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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-16
(45)【発行日】2024-08-26
(54)【発明の名称】酸化セルロースを含む組成物
(51)【国際特許分類】
   A61L 26/00 20060101AFI20240819BHJP
   A61L 31/12 20060101ALI20240819BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20240819BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20240819BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240819BHJP
   C08K 5/053 20060101ALI20240819BHJP
   C08L 1/08 20060101ALI20240819BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240819BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20240819BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20240819BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240819BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20240819BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20240819BHJP
   C08B 15/02 20060101ALN20240819BHJP
   C08B 16/00 20060101ALN20240819BHJP
【FI】
A61L26/00
A61L31/12
A61K9/10
A61K47/38
A61K47/10
C08K5/053
C08L1/08
A61K45/00
A61P17/02
A61K47/02
A61K47/26
A61K47/42
A61K47/12
C08B15/02
C08B16/00
【請求項の数】 36
(21)【出願番号】P 2021523733
(86)(22)【出願日】2019-10-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-25
(86)【国際出願番号】 IL2019000003
(87)【国際公開番号】W WO2020089883
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2022-10-17
(31)【優先権主張番号】262716
(32)【優先日】2018-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(31)【優先権主張番号】62/753,981
(32)【優先日】2018-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511203455
【氏名又は名称】オムリックス・バイオファーマシューティカルズ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Omrix Biopharmaceuticals Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】イラン・エレツ
(72)【発明者】
【氏名】ファインゴールド・オムリ
(72)【発明者】
【氏名】モンティア・イブ
(72)【発明者】
【氏名】アルペリン・ハダス
【審査官】佐々木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-505680(JP,A)
【文献】特表2015-517388(JP,A)
【文献】特表2014-528336(JP,A)
【文献】特開2012-210479(JP,A)
【文献】国際公開第2017/077525(WO,A1)
【文献】特開2003-024431(JP,A)
【文献】米国特許第06627749(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 15/00-33/18
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
A61K 45/00
C08B 1/00-17/00
C08K 5/00- 5/59
C08L 1/00- 1/32
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化セルロース(OC)及びグリセロールを含む組成物であって、
(i)グリセロールとOCとの比が、2:1~6:1w/wグリセロール:OCであり、かつ、
(ii)総含水量が約8w/w%未満であり、かつ、
(iii)前記組成物が、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値においてペーストの形態であり、かつ、
(iv)前記OCが粉末の形態であり、前記グリセロールの少なくとも一部が前記OCの粉末に物理的に吸収されていて前記グリセロールの前記少なくとも一部が前記OCの本体全体に分布している、組成物。
【請求項2】
10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において、純グリセロールの粘度より少なくとも約10%高い粘度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
およそ室温において8mmの貫入で0.1Nの規定の予負荷から30mm/分の速度で直径1.27cmのプローブをモニタリングするように調整された引張試験機で測定したとき、約20N未満の貫入抵抗を有する、又は、
およそ室温において8mmの貫入で0.1Nの規定の予負荷から30mm/分の速度で直径1.27cmのプローブをモニタリングするように調整された引張試験機で測定したとき、約1N超の貫入抵抗を有する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記OCが、酸化再生セルロース(ORC)を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
(i)少なくとも1種の生物学的活性剤を更に含み、任意選択で、前記少なくとも1種の生物学的活性剤がカルシウムである、及び/又は、
(ii)塩化ナトリウム、マンニトール、アルブミン、及び酢酸ナトリウムからなる群から選択される1種又は2種以上の賦形剤を更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記OCのカルボキシル含有量が、約9重量%~約21重量%である、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記OCのカルボキシル含有量が、18重量~21重量%である、請求項記載の組成物。
【請求項8】
前記ペーストが、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において流動性である、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記ペーストが、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において流動性でない、及び/又は、
グリセロールとOCとの前記比が、2:1w/w~約4:1w/wである、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
軟組織における出血の制御に使用するための、請求項7~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
骨組織における出血の制御に使用するための、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
前記OCの前記カルボキシル含有量が、9重量%~18重量あり、任意選択で、前記組成物が、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において流動性である、請求項6に記載の組成物。
【請求項13】
癒着防止材として使用するための、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記OCが酸化再生セルロース(ORC)であり、
グリセロールとORCとの前記比が、2:1~4:1w/wグリセロール:ORCであり、
前記ORCが凝集粉末の形態であり、
前記ORCのサイズが10μm~2000μmの範囲であり、D90のサイズ分布が350μm未満で、D50のサイズ分布が167μm未満であり、
前記組成物は、有機溶媒、油、及び前記グリセロール以外のポリオールを含まない、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
酸化セルロース(OC)及びグリセロールを含む組成物を調製するための方法であって、
a.約12%(w/w)以下の含水量を有するOC粉末を、グリセロールと、2:1~6:1w/wであるグリセロール:OC比で組み合わせる工程と、
b.前記組み合わせを室温より高温に加熱する工程と、
c.任意選択で、前記組み合わせにグリセロールを更に添加する工程と、を含み、
これにより、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値においてペーストの稠度であることを特徴とする組成物が得られる、方法。
【請求項16】
前記組成物が、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において、純グリセロールの粘度よりも少なくとも約10%高く、かつ約2.6×10cP未満の粘度を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記OCが、酸化再生セルロース(ORC)を含む、及び/又は、
前記OCの粒径が、10μm~2,000μm、任意選択で50μm~300μmである、請求項15又は16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記OCのカルボキシル含有量が、
(i)約9重量%超である、及び/又は、
(ii)約18重量%である、請求項15~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記OCのルボキシル含有量が、
(iii)最大で約21重量%である、請求項15~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記組成物が、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において流動性である、請求項18又は19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記組成物が、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において流動性でない、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
酸化セルロース(OC)及びグリセロールを含む組成物であって、
(i)前記組成物の粘度が、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において、純グリセロールの粘度よりも少なくとも10%高く、かつ約2.6×10cP未満であり、かつ、
(ii)総含水量が約8w/w%未満であり、かつ、
(iii)前記組成物は、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値においてペーストの形態であり、かつ、
(iv)前記OCが粉末の形態であり、前記グリセロールの少なくとも一部が前記OCの粉末に物理的に吸収されていて前記グリセロールの前記少なくとも一部が前記OCの本体全体に分布しており、かつ、
(v)前記グリセロールと前記OCとの比が、2:1~6:1w/wグリセロール:Oである、組成物。
【請求項23】
少なくとも約1,700cPの粘度を有する、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記OCのカルボキシル含有量が、9重量%超である、請求項22又は23に記載の組成物。
【請求項25】
前記OCのカルボキシル含有量が18重量%以上である、請求項22又は23に記載の組成物。
【請求項26】
10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において約3,500cP以下の粘度を有する、請求項24又は25に記載の組成物。
【請求項27】
10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において約3,500cP以上の粘度を有する、請求項24又は25に記載の組成物。
【請求項28】
軟組織における出血の制御に使用するための、請求項25~27のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項29】
骨組織における出血の制御に使用するための、請求項27に記載の組成物。
【請求項30】
前記OCの前記カルボキシル含有量が、18重量%以下であり、任意選択で、
10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において約3,500cP以下の粘度を有する、請求項24に記載の組成物。
【請求項31】
癒着防止材として使用するための、請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
酸化セルロース(OC)及びグリセロールを含むペーストの形態の組成物であって、
(i)グリセロールとOCとの比が、2:1~6:1w/wグリセロール:OCであり、
(ii)総含水量が約8w/w%未満であり、
(iii)前記組成物の粘度が、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において、純グリセロールの粘度よりも少なくとも10%高く、かつ約2.6×10cP未満であり、
(iv)前記グリセロールの少なくとも一部が前記OCに吸収されていて前記グリセロールの前記少なくとも一部が前記OCの本体全体に分布している、組成物。
【請求項33】
a.請求項1~14及び22~32のいずれか一項に記載の組成物を収容する容器と、
b.前記組成物を組織に適用するためのアプリケータと、
c.任意選択で、使用説明書と、を含む、キットであって、
任意選択で、前記容器が前記アプリケータに含まれる、キット。
【請求項34】
前記高温は、60~80℃である、請求項15に記載の方法。
【請求項35】
前記OCが酸化再生セルロース(ORC)であり、
グリセロールとORCとの前記比が、2:1~4:1w/wグリセロール:ORCであり、
前記ORCが凝集粉末の形態であり、
前記ORCのサイズが10μm~2000μmの範囲であり、D90のサイズ分布が350μm未満で、D50のサイズ分布が167μm未満であり、
前記組成物は、有機溶媒、油、及び前記グリセロール以外のポリオールを含まず、任意選択で前記ポリオールがマンニトール以外である、請求項22に記載の組成物。
【請求項36】
前記OCが酸化再生セルロース(ORC)であり、
グリセロールとORCとの前記比が、2:1~4:1w/wグリセロール:ORCであり、
前記ORCが凝集粉末の形態であり、
前記ORCのD90のサイズ分布が350μm未満で、D50のサイズ分布が167μm未満であり、
前記ORCのカルボキシル含有量が約9~約21重量%であり、
前記組成物は、カルシウム、トロンビン、及びフィブリノゲンからなる群より選択される少なくとも1種の溶解した生物学的活性剤を更に含み、
前記組成物は、有機溶媒、油、及び前記グリセロール以外のポリオールを含まない、請求項22に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、とりわけ、酸化セルロース組成物、例えば、ペースト形態の、グリセロールを含む酸化セルロース組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
手術中の様々な状況において、手術後の出血又は癒着防止のために、治療薬が人体内に広げられる。既存の薬剤は欠点を有しており、例えば、最小侵襲手術においてシートを配置することは困難である。
【0003】
出血及び/又は癒着を制御するための適切な方法又は製品の選択は、多くの要因に依存し、それらの要因としては、限定するものではないが、出血の重症度、出血源の解剖学的場所及び隣接する重要な構造の近接性、出血が、離散した出血源からのものであるか又はより広い表面積からのものであるか、出血源の視認性及び正確な特定、並びに出血源へのアクセスが挙げられる。
【0004】
上述の問題に対処する取り組みにおいて、癒着防止及び過剰な出血の制御の両方のための物質が開発されてきた。局所用吸収性止血材(Topical Absorbable Hemostat、TAH)は、外科用途で広く使用されている。TAHは、酸化セルロース(OC)、ゼラチン、コラーゲン、キチン、キトサンなどに基づく製品を包含する。止血性能を改善するために、上述の物質に基づくスキャフォールドは、トロンビン及びフィブリノゲンなどの生物学的に誘導された凝固因子と組み合わせられることができる。癒着の形成を防止するために、いくつかの製品が市販されている。癒着バリアの一部は、酸化セルロース(OC)、修飾糖、及び化工デンプンに基づく。
【0005】
その生分解性、並びにその殺菌特性及び止血特性により、酸化再生セルロース(ORC)などの酸化セルロース(OC)系材料は、局所止血剤として長く使用されてきた。OC及びORC系材料もまた、癒着バリアとして使用される。ORC系の製品は、神経外科術、腹部手術、心臓血管手術、胸部外科手術、頭頸部外科手術、骨盤手術、並びに皮膚及び皮下組織処置を含む、様々な外科的処置で使用される。粉末、織布、不織布、編地、及び他の形態で作られるか否かにかかわらず、酸化セルロース材料に基づいた様々な種類の止血材を形成するためのいくつかの方法が知られている。現在利用されている止血剤としては、粉末、又はORCを含む布地が挙げられる。
【0006】
しかしながら、癒着防止及び出血の制御は、失血を最小限に抑えるため、術後合併症を低減するため、及び手術室における手術時間を短縮するために、外科的処置において不可欠かつ重要であるため、特に届きにくい領域において、適用の容易さを促進する改善された形態及び材料が必要とされている。
【0007】
米国特許第9447196(B2)号は、変性セルロース溶液を少なくとも1種の非溶媒と接触させて、複数の変性セルロース粒子を形成することを含む、変性セルロースを溶解するためのプロセスを開示している。
【0008】
米国特許第9572907号は、グリセロール及びカルボキシメチルセルロースからなるポリマーフィルム層を含有する埋め込み可能な医療用装置を記載している。
【0009】
欧州特許第3258974号は、水分保持剤、バインダーダスト抑制剤、並びに無機止血剤及び有機止血剤を含む、止血用組成物を記載している。
【0010】
米国特許第6627749号は、薬物、化学物質、及び生体高分子の固定化マトリックス又は担体としての使用に好適な、高収率(75~95%)及び異なる酸化レベル(カルボキシル含有量<25.6%、w/w))で酸化セルロースを製造するための制御された化学的手法を開示している。
【0011】
米国特許出願公開第20060008505号は、生体接着剤、特にペクチン、及びグリセロール可塑剤の自己接着性ストリップを含む止血材の送達システムを開示している。
【0012】
国際公開第2013049049号は、酸化再生セルロースから調製された癒着を防止する布地を開示している。
【0013】
INTERCEED(Johnson&Johnson Patient Care Inc.(New Brunswick,NJ))は、手術後の癒着を低減するよう特別に設計された吸収性布地である。(FERTILITY AND STERILITY Vol.51,No.6,June 1989 INTERCEED(TC7)Adhesion Barrier Study Group)。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、とりわけ、ペースト形態である、グリセロールを含む酸化セルロース組成物に関する。
【0015】
一態様では、本発明は、酸化セルロース(OC)及びグリセロールを含む組成物であって、
(i)グリセロールとOCとの比が、少なくとも約0.5:1w/wグリセロール:OCであり、
(ii)総含水量が約8w/w%未満であり、
(iii)組成物が、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値においてペーストの形態である、組成物を提供する。
【0016】
いくつかの実施形態では、組成物は、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において、グリセロールの粘度よりも少なくとも約10%高い粘度を有する。
【0017】
いくつかの実施形態では、組成物は、およそ室温において8mmの貫入で0.1Nの規定の予荷重から30mm/分の速度で直径1.27cmのプローブをモニタリングするように調整された引張試験機で測定したとき、約20N未満の貫入抵抗を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、およそ室温において8mmの貫入で0.1Nの規定の予荷重から30mm/分の速度で直径1.27cmのプローブをモニタリングするように調整された引張試験機で測定したとき、約1N超の貫入抵抗を有する。
【0018】
いくつかの実施形態では、グリセロールとOCとの比は、約0.5:1~約6:1w/wグリセロール:OCである。
【0019】
いくつかの実施形態では、OCは、酸化再生セルロース(ORC)を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも1種の生物学的活性剤を更に含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の生物学的活性剤はカルシウムである。いくつかの実施形態では、組成物は、塩化ナトリウム、マンニトール、アルブミン、及び酢酸ナトリウムからなる群から選択される1種又は2種以上の賦形剤を更に含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、止血を達成するために、OCのカルボキシル含有量は、米国薬局方(USP)23-NF18に従って、18%(重量/重量)以上である。
【0021】
いくつかの実施形態では、止血を達成するために、OCのカルボキシル含有量は、例えば、米国薬局方(USP)23-NF18に従って、18%(重量/重量)以上かつ25%以下である。
【0022】
いくつかの実施形態では、止血を達成するために、OCのカルボキシル含有量は、例えば、米国薬局方(USP)23-NF18に従って、18%(重量/重量)以上かつ21%以下である。
【0023】
いくつかの実施形態では、グリセロールとOC粉末との比は、約0.5:1~約6:1w/wグリセロール:OCである。
【0024】
いくつかの実施形態では、OC粉末は、酸化再生セルロース(ORC)粉末を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも1種の生物学的活性剤を更に含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の生物学的活性剤はカルシウムである。いくつかの実施形態では、組成物は、塩化ナトリウム、マンニトール、アルブミン、及び酢酸ナトリウムからなる群から選択される1種又は2種以上の賦形剤を更に含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、止血を達成するために、OC粉末のカルボキシル含有量は、例えば、米国薬局方(USP)23-NF18に従って、18%(重量/重量)以上である。
【0026】
いくつかの実施形態では、止血を達成するために、OC粉末のカルボキシル含有量は、例えば、米国薬局方(USP)23-NF18に従って、18%(重量/重量)以上かつ25%以下である。
【0027】
いくつかの実施形態では、止血を達成するために、OC粉末のカルボキシル含有量は、例えば、米国薬局方(USP)23-NF18に従って、18%(重量/重量)以上かつ21%以下である。
【0028】
典型的には、粉末は、粒子状物質などの細かく分離された状態の物質である。粉末は、固体粒子の緩い集団又は凝集体であることができ、通常、1000マイクロメートルよりも小さい。
【0029】
粉末を調製するために使用することができる吸収性酸化再生セルロース不織布としては、Johnson&Johnson Wound Management,a division of Ethicon,Inc.(Somerville,NJ.)からそれぞれ入手可能なSURGICEL FIBRILLAR吸収性止血剤及びSURGICEL SNOW吸収性止血剤が挙げられるが、これらに限定されない、吸収性止血剤が挙げられる。第1の酸化再生セルロース層に好適な吸収性止血剤は、止血を達成するために、18~21%の範囲の酸化度を有する。
【0030】
吸収性酸化再生セルロースの織布又は編地を使用して粉末を調製することができる。そのような布地は、例えば、米国特許第4,626,253号、同第5,002,551号、及び同第5,007,916号に記載されており、これらの内容は、その全体が記載されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0031】
いくつかの実施形態では、癒着防止を達成するために、OCのカルボキシル含有量は、例えば、米国薬局方(USP)23-NF18に従って、18%以下である。
【0032】
防止は、癒着を起こしやすい対象に化合物を投与することによって達成され得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量は、米国薬局方(USP)23-NF18に従って、9%以上かつ18%以下又は21%以下である。
【0034】
いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量は、米国薬局方(USP)23-NF18に従って、9%以上かつ18%以下である。
【0035】
いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量は、米国薬局方(USP)23-NF18に従って、12%以上かつ18%以下である。
【0036】
吸収性酸化再生セルロース不織布、織布又は編地を使用して、粉末を調製することができる。
【0037】
好適な酸化再生セルロース布地としては、Ethicon,Inc.(Somerville,N.J.)から入手可能なINTERCEED吸収性癒着バリアなどの吸収性癒着バリアが挙げられる。
【0038】
いくつかの実施形態では、布地は、ブライトレーヨン(bright rayon)糸で構成された縦編みトリコット生地(warp knitted tricot fabric)であり、これは続いて、布地に生分解性を与えるのに有効な量のカルボキシル部分又はアルデヒド部分を含ませるために酸化される。布地は、F.Boardmanらによる米国特許第5,180,398号に記載されているように、セルロースをペルフルオロカーボン溶媒中の二酸化窒素溶液と反応させることによって酸化される。一実施形態では、カルボキシル含有量(「酸化度」)は、約9%~約21%(重量/重量)の範囲である。別の実施形態では、カルボキシル含有量は、約12%~約18%(重量/重量)の範囲である。更に別の実施形態では、酸化再生セルロース織布のカルボキシル含有量(酸化度)は、約9.5%~約10.5%(重量/重量)の範囲であった。いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量は、米国薬局方(USP)23-NF18に従って、約9%~約21(重量/重量)である。
【0039】
いくつかの実施形態では、OC粉末のカルボキシル含有量は、米国薬局方(USP)23-NF18に従って、9%以上である。
【0040】
いくつかの実施形態では、OC粉末のカルボキシル含有量は、米国薬局方(USP)23-NF18に従って、9%以上かつ18%以下(重量/重量)である。
【0041】
いくつかの実施形態では、OC粉末のカルボキシル含有量は、12%以上である。
【0042】
いくつかの実施形態では、OC粉末のカルボキシル含有量は、米国薬局方(USP)23-NF18に従って、12%以上かつ18%以下(重量/重量)である。
【0043】
吸収性酸化再生セルロース不織布、織布又は編地を使用して、粉末を調製してもよい。
【0044】
粉末を調製するのに適した酸化再生セルロース布地としては、Ethicon,Inc.(Somerville,N.J.)から入手可能なINTERCEED吸収性癒着バリアなどの吸収性癒着バリアが挙げられる。
【0045】
いくつかの実施形態では、布地は、ブライトレーヨン糸で構成された縦編みトリコット生地であり、これは続いて、布地に生分解性を与えるのに有効な量のカルボキシル部分又はアルデヒド部分を含ませるために酸化される。布地は、F.Boardmanらによる米国特許第5,180,398号に記載されているように、セルロースをペルフルオロカーボン溶媒中の二酸化窒素溶液と反応させることによって酸化される。一実施形態では、カルボキシル含有量(酸化度)は、約9%~約21%(重量/重量)の範囲である。別の実施形態では、カルボキシル含有量(酸化度)は、約12%~約18%(重量/重量)の範囲である。更に別の実施形態では、酸化再生セルロース織布のカルボキシル含有量(酸化度)は、約9.5%~約10.5%の範囲であった。いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量は、米国薬局方(USP)23-NF18に従って、約9%~約21%である。
【0046】
いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量は、米国薬局方(USP)23-NF18に従って、約9%~約21%である。
【0047】
いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量は、約18%~約21%である。いくつかの実施形態では、ペーストは、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において流動性である。いくつかの実施形態では、グリセロールとOCとの比は、少なくとも約2:1w/wである。いくつかの実施形態では、グリセロールとOCとの比は、約6:1以下である。いくつかの実施形態では、ペーストは、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において流動性でない。いくつかの実施形態では、グリセロールとOCとの比は、約4:1w/w以下である。いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量が約18%~約21%である組成物は、軟組織における出血を制御する際に使用するためのものである。
【0048】
出血を制御することは、出血を抑制するための化合物の投与によって達成され得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、上記のようにOCのカルボキシル含有量が約18%~約21%であり、ペーストが流動性でない組成物は、骨組織における出血を制御する際に使用するためのものである。
【0050】
いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量は、約12%~約18%である。いくつかの実施形態では、組成物は、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において流動性である。いくつかの実施形態では、グリセロールとOCとの比は、少なくとも約2:1w/wである。いくつかの実施形態では、グリセロールとOCとの比は、約6:1以下である。いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量が約12%~約18%である組成物は、癒着防止材として使用するためのものである。
【0051】
更なる態様では、本発明は、酸化セルロース(OC)及びグリセロールを含む組成物を調製するための方法であって、
a.約12%(w/w)以下の含水量を有する摩砕されたOCを、グリセロールと、少なくとも約0.5:1w/wであるグリセロール:OC比で組み合わせる工程と、
b.任意選択で、組成物を室温より高温に加熱する工程と、
c.任意選択で、組成物にグリセロールを更に添加する工程と、を含み、
これにより、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値においてペーストの稠度であることを特徴とする組成物が得られる、方法を提供する。
【0052】
組成物又は方法のいくつかの実施形態では、組成物は、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において、グリセロールの粘度よりも少なくとも約10%高く、かつ約2.6×10cP未満の粘度を有する。いくつかの実施形態では、グリセロールとOCとの比は、それぞれ約0.5:1~約6:1w/wである。いくつかの実施形態では、OCは、酸化再生セルロース(ORC)を含む。いくつかの実施形態では、OCの粒径は、10μm~2,000μm、任意選択で50μm~300μmである。いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量は、約12%~約21%である。いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量は、約18%~約21%である。いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量は、約12%~約18%である。いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量は、約18%~約21%であり、組成物は、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において流動性である。いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量は、約18%~約21%であり、組成物は、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において流動性でない。
【0053】
更なる態様では、本発明は、酸化セルロース(OC)及びグリセロールを含む組成物であって、
(i)組成物の粘度が、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において、グリセロールの粘度よりも少なくとも10%高く、かつ約2.6×10cP未満であり、
(ii)総含水量が約8w/w%未満であり、
(iii)組成物が、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値においてペーストの形態である、組成物を提供する。
【0054】
いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも約0.5:1w/wグリセロール:OCである、グリセロールとOCとの比を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも約1,700cPの粘度を有する。いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量は、米国薬局方(USP)23-NF18に従って、約12%~約21%(重量で)である。いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量は、約18%~約21%(重量で)である。いくつかの実施形態では、組成物は、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において、約3,500cP以下の粘度を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において、約3,500cP以上の粘度を有する。
【0055】
いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量は、約18%~約21%(重量/重量)であり、組成物は、軟組織における出血を制御する際に使用するためのものである。
【0056】
いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量は、約18%~約21%(重量/重量)であり、組成物は、約3,500cP以上の粘度を有し、組成物は、骨組織における出血を制御する際に使用するためのものである。
【0057】
いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量は、約12%~約18%(重量/重量)である。いくつかの実施形態では、組成物は、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において、約3,500cP以下の粘度を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、癒着防止材として使用するためのものである。
【0058】
本発明の更に別の態様では、本発明は、酸化セルロース(OC)及びグリセロールを含むペーストの形態の組成物であって、
(i)グリセロールとOCとの比が、少なくとも約0.5:1w/wグリセロール:OCであり、
(ii)総含水量が約8w/w%未満であり、
(iii)組成物の粘度が、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において、グリセロールの粘度よりも少なくとも10%高く、かつ約2.6×10cP未満である、組成物を提供する。
【0059】
なお更なる態様では、本発明は、キットであって、
a.本明細書で提供される任意の態様及び実施形態に定義される本発明の組成物を収容する容器と、
b.組成物を組織に適用するためのアプリケータと、
c.任意選択で、使用説明書と、を含む、キットを提供する。
【0060】
いくつかの実施形態では、容器はアプリケータに含まれる。
【0061】
また、18%未満に等しい(重量で)(例えば、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、又は18%、示された値間の任意の値及び範囲を含む)カルボキシル含有量を有するOCを含む癒着防止粉末、例えば、ガンマ線照射された粉末であって、同様のカルボキシル含有量を有するOC布地と比較して、少なくとも120%、又は少なくとも150%の癒着防止効力を特徴とする、癒着防止粉末が開示される。一実施形態では、ガンマ線照射された癒着防止粉末は、凝集形態の摩砕されたOCを含む。いくつかの実施形態では、OC粉末のカルボキシル含有量は、米国薬局方(USP)23-NF18に従って、9%以上かつ18%以下(重量で)である。いくつかの実施形態では、OC粉末のカルボキシル含有量は、米国薬局方(USP)23-NF18に従って、9%以上かつ18%以下(重量で)である。いくつかの実施形態では、OC粉末のカルボキシル含有量は、米国薬局方(USP)23-NF18に従って、12%以上かつ18%以下(重量で)である。
【0062】
吸収性酸化再生セルロース不織布、織布又は編地を使用して、粉末を調製することができる。
【0063】
粉末を調製するのに適した酸化再生セルロース布地としては、Ethicon,Inc.(Somerville,N.J.)から入手可能なINTERCEED吸収性癒着バリアなどの吸収性癒着バリアが挙げられる。
【0064】
いくつかの実施形態では、布地は、ブライトレーヨン糸で構成された縦編みトリコット生地であり、これは続いて、布地に生分解性を与えるのに有効な量のカルボキシル部分又はアルデヒド部分を含ませるために酸化される。布地は、F.Boardmanらによる米国特許第5,180,398号に記載されているように、セルロースをペルフルオロカーボン溶媒中の二酸化窒素溶液と反応させることによって酸化される。一実施形態では、カルボキシル含有量(「酸化度」)は、約12%~約18%(重量で)の範囲である。更に別の実施形態では、酸化再生セルロース織布のカルボキシル含有量(酸化度)は、約9.5%~約10.5%(重量で)の範囲であった。いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量は、米国薬局方(USP)23-NF18に従って、約9%~約21(重量で)である。
【0065】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び/又は科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されている意味と同一の意味を有する。本明細書に記載されているものと同様又は同等の方法及び材料を、本発明の実施形態の実行又は試験に使用することが可能であるが、代表的な方法及び/又は材料を以下に記載する。矛盾のある場合、定義を含め本特許明細書が適用される。なお、材料、方法、及び実施例は、単に例示的なものであり、必ずしも限定を意図したものではない。
【図面の簡単な説明】
【0066】
ここで、本発明のいくつかの実施形態について、例示のみを目的として、添付図面を参照して本明細書において説明する。ここで図面を詳細に具体的に参照すると、示される詳細は、例示的なものであり、本発明の実施形態の例示的な説明を目的としていることが強調される。この点に関し、図面を用いた説明は、本発明の実施形態がどのように実施され得るかを当業者に明らかにする。
図1】ORCとグリセロールとを混合することなく組み合わせることによって調製されたペーストの貫入力に対する抵抗を示すグラフである(比は、それぞれグリセロール対ORC v/wを指す)。
図2】ORCとグリセロールとを混合により組み合わせることによって調製されたペーストの貫入力に対する抵抗を示すグラフである(比は、それぞれグリセロール対ORC v/wを指す)。
図3】粘度20~22℃におけるグリセロールのバックグラウンドを差し引いた、様々なw/v比でのINTERCEED(登録商標)/グリセロール組成物の試験粘度を示すグラフである。Y=36.24e11.113×R2=0.9946。
図4】20~22℃におけるグリセロールのバックグラウンド粘度を差し引いた、様々なw/v比でのINTERCEED(登録商標)/グリセロール組成物の算出粘度を示すグラフである。
図5】20~22℃における様々なw/v比でのINTERCEED(登録商標)/グリセロール組成物の算出粘度を示すグラフである。
図6】20~22℃におけるグリセロールのバックグラウンド粘度を差し引いた、様々なw/v比でのSURGICEL(登録商標)/グリセロール組成物の試験粘度を示すグラフである。Y=45.526e8.9243×;R=0.9937。
図7】20~22℃におけるグリセロールのバックグラウンド粘度を差し引いた、様々なw/v比でのSURGICEL(登録商標)/グリセロール組成物の算出粘度を示すグラフである。
図8】20~22℃における様々なw/v比でのSURGICEL(登録商標)/グリセロール組成物の算出粘度を示すグラフである。
図9】SURGICEL(登録商標)ORC及びグリセロールを約1:1w/v ORC:グリセロールの比で含む組成物の、ブタパンチ生検における止血活性を示すグラフである。左から右へ:乾燥ORC(摩砕/粉砕ORC)、ORC(摩砕/粉砕ORC)+グリセロール、ORC(摩砕/粉砕ORC)+グリセロール及びCaCl、ORC(摩砕/粉砕ORC)+グリセロール+トロンビン、ゼラチンペースト、ゼラチンペースト+トロンビン。エラーバーは、有意な場合の標準偏差を示す。
図10】INTERCEED(登録商標)ORC及びグリセロールを含む組成物で処置されたラット盲腸擦り傷モデルにおける癒着強度を示すグラフである。左から右へ:処置なし、INTERCEED(登録商標)、INTERCEED(登録商標)粉末(小さな顆粒に圧縮された摩砕/粉砕ORC)、ORC小さな顆粒に圧縮された摩砕/粉砕ORC):グリセロール=0.33(w/v)、ORC小さな顆粒に圧縮された摩砕/粉砕ORC):グリセロール=0.5(w/v)、グリセロール。n=6
【発明を実施するための形態】
【0067】
本発明の目的は、特に身体内の手が届きにくい領域において、必要な部位に容易に適用することができる、止血材又は癒着防止材として使用するための塗り広げることができるペースト又は粉末を調製するために、例えば、酸化セルロース(OC)を含む組成物を提供することである。
【0068】
一般的に使用される溶媒和物又は非溶媒和物(例えば、水又は油)は、OCの活性化機能を損なうことなく使用することができないため、OCを適切な稠度にするのに適した調合物を見出すことは容易ではない。
【0069】
したがって、本発明は、酸化セルロース(OC)及びグリセロールを、グリセロール含量がOCと比較して少なくとも50%重量(すなわち、それぞれ0.5:1以上であるグリセロールとOCとの重量比)であるように含む組成物は、室温付近でペーストの形態であり、更にOCの機能特性を維持するという驚くべき発見に基づく。したがって、そのような組成物は、出血を制御する又は癒着を防止するなどの生物学的活性を得るために、必要な部位に適用されることができる。
【0070】
「必要な部位に適用される」とは、例えば、出血を制御するために、又は癒着を防止するために、部位、例えば手術部位における組成物の局所適用を指すことを意味する。
【0071】
組成物のペースト状の稠度により、通常は出血している部位に組成物が塗り広げられることができるので、組成物が血液と一緒に洗い流されることがなく、また粉末のように周囲に広がらない。図9から分かるように、SURGICEL(登録商標)及びグリセロールを、約1:1であるグリセロール:OCのv/w比(約1.26:1のw/w比に対応する)で含む本発明の組成物の、出血を止める能力は、乾燥OC粉末(例えば、摩砕/粉砕されたOC、又は凝集形態の摩砕/粉砕されたOC)と少なくとも同等であり、ゼラチンペーストの能力よりもはるかに良好である。
【0072】
更に、本明細書に開示されるように、組成物中のグリセロール含量がOCの約50重量%であるとき、組成物はかなり硬い稠度を有し、これにより、例えば、手術後に血管を封止するために、組成物を骨内の出血部位に適用することが可能になる。
【0073】
SURGICEL(登録商標)及びグリセロールを、約0.5:1であるグリセロール:OCのv/w比(約0.63:1のw/w比に対応する)で含む本発明の組成物の、組成物を出血部位と接触させたときに出血を止める能力を試験した。図9から分かるように、この点に関して、開示される組成物は、乾燥OC粉末(摩砕/粉砕されたOC)よりも良好であり、トロンビンを含まないゼラチンペーストの能力よりもはるかに良好である。更に、胸骨出血モデルにおいて、SURGICEL(登録商標)及びグリセロールを、約0.5:1であるグリセロール:OCのv/w比で含む本発明の組成物は、出血部位から組成物をこすり落とした後であっても出血を防止又は低減することが可能であった(データは図示せず)。癒着防止機能に関して、図10を参照すると、図10は、1-INTERCEED(登録商標)布地、2-小さな顆粒に圧縮された摩砕/粉砕INTERCEED(インターシード(interceed)粉末)、及び3-3:1又は2:1であるグリセロール:OCのv/w比(約3.78:1又は2.52:1のw/w比にそれぞれ対応する)のインターシード粉末及びグリセロール、を使用した癒着防止の比較を示す。インターシード粉末、及びインターシード粉末とグリセロールは、INTERCEED(登録商標)シート又はグリセロール単独よりも良好な、又は同等の癒着防止活性を有することが見出された。ガンマ放射されたインターシード凝集粉末が、INTERCEED(登録商標)布地と比較して約135%の癒着防止効力を示したことは、注目すべきことである。
【0074】
凝集体の形態のインターシード粉末はまた、本明細書では、凝集形態の摩砕/粉砕インターシード、小さな顆粒に圧縮された摩砕/粉砕インターシード、圧縮インターシード粉末、凝集体の形態に圧縮されたインターシード、とも呼ばれる。
【0075】
凝集体の形態のインターシード粉末は、米国特許第9539358号の実施例に記載されているプロセスによって生成することができる。ORCの基礎材料は、SURGICEL(登録商標)シート(Ethicon)ではなく、INTERCEED(登録商標)シート(Ethicon)である。凝集体の形態のインターシード粉末を、20~45キログレイのガンマ線(例えば、Sorvan radiation ltd)に供して、無菌性を提供することができる。
【0076】
本明細書で使用するとき、特に明記しない限り、本明細書で使用される「重量で」、「w/w」、「重量パーセント」、又は「重量%」という用語は、対応する混合物、溶液、製剤、又は組成物の総重量のうちの特定の物質の濃度を互換的に記述する。実施例に示される比率は、グリセロール:ORCのv/wであることに留意されたい。グリセロールの密度は1.26gr/mLであるため、1:1であるグリセロール:ORCのv/w比は、1.26:1であるグリセロール:ORCのw/w比に相当する。
【0077】
本明細書で使用するとき、「出血」という用語は、循環系の任意の構成要素からの血液溢出を指す。したがって、「出血」は、手術、外傷、又は他の形態の組織損傷に関連した望ましくない、制御されていない、多くの場合過度の出血、並びに、出血性疾患を有する患者における望ましくない出血を包含する。
【0078】
本明細書で使用するとき、「癒着」又は「組織癒着」という用語は、通常接続されていない組織の接続を指す。例えば、癒着は術後合併症として生じ得る。
【0079】
本明細書で使用するとき、「制御する」、「防止する」、又は「低減する」という用語は、本明細書では、出血との関連において互換的に使用されてもよく(そのあらゆる文法的な語尾変化を含む)、これは、遊出する(extravagated)血液の速度を、本質的に無効にする(nullified)か、又は、開示される組成物を出血部位内/出血部位上に接触させることをしない状況と比較して、初期の出血速度の10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は更には100%だけ低減させることを示す。出血の出現のレベルを決定するための方法は、当該技術分野において既知である。
【0080】
更に、いくつかの実施形態では、出血の文脈において、「制御する」、「防止する」又は「低減する」という用語はまた、軟組織又は骨組織のいずれかの出血部位における血管の少なくとも部分的な封止を包含することが意図されている。
【0081】
本明細書で使用するとき、用語「制御する」、「防止する」、又は「低減する」という用語は、本明細書では、組織癒着との関連において互換的に使用されてもよく(そのあらゆる文法的な語尾変化を含む)、組織癒着の形成が完全に若しくは部分的に防止されるか、又は癒着の重症度が、例えば、実施例の項に記載のPoehnert et al.,2015,International journal of medical sciences 12(1):1-6による癒着評価スキームに従って低いことを示す。
【0082】
したがって、一態様では、本発明は、酸化セルロース(OC)及びグリセロールを含む組成物であって、グリセロールとOCとの比が、少なくとも約0.5:1w/wグリセロール:OC(すなわち、上記の比で「0.5」超のグリセロール)であり、総含水量が、約8重量%未満であり、組成物が室温付近でペーストの形態である、組成物を提供する。
【0083】
「室温付近」とは、10℃~40℃、又は15℃~37℃の範囲内、例えば、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、又は40℃のうちの少なくとも1つの温度値(これらの値の間の任意の値を含む)を指すことを意味する。
【0084】
したがって、いくつかの実施形態では、開示される組成物は、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値においてペーストの形態である。
【0085】
いくつかの実施形態では、組成物は、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において、グリセロールの粘度よりも少なくとも10%高い粘度を有する。
【0086】
いくつかの実施形態では、組成物は、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において、グリセロールの粘度よりも少なくとも約5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、又は20%高い粘度を有する。
【0087】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において、約2.6×10センチポアズ(cP)未満の粘度を有する。
【0088】
くつかの実施形態では、本発明の組成物は、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において、約2.0×10センチポアズ(cP)未満の粘度を有する。
【0089】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において、約5×10、2.6×10、1×10、5×10、1×10、5×10、1×10、5×10、1×10、5×10、1×10、5×10、2×10、又は1×10cP未満の粘度を有する。
【0090】
組成物の粘度は、任意の好適な方法によって、例えば、以下及び実施例2においてより詳細に述べるように、粘度計を使用することによって測定される。
【0091】
いくつかの実施形態では、グリセロール:OC比は、約0.5:1~約6:1w/wである。
【0092】
いくつかの実施形態では、グリセロール:OC比は、0.5:1~5:1w/w、0.5:1~4:1w/w、0.5:1~3:1w/w、0.5:1~2:1w/w、0.5:1~1:1w/w、又は0.5:1~0.9:1w/wである。
【0093】
いくつかの実施形態では、グリセロール:OC比は、それぞれ、0.9:1~6:1w/w、1:1~6:1w/w、1.5:1~6:1w/w、0.9:1~5:1w/w、0.9:1~4:1w/w、1:1~4:1w/w、1.5:1~4:1w/w、又は1.5:1~3:1w/wである。
【0094】
いくつかの実施形態では、グリセロールとOCとの重量比は、約0.5:1、0.6:1、0.7:1、0.8:1、0.9:1、1:1、1.1:1、1.2:1、1.3:1、1.4:1、1.5:1、2:1、2.5:1、3:1、3.5:1、4:1、4.5:1、5:1、5.5:1、又は6:1(これらの値の間の任意の比を含む)である。
【0095】
いくつかの実施形態では、グリセロールの重量は、OCの重量と比較して50%超である。いくつかの実施形態では、グリセロールの重量は、OCの重量と比較して60%、70%、80%、90%超、又は100%超である。
【0096】
本明細書で使用するとき、「ペースト」という用語は、室温付近の少なくとも1つの温度における組成物の稠度に関し、固体粒子の流体混合物を定義する。
【0097】
非限定的な例示的な固体粒子は、ORC繊維及び/又は顆粒を含む。
【0098】
非限定的な例示的な非溶媒液体は、グリセロールを含む。ペーストは、ワックス、練り歯磨き、又は軟膏などの可鍛性のパテ状の稠度を有してもよい。ペーストは、力が加えられるまでは固体として挙動してもよく、力が加えられた時点で流体のように流れることができる。典型的には、限定するものではないが、ペーストは、適用時に指圧を加えることによって、又は重力によって、不規則な表面に形状適合する。典型的には、限定するものではないが、ペーストは、周囲の流体中の材料の懸濁液を含む。
【0099】
「非溶媒」という用語は、本明細書で使用するとき、対象となる粒子(例えばOC)の任意の認識できる濃度(例えば、室温付近において約5%未満、約2%未満、約1%未満、約0.5%未満、約0.2%未満、又は約0.1%未満の濃度)を溶解することができない液体、又は液体の混合物を指す。
【0100】
いくつかの実施形態では、個々の粒子は、泥の中の土の粒子のようにペースト内で一緒に付着し、不規則なガラス状の構造又は非晶構造を形成し、それらの固体様の特性をペーストに付与する。ペースト固有の特性のいくつかは、粒子の付着に由来してもよく、脆弱物質の特性と同様の特性を示すことができる。
【0101】
ゲル中の固体は、典型的には液体中に溶解されるため、ペーストはゲルとは異なる。ペーストは、いったん破壊されるとその特性を変化させるゼリーとは更に異なる。
【0102】
本開示による「ペースト」という用語はまた、スラリーを含んでもよい。スラリーは、機能上は、薄く水っぽいペーストと見なすことができる。本開示によるペーストはまた、空気などの膨張性ガスを含む細孔を含んでもよい。したがって、組成物はペーストであるか、又は室温付近でペースト(又はペースト状)の稠度を有する。
【0103】
本発明の組成物のペーストの稠度は、「流動性」ペーストと「非流動性」ペーストとの間で更に区別される。用語「非流動性」(又は「流動性でない」)ペーストは、本明細書では「パテ」とも呼ばれる。本明細書で使用するとき、ペーストの文脈における「流動性」という用語は、出血部位内/上に組成物を適用した後も流動する可能性がある、室温付近で流動性の高い稠度に関連する。「非流動性」又は「パテ」という用語は、定着するのに時間がかかり、「流動性」ペーストよりも良好な形状保持を有する、37℃でよりこね粉状(doughier)の稠度を指す。
【0104】
いくつかの実施形態では、組成物は均質である。
【0105】
本明細書で使用するとき、「均質」とは、全体にわたって均一な組成及び質感を指すことを意味する。
【0106】
塗り広げることができる薬剤を、例えば、ペーストの形態で調製するために、適切な溶媒和物又は非溶媒和物を特定する必要がある。酸化再生セルロース(ORC)は水中で崩壊するため、非水性増粘剤が好ましい。オリーブ油、大豆油、魚油、及びコプラ油などの疎水性剤が最初に想到され得るが、本発明者らは、出血部位が水性環境であることから、油を使用すると、組成物が出血の上に浮かび、それによって、出血部位の封止効果が損なわれる結果となることを見出した。更に、本発明者らは、驚くべきことに、グリセロールをOCに添加することで、所望の稠度を有しながらもその活性に影響を及ぼさない組成物が得られることを見出した。
【0107】
組成物の「ペースト」としての稠度は、上記に定義されているが、代替的に、又は追加的に、組成物はまた、以下に詳述するように、特定の条件下での抵抗に関して定義されてもよい。
【0108】
本出願によると、平坦な縁部を有する金属製円筒形プローブに対する組成物の抵抗をモニタリングするために、LF Plus引張試験機(Lloyd Instruments)などの引張試験機をしてもよい。
【0109】
例示的実施形態では、引張試験機の設定は、8mmの貫入で0.1Nの規定された予負荷から30mm/分の速度で直径1.27cmのプローブをモニタリングするように調整される。本発明のグリセロール/ORC組成物は、60~80℃で一晩インキュベートされてもよく、試験前に混合されても混合されなくてもよい。全ての組成物は、室温付近で試験したときに、20Nを下回る(混合組成物では10Nを下回る)抵抗を有する。
【0110】
したがって、いくつかの実施形態では、組成物は、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において、8mmの貫入で0.1Nの規定された予負荷から30mm/分の速度で直径1.27cmのプローブをモニタリングするように調整された引張試験機で測定したとき、約20N未満の抵抗を有する。
【0111】
組成物の抵抗を測定するために、本出願全体を通して同じ条件が使用され、したがって、これらの条件は、明示的に記載されていない場合であっても、全ての抵抗測定に適用されることに留意されたい。
【0112】
いくつかの実施形態では、組成物は、19N未満、18N未満、又は17N未満の抵抗を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、1N~20N、1N~19N、1N~18N、又は1N~17Nの抵抗を有する。
【0113】
いくつかの実施形態では、組成物は、16N未満、15N未満、14N未満、13N未満、12N未満、11N未満、10N未満、9N未満、8N未満、又は7N未満の抵抗を有する。いくつかのこのような実施形態では、本明細書に記載されるペースト組成物は、非流動性ペースト(パテ)又は流動性ペーストの形態である。
【0114】
いくつかの実施形態では、組成物は、6N未満、5N未満、4N未満、又は3N未満の抵抗を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、1N~7N、1N~6N、1N~5N、1N~4N、又は1N~3Nの抵抗を有する。いくつかのこのような実施形態では、本明細書に記載のペースト組成物は、非流動性ペースト(パテ)又は流動性ペーストの形態である。
【0115】
全体を通して、「抵抗」という用語は、「貫入抵抗」、又は、いわゆる「ブルーム試験(Bloom test)」に従って測定したときの、開示される組成物を貫通するために必要な力を指す。
【0116】
貫入抵抗を決定するための例示的な方法は、以下に記載される。
【0117】
いくつかの実施形態では、組成物は、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において、8mmの貫入で0.1Nの規定された予負荷から30mm/分の速度で直径1.27cmのプローブをモニタリングするように調整された引張試験機で測定したとき、約1N超の抵抗を有する。
【0118】
いくつかの実施形態では、組成物は、2N超、3N超、4N超、5N超、6N超、7N超、8N超、9N超、10N超、11N超、12N超、13N超、14N超、15N超、又は16N超の抵抗を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、2N~20N、3N~20N、4N~20N、5N~20N、6N~20N、7N~20N、8N~20N、9N~20N、10N~20N、11N~20N、12N~20N、13N~20N、14N~20N、15N~20N、又は16N~20Nの抵抗を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、パテの形態である。
【0119】
流動性組成物の場合、OCがグリセロールで既に飽和している場合、追加のグリセロールが添加されてもよく、場合によっては組成物の稠度に影響を与えない場合があることが理解される。したがって、飽和レベルを超えるグリセロールとOCとの比が、本発明の組成物に含まれることが意図される。
【0120】
OCとグリセロールとを組み合わせた直後に組成物を使用するか否かに応じて、グリセロールとOCとの一定の比率で、異なる稠度が得られ得ることが更に理解される。
【0121】
更に、いくつかの実施形態では、組成物がOCとグリセロールとを組み合わせた直後に使用されない場合、組成物の稠度は、インキュベーションの温度及び/又は時間の長さに依存する。
【0122】
いかなる特定の理論又は機構にも束縛されるものではないが、インキュベーションの時間が長くかつ高温であると、より多くのグリセロールがOCに吸収され、その結果、組成物がより乾燥し、より固くなると思われる。
【0123】
いくつかの実施形態では、高温での又はより長時間のインキュベートは、ペースト状の稠度を得るために、より多くのグリセロールを添加することを必要とし得る。グリセロールとOCとの比は、特定の稠度を得るために必要であり、OC構造に依存し得る。
【0124】
「高温」とは、25℃超、30℃超、35℃超、又は40℃超、及び、例えば、最高で70℃、80℃、90℃、又は100℃の温度を指すことを意味する。
【0125】
本発明の組成物の機能は、その稠度に依存するため、すなわち、上記のように室温付近でペーストであることに依存するため、そのような稠度が得られるグリセロールとOCとのあらゆる比が、本発明に含まれることが意図される。
【0126】
「酸化セルロース」(又は「OC」)なる用語は、一級アルコール基の少なくとも一部、例えば、無水グルコース単位の6位の炭素がカルボン酸に酸化され、任意選択で官能化されたセルロース誘導体を指す。
【0127】
OCは、酸化剤をセルロースに適用することによって生成することができる。酸化剤は、これらに限定されるものではないが、塩素、過酸化水素、過酢酸、二酸化塩素、二酸化窒素、過硫酸塩、過マンガン酸塩、二クロム酸塩-硫酸、次亜塩素酸、次亜ハロゲン酸、過ヨウ素酸塩、若しくはこれらの任意の組み合わせ、及び/又は各種の金属触媒から選択することができる。酸化セルロースは、酸化剤の性質及び反応条件に応じて、出発物質であるセルロースの元のヒドロキシル基の代わりに、又はそれに加えて、カルボン酸、アルデヒド、及び/又はケトン基を含有してもよい。
【0128】
本発明の組成物に使用されるOCは、典型的には、粉末(摩砕/粉砕されたOC、又は凝集形態の摩砕/粉砕されたOCとも呼ばれる)の形態であるが、これらに限定されない。摩砕/粉砕されたOCは、既存の製品からのものを含む様々な方法によって調製されることができ、そのような製品のいくつかの非限定的な例について以下に記載する。既存の製品のいくつかは布地の形態であるため、OC粉末は、布地を粉砕又は摩砕して粉末を得ることによって調製されてもよい。例えば、摩砕されたOC(又はORC)は、米国特許第9539358号に記載されるように、摩砕によって、SURGICEL(登録商標)シート又はINTERCEED(登録商標)シートなどのOCシートのサイズを縮小することによって得ることができる。
【0129】
米国特許第9539358号は、ボールミルされたORC粉末(Ball-Milled powder、BMP)を含む圧縮粉末の調製を開示している。
【0130】
4インチ×4インチの事前にトリミングした数片の非滅菌SURGICEL布(ETHICON,Inc.、ロット番号7A8654)を、摩砕に先立って24時間にわたって真空乾燥することができる。6グラムのサンプルを12個の高密度ZrOボール(直径20mm、Glen Mills Inc.(Clifton,N.J.,USA))と混合し、250mLの粉砕ジャーで密封することができる。このジャーはラッチブラケットの中へ圧締めされ、次いでミル(遊星ボールミルPM100、Retsch,Inc.(Newtown,Pa.,USA))上で均衡化され得る。摩砕は、300rpmで10分間実施することができる。次いで、摩砕された粉末を、真空ポンプ(LabCare America Pump PV-35)を備えた真空オーブン(Fisher Scientific Model 280A Isotemp真空オーブン)の中で65℃で2.5時間乾燥させることができる。摩砕された粉末は最終的に窒素ボックスの中で保管されてもよい。上記と同様の方法を使用し、ORC系のSURGICEL(登録商標)NU-KNIT(登録商標)吸収性止血剤を用いて、粉末を調製することができる。篩目1726~150を装備したFitz Millに通して細断したORCを使用して、転圧ORC粉末を調製することができる。細断ORC粉末を転圧器(WP 120×40V、#900-0071(Alexanderwerk,Inc,PA))に供給し、米国特許第9539358に記載の通りに圧縮する。
【0131】
例示的実施形態では、OCは、生分解性を提供するのに有効な量でカルボキシル部分を含有するよう酸化されている。
【0132】
米国特許第3,364,200号は、フレオン培地中の二酸化窒素等の酸化剤を用いたカルボキシ酸化セルロースの調製を開示している。米国特許第5,180,398号は、パーフルオロカーボン溶媒中の二酸化窒素等の酸化剤を用いたカルボキシ酸化セルロースの調製を開示している。いずれかの方法により酸化した後、布地を、四塩化炭素等の溶媒、続いてイソプロピルアルコール(IPA)の50パーセント水溶液、最後に99%のIPAで十分に洗浄してもよい。酸化前、布地は、所望の織布又は不織布構造体で構成されていてもよい。
【0133】
典型的には、酸感受性種に適合する止血剤は、生体適合性のあるアルデヒド酸化した多糖類から調製される布地基材を含む。このような例示的な止血剤では、多糖類は、変性多糖を生分解性にするのに有効な量のアルデヒド部分を含有し、これは、多糖類が、身体によって再吸収されるか又は体内を容易に通過することができる成分に分解可能であることを意味する。より具体的には、生分解された成分は、永続的な少量の成分又は成分残留物が埋め込み部位に実質的に残留しないように、体内に吸収されるときに永続的な慢性の異物反応を誘発しない。
【0134】
本発明の特定の実施形態では、OCは、生体適合性の、生分解性の、アルデヒド酸化した再生セルロースから調製された粒子を含む。いくつかの実施形態では、アルデヒド酸化した再生セルロースは、米国特許第8,709,463号の構造IIの繰り返し単位を含むものである。いくつかの実施形態では、酸化再生セルロースが止血剤及び/又は癒着防止材を調製するために使用される。典型的には、再生セルロースは、再生されていないセルロースに対して均等度がより高度であるため好ましい。再生セルロース、及び再生酸化セルロースの製造方法の詳細な説明は、米国特許第3,364,200号及び同第5,180,398号に記載されている。
【0135】
したがって、いくつかの実施形態では、OCは、酸化再生セルロース(ORC)を含む。凝集形態であっても、又は粉砕若しくは摩砕されていてもよく、したがって組成物の粒子を調製するために利用することができるOC系製品の例としては、限定するものではないが、INTERCEED(登録商標)吸収性癒着バリア、SURGICEL(登録商標)Original吸収性止血剤、SURGICEL(登録商標)NU-KNIT(登録商標)吸収性止血剤、SURGICEL(登録商標)FIBRILLAR(商標)吸収性止血剤、SURGICEL(登録商標)SNoW(商標)吸収性止血剤、及びSURGICEL(登録商標)粉末吸収性止血剤、GelitaCel(登録商標)吸収性セルロース被覆剤(Gelita Medical BV(Amsterdam,The Netherlands))が挙げられる。
【0136】
SURGICEL(登録商標)粉末吸収性止血剤は、大きな表面積にわたって広がることができる小さなORC繊維断片の凝集体を含む粉末であり、灌注時に洗い流されないか又は再出血しない耐久性のある凝血塊を形成する粉末である。
【0137】
OCの通常の供給源は植物材料であるが、OCは細菌源由来であってもよいことが理解される。いくつかの実施形態では、OCは、植物源由来のものである。
【0138】
いくつかの実施形態では、本発明で使用するためのセルロースは、カルボキシメチルセルロース(CMC)を含まない。
【0139】
本発明の組成物は非水性組成物であり、これは組成物中の主液が水ではなく、組成物が非常に低い含水量を有する、又は水を全く有しないことを意味する。
【0140】
いくつかの実施形態では、組成物の含水量は、約7w/w%未満である。いくつかの実施形態では、組成物の総含水量は、約6w/w%、5w/w%、4w/w%、3w/w%、2w/w%、1w/w%、0.5w/w%、0.1w/w%、又は0.01w/w%未満である。いくつかの実施形態では、組成物は、実質的に水を含まない。いくつかの実施形態では、組成物は水を含有しない。
【0141】
いくつかの実施形態では、組成物は、溶媒を更に含まない。いくつかの実施形態では、組成物は、例えば、エタノールなどの有機溶媒を更に含まない。
【0142】
いくつかの実施形態では、組成物は、OC及びグリセロールから本質的になる。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、粉末(摩砕されたOC)の形態のOCを含む。上記のように、様々なセルロース系材料を粉砕又は摩砕して、本発明の組成物を調製するために使用され得る粉末を得ることができる。
【0143】
セルロース系材料、例えばセルロース系布地は、D90が350μm未満及びD50が167μm未満のサイズ分布を有する繊維を得るために摩砕されてもよい。所望であれば、摩砕工程を繰り返して、D90が177μm未満、及びD50が95μm未満のサイズ分布を得ることができる。
【0144】
一実施形態では、組成物を作製するための繊維は、セルロース系原材料を摩砕することによって調製される。摩砕工程に先行して、セルロース系原材料を細長く切って切断して材料片を形成する工程を行うことができる。この実施形態では、摩砕工程は、二段階プロセスであってもよく、第2段階は空気分級機内で実施され、第2段階は3回繰り返されることができる。空気分級機に最初に(1回目)通過させた後、得られた「長い繊維」は、D90が350μm未満及びD50が167μm未満のサイズ分布を有する。空気分級機に3回通過させた後(3回目)、得られる微細なORC繊維は、D90が177μm未満及びD50が95μm未満のサイズ分布を有する。
【0145】
本発明の一実施形態では、組成物中の「微細又は短い」セルロース系繊維は、D90が177μm未満及びD50が95μm未満のサイズ分布を有する。セルロース系材料は、摩砕工程前、工程中、及び/又は工程後に、化合物と混合される又は配合されることができる。
【0146】
用語「D50」、「D70」、及び「D90」は、それぞれ、粒子の(数又は体積で)50%、70%、及び90%がこの値以下のサイズを有することを指す。
【0147】
一実施形態では、繊維及び化合物を含む本発明による粉末組成物は、任意選択で、米国特許第10034957(B2)号に記載されているように乾燥、摩砕/粉砕及びふるい分けの工程を使用して、凝集体の形態に圧縮される。使用されるふるいは、粉末の粒径を規定する。
【0148】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、凝集体の形態のOCから調製される。「凝集体」という用語は、合わせられた構成要素から形成された粒子を説明する。
【0149】
凝集体は、任意選択で、以下の工程、すなわち、粉末組成物を加湿する工程;粉末を、例えば、ローラーによって圧縮して及び/又は粉末を強打して凝集体を形成する工程;除湿する工程;摩砕する工程;凝集体をふるい分けする工程;任意選択で、得られた凝集体を貯蔵容器又は送達装置内に投入する工程、のうちの1つによって作製されてもよい。
【0150】
いくつかの実施形態では、OCの粒径は、10μm~2,000μmである。いくつかの実施形態では、OCの粒径は、50μm~1,500μm、100μm~1,000μm、100μm~500μm、100μm~300μm、50μm~1,000μm、50μm~500μm、又は50μm~300μmである。
【0151】
カルシウムは、凝固カスケードにおいて重要な要素である。因子XIIIを因子XIIIaに活性化することが必要であり、これによりフィブリンを架橋し、安定化させて不溶性血塊を生成する。
【0152】
いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも1種の生物学的活性剤を更に含んでもよい。組成物に含まれ得る非限定的な生物学的活性剤としては、カルシウム、並びに抗生物質、抗炎症剤、増殖因子、又は凝固因子などの治療薬が挙げられる。例えば、組成物は、フィブリノゲン又はトロンビンを更に含んでもよい。
【0153】
いくつかの実施形態では、組成物はトロンビンを更に含んでもよい。
【0154】
いくつかの実施形態では、組成物はカルシウムを更に含んでもよい。本発明で使用されるカルシウムは、塩化カルシウム塩の形態であってもよい。あるいは、酢酸カルシウム及び/又はクエン酸カルシウムなどの他の塩が使用されてもよい。
【0155】
いくつかの実施形態では、組成物は、2種以上の生物学的活性剤、例えば、カルシウム及びトロンビンを含んでもよい。
【0156】
本明細書で使用するとき、「トロンビン」は、プロトロンビン(因子II)のタンパク質分解切断から生じる活性化酵素を示す。トロンビンは、当該技術分野において既知の様々な製造方法によって製造されてもよく、組み換えトロンビン及び血漿由来トロンビンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0157】
ヒトトロンビンは、ジスルフィド結合によって接合された2つのポリペプチド鎖から構成される、295アミノ酸タンパク質である。ヒト及び非ヒト(例えば、ウシ)トロンビンの両方を、本開示の範囲内で使用することができる。
【0158】
組成物は、限定されるものではないが、カルシウム、アルブミン、糖類、糖類誘導体、ポリオール、アセテート、クエン酸塩、アミノ酸、ポリエチレングリコール、及び塩化ナトリウムから選択される、以下の賦形剤のうちの1つ又は2つ以上を更に含んでもよい。
【0159】
いくつかの実施形態では、カルシウム源は、例えば、40~60mMの範囲の塩化カルシウムである。
【0160】
アルブミンは、0.05~1%(w/v)の範囲、又は0.5~1%(w/w)の範囲であってもよい。糖類源は、サッカロースであってもよく、5g/Lの濃度であってもよい。
【0161】
いくつかの実施形態では、糖類誘導体源はグルコン酸である。いくつかの実施形態では、ポリオール源は、例えば、(w/w)濃度が2%のマンニトールである。いくつかの実施形態では、酢酸塩源は酢酸ナトリウムであり、例えば、10mMの濃度で存在し得る。いくつかの実施形態では、クエン酸塩源はクエン酸ナトリウムであり得る。
【0162】
いくつかの実施形態では、アミノ酸はヒスチジンを含み、10mM濃度の濃度で存在してもよい。いくつかの実施形態では、ポリエチレングリコール(PEG)源はPEG-3350であり、例えば、0.03重量%の濃度で存在し得る。いくつかの実施形態では、塩化ナトリウムは、50~175mMの範囲の濃度で存在する。
【0163】
「PEG3350」は、平均分子量が3350ダルトンであるPEG化合物を示す。
【0164】
したがって、いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、塩化ナトリウム、マンニトール、アルブミン、及び酢酸ナトリウムからなる群から選択される1種又は2種以上の賦形剤を更に含む。
【0165】
いくつかの実施形態では、組成物中の唯一のポリオールはグリセロールである。いくつかの実施形態では、組成物中の唯一のポリオールは、グリセロール及びマンニトールである。
【0166】
上述し、上記で定義したように、組成物の稠度は、本明細書では「流動性」と称されるより流動的なペーストと、本明細書では「非流動性」(又は「流動性でない」)と称されるよりこね粉状ペーストとに、更に分けられてもよい。
【0167】
組成物の稠度は、一般に、グリセロールとOCとの比によって決定される。典型的には、限定するものではないが、グリセロールの量が多いほど、組成物はより流動的(流動性)になり、グリセロールの量が少ないほど、組成物はよりこね粉状(より固い)で流動性が低くなる。
【0168】
また上記に説明したように、組成物の稠度は、グリセロールとOCとを組み合わせた後のインキュベーション時間及び温度、並びにOC源の影響を更に受け得るため、グリセロールとOCとの比は、組成物の稠度を事前に厳密に定義しない。
【0169】
したがって、いくつかの実施形態では、組成物は、室温付近の少なくとも1つの温度において、例えば、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において、流動性である。この組成物は、以下で「流動性」組成物と称される。
【0170】
したがって、いくつかの実施形態では、組成物は、室温付近の少なくとも1つの温度において、例えば、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において、非流動性である。この組成物は、以下で「非流動性」又は「流動性でない」組成物と称される。
【0171】
いくつかの実施形態では、流動性組成物は、16N以下の抵抗を有する。いくつかの実施形態では、流動性組成物は、15N未満、14N未満、13N未満、12N未満、11N未満、10N未満、9N未満、8N未満、又は7N未満、6N未満、5N未満、4N未満、又は3N未満の抵抗を有する。いくつかの実施形態では、流動性組成物は、1N~16N、1N~15N、1N~14N、1N~13N、1N~12N、1N~11N、1N~10N、1N~9N、1N~78N、1N~7N、1N~6N、1N~5N、1N~4N、又は1N~3Nの抵抗を有する。
【0172】
いくつかの実施形態では、非流動性組成物は、2N超、3N超、4N超、5N超、6N超、7N超、又は8N超、9N超、10N超、11N超、12N超、13N超、14N超、15N超、又は16N超の抵抗を有する。
【0173】
いくつかの実施形態では、非流動性組成物は、2N~20N、3N~20N、4N~20N、5N~20N、6N~20N、7N~20N、8N~20N、9N~20N、10N~20N、11N~20N、12N~20N、13N~20N、14N~20N、15N~20N、又は16N~20Nの抵抗を有する。
【0174】
いくつかの実施形態では、流動性組成物中のグリセロールとOCとの比は、約2:1w/w以上である。いくつかの実施形態では、流動性組成物中のグリセロールとOCとの比は、約2.5:1、3:1、3.15:1、3.5:1、3.78:1、4:1、又はそれ以上である。いくつかの実施形態では、流動性組成物中のグリセロールとOCとの比は、約6:1以下である。いくつかの実施形態では、流動性組成物中のグリセロールとOCとの比は、約5.5:1、約5:1、約4.5:1、約4:1、又はそれ以下である。いくつかの実施形態では、流動性組成物中のグリセロールとOCとの比は、約2:1~約6:1である。
【0175】
いくつかの実施形態では、非流動性組成物中のグリセロールとOCとの比は、約0.5:1~4:1w/wである。いくつかの実施形態では、非流動性組成物中のグリセロールとOCとの比は、約0.5:1~3.5:1w/w、0.5:1~3:1である。
【0176】
いくつかの実施形態では、非流動性組成物中のグリセロールとOCとの比は、約4:1w/w以下である。いくつかの実施形態では、非流動性組成物中のグリセロールとOCとの比は、約3.78:1、3.5:1、3.15:1、3:1、2.5:1、2:1、1.5:1、1:1w/w、又はそれ以下である。
【0177】
いくつかの実施形態では、非流動性組成物中のグリセロールとOCとの比は、0.5:1、1:1、1.5:1、2:1、2.5:1、3:1、3.15:1、3.5:1、3.78:1、又は4:1w/w(それらの間の任意の値及び範囲を含む)である。
【0178】
いくつかの実施形態では、組成物は無針注射器を通過させることができる。このような注射器は、0.9~1.2mmの出口オリフィス直径を有してもよい。したがって、いくつかの実施形態では、流動性組成物は、少なくとも約0.9mm以上のオリフィスを手動で通過させることができる。
【0179】
「手動」という用語は、本明細書で使用するとき、組成物を注射器に通過させるために加えられる力を、平均的なヒト、例えば外科医又は看護師によって加えられる場合がある合理的な力として定義する。
【0180】
上記のように、OCの酸化度は、生体適合性及び生体吸収性などのその機能特性にとって重要である。カルボン酸基が酸化セルロースの18~21%(重量で)の濃度で存在する外科用止血剤など、様々なOCの酸化度を含む生成物が存在する。一方、カルボン酸基の濃度が低い(例えば12%~18%)OCは、癒着防止特性を有する。
【0181】
OCを参照して本明細書で使用するとき、「酸化レベル」、「酸化度」、「カルボキシル含有量」、及び「カルボキシル化レベル」という用語は互換可能であり、米国薬局方(USP)23-NF18に従って決定され得る。
【0182】
したがって、いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量は、約12%~24%(w/w)である。いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量は、12~23%(w/w)である。いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量は、12~22%(w/w)である。いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量は、約12%~約21%(w/w)である。
【0183】
いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量は16~24%(w/w)であり、組成物は止血剤として機能し得る。いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量は17~23%である。いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量は、18~22%(w/w)である。いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量は、約18%~約21%(w/w)である。
【0184】
いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量は、約12%~約18%(w/w)である。いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量は、12~17%(w/w)である。いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量は、12~16%(w/w)である。
【0185】
いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量は、約12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、又は24%(w/w)(それらの間の任意の値及び範囲を含む)である。
【0186】
出血の制御は、創傷の治療を含む様々な状況において、又は、例えば、神経外科術、腹部手術、心臓血管手術、胸部外科手術、頭頸部外科手術、骨盤手術、皮膚及び皮下組織処置などの外科的処置中に、必要である。これらの状況のうちの少なくとも1つについて、OCのカルボキシル含有量が約18%~約21%である本発明の組成物は、軟組織からの出血を制御するのに、又は届きにくい場所で血管を封止するのに好適な密封材である。
【0187】
いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量が約18%~約21%であるペーストは、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において流動性である。いくつかの実施形態では、流動性ペースト中のグリセロールとOCとの比は、少なくとも約2:1w/wである。いくつかの実施形態では、流動性ペースト中のグリセロールとOCとの比は、約6:1w/w以下である。
【0188】
いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量が約18%~約21%であるペーストは、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において流動性でない。いくつかの実施形態では、非流動性組成物中のグリセロールとOCとの比は、約2:1w/w以下である。
【0189】
加えて、OCのカルボキシル含有量が約18%~約21%である組成物の非流動性形態はまた、例えば、骨切断を含む手術中に骨内の血管を封止する際に使用するのに、領域を閉じ、更なる出血を防止する必要がある場合に、及び、組成物が領域を閉鎖した後に適所に残存することができることが望ましい場合に、好適である。この理由から、非流動性組成物は、いくつかの実施形態では、37℃で「非流動性」と定義される。いくつかの実施形態では、「非流動性」組成物はまた、室温で非流動性である。
【0190】
「軟組織」という用語は、明細書で使用するとき、固化又は石灰化されていない身体組織に関する。この用語は、血管新生されており、したがって出血源であり得る軟組織に関する。このような組織の例としては、結合組織(腱、靱帯、筋膜、皮膚、繊維性組織、脂肪、及び滑膜など)、筋肉、及び内臓器官が挙げられるが、これらに限定されない。一般に、軟組織は、骨組織を除外することを意味する。
【0191】
したがって、いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量が約18%~約21%である流動性組成物は、(上記で定義した通り)軟組織内の血管の出血を低減する及び血管を封止するのに好適であり、いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量が約18%~約21%である非流動性組成物は、骨内の出血を低減するのに好適である。
【0192】
したがって、いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量が約18%~約21%である本発明の流動性又は非流動性組成物は、軟組織内の出血を低減する及び血管を封止するために使用される。
【0193】
いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量が約18%~約21%である本発明の非流動性組成物はまた、骨組織内の出血を低減する及び血管を封止するためにも使用される。
【0194】
約12%~約18%のカルボキシル含有量を有するOCを有する本発明の組成物は、癒着の形成を防止するための癒着防止組成物として有用である。
【0195】
いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量が約12%~約18%であるペーストは、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において流動性である。いくつかの実施形態では、流動性ペースト中のグリセロールとOCとの比は、少なくとも約2:1w/wである。いくつかの実施形態では、流動性ペースト中のグリセロールとOCとの比は、約6:1w/w以下である。
【0196】
いくつかの実施形態では、粉末を調製するための布地は、ブライトレーヨン糸で構成された縦編みトリコット生地であり、これは続いて、布地に生分解性を与えるのに有効な量のカルボキシル部分又はアルデヒド部分を含ませるために酸化される。布地は、F.Boardmanらによる米国特許第5,180,398号に記載されているように、セルロースをペルフルオロカーボン溶媒中の二酸化窒素溶液と反応させることによって酸化される。
【0197】
一実施形態では、約9%~約21%の範囲のカルボキシル含有量(酸化度)を有するOC/ORCを癒着防止に使用する。別の実施形態では、約12%~約18%の範囲のカルボキシル含有量(酸化度)を有するOC/ORCを癒着防止に使用する。更に別の実施形態では、約9.5%~約10.5%の範囲のカルボキシル含有量(酸化度)を有する酸化再生セルロースは癒着防止である。
【0198】
いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量が約12%~約18%である本発明の流動性又は非流動性組成物は、癒着を低減又は防止するための癒着防止材として使用される。いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量が約12%~約18%である本発明の流動性組成物は、癒着を低減又は防止するための癒着防止材として使用される。
【0199】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、熱処理、放射線処理、濾過又は化学処理、例えば、ガンマ線、孔径0.22μm以下を使用した濾過、熱滅菌及び無菌場などの当該技術分野において既知の方法によって更に処理されて、バイオバーデンを低くする。
【0200】
異なる態様では、本発明は、酸化セルロース(OC)及びグリセロールを含む止血用組成物であって、グリセロールとOCとの比が少なくとも約0.5:1w/wであり、OCのカルボキシル含有量が約18%~約21%であり、総含水量が約8w/w%以下であり、組成物が室温付近で流動性ペーストである、止血用組成物を提供する。
【0201】
別の異なる態様では、本発明は、酸化セルロース(OC)及びグリセロールを含む止血用組成物であって、グリセロールとOCとの比が少なくとも約0.5:1w/wであり、OCのカルボキシル含有量が約18%~約21%であり、総含水量が約8w/w%以下であり、組成物が室温付近で非流動性ペーストである、止血用組成物を提供する。
【0202】
更に異なる態様では、本発明は、酸化セルロース(OC)及びグリセロールを含む癒着防止組成物であって、グリセロールとOCとの比が少なくとも約0.5:1w/wであり、OCのカルボキシル含有量が約12%~約18%であり、総含水量が約8w/w%以下であり、組成物が室温付近でペーストである、癒着防止組成物を提供する。
【0203】
更なる態様では、本発明は、ペーストの形態の、酸化セルロース(OC)及びグリセロールを含む組成物を調製するための方法であって、約12重量%以下(例えば、例えば、11重量%、10重量%、9重量%、8重量%、7重量%以下)の含水量を有する摩砕されたOCを、グリセロールと、約0.5:1w/w以上のグリセロールとOCとの比で、約25℃(室温以内)で組み合わせる工程と;任意選択で、組成物を室温より高温に加熱する工程と;任意選択で、グリセロールを組成物に更に添加する工程と、を含み、これにより、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値においてペーストの稠度であることを特徴とする組成物が得られる、方法を提供する。
【0204】
いくつかの実施形態では、組成物を室温より高温に加熱した後、組成物を所望の温度、例えば室温付近まで冷却する。
【0205】
いかなる特定の理論又は機構にも束縛されるものではないが、加熱工程は、組成物の安定化を、例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、又はそれ以上加速させることができると想定される。
【0206】
したがって、いくつかの実施形態では、組成物は、室温より高い特定の高温に加熱され、次いで、所望の温度まで冷却される。いくつかの実施形態では、所望の温度は室温付近である。
【0207】
本明細書で使用するとき、「加熱」という用語は、熱を加えることによって物質の温度を上昇させることを意味する。
【0208】
いくつかの実施形態では、組成物は37℃に加熱される。いくつかの実施形態では、組成物は、冷却前に、40℃、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、85℃、90℃、95℃、又は100℃(それらの間の任意の値及び範囲を含む)まで、又は、いくつかの実施形態では、100℃超まで、加熱される。
【0209】
いくつかの実施形態では、組成物は、冷却前にグリセロールがOCに吸収されるまで加熱される。いくつかの実施形態では、組成物は、冷却前にグリセロールがOCに完全に吸収されるまで加熱される。
【0210】
本明細書で使用するとき、「吸収される」という用語は、グリセロール分子がOCの本体全体に分布している物理的状態を指す。
【0211】
いくつかの実施形態では、組成物は、冷却前に5分~24時間加熱される。いくつかの実施形態では、組成物は、冷却前に10分~10時間加熱される。いくつかの実施形態では、組成物は、冷却前に30分~5時間加熱される。
【0212】
組成物を加熱するのに必要な時間は、温度に応じて変化する。したがって、例えば、組成物を約100℃で約5~約10分間放置してもよい。あるいは、組成物を約60℃で約30分~約5時間放置してもよい。別の実施例は、組成物を約40℃で約1時間~約24時間放置してもよい。更に別の実施形態では、組成物を60~80℃で一晩放置する。
【0213】
OCとグリセロールとの組成物を加熱すると組成物の安定化の時間が短縮される。この安定化の時間は、組成物がその最終形態に達するのにかかる時間である。温度が高いほど、組成物が安定化するのに要する時間は短くなる。
【0214】
いくつかの実施形態では、OCとグリセロールとを組み合わせることは、既に上昇した温度で行われる。
【0215】
OC及びグリセロールは、任意の好適な方法によって組み合わされるか、又は混合されてもよい。
【0216】
したがって、いくつかの実施形態では、所望の稠度/粘度が得られるまで、追加のグリセロールが組成物に添加される。
【0217】
いくつかの実施形態では、グリセロールは、所望の粘度レベルに達するように組成物に更に添加される。グリセロールは、グリセロール:OC比が約0.5:1、0.6:1、0.7:1、0.8:1、0.9:1、1:1、1.1:1、1.2:1、1.3:1、1.4:1、1.5:1、2:1、2.5:1、3:1、3.5:1、4:1、4.5:1、5:1、又は5.5:1w/w(これらの値の間の任意の比を含む)に達するまで添加されてもよい。
【0218】
いくつかの実施形態では、グリセロールは、グリセロール:OC比が約0.5:1~約6:1w/wに達するまで添加されてもよい。いくつかの実施形態では、グリセロールは、グリセロール:OC比が約0.5:1~5:1w/w、0.5:1~4:1w/w、0.5:1~3:1w/w、0.5:1~2:1w/w、0.5:1~1:1w/w、又は0.5:1~0.9:1w/wに達するまで添加されてもよい。いくつかの実施形態では、グリセロールは、グリセロール:OC比が約0.9:1~6:1w/w、1:1~6:1w/w、1.5:1~6:1w/w、0.9:1~5:1w/w、0.9:1~4:1w/w、1:1~4:1w/w、1.5:1~4:1w/w、又は1.5:1~3:1w/wに達するまで添加されてもよい。
【0219】
本明細書で使用するとき、「組み合わせる」という用語は、接触、混合、ブレンド、撹拌などを含む任意の好適な方法によってOC及びグリセロールを互いに加えることに関する。
【0220】
いくつかの実施形態では、組成物は、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において、8mmの貫入で0.1Nの規定された予負荷から30mm/分の速度で直径1.27cmのプローブをモニタリングするように調整された引張試験機で測定したとき、20N未満の抵抗を有する。
【0221】
いくつかの実施形態では、組成物は、グリセロールの粘度よりも少なくとも約10%高い粘度を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において、約2.6×10センチポアズ(cP)未満の粘度を有する。
【0222】
いくつかの実施形態では、組成物は、グリセロールの粘度よりも少なくとも約10%高い粘度を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において、約2.0×10センチポアズ(cP)未満の粘度を有する。
【0223】
いくつかの実施形態では、組成物は、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において、グリセロールの粘度よりも少なくとも約5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、又は20%高い粘度を有する。
【0224】
いくつかの実施形態では、組成物は、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において、約5×10、2.6×10、1×10、5×10、1×10、5×10、1×10、5×10、1×10、5×10、1×10、5×10、2×10、又は1×10cP未満の粘度を有する。
【0225】
いくつかの実施形態では、OCは、酸化再生セルロース(ORC)を含む。
【0226】
いくつかの実施形態では、OCの粒径は、10μm~2,000μm、任意選択で50μm~300μmである。
【0227】
いくつかの実施形態では、本方法は、組成物にカルシウムを添加する工程を更に含む。
【0228】
いくつかの実施形態では、本方法は、少なくとも1種の生物学的活性剤を組成物に添加する工程を更に含む。
【0229】
いくつかの実施形態では、本方法は、塩化ナトリウム、マンニトール、アルブミン、及び酢酸ナトリウムからなる群から選択される1種又は2種以上の賦形剤を組成物に添加する工程を更に含む。
【0230】
いくつかの実施形態では、グリセロールとOCとの比は、それぞれ約0.5:1~約6:1w/wである。
【0231】
本方法又は組成物のいくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量は、少なくとも9重量%以上、例えば、約9重量%~約21重量%、又は約12重量%~約21重量%である。いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量は、約18重量%以上、例えば、18重量%~約21重量%である。いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量は、約9重量%~約18重量%又は12重量%~約18重量%である。いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量は、約9重量%~約21重量%又は12重量%~約21重量%である。本方法又は組成物のいくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量は、最大で約21重量%である。
【0232】
いくつかの実施形態では、組成物は、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において流動性である。
【0233】
いくつかの実施形態では、組成物は、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において流動性でない。
【0234】
いくつかの実施形態では、本方法は、熱処理、放射線処理、濾過又は化学処理、例えば、ガンマ線、孔径0.22μm以下を使用した濾過、熱滅菌及び無菌場などの当該技術分野において既知の方法によって組成物を処理して、バイオバーデンを低くする追加の工程を含む。
【0235】
組成物は、例えば、その貫入抵抗よって定義されてもよく、貫入抵抗は、引張法を用いることによって、以下の実施例1に詳述される方法などの様々な方法によって測定され得る。
【0236】
組成物はまた、例えば、粘度計を使用することによって、以下の実施例2に詳述される方法などの様々な方法によって測定することができる粘度により定義されてもよい。粘度値は、特定の温度で測定され、温度と共に変化し得る。
【0237】
実施例2では、いくつかのグリセロール:ORC比について粘度を測定し、外挿曲線を構築した。追加のグリセロール:ORC比の粘度は、外挿曲線を使用して算出した。
【0238】
別途記載のない限り、本願において言及される粘度値は、測定したままの値である。すなわち、グリセロールのバックグラウンドを差し引いていない。以下に提示される実験では、グリセロールのバックグラウンド粘度は約1,504cPである。
【0239】
更なる態様では、本発明は、酸化セルロース(OC)及びグリセロールを含む組成物であって、組成物の粘度が、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において、グリセロールの粘度よりも少なくとも約10%高く、かつ約2.6×10cP未満であり、総含水量が約8w/w%未満であり、組成物が、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値においてペーストの形態である、組成物を提供する。
【0240】
いくつかの実施形態では、組成物の粘度は、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において約2.0×10cP未満である。
【0241】
いくつかの実施形態では、組成物は、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において、グリセロールの粘度よりも少なくとも約11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、又は20%高い粘度を有する。
【0242】
いくつかの実施形態では、組成物は、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において、約1×10、5×10、1×10、5×10、1×10、5×10、1×10、5×10、1×10、5×10、2×10、又は1×10cP未満の粘度を有する。
【0243】
いくつかの実施形態では、約2.6×10cPの粘度は、約0.5:1であるグリセロール:OC比におよそ対応し、上記に定義したペーストの稠度においては高粘稠な組成物であり、非流動性ペーストである。
【0244】
いくつかの実施形態では、グリセロールの粘度よりも約10%高い粘度は、約1,650cPの粘度、及び6:1よりもわずかに高いグリセロール:OC比におよそ対応し、これもまた上記に定義したペーストの稠度内であり、流動性ペーストである。
【0245】
典型的には、限定するものではないが、流動性ペーストの稠度と非流動性ペーストの稠度との間のカットオフ値は、約3,500cPである。したがって、典型的には、限定するものではないが、約3,500cPを超える粘度は非流動性であると考えられ、約3,500cPを下回る粘度は流動性であると考えられる。
【0246】
一実施形態では、流動性条件と非流動性条件との間のカットオフ値は、3.15:1~3.78:1であるグリセロール:OCのw/w比にあると思われる。したがって、いくつかの実施形態では、流動性粘度値は、3.15:1超のグリセロール:OCのw/w比に対応する。いくつかの実施形態では、非流動性粘度値は、3.78:1未満のグリセロール:OCのw/w比に対応する。
【0247】
いくつかの実施形態では、組成物の粘度は、少なくとも約1,700cPである。いくつかの実施形態では、組成物の粘度は、少なくとも約1,800cP、1,900cP、又は2,000cPである。
【0248】
いくつかの実施形態では、組成物の粘度は、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において、約3,500cP以下である。いくつかの実施形態では、この粘度は流動性組成物に相当する。
【0249】
いくつかの実施形態では、組成物は、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において、約3,500cP以上の粘度を有する。いくつかの実施形態では、この粘度は非流動性組成物に相当する。
【0250】
いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量は、米国薬局方(USP)23-NF18に従って、約12%~約21%である。
【0251】
いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量は、約18%~約21%である。いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量は、約12%~約18%である。
【0252】
いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量が約18%~約21%である組成物は、軟組織における出血を制御するために使用される。
【0253】
いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量が約18%~約21%であり、粘度が、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において少なくとも約3,500cPである組成物は、骨組織における出血を制御するために使用される。
【0254】
いくつかの実施形態では、OCのカルボキシル含有量が約12%~約18%であり、粘度が、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において約3,500cP以下である組成物は、癒着を防止又は治療するために使用される。
【0255】
いくつかの実施形態では、組成物は、およそ室温において8mmの貫入で0.1Nの規定された予負荷から30mm/分の速度で直径1.27cmのプローブをモニタリングするように調整された引張試験機で測定したとき、約20N未満の貫入抵抗を有する。
【0256】
いくつかの実施形態では、組成物は、およそ室温において8mmの貫入で0.1Nの規定された予負荷から30mm/分の速度で直径1.27cmのプローブをモニタリングするように調整された引張試験機で測定したとき、約1N超の貫入抵抗を有する。
【0257】
いくつかの実施形態では、グリセロールとOCとの比は、少なくとも約0.5:1w/wグリセロール:OCである。いくつかの実施形態では、グリセロールとOCとの比は、約0.5:1~約6:1w/wグリセロール:OCである。
【0258】
いくつかの実施形態では、OCは、酸化再生セルロース(ORC)を含む。
【0259】
いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも1種の生物学的活性剤を更に含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の生物学的活性剤はカルシウムである。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の生物学的活性剤はトロンビンである。
【0260】
いくつかの実施形態では、組成物は、塩化ナトリウム、マンニトール、アルブミン、及び酢酸ナトリウムからなる群から選択される1種又は2種以上の賦形剤を更に含む。
【0261】
更なる態様では、本発明は、酸化セルロース(OC)及びグリセロールを含む組成物であって、組成物の粘度が、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において、グリセロールの粘度よりも少なくとも10%高く、かつ約2.0×10cP未満であり、総含水量が約8w/w%未満であり、組成物が、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値においてペーストの形態である、組成物を提供する。
【0262】
更なる態様では、本発明は、酸化セルロース(OC)及びグリセロールを含むペーストの形態の組成物であって、グリセロールとOCとの比が少なくとも約0.5:1w/wグリセロール:OCであり、総含水量が約8w/w%未満であり、組成物の粘度が、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値においてグリセロールの粘度よりも少なくとも10%高く、かつ約2.6×10cP未満である、組成物を提供する。
【0263】
更なる態様では、本発明は、酸化セルロース(OC)及びグリセロールを含むペーストの形態の組成物であって、グリセロールとOCとの比が少なくとも約0.5:1w/wグリセロール:OCであり、総含水量が約8w/w%未満であり、組成物の粘度が、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値においてグリセロールの粘度よりも少なくとも10%高く、かつ約2.0×10cP未満である、組成物を提供する。
【0264】
更に、本発明の一態様では、例えば、手術を受けている患者において、組織の出血部位における血液損失を低減する方法であって、上記実施形態で開示された組成物を出血部位と接触させる工程を含む、方法が提供される。
【0265】
更に、本発明の一態様では、例えば、手術を受けている患者において、組織及び/又は器官における癒着形成を低減する方法が提供される。本方法は、少なくとも手術部位及び/又はその近くに、上記実施形態に開示される組成物を適用する又は接触させる工程を含む。
【0266】
本発明の組成物の更なる利点は、それらが生体吸収性であり、したがって、副作用を引き起こすことなく術後に留置することができることである。これは、例えば骨内の出血を制御するために使用される現在利用可能な組成物(生体吸収性ではなく、組織の治癒を妨げる可能性がある蜜蝋から調製されるボーンワックスなど)とは対照的である。
【0267】
更なる態様では、本発明は、a)上記の本発明の組成物を収容する容器と、b)組成物を組織に適用するためのアプリケータと、c)任意選択で、使用説明書と、を含むキットを提供する。
【0268】
いくつかの実施形態では、容器(contained)はアプリケータの一部である。
【0269】
組成物の稠度は、例えば、組成物を出血部位の上に直接塗り広げることによって又は付着させることによって適用することができるようなものであることが理解される。したがって、組成物は、出血部位に適用するために適切な形態とするために、固体表面、物体、又はストリップ若しくはフィルムなどの他の固体媒体上に更に塗り広げる又は適用する必要はない。それにもかかわらず、組成物を出血部位上に適用する、塗り広げる、又は付着させるために、容易なアクセス及び取り扱いを目的として、例えば、注射器などの好適なアプリケータを使用してもよい。
【0270】
用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(having)」及びそれらの複合体は、「含むが、これらに限定されない(including but not limited to)」を意味する。用語「~からなる(consisting of)」は、「包含し、限定される(including and limited to)」ことを意味する。用語「~から本質的になる(consisting essentially of)」とは、組成物、方法又は構成が、追加の成分、工程及び/又は部分を含み得ることを意味するが、追加の成分、工程及び/又は部分が、特許請求される組成物、方法又は構成の基本的かつ新規の特性を実質的に変えない場合に限る。
【0271】
単語「代表的な」とは、本明細書では、「実例、事例又は例証としての役割を果たす」ことを意味する。「代表的な」として記載される任意の実施形態は、他の実施形態よりも好ましい又は有利であると必ずしも解釈される必要はない、及び/又はその他の実施形態からの特徴の組み込みを必ずしも排除する必要はない。
【0272】
本明細書では、単語「任意選択で(optionally)」は、「いくつかの実施形態では提供され、他の実施形態では提供されない」ことを意味する。本発明の任意の特定の実施形態は、このような特徴が矛盾しない限り、複数の「任意の(optional)」特徴を含んでもよい。
【0273】
本発明で使用する場合、その内容に別段の明確な指示がない限り、単数形「a」、「an」及び「the」は複数の指示物を含むものとする。例えば、用語「化合物(compound)」又は「少なくとも1つの化合物(at least one compound)」は、これらの混合物を含む複数の化合物を含んでよい。
【0274】
本出願全体を通して、本発明の種々の実施形態が範囲形式にて提示されてもよい。範囲形式の説明は単に便宜上及び簡潔さのためのものであり、本発明の範囲上の確固とした制限として解釈されるべきではない、と理解すべきである。したがって、範囲の説明は、全ての可能な部分範囲、並びにその範囲内の個々の数値を具体的に開示していると見なされるべきである。例えば、1~6などの範囲の説明は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などの具体的に開示される部分範囲、並びにその範囲内の個々の数、例えば、1、2、3、4、5、及び6を有すると見なされるべきである。これは、範囲の広さにかかわらず適用される。
【0275】
数値範囲が本明細書に示される場合はいつでも、示された範囲内の任意の引用された数字(分数又は整数)を含むことを意味する。用語、第1の表示番号と第2の表示番号との「間の範囲(ranging)/範囲(ranges)」、及び第1の表示番号「から」第2の表示番号「までの範囲(ranging)/範囲(ranges)」が本明細書で互換的に使用されるが、これは、第1及び第2の表示番号並びにこれらの間の全ての分数及び整数を含むことを意味する。
【0276】
本発明で使用する場合、用語「方法」とは、所与のタスクを達成するための方法、手段、技術及び手順を意味し、化学的、薬理学的、生物学的、生化学的及び医学的分野の施術者による周知の方法、手段、技術及び手順として、知られるか又は容易に開発されるか、のいずれかの方法、手段、技術及び手順のようなものを含むが、これらに限定されない。
【0277】
本発明で使用する場合、用語「治療する(treating)」は、病状の進行を抑制すること、実質的に阻害すること、緩徐化すること、若しくは逆行させること、状態の臨床症状若しくは審美的症状を実質的に改善すること、又は状態の臨床症状若しくは審美的症状の外観を実質的に予防することを含む。
【0278】
「A、B、及びCなどのうちの少なくとも1つ」に類する表記が用いられる場合、一般に、このような構文は、当業者がその表記を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、限定するものではないが、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方及び/又はAとBとCの全てなどを有するシステムを含む)。更に、実質上、2つ若しくはそれ以上の選択的な用語を表すあらゆる選言的な語及び/又は句は、明細書内であろうと、請求の範囲内であろうと、あるいは図面内であろうと、それら用語のうちの1つ、それらの用語のうちのいずれか、又はそれらの用語の両方を含む可能性を意図すると理解されるべきであることが、当業者には理解されよう。例えば、語句「A又はB」は、「A」若しくは「B」又は「A及びB」の可能性を含むものと理解されよう。
【0279】
本発明の特定の特徴は、明確性のために別個の実施形態の文脈において記載されているが、これはまた、単一の実施形態において組み合わせて提示されてもよいことが理解されている。逆に、本発明の様々な特徴は、簡潔さのために、単一の実施形態の文脈において記載されているが、これはまた、別個に、若しくは任意の好適な部分的組み合わせで、又は本発明の任意の他の記載される実施形態において、好適にもたらされてもよい。種々の実施形態の文脈において記載される特定の特徴は、その実施形態がそれらの要素なしには動作不可能である場合を除き、それらの実施形態の必須特徴であるとして考慮されるべきではない。
【0280】
特に指示がない限り、例えば、比、重量、モル/モル、量、粘度、温度などを表すものなどの全ての数は、全ての場合において、用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。したがって、そうではないと示されない限り、本説明中及び添付の特許請求の範囲に記載されている数値パラメータは、本発明が得ようとする所望の性質に応じて最大で±10%変化し得る近似値である。
【0281】
本明細書の上記で詳述され、以下の特許請求の範囲において特許請求されるような、本発明の種々の実施形態及び態様は、以下の実施例において実験的な裏付けを見出す。
【実施例
【0282】
以下の実施例を参照すると、上記の説明と併せて、非限定的な方法で本発明のいくつかの実施形態が例示されている。
【0283】
材料及び方法
材料
グリセロールは、J.T.Baker(Cat.2136-01)から、SURGICEL(登録商標)(ORC)はEthicon(Cat.PBM05152017 Mill2)から、INTERCEED(登録商標)(ORC)はEthicon(Cat.IBULK X319 Mill2)から入手した。
【0284】
止血活性を試験するためのインビボブタパンチ生検モデル:使用される動物手順は、MacDonald et al.2017,Medical Devices:Evidence and Research 10:273-279で以前に報告されているプロトコルと類似しているが、いくつかの変更を含む。
【0285】
例示的な手順では、4mmに設定された停止部を伴う8mmの使い捨て生検パンチを使用した。
【0286】
試験物品を適用した後30秒間にわたってタンポナーデを適用し、易流動性血液の存在を2分間モニタリングし、易流動性血液なしを達成するまでに適用されたタンポナーデの数を記録した。
【0287】
簡潔に述べると、腹側正中腹部切開を実施し、正中切開の頭方部分を延長して肝臓の曝露を改善した。試験表面の利用能を最大化するために、必要に応じて肝臓を位置決めした。処置の間、生理食塩水及び生理食塩水に浸した腹腔切開スポンジで腹部臓器を常に湿らせていた。深さ停止部が4mmに設定された使い捨ての8mm生検パンチを使用して、左、右及び方形葉のアクセス可能領域の横隔膜表面上に、肝実質欠損を生じさせた。生検のコア部分を掴んで、下にある表面に軽度から中程度の出血を生じさせることなく、鋭く切開した。
【0288】
得られた出血の特性評価を可能にするために、製品適用に先立って欠損部位を数秒間出血させた。各欠損部位の出血は、創傷形成時及び治療前に0-5の範囲で分類された。1以下に分類された欠損部を除外し、それらに対して試験を実施しなかった。試験部位をガーゼで拭き取り、次に試験物品の1つを適用した。本研究の目的のために、有効な止血は、易流動性出血の停止として定義された。出現していたが成長しなかった少量出血又は点状出血は、易流動性出血であるとは見なされなかった。
【0289】
「乾燥ORC」組成物に関しては、材料を欠損部の上に直接注ぐことによって、ORC+グリセロール組成物に関しては注射器を使用することによって、又は対照物品に関してはSurgifloアプリケータを使用することによって、のいずれかで試験物品を欠損部(出血部位)上に分配した。初期タンポナーデは、ガーゼへの指の圧力を使用して約30秒間適用した。最初の30秒間のタンポナーデに続いて、被覆剤を除去した。止血が120秒後に達成されなかった場合、タンポナーデを再度適用し、更に30秒間維持し、その後に別のモニタリング期間が続いた。有効な止血が達成されるまでこのプロセスを繰り返し、適用されたタンポンの数を記録した。
【0290】
骨出血における止血活性を試験するためのインビボブタ胸骨切開モデル:ブタのパンチモデルを結論づけた後、胸骨を露出させ、骨鋸及び二分胸骨を強制的に押し開くための胸骨リトラクタを使用して、胸骨正中切開を実施した。
【0291】
結果として得られた二分胸骨からの持続的な出血は、タンポナーデを適用せず、グリセロール+ORC(約0.5:1v/w)組成物を手で適用することによって対処された。初期出血部位を、易流動性血液の存在に関して2分間モニタリングした。2つの出血部位は、ORC+グリセロール組成物(約1:0.5w/v)で対処され、モニタリング工程後に出血は観察されなかった。加えて、掻き取ることによる、初期出血部位からの過剰なORC+グリセロールの除去は、更なる出血を生じさせなかったことに留意されたい。
【0292】
癒着防止活性を試験するためのインビボラット盲腸癒着ボモデル:簡潔に述べると、動物の麻酔は、ケタミンHCl 80mg/kg(Fort Dodge Pty.Ltd.,Australia)とキシラジンHCl 10mg/kg(VMD,Belgium)との混合物の単回筋肉内注射を用いて投与した。(手術処置は腹腔に対して行われたため、麻酔は腹腔内ではなく筋肉注射で投与された)。
【0293】
腹側正中線上の線を覆う皮膚に、6cmの切開のためのマークを付けた。腹部皮膚を剃毛し、ヨードフォア溶液で準備し、切開した。処置の終了時の縫合を容易にするために、皮膚を牽引して皮下剥離させた。筋肉壁が露出した状態で、腹膜腔を通して、その線に沿って筋肉に5cmの切開部を形成した。右側腹壁を反転させた(reflected)。1×2cmの腹膜及び筋肉の一部を取り除いた。この欠陥部の内側縁部は、正中線切開部から1cm外側に、正中線切開部に平行に位置した。出血を観察するために、腹壁欠陥部をモニタリングした。点状出血の均質な表面が1×2cm面積にわたって形成されるようにメスで掻き取ることによって、対応する欠損部を盲腸に形成した。擦り傷を付ける前に盲腸を持ち上げて、閉じる際に盲腸が腹壁欠損部と接触して局所癒着を誘発するように位置決めされた。2つの表面を10分間空気乾燥させた。各試験物品について、一定の量を盲腸上に広げて、試験物品の薄層で盲腸を完全に覆うようにした。「処置なし」群はそのまま放置した。群割り付け及び適用後、盲腸及び腹壁欠損部は、閉じる前に1分間にわたって一緒に保持された。器官を解剖学的に元の位置に戻し、器官を近接して維持するために2つの縫合糸を欠陥の各端に配置した。処置中、動物を慎重に観察して、麻酔処置に対する予想外の応答を有するあらゆる動物を除去した。
【0294】
処置に続いて、動物に、疼痛を軽減するために、酒石酸ブトルファノール(Torbugestic)0.5~2.0mg/体重(kg)を単回投与した。動物を毎日モニタリングし、臨床的兆候又は挙動の変化が観察された場合には、動物の行動に応じて、必要に応じてブトルファノール0.5~2.0mg/体重(kg)を4時間毎に動物に皮下投与して痛みをコントロールした。手術後14日後に動物をCOによって窒息させて安楽死させた。腹部を開け、手術部位を検査した。癒着は、盲検観察者によって等級付けされた。
【0295】
様々な腹部臓器に対する癒着強度を、以下のスキームに従って評価した(Poehnert et al.,2015,International journal of medical sciences 12(1)1-6):グレード0-癒着なし;グレード1-薄膜状の癒着で剥離は容易;グレード2-鈍的切開で剥離可能;グレード3-鋭的剥離が必要;グレード4-異なる組織の縁部を区別することが困難であり、分離が非常に難しい。癒着の強さに加えて、癒着範囲を定規で測定した。癒着強度は、癒着の強さ×癒着範囲(mm)として計算した。
【0296】
実施例1:酸化再生セルロース(ORC)-グリセロール混合ペーストの抵抗を試験する。
貫入中に及ぼされる力をモニタリングするために、LF Plus引張試験機(Lloyd Instruments)を使用して測定を行った。引張試験機は、金属プローブをサンプルの中へと予め選択された距離にわたって伸長させて、サンプルによって呈された抵抗又は負荷(ニュートン)を記録する。機械に取り付けられたプローブは、直径1.27cmの平坦な縁部を有する円筒形プローブであった。加えられた力をモニタリングするセンサであるロードセルは、サンプルの抵抗に応じて、10N(最大10Nの力を検出することができる)又は100N(最大100Nの力を検出することができる)のいずれかであった。引張試験機の設定は、0.1Nの規定された予負荷から開始して8mmの貫入をモニタリングするように調整された。0.1Nの予負荷は、0.1Nの抵抗がモニタリングされた時点で、かつプローブがサンプル内にあるときのみに、8mm貫入の登録が開始されることを確実にする。プローブの速度は30mm/分に設定された。各試験の前に、サンプルをプローブの下の中心に配置した。
【0297】
グリセロールとORCとの様々な比率を有するいくつかの製剤を、表1のそれぞれの量の無水グリセロールを、4グラム(gr)の乾燥摩砕ORC添加することによって調製した。製剤を直径3cmのガラスバイアル瓶中で調製し、次いで、60~80℃のオーブンの中で一晩インキュベートし、室温に戻した。インキュベーション後、製剤は、直接使用されるか、又は使用前に更に混合された。
【0298】
【表1】
1.26gr/mLのグリセロール密度に基づく
【0299】
製剤を、上述した貫入力に対するそれらの抵抗について、手動混合を用いて及び用いずに試験した。グリセロールとORCとの比(w/w)が4.09:1である混合製剤及び4.41:1である混合製剤については、得られた低抵抗が機械の予負荷設定未満であったため、正確なデータは得られなかった。
【0300】
図1及び図2は、様々なペーストの稠度の貫入抵抗を示す。図から分かるように、パテの稠度は、より高い流動性の稠度よりも高い貫入抵抗を有した。非混合(図1)組成物の抵抗は、混合組成物(図2)の抵抗よりも高かった。流動性組成物では、抵抗性は、混合で3Nをわずかに上回る高さであり、非混合で6Nをわずかに上回る高さであった一方、パテの稠度に関しては、抵抗は、混合で9Nをわずかに上回り、非混合で16Nをわずかに上回った。
【0301】
実施例2:様々な比率のグリセロール:酸化再生セルロース(ORC)混合物の動的粘度
サンプルは、摩砕ORC(米国特許第9539358号に記載のプロセスにより調製)(SURGICEL(登録商標)又はINTERCEED(登録商標))と、100%グリセロールとを、低湿度下(<20%)条件下で、脱湿機内で、表2に示す様々な比率で(重量/体積:1:1.5、1:2、1:2.5、1:3、1:3.5、1:4)混合することによって調製された。手動で混合した後、サンプルを6mLのガラスバイアル瓶(Fiolax clear、ロット番号6102981482、直径22mm)に入れ、室温で約(proximally)16~20時間にわたってローラー(Stuart Scientific、Roller Mixer SRT2)上で均質化させた。v/w比が3:1であるグリセロール:INTERCEED(登録商標)ORCを有するサンプルを、20~40KGrayでガンマ線照射して、バイオバーデンを減少させた。
【0302】
例示的な製剤の粘度を、Brookfield HELIPATH Spindle-TF(直径10.9)を備えたブルックフィールド粘度計、モデルLVDV-II+Pro EXTRAを使用して測定した。測定前に全てのサンプルを約20~22℃に16~20時間平衡化させた。サンプルの粘度に応じて毎分20~200回転(RPM)の3つの異なる回転速度を使用して、各サンプルを分析した。各サンプルは5回の読み取り値を有し、平均をセンチポアズ(cP)で計算した。サンプルの平均読み取り値に基づいて、Rスクエア0.99超で対数図表を作成し、傾向線方程式を算出して測定されていない値を外挿した。外挿では、グリセロールのバックグラウンドのない結果を用いた。様々な組成物の粘度の結果を以下及び図3図8に示す。Rスクエア(R)は、回帰モデルにおける独立変数又は変数によって説明される従属変数に対する変動の割合を表す。
【0303】
【表2】
【0304】
【表3】
【0305】
【表4】
【0306】
【表5】
【0307】
【表6】
【0308】
【表7】
【0309】
【表8】
【0310】
実施例3:軟組織における出血を止めるための、1:1であるORC/グリセロールのw/v比を有するSURGICEL(登録商標)ORCペースト
組成物を、表9に詳述されるように調製した。
【0311】
【表9】
【0312】
以下の方法で組成物を調製した。
乾燥ORC:5グラムのSURGICEL(登録商標)-摩砕ORC(Ethicon、AC3X112916-1)をバイアル瓶に量り入れ、密封した。ORC+グリセロール:5グラムの摩砕ORCをバイアル瓶に量り入れ、注射器(Yoel Naim、バッチ番号20130815)を使用して5mLのグリセロール(J.T.Baker、バッチ番号0000136697)を添加し、バイアル瓶を密封し、ローラー上に24時間置いた。
【0313】
ORC+グリセロール+CaCl:5グラムのSURGICEL(登録商標)-摩砕ORCをバイアル瓶に量り入れた。0.5グラムのCaCl(Sigma Aldrich、カタログ番号21097-50G)を同じバイアル瓶に添加し、5mLのグリセロールを注射器を用いてバイアル瓶に添加した。次に、バイアル瓶を密封し、ローラー上に24時間置いた。
【0314】
ORC+グリセロール+トロンビン:5グラムのSURGICEL(登録商標)-摩砕ORCをバイアル瓶に量り入れ、3つの凍結乾燥トロンビン(Omrix、W46T410SD)バイアル瓶にグリセロールを充填し(各バイアル瓶に対して2mL)、ローラー上に置いた。トロンビンが溶解したら、5mLのグリセロール+トロンビンを採取し、5グラムの摩砕ORCを収容するバイアル瓶に添加した。次に、バイアル瓶を密封し、ローラー上に24時間置いた。
【0315】
この試験では、同様の指示を共有する2つの対照物品を使用した。
【0316】
ゼラチンペースト:8mLのゼラチンペーストを、Surgiflo(登録商標)(Ethicon、ロット:248177)の製造業者の使用説明書に従って調製し、ペーストを2mLの水と混合した。
【0317】
ゼラチンペースト+トロンビン:8mLのゼラチンペーストを、Surgiflo(登録商標)(Ethicon、ロット:248177)の製造業者の使用説明書に従って調製して使用し、800~1200国際単位(IU)のトロンビンを2mLの水で再構成し、ゼラチンペーストと混合した。
【0318】
SURGICEL(登録商標)ORC及びグリセロールを含む組成物を、容易に適用するためにいくつかの1mLの注射器に充填し、ブタパンチ生検モデルで使用した。
【0319】
様々な組成物の止血活性の結果を図9に示す。
【0320】
図9から分かるように、試験した全てのORC/グリセロール組成物は、乾燥したSURGICEL(登録商標)-ORC(摩砕ORC)よりも、又はトロンビンを含まないゼラチンペーストよりも良好な、効果的な止血活性を示した。
【0321】
実施例4:骨組織内の出血を止めるための、約0.5:1であるグリセロール/ORCのv/w比を有するSURGICEL(登録商標)-ORC非流動性ペースト
組成物を、表10に詳述されるように調製した。
【0322】
【表10】
【0323】
以下の方法で組成物を作製した。
乾燥ORC:18~21%のカルボキシル含有量を有する5グラムのSURGICEL(登録商標)-摩砕ORC(Ethicon、AC3X112916-1)をバイアル瓶に量り入れ、密封した。
【0324】
ORC+グリセロール:5グラムのSURGICEL(登録商標)-摩砕ORCをバイアル瓶に量り入れ、注射器(Yoel Naim、バッチ番号20130815)を使用して2.5mLのグリセロール(J.T.Baker、バッチ番号0000136697)を添加し、バイアル瓶を密封し、ローラー上に24時間置いた。
【0325】
対照物品を実施例3と同様に調製した。
【0326】
ORC/グリセロール組成物は、前述の実施例に記載されたパンチ生検モデルにおいて、ゼラチンペーストよりも、又は乾燥ORCよりも良好な止血効果を示した(図9参照)。ORC/グリセロール組成物はまた、胸骨切開モデル(データは示さず)で試験されたように、骨組織において完全な止血を達成することが可能であった。
【0327】
実施例5:ラット盲腸擦り傷モデルにおける癒着防止効果
癒着は、慢性疼痛、不妊症を引き起こし得る重要な医学的問題であり、死亡につながり得る腸閉塞症に関連する。これらの癒着の多くは、腹膜への外科的外傷から生じる。癒着を低減する本発明の組成物の能力を調べるために、当該組成物を動物モデルで試験した。選択されたモデル(modal)は、盲腸の擦り傷及び腹部側壁欠損部を含むラットモデルである。モデルについては、Poehnert et al.,2015,International Journal of Medical Sciences 12(1):1-6に概説されているが、わずかな変更を伴う。
【0328】
試験物品を以下のように調製した。
処置なし群:処置なし。
【0329】
インターシード群:市販のINTERCEED(登録商標)シート(Ethicon)を、盲腸を覆うように適用されるサイズに切断した。
【0330】
INTERCEED(登録商標)粉末群は、凝集体の形態であり、米国特許第9539358号の実施例に記載のプロセスによって生成されたが、使用した基礎材料がSURGICEL(登録商標)シート(Ethicon)ではなくINTERCEED(登録商標)シート(Ethicon)であった点が異なった。凝集体の形態のインターシード粉末はまた、本明細書では、凝集形態の摩砕/粉砕INTERCEED、小さな顆粒に圧縮された摩砕/粉砕INTERCEED(登録商標)、圧縮インターシード粉末、凝集体の形態に圧縮されたインターシード、とも呼ばれる。
【0331】
3:1及び2:1グリセロール:インターシードv/w群:上記の表2に記載の通りに製剤を調製し、更に20~45キログレイのガンマ線(Sorvan radiation ltd)に供して、無菌性を提供した。
【0332】
グリセロール群:純グリセロール(J.T.Baker、2136-01)を使用した。
【0333】
試験物品を、上記の方法の項で説明したようにラット盲腸の擦り傷モデルに適用した(6回繰り返した)。図10から分かるように、3:1グリセロール:インターシード群は、癒着防止の最低強度を有し、2:1グリセロール:インターシード群は、インターシード摩砕ORC群と同等の強度を有した。
【0334】
ガンマ線照射された粉末ORCは、ORC布地と比較して約135%の癒着防止効力を示したことは注目すべきである。
【0335】
本発明は、その特定の実施形態と共に記載されてきたが、多くの代替、変更及び変形形態が当業者には明白となることは明らかである。したがって、これは、添付の特許請求の趣旨及び広義の範囲内にある、このような代替、変更及び変形形態の全てを包含することを目的としている。
【0336】
〔実施の態様〕
(1) 酸化セルロース(OC)及びグリセロールを含む組成物であって、
(i)グリセロールとOCとの比が、少なくとも約0.5:1w/wグリセロール:OCであり、
(ii)総含水量が約8w/w%未満であり、
(iii)前記組成物が、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値においてペーストの形態である、組成物。
(2) 10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において、前記グリセロールの粘度より少なくとも約10%高い粘度を有する、実施態様1に記載の組成物。
(3) およそ室温において8mmの貫入で0.1Nの規定の予負荷から30mm/分の速度で直径1.27cmのプローブをモニタリングするように調整された引張試験機で測定したとき、約20N未満の貫入抵抗を有する、実施態様1又は2に記載の組成物。
(4) およそ室温において8mmの貫入で0.1Nの規定の予負荷から30mm/分の速度で直径1.27cmのプローブをモニタリングするように調整された引張試験機で測定したとき、約1N超の貫入抵抗を有する、実施態様1又は2に記載の組成物。
(5) 前記グリセロールとOCとの比が、約0.5:1~約6:1w/wグリセロール:OCである、実施態様1~4のいずれかに記載の組成物。
【0337】
(6) 前記OCが、酸化再生セルロース(ORC)を含む、実施態様1~5のいずれかに記載の組成物。
(7) 少なくとも1種の生物学的活性剤を更に含む、実施態様1~6のいずれかに記載の組成物。
(8) 前記少なくとも1種の生物学的活性剤がカルシウムである、実施態様7に記載の組成物。
(9) 塩化ナトリウム、マンニトール、アルブミン、及び酢酸ナトリウムからなる群から選択される1種又は2種以上の賦形剤を更に含む、実施態様1~8のいずれかに記載の組成物。
(10) 前記OCのカルボキシル含有量が、約9%~約21%である、実施態様1~9のいずれかに記載の組成物。
【0338】
(11) 前記OCの前記カルボキシル含有量が、18%以上である、実施態様1~10のいずれかに記載の組成物。
(12) 前記ペーストが、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において流動性である、実施態様11に記載の組成物。
(13) 前記グリセロールとOCとの比が、少なくとも約2:1w/wである、実施態様11又は12に記載の組成物。
(14) 前記グリセロールとOCとの比が、約6:1以下である、実施態様13に記載の組成物。
(15) 前記ペーストが、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において流動性でない、実施態様11に記載の組成物。
【0339】
(16) 前記グリセロールとOCとの比が、約4:1w/w以下である、実施態様11又は15に記載の組成物。
(17) 軟組織における出血の制御に使用するための、実施態様11~16のいずれかに記載の組成物。
(18) 骨組織における出血の制御に使用するための、実施態様15又は16に記載の組成物。
(19) 前記OCの前記カルボキシル含有量が、18%未満に等しい、実施態様10に記載の組成物。
(20) 前記組成物が、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において流動性である、実施態様19に記載の組成物。
【0340】
(21) 前記グリセロールとOCとの比が、少なくとも約2:1w/wである、実施態様19又は20に記載の組成物。
(22) 前記グリセロールとOCとの比が、約6:1以下である、実施態様21に記載の組成物。
(23) 癒着防止材として使用するための、実施態様19~22のいずれかに記載の組成物。
(24) 酸化セルロース(OC)及びグリセロールを含む組成物を調製するための方法であって、
a.約12%(w/w)以下の含水量を有するOC粉末を、グリセロールと、少なくとも約0.5:1w/wであるグリセロール:OC比で組み合わせる工程と、
b.任意選択で、前記組成物を室温より高温に加熱する工程と、
c.任意選択で、前記組成物にグリセロールを更に添加する工程と、を含み、
これにより、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値においてペーストの稠度であることを特徴とする組成物が得られる、方法。
(25) 前記組成物が、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において、前記グリセロールの粘度よりも少なくとも約10%高く、かつ約2.6×10cP未満の粘度を有する、実施態様24に記載の方法。
【0341】
(26) 前記グリセロールとOCとの比が、それぞれ約0.5:1~約6:1w/wである、実施態様24又は25に記載の方法。
(27) 前記OCが、酸化再生セルロース(ORC)を含む、実施態様24~26のいずれかに記載の方法。
(28) 前記OCの粒径が、10μm~2,000μm、任意選択で50μm~300μmである、実施態様24~27のいずれかに記載の方法。
(29) 前記OCのカルボキシル含有量が、約9重量%超である、実施態様24~28のいずれかに記載の方法。
(30) 前記OCの前記カルボキシル含有量が、約18重量%超である、実施態様24~29のいずれかに記載の方法。
【0342】
(31) 前記OCの前記カルボキシル含有量が、最大で約21重量%である、実施態様24~30のいずれかに記載の方法。
(32) 前記組成物が、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において流動性である、実施態様29~31のいずれかに記載の方法。
(33) 前記組成物が、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において流動性でない、実施態様29又は30に記載の方法。
(34) 酸化セルロース(OC)及びグリセロールを含む組成物であって、
(i)前記組成物の粘度が、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において、前記グリセロールの粘度よりも少なくとも10%高く、かつ約2.6×10cP未満であり、
(ii)総含水量が約8w/w%未満であり、
(iii)前記組成物は、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値においてペーストの形態である、組成物。
(35) 少なくとも約0.5:1w/wグリセロール:OCである、グリセロールとOCとの比を有する、実施態様34に記載の組成物。
【0343】
(36) 少なくとも約1,700cPの粘度を有する、実施態様34又は35に記載の組成物。
(37) 前記OCのカルボキシル含有量が、9重量%超である、実施態様34~36のいずれかに記載の組成物。
(38) 前記OCの前記カルボキシル含有量が18%以上である、実施態様34~36のいずれかに記載の組成物。
(39) 10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において約3,500cP以下の粘度を有する、実施態様38に記載の組成物。
(40) 10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において約3,500cP以上の粘度を有する、実施態様38に記載の組成物。
【0344】
(41) 軟組織における出血の制御に使用するための、実施態様38~40のいずれかに記載の組成物。
(42) 骨組織における出血の制御に使用するための、実施態様40に記載の組成物。
(43) 前記OCの前記カルボキシル含有量が、18重量%未満に等しい、実施態様37に記載の組成物。
(44) 10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において約3,500cP以下の粘度を有する、実施態様43に記載の組成物。
(45) 癒着防止材として使用するための、実施態様43又は44に記載の組成物。
【0345】
(46) 酸化セルロース(OC)及びグリセロールを含むペーストの形態の組成物であって、
(i)グリセロールとOCとの比が、少なくとも約0.5:1w/wグリセロール:OCであり、
(ii)総含水量が約8w/w%未満であり、
(iii)前記組成物の粘度が、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、37℃、及び40℃からなる群から選択される1つ又は2つ以上の温度値において、前記グリセロールの粘度よりも少なくとも10%高く、かつ約2.6×10cP未満である、組成物。
(47) キットであって、
a.実施態様1~23及び実施態様34~46のいずれかに記載の本発明の組成物を収容する容器と、
b.前記組成物を組織に適用するためのアプリケータと、
c.任意選択で、使用説明書と、を含む、キット。
(48) 前記容器が前記アプリケータに含まれる、実施態様47に記載のキット。
(49) 18%未満に等しいカルボキシル含有量を有するOCを含むガンマ線照射された癒着防止粉末であって、同様のカルボキシル含有量を有するOC布地と比較して、少なくとも120%の癒着防止効力を特徴とする、癒着防止粉末。
(50) 前記粉末が、凝集形態の摩砕されたOCを含む、実施態様48に記載の癒着防止粉末。
図1
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図10