(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-16
(45)【発行日】2024-08-26
(54)【発明の名称】オピオイド鎮痛耐性を治療するためのmGluR5アンタゴニストの使用
(51)【国際特許分類】
A61K 31/404 20060101AFI20240819BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20240819BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240819BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
A61K31/404
A61P25/04
A61K45/00
A61P43/00 121
(21)【出願番号】P 2021543249
(86)(22)【出願日】2020-01-28
(86)【国際出願番号】 IB2020050637
(87)【国際公開番号】W WO2020157640
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2022-12-08
(32)【優先日】2019-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504389991
【氏名又は名称】ノバルティス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ドルメッチ,リチャード カール エルシアリオ
(72)【発明者】
【氏名】ガスパリニ,ファブリジオ
(72)【発明者】
【氏名】ゴメス-マンシッラ,バルタザール
【審査官】三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-514381(JP,A)
【文献】特表2015-526461(JP,A)
【文献】CYNTHIA WEI-SHENG LEE; ET AL,PHARMACOLOGICAL PROFILES OF OLIGOMERIZED [MU]-OPIOID RECEPTORS,CELL,NL,ELSEVIER,2013年12月,VOL:2, NR:4,PAGE(S):689-714,https://doi.org/10.3390/cells2040689
【文献】OSIKOWICZ, MARIA; ET AL,GLUTAMATE RECEPTOR LIGANDS ATTENUATE ALLODYNIA AND HYPERALGESIA AND POTENTIATE MORPHINE EFFECTS IN A MOUSE MODEL OF NEUROPATHIC PAIN ,PAIN,NL,ELSEVIER SCIENCE PUBLISHERS,2008年09月30日,VOL:139, NR:1,PAGE(S):117-126,https://doi.org/10.1016/j.pain.2008.03.017
【文献】EWA KOZELA; ET AL,INHIBITORY EFFECTS OF MPEP, AN MGLUR5 ANTAGONIST, AND MEMANTINE, AN N-METHYL-D-ASPARTATE RECEPTOR ANTAGONIST, ON MORPHINE ANTINOCICEPTIVE TOLERANCE IN MICE,PSYCHOPHARMACOLOGY,2003年,VOL:165, NR:3,PAGE(S):245-251,https://doi.org/10.1007/s00213-002-1287-8
【文献】TAO XU; ET AL,ROLE OF SPINAL METABOTROPIC GLUTAMATE RECEPTOR SUBTYPE 5 IN THE DEVELOPMENT OF TOLERANCE TO MORPHINE-INDUCED ANTINOCICEPTION IN RAT,NEUROSCIENCE LETTERS,NL,ELSEVIER,2007年05月30日,VOL:420, NR:2,PAGE(S):155-159,https://doi.org/10.1016/j.neulet.2007.04.065
【文献】FORREST L. SMITH; ET AL,EFFECTS OF MGLU1 AND MGLU5 METABOTROPIC GLUTAMATE ANTAGONISTS TO REVERSE MORPHINE TOLERANCE IN MICE,EUROPEAN JOURNAL OF PHARMACOLOGY,NL,ELSEVIER,2004年05月18日,VOL:492, NR:2,PAGE(S):137-142,https://doi.org/10.1016/j.ejphar.2004.03.055
【文献】David ALAGILLE et al.,“Functionalization at position 3 of the phenyl ring of the potent mGluR5 noncompetitive antagonists MPEP”,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2005年02月,Vol. 15, No. 4,p.945-949,DOI: doi: 10.1016/j.bmcl.2004.12.047
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/33-33/44
A61P 1/00-43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性の治療のための医薬組成物であって、下記式の化合物(I)を含む、前記医薬組成物。
【化1】
【請求項2】
慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性の治療のための医薬組成物であって、
請求項1に記載の式の化合物(I)を含み、前記治療がオピオイド鎮痛耐性を反転させるものである、前記医薬組成物。
【請求項3】
慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性を反転させるための治療のための医薬組成物であって、
請求項1に記載の式の化合物(I)を含む、前記医薬組成物。
【請求項4】
慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド関連過剰摂取のリスクを低減させるための治療のための医薬組成物であって、
請求項1に記載の式の化合物(I)を含む、前記医薬組成物。
【請求項5】
オピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性を反転させるための慢性疼痛の治療のための医薬組成物であって、
請求項1に記載の式の化合物(I)を含む、前記医薬組成物。
【請求項6】
慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド関連過剰摂取のリスクを低減させるためのオピオイド鎮痛耐性の治療のための医薬組成物であって、
請求項1に記載の式の化合物(I)を含む、前記医薬組成物。
【請求項7】
慢性疼痛におけるオピオイド消費量を低減させるための治療のための医薬組成物であって、
請求項1に記載の式の化合物(I)を含む、前記医薬組成物。
【請求項8】
慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性を反転させるための治療のための医薬組成物であって、
請求項1に記載の式の化合物(I)を含み、患者へ投与されるオピオイド投与量[例えば、オピオイドの1日用量;例えば、50mg超の経口モルヒネ/日又は別のオピオイドの1日等鎮痛用量(即ち、モルヒネミリグラム当量、MME/日)]が(例えば、70%以上(例えば90%以上)等の50%以上)減少し、且つオピオイド鎮痛効果(即ち、従来はより高いオピオイド投与量を使用することにより達成された)が維持されるものである、前記医薬組成物。
【請求項9】
前記医薬組成物が、50mg超の経口モルヒネ/日のオピオイド用量又は別のオピオイドの1日等鎮痛用量(即ち、モルヒネミリグラム当量、MME/日)を服用中の患者、例えば、60~100mgの経口モルヒネ/日のオピオイド用量又は別のオピオイドの1日等鎮痛用量を服用中の患者に投与される、請求項1~8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
慢性疼痛が、損傷(例えば、創傷、熱傷若しくは骨折)又は疾患(例えば、糖尿病、多発性硬化症、関節炎、自己免疫疾患若しくは感染症)に付随する、請求項1~9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
慢性疼痛が、非悪性慢性疼痛である、請求項1~10のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
非悪性慢性疼痛が、例えば過去の脊椎手術を伴うか又は伴わない、慢性腰痛等の慢性背部痛である、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記医薬組成物が、高齢患者に投与される、請求項1~12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
慢性疼痛が、慢性術後神経障害性疼痛である、請求項1~13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記医薬組成物が、少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を更に含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記医薬組成物が、抗うつ薬(例えば、アミトリプチリン、ノルトリプチリン、ドキセピン、デシプラミン、イミプラミン、プロトリプチリン、トリミプラミン、クロミプラミン等の三環系抗うつ薬)、セロトニンノルエピネフリン再取り込み阻害薬(例えば、デュロキセチン、ベンラファキシン、デスベンラファキシン、ミルナシプラン、レボミルナシプラン)、セロトニン再取り込み阻害薬(例えば、フルオキセチン、セトラリン、パロキセチン、フルボキサミン、シタロプラム、エスシタロプラム、ビラゾドン、ボルチオキセチン)、抗痙攣薬(例えば、ガバペンチン、プレガバリン、カルバマゼピン、バルプロ酸、フェニトイン、ラモトリギン、チアガビン、ラコサミド、トピラマート、レベチラセタム、オキサカルバゼピン、ゾニサミド)、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID;例えば、ナプロキセン、イブプロフェン、メロキシカム、ジクロフェナク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、ジフルニサル、エトドラク、ナブメトン、ケトプロフェン、ピロキシカム、スリンダク、トルメチン、ケトロラク、メフェナム、オキサプロジン)、プロトンポンプ阻害薬(例えば、オメプラゾール、パントプラゾール、ランソプラゾール、デクスランソプラゾール、エソメプラゾール、ラベプラゾール)、H2受容体アンタゴニスト(例えば、ファモチジン、ニザチジン、ラニチジン、シメチジン)、NMDA阻害薬(例えば、ケタミン、アマンタジン、メマチン)、NO-NSAID、COX-2選択的阻害薬、カンナビノイドアゴニスト、一酸化窒素供与体、ベータアドレナリンアゴニスト、アルファ-2アゴニスト、選択的プロスタノイド受容体アンタゴニスト、局所麻酔薬(例えば、カプサイシン、リドカイン)、プリンP2受容体アンタゴニスト、神経型ニコチン受容体アゴニスト、カルシウムチャネルアンタゴニスト、ナトリウムチャネル遮断薬(例えば、メキシレチン、フレカイニド)、スーパーオキシドジスムターゼ模倣物、p38 MAPキナーゼ阻害薬、TRPVlアゴニスト、グリシン受容体アンタゴニスト、コルチコステロイド、及びアセトアミノフェンからなる群から選択される医薬活性成
分の1つ以上の更なる医薬活性成分と組み合わせて投与される、請求項1~15のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
請求項1に記載の式の化合物(I)と、アルファメチルフェンタニル、アルフェンタニル、ブプレノルフィン、ブトルファノール、コデイン、ジアセチルモルヒネ、ジヒドロコデイン、ジヒドロエトルフィン、ジヒドロモルヒネ、エチルモルヒネ、エトルフィン、フェンタニル、ヒドロコドン、ヒドロモルヒネ、L-アセチルメタドール、レボルファノール、メサドン、メペリジン、モルヒネ、ニコモルヒネ、ノルメサドン、ノルオキシコドン、ノルモルヒネ、ノルレボルファノール、オキシコドン、オキシモルホン、フェナゾシン、プロポキシフェン、レミフェンタニル、トラマドール、テバイン、タペンタドール、レボルファノール、スフェンタニル、ペンタゾシン、カルフェンタニル、オームフェンタニル、ノカイン、ケトベミドン、アリルプロジン、プロジン、デキストロポキシフェン、デキストロモラミド、ベンジトラミド、ピリトラミド、ジピパノン、ロペラミド、ジフェノキシラート、ナルブフィン、レボメトルファ、デゾシン、レフェタミン及びチルジンからなる群から選択され
るオピオイ
ドを含む、組み合わせ医薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性を治療するためのmGluR5アンタゴニストの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
疼痛の治療は、疼痛コントロールと付随する有害事象との慎重なバランスが求められる、医療上の主要な課題である。ヨーロッパでは、人口の5分の1が慢性疼痛に罹患している。加えて、疼痛を伴う疾患が増加しており、更に、慢性疼痛患者集団の3分の1~3分の2のみが50%を超える疼痛緩和を報告している(Trends in Neurosciences,2014,Vol.37,No.3,146)。
【0003】
モルヒネ等のオピオイドは、非悪性源又は悪性(即ち、癌)源の中等度から重度の慢性疼痛の治療に使用される強力な鎮痛剤である。しかし、医療ガイドラインでは癌疼痛の管理にオピオイド療法の使用が推奨されているものの、特に、多くの有害事象(例えば、悪心、嘔吐、掻痒症、傾眠、認知障害又は口渇)の付随、鎮痛耐性の形成、及び更には過剰摂取又はオピオイド使用障害のリスクを理由として、非悪性疼痛の長期治療に対するこれらの使用には疑問がある。慢性疼痛に対するオピオイドの処方に関する2016年のCDC(米国保健福祉省疾病対策センター(Centers for Disease Control and Prevention US Department of Health and Human Services))ガイドラインに記載されているように、1999年から2014年にかけて、米国では165,000名超がオピオイド疼痛薬物療法に関連する過剰摂取により死亡した。
【0004】
オピオイド鎮痛耐性は、オピオイド療法に伴う十分に認識されている薬理学的現象であり、その根底にある生物学的機序は依然として十分に理解されていない(International Journal of Clinical Pharmacology and Therapeutics,2004,Vol.42,No.4,191)。この現象は鎮痛効力が経時的に低減することを特徴とするため、鎮痛効果を維持するためにオピオイドの投与を増加させる必要がある。オピオイドの用量の増加につれ、過剰摂取のリスクと同様に、副作用(例えば、呼吸抑制、鎮静、めまい、掻痒症、悪心、嘔吐、便秘、免疫機能障害及びホルモン機能障害)の可能性も増加する。CDCの報告によれば、1)50MME/日以上の投与量で、過剰摂取のリスクが20MME/日未満の際のリスクの少なくとも2倍増加し;2)2004~2009年にオピオイドを投与された慢性疼痛を有する退役軍人保健局(Veterans Health Administration)の患者の全国標本において、過剰摂取により死亡した患者には、平均98MME/日が処方されていた。現時点では、慢性疼痛患者におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性を反転させる既知の治療は存在しない。このため、オピオイド鎮痛耐性を治療するための薬物療法を見出すことは、医療ニーズが高く、且つ主要な臨床的課題である。モルヒネ耐性は、例えば、イブジラスト、ミノサイクリン、フルオロクエン酸、プロペントフィリンで治療されてきたが、これらの薬物の使用は重大な有害事象を伴った。したがって、オピオイド鎮痛耐性を治療するために使用することができる新規治療剤、特に、確立された耐性を(より詳細には有害な影響を増加させずに)反転させることができる薬物の同定が求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、例えば、本明細書で定義される:
- 慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性の治療における;
- 慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性の治療であって、オピオイド鎮痛耐性を反転させる治療における;
- 慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性を反転させるための治療における;
- 慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド関連過剰摂取のリスクを低減させるための治療における;
- オピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性を反転させるための慢性疼痛の治療における;
- 慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド関連過剰摂取のリスクを低減させるためのオピオイド鎮痛耐性の治療における;
- 慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性を反転させるための治療であって、患者へ投与されるオピオイド投与量[例えば、オピオイドの1日用量;例えば、50mg超の経口モルヒネ/日又は別のオピオイドの1日等鎮痛用量(即ち、モルヒネミリグラム当量、MME/日)、例えば、60mgの経口モルヒネ/日又は別のオピオイド(例えば、ヒドロコジン(hydrocodine)若しくはオキシコドン)の1日等鎮痛用量から100mgの経口モルヒネ/日又は別のオピオイド(例えば、ヒドロコジン若しくはオキシコドン)の1日等鎮痛用量まで]が(例えば、70%以上(例えば90%以上)等の50%以上)減少し、且つオピオイド鎮痛効果(即ち、従来はより高いオピオイド投与量を使用することにより達成された)が維持される治療における、mGluR5アンタゴニストの使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】足舐め行動の潜時に対する化合物(III)の効果
【
図2】足舐め行動の潜時に対する化合物(I)の効果
【
図3】足舐め行動の潜時に対する化合物(II)の効果
【発明を実施するための形態】
【0007】
マボグルラントは、以下のうちの1つ以上等の治療上の利点を有するため、慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性の治療のための理想的な候補であり得ることが明らかとなっている:
i)マボグルラントは、オピオイドの慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性を、例えばプラセボと比較して反転させる:マボグルラントは、例えばプラセボと比較して、オピオイド消費量を低減させ[例えば、オピオイドの代謝物に関するバイオマーカーを使用することにより評価した、又は患者が自己申告したオピオイド摂取量を使用することにより(例えば、Sobell LC,et al.,The reliability of the timeline followback method applied to drug,cigarette,and cannabis use.Paper presented at the 30th Annual Meeting of the Association for Advancement of Behavior Therapy,New York,NY,November 1996におけるもの等の、タイムラインフォローバックオピオイド自己申告日誌(Timeline Follow Back Opioid Self-reported Diary)を使用することにより)評価した、例えば、1日あたり又は1週間あたりの元のオピオイド消費量の50%以上の減少、例えば、70%以上の減少(例えば90%以上の減少)]、且つ鎮痛効果を維持する。
ii)マボグルラントは、オピオイド消費量を低減させ且つ鎮痛効果を維持し、例えば、臨床オピエート離脱尺度(Clinical Opiate Withdrawal Scale)(COWS;例えば、Wesson DR,et al.,Journal of Psychoactive Drugs,2003,Apr-Jun;35(2):253-9におけるもの)により評価したとき、例えば、プラセボと比較してオピオイド使用障害に伴う(例えば、1つ以上の)離脱症状を除去するか又は低減させる;
iii)マボグルラントは、オピオイド消費量を低減させ且つ鎮痛効果を維持し、例えば、オピオイド渇望尺度(Opioid Craving Scale)(OCS;例えば、McHugh RK et al.,Drug and Alcohol Dependency,2014,Dec 1;145:121-6におけるもの)により評価したとき、例えば、プラセボと比較してオピオイド使用に伴う(例えば、1つ以上の)渇望症状を除去するか又は低減させる;
iv)マボグルラントは、オピオイド消費量を低減させ且つ鎮痛効果を維持し、例えば、数値的オピオイド副作用(Numerical Opioid Side Effect)(NOSE;例えば、Smith H.S.,et al.,Med Clin North Am.,2007,91(2):213-228におけるもの)により評価したとき、例えば、プラセボと比較してオピオイド使用に伴う(例えば、1つ以上の)副作用を除去するか又は低減させる;
v)マボグルラントは、例えば、プラセボと比較してオピオイドの慢性使用に伴う有害事象(例えば、呼吸抑制、鎮静、めまい、掻痒症、悪心、嘔吐、便秘)のうちの1つ以上の強度、持続期間又は頻度を削減するか又は低減させる(例えば10%以上、例えば30%以上の減少)。
vi)マボグルラントは、例えば、Paseroオピオイド誘発性鎮静尺度(Pasero Opioid-induced Sedation Scale)(POSS;例えば、Pasero C,McCaffery M.Pain Assessment and Pharmacologic Management.St Louis:Mosby/Elsevier;2011.Section IV,Opioid Analgesics;p.277-622におけるもの)により評価したとき、例えば、プラセボと比較してオピオイド慢性使用に伴うオピオイド関連過剰摂取のリスクを低減させる;
vii)マボグルラントは、例えば、プラセボと比較して、例えば臨床全般印象尺度-重症度(CGI-S)及び改善度(CGI-I)(Psychiatry,2007,4(7):28-37)により評価したときの、全般的機能を改善する;
viii)マボグルラントは、好ましい安全性プロファイル又は代謝プロファイル等の好ましい治療プロファイル、例えば、オフターゲット効果、精神医学的有害事象、毒性(例えば、遺伝毒性)、又は心血管有害事象(例えば、血圧、心拍数、心電図パラメータ)に関する好ましいプロファイルを有する。
【0008】
本発明の実施形態を以下に記載する:
【0009】
実施形態(a):
実施形態1a:慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性の治療に使用するための、mGluR5アンタゴニスト。
【0010】
実施形態2a:慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性の治療に使用するためのmGluR5アンタゴニストであって、この治療がオピオイド鎮痛耐性を反転させる、mGluR5アンタゴニスト。
【0011】
実施形態3a:慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性を反転させるのに使用するための、mGluR5アンタゴニスト。
【0012】
実施形態4a:慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド関連過剰摂取のリスクを低減させるための治療に使用するための、mGluR5アンタゴニスト。
【0013】
実施形態5a:オピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性を反転させるための慢性疼痛の治療に使用するための、mGluR5アンタゴニスト。
【0014】
実施形態6a:慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド関連過剰摂取のリスクを低減させるためのオピオイド鎮痛耐性の治療に使用するための、mGluR5アンタゴニスト。
【0015】
実施形態7a:慢性疼痛におけるオピオイド消費量を低減させるのに使用するための、mGluR5アンタゴニスト。
【0016】
実施形態8a:慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性を反転させるのに使用するためのmGluR5アンタゴニストであって、患者へ投与されるオピオイド投与量[例えば、オピオイドの1日用量]が(例えば、70%以上(例えば90%以上)等の50%以上)減少し、且つオピオイド鎮痛効果(即ち、従来はより高いオピオイド投与量を使用することにより達成された)が維持される、mGluR5アンタゴニスト。
【0017】
実施形態9a:50mg超の経口モルヒネ/日のオピオイド用量又は別のオピオイドの1日等鎮痛用量(即ち、モルヒネミリグラム当量、MME/日)を服用中の患者、例えば、60~100mgの経口モルヒネ/日のオピオイド用量又は別のオピオイドの1日等鎮痛用量を服用中の患者に投与される、実施形態1a~8aのいずれか1つに記載の使用のためのmGluR5アンタゴニスト。
【0018】
実施形態10a:慢性疼痛が、損傷(例えば、創傷、熱傷若しくは骨折)又は疾患(例えば、糖尿病、多発性硬化症、関節炎、自己免疫疾患若しくは感染症)に付随する、実施形態1a~9aのいずれか1つに記載の使用のためのmGluR5アンタゴニスト。
【0019】
実施形態11a:慢性疼痛が、非悪性慢性疼痛である、実施形態1a~10aのいずれか1つに記載の使用のためのmGluR5アンタゴニスト。
【0020】
実施形態12a:非悪性慢性疼痛が、例えば過去の脊椎手術を伴うか又は伴わない、慢性腰痛等の慢性背部痛である、実施形態11aに記載の使用のためのmGluR5アンタゴニスト。
【0021】
実施形態13a:高齢患者に投与される、実施形態1a~12aのいずれか1つに記載の使用のためのmGluR5アンタゴニスト。
【0022】
実施形態14a:慢性疼痛が、慢性術後神経障害性疼痛である、実施形態1a~13aのいずれか1つに記載の使用のためのmGluR5アンタゴニスト。
【0023】
実施形態15a:即時放出形態又は調節放出形態;特に調節放出形態で投与される、実施形態1a~14aのいずれか1つに記載の使用のためのmGluR5アンタゴニスト。
【0024】
実施形態16a:少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を更に含む医薬組成物の形態で投与される、実施形態1a~15aのいずれか1つに記載の使用のためのmGluR5アンタゴニスト。
【0025】
実施形態17a:1つ以上の更なる医薬活性成分と組み合わせて投与される、実施形態1a~16aのいずれか1つに記載の使用のためのmGluR5アンタゴニスト。
【0026】
実施形態18a:化合物(I)、化合物(II)及び化合物(III);又はそれぞれの場合のその薬学的に許容可能な塩からなる群から選択される、実施形態1a~17aのいずれか1つに記載の使用のためのmGluR5アンタゴニスト。
【0027】
実施形態19a:化合物(I)又はその薬学的に許容可能な塩である、実施形態18aに記載の使用のためのmGluR5アンタゴニスト。
【0028】
実施形態20a:50mg/b.i.d~200mg/b.i.d、特に50mg/b.i.d.、100mg/b.i.d又は200mg/b.i.d.、例えば200mg/b.i.dの量で投与される、実施形態19aに記載の使用のためのmGluR5アンタゴニスト。
【0029】
実施形態21a:化合物(II)又はその薬学的に許容可能な塩である、実施形態18aに記載の使用のためのmGluR5アンタゴニスト。
【0030】
実施形態22a:1mg/日~100mg/日の量で投与される、実施形態21aに記載の使用のためのmGluR5アンタゴニスト。
【0031】
実施形態23a:化合物(III)又はその薬学的に許容可能な塩である、実施形態18aに記載の使用のためのmGluR5アンタゴニスト。
【0032】
実施形態24a:mGluR5アンタゴニストとオピオイドとを含む、組み合わせ。
【0033】
実施形態25a:オピオイドが、アルファメチルフェンタニル、アルフェンタニル、ブプレノルフィン、ブトルファノール、コデイン、ジアセチルモルヒネ、ジヒドロコデイン、ジヒドロエトルフィン、ジヒドロモルヒネ、エチルモルヒネ、エトルフィン、フェンタニル、ヒドロコドン、ヒドロモルヒネ、L-アセチルメタドール、レボルファノール、メサドン、メペリジン、モルヒネ、ニコモルヒネ、ノルメサドン、ノルオキシコドン、ノルモルヒネ、ノルレボルファノール、オキシコドン、オキシモルホン、フェナゾシン、プロポキシフェン、レミフェンタニル、トラマドール、テバイン、タペンタドール、レボルファノール、スフェンタニル、ペンタゾシン、カルフェンタニル、オームフェンタニル(ohmfentanyl)、ノカイン(nocaine)、ケトベミドン、アリルプロジン、プロジン、デキストロポキシフェン、デキストロモラミド、ベンジトラミド(benzitramide)、ピリトラミド、ジピパノン、ロペラミド、ジフェノキシラート、ナルブフィン、レボメトルファ(levomethorpha)、デゾシン、レフェタミン及びチルジン(tildine)からなる群から選択され、特に、オピオイドがヒドロコドン及びオキシコドンからなる群から選択される、実施形態24aに記載の組み合わせ。
【0034】
実施形態26a:抗うつ薬(例えば、アミトリプチリン、ノルトリプチリン、ドキセピン、デシプラミン、イミプラミン、プロトリプチリン、トリミプラミン、クロミプラミン等の三環系抗うつ薬)、セロトニンノルエピネフリン再取り込み阻害薬(例えば、デュロキセチン、ベンラファキシン、デスベンラファキシン、ミルナシプラン、レボミルナシプラン)、セロトニン再取り込み阻害薬(例えば、フルオキセチン、セトラリン、パロキセチン、フルボキサミン、シタロプラム、エスシタロプラム、ビラゾドン、ボルチオキセチン)、抗痙攣薬(例えば、ガバペンチン、プレガバリン、カルバマゼピン、バルプロ酸、フェニトイン、ラモトリギン、チアガビン、ラコサミド、トピラマート、レベチラセタム、オキサカルバゼピン、ゾニサミド)、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID;例えば、ナプロキセン、イブプロフェン、メロキシカム、ジクロフェナク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、ジフルニサル、エトドラク、ナブメトン、ケトプロフェン、ピロキシカム、スリンダク、トルメチン、ケトロラク、メフェナム(mefenamic)、オキサプロジン)、プロトンポンプ阻害薬(例えば、オメプラゾール、パントプラゾール、ランソプラゾール、デクスランソプラゾール、エソメプラゾール、ラベプラゾール)、H2受容体アンタゴニスト(例えば、ファモチジン、ニザチジン、ラニチジン、シメチジン)、NMDA阻害薬(例えば、ケタミン、アマンタジン、メマチン(mematine))、NO-NSAID、COX-2選択的阻害薬、カンナビノイドアゴニスト、一酸化窒素供与体、ベータアドレナリンアゴニスト、アルファ-2アゴニスト、選択的プロスタノイド受容体アンタゴニスト、局所麻酔薬(例えば、カプサイシン、リドカイン)、プリンP2受容体アンタゴニスト、神経型ニコチン受容体アゴニスト、カルシウムチャネルアンタゴニスト、ナトリウムチャネル遮断薬(例えば、メキシレチン、フレカイニド)、スーパーオキシドジスムターゼ模倣物、p38 MAPキナーゼ阻害薬、TRPVlアゴニスト、グリシン受容体アンタゴニスト、コルチコステロイド、及びアセトアミノフェンからなる群から選択される少なくとも1つの更なる活性成分を含む、実施形態24a又は25aに記載の組み合わせ。
【0035】
実施形態27a:mGluR5アンタゴニストが、化合物(I)、化合物(II)及び化合物(III);又はそれぞれの場合のその薬学的に許容可能な塩からなる群から選択される、実施形態1a~26aのいずれか1つに記載の組み合わせ。
【0036】
実施形態28a:mGluR5アンタゴニストが、化合物(I)又はその薬学的に許容可能な塩である、実施形態27aに記載の組み合わせ。
【0037】
実施形態29a:mGluR5アンタゴニストが、化合物(II)又はその薬学的に許容可能な塩である、実施形態27aに記載の組み合わせ。
【0038】
実施形態30a:mGluR5アンタゴニストが、化合物(III)又はその薬学的に許容可能な塩である、実施形態27aに記載の組み合わせ。
【0039】
実施形態(b):
実施形態1b:慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性の治療に使用するための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含む、医薬組成物。
【0040】
実施形態2b:慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性の治療に使用するための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物であって、この治療がオピオイド鎮痛耐性を反転させる、医薬組成物。
【0041】
実施形態3b:慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性を反転させるのに使用するための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含む、医薬組成物。
【0042】
実施形態4b:慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド関連過剰摂取のリスクを低減させるための治療に使用するための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含む、医薬組成物。
【0043】
実施形態5b:オピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性を反転させるための慢性疼痛の治療に使用するための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含む、医薬組成物。
【0044】
実施形態6b:慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド関連過剰摂取のリスクを低減させるためのオピオイド鎮痛耐性の治療に使用するための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含む、医薬組成物。
【0045】
実施形態7b:慢性疼痛におけるオピオイド消費量を低減させるのに使用するための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含む、医薬組成物。
【0046】
実施形態8b:慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性を反転させるのに使用するための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物であって、患者へ投与されるオピオイド投与量[例えば、オピオイドの1日用量]が(例えば、70%以上(例えば90%以上)等の50%以上)減少し、且つオピオイド鎮痛効果(即ち、従来はより高いオピオイド投与量を使用することにより達成された)が維持される、mGluR5アンタゴニスト。
【0047】
実施形態9b:mGluR5アンタゴニストが、50mg超の経口モルヒネ/日のオピオイド用量又は別のオピオイドの1日等鎮痛用量(即ち、モルヒネミリグラム当量、MME/日)を服用中の患者、例えば、60~100mgの経口モルヒネ/日のオピオイド用量又は別のオピオイドの1日等鎮痛用量を服用中の患者に投与される、実施形態1b~8bのいずれか1つに記載の使用のための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物。
【0048】
実施形態10b:慢性疼痛が、損傷(例えば、創傷、熱傷若しくは骨折)又は疾患(例えば、糖尿病、多発性硬化症、関節炎、自己免疫疾患若しくは感染症)に付随する、実施形態1b~9bのいずれか1つに記載の使用のための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物。
【0049】
実施形態11b:慢性疼痛が、非悪性慢性疼痛である、実施形態1b~10bのいずれか1つに記載の使用のための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物。
【0050】
実施形態12b:非悪性慢性疼痛が、例えば過去の脊椎手術を伴うか又は伴わない、慢性腰痛等の慢性背部痛である、実施形態11bに記載の使用のための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物。
【0051】
実施形態13b:mGluR5アンタゴニストが、高齢患者に投与される、実施形態1b~12bのいずれか1つに記載の使用のための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物。
【0052】
実施形態14b:慢性疼痛が、慢性術後神経障害性疼痛である、実施形態1b~13bのいずれか1つに記載の使用のための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物。
【0053】
実施形態15b:mGluR5アンタゴニストが、即時放出形態又は調節放出形態;特に調節放出形態で投与される、実施形態1b~14bのいずれか1つに記載の使用のための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物。
【0054】
実施形態16b:mGluR5アンタゴニストが、1つ以上の更なる医薬活性成分と組み合わせて投与される、実施形態1b~15bのいずれか1つに記載の使用のための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物。
【0055】
実施形態17b:mGluR5アンタゴニストが、化合物(I)、化合物(II)及び化合物(III);又はそれぞれの場合のその薬学的に許容可能な塩からなる群から選択される、実施形態1b~16bのいずれか1つに記載の使用のための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物。
【0056】
実施形態18b:mGluR5アンタゴニストが、化合物(I)又はその薬学的に許容可能な塩である、実施形態17bに記載の使用のための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物。
【0057】
実施形態19b:mGluR5アンタゴニストが、50mg/b.i.d~200mg/b.i.d、特に50mg/b.i.d.、100mg/b.i.d又は200mg/b.i.d.、例えば200mg/b.i.dの量で投与される、実施形態18bに記載の使用のための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物。
【0058】
実施形態20b:mGluR5アンタゴニストが、化合物(II)又はその薬学的に許容可能な塩である、実施形態17bに記載の使用のための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物。
【0059】
実施形態21b:mGluR5アンタゴニストが、1mg/日~100mg/日の量で投与される、実施形態20bに記載の使用のための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物。
【0060】
実施形態22b:mGluR5アンタゴニストが、化合物(III)又はその薬学的に許容可能な塩である、実施形態17bに記載の使用のための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物。
【0061】
実施形態(c):
実施形態1c:慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性の治療に使用するための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの更なる医薬活性成分とを含む、医薬組み合わせ。
【0062】
実施形態2c:慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性の治療に使用するための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの更なる医薬活性成分とを含む医薬組み合わせであって、この治療がオピオイド鎮痛耐性を反転させる、医薬組み合わせ。
【0063】
実施形態3c:慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性を反転させるのに使用するための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの更なる医薬活性成分とを含む、医薬組み合わせ。
【0064】
実施形態4c:慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド関連過剰摂取のリスクを低減させるための治療に使用するための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの更なる医薬活性成分とを含む、医薬組み合わせ。
【0065】
実施形態5c:オピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性を反転させるための慢性疼痛の治療に使用するための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの更なる医薬活性成分とを含む、医薬組み合わせ。
【0066】
実施形態6c:慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド関連過剰摂取のリスクを低減させるためのオピオイド鎮痛耐性の治療に使用するための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの更なる医薬活性成分とを含む、医薬組み合わせ。
【0067】
実施形態7c:慢性疼痛におけるオピオイド消費量を低減させるのに使用するための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの更なる医薬活性成分とを含む、医薬組み合わせ。
【0068】
実施形態8c:慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性を反転させるのに使用するための、mGluR5アンタゴニストと、少なくとも1つの薬学的に許容可能な更なる賦形剤とを含む医薬組み合わせであって、患者へ投与されるオピオイド投与量[例えば、オピオイドの1日用量]が(例えば、70%以上(例えば90%以上)等の50%以上)減少し、且つオピオイド鎮痛効果(即ち、従来はより高いオピオイド投与量を使用することにより達成された)が維持される、医薬組み合わせ。
【0069】
実施形態9c:mGluR5アンタゴニストが、50mg超の経口モルヒネ/日のオピオイド用量又は別のオピオイドの1日等鎮痛用量(即ち、モルヒネミリグラム当量、MME/日)を服用中の患者、例えば、60~100mgの経口モルヒネ/日のオピオイド用量又は別のオピオイドの1日等鎮痛用量を服用中の患者に投与される、実施形態1c~8cのいずれか1つに記載の使用のための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの更なる医薬活性成分とを含む医薬組み合わせ。
【0070】
実施形態10c:慢性疼痛が、損傷(例えば、創傷、熱傷若しくは骨折)又は疾患(例えば、糖尿病、多発性硬化症、関節炎、自己免疫疾患若しくは感染症)に付随する、実施形態1c~9cのいずれか1つに記載の使用のための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの更なる医薬活性成分とを含む医薬組み合わせ。
【0071】
実施形態11c:慢性疼痛が、非悪性慢性疼痛である、実施形態1c~10cのいずれか1つに記載の使用のための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの更なる医薬活性成分とを含む医薬組み合わせ。
【0072】
実施形態12c:非悪性慢性疼痛が、例えば過去の脊椎手術を伴うか又は伴わない、慢性腰痛等の慢性背部痛である、実施形態11cに記載の使用のための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの更なる医薬活性成分とを含む医薬組み合わせ。
【0073】
実施形態13c:mGluR5アンタゴニストが、高齢患者に投与される、実施形態1c~12cのいずれか1つに記載の使用のための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの更なる医薬活性成分とを含む医薬組み合わせ。
【0074】
実施形態14c:慢性疼痛が、慢性術後神経障害性疼痛である、実施形態1c~13cのいずれか1つに記載の使用のための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの更なる医薬活性成分とを含む医薬組み合わせ。
【0075】
実施形態15c:mGluR5アンタゴニストが、即時放出形態又は調節放出形態;特に調節放出形態で投与される、実施形態1c~14cのいずれか1つに記載の使用のための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの更なる医薬活性成分とを含む医薬組み合わせ。
【0076】
実施形態16c:mGluR5アンタゴニストが、化合物(I)、化合物(II)及び化合物(III);又はそれぞれの場合のその薬学的に許容可能な塩からなる群から選択される、実施形態1c~15cのいずれか1つに記載の使用のための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの更なる医薬活性成分とを含む医薬組み合わせ。
【0077】
実施形態17c:mGluR5アンタゴニストが、化合物(I)又はその薬学的に許容可能な塩である、実施形態16cに記載の使用のための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの更なる医薬活性成分とを含む医薬組み合わせ。
【0078】
実施形態18c:mGluR5アンタゴニストが、50mg/b.i.d~200mg/b.i.d、特に50mg/b.i.d.、100mg/b.i.d又は200mg/b.i.d.、例えば200mg/b.i.dの量で投与される、実施形態17cに記載の使用のための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの更なる医薬活性成分とを含む医薬組み合わせ。
【0079】
実施形態19c:mGluR5アンタゴニストが、化合物(II)又はその薬学的に許容可能な塩である、実施形態16cに記載の使用のための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの更なる医薬活性成分とを含む医薬組み合わせ。
【0080】
実施形態20c:mGluR5アンタゴニストが、1mg/日~100mg/日の量で投与される、実施形態19cに記載の使用のための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの更なる医薬活性成分とを含む医薬組み合わせ。
【0081】
実施形態21c:mGluR5アンタゴニストが、化合物(III)又はその薬学的に許容可能な塩である、実施形態16cに記載の使用のための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの更なる医薬活性成分とを含む医薬組み合わせ。
【0082】
実施形態(d):
実施形態1d:慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性を、その治療が必要な対象において治療するための方法であって、有効量のmGluR5アンタゴニストを前記対象に投与することを含む、方法。
【0083】
実施形態2d:慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性を治療するための方法であって、この治療がオピオイド鎮痛耐性を反転させる必要がある対象においてオピオイド鎮痛耐性を反転させ、この方法が有効量のmGluR5アンタゴニストを前記対象に投与することを含む、方法。
【0084】
実施形態3d:慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性を、それを反転させるための治療が必要な対象において反転させるために治療する方法であって、有効量のmGluR5アンタゴニストを前記対象に投与することを含む、方法。
【0085】
実施形態4d:慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド関連過剰摂取のリスクを低減させるための治療が必要な対象においてそれを低減させるために治療する方法であって、有効量のmGluR5アンタゴニストを前記対象に投与することを含む、方法。
【0086】
実施形態5d:オピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性を反転させるための慢性疼痛の治療が必要な対象においてそれを治療する方法であって、有効量のmGluR5アンタゴニストを前記対象に投与することを含む、方法。
【0087】
実施形態6d:慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド関連過剰摂取のリスクを低減させるためのオピオイド鎮痛耐性の治療が必要な対象においてそれを治療する方法であって、有効量のmGluR5アンタゴニストを前記対象に投与することを含む、方法。
【0088】
実施形態7d:慢性疼痛におけるオピオイド消費量を低減させるための治療が必要な対象においてそれを治療する方法であって、有効量のmGluR5アンタゴニストを前記対象に投与することを含む、方法。
【0089】
実施形態8d:慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性を、それを反転させるための治療が必要な対象において反転させるために治療する方法であって、有効量のmGluR5アンタゴニストを前記対象に投与することを含み、患者へ投与されるオピオイド投与量[例えば、オピオイドの1日用量]が(例えば、70%以上(例えば90%以上)等の50%以上)減少し、且つオピオイド鎮痛効果(即ち、従来はより高いオピオイド投与量を使用することにより達成された)が維持される、方法。
【0090】
実施形態9d:mGluR5アンタゴニストが、50mg超の経口モルヒネ/日のオピオイド用量又は別のオピオイドの1日等鎮痛用量(即ち、モルヒネミリグラム当量、MME/日)を服用中の患者、例えば、60~100mgの経口モルヒネ/日のオピオイド用量又は別のオピオイドの1日等鎮痛用量を服用中の患者に投与される、実施形態1d~8dのいずれか1つに記載の方法。
【0091】
実施形態10d:慢性疼痛が、損傷(例えば、創傷、熱傷若しくは骨折)又は疾患(例えば、糖尿病、多発性硬化症、関節炎、自己免疫疾患若しくは感染症)に付随する、実施形態1d~9dのいずれか1つに記載の方法。
【0092】
実施形態11d:慢性疼痛が、非悪性慢性疼痛である、実施形態1d~10dのいずれか1つに記載の方法。
【0093】
実施形態12d:非悪性慢性疼痛が、例えば過去の脊椎手術を伴うか又は伴わない、慢性腰痛等の慢性背部痛である、実施形態11dに記載の方法。
【0094】
実施形態13d:mGluR5アンタゴニストが、高齢患者に投与される、実施形態1d~12dのいずれか1つに記載の方法。
【0095】
実施形態14d:慢性疼痛が、慢性術後神経障害性疼痛である、実施形態1d~13dのいずれか1つに記載の方法。
【0096】
実施形態15d:mGluR5アンタゴニストが、即時放出形態又は調節放出形態;特に調節放出形態で投与される、実施形態1d~14dのいずれか1つに記載の方法。
【0097】
実施形態16d:mGluR5アンタゴニストが、少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を更に含む医薬組成物の形態で投与される、実施形態1d~15dのいずれか1つに記載の方法。
【0098】
実施形態17d:mGluR5アンタゴニストが、1つ以上の更なる医薬活性成分と組み合わせて投与される、実施形態1d~16dのいずれか1つに記載の方法。
【0099】
実施形態18d:mGluR5アンタゴニストが、化合物(I)、化合物(II)及び化合物(III);又はそれぞれの場合のその薬学的に許容可能な塩からなる群から選択される、実施形態1d~17dのいずれか1つに記載の方法。
【0100】
実施形態19d:mGluR5アンタゴニストが、化合物(I)又はその薬学的に許容可能な塩である、実施形態18dに記載の方法。
【0101】
実施形態20d:mGluR5アンタゴニストが、50mg/b.i.d~200mg/b.i.d、特に50mg/b.i.d.、100mg/b.i.d又は200mg/b.i.d.、例えば200mg/b.i.dの量で投与される、実施形態19dに記載の方法。
【0102】
実施形態21d:mGluR5アンタゴニストが、化合物(II)又はその薬学的に許容可能な塩である、実施形態18dに記載の方法。
【0103】
実施形態22d:mGluR5アンタゴニストが、1mg/日~100mg/日の量で投与される、実施形態21dに記載の方法。
【0104】
実施形態23d:mGluR5アンタゴニストが、化合物(III)又はその薬学的に許容可能な塩である、実施形態18dに記載の方法。
【0105】
実施形態(e):
実施形態1e:慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性を、その治療が必要な対象において治療するための方法であって、有効量のmGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
【0106】
実施形態2e:慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性を治療するための方法であって、この治療がオピオイド鎮痛耐性を反転させる必要がある対象においてオピオイド鎮痛耐性を反転させ、この方法が有効量のmGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
【0107】
実施形態3e:慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性を、それを反転させるための治療が必要な対象において反転させるために治療する方法であって、有効量のmGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
【0108】
実施形態4e:慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド関連過剰摂取のリスクを低減させるための治療が必要な対象においてそれを低減させるために治療する方法であって、有効量のmGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
【0109】
実施形態5e:オピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性を反転させるための慢性疼痛の治療が必要な対象においてそれを治療する方法であって、有効量のmGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
【0110】
実施形態6e:慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド関連過剰摂取のリスクを低減させるためのオピオイド鎮痛耐性の治療が必要な対象においてそれを治療する方法であって、有効量のmGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
【0111】
実施形態7e:慢性疼痛におけるオピオイド消費量を低減させるための治療が必要な対象においてそれを治療する方法であって、有効量のmGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
【0112】
実施形態8e:慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性を、それを反転させるための治療が必要な対象において反転させるために治療する方法であって、有効量のmGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物を前記対象に投与することを含み、患者へ投与されるオピオイド投与量[例えば、オピオイドの1日用量]が(例えば、70%以上(例えば90%以上)等の50%以上)減少し、且つオピオイド鎮痛効果(即ち、従来はより高いオピオイド投与量を使用することにより達成された)が維持される、方法。
【0113】
実施形態9e:mGluR5アンタゴニストが、50mg超の経口モルヒネ/日のオピオイド用量又は別のオピオイドの1日等鎮痛用量(即ち、モルヒネミリグラム当量、MME/日)を服用中の患者、例えば、60~100mgの経口モルヒネ/日のオピオイド用量又は別のオピオイドの1日等鎮痛用量を服用中の患者に投与される、実施形態1e~8eのいずれか1つに記載の方法。
【0114】
実施形態10e:慢性疼痛が、損傷(例えば、創傷、熱傷若しくは骨折)又は疾患(例えば、糖尿病、多発性硬化症、関節炎、自己免疫疾患若しくは感染症)に付随する、実施形態1e~9eのいずれか1つに記載の方法。
【0115】
実施形態11e:慢性疼痛が、非悪性慢性疼痛である、実施形態1e~10eのいずれか1つに記載の方法。
【0116】
実施形態12e:非悪性慢性疼痛が、例えば過去の脊椎手術を伴うか又は伴わない、慢性腰痛等の慢性背部痛である、実施形態11eに記載の方法。
【0117】
実施形態13e:高齢患者に投与される、実施形態1e~12eのいずれか1つに記載の使用のためのmGluR5アンタゴニスト。
【0118】
実施形態14e:慢性疼痛が、慢性術後神経障害性疼痛である、実施形態1e~13eのいずれか1つに記載の方法。
【0119】
実施形態15e:mGluR5アンタゴニストが、即時放出形態又は調節放出形態;特に調節放出形態で投与される、実施形態1e~14eのいずれか1つに記載の方法。
【0120】
実施形態16e:mGluR5アンタゴニストが、1つ以上の更なる医薬活性成分と組み合わせて投与される、実施形態1e~15eのいずれか1つに記載の方法。
【0121】
実施形態17e:mGluR5アンタゴニストが、化合物(I)、化合物(II)及び化合物(III);又はそれぞれの場合のその薬学的に許容可能な塩からなる群から選択される、実施形態1e~16eのいずれか1つに記載の方法。
【0122】
実施形態18e:mGluR5アンタゴニストが、化合物(I)又はその薬学的に許容可能な塩である、実施形態17eに記載の方法。
【0123】
実施形態19e:mGluR5アンタゴニストが、50mg/b.i.d~200mg/b.i.d、特に50mg/b.i.d.、100mg/b.i.d又は200mg/b.i.d.、例えば200mg/b.i.dの量で投与される、実施形態18eに記載の方法。
【0124】
実施形態20e:mGluR5アンタゴニストが、化合物(II)又はその薬学的に許容可能な塩である、実施形態17eに記載の方法。
【0125】
実施形態21e:mGluR5アンタゴニストが、1mg/日~100mg/日の量で投与される、実施形態20eに記載の方法。
【0126】
実施形態22e:mGluR5アンタゴニストが、化合物(III)又はその薬学的に許容可能な塩である、実施形態17eに記載の方法。
【0127】
実施形態(f):
実施形態1f:慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性を、その治療が必要な対象において治療するための方法であって、有効量のmGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの更なる医薬活性成分とを含む医薬組み合わせを前記対象に投与することを含む、方法。
【0128】
実施形態2f:慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性を治療するための方法であって、この治療がオピオイド鎮痛耐性を反転させる必要がある対象においてオピオイド鎮痛耐性を反転させ、この方法が有効量のmGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの更なる医薬活性成分とを含む医薬組み合わせを前記対象に投与することを含む、方法。
【0129】
実施形態3f:慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性を、それを反転させるための治療が必要な対象において反転させるために治療する方法であって、有効量のmGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの更なる医薬活性成分とを含む医薬組み合わせを前記対象に投与することを含む、方法。
【0130】
実施形態4f:慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド関連過剰摂取のリスクを低減させるための治療が必要な対象においてそれを低減させるために治療する方法であって、有効量のmGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの更なる医薬活性成分とを含む医薬組み合わせを前記対象に投与することを含む、方法。
【0131】
実施形態5f:オピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性を反転させるための慢性疼痛の治療が必要な対象においてそれを治療する方法であって、有効量のmGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの更なる医薬活性成分とを含む医薬組み合わせを前記対象に投与することを含む、方法。
【0132】
実施形態6f:慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド関連過剰摂取のリスクを低減させるためのオピオイド鎮痛耐性の治療が必要な対象においてそれを治療する方法であって、有効量のmGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの更なる医薬活性成分とを含む医薬組み合わせを前記対象に投与することを含む、方法。
【0133】
実施形態7f:慢性疼痛におけるオピオイド消費量を低減させるための治療が必要な対象においてそれを治療する方法であって、有効量のmGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの更なる医薬活性成分とを含む医薬組み合わせを前記対象に投与することを含む、方法。
【0134】
実施形態8f:慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性を、それを反転させるための治療が必要な対象において反転させるために治療する方法であって、有効量のmGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの更なる医薬活性成分とを含む医薬組み合わせを前記対象に投与することを含み、患者へ投与されるオピオイド投与量[例えば、オピオイドの1日用量]が(例えば、70%以上(例えば90%以上)等の50%以上)減少し、オピオイド鎮痛効果(即ち、従来はより高いオピオイド投与量を使用することにより達成された)が維持される、方法。
【0135】
実施形態9f:mGluR5アンタゴニストが、50mg超の経口モルヒネ/日のオピオイド用量又は別のオピオイドの1日等鎮痛用量(即ち、モルヒネミリグラム当量、MME/日)を服用中の患者、例えば、60~100mgの経口モルヒネ/日のオピオイド用量又は別のオピオイドの1日等鎮痛用量を服用中の患者に投与される、実施形態1f~8fのいずれか1つに記載の方法。
【0136】
実施形態10f:慢性疼痛が、損傷(例えば、創傷、熱傷若しくは骨折)又は疾患(例えば、糖尿病、多発性硬化症、関節炎、自己免疫疾患若しくは感染症)に付随する、実施形態1f~9fのいずれか1つに記載の方法。
【0137】
実施形態11f:慢性疼痛が、非悪性慢性疼痛である、実施形態1f~10fのいずれか1つに記載の方法。
【0138】
実施形態12f:非悪性慢性疼痛が、例えば過去の脊椎手術を伴うか又は伴わない、慢性腰痛等の慢性背部痛である、実施形態11fに記載の方法。
【0139】
実施形態13f:高齢患者に投与される、実施形態1f~12fのいずれか1つに記載の使用のためのmGluR5アンタゴニスト。
【0140】
実施形態14f:慢性疼痛が、慢性術後神経障害性疼痛である、実施形態1f~13fのいずれか1つに記載の方法。
【0141】
実施形態15f:mGluR5アンタゴニストが、即時放出形態又は調節放出形態;特に調節放出形態で投与される、実施形態1f~14fのいずれか1つに記載の方法。
【0142】
実施形態16f:mGluR5アンタゴニストが、化合物(I)、化合物(II)及び化合物(III);又はそれぞれの場合のその薬学的に許容可能な塩からなる群から選択される、実施形態1f~15fのいずれか1つに記載の方法。
【0143】
実施形態17f:mGluR5アンタゴニストが、化合物(I)又はその薬学的に許容可能な塩である、実施形態16fに記載の方法。
【0144】
実施形態18f:mGluR5アンタゴニストが、50mg/b.i.d~200mg/b.i.d、特に50mg/b.i.d.、100mg/b.i.d又は200mg/b.i.d.、例えば200mg/b.i.dの量で投与される、実施形態17fに記載の方法。
【0145】
実施形態19f:mGluR5アンタゴニストが、化合物(II)又はその薬学的に許容可能な塩である、実施形態16fに記載の方法。
【0146】
実施形態20f:mGluR5アンタゴニストが、1mg/日~100mg/日の量で投与される、実施形態19fに記載の方法。
【0147】
実施形態21f:mGluR5アンタゴニストが、化合物(III)又はその薬学的に許容可能な塩である、実施形態16fに記載の方法。
【0148】
実施形態(g):
実施形態1g:慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性の治療のための薬物を製造するための、mGluR5アンタゴニストの使用。
【0149】
実施形態2g:慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性の治療のための薬物を製造するためのmGluR5アンタゴニストの使用であって、この治療がオピオイド鎮痛耐性を反転させる、mGluR5アンタゴニストの使用。
【0150】
実施形態3g:慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性を反転させるための治療のための薬物を製造するための、mGluR5アンタゴニストの使用。
【0151】
実施形態4g:慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド関連過剰摂取のリスクを低減させるための治療のための薬物を製造するための、mGluR5アンタゴニストの使用。
【0152】
実施形態5g:オピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性を反転させるための慢性疼痛の治療のための薬物を製造するための、mGluR5アンタゴニストの使用。
【0153】
実施形態6g:慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド関連過剰摂取のリスクを低減させるためのオピオイド鎮痛耐性の治療のための薬物を製造するための、mGluR5アンタゴニストの使用。
【0154】
実施形態7g:慢性疼痛におけるオピオイド消費量を低減させるための治療のための薬物を製造するための、mGluR5アンタゴニストの使用。
【0155】
実施形態8g:慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性を反転させるための治療のための薬物を製造するためのmGluR5アンタゴニストの使用であって、患者へ投与されるオピオイド投与量[例えば、オピオイドの1日用量]が(例えば、70%以上(例えば90%以上)等の50%以上)減少し、且つオピオイド鎮痛効果(即ち、従来はより高いオピオイド投与量を使用することにより達成された)が維持される、mGluR5アンタゴニストの使用。
【0156】
実施形態9g:mGluR5アンタゴニストが、50mg超の経口モルヒネ/日のオピオイド用量又は別のオピオイドの1日等鎮痛用量(即ち、モルヒネミリグラム当量、MME/日)を服用中の患者、例えば、60~100mgの経口モルヒネ/日のオピオイド用量又は別のオピオイドの1日等鎮痛用量を服用中の患者に投与される、実施形態1g~8gのいずれか1つに記載の薬物の製造のためのmGluR5アンタゴニストの使用。
【0157】
実施形態10g:慢性疼痛が、損傷(例えば、創傷、熱傷若しくは骨折)又は疾患(例えば、糖尿病、多発性硬化症、関節炎、自己免疫疾患若しくは感染症)に付随する、実施形態1g~9gのいずれか1つに記載の薬物の製造のためのmGluR5アンタゴニストの使用。
【0158】
実施形態11g:慢性疼痛が、非悪性慢性疼痛である、実施形態1g~10gのいずれか1つに記載の薬物の製造のためのmGluR5アンタゴニストの使用。
【0159】
実施形態12g:非悪性慢性疼痛が、例えば過去の脊椎手術を伴うか又は伴わない、慢性腰痛等の慢性背部痛である、実施形態11gに記載の薬物の製造のためのmGluR5アンタゴニストの使用。
【0160】
実施形態13g:mGluR5アンタゴニストが、高齢患者に投与される、実施形態1g~12gのいずれか1つに記載の薬物の製造のためのmGluR5アンタゴニストの使用。
【0161】
実施形態14g:慢性疼痛が、慢性術後神経障害性疼痛である、実施形態1g~13gのいずれか1つに記載の薬物の製造のためのmGluR5アンタゴニストの使用。
【0162】
実施形態15g:mGluR5アンタゴニストが、即時放出形態又は調節放出形態;特に調節放出形態で投与される、実施形態1g~14gのいずれか1つに記載の薬物の製造のためのmGluR5アンタゴニストの使用。
【0163】
実施形態16g:mGluR5アンタゴニストが、少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を更に含む医薬組成物の形態で投与される、実施形態1g~15gのいずれか1つに記載の薬物の製造のためのmGluR5アンタゴニストの使用。
【0164】
実施形態17g:mGluR5アンタゴニストが、1つ以上の更なる医薬活性成分と組み合わせて投与される、実施形態1g~16gのいずれか1つに記載の薬物の製造のためのmGluR5アンタゴニストの使用。
【0165】
実施形態18g:mGluR5アンタゴニストが、化合物(I)、化合物(II)及び化合物(III);又はそれぞれの場合のその薬学的に許容可能な塩からなる群から選択される、実施形態1g~17gのいずれか1つに記載の薬物の製造のためのmGluR5アンタゴニストの使用。
【0166】
実施形態19g:mGluR5アンタゴニストが、化合物(I)又はその薬学的に許容可能な塩である、実施形態18gに記載の薬物の製造のためのmGluR5アンタゴニストの使用。
【0167】
実施形態20g:mGluR5アンタゴニストが、50mg/b.i.d~200mg/b.i.d、特に50mg/b.i.d.、100mg/b.i.d又は200mg/b.i.d.、例えば200mg/b.i.dの量で投与される、実施形態19gに記載の薬物の製造のためのmGluR5アンタゴニストの使用。
【0168】
実施形態21g:mGluR5アンタゴニストが、化合物(II)又はその薬学的に許容可能な塩である、実施形態18gに記載の薬物の製造のためのmGluR5アンタゴニストの使用。
【0169】
実施形態22g:mGluR5アンタゴニストが、1mg/日~100mg/日の量で投与される、実施形態21gに記載の薬物の製造のためのmGluR5アンタゴニストの使用。
【0170】
実施形態23g:mGluR5アンタゴニストが、化合物(III)又はその薬学的に許容可能な塩である、実施形態18gに記載の薬物の製造のためのmGluR5アンタゴニストの使用。
【0171】
実施形態(h):
実施形態1h:慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性の治療のための薬物を製造するための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含む、医薬組成物の使用。
【0172】
実施形態2h:慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性の治療のための薬物を製造するための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物の使用であって、この治療がオピオイド鎮痛耐性を反転させる、医薬組成物の使用。
【0173】
実施形態3h:慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性を反転させるための治療のための薬物を製造するための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含む、医薬組成物の使用。
【0174】
実施形態4h:慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド関連過剰摂取のリスクを低減させるための治療のための薬物を製造するための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含む、医薬組成物の使用。
【0175】
実施形態5h:オピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性を反転させるための慢性疼痛の治療のための薬物を製造するための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含む、医薬組成物の使用。
【0176】
実施形態6h:慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド関連過剰摂取のリスクを低減させるためのオピオイド鎮痛耐性の治療のための薬物を製造するための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含む、医薬組成物の使用。
【0177】
実施形態7h:慢性疼痛におけるオピオイド消費量を低減させるための治療のための薬物を製造するための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含む、医薬組成物の使用。
【0178】
実施形態8h:慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性を反転させるための治療のための薬物を製造するための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物の使用であって、患者へ投与されるオピオイド投与量[例えば、オピオイドの1日用量]が(例えば、70%以上(例えば90%以上)等の50%以上)減少し、且つオピオイド鎮痛効果(即ち、従来はより高いオピオイド投与量を使用することにより達成された)が維持される、医薬組成物の使用。
【0179】
実施形態9h:mGluR5アンタゴニストが、50mg超の経口モルヒネ/日のオピオイド用量又は別のオピオイドの1日等鎮痛用量(即ち、モルヒネミリグラム当量、MME/日)を服用中の患者、例えば、60~100mgの経口モルヒネ/日のオピオイド用量又は別のオピオイドの1日等鎮痛用量を服用中の患者に投与される、実施形態1h~8hのいずれか1つに記載の薬物の製造のための少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤、mGluR5アンタゴニストを含む医薬組成物の使用。
【0180】
実施形態10h:慢性疼痛が、損傷(例えば、創傷、熱傷若しくは骨折)又は疾患(例えば、糖尿病、多発性硬化症、関節炎、自己免疫疾患若しくは感染症)に付随する、実施形態1h~9hのいずれか1つに記載の薬物の製造のための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物の使用。
【0181】
実施形態11h:慢性疼痛が、非悪性慢性疼痛である、実施形態1h~10hのいずれか1つに記載の薬物の製造のための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物の使用。
【0182】
実施形態12h:非悪性慢性疼痛が、例えば過去の脊椎手術を伴うか又は伴わない、慢性腰痛等の慢性背部痛である、実施形態11hに記載の薬物の製造のための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物の使用。
【0183】
実施形態13h:mGluR5アンタゴニストが、高齢患者に投与される、実施形態1h~12hのいずれか1つに記載の薬物の製造のための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物の使用。
【0184】
実施形態14h:慢性疼痛が、慢性術後神経障害性疼痛である、実施形態1h~13hのいずれか1つに記載の薬物の製造のための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物の使用。
【0185】
実施形態15h:mGluR5アンタゴニストが、即時放出形態又は調節放出形態;特に調節放出形態で投与される、実施形態1h~14hのいずれか1つに記載の薬物の製造のための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物の使用。
【0186】
実施形態16h:mGluR5アンタゴニストが、1つ以上の更なる医薬活性成分と組み合わせて投与される、実施形態1h~15hのいずれか1つに記載の薬物の製造のための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物の使用。
【0187】
実施形態17h:mGluR5アンタゴニストが、化合物(I)、化合物(II)及び化合物(III);又はそれぞれの場合のその薬学的に許容可能な塩からなる群から選択される、実施形態1h~16hのいずれか1つに記載の薬物の製造のための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物の使用。
【0188】
実施形態18h:mGluR5アンタゴニストが、化合物(I)又はその薬学的に許容可能な塩である、実施形態17hに記載の薬物の製造のための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物の使用。
【0189】
実施形態19h:mGluR5アンタゴニストが、50mg/b.i.d~200mg/b.i.d、特に50mg/b.i.d.、100mg/b.i.d又は200mg/b.i.d.、例えば200mg/b.i.dの量で投与される、実施形態18hに記載の薬物の製造のための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物の使用。
【0190】
実施形態20h:mGluR5アンタゴニストが、化合物(II)又はその薬学的に許容可能な塩である、実施形態17hに記載の薬物の製造のための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物の使用。
【0191】
実施形態21h:mGluR5アンタゴニストが、1mg/日~100mg/日の量で投与される、実施形態20hに記載の薬物の製造のための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物の使用。
【0192】
実施形態22h:mGluR5アンタゴニストが、化合物(III)又はその薬学的に許容可能な塩である、実施形態17hに記載の薬物の製造のための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物の使用。
【0193】
実施形態(j):
実施形態1j:慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性の治療のための薬物を製造するための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの更なる医薬活性成分とを含む医薬組み合わせの使用。
【0194】
実施形態2j:慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性の治療のための薬物を製造するための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの更なる医薬活性成分とを含む医薬組み合わせの使用であって、この治療がオピオイド鎮痛耐性を反転させる、医薬組み合わせの使用。
【0195】
実施形態3j:慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性を反転させるための治療のための薬物を製造するための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの更なる医薬活性成分とを含む医薬組み合わせの使用。
【0196】
実施形態4j:慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド関連過剰摂取のリスクを低減させるための治療のための薬物を製造するための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの更なる医薬活性成分とを含む医薬組み合わせの使用。
【0197】
実施形態5j:オピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性を反転させるための慢性疼痛の治療のための薬物を製造するための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの更なる医薬活性成分とを含む医薬組み合わせの使用。
【0198】
実施形態6j:慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド関連過剰摂取のリスクを低減させるためのオピオイド鎮痛耐性の治療のための薬物を製造するための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの更なる医薬活性成分とを含む医薬組み合わせの使用。
【0199】
実施形態7j:慢性疼痛におけるオピオイド消費量を低減させるための治療のための薬物を製造するための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの更なる医薬活性成分とを含む医薬組み合わせの使用。
【0200】
実施形態8j:慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性を反転させるための治療のための薬物を製造するための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの更なる医薬活性成分とを含む医薬組み合わせの使用であって、患者へ投与されるオピオイド投与量[例えば、オピオイドの1日用量]が(例えば、70%以上(例えば90%以上)等の50%以上)減少し、且つオピオイド鎮痛効果(即ち、従来はより高いオピオイド投与量を使用することにより達成された)が維持される、医薬組み合わせの使用。
【0201】
実施形態9j:mGluR5アンタゴニストが、50mg超の経口モルヒネ/日のオピオイド用量又は別のオピオイドの1日等鎮痛用量(即ち、モルヒネミリグラム当量、MME/日)を服用中の患者、例えば、60~100mgの経口モルヒネ/日のオピオイド用量又は別のオピオイドの1日等鎮痛用量を服用中の患者に投与される、実施形態1j~8jのいずれか1つに記載の薬物の製造のための、少なくとも1つの更なる医薬活性成分、mGluR5アンタゴニストを含む医薬組み合わせの使用。
【0202】
実施形態10j:慢性疼痛が、損傷(例えば、創傷、熱傷若しくは骨折)又は疾患(例えば、糖尿病、多発性硬化症、関節炎、自己免疫疾患若しくは感染症)に付随する、実施形態1j~9jのいずれか1つに記載の薬物の製造のための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの更なる医薬活性成分とを含む医薬組み合わせの使用。
【0203】
実施形態11j:慢性疼痛が、非悪性慢性疼痛である、実施形態1j~10jのいずれか1つに記載の薬物の製造のための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの更なる医薬活性成分とを含む医薬組み合わせの使用。
【0204】
実施形態12j:非悪性慢性疼痛が、例えば過去の脊椎手術を伴うか又は伴わない、慢性腰痛等の慢性背部痛である、実施形態11jに記載の薬物の製造のための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの更なる医薬活性成分とを含む医薬組み合わせの使用。
【0205】
実施形態13j:mGluR5アンタゴニストが、高齢患者に投与される、実施形態1j~12jのいずれか1つに記載の薬物の製造のための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの更なる医薬活性成分とを含む医薬組み合わせの使用。
【0206】
実施形態14j:慢性疼痛が、慢性術後神経障害性疼痛である、実施形態1j~13jのいずれか1つに記載の薬物の製造のための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの更なる医薬活性成分とを含む医薬組み合わせの使用。
【0207】
実施形態15j:mGluR5アンタゴニストが、即時放出形態又は調節放出形態;特に調節放出形態で投与される、実施形態1j~14jのいずれか1つに記載の薬物の製造のための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの更なる医薬活性成分とを含む医薬組み合わせの使用。
【0208】
実施形態16j:mGluR5アンタゴニストが、化合物(I)、化合物(II)及び化合物(III);又はそれぞれの場合のその薬学的に許容可能な塩からなる群から選択される、実施形態1j~15jのいずれか1つに記載の薬物の製造のための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの更なる医薬活性成分とを含む医薬組み合わせの使用。
【0209】
実施形態17j:mGluR5アンタゴニストが、化合物(I)又はその薬学的に許容可能な塩である、実施形態16jに記載の薬物の製造のための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの更なる医薬活性成分とを含む医薬組み合わせの使用。
【0210】
実施形態18j:mGluR5アンタゴニストが、50mg/b.i.d~200mg/b.i.d、特に50mg/b.i.d.、100mg/b.i.d又は200mg/b.i.d.、例えば200mg/b.i.dの量で投与される、実施形態17jに記載の薬物の製造のための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの更なる医薬活性成分とを含む医薬組み合わせの使用。
【0211】
実施形態19j:mGluR5アンタゴニストが、化合物(II)又はその薬学的に許容可能な塩である、実施形態16jに記載の薬物の製造のための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの更なる医薬活性成分とを含む医薬組み合わせの使用。
【0212】
実施形態20j:mGluR5アンタゴニストが、1mg/日~100mg/日の量で投与される、実施形態19jに記載の薬物の製造のための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの更なる医薬活性成分とを含む医薬組み合わせの使用。
【0213】
実施形態21j:mGluR5アンタゴニストが、化合物(III)又はその薬学的に許容可能な塩である、実施形態16jに記載の薬物の製造のための、mGluR5アンタゴニストと少なくとも1つの更なる医薬活性成分とを含む医薬組み合わせの使用。
【0214】
一般的用語
本明細書で使用する場合、「オピオイド」又は「オピオイド鎮痛剤」という用語は、天然(オピエート)形態又は合成(オピオイド)形態の両方、及び天然又は合成の混合オピオイドアゴニスト/アンタゴニストを指し、それらとしては、アルファメチルフェンタニル、アルフェンタニル、ブプレノルフィン、ブトルファノール、コデイン、ジアセチルモルヒネ、ジヒドロコデイン、ジヒドロエトルフィン、ジヒドロモルヒネ、エチルモルヒネ、エトルフィン、フェンタニル、ヒドロコドン、ヒドロモルヒネ、L-アセチルメタドール、レボルファノール、メサドン、メペリジン、モルヒネ、ニコモルヒネ、ノルメサドン、ノルオキシコドン、ノルモルヒネ、ノルレボルファノール、オキシコドン、オキシモルホン、フェナゾシン、プロポキシフェン、レミフェンタニル、トラマドール、テバイン、タペンタドール、レボルファノール、スフェンタニル、ペンタゾシン、カルフェンタニル、オームフェンタニル、ノカイン、ケトベミドン、アリルプロジン、プロジン、デキストロポキシフェン、デキストロモラミド、ベンジトラミド、ピリトラミド、ジピパノン、ロペラミド、ジフェノキシラート、ナルブフィン、レボメトルファ、デゾシン、レフェタミン及びチルジンが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、「オピオイド」は、モルヒネ、ヒドロコドン、オキシコドン、及びコデインからなる群から選択され;特に、オピオイドは、ヒドロコドン及びオキシコドンからなる群から選択される。一実施形態では、オピオイドは、ヒドロコドンである。別の実施形態では、オピオイドは、オキシコドンである。
【0215】
本明細書で使用する場合、「オピオイド慢性使用」又は「オピオイドの慢性使用」という用語は、6ヶ月超続くオピオイド治療/療法(例えば、毎日)を指し、オピオイドは、例えば本明細書で定義されるものである。一実施形態では、「オピオイド慢性使用」は、アルファメチルフェンタニルの慢性使用、アルフェンタニルの慢性使用、ブプレノルフィンの慢性使用、ブトルファノールの慢性使用、コデインの慢性使用、ジアセチルモルヒネの慢性使用、ジヒドロコデインの慢性使用、ジヒドロエトルフィンの慢性使用、ジヒドロモルヒネの慢性使用、エチルモルヒネの慢性使用、エトルフィンの慢性使用、フェンタニル鎮痛剤の慢性使用、ヒドロコドンの慢性使用、ヒドロモルヒネの慢性使用、L-アセチルメタドールの慢性使用、レボルファノールの慢性使用、メサドンの慢性使用、メペリジンの慢性使用、モルヒネの慢性使用、ニコモルヒネの慢性使用、ノルメサドンの慢性使用、ノルオキシコドンの慢性使用、ノルモルヒネの慢性使用、ノルレボルファノールの慢性使用、オキシコドンの慢性使用、オキシモルホンの慢性使用、フェナゾシンの慢性使用、プロポキシフェンの慢性使用、レミフェンタニルの慢性使用、トラマドールの慢性使用、テバインの慢性使用、タペンタドールの慢性使用、レボルファノールの慢性使用、スフェンタニルの慢性使用、ペンタゾシンの慢性使用、カルフェンタニルの慢性使用、オームフェンタニルの慢性使用、ノカインの慢性使用、ケトベミドンの慢性使用、アリルプロジンの慢性使用、プロジンの慢性使用、デキストロポキシフェンの慢性使用、デキストロモラミドの慢性使用、ベンジトラミドの慢性使用、ピリトラミドの慢性使用、ジピパノンの慢性使用、ロペラミドの慢性使用、ジフェノキシラートの慢性使用、ナルブフィンの慢性使用、レボメトルファの慢性使用、デゾシンの慢性使用、レフェタミンの慢性使用、及びチルジンの慢性使用を指し;各例における「慢性」という用語は、6ヶ月超続く使用(例えば、毎日)を指す。別の実施形態では、「オピオイド慢性使用」は、モルヒネの慢性使用、ヒドロコドンの慢性使用、オキシコドンの慢性使用、又はコデインの慢性使用、一実施形態では、ヒドロコドンの慢性使用、別の実施形態では、オキシコドンの慢性使用を指し;各例における「慢性」という用語は、6ヶ月超続く使用(例えば、毎日)を指す。
【0216】
本明細書で使用する場合、「慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用」という用語は、慢性疼痛を有する患者による本明細書で定義される「オピオイド慢性使用」と理解されるべきである。「オピオイド慢性使用者」という用語は、6ヶ月超続けて本明細書で定義されるオピオイドを服用中(例えば、毎日)の慢性疼痛患者を指す。
【0217】
本明細書で使用する場合、「オピオイド治療」又は「オピオイド療法」という用語は、例えば、本明細書で定義されるオピオイドによる慢性疼痛の鎮痛治療を指す[例えば、Interagency Guideline on Prescribing Opioids for Pain,3rd Edition,June 2015、又はCenters for Disease Control and Prevention(CDC)Guideline for Prescribing Opioids for Chronic Pain,2016、又はThe Journal of Pain,2009,10(2),113-130を参照されたい;これらの内容は全て、参照により本明細書に組み込まれる]。
【0218】
本明細書で使用する場合、「耐性」という用語は、例えば、国立薬物乱用研究所(National Institute on Drug Abuse)(NIDA)による定義によって、即ち、患者がもはや薬物に応答せず、効果を得るためにより高い用量(例えば、より高い1日用量)が必要とされる状態であると理解される。したがって、耐性はある期間にわたる身体現象であり、同じ用量での反復使用により薬物の1つ以上の効果が減少し、結果を得るためにより高い用量が必要とされる(例えば、鎮痛効果を維持するために、投与量を増加させる必要がある)。
【0219】
本明細書で使用する場合、「オピオイド耐性」又は「オピオイド鎮痛耐性」という用語は、鎮痛効果を維持するためのオピオイドの漸次的な用量増加(例えば、1日用量の増加)に繋がるオピオイドの慢性使用を指す。耐性のエビデンスは、例えば、PEG尺度[即ち、疼痛強度(P)、生活の楽しみ(E)、一般活動性(G)の評価;PEG尺度は疼痛の改善を伴う患者と伴わない患者との間の変化及び弁別に対して高感度であることが、例えばhttp://mytopcare.org/wp-content/uploads/2013/06/PEG-Pain-Screening-Tool1.pdf、Krebs EE,et.al.J.Gen.Intern.Med,2009,24,733-8において示されている]に従って評価することができる。一実施形態では、「オピオイド鎮痛耐性」は、アルファメチルフェンタニル鎮痛耐性、アルフェンタニル鎮痛耐性、ブプレノルフィン鎮痛耐性、ブトルファノール鎮痛耐性、コデイン鎮痛耐性、ジアセチルモルヒネ鎮痛耐性、ジヒドロコデイン鎮痛耐性、ジヒドロエトルフィン鎮痛耐性、ジヒドロモルヒネ鎮痛耐性、エチルモルヒネ鎮痛耐性、エトルフィン鎮痛耐性、フェンタニル鎮痛耐性、ヒドロコドン鎮痛耐性、ヒドロモルヒネ鎮痛耐性、L-アセチルメタドール鎮痛耐性、レボルファノール鎮痛耐性、メサドン鎮痛耐性、メペリジン鎮痛耐性、モルヒネ鎮痛耐性、ニコモルヒネ鎮痛耐性、ノルメサドン鎮痛耐性、ノルオキシコドン鎮痛耐性、ノルモルヒネ鎮痛耐性、ノルレボルファノール鎮痛耐性、オキシコドン鎮痛耐性、オキシモルホン鎮痛耐性、フェナゾシン鎮痛耐性、プロポキシフェン鎮痛耐性、レミフェンタニル鎮痛耐性、トラマドール鎮痛耐性、テバイン鎮痛耐性、タペンタドール鎮痛耐性、レボルファノール鎮痛耐性、スフェンタニル鎮痛耐性、ペンタゾシン鎮痛耐性、カルフェンタニル鎮痛耐性、オームフェンタニル鎮痛耐性、ノカイン鎮痛耐性、ケトベミドン鎮痛耐性、アリルプロジン鎮痛耐性、プロジン鎮痛耐性、デキストロポキシフェン鎮痛耐性、デキストロモラミド鎮痛耐性、ベンジトラミド鎮痛耐性、ピリトラミド鎮痛耐性、ジピパノン鎮痛耐性、ロペラミド鎮痛耐性、ジフェノキシラート鎮痛耐性、ナルブフィン鎮痛耐性、レボメトルファ鎮痛耐性、デゾシン鎮痛耐性、レフェタミン鎮痛耐性及びチルジン鎮痛耐性からなる群から選択される。別の実施形態では、「オピオイド鎮痛耐性」は、モルヒネ鎮痛耐性、ヒドロコドン鎮痛耐性、オキシコドン鎮痛耐性、及びコデイン鎮痛耐性からなる群から選択され;特に、ヒドロコドン鎮痛耐性及びオキシコドン鎮痛耐性からなる群から選択され;一実施形態では、ヒドロコドン鎮痛耐性であり;別の実施形態では、オキシコドン鎮痛耐性である。
【0220】
本明細書で使用する場合、「慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性を反転させるため」、「慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性を反転させる(reverses)」、又は「慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性を反転させる(reversing)」という用語は、本明細書で定義されるオピオイド慢性使用者である慢性疼痛患者における、本明細書で定義される既存の(即ち、確立された)オピオイド鎮痛耐性を反転させることとして理解されるべきである。特に、この用語は、例えば本明細書で定義されるmGluR5アンタゴニスト等の活性成分の、慢性疼痛患者に投与されるオピオイドのオピオイド投与量[例えば、50mg超の経口モルヒネ/日等のオピオイドの1日用量又は別のオピオイドの1日等鎮痛用量(即ち、モルヒネミリグラム当量、MME/日)]を低減させ[例えば、オピオイドの代謝物に関するバイオマーカーを使用することにより評価した、又は患者が自己申告したオピオイド摂取量を使用することにより(例えば、タイムラインフォローバックオピオイド自己申告日誌を使用することにより)評価した、例えば、1日あたり又は1週間あたりの元のオピオイド消費量の50%以上の減少、例えば、70%以上の減少(例えば90%以上の減少)]、且つ鎮痛効果を維持する(即ち、従来は前記オピオイドのより高い用量、例えば、より高い1日用量を使用することにより達成された鎮痛効果を維持する)能力を指す。オピオイドの低減は、例えば、オピオイド代謝物に関するバイオマーカーを使用することにより、又は患者が自己申告したオピオイド摂取量を使用することにより、評価することができる。
【0221】
本明細書で使用する場合、「PEG尺度」という用語は、PEG3項目尺度(即ち、例えば、本明細書に参照により組み込まれるhttp://mytopcare.org/wp-content/uploads/2013/06/PEG-Pain-Screening-Tool1.pdf、Krebs EE,et.al.J.Gen.Intern.Med,2009,24,733-8に定義されているもの)を指す。PEG尺度は、i)1~10の「疼痛平均」(P)の等級付け、ii)1~10の「生活の楽しみへの干渉」(E)の等級付け、及びiii)1~10の「一般活動性への干渉」の等級付けの3項目の臨床問診である。PEG尺度は、変化への感受性が高く、疼痛の改善を伴う対象と伴わない対象とを弁別することができることが示されている。
【0222】
特に、本明細書で使用する場合、「慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性を反転させるのに使用するための」という用語は、「慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性を反転させるための治療に使用するための」として、又は「慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性を反転させるための治療方法に使用するための」として理解されるべきである。
【0223】
本明細書で使用する場合、「別のオピオイドの等鎮痛用量」という用語は、例えば、米国保健福祉省疾病対策センター(United States Department of Health and Human Services Centers for Disease Control and Prevention)のガイドライン(例えば、https://www.cdc.gov/drugoverdose/pdf/calculating_total_daily_dose-a.pdfを参照されたく、これらの内容は全て、参照により本明細書に組み込まれる)に従って算出されるモルヒネミリグラム当量(MME/日)として理解されるべきであり、ここでは、モルヒネ当量用量は以下の換算係数に基づいて算出される:
【0224】
【0225】
したがって、50MME/日は例えば、1日あたり50mgのヒドロコドン、33mgのオキシコドン、又は12mgのメサドンを指し;90MME/日は例えば、1日あたり90mgのヒドロコドン、60mgのオキシコドン、又は約20mgのメサドンを指す。
【0226】
MMEという用語は、モルヒネのミリグラム当量用量を指す。
【0227】
本明細書で使用する場合、「慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド関連過剰摂取のリスクを低減させるため」という用語は、慢性疼痛を有する患者に関するオピオイド慢性使用に伴う過剰摂取のリスクの低減として理解されるべきである。過剰摂取のリスクは、例えば、Paseroオピオイド誘発性鎮静尺度(POSS;例えば、Pasero C,McCaffery M.Pain Assessment and Pharmacologic Management.St Louis:Mosby/Elsevier;2011.Section IV,Opioid Analgesics;p.277-622)に従って、例えばプラセボと比較して評価することができる。
【0228】
本明細書で使用する場合、「慢性疼痛におけるオピオイド消費量を低減させるため」、「慢性疼痛におけるオピオイド消費量を低減させる(reduces)」、又は「慢性疼痛におけるオピオイド消費量を低減させる(reducing)」という用語は、慢性疼痛を有する患者におけるオピオイド消費量の低減を指す。一実施形態では、この用語は、本明細書で定義されるオピオイド慢性使用者である慢性疼痛を有する患者が投与されているオピオイド投与量の低減(例えば、オピオイドの1日用量の低減)として理解されるべきである。別の実施形態では、この用語は、オピオイド使用の疾患状態における(例えば、オピオイド使用障害に関するDMS-V診断基準による、中等度状態から軽度状態への)低減として理解されるべきである。特に、慢性疼痛を有する患者におけるオピオイド消費量の低減は、鎮痛効果が維持されている。
【0229】
特に、「慢性疼痛におけるオピオイド消費量を低減させる」又は「慢性疼痛を有する患者におけるオピオイド消費量の低減」は、元のオピオイド投与量の50%のオピオイドの低減、例えば、60mg~100mgの経口モルヒネ/日のオピオイド開始投与量を伴う元のオピオイド投与量又は別のオピオイドの1日等鎮痛用量の50%のオピオイドの低減;例えば、元のオピオイド投与量の5週間にわたる50%のオピオイドの低減、例えば、60mg~100mgの経口モルヒネ/日のオピオイド開始投与量を伴う元のオピオイド投与量又は別のオピオイドの1日等鎮痛用量の5週間にわたる50%のオピオイドの低減を指す。
【0230】
特に、本明細書で使用する場合、「オピオイド投与量」という用語は、オピオイドの1日用量を指す。本明細書で使用する場合、「オピオイドの1日用量」という用語は、経口モルヒネ(mg)/日又は別のオピオイドの1日等鎮痛用量(即ち、モルヒネミリグラム当量、MME/日)を指す。一実施形態では、オピオイドの1日用量は、例えば、50mg超の経口モルヒネ/日又は別のオピオイドの1日等鎮痛用量(即ち、モルヒネミリグラム当量、MME/日)、例えば、60mgの経口モルヒネ/日又は別のオピオイド(例えば、ヒドロコジン若しくはオキシコドン)の1日等鎮痛用量から100mgの経口モルヒネ/日又は別のオピオイド(例えば、ヒドロコジン若しくはオキシコドン)の1日等鎮痛用量までである。
【0231】
特に、慢性疼痛患者に投与されるオピオイドの1日用量は、70%以上(例えば90%以上)の減少等、50%以上減少する。別の実施形態では、慢性疼痛患者に投与されるオピオイドの1日用量は、60mg~100mgの経口モルヒネ/日のオピオイド開始投与量を伴う元のオピオイド投与量又は別のオピオイドの1日等鎮痛用量の5週間にわたる50%のオピオイドの低減等、5週間にわたり50%減少する。オピオイドの低減を、例えば、オピオイド代謝物に関するバイオマーカーを使用することにより、又は患者が自己申告したオピオイド摂取量を使用することにより(例えば、タイムラインフォローバックオピオイド自己申告日誌を使用することにより)、評価する。
【0232】
特に、本明細書で使用する場合、「慢性疼痛におけるオピオイド消費量を低減させるのに使用するための」という用語は、「慢性疼痛におけるオピオイド消費量を低減させるための治療に使用するための」として、又は「慢性疼痛におけるオピオイド消費量を低減させるための治療方法に使用するための」として理解されるべきである。
【0233】
特に、本明細書で使用する場合、「慢性疼痛におけるオピオイド消費量の低減に使用するための」という用語は、「慢性疼痛におけるオピオイド消費量の低減のための治療に使用するための」として、又は「慢性疼痛におけるオピオイド消費量の低減のための治療方法に使用するための」として理解されるべきである。
【0234】
本明細書で使用する場合、「慢性疼痛」という用語は、例えば、American Chronic Pain Association(ACPA)Resource Guide to Chronic Pain Management,2017 Editionで定義されるように、即ち、急性疾病又は損傷の通常の経過を超えて、又は6ヶ月を超えて持続し、個体の健康に悪影響を及ぼす進行性又は反復性疼痛として理解されるべきである。通常、慢性疼痛は、病態生理学(疾患若しくは損傷に伴うか又はそれに起因する機能的変化)により、侵害受容性(進行性の組織損傷による)、神経障害性(脳、脊髄若しくは末梢神経の損傷に起因する)、又はこれらの混合に分類される。本明細書で使用する場合、「慢性疼痛における」という用語は、「慢性疼痛を有する患者により」又は「慢性疼痛を有する患者の」として理解され得る。
【0235】
本明細書で使用する場合、「非悪性慢性疼痛」という用語は、非癌性慢性疼痛を指し、これには例えば、ヘルペス後神経痛(post-herperic neuralgia)、変形性関節障害(DJD;変形性関節症)、糖尿病性神経障害、神経腫痛、中枢性疼痛、交感神経性ジストロフィー、慢性筋骨格痛、片頭痛、線維筋痛、関節リウマチ、脊柱管狭窄症及び腰痛が含まれる。非悪性慢性疼痛は、特に、慢性術後神経障害性疼痛を指す。別の実施形態では、非悪性慢性疼痛は、慢性腰痛等の背部痛を指す。本明細書で使用する場合、「腰痛」又は「慢性腰痛」という用語は、最初の損傷又は急性腰痛の根本原因の治療後であっても、12週間以上持続する疼痛を指す(例えば、North America Spine Society Diagnosis(NASS)and Treatment of Low-Back Pain Evidence-Based Guideline,2016、又はGuideline for the Evaluation and Management of Low Back Pain:Evidence Review,R.Chou,L.Hoyt Huffman,American Pain Society等を参照されたい)。
【0236】
本明細書で使用する場合、「悪性慢性疼痛」という用語は、癌性慢性疼痛(例えば、Appendix E of the Interagency Guideline on Prescribing Opioids for Pain,3rd Edition,June 2015(この内容は全て、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている慢性疼痛症候群)を指す。
【0237】
本明細書で使用する場合、疾患又は障害に関係する「治療する(treat)」、「治療する(treating)」又は「治療」という用語は、一実施形態において、疾患又は障害を改善すること(即ち、疾患又はその臨床症状の少なくとも1つの発症を遅らせるか又は阻止するか又は低減させること)を指す。別の実施形態では、「治療する(treat)」、「治療する(treating)」又は「治療」は、患者によって認識できない可能性のあるものを含む少なくとも1つの身体的パラメータを軽減又は改善することを指す。更に別の実施形態では、「治療する(treat)」、「治療する(treating)」又は「治療」は、理学的に(例えば、認識可能な症状の安定化)、生理学的に(例えば、身体的パラメータの安定化)、又はその両方で疾患又は障害を調節することを指す。一実施形態では、本明細書で使用する場合、「の治療のための方法」という用語は、「治療するための方法」を指す。
【0238】
本明細書で使用する場合、「高齢患者」という用語は、65歳以上の患者を指す。
【0239】
本明細書で使用する場合、「bid」、「b.i.d」又は「b.i.d.」は、1日に2度(2回)(例えば、200mg b.i.d=400mg/日)服用すること、例えば、朝及び夕方に(例えば、約12時間の間隔を空けて)服用することを指す。
【0240】
本明細書で使用する場合、「患者」という用語は、疾患に罹患しており、且つ治療から恩恵を受ける対象を指す。本明細書で使用する場合、「慢性疼痛患者」又は「慢性疼痛を有する患者」という用語は、慢性疼痛を有する(即ち、本明細書で定義される慢性疼痛と診断された)対象を指す。一実施形態では、「患者」という用語は、本明細書で定義される慢性疼痛と診断され、オピオイド慢性使用者でありオピオイド依存性である(即ち、オピオイド中止時に離脱症状を有するが、DSM-Vオピオイド使用障害基準に合致しない)対象を指す。別の実施形態では、「患者」という用語は、本明細書で定義される慢性疼痛と診断され、軽度又は中等度のDSM-Vオピオイド使用障害基準に合致する対象を指す。
【0241】
本明細書で使用する場合、「対象」という用語は、哺乳動物生物、好ましくはヒト(男性又は女性)を指す。
【0242】
本明細書で使用する場合、対象が治療「を必要とする」のは、そのような対象(患者)が、そのような治療から生物学的に、医学的に又は生活の質において恩恵を受ける場合である。
【0243】
本発明の化合物の「治療有効量」という用語は、対象の生物学的応答又は医学的応答を誘発する、例えば症状を改善する、状態を軽減する等の、本発明の化合物の量を指す。
【0244】
本明細書で使用する場合、「オピオイド使用障害」又は「OUD」という用語は、オピオイド使用障害に関するDSM-5基準を指し(即ち、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders.5th Edition,Washington,DC:American Psychiatric Association,2013(この内容は全て、参照により本明細書に組み込まれる)に従い)、以下の3つのカテゴリ:軽度(即ち、DSM-5基準を参照して定義される2~3つの症状の存在)、中等度(即ち、DSM-5基準を参照して定義される4~5つの症状の存在)、及び重度(即ち、DSM-5基準を参照して定義される6つ以上の症状の存在)に分類することができる。したがって、本明細書で使用する場合、「オピオイド使用障害」という用語は、以下のうちの少なくとも2つが12ヶ月の期間内に生じることにより示される、臨床的に問題となる障害又は苦痛を招く、問題のあるオピオイド使用パターンとして定義される:
1)オピオイドを意図したよりも多量に又は長期にわたり服用することが多い。
2)オピオイド使用の減量又は制御に対する持続的欲求又はそれに対する取り組みの失敗が存在する。
3)オピオイドの入手、オピオイドの使用、又はその作用からの回復に必要な活動に多くの時間が費やされる。
4)オピオイド使用に対する渇望、即ち強い欲求又は衝動。
5)オピオイドの反復的な使用の結果、職場、学校、又は家庭における重要な役割の責任を果たすことができなくなる。
6)オピオイドの作用により持続的又は反復的に社会的又は対人的問題が生じるか、又は悪化しているにも関わらず、オピオイド使用を継続する。
7)オピオイド使用が原因で、重要な社会的、職業的、又は娯楽的活動を断念するか又は縮小している。
8)身体的に危険な状況におけるオピオイドの反復的な使用。
9)オピオイドによって身体的又は精神的問題が持続的又は反復的に生じるか、又は悪化している可能性があることを知っているにも関わらず、オピオイド使用を継続する。
10)以下のいずれかによって定義される耐性:a)中毒症状又は所望の効果に達するためにオピオイドの著しい増量が必要であること;b)同じ量のオピオイドの継続的使用に伴う著しい効果の減少。
11)以下のいずれかにより示される離脱:
a)特徴的なオピオイド離脱症候群(オピオイド離脱に関して規定された基準のDSM-5基準A及びBを指す)。
b)離脱症状を緩和又は回避するための、オピオイド(又は近縁の物質)の服用。
【0245】
「医薬組成物」という用語は、本明細書では、対象が罹患する特定の状態(即ち、疾患、障害若しくは状態又はそれらの臨床症状の少なくとも1つ)を治療するために対象に投与される少なくとも1つの活性成分又は治療剤を含有する混合物又は溶液を指すものと定義される。
【0246】
オピオイド渇望尺度(OCS)はコカイン渇望尺度(Cocaine Craving Scale)の変法であり、オピオイド消費時の渇望経験を評価するために使用される短い3項目の報告型アウトカムである。3項目尺度は1~10の視覚アナログ尺度を含み、オピオイド使用者がどのくらいオピエートを渇望しているか;オピオイド使用者が前日にオピエートの使用を望んだ欲求がどれくらい強いか;及びオピオイド使用者が本日の同時刻にオピオイドの服用を欲しているか否か、に対応するために使用される。3項目の1~10の尺度の回答に基づくと、スコアの1単位ごとの増加が、翌週にオピオイドを使用する可能性の17%の増加に繋がった(例えば、McHugh RK et al.,in Assessing craving and its relationship to subsequent prescription opioid use among treatment-seeking prescription opioid dependent patients,Drug and Alcohol Dependency,2014,Dec 1;145:121-6)。
【0247】
臨床オピエート離脱尺度(COWS)は、医師により実施される11項目の尺度からなり、オピエート離脱のより一般的な徴候及び症状を評価し、一定期間にわたりこれらの症状を調査するために使用される(例えば、Wesson DR,et al.,in Journal of Psychoactive Drugs,2003,Apr-Jun;35(2):253-9)。全11項目の尺度の付加的スコアは、使用者が経験しているオピエート離脱のステージ又は重症度の医師による評価を支援し、また、オピエートに対する身体的依存の程度の指標を提供することができる。
【0248】
数値的オピオイド副作用(NOSE)評価(例えば、Smith H.S.,et al.,Med Clin North Am.,2007,91(2):213-228におけるもの)は、一般的なオピエート特異的副作用の10項目の尺度である。各副作用は0~10のアナログ尺度によって表され、ゼロは副作用が存在しないことを示し、10はオピエート使用者が想像し得る限りの悪い副作用である。
【0249】
数値評価尺度(Numeric Rating Scale)(NRS;例えば、Childs J.D.,et al.,Spine,2005;30:1331-4におけるもの。)は、疼痛強度を0(疼痛なし)~10(想像し得る最悪の疼痛)の尺度で評価する。
【0250】
コロンビア自殺重症度評価尺度(C-SSRS;例えば、Posner K et al.,Am.J.Psychiatry;2011,168:1266-1277におけるもの)は、自殺リスクを評価するための自殺念慮及び自殺行動の評価尺度である。
【0251】
本明細書で使用する場合、「薬学的に許容可能な賦形剤」という用語には、当業者に公知であろう、ありとあらゆる溶媒、分散媒、コーティング剤、界面活性剤、抗酸化剤、保存剤(例えば、抗菌剤、抗真菌剤)、等張剤、吸収遅延剤、塩類、保存剤、薬物安定化剤、結合剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、甘味剤、香味剤、色素等、及びこれらの組み合わせが含まれる(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,22nd Ed.Mack Printing Company,2013,pp.1049-1070を参照されたい)。任意の従来の担体は、活性成分に不適合である場合を除いて、治療用組成物又は医薬組成物でのその使用が考えられる。
【0252】
「薬物」、「活性物質」、「活性成分」、「薬学的活性成分」、「活性剤」又は「治療剤」という用語は、遊離形態又は薬学的に許容可能な塩の形態の化合物、特に本明細書に指定される種類の化合物を意味するものと理解されるべきである。
【0253】
「組み合わせ」又は「医薬組み合わせ」という用語は、1つの単位剤形中の固定された組み合わせ(例えば、カプセル剤若しくは錠剤)、固定されていない組み合わせ、又は組み合わせ投与用のキット・オブ・パーツのいずれかを指し、ここで、本発明の化合物及び1つ以上の組み合わせパートナー(例えば、本明細書で指定される別の薬物、また、更なる「医薬活性成分」、「治療剤」又は「助剤」とも称される)は同時に独立して又は時間間隔内で別個に投与されてもよく、特にこれらの時間間隔により、組み合わせパートナーが協同効果、例えば相乗効果を示すことが可能になる。「同時投与」又は「組み合わせ投与」等の用語は、本明細書において利用される場合、選択した組み合わせパートナーの、それを必要とする単一の対象(例えば患者)への投与を包含することが意味され、薬剤が必ずしも同じ投与経路によって投与されない又は同時に投与されない治療レジメンが含まれることが意図される。「固定された組み合わせ」という用語は、活性成分、例えば本発明の化合物及び1つ以上の組み合わせパートナーが、両方とも単一の実体又は投与量の形態で患者に同時に投与されることを意味する。「固定されていない組み合わせ」という用語は、活性成分、例えば本発明の化合物及び1つ以上の組み合わせパートナーが、両方とも別個の実体として患者に同時に投与されるか、又は特定の制限時間を設けずに逐次的に投与されるかのいずれかであることを意味し、このような投与は、患者の体内で2つの化合物の治療上有効なレベルを提供する。
【0254】
本発明の化合物は、同じ若しくは異なる投与経路によって別個に、又は他の薬剤と同じ医薬組成物中で一緒に投与することができる。本発明の組み合わせ療法において、本発明の化合物及び他の治療剤は、同じ又は異なる製造業者によって製造及び/又は製剤化することができる。更に、本発明の化合物及び他の治療薬(therapeutic)は、(i)組み合わせ製品を医師へ引き渡す前に(例えば、本発明の化合物及び他の治療剤を含むキットの場合);(ii)投与直前に医師自身によって(又は医師の指導の下に);(iii)患者自身において、例えば、本発明の化合物及び他の治療剤を連続的に投与する間に、組み合わせ療法にまとめることができる。
【0255】
特に、本明細書で(例えば、本明細書にて上述の実施形態のいずれかにおいて、又は本明細書で後述する特許請求の範囲のいずれかにおいて)使用される更なる活性剤との組み合わせへの言及は、例えば、抗うつ薬(例えば、アミトリプチリン、ノルトリプチリン、ドキセピン、デシプラミン、イミプラミン、プロトリプチリン、トリミプラミン、クロミプラミン等の三環系抗うつ薬)、セロトニンノルエピネフリン再取り込み阻害薬(例えば、デュロキセチン、ベンラファキシン、デスベンラファキシン、ミルナシプラン、レボミルナシプラン)、セロトニン再取り込み阻害薬(例えば、フルオキセチン、セトラリン、パロキセチン、フルボキサミン、シタロプラム、エスシタロプラム、ビラゾドン、ボルチオキセチン)、抗痙攣薬(例えば、ガバペンチン、プレガバリン、カルバマゼピン、バルプロ酸、フェニトイン、ラモトリギン、チアガビン、ラコサミド、トピラマート、レベチラセタム、オキサカルバゼピン、ゾニサミド)、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID;例えば、ナプロキセン、イブプロフェン、メロキシカム、ジクロフェナク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、ジフルニサル、エトドラク、ナブメトン、ケトプロフェン、ピロキシカム、スリンダク、トルメチン、ケトロラク、メフェナム、オキサプロジン)、プロトンポンプ阻害薬(例えば、オメプラゾール、パントプラゾール、ランソプラゾール、デクスランソプラゾール、エソメプラゾール、ラベプラゾール)、H2受容体アンタゴニスト(例えば、ファモチジン、ニザチジン、ラニチジン、シメチジン)、NMDA阻害薬(例えば、ケタミン、アマンタジン、メマチン)、NO-NSAID、COX-2選択的阻害薬、カンナビノイドアゴニスト、一酸化窒素供与体、ベータアドレナリンアゴニスト、アルファ-2アゴニスト、選択的プロスタノイド受容体アンタゴニスト、局所麻酔薬(例えば、カプサイシン、リドカイン)、プリンP2受容体アンタゴニスト、神経型ニコチン受容体アゴニスト、カルシウムチャネルアンタゴニスト、ナトリウムチャネル遮断薬(例えば、メキシレチン、フレカイニド)、スーパーオキシドジスムターゼ模倣物、p38 MAPキナーゼ阻害薬、TRPVlアゴニスト、グリシン受容体アンタゴニスト、コルチコステロイド、及びアセトアミノフェン;又はこれらの薬学的に許容可能な塩からなる群から選択されるもの等の少なくとも1つの更なる活性剤との組み合わせを指す。
【0256】
「即時放出形態」という用語は、活性物質をインビボ投与直後に放出するように設計された医薬組成物を指す。
【0257】
「調節放出形態」という用語は、活性物質を即時に放出するのでなく、持続性の、遅延した、連続的な、漸進的な、長期にわたる又は拍動性の放出をもたらし、それにより即時放出形態と比べて薬物血漿レベルを特徴的に変化させる医薬組成物を指す。「調節放出形態」という用語には、制御放出形態、持続放出形態、徐放形態、及び長時間作用形態;特に持続放出形態として記載される形態が包含される。
【0258】
本明細書で使用する場合、「a」、「an」、及び「the」という用語、並びに本発明の文脈(特に特許請求の範囲の文脈)において使用される類似の用語は、本明細書中に特に指示がない限り又は明らかに文脈と矛盾しない限り、単数と複数の両方を包含すると解釈されるべきである。
【0259】
本明細書で提供されるありとあらゆる例又は例示的な語(例えば、「等(such as)」)の使用は、単に本発明を更に明らかにすることを意図したものであり、別段の主張がない限り、本発明の範囲を限定するものではない。
【0260】
本明細書で使用する場合、本発明の化合物、別称化合物(I)は、本明細書において上記及び下記で使用する場合、式:
【化1】
のmGluR5アンタゴニスト(-)-(3aR,4S,7aR)-4-ヒドロキシ-4-m-トリルエチニル-オクタヒドロ-インドール-1-カルボン酸メチルエステル、また(-)-(3aR,4S,7aR)-4-ヒドロキシ-4-[2-(3-メチルフェニル)エチニル]ペルヒドロインドール-1-カルボン酸メチルエステルとも称されるもの、またマボグルラントとしても知られるものであり、これは例えば、国際公開第2003/047581号パンフレットの、例えば実施例1に記載の通りに、又は国際公開第2010/018154号パンフレットに記載の通りに調製することができる。国際公開第2003/047581号パンフレット(参照により本明細書に組み込まれる)はまた、第7頁の通り、そのインビトロ生物学的データも記載している。本明細書で使用する場合、「マボグルラント」は、遊離形態を指す。特に、マボグルラントは遊離形態にある。したがって、本明細書で使用する場合、「マボグルラント、又はその塩、例えば薬学的に許容可能な塩」という用語は、本発明の文脈において(特に、上記又は下記の実施形態のいずれか及び特許請求の範囲の文脈において)使用する場合、本明細書中に特に指示がない限り、遊離形態とその薬学的に許容可能な塩の両方を包含すると解釈されるべきである。
【0261】
一実施形態では、化合物(I)はまた、同位体標識形態を表すことも意図される。同位体標識化合物は、上記の式に示される構造を有するが、1つ以上の原子が、選択された原子質量又は質量数を有する原子により置換されている点で異なる。本発明の化合物に組み込むことのできる同位体としては、例えば水素の同位体、即ち、式:
【化2】
[式中、各R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、R
16、R
17、R
18、R
19、R
20、R
21、R
22及びR
23は、独立してH又は重水素から選択される(但し化合物中に少なくとも1つの重水素が存在していることを条件とする)]の化合物が挙げられる。他の実施形態では、化合物中に複数の重水素原子が存在する。
【0262】
本明細書で使用する場合、本発明の化合物、別称化合物(II)は、本明細書において上記及び下記で使用する場合、式:
【化3】
の9-シクロプロピル-10-フルオロ-2-(4-(メトキシメチル)-1H-イミダゾール-1-イル)-7,8-ジヒドロ-[1,4]ジアゼピノ[7,1-a]イソキノリン-5(4H)-オンとして知られているmGluR5アンタゴニストであり、これは、例えば、国際公開第2014/030128号パンフレット、例えば、実施例96-2(参照により本明細書に組み込まれる)に記載の通りに調製することができ、また、この国際公開は、第203頁の通り、そのインビトロ生物学的データも記載している。本発明の文脈において(特に、上記又は下記の実施形態のいずれか及び特許請求の範囲の文脈において)使用する場合、「化合物(II)」という用語は、本明細書中に特に指示がない限り、遊離形態とその薬学的に許容可能な塩の両方を包含すると解釈されるべきである。
【0263】
一実施形態では、化合物(II)はまた、同位体標識形態を表すことも意図される。同位体標識化合物は、上記の式に示される構造を有するが、1つ以上の原子が、選択された原子質量又は質量数を有する原子により置換されている点で異なる。本発明の化合物に組み込むことのできる同位体としては、例えば水素の同位体、即ち、式:
【化4】
[式中、各R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、R
16、R
17、R
18、R
19、R
20、及びR
21は、独立してH又は重水素から選択される(但し化合物中に少なくとも1つの重水素が存在していることを条件とする)]の化合物が挙げられる。他の実施形態では、化合物中に複数の重水素原子が存在する。化合物(II)の同位体標識形態は、例えば、以下のものである:
【化5】
【0264】
本明細書で使用する場合、本発明の化合物、別称化合物(III)は、本明細書において上記及び下記で使用する場合、式:
【化6】
の2-メチル-6-(フェニルエチニル)ピリジンとして知られる、またMPEPとしても知られるmGluR5アンタゴニストであり、そのCAS番号は96206-92-7であり、この化合物は市販されている。本発明の文脈において(特に、上記又は下記の実施形態のいずれか及び特許請求の範囲の文脈において)使用する場合、「化合物(III)」という用語は、本明細書中に特に指示がない限り、遊離形態とその薬学的に許容可能な塩の両方を包含すると解釈されるべきである。
【0265】
一実施形態では、化合物(III)はまた、同位体標識形態を表すことも意図される。同位体標識化合物は、上記の式に示される構造を有するが、1つ以上の原子が、選択された原子質量又は質量数を有する原子により置換されている点で異なる。本発明の化合物に組み込むことのできる同位体としては、例えば水素の同位体、即ち、式:
【化7】
[式中、各R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、及びR
11は、独立してH又は重水素から選択される(但し化合物中に少なくとも1つの重水素が存在していることを条件とする)]の化合物が挙げられる。他の実施形態では、化合物中に複数の重水素原子が存在する。
【0266】
ある種の同位体、特に重水素(即ち、2H又はD)の組み込みは、より高い代謝安定性、例えば、インビボ半減期の増加、又は必要投与量の低減、又は治療指数若しくは耐性の改善から得られるいくつかの治療上の利点をもたらし得る。この文脈における重水素が、本発明の化合物の置換基と見なされることは理解されている。重水素の濃度は、同位体濃縮係数により定義することができる。本明細書で使用する場合、「同位体濃縮係数」という用語は、特定の同位体の同位体存在量と天然存在量との比を意味する。本発明の化合物における置換基が重水素であると示されている場合、このような化合物は、示された各重水素原子の同位体濃縮係数が、少なくとも3500(示された各重水素原子における52.5%の重水素組み込み)、少なくとも4000(60%の重水素組み込み)、少なくとも4500(67.5%の重水素組み込み)、少なくとも5000(75%の重水素組み込み)、少なくとも5500(82.5%の重水素組み込み)、少なくとも6000(90%の重水素組み込み)、少なくとも6333.3(95%の重水素組み込み)、少なくとも6466.7(97%の重水素組み込み)、少なくとも6600(99%の重水素組み込み)、又は少なくとも6633.3(99.5%の重水素組み込み)である。「同位体濃縮係数」という用語は、重水素についての記載と類似した方法で任意の同位体に適用することができることを理解されたい。
【0267】
本発明の化合物中に組み込むことのできる同位体の他の例としては、重水素以外の水素の同位体、炭素、窒素、酸素、及びフッ素の同位体、例えば、それぞれ3H、11C、13C、14C、15N、18Fが挙げられる。したがって、本発明は、例えば、3H及び14C等の放射性同位体、又は2H及び13C等の非放射性同位体が存在するものを含む、前述の同位体のいずれかのうちの1つ以上を組み込んだ化合物を含むことを理解すべきである。このような同位体標識化合物は、代謝試験(14Cによる)、反応速度試験(例えば、2H若しくは3Hによる)、薬物若しくは基質の組織分布アッセイを含むポジトロン放出断層撮影(PET)若しくは単光子放射型コンピューター断層撮影(SPECT)等の検出若しくはイメージング技術、又は患者の放射性治療において有用である。特に、18F又は標識化合物は、PET又はSPECT試験のために特に望ましい場合がある。同位体標識化合物は、概して、当業者に公知の従来技術により、又はこれまで用いられてきた非標識試薬の代わりに適切な同位体標識試薬を使用して、本発明の化合物の記載された調製と類似したプロセスにより、調製することができる。
【0268】
本明細書で使用する場合、「遊離形態(free form)」又は「遊離形態(free forms)」という用語は、それぞれの化合物、例えば本明細書で指定される化合物[例えば、化合物(I)、化合物(II)、化合物(III)、又は更なる医薬活性成分、例えば本明細書で定義されるもの]の塩基遊離形態又は酸遊離形態等の非塩形態の化合物を指す。
【0269】
本明細書で使用する場合、「塩(salt)」、「塩(salts)」又は「塩形態」という用語は、それぞれの化合物、例えば本明細書で指定される化合物[例えば、化合物(I)、化合物(II)、化合物(III)、又は更なる医薬活性成分、例えば本明細書で定義されるもの]の酸付加塩又は塩基付加塩を指す。「塩」には、特に「薬学的に許容可能な塩」が含まれる。「薬学的に許容可能な塩」という用語は、化合物の生物学的有効性及び特性を保持しており、通常、生物学的に又は他の点で望ましくないものではない塩を指す。
【0270】
薬学的に許容可能な酸付加塩は、無機酸及び有機酸と共に形成され得る。
【0271】
塩が由来し得る無機酸としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等が挙げられる。
【0272】
塩が由来し得る有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、スルホサリチル酸等が挙げられる。
【0273】
薬学的に許容可能な塩基付加塩は、無機塩基及び有機塩基と共に形成され得る。
【0274】
塩が由来し得る無機塩基としては、例えば、アンモニウム塩及び周期表の第I族~第XII族の金属が挙げられる。特定の実施形態では、塩は、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、銀、亜鉛、及び銅に由来し;特に好適な塩としては、アンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩が挙げられる。
【0275】
塩が由来し得る有機塩基としては、例えば、第一級、第二級、及び第三級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、塩基性イオン交換樹脂等が挙げられる。ある種の有機アミンとしては、イソプロピルアミン、ベンザチン、コリネート(cholinate)、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、リジン、メグルミン、ピペラジン及びトロメタミンが挙げられる。
【0276】
薬学的に許容可能な塩は、塩基性又は酸性部分から、従来の化学的方法により合成することができる。概して、そのような塩は、化合物の遊離酸形態を化学量論量の適切な塩基(水酸化、炭酸、重炭酸Na、Ca、Mg、若しくはK等)と反応させることによるか、又は化合物の遊離塩基形態を化学量論量の適切な酸と反応させることにより調製することができる。そのような反応は、通常、水中若しくは有機溶媒中、又はこれら2つの混合物中で行われる。概して、実行可能な場合、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、又はアセトニトリル等の非水性媒体の使用が望ましい。更なる好適な塩のリストは、例えば、“Remington’s Pharmaceutical Sciences”,22nd edition,Mack Publishing Company(2013);及び“Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use”by Stahl and Wermuth(Wiley-VCH,Weinheim,2011,2nd edition)に見出すことができる。
【0277】
本明細書に指定される化合物[例えば、化合物(I)、化合物(II)、化合物(III)又は更なる医薬活性成分、例えば本明細書で定義されるもの]は、従来の経路により、特に、当該技術分野において公知の製薬技術(例えば、“Remington Essentials of Pharmaceutics,2013,1st Edition,edited by Linda Felton,published by Pharmaceutical Press 2012,ISBN 978 0 85711 105 0;特にChapter30におけるもの)に従って製造することのできる錠剤又はカプセル剤の形態等の経口で投与することができ、ここで、薬学的賦形剤は、例えば、“Handbook of Pharmaceutical Excipients,2012,7th Edition,edited by Raymond C.Rowe,Paul J.Sheskey,Walter G.Cook and Marian E.Fenton,ISBN 978 0 85711 027 5”に記載されている通りである。特に、国際公開第2014/199316号パンフレットには、マボグルラントを含む製剤、特にその調節放出製剤が記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれ、より詳細にはその中の実施例、発明を実施するための形態及び特許請求の範囲が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0278】
本発明の医薬組成物又は組み合わせは、化合物の遊離形態の量を基準とした、1mg~300mg、特に1mg~200mg、例えば1mg~100mgの範囲の量の本明細書に指定される化合物(例えばマボグルラント)を含む単位剤形(例えば、錠剤又はカプセル剤)であり得、その塩が使用される場合にはその量は適宜適合される。特に、マボグルラントは遊離形態にある。
【0279】
上述の使用/治療方法について、適切な投与量は、例えば、年齢、体重、性別、用いられる投与経路又は塩等、種々の要因に応じて変動し得る。例えば、体重が50~70kgの患者においては、指示される1日投与量は、例えば、遊離形態の量を基準とした200mg/b.i.dのマボグルラント、又は1mg/日~100mg/日の化合物(II)であり、その塩が使用される場合にはその量は適宜適合される。
【0280】
略称
℃=摂氏度
bid=b.i.d=b.i.d.=1日に2度(2回)
cm=センチメートル
DSM5=Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders,5th Ed
i.p.=腹腔内
Kg=キログラム
mg=ミリグラム
p.o.=経口、経口的に
PEG=疼痛強度(P)、生活の楽しみ(E)、一般活動性(G)の評価
NRS=数値評価尺度(Numeric Rating Scale)
TLFB-オピオイド=タイムラインフォローバックオピオイド自己申告日誌(Timeline Follow Back Opioid Self-Reported Diary)
COWS=臨床オピエート離脱尺度(Clinical Opiate Withdrawal Scale)
OCS=オピオイド渇望尺度(Opioid Craving Scale)
NOSE=数値的オピオイド副作用(Numerical Opioid Side Effect)
DSM-5=DMS-V=Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders 5th Edition
QTcF=Fridericiaの式により補正されたQT間隔
QTcB=Bazettの式により補正されたQT間隔
ECG=心電図
C-SSRS=コロンビア自殺重症度評価尺度
AST=アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ
ALT=アラニンアミノトランスフェラーゼ
GGT=ガンマ-グルタミルトランスフェラーゼ
ULN=基準値上限
OUD=オピオイド使用障害
hCG=ヒト絨毛性ゴナドトロピン
FDA=米国食品医薬品局(Food and Drug Administration)
QT=Q波の始まりからT波の終わりまでの間の時間
T波=各QRS群後の陽性の振れ
ST波=S波の始まりからT波の終わりまでの間の時間
【実施例】
【0281】
以下の実施例は、本発明をその範囲を限定することなく例示するために提供される。「化合物(I)」(即ち、マボグルラント)という用語は、これらの実施例の文脈において使用する場合、遊離形態を指す。「化合物(II)」{即ち、9-シクロプロピル-10-フルオロ-2-(4-(メトキシメチル)-1H-イミダゾール-1-イル)-7,8-ジヒドロ-[1,4]ジアゼピノ[7,1-a]イソキノリン-5(4H)-オン}という用語は、これらの実施例の文脈において使用する場合、遊離形態を指す。「化合物(III)」(即ち、MPEP)という用語は、これらの実施例の文脈において使用する場合、遊離形態を指す。
【0282】
実施例1:マウスにおけるオピエート耐性試験(熱板)
鎮痛活性に対する耐性を検出する方法は、Fernandes et al(Naunyn-Schmiedeberg’s Arch.Pharmacol.,297,53-60,1977)による記載に従う。
【0283】
マウスを、Plexiglasシリンダー(高さ:13cm;直径:19cm)(Bioseb:モデルPE34)で取り囲まれた54℃に維持した金属熱板上に置いた。最初の足舐め行動までの潜時を測定した(最大:30秒)。モルヒネ(32mg/kg i.p.)又は溶媒を、6日間にわたり1日2回(およそ9:00及び15:00に)投与し、次いで、モルヒネ耐性を評価するために、7日目の試験の30分前に、モルヒネ8mg/kg i.p(又は生理食塩水)を投与した。
【0284】
試験物質を、7日目の試験の60分前にモルヒネ耐性マウスに急性p.o.投与した3用量(化合物(I)については1、3及び10mg/kg、並びに化合物(II)については0.3、1及び3mg/kg)でそれぞれ評価した。この実験は、モルヒネ耐性に対する試験物質の潜在的影響を評価するための適切な対照群を含んでいた。化合物(III)を、同じ実験条件下で投与して1用量(10mg/kg)で評価し、比較物質として使用した。
【0285】
1群あたり10匹のマウスを試験した。試験は盲検で実施した。対応のないStudentのt検定を使用して、治療群を適切な対照と比較することによりデータを解析した。
【0286】
結果:
1日目~6日目まで1日2回、溶媒をp.o.投与及びモルヒネ(32mg/kg)をi.p.投与した動物において、7日目の試験の60分前にp.o.投与した化合物(III)(10mg/kg)は、1日目~6日目までモルヒネを投与した動物と比較して、足舐め行動の潜時を有意に増加させた(+32%、p<0.05)(
図1)。
【0287】
1日目~6日目まで1日2回、溶媒をp.o.投与及びモルヒネ(32mg/kg)をi.p.投与した動物において、7日目の試験の60分前にp.o.投与した化合物(I)(1mg/kg)は、1日目~6日目までモルヒネを投与した動物と比較して、足舐め行動の潜時を有意に増加させた(+44%、p<0.01)。化合物(I)は、3又は10mg/kgでは有意な効果を示さなかった(
図2)。
【0288】
1日目~6日目まで1日2回、溶媒をp.o.投与及びモルヒネ(32mg/kg)をi.p.投与した動物において、7日目の試験の60分前にp.o.投与した化合物(II)(3mg/kg)は、1日目~6日目までモルヒネを投与した動物と比較して、足舐め行動の潜時を有意に増加させた(+38%、p<0.05)。化合物(II)は1mg/kgでは同じ傾向を示したが(+37%、p=0.0555)、0.3mg/kgでは効果を示さなかった(
図3)。
【0289】
結論:
これらの結果は、急性p.o.投与した化合物(I)(1mg/kg)、化合物(II)(3mg/kg)及び化合物(III)(10mg/kg)がモルヒネ耐性の発現を有意に減少させることを示唆する。
【0290】
実施例2:臨床試験[化合物(I)]
【0291】
【0292】
試験デザイン
本試験は、オピオイドを2年未満使用した被験者のオピオイド摂取量(ヒドロコドン、オキシコドン)の低減における、慢性腰痛患者及び慢性術後疼痛患者80名による化合物(I)の有効性を評価するための無作為化、被験者及び治験責任医師盲検、プラセボ対照、並行群間試験である。本試験は被験者の通常のペインクリニックへの外来受診を含み、ベースラインによるスクリーニング;治療;その後の治療追跡調査の3つのエポックからなる。被験者に対する総期間は、選択したオピオイドの低減パーセントに応じて最大122日間(スクリーニング及びベースラインを含む約4ヶ月間)とすることができる。
【0293】
スクリーニング/ベースラインのエポック
スクリーニング/ベースラインのエポックは14日間続き、以下からなる:
1.インフォームドコンセントの取得
2.DSM-V基準を使用したオピオイド耐性の初期診断基準。
3.閉経前女性被験者を対象とした妊娠検査を含む血液学的検査/生化学的検査の安全性評価
4.病歴、身体検査及びバイタル、現在の薬物療法及び自殺傾向のリスク
【0294】
治療エポック
全ての適格基準を満たす被験者を、化合物(I)アーム又はプラセボ適合アームのいずれかに1:1の比で無作為に割り付ける。治験薬治療を1日目に開始し、全治療を約93日間継続し、その間、被験者は治験担当医師と相談の上、オピオイド用量を1週ごとに開始用量の最低10%低減する。被験者は、12日目までに1日総用量が400mgに達するように、4日ごとの50mg、100mg及び200mg bidにより漸増する(表1を参照されたい)。この漸増期に、治験薬用量の増量に伴い、忍容性の問題なく被験者が確実に維持用量である400mg/日に達するために、1日目、5日目、9日目の来院を含めて被験者の安全性についてモニタリングする。
【0295】
投与前及び投与後4±1時間のPK試料をそれぞれ13日目、55日目及び69日目に回収し、投与前のPK試料を83日目に回収する。投与前の試料採取を投与前に行う必要があるため、PK試料採取の日に、被験者は施設において化合物(I)用量を服用する。
【0296】
【0297】
1日あたり400mgまでの漸増後、被験者は、13日目~82日目まで、400mgの化合物(I)の1日用量(200mg b.i.d)又はプラセボを継続する。この間、被験者は治験担当医師と相談の上、開始オピオイドMME用量の少なくとも50%の1日オピオイド消費量に達するまで、オピオイド消費量を1週あたり最低10%低減する。低減することができない被験者は、試験の前週の間に達した現行のオピオイド用量を維持してもよい。被験者は、治験担当医師の指示の下で、オピオイド消費量を50%超低減してもよい。被験者はまた、別の治療法を利用することにより、オピオイド摂取量の低減を目指してもよい。但し、疼痛に対するマリファナの使用は本治験実施計画書の下では認められない。
【0298】
化合物(I)の漸減の開始日は83日目であり、化合物(I)の漸減の完了は90日目である。1週あたり10%の保守的なオピオイドの低減を想定すると、オピオイドの低減を化合物(I)投与の維持期間にわたり延長することができ、又は被験者は、残りの化合物(I)の維持期間及び漸減にわたり、オピオイドの低減中に達成したオピオイド用量を維持することができる。本治験実施計画書は、医師及び患者が被験者の治療歴及び病歴に最も適したオピオイド消費量の低減を選択できるように柔軟性がある。但し、化合物(I)による治療は柔軟性がなく、漸増、維持及び漸減に関する評価スケジュールに従う必要がある。被験者は、化合物(I)又はプラセボの最終用量に達するまで、治験薬(化合物(I)又はプラセボ)を漸減する(表2)。被験者は、低減プロセス中に達成したオピオイド用量を継続する。
【0299】
【0300】
治療追跡調査
被験者は、治療完了後の追跡調査来院のため、97日目にクリニックに戻る。被験者は、治療完了後の追跡調査来院前に治験薬治療を漸減しなければならない。
【0301】
試験期間中の強制オピオイド低減と組み合わせた投与
患者は異なるオピオイド(ヒドロコドン及びオキシコドン)を異なる投与量で服用する可能性があるため、これらの薬物をモルヒネ等価用量(MED)に変換し、MEDを使用してオピオイドの低減を行う必要がある。オピオイドの低減計画は、オピオイド離脱の症状を最小限にし、同時に疼痛治療を最大化するために個別化する必要があることから、Oxford University Hospitals Guidance for Opioid Reduction in Primary Care(v1.1 Dec 2017)に記載されている基準に従って、治験責任医師の裁量で低減することになる(参考までに表3を参照されたい)。
【0302】
【0303】
被験者はオピオイド摂取量をゼロMMEに低減することを要求されてはいない。治験担当医師及び被験者は、オピオイド低減の中止時点を決定しなければならない。
【0304】
集団
オピオイド使用障害と診断された18~65歳(18歳及び65歳を含む)の合計約80名の患者を本試験に登録する。
【0305】
治験責任医師は、本試験の対象に検討されている全ての被験者が以下の適格基準に合致することを確認しなければならない。試験集団が全ての適格な被験者を代表することとなるように、治験責任医師は追加の基準を適用してはならない。
【0306】
被験者の選択は、スクリーニング時に全ての適格基準をチェックし、被験者が試験への参加に依然として適格であることを確実にするためにベースライン時に再度チェックすることによって確立される。適格基準の関連する記録(例えば、チェックリスト)は、試験施設で原文書とともに保管しなければならない。
【0307】
いずれかの登録判定基準からの逸脱により、試験への登録から被験者を除外する。
【0308】
組み入れ基準
本試験への組み入れに適格な被験者は、以下の基準の全てに合致しなければならない:
1.書面によるインフォームドコンセントを提供することができる18~65歳(18歳及び65歳を含む)の健康な男女被験者。
2.試験の要件を理解し且つ遵守するために、治験責任医師と良好に意思疎通ができること。
3.被験者となる予定の者は一定の投与スケジュール(例えば、bid)でオピオイドを服用しているべきである。
4.スクリーニングの少なくとも4週間前に同量の薬物を服用したときに、疼痛の低減又は疼痛強度の増加を伴わずにオピオイド用量が増加するエビデンスが文書化されていること。
5.被験者は、病歴及びスクリーニング時の身体検査により判定した健康状態が良好でなければならない。
6.60~100ミリグラムのモルヒネ等価用量を摂取している、例えば自動車事故、転倒、スポーツ損傷、膝関節又は股関節置換術等の外傷性又は外科的イベント後に6ヶ月を超えて存在する慢性腰痛又は慢性術後神経障害性疼痛を有する被験者。軽度から中等度の変形性関節症を有する被験者を登録することができる。
7.スクリーニング時に、バイタルサイン(収縮期及び拡張期血圧、脈拍数並びに呼吸数)を座位で、及び(必要な場合)再度立位で評価する。バイタルサインは、首席治験医師によって判定される正常範囲内でなければならない。
8.オピオイド使用障害の診断のためのDSM-5基準(DSM-5 Criteria for Diagnosis of Opioid Use Disorder)が軽度から中等度である患者。
【0309】
除外基準
以下の基準のいずれかに合致する被験者は、本試験への組み入れに適格ではない。
1.被験者は、交通機関の手配、若しくは試験施設に移動するための利用可能な時間に関する重大な問題を予測することができないか、又は本試験への継続的な参加が非現実的となる場所へ今後数ヶ月以内に引っ越す計画を有している。
2.被験者は、本試験の継続又は完了を脅かすおそれのある未解決の法的問題に関与してはならない。
3.診療記録による免疫不全症の既往歴
4.病歴によるB型肝炎(HBV)又はC型肝炎(HCV)の慢性感染歴の既往歴。
5.以下のような、本試験に参加する被験者に対する安全性の重大なリスクを示すECG異常の既往歴又は現在の診断:
・ 臨床的に重大な心不整脈、例えば持続性心室頻拍の併発、及びペースメーカーなしの臨床的に重大な第2度又は第3度のAVブロック
・ 家族性QT延長症候群の既往歴又はトルサード・ド・ポワントの既知の家族歴
・ 安静時心拍数(身体検査又は12誘導ECG)が<60bpm
・ 治療前[スクリーニング]時の安静時QTcFが≧450msec(男性)又は≧460msec(女性)
・ QTcB(Bazett)がECG装置によって生成される唯一の利用可能な補正である場合、治験責任医師はスクリーニング時及び/又はベースライン時(適用可能な場合)に、施設業務マニュアルの指示に従ってQTcFを算出しなければならないことを留意されたい。
・ 洞性頻脈、左軸偏位、及び非特異的ST又はT波の変化は除外されないことに留意されたい。
・ QT間隔を延長させることが知られている薬剤の使用(試験期間中、永続的に中止することができる薬剤を除く)
6.C-SSRSの自殺念慮セクションの第4項若しくは第5項のスコアが「はい」であり、この念慮が過去6ヶ月間に生じた場合、又は自殺行動セクションのいずれかの項(但し「非自殺的自傷行動」(自殺行動セクションにも含まれる項目)を除く)が「はい」であり、過去2年間にこの行動が生じた場合。
7.医師が処方したオピオイドを除く、アルコール又はその他の刺激物質による物質使用障害(DSM-5による)であると現在診断されていること。
8.薬物の吸収、分布、代謝、若しくは排泄を著しく変化させ得るか、又は本試験に参加した場合に被験者を危険に晒すおそれのある何らかの外科的又は内科的状態。治験責任医師は、被験者の病歴及び/又は以下のいずれかの臨床的又は検査的エビデンスを考慮して、この判定を行うものとする:
スクリーニング時における、首席治験医師の見解によりOUD集団に対して臨床的に許容されないと見なされる臨床検査値(AST、ALT、総ビリルビン(billirubin)又はクレアチニンを含む)。
・ 血清ビリルビンはULNの1.5倍を超えてはならない
・ ALT、AST、GGTはULNの3倍を超えてはならない。
注:スクリーニング時の安全性の臨床検査評価が上記の範囲外である場合には、無作為化前にこの評価を1回繰り返してもよい。再評価値(repeat value)が依然として指定範囲外である場合、被験者を本試験から除外する。
9.試験治療薬(study treatment)若しくは賦形剤のいずれか、又は類似の化学的分類の薬物に対する過敏症の既往歴。
10.首席治験医師又は被指名者の見解において、試験の結果を交絡させ得るか、又は被験者への被験剤の投与に更なるリスクをもたらし得るか、又は試験の成功裏の完了を妨げ得る何らかの疾患及び状態の既往歴、並びに薬物の使用歴があること。
11.CYP3A4の強力な又は中等度の誘導薬/阻害薬(例えば、クラリスロマイシン、ケトコナゾール、リトナビル、リファンピン等)である併用薬を用いた現在及び/又は以前の治療。
注:CYP3A4の強力な又は中等度の誘導薬/阻害薬である併用薬を、初回投与前に少なくとも5半減期、中止すべきであった。
12.任意の抗痙攣薬を含む任意の向精神薬による治療を必要とすること(但し、不眠症の短期治療に使用する薬物は除く)。
注:SSRIは、投与前の少なくとも1ヶ月間、適切な一定用量を有する場合には許容される。
13.局所再発又は転移のエビデンスの有無を問わない、過去5年以内の治療又は未治療のいずれかの器官系の悪性腫瘍の既往歴(皮膚の限局性基底細胞癌又はin-situ子宮頸癌以外)。
14.狭心症、心筋梗塞、脳卒中、一過性脳虚血発作、末梢血管疾患等の心血管又は脳血管疾患の既知の既往歴又は存在。
15.QT間隔を延長させることが知られている薬剤の併用(試験期間中、永続的に中止することができる薬剤を除く)。
16.ポルフィリン症の既往歴。
17.生理学的に妊娠する可能性のある全ての女性と定義される、出産の可能性のある女性(但し、投与中及び被験薬中止後30日/週にわたり極めて効果的な避妊法を使用している場合を除く)。極めて効果的な避妊法には、以下が挙げられる:
・ 異性間の性交の完全な節制(これが被験者の好ましい通常の生活様式と一致する場合)。周期的な節制(例えば、カレンダー法、排卵法、症候体温法、排卵後法)、及び膣外射精は許容される避妊法ではない。
・ 被験薬を服用する少なくとも6週間前の、女性の不妊手術(子宮摘出術の有無を問わない外科的両側卵巣摘出術を受けたことがある)、子宮全摘出術又は卵管結紮術。卵巣摘出術のみの場合、フォローアップホルモン値評価により女性の生殖状態が確認されている場合に限る。
・ 男性の不妊手術(スクリーニングの少なくとも6ヶ月前)。本試験の女性被験者については、精管切除した男性パートナーのみがその被験者の唯一のパートナーでなければならない。
・ 避妊のバリア法:殺精子フォーム/ゲル/クリーム/膣坐剤を伴うコンドーム又は閉塞キャップ(ペッサリー又は頸部/円蓋部キャップ);子宮内器具(IUD)又は子宮内システム(IUS)の留置。
・ 注:注射されるか、埋め込まれるか、又は経口的若しくは経皮的に投与されるホルモン避妊薬は、試験薬物と一緒に服用した場合、有効な避妊法とは見なされ得ない。
・ 女性は適切な臨床プロファイル(例えば、適切な年齢、血管運動症状の既往歴)を伴う12ヶ月間の自然(自発的)無月経があった場合、閉経後であり、出産の可能性がないと見なされる。
18.妊娠中又は哺乳中(授乳中)の女性。妊娠は、受胎後から妊娠期間終了までの女性の状態と定義され、hCG臨床検査陽性により確認される。
19.登録時の、若しくは登録の5半減期以内若しくは30日以内のいずれか長い方;又は各地の規制により必要とされる場合はそれより長い、他の被験薬の使用。
【0310】
治療アーム
被験者をベースライン時に1:1の比で以下の2つの治療アームのうちのいずれか1つに割り当てる。
・ 化合物(I)アーム:漸増b.i.d.レジメンに固定用量b.i.d.レジメンが続き、漸減b.i.d.レジメンで終了する。漸増及び漸減レジメンについては、試験デザインのセクションを参照されたい(表1及び表2)。
・ プラセボアーム:適合するプラセボ
【0311】
有効性
臨床的有効性尺度(PEG、NRS及びTLFB-オピオイド)を回収する。加えて、オピオイド低減に関するFDAガイドライン草案内に提議された領域もまた、COWS、OCS、及びNOSE、並びにDSM-5で定義されたオピオイド使用障害の重症度によって評価する。
【0312】
主要エンドポイントの解析
本試験の目的は、1日あたり60~100ミリグラムのモルヒネ等価用量を服用している慢性腰痛患者及び慢性術後疼痛患者における、オピオイドの消費量を低減させる化合物(I)の有効性を評価することである。有効性は、TLFBを使用して毎日の消費量を測定することにより評価される。ベースラインから治療最終週の間の週平均消費量が少なくとも50%減少した被験者を、レスポンダーと見なす。ベースライン時、4週目、8週目、及び試験終了時のPEG評価により、経時的な治療応答のエビデンスを得る。
【0313】
主要エンドポイントの定義
本試験の主要エンドポイントは、バイナリエンドポイント(レスポンダー/ノンレスポンダー)である。応答とは、ベースライン(ベースライン来院を含めたベースライン来院の前週))と、被験者が治験実施計画書に従って治療維持期間を終了した場合は維持用量での治療の最終週(即ち、200mg bid、76~82日目)との間、又は被験者が82日目以前に治療を中止した場合には治療中の任意の最終7日間との間の、週平均消費量の少なくとも50%の低減と定義される。
【0314】
統計モデル、仮説、及び解析方法
各治療群のレスポンダーである被験者の数は二項分布Bin(ni,pi)に従う確率変数であると仮定され、式中、niは治療群i中の被験者の数であり、piは治療Iにおける被験者のレスポンダーの真の基礎となる割合である(化合物(I)の場合はi=1、プラセボの場合はi=2)。
【0315】
レスポンダー率p1及びp2の無情報Beta(1/3,1/3)事前確率を仮定し、レスポンダー率における差異の事後確率を使用して、Prob(p1-p2>0/データ)及びProb(p1-p2>0.2/データ)を算出する。
【0316】
サンプルサイズの算出
主要エンドポイント
サンプルサイズは、「成功」の確率に基づいて評価される、即ち、化合物(I)とプラセボのレスポンダー率との間の真の差は、中間解析又は最終解析時に少なくとも90%の信頼度で>0であり、少なくとも50%の信頼度で>20%である。
【0317】
有効性基準は、真のレスポンダー率の差Δ=p1-p2についての事後確率の記述によって公式化されており、式中、p1は化合物(I)で治療した患者の真のレスポンダー率を、p2はプラセボで治療した患者の真のレスポンダー率を示す。両方のアームに対する事後確率分布は、p1及びp2の両方についてa=1/3である共役無情報ベータ分布の事前確率Beta(a,a)を用いる標準二項確率モデルを使用して算出される。
【0318】
有効性判定基準
最終解析時に有効性を主張するために使用される判定規則は、同時に真でなければならない以下の2つの記述からなる:
1.Δ>0の事後確率が90%より大きい;
2.Δ>0.20の事後確率が50%より大きい。
以下に、本願の当初の特許請求の範囲に記載の発明を列挙する。
[発明1]
慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性の治療のための薬物を製造するための、化合物(I)又は(II)等のmGluR5アンタゴニストの使用。
[発明2]
慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性の治療のための薬物を製造するための化合物(I)又は(II)等のmGluR5アンタゴニストの使用であって、前記治療がオピオイド鎮痛耐性を反転させる、mGluR5アンタゴニストの使用。
[発明3]
慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性を反転させるための治療のための薬物を製造するための、化合物(I)又は(II)等のmGluR5アンタゴニストの使用。
[発明4]
慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド関連過剰摂取のリスクを低減させるための治療のための薬物を製造するための、化合物(I)又は(II)等のmGluR5アンタゴニストの使用。
[発明5]
オピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性を反転させるための慢性疼痛の治療のための薬物を製造するための、化合物(I)又は(II)等のmGluR5アンタゴニストの使用。
[発明6]
慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド関連過剰摂取のリスクを低減させるためのオピオイド鎮痛耐性の治療のための薬物を製造するための、化合物(I)又は(II)等のmGluR5アンタゴニストの使用。
[発明7]
慢性疼痛におけるオピオイド消費量を低減させるための治療のための薬物を製造するための、化合物(I)又は(II)等のmGluR5アンタゴニストの使用。
[発明8]
慢性疼痛におけるオピオイド慢性使用に伴うオピオイド鎮痛耐性を反転させるための治療のための薬物を製造するための化合物(I)又は(II)等のmGluR5アンタゴニストの使用であって、患者へ投与されるオピオイド投与量[例えば、オピオイドの1日用量;例えば、50mg超の経口モルヒネ/日又は別のオピオイドの1日等鎮痛用量(即ち、モルヒネミリグラム当量、MME/日)]が(例えば、70%以上(例えば90%以上)等の50%以上)減少し、且つオピオイド鎮痛効果(即ち、従来はより高いオピオイド投与量を使用することにより達成された)が維持される、化合物(I)又は(II)等のmGluR5アンタゴニストの使用。
[発明9]
前記mGluR5アンタゴニストが、50mg超の経口モルヒネ/日のオピオイド用量又は別のオピオイドの1日等鎮痛用量(即ち、モルヒネミリグラム当量、MME/日)を服用中の患者、例えば、60~100mgの経口モルヒネ/日のオピオイド用量又は別のオピオイドの1日等鎮痛用量を服用中の患者に投与される、発明1~8のいずれか一つに記載の薬物の製造のためのmGluR5アンタゴニストの使用。
[発明10]
慢性疼痛が、損傷(例えば、創傷、熱傷若しくは骨折)又は疾患(例えば、糖尿病、多発性硬化症、関節炎、自己免疫疾患若しくは感染症)に付随する、発明1~9のいずれか一つに記載の薬物の製造のためのmGluR5アンタゴニストの使用。
[発明11]
慢性疼痛が、非悪性慢性疼痛である、発明1~10のいずれか一つに記載の薬物の製造のためのmGluR5アンタゴニストの使用。
[発明12]
非悪性慢性疼痛が、例えば過去の脊椎手術を伴うか又は伴わない、慢性腰痛等の慢性背部痛である、発明11に記載の薬物の製造のためのmGluR5アンタゴニストの使用。
[発明13]
前記mGluR5アンタゴニストが、高齢患者に投与される、発明1~12のいずれか一つに記載の薬物の製造のためのmGluR5アンタゴニストの使用。
[発明14]
慢性疼痛が、慢性術後神経障害性疼痛である、発明1~13のいずれか一つに記載の薬物の製造のためのmGluR5アンタゴニストの使用。
[発明15]
前記mGluR5アンタゴニストが、少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を更に含む医薬組成物の形態で投与される、発明1~14のいずれか一つに記載の薬物の製造のためのmGluR5アンタゴニストの使用。
[発明16]
前記mGluR5アンタゴニストが、抗うつ薬(例えば、アミトリプチリン、ノルトリプチリン、ドキセピン、デシプラミン、イミプラミン、プロトリプチリン、トリミプラミン、クロミプラミン等の三環系抗うつ薬)、セロトニンノルエピネフリン再取り込み阻害薬(例えば、デュロキセチン、ベンラファキシン、デスベンラファキシン、ミルナシプラン、レボミルナシプラン)、セロトニン再取り込み阻害薬(例えば、フルオキセチン、セトラリン、パロキセチン、フルボキサミン、シタロプラム、エスシタロプラム、ビラゾドン、ボルチオキセチン)、抗痙攣薬(例えば、ガバペンチン、プレガバリン、カルバマゼピン、バルプロ酸、フェニトイン、ラモトリギン、チアガビン、ラコサミド、トピラマート、レベチラセタム、オキサカルバゼピン、ゾニサミド)、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID;例えば、ナプロキセン、イブプロフェン、メロキシカム、ジクロフェナク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、ジフルニサル、エトドラク、ナブメトン、ケトプロフェン、ピロキシカム、スリンダク、トルメチン、ケトロラク、メフェナム、オキサプロジン)、プロトンポンプ阻害薬(例えば、オメプラゾール、パントプラゾール、ランソプラゾール、デクスランソプラゾール、エソメプラゾール、ラベプラゾール)、H2受容体アンタゴニスト(例えば、ファモチジン、ニザチジン、ラニチジン、シメチジン)、NMDA阻害薬(例えば、ケタミン、アマンタジン、メマチン)、NO-NSAID、COX-2選択的阻害薬、カンナビノイドアゴニスト、一酸化窒素供与体、ベータアドレナリンアゴニスト、アルファ-2アゴニスト、選択的プロスタノイド受容体アンタゴニスト、局所麻酔薬(例えば、カプサイシン、リドカイン)、プリンP2受容体アンタゴニスト、神経型ニコチン受容体アゴニスト、カルシウムチャネルアンタゴニスト、ナトリウムチャネル遮断薬(例えば、メキシレチン、フレカイニド)、スーパーオキシドジスムターゼ模倣物、p38 MAPキナーゼ阻害薬、TRPVlアゴニスト、グリシン受容体アンタゴニスト、コルチコステロイド、及びアセトアミノフェンからなる群から選択される医薬活性成分等の1つ以上の更なる医薬活性成分と組み合わせて投与される、発明1~15のいずれか一つに記載の薬物の製造のためのmGluR5アンタゴニストの使用。
[発明17]
化合物(I)又は(II)等のmGluR5アンタゴニストと、アルファメチルフェンタニル、アルフェンタニル、ブプレノルフィン、ブトルファノール、コデイン、ジアセチルモルヒネ、ジヒドロコデイン、ジヒドロエトルフィン、ジヒドロモルヒネ、エチルモルヒネ、エトルフィン、フェンタニル、ヒドロコドン、ヒドロモルヒネ、L-アセチルメタドール、レボルファノール、メサドン、メペリジン、モルヒネ、ニコモルヒネ、ノルメサドン、ノルオキシコドン、ノルモルヒネ、ノルレボルファノール、オキシコドン、オキシモルホン、フェナゾシン、プロポキシフェン、レミフェンタニル、トラマドール、テバイン、タペンタドール、レボルファノール、スフェンタニル、ペンタゾシン、カルフェンタニル、オームフェンタニル、ノカイン、ケトベミドン、アリルプロジン、プロジン、デキストロポキシフェン、デキストロモラミド、ベンジトラミド、ピリトラミド、ジピパノン、ロペラミド、ジフェノキシラート、ナルブフィン、レボメトルファ、デゾシン、レフェタミン及びチルジンからなる群から選択されるオピオイド等のオピオイド;特に、ヒドロコドン又はオキシコドンとを含む、組み合わせ。