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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-16
(45)【発行日】2024-08-26
(54)【発明の名称】熱分配装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 17/08 20060101AFI20240819BHJP
【FI】
F25B17/08 A
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021539954
(86)(22)【出願日】2020-01-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-10
(86)【国際出願番号】 EP2020050962
(87)【国際公開番号】W WO2020148360
(87)【国際公開日】2020-07-23
【審査請求日】2022-12-27
(31)【優先権主張番号】1950065-1
(32)【優先日】2019-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521299972
【氏名又は名称】ヒートアンプ スウェーデン アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ハリン インゲマール
【審査官】西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/053764(WO,A1)
【文献】米国特許第04207751(US,A)
【文献】特表2009-539057(JP,A)
【文献】特表2011-511924(JP,A)
【文献】特表2014-514135(JP,A)
【文献】国際公開第2017/207262(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第00203558(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 17/00 ー 17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱伝達装置であって、
バッファタンク(1)と、
前記バッファタンク(1)と熱的に接触する反応器容器(2)であって、活性物質が前記反応器容器(2)の内部に保持される、反応器容器(2)と、
バーナー(A)と、
前記バーナー(A)から前記反応器容器(2)内の活性物質に熱を伝達するように構成された反応器加熱ループと、
前記反応器容器(2)内の活性物質から前記バッファタンク(1)に熱を伝達するように構成された反応器冷却ループと、
前記反応器容器(2)と流体接触する揮発性液体リザーバ(14)と、
前記揮発性液体リザーバ(14)と流体接触する蒸発器(15)と、
前記反応器容器(2)と、前記揮発性液体リザーバ(14)と、前記蒸発器(15)と、によって形成された密閉空間内の揮発性液体であって、揮発性液体は、揮発性液体が、第1温度で活性物質によって吸着される能力と、より高い第2温度で活性物質によって脱着される能力と、を有するように、活性物質と共に選択される、揮発性液体と、
排ガスパイプ(10,11,12)であって、前記バーナー(A)から前記揮発性液体リザーバ(14)を少なくとも部分的に囲む第1空間に通じ、熱が第1空間のバーナー排ガスから前記揮発性液体リザーバ(14)に伝達されることができるように構成される、排ガスパイプ(10,11,12)と、
前記反応器容器(2)の内部の反応器熱交換器(3)であって、前記反応器熱交換器(3)は、内部および外部を有し、活性物質が前記反応器熱交換器(3)の外部に少なくとも部分的に備えられる、反応器熱交換器(3)と、
を備え、
前記反応器加熱ループは、前記バーナー(A)を少なくとも部分的に囲むボイラ(4)と、前記ボイラ(4)から前記反応器熱交換器(3)の内部に通じるボイラ導管(5,16)であって、前記反応器熱交換器(3)の内部が前記反応器熱交換器(3)の外部に備えられた活性物質と熱的に接触するところのボイラ導管(5,16)と、前記反応器熱交換器(3)の内部から前記ボイラ(4)に通じるバーナー流体供給管(9)と、前記バーナー流体供給管(9)から前記バッファタンク(1)に通じる連絡パイプ(8)と、を備え、
前記反応器冷却ループは、ポンプ(B)およびバルブ(E)を介して前記バッファタンク(1)から前記反応器熱交換器(3)の内部に通じる反応器冷却インレットパイプ(7)と、前記バーナー流体供給管(9)から前記バッファタンク(1)に通じる連絡パイプ(8)と、を備え、
前記バッファタンク(1)により形成される密閉空間、前記ボイラ(4)、前記ボイラ導管(5,16)、前記反応器熱交換器(3)の内部、前記反応器冷却インレットパイプ(7)、前記連絡パイプ(8)、前記バーナー流体供給管(9)は、少なくとも部分的に熱伝達流体で充填され、
前記排ガスパイプ(10,11,12)は、前記バッファタンク(1)と少なくとも部分的に熱的に接触する、熱伝達装置。
【請求項2】
請求項1に記載の熱伝達装置であって、前記排ガスパイプ(10,11,12)は、前記蒸発器(15)を少なくとも部分的に囲む第2空間にさらに通じ、熱が、第2空間内の高温ガスから前記蒸発器(15)に伝達されることができるようになっている、熱伝達装置。
【請求項3】
請求項1に記載の熱伝達装置であって、前記排ガスパイプ(10,11,12)は、ブライン回路と熱的に接触し、前記ブライン回路は、周囲空気および前記蒸発器(15)とさらに熱的に接触する、熱伝達装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の熱伝達装置であって、前記ボイラ導管(5,16)上のバルブ配置(C)と、前記バルブ配置(C)から前記バッファタンク(1)に通じるブーストパイプ(6)と、を備える熱伝達装置。
【請求項5】
請求項4に記載の熱伝達装置であって、前記ブーストパイプ(6)が少なくとも部分的に前記熱伝達流体で充填される熱伝達装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の熱伝達装置であって、前記排ガスパイプ(10,11,12)は、前記ボイラ導管(5)の一部と熱的に接触する、熱伝達装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の熱伝達装置であって、前記排ガスパイプ(11)の一部は、前記バッファタンク(1)の上半分で前記バッファタンク(1)と熱的に接触する、熱伝達装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の熱伝達装置であって、前記反応器冷却インレットパイプ(7)は、前記バッファタンク(1)の上半分にある第1インレットと、前記バッファタンク(1)の下半分にある第2インレットと、を備えるパイプ配置であり、バルブ配置は、第1および第2インレットの流れを制御するように構成される、熱伝達装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の熱伝達装置であって、前記バッファタンク(1)の内部と流体連通するように、前記バーナー流体供給管(9)に少なくとも1つの開口があり、前記開口は、前記連絡パイプ(8)が前記バーナー流体供給管(9)に接続される箇所よりも下にある、熱伝達装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の熱伝達装置を動作させる方法であって、前記装置は、以下のフェーズ:
a)脱着フェーズであって、前記バーナーは、前記反応器加熱ループを介して活性物質を加熱し、揮発性液体を活性物質から脱着させ、揮発性液体は、前記反応器容器(2)の壁上で少なくとも部分的に凝縮し、それによって、前記バッファタンク(1)を加熱し、揮発性液体は、重力によって前記揮発性液体リザーバ(14)および前記蒸発器(15)に流れ、前記バーナー(A)からの排ガスは、前記揮発性液体リザーバ(14)において凝縮を弱める熱を提供する、前記揮発性液体リザーバ(14)を少なくとも部分的に囲む第1空間に到達する、脱着フェーズ、
b)吸着フェーズであって、前記バーナーはオフであり、揮発性液体は、前記蒸発器(15)から蒸発し、前記反応器容器(2)において活性物質に到達し、熱が生成され、熱が、前記反応器冷却ループによって活性物質から前記バッファタンク(1)に伝達される、吸着フェーズ、
のうちの1つで動作する、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、請求項4から5、および請求項4又は5を引用する請求項6から9のいずれか1項に記載の装置が動作され、前記装置は、バルブC、Eおよび前記ポンプBならびに前記バーナー(A)によって決定される以下のフェーズ:
a)脱着フェーズであって、前記バーナーは、前記ボイラ(4)内の熱伝達流体を加熱し、それによって、前記反応器熱交換器(3)の外部で活性物質に熱が伝達される前記反応器熱交換器(3)の内部への加熱された熱伝達流体の流れを生成し、活性物質の加熱は、活性物質から揮発性液体を脱着させ、揮発性液体は、前記反応器容器(2)の壁上で少なくとも部分的に凝縮し、それによって、前記バッファタンク(1)を加熱し、揮発性液体は、重力によって前記揮発性液体リザーバ(14)、および前記蒸発器(15)へと流れ、前記反応器熱交換器(3)からの熱伝達流体は、前記バーナー流体供給管(9)を介して前記ボイラ(4)へと戻り、前記バーナー(A)からの排ガスは、前記揮発性液体リザーバ(14)を囲む第1空間に到達し、そこでそれは揮発性液体リザーバ(14)における凝縮を妨げ、前記バーナー(A)からの排ガスは、前記蒸発器(15)を囲む第2空間に到達し、そこでそれは前記蒸発器を除霜するための熱を提供する、脱着フェーズ、
b)ブーストモードであって、前記ボイラ(4)内の、および任意選択で前記ボイラ導管(5)の一部内の、熱伝達流体を加熱し、それによって、前記ブーストパイプ(6)を介した前記バッファタンク(1)への加熱された熱伝達流体の流れを生成し、熱伝達流体は、前記バッファタンク(1)から前記連絡パイプ(8)および前記バーナー流体供給管(9)を通って前記ボイラ(4)に戻り、前記バーナー(A)からの排ガスは、前記蒸発器(15)の周囲に到達し、そこでそれは前記蒸発器を除霜するための熱を提供する、ブーストモード、
c)吸着フェーズであって、前記バーナーはオフであり、揮発性液体は、前記蒸発器(15)から蒸発し、反応器導管(13)を介して前記反応器熱交換器(3)の外部上の活性物質に到達し、熱が生成され、前記反応器冷却インレットパイプ(7)を通って前記ポンプ(B)によって前記反応器熱交換器(3)に送り込まれる熱伝達流体を加熱し、加熱された熱伝達流体は、前記連絡パイプ(8)を通って前記反応器から前記バッファタンク(1)に流れ出る、吸着フェーズ、
のうちの1つで動作する、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、前記脱着フェーズにおいて、前記バーナーが、前記ボイラ(4)内および前記ボイラ導管(5)の一部内の熱伝達流体を加熱する、方法。
【請求項13】
請求項10から12のいずれか1項に記載の方法であって、気相の熱伝達流体は、前記ボイラ(4)で脱着フェーズ中に生成され、そこで気相の伝熱流体は、前記反応器熱交換器(3)に到達し、前記反応器熱交換器(3)内で凝縮し、凝縮熱伝達流体は、前記反応器熱交換器(3)から前記バーナー流体供給管(9)を介して前記ボイラ(4)に戻る、方法。
【請求項14】
請求項10から13のいずれか1項に記載の方法であって、追加の除霜モードは、前記バーナー(A)を燃やし、排ガスが、除霜のための熱を提供する前記蒸発器(15)を囲む第2空間に到達することを、含む、方法。
【請求項15】
請求項10から14のいずれか1項に記載の方法であって、前記バッファタンク(1)内の圧力は、熱伝達流体の沸点が、活性物質が揮発性液体を放出し、揮発性液体が熱伝達流体と熱的に接触している前記反応器容器(2)の壁上で凝縮するようになるように、構成される、方法。
【請求項16】
請求項10から15のいずれか1項に記載の方法であって、前記バッファタンク(1)の内部の液体の層化は、液体のための取入口および/または取出口を使用することによって制御され、前記取入口は、前記取出口に対してより高くまたはより低く位置決めされる、方法。
【請求項17】
請求項10から16のいずれか1項に記載の方法であって、前記ポンプ(B)は、少なくとも前記バーナーが動作されるのと同時の時間中動作される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、一体化されたケミカルヒートポンプを有する熱分配装置に関する。この装置は、燃料を燃やし、例えば家庭用温水や暖房に有用な熱を供給することができる。
【背景技術】
【0002】
熱収着ポンプは、今日、様々な加熱システムで使用されており、その使用は、主に、エネルギー消費を低減する能力のためにコスト上の理由から、増加するであろう。加えて、これは、環境へのプラスの影響を有することになる。エネルギー消費の低減は、CO排出量の低減を最も多く意味するからである。
【0003】
収着ヒートポンプが有利になるために、それは、簡単で、堅牢で、高効率で、手頃で、エネルギー貯蔵と一体化するのが容易である必要がある。さらに、そのような収着ヒートポンプは、今日すでに市場に出ている関連する冷暖房機器にも容易に統合されなければならない。
【0004】
多くの収着機械は、バッチプロセスに従って動作し、これは、それが断続的に動作することを意味する。これらの収着機械は、通常、2つの主な構成要素、すなわち、反応器と、プロセスの段階に応じて凝縮器または蒸発器として作用する部分と、で構成される。これらのタイプの機械では、明確に定義された2つの段階、すなわち、チャージとディスチャージ、がある。チャージ段階中、反応器は、高温で熱を取り込み、凝縮器は、より低い温度で熱を放出する。ディスチャージ段階中、反応器は、比較的低い温度で熱を放出し、蒸発器は、非常に低い温度で熱を吸収する。(すなわち、冷却)。
【0005】
2つの段階は、周囲との熱交換に強く基づいている。また、吸収機械は、断続的に動作するので、反応器は、一段階で熱を必要とし、次の段階で熱を放出する。同じことが凝縮器/蒸発器で起こるが、逆である。
【0006】
引用文献1は、エネルギーを貯蔵および/または輸送するための設備が、チャージステーションと、ディスチャージステーションと、反応器部分とを備えることを開示している。反応器部分は、ケミカルヒートポンプの一部であるように設計され、活性物質を含む。
【0007】
引用文献2は、反応器部分と、凝縮状態で存在し、活性物質によって吸収され得る、揮発性液体の一部を含む蒸発器/凝縮器部分と、を有するケミカルヒートポンプを開示している。少なくとも反応器部分において、マトリックスは、活性物質のために提供され、活性物質が、両方のその固体状態およびその液体状態またはその溶液相において、マトリックスによって保持または搬送されるか、またはマトリックスに結合されるようになっている。
【0008】
引用文献3は、物質および/または凝縮した揮発性液体を結合または含有するために提供されるマトリックス材料の層を備える、ハイブリッド物質および揮発性液体を使用するケミカルヒートポンプを開示する。これらのマトリックス層は、マトリックス層の少なくとも自由表面で外部媒体との間で熱の輸送が得られるように配置される。
【0009】
引用文献4は、疎水性ナノ粒子でコーティングされた塩またはCaOを開示している。内側部分および外側コーティングがあり、液体を内側に保ち、気体を通過させる透過性膜を有する粒子を形成する。前記の内側部分は、塩およびCaOから選択される少なくとも1つを含み、前記の外側コーティングは、疎水性ナノ粒子を含む。
【0010】
引用文献5は、多数の空間および導管を、熱伝達要素および熱交換器、ならびに熱源と共に備える、熱伝達装置を開示している。毛細管は、熱伝達媒体を空間に供給し、そこから蒸発させることができる。
【0011】
引用文献6および引用文献7の両方は、水タンクに一体化された収着ベースの反応器を有する水加熱器を開示している。反応器は、吸着サイクルと脱着サイクルとの間で動作する。熱源と接触する空間が開示される。媒体は、その空間から蒸発する。
【0012】
引用文献8は、加熱ボイラとゼオライト/水吸着装置との組み合わせを開示しており、煙ガスの熱含有量を加熱水の温度レベルよりはるかに下で使用することができ、さらに周囲の熱が変換および有用な冷浸をされることができるようになっている。
【0013】
従来技術では、全体的な効率を改善することが常に望まれている。
【0014】
同時に、除霜、ブースト機能、熱の層化(stratification)を提供し、装置の製造コストを最小化する、簡単で効率的な方法を提供することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】WO 2005/054757
【文献】WO 2007/139476
【文献】WO 2009/102271
【文献】WO 2012/118437
【文献】WO 2017/207262
【文献】WO 2015/053764
【文献】WO 2015/053767
【文献】DE 3519086
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の目的は、従来技術の欠点の少なくともいくつかを解消し、効率が改善された一体化されたケミカルヒートポンプを有する改善された熱伝達装置を提供することである。
【0017】
第1態様では、以下を備える熱伝達装置が提供される。
バッファタンク(1)と、
バッファタンク(1)と熱的に接触する反応器容器(2)であって、活性物質が反応器容器(2)の内部に保持される、反応器容器(2)と、
バーナー(A)と、
バーナー(A)から反応器容器(2)内の活性物質に熱を伝達するように適合された反応器加熱ループと、
反応器容器(2)内の活性物質からバッファタンク(1)に熱を伝達するように適合された反応器冷却ループと、
反応器容器(2)と流体接触する揮発性液体リザーバ(14)と、揮発性液体リザーバ(14)と流体接触する蒸発器(15)と、反応器容器(2)、揮発性液体リザーバ(14)、および蒸発器(15)によって形成された密閉空間内の揮発性液体であって、揮発性液体は、揮発性液体が、第1温度で活性物質によって吸収される能力と、より高い第2温度で活性物質によって脱着される能力と、を有するように、活性物質と共に選択される、揮発性液体と、
排ガスパイプ(10,11,12)であって、バーナー(A)から揮発性液体リザーバ(14)を少なくとも部分的に囲む第1空間に通じ、熱が第1空間のバーナー排ガスから揮発性液体リザーバ(14)に伝達されることができるように適合される、排ガスパイプ(10,11,12)。
反応器容器(2)の内部の反応器熱交換器(3)であって、反応器熱交換器(3)は、内部および外部を有し、活性物質が反応器熱交換器(3)の外部に少なくとも部分的に適用される、反応器熱交換器(3)、
反応器加熱ループは、バーナー(A)を少なくとも部分的に囲むボイラ(4)と、ボイラ(4)から反応器熱交換器(3)の内部に通じるボイラ導管(5,16)であって、反応器熱交換器(3)は、反応器熱交換器(3)の外部に適用された活性物質と熱的に接触する、ボイラ導管(5,16)と、反応器熱交換器(3)の内部からボイラ(4)に通じるバーナー流体供給管(9)と、バーナー流体供給管(9)からバッファタンク(1)に通じる連絡パイプ(8)と、を備え、
反応器冷却ループは、ポンプ(B)およびバルブ(E)を介してバッファタンク(1)から反応器熱交換器(3)の内部に通じる反応器冷却インレットパイプ(7)と、バーナー流体供給管(9)からバッファタンク(1)に通じる連絡パイプ(8)と、を備え、
バッファタンク(1)により形成される密閉空間、ボイラ(4)、ボイラ導管(5,16)、反応器熱交換器(3)の内部、ブーストパイプ(6)、反応器冷却インレットパイプ(7)、連絡パイプ(8)、バーナー流体供給管(9)は、少なくとも部分的に熱伝達流体で充填され、
排ガスパイプ(10,11,12)は、バッファタンク(1)と少なくとも部分的に熱的に接触する。
【0018】
第2態様では、上記の熱伝達装置を動作させる方法が提供され、その装置は、以下のフェーズのうちの1つで動作する。
a)脱着フェーズであって、バーナーは、反応器加熱ループを介して活性物質を加熱し、揮発性液体を活性物質から脱着させ、揮発性液体は、反応器容器(2)の壁上で少なくとも部分的に凝縮し、それによって、バッファタンク(1)を加熱し、揮発性液体は、重力によって揮発性液体リザーバ(14)および蒸発器(15)に流れ、バーナー(A)からの排ガスは、揮発性液体リザーバ(14)において凝縮を弱める熱を提供する、揮発性液体リザーバ(14)を少なくとも部分的に囲む第1空間に到達する、脱着フェーズ、
b)吸着フェーズであって、バーナーはオフであり、揮発性液体は、蒸発器(15)から蒸発し、反応器容器(2)において活性物質に到達し、熱が生成され、熱が、反応器冷却ループによって活性物質からバッファタンク(1)に伝達される、吸着フェーズ。
【0019】
本発明の利点は、排ガス中の熱をより良好に利用することができることである。これは、より良好な全体効率を与える。
【0020】
効率は、排ガスを抑えて、リザーバ(14)内の揮発性液体の凝縮を減少させ、より多くの熱が凝縮からバッファタンクに伝達できるようにバッファタンク(1)との熱的接触があるところで凝縮を代わりに促進することにより、さらに向上する。
【0021】
質量変化温度が最小になるので、全体効率も向上する。例えば反応器熱交換器(3)などの反応器容器(2)内部の質量のみが、動作中に温度を大幅に変化させる。従って、熱質量損失が最小化され、全体的性能が向上する。
【0022】
除霜のためにケミカルヒートポンプのスイッチを切らなくてもよいことによって、および、例えば、エネルギーを消費する電気霜取り装置で除霜しなくてもよいことによって、装置をより効率的にする蒸発器(15)の除霜のために排ガスを使用する可能性がある。
【0023】
反応器容器(2)をバッファタンク(1)の内部に有する可能性があり、エネルギー損失を最小限に抑える。さらに、反応器容器(2)をバッファタンク(1)の内部に配置すると、反応器容器(2)とバッファタンク(1)の両方が典型的に加圧されるので、反応器容器(2)とその周囲との間の圧力差が減少する。これは、反応器容器(2)のより安価な構造を可能にする。同時に、バッファタンク(1)内の圧力は、特に膨張容器(F)のために比較的一定であり、材料にかかる応力が、大きく変動する圧力を有するタンクと比較してより低い。
【0024】
通常の配管部品は、製造するのがより安価であって、数多い製造に適した、装置を構築する場合に、使用することができる。
【0025】
バッファタンク(1)内の熱の層化を得る可能性があり、それは、多くの利点を有し、異なる所望の温度の熱を様々な必要性について得ることができるようになっている。
【0026】
本発明は、添付の図面を参照して、例として記載される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】バーナー(A)がスイッチオンされる脱着フェーズ中の熱伝達装置の実施形態を示す。
図2】バーナー(A)がスイッチオンされるブーストおよび/または除霜モード中の図1と同じ実施形態を示す。
図3】吸収フェーズ中の図1と同じ実施形態を示す。バーナーは、図1および図2とは対照的に、図3ではオフにされる。異なる動作フェーズは、本文でさらに説明される。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明を詳細に開示および説明する前に、本発明は、本明細書に開示した特定の化合物、構成、方法ステップ、基質、および材料に限定されないことを、理解されたい。そのような化合物、構成、方法ステップ、基質、および材料は、いくぶん変わり得るからである。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的のためだけに使用され、限定することを意図しないことも、理解されたい。本発明の範囲は、添付の「特許請求の範囲」およびその同等によってのみ限定されるからである。
【0029】
本明細書および添付の「特許請求の範囲」で使用されるように、単数形“a”、“an”および“the”は、文脈が明らかにそうでないと決定しない限り、複数の指示対象を含むことに、留意されたい。
【0030】
他に何も定義されない場合、本明細書で使用される任意の用語および科学用語は、本発明が関係する当業者によって一般に理解される意味を有することが意図される。
【0031】
本明細書および特許請求の範囲を通して使用される導管という用語は、流体が搬送されるパイプまたは管を意味する。一実施形態では、導管は、2つの空間の間のパイプまたは管を示し、空間の間に流体接触が存在するようになっている。代替実施形態では、2つの空間は、少なくとも部分的に互いに隣り合って配置され、導管は、空間の間に流体接触を与える開口部である。2つの隣り合う空間の間のそのような開口部は、導管という用語によって包含されるとも考えられる。
【0032】
他に何も明確に示されていない限り、下という用語は、装置が動作を意図した位置に配置されたときの重力との関連での方向を指す。
【0033】
第1態様では、以下を備える熱伝達装置が提供される。
バッファタンク(1)と、
バッファタンク(1)と熱的に接触する反応器容器(2)であって、活性物質が反応器容器(2)の内部に保持される、反応器容器(2)と、
バーナー(A)と、
バーナー(A)から反応器容器(2)内の活性物質に熱を伝達するように適合された反応器加熱ループと、
反応器容器(2)内の活性物質からバッファタンク(1)に熱を伝達するように適合された反応器冷却ループと、
反応器容器(2)と流体接触する揮発性液体リザーバ(14)と、
揮発性液体リザーバ(14)と流体接触する蒸発器(15)と、
反応器容器(2)、揮発性液体リザーバ(14)、および蒸発器(15)によって形成された密閉空間内の揮発性液体であって、揮発性液体は、揮発性液体が、第1温度で活性物質によって吸収される能力と、より高い第2温度で活性物質によって脱着される能力と、を有するように、活性物質と共に選択される、揮発性液体と、
排ガスパイプ(10,11,12)であって、バーナー(A)から揮発性液体リザーバ(14)を少なくとも部分的に囲む第1空間に通じ、熱が第1空間のバーナー排ガスから揮発性液体リザーバ(14)に伝達されることができるように適合される、排ガスパイプ(10,11,12)。
反応器容器(2)の内部の反応器熱交換器(3)であって、反応器熱交換器(3)は、内部および外部を有し、活性物質が反応器熱交換器(3)の外部に少なくとも部分的に適用される、反応器熱交換器(3)、反応器加熱ループは、バーナー(A)を少なくとも部分的に囲むボイラ(4)と、ボイラ(4)から反応器熱交換器(3)の内部に通じる、ボイラ導管(5,16)であって、反応器熱交換器(3)は、反応器熱交換器(3)の外部に適用された活性物質と熱的に接触する、ボイラ導管(5,16)と、反応器熱交換器(3)の内部からボイラ(4)に通じるバーナー流体供給管(9)と、バーナー流体供給管(9)からバッファタンク(1)に通じる連絡パイプ(8)と、を備え、
反応器冷却ループは、ポンプ(B)およびバルブ(E)を介してバッファタンク(1)から反応器熱交換器(3)の内部に通じる反応器冷却インレットパイプ(7)と、バーナー流体供給管(9)からバッファタンク(1)に通じる連絡パイプ(8)と、を備え、
バッファタンク(1)により形成される密閉空間、ボイラ(4)、ボイラ導管(5,16)、反応器熱交換器(3)の内部、ブーストパイプ(6)、反応器冷却インレットパイプ(7)、連絡パイプ(8)、バーナー流体供給管(9)は、少なくとも部分的に熱伝達流体で充填され、
排ガスパイプ(10、11、12)は、バッファタンク(1)と少なくとも部分的に熱的に接触する。
【0034】
バーナー(A)内の火からの排ガスは、より良く利用される。それは、揮発性液体リザーバ(14)を加熱し、ヒートポンプを内蔵しない既存のヒータと比較して、より多く冷却されるからである。
【0035】
熱伝達装置は、活性物質および必要な液体を含むシステムとして見ることができる。
【0036】
活性物質は、反応器容器(2)の内部に何らかの方法で保持され、反応器容器(2)から逃げることができないようになっている。活性物質は、一実施形態では、反応器容器(2)の内部の表面に固定される。別の実施形態では、活性物質は、マトリックスによって保持され、代替物質では、活性物質は、ナノ粒子によって被覆された粒子の形態で提供される。
【0037】
活性物質は、吸収原理に従って作動するケミカルヒートポンプにおけるように揮発性液体と共に作用する、すなわち、揮発性液体は、第1温度で活性物質によって吸収される。より高い第2温度で、揮発性液体は活性物質から脱離され、それは脱着と称される。
【0038】
揮発性液体リザーバ(14)を少なくとも部分的に囲む第1空間について、第1空間内の気体は、揮発性液体リザーバ(14)内の揮発性液体と熱的に接触し、熱が、第1空間内の排ガスから揮発性液体に伝達されることができるようになっていると、考えられる。これは、例えば、熱伝導性である揮発性液体リザーバ(14)の壁を有することによって構成することができる。
【0039】
揮発性液体リザーバ(14)は、蒸発器(15)と流体接触する。蒸発器(15)は、周囲からの熱を蒸発器(15)および蒸発器(15)内部の揮発性液体に伝達することができる部分である。熱は、揮発性液体の循環および対流によって揮発性液体リザーバ(14)および蒸発器(15)の内部に伝達される。従って、熱は、揮発性液体が吸収フェーズ中に蒸発するときに、揮発性液体リザーバ(14)内の揮発性液体にも伝達されることができる。
【0040】
装置を蒸発器(15)の周りの周囲空気と共に使用すると、温度が非常に低くなり、空気中の湿気が凝縮し、時には蒸発器(15)の外部で氷に凍結することもある。従って、何らかの除霜が必要となり得る。一実施形態では、排ガスパイプ(10,11,12)は、蒸発器(15)を少なくとも部分的に囲む第2空間にさらに通じ、熱が、蒸発器(15)を囲む第2空間内のバーナー排ガスから伝達されることができるようになっている。この実施形態は、例えば、バーナー(A)からの排ガスの熱を使用することによって、蒸発器(15)の除霜を可能にする。標準的なヒートポンプと比較して、除霜のためにサイクルを中断する必要がなく、さらに、排ガス中の熱が除霜に利用され、熱をより良く利用することができる。排ガスの温度をかなり下げることができ、従って排ガス中の熱の改良された割合を利用することができる。
【0041】
一実施形態では、排ガスパイプ(10,11,12)は、ブライン回路と熱的に接触し、前記のブライン回路は、さらに、周囲空気および蒸発器(15)と熱的に接触する。一実施形態では、ブライン回路は、熱伝達流体およびポンプを含む。一実施形態では、ブライン回路および排ガスパイプ(10,11,12)は、揮発性液体リザーバ(14)を少なくとも部分的に囲む第1空間の後にある点に熱的に接触する。ブライン回路は、排ガスパイプ(10,11,12)内の排ガスから、蒸発器(15)と、ブライン回路が周囲空気と熱的に接触する領域と、に熱を伝えることができる。ブライン回路が周囲空気と熱的に接触する領域は、通常の動作状態中、霜や氷が形成されやすく、従って、加熱されて霜を取り除くことができる。ブライン回路を備えた実施形態では、蒸発器(15)は、通常、周囲空気と直接接触せず、代わりにブライン回路を介して周囲空気と熱的に接触する。
【0042】
一実施形態では、排ガスパイプ(11)の一部は、バッファタンク(1)の上半分でバッファタンク(1)と熱的に接触する。これにより、高温の排ガスからバッファタンク(1)内の熱伝達液への熱伝達が容易になり、バッファタンク(1)内の熱の層化が改善される。
【0043】
本実施形態では、反応器加熱ループは、バーナー(A)から、ボイラ(4)と、ボイラ導管(5,16)と、バーナー流体供給管(9)と、によって形成される反応器熱交換器(3)の内部へのループであると、考えられる。さらに、連絡パイプ(8)も第1熱伝達装置の一部である。それは、特に膨張容器(F)に関連して均圧の可能性を提供するからである。
【0044】
本実施形態では、反応器冷却ループは、反応器熱交換器(3)の内部から、反応器冷却インレットパイプ(7)と連絡パイプ(8)とで形成されたバッファタンク(1)へのループであるとも、考えられる。反応器冷却ループが動作しているとき、従って、連絡パイプ(8)は異なる機能を有する。熱はまた、活性物質からバッファタンク(1)へ、反応器容器(2)の壁の凝縮を介して伝達されることができるので、バッファタンク(1)と熱的に接触する反応器容器(2)は、反応器冷却ループの一部であると、考えられ得る。
【0045】
反応器容器(2)がバッファタンク(1)の内部にある本実施形態は、バーナー(A)から、揮発性液体リザーバ(14)を少なくとも部分的に囲む第1空間に通じる排ガスパイプ(10,11,12)なしで利用することもでき、熱が第1空間内のバーナー排ガスから揮発性液体リザーバ(14)に伝達されることができるように適合される。利点は、反応器容器(2)内の揮発性液体が、バッファタンク(1)内の熱伝達液と熱的に接触する反応器容器(2)の壁上で凝縮することができることである。凝縮中に熱が放出され、それは、次に、バッファタンク(1)内の液体に伝達される。代替態様では、反応器容器(2)がバッファタンク(1)の内部にある装置が提供される。そのような代替態様では、装置は、バッファタンク(1)と、バッファタンク(1)と熱的に接触する反応器容器(2)であって、活性物質が反応器容器(2)の内部に保持される、反応器容器(2)と、バーナー(A)と、バーナー(A)から反応器容器(2)内の活性物質に熱を伝達するように適合された反応器加熱ループと、反応器容器(2)内の活性物質からバッファタンク(1)に熱を伝達するように適合された反応器冷却ループと、反応器容器(2)と流体接触する揮発性液体リザーバ(14)と、揮発性液体リザーバ(14)と流体接触する蒸発器(15)と、反応器容器(2)、揮発性液体リザーバ(14)、および蒸発器(15)によって形成された密閉空間内の揮発性液体であって、揮発性液体は、揮発性液体が、第1温度で活性物質によって吸収される能力と、より高い第2温度で活性物質によって脱着される能力と、を有するように、活性物質と共に選択される、揮発性液体と、を備え、少なくともバッファタンク(1)は、熱伝達流体で少なくとも部分的に充填される。
【0046】
さらに別の代替態様では、揮発性液体リザーバへの排ガスパイプ(10,11,12)とは独立して使用することもできる代替装置が提供される。この他の態様では、反応器加熱ループは、バーナー(A)を少なくとも部分的に囲むボイラ(4)と、ボイラ(4)から反応器熱交換器(3)の内部に通じる、ボイラ導管(5,16)であって、反応器熱交換器(3)は、反応器熱交換器(3)の外部に適用された活性物質と熱的に接触する、ボイラ導管(5,16)と、反応器熱交換器(3)の内部からボイラ(4)に通じるバーナー流体供給管(9)と、バーナー流体供給管(9)からバッファタンク(1)に通じる連絡パイプ(8)と、を備え、反応器冷却ループは、ポンプ(B)およびバルブ(E)を介してバッファタンク(1)から反応器熱交換器(3)の内部に通じる反応器冷却インレットパイプ(7)と、バーナー流体供給管(9)からバッファタンク(1)に通じる連絡パイプ(8)と、を備え、バッファタンク(1)により形成される密閉空間、ボイラ(4)、ボイラ導管(5,16)、反応器熱交換器(3)の内部、ブーストパイプ(6)、反応器冷却インレットパイプ(7)、連絡パイプ(8)、バーナー流体供給管(9)は、少なくとも部分的に熱伝達流体で充填される。
【0047】
一実施形態では、排ガスパイプ(10,11,12)は、蒸発器(15)を少なくとも部分的に囲む第2空間にさらに通じ、熱が、第2空間内の高温ガスから蒸発器(15)に伝達されることができるようになっている。これは、蒸発器が加熱されることができるという利点を有する。蒸発器の外部の霜の課題を改善することができる。
【0048】
一実施形態では、熱伝達装置は、ボイラ導管(5,16)上のバルブ配置(C)と、バルブ配置(C)からバッファタンク(1)に通じるブーストパイプ(6)とを備える。そのような配置は、ブーストおよび除霜モードを可能にするループの一部である。バルブ配置(C)は、伝熱流体が、反応器容器(3)の内部ではなく、バッファタンク(1)に到達するように、制御されることができる。次に、バッファタンク(1)内の流体を、例えば反応器の脱着が終了したときに、加熱することができる。ブーストモード中、排ガスは、例えば、除霜を提供するために蒸発器(15)を依然として加熱することができる。ブーストパイプ(6)は、非常に短くすることができ、バルブ配置(C)からバッファタンク(1)への開口部に相当する。
【0049】
一実施形態では、排ガスパイプ(10)の一部は、ボイラ導管(5)の一部と熱的に接触する。これにより、ボイラ導管(5)内の熱伝達液への熱伝達が改善される。
【0050】
一実施形態では、揮発性液体リザーバ(14)は、反応器導管(13)を介して反応器容器(2)と流体接触する。反応器導管(13)は、反応器容器(2)が揮発性液体リザーバ(14)から離れて配置されることを可能にする。代替実施形態では、反応器導管(13)がなく、揮発性液体リザーバ(14)は、反応器容器(2)に直接隣接している。一実施形態では、反応器容器(2)は、揮発性液体リザーバ(14)の下に配置される。装置は、重力が物質に力を及ぼす場所に配置されることが、考えられる。従って、上下は、重力場における装置の意図された配置に対して定義される。下は、図面に示すように下にあることが意図されている。
【0051】
一実施形態では、バッファタンク(1)は、膨張容器(F)と流体接触する。膨張容器(F)は、バッファタンク(1)内の熱伝達液の体積変化を少なくとも部分的に吸収し、それは、例えば、バーナ(A)からの加熱による温度変化およびガスの発生によるものである。いくつかの実施形態では、熱伝達流体は、気体(水の場合、蒸気)がシステムの一部で発生するように沸騰する。そのような場合には、ボイラおよび場合によってはシステムの他の部分においても体積増加がある。そのような実施形態では、反応器熱交換器(3)およびボイラ(4)の内部は、バッファタンク(1)と流体接触し、体積増加がバッファタンク(1)に広がり、膨張容器(F)によって吸収されるようになっている。これは、一実施形態では、連絡パイプ(8)を介して実現する。
【0052】
一実施形態では、家庭用温水用の熱交換器(G)は、バッファタンク(1)内に充填された液体と熱的に接触するように、配置される。これは、家庭用温水用の熱の使用を提供する方法である。一実施形態では、家庭用温水用の熱交換器(G)は、バッファタンク(1)の下半分と熱的に接触する冷水用のインレット部分と、バッファタンク(1)の上半分と熱的に接触する家庭用温水用のアウトレット部分とを有する。一般的に、温度は、バッファタンク(1)の底部が上部に比べて低くなっている。温水は、冷水より密度が低く、従ってバッファタンク(1)の上部にたまる傾向がある。被加熱水は、温度がより低い下部で熱交換器(G)に入り、上部の温度がより高いところを出る。これは、家庭用温水のより効率的な加熱を提供する。家庭用温水は、一実施形態では、フロー熱交換器で加熱され、一実施形態では、これは、家庭用温水用のタンク内の加熱と組み合わせられるか、またはそれと置き換えられる。フロー熱交換器は、貯蔵される温水の量がそれほど多くなく、従って、細菌増殖に関する問題が低減または除去される。
【0053】
一実施形態では、暖房用の熱交換器(H)は、バッファタンク(1)内に充填された液体と熱的に接触するように、配置される。
【0054】
一実施形態では、熱交換器(I)は、バッファタンク(1)内に充填された液体と熱的に接触するように、配置され、熱交換器(I)は、太陽熱収集器および廃熱源のうちの少なくとも1つに接続される。これは、太陽熱ヒータをシステムに接続する可能性を提供し、太陽熱収集器からの温熱伝達媒体が、バッファタンク(1)内に充填された液体を加熱することができるようになっている。
【0055】
一実施形態では、バッファタンク(1)は、電気ヒータと熱的に接触する。そのような追加のヒータは、バックアップとして、および/または必要性が非常に高いときに、熱を提供することができる。
【0056】
一実施形態では、ポンプ(B)、バルブ配置(C)、およびバルブ(E)、のうちの少なくとも1つは、バッファタンク(1)の外部に配置される。バッファタンク(1)の外部に配置すると、部品のサービス、修理、および交換が簡単になる。
【0057】
一実施形態では、バルブ配置(C)は、三方弁および逆止弁から選択されるものである。
【0058】
一実施形態では、バルブ(E)は逆止弁である。一実施形態では、ポンプBは、経済的理由で非常に高い温度に耐えるように設計されておらず、次に、バルブ(E)は、ポンプBを高温から保護する。
【0059】
一実施形態では、揮発性液体リザーバ(14)は、バッファタンク(1)の内部にある。代替実施形態では、揮発性液体リザーバ(14)は、バッファタンク(1)の外部にある。一実施形態では、揮発性液体リザーバ(14)は、部分的にバッファタンク(1)の内部にあり、部分的にバッファタンク(1)の外部にある。一実施形態では、バッファタンク(1)の外部または内部に、部分的に内部に、またはそれらの組み合わせで、配置することができる、2つ以上の揮発性液体リザーバ(14)がある。
【0060】
一実施形態では、バッファタンク(1)は、周囲からの熱絶縁が少なくとも部分的に設けられている。
【0061】
一実施形態では、揮発性液体リザーバ(14)は、周囲からの熱絶縁が少なくとも部分的に設けられ、絶縁は、揮発性液体リザーバ(14)を少なくとも部分的に囲む第1空間の外部である。絶縁は、第1空間の気体と液体リザーバ(14)との間の絶縁であってはならず、従って、いかなる絶縁も第1空間の外部であるべきである。一実施形態では、揮発性液体リザーバ(14)は、バッファタンク(1)内に配置されていても、熱絶縁を備えている。
【0062】
一実施形態では、バーナー(A)は、ガスバーナー、オイルバーナー、木材バーナー、木材ペレットバーナー、および石炭バーナー、からなる群から選択される少なくとも1つである。バーナー(A)は、熱を与えるものを燃焼させることができる。一実施形態では、バーナーは、固体燃料、液体燃料、および気体燃料のうちの少なくとも1つを燃焼させるように適合される。一実施形態では、バーナー(A)は、アルコールを燃焼させるように適合される。
【0063】
一実施形態では、ブーストパイプ(6)および連絡パイプ(8)端部の少なくとも1つが、バッファタンク(1)の上半分にある。これにより、バッファタンク(1)の上半分で温度が高くなり、バッファタンク(1)で熱の層化が得られる。これはしばしば望ましいことである。
【0064】
一実施形態では、連絡パイプ(8)は、バッファタンク(1)の上半分の第1開口部と、バッファタンク(1)の中部3分の1の第2開口部とを備え、バルブは、第1および第2開口部を制御する。代替実施形態では、第2開口部は、バッファタンク(1)の下半分にある。加熱された液体が連絡パイプ(8)を出る吸着フェーズ中、バッファタンク(1)の上半分の第1開口部は、バッファタンク(1)内の熱の層化を改善するためにしばしば利用される。吸収フェーズが開始されると、熱伝達流体の非常に高温の第1流れが、反応器熱交換器(3)から出ると予想される。一実施形態では、この高温流体は、連絡パイプ(8)の第1上部開口部で引き出され、バッファタンク(1)内の熱の層化を改善する。吸収が進むにつれて、徐々に減少する温度は、反応器熱交換器(3)を出て行く熱伝達流体が予想される。一実施形態では、熱伝達流体は、まず、連絡パイプ(8)の上部第1開口部から引き出され、熱伝達流体の温度がある一定値以下になると、熱伝達流体は、代わりに、連絡パイプ(8)の第2下部開口部を通じて引き出される。あるいは、バッファタンクの第1開口部は、吸収フェーズが開始された後、一定時間使用され、次に、流れは、連絡パイプ(8)の第2下部開口部に切り替えられる。これにより、バッファタンク(1)の熱の層化が改善される。液体が連通パイプ(8)に入るブーストモード中、第2下部開口部が利用されることが好ましい。これにより、ブーストモード中、より冷たい液体が加熱される。
【0065】
一実施形態では、反応器冷却インレットパイプ(7)は、バッファタンク(1)の下半分にインレットを備える。それによって、吸着フェーズ中の冷却のために、比較的冷たい流体が利用される。これにより、熱の層化がさらに向上する、すなわち、バッファタンク(1)の上部と下部との間の熱差を促進する。
【0066】
一実施形態では、反応器冷却インレットパイプ(7)は、バッファタンク(1)の上半分にある第1インレットと、バッファタンク(1)の下半分にある第2インレットとを備えるパイプ配置であり、バルブ配置は、第1および第2インレットの流れを制御するように適合される。パイプ配置は、2つのパイプおよび/または2つのパイプに分割された1つのパイプまたは下半分および上半分にそれぞれ2つの開口部を有する1つのパイプ、のいずれかである。バルブは、どの開口部が開くかを制御する。上部開口部または下部開口部は、例えば、開いていてもよい。全ての開口部が閉じていれば、そのようなバルブ配置によって逆止弁Eを置き換えることができる。この配置は、熱交換器を冷却しようとするときに有利である。熱水などの温かい液体は密度がより低いため、それは、バッファタンク(1)の上部に集まる。上方は、重力に関連して定義され、図では、テキストが読み取りのために位置合わせされるときに上方である。熱交換器を冷却する場合、バッファタンク(1)の上半分から最も高温の液体で冷却を開始し、次にバッファタンク(1)の下半分から最も低温の液体で冷却を終了するのは有利である。この動作は、この配置を有することによって可能になる。
【0067】
さらに、連絡パイプ(8)およびポンプBと共に反応器冷却インレットパイプ(7)は、バッファタンク(1)の熱の層化を制御する契機を与える。バッファタンク(1)の温度が上半分と下半分でほぼ等しいことが望ましい場合は、ポンプBを使用して下半分から冷却インレットパイプ(7)を通じて液体を取り出し、連絡パイプ(8)を通じて上半分に引き出すことで、層化を低下させることができる。
【0068】
一実施形態では、反応器熱交換器(3)は、プレートとして形作られた複数の熱伝達部材を備える。一実施形態では、標準プレート熱交換器が使用される。プレートは、活性物質がプレートの表面上に配置されることを可能にする。
【0069】
一実施形態では、熱伝達装置は、蒸発器(15)内に周囲空気または気体を吹き付けるように構成されたファン(D)を備える。これにより、蒸発器(15)の周囲との熱交換が向上する。蒸発器(15)は、装置が使用される建物の内部または外部に配置することができる。屋外に置くと、排ガスも屋外に出るという利点がある。ファンの主な目的は、蒸発器(15)とその周囲との間の熱交換を容易にすることであるが、一実施形態では、しかしながら、ファン(D)は、バーナー(A)が動作するときにパイプ(10,11,12)内の排ガスの流れを改善することもできるように、配置される。
【0070】
一実施形態では、反応器容器(2)は、反応器容器(2)の外面の少なくとも一部と、反応器容器(2)の内面の少なくとも一部と、からなる群から選択される少なくとも1つに熱伝達手段が設けられている。熱伝達手段の1つの非限定的例は、反応器容器(2)の外部および/または内部表面上のフランジである。そのような手段は、反応器容器(2)内部の揮発性液体から反応器容器(2)の壁を介して反応器容器(1)内の熱伝達流体に熱を伝達するのに役立つ。反応器容器(2)内部には、反応器容器(2)の内壁上で液体に凝縮する流体が、反応器導管(13)を介して揮発性液体リザーバ(14)に流れ落ちることができるように、1つ以上の手段またはフランジを配置すべきである。
【0071】
一実施形態では、反応器容器(2)は、その内部が反応器容器(2)と流体接触する少なくとも1つの管と、バッファタンク(1)内に延びる管とが設けられている。そのような少なくとも1つの管は、一実施形態では、反応器容器(2)の下半分で始まり、バッファタンク(1)内に延び、反応器容器(2)の上半分で終了する。そのような少なくとも1つの管は、表面積を増大させることによって、反応器容器(2)内部の揮発性液体と反応器容器(1)内の熱伝達流体との間の熱交換を促進する。代替実施形態では、反応器容器(2)の表面積が増加する。
【0072】
一実施形態では、反応器導管(13)にはバルブが設けられる。そのようなバルブは、ケミカルヒートポンプの機能を停止させることができる。バルブが閉じていれば、ある期間にわたってエネルギーを蓄えることができる。
【0073】
一実施形態では、活性物質は、固体吸着剤である。固体吸着剤は、揮発性液体を吸収する能力を有する任意の物質である。固体吸着剤の例としては、塩、酸化物、およびゼオライトが挙げられるが、これらに限定されない。
【0074】
一実施形態では、活性物質は、リチウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、コバルト、ニッケル、鉄、亜鉛、マンガン、カリウム、およびアルミニウムの塩化物、塩素酸塩、過塩素酸塩、臭化物、ヨウ化物、炭酸塩、および硝酸塩、ならびにリチウム、ナトリウムおよびカリウムの硫化物および水酸化物、から選択される少なくとも1つの塩である。
【0075】
一実施形態では、活性物質は、CaO、MgO、CaOH、MgOH、LiCl、LiBr、LiI、MgCl、MgBr、MgI、NaS、CaCI、CaBr、CaI、CaCl、およびCaBr、SrI、KOH、NaOH、ZnCI、ZnBr、ZnI、AlCl、AlBrおよびAlI、からなる群から選択される少なくとも1つである。
【0076】
一実施形態では、活性物質は、少なくとも1つのゼオライトを含む。任意のゼオライト、すなわち任意の微孔性アルミノケイ酸塩鉱物を使用することができる。
【0077】
一実施形態では、揮発性液体は、水、アンモニア、メタノールおよびエタノール、からなる群から選択される少なくとも1つである。
【0078】
一実施形態では、活性物質は、固体状態、液体状態、および揮発性液体を有する溶液、の両方のマトリックスによって、反応器容器(2)に保持される。固体状態では、活性物質は、マトリックスによっても保持されるが、毛管力は液体にのみ適用可能であるので、毛管力によっては保持されない。
【0079】
一実施形態では、反応器容器(2)内の活性物質は、内側部分および外側コーティングを備える粒子の形態であり、前記の内側部分は、塩、MgO、およびCaO、からなる群から選択される少なくとも1つを備え、前記の外側コーティングは、疎水性ナノ粒子を備え、粒子は、1-1000μmの平均サイズを有し、ナノ粒子は、1-100nmの平均サイズを有する。
【0080】
一実施形態では、バッファタンク(1)は、互いに流体接触する少なくとも2つのゾーンに分割され、器官は、少なくとも2つのゾーンを分割し、バッファタンク(1)内の対流に対抗するように適合される。そのような器官の非限定的例は、複数の穴が穿孔された壁である。別の非限定的例は、少なくとも1つの開口部を有する非穿孔壁である。これにより、バッファタンク内の熱の層化が改善される。異なる温度で熱を提供できることがしばしば望ましい。家庭で使用されるシステムについては、例えばレジオネラ細菌の成長を抑制することができるように、少なくとも断続的に少なくとも60℃に達する家庭用温水を提供することが可能であろう。さらに、例えば30-40℃の床暖房システムに対して、より低い温度で熱を供給することが可能である。同時に、例えば40-50℃のラジエータによる暖房のために、わずかに高い温度を提供することが可能である。これは、バッファタンク(1)内の2つ以上の異なる体積を互いに流体接触させることによって、達成することができる。一実施形態では、バッファタンク(1)内に、1つの上部ゾーン、1つの中央ゾーン、および1つの下部ゾーンが存在する。代替実施形態では、バッファタンク(1)内に1つの上部ゾーンおよび1つの下部ゾーンがある。
【0081】
バッファタンク(1)によって形成される密閉空間、ボイラ(4)、ボイラ導管(5,16)、反応器熱交換器(3)の内部、ブーストパイプ(6)、反応器冷却インレットパイプ(7)、連絡パイプ(8)、バーナー流体供給管(9)が、少なくとも部分的に熱伝達流体で充填されることが、意図される。熱伝達流体は、バーナー(A)から装置の所望の部分へ熱を伝達するのを助ける機能を有する。熱伝達流体は、さらに、反応器熱交換器(3)からバッファタンク(1)へ熱を伝達するのを助ける機能を有する。一実施形態では、熱伝達流体は、任意選択で不凍添加剤および任意選択で防食添加剤を有する、水を含む。一実施形態では、熱伝達流体は、水である。
【0082】
一実施形態では、バッファタンク(1)の内部と流体連通するように、バーナー流体供給管(9)に少なくとも1つの開口があり、開口は、連絡パイプ(8)がバーナー流体供給管(9)に接続される箇所よりも下にある。下は、重力と、装置が作動されることが意図される方向とに関連して定義される。装置は、液体が重力によって、反応器熱交換器(3)の内側からバーナー流体供給管(9)を通って、バーナー(A)を少なくとも部分的に囲むボイラ(4)に、流れることができるように、作られるべきである。バーナー流体供給管(9)とバッファタンク(1)との間に別の流体接触が存在するように、そのような追加の開口を使用することによって、ボイラ(4)内の空炊きに対する保護がある。活性物質の脱着中、バーナーは動作しており、一実施形態では、反応器熱交換器(3)の内部に流れる蒸気が生成される。脱着が完了するか、または完了に近づくと、蒸気は、バーナー流体供給管(9)に到達し、連絡パイプ(8)を通る。同時に、バッファタンク(1)からの液体は、開口を通ってバーナー流体供給管(9)に流れ、さらにボイラ(4)に流れ、ボイラ(4)内で空炊きが起こらないようになっている。
【0083】
一実施形態では、バーナー流体供給管の開口は、バーナー流体供給管(9)からバッファタンク(1)に通じる管である。この実施形態では、バーナー流体供給管(9)からバッファータンク(1)への2つの管がある。1つは連絡パイプ(8)であり、バーナー流体供給管(9)上のより低い箇所にさらなる管がある。
【0084】
一実施形態では、連絡パイプ(8)は、直径と長さを有し、それは、バーナー流体供給管(9)からバッファタンク(1)への蒸気の輸送およびバッファタンク(1)からバーナー流体供給管(9)への水の同時輸送が可能であるように、適合されている。これは、2つのパイプ代替である。当業者は、蒸気がバーナー流体供給管(9)を出ることができる一方で、液体がバーナー流体供給管(9)に入ってボイラ(4)に到達することができるように、広いパイプを選択することができる。
【0085】
バーナー流体供給管(9)とバッファタンク(1)との間に2つ以上のパイプが配置されている場合、またはバーナー流体供給管(9)とバッファタンク(1)との間に幅広のパイプまたは開口がある場合、バルブ配置Cは必要ではない。蒸気または加熱された流体は、代わりに連絡パイプ(8)を通ってバッファタンク(1)に出て行く。バルブ配置Cを省略する場合、逆止弁Cが、液体がボイラ導管(16)から逆方向でボイラ(4)に流れないように、配置されることが好ましい。ボイラ導管(16)の前方方向は、図1に矢印で示されている。
【0086】
第2態様では、上記の熱伝達装置を動作させる方法が提供され、その装置は、以下のフェーズのうちの1つで動作する。
a)脱着フェーズであって、バーナーは、反応器加熱ループを介して活性物質を加熱し、揮発性液体を活性物質から脱着させ、揮発性液体は、反応器容器(2)の壁上で少なくとも部分的に凝縮し、それによって、バッファタンク(1)を加熱し、揮発性液体は、重力によって揮発性液体リザーバ(14)および蒸発器(15)に流れ、バーナー(A)からの排ガスは、揮発性液体リザーバ(14)において凝縮を弱める熱を提供する、揮発性液体リザーバ(14)を少なくとも部分的に囲む第1空間に到達する、脱着フェーズ、
b)吸着フェーズであって、バーナーはオフであり、揮発性液体は、蒸発器(15)から蒸発し、反応器容器(2)において活性物質に到達し、熱が生成され、熱が、反応器冷却ループによって活性物質からバッファタンク(1)に伝達される、吸着フェーズ。
【0087】
装置は、フェーズの1つで一度に動作されることが意図されている。典型的に、吸着フェーズの後に、ケミカルヒートポンプについて通常通り交互に脱着フェーズが続く。
【0088】
揮発性液体リザーバ(14)の加熱により、凝縮が反応器容器(2)の壁上でかなりの程度まで起こり、そこで熱が、揮発性液体リザーバ(14)での代わりに放出される。
【0089】
一実施形態では、ボイラ導管(5,16)上にバルブ配置(C)があり、バルブ配置(C)からバッファタンク(1)に通じるブーストパイプ(6)がある場合、装置は、異なるモードで作動されることができ、ブーストモードでも作動されることができる。そのような実施形態では、装置は、バルブC、EおよびポンプBならびにバーナー(A)によって決定される以下のフェーズのうちの1つで作動される。
a)脱着フェーズであって、バーナーは、ボイラ(4)内の、および任意選択でボイラ導管(5)の一部内の、熱伝達流体を加熱し、それによって、反応器熱交換器(3)の外部で活性物質に熱が伝達される反応器熱交換器(3)の内部への加熱された熱伝達流体の流れを生成し、活性物質の加熱は、活性物質から揮発性液体を脱着させ、揮発性液体は、反応器容器(2)の壁上で少なくとも部分的に凝縮し、それによって、バッファタンク(1)を加熱し、揮発性液体は、重力によって揮発性液体リザーバ(14)、および蒸発器(15)へと流れ、反応器熱交換器(3)からの熱伝達流体は、バーナー流体供給管(9)を介してボイラ(4)へと戻り、バーナー(A)からの排ガスは、揮発性液体リザーバ(14)を囲む第1空間に到達し、そこでそれは揮発性液体リザーバ(14)における凝縮を妨げ、バーナー(A)からの排ガスは、蒸発器(15)を囲む第2空間に到達し、そこでそれは蒸発器を除霜するための熱を提供する、脱着フェーズ(このフェーズは図1に描かれている)、
b)ブーストモードであって、ボイラ(4)内の、および任意選択でボイラ導管(5)の一部内の、熱伝達流体を加熱し、それによって、ブーストパイプ(6)を介したバッファタンク(1)への加熱された熱伝達流体の流れを生成し、熱伝達流体は、バッファタンク(1)から連絡パイプ(8)およびバーナー流体供給管(9)を通ってボイラ(4)に戻り、バーナー(A)からの排ガスは、蒸発器(15)の周囲に到達し、そこでそれは蒸発器を除霜するための熱を提供する、ブーストモード(このモードは図2に描かれている)、
c)吸着フェーズであって、バーナーはオフであり、揮発性液体は、蒸発器(15)から蒸発し、反応器導管(13)を介して反応器熱交換器(3)の外部上の活性物質に到達し、熱が生成され、反応器冷却インレットパイプ(7)を通ってポンプ(B)によって反応器熱交換器(3)に送り込まれる熱伝達流体を加熱し、加熱された熱伝達流体は、連絡パイプ(8)を通って反応器からバッファタンク(1)に流れ出る、吸着フェーズ(このフェーズは図3に描かれている)。
【0090】
一実施形態では、気相の熱伝達流体は、ボイラ(4)で脱着フェーズ中に生成され、そこで気相の伝熱流体は、反応器熱交換器(3)に到達し、反応器熱交換器(3)内で凝縮し、凝縮熱伝達流体は、反応器熱交換器(3)からバーナー流体供給管(9)を介してボイラ(4)に戻る。一実施形態では、伝熱流体は、水であるか、または水を含み、気相の伝熱流体は、蒸気である。反応器熱交換器(3)で凝縮する気相(蒸気)中の熱伝達流体の生成は、反応器熱交換器(3)において均等な熱分布を与える利点がある。気相中の熱伝達流体は、反応器熱交換器(3)の最も冷たい部分で凝縮する傾向があり、それによってより冷たい部分をより加熱するからである。気相の熱伝達流体が生成される、すなわち熱伝達流体が沸騰する、実施形態は、流体に対する気体の体積増加に適応するように、連絡パイプ(8)および膨張容器(F)と適切に組み合わせられる。吸収フェーズ中、いかなる気体も存在せず、熱伝達流体の体積はより小さい。膨張容器(F)は、体積変化に対処することができなければならない。
【0091】
一実施形態では、ファン(D)は、吸着フェーズ中に動作される。ファンは、周囲との熱交換を改善するために、蒸発器(15)の周囲に空気または気体を循環させることができ、より詳細には、熱は、周囲から蒸発器へ伝達されることができる。この熱伝達はファン(D)で改善できる。
【0092】
一実施形態では、追加の除霜モードは、バーナー(A)を燃やし、排ガスが、除霜のための熱を提供する蒸発器(15)を囲む第2空間に到達することを、含む。除霜モードは、活性物質の加熱と組み合わせることができるが、組み合わせなくてもよい。
【0093】
一実施形態では、バッファタンク(1)内の圧力は、熱伝達流体の沸点が、反応器熱交換器(3)の外部の活性物質が揮発性液体を放出し、揮発性液体が熱伝達流体と熱的に接触している反応器容器(2)の壁上で凝縮するようになるように、適合される。熱伝達流体は、ボイラ内で加熱され、熱は、揮発性液体が脱着(放出)される活性物質に到達すると、考えられる。揮発性液体は、次に、反応器容器(2)の壁上で凝縮するべきである。圧力(すなわち沸点)が適切に調整される場合、活性物質と反応器容器(2)の壁との間の温度差は、揮発性液体が活性物質から脱着され、バッファタンク(1)内の熱伝達流体と熱的に接触して反応器容器の壁上で凝縮することができるようなものとすることができる。凝縮により、熱は、追加の熱伝達手段なしで、バッファタンク(1)内の熱伝達流体に放出される。
【0094】
一実施形態では、バッファタンク(1)内部の液体の層化は、液体のための取入口および/または取出口を使用することによって制御され、取入口は、取出口に対してより高くまたはより低く位置決めされる。これは、例えば、反応器冷却インレットパイプ(7)が、バッファタンク(1)の上半分に第1取入口を有し、バッファタンク(1)の下半分に第2取入口を有し、バルブ配置がどの取入口が使用されるかを制御することができる、装置によって、なされることができる。これを達成する別の方法は、バーナー流体供給管(9)が、開口部を有する装置を使用することであり、その開口部は、連絡(8)パイプが、例えば加熱された液体または蒸気がバッファタンクの上部に移送されることができる箇所よりも低い。さらに別の方法は、ブーストパイプ(6)を有する装置を使用することである。また、上記の方法の任意の組み合わせを使用することができる。液体は、このように、一般的により温かい上部または一般的により冷たい下半分から取り出すことができ、それにより、バッファタンク内の液体の層化を制御する。液体は、要望どおり層化を制御するために、下部の上部にも送達されることができる。層化とは、バッファタンク(1)の上部と下部の液体間の温度差を意味する。
【0095】
一実施形態では、ポンプ(B)は、少なくともバーナーが動作されるのと同時の時間中動作される。次に、バーナーによって加熱された高温流体を、パイプ(7)を通って取り込まれたより冷たい液体と混合し、この混合物を反応器熱交換器(3)の内部に供給する。
図1
図2
図3