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特許7539902グルカゴン様ペプチド1(GLP1)-増殖分化因子15(GDF15)融合タンパク質及びその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-16
(45)【発行日】2024-08-26
(54)【発明の名称】グルカゴン様ペプチド1(GLP1)-増殖分化因子15(GDF15)融合タンパク質及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C07K 19/00 20060101AFI20240819BHJP
   A61K 38/16 20060101ALI20240819BHJP
   A61K 38/18 20060101ALI20240819BHJP
   A61K 38/26 20060101ALI20240819BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20240819BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20240819BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20240819BHJP
   A61P 3/08 20060101ALI20240819BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20240819BHJP
   A61P 5/00 20060101ALI20240819BHJP
   A61P 5/50 20060101ALI20240819BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20240819BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20240819BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20240819BHJP
   A61P 17/04 20060101ALI20240819BHJP
   A61P 19/10 20060101ALI20240819BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240819BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20240819BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20240819BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20240819BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240819BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20240819BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240819BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20240819BHJP
   C07K 14/475 20060101ALN20240819BHJP
   C07K 14/605 20060101ALN20240819BHJP
   C07K 14/765 20060101ALN20240819BHJP
【FI】
C07K19/00 ZNA
A61K38/16
A61K38/18
A61K38/26
A61P1/16
A61P3/04
A61P3/06
A61P3/08
A61P3/10
A61P5/00
A61P5/50
A61P9/10 101
A61P9/12
A61P13/12
A61P17/04
A61P19/10
A61P29/00
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
C12P21/02 C
C07K14/475
C07K14/605
C07K14/765
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021546056
(86)(22)【出願日】2019-10-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(86)【国際出願番号】 IB2019059029
(87)【国際公開番号】W WO2020084496
(87)【国際公開日】2020-04-30
【審査請求日】2022-10-19
(31)【優先権主張番号】62/748,603
(32)【優先日】2018-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510020022
【氏名又は名称】ヤンセン・サイエンシズ・アイルランド・アンリミテッド・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149010
【弁理士】
【氏名又は名称】星川 亮
(72)【発明者】
【氏名】ランキン,マシュー エム.
(72)【発明者】
【氏名】リン-シュミット,シェファン
(72)【発明者】
【氏名】ファン,チチ
(72)【発明者】
【氏名】ファーマン,ジェニファー
(72)【発明者】
【氏名】ジェン,ソンマオ
(72)【発明者】
【氏名】ラングワラ,シャミナ
(72)【発明者】
【氏名】ネルソン,セレーナ エム.
(72)【発明者】
【氏名】マリカン,シャノン
【審査官】西澤 龍彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0204149(US,A1)
【文献】国際公開第02/046227(WO,A2)
【文献】国際公開第2014/120619(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2008/0044411(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N
C07K
C12P
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グルカゴン様ペプチド-1(GLP1)/増殖分化因子15(GDF15)融合タンパク質であって、
前記GLP1-GDF15融合タンパク質は、GLP1ペプチド又はGLP1変異体ペプチド、第1のリンカーペプチド、血清アルブミンタンパク質、第2のリンカーペプチド、及びGDF15タンパク質又はGDF15変異体タンパク質を含み、
前記GLP1ペプチド又はGLP1変異体ペプチドは、配列番号1~4からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、かつ前記第1のリンカーペプチドに融合されており、
前記第1のリンカーペプチドは配列番号5~25からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、かつ前記第1のリンカーペプチドは前記血清アルブミンタンパク質に融合されており、
前記血清アルブミンタンパク質は、配列番号26又は配列番号27から選択されるアミノ酸配列を含み、前記第2のリンカーペプチドに融合されており、
前記第2のリンカーペプチドは、配列番号28~30からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、前記GDF15タンパク質又はGDF15変異体タンパク質に融合されており
前記GDF15タンパク質又はGDF15変異体タンパク質は、配列番号31又は配列番号32から選択されるアミノ酸配列を含む、GLP1-GDF15融合タンパク質。
【請求項2】
前記GLP1-GDF15融合タンパク質が、配列番号33~74及び84からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のGLP1-GDF15融合タンパク質。
【請求項3】
請求項1に記載のGLP1-GDF15融合タンパク質をコードする、単離核酸。
【請求項4】
請求項に記載の単離核酸を含む、ベクター。
【請求項5】
請求項に記載の単離核酸又は請求項に記載のベクターを含む、宿主細胞。
【請求項6】
請求項1に記載のGLP1-GDF15融合タンパク質と、医薬上許容できる担体と、を含む、医薬組成物。
【請求項7】
請求項に記載の医薬組成物であって、
疾患又は障害を治療又は予防することを、それを必要とする対象において行う方法で用いるためのものであり、前記疾患又は障害は、肥満、I型又はII型糖尿病、メタボリックシンドローム、インスリン抵抗性、耐糖能異常、高血糖症、高インスリン血症、高トリグリセリド血症、先天性高インスリン症(CHI)による低血糖、脂質異常症、アテローム性動脈硬化症、糖尿病性腎症、並びに管理されていないコレステロール及び/又は脂質レベルに関連する高血圧及び心血管危険因子骨粗鬆症、炎症、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、腎疾患、並びに湿疹からなる群から選択され、前記方法は、有効量の前記医薬組成物を、それを必要とする前記対象に投与することを含む、医薬組成物。
【請求項8】
請求項に記載の医薬組成物であって、
食物摂取を低減することを、それを必要とする対象において行う方法で用いるためのものであり、前記方法は、有効量の前記医薬組成物を、それを必要とする前記対象に投与することを含む、医薬組成物。
【請求項9】
請求項に記載の医薬組成物であって、
GLP1受容体活性を調節することを、それを必要とする対象において行う方法で用いるためのものであり、前記方法は、有効量の前記医薬組成物を、それを必要とする前記対象に投与することを含む、医薬組成物。
【請求項10】
請求項に記載の医薬組成物であって、
GDF15受容体(GFRAL)活性を調節することを、それを必要とする対象において行う方法で用いるためのものであり、前記方法は、有効量の前記医薬組成物を、それを必要とする前記対象に投与することを含む、医薬組成物。
【請求項11】
前記医薬組成物が注射により投与される、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
請求項1に記載のGLP1-GDF15融合タンパク質、請求項に記載の単離核酸、及び/又は請求項に記載のベクターを含む、キット。
【請求項13】
前記キットが注射用デバイスを更に含む、請求項12に記載のキット。
【請求項14】
請求項1に記載のGLP1-GDF15融合タンパク質を含む医薬組成物を生成する方法であって、前記GLP1-GDF15融合タンパク質を医薬上許容できる担体と組み合わせて前記医薬組成物を得ることを含む、方法。
【請求項15】
請求項1に記載のGLP1-GDF15融合タンパク質を生成する方法であって、前記GLP1-GDF15融合タンパク質を生成するための条件下で前記GLP1-GDF15融合タンパク質をコードする核酸を含む細胞を培養することと、前記細胞又は培養物から前記GLP1-GDF15融合タンパク質を回収することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2018年10月22日出願の米国特許仮出願第62/784,603号の優先権を主張し、参照によりその開示の全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、概して、新規グルカゴン様ペプチド-1(GLP1)-増殖分化因子15(GDF15)融合タンパク質を対象とする。GLP1-GDF15融合タンパク質は、GLP1R及び/又はGDF15Rを調節する。本発明はまた、医薬組成物及びその使用方法に関する。新規GLP1-GDF15融合タンパク質は、とりわけ、肥満、2型糖尿病、メタボリックシンドローム、インスリン抵抗性、及び脂質異常症などの疾患及び障害を予防する、治療する、又は寛解させるのに有用である。
【0003】
(電子的に提出された配列表の参照)
本出願は、ファイル名「PRD3474配列表」及び2019年10月14日の作成日で、ASCII形式の配列表としてEFS-Webを介して電子的に提出され、327kbのサイズを有する配列表を含む。EFS-Webを介して提出された配列表は、本明細書の一部であり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0004】
TGFβファミリーのメンバーであるGDF15は、25kDaホモ二量体として血漿中で循環し、脳幹発現受容体GFRALとの相互作用を通じてその生物学的機能を引き出す分泌タンパク質である(Mullican et al.,Nat Med.23:1150-7(2017)、Yang et al.,Nat Med.23:1158-66(2017),Hsu et al.,Nature 550:255-9(2017),Emmerson et al.,Nat Med 23:1215-9(2017))。GDF15の血漿中濃度は多くの個人で150~1150pg/mLの範囲である(Tsai et al.,J Cachexia Sarcopenia Muscle.3:239-43(2012))。GDF15の高い血漿中濃度は、癌における食欲不振及び悪液質による体重減少、また腎不全及び心不全における体重減少と関連している。更に、GDF15は、Roux-en-Y胃バイパス(RYGB)手術後の体重減少を経験している患者において増加する(Vila et al.,Clin Chem 57:309-16(2011))。
【0005】
体重減少とGDF15との間の相関関係は、げっ歯類で保存されている。GDF15の過剰発現は、食物摂取の減少、体重の低下をもたらし、高脂肪食給餌にあたり、マウスを肥満、脂肪肝、及び耐糖能障害から保護する(Baek et al.,Gastroenterology 131:1553-60(2006),Johnen et al.,Nat Med 13:1333-40(2007),Chrysovergis et al.,Int J Obesity 38:1555-64(2014),Macia et al.,PloS One 7:e34868(2012),Jones et al.,Cell Reports 22:1522-30(2018),Xiong et al.,Sci Trans Med 9:412(2017))。GDF15でトランスフェクトされた前立腺腫瘍細胞の異種移植片も、食物摂取及び体重を減少させる(Johnen et al.,Nat Med 13:1333-40(2007))。反対に、数多くの研究者は、GDF15を欠損したマウスがより体重を増加させ、野生型動物よりも大きい脂肪量を有することを報告している(Strelau et al.,J Neurosci 29:13640-8(2009),Casanovas et al.,Haematologica 98:444-7(2013),Bonaterra et al.,J Amer Heart Assoc 1:e002550(2012),Tsai et al.,PloS one.8:e55174(2013))。
【0006】
薬理学的に投与されたGDF15がエネルギー摂取を減少させ、それによって体重減少を誘発する可能性は、マウス、ラット、及びサルにおいて実証されている。組換えGDF15を投与した非肥満マウスは、食べる量が減り、体重が減少する(Johnen et al.,Nat Med 13:1333-40(2007),Hsu et al.,Nature 550:255-9(2017),Mullican et al.,Nat Med 23:1150-7(2017),Tsai et al.,Int J Obesity 42:561-71(2018))。食物摂取及び体重の減少は、GDF15の投与後の遺伝的及び食餌誘導性肥満ラット及びマウスモデルでも観察されている(Johnen et al.,Nat Med 13:1333-40(2007),Hsu et al.,Nature 550:255-9(2017),Mullican et al.,Nat Med 23:1150-7(2017),Yang et al.,Nat Med 23:1158-66(2017),Tsai et al.,Int J Obesity 42:561-71(2018),Xiong et al.,Sci Trans Med 9:412(2017))。食餌誘導性肥満マウスにおけるGDF15投与を介した体重減少は、グルコース恒常性の強化並びに血漿トリグリセリド及びコレステロールの低下を含む代謝改善をもたらす。これらの効果は、自然発症肥満非ヒト霊長類における組換えヒトGDF15を用いた6週間の毎日投与レジメンが食物摂取、体重、及び血漿中トリグリセリド濃度を減少させ、耐糖能を改善したことから、より高い種にも当てはまる(Xiong et al.,Sci Trans Med 9:412(2017))。更に、組換えGDF15の半減期は、ヒト血清アルブミン(HSA)との融合によって延長されることが以前に実証されており、ヒトへの週1回投与に適した治療薬となることが予測される(Mullican et al.,Nat Med 23:1150-7(2017)及び米国特許公開第2017/0327560号)。
【0007】
GLP1は、同じく食物摂取を減少させ、体重減少をもたらす、腸内分泌細胞に由来するペプチドホルモンである。この機能は、中枢神経系内のGLP1受容体(GLP1R)との相互作用によって媒介され、末梢組織におけるこのリガンド/受容体相互作用は、グルコース刺激インスリン分泌の増強、グルカゴン放出の抑制、及び胃内容物排出の遅延を含む更なる生物学的効果を有する(Druker et al.Cell Met 27:740-56(2018))。これらの生物学的効果の全てを活用すると、GLP1Rアゴニストは、ヒトにおけるグルコース恒常性を改善し、体重減少を促進する。加えて、GLP1Rアゴニストの投与は、糖尿病患者における心血管転帰を著しく改善することが報告されているが、正確な機構はまだ決定されていない(Lim et al.,Trends Endocrinol Metab.29:238-48(2018))。GLP1Rアゴニスト作用物質は、酵素的開裂を防止するための修飾を有する天然ヒトGLP1又はエキセンディン-4(アメリカドクトカゲの唾液から単離されたペプチド)のいずれかに基づくペプチド配列である。GLP1Rアゴニストは、脂質化、抗体Fc又はヒト血清アルブミン(HSA)などの半減期を延長するプラットフォームを介して送達され得る(Cheang and Moyle,Chem Med Chem 13:662-71(2018))。
【0008】
したがって、それぞれGLP1又はGDF15に比べて改善された代謝安定性及び薬物動態プロファイルを有するGLP1アナログ若しくはその誘導体及び/又はGDF15アナログ若しくはその誘導体を得ることが望ましい。このような誘導体は、より長い作用持続時間を有するGDF1受容体及びGDF15受容体の調節を提供し、そのような調節を必要とする対象の治療薬として好適であろう。
【0009】
前述の議論は、単に当該技術分野に直面する問題の性質のより良い理解を提供するために提示されており、かかる参照が本出願の「先行技術」を構成することを容認するものとして解釈されるべきではない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
一般的な一態様では、本発明は、新規グルカゴン様ペプチド-1(GLP1)-増殖分化因子15(GDF15)融合タンパク質に関する。GLP1-GDF15融合タンパク質は、GLP1R及び/又はGDF15R(GFRAL)を調節する。
【0011】
本明細書では、グルカゴン様ペプチド-1(GLP1)-増殖分化因子15(GDF15)融合タンパク質が提供される。GLP1-GDF15融合タンパク質は、GLP1ペプチド、第1のリンカーペプチド、血清アルブミンタンパク質、第2のリンカーペプチド、及びGDF15タンパク質を含む。
【0012】
特定の実施形態では、GLP1ペプチドは、配列番号1~4からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0013】
特定の実施形態では、第1のリンカーペプチドは、配列番号5~25からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0014】
特定の実施形態では、血清アルブミンタンパク質は、配列番号26又は配列番号27から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0015】
特定の実施形態では、第2のリンカーペプチドは、配列番号28~30からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0016】
特定の実施形態では、GDF15タンパク質は、配列番号31又は配列番号32から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0017】
特定の実施形態では、GLP1-GDF15融合タンパク質は、配列番号33~74及び84からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0018】
本発明のGLP1-GDF15融合タンパク質をコードする単離核酸も提供される。本発明の単離核酸を含むベクターも提供される。本発明の単離核酸又は本発明のベクターを含む宿主細胞も提供される。
【0019】
本発明のGLP1-GDF15融合タンパク質及び医薬上許容できる担体を含む医薬組成物も提供される。
【0020】
疾患又は障害を治療又は予防することを、それを必要とする対象において行う方法も提供され、当該疾患又は障害は、肥満、I型又はII型糖尿病、メタボリックシンドローム、インスリン抵抗性、耐糖能異常、高血糖症、高インスリン血症、高トリグリセリド血症、先天性高インスリン症(CHI)による低血糖、脂質異常症、アテローム性動脈硬化症、糖尿病性腎症、並びに管理されていないコレステロール及び/若しくは脂質レベルに関連する高血圧及び心血管危険因子などの他の心血管危険因子、骨粗鬆症、炎症、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、腎疾患、並びに湿疹からなる群から選択され、この方法は、有効量の本発明の医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む。
【0021】
食物摂取を低減することを、それを必要とする対象において行う方法も提供され、この方法は、有効量の本発明の医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む。
【0022】
GLP1受容体活性を調節することを、それを必要とする対象において行う方法も提供され、この方法は、有効量の本発明の医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む。
【0023】
GDF15受容体(GFRAL)活性を調節することを、それを必要とする対象において行う方法も提供され、この方法は、有効量の本発明の医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む。
【0024】
特定の実施形態では、医薬組成物は、注射により投与される。
【0025】
本発明のGLP1-GDF15融合タンパク質、本発明の単離核酸、及び/又は本発明のベクターを含むキットも提供される。キットは、例えば、注射用デバイスを更に含むことができる。
【0026】
本発明のGLP1-GDF15融合タンパク質を含む医薬組成物を生成する方法も提供される。この方法は、GLP1-GDF15融合タンパク質を医薬上許容できる担体と組み合わせて医薬組成物を得ることを含む。
【0027】
本発明のGLP1-GDF15融合タンパク質を生成する方法も提供される。この方法は、GLP1-GDF15融合タンパク質を生成する条件下で、GLP1-GDF15融合タンパク質をコードする核酸を含む細胞を培養することと、GLP1-GDF15融合タンパク質を細胞又は培養物から回収することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0028】
上記の概要、及び本出願の好ましい実施形態の以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読むことでより良く理解されるであろう。しかしながら、本出願は、図面に示される実施形態そのものに限定されないことを理解するべきである。
図1】リラグルチド(lira)の毎日投与及び/又はHSA-GDF15(配列番号81)の隔日投与を受けたDIOマウスにおける(0日目からの)体重変化率を実証するグラフを示す。
図2】GLP1-GSA-GDF15(配列番号72)、GLP1-GSA-GDF15(I89R)、(配列番号73、I89R変異によりGDF15活性が失われる)、GLP1(9-39)-GSA-GDF15(配列番号74、GLP1活性を失わせる)、又はGSA-GDF15(配列番号75)の毎日投与を受けたDIOマウスにおける(0日目からの)平均体重変化率を実証するグラフを示す。デュラグルチド投与が陽性対照となり、溶媒投与が陰性対照となった。±SEM、n=8。
図3】GLP1-GDF15融合タンパク質の概略図を示す。
図4】C57BL/6マウスにおける食物摂取に対する配列番号45、49、50、33、46、及び44の皮下投与の効果を実証するグラフを示す。データは、24時間での投与前の食物摂取と比較した食物摂取の変化率として提示される。
図5】免疫親和性捕獲-トリプシン消化-LC-MS/MS分析によって決定されるように、マウスにおける投与から24時間後のGLP1-GDF15融合タンパク質(配列番号45、49、50、33、46、及び44)の血漿中濃度を実証するグラフを示す。
図6】GFRAL欠損マウスにおける食物摂取に対する配列番号45、50、46、及び44の皮下投与の効果を実証するグラフを示す。データは、24時間での無傷のGLP1アームを有する試験物品の血漿中濃度に対する、食品摂取の(溶媒投与と比較した)変化率として提示される。
図7】GFRAL欠損マウスにおける食物摂取に対する配列番号45の皮下投与の効果を実証するグラフを示す。データは、24時間での無傷のGLP1群を有する試験物品の血漿中濃度に対する、食品摂取の(溶媒投与と比較した)変化率として提示される。
図8】GFRAL欠損マウスにおける食物摂取に対する配列番号33の皮下投与の効果を実証するグラフを示す。データは、24時間での無傷のGLP1群を有する試験物品の血漿中濃度に対する、食品摂取の(溶媒投与と比較した)変化率として提示される。
図9】マウスにおける耐糖能に対する配列番号50、46、及び44の皮下投与の効果を実証するグラフを示す。データは、無傷のGLP1ペプチド又はGLP1ペプチド変異体を有するGLP1-GDF15融合タンパク質の血漿中濃度に対する、溶媒投与と比較したデルタAUCの変化率として提示される。
図10】マウスにおける耐糖能に対する配列番号45及び49の皮下投与の効果を実証するグラフを示す。データは、無傷のGLP1ペプチド又はGLP1ペプチド変異体を有するGLP1-GDF15融合タンパク質の血漿中濃度に対する、溶媒投与と比較したデルタAUCの変化率として提示される。
図11】マウスにおける耐糖能に対する配列番号33の皮下投与の効果を実証するグラフを示す。データは、無傷のGLP1ペプチド又はGLP1ペプチド変異体を有するGLP1-GDF15融合タンパク質の血漿中濃度に対する、溶媒投与と比較したデルタAUCの変化率として提示される。
図12】マウスにおける耐糖能に対する配列番号45及び配列番号36の皮下投与の効果を実証するグラフを示す。データは、無傷のGLP1ペプチド又はGLP1ペプチド変異体を有するGLP1-GDF15融合タンパク質の血漿中濃度に対する、溶媒投与と比較したデルタAUCの変化率として提示される。
図13】カニクイザルにおける段階的グルコース注入中のインスリン分泌に対する、配列番号45及び44の皮下投与の影響を実証するグラフを示す。データは、無傷のGLP1ペプチド又はGLP1ペプチド変異体を有するGLP1-GDF15融合タンパク質の血漿中濃度に対する、グルコースAUCに正規化された(ベースラインと比較した)ISR AUCの倍率変化として提示される。
図14】食餌誘導性肥満マウスにおけるGLP1-GDF15融合タンパク質(配列番号45及び44)の毎日皮下投与の体重減少有効性を実証するグラフを示す。データは、0日目からの体重の変化率として提示される。
図15】免疫親和性捕獲-トリプシン消化-LC-MS/MS分析によって決定されるように、食餌誘導性肥満マウスにおける毎日投与7日後のGLP1-GDF15融合タンパク質(配列番号45及び44)の血漿中濃度を実証するグラフを示す。
図16】自然発症肥満非ヒト霊長類における、ベースライン及び4週間にわたるGLP1-GDF15融合タンパク質(配列番号44及び83)のそれぞれのQW皮下投与後の食物摂取の3日間の変化率を実証するグラフを示す。データは、個々の対象に対して提示され、それらの血漿中の検出可能なレベルの試験物品を有さないものは、x軸の下に概説されるように、図に含まれない。
図17】イムノアッセイによって決定されるように、自然発症肥満非ヒト霊長類においてQWで投与するGLP1-GDF15融合タンパク質(配列番号44及び83)の濃度を変化させた4週間の投与中の全試験物品の血漿中濃度を実証するグラフを示す。データは平均(±SEM)として提示される。
図18】イムノアッセイによって決定されるように、自然発症肥満非ヒト霊長類においてQWで投与するGLP1-GDF15融合タンパク質(配列番号44)の濃度を変化させた4週間の投与中のGLP1部分含有試験物品の血漿中濃度を実証するグラフを示す。データは平均(±SEM)として提示される。
図19】自然発症肥満非ヒト霊長類においてQ3Dで投与するGLP1-GDF15融合タンパク質(配列番号44、83及び84)の濃度を漸増させた21日間の投与前、投与中、及び投与後の、絶対的な毎日の食物摂取を実証するグラフを示す。データは、群当たり10体の対象の平均(±SEM)として提示される。
図20】自然発症肥満非ヒト霊長類においてQ3Dで投与するGLP1-GDF15融合タンパク質(配列番号44、83及び84)の濃度を漸増させた21日間の投与後の体重変化(ベースラインに対して)を実証するグラフを示す。データは、群当たり10体の対象の平均(±SEM)として提示される。
図21】イムノアッセイによって決定されるように、自然発症肥満非ヒト霊長類においてQ3Dで投与するGLP1-GDF15融合タンパク質(配列番号44、83、及び84)の濃度を漸増させた21日間の処置中及び投与後の全試験物品の血漿中濃度を実証するグラフを示す。データは、個々の対象に対して提示される。
図22】イムノアッセイによって決定されるように、自然発症肥満非ヒト霊長類においてQ3Dで投与するGLP1-GDF15融合タンパク質(配列番号44及び84)の濃度を漸増させた21日間の投与中及び投与後のGLP1部分含有試験物品の血漿中濃度を実証するグラフを示す。データは、個々の対象に対して提示される。
【発明を実施するための形態】
【0029】
背景技術において、また、本明細書全体を通じて各種刊行物、論文及び特許を引用又は記載する。これら参照文献の各々はその全容が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に含まれる文書、操作、材料、デバイス、物品などの考察は、本発明のコンテキストを与えるためのものである。かかる考察は、これらの事物のいずれか又は全てが、開示又は特許請求されるいかなる発明に対しても先行技術の一部を構成することを容認するものではない。
【0030】
特に規定のない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般的に理解されるのと同じ意味を有する。そうでない場合、本明細書で使用される特定の用語は、本明細書に記載される意味を有するものである。
【0031】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される単数形「a」、「an」及び「the」は、特に文脈上明らかでない限り、複数の指示対象物を含むことに留意すべきである。
【0032】
特に明記しない限り、本明細書に記載される濃度又は濃度範囲などのあらゆる数値は、全ての場合において、「約」という用語によって修飾されているものとして理解されるべきである。したがって、数値は、典型的には、記載される値の±10%を含む。例えば、1mg/mLの濃度は0.9mg/mL~1.1mg/mLを含む。同様に、1%~10%(w/v)の濃度範囲は0.9%(w/v)~11%(w/v)を含む。本明細書で使用するとき、数値範囲の使用は、文脈上そうでない旨が明確に示されない限り、その範囲内の整数及び値の分数を含む、全ての可能な部分範囲、その範囲内の全ての個々の数値を明示的に含む。
【0033】
別途記載のない限り、一連の要素に先行する「少なくとも」という用語は、一連の全ての要素を指すと理解されるべきである。当業者であれば、単なる通常の実験手順を使用するだけで、本明細書に記載した特定の実施形態に対して多くの同等物を認識するか、又は確認することができよう。このような等価物は、本発明によって包含されることが意図される。
【0034】
本明細書で使用されるとき、用語「備える(comprises)、「備える(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having}」、「含有する(contains)」、又は「含有する(containing)」あるいはこれらの任意の他の変形形態は、述べられている整数又は整数群を含むことが意図されるが、これら以外の他の整数又は整数群を除外するものではなく、非排他的又は非制限的であることが意図されることが理解されよう。例えば、一連の要素を含む組成物、混合物、プロセス、方法、物品、又は装置は、必ずしもそれらの要素のみに限定されるものではなく、明示的に列挙されない、又はそのような組成物、混合物、プロセス、方法、物品、又は装置に本来存在しない他の要素を含んでもよい。更に、明示的に反対に明記されない限り、「又は」は包括的な「又は」を指すものであり、排他的な「又は」を指すものではない。例えば、条件A又はBは、Aが真であり(又は存在する)かつBが偽である(又は存在しない)場合、Aが偽であり(又は存在しない)かつBが真である(又は存在する)場合、並びにA及びBの両方が真である(又は存在する)場合、のいずれか1つによって充足される。
【0035】
本明細書で使用するとき、複数の列挙された要素間の接続的な用語「及び/又は」は、個々の及び組み合わされた選択肢の両方を包含するものとして理解される。例えば、2つの要素が「及び/又は」によって接続される場合、第1の選択肢は、第2の要素なしに第1の要素が適用可能であることを指す。第2の選択肢は、第1の要素なしの第2の要素が適用可能であることを指す。第3の選択肢は、第1及び第2の要素が一緒に適用可能であることを指す。これらの選択肢のうちのいずれか1つは、意味に含まれ、したがって、本明細書で使用される用語「及び/又は」の要件を満たすことが理解される。選択肢のうちの2つ以上の同時適用性もまた、意味に含まれることが理解され、したがって、用語「及び/又は」の要件を満たす。
【0036】
好ましい発明の構成要素の寸法又は特徴を指すときに本明細書で使用される用語「約」、「およそ」、「概ね」、「実質的に」などの用語は、当業者には理解されるように、記載の寸法/特徴が厳密な境界又はパラメータではなく、また機能的に同じ又は類似する、それらからのわずかな相違を除外しないことを示すことも理解されたい。最小値では、数値パラメータを含むこのような参照は、当該技術分野において受け入れられている数学的及び工業的原理(例えば、四捨五入、測定、又は他の系統的誤差、製造公差など)を使用すると、最小有効数字は変化しない変形形態を含むであろう。
【0037】
2つ以上の核酸又はポリペプチド配列(例えば、GLP1ペプチド、リンカーペプチド、血清アルブミンタンパク質、GDF15タンパク質、及びペプチドをコードするポリヌクレオチド)に関連する、「同一の」又は「同一性」パーセントという用語は、以下の配列比較アルゴリズムのうちの1つを使用して又は本開示を考慮して当該技術分野において既知の方法を使用した目視検査によって測定したときに、比較し、一致が最大になるようにアラインメントした場合、同一であるか、又は指定の割合の同一であるアミノ酸残基若しくはヌクレオチドを有する2つ以上の配列又はサブ配列を指す。
【0038】
配列比較のために、典型的には、1つの配列は、試験配列が比較される参照配列として作用する。配列比較アルゴリズムを使用する場合、試験及び参照配列がコンピュータに入力され、必要に応じて、サブシーケンス座標が指定され、配列アルゴリズムプログラムパラメータが指定される。次いで、配列比較アルゴリズムは、指定されたプログラムパラメータに基づいて、参照配列に対する試験配列の配列同一性パーセントを計算する。
【0039】
比較のための配列の最適なアライメントは、例えば、Smith & Waterman,Adv.Appl.Math.2:482(1981)の局所相同性アルゴリズム、Needleman & Wunsch,J.Mol.Biol.48:443(1970)の相同性アライメントアルゴリズム、Pearson & Lipman,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 85:2444(1988)の類似検索方法、これらのアルゴリズムのコンピュータ化された実装(Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group,575 Science Dr.,Madison,WIにおけるGAP、BESTFIT、FASTA、及びTFASTA)、又は目視検査(一般的に、Current Protocols in Molecular Biology,F.M.Ausubel et al.,eds.,Current Protocols,a joint venture between Greene Publishing Associates,Inc.and John Wiley & Sons,Inc.,(1995 Supplement)(Ausubel)を参照されたい)によって行うことができる。
【0040】
配列同一性パーセント及び配列類似性を決定するのに好適なアルゴリズムの例は、それぞれ、Altschul et al.(1990)J.Mol.Biol.215:403-410及びAltschul et al.(1997)Nucleic Acids Res.25:3389-3402にそれぞれ記載されているBLAST及びBLAST 2.0アルゴリズムである。BLAST分析を行うソフトウェアは、国立生物工学情報センター(National Center for Biotechnology Information)を通じて公的に入手可能である。このアルゴリズムは、最初に、データベース配列における同じ長さのワードとアラインメントしたときに一致するか、又はいくつかの正の値の閾値スコアTを満たすかのいずれかの、クエリー配列における長さWの短いワードを同定することによって、高スコア配列対(HSP)を同定することを含む。Tは、隣接ワードスコア閾値(Altschul et al.、上記)と称される。これらの初期隣接ワードヒットは、それを含むより長いHSPを見つけるための検索を開始するためのシードとして機能する。次いで、累積アラインメントスコアを増加させることができる限り、各配列に沿ってワードヒットを両方向に延長する。
【0041】
配列同一性パーセントを計算することに加えて、BLASTアルゴリズムは、2つの配列間の類似性の統計解析も行う(例えば、Karlin & Altschul,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 90:5873-5787(1993)を参照)。BLASTアルゴリズムによって提供される類似性の1つの尺度は、最小合計確率(P(N))であり、これは、2つのヌクレオチド又はアミノ酸配列間の一致が偶然に生じる確率の指標を提供する。例えば、核酸は、試験核酸と参照核酸との比較における最小合計確率が、約0.1未満、より好ましくは約0.01未満、最も好ましくは約0.001未満である場合、参照配列に類似しているとみなされる。
【0042】
2つの核酸配列又はポリペプチドが実質的に同一であることの更なる指標は、以下に記載されるように、第1の核酸によりコードされるポリペプチドが、第2の核酸によりコードされるポリペプチドと免疫学的に交差反応性であることである。したがって、ポリペプチドは、典型的には、第2のポリペプチドと実質的に同一であり、例えば、2つのペプチドは保存的置換によってのみ異なる。2つの核酸配列が実質的に同一である別の指標は、2つの分子がストリンジェントな条件下で互いにハイブリダイズすることである。
【0043】
本明細書で使用される場合、「対象」は、任意の動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを意味する。本明細書で使用するとき、用語「哺乳動物」とは、あらゆる哺乳動物を包含する。哺乳動物の例としては、これらに限定されるものではないが、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ネコ、イヌ、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、サル、ヒトなど、より好ましくはヒトが挙げられる。
【0044】
本発明の方法に関して用語「投与」は、本発明のコンジュゲート若しくは化合物、又はその形態、組成物、若しくは医薬を使用することにより、本明細書に記載の症候群、障害、又は疾患を治療的又は予防的に予防する、治療する、又は寛解させる方法を意味する。このような方法は、有効量の当該コンジュゲート、化合物、その形態、組成物、若しくは医薬を、組み合わせ形態で、治療過程における異なる時点で又は同時に投与することを含む。本発明の方法は、既知の治療的処置レジメンを全て包含するものとして理解されるものである。
【0045】
用語「有効量」は、研究者、獣医師、医師、又はその他の臨床医が探求している生物学的又は医学的反応を組織系、動物、又はヒトにおいて惹起する(治療される症候群、障害若しくは疾患、又は、治療される症候群、障害若しくは疾患の症状を予防する、治療する、又は寛解させることを含む)活性コンジュゲート、化合物、又は薬剤の量を意味する。
【0046】
本明細書で使用するとき、用語「組成物」は、特定の成分を特定の量で含む生成物、並びに、直接的又は間接的に特定の成分の特定の量の組み合わせから生じる任意の生成物を包含するものとする。
【0047】
用語「単離(された)」は、その起源の細胞材料、細菌材料、ウイルス材料、若しくは培養培地を実質的に含まない核酸若しくはポリペプチド(DNA組換え技術により生成された場合)、又は化学的前駆体若しくは他の化学物質(化学合成された場合)を指し得る。更に、単離ポリペプチドは、単離ポリペプチドとして対象に投与され得るものを指し、換言すれば、ポリペプチドは、カラムに被着するか又はゲル内に埋め込まれている場合、単純に「単離された」とみなすことはできない。更に、「単離核酸フラグメント」又は「単離ペプチド」は、フラグメントとして自然発生しない、及び/又は典型的には機能状態にない核酸又はタンパク質フラグメントである。
【0048】
本明細書で使用するところの「ポリヌクレオチド」なる用語は、同義的に、「核酸分子」、「ヌクレオチド」、又は「核酸」とも称され、非修飾RNA若しくはDNA又は修飾RNA若しくはDNAであってよい、任意のポリリボヌクレオチド又はポリデオキシリボヌクレオチドを指す。「ポリヌクレオチド」としては、これらに限定されるものではないが、一本鎖及び二本鎖DNA、一本鎖及び二本鎖の領域の混合物であるDNA、一本鎖及び二本鎖RNA、並びに一本鎖及び二本鎖の領域の混合物であるRNA、一本鎖又はより典型的には二本鎖又は一本鎖及び二本鎖の領域の混合物であってよいDNA及びRNAを含むハイブリッド分子が挙げられる。加えて、「ポリヌクレオチド」は、RNA若しくはDNA又はRNA及びDNAの両方を含む三本鎖領域を指す。用語、ポリヌクレオチドには、1つ以上の修飾塩基を含有するDNA又はRNA、及び安定性若しくは他の理由により修飾された主鎖を有するDNA又はRNAも含まれる。「修飾」塩基は、例えば、トリチル化塩基及び異常な塩基、例えば、イノシンを含む。様々な修飾をDNA及びRNAに行うことができる。したがって、「ポリヌクレオチド」は、典型的に天然に認められるポリヌクレオチドの化学的、酵素的又は代謝的に修飾された形態、並びにウイルス及び細胞のDNA及びRNAの特徴を有する化学的形態を包含する。「ポリヌクレオチド」はまた、比較的短い核酸鎖(多くの場合、オリゴヌクレオチドと呼ばれる)も包含する。
【0049】
本明細書で使用するとき、用語「発現」は、遺伝子産物の生合成を指す。かかる用語には、遺伝子のRNAへの転写が含まれる。また、かかる用語には、RNAの1つ以上のポリペプチドへの翻訳も含まれ、全ての天然に生じる転写後及び翻訳後修飾も更に含まれる。発現されるポリペプチドは、宿主細胞の細胞質中、細胞培養の増殖培地などの細胞外環境中に存在し得るか、又は細胞膜に固定され得る。
【0050】
本明細書で使用するとき、用語「ペプチド」、「ポリペプチド」、又は「タンパク質」は、アミノ酸から構成される分子を指すことができ、当業者によってタンパク質として認識され得る。本明細書では、アミノ酸残基の従来の1文字又は3文字コードが使用される。用語「ペプチド」、「ポリペプチド」、及び「タンパク質」は、結合(例えば、融合)ペプチド/ポリペプチド(例えば、融合タンパク質)を含むものを含む、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指すために、本明細書において互換的に使用され得る。ポリマーは、直鎖又は分枝鎖であり得、修飾されたアミノ酸を含むことができ、非アミノ酸により中断され得る。これらの用語はまた、自然に修飾された又は介入によって修飾されたアミノ酸ポリマーを包含し、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、又は任意の他の操作若しくは修飾、例えば、標識成分との接合などが挙げられる。また、定義には、例えば、アミノ酸の1つ以上のアナログ(例えば、非天然アミノ酸などを含む)を含有するポリペプチド、並びに当該技術分野において既知の他の修飾が含まれる。
【0051】
本明細書に記載のペプチド配列は、通常の慣習に従って記載され、ペプチドのN末端領域は左側にあり、C末端領域は右側にある。アミノ酸の異性体形態は既知であるが、別途明示的に示されない限り、示されるのはアミノ酸のL型である。
【0052】
グルカゴン様ペプチド-1(GLP1)-増殖分化因子15(GDF15)融合タンパク質
GDF15及びGLP1シグナル伝達の両方は、食物摂取を低減することができるが、これらの効果は互いに独立しているように見える。例えば、GDF15効果は、マウスにおいてGLP1Rの非存在下で維持され、反対に、GLP1投与は依然として、GFRALの非存在下で食物摂取効果をもたらす(Hsu et al.,Nature 550:255-9(2017),Mullican et al.,Nat Med 23:1150-7(2017))。したがって、両方の機構を同時に標的化することは、いずれかの機構のみよりも大きな食物摂取低減及び体重減少をもたらし得ると仮定される。ヒト血清アルブミンとの融合を通してGDF15及びGLP1アゴニストの、独立しているが相補的な薬理学を組み合わせることは、週1回の投与に好適な単一の完全組換え分子によって体重減少、インスリン感受性、インスリン分泌、及び心血管転帰に利益をもたらすことになる。このアプローチの大きな課題は、全ての所望の効果を得るのに十分な、但し標的上の有害効果を回避する、所望のレベルで対応する受容体と会合する、バランスの取れた様式で分子内のそれぞれのアゴニストを送達することである。このバランスは、分子のアゴニストアームのいずれかの効力及び/又は薬物動態特性を調整することによって微調整され得る。
【0053】
一般的な一態様では、本発明は、グルカゴン様ペプチド-1(GLP1)-増殖分化因子15(GDF15)融合タンパク質に関する。GLP1-GDF15融合タンパク質は、GLP1又はGLP1変異体ペプチド、第1のリンカーペプチド(例えば、アミノ(N)-末端リンカー)、ヒト血清アルブミン(HSA)タンパク質、第2のリンカーペプチド(例えば、カルボキシ(C)-末端リンカー)、及びGDF15又はGDF15変異体タンパク質を含む。
【0054】
グルカゴン様ペプチド-1(GLP1)又はGLP1変異体ペプチド
グルカゴン様ペプチド1(GLP1)は、腸内で合成され、食物摂取に応答して放出されるインスリン分泌促進物質である。これは主にGLP1-(7-37)及びGLP1-(7-36)NHの2つの形態で分泌され、その両方とも、グルコース刺激によるインスリン分泌を増強する膵臓ベータ細胞を含む多くの組織と、満腹感及び食事量を制御する脳幹に見られる特異的なGLP1受容体(GLP1R)に結合する。
【0055】
多くのGLP1アナログ及び誘導体が既知であり、本明細書では「GLP-1変異体」と呼ぶ場合がある。これらのGLP1変異体ペプチドは、アメリカドクトカゲの毒に見られるペプチドであるエキセンディンを含み得る。これらのエキセンディンは、天然のGLP1との配列相同性を有しており、GLP1受容体に結合し、シグナル伝達カスケード応答を開始させることができる。
【0056】
GLP1及びGLP1変異体ペプチドは、様々な方法で作用することが示されており、これには、食物摂取の減少、インスリン放出の刺激、グルカゴン分泌の低下、胃排出の阻害、及びグルコース利用の増強を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0057】
GLP1Rは、7回膜貫通ヘテロ三量体Gタンパク質共役受容体のクラスBファミリーに属し、膵島のα-、β-、及びδ-細胞、心臓、腎臓、胃、腸、迷走神経の神経節神経、並びに視床下部及び脳幹を含む中枢神経系(CNS)のいくつかの領域を含むがこれらに限定されない広範囲の組織で発現する。GLP1Rは、Gα、Gα、Gα、及びGαに結合して(Montrose-Rafizadeh et al.,Endocrinology 140:1132-40(1999);Hallbrink et al.,Biochim Biophys Acta 1546:79-86(2001))、細胞内カルシウム、アデニル酸シクラーゼ、及びホスホリパーゼCの増加、並びにPKA、PKC、PI-3K、Epac2、及びMAPKシグナル伝達経路の活性化をもたらし得る(Drucker et al.,PNAS 84:3434-8(1987);Wheeler et al.,Endrocrinology 133:57-62(1993);及びHolz et al.,JBC 270:17749-57(1995))。
【0058】
本明細書では、第1の構成要素を含むGLP1-GDF15融合タンパク質が提供され、第1の構成要素は、GLP1又はGLP1変異体ペプチドである。本明細書で使用するとき、用語「GLP1ペプチド」、「GLP1変異体ペプチド」、「GLP1ペプチド変異体」、及び「GLP1又はGLP1変異体ペプチド」は互換的に使用される。GLP1又はGLP1変異体ペプチドは、表1に提供される配列のうちの1つを含み得る。GLP1又はGLP1変異体ペプチドは、表1に提供される配列のうちの1つと少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を含み得る。GLP1又はGLP1変異体ペプチド配列は、以下の基準:(i)発現収率及び純度、(ii)インビトロ安定性、(iii)インビトロ効力、(iv)GDF15又はGDF15変異体タンパク質との組み合わせにおけるインビトロ効力の保持、(v)セリンキシロシル化又はセリンキシロシル化の可能性の欠如、並びに(vi)GLP1-GDF15変異体タンパク質の特性(例えば、インビボ安定性、インビボ効力(すなわち、GLP1又はGLP1変異体ペプチド及びGDF15又はGDF15変異体タンパク質が、それぞれ、GLP1R及びGDF15R(GFRAL)受容体に対するアゴニスト活性を有することができるかどうか))のうちの少なくとも1つに基づいて選択され得る。
【0059】
GLP1融合ペプチドの第1の構成要素を構成するGLP1又はGLP1変異体ペプチドは、天然のGLP1に十分な相同性及び機能性を有するペプチドを包含することが意図される。GLP1又はGLP1変異体ペプチドは、膵臓及び脳幹を含む組織においてGLP1受容体に結合することができ、その結果、天然のGLP1がこれらの組織内のGLP1受容体に結合したときと同じシグナル伝達経路を生じさせ、同じ又は類似のインスリン分泌活性を呈するように設計される。
【0060】
【表1】
【0061】
第1のリンカーペプチド:アミノ末端リンカー(N末端リンカー)
本明細書では、第2の構成要素を含むGLP1-GDF15融合タンパク質が提供され、第2の構成要素は、第1のリンカーペプチド(すなわち、アミノ末端リンカーペプチド)である。第1のリンカーペプチドは、表2に提供される配列のうちの1つを含み得る。第1のリンカーペプチドは、表2に提供される配列のうちの1つと少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を含み得る。
【0062】
第1のリンカーペプチドは、例えば、約5~約60個のアミノ酸残基、約10~約50個のアミノ酸残基、約10~約60個のアミノ酸残基、約5~約50個のアミノ酸残基、約15~約40アミノ酸残基、約12~約30アミノ酸残基、約12~約42アミノ酸残基、約20~約25アミノ酸残基、約8~約48個のアミノ酸残基、約10~約46アミノ酸残基、約12~約44アミノ酸残基、約14~約42アミノ酸残基、約16~約40アミノ酸残基、約18~約38アミノ酸残基、約20~約36個のアミノ酸残基、約20~約42個のアミノ酸残基、約22~約34個のアミノ酸残基、約24~約32個のアミノ酸残基、約26~約30個のアミノ酸残基、又はそれらの間の任意の値を含み得る。第1のリンカーペプチドは、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、又は60個のアミノ酸残基を含み得る。
【0063】
特定の実施形態では、第1のリンカーペプチドは、アラニンプロリン反復(すなわち、AP反復)を含有することができ、APジペプチドはAP単位と称され得る。AP反復は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、又は27個のAP単位を含み得る。特定の実施形態では、第1のリンカーペプチドは、例えば、2~25個のAP単位、5~25個の単位、4~23個のAP単位、6~21個のAP単位、8~19個のAP単位、10~17個のAP単位、12~15個のAP単位、5~10個のAP単位、5~15個のAP単位、10~25個のAP単位、15~25個のAP単位、20~25個のAP単位、又はそれらの間の任意の値を含み得る。特定の実施形態では、AP反復は、アラニンセリンジペプチド(すなわち、AS単位)及びグリシン-セリンジペプチド(すなわち、GS単位)に内在し得る。AS単位は、例えば、第1のリンカーペプチドのアミノ末端に存在し得る。GS単位は、例えば、第1のリンカーペプチドのカルボキシル末端に存在し得る。
【0064】
特定の実施形態では、第1のリンカーペプチドは、グリシン-グリシン-グリシン-グリシン-セリン反復(すなわち、GS反復)を含有し得、GSペンタペプチドはGS単位と称され得る。GS反復は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15個のGS単位を含み得る。特定の実施形態では、第1のリンカーペプチドは、例えば、2~15個のGS単位、4~13個のGS単位6~11個のGS単位、8~9個のGS単位、2~8個のGS単位、2~6個のGS単位、6~8個のGS単位、7~8個のGS単位、7~9個のGS単位、7~10個のGS単位、又はこれらの間の任意の値を含み得る。特定の実施形態では、AS又はGS単位は、例えば、第1のリンカーペプチドのアミノ末端に存在し得る。
【0065】
特定の実施形態では、第1のリンカーペプチドは、グリシン-グリシン-グリシン-グリシン-アラニン反復(すなわち、GA反復)を含有し得、GAペンタペプチドはGA単位と称され得る。GA反復は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15個のGA単位を含み得る。特定の実施形態では、第1のリンカーペプチドは、例えば、2~15個のGA単位、4~13個のGA単位6~11個のGA単位、8~9個のGA単位、2~8個のGA単位、2~4個のGA単位、2~6個のGA単位、4~6個のGA単位、4~8個のGA単位、6~8個のGA単位、6~9個のGA単位、6~10個のGA単位、又はこれらの間の任意の値を含むことができる。特定の実施形態では、グリシン-アラニンジペプチド(すなわち、GA単位)単位は、例えば、第1のリンカーペプチドのアミノ末端に存在し得る。
【0066】
特定の実施形態では、第1のリンカーペプチドは、ポリグリシンペプチドであり得る。ポリグリシンペプチドは、約6~約50個のグリシン残基、約10~約45個のグリシン残基、約15~約40個のグリシン残基、約20~約35個のグリシン残基、約25~約30個のグリシン残基、約20~約25個のグリシン残基、又はこれらの間の任意の数を含み得る。ポリグリシンの第1のリンカーペプチドは、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50個のグリシン残基を含み得る。
【0067】
第1のリンカーペプチド配列は、以下の基準:(i)発現収率及び純度、(ii)インビトロ効力、(iii)インビトロ安定性、(iv)セリンキシロシル化又はセリンキシロシル化の可能性の欠如、並びに(v)GLP1-GDF15融合タンパク質の特性(例えば、インビボ安定性及びインビボ効力(すなわち、GLP1又はGLP1変異体ペプチド及びGDF15又はGDF15変異体タンパク質が、それぞれ、GLP1R及びGDF15R(GFRAL)受容体に対するアゴニスト活性を有することができるかどうか))のうちの少なくとも1つに基づいて選択され得る。
【0068】
【表2】
【0069】
血清アルブミンタンパク質
本明細書では、第3の構成要素を含むGLP1-GDF15融合タンパク質が提供され、第3の構成要素は、血清アルブミンタンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン(HSA)タンパク質又はゴリラ血清アルブミン(GSA)タンパク質)である。天然のヒト血清アルブミンタンパク質は、17個のジスルフィド結合を形成する35個のシステイン(Cys、C)残基を含んでおり、Cysー34残基が分子中で唯一の遊離システインである。この遊離Cysー34は、複数の活性酸素種(ROS)及び活性窒素種(RNS)を捕獲することにより、フリーラジカルスカベンジャーとして機能することがわかっている(Taverna et al.,Ann.Intensive Care 3:4(2013))。この遊離Cysをセリン(Ser)に変異させて酸化による不均一性が生じるリスクを最小化した。
【0070】
血清アルブミンタンパク質は、表3に提供される配列のうちの1つを含み得る。血清アルブミンタンパク質は、表3に提供される配列のうちの1つと少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を含み得る。血清アルブミンタンパク質配列は、以下の基準:(i)インビトロ安定性、(ii)インビトロ効力、(iii)GLP1-GDF15融合タンパク質の特性(例えば、インビボ安定性及びインビボ効力(すなわち、GLP1又はGLP1変異体ペプチド及びGDF15又はGDF15変異体タンパク質が、それぞれ、GLP1R及びGDF15R受容体に対するアゴニスト活性を有することができるかどうか))のうちの少なくとも1つに基づいて選択され得る。
【0071】
【表3】
【0072】
第2のリンカーペプチド:カルボキシ末端リンカー(C末端リンカー)
本明細書では、第4の構成要素を含むGLP1-GDF15融合タンパク質が提供され、第4の構成要素は、第2のリンカーペプチド(すなわち、カルボキシ末端リンカーペプチド)である。第2のリンカーペプチドは、表4に提供される配列のうちの1つを含み得る。第2のリンカーペプチドは、表4に提供される配列のうちの1つと少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を含み得る。
【0073】
第2のリンカーペプチドは、例えば、約5~約60個のアミノ酸残基、約10~約50個のアミノ酸残基、約10~約60個のアミノ酸残基、約5~約50個のアミノ酸残基、約15~約40アミノ酸残基、約12~約30アミノ酸残基、約12~約42アミノ酸残基、約20~約25アミノ酸残基、約8~約48個のアミノ酸残基、約10~約46アミノ酸残基、約12~約44アミノ酸残基、約14~約42アミノ酸残基、約16~約40アミノ酸残基、約18~約38アミノ酸残基、約20~約36個のアミノ酸残基、約20~約42個のアミノ酸残基、約22~約34個のアミノ酸残基、約24~約32個のアミノ酸残基、約26~約30個のアミノ酸残基、又はそれらの間の任意の値を含み得る。第2のリンカーペプチドは、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、又は60個のアミノ酸残基を含み得る。
【0074】
特定の実施形態では、第2のリンカーペプチドは、アラニンプロリン反復(すなわち、AP反復)を含有することができ、APジペプチドはAP単位と称され得る。AP反復は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、又は27個のAP単位を含み得る。特定の実施形態では、第2のリンカーペプチドは、例えば、2~25個のAP単位、5~25個の単位、4~23個のAP単位、6~21個のAP単位、8~19個のAP単位、10~17個のAP単位、12~15個のAP単位、5~10の単位、5~15個の単位、10~25個の単位、15~25個の単位、20~25個の単位、又はそれらの間の任意の値を含み得る。特定の実施形態では、AP反復は、アラニンセリンジペプチド(すなわち、AS単位)及びグリシン-セリンジペプチド(すなわち、GS単位)に内在し得る。AS単位は、例えば、第2のリンカーペプチドのアミノ末端に存在し得る。GS単位は、例えば、第2のリンカーペプチドのカルボキシル末端に存在し得る。
【0075】
特定の実施形態では、第2のリンカーペプチドは、グリシン-グリシン-グリシン-グリシン-セリン反復(すなわち、GS反復)を含有し得、GSペンタペプチドはGS単位と称され得る。GS反復は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15個のGS単位を含み得る。特定の実施形態では、第2のリンカーペプチドは、例えば、2~15個のGS単位、4~13個のGS単位6~11個のGS単位、8~9個のGS単位、2~8個のGS単位、2~6個のGS単位、6~8個のGS単位、7~8個のGS単位、7~9個のGS単位、7~10個のGS単位、又はこれらの間の任意の値を含み得る。特定の実施形態では、AS又はGS単位は、例えば、第2のリンカーペプチドのアミノ末端に存在し得る。
【0076】
特定の実施形態では、第2のリンカーペプチドは、グリシン-グリシン-グリシン-グリシン-アラニン反復(すなわち、GA反復)を含有し得、GAペンタペプチドはGA単位と称され得る。GA反復は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15個のGA単位を含み得る。特定の実施形態では、第2のリンカーペプチドは、例えば、2~15個のGA単位、4~13個のGA単位6~11個のGA単位、8~9個のGA単位、2~8個のGA単位、2~4個のGA単位、2~6個のGA単位、4~6個のGA単位、4~8個のGA単位、6~8個のGA単位、6~9個のGA単位、6~10個のGA単位、又はこれらの間の任意の値を含むことができる。特定の実施形態では、グリシン-アラニンジペプチド(すなわち、GA単位)単位は、例えば、第2のリンカーペプチドのアミノ末端に存在し得る。
【0077】
特定の実施形態では、第2のリンカーペプチドは、ポリグリシンペプチドであり得る。ポリグリシンペプチドは、約6~約50個のグリシン残基、約10~約45個のグリシン残基、約15~約40個のグリシン残基、約20~約35個のグリシン残基、約25~約30個のグリシン残基、約20~約25個のグリシン残基、又はこれらの間の任意の数を含み得る。ポリグリシンの第2のリンカーペプチドは、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50個のグリシン残基を含み得る。
【0078】
第2のリンカーペプチド配列は、以下の基準:(i)発現収率及び純度、(ii)インビトロ効力、(iii)インビトロ安定性、(iv)セリンキシロシル化又はセリンキシロシル化の可能性の欠如、並びに(v)GLP1-GDF15融合タンパク質の特性(例えば、インビボ安定性及びインビボ効力(すなわち、GLP1又はGLP1変異体ペプチド及びGDF15又はGDF15変異体タンパク質が、それぞれ、GLP1R及びGDF15R(GFRAL)受容体のアゴニスト活性を有することができるかどうか))のうちの少なくとも1つに基づいて選択され得る。
【0079】
【表4】
【0080】
GDF15又はGDF15変異体タンパク質
増殖分化因子15(GDF15)は、トランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)スーパーファミリーに属するタンパク質である。GDF15は、25-kDa二量体として循環する分泌タンパク質である。GDF15は、前立腺由来因子(PDF)、マクロファージ阻害性サイトカイン-1(MIC-1)、NSAID(非ステロイド性抗炎症薬)活性化遺伝子(NAG-1)及び胎盤TGF-β(PTGFβ)とも称される。
【0081】
GDF15機能は、まだ完全に解明されていないが、エネルギー恒常性、体重調節、並びに癌及び慢性疾患によって引き起こされる悪液質を含むが、これらに限定されない、複数の生物過程に関与している。薬理学的に投与されたGDF15がエネルギー摂取を減少させ、それによって体重減少を誘発する可能性は、マウス、ラット、及びサルにおいて実証されている。(Johnen et al.,Nat Med 13:1333-40(2007),Hsu et al.,Nature 550:255-9(2017),Mullican et al.,Nat Med 23:1150-7(2017),Tsai et al.,Int J Obesity 42:561-71(2018))。GDF15投与によって媒介される体重減少は、グルコース恒常性の強化及び血漿トリグリセリド及びコレステロールの低下を含む代謝改善をもたらす(Xiong et al.,Sci Trans Med 9:412(2017))。
【0082】
GDF15は、GDNFファミリー受容体α様(GFRAL)に結合し、膜貫通受容体は、脳幹のニューロンにのみ存在する(Mullican et al.,Hsu et al,Yang et al.,Emmerson et al.)。GDF15結合時に、GFRALは、AKT、ERK、及びPLCγの翻訳後修飾を含む下流細胞内リン酸化カスケードを刺激するチロシンキナーゼ、RETと複合体を形成する。このカスケードの追加の分子及び細胞成分は、まだ解明されていないが、GDF15/GFRALシグナル伝達の最終的な効果は、食物摂取の減少及び体重減少である(Mullican and Rangwala,2018)。
【0083】
本明細書では、第5の構成要素を含むGLP1-GDF15融合タンパク質が提供され、第5の成分は、GDF15又はGDF15変異体タンパク質である。GDF15タンパク質は、表5に提供される配列を含み得、GDF15変異体タンパク質は、表5に提供される配列の変異体を含み得る。GDF15又はGDF15変異体タンパク質は、表5に提供される配列のうちの1つと少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を含み得る。GDF15及び/又はGDF15変異体タンパク質配列は、以下の基準:(i)発現収率及び純度、(ii)インビトロ安定性、(iii)インビトロ効力、(iv)GLP1又はGLP1変異体タンパク質との組み合わせにおけるインビトロ効力の保持、(v)セリンキシロシル化又はセリンキシロシル化の可能性の欠如、並びに(vi)GLP1-GDF15変異体タンパク質の特性(例えば、インビボ安定性、インビボ効力(すなわち、GLP1又はGLP1変異体ペプチド及びGDF15又はGDF15変異体タンパク質が、それぞれ、GLP1R及びGDF15R(GFRAL)受容体に対するアゴニスト活性を有することができるかどうか))のうちの少なくとも1つに基づいて選択され得る。
【0084】
GLP1-GDF15融合タンパク質の第5の構成要素を構成するGDF15又はGDF15変異体タンパク質は、天然のGDF15R(GFRAL)を活性化するのに十分な相同性及び機能性を有するタンパク質を包含することが意図される。GDF15又はGDF15変異体タンパク質は、脳幹中のGFRALに結合することができ、その結果、天然GDF15がこれらのニューロンにおいてGFRALに結合するときと同じシグナル伝達経路を生じさせ、食物摂取に対する同じ影響を呈するように設計される。
【0085】
【表5】
【0086】
GLP1-GDF15融合タンパク質
本明細書では、前述のように第1、第2、第3、第4、及び第5の構成要素を含むGLP1-GDF15融合タンパク質が提供される。第1の構成要素は、GLP1又はGLP1変異体ペプチドであり、第2の構成要素は第1のリンカーペプチドであり、第3の構成要素は血清アルブミンタンパク質であり、第4の構成要素は第2のリンカーペプチドであり、第5の構成要素はGDF15又はGDF15変異体タンパク質である。GLP1-GDF15融合タンパク質は、表6に提供される配列のうちの1つを含み得る。GLP1-GDF15融合タンパク質は、表6に提供される配列のうちの1つと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を含み得る。GLP1-GDF15融合タンパク質は、以下の基準:(i)発現収率及び純度、(ii)インビトロ効力、(iii)インビトロ安定性、(iv)セリンキシロシル化の欠如、(v)GLP1-GDF15融合タンパク質の物理的特性(例えば、インビボ安定性及びインビボ効力(すなわち、GLP1又はGLP1変異体ペプチド及びGDF15又はGDF15変異体タンパク質が、それぞれ、GLP1R及びGDF15Rに対するアゴニスト活性を有することができるかどうか))、並びに(vi)インビボにおける二重アゴニズム薬理学の所望のバランスのうちの少なくとも1つに基づいて選択され得る。
【0087】
一分子中に二重薬理学を送達する融合タンパク質治療にとって、両方のアゴニストが意図される投与量で治療範囲にあるように、それぞれの部分の薬物動態/薬力学(PK/PD)特性を適切に調整することが重要である。GLP1ペプチド又はGLP1変異体ペプチド配列、第1のリンカーペプチド配列、血清アルブミンタンパク質配列、第2のリンカーペプチド配列、及びGDF15又はGDF15変異体タンパク質配列の様々な組み合わせを含む様々なグルカゴン様ペプチド-1(GLP1)-増殖分化因子15(GDF15)融合タンパク質の広範な研究は、GLP1アゴニスト及びGDF15アゴニストの両方の最適なバランス用量を送達する固有の特性を有する新規分子の発見をもたらした。これらの新規GLP1-GDF15融合タンパク質は、特異的用量範囲で使用される場合、HSA-GDF15としてインビボでGDF15R(GFRAL)を会合するのに有効であることが実証された(実施例11を参照のこと)。更に、同じ用量範囲で使用されるGLP1-GDF15融合タンパク質(実施例11を参照のこと)は、GLP 1部分の曝露量がデュラグルチドの10~30倍であるにもかかわらず、副作用もなく、デュラグルチド(GLP1-Fc)としてGLP1Rを会合するのに予想外に有効であった。HSA-GDF15との融合としてのGLP1ペプチドの送達は、GLP1部分のインビボ効力を予想外に変更したが、新規なグルカゴン様ペプチド-1(GLP1)-増殖分化因子15(GDF15)融合タンパク質が両方のアゴニストの最適なバランスを有することを可能にした。
【0088】
【表6-1】
【0089】
【表6-2】
【0090】
【表6-3】
【0091】
【表6-4】
【0092】
【表6-5】
【0093】
【表6-6】
【0094】
【表6-7】
【0095】
【表6-8】
【0096】
【表6-9】
【0097】
【表6-10】
【0098】
【表6-11】
【0099】
【表6-12】
【0100】
【表6-13】
【0101】
【表6-14】
【0102】
GLP1-GDF15融合ポリヌクレオチド及びベクター
別の一般的な態様において、本発明は、本発明のGLP1-GDF15融合タンパク質をコードする単離核酸に関する。タンパク質のアミノ酸配列を変えることなく、タンパク質のコード配列を変える(例えば置換する、欠失する、挿入するなど)ことができることが、当業者には理解されよう。したがって、本発明の融合タンパク質をコードする核酸配列を、タンパク質のアミノ酸配列を変えずに変化させることができる点は当業者には理解されるであろう。
【0103】
別の一般的な態様において、本発明は、本発明の融合タンパク質をコードする単離核酸を含むベクターに関する。プラスミド、コスミド、ファージベクター、又はウイルスベクターなどの、本開示の観点から当業者に公知の任意のベクターも使用することができる。いくつかの実施形態では、ベクターは、プラスミドなどの組換え発現ベクターである。ベクターは、例えば、プロモーター、リボソーム結合エレメント、ターミネーター、エンハンサー、選択マーカー、及び複製起点という、発現ベクターの従来の機能を確立するための任意のエレメントを含むことができる。プロモーターは、常時発現型、誘導型、又は再形成可能なプロモーターであり得る。細胞に核酸を送達することができる多数の発現ベクターが当技術分野において知られており、細胞内で融合タンパク質を生成するために、本明細書で使用することができる。従来のクローニング技術、又は人工遺伝子合成を使用して、本発明の実施形態に従った組換え発現ベクターを生成することができる。
【0104】
別の一般的な態様において、本発明は、本発明の融合タンパク質をコードする単離核酸を含む宿主細胞に関する。本開示の観点から、当業者に知られている任意の宿主細胞を、本発明の融合タンパク質の組換え発現に使用することができる。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、大腸菌TG1又はBL21細胞、CHO-DG44若しくはCHO-K1細胞、又はHEK293細胞である。特定の実施形態によれば、組換え発現ベクターは、組換え核酸が効果的に発現するように宿主細胞ゲノムに安定的に組み込まれる、化学的トランスフェクション、熱ショック、又はエレクトロポレーションなどの従来の方法によって宿主細胞に形質転換される。
【0105】
別の一般的な態様では、本発明は、本発明の融合タンパク質を生成する条件下で融合タンパク質をコードする核酸を含む細胞を培養することと、細胞又は細胞培養物から(例えば、上清から)融合タンパク質を回収することと、を含む、本発明の融合タンパク質を生成する方法に関する。発現された融合タンパク質は、当該技術分野において既知の従来技術に従って、また、本明細書に記載されるように、細胞から採取し、精製することができる。
【0106】
医薬組成物
別の一般的な態様では、本発明は、本発明のGLP1-GDF15融合タンパク質及び/又はGLP1-GDF15融合ポリヌクレオチド、並びに医薬上許容できる担体を含む医薬組成物に関する。本明細書で使用されるとき、用語「医薬組成物」は、医薬上許容できる担体と一緒に本発明のGLP1-GDF15融合タンパク質及び/又はGLP1-GDF15融合ポリヌクレオチドを含む生成物を意味する。本発明のGLP1-GDF15融合タンパク質及び/又はGLP1-GDF15融合ポリヌクレオチド、並びにそれらを含む組成物は、本明細書で言及される治療用途のための薬剤の製造にも有用である。
【0107】
本明細書で使用するとき、用語「担体」は、任意の賦形剤、希釈剤、充填剤、塩、バッファ、安定剤、可溶化剤、油、脂質、脂質含有小胞、ミクロスフェア、リポソーム封入体、又は医薬製剤で使用するための当該技術分野で周知の他の材料を指す。担体、賦形剤又は希釈剤の特性は、特定の用途の投与経路によって決まる点は理解されよう。本明細書で使用するとき、用語「医薬上許容できる担体」は、本発明による組成物の効果にも本発明による組成物の生物活性にも干渉しない無毒性材料を指す。特定の実施形態によれば、本開示を考慮して、ペプチド医薬組成物での使用に好適な医薬上許容できる任意の担体を本発明で使用することができる。
【0108】
本発明において使用するための医薬上許容できる酸性/アニオン性の塩としては、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、酒石酸水素塩、臭化物、エデト酸カルシウム、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストル酸塩、エシル酸塩、フマル酸塩、グリセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘキシルレソルシン酸塩、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル臭化物、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、ムコ酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、パモ酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシル酸塩、及びトリエチオジドが挙げられるが、これらに限定されない。また、有機酸又は無機酸としては、ヨウ化水素酸、過塩素酸、硫酸、リン酸、プロピオン酸、グリコール酸、メタンスルホン酸、ヒドロキシエタンスルホン酸、シュウ酸、2-ナフタレンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、シクロヘキサンスルファミン酸、サッカリン酸又はトリフルオロ酢酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0109】
薬学的に許容され得る塩基性/カチオン性の塩としては、アルミニウム、2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-プロパン-1,3-ジオール(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、トロメタン、又は「TRIS」としても知られる)、アンモニア、ベンザチン、t-ブチルアミン、カルシウム、クロロプロカイン、コリン、シクロへキシルアミン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、リチウム、L-リシン、マグネシウム、メグルミン、N-メチル-D-グルカミン、ピペリジン、カリウム、プロカイン、キニーネ、ナトリウム、トリエタノールアミン、又は亜鉛が挙げられるが、これらに限定されない。
【0110】
本発明のいくつかの実施形態では、約0.001mg/mL~約100mg/mL、約0.01mg/mL~約50mg/mL、又は約0.1mg/mL~約25mg/mLの量で本発明のGLP1-GDF15融合タンパク質及び/又はGLP1-GDF15融合ポリヌクレオチドを含む医薬製剤が提供される。医薬製剤は、約3.0~約10、例えば、約3~約7、又は約5~約9のpHを有し得る。製剤は更に、緩衝系、防腐剤(複数可)、等張化剤(複数可)、キレート剤(複数可)、安定化剤(複数可)、及び界面活性剤(複数可)からなる群から選択される、少なくとも1つの成分を含み得る。
【0111】
医薬上許容できる担体を有する医薬的活性成分の製剤は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(例えば21st edition(2005)及びそれ以降の任意の改訂版)にあるように、当該技術分野において既知である。追加成分の非限定的な例としては、緩衝剤、希釈剤、溶媒、張度調節剤、防腐剤、安定剤、及びキレート剤が挙げられる。1つ以上の医薬上許容できる担体が、本発明の医薬組成物の製剤化において使用され得る。
【0112】
本発明の一実施形態では、医薬組成物は液体製剤である。液体製剤の好ましい例は、水性製剤、すなわち、水を含む製剤である。液体製剤は、溶液、懸濁液、エマルジョン、マイクロエマルジョン、ゲルなどを含んでいてよい。水性製剤は、典型的には、少なくとも50%w/wの水、又は少なくとも60%、70%、75%、80%、85%、90%、又は少なくとも95%w/wの水を含む。
【0113】
一実施形態では、医薬組成物は、例えば注射デバイス(例えば、注射器又は注入ポンプ)を介して注射することができる注射剤として製剤化され得る。注射によると、例えば、皮下、筋肉内、腹腔内、又は静脈内に送達され得る。
【0114】
別の実施形態では、医薬組成物は、固体製剤、例えば、そのまま使用することができるか、又は医師若しくは患者が使用前に溶媒及び/若しくは希釈剤を添加する、凍結乾燥又は噴霧乾燥組成物である。固体剤形としては、圧縮錠剤及び/又はコーティング錠剤などの錠剤、並びにカプセル剤(例えば、硬又は軟ゼラチンカプセル)を挙げることができる。医薬組成物はまた、例えば、サッシェ、糖衣錠、粉末、顆粒、トローチ、又は再構成用の粉末の形態であってもよい。
【0115】
剤形は即時放出であってもよく、その場合、当該剤形は、水溶性若しくは分散性担体を含んでいてよく、又は遅延放出、持続放出、若しくは調節放出であってもよく、その場合、当該剤形は、胃腸管における剤形の溶解速度を制御する非水溶性ポリマーを含んでいてよい。
【0116】
他の実施形態では、医薬組成物は、鼻腔内、頬内、又は舌下に送達され得る。
【0117】
水性製剤のpHは、pH3~pH10であり得る。本発明の一実施形態では、製剤のpHは約7.0~約9.5である。本発明の別の実施形態では、製剤のpHは約3.0~約7.0である。
【0118】
本発明の別の実施形態では、医薬組成物は緩衝剤を含む。緩衝剤の非限定的な例としては、アルギニン、アスパラギン酸、ビシン、シトレート、リン酸一水素二ナトリウム、フマル酸、グリシン、グリシルグリシン、ヒスチジン、リジン、マレイン酸、リンゴ酸、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸ナトリウム、コハク酸塩、酒石酸、トリシン、及びトリス(ヒドロキシメチル)-アミノメタン、及びこれらの混合物が挙げられる。緩衝液は、個々に又は凝集体中に、約0.01mg/mL~約50mg/mL、例えば、約0.1mg/mL~約20mg/mLの濃度で存在し得る。これらの具体的な緩衝剤の各1つを含む医薬組成物は、本発明の代替実施形態を構成する。
【0119】
本発明の別の実施形態では、医薬組成物は防腐剤を含む。防腐剤の非限定的な例としては、塩化ベンゼトニウム、安息香酸、ベンジルアルコール、ブロノポール、ブチル4-ヒドロキシベンゾエート、クロロブタノール、クロロクレゾール、クロロヘキシジン、クロルフェネシン、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、エチル4-ヒドロキシベンゾエート、イミド尿素、メチル4-ヒドロキシベンゾエート、フェノール、2-フェノキシエタノール、2-フェニルエタノール、プロピル4-ヒドロキシベンゾエート、デヒドロ酢酸ナトリウム、チオメロサール、及びこれらの混合物が挙げられる。防腐剤は、個々に又は凝集体中に、約0.01mg/mL~約50mg/mL、例えば約0.1mg/mL~約20mg/mLの濃度で存在し得る。これらの具体的な防腐剤の各1つを含む医薬組成物は、本発明の代替実施形態を構成する。
【0120】
本発明の別の実施形態では、医薬組成物は、等張剤を含む。本実施形態の非限定的な例としては、塩(塩化ナトリウムなど)、アミノ酸(グリシン、ヒスチジン、アルギニン、リジン、イソロイシン、アスパラギン酸、トリプトファン、及びスレオニンなど)、アルジトール(グリセロール、1,2-プロパンジオールプロピレングリコールなど)、1,3-プロパンジオール、及び1,3-ブタンジオールなど)、ポリエチレングリコール(例えば、PEG400)、並びにこれらの混合物が挙げられる。等張剤の別の例としては、糖が挙げられる。糖の非限定的な例は、例えば、フルクトース、グルコース、マンノース、ソルボース、キシロース、マルトース、ラクトース、スクロース、トレハロース、デキストラン、プルラン、デキストリン、シクロデキストリン、アルファ及びベータ-HPCD、可溶性澱粉、ヒドロキシエチル澱粉、及びカルボキシメチルセルロースナトリウムを含む、単糖類、二糖類、若しくは多糖類、又は水溶性グルカンであり得る。等張剤の別の例は、糖アルコールであり、用語「糖アルコール」は、少なくとも1つの-OH基を有するC(4~8)炭化水素として定義される。糖アルコールの非限定的な例としては、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、ガラクチトール、ズルシトール、キシリトール、及びアラビトールが挙げられる。本段落に列記される各等張剤を含む医薬組成物は、本発明の代替実施形態を構成する。等張剤は、個々に又は凝集体中に、約0.01mg/mL~約50mg/mL、例えば約0.1mg/mL~約20mg/mLの濃度で存在し得る。これらの具体的な等張剤の各1つを含む医薬組成物は、本発明の代替実施形態を構成する。
【0121】
本発明の別の実施形態では、医薬組成物はキレート剤を含む。キレート剤の非限定的な例としては、クエン酸、アスパラギン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)の塩、及びこれらの混合物が挙げられる。キレート剤は、個々に又は凝集体中に、約0.01mg/mL~約50mg/mL、例えば約0.1mg/mL~約20mg/mLの濃度で存在し得る。これらの具体的なキレート剤の各1つを含む医薬組成物は、本発明の代替実施形態を構成する。
【0122】
本発明の別の実施形態では、医薬組成物は安定剤を含む。安定剤の非限定的な例としては、1つ以上の凝集阻害剤、1つ又は2つ以上の酸化阻害剤、1つ又は2つ以上の界面活性剤、及び/又は、1つ以上のプロテアーゼ阻害剤が挙げられる。
【0123】
本発明の別の実施形態では、医薬組成物は安定剤を含み、当該安定剤は、カルボキシ-/ヒドロキシセルロース及びそれらの誘導体(HPC、HPC-SL、HPC-L、及びHPMCなど)、シクロデキストリン、2-メチルチオエタノール、ポリエチレングリコール(PEG 3350など)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、塩(塩化ナトリウムなど)、硫黄含有物質、例えばモノチオグリセロール)、又はチオグリコール酸である。安定剤は、個々に又は凝集体中に、約0.01mg/mL~約50mg/mL、例えば約0.1mg/mL~約20mg/mLの濃度で存在し得る。これらの具体的な安定剤の各1つを含む医薬組成物は、本発明の代替実施形態を構成する。
【0124】
本発明の更なる実施形態では、医薬組成物は、1つ以上の界面活性剤、好ましくは界面活性剤、少なくとも1つの界面活性剤、又は2つの異なる界面活性剤を含む。「界面活性剤」という用語は、水溶性(親水性)部分及び脂溶性(親油性)部分から構成される任意の分子又はイオンを指す。界面活性剤は、例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及び/又は双性界面活性剤からなる群から選択され得る。界面活性剤は、個々に又は凝集体中に、約0.1mg/mL~約20mg/mLの濃度で存在し得る。これらの具体的な界面活性剤の各1つを含む医薬組成物は、本発明の代替実施形態を構成する。
【0125】
本発明の更なる実施形態では、医薬組成物は、1つ以上のプロテアーゼ阻害剤、例えば、EDTA、及び/又はベンズアミジン塩酸(HCl)を含む。プロテアーゼ阻害剤は、個々に又は凝集体中に、約0.1mg/mL~約20mg/mLの濃度で存在し得る。これらの具体的なプロテアーゼ阻害剤の各1つを含む医薬組成物は、本発明の代替実施形態を構成する。
【0126】
本発明の医薬組成物は、組成物の保管中のポリペプチド凝集体の形成を減少させるのに十分な量のアミノ酸塩基を含み得る。「アミノ酸塩基」という用語は、1つ又は2つ以上のアミノ酸(メチオニン、ヒスチジン、イミダゾール、アルギニン、リシン、イソロイシン、アスパラギン酸、トリプトファン、スレオニンなど)、又はこれらのアナログを指す。任意のアミノ酸は、その遊離塩基形態又はその塩形態のいずれかで存在し得る。アミノ酸塩基の任意の立体異性体(すなわち、L、D、又はこれらの混合物)が存在し得る。アミノ酸塩基は、個々に又は他のアミノ酸塩基と組み合わせて、約0.01mg/mL~約50mg/mL、例えば約0.1mg/mL~約20mg/mLの濃度で存在し得る。これらの具体的なアミノ酸塩基の各1つを含む医薬組成物は、本発明の代替実施形態を構成する。
【0127】
本発明のGLP1-GDF15融合タンパク質及び/又はGLP1-GDF15融合ポリヌクレオチドの医薬上許容できる塩としては、無機又は有機の酸又は塩基から形成される、従来の非毒性の塩又は第四級アンモニウム塩が挙げられる。かかる酸付加塩の例としては、酢酸塩、アジピン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、クエン酸塩、樟脳酸塩、ドデシル硫酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩及び酒石酸塩が挙げられる。塩基性塩としては、アンモニウム塩、ナトリウム塩及びカリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、ジシクロヘキシルアミノ塩などの有機塩基との塩、並びにアルギニンなどのアミノ酸との塩が挙げられる。更に、塩基性の窒素含有基は、例えばハロゲン化アルキルによって第四級化されていてもよい。
【0128】
本発明の医薬組成物は、その意図する目的を実現する任意の手段によって投与することができる。例としては、非経口、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、経皮的、口内又は眼内投与が挙げられる。経口経路により投与してもよい。非経口投与に適する製剤としては、水溶性形態の活性コンジュゲートの水溶液、例えば、水溶性の塩、酸性溶液、アルカリ性溶液、デキストロース水溶液、等張炭水化物溶液、及びシクロデキストリン包接錯体が挙げられる。
【0129】
本発明はまた、医薬上許容できる担体を本発明のGLP1-GDF15融合タンパク質及び/又はGLP1-GDF15融合ポリヌクレオチドのいずれかと混合することを含む、医薬組成物の作製方法も包含する。加えて、本発明は、1つ以上の医薬上許容できる担体を本発明のGLP1-GDF15融合タンパク質及び/又はGLP1-GDF15融合ポリヌクレオチドのいずれかと混合することによって作製される医薬組成物を含む。
【0130】
更に、本発明のGLP1-GDF15融合タンパク質及び/又はGLP1-GDF15融合ポリヌクレオチドは、1つ以上の結晶多形又は非晶質結晶形を有していてもよく、これも本発明の範囲に含まれることが意図される。加えて、GLP1-GDF15融合タンパク質及び/又はGLP1-GDF15融合ポリヌクレオチドは、例えば水(すなわち、水和物)又は一般的な有機溶媒と溶媒和物を形成してもよい。本明細書で使用されるとき、用語「溶媒和物」は、本発明のGLP1-GDF15融合タンパク質及び/又はGLP1-GDF15融合ポリヌクレオチドと1つ以上の溶媒分子との物理的会合を意味する。この物理的会合は、水素結合など、イオン結合及び共有結合の度合いの変化を伴う。特定の場合では、例えば1つ以上の溶媒分子が結晶質固体の結晶格子に組み込まれているとき、この溶媒和物を単離することができるようになる。用語「溶媒和物」は、溶液相溶媒和物と、単離可能な溶媒和物の両方を包含するものとする。好適な溶媒和物の非限定的な例としては、エタノレート、メタノレートなどが挙げられる。
【0131】
本発明の範囲には、本発明のGLP1-GDF15融合タンパク質及び/又はGLP1-GDF15融合ポリヌクレオチドの結晶多形及び溶媒和物が含まれるものとする。ゆえに、本発明の治療方法における用語「投与」には、本発明のGLP1-GDF15融合タンパク質及び/又はGLP1-GDF15融合ポリヌクレオチド、あるいは具体的に開示されていなくとも、明らかに本発明の範囲内に含まれるであろう多形体又はその溶媒和物を用いて、本明細書に記載の症候群、障害、又は疾患を治療する、寛解させる、又は予防する手段が含まれる。
【0132】
別の実施形態では、本発明は、薬剤として使用するための本発明のGLP1-GDF15融合タンパク質及び/又はGLP1-GDF15融合ポリヌクレオチドに関する。
【0133】
本発明は、その範囲内に、本発明のGLP1-GDF15融合タンパク質及び/又はGLP1-GDF15融合ポリヌクレオチドのプロドラッグを含む。一般に、このようなプロドラッグは、GLP1-GDF15融合タンパク質及び/又はGLP1-GDF15融合ポリヌクレオチドの機能性誘導体であり、これは、必要なGLP1-GDF15融合タンパク質及び/又はGLP1-GDF15融合ポリヌクレオチドにインビボで容易に変換可能である。したがって、本発明の治療方法における用語「投与」には、本明細書に記載される様々な障害の、具体的に開示されたGLP1-GDF15融合タンパク質及び/又はGLP1-GDF15融合ポリヌクレオチドによる治療か、又は具体的に開示されていなくとも、患者への投与後にインビボで特定のGLP1-GDF15融合タンパク質及び/又はGLP1-GDF15融合ポリヌクレオチドに変換されるGLP1-GDF15融合タンパク質及び/又はGLP1-GDF15融合ポリヌクレオチドによる治療が含まれるものとする。好適なプロドラッグ誘導体の選択及び調製に関する従来の手順は、例えば、「Design of Prodrugs」(Ed.H.Bundgaard、Elsevier,1985)に記載されている。
【0134】
本発明のGLP1-GDF15融合タンパク質及び/又はGLP1-GDF15融合ポリヌクレオチドを調製する過程のいずれかの間、関連する分子のいずれかにおける感受性基又は反応性基を保護することが必要である及び/又は望ましい場合がある。これは、Protective Groups in Organic Chemistry,ed.J.F.W.McOmie,Plenum Press,1973、及びT.W.Greene & P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley & Sons,1991(それらのそれぞれは、全ての目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。)に記載されるものなど、従来の保護基の手段によって達成され得る。保護基は、好都合な後続段階において、当該技術分野で既知の方法を用いて除去することができる。
【0135】
使用方法
本発明は、GDF15受容体(GDF15F、GFRAL)媒介症候群及び/又はGLP1受容体媒介症候群、障害、又は疾患を予防する、治療する、又は寛解させることを、それを必要とする対象において行う方法であって、有効量の本発明のGLP1-GDF15融合タンパク質、GLP1-GDF15融合ポリヌクレオチド、及び/又は医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法を目的とする。
【0136】
本発明は、障害、疾患、若しくは病態、又は当該障害、疾患、若しくは病態のうちの任意の1つ以上の症状を予防する、治療する、その発症を遅延させる、又は寛解させることを、それを必要とする対象において行う方法であって、有効量の本発明のGLP1-GDF15融合タンパク質、GLP1-GDF15融合ポリヌクレオチド、及び/又は医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法も提供する。
【0137】
特定の実施形態によると、疾患障害、又は病態は、肥満、I型又はII型糖尿病、メタボリックシンドローム(すなわち、シンドロームX)、インスリン抵抗性、耐糖能異常(例えば、耐糖能)、高血糖症、高インスリン血症、高トリグリセリド血症、先天性高インスリン症(CHI)による低血糖、脂質異常症、アテローム性動脈硬化症、糖尿病性腎症、並びに管理されていないコレステロール及び/若しくは脂質レベルに関連する高血圧及び心血管危険因子などの他の心血管危険因子、骨粗鬆症、炎症、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、腎疾患、湿疹、睡眠時無呼吸症、変形性関節症、多嚢胞性卵巣症候群、慢性腎臓病、うつ病、及び/又は癌からなる群から選択される。
【0138】
特定の実施形態によれば、治療有効量は、以下の効果のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上を実現するのに十分である治療量を指す:(i)治療される疾患、障害、若しくは病態、又はそれに関連する症状の重症度を低減する、又は寛解させること、(ii)治療される疾患、障害若しくは病態、又はそれに関連する症状の期間を短縮すること、(iii)治療される疾患、障害若しくは病態、又はそれに関連する症状の進行を防止すること、(iv)治療される疾患、障害若しくは病態、又はそれに関連する症状の退縮を生じさせること、(v)治療される疾患、障害又は病態、又はそれに関連する症状の進行又は発症を予防すること、(vi)治療される疾患、障害又は病態、又はそれに関連する症状の再発を防止すること、(vii)治療される疾患、障害、若しくは病態、又はそれに関連する症状を有する対象の入院を減少させること、(viii)治療される疾患、障害若しくは病態、又はそれに関連する症状を有する対象の入院期間を短縮させること、(ix)治療される疾患、障害又は病態、又はそれに関連する症状を有する対象の生存率を高めること、(iv)対象において治療される疾患、障害若しくは病態、又はそれに関連する症状を阻止又は低減させること、(xii)別の治療の予防効果若しくは治療効果(複数可)を強化又は改善すること、及び/又は(xiii)治療される疾患、障害又は病態を有する対象の生活の質を改善すること。
【0139】
治療有効量又は用量は、治療される疾患、障害又は病態、投与手段、標的部位、対象の生理学的状態(例えば、年齢、体重、健康状態を含む)、対象がヒトであるか動物であるか、投与される他の薬剤、及び、治療が予防的なものであるか治療的なものであるか、などの様々な因子によって異なり得る。治療用量は、安全性及び有効性を最適化するために最適に漸増される。
【0140】
本明細書で使用される場合、「治療する(treat)」、「治療する(treating)」、及び「治療(treatment)」という用語は全て、疾患、障害、又は病態に関連する少なくとも1つの測定可能な物理的パラメータの改善又は逆転を指すものであり、これは対象において必ずしも認識されるとは限らないが、対象において認識可能な場合もある。用語「治療する(treat)」、「治療する(treating)」、及び「治療(treatment)」はまた、疾患、障害、又は病態を退縮させる、その進行を防止する、又は少なくともその進行を遅らせることを指す場合もある。特定の実施形態では、「治療する(treat)」、「治療する(treating)」、及び「治療(treatment)」は、疾患、障害、若しくは病態に関連する1つ以上の症状の緩和、進行若しくは発症の予防、又はその期間の短縮を指す。特定の実施形態では、「治療する」、「治療する」、及び「治療」は、疾患、障害、又は病態の再発の防止を指す。特定の実施形態では、「治療する」、「治療する」、及び「治療」は、疾患、障害、又は病態を有する対象の生存率の向上を指す。特定の実施形態では、「治療する」、「治療する」、及び「治療」は、対象における疾患、障害、又は病態の消失を指す。
【0141】
一実施形態では、本発明は、肥満、又は肥満の任意の1つ以上の症状を予防する、治療する、その発症を遅延させる、又は寛解させることを、それを必要とする対象において行う方法を提供し、この方法は、有効量の本発明のGLP1-GDF15融合タンパク質、GLP1-GDF15融合ポリヌクレオチド、及び/又は医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、対象の体重は、本明細書に記載の本発明のGLP1-GDF15融合タンパク質、GLP1-GDF15融合ポリヌクレオチド、医薬組成物、形態、又は薬剤のいずれかの投与前の対象の体重に対して、又は本明細書に記載の本発明のGLP1-GDF15融合タンパク質、GLP1-GDF15融合ポリヌクレオチド、医薬組成物、形態、薬剤、又は組み合わせのいずれも受けていない対照対象と比較して、例えば、約0.01%~約0.1%、約0.1%~約0.5%、約0.5%~約1%、約1%~約5%、約2%~約3%、約5%~約10%、約10%~約15%、約15%~約20%、約20%~約25%、約25%~約30%、約30%~約35%、約35%~約40%、約40%~約45%、又は約45%~約50%低減される。
【0142】
いくつかの実施形態では、体重の低減は、約1週間、約2週間、約3週間、約1ヶ月間、約2ヶ月間、約3ヶ月間、約4ヶ月間、約5ヶ月間、約6ヶ月間、約7ヶ月間、約8ヶ月間、約9ヶ月間、約10ヶ月間、約11ヶ月間、約1年間、約1.5年間、約2年間、約2.5年間、約3年間、約3.5年間、約4年間、約4.5年間、約5年間、約6年間、約7年間、約8年間、約9年間、約10年間、約15年間、又は約20年間維持される。
【0143】
本発明は、症候群、障害、若しくは疾患、又は当該症候群、障害、若しくは疾患のうちのいずれか1つ以上の症状を予防する、治療する、その発症を遅延させる、又は寛解させることを、それを必要とする対象において行う方法を提供し、当該症候群、障害、又は疾患は、肥満、I型若しくはII型糖尿病、メタボリックシンドローム(すなわち、シンドロームX)、インスリン抵抗性、耐糖能異常(例えば、耐糖能)、高血糖症、高インスリン血症、高トリグリセリド血症、先天性高インスリン症(CHI)による低血糖、脂質異常症、アテローム性動脈硬化症、糖尿病性腎症、並びに管理されていないコレステロール及び/又は脂質レベルに関連する高血圧及び心血管危険因子などの他の心血管危険因子、骨粗鬆症、炎症、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、腎疾患、並びに湿疹からなる群から選択され、この方法は、有効量の本発明のGLP1-GDF15融合タンパク質、GLP1-GDF15融合ポリヌクレオチド、及び/又は医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む。
【0144】
本明細書で使用される場合、メタボリックシンドロームは、高血糖(例えば、高空腹時血糖)、高血圧、異常コレステロールレベル(例えば、低HDLレベル)、異常トリグリセリドレベル(例えば、高トリグリセリド)、太いウエストライン(すなわち、腹囲)、腹部領域の脂肪の増加、インスリン抵抗性、耐糖能障害、高いC反応性タンパク質レベル(すなわち、前炎症状態)、及び血漿プラスミノゲン活性化因子阻害剤-1及びフィブリノーゲンレベル(すなわち、血栓状態)の任意の1つ又は2つ以上を有する対象を指す。
【0145】
本発明は、食物摂取を低減することを、それを必要とする対象において行う方法を提供し、この方法は、有効量の本発明のGLP1-GDF15融合タンパク質、GLP1-GDF15融合ポリヌクレオチド、及び/又は医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、対象の食物摂取は、本明細書に記載の本発明のGLP1-GDF15融合タンパク質、GLP1-GDF15融合ポリヌクレオチド、医薬組成物、形態、又は薬剤のいずれかの投与前の対象の食物摂取に対して、又は本明細書に記載の本発明のGLP1-GDF15融合タンパク質、GLP1-GDF15融合ポリヌクレオチド、医薬組成物、形態、薬剤、又は組み合わせのいずれも受けていない対照対象と比較して、例えば、約0.01%~約0.1%、約0.1%~約0.5%、約0.5%~約1%、約1%~約5%、約2%~約3%、約5%~約10%、約10%~約15%、約15%~約20%、約20%~約25%、約25%~約30%、約30%~約35%、約35%~約40%、約40%~約45%、又は約45%~約50%低減される。
【0146】
いくつかの実施形態では、食物摂取の低減は、約1週間、約2週間、約3週間、約1ヶ月間、約2ヶ月間、約3ヶ月間、約4ヶ月間、約5ヶ月間、約6ヶ月間、約7ヶ月間、約8ヶ月間、約9ヶ月間、約10ヶ月間、約11ヶ月間、約1年間、約1.5年間、約2年間、約2.5年間、約3年間、約3.5年間、約4年間、約4.5年間、約5年間、約6年間、約7年間、約8年間、約9年間、約10年間、約15年間、又は約20年間維持される。
【0147】
本発明は、糖化ヘモグロビン(A1C)を低減することを、それを必要とする対象において行う方法を提供し、この方法は、有効量の本発明のGLP1-GDF15融合タンパク質、GLP1-GDF15融合ポリヌクレオチド、及び/又は医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、対象のA1Cは、本明細書に記載の本発明のGLP1-GDF15融合タンパク質、GLP1-GDF15融合ポリヌクレオチド、組成物、形態、薬剤、若しくは組み合わせのいずれかの投与前の対象のA1Cに対して、又は本明細書に記載の本発明のGLP1-GDF15融合タンパク質、GLP1-GDF15融合ポリヌクレオチド、組成物、形態、薬剤、若しくは組み合わせのいずれも受けていない対照対象と比較して、例えば、約0.001%~約0.01%、約0.01%~約0.1%、約0.1%~約0.2%、約0.2%~約0.3%、約0.3%~約0.4%、約0.4%~約0.5%、約0.5%~約1%、約1%~約1.5%、約1.5%~約2%、約2%~約2.5%、約2.5%~約3%、約3%~約4%、約4%~約5%、約5%~約6%、約6%~約7%、約7%~約8%、約8%~約9%、又は約9%~約10%低減される。
【0148】
他の実施形態では、空腹時血糖レベルを低減することを、それを必要とする対象において行う方法が提供され、この方法は、有効量の本発明のGLP1-GDF15融合タンパク質、GLP1-GDF15融合ポリヌクレオチド、及び/又は医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む。空腹時血糖レベルは、本明細書に記載の本発明のGLP1-GDF15融合タンパク質、GLP1-GDF15融合ポリヌクレオチド、組成物、形態、薬剤、若しくは組み合わせのいずれかの投与前の対象の空腹時血糖レベルに対して、又は本明細書に記載の本発明のGLP1-GDF15融合タンパク質、GLP1-GDF15融合ポリヌクレオチド、組成物、形態、薬剤、若しくは組み合わせのいずれも受けていない対照対象と比較して、約140~約150mg/dL未満、約140~約130mg/dL未満、約130~約120mg/dL未満、約120~約110mg/dL未満、約110~約100mg/dL未満、約100~約90mg/dL未満、又は約90~約80mg/dL未満まで低減され得る。
【0149】
本発明は、GLP1受容体活性及びGDF15受容体活性を調節することを、それを必要とする対象において行う方法を提供し、この方法は、有効量の本発明のGLP1-GDF15融合タンパク質、GLP1-GDF15融合ポリヌクレオチド、及び/又は医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む。本明細書で使用される場合、「調節する」とは、受容体活性を増加又は減少させることを指す。
【0150】
いくつかの実施形態では、有効量の本発明のGLP1-GDF15融合タンパク質及び/若しくはGLP1-GDF15融合ポリヌクレオチド、又はその形態、組成物、若しくは薬剤は、それを必要とする対象に、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回、1日5回、1日6回、1日7回、又は1日8回投与される。他の実施形態では、有効量の本発明のGLP1-GDF15融合タンパク質及び/若しくはGLP1-GDF15融合ポリヌクレオチド、又はその形態、組成物、若しくは薬剤は、それを必要とする対象に、2日に1回、週に1回、週に2回、週に3回、週に4回、週に5回、週に6回、1ヶ月に2回、1ヶ月に3回、又は1ヶ月に4回投与される。
【0151】
本発明の別の実施形態は、疾患、障害、若しくは症候群、又は当該疾患、障害、若しくは症候群のいずれかの1つ以上の症状を予防する、治療する、その発症を遅延させる、又は寛解させることを、それを必要とする対象において行う方法を含み、この方法は、併用療法で、有効量の本発明のGLP1-GDF15融合タンパク質、GLP1-GDF15融合ポリヌクレオチド、及び/又は医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む。特定の実施形態では、併用治療薬は、第2の治療薬である。特定の実施形態では、併用療法は、外科療法である。
【0152】
本明細書で使用するとき、用語「併用される」は、対象への2つ以上の治療薬の投与との関連において、複数の治療薬の使用を指す。
【0153】
本明細書で使用されるとき、併用療法は、有効量の本発明のGLP1-GDF15融合タンパク質及び/若しくはGLP1-GDF15融合ポリヌクレオチド、又はその形態、組成物、若しくは薬剤と同時に、1つ以上の追加の治療薬又は1つ以上の外科療法を、それを必要とする対象に施すことを指す。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の治療薬又は外科療法は、有効量の本発明のGLP1-GDF15融合タンパク質及び/又はGLP1-GDF15融合ポリヌクレオチドと同日に施され得、他の実施形態では、1つ以上の追加の治療薬又は外科療法は、有効量の本発明のGLP1-GDF15融合タンパク質及び/又はGLP1-GDF15融合ポリヌクレオチドと同じ週又は同じ月に施され得る。
【0154】
本発明はまた、本明細書に記載の疾患、障害、症候群、又は症状のいずれかを、併用療法を用いて予防する、治療する、その発症を遅延させる、又は寛解させることを、それを必要とする対象において行うことも企図し、当該併用療法は、有効量の本発明のGLP1-GDF15融合タンパク質、GLP1-GDF15融合ポリヌクレオチド、及び/又は医薬組成物を、以下の治療薬のうちの任意の1つ以上と組み合わせて、それを必要とする対象に投与することを含む:ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)阻害剤(例えば、シタグリプチン、サクサグリプチン、リナグリプチン、アログリプチンなど);GLP1受容体アゴニスト(例えば、エキセナチド及びリキシセナチドなどの、短時間作用型GLP1受容体アゴニスト;リラグルチドなどの中間作用型GLP1受容体アゴニスト;長期放出型エキセナチド、アルビグルチド、デュラグルチドなどの長時間作用型GLP1受容体アゴニスト);ナトリウム-グルコース共輸送体-2(SGLT-2)阻害剤(例えば、カナグリフォジン、ダパグリフォジン、エンパグリフォジンなど);胆汁酸封鎖剤(例えば、コレセベラムなど);ドーパミン受容体アゴニスト(例えば、ブロモクリプチン急速放出);ビグアニド(例えば、メトホルミンなど);インスリン;オキシントモジュリン;スルホニル尿素(例えば、クロルプロパミド、グリメピリド、グリピジド、グリブリド、グリベンクラミド、グリボルヌリド、グリソキセピド、グリクロピラミド、トラザミド、トルブタミド、アセトヘキサミド、カブタミドなど);及びチアゾリジンジオン(例えば、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、ロベグリタゾン、シグリタゾン、ダルグリタゾン、エングリタゾン、ネトグリタゾン、リボグリタゾン、トログリタゾンなど)。いくつかの実施形態では、追加の治療薬(複数可)の用量は、本発明のGLP1-GDF15融合タンパク質及び/又はGLP1-GDF15融合ポリヌクレオチドと組み合わせて与えられる場合に低減される。いくつかの実施形態では、本発明のGLP1-GDF15融合タンパク質及び/又はGLP1-GDF15融合ポリヌクレオチドと組み合わせて使用される場合、追加の治療薬(複数可)は、それぞれが単独で使用される場合よりも低い用量で使用され得る。
【0155】
本発明は、本明細書に記載の疾患、障害、症候群、又は症状のいずれかを、併用療法を用いて予防する、治療する、その発症を遅延させる、又は寛解させることを、それを必要とする対象において行うことを企図し、当該併用療法は、有効量の本発明のGLP1-GDF15融合タンパク質、GLP1-GDF15融合ポリヌクレオチド、及び/又は医薬組成物を、外科療法と組み合わせて、それを必要とする対象に投与することを含む。特定の実施形態では、外科療法は、肥満手術(例えば、Roux-en-Y胃バイパス手術などの胃バイパス手術;スリーブ胃切除術;調節可能な胃バンド手術;十二指腸スイッチを伴う胆すい消化回避術;胃内バルーン;胃縫縮術、及びこれらの組み合わせ)であり得る。
【0156】
1つ以上の追加の治療薬又は外科療法が、有効量の本発明のGLP1-GDF15融合タンパク質及び/又はGLP1-GDF15融合ポリヌクレオチドと同日に投与される実施形態では、本発明のGLP1-GDF15融合タンパク質及び/又はGLP1-GDF15融合ポリヌクレオチドは、追加の治療薬又は外科療法の前、後、又は同時に投与され得る。用語「併用される」の使用は、治療薬を対象に投与する順序について限定しない。例えば、第1の治療薬(例えば、本明細書に記載される組成物)を、対象への第2の治療薬の投与の前(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、16時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、又は12週間前)、同時、又はその後(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、16時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、又は12週間後)に投与することができる。
【0157】
実施形態
本発明は以下の非限定的な実施形態も提供する。
実施形態1は、グルカゴン様ペプチド-1(GLP1)/増殖文化因子15(GDF15)融合タンパク質であり、GLP1-GDF15融合タンパク質は、GLP1ペプチド、第1のリンカーペプチド、血清アルブミンタンパク質、第2のリンカーペプチド、及びGDF15タンパク質を含む。
【0158】
実施形態2は、GLP1ペプチドが、配列番号1~4からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、実施形態1に記載のGLP1-GDF15融合タンパク質である。
【0159】
実施形態3は、第1のリンカーペプチドが、配列番号5~25からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、実施形態1又は2に記載のGLP1-GDF15融合タンパク質である。
【0160】
実施形態4は、血清アルブミンタンパク質が、配列番号26又は配列番号27から選択されるアミノ酸配列を含む、実施形態1~3のいずれか1つに記載のGLP1-GDF15融合タンパク質である。
【0161】
実施形態5は、第2のリンカーペプチドが、配列番号28~30からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、実施形態1~4のいずれか1つに記載のGLP1-GDF15融合タンパク質である。
【0162】
実施形態6は、GDF15タンパク質が、配列番号31又は配列番号32から選択されるアミノ酸配列を含む、実施形態1~5のいずれか1つに記載のGLP1-GDF15融合タンパク質である。
【0163】
実施形態7は、GLP1-GDF15融合タンパク質が、配列番号33~74及び84からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、GLP1-GDF15融合タンパク質である。
【0164】
実施形態8は、実施形態1~7のいずれか1つに記載のGLP1-GDF15融合タンパク質をコードする単離核酸である。
【0165】
実施形態9は、実施形態8に記載の単離核酸を含むベクターである。
【0166】
請求項10は、実施形態8に記載の単離核酸又は請求項9に記載のベクターを含む宿主細胞である。
【0167】
実施形態11は、実施形態1~7のいずれか1つに記載のGLP1-GDF15融合タンパク質と、医薬上許容できる担体と、を含む医薬組成物である。
【0168】
実施形態12は、肥満を治療又は予防することを、それを必要とする対象において行う方法であって、有効量の実施形態11に記載の医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法である。
【0169】
実施形態13は、有効量の医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することによって、医薬組成物の投与前の対象の体重と比較して、約5%~約10%、約10%~約15%、約15%~約20%、又は約20%~約25%体重を減少させる、実施形態12に記載の方法である。
【0170】
実施例14は、疾患又は障害を治療又は予防することを、それを必要とする対象において行う方法であって、当該疾患又は障害は、肥満、I型又はII型糖尿病、メタボリックシンドローム、インスリン抵抗性、耐糖能異常、高血糖症、高インスリン血症、高トリグリセリド血症、先天性高インスリン症(CHI)による低血糖、脂質異常症、アテローム性動脈硬化症、糖尿病性腎症、並びに管理されていないコレステロール及び/若しくは脂質レベルに関連する高血圧及び心血管危険因子などの他の心血管危険因子、骨粗鬆症、炎症、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、腎疾患、並びに湿疹からなる群から選択され、この方法は、有効量の実施形態11に記載の医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法である。
【0171】
実施形態15は、当該疾患又は障害が肥満である、実施形態14に記載の方法である。
【0172】
実施形態16は、当該疾患又は障害がI型糖尿病である、実施形態14に記載の方法である。
【0173】
実施形態17は、当該疾患又は障害がII型糖尿病である、実施形態14に記載の方法である。
【0174】
実施形態18は、当該疾患又は障害がメタボリックシンドロームである、実施形態14に記載の方法である。
【0175】
実施形態19は、当該疾患又は障害が腎疾患である、実施形態14に記載の方法である。
【0176】
実施形態20は、当該疾患又は障害が、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)である、実施形態14に記載の方法である。
【0177】
実施形態21は、当該疾患又は障害が、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)である、実施形態14に記載の方法である。
【0178】
実施形態22は、食物摂取を低減することを、それを必要とする対象において行う方法であって、この方法は、有効量の実施形態11に記載の医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法である。
【0179】
実施形態23は、有効量の医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することによって、医薬組成物の投与前の対象の食物摂取と比較して、約5%~約10%、約10%~約15%、約15%~約20%、約20%~約25%、約25%~約30%、約30%~約35%、約35%~約40%、約40%~約45%、又は約45%~約50%食物摂取を減少させる、実施形態22に記載の方法である。
【0180】
実施形態24は、GLP1受容体活性を調節することを、それを必要とする対象において行う方法であって、この方法は、有効量の実施形態11に記載の医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法である。
【0181】
実施形態25は、GDF15受容体活性を調節することを、それを必要とする対象において行う方法であって、この方法は、有効量の実施形態11に記載の医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法である。
【0182】
実施形態26は、医薬組成物が注射により投与される、実施形態11~25のいずれか1つに記載の方法である。
【0183】
実施形態27は、注射が、皮下、筋肉内、腹腔内、又は静脈内に送達される、実施形態26に記載の方法である。
【0184】
実施形態28は、医薬組成物が、第2の治療薬と組み合わせて投与される、実施形態11~27のいずれか1つに記載の方法である。
【0185】
実施形態29は、医薬組成物が、それを必要とする対象に、毎日、毎週、又は毎月投与される、実施形態11~28のいずれか1つに記載の方法である。
【0186】
実施形態30は、医薬組成物が、1日に1回、2回、3回、4回、5回、又は6回投与される、実施形態29に記載の方法である。
【0187】
実施形態31は、医薬組成物が、週に1回、2回、3回、4回、5回、又は6回投与される、実施形態29に記載の方法である。
【0188】
実施形態32は、医薬組成物が、1ヶ月に1回、2回、3回、又は4回投与される、実施形態29に記載の方法である。
【0189】
実施形態33は、実施形態1~7のいずれか1つに記載のGLP1-GDF15融合タンパク質、実施形態8の単離核酸、及び/又は実施形態9のベクターを含むキットである。
【0190】
実施形態34は、キットが注射用デバイスを更に含む、実施形態33に記載のキットである。
【0191】
実施形態35は、実施形態1~7のいずれか1つに記載のGLP1-GDF15融合タンパク質含む医薬組成物を生成する方法であって、GLP1-GDF15融合タンパク質を医薬上許容できる担体と組み合わせて医薬組成物を得ることを含む、方法である。
【0192】
実施形態36は、実施形態1~7のいずれか1つに記載のGLP1-GDF15融合タンパク質を生成する方法であって、GLP1-GDF15融合タンパク質をコードする核酸を含む細胞を、GLP1-GDF15融合タンパク質を生成する条件下で培養することと、細胞又は細胞培養物からGLP1-GDF15融合タンパク質を回収することと、を含む、方法である。
【実施例
【0193】
実施例1:GLP1及びGDF15アゴニストの組み合わせ
GLP1及びGDF15アゴニストを組み合わせた潜在的な相加的体重減少効果を、食餌誘導性肥満(DIO)マウスで試験した。リラグルチド、GLP1アゴニストを単独で、又はHSA-GDF15(配列番号81)分子と組み合わせて8日間投与した。HSA-GDF15を2日毎に与える一方、リラグルチドを毎日皮下投与した。体重減少は、これらの独立した機構を組み合わせたときの相加性の可能性を実証するいずれかの単一薬剤と比較して、両方のアゴニストを受容した動物においてより大きかった(図1)。
【0194】
実施例2:GLP1-GDF15融合タンパク質の設計
GLP1ペプチド又はGLP1変異体ペプチド、血清アルブミンタンパク質、及びGDF15タンパク質又はGDF15変異体タンパク質からなる組換え融合タンパク質を以下のように設計した:GLP1ペプチド又はGLP1変異体ペプチドを、GLP1ペプチド又はGLP1変異体ペプチドのC末端にある第1のリンカーペプチドを介して、ヒト血清アルブミンのN末端に結合した。ヒト血清アルブミンを、C末端で、第2のリンカーペプチドを介してGDF15タンパク質又はGDF15タンパク質変異体のN末端に結合する。この設計は、GDF15二量体化界面を乱さないようにし、天然の鎖間ジスルフィドの形成を可能にし、約170KDaのホモ二量体をもたらすことを目的としている。分子全体が組換えによって作製されるように設計されており、1つの遺伝子のみを必要とした(図3)。
【0195】
GLP1ペプチド又はGLP1変異体ペプチドとしては、変異を有するヒトGLP1(7-36)ペプチド、又はヒトGLP1受容体をアゴナイズするアメリカドクトカゲ由来の毒ペプチド、エキセンディン4(9-39)のいずれかが挙げられる。配列番号1は、(A8S、A30E)変異を含有し(変異位置の番号付けは、融合タンパク質の開始からではなく、表1のGLP1ペプチド変異を指す)、配列番号2は、ヒトGLP1ペプチド(UniProtKB-P01275 98-127)由来の(A8G、G22E、R36G)変異を含有する。配列番号3は、エキセンディン4ペプチド(UniProtKB-P26349 48-86)を含有する。
【0196】
天然ヒト血清アルブミン(UniProtKB-P02768 25-609)は、17分子内ジスルフィド結合を形成する35システイン(Cys、C)残基を含有し、唯一の遊離システインとしてCys-34を残す。この遊離Cysー34は、複数の活性酸素種(ROS)及び活性窒素種(RNS)を捕獲することにより、フリーラジカルスカベンジャーとして機能することが示されている(Taverna et al,Ann Intensive Care,3:4(2013))。したがって、この遊離CysをSerに変異させて配列番号26を作製し、化学反応性及び酸化による不均質性のリスクを最小化した。
【0197】
成熟GDF15のN末端(UniProtKB-Q99988 197-308)は、タンパク質分解責任部位(R198)及び脱アミド責任部位(N199)を含有する。したがって、融合タンパク質は、それらの責任部位が欠失したGDF15(201~308)(配列番号31)を含有する。
【0198】
実施例3:発現及び精製方法
GLP1-GDF15融合タンパク質、GLP1-第1のリンカー-血清アルブミン(例えば、HSA、GSA)タンパク質、血清アルブミン(例えば、HSA、GSA)-第2のリンカー-GDF15タンパク質、及び/又は上記実施例で利用されるGDF15タンパク質を、HEK Expi293F(商標)(ThermoFisher Scientific、カタログ番号A14527)又はExpiCHO-S(商標)(ThermoFisher Scientific、カタログ番号A29127;Waltham,MA)のいずれかで発現させた。HEK Expi293F(商標)での発現のために、GLP1-GDF15融合タンパク質をコードしているプラスミドを、製造元の推奨に従って一過性トランスフェクションによって細胞にトランスフェクトした。簡潔に述べると、Expi293F細胞を、37℃、8%CO及び125RPMに設定した振盪インキュベータ内で、Expi293(商標)発現培地(ThermoFisher Scientific)中の懸濁液中に維持した。トランスフェクションの日に、1mL当たり2.5×10細胞に希釈することができるように細胞を継代し、細胞生存率を95%以上に維持した。一過性トランスフェクションは、ExpiFectamine(商標)293トランスフェクションキット(ThermoFisher Scientific)を使用して行った。トランスフェクトされる希釈細胞1mL毎に1マイクログラムのプラスミドDNAをOptiMEM(商標)SFM複合体化培地に希釈した。ExpiFectamine(商標)293試薬を、1:2.6の比(v/v、DNA:試薬)で使用し、これもOptiMEM(商標)に希釈し、室温で5分間インキュベートさせた。希釈したDNA及びトランスフェクション試薬を20分間合わせ、DNA/脂質複合体を形成させ、次いで、細胞に添加した。一晩インキュベートした後、Expi293(商標)フィード及びExpiFectamine(商標)293エンハンサーを細胞に添加した。細胞を37℃で4日間振盪しながら培養した後で、培養上清を採取した。
【0199】
ExpiCHO-S(商標)細胞を、37℃、8%CO及び125RPMに設定した振盪インキュベータ内で、ExpiCHO(商標)発現培地(ThermoFisher Scientific)中の懸濁液中に維持した。トランスフェクションの日に、1mL当たり6.0×10細胞に希釈することができるように細胞を継代し、細胞生存率を98%以上に維持する。一過性トランスフェクションは、ExpiFectamine(商標)CHOトランスフェクションキット(ThermoFisher Scientific)を使用して行った。トランスフェクトされる希釈細胞の1mL毎に、1マイクログラムのプラスミドDNAを使用し、OptiPRO(商標)SFM複合体形成培地に希釈する。ExpiFectamine(商標)CHO試薬を1:3の比(v/v、DNA:試薬)で使用し、これもOptiPRO(商標)に希釈する。希釈したDNA及びトランスフェクション試薬を1分間組み合わせ、DNA/脂質複合体を形成させ、次いで細胞に添加した。一晩インキュベートした後、ExpiCHO(商標)フィード及びExpiFectamine(商標)CHOエンハンサーを細胞に添加した。細胞を32℃で5日間振盪しながら培養した後、培養上清を採取した。
【0200】
GLP1-GDF15融合タンパク質を、単段階親和性捕獲、又は親和性捕獲の後に調製用のサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)研磨工程を用いる2段階過程のいずれかによって、採取した培養上清から精製した。一過性にトランスフェクトしたExpiCHO(商標)細胞からの細胞上清を、樹脂1mL当たりタンパク質10mgの適当な容量で、予め平衡化した(dPBS、pH7.2)HSA CaptureSelectカラム(ThermoFisher Scientific提供のCaptureSelect Human Albumin Affinity Matrix)にロードした。ロード後、カラムを最大12カラム体積(CV)のdPBS pH 7.2で洗浄し、続いて、3CVの50mMリン酸ナトリウム中1M NaCl、pH7.4で洗浄することによって、非結合のタンパク質や不純物を除去した。カラムに結合したGLP1-GDF15融合タンパク質を、最大10CVの0.1M酢酸ナトリウム、pH3.5を用いて、10%(体積で)の1Mトリス(未滴定)を含有する分留管に溶出した。ピーク画分をプールし、0.2μm膜で濾過した後、緩衝液をdPBS(pH7.2)に交換するか、又は4℃でSEC工程に進むかのいずれかを行った。
【0201】
SEC工程では、捕獲工程で得たタンパク質を適当な体積まで濃縮した後、26/60Superdex200カラム(GE Healthcare;Little Chalfont,United Kingdom)にロードした。高い純度でSECカラムから溶出したタンパク質画分(SDS-PAGEにより測定された)をプールした。(いずれかの方法で得た)タンパク質の濃度を、BioTek Synergy HTTM分光光度計において280nmの吸光度で測定した。精製したタンパク質の質を、SDS-PAGE、及び分析用サイズ排除HPLC(SE-HPLC、Dionex HPLC system社)によって評価した。内毒素レベルを、LALアッセイ(Pyrotell(登録商標)-T、Associates of Cape Cod;East Falmouth,MA)を用いて測定した。
【0202】
実施例4:1分子上のGLP1及びGDF15の両アゴニストの送達による二重標的会合及び相加効果
1分子上にGLP1及びGDF15の両アゴニストを送達することによって相加効果を得る可能性を、ゴリラ血清アルブミン(GSA)とのアゴニストの融合を8日間投与したDIOマウスの体重減少を評価することによって試験した。GSAは、これらのツール分子中のHSAの代用物として使用した。マウスは、8nmol/kgのGLP1-GSA-GDF15(配列番号72)、GLP1-GSA-GDF15(I89R)(配列番号73、I89R変異はGDF15活性を消失させる)、GLP1(9-36)-GSA-GDF15(配列番号74、又はGSA-GDF15(配列番号75)の皮下投与を受け、後者の2つはいずれも、分解したGLP1を再現するように設計された。2つの追加の動物群を対照及び基準とし、一方の群には、溶媒のみを与え、別の群には、GLP1アゴニストのデュラグルチドを投与した。GLP1-GSA-GDF15(配列番号72)を投与されたマウスは、GLP1(9-36)-GSA-GDF15(配列番号74)、GLP1-GSA-GDF15(I89R)(配列番号73)、及びGSA-GDF15(配列番号75)を投与されたマウスより大きく体重が減少し、GLP1R及びGFRALの両方が単一分子によりアゴナイズされ、結果として相加効果が得られ得るという概念の証明をもたらした(図2)。
【0203】
実施例5:インビトロヒトGLP1R効力、エクスビボヒト、及びインビボマウス血漿安定性に対するGLP1ペプチド又はGLP1ペプチド変異体及び第1のリンカーペプチドの効果
異なるGLP1ペプチド又はGLP1ペプチド変異体及び異なる第1のリンカーペプチドは、hGLP1過剰発現HEK細胞中の環状アデノシンモノリン酸(cAMP)レベルを測定するアッセイにおいて、インビトロhGLP1受容体効力に対して異なる効果を有する。キットの指示書に従って、Lance競合cAMPイムノアッセイ(Perkin Elmer,Waltham,MA)を使用した細胞内cAMP生成を測定する細胞ベースのアッセイにおいて、インビトロGLP1R効力について融合をスクリーニングした。マウス又はヒトGLP1Rを安定的に発現するクローンHEK293細胞をアッセイで使用した。得られたデータを使用して、Prism統計ソフトウェア(GraphPad Software,San Diego,CA)を用いて化合物EC50値を計算した。一般に、GLP1変異体(配列番号1)は、インビトロhGLP1Rアッセイにおいて、他の2つのGLP1変異体(配列番号2及び配列番号3)よりも効力がない。
【0204】
ヒト血漿におけるエックスビボ安定性を評価した。簡潔に言えば、新鮮な非凍結ヒト血漿を遠心分離によってヘパリン添加血から生成した。融合タンパク質を、静かに混合しながら、この基質中で、0、4、24、48、72、及び96時間、37℃でインキュベートした。ヒト血漿中の融合分子のGLP1領域の経時的な安定性を、免疫親和性捕獲-トリプシン消化-LC-MS/MS分析によってモニタリングした。選択されたトリプシンペプチド、すなわちHSE(HSEGTFTSDVSSYLEGQAAK)(配列番号76)、HGE-1(HGEGTFTSDVSSYLEEQAAK)(配列番号77)、及びHGE-2(HGEGTFTSDLSK)(配列番号78)は、GLP1ペプチド又はGLP1変異体ペプチド(配列番号1、2、及び3)のN末端にそれぞれ位置する。これらの選択されたトリプシンペプチドを、抗GDF15免疫親和性捕獲及びトリプシン消化後にLC-MS/MSによりモニタリングし、N末端を含有する無傷のGLP1を有する融合分子の濃度の代理尺度とした。この方法により、試験した全ての分子は、ヒト血漿中の適度なGLP1の経時的安定性を示した。
【0205】
マウスにおけるインビボ安定性を評価した。融合タンパク質を、PBS、pH7中2mg/kgの用量で雄性C57Bl/6マウスに皮下投与した。血液試料を、投与後0、4、24及び48時間でプロテアーゼ阻害剤を有するK3E Sarstedt血液採取管に採取した。血漿を遠心分離により調製した。マウスにおけるインビボでの融合タンパク質のGLP1領域の経時的な安定性を、免疫親和性捕獲-トリプシン消化-LC-MS/MS分析によってモニタリングした。選択されたトリプシンペプチド、すなわちHSE(HSEGTFTSDVSSYLEGQAAK)(配列番号76)、HGE-1(HGEGTFTSDVSSYLEEQAAK)(配列番号77)、及びHGE-2(HGEGTFTSDLSK)(配列番号78)は、融合タンパク質を含有する配列番号1、2、及び3のN末端にそれぞれ位置する。これらの選択されたトリプシンペプチドを、抗GDF15免疫親和性捕獲及びトリプシン消化後にLC-MS/MSによりモニタリングし、N末端を含有する無傷のGLP1を有する融合タンパク質の濃度の代理尺度とした。この方法により、試験した全ての分子は、マウスにおけるインビボでの適度なGLP1の経時的安定性を示した。
【0206】
表7は、指示されたGLP1-GDF15融合タンパク質について、GLP1R過剰発現細胞のcAMPレベルを測定したインビトロGLP1受容体効力、いずれも質量分析によって評価したエクスビボヒト血漿安定性及びインビボマウス血漿安定性の結果を提供する。
【0207】
【表7】
【0208】
実施例6:第1及び第2のリンカーペプチド中のセリン残基を除去することによるO-結合型キシロシル化の除去
キシロースグリカンがグリシシン-セリンリンカーに付着することが報告されていることから(Spahr et.al,mAbs 6(4):904-914)、グリシシン-セリンリンカーを含有する分子のO-結合型キシロースレベルを試験した。簡潔に述べると、試料は、変性のためにpH8.0で緩衝されたグアニジン-HClに希釈し、続いて還元のためにDTTを添加し、37℃で1時間インキュベートすることによって調製した。還元後、試料を、新たに調製されたヨードアセトアミドを使用して暗所にて室温で60分間アルキル化した。次いで、DTTを試料に添加して、未反応のヨードアセトアミドをキレート化した。次に、試料を50mMトリス、1mM CaCl、pH8.0中で、製造元のプロトコルに従ってZeba Spin Desaltingカラムを使用して脱塩し、37℃で4時間、トリプシン(Promega)で消化した。消化後、消化反応をクエンチするため、TFAをそれぞれの試料に添加した。消化した試料を4℃に保ち、24時間以内にLC/MSに注入した。
【0209】
消化した試料を、Agilent Infinity 1290 UHPLC(Agilent Technologies)を使用して、0.1mL/分の流量でAgilent AdvanceBio Peptide Map Micro Bore Rapid Resolution Columnに注入した。カラム温度を65℃で維持した。質量分析グレードHPLC溶媒(0.1%ギ酸及びB:0.1%ギ酸中100%ACN)をVWRから購入した。タンパク質分解ペプチドを、0.1%FA中2%から40%までACNの50分間の勾配を用いてカラムから溶出した。3.5kVの噴霧電圧、20のシースガス、7の補助ガス、299℃のイオン移動管、及び100℃の蒸発器を用いて、加熱した電子スプレーイオン化プローブ(HESI)を介してカラム溶出液をThermo Orbitrap Q-Exactive質量分析計に導入した。
【0210】
上位2データ依存実験を、Orbitrap検出、70,000分解能、質量範囲150~2000m/z、AGCターゲット1.0e6、最大注入時間50ms、1マイクロスキャン、正極性に設定されたプリカーサスキャンを用いて実施した。プリカーサの決定基準は、モノアイソトピックプリカーサ選択であり、ペプチド、電荷状態:2~7、ダイナミックエクスクルージョン:6.0秒、及びプリカーサ強度閾値5e4であった。プリカーサペプチドを1.6m/zの単離幅を有する四重極によって単離し、衝突セルに送った。衝突エネルギー28は、ペプチドの高エネルギー衝突解離(HCD)をもたらした。次いで、これらのフラグメントを、質量測定のためにオービトラップに移した。オービトラップ設定は、17,500分解能、200~2000m/z範囲、AGCターゲット5e5、最大注入時間100ms、1マイクロスキャン、及び重心モードで獲得されたスペクトルであった。
【0211】
ペプチドマッピングデータは、Byonic(Protein Metrics Inc)検索アルゴリズムを使用して処理される。コアキシロースグリコソアミノグリカンのカスタムライブラリ及びそれらの単同位体質量を、Ser特異的修飾として検索パラメータに追加した。修飾及び非修飾ペプチド種の抽出イオンクロマトグラム(XIC)領域に基づいて定量化するために、Byoonic検索結果をByologic(Protein Metrics Inc)にインポートした。
【0212】
Sの第1及び第2のリンカーペプチドを含有するGLP1-GDF15融合タンパク質は、第1及び第2のリンカーペプチドのセリン残基上に、様々なレベルのO-結合型キシロシル化を示した。表8は、ExpiCHO細胞から一時的に発現した3つのかかる分子の結果を示す。キシロースのレベルはタンパク質状況依存であり、GLP1ペプチド又はGLP1ペプチド変異体をHSAタンパク質に結合する第1のリンカーペプチドにおいて「検出されず」から1%の範囲であり、HSAタンパク質をGDF15タンパク質又はGDF15タンパク質変異体に結合する第2のリンカーペプチドにおいて11.61%~56.2%の範囲であった。リンカーペプチドに対する潜在的なO-結合型キシロシル化リスクを回避するために、第1及び/又は第2のリンカーペプチド中にセリン残基を含有しないGLP1-GDF15融合タンパク質を設計し、生成した。これらのGLP1-GDF15融合タンパク質は、AP反復、GA反復又はポリグリシン反復を含むリンカーを含有していた。
【0213】
【表8】
【0214】
実施例7:GLP1R及びGDF15Rに対するインビトロ効力
GLP1-GDF15融合タンパク質のインビトロ活性を、細胞系アッセイにおけるGLP1R効力及びGDF15R効力の両方について試験した。GDF15R(GFRAL)活性を、ヒト又はカニクイザルGFRALのいずれかを過剰発現させるために安定的にトランスフェクトされたSK-N-ASヒト神経芽腫細胞中のリン酸化AKT(Ser473)レベルを測定することによって決定した。様々な濃度の融合分子を有するGFRAL発現細胞を処理した後のAKTのリン酸化を、製造元の指示に従ってPhospho-AKT(Ser473)Assayキット(Cisbio,Beford,MA)を使用して測定した。得られたデータを使用して、Prism統計ソフトウェア(GraphPad Software San Diego)を用い化合物EC50値を計算した。表9で試験したGLP1-GDF15融合タンパク質は、EC50が4.6~6.9nMの範囲で、GDF15Rと同様の効力を有する。
【0215】
融合体のGLP1Rの効力を、ヒト、マウス、又はカニクイザルGLP1Rを過剰発現するために安定的にトランスフェクトされたクローンHEK293細胞中のcAMPレベルを測定することによって決定した。細胞を様々な濃度の融合分子で処理した後の細胞内cAMP生成を、キットの指示書に従って、Lance競合cAMPイムノアッセイ(Perkin Elmer,Waltham,Massachusetts)を使用して測定した。得られたデータを使用して、Prism統計ソフトウェア(GraphPad Software San Diego)を用い化合物EC50値を計算した。
【0216】
GLP1ペプチド又はGLP1ペプチド変異体をHSAタンパク質に結合する第1のリンカーペプチド中のセリン残基をアラニンに置き換えるか又は除去した(GSからGA又は同様の長さを有するポリGリンカーに切り替える)場合、GLP1活性は、ヒト又はマウスGLP1Rアッセイで試験したときに影響を受けなかった。加えて、HSAタンパク質をGDF15タンパク質又はGDF15タンパク質変異体に結合する第2のリンカーペプチドを、GS-8x(GS)からGA-8x(GA)又は10x(AP)に変更しても、GLP1R効力に影響を与えなかった。加えて、第1のリンカー(5X(GA)、8X(GA)、5X(AP)、10X(AP)、20X(AP)、25X(AP))の反復数を増加させた融合タンパク質を作製し、ヒトGLP1Rアッセイで試験した。結果は、これらの融合タンパク質が、様々な効力を有するGLP1Rシグナル伝達を活性化することを実証した。
【0217】
【表9】
【0218】
【表10】
【0219】
実施例8:タンパク質純度及び安定性に対する第1及び第2のリンカーペプチドの効果
サイズ排除高性能液体クロマトグラフィー(SE-HPLC)を使用して、主種、並びに凝集体を表す高分子量(HMW)種とフラグメントを表す低分子量(LMW)種との両方の割合を定量化することによって、分子の純度及び安定性を調べた。簡潔に言えば、タンパク質純度を決定するために、20μgのタンパク質を1x DPBS、pH7.2(Gibco、カタログ番号14190-136)移動相を有するTosoh TSKgel BioAssist G3SWXL(カタログ番号20026)カラムに注入した。タンパク質種を、室温にて1mL/分の流量で溶出し、UV-280nm吸光度値を、可変波長検出器を備えたDionex Ultimate3000 HPLCシステムを使用してモニタリングした。タンパク質安定性を決定するために、100μgのタンパク質を、0.2Mのリン酸ナトリウム、pH7.0移動相を有するTosoh TSKgel BioAssist G3SWXL(カタログ番号20026)カラムに注入した。タンパク質種を、室温にて0.7mL/分の流量で溶出し、UV-280nm吸光度値を、可変波長検出器を備えたDionex Ultimate3000 HPLCシステムを使用してモニタリングした。Chromeleonソフトウェアを用いてデータを解析した。
【0220】
GLP1-GDF15融合タンパク質を、ExpiCHO細胞における一過性発現から作製し、実施例2に記載の方法に従って親和性捕獲により精製した場合、10x(AP)第2のリンカーペプチド(配列番号28)(HSAタンパク質をGDF15タンパク質又はGDF15タンパク質変異体に結合する)を有するGLP1-GDF15融合タンパク質は、GA-8x(GA)第2のリンカーペプチド(配列番号29)を含有する分子と比較して、低分子量(LMW)種の割合が低くなった(表10)。精製中に研磨工程によってLMW種を除去したところ、得られた最終GLP1-GDF15融合タンパク質は、SE-HPLCによる純度が97%超であった。
【0221】
これらのGLP1-GDF15融合タンパク質の安定性を、規定のストレス条件下で試験した。化学的誘導酸化ストレスを強制するために、試料を最終濃度0.1%の過酸化水素に曝露し、暗所で6時間インキュベートした後、カタラーゼを添加して反応を停止させた。金属誘導酸化条件では、最終濃度の30μMの第一鉄を試料に添加した。暗所で2週間インキュベートした後、EDTAを添加して反応を停止させた。低pHでの安定性を試験するために、試料を50mM酢酸塩、pH3.5の緩衝液に透析し、6時間保持し、0.1Mリン酸ナトリウム、pH7.4に透析した。熱応力下で試料の安定性を試験するために、分子量カットオフ30KDalを有する超遠心濾過器を使用して約10mg/mLに濃縮し、PBS中に40℃で2週間保持した。上記の化学的又は金属誘導酸化、並びに低pH条件又は熱応力条件を受けるこれらの試料を、室温で20分間にわたり、1mL/分の流量で分析サイズ排除クロマトグラフィー(TOSOHカラム)下で分析した。シグナルはUV-280nm(Agilent 1100 LCシステム)で収集され、データ分析はChemstation(Agilent)で行われる。
【0222】
表11は、熱応力(40℃で2週間)下でのGLP1-GDF15融合タンパク質の安定性に対する第2のリンカーの影響を示す。10x(AP)第2のリンカーペプチド(配列番号28)を含有するGLP1-GDF15融合タンパク質は、GA-8x(GA)第2のリンカーペプチド(配列番号29)を含有するGLP1-GDF15融合タンパク質と比較して、形成されるLMW種のレベルが低くなり、AP第2のリンカーペプチドが、GA第2のリンカーペプチドと比較してより熱的に安定していることを示した。他の試験されたストレス条件(低pH、金属又は化学誘導酸化)下では、試料のLMW種のレベルは、非ストレス試料と同様に最小レベルのままである。
【0223】
示差走査熱量測定(DSC)を実施して、GLP1-HSA-GDF15タンパク質の熱安定性を決定した。自動MicroCal VP-Capillary DSC器具を使用して、PBS pH7.4緩衝液中約0.5~1mg/mLで試料を評価した。熱スキャンは、1℃/分の加熱速度で、25℃~95℃に及ぶ。15分のプレスキャン時間及び10秒のフィルタリング期間を実行毎に使用した。Origin7ソフトウェアパッケージ内の非2状態フィッティング関数を使用してデータを処理した。DSCの結果は、これらのGLP1-GDF15融合タンパク質が、GLP1ペプチド又はGLP1ペプチド変異体を含有しないHSA-GDF15融合タンパク質と同様に、63~72℃の範囲の融解温度(T)(表12)を有することを実証した。
【0224】
【表11】
【0225】
【表12】
【0226】
【表13】
【0227】
実施例9:エクスビボヒト血漿検査
GLP1-GDF15融合タンパク質の安定性を、ヒト血漿中にてエクスビボで評価した。簡潔に言えば、新鮮な非凍結ヒト血漿を遠心分離によってヘパリン添加血から生成した。融合タンパク質を、静かに混合しながらこの基質中で、0、4、24、48、72、及び96時間、37℃でインキュベートした。ヒト血漿中の融合分子の経時的な濃度を、抗GDF15抗体による免疫親和性捕獲、及び抗HSA抗体(「全体形式」)又は抗GLP1 N末端特異性抗体(「GLP1活性形式」)のいずれかによる免疫検出によってモニタリングした。表13及び14は、これら2つのイムノアッセイの結果を示す。
【0228】
【表14】
【0229】
【表15】
【0230】
実施例10:複数種における薬物動態
マウスにおける薬物動態
配列番号50、45、46、及び44に由来するGLP1-GDF15融合タンパク質を、PBS、pH7中、5mg/kgのIV及びSC用量で雌性C57Bl/6マウスに投与した。両方の投与経路後に、血液試料を採取し、血漿を処理して、薬剤濃度を4日間にわたって測定した。IV及びSC投与後の血漿中の被検質の濃度も免疫親和性捕獲-トリプシン消化-LC-MS/MS分析によって測定した。選択されたトリプシンペプチド、すなわち、ALV(ALVLIAFAQYLQQSPFEDHVK)(配列番号79)、HGE-1(HGEGTFTSDVSSYLEEQAAK)(配列番号77)、及びHGE-2(HGEGTFTSDLSK)(配列番号78)、並びにTDT(TDTGVSLQTYDDLLAK)(配列番号80)は、HSAタンパク質のN末端、GLP1ペプチド又はGLP1ペプチド変異体のN末端、及びGDF15タンパク質又はGDF15タンパク質変異体のC末端の付近にそれぞれ位置する。これらの代理ペプチドをモニタリングすることにより、GLP1-GDF15融合タンパク質のそれぞれの領域(GLP1、HSA、GDF15)の薬物動態評価を可能にした。血漿中薬物濃度-時間プロファイルを表15~22に要約する。
【0231】
【表16】
【0232】
【表17】
【0233】
【表18】
【0234】
【表19】
【0235】
【表20】
【0236】
【表21】
【0237】
【表22】
【0238】
【表23】
【0239】
表15~22のデータを使用したノンコンパートメント薬物動態分析(NCA)により、C57BL/6マウスで試験された4つのGLP1-GDF15融合タンパク質のSC及びIV投与後、GLP1ペプチド又はGLP1ペプチド変異体について14~23時間、GDF15タンパク質又はGDF15タンパク質変異体について22~49時間、及びHSAタンパク質について22~47時間の末端半減期が明らかとなった(表23)。
【0240】
【表24】
【0241】
サルにおける薬物動態
配列番号33、50、45、46、及び44に由来するGLP1-GDF15融合タンパク質を、PBS、pH7中、0.5mg/kg SCの用量でナイーブ型雄性カニクイザル(Macaca fascicularis)に投与した。血液試料を採取し、血漿を処理し、イムノアッセイバイオアナリシスを用いて薬物濃度を21日目まで測定した。イムノアッセイ方法には、抗GDF15捕獲抗体、及び無傷のGLP1を認識する抗体(「活性」)又はHSAを認識する抗体(「全体」)のいずれかによる検出が含まれた。血漿中薬剤濃度-時間プロファイルを表24及び25に要約する。
【0242】
【表25】
【0243】
【表26】
【0244】
表24及び25のデータの薬物動態分析により、SC投与後のカニクイザル内の活性分子について2~3日間、及び全体分子について5~8日間の末端半減期が明らかになった(表26)。
【0245】
【表27】
【0246】
実施例11:GLP1-GDF15融合タンパク質のインビボ効力
C57BL/6雄性マウスにおける食物摂取の評価:この実験の目的は、C57BL/6マウスにおける食物摂取の阻害に対する配列番号50、33、49、45、46、及び44に対応する分子のインビボ薬物動態効果を実証することであった。24時間の食物摂取を、4:00~5:00pmのGLP1-GDF15融合タンパク質(試験物品)又は対照(PBS溶媒又はデュラグルチド)の皮下投与の前後に測定した。ケージ毎の食物重量の変化を24時間毎に記録した。結果は、投与24時間前と比較した食物摂取の変化率として表され、検査で使用されるそれぞれの試験物品の循環濃度に部分的に依存する(図4)。試験物品の循環濃度を、免疫親和性捕獲-トリプシン消化-LC-MS/MS分析によって投与から24時間後に測定した。選択されたトリプシンペプチド、すなわち、HSAタンパク質のN末端、GLP1ペプチド又はGLP1ペプチド変異体のN末端、及びGDF15タンパク質又はGDF15タンパク質変異体のC末端の付近にそれぞれ位置するALV(ALVLIAFAQYLQQSPFEDHVK)(配列番号79)、HGE-1(HGEGTFTSDVSSYLEEQAAK)(配列番号77)、及びHGE-2(HGEGTFTSDLSK)(配列番号78)、並びにTDT(TDTGVSLQTYDDLLAK)(配列番号80)をモニタリングした。VVSペプチド(VVSVLTVLHQDWLNGK)(配列番号82)は、デュラグルチドのFc部分に位置する。これらの代理ペプチドをモニタリングすることにより、GLP1-GDF15融合タンパク質のそれぞれの領域(GLP1、HSA、GDF15)の薬物動態評価を可能にした。血漿中薬物濃度を図5に示す。結果は、配列番号50、33、49、45、46、及び44のC57BL/6マウスへの皮下投与が、溶媒投与動物と比較して食物摂取を著しく阻害したことを示した。
【0247】
GFRALノックアウトマウスにおけるGLP1R媒介性食物摂取効果の評価:C57BL/6マウスにおける食物摂取の阻害は、GLP1R及びGDF15R(GFRAL)の両方の会合の結果である。食物摂取に対する配列番号50、33、45、46、及び44のGLP1R特異的効果を決定するために、GFRALを欠損したマウスを使用した。これらの実験の目的は、融合タンパク質がマウスにおけるHSA-GDF15融合に有効であると予測される用量で投与されたときに、融合タンパク質によるGLP1Rの会合の程度を決定することであった(図1及び図2並びに米国特許出願公開第20170327560(A1)号)。24時間の食物摂取を、4:00~5:00pmのGLP1-GDF15融合タンパク質(試験物品:3及び10nmol/kg)又は対照(PBS溶媒又はデュラグルチド)の皮下投与の前後に測定した。ケージ毎の食物重量の変化を24時間毎に記録した。無傷のGLP1ペプチド又はGLP1ペプチド変異体を含有する融合分子の循環濃度を、免疫親和性捕獲-トリプシン消化-LC-MS/MS分析と、GLP1ペプチド又はGLP1ペプチド変異体のN末端付近に位置するトリプシンペプチド、HGE-1(HGEGTFTSDVSSYLEEQAAK)(配列番号77)又はHGE-2(HGEGTFTSDLSK)(配列番号78)の選択的モニタリングと、によって投与24時間後に決定した。結果は、HGEペプチド(無傷のGLP1ペプチド又はGLP1ペプチド変異体)の血漿中濃度に対する食物摂取量の変化率としてグラフ化される(図6図7、及び図8)。結果は、配列番号50、33、45、46、及び44を有する融合タンパク質の送達が、HSA-GDF15に対して有効であることが以前に実証された用量でGLP1Rの会合をもたらしたことを示した。驚くべきことに、GLP1Rの会合は、GLP1部分の曝露量がデュラグルチドの10~30倍であるにもかかわらず、Fc-GLP1アゴニストと同様に所望の薬物動態応答を誘発した。融合タンパク質のGLP1構成要素が、インビボでデュラグルチドと同程度の効力であったならば、GLP1Rの会合は、所望されるよりもはるかに高くなり、悪心及び嘔吐などのヒトにおいて予測される有害事象を引き起こす可能性があった。したがって、HSA-GDF15との融合としてのGLP1ペプチドの送達は、2つのアゴニストの所望のバランスを実現するように、GLP1Rのインビボ効力に影響を与える。
【0248】
絶食させたDIOマウスにおけるGLP1R媒介性耐糖能の評価:膵臓内のGLP1Rアゴニズムは、インスリン分泌の増強及びグルコース摂取の増加をもたらし、食餌誘導性肥満マウスにおける腹腔内グルコース負荷試験を使用して測定することができる。これらの実験の目的は、融合タンパク質がマウスにおけるHSA-GDF15融合に有効であると予測される用量で投与されたときに、融合タンパク質によるGLP1Rの会合の程度を決定することであった(図1及び図2並びに米国特許出願公開第20170327560(A1)号)。雄性C57BL/6マウスを、肥満を誘発するために、6週齢から20週齢で投与を開始するまで、Research Diet D12492に維持した。給餌された血糖及び体重測定値を使用して、マウスを投与群に無作為化した。4:00pmに、マウスを水の飲める清潔なケージに移し、食品を検査の持続時間にわたって保持した。対照(PBS溶媒及びデュラグルチド)及び試験物品(配列番号:33、50、49、45、46、44、及び36)(1、3、及び10nmol/kg)を、食品除去時に皮下投与した。投与17時間後、ベースラインのグルコースを収集し、体重1kg当たり1gのグルコースを腹腔内に投与した。グルコース急速投与後10、30、45、60、及び120分の時点で、血糖を測定した。無傷のGLP1ペプチド又はGLP1ペプチド変異体を含有する融合分子の循環血漿中濃度を、免疫親和性捕獲-トリプシン消化-LC-MS/MS分析と、GLP1ペプチド又はGLP1ペプチド変異体のN末端付近に位置するトリプシンペプチド、HGE-1(HGEGTFTSDVSSYLEEQAAK)(配列番号77)又はHGE-2(HGEGTFTSDLSK)(配列番号78)の選択的モニタリングと、によって、120分時点直後に決定した。グルコースを時間の関数としてグラフ化し、ベースライングルコース濃度(デルタAUC)に正規化した後の曲線下面積を、動物毎に計算した。結果は、HGEペプチド(無傷のGLP1アゴニスト)の血漿中濃度に対するデルタAUC(溶媒処理と比較)の変化率としてグラフ化される(図9図10図11、及び図12)。結果は、配列番号33、50、49、45、46、44、及び36を有する融合タンパク質の送達が、HSA-GDF15に対して有効であることが以前に実証された用量でGLP1Rの会合をもたらしたことを示した。驚くべきことに、GLP1Rの会合は、GLP1部分の曝露量がデュラグルチドの10~30倍であるにもかかわらず、Fc-GLP1アゴニストと同様に所望の薬物動態応答を誘発した。融合タンパク質のGLP1構成要素が、インビボでデュラグルチドと同程度の効力であったならば、GLP1Rの会合は、所望されるよりもはるかに高くなり、悪心及び嘔吐などのヒトにおいて予測される有害事象を引き起こす可能性があった。したがって、HSA-GDF15との融合としてのGLP1ペプチドの送達は、2つのアゴニストの所望のバランスを実現するように、GLP1Rのインビボ効力に影響を与える。
【0249】
段階的グルコース注入による霊長類におけるGLP1R会合の評価:非ヒト霊長類における静脈内の段階的グルコース注入(GGI)時のインスリン分泌を使用して、配列番号45及び44のGLP1R会合を評価した。これらの実験の目的は、融合タンパク質が非ヒト霊長類におけるHSA-GDF15融合に有効であると予測される用量で投与されたときに、融合タンパク質によるGLP1Rの会合の程度を決定することであった(Mullican et al.,2017及び米国特許出願公開第20170327560(A1)号)。GGI手順は、ベースライン及び投与応答を2回のGGI手順の間の14日の回復期間と比較するために、16時間の一晩絶食後に鎮静させたカニクイザルにおいて実施した。1日目、食物の除去直後に動物に溶媒を投与した。2日目、動物に麻酔をかけ、10分開けて採取した2つの血液試料でベースラインを確立した。GGI1を、0分に8mg/kg/分のグルコース注入量で開始し、続いて12、16及び24mg/kg/分の注入を行った。それぞれの注入量を40分間にわたって投与した。グルコース、インスリン、及びCペプチドの測定のために血液試料を20分間隔で採取し、結果を時間の関数としてグラフ化し、曲線下面積(AUC)をそれぞれの動物で測定した検体毎に決定した。次いで、動物を、GGI1からのベースラインインスリン分泌量(ISR)に基づいて、試験物品投与群に無作為化した。15日目、動物に、様々な用量濃度(0.1~1.1mg/kgの融合タンパク質及び0.016~0.1のデュラグルチド)で試験物品を投与してから、一晩絶食させた。2日目の説明と同様に、2回目のGGI(GGI2)を16日目に実施した。無傷なGLP1ペプチド又はペプチド変異体を有する試験物品をモニタリングするように特異的に設計されたイムノアッセイによって、グルコース注入前の時点0に採取した血漿試料について化合物曝露を評価した。図13のデータは、無傷のGLP1を有する試験物品の血漿中濃度に対する、ベースラインと比較したグルコースAUCに正規化されたISR AUCの投与誘導倍率変化として報告されている。デュラグルチドを、Fc-GLP1アゴニスト基準として使用した。結果は、配列番号45及び44を有する融合タンパク質の送達が、HSA-GDF15に対して有効であることが以前に実証された用量でGLP1Rの会合をもたらしたことを示した。驚くべきことに、GLP1Rの会合は、GLP1部分の曝露量がデュラグルチドの10~30倍であるにもかかわらず、Fc-GLP1アゴニストと同様に所望の薬物動態応答を誘発した。融合タンパク質のGLP1構成要素が、インビボでデュラグルチドと同程度の効力であったならば、GLP1Rの会合は、所望されるよりもはるかに高くなり、悪心及び嘔吐などのヒトにおいて予測される有害事象を引き起こす可能性があった。したがって、HSA-GDF15との融合としてのGLP1ペプチドの送達は、2つのアゴニストの所望のバランスを実現するように、GLP1Rのインビボ効力に影響を与える。
【0250】
図6図13に示される結果は、前臨床種におけるGLP1のインビボ活性又は効力が、デュラグルチドのFc融合GLP1ペプチドと比較して、ホモ二量体GLP1-GDF15二重アゴニストにおいて低下することを実証している。これにより、1分子上の両アゴニスト(GLP1ペプチド又はGLP1ペプチド変異体及びGDF15タンパク質又はGDF15タンパク質変異体)のバランスが可能になり、したがって、予想される治療範囲内でのGDF15タンパク質又はGDF15タンパク質変異体曝露も達成する有効濃度でのGLP1ペプチド又はGLP1ペプチド変異体の送達が可能になる。
【0251】
マウスにおける反復投与後のGLP1-GDF15融合タンパク質の体重減少有効性の評価:GLP1-GDF15融合タンパク質が体重減少を引き起こす能力を食餌誘導性肥満マウスで試験した。マウスに、様々な濃度の試験物品(配列番号45及び44)、デュラグルチド又は溶媒対照を毎日7日間皮下投与した。検査全体を通して体重をモニタリングした。図14は、0日目(第1の用量の直前)に対する体重の経時的な変化率を示す。試験物品の循環濃度を、免疫親和性捕獲-トリプシン消化-LC-MS/MS分析によって7日間の投与後に測定した。選択されたトリプシンペプチド、すなわち、HSAタンパク質のN末端、GLP1ペプチド又はGLP1ペプチド変異体のN末端、及びGDF15タンパク質又はGDF15タンパク質変異体のC末端の付近にそれぞれ位置するALV(ALVLIAFAQYLQQSPFEDHVK)(配列番号79)、HGE-1(HGEGTFTSDVSSYLEEQAAK)(配列番号77)、及びHGE-2(HGEGTFTSDLSK)(配列番号78)、並びにTDT(TDTGVSLQTYDDLLAK)(配列番号80)をモニタリングした。VVSペプチド(VVSVLTVLHQDWLNGK)(配列番号82)は、デュラグルチドのFc部分に位置する。これらの代理ペプチドをモニタリングすることにより、GLP1-GDF15融合タンパク質のそれぞれの領域(GLP1、HSA、GDF15)の薬物動態評価を可能にした。血漿中薬物濃度を図15に示す。結果は、配列番号45及び44の反復投与が、食餌誘導性肥満マウスにおける体重減少を濃度依存的にもたらすことを示した。
【0252】
非ヒト霊長類におけるGLP1-GDF15融合タンパク質の食物摂取効果の評価。
【0253】
GLP1-GDF15融合タンパク質の食物摂取を減少させる能力を、自然発症肥満カニクイザルで試験した。対象に、様々な濃度の、活性GLP1部分を有する及び有しない試験物品(それぞれ配列番号44及び83、GDF15ペプチドに融合したAP10リンカーに融合したHSAペプチドを含む配列番号83は、米国特許第10,336,812号に以前に開示されている)又は溶媒を4週間の期間にわたってQWで皮下投与した。投与前及び検査全体を通して食物摂取をモニタリングした。ベースラインでの及び試験物品のそれぞれの投与後の食物摂取の3日間の変化率を図16に示す。試験中のカニクイザル血漿中の配列番号44及び83の濃度を、「全体」分子(HSA検出)及び「活性」GLP1部分(N末端GLP1ペプチド検出)を検出するための2つの別個のイムノアッセイ法を用いて決定した。血漿中薬物濃度を図17及び図18に示す。結果は、配列番号44及び83の投与が、自然発症肥満非ヒト霊長類において食物摂取を低減することを示した。
【0254】
非ヒト霊長類における21日間の用量漸増後のGLP1-GDF15融合タンパク質の食物摂取及び体重効果の評価。
【0255】
GLP1-GDF15融合タンパク質の食物摂取を減少させ、体重減少を引き起こす能力を、自然発症肥満カニクイザルで試験した。対象に、活性GDF15及びGLP1の両方、活性GDF15のみ、又は活性GLP1部分のみを含有する試験物品(それぞれ配列番号44、83、84;配列番号84は、I89R変異を有するGDF15ペプチドに融合したAP10リンカーペプチドに融合したAP5リンカーペプチドに融合したGLP1ペプチドを含む;I89R変異を有するGDF15ペプチドは、米国特許第10,336,812号に以前に開示されている)を21日間の期間にわたって3日おきに皮下投与した。0日目に与えられた初期用量は0.7nmol/kgであり、最大20nmol/kgまでそれぞれの投与で漸増させた。投与前、21日間の投与期間中、及び試験物品の洗い出し中の毎日の食物摂取量を図19に示す。検査全体を通して体重をモニタリングした。図20は、ベースラインに対する体重の経時的な変化率を示す。試験中のカニクイザル血漿中の試験物品の濃度を、「全体」分子(HSA検出;配列番号44、83、84)及び「活性」GLP1部分(N末端GLP1ペプチド検出;配列番号44及び84のみの場合)を検出するために2つの別個のイムノアッセイ法を用いて測定した。血漿中薬物濃度を図21及び図22に示す。結果は、配列番号44、83、84の反復投与が、自然発症肥満の非ヒト霊長類における食物摂取及びその後の体重減少の低減をもたらすことを示した。
【0256】
当業者は、広い発明概念から逸脱することなく前述の実施形態に変更を行うことができることを理解するであろう。したがって、本発明は、開示された特定の実施形態に制限されず、本説明によって定義されるように本発明の趣旨及び範囲内の修正を包含することを意図するものと理解される。
【0257】
引用した全ての文献は、参照により本明細書に組み込まれる。

[1] グルカゴン様ペプチド-1(GLP1)/増殖分化因子15(GDF15)融合タンパク質であって、前記GLP1-GDF15融合タンパク質は、GLP1ペプチドと、第1のリンカーペプチドと、血清アルブミンタンパク質と、第2のリンカーペプチドと、GDF15タンパク質と、を含む、GLP1-GDF15融合タンパク質。
[2] GLP1ペプチドが、配列番号1~4からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、上記[1]に記載のGLP1-GDF15融合タンパク質。
[3] 前記第1のリンカーペプチドが、配列番号5~25からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、上記[1]に記載のGLP1-GDF15融合タンパク質。
[4] 前記血清アルブミンタンパク質が、配列番号26又は配列番号27から選択されるアミノ酸配列を含む、上記[1]に記載のGLP1-GDF15融合タンパク質。
[5] 前記第2のリンカーペプチドが、配列番号28~30からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、上記[1]に記載のGLP1-GDF15融合タンパク質。
[6] 前記GDF15タンパク質が、配列番号31又は配列番号32から選択されるアミノ酸配列を含む、上記[1]に記載のGLP1-GDF15融合タンパク質。
[7] 前記GLP1-GDF15融合タンパク質が、配列番号33~74及び84からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、上記[1]に記載のGLP1-GDF15融合タンパク質。
[8] 上記[1]に記載のGLP1-GDF15融合タンパク質をコードする、単離核酸。
[9] 上記[8]に記載の単離核酸を含む、ベクター。
[10] 上記[8]に記載の単離核酸又は上記[9]に記載のベクターを含む、宿主細胞。
[11] 上記[1]に記載のGLP1-GDF15融合タンパク質と、医薬上許容できる担体と、を含む、医薬組成物。
[12] 疾患又は障害を治療又は予防することを、それを必要とする対象において行う方法であって、前記疾患又は障害は、肥満、I型又はII型糖尿病、メタボリックシンドローム、インスリン抵抗性、耐糖能異常、高血糖症、高インスリン血症、高トリグリセリド血症、先天性高インスリン症(CHI)による低血糖、脂質異常症、アテローム性動脈硬化症、糖尿病性腎症、並びに管理されていないコレステロール及び/又は脂質レベルに関連する高血圧及び心血管危険因子などの他の心血管危険因子、骨粗鬆症、炎症、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、腎疾患、並びに湿疹からなる群から選択され、前記方法は、有効量の上記[11]に記載の医薬組成物を、それを必要とする前記対象に投与することを含む、方法。
[13] 食物摂取を低減することを、それを必要とする対象において行う方法であって、前記方法は、有効量の上記[11]に記載の医薬組成物を、それを必要とする前記対象に投与することを含む、方法。
[14] GLP1受容体活性を調節することを、それを必要とする対象において行う方法であって、前記方法は、有効量の上記[11]に記載の医薬組成物を、それを必要とする前記対象に投与することを含む、方法。
[15] GDF15受容体(GFRAL)活性を調節することを、それを必要とする対象において行う方法であって、前記方法は、有効量の上記[11]に記載の医薬組成物を、それを必要とする前記対象に投与することを含む、方法。
[16] 前記医薬組成物が注射により投与される、上記[12]に記載の方法。
[17] 上記[1]に記載のGLP1-GDF15融合タンパク質、上記[8]に記載の単離核酸、及び/又は上記[9]に記載のベクターを含む、キット。
[18] 前記キットが注射用デバイスを更に含む、上記[17]に記載のキット。
[19] 上記[1]に記載のGLP1-GDF15融合タンパク質を含む医薬組成物を生成する方法であって、前記GLP1-GDF15融合タンパク質を医薬上許容できる担体と組み合わせて前記医薬組成物を得ることを含む、方法。
[20] 上記[1]に記載のGLP1-GDF15融合タンパク質を生成する方法であって、前記GLP1-GDF15融合タンパク質を生成するための条件下で前記GLP1-GDF15融合タンパク質をコードする核酸を含む細胞を培養することと、前記細胞又は培養物から前記GLP1-GDF15融合タンパク質を回収することと、を含む、方法。
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【配列表】
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