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特許7539850ナビゲーション装置、ナビゲーション方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-16
(45)【発行日】2024-08-26
(54)【発明の名称】ナビゲーション装置、ナビゲーション方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/34 20060101AFI20240819BHJP
【FI】
G01C21/34
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021057632
(22)【出願日】2021-03-30
(65)【公開番号】P2022154543
(43)【公開日】2022-10-13
【審査請求日】2023-11-20
(73)【特許権者】
【識別番号】500578216
【氏名又は名称】株式会社ゼンリンデータコム
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】何 青
(72)【発明者】
【氏名】松島 忍
(72)【発明者】
【氏名】小向 友成
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 眞由香
【審査官】増子 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-060493(JP,A)
【文献】特開2008-203160(JP,A)
【文献】特開2020-046400(JP,A)
【文献】特開2009-080127(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0318981(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00 - 21/36
G01C 23/00 - 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図上の出発地から目的地までのルートを決定するナビゲーション装置であって、
前記地図に含まれるリンク及びノードに設定されているコストに基づいて、前記出発地から前記目的地までの1以上の候補ルートを探索する探索部と、
前記探索部で探索中のルートに、同一交差点又は所定範囲内に存在する2つの交差点に2段階Uターンが含まれている場合、前記2段階Uターンに対応するリンク又はノードのコストを増加させる設定部と、
前記1以上の候補ルートのうち最もコストの低い候補ルートを、出発地から目的地までのルートとして決定する決定部と、を有し、
前記探索中のルートに、同一交差点又は所定範囲内に存在する2つの交差点に2段階Uターンが含まれている場合とは、前記探索中のルートに、前記同一交差点の進入リンクと退出リンクとの間に1以上のリンクが存在し、かつ、前記同一交差点の進入リンクと退出リンクとの角度が所定範囲内である場合であり、
前記2段階Uターンに対応するリンク又はノードのコストを増加させるとは、前記同一交差点の進入リンクと、前記同一交差点からの退出リンクと、前記同一交差点の進入リンクの終点ノードと、前記同一交差点からの退出リンクの始点ノードとのうち、少なくとも一つのコストを増加させることである、
ナビゲーション装置。
【請求項2】
地図上の出発地から目的地までのルートを決定するナビゲーション装置であって、
前記地図に含まれるリンク及びノードに設定されているコストに基づいて、前記出発地から前記目的地までの1以上の候補ルートを探索する探索部と、
前記探索部で探索中のルートに、同一交差点又は所定範囲内に存在する2つの交差点に2段階Uターンが含まれている場合、前記2段階Uターンに対応するリンク又はノードのコストを増加させる設定部と、
前記1以上の候補ルートのうち最もコストの低い候補ルートを、出発地から目的地までのルートとして決定する決定部と、を有し、
前記探索中のルートに、同一交差点又は所定範囲内に存在する2つの交差点に2段階Uターンが含まれている場合とは、前記探索中のルートに、第1交差点の進入リンクの終点ノードと、第2交差点の退出リンクの始点ノードとの間の距離が閾値以内である前記第1交差点と前記第2交差点とが存在し、かつ、前記第1交差点の進入リンクと前記第2交差点の退出リンクとの角度が所定範囲内である場合であり、
前記2段階Uターンに対応するリンク又はノードのコストを増加させるとは、前記第1交差点の進入リンクと、前記第2交差点の退出リンクと、前記第1交差点の進入リンクの終点ノードと、前記第2交差点の退出リンクの始点ノードとのうち、少なくとも一つのコストを増加させることである
ビゲーション装置。
【請求項3】
前記コストは、車両種別ごとに異なるコストを設定可能である、
請求項1又は2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記コストは、道路種別ごとに異なるコストを設定可能である、
請求項1~のいずれか一項に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記コストは、道路幅ごとに異なるコストを設定可能である、
請求項1~のいずれか一項に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
地図上の出発地から目的地までのルートを決定するナビゲーション装置が実行するルート探索方法であって、
前記地図に含まれるリンク及びノードに設定されているコストに基づいて、前記出発地から前記目的地までの1以上の候補ルートを探索するステップと、
探索中のルートに、同一交差点又は所定範囲内に存在する2つの交差点に2段階Uターンが含まれている場合、前記2段階Uターンに対応するリンク又はノードのコストを増加させるステップと、
前記1以上の候補ルートのうち最もコストの低い候補ルートを、出発地から目的地までのルートとして決定するステップと、を有し、
前記探索中のルートに、同一交差点又は所定範囲内に存在する2つの交差点に2段階Uターンが含まれている場合とは、前記探索中のルートに、前記同一交差点の進入リンクと退出リンクとの間に1以上のリンクが存在し、かつ、前記同一交差点の進入リンクと退出リンクとの角度が所定範囲内である場合であり、
前記2段階Uターンに対応するリンク又はノードのコストを増加させるとは、前記同一交差点の進入リンクと、前記同一交差点からの退出リンクと、前記同一交差点の進入リンクの終点ノードと、前記同一交差点からの退出リンクの始点ノードとのうち、少なくとも一つのコストを増加させることである、
ルート探索方法。
【請求項7】
地図上の出発地から目的地までのルートを決定するナビゲーション装置が実行するルート探索方法であって、
前記地図に含まれるリンク及びノードに設定されているコストに基づいて、前記出発地から前記目的地までの1以上の候補ルートを探索するステップと、
探索中のルートに、同一交差点又は所定範囲内に存在する2つの交差点に2段階Uターンが含まれている場合、前記2段階Uターンに対応するリンク又はノードのコストを増加させるステップと、
前記1以上の候補ルートのうち最もコストの低い候補ルートを、出発地から目的地までのルートとして決定するステップと、を有し、
前記探索中のルートに、同一交差点又は所定範囲内に存在する2つの交差点に2段階Uターンが含まれている場合とは、前記探索中のルートに、第1交差点の進入リンクの終点ノードと、第2交差点の退出リンクの始点ノードとの間の距離が閾値以内である前記第1交差点と前記第2交差点とが存在し、かつ、前記第1交差点の進入リンクと前記第2交差点の退出リンクとの角度が所定範囲内である場合であり、
前記2段階Uターンに対応するリンク又はノードのコストを増加させるとは、前記第1交差点の進入リンクと、前記第2交差点の退出リンクと、前記第1交差点の進入リンクの終点ノードと、前記第2交差点の退出リンクの始点ノードとのうち、少なくとも一つのコストを増加させることである、
ルート探索方法。
【請求項8】
地図上の出発地から目的地までのルートを決定するコンピュータに、
前記地図に含まれるリンク及びノードに設定されているコストに基づいて、前記出発地から前記目的地までの1以上の候補ルートを探索するステップと、
探索中のルートに、同一交差点又は所定範囲内に存在する2つの交差点に2段階Uターンが含まれている場合、前記2段階Uターンに対応するリンク又はノードのコストを増加させるステップと、
前記1以上の候補ルートのうち最もコストの低い候補ルートを、出発地から目的地までのルートとして決定するステップと、
を実行させ
前記探索中のルートに、同一交差点又は所定範囲内に存在する2つの交差点に2段階Uターンが含まれている場合とは、前記探索中のルートに、前記同一交差点の進入リンクと退出リンクとの間に1以上のリンクが存在し、かつ、前記同一交差点の進入リンクと退出リンクとの角度が所定範囲内である場合であり、
前記2段階Uターンに対応するリンク又はノードのコストを増加させるとは、前記同一交差点の進入リンクと、前記同一交差点からの退出リンクと、前記同一交差点の進入リンクの終点ノードと、前記同一交差点からの退出リンクの始点ノードとのうち、少なくとも一つのコストを増加させることである、
プログラム。
【請求項9】
地図上の出発地から目的地までのルートを決定するコンピュータに、
前記地図に含まれるリンク及びノードに設定されているコストに基づいて、前記出発地から前記目的地までの1以上の候補ルートを探索するステップと、
探索中のルートに、同一交差点又は所定範囲内に存在する2つの交差点に2段階Uターンが含まれている場合、前記2段階Uターンに対応するリンク又はノードのコストを増加させるステップと、
前記1以上の候補ルートのうち最もコストの低い候補ルートを、出発地から目的地までのルートとして決定するステップと、
を実行させ、
前記探索中のルートに、同一交差点又は所定範囲内に存在する2つの交差点に2段階Uターンが含まれている場合とは、前記探索中のルートに、第1交差点の進入リンクの終点ノードと、第2交差点の退出リンクの始点ノードとの間の距離が閾値以内である前記第1交差点と前記第2交差点とが存在し、かつ、前記第1交差点の進入リンクと前記第2交差点の退出リンクとの角度が所定範囲内である場合であり、
前記2段階Uターンに対応するリンク又はノードのコストを増加させるとは、前記第1交差点の進入リンクと、前記第2交差点の退出リンクと、前記第1交差点の進入リンクの終点ノードと、前記第2交差点の退出リンクの始点ノードとのうち、少なくとも一つのコストを増加させることである、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置、ナビゲーション方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、出発地から目的地までのルートを探索し、探索した案内ルートを画面に表示する、ナビゲーション装置が提供されている。例えば特許文献1には、道路の幅員や交差点の形状など面的な広がりが考慮して運転者の実感と一致する進行方向案内ができるようにするナビゲーション装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-234419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ナビゲーション装置によりされたルートには、通行が困難なルートが含まれることがある。例えば、右折又は左折が近距離で連続するようなルートが存在する場合、車種によっては通行が困難である場合が生じ得る。例えばトレーラーなどの大型車両は内輪差が大きいことから、右折した直後に再度右折するようなルートは曲がり切れない可能性があると想定される。しかしながら、特許文献1に記載のナビゲーション装置には、右折又は左折が近距離で連続するようなルートなど、通行が困難なルート案内がなされることを抑制するような仕組みは設けられていない。
【0005】
そこで、本発明は、通行が困難なルート案内が行われることを抑制する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るナビゲーション装置は、地図上の出発地から目的地までのルートを決定するナビゲーション装置であって、前記地図に含まれるリンク及びノードに設定されているコストに基づいて、前記出発地から前記目的地までの1以上の候補ルートを探索する探索部と、前記探索部で探索中のルートに、同一交差点又は所定範囲内に存在する2つの交差点に2段階Uターンが含まれている場合、前記2段階Uターンに対応するリンク又はノードのコストを増加させる設定部と、前記1以上の候補ルートのうち最もコストの低い候補ルートを、出発地から目的地までのルートとして決定する決定部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、通行が困難なルート案内が行われることを抑制する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係るナビゲーションシステムの装置構成の一例を示す図である。
図2】ルート探索装置のハードウェア構成例を示す図である。
図3】ルート探索装置の機能ブロック構成例を示す図である。
図4】ルート探索装置が行う処理手順の一例を示すフローチャートである。
図5】進入リンクと退出リンクとの間の角度を説明するための図である。
図6】コストテーブルの一例を示す図である。
図7】同一交差点における2段階Uターンの具体例を示す図である。
図8】距離が近い2つの交差点における2段階Uターンの具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0010】
<システム構成>
図1は、本実施形態に係るナビゲーションシステム1の装置構成の一例を示す図である。ナビゲーションシステム1は、出発地から目的地までのルート(経路)を地図画面に重ねて表示し、出発地から目的地までのルートに従って移動するように案内を行う。
【0011】
ナビゲーションシステム1は、ルート探索装置10と、端末20とを含む。ルート探索装置10は、端末20からの要求に基づいて、ルート探索を行い、ルート探索結果を端末20に送信する。ルート探索装置10は、1又は複数の物理的なサーバ等から構成されていてもよいし、ハイパーバイザー(hypervisor)上で動作する仮想的なサーバを用いて構成されていてもよいし、クラウドサーバを用いて構成されていてもよい。端末20は、ユーザが操作する端末であり、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話機、パーソナルコンピュータ(PC)、ノートPC、携帯情報端末(PDA)、家庭用ゲーム機器など、通信機能を備えた端末であればあらゆる端末を用いることができる。端末20は、出発地及び到着地の入力を受け付ける入力画面や、ルート探索装置10から受信したルート探索結果を表示する地図画面等を表示する。
【0012】
ナビゲーションシステム1は、1つの装置で実現されていてもよい。すなわち、ルート探索装置10の機能及び端末20の機能の両方が、1つの装置で実現されていてもよい。本実施形態において、ルート探索装置10を、ナビゲーション装置又はコンピュータと称してもよいし、ルート探索装置10及び端末20の両方の機能を備えた装置を、ナビゲーション装置又はコンピュータと称してもよい。
【0013】
本実施形態では、ルート探索装置10は、ルート探索時、同一交差点内において又は距離が近い2つの交差点内において2段階Uターンが必要になるルートが含まれないように制御することで、通行が困難なルート案内が行われることを抑制する。本実施形態において、「2段階Uターン」とは、右折又は左折を2回繰り返すことで進行方向を逆向きにする(つまりUターンを行う)ことを意味する。
【0014】
<ハードウェア構成>
図2は、ルート探索装置10のハードウェア構成例を示す図である。ルート探索装置10は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphical processing unit)等のプロセッサ11、メモリ、HDD(Hard Disk Drive)及び/又はSSD(Solid State Drive)等の記憶装置12、有線又は無線通信を行う通信IF(Interface)13、入力操作を受け付ける入力デバイス14、及び情報の出力を行う出力デバイス15を有する。入力デバイス14は、例えば、キーボード、タッチパネル、マウス及び/又はマイク等である。出力デバイス15は、例えば、ディスプレイ、タッチパネル及び/又はスピーカ等である。
【0015】
<機能ブロック構成>
図3は、ルート探索装置10の機能ブロック構成例を示す図である。ルート探索装置10は、記憶部100と、受付部101と、探索部102と、設定部103と、決定部104と、表示制御部105とを含む。記憶部100は、ルート探索装置10が備える記憶装置12を用いて実現することができる。また、受付部101と、探索部102と、設定部103と、決定部104と、表示制御部105とは、ルート探索装置10のプロセッサ11が、記憶装置12に記憶されたプログラムを実行することにより実現することができる。また、当該プログラムは、記憶媒体に格納することができる。当該プログラムを格納した記憶媒体は、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記憶媒体(Non-transitory computer readable medium)であってもよい。非一時的な記憶媒体は特に限定されないが、例えば、USBメモリ又はCD-ROM等の記憶媒体であってもよい。
【0016】
記憶部100は、地図データ100aとコストテーブル100bとを記憶する。地図データ100aには、道路リンク(以下、単に「リンク」と言う。)及びノードに関するデータが含まれる。ここで、ノードとは、交差点や道路上の結節点といった点を示す用語であり、リンクとは、ノードとノードの間を結ぶ道路区間を示す用語である。リンクには、両方向に走行可能な双方向リンクと、一方向にのみ走行可能な片方向リンクとが存在する。通常、双方向リンクは、道路幅が狭く片側1車線のような道路に対して設定され、片方向リンクは、幹線道路のような幅が広い道路や、一方通行の道路に対して設定される。
【0017】
リンク及びノードには、「コスト」が設定されている。リンク及びノードに設定されるコストは、例えば、ルート探索時に優先的に探索されるべきリンク及びノードであるほど、低いコストに設定される。例えば、道路が太い国道に対応するリンクの方が、道路が細い路地に対応するリンクよりも低いコストに設定されていてもよい。また、リンクに設定されるコストは、渋滞情報に基づいて適宜更新されることとしてもよい。例えば、渋滞している道路に対応するリンクのコストは、渋滞していない道路に対応するリンクのコストよりも高いコストに設定されていてもよい。
【0018】
ノードに設定されるコストは、1つのコストであってもよいし、複数のコストであってもよい。複数のコストには、例えば、信号待ちコスト、右折コスト、左折コスト、料金所コスト等が含まれてもよい。信号待ちコストは、渋滞が多く信号待ち時間が長いノードの方が、信号待ち時間が短いノードよりも高いコストに設定されていてもよい。また、右折コストは、左折コストよりも高いコストに設定されていてもよい。
【0019】
コストテーブル100bには、通行が困難なルート案内を抑制するために、道路リンク又はノードに設定する(若しくは、加算又は減算する)コストの値が格納される。コストテーブルは、車種ごと、道路種別ごと、及び/又は、道路幅ごとにコストを格納可能であってもよい。
【0020】
受付部101は、ユーザから(端末20から)、ルート探索する出発地と目的地との入力を受け付ける。
【0021】
探索部102は、地図に含まれるリンク及びノードに設定されているコストに基づいて、出発地から目的地までの1以上の候補となるルート(以下、「候補ルート」と言う。)を探索する。
【0022】
設定部103は、探索部102で探索中のルートに、同一交差点又は所定範囲内に存在する2つの交差点に2段階Uターンが必要になるルートが含まれている場合、当該2段階Uターンに対応するリンク又はノードのコストを変更する。なお、コストを変更するとは、元のコストに所定コストを加算する、元のコストから所定コストを減算する、及び/又は、元のコストを所定コストに置き換えることを含む。
【0023】
ここで、探索部102で探索中のルートに、同一交差点に2段階Uターンが必要になるルートが含まれている場合とは、探索部102で探索中のルートに、当該同一交差点の進入リンクと退出リンクとの間に1以上のリンクが存在し、かつ、当該同一交差点の進入リンクと退出リンクとの角度が所定範囲内である場合であってもよい。また、2段階Uターンに対応するリンク又はノードのコストを変更するとは、当該同一交差点の進入リンク、当該同一交差点からの退出リンク、当該同一交差点の進入リンクの終点ノード及び当該同一交差点からの退出リンクの始点ノードとのうち少なくとも一つのコストを変更することであってもよい。なお、進入リンクとは、交差点に入る(進入する)リンクを意味し、退出リンクとは、交差点から出る(退出する)リンクを意味する。
【0024】
また、探索部102で探索中のルートに、所定範囲内に存在する2つの交差点(以下、「第1交差点」と「第2交差点」と言う。)に2段階Uターンが必要になるルートが含まれている場合とは、探索部102で探索中のルートに、第1交差点の進入リンクの終点ノードと、第2交差点の退出リンクの始点ノードとの間の距離が閾値以内である第1交差点と前記第2交差点とが存在し、かつ、当該第1交差点の進入リンクと当該第2交差点の退出リンクとの角度が所定範囲内である場合であってもよい。また、2段階Uターンに対応するリンク又はノードのコストを変更するとは、第1交差点の進入リンク、第2交差点の退出リンク、当該第1交差点の進入リンクの終点ノード及び当該第2交差点の退出リンクの始点ノードとのうち少なくとも一つのコストを変更することであってもよい。
【0025】
決定部104は、探索部102で探索された1以上の候補ルートのうち最もコストの低い候補ルートを、出発地から目的地までのルートとして決定する。
【0026】
表示制御部105は、ナビゲーション機能に関する各種の画面を、端末20のディスプレイに表示させる機能を有する。例えば、表示制御部105は、ディスプレイに、現在位置周辺の地図画面を表示させる機能、決定部104で決定されたルート及び端末20の現在位置を地図に重ねてディスプレイに表示させる機能等を有する。
【0027】
<処理手順>
続いて、ルート探索装置10が行う処理手順を説明する。ルート探索装置10は、ダイクストラ法又はA*法などの経路探索アルゴリズムを利用して、出発地から目的地に到達するまでの1又は複数の候補ルートを探索する。ルート探索装置10は、経路探索アルゴリズムに基づいて、出発地を出てからリンクに沿ってルートを伸長していき、目的地に到着するまでルートを伸長する処理を行う。以下の説明では、出発地からルートを伸長している途中のルートを「探索中ルート」又は「探索中のルート」と呼び、探索が完了したルート(つまり目的地に到達したルート)を「候補ルート」と呼ぶ。もし、ルート探索装置10は、探索中ルートを伸長している間に、同一交差点又は所定範囲内に存在する2つの交差点において、2段階Uターンが必要になるルートが探索中ルートの中に存在することが発見された場合、当該2段階Uターン対応するリンク又はノードのコストを増加させる。全ての候補ルートの探索が完了すると、ルート探索装置10は、探索された1以上の候補ルートのうち最もコストの低い候補ルートを、出発地から目的地にまでのルートとして決定する。このように、2段階Uターンを含む候補ルートについてはコストが増加することから、2段階Uターンを含む候補ルートは、最終的に決定される出発地から目的地までのルートからは外れることになる。なお、候補ルートは、複数のリンクを繋いだものであることから、候補リンク列又は候補リンク群などと称してもよい。また、探索中ルートも、同様に複数のリンクを繋いだものであることから、探索中リンク列又は探索中リンク群などと称してもよい。
【0028】
図4は、ルート探索装置10が行う処理手順の一例を示すフローチャートである。まず、受付部101は、端末20から(ユーザから)ルート探索を行う出発地及び目的地を受け付ける(S10)。続いて、探索部102は、地図データ100aを参照し、出発地から目的地に向かう候補ルートの探索を開始する(S11)。通常の地図であれば、出発地から目的地に向かうルートは複数存在する。探索部102は、リンクに設定されているコスト及びリンク間を接続するノードに設定されているコストを加算しながら、リンクが存在する複数の方向に探索中ルートを伸長していく(S12)。リンクが存在する複数の方向に探索中ルートを伸長する中で、出発地から伸びた複数の探索中ルートが同一ノードに到達した場合、出発地から同一ノードに至る複数の探索中ルートのうちコストが最も低い候補ルートが残り、その他の探索中ルートは削除される。
【0029】
続いて、探索部102は、探索中ルートにおいて、同一交差点において2段階Uターンを行っている箇所が存在するか否かを判定する。より具体的には、探索部102は、探索中ルートにおいて、交差点に進入する進入リンクと、当該交差点から退出する退出リンクとの間に、1以上のリンクが存在している(挟まっている)交差点が存在するか否かを判定する(S13)。存在しない場合(S13-NO)の場合、ステップS16の処理手順に進む。存在する場合(S13-YES)、進入リンクと退出リンクとの間の角度は所定範囲内であるか否かを判定する。所定範囲内ではない(S14-NO)の場合はステップS16の処理手順に進む。所定範囲内である(S14-YES)場合はステップS15の処理手順に進む。
【0030】
続いて、設定部103は、コストテーブル100bを参照し、進入リンクのコスト、退出リンクのコスト、進入リンクの終点ノード(つまり交差点側のノード)のコスト、及び、退出リンクの始点ノード(つまり交差点側のノード)のコストのうち、少なくとも1つのコストを増加させる(S15)。
【0031】
続いて、探索部102は、探索中ルートにおいて、距離が近い2つの交差点内において2段階Uターンを行っている箇所が存在するか否かを判定する。より具体的には、探索部102は、探索中ルートにおいて、第1交差点に進入する進入リンクの終点ノード(つまり第1交差点側のノード)と、第2交差点の退出リンクの始点ノード(つまり第2交差点側のノード)との間の距離が閾値以内である第1交差点及び第2交差点が存在するか否かを判定する(S16)。閾値は任意であるが、例えば、30メートル、50メートルなどであってもよい。存在しない場合(S16-NO)の場合、ステップS19の処理手順に進む。存在する場合(S16-YES)、進入リンクと退出リンクとの間の角度は所定範囲内であるか否かを判定する。所定範囲内ではない(S17-NO)の場合はステップS19の処理手順に進む。所定範囲内である(S17-YES)場合はステップS18の処理手順に進む。
【0032】
続いて、設定部103は、コストテーブル100bを参照し、進入リンクのコスト、退出リンクのコスト、進入リンクの終点ノード(つまり第1交差点側のノード)のコスト、及び、退出リンクの始点ノード(つまり第2交差点側のノード)のコストのうち少なくとも1つのコストを増加させる(S18)。
【0033】
以上説明したステップS13~ステップS18の処理手順は、探索中ルート毎に実行される。全ての探索中ルートについてルート探索が終了するまで、ステップS12~ステップS18の処理手順が繰り返し実行される(S19-NO)。全ての探索中ルートについてルート探索が終了すると(S19-YES)、ステップS20の処理手順に進む。
【0034】
決定部104は、探索部102で探索された1以上の候補ルートの中から、最も合計コストが低い候補ルートを、出発地から目的地にまでのルートとして決定する(S20)。表示制御部105は、ステップS20の処理手順で探索されたルートを地図画面上に重ねて表示させる(S21)。
【0035】
(進入リンクと退出リンクとの間の角度が所定範囲であることについて)
図5は、進入リンクと退出リンクとの間の角度を説明するための図である。図5のAにおける角度αは、進入リンクL1の終点ノードN1と、退出リンクL2の始点ノードN2とを重ね合わせた場合において、進入リンクを終点ノードN1よりも先に延長した線と、退出リンクL2との間の右回りの角度を示す。図4のステップS14及びステップS17の処理手順における、進入リンクと退出リンクとの間の角度は、図5のAに示す角度αに対応する。また、進入リンクと退出リンクとの間の角度が所定範囲である場合とは、進入リンクと退出リンクとの間の角度αが、図5のBに示す「Uターン」の範囲に含まれる場合(例えば、170°<α<190°又は170°≦α≦190°)であってもよい。なお、図5は一例に過ぎず、Uターンの範囲が図5のBに示す角度に限定されるものではない。例えば、160°<α<200°などであってもよい。また、角度αは、図5のAに示す例に限られない。例えば、角度αは、進入リンクL1の終点ノードN1と、退出リンクL2の始点ノードN2とを重ね合わせた場合において、進入リンクと退出リンクL2との間の角度(つまり図5のAにおける180°-αに相当する角度)であってもよい。この場合、進入リンクと退出リンクとの間の角度が所定範囲である場合とは、進入リンクと退出リンクとの間の角度αが、例えば、-10°<α<10°又は-10°≦α≦10°などであってもよい。
【0036】
(コスト増加について)
図4のステップS15及びステップS18の処理手順において、設定部103が増加させるコストは、車両種別ごとに異なるコストを設定可能であってもよい。また、設定部103が増加させるコストは、道路種別ごとに異なるコストを設定可能であってもよい。また、設定部103が増加させるコストは、道路幅ごとに異なるコストを設定可能であってもよい。また、設定部103が増加させるコストは、車両種別ごと及び道路種別ごとに異なるコストを設定可能であってもよい。また、設定部103が増加させるコストは、車両種別ごと及び道路幅ごとに異なるコストを設定可能であってもよい。また、設定部103が増加させるコストは、車両種別ごと、道路種別ごと及び道路幅ごとに異なるコストを設定可能であってもよい。
【0037】
図6は、コストテーブル100bの一例を示す図である。図6に示すコストテーブル100bは、車両種別ごと及び道路種別ごとに異なるコストを定義する場合の例を示している。例えば、図6の例では、内輪差が大きな車両ほどコストが高くなり、道路幅が細い道路種別ほどコストが高くなるように設定されている。これにより、ルート探索装置10は、内輪差が大きな車両ほど、道路幅が細い道路種別では2段階Uターンを避けるようなルート探索を行うことになる。なお、図6の例では、高速道路については通常Uターンが不可能であることから、車種に関わらず一律高いコストが設定されている。
【0038】
図4のステップS15及びステップS18の処理手順において、設定部103は、コストテーブル100bに示される値を、進入リンクの終点ノードのコストに加算又は乗算するようにしてもよい。更に、設定部103は、退出リンクの始点ノードのコストについてはゼロにするようにしてもよい。また、設定部103は、進入リンクのコスト、退出リンクのコスト、進入リンクの終点ノードのコスト、及び、退出リンクの始点ノードのうちコストの少なくとも1つを、コストテーブル100bに示される値に置き換えるようにしてもよい。例えば、設定部103は、進入リンクの終点ノードのコストを、コストテーブル100bに示される値に置き換えるようにしてもよい。
【0039】
(具体例)
図7は、同一交差点における2段階Uターンの具体例を示す図である。図7において矢印が付与されているリンク(L10、L13、L14、L16)は、一方向のみに走行可能な片方向リンクであり、矢印が付与されていないリンク(L11、L12、L15、L17、L18)は、両方向に走行可能な双方向リンクであるものとする。また、ノードN10、N11及びN12には、全て同一の交差点Xに存在することを示すデータ(例えば同一の交差点識別子など)が付与されているものとする。
【0040】
[具体例1]
ルート探索中、リンクL10、リンクL17、リンクL16の順に通行する探索中ルートが発見されたとする。まず、探索部102は、リンクL10の終点ノードN10と、リンクL17の両端のノードN10及びN11と、リンクL16の始点ノードN11は、全て同一の交差点Xに存在することから、リンクL10は交差点Xへの進入リンクであり、リンクL16は、交差点Xからの退出リンクであると判定する。続いて、探索部102は、進入リンクL10及び退出リンクL16の間に、リンクL17が挟まっていることを判定する(図4のS13)。続いて、探索部102は、進入リンクL10及び退出リンクL16の角度が所定範囲内であるか否かを判定する(図4のS14)。図7の例では、当該角度は約180°であることから、探索部102は、進入リンクL10及び退出リンクL16の角度は所定範囲内であると判定する。続いて、設定部103は、進入リンクL10、退出リンクL16、リンクL10の終点ノードN10、リンクL16の始点ノードN11の少なくとも1つのコストを、コストテーブル100bに従って増加させる。
【0041】
[具体例2]
ルート探索中、リンクL18、リンクL12、リンクL13の順に通行する探索中ルートが発見されたとする。まず、探索部102は、リンクL18の終点ノードN12と、リンクL12の両端のノードN10及びN12と、リンクL13の始点ノードN10は、全て同一の交差点Xに存在することから、リンクL18は交差点Xへの進入リンクであり、リンクL13は、交差点Xからの退出リンクであると判定する。続いて、探索部102は、進入リンクL18及び退出リンクL13の間に、リンクL12が挟まっていることを判定する(図4のS13)。続いて、探索部102は、進入リンクL18及び退出リンクL13の角度が所定範囲内であるか否かを判定する(図4のS14)。図7の例では、当該角度は約350°であることから、探索部102は、進入リンクL10及び退出リンクL18の角度は所定範囲内ではないと判定する。従って、具体例2では、設定部103は、コスト変更を行わない。
【0042】
図8は、距離が近い2つの交差点における2段階Uターンの具体例を示す図である。図8では、全てのリンクが両方向に走行可能な双方向リンクであるものとする。また、ノードN20、N21及びN22には、それぞれ、異なる交差点X、Y及びZに存在することを示すデータ(例えば交差点識別子など)が付与されているものとする。また、ノードN20及びN22の距離は閾値以内であり、ノードN20及びN21の距離は閾値以内であるものとする。また、ノードN21及びN22の距離は閾値を超えるものとする。
【0043】
[具体例3]
ルート探索中、リンクL20、リンクL27、リンクL26の順に通行するルートが発見されたとする。まず、探索部102は、交差点Xへの進入リンクL20の終点ノードN20と、交差点Yからの退出リンクL26の始点ノードN21は、異なる交差点に存在しており、かつ、ノードN20及びN21の距離は閾値以内であることを判定する(図4のS16)。続いて、探索部102は、進入リンクL20及び退出リンクL26の角度が所定範囲内であるか否かを判定する(図4のS17)。図7の例では、当該角度は約180°であることから、探索部102は、進入リンクL20及び退出リンクL26の角度は所定範囲内であると判定する。続いて、設定部103は、進入リンクL20、退出リンクL26、リンクL20の終点ノードN20、リンクL26の始点ノードN21の少なくとも1つのコストを、コストテーブル100bに従って増加させる。
【0044】
[具体例4]
ルート探索中、リンクL21、リンクL22、リンクL23の順に通行するルートが発見されたとする。まず、探索部102は、交差点Zへの進入リンクL21の終点ノードN22と、交差点Xからの退出リンクL23の始点ノードN20は、異なる交差点に存在しており、かつ、ノードN20及びN22の距離は閾値以内であることを判定する(図4のS16)。続いて、探索部102は、進入リンクL21及び退出リンクL23の角度が所定範囲内であるか否かを判定する(図4のS17)。図7の例では、当該角度は約270°であることから、探索部102は、進入リンクL20及び退出リンクL26の角度は所定範囲内ではないと判定する。従って、具体例2では、設定部103は、コスト変更を行わない。
【0045】
<変形例>
ルート探索装置10は、2段階Uターンが必要になるルートが含まれている場合にコストを増加させる機能を動作させるか否かを切り替え可能としてもよい、例えば、ルート探索装置10は、ユーザから本実施形態に係る機能を動作させるとの指示を受けた場合、図4のステップS13~ステップS20の処理手順を実行し、ユーザから本実施形態に係る機能を動作させないとの指示を受けた場合、図4のステップS13~ステップS20の処理手順をスキップするようにしてもよい。
【0046】
探索部102は、図4のステップS16がYESである場合、更に、進入リンクの終点ノード及び退出リンクの始点ノードの両方で右折をするか否か、及び、進入リンクの終点ノード及び退出リンクの始点ノードの両方で左折をするか否かを判定し、両方で右折又は両方で左折を行う場合、ステップS17の処理手順に進むようにしてもよい。また、両方で右折又は両方で左折を行わない場合、ステップS19の処理手順に進むようにしてもよい。
【0047】
<まとめ>
以上説明した実施形態によれば、ルート探索装置10は、同一交差点又は所定範囲内に存在する2つの交差点に、2段階Uターンが必要になるルートが含まれている場合、2段階Uターンが必要になるルートのコストを増加させるようにした。これにより、通行が困難なルート案内が行われることを抑制する技術を提供することが可能になる。
【0048】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態で説明したフローチャート、シーケンス、実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0049】
1…ナビゲーションシステム、10…ルート探索装置、11…プロセッサ、12…記憶装置、13…通信IF、14…入力デバイス、15…出力デバイス、100…記憶部、100a…地図データ、100b…コストテーブル、101…受付部、102…探索部、103…設定部、104…決定部、105…表示制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8