(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-16
(45)【発行日】2024-08-26
(54)【発明の名称】長期持続性化粧用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/02 20060101AFI20240819BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20240819BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20240819BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240819BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
A61K8/02
A61K8/73
A61K8/34
A61Q19/00
A61Q1/00
(21)【出願番号】P 2021560332
(86)(22)【出願日】2020-03-27
(86)【国際出願番号】 EP2020058673
(87)【国際公開番号】W WO2020201069
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2023-01-18
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】521440585
【氏名又は名称】シャネル・パルファム・ボーテ
(73)【特許権者】
【識別番号】591169401
【氏名又は名称】ロケット フレール
【氏名又は名称原語表記】ROQUETTE FRERES
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジュリー・ジャマン
(72)【発明者】
【氏名】サラ・セバン・ズナティ
(72)【発明者】
【氏名】フラヴィ・メール-アミオ
【審査官】▲高▼ 美葉子
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-503316(JP,A)
【文献】特表2011-512411(JP,A)
【文献】特表2007-511584(JP,A)
【文献】特開2003-095908(JP,A)
【文献】Daytime Nourishment Cream ,ID 10094125,Mintel GNPD[online],2001年10月,[検索日2024.01.22],https://www.portal.mintel.com
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
A61K 9/00
A61K47/00
Mintel GNPD
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続水性相において、
- 30%以
上のアミロース含量を有する少なくとも1種のマメ科デンプンと、
- ポリオールから選択される少なくとも1種の可塑剤と、
- キサンタンガム
とスクレロチウムガ
ムとの混合物
である少なくとも1種の親水性ゲル化剤と、
- 水と
を含む化粧用組成物。
【請求項2】
デンプンが、水性分散体中25℃で20%の乾物で、10~10,000mPa.sの
間であるブルックフィールド粘度を有することを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
デンプンが、30%~7
5%の範囲であるアミロース含量を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載
の組成物。
【請求項4】
マメ科デンプンが、エンドウ(pea)デンプン、ヒヨコマメデンプン、マメデンプン、ソラマメ(field bean)デンプン、インゲンマメデンプン、又はヒラマメデンプンから選択さ
れることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
マメ科デンプンが、エンドウ(pea)デンプンから選択されることを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
デンプンが、加水分解及びヒドロキシプロピル化マメ科デンプンであることを特徴とする、請求項1から
5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
デンプンが、組成物の総質量に対して0.1質量%~30質量
%の乾物含量で存在することを特徴とする、請求項1から
6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
0040
ポリオールが、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ペンタンジオール、イソプレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセロール、4~8エチレングリコール単位を有するポリエチレングリコール(PEG) 及び/又はソルビトールから選択さ
れることを特徴とする、請求項1から
7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
ポリオールが、ペンチレングリコールとの混合物であるグリセロール及びソルビトールであることを特徴とする、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
ポリオールが、組成物の総質量に対して、8~25質量
%の範囲の含量で存在することを特徴とする、請求項1から
9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
組成物の総質量に対して、25~65質量
%の水を含むことを特徴とする、請求項1から
10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
キサンタンガム及びスクレロチウムガムの混合物が1:2~2:1の質量比
(キサンタンガム:スクレロチウムガム)で存在することを特徴とする、請求項1から
11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
8~20の間のHLBの乳化剤を含むことを特徴とする、請求項1から1
2のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
8~20の間のHLBの乳化剤が、脂肪酸エステル、オキシエチレン及び/又はオキシプロピレンソルビトールエーテル、リゾリン脂
質、乳化ワックス、及びそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1
3に記載の組成物。
【請求項15】
1~5個の炭素原
子を有する少なくとも1種のモノアルコー
ルを含むことを特徴とする、請求項1から1
4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
着色剤を含むことを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
- 可塑剤を水
と混合する工程と、
- ゲルが形成されるまで撹拌下でデンプンを添加する工程と、
- ゲル化剤を添加する工程
と、
を含む、請求項1から1
6のいずれか一項に記載の組成物を調製する方法。
【請求項18】
- 可塑剤を水と、乳化剤及び/又は皮膜形成剤と混合する工程と、及び/又は
- 着色剤を添加する工程と、及び/又は
- pHを調整する工程と
をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
可塑剤と水と、
並びに/又は乳化剤及び/もしくは皮膜形成剤との混合が、室温で、又は
60~95℃の間の温度で操作されることを特徴とする、請求項1
7又は18に記載の方法。
【請求項20】
ケラチン物
質に、請求項1から1
6のいずれか一項に記載の組成物を塗布することからなる、前記ケラチン物
質に対するメイクアップ又はケア方法。
【請求項21】
- 請求項1から1
6のいずれか一項に記載
の組成物から皮膜を得る方法であって、
請求項1から1
6のいずれか一項に記載の組成物を、ケラチン物
質に塗布して、均一な液体皮膜を形成することと、
- 前記組成物を、10秒間~5分間乾燥することと
を特徴とする方法。
【請求項22】
ケラチン物質上に、耐汗及び耐皮脂皮膜を形成するための、請求項1から1
6のいずれか一項に記載の組成物の化粧的使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の目的は、連続水性相において、30%以上のアミロース含量を有する少なくとも1種のマメ科デンプン、ポリオールから選択される少なくとも1種の可塑剤、及び多糖類から選択される少なくとも1種の親水性ゲル化剤を含む化粧用組成物である。本発明はまた、ケラチン物質上に耐汗及び耐皮脂皮膜を形成するためのそのような組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ケラチン物質に対するメイクアップ製品又はトリートメント製品は、通常、均一な薄層の形態で塗布される。眼瞼のメイクアップを目的とした組成物、例えばアイシャドウ又はアイライナーの場合、塗布後に堆積された皮膜は、涙、汗、及び皮脂に対して耐性があることが望ましい。更に、皮膜が指の摩擦に対して良好な耐性を有することが望ましい。
【0003】
皮膚に堆積された皮膜が非色移り特性を有すること、すなわち、皮膚が接触する可能性のある特定の支持体、特に衣類に部分的にさえ堆積しないことも望ましい。
【0004】
これらの組成物に皮膚又はまつ毛に対する良好な持続力を与えるために、有機溶媒からなる媒体に可溶化された皮膜形成ポリマーを使用することが公知である。
【0005】
皮膜形成組成物には現在、ポリビニルピロリドン(PVP)又はポリ酢酸ビニル(PVAC)等の合成ポリマーが使用されている。しかしながら、消費者は、化学修飾が最小限の、天然成分又は天然由来の成分から本質的になる化粧料をますます求めている。機能性合成成分の除去、又は天然由来の成分によるそれらの置換は、新しい化粧料の開発のための重要な領域となる。しかしながら、これらの新しい天然成分又は天然由来の成分の導入は、その外観、その用途又はその化粧品特性において、化粧料の特性の低下を伴う場合がある。これらの不充分な又は低下した化粧品特性は、製品のイメージにとって不利益となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】仏国特許出願公開第2759377(A)号明細書
【文献】国際公開第04/055081号パンフレット
【文献】仏国特許出願公開第2232303(A)号明細書
【文献】米国特許第5,874,069号明細書
【文献】米国特許第5,919,441号明細書
【文献】米国特許第6,051,216号明細書
【文献】米国特許第5,981,680号明細書
【文献】米国特許第5,236,986号明細書
【文献】米国特許第5,412,004号明細書
【文献】米国特許第5,837,793号明細書
【文献】米国特許第5,811,487号明細書
【文献】国際公開第2007/1068371号パンフレット
【文献】国際公開第2008/155059号パンフレット
【文献】国際公開第2008/15505号パンフレット
【文献】米国特許出願公開第2004-175338号明細書
【文献】欧州特許出願公開第847752(A)号明細書
【文献】国際公開第98/38981号パンフレット
【文献】米国特許第6,309,629号明細書
【文献】仏国特許出願公開第2679771号明細書
【文献】欧州特許第1184426号明細書
【文献】国際公開第2006/134282号パンフレット
【文献】国際公開第2009/010356号パンフレット
【非特許文献】
【0007】
【文献】「Operating Instructions, Manual No. M/92-021-M0101, Brookfield Digital Viscometer, Model DV-I+」
【文献】「Ullmann encyclopedia」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、天然成分又は天然由来の成分を実装する、ケラチン物質上に、連続的で、均質で、強力で、快適で、長期持続性の特に耐汗及び耐皮脂皮膜を形成することができ、色移りせず、ピーリングによって又は水を用いて容易にメイクアップを除去するための化粧用組成物が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
出願人は、非常に特定のマメ科デンプンと、特定の性質の、すなわち多糖類から選択されるゲル化系とを関連付けることで、ケラチン物質上に、汗及び皮脂に充分な耐性を有し、長期持続性及び非色移り性のメイクアップを獲得する、連続的で、均質で、強力で、快適な堆積を形成することを可能にする化粧用組成物を生成することが可能であることを予期せず発見した。組成物の完全な除去は、ピーリングによって又は水を用いて実行することができる。
【0010】
したがって本発明の目的は、第1の態様によれば、連続水性相において、
- 30%以上、好ましくは30%~75%の間のアミロース含量を有する少なくとも1種のマメ科デンプンと、
- ポリオールから選択される少なくとも1種の可塑剤と、
- キサンタンガム、スクレロチウムガム、及びそれらの混合物から選択される少なくとも1種の親水性ゲル化剤と、
- 水とを含む化粧用組成物である。
【0011】
本発明の別の目的は、第2の態様によれば、
- 可塑剤を水と、場合により乳化剤及び/又は皮膜形成剤と混合する工程と、
- ゲルが形成されるまで撹拌しながらデンプンを添加する工程と、
- 場合によりゲル化剤を添加する工程と、
- 場合により着色剤を添加する工程と、
- 場合によりpHを調整する工程とを含む、そのような組成物を調製する方法である。
【0012】
本発明の別の目的は、第3の態様によれば、ケラチン物質、特に皮膚、まつ毛、眉毛又は唇に対するメイクアップ又はケア方法であり、前記ケラチン物質、特に皮膚、まつ毛、眉毛又は唇に、上記の組成物を塗布することからなる。
【0013】
最後に、本発明の目的は、ケラチン物質上に耐汗及び耐皮脂皮膜を形成するための上記のような組成物の化粧的使用である。
【0014】
製剤(Galenic)
本発明による組成物は、連続水性相を有する。好ましくは、水性ゲルの形態である。
【0015】
マメ科デンプン
本発明による組成物は、30%以上、好ましくは30%~75%の間のアミロース含量を有する少なくとも1種のマメ科デンプンを含む。
【0016】
特に、アミロース含量は、30%~75%、好ましくは30%~45%、及びより好ましくは35%~40%の範囲である。アミロースの割合は、デンプンの乾燥質量に対する乾燥質量で表され、前記デンプンの加水分解及び/又はアルキル化等の後続の処置の前に求められる。
【0017】
マメ科デンプンはまた、水性分散体中25℃で20%の乾物で、10~10,000mPa.sの間、好ましくは20~5,000mPa.sの間、より好ましくは50~1,000mPa.sの間、かなり好ましくは75~500mPa.sの間、更により好ましくは約150mPa.sであるブルックフィールド粘度を有する。
【0018】
水性分散体中25℃で乾物質量20%のブルックフィールド粘度は、好ましくは10~10,000mPa.sの間、好ましくは20~5,000mPa.sの間、より好ましくは50~1,000mPa.sの間、かなり好ましくは75~500mPa.sの間であり、更により好ましくは約150mPa.sの間である。これらのブルックフィールド粘度の変量(variant)は、アミロース含量の変量と組み合わせてもよい。
【0019】
本発明の意味の範囲内の粘度は、例えばBrookfield RDVD-I+ viscometer(Brookfield Engineering Laboratories,INC.社、Middleboro、MA、米国)によって、RV1、RV2、RV3、RV4、RV5、RV6又はRV7と参照されるスピンドルの1つを使用することによって求められるブルックフィールド粘度であり、「Helipath Stand」と呼ばれる機器は使用しない。スピンドルの回転は、1分あたり20回転に定められている。RV1~RV7までのスピンドルは、表示された粘度値が、製造業者が示すように、前記スピンドルで可能な総粘度スケールの10%~100%の間になるように選択される。この粘度測定を行うために、機械的撹拌下で、例えばデフロキュレーティングパドル(deflocculating paddle)によって250rpmで15分間、25℃で調製したデンプンの乾物質量20%の水性懸濁液又は水溶液300mlを、400mlの低形ビーカー(直径約7.5cm)に入れる。粘度値は、3回転の終わりに読み取られる。測定は、信頼性の高い粘度測定を得るために、例えば「Operating Instructions, Manual No. M/92-021-M0101, Brookfield Digital Viscometer, Model DV-I+」で、製造業者によって与えられたあらゆる推奨事項に従って実施される。
【0020】
本発明の意味の範囲内の「マメ科」は、ジャケツイバラ(Caesalpiniaceae)、ネムノキ(Minosoideae)又はマメ(Papilionaceae)科に属する任意の植物を意味し、且つ特に例えばエンドウ、インゲンマメ、マメ、ソラマメ、ヒラマメ又はハウチワマメ等のマメ科に属する任意の植物を意味する。
【0021】
したがってマメ科デンプンは、エンドウデンプン、ヒヨコマメデンプン、マメデンプン、ソラマメデンプン、インゲンマメデンプン、又はヒラマメデンプンから選択することができる。
【0022】
好ましい実施形態によれば、マメ科デンプンはエンドウデンプンであり、かなり好ましくはエンドウ(Pisum sativum)デンプンである。
【0023】
更に、マメ科デンプンは、天然のアルファ化デンプン、又は化学修飾された、場合によりアルファ化されたデンプンでもよい。
【0024】
化学修飾されたマメ科デンプンは、少なくとも1つの化学修飾、好ましくはヒドロキシアルキル化、カルボアルキル化、加水分解、デキストリン化(dextrinifications)、スクシニル化、アルキル化、アセチル化、カチオン化、アニオン化から選択される少なくとも2つの化学修飾を受けたマメ科デンプンから選択することができる。これらの化学修飾は、ゲル又は前記デンプンの水溶液の劣化を低減又は除去することを可能にする点において、マメ科デンプンを安定化するための修飾、換言すれば水溶液中の粘度を安定化するための修飾である。
【0025】
したがって、本発明の範囲内において実施される修飾されたマメ科デンプンは、ヒドロキシアルキル化、カルボキシアルキル化、加水分解された豆類デンプン、デキストリン、又はそれらの組み合わせであってもよい。
【0026】
好ましい代替の実施形態によれば、本発明の範囲内で実施されるマメ科デンプンは、加水分解及びヒドロキシアルキル化(hydroyalkylated)されたマメ科デンプンである。最も好ましい代替の実施形態によれば、本発明の範囲内で実施されるマメ科デンプンは、加水分解及びヒドロキシプロピル化マメ科デンプンである。
【0027】
「ヒドロキシプロピル化マメ科デンプン」とは、本発明の意味の範囲内で、当業者に公知の任意の技術によって、例えばプロピレンオキシドとのエーテル化反応によってヒドロキシプロピル基で置換されたマメ科デンプンを意味する。本発明の範囲内において、ヒドロキシプロピル化マメ科デンプンは、ヒドロキシプロピル化されたデンプンの乾燥質量に対して、好ましくは0.1~20乾燥質量%の間、好ましくは1~10質量%の間、より好ましくは5~9質量%の間であり、及び特に7質量%に近いヒドロキシプロピル基含量を有する。この含量は特に、プロトン核磁気共鳴分析法、特にEN ISO 11543:2002 F規格に従って求められる。
【0028】
「加水分解されたマメ科デンプン」とは、本発明の意味の範囲内で、加水分解操作、すなわちその平均分子質量を低減することを目的とする操作を受けたマメ科デンプンを意味する。当業者は、例えば酸化及び酸処理等の化学的処理によって、又は酵素処理によってもそのようなデンプンを得る方法を知っている。当業者は、所望の粘度に応じて、加水分解のレベル、及びしたがってデンプンの流動化(fluidification)のレベルを自然に調整するであろう。
【0029】
本発明の範囲内において、「加水分解されたマメ科デンプン」、及び場合によりアルファ化され且つ/又は上記のような他の化学修飾を含むマメ科デンプンは、好ましくは1~2,000kDa、好ましくは10~1,000kDa、かなり好ましくは20~1,000kDa、更により好ましくは100~1,000kDaの質量平均分子量を有する。例えば、分子量は200~800kDa、200~500kDa、200~400kDa又は200~300kDでもよい。質量平均分子量は、HPSEC-MALLS(多角度レーザー光散乱と連結した高性能サイズ排除クロマトグラフィー)によって求められる。
【0030】
特に、アルキル化及び加水分解後のデンプンは、好ましくは非顆粒となる。
【0031】
好ましくは本発明の範囲内で実施することができる加水分解及びヒドロキシプロピル化されたデンプンは、例えば、Roquette Freres社により商品照会名LYCOAT RS 720又はLYCOAT NG 720で市販されている。
【0032】
これらの化学修飾以外で、本発明によるデンプンは、物理的な処理を更に受けてもよく、特に、ゼラチン化、アルファ化、押出、霧化又は乾燥の公知の操作、マイクロ波又は超音波による処理操作、可塑化又は造粒の処理操作から選択される。
【0033】
特に、本発明によるデンプンは、好ましくは可溶性にされてもよい。当業者に公知の任意の技術によって、特に熱及び/又は機械的処理、例えば水性媒体での焼成操作(アルファ化)によって可溶性にすることができ、場合により粉末生成物を得ることが所望される際の乾燥工程が続く。デンプンを可溶性にすることを目的とする操作は、デンプンのアルキル化及び/又は加水分解の前又は後に絶対的に介入することができる。好ましい実施形態によれば、加水分解されヒドロキシアルキル化されたデンプンは、アルファ化されている。このようなデンプンは、Roquette Freres社により商品照会名LYCOAT RS 720で市販されている。アルファ化の代替として、デンプンが実装される組成物の調製中にデンプンをゼラチン化することができる。
【0034】
本発明による加水分解及びヒドロキシアルキル化され、場合によりアルファ化されたマメ科デンプンは、前記デンプンの所望の特性を妨げない以上は、他の任意の物理的及び/又は化学的修飾を含んでもよい。化学修飾の一例は、特に架橋である。
【0035】
特に本発明の範囲内において、デンプンは、組成物の総質量に対して0.1質量%~30質量%の間、好ましくは1質量%~25質量%の間の乾物含量で存在する。
【0036】
組成物がアイシャドウである場合、デンプンは、組成物の総質量に対して20質量%~25質量%の間の乾物含量で存在する。
【0037】
可塑剤
本発明による組成物はまた、ポリオールから選択される少なくとも1種の可塑剤を含む。
【0038】
ポリオールは、その構造中に少なくとも2つの遊離ヒドロキシ基(-OH)を有する任意の有機分子を意味する。これらのポリオールは、好ましくは室温(25℃)で液体である。
【0039】
組成物中の実施に好適なポリオールの例として、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ペンタンジオール、イソプレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセロール、特に4~8個のエチレングリコール単位及び/又はソルビトールを有するポリエチレングリコール(PEG)から選択することができる。
【0040】
好ましくは、ポリオールは、グリセロール及びソルビトールであり、より好ましくはペンチレングリコールとの混合物である。
【0041】
特に好ましい実施形態では、本発明による組成物は、上記のポリオール以外の可塑剤を含まない。
【0042】
特定の実施形態によれば、本発明による組成物は、組成物の総質量に対して8~25質量%、好ましくは10~20質量%のポリオールを含む。
【0043】
特に、本発明による組成物は、
- 組成物の総質量に対して5~15質量%のグリセリンと、
- 組成物の総質量に対して3~6質量%のソルビトールと、
- 組成物の総質量に対して2~3質量%のペンチレングリコールとを含み得る。
【0044】
水性相
本発明による組成物はまた、水及び場合により、上記のポリオール以外の少なくとも1種の水溶性溶媒を含む水性相を含む。
【0045】
「水溶性溶媒」は、本発明において、室温で液体であり、水と混和性である(25℃及び大気圧で50質量%超の水における混和性)化合物を示す。
【0046】
本発明による組成物に使用し得る水溶性溶媒は、揮発性でもよい。
【0047】
本発明による組成物に使用できる水溶性溶媒から、1~5個の炭素原子、特に2~5個の炭素原子を有するモノアルコール、例えばエタノール及びイソプロパノール、C3~C4ケトン及びC2~C4アルデヒドを特に挙げることができる。
【0048】
好ましい実施形態によれば、本発明による組成物は、1~5個の炭素原子、特に2~5個の炭素原子を有する少なくとも1つのモノアルコール、好ましくはエタノールを含む。
【0049】
1~5個の炭素原子を有するモノアルコールの導入により、皮膜の乾燥を容易にし、促進することが可能となる。
【0050】
特定の実施形態によれば、本発明による組成物は、組成物の総質量に対して、25~65質量%、好ましくは20~60質量%の水を含む。
【0051】
親水性ゲル化剤
本発明による組成物は、キサンタンガム、スクレロチウムガム、及びそれらの混合物から選択される親水性ゲル化剤を含む。
【0052】
キサンタンガム及びその誘導体は、例えば、Rhodia Chimie社によって「Rheosan」の商品名で入手可能である。スクレロチウムガム(又はスクレロチウム・ロルフシイガム)は、その一部がスクレロチウム・ロルフシイ(Sclerotium rolfsii)細菌によって産生され、DIY Cosmetics 社によってNaturajel(登録商標)又はAlban Muller社によってAmigel(登録商標)の名称で入手可能である。
【0053】
ゲル化剤は、溶媒の存在下である程度強い高分子間結合を作り出す化合物を意味し、したがって前記溶媒を凝固させる三次元組織を誘導する。
【0054】
特定の実施形態において、本発明による組成物はまた、キサンタンガム、スクレロチウムガム、及びそれらの混合物以外の更なる親水性ゲル化剤を含んでもよく、特に他の多糖類、タンパク質誘導体、ポリエステル型の合成又は半合成ゲル、ポリアクリレート又はポリメタクリレート及びそれらの誘導体から選択される。
【0055】
更なる親水性ゲル化剤は、多糖類、タンパク質誘導体、ポリエステル型の合成ゲル又は半合成ゲル、特にスルホン酸、ポリアクリレート又はポリメタクリレート及びそれらの誘導体から選択することができる。
【0056】
多糖類から、
- 寒天、カラギーナン(イオタ、カッパ、ラムダ)、アルギン酸塩、特にNa又はCa等のアルギン酸塩の藻類抽出物と、
- 微生物の滲出物、例えばNUTRASWEET-KELCO社により「Kelcogel F」の商品名で販売されているジェランガム、又はFMC社により「Seaspen PF 357」若しくは「Viscarin SD 389」の商品名で販売されているイオタカラギーナンと、
- ペクチン等の果実エキスと、
- 動物由来のゲル化剤、例えばタンパク質誘導体、特に牛肉又は魚類のゼラチン、カゼイン類と、
- 仏国特許出願公開第2759377(A)号明細書に記載されている側鎖及び6個の中性糖を有する多糖類と、
- それらの混合物とが挙げられる。
【0057】
ポリアクリレートから、架橋アクリル酸、メチルアクリレート及び25OEポリオキシエチレンベヘニルメタクリレートポリマー(INCI名:アクリレート/ベヘニル酸-25メタクリレートコポリマー)、例えばLubrizol Advanced Materials社によりNovethix L-10 Polymer、又はArkema社によりRheostyl(商標)90 N(INCI:アクリル酸/ベヘニル酸-25メタクリレートコポリマー)の名称で販売されているものが挙げられる。
【0058】
本発明による親水性ゲル化剤は、キサンタンガム、スクレロチウムガム、及びそれらの混合物、例えばCargill社によりActigum VSX 20の名称で市販されている混合物から選択される。
【0059】
好ましい実施形態によれば、キサンタンガム及びスクレロチウムガムの混合物は、1:2~2:1の間の質量比(キサンタン:スクレロチウム)を有する。
【0060】
親水性ゲル化剤は、組成物の総質量に対して好ましくは0.1~10%の範囲、より好ましくは0.2~5質量%の範囲でもよい濃度で本発明による組成物中に存在する。
【0061】
乳化剤
本発明による組成物はまた、乳化剤も含むことができる。
【0062】
これらの乳化剤は、非イオン性、アニオン性、カチオン性、両性界面活性剤、又はポリマー性界面活性剤からも選択することができる。
【0063】
一実施形態によれば、本発明の範囲内で使用することができる界面活性剤は、25℃で8~20の間のHLBの非イオン性界面活性剤から選択される。特に
- 単糖類(oses)のエステル及びエーテル、例えばSeppic社によるMontanov 68等のセチルステアリルグルコシド並びにセチルアルコール及びステアリルアルコールの混合物と、
- グリセロールのオキシエチレン及び/又はオキシプロピレンエーテル(1~150個のオキシエチレン及び/又はオキシプロピレン基を含んでもよい)と、
- 脂肪族アルコール(特にC8~C24アルコール、及び好ましくはC12~C18アルコール)のオキシエチレン及び/又はオキシプロピレンエーテル(1~150個のオキシエチレン及び/又はオキシプロピレン基を含んでもよい)、例えば30個のオキシエチレン基を持つセテアリルアルコールのオキシエチレンエーテル(CTFA名「Ceteareth-30」)、20個のオキシエチレン基を持つステアリルアルコールのオキシエチレンエーテル(CTFA名「Steareth-20」)、特にSHELL CHEMICALS社によりNEODOL 25-7(登録商標)の名称で市販されている、7個のオキシエチレン基を含むC12~C15脂肪族アルコールの混合物のオキシエチレンエーテル(CTFA 名「C12-15 Pareth-7」)と、
- 脂肪酸エステル(特にC8~C24、及び好ましくはC16~C22酸の脂肪酸エステル)並びにポリエチレングリコール(1~150個のエチレングリコール単位を含んでもよい)の脂肪酸エステル、例えばICI UNIQUEMA社によってMYRJ 52P(登録商標)の名称で市販されているステアリン酸PEG-50及びモノステアリン酸PEG-40、又は特にEvonik GOLDSCHMIDT社によりTAGAT S(登録商標)の名称で市販されているステアリン酸PEG-30グリセリルと、
- 脂肪酸エステル(特にC8~C24、及び好ましくはC16~C22酸の脂肪酸エステル)並びにオキシエチレン及び/又はオキシプロピレングリセロールエーテル(1~150個のオキシエチレン及び/又はオキシプロピレン基を含んでもよい)の脂肪酸エステル、例えばSEPPIC社によりSimulsol 220 TM(登録商標)の名称で市販されているモノステアリン酸PEG-200グリセリル、Evonik GOLDSCHMIDT社により販売されている製品TAGAT S(登録商標)等の30個のエチレンオキシド基を持つポリエトキシ化ステアリン酸グリセリル、Evonik GOLDSCHMIDT社により販売されている製品TAGAT O(登録商標)等の30個のエチレンオキシド基を持つポリエトキシ化オレイン酸グリセリル、SHEREX社により販売されている製品VARIONIC LI 13(登録商標)等の30個のエチレンオキシド基を持つポリエトキシ化グリセリルココエート、Evonik GOLDSCHMIDT社により販売されている製品TAGAT L(登録商標)等の30個のエチレンオキシド基を持つポリエトキシ化イソステアリン酸グリセリル及びEvonik GOLDSCHMIDT社による製品TAGAT I(登録商標)等の30個のエチレンオキシド基を持つポリエトキシ化ラウリン酸グリセリルと、
- 脂肪酸エステル(特にC8~C24、及び好ましくはC16~C22酸の脂肪酸エステル)並びにオキシエチレン及び/又はオキシプロピレンソルビトールエーテル(1~150個のオキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基を含んでもよい)の脂肪酸エステル、例えば特にCRODA社によりTween 20(登録商標)の名称で販売されているポリソルベート20、特にCRODA社によりTween 60(登録商標)の名称で販売されているポリソルベート60と、
- DOW CORNING社によりQ2-5220(登録商標)の名称で販売されているもの等のジメチコンコポリオールと、
- 安息香酸ジメチコンコポリオール(FINTEX社からFINSOLV SLB 101(登録商標)及び201(登録商標))と、
- EO/PO重縮合体とも称されるプロピレンオキシド及びエチレンオキシドのコポリマーと、
- リゾリン脂質、特に下記式のリソホスファチジルコリンと
【0064】
【0065】
[式中、Rは脂肪酸鎖であり、特に10~25個、好ましくは15~20の炭素原子を含む]、好ましくは、本発明の組成物に使用されるリゾリン脂質はダイズ種子から得られる。また好ましくは、INCI名グリシン・ソヤ(ダイズ)種子エキスを有する。例えば、グリシン80質量%及びLysofix Liquid(登録商標)の名称で市販されているグリシン・ソヤ(ダイズ)種子エキス20質量%の混合物が使用される。
- 乳化ワックス、例えばCroda社によりPolawax NFの名称で販売されている自己乳化ワックス、又はGattefosse社によりApifilの名称で販売されているPEG-8ビーズワックスと、
それらの混合物とを挙げることができる。
【0066】
好ましい実施形態によれば、8~20の間のHLBの乳化剤は、脂肪酸エステル、オキシエチレン及び/又はオキシプロピレンソルビトールエーテル、リゾリン脂質、自己乳化ワックス又は加水分解ワックス等の乳化ワックス、及びそれらの混合物から選択される。
【0067】
Lysofix Liquid(登録商標)等のリゾリン脂質は、組成物の増粘を可能にし、したがってその展延を改良する。
【0068】
一実施形態によれば、本発明の組成物で使用することができる界面活性剤は、25℃で8以下のHLBの非イオン性界面活性剤から選択される。特に
- 単糖類のエステル及びエーテル、例えばスクロースステアレート、スクロースココエート、ソルビタンステアレート及びそれらの混合物、例えばICI社により市販されているArlatone 2121(登録商標)と、
- 脂肪族アルコール(特にC8~C24、及び好ましくはC12~C18アルコール)のオキシエチレン及び/又はオキシプロピレンエーテル(1~150個のオキシエチレン及び/又はオキシプロピレン基を含んでもよい)、例えば2個のオキシエチレン基を持つステアリルアルコールオキシエチレンエーテル(CTFA名「Steareth-2」)と、
- 脂肪酸エステル(特にC8~C24、及び好ましくはC16~C22酸)及びポリオールのエステル、特にステアリン酸グリセリル等のグリセロール又はソルビトールのエステル、例えばEvonik GOLDSCHMIDT社によりTEGIN M(登録商標)の名称で販売されている製品、HULS社によりIMWITOR 312(登録商標)の名称で販売されている製品等のラウリン酸グリセリル、ステアリン酸ポリグリセリル-2、トリステアリン酸ポリグリセリル-2、トリステアリン酸ソルビタン、リシノレイン酸グリセリルと、
- ダイズレシチン(Cargill社からのEmulmetik 100 J、又はLucas Meyer社からのBiophilic H等)等のレシチンと、
- DOW CORNING社によりQ2-3225C(登録商標)の名称で販売されているシクロメチコン/ジメチコンコポリオール混合物とを挙げることができる。
【0069】
好ましい実施形態によれば、25℃で8以下のHLBの非イオン性界面活性剤は、脂肪酸及びポリオールエステル、好ましくは、Croda社によりCITHROL PG32IS-LQの照会名で市販されているトリイソステアリン酸ポリグリセリル-2(INCI ポリグリセリル-3ジイソステアレート)から選択される。
【0070】
本発明による組成物は、前記組成物の総質量に対して0.01~30質量%、好ましくは0.1~15質量%、及びより好ましくは0.2~13質量%の乳化剤を含有してもよい。
【0071】
皮膜形成剤
本発明による組成物は、デンプン以外の更なる皮膜形成剤、特に皮膜形成ポリマーも含むことができる。
【0072】
本発明の組成物に使用できる皮膜形成ポリマーから、ラジカル型又は重縮合体型の合成ポリマー、天然由来のポリマー、及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0073】
「ラジカル皮膜形成ポリマー」とは、不飽和の、特にエチレンのモノマーの重合により得られるポリマーを意味し、各モノマーはホモポリマー化する可能性がある(重縮合体とは反対に)。
【0074】
ラジカル型皮膜形成ポリマーは、特にビニルポリマー又はコポリマー、特にアクリル系ポリマーでもよい。
【0075】
ビニル皮膜形成ポリマーは、少なくとも1つの酸性基及び/又はこれらの酸性モノマーのエステル及び/又はこれらの酸性モノマーのアミドを有するエチレン不飽和モノマーの重合から生じ得る。
【0076】
酸性基担持モノマーとして、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等のα,β-エチレン不飽和カルボン酸を使用することが可能である。好ましくは(メタ)アクリル酸、イタコン酸及びクロトン酸、より好ましくはイタコン酸(例えばItaconix社によりREVCARE NE 100Sの商品照会名で市販されているもの等のポリ(イタコン酸)の金属塩)が使用される。
【0077】
酸性モノマーエステルは、有利には(メタ)アクリル酸のエステル((メタ)アクリレートとも称される)、特にアルキル(メタ)アクリレート、特にC1~C30の(メタ)アクリレート、好ましくはC1~C20アルキル、アリール(メタ)アクリレート、特にC6~C10アリールの(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、特にC2~C6ヒドロキシアルキルの(メタ)アクリレートから選択される。
【0078】
アルキル(メタ)アクリレートから、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2-エチル-ヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレートを挙げることができる。
【0079】
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートから、ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレートを挙げることができる。
【0080】
アリール(メタ)アクリレートから、ベンジルアクリレート及びフェニルアクリレートを挙げることができる。
【0081】
特に好ましい(メタ)アクリル酸のエステルは、アルキル(メタ)アクリレートである。
【0082】
本発明によれば、エステルのアルキル基は、フッ素化又は過フッ素化されていてもよく、すなわちアルキル基の水素原子の全部又は一部がフッ素原子によって置換されているということである。
【0083】
酸性モノマーのアミドとして、例えば(メタ)アクリルアミド、及び特にN-アルキル(メタ)アクリルアミド、特にC2~C12アルキルの(メタ)アクリルアミドを挙げることができる。N-アルキル(メタ)アクリルアミドから、N-エチルアクリルアミド、N-t-ブチルアクリルアミド、N-t-オクチルアクリルアミド及びN-ウンデシルアクリルアミドを挙げることができる。
【0084】
ビニル皮膜形成ポリマーはまた、ビニルエステル及びスチレンモノマーから選択されるモノマーの単独重合又は共重合から生じてもよい。特に、これらのモノマーは、上記のような酸性モノマー及び/又はそれらのエステル及び/又はそれらのアミドと重合することができる。
【0085】
ビニルエステルの例として、酢酸ビニル、ネオデカン酸ビニル、ピバル酸ビニル、安息香酸ビニル、及び安息香酸ビニルtert-ブチルを挙げることができる。
【0086】
スチレンモノマーとして、スチレン及びアルファ-メチルスチレンを挙げることができる。
【0087】
皮膜形成性重縮合体から、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエステルアミド、ポリアミド、エポキシエステル樹脂、ポリウレアを挙げることができる。
【0088】
ポリウレタンは、アニオン性、カチオン性、非イオン性又は両性ポリウレタン、アクリルポリウレタン、ポリウレタン-ポリビニルピロリドン、ポリエステル-ポリウレタン、ポリエーテル-ポリウレタン、ポリウレア、ポリウレア-ポリウレタン、及びそれらの混合物から選択することができる。
【0089】
ポリエステルは、公知の方法で、ポリオール、特にジオールとジカルボン酸との重縮合によって得ることができる。
【0090】
ジカルボン酸は、脂肪族、脂環式、又は芳香族であり得る。このような酸の例としては、シュウ酸、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメル酸、2,2-ジメチルグルタミン酸、アゼレイン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、ドデカンジオ酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2,5-ノルボルナンジカルボン酸、ジグリコール酸、チオジプロピオン酸、2,5ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸を挙げることができる。これらのジカルボン酸モノマーは、単独で、又は少なくとも2種のジカルボン酸モノマーと組み合わせて使用してもよい。これらのモノマーから、フタル酸、イソフタル酸又はテレフタル酸が好ましくは選択される。
【0091】
ジオールは、脂肪族、脂環式又は芳香族のジオール類から選択してもよい。好ましくは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、シクロヘキサンジメタノール、4-ブタンジオールから選択されるジオールが使用される。他のポリオール類としては、グリセロール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、トリメチロールプロパンを使用することが可能である。
【0092】
ポリエステルアミドは、ジアミン又はアミンアルコールと二酸との重縮合によって、ポリエステルと同様の方法で得ることができる。ジアミン類としては、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、又はメタ-若しくはパラ-フェニレンジアミンを使用することが可能である。アミノアルコールとして、モノエタノールアミンを使用することが可能である。
【0093】
ポリエステルは、少なくとも1つの-SO3M基を担持する少なくとも1つのモノマーを更に含んでもよく、Mは水素原子、アンモニウムイオンNH4+又は金属イオン、例えばNa+、Li+、K+、Mg2+、Ca2+、Cu2+、Fe2+、Fe3+イオンを表す。このような-SO3M基を含む二官能芳香族モノマーを使用することが特に可能である。
【0094】
上記のような-SO3M基を更に担持する二官能芳香族モノマーの芳香族コアは、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ジフェニル、オキシジフェニル、スルホニルジフェニル、又はメチレンジフェニルコアから選択することができる。-SO3M基を更に担持する二官能芳香族モノマーの例としては、スルホイソフタル酸、スルホンテレフタル酸、スルホフタル酸、及び4-スルホナフタレン-2,7-ジカルボン酸を挙げることができる。
【0095】
イソフタレート/スルホイソフタレートに基づくコポリマーを使用することが好ましく、より詳細にはジエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、イソフタル酸、スルホイソフタル酸の縮合によって得られるコポリマーを使用することが好ましい。
【0096】
天然由来の、場合により修飾されたポリマーは、セラック樹脂、サンダラックゴム、アラビアゴム(ACACIA SENEGAL GUM)、ダマー、エレミ、コーパル、セルロースポリマー、カエサルピニア・スピノザ(Caesalpinia spinosa)の果実から抽出されたポリマー及び/又は藻類カッパフィカス・アルバレジ(Kappaphycus alvarezii)から抽出されたポリマー(Silab社により市販されている製品Filmexel(登録商標)等)並びにそれらの混合物から選択することができる。Filmexel(登録商標)等の天然ポリマーは、特に本発明による組成物から得られる皮膜の強度を改良することを可能にする。
【0097】
本発明の第1の実施形態によれば、皮膜形成ポリマーは水溶性ポリマーであり、したがって本発明による組成物の水性連続相中に存在してもよい。
【0098】
第2の実施形態によれば、皮膜形成ポリマーは、水性相又は非水性溶媒相中の分散体中の粒子の形態で本発明の組成物中に存在してもよく、一般にラテックス又は擬ラテックスの名前で知られている。これらの分散体を調製する技術は、当業者に公知である。
【0099】
皮膜形成ポリマーの水性分散体として、AVECIA-NEORESINS社によりNeocryl XK-90(登録商標)、Neocryl A-1070(登録商標)、Neocryl A-1090(登録商標)、Neocryl BT-62(登録商標)、Neocryl A-1079(登録商標)及びNeocryl A-523(登録商標)、DOW CHEMICAL社によりDow Latex 432(登録商標)、大東化成工業株式会社によりDaitosol 5000 AD(登録商標)又はDaitosol 5000 SJ(登録商標)、Interpolymer社によりSyntran 5760(登録商標)、ROHM&HAAS社によりAllianz OPTの名称で販売されているアクリル分散体、JOHNSON POLYMER社によりブランド名JONCRYL(登録商標)で販売されているアクリル又はスチレン/アクリルポリマーの水性分散体、又はAVECIA-NEORESINS社によりNeorez R-981(登録商標)及びNeorez R-974(登録商標)、GOODRICH社によりAvalure UR-405(登録商標)、Avalure UR-410(登録商標)、Avalure UR-425(登録商標)、Avalure UR-450(登録商標)、Sancure 875(登録商標)、Sancure 861(登録商標)、Sancure 878(登録商標)、Sancure 2060(登録商標)、BAYER社によりImpranil 85(登録商標)、HYDROMER社によりAquamere H-1511(登録商標)の名称で販売されているポリウレタンの水性分散体、Eastman Chemical Products社によりEastman AQ(登録商標)の商品名で販売されているスルホポリエステル、CHIMEX社からのMexomere PAM(登録商標)等のビニル分散体及びそれらの混合物を使用することが可能である。
【0100】
皮膜形成ポリマーの非水性分散体の例として、CHIMEX社からのMexomere PAP(登録商標)等のイソドデカンのアクリル分散体、液体脂肪相におけるグラフト化エチレンポリマー、好ましくはアクリルポリマーの粒子の分散体を挙げることができ、特に国際公開第04/055081号パンフレットに記載されているように、エチレンポリマーは有利には粒子の表面に更なる安定剤が存在しない状態で分散されている。
【0101】
第3の実施形態によれば、皮膜形成ポリマーは、有機溶媒又は油を含む液体脂肪相に可溶化したポリマーでもよい(したがって皮膜形成ポリマーは、脂溶性ポリマーと言われる)。
【0102】
脂溶性ポリマーの例として、ビニルエステルのコポリマー(ビニル基は、エステル基の酸素原子に直接結合しており、ビニルエステルは1~19個の炭素原子を有する直鎖又は分岐の飽和炭化水素基を有し、エステル基のカルボニルに結合している)及びビニルエステルであり得る少なくとも1つの他のモノマー(既存のビニルエステルとは異なる)、α-オレフィン(8~28個の炭素原子を有する)、アルキルビニルエーテル(2~18個の炭素原子を含むアルキル基)、又はアリル若しくはメタリルエステル(1~19個の炭素原子を有する直鎖又は分岐の飽和炭化水素基を有し、エステル基のカルボニルに結合している)を挙げることができる。
【0103】
これらのコポリマーは、ビニル型、又はアリル型若しくはメタリル型のいずれでもよい架橋剤、例えばテトラアリルオキシエタン、ジビニルベンゼン、ジビニルオクタンジオエート、ジビニルドデカンジオエート及びジビニルオクタデカンジオエートを用いて架橋することができる。
【0104】
これらのコポリマーの例として、酢酸ビニル/アリルステアリン酸塩、酢酸ビニル/ラウリン酸ビニル、酢酸ビニル/ステアリン酸ビニル、酢酸ビニル/オクタデセン、酢酸ビニル/オクタデシルビニルエーテル、プロピオン酸ビニル/ラウリン酸アリル、プロピオン酸ビニル/ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル/オクタデセン-1、酢酸ビニル/ドデセン-1、ステアリン酸ビニル/エチルビニルエーテル、プロピオン酸ビニル/セチルビニルエーテル、ステアリン酸ビニル/酢酸アリル、ビニル2,2-ジメチルオクタノエート/ラウリン酸ビニル、アリル2,2-ジメチルペンタノエート/ラウリン酸ビニル、プロピオン酸ビニルジメチル/ステアリン酸ビニル、プロピオン酸アリルジメチル/ステアリン酸ビニル、0.2%ジベンチニレンと架橋したプロピオン酸ビニル/ステアリン酸ビニル、0.2%ジビニルベンゼンと架橋したプロピオン酸ビニルジメチル/ラウリン酸ビニル、0.2%テトラアリルオキシエタンと架橋した酢酸ビニル/オクタデシルビニルエーテル、0.2%ジビニルベンゼンと架橋した酢酸ビニル/ステアリン酸アリル、0.2%ジビニルベンゼンと架橋した酢酸ビニル/オクタデセン-1、0.2%ジビニルベンゼンと架橋したプロピオン酸アリル/ステアリン酸アリルのコポリマーを挙げることができる。
【0105】
脂溶性皮膜形成ポリマーとして、脂溶性コポリマー、及び特に9~22個の炭素原子を有するビニルエステル又はアクリル酸アルキル若しくはメタクリル酸アルキルの共重合から生じるものを挙げることができ、アリル基は10~20個の炭素原子を有する。
【0106】
このような脂溶性コポリマーは、ポリステアリン酸ビニルコポリマー、ジビニルベンゼンを用いて架橋したポリステアリン酸ビニルコポリマー、ジアルリルエーテルコポリマー又はフタル酸ジアリルコポリマー、ポリ(メタクリル酸ステアリル)コポリマー、ポリラウリン酸ビニルコポリマー、ポリ(メタクリル酸ラウリル)コポリマーから選択することができ、これらのポリメタクリレートは、ジメタクリル酸メチレングリコール又はテトラエチレングリコールを用いて架橋することができる。
【0107】
上記で定義された脂溶性コポリマーは公知であり、特に仏国特許出願公開第2232303(A)号明細書に記載されており、それらは、2,000~500,000、及び好ましくは4,000~200,000の範囲の平均分子量を有し得る。
【0108】
また、脂溶性ホモポリマー、及び特に9~22個の炭素原子を有するビニルエステル又はアクリル酸アルキル若しくはメタクリル酸アルキルの単独重合から生じるものを挙げることができ、アルキル基は、2~24個の炭素原子を有する。
【0109】
脂溶性ホモポリマーの例として、特にラウリン酸ポリビニル及びポリ(メタクリル酸ラウリル)を挙げることができ、これらのポリメタクリレートは、ジメタクリル酸エチレングリコール又はテトラエチレングリコールを用いて架橋することができる。
【0110】
本発明で使用できる脂溶性の皮膜形成ポリマーとして、ポリアルキレン、特にC2~C20アルケンコポリマー、例えば、ポリブテン、飽和又は不飽和C1~C8直鎖又は分岐のアルキル基を持つアルキルセルロース、例えばエチルセルロース及びプロピルセルロース、ビニルピロリドン(VP)コポリマー並びに特にビニルピロリドン及びC2~C40及びより良くはC3~C20アルケンコポリマーも挙げることができる。本発明で使用できるVPコポリマーの例として、VP/酢酸ビニル、VP/メタクリル酸エチル、ブチル化ポリビニルピロリドン(PVP)、VP/メタクリル酸エチル/メタクリル酸、VP/エイコセン、VP/ヘキサデセン、VP/トリアコンテン、VP/スチレン、VP/アクリル酸/メタクリル酸ラウリルのコポリマーを挙げることができる。
【0111】
また、一般にシリコーン油中で可溶性又は膨潤する、架橋されたポリオルガノシロキサンポリマーであるシリコーン樹脂を挙げることができる。シリコーン樹脂の命名法は「MDTQ」の名称で公知であり、この樹脂はそれが含む種々のモノマーシロキサン単位によって記載され、「MDTQ」の各々の文字が単位の型を特徴付けている。
【0112】
市販のポリメチルシルセスキオキサン樹脂の例として、Wacker社によりBelsil PMS MK等のResin MKの照会名、及び信越化学工業株式会社によりKR-220Lの照会名で市販されているものを挙げることができる。
【0113】
シロキシケイ酸樹脂として、General Electric社によりSR1000の照会名又はWacker社によりTMS 803の照会名で市販されているもの等のトリメチルシロキシケイ酸(TMS)樹脂を挙げることができる。また、信越化学工業株式会社により「KF-7312J」、Dow Corning社により「DOWSIL(登録商標)RSN-0749」「DOWSIL(登録商標)593 Fluid」の名称で販売されているシクロメチコン等の溶剤で市販されているトリメチルシロキシケイ酸樹脂を挙げることができる。
【0114】
また、ポリジメチルシロキサンを持つ上記のようなシリコーン樹脂のコポリマー、例えばDow Corning社によりBIO-PSAの照会名で市販され、米国特許第5,162,410号明細書に記載されている感圧粘着剤コポリマー、又は上記のようなシリコーン樹脂の反応から生じる他のシリコーンコポリマー、及び国際公開第2004/073626号パンフレットに記載されているジオルガノシロキサンのシリコーンコポリマーも挙げることができる。
【0115】
最後に、DOW CORNING FA 4002 ID又はDOW CORNING FA 4001 CMの照会名で市販されているビニル骨格にグラフトされたデンドリマーカルボシロキサン構造を含むアクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシコポリマーを挙げることができる。
【0116】
また、米国特許第5,874,069号明細書、米国特許第5,919,441号明細書、米国特許第6,051,216号明細書及び米国特許第5,981,680号明細書に記載されているもの等のポリオルガノシロキサン型のシリコーンポリアミドを使用することが可能である。
【0117】
好ましい実施形態によれば、更なる皮膜形成ポリマーは、天然由来の、場合により修飾されたポリマーから選択され、好ましくは、カエサルピニア・スピノザの果実から抽出されたポリマー及び/又は藻類カッパフィカス・アルバレジから抽出されたポリマー(Silab社により市販されている製品Filmexel(登録商標)等)から選択される。
【0118】
好ましい実施形態では、本発明による組成物は、マメ科デンプン以外の皮膜形成ポリマーを含まない。
【0119】
シリコーンエラストマー
本発明による組成物はまた、シリコーンエラストマーを含んでもよい。
【0120】
シリコーンエラストマーを添加することによって、特に本発明による組成物の塗布の間に出現しやすい毛羽立ち現象を制限することが可能となる。
【0121】
これらから、鎖の末端又は中央、好ましくはシリコン原子上に位置するビニル基又はアリル基等の不飽和基を担持するオルガノポリシロキサンと、オルガノハイドロジェノポリシロキサン等の別の反応性シリコーン化合物との反応によって生じる少なくとも部分的に架橋されたポリマーを挙げることができる。これらのポリマーは、揮発性又は不揮発性シリコーン溶媒又は炭化水素溶媒中のゲル形態で通常入手可能である。このようなエラストマーの例は、特に信越化学工業株式会社により商品名KSG-6、KSG-16、KSG-31、KSG-32、KSG-41、KSG-42、KSG-43、及びKSG-44で、及びDOW CORNING社により商品名DOWSIL(登録商標)9040及びDOWSIL(登録商標)9041で市販されている。別の油性ゲル化剤は、触媒の存在下で、エポキシ基及びヒドロシリル基によって官能化されたオルガノポリシロキサンの自己重合により得られるシリコーンポリマーからなり、GENERAL ELECTRIC社から商品名VELVESIL(登録商標)125で市販されている。別の親油性ゲル化剤は、JEEN社により商品名JEESILC(登録商標)PS(そのPS-VH、PS-VHLV、PS-CM、PS-CMLV及びPS-DM)で市販されているもの等の環状ジメチコン/ビニルジメチコンコポリマーからなる。
【0122】
好ましい実施形態によれば、シリコーンエラストマーは、乳化されていてもよく、好ましくはポリオキシアルキレン及びポリグリセロールシリコーンエラストマーから選択される。
【0123】
ポリオキシアルキレンシリコーンエラストマーとして、米国特許第5,236,986号明細書、米国特許第5,412,004号明細書、米国特許第5,837,793号明細書、米国特許第5,811,487号明細書に記載されているものを挙げることができる。
【0124】
ポリオキシアルキレンシリコーンエラストマーとして、INCI名PEG-10ジメチコン/ビニルジメチコン架橋ポリマー、例えば信越化学工業株式会社により「KSG-21」、「KSG-20」の名称で市販されているもの、INCI名ラウリルPEG-15ジメチコン/ビニルジメチコン架橋ポリマー、例えば信越化学工業株式会社により「KSG-30」及び「KSG-31」、「KSG-32」(イソドデカン中)、「KSG-33」(トリオクタノイン中)、「KSG-210」、「KSG-310」(鉱物油中)、「KSG-320」(イソドデカン中)、「KSG-330」、「KSG-340」の名称で市販されているものを使用することが可能である。
【0125】
ポリグリセロールシリコーンエラストマーとして、INCI名ジメチコン(及び)ジメチコン/ポリグリセリン-3架橋ポリマー、例えば信越化学工業株式会社により「KSG-710」の名称で市販されているもの、INCI名ラウリルジメチコン/ポリグリセリン-3架橋ポリマー、例えば信越化学工業株式会社により「KSG-840」(スクアレン中)の名称で市販されているものを使用することが可能である。
【0126】
油
本発明による組成物は、揮発性油及び/又は不揮発性油並びにそれらの混合物から選択される少なくとも1種の油を含んでもよい。
【0127】
「揮発性油」とは、本発明の意味の範囲内で、室温及び大気圧において、ケラチン繊維と接触して1時間未満以内に蒸発する可能性のある油を意味する。本発明の揮発性有機溶媒及び揮発性油は、室温で液体である有機溶媒及び揮発性化粧品油であり、室温及び大気圧で、特に0.13Pa~40,000Pa(10-3~300mmHg)の範囲、特に1.3Pa~13,000Pa(0.01~100mmHg)の範囲、及びより詳細には1.3Pa~1,300Pa(0.01~10mmHg)の範囲の非ゼロ蒸気圧を有する。
【0128】
揮発性油は炭化水素であり得る。炭化水素揮発性油は、7~16個の炭素原子を有する炭化水素油から選択することができる。7~16個の炭素原子を有する炭化水素揮発性油として、C8~C16分岐アルカン、例えばC8~C16イソアルカン(イソパラフィンとも称される)、イソドデカン、イソデカン、イソヘキサデカン、及び例えばIsopars又はPermetylsの商品名で販売されている油、C8~C16分岐エステル、例えばネオペンタン酸イソ-ヘキシル及びそれらの混合物を特に挙げることができる。好ましくは、8~16個の炭素原子を有する炭化水素揮発性油は、イソドデカン、イソデカン、イソヘキサデカン及びそれらの混合物から選択され、特にイソドデカンである。
【0129】
揮発性油は、揮発性直鎖アルカンであり得る。一実施形態によれば、本発明に好適なアルカンは、7~14個の炭素原子を含む揮発性の直鎖アルカンであり得る。このような揮発性直鎖アルカンは、有利には植物由来のものでもよい。本発明に好適なアルカンの例として、Cognis社の特許出願国際公開第2007/1068371号パンフレット、又は国際公開第2008/155059号パンフレット(異なるアルカンの混合物であり、少なくとも1つの炭素原子によって異なる)に記載されているアルカンを挙げることができる。これらのアルカンは、脂肪族アルコールから得られ、それ自体コプラ又はパーム油から得られる。本発明に好適な直鎖アルカンの例として、n-ヘプタン(C7)、n-オクタン(C8)、n-ノナン(C9)、n-デカン(C10)、n-ウンデカン(C11)、n-ドデカン(C12)、n-トリデカン(C13)、n-テトラデカン(C14)及びそれらの混合物を挙げることができる。特定の実施形態によれば、揮発性直鎖アルカンは、n-ノナン、n-ウンデカン、n-ドデカン、n-トリデカン、n-テトラデカン、及びそれらの混合物から選択される。好ましい実施形態によれば、Cognis社の国際公開第2008/15505号パンフレットの実施例1及び2で得られるn-ウンデカン(C11)及びn-トリデカン(C13)の混合物を挙げることができる。また、BASF社によりCETIOL ULTIMATEの名称で市販されているn-ウンデカン(C11)及びn-トリデカン(C13)の混合物を挙げることができる。また、Sasol社によりそれぞれPARAFOL 12-97及びPARAFOL 14-97の照会名で販売されているn-ドデカン(C12)及びn-テトラデカン(C14)、同様にそれらの混合物を挙げることができる。揮発性直鎖アルカンを単独で使用することが可能であり得、好ましくは少なくとも2つの異なる揮発性直鎖アルカンの混合物を使用することも可能であり得、互いに少なくとも1の炭素原子数nによって異なり、特に互いに1又は2の炭素原子数によって異なる。
【0130】
揮発性油は、環状ポリシロキサン、直鎖ポリシロキサン及びそれらの混合物等の揮発性シリコーン油でもよい。直鎖揮発性ポリシロキサンとして、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン及びヘキサデカメチルヘプタシロキサンを挙げることができる。環状揮発性ポリシロキサンとしては、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、及びドデカメチルシクロヘキサシロキサンを挙げることができる。
【0131】
代替として又は更に、生成される組成物は、少なくとも1種のフッ素化揮発性油を含んでもよい。
【0132】
「不揮発性油」とは、室温及び大気圧で少なくとも数時間ケラチン繊維上に留まり、特に蒸気圧が10-3mmHg(0.13Pa)未満である油を意味する。
【0133】
不揮発性油は、特に、炭化水素又はフッ素化油及び/又は不揮発性シリコーン油から選択してもよい。
【0134】
不揮発性炭化水素油として、特に
- 動物由来の炭化水素油と、
- 植物由来の炭化水素油、例えばC4~C36、好ましくは植物由来スクワラン若しくはSEPPIC社からのEmogreen L15(C15~19アルカン)等のC11~C21直鎖アルカン、又は例えばフィトステアリルエステル、例えば、オレイン酸フィトステアリル、イソステアリル酸フィトステアリル、ラウロイル/オクチルドデシル/グルタミン酸フィトステアリル(味の素株式会社、ELDEW PS203)、脂肪酸及びグリセロールのエステルからなるトリグリセリド、特に、その脂肪酸は、C4~C36、特にC18~C36の範囲の鎖長を有してもよく、これらの油は、直鎖又は分岐、飽和又は不飽和でもよく、これらの油は、特に、ヘプタン酸又はオクタン酸トリグリセリドであり、シア油、アルファルファ油、ケシ油、キビ油、オオムギ油、キヌア油、ライムギ油、ヤマモモ油、パッションフラワー油、シアバター、アロエ油、スイートアーモンド油、モモ核油、ピーナッツ油、アルガン油、アボカド油、バオバブ油、ルリジサ油、ブロッコリー油、キンセンカ油、アマナズナ油、ニンジン油、ベニバナ油、アサ油、アブラナ種子油、綿実油、コプラ油、ゼニアオイ種子(marrow seed)油、小麦胚芽油、ホホバ油、ユリ油、マカダミア油、トウモロコシ油、メドウフォーム油、セイヨウオトギリソウ油、モノイ油、ヘーゼルナッツ油、アプリコット核油、クルミ油、オリーブ油、月見草油、パーム油、クロスグリ種子油、キウイ果実種子油、ブドウ種子油、ピスタチオ油、カボチャ(squash)油、カボチャ(pumpkin)油、キヌア油、マスカットローズ油、ゴマ油、ダイズ油、ヒマワリ油、ヒマシ油、スイカ油、及びそれらの混合物でもよく、又はカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、例えばSTEARINERIES DUBOIS社により販売されているもの又はDYNAMIT NOBEL社によりMIGLYOL 810(登録商標)、812(登録商標)及び818(登録商標)の名称で販売されているものと、
- 10~40個の炭素原子を有する合成エーテルと、
- 式R1 COOR2の油等の合成エステルと(式中、R1が1~40個の炭素原子を含む直鎖又は分岐脂肪酸の残基を表し、R2が炭化水素鎖、特にR1+R2が≧10である限り、1~40個の炭素原子を含む分岐鎖を表す。エステルは、特に、アルコール及び脂肪酸のエステルから選択することができ、例えば、オクタン酸セトステアリル、イソプロピルアルコールエステル、例えばミリスチル酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸イソプロピル又はイソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソステアリル、ステアリン酸オクチル、ヒドロキシルエステル、例えば乳酸イソステアリル、ヒドロキシステアリル酸オクチル、アジピン酸ジイソプロピル、ヘプタン酸塩、及び特にヘプタン酸イソステアリル、オクタン酸塩、アルコール又はポリアルコールのデカン酸塩又はリシノール酸塩、例えばジオクタン酸プロピレングリコール、オクタン酸セチル、オクタン酸トリデシル、4-ジヘプタノエート及びエチル2-ヘキシルパルミチン酸塩、安息香酸アルキル、ジヘプタン酸ポリエチレングリコール、ジエチルプロピレングリコール2-ヘキサノエート及びそれらの混合物、C12~C15アルコール安息香酸塩、ラウリン酸ヘキシル、ネオペンタン酸エステル、例えばネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソステアリル、ネオペンタン酸オクチルドセチル、イソノナン酸エステル、例えばイソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸オクチル、ヒドロキシルエステル、例えば乳酸イソステアリル、及びリンゴ酸ジ-イソステアリル)、
- ポリオールエステル及びペンタエリスリトールエステル、例えばジペンタエリストリトールテトラヒドロキシステアレート/テトライソステアレーテルと、
- 二量体ジオール及び二量体二酸エステル、例えば日本精化株式会社により市販され、米国特許出願公開第2004-175338号明細書に記載されているLusplan DD-DA5(登録商標)及びLusplan DD-DA7(登録商標)と、
- 二量体ジオール及び二量体二酸コポリマー並びにそれらのエステル、例えば二量体ジリノレイルジオール/二量体ジリノールコポリマー及びそれらのエステル、例えばPlandool-Gと、
- ポリオール及び二量体二酸コポリマー並びにそれらのエステル、例えばHailuscent ISDAと、
- 12~26個の炭素原子を有し、分岐及び/又は不飽和炭素鎖を持つ室温で液体である脂肪族アルコール、例えば2-オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、オレイン酸アルコール、2-ヘキシルデカノール、2-ブチルオクタノール(blatyloctanol)、及び2-ウンデシルペンタデカノールと、
- C12~C22高級脂肪酸、例えばオレイン酸、リノール酸、及びそれらの混合物と、
- 2本鎖アルキルが同一又は異なる可能性があるジアルキル炭酸塩、例えばCOGNIS社によりCETIOL CC(登録商標)の名称で市販されている炭酸ジカプリリルと、
- 特に、約400~約10,000g/molの範囲のモル質量、特に約650~約10,000g/mol、特に約750~約7,500g/mol、及びより詳細には約1,000~約5,000g/molの範囲のモル質量を有する高モル質量の油と、
- フェニル化シリコーン等のシリコーン油、例えばWACIER社からのBELSIL PDM 1000(MM=9,000g/mol)、(本発明による組成物に使用できる他の不揮発性シリコーンオイルは、側鎖及び/又はシリコーン鎖の末端にあるアルキル基又はアルコキシ基を含み、各基は2~24個の炭素原子を有する不揮発性ポリジメチルシロキサン(PDMS)、フェニル化シリコーン、例えばフェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン、及び2-フェニルエチルトリメチルシロキシシリケート、100cSt以下の粘度のジメチコン又はフェニルトリメチコン、及びそれらの混合物でもよい)と、
- 特に欧州特許出願公開第847752(A)号明細書に記載されているフルオロシリコーン油、フッ素化ポリエーテル、及びフッ素化シリコーンである本発明に使用できるフッ素化油とを挙げることができる。
【0135】
ワックス
本発明による組成物は、少なくとも1種のワックスを含んでもよい。
【0136】
本発明の範囲内において考慮されるワックスは、一般に、親油性化合物であり、室温(25℃)で固体であり、可逆的な固体/液体状態変化を有し、30℃以上、最大120℃に達する可能性のある融点を有する。
【0137】
特に、本発明に好適なワックスは、約45℃より高く、特に55℃より高い融点を有することができる。ワックスの融点は、示差走査熱量計(D.S.C.)、例えばMETLER社によりDSC30の名称で販売されている熱量計を用いて測定することができる。
【0138】
本発明による組成物に使用される可能性があるワックスは、固体ワックスであり、室温で変形可能又は不可能な、動物、植物、鉱物又は合成由来のワックス、及びそれらの混合物から選択される。
【0139】
ワックスはまた、0.05MPa~30MPaの範囲、好ましくは6MPa~15MPaの範囲の硬度を有してもよい。硬度は、RHEO社によりTA-TX2iの名称で販売されている、0.1mm/sの測定速度で移動し、貫通深さ0.3mmまでワックスに貫通する直径2mmのステンレス鋼製シリンダーを備えたテクスチュロメーターを用いて20℃で測定した圧縮力を測定することで求められる。
【0140】
特に炭化水素ワックス、例えばビーズワックス、ラノリンワックス、及びイボタワックス;ライスワックス、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、オウリカリワックス(ouricurry wax)、アルファワックス(alfa wax)、コルク繊維ワックス(cork-fibre wax)、サトウキビワックス、日本ワックス及びスマックワックス;モンタンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィン及びオゾケライト;ホホバワックス、ミモザワックス、ヒマワリワックス、ポリエチレンワックス、Fisher-Tropsch synthesis社により得られるワックス及びワックス状コポリマー並びにそれらのエステルを使用することが可能である。ホホバワックス、ミモザワックス、ヒマワリワックスの混合物は、例えばGATTEFOSSE社によってACTICIRE MPの照会名で市販されている。特に、炭化水素ワックスは、カルナウバワックス、ビーズワックス、ホホバワックス、ミモザワックス、ヒマワリワックス、及びそれらの混合物から選択することができる。
【0141】
また、C8~C32直鎖又は分岐脂肪鎖を有する動物又は植物ワックスの接触水素化によって得られるワックスを挙げることができる。
【0142】
これらから、特に水添ホホバ油、水添ヒマワリ油、水添ヒマシ油、水添コプラ油、水添ラノリン油、HETERENE社により「HEST 2T-4S」の名称で販売されているジ-(トリメチロール-1,1,1プロパン)テトラステアレート、及びHETERENE社によりHEST 2T-4Bの名称で販売されているジ-(トリメチロール-1,1,1プロパン)テトラベヘネートを挙げることができる。
【0143】
また、ヒマシ油又はオリーブ油等の植物油のエステル交換及び水素化により得られるワックス、例えばSOPHIM社によりPhytowax Castor 16L64(登録商標)及び22L73(登録商標)並びにPhytowax Olive 18L57の名称で販売されているワックスを使用することも可能である。このようなワックスは、仏国特許出願公開第2792190(A)号明細書に記載されている。
【0144】
有利には置換ポリシロキサンであり得るシリコーンワックスを使用することも可能であり、好ましくは低融点を有する。これらのシリコーンワックスは公知であるか、公知の方法に従って調製してもよい。この種の市販のシリコーンワックスから、特にAbilwax 9800、9801又は9810(GOLDSCHMIDT社)、KF910及びKF7002(信越化学株式会社)又は176-1118-3及び176-11481(GENERAL ELECTRIC社)の名称で販売されているもの、アルキルジメチコン又はアルコキシジメチコン、例えば以下の市販品:Abilwax 2428.2434及び2440(GOLDSCHMIDT社)、又はVP1622及びVP1621(WACKER社)、同様に(C20~C60)アルキルジメチコン、特に(C30~C45)アルキルジメチコン、例えばGE-Bayer Silicones社によりSF-1642の名称で販売されているシリコーンワックスを挙げることができる。
【0145】
シリコーン基又はフッ素化基によって修飾された炭化水素ワックス、例えばシリコニルキャンデリラ、シリコニルビーズワックス及びKoster Keunen社からのFluorobeeswaxを使用することも可能である。
【0146】
ワックスは、フッ素化ワックスから選択してもよい。
【0147】
特定の実施形態によれば、本発明による組成物は、少なくとも1種のいわゆる粘着性ワックスを含んでもよい。粘着性ワックスとして、C20~C40アルキル(ヒドロキシステアリルオキシ)ステアレート(20~40個の炭素原子を含むアルキル基)を単独で、又は混合物で、特にC20~C40アルキル12-(12'-ヒドロキシステアリルオキシ)ステアレートを使用することが可能である。このようなワックスは、特にKOSTER KEUNEN社により「Kester Wax K 82 P(登録商標)」及び「Kester Wax K 80 P(登録商標)」の名称で販売されている。
【0148】
好ましい実施形態によれば、ワックスは、炭化水素ワックスから選択され、好ましくはカルナウバワックス、ビーズワックス、ホホバワックス、ミモザワックス、ヒマワリワックス、及びそれらの混合物から選択される。
【0149】
親油性ゲル化剤
ある型の親油性ゲル化剤は、特に国際公開第98/38981号パンフレット及び米国特許第6,309,629号明細書に記載されているスチレン及びオレフィンコポリマー、例えばエチレン、プロピレン及び/又はブチレンからなり、場合によりシリコーン又は炭化水素溶媒と組み合わされている。これらは特に、VERSAGEL(登録商標)の商品名でPENRECO社から入手可能な逐次ターポリマーに基づくゲル化剤を含む。別の型の親油性ゲル化剤は、ポリマー、例えばINCI名ポリアミド-3で識別されており、特にARIZONA CHEMICAL社から入手可能なSYLVACLEAR(登録商標)AF 1900V及びPA 1200Vポリマー、同様にINCI名「エチレンジアミン/水添二量体ジノール酸コポリマービス-ジ-C14~18アルキルアミド」で識別されており、例えばARIZONA CHEMICAL社からSYLVACLEAR(登録商標)A200V又はSYLVACLEAR(登録商標)A2614Vの商品名で入手可能なものからなる。親油性ゲル化剤は、代替としてベントン又は疎水性の変性ヘクトライトであり得る。
【0150】
着色剤
本発明による組成物はまた、可溶性、好ましくは水溶性の顔料、真珠層、染料から選択される着色剤を含むことができる。
【0151】
好ましい実施形態によれば、着色剤は顔料及び/又は真珠層から選択される。
【0152】
「顔料」とは、組成物及び/又は得られた皮膜を着色及び/又は不透明化することを目的とする、水性媒体に不溶性の、鉱物又は有機の白色又は着色粒子であると理解されるべきである。
【0153】
顔料は、白色でも着色されていてもよく、鉱物及び/又は有機でもよい。
【0154】
顔料は、有機顔料でもよい。有機顔料とは、Ullmann encyclopediaにおける有機顔料の章の定義を満たす任意の顔料を意味する。有機顔料は、特に金属錯体型のニトロソ、ニトロ、アゾ、キサンテン、キノリン、アントラキノン、フタロシアニン、イソインドリノン、イソインドリン、キナクリドン、ペリノン、ペリレン、ジケトピロロピロール、チオインジゴ、ジオキサジン、トリフェニルメタン又はキノフタローン化合物から選択される。
【0155】
有機顔料は、例えば、カルミン、カーボンブラック、アニリンブラック、メラニン、アゾイエロー、キナクリドン、フタロシアニンブルー、ソルガムレッド、カラーインデックスにおいてC1 42090、69800、69825、73000、74100、74160の照会名で分類された青色顔料、カラーインデックスにおいてCl 11680、11710、15985、19140、20040、21100、21108、47000、47005の照会名で分類された黄色顔料、カラーインデックスにおいてCl 61565、61570、74260の照会名で分類された緑色顔料、カラーインデックスにおいてCl 11725、15510、45370、71105の照会名で分類された橙色顔料、カラーインデックスにおいてCI 12085、12120、12370、12420、12490、14700、15525、15580、15620、15630、15800、15850、15865、15880、17200、26100、45380、45410、58000、73360、73915、75470の照会名で分類された赤色顔料、仏国特許出願公開第2679771号明細書に記載されている、インドール、フェノール系誘導体の酸化重合により得られる顔料から選択することができる。
【0156】
これらの顔料は、欧州特許第1184426号明細書に記載されているように、複合顔料の形態でもあり得る。これらの複合顔料は、特に、1種の有機顔料で少なくとも部分的に覆われた無機コアを含む粒子及びコアへの有機顔料の固定を保証する少なくとも1種の結合剤からなることができる。
【0157】
顔料はまた、ラッカーでもよい。ラッカーとは、不溶性粒子に吸着した不溶性着色剤を意味し、こうして得られた全体が使用時に不溶性のままである。ラッカーの例として、D & C Red 7(CI 15 850:1)の名称で知られている製品を挙げることができる。
【0158】
顔料は、鉱物顔料でもよい。鉱物顔料とは、Ullmann encyclopediaの無機顔料の章の定義を満たす任意の顔料を意味する。本発明に有用な鉱物顔料から、ジルコニウム又はセリウムの酸化物、同様に亜鉛の酸化物、鉄の酸化物(黒色、黄色又は赤色)又はクロムの酸化物、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、水酸化クロム及びフェリックブルー、二酸化チタン、アルミニウム粉末及び銅粉末等の金属粉末を挙げることができる。以下の鉱物顔料も使用できる:TiCO2、ZrO2、Nb2O5、CeO2、ZnSとの混合物中のTa2O5、Ti3O5、Ti2O3、TiO、ZrO2。
【0159】
本発明の範囲内において有用な顔料のサイズは、一般に10nm~10μmの間、好ましくは20nm~5μmの間、より好ましくは30nm~1μmである。
【0160】
着色剤はまた、可溶性、好ましくは水溶性の着色剤でもよい。
【0161】
水溶性着色剤から、コチニールカルミン又は以下の名称で知られる製品を挙げることができる:D & C Red 21(CI 45 380)、D & C Orange 5(CI 45 370)、D & C Red 27 (CI 45 410)、D & C Orange 10 (CI 45 425)、D & C Red 3 (CI 45 430)、D & C Red 4 (CI 15 510)、D & C Red 33 (CI 17 200)、D & C Yellow 5 (CI 19 140)、D & C Yellow 6 (CI 15 985)、D & C Green (CI 61 570)、D & C Yellow 1 O (CI 77 002)、D & C Green 3 (CI 42 053)、D & C Blue 1 (CI 42 090)。
【0162】
真珠層は、マイカ/二酸化チタン等のメイクアップ製品に従来存在するものから選択することができる。代替として、これらはマイカ/シリカ/二酸化チタンに基づく真珠層、合成フルオロフロゴパイト/二酸化チタン(MAPRECOS社からのSUNSHINE(登録商標))に基づく真珠層、カルシウムナトリウムホウケイ酸塩/二酸化チタン(ENGELHARD社からのREFLECKS(登録商標))に基づく真珠層、又はカルシウムアルミニウムホウケイ酸塩/シリカ/二酸化チタン(MERCK社からのRONASTAR(登録商標))に基づく真珠層に関係してもよい。
【0163】
本発明による組成物は、本発明による組成物の総質量に対して、0.0001~30質量%、好ましくは0.001~20質量%、及びより好ましくは0.002~15質量%の着色剤を含んでもよい。
【0164】
充填剤
本発明による組成物はまた、少なくとも1種の充填剤を含んでもよい。これらの充填剤は、特に組成物のレオロジー又は構成(texture)を改変するために使用される。
【0165】
充填剤は、結晶学的形状(例えば葉状、立方晶、六方晶、斜方晶等)に関係なく、任意の形態、小板、球状又は楕円形の鉱物又は有機物でもよい。タルク、マイカ、シリカ、疎水性剤によって処理されたシリカ表面、カオリン、ポリアミド粉末(Nylon(登録商標))(Atochem社からのOrgasol(登録商標))、ポリ-β-アラニン及びポリエチレン粉末、テトラフルオロエチレンポリマー粉末(Teflon(登録商標))、ラウロイルリジン、デンプン、窒化ホウ素、ポリマー性中空ミクロスフィア、例えばポリビニリデンクロリド/アクリロニトリルのミクロスフィア、例えばExpancel(登録商標)(Nobel Industrie社)、アクリル酸コポリマー(Dow Corning社からのPolytrap(登録商標))及びシリコーン樹脂マイクロビーズ(例えば株式会社東芝からのTospearls(登録商標))、エラストマーポリオルガノシロキサン粒子、沈降炭酸カルシウム及びヒドラ炭酸マグネシウム(magnesium hydra-carbonate)、ヒドロキシアパタイト、中空シリカミクロスフィア(Maprecos社からのSilica Beads(登録商標))、ガラス又はセラミックマイクロカプセル、8~22個の炭素原子、好ましくは12~18個の炭素原子を持つカルボキシル有機酸由来の金属石鹸、例えばステアリン酸リチウム又はステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ミリスチル酸マグネシウムを挙げることができる。
【0166】
化粧品活性剤
本発明による組成物はまた、少なくとも1種の化粧品活性剤を含んでもよく、ビタミン、抗酸化剤、保湿剤(hydrating agent)、汚染防止剤、角質溶解剤、収斂剤、抗炎症剤、美白剤、自己日焼け剤及び微小循環を促進する薬剤からなる群から選択することができる。
【0167】
ビタミンの例としては、ビタミンA、B1、B2、B6、C及びE並びにこれらの誘導体、パントテン酸及びその誘導体、並びにビオチンが挙げられる。
【0168】
抗酸化剤の例としては、アスコルビン酸及びその誘導体、例えばパルミチン酸アスコルビル、テトライソパルミチン酸アスコルビル、アスコルビルグルコシド、リン酸アスコルビルマグネシウム、リン酸アスコルビルナトリウム及びソルビン酸アスコルビル;トコフェロール及びその誘導体、例えば酢酸トコフェロール、ソルビン酸トコフェロール及び他のトコフェロールエステル;BHT及びBHA;没食子酸エステル、リン酸、クエン酸、マレイン酸、マロニン酸、コハク酸、フマル酸、セファリン、ヘキサメタリン酸、フィチン酸、例えば、BIOLANDES社により市販されているBlue Malagasy Ginger等のジンギベル・オフィキナレ(Zingiber Officinale)(ショウガ)根、トチャカ(Chondrus crispus)、イワベンケイ(Rhodiola)、サーマス・サーモフィルス(Thermus thermophilus)、マテ葉、オーク材、カユ・ラペ樹皮、サクラ葉並びイランイラン葉の植物エキスが挙げられる。
【0169】
保湿剤の例としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ブチレングリコール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、ムコ多糖類、例えばコンドロイチン硫酸、高分子量又は低分子量ヒアルロン酸、又はシラノール誘導体により増強されたヒアルロン酸、例えばExymol社により市販されている活性剤Epidermosil(登録商標)、及びムコイチン硫酸;カロン酸;アテロコラーゲン;クロレステリル-12-ヒドロキシステアレート、胆汁酸塩、NHF(天然水和因子)の主成分、例えばカルボン酸ピロリドン塩及び乳酸塩、アミノ酸類似体、例えば尿素、システイン及びセリン;短鎖可溶性コラーゲン、PPGジグリセリン、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンのホモポリマー及びコポリマー、例えばNOF社からのLipidure HM及びLipidure PBM;アラントイン;グリセリン誘導体、例えばNOF社から商品名Wilbride(登録商標)S753で販売されているPEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリン又はSederma社から商品名Lubragel(登録商標)MSで販売されているポリメタクリル酸グリセリル;旭化成株式会社により商品名Aminocoat(登録商標)で販売されるトリメチルグリシン及び種々の植物エキス、例えばヨーロッパグリ(Castanea sativa)エキス、加水分解ヘーゼルナッツタンパク質、チューベローズ(Polianthes tuberosa)の多糖類、アルガニア・スピノサ(Argania spinosa)の核油及び特に丸善製薬株式会社(日本)により商品名Pearl Extract(登録商標)で販売されているコンキオリンを含む真珠層エキスが挙げられる。
【0170】
保湿剤の他の例としては、マトリプターゼMT/SP1の発現を刺激する化合物、例えばイナゴマメ果肉エキス、同様にCERT、ARNT2又はFN3K又はFN3K RPの発現を刺激する薬剤;例えばβエンドルフィン産生を直接的又は間接的に刺激することによってケラチノサイトの増殖又は分化を増加させる薬剤、例えばサーマス・サーモフィルスのエキス又はカカオ(Theobroma cacao)豆殻のエキス、トウモロコシの水溶性エキス、バンバラ豆(Voandzeia subterranea)及びナイアシンアミドのペプチドエキス;表皮脂質並びにリン脂質、セラミド、加水分解ハウチワマメタンパク質及びジヒドロジャスモン酸の誘導体等のセラミドのグルコシルセラミダーゼ等の脂質前駆体の脱グリコシル化を調節する特定のβ-グルコシダーゼを直接的又は間接的に刺激することによって、表皮脂質の合成を増加させる薬剤が挙げられる。
【0171】
汚染防止剤の例としては、ワサビノキ(Moringa pterygosperma)種子エキス(例えばLSN社からのPurisoft(登録商標));シアバターエキス(例えばSilab社からのDetoxyl(登録商標))、セイヨウキズタエキス、フィチン酸及びヒマワリ種子エキスの混合物(例えばSederma社からのOsmopur(登録商標))が挙げられる。
【0172】
角質溶解剤の例としては、α-ヒドロキシ酸(例えばグリコール酸、乳酸、クエン酸、マレイン酸、マンデル酸又は酒石酸(tartric acid))及びβ-ヒドロキシ酸(例えばサリチル酸)、並びにこれらのエステル、例えばC12~13乳酸アルキル、及びこれらのヒドロキシ酸を含む植物エキス、例えばハイビスカス(Hibiscus sabdriffa)エキスが挙げられる。
【0173】
収斂剤の例としては、ハマメリスエキスが挙げられる。
【0174】
抗炎症剤の例としては、ビサボロール、アラントイン、トラネキサム酸、酸化亜鉛、硫黄酸化物及びそれらの誘導体、硫酸コンドロイチン、グリチルリチン酸及びそれらの誘導体、例えばグリチルリチン酸塩が挙げられる。
【0175】
美白剤の例としては、アルブチン及びそれらの誘導体、フェルラ酸(例えばBASF社により市販されているCytovector(登録商標):水、グリコール、レシチン、フェルラ酸、ヒドロキシエチルセルロース)及びその誘導体、コウジ酸、レゾルシノール、リポ酸、及びそれらの誘導体、例えば国際公開第2006/134282号パンフレットに記載のレスベラトロールジアセテートモノリポエート、エラグ酸(ellargic acid)、ロイコドパクロム及びそれらの誘導体、ビタミンB3、リノール酸及びそれらの誘導体、セラミド及びそれらの同族体、国際公開第2009/010356号パンフレットに記載のペプチド、国際公開第2006/134282号パンフレットに記載のバイオ前駆体又はトラネキサム酸塩例えばトラネキサム酸セチル塩酸塩(tranexamate cetylic hydrochloride salt)、特に丸善製薬株式会社により商品名Licorice Extract(登録商標)で販売されているリコリスエキス(カンゾウ(Glycyrrhiza glabra)エキス)、抗酸化作用も有する美白剤、例えばアスコルビン酸塩、脂肪酸又はソルビン酸のアスコルビルエステル、及び他のアスコルビン酸誘導体、例えばリン酸アスコルビル、例えばリン酸アスコルビルマグネシウム及びリン酸アスコルビルナトリウム、又は例えばアスコルビル-2-グルコシド、2-O-アルファ-D-グルコピラノシルL-アスコルビン酸、又は6-O-ベータ-D-ガラクトピラノシルL-アスコルビン酸を含むアスコルビン酸の糖エステルを含むビタミンC化合物が挙げられる。この種の活性剤は、特に、DKSH社により商品名Ascorbyl glucoside(登録商標)で販売されている。
【0176】
自己日焼け剤の例は、DHAである。
【0177】
微小循環を促進する薬剤の例としては、ハウチワマメエキス(Silab社からのEclaline(登録商標)等)、ナギイカダ、セイヨウトチノキ、セイヨウキズタ、高麗人参又はメリロート、カフェイン、ニコチン酸及びそれらの誘導体、CODIF社により市販されているもの等のサンゴモ(Corallina officinalis)藻のエキス;並びにそれらの混合物が挙げられる。皮膚の微小循環に対するこれらの活性剤は、顔色がくすむのを防ぐため、及び/又は顔色の均質化及び輝きを改善するために使用され得る。
【0178】
本発明による組成物は、本発明による組成物の総質量に対して、0.0001~10質量%、好ましくは0.001~5質量%、及びより好ましくは0.002~1質量%の化粧品活性剤を含んでもよい。
【0179】
添加物
本発明による組成物は、組成物/ファンデーション基材の乳剤の所望の特性を妨げない限り他の成分を含んでもよい。これらの他の成分は、例えば、保存剤、クエン酸又はアルギニン等のpH調整剤、抗菌剤、香料、サンフィルター、及びそれらの混合物でもよい。
【0180】
調製方法
本発明の別の目的は、本発明による組成物を調製する方法であり、
- 可塑剤を水と、場合により乳化剤及び/又は皮膜形成剤と混合する工程と、
- ゲルが形成されるまで撹拌下でデンプンを添加する工程と、
- 場合によりゲル化剤を添加する工程と、
- 場合により着色剤を添加する工程と、
- 場合によりpHを調整する工程とを含む。
【0181】
一実施形態によれば、可塑剤と水と、場合により乳化剤及び/又は皮膜形成剤との混合は、室温で、又は高温で、例えば60~95℃の間の温度で操作される。
【0182】
ケラチン物質のメイクアップ方法
本発明はまた、ケラチン物質、特に皮膚、まつ毛、眉毛又は唇に対するメイクアップ又はケア方法に関し、前記ケラチン物質、特に皮膚、まつ毛、眉毛又は唇に、本発明による組成物を塗布することからなる。
【図面の簡単な説明】
【0183】
【
図1】本発明による組成物から得られた皮膜(実施例1)と、本発明のゲル化剤を含まない比較組成物から得られた皮膜との耐汗性を比較する図である。
【実施例】
【0184】
(実施例1)
アイシャドウ
下記Table 1(表1)に示す組成を有するアイシャドウを調製する。
【0185】
【0186】
アイシャドウを、下記のプロトコルに従って調製する:
- 水、グリセリン、ソルビトール、ペンチレングリコール、防腐剤及びポリソルベート20を含む水性相を秤量し、245rpmで回転子固定子で撹拌し、
- LYCOAT RS 720を撹拌しながら添加し、ゲルが形成されたら245rpmで5分間撹拌を維持し、
- 245rpmで回転子固定子で撹拌しながらActigum VSX 20を添加し、
- 245rpmで回転子固定子で撹拌しながら着色剤を添加し、
- アルギニンを添加してpHを調整する。
【0187】
塗布すると、配合物は眼瞼上を非常によく滑り、その堆積は市販のアイシャドウよりも厚みがある。生成物は粉々に崩れず、したがって目の下(頬骨に)に残渣を沈着させない。メイクアップの結果は強力で、経時的に持続する。得られた皮膜は、耐汗及び耐皮脂性がある。これはピーリング可能なので、メイクアップ除去が容易である。
【0188】
(実施例2)
アイシャドウ
実施例1のTable 1(表1)に示される組成を有するアイシャドウを調製し、Roquette Freres社からのアルファ化エンドウデンプンLYCOAT RS 720を、Roquette Freres社のからの非アルファ化エンドウデンプンLYCOAT NG 720で置き換えた。
【0189】
アイシャドウを、下記のプロトコルに従って調製した:
- 水、グリセリン、ソルビトール、ペンチレングリコール、防腐剤及びポリソルベート20を含む水性相を秤量し、245rpmで回転子固定子で撹拌しながら85℃に加熱し、
- LYCOAT NG 720を撹拌しながら添加し、ゲルが形成されたら245rpmで5分間撹拌を維持し、
- 245rpmで回転子固定子で撹拌しながらActigum VSX 20を添加し、
- 245rpmで回転子固定子で撹拌しながら着色剤を添加し、
- Rayneriで室温まで撹拌しながら配合物を放冷し、
- アルギニンを添加してpHを調整する。
【0190】
(実施例3)
汗及び皮脂への耐性
実施例1による組成物から得られた皮膜、及びActigum VSX 20が除去された実施例1の配合物に対応する比較組成物から得られた皮膜の汗及び皮脂に対する耐性を試験した。
【0191】
この試験では、250μmの生成皮膜を自動スプレッダー(automatic spreader)で120μmのPET皮膜上に引張した。皮膜を室温で24時間乾燥させた後、人工汗を1滴、及びフィトスクアラン(皮脂の主成分)を1滴塗布した。
【0192】
結果を
図1に示す。写真1は、本発明による実施例1のアイシャドウによって得られた皮膜に対応する。汗や皮脂の滴にアイシャドウの色移りが観察されず、汗及び皮脂への耐性が優れている。写真2は比較アイシャドウに対応する。汗の滴にアイシャドウの色移りが観察され、汗への耐性が低い。