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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-16
(45)【発行日】2024-08-26
(54)【発明の名称】超硬質合金超硬合金
(51)【国際特許分類】
   C22C 29/08 20060101AFI20240819BHJP
   B22F 5/00 20060101ALI20240819BHJP
   C22C 1/051 20230101ALI20240819BHJP
   B21C 3/02 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
C22C29/08
B22F5/00 F
C22C1/051 H
B21C3/02 K
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021547410
(86)(22)【出願日】2020-02-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-21
(86)【国際出願番号】 EP2020053980
(87)【国際公開番号】W WO2020169488
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2022-12-14
(31)【優先権主張番号】1902272.2
(32)【優先日】2019-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】518414476
【氏名又は名称】ハイペリオン マテリアルズ アンド テクノロジーズ (スウェーデン) アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シンカ イ ルイス, ヌリア
(72)【発明者】
【氏名】ラリンベ, ローラ
(72)【発明者】
【氏名】タラゴ, ホセ マリア
【審査官】萩原 周治
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-162067(JP,A)
【文献】特開昭64-052043(JP,A)
【文献】特開2006-328540(JP,A)
【文献】特開平11-302767(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01726672(EP,A1)
【文献】中国特許出願公開第1869267(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22C 29/08
B22F 1/00-8/00
C22C 1/04-1/059
B21C 1/00-19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
なくとも9重量%のWC
4.5重量%のCo
0.180.315重量%のCr
0.05~0.30重量%のTa;
0.01~0.07重量%のNb;および
.05~0.2重量%のV
を含む、超硬合金であって、
Cr/Coの重量%商は0.06~0.07の範囲内にあり、
超硬合金が、30kgfを用いて測定された1950~2150のビッカース硬さ(HV30)、および次式


(式中、Aは定数で0.0028であり、HVは硬さ(N/mm )であり、Pは印加荷重(N)であり、ΣLは圧痕のクラック長さ(mm)の合計である)
に従って計算された8.0~9.5MPa√mのPalmqvist破壊靭性(K1c)を有する、
超硬合金
【請求項2】
0.10~0.20重量%のTaを含む、請求項1に記載の超硬合金。
【請求項3】
0.02~0.06重量%のNbを含む、請求項1に記載の超硬合金。
【請求項4】
合せで存在する0.10~0.30重量%のTaおよびNbを含む、請求項1に記載の超硬合金。
【請求項5】
WCの粒径が0.2~0.8μmの範囲内にある、請求項1に記載の超硬合金。
【請求項6】
WCの前記粒径が0.2~0.6μmの範囲内にある、請求項に記載の超硬合金。
【請求項7】
14.5~15.5g/cmの範囲の密度を有する、請求項に記載の超硬合金。
【請求項8】
000~2100のビッカース硬さHV30を有する、請求項に記載の超硬合金。
【請求項9】
請求項1に記載の超硬合金を含む金属線引きダイス。
【請求項10】
超硬合金物品を製造する方法であって、
少なくとも9重量%のWC、3~4.5重量%のCo、0.180.315重量%のCr 、0.05~0.30重量%のTaC、0.01~0.07重量%のNbC、および0.05~0.2重量%のVを含む粉体材料のバッチを調製することと;
粉体材料のバッチをプレスしてプリフォームを形成することと;および
プリフォームを焼結して超硬合金物品を形成することと、
を含み、
焼結された超硬合金物品が、0.06~0.07の範囲内のCr/Coの重量%商を有し、
超硬合金物品が、30kgfを用いた1950~2150のビッカース硬さ(HV30)、および次式


(式中、Aは定数で0.0028であり、HVは硬さ(N/mm )であり、Pは印加荷重(N)であり、ΣLは圧痕のクラック長さ(mm)の合計である)
に従って計算された8~9.5MPa√mのPalmqvist破壊靭性(K1c)を有する、
法。
【請求項11】
焼結することが、真空またはHIP処理を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
焼結することが、0~20MPaの範囲内の圧力で1360~1520℃の範囲内の温度で処理することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
超硬合金物品が金属線引きダイスである、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
粉体材料のバッチが、0.10~0.20重量%のVCを含む、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、所望の硬さ対靱性相関を有し、かつ高い耐摩耗性および耐食性と共に高い熱伝導率を示す超硬合金に関する。特定の実施態様による本発明の超硬合金は、高引張強度合金用の線引きダイスとしての用途を見出し得る。
【背景技術】
【0002】
軟質で延性のあるCo基結合剤と、WCなどの硬質の耐摩耗性炭化物とを組み合わせることにより、超硬合金は、400℃以下の温度で高い硬さと中程度の靱性を兼ね備えた優れた特性を示す。超硬合金の強度、耐火性、熱伝導率、圧縮変形に対する耐性、耐摩耗性、および耐食性といった物理的および機械的特性によって、超硬合金は,切削ダイス、材料変形工具、構造部品、採掘ビット、プレス金型、高集積プリント回路基板用小型ドリル、削岩機、軸受、メカニカルシール、および摩耗部品などの様々な高需要用途に広く利用されてきた。
【0003】
そのような用途における工具損傷は、いくつかの摩耗機構(例えば、腐食および拡散によって様々な程度に助長され得る、脆性破壊、疲労、アブレシブ摩耗、摩滅および塑性変形)によって引き起こされる場合があり、それらの摩耗機構は使用条件に応じて変化する可能性があり、かつ巨視的および/または微視的レベルで発生し得る。
【0004】
金属成形プロセスの中で、工具が摩耗と腐食の相乗効果を受ける用途の一つが線引き加工である。(冷間加工プロセスである)線引き加工の間、材料は、ダイスを通して引き抜かれ、その断面が所望の形状および寸法にまで減少する。線引きシーケンスおよび中間焼鈍を繰り返すことにより、線材をいくつかの形態および寸法に引抜き加工することができる。このプロセスは、多くのパラメータの複雑な相互作用であり、線引き加工を問題なく実践する上では、これらのパラメータの慎重な選択が必要である。そのようなパラメータとして、線材特性(耐力、弾性率、歪硬化指数)、潤滑剤(摩擦係数、粘度)、ダイス形状(縮小角度、軸受領域長さ、断面減少率、材料)およびプロセスパラメータ(温度、線引き速度、材料表面処理)を列挙することができる。
【0005】
鋼、アルミニウム、および銅は、線材を製造するために広く使用されている3種類の金属である。鋼は、自動車、建設、鉱業および包装分野などの広範囲の市場用途および製品の主要な構成材料である。近年、超高強度鋼線を製造する傾向が高まっている。引抜きダイスの摩耗は、引抜き加工プロセスにおける本質的制限である。引抜き加工プロセス中、線材とダイスとの間に摩擦が生じる。摩耗したダイスは直接費をもたらし、ダイスの交換および再調整時間は、コスト上のさらなる不利益につながる。寸法外れまたは損傷した線材が大量に製造されるより以前に,ダイスの摩耗を検出する必要がある。
【0006】
炭化タングステン超硬合金ダイスは、長年にわたって線引き加工に使用されてきた。強度と耐摩耗性とを兼ね備えることで、この材料は、鋼線産業、特にスチールコードフィラメントの引抜き加工において広く受け入れられている。超硬合金ダイスの摩耗度に影響を及ぼす材料特性には、硬さ、熱伝導率、微細構造、および組成が含まれ、潤滑または潤滑不備、そして特定の動作条件も影響する。
【0007】
粗線材は、通常、Coが10重量%または6重量%ならびにそれぞれのビッカース硬さが1600および1750であるグレードによって乾式線引き加工される。1.5~2mmから最終寸法0.15~0.3mmまでの湿式引抜き加工は、通常、硬さが約1900~2000HV、およびCo含有量が6.5重量%未満、最も頻繁には約3~5重量%のグレードの引抜きダイスを用いて行われる。湿式引抜き加工中の摩擦を低減するために、エマルション潤滑剤(水中油型)を線材に噴霧するか、または完全に浸漬した状態で使用する。このプロセスには、異なる接触に対する、様々な圧力、温度、および速度条件が関与する。最も一般的な摩耗モード(これが使用中にダイスに損傷をもたらす可能性がある)には、破断、アブレシブ摩耗、摩滅摩耗(結晶粒プルアウトと呼ばれることもある)、腐食摩耗、およびかじりが含まれる。
【0008】
組成に関しては、TaNbC含有合金が最長寿命を有することが実証されているが、VC含有合金は最微細粒径および最高硬さを有する。また、ニッケルは耐食性を向上させると考え得るが、Co+Niが結合剤でありCrを有する超硬合金グレードは好適な線引き特性を示さず、耐食性が線引き効率の結果に直接影響しないことを示している[M.Takada,H.Matsubara,and Y.Kawagishi,’’Wear of Cemented Carbide Dies for Steel Cord Wire Drawing,’’Mater.Trans.,第54巻第10号第2011~2017頁(2017)]。
【0009】
欧州特許出願公開第1726672号明細書は、超微細粒径を有するWCおよび5~10重量%のCoを含む、スチールタイヤコード線引き用超硬合金を記載している。結晶粒成長阻害剤は、Vおよび/またはCrを含み、約1900のHV30ビッカース硬さをもたらす。
【0010】
しかしながら、(例えば金属線引きダイスとしての)高需要用途のための既存の超硬合金の所望の品質性能を実現し、動作寿命を可能な限り延長すべく、耐摩耗性、耐食性、熱伝導率、硬さおよび靭性に関するさらなる改善が望まれている。
【発明の概要】
【0011】
本開示は、高引張強度合金の線引き加工などの物理的に厳しい用途に好適な、高い硬さの高性能材料に関する。また、高い耐摩耗性および耐食性、高い熱伝導率、高い硬さ、そして特に硬さ対破壊靱性関係が向上した材料も提供される。
【0012】
本発明の材料の利点は、部分的には、本発明の材料が比較的低い結合剤含有量および微細な粒径を有するものとして提供される。さらに、硬さと靱性とは典型的には相互排他的であるために、硬さ対靱性関係の向上は、CrならびにTaおよび/またはNbを含む添加剤をさらに選択的添加することによりもたらされる。このような添加剤の濃度は、結合剤中に固溶しきるように制御され、材料の所望の物理的および機械的特性に弊害をもたらすような析出が回避されることが好ましい。粒径は、選択的に制御され、所望の材料特性をさらに高める。
【0013】
WCを少なくとも93重量%;Coを3~5重量%;Crを0.1~0.5重量%;単独または組合せで存在するTaおよび/またはNbを0.05~0.35重量%;ならびに、Vを0.05~0.2重量%を含む超硬合金が提供される。
【0014】
好ましくは、超硬合金に占めるCr/Coの重量%商は、0.04~0.1の範囲内にある。このような構成にすることで、結合剤含有量が比較的少なく、またCr濃度を最小限に抑えてCrが析出する傾向が軽減された炭化物材料が得られる。また、こうすることで、結晶粒成長を抑制し、かつ硬質相および結合相に対する付加的な相の析出を最小化または排除するのに好適な材料が得られる。
【0015】
本明細書における「重量%商」への言及は、それぞれが超硬合金材料の総重量のそれぞれの重量%分率としての重量%Coに対する重量%Crの比を包含する。
【0016】
本明細書において、粒径の値は、直線切片法によって測定される。
【0017】
超微細粒径および極めて高い硬さレベル(1900HV30超)を達成するために、本発明の材料は結晶粒成長阻害剤(GGI)添加剤を含む。VCは、最も効果的なGGIの1種であり、通常、超微細および/または微細粒径を必要とする超硬質合金中に添加される。しかしながら、本発明者らは、VCが固溶限界未満であっても、WC界面におけるV基相の析出により超硬質合金が部分的に脆化し、それが次に付着強度(WC結晶粒の保持力)を低下させ、したがってHV対KIc関係を低下させることを特定した。このため、本発明のグレードに添加されたVCの量は(結合剤含有量と比較して)、部分的に低減または排除されている。しかしながら、高い硬さおよび超微細平均粒径を維持するためには、粒径の縮小化においてVCよりも効果が低いとはいえ、なお結晶微細化剤として関連する効果を示す他のGGIを添加することが必要であった。選択された元素には、Cr(すなわち、市販の超硬質合金線材引抜きニブなどの既存の基準グレードと比較してCr/Co比がより高い)、Taおよび/またはNbが含まれる。これらの元素には、(i)結合剤に固溶し、結合剤強度および加工硬化能力を増加させ、(ii)耐食性を著しく増加させ、(iii)HV対KIc関係を低下させない強力な結晶粒微細化効果を有するという利点がある。材料の強度および靱性を低下するおそれがある付加的な(すなわち、WC相および結合相以外の)炭化物相の析出を回避または最小化するために、そのような成分を結合剤中の固溶限界以下または固溶限界付近で添加することが方針であった。これらの相は、硬いが脆い傾向にある。しかしながら、本発明者らは、そのような成分の寸法が小さい(すなわち、平均WC粒径よりも相対的に小さい)場合、炭化物は微細構造内に広く分布し、靭性を低下させることなく耐摩耗性を改善する利点があることが示唆されることを特定した。
【0018】
本発明の超硬合金は、硬質相と結合相との2つの相を優先的に含む。好ましくは、本発明の材料は2つの相のみを含み、ガンマ相(立方晶炭化物または混合炭化物相)などのさらなる相を含まない。特に、高い硬さおよび/または靱性レベル、加工硬化、高い耐食性および熱伝導率を達成するために添加される材料の成分は、結合剤内の固溶体中に存在していることが好ましく、別個かつ異なるさらなる相として析出しないことが好ましい。したがって、Nb、Ta、Cr、および/またはVは、最終超硬合金内の第3相の析出を回避し、特に混合立方晶炭化物(ガンマ)相の存在を回避するために、それぞれの濃度で添加される。
【0019】
本明細書で詳述するように、Nb、Cr、TaおよびVの炭化物は、出発物質として、例えば、多くの供給業者から入手可能なそれぞれの単体炭化物または混合炭化物として添加されてもよい。そのような炭化物および混合炭化物出発物質は、典型的には、コストおよび入手可能性に基づいて超硬合金の製造に適した出発物質と目される。理解されるように、そのような炭化物または混合炭化物からの炭素は、次に硬質相中に存在してもよく、ある程度は結合相に存在してもよい。
【0020】
本発明の超硬合金は、具体的には、微細粒径および比較的低い結合剤含有量を備えており、高い硬さ、および所望の硬さ(HV)対靱性(KIc)比を達成する。前述したように、これは、本発明の材料がCr(これはWC結晶粒成長阻害にも寄与する)と共に結晶粒成長阻害剤としてTa、Nb、またはTaとNbとの組合せを含むことに加えて、部分的には、強力な結晶微細化剤であるVCの濃度の最小化または高濃度の回避によって達成され得る。さらに、重量%に関して、材料の「微量」成分を表すそのような添加剤の添加が結合剤の加工硬化の増加に好ましい影響を与えることが見出された。Ta、Nb、およびCrの量を、このような成分がマトリックス金属相(Co)に確実に固溶するように制御して、析出しないようにすることが重要である。有利なことに、ダイス線引き加工プロセス中に、結合剤の塑性変形が防止され、結合剤の押出しが低減され、WC結晶粒がより良好に支持される。
【0021】
生産性向上の要求に応えるために、高張力コード材の線引き加工プロセスにおける高速の使用は、線材と線引き工具との間の塑性変形や摩擦に起因する発熱を増大させる上で重大な影響を及ぼす。機械的エネルギーの大部分は熱に変換され、数百度程度の温度上昇をもたらす。この温度上昇は、潤滑条件、工具寿命および最終製品の特性に大きく影響する。潤滑技術を適切に使用することにより、引抜き加工中に発生する熱の量を大幅に減少させ、結果としてエネルギー消費を低減させるが、線引きダイス材料の熱伝導率が高いほど、放熱の促進には良好であり、工具寿命を向上させる。
【0022】
発生した熱を放散させるために、高い熱伝導率を有する引抜きニブを有することが有益である。熱伝導率は、結合剤含有量を低減させる場合および/または粒径を増大させる場合に上昇する。しかしながら、硬さおよび耐摩耗性を高める場合には、微細粒径または超微細粒径が必要である。したがって、本発明の開発グレードは、高い硬さおよび耐摩耗性、高い硬さ対KIc関係、そして中程度または高い熱伝導率(50W/mK超、好ましくは60W/mK超、好ましくは70W/mK超)を、問題なく調和させるために、比較的低い結合剤含有量(3重量%~5重量%)と、微細粒径または超微細粒径(0.8μm未満)と、を兼ね備えている。
【0023】
本発明者らは、一用途において、高張力鋼引抜き用ニブとして好適な超硬合金超硬質合金を提供する。この超硬合金超硬質合金は、高い硬さレベル(1900HV30超、好ましくは1950HV30超、好ましくは2000HV30超)、中程度から高い破壊靱性(KIc)レベル(8MPa×m1/2超、好ましくは8.3MPa×m1/2超、好ましくは8.5MPa×m1/2超)、改善された硬さ対破壊靱性関係、高い耐食性、高い熱伝導率、強いWC/WCおよびWC/結合剤界面、ならびに向上した結合剤強度および加工硬化率を兼ね備えている。本発明の材料グレードが上記の特性を兼ね備えているのは、超硬質合金が、低い結合剤含有量、超微細粒径、そして結合剤内に固溶限界以下または固溶限界付近で固溶したCrならびにTaおよび/またはNbの最適量を有するという微細構造設計によってである。
【0024】
場合により、超硬合金は、Taを、0.05~0.3重量%;0.1~0.2重量%;0.16~0.26重量%;0.12~0.16重量%、または0.2~0.22重量%含む。場合により、超硬合金は、Nbを、0.05~0.3重量%;0.1~0.2重量%;0.01~0.07重量%;0.02~0.06重量%;0.01~0.05重量%;0.02~0.06重量%、または0.02~0.04重量%含んでもよい。場合により、超硬合金は、TaとNbとを組み合わせて、0.05~0.35重量%;0.1~0.3重量%;0.14~0.28重量%;0.16~0.2重量%、または;0.2~0.28重量%含んでもよい。このような成分の配合は、硬さ、耐摩耗性、耐食性、強度、およびアブレシブ摩耗耐性の向上に有効である。
【0025】
場合により、Cr/Coの重量%商は、0.05~0.1;0.05~0.09;0.06~0.09;0.06~0.08;0.06~0.07;0.07~0.1;0.08~0.09の範囲内にある。本明細書に記載され特許請求されるCr対Co比は、低い結合剤含有量、超微細粒径、および結合剤内の結晶粒微細化成分の所望の固溶度を有する超硬質合金を提供する。特に、(WC相および結合相以外の)付加的な炭化物相の析出が回避される。
【0026】
場合により、Vは、0.06~0.2重量%;0.08~0.2重量%;0.1~0.2重量%;0.12~0.18重量%、または0.13~0.17重量%の範囲で含まれる。Vの添加は、結晶粒成長阻害を増進して材料の脆化を最小限に抑えるのに有益である。
【0027】
場合により、超硬合金は、直線切片法によって決定された、焼結材料の0.2~0.8または0.2~0.6μmの範囲にある粒径を有するWCを含んでもよい。定義された(特にWC相の)平均粒径は、所望の硬さ、耐摩耗性、強度およびアブレシブ摩耗耐性をもたらす。場合により、本発明の超硬合金は、WCを94重量%以上または95重量%以上含んでもよい。
【0028】
場合により、超硬合金は、WCの硬質相および結合相を含む2つの相を含む。超硬合金はさらに、3~5重量%のCo;0.1~0.5重量%のCr;0.05~0.35重量%の単独または組合せで存在するTaおよび/またはNb;ならびに0.05~0.2重量%のVを含む。WCは、好ましくは、残部として含まれる。
【0029】
場合により、超硬合金の構成成分は、少なくとも93重量%のWC;3~5重量%のCo;0.1~0.5重量%のCr;0.05~0.35重量%の単独または組合せで存在するTaおよび/またはNb;ならびに0.05~0.2重量%のVである。
【0030】
場合により、超硬合金は、14.5~15.5g/cmの範囲の密度、1950~2150もしくは2000~2100のHV30ビッカース硬さ、および/または8~9.5MPa√mのPalmqvist破壊靭性を有し得る。したがって、本発明のグレードは、比較例の既存の超硬質合金超硬合金グレードに比して、高い硬さ対靭性関係および最小化された摩耗率を備える。
【0031】
場合により、WC硬質相およびCo結合相を含む超硬合金であって、少なくとも93重量%のWC;3~5重量%のCo;0.1~0.5重量%のCr;0.05~0.35重量%の単独または組合せで存在するTaおよび/またはNb;ならびに0.05~0.2重量%のVをさらに含む超硬合金が提供される。
【0032】
場合により、超硬合金は、残部重量%としてWCを含む。好ましくは、結合相は、Co、Cr、Taおよび/またはNb、ならびにVを含み、好ましくは、Co、Cr、Taおよび/またはNb、ならびにVは、固溶体中のCo基結合相中に存在する。
【0033】
好ましくは、本発明の超硬合金は、超硬合金の総重量に基づいて、5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、または2~5重量%、2~4重量%、2~3重量%の範囲内の結合相含有量を含む。
【0034】
好ましくは、本発明の材料は窒化物および/または窒化炭素を含まない。場合により、超硬合金は、不純物レベルで存在する窒化物および/または炭窒化物を含んでもよい。好ましくは、超硬合金は、組成上Tiを含まないように、TiならびにTiの炭化物、窒化物および/または炭窒化物を含まない。
【0035】
一態様において、本発明の超硬合金は、残部のWC;3~5重量%のCo;0.1~0.5重量%のCr;ならびにTaおよび/またはNbを含み、Cr/Coの重量%商は、0.04~0.1の範囲内である。場合により、このような超硬合金は、WC硬質相およびCo基結合相を含んでもよい。好ましくは、このような超硬合金は、立方晶炭化物(ガンマ)相などの第3相を含まない。
【0036】
場合により、本発明の材料は、Fe、Ti、Re、Ru、Zr、Al、および/またはYの元素、炭化物、窒化物または炭窒化物形態を含む不純物を含んでもよい。不純物レベルは、超硬合金内の0.1重量%未満、0.05重量%未満、または0.01重量%未満などのレベルである。
【0037】
本発明のさらなる態様によれば、本明細書で特許請求される超硬合金を含む金属線引きダイスが提供される。
【0038】
超硬合金物品を製造する方法であって、少なくとも93重量%のWC、3~5重量%のCo、0.1~0.5重量%のCr、0.05~0.35重量%の単独または組合せのTaおよび/またはNb、ならびに0.05~0.2重量%のVを含む粉体材料のバッチを調製すること;粉体材料のバッチをプレスしてプリフォームを形成すること;プリフォームを焼結して物品を形成すること、を含む方法も提供される。
【0039】
場合により、粉体出発物質は、元素形態、炭化物形態、混合炭化物形態、またはそれらの組合せであってもよい。
【0040】
場合により、粉体出発物質は、Cr/Coの重量%商が0.04~0.1の範囲内にあるようなものである。
【0041】
場合により、焼結する工程は、真空処理またはHIP処理を含んでもよい。場合により、焼結する工程は、0~20MPaの範囲の圧力で1360~1500℃の範囲の温度で処理することを含む。
【0042】
場合により、本発明の超硬合金から製造された物品または部品は、金属線引きダイスであってもよい。場合により、本発明の超硬合金は、切削ダイス、材料変形工具、構造部品、採掘ビット、プレス金型、高集積プリント回路基板用小型ドリル、削岩機、軸受、メカニカルシールまたは摩耗部品として形成されてもよく、またはこれらの部品として形成されてもよい。
【0043】
場合により、粉体材料バッチは、WCを93.94以上と、Coを3~5重量%と、Crを0.1~0.5重量%と、i)TaCおよびNbC;ii)NbCを含まないTaC、またはiii)TaCを含まないNbCのいずれか一種を、0.05~0.35重量%;0.1~0.3重量%;0.14~0.28重量%または0.16~0.26重量%と、VCを0.05~0.25または0.1~0.2重量%とを、含んでもよい。
【0044】
次に、本開示の具体的な実施態様について、様々な例および添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】本発明の態様による超硬合金材料の硬さ対靱性関係のグラフである。図中の点線は線形相関に対応する。
図2】(a)2000倍の倍率および(b)5000倍の倍率での超硬質合金グレードAの顕微鏡写真である。
図3】(a)2000倍の倍率および(b)5000倍の倍率での超硬質合金グレードBの顕微鏡写真である。
図4】(a)2000倍の倍率および(b)5000倍の倍率での超硬質合金グレードCの顕微鏡写真である。
図5】(a)2000倍の倍率および(b)5000倍の倍率での超硬質合金グレードDの顕微鏡写真である。
図6】(a)2000倍の倍率および(b)5000倍の倍率での超硬質合金グレードEの顕微鏡写真である。
図7】(a)2000倍の倍率および(b)5000倍の倍率での超硬質合金グレードFの顕微鏡写真である。
図8】摺動摩耗試験後の、本発明の態様による様々な試料グレードの摩耗表面のSEM画像である。
図9】SEM解析によって測定した、試験後の様々な試料グレードの摩耗痕幅のグラフである。
図10】試料グレードAおよび基準試料グレードFの熱伝導率のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0046】
高性能の超硬質合金超硬合金材料は、高引張強度合金の金属線引き加工に向けて優先的に開発されてきた。本発明の材料は、特に、高い耐摩耗性および耐食性、高い熱伝導率、高い硬さ、および特に向上された硬さ対破壊靱性相関に適合させている。このような特性は、粒径、結合剤含有量および組成の選択的制御によって実現される。特に、本発明の超硬合金は、超微細粒径、比較的低い結合剤含有量、および対応する向上した結合剤-WC結合強度を備える。
【実施例
【0047】
粉砕、プレス、成形および焼結を含む従来の粉末冶金法を使用して、本発明による超硬合金の様々な試料グレードを製造した。特に、表1および2による重量%組成(元素)を有する超硬合金グレードを既知の方法を使用して製造した。グレードA~Gは、硬質成分を形成する粉体および結合相を形成する粉体から調製した。試料混合物グレードA~Fのそれぞれは、硬質成分を形成する粉体および結合剤を形成する粉体から調製された。以下の調製方法は、出発粉体材料:WC 93.08g、Cr3C2 0.30g、Co 3.92g、NbC 0.03g、TaC 0.16g、VC 0.14g、W 0.01g、PEG 2.25g、エタノール 50mlを有する以下の表1のグレードAに対応する。当業者が粉体バッチを作製し、表1の超硬合金の最終的な完全焼結組成を達成することを可能にするのは粉体材料の相対量であり、また適切な調整が必要であることが当業者には理解されよう。したがって、表1には、出発物質を、コバルト以外は、炭化物形態で列挙する。理解されるように、それぞれの炭化物出発物質が、利便性および標準的な供給業者からの価格のために使用される。特に、TaCおよびNbCは、表1に示すそれぞれの重量の量で混合炭化物出発物質として添加してもよい。
【0048】
試料混合物の各々を、液体媒体としてエタノールを使用して8時間ボールミルで粉砕してから、炉(65℃)内で乾燥させ、そして篩分した。粉体を4Tmで一軸加圧成形した。次いで、圧粉体を450℃でデペグし、アルゴン雰囲気(50bar)中、1450℃の焼結HIP(70分)中で焼結した。PEGをすべての組成物に導入した。
【0049】
特性評価
表1の様々な出発物質粉体バッチを処理して、最終的な完全焼結材料を製造した。次いで、焼結グレードA~Fの特性評価を行った。この特性評価には、走査型電子顕微鏡法(SEM)およびエネルギー分散型X線分光法(EDS)を用いた微細構造解析、硬さおよび靭性、摺動摩擦および摩耗試験ならびに熱伝導率が含まれる。
【0050】
微細構造
焼結試料をベークライト樹脂に埋め込んで、1μmまで研磨した後に、さらなる特性評価を行った。微細構造分析は、走査型電子顕微鏡法(SEM)およびエネルギー分散型X線分光法(EDS)を使用して行った。研磨した試料を村上試薬でエッチングして微細構造を明らかにし、ATM4499-1:2010に準拠して、WC粒径を測定するために直線切片法を使用した。
【0051】
直線切片法(ISO4499-2:2008)は、WC粒径の測定方法である。粒径測定値は、微細構造のSEM画像から取得する。超硬合金(硬質相および結合相)などの名目上二相材料の場合、直線切片法は粒径分布の情報を与える。超硬合金の微細構造の較正された画像を横切る一本の直線を描く。この直線がWCの結晶粒と交叉するところで、直線の切片(l)の長さを較正された定規を使用して測定する(ここで、i=1,2,3,...nは、最初の1番目、2番目、3番目、...、n番目の結晶粒)。少なくとも100個の結晶粒を測定のために算定する。平均WC粒径は、次式のように定義される。
【0052】
硬さおよび靱性
30kgfを用いて(HV30)ビッカース圧入試験を行い、硬さを評価した。Palmqvist破壊靭性は、次式に従って計算した。
式中、Aは定数で0.0028であり、Hは硬さ(N/mm)であり、Pは印加荷重(N)であり、ΣLは圧痕のクラック長さ(mm)の合計である。
【0053】
摺動摩擦摩耗試験
摩耗挙動を評価するために使用された方法論は以下の通りであった。
・焼結した試料をベークライト樹脂に埋め込み、1μmまで研磨した。
・その後、試料をベークライトから取り外し、Wazau摩耗試験機用に設計された円形形状ホルダーに載置した。
・直線往復運動モジュールのWazau摩耗試験機は、ASTM G133に準拠して使用した。アブレシブ摩耗を特徴付けるために、φ10mmのAl2O3ボールを使用した。使用した条件は、荷重=150N、速度=250rpm、ストローク長=10mm、サンプル周波数=100Hz(1時間の試験)であった。実際のプロセスをシミュレートするために、試験中に試料を潤滑剤に浸漬した。
・各摩耗実験中、ピンオンフラット摺動対の印加された垂直接触力(FN)および付随する接線摩擦力(FT)を連続的に記録した。摩擦係数(μ)は、力の比FT/FNから算出される。
・試験後、摩耗損傷パターンをSEM解析によって評価し、摩耗痕の深さを測定した。
【0054】
熱伝導率
比熱および熱拡散率は、CIC Energigune技術センターによって5つの異なる温度(30℃、100℃、200℃、300℃、400℃、および500℃)で評価した。熱伝導率は、密度および熱拡散率の測定値から次式に従って算出した。
λ(T)=ρ(T)*Cp(T)*α(T)
式中、
λ-熱伝導率
ρ-密度(ピクノメータ法により測定)
Cp-比熱
α-熱拡散率
T-温度
【0055】
比熱(Cp)を測定するために、DSC熱量計(示差走査熱量測定)DSC Discovery2500装置を使用した。熱拡散率は、NETZSCHレーザーフラッシュ装置LFA457MicroFlash(登録商標)を用いて測定した。LFA457は、「Parkerの式」を用いて熱拡散率を算出する。
式中、
L=試料厚さ(mm)
t0.5=温度上昇が50%になるまでの時間(秒)
【0056】
結果
表1および表2を参照すると、本発明の超硬質合金グレードは、3重量%~5重量%のCo含有量と、結晶粒成長阻害剤としてのVC、Cr、NbCおよびTaCの最適な添加量と、を兼ね備える。図1は、基準グレードEおよびFと比較して、開発されたグレードA~DのHV30対Palmqvist靱性関係を示す。見てとれるように、提案された材料は、基準グレードEおよびFよりも優れた硬さ対靱性レベルを示す。これはおそらく、GGIとしてのVCが、Cr、TaおよびNbなどのより多量の他の(さらに有益な)元素に置き換わることに関連している。HV30および靭性の値を表3に示す。
【0057】
基準および開発された超硬質合金グレードの微細構造を、図2図7に2000倍の倍率および5000倍の倍率で示す。図2は、(a)2000倍の倍率および(b)5000倍の倍率での超硬質合金グレードAの顕微鏡写真である。図3は、(a)2000倍の倍率および(b)5000倍の倍率での超硬質合金比較例レードBの顕微鏡写真である。図4は、(a)2000倍の倍率および(b)5000倍の倍率での超硬質合金比較例グレードCの顕微鏡写真である。図5は、(a)2000倍の倍率および(b)5000倍の倍率での超硬質合金比較例グレードDの顕微鏡写真である。図6は、(a)2000倍の倍率および(b)5000倍の倍率での硬質合金比較例グレードEの顕微鏡写真である。図7は、(a)2000倍の倍率および(b)5000倍の倍率での超硬質合金比較例グレードFの顕微鏡写真である。
【0058】
摩耗応答
アブレシブ摩耗に関する摩耗損傷を、Alボールを用いて評価した。図8に見られるように、摩耗痕から明らかになったのは、すべての試料が硬質の対応物のアブレシブ効果に起因する結晶粒プルアウトに基づく同一の摩耗機構を受けたことである。その機構におけるこれらの類似性にもかかわらず、基準試料Eは、その硬さが低いために、他の試料よりも大きく摩耗していた。また、試料Eは、結晶微細化剤としてVCのみを含有しており、Ta、Nb、Crを含有していない。試料Eには、材料の脆化が認められた。これらの観察結果は、図9に示す摩耗痕幅測定値と完全に整合している。
【0059】
熱伝導率
標準的なWC/Co超硬質合金の熱伝導率は、高速度鋼の熱伝導率の約2倍である。熱伝導率および熱膨張の両方は、結合相の体積分率および硬質炭化物相の粒径を変えることによって調整することができる。高い熱伝導率は、線引き加工用途において、工具に沿って熱を放散し、高温での特性劣化および熱損傷に起因する早期破壊を回避するための重要な特性である。図10は、室温から500℃以下での試料Aと基準試料Fの熱伝導率を比較する。図10から分かるように、この特性は粒径に非常に敏感であるため、Fの熱伝導率の値はより低い。グレードAと比較して多量のVC(強力な結晶微細化剤)が存在することにより、この材料は、その粒径がより微細なために熱伝導性が低くなる。これに加えて、グレードFのCo含有量はグレードAのCo含有量よりも多く、この事実はその熱伝導率がより低いことにさらに寄与する。
【0060】
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本明細書に記載の主題が関係する技術分野における当業者に一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0061】
別段の指示がない限り、「重量%」への言及は、超硬合金の総質量に対する成分の質量分率を指す。
【0062】
例えば濃度範囲、百分率範囲または比率範囲などの値の範囲が提供される場合、文脈上別段の明確な指示がない限り、その範囲の上限と下限との間の、下限の単位の10分の1までの、各介在値、およびその記載された範囲内の任意の他の記載値または介在値は、記載された主題内に包含されることが理解される。これらのより狭い範囲の上限および下限は、より狭い範囲に独立して含まれてもよく、そのような実施形態もまた、記載された主題内に包含されるが、記載された範囲内の任意の具体的に除外された限界に変更される可能性がある。記載された範囲が限界の一方または両方を含む場合、それらの含まれた限界の一方または両方を除外した範囲もまた記載された主題に含まれる。
【0063】
上記および本明細書の他の箇所で使用される「a」および「an」という用語は、列挙された構成要素の「1つまたは複数」を指すことを理解されたい。特に明記しない限り、単数形の使用が複数形を含むことは、当業者には明らかであろう。したがって、「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「少なくとも1つの(at least one)」という用語は、本出願では互換的に使用される。
【0064】
特に明記しない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用される成分の量、寸法、重量、反応条件などの特性を表すすべての数字は、すべての場合において「約」という用語によって修飾されていると理解すべきである。したがって、反対のことが示されない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本発明の主題によって得ようとする所望の特性に応じて変化し得る近似値である。少なくとも、均等論の適用を特許請求の範囲に制限する試みとしてではなく、各数値パラメータは、少なくとも、そして報告された有効数字の桁数に照らし、かつ通常の端数処理手法を適用することにより解釈されるべきである。
【0065】
本出願全体を通して、様々な実施形態の説明に、「含む(comprising)」という言い表し方を使用する。しかしながら、場合によっては、「から本質的になる」または「からなる」という言い表し方を使用して実施形態を代替的に説明し得ることが当業者には理解されよう。
【0066】
本発明の主題を以上のように説明したが、本発明の主題は様々に改変または変更され得ることが明らかであろう。そのような改変または変更は、本発明の主題の趣旨および範囲からの逸脱と見なされるべきではなく、そのような改変または変更のすべては、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10