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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-16
(45)【発行日】2024-08-26
(54)【発明の名称】毛髪トリートメント組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/898 20060101AFI20240819BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20240819BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20240819BHJP
   A61K 8/40 20060101ALI20240819BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
A61K8/898
A61Q5/12
A61K8/891
A61K8/40
A61K8/34
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021520988
(86)(22)【出願日】2019-10-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-14
(86)【国際出願番号】 EP2019077190
(87)【国際公開番号】W WO2020088894
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2022-08-08
(31)【優先権主張番号】18203729.1
(32)【優先日】2018-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】マレー,アンドリュー・マルコルム
(72)【発明者】
【氏名】ピゴット,アン-ソフィー
【審査官】阪▲崎▼ 裕美
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-030943(JP,A)
【文献】特開2012-171890(JP,A)
【文献】国際公開第2012/152722(WO,A1)
【文献】特開2013-184897(JP,A)
【文献】特表2011-527303(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪用リンスオフコンディショナー組成物であって、
a)0.1~10重量%のコンディショニング界面活性剤と;
)以下のシリコーン合剤
i)0.1~0.3重量%のアミノ官能化シリコーン、ここで前記アミノ官能化シリコーンはアモジメチコンである、および
ii)2~4重量%のジメチコンとアモジメチコンの9:1の比率のシリコーンブレンド
c)0.1~15重量%の脂肪アルコールと、
を含
前記コンディショナー組成物。
【請求項2】
前記組成物が0.1重量%の前記アミノ官能化シリコーンを含む、請求項1に記載のコンディショナー組成物。
【請求項3】
毛髪へのシリコーン沈着を改善するための請求項1又は2に記載の組成物の使用。
【請求項4】
以下の一連の工程を含む改善されたシリコーン沈着のための毛髪のトリートメント方法:
a)請求項1又は2のいずれか一項に記載の組成物を毛髪に適用する工程;
b)組成物を0~10分間毛髪上に残留させる工程;および
c)水ですすぎ落す工程。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リンスオフコンディショナー組成物の分野に関し、特に、改良されたコンディショニングの利点を有するリンスオフコンディショナー組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
縮れ毛は一般に、周囲の毛髪とは整列せず、独立して立ち上がったり巻いたりして、毛羽だったまたは不規則な質感を作る毛髪として知られている。一般的に、湿っぽい天候となり、空気中の水分レベルが高い日には、髪の毛は縮れてくる。その結果、毛髪は乾燥して縮れたようになり、滑らかで光沢があり、はっきりしたようなものではなくなる。縮れ毛の発生と光沢や滑らかさの喪失は、髪の健康不良の認識と関連している。
【0003】
毛髪にコンディショニングの利点を提供する一般的な方法は、カチオン性界面活性剤およびポリマー、高融点脂肪化合物、低融点油、シリコーン化合物、並びにそれらの混合物などのコンディショニング剤の使用によるものである。シリコーンは一般的に使用されるコンディショニング剤であり、したがって、シリコーンの改良された沈着が常に望まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、改良されたシリコーン沈着を提供することが本発明の目的である。
【0005】
改良されたコンディショニングの利点を有する組成物を提供することは、本発明の別の目的である。
【0006】
毛髪の改良された感覚を提供することは、本発明のさらに別の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
驚くべきことに、上記の目的は、シリコーンの特定の組み合わせを含むコンディショナー組成物によって達成できることが見出された。
【0008】
したがって、第1の態様において、本発明は、0.1~10重量%のコンディショニング界面活性剤;並びに0.1~0.3重量%のアミノ官能化シリコーンおよび0.5~6重量%のジメチコンとアモジメチコンの9:1の比率のシリコーンブレンドによるシリコーン合剤を含む、毛髪用リンスオフコンディショナー組成物を提供する。
【0009】
第2の態様において、本発明は、毛髪上への改良されたシリコーン沈着のための請求項1~4に記載の組成物の使用を提供する。
【0010】
第3の態様では、本発明は、本発明による組成物を毛髪に適用する工程;該組成物を0~10分間毛髪上に残留させる工程;および水ですすぎ落す工程の一連の工程を含む、改善されたシリコーン沈着のための毛髪のトリートメント方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の文脈において、「毛髪」への言及は、典型的には、頭髪、顔の毛および体毛、より好ましくはヒトの頭および頭皮上の毛を含む哺乳動物の毛を意味する。
【0012】
これらおよび他の態様、特徴および利点は、以下の詳細な説明および添付の特許請求の範囲を読むことによって、当業者には明らかになるのであろう。疑義を回避するために、本発明の1つの態様の任意の特徴を、本発明の任意の他の態様で利用することができる。「含む(comprising)」という語は「包含する(including)」を意味するものであるが、必ずしも「からなる(consisting of)」または「構成される(composed of)」を意味するものではなく、言い換えれば、列挙された工程または選択肢が網羅的であるとは限らない。以下の説明で与えられる実施例は本発明を明確にすることを意図したものであり、本発明をそれらの実施例自体に限定することを意図したものではないことに留意されたい。同様に、全てのパーセンテージは特に断らない限り、重量/重量パーセンテージである。実施例および比較例を除き、または特段に明示的に示される場合を除き、本明細書における、材料または反応条件の数量、材料の物理的性質および/または使用を示す全ての数字は、「約」の語によって修飾されると理解されるべきである。
【0013】
「x~y」の形式で表される数値範囲がxおよびyを含むと理解される。特定の特徴について、複数の好ましい範囲が「x~y」の形式で表される場合、異なる終点を組み合わせるすべての範囲も意図されると理解される。
【0014】
第一の態様において、本発明は、コンディショニング界面活性剤およびシリコーン合剤を含むリンスオフコンディショナー組成物に関する。
【0015】
コンディショニング界面活性剤
本発明による組成物は、化粧的に許容され、毛髪への局所適用に適した1つ以上のコンディショニング界面活性剤を含む。
【0016】
適切なコンディショニング界面活性剤は、カチオン性界面活性剤から選択され、単独でまたは混合して使用される。例としては、次の一般式に対応する第四級アンモニウムカチオン性界面活性剤が挙げられる:
【化1】

(式中、R、R、RおよびRは、(a)1~22の炭素原子の脂肪族基、または(b)22までの炭素原子を有する芳香族、アルコキシ、ポリオキシアルキレン、アルキルアミド、ヒドロキシアルキル、アリールまたはアルキルアリール基からそれぞれ独立に選択され;そして、Xはハロゲン化物(例えば、塩化物、臭化物)、酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、グリコール酸塩、リン酸塩、硝酸塩、硫酸塩、およびアルキル硫酸塩のラジカルから選択されるものなどの塩生成アニオンである。)
【0017】
脂肪族基は炭素原子や水素原子に加えてエーテル結合およびアミノ基のような他の基を含むことができる。長鎖脂肪族基、例えば約12炭素以上のものは、飽和または不飽和であり得る。
【0018】
このような上記一般式の第四級アンモニウムカチオン性界面活性剤の具体例は、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム(BTAC)、塩化セチルピリジニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、塩化オクチルトリメチルアンモニウム、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、塩化オクチルジメチルベンジルアンモニウム、塩化デシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ジドデシルジメチルアンモニウム、塩化ジオクタデシルジメチルアンモニウム、塩化獣脂トリメチルアンモニウム、塩化ヤシ油トリメチルアンモニウム、塩化ジパルミトイルエチルジメチルアンモニウム、塩化PEG-2オレイルアンモニウム、およびそれらの塩類であって、上記塩化物が他のハロゲン化物(例えば臭化物)、酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、グリコール酸塩、リン塩、硝酸塩、硫酸塩またはアルキル硫酸塩で置き換えられた塩類などである。
【0019】
上記一般式のカチオン性界面活性剤の好ましいクラスにおいて、Rは、C16~C22飽和または不飽和、好ましくは飽和アルキル鎖であり、R、RおよびRは、それぞれ独立して、CHおよびCHCHOH、好ましくはCHから選択される。
【0020】
このような好ましい第四級アンモニウムカチオン性界面活性剤の具体例は、塩化セチルトリメチルアンモニウム(CTAC)、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム(BTAC)およびそれらの混合物である。
【0021】
あるいは、第一級、第二級または第三級脂肪アミンを酸と組み合わせて使用して、本発明での使用に適したカチオン性界面活性剤を提供することができる。この酸はアミンをプロトン化し、ヘアケア組成物中でその場でアミン塩を形成する。したがって、当該アミンは実際上の非永久的な第四級アンモニウムまたは擬似第四級アンモニウムカチオン性界面活性剤である。
【0022】
このタイプの適切な脂肪アミンには、次の一般式のアミドアミンが含まれる:
【化2】

(式中、Rは12~22個の炭素原子を含む脂肪酸鎖であり、Rは1~4個の炭素原子を含むアルキレン基であり、RおよびRは、それぞれ独立して、1~4個の炭素原子を有するアルキル基である。)
【0023】
上記一般式の適切な原料の具体例は、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ステアラミドプロピルジエチルアミン、ステアラミドエチルジエチルアミン、ステアラミドエチルジメチルアミン、パルミタミドプロピルジメチルアミン、パルミタミドプロピルジエチルアミン、パルミタミドエチルジエチルアミン、パルミタミドエチルジメチルアミン、ベヘナミドプロピルジメチルアミン、ベヘナミドプロピルジエチルアミン、ベヘナミドエチルジエチルアミン、ベヘナミドエチルジメチルアミン、アラキダミドプロピルジメチルアミン、アラキダミドプロピルジエチルアミン、アラキダミドエチルジエチルアミン、アラキダミドエチルジメチルアミンおよびジエチルアミノエチルステアラミドである。
【0024】
また、ジメチルステアラミン、ジメチルソイアミン、ソイアミン、ミリスチルアミン、トリデシルアミン、エチルステアリルアミン、N-タロウ-プロパンジアミン、エトキシル化(5モルのエチレンオキシドで)ステアリルアミン、ジヒドロキシエチルステアリルアミンおよびアラキジルベフェニルアミンも有用である。
【0025】
特に好ましいのはステアラミドプロピルジメチルアミンである。
【0026】
使用される酸は、ヘアケア組成物中のアミンをプロトン化することができる任意の有機酸または鉱酸であってよい。適切な酸としては、塩酸、酢酸、酒石酸、フマル酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸およびこれらの混合物が挙げられる。好ましくは、酸は酢酸、酒石酸、塩酸、フマル酸、乳酸およびそれらの混合物からなる群より選択される。
【0027】
上記カチオン性界面活性剤のいずれかの混合物も適切であり得る。
【0028】
コンディショニング界面活性剤は、組成物中に、組成物の0.1~10重量%、好ましくは少なくとも0.5重量%、より好ましくは少なくとも1重量%、さらに好ましくは少なくとも2重量%、さらにより好ましくは少なくとも3重量%またはさらに好ましくは少なくとも4重量%であって、典型的には9重量%以下、好ましくは8重量%以下、より好ましくは7重量%以下、さらに好ましくは6重量%以下、さらにより好ましくは5重量%以下の濃度で存在する。
【0029】
シリコーン合剤
本発明は、アミノ官能化シリコーンとシリコーンブレンドとのシリコーン合剤を含む。
【0030】
アミノ官能化シリコーン
「アミノ官能化シリコーン」とは、少なくとも1つの第一級、第二級もしくは第三級アミン基または第四級アンモニウム基を含有するシリコーンを意味し、適切なアミノ官能化シリコーンの例としては、CTFA名称「アモジメチコン」を有するポリシロキサンが挙げられる。
【0031】
本発明のアミノ官能化シリコーンは、下記一般式のアミノ官能化シリコーンの乳化粒子を含む:
【化3】

(式中、x+yは約50~約500の数であり、Rは2~5個の炭素原子を有するアルキレン基である。)
【0032】
好ましくは、x+yの数は約100~約300の範囲にある。
【0033】
アミノ官能化シリコーンは、水性マトリックスに不溶性であり、したがって乳化形態で存在し、当該シリコーンは分散粒子として存在する。
【0034】
本発明での使用に適したアミノ官能化シリコーンは、少なくとも1モル%、1~8モル%の範囲のモル%のアミノ官能性を有する必要がある。
【0035】
粒径は10ミクロン未満である。
【0036】
本発明で使用するのに適したアミノ官能化シリコーンの具体例は、アミノシリコーン油DC2-8220、DC2-8166(すべて販売元はダウンコーニング社)である。
【0037】
アミノ官能化シリコーンのあらかじめ形成されたエマルジョンも、ダウンコーニング社およびジェネラルエレクトリック社などのシリコーンオイルの供給業者から入手可能である。具体的な例としては、DC939カチオン性エマルションおよび非イオン性エマルションDC2-7224、DC2-8467、DC2-8177およびDC2-8154(すべて販売元はダウンコーニング社)が挙げられる。
【0038】
アミノ官能化シリコーンは、組成物の0.1~0.3重量%、好ましくは0.1~0.2重量%の濃度で組成物中に存在する。
【0039】
シリコーンブレンド
本発明で使用されるシリコーンブレンドは、ジメチコンとアモジメチコンの混合物であり、その比率は9:1である。
【0040】
本発明で使用されるジメチコンは、好ましくは、25°Cで少なくとも500,000mm/秒の粘度および少なくとも200,000ダルトンの分子量を有する。
【0041】
「ジメチコン」とは、ポリジメチルシロキサンを意味する。
【0042】
本発明で使用されるアミノ官能化シリコーンとしても知られるアモジメチコンは、好ましくは、25°Cでの粘度が500,000mm/秒未満であり、分子量が200,000ダルトン未満である。
【0043】
好ましくは、アモジメチコンは、0.3~8、好ましくは0.5~4の範囲のモル%のアミノ官能性を有する。
【0044】
シリコーンブレンドは、組成物の0.5~6重量%、好ましくは少なくとも1重量%、より好ましくは少なくとも1.5重量%、さらに好ましくは少なくとも2重量%、さらにより好ましくは少なくとも3重量%であって、典型的には5重量%以下、好ましくは4重量%以下、より好ましくは3.5重量%以下の濃度で組成物中に存在する。
【0045】
シリコーンブレンドに対するアミノ官能化シリコーンの比率
アミノ官能化シリコーンおよびシリコーンブレンドは、組成物中に、1:1.5~1:60、好ましくは1:5~1:55、より好ましくは1:10~1:50、さらに好ましくは1:15~1:45、さらにより好ましくは1:20~1:40または1:25~1:35の比率で存在する。
【0046】
脂肪性物質
本発明の毛髪コンディショナー組成物は、好ましくはさらに脂肪性物質を含む。コンディショナー組成物中の脂肪性物質とカチオン性界面活性剤の併用は、カチオン性界面活性剤が分散した構造層状または液晶相の形成につながるため、特に有利であると考えられている。
【0047】
「脂肪性物質」とは、脂肪アルコール、アルコキシル化脂肪アルコール、脂肪酸またはその混合物を意味する。
【0048】
好ましくは、脂肪性物質のアルキル鎖は完全に飽和している。
【0049】
代表的な脂肪性物質は、8~22個、より好ましくは16~22個の炭素原子を含む。適切な脂肪アルコールの例としては、セチルアルコール、ステアリルアルコールおよびそれらの混合物が挙げられる。これらの物質の使用はまた、本発明の組成物の全体的なコンディショニング特性に寄与する点で有利である。
【0050】
アルキル鎖に約12~約18の炭素原子を有するアルコキシル化(例えば、エトキシル化またはプロポキシル化)脂肪アルコールは、脂肪アルコール自体の代わりに、またはそれに加えて使用することができる。適切な例としては、エチレングリコールセチルエーテル、ポリオキシエチレン(2)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(4)セチルエーテルおよびそれらの混合物が挙げられる。
【0051】
本発明のコンディショナー中の脂肪性物質の量は、全組成の0.01~15重量%、好ましくは0.1~10重量%、より好ましくは0.1~5重量%であるのが適切である。カチオン性界面活性剤と脂肪アルコールの重量比は、10:1~1:10が適切であり、好ましくは4:1~1:8が適切であり、最適には1:1~1:7、例えば1:3が適切である。
【0052】
存在する場合、脂肪性物質は組成物中に、組成物の0.1~15重量%、好ましくは少なくとも2重量%、より好ましくは少なくとも4重量%、さらに好ましくは少なくとも6重量%、いっそう好ましくは少なくとも8重量%であるが、典型的には14重量%以下、好ましくは13重量%以下、より好ましくは11重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下、いっそう好ましくは9重量%以下の濃度で存在する。
【0053】
任意成分
本発明の組成物は、さらなるシリコーンまたは非シリコーン毛髪コンディショニング油を含む、毛髪トリートメント製剤に通常使用される任意の他の成分を含むことができる。これらの他の成分には、粘度改良剤、保存剤、着色剤、グリセリンおよびポリプロピレングリコールのようなポリオール、EDTAのようなキレート剤、抗酸化剤、芳香剤、抗菌剤およびサンスクリーンが含まれ得る。これらの成分はそれぞれ、その目的を達成するのに有効な量が存在するであろう。一般に、これらの任意成分は、全組成の5重量%までのレベルで個別に含まれる。
【0054】
第2の態様において、本発明は、毛髪上へのシリコーン沈着を改善するための、本発明による組成物の使用に関する。
【0055】
第3の態様では、本発明は、毛髪に本発明の組成物を適用する工程;0~10分間毛髪上に組成物を残留させる工程;および水ですすぎ落す工程の一連の工程を含む、改善されたシリコーン沈着のための毛髪のトリートメント方法に関する。
【0056】
本発明は、以下の実施例を参照することによってさらに記述される。実施例では、特に明記しない限り、全てのパーセンテージは総重量に基づく重量である。
【実施例
【0057】
実施例1:シリコーン合剤がシリコーン沈着に及ぼす効果
以下の表1に示す成分を有する、毛髪コンディショニング組成物を調製した。実施例1は本発明による組成物を表す。Comp Aは比較例であり、特許請求の範囲に属さない組成物である。
【表1】
【0058】
TA測定プロトコル(乾燥摩擦)
トリートメントごとに2.5g×6インチ幅のフラットな毛髪スイッチを5つ使用した。以下に概説するスイッチ洗浄プロトコルを用いて、試験前に全てのスイッチを洗浄し、処理した。測定に使用した黒い試験管はあらかじめ切断し、マイルドな洗浄剤(14% SLES)で洗浄した後に使用した。試験管も使用前に乾燥させた。あらかじめ切断し洗浄した黒色の試験管を金属プローブ上に取り付けた。その後、スイッチをキットに搭載し、消費者と髪の相互作用を再現するおもしをスイッチのてっぺんに置いた。摩擦力はg.mmとして出力した。
【0059】
シリコーン沈着プロトコル:XRF分析装置
2.5g×6インチのヘアスイッチの5つを、下記のスイッチ洗浄プロトコルに従って洗浄した。スイッチを乾燥させたら、40mm XRFセルに装着した。陰性対照のスイッチセット(毛髪のベースライン値を与えるため)を各実験に含めた。XRFアナライザーを用いて、スイッチを装着したセルのシリコーン沈着を測定した。使用した較正はSi_TA 40mmであった。
【0060】
スイッチ洗浄プロトコル
スイッチは蛇口の流水で湿らせた。スイッチに洗浄用シャンプーを塗布した。スイッチは30秒間マッサージした後、30秒間蛇口の流水ですすいだ。これを繰り返した。次いで、湿ったスイッチは、くしを用いてもつれをほどいた。これを5つのスイッチすべてについて繰り返した。その後、スイッチを20°C /50% RHで一夜乾燥させた。
【0061】
続いて、表1の組成物による処理を行った。
【0062】
結果
表2に、洗浄の各段階におけるシリコーン沈着と乾燥摩擦に関するデータを示す。
【表2】
【0063】
上記の結果は、本発明(実施例1)による組成物が、複数回の洗浄後でも、優れたシリコーン沈着とより少ない乾燥摩擦をもたらすことを示す。乾燥摩擦は、なめらかさ、柔らかさおよび櫛通しの容易さなど消費者の感覚の指標である。乾燥摩擦が少ないほど、感覚性は良好である。