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特許7539854ガスエンジンまたは二元燃料エンジンのためのガス供給システム、およびガス供給システムを運転するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-16
(45)【発行日】2024-08-26
(54)【発明の名称】ガスエンジンまたは二元燃料エンジンのためのガス供給システム、およびガス供給システムを運転するための方法
(51)【国際特許分類】
   F02M 21/02 20060101AFI20240819BHJP
   F02B 69/04 20060101ALI20240819BHJP
   F02B 43/00 20060101ALI20240819BHJP
   F23K 5/00 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
F02M21/02 301A
F02B69/04
F02B43/00 Z
F02M21/02 R
F23K5/00 301Z
【請求項の数】 8
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021101635
(22)【出願日】2021-06-18
(65)【公開番号】P2022001762
(43)【公開日】2022-01-06
【審査請求日】2023-11-24
(31)【優先権主張番号】10 2020 116 222.7
(32)【優先日】2020-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510153962
【氏名又は名称】マン・エナジー・ソリューションズ・エスイー
【氏名又は名称原語表記】MAN ENERGY SOLUTIONS SE
【住所又は居所原語表記】Stadtbachstr.1 86153 Augsburg,GERMANY
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ビョルン・ディルムダム
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・リンデルマイヤー
【審査官】櫻田 正紀
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第02952727(EP,A1)
【文献】国際公開第2011/077715(WO,A1)
【文献】特開2016-173101(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0283788(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 21/02
F02B 69/04
F02B 43/00
F23K 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスエンジンまたは二元燃料エンジンとして設計されたエンジン(11)のためのガス供給システム(10)であって、
前記エンジン(11)のガス燃料運転モードにおいて、要求されるエンジン出力に応じて、前記エンジン(11)に一定のガス圧力のガス状の燃料を供給するためのガス制御ステーション(16)と、
前記ガス制御ステーション(16)から前記エンジン(11)のシリンダ(13)へと延在する二重壁ガスライン(18)であって、前記二重壁ガスライン(18)は、内側パイプ(18a)と、少なくとも部分的に前記内側パイプ(18a)を取り囲む外側パイプ(18b)と、を備え、前記ガス燃料運転モードにおいて、前記二重壁ガスライン(18)の前記内側パイプ(18a)には、前記ガス状の燃料が、前記二重壁ガスライン(18)のガス制御ステーション側端部(19)から発して前記二重壁ガスライン(18)のエンジン側端部(20)の方向に、貫流することが可能である、二重壁ガスライン(18)と、
不活性ガスパージライン(25)および前記不活性ガスパージライン(25)に割り当てられる第1遮断バルブ(26)であって、前記第1遮断バルブ(26)が開放されている前記エンジン(11)のパージモードにおいて、不活性ガスは、前記不活性ガスパージライン(25)を介して、前記二重壁ガスライン(18)の前記ガス制御ステーション側端部(19)で、前記二重壁ガスライン(18)の前記外側パイプ(18b)に送られることが可能であり、前記不活性ガスは、前記二重壁ガスライン(18)の前記エンジン側端部(20)の方向に、前記外側パイプ(18b)を貫流し、前記エンジン側端部(20)で、前記不活性ガスは、前記内側パイプ(18a)へと通り抜け、前記不活性ガスが前記二重壁ガスライン(18)から出る前記二重壁ガスライン(18)の前記ガス制御ステーション側端部(19)の方向に、前記内側パイプ(18a)を介して流れ戻る、不活性ガスパージライン(25)および第1遮断バルブ(26)と、
を有する、ガス供給システム(10)において、
前記ガス制御ステーション(16)の領域において、前記二重壁ガスライン(18)の前記ガス制御ステーション側端部(19)に向かって、ガスライン(17)が延在し、前記ガスライン(17)には、少なくとも1つのガス遮断バルブ(21)が組み込まれ、当該ガスライン(17)は、前記二重壁ガスライン(18)の前記内側パイプ(18a)へと合流する、または前記内側パイプ(18a)を提供し、
少なくとも1つの通気ライン(30)は、前記少なくとも1つのガス遮断バルブ(21)と、前記二重壁ガスライン(18)の前記ガス制御ステーション側端部(19)と、の間で、前記ガスライン17から分岐し、前記通気ライン(30)は、それぞれの前記通気ライン(30)に組み込まれる通気バルブ(29)を有し、
前記通気バルブ(29)が開放されかつ前記ガス遮断バルブ(21)が閉鎖されるとき、前記ガス制御ステーション側端部(19)で前記二重壁ガスライン(18)から出る前記不活性ガスは、前記エンジン(11)の前記パージモードにおいて、それぞれの前記通気ライン(30)を介して、排出されることが可能であることを特徴とする、ガス供給システム(10)
【請求項2】
前記エンジン(11)にガス状の燃料を供給するために、前記第1遮断バルブ(26)が閉鎖されることを特徴とする、請求項1に記載のガス供給システム。
【請求項3】
圧力センサ(32)が前記二重壁ガスライン(18)に接続され、前記圧力センサ(32)を介して、前記不活性ガスで満たされた前記二重壁ガスライン(18)の圧力降下が検出可能であることを特徴とする、請求項1または2に記載のガス供給システム。
【請求項4】
前記二重壁ガスライン(18)の前記エンジン側端部(20)には、バルブ(31)が設けられ、前記バルブ(31)は、前記パージモードにおいて、前記二重壁ガスライン(18)の前記外側パイプ(18b)から前記二重壁ガスライン(18)の前記内側パイプ(18a)への前記不活性ガスの通り抜けを許容することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のガス供給システム。
【請求項5】
前記二重壁ガスライン(18)の前記外側パイプ(18b)には、前記エンジンの前記ガス燃料運転モードにおいて、ガス漏れを排出するために、前記ガス制御ステーション(16)の方向にパージエアが貫流することが可能であり、前記パージエアは、前記二重壁ガスライン(18)の前記エンジン側端部(20)で前記外側パイプ(18b)に、パージエア供給ライン(23)を介して送られることが可能であり、前記パージエアは、パージエア排出ライン(24)を介して、前記二重壁ガスライン(18)の前記ガス制御ステーション側端部(19)で前記外側パイプ(18b)から排出されることが可能であり、
第2遮断バルブ(27)が、前記パージエア供給ライン(23)に割り当てられ、第3遮断バルブ(28)が、前記パージエア排出ライン(24)に割り当てられ、前記第2遮断バルブ(27)および前記第3遮断バルブ(28)は、前記エンジン(11)の前記パージモードにおいて閉鎖され、前記エンジン(11)の前記ガス燃料運転モードにおいて開放されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載のガス供給システム。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のガス供給システムを運転するための方法であって、前記エンジン(11)の前記ガス燃料運転モードにおいて、ガス状の燃料が前記エンジン内で燃焼されるとき、前記第1遮断バルブ(26)が閉鎖されることを特徴とする、方法。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか1項に記載のガス供給システムを運転するための方法であって、前記エンジン(11)の前記パージモードにおいて、ガス状の燃料が前記エンジン内で燃焼されないとき、前記第1遮断バルブ(26)が開放されることを特徴とする、方法。
【請求項8】
ガスエンジンまたは二元燃料エンジンとして設計されたエンジン(11)のためのガス供給システムを運転するための方法であって、
前記ガス供給システム(10)は、
前記エンジン(11)のガス燃料運転モードにおいて、要求されるエンジン出力に応じて、前記エンジン(11)に一定のガス圧力のガス状の燃料を供給するためのガス制御ステーション(16)と、
前記ガス制御ステーション(16)から前記エンジン(11)のシリンダ(13)へと延在する二重壁ガスライン(18)であって、前記二重壁ガスライン(18)は、内側パイプ(18a)と、少なくとも部分的に前記内側パイプ(18a)を取り囲む外側パイプ(18b)と、を備え、前記ガス燃料運転モードにおいて、前記二重壁ガスライン(18)の前記内側パイプ(18a)には、前記ガス状の燃料が、前記二重壁ガスライン(18)のガス制御ステーション側端部(19)から発して前記二重壁ガスライン(18)のエンジン側端部(20)の方向に、貫流することが可能である、二重壁ガスライン(18)と、
不活性ガスパージライン(25)および前記不活性ガスパージライン(25)に割り当てられる第1遮断バルブ(26)であって、前記第1遮断バルブ(26)が開放されている前記エンジン(11)のパージモードにおいて、不活性ガスは、前記不活性ガスパージライン(25)を介して、前記二重壁ガスライン(18)の前記ガス制御ステーション側端部(19)で、前記二重壁ガスライン(18)の前記外側パイプ(18b)に送られることが可能であり、前記不活性ガスは、前記二重壁ガスライン(18)の前記エンジン側端部(20)の方向に、前記外側パイプ(18b)を貫流し、前記エンジン側端部(20)で、前記不活性ガスは、前記内側パイプ(18a)へと通り抜け、前記不活性ガスが前記二重壁ガスライン(18)から出る前記二重壁ガスライン(18)の前記ガス制御ステーション側端部(19)の方向に、前記内側パイプ(18a)を介して流れ戻る、不活性ガスパージライン(25)および第1遮断バルブ(26)と、
を有し、
圧力センサ(32)が前記二重壁ガスライン(18)に接続され、前記圧力センサ(32)を介して、前記不活性ガスで満たされた前記二重壁ガスライン(18)の圧力降下が検出可能である、ガス供給システムを運転するための方法において、
前記エンジン(11)の前記パージモードにおいて、ガス状の燃料が前記エンジン内で燃焼されないとき、前記二重壁ガスライン(18)は、前記不活性ガスで満たされ、次に、前記第1遮断バルブ(26)が閉鎖され、次に、前記二重壁ガスライン(18)内の圧力が前記圧力センサ(32)を介して監視されることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスエンジンまたは二元燃料エンジンのためのガス供給および不活性化システムに関する。さらに、本発明は、ガス供給システムを運転するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスエンジンおよび二元燃料エンジンでは、ガス燃料運転モードにおいて燃料としてガス状の燃料が燃焼される。ガス供給システムにより、それぞれのエンジンには、ガス状の燃料が供給され得る。このようなガス供給システムは、ガス状の燃料を保持するためのタンクと、要求されるエンジン出力に応じて、ガス制御ステーションからエンジンのシリンダへと延在する二重壁ガスラインを介して、一定のガス圧力のガス状の燃料をエンジンに供給するためのガス制御ステーションと、を備える。
【0003】
ガス供給および不活性化システムの二重壁ガスラインは、エンジンのガス供給のために、エンジンの方向にガスが貫流する内側パイプを備える。さらに、ガス供給システムの二重壁ガスラインは、外側パイプを備え、外側パイプは、少なくとも部分的に内側パイプを取り囲み、かつパージエアの助けにより潜在的なガス漏れを排出するために、ガス制御ステーションの方向にパージエアが貫流する。内側パイプと外側パイプとは、内側パイプとは逆流方向にパージエアが貫流する漏れ流路を画成する。
【0004】
このようなガス供給システムのガス制御ステーションは、GVUスペースとも呼ばれる。
【0005】
ガスエンジンのパージ運転中、および、特に二元燃料エンジンがガス燃料運転モードから液体燃料運転モードへ切り替えられるときに、前にガス状の燃料を案内していたラインを不活性ガスでパージすることが要求される。この目的のために、実際に知られているエンジンでは、エンジンの領域の不活性ガスパージラインの複雑な配管が要求される。これは不利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、ガス状の燃料を案内するパイプを不活性ガスで、すなわち構造的支出をほとんど伴わず、エンジンの領域の不活性ガスパージラインの複雑なパイプを必要とせずに、パージすることが可能な、ガスエンジンまたは二元燃料エンジンのためのガス供給システムが必要である。ここから始まり、本発明は、ガスエンジンまたは二元燃料エンジンのための新しいタイプのガス供給システムおよびガス供給システムを運転するための方法を創出するという課題に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によると、請求項1に記載のガスエンジンまたは二元燃料エンジンのためのガス供給システムを通して課題は解決される。
【0008】
本発明によるガス供給システムは、エンジンのガス燃料運転モードにおいて、要求されるエンジン出力に応じて、エンジンに一定のガス圧力のガス状の燃料を供給するように機能するガス制御ステーションを備える。
【0009】
さらに、本発明によるガス供給システムは、ガス制御ステーションからエンジンのシリンダへと延在する二重壁ガスラインであって、二重壁ガスラインは、内側パイプと、少なくとも部分的に内側パイプを取り囲む外側パイプと、を備え、ガス燃料運転モードにおいて、二重壁ガスラインの内側パイプには、ガス状の燃料が、二重壁ガスラインのガス制御ステーション側端部から発して二重壁ガスラインのエンジン側端部の方向に貫流し得る、二重壁ガスラインを備える。
【0010】
本発明によるガス供給システムは、さらに、不活性ガスパージラインおよび不活性パージラインに割り当てられる遮断バルブであって、第1遮断バルブが開放されているエンジンのパージモードにおいて、不活性ガスは、不活性ガスパージラインを介して、二重壁ガスラインのガス制御ステーション側端部で二重壁ガスラインの外側パイプに送られ得、不活性ガスは、二重壁ガスラインのエンジン側端部の方向に、外側パイプを貫流し、エンジン側端部で、前記不活性ガスは、内側パイプへと通り抜け、ガス制御ステーション側端部から二重壁ガスラインを出るために、二重壁ガスラインのガス制御ステーション側端部の方向に、内側パイプを介して流れ戻る、不活性ガスパージラインおよび遮断バルブを備える。
【0011】
本発明では、ガス供給システムであって、ガス燃料運転モードにおいて二重壁ガスラインの内側パイプにガス状の燃料が貫流する、二重壁ガスラインには、パージモードにおいて、二重壁ガスラインのガス制御ステーション側端部を介して不活性ガスが供給され得、不活性ガスは、はじめに、外側パイプを介して流れ、エンジン側端部の領域で、外側パイプから内側パイプへと通り抜け、次に、内側パイプから排出されるために、ガス制御ステーション側端部の方向に、内側パイプを介して流れ戻る、ガス供給システムが提案される。これにより、これまで要求されていたエンジンの領域の不活性ガスパージラインの複雑な配管なしで済ますことが可能である。
【0012】
本発明の有利なさらなる展開によると、バルブが、二重壁ガスラインのエンジン側端部に設けられ、バルブは、エンジンのパージモードにおいて、二重壁ガスラインの外側パイプから二重壁ガスラインの内側パイプへの、不活性ガスの通り抜けを可能にする。このバルブにより、一方では、エンジンのパージモードにおいて、外側パイプから内側パイプへの不活性ガスの通り抜けが可能であり、他方では、ガスモードにおいて、内側パイプから外側パイプへの燃料ガスの通り抜けが阻害されることが、確保される。このバルブは、例えば逆止バルブまたは能動的切替可能バルブであり得る。
【0013】
有利なさらなる展開によると、圧力センサが二重壁ガスラインに接続され、圧力センサを介して、不活性ガスで満たされた二重壁ガスラインの圧力降下が検出可能である。これにより、二重壁ガスラインのための漏れ試験が容易にかつ確実に実現され得る。
【0014】
ガス供給システムを運転するための方法は、請求項7、8および9に定義される。
【0015】
本発明の好ましいさらなる展開は、従属請求項および以下の説明から得られる。本発明の例示的な実施形態は、これに限定されることなく、図面によってより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1状態のガスエンジンまたは二元燃料エンジンのための本発明によるガス供給システムを示す。
図2】第2状態のガス供給システムを示す。
図3図2の詳細IIIを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、特に船舶で採用される、ガスエンジンまたは二元燃料エンジンとして設計されたエンジンのためのガス供給システムに関する。本発明は、さらに、このようなガス供給システムを運転するための方法に関する。
【0018】
図1および図2は、二元燃料エンジンとして設計されたエンジン11とともに、本発明の意味での好ましいガス供給システム10の例示的な実施形態を示す。エンジン11は、エンジンルーム12に配置される。
【0019】
二元燃料エンジンまたは純ガスエンジンとして設計されたエンジン11は、複数のシリンダ13を備え、シリンダ13内で、エンジンのガス燃料運転モードにおいて、ガス状の燃料が燃焼される。液体燃料運転モードにおいて、エンジン11のシリンダ13内で、例えばディーゼル燃料などの液体燃料が燃焼され得る。
【0020】
さらに、図1は、エンジンルーム12に配置された発電機14を示し、発電機14は、クラッチ15を介してエンジン11と結合され得る。クラッチ15がつなげられているとき、例えば電気エネルギーを生成するために、発電機14は、エンジン11により駆動され得る。エンジン11はまた、他の出力部に、例えば船舶において船舶のプロペラに、駆動力を提供するために利用され得る。
【0021】
ガス燃料運転モードにおいて、エンジン11のシリンダ13には、ガス供給システム10を介してガス状の燃料が提供される。ガス供給システム10は、図示されないガス状の燃料を提供するためのタンクを備える。
【0022】
さらに、ガス供給システム10は、前述のGVUスペース16の一部であるガス制御ステーションを備える。ガス制御ステーション16は、要求されるエンジン出力に応じて、エンジン11にガス状の燃料を、すなわち一定のガス圧力のガス状の燃料を、供給するように機能する。
【0023】
図1は、図示されていないタンクから発してエンジン11の方向に延在するガスライン17を示し、ガス制御ステーション16とエンジン11との間のこのガスライン17は、二重壁ガスライン18の一部である。二重壁ガスライン18の領域において、ガスライン17は、二重壁ガスライン18の内側パイプ18aを形成し、二重壁ガスライン18のこの内側パイプ18aは、部分的に外側パイプ18bによって囲まれる。
【0024】
二重壁ガスライン18の内側パイプ18aと外側パイプ18bとは、互いに分離される流路を形成する。
【0025】
二重壁ガスライン18は、ガス制御ステーション側端部19と、エンジン側端部20と、を備える。エンジン11のガス燃料運転モードにおいて、二重壁ガスラインには、ガス状の燃料が、ガス制御ステーション側端部19から発してエンジン側端部20の方向に、すなわち二重壁ガスライン18の内側パイプ18aを貫流する。
【0026】
図1は、ガス制御ステーション16の領域に設置されるガス遮断バルブ21を示す。特に、エンジン11がガス燃料運転モードで運転されるときに、これらのガス遮断バルブ21は、開放される。ガス状の燃料の流れ方向に見てガス遮断バルブ21の上流に、圧力制御部22のアセンブリが示され、圧力制御部22のアセンブリを介して、ガス状の燃料の一定のガス圧力が提供され得る。さらに、図1は、ガス制御ステーション16の領域に設置される通気バルブ29を示し、通気バルブ29は、通気ライン30と相互作用する。
【0027】
図1および図2に示されるガス供給システム10において、ガス燃料運転モードでは、任意のガス漏れの排出のための二重壁ガスライン18の外側パイプ18bには、パージエアが、すなわちエンジン側端部20から発して二重壁ガスライン18のガス制御ステーション側端部19の方向に貫流し、その結果、したがって、ガス燃料運転モードにおいて、図1および図2のガス供給システム10では、内側パイプ18aおよび外側パイプ18bには、それぞれガスとパージエアとが逆方向に貫流することが提供される。パージエアは、二重壁ガスライン18のエンジン側端部20で外側パイプ18bに、すなわちパージエア供給ライン23を介して、送られ得る。パージエアは、ガス制御ステーション側端部19で二重壁ガスラインを出て、パージエア排出ライン24を介して排出され得る。
【0028】
本発明によるガス供給システム10においては、不活性ガスパージライン25が存在し、すなわち不活性ガスパージライン25に割り当てられる第1遮断バルブ26とともに、提供される。特に、パージエア供給ライン23とパージエア排出ライン24とが存在するとき、第2遮断バルブ27と第3遮断バルブ28とが、それぞれパージエア供給ライン23とパージエア排出ライン24とに割り当てられる。
【0029】
ガス燃料運転モードにおいて、第2遮断バルブ27と第3遮断バルブ28とは、双方とも開放され、一方で、第1遮断バルブ26は対照的に、ガス燃料運転モードにおいては閉鎖される。特に、エンジン11のガス燃料運転モードではなく、むしろパージ運転するとき、例えば二元燃料エンジンをガス燃料運転モードから液体燃料運転モードへ切り替えるために、第1遮断バルブ26が開放され、このため、不活性ガスが、不活性ガスパージライン25を介して、二重壁ガスライン18のガス制御ステーション側端部19で、二重壁ガスライン18の外側パイプ18bに送られ、不活性ガスは、二重壁ガスライン18のエンジン側端部20の方向に外側パイプ18bを貫流し、エンジン側端部20で、外側パイプ18bから内側パイプ18aへと通り抜け、ガス制御ステーション側端部19で二重壁ガスライン18を出るために、または、通気装置29、30を介して、ガス制御ステーション側端部19で排出されるために、二重壁ガスライン18のガス制御ステーション側端部19の方向に内側パイプ18aを介して流れ戻る。特に、パージエア供給ライン23とパージエア排出ライン24とが存在するとき、第2遮断バルブ27と第3遮断バルブ28とは、パージモードにおいて双方とも閉鎖される。同様に、2つのガス遮断バルブ21は、パージモードにおいて閉鎖される。
【0030】
上で記述されたように、2つのガス遮断バルブ21が、ガス制御ステーション16の領域に存在する。複数の通気バルブ29が同様に存在し、示される例示的な実施形態においては、2つの通気バルブ29が通気ライン30に割り当てられ、通気ライン30は、ガス遮断バルブ21またはそれぞれのガス遮断バルブ21と、二重壁ガスライン18のガス制御ステーション側端部19と、の間で、ガスライン17から分岐する。
【0031】
上で説明されたように、ガス遮断バルブ21がパージモードにおいて閉鎖される一方で、ガス遮断バルブ21と二重壁ガスライン18のガス制御ステーション側端部19との間でガスライン17から分岐する通気ライン30に割り当てられる通気バルブ29は対照的に、エンジン11のパージモードにおいては開放され、その結果、二重壁ガスライン18のこのガス制御ステーション側端部から、すなわち二重壁ガスライン18の内側パイプ18aから出る不活性ガスは、通気ライン30を介して排出され得る。
【0032】
特に、図1に示されるように、エンジン11がガスモードで運転されるとき、第1遮断バルブ26は閉鎖され、不活性ガスはエンジン11へと案内されない。ガス遮断バルブ21は、二重壁ガスライン18を介して、内側パイプ18aを介して、ガス状の燃料がエンジン11のシリンダ13に送られ得るように開放される。
【0033】
特に、ガス燃料運転モードにおいて、外側パイプ18bがパージエアでパージされるとき、2つの遮断バルブ27および28が開放され、その結果、パージエア供給ライン23を介して、パージエアがエンジン側端部20で二重壁ガスライン18に、すなわち外側パイプ18bに送られ得、二重壁ガスライン18のガス制御ステーション側端部19で二重壁ガスライン18を、すなわち外側パイプ18bを出るパージエアは、パージエア排出ライン24を介して案内され得る。ガス燃料運転モードにおいて、通気バルブ29は、閉鎖される。
【0034】
パージモードにおいて、第1遮断バルブ26は、開放され、第2遮断バルブ27および第3遮断バルブ28は、双方とも閉鎖される。ガス遮断バルブ21もまた、閉鎖される。ガス遮断バルブ21と二重壁ガスライン18のガス制御ステーション側端部19との間でガスライン17から分岐する通気ライン30に割り当てられる通気バルブ29の少なくとも1つは、開放される。
【0035】
したがって、不活性ガスは、遮断バルブ26が開放されているパージモードにおいて、二重壁ガスライン18のガス制御ステーション側端部19を介して外側パイプ18bに送られ得、不活性ガスは、その後、二重壁ガスライン18のエンジン側端部20の方向に外側パイプ18bを介して流れ、エンジン側端部20で、不活性ガスは、内側パイプ18aへと通り抜ける。内側パイプ18aにおいて、不活性ガスは、エンジン側端部20から、不活性ガスが二重壁ガスライン18から出る二重壁ガスライン18のガス制御ステーション側端部19に、流れ戻り、不活性ガスの流れ方向に見てガス遮断バルブ21の上流でガスライン17から分岐する通気ライン30を介して排出される。
【0036】
図3の詳細IIIから最も明らかなように、バルブ31は、二重壁ガスライン18のエンジン側端部20に設けられ、バルブ31は、パージモードにおいて、二重壁ガスライン18の外側パイプ18bから二重壁ガスラインの内側パイプ18aへの、不活性ガスの通り抜けを許容する。示される例示的な実施形態において、このバルブ31は逆止バルブである。特に、ガス燃料運転モードにおいて、内側パイプ18aにガス状の燃料が逆方向に貫流するとき、逆止バルブ31は閉鎖される。
【0037】
切替可能バルブもまた、バルブ31として採用され得る。しかしながら、逆止バルブは設計の点でより容易である。
【0038】
二重壁ガスライン18には、二重壁ガスライン18内の、特に外側パイプ18b内の圧力を測定するために、圧力センサ32が割り当てられ得る。これは、特に、パージモードにおいて、二重壁ガスライン18が、内側パイプ18aおよび外側パイプ18bの双方について、不活性ガスで満たされるとき、第1遮断バルブ26を閉鎖し、次に二重壁ガスライン18の圧力を監視するように機能する。圧力降下が検出されるとき、二重壁ガスライン18の漏れが結論付けられ得る。この機能は、前提条件として、バルブ31のような切替可能バルブを要求する。バルブ31は、バルブ26の前に閉鎖される必要がある。次に、圧力降下が外側パイプ18bで監視される。
【0039】
図1および図2において、パージエア供給ライン23およびパージエア排出ライン24が、2つの遮断バルブ27および28とともに示されているが、これらのアセンブリは、なしでも済まされ得る。この場合、ガス燃料運転モードにおいて、外側パイプ18bは、不活性ガスで満たされ得る。外側パイプ18b内の不活性ガスの圧力は、次に、内側パイプ18a内のガス状の燃料の圧力よりも高い。これにより、パージエア供給ライン23およびパージエア排出ライン24を省略することによって、ガス供給システム10の特に簡素な構造が確保され得る。次に、外側パイプ18bは、不活性ガスで恒久的に満たされる。これは、次に、パージモードにおいて、例えば、二元燃料エンジンをガス燃料運転モードから液体燃料運転モードへ変更するときに、内側パイプ18aをパージするために利用され得る。
【0040】
さらに、本発明は、ガス供給システム10を運転するための方法に関し、ガス燃料運転モードにおいては、遮断バルブ26が閉鎖され、パージモードにおいては、遮断バルブ26が開放されることが規定される。パージエア供給ライン23およびパージエア排出ライン24が存在するとき、双方の遮断バルブ27および28は、ガス燃料運転モードにおいて開放され、双方は、パージモードにおいてそれぞれ閉鎖される。
【0041】
特に、エンジン11のパージモードにおいて、ガス状の燃料がエンジン内で燃焼されず、2つのガス遮断バルブ21が閉鎖されるとき、および、さらに、二重壁ガスライン18が、遮断バルブ26の開放により不活性ガスで満たされているとき、第1遮断バルブ26は、閉鎖され得、次に、二重壁ガスライン18内の圧力は、圧力センサ32で監視され、その上、圧力が変化すると、次に、二重壁ガスラインの漏れが結論付けられ得る。
【符号の説明】
【0042】
10 ガス供給システム
11 エンジン
12 エンジンルーム
13 シリンダ
14 出力部/発電機
15 クラッチ
16 ガス制御ステーション
17 ガスライン
18 二重壁ガスライン
18a 内側パイプ
18b 外側パイプ
19 ガス制御ステーション側端部
20 エンジン側端部
21 ガス遮断バルブ
22 圧力制御部
23 パージエア供給ライン
24 パージエア排出ライン
25 不活性ガスパージライン
26 遮断バルブ
27 遮断バルブ
28 遮断バルブ
29 通気バルブ
30 通気ライン
31 バルブ
32 圧力センサ
図1
図2
図3