IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コンパス セラピューティクス リミテッド ライアビリティ カンパニーの特許一覧

特許7539897ヒトCD137に結合する抗体の製剤およびその使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-16
(45)【発行日】2024-08-26
(54)【発明の名称】ヒトCD137に結合する抗体の製剤およびその使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20240819BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20240819BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240819BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
A61K39/395 N ZNA
A61K47/18
A61K47/26
A61K47/02
【請求項の数】 36
(21)【出願番号】P 2021541095
(86)(22)【出願日】2020-01-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-15
(86)【国際出願番号】 US2020013916
(87)【国際公開番号】W WO2020150496
(87)【国際公開日】2020-07-23
【審査請求日】2023-01-06
(31)【優先権主張番号】62/793,342
(32)【優先日】2019-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/960,501
(32)【優先日】2020-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517247332
【氏名又は名称】コンパス セラピューティクス リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】ザービス-パパストイトシス、グリゴリオス
(72)【発明者】
【氏名】ワン、シェンジェ
【審査官】伊藤 基章
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-544756(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 39/395
A61K 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)1mg/ml~100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、それぞれ配列番号4および6と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖および軽鎖配列を含む、抗CD137抗体、および
(b)ヒスチジンを含む緩衝剤
を含む製剤であって、5.0~7.4のpHを有する、製剤。
【請求項2】
前記抗CD137抗体は、配列番号68の重鎖CDR3を含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
前記抗CD137抗体は、配列番号48の重鎖CDR1、配列番号56の重鎖CDR2、および配列番号68の重鎖CDR3、ならびに配列番号69の軽鎖CDR1、配列番号78の軽鎖CDR2、および配列番号89の軽鎖CDR3を含む、請求項1または2に記載の製剤。
【請求項4】
前記抗CD137抗体は、
(a)それぞれ配列番号48、56、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号69、78、および89に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(b)それぞれ配列番号51、108、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号69、78、および89に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(c)それぞれ配列番号135、139、および143に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号144、147、および150に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(d)それぞれ配列番号137、141、および143に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号144、147、および150に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(e)それぞれ配列番号48、154、および159に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号144、147、および150に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;ならびに
(f)それぞれ配列番号51、156、159に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号144、147、および150に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列
からなる群から選択される重鎖および軽鎖CDRを含む、請求項1~のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項5】
前記抗CD137抗体は、それぞれ配列番号4および6に明記されるアミノ酸配列を有する重鎖および軽鎖配列を含む、請求項に記載の製剤。
【請求項6】
10mMのヒスチジン~100mMのヒスチジンを含む、請求項1~のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項7】
二糖糖類をさらに含む、請求項1~のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項8】
前記二糖糖類は、スクロース、ラクトース、マルトース、およびトレハロースから選択される、請求項に記載の製剤。
【請求項9】
前記二糖糖類はスクロースである、請求項に記載の製剤。
【請求項10】
前記二糖糖類は5%~15%重量/体積である、請求項のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項11】
塩をさらに含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項12】
前記塩はNaClである、請求項11に記載の製剤。
【請求項13】
前記塩は50mM~200mMの濃度である、請求項11または12に記載の製剤。
【請求項14】
非イオン性界面活性剤をさらに含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項15】
前記非イオン性界面活性剤はポリソルベートである、請求項14に記載の製剤。
【請求項16】
前記ポリソルベートはポリソルベート-80である、請求項15に記載の製剤。
【請求項17】
前記非イオン性界面活性剤は0.01%~0.1%重量/体積(w/v)である、請求項1416のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項18】
(a)1mg/ml~100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、それぞれ配列番号4および6と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖および軽鎖配列を含む、抗CD137抗体、
(b)ヒスチジンを含む緩衝剤、
(c)二糖糖類、
(d)非イオン性界面活性剤、および
(e)塩
を含む製剤であって、前記製剤のpHは5.0~7.4である、製剤。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか1項に記載の製剤の有効量を含む、対象におけるヒトCD137三量体の二量体化を誘導するまたは増強するための医薬組成物。
【請求項20】
請求項1~18のいずれか1項に記載の製剤の有効量を含む、対象におけるヒトCD137三量体の多量体化を誘導するまたは増強するための医薬組成物。
【請求項21】
請求項1~18のいずれか1項に記載の製剤の有効量を含む、対象におけるT細胞活性化を誘導するまたは増強するための医薬組成物。
【請求項22】
請求項1~18のいずれか1項に記載の製剤の有効量を含む、対象における細胞傷害性T細胞応答を誘導するまたは増強するための医薬組成物。
【請求項23】
請求項1~18のいずれか1項に記載の製剤の有効量を含む、対象における免疫細胞のサイトカイン産生を誘導するまたは増強するための医薬組成物。
【請求項24】
産生される前記サイトカインは、IL-2、TNFα、IL-13、IFN-γ、またはその組合せである、請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項25】
請求項1~18のいずれか1項に記載の製剤の有効量を含む、対象におけるT細胞増殖を誘導するまたは増強するための医薬組成物。
【請求項26】
請求項1~18のいずれか1項に記載の製剤の有効量を含む、腫瘍成長を低下させるまたは阻害するための医薬組成物。
【請求項27】
請求項1~18のいずれか1項に記載の製剤の有効量を含む、対象におけるヒトCD137によって媒介される障害を処置するための医薬組成物。
【請求項28】
請求項1~18のいずれか1項に記載の製剤の有効量を含む、対象におけるがんを処置するための医薬組成物。
【請求項29】
前記がんは、黒色腫、神経膠腫、腎臓がん、乳がん、血液学的がん、および頭頸部がんからなる群から選択される、請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項30】
請求項1~18のいずれか1項に記載の製剤の有効量を含む、抗腫瘍メモリー免疫応答を誘導するための医薬組成物。
【請求項31】
それを必要とする対象におけるがんを処置するもしくはがんの進行を遅延させるまたは腫瘍成長を低下させるもしくは阻害するための、請求項1~18のいずれか1項に記載の製剤を含む容器、および前記製剤の投与のための説明書を含む添付文書を含むキット。
【請求項32】
それを必要とする対象におけるがんを処置するもしくはがんの進行を遅延させるまたは腫瘍成長を低下させるもしくは阻害するための、請求項1~18のいずれか1項に記載の製剤を含む容器、および単独でのまたは別の作用物質との組合せでの前記製剤の投与のための説明書を含む添付文書を含むキット。
【請求項33】
それを必要とする対象におけるがんを処置するもしくはがんの進行を遅延させるまたは腫瘍成長を低下させるもしくは阻害するための医薬の製造のための、請求項1~18のいずれか1項に記載の製剤の使用。
【請求項34】
それを必要とする対象におけるがんを処置するもしくはがんの進行を遅延させるまたは腫瘍成長を低下させるもしくは阻害するための医薬の製造における、請求項1~18のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項35】
医薬としての使用のための、請求項1~18のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項36】
前記医薬が、腫瘍微小環境への免疫細胞の浸潤を増加させるために使用される、請求項35に記載の製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヒトCD137に結合する抗体の製剤およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、増加する一連の証拠は、免疫系が腫瘍の形成および進行に対する重要なバリアとして作動することを示唆する。抗腫瘍潜在性または活性を有する天然に存在するT細胞が、がんを有する患者に存在するという原理は、腫瘍学における免疫療法手法の開発を正当化している。T細胞、マクロファージ、およびナチュラルキラー細胞等の免疫細胞は、抗腫瘍活性を呈し得、悪性腫瘍の発生および成長を有効に制御し得る。腫瘍特異的または腫瘍関連抗原は、免疫細胞を誘導して悪性腫瘍を認識し得および排除し得る(非特許文献1)。腫瘍特異的免疫応答の存在にもかかわらず、悪性腫瘍は様々な免疫調節機構を通じた免疫攻撃をしばしば回避しまたは逃れ、腫瘍の発生および進行の制御不全をもたらす(非特許文献2)。実際に、がんの特徴は、これらの免疫調節機構の利用および抗腫瘍免疫応答の無効化であり、免疫学的死滅からの腫瘍回避およびエスケープをもたらす(非特許文献3)。
【0003】
がんの免疫療法における新規の手法は、これらの免疫回避およびエスケープ機構に対抗すること、ならびに内因性免疫系を誘導して腫瘍を拒絶することを伴う。CD137(あるいは、「腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー9」(TNFRSF9)、4-1BB、および「リンパ球活性化によって誘導された」(ILA)として知られる)は、腫瘍壊死因子スーパーファミリーに属する膜貫通共刺激受容体タンパク質である。CD137は、TCR活性化があると誘導されるT細胞共刺激受容体である(非特許文献4;非特許文献5)。活性化CD4+およびCD8+T細胞上でのその発現に加えて、CD137は、CD4+CD25+調節性T細胞、活性化ナチュラルキラー(NK)およびNK-T細胞、単球、好中球、ならびに樹状細胞上でも発現される。
【0004】
生理学的条件下で、CD137は、B細胞、単球、マクロファージ、および樹状細胞を含めた抗原提示細胞上に存在するアゴニスト膜分子であるCD137リガンド(CD137L)によってライゲーションされる(非特許文献5)。そのリガンドとの相互作用があると、CD137は、増加したTCR誘導性T細胞増殖、サイトカイン産生、機能的成熟、および長期のCD8+T細胞生存を引き起こす。免疫系が腫瘍を攻撃するのを可能にすることにおける様々なアゴニスト(例えば、アゴニスト抗体、組換えCD137Lタンパク質、およびCD137特異的アプタマー)を使用したCD137共刺激の潜在性は、数々のモデルにおいて立証されている(非特許文献6およびその中の参考文献)。アゴニストCD137抗体(ウレルマブ、BMS-663513;ブリストル・マイヤーズスクイブ(Bristol-Myers Squibb))の臨床評価に関する最近の報告は、抗体用量と相関する重度の肝毒性(高トランスアミナーゼ血症)の兆候を含めた、ヒト対象における処置関係の有害事象の観察を立証した(非特許文献7)。対照的に、抗PD-1抗体(ペムブロリズマブ)との組合せで試験された異なるアゴニストCD137抗体(ウトミルマブ、PF-05082566;ファイザー(Pfizer))は、いかなる用量制限毒性ももたらさないが、抗PD-1抗体療法単独に匹敵する結果を示した(非特許文献8)。
【0005】
治療用抗体を開発することにおける課題の1つは、タンパク質安定性である。抗体は、三次構造として知られる三次元構造を有し、それは、アミノ酸官能基と外部環境との間の分子内および分子間相互作用のバランスに対して敏感である。非共有結合性相互作用は、抗体の天然のフォールディング構造の維持にとって重大である。さらに、フォールディングした抗体構造は動的平衡の状態にあり、相互作用バランスを変える任意の因子が構造を変化させ得る。これが不安定な巨大分子をもたらす。例えば、天然の抗体構造が中間状態にまたは変性状態にアンフォールディングされた場合、タンパク質バリアントは凝集する傾向がある。(非特許文献9)。
【0006】
多くの因子がタンパク質凝集を引き起こし得、これらには、温度、機械的、物理的、および凍結/融解ストレスが含まれる。ゆえに、抗体開発への障壁の1つは、安定な抗体製剤の開発である。タンパク質動態および運動を低下させ、抗体の立体構造安定性を増加させ、および凝集を阻害することによって抗体製剤の安定性を増加させるために、賦形剤が使用されている。しかしながら、一方の抗体製剤において使用される賦形剤は、抗体配列の異なりに起因して、もう一方の抗体に対して適切でない可能性がある(非特許文献9)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【文献】チェン&メルマン(Chen&Mellman),(2013)Immunity 39(1):1~10
【文献】モッツ&クーコス(Motz&Coukos),(2013)Immunity 39(1):61~730
【文献】ハナハンおよびワインバーグ(Hanahan and Weinberg)(2011)Cell 144(5):646~674
【文献】ナムら(Nam et al.),(2005)Curr Cancer Drug Targets 5:357~363
【文献】ワッツら(Watts et al.),(2005)Annu Rev Immunol 23:23~68
【文献】ダーマドヒカリら(Dharmadhikari et al.),(2016)Oncoimmunology 5(4):e1113367
【文献】セガールら(Segal et al.),(2016)Clin Cancer Res 23(8):1929~1936
【文献】トルヒャー、エーら(Tolcher,A.et al.),(2017)Clin Cancer Res 23(18):5349~5357
【文献】アワドら(Awwad et al.),Pharmaceutics,2018,10,83;doi:10.3390/pharmaceutics10030083
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ゆえに、ヒトCD137に結合する新規のアゴニスト抗体を含む安定な製剤を含めた、安定な抗体製剤の開発に対する満たされていない必要性があり続ける。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は、少なくとも一部には、動物において保護的抗腫瘍免疫を呈する新規のアゴニスト抗CD137抗体の発見およびその製剤に基づく。注目すべきは、本明細書に記載される抗体は、多様な腫瘍タイプに対しておよび広い用量域にわたって有効である。さらには、実施例に例示されるように、本明細書に記載される抗体は、非常に大きな腫瘍に対して治療上有効である。例えば、本明細書に記載されるアゴニスト抗CD137抗体を用いた腫瘍担持マウスの処置は、1,800mmもの大きな腫瘍の完璧な退縮をもたらした。図15に明記されるように、そのようなマウスの処置は保護的免疫ももたらした。そして、観察された有効性との一致は、調節性T細胞および疲弊化T細胞集団の同時低下を有する免疫細胞浸潤の増加等、腫瘍微小環境の正の免疫表現型変化であった(例えば、図22A~22Dを参照されたい)。
【0010】
上で記載されるように、CD137のアゴニズムは、ヒトにおける肝毒性関係の死亡を含めた、ある特定の有害事象と関連している(例えば、セガールら(Segal et al.)(2017)Clin Cancer Res 23(8):1929~1935を参照されたい)。アゴニスト抗CD137抗体(3H3抗体等)を用いた処置により生じる類似の毒性は、動物モデルにおいても観察されている(例えば、バートコウィアクら(Bartkowiak et al.)(2018)Clin Cancer Res 24(5):1138~1151を参照されたい)。しかし、本明細書に記載されるアゴニスト抗CD137抗体は、例えば肝臓酵素(例えば、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT))の血漿レベルおよび免疫細胞浸潤によって判定されるように、肝臓に対する最小限の影響を有する。例えば、その抗体で処置されたマウスにおいて、肝内または脾臓内の免疫細胞浸潤の増加の証拠はなかった。ゆえに、本明細書に記載される抗体は、非常に有効性があるだけでなく、CD137アゴニズムと関連したある特定の毒性の退避(sparing)でもある。
【0011】
本開示は、いかなる特定の理論または作用の機構によっても拘束されないが、本明細書に記載される抗体の優れた治療特性および毒性退避特性は、一部には、それらの親和性およびそれらが結合する新規のエピトープの一方または両方に由来すると思われる。つまり、本明細書に記載される抗体は、他のアゴニスト抗CD137抗体のものとは違う、共通の新規のエピトープを共有する。そして、実施例に例示されるように、本明細書に記載される抗体によるこのエピトープの関与は、CD137の異なるエピトープに結合するアゴニスト抗体と比較して、調節性T細胞増殖に対する効果、CD8T細胞およびマクロファージによるサイトカイン産生、ならびに細胞内シグナル伝達等の分化したin vitro活性を生じさせる。さらに、抗体に対する親和性域(「スイートスポット」)は、抗腫瘍活性に特に最適であることが実証されている。例えば、中間親和性の抗体は、より高いまたはより低い親和性を有する抗体と比較して、大きな腫瘍に対してより有効性があることが示された。
【0012】
本開示は、少なくとも一部には、安定な抗CD137抗体製剤に関する。注目すべきは、本開示の抗CD137抗体製剤は、抗体またはその抗原結合性断片の安定性を維持し、抗体凝集体(高分子量種)および微粒子の形成を最小限に抑え、荷電バリアントのパーセンテージを低下させ、ならびに抗体の構造完全性を維持する。
【0013】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は配列番号126の重鎖CDR3を含み、Xは任意のアミノ酸である抗CD137抗体、およびヒスチジンを含む緩衝剤を含む製剤を提供する。
【0014】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は配列番号126の重鎖CDR3を含み、Xは任意のアミノ酸である抗CD137抗体、ヒスチジンを含む緩衝剤;および二糖糖類を含む製剤を提供する。
【0015】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は配列番号126の重鎖CDR3を含み、Xは任意のアミノ酸である抗CD137抗体、およびヒスチジンを含む緩衝剤を含む製剤であって、約5.0~7.0のpHを有する、製剤を提供する。
【0016】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は配列番号126の重鎖CDR3を含み、Xは任意のアミノ酸である抗CD137抗体、ヒスチジンを含む緩衝剤、二糖糖類、非イオン性界面活性剤、および塩を含む製剤であって、製剤のpHは約5.0~約7.0である、製剤を提供する。
【0017】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は配列番号126の重鎖CDR3を含み、Xは任意のアミノ酸である抗CD137抗体、ヒスチジンを含む緩衝剤、約5%~約15%重量/体積の二糖糖類、約0.01%~約0.1%重量/体積(w/v)の非イオン性界面活性剤、および約50mM~200mMの塩を含む製剤であって、製剤のpHは約5.0~約7.0である、製剤を提供する。
【0018】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は配列番号126の重鎖CDR3を含み、Xは任意のアミノ酸である抗CD137抗体、約10mM~約100mMのヒスチジンを含む緩衝剤、約5%~約15%重量/体積のスクロース、約0.01%~約0.1%重量/体積(w/v)のポリソルベート-80、および約50mM~200mMのNaClを含む製剤であって、製剤のpHは約5.0~約7.0である、製剤を提供する。
【0019】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は配列番号126の重鎖CDR3を含み、Xは任意のアミノ酸である抗CD137抗体、ヒスチジンを含む緩衝剤、二糖糖類、非イオン性界面活性剤、および塩を含む製剤であって、製剤のpHは約5.0~約7.4である、製剤を提供する。
【0020】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は配列番号126の重鎖CDR3を含み、Xは任意のアミノ酸である抗CD137抗体、ヒスチジンを含む緩衝剤、約5%~約15%重量/体積の二糖糖類、約0.01%~約0.1%重量/体積(w/v)の非イオン性界面活性剤、および約50mM~200mMの塩を含む製剤であって、製剤のpHは約5.0~約7.4である、製剤を提供する。
【0021】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は配列番号126の重鎖CDR3を含み、Xは任意のアミノ酸である抗CD137抗体、約10mM~約100mMのヒスチジンを含む緩衝剤、約5%~約15%重量/体積のスクロース、約0.01%~約0.1%重量/体積(w/v)のポリソルベート-80、および約50mM~200mMのNaClを含む製剤であって、製剤のpHは約5.0~約7.4である、製剤を提供する。
【0022】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は配列番号126の重鎖CDR3を含み、Xは任意のアミノ酸である抗CD137抗体、約20mMのヒスチジンを含む緩衝剤、約10%重量/体積(w/v)のスクロース、約0.03%重量/体積(w/v)のポリソルベート-80、および約100mMのNaClを含む製剤であって、製剤のpHは約6.0である、製剤を提供する。
【0023】
本開示の前述のまたは関係する態様のいずれかでは、抗CD137抗体は、DXPFXLDXXYYYYYX(配列番号127)の重鎖CDR3を含み、Xは任意のアミノ酸である。本開示の前述のまたは関係する態様のいずれかでは、抗CD137抗体は、DXLXYXYYX10(配列番号128)の重鎖CDR3を含み、Xは任意のアミノ酸であり、Xは非極性アミノ酸であり、Xは非極性アミノ酸であり、Xは任意のアミノ酸であり、Xは極性アミノ酸であり、Xは任意のアミノ酸であり、Xは任意のアミノ酸であり、Xは極性アミノ酸であり、Xは極性アミノ酸であり、X10は任意のアミノ酸である。本開示の前述のまたは関係する態様のいずれかでは、Xはプロリンであり、Xはフェニルアラニンまたはトリプトファンであり、Xはアスパラギン酸またはグルタミン酸であり、Xはチロシンであり、Xはチロシンである。
【0024】
本開示の前述のまたは関係する態様のいずれかでは、本開示の製剤の抗CD137抗体は、配列番号68の重鎖CDR3を含む。
本開示の前述のまたは関係する態様のいずれかでは、抗CD137抗体は、配列番号48の重鎖CDR1、配列番号56の重鎖CDR2、および配列番号68の重鎖CDR3、ならびに配列番号69の軽鎖CDR1、配列番号78の軽鎖CDR2、および配列番号89の軽鎖CDR3を含む。
【0025】
本開示の前述のまたは関係する態様のいずれかでは、抗CD137抗体は、配列番号51の重鎖CDR1、配列番号108の重鎖CDR2、および配列番号68の重鎖CDR3、ならびに配列番号69の軽鎖CDR1、配列番号78の軽鎖CDR2、および配列番号89の軽鎖CDR3を含む。
【0026】
本開示の前述のまたは関係する態様のいずれかでは、抗CD137抗体は、それぞれ配列番号4および6と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖および軽鎖配列を含む。一部の態様では、抗CD137抗体は、それぞれ配列番号4および6に明記されるアミノ酸配列を有する重鎖および軽鎖配列を含む。
【0027】
本開示の前述のまたは関係する態様のいずれかでは、抗CD137抗体は、それぞれ配列番号101および6と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖および軽鎖配列を含む。一部の態様では、抗CD137抗体は、それぞれ配列番号101および6に明記されるアミノ酸配列を有する重鎖および軽鎖配列を含む。
【0028】
本開示の前述のまたは関係する態様のいずれかでは、抗体はIgG1重鎖定常領域を含む。一部の態様では、IgG1重鎖定常領域は野生型ヒトIgG1重鎖定常領域である。一部の態様では、IgG1重鎖定常領域は、野生型ヒトIgG1重鎖定常領域と比べてアミノ酸置換を含む。
【0029】
本開示の前述のまたは関係する態様のいずれかでは、抗体はIgG4重鎖定常領域を含む。一部の態様では、IgG4重鎖定常領域は野生型ヒトIgG4重鎖定常領域である。一部の態様では、IgG4重鎖定常領域は、野生型ヒトIgG4重鎖定常領域と比べてアミノ酸置換を含む。
【0030】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は、それぞれ配列番号48、56、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号69、78、および89に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む抗CD137抗体、ならびにヒスチジンを含む緩衝剤を含む製剤を提供する。
【0031】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は、それぞれ配列番号135、139、および143に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号144、147、および150に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む抗CD137抗体、ならびにヒスチジンを含む緩衝剤を含む製剤を提供する。[新しい段落]
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は、それぞれ配列番号48、154、および159に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号144、147、および150に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む抗CD137抗体、ならびにヒスチジンを含む緩衝剤を含む製剤を提供する。
【0032】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は、それぞれ配列番号48、56、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号69、78、および89に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む抗CD137抗体、ヒスチジンを含む緩衝剤、ならびに二糖糖類を含む製剤を提供する。
【0033】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は、それぞれ配列番号135、139、および143に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号144、147、および150に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む抗CD137抗体、ヒスチジンを含む緩衝剤、ならびに二糖糖類を含む製剤を提供する。
【0034】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は、それぞれ配列番号48、154、および159に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号144、147、および150に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む抗CD137抗体、ヒスチジンを含む緩衝剤、ならびに二糖糖類を含む製剤を提供する。
【0035】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は、それぞれ配列番号48、56、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号69、78、および89に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む抗CD137抗体、ならびにヒスチジンを含む緩衝剤を含む製剤であって、製剤は約5.0~7.0のpHを有する、製剤を提供する。
【0036】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は、それぞれ配列番号135、139、および143に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号144、147、および150に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む抗CD137抗体、ならびにヒスチジンを含む緩衝剤を含む製剤であって、製剤は約5.0~7.0のpHを有する、製剤を提供する。
【0037】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は、それぞれ配列番号48、154、および159に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号144、147、および150に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む抗CD137抗体、ならびにヒスチジンを含む緩衝剤を含む製剤であって、製剤は約5.0~7.0のpHを有する、製剤を提供する。
【0038】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は、それぞれ配列番号48、56、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号69、78、および89に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む抗CD137抗体、ヒスチジンを含む緩衝剤、二糖糖類、非イオン性界面活性剤、ならびに塩を含む製剤であって、製剤のpHは約5.0~約7.0である、製剤を提供する。
【0039】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は、それぞれ配列番号135、139、および143に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号144、147、および150に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む抗CD137抗体、ヒスチジンを含む緩衝剤、二糖糖類、非イオン性界面活性剤、ならびに塩を含む製剤であって、製剤のpHは約5.0~約7.0である、製剤を提供する。
【0040】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は、それぞれ配列番号48、154、および159に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号144、147、および150に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む抗CD137抗体、ヒスチジンを含む緩衝剤、二糖糖類、非イオン性界面活性剤、ならびに塩を含む製剤であって、製剤のpHは約5.0~約7.0である、製剤を提供する。
【0041】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は、それぞれ配列番号48、56、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号69、78、および89に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む抗CD137抗体、ヒスチジンを含む緩衝剤、約5%~約15%重量/体積の二糖糖類、約0.01%~約0.1%重量/体積(w/v)の非イオン性界面活性剤、ならびに約50mM~200mMの塩を含む製剤であって、製剤のpHは約5.0~約7.0である、製剤を提供する。
【0042】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は、それぞれ配列番号135、139、および143に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号144、147、および150に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む抗CD137抗体、ヒスチジンを含む緩衝剤、約5%~約15%重量/体積の二糖糖類、約0.01%~約0.1%重量/体積(w/v)の非イオン性界面活性剤、ならびに約50mM~200mMの塩を含む製剤であって、製剤のpHは約5.0~約7.0である、製剤を提供する。
【0043】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は、それぞれ配列番号48、154、および159に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号144、147、および150に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む抗CD137抗体、ヒスチジンを含む緩衝剤、約5%~約15%重量/体積の二糖糖類、約0.01%~約0.1%重量/体積(w/v)の非イオン性界面活性剤、ならびに約50mM~200mMの塩を含む製剤であって、製剤のpHは約5.0~約7.0である、製剤を提供する。
【0044】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は、それぞれ配列番号48、56、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号69、78、および89に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む抗CD137抗体、約10mM~約100mMのヒスチジンを含む緩衝剤、約5%~約15%重量/体積のスクロース、約0.01%~約0.1%重量/体積(w/v)のポリソルベート-80、ならびに約50mM~200mMのNaClを含む製剤であって、製剤のpHは約5.0~約7.0である、製剤を提供する。
【0045】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は、それぞれ配列番号135、139、および143に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号144、147、および150に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む抗CD137抗体、約10mM~約100mMのヒスチジンを含む緩衝剤、約5%~約15%重量/体積のスクロース、約0.01%~約0.1%重量/体積(w/v)のポリソルベート-80、ならびに約50mM~200mMのNaClを含む製剤であって、製剤のpHは約5.0~約7.0である、製剤を提供する。
【0046】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は、それぞれ配列番号48、154、および159に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号144、147、および150に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む抗CD137抗体、約10mM~約100mMのヒスチジンを含む緩衝剤、約5%~約15%重量/体積のスクロース、約0.01%~約0.1%重量/体積(w/v)のポリソルベート-80、ならびに約50mM~200mMのNaClを含む製剤であって、製剤のpHは約5.0~約7.0である、製剤を提供する。
【0047】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は、それぞれ配列番号48、56、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号69、78、および89に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む抗CD137抗体、ならびにヒスチジンを含む緩衝剤を含む製剤であって、製剤は約5.0~7.4のpHを有する、製剤を提供する。
【0048】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は、それぞれ配列番号135、139、および143に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号144、147、および150に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む抗CD137抗体、ならびにヒスチジンを含む緩衝剤を含む製剤であって、製剤は約5.0~7.4のpHを有する、製剤を提供する。
【0049】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は、それぞれ配列番号48、154、および159に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号144、147、および150に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む抗CD137抗体、ならびにヒスチジンを含む緩衝剤を含む製剤であって、製剤は約5.0~7.4のpHを有する、製剤を提供する。
【0050】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は、それぞれ配列番号48、56、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号69、78、および89に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む抗CD137抗体、ヒスチジンを含む緩衝剤、二糖糖類、非イオン性界面活性剤、ならびに塩を含む製剤であって、製剤のpHは約5.0~約7.4である、製剤を提供する。
【0051】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は、それぞれ配列番号135、139、および143に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号144、147、および150に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む抗CD137抗体、ヒスチジンを含む緩衝剤、二糖糖類、非イオン性界面活性剤、ならびに塩を含む製剤であって、製剤のpHは約5.0~約7.4である、製剤を提供する。
【0052】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は、それぞれ配列番号48、154、および159に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号144、147、および150に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む抗CD137抗体、ヒスチジンを含む緩衝剤、二糖糖類、非イオン性界面活性剤、ならびに塩を含む製剤であって、製剤のpHは約5.0~約7.4である、製剤を提供する。
【0053】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は、それぞれ配列番号48、56、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号69、78、および89に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む抗CD137抗体、ヒスチジンを含む緩衝剤、約5%~約15%重量/体積の二糖糖類、約0.01%~約0.1%重量/体積(w/v)の非イオン性界面活性剤、ならびに約50mM~200mMの塩を含む製剤であって、製剤のpHは約5.0~約7.4である、製剤を提供する。
【0054】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は、それぞれ配列番号135、139、および143に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号144、147、および150に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む抗CD137抗体、ヒスチジンを含む緩衝剤、約5%~約15%重量/体積の二糖糖類、約0.01%~約0.1%重量/体積(w/v)の非イオン性界面活性剤、ならびに約50mM~200mMの塩を含む製剤であって、製剤のpHは約5.0~約7.4である、製剤を提供する。
【0055】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は、それぞれ配列番号48、154、および159に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号144、147、および150に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む抗CD137抗体、ヒスチジンを含む緩衝剤、約5%~約15%重量/体積の二糖糖類、約0.01%~約0.1%重量/体積(w/v)の非イオン性界面活性剤、ならびに約50mM~200mMの塩を含む製剤であって、製剤のpHは約5.0~約7.4である、製剤を提供する。
【0056】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は、それぞれ配列番号48、56、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号69、78、および89に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む抗CD137抗体、約10mM~約100mMのヒスチジンを含む緩衝剤、約5%~約15%重量/体積のスクロース、約0.01%~約0.1%重量/体積(w/v)のポリソルベート-80、ならびに約50mM~200mMのNaClを含む製剤であって、製剤のpHは約5.0~約7.4である、製剤を提供する。
【0057】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は、それぞれ配列番号135、139、および143に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号144、147、および150に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む抗CD137抗体、約10mM~約100mMのヒスチジンを含む緩衝剤、約5%~約15%重量/体積のスクロース、約0.01%~約0.1%重量/体積(w/v)のポリソルベート-80、ならびに約50mM~200mMのNaClを含む製剤であって、製剤のpHは約5.0~約7.4である、製剤を提供する。
【0058】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は、それぞれ配列番号48、154、および159に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号144、147、および150に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む抗CD137抗体、約10mM~約100mMのヒスチジンを含む緩衝剤、約5%~約15%重量/体積のスクロース、約0.01%~約0.1%重量/体積(w/v)のポリソルベート-80、ならびに約50mM~200mMのNaClを含む製剤であって、製剤のpHは約5.0~約7.4である、製剤を提供する。
【0059】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は、それぞれ配列番号48、56、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号69、78、および89に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む抗CD137抗体、約20mMのヒスチジンを含む緩衝剤、約10%重量/体積(w/v)のスクロース、約0.03%重量/体積(w/v)のポリソルベート-80、ならびに約100mMのNaClを含む製剤であって、製剤のpHは約6.0である、製剤を提供する。
【0060】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は、それぞれ配列番号135、139、および143に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号144、147、および150に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む抗CD137抗体、約20mMのヒスチジンを含む緩衝剤、約10%重量/体積(w/v)のスクロース、約0.03%重量/体積(w/v)のポリソルベート-80、ならびに約100mMのNaClを含む製剤であって、製剤のpHは約6.0である、製剤を提供する。
【0061】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は、それぞれ配列番号48、154、および159に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号144、147、および150に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む抗CD137抗体、約20mMのヒスチジンを含む緩衝剤、約10%重量/体積(w/v)のスクロース、約0.03%重量/体積(w/v)のポリソルベート-80、ならびに約100mMのNaClを含む製剤であって、製剤のpHは約6.0である、製剤を提供する。
【0062】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は、それぞれ配列番号4および6に明記される重鎖および軽鎖可変配列を含む抗CD137抗体、ならびにヒスチジンを含む緩衝剤を含む製剤を提供する。
【0063】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は、それぞれ配列番号4および6に明記される重鎖および軽鎖可変配列を含む抗CD137抗体、ヒスチジンを含む緩衝剤、ならびに二糖糖類を含む製剤を提供する。
【0064】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は、それぞれ配列番号4および6に明記される重鎖および軽鎖可変配列を含む抗CD137抗体、ならびにヒスチジンを含む緩衝剤を含む製剤であって、製剤は約5.0~7.0のpHを有する、製剤を提供する。
【0065】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は、それぞれ配列番号4および6に明記される重鎖および軽鎖可変配列を含む抗CD137抗体、ヒスチジンを含む緩衝剤、二糖糖類、非イオン性界面活性剤、ならびに塩を含む製剤であって、製剤のpHは約5.0~約7.0である、製剤を提供する。
【0066】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は、それぞれ配列番号4および6に明記される重鎖および軽鎖可変配列を含む抗CD137抗体、ヒスチジンを含む緩衝剤、約5%~約15%重量/体積の二糖糖類、約0.01%~約0.1%重量/体積(w/v)の非イオン性界面活性剤、ならびに約50mM~200mMの塩を含む製剤であって、製剤のpHは約5.0~約7.0である、製剤を提供する。
【0067】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は、それぞれ配列番号4および6に明記される重鎖および軽鎖可変配列を含む抗CD137抗体、約10mM~約100mMのヒスチジンを含む緩衝剤、約5%~約15%重量/体積のスクロース、約0.01%~約0.1%重量/体積(w/v)のポリソルベート-80、ならびに約50mM~200mMのNaClを含む製剤であって、製剤のpHは約5.0~約7.0である、製剤を提供する。
【0068】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は、それぞれ配列番号4および6に明記される重鎖および軽鎖可変配列を含む抗CD137抗体、ならびにヒスチジンを含む緩衝剤を含む製剤であって、製剤は約5.0~7.4のpHを有する、製剤を提供する。
【0069】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は、それぞれ配列番号4および6に明記される重鎖および軽鎖可変配列を含む抗CD137抗体、ヒスチジンを含む緩衝剤、二糖糖類、非イオン性界面活性剤、ならびに塩を含む製剤であって、製剤のpHは約5.0~約7.4である、製剤を提供する。
【0070】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は、それぞれ配列番号4および6に明記される重鎖および軽鎖可変配列を含む抗CD137抗体、ヒスチジンを含む緩衝剤、約5%~約15%重量/体積の二糖糖類、約0.01%~約0.1%重量/体積(w/v)の非イオン性界面活性剤、ならびに約50mM~200mMの塩を含む製剤であって、製剤のpHは約5.0~約7.4である、製剤を提供する。
【0071】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は、それぞれ配列番号4および6に明記される重鎖および軽鎖可変配列を含む抗CD137抗体、約10mM~約100mMのヒスチジンを含む緩衝剤、約5%~約15%重量/体積のスクロース、約0.01%~約0.1%重量/体積(w/v)のポリソルベート-80、ならびに約50mM~200mMのNaClを含む製剤であって、製剤のpHは約5.0~約7.4である、製剤を提供する。一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は、それぞれ配列番号4および6に明記される重鎖および軽鎖可変配列を含む抗CD137抗体、約20mMのヒスチジンを含む緩衝剤、約10%重量/体積(w/v)のスクロース、約0.03%重量/体積(w/v)のポリソルベート-80、ならびに約100mMのNaClを含む製剤であって、製剤のpHは約6.0である、製剤を提供する。
【0072】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は、それぞれ配列番号129および133に明記される重鎖および軽鎖アミノ酸配列を含む抗CD137抗体、ならびにヒスチジンを含む緩衝剤を含む製剤を提供する。
【0073】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は、それぞれ配列番号129および133に明記される重鎖および軽鎖アミノ酸配列を含む抗CD137抗体、ヒスチジンを含む緩衝剤、ならびに二糖糖類を含む製剤を提供する。
【0074】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は、それぞれ配列番号129および133に明記される重鎖および軽鎖アミノ酸配列を含む抗CD137抗体、ならびにヒスチジンを含む緩衝剤を含む製剤であって、製剤は約5.0~7.0のpHを有する、製剤を提供する。
【0075】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は、それぞれ配列番号129および133に明記される重鎖および軽鎖アミノ酸配列を含む抗CD137抗体、ヒスチジンを含む緩衝剤、二糖糖類、非イオン性界面活性剤、ならびに塩を含む製剤であって、製剤のpHは約5.0~約7.0である、製剤を提供する。
【0076】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は、それぞれ配列番号129および133に明記される重鎖および軽鎖アミノ酸配列を含む抗CD137抗体、ヒスチジンを含む緩衝剤、約5%~約15%重量/体積の二糖糖類、約0.01%~約0.1%重量/体積(w/v)の非イオン性界面活性剤、ならびに約50mM~200mMの塩を含む製剤であって、製剤のpHは約5.0~約7.0である、製剤を提供する。
【0077】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は、それぞれ配列番号129および133に明記される重鎖および軽鎖アミノ酸配列を含む抗CD137抗体、約10mM~約100mMのヒスチジンを含む緩衝剤、約5%~約15%重量/体積のスクロース、約0.01%~約0.1%重量/体積(w/v)のポリソルベート-80、ならびに約50mM~200mMのNaClを含む製剤であって、製剤のpHは約5.0~約7.0である、製剤を提供する。
【0078】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は、それぞれ配列番号129および133に明記される重鎖および軽鎖アミノ酸配列を含む抗CD137抗体、ならびにヒスチジンを含む緩衝剤を含む製剤であって、製剤は約5.0~7.4のpHを有する、製剤を提供する。
【0079】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は、それぞれ配列番号129および133に明記される重鎖および軽鎖アミノ酸配列を含む抗CD137抗体、ヒスチジンを含む緩衝剤、二糖糖類、非イオン性界面活性剤、ならびに塩を含む製剤であって、製剤のpHは約5.0~約7.4である、製剤を提供する。
【0080】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は、それぞれ配列番号129および133に明記される重鎖および軽鎖アミノ酸配列を含む抗CD137抗体、ヒスチジンを含む緩衝剤、約5%~約15%重量/体積の二糖糖類、約0.01%~約0.1%重量/体積(w/v)の非イオン性界面活性剤、ならびに約50mM~200mMの塩を含む製剤であって、製剤のpHは約5.0~約7.4である、製剤を提供する。
【0081】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は、それぞれ配列番号129および133に明記される重鎖および軽鎖アミノ酸配列を含む抗CD137抗体、約10mM~約100mMのヒスチジンを含む緩衝剤、約5%~約15%重量/体積のスクロース、約0.01%~約0.1%重量/体積(w/v)のポリソルベート-80、ならびに約50mM~200mMのNaClを含む製剤であって、製剤のpHは約5.0~約7.4である、製剤を提供する。
【0082】
一部の態様では、本開示は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、抗CD137抗体は、それぞれ配列番号129および133に明記される重鎖および軽鎖アミノ酸配列を含む抗CD137抗体、約20mMのヒスチジンを含む緩衝剤、約10%重量/体積(w/v)のスクロース、約0.03%重量/体積(w/v)のポリソルベート-80、ならびに約100mMのNaClを含む製剤であって、製剤のpHは約6.0である、製剤を提供する。
【0083】
本開示の前述のまたは関係する態様のいずれかでは、本開示の製剤はヒスチジンを含む。一部の態様では、本開示の製剤は、約10mMのヒスチジン~約100mMのヒスチジンを含む。一部の態様では、製剤は約20mMのヒスチジンを含む。
【0084】
本開示の前述のまたは関係する態様のいずれかでは、本開示の製剤は二糖糖類を含む。一部の実施形態では、二糖糖類は、スクロース、ラクトース、マルトース、およびトレハロースから選択される。一部の実施形態では、二糖糖類はスクロースである。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約5%~約15%重量/体積の二糖糖類を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約10%重量/体積の二糖糖類を含む。
【0085】
本開示の前述のまたは関係する態様のいずれかでは、本開示の製剤は塩を含む。一部の態様では、塩はNaClである。一部の態様では、本開示の製剤は、約50mM~200mMの濃度の塩を含む。一部の態様では、本開示の製剤は、約100mMの濃度の塩を含む。
【0086】
本開示の前述のまたは関係する態様のいずれかでは、本開示の製剤は約5.0~7.0のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約6.0のpHを有する。
本開示の前述のまたは関係する態様のいずれかでは、本開示の製剤は約5.0~8.0のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約5.0~7.4のpHを有する。
【0087】
本開示の前述のまたは関係する態様のいずれかでは、本開示の製剤は非イオン性界面活性剤を含む。一部の態様では、非イオン性界面活性剤はポリソルベートである。一部の態様では、ポリソルベートはポリソルベート-80である。一部の態様では、本開示の製剤は、約0.01%~約0.1%重量/体積(w/v)の非イオン性界面活性剤を含む。一部の態様では、本開示の製剤は、約0.03%重量/体積(w/v)の非イオン性界面活性剤を含む。
【0088】
本開示の前述のまたは関係する態様のいずれかでは、本開示の製剤は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体を含む。一部の態様では、本開示の製剤は、約5mg/ml~約15mg/mlの濃度の抗CD137抗体を含む。一部の態様では、本開示の製剤は、約15mg/ml~約30mg/mlの濃度の抗CD137抗体を含む。一部の態様では、本開示の製剤は、約30mg/ml~約45mg/mlの濃度の抗CD137抗体を含む。一部の態様では、本開示の製剤は、約45mg/ml~約60mg/mlの濃度の抗CD137抗体を含む。一部の態様では、本開示の製剤は、約60mg/ml~約75mg/mlの濃度の抗CD137抗体を含む。一部の態様では、本開示の製剤は、約75mg/ml~約90mg/mlの濃度の抗CD137抗体を含む。一部の態様では、本開示の製剤は、約85mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体を含む。一部の態様では、本開示の製剤は、約5mg/mlの濃度の抗CD137抗体を含む。一部の態様では、本開示の製剤は、約10mg/mlの濃度の抗CD137抗体を含む。一部の態様では、本開示の製剤は、約15mg/mlの濃度の抗CD137抗体を含む。一部の態様では、本開示の製剤は、約20mg/mlの濃度の抗CD137抗体を含む。
【0089】
一部の態様では、本開示は、本開示の製剤の有効量を、それを必要とする対象に対して投与する工程を含む、対象におけるヒトCD137三量体の二量体化を誘導するまたは増強するための方法を提供する。
【0090】
一部の態様では、本開示は、本開示の製剤の有効量を、それを必要とする対象に対して投与する工程を含む、対象におけるヒトCD137三量体の多量体化を誘導するまたは増強するための方法を提供する。
【0091】
一部の態様では、本開示は、本開示の製剤の有効量を、それを必要とする対象に対して投与する工程を含む、対象におけるT細胞活性化を誘導するまたは増強するための方法を提供する。一部の態様では、T細胞活性化は腫瘍微小環境において生じる。
【0092】
一部の態様では、本開示は、本開示の製剤の有効量を、それを必要とする対象に対して投与する工程を含む、対象における細胞傷害性T細胞応答を誘導するまたは増強するための方法を提供する。一部の態様では、細胞傷害性T細胞応答は腫瘍微小環境において生じる。
【0093】
一部の態様では、本開示は、本開示の製剤の有効量を、それを必要とする対象に対して投与する工程を含む、対象における免疫細胞のサイトカイン産生を誘導するまたは増強するための方法を提供する。一部の態様では、産生されるサイトカインは、IL-2、TNFα、IL-13、IFN-γ、またはその組合せである。一部の態様では、サイトカイン産生は腫瘍微小環境において生じる。
【0094】
一部の態様では、本開示は、本開示の製剤の有効量を、それを必要とする対象に対して投与する工程を含む、対象におけるT細胞増殖を誘導するまたは増強するための方法を提供する。一部の態様では、T細胞増殖は腫瘍微小環境において生じる。
【0095】
一部の態様では、本開示は、本開示の製剤の有効量を、それを必要とする対象に対して投与する工程を含む、腫瘍成長を低下させるまたは阻害するための方法を提供する。
一部の態様では、本開示は、本開示の製剤の有効量を、それを必要とする対象に対して投与する工程を含む、対象におけるヒトCD137によって媒介される障害を処置するための方法を提供する。
【0096】
一部の態様では、本開示は、本開示の製剤の有効量を、それを必要とする対象に対して投与する工程を含む、対象におけるがんを処置するための方法を提供する。
前述の態様のいずれかでは、腫瘍微小環境への免疫細胞の浸潤は、製剤の投与後に増加する。一部の態様では、免疫細胞はCD45を発現する。
【0097】
前述の態様のいずれかでは、T調節性(Treg)細胞の分量は、製剤の投与後に腫瘍微小環境において低下する。一部の態様では、Treg細胞は、CD4、FOXP-3、およびCD25を発現する。
【0098】
前述の態様のいずれかでは、マクロファージの分量は、単離されたモノクローナル抗体または抗原結合性部分の投与後に腫瘍微小環境において低下する。一部の態様では、マクロファージは、CD45およびCD11bを発現する。
【0099】
前述の態様のいずれかでは、T細胞疲弊は、単離されたモノクローナル抗体または抗原結合性部分の投与後に腫瘍微小環境において低下する。一部の態様では、T細胞疲弊の低下は、TIGIT、PD-1、LAG-3、またはその組合せの発現の減少を含む。
【0100】
前述の態様のいずれかでは、がんは、黒色腫、神経膠腫、腎臓がん、乳がん、血液学的がん、および頭頸部がんからなる群から選択される。一部の態様では、血液学的がんはB細胞リンパ腫である。
【0101】
一部の態様では、本開示は、本開示の製剤の有効量を、それを必要とする対象に対して投与する工程を含む、抗腫瘍メモリー免疫応答を誘導する方法を提供する。
前述の態様のいずれかでは、抗CD137抗体はFcガンマ受容体に結合する。
【0102】
前述の態様のいずれかでは、CD4+T細胞、CD8+T細胞、ナチュラルキラー細胞、またはその組合せの枯渇は、製剤の有効性を低下させる。
一部の態様では、本開示は、それを必要とする対象におけるがんを処置するもしくはがんの進行を遅延させるまたは腫瘍成長を低下させるもしくは阻害するための、本開示の製剤を含む容器、および製剤の投与のための説明書を含む添付文書を含むキットを提供する。
【0103】
一部の態様では、本開示は、それを必要とする対象におけるがんを処置するもしくはがんの進行を遅延させるまたは腫瘍成長を低下させるもしくは阻害するための、本開示の製剤を含む容器、および単独でのまたは別の作用物質との組合せでの製剤の投与のための説明書を含む添付文書を含むキットを提供する。
【0104】
一部の態様では、本開示は、それを必要とする対象におけるがんを処置するもしくはがんの進行を遅延させるまたは腫瘍成長を低下させるもしくは阻害するための医薬の製造のための、本開示の製剤の使用を提供する。
【0105】
一部の態様では、本開示は、それを必要とする対象におけるがんを処置するもしくはがんの進行を遅延させるまたは腫瘍成長を低下させるもしくは阻害するための医薬の製造における使用のための、本開示の製剤を提供する。
【0106】
一部の態様では、本開示は、医薬としての使用のための本開示の製剤を提供する。
前述を考慮して、一部の態様では、本明細書に記載される製剤は、ヒトCD137に特異的に結合する単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分を含み、抗体または抗原結合性部分は約40nM~約100nMの親和性(K)でヒトCD137に結合する。一部の態様では、本開示は、ヒトCD137に特異的に結合する単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分であって、抗体または抗原結合性部分は約30~100nM(例えば、約30nM~約110nM)の親和性(K)でヒトCD137に結合する、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分を提供する。一部の態様では、ヒトCD137への抗CD137抗体の親和性は、マウスCD137に対するmAb10の親和性よりも少なくとも2(例えば、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、または10)倍高い。一部の態様では、抗CD137抗体の親和性は、500、450、400、350、300、250、200、250、200、175、150、125、110、または100nM以下である。一部の態様では、ヒトCD137への抗CD137抗体の親和性は、マウスCD137に対するmAb10の親和性よりも少なくとも2(例えば、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、または10)倍高いが、500、450、400、350、300、250、200、250、200、175、150、125、110、または100nM以下である。
【0107】
一部の態様では、本明細書に記載される製剤は、ヒトCD137に特異的に結合する単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分を含み、抗体または抗原結合性部分は、配列番号3のアミノ酸111~132のうちの1個または複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25個すべて)を含む、ヒトCD137上のエピトープに結合する。一部の態様では、本開示は、ヒトCD137に特異的に結合する単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分であって、抗体または抗原結合性部分は、配列番号3のアミノ酸111~132内のエピトープに結合する、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分を提供する。一部の態様では、本開示は、ヒトCD137に特異的に結合する単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分であって、抗体または抗原結合性部分は、配列番号3のアミノ酸111~132のすべてまたは一部分に結合する、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分を提供する。一部の態様では、エピトープは、配列番号3のK114を含む。一部の態様では、エピトープは、配列番号3の残基E111、T113、およびK114を含む。一部の態様では、エピトープは、配列番号3の残基E111、T113、K114、N126、およびI132を含む。一部の態様では、エピトープは、配列番号3の残基E111、T113、K114、およびP135を含む。一部の態様では、エピトープは、配列番号3の残基E111、T113、K114、N126、I132、およびP135を含む。一部の態様では、抗体またはその抗原結合性部分は、約30nM~約100nM(例えば、約30nM~約110nM)の親和性でヒトCD137に結合する。
【0108】
一部の態様では、本明細書に記載される製剤は、ヒトCD137に特異的に結合する単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分を含み、抗体または抗原結合性部分は、約40~100nM(例えば、約40nM~約100nM)の親和性(K)でヒトCD137に結合し、配列番号3のK114を含むヒトCD137上のエピトープに結合する。一部の態様では、本開示は、ヒトCD137に特異的に結合する単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分であって、抗体または抗原結合性部分は、約30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性(K)でヒトCD137に結合し、配列番号3のK114を含むヒトCD137上のエピトープに結合する、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分を提供する。一部の態様では、エピトープは、配列番号3の残基E111、T113、およびK114を含む。一部の態様では、エピトープは、配列番号3の残基E111、T113、K114、N126、およびI132を含む。一部の態様では、エピトープは、配列番号3の残基E111、T113、K114、およびP135を含む。一部の態様では、エピトープは、配列番号3の残基E111、T113、K114、N126、I132、およびP135を含む。
【0109】
一部の態様では、本明細書に記載される製剤は、ヒトCD137に特異的に結合する単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分を含み、抗体または抗原結合性部分は、約30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性(K)でヒトCD137に結合し、配列番号3のアミノ酸111~135位に対応する1個または複数のアミノ酸残基の配列を含むヒトCD137上のエピトープに結合する。一部の態様では、エピトープは、配列番号3のアミノ酸111~135位に対応する2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25個のアミノ酸残基を含む。
【0110】
一部の態様では、本明細書に記載される製剤は、ヒトCD137に特異的に結合する単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分を含み、抗体または抗原結合性部分は、約30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性(K)でヒトCD137に結合し、配列番号3のアミノ酸残基111~135内に位置するヒトCD137上のエピトープに結合する。一部の態様では、エピトープは、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15個のアミノ酸である。一部の態様では、エピトープは、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、または5個のアミノ酸よりも少ない。
【0111】
一部の態様では、本明細書に記載される製剤は、ヒトCD137に特異的に結合する単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分を含み、抗体または抗原結合性部分は、約30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性(K)でヒトCD137に結合し、ELTK(配列番号3のアミノ酸残基111~114に対応する)を含むヒトCD137上のエピトープに結合する。一部の態様では、エピトープは、配列番号3の1個または複数の残基N126、I132、およびP135をさらに含む。
【0112】
前述の態様のいずれかでは、エピトープは非線状エピトープである。前述の態様のいずれかでは、配列番号3の残基K114の突然変異は、ヒトCD137への抗体またはその抗原結合性部分の結合を抑止する。
【0113】
前述の態様のいずれかでは、本明細書に記載される抗体または抗原結合性部分は、約30~100nM、30~95nM、45~95nM、50~90nM、55~85nM、60~80nM、65~75nM、55~75nM、40~70nM、50~80nM、または60~90nMの親和性(K)でヒトCD137に結合する。一部の態様では、抗体または抗原結合性部分は、ヒトCD137の細胞外ドメインの非リガンド結合性領域に結合する。一部の態様では、抗体または抗原結合性部分は、CD137とCD137Lとの間の相互作用を阻害しない。一部の態様では、非リガンド結合性領域は、システインリッチドメイン(CRD)IIIおよびCRD IVにまたがる。前述の態様のいずれかでは、抗体または抗原結合性部分は、CD137:CD137L単量体の三量体の形成を阻害しない。
【0114】
一部の態様では、本明細書に記載される製剤は、ヒトCD137に特異的に結合する単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分を含み、抗体または抗原結合性部分は、
(i)約30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性(K)でヒトCD137に結合し;
(ii)ヒトCD137の細胞外ドメインの非リガンド結合性領域に結合し;
(iii)配列番号3のK114を含むヒトCD137上のエピトープに結合する。
【0115】
一部の態様では、本明細書に記載される製剤は、ヒトCD137に特異的に結合する単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分を含み、抗体または抗原結合性部分は、
(i)約30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性(K)でヒトCD137に結合し;
(ii)ヒトCD137とヒトCD137リガンドとの間の相互作用を阻害せず;および
(iii)配列番号3のK114を含むヒトCD137上のエピトープに結合する。
【0116】
一部の態様では、本明細書に記載される製剤は、ヒトCD137に特異的に結合する単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分を含み、抗体または抗原結合性部分は、(i)約30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性(K)でヒトCD137に結合し;(ii)CD137:CD137L単量体の三量体(つまり、CD137:CD137L三量体:三量体複合体)の形成を阻害しない。一部の態様では、本開示は、ヒトCD137に特異的に結合する単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分であって、抗体または抗原結合性部分は、(i)約30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性(K)でヒトCD137に結合し;(ii)ヒトCD137の細胞外ドメインの非リガンド結合性領域に結合する、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分を特色とする。一部の態様では、本開示は、ヒトCD137に特異的に結合する単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分であって、抗体または抗原結合性部分は、(i)約30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性(K)でヒトCD137に結合し;(ii)ヒトCD137とCD137リガンドとの間の相互作用を阻害しない、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分を特色とする。
【0117】
前述の態様のいずれかでは、抗体または抗原結合性部分は、アミノ酸配列DXXXXLXXXXYXYYX(配列番号126)を含む重鎖CDR3を含み、Xは任意のアミノ酸である。一部の態様では、抗体または抗原結合性部分は、アミノ酸配列DXPFXLDXXYYYYYX(配列番号127)を含む重鎖CDR3を含み、Xは任意のアミノ酸である。前述の態様のいずれかでは、重鎖CDR3の残基D95、L100、Y100E、Y100G、Y100H、またはその組合せのアラニンへの突然変異は、ヒトCD137への結合の消失をもたらす。前述の態様のいずれかでは、残基P97、F98、D100A、Y100D、Y100F、またはその組合せのアラニンへの突然変異は、ヒトCD137への結合の低下をもたらす。前述の態様のいずれかでは、抗体または抗原結合性部分は重鎖および軽鎖CDRを含み、重鎖CDR3は、配列番号68に明記されるアミノ酸配列を含む。
【0118】
他の態様では、本明細書に記載される製剤は、ヒトCD137に特異的に結合する単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分を含み、
(i)抗体または抗原結合性部分は、約30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性(K)でヒトCD137に結合し;
(ii)抗体または抗原結合性部分は、アミノ酸配列DXXXXLXXXXYXYYX(配列番号126)を含む重鎖CDR3を含み、Xは任意のアミノ酸である。一部の実施形態では、Xは、アラニンを除く任意のアミノ酸である。
【0119】
別の態様では、本明細書に記載される製剤は、ヒトCD137に特異的に結合する単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分を含み、
(i)抗体または抗原結合性部分は、約30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性(K)でヒトCD137に結合し;
(ii)抗体または抗原結合性部分は、アミノ酸配列DXLXYXYYX10(配列番号128)を含む重鎖CDR3を含み、Xは任意のアミノ酸であり、Xは非極性アミノ酸であり、Xは非極性アミノ酸であり、Xは任意のアミノ酸であり、Xは極性アミノ酸であり、Xは任意のアミノ酸であり、Xは任意のアミノ酸であり、Xは極性アミノ酸であり、Xは極性アミノ酸であり、X10は任意のアミノ酸である。一部の態様では、Xはプロリンであり、Xはフェニルアラニンまたはトリプトファンであり、Xはアスパラギン酸またはグルタミン酸であり、Xはチロシンであり、Xはチロシンである。
【0120】
他の態様では、本明細書に記載される製剤は、ヒトCD137に特異的に結合する単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分を含み、
(i)抗体または抗原結合性部分は、約30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性(K)でヒトCD137に結合し;
(ii)抗体またはその抗原結合性部分は、配列番号3の1個または複数の残基E111、T113、K114、N126、I132、およびP135を含むヒトCD137上のエピトープに特異的に結合する。
【0121】
他の態様では、本明細書に記載される製剤は、ヒトCD137に特異的に結合する単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分を含み、
(i)抗体または抗原結合性部分は、約30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性(K)でヒトCD137に結合する;
(ii)抗体またはその抗原結合性部分は、配列番号3の1個または複数の残基E111、T113、K114、N126、I132、およびP135を含むヒトCD137上のエピトープに特異的に結合する;
(iii)抗体または抗原結合性部分は、アミノ酸配列DXXXXLXXXXYXYYX(配列番号126)を含む重鎖CDR3を含み、Xは任意のアミノ酸である;あるいは
(iv)その組合せ。一部の態様では、Xは、アラニンを除く任意のアミノ酸である。
【0122】
他の態様では、本明細書に記載される製剤は、ヒトCD137に特異的に結合する単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分を含み、
(i)抗体または抗原結合性部分は、約30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性(K)でヒトCD137に結合する;
(ii)抗体またはその抗原結合性部分は、配列番号3の1個または複数の残基E111、T113、K114、N126、I132、およびP135を含むヒトCD137上のエピトープに特異的に結合する;
(iii)抗体または抗原結合性部分は、アミノ酸配列DXLXYXYYX10(配列番号128)を含む重鎖CDR3を含み、Xは任意のアミノ酸であり、Xは非極性アミノ酸であり、Xは非極性アミノ酸であり、Xは任意のアミノ酸であり、Xは極性アミノ酸であり、Xは任意のアミノ酸であり、Xは任意のアミノ酸であり、Xは極性アミノ酸であり、Xは極性アミノ酸であり、X10は任意のアミノ酸である;あるいは
(iv)その組合せ。一部の態様では、Xはプロリンであり、Xはフェニルアラニンまたはトリプトファンであり、Xはアスパラギン酸またはグルタミン酸であり、Xはチロシンであり、Xはチロシンである。
【0123】
他の態様では、本明細書に記載される製剤は、ヒトCD137に特異的に結合する単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分を含み、
(i)抗体または抗原結合性部分は、約30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性(K)でヒトCD137に結合し;
(ii)抗体またはその抗原結合性部分は、配列番号3の1個または複数の残基E111、T113、K114、N126、I132、およびP135を含むヒトCD137上のエピトープに特異的に結合し;
(iii)抗体または抗原結合性部分は、アミノ酸配列DXXXXLXXXXYXYYX(配列番号126)を含む重鎖CDR3を含み、Xは任意のアミノ酸である。一部の態様では、Xは、アラニンを除く任意のアミノ酸である。
【0124】
他の態様では、本明細書に記載される製剤は、ヒトCD137に特異的に結合する単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分を含み、
(i)抗体または抗原結合性部分は、約30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性(K)でヒトCD137に結合し;
(ii)抗体またはその抗原結合性部分は、配列番号3の1個または複数の残基E111、T113、K114、N126、I132、およびP135を含むヒトCD137上のエピトープに特異的に結合し;
(iii)抗体または抗原結合性部分は、アミノ酸配列DXLXYXYYX10(配列番号128)を含む重鎖CDR3を含み、Xは任意のアミノ酸であり、Xは非極性アミノ酸であり、Xは非極性アミノ酸であり、Xは任意のアミノ酸であり、Xは極性アミノ酸であり、Xは任意のアミノ酸であり、Xは任意のアミノ酸であり、Xは極性アミノ酸であり、Xは極性アミノ酸であり、X10は任意のアミノ酸である。一部の態様では、Xはプロリンであり、Xはフェニルアラニンまたはトリプトファンであり、Xはアスパラギン酸またはグルタミン酸であり、Xはチロシンであり、Xはチロシンである。
【0125】
前述の態様のいずれかでは、エピトープはK114を含む。前述の態様のいずれかでは、エピトープは、E111、T113、およびK114を含む。前述の態様のいずれかでは、エピトープは、E11、T113、K114、N126、およびI132を含む。前述の態様のいずれかでは、エピトープは、配列番号3の残基E111、T113、K114、N126、I132、およびP135を含む。
【0126】
他の態様では、本明細書に記載される製剤は、ヒトCD137に特異的に結合する単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分を含み、
(i)抗体または抗原結合性部分は、約30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性(K)でヒトCD137に結合し;
(ii)抗体またはその抗原結合性部分は、配列番号3のアミノ酸111~135位に対応する1個または複数のアミノ酸残基の配列を含むエピトープに特異的に結合する。
【0127】
他の態様では、本明細書に記載される製剤は、ヒトCD137に特異的に結合する単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分を含み、
(i)抗体または抗原結合性部分は、約30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性(K)でヒトCD137に結合する;
(ii)抗体またはその抗原結合性部分は、配列番号3のアミノ酸111~135位に対応する1個または複数のアミノ酸残基の配列を含むエピトープに特異的に結合する;
(iii)抗体または抗原結合性部分は、アミノ酸配列DXXXXLXXXXYXYYX(配列番号126)を含む重鎖CDR3を含み、Xは任意のアミノ酸である;あるいは
(iv)その組合せ。一部の態様では、Xは、アラニンを除く任意のアミノ酸である。
【0128】
他の態様では、本明細書に記載される製剤は、ヒトCD137に特異的に結合する単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分を含み、
(i)抗体または抗原結合性部分は、約30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性(K)でヒトCD137に結合する;
(ii)抗体またはその抗原結合性部分は、配列番号3のアミノ酸111~135位に対応する1個または複数のアミノ酸残基の配列を含むエピトープに特異的に結合する;
(iii)抗体または抗原結合性部分は、アミノ酸配列DXLXYXYYX10(配列番号128)を含む重鎖CDR3を含み、Xは任意のアミノ酸であり、Xは非極性アミノ酸であり、Xは非極性アミノ酸であり、Xは任意のアミノ酸であり、Xは極性アミノ酸であり、Xは任意のアミノ酸であり、Xは任意のアミノ酸であり、Xは極性アミノ酸であり、Xは極性アミノ酸であり、X10は任意のアミノ酸である;あるいは
(iv)その組合せ。一部の態様では、Xはプロリンであり、Xはフェニルアラニンまたはトリプトファンであり、Xはアスパラギン酸またはグルタミン酸であり、Xはチロシンであり、Xはチロシンである。
【0129】
別の態様では、本明細書に記載される製剤は、ヒトCD137に特異的に結合する単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分を含み、
(i)抗体または抗原結合性部分は、約30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性(K)でヒトCD137に結合し;
(ii)抗体またはその抗原結合性部分は、配列番号3のアミノ酸111~135位に対応する1個または複数のアミノ酸残基の配列を含むエピトープに特異的に結合し;
(iii)抗体または抗原結合性部分は、アミノ酸配列DXXXXLXXXXYXYYX(配列番号126)を含む重鎖CDR3を含み、Xは任意のアミノ酸である。一部の態様では、Xは、アラニンを除く任意のアミノ酸である。
【0130】
別の態様では、本明細書に記載される製剤は、ヒトCD137に特異的に結合する単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分を含み、
(i)抗体または抗原結合性部分は、約30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性(K)でヒトCD137に結合し;
(ii)抗体またはその抗原結合性部分は、配列番号3のアミノ酸111~135位に対応する1個または複数のアミノ酸残基の配列を含むエピトープに特異的に結合し;
(iii)抗体または抗原結合性部分は、アミノ酸配列DXLXYXYYX10(配列番号128)を含む重鎖CDR3を含み、Xは任意のアミノ酸であり、Xは非極性アミノ酸であり、Xは非極性アミノ酸であり、Xは任意のアミノ酸であり、Xは極性アミノ酸であり、Xは任意のアミノ酸であり、Xは任意のアミノ酸であり、Xは極性アミノ酸であり、Xは極性アミノ酸であり、X10は任意のアミノ酸である。一部の態様では、Xはプロリンであり、Xはフェニルアラニンまたはトリプトファンであり、Xはアスパラギン酸またはグルタミン酸であり、Xはチロシンであり、Xはチロシンである。
【0131】
前述の態様のいずれかでは、エピトープは、配列番号3のアミノ酸111~135位に対応する2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25個のアミノ酸残基を含む。
【0132】
一部の態様では、本明細書に記載される製剤は、ヒトCD137に特異的に結合する単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分を含み、
(i)抗体または抗原結合性部分は、約30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性でヒトCD137に結合し;
(ii)抗体またはその抗原結合性部分は、ELTK(配列番号3のアミノ酸残基111~114に対応する)を含むエピトープに特異的に結合する。
【0133】
一部の態様では、本明細書に記載される製剤は、ヒトCD137に特異的に結合する単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分を含み、
(i)抗体または抗原結合性部分は、約30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性(K)でヒトCD137に結合する;
(ii)抗体またはその抗原結合性部分は、ELTK(配列番号3のアミノ酸残基111~114に対応する)を含むエピトープに特異的に結合する;
(iii)抗体または抗原結合性部分は、アミノ酸配列DXXXXLXXXXYXYYX(配列番号126)を含む重鎖CDR3を含み、Xは任意のアミノ酸である;あるいは
(iv)その組合せ。一部の態様では、Xは、アラニンを除く任意のアミノ酸である。
【0134】
一部の態様では、本明細書に記載される製剤は、ヒトCD137に特異的に結合する単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分を含み、
(i)抗体または抗原結合性部分は、約30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性(K)でヒトCD137に結合する;
(ii)抗体またはその抗原結合性部分は、ELTK(配列番号3のアミノ酸残基111~114に対応する)を含むエピトープに特異的に結合する;
(iii)抗体または抗原結合性部分は、アミノ酸配列DXLXYXYYX10(配列番号128)を含む重鎖CDR3を含み、Xは任意のアミノ酸であり、Xは非極性アミノ酸であり、Xは非極性アミノ酸であり、Xは任意のアミノ酸であり、Xは極性アミノ酸であり、Xは任意のアミノ酸であり、Xは任意のアミノ酸であり、Xは極性アミノ酸であり、Xは極性アミノ酸であり、X10は任意のアミノ酸である;あるいは
(iv)その組合せ。一部の態様では、Xはプロリンであり、Xはフェニルアラニンまたはトリプトファンであり、Xはアスパラギン酸またはグルタミン酸であり、Xはチロシンであり、Xはチロシンである。
【0135】
一部の態様では、本開示は、ヒトCD137に特異的に結合する単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分であって、
(i)抗体または抗原結合性部分は、約30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性(K)でヒトCD137に結合し;
(ii)抗体またはその抗原結合性部分は、ELTK(配列番号3のアミノ酸残基111~114に対応する)を含むエピトープに特異的に結合し;
(iii)抗体または抗原結合性部分は、アミノ酸配列DXXXXLXXXXYXYYX(配列番号126)を含む重鎖CDR3を含み、Xは任意のアミノ酸である、
単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分を提供する。一部の態様では、Xは、アラニンを除く任意のアミノ酸である。
【0136】
一部の態様では、本明細書に記載される製剤は、ヒトCD137に特異的に結合する単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分を含み、
(i)抗体または抗原結合性部分は、約30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性(K)でヒトCD137に結合し;
(ii)抗体またはその抗原結合性部分は、ELTK(配列番号3のアミノ酸残基111~114に対応する)を含むエピトープに特異的に結合し;
(iii)抗体または抗原結合性部分は、アミノ酸配列DXLXYXYYX10(配列番号128)を含む重鎖CDR3を含み、Xは任意のアミノ酸であり、Xは非極性アミノ酸であり、Xは非極性アミノ酸であり、Xは任意のアミノ酸であり、Xは極性アミノ酸であり、Xは任意のアミノ酸であり、Xは任意のアミノ酸であり、Xは極性アミノ酸であり、Xは極性アミノ酸であり、X10は任意のアミノ酸である。一部の態様では、Xはプロリンであり、Xはフェニルアラニンまたはトリプトファンであり、Xはアスパラギン酸またはグルタミン酸であり、Xはチロシンであり、Xはチロシンである。
【0137】
前述の態様のいずれかでは、エピトープは、配列番号3の残基ELTK(配列番号3のアミノ酸残基111~114に対応する)を含む。一部の態様では、エピトープは、配列番号3の残基ELTK(配列番号3のアミノ酸残基111~114に対応する)、ならびに配列番号3の残基N126、I132、およびP135を含む。
【0138】
前述の態様のいずれかでは、エピトープは非線状エピトープである。一部の態様では、ヒトCD137(配列番号3)の残基K114の突然変異は、ヒトCD137への抗体またはその抗原結合性部分の結合を抑止する。
【0139】
前述の態様のいずれかでは、抗体またはその抗原結合性部分は、アミノ酸配列DXPFXLDXXYYYYYX(配列番号128)を含む重鎖CDR3を含み、Xは任意のアミノ酸である。一部の態様では、本明細書に記載される抗体または抗原結合性部分の重鎖CDR3の残基D95、L100、Y100E、Y100G、Y100H、またはその組合せの突然変異は、ヒトCD137への結合の消失をもたらす。一部の態様では、本明細書に記載される抗体または抗原結合性部分の重鎖CDR3の残基P97、F98、D100A、Y100D、Y100F、またはその組合せのアラニンへの突然変異は、ヒトCD137への結合の低下をもたらす。他の態様では、本明細書に記載される抗体または抗原結合性部分の重鎖CDR3の残基P97、F98、D100A、Y100D、Y100F、またはその組合せの、アラニンを除く任意の残基への突然変異は、ヒトCD137への結合の増加をもたらす。
【0140】
前述の態様のいずれかでは、抗体またはその抗原結合性部分は、約45~95nM、50~90nM、55~85nM、60~80nM、65~75nM、55~75nM、40~70nM、50~80nM、または60~90nMの(K)でヒトCD137に結合する。前述の態様のいずれかでは、抗体またはその抗原結合性部分は、約45nM~約95nM、約50~約90nM、約55~約85nM、約60~約80nM、約65~約75nM、約55~約75nM、約40~約70nM、約50~約80nM、または約60~約90nMの(K)でヒトCD137に結合する。
【0141】
前述の態様のいずれかでは、抗体またはその抗原結合性部分は重鎖および軽鎖CDRを含み、重鎖CDR3は、配列番号68に明記されるアミノ酸配列を含む。
前述の態様のいずれかでは、抗体またはその抗原結合性部分は、
(a)それぞれ配列番号48、56、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号69、78、および89に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;ならびに
(b)それぞれ配列番号51、108、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号69、78、および89に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列
からなる群から選択される重鎖および軽鎖CDRを含む。
【0142】
一部の実施形態では、単離されたアゴニストモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分は、
(a)それぞれ配列番号135、139、および143に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号144、147、および150に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;ならびに
(b)それぞれ配列番号137、141、および143に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号144、147、および150に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列
からなる群から選択される重鎖および軽鎖CDRを含む。
【0143】
一部の実施形態では、単離されたアゴニストモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分は、
(a)それぞれ配列番号48、154、および159に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号144、147、および150に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;ならびに
(b)それぞれ配列番号51、156、159に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号144、147、および150に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列
からなる群から選択される重鎖および軽鎖CDRを含む。
【0144】
前述の態様のいずれかでは、抗体またはその抗原結合性部分は重鎖および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域は、配列番号4および101からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域は、配列番号6のアミノ酸配列を含む。
【0145】
前述の態様のいずれかでは、抗体またはその抗原結合性部分は、
(a)それぞれ配列番号4および6;ならびに
(b)それぞれ配列番号101および6
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、重鎖および軽鎖可変領域を含む。
【0146】
前述の態様のいずれかでは、抗体またはその抗原結合性部分は重鎖および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域は、配列番号4および101からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域は、配列番号6のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0147】
前述の態様のいずれかでは、抗体またはその抗原結合性部分は、
(a)それぞれ配列番号4および6;ならびに
(b)それぞれ配列番号101および6
からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、重鎖および軽鎖可変領域を含む。
【0148】
前述の態様のいずれかでは、抗体または抗原結合性部分は、
(a)それぞれ配列番号129および133;ならびに
(b)それぞれ配列番号131および133
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、重鎖および軽鎖を含む。
【0149】
前述の態様のいずれかでは、本明細書に記載される単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分は、ヒトCD137活性のアゴニストである。
前述の態様のいずれかでは、本明細書に記載される単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分は、ヒトCD137のエピトープへの結合を、mAb1またはmAb1の抗原結合性断片と競合する。
【0150】
一部の態様では、本明細書に記載される製剤は、CD137に特異的に結合する単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分を含み、抗体またはその抗原結合性部分は、
(a)それぞれ配列番号48、56、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号69、78、および89に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(b)それぞれ配列番号48、56、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号70、79、および90に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(c)それぞれ配列番号48、56、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号71、80、および91に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(d)それぞれ配列番号48、56、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号72、81、および92に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(e)それぞれ配列番号48、56、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号73、82、および91に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(f)それぞれ配列番号48、56、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号74、83、および93に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(g)それぞれ配列番号48、56、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号75、84、および91に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(h)それぞれ配列番号48、56、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号74、85、および94に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(i)それぞれ配列番号48、56、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号76、86、および95に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(j)それぞれ配列番号48、56、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号77、87、および93に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(k)それぞれ配列番号48、56、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号69、88、および90に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(l)それぞれ配列番号49、57、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号69、78、および89に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(m)それぞれ配列番号49、58、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号69、78、および89に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(n)それぞれ配列番号49、59、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号69、78、および89に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(o)それぞれ配列番号49、60、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号69、78、および89に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(p)それぞれ配列番号50、61、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号69、78、および89に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(q)それぞれ配列番号50、58、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号69、78、および89に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(r)それぞれ配列番号51、62、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号69、78、および89に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(s)それぞれ配列番号52、63、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号69、78、および89に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(t)それぞれ配列番号50、64、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号69、78、および89に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(u)それぞれ配列番号50、65、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号69、78、および89に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(v)それぞれ配列番号51、108、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号69、78、および89に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(w)それぞれ配列番号107、56、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号69、78、および89に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;ならびに
(x)それぞれ配列番号48、56、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号109、110、および92に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列
からなる群から選択される重鎖および軽鎖CDRを含む。
【0151】
他の態様では、本明細書に記載される製剤は、ヒトCD137に特異的に結合する単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分を含み、抗体またはその抗原結合性部分は重鎖および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域は、配列番号4、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、101、および103からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域は、配列番号6、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、および105からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0152】
他の態様では、本明細書に記載される製剤は、ヒトCD137に特異的に結合する単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分を含み、抗体または抗原結合性部分は、
(a)それぞれ配列番号5および7;ならびに
(b)それぞれ配列番号102および7
からなる群から選択されるヌクレオチド配列によってコードされる重鎖および軽鎖可変領域を含む。
【0153】
他の態様では、本明細書に記載される製剤は、ヒトCD137に特異的に結合する単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分を含み、抗体またはその抗原結合性部分は、
(a)それぞれ配列番号5および7;
(b)それぞれ配列番号5および29;
(c)それぞれ配列番号5および31;
(d)それぞれ配列番号5および33;
(e)それぞれ配列番号5および35;
(f)それぞれ配列番号5および37;
(g)それぞれ配列番号5および39;
(h)それぞれ配列番号5および41;
(i)それぞれ配列番号5および43;
(j)それぞれ配列番号5および45;
(k)それぞれ配列番号5および47;
(l)それぞれ配列番号9および7;
(m)それぞれ配列番号11および7;
(n)それぞれ配列番号13および7;
(o)それぞれ配列番号15および7;
(p)それぞれ配列番号17および7;
(q)それぞれ配列番号19および7;
(r)それぞれ配列番号21および7;
(s)それぞれ配列番号23および7;
(t)それぞれ配列番号25および7;
(u)それぞれ配列番号27および7;
(v)それぞれ配列番号102および7;
(w)それぞれ配列番号104および7;ならびに
(x)それぞれ配列番号5および106
からなる群から選択されるヌクレオチド配列によってコードされる重鎖および軽鎖可変領域を含む。
【0154】
さらに他の態様では、本明細書に記載される製剤は、ヒトCD137に特異的に結合する単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分を含み、抗体またはその抗原結合性部分は重鎖および軽鎖CDRを含み、重鎖CDR3は、配列番号68に明記されるアミノ酸配列を含む。
【0155】
別の態様では、本明細書に記載される製剤は、ヒトCD137に特異的に結合する単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分を含み、抗体またはその抗原結合性部分は重鎖および軽鎖CDRを含み、重鎖CDR3は、アミノ酸配列DXXXXLXXXXYXYYX(配列番号126)を含み、Xは任意のアミノ酸である。一部の態様では、Xは、アラニンを除く任意のアミノ酸である。
【0156】
一部の態様では、本明細書に記載される製剤は、ヒトCD137に特異的に結合する単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分を含み、抗体またはその抗原結合性部分は重鎖および軽鎖CDRを含み、重鎖CDR3は、アミノ酸配列DXPFXLDXXYYYYYX(配列番号127)を含み、Xは任意のアミノ酸である。一部の態様では、Xは、アラニンを除く任意のアミノ酸である。
【0157】
さらに他の態様では、本明細書に記載される製剤は、ヒトCD137に特異的に結合する単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分を含み、抗体またはその抗原結合性部分は重鎖および軽鎖CDRを含み、重鎖CDR3は、アミノ酸配列DXXXXLXXXXYXYYX(配列番号126)を含み、Xは任意のアミノ酸であり、残基D95、L100、Y100E、Y100G、Y100H、またはその組合せの突然変異は、ヒトCD137への結合の消失をもたらす。
【0158】
他の態様では、本明細書に記載される製剤は、ヒトCD137に特異的に結合する単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分を含み、抗体またはその抗原結合性部分は重鎖および軽鎖CDRを含み、重鎖CDR3は、アミノ酸配列DXPFXLDXXYYYYYX(配列番号127)を含み、Xは任意のアミノ酸であり、残基P97、F98、D100A、Y100D、Y100F、またはその組合せのアラニンへの突然変異は、ヒトCD137への結合の低下をもたらす。
【0159】
一部の態様では、本明細書に記載される製剤は、ヒトCD137に特異的に結合する単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分を含み、抗体またはその抗原結合性部分は重鎖および軽鎖CDRを含み、重鎖CDR3は、アミノ酸配列DXPFXLDXXYYYYYX(配列番号127)を含み、Xは任意のアミノ酸であり、残基P97、F98、D100A、Y100D、Y100F、またはその組合せの、アラニンを除く任意の残基への突然変異は、ヒトCD137への結合の増加をもたらす。
【0160】
さらに他の態様では、本明細書に記載される製剤は、ヒトCD137に特異的に結合する単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分を含み、抗体またはその抗原結合性部分は重鎖および軽鎖CDRを含み、重鎖CDR3は、アミノ酸配列DX1X2X3X4LX5X6X7X8YX9YYX10(配列番号128)を含み、X1は任意のアミノ酸であり、X2は非極性アミノ酸であり、X3は非極性アミノ酸であり、X4は任意のアミノ酸であり、X5は極性アミノ酸であり、X6は任意のアミノ酸であり、X7は任意のアミノ酸であり、X8は極性アミノ酸であり、X9は極性アミノ酸であり、X10は任意のアミノ酸である。一部の態様では、X2はプロリンであり、X3はフェニルアラニンまたはトリプトファンであり、X5はアスパラギン酸またはグルタミン酸であり、X8はチロシンであり、X9はチロシンである。
【0161】
一部の態様では、本明細書に記載される製剤は、ヒトCD137に特異的に結合する単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分を含み、抗体またはその抗原結合性部分は、
(a)それぞれ配列番号4および6;
(b)それぞれ配列番号4および28;
(c)それぞれ配列番号4および30;
(d)それぞれ配列番号4および32;
(e)それぞれ配列番号4および34;
(f)それぞれ配列番号4および36;
(g)それぞれ配列番号4および38;
(h)それぞれ配列番号4および40;
(i)それぞれ配列番号4および42;
(j)それぞれ配列番号4および44;
(k)それぞれ配列番号4および46;
(l)それぞれ配列番号8および6;
(m)それぞれ配列番号10および6;
(n)それぞれ配列番号12および6;
(o)それぞれ配列番号14および6;
(p)それぞれ配列番号16および6;
(q)それぞれ配列番号18および6;
(r)それぞれ配列番号20および6;
(s)それぞれ配列番号22および6;
(t)それぞれ配列番号24および6;
(u)それぞれ配列番号26および6;
(v)それぞれ配列番号101および6;
(w)それぞれ配列番号103および6;ならびに
(x)それぞれ配列番号4および105
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖および軽鎖可変領域を含む。
【0162】
他の態様では、本明細書に記載される製剤は、ヒトCD137に特異的に結合する単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分を含み、抗体またはその抗原結合性部分は重鎖および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域は、配列番号4、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、101、および103からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域は、配列番号6、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、および105からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0163】
一部の態様では、本明細書に記載される製剤は、ヒトCD137に特異的に結合する単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分を含み、抗体またはその抗原結合性部分は、
(a)それぞれ配列番号4および6;
(b)それぞれ配列番号4および28;
(c)それぞれ配列番号4および30;
(d)それぞれ配列番号4および32;
(e)それぞれ配列番号4および34;
(f)それぞれ配列番号4および36;
(g)それぞれ配列番号4および38;
(h)それぞれ配列番号4および40;
(i)それぞれ配列番号4および42;
(j)それぞれ配列番号4および44;
(k)それぞれ配列番号4および46;
(l)それぞれ配列番号8および6;
(m)それぞれ配列番号10および6;
(n)それぞれ配列番号12および6;
(o)それぞれ配列番号14および6;
(p)それぞれ配列番号16および6;
(q)それぞれ配列番号18および6;
(r)それぞれ配列番号20および6;
(s)それぞれ配列番号22および6;
(t)それぞれ配列番号24および6;
(u)それぞれ配列番号26および6;
(v)それぞれ配列番号101および6;
(w)それぞれ配列番号103および6;ならびに
(x)それぞれ配列番号4および105
からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む重鎖および軽鎖可変領域を含む。
【0164】
一部の態様では、本明細書に記載される製剤は、ヒトCD137に特異的に結合する単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分を含み、抗体またはその抗原結合性部分は、
(a)それぞれ配列番号129および133;ならびに
(b)それぞれ配列番号131および133
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖および軽鎖配列を含む。
【0165】
一部の態様では、本明細書に記載される製剤は、ヒトCD137に特異的に結合する単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分を含み、抗体またはその抗原結合性部分は、それぞれ配列番号129および133に明記されるアミノ酸配列を有する重鎖および軽鎖配列を含む。
【0166】
一部の態様では、本明細書に記載される製剤は、ヒトCD137に特異的に結合する単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分を含み、抗体またはその抗原結合性部分は、それぞれ配列番号131および133に明記されるアミノ酸配列を有する重鎖および軽鎖配列を含む。
【0167】
前述の態様のいずれかでは、抗体または抗原結合性部分は、ヒトCD137に特異的に結合しかつアゴナイズする。
前述の態様のいずれかでは、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分は、以下の
(a)CD137三量体の二量体化を誘導するまたは増強する;
(b)CD137三量体の多量体化を誘導するまたは増強する;
(c)T細胞活性化を誘導するまたは増強する;
(d)細胞傷害性T細胞応答を誘導するまたは増強する;
(e)T細胞増殖を誘導するまたは増強する;
(f)サイトカイン産生を誘導するまたは増強する;および
(g)特性(a)~(f)の任意の組合せ
からなる群から選択される特性のうちの少なくとも1つまたは複数を呈する。
【0168】
前述の態様のいずれかでは、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分は、ヒトCD137に結合する参照抗体と比べた、以下の
(a)肝内T細胞活性化を誘導しないまたは増強しない;
(b)肝内T細胞増殖を誘導しないまたは増強しない;
(c)脾臓内T細胞活性化を誘導しないまたは増強しない;
(d)脾臓内T細胞増殖を誘導しないまたは増強しない;
(e)マクロファージ活性化を誘導しないまたは増強しない;
(f)マクロファージ分化を誘導しないまたは増強しない;
(g)アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)活性を誘導しないまたは増強しない;および
(h)特性(a)~(g)の任意の組合せ
からなる群から選択される特性のうちの少なくとも1つまたは複数を呈する。一部の態様では、参照抗体はウレルマブである。
【0169】
前述の態様のいずれかでは、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分は、腫瘍微小環境においてヒトCD137媒介性T細胞活性化を誘導するまたは増強するが、脾臓および/または肝臓においてはヒトCD137媒介性T細胞活性化を有意に誘導しないまたは増強しない。
【0170】
前述の態様のいずれかでは、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分は、腫瘍微小環境においてT細胞活性化を誘導するまたは増強するが、脾臓および/または肝臓においてはT細胞活性化を有意に誘導しないまたは増強しない。
【0171】
前述の態様のいずれかでは、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分は、腫瘍微小環境においてヒトCD137媒介性細胞傷害性T細胞応答を誘導するまたは増強するが、脾臓および/または肝臓においてはヒトCD137媒介性細胞傷害性T細胞応答を有意に誘導しないまたは増強しない。
【0172】
前述の態様のいずれかでは、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分は、腫瘍微小環境において細胞傷害性T細胞応答を誘導するまたは増強するが、脾臓および/または肝臓においてはT細胞応答を有意に誘導しないまたは増強しない。
【0173】
前述の態様のいずれかでは、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分は、腫瘍微小環境においてヒトCD137媒介性T細胞増殖を誘導するが、脾臓および/または肝臓においてはヒトCD137媒介性T細胞増殖を有意に誘導しない。
【0174】
前述の態様のいずれかでは、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分は、腫瘍微小環境においてT細胞増殖を誘導するが、脾臓および/または肝臓においてはT細胞増殖を有意に誘導しない。
【0175】
前述の態様のいずれかでは、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分は、腫瘍微小環境においてヒトCD137媒介性T細胞浸潤を誘導するが、脾臓および/または肝臓においてはヒトCD137媒介性T細胞浸潤を有意に誘導しない。
【0176】
前述の態様のいずれかでは、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分は、腫瘍微小環境においてT細胞浸潤を誘導するが、脾臓および/または肝臓においてはT細胞浸潤を有意に誘導しない。
【0177】
前述の態様のいずれかでは、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分は、腫瘍微小環境においてヒトCD137媒介性サイトカイン産生を誘導するまたは増強するが、脾臓および/または肝臓においてはヒトCD137媒介性サイトカイン産生を有意に誘導しないまたは増強しない。
【0178】
前述の態様のいずれかでは、本明細書に記載される抗体または抗原結合性部分の特性は、Fcガンマ受容体結合依存性でない。一部の態様では、本明細書に記載される抗体または抗原結合性部分の特性は、Fcガンマ受容体結合によって増強される。
【0179】
前述の態様のいずれかでは、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分は、mAb1(すなわち、それぞれ配列番号4および6の重鎖および軽鎖可変配列を含む抗体)と交差競合する。一部の態様では、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分は、mAb1(すなわち、それぞれ配列番号4および6の重鎖および軽鎖可変配列を含む抗体)、mab8(すなわち、それぞれ配列番号101および6の重鎖および軽鎖可変配列を含む抗体)、またはmAb10(すなわち、それぞれ配列番号26および6の重鎖および軽鎖可変配列を含む抗体)と交差競合する。一部の態様では、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分は、mab8(すなわち、それぞれ配列番号101および6の重鎖および軽鎖可変配列を含む抗体)と交差競合する。一部の態様では、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分は、mAb10(すなわち、それぞれ配列番号26および6の重鎖および軽鎖可変配列を含む抗体)と交差競合する。
【0180】
前述の態様のいずれかでは、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分は、mAb1(すなわち、それぞれ配列番号4および6の重鎖および軽鎖可変配列を含む抗体)の少なくとも機能的特性を含む。一部の態様では、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分は、mAb1(すなわち、それぞれ配列番号4および6の重鎖および軽鎖可変配列を含む抗体)、mab8(すなわち、それぞれ配列番号101および6の重鎖および軽鎖可変配列を含む抗体)、またはmAb10(すなわち、それぞれ配列番号26および6の重鎖および軽鎖可変配列を含む抗体)の少なくとも機能的特性を含む。一部の態様では、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分は、mab8(すなわち、それぞれ配列番号101および6の重鎖および軽鎖可変配列を含む抗体)の少なくとも機能的特性を含む。一部の態様では、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分は、mAb10(すなわち、それぞれ配列番号26および6の重鎖および軽鎖可変配列を含む抗体)の少なくとも機能的特性を含む。
【0181】
前述の態様のいずれかでは、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分は、mAb1(すなわち、それぞれ配列番号4および6の重鎖および軽鎖可変配列を含む抗体)と少なくとも同等のK値を有する。一部の態様では、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分は、mAb1(すなわち、それぞれ配列番号4および6の重鎖および軽鎖可変配列を含む抗体)、mab8(すなわち、それぞれ配列番号101および6の重鎖および軽鎖可変配列を含む抗体)、またはmAb10(すなわち、それぞれ配列番号26および6の重鎖および軽鎖可変配列を含む抗体)と少なくとも同等のK値を有する。一部の態様では、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分は、mab8(すなわち、それぞれ配列番号101および6の重鎖および軽鎖可変配列を含む抗体)と少なくとも同等のK値を有する。一部の態様では、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分は、mAb10(すなわち、それぞれ配列番号26および6の重鎖および軽鎖可変配列を含む抗体)と少なくとも同等のK値を有する。
【0182】
前述の態様のいずれかでは、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分は、カニクイザルCD137および/またはマウスCD137と交差反応する。
前述の態様のいずれかでは、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分は、IgG1、IgG2、およびIgG3、IgG4、ならびにIgM、ならびにIgA1およびIgA2、ならびにIgD、ならびにIgE抗体からなる群から選択される。一部の態様では、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分は、IgG1抗体またはIgG4抗体である。
【0183】
前述の態様のいずれかでは、単離されたモノクローナル抗体は、野生型IgG1または野生型IgG4重鎖定常領域を含む。一部の態様では、単離されたモノクローナル抗体は、突然変異体IgG1重鎖定常領域を含む。一部の態様では、単離されたモノクローナル抗体は、突然変異体IgG4重鎖定常領域を含む。一部の態様では、突然変異体IgG4重鎖定常領域は、Ser228に置換を含む。一部の態様では、突然変異体IgG4重鎖定常領域は置換S228Pを含む。
【0184】
前述の態様のいずれかでは、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分は、CD137のエピトープに結合し、抗体によって結合されるエピトープを含むアミノ酸残基は、本明細書に記載されるmAb1抗体のパラトープを含むアミノ酸残基の4オングストローム以内に位置する。
【0185】
前述の態様のいずれかでは、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分は、CD137のエピトープに結合し、抗体によって結合されるエピトープの突然変異は、抗体および抗体mAb1の両方への結合を阻害する、低下させる、または遮断する。
【0186】
前述の態様のいずれかでは、単離された抗体またはその抗原結合性部分は、完全にヒトであるまたはヒト化されている(すなわち、完全ヒトまたはヒト化抗体またはその抗原結合性部分)。
【0187】
一部の態様では、本開示は、本明細書に記載される単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分、および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
他の態様では、本開示は、本明細書に記載される単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分の軽鎖、重鎖、または重鎖および軽鎖の両方をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を提供する。一部の態様では、核酸は配列番号5および7を含む。一部の態様では、核酸は配列番号102および7を含む。一部の態様では、本開示は、本明細書に記載される核酸を含む発現ベクターを提供する。他の態様では、本開示は、本明細書に記載される発現ベクターで形質転換された細胞を提供する。
【0188】
別の態様では、本開示は、ヒトCD137に特異的に結合する単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分を産生するための方法であって、本明細書に記載される細胞を、モノクローナル抗体またはその抗原結合性部分の発現を可能にさせる条件下で維持する工程を含む、方法を提供する。一部の態様では、ヒトCD137に特異的に結合するモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分を産生するための方法は、モノクローナル抗体またはその抗原結合性部分を獲得する工程をさらに含む。
【0189】
さらに別の態様では、本開示は、本明細書に記載される単離されたモノクローナル抗体もしくはその抗原結合性部分、または本明細書に記載される医薬組成物の有効量を、それを必要とする対象に対して投与する工程を含む、対象におけるヒトCD137三量体の二量体化を誘導するまたは増強するための方法を提供する。
【0190】
別の態様では、本開示は、本明細書に記載される単離されたモノクローナル抗体もしくはその抗原結合性部分、または本明細書に記載される医薬組成物の有効量を、それを必要とする対象に対して投与する工程を含む、対象におけるヒトCD137三量体の多量体化を誘導するまたは増強するための方法を提供する。
【0191】
他の態様では、本開示は、本明細書に記載される単離されたモノクローナル抗体もしくはその抗原結合性部分、または本明細書に記載される医薬組成物の有効量を、それを必要とする対象に対して投与する工程を含む、対象におけるヒトCD137によって媒介されるT細胞活性化を誘導するまたは増強するための方法を提供する。一部の態様では、T細胞活性化は腫瘍微小環境において生じる。他の態様では、T細胞活性化は、対象の脾臓および/または肝臓においては有意に生じない。
【0192】
別の態様では、本開示は、本明細書に記載される単離されたモノクローナル抗体もしくはその抗原結合性部分、または本明細書に記載される医薬組成物の有効量を、それを必要とする対象に対して投与する工程を含む、対象におけるヒトCD137によって媒介される細胞傷害性T細胞応答を誘導するまたは増強するための方法を提供する。一部の態様では、細胞傷害性T細胞応答は腫瘍微小環境において生じる。他の態様では、細胞傷害性T細胞応答は、対象の脾臓および/または肝臓においては有意に生じない。
【0193】
一部の態様では、本開示は、本明細書に記載される単離されたモノクローナル抗体もしくはその抗原結合性部分、または本明細書に記載される医薬組成物の有効量を、それを必要とする対象に対して投与する工程を含む、対象におけるヒトCD137によって媒介されるサイトカイン産生を誘導するまたは増強するための方法を提供する。一部の実施形態では、産生されるサイトカインは、IL-2、TNFα、IL-13、IFN-γ、またはその組合せである。一部の実施形態では、産生されるサイトカインはIL-2である。一部の実施形態では、産生されるサイトカインはTNFαである。一部の実施形態では、産生されるサイトカインはIL-13である。一部の実施形態では、産生されるサイトカインはIFN-γである。一部の実施形態では、産生されるサイトカインはIL-2およびTNFαである。一部の実施形態では、産生されるサイトカインはIL-2およびIL-13である。一部の実施形態では、産生されるサイトカインはIL-2およびIFN-γである。一部の実施形態では、産生されるサイトカインはTNFαおよびIL-13である。一部の実施形態では、産生されるサイトカインはTNFαおよびIFN-γである。一部の実施形態では、産生されるサイトカインはIL-13およびIFN-γである。一部の実施形態では、産生されるサイトカインは、IL-2、TNFα、およびIL-13である。一部の実施形態では、産生されるサイトカインは、IL-2、TNFα、およびIFN-γである。一部の実施形態では、産生されるサイトカインは、IFN-γ、TNFα、およびIL-13である。他の実施形態では、サイトカイン産生は腫瘍微小環境において生じる。さらに他の実施形態では、サイトカイン産生は、対象の脾臓および/または肝臓においては有意に生じない。
【0194】
別の態様では、本開示は、本明細書に記載される単離されたモノクローナル抗体もしくはその抗原結合性部分、または本明細書に記載される医薬組成物の有効量を、それを必要とする対象に対して投与する工程を含む、対象におけるヒトCD137によって媒介されるT細胞増殖を誘導するまたは増強するための方法を提供する。一部の実施形態では、T細胞増殖は腫瘍微小環境において生じる。他の実施形態では、T細胞増殖は、対象の脾臓および/または肝臓においては有意に生じない。
【0195】
別の態様では、本開示は、本明細書に記載される単離されたモノクローナル抗体もしくはその抗原結合性部分、または本明細書に記載される医薬組成物の有効量を、それを必要とする対象に対して投与する工程を含む、腫瘍成長を低下させるまたは阻害するための方法を提供する。
【0196】
さらに別の態様では、本開示は、本明細書に記載される単離されたモノクローナル抗体もしくはその抗原結合性部分、または本明細書に記載される医薬組成物の有効量を、それを必要とする対象に対して投与する工程を含む、対象におけるヒトCD137によって媒介される障害を処置するための方法を提供する。
【0197】
一部の態様では、本開示は、本明細書に記載される単離されたモノクローナル抗体もしくはその抗原結合性部分、または本明細書に記載される医薬組成物の有効量を、それを必要とする対象に対して投与する工程を含む、対象におけるがんを処置するための方法を提供する。一部の実施形態では、がんは、黒色腫、神経膠腫、腎臓がん、乳がん、血液学的がん、および頭頸部がんからなる群から選択される。一部の実施形態では、血液学的がんはB細胞リンパ腫である。
【0198】
一部の態様では、本開示は、本明細書に記載される単離されたモノクローナル抗体もしくはその抗原結合性部分、または本明細書に記載される医薬組成物の有効量を、それを必要とする対象に対して投与する工程を含む、抗腫瘍メモリー免疫応答を誘導する方法を提供する。
【0199】
前述の態様のいずれかでは、腫瘍微小環境への免疫細胞の浸潤は、抗体または抗原結合性部分の投与後に増加する。一部の態様では、免疫細胞はCD45を発現する。
前述の態様のいずれかでは、T調節性(Treg)細胞の分量は、抗体または抗原結合性部分の投与後に腫瘍微小環境において低下する。一部の態様では、Treg細胞は、CD4、FOXP-3、およびCD24を発現する。
【0200】
前述の態様のいずれかでは、マクロファージ細胞の分量は、モノクローナル抗体または抗原結合性部分の投与後に腫瘍微小環境において低下する。一部の態様では、マクロファージは、CD45およびCD11bを発現する。
【0201】
前述の態様のいずれかでは、T細胞疲弊は、抗体または抗原結合性部分の投与後に低下する。一部の態様では、T細胞疲弊の低下は、TIGIT、PD-1、LAG-3、またはその組合せの発現の減少を含む。一部の態様では、T細胞疲弊の低下は、TIGITおよびPD-1の発現の減少を含む。
【0202】
前述の態様のいずれかでは、CD4+T細胞、CD8+T細胞、ナチュラルキラー細胞、またはその組合せの枯渇は、抗体またはその抗原結合性部分の有効性を低下させる。
別の態様では、本開示は、
(a)生体試料と本明細書に記載される抗体または抗原結合性部分とを接触させる工程であって、抗体または抗原結合性部分は検出可能な物質で標識されている工程;および
(b)ヒトCD137に結合している抗体または抗原結合性部分を検出して、それによって生体試料におけるヒトCD137の存在または非存在を検出する工程
を含む、生体試料におけるヒトCD137の存在または非存在を検出するための方法を提供する。
【0203】
別の態様では、本開示は、それを必要とする対象におけるがんを処置するもしくはがんの進行を遅延させるまたは腫瘍成長を低下させるもしくは阻害するための、本明細書に記載される抗体もしくは抗原結合性部分、および任意選択の薬学的に許容される担体、または本明細書に記載される医薬組成物を含む容器、ならびに抗体または医薬組成物の投与のための説明書を含む添付文書を含むキットを提供する。
【0204】
別の態様では、本開示は、それを必要とする対象におけるがんを処置するもしくはがんの進行を遅延させるまたは腫瘍成長を低下させるもしくは阻害するための、本明細書に記載される抗体もしくは抗原結合性部分、および任意選択の薬学的に許容される担体、または本明細書に記載される医薬組成物を含む容器、ならびに単独でのまたは別の作用物質との組合せでの抗体または医薬組成物の投与のための説明書を含む添付文書を含むキットを提供する。
【0205】
別の態様では、本開示は、対象におけるヒトCD137によって媒介されるT細胞活性化を誘導するまたは増強するための、本明細書に記載される単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分の使用を提供する。他の態様では、本開示は、対象におけるヒトCD137三量体の多量体化を誘導するまたは増強するための、本明細書に記載される単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分の使用を提供する。別の態様では、本開示は、対象におけるヒトCD137によって媒介される細胞傷害性T細胞応答を誘導するまたは増強するための、本明細書に記載される単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分の使用を提供する。他の態様では、本開示は、対象におけるヒトCD137によって媒介されるサイトカイン産生を誘導するまたは増強するための、本明細書に記載される単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分の使用を提供する。別の態様では、本開示は、対象におけるヒトCD137によって媒介されるT細胞増殖を誘導するまたは増強するための、本明細書に記載される単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分の使用を提供する。
【0206】
別の態様では、本開示は、それを必要とする対象における腫瘍成長を低下させるまたは阻害するための、本明細書に記載される単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分の使用を提供する。他の態様では、本開示は、それを必要とする対象におけるヒトCD137によって媒介される障害を処置するための、本明細書に記載される単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分の使用を提供する。別の態様では、本開示は、それを必要とする対象におけるがんを処置するための、本明細書に記載される単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分の使用を提供する。
【0207】
別の態様では、本開示は、それを必要とする対象におけるがんを処置するもしくはがんの進行を遅延させるまたは腫瘍成長を低下させるもしくは阻害するための医薬の製造のための、本明細書に記載される単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分の使用を提供する。他の態様では、本開示は、それを必要とする対象におけるがんを処置するもしくはがんの進行を遅延させるまたは腫瘍成長を低下させるもしくは阻害するための医薬の製造における、本明細書に記載される単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分を提供する。別の態様では、本開示は、医薬としての使用のための、本明細書に記載される単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分を提供する。
【0208】
本特許または本出願のファイルは、少なくとも1つのカラー図面を含む。カラー図面を含む本特許または本特許出願公開の写しは、請求および必要な手数料の支払いにより、官庁から提供されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0209】
図1】親抗CD137抗体mAb1の親和性成熟クローンの結合親和性の分布を示すグラフ。
図2】ヒトまたはマウスのCD137に対する結合親和性(K)により測定した場合のmAb1 CDRH3アラニンスキャニングの結果を示す図。
図3A】mAb1、mAb4、またはmAb5が結合するエピトープを含む残基を太字で示す、ヒトCD137のアミノ酸配列を示す図。
図3B】表面プラズモン共鳴により決定された場合の、マウスおよびラットのCD137の細胞外ドメインに対するmAb1の速度論的結合データを示すグラフ。
図3C】CD137L(灰色で示す)に結合したヒトCD137、ならびに残基E111、T113、K114、およびP135(球で示す)のX線結晶構造解析画像。
図3D】三量体構造でCD137L(灰色で示す)に結合したヒトCD137、ならびに残基E111、T113、K114、およびP135(球で示す)のX線結晶構造解析画像。
図4A】抗CD137抗体に応答したCD44+ T細胞上でのTIGIT(上部)またはPD-1(下部)の発現の増加を示すフローサイトメトリーデータの散布図。
図4B】抗CD137抗体による処置後のマウスの脾臓における、TIGIT(上部)またはPD-1(下部)を発現するCD8+ CD44+ T細胞の数量化を示すグラフ。
図4C】CD45+細胞の割合(左側)または脾臓当たりの細胞数(右側)の割合で、抗CD137抗体による処置後のマウスの脾臓におけるCD8+ T細胞の数量化を示すグラフ。
図5-1】図5Aは、示された投薬量での抗CD137抗体による処置後のマウスにおける個々のCT26腫瘍体積を示すグラフ。
図5-2】図5Bは、図5Aに示された平均腫瘍体積を示すグラフ。図5Cは、抗CD137抗体による処置後の、腫瘍を有するマウスの全生存率を示すカプラン・マイヤー(Kaplan-Meier)グラフ。図5Dは、腫瘍原性CT26細胞で再負荷されたマウスでの腫瘍体積を示すグラフ。
図6A】親および親和性成熟抗CD137抗体による処置後のマウスにおける個々のCT26腫瘍体積を示すグラフ。
図6B図6Aに示された平均腫瘍体積を示すグラフ。
図7】示された投薬量での抗CD137抗体による処置後の、脾臓T細胞(上部)および腫瘍浸潤白血球(下部)からのCD8+ T細胞またはCD4+ T細胞の割合を示すグラフ。
図8】マウスを、リンパ球枯渇抗体と共にかまたはこの抗体なしでmAb1により処置した場合の、個々の腫瘍体積を示すグラフ。CD4+ T細胞をGK1.5で枯渇させ(中央のグラフ)、CD8+ T細胞をYTS169.4で枯渇させ(右側から2番目のグラフ)、NK細胞を抗アシアロGM1抗体で枯渇させた(右側の最後のグラフ)。
図9】CT26腫瘍(結腸癌)、EMT-6腫瘍(乳癌)、A20腫瘍(B細胞リンパ腫)、またはMC38腫瘍(結腸癌)のいずれかを有し、かつmAb8またはアイソタイプ対照抗体で処置されたマウスにおける個々の腫瘍体積を示すグラフ。
図10A】150μg/マウスで投与した抗CD137抗体のin vivo抗腫瘍有効性を示す図。個々の腫瘍体積を示す。
図10B】150μg/マウスで投与した抗CD137抗体のin vivo抗腫瘍有効性を示す図。平均腫瘍体積を示す。
図10C】150μg/マウスで投与した抗CD137抗体のin vivo抗腫瘍有効性を示す図。生存率を示す。
図11A】20μg/マウスで投与した抗CD137抗体のin vivo抗腫瘍有効性を示す図。個々の腫瘍体積を示す。
図11B】20μg/マウスで投与した抗CD137抗体のin vivo抗腫瘍有効性を示す図。平均腫瘍体積を示す。
図11C】20μg/マウスで投与した抗CD137抗体のin vivo抗腫瘍有効性を示す図。生存率を示す。
図12】CT26腫瘍を有し、かつ様々な用量のmAb1(即ち、12.5、25、50、100、もしくは200μg)またはアイソタイプ対照で処置されたマウスにおける個々の腫瘍体積を示すグラフ。
図13A】mAb1の抗腫瘍有効性におけるFc結合の寄与を示す図。IgG4アイソタイプまたはIgG4アグリコシル化アイソタイプとしてmAb1を示す。上部では、平均腫瘍体積を示し、下部では、個々の腫瘍体積を示す。
図13B】mAb1の抗腫瘍有効性におけるFc結合の寄与を示す図。IgG4アイソタイプまたはIgG1アグリコシル化アイソタイプとしてmAb1を示す。上部では、平均腫瘍体積を示し、下部では、個々の腫瘍体積を示す。
図14A】処置を受ける前での、大きな定着腫瘍(即ち500mm)を有するマウスにおける抗CD137抗体のin vivo抗腫瘍有効性を示す図。個々の腫瘍体積を示す。
図14B】処置を受ける前での、大きな定着腫瘍(即ち500mm)を有するマウスにおける抗CD137抗体のin vivo抗腫瘍有効性を示す図。平均腫瘍体積を示す。
図14C】処置を受ける前での、大きな定着腫瘍(即ち500mm)を有するマウスにおける抗CD137抗体のin vivo抗腫瘍有効性を示す図。生存率を示す。
図14D】処置を受ける前での、大きな定着腫瘍(即ち500mm)を有するマウスにおける抗CD137抗体のin vivo抗腫瘍有効性を示す図。個々の腫瘍体積を示す。
図15図14A図14Cからの、mAb1、mAb8、またはアイソタイプ対照で既に処置されて治癒されたと見なされており、反対側の脇腹でCT26細胞により再負荷されたマウスにおける保護的抗腫瘍免疫を示すカプラン・マイヤー(Kaplan-Meier)生存率グラフ。
図16A】示された投薬量での抗CD137抗体による処置後のCD45+肝臓内T細胞の増殖を示すフローサイトメトリーデータの散布図。
図16B】示された投薬量での抗CD137抗体による処置後の肝臓内CD8+ T細胞(左側)およびCD4+T細胞(右側)の数量化を示すグラフ。
図17A】親和性成熟抗CD137抗体によるマウスの処置後の脾臓T細胞からのCD3+、CD4+、またはCD8+ T細胞の割合を示すグラフ。
図17B】親和性成熟抗CD137抗体によるマウスの処置後の肝臓T細胞からのCD3+、CD4+、またはCD8+ T細胞の割合を示すグラフ。
図18A】親和性成熟抗CD137抗体によるマウスの処置後の、TIGIT、PD-1、またはLAG3を発現する脾臓CD8+ CD44+ T細胞の割合を示すグラフ。
図18B】親和性成熟抗CD137抗体によるマウスの処置後の、TIGIT、PD-1、またはLAG3を発現する肝臓CD8+ CD44+ T細胞の割合を示すグラフ。
図19A】親和性成熟抗CD137抗体によるマウスの処置後の、TIGIT、PD-1、またはLAG3を発現する脾臓CD4+ CD44+ T細胞の割合を示すグラフ。
図19B】親和性成熟抗CD137抗体によるマウスの処置後の、TIGIT、PD-1、またはLAG3を発現する肝臓CD4+ CD44+ T細胞の割合を示すグラフ。
図20A】様々な用量での抗CD137抗体mAb1、mAb8、または3H3の複数回投与により生じる毒性のin vivo指標のグラフ。抗CD137抗体の投与後の肝臓におけるCD8+T細胞の割合を示すグラフ。
図20B】様々な用量での抗CD137抗体mAb1、mAb8、または3H3の複数回投与により生じる毒性のin vivo指標のグラフ。抗CD137抗体を投与したマウスの血漿中におけるアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)活性を示すグラフ。
図20C】様々な用量での抗CD137抗体mAb1、mAb8、または3H3の複数回投与により生じる毒性のin vivo指標のグラフ。抗CD137抗体を投与したマウスの血漿中におけるTNFαのレベルを示すグラフ。
図21図20A~20Cに記載されている、mAb1、mAb8、3H3、またはアイソタイプ対照で処置されたマウスからの、ヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)で染色された肝臓切片の代表的な画像。矢印は、免疫細胞の浸潤を示す。
図22A】腫瘍微小環境における免疫細胞リプログラミングを示す代表的なFACSプロット。CT26腫瘍を有するマウスに対して、mAb8またはアイソタイプ対照の複数回用量を投与した(0日目、3日目、6日目、および9日目)。CD45発現に基づいて、全体的な免疫細胞浸潤を示す。
図22B】腫瘍微小環境における免疫細胞リプログラミングを示す代表的なFACSプロット。CT26腫瘍を有するマウスに対して、mAb8またはアイソタイプ対照の複数回用量を投与した(0日目、3日目、6日目、および9日目)。FOXP-3およびCD25の発現により測定した場合でのTreg細胞の減少を示す。
図22C】腫瘍微小環境における免疫細胞リプログラミングを示す代表的なFACSプロット。CT26腫瘍を有するマウスに対して、mAb8またはアイソタイプ対照の複数回用量を投与した(0日目、3日目、6日目、および9日目)。PD-1およびTIGITの発現により測定した場合でのT細胞疲弊の低下を示す。
図22D】腫瘍微小環境における免疫細胞リプログラミングを示す代表的なFACSプロット。CT26腫瘍を有するマウスに対して、mAb8またはアイソタイプ対照の複数回用量を投与した(0日目、3日目、6日目、および9日目)。F4/80およびCD11bの発現により測定した場合での腫瘍関連マクロファージの減少を示す。
図23】CT26腫瘍を有し、かつ抗CD137抗体mAb1および3H3、またはアイソタイプ対照のいずれかで処置されたマウスからの脾臓の免疫表現型分析。
図24】示された抗CD137抗体により刺激された場合での、OVA刺激アッセイにおける、マウスT細胞により産生されたIL-2の濃度(pg/ml)を示すグラフ。アテゾリズマブ(抗PD-L1抗体)と共に、マウス抗PD-1(RMP1-14)をコンパレーターとして使用した。
図25図25Aおよび図25Bは、OVA刺激アッセイにおける、示された抗CD137抗体で刺激された場合にCD25(25A)またはTIGIT(25B)を発現するマウスCD8+T細胞の割合を示すグラフ。アテゾリズマブ(抗PD-L1抗体)と共に、マウス抗PD-1(RMP1-14)およびマウス抗CD137(3H3)をコンパレーターとして使用した。
図26】プレートに結合した抗CD137抗体と一緒のインキュベーション後での、CD3+T細胞により産生されたサイトカイン(IL-2、TNFα、IL-13、およびIFN-γ)の数量化を示す棒グラフ。サイトカインレベルを、抗CD3抗体によるベースライン活性化に対する倍数増加として示す。
図27-1】図27A図27Cは、抗CD137抗体による処置後での、混合リンパ球反応におけるIFN-γ産生の用量応答を示すグラフ。抗PD1抗体(Keytruda;Merck)を対照として使用した。
図27-2】同上。
図28】抗CD137抗体mAb1、mAb8、mAb4、もしくはmAb5、またはアイソタイプ対照の存在下でCD32を発現するように操作されたCHO細胞(CHO-CD32細胞)と共培養されたヒトT細胞からのIFN-γ産生を示すグラフ。
図29】抗CD137抗体mAb1、mAb8、mAb4、もしくはmAb5、またはアイソタイプ対照の存在下かまたは非存在下でCD32を発現するように操作されたCHO細胞(CHO-CD32細胞)と共培養された場合のTreg細胞の増殖を示すグラフ。
図30】様々な濃度でのmAb1、mAB8、mAb4、またはmAb5の存在下における、NFκBまたはSRFのルシフェラーゼレポーターで形質導入されたCCL-119細胞中でのNFκBおよびSRFのシグナル伝達を示すグラフ。
図31】抗CD137抗体mAb1、3H3、もしくはLOB12.3、またはアイソタイプ対照の存在下における、TLR9アゴニストCpGで刺激された骨髄由来のマウスマクロファージによるIL-6、TNFα、またはIL-27の誘導を示すグラフ。
図32】抗CD137抗体mAb1、mAb4、もしくはmAb5、またはアイソタイプ対照の存在下における、LPSで刺激されたヒト単球に由来するマクロファージによるTNFαの誘導を示すグラフ。
図33】抗CD137抗体mAb1、mAb4、もしくはmAb5、またはアイソタイプ対照の存在下における、PMAと共に培養されたTHP1単球のCD64発現により決定された場合の、マクロファージ分化に対する抗CD137抗体の効果を示すグラフ。
図34図34A図34Cは、ヒトPBMC、および抗CD137抗体mAb1、mAb4、もしくはmAb5、またはアイソタイプ対照が投与された免疫応答性マウスからのhCD45+、hCD8+、またはhCD4+の割合を示すグラフ。
図35】pHが異なる3種の緩衝剤中におけるおよび最大4週間の4℃または25℃のいずれかの温度で保存された、高濃度(100mg/mL)でのmAb1のcIEF電荷バリアント分析を示すグラフ。
図36】最大4週間にわたる40℃での、pHが異なる3種の緩衝剤中における5mg/mLでのmAb1のcIEF電荷バリアント分析を示すグラフ。
図37】5%、0.5%、もしくは0.1%ブドウ糖溶液、0.9%生理食塩水、または純粋に10倍希釈し、3日にわたり室温でインキュベートした後の、mAb1のサイズ排除クロマトグラフィープロファイルを示すグラフ。ブドウ糖という用語は、グルコースという用語と互換的に使用される。
図38】5%、0.5%、もしくは0.1%ブドウ糖溶液、0.9%生理食塩水、または純粋に10倍希釈し、3日にわたり室温でインキュベートした後の、mAb1の動的光散乱(DLS)結果を示すグラフ。
図39】2~80mmの肉眼で見えない粒子のマイクロフローイメージング分析を示すグラフ。この分析を、-30℃/室温の間での3回の凍結-解凍サイクルを行ない、5μmフィルターを内蔵した針または5μmフィルターを内蔵した通気口付き針(vented needle)に3回通した後に、本開示の製剤中における10mg/mLでのmAb1を使用して実施した。
【発明を実施するための形態】
【0210】
本開示は、ヒトCD137に特異的に結合しかつヒトCD137をアゴナイズする抗CD137抗体またはその抗原結合性断片の様々な製剤を提供する。一部の実施形態では、本開示の製剤は、(i)抗CD137抗体またはその抗原結合性断片、(ii)緩衝剤(例えば、ヒスチジン)、(iii)二糖糖類(例えば、スクロース);(iv)非イオン性界面活性剤(例えば、ポリソルベート80);および(v)塩(例えば、NaCl)を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は約5.0~約7.0のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約5.0~約7.4のpHを有する。本開示は、患者に対して本開示の製剤を投与する工程を含む、患者におけるがんを処置するまたは腫瘍成長を低下させるもしくは阻害するための方法も提供する。本開示は、患者に対して本開示の製剤を投与する工程を含む、患者におけるT細胞活性化を誘導するまたは増強するための方法も提供する。
【0211】
本開示は、少なくとも一部には、本開示の製剤が安定であり、抗体凝集体および微粒子の形成を最小限に抑えるという発見に基づく。特に、本開示の製剤は、抗CD137アゴニスト抗体、mAb1に対して、優れた安定性、単量体抗体の有意な消失なし、および有意な量の分解なしを提供することが示された。特に、抗CD137抗体は、pH5.8のヒスチジン緩衝剤中で製剤化された場合、高濃度でおよび強制分解条件下(例えば、上昇した温度)で安定であることが驚くべきことに発見された。同じように、抗CD137抗体がpH6.0およびpH6.5の緩衝剤中で製剤化された場合、酸性/塩基性種の低下があることが発見された。本開示の抗CD137製剤は、単量体抗体の有意な消失なしで優れた安定性を有することも発見された。さらに、本開示の抗CD137製剤へのスクロースの添加は、上昇した温度での抗体安定性の向上をもたらすことが発見された。
【0212】
したがって、一部の実施形態では、本開示は、安定な抗CD137抗体製剤を提供する。一部の実施形態では、本開示は、(i)約10mM~約100mMのヒスチジンを含む緩衝剤、(ii)約5%~約15%重量/体積のスクロース、(iii)約0.01%~約0.1%重量/体積(w/v)のポリソルベート-80、および(iv)約50mM~200mMのNaClを含む安定な抗CD137抗体製剤であって、製剤のpHは約5.0~約7.0である、安定な抗CD137抗体製剤を提供する。一部の実施形態では、製剤のpHは約5.0~約7.4である。一部の実施形態では、製剤のpHは約5.0~約8.0である。
【0213】
アゴニスト抗CD137抗体を用いたがん療法は、マウスにおいて免疫媒介性腫瘍拒絶を誘導することが示されており、この種類のアナログ作用物質ががん患者において現在試験されている。以前の報告は、抗CD137抗体の投与が、肝臓においてTリンパ球のポリクローナル浸潤物の有意な蓄積を誘導し得ることを示しており(デュブロットら(Dubrot et al.),(2010)Cancer Immunology,Immunotherapy 59(8):1223~1233)、肝炎症、および薬物誘導性肝臓毒性の潜在性を示唆する。アゴニスト抗CD137抗体(ウレルマブ、BMS-663513;ブリストル・マイヤーズスクイブ(Bristol-Myers Squibb))の臨床評価に関する最近の報告は、抗体用量と相関する重度の肝毒性(高トランスアミナーゼ血症)の兆候を含めた、ヒト対象における処置関係の有害事象の観察を立証した(セガールら(Segal et al.),(2016)Clin Cancer Res 23(8):1929~1936)。
【0214】
本開示は、ヒトCD137のエピトープに特異的に結合しかつヒトCD137をアゴナイズする単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分、およびその製剤を提供する。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性部分は、ヒトCD137のエピトープへの結合をmAb1と競合する。一部の態様では、本開示の抗CD137アゴニスト抗体は、抗マウスCD137 3H3抗体(メレロら(Melero et al.)(1997)Nature Medicine 3(6):682~685;ウノら(Uno et al.)(2006)Nature Medicine 12(6):693~696)および臨床開発における少なくとも2つの抗ヒトCD137抗体(BMS-663513/ウレルマブ、ブリストル・マイヤーズスクイブ(Bristol-Meyers Squibb)、およびPF-05082566/ウトミルマブ、ファイザー(Pfizer))と比較して、腫瘍微小環境におけるサイトカイン産生およびCD8+ T細胞の増大、ならびに毒性関係事象の潜在性の同時低下を有するin vivoでの保護的抗腫瘍免疫を誘導する。
【0215】
定義
特許請求の範囲および明細書で使用される用語は、別様に指定されない限り、下で明記されるように定義される。
【0216】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、「a」、「an」、および「the」という単数形の形態は、文脈で別様に明確に記述されない限り、複数形の指示対象を含む。さらに、文脈によって別様に要されない限り、単数形の用語は複数を含むものとし、複数形の用語は単数を含むものとする。
【0217】
本明細書で使用される場合、「約」は、当業者によって理解されると考えられ、それが使用される文脈に依存してある程度変わるであろう。それが使用される文脈を考慮しても当業者にとって明確でない用語の使用がある場合、「約」は、特定の値の最高でプラスまたはマイナス10%までを意味するであろう。
【0218】
本明細書で使用される場合、「アゴニスト」という用語は、本明細書に開示される天然ポリペプチド(例えば、CD137)の生物活性を部分的にまたは十分に促進し、誘導し、増加させ、および/または活性化する任意の分子を指す。適切なアゴニスト分子には、具体的に、アゴニスト抗体または抗体断片、天然ポリペプチドの断片またはアミノ酸配列バリアント、ペプチド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、有機小分子等が含まれる。一部の実施形態では、アゴニストの存在下における活性化は、用量依存的様式で観察される。一部の実施形態では、測定されるシグナル(例えば、生物活性)は、比較可能な条件下で陰性対照を用いて測定されるシグナルよりも、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約100%高い。本開示の方法における使用に適切なアゴニストを同定する方法も本明細書に開示される。例えば、これらの方法には、酵素連結免疫吸着アッセイ(ELISA)、FORTE BIO(C)システム、および放射イムノアッセイ(RIA)等の結合アッセイが含まれるが、それらに限定されるわけではない。これらのアッセイは、目的のポリペプチド(例えば受容体またはリガンド、例えばCD137)に結合するアゴニストの能力を判定し、それゆえ、ポリペプチドの活性を促進する、増加させる、または活性化するアゴニストの能力を示す。ポリペプチドの機能を活性化するまたは促進するアゴニストの能力等、アゴニストの有効性は、機能的アッセイを使用しても判定され得る。例えば、機能的アッセイは、ポリペプチドと候補アゴニスト分子とを接触させる工程、およびポリペプチドと通常では関連する1つまたは複数の生物活性の検出可能な変化を測定する工程を含み得る。アゴニストの効力は、通常ではそのEC50値(アゴニスト応答の50%を活性化するために要される濃度)によって定義される。EC50値が低ければ低いほど、アゴニストの効力はより大きく、最大の生物学的応答を活性化するために要される濃度は低くなる。
【0219】
本明細書で使用される場合、「アラニンスキャニング」という用語は、所与のタンパク質またはポリペプチドの安定性または機能(複数可)(例えば、結合親和性)への特異的な野生型残基の寄与を判定するために使用される技法を指す。技法は、ポリペプチドにおける野生型残基の代わりとしてのアラニン残基の置換、それに続く、アラニン置換誘導体または突然変異体ポリペプチドの安定性または機能(複数可)(例えば、結合親和性)の査定、および野生型ポリペプチドとの比較を伴う。ポリペプチドにおける野生型残基の代わりにアラニンを置換する技法は、当技術分野において公知である。
【0220】
「改善すること」という用語は、予防、重症度もしくは進行の軽減、完解、またはその治癒を含めた、疾患状態、例えばがんの処置における任意の治療上有益な結果を指す。
本明細書で使用される場合、「アミノ酸」という用語は、天然に存在するおよび合成のアミノ酸、ならびに天然に存在するアミノ酸と類似の様式で機能するアミノ酸アナログおよびアミノ酸模倣体を指す。天然に存在するアミノ酸は、遺伝子コードによってコードされるもの、ならびに後に改変されるそれらのアミノ酸、例えばヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタミン酸、およびO-ホスホセリンである。アミノ酸アナログとは、天然に存在するアミノ酸と同じ基本的な化学構造、すなわち水素、カルボキシル基、アミノ基、およびR基に結合している炭素を有する化合物、例えばホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムを指す。そのようなアナログは、改変されたR基(例えば、ノルロイシン)または改変されたペプチド骨格を有するが、天然に存在するアミノ酸と同じ基本的な化学構造を保持する。アミノ酸模倣体とは、アミノ酸の一般的な化学構造とは異なる構造を有するが、天然に存在するアミノ酸と類似の様式で機能する化学的化合物を指す。
【0221】
アミノ酸は、本明細書において、それらの一般に公知の3文字記号によって、またはIUPAC-IUB生化学命名法委員会(Biochemical Nomenclature Commission)によって推奨される1文字記号によって言及され得る。ヌクレオチドは、同じように、それらの一般に認められた1文字コードによって言及され得る。本明細書で使用される場合、「極性アミノ酸」とは、水性環境にとどまることを好む側鎖を含むアミノ酸を指す。一部の実施形態では、極性アミノ酸は、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、ヒスチジン、リシン、セリン、トレオニン、およびチロシンからなる群から選択される。極性アミノ酸は、プラスに、マイナスに、または中性に荷電し得る。本明細書で使用される場合、「非極性アミノ酸」とは、アラニン、システイン、グリシン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、トリプトファン、およびバリンからなる群から選択されるアミノ酸を指す。
【0222】
本明細書で使用される場合、「アミノ酸置換」とは、所定のアミノ酸配列(開始ポリペプチドのアミノ酸配列)における少なくとも1個の既存のアミノ酸残基の、第2の異なる「置き換え」アミノ酸残基での置き換えを指す。「アミノ酸挿入」とは、所定のアミノ酸配列への少なくとも1個の付加的なアミノ酸の組入れを指す。挿入は、通常では1または2個のアミノ酸残基の挿入からなるであろうが、より大きな「ペプチド挿入」、例えば約3~約5個またはさらに最高で約10、15、もしくは20個のアミノ酸残基の挿入もなされ得る。挿入される残基(複数可)は、上で開示されるように、天然に存在し得るまたは天然に存在し得ない。「アミノ酸欠失」とは、所定のアミノ酸配列からの少なくとも1個のアミノ酸残基の除去を指す。
【0223】
本明細書で使用される場合、「量」または「レベル」という用語は、物質(例えば、タンパク質)の検出可能な分量、レベル、または存在量を指す。本明細書に記載されるもの等のポリペプチドに言及する場合、「発現のレベル」または「発現レベル」という用語は、概して互換可能に使用され、一般的に生体試料における(例えば、細胞の表面の)ポリペプチドの検出可能な量を指す。
【0224】
本明細書で使用される場合、「抗CD137アゴニスト抗体」(「抗CD137抗体」と互換可能に使用される)という用語は、CD137に特異的に結合し、CD137生物活性、応答、および/またはCD137シグナル伝達によって媒介される下流経路(複数可)もしくは他のCD137媒介性機能を部分的にまたは十分に促進し、誘導し、増加させ、および/または活性化する抗体を指す。一部の実施形態では、抗CD137アゴニスト抗体はCD137に結合し、CD137Lの結合を許す。一部の実施形態では、抗CD137アゴニスト抗体はCD137に結合し、CD137の多量体化を誘導する。一部の実施形態では、抗CD137アゴニスト抗体はCD137に結合し、CD137三量体の二量体化を誘導する。一部の実施形態では、抗CD137アゴニスト抗体はCD137に結合し、CD137三量体の多量体化を誘導する。抗CD137アゴニスト抗体の例は、本明細書で提供される。三量体:三量体複合体の形成を検出するための方法は、当業者に公知である。例えば、電子顕微鏡法は、そのような複合体を検出することが示されており、例えばウォン、イー(Won,E.)The Journal of Biological Chemistry,第285巻(12):9202~9210(2010)を参照されたい。
【0225】
本明細書で使用される場合、「抗CD137 mAb1」(「mAb1」と互換可能に使用される)という用語は、可変重鎖(V)アミノ酸配列:
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKDSPFLLDDYYYYYYMDVWGKGTTVTVSS(配列番号4)、
および可変軽鎖(V)アミノ酸配列:
DIQMTQSPSSVSASVGDRVTITCRASQGISSWLAWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQGHLFPITFGGGTKVEIK(配列番号6)
を含む、例示的な抗CD137アゴニスト抗体を指す。
【0226】
本明細書で使用される場合、「抗CD137 mAb8」(「mAb8」と互換可能に使用される)という用語は、可変重鎖(V)アミノ酸配列:
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFRNYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGDTTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKDSPFLLDDYYYYYYMDVWGKGTTVTVSS(配列番号101);
および可変軽鎖(V)アミノ酸配列:
DIQMTQSPSSVSASVGDRVTITCRASQGISSWLAWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQGHLFPITFGGGTKVEIK(配列番号6)
を含む、例示的な抗CD137アゴニスト抗体を指す。
【0227】
本明細書で使用される場合、「抗CD137 mAb10」(「mAb10」と互換可能に使用される)という用語は、可変重鎖(V)アミノ酸配列:
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFYGYAMSWVRQAPGKGLEWVAAISGSGDSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKDSPFLLDDYYYYYYMDVWGKGTTVTVSS(配列番号26);
および可変軽鎖(V)アミノ酸配列:
DIQMTQSPSSVSASVGDRVTITCRASQGISSWLAWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQGHLFPITFGGGTKVEIK(配列番号6)
を含む、例示的な抗CD137アゴニスト抗体を指す。
【0228】
本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、2本の軽鎖ポリペプチドおよび2本の重鎖ポリペプチドを含む抗体全体を指す。抗体全体には、IgM、IgG、IgA、IgD、およびIgE抗体を含めた種々の抗体アイソタイプが含まれる。「抗体」という用語には、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ化またはキメラ抗体、ヒト化抗体、霊長類化抗体、脱免疫化(deimmunized)抗体、および完全ヒト抗体が含まれる。抗体は、様々な種、例えばヒト、非ヒト霊長類(例えば、オラウータン、ヒヒ、またはチンパンジー)、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、ウサギ、モルモット、アレチネズミ、ハムスター、ラット、およびマウス等の哺乳動物のいずれかにおいて作製され得るまたはいずれかに由来し得る。抗体は、精製されたまたは組換えの抗体であり得る。
【0229】
本明細書で使用される場合、「抗体断片」、「抗原結合性断片」、「抗原結合性部分」という用語、または類似の用語は、標的抗原(例えば、CD137)に結合しかつ標的抗原の活性を阻害する能力を保持する、抗体の断片を指す。そのような断片には、例えば一本鎖抗体、一本鎖Fv断片(scFv)、Fd断片、Fab断片、Fab’断片、またはF(ab’)断片が含まれる。scFv断片とは、scFvが由来する抗体の重鎖および軽鎖可変領域の両方を含む単一ポリペプチド鎖である。加えて、イントラボディ、ミニボディ、トリアボディ、およびダイアボディも抗体の定義に含まれ、本明細書に記載される方法における使用に適合する。例えば、トドロフスカら(Todorovska et al.),(2001)J.Immunol.Methods 248(1):47~66;ハドソンおよびコルット(Hudson and Kortt),(1999)J.Immunol.Methods 231(1):177~189;ポリャク(Poljak),(1994)Structure 2(12):1121~1123;ロンドンおよびマラスコ(Rondon and Marasco),(1997)Annu.Rev.Microbiol.51:257~283を参照されたく、そのそれぞれの開示はそれらの全体として本願明細書に援用する。
【0230】
本明細書で使用される場合、「抗体断片」という用語には、例えば、ラクダ化単一ドメイン抗体等の単一ドメイン抗体も含まれる。例えば、ムイダーマンスら(Muyldermans et al.),(2001)Trends Biochem.Sci.26:230~235;ナトールら(Nuttall et al.),(2000)Curr.Pharm.Biotech.1:253~263;ライヒマンら(Reichmann et al.),(1999)J.Immunol.Meth.231:25~38;PCT出願公報第WO94/04678号および第WO94/25591号;ならびに米国特許第6,005,079号を参照されたく、そのすべてはそれらの全体として本願明細書に援用する。一部の実施形態では、本開示は、単一ドメイン抗体が形成されるような改変を有する2つのVHドメインを含む単一ドメイン抗体を提供する。
【0231】
一部の実施形態では、抗原結合性断片は、重鎖ポリペプチドの可変領域および軽鎖ポリペプチドの可変領域を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗原結合性断片は、抗体の軽鎖および重鎖ポリペプチドのCDRを含む。
【0232】
「抗原提示細胞」または「APC」という用語は、その表面にMHCと複合した外来抗原を呈示する細胞である。T細胞は、T細胞受容体(TCR)を使用してこの複合体を認識する。APCの例には、樹状細胞(DC)、末梢血単核細胞(PBMC)、単球(THP-1等)、Bリンパ芽球様細胞(C1R.A2、1518B-LCL等)、および単球由来樹状細胞(DC)が含まれるが、それらに限定されるわけではない。一部のAPCは、ファゴサイトーシスによってまたは受容体媒介性エンドサイトーシスによって抗原を内在化する。
【0233】
「抗原提示」という用語は、APCが抗原を捕捉し、例えばMHC-Iおよび/またはMHC-IIコンジュゲートの構成要素としての、T細胞によるそれらの認識を可能にする過程を指す。
【0234】
本明細書で使用される場合、「アポトーシス」という用語は、多細胞生物(例えば、ヒト)において生じるプログラム細胞死の過程を指す。アポトーシスをもたらす高度に調節された生化学的なおよび分子的な事象は、膜ブレビング、細胞体積収縮、染色体DNA凝縮および断片化、ならびにmRNA崩壊を含めた、細胞への観察可能なおよび特徴的な形態学的変化を引き起こし得る。アポトーシスを受けているT細胞を含めた細胞を同定するための一般に用いられる方法は、細胞をフルオロフォアコンジュゲートタンパク質(アネキシンV)に曝露することである。アネキシンVは、原形質膜の外葉上のホスファチジルセリンに結合するその能力によってアポトーシス細胞を検出するために一般に使用され、それは、細胞がアポトーシスの過程を受けているという早期指標である。
【0235】
本明細書で使用される場合、「固定化CD137に結合する」という用語は、例えば細胞の表面に発現したまたは固体支持体に付着しているCD137に結合する、本開示のヒト抗体の能力を指す。
【0236】
本明細書で使用される場合、「二特異性」または「二機能性抗体」という用語は、2つの異なる重/軽鎖対および2つの異なる結合部位を有する人工ハイブリッド抗体を指す。二特異性抗体は、ハイブリドーマの融合またはFab’断片の連結を含めた様々な方法によって産生され得る。例えば、ソンシビライ&ラハマン(Songsivilai&Lachmann),(1990)Clin.Exp.Immunol.79:315~321;コステルニーら(Kostelny et al.),(1992)J.Immunol.148:1547~1553を参照されたい。
【0237】
伝統的に、二特異性抗体の組換え産生は、2組の重鎖/軽鎖対が異なる特異性を有する、2組の免疫グロブリン重鎖/軽鎖対の共発現に基づく(ミルスタインおよびキュエロ(Milstein and Cuello),(1983)Nature 305:537~539)。所望の結合特異性(抗体-抗原結び付き部位)を有する抗体可変ドメインを、免疫グロブリン定常ドメイン配列に融合させ得る。重鎖可変領域の融合体は、好ましくは、ヒンジ、CH2、およびCH3領域の少なくとも一部を含めた免疫グロブリン重鎖定常ドメインとのものである。二特異性抗体を生成するための現在公知の実例となる方法についてのさらなる詳細に関しては、例えばサレシュら(Suresh et al.),(1986)Methods Enzymol.121:210;PCT公報第WO96/27011号;ブレナンら(Brennan et al.),(1985)Science 229:81;シャラビィら(Shalaby et al.),J.Exp.Med.(1992)175:217~225;コステルニーら(Kostelny et al.),(1992)J.Immunol.148(5):1547~1553;ホリンガーら(Hollinger et al.),(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444~6448;グリューバーら(Gruber et al.),(1994)J.Immunol.152:5368;およびタットら(Tutt et al.),(1991)J.Immunol.147:60を参照されたい。二特異性抗体には、架橋したまたはヘテロコンジュゲート抗体も含まれる。ヘテロコンジュゲート抗体は、任意の好都合な架橋方法を使用して作製され得る。適切な架橋剤は当技術分野において周知であり、いくつかの架橋技法とともに米国特許第4,676,980号に開示される。
【0238】
組換え細胞培養から直接的に二特異性抗体断片を作製しおよび単離するための様々な技法も記載されている。例えば、二特異性抗体は、ロイシンジッパーを使用して産生されている。例えば、コステルニーら(Kostelny et al.)(1992)J Immunol 148(5):1547~1553を参照されたい。FosおよびJunタンパク質由来のロイシンジッパーペプチドを、2つの異なる抗体のFab’部分に遺伝子融合によって連結させ得る。抗体ホモ二量体をヒンジ領域で還元して単量体を形成し得、次いで再酸化して抗体ヘテロ二量体を形成し得る。この方法は、抗体ホモ二量体の産生にも利用され得る。ホリンガーら(Hollinger et al.)(1993)Proc Natl Acad Sci USA 90:6444~6448によって記載される「ダイアボディ」技術は、二特異性抗体断片を作製するための代替機構を提供している。断片は、同じ鎖上の2つのドメイン間で対合させるには短すぎるリンカーによって、軽鎖可変ドメイン(VL)に接続された重鎖可変ドメイン(VH)を含む。したがって、一方の断片のVHおよびVLドメインは、もう一方の断片の相補的VLおよびVHドメインと対合せざるを得ず、それによって2つの抗原結合性部位を形成する。一本鎖Fv(scFv)二量体の使用によって二特異性抗体断片を作製するための別のストラテジーも報告されている。例えば、グリューバーら(Gruber et al.)(1994)J Immunol 152:5368を参照されたい。あるいは、抗体は、例えばサパタら(Zapata et al.)(1995)Protein Eng.8(10):1057~1062に記載される「線状抗体」であり得る。簡潔には、これらの抗体は、抗原結合性領域の対を形成する直列Fdセグメント(VH-CH1-VH-CH1)の対を含む。線状抗体は、二特異性または単一特異性であり得る。
【0239】
2つを上回る結合価を有する抗体(例えば、三重特異性抗体)が企図され、例えばタットら(Tutt et al.)(1991)J Immunol 147:60に記載される。
【0240】
本開示は、ウーら(Wu et al.)(2007)Nat Biotechnol 25(11):1290~1297に記載される二重可変ドメイン免疫グロブリン(DVD-Ig)分子等の多特異性抗体のバリアント形態も内包する。DVD-Ig分子は、2つの異なる親抗体由来の2つの異なる軽鎖可変ドメイン(VL)が、組換えDNA技法によって直接的にまたは短いリンカーを介して直列に連結され、その後に軽鎖定常ドメインが続くように設計される。類似して、重鎖は、直列に連結された2つの異なる重鎖可変ドメイン(VH)、それに続く定常ドメインCH1およびFc領域を含む。2つの親抗体からDVD-Ig分子を作製するための方法は、例えばPCT公報第WO08/024188号および第WO07/024715号にさらに記載される。一部の実施形態では、二特異性抗体は、第2の特異性を有する軽鎖可変領域が、抗体全体の重鎖可変領域に融合されている直列型Fab(Fabs-in-Tandem)免疫グロブリンである。そのような抗体は、例えば国際特許出願公報第WO2015/103072号に記載される。
【0241】
本明細書で使用される場合、「がん抗原」または「腫瘍抗原」とは、(i)腫瘍特異的抗原、(ii)腫瘍関連抗原、(iii)腫瘍特異的抗原を発現する細胞、(iv)腫瘍関連抗原を発現する細胞、(v)腫瘍上の胎児性抗原、(vi)自家腫瘍細胞、(vii)腫瘍特異的膜抗原、(viii)腫瘍関連膜抗原、(ix)増殖因子受容体、(x)増殖因子リガンド、および(xi)他の任意のタイプの抗原または抗原提示細胞またはがんと関連する材料を指す。
【0242】
「癌腫」という用語は、当技術分野で認識されており、呼吸器系癌、胃腸系癌、泌尿生殖器系癌、精巣癌、乳癌、前立腺癌、内分泌系癌、および黒色腫を含めた、上皮または内分泌組織の悪性腫瘍を指す。本明細書に記載される抗CD137抗体は、腎臓癌または黒色腫を含めた任意のタイプのがんを有する、有する疑いがある、または発症する高い危険性があり得る患者を処置するために使用され得る。例示的な癌腫には、頸部、肺、前立腺、乳房、頭頸部、結腸、および卵巣の組織から形成されるものが含まれる。その用語には、癌性および肉腫性組織から構成される悪性腫瘍を含む癌肉腫も含まれる。「腺癌」とは、腺組織に由来するまたは腫瘍細胞が認識可能な腺状構造を形成する癌腫を指す。
【0243】
本明細書で使用される場合、「競合する」という用語は、同じエピトープへの結合を競合する抗原結合性タンパク質(例えば、免疫グロブリン、抗体、またはその抗原結合性断片)の文脈において使用される場合には、アッセイ(例えば、競合結合アッセイ;交差遮断アッセイ)によって判定される抗原結合性タンパク質間の相互作用を指し、試験抗原結合性タンパク質(例えば、試験抗体)は、共通の抗原(例えば、CD137またはその断片)への参照抗原結合性タンパク質(例えば、mAb1等の参照抗体)の特異的結合を阻害する(例えば、低下させるまたは遮断する)。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗体は、mAb1(すなわち、それぞれ配列番号4および6の重鎖および軽鎖可変配列を含む抗体)、mab8(すなわち、それぞれ配列番号101および6の重鎖および軽鎖可変配列を含む抗体)、またはmAb10(すなわち、それぞれ配列番号26および6の重鎖および軽鎖可変配列を含む抗体)と交差競合する。
【0244】
指定のポリペプチドまたはタンパク質「に由来する」ポリペプチドまたはアミノ酸配列とは、ポリペプチドの起源を指す。好ましくは、特定の配列に由来するポリペプチドまたはアミノ酸配列は、その配列またはその一部分と本質的に同一であるアミノ酸配列であって、その一部分が、少なくとも10~20個のアミノ酸、好ましくは少なくとも20~30個のアミノ酸、より好ましくは少なくとも30~50個のアミノ酸からなるアミノ酸配列、または配列にその起源を有すると当業者にとって別様に同定可能であるアミノ酸配列を有する。別のペプチドに由来するポリペプチドは、開始ポリペプチドと比べて1個または複数の突然変異、例えば別のアミノ酸残基で置換されている、または1個もしくは複数のアミノ酸残基挿入もしくは欠失を有する、1個または複数のアミノ酸残基を有し得る。
【0245】
ポリペプチドは、天然に存在しないアミノ酸配列を含み得る。そのようなバリアントは、開始分子との100%未満の配列同一性または類似性を必然的に有する。ある特定の実施形態では、バリアントは、例えばバリアント分子の長さにわたって、開始ポリペプチドのアミノ酸配列と約75%~100%未満のアミノ酸配列同一性または類似性、より好ましくは約80%~100%未満、より好ましくは約85%~100%未満、より好ましくは約90%~100%未満(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%)、および最も好ましくは約95%~100%未満のアミノ酸配列を有するであろう。
【0246】
ある特定の実施形態では、開始ポリペプチド配列とそこから由来する配列との間に1個のアミノ酸の異なりがある。この配列に関する同一性または類似性は、配列をアラインしおよび必要な場合にはギャップを導入して配列同一性最大パーセントを達成した後の、開始アミノ酸残基と同一(すなわち、同じ残基)である、候補配列におけるアミノ酸残基のパーセンテージとして本明細書において定義される。ある特定の実施形態では、ポリペプチドは、表22~27のいずれか1つに明記される配列から選択されるアミノ酸配列からなる、それから本質的になる、またはそれを含む。ある特定の実施形態では、ポリペプチドは、表22~27のいずれか1つに明記される配列から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、ポリペプチドは、表22~27のいずれか1つに明記される配列から選択される連続アミノ酸配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一の連続アミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、ポリペプチドは、表22~27のいずれか1つに明記される配列から選択されるアミノ酸配列の少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、200、300、400、または500個(またはこれらの数値内の任意の整数)の連続アミノ酸を有するアミノ酸配列を含む。
【0247】
ある特定の実施形態では、本開示の抗体は、ヌクレオチド配列によってコードされる。本発明のヌクレオチド配列は、クローニング、遺伝子療法、タンパク質発現および精製、突然変異導入、それを必要とする宿主のDNAワクチン接種、例えば受動免疫化のための抗体生成、PCR、プライマーおよびプローブ生成等を含めたいくつかの適用に有用であり得る。ある特定の実施形態では、本発明のヌクレオチド配列は、表22~27のいずれか1つに明記される配列から選択されるヌクレオチド配列を含む、それからなる、またはそれから本質的になる。ある特定の実施形態では、ヌクレオチド配列は、表22~27のいずれか1つに明記される配列から選択されるヌクレオチド配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のヌクレオチド配列を含む。ある特定の実施形態では、ヌクレオチド配列は、表22~27のいずれか1つに明記される配列から選択される連続ヌクレオチド配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一の連続ヌクレオチド配列を含む。ある特定の実施形態では、ヌクレオチド配列は、表22~27のいずれか1つに明記される配列から選択されるヌクレオチド配列の少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、200、300、400、または500個(またはこれらの数値内の任意の整数)の連続ヌクレオチドを有するヌクレオチド配列を含む。
【0248】
本明細書に開示される方法における使用に適切な抗体は、それらが由来する天然に存在するまたは天然の配列とは配列が変わるように変更され得るが、一方で天然配列の望ましい活性を保持することも当業者によって理解されるであろう。例えば、「非必須」アミノ酸残基における保存的置換または変化を引き起こすヌクレオチドまたはアミノ酸置換がなされ得る。突然変異は、部位指向性突然変異誘発およびPCR媒介性突然変異誘発等の標準的技法によって導入され得る。
【0249】
本明細書に開示される方法における使用に適切な抗体は、1個または複数のアミノ酸残基における、例えば必須のまたは非必須のアミノ酸残基における保存的アミノ酸置換を含み得る。「保存的アミノ酸置換」とは、アミノ酸残基が、類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置き換えられているものである。塩基性側鎖(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ分岐側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)、および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を含めた、類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーが当技術分野において定義されている。ゆえに、結合性ポリペプチドにおける非必須アミノ酸残基は、好ましくは、同じ側鎖ファミリー由来の別のアミノ酸残基で置き換えられる。ある特定の実施形態では、一続きのアミノ酸は、側鎖ファミリーメンバーの順序および/または組成が異なる構造的に類似の一続きで置き換えられ得る。あるいは、ある特定の実施形態では、突然変異は、飽和突然変異誘発等によって、コード配列のすべてまたは一部に沿ってランダムに導入され得、結果として生じる突然変異体は、本発明の結合性ポリペプチドに組み入れられ得、所望の標的に結合するそれらの能力についてスクリーニングされ得る。
【0250】
本明細書で使用される場合、抗原「交差提示」という用語は、APC上のMHCクラスIおよびクラスII分子を介した、T細胞に対する外因性タンパク質抗原の提示を指す。
本明細書で使用される場合、「交差反応する」という用語は、異なる種由来のCD137に結合する本開示の抗体の能力を指す。例えば、ヒトCD137に結合する本開示の抗体は、別の種のCD137にも結合し得る。本明細書で使用される場合、交差反応性は、結合アッセイ(例えば、SPR、ELISA)において精製抗原との特異的反応性を検出する、またはCD137を生理学的に発現する細胞に結合させる、またはそれと別様に機能的に相互作用させることによって測定される。交差反応性を判定するための方法は、例えばBIACORE(商標)2000 SPR機器(Biacore AB、Uppsala、Sweden)を使用したBIACORE(商標)表面プラズモン共鳴(SPR)分析、またはフローサイトメトリー技法による、本明細書に記載される標準的結合アッセイを含む。
【0251】
本明細書で使用される場合、「細胞傷害性Tリンパ球(CTL)応答」という用語は、細胞傷害性T細胞によって誘導される免疫応答を指す。CTL応答は、主にCD8 T細胞によって媒介される。
【0252】
本明細書で使用される場合、「二量体化」という用語は、タンパク質またはタンパク質の多量体等、2つの通常では非共有結合で結合している高分子による、高分子複合体の形成を指す。ホモ二量体化とは、高分子(例えば、タンパク質)が天然に同一である場合の二量体化の過程を指す。ヘテロ二量体化とは、高分子(例えば、タンパク質)が天然に同一でない場合の二量体化の過程を指す。二量体化を判定するための方法は、当業者に公知である。例えば、そのような方法には、酵母ツーハイブリッドアッセイ、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)、生物発光共鳴エネルギー移動(BRET)、タンパク質質量分析、エバネッセント波法、サイズ排除クロマトグラフィー、分析超遠心分離、散乱技法、NMR分光法、等温滴定熱量測定、蛍光異方性、蛍光相関分光法(FCS)、光退色後蛍光回復(FRAP)、近接イメージング(PRIM)、および二分子蛍光補完(BiFC)が含まれるが、それらに限定されるわけではない(例えば、ゲル ディー エー(Gell D.A.),グラント アール ピー(Grant R.P.),マッカイ ジェイ ピー(Mackay J.P.)(2012)タンパク質オリゴマー化の検出および定量(The Detection and Quantitation of Protein Oligomerization).In:マシューズ ジェイ エム(Matthews J.M.)(編)生物学におけるタンパク質二量体化およびオリゴマー化(Protein Dimerization and Oligomerization in Biology).Advances in Experimental Medicine and Biology,第747巻,スプリンガー(Springer),ニューヨーク州ニューヨーク所在;ならびにシェ、キューら(Xie,Q.et al.)Methods Mol Biol,2011;680:3~28を参照されたい)。
【0253】
本明細書で使用される場合、「CD137の二量体化」という用語は、2つのCD137三量体の二量体化を指す。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、CD137の二量体化を誘導するまたは増強する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、抗CD137アゴニスト抗体の非存在下における二量体化の量と比べて、CD137の二量体化を誘導するまたは増強する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、参照抗CD137アゴニスト抗体の存在下における二量体化の量と比べて、CD137の二量体化を誘導するまたは増強する。一部の実施形態では、二量体化は、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%増加する。
【0254】
本明細書で使用される場合、「EC50」という用語は、in vitroまたはin vivoアッセイのいずれかで、最大応答の50%、すなわち最大応答とベースラインとの間の中間である応答を誘導する、抗体またはその抗原結合性部分の濃度を指す。
【0255】
本明細書で使用される場合、「有効用量」または「有効投薬量」という用語は、所望の効果を達成するまたは少なくとも部分的に達成するのに十分な量として定義される。「治療有効用量」という用語は、疾患にすでに罹患している患者における疾患およびその合併症を治癒するまたは少なくとも部分的に停止させるのに十分な量として定義される。この使用に有効な量は、治療されている障害の重症度、および患者自身の免疫系の全身状態に依存するであろう。
【0256】
本明細書で使用される場合、「エピトープ」または「抗原決定基」という用語は、抗原結合性タンパク質(例えば、免疫グロブリン、抗体、または抗原結合性断片)が特異的に結合する抗原(例えば、CD137)上の決定基または部位を指す。タンパク質抗原のエピトープは、「線状エピトープ」および「立体構造エピトープ」に区分され得る。本明細書で使用される場合、「線状エピトープ」という用語は、連結したアミノ酸の連続した線状配列から形成されるエピトープを指す。タンパク質抗原の線状エピトープは、典型的に、化学的変性剤(例えば、酸、塩基、溶媒、架橋試薬、カオトロピック剤、ジスルフィド結合還元剤)または物理的変性剤(例えば、温度加熱、放射線、または機械的剪断もしくはストレス)に曝露すると保持される。一部の実施形態では、エピトープは、中断エピトープとも称される非線状である。本明細書で使用される場合、「立体構造エピトープ」または「非線状エピトープ」という用語は、ポリペプチドの三次フォールディングによって並置される非連続アミノ酸から形成されるエピトープを指す。立体構造エピトープは、典型的に、変性剤を用いた処置があると失われる。エピトープは、典型的に、固有の空間的立体構造に少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15個のアミノ酸を含む。一部の実施形態では、エピトープは、固有の空間的立体構造に25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、または5個よりも少ない数のアミノ酸を含む。一般的に、特定の標的分子に特異的な抗体またはその抗原結合性断片は、タンパク質および/または高分子の複合混合物内の標的分子上の特異的エピトープを優先的に認識しおよび結合するであろう。一部の実施形態では、エピトープは、ヒトCD137の細胞外ドメインのすべてのアミノ酸を含むわけではない。
【0257】
本明細書に記載される特定の抗体によって認識されるエピトープのすべてまたは一部分(例えば、同じもしくは重複する領域、または領域間のもしくは領域にまたがる領域)を含む、CD137上のエピトープに結合する抗体も本開示によって包含される。
【0258】
本明細書で使用される場合、「エピトープマッピング」という用語は、抗体またはその抗原結合性断片の、その標的タンパク質抗原上の結合部位またはエピトープを同定する過程または方法を指す。エピトープマッピングの方法および技法は、本明細書で提供される。
【0259】
本明細書で使用される場合、「CD137」という用語は、膜貫通タンパク質の腫瘍壊死因子受容体(TNFR)ファミリーの特異的メンバーを指す。当技術分野におけるCD137の代替名および頭字語には、「腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー9」(TNFRSF9)、4-1BB、および「リンパ球活性化によって誘導された」(ILA)が含まれる(オルダーソンら(Alderson et al.),(1994)Eur J Immunol 24(9):2219~2227;シュワルツら(Schwarz et al.),(1993)Gene 134(2):295~298)。リーダー、膜貫通、および細胞質ドメインを含めた完全長ヒトCD137の例示的なアミノ酸配列は、表23(配列番号3)およびここに明記される。
【0260】
MGNSCYNIVATLLLVLNFERTRSLQDPCSNCPAGTFCDNNRNQICSPCPPNSFSSAGGQRTCDICRQCKGVFRTRKECSSTSNAECDCTPGFHCLGAGCSMCEQDCKQGQELTKKGCKDCCFGTFNDQKRGICRPWTNCSLDGKSVLVNGTKERDVVCGPSPADLSPGASSVTPPAPAREPGHSPQIISFFLALTSTALLFLLFFLTLRFSVVKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCEL
本明細書で使用される場合、「CD137L」または「CD137リガンド」という用語は、膜貫通タンパク質の腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーのメンバーを指す。当技術分野におけるCD137Lの代替名および頭字語には、「腫瘍壊死因子スーパーファミリーメンバー9」(TNFSF9)および4-1BBリガンド(4-1BBL)が含まれる(オルダーソンら(Alderson et al.),(1994)Eur J Immunol 24(9):2219~2227)。完全長CD137Lの例示的なアミノ酸配列は、表23(配列番号97)に明記される。
【0261】
本明細書で使用される場合、「Fc媒介性エフェクター機能」または「Fcエフェクター機能」という用語は、抗体の主要な機能および目的以外の抗体の生物活性を指す。例えば、治療用アゴニスト抗体のエフェクター機能は、標的タンパク質または経路の活性化以外の生物活性である。抗体エフェクト機能の例には、C1q結合および補体依存性細胞傷害;Fc受容体結合;抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC);ファゴサイトーシス;細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)の下流調節;Fc受容体を発現する血小板の活性化の欠如;ならびにB細胞活性化が含まれる。多くのエフェクター機能は、Fcγ受容体へのFc結合から始まる。
【0262】
本明細書で使用される場合、「Fc受容体」という用語は、抗体のFc領域によって結合される、免疫エフェクター細胞の表面に見い出されるポリペプチドを指す。一部の実施形態では、Fc受容体はFcγ受容体である。FcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)、およびFγcRIII(CD16)という、Fcγ受容体の3つのサブクラスがある。4つすべてのIgGアイソタイプ(IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4)は、Fc受容体のFcγRI、FcγRIIA、およびFcγRIIIAに結合しおよび活性化する。FcγRIIBは阻害性受容体であり、それゆえこの受容体への抗体結合は、補体および細胞応答を活性化しない。FcγRIは、単量体形態のIgGに結合する高親和性受容体であり、一方でFcγRIIAおよびFcγRIIAは、多量体形態のIgGにのみ結合しおよびわずかに低い親和性を有する低親和性受容体である。Fc受容体および/またはC1qへの抗体の結合は、Fc領域内の特異的残基またはドメインによって支配される。結合は、抗体のヒンジ領域内およびCH2部分内に位置する残基にも依存する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗体のアゴニスト活性および/または治療活性は、Fc受容体(例えば、FcγR)へのFc領域の結合に依存している。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗体のアゴニスト活性および/または治療活性は、Fc受容体(例えば、FcγR)へのFc領域の結合によって増強される。
【0263】
本明細書で使用される場合、「グリコシル化パターン」という用語は、タンパク質、より具体的には免疫グロブリンタンパク質に共有結合で付着している炭水化物単位のパターンとして定義される。当業者が、異種抗体のグリコシル化パターンを、導入遺伝子のCH遺伝子が由来した種よりも、非ヒトトランスジェニック動物の種におけるグリコシル化のパターンに類似しているものとして認識するであろう場合、異種抗体のグリコシル化パターンは、非ヒトトランスジェニック動物の種によって産生される抗体に天然に存在するグリコシル化パターンに実質的に類似しているものとして特徴付けられ得る。
【0264】
本明細書で使用される場合、「血液学的がん」という用語には、リンパ腫、白血病、骨髄腫、またはリンパ性悪性腫瘍、ならびに脾臓およびリンパ節のがんが含まれる。例示的なリンパ腫には、B細胞リンパ腫(B細胞血液学的がん)およびT細胞リンパ腫の両方が含まれる。B細胞リンパ腫には、ホジキンリンパ腫およびほとんどの非ホジキンリンパ腫の両方が含まれる。B細胞リンパ腫の非限定的な例には、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、粘膜関連リンパ組織リンパ腫、小細胞リンパ球性リンパ腫(慢性リンパ球性白血病と重複する)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、バーキットリンパ腫、縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、脾辺縁帯リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、原発性滲出性リンパ腫、リンパ腫様肉芽腫症が含まれる。T細胞リンパ腫の非限定的な例には、節外性T細胞リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、および血管免疫芽球性T細胞リンパ腫が含まれる。血液学的悪性腫瘍には、二次性白血病、慢性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、および急性リンパ性白血病等であるがそれらに限定されない白血病も含まれる。血液学的悪性腫瘍には、多発性骨髄腫およびくすぶり型多発性骨髄腫等であるがそれらに限定されない骨髄腫がさらに含まれる。他の血液学的および/またはB細胞もしくはT細胞に関連するがんは、血液学的悪性腫瘍という用語によって包含される。
【0265】
本明細書で使用される場合、「ヒト抗体」という用語には、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列の可変および定常領域(存在する場合)を有する抗体が含まれる。本開示のヒト抗体には、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば、in vitroでのランダムもしくは部位特異的突然変異誘発によって、またはin vivoでの体細胞突然変異によって導入される突然変異)が含まれ得る(例えば、ロンバーグら(Lonberg et al.),(1994)Nature 368(6474):856~859;ロンバーグ(Lonberg),(1994)Handbook of Experimental Pharmacology 113:49~101;ロンバーグ&ハッザー(Lonberg&Huszar),(1995)Intern.Rev.Immunol.13:65~93;およびハーディング&ロンバーグ(Harding&Lonberg),(1995)Ann.N.Y.Acad.Sci.764:536~546を参照されたい)。しかしながら、「ヒト抗体」という用語には、マウス等の別の哺乳動物種の生殖細胞系列に由来するCDR配列が、ヒトフレームワーク配列に接ぎ木されている抗体(すなわち、ヒト化抗体)は含まれない。
【0266】
本明細書で使用される場合、「異種抗体」という用語は、そのような抗体を産生するトランスジェニック非ヒト生物との関係で定義される。この用語は、トランスジェニック非ヒト動物からならない生物に見い出されるものに対応する、および一般的にはトランスジェニック非ヒト動物以外の種由来の、アミノ酸配列またはコード核酸配列を有する抗体を指す。
【0267】
「免疫応答を誘導すること」および「免疫応答を増強すること」という用語は、互換可能に使用され、特定の抗原に対する免疫応答(すなわち、受動性または適応性のいずれか)の刺激を指す。CDCまたはADCCを誘導することに関して使用される「誘導する」という用語は、特定の直接細胞死滅機構の刺激を指す。
【0268】
本明細書で使用される場合、「予防を必要とする」、「処置を必要とする」、または「それを必要とする」対象とは、適当な医療実践者(例えば、ヒトの場合には医師、看護師、または診療看護師;非ヒト哺乳動物の場合には獣医)の判断によって、所与の処置(抗CD137抗体を含む組成物を用いた処置等)から合理的に利益を得るであろうものを指す。
【0269】
「in vivo」という用語は、生きた生物において生じる過程を指す。
本明細書で使用される場合、「単離された抗体」という用語は、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に不含である抗体を指すことを意図される(例えば、ヒトCD137に特異的に結合する単離された抗体は、CD137以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に不含である)。しかしながら、エピトープに特異的に結合する単離された抗体は、異なる種由来の他のCD137タンパク質に対する交差反応性を有し得る。しかしながら、その抗体は、本明細書に記載される特異的結合アッセイにおいて、ヒトCD137への特異的結合を呈示し続ける。加えて、単離された抗体は、典型的に、他の細胞材料および/または化学物質を実質的に不含である。一部の実施形態では、異なるCD137特異性を有する「単離された」抗体の組合せは、十分に定義された組成で組み合わせられる。
【0270】
本明細書で使用される場合、「単離された核酸分子」という用語は、CD137に結合する抗体または抗体部分(例えば、V、V、CDR3)をコードする核酸を指し、抗体または抗体部分をコードするヌクレオチド配列が、CD137以外の抗原に結合する抗体または抗体部分をコードする他のヌクレオチド配列を不含である核酸分子を指すことを意図され、他の配列は、ヒトゲノムDNAにおける核酸において天然に隣接し得る。例えば、表22~27のいずれか1つに明記される配列から選択される配列は、本明細書に記載される抗CD137抗体モノクローナル抗体の重鎖(V)および軽鎖(V)可変領域を含むヌクレオチド配列に対応する。
【0271】
本明細書で使用される場合、「アイソタイプ」とは、重鎖定常領域遺伝子によってコードされる抗体クラス(例えば、IgMまたはIgG1)を指す。一部の実施形態では、本開示のヒトモノクローナル抗体はIgG1アイソタイプのものである。一部の実施形態では、本開示のヒトモノクローナル抗体はIgG1アイソタイプのものであり、突然変異を含む。一部の実施形態では、本開示のヒトモノクローナル抗体はIgG2アイソタイプのものである。一部の実施形態では、本開示のヒトモノクローナル抗体はIgG3アイソタイプのものである。一部の実施形態では、本開示のヒトモノクローナル抗体はIgG4アイソタイプのものである。一部の実施形態では、本開示のヒトモノクローナル抗体はIgG4アイソタイプのものであり、突然変異を含む。一部の実施形態では、突然変異は、Ser228における置換である。一部の実施形態では、Ser228における置換はS228Pである。
【0272】
本明細書で使用される場合、「アイソタイプスイッチ」という用語は、抗体のクラスまたはアイソタイプが、一方のIgクラスから他方のIgクラスの1つに変化する現象を指す。
【0273】
本明細書で使用される場合、「KD」または「K」という用語は、抗体と抗原との間の結合反応についての平衡解離定数を指す。Kの値は、抗体オンレート定数(ka)に対する抗体オフレート定数(kd)の比の数値表示である。Kの値は、抗原に対する抗体の結合親和性と反比例する。K値が小さければ小さいほど、その抗原に対する抗体の親和性は大きい。親和性とは、単一分子のそのリガンドに対する結合の強度であり、典型的に、平衡解離定数(K)によって測定されおよび報告され、それを用いて生体分子相互作用の強度を評価しおよびランク付けする。
【0274】
本明細書で使用される場合、「kd」または「k」(あるいは「koff」または「koff」)という用語は、抗体/抗原複合体からの抗体の解離についてのオフレート定数を指すことを意図される。kdの値は、秒あたり崩壊するまたは解離する複合体の画分の数値表示であり、秒-1という単位で表現される。
【0275】
本明細書で使用される場合、「ka」または「k」(あるいは「kon」または「kon」)という用語は、抗体と抗原との会合についてのオンレート定数を指すことを意図される。kaの値は、抗体および抗原の1モル(1M)溶液中で秒あたり形成される抗体/抗原複合体の数の数値表示であり、M-1-1という単位で表現される。
【0276】
本明細書で使用される場合、「連結された」、「融合した」、または「融合」という用語は、互換可能に使用される。これらの用語は、化学的コンジュゲートを行うことまたは組換え手段を含めたどんな手段によるものであろうと、2つを上回る数のエレメントまたは構成要素またはドメインの接合を指す。化学的コンジュゲートを行うことの方法(例えば、ヘテロ二機能性架橋剤を使用した)は、当技術分野において公知である。
【0277】
本明細書で使用される場合、「局所投与」または「局所送達」とは、組成物または作用物質のその意図される標的組織または部位への、血管系を介した輸送に頼らない送達を指す。例えば、組成物は、組成物もしくは作用物質の注射もしくは埋め込みによって、または組成物もしくは作用物質を含有するデバイスの注射もしくは埋め込みによって送達され得る。標的組織または部位の付近における局所投与の後、組成物もしくは作用物質またはその1つもしくは複数の構成要素は、意図される標的組織または部位に拡散し得る。
【0278】
本明細書で使用される場合、「MHC分子」とは、MHCクラスIおよびMHCクラスIIという2つのタイプの分子を指す。MHCクラスI分子は、特異的CD8+ T細胞に対して抗原を提示し、MHCクラスII分子は、特異的CD4+ T細胞に対して抗原を提示する。APCへ外因的に送達された抗原は、主にMHCクラスIIとの会合のために処理される。対照的に、APCへ内因的に送達された抗原は、主にMHCクラスIとの会合のために処理される。
【0279】
本明細書で使用される場合、「モノクローナル抗体」という用語は、特定のエピトープに対する単一の結合特異性および親和性を呈示する抗体を指す。したがって、「ヒトモノクローナル抗体」という用語は、単一の結合特異性を呈示し、かつヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列に由来する可変および任意選択の定常領域を有する抗体を指す。一部の実施形態では、ヒトモノクローナル抗体は、不死化細胞に融合した、ヒト重鎖導入遺伝子および軽鎖導入遺伝子を含むゲノムを有するトランスジェニック非ヒト動物、例えばトランスジェニックマウスから獲得されたB細胞を含むハイブリドーマによって産生される。
【0280】
本明細書で使用される場合、「多量体化」という用語は、典型的に非共有結合性相互作用によって結合している、2つを上回る数のタンパク質等の高分子を含む高分子複合体の形成を指す。多量体化を判定するための方法は、当業者に公知であり、二量体化に関して上記で記載される。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、CD137の多量体化を誘導するまたは増強する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、抗CD137アゴニスト抗体の非存在下における多量体化の量と比べて、CD137の多量体化を誘導するまたは増強する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、参照抗CD137アゴニスト抗体の存在下における多量体化の量と比べて、CD137の多量体化を誘導するまたは増強する。一部の実施形態では、多量体化は、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%増加する。
【0281】
本明細書で使用される場合、物体に対して適用される「天然に存在する」という用語は、物体が天然に見い出され得るという事実を指す。例えば、天然における供給源から単離され得る生物(ウイルスを含む)に存在し、かつ実験室において人間によって意図的に改変されていないポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列は天然に存在する。
【0282】
本明細書で使用される場合、「スイッチしていないアイソタイプ」という用語は、アイソタイプスイッチが起きていない場合に産生される重鎖のアイソタイプクラスを指し;スイッチしていないアイソタイプをコードするCH遺伝子は、典型的に、機能的に再編成されたVDJ遺伝子からすぐ下流の最初のCH遺伝子である。アイソタイプスイッチは、古典的または非古典的アイソタイプスイッチとして分類されている。古典的アイソタイプスイッチは、導入遺伝子において少なくとも1つのスイッチ配列領域を伴う組換え事象によって生じる。非古典的アイソタイプスイッチは、例えば、ヒトσμとヒトΣμとの間の相同組換え(δ関連欠失)によって生じ得る。数ある中でも、導入遺伝子間および/または染色体間組換え等の代替的な非古典的スイッチ機構が生じ得、アイソタイプスイッチを起こさせ得る。
【0283】
本明細書で使用される場合、「核酸」という用語は、一本鎖または二本鎖形態のいずれかにあるデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドおよびその重合体を指す。具体的に限定されない限り、その用語は、参照核酸と類似の結合特性を有しおよび天然に存在するヌクレオチドと類似の様式で代謝される、天然ヌクレオチドの公知のアナログを含有する核酸を包含する。別様に示されない限り、特定の核酸配列は、その保存的に改変されたバリアント(例えば、縮重コドン置換)および相補配列、ならびに明示的に示された配列も暗示的に包含する。具体的には、縮重コドン置換は、1つまたは複数の選択された(またはすべての)コドンの3位が、混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換されている配列を生成することによって達成され得る(バッツァーら(Batzer et al.),Nucleic Acid Res.19:5081,1991;オオツカら(Ohtsuka et al.),Biol.Chem.260:2605~2608,1985;およびカッソルら(Cassol et al),1992;ロッソリニら(Rossolini et al),Mol.Cell.Probes 8:91~98,1994)。アルギニンおよびロイシンに関しては、2番目の塩基における改変は保存的でもあり得る。核酸という用語は、遺伝子、cDNA、および遺伝子によってコードされるmRNAと互換可能に使用される。
【0284】
本明細書で使用されるポリヌクレオチドは、任意のポリリボヌクレオチドまたはポリデオキシリボヌクレオチドから構成され得、それは非修飾RNAもしくはDNAまたは修飾RNAもしくはDNAであり得る。例えば、ポリヌクレオチドは、一本鎖および二本鎖DNA、一本鎖および二本鎖領域の混合物であるDNA、一本鎖および二本鎖RNA、ならびに一本鎖および二本鎖領域の混合物であるRNA、一本鎖もしくはより典型的には二本鎖、または一本鎖および二本鎖領域の混合物であり得るDNAおよびRNAを含むハイブリッド分子から構成され得る。加えて、ポリヌクレオチドは、RNAもしくはDNA、またはRNAおよびDNAの両方を含む三本鎖領域から構成され得る。ポリヌクレオチドは、1個もしくは複数の修飾された塩基、または安定性のためにもしくは他の理由のために修飾されたDNAもしくはRNA骨格も含有し得る。「修飾された」塩基には、例えばトリチル化塩基、およびイノシン等の稀な塩基が含まれる。様々な修飾がDNAおよびRNAに対してなされ得;ゆえに、「ポリヌクレオチド」は、化学的に、酵素的に、または代謝的に修飾された形態を内包する。
【0285】
核酸は、それが別の核酸配列と機能的関係性に置かれた場合、「作動可能に連結されている」。例えば、プロモーターまたはエンハンサーはコード配列に対して、それが配列の転写に影響を及ぼす場合、作動可能に連結されている。転写調節配列に関して、作動可能に連結されたとは、連結されているDNA配列が連続していること、および2つのタンパク質コード領域を接合する必要がある場合には、連続しておりかつリーディングフレーム内にあることを意味する。スイッチ配列に関して、作動可能に連結されたとは、配列がスイッチ組換えをきたし得ることを示す。
【0286】
本明細書で使用される場合、「パラトープ」、また「抗原結合性部位」という用語は、可変重鎖および軽鎖内に位置する相補性決定領域(CDR)のセットを含む、抗原上のエピトープを認識しおよび結合する、抗体またはその抗原結合性断片の一部分を指す。
【0287】
本明細書で使用される場合、「非経口投与」、「非経口的に投与される」、および他の文法上同等の語句は、通常では注射による、腸内および局部投与以外の投与の様態を指し、限定されることなく、静脈内、鼻腔内、眼球内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、硬膜外、脳内、頭蓋内、頸動脈内、および胸骨内の注射および注入を含む。
【0288】
本明細書で使用される場合、「患者」という用語には、予防的または治療的処置のいずれかを受けるヒトおよび他の哺乳動物対象が含まれる。
2つ以上の核酸またはポリペプチド配列の文脈における「同一性パーセント」という用語は、下で記載される配列比較アルゴリズム(例えば、BLASTPおよびBLASTN、または当業者にとって利用可能な他のアルゴリズム)の1つを使用してまたは目視検査によって測定される、最大一致のために比較されおよびアラインされた場合に同じであるヌクレオチドまたはアミノ酸残基の指定されたパーセンテージを有する2つ以上の配列または部分配列を指す。適用に依存して、「同一性パーセント」は、比較されている配列の領域にわたって、例えば機能的ドメインにわたって存在し得、あるいは、比較されるべき2つの配列の完全長にわたって存在し得る。配列比較に関して、典型的に、1つの配列は、試験配列が比較される参照配列として作用する。配列比較アルゴリズムを使用する場合、試験および参照配列をコンピューターに入力し、必要な場合には部分配列座標を指定し、配列アルゴリズムプログラムパラメータを指定する。次いで、配列比較アルゴリズムは、指定されたプログラムパラメータに基づき、参照配列と比べた試験配列(複数可)に対する配列同一性パーセントを算出する。
【0289】
比較のための配列の最適アラインメントは、例えばスミス&ウォーターマン(Smith&Waterman),Adv.Appl.Math.2:482(1981)の局所相同性アルゴリズムによって、ニードルマン&ブンシュ(Needleman&Wunsch),J.Mol.Biol.48:443(1970)の相同性アラインメントアルゴリズムによって、ピアソン&リップマン(Pearson&Lipman),Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 85:2444(1988)の類似性の検索法によって、これらのアルゴリズムのコンピューターによるインプリメンテーション(ウィスコンシンジェネティクスソフトウェアパッケージ(Wisconsin Genetics Software Package)におけるGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA、ジェネティックコンピューターグループ(Genetics Computer Group)、米国ウィスコンシン州マディソン、575サイエンスドクター(Science Dr.)所在)によって、または目視調査によって(一般的に、オーズベルら(Ausubel et al.),下記を参照されたい)によって行われ得る。
【0290】
配列同一性および配列類似性パーセントを判定するのに適切であるアルゴリズムの1つの例はBLASTアルゴリズムであり、それはアルトシュルら(Altschul et al.),J.Mol.Biol.215:403~410(1990)に記載される。BLAST分析を実施するためのソフトウェアは、アメリカ国立生物工学情報センター(National Center for Biotechnology Information)ウェブサイトを通じて公的に利用可能である。
【0291】
本明細書で一般的に使用される場合、「薬学的に許容される」とは、過度の毒性、刺激性、アレルギー性応答、もしくは他の問題、または合理的な利益/危険性の比と等しい合併症もなく、正当な医学的判断の範囲内で、人および動物の組織、臓器、および/または体液と接触した使用に適切であるそうした化合物、材料、組成物、および/または剤形を指す。
【0292】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」とは、生理学的に適合するありとあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、抗細菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤等を指しおよび含む。組成物は、薬学的に許容される塩、例えば酸付加塩または塩基付加塩を含み得る(例えば、ベルジュら(Berge et al.)(1977)J Pharm Sci 66:1~19を参照されたい)。
【0293】
本明細書で使用される場合、「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」という用語は、アミノ酸残基の重合体を指すために互換可能に使用される。その用語は、1個または複数のアミノ酸残基が、対応する天然に存在するアミノ酸の人工の化学的模倣体であるアミノ酸重合体に、ならびに天然に存在するアミノ酸重合体および天然に存在しないアミノ酸重合体に適用される。
【0294】
本明細書で使用される場合、状態との関係で使用される場合の「阻止すること」という用語は、組成物を受けない対象と比べて、対象における医学的状態の症状の頻度を低下させるまたは症状の開始を遅延させる組成物の投与を指す。
【0295】
本明細書で使用される場合、本明細書に記載されるタンパク質(抗体または断片)のいずれかに適用される「精製された」または「単離された」という用語は、それに天然に付随する構成要素(例えば、タンパク質または他の天然に存在する生体分子もしくは有機分子)、例えばタンパク質を発現する原核生物における他のタンパク質、脂質、および核酸から分離されているまたは精製されているポリペプチドを指す。典型的に、ポリペプチドは、それが、試料における総タンパク質の少なくとも60(例えば、少なくとも65、70、75、80、85、90、92、95、97、または99)重量%を成す場合、精製されている。
【0296】
本明細書で使用される場合、「再編成された」という用語は、Vセグメントが立体構造におけるD-JまたはJセグメントのすぐ近隣に配置され、それぞれ完璧なVまたはVドメインを本質的にコードする、重鎖または軽鎖免疫グロブリン遺伝子座の立体配置を指す。再編成された免疫グロブリン遺伝子の遺伝子座は、生殖細胞系列DNAとの比較によって同定され得;再編成された遺伝子座は、少なくとも1つの組換えされた七量体/九量体相同エレメントを有するであろう。
【0297】
本明細書で使用される場合、「受容体クラスタリング」という用語は、シグナル伝達応答をしばしば誘導するまたは増幅する、特定の細胞位置における受容体のセットのグループ化または局所蓄積をもたらす細胞過程を指す。多くのタンパク質受容体は、同族リガンドに結合しおよびクラスタリングする、すなわちそれらの同族リガンドに結合すると、二量体、三量体、オリゴマー、または多量体を形成する。例えば、PDGF受容体およびTNF受容体スーパーファミリーメンバーは、リガンド結合があるとそれぞれ二量体および三量体を形成する。同族リガンド誘導性クラスタリング(例えば、二量体化、多量体化)は、受容体を通じたシグナル変換を誘導する。したがって、本開示の抗体またはその抗原結合性断片は、1つを上回る数の受容体に結合することによって受容体を活性化し得、同族リガンド結合の有無にかかわらず、二量体化、三量体化、および/または多量体化を誘導し得るまたは安定化し得る。
【0298】
受容体クラスタリングおよび多量体化は、TNFRシグナル伝達のために(ワジャント(Wajant)(2015)Cell Death Differ 22(11):1727~1741)、特にTNFRSF活性化のために必要とされる。4-1BB(CD137)、CD40、GITR、CD27、DR3、DR5、およびFasは、下流シグナル伝達の引き金を引くためにクラスタリングを要することが知られるTNFSF受容体の一部である。4-1BB受容体は、シグナルを送るために架橋されなければならないという実験的証拠は、ラブら(Rabu et al.)から来ている。これらの著者らは、ヒト4-1BBLの1つの三量体形態は、ヒトT細胞に対して活性化効果を有しないが、一方でタンパク質を2つ以上の三量体に架橋することは、強力な活性化タンパク質を引き起こすことを報告した(ラブら(Rabu et al.),(2005)J Biol Chem 280:41472~41481)。したがって、一部の実施形態では、抗CD137アゴニスト抗体は、CD137の2つ以上の三量体の多量体化を誘導する。
【0299】
本明細書で使用される場合、「組換え宿主細胞」(または単に「宿主細胞」)という用語は、組換え発現ベクターが導入されている細胞を指すことを意図される。そのような用語は、特定の対象細胞だけでなく、そのような細胞の子孫も指すことを意図される。突然変異または環境的影響のいずれかに起因して、ある特定の改変が後継世代において生じ得るため、そのような子孫は、事実上、親細胞と同一でない可能性があるが、本明細書で使用される「宿主細胞」という用語の範囲内に依然として含まれる。
【0300】
本明細書で使用される場合、「組換えヒト抗体」という用語には、(a)ヒト免疫グロブリン遺伝子に対してトランスジェニックであるもしくはトランスクロモソミックである動物(例えば、マウス)またはそれから調製されたハイブリドーマから単離された抗体、(b)抗体を発現するように形質転換された宿主細胞から、例えばトランスフェクトーマから単離された抗体、(c)組換えのコンビナトリアルヒト抗体ライブラリーから単離された抗体、および(d)ヒト免疫グロブリン遺伝子配列の他のDNA配列へのスプライシングを伴う他の任意の手段によって調製された、発現された、創出された、または単離された抗体等、組換え手段によって調製される、発現される、創出される、または単離されるすべてのヒト抗体が含まれる。そのような組換えヒト抗体は、生殖細胞系列遺伝子によってコードされる特定のヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列を利用するが、例えば抗体成熟の間に生じる後続の再編成および突然変異を含む、可変および定常領域を含む。当技術分野において公知であるように(例えば、ロンバーグ(Lonberg)(2005)Nature Biotech.23(9):1117~1125を参照されたい)、可変領域は、外来抗原に特異的な抗体を形成するために再編成する様々な遺伝子によってコードされる、抗原結合性ドメインを含有する。再編成に加えて、可変領域は、複数の単一アミノ酸変化(体細胞突然変異または超突然変異と称される)によってさらに改変されて、外来抗原に対する抗体の親和性を増加させ得る。定常領域は、抗原にさらに応答して変化するであろう(すなわち、アイソタイプスイッチ)。それゆえ、抗原に応答して軽鎖および重鎖免疫グロブリンポリペプチドをコードする再編成されたおよび体細胞突然変異した核酸分子は、元の核酸分子との配列同一性を有しない可能性があるが、その代わりに実質的に同一または類似であろう(すなわち、少なくとも80%の同一性を有する)。
【0301】
本明細書で使用される場合、「参照抗体」(「参照mAb」と互換可能に使用される)または「参照抗原結合性タンパク質」という用語は、ヒトCD137上の特異的エピトープに結合し、およびそれ自身と1つまたは複数の個別の抗体との間の関係性を確立するために使用される、抗体またはその抗原結合性断片を指す。一部の実施形態では、関係性は、CD137上の同じエピトープへの参照抗体および1つまたは複数の個別の抗体の結合である。本明細書で使用される場合、その用語は、本明細書に記載されるもの(例えば、競合結合アッセイ)等の試験またはアッセイにおいて競合体として有用である抗CD137抗体を含意し、アッセイは、同じエピトープに結合する1つまたは複数の個別の抗体の発見、同定、または開発に有用である。例示的な参照抗体(mAb1)の可変重鎖(V)および軽鎖(V)アミノ酸配列は、表23(V1、配列番号4;V2、配列番号6)に提供される。一部の実施形態では、その用語は、試験またはアッセイにおいてコンパレーターとして有用である抗CD137抗体を含意し、アッセイは、抗体の特徴(例えば、肝毒性、抗腫瘍有効性)を区別するのに有用である。一部の実施形態では、参照抗体はウレルマブである。一部の実施形態では、参照抗体はウトミルマブである。
【0302】
本明細書で使用される場合、「特異的結合」、「選択的結合」、「選択的に結合する」、および「特異的に結合する」という用語は、所定の抗原上のエピトープへの抗体結合を指す。典型的に、抗体は、分析物として組換えヒトCD137およびリガンドとして抗体を使用したBIACORE2000機器における表面プラズモン共鳴(SPR)技術によって判定される場合に、およそ10-7、10-8M、10-9M、もしくは10-10M未満またはそれよりもさらに低い値等、およそ10-6M未満の平衡解離定数(K)で結合し、所定の抗原または近縁の抗原以外の非特異的抗原(例えば、BSA、カゼイン)への結合に対するその親和性よりも少なくとも2倍大きい親和性で所定の抗原に結合する。「抗原を認識する抗体」および「抗原に特異的な抗体」という用語は、「抗原に特異的に結合する抗体」という用語と本明細書で互換可能に使用される。
【0303】
本明細書で使用される場合、「スイッチ配列」という用語は、スイッチ組換えに関わるそれらのDNA配列を指す。「スイッチドナー」配列、典型的にμスイッチ領域は、スイッチ組換えの間に欠失される対象となる構築物領域の5’(すなわち、上流)であろう。「スイッチアクセプター」領域は、欠失される対象となる構築物領域と置き換え定常領域(例えば、γ、ε等)との間にあるであろう。組換えが常に生じる特異的部位はないことから、最終的な遺伝子配列は、典型的に、構築物から予測可能でないであろう。
【0304】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語には、任意のヒトまたは非ヒト動物が含まれる。例えば、本発明の方法および組成物を使用して、免疫障害を有する対象を処置し得る。「非ヒト動物」という用語には、すべての脊椎動物、例えば、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、牛、ニワトリ、両生類、爬虫類等、哺乳動物および非哺乳動物が含まれる。
【0305】
核酸に関して、「実質的な相同性」という用語は、2つの核酸またはその指定の配列が、最適にアラインされおよび比較された場合に、適当なヌクレオチド挿入または欠失を有して、ヌクレオチドの少なくとも約80%、通常少なくとも約90%~95%、およびより好ましくはヌクレオチドの少なくとも約98%~99.5%において同一であることを示す。あるいは、実質的な相同性は、セグメントが選択的ハイブリダイゼーション条件下で鎖の相補体にハイブリダイゼーションするであろう場合に存在する。
【0306】
2つの配列間の同一性パーセントは、2つの配列の最適なアラインメントのために導入される必要があるギャップの数および各ギャップの長さを考慮に入れた、配列によって共有される同一箇所の数の関数(すなわち、相同性%=同一箇所の#/箇所の総#×100)である。配列の比較および2つの配列間の同一性パーセントの判定は、下記の非限定的な例に記載される数学的アルゴリズムを使用して遂行され得る。
【0307】
2つのヌクレオチド配列間の同一性パーセントは、NWSgapdna.CMP行列、および40、50、60、70、または80のギャップ加重、および1、2、3、4、5、または6の長さ加重を使用した、GCGソフトウェアパッケージにおけるGAPプログラム(http://www.gcg.comで利用可能)を使用して判定され得る。2つのヌクレオチドまたはアミノ酸配列間の同一性パーセントは、PAM120加重残基表、12のギャップ長ペナルティ、および4のギャップペナルティを使用した、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み入れられているイー マイヤーズおよびダブリュー ミラー(E.Meyers and W.Miller)(CABIOS、4:11~17(1989))のアルゴリズムを使用しても判定され得る。加えて、2つのアミノ酸配列間の同一性パーセントは、Blossum62行列またはPAM250行列のいずれか、および16、14、12、10、8、6、または4のギャップ加重、および1、2、3、4、5、または6の長さ加重を使用した、GCGソフトウェアパッケージにおけるGAPプログラム(http://www.gcg.comで利用可能)に組み入れられているニードルマンおよびブンシュ(Needleman and Wunsch)(J.Mol.Biol.(48):444~453(1970))アルゴリズムを使用して判定され得る。
【0308】
本開示の核酸およびタンパク質配列を「クエリー配列」としてさらに使用して、公的データベースに対して検索を実施して、例えば関係する配列を同定し得る。そのような検索は、アルトシュルら(Altschul,et al.)(1990)J.Mol.Biol.215:403~10のNBLASTおよびXBLASTプログラム(バージョン2.0)を使用して実施され得る。BLASTヌクレオチド検索を、NBLASTプログラム、スコア=100、ワード長=12を用いて実施して、本発明の核酸分子に相同なヌクレオチド配列を獲得し得る。BLASTタンパク質検索を、XBLASTプログラム、スコア=50、ワード長=3を用いて実施して、本発明のタンパク質分子に相同なアミノ酸配列を獲得し得る。比較目的のためのギャップありアラインメントを獲得するために、アルトシュルら(Altschul et al.),(1997)Nucleic Acids Res.25(17):3389~3402に記載されるように、ギャップありBLASTが利用され得る。BLASTおよびギャップありBLASTプログラムを利用する場合、それぞれのプログラム(例えば、XBLASTおよびNBLAST)の初期設定パラメータが使用され得る。http://www.ncbi.nlm.nih.govを参照されたい。
【0309】
核酸は、細胞全体に、細胞溶解物に、または特に精製されたもしくは実質的に純粋な形態で存在し得る。核酸は、アルカリ/SDS処置、CsClバンディング、カラムクロマトグラフィー、アガロースゲル電気泳動、および当技術分野において周知の他のものを含めた標準的技法によって、他の細胞構成要素または他の夾雑物、例えば他の細胞核酸またはタンパク質から離して精製された場合、「単離されている」または「実質的に純粋な状態になる」。エフ オーズベルら(F.Ausubel,et al.),編,Current Protocols in Molecular Biology,グリーンパブリッシングアンドワイリーインターサイエンス(Greene Publishing and Wiley Interscience),ニューヨーク所在(1987)を参照されたい。
【0310】
cDNA、ゲノム、またはその混合物のいずれか由来の、本開示の核酸組成物は、しばしば天然配列の状態にあるものの(改変された制限部位等を除く)、遺伝子配列を提供する標準的技法に従って突然変異され得る。コード配列に関して、これらの突然変異は、所望どおりアミノ酸配列に影響を及ぼし得る。特に、本明細書に記載される天然V、D、J、定常、スイッチ、および他のそのような配列に実質的に相同なまたはそれに由来するDNA配列が企図される(「由来する」が、配列が同一であるまたは別の配列から改変されることを示す場合)。
【0311】
本明細書で使用される場合、「腫瘍微小環境」(あるいは「がん微小環境」;TMEと略される)という用語は、周囲血管、ならびに免疫細胞、線維芽細胞、骨髄由来炎症細胞、およびリンパ球を含むがそれらに限定されない非がん性細胞を含めた、腫瘍または新生物が存在する細胞環境または境遇を指す。シグナル伝達分子および細胞外基質もTMEを含む。腫瘍および周囲微小環境は、緊密に関係しおよび絶えず相互作用する。腫瘍は、細胞外シグナルを放出し、腫瘍血管新生を促進し、および末梢免疫寛容を誘導することによって微小環境に影響し得、一方で微小環境における免疫細胞は、腫瘍細胞の成長および進化に影響を及ぼし得る。
【0312】
「T細胞」という用語は、細胞表面のT細胞受容体の存在によって他の白血球と区別され得る白血球の1タイプを指す。Tヘルパー細胞(T細胞またはCD4 T細胞としても知られる)ならびにT1、T2、T3、T17、T9、およびTFH細胞を含めたサブタイプ、細胞傷害性T細胞(すなわち、T細胞、CD8 T細胞、細胞傷害性Tリンパ球、Tキラー細胞、キラーT細胞)、メモリーT細胞ならびにセントラルメモリーT細胞(TCM細胞)、エフェクターメモリーT細胞(TEMおよびTEMRA細胞)、および常在性メモリーT細胞(TRM細胞)を含めたサブタイプ、調節性T細胞(Treg細胞またはサプレッサーT細胞としても知られる)ならびにCD4 FOXP3reg細胞、CD4FOXP3reg細胞、Tr1細胞、Th3細胞、およびTreg17細胞を含めたサブタイプ、ナチュラルキラーT細胞(NKT細胞としても知られる)、粘膜関連インバリアントT細胞(MAIT)、ならびにVγ9/Vδ2 T細胞を含めたガンマデルタT細胞(γδ T細胞)を含むがそれらに限定されない、T細胞のいくつかのサブセットがある。前で述べたまたは述べられていないT細胞のうちのいずれか1つまたは複数は、本発明の使用の方法に対する標的細胞タイプであり得る。
【0313】
本明細書で使用される場合、「T細胞活性化」または「T細胞の活性化」という用語は、それらの表面に抗原特異的T細胞受容体を発現する成熟T細胞が、それらの同族抗原を認識し、ならびに細胞周期に入り、サイトカインまたは溶菌酵素を分泌し、および細胞に基づくエフェクター機能を始動するまたは実施できるようになることによって応答する、細胞過程を指す。T細胞活性化は、十分に活性化されるようになるために少なくとも2つのシグナルを要する。1つ目は、抗原-主要組織適合性複合体(MHC)によるT細胞抗原特異的受容体(TCR)の関与後に、および2つ目は、共刺激分子(例えば、CD28)の後続の関与によって生じる。これらのシグナルは核に送られ、T細胞のクローン増大、細胞表面の活性化マーカーの上方調節、エフェクター細胞への分化、細胞傷害もしくはサイトカイン分泌の誘導、アポトーシスの誘導、またはその組合せをもたらす。
【0314】
本明細書で使用される場合、「T細胞媒介性応答」という用語は、エフェクターT細胞(例えば、CD8細胞)およびヘルパーT細胞(例えば、CD4細胞)を含むがそれらに限定されないT細胞によって媒介される任意の応答を指す。T細胞媒介性応答には、例えばT細胞細胞傷害および増殖が含まれる。
【0315】
本明細書で使用される場合、「治療有効量」もしくは「治療有効用量」という用語、または本明細書で使用される類似の用語は、所望の生物学的または医学的応答(例えば、がんの1つまたは複数の症状の向上)を引き出すであろう、作用物質(例えば、抗CD137抗体またはその抗原結合性断片)の量を意味することを意図される。
【0316】
本明細書で使用される「処置する」、「処置すること」、および「処置」という用語は、本明細書に記載される治療的または阻止的な方策を指す。「処置」の方法は、障害もしくは再発性障害の1つもしくは複数の症状を阻止する、治癒する、遅延させる、その重症度を低下させる、もしくは改善するための、またはそのような処置の非存在下において予想されるものを超えて対象の生存期間を引き延ばすための、そのような処置、本開示のヒト抗体を必要とする対象、例えば特定の抗原に対する免疫応答の増強を必要とする対象、または結局はそのような障害を得る可能性がある対象への投与を採用する。
【0317】
本明細書で使用される場合、「再編成されていない」または「生殖細胞系列立体配置」という用語は、Vセグメントが、DまたはJセグメントのすぐ近隣にあるように組換えられていない立体配置を指す。
【0318】
本明細書で使用される場合、「ベクター」という用語は、それが連結されている別の核酸を輸送し得る核酸分子を指すことを意図される。1つのタイプのベクターは「プラスミド」であり、それは、付加的なDNAセグメントがライゲーションされ得る環状二本鎖DNAループを指す。別のタイプのベクターはウイルスベクターであり、付加的なDNAセグメントはウイルスゲノム内にライゲーションされ得る。ある特定のベクターは、それらが導入される宿主細胞において自己複製し得る(例えば、細菌性複製の起点を有する細菌ベクター、およびエピソーマル哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーマル哺乳動物ベクター)は、宿主細胞に導入されると宿主細胞のゲノムに組み込まれ得、それによって、宿主ゲノムと一緒に複製される。さらには、ある特定のベクターは、それらが作動可能に連結される遺伝子の発現を方向付け得る。そのようなベクターは、「組換え発現ベクター」(または単に「発現ベクター」)と本明細書で称される。一般的に、組換えDNA技法における利用の発現ベクターは、しばしばプラスミドの形態にある。プラスミドは最も一般に使用される形態のベクターであることから、本明細書では、「プラスミド」および「ベクター」は互換可能に使用され得る。しかしながら、本発明は、同等の機能を果たす、ウイルスベクター(例えば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルス、およびアデノ随伴ウイルス)等、そのような他の形態の発現ベクターを含むことを意図される。
【0319】
別様に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的および科学的用語は、本開示が属する技術分野における当業者によって共通に理解されるのと同じ意味を有する。好ましい方法および材料が下記で記載されるが、とはいえ、本明細書に記載されるものと類似のまたは同等の方法および材料も、目下開示される方法および組成物の実践または試験において使用され得る。本明細書で述べられるすべての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、それらの全体として本願明細書に援用する。
【0320】
抗CD137製剤
本開示は、ヒトCD137に結合する抗体またはその抗原結合性断片[以下、「抗CD137抗体」または「抗ヒトCD137抗体」]を含む製剤を提供する。本開示の抗CD137抗体製剤は、安定な条件下で抗体またはその抗原結合性断片を維持し、抗体凝集体(高分子量種)および微粒子の形成を最小限に抑え、荷電バリアントのパーセンテージを低下させ、ならびに抗体の構造完全性を維持する。
【0321】
1つの態様では、本開示は、少なくとも一部には、抗CD137抗体またはその抗原結合性断片の様々な製剤を提供する。一部の実施形態では、抗CD137またはその抗原結合性断片を含む本開示の製剤は、(i)緩衝剤(例えば、ヒスチジン)、(ii)二糖糖類(例えば、スクロース)、(iii)非イオン性界面活性剤(例えば、ポリソルベート80)、および/または(iv)塩(例えば、NaCl)も含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は約5.0~約7.0のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約5.0~約7.4のpHを有する。一部の実施形態では、製剤のpHは約5.0~約8.0である。一部の実施形態では、本開示の製剤は、1種または複数の可溶化剤、希釈剤、結合剤、安定剤、塩、親油性溶媒、アミノ酸、キレート剤、または防腐剤をさらに含有する。
【0322】
(i)緩衝化剤
一部の実施形態では、製剤の安定性を向上させおよび/またはpHを制御するために、緩衝化剤が抗体製剤に含まれる。本明細書に記載される実施例に例示されるように、抗CD137抗体は、ヒスチジン緩衝剤中で製剤化された場合、高濃度でおよび強制分解条件下で安定であった。
【0323】
一部の実施形態では、本明細書に記載される製剤において有用な緩衝化剤には、例えばクエン酸、アスコルビン酸、グルコン酸、炭酸、酒石酸、コハク酸、酢酸、またはフタル酸の塩が含まれる。一部の実施形態では、緩衝剤は、トリスに基づく緩衝剤またはリン酸緩衝剤である。
【0324】
一部の実施形態では、本明細書に記載される製剤は、数ある中でも、緩衝化能を提供し得る1個または複数のアミノ酸を含む。本開示の製剤における使用のための適切なアミノ酸には、例えばヒスチジン、グリシン、およびセリンが含まれる。一部の実施形態では、本開示の製剤は、緩衝化剤として遊離アミノ酸を含まない。一部の実施形態では、本開示の製剤は、緩衝化剤として1個の遊離アミノ酸(例えば、ヒスチジン)を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、緩衝化剤として2個以上(例えば、2、3、4、5、6、もしくは7個、またはそれを上回る数)の異なるアミノ酸、例えばセリンおよびヒスチジンを含む。
【0325】
緩衝化剤は、一部には要される緩衝化能に依存して、一般的におよそ10mM~100mMの濃度で使用される。一部の実施形態では、本明細書に記載される製剤は、100mM未満またはおよそ100mM(例えば、90、80、70、60、50、40、30、25、20、15、もしくは10mM未満、またはおよそ90、80、70、60、50、40、30、25、20、15、もしくは10mM)の濃度の緩衝化剤を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載される製剤は、少なくとも10(例えば、少なくとも15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、またはそれを上回る)mMの濃度の緩衝化剤を含有する。一部の実施形態では、本明細書に記載される製剤は、約10mM~20mM、15mM~20mM、10mM~25mM、15mM~25mM、20mM~25mM、10mM~30mM、15mM~30mM、20mM~30mM、25mM~30mM、10mM~40mM、15mM~40mM、20mM~40mM、25mM~40mM、30mM~40mM、10mM~50mM、15mM~50mM、20mM~50mM、25mM~50mM、30mM~50mM、40mM~50mM、10mM~100mM、15mM~100mM、20mM~100mM、25mM~100mM、30mM~100mM、40mM~100mM、または50~100mMの濃度の緩衝化剤を含む。本開示の製剤が2種以上(例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10種、またはそれを上回る種類)の異なる緩衝化剤を含有する実施形態では、2種以上の緩衝化剤のそれぞれは、例えば上で記載される濃度の1つで独立して存在し得ることが理解される。
【0326】
一部の実施形態では、本開示の製剤は、約10~100mMの濃度のヒスチジンを含む緩衝剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約15~100mMの濃度のヒスチジンを含む緩衝剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約20~100mMの濃度のヒスチジンを含む緩衝剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約25~100mMの濃度のヒスチジンを含む緩衝剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約30~100mMのヒスチジン濃度を含む緩衝剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約40~100mMの濃度のヒスチジンを含む緩衝剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約50~100mMの濃度のヒスチジンを含む緩衝剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約10~50mMの濃度のヒスチジンを含む緩衝剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約15~50mMの濃度のヒスチジンを含む緩衝剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約20~50mMの濃度のヒスチジンを含む緩衝剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約25~50mMの濃度のヒスチジンを含む緩衝剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約30~50mMの濃度のヒスチジンを含む緩衝剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約40~50mMの濃度のヒスチジンを含む緩衝剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約10~40mMの濃度のヒスチジンを含む緩衝剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約15~40mMの濃度のヒスチジンを含む緩衝剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約20~40mMの濃度のヒスチジンを含む緩衝剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約25~40mMの濃度のヒスチジンを含む緩衝剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約30~40mMの濃度のヒスチジンを含む緩衝剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約10~30mMの濃度のヒスチジンを含む緩衝剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約15~30mMの濃度のヒスチジンを含む緩衝剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約20~30mMの濃度のヒスチジンを含む緩衝剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約25~30mMの濃度のヒスチジンを含む緩衝剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約10~25mMの濃度のヒスチジンを含む緩衝剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約15~25mMの濃度のヒスチジンを含む緩衝剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約20~25mMの濃度のヒスチジンを含む緩衝剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約10~20mMの濃度のヒスチジンを含む緩衝剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約15~20mMの濃度のヒスチジンを含む緩衝剤を含む。
【0327】
一部の実施形態では、本開示の製剤は、約10mMの濃度のヒスチジンを含む緩衝剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約11mMの濃度のヒスチジンを含む緩衝剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約12mMの濃度のヒスチジンを含む緩衝剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約13mMの濃度のヒスチジンを含む緩衝剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約14mMの濃度のヒスチジンを含む緩衝剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約15mMの濃度のヒスチジンを含む緩衝剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約16mMの濃度のヒスチジンを含む緩衝剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約17mMの濃度のヒスチジンを含む緩衝剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約18mMの濃度のヒスチジンを含む緩衝剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約19mMの濃度のヒスチジンを含む緩衝剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約20mMの濃度のヒスチジンを含む緩衝剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約21mMの濃度のヒスチジンを含む緩衝剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約22mMの濃度のヒスチジンを含む緩衝剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約23mMの濃度のヒスチジンを含む緩衝剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約24mMの濃度のヒスチジンを含む緩衝剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約25mMの濃度のヒスチジンを含む緩衝剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約26mMの濃度のヒスチジンを含む緩衝剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約27mMの濃度のヒスチジンを含む緩衝剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約28mMの濃度のヒスチジンを含む緩衝剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約29mMの濃度のヒスチジンを含む緩衝剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約30mMの濃度のヒスチジンを含む緩衝剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約35mMの濃度のヒスチジンを含む緩衝剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約40mMの濃度のヒスチジンを含む緩衝剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約45mMの濃度のヒスチジンを含む緩衝剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約50mMの濃度のヒスチジンを含む緩衝剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約55mMの濃度のヒスチジンを含む緩衝剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約60mMの濃度のヒスチジンを含む緩衝剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約65mMの濃度のヒスチジンを含む緩衝剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約70mMの濃度のヒスチジンを含む緩衝剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約75mMの濃度のヒスチジンを含む緩衝剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約80mMの濃度のヒスチジンを含む緩衝剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約85mMの濃度のヒスチジンを含む緩衝剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約90mMの濃度のヒスチジンを含む緩衝剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約95mMの濃度のヒスチジンを含む緩衝剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約100mMの濃度のヒスチジンを含む緩衝剤を含む。
【0328】
(ii)炭水化物賦形剤
一部の実施形態では、安定性を向上させるために、炭水化物賦形剤が本開示の抗体製剤に添加される。実施例に提供されるように、本開示の抗CD137製剤へのスクロースの添加は、上昇した温度での安定性の向上をもたらすことが発見された。
【0329】
一部の実施形態では、本明細書に記載される製剤のいずれかは、炭水化物賦形剤を含有する。適切な炭水化物賦形剤は、例えばカタカムおよびバンガ(Katakam and Banga)(1995)J Pharm Pharmacol 47(2):103~107;アンデャら(Andya et al.)(2003)AAPS PharmSci 5(2):Article 10;ならびにシャイア(Shire)(2009)「Current Trends in Monoclonal Antibody Development and Manufacturing」,第11巻,スプリンガー(Springer),354ページに記載される。本明細書に記載される製剤における使用に適切な炭水化物賦形剤には、限定されることなく、フルクトース、マルトース、ガラクトース、グルコース、D-マンノース、およびソルボース等の単糖;ラクトース、スクロース、トレハロース、およびセロビオース等の二糖;マルトデキストリン、デキストラン、およびデンプン等の多糖;ならびにマンニトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、およびソルビトール等の糖アルコールが含まれる。一部の実施形態では、炭水化物賦形剤は二糖または二糖糖類である。一部の実施形態では、二糖糖類はスクロースである。一部の実施形態では、炭水化物賦形剤は、少なくともまたはおよそ5(例えば、少なくともまたはおよそ5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0、10.5、11.0、11.5、12.0、12.5、13.0、13.5、14.0、14.5、15.0、またはそれを上回る)%重量/体積(w/v)の濃度で本開示の製剤に存在する。本開示の製剤が2種以上(例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10種、またはそれを上回る種類)の異なる炭水化物賦形剤(例えば、ソルビトールおよびマンニトール)を含有する実施形態では、各賦形剤は、上で記載される濃度のいずれかで独立して存在し得る。
【0330】
本開示の一部の実施形態では、炭水化物賦形剤は、約5~15%(w/v)(5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15%)の量で存在する。一部の実施形態では、炭水化物賦形剤は、約6%~約15%(w/v)の量で存在する。一部の実施形態では、炭水化物賦形剤は、約8%~約15%(w/v)の量で存在する。一部の実施形態では、炭水化物賦形剤は、約10%~約15%(w/v)の量で存在する。一部の実施形態では、炭水化物賦形剤は、約12%~約15%(w/v)の量で存在する。一部の実施形態では、炭水化物賦形剤は、約14%~約15%(w/v)の量で存在する。一部の実施形態では、炭水化物賦形剤は、約5%~約12%(w/v)の量で存在する。一部の実施形態では、炭水化物賦形剤は、約6%~約12%(w/v)の量で存在する。一部の実施形態では、炭水化物賦形剤は、約8%~約12%(w/v)の量で存在する。一部の実施形態では、炭水化物賦形剤は、約10%~約12%(w/v)の量で存在する。一部の実施形態では、炭水化物賦形剤は、約5%~約10%(w/v)の量で存在する。一部の実施形態では、炭水化物賦形剤は、約6%~約10%(w/v)の量で存在する。一部の実施形態では、炭水化物賦形剤は、約8%~約10%(w/v)の量で存在する。一部の実施形態では、炭水化物賦形剤は二糖糖類である。一部の実施形態では、炭水化物賦形剤はスクロースである。
【0331】
一部の実施形態では、炭水化物賦形剤は、約5%(w/v)の量で存在する。一部の実施形態では、炭水化物賦形剤は、約6%(w/v)の量で存在する。一部の実施形態では、炭水化物賦形剤は、約7%(w/v)の量で存在する。一部の実施形態では、炭水化物賦形剤は、約8%(w/v)の量で存在する。一部の実施形態では、炭水化物賦形剤は、約9%(w/v)の量で存在する。一部の実施形態では、炭水化物賦形剤は、約10%(w/v)の量で存在する。一部の実施形態では、炭水化物賦形剤は、約11%(w/v)の量で存在する。一部の実施形態では、炭水化物賦形剤は、約12%(w/v)の量で存在する。一部の実施形態では、炭水化物賦形剤は、約13%(w/v)の量で存在する。一部の実施形態では、炭水化物賦形剤は、約14%(w/v)の量で存在する。一部の実施形態では、炭水化物賦形剤は、約15%(w/v)の量で存在する。一部の実施形態では、炭水化物賦形剤は二糖糖類である。一部の実施形態では、炭水化物賦形剤はスクロースである。一部の実施形態では、炭水化物賦形剤はトレハロースである。
【0332】
一部の実施形態では、本開示の製剤は二糖糖類を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤はスクロースを含む。一部の実施形態では、炭水化物賦形剤はトレハロースである。
一部の実施形態では、本開示の製剤は、約5%~約15%(w/v)の量のスクロースを含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約6%~約15%(w/v)の量のスクロースを含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約8%~約15%(w/v)の量のスクロースを含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約10%~約15%(w/v)の量のスクロースを含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約12%~約15%(w/v)の量のスクロースを含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約14%~約15%(w/v)の量のスクロースを含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約5%~約12%(w/v)の量のスクロースを含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約6%~約12%(w/v)の量のスクロースを含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約8%~約12%(w/v)の量のスクロースを含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約10%~約12%(w/v)の量のスクロースを含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約5%~約10%(w/v)の量のスクロースを含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約6%~約10%(w/v)の量のスクロースを含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約8%~約10%(w/v)の量のスクロースを含む。
【0333】
一部の実施形態では、本開示の製剤は、約5%(w/v)のスクロースを含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約6%(w/v)のスクロースを含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約7%(w/v)のスクロースを含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約8%(w/v)のスクロースを含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約9%(w/v)のスクロースを含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約10%(w/v)のスクロースを含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約11%(w/v)のスクロースを含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約12%(w/v)のスクロースを含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約13%(w/v)のスクロースを含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約14%(w/v)のスクロースを含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約15%(w/v)のスクロースを含む。
【0334】
(iii)界面活性剤
一部の実施形態では、本開示の抗体製剤は界面活性剤を含む。本明細書で使用される場合、界面活性剤とは、天然に両親媒性である表面活性剤である。一部の実施形態では、精製、濾過、凍結乾燥、輸送、保管、および送達等の処理条件の間の、安定性を提供し、凝集を低下させおよび/もしくは阻止し、またはタンパク質損傷を阻止しおよび/もしくは阻害するために、界面活性剤が本明細書における製剤に添加される。本開示の一部の実施形態では、界面活性剤は、活性成分(複数可)に対して安定性を提供するのに有用である。
【0335】
一部の実施形態では、本開示の製剤は、アニオン性、カチオン性、または非イオン性界面活性剤等の界面活性剤を含有する。一部の実施形態では、界面活性剤は、ポリソルベート-20(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート)、ポリソルベート-40(ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート)、ポリソルベート-60(ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート)、およびポリソルベート-80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)を含めた、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(ポリソルベート、TWEEN(登録商標)という商品名の下で販売される);BRIJ(登録商標)58およびBRIJ(登録商標)35等のポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポロキサマー(例えば、ポロキサマー188);TRITON(登録商標)X-100およびTRITON(登録商標)X-114;NP40;スパン20、スパン40、スパン60、スパン65、スパン80、およびスパン85;エチレンおよびプロピレングリコールの共重合体(例えば、PLURONIC(登録商標)F68、PLURONIC(登録商標)10R5、PLURONIC(登録商標)F108、PLURONIC(登録商標)F127、PLURONIC(登録商標)F38、PLURONIC(登録商標)L44、PLURONIC(登録商標)L62等の非イオン性界面活性剤のPLURONIC(登録商標)シリーズ);ならびにドデシル硫酸ナトリウム(SDS)である。一部の実施形態では、界面活性剤は非イオン性界面活性剤である。一部の実施形態では、界面活性剤はポリソルベートである。一部の実施形態では、界面活性剤はポリソルベート80である。
【0336】
本発明の製剤に含まれるべき界面活性剤の量は、所望の機能を実施するのに十分な量、すなわち製剤中の活性医薬成分(すなわち、抗CD137抗体またはその抗原結合性断片)を安定化するのに必要な最小量である。界面活性剤に対するすべてのパーセンテージは、w/v%として列挙される。
【0337】
一部の実施形態では、本明細書に記載される製剤は、少なくともまたはおよそ0.01(例えば、少なくともまたはおよそ0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、またはそれを上回る)w/v%の濃度の界面活性剤(例えば、本明細書に記載されるまたは当技術分野において公知の薬学的に許容される界面活性剤のいずれか)を含有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は、多くとも(no more than)0.1(例えば、多くとも0.09、0.08、0.07、0.06、0.05、0.04、0.03、0.02、または0.01)w/v%の薬学的に許容される界面活性剤を含有する。
【0338】
一部の実施形態では、本開示の製剤は、約0.01%~約0.1%w/vの濃度の界面活性剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約0.01%~約0.09%w/v;約0.01%~約0.08%w/v;約0.01%~約0.07%w/v;約0.01%~約0.06%w/v;約0.01%~約0.05%w/v;約0.01%~約0.04%w/v;約0.01%~約0.03%w/v;または約0.01%~約0.02%w/vの量の界面活性剤を含む。
【0339】
一部の実施形態では、本開示の製剤は、約0.01%w/vの量の界面活性剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約0.02%w/vの量の界面活性剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約0.025%w/vの量の界面活性剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約0.03%w/vの量の界面活性剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約0.035%w/vの量の界面活性剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約0.04%w/vの量の界面活性剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約0.05%w/vの量の界面活性剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約0.06%w/vの量の界面活性剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約0.07%w/vの量の界面活性剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約0.08%w/vの量の界面活性剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約0.09%w/vの量の界面活性剤を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約0.1%w/vの量の界面活性剤を含む。
【0340】
一部の実施形態では、本開示の製剤における界面活性剤はポリソルベート80である。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約0.01%~約0.1%w/vの量のポリソルベート80を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約0.01%~約0.09%w/vの量のポリソルベート80を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約0.01%~約0.08%w/vの量のポリソルベート80を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約0.01%~約0.07%w/vの量のポリソルベート80を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約0.01%~約0.06%w/vの量のポリソルベート80を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約0.01%~約0.05%w/vの量のポリソルベート80を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約0.01%~約0.04%w/vの量のポリソルベート80を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約0.01%~約0.03%w/vの量のポリソルベート80を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約0.01%~約0.02%w/vの量のポリソルベート80を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約0.02%~約0.1%w/vの量のポリソルベート80を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約0.02%~約0.09%w/vの量のポリソルベート80を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約0.02%~約0.08%w/vの量のポリソルベート80を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約0.02%~約0.07%w/vの量のポリソルベート80を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約0.02%~約0.06%w/vの量のポリソルベート80を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約0.02%~約0.05%w/vの量のポリソルベート80を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約0.02%~約0.04%w/vの量のポリソルベート80を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約0.02%~約0.035%w/vの量のポリソルベート80を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約0.02%~約0.03%w/vの量のポリソルベート80を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約0.025%~約0.05%w/vの量のポリソルベート80を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約0.025%~約0.04%w/vの量のポリソルベート80を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約0.025%~約0.035%w/vの量のポリソルベート80を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約0.025%~約0.03%w/vの量のポリソルベート80を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約0.03%~約0.1%w/vの量のポリソルベート80を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約0.03%~約0.09%w/vの量のポリソルベート80を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約0.03%~約0.08%w/vの量のポリソルベート80を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約0.03%~約0.07%w/vの量のポリソルベート80を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約0.03%~約0.06%w/vの量のポリソルベート80を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約0.03%~約0.05%w/vの量のポリソルベート80を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約0.03%~約0.04%w/vの量のポリソルベート80を含む。
【0341】
一部の実施形態では、本開示の製剤は、約0.01%w/vの量のポリソルベート80を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約0.015%w/vの量のポリソルベート80を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約0.02%w/vの量のポリソルベート80を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約0.025%w/vの量のポリソルベート80を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約0.03%w/vの量のポリソルベート80を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約0.035%w/vの量のポリソルベート80を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約0.04%w/vの量のポリソルベート80を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約0.045%w/vの量のポリソルベート80を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約0.05%w/vの量のポリソルベート80を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約0.055%w/vの量のポリソルベート80を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約0.06%w/vの量のポリソルベート80を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約0.065%w/vの量のポリソルベート80を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約0.07%w/vの量のポリソルベート80を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約0.075%w/vの量のポリソルベート80を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約0.08%w/vの量のポリソルベート80を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約0.085%w/vの量のポリソルベート80を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約0.09%w/vの量のポリソルベート80を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約0.095%w/vの量のポリソルベート80を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約0.1%w/vの量のポリソルベート80を含む。
【0342】
(iv)塩
一部の実施形態では、製剤に対して安定性を提供するために、本明細書に記載される抗体製剤に塩が含まれる。一部の実施形態では、本明細書に記載される製剤は、塩、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、または塩化マグネシウムを含有する。一部の実施形態では、本明細書に記載される製剤は、少なくとも50(例えば、少なくとも50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、もしくは200、またはそれを上回る)mAの濃度の塩を含有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は、200mM未満またはおよそ200mM(例えば、195、190、185、180、175、170、165、160、155、150、145、140、135、130、125、120、115、110、105、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、もしくは50mM未満、またはおよそ195、190、185、180、175、170、165、160、155、150、145、140、135、130、125、120、115、110、105、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、もしくは50mM)の濃度の塩を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約50mM~100mM、60mM~100mM、70mM~100mM、80mM~100mM、90mM~100mM、50mM~120mM、60mM~120mM、70mM~120mM、80mM~120mM、90mM~120mM、100mM~120mM、110mM~120mM、50mM~150mM、60mM~150mM、70mM~150mM、80mM~150mM、90mM~150mM、100mM~150mM、110mM~150mM、120mM~150mM、130mM~150mM、140mM~150mM、50mM~200mM、60mM~200mM、70mM~200mM、80mM~200mM、90mM~200mM、100mM~200mM、110mM~200mM、120mM~200mM、130mM~200mM、140mM~200mM、150mM~200mM、160mM~200mM、170mM~200mM、180mM~200mM、または190mM~200mMの濃度の塩を含む。
【0343】
本開示の製剤が2種以上(例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10種、またはそれを上回る種類)の異なる塩を含有する実施形態では、2種以上の塩のそれぞれは、例えば上で記載される濃度の1つで独立して存在し得ることが理解される。
【0344】
一部の実施形態では、本開示の製剤はNaClを含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約50~100mMの濃度のNaClを含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約60~100mMの濃度のNaClを含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約70~100mMの濃度のNaClを含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約80~100mMの濃度のNaClを含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約90~100mMの濃度のNaClを含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約90~110mMの濃度のNaClを含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約95~105mMの濃度のNaClを含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約50~120mMの濃度のNaClを含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約80~120mMの濃度のNaClを含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約100~120mMの濃度のNaClを含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約50~150mMの濃度のNaClを含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約80~150mMの濃度のNaClを含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約100~150mMの濃度のNaClを含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約120~150mMの濃度のNaClを含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約50~200mMの濃度のNaClを含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約80~200mMの濃度のNaClを含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約100~200mMの濃度のNaClを含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約120~200mMの濃度のNaClを含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約150~200mMの濃度のNaClを含む。
【0345】
一部の実施形態では、本開示の製剤は、約50mMの濃度のNaClを含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約60mMの濃度のNaClを含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約70mMの濃度のNaClを含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約75mMの濃度のNaClを含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約80mMの濃度のNaClを含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約85mMの濃度のNaClを含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約90mMの濃度のNaClを含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約95mMの濃度のNaClを含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約100mMの濃度のNaClを含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約105mMの濃度のNaClを含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約110mMの濃度のNaClを含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約115mMの濃度のNaClを含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約120mMの濃度のNaClを含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約125mMの濃度のNaClを含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約130mMの濃度のNaClを含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約140mMの濃度のNaClを含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約150mMの濃度のNaClを含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約160mMの濃度のNaClを含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約170mMの濃度のNaClを含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約180mMの濃度のNaClを含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約190mMの濃度のNaClを含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約200mMの濃度のNaClを含む。
【0346】
(v)pH
本開示の抗CD137抗体製剤のpHは、製剤の安定性に影響を及ぼすことが発見された。実施例に提供されるように、抗CD137抗体がpH5.8のヒスチジン緩衝剤中で製剤化された場合、pH4.5のグルタミン酸またはpH7.5のトリスを含む製剤と比較して、安定性の向上が観察された。
【0347】
一部の実施形態では、本明細書に記載される製剤は、緩衝化剤またはpH調整剤を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載される製剤のいずれかは、生理学的に許容されるpHを有するまたは有するように調整され得る。本明細書で使用される場合、「生理学的に許容されるpH」とは、pH5~pH7でありかつpH5およびpH7を含んでいるpHであり、本明細書に記載される製剤の一部の実施形態では、pH5~pH8でありかつpH5およびpH8を含んでいるpHである。したがって、本明細書で使用される場合、生理学的に許容されるpHは、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、および8.0等、特定のpH値を含んでいる。一部の実施形態では、生理学的に許容されるpHは、少なくともpH5(例えば、少なくともpH5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、または5.9)であるが、pH7未満(例えば、pH6.9、6.8、6.7、6.6、6.5、6.4、6.3、6.2、または6.1未満)である。つまり、一部の実施形態では、生理学的に許容されるpHは、例えば少なくともpH5.0であるがpH7.0未満である。一部の実施形態では、生理学的に許容されるpHはpH5.0~pH7.0である。一部の実施形態では、生理学的に許容されるpHはpH5.5~pH6.5である。一部の実施形態では、生理学的に許容されるpHは、例えばpH6である。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗体製剤のpHは、およそ5.0~7.0であり、それを含んでいる(例えば、およそ5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、および7.0)。一部の実施形態では、生理学的に許容されるpHは、少なくともpH5(例えば、少なくともpH5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、または5.9)であるが、pH8未満(例えば、pH7.9、7.8、7.7、7.6、7.5、7.4、7.3、7.2、または7.1未満)である。つまり、一部の実施形態では、生理学的に許容されるpHは、例えば少なくともpH5.0であるがpH8.0未満である。一部の実施形態では、生理学的に許容されるpHはpH5.0~pH8.0である。一部の実施形態では、生理学的に許容されるpHはpH5.5~pH7.5である。一部の実施形態では、生理学的に許容されるpHは、例えばpH6である。一部の実施形態では、生理学的に許容されるpHは、例えばpH7.4である。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗体製剤のpHは、およそ5.0~8.0であり、それを含んでいる(例えば、およそ5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、および8.0)。
【0348】
一部の実施形態では、本開示の製剤は約5.0~約7.0のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約5.5~約7.0のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約6.0~約7.0のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約6.5~約7.0のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約5.0~約6.5のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約5.5~約6.5のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約6.0~約6.5のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約5.0~約6.0のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約5.5~約6.0のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約5.0~約5.5のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約5.8~約6.2のpHを有する。
【0349】
一部の実施形態では、本開示の製剤は約5.0のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約5.1のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約5.2のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約5.3のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約5.4のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約5.5のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約5.6のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約5.7のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約5.8のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約5.9のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約6.0のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約6.1のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約6.2のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約6.3のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約6.4のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約6.5のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約6.6のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約6.7のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約6.8のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約6.9のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約7.0のpHを有する。
【0350】
一部の実施形態では、本開示の製剤は約5.0~約8.0のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約6.5~約8.0のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約6.0~約8.0のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約6.5~約8.0のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約5.0~約7.5のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約5.5~約7.5のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約6.0~約7.5のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約5.0~約7.0のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約5.5~約7.0のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約5.0~約7.5のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約5.8~約6.2のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約5.8~約7.4のpHを有する。
【0351】
一部の実施形態では、本開示の製剤は約5.0のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約5.1のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約5.2のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約5.3のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約5.4のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約5.5のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約5.6のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約5.7のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約5.8のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約5.9のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約6.0のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約6.1のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約6.2のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約6.3のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約6.4のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約6.5のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約6.6のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約6.7のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約6.8のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約6.9のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約7.0のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約7.1のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約7.2のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約7.3のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約7.4のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約7.5のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約7.6のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約7.7のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約7.8のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約7.9のpHを有する。一部の実施形態では、本開示の製剤は約8.0のpHを有する。
【0352】
(vi)抗CD137抗体の濃度
一部の実施形態では、抗CD137抗体またはその抗原結合性断片は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度で本開示の製剤に存在する。一部の実施形態では、抗CD137抗体またはその抗原結合性断片は、約5mg/ml~約15mg/mlの濃度で製剤に存在する。一部の実施形態では、抗CD137抗体またはその抗原結合性断片は、約15mg/ml~約30mg/mlの濃度で製剤に存在する。一部の実施形態では、抗CD137抗体またはその抗原結合性断片は、約30mg/ml~約45mg/mlの濃度で製剤に存在する。一部の実施形態では、抗CD137抗体またはその抗原結合性断片は、約45mg/ml~約60mg/mlの濃度で製剤に存在する。一部の実施形態では、抗CD137抗体またはその抗原結合性断片は、約60mg/ml~約75mg/mlの濃度で製剤に存在する。一部の実施形態では、抗CD137抗体またはその抗原結合性断片は、約75mg/ml~約90mg/mlの濃度で製剤に存在する。一部の実施形態では、抗CD137抗体またはその抗原結合性断片は、約85mg/ml~約100mg/mlの濃度で製剤に存在する。
【0353】
一部の実施形態では、抗CD137抗体またはその抗原結合性断片は、約1mg/mlの濃度で本開示の製剤に存在する。一部の実施形態では、抗CD137抗体またはその抗原結合性断片は、約2mg/mlの濃度で製剤に存在する。一部の実施形態では、抗CD137抗体またはその抗原結合性断片は、約3mg/mlの濃度で製剤に存在する。一部の実施形態では、抗CD137抗体またはその抗原結合性断片は、約4mg/mlの濃度で製剤に存在する。一部の実施形態では、抗CD137抗体またはその抗原結合性断片は、約5mg/mlの濃度で製剤に存在する。一部の実施形態では、抗CD137抗体またはその抗原結合性断片は、約6mg/mlの濃度で製剤に存在する。一部の実施形態では、抗CD137抗体またはその抗原結合性断片は、約7mg/mlの濃度で製剤に存在する。一部の実施形態では、抗CD137抗体またはその抗原結合性断片は、約8mg/mlの濃度で製剤に存在する。一部の実施形態では、抗CD137抗体またはその抗原結合性断片は、約9mg/mlの濃度で製剤に存在する。一部の実施形態では、抗CD137抗体またはその抗原結合性断片は、約10mg/mlの濃度で製剤に存在する。一部の実施形態では、抗CD137抗体またはその抗原結合性断片は、約11mg/mlの濃度で製剤に存在する。一部の実施形態では、抗CD137抗体またはその抗原結合性断片は、約12mg/mlの濃度で製剤に存在する。一部の実施形態では、抗CD137抗体またはその抗原結合性断片は、約13mg/mlの濃度で製剤に存在する。一部の実施形態では、抗CD137抗体またはその抗原結合性断片は、約14mg/mlの濃度で製剤に存在する。一部の実施形態では、抗CD137抗体またはその抗原結合性断片は、約15mg/mlの濃度で製剤に存在する。一部の実施形態では、抗CD137抗体またはその抗原結合性断片は、約16mg/mlの濃度で製剤に存在する。一部の実施形態では、抗CD137抗体またはその抗原結合性断片は、約17mg/mlの濃度で製剤に存在する。一部の実施形態では、抗CD137抗体またはその抗原結合性断片は、約18mg/mlの濃度で製剤に存在する。一部の実施形態では、抗CD137抗体またはその抗原結合性断片は、約19mg/mlの濃度で製剤に存在する。一部の実施形態では、抗CD137抗体またはその抗原結合性断片は、約20mg/mlの濃度で製剤に存在する。一部の実施形態では、抗CD137抗体またはその抗原結合性断片は、約21mg/mlの濃度で製剤に存在する。一部の実施形態では、抗CD137抗体またはその抗原結合性断片は、約22mg/mlの濃度で製剤に存在する。一部の実施形態では、抗CD137抗体またはその抗原結合性断片は、約23mg/mlの濃度で製剤に存在する。一部の実施形態では、抗CD137抗体またはその抗原結合性断片は、約24mg/mlの濃度で製剤に存在する。一部の実施形態では、抗CD137抗体またはその抗原結合性断片は、約25mg/mlの濃度で製剤に存在する。一部の実施形態では、抗CD137抗体またはその抗原結合性断片は、約30mg/mlの濃度で製剤に存在する。一部の実施形態では、抗CD137抗体またはその抗原結合性断片は、約35mg/mlの濃度で製剤に存在する。一部の実施形態では、抗CD137抗体またはその抗原結合性断片は、約40mg/mlの濃度で製剤に存在する。一部の実施形態では、抗CD137抗体またはその抗原結合性断片は、約45mg/mlの濃度で製剤に存在する。一部の実施形態では、抗CD137抗体またはその抗原結合性断片は、約50mg/mlの濃度で製剤に存在する。一部の実施形態では、抗CD137抗体またはその抗原結合性断片は、約55mg/mlの濃度で製剤に存在する。一部の実施形態では、抗CD137抗体またはその抗原結合性断片は、約60mg/mlの濃度で製剤に存在する。一部の実施形態では、抗CD137抗体またはその抗原結合性断片は、約65mg/mlの濃度で製剤に存在する。一部の実施形態では、抗CD137抗体またはその抗原結合性断片は、約70mg/mlの濃度で製剤に存在する。一部の実施形態では、抗CD137抗体またはその抗原結合性断片は、約75mg/mlの濃度で製剤に存在する。一部の実施形態では、抗CD137抗体またはその抗原結合性断片は、約80mg/mlの濃度で製剤に存在する。一部の実施形態では、抗CD137抗体またはその抗原結合性断片は、約85mg/mlの濃度で製剤に存在する。一部の実施形態では、抗CD137抗体またはその抗原結合性断片は、約90mg/mlの濃度で製剤に存在する。一部の実施形態では、抗CD137抗体またはその抗原結合性断片は、約95mg/mlの濃度で製剤に存在する。一部の実施形態では、抗CD137抗体またはその抗原結合性断片は、約100mg/mlの濃度で製剤に存在する。
【0354】
(vii)例示的な製剤
一部の実施形態では、本開示の製剤は、以下のエレメント:ヒスチジンを含む緩衝剤、および抗CD137抗体またはその抗原結合性断片を含む。一部の実施形態では、製剤は、約10mMのヒスチジン~約100mMのヒスチジンを含む。一部の実施形態では、製剤は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体またはその抗原結合性断片を含む。
【0355】
一部の実施形態では、本開示の製剤は、以下のエレメント:ヒスチジンを含む緩衝剤、二糖糖類、および抗CD137抗体またはその抗原結合性断片を含む。一部の実施形態では、製剤は、約10mMのヒスチジン~約100mMのヒスチジンを含む。一部の実施形態では、二糖糖類はスクロースである。一部の実施形態では、製剤は、約5~15%(w/v)の二糖糖類を含む。一部の実施形態では、製剤は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体またはその抗原結合性断片を含む。
【0356】
一部の実施形態では、本開示の製剤は、以下のエレメント:ヒスチジンを含む緩衝剤、および抗CD137抗体またはその抗原結合性断片を含む。一部の実施形態では、製剤は約5.0~7.0のpHを有する。一部の実施形態では、製剤は、約10mMのヒスチジン~約100mMのヒスチジンを含む。一部の実施形態では、製剤は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体またはその抗原結合性断片を含む。
【0357】
一部の実施形態では、本開示の製剤は、以下のエレメント:ヒスチジンを含む緩衝剤、二糖糖類、非イオン性界面活性剤、塩、および抗CD137抗体またはその抗原結合性断片を含む。一部の実施形態では、製剤は約5.0~7.0のpHを有する。一部の実施形態では、製剤は、約10mMのヒスチジン~約100mMのヒスチジンを含む。一部の実施形態では、製剤の二糖糖類はスクロースである。一部の実施形態では、製剤は、約5~15%(w/v)の二糖糖類を含む。一部の実施形態では、製剤の非イオン性界面活性剤はポリソルベートである。一部の実施形態では、ポリソルベートはポリソルベート80である。一部の実施形態では、製剤は、約0.01%~約0.1%(w/v)の非イオン性界面活性剤を含む。一部の実施形態では、製剤の塩はNaClである。一部の実施形態では、製剤は、約50mM~約200mMの濃度の塩を含む。一部の実施形態では、製剤は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体またはその抗原結合性断片を含む。
【0358】
一部の実施形態では、本開示の製剤は、以下のエレメント:ヒスチジンを含む緩衝剤、約5%~約15%(w/v)の二糖糖類、約0.01%~約0.1%w/vの非イオン性界面活性剤、約50mM~約200mMの塩、および抗CD137抗体またはその抗原結合性断片を含む。一部の実施形態では、製剤は約5.0~7.0のpHを有する。一部の実施形態では、製剤は、約10mMのヒスチジン~約100mMのヒスチジンを含む。一部の実施形態では、製剤の二糖糖類はスクロースである。一部の実施形態では、製剤の二糖糖類はラクトースである。一部の実施形態では、製剤の二糖糖類はマルトースである。一部の実施形態では、製剤の二糖糖類はトレハロースである。一部の実施形態では、製剤の非イオン性界面活性剤はポリソルベートである。一部の実施形態では、ポリソルベートはポリソルベート80である。一部の実施形態では、製剤の塩はNaClである。一部の実施形態では、製剤は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体またはその抗原結合性断片を含む。
【0359】
一部の実施形態では、本開示の製剤は、以下のエレメント:約10mM~約100mMのヒスチジンを含む緩衝剤、約5%~約15%(w/v)のスクロース、約0.01%~約0.1%w/vのポリソルベート80、約50mM~約200mMのNaCl、および抗CD137抗体またはその抗原結合性断片を含む。一部の実施形態では、製剤は約5.0~7.0のpHを有する。一部の実施形態では、製剤は約5.0~7.4のpHを有する。一部の実施形態では、製剤は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体またはその抗原結合性断片を含む。
【0360】
一部の実施形態では、本開示の製剤は、以下のエレメント:約20mMのヒスチジンを含む緩衝剤、約10%(w/v)のスクロース、約0.03%w/vのポリソルベート80、約100mMのNaCl、および抗CD137抗体またはその抗原結合性断片を含む。一部の実施形態では、製剤は約6.0のpHを有する。一部の実施形態では、製剤は、約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体またはその抗原結合性断片を含む。一部の実施形態では、製剤は、約5mg/ml~約15mg/mlの濃度の抗CD137抗体またはその抗原結合性断片を含む。一部の実施形態では、製剤は、約15mg/ml~約30mg/mlの濃度の抗CD137抗体またはその抗原結合性断片を含む。一部の実施形態では、製剤は、約30mg/ml~約45mg/mlの濃度の抗CD137抗体またはその抗原結合性断片を含む。一部の実施形態では、製剤は、約45mg/ml~約60mg/mlの濃度の抗CD137抗体またはその抗原結合性断片を含む。一部の実施形態では、製剤は、約60mg/ml~約75mg/mlの濃度の抗CD137抗体またはその抗原結合性断片を含む。一部の実施形態では、製剤は、約75mg/ml~約90mg/mlの濃度の抗CD137抗体またはその抗原結合性断片を含む。一部の実施形態では、製剤は、約85mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体またはその抗原結合性断片を含む。一部の実施形態では、製剤は、約5mg/mlの濃度の抗CD137抗体またはその抗原結合性断片を含む。一部の実施形態では、製剤は、約10mg/mlの濃度の抗CD137抗体またはその抗原結合性断片を含む。一部の実施形態では、製剤は、約15mg/mlの濃度の抗CD137抗体またはその抗原結合性断片を含む。一部の実施形態では、製剤は、約20mg/mlの濃度の抗CD137抗体またはその抗原結合性断片を含む。
【0361】
本明細書に記載される本開示の製剤は、抗CD137抗体またはその抗原結合性断片に対して著しい安定性を提供し、抗体凝集体(高分子量種)および微粒子の形成を最小限に抑え、荷電バリアントを最小限に抑え、ならびに抗体の構造完全性を維持する。
【0362】
(viii)抗CD137製剤の安定性
一部の実施形態では、本明細書に記載される製剤は、溶液中で抗CD137抗体またはその抗原結合性断片の構造完全性を長期間維持し得る。一部の実施形態では、本開示の製剤における抗CD137抗体は、およそ2℃~40℃で(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40℃での保管)、少なくとも4週間(例えば、少なくとも5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、15週間、16週間、17週間、18週間、19週間、20週間、21週間、22週間、23週間、もしくは24週間、または少なくとも1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月、13ヶ月、14ヶ月、15ヶ月、16ヶ月、17ヶ月、18ヶ月、19ヶ月、20ヶ月、21ヶ月、22ヶ月、23ヶ月、24ヶ月、あるいはそれを上回る期間)の保管後に安定なままである。一部の実施形態では、本開示の製剤における抗CD137抗体は、およそ2℃~9℃で少なくとも4週間の保管後に安定なままである。一部の実施形態では、本開示の製剤における抗CD137抗体は、およそ10℃~19℃で少なくとも4週間の保管後に安定なままである。一部の実施形態では、本開示の製剤における抗CD137抗体は、およそ20℃~29℃で少なくとも4週間の保管後に安定なままである。一部の実施形態では、本開示の製剤における抗CD137抗体は、およそ30℃~40℃で少なくとも4週間の保管後に安定なままである。一部の実施形態では、本開示の製剤における抗CD137抗体は、およそ4℃で少なくとも4週間の保管後に安定なままである。一部の実施形態では、本開示の製剤における抗CD137抗体は、およそ25℃で少なくとも4週間の保管後に安定なままである。一部の実施形態では、本開示の製剤における抗CD137抗体は、およそ40℃で少なくとも4週間の保管後に安定なままである。
【0363】
本明細書に記載される実施例に例示されるように、本発明者らは、4℃で少なくとも24週間、25℃で少なくとも12週間、および40℃で少なくとも4週間の間、大部分は単量体形態のおよそ10mg/mLの抗CD137抗体またはその抗原結合性断片を維持するのに適切な製剤を提供する。本明細書で使用される場合、本開示の製剤における抗CD137抗体またはその抗原結合性断片は、例えばサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を使用して判定される、溶液中に存在する抗体が少なくとも95(例えば、少なくとも95.1、95.2、95.3、95.4、95.5、95.6、95.7、95.8、95.9、96、96.1、96.2、96.3、96.4、96.5、96.6、96.7、96.8、96.9、97、97.1、97.2、97.3、97.4、97.5、97.6、97.7、97.8、97.9、98、98.1、98.2、98.3、98.4、98.5、98.6、98.7、98.8、98.9、99、99.1、99.2、99.3、99.4、99.5、99.6、99.7、99.8、もしくは99.9、またはそれよりも大きい)%単量体である場合、「大部分は単量体」であるまたは「大部分は単量体形態」にある。つまり、溶液中の抗体の5%未満(例えば、4.9、4.8、4.7、4.6、4.5、4.4、4.3、4.2、4.1、4.0、3.9、3.8、3.7、3.6、3.5、3.4、3.3、3.2、3.1、3.0、2.9、2.8、2.7、2.6、2.5、2.4、2.3、2.2、2.1、2、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、1、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、または0.1%未満)は、オリゴマーであり、凝集し、および/または断片化される。本明細書で使用される場合、抗体断片とは、抗体全体よりも低い分子量を有する、抗体全体の不適切に集合した構成成分または分解産物を指す。そのような断片形態には、遊離単量体重鎖ポリペプチド、二量体重鎖ポリペプチド(例えば、ジスルフィド連結重鎖ポリペプチド)、1本の軽鎖ポリペプチドに結合している二量体重鎖ポリペプチド、1本の軽鎖ポリペプチドに結合している単量体重鎖ポリペプチド、または軽鎖もしくは重鎖ポリペプチドのさらなる分解産物(複数可)もしくは断片(複数可)が含まれるが、それらに限定されるわけではない。一部の実施形態では、抗体の2%未満(例えば、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、1、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、または0.1%未満)は、2℃~8℃で少なくとも4週間(例えば、少なくとも5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、15週間、16週間、17週間、18週間、19週間、20週間、21週間、22週間、23週間、もしくは24週間、または少なくとも1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月、13ヶ月、14ヶ月、15ヶ月、16ヶ月、17ヶ月、18ヶ月、19ヶ月、20ヶ月、21ヶ月、22ヶ月、23ヶ月、24ヶ月、あるいはそれを上回る期間)の保管後に凝集する。単量体抗体の量、ならびに溶液中に存在する抗CD137抗体またはその抗原結合性断片のオリゴマー、凝集した、または断片化した形態の量を判定するための方法は、本明細書に記載されおよび実施例に例示される。例えば、当業者であれば、例えばサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、サイズ排除クロマトグラフィー高速液体クロマトグラフィー(SEC-HPLC)、静的光散乱(SLS)、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)、円偏光二色性(CD)、尿素誘導性タンパク質アンフォールディング技法、トリプトファン内部蛍光、非還元型ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)、および示差走査熱量測定(DSC)を使用して、所与の溶液中に存在する全体の、断片化した、アンフォールディングした中間体、および/または凝集した抗体種のパーセンテージを判定し得る。
【0364】
抗CD137抗体およびその抗原結合性断片
本開示は、CD137に特異的に結合しかつCD137をアゴナイズする抗体およびその抗原結合性断片を含む製剤を提供する。一部の実施形態では、本開示の製剤は、本明細書に記載される抗CD137抗体またはその抗原結合性断片のいずれかを含む。
【0365】
一部の態様では、本開示は、がんの処置に有用な抗CD137アゴニスト抗体およびその抗原結合性断片を含む製剤を提供する。一部の実施形態では、本開示の製剤は、サイトカイン産生を誘導する抗CD137アゴニスト抗体およびその抗原結合性断片を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、腫瘍微小環境におけるCD8+ T細胞の数を増加させる抗CD137アゴニスト抗体を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、保護的抗腫瘍免疫を誘導する抗CD137アゴニスト抗体およびその抗原結合性断片を含む。本開示は、in vivoで投与すると、脾臓内または肝内のCD4+および/またはCD8+ T細胞集団を実質的に増加させない、抗CD137アゴニスト抗体およびその抗原結合性断片を含む製剤も提供する。
【0366】
ヒトCD137は、255アミノ酸の膜貫通ポリペプチド(配列番号3;受託番号NM_001561;NP_001552)であり、系統的に保存された腫瘍壊死因子受容体(TNFR)スーパーファミリーのメンバーである。CD137(あるいは4-1BB、TNFRスーパーファミリー9)およびそのリガンド(CD137L)は、幅広い免疫活性の調節に関わっている。CD137リガンドは、その受容体であるCD137と架橋し、これは、活性化されたT細胞において発現され、T細胞活性を共刺激する。CD137は、活性化誘導性共刺激分子である。最近の研究により、CD137媒介性抗がん効果は主に、T細胞を活性化する、特に、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)応答を誘導し、かつ、サイトカイン産生、特に、高量のIFN-γを誘導するその能力に基づく(イエら(Ye et al),(2014)Clin Cancer Res 20(1):44-55)ことが明らかになっている。CD137リガンドは、細胞表面上の膜貫通タンパク質であり、それが発現される細胞内にシグナルを送る。これは、「リバースシグナル伝達」または「逆シグナル伝達」と称される現象である。CD137リガンドの発現は、ほとんどのタイプの白血球および一部の非免疫細胞において見い出される。単核球細胞(単球、マクロファージ、およびDC)において、CD137リガンドシグナル伝達は、活性化、遊走、生存、および分化を誘導する。
【0367】
したがって、一部の実施形態では、本明細書に記載される単離された抗CD137アゴニスト抗体またはその抗原結合性断片は、CD137に結合しかつCD137をアゴナイズし、CD137L結合を可能にするまたは促進する。一部の実施形態では、本明細書に記載される単離された抗CD137アゴニスト抗体またはその抗原結合性断片は、CD137に結合しかつCD137をアゴナイズする。一部の実施形態では、本開示によって提供される抗CD137抗体は、CD137に結合しかつCD137をアゴナイズし、T細胞の活性化を共刺激する。
【0368】
一部の実施形態では、本開示の製剤は、以下の特性または特徴:
a)ヒトCD137に特異的に結合する;
b)ヒトおよびカニクイザルのCD137に結合する;ならびに
c)ヒトおよびマウスのCD137に結合する
のうちの1つまたは複数を有する、本明細書に記載される単離された抗CD137アゴニスト抗体またはその抗原結合性断片を含む。
【0369】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体またはその抗原結合性断片は、CD137に結合し、T細胞活性を共刺激する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体またはその抗原結合性断片は、CD137に結合し、T細胞活性化、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)応答、T細胞増殖、サイトカイン産生、もしくはその組合せを誘導するまたは増強する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体またはその抗原結合性断片は、CD137に結合し、腫瘍微小環境において、T細胞活性化、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)応答、T細胞増殖、サイトカイン産生、もしくはその組合せを誘導するまたは増強する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体またはその抗原結合性断片は、肝内および/または脾臓内のT細胞活性化および/またはT細胞増殖を有意に誘導しないまたは増強しない。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、CD137に結合し、IFN-γの産生を誘導する。一部の実施形態では、本開示によって提供される抗体は、CD137に結合し、IL-2、TNF-α、IL-13、またはその組合せの産生を誘導する。
【0370】
一部の実施形態では、本開示の製剤は、CD137に特異的に結合しかつCD137をアゴナイズする、本明細書に記載される抗CD137抗体を含む。一部の実施形態では、CD137のアゴニズムは、免疫細胞によって産生されたサイトカインの濃度を判定することによって測定される。サイトカイン産生を分析する方法は、当技術分野において公知であり、実施例において利用されている。一部の実施形態では、免疫細胞によるサイトカイン産生の増加は、CD137アゴニズムを示す。一部の実施形態では、CD137のアゴニズムは、T細胞増殖を分析することによって測定される。一部の実施形態では、T細胞増殖の増加は、CD137アゴニズムを示す。一部の実施形態では、CD137のアゴニズムは、関連性のある分子のリン酸化または関連性のあるプロモーターの後の遺伝子レポーターの発現のいずれかの定量を通じて、細胞シグナル伝達のレベルを測定することによって測定される。一部の実施形態では、細胞シグナル伝達の増加は、CD137アゴニズムを示す。一部の実施形態では、CD137のアゴニズムは、腫瘍の体積を測定することによって測定される。一部の実施形態では、腫瘍の体積の減少は、CD137アゴニズムを示す。
【0371】
一部の実施形態では、本開示の製剤は、CD137のオリゴマー化、多量体化、または他の高次クラスタリングを誘導する、増加させる、または安定化する、本明細書に記載される抗CD137抗体を含む。一部の実施形態では、細胞表面におけるCD137のクラスタリングは、蛍光顕微法を介して観察される。
【0372】
本明細書では、CD137に結合しかつCD137をアゴナイズする単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片を含む製剤が提供される。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、(i)約30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性(K)でヒトCD137に結合し、(ii)本明細書に記載されるヒトCD137上のエピトープに結合し、および/または(iii)アミノ酸配列DXXXXLXXXXYXYYX(配列番号126)を含む重鎖CDR3を含む。
【0373】
CD137に対する親和性
一部の実施形態では、本開示の製剤は、約30~100nM(例えば、約30nM~約100nMまたは約40nM~約100nM)の親和性(K)でヒトCD137に結合する、本明細書に記載される単離された抗CD137アゴニスト抗体またはその抗原結合性断片を含む。一部の実施形態では、ヒトCD137への抗CD137抗体の親和性は、マウスCD137に対するmAb10の親和性よりも少なくとも2(例えば、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、または10)倍高い。一部の実施形態では、抗CD137抗体の親和性は、500、450、400、350、300、250、200、250、200、175、150、125、110、または100nM以下である。一部の実施形態では、ヒトCD137への抗CD137抗体の親和性は、マウスCD137に対するmAb10の親和性よりも少なくとも2(例えば、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、または10)倍高いが、500、450、400、350、300、250、200、250、200、175、150、125、110、または100nM以下である。抗体の親和性は、単一のCD137ポリペプチドに対する結合の強度である。一部の実施形態では、親和性は、平衡解離定数(K)によって示される。Kの値は、抗原に対する抗体の結合親和性と反比例する。したがって、K値が小さければ小さいほど、その抗原に対する抗体の親和性は大きい。
【0374】
抗体のその抗原に対する親和性を判定する方法は、当技術分野において公知である。結合親和性を判定する例示的な方法は、表面プラズモン共鳴を採用する。表面プラズモン共鳴は、例えばBIAcoreシステム(ファルマシアバイオセンサーエービー(Pharmacia Biosensor AB)[スウェーデン国ウプサラ(Uppsala)および米国ニュージャージー州ピスカタウェイ(Piscataway)所在])を使用して、バイオセンサーマトリックス内のタンパク質濃度における変化を検出することにより、リアルタイムの生体特異的相互作用の分析を可能にする光学現象である。さらなる説明については、ヨーンソン、ユーら(Jonsson,U.,et al.)(1993)Ann.Biol.Clin.51:19-26、ヨーンソン、ユー、アイ(Jonsson,U.,i)(1991)Biotechniques 11:620-627、ヨンソン、ビーら(Johnsson,B.,et al.)(1995)J.Mol.Recognit.8:125-131、およびヨンソン、ビーら(Johnsson,B.,et al.)(1991)Anal.Biochem.198:268-277を参照されたい。
【0375】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、約30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性(K)でヒトCD137に結合する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、約40~100nMの親和性(K)でヒトCD137に結合する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、約30~40nM、40~50nM、50~60nM、60~70nM、70~80nM、80~90nM、90~100nM、45~55nM、55~65nM、75~85nM、85~95nM、45~95nM、50~90nM、55~85nM、60~80nM、65~75nM、55~75nM、40~70nM、50~80nM、または60~90nMの親和性(K)でヒトCD137に結合する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、約60~80nMの親和性(K)でヒトCD137に結合する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、約60~75nMの親和性(K)でヒトCD137に結合する。
【0376】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、約60~90nMの親和性(K)でヒトCD137に結合する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、約50~80nMの親和性(K)でヒトCD137に結合する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、約40~70nMの親和性(K)でヒトCD137に結合する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、約55~75nMの親和性(K)でヒトCD137に結合する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、約65~75nMの親和性(K)でヒトCD137に結合する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、約60~80nMの親和性(K)でヒトCD137に結合する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、約55~85nMの親和性(K)でヒトCD137に結合する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、約50~90nMの親和性(K)でヒトCD137に結合する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、約45~95nMの親和性(K)でヒトCD137に結合する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、約85~95nMの親和性(K)でヒトCD137に結合する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、約75~85nMの親和性(K)でヒトCD137に結合する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、約75~85nMの親和性(K)でヒトCD137に結合する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、約55~65nMの親和性(K)でヒトCD137に結合する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、約45~55nMの親和性(K)でヒトCD137に結合する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、約80~90nMの親和性(K)でヒトCD137に結合する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、約70~80nMの親和性(K)でヒトCD137に結合する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、約60~70nMの親和性(K)でヒトCD137に結合する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、約50~60nMの親和性(K)でヒトCD137に結合する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、約40~50nMの親和性(K)でヒトCD137に結合する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、約30~40nMの親和性(K)でヒトCD137に結合する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、約30nM、約31nM、約32nM、約33nM、約34nM、約35nM、約36nM、約37nM、約38nM、約39nM、約40nM、約41nM、約42nM、約43nM、約44nM、約45nM、約46nM、約47nM、約48nM、約49nM、約50nM、約51nM、約52nM、約53nM、約54nM、約55nM、約56nM、約57nM、約58nM、約59nM、約60nM、約61nM、約62nM、約63nM、約64nM、約65nM、約66nM、約67nM、約68nM、約69nM、約70nM、約71nM、約72nM、約73nM、約74nM、約75nM、約76nM、約77nM、約78nM、約79nM、約80nM、約81nM、約82nM、約83nM、約84nM、約85nM、約86nM、約87nM、約88nM、約89nM、約90nM、約91nM、約92nM、約93nM、約94nM、約95nM、約96nM、約97nM、約98nM、約99nM、約100nM、約101nM、約102nM、約103nM、約104nM、約105nM、約106nM、約107nM、約108nM、約109nM、または約110nMの親和性(K)でヒトCD137に結合する。
【0377】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、少なくとも30nMであるが約110nM未満、少なくとも31nMであるが約109nM未満、少なくとも32nMであるが約108nM未満、少なくとも33nMであるが約107nM未満、少なくとも34nMであるが約106nM未満、少なくとも35nMであるが約105nM未満、少なくとも36nMであるが約104nM未満、少なくとも37nMであるが約103nM未満、少なくとも38nMであるが約102nM未満、少なくとも39nMであるが約101nM未満、少なくとも40nMであるが約100nM未満、少なくとも41nMであるが約99nM未満、少なくとも42nMであるが約98nM未満、少なくとも43nMであるが約97nM未満、少なくとも44nMであるが約96nM未満、少なくとも45nMであるが約95nM未満、少なくとも46nMであるが約94nM未満、少なくとも47nMであるが約93nM未満、少なくとも48nMであるが約92nM未満、少なくとも49nMであるが約91nM未満、少なくとも50nMであるが約90nM未満、少なくとも51nMであるが約89nM未満、少なくとも52nMであるが約88nM未満、少なくとも53nMであるが約87nM未満、少なくとも54nMであるが約86nM未満、少なくとも55nMであるが約85nM未満、少なくとも56nMであるが約84nM未満、少なくとも57nMであるが約83nM未満、少なくとも58nMであるが約82nM未満、少なくとも59nMであるが約81nM未満、少なくとも60nMであるが約80nM未満、少なくとも61nMであるが約79nM未満、少なくとも62nMであるが約78nM未満、少なくとも63nMであるが約77nM未満、少なくとも64nMであるが約76nM未満、または少なくとも65nMであるが約75nM未満の親和性(K)でヒトCD137に結合する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、少なくとも40nMであるが約100nM未満の親和性(K)でヒトCD137に結合する。
【0378】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、1つを上回る種のCD137ポリペプチドと交差反応する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、カニクイザルCD137およびヒトCD137に結合する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、マウスCD137およびヒトCD137に結合する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、ヒトCD137、マウスCD137、およびカニクイザルCD137に結合する。
【0379】
CD137エピトープ結合性
一部の実施形態では、本開示の製剤は、ヒトCD137に特異的に結合する単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、ヒトCD137上のエピトープに結合する単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分を含む。一部の実施形態では、ヒトCD137に特異的に結合する単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分は、配列番号3のアミノ酸111~132のうちの1個または複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25個すべて)を含む、ヒトCD137上のエピトープに結合する。一部の実施形態では、ヒトCD137に特異的に結合する単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分は、配列番号3のアミノ酸111~132内のエピトープに結合する。一部の態様では、本開示は、配列番号3のアミノ酸111~132のすべてまたは一部分に結合する、ヒトCD137に特異的に結合する単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性部分を提供する。一部の実施形態では、本明細書に記載される単離された抗CD137アゴニスト抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号3の残基K114を含むヒトCD137のエピトープに結合する。一部の実施形態では、本明細書に記載される単離された抗CD137アゴニスト抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号3の残基E111、T113、およびK114を含むヒトCD137のエピトープに結合する。一部の実施形態では、本明細書に記載される単離された抗CD137アゴニスト抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号3の残基E111、T113、K114、N126、およびI132を含むヒトCD137のエピトープに結合する。一部の実施形態では、本明細書に記載される単離された抗CD137アゴニスト抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号3のE111、T113、K114、N126、I132、およびP135を含むヒトCD137のエピトープに結合する。一部の実施形態では、本明細書に記載される単離された抗CD137アゴニスト抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号3の1個または複数の残基E111、T113、K114、N126、I132、およびP135を含むヒトCD137のエピトープに結合する。
【0380】
一部の実施形態では、本明細書に記載される単離された抗CD137アゴニスト抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号3のアミノ酸100~135位、101~135位、102~135位、103~135位、104~135位、105~135位、106~135位、107~135位、108~135位、109~135位、110~135位、または111~135位に対応する1個または複数のアミノ酸残基の配列を含むヒトCD137のエピトープに結合する。一部の実施形態では、本明細書に記載される単離された抗CD137アゴニスト抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号3のアミノ酸111~135位に対応する1個または複数のアミノ酸残基の配列を含むヒトCD137のエピトープに結合する。一部の実施形態では、エピトープは、配列番号3のアミノ酸111~135位に対応する2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25個のアミノ酸残基を含む。
【0381】
一部の実施形態では、本明細書に記載される単離された抗CD137アゴニスト抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号3のアミノ酸100~135位、101~135位、102~135位、103~135位、104~135位、105~135位、106~135位、107~135位、108~135位、109~135位、110~135位、または111~135位内のヒトCD137のエピトープに結合する。一部の実施形態では、本明細書に記載される単離された抗CD137アゴニスト抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号3のアミノ酸111~135位内のヒトCD137のエピトープに結合する。一部の実施形態では、エピトープは、配列番号3のアミノ酸111~135位に対応する2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25個のアミノ酸残基を含む。
【0382】
一部の実施形態では、本明細書に記載される単離された抗CD137アゴニスト抗体またはその抗原結合性断片は、ELTK(配列番号3のアミノ酸残基111~114に対応する)を含むヒトCD137のエピトープに結合する。一部の実施形態では、アミノ酸残基L112は、別のアミノ酸残基であってもよい。
【0383】
一部の実施形態では、エピトープは非線状エピトープである。一部の実施形態では、アミノ酸残基K114の突然変異は、本明細書に記載される単離された抗CD137アゴニスト抗体またはその抗原結合性断片の、ヒトCD137に対する結合を抑止する。
【0384】
一部の実施形態では、本明細書に記載される単離された抗CD137アゴニスト抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号3のアミノ酸111~135位に対応する1個または複数のアミノ酸残基の配列を含むヒトCD137のエピトープに結合し、エピトープは、少なくともアミノ酸K114を含み、抗体またはその抗原結合性部分は、マウスCD137に結合し、ラットCD137には結合しない。一部の実施形態では、エピトープは非線状エピトープである。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性部分は、マウスCD137およびカニクイザルCD137に結合し、ラットCD137には結合しない。一部の実施形態では、本明細書に記載される単離された抗CD137アゴニスト抗体またはその抗原結合性断片の、ヒト、マウス、ラット、およびカニクイザルのCD137に対する結合は、表面プラズモン共鳴(SPR)によって判定される。
【0385】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性部分は、ラットCD137に対する抗体の親和性よりも少なくとも10、20、30、40、50、100、200、500、または1000倍高い親和性で、マウス、カニクイザル、またはヒトのCD137に結合する。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性部分は、配列番号3のヒトCD137と比べて114位にリシンを含まないCD137ポリペプチドに対する抗体の親和性よりも少なくとも10、20、30、40、50、100、200、500、または1000倍高い親和性で、マウス、カニクイザル、またはヒトのCD137に結合する。
【0386】
一部の実施形態では、本明細書に記載される単離された抗CD137アゴニスト抗体またはその抗原結合性断片は、ヒトCD137のエピトープに結合し、ヒトCD137のエピトープへの結合をmAb1と競合する。一部の実施形態では、本明細書に記載される単離された抗CD137アゴニスト抗体またはその抗原結合性断片は、CD137に結合しかつCD137をアゴナイズする。一部の実施形態では、本開示によって提供される抗CD137抗体は、CD137に結合しかつCD137をアゴナイズし、T細胞の活性化を共刺激する。
【0387】
本開示は、本明細書に記載される1つまたは複数の特定の参照抗体(例えば、mAb1)によって認識されるエピトープのすべてまたは一部分を含むCD137上のエピトープへの結合を競合する抗体を含む製剤を提供する。一部の実施形態では、抗CD137抗体は、ヒトCD137のエピトープに結合し、ヒトCD137のエピトープへの結合を参照抗体(例えば、mAb1)と競合し、抗体またはその抗原結合性断片は、1×10-6以下の平衡解離定数KでヒトCD137に結合する。一部の実施形態では、抗CD137抗体は、CD137上のエピトープに結合し、エピトープに対する1つまたは複数の突然変異は、その抗体および参照抗体(例えば、mAb1)の両方への結合を阻害する、低下させる、または遮断する。一部の実施形態では、参照抗体は、本明細書に記載されるmAb1抗体である。一部の実施形態では、参照抗体は、表22~27のいずれか1つに提供される、いずれか1つの抗体である。
【0388】
したがって、本開示によって提供される抗CD137抗体は、CD137に結合した抗体またはその断片もしくは一部分を含む結晶構造のX線結晶学的分析を通じて査定され得る。一部の態様では、本開示によって提供される抗体によって結合されるエピトープは、抗体パラトープ残基、例えば、mAb1の0.4ナノメートル(4オングストローム(Å))以内に存在または位置するヒトCD137抗原上の残基を判定することによって同定される。
【0389】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体によって結合されるエピトープは、少なくとも3個のアミノ酸残基である。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体によって結合されるエピトープは、少なくとも4個のアミノ酸残基である。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体によって結合されるエピトープは、少なくとも5個のアミノ酸残基である。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体によって結合されるエピトープは、少なくとも6個のアミノ酸残基である。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体によって結合されるエピトープは、少なくとも7個のアミノ酸残基である。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体によって結合されるエピトープは、少なくとも8個のアミノ酸残基である。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体によって結合されるエピトープは、少なくとも9個のアミノ酸残基である。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体によって結合されるエピトープは、少なくとも10個のアミノ酸残基である。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体によって結合されるエピトープは、少なくとも12個のアミノ酸残基である。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体によって結合されるエピトープは、少なくとも3個のアミノ酸残基である。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体によって結合されるエピトープは、少なくとも13個のアミノ酸残基である。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体によって結合されるエピトープは、少なくとも14個のアミノ酸残基である。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体によって結合されるエピトープは、少なくとも15個のアミノ酸残基である。
【0390】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体によって結合されるエピトープは、25個よりも少ないアミノ酸残基である。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体によって結合されるエピトープは、24個よりも少ないアミノ酸残基である。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体によって結合されるエピトープは、23個よりも少ないアミノ酸残基である。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体によって結合されるエピトープは、22個よりも少ないアミノ酸残基である。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体によって結合されるエピトープは、21個よりも少ないアミノ酸残基である。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体によって結合されるエピトープは、20個よりも少ないアミノ酸残基である。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体によって結合されるエピトープは、19個よりも少ないアミノ酸残基である。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体によって結合されるエピトープは、18個よりも少ないアミノ酸残基である。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体によって結合されるエピトープは、17個よりも少ないアミノ酸残基である。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体によって結合されるエピトープは、16個よりも少ないアミノ酸残基である。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体によって結合されるエピトープは、15個よりも少ないアミノ酸残基である。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体によって結合されるエピトープは、14個よりも少ないアミノ酸残基である。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体によって結合されるエピトープは、13個よりも少ないアミノ酸残基である。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体によって結合されるエピトープは、12個よりも少ないアミノ酸残基である。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体によって結合されるエピトープは、11個よりも少ないアミノ酸残基である。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体によって結合されるエピトープは、10個よりも少ないアミノ酸残基である。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体によって結合されるエピトープは、9個よりも少ないアミノ酸残基である。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体によって結合されるエピトープは、8個よりも少ないアミノ酸残基である。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体によって結合されるエピトープは、7個よりも少ないアミノ酸残基である。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体によって結合されるエピトープは、6個よりも少ないアミノ酸残基である。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体によって結合されるエピトープは、5個よりも少ないアミノ酸残基である。
【0391】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、または5個よりも少ないアミノ酸のエピトープに結合し、配列番号3のアミノ酸残基K114を含む。
【0392】
可変領域
一部の実施形態では、表22~27のいずれか1つに明記される重鎖および軽鎖可変配列を含む、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片を含む製剤が、本明細書で提供される。
【0393】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、
(a)それぞれ配列番号48、56、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号69、78、および89に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(b)それぞれ配列番号48、56、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号70、79、および90に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(c)それぞれ配列番号48、56、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号71、80、および91に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(d)それぞれ配列番号48、56、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号72、81、および92に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(e)それぞれ配列番号48、56、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号73、82、および91に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(f)それぞれ配列番号48、56、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号74、83、および93に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(g)それぞれ配列番号48、56、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号75、84、および91に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(h)それぞれ配列番号48、56、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号74、85、および94に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(i)それぞれ配列番号48、56、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号76、86、および95に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(j)それぞれ配列番号48、56、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号77、87、および93に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(k)それぞれ配列番号48、56、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号69、88、および90に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(l)それぞれ配列番号49、57、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号69、78、および89に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(m)それぞれ配列番号49、58、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号69、78、および89に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(n)それぞれ配列番号49、59、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号69、78、および89に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(o)それぞれ配列番号49、60、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号69、78、および89に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(p)それぞれ配列番号50、61、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号69、78、および89に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(q)それぞれ配列番号50、58、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号69、78、および89に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(r)それぞれ配列番号51、62、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号69、78、および89に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(s)それぞれ配列番号52、63、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号69、78、および89に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(t)それぞれ配列番号50、64、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号69、78、および89に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(u)それぞれ配列番号50、65、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号69、78、および89に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(v)それぞれ配列番号51、108、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号69、78、および89に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(w)それぞれ配列番号107、56、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号69、78、および89に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(x)それぞれ配列番号48、56、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号109、110、および92に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(y)それぞれ配列番号135、139、および143に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号144、147、および150に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(z)それぞれ配列番号135、139、および143に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号145、148、および151に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(aa)それぞれ配列番号135、139、および143に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号146、149、および152に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(bb)それぞれ配列番号136、140、および143に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号144、147、および150に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(cc)それぞれ配列番号136、140、および143に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号145、148、および151に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(dd)それぞれ配列番号136、140、および143に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号146、149、および152に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(ee)それぞれ配列番号137、141、および143に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号144、147、および150に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(ff)それぞれ配列番号137、141、および143に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号145、148、および151に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(gg)それぞれ配列番号137、141、および143に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号146、149、および152に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(hh)それぞれ配列番号138、142、および143に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号144、147、および150に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(ii)それぞれ配列番号138、142、および143に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号145、148、および151に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(jj)それぞれ配列番号138、142、および143に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号146、149、および152に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(kk)それぞれ配列番号135、139、および143に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号144、147、および150に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(ll)それぞれ配列番号135、139、および143に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号145、148、および151に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(mm)それぞれ配列番号135、139、および143に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号146、149、および152に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(nn)それぞれ配列番号48、154、および159に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号144、147、および150に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(oo)それぞれ配列番号48、154、および159に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号145、148、および151に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(pp)それぞれ配列番号48、154、および159に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号146、149、および152に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(qq)それぞれ配列番号49、155、および159に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号144、147、および150に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(rr)それぞれ配列番号49、155、および159に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号145、148、および151に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(ss)それぞれ配列番号49、155、および159に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号146、149、および152に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(tt)それぞれ配列番号51、156、および159に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号144、147、および150に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(uu)それぞれ配列番号51、156、および159に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号145、148、および151に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(vv)それぞれ配列番号51、156、および159に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号146、149、および152に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(ww)それぞれ配列番号50、158、および159に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号144、147、および150に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(xx)それぞれ配列番号50、158、および159に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号145、148、および151に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(yy)それぞれ配列番号50、158、および159に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号146、149、および152に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(zz)それぞれ配列番号153、157、および159に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号144、147、および150に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;
(aaa)それぞれ配列番号153、157、および159に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号145、148、および151に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;ならびに
(bbb)それぞれ配列番号153、157、および159に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号146、149、および152に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列
からなる群から選択される重鎖および軽鎖CDRを含む。
【0394】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、重鎖および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域は、配列番号4、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、101、および103からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、配列番号6、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、および105からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0395】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、重鎖および軽鎖CDRを含み、重鎖CDR3は、配列番号68に明記されるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、
(a)それぞれ配列番号4および6;
(b)それぞれ配列番号4および28;
(c)それぞれ配列番号4および30;
(d)それぞれ配列番号4および32;
(e)それぞれ配列番号4および34;
(f)それぞれ配列番号4および36;
(g)それぞれ配列番号4および38;
(h)それぞれ配列番号4および40;
(i)それぞれ配列番号4および42;
(j)それぞれ配列番号4および44;
(k)それぞれ配列番号4および46;
(l)それぞれ配列番号8および6;
(m)それぞれ配列番号10および6;
(n)それぞれ配列番号12および6;
(o)それぞれ配列番号14および6;
(p)それぞれ配列番号16および6;
(q)それぞれ配列番号18および6;
(r)それぞれ配列番号20および6;
(s)それぞれ配列番号22および6;
(t)それぞれ配列番号24および6;
(u)それぞれ配列番号26および6;
(v)それぞれ配列番号101および6;
(w)それぞれ配列番号103および6;ならびに
(x)それぞれ配列番号4および105
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖および軽鎖可変領域を含む。
【0396】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、重鎖および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域は、配列番号4、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、101、および103からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、配列番号6、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、および105からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0397】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、
(a)それぞれ配列番号4および6;
(b)それぞれ配列番号4および28;
(c)それぞれ配列番号4および30;
(d)それぞれ配列番号4および32;
(e)それぞれ配列番号4および34;
(f)それぞれ配列番号4および36;
(g)それぞれ配列番号4および38;
(h)それぞれ配列番号4および40;
(i)それぞれ配列番号4および42;
(j)それぞれ配列番号4および44;
(k)それぞれ配列番号4および46;
(l)それぞれ配列番号8および6;
(m)それぞれ配列番号10および6;
(n)それぞれ配列番号12および6;
(o)それぞれ配列番号14および6;
(p)それぞれ配列番号16および6;
(q)それぞれ配列番号18および6;
(r)それぞれ配列番号20および6;
(s)それぞれ配列番号22および6;
(t)それぞれ配列番号24および6;
(u)それぞれ配列番号26および6;
(v)それぞれ配列番号101および6;
(w)それぞれ配列番号103および6;ならびに
(x)それぞれ配列番号4および105
からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む重鎖および軽鎖可変領域を含む。
【0398】
一部の実施形態では、
(a)それぞれ配列番号5および7;
(b)それぞれ配列番号5および29;
(c)それぞれ配列番号5および31;
(d)それぞれ配列番号5および33;
(e)それぞれ配列番号5および35;
(f)それぞれ配列番号5および37;
(g)それぞれ配列番号5および39;
(h)それぞれ配列番号5および41;
(i)それぞれ配列番号5および43;
(j)それぞれ配列番号5および45;
(k)それぞれ配列番号5および47;
(l)それぞれ配列番号9および7;
(m)それぞれ配列番号11および7;
(n)それぞれ配列番号13および7;
(o)それぞれ配列番号15および7;
(p)それぞれ配列番号17および7;
(q)それぞれ配列番号19および7;
(r)それぞれ配列番号21および7;
(s)それぞれ配列番号23および7;
(t)それぞれ配列番号25および7;
(u)それぞれ配列番号27および7;
(v)それぞれ配列番号102および7;
(w)それぞれ配列番号104および7;ならびに
(x)それぞれ配列番号5および106
からなる群から選択されるヌクレオチド配列によってコードされる重鎖および軽鎖可変領域を含むヒトCD137に特異的に結合する抗体が、本明細書で提供される。
【0399】
一部の実施形態では、
(a)それぞれ配列番号5および7;
(b)それぞれ配列番号5および29;
(c)それぞれ配列番号5および31;
(d)それぞれ配列番号5および33;
(e)それぞれ配列番号5および35;
(f)それぞれ配列番号5および37;
(g)それぞれ配列番号5および39;
(h)それぞれ配列番号5および41;
(i)それぞれ配列番号5および43;
(j)それぞれ配列番号5および45;
(k)それぞれ配列番号5および47;
(l)それぞれ配列番号9および7;
(m)それぞれ配列番号11および7;
(n)それぞれ配列番号13および7;
(o)それぞれ配列番号15および7;
(p)それぞれ配列番号17および7;
(q)それぞれ配列番号19および7;
(r)それぞれ配列番号21および7;
(s)それぞれ配列番号23および7;
(t)それぞれ配列番号25および7;
(u)それぞれ配列番号27および7;
(v)それぞれ配列番号102および7;
(w)それぞれ配列番号104および7;ならびに
(x)それぞれ配列番号5および106
からなる群から選択されるヌクレオチド配列と少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされる重鎖および軽鎖可変領域を含むヒトCD137に特異的に結合する抗体が、本明細書で提供される。
【0400】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、重鎖および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域は、配列番号5、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、102、および104からなる群から選択されるヌクレオチド配列によってコードされ、軽鎖可変領域は、配列番号7、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、および106からなる群から選択されるヌクレオチド配列によってコードされる。
【0401】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、重鎖および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域は、配列番号5、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、102、および104からなる群から選択されるヌクレオチド配列と少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされ、軽鎖可変領域は、配列番号7、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、および106からなる群から選択されるヌクレオチド配列と少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列によってコードされる。
【0402】
一部の実施形態では、ヒトCD137に特異的に結合し、アミノ酸配列DXXXXLXXXXYXYYX(配列番号126)を有する重鎖CDR3を含み、Xは任意のアミノ酸である抗CD137抗体が、本明細書で提供される。一部の実施形態では、Xは、アラニンを除く任意のアミノ酸である。一部の実施形態では、配列番号126の残基D95、L100、Y100E、Y100G、および/またはY100Hの突然変異は、ヒトCD137への結合の消失をもたらす。
【0403】
一部の実施形態では、ヒトCD137に特異的に結合し、アミノ酸配列DXPFXLDXXYYYYYX(配列番号127)を有する重鎖CDR3を含み、Xは任意のアミノ酸である抗CD137抗体が、本明細書で提供される。一部の実施形態では、配列番号126の残基F98、D100A、Y100D、および/またはY100F、および/またはY100Hの、アラニンへの突然変異は、ヒトCD137への結合の消失をもたらす。一部の実施形態では、配列番号126の残基F98、D100A、Y100D、および/またはY100F、および/またはY100Hの、アラニンを除く任意の残基への突然変異は、ヒトCD137への結合の増加をもたらす。
【0404】
一部の実施形態では、ヒトCD137に特異的に結合し、アミノ酸配列DXLXYXYYX10(配列番号128)を有する重鎖CDR3を含み、Xは任意のアミノ酸であり、Xは非極性アミノ酸であり、Xは非極性アミノ酸であり、Xは任意のアミノ酸であり、Xは極性アミノ酸であり、Xは任意のアミノ酸であり、Xは任意のアミノ酸であり、Xは極性アミノ酸であり、Xは極性アミノ酸であり、X10は任意のアミノ酸である抗CD137抗体が、本明細書で提供される。一部の実施形態では、Xはプロリンであり、Xはフェニルアラニンまたはトリプトファンであり、Xはアスパラギン酸またはグルタミン酸であり、Xはチロシンであり、Xはチロシンである。
【0405】
抗体またはその抗原結合性部分の重鎖CDR3内のアミノ酸残基が、指定された標的(例えば、CD137)への結合において果たす役割は、当業者に公知である方法によって判定することができる。一部の実施形態では、アラニンスキャニングを使用した最初の分析を行って、抗原結合に重要な残基を判定する。本明細書に記載されるように、アラニンスキャニングとは、所与のタンパク質またはポリペプチドの安定性または機能(複数可)(例えば、結合親和性)への特異的な野生型残基の寄与を判定するために使用される技法である。この技法は、ポリペプチドにおける野生型残基の代わりとしてのアラニン残基の置換、それに続く、アラニン置換誘導体または突然変異体ポリペプチドの安定性または機能(複数可)(例えば、結合親和性)の査定、および野生型ポリペプチドとの比較を伴う。一部の実施形態では、重要ではないと同定された残基は、抗原に対する抗体の結合をモジュレートする(例えば、結合を増加または減少させる)ように、さらに評価される。そのような分析の非限定的な例は、ディープ突然変異スキャニングである。この方法は、多数の突然変異の評価を可能にする。一部の実施形態では、重鎖CDR3内の各アミノ酸残基をあらゆるアミノ酸残基(アラニンを除く)に突然変異させ、結合を査定する。アミノ酸残基突然変異の効果を分析する他の方法は、当技術分野において公知である。一部の実施形態では、これらの方法を利用して、重鎖および軽鎖CDRのすべてにおける残基がヒトCD137への結合において果たす役割を査定する。
【0406】
例示的なCD137結合抗体
一部の実施形態では、本開示の製剤は、約30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性(K)でヒトCD137に結合する、本明細書に記載される抗CD137抗体を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、約40~100nM(例えば、約40nM~約100nM)の親和性(K)でヒトCD137に結合する、本明細書に記載される抗CD137抗体を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、上記で記載される(例えば、K114を含む)ヒトCD137上のエピトープに結合する、本明細書に記載される抗CD137抗体を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、アミノ酸配列DXXXXLXXXXYXYYX(配列番号126)を含む重鎖CDR3を含む、本明細書に記載される抗CD137抗体を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性(K)でヒトCD137に結合し、かつ上記で記載される(例えば、K114を含む)ヒトCD137上のエピトープに結合する、本明細書に記載される抗CD137抗体を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性(K)でヒトCD137に結合し、かつアミノ酸配列DXXXXLXXXXYXYYX(配列番号126)を含む重鎖CDR3を含む、本明細書に記載される抗CD137抗体を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、上記で記載される(例えば、K114を含む)ヒトCD137上のエピトープに結合し、かつアミノ酸配列DXXXXLXXXXYXYYX(配列番号126)を含む重鎖CDR3を含む、本明細書に記載される抗CD137抗体を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性(K)でヒトCD137に結合し、上記で記載される(例えば、K114を含む)ヒトCD137上のエピトープに結合し、かつアミノ酸配列DXXXXLXXXXYXYYX(配列番号126)を含む重鎖CDR3を含む、本明細書に記載される抗CD137抗体を含む。
【0407】
一部の実施形態では、抗CD137抗体は、
(i)約30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性(K)でヒトCD137に結合し;
(ii)アミノ酸配列DXLXYXYYX10を含む重鎖CDR3を含み、Xは任意のアミノ酸であり、Xは非極性アミノ酸であり、Xは非極性アミノ酸であり、Xは任意のアミノ酸であり、Xは極性アミノ酸であり、Xは任意のアミノ酸であり、Xは任意のアミノ酸であり、Xは極性アミノ酸であり、Xは極性アミノ酸であり、X10は任意のアミノ酸である。
【0408】
一部の実施形態では、抗CD137抗体は、
(i)約30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性(K)でヒトCD137に結合し;
(ii)配列番号3の1個または複数の残基E111、T113、K114、N126、I132、およびP135を含むヒトCD137上のエピトープに結合する。
【0409】
一部の実施形態では、抗CD137抗体は、
(i)約30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性(K)でヒトCD137に結合する;
(ii)配列番号3の1個または複数の残基E111、T113、K114、N126、I132、およびP135を含むヒトCD137上のエピトープに結合する;
(iii)アミノ酸配列DXXXXLXXXXYXYYXを含む重鎖CDR3を含み、Xは任意のアミノ酸である;あるいは
(iv)その組合せ。
【0410】
一部の実施形態では、抗CD137抗体は、
(i)約30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性(K)でヒトCD137に結合する;
(ii)配列番号3の1個または複数の残基E111、T113、K114、N126、I132、およびP135を含むヒトCD137上のエピトープに結合する;
(iii)アミノ酸配列DXLXYXYYX10を含む重鎖CDR3を含み、Xは任意のアミノ酸であり、Xは非極性アミノ酸であり、Xは非極性アミノ酸であり、Xは任意のアミノ酸であり、Xは極性アミノ酸であり、Xは任意のアミノ酸であり、Xは任意のアミノ酸であり、Xは極性アミノ酸であり、Xは極性アミノ酸であり、X10は任意のアミノ酸である;あるいは
(iv)その組合せ。
【0411】
一部の実施形態では、抗CD137抗体は、
(i)約30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性(K)でヒトCD137に結合し;
(ii)配列番号3の1個または複数の残基E111、T113、K114、N126、I132、およびP135を含むヒトCD137上のエピトープに特異的に結合し;
(iii)アミノ酸配列DXXXXLXXXXYXYYXを含む重鎖CDR3を含み、Xは任意のアミノ酸である。
【0412】
一部の実施形態では、抗CD137抗体は、
(i)約30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性(K)でヒトCD137に結合し;
(ii)配列番号3の1個または複数の残基E111、T113、K114、N126、I132、およびP135を含むヒトCD137上のエピトープに結合し;
(iii)アミノ酸配列DXLXYXYYX10を含む重鎖CDR3を含み、Xは任意のアミノ酸であり、Xは非極性アミノ酸であり、Xは非極性アミノ酸であり、Xは任意のアミノ酸であり、Xは極性アミノ酸であり、Xは任意のアミノ酸であり、Xは任意のアミノ酸であり、Xは極性アミノ酸であり、Xは極性アミノ酸であり、X10は任意のアミノ酸である。
【0413】
一部の実施形態では、抗CD137抗体は、
(i)約30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性(K)でヒトCD137に結合し;
(ii)配列番号3のアミノ酸111~135位に対応する1個または複数のアミノ酸残基の配列を含むエピトープに結合する。
【0414】
一部の実施形態では、抗CD137抗体は、
(i)約30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性(K)でヒトCD137に結合する;
(ii)配列番号3のアミノ酸111~135位に対応する1個または複数のアミノ酸残基の配列を含むエピトープに結合する;
(iii)アミノ酸配列DXXXXLXXXXYXYYXを含む重鎖CDR3を含み、Xは任意のアミノ酸である;あるいは
(iv)その組合せ。
【0415】
一部の実施形態では、抗CD137抗体は、
(i)約30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性(K)でヒトCD137に結合する;
(ii)配列番号3のアミノ酸111~135位に対応する1個または複数のアミノ酸残基の配列を含むエピトープに結合する;
(iii)アミノ酸配列DXLXYXYYX10を含む重鎖CDR3を含み、Xは任意のアミノ酸であり、Xは非極性アミノ酸であり、Xは非極性アミノ酸であり、Xは任意のアミノ酸であり、Xは極性アミノ酸であり、Xは任意のアミノ酸であり、Xは任意のアミノ酸であり、Xは極性アミノ酸であり、Xは極性アミノ酸であり、X10は任意のアミノ酸である;あるいは
(iv)その組合せ。
【0416】
一部の実施形態では、抗CD137抗体は、
(i)約30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性(K)でヒトCD137に結合し;
(ii)配列番号3のアミノ酸111~135位に対応する1個または複数のアミノ酸残基の配列を含むエピトープに結合し;
(iii)アミノ酸配列DXXXXLXXXXYXYYXを含む重鎖CDR3を含み、Xは任意のアミノ酸である。
【0417】
一部の実施形態では、抗CD137抗体は、
(i)約30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性(K)でヒトCD137に結合し;
(ii)配列番号3のアミノ酸111~135位に対応する1個または複数のアミノ酸残基の配列を含むエピトープに結合し;
(iii)アミノ酸配列DXLXYXYYX10を含む重鎖CDR3を含み、Xは任意のアミノ酸であり、Xは非極性アミノ酸であり、Xは非極性アミノ酸であり、Xは任意のアミノ酸であり、Xは極性アミノ酸であり、Xは任意のアミノ酸であり、Xは任意のアミノ酸であり、Xは極性アミノ酸であり、Xは極性アミノ酸であり、X10は任意のアミノ酸である。
【0418】
一部の実施形態では、抗CD137抗体は、
(i)約30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性でヒトCD137に結合し;
(ii)ELTK(配列番号3のアミノ酸残基111~114に対応する)を含むエピトープに結合する。
【0419】
一部の実施形態では、抗CD137抗体は、
(i)約30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性(K)でヒトCD137に結合する;
(ii)ELTK(配列番号3のアミノ酸残基111~114に対応する)を含むエピトープに結合する;
(iii)アミノ酸配列DXXXXLXXXXYXYYXを含む重鎖CDR3を含み、Xは任意のアミノ酸である;あるいは
(iv)その組合せ。
【0420】
一部の実施形態では、抗CD137抗体は、
(i)約30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性(K)でヒトCD137に結合する;
(ii)ELTK(配列番号3のアミノ酸残基111~114に対応する)を含むエピトープに結合する;
(iii)アミノ酸配列DXLXYXYYX10を含む重鎖CDR3を含み、Xは任意のアミノ酸であり、Xは非極性アミノ酸であり、Xは非極性アミノ酸であり、Xは任意のアミノ酸であり、Xは極性アミノ酸であり、Xは任意のアミノ酸であり、Xは任意のアミノ酸であり、Xは極性アミノ酸であり、Xは極性アミノ酸であり、X10は任意のアミノ酸である;あるいは
(iv)その組合せ。
【0421】
一部の実施形態では、抗CD137抗体は、
(i)約30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性(K)でヒトCD137に結合し;
(ii)ELTK(配列番号3のアミノ酸残基111~114に対応する)を含むエピトープに結合し;
(iii)アミノ酸配列DXXXXLXXXXYXYYXを含む重鎖CDR3を含み、Xは任意のアミノ酸である。
【0422】
一部の実施形態では、抗CD137抗体は、
(i)約30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性(K)でヒトCD137に結合し;
(ii)ELTK(配列番号3のアミノ酸残基111~114に対応する)を含むエピトープに結合し;
(iii)アミノ酸配列DXLXYXYYX10を含む重鎖CDR3を含み、Xは任意のアミノ酸であり、Xは非極性アミノ酸であり、Xは非極性アミノ酸であり、Xは任意のアミノ酸であり、Xは極性アミノ酸であり、Xは任意のアミノ酸であり、Xは任意のアミノ酸であり、Xは極性アミノ酸であり、Xは極性アミノ酸であり、X10は任意のアミノ酸である。
【0423】
一部の実施形態では、上記で記載される抗CD137抗体は、
(a)それぞれ配列番号48、56、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号69、78、および89に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;ならびに
(b)それぞれ配列番号51、108、および68に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号69、78、および89に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列
からなる群から選択される重鎖および軽鎖CDRを含む。
【0424】
一部の実施形態では、上記で記載される抗CD137抗体は、
(a)それぞれ配列番号135、139、および143に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号144、147、および150に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;ならびに
(b)それぞれ配列番号137、141、および143に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号144、147、および150に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列
からなる群から選択される重鎖および軽鎖CDRを含む。
【0425】
一部の実施形態では、上記で記載される抗CD137抗体は、
(a)それぞれ配列番号48、154、および159に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号144、147、および150に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列;ならびに
(b)それぞれ配列番号51、156、および159に明記される重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列、ならびにそれぞれ配列番号144、147、および150に明記される軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3配列
からなる群から選択される重鎖および軽鎖CDRを含む。
【0426】
一部の実施形態では、本開示の製剤は、重鎖および軽鎖可変領域を含む抗CD137抗体を含み、重鎖可変領域は、配列番号4および101からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、配列番号6のアミノ酸配列を含む。
【0427】
一部の実施形態では、抗CD137抗体は、
(a)それぞれ配列番号4および6;ならびに
(b)それぞれ配列番号101および6
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖および軽鎖可変領域を含む。
【0428】
一部の実施形態では、抗CD137抗体は、
(a)それぞれ配列番号4および6;
(b)それぞれ配列番号101および6;ならびに
(c)それぞれ配列番号26および6
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖および軽鎖可変領域を含む。
【0429】
一部の実施形態では、抗CD137抗体は、
(a)それぞれ配列番号5および7;ならびに
(b)それぞれ配列番号102および7
からなる群から選択されるヌクレオチド配列によってコードされる重鎖および軽鎖可変領域を含む。
【0430】
一部の実施形態では、抗CD137抗体は、
(a)それぞれ配列番号5および7;
(b)それぞれ配列番号102および7;ならびに
(c)それぞれ配列番号27および7
からなる群から選択されるヌクレオチド配列によってコードされる重鎖および軽鎖可変領域を含む。
【0431】
一部の実施形態では、本開示の製剤は、重鎖および軽鎖可変領域を含む抗CD137抗体を含み、重鎖可変領域は、配列番号4および101からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、配列番号6のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0432】
一部の実施形態では、本開示の製剤は、重鎖および軽鎖可変領域を含む抗CD137抗体を含み、重鎖可変領域は、配列番号4、26、および101からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、配列番号6のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0433】
一部の実施形態では、本開示の製剤は、重鎖および軽鎖可変領域を含む抗CD137抗体を含み、重鎖可変領域は、配列番号5および102からなる群から選択されるヌクレオチド配列と少なくとも90%同一であるヌクレオチド配列によってコードされ、軽鎖可変領域は、配列番号7のヌクレオチド配列と少なくとも90%同一であるヌクレオチド配列によってコードされる。
【0434】
一部の実施形態では、本開示の製剤は、重鎖および軽鎖可変領域を含む抗CD137抗体を含み、重鎖可変領域は、配列番号5、27、および102からなる群から選択されるヌクレオチド配列と少なくとも90%同一であるヌクレオチド配列によってコードされ、軽鎖可変領域は、配列番号7のヌクレオチド配列と少なくとも90%同一であるヌクレオチド配列によってコードされる。
【0435】
一部の実施形態では、抗CD137抗体は、
(a)それぞれ配列番号4および6;ならびに
(b)それぞれ配列番号101および6
からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む重鎖および軽鎖可変領域を含む。
【0436】
一部の実施形態では、抗CD137抗体は、
(a)それぞれ配列番号4および6;
(b)それぞれ配列番号101および6;ならびに
(c)それぞれ配列番号26および6
からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む重鎖および軽鎖可変領域を含む。
【0437】
一部の実施形態では、抗CD137抗体は、
(a)それぞれ配列番号5および7;ならびに
(b)それぞれ配列番号102および7
からなる群から選択されるヌクレオチド配列と少なくとも90%同一のヌクレオチド配列によってコードされる重鎖および軽鎖可変領域を含む。
【0438】
一部の実施形態では、抗CD137抗体は、
(a)それぞれ配列番号5および7;
(b)それぞれ配列番号102および7;ならびに
(c)それぞれ配列番号27および7
からなる群から選択されるヌクレオチド配列と少なくとも90%同一のヌクレオチド配列によってコードされる重鎖および軽鎖可変領域を含む。
【0439】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、mAb1(すなわち、それぞれ配列番号4および6の重鎖および軽鎖可変配列を含む抗体)、mab8(すなわち、それぞれ配列番号101および6の重鎖および軽鎖可変配列を含む抗体)、またはmAb10(すなわち、それぞれ配列番号26および6の重鎖および軽鎖可変配列を含む抗体)の少なくとも機能的特性を有する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗体の機能的特性には、CD137の二量体化の誘導または増強;CD137の多量体化の誘導または増強;CD137媒介性T細胞活性化の誘導または増強;CD137媒介性細胞傷害性T細胞応答の誘導または増強;CD137媒介性T細胞増殖の誘導または増強;CD137媒介性サイトカイン産生の誘導または増強;肝内および/または脾臓内のT細胞活性化および/またはT細胞増殖の誘導または増強の欠如;ならびに腫瘍成長の低下または阻害が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0440】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、mAb1(すなわち、それぞれ配列番号4および6の重鎖および軽鎖可変配列を含む抗体)、mab8(すなわち、それぞれ配列番号101および6の重鎖および軽鎖可変配列を含む抗体)、またはmAb10(すなわち、それぞれ配列番号26および6の重鎖および軽鎖可変配列を含む抗体)のものと少なくとも同等の平衡解離定数Kで、ヒトCD137に結合する。
【0441】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、ヒトIgG1重鎖定常領域またはヒトIgG4重鎖定常領域を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、ヒト野生型IgG1重鎖定常領域またはヒト野生型IgG4重鎖定常領域を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、配列番号1に明記されるヒト野生型IgG1重鎖定常領域を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、突然変異体IgG1重鎖定常領域または突然変異体IgG4重鎖定常領域を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、突然変異体IgG4重鎖定常領域を含み、突然変異体IgG4重鎖定常領域は、残基Ser228におけるアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、残基Ser228におけるアミノ酸置換はS228Pである。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、IgG4重鎖定常領域を含み、C末端リシン残基は除去されている。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、IgG4重鎖定常領域を含み、C末端リシン残基は除去されており、S228Pアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、配列番号2に明記されるIgG4重鎖定常領域を含む。
【0442】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、それぞれ配列番号129および133に明記されるアミノ酸配列を含む重鎖および軽鎖を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、それぞれ配列番号130および133に明記されるアミノ酸配列を含む重鎖および軽鎖を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、それぞれ配列番号131および133に明記されるアミノ酸配列を含む重鎖および軽鎖を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、それぞれ配列番号132および133に明記されるアミノ酸配列を含む重鎖および軽鎖を含む。
【0443】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、それぞれ配列番号129および133と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも、96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖および軽鎖を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、それぞれ配列番号130および133と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも、96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖および軽鎖を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、それぞれ配列番号131および133と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも、96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖および軽鎖を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、それぞれ配列番号132および133と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも、96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖および軽鎖を含む。
【0444】
CDRナンバリングシステム
カバット(Kabat)により説明されたシステムは、「カバット(Kabat)に従ってナンバリングされる」、「カバット(Kabat)ナンバリング」、「カバット(Kabat)定義」、および「カバット(Kabat)ラベリング」とも称され、抗体のあらゆる可変ドメインに対しても適用可能な曖昧さのない残基ナンバリングシステムを提供し、各鎖の3つのCDRを定義する精確な残基の境界を提供する。(カバットら(Kabat et al.),免疫学的関心のあるタンパク質の配列(Sequences of Proteins of Immunological Interest),アメリカ国立衛生研究所(National Institutes of Health)[米国メリーランド州ベセスダ(Bethesda)所在](1987)および(1991)。この内容は全体として本願明細書に援用する。これらのCDRは、カバット(Kabat)CDRと称され、おおよそ、軽鎖可変ドメイン内の残基24~34(CDR1)、50~56(CDR2)、および89~97(CDR3)、ならびに重鎖可変ドメイン内の31~35(CDR1)、50~65(CDR2)、および95~102(CDR3)を含む。CDRがカバット(Kabat)に従って定義される場合、軽鎖FR残基は、おおよそ残基1~23(LCFR1)、35~49(LCFR2)、57~88(LCFR3)、および98~107(LCFR4)に配置され、重鎖FR残基は、重鎖残基において、おおよそ残基1~30(HCFR1)、36~49(HCFR2)、66~94(HCFR3)、および103~113(HCFR4)に配置される。「カバット(Kabat)によるEUインデックス」とは、ヒトIgG1 EU抗体の残基ナンバリングを指す。
【0445】
他のCDRナンバリングシステムも当技術分野では使用されている(例えば、表Aを参照されたい)。チョーシア(Chothia)および共同研究者らは、カバット(Kabat)CDR内のある特定の下位部分が、アミノ酸配列のレベルでは高い多様性を有するにもかかわらず、ほぼ同一のペプチド骨格立体構造をとることを見い出した。(チョーシアら(Chothia et al.)(1987)J.Mol.Biol.196:901-917、およびチョーシアら(Chothia et al.)(1989)Nature 342:877-883)。これらの下位部分は、L1、L2、およびL3、またはH1、H2、およびH3と指定された。ここで、「L」および「H」は、それぞれ軽鎖および重鎖領域を指定する。これらのCDRは、「チョーシア(Chothia)CDR」、「チョーシア(Chothia)ナンバリング」、または「チョーシア(Chothia)に従ってナンバリングされる」と称される場合があり、おおよそ、軽鎖可変ドメイン内の残基24~34(CDR1)、50~56(CDR2)、および89~97(CDR3)、ならびに重鎖可変ドメイン内の26~32(CDR1)、50~56または52~56(CDR2)、および95~102(CDR3)を含む。Mol.Biol.196:901-917(1987)。
【0446】
マッカラム(MacCallum)によって説明されたシステムは、「マッカラム(MacCallum)に従ってナンバリングされる」、または「マッカラム(MacCallum)ナンバリング」とも称され、おおよそ、軽鎖可変ドメイン内の残基30~36(CDR1)、46~55(CDR2)、および89~96(CDR3)、ならびに重鎖可変ドメイン内の30~35(CDR1)、47~58(CDR2)、および93~101(CDR3)を含む。マッカラムら(MacCallum et al.)((1996)J.Mol.Biol.262(5):732-745)。
【0447】
AbMによって説明されたシステムは、「AbMに従うナンバリング」または「AbMナンバリング」とも称され、おおよそ、軽鎖可変ドメイン内の残基24~34(CDR1)、50~56(CDR2)、および89~97(CDR3)、ならびに重鎖可変ドメイン内の26~35(CDR1)、50~58(CDR2)、および95~102(CDR3)を含む。
【0448】
可変領域の国際免疫遺伝学情報システム(IMGT:INTERNATIONAL IMMUNOGENETICS INFORMATION SYSTEM)ナンバリングを使用することもでき、これは、ルフラン、エム.ピー(Lefranc,M.-P.),「免疫グロブリン、T細胞受容体、およびIg様ドメインのIMGT固有ナンバリング(The IMGT unique numbering for immunoglobulins,T cell Receptors and Ig-like domains)」,The Immunologist,7,132-136(1999)に記載され、全体として明示的に本願明細書に援用されるIMGTの方法に従う、免疫グロブリン可変重鎖または軽鎖における残基のナンバリングである。本明細書で使用される場合、「IMGT配列ナンバリング」または「IMTGに従ってナンバリングされる」とは、可変領域をコードする配列のIMGTに従ったナンバリングを指す。重鎖可変ドメインについては、IMGTに従ってナンバリングされるとき、超可変領域の範囲は、CDR1はアミノ酸27~38位、CDR2はアミノ酸56~65位、およびCDR3はアミノ酸105~117位である。軽鎖可変ドメインについては、IMGTに従ってナンバリングされるとき、超可変領域の範囲は、CDR1はアミノ酸27~38位、CDR2はアミノ酸56~65位、およびCDR3はアミノ酸105~117位である。
【0449】
本明細書に記載される抗CD137抗体の一部の実施形態では、本明細書で列挙されるCDRは、チョーシア(Chothia)ナンバリングに従ってナンバリングしたとき、おおよそ、軽鎖可変ドメイン内の残基24~34(CDR1)、50~56(CDR2)、および89~97(CDR3)、ならびに重鎖可変ドメイン内の27~35(CDR1)、49~60(CDR2)、および93~102(CDR3)を含む。一部の実施形態では、軽鎖可変ドメイン内のCDR2は、チョーシア(Chothia)ナンバリングに従ってナンバリングしたとき、アミノ酸49~56を含み得る。
【0450】
【表1】
【0451】
本明細書に記載される抗CD137抗体の一部の態様および実施形態では、抗体またはその抗原結合性部分は、配列番号4と少なくとも90%同一(例えば、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一)であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および/または配列番号6と少なくとも90%同一(例えば、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一)であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。一部のそのような実施形態では、重鎖可変領域は、15個以下のアミノ酸、14個以下のアミノ酸、13個以下のアミノ酸、12個以下のアミノ酸、11個以下のアミノ酸、10個以下のアミノ酸、9個以下のアミノ酸、8個以下のアミノ酸、7個以下のアミノ酸、6個以下のアミノ酸、5個以下のアミノ酸、4個以下のアミノ酸、3個以下のアミノ酸、2個以下のアミノ酸、または1個のアミノ酸が配列番号4と異なるアミノ酸配列を含む。一部のそのような実施形態では、軽鎖可変領域は、15個以下のアミノ酸、14個以下のアミノ酸、13個以下のアミノ酸、12個以下のアミノ酸、11個以下のアミノ酸、10個以下のアミノ酸、9個以下のアミノ酸、8個以下のアミノ酸、7個以下のアミノ酸、6個以下のアミノ酸、5個以下のアミノ酸、4個以下のアミノ酸、3個以下のアミノ酸、2個以下のアミノ酸、または1個のアミノ酸が配列番号6と異なるアミノ酸配列を含む。
【0452】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性部分のCDRは、チョーシア(Chothia)ナンバリングに従ってナンバリングしたとき、おおよそ、配列番号6の軽鎖可変ドメイン内の残基24~34(CDR1)、50~56(CDR2)、および89~97(CDR3)、ならびに配列番号4の重鎖可変ドメイン内の27~35(CDR1)、49~60(CDR2)、および93~102(CDR3)を含む。一部の実施形態では、配列番号6の軽鎖可変ドメイン内のCDR2は、チョーシア(Chothia)ナンバリングに従ってナンバリングしたとき、アミノ酸49~56を含み得る。
【0453】
本開示は、一部の実施形態では、重鎖および軽鎖CDR残基がカバット(Kabat)に従ってナンバリングされている、配列番号4の重鎖可変領域の重鎖CDRおよび配列番号6の軽鎖可変領域の軽鎖CDRを含む、抗体またはその抗原結合性部分も提供する。
【0454】
本開示は、一部の実施形態では、重鎖および軽鎖CDR残基がチョーシア(Chothia)に従ってナンバリングされている、配列番号4の重鎖可変領域の重鎖CDRおよび配列番号6の軽鎖可変領域の軽鎖CDRを含む、抗体またはその抗原結合性部分も提供する。
【0455】
本開示は、一部の実施形態では、重鎖および軽鎖CDR残基がマッカラム(MacCallum)に従ってナンバリングされている、配列番号4の重鎖可変領域の重鎖CDRおよび配列番号6の軽鎖可変領域の軽鎖CDRを含む、抗体またはその抗原結合性部分も提供する。
【0456】
本開示は、一部の実施形態では、重鎖および軽鎖CDR残基がAbMに従ってナンバリングされている、配列番号4の重鎖可変領域の重鎖CDRおよび配列番号6の軽鎖可変領域の軽鎖CDRを含む、抗体またはその抗原結合性部分も提供する。
【0457】
本開示は、一部の実施形態では、重鎖および軽鎖CDR残基がIMGTに従ってナンバリングされている、配列番号4の重鎖可変領域の重鎖CDRおよび配列番号6の軽鎖可変領域の軽鎖CDRを含む、抗体またはその抗原結合性部分も提供する。
【0458】
CD137結合抗体の特徴付けおよび機能
I.親和性
一部の実施形態では、本開示の製剤は、抗原結合アッセイによって判定される場合に約40~100nM(例えば、約40nM~約100nM)の親和性(KD)でヒトCD137に結合する、本明細書に記載される抗CD137抗体を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、抗原結合アッセイによって判定される場合に約30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性(KD)でヒトCD137に結合する、本明細書に記載される抗CD137抗体を含む。一部の実施形態では、本開示の製剤は、抗原結合アッセイによって判定される場合に約45~95nM、50~90nM、55~85nM、60~80nM、65~75nM、55~75nM、40~70nM、50~80nM、または60~90nMの親和性(KD)でヒトCD137に結合する、本明細書に記載される抗CD137抗体を含む。
【0459】
一部の実施形態では、抗原結合アッセイは、CD137ポリペプチドに対する抗CD137抗体の結合親和性を判定する。一部の実施形態では、抗原結合アッセイは表面プラズモン共鳴である。したがって、一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、表面プラズモン共鳴を使用して判定される場合に約40~100nM(例えば、約40nM~約100nM)の親和性(KD)でヒトCD137に結合する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、表面プラズモン共鳴を使用して判定される場合に約30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性(KD)でヒトCD137に結合する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、表面プラズモン共鳴を使用して判定される場合に約45~95nM、50~90nM、55~85nM、60~80nM、65~75nM、55~75nM、40~70nM、50~80nM、または60~90nMの親和性(KD)でヒトCD137に結合する。
【0460】
「表面プラズモン共鳴」という用語は、例えばBIAcoreシステム(ファルマシアバイオセンサーエービー(Pharmacia Biosensor AB)[スウェーデン国ウプサラ(Uppsala)および米国ニュージャージー州ピスカタウェイ(Piscataway)所在])を使用して、バイオセンサーマトリックス内のタンパク質濃度における変化を検出することにより、リアルタイムの生体特異的相互作用の分析を可能にする光学現象を含む。さらなる説明については、ヨーンソン、ユーら(Jonsson,U.,et al.)(1993)Ann.Biol.Clin.51:19-26、ヨーンソン、ユーら(Jonsson,U.,et al.)(1991)Biotechniques 11:620-627、ヨンソン、ビーら(Johnsson,B.,et al.)(1995)J.Mol.Recognit.8:125-131、およびヨンソン、ビーら(Johnnson,B.,et al.)(1991)Anal.Biochem.198:268-277を参照されたい。一部の実施形態では、抗原結合アッセイはバイオレイヤー干渉法(BLI)である。したがって、一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、バイオレイヤー干渉法を使用して判定される場合に約40~100nM(例えば、約40nM~約100nM)の親和性(KD)でヒトCD137に結合する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、バイオレイヤー干渉法を使用して判定される場合に約30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性(KD)でヒトCD137に結合する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、バイオレイヤー干渉法を使用して判定される場合に約45~95nM、50~90nM、55~85nM、60~80nM、65~75nM、55~75nM、40~70nM、50~80nM、または60~90nMの親和性(KD)でヒトCD137に結合する。
【0461】
「バイオレイヤー干渉法」または「BLI」という用語は、その光学層検出表面の厚みにおける変化をナノメートル以下で測定することを可能にする光学現象を含む。一部の実施形態では、生体分子がセンサー表面で結合し、光学層の厚みを変化させる。光学層の厚みの変化の大きさは、結合する分子の質量または分子量に比例する。一部の実施形態では、CD137をセンサー表面に対して固定化することで、分子量における変化を生み出し、光学層の厚みにおける対応する変化をもたらすような、抗体による結合が測定される。一部の実施形態では、BLIは、OCTETシステム(FORTE BIO(登録商標))を用いて実施される。
【0462】
II.免疫細胞の効果
一部の実施形態では、本開示の製剤は、サイトカインアッセイによって判定される場合に、免疫細胞によるサイトカイン産生を誘導するまたは増強する、本明細書に記載される抗CD137抗体を含む。一部の実施形態では、サイトカインアッセイは、抗CD137抗体と接触した免疫細胞から分泌された少なくとも1つのサイトカインの量を判定し、ここで少なくとも1つのサイトカインの量の増加は、抗CD137抗体によるサイトカイン産生の誘導または増強を示す。一部の実施形態では、サイトカイン産生の増加は、対照抗体(例えば、CD137に結合せず、サイトカイン産生を誘導しない抗体)と比較して少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、または5倍大きい。
【0463】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、サイトカインアッセイによって判定される場合に、免疫細胞によるサイトカイン産生を誘導しまたは増強し、ここでサイトカインアッセイは、以下の工程:
(i)免疫細胞を抗CD137抗体と接触させる工程;および
(ii)免疫細胞によって産生された少なくとも1つのサイトカインの量を判定する工程
を含み、ここで、少なくとも1つのサイトカインの量の増加は、抗CD137抗体が免疫細胞によるサイトカイン産生を誘導するまたは増強することを示す。
【0464】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、サイトカインアッセイによって判定される場合に、免疫細胞によるサイトカイン産生を誘導しまたは増強し、ここでサイトカインアッセイは、以下の工程:
(i)免疫細胞を抗CD137抗体と接触させる工程;および
(ii)免疫細胞によって産生された少なくとも1つのサイトカインの量を判定する工程、および
(iii)免疫細胞によって産生された少なくとも1つのサイトカインの量を、参照免疫細胞から分泌された量と比較する工程
を含み、ここで、参照免疫細胞は、対照抗体と接触させ、かつ、免疫細胞から産生された少なくとも1つのサイトカインの量の、参照免疫細胞と比べた増加は、ヒトCD137媒介性サイトカイン産生の誘導または増強を示す。
【0465】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、サイトカインアッセイによって判定される場合に、免疫細胞によるサイトカイン産生を誘導しまたは増強し、ここでサイトカインアッセイは、以下の工程:
(i)免疫細胞を抗CD137抗体と接触させる工程;
(ii)免疫細胞によって産生された少なくとも1つのサイトカインの量を判定する工程、および
(iii)免疫細胞によって産生された少なくとも1つのサイトカインの量を、参照免疫細胞から分泌された量またはレベルと比較する工程
を含み、ここで、参照免疫細胞は、抗CD137抗体と接触させず、かつ、免疫細胞から産生された少なくとも1つのサイトカインの量の、参照免疫細胞と比べた増加は、免疫細胞によるヒトCD137媒介性サイトカイン産生の誘導または増強を示す。
【0466】
一部の実施形態では、少なくとも1つのサイトカインは、IL-2、IFN-γ、TNFα、IL-13、およびその組合せからなる群から選択される。一部の実施形態では、サイトカインはIL-2である。一部の実施形態では、サイトカインはIFN-γである。一部の実施形態では、サイトカインはTNFαである。一部の実施形態では、サイトカインはIL-13である。一部の実施形態では、抗CD137抗体は、IL-2産生を誘導するまたは増強する。一部の実施形態では、抗CD137抗体は、TNFα産生を誘導するまたは増強する。一部の実施形態では、抗CD137抗体は、IL-13産生を誘導するまたは増強する。一部の態様では、産生されるサイトカインはIL-2である。一部の態様では、産生されるサイトカインはTNFαである。一部の態様では、産生されるサイトカインはIL-13である。一部の態様では、産生されるサイトカインはIFN-γである。一部の態様では、産生されるサイトカインはIL-2およびTNFαである。一部の態様では、産生されるサイトカインはIL-2およびIL-13である。一部の態様では、産生されるサイトカインはIL-2およびIFN-γである。一部の態様では、産生されるサイトカインはTNFαおよびIL-13である。一部の態様では、産生されるサイトカインはTNFαおよびIFN-γである。一部の態様では、産生されるサイトカインはIL-13およびIFN-γである。一部の態様では、産生されるサイトカインは、IL-2、TNFα、およびIL-13である。一部の態様では、産生されるサイトカインは、IL-2、TNFα、およびIFN-γである。一部の態様では、産生されるサイトカインは、IFN-γ、TNFα、およびIL-13である。
【0467】
一部の実施形態では、免疫細胞はT細胞である。一部の実施形態では、参照免疫細胞はT細胞である。一部の実施形態では、T細胞はCD8+ T細胞である。
一部の実施形態では、サイトカインアッセイは、サイトカインビーズアレイアッセイである。サイトカインビーズアレイアッセイは、試料中の複数のサイトカインの多重分析物フローサイトメトリー判定を可能にする、ビーズに基づくイムノアッセイである。サイズまたは色の異なるマイクロスフェアの使用がサイトカインビーズアレイアッセイの基本であり、各マイクロスフェア(または「ビーズ」)は、抗原(例えば、サイトカイン)に特異的に結合する抗体でコーティングされている。抗体でコーティングされたビーズは次いで、検出用抗体と組み合わせて試料中に導入される。次いで、ビーズ:抗原:検出用抗体の複合体がフローサイトメトリーによって分析される。市販のサイトカインビーズアレイアッセイには、BD(商標)Cytometric Bead Array Systems(ビーディーバイオサイエンス(BD Biosciences))およびLUMINEX(登録商標)Assays(アール&ディーシステムズ(R&D Systems))が含まれるが、それらに限定されるわけではない。一部の実施形態では、ヒトCD137媒介性サイトカイン産生の誘導または増強は、サイトカインビーズアレイアッセイによって判定される。一部の実施形態では、ヒトCD137媒介性サイトカイン産生の誘導または増強は、Luminex(登録商標)Assayによって判定される。
【0468】
一部の実施形態では、サイトカインアッセイは、Meso Scale Discovery(MSD)アッセイ(メソスケールダイアグノスティクス(Meso Scale Diagnostics)[米国メリーランド州ロックビル(Rockville)所在]である。MSDアッセイは、目的の抗原(例えば、サイトカイン)に特異的に結合する電気化学発光標識抗体の検出に基づく市販のアッセイである。MSDアッセイは、マイクロプレートウェルの底に、生物学的試薬(例えば、サイトカインに特異的な捕捉抗体)の付着を可能にする高結合性の炭素電極を含む。MSDアッセイは、検出抗体とコンジュゲートされた電気化学発光標識を使用する。試料をマイクロプレートウェルに加え、MSD機器によってプレートの電極に電気を適用することで、電気化学発光標識による光の放射が起こる。光の輝度を測定して、試料中の分析物(例えば、サイトカイン)を数量化する。一部の実施形態では、ヒトCD137媒介性サイトカイン産生の誘導または増強は、Meso Scale Discovery(MSD)アッセイによって判定される。
【0469】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、T細胞活性化アッセイによって判定される場合に、T細胞活性化を誘導するまたは増強する。一部の実施形態では、T細胞活性化アッセイは、本明細書に記載される抗CD137抗体と接触したT細胞から分泌された少なくとも1つのサイトカインの量を判定し、ここで少なくとも1つのサイトカインの量の増加は、T細胞活性化の誘導または増強を示す。一部の実施形態では、サイトカイン産生の増加は、対照抗体(例えば、CD137に結合せず、サイトカイン産生を誘導しない抗体)と比較して少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、または5倍大きい。
【0470】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、T細胞活性化アッセイによって判定される場合に、T細胞活性化を誘導しまたは増強し、ここでT細胞活性化アッセイは、以下の工程:
(i)T細胞を対象から単離する工程;
(ii)T細胞を抗CD137抗体と接触させる工程;および
(iii)T細胞によって(ii)の後に分泌された少なくとも1つのサイトカインの量を判定する工程
を含み、ここで、少なくとも1つのサイトカインのレベルの増加は、抗CD137抗体がT細胞活性化を誘導するまたは増強することを示す。
【0471】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、T細胞活性化アッセイによって判定される場合に、T細胞活性化を誘導しまたは増強し、ここでT細胞活性化アッセイは、以下の工程:
(i)T細胞を対象から単離する工程;
(ii)T細胞を抗CD137抗体と接触させる工程;
(iii)T細胞によって分泌された少なくとも1つのサイトカインの量を判定する工程;および
(iv)T細胞によって産生された少なくとも1つのサイトカインの量を、参照T細胞から分泌された量またはレベルと比較する工程
を含み、ここで、参照T細胞は、抗CD137抗体と接触させず、かつ、T細胞から産生された少なくとも1つのサイトカインの量の、参照T細胞と比べた増加は、抗CD137抗体がT細胞活性化を誘導するまたは増強することを示す。
【0472】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、T細胞活性化アッセイによって判定される場合に、T細胞活性化を誘導しまたは増強し、ここでT細胞活性化アッセイは、以下の工程:
(i)T細胞を対象から単離する工程;
(ii)T細胞を抗CD137抗体と接触させる工程;
(iii)T細胞によって分泌された少なくとも1つのサイトカインの量を判定する工程;および
(iv)T細胞によって産生された少なくとも1つのサイトカインの量を、参照T細胞から分泌された量と比較する工程
を含み、ここで、参照T細胞は、対照抗体と接触させ、かつ、T細胞から産生された少なくとも1つのサイトカインの量の、参照T細胞と比べた増加は、抗CD137抗体がT細胞活性化を誘導するまたは増強することを示す。
【0473】
一部の実施形態では、T細胞活性化アッセイは、本明細書に記載される抗CD137抗体との接触後のT細胞によって分泌された少なくとも1つのサイトカインのレベルを判定する工程を含み、少なくとも1つのサイトカインは、IL-2、IFN-γ、TNFα、およびIL-13からなる群から選択される。一部の実施形態では、サイトカインはIL-2である。一部の実施形態では、サイトカインはIFN-γである。一部の実施形態では、サイトカインはTNFαである。一部の実施形態では、サイトカインはIL-13である。一部の実施形態では、T細胞活性化アッセイは、少なくとも1つのサイトカインの量を判定するための、本明細書に記載されるもの等のサイトカインアッセイを含む。一部の実施形態では、産生されるサイトカインはIL-2である。一部の実施形態では、産生されるサイトカインはTNFαである。一部の実施形態では、産生されるサイトカインはIL-13である。一部の実施形態では、産生されるサイトカインはIFN-γである。一部の実施形態では、産生されるサイトカインはIL-2およびTNFαである。一部の実施形態では、産生されるサイトカインはIL-2およびIL-13である。一部の実施形態では、産生されるサイトカインはIL-2およびIFN-γである。一部の実施形態では、産生されるサイトカインはTNFαおよびIL-13である。一部の実施形態では、産生されるサイトカインはTNFαおよびIFN-γである。一部の実施形態では、産生されるサイトカインはIL-13およびIFN-γである。一部の実施形態では、産生されるサイトカインは、IL-2、TNFα、およびIL-13である。一部の実施形態では、産生されるサイトカインは、IL-2、TNFα、およびIFN-γである。一部の実施形態では、産生されるサイトカインは、IFN-γ、TNFα、およびIL-13である。
【0474】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、T細胞活性化アッセイによって判定される場合に、T細胞活性化を誘導しまたは増強し、ここでT細胞活性化アッセイは、T細胞上の少なくとも1つの活性化マーカーの表面発現を検出する工程を含み、少なくとも1つの活性化マーカーの発現レベルの増加は、T細胞活性化の誘導または増強を示す。一部の実施形態では、「表面発現の増加」とは、対照抗体の存在下または抗体の非存在下における表面発現と比べた、表面発現における少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%の増加を指す。
【0475】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、in vitroでT細胞活性化アッセイによって判定される場合に、T細胞活性化を誘導しまたは増強し、ここでT細胞活性化アッセイは、以下の工程:
(i)T細胞を対象から単離する工程;
(ii)T細胞を抗CD137抗体と接触させる工程;および
(iii)T細胞上の少なくとも1つの活性化マーカーの表面発現を検出する工程
を含み、ここで、少なくとも1つの活性化マーカーの表面発現の増加は、抗CD137抗体がT細胞活性化を誘導するまたは増強することを示す。
【0476】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、T細胞活性化アッセイによって判定される場合に、T細胞活性化を誘導しまたは増強し、ここでT細胞活性化アッセイは、以下の工程:
(i)T細胞を対象から単離する工程;
(ii)T細胞を抗CD137抗体と接触させる工程;
(iii)T細胞上の少なくとも1つの活性化マーカーの表面発現を判定する工程;および
(iv)T細胞上の少なくとも1つの活性化マーカーの表面発現を、参照T細胞上の少なくとも1つの活性化マーカーの表面発現と比較する工程
を含み、ここで、参照T細胞は、抗CD137抗体と接触させず、かつ、T細胞上の少なくとも1つの活性化マーカーの表面発現の、参照T細胞と比べた増加は、抗CD137抗体がT細胞活性化を誘導するまたは増強することを示す。
【0477】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、T細胞活性化アッセイによって判定される場合に、T細胞活性化を誘導しまたは増強し、ここでT細胞活性化アッセイは、以下の工程:
(i)T細胞を対象から単離する工程;
(ii)T細胞を抗CD137抗体と接触させる工程;
(iii)T細胞上の少なくとも1つの活性化マーカーの表面発現を判定する工程、
(iv)T細胞上の少なくとも1つの活性化マーカーの表面発現を、参照T細胞上の少なくとも1つの活性化マーカーの表面発現と比較する工程
を含み、ここで、参照T細胞は、対照抗体と接触させ、かつ、T細胞上の少なくとも1つの活性化マーカーの表面発現の、参照T細胞上の少なくとも1つの活性化マーカーの表面発現と比べた増加は、抗CD137抗体がT細胞活性化を誘導するまたは増強することを示す。
【0478】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、in vivoでT細胞活性化アッセイによって判定される場合に、T細胞活性化を誘導しまたは増強し、ここでT細胞活性化アッセイは、以下の工程:
(i)対象に対して抗CD137抗体を投与する工程;
(ii)T細胞を対象から単離する工程;および
(iii)T細胞上の少なくとも1つの活性化マーカーの表面発現を検出する工程
を含み、ここで、少なくとも1つの活性化マーカーの表面発現の増加は、抗CD137抗体がCD137媒介性T細胞活性化を誘導するまたは増強することを示す。
【0479】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、T細胞活性化アッセイによって判定される場合に、T細胞活性化を誘導しまたは増強し、ここでT細胞活性化アッセイは、以下の工程:
(i)対象に対して抗CD137抗体を投与する工程;
(ii)T細胞を対象から単離する工程;
(iii)後にT細胞上の少なくとも1つの活性化マーカーの表面発現を判定する工程;および
(iv)T細胞上の少なくとも1つの活性化マーカーの表面発現を、参照T細胞上の少なくとも1つの活性化マーカーの表面発現と比較する工程
を含み、ここで、参照T細胞は、抗CD137抗体を投与されていない対象から単離され、T細胞上の少なくとも1つの活性化マーカーの表面発現の、参照T細胞と比べた増加は、抗CD137抗体がT細胞活性化を誘導するまたは増強することを示す。
【0480】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、T細胞活性化アッセイによって判定される場合に、T細胞活性化を誘導しまたは増強し、ここでT細胞活性化アッセイは、以下の工程:
(i)対象に対して抗CD137抗体を投与する工程;
(ii)T細胞を対象から単離する工程;
(iii)T細胞上の少なくとも1つの活性化マーカーの表面発現を判定する工程;および
(iv)T細胞上の少なくとも1つの活性化マーカーの表面発現を、参照T細胞上の少なくとも1つの活性化マーカーの表面発現と比較する工程
を含み、ここで、参照T細胞は、対照抗体と接触させた対象から単離され、T細胞上の少なくとも1つの活性化マーカーの表面発現の、参照T細胞上の少なくとも1つの活性化マーカーの表面発現と比べた増加は、抗CD137抗体がT細胞活性化を誘導するまたは増強することを示す。
【0481】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、in vivoでT細胞活性化アッセイによって判定される場合に、肝内T細胞活性化を誘導しないまたは増強しない、ここでT細胞活性化アッセイは、以下の工程:
(i)対象に対して抗CD137を投与する工程;
(ii)T細胞を対象の肝臓から単離する工程;
(iii)T細胞上の少なくとも1つの活性化マーカーの表面発現を検出する工程;および
(iv)T細胞上の少なくとも1つの活性化マーカーの表面発現を、参照T細胞上の少なくとも1つの活性化マーカーの表面発現と比較する工程
を含み、ここで、参照T細胞は、抗CD137抗体を投与されていない対象から単離され、任意選択で、参照T細胞は、対照抗体を投与された対象から単離され、T細胞上の少なくとも1つの活性化マーカーの表面発現の、参照T細胞上の少なくとも1つの活性化マーカーの表面発現と比べた増加がないことは、抗CD137抗体がT細胞活性化を誘導するまたは増強することを示す。
【0482】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、in vivoでT細胞活性化アッセイによって判定される場合に、脾臓内T細胞活性化を誘導しないまたは増強しない、ここでT細胞活性化アッセイは、以下の工程:
(i)対象に対して抗CD137を投与する工程;
(ii)T細胞を対象の脾臓から単離する工程;
(iii)T細胞上の少なくとも1つの活性化マーカーの表面発現を検出する工程;および
(iv)T細胞上の少なくとも1つの活性化マーカーの表面発現を、参照T細胞上の少なくとも1つの活性化マーカーの表面発現と比較する工程
を含み、ここで、参照T細胞は、抗CD137抗体を投与されていない対象から単離され、任意選択で、参照T細胞は、対照抗体を投与された対象から単離され、T細胞上の少なくとも1つの活性化マーカーの表面発現の、参照T細胞上の少なくとも1つの活性化マーカーの表面発現と比べた増加がないことは、抗CD137抗体がT細胞活性化を誘導するまたは増強することを示す。
【0483】
一部の実施形態では、「誘導しないまたは増強しない」は、活性(例えば、T細胞活性化)の非存在、または参照抗体による増加と比べた活性の増加の欠如を指すことを意図される。
【0484】
一部の実施形態では、T細胞活性化マーカーの表面発現は、抗体の非存在下での表面発現と同等である。一部の実施形態では、T細胞活性化マーカーの表面発現は、抗体の非存在下での表面発現と比較して、少なくとも1倍、5倍、10倍、50倍、または100倍高い、表面発現を誘導するまたは増強する参照抗体の存在下での表面発現よりも少ない。
【0485】
一部の実施形態では、少なくとも1つの活性化マーカーは、CD25、CD69、およびCD40Lからなる群から選択される。一部の実施形態では、1つまたは複数の活性化マーカーはCD25である。
【0486】
一部の実施形態では、T細胞は、腫瘍を有する対象から単離される。一部の実施形態では、T細胞は、腫瘍から単離される。一部の実施形態では、対照抗体は、アイソタイプ対照抗体である。
【0487】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、免疫細胞浸潤アッセイによって判定される場合に、1つまたは複数の免疫細胞の腫瘍微小環境への浸潤を誘導するまたは増強する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、免疫細胞浸潤アッセイによって判定される場合に、1つまたは複数の免疫細胞の腫瘍微小環境への浸潤を減少させる。
【0488】
一部の実施形態では、免疫細胞浸潤アッセイは、腫瘍における1つまたは複数の免疫細胞マーカーを発現する免疫細胞の分量を判定する。一部の実施形態では、1つまたは複数の免疫細胞マーカーは、抗体で標識される。一部の実施形態では、1つまたは複数の免疫細胞マーカーは、CD45、CD25、FOXP3、CD4、CD8、F4/80、CD11b、TIGIT、およびPD-1からなる群から選択される。一部の実施形態では、腫瘍における1つまたは複数の免疫細胞マーカーを発現する免疫細胞の分量は、フローサイトメトリーによって判定される。1つまたは複数の免疫細胞マーカーを発現する免疫細胞をフローサイトメトリーによって数量化する方法は、当技術分野において公知である。
【0489】
一部の実施形態では、抗CD137抗体は、免疫細胞浸潤アッセイによって判定される場合に、1つまたは複数の免疫細胞の腫瘍微小環境への浸潤を、参照抗体と比べて誘導するまたは増強する。一部の実施形態では、参照抗体は、抗CD137抗体と同じアイソタイプを含む抗体であり、CD137に特異的に結合しない。一部の実施形態では、参照抗体は、抗CD137抗体と同じアイソタイプを含む抗体であり、CD137に特異的に結合する。一部の実施形態では、参照抗体は、抗CD137抗体とは異なるアイソタイプを含む抗体であり、CD137に特異的に結合しない。一部の実施形態では、参照抗体は、抗CD137抗体とは異なるアイソタイプを含む抗体であり、CD137に特異的に結合する。
【0490】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、免疫細胞浸潤アッセイによって判定される場合に、対象におけるCD45を発現する免疫細胞の腫瘍微小環境への浸潤を増加させ、ここでアッセイは、以下の工程:
(i)腫瘍を有する対象に対して抗CD137抗体を投与する工程;
(ii)腫瘍の試料を獲得する工程;
(iii)CD45に特異的に結合する蛍光標識された検出抗体と試料を接触させる工程であって、CD45を発現する免疫細胞を検出抗体が蛍光標識する工程;および
(iv)CD45を発現する蛍光標識された免疫細胞の分量をフローサイトメトリーによって判定する工程
を含み、ここで、腫瘍におけるCD45を発現する蛍光性免疫細胞の分量の増加は、抗CD137抗体が免疫細胞の腫瘍微小環境への浸潤を誘導するまたは増強することを示す。一部の実施形態では、CD45を発現する免疫細胞の分量の増加は、腫瘍微小環境における総細胞の少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、または80%である。
【0491】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、免疫細胞浸潤アッセイによって判定される場合に、1つまたは複数の免疫細胞の腫瘍微小環境への浸潤を低下させるまたは阻害する。一部の実施形態では、抗CD137抗体は、免疫細胞浸潤アッセイによって判定される場合に、1つまたは複数の免疫細胞の腫瘍微小環境への浸潤を、参照抗体と比べて減少させる。一部の実施形態では、参照抗体は、抗CD137抗体と同じアイソタイプを含む抗体であり、CD137に特異的に結合しない。一部の実施形態では、参照抗体は、抗CD137抗体と同じアイソタイプを含む抗体であり、CD137に特異的に結合する。一部の実施形態では、参照抗体は、抗CD137抗体とは異なるアイソタイプを含む抗体であり、CD137に特異的に結合しない。一部の実施形態では、参照抗体は、抗CD137抗体とは異なるアイソタイプを含む抗体であり、CD137に特異的に結合する。一部の実施形態では、免疫細胞の減少は、腫瘍微小環境における総細胞の40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、または5%未満である。
【0492】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、免疫細胞浸潤アッセイによって判定される場合に、対象における腫瘍関連マクロファージの腫瘍微小環境への浸潤を減少させ、ここでアッセイは、以下の工程:
(i)腫瘍の試料を獲得する工程;
(ii)腫瘍関連マクロファージを標識する1つまたは複数の抗体と試料を接触させる工程であって、1つまたは複数の抗体は、F4/80、CD11b、CD45、およびその組合せからなる群から選択される免疫細胞マーカーに特異的に結合する工程;ならびに
(iii)標識された腫瘍関連マクロファージの分量をフローサイトメトリーによって判定する工程
を含む。一部の実施形態では、腫瘍関連マクロファージは、腫瘍微小環境における免疫細胞の40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、または5%未満である。一部の実施形態では、腫瘍関連マクロファージは、F4/80、CD11b、およびCD45を発現する。
【0493】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、免疫細胞浸潤アッセイによって判定される場合に、対象におけるT調節性細胞(Treg)の腫瘍微小環境への浸潤を減少させ、ここでアッセイは、次の工程:
(i)腫瘍の試料を獲得する工程;
(ii)腫瘍関連マクロファージを標識する1つまたは複数の抗体と試料を接触させる工程であって、1つまたは複数の抗体は、CD25、FOXP-3、CD4、およびその組合せからなる群から選択される免疫細胞マーカーに特異的に結合する工程;ならびに
(iii)標識されたTreg細胞の分量をフローサイトメトリーによって判定する工程
を含む。一部の実施形態では、Treg細胞は、腫瘍微小環境におけるCD4+ T細胞の35%、30%、25%、20%、15%、10%、または5%未満である。一部の実施形態では、Treg細胞は、CD4、FOXP-3、およびCD25を発現する。
【0494】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、T細胞疲弊アッセイによって判定される場合に、T細胞をT細胞疲弊から保護するおよび/またはT細胞疲弊を逆転させる。疲弊したT細胞は、それらの基礎的な分子機構に基づいて、アネルギーおよびセネッセンスのような他のT細胞機能不全と区別することができる(クレスポら(Crespo et al.),(2013)Curr Opin Immunol 25(2):241-221)。アネルギーは共刺激シグナルの非存在に起因してプライミング中に生じるが、セネッセンスは、盛んな増殖後の成長停止であり、疲弊したT細胞は、最初はT細胞エフェクター機能を得たおよびもたらしたT細胞が、持続的な抗原および炎症媒介物質(これらはいずれも腫瘍において一般的に生じる)からの継続的なT細胞受容体(TCR)刺激に起因して、T細胞エフェクター機能の漸進的な悪化を呈することから生じる(ウェリィ&クラチ(Wherry&Kurachi)(2015)Nat Rev Immunol 15(8):486-99)。T細胞疲弊の特質には、in vivoおよび/またはex vivoのT細胞機能の継続的悪化、複数の阻害性受容体(IR)(例えば、PD-1、CTLA-4、LAG-3、TIM-3、CD244、CD160、TIGIT)の発現増加、エフェクターサイトカイン分泌(例えば、IL-2、インターフェロンガンマ(IFN-γ)、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα))の進行性の消失もしくは減少、CCケモカイン(β-ケモカイン)産生の消失もしくは減少、IL-7およびIL-15に対する応答性の不良、増殖能力の消失もしくは減少、in vivoおよび/またはex vivoの細胞溶解活性の消失もしくは減少、細胞代謝の変化、ならびに疲弊していないT細胞と比べて異なる転写プロファイルが含まれるが、それらに限定されるわけではない。重度に疲弊したT細胞は、欠失に屈する場合がある(イら(Yi et al.),(2010)Immunology 129(4):474-481)。
【0495】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、T細胞疲弊アッセイによって判定される場合に、T細胞をT細胞疲弊から保護するおよび/またはT細胞疲弊を逆転させ、ここでT細胞疲弊アッセイは、本明細書に記載される抗CD137抗体で処置されたT細胞から分泌された1つまたは複数のエフェクターサイトカインの量またはレベルを判定し、1つまたは複数のエフェクターサイトカインの量またはレベルは、T細胞疲弊からの保護またはT細胞疲弊の逆転を示す。一部の実施形態では、T細胞疲弊アッセイは、以下の工程:
(i)T細胞を対象(例えば、ヒト対象)から単離する工程;
(ii)T細胞疲弊を誘導する抗原とT細胞を接触させる工程;
(iii)T細胞を抗CD137抗体と接触させる工程;
(iv)T細胞から分泌された1つまたは複数のエフェクターサイトカインの量を判定する工程;および;
(v)T細胞から分泌された1つまたは複数のエフェクターサイトカインの量またはレベルを、参照T細胞から分泌された量またはレベルと比較する工程
を含み、ここで、参照T細胞は、T細胞疲弊を誘導する抗原と接触させず、かつ、T細胞および参照T細胞から分泌された1つまたは複数のエフェクターサイトカインの量またはレベルの差は、T細胞疲弊からの保護またはT細胞疲弊の逆転を示す。
【0496】
一部の実施形態では、1つまたは複数のエフェクターサイトカインは、IL-2、IFN-γ、およびTNFαから選択される。一部の実施形態では、1つまたは複数のエフェクターサイトカインの量またはレベルは、ELISAによって判定される。1つまたは複数のエフェクターサイトカインの量またはレベルの判定に適切なELISAは、当技術分野において公知である。一部の実施形態では、1つまたは複数のエフェクターサイトカインの量またはレベルは、Meso Scale Discoveryによって判定される。一部の実施形態では、1つまたは複数のエフェクターサイトカインの量またはレベルは、本明細書に記載されるサイトカイン産生アッセイのいずれか1つによって判定される。
【0497】
疲弊したT細胞の漸進的な機能不全は、IRの発現を伴い、IRは、標的細胞上のリガンドと相互作用すると、阻害性シグナルを核に送る。したがって、一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、T細胞疲弊アッセイによって判定される場合に、T細胞をT細胞疲弊から保護するおよび/またはT細胞疲弊を逆転させ、ここでT細胞疲弊アッセイは、本明細書に記載される抗CD137抗体で処置されたT細胞上の1つまたは複数の阻害性受容体の発現レベルを判定し、1つまたは複数の阻害性受容体の発現レベルは、T細胞疲弊からの保護またはT細胞疲弊の逆転を示す。一部の実施形態では、T細胞疲弊アッセイは、以下の工程:
(i)T細胞を対象(例えば、ヒト対象)から単離する工程;
(ii)T細胞疲弊を誘導する抗原とT細胞を接触させる工程;
(iii)T細胞を抗CD137抗体と接触させる工程;
(iv)T細胞上の1つまたは複数の阻害性受容体の発現レベルを判定する工程;および
(v)T細胞上の1つまたは複数の阻害性受容体の発現レベルを、参照T細胞から分泌された量またはレベルと比較する工程
を含み、ここで、参照T細胞は、T細胞疲弊を誘導する抗原と接触させず、かつ、T細胞および参照T細胞上の1つまたは複数の阻害性受容体の発現レベルの差は、T細胞疲弊からの保護またはT細胞疲弊の逆転を示す。
【0498】
一部の実施形態では、1つまたは複数の阻害性受容体は、TIGITおよびPD-1から選択される。一部の実施形態では、1つまたは複数の阻害性受容体の発現レベルは、フローサイトメトリーによって判定される。免疫細胞(例えばT細胞)上の阻害性受容体の発現レベルをフローサイトメトリーによって判定する方法は、当技術分野において公知である。
【0499】
一部の実施形態では、疲弊したT細胞の量は、腫瘍微小環境における総CD8+ T細胞または総CD4+ T細胞の20%、15%、10%、または5%未満である。
本明細書に記載されるアッセイが、「T細胞を対象から単離する工程」に言及する場合、アッセイは、対象から以前に単離されたT細胞に対して適切に実施され得るものと理解されたい。
【0500】
本明細書に記載されるアッセイが、(i)抗CD137抗体を対象に投与する工程、および(ii)T細胞を対象から単離する工程に言及する場合、アッセイは、抗CD137抗体が投与された対象から以前に単離されたT細胞に対して適切に実施され得るものと理解されたい。
【0501】
本明細書に記載されるアッセイが、「腫瘍の試料を獲得する工程」に言及する場合、アッセイは、対象から以前に単離された腫瘍の試料に対して適切に実施され得るものと理解されたい。
【0502】
本明細書に記載されるアッセイが、(i)腫瘍を有する対象に抗CD137抗体を投与する工程、および(ii)腫瘍の試料を獲得する工程に言及する場合、アッセイは、抗CD137抗体が投与された対象から以前に単離された腫瘍の試料に対して適切に実施され得るものと理解されたい。
【0503】
III.非リガンド結合性
一部の実施形態では、本開示の製剤は、リガンド結合アッセイによって判定される場合に、CD137の非リガンド結合性領域に結合する、本明細書に記載される抗CD137抗体を含む。リガンド結合アッセイ(LBA)は、2つの反応物分子(例えば、受容体およびリガンドポリペプチド)の間で生じる相互作用の測度を提供するアッセイ、または分析手順である。適切には、LBAは、2つの反応物分子(例えば、受容体およびリガンドポリペプチド)の間の親和性の度合いの測度を提供する。例えば、一部の実施形態では、リガンド結合アッセイは、受容体(例えば、CD137)に対するリガンド分子(例えば、CD137L)の、存在、比率、結合の程度、またはその組合せを判定するために使用される。一部の実施形態では、受容体に結合するリガンドの存在、比率、および/または程度を判定するために、リガンド結合アッセイは、リガンド:受容体複合体の形成を検出する工程を含む。一部の実施形態では、受容体に結合するリガンドの存在、比率、および/または程度を判定するために、リガンド結合アッセイは、リガンド:受容体複合体の解離を判定する工程を含む。
【0504】
一部の実施形態では、リガンド:受容体複合体の形成および/または解離は、受容体と複合した蛍光標識リガンドの検出によって判定される。一部の実施形態では、リガンド:受容体複合体の形成および/または解離は、リガンドと複合した蛍光標識受容体の検出および/またはその量の数量化によって判定される。一部の実施形態では、リガンド:受容体複合体の形成および/または解離は、リガンド:受容体複合体に特異的に結合する蛍光標識抗体の検出および/またはその量の数量化によって判定される。蛍光を検出し数量化する方法は、当技術分野において公知であり、蛍光偏光法(FP)および蛍光異方性(FA)を含むが、それらに限定されるわけではない。
【0505】
一部の実施形態では、リガンド:受容体複合体の形成および/または解離は、受容体と複合した放射性標識リガンドの検出および/またはその量の数量化によって判定される。一部の実施形態では、リガンド:受容体複合体の形成および/または解離は、リガンドと複合した放射性標識受容体の検出および/またはその量の数量化によって判定される。一部の実施形態では、リガンド:受容体複合体の形成および/または解離は、リガンド:受容体複合体に特異的に結合する放射性標識抗体の検出および/またはその量の数量化によって判定される。放射線を検出し数量化する方法は、当技術分野において公知であり、定量的オートラジオグラフィーおよびシンチレーション計数を含むが、それらに限定されるわけではない。
【0506】
一部の実施形態では、リガンド:受容体複合体の形成および/または解離は、受容体と複合した生物発光標識リガンドの検出および/またはその量の数量化によって判定される。一部の実施形態では、リガンド:受容体複合体の形成および/または解離は、リガンドと複合した生物発光標識受容体の検出および/またはその量の数量化によって判定される。一部の実施形態では、リガンド:受容体複合体の形成および/または解離は、リガンド:受容体複合体に特異的に結合する生物発光標識抗体の検出および/またはその量の数量化によって判定される。生物発光を検出し数量化する方法は、当技術分野において公知であり、ルミノメトリーを含むが、それに限定されるわけではない。
【0507】
一部の実施形態では、リガンド:受容体複合体の形成および/または解離は、上記で記載されるように、表面プラズモン共鳴(SPR)によって判定される。
一部の実施形態では、リガンド結合アッセイは、受容体に特異的に結合する抗体(例えば、抗CD137抗体)がリガンド:受容体複合体の形成に影響を及ぼすかどうかを、抗体の存在下で受容体に結合するリガンドの存在、比率、および/または程度を判定することによって判定する。一部の実施形態では、受容体(例えば、CD137)に特異的に結合し、リガンド:受容体複合体(例えば、CD137:CD137L複合体)の形成を減少させる、妨害する、または遮断する抗体(例えば、抗CD137抗体)は、「リガンド遮断抗体」として知られる。一部の実施形態では、「リガンド遮断抗体」は、リガンド:受容体複合体(例えば、CD137:CD137L複合体)の形成を、リガンド遮断抗体の非存在下で生じるリガンド:受容体複合体(例えば、CD137:CD137L複合体)の形成と比較して少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%減少させ得る。一部の実施形態では、受容体(例えば、CD137)に特異的に結合し、リガンド:受容体複合体(例えば、CD137:CD137L複合体)の形成を減少させない、妨害しない、または遮断しない抗体(例えば、抗CD137抗体)は、「非リガンド遮断抗体」と称される。一部の実施形態では、「非リガンド遮断抗体」は、リガンド:受容体複合体(例えば、CD137:CD137L複合体)の形成を、非リガンド遮断抗体の非存在下で生じるリガンド:受容体複合体(例えば、CD137:CD137L複合体)の形成と比較して10%未満、5%未満、2%未満、または1%未満減少させ得る。したがって、一部の実施形態では、リガンド結合アッセイは、受容体に結合する抗体を、「リガンド遮断抗体」または「非リガンド遮断抗体」として特徴付ける。
【0508】
一部の実施形態では、リガンド結合アッセイは、受容体に特異的に結合し、リガンド:受容体複合体の形成を促進する抗体を特徴付ける。一部の実施形態では、リガンド結合アッセイは、受容体に特異的に結合し、リガンド:受容体複合体の形成を安定化する抗体を特徴付ける。一部の実施形態では、抗体によるリガンド:受容体複合体の形成の誘導および/または安定化は、抗体のアゴニスト効果に寄与する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、リガンド結合アッセイによって判定される場合に、CD137をアゴナイズする。
【0509】
一部の実施形態では、本開示の製剤は、リガンド結合アッセイ(LBA)によって判定される場合に、CD137に結合し、CD137L結合を誘導する、本明細書に記載される単離された抗CD137抗体またはその抗原結合性断片を含む。
【0510】
一部の実施形態では、本明細書に記載される単離された抗CD137抗体またはその抗原結合性断片は、リガンド結合アッセイによって判定される場合に、CD137に結合し、CD137L結合を誘導し、ここでリガンド結合アッセイは、以下の工程:
(i)抗CD137抗体をCD137およびCD137Lと様々な濃度で組み合わせる工程であって、CD137およびCD137LがCD137:CD137L複合体を形成する工程、ならびに
(ii)抗CD137抗体の存在下で経時的にCD137:CD137L複合体を検出する工程
を含み、ここで、抗CD137抗体の存在下でのCD137:CD137L複合体の増加は、抗CD137抗体がCD137へのCD137L結合を誘導することを示す。抗CD137抗体の存在下でのCD137:CD137L複合体の増加は、抗CD137抗体の非存在下でのCD137:CD137L複合体の量よりも少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、または少なくとも20倍大きい場合がある。
【0511】
一部の実施形態では、本明細書に記載される単離された抗CD137抗体またはその抗原結合性断片は、リガンド結合アッセイによって判定される場合に、CD137の非リガンド結合性領域に結合し、ここでリガンド結合アッセイは、以下の工程:
(i)抗CD137抗体をCD137およびCD137Lと様々な濃度で組み合わせる工程であって、CD137およびCD137LがCD137:CD137L複合体を形成する工程、ならびに
(ii)抗CD137抗体の存在下で経時的にCD137:CD137L複合体を検出する工程
を含み、ここで、抗CD137抗体の存在下でのCD137:CD137L複合体に変化がないことは、抗CD137抗体がCD137の非リガンド結合性領域に結合することを示す。一部の実施形態では、CD137:CD137L複合体の2%未満の変化は、抗CD137抗体がCD137の非リガンド結合性領域に結合することを示す。一部の実施形態では、CD137:CD137L複合体の5%未満の変化は、抗CD137抗体がCD137の非リガンド結合性領域に結合することを示す。一部の実施形態では、CD137:CD137L複合体の10%未満の変化は、抗CD137抗体がCD137の非リガンド結合性領域に結合することを示す。
【0512】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、バイオレイヤー干渉法によって判定される場合に、CD137の非リガンド結合性領域に結合する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、表面プラズモン共鳴イメージング(SPRi)によって判定される場合に、CD137の非リガンド結合性領域に結合する。一部の実施形態では、CD137およびCD137Lは、抗CD137抗体が予め充填された(すなわち、抗体がセンサー上に捕捉された)センサーに順次適用される。一部の実施形態では、非リガンド結合性領域への抗CD137抗体の結合は、CD137Lへの曝露に応答した増加によって示される。
【0513】
IV.CD137結合抗体の機能
一部の実施形態では、本開示の製剤は、ヒトCD137に結合する、本明細書に記載される抗CD137抗体またはその抗原結合性断片を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、約30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性(K)でヒトCD137に結合し、T細胞疲弊を阻害するまたは低下させる。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、約30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性(K)でヒトCD137に結合し、T細胞活性化を誘導するまたは増強する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、約30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性(K)でヒトCD137に結合し、免疫細胞によるサイトカイン産生を誘導するまたは増強する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、約30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性(K)でヒトCD137に結合し、T細胞増殖を誘導するまたは増強する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、約30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性(K)でヒトCD137に結合し、抗腫瘍有効性を呈する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、約30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性(K)でヒトCD137に結合し、マクロファージ分化および/または活性化を阻害するまたは低下させる。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、約30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性(K)でヒトCD137に結合し、NFκβシグナル伝達を誘導するまたは増強する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、約30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性(K)でヒトCD137に結合し、腫瘍微小環境への免疫細胞浸潤を誘導するまたは増強する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、約30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性(K)でヒトCD137に結合し、肝毒性を誘導しない。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、約30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性(K)でヒトCD137に結合し、細胞外CD137上の非リガンド結合性ドメインに結合する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、約30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性(K)でヒトCD137に結合し、CD137とCD137Lの相互作用を阻害しない。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、約30~100nM(例えば、約30nM~約100nM)の親和性(K)でヒトCD137に結合し、配列番号3のK114を含むエピトープに結合する。
【0514】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、T細胞疲弊を阻害しまたは低下させ、T細胞活性化を誘導するまたは増強する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、T細胞疲弊を阻害しまたは低下させ、免疫細胞によるサイトカイン産生を誘導するまたは増強する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、T細胞疲弊を阻害しまたは低下させ、T細胞増殖を誘導するまたは増強する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、T細胞疲弊を阻害しまたは低下させ、抗腫瘍有効性を呈する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、T細胞疲弊を阻害しまたは低下させ、マクロファージ分化および/または活性化を阻害するまたは低下させる。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、T細胞疲弊を阻害しまたは低下させ、NFκβシグナル伝達を誘導するまたは増強する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、T細胞疲弊を阻害しまたは低下させ、腫瘍微小環境への免疫細胞浸潤を誘導するまたは増強する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、T細胞疲弊を阻害しまたは低下させ、肝毒性を誘導しない。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、T細胞疲弊を阻害しまたは低下させ、細胞外CD137上の非リガンド結合性ドメインに結合する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、T細胞疲弊を阻害しまたは低下させ、CD137とCD137Lの相互作用を阻害しない。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、T細胞疲弊を阻害しまたは低下させ、配列番号3のK114を含むエピトープに結合する。
【0515】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、T細胞活性化を誘導しまたは増強し、免疫細胞によるサイトカイン産生を誘導するまたは増強する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、T細胞活性化を誘導しまたは増強し、T細胞増殖を誘導するまたは増強する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、T細胞活性化を誘導しまたは増強し、抗腫瘍有効性を呈する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、T細胞活性化を誘導しまたは増強し、マクロファージ分化および/または活性化を阻害するまたは低下させる。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、T細胞活性化を誘導しまたは増強し、NFκβシグナル伝達を誘導するまたは増強する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、T細胞活性化を誘導しまたは増強し、腫瘍微小環境への免疫細胞浸潤を誘導するまたは増強する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、T細胞活性化を誘導しまたは増強し、肝毒性を誘導しない。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、T細胞活性化を誘導しまたは増強し、細胞外CD137上の非リガンド結合性ドメインに結合する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、T細胞活性化を誘導しまたは増強し、CD137とCD137Lの相互作用を阻害しない。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、T細胞活性化を誘導しまたは増強し、配列番号3のK114を含むエピトープに結合する。
【0516】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、免疫細胞によるサイトカイン産生を誘導しまたは増強し、T細胞増殖を誘導するまたは増強する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、免疫細胞によるサイトカイン産生を誘導しまたは増強し、抗腫瘍有効性を呈する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、免疫細胞によるサイトカイン産生を誘導しまたは増強し、マクロファージ分化および/または活性化を阻害するまたは低下させる。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、免疫細胞によるサイトカイン産生を誘導しまたは増強し、NFκβシグナル伝達を誘導するまたは増強する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、免疫細胞によるサイトカイン産生を誘導しまたは増強し、腫瘍微小環境への免疫細胞浸潤を誘導するまたは増強する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、免疫細胞によるサイトカイン産生を誘導しまたは増強し、肝毒性を誘導しない。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、免疫細胞によるサイトカイン産生を誘導しまたは増強し、細胞外CD137上の非リガンド結合性ドメインに結合する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、免疫細胞によるサイトカイン産生を誘導しまたは増強し、CD137とCD137Lの相互作用を阻害しない。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、免疫細胞によるサイトカイン産生を誘導しまたは増強し、配列番号3のK114を含むエピトープに結合する。
【0517】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、T細胞増殖を誘導しまたは増強し、抗腫瘍有効性を呈する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、T細胞増殖を誘導しまたは増強し、マクロファージ分化および/または活性化を阻害するまたは低下させる。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、T細胞増殖を誘導しまたは増強し、NFκβシグナル伝達を誘導するまたは増強する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、T細胞増殖を誘導しまたは増強し、腫瘍微小環境への免疫細胞浸潤を誘導するまたは増強する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、T細胞増殖を誘導しまたは増強し、肝毒性を誘導しない。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、T細胞増殖を誘導しまたは増強し、細胞外CD137上の非リガンド結合性ドメインに結合する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、T細胞増殖を誘導しまたは増強し、CD137とCD137Lの相互作用を阻害しない。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、T細胞増殖を誘導しまたは増強し、配列番号3のK114を含むエピトープに結合する。
【0518】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、抗腫瘍有効性を呈し、マクロファージ分化および/または活性化を阻害するまたは低下させる。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、抗腫瘍有効性を呈し、NFκβシグナル伝達を誘導するまたは増強する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、抗腫瘍有効性を呈し、腫瘍微小環境への免疫細胞浸潤を誘導するまたは増強する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、抗腫瘍有効性を呈し、肝毒性を誘導しない。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、抗腫瘍有効性を呈し、細胞外CD137上の非リガンド結合性ドメインに結合する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、抗腫瘍有効性を呈し、CD137とCD137Lの相互作用を阻害しない。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、抗腫瘍有効性を呈し、配列番号3のK114を含むエピトープに結合する。
【0519】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、マクロファージ分化および/または活性化を阻害しまたは低下させ、NFκβシグナル伝達を誘導するまたは増強する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、マクロファージ分化および/または活性化を阻害しまたは低下させ、腫瘍微小環境への免疫細胞浸潤を誘導するまたは増強する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、マクロファージ分化および/または活性化を阻害しまたは低下させ、肝毒性を誘導しない。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、マクロファージ分化および/または活性化を阻害しまたは低下させ、細胞外CD137上の非リガンド結合性ドメインに結合する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、マクロファージ分化および/または活性化を阻害しまたは低下させ、CD137とCD137Lの相互作用を阻害しない。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、マクロファージ分化および/または活性化を阻害しまたは低下させ、配列番号3のK114を含むエピトープに結合する。
【0520】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、NFκβシグナル伝達を誘導しまたは増強し、腫瘍微小環境への免疫細胞浸潤を誘導するまたは増強する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、NFκβシグナル伝達を誘導しまたは増強し、肝毒性を誘導しない。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、NFκβシグナル伝達を誘導しまたは増強し、細胞外CD137上の非リガンド結合性ドメインに結合する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、NFκβシグナル伝達を誘導しまたは増強し、CD137とCD137Lの相互作用を阻害しない。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、NFκβシグナル伝達を誘導しまたは増強し、配列番号3のK114を含むエピトープに結合する。
【0521】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、腫瘍微小環境への免疫細胞浸潤を誘導しまたは増強し、肝毒性を誘導しない。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、腫瘍微小環境への免疫細胞浸潤を誘導しまたは増強し、細胞外CD137上の非リガンド結合性ドメインに結合する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、腫瘍微小環境への免疫細胞浸潤を誘導しまたは増強し、CD137とCD137Lの相互作用を阻害しない。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、腫瘍微小環境への免疫細胞浸潤を誘導しまたは増強し、配列番号3のK114を含むエピトープに結合する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、肝毒性を誘導せず、細胞外CD137上の非リガンド結合性ドメインに結合する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、肝毒性を誘導せず、CD137とCD137Lの相互作用を阻害しない。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、肝毒性を誘導せず、配列番号3のK114を含むエピトープに結合する。
【0522】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、細胞外CD137上の非リガンド結合性ドメインに結合し、CD137とCD137Lの相互作用を阻害しない。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、細胞外CD137上の非リガンド結合性ドメインに結合し、配列番号3のK114を含むエピトープに結合する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137アゴニスト抗体は、CD137とCD137Lの相互作用を阻害せず、配列番号3のK114を含むエピトープに結合する。
【0523】
エピトープマッピング
本開示は、ヒトCD137のエピトープに特異的に結合し、ヒトCD137のエピトープへの結合を参照mAb(例えば、mAb1)と競合する抗CD137抗体またはその抗原結合性断片を含む製剤を提供する。抗CD137抗体のエピトープを特徴付ける、マッピングする、または別様に解明する方法は、構造的方法、機能的方法、または計算的方法に群分けすることができる。抗体と、それが結合する対応する抗原との間の相互作用の精確な分子アーキテクチャを判定するのに特に適切な構造的方法は、X線結晶解析(あるいは「X線共結晶解析」)である。結合した抗体-抗原対の結晶構造により、抗原のエピトープと抗体のパラトープの両方における側鎖と主鎖の両方の原子から、個々のアミノ酸の間の主要な相互作用を非常に正確に判定することができる。互いから0.4ナノメートル(4オングストローム(Å))以内にあるアミノ酸は、一般的に、接触残基とみなされる。この方法論は典型的に、抗体および抗原の精製、複合体の形成および精製、それに続く、連続的な複数回の結晶化スクリーン、ならびに回折質の結晶を獲得するための最適化を伴う。構造解は、シンクロトロン源でのX線結晶解析後に高頻度に獲得される。エピトープマッピングの他の構造的方法には、質量分析と連動した水素-重水素交換、架橋と連動した質量分析、および核磁気共鳴(NMR)(例えば、Methods in Molecular Biology,第66巻,ジー.イー.モリス(G.E.Morris)編(1996)のEpitope Mapping Protocols、アボットら(Abbott et al.),(2014)Immunology 142(4):526-535を参照されたい)が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0524】
エピトープマッピングの機能的方法は、当技術分野において周知であり、典型的に、全タンパク質、タンパク質断片またはペプチドへの抗体結合の査定または数量化を伴う。エピトープマッピングの機能的方法は、例えば、線状エピトープもしくは立体構造エピトープを同定するために使用することができ、および/または2つ以上の個別の抗体が同じもしくは同様のエピトープに結合するときを推測するために使用することができる。エピトープマッピングの機能的方法は、例えば、CD137の重複または連続するペプチドが、抗CD137抗体、例えば、mAb1との反応性について試験される、イムノブロッティングおよび免疫沈降アッセイを含む。エピトープマッピングの他の機能的方法は、アレイに基づくオリゴペプチドスキャニング(あるいは「重複ペプチドスキャニング」または「ペプスキャン分析」としても公知)、部位指向性突然変異誘発(例えば、アラニンスキャニング突然変異誘発)、およびハイスループット突然変異誘発マッピング(例えば、ショットガン突然変異誘発マッピング)を含む。
【0525】
競合結合アッセイは、例えば、固相直接または間接放射イムノアッセイ(RIA)、固相直接または間接酵素イムノアッセイ(EIA)、サンドイッチ競合アッセイ(スターリら(Stahli et al.),Methods in Enzymology 9:242(1983)参照);固相直接ビオチン-アビジンEIA(カークランドら(Kirkland et al.),J.Immunol.137:3614(1986)参照);固相直接標識アッセイ、固相直接標識サンドイッチアッセイ(ハーロウ(Harlow)およびレイン(Lane),Antibodies:A Laboratory Manual,コールドスプリングハーバープレス(Cold Spring Harbor Press)(1988)参照);I-125標識を使用した固相直接標識RIA(モレルら(Morel et al.),Mol.Immunol.25(1):7(1988)参照);固相直接ビオチン-アビジンEIA(チャンら(Cheung et al.),Virology 176:546(1990));および直接標識RIAなど、多数の種類が知られている。(モルデンハウアーら(Moldenhauer et al.),Scand.J.Immunol.32:77(1990))。典型的に、そのようなアッセイは、固体表面または細胞に結合した精製抗原、ならびに1)未標識の試験抗原結合性タンパク質および標識された参照抗原結合性タンパク質、または2)標識された試験抗原結合性タンパク質および未標識の参照抗原結合性タンパク質のいずれかの使用を伴う。競合阻害は、試験抗原結合性タンパク質の存在下で固体表面または細胞に結合した標識の量を判定することによって測定される。通常、試験抗原結合性タンパク質は余剰に存在する。競合アッセイによって同定される抗原結合性タンパク質(競合する抗原結合性タンパク質)には、参照抗原結合性タンパク質(例えば、mAb1)と同じエピトープに結合する抗原結合性タンパク質、および、立体障害が生じるように参照抗原結合性タンパク質(例えば、mAb1)によって結合されるエピトープに十分に近接した近隣のエピトープに結合する抗原結合性タンパク質が含まれる。競合結合を判定する方法に関する付加的な詳細は、本明細書の実施例において提供される。通常、競合する抗原結合性タンパク質が余剰に(例えば、約1倍、約5倍、約10倍、約20倍、約50倍、または約100倍余剰に)存在するとき、それは、共通の抗原に対する参照抗原結合性タンパク質の特異的結合を、少なくとも約40~45%、約45~50%、約50~55%、約55~60%、約60~65%、約65~70%、約70~75%、または約75%以上阻害する(例えば、低下させるまたは遮断する)。場合によっては、結合は、少なくとも約80~85%、約85~90%、約90~95%、約95~97%、または約97%以上阻害される。
【0526】
部位指向性突然変異誘発方法は、標的化された部位指向性突然変異誘発を伴い、ここで、重要なアミノ酸は、タンパク質配列に沿って置換を体系的に導入し、次いで、各置換が抗体結合に及ぼす効果を判定することによって同定される。これは、「アラニンスキャニング突然変異誘発」(カニンガム(Cunningham)およびウェルズ(Wells)(1989)Science 244:1081-085)、またはCD137におけるアミノ酸残基の何らかの他の形態の点突然変異誘発によって行われ得る。理論に束縛されるものではないが、2つ以上の抗体(例えば、試験抗体および参照抗体、例えば、mAb1)は、抗原における、第1の抗体の結合を低下させるまたは排除する本質的にすべてのアミノ酸突然変異が、第2またはそれ以降の抗体の結合を低下させるまたは排除する場合、同じエピトープを有する。
【0527】
ショットガン突然変異誘発マッピングは、標的遺伝子の網羅的なプラスミド突然変異ライブラリーを利用し、このライブラリー内の各クローンは、固有のアミノ酸突然変異を担持し、ライブラリー全体は、標的タンパク質におけるあらゆるアミノ酸をカバーしている。突然変異ライブラリーを成すクローンは、個別にマイクロプレート内に配され、生きた哺乳動物細胞内で発現され、目的の抗体との免疫反応性について試験される。抗体エピトープに重要なアミノ酸は、反応性の消失によって同定され、次いで、エピトープを可視化するためにタンパク質構造上にマッピングされる。哺乳動物細胞における標的タンパク質抗原の発現は、しばしば、標的タンパク質抗原の天然構造をもたらし、これにより、線状エピトープと立体構造エピトープの両方の構造を複合タンパク質上にマッピングすることが可能になる。(パイスら(Paes et al.),J.Am.Chem.Soc.131(20):6952-6954(2009)、バニク(Banik)およびドランツ(Doranz),Genetic Engineering and Biotechnology News 3(2):25-28(2010))。
【0528】
抗CD137抗体によって結合されるエピトープは、ペプチドスキャニング方法を使用して判定することもできる。ペプチドスキャニングでは、標的タンパク質CD137の重複するセグメントからの短いペプチド配列のライブラリーを、目的の抗体に結合する能力について試験する。ペプチドを合成し、例えばELISAもしくはBIACOREを使用して、またはチップ上で、「ペプスキャン」方法論(WO84/03564、WO93/09872)にあるような固相スクリーニング(ライネッケら(Reineke et al),Curr.Opin.Biotechnol.12:59-64,2001)の複数の方法のいずれかによって、結合についてスクリーニングする。
【0529】
クリップス(CLIPS:chemical linkage of peptides onto scaffolds)と呼ばれる最近開発された技術は、立体構造エピトープをマッピングするために使用され得る。ペプチドの自由な端が合成足場上に固着され、その結果、足場の付いたペプチドは、インタクトなタンパク質における対応する配列と同じ空間的構造をとることができ得る。CLIPS技術は、抗体結合についてアッセイされ得る立体構造エピトープを生み出すように、線状ペプチドを環状構造体に固定するため(「単一ループ」フォーマット)、およびタンパク質結合部位の種々の部分をひとつにするため(「二重ループ」フォーマット、「三重ループ」フォーマット等)に使用される。(米国特許第7,972,993号)。
【0530】
本開示によって提供される抗体によって結合されるエピトープは、計算的方法を使用してマッピングすることもできる。これらの方法では、例えば、ペプチド断片のライブラリーが、ファージまたは細胞の表面上で呈示される。次いで、選択的結合アッセイを使用して、これらの断片に対して抗体をスクリーニングすることにより、エピトープがマッピングされる。ファージディスプレイを使用して獲得された、線状の親和性選択されたペプチドに基づく立体構造エピトープの予測を可能にする、いくつかの計算的ツールが開発されている(メイローズら(Mayrose et al.),(2007)Bioinformatics 23:3244-3246)。ファージディスプレイによって立体構造エピトープを検出する方法も利用可能である。微生物ディスプレイシステムを使用して、立体構造エピトープの同定のために、適正にフォールディングされた抗原性断片を細胞表面上で発現させてもよい(コクランら(Cochran et al.),J.Immunol.Meth.287:147-158,2004、ロックバーグら(Rockberg et al.),Nature Methods 5:1039-1045,2008)。
【0531】
タンパク質分解および質量分光法を伴う方法を使用して、抗体エピトープを判定することもできる(バイエガ-オルティスら(Baerga-Ortiz et al.),Protein Sci.2002 June;11(6):1300-1308)。限定タンパク質分解では、抗原が抗体の存在下および非存在下で種々のプロテアーゼによって切断され、断片が質量分析によって同定される。エピトープは、抗原のうち、抗体が結合するとタンパク質分解から保護される領域である(サッカウら(Suckau et al.),Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:9848-9852,1990)。付加的なタンパク質分解に基づく方法には、例えば、選択的化学修飾(フィードラーら(Fiedler et al.),Bioconjugate Chemistry 1998,9(2):236-234,1998)、エピトープ切除(バンデウォーターら(Van de Water et al.),Clin.Immunol.Immunopathol.1997,85(3):229-235,1997)、および最近開発された方法の水素-重水素(H/D)交換(フラナガン、エヌ(Flanagan,N.),Genetic Engineering and Biotechnology News 3(2):25-28,2010)が含まれる。
【0532】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、突然変異誘発および哺乳動物ディスプレイによって判定される場合に、配列番号3のアミノ酸残基111~135内に位置するエピトープに結合する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、突然変異誘発および哺乳動物ディスプレイによって判定される場合に、配列番号3のK114を含むエピトープに結合する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、突然変異誘発および哺乳動物ディスプレイによって判定される場合に、配列番号3のE111、T113、およびK114を含むエピトープに結合する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、突然変異誘発および哺乳動物ディスプレイによって判定される場合に、配列番号3のE111、T113、K114、およびP135を含むエピトープに結合する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、突然変異誘発および哺乳動物ディスプレイによって判定される場合に、配列番号3のE111、T113、K114、N126、I132、およびP135を含むエピトープに結合する。
【0533】
抗CD137抗体およびその抗原結合性断片を産生する方法
本開示は、本明細書に記載される抗CD137抗体またはその抗原結合性断片のいずれかを産生する方法も特色とする。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗体を調製する方法は、対象(例えば、非ヒト哺乳動物)を適当な免疫原で免疫化する工程を含み得る。本明細書に記載される抗体のいずれかを生成するのに適切な免疫原は、本明細書に明記される。例えば、CD137に結合する抗体を生成するには、当業者は、適切な対象(例えば、ラット、マウス、アレチネズミ、ハムスター、イヌ、ネコ、ブタ、ヤギ、ウマ、または非ヒト霊長類等の非ヒト哺乳動物)を、配列番号3に示したアミノ酸配列を含む完全長ヒトCD137ポリペプチド等の完全長CD137ポリペプチドで免疫化することができる。
【0534】
適切な対象(例えば、非ヒト哺乳動物)は、哺乳動物による抗体の産生を引き出すのに十分な回数の後続のブースター免疫化とあわせた適当な抗原で免疫化され得る。免疫原は、対象(例えば、非ヒト哺乳動物)にアジュバントとともに投与されてもよい。対象において抗体を産生するのに有用なアジュバントには、タンパク質アジュバント;細菌アジュバント、例えば、全細菌(BCG、Corynebacterium parvum、またはSalmonella minnesota)、および細胞壁骨格、トレハロースジミコレート、モノホスホリルリピドA、結核菌(tubercle bacillus)のメタノール抽出可能残基(MER)、完全型または不完全型のフロイントアジュバントを含む細菌構成要素;ウイルスアジュバント;化学アジュバント、例えば、水酸化アルミニウム、ならびにヨード酢酸およびコレステリルヘミスクシネートが含まれるが、それらに限定されるわけではない。免疫応答を誘導する方法において使用され得る他のアジュバントは、例えば、コレラ毒素およびパラポックスウイルスタンパク質を含む。ビーグら(Bieg et al.)(1999)Autoimmunity 31(1):15-24も参照されたい。また例えば、ロドメルら(Lodmell et al.)(2000)Vaccine 18:1059-1066、ジョンソンら(Johnson et al.)(1999)J Med Chem 42:4640-4649、ボールドリッジら(Baldridge et al.)(1999)Methods 19:103-107、およびグプタら(Gupta et al.)(1995)Vaccine 13(14):1263-1276も参照されたい。
【0535】
一部の実施形態では、本方法は、免疫原に結合するモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマ細胞系を調製する工程を含む。例えば、実験室マウス等の適切な哺乳動物が、上で記載されているようにCD137ポリペプチドで免疫化される。免疫化された哺乳動物の抗体産生細胞(例えば、脾臓のB細胞)は、免疫原の少なくとも1回のブースター免疫化から2~4日後に単離し、次いで培養下で短時間成長させた後、適切な骨髄腫細胞系の細胞と融合することができる。これらの細胞は、例えば、ワクシニアウイルスまたはポリエチレングリコール等の融合プロモーターの存在下で融合させることができる。融合において獲得されたハイブリッド細胞をクローニングし、所望の抗体を分泌する細胞クローンを選択する。例えば、適切な免疫原で免疫化されたBalb/cマウスの脾臓細胞は、骨髄腫細胞系PAIまたは骨髄腫細胞系Sp2/0-Ag 14の細胞と融合させることができる。融合後、通常の骨髄腫細胞が所望のハイブリドーマ細胞を過成長させることを阻止するために、規則的な間隔で、選択培地、例えばHAT培地が補われた適切な培養培地において、細胞を増大させる。獲得されたハイブリドーマ細胞を、次いで、所望の抗体、例えば、CD137に結合する抗体の分泌についてスクリーニングする。
【0536】
一部の実施形態では、当業者は、例えば、米国特許第6,300,064号(ナピックら(Knappik et al.);モルフォシス エージー(Morphosys AG))およびショーンブロートら(Schoonbroodt et al.)(2005)Nucleic Acids Res 33(9):e81に記載されているような非免疫バイアスライブラリーから抗CD137抗体を同定することができる。
【0537】
一部の実施形態では、本明細書に記載される方法は、例えば、ファージディスプレイ技術、細菌ディスプレイ、酵母表面ディスプレイ、真核生物ウイルスディスプレイ、哺乳動物細胞ディスプレイ、および無細胞(例えば、リボソームディスプレイ)抗体スクリーニング技法(例えば、エッツら(Etz et al.)(2001)J Bacteriol 183:6924-6935、コルネリス(Cornelis)(2000)Curr Opin Biotechnol 11:450-454、クレムら(Klemm et al.)(2000)Microbiology 146:3025-3032、キークら(Kieke et al.)(1997)Protein Eng 10:1303-1310、イェンら(Yeung et al.)(2002)Biotechnol Prog 18:212-220、ボダーら(Boder et al.)(2000)Methods Enzymology 328:430-444、グラバーら(Grabherr et al.)(2001)Comb Chem High Throughput Screen 4:185-192、ミハエルら(Michael et al.)(1995)Gene Ther 2:660-668、ペレボエフら(Pereboev et al.)(2001)J Virol 75:7107-7113、シャフィッツェルら(Schaffitzel et al.)(1999)J Immunol Methods 231:119-135、およびヘインズら(Hanes et al.)(2000)Nat Biotechnol 18:1287-1292を参照されたい)を伴うか、またはこれらと併せて使用され得る。
【0538】
様々なファージディスプレイ方法を使用して抗体を同定する方法は、当技術分野において公知である。ファージディスプレイ方法では、機能的抗体ドメインが、それらをコードするポリヌクレオチド配列を持つファージ粒子の表面上で呈示される。そのようなファージは、レパートリーまたはコンビナトリアル抗体ライブラリー(例えば、ヒトまたはマウス)から発現されるFab、Fv、またはジスルフィド結合安定化Fv抗体断片等の抗体の抗原結合性ドメインを呈示するために利用され得る。これらの方法で使用されるファージは、典型的に、fdおよびM13等の繊維状ファージである。抗原結合性ドメインは、ファージコートタンパク質pIII、pVIII、またはpIXのいずれかに対する組換え融合タンパク質として発現される。例えば、シャイら(Shi et al.)(2010)JMB 397:385-396を参照されたい。本明細書に記載される免疫グロブリンまたはその断片を作製するために使用され得るファージディスプレイ方法の例には、ブリンクマンら(Brinkman et al.)(1995)J Immunol Methods 182:41-50、エームズら(Ames et al.)(1995)J Immunol Methods 184:177-186、ケトルボローら(Kettleborough et al.)(1994)Eur J Immunol 24:952-958、ペルシックら(Persic et al.)(1997)Gene 187:9-18、バートンら(Burton et al.)(1994)Advances in Immunology 57:191-280、ならびにPCT公報第WO90/02809号、第WO91/10737号、第WO92/01047号、第WO92/18619号、第WO93/11236号、第WO95/15982号、および第WO95/20401号において開示されているものが含まれる。適切な方法は、例えば、米国特許第5,698,426号、第5,223,409号、第5,403,484号、第5,580,717号、第5,427,908号、第5,750,753号、第5,821,047号、第5,571,698号、第5,427,908号、第5,516,637号、第5,780,225号、第5,658,727号、第5,733,743号、および第5,969,108号にも記載されている。
【0539】
一部の実施形態では、ファージディスプレイ抗体ライブラリーは、免疫化された哺乳動物由来のB細胞から収集されたmRNAを使用して生成され得る。例えば、B細胞を含む脾細胞試料が、上で記載されているようにCD137ポリペプチドで免疫化されたマウスから単離され得る。mRNAが細胞から単離され、標準的な分子生物学技法を使用してcDNAへと変換され得る。例えば、サンブルックら(Sambrook et al.)(1989)「Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Edition」,コールドスプリングハーバーラボラトリープレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press),[米国ニューヨーク州コールドスプリングハーバー(Cold Spring Harbor)所在]、ハーロウ(Harlow)およびレイン(Lane)(1988)(上記)、ベニー ケー.シー.ロー(Benny K.C.Lo)(2004)(上記)、ならびにボルベック(Borrebaek)(1995)(上記)を参照されたい。免疫グロブリンの重鎖および軽鎖ポリペプチドの可変領域をコードするcDNAは、ファージディスプレイライブラリーを構築するために使用される。そのようなライブラリーを生成する方法は、例えば、メルツら(Merz et al.)(1995)J Neurosci Methods 62(1-2):213-9、ディニーロら(Di Niro et al.)(2005)Biochem J 388(Pt 3):889-894、およびエングバーグら(Engberg et al.)(1995)Methods Mol Biol 51:355-376に記載されている。
【0540】
一部の実施形態では、選択およびスクリーニングの組合せを採用して、例えば、ハイブリドーマ由来抗体の集団またはファージディスプレイ抗体ライブラリーから、目的の抗体を同定することができる。適切な方法は当技術分野において公知であり、例えば、フーゲンブーム(Hoogenboom)(1997)Trends in Biotechnology 15:62-70、ブリンクマンら(Brinkman et al.)(1995)(上記)、エームズら(Ames et al.)(1995)(上記)、ケトルボローら(Kettleborough et al.)(1994)(上記)、ペルシックら(Persic et al.)(1997)(上記)、およびバートンら(Burton et al.)(1994)(上記)に記載されている。例えば、バクテリオファージコートタンパク質(例えば、M13ファージのpIII、pVIII、またはpIX)および異なる抗原結合領域の融合タンパク質をそれぞれがコードする複数のファージミドベクターが、標準的な分子生物学技法を使用して産生され、次いで細菌(例えば、大腸菌(E.coli))の集団へと導入される。細菌におけるバクテリオファージの発現は、一部の実施形態では、ヘルパーファージの使用を要する場合がある。一部の実施形態では、ヘルパーファージは要されない(例えば、チャスティーンら(Chasteen et al.),(2006)Nucleic Acids Res 34(21):e145を参照されたい)。細菌から産生されたファージは回収し、次いで、例えば、固体支持体に結合(固定化)した標的抗原と接触させる。ファージは溶液中の抗原と接触させてもよく、この複合体を後に固体支持体に結合させる。
【0541】
上記の方法を使用してスクリーニングされた抗体の分集団は、当技術分野において公知である任意の免疫学または生化学に基づく方法を使用して、それらの特定の抗原(例えば、ヒトCD137)に対する特異性および結合親和性について特徴付けられ得る。例えば、CD137への抗体の特異的結合は、上で記載されているように、例えば、ELISAアッセイ、SPRアッセイ、免疫沈降アッセイ、親和性クロマトグラフィー、および平衡透析等であるがそれらに限定されない、免疫学または生化学に基づく方法を使用して判定され得る。抗体の免疫特異的結合および交差反応性を分析するために使用され得るイムノアッセイには、ウエスタンブロット、RIA、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、「サンドイッチ」イムノアッセイ、免疫沈降アッセイ、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、補体固定アッセイ、免疫放射線アッセイ、蛍光イムノアッセイ、およびプロテインAイムノアッセイ等の技法を使用した、競合および非競合のアッセイシステムが含まれるが、それらに限定されるわけではない。そのようなアッセイは定法であり、当技術分野において周知である。
【0542】
上記の方法は、例えば、抗CD137抗体が完全長のヒトCD137および/またはCD137タンパク質に結合しないかどうかを判定するためにも使用され得ることが理解される。
【0543】
選択されたCDRアミノ酸配列が短い配列(例えば、10~15個よりも少ないアミノ酸の長さ)である実施形態では、CDRをコードする核酸は、例えば、シライシら(Shiraishi et al.)(2007)Nucleic Acids Symposium Series 51(1):129-130および米国特許第6,995,259号に記載されているように、化学合成され得る。アクセプター抗体をコードする所与の核酸配列では、核酸配列のうちCDRをコードする領域が、標準的な分子生物学技法を使用して、化学合成された核酸で置換されてもよい。化学合成された核酸の5’末端および3’末端は、ドナー抗体の可変領域をコードする核酸へと核酸をクローニングするのに使用される粘着末端制限酵素部位を含むように合成することができる。あるいは、一緒になると抗体をコードすることができる化学合成された核酸の断片を、当技術分野において公知のDNAアセンブリー技法(例えば、ギブソン(Gibson)アセンブリー)を使用して接合してもよい。
【0544】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、対応する未変化の定常領域と比べて低下したエフェクター機能を有する(またはエフェクター機能を有しない)、変化した重鎖定常領域を含む。抗CD137抗体の定常領域が関わるエフェクター機能は、定常領域またはFc領域の特性を変化させることによってモジュレートされ得る。変化したエフェクター機能には、例えば、以下の活性:抗体依存性細胞傷害(ADCC)、補体依存性細胞傷害(CDC)、アポトーシス、1つまたは複数のFc受容体への結合、および炎症促進性応答のうちの1つまたは複数のモジュレーションが含まれる。モジュレーションとは、未変化形態の定常領域の活性と比較した、変化した定常領域を含有する対象抗体によって呈されるエフェクター機能活性の増加、減少、または排除を指す。特定の実施形態では、モジュレーションには、活性が消滅している、または全く存在しない状況が含まれる。
【0545】
変化したFcR結合親和性および/もしくはADCC活性ならびに/または変化したCDC活性を有する、変化した定常領域は、未変化形態の定常領域と比較して増強あるいは減弱したFcR結合活性および/またはADCC活性および/またはCDC活性を有するポリペプチドである。FcRへの増加した結合を呈示する変化した定常領域は、未変化のポリペプチドよりも高い親和性で、少なくとも1つのFcRに結合する。FcRへの減少した結合を呈示する変化した定常領域は、未変化形態の定常領域よりも低い親和性で、少なくとも1つのFcRに結合する。そのような、FcRへの減少した結合を呈示するバリアントは、FcRに対する感知可能な結合性をほとんどまたは全く保有しない、例えば、FcRに対する天然配列免疫グロブリン定常領域またはFc領域の結合のレベルと比較して0~50%(例えば、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1%未満)の、FcRに対する結合性を保有する場合がある。同様に、モジュレートされたADCCおよび/またはCDC活性を呈示する変化した定常領域は、未変化の定常領域と比較して増加あるいは低下したADCCおよび/またはCDC活性を呈し得る。例えば、一部の実施形態では、変化した定常領域を含む抗CD137抗体は、未変化形態の定常領域のADCCおよび/またはCDC活性のおよそ0~50%(例えば、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1%未満)を呈し得る。低下したADCCおよび/またはCDCを呈示する変化した定常領域を含む、本明細書に記載される抗CD137抗体は、低下したADCCおよび/またはCDC活性を呈するか、またはADCCおよび/またはCDC活性を呈さない場合がある。
【0546】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体は、低下したエフェクター機能を呈するか、またはエフェクター機能を呈さない。一部の実施形態では、抗CD137抗体は、G2/G4ハイブリッド定常領域(例えば、バートンら(Burton et al.)(1992)Adv Immun 51:1-18、カンフィールドら(Canfield et al.)(1991)J Exp Med 173:1483-1491、およびミュラーら(Mueller et al.)(1997)Mol Immunol 34(6):441-452参照)のようなハイブリッド定常領域またはその一部分を含む。上記を参照されたい。
【0547】
一部の実施形態では、抗CD137抗体は、増強または低下した補体依存性細胞傷害(CDC)を呈する変化した定常領域を含有し得る。モジュレートされたCDC活性は、抗体のFc領域内に1つまたは複数のアミノ酸置換、挿入、または欠失を導入することによって達成され得る。例えば、米国特許第6,194,551号を参照されたい。あるいは、または付加的に、システイン残基(複数可)をFc領域に導入することにより、この領域における鎖間ジスルフィド結合形成を可能にしてもよい。このように生成されたホモ二量体抗体は、向上もしくは低下した内在化能力および/または増加もしくは減少した補体媒介性細胞死滅を有し得る。例えば、キャロンら(Caron et al.)(1992)J Exp Med 176:1191-1195およびショープス(Shopes)(1992)Immunol 148:2918-2922、PCT公報第WO99/51642号および第WO94/29351号、ダンカン(Duncan)およびウィンター(Winter)(1988)Nature 322:738-40、ならびに米国特許第5,648,260号および第5,624,821号を参照されたい。
【0548】
組換え抗体の発現および精製
本開示の製剤のいずれかに使用するための、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合性断片は、分子生物学およびタンパク質化学の技術分野において公知の様々な技法を使用して産生することができる。例えば、抗体の重鎖および軽鎖ポリペプチドの一方または両方をコードする核酸は、例えば、プロモーター配列、リボソーム結合部位、転写開始配列および転写停止配列、翻訳開始配列および翻訳停止配列、転写ターミネーターシグナル、ポリアデニル化シグナル、ならびにエンハンサーまたは活性化因子配列を含む、転写調節配列および翻訳調節配列を含有する発現ベクターへと挿入され得る。調節配列は、プロモーターならびに転写開始配列および転写停止配列を含む。加えて、発現ベクターは、2つの異なる生物において、例えば、発現のための哺乳動物細胞または昆虫細胞において、ならびにクローニングおよび増幅のための原核生物宿主において維持され得るように、1つを上回る複製システムを含み得る。
【0549】
哺乳動物細胞における核酸からクローニングされた重鎖および軽鎖ポリペプチドの発現のためには、いくつかの可能なベクターシステムが利用可能である。ベクターの1つのクラスは、所望の遺伝子配列の宿主細胞ゲノムへの組み込みに依拠する。安定に組み込まれたDNAを有する細胞は、大腸菌gpt(マリガン(Mulligan)およびバーグ(Berg)(1981)Proc Natl Acad Sci USA 78:2072)またはTn5 neo(サザン(Southern)およびバーグ(Berg)(1982)Mol Appl Genet 1:327)等の薬物耐性遺伝子を同時に導入することによって選択され得る。選択可能なマーカー遺伝子は、発現させようとするDNA遺伝子配列に連結させてもよいし、またはコトランスフェクション(ウィグラーら(Wigler et al.)(1979)Cell 16:77)によって同じ細胞に導入してもよい。ベクターの第2のクラスは、自己複製能力を染色体外プラスミドに付与するDNAエレメントを利用する。これらのベクターは、ウシパピローマウイルス(サーバーら(Sarver et al.)(1982)Proc Natl Acad Sci USA,79:7147)、サイトメガロウイルス、ポリオーマウイルス(ディーンズら(Deans et al.)(1984)Proc Natl Acad Sci USA 81:1292)、またはSV40ウイルス(ラスキー(Lusky)およびボッチャン(Botchan)(1981)Nature 293:79)等の動物ウイルスに由来し得る。
【0550】
発現ベクターは、後続の核酸発現に適切な様式で細胞に導入され得る。導入の方法は、下記に詳解する標的の細胞タイプに大きく左右される。例示的な方法には、CaPO沈殿、リポソーム融合、カチオン性リポソーム、電気穿孔、ウイルス感染、デキストラン媒介性トランスフェクション、ポリブレン媒介性トランスフェクション、プロトプラスト融合、および直接微量注入が含まれる。
【0551】
抗体またはその抗原結合性断片の発現のために適当な宿主細胞には、酵母、細菌、昆虫、植物、および哺乳動物細胞が含まれる。特に関心対象となるのは、大腸菌等の細菌、Saccharomyces cerevisiaeおよびPichia pastoris等の真菌、SF9等の昆虫細胞、哺乳動物細胞系(例えば、ヒト細胞系)、ならびに初代細胞系である。
【0552】
一部の実施形態では、抗体またはその断片は、トランスジェニック動物(例えば、トランスジェニック哺乳動物)において発現され、この動物から精製され得る。例えば、抗体は、例えば、ホーデバイン(Houdebine)(2002)Curr Opin Biotechnol 13(6):625-629、フォン カウク-ロメインら(van Kuik-Romeijn et al.)(2000)Transgenic Res 9(2):155-159、およびポラックら(Pollock et al.)(1999)J Immunol Methods 231(1-2):147-157に記載されているように、トランスジェニック非ヒト哺乳動物(例えば、齧歯動物)において産生され、乳汁から単離されてもよい。
【0553】
抗体およびその断片は、抗体または断片をコードする核酸を含有する発現ベクターで形質転換された宿主細胞を、タンパク質の発現を可能にするために十分な条件下で、かつ十分な時間にわたって培養することにより、細胞から産生することができる。そのようなタンパク質発現条件は、発現ベクターおよび宿主細胞の選択によって異なり、当業者には定法による実験を通じて容易に確認されよう。例えば、大腸菌で発現された抗体は、封入体からリフォールディングされ得る(例えば、ホウら(Hou et al.)(1998)Cytokine 10:319-30を参照されたい)。細菌発現システムおよびそれらの使用方法は、当技術分野において周知である(Current Protocols in Molecular Biology,ワイリー&サンズ(Wiley&Sons)、およびMolecular Cloning--A Laboratory Manual--3rd Ed.,コールドスプリングハーバーラボラトリープレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press),[米国ニューヨーク州所在](2001)参照)。コドン、適切な発現ベクター、および適切な宿主細胞の選択は、いくつかの要因に応じて異なり、必要に応じて容易に最適化され得る。本明細書に記載される抗体(またはその断片)は、哺乳動物細胞において、または酵母、バキュロウイルス、およびin vitro発現システム(例えば、カシューブスカら(Kaszubska et al.)(2000)Protein Expression and Purification 18:213-220を参照されたい)を含むがそれらに限定されない他の発現システムにおいて発現され得る。
【0554】
発現後、抗体およびその断片は単離され得る。抗体またはその断片は、他にどのような構成要素が試料中に存在するかに応じて、当業者に公知の様々な方法で単離または精製され得る。標準的な精製方法には、電気泳動的技法、分子的技法、免疫学的技法、ならびにイオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー、および逆相HPLCクロマトグラフィーを含めたクロマトグラフィーの技法が含まれる。例えば、抗体は、標準的な抗抗体カラム(例えば、プロテインAカラムまたはプロテインGカラム)を使用して精製することができる。タンパク質濃縮と併せた限外濾過および透析濾過技法も有用である。例えば、スコープス(Scopes)(1994)「Protein Purification,3rd edition」、シュプリンガーヴェルラグ(Springer-Verlag)[米国ニューヨーク州ニューヨーク市所在]を参照されたい。必要な精製の度合いは、所望の使用に応じて異なる。場合によっては、発現した抗体またはその断片の精製は必要ない。
【0555】
精製された抗体またはその断片の収量または純度を判定する方法は、当技術分野において公知であり、例えば、ブラッドフォード(Bradford)アッセイ、UV分光法、ビウレットタンパク質アッセイ、ローリー(Lowry)タンパク質アッセイ、アミドブラックタンパク質アッセイ、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、質量分析(MS)、およびゲル電気泳動方法(例えば、クーマシーブルーまたはコロイド銀染料等のタンパク質染料を使用する)を含む。
【0556】
抗体またはその抗原結合性断片の修飾
本開示の製剤のいずれかに使用するための抗体またはその抗原結合性断片は、それらの発現および精製後に修飾されてもよい。修飾は、共有結合性修飾であっても非共有結合性修飾であってもよい。そのような修飾は、例えば、ポリペプチドの標的のアミノ酸残基を、選択された側鎖または末端残基と反応することができる有機誘導体化剤と反応させることにより、抗体または断片に導入することができる。修飾に適切な部位は、例えば、抗体または断片の構造分析またはアミノ酸配列分析を含め、様々な基準のいずれかを使用して選択することができる。
【0557】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、異種部分とコンジュゲートしてもよい。異種部分は、例えば、異種ポリペプチド、治療剤(例えば、毒素または薬物)、もしくは放射性標識、酵素標識、蛍光標識、重金属標識、発光標識等であるがそれらに限定されない検出可能な標識、またはビオチンもしくはストレプトアビジン等の親和性タグであり得る。適切な異種ポリペプチドには、例えば、抗体または断片の精製において使用される、抗原性タグ(例えば、FLAG(DYKDDDDK;配列番号98)、ポリヒスチジン(6-His;HHHHHH;配列番号99)、ヘマグルチニン(HA;YPYDVPDYA;配列番号100)、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)、またはマルトース結合性タンパク質(MBP))が含まれる。異種ポリペプチドには、診断的マーカーまたは検出可能なマーカーとして有用なポリペプチド(例えば、酵素)、例えば、ルシフェラーゼ、蛍光タンパク質(例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP))、またはクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)も含まれる。適切な放射性標識には、例えば、32P、33P、14C、125I、131I、35S、およびHが含まれる。適切な蛍光標識には、限定されることなく、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、緑色蛍光タンパク質(GFP)、DYLIGHT(商標)488、フィコエリトリン(PE)、ヨウ化プロピジウム(PI)、PerCP、PE-ALEXA FLUOR(登録商標)700、Cy5、アロフィコシアニン、およびCy7が含まれる。発光標識には、例えば、様々な発光ランタニド(例えば、ユーロピウムまたはテルビウム)キレート化合物のいずれかが含まれる。例えば、適切なユーロピウムキレート化合物には、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)またはテトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸(DOTA)のユーロピウムキレート化合物が含まれる。酵素標識には、例えば、アルカリホスファターゼ、CAT、ルシフェラーゼ、および西洋ワサビペルオキシダーゼが含まれる。
【0558】
2つのタンパク質(例えば、抗体および異種部分)は、いくつかの公知の化学架橋剤のいずれかを使用して架橋することができる。そのような架橋剤の例は、「ヒンダード」ジスルフィド結合を含む連結を介して2つのアミノ酸残基を連結させるものである。これらの連結において、架橋単位内のジスルフィド結合は、例えば、還元型グルタチオンまたは酵素ジスルフィドレダクターゼの作用による還元から(ジスルフィド結合のいずれかの側におけるヒンダー基により)保護される。1つの適切な試薬である4-スクシンイミジルオキシカルボニル-α-メチル-α(2-ピリジルジチオ)トルエン(SMPT)は、タンパク質の一方に末端リシンを、他方に末端システインを利用して、2つのタンパク質間にそのような連結を形成する。各タンパク質に異なるカップリング部分によって架橋するヘテロ二機能性試薬を使用することもできる。他の有用な架橋剤には、限定されることなく、2つのアミノ基を連結する試薬(例えば、N-5-アジド-2-ニトロベンゾイルオキシスクシンイミド)、2つのスルフヒドリル基を連結する試薬(例えば、1,4-ビス-マレイミドブタン)、アミノ基およびスルフヒドリル基を連結する試薬(例えば、m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)、アミノ基およびカルボキシル基を連結する試薬(例えば、4-[p-アジドサリチルアミド]ブチルアミン)、ならびにアミノ基およびアルギニンの側鎖に存在するグアニジニウム基を連結する試薬(例えば、p-アジドフェニルグリオキサール一水和物)が含まれる。
【0559】
一部の実施形態では、放射性標識を抗体のアミノ酸骨格と直接コンジュゲートしてもよい。あるいは、放射性標識を、より大きな分子の一部(例えば、メタ-[125I]ヨードフェニル-N-ヒドロキシスクシンイミド中の125I([125I]mIPNHS)として含めて、この分子が遊離アミノ基に結合して、関連性のあるタンパク質のメタ-ヨードフェニル(mIP)誘導体(例えば、ロジャースら(Rogers et al.)(1997)J Nucl Med 38:1221-1229参照)またはキレート化合物(例えば、DOTAまたはDTPA)を形成し、これがタンパク質骨格に結合するようにしてもよい。放射性標識またはそれらを含有するより大きな分子/キレート化合物を、本明細書に記載される抗体または抗原結合性断片とコンジュゲートする方法は、当技術分野において公知である。そのような方法は、放射性標識またはキレート化合物のタンパク質への結合を容易にする条件(例えば、pH、塩濃度、および/または温度)下で放射性標識とともにタンパク質をインキュベートすることを伴う(例えば、米国特許第6,001,329号を参照されたい)。
【0560】
蛍光標識(「フルオロフォア」と称される場合もある)をタンパク質(例えば、抗体)とコンジュゲートする方法は、タンパク質化学の技術分野において公知である。例えば、フルオロフォアに付着したスクシンイミジル(NHS)エステルまたはテトラフルオロフェニル(TFP)エステル部分を使用して、フルオロフォアをタンパク質の遊離アミノ基(例えば、リシンの)またはスルフヒドリル基(例えば、システイン)とコンジュゲートすることができる。一部の実施形態では、フルオロフォアをスルホ-SMCC等のヘテロ二機能性架橋剤部分とコンジュゲートしてもよい。適切なコンジュゲーション方法は、フルオロフォアのタンパク質への結合を容易にする条件下で、抗体タンパク質またはその断片をフルオロフォアとともにインキュベートすることを伴う。例えば、ウェルチ(Welch)およびレドバンリー(Redvanly)(2003)「Handbook of Radiopharmaceuticals:Radiochemistry and Applications」,ジョンワイリーアンドサンズ(John Wiley and Sons)(ISBN 0471495603)を参照されたい。
【0561】
一部の実施形態では、抗体または断片は、例えば、循環中、例えば、血液、血清、または他の組織中の抗体の安定化および/または保持を向上させる部分によって修飾されていてもよい。例えば、抗体または断片は、例えば、リーら(Lee et al.)(1999)Bioconjug Chem 10(6):973-8、キンストラーら(Kinstler et al.)(2002)Advanced Drug Deliveries Reviews 54:477-485、およびロバーツら(Roberts et al.)(2002)Advanced Drug Delivery Reviews 54:459-476に記載されているように、PEG化されていてもよいし、HES化されていてもよい(フレゼニウスカービ(Fresenius Kabi)[ドイツ所在];例えば、パビシックら(Pavisic et al.)(2010)Int J Pharm 387(1-2):110-119を参照されたい)。安定化部分は、抗体(または断片)の安定性または保持を、少なくとも1.5倍(例えば、少なくとも2、5、10、15、20、25、30、40、または50倍以上)向上させ得る。
【0562】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合性断片は、グリコシル化されていてもよい。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合性断片は、抗体または断片が低下したグリコシル化を有するまたはグリコシル化を有しないように、酵素的もしくは化学的な処置に供する、または細胞から産生してもよい。グリコシル化が低下した抗体を産生する方法は、当技術分野において公知であり、例えば、米国特許第6,933,368号、ライトら(Wright et al.)(1991)EMBO J 10(10):2717-2723、およびコーら(Co et al.)(1993)Mol Immunol 30:1361に記載されている。
【0563】
適用
本明細書に記載される製剤は、診断的および治療的な適用において使用され得る。例えば、検出可能に標識された抗原結合性分子をアッセイで使用して、試料(例えば、生体試料)中の標的抗原の存在または量を検出することができる。本組成物は、標的抗原機能(例えばCD137媒介性細胞シグナル伝達または応答)の阻害を研究するためのin vitroアッセイにおいて使用され得る。例えば、本組成物が標的抗原(例えばタンパク質またはポリペプチド)に結合して標的抗原を活性化させるような一部の実施形態では、同様に標的タンパク質もしくはポリペプチドの活性を誘導するおよび/または標的タンパク質もしくはポリペプチドと関連する障害を処置するのに別様に有用である付加的な新規化合物を同定するように設計されたアッセイにおいて、本組成物を陽性対照として使用することができる。例えば、CD137活性化組成物を陽性対照としてアッセイで使用して、CD137機能を誘導する、増加させる、または刺激する付加的な化合物(例えば、小分子、アプタマー、または抗体)を同定することができる。本組成物は、下記に詳述するように、治療方法において使用することもできる。
【0564】
キット
一部の実施形態では、本開示は、本明細書に記載される製剤のいずれかを含むキットを提供する。一部の実施形態では、キットは、本明細書に開示される抗CD137抗体を含む製剤、および使用のための説明書を含む。キットは、適切な容器内に、抗CD137抗体、1つまたは複数の対照、ならびに当技術分野において周知の様々な緩衝剤、試薬、酵素、および他の標準的成分を含み得る。
【0565】
容器は、少なくとも1つのバイアル、ウェル、試験管、フラスコ、ボトル、シリンジ、または他の容器手段を含むことができ、その中に、本開示の製剤のいずれかを入れてもよく、場合によっては適切に分配してもよい。付加的な構成要素が提供される場合、キットは、この構成要素を入れることのできる付加的な容器を含有していてもよい。キットは、商用販売用に密封された、抗CD137抗体を含む製剤を含有する手段および任意の他の試薬容器を含むこともできる。そのような容器は、中に所望のバイアルが保持される、射出成形またはブロー成形されたプラスチック容器を含んでもよい。容器および/またはキットは、使用のための説明書および/または警告を含むラベリングを含み得る。
【0566】
一部の実施形態では、キットは、それを必要とする対象におけるがんを処置するもしくはがんの進行を遅延させるまたは腫瘍成長を低下させるもしくは阻害するための、抗CD137抗体および緩衝剤を含む製剤、または抗CD137抗体を含む製剤、ならびに説明書を含む。一部の実施形態では、キットは、対象におけるがんを処置するもしくはがんの進行を遅延させるまたは腫瘍成長を低下させるもしくは阻害するための、抗CD137抗体および緩衝剤を含む製剤、または抗CD137抗体を含む製剤、ならびに、それを必要とする対象に対して抗CD137抗体を単独でまたは別の作用物質との組合せで投与するための説明書を含む。
【0567】
使用方法
本発明の製剤は、CD137の検出および/もしくは数量化ならびに/またはCD137機能のアゴニズムに関与する多くのin vitroおよびin vivoでの有用性を有する。
【0568】
上述の製剤は、対象における様々ながんを処置するかまたは予防する方法で特に有用である。この製剤を、投与経路に部分的に応じて様々な方法を使用して、対象(例えばヒト対象)に対して投与し得る。この経路は、例えば、静脈内注射または静脈内点滴(IV)、皮下注射(SC)、腹腔内(IP)注射、筋肉内注射(IM)、または髄腔内注射(IT)であり得る。この注射は、ボーラス注入または連続注入であり得る。
【0569】
投与を、例えば、局所点滴、注射、または移植手段により達成し得る。移植片は、多孔質の、非多孔質の、またはゼラチン質の物質(例えば、サイラスティック膜等の膜、または繊維)であり得る。この移植片を、対象への本組成物の持続的なまたは周期的な放出用に構成し得る。例えば、米国特許出願公開第20080241223号明細書;米国特許第5,501,856号明細書;同第4,863,457号明細書;および同第3,710,795号明細書;欧州特許第488401号明細書;および同第430539号明細書(これらのそれぞれの開示は、その全体を本願明細書に援用する)を参照されたい。本組成物を、例えば、拡散性の、浸食性の、または対流性のシステム、例えば、浸透圧ポンプ、生分解性移植片、電気拡散システム、電気浸透システム、蒸気圧ポンプ、電解ポンプ、発泡ポンプ、圧電ポンプ、浸食系システム、または電気機械システムをベースとする移植可能デバイスにより、対象に対して送達し得る。
【0570】
一部の実施形態では、抗CD137抗体またはその抗原結合断片を含む製剤は、局所投与により、対象に対して治療的に送達される。
本明細書に記載される製剤の適切な用量(この用量は、対象におけるがんを処置し得るかまたは予防し得る)は、様々な因子(例えば、処置される対象の年齢、性別、および体重、ならびに使用される特定の阻害性化合物)に依存し得る。例えば、がんを有する対象を処置するのに必要とされるCD137結合Fab’抗体断片を含む製剤の用量と比較して、同一の対象を処置するために、全抗CD137抗体を含む製剤の異なる用量が必要とされる場合がある。対象に対して投与される用量に影響を及ぼす他の因子として、例えば、がんのタイプまたは重症度が挙げられる。例えば、転移性メラノーマを有する対象は、神経膠芽腫を有する患者とは異なる用量の、抗CD137抗体を含む製剤の投与が必要となる場合がある。他の因子として、例えば、対象に対して同時にまたは過去に罹患した他の医学的障害、対象の全体的な健康、対象の遺伝的素質、食事、投与時間、排出速度、薬剤の組合せ、および対象に対して投与される任意の他の追加の治療薬が挙げられ得る。任意の特定の対象に対する、特定の投薬量および治療レジメンもまた、処置を行う医療従事者(例えば医師または看護師)の判断にも依存することを理解すべきである。適切な投薬量は、本明細書に記載されている。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体を含む製剤は、高用量および低用量の両方で有効である。
【0571】
医薬製剤は、本明細書に記載される抗CD137抗体またはその抗原結合断片の治療有効量を含み得る。そのような有効量は、投与される抗体の効果、またはもし複数種の薬剤が使用される場合には抗体と一種または複数種の追加の活性剤の併用効果に部分的に基づいて、当業者により容易に決定され得る。本明細書に記載される抗体またはその断片の治療有効量はまた、因子(例えば、個体の病状、年齢、性別、および体重、ならびに抗体(および一種または複数種の追加の活性剤)が個体において所望の応答、例えば腫瘍増殖の低減を惹起させる能力)に従っても変動し得る。例えば、抗CD137抗体の治療有効量は、特定の障害、および/または当分野に既知かもしくは本明細書に記載される特定の障害の症状の内のいずれか1つを阻害し得(重症度を低減し得るかもしくは存在を除去し得)、および/または予防し得る。治療有効量はまた、本製剤の任意の毒性作用または有害作用を治療上有益な効果が上回る量でもある。
【0572】
本明細書に記載される抗体またはその断片の内のいずれかの適切なヒト用量を、例えば第I相の用量漸増試験でさらに評価し得る。例えば、バンガーフら(van Gurp et al.)(2008)Am J Transplantation 8(8):1711-1718;ハノウスカら(Hanouska et al.)(2007)Clin Cancer Res 13(2,part 1):523-531;およびヘザリントンら(Hetherington et al.)(2006)Antimicrobial Agents and Chemotherapy 50(10):3499-3500を参照されたい。
【0573】
一部の実施形態では、本製剤は、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合断片の内のいずれかと、1種または複数種(例えば、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、もしくは11種、またはより多く)の追加の治療剤とを含み、その結果、この製剤は、全体として治療的に有効である。例えば、製剤は、本明細書に記載される抗CD137抗体と、アルキル化剤とを含み得、この抗体および薬剤はそれぞれ、組み合わされた場合に対象におけるがん(例えばメラノーマ)の処置または予防に治療的に有効な濃度である。
【0574】
そのような製剤の毒性および治療有効性は、細胞培養または実験動物(例えば、本明細書に記載されるがんの内のいずれかの動物モデル)における既知の薬学的手順により決定され得る。この手順は、例えば、LD50(集団の50%に対し致命的な用量)およびED50(集団の50%において治療的に有効な用量)の決定に使用され得る。毒性効果と治療効果との間の用量比は治療指数であり、LD50/ED50で表され得る。高い治療指数を呈する抗体またはその抗原結合断片が好ましい。毒性の副作用を呈する製剤が使用され得る場合、そのような化合物の標的を罹患組織部位に定める送達システムを設計し、正常細胞への損傷の可能性を最小限に抑え、それにより副作用を低減させるように配慮すべきである。
【0575】
細胞培養アッセイおよび動物実験から得られたデータは、ヒトでの使用のための投薬量範囲の考案で使用され得る。そうした抗体またはその抗原結合断片の投薬量は、概して、抗体または断片のED50を含む循環濃度範囲内にあり、毒性は少ないかまたはない。投薬量は、採用される剤型および利用される投与経路に応じて、この範囲内で変動し得る。本明細書に記載される抗CD137抗体を含む製剤に関して、治療有効量用量は、細胞培養アッセイから初期に推定され得る。用量を、細胞培養で決定されたEC50(即ち、症状の最大半量阻害を達成する抗体濃度)を含む循環血漿濃度範囲を達成するように、動物モデルでも考案し得る。そのような情報を使用して、ヒトにおいて有用な用量をより正確に決定し得る。血漿中のレベルを、例えば高速液体クロマトグラフィーにより決定し得る。一部の実施形態では、例えば局所投与(例えば、目または関節への局所投与)が望ましい場合には、細胞培養または動物モデルを使用して、局所部位内で治療有効濃度を達成するのに必要な用量を決定し得る。
【0576】
in vivoでの投与に使用される、本明細書に記載される製剤を含む医薬組成物は、典型的には滅菌されている。ある特定の実施形態では、このことは、滅菌されたろ過膜に通すろ過により達成され得る。ある特定の実施形態では、この組成物が凍結乾燥されている場合には、この方法を使用する滅菌を、凍結乾燥および再構成の前後いずれかに行ない得る。ある特定の実施形態では、非経口投与用の組成物を、凍結乾燥状態または溶液で保存し得る。ある特定の実施形態では、非経口組成物は、一般的に、滅菌アクセスポートを有する容器(例えば、皮下注射針で穿刺可能な栓を有する静脈用の溶液バッグまたはバイアル)に入れられている。
【0577】
ある特定の実施形態では、本医薬組成物が製剤化されると、この医薬組成物を、溶液、懸濁液、ゲル、エマルション、固体として、または脱水粉末もしくは凍結乾燥粉末として、滅菌バイアル中で保存し得る。ある特定の実施形態では、そのような製剤を、使用準備済の形態、または投与前に本明細書に記載される製剤に従って再構成される形態(例えば凍結乾燥)のいずれかで保存し得る。
【0578】
ある特定の実施形態では、単回用量投与ユニットを作製するためのキットが提供される。ある特定の実施形態では、このキットは、乾燥タンパク質が入った第1の容器と、水性製剤が入った第2の容器との両方を含み得る。ある特定の実施形態では、単一チャンバまたは複数チャンバの前充填シリンジ(例えば、液体シリンジおよび凍結乾燥シリンジ(lyosyringe))を含むキットが含まれる。
【0579】
ある特定の実施形態では、治療用に採用される抗CD137抗体を含む医薬組成物の有効量は、例えば、治療の状況および目的に依存するだろう。そのため、ある特定の実施形態に係る処置に適切な投薬量レベルは、送達される分子、抗CD137抗体が使用される適応症、投与経路、ならびに患者の大きさ(体重、体表面積、または器官の大きさ)および/または状態(年齢および全体的な健康)に部分的に応じて変動することを、当業者は理解するだろう。ある特定の実施形態では、臨床医は、最適な治療効果を得るために投薬量を滴定し得、かつ投与経路を改変し得る。
【0580】
ある特定の実施形態では、投与頻度は、使用される製剤中の抗CD137抗体の薬物動態パラメータを考慮するだろう。ある特定の実施形態では、臨床医は、望ましい効果を達成する用量に達するまで、本組成物を投与するだろう。従って、ある特定の実施形態では、この組成物を、単回用量として投与し得るか、または経時的にまたは移植装置もしくはカテーテルによる連続点滴として、2回以上の用量(同量の所望の分子を含んでもよいし含まなくてもよい)として投与し得る。適切な投薬量のさらなる改良が当業者により日常的に行われており、当業者により日常的に実施されるタスクの範囲内である。ある特定の実施形態では、適切な投薬量を、適切な用量応答データの使用により確認し得る。
【0581】
ある特定の実施形態では、本医薬組成物の投与経路は、既知の方法(例えば、経口、静脈内経路、腹腔内経路、脳内(実質内)経路、脳室内経路、筋肉内経路、皮下経路、眼内経路、動脈内経路、門脈内経路、もしくは病変内経路による注射による、または持続性放出システムによる、または移植装置による)に従う。ある特定の実施形態では、この組成物を、ボーラス注射により投与し得るか、または点滴により連続的に投与し得るか、または移植装置により投与し得る。ある特定の実施形態では、併用療法の個々のエレメントを、異なる経路により投与し得る。
【0582】
一部の実施形態では、本方法を、がんの他の治療と組み合わせて実施し得る。例えば、本製剤を、放射線、外科手術、標的化学療法または細胞傷害性化学療法、化学放射線療法、ホルモン療法、免疫療法、遺伝子治療、細胞移植治療、プレシジョン・メディシン、ゲノム編集治療、または他の薬物療法と同時に、これらの前に、またはこれらの後に、対象に対して投与し得る。
【0583】
上記に記載されているように、本明細書に記載される製剤(例えば、抗CD137抗体またはその抗原結合断片を含む製剤)を使用して、下記が挙げられるがこれらに限定されない様々ながんを処置し得る:カポジ肉腫、白血病、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、骨髄芽球前骨髄球骨髄単核細胞単球赤白血病、慢性白血病、慢性骨髄性(顆粒球性)白血病、慢性リンパ球性白血病、マントル細胞リンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫、バーキットリンパ腫および辺縁帯B細胞リンパ腫、真性赤血球増多症リンパ腫、ホジキン病、非ホジキン病、多発性骨髄腫、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、重鎖病、固形腫瘍、肉腫および癌腫、繊維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫(osteogenic sarcoma)、骨肉腫(osteosarcoma)、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、中皮種、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸肉腫、結腸直腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮細胞癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原性肺癌、腎細胞癌、肝癌、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胎児性癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸がん、子宮がん、精巣腫瘍、肺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、グリオーマ、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫、メラノーマ、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、上咽頭癌、食道癌、基底細胞癌、胆道癌、膀胱がん、骨がん、脳および中枢神経系(CNS)のがん、子宮頸がん、絨毛腫、結腸直腸がん、結合組織がん、消化管系のがん、子宮内膜がん、食道がん、眼がん、頭頸部がん、胃がん、上皮内新生物、腎がん、咽頭がん、肝がん、肺がん(小細胞、大細胞)、メラノーマ、神経芽細胞腫;口腔がん(例えば、唇、舌、口、および咽頭)、卵巣がん、膵臓がん、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、直腸がん;呼吸器系のがん、肉腫、皮膚がん、胃がん、精巣がん、甲状腺がん、子宮がん、ならびに泌尿器系のがん。
【0584】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体またはその抗原結合断片を含む製剤を、単剤療法として、対象に対して投与し得る。あるいは、上記に記載したように、抗体またはその断片を含む製剤を、がんの別の処置等の別の処置と共に、併用療法として対象に対して投与し得る。例えば、この併用療法は、がんを有するかまたは癌を発症するリスクがある対象に対して治療利益をもたらす1種または複数種の追加の薬剤を、対象(例えばヒト患者)に対して投与する工程を含み得る。本発明の組成物との共投与に適した化学療法剤としては、例えば下記が挙げられる:タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、エチジウムブロミド、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1-デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、およびピューロマイシン、ならびにそれらの類似体または相同体。さらなる薬剤として、例えば下記が挙げられる:抗代謝剤(例えば、メトトレキサート、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、5-フルオロウラシルデカルバジン)、アルキル化剤(例えば、メクロレタミン、チオTEPA、クロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)、ロムスチン(CCNU)、シクロホスファミド、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、シス-ジクロルジアミンプラチナ(II)(DDP)、プロカルバジン、アルトレタミン、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、サトラプラチン、またはトリプラチン四硝酸塩)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン(以前はダウノマイシン)およびドキソルビシン)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(以前はアクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシンおよびアントラマイシン(AMC))、ならびに抗有糸分裂剤(例えば、ビンクリスチンおよびビンブラスチン)およびテモゾロミド。一部の実施形態では、抗CD137抗体および1種または複数種の追加の活性剤を含む製剤を同時に投与する。他の実施形態では、抗CD137抗体を含む製剤を最初に投与し、1種または複数種の追加の活性剤を2番目に投与する。一部の実施形態では、1種または複数種の追加の活性剤を最初に投与し、抗CD137抗体を含む製剤を2番目に投与する。
【0585】
本明細書に記載される抗CD137抗体またはその抗原結合断片を含む製剤は、過去または現在に投与されている治療を置き換え得るか、または増強し得る。例えば、抗CD137抗体またはその抗原結合断片を含む製剤による処置時に、1種または複数種の追加の活性剤の投与を中止し得るかまたは減少させ得、例えば、より低いレベルまたは投薬量で投与し得る。一部の実施形態では、過去の治療の投与が維持され得る。一部の実施形態では、過去の治療は、抗CD137抗体のレベルが、治療効果をもたらすのに充分なレベルに達するまで維持される。2種の治療を、組み合わせて投与し得る。
【0586】
本明細書で定義されているがんの改善に関する対象(例えばヒト対象)のモニタリングは、疾患パラメータ(例えば、腫瘍増殖の減少)の変化に関して対象を評価することを意味する。一部の実施形態では、この評価を、投与後少なくとも1時間(例えば、少なくとも2、4、6、8、12、24、もしくは48時間)で実施するか、または投与後少なくとも1日、2日、4日、10日、13日、20日、もしくはより多くで実施するか、または投与後少なくとも1週間、2週間、4週間、10週間、13週間、20週間、もしくはより多くで実施する。対象を、下記の期間の内の1つまたは複数で評価し得る:処置の開始前;処置中;または処置の1つもしくは複数のエレメントが投与された後。評価は、さらなる処置の必要性を評価することを含み得、例えば、投薬量、投与頻度、または処置の持続期間を変更すべきかどうかを評価することを含み得る。選択された治療法を追加するかまたは省略する必要性を評価することも含まれ得、例えば、本明細書に記載されるがんの処置のいずれかの追加または省略も含まれ得る。
【0587】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体またはその抗原結合断片を含む製剤を投与して、例えば、T細胞の活性化および/または増殖を増加させることにより、患者におけるT細胞応答をモジュレートする。CD137の架橋は、T細胞増殖、IFN-γの産生および分泌、ならびにT細胞の細胞溶解活性を強力に増強する。従って、一部の実施形態では、本開示の抗CD137アゴニスト抗体またはその抗原結合断片を含む製剤を、それを必要とする患者に対して投与して、T細胞活性化を誘導するかまたは増加させ、T細胞増殖を増強し、IFN-γの産生および/もしくは分泌を誘導し、ならびに/または細胞溶解性T細胞応答を誘導する。
【0588】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体またはその抗原結合断片を含む製剤は、患者におけるT細胞集団を、T2/Treg T細胞集団からT1/T17 T細胞集団へとモジュレートするかまたはシフトさせ、それにより患者における抗腫瘍応答を改善するかまたは増強するのに有用である。CD137は、T細胞のサブセットであるTh1 T細胞およびTh2 T細胞の両方で発現されるが、CD137は、CD4+ T細胞と比べてCD8+ T細胞により高レベルで発現されることが、研究により分かっている。従って、CD137は、CD8+ T細胞を主に共刺激する。従って、本明細書に記載される抗CD137抗体またはその抗原結合断片を含む製剤を患者に投与して、例えば、この患者におけるT細胞応答および/またはT細胞集団を、患者においてT2/Treg T細胞応答および/もしくはT細胞集団からT1/T17 T細胞応答および/もしくはT細胞集団へとモジュレートするかまたはシフトさせることにより、抗腫瘍応答を増強する。
【0589】
一部のがん(例えば、メラノーマおよび卵巣癌)では、天然の腫瘍浸潤リンパ球(TIL)は、細胞培養法の最適化を通じて富化され得、かつ養子免疫療法に有用な腫瘍反応性リンパ球の供給源を提供し得る。養子TIL療法は、あるタイプのがんの恒久的な腫瘍退縮をもたらし得、がんに対するTILベースのアプローチの開発および最適化を保証する。現在、天然の腫瘍反応性TILの同定および拡張は、抗原特異的CD8+ T細胞の低レベルおよび/または希少に起因して困難なままである。T細胞によるCD137の発現は活性化依存性であり、これにより、循環系または腫瘍試料から、CD137を発現する活性化T細胞を捕捉する機会が提供される。従って、本明細書に記載される抗CD137抗体またはその抗原結合断片を含む製剤を、活性化された抗原特異的T細胞の選択的富化に採用し得る。
【0590】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体を含む製剤の有効性は、コンピテントな免疫系に依存している。具体的には、一部の実施形態では、CD4+ T細胞、CD8+ T細胞、および/またはナチュラルキラー細胞の枯渇により、抗CD137抗体の有効性が減少する。一部の実施形態では、CD4+ T細胞、CD8+ T細胞、および/またはナチュラルキラー細胞の枯渇により、本明細書に記載される抗CD137抗体による腫瘍増殖の阻害または減少が低下する。一部の実施形態では、CD4+ T細胞、CD8+ T細胞、および/またはナチュラルキラー細胞の枯渇により、本明細書に記載される抗CD137抗体による腫瘍増殖の阻害または減少が低下する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体を含む製剤の有効性は、腫瘍微小環境への免疫細胞の浸潤に依存している。一部の実施形態では、腫瘍微小環境への免疫細胞の浸潤は、脾臓および/または肝臓への浸潤の欠如を伴う。
【0591】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体を含む製剤は、保護的抗腫瘍メモリー免疫応答を誘導する。メモリーT細胞は、同族抗原に遭遇して応答した後に長期にわたり存続する抗原特異的T細胞のサブセットである。そのような細胞は、同族抗原への再暴露時に、多数のエフェクター細胞へと迅速に拡大する。従って、一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体を含む製剤は、がん抗原に対するメモリーT細胞の産生を刺激する。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体を含む製剤が投与されて、がんが処置されるかまたは治癒される対象は、このがんに特異的なメモリーT細胞を生じる。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体を含む製剤が投与されて、がんが処置されるかまたは治癒される対象は、このがんへの再曝露時に抗腫瘍メモリー免疫応答を生じる。一部の実施形態では、抗腫瘍メモリー免疫応答は、エフェクター細胞となるメモリーT細胞を刺激することを含む。一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体を含む製剤が投与されて、がんが処置されるかまたは治癒される対象は、がん抗原に対する抗腫瘍メモリー免疫応答を生じる。
【0592】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体を含む製剤は、腫瘍微小環境による免疫再プログラミングを誘導する。具体的には、一部の実施形態では、抗CD137抗体を含む製剤は、免疫浸潤を誘導し、Treg増殖を減少させるか、阻害するか、または予防し、腫瘍関連マクロファージの増殖を減少させるか、阻害するか、または予防し、かつT細胞疲弊を保護するかまたは逆転させる。
【0593】
一部の実施形態では、抗CD137抗体を含む製剤は、腫瘍微小環境関連への免疫細胞の浸潤を誘導する。一部の実施形態では、抗CD137抗体を含む製剤は、免疫細胞浸潤を少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも105%、少なくとも110%、少なくとも115%、少なくとも120%、少なくとも125%、少なくとも130%、少なくとも135%、少なくとも140%、少なくとも145%、または少なくとも150%増加させる。一部の実施形態では、免疫細胞浸潤は、腫瘍微小環境から単離された細胞上でのCD45の発現レベルを測定することにより決定される。タンパク質発現を測定する方法は当業者に既知であり、かつ本明細書に記載されている。
【0594】
一部の実施形態では、抗CD137抗体を含む製剤は、腫瘍微小環境においてTreg細胞の増加を予防するか、または阻害する。一部の実施形態では、予防または阻害は、抗CD137抗体の非存在下での腫瘍微小環境におけるTreg細胞の量と比較される。一部の実施形態では、Treg細胞の増加の予防または阻害は、参照抗体と比較される。一部の実施形態では、Treg細胞は、腫瘍微小環境から単離されたCD4+ T細胞上のCD25およびFOX-3Pの発現により検出される。タンパク質発現を測定する方法は当業者に既知であり、かつ本明細書に記載されている。
【0595】
一部の実施形態では、抗CD137抗体を含む製剤は、腫瘍微小環境において腫瘍関連マクロファージの増加を予防するか、または阻害する。一部の実施形態では、予防または阻害は、抗CD137抗体の非存在下での腫瘍微小環境における腫瘍関連マクロファージの量と比較される。一部の実施形態では、腫瘍関連マクロファージの増加の予防または阻害は、参照抗体と比較される。一部の実施形態では、腫瘍関連マクロファージは、腫瘍微小環境から単離されたCD45+免疫細胞上のCD11bおよびF4/80の発現により検出される。タンパク質発現を測定する方法は当業者に既知であり、かつ本明細書に記載されている。
【0596】
一部の実施形態では、抗CD137抗体を含む製剤は、腫瘍微小環境においてT細胞疲弊からT細胞を保護する。一部の実施形態では、抗CD137抗体を含む製剤は、腫瘍微小環境においてT細胞疲弊を逆転させる。一部の実施形態では、腫瘍微小環境におけるT細胞疲弊は、抗CD137抗体の非存在下での腫瘍微小環境と比較して、本明細書に記載される抗CD137抗体を含む製剤の存在下で低下する。一部の実施形態では、T細胞疲弊は、共阻害性受容体(例えば、PD-1、TIGIT、またはLAG-3)の発現に関してCD8+ T細胞またはCD4+ T細胞を分析することにより決定される。一部の実施形態では、T細胞疲弊は、腫瘍微小環境から単離されたCD4+ T細胞またはCD8+ T細胞上のPD-1およびTIGITの発現により検出される。
【0597】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗CD137抗体またはその抗原結合断片を含む製剤は、生物試料中におけるヒトCD137の検出および/または数量化の方法で採用され得る。従って、本明細書に記載される抗CD137抗体またはその抗原結合断片を含む製剤は、患者における疾患(例えばがん)の診断、予知、および/または進行の決定に使用される。
【0598】
他の実施形態
本開示は、下記の実施形態に関係する。この節全体を通して、実施形態という用語を「E」と略し、その後に序数が続く。例えば、E1は、実施形態1に対応する。
【0599】
E1.(a)約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、前記抗CD137抗体は配列番号126の重鎖CDR3を含み、Xは任意のアミノ酸である、抗CD137抗体、および
(b)ヒスチジンを含む緩衝剤
を含む製剤。
【0600】
E2.(a)約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であって、前記抗CD137抗体は配列番号126の重鎖CDR3を含み、Xは任意のアミノ酸である、抗CD137抗体、
(b)ヒスチジンを含む緩衝剤;および
(c)二糖糖類
を含む製剤。
【0601】
E3.(a)約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であり、前記抗CD137抗体は配列番号126の重鎖CDR3を含み、Xは任意のアミノ酸である、抗CD137抗体、および
(b)ヒスチジンを含む緩衝剤
を含む製剤であって、
約5.0~7.0のpHを有する製剤。
【0602】
E4.(a)約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であり、前記抗CD137抗体は配列番号126の重鎖CDR3を含み、Xは任意のアミノ酸である、抗CD137抗体、
(b)ヒスチジンを含む緩衝剤、
(c)二糖糖類、
(d)非イオン性界面活性剤、および
(e)塩
を含む製剤であって、
前記製剤のpHは約5.0~約7.0である、製剤。
【0603】
E5.(a)約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であり、前記抗CD137抗体は配列番号126の重鎖CDR3を含み、Xは任意のアミノ酸である、抗CD137抗体、
(b)ヒスチジンを含む緩衝剤、
(c)約5%~約15重量/体積%の二糖糖類、
(d)約0.01%~約0.1重量/体積(w/v)%の非イオン性界面活性剤、および
(e)約50mM~200mMの塩
を含む製剤であって、
前記製剤のpHは約5.0~約7.0である、製剤。
【0604】
E6.(a)約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であり、前記抗CD137抗体は配列番号126の重鎖CDR3を含み、Xは任意のアミノ酸である抗CD137抗体、
(b)約10mM~約100mMのヒスチジンを含む緩衝剤、
(c)約5%~約15重量/体積%のスクロース、
(d)約0.01%~約0.1重量/体積(w/v)%のポリソルベート-80、および
(e)約50mM~200mMのNaCl
を含む製剤であって、
前記製剤のpHは約5.0~約7.0である、製剤。
【0605】
E7.(a)約1mg/ml~約100mg/mlの濃度の抗CD137抗体であり、前記抗CD137抗体は配列番号126の重鎖CDR3を含み、Xは任意のアミノ酸である抗CD137抗体、
(b)約20mMのヒスチジンを含む緩衝剤、
(c)約10重量/体積(w/v)%のスクロース、
(d)約0.03重量/体積(w/v)%のポリソルベート-80、および
(e)約100mMのNaCl
を含む製剤であって、
前記製剤のpHは約6.0である、製剤。
【0606】
E8.前記抗CD137抗体は、DXPFXLDXXYYYYYX(配列番号127)の重鎖CDR3を含み、Xは任意のアミノ酸である、実施形態1~7のいずれか1つに記載の製剤。
【0607】
E9.前記抗CD137抗体は、DXLXYXYYX10(配列番号128)の重鎖CDR3を含み、Xは任意のアミノ酸であり、Xは非極性アミノ酸であり、Xは非極性アミノ酸であり、Xは任意のアミノ酸であり、Xは極性アミノ酸であり、Xは任意のアミノ酸であり、Xは任意のアミノ酸であり、Xは極性アミノ酸であり、Xは極性アミノ酸であり、X10は任意のアミノ酸である、実施形態1~7のいずれか1つに記載の製剤。
【0608】
E10.Xはプロリンであり、Xはフェニルアラニンまたはトリプトファンであり、Xはアスパラギン酸またはグルタミン酸であり、Xはチロシンであり、Xはチロシンである、実施形態9に記載の製剤。
【0609】
E11.前記抗CD137抗体は、配列番号68の重鎖CDR3を含む、実施形態1~10のいずれか1つに記載の製剤。
E12.前記抗CD137抗体は、配列番号48の重鎖CDR1、配列番号56の重鎖CDR2、および配列番号68の重鎖CDR3、ならびに配列番号69の軽鎖CDR1、配列番号78の軽鎖CDR2、および配列番号89の軽鎖CDR3を含む、実施形態1~11のいずれか1つに記載の製剤。
【0610】
E13.前記抗CD137抗体は、配列番号51の重鎖CDR1、配列番号108の重鎖CDR2、および配列番号68の重鎖CDR3、ならびに配列番号69の軽鎖CDR1、配列番号78の軽鎖CDR2、および配列番号89の軽鎖CDR3を含む、実施形態1~11のいずれか1つに記載の製剤。
【0611】
E14.前記抗CD137抗体は、それぞれ配列番号4および6と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖配列および軽鎖配列を含む、実施形態1~12のいずれか1つに記載の製剤。
【0612】
E15.前記抗CD137抗体は、それぞれ配列番号4および6に明記されるアミノ酸配列を有する重鎖配列および軽鎖配列を含む、実施形態14に記載の製剤。
E16.前記抗CD137抗体は、それぞれ配列番号101および6と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖配列および軽鎖配列を含む、実施形態1~11および13のいずれか1つに記載の製剤。
【0613】
E17.前記抗CD137抗体は、それぞれ配列番号101および6に明記されるアミノ酸配列を有する重鎖配列および軽鎖配列を含む、実施形態16に記載の製剤。
E18.前記抗体はIgG1重鎖定常領域を含む、実施形態1~15のいずれか1つに記載の製剤。
【0614】
E19.前記IgG1重鎖定常領域は野生型ヒトIgG1重鎖定常領域である、実施形態18に記載の製剤。
E20.前記IgG1重鎖定常領域は、野生型ヒトIgG1重鎖定常領域と比べてアミノ酸置換を含む、実施形態18に記載の製剤。
【0615】
E21.前記抗体はIgG4重鎖定常領域を含む、実施形態1~15のいずれか1つに記載の製剤。
E22.前記IgG4重鎖定常領域は野生型ヒトIgG4重鎖定常領域である、実施形態21に記載の製剤。
【0616】
E23.前記IgG4重鎖定常領域は、野生型ヒトIgG4重鎖定常領域と比べてアミノ酸置換を含む、実施形態21に記載の製剤。
E24.約10mMのヒスチジン~約100mMのヒスチジンを含む実施形態1~23のいずれか1つに記載の製剤。
【0617】
E25.約20mMのヒスチジンを含む実施形態1~24のいずれか1つに記載の製剤。
E26.二糖糖類をさらに含む実施形態1、3、6、および8~24のいずれか1つに記載の製剤。
【0618】
E27.前記二糖糖類は、スクロース、ラクトース、およびマルトースから選択される、実施形態2、4、5、および26のいずれか1つに記載の製剤。
E28.前記二糖糖類はスクロースである、実施形態27に記載の製剤。
【0619】
E29.前記二糖糖類は約5%~約15重量/体積%である、実施形態2、4、および26~28のいずれか1つに記載の製剤。
E30.前記二糖糖類は約10重量/体積%である、実施形態2、4、5、および26~28のいずれか1つに記載の製剤。
【0620】
E31.塩をさらに含む実施形態1~3および8~24のいずれか1つに記載の製剤。
E32.前記塩はNaClである、実施形態4、5、および31のいずれか1つに記載の製剤。
【0621】
E33.前記塩は約50mM~200mMの濃度である、実施形態4および31~32のいずれか1つに記載の製剤。
E34.前記塩は約100mMの濃度である、実施形態4~6および31~32のいずれか1つに記載の製剤。
【0622】
E35.前記製剤は約5.0~7.0のpHを有する、実施形態1、2、および8~24のいずれか1つに記載の製剤。
E36.前記pHは約6.0である、実施形態3、5、6、および35のいずれか1つに記載の製剤。
【0623】
E37.非イオン性界面活性剤をさらに含む実施形態1~3および8~36のいずれか1つに記載の製剤。
E38.前記非イオン性界面活性剤はポリソルベートである、実施形態4、5、および37のいずれか1つに記載の製剤。
【0624】
E39.前記ポリソルベートはポリソルベート-80である、実施形態38に記載の製剤。
E40.前記非イオン性界面活性剤は約0.01%~約0.1重量/体積(w/v)%である、実施形態4および37~38のいずれか1つに記載の製剤。
【0625】
E41.前記非イオン性界面活性剤は約0.03重量/体積(w/v)%である、実施形態4、5、および37~38のいずれか1つに記載の製剤。
E42.前記抗CD137抗体を約5mg/ml~約15mg/mlの濃度で含む実施形態1~41のいずれか1つに記載の製剤。
【0626】
E43.前記抗CD137抗体を約15mg/ml~約30mg/mlの濃度で含む実施形態1~41のいずれか1つに記載の製剤。
E44.前記抗CD137抗体を約30mg/ml~約45mg/mlの濃度で含む実施形態1~41のいずれか1つに記載の製剤。
【0627】
E45.前記抗CD137抗体を約45mg/ml~約60mg/mlの濃度で含む実施形態1~41のいずれか1つに記載の製剤。
E46.前記抗CD137抗体を約60mg/ml~約75mg/mlの濃度で含む実施形態1~41のいずれか1つに記載の製剤。
【0628】
E47.前記抗CD137抗体を約75mg/ml~約90mg/mlの濃度で含む実施形態1~41のいずれか1つに記載の製剤。
E48.前記抗CD137抗体を約85mg/ml~約100mg/mlの濃度で含む実施形態1~41のいずれか1つに記載の製剤。
【0629】
E49.前記抗CD137抗体を約5mg/mlの濃度で含む実施形態1~41のいずれか1つに記載の製剤。
E50.前記抗CD137抗体を約10mg/mlの濃度で含む実施形態1~41のいずれか1つに記載の製剤。
【0630】
E51.前記抗CD137抗体を約15mg/mlの濃度で含む実施形態1~41のいずれか1つに記載の製剤。
E52.前記抗CD137抗体を約20mg/mlの濃度で含む実施形態1~41のいずれか1つに記載の製剤。
【0631】
E53.実施形態1~52のいずれか1つに記載の製剤の有効量を、それを必要とする対象に対して投与する工程を含む、対象におけるヒトCD137三量体の二量体化を誘導するまたは増強するための方法。
【0632】
E54.実施形態1~52のいずれか1つに記載の製剤の有効量を、それを必要とする対象に対して投与する工程を含む、対象におけるヒトCD137三量体の多量体化を誘導するまたは増強するための方法。
【0633】
E55.実施形態1~52のいずれか1つに記載の製剤の有効量を、それを必要とする対象に対して投与する工程を含む、対象におけるT細胞活性化を誘導するまたは増強するための方法。
【0634】
E56.前記T細胞活性化は腫瘍微小環境において生じる、実施形態55に記載の方法。
E57.実施形態1~52のいずれか1つに記載の製剤の有効量を、それを必要とする対象に対して投与する工程を含む、対象における細胞傷害性T細胞応答を誘導するまたは増強するための方法。
【0635】
E58.前記細胞傷害性T細胞応答は腫瘍微小環境において生じる、実施形態57に記載の方法。
E59.実施形態1~52のいずれか1つに記載の製剤の有効量を、それを必要とする対象に対して投与する工程を含む、対象における免疫細胞のサイトカイン産生を誘導するまたは増強するための方法。
【0636】
E60.産生される前記サイトカインは、IL-2、TNFα、IL-13、IFN-γ、またはこれらの組合せである、実施形態59に記載の方法。
E61.前記サイトカイン産生は腫瘍微小環境において生じる、実施形態59または実施形態60に記載の方法。
【0637】
E62.実施形態1~52のいずれか1つに記載の製剤の有効量を、それを必要とする対象に対して投与する工程を含む、対象におけるT細胞増殖を誘導するまたは増強するための方法。
【0638】
E63.前記T細胞増殖は腫瘍微小環境において生じる、実施形態62に記載の方法。
E64.実施形態1~52のいずれか1つに記載の製剤の有効量を、それを必要とする対象に対して投与する工程を含む、腫瘍成長を低下させるまたは阻害するための方法。
【0639】
E65.実施形態1~52のいずれか1つに記載の製剤の有効量、それを必要とする対象に対して投与する工程を含む、対象におけるヒトCD137によって媒介される障害を処置するための方法。
【0640】
E66.実施形態1~52のいずれか1つに記載の製剤の有効量を、それを必要とする対象に対して投与する工程を含む、対象におけるがんを処置するための方法。
E67.腫瘍微小環境への免疫細胞の浸潤は、前記製剤の投与後に増加する、実施形態64~66のいずれか1つに記載の方法。
【0641】
E68.前記免疫細胞はCD45を発現する、実施形態67に記載の方法。
E69.T調節性(Treg)細胞の分量は、前記製剤の投与後に腫瘍微小環境において減少する、実施形態64~68のいずれか1つに記載の方法。
【0642】
E70.前記Treg細胞は、CD4、FOXP-3、およびCD25を発現する、実施形態69に記載の方法。
E71.マクロファージの分量は、単離されたモノクローナル抗体または抗原結合性部分の投与後に腫瘍微小環境において減少する、実施形態64~70のいずれか1つに記載の方法。
【0643】
E72.前記マクロファージは、CD45およびCD11bを発現する、実施形態71に記載の方法。
E73.T細胞疲弊は、前記単離されたモノクローナル抗体または抗原結合性部分の投与後に腫瘍微小環境において低下し、任意選択で、T細胞疲弊の低下は、TIGIT、PD-1、LAG-3、またはこれらの組合せの発現の減少を含む、実施形態64~72のいずれか1つに記載の方法。
【0644】
E74.前記がんは、黒色腫、神経膠腫、腎臓がん、乳がん、血液学的がん、および頭頸部がんからなる群から選択される、実施形態66~73のいずれか1つに記載の方法。
E75.前記血液学的がんはB細胞リンパ腫である、実施形態74に記載の方法。
【0645】
E76.実施形態1~52のいずれか1つに記載の製剤の有効量を、それを必要とする対象に対して投与する工程を含む、抗腫瘍メモリー免疫応答を誘導する方法。
E77.前記抗CD137抗体はFcガンマ受容体に結合する、実施形態53~76のいずれか1つに記載の方法。
【0646】
E78.CD4+ T細胞、CD8+ T細胞、ナチュラルキラー細胞、またはこれらの組合せの枯渇は、前記製剤の有効性を低下させる、実施形態53~77のいずれか1つに記載の方法。
【0647】
E79.それを必要とする対象におけるがんを処置するもしくはがんの進行を遅延させるまたは腫瘍増殖を低下させるもしくは阻害するための、実施形態1~52のいずれか1つに記載の製剤を含む容器、および前記製剤の投与のための説明書を含む添付文書を含むキット。
【0648】
E80.それを必要とする対象におけるがんを処置するもしくはがんの進行を遅延させるまたは腫瘍増殖を低下させるもしくは阻害するための、実施形態1~52のいずれか1つに記載の製剤を含む容器、および単独でのまたは別の作用物質との組合せでの前記製剤の投与のための説明書を含む添付文書を含むキット。
【0649】
E81.それを必要とする対象におけるがんを処置するもしくはがんの進行を遅延させるまたは腫瘍増殖を低下させるもしくは阻害するための医薬の製造のための、実施形態1~52のいずれか1つに記載の製剤の使用。
【0650】
E82.それを必要とする対象におけるがんを処置するもしくはがんの進行を遅延させるまたは腫瘍増殖を低下させるもしくは阻害するための医薬の製造における、実施形態1~52のいずれか1つに記載の製剤。
【0651】
E83.医薬としての使用のための、実施形態1~52のいずれか1つに記載の製剤。
【実施例
【0652】
本開示を、その具体的な実施形態を参照して記載しているが、本開示の真の趣旨および範囲から逸脱することなく様々な変更を行ない得ることおよび等価物を代用し得ることを当業者は理解すべきである。加えて、多くの改変を行なって、特定の状況、材料、物質の組成、プロセス、プロセスの工程を、本開示の目的、趣旨、および範囲に適合させ得る。そのような改変は全て、本開示の範囲内であることが意図されている。
【0653】
実施例1:酵母中で産生された合成ヒトモノクローナル抗体は、組換えヒトCD137への結合を呈する
精製されたCD137タンパク質抗原を、EZ-Link Sulfo-NHS-Biotinylation Kit(サーモサイエンティフィック(Thermo Scientific))を使用してビオチン化した。CD137抗原を約1mg/mLまで濃縮し、PBSに緩衝剤交換した後、1:7.5モル比のビオチン化試薬(EZ-Link Sulfo-NHS-Biotinylation Kit,サーモサイエンティフィック(Thermo Scientific),カタログ#21425.)を添加した。この混合物を一晩4℃で保持した後、さらに緩衝剤交換して、溶液中の遊離ビオチンを除去した。ビオチン化を、FORTE BIO(登録商標)上の標識タンパク質のストレプトアビジンセンサー結合により確認した。CD137タンパク質抗原のビオチン化の成功を、製造業者のガイドラインに従ってFORTEBIO OCTET(商標)Red384 Interferometer(ポールフォルテバイオ(Pall ForteBio),カリフォルニア州メンロパーク所在)に取り付けられたストレプトアビジン結合バイオセンサーへの検出可能な結合により確認した(データは示さない)。
【0654】
8個のナイーブなヒト合成酵母ベースの抗体ライブラリー(それぞれ約10の多様性)を、既に記載されているように設計し、生成し、かつ増殖させた(例えば、国際公開第2009036379号パンフレット;同第2010105256号パンフレット;同第2012009568号パンフレット;スーら(Xu et al.),Protein Eng Des Sel.2013 Oct;26(10):663-70を参照されたい)。ビオチン化ヒトCD137-Fc融合体に対してこれら8個のナイーブなライブラリーを使用して、8回の並行選択を実施した。
【0655】
最初の2ラウンドの選択の場合、基本的には記載されているように(シーゲルら(Siegel et al.),J Immunol Methods.2004 Mar;286(1-2):141-53)、Miltenyi MACSシステムを用いる磁気ビーズソーティング技法を実施した。簡潔には、酵母細胞(約1010個の細胞/ライブラリー)を、0.1% BSAを含むFACS洗浄緩衝剤PBS中において室温で15分にわたり、10nM ビオチン化ヒトCD137-Fc融合抗原10mLと共にインキュベートした。氷冷洗浄緩衝剤50mLで1回洗浄した後、細胞ペレットを洗浄緩衝剤40mLに再懸濁させ、この酵母にStreptavidin MicroBeads(ミルテニイバイオテック(Miltenyi Biotec),独国ベルギッシュグラートバハ(Bergisch Gladbach)所在,カタログ#130-048-101)500μlを添加し、4℃で15分にわたりインキュベートした。次に、この酵母をペレット化し、洗浄緩衝剤5mLに再懸濁させ、MACS LSカラム(ミルテニイバイオテック(Miltenyi Biotec),独国ベルギッシュグラートバハ(Bergisch Gladbach)所在,カタログ#130-042-401)にロードした。5mLをロードした後、このカラムを、FACS洗浄緩衝剤3mLで3回洗浄した。次いで、このカラムを磁場から取り外し、酵母を増殖培地5mLに溶出させ、次いで一晩増殖させた。
【0656】
2ラウンドのMACSの後、フローサイトメトリー(FACS)を使用して3ラウンドのソーティングを実施した(下記の3つの段落に記載されている)。
Fc抗原による8回の並行選択を採用する選択戦略
3ラウンドのFACS選択により、MACS選択から8個のライブラリーを得た。1個のライブラリー当たり約1×10個の酵母をペレット化し、洗浄緩衝剤で3回洗浄し、室温で10分にわたり、10nM ビオチン化ヒトCD137-Fc融合体または10nM ビオチン化マウスCD137-Fc融合抗原と共にインキュベートした。次いで、酵母を2回洗浄し、4℃で15分にわたり、1:100に希釈したヤギ抗ヒトF(ab’)カッパ-FITC(サザンバイオテック(Southern Biotech),アラバマ州バーミングハム所在,カタログ#2062-02)と、二次試薬である、1:500に希釈したストレプトアビジン-Alexa Fluor 633(ライフテクノロジーズ(Life Technologies),ニューヨーク州グランドアイランド所在,カタログ#S21375)または1:50に希釈したExtravidin-phycoerthyrin(シグマアルドリッチ(Sigma-Aldrich),セントルイス所在,カタログ#E4011)のいずれかとで染色した。氷冷洗浄緩衝剤による2回の洗浄後、細胞ペレットを洗浄緩衝剤0.4mLに再懸濁させ、ストレーナーキャップ付きのソートチューブに移した。FACS ARIAソーター(BDバイオサイエンシズ(BD Biosciences))を使用してソーティングを実施し、CD137結合のみを選択するようにソートゲートを決定した。1回目のラウンドのFACSからのマウス選択集団およびヒト選択集団を、次回のラウンドに進めた。
【0657】
上記の選択集団に関する2回目および3回目のラウンドのFACSは、ヒトおよび/もしくはマウスCD137試薬への結合剤に関する陽性ソート;または多特異性試薬結合剤を減少させるための陰性ソートを含んだ(スーら(Xu et al.),PEDS.2013 Oct;26(10):663-70)。特定の選択出力の多特異性結合または標的結合の量に応じて、陽性ソートの後に陰性ソートまたはその逆を行ない、多特異性結合の量が限られている完全な結合集団を富化する。文献からの対照mAbにより、競合選択も実施した。競合選択のために、mAb4(ウレルマブ;ブリストール-マイヤーズスクウィブ(Bristol-Myers Squibb);CAS番号:934823-49-1)およびmAb5(ウトミルマブ;ファイザー(Pfizer);CAS番号:1417318-27-4)を、ビオチン化ヒトCD137-Fc融合体に予め複合体化させた。対照mAbの存在下で結合する抗体および結合しない抗体を、FACSで選択した。これらのラウンドの出力を蒔き、単離体を配列決定し、かつ特徴付けた。
【0658】
ナイーブ選択で同定されたクローンの親和性成熟
ビオチン化ヒトCD137 Fc融合出力に対する1回目のFACSソーティングラウンドからの重鎖を使用して、4回のさらなる選択ラウンドに使用する軽鎖多様化ライブラリーを調製した。これらの選択ラウンドの1回目では、抗原として10nM ビオチン化ヒトCD137-Fc融合体とコンジュゲートしたMiltenyi MACsビーズを用いた。
【0659】
MACsビーズ選択に続いて、3ラウンドのFACSソーティングを実施した。これらのラウンドの1回目では、10nMでビオチン化ヒトCD137-Fc融合体を使用した。マウスCD137試薬への結合剤に関する上記の含まれた陽性ソートに関する2回目のFACSラウンド、既に述べた対照mAbとの競合ソート、または上記に記載した多特異性試薬結合剤を減少させるための陰性ソートを行なった。FACS選択の3回目および最後のラウンドを、10nMでのビオチン化マウスCD137 Fc融合体または50nMでのビオチン化ヒト単量体CD137のいずれかを使用して行なった。上記に記載した各FACS選択ラウンドからの個々のコロニーを選択し、配列決定し特徴付けた。
【0660】
IgGおよびFabの産生および精製
酵母クローンを飽和まで増殖させ、次いで振盪させつつ30℃で48時間にわたり誘導した。誘導後、酵母細胞をペレット化し、上清を採取して精製した。IgGを、Protein Aカラムを使用して精製し、酢酸(pH2.0)に溶出させた。Fab断片を、パパイン消化により生成し、CaptureSelect IgG-CH1親和性マトリックス(ライフテクノロジーズ(LifeTechnologies),カタログ#1943200250)で精製した。
【0661】
実施例2:エピトープビニング、および組換えCD137に対するヒト抗CD137抗体親和性の決定
実施例1で単離した抗体のエピトープビニングを、標準的なサンドインチフォーマットのビニングアッセイを使用するForte Bio Octet Red384システム(ポールフォルテバイオコーポレーション(Pall Forte Bio Corporation),カリフォルニア州メンロパーク所在)で実施した。CD137対照抗体IgGをAHQセンサー上にロードし、このセンサー上の非占有Fc結合部位を非関連ヒトIgG1抗体で遮断した。次いで、このセンサーを100nM 標的抗原に曝露し、続いて実施例1に記載されているように同定された単離抗体に曝露した。データを、ForteBio’s Data Analysis Software 7.0を使用して処理した。抗原会合後の二次抗体によるさらなる結合は非占有エピトープ(非競合体)を示すが、非結合はエピトープ遮断(競合体)を示す(データは示さない)。
【0662】
CD137抗体の親和性を、ForteBio Octetで速度論的定数(k、k、k)を測定することにより決定した。ForteBio親和性測定を、概して既に記載されているように実施した(エステップら(Estep et al.),MAbs.2013 5(2):270-8)。簡潔には、ForteBio親和性測定を、AHQセンサー上にオンラインで抗体(IgG)をロードすることにより実施した。センサーを、30分にわたりアッセイ緩衝剤中においてオフラインで平衡化し、次いで60秒にわたりオンラインでモニタリングして、ベースラインを確立した。熱心な結合測定のために、IgGがロードされたセンサーを、3分にわたり100nM 抗原(ヒト、カニクイザル、マウスCD137)に曝露し、その後、3分にわたりアッセイ緩衝剤に移してオフレート測定を行なった。AHQセンサーにヒトSC137-Fc融合体をロードし、続いて溶液中の200nM 抗体Fabに曝露することにより、一価結合測定値を得た。速度論的データを、フォルテバイオ(ForteBio)により提供されるデータ分析ソフトウェアにおいて1:1結合モデルを使用してフィットさせた(データは示さない)。
【0663】
抗体がリガンドを遮断しているかどうかの決定も評価した。具体的には、リガンド遮断実験を、Octet HTX(フォルテバイオ(ForteBio))および標識フリーMX96 SPRi(カテルラ(Caterra))の両方で実施した。mAb1を、OctetセンサーまたはMX96チップセンサーで捕捉した。mAb1が予めロードされたセンサーに、CD137およびCD137Lを順次アプライした。CD137Lへの曝露時の応答の増加は、CD137への結合に関するmAb1とCD137Lとの間の非競合を示した。それに対して、シグナルの変化の欠如は、対照抗体mAb5の場合である競合を示した。mAb1は、CD137へのCD137Lの結合を阻害せず(データは示さない)、従って非リガンド遮断抗体と考えられた。
【0664】
実施例3:親和性成熟抗CD137抗体の結合親和性の分布
親和性成熟抗CD137抗体を、2つの変異体ライブラリーを使用して生成した。第1のライブラリーは重鎖中に変異を含み、第2のライブラリーは軽鎖中に変異を含み、軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3中にドナー多様性が生じた。変異体ライブラリーには、親和性を高め、かつマウスCD137との交差反応を維持する目的で、3ラウンドのファージパニングを行なった。各ラウンドでは、ビオチン化抗原への最初の結合(即ち、37℃での過剰な非標識抗原または親IgGとの1時間のインキュベーション)の後に、オフレートの競合工程を採用した。
【0665】
様々な選択ラウンドから得られた抗CD137抗体を、k/k二重対数プロット上にプロットした。見かけ上の会合および解離の速度論的速度定数(k値およびk値)を、PBS-T 0.01%のランニング緩衝剤中においてSPRiリーダー(MX96,カーテラ(Carterra))で決定した。抗ヒトCD137抗体を、CFM(カーテラ(Carterra))上のカルボキシメチルデキストランヒドロゲル50Lチップ(キサンテックバイオアナルティクス(Xantec bioanalytics))上に共有結合的にプリントした。新たに混合した活性化試薬(H2O中の0.4M EDC 150mlおよび0.1M スルホ-NHS 150ml)を使用して、7分にわたりSPR基質の表面を活性化させた。酢酸緩衝剤(pH4.5)中の10mg/mlの抗体を、15分にわたりプリントに使用した。次いで、プリントされたチップを、15分にわたり、1M エタノールアミンによりSPRiリーダー(MX96,カーテラ(Carterra))上でクエンチした。速度論的分析のために、精製された組換えhisタグ付きヒトCD137(0、2.05、5.12、12.8、32、80、200、500nM)を連続注射した。各濃度に関して、5分間の会合、続いて10分間の解離を行なった。データを、SPR Inspection ToolソフトウェアおよびScrubberソフトウェアで処理して分析した。速度論的データを、中間参照スポットで参照し、緩衝剤サイクルに対して二重参照し、次いで、1:1の結合モデルに包括的にフィットさせて、見かけ上の会合および解離の速度論的速度定数(k値およびk値)を決定した。k/k比を使用して、各抗原/mAb相互作用のK値を導いた(即ち、K=k/k)。
【0666】
(k/k)が10~20nMである抗体は直立の三角形で示され、Kが10nM未満であるものは逆さまの三角形で示される(図1)。重鎖のみの親和性成熟(上部のパネル)または軽鎖のみの親和性成熟(下部のパネル)の両方から、結合親和性が親抗体(mAb1)と比べて高い抗CD137抗体が単離された(図1)。mAb1の重鎖可変領域および軽鎖可変領域はそれぞれ、配列番号4および6に記載されている。
【0667】
実施例4:抗CD137抗体の重鎖CDR3(CDRH3)を含む重要な結合残基の同定
CDRH3内のどのアミノ酸残基がマウスCD137ポリペプチドおよびヒトCD137ポリペプチドへのmAb1の結合に重要であるかを決定するために、アラニンスキャニングを実施した。mAb1オープンリーディングフレームの誘導体をコードするポリヌクレオチドのセットを生成し、各誘導体は、CDRH3を含む野生型アミノ酸残基位置で単一のアラニン残基置換を含んだ。配列番号4のD95位~M100I位をそれぞれ、野生型コドンをアラニンコドンGCCに置き換えることにより、アラニンに変異させた。アラニン置換された各mAb1誘導体の各CDRH3のアミノ酸配列は、配列番号111~125に記載されている。15種のmAb1アラニン置換誘導体のそれぞれをコードするポリヌクレオチドを、Gibson Assemblyにより発現ベクター(アグリコ-IgG1,DID-2600)に個々にクローニングした。アラニン置換された各mAb1誘導体を、当該技術分野で既知の標準的な技法を使用して発現させて精製した。ヒトCD137およびマウスCD137に対するアラニン置換された各mAb1誘導体の結合親和性を、ヒトCD137(huCD137)の場合にはWasatch SPR速度論的測定により決定し、マウスCD137(mCD137)の場合には平衡細胞結合アッセイにより決定した。
【0668】
表1は、各変異体に関して算出された解離定数(K)を示す。この表中に「弱い」が記述されている場合には、バックグラウンドを超えるが、曲線フィッティングでの信頼性が、正確なK値を割り当てるには不十分であった結合が測定された。表1では、「NB」は、結合親和性の決定中に結合が観察されなかったことを表し、かつCDRH3中のアラニン置換により、CD137に結合しない抗体が生じたことを示す。
【0669】
【表2】
【0670】
アラニンへの変異から生じた結合親和性の保持、減弱化、または消失は、CD137結合にはどの残基が必要とされるか、およびどの残基が変異を許容するかの決定の情報を示す。図2は、各位置で示される野生型アミノ酸同一性と共に、CDRH3のアラニンスキャニングに関する結合データの概要を示す。示されているように、CDRH3の位置は、この位置のアラニンへの変異の効果に基づいて色付けされている。この分析により、下記のコンセンサス配列:
【0671】
【化1】
【0672】
が得られた。このコンセンサス配列中の太字の残基は、アラニンに変異しており、結合が完全に消失しており、従って、この残基は、CD137へのmAb1結合に必須であった。このコンセンサス配列中のイタリック体の残基がアラニンに変異した場合には、抗体は、依然としてCD137に結合し得たが、親和性はより弱く、このことは、この残基は、結合において部分的な役割を果たすが絶対に必要とされているわけでなかったことを示す。このコンセンサス配列中においてXで記述されている残基位置がアラニンに変異した場合には、結合親和性はほとんどかまたは全く変化しなかった。そのため、この残基は変異を許容し、かつ結合相互作用に重要ではなかった。
【0673】
実施例5:飽和変異誘発のスキャニングおよび相同体比較によるエピトープマッピング
飽和変異誘発ライブラリーのスキャニングおよび相同体比較によるCD137エピトープの機能的マッピングを実施して、CD137への抗体結合に重要な残基を同定した。システインを除く全ての可能なアミノ酸置換への単一点変異を全ての残基位置で有するCD137変異体のコンビナトリアルライブラリーを生成し、mAb1、mAb4、およびmAb5に対して結合する能力に関して試験した。CD137の各点変異体をコードする遺伝子からなるライブラリーは、商業的供給業者により合成されており、哺乳動物ディスプレイ発現ベクターにクローニングされた。哺乳動物ディスプレイを使用して、バリアントヒトCD137細胞外ドメインのライブラリーを呈示し、各バリアントは、野生型ヒトCD137に対して少なくとも1つの点変異を有した。
【0674】
CD137バリアントを呈示する細胞のライブラリーを、非重複抗体(i)mAb4およびmAb1または(ii)mAb4およびmAb5で染色した。一方の抗体への結合が減少しているが他方への結合は減少していない細胞集団を、FACSで富化させた。各集団を、Illumina配列決定により配列決定して、各抗体への結合を特異的に妨害するが、CD137の正確なフォールディングまたは非重複抗体に対する結合には影響を及ぼさない位置での変異を同定した。
【0675】
mAb1に関しては、K114を、CD137への結合に重要な最重要残基と同定し、観察した全ての変異の34%がこの位置で起こり、全てのアミノ酸置換を観察した。E111、T113、およびP135も結合には重要であり、変異の10%をこれらの位置のそれぞれで観察した。加えて、mAb1に関して結合が部分的に減少している集団では、N126およびI132を観察した。図3Aは、mAb1、mAb4、およびmAb5のエピトープを含む残基を示す。mAb4およびmAb5は、mAb1とは異なる結合エピトープを有した。mAb4に関しては、N42が最も重要な残基であり、全ての変異の50%をこの位置で観察し、R41およびD38が続いた。mAb5に関しては、I132が最も重要であり、全ての変異の32%がこの位置で起こり、N126、G96、K114、およびL95が続く。
【0676】
ライブラリースクリーンから単離された点変異体は、可溶性タンパク質として発現され、mAb1への結合に関して試験した。K114で試験した4つ全ての変異(R、E、N、T)は、mAb1への結合を消失させた。T113およびP135での変異も結合を妨害した。E111での1/2点変異体、N126での1/3変異体、およびI132での1/4変異体も、結合を示さなかった。同様に、N42での3/3変異体はmAb4に対して結合せず、I132での3/4変異体はmAb5に対して結合しなかった。
【0677】
加えて、CD137相同体を、mAb1への結合に関して試験した。図3Bに示すように、mAb1は、マウスCD137に対して結合し得たが、ラットCD137に対しては結合し得なかった。マウスCD137とラットCD137との間に、mAb1に対するエピトープを含む残基に差違が存在するかどうかを決定するために、ヒト、カニクイザル、ラット、およびマウスからのCD137相同体のアミノ酸配列を整列させて比較した。mAb1エピトープを含むアミノ酸残基の全てが、ヒト、カニクイザル、およびマウスには存在していたが、ラットには存在していなかった。ヒトCD137配列のリシン114(K114)、ならびにカニクイザルCD137配列およびマウスCD137配列中の対応するリシンは、ラットCD137配列ではグルタミン酸(E)であり、このことは、ヒトCD137配列のK114がmAb1に対する重要な結合残基の内の少なくとも1つであることをさらに示す。
【0678】
図3Cおよび図3Dは、CD137Lに対して結合したヒトCD137の結晶構造を示し(ビトラエーら(Bitra A et al.),J Biol Chem 2018,293(26):9958-9969)、残基E111、T113、K114、およびP135を球で示す。図示するように、これらの残基は、灰色で示されるCD137リガンド(CD137L)結合ドメインから離れて位置している。
【0679】
実施例6:マウスにおける免疫制御因子およびCD8+ T細胞に対する抗CD137抗体の効果
実施例1で生成された3種の抗CD137抗体mAb1、mAb2、およびmAb3を、これらの有効性に関してさらに分析した。これらの抗体はマウス交差反応性であり、Fabシャフリングを防止するために、S228P変異を含むヒトIgG4アイソタイプの定常領域を含んだ。in vivoでマウスCD137シグナル伝達を刺激して抗腫瘍免疫を励起することが知られている(メレロら(Melero et al.)(1997)Nature Medicine 3(6):682-685;ウノら(Uno et al.)(2006)Nature Medicine 12(6):693-696)3H3モノクローナル抗体を、コンパレーターとして使用した(バイオキセル(BioXcell) カタログ#BE0239;ロット番号5926/1115)。特に、抗体3H3は、CD137の細胞外ドメインを標的とするがリガンド結合を遮断しない完全ヒトIgG4-S228Pアゴニスト抗体であるウレルマブ(ブリストール-メイアーズスクイブ(Bristol-Myers Squibb);CAS番号:934823-49-1)と類似の特性を有する。加えて、抗ラットIgG4を、アイソタイプ対照として使用した(バイオキセル(BioXcell) カタログ#BE0089;ロット番号5533/5679-316J1)。PBSで希釈して、100μL注射体積で、示されているような1匹当たりの所望の用量を実現した。
【0680】
抗体(100μg)を、非腫瘍担持の雌のBalb/cマウスに対して0、3、6日目に腹腔内投与し、9日目に脾臓を採取した。CD8+CD44+ T細胞上でのPD-1発現およびTIGIT発現のレベルを、フローサイトメトリーにより測定した。具体的には、脾臓からの単一細胞懸濁液を、機械的粉砕および40μmの細胞ろ過器への通過により得た。赤血球を、ACK緩衝剤を使用して溶解させた。細胞懸濁液を、下記の抗体で染色した:CD45(クローン30-F11、イーバイオサイエンス(eBioscience))、CD8(クローン53-6.7、ビーディーバイオサイエンス(BD Biosciences))、CD4(クローンRM-45、ビーディーバイオサイエンス(BD Biosciences))、CD44(クローンIM7、イーバイオサイエンス(eBioscience))、PD-1(RMP1-30、イーバイオサイエンス(eBioscience))、およびTIGIT(GIGD7、イーバイオサイエンス(eBioscience))。データの取得を、MACSQuant Analyzerフローサイトメーター(ミルテニイ(Miltenyi))で実行し、データを、FlowJoソフトウェア、バージョン10を使用して分析した。
【0681】
抗体3H3は、PD-1およびTIGITの両方の発現の有意な増加を生じさせたが、抗体mAb1のみが、mAb2およびmAb3と比較して発現を増加させた(図4Aおよび図4B)。加えて、CD8+ T細胞の増殖を、脾臓のCD45+細胞の割合および1個の脾臓当たりのCD8+ T細胞の数を分析することにより評価した。同様に、抗体3H3は、CD8+ T細胞の最高の増殖を生じさせ、mAb1は、mAb2およびmAb3と比較して最高レベルのCD8+ T細胞の増殖を生じさせた(図4C)。従って、mAb1を、さらなる試験に選択した。
【0682】
実施例7:腫瘍担持マウスにおける抗CD137抗体の有効性
実施例6に示される、CD8+ T細胞の増殖を増強するmAb1の能力を考慮して、mAb1を、同系結腸がんの皮下モデルを使用して、抗腫瘍活性に関してさらに分析した。具体的には、CT26腫瘍細胞(継代3)を、10% 56℃熱不活性化FBS(ギブコ(Gibco)10438-034)、1mM ピルビン酸ナトリウム(ギブコ(Gibco) カタログ#11360-070)、1X NEAA(ギブコ(Gibco) カタログ#11140-050)、および1X MEM Vitamin溶液(ギブコ(Gibco) カタログ#11120-052)を含むDMEM培地(ギブコ(Gibco) カタログ#11965-092)中において、無菌条件下で維持した。細胞を、37℃および5% COで維持した。50~70%のコンフルエンスに達した時点で、細胞を、合計2回の継代にわたり1:10の比で継代させた後、in vivoで移植した。細胞を採取し、Hemacytometer(ハウサーサイエンティフィックブライト-ライン(Hausser Scientific Bright-Line)#1492)を使用して計数した。
【0683】
Balb/c雌マウスを、チャールズリバーラボラトリーズ(Charles River Laboratories)から購入し、試験開始時に9週齢であった。CT26腫瘍細胞(PBS 0.1mL中においてマウス1匹当たり1×10個の細胞)を、各マウスの右脇腹中に皮下注射し、腫瘍体積を、ダイアルカリパスを使用して1週間に2回算出した(長さ×(幅^2)/2)。腫瘍接種後7日目に、動物を8匹の群に分けて処置を開始した。試験の最中に、体重を1週間当たり3回記録した。
【0684】
mAb1を、3つの異なる投薬量(100、50、または25μg/マウス)で投与し、3H3を2つの異なる投薬量(50または10μg/マウス)で投与し、アイソタイプ対照抗体を50μg/マウスの投薬量で投与した。全てのマウスに、0、3、6、および9日目に腹腔内投与した。
【0685】
腫瘍中のCD8+ T細胞の増殖を、mAb1抗体および3H3抗体の両方に関してin vivoで確認した(データは示さない)。個々の腫瘍体積を図5Aに示し、平均腫瘍体積を図5Bに示す。mAb1処置により、3つ全ての投薬量で、対照群と比較して腫瘍増殖が阻害された。さらに、mAb1による処置により、25μgの用量レベルでは8匹のマウス中の6匹で、50μgの用量レベルでは8匹のマウス中の5匹で、および100μgの用量レベルでは8匹のマウス中の3匹で、完全退縮が生じた。
【0686】
各処置群における全生存を、図5Cに示す。CT26腫瘍に対するmAb1の強い抗腫瘍活性は、全生存の拡大として反映された。25μgの用量レベルではマウスの80%で、50μgの用量レベルではマウスの62%で、および100μgの用量レベルではマウスの38%で、長期生存(>60日)を観察した。
【0687】
70日目に腫瘍を触診できないマウスを治癒したと見なし、反対側の脇腹に対してCT26細胞を皮下注射して再負荷した。具体的には、腫瘍が根絶されたマウスの左脇腹に対して、1×10個のCT26細胞を再度注射し、腫瘍体積を、ダイアルカリパスを使用して1週間に2回算出した(長さ×(幅^2)/2)。5匹の非免疫化(ナイーブ)マウスに対して、それぞれ対照と同じ方法で注射した。再負荷実験の結果を、図5Dに示す。CT26細胞の皮下注射の22日後、再負荷されたマウスはいずれも腫瘍を形成しなかった。対照的に、同一の細胞を注射したナイーブマウスは全て、腫瘍を形成した。従って、治癒したと見なされたマウスは全て、CT26腫瘍を拒絶しており、このことは、mAb1が長期の保護的メモリーを誘導し得ることを示唆する。
【0688】
実施例8:腫瘍担持マウスにおける親和性成熟抗CD137抗体の有効性
実施例4で生成された親和性成熟モノクローナル抗体を、基本的には実施例7に記載されているのと同一の同系結腸がん(CT26)の皮下モデルを使用して、抗腫瘍活性に関して分析した。具体的には、IgG4定常領域を有する6個の親和性成熟クローン(mAb7~mAb12)を生成し、適宜に試験した。重鎖可変領域および軽鎖可変領域の配列を、マウスCD137に対するK値(実施例2に記載されているForteBio Octetにより決定した)、およびヒトCD137に対するK値(実施例4に記載されているカーテラ(Carterra)で決定した)と一緒に、下記のチャートに記載する。
【0689】
【表3】
【0690】
親mAb1、3H3抗体(データは示さない)、およびIgG4アイソタイプ抗体を、対照として使用した。全てのマウスに対して、0、3、7、および10日目に、50μgのmAb/マウスを腹腔内投与した。治療開始後13日目に、脾臓および肝臓を採取した。
【0691】
個々の腫瘍体積を図6Aに示し、平均腫瘍体積を図6Bに示す。実施例7からの結果と一致して、親mAb1による処置により腫瘍体積が減少した。さらに、mAb1に由来する全ての親和性成熟クローン(mAb7~mAb12)の腫瘍担持マウスへの投与により、アイソタイプ対照抗体で処置されたマウスと比較して腫瘍増殖が阻害された。
【0692】
実施例9:腫瘍担持マウスにおけるT細胞への抗CD137抗体の効果
腫瘍担持マウスにおけるT細胞のレベルへの抗CD137抗体(即ち、3H3およびmAb1)の効果を決定するために、実施例7に記載されているCT26腫瘍を有するBalb/cマウスに対して、0および3日目に抗体を腹腔内注射し、7日目に組織を採取した。mAb1を3つの異なる投薬量(100、50、または25μg/マウス)で投与し、3H3を2つの異なる投薬量(50または10μg/マウス)で投与し、アイソタイプ対照抗体を50μg/マウスの投薬量で投与した。
【0693】
脾臓からの単一細胞懸濁液を、実施例6に記載されているように得て、腫瘍細胞懸濁液を、腫瘍分離キット(ミルテニイ(Miltenyi) カタログ#130-096-730)を使用して酵素的消化および機械的消化により得た。細胞懸濁液を完全培地で処理して酵素を不活性化させ、次いで40μmの細胞ろ過器に通した。赤血球を、ACK緩衝剤を使用して溶解させた。細胞を、実施例6に記載されているように、CD45、CD8、およびCD4に対する抗体で染色して分析した。
【0694】
図7は、CD4+ T細胞およびCD8+ T細胞の数を、脾臓および腫瘍で見出されたCD45+細胞の割合として示す。これらの結果は、mAb1が、脾臓のCD8+ T細胞と比較して腫瘍浸潤性CD8+ T細胞を選択的に増殖させることを示した。
【0695】
実施例10:in vivoでの抗CD137抗体の抗腫瘍有効性へのCD4+リンパ球、CD8+リンパ球、またはNKリンパ球の枯渇の効果
抗CD137抗体の作用機序を評価するために、実施例7に記載されているCT26腫瘍を有するBalb/cマウスに対して、mAb1のみを腹腔内注射したか、または抗CD4抗体(GK1.5)、抗CD8抗体(YTS169.4)、もしくは抗アシアロ-GM1抗体(NK細胞を標的とする)と組み合わせて腹腔内注射して、動物からこれらの特定のリンパ球のサブセットを枯渇させた。mAb1抗体のみで処置されたマウスに対して、6、9、12、19、および26日目に抗体150μgを投与した。500μgの抗CD4、抗CD8、または50uLの抗アシアロ-GM1抗体と組み合わせてmAb1 150μgで処置されたマウスに対して、-1、0、5、10、15、および20日目に投与した。有効な枯渇を、FACS分析により確認した(データは示さない)。
【0696】
個々の腫瘍体積を、図8に示す。実施例7からの結果と一致して、親mAb1による処置により、腫瘍体積が減少した。さらに、リンパ球を枯渇させる抗CD4抗体、抗CD8抗体、または抗アシアロ-GM1抗体と組み合わせたmAb1の投与により、mAb1抗体の抗腫瘍活性が減少した。これらの結果は、本明細書に記載される抗CD137抗体の抗腫瘍有効性に関する自然免疫と適応免疫との間の協調を示した。
【0697】
実施例11:様々な腫瘍モデルにおける抗CD137抗体の抗腫瘍有効性
抗CD137抗体が、様々な腫瘍モデルにおいて抗腫瘍有効性を有するかどうかを決定するために、mAb8を、CT26腫瘍(結腸癌;上記に記載されている)、EMT-6腫瘍(乳癌)、A20腫瘍(B細胞リンパ腫)、またはMC38腫瘍(結腸癌)のいずれかを有するマウスに対して投与した。
【0698】
全ての腫瘍モデルに関して、雌のマウスを、チャールズリバーラボラトリーズ(Charles River Laboratories)から購入し、試験開始時に7~9週齢であった。各腫瘍タイプに関して、適切な同系マウス株を使用した(CT26、EMT-6、およびA20の場合はBalb/c;MC38の場合はC57BL/6)。PBS 0.05mL中のEMT6腫瘍細胞(1匹のマウス当たり5×10個の細胞)を、各マウスの右側の乳腺脂肪体に対して注射した。CT26腫瘍細胞(1匹のマウス当たり1×10個の細胞)、A20腫瘍細胞(1匹のマウス当たり5×10個の細胞)、およびMC38腫瘍細胞(1匹のマウス当たり5×10個の細胞)を、各マウスの右脇腹に対して皮下注射し、腫瘍体積を、ダイアルカリパスを使用して1週間に2回算出した(長さ×(幅^2)/2)。腫瘍が50~100mmのサイズに達した時点で、マウスを無作為化してmAb8またはアイソタイプ対照を投与した(0日目)。視認可能なEMT6腫瘍を有するマウスに対して、0、3、6、および9日目に、12.5μgを投与した。A20腫瘍(200μg/マウス)およびMC38腫瘍(12.5μg/マウス)を有するマウスに対して、1週間に1回、5回の用量を投与した。全てのマウスに対して、腹腔内投与した。
【0699】
図9に示すように、mAb8は、試験された4種全ての腫瘍モデルにおいて有効であり、このことは、様々ながんのタイプに対する広範囲な有効性を示す。mAb8による処置により、8匹/8匹のCT26腫瘍担持マウス、3匹/8匹のEMT6腫瘍担持マウス、5匹/8匹のA20腫瘍担持マウスで腫瘍退縮が生じ、残りのEMT6担持マウス、A20担持マウス、およびMC38担持マウスの大部分で増殖が遅延した。
【0700】
実施例12:抗CD137抗体の投薬量の効果
抗CD137抗体の抗腫瘍有効性をさらに特徴付けるために、基本的には実施例7に記載されているのと同一の同系結腸がん(CT26)の皮下モデルを使用して、投薬量試験を実施した。具体的には、親mAb1ならびに親和性成熟抗体mAb8およびmAb10を、1つの処置群当たり8匹のマウスで、0、3、6、および9日目に、1匹のマウス当たり150μg(高用量)または20μg(低用量)のいずれかの用量で腹腔内投与した。マウスの1つの群(n=8)に対して、150μgの用量でIgG4アイソタイプ対照を投与した。
【0701】
150μgで処置されたマウスの個々の腫瘍体積、平均腫瘍体積、および生存率を、それぞれ図10A図10B、および図10Cに示す。20μgで処置されたマウスの個々の腫瘍体積、平均腫瘍体積、および生存率を、それぞれ図11A図11B、および図11Cに示す。これらの結果は、親mAb1、ならびに親和性成熟mAb8抗体および親和性成熟mAb10抗体による処置により、高用量および低用量の両方で、腫瘍体積が減少し、かつマウスの生存が増加することを示した。
【0702】
CT26腫瘍モデルを用いる別の投薬量試験では、親mAb1のさらなる用量を試験した。具体的には、mAb1を、下記の用量:12.5μg、25μg、50μg、100μg、および200μgで腹腔内投与した。図12は、この投薬量試験の結果を示し、広範な用量範囲にわたり有効性が示されている。mAb1による処置により、各用量レベルにおいて少なくとも3匹/8匹のマウスで腫瘍退縮が生じており、最適用量範囲(50~100μg/マウス)では、7匹/8匹のマウスで腫瘍が根絶された。
【0703】
実施例13:抗CD137抗体の抗腫瘍有効性へのFc受容体結合の効果
抗CD137抗体の抗腫瘍活性へのFc受容体結合の寄与を決定するために、mAb1のアグリコシル化されたIgG1バージョンおよびIgG4バージョンを生成した。CT26腫瘍を、実施例7に記載されているようにマウスで確立した。マウスに対して、(a)アイソタイプ対照;(b)IgG4としてのmAb1;(c)IgG4としてのアグリコシル化mAb1;または(d)IgG1としてのアグリコシル化mAb1のいずれか150ugを投与した。
【0704】
図13Aおよび図13Bに示すように、親mAb1抗体のアグリコシル化されたIgG4アイソタイプおよびIgG1アイソタイプは、mAb1と比較して腫瘍体積への効果が減少した。しかしながら、有効性は、完全には消失しなかった。従って、これらの結果は、mAb1の抗腫瘍有効性はFcに完全に依存するものではないがFc受容体結合により増強されることを示した。
【0705】
実施例14:抗CD137抗体の異種間親和性
抗CD137抗体を、複数の種由来のCD137への結合に関してさらに試験した。具体的には、mAb1、mAb8、およびmAb10を、ヒト、マウス、カニクイザル、およびイヌのCD137への結合に関して分析した。速度論的実験を、速度論的緩衝剤(1×PBS、pH 7.4、0.1mg/ml BSA、および0.002% Tween 20)中において、Octet HTX(フォルテバイオ(ForteBio))で実施した。Fcタグ付きCD137、マウスIgG2aタグ付きCD137、またはHisタグ付きCD137(ヒト、マウス、カニクイザル、またはイヌ)を、予め水和させたバイオセンサーAHC、AMC、またはNTAそれぞれに、5分にわたりロードした。次いで、これらのセンサーを、5分間の会合のためにFab(0、5.12、12.8、32、80、200、および500nM)に浸し、続いて15分間解離させた。結果を、ForteBio Data Analysis 9.0で分析し、1:1結合モデルに包括的にフィットさせて、見かけ上のKを決定した。ヒトおよびマウスのCD137結合に関するKを、様々な供給源(エーシーアールオーバイオシステムズ(ACRO Biosystems)、シノバイオロジカル(Sino Biological)、および内部)からの抗原を使用することにより確認した。結果を、下記の表2に示す。
【0706】
【表4】
【0707】
実施例15:抗CD137抗体の抗腫瘍有効性への腫瘍サイズの効果
抗CD137抗体の抗腫瘍有効性をさらに特徴付けるために、大きな腫瘍に対する抗腫瘍有効性を評価した。CT26腫瘍を、処置前に約500mmまで増殖させた。親mAb1、ならびに親和性成熟したmAb8抗体およびmAb10抗体を、腫瘍確立後0、3、6、および9日目に、150μg/マウス(n=6のマウス/処置群)で投与した。IgG4アイソタイプ対照抗体を、コンパレーターとして使用した。
【0708】
図14A~14Cに示すように、親mAb1、ならびに親和性成熟したmAb8およびmAb10は、アイソタイプ対照と比較して、腫瘍体積を減少させ(図14A~14B)、かつマウスの生存を増加させた(図14C)。mAb8は、mAb1およびmAb10と比較して抗腫瘍有効性を有意に高めた。0、7、および14日目に抗体25μgを投与したことを除き、同一の試験デザインを使用して、大きな腫瘍に対するmAb8および3H3の有効性を比較する別の試験を行なった。図14Dは、3H3が大きな腫瘍に対して有効ではなかったが、mAb8は腫瘍退縮を誘導したことを示す結果を提供する。
【0709】
実施例14に記載されているように、mAb8は、ヒトCD137に対するmAb1の親和性と同等なマウスCD137に対する親和性を有する。本開示は任意の特定の理論または作用機序に拘束されないが、親和性が中程度であるアゴニスト抗CD137抗体は、がんの処置にさらに有用であり得ると考えられる。
【0710】
70日目に腫瘍を触診できないマウスを治癒したと見なし、反対側の脇腹に対してCT26細胞を皮下注射して再負荷した。具体的には、腫瘍が根絶されたマウスの左脇腹に対して、1×10個のCT26細胞を再度注射し、腫瘍体積を、ダイアルカリパスを使用して1週間に2回算出した(長さ×(幅^2)/2)。5匹の非免疫化(ナイーブ)マウスに対して、それぞれ対照と同じ方法で注射した。再負荷実験の結果を、図15に示す。CT26細胞の皮下注射の8日後、再負荷されたマウスはいずれも腫瘍を形成しなかった。対照的に、同一の細胞を注射したナイーブマウスは全て、腫瘍を形成した。従って、治癒したと見なされたマウスは全て、CT26腫瘍を拒絶しており、このことは、mAb1が長期の保護的メモリー免疫を誘導し得ることを示唆する。
【0711】
実施例16:腫瘍担持マウスにおける抗CD137抗体の毒性
腫瘍担持マウスにおける肝臓内T細胞のレベルへの抗CD137抗体(即ち、3H3およびmAb1)の効果を決定するために、実施例7からのマウスを分析した。肝臓リンパ球を集め、フローサイトメトリーで分析した。具体的には、肝臓からの単一細胞懸濁液を、肝臓分離キット(ミルテニイ(Miltenyi) カタログ#130-105-807)およびgentle MACS Dissociator(ミルテニイ(Miltenyi))を使用して得た。細胞懸濁液を完全培地で処理して酵素を不活性化させ、次いで40μmの細胞ろ過器に通した。赤血球を、ACK緩衝剤を使用して溶解させた。細胞を、実施例3に記載されているように、CD45、CD8、およびCD4に対する抗体で染色して分析した。
【0712】
図16Aおよび図16Bは、CD4+ T細胞およびCD8+ T細胞の数を、処置マウスの肝臓で見出されたCD45+細胞の割合として示す。これらの結果は、mAb1が肝臓内T細胞の浸潤を誘導しないことを示し、このことから、抗体3H3と比較して低い毒性が実証される。
【0713】
実施例17:腫瘍担持マウスにおける親和性成熟抗CD137抗体の毒性
抗CD137抗体(即ち、3H3、mAb1、およびmAb7~mAb12)により媒介される毒性関連効果を評価するために、実施例8からの腫瘍担持マウスの脾臓および肝臓の細胞組成を、抗体投与後に分析した。
【0714】
実施例8からの腫瘍担持マウスにおける肝臓内T細胞(肝臓)および脾臓内T細胞(脾臓)を集め、フローサイトメトリーで分析した。示されているように、肝臓および脾臓からのCD45+細胞を、抗CD137抗体またはアイソタイプ対照抗体の投与後に、CD3+、CD4+、またはCD8+の発現に関して評価した。結果を、図17A(脾臓)および図17B(肝臓)に示す。これらの結果は、親mAb1および親和性成熟抗体(mAb7~mAb12)の投与が、アイソタイプ対照抗体の投与と比較して、肝臓内T細胞および脾臓内T細胞の割合への効果がほとんどないかまたはないことを示した。対照的に、3H3抗体の投与により、アイソタイプ対照抗体と比較して、脾臓および肝臓の両方においてT細胞(特に、CD3+ T細胞およびCD8+ T細胞)が上昇した。
【0715】
さらに、処置マウスの肝臓および脾臓からのCD45+CD8+ T細胞およびCD45+CD4+ T細胞を、抗CD137抗体またはアイソタイプ対照抗体の投与後にT細胞の活性化または疲弊の指標としてのTIGIT、PD-1、またはLAG-3の共阻害受容体の発現に関して評価した。CD8+ T細胞およびCD4+ T細胞上でのTIGIT、PD-1、およびLAG-3の発現レベルを、先の実施例に記載されているようにフローサイトメトリーで測定した。図18A~18Bおよび図19A~19Bは、3H3抗体の投与により、CD8+ T細胞およびCD4+ T細胞の両方において、これらの共阻害受容体の発現が有意に増加したが、親mAb1または親和性成熟mAb7~mAb12抗体の投与により、アイソタイプ対照抗体の投与後に見られたのと同様の程度までTIGIT、PD-1、またはLAG-3が発現したことを示す。これらの結果は、親和性成熟抗体は、全身のCD8+ T細胞またはCD4+ T細胞の活性化を誘導しないことを示した。
【0716】
まとめると、これらの結果は、親mAb1および親和性成熟mAb7~mAb12抗体は、3H3コンパレーター抗体と比較してin vivo毒性の可能性が低いことを示す。mAb1および親和性成熟mAb7~mAb12抗体による処置後に、全身での(特に肝臓での)T細胞の活性化および増殖の非存在により、患者の肝毒性(高トランスアミナーゼ血症)の可能性がより低くなる可能性がある。
【0717】
実施例18:腫瘍担持マウスにおける抗CD137抗体の複数回用量の毒性
mAb1により誘導される毒性の欠如を確認するために、反復用量の毒性試験を実行した。具体的には、マウスに対して、4週間にわたり1週間に1回、抗CD137抗体mAb1、mAb8、または3H3を投与した。mAb1およびmAb8を、10、20、40、または80mg/kgのいずれかで投与し、3H3を、10または80mg/kgのいずれかで投与した。35日目に、血漿中のアラニンアミノトランスアミナーゼ(ALT)レベルを、蛍光活性アッセイ(シグマ(Sigma),カタログ#MAK052)を使用して決定し、肝臓中のCD8+ T細胞を、フローサイトメトリー(上述)を使用して決定し、血漿中のTNFαの濃度を、製造業者の指示に従って電気化学発光アッセイ(メソスケールディスカバリー(Meso Scale Discovery),カスタムキット)を使用して決定した。
【0718】
図20Aは、4種全ての用量でmAb1およびmAb8が投与されたマウスの肝臓中のCD8+ T細胞は低レベルであるが、3H3は、低用量(10mg/kg)および高用量(80mg/kg)の両方で高レベルのCD8+ T細胞を誘導したことを示す。図20Bは、4種全ての用量でmAb1およびmAb8が投与されたマウスの血漿中のALT活性は低レベルであるが、3H3は、80mg/kgの用量で高レベルのALTを誘導したことを示す。図20Cは、低用量(10mg/kg)および高用量(80mg/kg)の両方でmAb1 mAb8が投与されたマウスの血漿中のTNFαは低レベルであるが、3H3は、低用量(10mg/kg)および高用量(80mg/kg)の両方で高レベルのTNFαを誘導したことを示す。
【0719】
加えて、80mg/kgの抗CD137アゴニスト抗体が投与された処置マウスからの肝臓を、切片化してH&Eで染色した。各動物から、肝葉の半分をOCTに包埋させ、液体窒素で新鮮凍結させた。標準的な手順に従って、組織病理検査室(マスヒストロジーサービス社(Mass Histology Service, Inc))により、切片化およびH&E染色を実施した。図21は、3H3が投与されたマウスでの炎症性の小葉中心性病巣(矢印を参照されたい)を示すがmAb1または親和性成熟mAb1では示さない結果を示す。
【0720】
実施例19:抗CD137抗体による免疫再プログラミング
腫瘍微小環境下での免疫細胞への抗CD137抗体の役割を決定するために、CT26腫瘍モデルを用いた。具体的には、CT26腫瘍を、実施例7に記載されているように確立した。mAb8を、25ugの用量にて、0、3、6、および9日目にマウスに対して投与した。腫瘍を、実施例16に記載されているように、11日目に分析した。
【0721】
腫瘍微小環境への免疫細胞の全体的な浸潤を、CD45+肝臓細胞の量を測定することにより決定した。図22Aに示すように、mAb8は、腫瘍微小環境への免疫細胞の浸潤を有意に増加させた。
【0722】
腫瘍微小環境中のTreg細胞のレベルを、CD25+FOXP-3+CD4+腫瘍浸潤リンパ球の量を測定することにより決定した。図22Bに示すように、mAb8は、腫瘍微小環境中のTregのレベルを有意に低下させた。
【0723】
T細胞疲弊へのmAb8の効果を、CD8+またはCD4+腫瘍浸潤リンパ球(TIL)へのPD-1+TIGIT+発現のレベルを測定することにより決定した。図22Cは、CD8+ TILに関する結果を示し、mAb8を投与した場合には、腫瘍微小環境中では、PD-1+TIGIT+細胞が減少した。同様の結果を、CD4+ TILの場合に観察した(データは示さない)。これらの結果は、mAb8がT細胞疲弊を防ぐおよび/または逆転させることを示す。
【0724】
加えて、腫瘍関連マクロファージへのmAb8の効果も分析した。具体的には、F4/80+CD11b+CD45+細胞を測定し、mAb8の処置により、腫瘍関連マクロファージの減少を観察した。
【0725】
別個の試験では、末梢免疫細胞への抗CD137抗体(即ち、mAb1および3H3)の効果を評価した。具体的には、150ugの用量で0および3日目にmAb1または3H3で処置したCT26腫瘍担持マウスからの脾臓を、7日目に分析した。図23に示すように、抗CD137抗体3H3は、CD8+ T細胞およびCD4+ T細胞上でのTIGITおよびPD-1の発現を誘導し、CD8+CD25+細胞およびCD4+Foxp3+細胞を増加させた。加えて、3H3は、CD8+エフェクターメモリー細胞およびCD4+エフェクターメモリー細胞の両方を誘導した。対照的に、抗CD137抗体mAb1は、CD8+TIGIT+PD-1+ T細胞、CD8+CD25+ T細胞、およびCD4+Foxp3+ T細胞を有意に誘導しなかった。さらに、mAb1は、CD8+エフェクターメモリー細胞またはCD4+エフェクターメモリー細胞を誘導しなかった。
【0726】
全体として、これらの結果は、抗CD137抗体mAb1およびmAb8は、腫瘍微小環境内で劇的な免疫再プログラミングを誘導し、末梢免疫細胞への効果は、たとえあったとしも少ないことを示す。
【0727】
実施例20:抗CD137抗体によるマウスT細胞活性化の増強
抗CD137抗体のアゴニスト活性を、マウスオボアルブミン刺激アッセイにおいてIL-2産生の刺激を評価することにより、さらに分析した。96ウェルプレートにおいて、JAWS-II樹状細胞様細胞を、10個の細胞/ウェルで蒔き、マウスIFN-γ(10ng/mL)の存在下で一晩インキュベートした。細胞を、2μg/mL OVA/A2ペプチドと共にインキュベートし、37℃で2時間にわたりインキュベートし、続いて、OVAを発現する、OT-Iマウスの脾臓から単離された10個のCD8+ T細胞と共にインキュベートした。抗体を同時に投与した。アテゾリズマブ(抗PD-L1抗体)およびマウス抗PD-1抗体(RMP1-14)を、IgG4アイソタイプ対照と一緒に、コンパレーターとして使用した。IL-2濃度を、Meso Scale Discovery(MSD)により決定した。
【0728】
図24に示すように、mAb8およびmAb10は、IL-2産生を有意に増強した。
IL-2産生の測定に加えて、CD25+CD8+ T細胞およびTIGIT+CD8+ T細胞の割合を、同一のマウスオボアルブミン刺激アッセイを使用して分析した。抗体3H3を、コンパレーターとして含めた。図25Aおよび図25Bは、mAb8およびmAb10が、活性化マーカーであるCD25の発現を増強し、かつ疲弊マーカーであるTIGITの誘導を回避したことを示す。対照的に、3H3は、TIGITの発現を増強した。
【0729】
実施例21:サイトカイン誘導への抗CD137抗体の効果
T細胞によるサイトカイン誘導への抗CD137抗体の効果を決定するために、プレート結合抗体を用いた。下記の3種の抗体をコンパレーターとして使用した:mAb4、ウレルマブ(ブリストール-マイヤーズスクウィブ(Bristol-Myers Squibb);CAS番号:934823-49-1)に対応する、CD137の細胞外ドメインを標的とするがリガンド結合を遮断しない完全ヒトIgG4-S228Pアゴニスト抗体;mAb5、ウトミルマブ(ファイザー(Pfizer);CAS番号:1417318-27-4)に対応する、CD137の細胞外ドメインを標的とし、かつリガンド結合を遮断する完全ヒトIgG2-S228Pアゴニスト抗体;およびmAb6、mAb1と同一のライブラリーから選択され、CD137の細胞外ドメインを標的とする完全ヒトIgG4-S228Pアゴニスト抗体。mAb6抗体は、リガンド結合を遮断しない。
【0730】
ヒトCD3+ T細胞を陰性選択により単離し、抗CD137抗体および1μg/mlの抗CD3が結合したプレートに対して添加した。抗CD137抗体を、1nM、10nM、50nM、または100nMのいずれかで添加した。抗体を、4℃で一晩コーティングした。
【0731】
T細胞の添加の72時間後、IL-2、IFN-γ、TNFα、およびIL-13のレベルを、製造業者の指示に従ってLuminexキット(ルミネックスコーポレーション(Luminex Corporation),テキサス州オースティン(Austin)所在)により評価した。可溶性抗CD28(2μg/mL)を、T細胞活性化対照として使用し、活性化ベースラインを、プレート結合抗CD3を使用して設定した。図26は、活性化ベースラインと関係する各サイトカインレベルの倍数変化を示す。mAb4(ウレルマブ)は、各サイトカインの最高レベルの誘導を示し、mAb1は、より低いレベルであるがmAb5(ウトミルマブ)およびmAb6と比較して高いレベルの誘導を示した。これらの結果は、mAb1が、同濃度でmAb4(ウレルマブ)と比べて低くCD137をアゴナイズすることを示す。
【0732】
実施例22:抗CD137抗体によるインターフェロン-ガンマ(IFN-γ)の誘導
抗CD137抗体のアゴニスト活性をさらに評価するために、IFN-γ産生を、混合リンパ球反応(MLR)で分析した。mAb2、mAb4(ウレルマブ)、mAb5(ウトミルマブ)、およびPD-1を遮断しかつIFN-γ産生を誘導することが知られているヒト化抗体であるKeytruda(メルク(Merck))を、コンパレーターとして使用した。
【0733】
末梢血単核細胞(PBMC)を、3例の独立したヒトドナー(D985、D7603、およびD5004)に由来するleukopaks(ヘマケア(HemaCare),カリフォルニア州バンナイズ(Van Nuys)所在)から単離した。総T細胞を、免疫磁気細胞分離(EasySep(商標);ステムセルテクノロジーズ(Stemcell Technologies),ブリティッシュコロンビア州バンクーバー(Vancouver)所在)を使用する陰性選択により、PBMCから富化させた。単球を、免疫磁気細胞分離(EasySep(商標);ステムセルテクノロジーズ(Stemcell Technologies),ブリティッシュコロンビア州バンクーバー(Vancouver)所在)を使用して、PBMCから単離した。T細胞を、1×10個の細胞/mlの濃度で完全RPMIに再懸濁させ、単球をそれぞれ5×10個の細胞/mlに調整した。96ウェルプレートにおいて、T細胞を含む培地100μlを、1×10個の細胞/ウェルの密度で蒔き、続いて、単球細胞懸濁液(E:T比2:1)100μlを添加した。次に、様々な希釈のCD137抗体を含む培地50μlを添加した。プレートを、5日にわたりCOインキュベータ中において37℃でインキュベートした。インキュベーション期間の最後に、培養上清を集め、IFN-γレベルを、MSDアッセイ(メゾスケールダイアゴノスティクス(Mesoscale Diagnostics),メリーランド州ロックビル(Rockville)所在)により分析した。図27A~27Cは、示されているように、試験した抗体の最終濃度でpg/mLとしてIFN-γの濃度を示す。これらの結果は、mAb1が、同濃度にて、mAb4(ウレルマブ)と比べて低くCD137をアゴナイズするが、mb5(ウトミルマブ)と同程度までCD137をアゴナイズすることを示した。
【0734】
別個の試験では、IFN-γの誘導を、CD32(FCyRIIb)を発現するように操作されたCHO細胞(CHO-CD32細胞)を利用することにより測定した。具体的には、CHO-CD32細胞を、可溶性の抗CD3および抗CD137抗体mAb1、mAb8、mAb4、およびmAb5の存在下で、ヒトT細胞と共に共培養した。
【0735】
凍結したPBMCを解凍し、加湿された37℃ 5%CO2インキュベータ中において、T細胞培地(TCM)中で一晩休ませた。翌日、CD3+ T細胞を、未利用のCD3 T細胞単離キット(ステムセル(Stemcell) #17951)で単離した後、ヒトCD32(CHO-CD32)を発現するように形質導入されたCHO細胞(ギブコ(Gibco) #A29127)、250ng/ml 抗CD3(クローンOKT3)、および抗CD137抗体または対照抗体と混合した。100,000個のT細胞を、50,000個のCHO-CD32細胞と混合した。3日にわたる37℃でのインキュベーション後、上清を集めて、MesoScale Discovery(エムエスディー(MSD))により、分泌されたインターフェロン-ガンマ(IFN-γ)を分析した。
【0736】
図28は、mAb4が低用量で最高レベルまでIFN-γを誘導したことを示す結果を示す。対照的に、mAb5は、IFN-γの産生をほとんど誘導しなかった。特に、mAb1およびmAb8は、用量依存性応答をもたらし、mAb4により誘導されるレベルとmAb5により誘導されるレベルとの間までIFN-γ産生を誘導した。全体として、これらの結果は、mAb4が、スーパーアゴニスト活性を有し、mAb5が、より弱い活性を有し、mAb1およびmAb8が、mAb4およびmAb5と比較して中間の活性を有することを示す。
【0737】
実施例23:Treg細胞への抗CD137抗体の効果
抗CD137抗体の作用機序をさらに特徴付けるために、この抗体のTreg細胞への効果を決定した。ヒトTregを、EasySep(商標)Human CD4+CD127lowCD25+ Regulatory T Cell Isolation Kit(ステムセルテクノロジーズ(Stemcell Technologies),カタログ#18063)を使用して単離し、10%FBSを含む完全T細胞培地中で、immunocult抗CD3/28(ステムセル(Stemcell) #10971)により13日にわたり増殖させた。具体的には、実施例21に記載されているCHO-CD32細胞を、増殖したヒトTreg細胞と共培養させ、これを、可溶性の抗CD3(クローンOKT3)および抗CD137抗体mAb1、mAb8、mAb4、mAb5、およびアイソタイプ対照の存在下で、Cell-traceバイオレット色素(サーモフィッシャー(Thermo Fisher),カタログ#C34557)で標識した。Treg細胞の増殖を、4日目に決定した。
【0738】
図29は、mAb4が、たとえ低濃度であってもTreg増殖を強く誘導したことを示す結果を示す。対照的に、mAb5は、Treg増殖への効果が非常に弱かった。特に、mAb1およびmAb8は、Treg増殖の中程度の増加を示した。全体として、これらの結果から、mAb4は、スーパーアゴニスト活性を有し、mAb5は、弱い活性を有し、mAb1およびmAb8は、中程度の活性を有することが裏付けられる。
【0739】
実施例24:細胞内シグナル伝達への抗CD137抗体の効果
抗CD137アゴニスト抗体間の差違をさらに評価するために、細胞内シグナル伝達をin vitroで評価した。具体的には、NFkβ(キアゲン(Qiagen);カタログ# CLS-013L-1)またはSRF(キアゲン(Qiagen);カタログ# CLS-010L-1)でレンチフェクトされた(lentifected)CCL-119 T細胞(エーティーシーシー(ATCC);カタログ# ATCC CCL-119)を、様々な濃度のプレートに結合したmAb1、mAb8、mAb4、mAb5、およびアイソタイプ対照と共に、250ng/mLのプレートに結合した抗CD3(クローンOKT3)で刺激した。添加剤を含まないRPMI培地中での16時間にわたる刺激の後、細胞を、ルシフェラーゼ緩衝剤(プロメガ(Promega);カタログ# E263B)に溶解させ、相対光単位(RLU)を、BioTek Synergy H1マイクロプレートリーダー(カタログ# 11-120-533)で取得した。次いで、生RLUデータをMicrosoft Excelにエクスポートし、刺激条件からのRLUを非刺激対照で除算することにより、倍数誘導を算出した。
【0740】
図30は、mAb1およびその親和性成熟バリアントmAb8と比較した、mAb4およびmAb5の最小NFkβ活性およびSRF活性を示す結果を示す。全体として、これらの結果は、mAb1が、mAb4およびmAb5とは異なる細胞内シグナル伝達を誘導することを示す。
【0741】
実施例25:マクロファージの活性化および分化への抗CD137抗体の効果
抗mCD137アゴニスト抗体3H3により誘導された肝毒性は、肝臓中でのマクロファージおよびCD8+ T細胞の増殖、ならびに血清中のサイトカインレベルおよびALT活性の増加と関連付けられたことが既に示されている。さらに、抗体3H3は、ウレルマブと同様の特性を有すると特徴付けられている。本明細書に記載されるように、mAb1は、肝毒性を誘導しない。従って、抗CD137アゴニスト抗体を、in vitroでのマクロファージ活性化への効果に関して分析した。
【0742】
具体的には、マウス骨髄由来のマウスマクロファージを、10週齢の雌のC57BL/6マウス(チャールズリバーラボラトリーズ(Charles River Laboratories)から確立した。マウスの筋肉組織から大腿骨および脛骨を採取し、骨髄を、氷上の15mLコニカルチューブ内にPBSで入れた。細胞を、5分にわたり1500rpmで遠心分離し、上清を廃棄した。細胞ペレットを破砕し、培養培地(RPMI、20% FBS、50μg/mL M-CSF(シェナンドアバイオテクノロジー社(Shenandoah Biotechnology、Inc.);カタログ# 200-08-100)、およびペン/ストレップ)を添加した。細胞を、40ミクロンのメッシュフィルターでろ過し、非組織培養処理されたペトリ皿に播種した。3日後、培地10mLを、各ペトリ皿に対して添加した。培養7日目に、培地を除去し、細胞を、PBS(10mL)で2回洗浄した。MACS緩衝剤(PBS、2μM EDTA、および0.5% FBS)を、各皿に添加し、10分にわたり37℃でインキュベートした。細胞をペトリ皿から集め、5分にわたり1500rpmで遠心分離した。次いで、これらの骨髄由来マクロファージを、50nmの抗CD137抗体mAb1、3H3、またはLOB12.3(マウス特異的CD137アゴニスト性抗体)の存在下において、TLR9アゴニストCpGで刺激した。製造業者の指示に従って電気化学発光アッセイ(メソスケールディスカバリー(Meso Scale Discovery),カスタムキット)を使用して、48時間後に培養上清から、マウス骨髄由来マクロファージによるIL-6、TNFα、およびIL-27の産生を評価した。図31は、mAb1が、マクロファージによる炎症促進性サイトカインの分泌を誘導しなかったが、抗体3H3およびLOB12.3は誘導したことを示す結果を示す。
【0743】
抗CD14マイクロビーズ(ミルテニイバイオテック(Miltenyi Biotech)、カタログ# 130-050-201)を使用してCD14細胞を磁気分離し、50ng/mL m-CSFの存在下で7日間成熟させることにより、ヒト単球由来マクロファージを生成した。次いで、ヒト単球由来マクロファージを、5nmの抗CD137抗体mAb1、mAb4、またはmAb5の存在下において10ng/mL LPSで刺激した。製造業者の指示に従って電気化学発光アッセイ(メソスケールディスカバリー(Meso Scale Discovery),カスタムキット)を使用して、48時間後にTNFαの産生を評価した。図32は、mAb4およびmAb5がmAb1と比べて有意にマクロファージ活性化を誘導したことを示す結果を示す。
【0744】
さらに、THP1単球を、一晩、2μMのホルボール12-ミリスチン酸塩13-酢酸塩(PMA;シグマ(Sigma);P1585)でマクロファージへと分化させた。次いで、マクロファージを、50nmの抗CD137抗体mAb1、mAb4、またはmAb5の存在下で培養し、CD64発現を、フローサイトメトリーを使用して48時間後に測定した(APC抗ヒトCD64抗体クローン10.1;バイオレジェンド(BioLegend);カタログ# 305013)。図33は、mAb4およびmAb5がmAb1と比べて有意にマクロファージ分化を誘導したことを示す結果を示す。
【0745】
本開示は任意の特定の理論または作用機序に拘束されないが、全体として、これらの結果は、mAb1が、マクロファージ活性化の可能性の低下に起因して肝毒性を免れることを示唆する。
【0746】
実施例26:抗CD137アゴニスト抗体によるin vivoでのヒトCD8+T細胞の増殖
in vivoでのヒト細胞に対するCD137アゴニスト抗体の効果を試験するために、ヒトPBMC(7x10個)を、免疫不全NSGマウス(NOD.Cg-PrkdcscidIl2rgtm1Wjl/SzJ;ジャクソンラボラトリ(Jackson Laboratory);カタログ# 005557)に対して静脈内注入した。マウスを8つの群に無作為化し、CD137抗体(200μg/マウス)またはビヒクル対照を、0、7、および14日目に投与した。各マウスからの末梢血を10、20、および29日目に採取し、フローサイトメトリーを使用して、ヒトCD45(FITC抗ヒトCD45クローンHI30;バイオレジェンド(BioLegend);カタログ# 304038)、CD8(Alexa Fluor(登録商標)647抗ヒトCD8aクローンHIT8a;バイオレジェンド(BioLegend);カタログ# 300918)、およびCD4(APC-Cy7抗ヒトCD4クローンRPA-T4;Bd;カタログ# 557871)の生着を決定した。
【0747】
図34A~34Cは、全体として、ヒトCD4+T細胞を犠牲にしてmAb4が投与されたマウスにおけるhCD45細胞の数の増加およびヒトCD8+T細胞の全身的な超増殖を示す。特に、mAb1は、ヒトT細胞の過度な活性化を誘導しなかった。末梢においてmAb1がヒトT細胞を活性化する可能性の低さは、毒性の可能性の低下の一因となる可能性がある。
【0748】
実施例27:製剤、材料、および方法
サイズ排除クロマトグラフィー
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を、Agilent 1200シリーズHPLC機器でYMC Diol-200 8×300mmカラム(カタログ# DL20S05-3008WT)により実施した。ランニング緩衝剤は、1mL/分の流速および1つの試料当たり15分のランニング時間で、20mM リン酸ナトリウム、400mM NaCl(pH7.0)であった。
【0749】
キャピラリ等電点電気泳動
キャピラリ等電点電気泳動(cIEF)を、Maurice cIEF Cartridge(カタログ# PS-MC02-C)を備えたMaurice C.機器(プロテインシンプル(ProteinSimple))で実施した。最終アッセイ組成物は、0.5mg/mL 抗体、4% Pharmalyte 3-10、および0.35% メチルセルロースからなった。PIマーカー5.85および8.4を使用した。電気泳動条件は、1分にわたり1500V、続いて4分にわたり3000Vであった。露光時間が3秒であるネイティブ蛍光シグナルを、ドロップライン法を使用するピーク積分に使用した。
【0750】
キャピラリ電気泳動ドデシル硫酸ナトリウム
キャピラリ電気泳動ドデシル硫酸ナトリウム(CE-SDS)を、HT Protein Express Chip(パーキンエルマー(Perkin Elmer),#760528)およびProtein Express Assay Reagent Kit(パーキンエルマー(Perkin Elmer),#CLS960008)を使用して、LapChip GX II機器で実施した。試薬およびチップを、製造業者の指示に従って調製した。試料を、アッセイ直前に、PBSで0.5mg/mLまで希釈した。非還元条件の場合には、希釈した試料2μLを、96ウェルプレート中において、25mM ヨードアセトアミド(シグマ-アルドリッチ(Sigma-Aldrich) #A3221-10VL)を含む試料緩衝剤7μLと混合し、還元条件の場合には、希釈した試料2μLを、25mM DTTを含む試料緩衝剤7μLと混合した。サーモサイクラ(Eppendorf Mastercycler pro)による10分にわたる75℃での変性の後、各ウェルに水35μLを添加し、上下のピペッティングにより混合した。次いで、このプレートを1分にわたり2,000gで遠心分離して気泡を除去した後、LapChip GXII機器に入れて分析した。
【0751】
マイクロフローイメージング(MFI)
マイクロフローイメージング(MFI)を、FlowCam PV-100機器(フルイドイメージングテクノロジーズ(Fluid Imaging Technologies))で実施した。試料を、200~300μLの総量にわたり0.15mL/分の速度で流した。各試料を2回流し、2~10μm、10~25μm、および>25μmの範囲の粒子数をそれぞれ平均化した。
【0752】
実施例28:様々なpHの緩衝剤中における高濃度および強制分解での抗CD137抗体の安定性
様々なpHの3種の緩衝剤中において、高濃度および2種の異なる温度で、抗CD137抗体mAb1の安定性を評価した。mAb1は、それぞれ配列番号4および6の重鎖可変配列および軽鎖可変配列を含む抗CD137抗体である。
【0753】
具体的には、100mg/mLのmAb1を、下記の緩衝剤のそれぞれに緩衝剤交換した:(1)20mM Tris、8.5% スクロース(pH7.5);(2)20mM ヒスチジン、8.5% スクロース、0.005% EDTA(pH5.8);および(3)20mM グルタミン酸、8.5% トレハロース(pH 4.5)。各試料の半分を4℃で保存し、半分を25℃で保存した。製剤(1)~(3)のそれぞれの安定性を、SEC、CE-SDS、およびcIEFにより、0、1、2、4,および6週間目に分析した。
【0754】
cIEFの結果から、高濃度では、pH5.8のヒスチジン緩衝剤がmAB1の最高の安定性をもたらすことが実証された。表3および図35に示すように、25℃ではpH4.5で酸性種が徐々に増加し、25℃ではpH7.5で塩基性種がより顕著に増加し、同時に主要ピークが減少する。試料をSECおよびCE-SDSにより分析した場合には、顕著な変化はなかった。
【0755】
【表5】
【0756】
mAb1の安定性を、様々なpHにて、3種の製剤中における強制分解条件下でも評価した。具体的には、下記の3種の緩衝剤のそれぞれで、5mg/mLのmAb1を調製した:(1)20mM Tris(pH7.5)、(2)20mM ヒスチジン(pH5.8)、(3)20mM グルタミン酸(pH4.5)。試料を、最大4週にわたり40℃で保存し、0、2、および4週目に、SEC、CE-SDS、およびcIEFにより安定性を評価した。
【0757】
mAb1を強制分解条件に供した場合には、cIEF分析により同様の変化を観察したが、より深刻であった。強制分解条件下で最高の安定性をもたらした緩衝剤では、20mM ヒスチジン緩衝剤(pH5.8)であった。表4および図36に示すように、mAb1を、4週にわたり20mM グルタミン酸(pH4.5)中でインキュベートした場合には、酸性種が約30%増加し、mAb1を、4週にわたり20mM Tris(pH7.5)中でインキュベートした場合には、塩基性種が約30%増加し、同時に主要ピークが減少した。
【0758】
【表6】
【0759】
実施例29:抗CD137抗体の安全性への緩衝剤のpH、塩濃度、洗浄剤、および賦形剤の影響を決定するための製剤化前試験
製剤化前試験を実施して、抗CD137抗体の安定性への様々な緩衝剤のpH、塩濃度、洗浄剤、および賦形剤の効果を評価した。この試験を、in vivoでの試験のためのマウス代理分子である、mAb1の親和性成熟バージョンmAb8を使用して実施し、なぜならば、マウスCD137との親和性は、ヒトCD137とのmAb1の親和性と類似しているからである。驚くべきことに、mAb8は、それぞれ配列番号101および6の重鎖可変配列および軽鎖可変配列を含む抗CD137抗体である。
【0760】
mAb8の48種の異なる製剤を分析した。これらの製剤のそれぞれは、下記の群から選択される塩、緩衝剤、洗浄剤、および賦形剤を含んだ:
(1)塩:50mM Naclまたは125mM NaCl、
(2)緩衝剤:20mM 酢酸塩(pH5.5)、20mM ヒスチジン(pH6.0)、20mM ヒスチジン(pH6.5)、または20mM リン酸塩(pH7.0)、
(3)洗浄剤:0.1% ポリソルベート80または0.1% ポロキサマーP188、
(4)賦形剤:10% スクロース、5% ソルビトール、または7% トレハロース。
【0761】
mAb8を緩衝剤交換し、100または250mM NaClで50mg/mLまで濃縮した。抗体ストック250μLを、10×緩衝剤溶液50μL、10×洗浄剤溶液50μL、緩衝剤の4×糖溶液125μL、および水25μLと混合して、合計48種の製剤(2×4×2×3=48)を得、それぞれは、ゴム栓付きの2mLガラスバイアル中において、25mg/mL mAb8 0.5mLを含んだ。
【0762】
これらのバイアルを、40℃および75%湿度にてインキュベータ中でインキュベートし、0、3、6、10、および14日目に試料(40μL)を採取して、SEC、CE-SDS、およびcIEFにより分析した。
【0763】
表5は、48種の異なる製剤のそれぞれに関する製剤成分の略名および最終濃度を示す。この表の読み取りの鍵を下記に示す。例えば、製剤A1(S1B1D1E1)は、(S1)50mM 塩化ナトリウム、(B1)20mM 酢酸塩(pH5.5)、(D1)0.1% ポリソルベート80、および(E1)10% スクロースを含む。
【0764】
【表7】
【0765】
これらの製剤の個々の成分の最終濃度は、下記の通りである:
塩(S)
S1 50mM 塩化ナトリウム
S2 125mM 塩化ナトリウム
緩衝剤(B)
B1 20mM 酢酸塩(pH5.5)
B2 20mM ヒスチジン(pH6.0)
B3 20mM ヒスチジン(pH6.5)
B4 20mM リン酸塩(pH7.0)
洗浄剤(D)
D1 0.1% ポリソルベート80
D2 0.1% ポロキサマーP188
賦形剤(E)
E1 10% スクロース
E2 5% ソルビトール
E3 7% トレハロース。
【0766】
48種の製剤のそれぞれのcIEF分析の結果を、表6に示す。具体的には、表6は、48種の製剤のそれぞれにおける主要ピーク中のmAb8の割合を経時的に示し、この割合を、高から低へと14日目での主要ピーク%で分類した。これらのデータは、一般的に、緩衝剤2および3(ヒスチジン(pH6.0およびpH6.5))中のmAB8は、主要ピークの割合が最も高く、緩衝剤1(酢酸緩衝剤(pH5.5))が続き、最後に緩衝剤4(Tris(pH7.5))が続く。
【0767】
【表8-1】
【0768】
【表8-2】
【0769】
48種の製剤のそれぞれを、CE-SDSおよびSECでも分析した。表7に示すように、CE-SDSで測定した場合には、試験したいずれの製剤においても有意な凝集または分解を観察しなかった。SECで分析した場合には、異なる製剤間で有意な変化を観察しなかった(データは示さない)。
【0770】
【表9-1】
【0771】
【表9-2】
【0772】
要約すると、緩衝剤のpHは、加速条件(40℃)下で観察された電荷バリアントの割合に最も大きく影響を及ぼした。pH6.0およびpH6.5のヒスチジン緩衝剤中でmAb8を含む製剤は、酸性/塩基性種の割合が最も低かった。
【0773】
実施例30:様々な温度での抗CD137抗体製剤の安定性への賦形剤の影響
mAB1の安定性を、4℃、25℃、または40℃下で、100mM NaCl、0.03% ポリソルベート80、20mM ヒスチジン(pH6.0)、賦形剤なし、10% スクロース、5% ソルビトール中で評価した。
【0774】
mAb1(20mM ヒスチジン 10mM NaCl、10%スクロース(pH6.0)中の21.8mg/mL)を、-80℃ストックから解凍した。抗体溶液70mLを、4時間にわたり4℃で、20mM ヒスチジン、100mM NaCl、0.03% ポリソルベート80(pH6.0) 1.5Lに対して、3つのSlide-A-Lyzer Dialysis Cassette(サーモサイエンティフィック(Thermo Scientific)#66830,MWCO=10kDa,15~30mL)中で透析し、続いて一晩、新鮮な緩衝剤2.5Lに対して透析した。翌朝、透析液をプールし、0.22umフィルターに通してろ過し、20% ポリソルベート80ストック溶液を添加して、最終濃度を0.03%にした。
【0775】
賦形剤を含まないか、10% スクロースまたは5% ソルビトールを含む製剤を、下記の通りに調製した:(1)抗体溶液22mLを、20mM ヒスチジン、100mM NaCl、0.03% ポリソルベート80(pH6.0) 1Lに対して透析し;(2)抗体溶液20mLに50% スクロース 5mLを添加し、20mM ヒスチジン、100mM NaCl、0.03% ポリソルベート80、10% スクロース(pH6.0) 1Lに対して透析し;(3)抗体溶液23mLに70% ソルビトール 1.79mLを添加し、20mM ヒスチジン、100mM NaCl、0.03% ポリソルベート80、5% ソルビトール(pH6.0) 1Lに対して透析した。
【0776】
透析後、抗体濃度を、NanoDrop2000でA280により測定し、それぞれの緩衝剤を使用して約10mg/mLまで調整した。全ての試料を、バイオセーフティキャビネット中において0.22μmフィルター(イーエムディーミリポア(EMD Millipore),#SLGV033RS;BD Luer-Lock 20mLシリンジ #302830)に通して滅菌した。ろ過された抗体溶液1mLを2mLガラスバイアルに移し、栓およびシールで密封した。
【0777】
各製剤に関して、4本のバイアルを4℃(冷蔵庫)で保存して、1、2、3、4、6、8、10、12、14、16、20、および24週間でサンプリングし、8本のバイアルを25℃および60%湿度で保存して、1、2、3、4、6、8、10、および12週間でサンプリングし、12本のバイアルを40℃および75%湿度で保存して、1、2、3、および4週間でサンプリングした。各時点で、各製剤の1本のバイアルを取り、SEC、cIEF、CE-SDS、およびマイクロフローイメージングにより分析した。
【0778】
【表10】
【0779】
表9~11に示すように、糖賦形剤の種類および存在は、様々な保存温度下において、電荷バリアントへの有意な影響を示さなかった。
【0780】
【表11】
【0781】
【表12】
【0782】
【表13】
【0783】
表12に示すように、3種全てのmAb1製剤(糖なし、10% スクロース、5% ソルビトール)において、サイズ排除クロマトグラフィーにより決定した場合には、試験期間中に凝集の有意な増加はなかった。
【0784】
【表14】
【0785】
マイクロフローイメージング分析を使用して、製剤のそれぞれ中における肉眼で見えない粒子の数を評価した。表13~15に示すように、肉眼で見えない粒子の数は、経時的に増加した。10% スクロースを含むmAB1製剤は、特に加速条件(40℃)下で、粒子数の増加が最も少なかった。5% ソルビトールを含むmAb1製剤は、粒子数のより大きな増加を示した。しかしながら、5% ソルビトール製剤は、糖を含まない製剤と比べて粒子が少なかった。
【0786】
【表15】
【0787】
【表16】
【0788】
【表17】
【0789】
要約すると、mAb1は、3種全ての製剤において優れた安定性を示した。単量体抗体の有意な喪失も分解もなかった。3種のmAb1製剤(賦形剤なし、10% スクロース、または5%ソルビトール)のそれぞれでは、酸性種および塩基性種の増加ならびに主要電荷種の同時の減少が同程度であった。
【0790】
特に、上昇した温度(25℃および40℃)では、糖を含まないmAb1製剤は、他の2種の製剤と比べて肉眼で見えない粒子の有意に高いレベルを示した。10% スクロースを含む製剤は、上昇した温度で、5% ソルビトールを含む製剤よりも優れていることが示された。
【0791】
実施例31:抗CD137抗体製剤の安定性への凍結-解凍ストレスの影響
凍結-解凍ストレス後のmAb1の凝集を、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)で評価して特徴付けた。具体的には、100mM NaCl、0.03% ポリソルベート80、20mM ヒスチジン(pH6.0)、および賦形剤なし、10% スクロース、または5% ソルビトールのいずれか中のmAb1を、-80℃~室温での最大5サイクルの凍結-解凍にかけた。次いで、試料に対してSECを実施した。表16に示すように、高分子量(HMW)%種の増加は、3種全ての製剤において<0.2%であった。10% スクロースを含む製剤は、HMW種の増加が最も低く、5% ソルビトールおよび糖なしが続いた。
【0792】
【表18】
【0793】
mAb1製剤の凍結-解凍分析を、-30℃~室温での温度サイクルでも実施した。具体的には、100mM NaCl、0.03% ポリソルベート80、20mM ヒスチジン(pH6.0)、および賦形剤を含まないかまたは10% スクロースを含むmAb1製剤を、-30℃~室温での3サイクルの凍結-解凍にかけた。試料を、SECおよびcIEFにより分析した。
【0794】
最大3回の凍結-解凍サイクルの後に、いずれの製剤においても、単量体の割合の有意な変化を観察しなかった(表17)。糖を含まない製剤中のmAb1は、10% スクロースを含む製剤中と比べて、凍結-解凍後に酸性種がわずかに多かった(表18)。
【0795】
【表19】
【0796】
【表20】
【0797】
そのため、-80℃~室温または-30℃~室温の凍結-解凍サイクルでは、mAb1製剤中での凝集または電荷バリアントの有意な増加は引き起こされなかった。
実施例32:抗CD137抗体製剤の安定性への希釈の影響
多くの治療用抗体は、静脈内注入で投与される。典型的な注入液は、5% デキストロースおよび0.9% 生理食塩水を含む。注入液への希釈時の抗体の安定性は、様々である。例えば、ハーセプチンは、5% デキストロース溶液への希釈時に急速に凝集する(ルオら(Luo et al).MAbs.2015;7(6):1094-103)。
【0798】
5% デキストロースおよび0.9% NaCl溶液への希釈時のmAb1の安定性を、試験した。5% デキストロース溶液(重量/体積)を、水中のデキストロース(D-グルコース、シグマ-アルドリッチ(Sigma-Aldrich),#G7021-1KG)で調製し、0.22μmフィルターに通してろ過して滅菌した。0.5% デキストロース溶液および0.1% デキストロース溶液を、5% ストックを水で希釈することにより調製した。0.9%(重量/体積)溶液を、水中の塩化ナトリウム(ジェーティーベーカー(JT.Baker) #3627-01)で調製し、0.22μmフィルターに通してろ過して滅菌した。
【0799】
mAb1(ロット0536-07、20mM ヒスチジン、100mM NaCl、0.03% ポリソルベート80、pH6.0、14.5mg/mL)を、5%、0.5%、または0.1% デキストロース溶液、0.9% 生理食塩水、または純水で10倍希釈し、3日にわたり室温(18~25℃)で保存した後にアッセイを行なった。対照として、抗体ストックを、20mM リン酸ナトリウム、150mM NaCl(pH7.0)で10倍希釈した直後に分析アッセイを行なった。
【0800】
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を、Agilent 1200シリーズHPLC機器でYMC Diol-200 8×300mmカラム(カタログ# DL20S05-3008WT)により、試料のそれぞれに対して実施した。ランニング緩衝剤は、1mL/分の流速および1つの試料当たり15分のランニング時間で、20mM リン酸ナトリウム、400mM NaCl(pH7.0)であった。図37に示すように、それぞれの溶液への希釈後の3日間のインキュベーション後であっても、SECにより凝集の増加は検出されなかった(用語デキストロースは、用語グルコースと互換的に使用される)。
【0801】
動的光散乱(DLS)を、25℃にて、384ウェルの透明底プレート(コーニング(Corning) #3540)中に試料体積30μLで、Wyatt Dynapro PlateReader-II機器により実施した。各試料を、10回にわたり5秒の捕捉時間で測定した。図38に示すように、純水による希釈を除き、DLSにより凝集の増加は検出されなかった。
【0802】
これらのデータは、mAb1が、2種の頻繁に使用される注入液:5% デキストロースおよび0.9% 生理食塩水)への希釈時に安定であるという証拠を示す。
実施例33:抗CD137抗体製剤の肉眼で見えない粒子の形成への凍結-解凍の影響
製造、保存、輸送、および投与の最中に、タンパク質治療薬は、複数サイクルの凍結-解凍を経験する可能性がある。このプロセスでは、抗薬物応答および副作用と関連付けられている凝集体が形成される可能性がある。
【0803】
新規の抗CD137アゴニスト抗体mAb1の生物物理学的特性への凍結-解凍の効果を調べた。具外的には、肉眼で見えない粒子の形成と、フィルターが内蔵された針に溶液を通すことによる粒子の除去の有効性とを評価した。
【0804】
mAb1を、-30℃~室温(25±3℃)の3サイクルの凍結-解凍にかけた。各サイクル後、試料を、サイズ排除クロマトグラフィー、動的光散乱、またはマイクロ流体イメージングにより特徴付けた。
【0805】
分析方法
複数の凍結-解凍試験のために、mAb1の8つのバイアルを、室温で解凍した(1×FT)。1つのバイアルを、SEC、DLS、およびマイクロフローイメージングアッセイに使用した。残り7つのバイアルを、一晩-30℃で再凍結させた。2日目に、7つのバイアルを室温で解凍し、1つのバイアルを、SEC、DLS、およびMFIに使用した(2×FT)。残り6つのバイアルを、一晩-30℃で再凍結させた。3日目に、6つのバイアルを、室温で解凍してプールした。1つのアリコートを、SEC、DLS、およびMFIに使用した(3×FT)。残りの抗体溶液を2つに分けた。抗体溶液の半分を、5μmフィルターを内蔵した針(ビーディー(BD) #305211)を備えた5mLシリンジ(ビーディー(BD) #309646)に吸引した。次いで、この針を取り外し、溶液を新規のバイアルに分注した(S1)。この溶液の約750uLをアッセイ用に保存し、残りを、上記に記載したようにさらに2回ろ過し(S2およびS3)、毎回、新規のシリンジ/針を使用した。抗体溶液の残り半分を、5μmフィルターを内蔵した通気口付き針(ビーディー(BD) #305201)を使用した以外は同一の方法でろ過した。得られた画分を、Sv1、Sv2、およびSv3と標識した。ろ過を、バイオセーフティキャビネット中で実施した。得られた画分全てを、SEC、DLS、およびMFIにより分析した。
【0806】
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を、Agilent 1200シリーズHPLC機器でYMC Diol-200 8×300mmカラム(カタログ# DL20S05-3008WT)により実施した。ランニング緩衝剤は、1mL/分の流速および1つの試料当たり15分のランニング時間で、20mM リン酸ナトリウム、400mM NaCl(pH7.0)であった。
【0807】
キャピラリ等電点電気泳動(cIEF)を、Maurice cIEF Cartridge(カタログ# PS-MC02-C)を備えたMaurice C.機器(プロテインシンプル(ProteinSimple))で実施した。最終アッセイ組成物は、0.5mg/mL 抗体、4% Pharmalyte 3-10、および0.35% メチルセルロースからなった。PIマーカー5.85および8.4を使用した。電気泳動条件は、1分にわたり1500V、続いて4分にわたり3000Vであった。露光時間が3秒であるネイティブ蛍光シグナルを、ドロップライン法を使用するピーク積分に使用した。
【0808】
キャピラリ電気泳動ドデシル硫酸ナトリウム(CE-SDS)を、HT Protein Express Chip(パーキンエルマー(Perkin Elmer),#760528)およびProtein Express Assay Reagent Kit(パーキンエルマー(Perkin Elmer),#CLS960008)を使用して、LapChip GX II機器で実施した。試薬およびチップを、製造業者の指示に従って調製した。試料を、アッセイ直前に、PBSで0.5mg/mLまで希釈した。非還元条件の場合には、希釈した試料2μLを、96ウェルプレート中において、25mM ヨードアセトアミド(シグマ-アルドリッチ(Sigma-Aldrich) #A3221-10VL)を含む試料緩衝剤7μLと混合し、還元条件の場合には、希釈した試料2μLを、25mM DTTを含む試料緩衝剤7μLと混合した。サーモサイクラ(Eppendorf Mastercycler pro)による10分にわたる75℃での変性の後、各ウェルに水35μLを添加し、上下のピペッティングにより混合した。次いで、このプレートを1分にわたり2,000gで遠心分離して気泡を除去した後、LapChip GXII機器に入れて分析した。
【0809】
マイクロフローイメージング(MFI)を、FlowCam PV-100機器(フルイドイメージングテクノロジーズ(Fluid Imaging Technologies))で実施した。試料を、200~300μLの総量にわたり0.15mL/分の速度で流した。各試料を2回流し、2~10μm、10~25μm、および>25μmの範囲の粒子数をそれぞれ平均化した。
【0810】
結果
SECにより測定した場合には、および表19に示すように、3サイクルの凍結-解凍およびフィルターを内蔵した針の通過後の抗体溶液中における高分子量種の割合(HMW%)または単量体の割合には、有意な変化がなかった。
【0811】
【表21】
【0812】
DLSは、流体力学的半径が1~1000nmである少量の凝集体の検出において、SECと比べて感度が高い。この試験では、凍結-解凍し、かつ針に通した試料を、DLSで2重に測定した。DLSを、実施例32に記載されている方法に従って実施した。DLSの測定可能範囲を超える肉眼で見えない粒子を含む可能性がある2つの試料を除いて、ほとんどの試料では検出可能な凝集がなかった(表20)。
【0813】
【表22】
【0814】
図39および表21に示されるように、マイクロフローイメージングでは、SECおよびDLSではほとんど検出されなかった2~80μmの肉眼で見えない粒子が検出された。凍結-解凍時に、2~10μmの範囲の粒子の数が約10倍増加し、より大きいサイズの粒子の増加は、より少なかった。さらなる凍結-解凍時に、2~25μmの粒子数は減少したが、>25μmの粒子数は増加した。理論に拘束されるかまたは限定されることなく、より小さい粒子が凝集して、より大きい粒子が形成された可能性がある。
【0815】
5μmのフィルターを内蔵した針の1回の通過により、大部分の粒子(特に、>5μmの粒子)を効果的に除去した。2種類のシリンジは、粒子の除去性能が同等であった。
【0816】
【表23】
【0817】
要約すると、凍結解凍により、mAb1を含む抗体溶液中において肉眼で見えない粒子の数が増加することが示された。しかしながら、5μmフィルターを内蔵した針を使用するかまたは5μmフィルターを内蔵した通気口付き針を使用して、大部分の粒子を効果的に除去した。
【0818】
【表24-1】
【0819】
【表24-2】
【0820】
【表24-3】
【0821】
【表24-4】
【0822】
【表24-5】
【0823】
【表25】
【0824】
【表26】
【0825】
【表27-1】
【0826】
【表27-2】
【0827】
【表27-3】
【0828】
【表27-4】
【0829】
【表27-5】
【0830】
【表27-6】
【0831】
【表27-7】
【0832】
【表27-8】
【0833】
【表27-9】
【0834】
【表27-10】
【0835】
【表27-11】
【0836】
【表27-12】
【0837】
【表28】
【0838】
【表29】
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図5-1】
図5-2】
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図11C
図12
図13A
図13B
図14A
図14B
図14C
図14D
図15
図16A
図16B
図17A
図17B
図18A
図18B
図19A
図19B
図20A
図20B
図20C
図21
図22A
図22B
図22C
図22D
図23
図24
図25
図26
図27-1】
図27-2】
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39