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特許7539877ジョイントコンパウンドおよびスパックルを研磨するための指示薬
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-16
(45)【発行日】2024-08-26
(54)【発明の名称】ジョイントコンパウンドおよびスパックルを研磨するための指示薬
(51)【国際特許分類】
   C04B 41/62 20060101AFI20240819BHJP
   C04B 41/46 20060101ALI20240819BHJP
   C04B 41/53 20060101ALI20240819BHJP
   C04B 41/72 20060101ALI20240819BHJP
   E04F 13/02 20060101ALI20240819BHJP
   E04F 15/12 20060101ALN20240819BHJP
【FI】
C04B41/62
C04B41/46
C04B41/53
C04B41/72
E04F13/02 J
E04F13/02 K
E04F15/12 L
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021523437
(86)(22)【出願日】2019-11-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(86)【国際出願番号】 US2019061595
(87)【国際公開番号】W WO2020102619
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2022-10-19
(31)【優先権主張番号】62/768,559
(32)【優先日】2018-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/662,648
(32)【優先日】2019-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596172325
【氏名又は名称】ユナイテッド・ステイツ・ジプサム・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(72)【発明者】
【氏名】ドノヴァン、アレクサンダー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】シュルード、ジョセフ ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】キンカイド、タイラー
【審査官】末松 佳記
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0249245(US,A1)
【文献】国際公開第2000/066508(WO,A2)
【文献】特開2001-033438(JP,A)
【文献】特開昭58-133867(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 41/00-41/91
C04B 7/00-28/36
E04F 13/00-13/30
E04F 15/12-15/14
G01N 31/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材を仕上げ、かつ/または基材にパッチを当てるための方法であって、
a)水を除いてジョイントコンパウンド組成物またはスパックリングコンパウンド組成物合計の0.001重量%~5重量%の量の研磨指示薬を含む前記組成物を前記基材に塗布することと、
b)目視検査によって、かつ/またはセンサを用いて、前記組成物が塗布された前記基材の表面での第1の色の発色のために当該面を検出することであって、前記第1の色、前記基材の色と区別可能であり、前記第1の色はまた、塗布された前記組成物の表面の下の第2の色と区別可能であり、前記第1の色の発色が塗布された前記組成物が乾燥もしくは固化したことを示す、検出することと、
c)前記工程b)で前記第1の色が検出された場合、前記組成物が塗布された前記表面を、前記第1の色が前記表面から除去されるまで、研磨することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記基材が、壁板アセンブリ、石膏壁板、石膏繊維板、内壁、外壁、天井タイル、床下敷き、床パネル、建設ジョイント、ジョイントテープ、釘および/もしくはねじ頭、セメント質ブロック、木材、モルタル、ガラス、金属、アルミニウム、プラスチック、レンガ、石、紙、セラミックタイル、またはそれらの任意の組み合わせである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記研磨指示薬が、以下、ムレキシド、クレゾールレッド、m-クレゾールパープル、ブロモキシレノール、チモールブルー、またはそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の色を検出することが、プロセッサと通信するセンサで前記第1の色を検出することを含み、前記プロセッサは、前記センサが前記第1の色が除去されたことを検出し、かつ/または前記センサが第2の色を検出するまで、研磨機によって、前記第1の色を有する前記表面の前記研磨を開始する、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、研磨指示薬を含む、ジョイントコンパウンド、スパックリングコンパウンド、コーティング、塗料、石膏スラリーおよびしっくいを含む建築構造製品、ならびにこれらの製品を基材に塗布するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ジョイントコンパウンドは、壁の仕切り、天井、その他のアセンブリの構築など、様々な建設プロジェクトで一般的に使用されている。ジョイントコンパウンドの用途の1つは、壁を構築する2つの石膏パネル間の継ぎ目を埋めることである。壁の欠陥にパッチを当てること、および亀裂を修復することを含む、他にも様々な用途が知られている。スパックリングコンパウンドやしっくいパッチなど、他のパッチ材料も知られている。
【0003】
一般に、乾燥型ジョイントコンパウンドと硬化型ジョイントコンパウンドの2種類のジョイントコンパウンドが知られている。乾燥型ジョイントコンパウンドは、コンパウンドからの水の蒸発によって固化するが、硬化型ジョイントコンパウンドは、水の存在下で硫酸カルシウム半水和物(焼石膏とも呼ばれる)が水和して硫酸カルシウム二水和物(石膏)を形成することにより固化する。硬化型ジョイントコンパウンドには、米国特許第4,661,161号、同第5,746,822号、同第6,805,741号および同第9,174,881号に記載されているものが挙げられ、これらの特許の開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0004】
硬化型ジョイントコンパウンドとは異なり、乾燥型ジョイントコンパウンドには、焼石膏が配合されてない。乾燥型ジョイントコンパウンドは、水が蒸発し、コンパウンドが水性状態から固体コンパウンドに移行すると凝固する。多くの乾燥型ジョイントコンパウンドは、炭酸カルシウムを含んでいる。乾燥型ジョイントコンパウンドには、米国特許第6,476,099号、同第6,545,066号および同第9,328,023号に提供されているものが挙げられ、それらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0005】
しっくいは、焼石膏および水を含み得るが、壁、天井、または他の構造物の保護コーティングおよび/または装飾コーティングとして使用できる建築材料であり、しっくいペーストが硬化し、固化すると、滑らかな硬い表面を形成する。しっくい配合物には、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第2,082,887号により提供されているものが挙げられる。
【0006】
石膏および/または炭酸カルシウムを配合した下塗りコーティングを含む様々なコーティングも市販されている。コーティングの例には、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,663,979号に提供されているものが挙げられる。水性石膏スラリーは、壁板ならびにその他の種類の石膏パネルおよびタイルの製造のために使用されている。石膏パネルの例には、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,323,785号に提供されているものが挙げられる。
【0007】
ジョイントコンパウンドは、通常、混合済みまたは粉末の形態で入手できる。硬化型ジョイントコンパウンドは、その塗布前に水と混合される乾燥粉末として配合できる。乾燥粉末に水を加えると、焼石膏から石膏への変換が始まり、これがジョイントコンパウンドの硬化および固化を引き起こす。
【0008】
硬化型ジョイントコンパウンドは、水とともに、混合済み状態の硬化型ジョイントコンパウンドとして配合することもできる。このようなコンパウンドの例は、米国特許第9,174,881号に提供されている。混合済み硬化型ジョイントコンパウンドは、すでに水と事前に混合されているが、それにもかかわらず硬化や固化することなく一定期間棚に保管できる。保管および輸送時の硬化反応を阻止するために、混合済み硬化型ジョイントコンパウンドは、カルシウムイオンと結合し、焼石膏から石膏への水和反応を防ぐキレート剤であり得る遅延剤を含んでいる。次いで、遅延剤との錯体からカルシウムイオンを放出させ、硬化反応を開始させるために、活性剤が混合済み硬化型ジョイントコンパウンドに添加される。
【0009】
ジョイントコンパウンドに加えて、またはジョイントコンパウンドの代わりに、パッチ修復の目的のスパックリングコンパウンドを使用することができ、より低いレベルの収縮を提供することができる。スパックリングコンパウンドの例には、米国特許第4,391,647号およびUS6,358,309に提供されているものが含まれ、これらの特許の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0010】
錯滴定指示薬は、特定の金属カチオンの存在下で色が変化するイオノクロミック染料である。錯滴定指示薬は、錯滴定によって金属イオンの濃度を決定するために使用できる。ムレキシド(CAS番号:3051-09-0)は、プルプル酸アンモニウムとも呼ばれ、溶液中のカルシウムイオンの濃度を決定するための分析化学で使用される錯滴定指示薬である。
【0011】
一部の市販のジョイントコンパウンドとスパックルは、エンドユーザーにジョイントコンパウンドの存在およびその乾燥度を示す視覚的な合図を提供するために、指示薬で色付けまたは着色されている。米国特許第8,642,346号は、完成品で検出可能なジョイントコンパウンドのタグ付け材料を開示している。米国特許第6,531,528号は、フェノールフタレイン(赤色)およびチモールフタレイン(青色)などの変色指示薬を含む、すぐに使用できるパッチ修復製品を提供する。これらの化合物は、pHの変化に依存して色が変化するpH指示薬である。米国特許第9,040,612号は、塗布時に第1の色を有し、外皮の形成時に第2の色を有し、pH指示薬(フェノールフタレイン)を含む色変化コーキングを開示している。米国特許第10,099,961号は、完成品においてハンドヘルドUVブラックライトによって光学的に検出できる蛍光標識材料を含む識別可能な石膏ベースの建築製品を提供している。
【0012】
色付けまたは着色されたジョイントコンパウンドがまだ湿っている間に色があり、コンパウンドが乾燥すると色が薄くなるか別の色に変わる場合、これは乾燥度の指示薬として役立つ可能性があるが、塗装などのその後の壁の装飾を通して色/色合いが見えてしまう望ましくない副作用があり得る。
【0013】
ジョイントコンパウンドまたはスパックリングコンパウンドが基材に塗布されて乾燥した後、ジョイントコンパウンドまたはスパックリングコンパウンドは研磨されることが多い。研磨は、ジョイントコンパウンドまたはスパックリングコンパウンドで覆われた基材を平滑化および/または研磨するプロセスである。多くの場合、乾燥ジョイントコンパウンドの研磨はいまだにエンドユーザーが手動で行うことが多く、研磨された表面の完全性と均一性の程度をエンドユーザーに警告できる信頼できる指示薬はない。
【0014】
したがって、基材へのジョイントコンパウンドの塗布、ジョイントコンパウンドの乾燥度、および研磨の完全性を監視するのにも十分である除去可能な色を生成する指示薬を備えた色付けまたは着色されたジョイントコンパウンドおよびスパックリングコンパウンドの必要性が依然としてある。
【発明の概要】
【0015】
これらおよびいくつかの他の需要は、本開示によって少なくとも部分的には対処される。
【0016】
一態様では、本開示は、基材を仕上げるための方法を提供する。方法は、
a)研磨指示薬を含むジョイントコンパウンドまたはスパックリングコンパウンド、空気/ジョイントコンパウンド表面に第1の色を示すジョイントコンパウンドまたはスパックリングコンパウンドを基材に塗布することであって、第1の色は基材の色と区別可能であり、表面の第1の色はまた表面の下のジョイントコンパウンドの第2の色とも区別可能である、塗布すること、および
b)第1の色が表面から除去されるまで、ジョイントコンパウンドの表面を研磨すること、を含む。
【0017】
ジョイントコンパウンドは、乾燥型ジョイントコンパウンドまたは硬化型ジョイントコンパウンドであり得る。1つの好ましい実施形態において、ジョイントコンパウンドは、混合済みの硬化型ジョイントコンパウンドである。
【0018】
本方法のいくつかの好ましい実施形態では、研磨指示薬は、ムレキシド、クレゾールレッド、m-クレゾールパープル、ブロモキシレノール、チモールブルー、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0019】
これらの方法のいずれにおいても、研磨指示薬は、製造中および/または基材への塗布前にジョイントコンパウンドに添加され得る。これらの方法のいずれにおいても、研磨指示薬は、水を除いて、ジョイントコンパウンド合計の0.001重量%~5重量%の量で添加することができる。
【0020】
この方法のいくつかの好ましい実施形態では、研磨指示薬は、ムレキシド、クレゾールレッド、m-クレゾールパープル、ブロモキシレノール、チモールブルー、またはそれらの任意の組み合わせを含み、研磨指示薬は、基材の製造中および/または基材への塗布前にジョイントコンパウンドに添加され、水を除いて、ジョイントコンパウンド合計の0.001重量%~5重量%の量で研磨指示薬を加えられる。
【0021】
これらの方法のいくつかでは、研磨のステップは、センサが第1の色が除去されたことを検出し、かつ/またはセンサが第2の色を検出するまで、研磨機によって、第1の色を有する表面の研磨を開始するプロセッサと通信するセンサで、第1の色を検出することを含む。
【0022】
本開示のさらなる態様は、1つ以上の充填剤、1つ以上の結合剤、および研磨指示薬を含むジョイントコンパウンドまたはスパックリングコンパウンドを含み、ジョイントコンパウンドまたはスパックリングコンパウンドは、ジョイントコンパウンドまたはスパックリングコンパウンドが乾燥もしくは固化した後に空気/ジョイントコンパウンド表面に第1の色を示し、第1の色は、空気/ジョイントコンパウンド表面の下のジョイントコンパウンドの第2の色と区別可能である。
【0023】
ジョイントコンパウンドまたはスパックリングコンパウンドは、研磨指示薬がジョイントコンパウンドまたはスパックリングコンパウンド合計の0.001重量%~5重量%の量であり、好ましくは、水を除いて、ジョイントコンパウンドまたはスパックリングコンパウンド合計の0.001重量%~0.005重量%の量である。
【0024】
ジョイントコンパウンドまたはスパックリングコンパウンドは、研磨指示薬が、ムレキシド、クレゾールレッド、m-クレゾールパープル、ブロモキシレノール、チモールブルー、またはそれらの任意の組み合わせを0.001重量%~5重量%、好ましくは、水を除いて、ジョイントコンパウンドまたはスパックリングコンパウンド合計の0.001重量%~0.005重量%の量であるものを含む。
【0025】
本開示のさらなる態様は、ジョイントコンパウンドまたはスパックリングコンパウンドと混合するために添加される、ムレキシド、クレゾールレッド、m-クレゾールパープル、ブロモキシレノール、チモールブルーまたはそれらの任意の組み合わせを含む研磨指示薬を含む、基材を仕上げるための付属製品を含む。付属製品は、以下、溶媒、安定剤、担体、またはそれらの任意の混合物のうちの少なくとも1つをさらに含み得る。付属製品は、硬化活性剤をさらに含み得る。好適な硬化活性剤は、硫酸亜鉛、硫酸亜鉛水和物、硫酸アルミニウム、硫酸アンモニウムアルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0026】
本開示のさらなる態様は、本ジョイントコンパウンドまたはスパックリングコンパウンドの空気/ジョイントコンパウンド表面を分析するための方法を含む。方法は、
1)表面を研磨した後、第1の色の存在について表面を検査することと、
2)表面に第1の色が検出された場合は、いくらかの追加の研磨が必要であると判断することと、を含む。
【0027】
これらの方法では、表面は、目視検査によって、かつ/または第1の色を検出するデバイスを用いて検査され得る。
【0028】
さらなる態様では、本開示は、基材にパッチを当てるための方法を提供し、この方法は、この開示による少なくとも1つの研磨指示薬を含むスパックリングコンパウンドを基材に塗布することを含む。本方法は、スパックリングコンパウンドが乾燥し、空気/ジョイントコンパウンドの界面に第1の色を示した後に、スパックリングコンパウンドを研磨することをさらに含み得る。
【0029】
さらに別の態様では、本開示は、本ジョイントコンパウンドまたはスパックリングコンパウンドを製造する方法を提供し、方法は、乾燥型ジョイントコンパウンド組成物、硬化型ジョイントコンパウンド組成物またはスパックリングコンパウンド組成物を少なくともこの開示による1つの研磨指示薬と混合することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】研磨指示薬を含むジョイントコンパウンドを塗布した基材の断面図である。図面は原寸に比例していない。色勾配を強調するために、ジョイントコンパウンド層が拡大されている。
図2】ムレキシドを含む混合済み硬化型ジョイントコンパウンドの基材への塗布を示す。コンパウンドが乾燥した後、上部(A、ライトグレー)は研磨されてライトグレー色を呈したが、下部(B、ゴールドイエロー)は研磨されずに黄色のままであった。
図3A】本開示による様々な研磨指示薬を配合した乾燥スパックリングコンパウンド試料を示す。
図3B図3Aの乾燥スパックリングコンパウンド試料の断面図を示す。
図4】研磨指示薬のΔE値を列挙する表3を示す。
図4-1】研磨指示薬のΔE値を列挙する表3を示す。
図5】研磨錯滴定指示薬のΔE値を列挙する表4を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
この開示は、除去可能な色/色合いを有するジョイントコンパウンドおよびスパックリングコンパウンドを提供する。研磨中に色/色合いを除去することができる。本開示はまた、ジョイントコンパウンドまたはスパックリングコンパウンドを研磨する方法、および研磨の完全性を監視するための方法を提供する。ジョイントコンパウンドには、乾燥型ジョイントコンパウンドと硬化型ジョイントコンパウンドがある。好適なジョイントコンパウンドには、混合済み硬化型ジョイントコンパウンドを含む、混合済みジョイントコンパウンドが含まれる。
【0032】
ジョイントコンパウンドおよびスパックリングコンパウンドは、研磨の完全性を監視するために使用できる研磨指示薬を含む。研磨指示薬は、錯測定指示薬、pH指示薬、蛍光染料、近赤外線染料、および/または顔料であり得る。
【0033】
ジョイントコンパウンドまたはスパックルを基材に塗布すると、研磨指示薬の色の濃度勾配が、乾燥ジョイントコンパウンドまたはスパックルにおいて確立され、第1の色が空気/ジョイントコンパウンド界面またはその近くに存在する。第1の色は、ジョイントコンパウンドが塗布された基材と区別可能である。例えば、第1の色は黄色であり得、一方、基材は薄い灰色であり得る。ジョイントコンパウンドの表面にある第1の色はまた、ジョイントコンパウンドの表面の下にあるジョイントコンパウンドの第2の色と区別可能である。
【0034】
本開示では、エンドユーザーが目視検査によって第1の色と基材の色との違いを観察できる場合、ならびに/またはエンドユーザーがデバイスおよび/もしくは化学分析によって違いを検出できる場合、色は「識別可能」と呼ばれる。デバイスは、例えば、UVランプ、および/またはエンドユーザーに情報を送信するカラーセンサなどの蛍光色素を検出するためのデバイスであり得る。化学反応は、化合物の存在を検出するためにオンサイトおよび/または実験室で実行できる任意の反応であり得る。好ましくは、検出は、エンドユーザーが第1の色を観察し、彼の観察に気付く、例えば、エンドユーザーが第1の色を黄色であると観察する目視検査によるものである。
【0035】
ジョイントコンパウンドが基材上で乾燥した後、ジョイントコンパウンドの表面の第1の色を検出することができ、第1の色が基材の色と区別可能であるので、ジョイントコンパウンドを基材と容易に区別することができる。ジョイントコンパウンドが基材上で乾燥した後、ジョイントコンパウンドは研磨される。研磨プロセスは、ジョイントコンパウンドの表層を基材から除去する。第1の色は一般にジョイントコンパウンドの表面に存在するため、第1の色もまた研磨中に除去される。基材上に残っている研磨されたジョイントコンパウンドは、ここで第2の色を示す。
【0036】
したがって、一態様では、本開示は、基材を仕上げるための方法を提供する。この方法は、本ジョイントコンパウンドおよび/またはスパックリングコンパウンドを基材に塗布するステップと、本ジョイントコンパウンドまたはスパックリングコンパウンドを研磨するステップと、研磨することによって第1の色を除去するステップと、を含む。第1の色の除去の検出は、目視検査によって、かつ/または検出デバイスを用いて達成され得る。蛍光染料が研磨指示薬として使用された場合、検出デバイスはUVランプであり得る。
【0037】
本開示において、基材は、ジョイントコンパウンドまたはスパックルを塗布することができる任意の表面であり得る。基材の非限定的な例には、壁板、壁板アセンブリ、2つの壁パネル間の接合部、セメント質表面、または例えば、亀裂のある壁および/または天井、またはパッチを当てることによって平滑になり得る不均一な表面などの修理が必要な任意の他の表面が含まれる。他の基材もまた企図され、ジョイントコンパウンドまたはスパックリングコンパウンドを塗布することができる任意の基材を含む。
【0038】
本開示では、「基材」という用語は広く理解され、あらゆる基材、例えば石膏壁板、石膏繊維板、内壁、外壁、天井タイル、床下敷き、床パネル、建設用接合部、接合テープ、釘および/またはねじ頭、セメント系ブロック、木材、モルタル、ガラス、金属、アルミニウム、プラスチック、レンガ、石、紙、セラミックタイル、ならびにそれらの任意の組み合わせを含む。基材表面は、塗装、未塗装、紙シートもしくは繊維マットで覆われ、もしくは/または他の方法でコーティングされ得、またはコーティングされない。基材は、例えば、ドアフレームと壁との間の接合部、または2つの隣接する壁パネルとの間の接合部などの2つの隣接する基材片の間の接合部を含み得る。基材は、2つの基材片の間の継ぎ目を含み得る。基材は、2つの基材片の間に隙間を含み得る。
【0039】
したがって、「基材に塗布する」という用語は、本ジョイントコンパウンドおよび/またはスパックリングコンパウンドを表面上に塗布すること、および/または隙間、継ぎ目または接合部を充填することも含む。「基材に塗布する」という用語はまた、基材のくぼみ、隙間、亀裂、および/または他の不完全または欠陥にパッチを当てることを含み得る。
【0040】
本発明の方法では、研磨のステップは手動で完了され得るか、または研磨プロセスは自動化または半自動化され得る。ポータブル研磨機またはサンドペーパーを使用できる。これらの用途では、エンドユーザーは、第1の色が除去されるまで、乾燥ジョイントコンパウンドの表面を研磨して滑らかにする。
【0041】
研磨は、第1の色を検出し、この情報をプロセッサに送信するセンサを含み、プロセッサが第1の色を有する表面の研磨を開始する研磨機によって自動または半自動で完了する研磨は、ジョイントコンパウンド表面から第1の色を除去し、第1の色の下の第2の色を露出させる。センサがジョイントコンパウンド表面の第1の色を検出しなくなるとフィードバックループが研磨を停止するおよび/またはセンサが第2の色の存在を検出するとフィードバックループが研磨を停止する場合がある。
【0042】
ジョイントコンパウンドに研磨指示薬が存在すると、表面に特定の色や色合い、または研磨時に除去されるいくつかのその他の検出可能なマーカーがもたらされる。したがって、本開示は、例えば、本ジョイントコンパウンドまたはスパックリングコンパウンドが塗布された壁板アセンブリのように、基材の領域を迅速かつ正確に識別する方法を提供する。
【0043】
色付け/着色されたジョイントコンパウンドは、ジョイントコンパウンドが塗布された壁の領域を識別して特定するために、乾式壁仕上げ業者によってしばしば望まれる。しかし、従来の色付け/着色されたジョイントコンパウンドの望ましくない特徴は、その後の壁の装飾(例えば塗装)を通して色または色合いが見えるという恐れである。本ジョイントコンパウンドとスパックルは、研磨によって色が除去できるため、その後の装飾による視認性の潜在的なリスクを最小限に抑えながら、塗布されたジョイントコンパウンドの存在と位置を示す色/色合いを有する。
【0044】
研磨ステップの完了を示す視覚的な合図があるため、本方法は追加の利点を提供する。したがって、本開示は、顧客が研磨の均一性および完了を監視することができる品質管理方法を提供する。これらの方法では、研磨ステップの完了は、ジョイントコンパウンドが第1の色/色合いを示さない領域、またはジョイントコンパウンドが第2の色/色合いを示す領域で示される。
【0045】
これにより、エンドユーザーは完了した領域をすばやく特定し、まだ研磨が必要な他の領域に進むことができる。したがって、本発明の方法およびジョイントコンパウンドは、時間および工数の節約を提供する。第1の色の存在は研磨が完全に完了していないことを示しているため、第1の色またはタグ付け材料は、研磨を完了するための品質管理としても機能する場合がある。第1の色の存在は、研磨が省略された領域、または部分的にしか完了しなかった領域も示している。
【0046】
塗布されたジョイントコンパウンドはその第1の色で簡単に検出できるため、研磨プロセスは、第1の色から第2の色への変化が検出されるまで表面を研磨するようにプログラムされたコンピュータ化されたロボットによって完了できる。
【0047】
さらに、研磨ステップの完了と研磨の均一性に関する上記の視覚的な合図は、様々な分析技術(例えば、比色分析法、蛍光定量法など)を使用して定量的に測定でき、自動研磨プロセスのフィードバックループでの応答を表する。選択された領域でターゲットの第2の色が検出されると、自動化されたシステムは、指定された第1の色の次の領域の研磨に進むことができる。研磨指示薬の化学的存在は、研磨ステップの完了を判断するための様々な分析技術を使用して定量的に測定できる。
【0048】
断面図である図1に示されるように、本ジョイントコンパウンドまたはスパックル(10)は、壁板であり得る基材(12)に塗布される。図1の断面図に見られるように、この塗布は、空気/ジョイントコンパウンド表面(14A)を有するジョイントコンパウンド(またはスパックリングコンパウンド)層(14)を生成する。ジョイントコンパウンド(10)が乾燥/固化した後、ジョイントコンパウンド層(14)の厚さ全体にわたって、第1の色の勾配が生成され、第1の色(14B)のほとんどが表面の近くおよび表面(14A)に存在する。第1の色(14B)は、一般に、基材(12)の色とは異なるので、第1の色(14B)は、基材(12)と区別可能である。第1の色(14B)は、一般に、ジョイントコンパウンド層(14)の第1の色(14B)の下にある第2の色(14C)とも異なるので、第1の色(14B)は、第2の色(14C)と区別可能である。
【0049】
したがって、基材上の本ジョイントコンパウンドまたはスパックルの位置決めは容易に位置付けることができる。ジョイントコンパウンド(10)が研磨されると、研磨により、ジョイントコンパウンド層(14)の表面近くの部分が除去され、表面(14A)の近くにほとんど集中していた第1の色(14B)も除去される。第1の色(14B)がないこと、および/または第1の色(14B)の下に第2の色(14C)が露出していることは、研磨プロセスが完了したことの指標として役立つ。
【0050】
本開示において、「研磨指示薬」は、錯測定化合物、pH指示薬、蛍光染料、近赤外染料、視覚スペクトルで色を生成する染料、および/または顔料として定義される。
【0051】
本開示の好適な研磨指示薬は、少なくとも2つの理由で、米国特許第6,531,528号においてスパックリングコンパウンドについて開示されているものなどの従来の乾燥指示薬と容易に区別可能である。
【0052】
第1に、フェノールフタレイン(赤)やチモールフタレイン(青)などの従来の乾燥指標は、フェノールフタレインの場合は赤などの色を生成するが、スックリングコンパウンドが湿っている場合、スパックリングコンパウンドが乾燥した後、色が消えて白に変わる。したがって、従来の乾燥指示薬を用いた乾燥スパックリングコンパウンドの色は、スパックリングコンパウンドが塗布された典型的な白色の基材と容易に区別可能ではない。従来の乾燥指示薬とは対照的に、本開示の研磨指示薬を含むジョイントコンパウンドおよび/またはスパックリングコンパウンドは、ジョイントコンパウンドおよび/またはスパックリングコンパウンドが乾燥した後、表面に第1の色を示す。例えば、黄色または紫色であり得る第1の色は、一般に、ジョイントコンパウンドおよび/またはスパックリングコンパウンドが塗布された基材の色とは異なり、区別可能である。
【0053】
第に、そしてまた図1に示されるように、本開示の研磨指示薬は、乾燥/固化したジョイントコンパウンドおよび/またはスパックリングコンパウンドの厚さを通して第1の色に色勾配を生成し、第1の色は通常、表面(14A)の近くおよび表面(14A)に存在する。本開示の研磨指示薬を含む乾燥/固化したジョイントコンパウンドおよび/またはスパックリングコンパウンドの第1の色(14B)は、ジョイントコンパウンド/スパックリングコンパウンド層(14)の第1の色(14B)の下にある第2の色(14C)とは異なり、区別可能である。研磨指示薬とは対照的に、従来の乾燥指示薬は、乾燥/固化したジョイントコンパウンドおよび/またはスパックリングコンパウンドの厚さ全体で簡単に検出できる色勾配を生成しない。したがって、フェノールフタレインおよびチモールフタレインは好適な乾燥度指標であるが、それらは、ほとんどの用途において、本開示の研磨指標として一般的に好適ではない。
【0054】
研磨指示薬を本ジョイントコンパウンドまたはスパックリングコンパウンドと混合すると、図1に示すように、空気/ジョイントコンパウンドの表面に第1の色(14B)が生成される。第1の色は、本ジョイントコンパウンドまたはスパックリングコンパウンドが塗布された基材の色と区別可能である。第1の色は、ジョイントコンパウンドを研磨することで除去することができる。典型的には、第1の色は光スペクトル中に見えるが、いくつかの実施形態では、第1の色は光スペクトル中に見えない場合がある。これらの他の実施形態では、第1の色が蛍光性である場合、それはUVスペクトルで検出され得る。それが光スペクトル中に見えない場合、第1の色を検出するための他の手段は、赤外線ランプを含み得る。
【0055】
色を検出するための方法の1つは、米国特許公開第2019/0203050-A1に記載されているように、L*a*b*法として知られており、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0056】
本開示における乾燥ジョイントおよび/またはスパックリングコンパウンドの第1の色と、乾燥ジョイントおよび/またはスパックリングコンパウンドの第2の色との間の色差も、L*a*b*法によって測定し得る。本方式では、例えば、HunterLabのColorQUEST(登録商標)などの比色計を用いる。L方式は、2色間のわずかな差でも検出可能である。L方式では、色差は試料の色と標準色との数値比較として定義する。以下の3つの異なる座標を使用する:
は明度(黒/白)を示し、L=100は純白色、L=0は純黒色であり、
は赤/緑の座標であり、a=-100は完全な緑色、a=100は完全な赤色であり、および
は黄/青の座標であり、b=100は完全な黄色、b=-100は完全な青色である。
【0057】
すべての測定は、各座標について比色計で提供される標準値に対して行われる。
【0058】
2つの試料のそれぞれは、L、a、およびbについて測定される。次に、デルタE(ΔE)は、式(I)に従って次のように計算される。
【数1】
【0059】
この開示において、デルタE(ΔE)は、表面の研磨されていない乾燥/固化したジョイントおよび/またはスパックリングコンパウンドの第1の色(図1の14Bを参照)と研磨後のコンパウンドの第2の色(図14Cを参照)との間の色の差を表す。図2も参照すると、ΔEは、色Bと色Aの間の式(I)に従って計算できる。
【0060】
ほとんどの人間は、これらの2色間のデルタEが3以上であれば、2色間の色の変化を簡単に検出できる。経験豊富なユーザーは、少なくともいくつかの場合において色の変化を0.5~1もの低さまで検出できると考えられる。
【0061】
したがって、本開示の好適な研磨指示薬には、乾燥/固化コンパウンドの表面に第1の色を生成し、表面が研磨された後に第2の色を生成するものが含まれ、比色計のマニュアルに提供される指示に従い、室温(70°F)で、提供される標準を使用して比色計とともに提供される標準物質を使用し、HunterLab製のCOLORQUEST(登録商標)比色計を使用してL*a*b*法により式(I)で算出される第1の色と第2の色との間のデルタEは、少なくとも3以上である。
【0062】
ジョイントコンパウンドとスパックルでは、一つの好ましい研磨指示薬は、以下の線形式C(分子量284.19g/mol、Millipore-Sigmaから入手可能)を有する、プルプル酸アンモニウムとも呼ばれるムレキシド(CAS番号:3051-09-0)を含む。プルプル酸の他の塩も同様に使用することができる。
【0063】
他の好ましい研磨指示薬には、Millipore-Sigmaから入手可能なクレゾールレッド(CAS番号:1733-12-6)、Millipore-Sigmaから入手可能なm-クレゾールパープル(CAS番号:2303-01-7)、Millipore-Sigmaから入手可能なブロモキシレノールブルー(CAS番号:40070-59-5)、およびMillipore-Sigmaから入手可能なチモールブルー(CAS番号:76-61-9)が含まれる。
【0064】
他の好適な研磨指示薬には、ブロモクレゾールグリーン、レサズリン、4-フェニルアゾ-1-ナフチルアミン、エチルレッド、2-(パラ-ジメチルアミノフェニルアゾ)ピリジン、4-(p-エトキシフェニルアゾ)-m-フェニレンジアミン一塩酸塩、レゾルシンブルー、アリザリンレッドS、メチルレッド、プロピルレッド、ブロモクレゾールパープル、クロロフェノールレッド、アリザリン、2-(2,4-ジニトロフェニルアゾ)1-ナフトール-3,6-ジスルホン酸、二ナトリウム塩、ブロモチモールブルー、6,8-ジニトロ-2,4-(1H-キナゾリンジオン)、ブリリアントイエロー、フェノールレッド、ニュートラルレッド、ウコン(クルクミン)、4,4’-ビス(4-アミノ-1-ナフチルアゾ)-2,2’-スチルベンジスルホン酸、p-ナフトールベンゼイン、およびエチルビス(2,4-ジメチルフェニル)エタノエートも含まれるが、これらに限定されない。
【0065】
特定のpH指示薬または錯滴定指示薬が乾燥指示薬として適している場合があるが、これらの指示薬は、一つには、少なくとも3以上のΔE値で、研磨されていない第1の色と研磨された第2色の間に差が生じないため、従来のジョイントコンパウンドおよび/またはスパックリングコンパウンド配合物の少なくとも一部では研磨指示薬として効率的に機能しないことに注意されたい。したがって、以下の錯滴定指示薬は研磨指示薬としては好ましくない:カルコンカルボン酸、エリオクロムブラックTおよびカルマガイト。同じ理由で、以下のpH指示薬も研磨指示薬としては好ましくない:フェノールフタレイン、チモールフタレイン、およびアリザリンレッドS。
【0066】
この開示による研磨指示薬は、水を除いて、ジョイントコンパウンドまたはスパックリングコンパウンド合計の0.001重量%~5重量%の量で使用することができる。例えば、本ジョイントコンパウンドまたはスパックリングコンパウンドを100g(乾燥重量のみ、水を除く)製造するために、0.001g~5gの研磨指示薬を使用することができる。略語「重量%」は重量パーセントを意味する。
【0067】
表面の第1の色の強度は、研磨指示薬の濃度に依存することを理解する必要がある。本開示による研磨指示薬のほとんどは、水を除いて、ジョイントコンパウンドまたはスパックリングコンパウンドの乾燥構成成分合計の約0.001重量%~0.005重量%の好ましい範囲で首尾よく機能する。
【0068】
さらに、ジョイントコンパウンドおよび/またはスパックリングコンパウンドの特定の配合物は、カルシウムに加えて他の金属イオンを含み得る。このような追加の金属イオンには、マグネシウムおよび亜鉛が含まれるが、これらに限定されない。亜鉛の典型的な供給源は、混合済み硬化型ジョイントコンパウンドで硬化反応を引き起こすために使用される硬化活性剤であり得る。マグネシウムの典型的な供給源には、例えば、炭酸カルシウムと炭酸マグネシウムの組み合わせを含むドロマイト石灰石などの特定の充填剤が含まれる。
【0069】
マグネシウムイオンとカルシウムイオンの組み合わせ、または亜鉛イオンとカルシウムイオンの組み合わせを含む配合物は、カルシウムを含むがマグネシウムまたは亜鉛を含まない配合物とは、第1の色および/または第2の色の強度が異なる場合がある。
【0070】
さらに、ジョイントコンパウンドおよび/またはスパックリングコンパウンドのpHは、1つ以上の酸、塩基、および/または緩衝剤で調整することができる。いくつかの実施形態において、第1の色の強度および/または第1の色と第2の色との間のデルタE値は、特定の研磨指示薬のpHが指定されたpH範囲内にあるようにジョイントコンパウンドおよび/またはスパックリングコンパウンドのpHを調整することによって改善され得る。
【0071】
好ましい実施形態では、研磨指示薬は、ムレキシド、クレゾールレッド、m-クレゾールパープル、ブロモキシレノール、および/またはチモールブルーの1つ以上を含む。いくつかの好ましい実施形態において、研磨指示薬は、水を除いた、ジョイントコンパウンド合計の0.001重量%~5重量%の量のムレキシド、クレゾールレッド、m-クレゾールパープル、ブロモキシレノール、および/またはチモールブルーのうちの1つ以上を含む。さらに好ましい実施形態では、研磨指示薬は、水を除いた、ジョイントコンパウンド合計の0.001重量%~0.005重量%の量のムレキシド、クレゾールレッド、mークレゾールパープル、ブロモキシレノール、および/またはチモールブルーのうちの1つ以上を含む。
【0072】
本開示による研磨指示薬のいずれも、水および/または例えばアルコールまたはエーテルなどの有機溶媒であり得る少なくとも1つの溶媒を含み得る。研磨指示薬はまた、担体、pH安定剤、界面活性剤、および/または配合物を安定に保ち、ジョイントコンパウンド/スパックリングコンパウンドペーストと混和性に保つための当業者に一般に知られている他の成分を含み得る。
【0073】
いくつかの好ましい実施形態では、研磨指示薬は、水を除いた、ジョイントコンパウンドまたはスパックリコンパウンド合計の0.001重量%~0.01重量%の量で使用される。いくつかの好ましい実施形態において、研磨指示薬は、水を除いた、ジョイントコンパウンド合計の0.001重量%~0.01重量%の量のムレキシド、クレゾールレッド、m-クレゾールパープル、ブロモキシレノール、および/またはチモールブルーを含む。
【0074】
この開示における「約」という用語は、値のプラス/マイナス10%、好ましくは値のプラス/マイナス1%を意味する。例えば、約100は100±10、好ましくは100±1を意味する。
【0075】
ジョイントコンパウンドには、乾燥型ジョイントコンパウンドと硬化型ジョイントコンパウンドの両方が含まれる。本ジョイントコンパウンドは粉末として配合することができ、一方、水および研磨指示薬は、ジョイントコンパウンドの使用時に添加することができる。あるいは、研磨指示薬をジョイントコンパウンド粉末と事前に混合することもできる。
【0076】
好適な乾燥型ジョイントコンパウンドは、炭酸カルシウム、ならびに/または酸化カルシウム、水酸化カルシウム、重炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、硝酸カルシウム、および塩化カルシウムを含むがこれらに限定されない任意の他のカルシウム化合物を含んでもよい。炭酸カルシウムは、ジョイントコンパウンド中のいずれの構成成分よりも最も高い重量分率を有し得る。炭酸カルシウムは、石灰岩、ドロマイト質石灰岩の形状で、および/または任意の他の鉱物として存在し得る。他の充填剤には、以下、パーライト、発泡パーライト、タルク、マイカ、および/もしくは中空セラミックミクロスフェア、セラミック粒子、ガラスビーズおよび/もしくは中空ガラスミクロスフェア、ポリスチレンビーズ、ポリアクリレートビーズ、ポリオレフィンビーズの1つ以上またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得るが、これらに限定されない。
【0077】
乾燥型ジョイントコンパウンド中の他の成分には、繊維、顔料、レオロジー調整剤、セルロース誘導体、天然ラテックスもしくは合成ラテックスなどの接着剤、アタパルジャイト、カオリンなどの粘土鉱物、および凝集性のためのデンプン誘導体および/または高分子結合剤などの結合剤が含まれ得る。
【0078】
好適なセルロース誘導体には、セルロースエーテル増粘剤、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、もしくはそれらの任意の組み合わせ、またはジョイントおよび/もしくはスパックリングコンパウンドで通常使用される任意の他のセルロースエーテル増粘剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0079】
好適な粘土には、アタパルジャイト粘土、カオリン、イライト、ベントナイト、セピオライト、またはそれらの任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0080】
好適な結合剤は、以下、アクリルポリマー、アクリル共重合体、またはそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上を含み得る。アクリル共重合体には、アクリル酸ビニル、酢酸ビニル、アクリル酸スチレン、またはそれらの任意の組み合わせが含まれる。好ましい結合剤には、アクリルラテックスエマルジョンが含まれる。他の結合剤には、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル共重合体、スチレンブタジエン、天然デンプン、加工デンプンおよび合成デンプン、またはそれらの任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0081】
好適な乾燥型ジョイントコンパウンド配合物は、米国特許第6,476,099号、同第6,545,066号、同第8,931,230号、および同第9,328,023号に開示されており、参照により本明細書に組み込まれる。これらの乾燥型ジョイントコンパウンドまたは他の乾燥型ジョイントコンパウンドのいずれも、本開示の1つ以上の研磨指示薬を用いて配合することができる。
【0082】
本開示の一態様では、研磨指示薬を備えた乾燥型ジョイントコンパウンドを、表1に示すように配合することができる。
【表1】
【0083】
好適なジョイントコンパウンドには硬化型ジョイントコンパウンドおよび硫酸カルシウム半水和物(CaS0X0.5HO)を含むしっくいも含まれ、水の存在下で急速に再水和して石膏になる。この水和反応は、石膏スラリーを含む、硫酸カルシウム半水和物と水で配合された硬化型ジョイントコンパウンド、しっくい、および他の製品において硬化作用の推進要因である。典型的な硬化型ジョイントコンパウンドはまた、以下、充填剤、レオロジー調整剤、結合剤、安定剤および殺生物剤のいずれかを含んでもよい。従来の充填剤、レオロジー調整剤、結合剤、安定剤および殺生物剤のいずれも、乾燥型ジョイントコンパウンドに関連して記載されたものを含む、本開示による1つ以上の研磨指示薬を備えた本硬化型ジョイントコンパウンド配合物で使用することができる。
【0084】
好適な硬化型ジョイントコンパウンド配合物は、米国特許第4,661,161号、同第5,746,822号、同第6,805,741号および同第9,174,881号に提供されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。本開示によれば、これらの硬化型ジョイントコンパウンドのいずれも、この開示で提供されるように研磨指示薬を配合することができる。
【0085】
本硬化型ジョイントコンパウンドには、混合済み硬化型ジョイントコンパウンドが含まれる。これらのコンパウンドは、水と事前に混合されており、塗布中に硬化活性剤が添加されるまでカルシウムと可逆的に結合することにより硬化反応を阻止する少なくとも1種の遅延剤を含んでいる。
【0086】
遅延剤は、タンパク質性遅延剤、低分子量ポリアクリレートおよび/または非カルシウム含有リン酸塩であってよい。典型的には、遅延剤は、とりわけ、ピロリン酸四カリウム(TKPP)、ピロリン酸四ナトリウム(TSPP)、クエン酸ナトリウムなどの強力なキレート剤である。このグループ内の他の好適な遅延剤には、ヘキサメタリン酸亜鉛、トリポリリン酸カリウム、トリポリリン酸ナトリウム、リン酸一アンモニウム、リン酸二水素カリウムおよびそれらの任意の混合物が挙げられる。典型的には、本混合済み硬化型ジョイントコンパウンドは、乾燥焼石膏の重量に基づいて、約0.01重量%~約10重量%の遅延剤を含む。
【0087】
硫酸カルシウム半水和物の硬化反応を誘発するために、同じ意味で促進剤とも呼ばれる硬化活性剤が、使用時に混合済み硬化型ジョイントコンパウンドに添加される。これにより、硫酸カルシウム半水和物が再水和し、コンパウンドが固化する。
【0088】
好適な活性剤には、亜鉛化合物、特に硫酸亜鉛および/またはいずれかの硫酸亜鉛水和物、アルミニウム化合物、例えば、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムアンモニウム、硫酸カリウムアルミニウムなどのアルミニウム塩、ならびにそれらの任意の組み合わせが挙げられる。硬化時間は、添加する促進剤の量を変えることにより調節可能である。典型的には、水を除いた、ジョイントコンパウンドの重量に基づいて、約0.5重量%~約3重量%の活性剤を使用することができる。好適な活性剤および阻害剤は、米国特許第5,746,822号に提供されており、参照により本明細書に組み込まれる。
【0089】
混合済み硬化型ジョイントコンパウンドの場合、製造中および/または混合済みの硬化型ジョイントコンパウンドの塗布中に活性剤が混合済み硬化型ジョイントコンパウンドに添加されたときに、研磨指示薬を混合済み硬化型ジョイントコンパウンドに添加することができる。好ましい実施形態では、研磨指示薬は、水を除いた、組成物の0.001重量%~5重量%の量で硬化型ジョイントコンパウンドと混合される。
【0090】
本硬化型ジョイントコンパウンドは、水を含むジョイントコンパウンド組成物の総重量に基づいて、30重量%~90重量%の焼石膏を含み得る。より好ましくは、本ジョイントコンパウンドは、水を含むジョイントコンパウンド組成物の重量の45重量%~80重量%の焼石膏を含む。
【0091】
水と混合する場合、本硬化型ジョイントコンパウンドは、硬化型ジョイントコンパウンド組成物の総重量に基づいて、約20重量%~約50重量%の水を含み得る。
【0092】
硬化型ジョイントコンパウンドはまた、以下、炭酸カルシウム、石灰石、パーライト、発泡パーライト、中空ガラスミクロスフェア、中空セラミックミクロスフェア、タルクおよび/または雲母のうちの1つ以上を含み得る。存在する場合、これらの成分は、乾燥焼石膏の重量に基づいて、約1重量%~約40重量%の量で使用され得る。アタパルジャイト粘土などの粘土は、乾燥焼石膏の重量に基づいて、約1重量%~約10重量%の量で使用することができる。
【0093】
本硬化型ジョイントコンパウンドは、ラテックス結合剤、例えばアクリル酸ポリマーまたはアクリル酸共重合体、ならびに/またはデンプンなどの1つ以上の結合剤を含む。ジョイントコンパウンド配合物で通常使用される他の結合剤も使用することができる。
【0094】
典型的には、焼石膏の乾燥重量に基づいて、約1%重量~約20重量%の結合剤が使用され得る。例えば、100gの乾燥焼石膏が使用される場合、結合剤の量は、約1g~約20gの範囲であり得る。
【0095】
本硬化型ジョイントコンパウンド混合物中の他の成分は、以下、増粘剤/レオロジー調整剤、pH安定剤、殺生物剤、消泡剤、防腐剤および/または湿潤剤のうちの1つ以上を含み得る。典型的には、これらの成分のそれぞれは、水を除いて、ジョイントコンパウンドの約0.01重量%~約10重量%を含み得る。当業者は、例えば、US8,931,230などのジョイントコンパウンドに関連する以前の特許において、増粘剤/レオロジー調整剤、pH安定剤、殺生物剤、消泡剤、防腐剤および/または湿潤剤の詳細なリストを見出すことができる。
【0096】
この開示のさらなる態様は、この開示による1つ以上の研磨指示薬を含むスパックリングコンパウンドを含む。
【0097】
好適なスパックリングコンパウンドには、米国特許第4,391,647号、同第6,358,309号、および同第7,790,796号、ならびに米国特許公開第2015/179476号に開示されているものが含まれる。典型的には、スパックリングコンパウンドは、約10重量%~約70重量%の充填剤を含み、これは、シリカ、方解石(炭酸カルシウム)、ドロマイトなどの1つ以上であり得る。スパックリングコンパウンド中の他の成分は、水および結合剤を含む。他の添加剤には、増粘剤、可塑剤、分散剤、消泡剤、および/またはスパックルおよび同様の材料の製造に使用される他の従来の添加剤が含まれ得る。
【0098】
他の充填剤には、以下、パーライト、発泡パーライト、タルク、マイカ、および/もしくは中空セラミックミクロスフェア、セラミック粒子、ガラスビーズおよび/もしくは中空ガラスミクロスフェア、ポリスチレンビーズ、ポリアクリレートビーズ、ポリオレフィンビーズまたはそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0099】
他の成分には、以下、繊維、顔料、レオロジー改質剤、セルロース誘導体、天然または合成ラテックスなどの接着剤、アタパルジャイトおよび/またはカオリンなどの粘土鉱物、および凝集特性のためのデンプン誘導体および/またはポリマー結合剤などの結合剤の1つ以上が含まれ得る。
【0100】
適切なセルロース誘導体には、セルロースエーテル増粘剤、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、もしくはそれらの任意の組み合わせ、またはジョイントおよび/またはスパックリングコンパウンドで典型的に使用される任意の他のセルロースエーテル増粘剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0101】
好適な粘土には、アタパルジャイト粘土、カオリン、イライト、ベントナイト、セピオライト、またはそれらの任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0102】
好適な結合剤は、以下、アクリルポリマー、アクリル共重合体、またはそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上を含み得る。アクリル共重合体には、アクリル酸ビニル、酢酸ビニル、アクリル酸スチレン、またはそれらの任意の組み合わせが含まれる。好ましい結合剤には、アクリルラテックスエマルジョンが含まれる。他の結合剤には、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル共重合体、スチレンブタジエン、天然デンプン、加工デンプンおよび合成デンプン、またはそれらの任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0103】
この開示による研磨指示薬含むスパックリングコンパウンドは、表2に示されるように配合することができる。
【表2】
【0104】
研磨指示薬を追加する前は、本ジョイントコンパウンドまたはスパックルは特定の色であり、必ずしもそうである必要はないが、典型的には白である。研磨指示薬を追加すると、利用可能なイオン種、pH、またはその他の特性に基づいて、検出可能な色の変化が生じる可能性がある。本ジョイントコンパウンドを基材に塗布すると、空気ジョイントコンパウンドの表面の近くで検出可能な第1の色の色勾配が生成される。
【0105】
理論に拘束されることを望まないが、界面における濃度境界層のように、空気-ジョイントコンパウンド界面の近くの研磨指示薬の濃度が高く、基材の近くの指示薬の濃度が低い濃度勾配が存在する可能性がある。表面近くでのより高い濃度の研磨指示薬の存在、pHの変化、例えば酸化などの化学反応、および/または他のいくつかの要因により、多くの実施形態では、単に目視検査で検出可能な第1の色の表面が生成される。研磨によって最上部の表面層を除去すると、第1の色が除去される。
【0106】
選択された研磨指示薬は、製造時にジョイントコンパウンドまたはスパックルに直接追加することも、その後の塗布時にエンドユーザーが追加する付属の個別の製品として提供することもできる。
【0107】
研磨指示薬は、粉末、溶液/ゲルとして、または他の乾燥充填材料を含む乾燥粉末として、元の形態で本ジョイントコンパウンドまたはスパックルに添加することができる。
【0108】
あるいは、研磨指示薬を乾燥粉末として配合し、ある担体材料にコーティングすることもできる。従来のジョイントコンパウンドの乾燥成分のいずれも、担体材料として使用することができる。好適な担体には、カルシウム化合物、タルク、ナトリウム塩、例えば塩化ナトリウムまたは硫酸ナトリウム、および/またはマグネシウム塩が挙げられる。炭酸カルシウムおよび石膏が特に好ましい化合物である。担体は、ジョイントコンパウンドおよびスパックルで一般的に使用される充填剤(すなわち、タルクまたはマイカ)であってよい。研磨指示薬と担体の混合物を含むこれらの指示薬配合物は、研磨指示薬とジョイントコンパウンドまたは任意のその他の製品との混合を改善するために、付属製品として使用することもでき、またはその他の用途で使用することもできる。
【0109】
さらなる実施形態では、研磨指示薬は、促進剤および/または遅延剤を含むがこれらに限定されない他の添加剤と組み合わせて添加することができる。さらなる態様では、本開示は、研磨指示薬を含む付属製品を提供する。好ましくは、付属製品はムレキシドを含む。
【0110】
研磨指示薬を含む付属製品は、別のパッケージで提供されてもよい。研磨指示薬の量は、ジョイントコンパウンドまたはスパックリングコンパウンドとの混合中に追加の測定が必要とされないように添加されてもよい。パッケージは任意の形状であってよい。パッケージは、容器、プレフィルドシリンジおよび/またはボトルであってよい。軟質バッグまたはポーチが特に好ましい。パッケージが所定の添加量で研磨指示薬を提供し得る。パッケージは、いくつかの区画を含んでもよく、各区画は、所定の添加量の研磨指示薬を含んでよい。所定の添加量は、研磨をモニターするために、特定量のジョイントコンパウンド(すなわち、水を含む1ガロン)または任意のその他の製品において色の変化を生成するのに必要な添加量として算出することができる。
【0111】
研磨指示薬を含む付属製品の塗布中、エンドユーザーは、監視される製品の量に応じて、指示薬の1回または数回の添加量を適用することができる。
【0112】
パッケージ内の研磨指示薬は、粉末として、または水もしくは有機溶媒、例えばアルコールであり得る溶媒と予め混合されたペーストとして配合されてもよい。付属製品中の他の成分には、安定剤および/または担体を含んでもよい。必要に応じて、特定のpHを維持するために製品を緩衝することができる。
【0113】
好ましい実施形態では、付属製品は、以下、ムレキシド、クレゾールレッド、m-クレゾールパープル、ブロモキシレノール、および/またはチモールブルーのうちの1つ以上を含む研磨指示薬を含む。
【0114】
別の態様では、本開示は、基材にパッチを当てる方法を提供する。この方法は、この開示の1つ以上の研磨指示薬とともに配合されたスパックリングコンパウンドを基材に塗布することを含む。この方法は、ジョイントまたはスパックリングコンパウンドが乾燥し、空気/ジョイントコンパウンドで第1の色を示した後に、ジョイントまたはスパックリングコンパウンドを研磨することをさらに含み得る。
【0115】
さらに別のさらなる態様において、本開示は、ジョイントコンパウンドおよび/またはスパックリングコンパウンドを作製するための方法を提供する。この方法は、この開示による、乾燥型ジョイントコンパウンド組成物、硬化型ジョイントコンパウンド組成物、またはスパックリングコンパウンド組成物を少なくとも1つの研磨指示薬と混合することを含む。この方法は、この開示による少なくとも1つの充填剤および少なくとも1つの研磨指示薬を一緒に混合し、さらに充填剤および研磨指示薬を少なくとも水および少なくとも1つの結合剤と混合することを含み得る。
【0116】
実施例1.
混合済み硬化型ジョイントコンパウンド200gにムレキシド20mgを添加した。ムレキシドとジョイントコンパウンドの混合により、薄い灰色から薄い桃色への色の変化を表し、これは、理論に拘束されることを望まないが、ムレキシドと利用可能なCa2+イオンとの間の金属錯体の形成が原因である可能性がある。硬化反応を活性化するために硫酸亜鉛および硫酸アルミニウムを添加すると、ジョイントコンパウンドはその色をゴールドイエローに変化させた。次に、ジョイントコンパウンドを壁板に塗布し、乾燥させた。ジョイントコンパウンドが乾燥した後、ジョイントコンパウンドの表面はゴールドイエロー色のままであった。図2の下部(B、ゴールドイエロー)を参照されたい。ゴールドイエロー(第1の色)の層の厚さは、光学顕微鏡を使用して測定され、それは約100ミクロン以下であると決定された。
【0117】
乾燥ジョイントコンパウンドの表面の一部を研磨することにより、ゴールドイエロー色を除去した。研磨されたジョイントコンパウンドの表面は薄い灰色であった。薄い灰色の色は、素材の色と簡単に混ざり合った。図2の上部(A、ライトグレー)を参照し、それを研磨せずにゴールドイエローのままにした下部(B、ゴールドイエロー)と比較する。
【0118】
実施例2.
炭酸カルシウムを主要なフィラー材料として使用するスパックリングコンパウンド試料は、表2に従って、以下の研磨指示薬:チモールブルー、m-クレゾールパープル、クレゾールレッド、ブロモチモールブルー、ブロモキシレノールブルー、またはアリザリンレッドSのうちの1つを使用して調製した。各研磨指示薬は、2つの異なる濃度、すなわち、水を除いたジョイントコンパウンド合計の乾燥重量0.001重量%、または水を除いたジョイントコンパウンド合計の乾燥重量0.005%重量%で試験された。図4に示す表3を参照されたい。
【0119】
Mg(OH)ありとMg(OH)なし、の2つの異なるジョイントコンパウンドの配合が使用された。図4に示す表3を参照されたい。
【0120】
ジョイントコンパウンド配合物のそれぞれを基材に塗布し、乾燥させた。
【0121】
各乾燥ジョイントコンパウンド試料の表面の第1の色は、室温(70°F)でL*A*B*法によりHunterLab製のCOLORQUEST(登録商標)比色計を用いて調べた。図4の表3に示すように、各スパックリングコンパウンドのL*値、a*値、およびb*値を測定して記録した。
【0122】
各試料の表面は、その後研磨し、研磨面を第2の色に対して室温(70°F)でL*A*B*法によりHunterLab製COLORQUEST(登録商標)比色計を用いて調べた。図4の表3に示すように、各ジョイントコンパウンドについてL*値、a*値、およびb*値を測定し、記録した。
【0123】
次に、第1の色(研磨されていない乾燥スパックリングコンパウンド)と第2の色(研磨された乾燥スパックリングコンパウンド)との間の各研磨指示薬について、式(I)に従ってデルタE値を計算した。
【0124】
これらの計算により、研磨指示薬は、研磨用途で最も効果的なものから最も効果の低いものの順に以下にリストされている。
1)クレゾールレッド-ΔE=8
2)m-クレゾールパープル-ΔE=5
3)ブロモキシレノール-ΔE=4
4)チモールブルー-ΔE=3
5)ブロモチモールブルー-ΔE=2
6)アリザリンレッドS-ΔE=0.5
【0125】
ΔE<3は、肉眼では検出可能な色の違いではないことに注意されたい。したがって、ブロモチモールブルーまたはアリザリンレッドSは、試験した条件下では好適な研磨指示薬ではない。
【0126】
図4の表3では、粘度の単位はブラベンダー単位(BU)である。粘度は、室温(70°F)で、ASTM C474-05、セクション5に従って、タイプAピンを備えたCWブラベンダー粘度計、250cm-gmカートリッジのブラベンダートルクヘッドを備えた1/2パイントの試料カップサイズを使用し、RPMが75で測定した。当業者は、1ブラベンダーユニット(BU)が約2mPa.sまたは2cPに等しいことをさらに認識するであろう。
【0127】
図4の表3に報告されている結果は、ペトリ皿中のスパックリングコンパウンド試料を乾燥させ、ペトリ皿の上部の第1の色の強度とペトリ皿の下部の第2の色の強度を目視検査によって比較することによって確認された。これらの結果を図3Aに示す。
【0128】
図3Aの各行のペトリ皿の左から右への順序は次のとおりである:第1の色(ペトリ皿の上部)の乾燥基準で0.001%(w、w/o Mg(OH))および乾燥基準で0.005%(w、w/o Mg(OH))の研磨指示薬、ならびに次いで第2の色(ペトリ皿の底)の乾燥基準で0.001%(w、w/o Mg(OH))および乾燥基準で0.005%(w、w/o Mg(OH))の同じ研磨指示薬。
【0129】
Mg(OH)を含まない0.005%濃度の試料の断面図である3Bも参照されたい。
【0130】
図3Aおよび3Bに見られるように、第1の色と第2の色との間の差は、ΔE=3以上の研磨指示薬に対しては目視検査によって容易に検出可能である。
【0131】
実施例3.
スパックリングコンパウンドは、以下の研磨指示薬:カルコンカルボン酸、ムレキシド、エリオクロムブラックT、またはカルマガイトのうちの1つを使用して調製した。各研磨指示薬は、水を除いて、スパックリングコンパウンド合計の乾燥重量の0.005重量%で試験された。図5の表4を参照されたい。
3つの異なるスパックリングコンパウンドの配合が使用された:Mg(OH)あり、酸化亜鉛(ZnO)あり、またはZnOまたはMg(OH)なし。図5の表4を参照されたい。
【0132】
各スパックリングコンパウンド配合物を基材に塗布し、乾燥させた。
【0133】
各乾燥ジョイントコンパウンドの表面の第1の色は、室温(70°F)でL*A*B*法によりHunterLab製COLORQUEST(登録商標)比色計を用いて調べた。図5の表4に示すように、各ジョイントコンパウンドについてL*値、a*値、およびb*値を測定し、記録した。
【0134】
各試料の表面は、その後、研磨し、研磨面を第2の色について室温(70°F)でL*A*B*法によりHunterLab製ColorQUEST(登録商標)比色計を用いて調べた。図5に示す表4に示すように、各ジョイントコンパウンドについてL*値、a*値、およびb*値を測定し、記録した。
【0135】
次に、第1の色(研磨されていない乾燥スパックリングコンパウンド)と第2の色(研磨された乾燥スパックリングコンパウンド)との間の各研磨指示薬について、式(I)に従ってデルタE値を計算した。図5の表4では、粘度の単位はブラベンダー単位(BU)である。粘度は、室温(70°F)で、ASTM C474-05、セクション5に従って、タイプAピンを備えたCWブラベンダー粘度計、250cm-gmカートリッジのブラベンダートルクヘッドを備えた1/2パイントの試料カップサイズを使用して、75のRPMで測定した。当業者は、1ブラベンダーユニット(BU)が約2mPa.sまたは2cPに等しいことをさらに認識するであろう。
【0136】
図5の表4に示されているように、亜鉛イオンはデルタE値に影響を与える。さらに、亜鉛イオンが存在しない場合でも、ムレキシドのみが目視検査に必要な3の範囲のデルタE値を生成する。したがって、カルコンカルボン酸、エリオクロムブラックT、またはカルマガイトは、本試験条件下での研磨指示薬としては適していない。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図4-1】
図5