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特許7539855患者の経口投与のためのヒ素を含む高表面積の凍結乾燥組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-16
(45)【発行日】2024-08-26
(54)【発明の名称】患者の経口投与のためのヒ素を含む高表面積の凍結乾燥組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 33/36 20060101AFI20240819BHJP
   A61K 9/19 20060101ALI20240819BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20240819BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20240819BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20240819BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240819BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20240819BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20240819BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20240819BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240819BHJP
   A61K 47/40 20060101ALI20240819BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240819BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
A61K33/36
A61K9/19
A61K9/48
A61K47/02
A61K47/04
A61K47/10
A61K47/12
A61K47/20
A61K47/22
A61K47/26
A61K47/40
A61P35/00
A61P35/02
【請求項の数】 54
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021103196
(22)【出願日】2021-06-22
(62)【分割の表示】P 2017559275の分割
【原出願日】2016-02-01
(65)【公開番号】P2021152059
(43)【公開日】2021-09-30
【審査請求日】2021-07-21
(31)【優先権主張番号】62/142,709
(32)【優先日】2015-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/110,574
(32)【優先日】2015-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521271428
【氏名又は名称】サイロス・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Syros Pharmaceuticals, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(74)【代理人】
【識別番号】100221534
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 志穂
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナ・バッディ
(72)【発明者】
【氏名】クマール・クルマッダリ
【審査官】西村 亜希子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第101322719(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0370119(US,A1)
【文献】特表2001-522799(JP,A)
【文献】特表2006-503109(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0162440(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 33/36
A61P 35/00
A61P 35/02
A61K 9/48
A61K 47/26
A61K 47/02
A61K 47/12
A61K 47/20
A61K 47/10
A61K 47/40
A61K 9/19
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒ素を含む凍結乾燥組成物(LCCA)を含む経口医薬製剤を製造するための方法であって:
As2O3粉末をアルカリ化剤で水性溶媒中に可溶化して、As2O3溶液を形成する工程;
界面活性剤をAs2O3溶液に加える工程;
As2O3溶液を凍結乾燥して、リオプレミックスを生成する工程であって、該凍結乾燥工程が、As2O3溶液を凍結して、凍結As2O3産物を生成する工程、および凍結As2O3産物を乾燥する工程を含む、工程;
リオプレミックスを篩過して、凍結乾燥As2O3粉末を生成する工程;
少なくとも1つの充填剤を凍結乾燥As2O3粉末に加える工程;
1以上の滑沢剤を凍結乾燥As2O3粉末に加えて、LCCAを含む経口医薬製剤を生成する工程
を含む、方法。
【請求項2】
As2O3粉末をアルカリ化剤で水性溶媒中に可溶化する工程が:
ベッセル中As2O3粉末にアルカリ化剤を加える工程であって、アルカリ化剤の量が、As2O3粉末の量の10%~100%であるか、またはAs2O3溶液のpHを約12以上にするものである工程;
撹拌有りまたは無しおよび水の添加有りまたは無しでベッセルに酸を加えて、As2O3溶液のpHを約12以上から約7~約8に調整する工程;
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
アルカリ化剤が、水酸化ナトリウム(NaOH)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、またはそれらの混合物を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
アルカリ化剤が、水酸化ナトリウム(NaOH)である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
酸が、塩酸(HCl)である、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
HClが、約6M HClである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
界面活性剤が、ラウリル硫酸ナトリウム;ポリソルベート80;βシクロデキストリン;ポロキサマー;またはトコフェリルポリエチレングリコールスクシネート(TPGS)を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
界面活性剤が、ラウリル硫酸ナトリウムである、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
界面活性剤が、約0.5%v/v~約4.0%v/vまで加えられるが、As2O3濃度の約50%を越えない、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
凍結工程が、約-50℃~約0℃の範囲の温度でAs2O3溶液を凍結することを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
As2O3溶液を約-40℃で少なくとも約6時間凍結する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
As2O3溶液を約6時間~約8時間凍結する、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
凍結工程が、約60分~約120分の範囲の時間をかけて、-50℃の凍結温度へAs2O3溶液の温度を徐々に低下させる凍結予備工程を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
As2O3溶液を約-50℃で約6時間凍結する、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
乾燥工程が、下記3つの条件:
凍結As2O3産物を、約-40℃~約50℃の範囲の少なくとも1つの温度で、約5分~約500分の範囲の時間乾燥する;
約5分~約500分の範囲の時間、約-40℃~約50℃の範囲の少なくとも1つの第1温度から約-40℃~約50℃の範囲の少なくとも1つの第2温度まで温度を漸次上昇させることにより、凍結As2O3産物を乾燥し、ここで少なくとも1つの第2温度が、少なくとも1つの第1温度より高い;および
凍結As2O3産物に約300 mTorr~約1000 mTorrの範囲で約5分~約500分の範囲の時間真空を適用する
のうち少なくとも1つを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
乾燥工程が、As2O3産物を約-30℃および約800 mTorrにて約60分間加熱すること;前の工程からのAs2O3産物を-20℃および500 mTorrにて約120分間加熱すること;前の工程からのAs2O3産物を約-5℃および約500 mTorrにて約120分間加熱すること;前の工程からのAs2O3産物を約10℃および約500 mTorrにて約60分間加熱すること;ならびに前の工程からのAs2O3産物を約25℃および約500 mTorrにて約180分~約300分の範囲の時間加熱することを含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
乾燥工程が、As2O3産物を約-30℃および約800 mTorrに約60分間かけて加熱し、約-30℃および約800 mTorrにて約60分間保持すること;前の工程からのAs2O3産物を約-20℃および約500 mTorrに約60分間かけて加熱し、約-20℃および約500 mTorrにて約120分間保持すること;前の工程からのAs2O3産物を約-5℃および約500 mTorrに約300分間かけて加熱し、約-5℃および約500 mTorrにて約120分間保持すること;前の工程からのAs2O3産物を約10℃および約500 mTorrに約120分間かけて加熱し、約10℃および約500 mTorrにて約60分間保持すること;ならびに前の工程からのAs2O3産物を約25℃および約500 mTorrに約60分間かけて加熱し、約25℃および約500 mTorrにて約180分~約300分の範囲の時間保持することを含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
充填剤がマンニトールを含み;および/または1以上の滑沢剤がタルクおよび/またはステアリン酸マグネシウムを含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
充填剤がマンニトールであり;および/または1以上の滑沢剤がタルクおよび/またはステアリン酸マグネシウムである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
カプセルに経口医薬製剤を充填することをさらに含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
LCCAが、約2μm~10μmのD(90)サイズ範囲の粒子を含み、XRD回折で測定されるAs2O3粉末と同じ多形形態を有する、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
LCCAが、As2O3粉末の粒子径より約10倍~約50倍小さいD(90)サイズを有する粒子を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
LCCAが、約0.5 m2/g~5 m2/gの範囲のBET表面積を有する粒子を含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
LCCAが、As2O3粉末のBET表面積より約2倍~約80倍大きいBET表面積を有する粒子を含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
LCCAが、As2O3粉末より冷水またはアルコールに約2倍~約30倍溶解する、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
LCCAが、約400 mg/ml~約600 mg/mglのLCCA対冷水またはアルコールの範囲で冷水またはアルコールに溶解する、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
ICP-OESによって測定されるLCCAの溶出が、As2O3粉末の溶出率より約5倍~約15倍大きい、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
経口投与に適した固形剤形である、医薬組成物であって、該組成物が、
水性媒体中の三酸化ヒ素界面活性剤を含む溶液の凍結乾燥物である、ヒ素を含む凍結乾燥組成物(LCCA);
充填剤;および
滑沢剤
を含む、医薬組成物。
【請求項29】
LCCAおよび充填剤が医薬組成物の約98%(w/w)を構成し、滑沢剤が医薬組成物の約2%(w/w)を構成する、請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項30】
LCCAが医薬組成物の約24~29%(w/w)を構成し、充填剤が医薬組成物の約69~74%(w/w)を構成する、請求項29に記載の医薬組成物。
【請求項31】
界面活性剤が、ラウリル硫酸ナトリウム;ポリソルベート80;βシクロデキストリン;ポロキサマー;またはトコフェリルポリエチレングリコールスクシネート(TPGS)を含む、請求項28~30のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項32】
界面活性剤が、ラウリル硫酸ナトリウムである、請求項31に記載の医薬組成物。
【請求項33】
界面活性剤の量(重量による)が、三酸化ヒ素の量(重量による)の約50%を超えない、請求項2832のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項34】
充填剤が、マンニトールである、請求項28~33のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項35】
滑沢剤が、タルクまたはステアリン酸マグネシウムを含む、請求項28~33のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項36】
滑沢剤が、タルクおよびステアリン酸マグネシウムである、請求項35に記載の医薬組成物。
【請求項37】
LCCAが、約2μm~約10μmのD(90)サイズ範囲の凍結乾燥粒子、および/または約0.5 m2/g~約5 m2/gの範囲のBET表面積を有する凍結乾燥粒子を含む、請求項28~33のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項38】
組成物が制御放出性医薬組成物である、請求項28~33のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項39】
カプセルに封入された、請求項28~38のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項40】
カプセルが、0.25 mg、0.5 mg、1 mg、2 mg、3 mg、4 mg、5 mg、6 mg、7 mg、8 mg、9 mg、10 mg、11 mg、12 mg、13 mg、14 mg、15 mg、16 mg、17 mg、18 mg、19 mg、20 mg、21 mg、22 mg、23 mg、24 mg、25 mg、26 mg、27 mg、28 mg、29 mg、30 mg、31 mg、32 mg、33 mg、34 mg、35 mg、36 mg、37 mg、38 mg、39 mg、40 mg、41 mg、42 mg、43 mg、44 mg、45 mg、46 mg、47 mg、48 mg、49 mg、または50 mgのLCCAを含有する、請求項39に記載の医薬組成物。
【請求項41】
請求項28~40のいずれか一項に記載の医薬組成物およびその使用説明書を含む、キット。
【請求項42】
処置を必要とする患者において癌を処置するための、請求項28~40のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項43】
癌が造血器腫瘍である、請求項42に記載の医薬組成物。
【請求項44】
造血器腫瘍が、白血病またはリンパ腫である、請求項43に記載の医薬組成物。
【請求項45】
白血病またはリンパ腫が、急性リンパ性白血病(ALL);急性骨髄性白血病(AML);慢性リンパ性白血病(CLL);慢性骨髄性白血病(CML);慢性骨髄単球性白血病(CMML);有毛細胞白血病;真性多血症;本態性血小板血症;または非ホジキンリンパ腫である、請求項44に記載の医薬組成物。
【請求項46】
AMLが、急性前骨髄球性白血病(APL)である、請求項45に記載の医薬組成物。
【請求項47】
APLが、新たに診断されたAPL、または再発性もしくは難治性APLである、請求項46に記載の医薬組成物。
【請求項48】
造血器腫瘍が、骨髄腫または骨髄異形成症候群である、請求項43に記載の医薬組成物。
【請求項49】
骨髄腫が、巨細胞骨髄腫、無症候性骨髄腫、局所性骨髄腫、多発性骨髄腫、形質細胞性骨髄腫、硬化性骨髄腫、孤立性骨髄腫、非分泌性骨髄腫、骨硬化性骨髄腫、孤立性形質細胞腫、または髄外性形質細胞腫である、請求項48に記載の医薬組成物。
【請求項50】
医薬組成物が、毎日投与される、請求項4249のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項51】
医薬組成物が、約1 mg~約50 mgまたは約0.1 mg/kg体重~約0.3 mg/kg体重の範囲の単回投与量で投与される、請求項4250のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項52】
患者が、化学療法および/または放射線で以前処置されたかまたは現在処置されている、請求項4251のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項53】
1以上の化学療法剤を患者に投与することをさらに含む、請求項4251のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項54】
1以上の化学療法剤が、医薬組成物の後にまたは同時に投与される、請求項53に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2015年2月1日出願の米国仮出願第62/110,574号および2015年4月3日出願の米国仮出願第62/142,709号の利益を主張し、これらの出願は、出典明示によりその全体として本明細書の一部とする。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、対象体にヒ素を含む凍結乾燥組成物を投与することにより腫瘍または癌などの悪性腫瘍を処置することに関する。悪性腫瘍は、様々な血液悪性腫瘍、例えば急性前骨髄球性白血病(APL)を含む急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、多発性骨髄腫(MM)およびリンパ腫;ならびに多形神経膠芽腫および乳癌を含む固形腫瘍を含む。
【0003】
従来のヒ素処置は、いくつかの癌の処置において大いに有望であるが、毎日の静脈内(IV)投与を必要とする。対照的に、本発明の経口製剤は、現在実施されている三酸化ヒ素の静脈内(IV)投与に匹敵する全身バイオアベイラビリティを提供する。それはまた、3ヵ月以上の貯蔵寿命を示し、静脈内投与方法によって提供されるものより、極めて便利で、危険性が少なく、安価な三酸化ヒ素の投与方法を提供する。本発明はまた、ヒ素を含む凍結乾燥組成物を製造するための方法、本発明の経口製剤を製造するための方法、製剤を対象体に経口投与するための方法、および悪性腫瘍、例えば血液悪性腫瘍の患者を経口製剤を用いて処置するための方法に関する。
【背景技術】
【0004】
血液悪性腫瘍
血液悪性腫瘍は、身体の血液系成形および免疫系の癌である。血液悪性腫瘍としては、例えば白血病、リンパ腫(ホジキン病および非ホジキンリンパ腫両方)および骨髄腫が挙げられる。異常な細胞増殖は、健康な血液細胞の身体での産生を妨げ、そのため身体を感染に対して防御できなくさせる。
【0005】
血液悪性腫瘍の新たな症例は、米国で診断される癌症例の約9%を占め、毎年約59,200人が当該疾患により亡くなる。これらの疾患の多くは小児で生じる。
【0006】
白血病
白血病は、骨髄および血液の癌である。それは、血液細胞の無制御な増殖により特徴付けられる。白血病の約30,000の新たな症例が米国で毎年報告されている。白血病は小児癌の最も一般的なタイプであるが、多くの症例は高齢者で生じる。
【0007】
白血病は、急性または慢性のいずれかである。急性白血病において、異常な血液細胞は、極めて未熟なままであり、それらの正常な機能を行うことができない、芽球である。芽球の数は急速に増加し、疾患は急速に悪化する。慢性白血病において、いくつかの芽球細胞が存在するが、一般的に、これらの細胞は、より成熟しており、それらの正常な機能を行うことができる。また芽球の数は、急性白血病よりも急速には増加しない。その結果、慢性白血病は徐々に悪化する。
【0008】
白血病は、白血球-リンパ系細胞(リンパ性白血病)または骨髄性細胞(骨髄性白血病)の2つの主なタイプのいずれかで生じ得る。白血病の一般的なタイプとしては、急性リンパ性白血病(ALL);急性骨髄性白血病(AML)(急性非リンパ性白血病(ANLL)と呼ばれるときもある)、例えば骨髄芽球性、前骨髄球性、骨髄単球性、単球性、赤白血病性白血病、急性好中球性白血病および骨髄異形成症候群(MDS);慢性リンパ性白血病(CLL);慢性骨髄性(顆粒球性)白血病(CML);慢性骨髄単球性白血病(CMML);有毛細胞白血病;ならびに真性多血症および骨髄増殖性新生物(骨髄繊維症真性多血症および本態性血小板血症を含む)が挙げられる。
【0009】
リンパ腫
リンパ腫-ホジキン病および非ホジキンリンパ腫の2つの主なタイプがある。ホジキン病は、ホジキンリンパ腫としても知られ、Reed Sternberg(R-S)細胞として知られる特定の細胞が生じるリンパ腫の特別な形態である。この細胞は、通常他のリンパ腫では見られない。
【0010】
ホジキン病の原因は不明である。ホジキン病は、他の癌と同様に、感染性でなく、他人に渡すことはできない。それは継承されない。ホジキン病の最初の症状は、通常首、わきの下または鼠径部における痛みのない腫脹である。他の症状としては、寝汗または原因不明の熱、体重減少および疲労、咳または息切れ、ならびに全身の持続性掻痒が挙げられ得る。
【0011】
約20個の異なる種類の非ホジキンリンパ腫がある。非ホジキンリンパ腫は、顕微鏡下での外観および細胞型(B細胞またはT細胞)にしたがって分類される。危険因子としては、老齢、女性、免疫系の弱化、ヒトTリンパ球向性ウイルス1型(HTLV-1)およびエプスタインバーウイルス感染、ならびに化学物質、例えば殺虫剤、溶剤および肥料への曝露が挙げられる。
【0012】
骨髄腫
骨髄腫は、骨髄で通常見られるタイプの形質細胞から構成される悪性腫瘍である。骨髄腫細胞は、骨髄および骨の硬い外側部分に集まる傾向がある。時にそれらは、たった1つの骨に集まり、単一の腫瘤、または形質細胞腫と呼ばれる腫瘍を形成する。しかしながら多くの場合、骨髄腫細胞は多くの骨に集まり、これによりしばしば多くの腫瘍を形成し、他の問題を引き起こす。これが生じるとき、疾患は、多発性骨髄腫、例えば、制限されないが、巨細胞骨髄腫、無症候性骨髄腫、局所性骨髄腫、多発性骨髄腫、形質細胞性骨髄腫、硬化性骨髄腫、孤立性骨髄腫、くすぶり型多発性骨髄腫、非分泌性骨髄腫、骨硬化性骨髄腫、形質細胞性白血病、孤立性形質細胞腫および髄外性形質細胞腫と呼ばれる。
【0013】
骨髄異形成症候群
骨髄異形成症候群は、骨髄が1以上のタイプ(白血球、赤血球または血小板)で効果がなく異常に見える細胞を産生する障害である。大多数の患者は60歳超の男性である。続発性骨髄異形成症候群は、化学療法および照射法の使用後に見られる。
【0014】
兆候および症状は、影響される細胞のタイプに依存する。異常な白血球は、人々を感染により弱くし;異常な血小板は、人々を内出血および突発性出血により弱くし;そして異常な赤血球は、貧血および疲労の原因となる。
【0015】
化学療法および放射線は、血液悪性腫瘍の処置に有用であるが、より良好な処置様式およびより効果的で毒性が低い疾患を管理する手法が、特に臨床腫瘍学者が癌患者の生活の質へより注意を払うようになっているとき、引き続き必要とされている。本発明は、三酸化ヒ素を含む経口組成物を用いることにより血液悪性腫瘍治療および疾患の管理に対する代替的な手法を提供する。
【0016】
ヒ素
ヒ素は、2000年以上医薬で用いられている。18世紀には、三酸化ヒ素(組成式As2O3)の1%w/v重炭酸カリウム中溶液(ファウラー水)が、様々な感染性および悪性疾患を処置するために開発された。白血球の抑制におけるその有効性は、1878年に初めて記述された(Kwong Y. L. et al. Delicious poison: arsenic trioxide for the treatment of leukemia, Blood 1997;89:3487-8)。したがって、三酸化ヒ素は、より効力のある薬物が1940年代にそれに取って代わるまで、慢性骨髄性白血病を処置するために用いられた。しかしながら、三酸化ヒ素が急性前骨髄球性白血病(APL)細胞においてアポトーシスおよび分化を誘導すると分かったとき、このような治療に関心が再起した(Chen G. Q. et al. Use of arsenic trioxide (As2O3) in the treatment of acute promyelocytic leukemia (APL): I. As2O3 exerts dose-dependent dual effect on APL cells in vitro and in vivo, Blood 1997;89:3345-53; Soignet S. L. et al. United States multicenter study of arsenic trioxide in relapsed acute promyelocytic leukemia. J Clin Oncol. 2001;19:3852-60)。三酸化ヒ素がこのような患者の90%超で寛解を誘導するため、これらのインビトロでの観察の臨床的意義はそれ以来確認されている(Shen Z. X. et al. Use of arsenic trioxide (As2O3) in the treatment of acute promyelocytic leukemia (APL): II. Clinical efficacy and pharmacokinetics in relapsed patients, Blood 1997;89:3354-60; Soignet S. L. et al. Complete remission after treatment of acute promyelocytic leukemia with arsenic trioxide, N Engl J Med 1998;339:1341-8; Niu C. et al., Studies on treatment of acute promyelocytic leukemia with arsenic trioxide: remission induction, follow-up and molecular monitoring in 11 newly diagnosed and 47 relapsed acute promyelocytic leukemia patients, Blood 1999;94:3315-24)。
【0017】
三酸化ヒ素の典型的なコースは、4~8週間の毎日の静脈内(IV)投与を含み、不便さ、リスク、ならびに適切な血管アクセスの維持および長期入院の費用を伴う。現在、臨床用のFDAに承認された経口三酸化ヒ素は無い。ファウラー水は、もはや近代薬局方に詳述されていないか、または公定書に列記されていない(1941, Arsenum. Martindale, The Extra Pharmacopoeia 22:209-15; British Pharmacopoeia. London: Her Majesty's Stationery Office, 1988; Appendix 1A, p A12)。したがって、経口投与され得たヒ素を含む製剤は、別個の利点を提供し得た。
【0018】
本発明者らは、経口投与し得る、ヒ素を含む凍結乾燥組成物を含む新規な製剤に到達した。本発明者らは、ヒ素を含む凍結乾燥組成物を含む該新規な製剤を作るための方法を開発した。ヒ素を含む凍結乾燥粉末は、例えばカプセル剤および錠剤による、患者における経口投与に適している。
【0019】
As2O3粉末は、冷水にほとんど溶けず、徐々に溶解し;沸騰水でさえ1:15の比で溶解するのみである(Arsenic Trioxide, In: Budavari S O'Neil M J (Eds), The Merck Index. An encyclopedia of chemicals, drugs and biologicals. NJ: Merck & Co., Inc. 11th Ed., Rahway, N.J., USA. 1989. Monograph 832, p 127)。結果として、および前記の他の問題のため、経口で利用可能な組成物として製剤化されていなかった。
【発明の概要】
【0020】
本発明は、As2O3の不溶性およびバイオアベイラビリティの欠如の問題に対処し、生物学的に利用可能にするヒ素を含む凍結乾燥組成物を提供する。ヒ素をAs2O3粉末として導入し、その後、これを下記のように可溶化し凍結乾燥する。より具体的には、本発明は、ヒ素を含む凍結乾燥組成物であって、ヒ素が、1以上のヒ素の塩、および/またはその溶媒和物、および/またはAs2O3、および/または1以上のヒ素化合物として存在する、凍結乾燥組成物に関する。
【0021】
したがって、本明細書に記載の"ヒ素を含む凍結乾燥組成物"(LCCA)は、1以上のその塩、および/またはその溶媒和物、および/または三酸化ヒ素および/またはヒ素を含むその他の化合物としてヒ素を含む組成物を意味し、該組成物は、以下に記載する本発明の方法工程を適用することにより生じたものである。あるいは、ヒ素を含む凍結乾燥組成物は、凍結乾燥三酸化ヒ素または凍結乾燥As2O3(LAT)として本明細書で扱われ得る。
【0022】
明らかに、本発明は、他の方法によってこの"ヒ素を含む凍結乾燥組成物"を作ることを想定している。
【0023】
言い換えれば、独立したヒ素を含む凍結乾燥組成物は、本発明の一態様である。一態様において、本発明はまた、LCCAを作る方法に関する。別の一態様において、本発明はまた、LCCAを含む経口製剤に関する。また別の一態様において、本発明は、該経口製剤を作る方法に関する。本発明はまた、経口投与に適した固形剤形の医薬組成物であって、ヒ素を含む凍結乾燥組成物を含む、組成物に関する。本発明はさらに、経口投与に適した固形剤形の医薬組成物であって、LCCA、少なくとも1つの充填剤および少なくとも1つの滑沢剤を含む、組成物に関する。一態様において、本発明はまた、LCCAを含む医薬組成物を含む、キットに関する。また別の一態様において、本発明は、処置を必要とする患者において悪性腫瘍、例えば血液悪性腫瘍を処置する方法であって、LCCAを含む医薬組成物の治療上有効量を患者に投与することを含む、方法に関する。
【0024】
実施態様-ヒ素を含む凍結乾燥組成物を作る方法
本発明は、ヒ素を含む凍結乾燥組成物(LCCA)を製造するための方法であって:(A)As2O3粉末を水性溶媒中に可溶化して、As2O3溶液を形成する工程;および(B)該As2O3溶液を凍結乾燥する工程を含む、方法に関する。一実施態様において、該As2O3粉末を水性溶媒中に可溶化する工程は:(I)撹拌有りまたは無しおよび水の添加有りまたは無しでベッセル中As2O3粉末にアルカリ化剤を加えて、約12以上のpHにする工程;(II)撹拌有りまたは無しおよび水の添加有りまたは無しで該ベッセルに酸を加えて、pHを約7~約8に調整する工程;(III)適宜、撹拌有りまたは無しおよび水の添加有りまたは無しで該ベッセルに界面活性剤を加える工程、および(IV)適宜、撹拌有りまたは無しで該ベッセルに水を加えて、As2O3溶液を生成する工程を含む。別の一実施態様において、このセクションでこれまでに記載の方法について、該アルカリ化剤は、水酸化ナトリウム(NaOH)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、またはそれらの混合物を含む。また別の一実施態様において、上記の方法で加えられるアルカリ化剤の量は、As2O3粉末の量の約10%~約100%である。
【0025】
本発明の一実施態様において、このセクションで前記の方法について、該酸は、塩酸(HCl)を含む。別の一実施態様において、該HClは、約6M HClである。更なる実施態様において、該酸を該ベッセルに加えて、pHを約7.2に調整する。また別の一実施態様において、このセクションでこれまでに記載の方法について、該界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム;ツイーン80(登録商標);βシクロデキストリン;ポロキサマー;トコフェリルポリエチレングリコールスクシネート(TPGS)の少なくとも1つを含む。別の一実施態様において、該界面活性剤は、約0.5%v/v~約4.0%v/vまで加えられるが、As2O3濃度の約50%を越えない。
【0026】
本発明のまた別の一実施態様において、このセクションで上記の方法について、該凍結乾燥工程は:(A)該As2O3溶液を凍結して、凍結As2O3産物(frozen As2O3 product)を生成する工程;および(B)該As2O3産物を乾燥して、該ヒ素を含む凍結乾燥組成物を生成する工程を含む。別の一実施態様において、これまでに記載の方法について、該凍結工程は、約-50℃~約0℃の範囲の温度で該As2O3溶液を凍結することを含む。別の一実施態様において、該As2O3溶液を約-40℃で少なくとも約6時間凍結する。また別の一実施態様において、該乾燥工程は、3つの条件:(I)該As2O3産物を、約-40℃~約50℃の範囲の少なくとも1つの温度で、約5分~約500分の範囲の時間乾燥する;(II)約5分~約500分の範囲の時間、約-40℃~約50℃の範囲の少なくとも1つの第1温度から約-40℃~約50℃の範囲の少なくとも1つの第2温度まで温度を漸次上昇させることにより、該凍結As2O3を乾燥し、ここで該少なくとも1つの第2温度は、該少なくとも1つの第1温度より高い;および(III)該凍結As2O3産物に約300 mTorr~約1000 mTorrの範囲で約5分~約500分の範囲の時間真空を適用するのうち少なくとも1つを含む。
【0027】
本発明の一実施態様において、このセクションでこれまでに記載の方法について、該乾燥工程は、該As2O3産物を約-30℃および約800 mTorrにて約60分間加熱すること;該前の工程からのAs2O3産物を-20℃および500 mTorrにて約120分間加熱すること;該前の工程からのAs2O3産物を約-5℃および約500 mTorrにて約120分間加熱すること;該前の工程からのAs2O3産物を約10℃および約500 mTorrにて約60分間加熱すること;ならびに該前の工程からのAs2O3産物を約25℃および約500 mTorrにて約180分~約300分の範囲の時間加熱することを含む。また別の一実施態様において、該乾燥工程は、該As2O3産物を約-30℃および約800 mTorrに約60分間かけて加熱し、約-30℃および約800 mTorrにて約60分間保持すること;該前の工程からのAs2O3産物を約-20℃および約500 mTorrに約60分間かけて加熱し、約-20℃および約500 mTorrにて約120分間保持すること;該前の工程からのAs2O3産物を約-5℃および約500 mTorrに約300分間かけて加熱し、約-5℃および約500 mTorrにて約120分間保持すること;該前の工程からのAs2O3産物を約10℃および約500 mTorrに約120分間かけて加熱し、約10℃および約500 mTorrにて約60分間保持すること;ならびに該前の工程からのAs2O3産物を約25℃および約500 mTorrに約60分間かけて加熱し、約25℃および約500 mTorrにて約180分~約300分の範囲の時間保持することを含む。
【0028】
実施態様-ヒ素を含む凍結乾燥組成物
本発明は、ヒ素を含む凍結乾燥組成物(LCCA)を含む組成物に関する。一実施態様において、該組成物は、少なくとも1つの充填剤および少なくとも1つの滑沢剤をさらに含む。別の一実施態様において、該組成物は:(A)As2O3粉末を水性溶媒中に可溶化して、As2O3溶液を形成する工程;(B)該As2O3溶液を凍結乾燥して、リオプレミックスを生成する工程;(C)該リオプレミックスを篩過して、凍結乾燥As2O3粉末を生成する工程;(D)適宜、少なくとも1つの充填剤を該凍結乾燥As2O3粉末に加える工程;(E)適宜、1以上の滑沢剤を該凍結乾燥As2O3粉末に加えて、該As2O3の経口製剤を生成する工程を含む方法により製造される。
【0029】
本発明の一実施態様において、前記の組成物について、該As2O3粉末を水性溶媒中に可溶化する工程は:(I)撹拌有りまたは無しおよび水の添加有りまたは無しでベッセル中As2O3粉末にアルカリ化剤を加えて、約12以上のpHにする工程;(II)撹拌有りまたは無しおよび水の添加有りまたは無しで該ベッセルに酸を加えて、pHを約7~約8に調整する工程;(III)適宜、撹拌有りまたは無しおよび水の添加有りまたは無しで該ベッセルに界面活性剤を加える工程、および(IV)適宜、撹拌有りまたは無しで該ベッセルに水を加えて、As2O3溶液を生成する工程を含む。別の一実施態様において、これまでに記載の組成物について、該アルカリ化剤は、水酸化ナトリウム(NaOH)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、またはそれらの混合物を含む。また別の一実施態様において、上記の組成物で加えられる該アルカリ化剤の量は、As2O3粉末の量の約10%~約100%である。
【0030】
本発明の一実施態様において、前記の組成物について、該酸は、塩酸(HCl)を含む。別の一実施態様において、該HClは、約6M HClである。更なる実施態様において、該酸を該ベッセルに加えて、pHを約7.2に調整する。また別の一実施態様において、これまでに記載の組成物について、該界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム;ツイーン80(登録商標);βシクロデキストリン;ポロキサマー;トコフェリルポリエチレングリコールスクシネート(TPGS)の少なくとも1つを含む。別の一実施態様において、該界面活性剤は、約0.5%v/v~約4.0%v/vまで加えられるが、As2O3濃度の約50%を越えない。
【0031】
本発明のまた別の一実施態様において、上記の組成物について、該凍結乾燥工程は:(A)該As2O3溶液を凍結して、凍結As2O3産物を生成する工程;および(B)該As2O3産物を乾燥して、該ヒ素を含む凍結乾燥組成物を生成する工程を含む。別の一実施態様において、これまでに記載の組成物について、該凍結工程は、約-50℃~約0℃の範囲の温度で該As2O3溶液を凍結することを含む。別の一実施態様において、該As2O3溶液を約-40℃で少なくとも約6時間凍結する。また別の一実施態様において、該乾燥工程は、3つの条件:(I)該As2O3産物を、約-40℃~約50℃の範囲の少なくとも1つの温度で、約5分~約500分の範囲の時間乾燥する;(II)約5分~約500分の範囲の時間、約-40℃~約50℃の範囲の少なくとも1つの第1温度から約-40℃~約50℃の範囲の少なくとも1つの第2温度まで温度を漸次上昇させることにより、該凍結As2O3を乾燥し、ここで該少なくとも1つの第2温度は、該少なくとも1つの第1温度より高い;および(III)該凍結As2O3産物に約300 mTorr~約1000 mTorrの範囲で約5分~約500分の範囲の時間真空を適用するのうち少なくとも1つを含む。
【0032】
本発明の一実施態様において、このセクションでこれまでに記載の組成物について、該乾燥工程は、該As2O3産物を約-30℃および約800 mTorrにて約60分間加熱すること;該前の工程からのAs2O3産物を-20℃および500 mTorrにて約120分間加熱すること;該前の工程からのAs2O3産物を約-5℃および約500 mTorrにて約120分間加熱すること;該前の工程からのAs2O3産物を約10℃および約500 mTorrにて約60分間加熱すること;ならびに該前の工程からのAs2O3産物を約25℃および約500 mTorrにて約180分~約300分の範囲の時間加熱することを含む。また別の一実施態様において、該乾燥工程は、該As2O3産物を約-30℃および約800 mTorrに約60分間かけて加熱し、約-30℃および約800 mTorrにて約60分間保持すること;該前の工程からのAs2O3産物を約-20℃および約500 mTorrに約60分間かけて加熱し、約-20℃および約500 mTorrにて約120分間保持すること;該前の工程からのAs2O3産物を約-5℃および約500 mTorrに約300分間かけて加熱し、約-5℃および約500 mTorrにて約120分間保持すること;該前の工程からのAs2O3産物を約10℃および約500 mTorrに約120分間かけて加熱し、約10℃および約500 mTorrにて約60分間保持すること;ならびに該前の工程からのAs2O3産物を約25℃および約500 mTorrに約60分間かけて加熱し、約25℃および約500 mTorrにて約180分~約300分の範囲の時間保持することを含む。
【0033】
本発明の別の一実施態様において、このセクションで前記の組成物について、該充填剤はマンニトールを含み;および/または該1以上の滑沢剤はタルクおよび/またはステアリン酸マグネシウムを含む。別の一実施態様において、該組成物は、制御放出性、経口、固形、組成物である。一実施態様において、このセクションで前記の組成物は、カプセルに封入される。
【0034】
実施態様-LCCAを含む経口医薬製剤を製造するための方法
本発明は、ヒ素まはた凍結乾燥三酸化ヒ素(As2O3)を含む、凍結乾燥組成物を含む経口医薬製剤を製造するための方法であって:(A)As2O3粉末を水性溶媒中に可溶化して、As2O3溶液を形成する工程;(B)該As2O3溶液を凍結乾燥して、リオプレミックスを生成する工程;(C)該リオプレミックスを篩過して、凍結乾燥As2O3粉末を生成する工程;(D)適宜、少なくとも1つの充填剤を該凍結乾燥As2O3粉末に加える工程;(E)適宜、1以上の滑沢剤を該凍結乾燥As2O3粉末に加えて、該As2O3の経口製剤を生成する工程を含む、方法に関する。
【0035】
本発明はまた、該As2O3粉末を水性溶媒中に可溶化する工程は:(I)撹拌有りまたは無しおよび水の添加有りまたは無しでベッセル中As2O3粉末にアルカリ化剤を加えて、約12以上のpHにする工程;(II)撹拌有りまたは無しおよび水の添加有りまたは無しで該ベッセルに酸を加えて、pHを約7~約8に調整する工程;(III)適宜、撹拌有りまたは無しおよび水の添加有りまたは無しで該ベッセルに界面活性剤を加える工程、および(IV)適宜、撹拌有りまたは無しで該ベッセルに水を加えて、As2O3溶液を生成する工程を含む、前記の方法に関する。別の一実施態様において、このセクションでこれまでに記載の方法について、該アルカリ化剤は、水酸化ナトリウム(NaOH)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、またはそれらの混合物を含む。また別の一実施態様において、上記の方法で加えられる該アルカリ化剤の量は、As2O3粉末の量の約10%~約100%である。
【0036】
本発明の一実施態様において、このセクションで前記の方法について、該酸は、塩酸(HCl)を含む。別の一実施態様において、該HClは、約6M HClである。更なる実施態様において、該酸を該ベッセルに加えて、pHを約7.2に調整する。また別の一実施態様において、このセクションでこれまでに記載の方法について、該界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム;ツイーン80(登録商標);βシクロデキストリン;ポロキサマー;トコフェリルポリエチレングリコールスクシネート(TPGS)の少なくとも1つを含む。別の一実施態様において、該界面活性剤は、約0.5%v/v~約4.0%v/vまで加えられるが、As2O3濃度の約50%を越えない。
【0037】
本発明のまた別の一実施態様において、このセクションで上記の方法について、該凍結乾燥工程は:(A)該As2O3溶液を凍結して、凍結As2O3産物を生成する工程;および(B)該As2O3産物を乾燥して、該ヒ素を含む凍結乾燥組成物を生成する工程を含む。別の一実施態様において、これまでに記載の方法について、該凍結工程は、約-50℃~約0℃の範囲の温度で該As2O3溶液を凍結することを含む。別の一実施態様において、該As2O3溶液を約-40℃で少なくとも約6時間凍結する。また別の一実施態様において、該乾燥工程は、3つの条件:(I)該As2O3産物を、約-40℃~約50℃の範囲の少なくとも1つの温度で、約5分~約500分の範囲の時間乾燥する;(II)約5分~約500分の範囲の時間、約-40℃~約50℃の範囲の少なくとも1つの第1温度から約-40℃~約50℃の範囲の少なくとも1つの第2温度まで温度を漸次上昇させることにより、該凍結As2O3を乾燥し、ここで該少なくとも1つの第2温度は、該少なくとも1つの第1温度より高い;および(III)該凍結As2O3産物に約300 mTorr~約1000 mTorrの範囲で約5分~約500分の範囲の時間真空を適用するのうち少なくとも1つを含む。
【0038】
本発明の一実施態様において、このセクションでこれまでに記載の方法について、該乾燥工程は、該As2O3産物を約-30℃および約800 mTorrにて約60分間加熱すること;該前の工程からのAs2O3産物を-20℃および500 mTorrにて約120分間加熱すること;該前の工程からのAs2O3産物を約-5℃および約500 mTorrにて約120分間加熱すること;該前の工程からのAs2O3産物を約10℃および約500 mTorrにて約60分間加熱すること;ならびに該前の工程からのAs2O3産物を約25℃および約500 mTorrにて約180分~約300分の範囲の時間加熱することを含む。また別の一実施態様において、該乾燥工程は、該As2O3産物を約-30℃および約800 mTorrに約60分間かけて加熱し、約-30℃および約800 mTorrにて約60分間保持すること;該前の工程からのAs2O3産物を約-20℃および約500 mTorrに約60分間かけて加熱し、約-20℃および約500 mTorrにて約120分間保持すること;該前の工程からのAs2O3産物を約-5℃および約500 mTorrに約300分間かけて加熱し、約-5℃および約500 mTorrにて約120分間保持すること;該前の工程からのAs2O3産物を約10℃および約500 mTorrに約120分間かけて加熱し、約10℃および約500 mTorrにて約60分間保持すること;ならびに該前の工程からのAs2O3産物を約25℃および約500 mTorrに約60分間かけて加熱し、約25℃および約500 mTorrにて約180分~約300分の範囲の時間保持することを含む。
【0039】
本発明の別の一実施態様において、このセクションで前記の方法について、該充填剤はマンニトールを含み;および/または該1以上の滑沢剤はタルクおよび/またはステアリン酸マグネシウムを含む。別の一実施態様において、前記の方法は、カプセルに該経口製剤を充填する工程をさらに含む。
【0040】
実施態様-LCCAを含む経口医薬製剤
本発明は、経口投与に適した固形剤形の医薬組成物であって、ヒ素を含む凍結乾燥組成物を含む組成物に関する。一実施態様において、該医薬組成物は、少なくとも1つの充填剤および少なくとも1つの滑沢剤をさらに含む。また別の一実施態様において、このセクションでこれまでに記載の医薬組成物は:(A)As2O3粉末を水性溶媒中に可溶化して、As2O3溶液を形成する工程;(B)該As2O3溶液を凍結乾燥して、リオプレミックスを生成する工程;(C)該リオプレミックスを篩過して、凍結乾燥As2O3粉末を生成する工程;(D)適宜、少なくとも1つの充填剤を該凍結乾燥As2O3粉末に加える工程;(E)適宜、1以上の滑沢剤を該凍結乾燥As2O3粉末に加えて、該As2O3の経口製剤を生成する工程を含む、方法により製造される。
【0041】
本発明の一実施態様において、このセクションで前記の医薬組成物について、該As2O3粉末を水性溶媒中に可溶化する工程は:(I)撹拌有りまたは無しおよび水の添加有りまたは無しでベッセル中As2O3粉末にアルカリ化剤を加えて、約12以上のpHにする工程;(II)撹拌有りまたは無しおよび水の添加有りまたは無しで該ベッセルに酸を加えて、pHを約7~約8に調整する工程;(III)適宜、撹拌有りまたは無しおよび水の添加有りまたは無しで該ベッセルに界面活性剤を加える工程、および(IV)適宜、撹拌有りまたは無しで該ベッセルに水を加えて、As2O3溶液を生成する工程を含む。別の一実施態様において、これまでに記載の組成物について、該アルカリ化剤は、水酸化ナトリウム(NaOH)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、またはそれらの混合物を含む。また別の一実施態様において、上記の医薬組成物で加えられる該アルカリ化剤の量は、As2O3粉末の量の約10%~約100%である。
【0042】
本発明の一実施態様において、前記の医薬組成物について、該酸は、塩酸(HCl)を含む。別の一実施態様において、該HClは、約6M HClである。更なる実施態様において、該酸を該ベッセルに加えて、pHを約7.2に調整する。また別の一実施態様において、これまでに記載の医薬組成物について、該界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム;ツイーン80(登録商標);βシクロデキストリン;ポロキサマー;トコフェリルポリエチレングリコールスクシネート(TPGS)の少なくとも1つを含む。別の一実施態様において、該界面活性剤は、約0.5%v/v~約4.0%v/vまで加えられるが、As2O3濃度の約50%を越えない。
【0043】
本発明のまた別の一実施態様において、上記の医薬組成物について、該凍結乾燥工程は:(A)該As2O3溶液を凍結して、凍結As2O3産物を生成する工程;および(B)該As2O3産物を乾燥して、該ヒ素を含む凍結乾燥組成物を生成する工程を含む。別の一実施態様において、これまでに記載の組成物について、該凍結工程は、約-50℃~約0℃の範囲の温度で該As2O3溶液を凍結することを含む。別の一実施態様において、該As2O3溶液を約-40℃で少なくとも約6時間凍結する。また別の一実施態様において、該乾燥工程は、3つの条件:(I)該As2O3産物を、約-40℃~約50℃の範囲の少なくとも1つの温度で、約5分~約500分の範囲の時間乾燥する;(II)約5分~約500分の範囲の時間、約-40℃~約50℃の範囲の少なくとも1つの第1温度から約-40℃~約50℃の範囲の少なくとも1つの第2温度まで温度を漸次上昇させることにより、該凍結As2O3を乾燥し、ここで該少なくとも1つの第2温度は、該少なくとも1つの第1温度より高い;および(III)該凍結As2O3産物に約300 mTorr~約1000 mTorrの範囲で約5分~約500分の範囲の時間真空を適用するのうち少なくとも1つを含む。
【0044】
本発明の一実施態様において、これまでに記載の医薬組成物について、該乾燥工程は、該As2O3産物を約-30℃および約800 mTorrにて約60分間加熱すること;該前の工程からのAs2O3産物を-20℃および500 mTorrにて約120分間加熱すること;該前の工程からのAs2O3産物を約-5℃および約500 mTorrにて約120分間加熱すること;該前の工程からのAs2O3産物を約10℃および約500 mTorrにて約60分間加熱すること;ならびに該前の工程からのAs2O3産物を約25℃および約500 mTorrにて約180分~約300分の範囲の時間加熱することを含む。また別の一実施態様において、該乾燥工程は、該As2O3産物を約-30℃および約800 mTorrに約60分間かけて加熱し、約-30℃および約800 mTorrにて約60分間保持すること;該前の工程からのAs2O3産物を約-20℃および約500 mTorrに約60分間かけて加熱し、約-20℃および約500 mTorrにて約120分間保持すること;該前の工程からのAs2O3産物を約-5℃および約500 mTorrに約300分間かけて加熱し、約-5℃および約500 mTorrにて約120分間保持すること;該前の工程からのAs2O3産物を約10℃および約500 mTorrに約120分間かけて加熱し、約10℃および約500 mTorrにて約60分間保持すること;ならびに該前の工程からのAs2O3産物を約25℃および約500 mTorrに約60分間かけて加熱し、約25℃および約500 mTorrにて約180分~約300分の範囲の時間保持することを含む。
【0045】
本発明の別の一実施態様において、このセクションで前記の医薬組成物について、該充填剤はマンニトールを含み;および/または該1以上の滑沢剤はタルクおよび/またはステアリン酸マグネシウムを含む。別の一実施態様において、該医薬組成物は、制御放出性、経口、固形、組成物である。一実施態様において、このセクションで前記の医薬組成物は、カプセルに封入される。
【0046】
別の一組の実施態様において、本発明はまた、約1 mg、約5 mg、10 mgまたは約20 mgのこのセクションで前記の医薬組成物を含む、カプセルに関する。本発明はさらに、このセクションに記載の医薬組成物およびその使用説明書を含む、キットに関する。
【0047】
実施態様-医薬組成物の患者への投与
本発明は、対象体に、ヒ素を含む凍結乾燥組成物を含む医薬組成物を経口投与する方法であって、該医薬組成物を提供する工程、および該組成物を該対象体に経口投与することを含む、方法に関する。本発明はさらに、処置を必要とする患者において悪性腫瘍、例えば癌または腫瘍を処置する方法であって、ヒ素を含む凍結乾燥組成物を含む医薬組成物の治療上有効量を患者に投与することを含む、方法に関する。
【0048】
また別の一実施態様において、本発明は、このセクションで前記の方法であって、該癌は造血器腫瘍である方法に関する。別の一実施態様において、該造血器腫瘍は、急性骨髄性白血病;急性非リンパ性白血病;骨髄芽球性白血病、前骨髄球性白血病;慢性骨髄単球性白血病;単球性白血病;赤白血病;急性好中球性白血病;骨髄異形成症候群;急性前骨髄球性白血病;慢性リンパ性白血病;慢性骨髄性白血病;有毛細胞白血病;骨髄増殖性新生物;ホジキンリンパ腫;非ホジキンリンパ腫;骨髄腫;巨細胞骨髄腫;無症候性骨髄腫;局所性骨髄腫;多発性骨髄腫;形質細胞性骨髄腫;硬化性骨髄腫;孤立性骨髄腫;くすぶり型多発性骨髄腫;非分泌性骨髄腫;骨硬化性骨髄腫;形質細胞性白血病;孤立性形質細胞腫;および髄外性形質細胞腫の少なくとも1つである。
【0049】
別の一実施態様において、このセクションでこれまでに記載の方法について、該造血器腫瘍は、急性前骨髄球性白血病(APL)である。一実施態様において、該APLは、新たに診断されたAPLである。別の一実施態様において、該APLは、再発性または難治性APLである。
【0050】
一実施態様において、このセクションで前記の処置方法では、該骨髄増殖性新生物は、骨髄繊維症真性多血症および本態性血小板血症の1つである。
【0051】
本発明の一実施態様において、このセクションに記載の方法について、該医薬組成物は、毎日投与される。別の一実施態様において、該医薬組成物は、約1 mg~約50 mgの範囲の単回投与量で投与される。更なる実施態様において、該医薬組成物は、約0.1 mg/kg体重~約0.3 mg/kg体重の範囲の単回投与量で投与される。
【0052】
別の一実施態様において、このセクションで前記の方法について、該患者は、化学療法および/または放射線で以前処置されたかまたは現在処置されている。別の一実施態様において、該患者は、1以上の化学療法剤をさらに投与される。この方法の一実施態様において、該化学療法剤は、該医薬組成物の前に、後にまたは同時に投与される。
【0053】
実施態様-製剤粉末の物理的/化学的特性の改善
本発明は、三酸化ヒ素を含む元のAPI粉末の表面積を約2倍から約80倍に増加させるための方法であって::(A)As2O3粉末を水性溶媒中に可溶化して、As2O3溶液を形成する工程であって:(I)撹拌有りまたは無しおよび水の添加有りまたは無しでベッセル中As2O3粉末にアルカリ化剤を加えて、約12以上のpHにする工程;(II)撹拌有りまたは無しおよび水の添加有りまたは無しで該ベッセルに酸を加えて、pHを約7~約8に調整する工程;(III)適宜、撹拌有りまたは無しおよび水の添加有りまたは無しで該ベッセルに界面活性剤を加える工程、および(IV)適宜、撹拌有りまたは無しで該ベッセルに水を加えて、As2O3溶液を生成する工程を含む、工程;および(B)該As2O3溶液を凍結乾燥する工程であって:(V)該As2O3溶液を凍結して、凍結As2O3産物を生成する工程;および(VI)該As2O3産物を乾燥して、該ヒ素を含む凍結乾燥組成物を生成する工程を含む、工程を含む、方法に関する。
【0054】
本発明はまた、水またはアルコール中の三酸化ヒ素粉末の溶解性を約2倍~約30倍増加させるための方法であって、:(A)As2O3粉末を水性溶媒中に可溶化して、As2O3溶液を形成する工程であって:(I)撹拌有りまたは無しおよび水の添加有りまたは無しでベッセル中As2O3粉末にアルカリ化剤を加えて、約12以上のpHにする工程;(II)撹拌有りまたは無しおよび水の添加有りまたは無しで該ベッセルに酸を加えて、pHを約7~約8に調整する工程;(III)適宜、撹拌有りまたは無しおよび水の添加有りまたは無しで該ベッセルに界面活性剤を加える工程、および(IV)適宜、撹拌有りまたは無しで該ベッセルに水を加えて、As2O3溶液を生成する工程を含む、工程;および(B)該As2O3溶液を凍結乾燥する工程であって:(V)該As2O3溶液を凍結して、凍結As2O3産物を生成する工程;および(VI)該As2O3産物を乾燥して、該ヒ素を含む凍結乾燥組成物を生成する工程を含む、工程を含む、方法に関する。
【0055】
本発明はまた、ヒ素を含む医薬組成物の溶出を、三酸化ヒ素を含む元のAPIより少なくとも5倍増加させるための方法であって:(A)As2O3粉末を水性溶媒中に可溶化して、As2O3溶液を形成する工程であって:(I)撹拌有りまたは無しおよび水の添加有りまたは無しでベッセル中As2O3粉末にアルカリ化剤を加えて、約12以上のpHにする工程;(II)撹拌有りまたは無しおよび水の添加有りまたは無しで該ベッセルに酸を加えて、pHを約7~約8に調整する工程;(III)適宜、撹拌有りまたは無しおよび水の添加有りまたは無しで該ベッセルに界面活性剤を加える工程、および(IV)適宜、撹拌有りまたは無しで該ベッセルに水を加えて、As2O3溶液を生成する工程を含む、工程;および(B)該As2O3溶液を凍結乾燥する工程であって:(V)該As2O3溶液を凍結して、凍結As2O3産物を生成する工程;および(VI)該As2O3産物を乾燥して、該ヒ素を含む凍結乾燥組成物を生成する工程を含む、工程を含む、方法に関する。
【0056】
本発明はまた、ヒ素を含む医薬組成物の静脈内投与のバイオアベイラビリティの約50%~約100%の範囲である、対象体へのヒ素の経口バイオアベイラビリティを提供するための方法であって、:(A)As2O3粉末を水性溶媒中に可溶化して、As2O3溶液を形成する工程であって:(I)撹拌有りまたは無しおよび水の添加有りまたは無しでベッセル中As2O3粉末にアルカリ化剤を加えて、約12以上のpHにする工程;(II)撹拌有りまたは無しおよび水の添加有りまたは無しで該ベッセルに酸を加えて、pHを約7~約8に調整する工程;(III)適宜、撹拌有りまたは無しおよび水の添加有りまたは無しで該ベッセルに界面活性剤を加える工程、および(IV)適宜、撹拌有りまたは無しで該ベッセルに水を加えて、As2O3溶液を生成する工程を含む、工程;および(B)該As2O3溶液を凍結乾燥する工程であって:(V)該As2O3溶液を凍結して、凍結As2O3産物を生成する工程;および(VI)該As2O3産物を乾燥して、該ヒ素を含む凍結乾燥組成物を生成する工程を含む、工程を含む、方法に関する。
【0057】
本発明はまた、ヒ素を含む凍結乾燥組成物(LCCA)を含む組成物であって、該ヒ素を含む凍結乾燥組成物が、約2μm~10μmのD(90)サイズ範囲の粒子を含む、組成物に関する。別の一実施態様において、該ヒ素を含む凍結乾燥組成物は、三酸化ヒ素を含む元のAPI粉末の粒子径より約10倍~約50倍小さいD(90)サイズを有する粒子を含む。また別の一実施態様において、該ヒ素を含む凍結乾燥組成物は、約0.5 m2/g~5 m2/gの範囲のBET表面積を有する粒子を含む。また別の一実施態様において、該ヒ素を含む凍結乾燥組成物は、三酸化ヒ素を含む元のAPI粉末の表面積より約5倍~約80倍大きいBET表面積を有する粒子を含む。また別の一実施態様において、該ヒ素を含む凍結乾燥組成物は、三酸化ヒ素を含む元のAPI粉末より冷水またはアルコールに約2倍~約30倍溶解する。別の一実施態様において、該ヒ素を含む凍結乾燥組成物は、約4 g/100 g~約60 g/100 gの凍結乾燥組成物対冷水またはアルコールの範囲で冷水またはアルコールに溶解する。
【0058】
一実施態様において、本発明は、ICP-OESによって測定される医薬組成物の溶出は、三酸化ヒ素を含む元のAPI粉末の約5倍~約15倍である、前のセクションに記載の医薬組成物に関する。
【0059】
本発明はまた、100単位の重量であり;組成物の総重量を100単位にする:(I)10単位の三酸化ヒ素および5単位のラウリル硫酸ナトリウムを提供する量の、ヒ素を含む凍結乾燥組成物;(II)73単位の量のマンニトール;(III)1の量のタルク;および(IV)1 mgの量のステアリン酸マグネシウムを含む、カプセルの形態の経口剤形に関する。本発明の一組の実施態様において、該カプセルの重量は、10 mg、50 mg、100 mgまたは200 mgである。
【0060】
例えば、10 mgの重量であり、組成物の総重量を10 mgにする:
(I)1 mgの三酸化ヒ素および0.5 mgのラウリル硫酸ナトリウムを提供する量の、ヒ素を含む凍結乾燥組成物;
(II)7.3 mgの量のマンニトール;
(III)0.1 mgの量のタルク;および
(IV)0.1 mgの量のステアリン酸マグネシウム
を含む、カプセルの形態の経口剤形。
同様に、50 mgの重量であり、組成物の総重量を50 mgにする:
(I)5 mgの三酸化ヒ素および2.5 mgのラウリル硫酸ナトリウムを提供する量の、ヒ素を含む凍結乾燥組成物;
(II)36.5 mgの量のマンニトール;
(III)0.5 mgの量のタルク;および
(IV)0.5 mgの量のステアリン酸マグネシウム
を含む、カプセルの形態の経口剤形。
【0061】
別の一例において、100 mgの重量であり、組成物の総重量を100 mgにする:
(I)10 mgの三酸化ヒ素および5 mgのラウリル硫酸ナトリウムを提供する量の、ヒ素を含む凍結乾燥組成物;
(II)73 mgの量のマンニトール;
(III)1 mgの量のタルク;および
(IV)1 mgの量のステアリン酸マグネシウム
を含む、カプセルの形態の経口剤形。
【0062】
また別の一例において、200 mgの重量であり、組成物の総重量を200 mgにする:
(I)20 mgの三酸化ヒ素および10 mgのラウリル硫酸ナトリウムを提供する量の、ヒ素を含む凍結乾燥組成物;
(II)146 mgの量のマンニトール;
(III)2 mgの量のタルク;および
(IV)2 mgの量のステアリン酸マグネシウム
を含む、カプセルの形態の経口剤形。
【0063】
本発明のこれらおよび他の態様を、以下に詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0064】
図1図1は、ヒ素を含む新規の凍結乾燥製剤のイヌにおける薬物動態分析および対象の三酸化ヒ素との比較を示す。
【0065】
図2図2は、凍結乾燥およびカプセル剤作成の製造フロー図を示す。
【0066】
図3図3は、三酸化ヒ素(API)についてのX線回折を示す。
【0067】
図4図4は、ヒ素を含む凍結乾燥組成物のリオプレミックスについてのX線回折を示す。
【0068】
図5図5は、ヒ素を含む凍結乾燥組成物を含む最終混合物(医薬製剤)についてのX線回折を示す。
【0069】
図6図6は、プラセボについてのX線回折を示す。
【0070】
図7図7は、三酸化ヒ素API;リオプレミックス;および最終混合物のSEM画像を示す。
【0071】
図8図8は、三酸化ヒ素APIについてのBET表面積プロットを提供し、これは、どのように1/[Q(Po/P-1)]が相対圧P/Poに依存するかを示す。
【0072】
図9図9は、リオプレミックス(ヒ素を含む凍結乾燥組成物)についてのBET表面積プロットを提供し、これは、どのように1/[Q(Po/P-1)]が相対圧P/Poに依存するかを示す。
【発明を実施するための形態】
【0073】
本発明は、ヒ素を含む凍結乾燥組成物(LCCA)を製造するための方法であって:(A)As2O3粉末を水性溶媒中に可溶化して、As2O3溶液を形成する工程;および(B)該As2O3溶液を凍結乾燥する工程を含む、方法に関する。一実施態様において、該As2O3粉末を水性溶媒中に可溶化する工程は:(I)撹拌有りまたは無しおよび水の添加有りまたは無しでベッセル中As2O3粉末にアルカリ化剤を加えて、約12以上のpHにする工程;(II)撹拌有りまたは無しおよび水の添加有りまたは無しで該ベッセルに酸を加えて、pHを約7~約8に調整する工程;(III)適宜、撹拌有りまたは無しおよび水の添加有りまたは無しで該ベッセルに界面活性剤を加える工程、および(IV)適宜、撹拌有りまたは無しで該ベッセルに水を加えて、As2O3溶液を生成する工程を含む。
【0074】
本発明のまた別の一実施態様において、方法についてこのセクションで上記の、該凍結乾燥工程は:(A)該As2O3溶液を凍結して、凍結As2O3産物を生成する工程;および(B)該As2O3産物を乾燥して、該ヒ素を含む凍結乾燥組成物を生成する工程を含む。別の一実施態様において、これまでに記載の方法について、該凍結工程は、約-50℃~約0℃の範囲の温度で該As2O3溶液を凍結することを含む。別の一実施態様において、該As2O3溶液を約-40℃で少なくとも約6時間凍結する。
【0075】
本発明はまた、ヒ素を含む凍結乾燥組成物(LCCA)を含む組成物に関する。一実施態様において、該組成物は、少なくとも1つの充填剤および少なくとも1つの滑沢剤をさらに含む。別の一実施態様において、該組成物は:(A)As2O3粉末を水性溶媒中に可溶化して、As2O3溶液を形成する工程;(B)該As2O3溶液を凍結乾燥して、リオプレミックスを生成する工程;(C)該リオプレミックスを篩過して、凍結乾燥As2O3粉末を生成する工程;(D)適宜、少なくとも1つの充填剤を該凍結乾燥As2O3粉末に加える工程;(E)適宜、1以上の滑沢剤を該凍結乾燥As2O3粉末に加えて、該As2O3の経口製剤を生成する工程を含む方法により製造される。
【0076】
本発明の別の一実施態様において、このセクションで前記の組成物について、該充填剤はマンニトールを含み;および/または該1以上の滑沢剤はタルクおよび/またはステアリン酸マグネシウムを含む。別の一実施態様において、該組成物は、制御放出性、経口、固形、組成物である。一実施態様において、このセクションで前記の組成物は、カプセルに封入される。
【0077】
本発明はまた、ヒ素まはた凍結乾燥三酸化ヒ素(As2O3)を含む、凍結乾燥組成物を含む経口医薬製剤を製造するための方法であって、:(A)As2O3粉末を水性溶媒中に可溶化して、As2O3溶液を形成する工程;(B)該As2O3溶液を凍結乾燥して、リオプレミックスを生成する工程;(C)該リオプレミックスを篩過して、凍結乾燥As2O3粉末を生成する工程;(D)適宜、少なくとも1つの充填剤を該凍結乾燥As2O3粉末に加える工程;(E)適宜、1以上の滑沢剤を該凍結乾燥As2O3粉末に加えて、該As2O3の経口製剤を生成する工程を含む、方法に関する。本発明は、経口投与に適した固形剤形の医薬組成物であって、ヒ素を含む凍結乾燥組成物を含む組成物に関する。一実施態様において、該医薬組成物は、少なくとも1つの充填剤および少なくとも1つの滑沢剤をさらに含む。また別の一実施態様において、このセクションでこれまでに記載の医薬組成物は、本明細書に記載の方法により製造される。本発明の別の一実施態様において、このセクションで前記の医薬組成物について、該充填剤はマンニトールを含み;および/または該1以上の滑沢剤はタルクおよび/またはステアリン酸マグネシウムを含む。別の一実施態様において、該医薬組成物は、制御放出性、経口、固形、組成物である。一実施態様において、このセクションで前記の医薬組成物は、カプセルに封入される。
【0078】
別の一組の実施態様において、本発明はまた、約1 mg、約5 mg、10 mgまたは約20 mgのこのセクションで前記の医薬組成物を含む、カプセルに関する。本発明はさらに、このセクションに記載の医薬組成物およびその使用説明書を含む、キットに関する。
【0079】
本発明は、対象体に、ヒ素を含む凍結乾燥組成物を含む医薬組成物を経口投与する方法であって、該医薬組成物を提供する工程、および該組成物を該対象体に経口投与することを含む、方法に関する。本発明はさらに、処置を必要とする患者において癌を処置する方法であって、ヒ素を含む凍結乾燥組成物を含む医薬組成物の治療上有効量を患者に投与することを含む、方法に関する。
【0080】
本発明は、三酸化ヒ素を含む元のAPI粉末の表面積を約5倍から約80倍に増加させるため;水またはアルコール中の三酸化ヒ素粉末の溶解性を約2倍~約30倍増加させるため;ヒ素を含む医薬組成物の溶出を元のAPIより少なくとも5倍増加させるため;ヒ素を含む医薬組成物の静脈内投与のバイオアベイラビリティの約50%~約100%の範囲である、対象体へのヒ素の経口バイオアベイラビリティを提供するため;および粒子のD(90)サイズを約2μm~約10μmに低下させるための方法に関する。
【0081】
本発明はまた、100単位の重量であり;組成物の総重量を100単位にする:(I)10単位の三酸化ヒ素および5単位のラウリル硫酸ナトリウムを提供する量の、ヒ素を含む凍結乾燥組成物;(II)73単位の量のマンニトール;(III)1の量のタルク;および(IV)1 mgの量のステアリン酸マグネシウムを含む、カプセルの形態の経口剤形に関する。本発明の一組の実施態様において、該カプセルの重量は、10 mg、50 mg、100 mgまたは200 mgである。
【0082】
使用方法
血液悪性腫瘍の対象体での使用
本発明は、経口投与されるヒ素を含む凍結乾燥組成物の使用方法をさらに提供する。一実施態様において、ヒ素を含む凍結乾燥組成物は、血液悪性腫瘍(例えば白血病、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫および骨髄腫)の処置のための医薬として用いられる。当該方法は、有効量のヒ素を含む凍結乾燥組成物を必要とする対象体へ投与することを含む。ヒ素を含む凍結乾燥組成物は、凍結乾燥形態で経口投与されてもよく、または栄養間を介して経腸的に投与されてもよい。本明細書で用いられる用語"有効量"は、血液悪性腫瘍の状況において治療上または健康上の利益を提供するのに十分な量を意味する。
【0083】
一実施態様において、ヒ素を含む凍結乾燥組成物は、血液悪性腫瘍を患っている対象体において健康上の利益を生じ得る。好ましくは、対象体はヒトである。必要とする対象体は、転移の有無に関わらず、疾患の任意の段階において、血液悪性腫瘍と診断されたもの対象体である。本明細書で用いられる用語"血液悪性腫瘍"としては、白血病、リンパ腫および骨髄腫が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で用いられる用語"白血病"としては、急性リンパ性白血病(ALL);急性骨髄性白血病(AML)(急性非リンパ性白血病(ANLL)と呼ばれるときもある)、例えば骨髄芽球性、前骨髄球性、骨髄単球性、単球性、赤白血病性白血病および骨髄異形成症候群;慢性リンパ性白血病(CLL);慢性骨髄性(顆粒球性)白血病(CML);慢性骨髄単球性白血病(CMML);有毛細胞白血病;および真性多血症が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で用いられる用語"リンパ腫"としては、ホジキン病および非ホジキンリンパ腫が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で用いられる用語"骨髄腫"としては、巨細胞骨髄腫、無症候性骨髄腫、局所性骨髄腫、多発性骨髄腫、形質細胞性骨髄腫、硬化性骨髄腫、孤立性骨髄腫、くすぶり型多発性骨髄腫、非分泌性骨髄腫、骨硬化性骨髄腫、形質細胞性白血病、孤立性形質細胞腫および髄外性形質細胞腫が挙げられるが、これらに限定されない。
【0084】
対象体は、血液悪性腫瘍に対して他の治療法を同時に受けている患者であり得る。対象体は、処置レジメン(例えば化学療法および/または放射線)を受け、その癌が退行している血液悪性腫瘍の患者であり得る。対象体は、処置レジメンを受け、臨床的に血液悪性腫瘍でないように思われる血液悪性腫瘍の患者であり得る。本発明のヒ素を含む凍結乾燥組成物は、任意の処置法(例えば化学療法および/または放射線が挙げられるがこれらに限定されない)と補助的に経口投与され得る。例えば、三酸化ヒ素組成物は、1以上の化学療法剤または免疫治療剤、例えばアムサクリン(AMSA)、ブスルファン(Myleran(R))、クロラムブシル(Leukeran(R))、クラドリビン(2-クロロdeオキシアデノシン;"2-CDA";Leustatin(R))、シクロホスファミド(Cytoxan(R))、シタラビン(ara-C;Cytosar-U(R))、ダウノルビシン(Cerubidine(R))、ドキソルビシン(Adriamycin(R))、エトポシド(VePesid(R))、リン酸フルダラビン(Fludara(R))、ヒドロキシウレア(Hydrea(R))、イダルビシン(Idamycin(R))、L-アスパラギナーゼ(Elspar(R))、メトトレキサートナトリウムプラス6-メルカプトプリン(6-MP;Purinethol(R))、ミトキサントロン(Novantrone(R))、ペントスタチン(2-デオキシコホルマイシン;"DCF";Nipent(R))、プレドニゾン、レチノイン酸(ATRA)、硫酸ビンクリスチン(Oncovin(R))、6-チオグアニン(Tabloid(R))、シクロスポリンA、Taxol(R))、Cisplatin(R)、Carboplatin(R)、Doxil(R)、Topotecan(R)、Methotrexate(R)、Bleomycin(R)およびEpirubicin(R)と組み合せて用いられ得る。三酸化ヒ素組成物はまた、他の処置レジメンが行われた後に、用いられ得る。
【0085】
対象体は、血液悪性腫瘍とまだ診断されていないが、遺伝的要因および/または環境的要因の結果として血液悪性腫瘍を発症する素因があるか、または高い危険性がある対象体であり得る。
【0086】
対象体に応じて、治療上および健康上の利益は、血液悪性腫瘍の成長および/または身体の他の部分への血液悪性腫瘍の広がり(すなわち転移)、癌症状の緩和、癌患者の生存率の改善、対象体の平均余命の延長、対象体の生活の質の改善、および/または処置の成功したコース(例えば化学療法、放射線)後の再発の可能性の低下まで及ぶ。血液悪性腫瘍に関連する症状としては、免疫系の弱化、感染症、発熱、赤血球および血小板の減少、衰弱、疲労、食欲不振、体重減少、リンパ節、肝臓または膵臓の肥大または圧痛、容易な出血または挫傷、皮下の小さな赤い斑点(点状出血と呼ばれる)、歯茎の腫れまたは出血、発汗(特に夜間)、骨または関節の痛み、頭痛、嘔吐、錯乱、筋肉制御の損失、および発作が挙げられるが、これらに限定されない。
【0087】
特に本発明は、対象体へ本発明の三酸化ヒ素組成物を経口投与することを含む、対象体、例えばヒトにおける血液悪性腫瘍の完全寛解のための方法を提供する。他の実施態様において、本発明は、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%および95%の造血器腫瘍の寛解を提供する。本発明はまた、対象体へ本発明のヒ素を含む凍結乾燥組成物を経口投与することを含む、血液悪性腫瘍に苦しめられている対象体、好ましくはヒト患者の生存時間を延長するための方法を提供する。
【0088】
有効用量は、処置される対象体および投与経路で変化する。対象体のための有効用量はまた、処置される状態および処置される状態の重症度で変化する。用量、およびおそらく用量頻度はまた、年齢、体重および個々の対象体の応答によって変化する。一般的に、mgで、血液悪性腫瘍に苦しめられている対象体のためのヒ素を含む凍結乾燥組成物の合計1日投与量範囲は、次のとおりである:1、2、3、4、5、6、7、8、9,10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49および50 mg/日。患者の必要性に応じて、それはより高く、例えば60、70、80、90および100 mg/日、またはその間の任意の中間用量数であり得る。ヒ素組成物を含む凍結乾燥プレミックスは、対象体に経口投与される。
【0089】
処置コースの時間の長さは、少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも1週、少なくとも2週、少なくとも3週、少なくとも4週、少なくとも5週、少なくとも7週、少なくとも10週、少なくとも13週、少なくとも15週、少なくとも20週、少なくとも6月、少なくとも1年または少なくとも2年であるべきである。当業者には明らかであるようにいくつかの場合においてこれらの範囲外の用量を用いることが必要であり得る。ある特定の実施態様において、ヒ素を含む凍結乾燥組成物は、症状が制御されるまで、または疾患が部分的もしくは完全に退行したとき、一時期投与され得る。さらに、臨床医または処置医が個々の患者の応答と併せて医薬としての三酸化ヒ素組成物の使用をいつどのように中断、調整および終了するかを知っていることに留意されたい。
【0090】
血液悪性腫瘍の発症および進行に対する本発明のヒ素を含む凍結乾燥組成物の影響は、a)画像化技術、例えばコンピューター断層撮影(CT)スキャンまたは超音波画像を用いた腫瘍のサイズおよび形態の変化;およびb)血液悪性腫瘍についてのリスクの生物学的マーカーレベルの変化を測定することを含むがこれらに限定されない、当業者に公知の任意の方法により観察され得る。
【0091】
ある特定の実施態様において、本発明の予防的および/または治療的プロトコールの毒性および有効性は、例えばLD50(集団の50%に致死的な用量)およびED50(集団の50%で治療上有効な用量)を決定するための、細胞培養または実験動物における標準的な薬学的手順により決定され得る。毒性と治療効果の間の用量比は、治療指数であり、LD50/ED50比として表現され得る。大きな治療指数を示す予防剤および/または治療剤が好ましい。副作用を示す予防剤および/または治療剤が用いられ得るが、非感染細胞への潜在的損傷を最小限にし、これにより副作用を低下させるために、該剤を影響される組織の部位へ標的化する送達システムを設計することに注意すべきである。
【0092】
他の実施態様において、細胞培養アッセイおよび動物試験から得られるデータは、ヒトにおける使用のための予防剤および/または治療剤の用量の範囲を定式化するのに用いられ得る。このような剤の用量は、好ましくは、毒性がほとんどないかまたは全くないED50を含む循環濃度の範囲内にある。用量は、使用される剤形および利用される投与経路に応じてこの範囲内で変化し得る。本発明の方法で用いられる任意の剤について、治療上有効用量は、最初に細胞培養アッセイから推定され得る。用量は、細胞培養で決定されるように、IC50(すなわち、症状の最大半分の阻害を達成する試験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度範囲を達成するために動物モデルにおいて定式化され得る。このような情報は、ヒトにおいて有用な用量をより正確に決定するために用いられ得る。血漿中のレベルは、例えば高速液体クロマトグラフィーにより測定され得る。
【0093】
本発明に従って用いられる治療の抗癌活性はまた、癌研究のための様々な実験動物モデル、例えばマウスモデルまたは遺伝子組換えマウスにより決定され得る。以下は、限定ではなく例として提供されるいくつかのアッセイである。
【0094】
本発明のヒ素を含む凍結乾燥組成物は、以下の記載および実験セクションで説明するように製造される。ヒ素または1以上のその化学形態は、活性成分であり、これらの成分がヒ素を含む凍結乾燥組成物の活性を損なう(例えば低下させる)ことがなければ、適宜医薬的に許容される担体または添加剤、および/または他の成分を含有し得る。本発明のヒ素を含む凍結乾燥組成物に組込まれ得る他の成分としては、ハーブ(伝統的な漢方製剤を含む)、ハーブエキス、ビタミン、アミノ酸、金属塩、金属キレート、着色剤、風味増強剤、防腐剤などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0095】
経口組成物の有効用量を対象体に提供するために任意の剤形を使用し得る。投与形態としては、錠剤、カプセル剤、分散剤、懸濁剤、液剤などが挙げられる。一実施態様において、経口投与に適した本発明の組成物は、活性化または調製された酵母菌の所定量を各々含有する、別個の単位、例えばカプセル剤、ブリスター、カシェまたは錠剤として、散剤もしくは顆粒剤として、または水性液体、非水性液体、水中油型エマルジョンもしくは油中水型液体エマルジョン中の液剤もしくは懸濁剤として存在してもよい。好ましい実施態様において、経口組成物は、凍結乾燥された粉状または飛散性固体の形態である。一般的に、組成物は、液体担体または微細に分割された固体担体または両方と活性成分を均一かつ緊密に混合し、その後、必要に応じて、産物を所望の形態へ成形することにより製造される。このような製品は、その使用用量および状況に応じて医薬品または栄養補助食品として用いられ得る。
【0096】
本発明の経口組成物は、結合剤(例えば、部分アルファー化デンプン、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース);結合剤または賦形剤(例えばラクトース、ペントサン、微結晶セルロースまたはリン酸水素カルシウム);滑沢剤(例えばステアリン酸マグネシウム、タルクまたはシリカ);崩壊剤(例えばバレイショデンプンまたはデンプングリコール酸ナトリウム);または湿潤剤(例えばラウリル硫酸ナトリウム)をさらに含み得る。錠剤またはカプセル剤は、当該技術分野で周知の方法によりコーティングされ得る。
【0097】
ある特定の実施態様において、ヒ素を含む凍結乾燥組成物は、1 mL当たり約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20 21、22、23、24または25 mgの三酸化ヒ素の等価物を含む。
【0098】
一般的に、投与の容易さのため、錠剤およびカプセル剤は、最も有利な経口投与単位形態を表し、この場合、上記の固体の医薬担体が使用される。好ましい実施態様において、組成物はカプセル剤である。カプセル剤は、任意の市場で利用可能な方法により製剤化され得る。ある特定の実施態様において、組成物は、0.25 mg、0.5 mg、1 mg、2 mg、3、mg、4 mg、5 mg、6 mg、7 mg、8 mg、9 mg、10 mg、11 mg、12 mg、13 mg、14 mg、15 mg、16 mg、17 mg、18 mg、19 mg、20 mg、21 mg、22 mg、23 mg、24 mg、25 mg、26 mg、27 mg、28 mg、29 mg、30 mg、31 mg、32 mg、33 mg、34 mg、35 mg、36 mg、37 mg、38 mg、39 mg、40 mg、41 mg、42 mg、43 mg、24 mg、45 mg、46 mg、47 mg、48 mg、49 mgまたは50 mgのヒ素を含む凍結乾燥組成物を粉末形態で含有するカプセル剤である。
【0099】
本発明の医薬組成物および投与形態およびキットを含む、本発明の様々な実施態様において用いられ得る抗癌剤の更なる例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:アシビシン;アクラルビシン;塩酸アコダゾール;アクロニン;アドゼレシン;アルデスロイキン;アルトレタミン;アンボマイシン(ambomycin);酢酸アメタントロン;アミノグルテチミド;アムサクリン;アナストロゾール;アントラマイシン;アスパラギナーゼ;アスペルリン;アザシチジン;アゼテパ(azetepa);アゾトマイシン(azotomycin);バチマスタット;ベンゾデパ;ビカルタミド;塩酸ビサントレン;ビスナフィドジメシラート;ビゼレシン;硫酸ブレオマイシン;ブレキナールナトリウム;ブロピリミン;ブスルファン;カクチノマイシン;カルステロン;カラセミド;カルベチマー;カルボプラチン;カルムスチン;塩酸カルビシン(carubicin);カルゼレシン;セデフィンゴール;クロラムブシル;シロレマイシン(cirolemycin);シスプラチン;クラドリビン;クリスナトールメシラート;シクロホスファミド;シタラビン;ダカルバジン;ダクチノマイシン;塩酸ダウノルビシン;デシタビン;デキソルマプラチン;デザグアニン;デザグアニンメシラート;ジアジコン;ドセタキセル;ドキソルビシン;塩酸ドキソルビシン;ドロロキシフェン;クエン酸ドロロキシフェン;プロピオン酸ドロモスタノロン;デュアゾマイシン(duazomycin);エダトレキセート;塩酸エフロルニチン(eflomithine hydrochloride);エルサミトルシン(elsamitrucin);エンロプラチン;エンプロマート;エピプロピジン;塩酸エピルビシン;エルブロゾール(erbulozole);塩酸エソルビシン(esorubicin);エストラムスチン;リン酸エストラムスチンナトリウム;エタニダゾール;エトポシド;リン酸エトポシド;エトプリン(etoprine);塩酸ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フロクスウリジン;リン酸フルダラビン;フルオロウラシル;フルロシタビン;ホスキドン;ホストリエシンナトリウム;ゲムシタビン;塩酸ゲムシタビン;ヒドロキシ尿素;塩酸イダルビシン;イホスファミド;イルモホシン;インターロイキンII(組み換えインターロイキンIIまたはrIL2を含む);インターフェロンα-2a;インターフェロンα-2b;インターフェロンα-n1;インターフェロンα-n3;インターフェロンβ-I a;インターフェロンγ-I b;イプロプラチン;塩酸イリノテカン;酢酸ランレオチド;レトロゾール;酢酸ロイプロリド;塩酸リアロゾール;ロメトレキソールナトリウム;ロムスチン;塩酸ロソキサントロン;マソプロコール;メイタンシン;塩酸メクロレタミン;酢酸メゲストロール;酢酸メレンゲストロール;メルファラン;メノガリル;メルカプトプリン;メトトレキセート;メトトレキセートナトリウム;メトプリン;メツレデパ;ミチンドミド;ミトカルシン(mitocarcin);ミトクロミン(mitocromin);マイトジリン;ミトマルシン(mitomalcin);マイトマイシン;ミトスパー(mitosper);ミトタン;塩酸ミトキサントロン;ミコフェノール酸;ノコダゾール;ノガラマイシン;オルマプラチン;オキシスラン;パクリタキセル;ペグアスパルガーゼ;ペリオマイシン(peliomycin);ペンタムスチン(pentamustine);硫酸ペプロマイシン;ペルホスファミド;ピポブロマン;ピポスルファン;塩酸ピロキサントロン;プリカマイシン;プロメスタン;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニマスチン;塩酸プロカルバジン;ピューロマイシン;塩酸ピューロマイシン;ピラゾフリン;リボプリン;ログレチミド;サフィンゴール;塩酸サフィンゴール;セムスチン;シムトラゼン;スパルフォセートナトリウム;スパルソマイシン;塩酸スピロゲルマニウム;スピロムスチン;スピロプラチン;ストレプトニグリン;ストレプトゾシン;スロフェヌル;タリソマイシン;テコガランナトリウム;テガフール;塩酸テロキサントロン;テモポルフィン;テニポシド;テロキシロン;テストラクトン;チアミプリン(thiamiprine);チオグアニン;チオテパ;チアゾフリン;チラパザミン;クエン酸トレミフェン;酢酸トレストロン(trestolone);リン酸トリシリビン;トリメトレキセート;グルクロン酸トリメトレキセート;トリプトレリン;塩酸ツブロゾール;ウラシルマスタード;ウレデパ;バプレオチド;ベルテポルフィン;硫酸ビンブラスチン;硫酸ビンクリスチン;ビンデシン;硫酸ビンデシン;硫酸ビネピジン;硫酸ビングリシナート(vinglycinate);硫酸ビンロイロシン(vinleurosine);酒石酸ビノレルビン;硫酸ビンロシジン(vinrosidine);硫酸ビンゾリジン(vinzolidine);ボロゾール;ゼニプラチン;ジノスタチン;塩酸ゾルビシン。
他の抗癌剤としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:20-エピ-1,25ジヒドロキシビタミンD3;5-エチニルウラシル;アビラテロン;アクラルビシン;アシルフルベン;アデシペノール(adecypenol);アドゼレシン;アルデスロイキン;ALL-TKアンタゴニスト;アルトレタミン;アンバムスチン;アミドックス(amidox);アミホスチン;アミノレブリン酸;アムルビシン;アムサクリン;アナグレライド;アナストロゾール;アンドログラホリド;血管形成阻害剤;アンタゴニストD;アンタゴニストG;アンタレリクス;抗背方化形態形成タンパク質-1;抗アンドロゲン、前立腺癌;抗エストロゲン;抗新生物薬;アンチセンスオリゴヌクレオチド;グリシン酸アフィジコリン;アポトーシス遺伝子モジュレーター;アポトーシス制御因子;アプリン酸;ara-CDP-DL-PTBA;アルギニンデアミナーゼ;アスラクリン(asulacrine);アタメスタン;アトリムチン;アキシナスタチン(axinastatin)1;アキシナスタチン2;アキシナスタチン3;アザセトロン;アザトキシン(azatoxin);アザチロシン;バッカチンIII誘導体;バラノール(balanol);バチマスタット;BCR/ABLアンタゴニスト;ベンゾクロリン(benzochlorin);ベンゾイルスタウロスポリン;βラクタム誘導体;β-アレチン(alethine);ベタクラマイシンB;ベツリン酸;bFGF阻害剤;ビカルタミド;ビサントレン;ビスアジリジニルスペルミン;ビスナフィド;ビストラテン(bistratene)A;ビゼレシン;ブレフレート(breflate);ブロピリミン;ブドチタン;ブチオニンスルホキシミン;カルシポトリオール;カルホスチンC;カンプトセシン誘導体;カナリアポックスIL-2;カペシタビン;カルボキサミド-アミノトリアゾール;カルボキシアミドトリアゾール;CaRestM3;CARN700;軟骨由来阻害剤;カルゼレシン;カゼインキナーゼ阻害剤(ICOS);カスタノスペルミン;セクロピンB;セトロレリクス;クロリン(chlorlns);クロロキノキサリンスルホンアミド;シカプロスト;シスポルフィリン;クラドリビン;クロミフェン類似体;クロトリマゾール;コリスマイシン(collismycin)A;コリスマイシンB;コンブレタスタチンA4;コンブレタスタチン類似体;コナゲニン;クラムベシジン(crambescidin)816;クリスナトール;クリプトフィシン8;クリプトフィシンA誘導体;キュラシンA;シクロペンタンセラキノン(cyclopentanthraquinone);シクロプラタム(cycloplatam);シペマイシン(cypemycin);シタラビンオクホスファート;細胞溶解因子;サイトスタチン;ダクリキシマブ(dacliximab);デシタビン;デヒドロダイデムニン(dehydrodidemnin)B;デスロレリン;デキサメサゾン;デキシホスファミド(dexifosfamide);デクスラゾキサン;デクスベラパミル;ジアジコン;ダイデムニンB;ダイドックス(didox);ジエチルノルスペルミン;ジヒドロ-5-アザシチジン;9-ジヒドロタキソール;ジオキサマイシン(dioxamycin);ジフェニルスピロムスチン;ドセタキセル;ドコサノール;ドラセトロン;ドキシフルリジン;ドロロキシフェン;ドロナビノール;デュオカルマイシンSA;エブセレン;エコムスチン;エデルホシン;エドレコロマブ;エフロルニチン(eflomithine);エレメン;エミテフル;エピルビシン;エプリステリド;エストラムスチン類似体;エストロゲンアゴニスト;エストロゲンアンタゴニスト;エタニダゾール;リン酸エトポシド;エキセメスタン;ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フィルグラスチム;フィナステリド;フラボピリドール;フレゼラスチン;フルアステロン;フルダラビン;塩酸フルオロダウノルニシン(fluorodaunorunicin);ホルフェニメクス;ホルメスタン;ホストリエシン;フォテムスチン;ガドリニウムテキサフィリン;硝酸ガリウム;ガロシタビン;ガニレリクス;ゼラチナーゼ阻害剤;ゲムシタビン;グルタチオン阻害剤;ヘプスルファム(hepsulfam);ヘレグリン;ヘキサメチレンビスアセトアミド;ヒペリシン;イバンドロン酸;イダルビシン;イドキシフェン;イドラマントン;イルモホシン;イロマスタット;イミダゾアクリドネス(imidazoacridones);イミキモド;免疫賦活ペプチド;インスリン様増殖因子-1受容体阻害剤;インターフェロンアゴニスト;インターフェロン;インターロイキン;イオベングアン;ヨードドキソルビシン;イポメアノール、4-;イロプラクト(iroplact);イルソグラジン;イソベンガゾール(isobengazole);イソホモハリコンドリン(isohomohalicondrin)B;イタセトロン;ジャスプラキノリド;カハラリド(kahalalide)F;ラメラリン-Nトリアセタート;ランレオチド;レイナマイシン;レノグラスチム;硫酸レンチナン;レプトールスタチン(leptolstatin);レトロゾール;白血病阻害因子;白血球αインターフェロン;ロイプロリド+エストロゲン+プロゲステロン;リュープロレリン;レバミゾール;リアロゾール;直鎖ポリアミン類似体;親油性二糖ペプチド;親油性白金化合物;リソクリンアミド(lissoclinamide)7;ロバプラチン;ロンブリシン;ロメトレキゾール;ロニダミン;ロソキサントロン;ロバスタチン;ロキソリビン;ルトテカン(lurtotecan);ルテチウムテキサフィリン;リソフィリン(lysofylline);溶解ペプチド;マイタンシン;マンノスタチンA;マリマスタット;マソプロコール;マスピン;マトリライシン阻害剤;マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤;メノガリル;メルバロン(merbarone);メテレリン;メチオニナーゼ;メトクロプラミド;MIF阻害剤;ミフェプリストーン;ミルテフォシン;ミリモスチム;ミスマッチ二本鎖RNA;ミトグアゾン;ミトラクトール;マイトマイシン類似体;メトナフィド;マイトトキシン線維芽細胞成長因子-サポニン;ミトキサントロン;モファロテン;モルグラモスチム;モノクローナル抗体、ヒト絨毛性ゴナドトロピン;モノホスホリル脂質A+ミオバクテリウム細胞壁sk;多剤耐性遺伝子阻害剤;多発性腫瘍抑制因子1に基づく治療;モピダモール;マスタード抗癌薬;マイカペルオキシド(mycaperoxide)B;放線菌細胞壁抽出物;ミリアポロン(myriaporone);N-アセチルジナリン;N-置換されたベンズアミド;ナファレリン;ナグレスチップ(nagrestip);ナロキソン+ペンタゾシン;ナパビン(napavin);ナフテルピン;ナルトグラスチム;ネダプラチン;ネモルビシン(nemorubicin);ネリドロン酸;中性エンドペプチダーゼ;ニルタミド;ニサマイシン(nisamycin);一酸化窒素モジュレーター;窒素酸化物抗酸化剤;ニトルリン(nitrullyn);06-ベンジルグアニン;オクトレオチド;オキセノン(okicenone);オリゴヌクレオチド;オナプリストン;オンダンセトロン;オンダンセトロン;オラシン(oracin);経口サイトカイン誘導因子;オルマプラチン;オサラロン;オキサリプラチン;オキザウノマイシン(oxaunomycin);パクリタキセル;パクリタキセル類似体;パクリタキセル誘導体;パラウアミン(palauamine);パルミトイルリゾキシン;パミドロン酸;パナキシトリオール;パノミフェン;パラバクチン;パゼリプチン;ペグアスパルガーゼ;ペルデシン;多硫酸ペントサンナトリウム;ペントスタチン;ペントロゾール(pentrozole);ペルフルブロン;ペルホスファミド;ペリリルアルコール;フェナジノマイシン;酢酸フェニル;ホスファターゼ阻害剤;ピシバニール;塩酸ピロカルピン;ピラルビシン;ピリトレキシム;プラセチン(placetin)A;プラセチンB;プラスミノーゲン活性化因子阻害剤;白金複合体;白金化合物;白金-トリアミン複合体;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニゾン;プロピルビス‐アクリドン;プロスタグランジンJ2;プロテアソーム阻害剤;プロテインAに基づいた免疫変調成分;タンパク質キナーゼC阻害剤;タンパク質キナーゼC阻害剤、微細藻類;タンパク質チロシンホスファターゼ阻害剤;プリンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害剤阻害剤;プルプリン;ピラゾロアクリジン;ピリドキシル酸化されたヘモグロビンポリオキシエチレン抱合体;rafアンタゴニスト;ラルチトレキセド;ラモセトロン;rasファルネシル(famesyl)タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤;ras阻害剤;ras-GAP阻害剤;脱メチル化レテリプチン;レニウムRe186エチドロン酸;リゾキシン;リボザイム;RIIレチンアミド;ログレチミド;ロヒツキン(rohitukine);ロムルチド;ロキニメクス;ルビジノン(rubiginone)B1;ルボキシル;サフィンゴール;サイントピン(saintopin);SarCNU;サルコフィトールA;サルグラモスチム;Sdi1擬態;セムスチン;老化由来阻害剤1;センスオリゴヌクレオチド;シグナル伝達阻害剤;シグナル伝達モジュレーター;単鎖抗原結合タンパク質;シゾフィラン;ソブゾキサン;ナトリウムボロカプテート(borocaptate);酢酸フェニルナトリウム;ソルベロール;ソマトメジン結合タンパク質;ソネルミン;スパルホス酸;スピカマイシンD;スピロムスチン;スプレノペンチン;スポンジスタチン1;スクアラミン;幹細胞阻害剤;幹細胞分裂阻害剤;スチピアミド(stipiamide);ストロメライシン阻害剤;スルフィノシン(sulfinosine);超活性血管作用性小腸ペプチドアンタゴニスト;スラジスタ;スラミン;スワインソニン;合成グリコサミノグリカン;タリムスチン;タモキシフェンメチオジド;タウロムスチン;タザロテン;テコガランナトリウム;テガフール;テルラピリリウム(tellurapyrylium);テロメラーゼ阻害剤;テモポルフィン;テモゾロミド;テニポシド;テトラクロロデカオキサイド;テトラゾミン(tetrazomine);タリブラスチン(thaliblastine);チオコラリン;トロンボポエチン;擬態トロンボポエチン;チマルファシン;サイモポエチン受容体アゴニスト;チモトリナン;甲状腺刺激ホルモン;スズエチルエチオプルプリン;チラパザミン;二塩化チタノセン;トプセンチン(topsentin);トレミフェン;全能性幹細胞因子;翻訳阻害剤;トレチノイン;トリアセチルウリジン;トリシリビン;トリメトレキセート;トリプトレリン;トロピセトロン;ツロステリド;チロシンキナーゼ阻害剤;チロホスチン;UBC阻害剤;ウベニメクス;泌尿生殖洞由来増殖阻害性因子;ウロキナーゼ受容体アンタゴニスト;バプレオチド;バリオリンB;ベクター系、赤血球遺伝子治療;ベラレソール;ベラミン(veramine);ベルディンス(verdins);ベルテポルフィン;ビノレルビン;ビンキサルチン;ビタクシン;ボロゾール;ザノテロン(zanoterone);ゼニプラチン;ジラスコルブ;及びジノスタチンスチマラマー。好ましい更なる抗癌剤は、5-フルオロウラシルおよびロイコボリンである。これらの2の剤は、サリドマイドおよびトポイソメラーゼ阻害剤を使用する方法において用いられるとき、特に有用である。
【0100】
製剤
好ましい実施態様において、本発明は、ヒ素を含む凍結乾燥組成物、あるいは凍結乾燥三酸化ヒ素(As2O3)として扱われるものを製造するための方法であって:
a. ベッセルにおいてAs2O3粉末を水中に可溶化する工程であって、次の順で:
i. 該ベッセルにアルカリ化剤を加えて、約12以上のpHにする工程、
ii. 該ベッセルに酸を加えて、pHを約7~約8に調整する工程、
iii. 該ベッセルに界面活性剤を加える工程、および
iv. 該ベッセルに水を加えて、As2O3溶液を生成する工程
を含む、可溶化する工程;および
b. 該As2O3溶液を凍結乾燥する工程
を含む、方法に関する。
【0101】
上記方法の一実施態様において、アルカリ化剤は、水酸化ナトリウム(NaOH)または炭酸ナトリウム(Na2CO3)を含む。別の一実施態様において、該加えられるアルカリ化剤の量は、As2O3粉末の量の約10%~約100%である。言い換えれば、加えられる該アルカリ化剤の量は、As2O3粉末の量の、約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99および100%である。別の一実施態様において、加えられる該アルカリ化剤の量は、上記の任意の2つの数により定義され、それを含む範囲内の任意の数である。
【0102】
また別の一実施態様において、該酸は、塩酸(HCl)を含む。一実施態様において、該HClは、約6M HClである。一実施態様において、酸を該ベッセルに加えて、pHを約7.2に調整する。一実施態様において、水は、工程a)i)、a)ii)、a)iii)、および/またはa)iv)後にベッセルに加えられる。
【0103】
本発明の一実施態様において、界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム;ツイーン80;βシクロデキストリン;ポロキサマー;トコフェリルポリエチレングリコールスクシネート(TPGS)を含む。本発明の一実施態様において、界面活性剤は、約0.5%v/v~約4.0%v/vまで加えられるが、As2O3濃度の約50%を越えない。
【0104】
本発明の一実施態様において、凍結乾燥工程は、該As2O3溶液を凍結して、凍結As2O3産物を生成する工程、および凍結As2O3産物を乾燥して、該凍結乾燥As2O3またはヒ素を含む凍結乾燥組成物を生成する工程を含む。別の一実施態様において、凍結工程は、該As2O3溶液を約-40℃で凍結することを含む。別の一実施態様において、As2O3溶液を約-40℃で少なくとも約6時間凍結する。一実施態様において、乾燥工程は、該As2O3固体に熱および真空を適用することを含む。例えば、乾燥工程は、該As2O3産物を約-30℃および約800 mTorrにて約60分間加熱すること;該As2O3産物を-20℃および500 mTorrにて約120分間加熱すること;該As2O3産物を約-5℃および約500 mTorrにて約120分間加熱すること;該As2O3産物を約10℃および約500 mTorrにて約60分間加熱すること;該As2O3産物を約25℃および約500 mTorrにて約180分間加熱することを含む。
【0105】
別の一実施態様において、該乾燥工程は、該As2O3産物を約-30℃および約800 mTorrに約60分間かけて加熱し、約-30℃および約800 mTorrにて約60分間保持すること;該As2O3産物を約-20℃および約500 mTorrに約60分間かけて加熱し、約-20℃および約500 mTorrにて約120分間保持すること;該As2O3産物を約-5℃および約500 mTorrに約300分間かけて加熱し、約-5℃および約500 mTorrにて約120分間保持すること;該As2O3産物を約10℃および約500 mTorrに約120分間かけて加熱し、約10℃および約500 mTorrにて約60分間保持すること;ならびに該As2O3産物を約25℃および約500 mTorrに約60分間かけて加熱し、および約25℃および約500 mTorrにて約180分間保持することを含む。
【0106】
一実施態様において、乾燥工程は、該As2O3産物を約25℃および約500 mTorrにて約180分間の該加熱の後、該As2O3産物を約25℃および約500 mTorrにて約120分間加熱することをさらに含む。
【0107】
本発明はまた、LCCAを含む経口製剤を製造するための方法であって:
c. ベッセルにおいてAs2O3粉末を水中に可溶化する工程であって、次の順で:
i. 該ベッセルにアルカリ化剤を加えて、約12以上のpHにする工程、
ii. 該ベッセルに酸を加えて、pHを約7~約8に調整する工程、
iii. 該ベッセルに界面活性剤を加える工程、および
iv. 該ベッセルに水を加えて、As2O3溶液を生成する工程
を含む、可溶化する工程;および
d. 該As2O3溶液を凍結乾燥して、リオプレミックスを生成する工程;
e. 該リオプレミックスを篩過して、LCCA粉末を生成する工程;
f. 充填剤を該LCCA粉末に加える工程;
g. 1以上の滑沢剤を該LCCA粉末に加えて、LCCAを含む該経口製剤を生成する工程
を含む、方法に関する。
【0108】
上記方法の一実施態様において、アルカリ化剤は、水酸化ナトリウム(NaOH)または炭酸ナトリウム(Na2CO3)を含む。別の一実施態様において、該加えられるアルカリ化剤の量は、As2O3粉末の量の約10%~約100%である。また別の一実施態様において、該酸は、塩酸(HCl)を含む。一実施態様において、該HClは、約6M HClである。一実施態様において、酸を該ベッセルに加えて、pHを約7.2に調整する。一実施態様において、水は、工程c)i)、c)ii)、c)iii)、および/またはc)iv)後にベッセルに加えられる。
【0109】
本発明の一実施態様において、界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム;ツイーン80;βシクロデキストリン;ポロキサマー;トコフェリルポリエチレングリコールスクシネート(TPGS)を含む。本発明の一実施態様において、界面活性剤は、約0.5%v/v~約4.0%v/vまで加えられるが、As2O3濃度の約50%を越えない。
【0110】
本発明の一実施態様において、凍結乾燥工程は、該As2O3溶液を凍結して、凍結As2O3産物を生成する工程、および該凍結As2O3産物を乾燥して、該凍結乾燥As2O3を生成する工程を含む。別の一実施態様において、凍結工程は、該As2O3溶液を約-40℃で凍結することを含む。別の一実施態様において、As2O3溶液を約-40℃で少なくとも約6時間凍結する。一実施態様において、乾燥工程は、該As2O3産物固体に熱および真空を適用することを含む。例えば、乾燥工程は、該As2O3産物を約-30℃および約800 mTorrにて約60分間加熱すること;該As2O3産物を-20℃および500 mTorrにて約120分間加熱すること;該As2O3産物を約-5℃および約500 mTorrにて約120分間加熱すること;該As2O3産物を約10℃および約500 mTorrにて約60分間加熱すること;該As2O3産物を約25℃および約500 mTorrにて約180分間加熱することを含む。
【0111】
別の一実施態様において、該乾燥工程は、該As2O3産物を約-30℃および約800 mTorrに約60分間かけて加熱し、約-30℃および約800 mTorrにて約60分間保持すること;該As2O3産物を約-20℃および約500 mTorrに約60分間かけて加熱し、約-20℃および約500 mTorrにて約120分間保持すること;該As2O3産物を約-5℃および約500 mTorrに約300分間かけて加熱し、約-5℃および約500 mTorrにて約120分間保持すること;該As2O3産物を約10℃および約500 mTorrに約120分間かけて加熱し、約10℃および約500 mTorrにて約60分間保持すること;ならびに該As2O3産物を約25℃および約500 mTorrに約60分間かけて加熱し、および約25℃および約500 mTorrにて約180分間保持することを含む。
【0112】
一実施態様において、乾燥工程は、該As2O3産物を約25℃および約500 mTorrにて約180分間の該加熱の後、該As2O3産物を約25℃および約500 mTorrにて約120分間加熱することをさらに含む。
【0113】
上記発明の一実施態様において、充填剤は、マンニトールを含む。別の一実施態様において、1以上の滑沢剤は、タルクおよび/またはステアリン酸マグネシウムを含む。
【0114】
更なる工程において、上記発明は、カプセルに該経口製剤を充填することを含む。
【0115】
本発明はまた、経口投与に適した固形剤形の医薬組成物であって、ヒ素を含む凍結乾燥組成物としても知られる凍結乾燥三酸化ヒ素、少なくとも1つの充填剤および少なくとも1つの滑沢剤を含む、組成物に関する。
【0116】
一実施態様において、上記の医薬組成物は:
h. ベッセルにおいてAs2O3粉末を水中に可溶化する工程であって、次の順で:
v. 該ベッセルにアルカリ化剤を加えて、約12以上のpHにする工程、
vi. 該ベッセルに酸を加えて、pHを約7~約8に調整する工程、
vii. 該ベッセルに界面活性剤を加える工程、および
viii. 該ベッセルに水を加えて、As2O3溶液を生成する工程
を含む、可溶化する工程;および
i. 該As2O3溶液を凍結乾燥して、リオプレミックスを生成する工程;
j. 該リオプレミックスを篩過して、LCCA粉末を生成する工程;
k. 充填剤を該LCCA粉末に加える工程;
l. 1以上の滑沢剤を該LCCA粉末に加えて、該As2O3の経口製剤を生成する工程
を含む、方法により生成される。
【0117】
一実施態様において、リオプレミックスまたはLCCAは、約2μm~10μmの平均粒子径分布D(90)を有する。言い換えれば、μmで測定されるリオプレミックスの粒子径分布D(90)は、2、3、4、5、6、7、8、9および10μm、または任意のそれらの2つの数により定義される範囲内の数である。
【0118】
一実施態様において、リオプレミックスまたはLCCAは、約0.2μm~3μmの平均粒子径分布D(10)を有する。言い換えれば、μmで測定されるリオプレミックスの粒子径分布D(10)は、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.9、1.0、1.1、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9および3.0μm、または任意のそれらの2つの数により定義される範囲内の数である。
【0119】
一実施態様において、リオプレミックスまたはLCCAは、約0.5μm~4μmの平均粒子径分布D(50)を有する。言い換えれば、μmで測定されるリオプレミックスの粒子径分布D(50)は、0.5、0.6、0.7、0.9、1.0、1.1、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9および4.0μm、または任意のそれらの2つの数により定義される範囲内の数である。
【0120】
一実施態様において、リオプレミックスまたはLCCAは、APIより10倍~50倍小さい粒子径D(90)を有する。言い換えれば、リオプレミックスのD(90)は、APIのD(90)より10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49および50倍小さい。
【0121】
一実施態様において、リオプレミックスまたはLCCA表面積は、約0.5 m2/g~約5 m2/gの範囲である。言い換えれば、表面積は、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9および5.0 m2/g、または本明細書の任意の2つの数により定義される範囲内の数であり得る。
【0122】
一実施態様において、リオプレミックスまたはLCCAの表面積は、BET法により測定されるAPI粉末の表面積より2倍~80倍大きい。言い換えれば、リオプレミックスのBET表面積は、API粉末の表面積の2、3、4、5、6、7、8、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41 42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79および80倍である。
【0123】
一実施態様において、リオプレミックスまたはLCCAは、冷水に溶解する。別の一実施態様において、リオプレミックスまたはLCCAは、API粉末より約2倍~約30倍冷水(室温)に溶解する。言い換えれば、リオプレミックスまたはLCCAは、API粉末より約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30倍冷水(室温)に溶解する。一実施態様において、リオプレミックスまたはLCCAは、アルコールに溶解する。別の一実施態様において、リオプレミックスまたはLCCAは、API粉末より約2倍~30倍アルコールに溶解する。言い換えれば、リオプレミックスまたはLCCAは、API粉末より約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30倍アルコールに溶解する。
【0124】
走査型電子顕微鏡写真から、リオプレミックスまたはLCCA粒子が、リオプレミックスのより高い溶解性、より高い表面積およびより小さい平均粒子径に寄与し得る多孔性特性を有することが観察される。
【0125】
上記医薬組成物の一実施態様において、アルカリ化剤は、水酸化ナトリウム(NaOH)または炭酸ナトリウム(Na2CO3)を含む。別の一実施態様において、該加えられるアルカリ化剤の量は、As2O3粉末の量の約10%~約100%である。また別の一実施態様において、該酸は、塩酸(HCl)を含む。一実施態様において、該HClは、約6M HClである。一実施態様において、酸を該ベッセルに加えて、pHを約7.2に調整する。一実施態様において、水は、工程h)i)、h)ii)、h)iii)、および/またはh)iv)後にベッセルに加えられる。
【0126】
本発明の一実施態様において、界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム;ツイーン80;βシクロデキストリン;ポロキサマー;トコフェリルポリエチレングリコールスクシネート(TPGS)を含む。本発明の一実施態様において、界面活性剤は、約0.5%v/v~約4.0%v/vまで加えられるが、As2O3濃度の約50%を越えない。
【0127】
本発明の一実施態様において、凍結乾燥工程は、該As2O3溶液を凍結して、凍結As2O3産物を生成する工程、および該凍結As2O3産物を乾燥して、該凍結乾燥As2O3を生成する工程を含む。別の一実施態様において、凍結工程は、該As2O3溶液を約-40℃で凍結することを含む。別の一実施態様において、As2O3溶液を約-40℃で少なくとも約6時間凍結する。一実施態様において、乾燥工程は、該As2O3固体に熱および真空を適用することを含む。例えば、乾燥工程は、該As2O3産物を約-30℃および約800 mTorrにて約60分間加熱すること;該As2O3産物を-20℃および500 mTorrにて約120分間加熱すること;該As2O3産物を約-5℃および約500 mTorrにて約120分間加熱すること;該As2O3産物を約10℃および約500 mTorrにて約60分間加熱すること;該As2O3産物を約25℃および約500 mTorrにて約180分間加熱することを含む。別の一実施態様において、該乾燥工程は、該As2O3産物を約-30℃および約800 mTorrに約60分間かけて加熱し、約-30℃および約800 mTorrにて約60分間保持すること;該As2O3産物を約-20℃および約500 mTorrに約60分間かけて加熱し、約-20℃および約500 mTorrにて約120分間保持すること;該As2O3産物を約-5℃および約500 mTorrに約300分間かけて加熱し、約-5℃および約500 mTorrにて約120分間保持すること;該As2O3産物を約10℃および約500 mTorrに約120分間かけて加熱し、約10℃および約500 mTorrにて約60分間保持すること;ならびに該As2O3産物を約25℃および約500 mTorrに約60分間かけて加熱し、および約25℃および約500 mTorrにて約180分間保持することを含む。
【0128】
一実施態様において、乾燥工程は、該As2O3産物を約25℃および約500 mTorrにて約180分間の該加熱の後、該As2O3産物を約25℃および約500 mTorrにて約120分間加熱することをさらに含む。
【0129】
上記発明の一実施態様において、充填剤は、マンニトールを含む。別の一実施態様において、1以上の滑沢剤は、タルクおよび/またはステアリン酸マグネシウムを含む。
【0130】
一実施態様において、上記の医薬組成物は、凍結乾燥三酸化ヒ素、マンニトール、タルクおよびステアリン酸マグネシウムを含む。別の一実施態様において、上記の医薬組成物は、制御放出固形医薬組成物である。別の一実施態様において、上記の医薬組成物は、カプセルに封入される。
【0131】
一実施態様において、カプセルは、約1 mg、5 mg、10 mgおよび20 mgの上記の医薬組成物を含む。
【0132】
本発明はまた、上記の医薬組成物およびその使用説明書を含む、キットに関する。
【0133】
一実施態様において、本発明は、処置を必要とする患者において造血器腫瘍を処置する方法であって、上記の医薬組成物の治療上有効量を患者に投与することを含む、方法に関する。
【0134】
例として、該造血器腫瘍は、急性骨髄性白血病、急性非リンパ性白血病、骨髄芽球性白血病、前骨髄球性白血病、骨髄単球性白血病、単球性白血病、赤白血病、骨髄異形成症候群、急性前骨髄球性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、有毛細胞白血病、真性多血症、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、骨髄腫、巨細胞骨髄腫、無症候性骨髄腫、局所性骨髄腫、多発性骨髄腫、形質細胞性骨髄腫、硬化性骨髄腫、孤立性骨髄腫、くすぶり型多発性骨髄腫、非分泌性骨髄腫、骨硬化性骨髄腫、形質細胞性白血病、孤立性形質細胞腫または髄外性形質細胞腫である。
【0135】
一実施態様において、造血器腫瘍は、急性前骨髄球性白血病(APL)である。本発明の更なる実施態様において、APLは、新たに診断されたAPL、または再発性APLもしくは難治性APLである。
【0136】
一実施態様において、医薬組成物は、毎日投与される。別の一実施態様において、医薬組成物は、52週/年間毎日投与される。また別の一実施態様において、医薬組成物は、約1 mg~約50 mgの範囲の単回投与量で投与される。別の一実施態様において、医薬組成物は、約0.1 mg/kg体重~約0.3 mg/kg体重の範囲の単回投与量で投与される。
【0137】
本発明の一実施態様において、患者は、化学療法および/または放射線で以前処置されたかまたは現在処置されている。別の一実施態様において、処置方法は、1以上の化学療法剤を該患者に投与することをさらに含む。化学療法剤は、該医薬組成物の前に、後にまたは同時に投与される。本発明はまた、LCCAまたは凍結乾燥三酸化ヒ素、少なくとも1つの充填剤および少なくとも1つの滑沢剤を含む、組成物に関する。一実施態様において、凍結乾燥三酸化ヒ素は:
m. ベッセルにおいてAs2O3粉末を水中に可溶化する工程であって、次の順で:
ix. 該ベッセルにアルカリ化剤を加えて、約12以上のpHにする工程、
x. 該ベッセルに酸を加えて、pHを約7~約8に調整する工程、
xi. 該ベッセルに界面活性剤を加える工程、および
xii. 該ベッセルに水を加えて、As2O3溶液を生成する工程
を含む、可溶化する工程;および
該As2O3溶液を凍結乾燥する工程
を含む、方法により生成される。一実施態様において、アルカリ化剤は、水酸化ナトリウム(NaOH)または炭酸ナトリウム(Na2CO3)を含む。別の本発明の一実施態様において、加えられる該アルカリ化剤の量は、As2O3の量の約10%~約100%である。一実施態様において、酸は、塩酸(HCl)、好ましくは約6M HClを含む。別の一実施態様において、酸を該ベッセルに加えて、pHを約7.2に調整する。別の一実施態様において、水は、工程m)i)、m)ii)、m)iii)、および/またはm)iv)後にベッセルに加えられる。
【0138】
一実施態様において、界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム;ツイーン80;βシクロデキストリン;ポロキサマー;トコフェリルポリエチレングリコールスクシネート(TPGS)を含む。界面活性剤は、約0.5%v/v~約4.0%v/vまで加えられるが、As2O3濃度の約50%を越えない。
【0139】
凍結乾燥
凍結工程
一実施態様において、凍結乾燥工程は、該As2O3溶液を凍結して、凍結As2O3産物を生成する工程、および該凍結As2O3産物を乾燥して、凍結乾燥As2O3を生成する工程を含む。一実施態様において、凍結乾燥工程は、-50、-49、-48、-47、-46、-45、-44、-43、-42、-41、-40、-39、-38、-37、-36、-35、-34、-33、-32、-31、-30、29、-28、-27、-26、-25、-24、-23、-22、-21、-20、-19、-18、-17、-16、-15、-14、-13、-12、-11、-10、-09、-08、-07、-06、-05、-04、-03、-02、-01および0℃からの少なくとも1つの温度に該As2O3溶液を凍結することを含む。別の一実施態様において、凍結温度は、上記の任意の2つの数により定義され、それを含む範囲から選択される。別の一実施態様において、凍結工程は、該As2O3溶液を約-40℃で少なくとも6時間凍結することを含む。凍結工程は、温度を漸次低下させるいくつかの凍結サブ工程を有し得る。凍結工程および/または凍結サブ工程は、各々約5分~約500分であり得て、すなわち範囲内のすべての数、例えば、6、7、8、9、…、497、498、499および500分を含み得る。
【0140】
昇華工程
一実施態様において、昇華(一次乾燥)または二次乾燥は、-50℃~35℃の範囲の温度で行われる。言い換えれば、昇華は、以下の温度で達成され得る:-50、-49、-48、-47、-46、-45、-44、-43、-42、-41、-40、-39、-38、-37、-36、-35、-34、-33、-32、-31、-30、-29、-28、-27、-26、-25、-24、-23、-22、-21、-20、-19、-18、-17、-16、-15、-14、-13、-12、-11、-10、-9、-8、-7、-6、-5、-4、-3、-2、-1、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34および35。一実施態様において、昇華温度は、上記の任意の2つの数により定義され、それを含む範囲内の任意の温度であり得る。一実施態様において、2つ以上の昇華温度が用いられる。
【0141】
二次乾燥は、より高い温度、例えば35℃~75℃の温度で実施され得る。
【0142】
異なる温度での一次または二次乾燥は、5分~500分の時間でなされ、すなわち範囲内のすべての数、例えば、6、7、8、9、…、497、498、499および500分を含む。二次乾燥は、より長い時間、例えば1000分間までであり得る。
【0143】
真空適用
真空は、乾燥と同時にまたは独立して適用され得る。真空は、ある温度から第2(より高い)温度まで乾燥継続中、またはある温度での保持中に適用され得る。真空適用は、乾燥と交互に行うことができる。乾燥工程中に適用される真空は、約300 mTorr~約1000 mTorrの範囲でなされ得る。一実施態様において、真空は、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520、50、540、550、560、570、580、590、600、610、620、630、640、650、660、670、680、690、700、710、720、730、740、750、760、770、780、790、800、810、820、830、840、850、860、870、880、890、900、910、920、930、940、950、960、970、980、990および1000 mTorr、または本明細書の任意の2つの数により定義される範囲内の数により定義され、それを含む真空である。
【0144】
乾燥工程は、該As2O3産物に熱および真空を適用することを含む。一実施態様において、乾燥工程は、該As2O3産物を約-30℃および約800 mTorrにて約60分間加熱すること;該As2O3産物を約-20℃および約500 mTorrにて約120分間加熱すること;該As2O3産物を約-5℃および約500 mTorrにて約120分間加熱すること;該As2O3産物を約10℃および約500 mTorrにて約60分間加熱すること;ならびに該As2O3産物を約25℃および約500 mTorrにて約180分間加熱することを含む。別の一実施態様において、乾燥工程は、該As2O3産物を約-30℃および約800 mTorrに約60分間かけて加熱し、約-30℃および約800 mTorrにて約60分間保持すること;該As2O3産物を約-20℃および約500 mTorrに約60分間かけて加熱し、約-20℃および約500 mTorrにて約120分間保持すること;該As2O3産物を約-5℃および約500 mTorrに約300分間かけて加熱し、約-5℃および約500 mTorrにて約120分間保持すること;該As2O3産物を約10℃および約500 mTorrに約120分間かけて加熱し、約10℃および約500 mTorrにて約60分間保持すること;ならびに該As2O3産物を約25℃および約500 mTorrに約60分間かけて加熱し、および約25℃および約500 mTorrにて約180分間保持することを含む。
【0145】
また別の一実施態様において、乾燥工程は、該As2O3産物を約25℃および約500 mTorrにて約180分間の該加熱の後、該As2O3産物を約25℃および約500 mTorrにて約120分間加熱することをさらに含む。
【0146】
当該組成物の一実施態様において、充填剤は、マンニトールを含み、1以上の滑沢剤は、タルクおよび/またはステアリン酸マグネシウムを含む。
【0147】
本発明はまた、凍結乾燥三酸化ヒ素、マンニトール、タルクおよびステアリン酸マグネシウムを含む、上記の組成物に関する。
【0148】
一実施態様において、本明細書に記載の組成物および方法について、LCCAは、治療上有効量で用いられる。
【実施例
【0149】
実験
対照製剤は、10 mg/10 mLの強度を有する注射形態で利用可能である注射可能なAs2O3であった。試験製剤の開発は、経口使用のための固形形態で提供された。試験製剤開発は、1 mg、5 mg、10 mgおよび20 mgカプセル剤として開始した。凍結乾燥技術は、粒子径の低下、表面積の増加、ならびにその溶解性、医薬製剤の溶出および/またはバイオアベイラビリティに有用であり得る他の形態学的特性の発生を含む、三酸化ヒ素の物理的および/または化学的特性を改変するために選択された。三酸化ヒ素の溶解性の向上をもたらす円滑な凍結乾燥法を達成するために、適切な添加剤が選択され、濃度が最適化された。15日間40℃/75%RHでの実験室規模の安定性データは、満足であることが分かった。
【0150】
対照製剤--注射可能形態-三酸化ヒ素
注射可能な三酸化ヒ素の添付文書によれば、三酸化ヒ素は、インビトロでのNB4ヒト前骨髄球性白血病細胞におけるアポトーシに特徴的な形態変化およびDNA断片化を引き起こす。三酸化ヒ素はまた、融合タンパク質PML/RAR-αの損傷または分解を引き起こす。
【0151】
溶液中の三酸化ヒ素は、薬理学的活性種亜ヒ酸(AsIII)を加水分解する。モノメチルアルソン酸(MMAV)およびジメチルアルシン酸(DMAV)は、AsIII酸化の生成物であるヒ素酸(Asv)に加えて、代謝中に形成される主な5価の代謝物である。
【0152】
ヒ素種([AsIII]、[Asv]、[MMAV]、[DMAV])の薬物動態を、6名のAPL患者において、1日1回、0.15 mg/kgを1週間当たり5日間投与後測定した。7~32 mgの合計単回用量範囲にわたって(0.15 mg/kgとして投与される)、全身曝露(AUC)は、直線性であると思われる。主な活性ヒ素種である亜ヒ酸(AsIII)のピーク血漿濃度は、点滴の終了時(2時間)に達した。AsIII血漿濃度は、10~14時間の平均消失半減期を有して二相性の方法で減少し、最初の急速な分布段階に続いてよりゆっくりな消失段階によって特徴付けられる。Asmへの1日の曝露(平均AUC0-24)は、サイクル1の1日目で194 ng-hr/mL(n=5)、サイクル1の25日目で332 ng-hr/mL(n=6)であり、これはおよそ2倍の蓄積を表した。
【0153】
主な5価の代謝物のMMAVおよびDMAVは、血漿(三酸化ヒ素の最初の投与後およそ10~24時間)中で現れるのが遅いが、そのより長い半減期のため、AsIIIより複数回の投与でより多く蓄積する。代謝物MMAVおよびDMAVの平均推定終末消失半減期は、それぞれ32時間および72時間である。およその蓄積は、単回用量投与と比較して、複数回投与後1.4~8倍の範囲であった。Asvは、比較的低いレベルで血漿にのみ存在する。
【0154】
分布
AsIIIの分布容積(Vss)は大きく(平均562 L、N=10)、これは、AsIIIが体組織全体にわたって広く分布されることを示している。Vssはまた体重に依存し、体重が増加するにつれて増加する。
【0155】
代謝
AsIIIの多くは組織に分布され、ここでそれは、より低い細胞毒性代謝物のモノメチルアルソン酸(MMAV)およびジメチルアルシン酸(DMAVにメチルトランスフェラーゼよって主に肝臓でメチル化される。三酸化ヒ素の代謝は、AsIIIのAsvへの酸化を含み、これは多数の組織で酵素的または非酵素的方法によって生じ得る。Asvは、三酸化ヒ素の投与後、比較的低いレベルでのみ血漿に存在する。
【0156】
排泄
投与された三酸化ヒ素注射投与量のおよそ15%が、未変化のAsIIIとして尿中に排泄される。AsIIIのメチル化代謝物(MMAV、DMAV)は、主に尿中に排泄される。AsIIIの総クリアランスは49 L/hであり、腎臓クリアランスは9 L/hである。クリアランスは、体重、または7~32 mgの範囲で投与される投与量に依存しない。
【0157】
As 2 O 3 開発
これらの実験のための活性医薬成分三酸化ヒ素を、Sigma-Aldrichから、As2O3の一般化学式を有する197.8 g/モルの分子量の白色粉末として購入した。
【0158】
比較例のために、注射可能形態の三酸化ヒ素をArsenox(登録商標)(インドのIntas pharmaのためにNaprod Life sciences private limitedにより製造される)として購入した。三酸化ヒ素注射は、急性前骨髄球性白血病(APL)の患者において寛解および合併の誘導のために示される。それは、10 mg/10 mL(1 mg/mL)アンプルの強度を有する注射バイアル形態で提供される。
【0159】
対照製剤が注射形態で利用可能であり、試験製剤の開発は経口用の固形形態であったため、対象製剤は安定性に課されなかった。
【0160】
薬物添加剤研究を実施しなかった。溶解性研究を、種々の界面活性剤および溶媒での開発の一部として実施した。
【0161】
製剤化法の開発
注射形態で利用可能である三酸化ヒ素、および経口投与用の開発グレードの粉末を試験した。粒子径の低下、表面積の増加、ならびにその溶解性、ヒ素の溶出および/またはバイオアベイラビリティに有用であり得る他の形態学的特性の発生を含む、三酸化ヒ素の物理的および/または化学的特性を改変するために、粉末形態のAs2O3を凍結乾燥した。
【0162】
凍結乾燥(Lyophilization)は、凍結乾燥(freeze drying)としても知られ、氷を融解することなく凍結および真空蒸発サイクルを用いて、精製水を液体、ペーストまたは固体形態から除去することを含む。極めて低い圧力、例えば真空に曝露された固体状態中の水(氷)は、固体からガス状態に昇華するまたは直接進む。精製された水蒸気(または他の溶媒)は、コンデンサーまたはコールドトラップで凍結することにより捕捉されたままになる。この技術は、処理される産物の容量、外観および特性を維持する。
【0163】
一般的に、凍結乾燥サイクルは次の工程を含む:
1. 凍結:産物を凍結する。これは、低温度乾燥のために必要な状態を提供する。
2. 真空:凍結後、産物を真空または減圧下に置く。これは、産物中の凍結溶媒が液相を通ることなく蒸発すること可能になり、昇華として知られる方法である。
3. 加熱:昇華を加速するために、熱を凍結産物に加える。
4. 濃縮:低温濃縮は、固体に戻して変換することにより真空チャンバーから蒸発した溶媒を除去する。これは、分離法を完了する。
【0164】
凍結乾燥法中の最初の工程は、産物を凍結して、その精製された水分子のすべてを固化することである。凍結したら、産物を真空中に置き、産物を融解させることなく徐々に加熱する。この方法は、昇華と呼ばれ、最初に液体状態を通ることなく氷を直接精製された水蒸気へ変換する。昇華段階で産物によって放出された、精製された水蒸気は、凍結乾燥機の真空チャンバー内の、コンデンサーとして知られる収集トラップ上で氷として濃縮する。
【0165】
凍結乾燥は、他の乾燥および保存技術と比較して多くの利点を有する。例えば、凍結乾燥は、昇華の過程中凝固点未満の温度で維持されるため、食品/生化学および化学試薬の品質を維持する。これらの製品が熱により容易に影響を受けるため、凍結乾燥は、乳酸菌を加工するとき特に重要である。凍結乾燥された食品/生化学および化学試薬は、通常冷蔵せずに保存でき、これは、保存および輸送コストの有意な低下をもたらす。凍結乾燥は重量を極めて減少させ、これは製品の輸送を容易にする。例えば、多くの食品は、90%もの精製水を含有する。これらの食品は、凍結乾燥後10倍軽い。それらが多孔性であるため、多くの凍結乾燥品を容易に再水和できる。凍結乾燥は著しく容量を低下させず;それ故に、精製水は食品/生化学および化学試薬の分子構造中にその場所を容易に取り戻す。
【0166】
文献および製法に基づいて、種々の溶解性向上剤、例えばラウリル硫酸ナトリウム、ツイーン80(登録商標)、ポロキサマー、ならびに溶解性を向上するpH調整剤、例えば水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウムおよび塩酸が、初期の開発のために選択された。初期の開発活動のために使用した溶出溶媒は、0.1N HCl、900 mlであり、100 rpmでパドル(混合)した。対照製剤は、1つの強度(10 mg/10 mL)で利用可能であり、試験製剤は、用量重量比例性を有して経口投与用の種々の強度で開始された。対照製剤が10 mg強度で利用可能であったので、製剤開発は10 mg強度で開始された。
【0167】
実験番号L040/1/001
この実験の目的は、水酸化ナトリウムをpH調整剤として、界面活性剤、すなわちラウリル硫酸ナトリウムおよびツイーン80(登録商標)、および種々の溶媒、例えばイソプロピルアルコールおよびエタノールを用いて、三酸化ヒ素についての溶解性研究を実施することであった。
【0168】
最初の工程において、4 gの三酸化ヒ素を容器中で撹拌条件下600 mLの精製水に加えた。次に、約35 mLの3M NaOH(12 gのNaOHを100 mLの精製水に溶解)を、澄明な溶液が形成されるまで15~30分間1000 rpmにて磁気撹拌下滴下した。この溶液に1 Lの精製水を加えた。pHは、12.7単位であると測定された。約16.5 mLの6M HCl(105.6 mLを200 mLの精製水に添加)を用いて、7~8単位を標的に調整した。約7.2のpHが観察された。精製水を加えて、この溶液を2 Lとした。pHは、7.3で変化しないままであった。
【表1】
【0169】
実験番号L040/1/001B
この実験の目的は、ラウリル硫酸ナトリウムで三酸化ヒ素についての溶解性研究を実施することであった。最初の工程において、50 gの精製水をガラスビーカーに取り、そこに0.5 gのラウリル硫酸ナトリウムを澄明な溶液が形成されるまで撹拌下加えた。次に、5 gのAs2O3を撹拌下この溶液に加えた。30分間撹拌後でも、As2O3は溶液に溶解しなかった。次の工程において、As2O3が可溶化するかを決定するために30 gの精製水を加えた。溶解性は観察されなかった。2 gのラウリル硫酸ナトリウムをさらに加えた後でえ、30分間撹拌後溶解性は観察されなかった。2つのバッチを製造した:L040/1/001B1およびL040/1/001B2。データを下記の表2に報告する。
【表2】
【0170】
実験番号L040/1/001D
この実験の目的は、シクロデキストリン(kleptose)で三酸化ヒ素についての溶解性向上を実施することであった。最初の工程において、50 gの精製水をガラスビーカーに取り、そこに0.5 gのシクロデキストリンを澄明な溶液が形成されるまで撹拌下加えた。上記溶液に5 gのAs2O3薬物を加えた。30分間撹拌後でも、As2O3は溶液に溶解しなかった。この溶液にさらに30 gの精製水を加えた。As2O3薬物は溶解しなかった。2 gのシクロデキストリンをさらに加えた後でえ、30分間撹拌後As2O3薬物は溶解しなかった。表3は、この実験のデータを要約したものである。
【表3】
【0171】
実験番号L040/1/001E
この実験の目的は、ツイーン80(登録商標)で三酸化ヒ素についての溶解性向上を実施することであった。最初の工程において、50 gの精製水をガラスビーカーに取り、そこに0.5 gのツイーン80(登録商標)を澄明な溶液が形成されるまで撹拌下加えた。この溶液に5 gのAs2O3薬物を撹拌下加えた。30分間撹拌後でも、As2O3は不溶性のままであった。この溶液にさらに30 gの精製水を加えたが、As2O3は不溶性のままであった。2 gのツイーン80(登録商標)を溶液にさらに加えた後でさえ、30分間撹拌後でもAs2O3は溶解しなかった。
【表4】
【0172】
実験番号L040/1/001F
これらの実験の目的は、As2O3の溶解性研究に対して様々な溶媒を用いることであった。
【0173】
イソプロピルアルコール
ビーカー中で、1.5 gのAs2O3薬物を50 mLのイソプロピルアルコールに加えた。As2O3 は、30分間撹拌後でさえ溶解しなかった。薬物は、30 mLのイソプロピルアルコールをさらに加え、30分間撹拌した後でさえ溶解しなかった。
【0174】
エタノール
ビーカー中で、1.5 gのAs2O3薬物を50 mLのエタノールに加えた。薬物は、30分間撹拌後溶解しなかった。薬物は、30 mLのエタノールをさらに加え、30分間撹拌した後でさえ溶解しなかった。
したがって、上記一連の実験から、L040/1/001A組成物のみが澄明な溶液を形成することが観察された。
【0175】
実験番号L040/1/002
この実験の目的は、三酸化ヒ素を溶解するのに必要とされる水酸化ナトリウムの正確な量を評価すること、および種々の添加剤を用いた三酸化ヒ素の溶解性に対するpHの影響を評価することであった。
【0176】
実験番号L040/1/002A-三酸化ヒ素を可溶化するNaOH量
ガラスビーカー中で、30 mLの精製水を加え、そのpHは6.7単位~7.0単位と測定された。この溶液に200 mg As2O3薬物を撹拌しながら加えた。pHは、約5.6と観察された。As2O3粒子は溶液中に浮遊して観察された。この溶液に1N NaOH溶液(4 gの水酸化ナトリウムペレットを100 mLの精製水に溶解)を滴下方式で加えた。薬物は、0.6 mLの1N NaOHを加え、10分間撹拌した後でさえ不溶性のままであった。pHは約9.21と測定された。更なる量の1.4 mLの1N NaOHを撹拌下加えた。薬物は、まだ不溶性であり、pH12.21であった。続いて1.6 mLのNaOHを加え、撹拌すると、薬物はpH12.37で溶解することが観察された。この溶液に余剰な200 mgのAs2O3薬物を加えたが、それが溶液に溶解することは見られなかった(pHは12.27であった)。2 mLの1N NaOHの添加を撹拌しながら行い、薬物がpH12.33で溶解することが分かった。さらに600 mgの薬物を溶液に添加すると、薬物はpH12.27で不溶性であった。しかしながら、1N NaOHを徐々に加えたとき(6.9 mL)、薬物がpH12.39で溶解することが分かった。したがって、30 mlの精製水を一定に維持することにより10 mgの三酸化ヒ素を溶解するのに5 mgの水酸化ナトリウムが必要であった。
【表5】
【0177】
実験番号L040/1/002B
この実験の目的は、L-アルギニンを用いた三酸化ヒ素のpH依存性溶解度(pH約4)を評価することであった。ビーカー中で、200 mgのL-アルギニンを100 mLの精製水に連続撹拌下溶解させた(2 mg/mL溶液)。この溶液から50 mLを、50 mgのthe As2O3薬物を溶解させるのに用いた。しかしながら、溶解は観察されなかった;pHは4.94であった。
【表6】
【0178】
実験番号L040/1/002D
この実験の目的は、重炭酸ナトリウムを用いた三酸化ヒ素のpH依存性溶解度(pH約8)を評価することであった。ビーカー中で、200 mgの重炭酸ナトリウムを100 mLの精製水に溶解させた(2 mg/mL溶液)。この溶液から、50 mLを取り(pH8.2)、50 mgのAs2O3薬物をそれに加えた。溶解性は観察されなかった(pH8.0)。
【表7】
【0179】
実験番号L040/1/002E
この実験の目的は、L-アルギニン塩基を用いた三酸化ヒ素のpH依存性溶解度(pH約12)を評価することであった。ビーカー中で、200 mgのL-アルギニン塩基を100 mLの精製水に連続撹拌下溶解させた(2 mg/mL溶液)。この溶液から、50 mLを、50 mgのthe As2O3薬物を溶解させるのに用いた(pH10.90)。しかしながら、溶解は観察されなかった;pHは10.53であった。
【表8】
【0180】
実験番号L040/1/002F
この実験の目的は、炭酸ナトリウムを用いた三酸化ヒ素のpH依存性溶解度(pH約12)を評価することであった。ビーカー中で、50 mgの炭酸ナトリウムを50 mLの精製水に加えた(1 mg/mL溶液)。この溶液に、50 mgのAs2O3薬物をそれに撹拌下pH11.25にて加えた。薬物の溶解性は観察されなかった。しかしながら、炭酸ナトリウムの濃度を50 mgの炭酸ナトリウム/mLまで徐々に増加したとき、三酸化ヒ素は、pH11.46で溶液に溶解することが分かった。
【表9】
【0181】
したがって、全体として、薬物は、アルギニン、アルギニン塩基または重炭酸ナトリウムを用いるとき、4~12の全pH範囲で不溶性であったが、より高濃度の炭酸ナトリウムを用いると可溶性であることが分かった(500 mgの炭酸ナトリウムが10 mgの三酸化ヒ素を溶解するのに必要であった)。
【0182】
実験番号L040/1/002G
この実験の目的は、L040/1/002Aの実験を繰り返すことであるが、その後の凍結乾燥のために充填剤、例えば乳糖一水和物およびマンニトールを用いて繰り返した。最初の工程において、10 gの三酸化ヒ素薬物を300 mLの精製水に撹拌下加え、その後125 mLの1N NaOHを撹拌下加えた。薬物は可溶性であることが分かった。この溶液を2等分に分割した:
【0183】
L040/1/002G1:1つ目の部分において、乳糖一水和物(3.5 g)を撹拌下加え、溶液を物理的観察、およびその後の凍結乾燥のために別にして保管した(pH12.34)。室温で約24時間後、澄明な溶液が褐色に変わり、36時間後、色の強度が増大し、暗褐色に変わったので、凍結乾燥を行わなかった。
【0184】
L040/1/002G2:2つ目の部分について、マンニトール(3.5 g)を撹拌下加え、溶液を物理的観察、およびその後の凍結乾燥のために別にして保管した(pH12.64)。約24時間後、溶液は物理的に変化せず、澄明な溶液を24時間凍結乾燥に課した。凍結乾燥後、材料は実際極めて粘着性であるように見え、それをカプセルに充填するのは極めて困難であった。粘着性は、NaOHの腐食性性質の結果であるか、高pH溶液(12.5)のためであるか、または単純にマンニトールの存在のためである可能性がある。
【表10】

【表11】
【0185】
次の工程において、他の界面活性剤を三酸化ヒ素の可溶化剤として評価した。また、1の更なる実験を、NaOHの代わりに精製水の量を増加させ炭酸ナトリウムを用いて実施した。1の更なる実験をまた、NaOHを用いpHを7~8に調整して実施した。凍結乾燥後の粘着性性質に対するマンニトールの影響を評価するために、別の実験を実施した。
【0186】
実験番号L040/1/003
この実験の目的は、ポロキサマーおよび炭酸ナトリウムを用いて三酸化ヒ素の溶解性を実施することであった。
【0187】
L040/1/003A:ポロキサマーを用い溶解性向上た
ビーカー中で、200 mgのポロキサマーを100 mLの精製水に撹拌下溶解させた(2 mg/mL 溶液)。この溶液から、50 mLを取り、50 mgの薬物を加えた。薬物は不溶性であることが分かった。50 mgのポロキサマーの更なる添加は、20分間撹拌工程の後でさえ薬物を溶解しなかった。
【表12】
【0188】
L040/1/003B:精製水量の増加での溶解性向上
この実験は、L040/1/002Fと同様であった。ビーカー中で、1250 mgの炭酸ナトリウムを50 mlの精製水に加えた(25 mgの炭酸ナトリウム/ml)。この溶液に50 mgの三酸化ヒ素薬物撹拌下を加えたが、薬物の溶解性は観察されなかった(pH11.25)。100 mLの精製水の添加もまた、薬物を溶解しなかった。
【表13】
【0189】
実験L040/1/004
この実験の目的は、水酸化ナトリウムおよび充填剤(マンニトール)を用いて検討を行い、凍結乾燥後、pHを約8に調整すること(6M 塩酸を用いる)による粘着性性質の影響を評価することであった。三酸化ヒ素を精製水に分散させ、12 mLの3M NaOHを撹拌下澄明な溶液が形成するまで加えた。6M HClを用いてpHを7~8に調整した。精製水を500 mlまで上記溶液に加え、それを2つのロットに分割した:
ロット1:L040/1/004A1:250 mLを凍結乾燥に24時間かけた。
ロット2:L040/1/004A2:250 mLにマンニトールを撹拌下加え、凍結乾燥に24時間かけた。
【表14】

【表15】
【0190】
実験L040/1/004B
この実験の目的は、凍結乾燥のためのリオプレミックスを調製することであった。精製水の量を減少させて固体形態の水酸化ナトリウムを用いて、および充填剤としてマンニトールを用いて検討を行った。最初の工程において、三酸化ヒ素およびNaOHを精製水に分散させて、澄明な溶液が形成されるまで撹拌を継続した。この溶液に6M HClを加え、それを24時間凍結乾燥に課した。24時間凍結乾燥後、L040/1/004A1のバッチについて、白色の飛散性粉末が観察された。L040/1/004A2について、オフホワイト色の粘着性材料が観察され、ペトリ皿から取り除くのに重要であった。L040/1/004Bについて、白色の飛散性粉末が観察された。これらの実験に基づいて、材料(リオプレミックス)の粘着性性質は溶液中のマンニトールによるものであると結論付けられた。
【0191】
最初の工程において、三酸化ヒ素およびNaOHの凍結乾燥形態をpearlitol SD 200に加え、#40メッシュ(400μm)により篩過し、10分間混合した。次の工程において、タルクおよびステアリン酸マグネシウムを#60メッシュ(250μm)により篩過し、第1工程からの材料に加え、5分間混合した。最終混合物をラミナーエアーフローシステム下でサイズ"0"の硬質ゼラチンカプセル殻に充填した。
【表16】
【0192】
L040/1/004Bバッチを、マンニトールを充填剤としてさらに処理した。
【表17】
【0193】
実験番号L040/1/005
この実験の目的は、"0"サイズの硬質ゼラチンカプセル殻に充填した(10 mgと同等である)、薬物、例えば三酸化ヒ素の溶出を評価することであった。60分でさえ溶出は不完全であることが分かった。
【表18】
【0194】
次の検討は、溶出を向上するために製剤において種々の界面活性剤を用いて計画された。
【0195】
L040/1/006の実験において、行った検討は、L040/1/004Bと同様であり、溶液の沈殿に基づいており、溶媒(精製水)量は、25 mg/mlの三酸化ヒ素として最適化された。L040/1/007の実験において、溶出および示差走査熱量測定(DSC)研究を評価するために、種々の界面活性剤を含むおよび含まない検討を行った。三酸化ヒ素カプセルについて、目的は、種々の界面活性剤を組込んだ薬物溶液(25 mg/mLの三酸化ヒ素)を調製することであった。
【0196】
最初の工程において、三酸化ヒ素を64 mLの精製水に分散させた。次の工程において、4 gの水酸化ナトリウムを上記工程に加え、薬物の溶解性をpH12.82にて観察した。この溶液に6M HClを加え、pHは8.05であると観察された。この溶液に精製水を加え、溶液を種々の部分に分割した(各部分は40 mlを含有する):
L040/1/007:40 mlの薬物溶液;
L040/1/007A:0.5 gのラウリル硫酸ナトリウムを加えられた40 mlの薬物溶液;および
L040/1/007B:0.5 gのツイーン80(登録商標)を加えられた40 mlの薬物溶液。
【0197】
融点を評価するために、溶液L040/1/007およびL040/1/007Aを示差走査熱量測定(DSC)により分析した。DSC研究から、融点に顕著な変化がなかったことは明らかである。
【表19】
【0198】
実験L040/1/008
次の実験の目的は、実験L040/1/007と同様であった検討において凍結乾燥のために2つの異なる濃度のラウリル硫酸ナトリウムを用いることであった。ビーカーに160 mLの精製水を取り、これに10 gの三酸化ヒ素および10 gのNaOHを加え、澄明な溶液が形成されるまで撹拌を続けた(pH12.38)。この溶液に40 mLの6M HClを撹拌下加えた(pH8.04)。さらに、200 mLの精製水を上記溶液に撹拌下加えた(pH8.18)。その後、この溶液を種々の部分に分割した(各部分は80 mLを含有する):
部分1:L040/1/008A:溶液のまま。
部分2:L040/1/008E:1 gのラウリル硫酸ナトリウムを80 mlの溶液に撹拌下加えた(表示量:25 mgは10 mgの三酸化ヒ素を含有する)。
部分3:L040/1/008F:0.2 gのラウリル硫酸ナトリウムを80 mLの溶液に撹拌下加えた(表示量:21 mgは10 mgの三酸化ヒ素を含有する)。
【0199】
続いて、すべての溶液を24時間凍結乾燥にかけ、凍結乾燥後、試料を収取した。
【表20】

【表21】
【0200】
各バッチの実収量は理論収量より高く、これは、リオプレミックスによる水分取込みに起因するものであった。定量値に基づいて、リオプレミックスを外部粒状材料と混合し、カプセルに充填した。
【表22】
【0201】
上記定量に基づいて、以下の充填検討を実施した。
【表23】

【表24】

【表25】
【0202】
三酸化ヒ素およびNaOHの凍結乾燥形態(リオプレミックス)をpearlitol SD 200に加え、#40メッシュにより篩過し、10分間混合した。タルクおよびステアリン酸マグネシウムを#60メッシュにより篩過し、上記材料に加え、5分間混合した。この粉末をサイズ"2"のカプセルに充填した。
【0203】
【表26】
【0204】
上記データから、完全な溶出がすべてのバッチで観察されたことが明らかである。次の工程において、L040/1/012Bと同様であるより大きいバッチ試料、およびすべての強度1 mg、5 mg、10 mgおよび20 mgを充填した。バッチNo. L040/1/012Bに基づいて、確認バッチ(バッチNo. L040/4/014)をすべての強度(1 mg、5 mg、10 mgおよび20 mg)で製造した。
【表27】

【表28】
【0205】
次の工程において、三酸化ヒ素および水酸化ナトリウムペレットを480 mlの精製水に分散させ、澄明な溶液が形成されるまで撹拌を続けた。この溶液に120 mLの6M HClを撹拌下加えた。ラウリル硫酸ナトリウム15 gをこの溶液に撹拌下加えた。さらに20 mLの精製水を上記溶液に加えた。この溶液を2つの部分(L040/4/014AおよびL040/4/014B)に分割し、約30時間凍結乾燥した。
【表29】

【表30】
【0206】
次の工程において、三酸化ヒ素およびNaOHの凍結乾燥形態(リオプレミックス)をpearlitol SD 200に加え、#40メッシュにより篩過し、10分間混合した。タルクおよびステアリン酸マグネシウムを#60メッシュにより篩過し、上記材料に加え、5分間混合した。最終混合物、ならびに最適なカプセルおよびガラスバイアルを以下のように準備した。
【表31】

【表32】

【表33】

【表34】

【表35】

【表36】

【表37】
【0207】
ヒ素を含む新規の凍結乾燥製剤のイヌにおける薬物動態分析、および対象の三酸化ヒ素との比較
これらの研究の目的は、凍結乾燥技術を利用するヒ素を含む新規の製剤の、イヌにおける経口バイオアベイラビリティおよび全身曝露を決定することであった。イヌは、ヒトにおける新規な薬剤および製剤の薬物動態特性を推定するのに慣例的に用いられる、文書による十分な裏付けのある非げっ歯類種である。
【0208】
研究設計
雄のイヌの群(n=3)に、三酸化ヒ素の製剤(ARSENOX(登録商標))を0.3 mg/kgでI.V.投与するか、非製剤化As2O3(SV100)を2 mg/イヌの用量で経口投与するか、またはAs2O3凍結乾燥製剤(SV101)を2 mg/イヌの用量で経口投与した。後日確認分析のために、4番目の群のイヌにSV101を2 mg/イヌで経口投与した。血液試料を、投与前ならびに投与後0.083、0.25、0.5、1、2、4、6、8および24時間に群1の動物から得て、投与前ならびに投与後0.25、0.5、1、2、4、6、8および24時間に群2、3および4の動物から得た。血液試料をすぐに湿った氷上に置き、採取から30分以内に血漿に処理した。血漿試料を、2.50 ng/mLのより低い定量出限界(LLOQ)を有するICP-MS法を用いて、ヒ素レベルについてQPS Netherlands BVで分析した。個々の時間-濃度データは、WinNonlinTMバージョン5.2.1を用いるヒ素のPKパラメーターの計算に用いられた。
【0209】
結果
ARSENOX(登録商標)のIVボーラス投与後、ヒ素の血漿レベルは、1.3時間のTmaxにおいて146 ng/mlに達して、10.0時間の半減期(t1/2)で減少した(図1)。平均全身クリアランスは226 mL/h/kgであり、平均Vssは2734 mL/kgであった。経口投与後、SV100は、経口バイオアベイラビリティ(Fb%)が<10%である極めて限られた吸収を示した。SV101(群3)の経口吸収は、ARSENOX(登録商標)(I.V.)ほとんど同じであり、182±34.5 ng/mlのCmax(ARSENOX(登録商標)については、146±17.6 ng/ml)および1416±345のAUC0-last(h.ng/mL)(ARSENOX(登録商標)については、1115±127)を有し、これは完全な経口吸収を示している。これらのデータは、ほぼ同一のPK曝露パラメーターを生じたSV101の反復投与(群4)によって確認された。忍容性の問題は、As2O3の経口投与中同定されなかった。
【0210】
結論
単回投与により静脈内または経口製剤としてAs2O3を動物に投与した。研究結果は、SV101処置群におけるヒ素の吸収速度および薬物曝露がSV100群より極めて高いことを示した。SV101処置群におけるAs2O3の完全な経口吸収は、IV投与されたARSENOX(登録商標)と比較して、ヒ素のほぼ同一の全身暴露によって示された。
【0211】
ヒ素を含む凍結乾燥組成物を含む医薬カプセル剤の特性評価
これらの実験の目的は、ヒ素を含むカプセル製剤を特性評価し、それらの物理化学的特性を要約することであった。製造されたカプセルサイズは、ヒ素を含む1 mg、2 mg、5 mg、10 mgおよび20 mgのリオプレミックス製剤であった。4000個のカプセル剤を製造した。製造方法は、(A)凍結乾燥、ならびに(B)混合および滑沢工程を含んでなる。図2は、カプセル剤作成の製造フロー図を示す。
【0212】
(A)凍結乾燥
凍結乾燥を以下の3工程で行った。
【0213】
1. 凍結
可溶化後、澄明な溶液を-40℃の温度に設定した凍結乾燥機に入れ、製剤を凍結させた。
【表38】
【0214】
2. 一次乾燥
この段階は、"昇華"段階とも呼ばれる。この段階において、真空の存在下、材料が固体形態に変換されるまで徐々に温度を上昇させて乾燥を実施した。この段階のプロセスパラメーターを以下に表にする。
【表39】
【0215】
3. 二次乾燥
一次乾燥後の材料を最適化された真空および温度で再度乾燥して、結合水を除去した。
【表40】
【0216】
(B)混合および滑沢
リオプレミックスの定量を推定し、1カプセル当たりに必要とされるリオプレミックスの実量を以下のように計算した。
1カプセル当たりのオプレミックスの実量、mg (A) = [(1カプセル当たりの量) x 100]/[定量]、1カプセル当たり分散させたマンニトールの量、mg (B) = マンニトールの理論量 - [A - リオプレミックスの理論量] 1バッチ当たり分散させたの量 = B x バッチサイズ
【0217】
実量定量に基づいて取ったリオプレミックスの余剰な量を、上記に示すようにマンニトールで補った。リオプレミックスおよびマンニトールをASTM #40メッシュの篩に通し、10分間ポリエチレンの袋中手で混合した。この混合物を、ASTM #60メッシュにより予め篩過したステアリン酸マグネシウムおよびタルクを用いて、ポリエチレンの袋中手で滑沢させた。その後、この混合物を以下の詳細にしたがってカプセルに充填した。
【表41】
【0218】
物理化学的特性評価
薬物製剤をその物理化学的特性について特性評価し、原材料と比較評価を行った。
【0219】
1. 粒子径分析
APIおよび最終製剤をMalvern Mastersizerにより粒子径分布について特性評価した。データを以下のテーブルに示す。
【表42】
【0220】
リオプレミックス段階でPSDに顕著な減少が、上記データで明らかであり、これは恐らく製剤中の三酸化ヒ素の溶解性を向上させるのを助けた。しかしながら、出願人らは、この理論またはそのことについての何らかの科学的理論に縛られることを望んでいない。最終製剤のPSDはまた、他の付加的な添加剤の約75%を含むことに留意すべきである。
【0221】
2. 多形
最終製剤を、処理後のAPI多形形態について分析して、該APIからの何らかの多形形態の変化を評価した。中間段階(リオプレミックス)もまた、XRD回析図により特性評価した。この研究から、製剤においてAPIの形態変化がないと結論付けられ、製造の中間段階で安定であることが分かった。回折図を図3~6に示し、これは、同じ多形形態が製法の全体にわたりおよび最終製剤において安定であることが分かったことを立証した。
【0222】
3. 走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた画像
3つの試料、すなわち単純なAPI、リオプレミックスおよび最終混合物を、SEMにより粒子径および形態特性評価について特性評価した。画像を図7に示す。
【0223】
4. FTIR
FTIRによるAPI、リオプレミックスおよび最終製剤の特性評価を行った。リオプレミックスおよび最終製剤のスペクトルは、APIの観察されたスペクトルに匹敵する。
【0224】
5. 溶解性研究
文献によれば、三酸化ヒ素は、冷水にわずかに溶解し、アルコールに不溶性である。したがって、APIおよびリオプレミックスの溶解性をこれらの媒質中で試験して、挙動を評価し、結果を以下に示す。
【表43】
【0225】
溶解性研究の結果は、APIの溶解性が本発明の凍結乾燥法によりおよそ20倍向上したを示す。
6. すべての強度の薬物製剤の化学特性
【表44】
【0226】
7. BET表面積測定
APIおよびリオプレミックスの表面積を、表面積測定のためのBET法を用いて測定した。三酸化ヒ素APIの比表面積は、0.05 m2/gと測定された。三酸化ヒ素を含む凍結乾燥組成物またはリオプレミックスの比表面積は、2.68 m2/gと測定され、表面積の50倍超の増加であった。
【0227】
以下の表39は、APIについての表面積データを提供する。図8は、APIについてのBET表面積プロットを提供し、これは、どのように1/[Q(Po/P-1)]が相対圧P/Poに依存するかを示す。
【表45】
【0228】
以下の表40は、リオプレミックスについての表面積データを提供する。図9は、リオプレミックスについてのBET表面積プロットを提供し、これは、どのように1/[Q(Po/P-1)]が相対圧P/Poに依存するかを示す。
【表46】
【0229】
多形研究は、製造プロセス中およびその安定性を示す最終製剤においてAPIが変化しないままであることを示した。図7のSEM画像は、API粒子径が凍結乾燥中に劇的に低下することを示す。最終混合物は他の添加剤を含有し、それ故にそのサイズはより粗く見える。すべての強度の製剤、1、2、5、10、20 mgカプセル剤の科化学特性は、最終製剤の規格を満たし、適合することが分かった。溶出の顕著な向上は、APIと比較して製剤で観察され、これは製剤中の三酸化ヒ素の溶解性の何倍かの向上を示した。
本発明は、以下の態様および実施態様を含む。
[1]
ヒ素を含む凍結乾燥組成物(LCCA)を製造するための方法であって:
(A)As 2 O 3 粉末を水性溶媒中に可溶化して、As 2 O 3 溶液を形成する工程;および
(B)該As 2 O 3 溶液を凍結乾燥する工程
を含む、方法。
[2]
該As 2 O 3 粉末を水性溶媒中に可溶化する工程が:
(I)撹拌有りまたは無しおよび水の添加有りまたは無しでベッセル中As 2 O 3 粉末にアルカリ化剤を加えて、約12以上のpHにする工程;
(II)撹拌有りまたは無しおよび水の添加有りまたは無しで該ベッセルに酸を加えて、pHを約7~約8に調整する工程;
(III)適宜、撹拌有りまたは無しおよび水の添加有りまたは無しで該ベッセルに界面活性剤を加える工程、および
(IV)適宜、撹拌有りまたは無しで該ベッセルに水を加えて、As 2 O 3 溶液を生成する工程
を含む、[1]に記載の方法。
[3]
該アルカリ化剤が、水酸化ナトリウム(NaOH)、炭酸ナトリウム(Na 2 CO 3 )、またはそれらの混合物を含む、[2]に記載の方法。
[4]
該加えられるアルカリ化剤の量が、As 2 O 3 粉末の量の約10%~約100%である、[2]に記載の方法。
[5]
該酸が、塩酸(HCl)を含む、[2]に記載の方法。
[6]
該HClが、約6M HClである、[5]に記載の方法。
[7]
該酸を該ベッセルに加えて、pHを約7.2に調整する、[2]に記載の方法。
[8]
該界面活性剤が、ラウリル硫酸ナトリウム;ツイーン80(登録商標);βシクロデキストリン;ポロキサマー;トコフェリルポリエチレングリコールスクシネート(TPGS)の少なくとも1つを含む、[2]に記載の方法。
[9]
該界面活性剤が、約0.5%v/v~約4.0%v/vまで加えられるが、As 2 O 3 濃度の約50%を越えない、[2]に記載の方法。
[10]
該凍結乾燥工程が:
(A)該As 2 O 3 溶液を凍結して、凍結As 2 O 3 産物を生成する工程;および
(B)該As 2 O 3 産物を乾燥して、該ヒ素を含む凍結乾燥組成物を生成する工程
を含む、[1]に記載の方法。
[11]
該凍結工程が、約-50℃~約0℃の範囲の温度で該As 2 O 3 溶液を凍結することを含む、[10]に記載の方法。
[12]
該As 2 O 3 溶液を約-40℃で少なくとも約6時間凍結する、[11]に記載の方法。
[13]
該乾燥工程が、3つの条件:
(I)該As 2 O 3 産物を、約-40℃~約50℃の範囲の少なくとも1つの温度で、約5分~約500分の範囲の時間乾燥する;
(II)約5分~約500分の範囲の時間、約-40℃~約50℃の範囲の少なくとも1つの第1温度から約-40℃~約50℃の範囲の少なくとも1つの第2温度まで温度を漸次上昇させることにより、該凍結As 2 O 3 を乾燥し、ここで該少なくとも1つの第2温度が、該少なくとも1つの第1温度より高い;および
(III)の該凍結As 2 O 3 産物に約300 mTorr~約1000 mTorrの範囲で約5分~約500分の範囲の時間真空を適用する
のうち少なくとも1つを含む、[10]に記載の方法。
[14]
該乾燥工程が、該As 2 O 3 産物を約-30℃および約800 mTorrにて約60分間加熱すること;該前の工程からのAs 2 O 3 産物を-20℃および500 mTorrにて約120分間加熱すること;該前の工程からのAs 2 O 3 産物を約-5℃および約500 mTorrにて約120分間加熱すること;該前の工程からのAs 2 O 3 産物を約10℃および約500 mTorrにて約60分間加熱すること;ならびに該前の工程からのAs 2 O 3 産物を約25℃および約500 mTorrにて約180分~約300分の範囲の時間加熱することを含む、[10]に記載の方法。
[15]
該乾燥工程が、該As 2 O 3 産物を約-30℃および約800 mTorrに約60分間かけて加熱し、約-30℃および約800 mTorrにて約60分間保持すること;該前の工程からのAs 2 O 3 産物を約-20℃および約500 mTorrに約60分間かけて加熱し、約-20℃および約500 mTorrにて約120分間保持すること;該前の工程からのAs 2 O 3 産物を約-5℃および約500 mTorrに約300分間かけて加熱し、約-5℃および約500 mTorrにて約120分間保持すること;該前の工程からのAs 2 O 3 産物を約10℃および約500 mTorrに約120分間かけて加熱し、約10℃および約500 mTorrにて約60分間保持すること;ならびに該前の工程からのAs 2 O 3 産物を約25℃および約500 mTorrに約60分間かけて加熱し、約25℃および約500 mTorrにて約180分~約300分の範囲の時間保持することを含む、[10]に記載の方法。
[16]
ヒ素を含む凍結乾燥組成物(LCCA)を含む、組成物。
[17]
少なくとも1つの充填剤および少なくとも1つの滑沢剤をさらに含む、[16]に記載の組成物。
[18]
該組成物が:
(A)As 2 O 3 粉末を水性溶媒中に可溶化して、As 2 O 3 溶液を形成する工程;
(B)該As 2 O 3 溶液を凍結乾燥して、リオプレミックスを生成する工程;
(C)該リオプレミックスを篩過して、凍結乾燥As 2 O 3 粉末を生成する工程;
(D)適宜、少なくとも1つの充填剤を該凍結乾燥As 2 O 3 粉末に加える工程;
(E)適宜、1以上の滑沢剤を該凍結乾燥As 2 O 3 粉末に加えて、該As 2 O 3 の経口製剤を生成する工程
を含む方法により製造される、[17]に記載の組成物。
[19]
該As 2 O 3 粉末を水性溶媒中に可溶化する工程が:
(I)撹拌有りまたは無しおよび水の添加有りまたは無しでベッセル中As 2 O 3 粉末にアルカリ化剤を加えて、約12以上のpHにする工程;
(II)撹拌有りまたは無しおよび水の添加有りまたは無しで該ベッセルに酸を加えて、pHを約7~約8に調整する工程;
(III)適宜、撹拌有りまたは無しおよび水の添加有りまたは無しで該ベッセルに界面活性剤を加える工程、および
(IV)適宜、撹拌有りまたは無しで該ベッセルに水を加えて、As 2 O 3 溶液を生成する工程
を含む、[18]に記載の組成物。
[20]
該アルカリ化剤が、水酸化ナトリウム(NaOH)、炭酸ナトリウム(Na 2 CO 3 )、またはそれらの混合物を含む、[19]に記載の組成物。
[21]
該加えられるアルカリ化剤の量が、As 2 O 3 粉末の量の約10%~約100%である、[19]に記載の組成物。
[22]
該酸が、塩酸(HCl)を含む、[19]に記載の組成物。
[23]
該HClが、約6M HClである、[22]に記載の組成物。
[24]
該酸を該ベッセルに加えて、pHを約7.2に調整する、[19]に記載の組成物。
[25]
該界面活性剤が、ラウリル硫酸ナトリウム;ツイーン80(登録商標);βシクロデキストリン;ポロキサマー;トコフェリルポリエチレングリコールスクシネート(TPGS)の少なくとも1つを含む、[19]に記載の組成物。
[26]
該界面活性剤が、約0.5%v/v~約4.0%v/vまで加えられるが、As 2 O 3 濃度の約50%を越えない、[19]に記載の組成物。
[27]
該凍結乾燥工程が:
(A)該As 2 O 3 溶液を凍結して、凍結As 2 O 3 産物を生成する工程;および
(B)該As 2 O 3 産物を乾燥して、該ヒ素を含む凍結乾燥組成物を生成する工程
を含む、[18]に記載の組成物。
[28]
該凍結工程が、約-50℃~約0℃の範囲の温度で該As 2 O 3 溶液を凍結することを含む、[27]に記載の組成物。
[29]
該As 2 O 3 溶液を約-40℃で少なくとも約6時間凍結する、[28]に記載の組成物。
[30]
該乾燥工程が、3つの条件:
(I)該As 2 O 3 産物を、約-40℃~約50℃の範囲の少なくとも1つの温度で、約5分~約500分の範囲の時間乾燥する;
(II)約5分~約500分の範囲の時間、約-40℃~約50℃の範囲の少なくとも1つの第1温度から約-40℃~約50℃の範囲の少なくとも1つの第2温度まで温度を漸次上昇させることにより、該凍結As 2 O 3 を乾燥し、ここで該少なくとも1つの第2温度が、該少なくとも1つの第1温度より高い;および
(III)該凍結As 2 O 3 産物に約300 mTorr~約1000 mTorrの範囲で約5分~約500分の範囲の時間真空を適用する
のうち少なくとも1つを含む、[27]に記載の組成物。
[31]
該乾燥工程が、該As 2 O 3 産物を約-30℃および約800 mTorrにて約60分間加熱すること;該前の工程からのAs 2 O 3 産物を-20℃および500 mTorrにて約120分間加熱すること;該前の工程からのAs 2 O 3 産物を約-5℃および約500 mTorrにて約120分間加熱すること;該前の工程からのAs 2 O 3 産物を約10℃および約500 mTorrにて約60分間加熱すること;ならびに該前の工程からのAs 2 O 3 産物を約25℃および約500 mTorrにて約180分~約300分の範囲の時間加熱することを含む、[27]に記載の組成物。
[32]
該乾燥工程が、該As 2 O 3 産物を約-30℃および約800 mTorrに約60分間かけて加熱し、約-30℃および約800 mTorrにて約60分間保持すること;該前の工程からのAs 2 O 3 産物を約-20℃および約500 mTorrに約60分間かけて加熱し、約-20℃および約500 mTorrにて約120分間保持すること;該前の工程からのAs 2 O 3 産物を約-5℃および約500 mTorrに約300分間かけて加熱し、約-5℃および約500 mTorrにて約120分間保持すること;該前の工程からのAs 2 O 3 産物を約10℃および約500 mTorrに約120分間かけて加熱し、約10℃および約500 mTorrにて約60分間保持すること;ならびに該前の工程からのAs 2 O 3 産物を約25℃および約500 mTorrに約60分間かけて加熱し、約25℃および約500 mTorrにて約180分~約300分の範囲の時間保持することを含む、[27]に記載の組成物。
[33]
該充填剤がマンニトールを含み;および/または該1以上の滑沢剤がタルクおよび/またはステアリン酸マグネシウムを含む、[17]に記載の組成物。
[34]
該組成物が制御放出性、経口、固形、組成物である、[16]に記載の組成物。
[35]
カプセルに封入された、[16]に記載の組成物。
[36]
ヒ素まはた凍結乾燥三酸化ヒ素(As 2 O 3 )を含む、凍結乾燥組成物を含む経口医薬製剤を製造するための方法であって:
(A)As 2 O 3 粉末を水性溶媒中に可溶化して、As 2 O 3 溶液を形成する工程;
(B)該As 2 O 3 溶液を凍結乾燥して、リオプレミックスを生成する工程;
(C)該リオプレミックスを篩過して、凍結乾燥As 2 O 3 粉末を生成する工程;
(D)適宜、少なくとも1つの充填剤を該凍結乾燥As 2 O 3 粉末に加える工程;
(E)適宜、1以上の滑沢剤を該凍結乾燥As 2 O 3 粉末に加えて、該As 2 O 3 の経口製剤を生成する工程
を含む、方法。
[37]
該As 2 O 3 粉末を水性溶媒中に可溶化する工程が:
(I)撹拌有りまたは無しおよび水の添加有りまたは無しでベッセル中As 2 O 3 粉末にアルカリ化剤を加えて、約12以上のpHにする工程;
(II)撹拌有りまたは無しおよび水の添加有りまたは無しで該ベッセルに酸を加えて、pHを約7~約8に調整する工程;
(III)適宜、撹拌有りまたは無しおよび水の添加有りまたは無しで該ベッセルに界面活性剤を加える工程、および
(IV)適宜、撹拌有りまたは無しで該ベッセルに水を加えて、As 2 O 3 溶液を生成する工程
を含む、[36]に記載の方法。
[38]
該アルカリ化剤が、水酸化ナトリウム(NaOH)、炭酸ナトリウム(Na 2 CO 3 )、またはそれらの混合物を含む、[37]に記載の方法。
[39]
該加えられるアルカリ化剤の量が、As 2 O 3 粉末の量の約10%~約100%である、[37]に記載の方法。
[40]
該酸が、塩酸(HCl)を含む、[37]に記載の方法。
[41]
該HClが、約6M HClである、[40]に記載の方法。
[42]
該酸を該ベッセルに加えて、pHを約7.2に調整する、[37]に記載の方法。
[43]
該界面活性剤が、ラウリル硫酸ナトリウム;ツイーン80(登録商標);βシクロデキストリン;ポロキサマー;トコフェリルポリエチレングリコールスクシネート(TPGS)の少なくとも1つを含む、[37]に記載の方法。
[44]
該界面活性剤が、約0.5%v/v~約4.0%v/vまで加えられるが、As 2 O 3 濃度の約50%を越えない、[37]に記載の方法。
[45]
該凍結乾燥工程が:
(A)該As 2 O 3 溶液を凍結して、凍結As 2 O 3 産物を生成する工程;および
(B)該As 2 O 3 産物を乾燥して、該ヒ素を含む凍結乾燥組成物を生成する工程
を含む、[36]に記載の方法。
[46]
該凍結工程が、約-50℃~約0℃の範囲の温度で該As 2 O 3 溶液を凍結することを含む、[45]に記載の方法。
[47]
該As 2 O 3 溶液を約-40℃で少なくとも約6時間凍結する、[46]に記載の方法。
[48]
該乾燥工程が、3つの条件:
(I)該As 2 O 3 産物を、約-40℃~約50℃の範囲の少なくとも1つの温度で、約5分~約500分の範囲の時間乾燥する;
(II)約5分~約500分の範囲の時間、約-40℃~約50℃の範囲の少なくとも1つの第1温度から約-40℃~約50℃の範囲の少なくとも1つの第2温度まで温度を漸次上昇させることにより、該凍結As 2 O 3 を乾燥し、ここで該少なくとも1つの第2温度が、該少なくとも1つの第1温度より高い;および
(III)該凍結As 2 O 3 産物に約300 mTorr~約1000 mTorrの範囲で約5分~約500分の範囲の時間真空を適用する
のうち少なくとも1つを含む、[45]に記載の方法。
[49]
該乾燥工程が、該As 2 O 3 産物を約-30℃および約800 mTorrにて約60分間加熱すること;該前の工程からのAs 2 O 3 産物を-20℃および500 mTorrにて約120分間加熱すること;該前の工程からのAs 2 O 3 産物を約-5℃および約500 mTorrにて約120分間加熱すること;該前の工程からのAs 2 O 3 産物を約10℃および約500 mTorrにて約60分間加熱すること;ならびに該前の工程からのAs 2 O 3 産物を約25℃および約500 mTorrにて約180分~約300分の範囲の時間加熱することを含む、[45]に記載の方法。
[50]
該乾燥工程が、該As 2 O 3 産物を約-30℃および約800 mTorrに約60分間かけて加熱し、約-30℃および約800 mTorrにて約60分間保持すること;該前の工程からのAs 2 O 3 産物を約-20℃および約500 mTorrに約60分間かけて加熱し、約-20℃および約500 mTorrにて約120分間保持すること;該前の工程からのAs 2 O 3 産物を約-5℃および約500 mTorrに約300分間かけて加熱し、約-5℃および約500 mTorrにて約120分間保持すること;該前の工程からのAs 2 O 3 産物を約10℃および約500 mTorrに約120分間かけて加熱し、約10℃および約500 mTorrにて約60分間保持すること;ならびに該前の工程からのAs 2 O 3 産物を約25℃および約500 mTorrに約60分間かけて加熱し、約25℃および約500 mTorrにて約180分~約300分の範囲の時間保持することを含む、[45]に記載の方法。
[51]
該充填剤がマンニトールを含み;および/または該1以上の滑沢剤がタルクおよび/またはステアリン酸マグネシウムを含む、[36]に記載の方法。
[52]
カプセルに該経口製剤を充填することをさらに含む、[36]に記載の方法。
[53]
経口投与に適した固形剤形の医薬組成物であって、ヒ素を含む凍結乾燥組成物を含む、医薬組成物。
[54]
少なくとも1つの充填剤および少なくとも1つの滑沢剤をさらに含む、[53]に記載の医薬組成物。
[55]
該組成物が:
(A)As 2 O 3 粉末を水性溶媒中に可溶化して、As 2 O 3 溶液を形成する工程;
(B)該As 2 O 3 溶液を凍結乾燥して、リオプレミックスを生成する工程;
(C)該リオプレミックスを篩過して、凍結乾燥As 2 O 3 粉末を生成する工程;
(D)適宜、少なくとも1つの充填剤を該凍結乾燥As 2 O 3 粉末に加える工程;
(E)適宜、1以上の滑沢剤を該凍結乾燥As 2 O 3 粉末に加えて、該As 2 O 3 の経口製剤を生成する工程
を含む方法により製造される、[53]に記載の医薬組成物。
[56]
該As 2 O 3 粉末を水性溶媒中に可溶化する工程が:
(I)撹拌有りまたは無しおよび水の添加有りまたは無しでベッセル中As 2 O 3 粉末にアルカリ化剤を加えて、約12以上のpHにする工程;
(II)撹拌有りまたは無しおよび水の添加有りまたは無しで該ベッセルに酸を加えて、pHを約7~約8に調整する工程;
(III)適宜、撹拌有りまたは無しおよび水の添加有りまたは無しで該ベッセルに界面活性剤を加える工程、ならびに
(IV)適宜、撹拌有りまたは無しで該ベッセルに水を加えて、As 2 O 3 溶液を生成する工程
を含む、[55]に記載の医薬組成物。
[57]
該アルカリ化剤が、水酸化ナトリウム(NaOH)、炭酸ナトリウム(Na 2 CO 3 )、またはそれらの混合物を含む、[56]に記載の医薬組成物。
[58]
該加えられるアルカリ化剤の量が、As 2 O 3 粉末の量の約10%~約100%である、[56]に記載の医薬組成物。
[59]
該酸が、塩酸(HCl)を含む、[56]に記載の医薬組成物。
[60]
該HClが、約6M HClである、[59]に記載の医薬組成物。
[61]
該酸を該ベッセルに加えて、pHを約7.2に調整する、[56]に記載の医薬組成物。
[62]
該界面活性剤が、ラウリル硫酸ナトリウム;ツイーン80(登録商標);βシクロデキストリン;ポロキサマー;トコフェリルポリエチレングリコールスクシネート(TPGS)の少なくとも1つを含む、[56]に記載の医薬組成物。
[63]
該界面活性剤が、約0.5%v/v~約4.0%v/vまで加えられるが、As 2 O 3 濃度の約50%を越えない、[56]に記載の医薬組成物。
[64]
該凍結乾燥工程が:
(A)該As 2 O 3 溶液を凍結して、凍結As 2 O 3 産物を生成する工程;および
(B)該As 2 O 3 産物を乾燥して、該ヒ素を含む凍結乾燥組成物を生成する工程
を含む、[55]に記載の医薬組成物。
[65]
該凍結工程が、約-50℃~約0℃の範囲の温度で該As 2 O 3 溶液を凍結することを含む、[64]に記載の医薬組成物。
[66]
該As 2 O 3 溶液を約-40℃で少なくとも約6時間凍結する、[65]に記載の医薬組成物。
[67]
該乾燥工程が、3つの条件:
(I)該As 2 O 3 産物を、約-40℃~約50℃の範囲の少なくとも1つの温度で、約5分~約500分の範囲の時間乾燥する;
(II)約5分~約500分の範囲の時間、約-40℃~約50℃の範囲の少なくとも1つの第1温度から約-40℃~約50℃の範囲の少なくとも1つの第2温度まで温度を漸次上昇させることにより、該凍結As 2 O 3 を乾燥し、ここで該少なくとも1つの第2温度が、該少なくとも1つの第1温度より高い;および
(III)該凍結As 2 O 3 産物に約300 mTorr~約1000 mTorrの範囲で約5分~約500分の範囲の時間真空を適用する
のうち少なくとも1つを含む、[64]に記載の医薬組成物。
[68]
該乾燥工程が、該As 2 O 3 産物を約-30℃および約800 mTorrにて約60分間加熱すること;該前の工程からのAs 2 O 3 産物を-20℃および500 mTorrにて約120分間加熱すること;該前の工程からのAs 2 O 3 産物を約-5℃および約500 mTorrにて約120分間加熱すること;該前の工程からのAs 2 O 3 産物を約10℃および約500 mTorrにて約60分間加熱すること;ならびに該前の工程からのAs 2 O 3 産物を約25℃および約500 mTorrにて約180分~約300分の範囲の時間加熱することを含む、[64]に記載の医薬組成物。
[69]
該乾燥工程が、該As 2 O 3 産物を約-30℃および約800 mTorrに約60分間かけて加熱し、約-30℃および約800 mTorrにて約60分間保持すること;該前の工程からのAs 2 O 3 産物を約-20℃および約500 mTorrに約60分間かけて加熱し、約-20℃および約500 mTorrにて約120分間保持すること;該前の工程からのAs 2 O 3 産物を約-5℃および約500 mTorrに約300分間かけて加熱し、約-5℃および約500 mTorrにて約120分間保持すること;該前の工程からのAs 2 O 3 産物を約10℃および約500 mTorrに約120分間かけて加熱し、約10℃および約500 mTorrにて約60分間保持すること;ならびに該前の工程からのAs 2 O 3 産物を約25℃および約500 mTorrに約60分間かけて加熱し、約25℃および約500 mTorrにて約180分~約300分の範囲の時間保持することを含む、[64]に記載の医薬組成物。
[70]
該充填剤がマンニトールを含み;および/または該1以上の滑沢剤がタルクおよび/またはステアリン酸マグネシウムを含む、[55]に記載の医薬組成物。
[71]
該組成物が制御放出性、経口、固形、医薬組成物である、[53]に記載の医薬組成物。
[72]
カプセルに封入された、[53]に記載の医薬組成物。
[73]
約1 mgの[53]に記載の医薬組成物を含む、カプセル。
[74]
約5 mgの[53]に記載の医薬組成物を含む、カプセル。
[75]
約10 mgの[53]に記載の医薬組成物を含む、カプセル。
[76]
約20 mgの[53]に記載の医薬組成物を含む、カプセル。
[77]
[53]に記載の医薬組成物およびその使用説明書を含む、キット。
[78]
対象体に、ヒ素を含む凍結乾燥組成物を含む医薬組成物を経口投与する方法であって、該医薬組成物を提供する工程、および該医薬組成物を該対象体に経口投与することを含む、方法。
[79]
処置を必要とする患者において癌を処置する方法であって、ヒ素を含む凍結乾燥組成物を含む医薬組成物の治療上有効量を患者に投与することを含む、方法。
[80]
該癌が造血器腫瘍である、[79]に記載の方法。
[81]
該造血器腫瘍が、急性骨髄性白血病;急性非リンパ性白血病;骨髄芽球性白血病、前骨髄球性白血病;慢性骨髄単球性白血病;単球性白血病;赤白血病;急性好中球性白血病;骨髄異形成症候群;急性前骨髄球性白血病;慢性リンパ性白血病;慢性骨髄性白血病;有毛細胞白血病;骨髄増殖性新生物;ホジキンリンパ腫;非ホジキンリンパ腫;骨髄腫;巨細胞骨髄腫;無症候性骨髄腫;局所性骨髄腫;多発性骨髄腫;形質細胞性骨髄腫;硬化性骨髄腫;孤立性骨髄腫;くすぶり型多発性骨髄腫;非分泌性骨髄腫;骨硬化性骨髄腫;形質細胞性白血病;孤立性形質細胞腫;および髄外性形質細胞腫の少なくとも1つである、[80]に記載の方法。
[82]
該造血器腫瘍が、急性前骨髄球性白血病(APL)である、[80]に記載の方法。
[83]
該APLが、新たに診断されたAPLである、[82]に記載の方法。
[84]
該APLが、再発性または難治性APLである、[82]に記載の方法。
[85]
該骨髄増殖性新生物が、骨髄繊維症真性多血症および本態性血小板血症の1つである、[81]に記載の方法。
[86]
該医薬組成物が、毎日投与される、[79]に記載の方法。
[87]
該医薬組成物が、約1 mg~約50 mgの範囲の単回投与量で投与される、[79]に記載の方法。
[88]
該医薬組成物が、約0.1 mg/kg体重~約0.3 mg/kg体重の範囲の単回投与量で投与される、[79]に記載の方法。
[89]
該患者が、化学療法および/または放射線で以前処置されたかまたは現在処置されている、[79]に記載の方法。
[90]
1以上の化学療法剤を該患者に投与することをさらに含む、[89]に記載の方法。
[91]
該化学療法剤が、該医薬組成物の前に、後にまたは同時に投与される、[89]に記載の方法。
[92]
三酸化ヒ素を含む元のAPI粉末の表面積を約5倍から約80倍に増加させるための方法であって::
(A)As 2 O 3 粉末を水性溶媒中に可溶化して、As 2 O 3 溶液を形成する工程であって:
(I)撹拌有りまたは無しおよび水の添加有りまたは無しでベッセル中As 2 O 3 粉末にアルカリ化剤を加えて、約12以上のpHにする工程;
(II)撹拌有りまたは無しおよび水の添加有りまたは無しで該ベッセルに酸を加えて、pHを約7~約8に調整する工程;
(III)適宜、撹拌有りまたは無しおよび水の添加有りまたは無しで該ベッセルに界面活性剤を加える工程、および
(IV)適宜、撹拌有りまたは無しで該ベッセルに水を加えて、As 2 O 3 溶液を生成する工程
を含む、工程;ならびに
(B)該As 2 O 3 溶液を凍結乾燥する工程であって:
(V)該As 2 O 3 溶液を凍結して、凍結As 2 O 3 産物を生成する工程;および
(VI)該As 2 O 3 産物を乾燥して、該ヒ素を含む凍結乾燥組成物を生成する工程
を含む、工程
を含む、方法。
[93]
水またはアルコール中の三酸化ヒ素粉末の溶解性を約2倍~約30倍増加させるための方法であって:
(A)As 2 O 3 粉末を水性溶媒中に可溶化して、As 2 O 3 溶液を形成する工程であって:
(I)撹拌有りまたは無しおよび水の添加有りまたは無しでベッセル中As 2 O 3 粉末にアルカリ化剤を加えて、約12以上のpHにする工程;
(II)撹拌有りまたは無しおよび水の添加有りまたは無しで該ベッセルに酸を加えて、pHを約7~約8に調整する工程;
(III)適宜、撹拌有りまたは無しおよび水の添加有りまたは無しで該ベッセルに界面活性剤を加える工程、および
(IV)適宜、撹拌有りまたは無しで該ベッセルに水を加えて、As 2 O 3 溶液を生成する工程
を含む、工程;ならびに
(B)該As 2 O 3 溶液を凍結乾燥する工程であって:
(V)該As 2 O 3 溶液を凍結して、凍結As 2 O 3 産物を生成する工程;および
(VI)該As 2 O 3 産物を乾燥して、該ヒ素を含む凍結乾燥組成物を生成する工程
を含む、工程
を含む、方法。
[94]
ヒ素を含む医薬組成物の溶出を、三酸化ヒ素を含む元のAPIより少なくとも5倍増加させるための方法であって:
(A)As 2 O 3 粉末を水性溶媒中に可溶化して、As 2 O 3 溶液を形成する工程であって:
(I)撹拌有りまたは無しおよび水の添加有りまたは無しでベッセル中As 2 O 3 粉末にアルカリ化剤を加えて、約12以上のpHにする工程;
(II)撹拌有りまたは無しおよび水の添加有りまたは無しで該ベッセルに酸を加えて、pHを約7~約8に調整する工程;
(III)適宜、撹拌有りまたは無しおよび水の添加有りまたは無しで該ベッセルに界面活性剤を加える工程、および
(IV)適宜、撹拌有りまたは無しで該ベッセルに水を加えて、As 2 O 3 溶液を生成する工程
を含む、工程;ならびに
(B)該As 2 O 3 溶液を凍結乾燥する工程であって:
(V)該As 2 O 3 溶液を凍結して、凍結As 2 O 3 産物を生成する工程;および
(VI)該As 2 O 3 産物を乾燥して、該ヒ素を含む凍結乾燥組成物を生成する工程
を含む、工程
を含む、方法。
[95]
ヒ素を含む医薬組成物の静脈内投与のバイオアベイラビリティの約50%~約100%の範囲である、対象体へのヒ素の経口バイオアベイラビリティを提供するための方法であって:
(A)As 2 O 3 粉末を水性溶媒中に可溶化して、As 2 O 3 溶液を形成する工程であって:
(I)撹拌有りまたは無しおよび水の添加有りまたは無しでベッセル中As 2 O 3 粉末にアルカリ化剤を加えて、約12以上のpHにする工程;
(II)撹拌有りまたは無しおよび水の添加有りまたは無しで該ベッセルに酸を加えて、pHを約7~約8に調整する工程;
(III)適宜、撹拌有りまたは無しおよび水の添加有りまたは無しで該ベッセルに界面活性剤を加える工程、および
(IV)適宜、撹拌有りまたは無しで該ベッセルに水を加えて、As 2 O 3 溶液を生成する工程
を含む、工程;ならびに
(B)該As 2 O 3 溶液を凍結乾燥する工程であって:
(V)該As 2 O 3 溶液を凍結して、凍結As 2 O 3 産物を生成する工程;および
(VI)該As 2 O 3 産物を乾燥して、該ヒ素を含む凍結乾燥組成物を生成する工程
を含む、工程
を含む、方法。
[96]
該ヒ素を含む凍結乾燥組成物が、約2μm~10μmのD(90)サイズ範囲の粒子を含む、[16]に記載の組成物。
[97]
該ヒ素を含む凍結乾燥組成物が、三酸化ヒ素を含む元のAPI粉末の粒子径より約10倍~約50倍小さいD(90)サイズを有する粒子を含む、[16]に記載の組成物。
[98]
該ヒ素を含む凍結乾燥組成物が、約0.5 m 2 /g~5 m 2 /gの範囲のBET表面積を有する粒子を含む、[16]に記載の組成物。
[99]
該ヒ素を含む凍結乾燥組成物が、三酸化ヒ素を含む元のAPI粉末の表面積より約2倍~約80倍大きいBET表面積を有する粒子を含む、[16]に記載の組成物。
[100]
該ヒ素を含む凍結乾燥組成物が、三酸化ヒ素を含む元のAPI粉末より冷水またはアルコールに約2倍~約30倍溶解する、[16]に記載の組成物。
[101]
該ヒ素を含む凍結乾燥組成物が、約4 g/100 g~約60 g/100 gの凍結乾燥組成物対冷水またはアルコールの範囲で冷水またはアルコールに溶解する、[16]に記載の組成物。
[102]
ICP-OESによって測定される医薬組成物の溶出が、三酸化ヒ素を含む元のAPI粉末の溶出の約5倍~約15倍である、[53]に記載の医薬組成物。
[103]
100単位の重量であり;組成物の総重量を100単位にする:
(I)10単位の三酸化ヒ素および5単位のラウリル硫酸ナトリウムを提供する量の、ヒ素を含む凍結乾燥組成物;
(II)73単位の量のマンニトール;
(III)1の量のタルク;および
(IV)1 mgの量のステアリン酸マグネシウム
を含む、カプセルの形態の経口剤形。
[104]
該カプセルの重量が、10 mg、50 mg、100 mgまたは200 mgである、[102]に記載のカプセル。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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