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特許7539919バッテリーストレージを備えるエネルギー供給システムのための省エネルギー運転
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-16
(45)【発行日】2024-08-26
(54)【発明の名称】バッテリーストレージを備えるエネルギー供給システムのための省エネルギー運転
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240819BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
H02J7/00 302C
H02J1/00 307F
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021560733
(86)(22)【出願日】2020-04-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-15
(86)【国際出願番号】 EP2020060863
(87)【国際公開番号】W WO2020212572
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】102019110177.8
(32)【優先日】2019-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】521448503
【氏名又は名称】インスタグリッド ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベルニング,セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】セドルマイヤー,アンドレアス
【審査官】宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-517258(JP,A)
【文献】特開2008-131670(JP,A)
【文献】特開平09-247852(JP,A)
【文献】特開昭50-107422(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102012201602(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M10/42-10/48
H02J1/00-1/16
H02J7/00-7/12
H02J7/34-7/36
H02M7/42-7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モバイルエネルギー供給システムであって、
当該エネルギー供給システムの出力部において異なる電圧を供給するための制御が可能な仕方で直列に接続できる複数のバッテリーモジュール(12)と、
前記バッテリーモジュール(12)を作動させるための制御ユニット(14)とを有し、
各バッテリーモジュール(12)は、
入力接続部(22)および出力接続部(24)、
バッテリーユニット(30)、ならびに、
前記入力接続部(22)と前記出力接続部(24)との間に設けられ、かつ、前記バッテリーユニットを前記入力および出力接続部に接続する(バッテリーモード)か、または、前記バッテリーユニットをバイパスすることにより前記入力接続部を前記出力接続部に接続する(バイパスモード)ように構成された、ブリッジ回路(36)を備えており、
各バッテリーモジュール(12)は、運転モードおよびアイドルモードに制御されるように構成されており、前記運転モードにおいて、前記ブリッジ回路(36)は、前記バッテリーモードおよび前記バイパスモードに切り替えることができ、前記アイドルモードにおいて、前記ブリッジ回路(36)は、エネルギー消費が最小の状態に置かれ
前記ブリッジ回路(36)は、前記バッテリーモードまたは前記バイパスモードを設定するために、複数の自己遮断型のスイッチング素子(52)を備え、前記アイドルモードにおいて、前記自己遮断型のスイッチング素子(52)は、前記エネルギー消費が最小の状態とするために遮断状態に置かれる、エネルギー供給システム。
【請求項2】
エネルギー供給のために前記バッテリーユニット(30)に接続され、かつ、前記ブリッジ回路(36)を前記バッテリーモードまたは前記バイパスモードに切り替えるために、前記ブリッジ回路(36)に接続される、制御装置(34)を有する、請求項1に記載のエネルギー供給システム。
【請求項3】
前記アイドルモードにおいて、前記制御装置は、少なくとも間欠的に、エネルギー消費が最小の状態に置かれる、請求項に記載のエネルギー供給システム。
【請求項4】
前記制御ユニットは、前記運転モードまたは前記アイドルモードを有効にするために、前記バッテリーモジュールの少なくとも1つへ、制御信号を導くよう構成されている、請求項1~のいずれか1項に記載のエネルギー供給システム。
【請求項5】
各バッテリーモジュールは、前記バッテリーモジュールと前記制御ユニットとの間のガルバニック絶縁を提供する第1の絶縁装置(32)を備えている、請求項1~のいずれか1項に記載のエネルギー供給システム。
【請求項6】
前記第1の絶縁装置は、前記アイドルモードにおいても、エネルギーを供給するために、少なくとも一部が、かつ/または、少なくとも間欠的に、前記バッテリーユニットに接続されている、請求項に記載のエネルギー供給システム。
【請求項7】
前記第1の絶縁装置は、エネルギーを供給するために、前記アイドルモードにおいて、前記バッテリーユニットに、所定の時間間隔で接続される、請求項に記載のエネルギー供給システム。
【請求項8】
特定の規準に達したときに、バッテリーモジュールが前記アイドルモードに置かれる、請求項1~のいずれか1項に記載のエネルギー供給システム。
【請求項9】
前記規準は、バイパスモードにおいて前記制御ユニットからの制御信号無し、または、平均電流出力が規定値未満、または、少なくとも1つのバッテリーモジュールの充電状態/電圧が規定値未満、から選択される、請求項に記載のエネルギー供給システム。
【請求項10】
前記第1の絶縁装置は、ガルバニック絶縁のために、無線受信器、および/または、光学センサ、および/または、容量性もしくは誘電性の送信器を備えている、請求項に記載のエネルギー供給システム。
【請求項11】
前記制御ユニットにより供給される前記制御信号は、少なくとも2つの項目の情報、すなわち、バイパスモードまたはバッテリーモード、および、アイドルモードまたは運転モードを含んでいる、請求項に記載のエネルギー供給システム。
【請求項12】
前記制御ユニットは、前記制御信号として、タイムコード化された二値信号を生成するように構成されている、請求項11に記載のエネルギー供給システム。
【請求項13】
各バッテリーモジュールは、前記ブリッジ回路および/または直流リンクコンデンサを前記バッテリーユニットから切り離すように構成された第2の絶縁装置(40)を有しており、前記直流リンクコンデンサは、前記バッテリーユニットと並列に設けられている、請求項1~12のいずれか1項に記載のエネルギー供給システム。
【請求項14】
前記第2の絶縁装置は、少なくとも1つのスイッチング素子を備えており、前記アイドルモードにおいて、前記少なくとも1つのスイッチング素子は、高抵抗の状態に置かれる、請求項13に記載のエネルギー供給システム。
【請求項15】
前記バッテリーユニットは、少なくとも1つのバッテリーセルを備えている、請求項1~14のいずれか1項に記載のエネルギー供給システム。
【請求項16】
前記スイッチング素子の少なくとも1つが、トランジスタで構成されている、請求項1~15のいずれか1項に記載のエネルギー供給システム。
【請求項17】
前記バッテリユニット(30)は、前記バッテリーユニット(30)の直列接続されたバッテリーセルの個々の電圧を測定するための回路(31)を備えており、前記回路は、前記アイドルモードにおいて、エネルギー消費が最小の状態に置かれる、請求項1~16のいずれか1項に記載のエネルギー供給システム。
【請求項18】
乗り物での使用のために設計されている、請求項1~17のいずれか1項に記載のエネルギー供給システム。
【請求項19】
求項1~18のいずれか1項に記載のエネルギー供給システムのためのバッテリーモジュールであって、当該バッテリーモジュール(12)は、
入力接続部(22)および出力接続部(24)と、
バッテリーユニット(30)と、
前記入力接続部(22)と前記出力接続部(24)との間に設けられ、かつ、前記バッテリーユニットを前記入力および出力接続部に接続する(バッテリーモード)か、または、前記バッテリーユニットをバイパスすることにより前記入力接続部を前記出力接続部に接続する(バイパスモード)ように構成された、ブリッジ回路(36)とを備えており、
当該バッテリーモジュール(12)は、運転モードおよびアイドルモードに制御されるように構成されており、前記運転モードにおいて、前記ブリッジ回路(36)は、前記バッテリーモードおよび前記バイパスモードに切り替えることができ、前記アイドルモードにおいて、前記ブリッジ回路(36)は、エネルギー消費が最小の状態に置かれ
前記ブリッジ回路(36)は、前記バッテリーモードまたは前記バイパスモードを設定するために、複数の自己遮断型のスイッチング素子(52)を備え、前記アイドルモードにおいて、前記自己遮断型のスイッチング素子(52)は、前記エネルギー消費が最小の状態とするために遮断状態に置かれる、バッテリーモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モバイルエネルギー供給システムに関し、エネルギー供給システムは、当該エネルギー供給システムの出力部において異なる電圧を供給するための制御が可能な仕方で直列に接続できる複数のバッテリーモジュールと、バッテリーモジュールを作動させるための制御ユニットとを有し、各バッテリーモジュールは、入力および出力接続部と、制御ユニットと、バッテリーユニットと、入力および出力接続部の間に設けられ、かつ、バッテリーユニットを入力および出力接続部に接続する(バッテリーモード)か、または、バッテリーユニットをバイパスすることにより入力接続部を出力接続部に接続する(バイパスモード)ように構成された、ブリッジ回路とを有している。
【背景技術】
【0002】
上記の種類の定置式のエネルギー供給システムは、例えば米国特許第5642275号明細書または米国特許第3867643号明細書によっても、一般に公知となっている。
【0003】
これらに開示されたエネルギー供給システムは、通常「カスケードマルチレベルインバータ/コンバータ」または「マルチレベルインバータ/コンバータ」と呼ばれるコンバータを使用している。他のエネルギー供給システムが、独国特許出願公開第10 2014 200267A1号明細書、米国特許出願公開第2016/0075254A1号明細書または米国特許出願公開第2015/0171632A1号明細書に示されている。
【0004】
これらのコンバータの原理は、必要な場合に平滑化できる、ほぼ正弦波状の交流電圧を得るよう、段階的に上昇または低下する電圧を出力部において生成するように、個々の直流電圧源の数Nを制御することにある。
【0005】
このようなコンバータには、チョッピングおよび平滑化により直流リンク電圧から単相または三相の正弦波出力電圧を生成する、いわゆる2または3ポイントコンバータに比べて、特にコスト、熱損失およびユニット寸法に関して、利点のあることが明らかとなっている。
【0006】
このようなエネルギー供給システムの定置運転においては、通常、外部の供給ネットワークへの恒久的な接続が存在するので、アイドル(未利用の)状態中、すなわち、接続負荷のない輸送または保管中におけるエネルギー消費はさほど重要視されない。しかし、このようなエネルギー供給システムを、モバイルシステムとして運転しなければならない場合、システム中の電気部品にエネルギーを供給するバッテリーセルが時間経過に伴って放電するという問題が生じる。この場合のモバイルシステムは、例えば、乗り物(車両)への給電のために使用できるシステムを含むとも理解できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許第5642275号明細書
【文献】米国特許第3867643号明細書
【文献】独国特許出願公開第10 2014 200267A1号明細書
【文献】米国特許出願公開第2016/0075254A1号明細書
【文献】米国特許出願公開第2015/0171632A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この背景に照らして、本発明の目的は、上述した種類のエネルギー供給システムを、モバイルシステムとして使用できる仕方、すなわちバッテリーセルの速やかな放電を回避する仕方で、さらに発展させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、各バッテリーモジュールが運転モードおよびアイドル(未利用)モードで制御されるように構成されており、その際、運転モードにおいてはブリッジ回路をバッテリーモードおよびバイパスモードに切り替えることができ、かつ、アイドル状態においてはブリッジ回路はエネルギー消費が最小の状態に置かれることによって、上述した種類のモバイルエネルギー供給システムにおいて達成される。
【0010】
それにより、この目的は十分に解決される。
【0011】
好ましくは、制御信号を介して、各バッテリーモジュールをアイドル(未利用)モードへと制御できることにより、各バッテリーモジュール内でのエネルギー消費が著しく低減される。特に、ブリッジ回路のエネルギー消費が、当該ブリッジ回路が最小エネルギー消費状態へと設定されるため、低減される。
【0012】
エネルギー消費が最小のこの状態を実現するため、ブリッジ回路内の電気部品の少なくともいくつかが、エネルギー消費がない、またはエネルギー消費が最低となる仕方で動作させられる。
【0013】
ブリッジ回路においてエネルギー消費が最低のこのようなアイドル状態をもたらす好ましいやり方としては、バッテリーモードまたはバイパスモードを設定するための複数のスイッチング素子を、N-MOSFETなどの自己遮断型スイッチング素子で構成することであり、かつ、それらを自己遮断状態に置くことである。そのような自己遮断状態は、スイッチング素子にエネルギーを供給する必要なしに実現できる。この状態では、バッテリーユニットは、ブリッジ接続の入力および出力接続部に接続されておらず、かつ、入力接続部および出力接続部が、バッテリーユニットをバイパスすることにより、接続されていない。
【0014】
これらのスイッチング素子は、エネルギーの消費が最低であるか、または無いため、ブリッジ回路の総エネルギー消費を著しく低減することができる。
【0015】
各バッテリーモジュールには好ましくは、エネルギー供給用にバッテリーユニットに接続され、かつ、ブリッジ回路をバッテリーモードまたはバイパスモードへと切り替えるためにブリッジ回路に接続された、制御装置が設けられている。換言すれば、制御装置は制御信号を生成する。あるいは、この制御信号が、制御装置により直接伝達されることも考えられる。
【0016】
この方策には、制御ユニットが、すべてのバッテリーモジュールに対して、例えば複数の情報項目を有する符号化された信号を送信できるという利点があり、制御装置は、この信号を復号し、それを制御信号へと変換する。
【0017】
好ましい実施形態では、アイドルモードにおいて、制御装置は、少なくとも間欠的に、エネルギー消費が最小の状態に置かれる。
【0018】
換言すれば、ブリッジ回路のエネルギー消費が低減されるだけでなく、バッテリーモジュールの制御装置のエネルギー消費も低減され、エネルギー消費のさらに大きな低減につながる。アイドルモード中に、制御装置が間欠的に、特に周期的に、エネルギー消費が通常の状態で動作することにより、制御装置の制御機能がアイドルモード中に失われることはない。これは、バッテリーモジュールの制御装置が、アイドルモード中にブリッジ回路をアイドル状態から運転モードへと移行させることもできることを意味している。
【0019】
好ましい実施形態では、各バッテリーモジュールは、バッテリーモジュールと制御ユニットとの間にガルバニック絶縁を設ける、絶縁装置を割り当てられている。
【0020】
この絶縁装置を使用して、制御ユニットからバッテリーモジュールへ、電気的に絶縁された状態で信号を伝送することができる。このような電気的絶縁は、特に安全性の観点から必要である。ここで、絶縁装置は、必ずしも、バッテリーモジュールとともに一つの構造的なユニットを形成する必要はないことに留意されたい。絶縁装置を、バッテリーモジュールとは別体のユニットとして設計することも考えられる。
【0021】
絶縁装置は、好ましくは、アイドル状態であっても、エネルギーを供給するために、少なくとも一部が、かつ/または、少なくとも間欠的に、バッテリーユニットに接続されている。好ましくは、絶縁装置は、エネルギーを供給するために、アイドル状態において所定の時間間隔で、バッテリーユニットに接続される。
【0022】
換言すれば、絶縁装置の一部が、バッテリーユニットによりエネルギーを供給され、その際、絶縁装置の機能を制限することなくエネルギー消費をさらに低減するために、このエネルギー供給は、例えば所定の時間間隔で、少なくとも間欠的に遮断できる。換言すれば、これは、アイドルモードにおいてさえ、絶縁装置が、制御ユニットから信号を受信でき、かつ、それに応じて、それらを転送できることを意味している。アイドルモードの間は、制御ユニットからの制御信号は、絶縁装置が一時的にバッテリーユニットに接続されている期間中に、受信および転送することができる。
【0023】
上記方策を実施することで、すなわち、ブリッジ回路、制御装置および絶縁装置のエネルギー消費を低減することで、アイドルモード中のバッテリーモジュールのエネルギー消費を、相当に低減することができる。
【0024】
好ましい実施形態では、特定の規準に達したときに、バッテリーモジュールがアイドルモードに置かれる。このような規準は例えば、バイパスモードで制御ユニットからの制御信号無し、または、平均電流出力が規定値未満というものであってもよい。
【0025】
換言すれば、アイドルモードを手動で設定する必要はなく、むしろ、エネルギーシステムが、このアイドルモードを自動的に選択する。この方策の利点は特に、アイドルモードが確実かつ速やかに選択されるので、エネルギー消費をさらに低減することが可能であることにある。各バッテリーモジュールは、可能であれば、アイドルモードとされる。
【0026】
好ましい実施形態では、絶縁装置は、ガルバニック絶縁のために、無線受信器、および/または、光学センサ、および/または、容量性もしくは誘電性の送信器を備えている。
【0027】
いわゆるオプトカプラ(フォトカプラ)の使用は、バッテリーモジュールと制御ユニットとの間にガルバニック絶縁を設ける、特に費用対効果の高いやり方である。
【0028】
好ましい実施形態では、制御ユニットによりバッテリーモジュールに供給される制御信号は、少なくとも2つの項目の情報、すなわちバイパスモードまたはバッテリーモードおよびアイドルモードまたは運転モード、を含んでいる。制御ユニットは好ましくは、タイムコード化された二値信号を制御信号として生成するよう設計されている。
【0029】
これらの方策は、制御信号を伝送するのに非常に小さな労力しか要さないため、特に利点のあることが明らかとなっている。
【0030】
好ましい実施形態では、各バッテリーモジュールは、ブリッジ回路および/または少なくとも1つの直流リンクコンデンサを、バッテリーユニットから絶縁するように設計されており、その際、直流リンクコンデンサは、バッテリーユニットと並列に設けられている。より好ましくは、絶縁装置は少なくとも1つのスイッチング素子を備えており、その際、アイドルモードにおいて、この少なくとも1つのスイッチング素子は、好ましくは高抵抗の状態で、エネルギー消費が最小の状態に置かれる。
【0031】
好ましい実施形態では、スイッチング素子の少なくとも1つが、トランジスタで構成されている。
【0032】
より好ましくは、バッテリーユニットは少なくとも1つのバッテリーセルを備えている。無論、バッテリーユニットは、直列または並列に接続された複数のバッテリーセルを備えていてもよい。
【0033】
好ましい実施形態では、バッテリーユニットは、バッテリーユニットの直列接続されたバッテリーセルの個々の電圧を測定するための回路を備えている。アイドルモード時は、この回路は、エネルギー消費が最小の状態に置かれる。
【0034】
本発明の目的は、エネルギー供給システム用のバッテリーモジュールであって、バッテリーモジュールは、入力および出力接続部と、バッテリーユニットと、入力および出力接続部の間に設けられ、かつ、バッテリーユニットを入力および出力接続部に接続する(バッテリーモード)か、または、バッテリーユニットをバイパスすることにより入力接続部を出力接続部に接続する(バイパスモード)ように構成された、ブリッジ回路とを備えており、バッテリーモジュールは、運転モードおよびアイドルモードに制御されるよう設計されており、運転モードにおいて、ブリッジ回路は、バッテリーモードおよびバイパスモードに切り替えることができ、アイドルモードにおいて、ブリッジ回路は、エネルギー消費が最小の状態に置かれる、バッテリーモジュールによっても解決される。
【0035】
上述した特徴、および、以下に説明する特徴が、対応する詳述した組み合わせだけでなく、他の組み合わせでも、または単独でも、本発明の範囲を逸脱することなく適用できることは言うまでもない。
【0036】
本発明のさらなる利点および実施形態が、説明および添付図面より理解される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】モバイルエネルギー供給システムの模式図を示す。
図2図1のエネルギー供給システムのバッテリーモジュールの模式図を示す。
図3a】第1の変形例に係る図2のバッテリーモジュールのブリッジ回路の模式図を示す。
図3b】第2の変形例に係る図2のバッテリーモジュールのブリッジ回路の模式図を示す。
図4図2のバッテリーモジュールの絶縁装置の模式図を示す。
図5図2のバッテリーモジュールの絶縁装置の2つの異なる具体例を示す。
図6図2のバッテリーモジュールのバッテリーユニットの模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1に、エネルギー供給システムを、ブロック回路図として、参照符号10を付して示す。このエネルギー供給システム10は、モバイルユニットとして設計されている。すなわち、これは、一人の人間が扱うことのできる重量および寸法を有している。エネルギー供給システムの重量は25キロ未満であり、寸法は、エネルギー供給システムをバックパックとして運べるように選択される。
【0039】
モバイルエネルギー供給システム10は、N個の直列に接続されたバッテリーモジュール12を備えている。個々のバッテリーモジュール12は、制御ユニット14により制御される。
【0040】
直列に接続されたバッテリーモジュール12により発生される全電圧は、平滑チョークを介して平滑化されて、プラグ装置18に印加される。プラグ装置18は、例えば220Vの交流電圧の装置用に標準化されたプラグコネクタであってもよい。
【0041】
図1に示すように、N個のバッテリーモジュール12のそれぞれは制御接続部20を備えており、制御接続部20を通じて、制御装置14は、制御ライン21を介して、制御信号を伝送することができる。
【0042】
くわえて、各バッテリーモジュール12は、モジュール入力部22およびモジュール出力部24を有している。しかし、ここで、「入力部」および「出力部」の区別は任意であることに留意されたい。特に、バッテリーモジュールの極性が制御可能である場合、「入力部」および「出力部」を互いに機能的に区別することはできない。ゆえに、適切な作動により、2つの入力部22または出力部24を、互いに直列に接続することもできる。
【0043】
N個のバッテリーモジュール12は、或るバッテリーモジュール12のモジュール出力部24が、次のバッテリーモジュール12のモジュール入力部22に電気的に接続されるように配置されている。そして、最初のバッテリーモジュール12のモジュール入力部22が、電圧線26を介してプラグ装置18に電気的に接続され、最後のバッテリーモジュールのモジュール出力部24が、平滑チョーク16を介してプラグ装置18に接続されており、したがって、エネルギー供給システム10が生成する出力電圧は、最初のバッテリーモジュールのモジュール入力部22と最後のバッテリーモジュール12のモジュール出力部24との間に現れることになる。
【0044】
ほぼ正弦波状の交流電圧を出力部で得るために、個々のバッテリーモジュールは、バッテリーモードからバイパスモードへ、かつその逆へと、周期的に切り替わるように、制御ユニット14により制御される。バッテリーモードでは、バッテリーモジュール12の1つのバッテリーユニットの電圧が、バッテリーモジュールのモジュール入力部22およびモジュール出力部24の間に現れる。しかしバイパスモードでは、モジュール入力部22およびモジュール出力部24は互いに電気的に接続され、その結果、それらの間に電圧は存在しない。
【0045】
複数のバッテリーモジュールをバイパスモードからバッテリーモードへと順に切り替えることにより、1つのバッテリーモジュールの電圧ずつ、出力電圧を段階的に増加させることができる。同様に、順にバイパスモードへと切り替え直すことにより、出力電圧を徐々に低減することができる。ゆえに、出力部では、0Vと、1つのバッテリーモジュールの電圧のN倍との間の電圧が可能となっている。
【0046】
この段階的な電圧特性を平滑化することにより、もし必要であるとすれば、ほぼ正弦波状の電圧特性を、プラグ装置18において得ることができる。
【0047】
しかし、無論、N個のバッテリーモジュール12のうちの複数個を、バイパスモードとバッテリーモードとの間で同時に切り替えることも考えられることに留意されたい。くわえて、ここまでの説明は、半分の波形の生成の説明であることに留意されたい。他の半分の波形は、極性を変えるだけで、同じ方法で生成される。簡略化のために、この極性の変更については図示せず、かつ、さらなる説明も行わない。
【0048】
バッテリーモジュール12の基本的な構造を、図2を参照して以下に説明する。
【0049】
バッテリーモジュール12は、1つ以上のバッテリーセル、好ましくは充電式のバッテリーセルを備える、バッテリーユニット30と、バッテリーセル監視ユニット31とを備えている。バッテリーセル監視ユニット31は、個々のバッテリーセルのセル電圧を監視する。図6に、バッテリーユニット30の例を詳細に示す。バッテリーユニット30は、N個のバッテリーセルZ1~ZNを備えており、それらは直列に接続されている。くわえて、バッテリーセル監視ユニット31は、個々のセルZ1~ZNに、それぞれのセル電圧を検知できるように接続されている。バッテリーセル監視ユニット31は、バッテリーユニット30自体から、好ましくは2つの外部のタップを介して、すなわち電圧VL+およびVL-を介して、給電されている。
【0050】
くわえて、バッテリーモジュール12は、絶縁装置32、制御装置34、ブリッジ回路36およびコンデンサ38を含んでおり、それらは、互いに対し、かつバッテリーユニット30に対して、並列に配置されており、2つの供給線VL+、VL-を介して、バッテリーユニット30に電気的に接続されている。1つまたは両方の供給線VL+およびVL-には、直列に接続された絶縁装置40およびヒューズ42も設けられている。
【0051】
図2は、制御信号を受信できるように、絶縁装置32の1つの入力を、バッテリーモジュール12の制御接続部20に接続することをも示している。そして、このような制御信号は、制御線Sを介して、絶縁装置から制御装置34へ転送することができる。制御装置34から、制御信号は、制御線Sを介して、さらにブリッジ回路36へと伝送することができる。
【0052】
図2にさらに示すように、モジュール入力部22およびモジュール出力部24はそれぞれ、ブリッジ回路36に電気的に接続されている。
【0053】
ブリッジ回路36は、バッテリーモードにおいて、電圧線VL+をモジュール入力部に接続し、かつ、電圧線VL-をモジュール出力部24に接続するよう設計されている。これは、バッテリーユニットにより供給される電圧(例えば、リチウムイオンセルの場合には3.6V)が、モジュール入力部22およびモジュール出力24部に印加されることを意味する。
【0054】
一方、バイパスモードでは、ブリッジ回路36は、モジュール入力部22とモジュール出力部24との間に電気的接続を形成し、その結果、バッテリーユニット30は切り離され、したがって、バッテリーモジュール12自体は、モジュール入力部とモジュール出力部との間に電圧を供給しなくなる。
【0055】
2つの異なるブリッジ回路36の構造例を、図3aおよび図3bに模式的に示す。図示した個々のスイッチング素子が、ブリッジ回路の機能を明らかすることのみを意図していることに留意されたい。
【0056】
図3aにおいて、ブリッジ回路36は、例えば合計3つのスイッチング素子52.1、52.2および54を制御できる、スイッチコントローラ50を備えている。2つのスイッチング素子52.1および52.2はそれぞれ、供給線VL+とモジュール入力部22との間、または、供給線VL-とモジュール出力部24との間の接続を形成する。
【0057】
スイッチング素子54は、モジュール入力部22とモジュール出力部24との間に設けられており、これら2つの点の間の電気的接続を形成できる。
【0058】
バッテリーモードでは、2つのスイッチング素子52.1および52.2は閉じられ、スイッチング素子54は開いていなければならない。
【0059】
バイパスモードでは、スイッチング素子54は閉じられ、他の2つのスイッチング素子52.1および52.2の少なくとも一方は、バイパスを確保するために、開いていなければならない。
【0060】
これらのスイッチング素子のそれぞれの制御は、スイッチコントローラ50を介して実行され、スイッチコントローラ50は、必要な制御信号を、制御装置34から制御線Sを介して受信する。
【0061】
図3aから明らかなとおり、スイッチコントローラ50は、2つの供給線VL+およびVL-を介して、バッテリーユニット30からエネルギーの供給を受ける。
【0062】
通常、上述したスイッチング素子52、54は、トランジスタ(例えばMOSFET)として設けられる。無論、他のスイッチング素子も考えられる。
【0063】
図3bは、ブリッジ回路36の他の例を示していて、これは、上述したブリッジ回路と異なり、合計4つのスイッチング素子52.1、52.2、52.3および52.4を備えており、これらのそれぞれは、スイッチコントローラ50により、作動させることができる。2つのスイッチング素子52.1および52.2は直列に接続されており、かつ、モジュール入力部22とモジュール出力部24との間の第1の電流路に配置されている。他の2つのスイッチング素子52.3および52.4も直列に接続されており、かつ、モジュール入力部22とモジュール出力部24との間の第2の電流路に配置されている。すなわち、スイッチング素子の2つの直列回路は並列に接続されている。
【0064】
供給線VL+と、2つのスイッチング素子51.1および52.2の間の接続点との間にも、電気的接続が存在する。供給線VL-と、2つのスイッチング素子51.3および52.4の間の接続点との間も、電気的に接続されている。
【0065】
4つのスイッチング素子52.1~52.4は、4つの異なる状態の形成を可能にする。すなわち、
a)例えば、スイッチング素子52.3および52.4が閉じられ、かつ、スイッチング素子52.1および52.2が開かれる、バイパスモード、
b)例えば、スイッチング素子52.1および52.4が閉じられ、かつ、スイッチング素子52.2および52.3が開かれる、極性1のバッテリーモード、
c)例えば、スイッチング素子52.1および52.4が開かれ、かつ、スイッチング素子52.2および52.3が閉じられる、極性2のバッテリーモード、ならびに、
d)すべてのスイッチング素子52.1~52.4が開かれる、アイドルモードである。
【0066】
図4を参照し、ここで絶縁装置32について、より詳細に説明する。絶縁装置32は、ガルバニック絶縁用の装置60を備えている。ガルバニック絶縁用の装置60は、第1の装置部61および第2の装置部62を備えており、2つの装置部61、62は、分離線TLが示唆するように、ガルバニック絶縁されている。そのため、これら2つの装置部61、62の間に、電気的接続は存在しない。上述したガルバニック絶縁装置は、例えば、2つの装置部61、62をコイルで構成して、誘電結合装置により実現されてもよい。ガルバニック絶縁装置は、オプトカプラ(フォトカプラ)によって構成することもできるであろう。
【0067】
絶縁装置32は、さらに制御素子64を備えている。制御素子64はそれぞれの場合に、第2の装置部62と供給線VL+または供給線VL-との間の、電気的接続に設けられている。これらの制御素子64を使用して、第2の装置部62を供給電圧VL+、VL-から、制御された仕方で絶縁することができる。あるいは、前述の2つの接続の一方に、1つだけ制御素子64を設けることも考えられる。絶縁装置32自体の不使用時の電流消費が、非常に低いか無い場合には、制御素子64は必要に応じて削除してもよい。
【0068】
オプトカプラを使用したガルバニック絶縁の場合、この絶縁装置32の機能は、制御接続部20を介して制御ユニット14により伝送される制御信号を、第1の装置部61へと供給することであり、第1の装置部61は、この制御信号を光信号OSへと変換し、その光信号OSは第2の装置部62によって検知されて、電気的制御信号Sへと変換される。電気的信号を光信号に変換し、次いで電気的信号へと変換し直すことにより、非常に簡略で、かつ費用対効果の高いガルバニック絶縁を実現することができる。
【0069】
図1を参照して説明したように、個々のバッテリーモジュール12は、出力部で所望の交流電圧を供給するために、バッテリーモードとバイパスモードとの間で、交互に切り替えられる。このようにバッテリーモードとバイパスモードとの間で切り替える際に、別の制御素子がそれぞれのバッテリーモジュール12において必要であり、それらの制御素子は、バッテリーモジュール内部のバッテリーユニット30からエネルギーの供給を受ける。
【0070】
例えば図3a、図3bおよび図4から理解できるように、スイッチコントローラ50およびスイッチング素子52、54、ならびに、第2の装置部62および制御素子64は、バッテリーユニットを介してエネルギーを供給される。
【0071】
これに伴う問題は、このエネルギー供給が、負荷が出力に接続されていないときにも行われることである。全てのバッテリーモジュール12がバイパスモードとされていて、その結果、出力電圧が0Vであっても、絶縁装置32およびブリッジ回路36の両方における個々の部品は、依然としてエネルギーを供給されている。
【0072】
外部のエネルギー供給源に恒久的に接続されていない、モバイル用途のためのエネルギー供給システムの場合において特に、このエネルギー消費は、バッテリーモジュールのそれぞれのバッテリーユニットの放電につながり、その結果、エネルギー供給システム10は、一定時間の後には使用できなくなる。状況によっては、このエネルギー消費は、個々のバッテリーユニットの重放電につながることさえあり得、それにより、それらの耐用期間が著しく減少する。
【0073】
ゆえに、本発明の目的は、例えば負荷に給電されるべきでない期間におけるエネルギー消費を低減することである。
【0074】
そこで、バッテリーモジュール12は、動作モードがバイパスモードとバッテリーモードとの間で交互に切り替えられる通常の運転モードに加えて、少なくともブリッジ回路をエネルギー消費が最小の状態に置くことのできるアイドルモードが設けられるように、構成されている。
【0075】
ブリッジ回路がこのアイドルモードであれば、スイッチング素子52、54は、モジュール入力部がモジュール出力部24にも供給線VL+にも接続されないように、開状態に移行される。あるいは、または、くわえて、モジュール出力部24も供給線VL-に接続されない。
【0076】
この状態で、スイッチング素子52、54は(トランジスタにより構成されているのが好ましいが)、エネルギー消費が著しく少なくなり、結果としてブリッジ回路36のエネルギー消費が低減される。
【0077】
アイドルモードにおいて、スイッチコントローラ50をエネルギー供給源から(すなわち両方の供給線VL+、VL-から)切り離すことも可能である。しかし、スイッチコントローラ50は、ブリッジ回路をアイドルモードから運転モードへ復帰させる制御信号を、制御装置34から、または代わりに絶縁装置32から直接、検知できることが必要である。これを保証するには、スイッチコントローラ50を、エネルギー消費が低い状態と、制御信号Sを検知できる状態との間で交互に周期的に切り替えればよい。スイッチコントローラ50を適切に設計することにより、スイッチコントローラ50を供給線から接続解除する代わりに、単に、スイッチコントローラ50が無視し得るアイドル電流しか必要としない休止モードを有効にすることも考えられるであろう。この場合、受信した制御信号により、スイッチコントローラ50が休止モードに移行することになる。
【0078】
エネルギー消費をさらに低減するため、絶縁装置32を、アイドルモード中に、エネルギー消費がより低い状態に切り替えることもできる。この目的のために、スイッチング素子64が設けられており、スイッチング素子64は、エネルギー供給を、すなわち、それぞれ供給線VL+またはVL-への第2の装置部62の接続を、少なくとも間欠的に遮断する。この、例えば周期的な、第2の装置部62のオンおよびオフの切り替えにより、制御信号を制御ユニット14から確実に受信できるようになる。
【0079】
2つのスイッチング素子64は、それら自体が、対応する制御信号を制御ユニット14から受信して、運転モードとアイドルモードとの間で切り替わる。
【0080】
アイドルモードまたは運転モードを起動するためのこのような制御信号も、絶縁装置32を介して、制御装置34およびブリッジ回路36に伝送される。
【0081】
制御装置34について議論する意図はないが、特定の部品をアイドルモード中に低エネルギー消費状態に置くための適切な対策をとることもできるのは言うまでもない。ここでも、制御装置34は、アイドルモードから運転モードに切り替わるための制御信号を検知できることが確実でなければならない。換言すれば、このような制御信号を受信する必要のある部品は、エネルギー消費が最小の状態から、信号の検知に必要とされる状態へと、少なくとも間欠的に移行される。制御装置34は、それ自体が、バッテリーモード12を、正確な時間にバイパスモードからバッテリーモードおよびその逆へ、切り替える責任を担う。この目的のために、制御装置34は、制御ユニットから来る信号を、しかるべく評価する。制御ユニット14から来るこの信号は、2つの項目の情報(例えば、バッテリーモードまたはバイパスモード、および、運転モードまたはアイドルモード)を含んでいてもよい。
【0082】
全体として、得られる結果は、全体のエネルギー消費を低減するための上述した個々の方策により、アイドルモードでの総エネルギー消費を著しく低減することが可能となる、というものである。
【0083】
そこで、プラグコネクタ18に負荷が接続されていないとき、または、例えば平均電流出力が規定値未満となるときはいつでも、各バッテリーモジュール12をアイドルモードにすることにより、エネルギー消費におけるさらなる向上を実現することができる。無論、アイドルモードへの切り替えのための他の規準も考えられる。異なる規準に基づいて、ブリッジ回路36、制御装置34および絶縁装置32を、アイドルモードへと時間差で切り替えることも可能であろう。
【0084】
しかし全体として、すべてのバッテリーモジュール12を、制御ユニット14からの制御信号により、アイドルモードから運転モードへと再設定できることが重要である。この理由で、制御ユニット14からのこの制御信号を受信かつ評価できるようにするために、少なくとも個々の電気部品が、バッテリーユニット30からのエネルギーを、少なくとも間欠的に供給され続けることが必要である。しかし、アイドルモード中の絶縁装置32、制御装置34およびブリッジ回路36のこの「受信能力」は、上述したように、連続的に存在する必要はない。この受信能力をアイドルモード中に、少なくとも間欠的に提供すれば十分である。
【0085】
試験により、アイドルモード中のエネルギー消費が、10分の1未満に、著しく減少し得ることが分かっている。上記方策すべてを採用した場合、エネルギー消費の低減率は、例えば100倍以上へと、著しく増加し得る。
【0086】
図2を参照してすでに説明したように、供給線VL-は絶縁装置40およびヒューズ42を含んでいる。ヒューズ42は、電流フローが多過ぎる場合にバッテリーを分離するために設けられている。代わりに、絶縁装置40および/またはヒューズ42を、供給線VL+に設けることもできる。
【0087】
絶縁装置40は、絶縁装置32、制御装置34、ブリッジ回路36およびコンデンサ38などの他の部品の1つ以上から、バッテリーユニット30を必要に応じて絶縁するために設けられている。この絶縁は、例えば制御ユニット14からの制御信号を介して制御されてもよい。この場合、すべての部品が絶縁される。しかし、例えば、バッテリーユニットからブリッジ回路36だけを切り離すことも考えられる。
【0088】
絶縁装置40自体は、図5aに示すように、例えばMOSFETトランジスタの形態の、例えばスイッチング素子72を備えている。
【0089】
あるいは、図5bに示すように、絶縁装置40は、直列に接続された2つのスイッチング素子76.1、76.2を備えていてもよい。
【0090】
全体として、本発明に係るエネルギー供給システムは、エネルギー消費が著しく低減されていることが明らかであり、このことは、本発明に係るエネルギー供給システムが、主電源との接続なしで相当の長時間にわたってさえ使用可能な状態を保つモバイルユニットとして特に使用することもできることを意味する。このようなモバイル用途は、上述した先行技術で規定されているような従来のエネルギー供給システムでは、不可能であった。これは、バッテリーユニットが非常に速やかに放電されていたためである。
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5
図6