(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-16
(45)【発行日】2024-08-26
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
H02K 5/24 20060101AFI20240819BHJP
H02K 5/20 20060101ALI20240819BHJP
H02K 9/06 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
H02K5/24 C
H02K5/20
H02K9/06 B
H02K9/06 F
(21)【出願番号】P 2021202428
(22)【出願日】2021-12-14
【審査請求日】2023-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】株式会社TMEIC
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長尾 匠
(72)【発明者】
【氏名】武藤 琢真
【審査官】谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】実開昭52-092208(JP,U)
【文献】実開昭56-094154(JP,U)
【文献】中国実用新案第207801635(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/24
H02K 5/20
H02K 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の空間が内部に設けられた筐体と、
前記第1の空間に収容された固定子と、
シャフトを有し、前記第1の空間に一部が収容された回転子と、
前記筐体に収容され、前記シャフトと一体に回転する内扇と、
前記筐体の外側に位置し、前記シャフトと一体に回転する外扇と、
前記第1の空間と通じた第2の空間が内部に設けられ、前記第2の空間と前記第1の空間との間で気体が循環する収容体と、前記第2の空間に面して前記収容体に収容され、内部を通る外気と前記第2の空間の気体との間で熱交換を行う冷却管と、を有し、前記筐体の上側に配置された冷却器と、
吸気口が設けれ、前記外扇を収容し、前記外気を前記吸気口から冷却管に案内する吸気ダクトと、
前記収容体に対して前記吸気ダクトとは反対側に配置され、前記収容体に対して上方に突出した突出部を有し、前記突出部に前記収容体の上側の空間と対向する排気口が設けられ、前記冷却管から流出した外気を前記排気口から排気する排気ダクトと、
前記突出部における前記排気口の幅方向の両側の少なくとも一方から前記収容体の上面に延びた板部材と、
を備えた回転電機。
【請求項2】
前記板部材は、前記突出部における前記排気口の幅方向の両側のそれぞれに設けられた、請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
第1の空間が内部に設けられた筐体と、
前記第1の空間に収容された固定子と、
回転中心軸回りに回転するシャフトを有し、前記第1の空間に一部が収容された回転子と、
前記筐体に収容され、前記シャフトと一体に回転する内扇と、
前記筐体の外側に位置し、前記シャフトと一体に回転する外扇と、
前記第1の空間と通じた第2の空間が内部に設けられ、前記第2の空間と前記第1の空間との間で気体が循環する収容体と、前記第2の空間に面して前記収容体に収容され、内部を通る外気と前記第2の空間の気体との間で熱交換を行う冷却管と、を有し、前記筐体の上側に配置された冷却器と、
吸気口が設けれ、前記外扇を収容し、前記外気を前記吸気口から冷却管に案内する吸気ダクトと、
前記収容体に対して前記吸気ダクトとは反対側に配置され、前記収容体に対して上方に突出した突出部を有し、前記突出部に前記収容体の上側の空間と対向する排気口が設けられ、前記冷却管から流出した外気を前記排気口から排気する排気ダクトと、
を備え、
前記排気口は、上方に向かうにつれて幅が狭くなる形状である、回転電機。
【請求項4】
前記排気口は、上方に向かうにつれて幅が狭くなる台形である、請求項3に記載の回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転電機本体と、回転電機本体の上側に配置され回転電機本体を冷却する熱交換器と、回転子のシャフトと一体に回転する外扇と、外扇を収容し熱交換器に外気を案内する吸気ダクトと、熱交換器からの外気を熱交換器の上側に排気する排気口が設けられた排気ダクトと、を備える回転電機が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の回転電機では、回転電機の周辺の人間に対して排気口からの騒音を低減できれば有益である。
【0005】
そこで、本発明の課題の一つは、回転電機の周辺の人間に対して排気口からの騒音を低減することができる回転電機を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態の回転電機は、第1の空間が内部に設けられた筐体と、前記第1の空間に収容された固定子と、シャフトを有し、前記第1の空間に一部が収容された回転子と、前記筐体に収容され、前記シャフトと一体に回転する内扇と、前記筐体の外側に位置し、前記シャフトと一体に回転する外扇と、前記第1の空間と通じた第2の空間が内部に設けられ、前記第2の空間と前記第1の空間との間で気体が循環する収容体と、前記第2の空間に面して前記収容体に収容され、内部を通る外気と前記第2の空間の気体との間で熱交換を行う冷却管と、を有し、前記筐体の上側に配置された冷却器と、吸気口が設けれ、前記外扇を収容し、前記外気を前記吸気口から冷却管に案内する吸気ダクトと、前記収容体に対して前記吸気ダクトとは反対側に配置され、前記収容体に対して上方に突出した突出部を有し、前記突出部に前記収容体の上側の空間と対向する排気口が設けられ、前記冷却管から流出した外気を前記排気口から排気する排気ダクトと、前記突出部における前記排気口の幅方向の両側の少なくとも一方から前記収容体の上面に延びた板部材と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施形態の回転電機によれば、回転電機の周辺の人間に対して排気口からの騒音を低減することができる回転電機を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1の実施形態の回転電機の構成の例示的な断面図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態の回転電機における排気ダクトの突出部を含む部分の例示的な斜視図であって、上方からの視線での斜視図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態の回転電機における排気ダクトの突出部を含む部分の例示的な正面図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態の回転電機における排気ダクトの突出部を含む部分の例示的な斜視図であって、下方からの視線での斜視図である。
【
図5】
図5は、第2の実施形態の回転電機における排気ダクトの突出部を含む部分の例示的な斜視図であって、上方からの視線での斜視図である。
【
図6】
図6は、第2の実施形態の回転電機における排気ダクトの突出部を含む部分の例示的な正面図である。
【
図7】
図7は、第2の実施形態の回転電機における排気ダクトの突出部を含む部分の例示的な斜視図であって、下方からの視線での斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の例示的な実施形態を開示する。以下に示される実施形態の構成(技術的特徴)、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、いずれも一例である。
【0010】
以下の複数の実施形態には、同様の構成要素が含まれている。それら同様の構成要素には共通の符号が付与されるとともに、重複する説明が省略される。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合がある。また、図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。また、本明細書では、序数は、部品や、部材、部位、位置、方向等を区別するためだけに用いられており、順番や優先度を示すものではない。
【0011】
(第1の実施形態)
<回転電機1の構成>
図1は、実施形態の回転電機1の構成の例示的な断面図である。
図1に示されるように、回転電機1は、回転動作を行う回転電機本体2と、冷却器3と、筐体5と、を備える。回転電機1は、全閉外扇形回転電機である。筐体5は、回転電機本体2と冷却器3とに亘って設けられている。また、回転電機1の内部には、回転電機本体2と冷却器3とに亘って、冷却用気体(以下、単に気体と称する)で満たされた閉空間4が設けられている。気体は、例えば空気である。発熱体の一例である固定子13の発熱によって加熱された閉空間4の内部の気体が冷却器3にて外気(空気)と熱交換されることにより、回転電機本体2が冷却される。回転電機1は、例えば三相誘導電動機である。外気は、気体状の冷却媒体の一例である。
【0012】
回転電機本体2は、フレーム11aと、回転子12と、固定子13と、を有する。
【0013】
以下の説明では、便宜上、互いに直交する三方向が定義されている。X方向は、筐体5の長手方向および回転子12の回転中心軸Ax1の軸方向に沿う。Y方向は、筐体5の短手方向および回転中心軸Ax1の軸方向と直交する方向に沿う。Z方向は、筐体5の上下方向に沿う。X方向、Y方向、およびZ方向は、互いに直交する。ここで、回転中心軸Axは、回転子12のシャフト14の中心軸(中心線)である。すなわち、回転中心軸Axの軸方向、径方向、および周方向は、シャフト14の軸方向、径方向、および周方向と同じである。なお、以下の説明では、特に言及しない限り、軸方向、径方向、および周方向は、回転中心軸Axの軸方向、径方向、および周方向、すなわちシャフト14の軸方向、径方向、および周方向である。
【0014】
フレーム11aは、上端開口の箱型に形成されている。フレーム11aの上端には、仕切板11cが設置されて、フレーム11aの上端は仕切板11cによって塞がれている。フレーム11aと仕切板11cとによって、第1の筐体5aが構成される。第1の筐体5aは、回転子12の一部と固定子13とを収容している。詳細には、第1の筐体5aの内部には、空間4aが形成されており、当該空間4aに回転子12の一部と固定子13とが収容されている。空間4aは、閉空間4に含まれる。空間4aは、第1の空間の一例である。フレーム11aは、筐体部材とも称される。
【0015】
回転子12は、シャフト14と、回転子鉄心15と、を有する。シャフト14のうち軸方向の両端部の間の部分には、回転子鉄心15が固定されている。
【0016】
シャフト14は、回転中心軸Ax1回りに回転可能に、二つの軸受16を介してフレーム11aに支持されている。二つの軸受16は、シャフト14の軸方向において回転子鉄心15の両側に位置する。軸受16は、例えば、すべり軸受やころがり軸受等である。
【0017】
シャフト14の軸方向の両端部は、フレーム11aからフレーム11aの外部に突出している。シャフト14の軸方向の一方の端部には、結合部14aが設けられている。結合部14aは、回転機械(不図示)と結合される。また、シャフト14の軸方向の他方の端部には、外扇17が固定されている。外扇17は、シャフト14と一体に回転する。また、シャフト14における二つの軸受16と回転子鉄心15とのそれぞれの間には、内扇18が固定されている。内扇18は、シャフト14と一体に回転する。内扇18は、回転することにより、固定子13および回転子12と冷却器3(より具体的には後述する熱交換器31)との間で気体を循環させる。すなわち、内扇18は、筐体5内に気流を発生させる。
【0018】
固定子13は、固定子鉄心19と、固定子巻線20と、を有する。固定子鉄心19は、シャフト14の径方向における回転子鉄心15の外側に位置し、回転子鉄心15を囲む円筒状に形成されている。固定子巻線20は、シャフト14の軸方向に延びるように固定子鉄心19の内周面19aに形成された複数のスロット(不図示)内を貫通して、固定子鉄心19に固定されている。
【0019】
冷却器3は、熱交換器31と、吸気ダクト32と、排気ダクト33と、を有する。
【0020】
熱交換器31は、複数の冷却管41と、入口端板42と、出口端板43と、冷却器カバー45とを有する。複数の冷却管41は、互いに並列かつ行列状に配置されている。すなわち、冷却管41は、筐体5の幅方向に延び上下方向に並ぶ複数の行が構成されるように配列されている。入口端板42と出口端板43とは、冷却管41の軸方向の両端部を支持している。冷却器カバー45は、入口端板42と出口端板43とに亘って設けられて、冷却管41を収納している。
【0021】
入口端板42と、出口端板43と、冷却器カバー45とは、フレーム11bを構成している。フレーム11bは、回転電機本体2の上端部に固定されている。フレーム11bの下端には、仕切板11cが設置されて、フレーム11bの下端は、仕切板11cによって塞がれている。フレーム11bと仕切板11cとによって、複数の冷却管41を収容する第2の筐体5bが構成される。即ち、筐体5は、複数の冷却管41を収容する第2の筐体5bと、回転子12および固定子13を収容する第1の筐体5aと、によって構成される。第1の筐体5aと第2の筐体5bとは仕切板11cによって仕切られている。第2の筐体5bは、収容体の一例である。フレーム11bは、筐体部材とも称される。
【0022】
冷却管41、入口端板42、出口端板43、冷却器カバー45、および仕切板11cは、互いに接続されて、空間4bを形成している。すなわち、冷却管41は、空間4bに面している。空間4bは、閉空間4に含まれる。閉空間4における第1の筐体5a内の空間4aと冷却器3内の空間4bとは、いずれも仕切板11cに形成された入口10aおよび二つの出口10bで互いに連通している。入口10aは、仕切板11cにおける、固定子13の上方の部分に形成されている。二つの出口10bは、仕切板11cにおける内扇18の斜め上方の部分に形成されている。即ち、入口10aは、二つの出口10bの間に位置している。空間4bは、第2の空間の一例である。
【0023】
また、冷却器カバー45内には、二つのガイド板44が設けられている。二つのガイド板44は、入口端板42と出口端板43との間で、冷却管41の軸方向に互いに間隔を空けて並べられている。二つのガイド板44は、冷却器カバー45内の空間4bの底部から上方に延びて、冷却器カバー45内の空間4bのうち上部連通空間4cを除く空間を冷却管41の軸方向に仕切っている。
【0024】
吸気ダクト32は、入口端板42に固定され、外扇17を収納している。吸気ダクト32には、吸気口36が設けられており、外扇17が回転することにより、外気が吸気口36から吸気ダクト32内に流入する。また、外扇17により吸気ダクト32内に流入した外気が複数の冷却管41の内側に流入するように、吸気ダクト32が入口端板42と接続されている。また、吸気ダクト32内には、吸気口36から吸気ダクト32内に流入した外気が外扇17を通過して複数の冷却管41に流れるように外気を案内するガイド部材46が設けられている。吸気ダクト32は、外扇カバーとも称される。
【0025】
排気ダクト33は、排気ダクト33は、第2の筐体5bに対して吸気ダクト32とは反対側に配置されている。排気ダクト33は、第1の筐体5aの外部に位置し、出口端板43に固定されている。
【0026】
図2は、第1の実施形態の回転電機1における排気ダクト33の突出部33aを含む部分の例示的な斜視図であって、上方からの視線での斜視図である。
図3は、第1の実施形態の回転電機1における排気ダクト33の突出部33aを含む部分の例示的な正面図である。
図4は、第1の実施形態の回転電機1における排気ダクト33の突出部33aを含む部分の例示的な斜視図であって、下方からの視線での斜視図である。
【0027】
図1~
図4に示されるように、排気ダクト33は、第2の筐体5bに対して上方に突出した突出部33aを有する。
図2~4に示されるように、排気ダクト33は、突出部33aに第2の筐体5bの上側の空間100と対向する排気口37が設けられている。排気口37は、突出部33aにおける第2の筐体5bの上側の空間100と対向する壁33bに設けられており、当該壁33bを軸方向に貫通している。排気口37は、例えば、四角形(長方形)である。すなわち、排気口37は、下辺37aと、上辺37bと、二つの側辺37c,37dと、を有する。排気ダクト33は、冷却管41から流出した外気を排気口37から排気する。
【0028】
排気ダクト33には、遮蔽板51A,51Bが接続されている。遮蔽板51A,51Bは、板部材の一例である。遮蔽板51A,51Bは、突出部33aにおける排気口37の幅方向の両側のそれぞれから第2の筐体5bの上面5cに延びている。遮蔽板51A,51Bは、壁33bに固定されている。遮蔽板51A,51Bは、排気口37の幅方向(回転電機1の幅方向)に間隔を空けて配置され、互いに対向している。遮蔽板51A,51Bは、軸方向および上下方向に延びる四角板状である。遮蔽板51A,51Bの材料は、例えば、金属材料や合成樹脂材料等であるが、これに限定されない。遮蔽板51A,51Bは、遮蔽部とも称される。
【0029】
本実施形態では、排気口37、遮蔽板51A,51B、および第2の筐体5bの上面5cは、回転電機1における所定の高さ以上の位置に配置されている。所定の高さは、例えば、所定の人間の身長よりも高い高さである。ここで、
図4は、所定の身長の人間が、回転電機1の側方、突出部33aを斜め下から見た状態が示されている。この場合、遮蔽板51A,51Bによって、排気口37が遮蔽され、排気口37は見えない。このような状態では、回転電機本体2の内部や外扇17で発生し排気口37から漏れる騒音は、遮蔽板51A,51Bを迂回して回転電機1の側方に伝播して、人間に到達する。このとき、騒音は、遮蔽板51A,51Bを迂回することにより伝播距離が長くなり、その分減衰が大きくなり、低減される。これにより、例えば、回転電機1の騒音測定についての規格であるJEC-37の12.5.2項に規定される所定の測定点(例えば、回転電機1から側方に1mの位置等)での騒音が低減されうる。
【0030】
<回転電機1における気体の流れ>
次に、回転電機1の内部における気体の流れについて説明する。
【0031】
まず、閉空間4内の冷却用気体(気体)について説明する。閉空間4における第1の筐体5a内の空間4aの気体は、シャフト14と一体に回転する二つの内扇18により圧送されて、回転子12および固定子13に沿って流れて回転子12および固定子13を冷却した後、固定子鉄心19の径方向外側に流出する。このとき、気体は、回転子12および固定子13のそれぞれに設けられた通風路を通過する。固定子鉄心19の径方向外側に流出した気体は、気流F1を形成して、入口10aを経由して冷却器3内の空間4bに流入する。冷却器3の空間4bに流入した気体は、冷却管41の外側を通過する過程で、冷却管41内を流れる外気と熱交換し冷却されながら、二つのガイド板44の間を上昇して上部連通空間4cに流出する。
【0032】
上部連通空間4cの気体は、冷却管41の軸方向に互いに反対方向に分流して、入口端板42とガイド板44との間と、出口端板43とガイド板44との間とを、それぞれ冷却管41内の外気と熱交換し冷却されながら下降する。その後、気体は、気流F2,F3を形成して、出口10bを介して第1の筐体5a内の空間4aに戻り、再びそれぞれ内扇18に流入する。
【0033】
次に、外気の流れを説明する。外気は、シャフト14と一体に回転する外扇17により吸気口36から吸気ダクト32内に流入し、吸気ダクト32内を通過して入口端板42に到達する。入口端板42に到達した外気は、入口端板42で開口している各冷却管41内に流入し、冷却管41内で冷却管41の外側の気体から熱を受けて温度上昇しながら冷却管41内を通過した後、出口端板43側の開口から冷却器3の外部に流出する。このように、冷却管41の内側の外気と冷却管41の外側の気体との間で熱交換が行われることにより、回転子12および固定子13の冷却が行われる。冷却管41から流出した外気は、排気ダクト33によって排気口37へ案内され、排気口37から排出される。このとき、外気は、排気口37から第2の筐体5bの上面5cの上側の空間100に向かって排気される。
【0034】
<実施形態の効果>
以上のように、本実施形態の回転電機1は、第1の筐体5a(筐体)と、固定子13と、回転子12と、内扇18と、外扇17と、冷却器3と、吸気ダクト32と、排気ダクト33と、遮蔽板51A,51B(板部材)と、を備える。第1の筐体5aには、空間4a(第1の空間)が内部に設けられている。固定子13は、空間4aに収容されている。回転子12は、回転中心軸Ax1回りに回転するシャフト14を有し、空間4aに一部が収容されている。内扇18は、第1の筐体5aに収容され、シャフト14と一体に回転する。外扇17は、第1の筐体5aの外側に位置し、回転子12と一体に回転する。冷却器3には、空間4aと通じた空間4b(第2の空間)が内部に設けられている。冷却器3は、空間4bと空間4aとの間で気体が循環する第2の筐体5b(収容体)と、空間4bに面して第2の筐体5bに収容され、内部を通る外気と空間4bの気体との間で熱交換を行う冷却管41と、を有し、第1の筐体5aの上側に配置されている。吸気ダクト32は、吸気口36が設けれ、外扇17を収容し、外気を吸気口36から冷却管41に案内する。排気ダクト33は、第2の筐体5bに対して吸気ダクト32とは反対側に配置されている。排気ダクト33は、第2の筐体5bに対して上方に突出した突出部33aを有する。排気ダクト33は、突出部33aに第2の筐体5bの上側の空間100と対向する排気口37が設けられている。排気ダクト33は、冷却管41から流出した外気を排気口37から排気する。遮蔽板51A,51Bは、突出部33aにおける排気口37の幅方向の両側の少なくとも一方から第2の筐体5bの上面5cに延びている。
【0035】
このような構成によれば、遮蔽板51A,51Bが設けられているので、回転電機本体2の内部や外扇17で発生し排気口37から漏れる騒音は、遮蔽板51A,51Bを迂回して回転電機1の側方に伝播する。このとき、騒音は、遮蔽板51A,51Bを迂回することにより伝播距離が長くなり、その分減衰が大きくなり、低減される、よって、例えば、回転電機1の側方で作業する人間に対する騒音を低減することができる。
【0036】
また、例えば、遮蔽板51A,51Bは、突出部33aにおける排気口37の幅方向の両側のそれぞれに設けられている。
【0037】
このような構成によれば、排気口37の幅方向の両側のそれぞれに対して騒音を低減することができる。
【0038】
なお、遮蔽板51A,51Bは、少なくとも一方が設けられていればよい。また、遮蔽板51A,51Bの形状は、台形や三角形等であってもよい。また、二つの遮蔽板51A,51Bは、突出部33aから遠ざかるにつれて互いに近づいてもよい。このとき、各遮蔽板51A,51Bは、上方から見て直線状や湾曲状(円弧状)等であってよい。
【0039】
(第2の実施形態)
図5は、第2の実施形態の回転電機1における排気ダクト33の突出部33aを含む部分の例示的な斜視図であって、上方からの視線での斜視図である。
図6は、第2の実施形態の回転電機における排気ダクト33の突出部33aを含む部分の例示的な正面図である。
図7は、第2の実施形態の回転電機における排気ダクト33の突出部33aを含む部分の例示的な斜視図であって、下方からの視線での斜視図である。
【0040】
図5および
図6に示されるように、本実施形態は、排気口37の形状が第1の実施形態と異なる。また、本実施形態では、遮蔽板51A,51Bは、設けられていない。
【0041】
本実施形態では、排気口37は、上方に向かうにつれて幅が狭くなる形状である。具体的には、排気口37は、上方に向かうにつれて幅が狭くなる台形である。このような形状の排気口37により、壁33bには、排気口37の幅方向の両側に、上方に向かうにつれて幅が広くなる遮蔽部33c,33dが設けられている。
【0042】
ここで、
図7は、所定の身長の人間が、回転電機1の側方、突出部33aを斜め下から見た状態が示されている。この場合、遮蔽部33c,33dによって、排気口37が遮蔽され、排気口37は見えない。このような状態では、回転電機本体2の内部や外扇17で発生し排気口37から漏れる騒音は、遮蔽部33c,33dを迂回して回転電機1の側方に伝播して、人間に到達する。このとき、騒音は、遮蔽部33c,33dを迂回することにより伝播距離が長くなり、その分減衰が大きくなり、低減される。
【0043】
以上のように、本実施形態では、排気口37は、上方に向かうにつれて幅が狭くなる形状である。
【0044】
このような構成によれば、排気口37の上部から漏れる騒音は、排気口37が正方形や長方形の場合に比べて、冷却器3の上面5cに当たって上方へ反射されやすい。よって、このとき、騒音は、上面5cを迂回することにより伝播距離が長くなり、その分減衰が大きくなり、低減される、よって、例えば、回転電機1の側方で作業する人間に対する騒音を低減することができる。
【0045】
また、上記構成によれば、排気口37の上部の側方の突出部33aの壁33bの遮蔽部33c,33dが遮蔽板として作用する。よって、回転電機本体2の内部や外扇17で発生し排気口37から漏れる騒音は、遮蔽部33c,33dを迂回して回転電機1の側方に伝播する。このとき、騒音は、遮蔽部33c,33dを迂回することにより伝播距離が長くなり、その分減衰が大きくなり、低減される、よって、例えば、回転電機1の側方で作業する人間に対する騒音を低減することができる。
【0046】
また、排気口37は、上方に向かうにつれて幅が狭くなる台形である。
【0047】
このような構成によれば、比較的排気口37を形成しやすい。
【0048】
なお、排気口37の形状は、上方に向かうにつれて幅が狭くなる形状であれば、台形以外であってもよい。また、排気口37の側辺37c,37dの一方は上下方向に沿っていてもよい。また、突出部33aが上方に向かうにつれて幅が狭くなる形状であってもよい。また、第2の実施形態に第1の実施形態の遮蔽板51A,51Bを設けてもよい。
【0049】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0050】
1…回転電機、3…冷却器、4a…空間(第1の空間)、4b…空間(第2の空間)、5a…第1の筐体、5b…第2の筐体(収容体)、5c…上面、12…回転子、13…固定子、14…シャフト、17…外扇、18…内扇、32…吸気ダクト、33…排気ダクト、36…吸気口、37…排気口、51A,51B…遮蔽板(板部材)、33a…突出部、41…冷却管、100…空間。