に固定されている。
【0077】
コイル62は、フィードバック装置40に接続されている。コイル62には、フィードバック装置40から送られた電気信号が電流として流れる。コイル62は、電流による電磁力により、ダイアフラム60の振動を変調する。送信端子TTは、コイル62に流れた電流により変調されたダイアフラム60の振動に基づいた波wとして出力する。受信端子RTがダイアフラム60を有する場合、ダイアフラム60の振動に伴いコイル62が磁石63の周囲を上下運動することで、波を信号に変換できる。
【0078】
また
図13に示すように、フィードバック装置40は、例えば、非線形出力回路41及び遅延回路42を有する。
【0079】
非線形出力回路41は、入力された信号を非線形変換して出力する。上述のように、リザボアRは、入力信号を互いに相互作用させることで、入力信号を非線形変換し、再帰的なデータの処理やデータの変換(例えば、座標の変換)等を行う。信号処理部12に、非線形出力回路41から非線形変換された信号が入力されることで、より複雑な信号処理を行うことができる。
【0080】
遅延回路42は、入力された信号を遅延させる。遅延回路42は、第2実施形態における信号保持部と同様の機能を有する。遅延回路42は、入力された信号を一時的に保持し、一定期間経過後に信号処理部12に戻す。時系列的に過去の情報を信号処理部12に入力することで、過去のユーザーの動作を踏まえた、今のユーザーの動作を読み取ることができる。その結果、動作検出装置101は、より複雑なユーザのジェスチャーを読み取ることができる。
【0081】
第3実施形態に係る動作検出装置200は、識別器30に至った信号に基づき、対象物の位置、形、大きさ、動作等を認識できる。第3実施形態に係る動作検出装置200は、ラインスキャンする必要がなく、対象物の動作等をより素早く読み出すことができる。
【0082】
以上、第3実施形態の動作検出装置200を例に本発明について詳述したが、動作検出装置200の構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、種々の変形、変更が可能である。
【0083】
例えば、第3実施形態の動作検出装置200に、第1実施形態及び第2実施形態と同様の変形を加えることができる。例えば、送信端子TT、受信端子RTのそれぞれの形状は一定でなくてもよい。また送信端子TTと受信端子RTとの間、及び、異なる受信端子RTの間に、振動を伝える伝搬体を設けてもよい。また、送信端子TT、受信端子RTを異なる階層に亘って形成してもよい。またフィードバック装置40に変えて、又は、フィードバック装置40と共に、送信端子TTと受信端子RTとの間、及び、異なる受信端子RTの間に回路L(
図12)を設けてもよい。
【0084】
また例えば、
図16に示す動作検出装置201のように、フィードバック装置40が異なる2つの受信端子RTに接続されていてもよい。一方の受信端子RTを第1受信端子と称し、他方の受信端子RTを第2受信端子と称する。フィードバック装置40は、第1受信端子が受信した信号を、第2受信端子にフィードバックする。この場合、フィードバック装置40に接続された受信端子RTが、
図14又は
図15の構成となる。信号処理部12に信号がフィードバックされることで、異なる時系列の情報が信号処理部12に入力される。その結果、動作検出装置201はより複雑な動作等を検出できる。
【0085】
また例えば、
図17に示す動作検出装置202のように、フィードバック装置40が一つの受信端子RTに接続されていてもよい。フィードバック装置40は、受信端子RTが受信した信号を、再度、同じ受信端子RTにフィードバックする。この場合、フィードバック装置40に接続された受信端子RTが、
図14又は
図15の構成となる。信号処理部12に信号がフィードバックされることで、異なる時系列の情報が信号処理部12に入力される。その結果、動作検出装置202はより複雑な動作等を検出できる。
【0086】
また例えば、
図18に示す動作検出装置203のように、フィードバック装置40が受信端子RTと外部送信端子TT2に接続されていてもよい。フィードバック装置40は、受信端子RTが受信した信号を、外部送信端子TT2に送信する。外部送信端子TT2は、送信された信号に基づいた波w2を出力する。波w2を送信端子TT及び受信端子RTが受信することで、送信端子TT又は受信端子RTに対して信号が間接的にフィードバックされる。外部送信端子TT2の構成は、上述の送信端子TTと同様である。間接的であったとしても信号処理部12に信号がフィードバックされることで、異なる時系列の情報が信号処理部12に入力される。その結果、動作検出装置203はより複雑な動作等を検出できる。
【0087】
また例えば、
図19に示す動作検出装置204のように、送信端子TTで生じた波wを反射できる位置に、反射体70を設けてもよい。反射体70は、送信端子TTから生じた波を受信端子RTに向かって反射する。反射体70は、例えば、ミラーである。反射体70は、対象物の代わりとなる。すなわち、対象物がない状態でも、動作検出装置204は、リザボアRとして機能できる。動作検出装置204は、ジェスチャー等の検出用途に限られず、リザボアコンピューティングRCを実現化した素子として機能する。
【0088】
また例えば、
図20に示す動作検出装置205のように、一部の受信端子RTが識別器30とそれぞれ独立に接続されていてもよい。またすべての受信端子RTがそれぞれ独立に識別器30と接続されていてもよい。また複数の受信端子RTが配線によって合流した後、識別器30と接続される場合も、配線に接続される受信端子RTの数は問わない。また
図20では、動作検出装置201の変形例として動作検出装置205を図示したが、その他の動作検出装置においても同様である。すなわち、動作検出装置200~204のいずれにおいても、全ての受信端子RTからの出力が配線で合流した後に識別器30に至る必要はなく、一部の受信端子RTがそれぞれ独立に識別器30と接続されていてもよい。
【符号の説明】
【0089】
10,12 信号処理部
20 信号発生器
30 識別器
40 フィードバック装置
41 非線形出力回路
42 遅延回路
50 出力装置
60 ダイアフラム
61 圧電体
62 コイル
63 磁石
70 反射体
100、101、200、201、202、203 動作検出装置
C1、C2、C3、C4 容量結合
Dr、DrA 駆動電極
Dt、DtA、DtB、DtC 検知電極
E、E1、E2、E3、E4 電極
L 回路
L1、L2 層
Lin 入力層
Lout 出力層
n1、n2、n3 ニューロン
R リザボア
RC リザボアコンピューティング
Ob 対象物
PE 平面部
RT 受信端子
SW スイッチング素子
TT 送信端子
TT2 外部送信端子
WE 壁面部