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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-16
(45)【発行日】2024-08-26
(54)【発明の名称】ハンド装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/08 20060101AFI20240819BHJP
   B25J 17/00 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
B25J15/08 J
B25J17/00 L
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021571176
(86)(22)【出願日】2021-01-08
(86)【国際出願番号】 JP2021000560
(87)【国際公開番号】W WO2021145290
(87)【国際公開日】2021-07-22
【審査請求日】2024-01-05
(31)【優先権主張番号】P 2020003957
(32)【優先日】2020-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】515130201
【氏名又は名称】株式会社Preferred Networks
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】深谷 直樹
【審査官】樋口 幸太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第02/45918(WO,A1)
【文献】特開2016-168645(JP,A)
【文献】特開2018-167378(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 15/08
B25J 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の接続部と、第2の接続部と、を有する基体と、
前記第1の接続部に接続され、前記第2の接続部に近づくように動くことが可能な第1の指と、
前記第2の接続部に接続され、前記第1の接続部に近づくように動くことが可能な第2の指と、
前記第1の指及び前記第2の指に接続された中間部品と、前記中間部品を移動させるアクチュエータと、を有し、前記中間部品の前記第1の接続部に対する少なくとも部分的な移動に応じて前記第1の指を動かし、前記中間部品の前記第2の接続部に対する少なくとも部分的な移動に応じて前記第2の指を動かす、駆動機構と、
を具備し、
前記中間部品は、前記中間部品と前記第1の接続部との間の距離が前記中間部品と前記第2の接続部との間の距離と異なる第1の位置に移動可能な、
ハンド装置。
【請求項2】
前記中間部品は、前記中間部品と前記第1の接続部との間の距離と、前記中間部品と前記第2の接続部との間の距離と、が等しい第2の位置に移動可能である、請求項1のハンド装置。
【請求項3】
前記第1の指及び前記第2の指のうち少なくとも一方の指は、複数の関節を有し、当該少なくとも一方の指に接触した物体の形状に適応して前記複数の関節のうち少なくとも一つで曲がる、請求項1又は請求項2のハンド装置。
【請求項4】
前記第1の指が前記第2の接続部から遠ざかることを制限するストッパ、
をさらに具備する請求項1乃至請求項3のいずれか一つのハンド装置。
【請求項5】
前記第1の指が伸展するように当該第1の指を付勢する第1の弾性体と、
前記第2の指が伸展するように当該第2の指を付勢する第2の弾性体と、
をさらに具備し、
前記第2の弾性体のバネ定数は、前記第1の弾性体のバネ定数と異なり、
前記第2の弾性体は、前記中間部品の移動に応じて前記第2の指が前記第1の指よりも先に動くように前記第2の指を付勢する、
請求項4のハンド装置。
【請求項6】
前記第1の指の位置を固定する固定部、
をさらに具備する請求項4又は請求項5のハンド装置。
【請求項7】
前記駆動機構は、前記中間部品と前記第1の指とを接続する第1の伝達部品と、前記第1の伝達部品から離れた位置で前記中間部品に接続され、前記中間部品と前記第2の指とを接続する第2の伝達部品と、前記第1の伝達部品及び前記第2の伝達部品から離れた位置で前記中間部品に接続され、前記中間部品と前記アクチュエータとを接続する第3の伝達部品と、を有する、
請求項1乃至請求項6のいずれか一つのハンド装置。
【請求項8】
前記中間部品は、前記第3の伝達部品に回転可能に接続されるとともに、前記第2の接続部が前記第1の接続部から離れる方向に移動可能である、
請求項7のハンド装置。
【請求項9】
前記第1の接続部に接続される複数の前記第1の指と、前記第2の接続部に接続される複数の前記第2の指と、の少なくとも一方を具備する請求項1乃至請求項のいずれか一つのハンド装置。
【請求項10】
前記中間部品は、前記アクチュエータとの距離が変化するように移動可能である、
請求項1乃至請求項のいずれか一つのハンド装置。
【請求項11】
前記中間部品は回動可能である、
請求項1乃至請求項10のいずれか一つのハンド装置。
【請求項12】
前記中間部品は、前記中間部品の中心と前記第1の接続部との間の距離が前記中間部品の中心と前記第2の接続部との間の距離と異なる前記第1の位置に移動可能である、
請求項1乃至請求項11のいずれか一つのハンド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ハンド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばロボットの手として、複数の指を有するハンド装置が知られる。ハンド装置は、例えば、アクチュエータにより駆動され、互いに近付き又は離れるように移動する二つの指を有する。ハンド装置は、二つの指の間に位置する物体を把持することができる。
【0003】
物体が二つの指の間の中央とは異なった位置にある場合、ハンド装置が当該物体を適切に把持することが難しい場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平7-328869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決する課題の一例は、互いに近接可能な指の間の中央とは異なる位置にある物体を把持することができるハンド装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの実施形態に係るハンド装置は、基体と、第1の指と、第2の指と、駆動機構とを備える。前記基体は、第1の接続部と、第2の接続部と、を有する。前記第1の指は、前記第1の接続部に接続され、前記第2の接続部に近づくように動くことが可能である。前記第2の指は、前記第2の接続部に接続され、前記第1の接続部に近づくように動くことが可能である。前記駆動機構は、前記第1の指及び前記第2の指に接続された中間部品と、前記中間部品を移動させるアクチュエータと、を有し、前記中間部品の前記第1の接続部に対する少なくとも部分的な移動に応じて前記第1の指を動かし、前記中間部品の前記第2の接続部に対する少なくとも部分的な移動に応じて前記第2の指を動かす。前記中間部品は、前記中間部品と前記第1の接続部との間の距離が前記中間部品と前記第2の接続部との間の距離と異なる第1の位置に移動可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1の実施形態に係るハンド装置を概略的に示す平面図である。
図2図2は、第1の実施形態の第1の指を概略的に示す断面図である。
図3図3は、第1の実施形態の第1の指及び第2の指が開いたハンド装置を概略的に示す平面図である。
図4図4は、第1の実施形態の物体を把持するハンド装置の第1の例を概略的に示す平面図である。
図5図5は、第1の実施形態の物体を把持するハンド装置の第2の例を概略的に示す平面図である。
図6図6は、第1の実施形態の物体を把持するハンド装置の第3の例を概略的に示す平面図である。
図7図7は、第2の実施形態に係る物体を把持するハンド装置の第1の例を概略的に示す平面図である。
図8図8は、第2の実施形態の物体を把持するハンド装置の第2の例を概略的に示す平面図である。
図9図9は、第3の実施形態に係るハンド装置を概略的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施形態)
以下に、第1の実施形態について、図1乃至図6を参照して説明する。なお、本明細書において、実施形態に係る構成要素及び当該要素の説明が、複数の表現で記載されることがある。構成要素及びその説明は、一例であり、本明細書の表現によって限定されない。構成要素は、本明細書におけるものとは異なる名称でも特定され得る。また、構成要素は、本明細書の表現とは異なる表現によっても説明され得る。
【0009】
図1は、第1の実施形態に係るハンド装置10を概略的に示す平面図である。本実施形態のハンド装置10は、ロボット1に搭載される、いわゆるロボットハンドである。ハンド装置10は、例えば、グリッパとも称され得る。
【0010】
ロボット1は、例えば、支持台からアームが延びた産業用ロボットであっても良いし、人型の体を有する人間型ロボットであっても良い。なお、ハンド装置10は、人間が装着可能な義手のような、他の装置に搭載されても良い。
【0011】
本実施形態のロボット1は、制御部2と、ハンド装置10とを有する。制御部2は、ハンド装置10を制御する。制御部2は、例えば、Central Processing Unit(CPU)のような処理装置と、Random Access Memory(RAM)やRead Only Memory(ROM)のようなメモリと、Hard Disk Drive(HDD)又はSolid State Drive(SSD)のような補助記憶装置と、を有するコンピュータである。制御部2は、バッテリのような電源を有しても良い。また、電源はロボット1の外部に設けられても良い。なお、制御部2がハンド装置10に設けられなくても良い。
【0012】
ハンド装置10は、基体12と、第1の指13と、第2の指14と、駆動機構15とを有する。すなわち、本実施形態のハンド装置10は、第1及び第2の指13,14という二本の指を有する。なお、ハンド装置10は、この例に限られず、人間の手のように五本の指を有しても良い。第1の指13及び第2の指14は、可動指とも称され得る。
【0013】
各図面に示されるように、本明細書において、便宜上、X軸、Y軸及びZ軸が定義される。X軸とY軸とZ軸とは、互いに直交する。X軸は、ハンド装置10の幅に沿って設けられる。Y軸は、ハンド装置10の長さに沿って設けられる。Z軸は、ハンド装置10の厚さに沿って設けられる。
【0014】
さらに、本明細書において、X方向、Y方向及びZ方向が定義される。X方向は、X軸に沿う方向であって、X軸の矢印が示す+X方向と、X軸の矢印の反対方向である-X方向とを含む。Y方向は、Y軸に沿う方向であって、Y軸の矢印が示す+Y方向と、Y軸の矢印の反対方向である-Y方向とを含む。Z方向は、Z軸に沿う方向であって、Z軸の矢印が示す+Z方向と、Z軸の矢印の反対方向である-Z方向とを含む。
【0015】
本実施形態において、基体12は、例えば、筐体20と、第1の接続部21と、第2の接続部22とを有する。筐体20は、略箱状に形成される。図1は、筐体20及びその内部を模式的に示している。
【0016】
第1の接続部21及び第2の接続部22は、+Y方向における筐体20の端部20aに設けられる。すなわち、第1の接続部21及び第2の接続部22は、筐体20の共通の端部20aに設けられる。なお、第1の接続部21と第2の接続部22とが、筐体20の互いに異なる部分に設けられても良い。
【0017】
第2の接続部22は、第1の接続部21から、X方向(本実施形態では+X方向)に離れた位置にある。X方向は、第2の接続部が第1の接続部から離れる方向の一例である。第1の接続部21と第2の接続部22との間において、筐体20に挿通口20bが設けられる。挿通口20bは、+Y方向における筐体20の端部20aに開口し、筐体20の内部と外部とを連通する。
【0018】
第1の指13は、第1の接続部21に接続される。第2の指14は、第2の接続部22に接続される。すなわち、第2の指14は、第1の指13から離れた位置で、基体12に接続される。第1の指13及び第2の指14は、対向するとともに、互いに近付くように曲がることが可能である。本実施形態において、曲がるということは、例えば、根元を起点とする全体的な回転と、各関節における屈曲とを含む。
【0019】
本実施形態において、第1の指13と第2の指14とは、略同一の形状、構造、及び機能を有する。このため、以下の記載では、主に第1の指13について説明する。第2の指14の形状、構造、及び機能は、特段の記載が無い場合、下記の説明について、第1の指13を第2の指14と読み替えることで理解され得る。ただし、図1に示すように、第1の指13と第2の指14とは、互いに鏡面対称となるように、基体12に接続される。また、第1の指13と第2の指14とは、互いに異なる形状、構造、及び機能を有しても良い。
【0020】
図2は、第1の実施形態の第1の指13を概略的に示す断面図である。図2に示すように、本実施形態の第1の指13及び第2の指14はそれぞれ、第1の部分41、第2の部分42、第3の部分43、回転板44、第1のロッド45、及び第2のロッド46を有する。
【0021】
本実施形態において、第1の部分41は、人間の指の基節骨に相当する部分を形成する。第2の部分42は、人間の指の末節骨に相当する部分を形成する。第3の部分43は、人間の指の中節骨に相当する部分を形成する。つまり、第1の部分41は、第1の指13のうち、基体12に最も近い位置にある部分である。また、第2の部分42は第1の指13の先端にあり、第3の部分43は第1の部分41と第2の部分42の間にある。
【0022】
第1の部分41、第2の部分42、及び第3の部分43はそれぞれ、基端部41a,42a,43aと、先端部41b,42b,43bと、を有する。基端部41a,42a,43aは、基体12に近い第1の部分41、第2の部分42、及び第3の部分43の端部である。先端部41b,42b,43bは、基体12から遠い第1の部分41、第2の部分42、及び第3の部分43の端部である。
【0023】
第3の部分43の基端部43aに、Z方向に延びる接続軸51が設けられている。第1の部分41の先端部41bは、接続軸51の中心軸Axb1まわりに回転可能に、接続軸51に接続される。すなわち、接続軸51は、第1の部分41と第3の部分43との間の関節である。
【0024】
第2の部分42の基端部42aに、Z方向に延びる接続軸52が設けられる。第3の部分43の先端部43bは、接続軸52の中心軸Axb2まわりに回転可能に、接続軸52に接続される。すなわち、接続軸52は、第2の部分42と第3の部分43との間の関節である。第2の部分42は、接続軸52、第3の部分43、及び接続軸51を介して、中心軸Axb1まわりに回転可能に第1の部分41に接続されている。
【0025】
回転板44は、中部44aと、第1の腕部44bと、第2の腕部44cとを有する。第1の部分41の基端部41aに、Z方向に延びる接続軸53が設けられている。回転板44の中部44aは、接続軸53の中心軸Axb3まわりに回転可能に、接続軸53に取り付けられる。
【0026】
第1の腕部44b及び第2の腕部44cは、中部44aから、中心軸Axb3と略直交する方向に延びている。例えば、第1の腕部44bは第1の指13の甲に向かって延び、第2の腕部44cは第1の指13の腹に向かって延びる。第1の腕部44bに、Z方向に延びる接続軸54が設けられる。
【0027】
図1の基体12の第1の接続部21は、第1の指13の接続軸53の中心軸Axb3まわりに回転可能に、接続軸53に取り付けられる。また、第2の接続部22は、第2の指14の接続軸53の中心軸Axb3まわりに回転可能に、接続軸53に取り付けられる。すなわち、接続軸53は、第1の部分41と基体12との間の関節である。
【0028】
第1の指13の第1の部分41及び回転板44は、接続軸53を介して、第1の接続部21に回転可能に接続されている。第2の指14の第1の部分41及び回転板44は、接続軸53を介して、第2の接続部22に回転可能に接続されている。第1の指13及び第2の指14は、全体として、接続軸53の中心軸Axb3まわりに回転する(曲がる)ことが可能である。
【0029】
図2に示すように、第3の部分43の基端部43aに、Z方向に延びる接続軸55が設けられている。本実施形態では、接続軸55は、接続軸51よりも、第1の指13の腹に近い。第1のロッド45は、回転板44の第2の腕部44cと、接続軸55とに、回転可能に接続される。
【0030】
第1の部分41の先端部41bに、Z方向に延びる接続軸56が設けられている。本実施形態において、接続軸56は、接続軸51と接続軸53との間に位置する。第2の部分42の基端部42aに、Z方向に延びる接続軸57が設けられている。本実施形態では、接続軸57は、接続軸52よりも、第1の指13の甲に近い。第2のロッド46は、接続軸56と接続軸57とに、回転可能に接続される。
【0031】
本実施形態において、接続軸51~57は、互いに略平行に延びている。このため、第1の部分41、第2の部分42、第3の部分43、回転板44、第1のロッド45、及び第2のロッド46は、共通の仮想平面上で回転可能である。
【0032】
回転板44の第2の腕部44cが基体12に向かって引かれると、第1の指13に、中心軸Axb3まわりの回転方向Dp1のトルクが与えられる。これにより、第1の指13は、基体12に対して回転方向Dp1に回転することができる。
【0033】
また、回転板44の第2の腕部44cが基体12に向かって引かれると、回転板44に、接続軸53まわりの回転方向Dp1のトルクが与えられる。回転板44が回転すると、第1の部分41に回転方向Dp1のトルクが与えられるとともに、第1のロッド45が第3の部分43を引く。これにより、第3の部分43に、接続軸51まわりの回転方向Dp2のトルクが与えられる。
【0034】
第3の部分43が回転方向Dp2に回転すると、第3の部分43が第2の部分42を引く。これにより、第2の部分42に接続軸52まわりの回転方向Dp3のトルクが与えられる。第1の部分41、第2の部分42、及び第3の部分43が回転方向Dp1,Dp2,Dp3に回転することで、第1の指13が曲がる(屈曲する)。
【0035】
図1に示すように、本実施形態の第1の指13及び第2の指14のそれぞれに、第1の部分41を回転方向Dp1の反対方向に付勢させる弾性体58が設けられる。弾性体58は、例えば、筐体20と、回転板44の第1の腕部44bとに接続される。
【0036】
図2に示すように、第1の指13及び第2の指14のそれぞれに、第2の部分42及び第3の部分43を回転方向Dp2,Dp3の反対方向に付勢する弾性体59が設けられる。第1の指13に設けられた弾性体58,59は、第1の弾性体の一例である。第2の指14に設けられた弾性体58,59は、第2の弾性体の一例である。弾性体59は、例えば、第1の部分41の先端部41bと、第2の部分42の基端部42aとに接続される。
【0037】
弾性体58,59は、例えば、コイルバネである。弾性体58は第1の部分41を回転方向Dp1の反対方向に回転するように付勢する。弾性体58は、第2の部分42及び第3の部分43を回転方向Dp2,Dp3の反対方向に回転するように付勢する。このように、第1の指13の弾性体58,59は、第1の指13が伸展するように当該第1の指13を付勢する。さらに、第2の指14の弾性体58,59は、第2の指14が伸展するように当該第2の指14を付勢する。
【0038】
図3は、第1の実施形態の第1の指13及び第2の指14が開いたハンド装置10を概略的に示す平面図である。図3に示すように、第1の指13の弾性体58は、第1の指13を、第2の指14及び第2の接続部22から遠ざけるように、接続軸53の中心軸Axb3まわりに回転させることができる。さらに、第2の指14の弾性体58は、第2の指14を、第1の指13及び第1の接続部21から遠ざけるように、接続軸53の中心軸Axb3まわりに回転させることができる。
【0039】
弾性体58,59は、第1の指13及び第2の指14を伸展させることが可能な他の弾性体であっても良い。例えば、弾性体58,59は、押しバネ、巻きバネ、又は他の形状のバネであっても良く、ゴムのような弾性体であっても良い。また、例えば駆動機構15によって第1の指13及び第2の指14が伸展することが可能な場合、弾性体58,59が省略されても良い。また、弾性体58、59のうちどちらか一方が第1の指13及び第2の指14を伸展させることができる場合、伸展に寄与しない弾性体58又は弾性体59は省略され得る。
【0040】
本実施形態では、図2の弾性体59が第2の部分42と第1の部分41とをつないで弾性力を予め与える。これにより、第1の指13の回転方向Dp1の回転が、第3の部分43の回転方向Dp2の回転及び第2の部分42の回転方向Dp3の回転より先に生じ得る。回転方向Dp1に回転する第1の指13が他の物体に当接し、又は所定の角度まで回転して弾性体59の弾性力を上回る力が印加されると、第3の部分43及び第2の部分42が回転する。
【0041】
図4は、第1の実施形態の物体Oを把持するハンド装置10の第1の例を概略的に示す平面図である。図4に示すように、第2の部分42及び第3の部分43は、第1の部分41が物体Oに当接すると回転する。第2の部分42は、第3の部分43が物体Oに当接すると回転する。これにより、第1の指13及び第2の指14は、当該第1の指13及び第2の指14に当接する物体Oの形状に馴染んで(適応して)、複数の関節(接続軸51~53)のうち少なくとも一つで曲がることができる。
【0042】
本実施形態では、複数の部分で構成された第1の指13の一部分が物体Oに当接して大まかに握った後に、第1の指13の異なる部分が曲がり物体Oに接触することで、より精密に物体を握る。また、第1の指13は、基体12に近い部分でまず第1の当接を行い、次の先端に近い部分において第2の当接を行うことで、より物体Oに負荷をかけずに物体Oの形状に馴染むことが可能である。すなわち、第1の指13と物体Oとの複数の接点において、第1の指13から物体Oへ作用する力が互いに近くなり、又は平均化される。
【0043】
第1の指13は、上述のように曲がることで、第2の指14及び第2の接続部22に近づく。言い換えると、第1の指13は、第2の指14及び第2の接続部22に近づくように動くことができる。第1の部分41、第2の部分42、及び第3の部分43はそれぞれ、第2の指14及び第2の接続部22に近づくように回転可能である。なお、第1の指13は、第2の指14及び第2の接続部22から遠ざかるようにも動くことができ、第1の部分41、第2の部分42、及び第3の部分43は、第2の指14及び第2の接続部22から遠ざかるように回転可能でもある。
【0044】
第2の指14は、上述の第1の指13と同様に曲がることで、第1の指13及び第1の接続部21に近づく。言い換えると、第2の指14は、第1の指13及び第1の接続部21に近づくように動くことができる。第1の部分41、第2の部分42、及び第3の部分43はそれぞれ、第1の指13及び第1の接続部21に近づくように回転可能である。なお、第2の指14は、第1の指13及び第1の接続部21から遠ざかるようにも動くことができ、第1の部分41、第2の部分42、及び第3の部分43は、第1の指13及び第1の接続部21から遠ざかるように回転可能でもある。
【0045】
第1の接続部21と第2の接続部22とは、X方向に間隔を介して並べられる。このため、第1の指13と第2の指14とは、X方向に間隔を介して並べられることができる。X方向は、中心軸Axb1~Axb3と直交する方向である。このため、第1の指13の第1の部分41、第2の部分42、及び第3の部分43は、第2の接続部22に近づくように回転可能である。さらに、第2の指14の第1の部分41、第2の部分42、及び第3の部分43は、第1の接続部21に近づくように回転可能である。
【0046】
第2の部分42は、腹面42cを有する。例えば図1に示すように、第1の指13及び第2の指14がY方向に伸展した状態において、第1の指13の腹面42cと、第2の指14の腹面42cとは、対向可能である。また、第1の指13及び第2の指14は、第1の指13の腹面42cと第2の指14の腹面42cと互いに接触するように曲がること(移動)が可能である。
【0047】
第1の指13及び第2の指14は、上述の構成に限られない。例えば、第1の指13及び第2の指14のうち少なくとも一方は、内部で延ばされたワイヤを引っ張ることで曲がり、当該ワイヤを押すことで伸展することが可能であっても良い。また、第1の指13及び第2の指14のうち少なくとも一方は、単に第1の接続部21又は第2の接続部22との接続部分(接続軸53)まわりに回転可能であっても良いし、略X方向に平行移動可能であっても良い。
【0048】
本実施形態の駆動機構15は、アクチュエータ61と、伝達機構62とを有する。アクチュエータ61は、例えば、サーボモータである。なお、アクチュエータ61は、この例に限らず、ソレノイド、動力シリンダ、及びリニアアクチュエータのような、他のアクチュエータであっても良い。アクチュエータ61は、筐体20に取り付けられる。
【0049】
本実施形態のアクチュエータ61は、略Z方向に延びる駆動軸61aを有する。アクチュエータ61は、駆動軸61aを、当該駆動軸61aの中心軸Axdまわりに回転駆動させることができる。駆動軸61aは、筐体20の内部に配置される。
【0050】
伝達機構62は、アクチュエータ61と、第1の指13と、第2の指14との間で、力を伝達する。本実施形態では、伝達機構62が、アクチュエータ61と、回転板44の第2の腕部44cとの間で力を伝達することにより、第1の指13及び第2の指14のうち少なくとも一方が曲がり、又は伸展することができる。本実施形態の伝達機構62は、駆動部品71と、中間部品72と、第1の伝達部品73と、第2の伝達部品74と、第3の伝達部品75とを有する。
【0051】
本実施形態の駆動部品71は、中心軸Axdと略直交する円盤状に形成される。なお、駆動部品71は、この例に限られず、他の形状に形成されても良い。本実施形態において、駆動部品71は、アクチュエータ61の駆動軸61aに取り付けら、筐体20の内部に配置される。なお、駆動部品71は、他の部品に回転可能に支持されても良い。この場合、例えば、アクチュエータ61の駆動軸61aは、種々の機構を介して駆動部品71を回転させる。
【0052】
アクチュエータ61は、駆動軸61a及び駆動部品71を、第1の方向D1及び第2の方向D2に選択的に回転駆動させることが可能である。言い換えると、駆動部品71は、第1の方向D1と第2の方向D2とに動くことが可能である。
【0053】
本実施形態において、第1の方向D1は、中心軸Axdまわりに回転する一方向である。第2の方向D2は、第1の方向D1の反対方向であり、中心軸Axdまわりに回転する他方向である。図1の例において、第1の方向D1は反時計回り方向であり、第2の方向D2は時計回り方向である。
【0054】
本実施形態のアクチュエータ61は、制御部2に電気的に接続される。制御部2は、アクチュエータ61を制御するドライバを有する。例えば、制御部2がアクチュエータ61の端子に電圧を印加することで、当該電圧に応じて、アクチュエータ61が駆動軸61aを第1の方向D1又は第2の方向に回転駆動させる。
【0055】
本実施形態の中間部品72は、略棒状に形成されたリンクである。なお、中間部品72は、他の形状であっても良い。中間部品72は、第1の連結部72aと、第2の連結部72bと、第3の連結部72cとを有する。
【0056】
本実施形態において、第1の連結部72aは、中間部品72の長手方向における一方の端部に設けられる。第2の連結部72bは、中間部品72の長手方向における他方の端部に設けられる。第3の連結部72cは、第1の連結部72aと第2の連結部72bとの間の略中央に設けられる。すなわち、第1の連結部72aと第3の連結部72cとの間の距離は、第2の連結部72bと第3の連結部72cとの間の距離と略等しい。なお、第1の連結部72a、第2の連結部72b、及び第3の連結部72cとの位置は、この例に限られない。
【0057】
第1の連結部72aは、第2の接続部22よりも、第1の接続部21の方に近い。言い換えると、第1の連結部72aと第1の接続部21との間の距離は、第1の連結部72aと第2の接続部22との間の距離よりも短い。また、第2の連結部72bは、第1の接続部21よりも、第2の接続部22の方に近い。
【0058】
第1の伝達部品73、第2の伝達部品74、及び第3の伝達部品75はそれぞれ、単一の部材、複数のリンク、チェーン、ジョイント、又は他の種々の部品を含み得る。本実施形態では、第1の伝達部品73、第2の伝達部品74、及び第3の伝達部品75はそれぞれ、互いに結合された複数のリンクを有する。各図面は、第1の伝達部品73、第2の伝達部品74、及び第3の伝達部品75を二点鎖線で模式的に示す。なお、第1の伝達部品73、第2の伝達部品74、及び第3の伝達部品75はそれぞれ、一つの部品のみを有しても良い。
【0059】
複数のリンクを含む第1の伝達部品73、第2の伝達部品74、及び第3の伝達部品75のそれぞれは、両端が近づくことで撓むことができる。なお、第1の伝達部品73、第2の伝達部品74、及び第3の伝達部品75はそれぞれ、剛体であっても良い。また、第1の伝達部品73、第2の伝達部品74、及び第3の伝達部品75はそれぞれ、例えばシリンダのように、剛体を含むとともに収縮可能な機構部品を有しても良い。
【0060】
第1の伝達部品73の一方の端部は、筐体20の内部で中間部品72の第1の連結部72aに接続される。第1の伝達部品73の他方の端部は、筐体20の外部で第1の指13の回転板44の第2の腕部44cに接続される。すなわち、第1の伝達部品73は、中間部品72と第1の指13とを接続する。第1の指13は、第1の伝達部品73を介して、中間部品72に接続される。なお、第1の指13は、中間部品72に直接的に接続されても良い。第1の伝達部品73は、筐体20の挿通口20bを通り、筐体20の内部と外部とに亘って延びている。
【0061】
第2の伝達部品74の一方の端部は、筐体20の内部で中間部品72の第2の連結部72bに接続される。第2の伝達部品74の他方の端部は、筐体20の外部で第2の指14の回転板44の第2の腕部44cに接続される。すなわち、第2の伝達部品74は、第1の伝達部品73から離れた位置で中間部品72に接続され、中間部品72と第2の指14とを接続する。第2の指14は、第2の伝達部品74を介して、中間部品72に接続される。なお、第2の指14は、中間部品72に直接的に接続されても良い。第2の伝達部品74は、筐体20の挿通口20bを通り、筐体20の内部と外部とに亘って延びている。
【0062】
第3の伝達部品75の一方の端部は、筐体20の内部で中間部品72の第3の連結部72cに接続される。第3の伝達部品75の他方の端部は、筐体20の内部において、駆動軸61aから離れた位置で駆動部品71に接続される。すなわち、第3の伝達部品75は、第1の伝達部品73及び第2の伝達部品74から離れた位置で中間部品72に接続され、中間部品72とアクチュエータ61とを、駆動部品71を介して接続する。なお、アクチュエータ61は、中間部品72に直接的に接続されても良い。
【0063】
本実施形態の中間部品72は、略Z方向に延びる第3の連結部72cの中心軸Axrまわりに回転可能に、第3の伝達部品75に接続される。さらに、中間部品72は、第1の伝達部品73、第2の伝達部品74、及び第3の伝達部品75から中間部品72に作用する張力に応じて、X方向及びY方向のうち少なくとも一方に変位することができる。変位は、移動の一例である。図3に示すように、中間部品72は、Y方向に移動することで、挿通口20bを通じて筐体20の内部及び外部の間を移動しても良い。
【0064】
本実施形態において、駆動機構15は、第1の指13及び第2の指14のうち少なくとも一方を、例えば下記に記載するように曲げ、又は伸展させる。なお、駆動機構15が第1の指13及び第2の指14を曲げ又は伸展させる方法は、以下に説明される方法に限られない。
【0065】
アクチュエータ61が駆動部品71を第1の方向D1に回転させることで、駆動部品71が、第3の伝達部品75を介して中間部品72を引く。このように、アクチュエータ61は、中間部品72を移動させることが可能である。
【0066】
アクチュエータ61の回転により駆動部品71が中間部品72を引く構成は、あくまで一例である。例えば、アクチュエータ61が、回転力ではなく直線的な力を生じる動力シリンダのような他のアクチュエータである場合がある。この場合、アクチュエータ61が駆動部品71を直線的に移動させることで、駆動部品71が、第3の伝達部品75を介して中間部品72を引く。このように、アクチュエータ61が駆動部品71を介して中間部品72を動かすことができれば、アクチュエータ61の種類は限定されない。
【0067】
アクチュエータ61に引かれた中間部品72は、第1の接続部21及び第2の接続部22に対して少なくとも部分的に移動する。例えば、中間部品72は、X方向及びY方向のうち少なくとも一方に変位する。また、中間部品72は、第3の連結部72cの中心軸Axrまわりに回転する。少なくとも部分的な移動は、例えば、変位、揺動、回動、回転、及び変形を含む。
【0068】
中間部品72が第1の接続部21に対して少なくとも部分的に移動することで、中間部品72と第1の接続部21の少なくとも一部との間の距離が変化する。例えば、中間部品72の第1の連結部72aが、第1の接続部21から離間する。これにより、中間部品72は、第1の伝達部品73を介して、第1の指13の回転板44の第2の腕部44cを引く。中間部品72、第1の伝達部品73、及び第3の伝達部品75は、駆動部品71と回転板44の第2の腕部44cとの間で引張力を伝達する。
【0069】
上述のように、回転板44の第2の腕部44cが引かれると、第1の指13が曲がる。このように、アクチュエータ61は、動くことが可能な第1の指13を駆動させ、曲げさせる。別の表現によれば、駆動機構15は、中間部品72の第1の接続部21に対する少なくとも部分的な移動に応じて第1の指13を曲げる。
【0070】
また、中間部品72が第2の接続部22に対して少なくとも部分的に移動することで、中間部品72と第2の接続部22の少なくとも一部との間の距離が変化する。例えば、中間部品72の第2の連結部72bが、第2の接続部22から離間する。これにより、中間部品72は、第2の伝達部品74を介して、第2の指14の回転板44の第2の腕部44cを引く。中間部品72、第2の伝達部品74、及び第3の伝達部品75は、駆動部品71と回転板44の第2の腕部44cとの間で引張力を伝達する。
【0071】
上述のように、回転板44の第2の腕部44cが引かれると、第2の指14が曲がる。このように、アクチュエータ61は、動くことが可能な第2の指14を駆動させ、曲げさせる。別の表現によれば、駆動機構15は、中間部品72の第2の接続部22に対する少なくとも部分的な移動に応じて第2の指14を曲げる。
【0072】
上述のように、本実施形態では、第1の指13及び第2の指14は、物体Oの形状に馴染んで(適応して)曲がることができる。すなわち、図4に示すように、第1の指13及び第2の指14は、駆動部品71の動きに応じて、当該第1の指13及び第2の指14に接触した物体Oの形状に適応して複数の関節(51~53)のうち少なくとも一つを曲げる。このため、第1の指13及び第2の指14と、物体Oと、の接触部分が多くなり、第1の指13及び第2の指14が物体Oを安定的に握る(掴む、把持する)ことができる。
【0073】
本実施形態において、アクチュエータ61が駆動部品71を第2の方向D2に駆動すると、駆動部品71が中間部品72を第1の接続部21及び第2の接続部22に近づける。例えば、中間部品72の第1の連結部72aが第1の接続部21に近づくとともに、中間部品72の第2の連結部72bが第2の接続部22に近づく。これにより、第1の指13及び第2の指14に作用する引張力が解除又は低減され、例えば弾性体58,59のうち少なくとも一方の復元力により第1の指13及び第2の指14が伸展する。
【0074】
図5は、第1の実施形態の物体Oを把持するハンド装置10の第2の例を概略的に示す平面図である。図5に示すように、ハンド装置10は、第1の指13の第2の部分42の腹面42cと、第2の指14の第2の部分42の腹面42cとで、物体Oを摘まむことができる。
【0075】
第1の指13及び第2の指14は、第2の部分42が物体Oに接触し、第1の部分41及び第3の部分43が物体Oから離れている場合、第2の部分42及び第3の部分43を屈曲させずに伸展する。この場合、第1の指13及び第2の指14は、物体Oに安定的に力を作用させる。このため、ハンド装置10は、第1の指13及び第2の指14の第2の部分42で物体Oを摘まむことで、トングのように安定的に物体Oを保持することができる。
【0076】
図4及び図5の例において、物体Oは、X方向における第1の指13と第2の指14との間の略中央に位置する。この場合、中間部品72は、略X方向に延びるとともに、X方向における第1の接続部21と第2の接続部22との間の略中央に位置する。
【0077】
図4及び図5に示す中間部品72の上記位置において、中間部品72と第1の接続部21との間の距離と、中間部品72と第2の接続部22との間の距離と、は略等しい。図4及び図5に示す中間部品72の位置は、第2の位置の一例である。
【0078】
図4及び図5に示す中間部品72の上記位置において、第1の連結部72aと第1の接続部21との間の距離と、第2の連結部72bと第2の接続部22との間の距離とは略等しい。このため、第1の指13の曲り方(移動量)と、第2の指14の曲がり方(移動量)とが略等しい。従って、第1の指13と第2の指14とは、略鏡面対称の形状を呈する。
【0079】
図6は、第1の実施形態の物体Oを把持するハンド装置10の第3の例を概略的に示す平面図である。図6に示すように、第1の指13及び第2の指14が物体Oを把持する場合、物体Oは、X方向において第1の指13と第2の指14との間の中央から偏って配置されても良い。
【0080】
図6に示す例では、アクチュエータ61に引かれた中間部品72が移動することで、中間部品72の第1の連結部72a及び第2の連結部72bが、第1の接続部21及び第2の接続部22から離間する。これにより、第1の指13及び第2の指14が接続軸53まわりに回転する(曲がる)。第1の指13及び第2の指14が曲がっている間、第2の指14が、第1の指13よりも先に物体Oに接触する。
【0081】
第2の指14が物体Oに接触すると、第2の指14の移動が止まり、又は物体Oからの抵抗により第2の指14の移動が遅くなる。このため、第2の接続部22に対する中間部品72の第2の連結部72bの移動は、停止し、又は遅くなる。
【0082】
第2の指14の第2の部分42及び第3の部分43が物体Oから離れている場合、第2の部分42及び第3の部分43が曲がることができる。この場合、中間部品72の第2の連結部72bは、第2の接続部22に対して移動することが可能である。しかし、第2の指14が物体Oに接触し、第1の指13が物体Oから離れている場合、中間部品72の第1の連結部72aは、第2の連結部72bよりも大きく動くことができる。
【0083】
第2の指14が物体Oに接触している状態で、アクチュエータ61が中間部品72をさらに引く。第1の連結部72aが第2の連結部72bよりも大きく動くため、アクチュエータ61に引かれる中間部品72は、第3の連結部72cの中心軸Axrまわりに回動する。これにより、第1の連結部72aは、第1の接続部21からさらに離間する。図6は、回動する前の中間部品72を二点鎖線で示し、回動した中間部品72を実線で示す。
【0084】
第1の連結部72aが第1の接続部21からさらに離間することで、第1の指13がさらに回転する(曲がる)。第1の指13が物体Oに接触すると、第1の指13の移動が止まり、又は物体Oからの抵抗により第1の指13の移動が遅くなる。このため、中間部品72の回転が停止し、又は遅くなる。アクチュエータ61が中間部品72を引くと、中間部品72は、図6に示すように傾いた状態で移動することができる。
【0085】
第1の指13の第2の部分42及び第3の部分43が物体Oから離れている場合、第2の部分42及び第3の部分43が曲がることができる。この場合、中間部品72の第1の連結部72aは、第1の接続部21に対して移動することが可能である。例えば、第1の指13及び第2の指14が物体Oを安定的に把持すると、アクチュエータ61が停止させられる。
【0086】
図6の例において、物体Oは、X方向における第1の指13と第2の指14との間の中央とは異なる位置にある。別の表現によれば、物体Oは、X方向における第1の接続部21と第2の接続部22との間の中央とは異なる位置にある。この場合、中間部品72は、X方向に対して傾いた方向に延びるとともに、X方向において第1の接続部21と第2の接続部22との間の中央とは異なる位置にある。なお、中間部品72は、X方向に対して傾いた方向に延びていれば、X方向において第1の接続部21と第2の接続部22との間の略中央に位置しても良い。また、中間部品72は、X方向において第1の接続部21と第2の接続部22との間の中央とは異なる位置にあれば、X方向に延びていても良い。また、第1の指13と第2の指14の状態によっては、中間部品72が、X方向において第1の接続部21と第2の接続部22との間の略中央に位置し且つ略X方向に延びていても良い。
【0087】
図6に示す中間部品72の上記位置において、中間部品72と第1の接続部21との間の距離は、中間部品72と第2の接続部22との間の距離と異なる。図6に示す中間部品72の位置は、第1の位置の一例である。図6の例では、中間部品72と第1の接続部21との間の距離が、中間部品72と第2の接続部22との間の距離より長い。しかし、中間部品72と第1の接続部21との間の距離が、中間部品72と第2の接続部22との間の距離より短くても良い。
【0088】
図6に示す中間部品72の上記位置において、第1の連結部72aと第1の接続部21との間の距離と、第2の連結部72bと第2の接続部22との間の距離とは異なる。このため、第1の指13の曲り方(移動量)と、第2の指14の曲がり方(移動量)とが異なる。従って、第1の指13と第2の指14とは、第1の接続部21と第2の接続部22とを結ぶ仮想線と直交する仮想面Pに対し、非対称の形状を呈する。
【0089】
物体Oに先に接触した第1の指13又は第2の指14は、物体Oを、第1の指13と第2の指14との間の略中央に向かって移動させても良い。しかし、本実施形態のように、物体Oに先に接触した第1の指13又は第2の指14が略停止することで、物体Oが損傷することが抑制される。
【0090】
以上のように、中間部品72は、図6に例示される位置(第1の位置)と、図4及び図5に例示される位置(第2の位置)と、に移動可能である。これにより、ハンド装置10は、第1の指13と第2の指14との曲がり方に差を設けることができる。
【0091】
第1の指13及び第2の指14が物体Oを把持した場合、中間部品72は、例えば、第1の伝達部品73、第2の伝達部品74、及び第3の伝達部品75から中間部品72に作用する張力がバランスを取れる位置に移動する。すなわち、中間部品72の位置と、第1の指13及び第2の指14の曲がり方とは、例えば、物体Oの位置、形状、硬さ、及び重さと、第1の指13及び第2の指14の形状、硬さ、重さ、及び姿勢と、アクチュエータ61の駆動力と、のような種々の条件に応じて、自動的に調整され得る。従って、物体Oに対するハンド装置10の位置の設定が容易となる。物体Oに対するハンド装置10の位置に応じて、ハンド装置10は種々の態様で物体Oを把持する。
【0092】
以上説明された第1の実施形態に係るハンド装置10において、基体12の第1の接続部21に第1の指13が接続され、基体12の第2の接続部22に第2の指14が接続される。駆動機構15は、中間部品72の第1の接続部21に対する少なくとも部分的な移動に応じて第1の指13を動かし、中間部品72の第2の接続部22に対する少なくとも部分的な移動に応じて第2の指14を動かす。中間部品72は、中間部品72と第1の接続部21との間の距離が中間部品72と第2の接続部22との間の距離と異なる位置(図6の例)に移動可能である。すなわち、本実施形態のハンド装置10は、中間部品72と第1の接続部21との間の距離の変化により生じる第1の指13の動きと、中間部品72と第2の接続部22との間の距離の変化により生じる第2の指14の動きとに、差を付けることが可能である。従って、ハンド装置10は、互いに近接可能な第1の指13と第2の指14との間の中央とは異なる位置にある物体Oを安定的に把持することができる。第1の指13及び第2の指14の動き方を調整することが可能であるため、例えば当該ハンド装置10の物体Oに対する位置制御が容易になる。
【0093】
例えば、ロボット1のアームの剛性が低い場合、ハンド装置10の位置が、アームの撓みや振動により不安定となることがある。しかし、本実施形態のハンド装置10によれば、ハンド装置10の物体Oに対する位置が不安定であっても、ハンド装置10が物体Oを安定的に把持することができる。
【0094】
中間部品72は、中間部品72と第1の接続部21との間の距離が中間部品72と第2の接続部22との間の距離と等しい位置(図4及び図5の例)に移動可能である。すなわち、本実施形態のハンド装置10は、第1の指13の動きと、第2の指14の動きとを、等しくすることが可能である。これにより、ハンド装置10は、第1の指13と第2の指14との間の中央にある物体Oを把持することができる。従って、例えば当該ハンド装置10の物体Oに対する位置制御が容易になる。
【0095】
第1の指13及び第2の指14のうち少なくとも一方の指は、複数の関節(接続軸51~53)を有し、当該指に接触した物体Oの形状に適応して複数の関節のうち少なくとも一つで曲がる。これにより、第1の指13及び第2の指14のうち少なくとも一方が物体Oを包み込むように曲がり、第1の指13と第2の指14とが物体Oをより安定的に把持することができる。
【0096】
駆動機構15は、中間部品72と第1の指13とを接続する第1の伝達部品73と、第1の伝達部品73から離れた位置で中間部品72に接続され、中間部品72と第2の指14とを接続する第2の伝達部品74と、第1の伝達部品73及び第2の伝達部品74から離れた位置で中間部品72に接続され、中間部品72とアクチュエータとを接続する第3の伝達部品75と、を有する。中間部品72は、第3の伝達部品75に回転可能に接続されるとともに、第2の接続部22が第1の接続部21から離れるX方向に移動可能である。すなわち、中間部品72は、第1の連結部72aと第1の接続部21との間の距離が変わり、第2の連結部72bと第2の接続部22との間の距離が変わるように回転可能である。さらに、中間部品72は、第1の連結部72aと第1の接続部21との間の距離が変わり、第2の連結部72bと第2の接続部22との間の距離が変わるように変位可能である。これにより、中間部品72が、アクチュエータ61、第1の指13、及び第2の指14から当該中間部品72に作用する力により回転及び変位する。駆動機構15は、当該中間部品72の回転及び変位に応じて、第1の指13及び第2の指14のうち少なくとも一方を動かす。従って、駆動機構15は、例えば、アクチュエータ61の駆動力と、ハンド装置10が把持する物体Oの形状及び位置と、に応じて、第1の指13及び第2の指14の動き方を自動的に調整することができる。
【0097】
(第2の実施形態)
以下に、第2の実施形態について、図7及び図8を参照して説明する。なお、以下の複数の実施形態の説明において、既に説明された構成要素と同様の機能を持つ構成要素は、当該既述の構成要素と同じ符号が付され、さらに説明が省略される場合がある。また、同じ符号が付された複数の構成要素は、全ての機能及び性質が共通するとは限らず、各実施形態に応じた異なる機能及び性質を有していても良い。
【0098】
図7は、第2の実施形態に係る物体Oを把持するハンド装置10の第1の例を概略的に示す平面図である。図7に示すように、第2の実施形態のハンド装置10は、ストッパ81をさらに有する。
【0099】
ストッパ81は、例えば、X方向に延びる中心軸Axcまわりに回転可能に、筐体20に取り付けられる。これにより、ストッパ81は、二つの位置Pr,Pfに移動することができる。なお、ストッパ81は、回転不能に筐体20に取り付けられても良い。
【0100】
位置Prのストッパ81は、筐体20の端部20aからY方向に突出する。位置Prのストッパ81は、第1の指13の第1の部分41に接触することができる。例えば、第1の指13がY方向に伸展している場合、第1の指13の甲がストッパ81に当接する。第1の指13は、ストッパ81と第2の指14との間に位置する。
【0101】
位置Prのストッパ81は、第1の指13が第2の指14及び第2の接続部22から遠ざかることを制限する。例えば、弾性体58が、Y方向に伸展している第1の指13をさらに第2の指14及び第2の接続部22から遠ざかる方向に付勢する。この場合、位置Prのストッパ81は、第1の指13を支持し、第2の指14及び第2の接続部22から遠ざかる方向への第1の指13の移動を止める。
【0102】
位置Prから位置Pfへ移動することで、ストッパ81は、第1の指13から遠ざかる。位置Pfのストッパ81は、第1の指13が第2の指14及び第2の接続部22から遠ざかることを許容する。図7は、位置Pfのストッパ81を二点鎖線で仮想的に示す。
【0103】
第2の実施形態において、第2の指14の弾性体58のバネ定数は、第1の指13の弾性体58のバネ定数と異なる。本実施形態の第2の指14の弾性体58のバネ定数は、第1の指13の弾性体58のバネ定数よりも小さい。このため、アクチュエータ61が伝達機構62を介して第1の指13及び第2の指14を引いた場合、第2の指14は、第1の指13よりも先に曲がる。言い換えると、第2の指14の弾性体58は、中間部品72の移動に応じて第2の指14が第1の指13よりも先に曲がるように第2の指14を付勢する。
【0104】
第1の指13の弾性体58のバネ定数と第2の指14の弾性体58のバネ定数とは同一であっても良い。さらに、ストッパ81に、第1の指13の位置を固定するフックやバンド等のような固定部82が設けられても良い。これにより、第1の指13及び第2の指14の弾性体58のバネ定数が同一であっても、第2の指14及び第2の接続部22から遠ざかる方向への第1の指13の移動を止めることが可能となる。
【0105】
以下、ストッパ81が位置Prにある場合に、ハンド装置10が物体Oを把持する方法の一例について説明する。なお、ハンド装置10が物体Oを把持する方法は、以下に説明される方法に限られない。ストッパ81が位置Pfにある場合、ハンド装置10は第1の実施形態と同様に物体Oを把持する。
【0106】
まず、例えば、物体Oに対するハンド装置10の位置が調整される。ハンド装置10は、Y方向に伸展した第1の指13が物体Oに接触する位置に配置される。ストッパ81は、第1の指13を支持し、第1の指13が重力や慣性で移動することを抑制する。このため、第1の指13と物体Oとの相対的な位置調整は容易に行われ得る。
【0107】
次に、アクチュエータ61に引かれた中間部品72が移動することで、中間部品72が第1の接続部21及び第2の接続部22から離間する。第1の指13の弾性体58のバネ定数と、第2の指14の弾性体58のバネ定数とが、上述のように異なる場合、第2の指14は接続軸53まわりに回転する(曲がる)が、第1の指13は停止している。第2の指14は、曲がることで、物体Oに接触する。
【0108】
第1の指13及び第2の指14において、第2の部分42及び第3の部分43が物体Oから離れている場合、第2の部分42及び第3の部分43が曲がることができる。この場合、中間部品72が第1の接続部21及び第2の接続部22に対して移動し、第2の部分42及び第3の部分43が物体Oの形状に馴染んで(適応して)曲がる。
【0109】
図8は、第2の実施形態の物体Oを把持するハンド装置10の第2の例を概略的に示す平面図である。図8に示すように、第2の実施形態のハンド装置10も、第1の指13の第2の部分42の腹面42cと、第2の指14の第2の部分42の腹面42cとで、物体Oを摘まむことができる。
【0110】
図7及び図8に示すように、物体OがX方向において第1の指13と第2の指14との間の中央から偏って配置されている場合、第1の指13の曲がり方(移動量)と、第2の指14の曲がり方(移動量)とが異なる。この場合、中間部品72は、X方向に対して傾いた方向に延び、且つ/又は、X方向において第1の接続部21と第2の接続部22との間の中央とは異なる位置にある。
【0111】
図7及び図8に示す中間部品72の上記位置において、中間部品72と第1の接続部21との間の距離は、中間部品72と第2の接続部22との間の距離と異なる。図7及び図8に示す中間部品72の位置は、第1の位置の一例である。
【0112】
第1の実施形態と同じく、第1の指13及び第2の指14が物体Oを把持した場合、中間部品72は、例えば、第1の伝達部品73、第2の伝達部品74、及び第3の伝達部品75から中間部品72に作用する張力がバランスを取れる位置に移動する。すなわち、中間部品72の位置と、第1の指13及び第2の指14の曲がり方とは、自動的に調整され得る。
【0113】
以上説明された第2の実施形態のハンド装置10において、ストッパ81は、第1の指13が第2の接続部22から遠ざかることを制限する。これにより、ストッパ81が第1の指13の姿勢を保持することが可能となる。従って、例えば、第1の指13と、ハンド装置10が把持する物体Oと、の間の位置の調整が容易となる。
【0114】
第1の指13の弾性体58,59は、第1の指13が伸展するように当該第1の指13を付勢する。第2の指14の弾性体58,59は、第2の指14が伸展するように当該第2の指14を付勢する。第2の指14の弾性体58,59は、中間部品72の移動に応じて第2の指14が第1の指13よりも先に動くように当該第2の指14を付勢する。すなわち、第1の指13は、ストッパ81により姿勢を保持されるとともに、第2の指14よりも後に動く。従って、例えば、第1の指13と、ハンド装置10が把持する物体Oと、の間の位置の調整が容易となる。
【0115】
固定部82が、第1の指13の位置を固定する。これにより、例えば、第2の指14及び第2の接続部22から遠ざかる方向への第1の指13の移動を容易に止めることが可能となり、第1の指13の動きと第2の指14の動きとを制御しやすくなる。
【0116】
(第3の実施形態)
以下に、第3の実施形態について、図9を参照して説明する。図9は、第3の実施形態に係るハンド装置10を概略的に示す斜視図である。なお、図9は、第1の指13及び第2の指14を動かす機構を除く各要素を、二点鎖線で模式的に示す。図9に示すように、第3の実施形態のハンド装置10は、複数の第2の指14を有する。なお、第3の実施形態のハンド装置10は、複数の第1の指13を有しても良い。また、ハンド装置10は、複数の第1の指13と複数の第2の指14とを有しても良い。
【0117】
複数の第2の指14は、第1の実施形態及び第2の実施形態と同じく第2の接続部22に接続される。複数の第2の指14は、互いに同一の形状及び同一の機能を有する。なお、複数の第2の指14は、互いに異なる形状及び/又は互いに異なる機能を有しても良い。複数の第2の指14はそれぞれ、第1の指13に近づくように動く(曲がる)ことが可能である。なお、上記複数の第1の指及び複数の第2の指14は、第1の実施形態及び第2の実施形態と同じく弾性体58,59又はストッパ81により姿勢を調整しても良い。
【0118】
本実施形態のハンド装置10は、具体的には、二つの第2の指14を有する。なお、第2の指14の数は、この例に限られない。二つの第2の指14は、Z方向に互いに離れている。Z方向において、二つの第2の指14の間に第1の指13が位置する。第1の指13及び第2の指14は、互いに干渉せずに曲がることが可能である。すなわち、第1の指13と複数の第2の指14とは、Z方向において、互いに異なる位置に配置される。なお、第1の指13と、二つの第2の指14のうち少なくとも一方とが、対向可能であっても良い。
【0119】
伝達機構62の第2の伝達部品74は、結合部品101と、伝達部品102と、二つの伝達部品103とを有する。なお、伝達部品103の数は、この例に限られず、第2の指14の数に対応する。
【0120】
本実施形態の結合部品101は、略Z方向に延びる棒状のリンクである。なお、結合部品101は、他の形状であっても良い。伝達部品102,103のそれぞれは、例えば、ボールチェーンである。なお、伝達部品102,103はそれぞれ、単一の部材、複数のリンク、チェーン、ジョイント、又は他の種々の部品を含み得る。また、図9の例では、第1の伝達部品73及び第3の伝達部品75もボールチェーンである。
【0121】
伝達部品102は、中間部品72の第2の連結部72bと、結合部品101とを接続する。伝達部品102は、例えば、結合部品101の略中央に接続される。二つの伝達部品103はそれぞれ、結合部品101と、第2の指14の回転板44の第2の腕部44cとを接続する。伝達部品103は、例えば、結合部品101の両端部に接続される。すなわち、伝達部品102と結合部品101との接続部分は、二つの伝達部品103と結合部品101との接続部の間に位置する。以上のように、第2の伝達部品74は、中間部品72と、二つの第2の指14とを並列に接続する。なお、第2の伝達部品74は、中間部品72と第2の指14との間で力を伝達可能であれば、この例に限られない。
【0122】
第3の実施形態において、複数の第2の指14は、例えば以下のように動く。まず、アクチュエータ61が駆動部品71を第1の方向D1に回転させることで、駆動部品71が、第3の伝達部品75を介して中間部品72を引く。アクチュエータ61に引かれた中間部品72は、第1の接続部21及び第2の接続部22に対して少なくとも部分的に移動する。
【0123】
中間部品72が第2の接続部22に対して少なくとも部分的に移動することで、中間部品72と第2の接続部22の少なくとも一部との間の距離が変化する。例えば、中間部品72の第2の連結部72bが、第2の接続部22から離間する。これにより、中間部品72は、第2の伝達部品74を介して、複数の第2の指14の回転板44の第2の腕部44cを並列に引く。回転板44の第2の腕部44cが引かれると、複数の第2の指14が曲がる。
【0124】
ハンド装置10が把持する物体Oの形状や、複数の第2の指14に作用する外力により、複数の第2の指14に互いに異なる抵抗が作用することがある。この場合、結合部品101が、Z方向における二つの第2の指の間の中央とは異なる位置に移動するとともに、Z方向に対して傾いた方向に延びるよう回動する。これにより、複数の第2の指14は、例えば、物体Oの形状に馴染んで曲がり、当該物体Oを把持することができる。なお、結合部品101は、Z方向に対して傾いた方向に延びていれば、Z方向において二つの指14の間の略中央に位置しても良い。また、結合部品101は、Z方向において二つの第2の指14の間の中央とは異なる位置にあれば、Z方向に延びていても良い。また、二つの第2の指14の状態によっては、結合部品101が、二つの第2の指14の間の略中央に位置し且つ略Z方向に延びていても良い。
【0125】
以上説明された第2の実施形態のハンド装置10は、第1の接続部21に接続される複数の第1の指13と、第2の接続部22に接続される複数の第2の指14と、のうち少なくとも一方を有する。これにより、物体Oを安定的に把持することができる。
【0126】
第3の実施形態において、第2の伝達部品74が、中間部品72と、複数の第2の指14とを並列に接続した。しかし、ハンド装置10は、例えば、アクチュエータ61と、複数の第1の指13及び複数の第2の指14と、を並列に接続する複数の伝達機構62を有しても良い。
【0127】
本明細書(請求項を含む)において、「a、b及びcの少なくとも1つ(一方)」又は「a、b又はcの少なくとも1つ(一方)」の表現(同様な表現を含む)が用いられる場合は、a、b、c、a-b、a-c、b-c、又はa-b-cのいずれかを含む。また、a-a、a-b-b、a-a-b-b-c-c等のように、いずれかの要素について複数のインスタンスを含んでもよい。さらに、a-b-c-dのようにdを有する等、列挙された要素(a、b及びc)以外の他の要素を加えることも含む。
【0128】
本明細書(請求項を含む)において、含有又は所有を意味する用語(例えば、「含む(comprising/including)」及び有する「(having)等)」が用いられる場合は、当該用語の目的語により示される対象物以外の物を含有又は所有する場合を含む、open-endedな用語として意図される。これらの含有又は所有を意味する用語の目的語が数量を指定しない又は単数を示唆する表現(a又はanを冠詞とする表現)である場合は、当該表現は特定の数に限定されないものとして解釈されるべきである。
【0129】
本明細書(請求項を含む)において、ある箇所において「1つ又は複数(one or more)」又は「少なくとも1つ(at least one)」等の表現が用いられ、他の箇所において数量を指定しない又は単数を示唆する表現(a又はanを冠詞とする表現)が用いられているとしても、後者の表現が「1つ」を意味することを意図しない。一般に、数量を指定しない又は単数を示唆する表現(a又はanを冠詞とする表現)は、必ずしも特定の数に限定されないものとして解釈されるべきである。
【0130】
本明細書において、ある実施例の有する特定の構成について特定の効果(advantage/result)が得られる旨が記載されている場合、別段の理由がない限り、当該構成を有する他の1つ又は複数の実施例についても当該効果が得られると理解されるべきである。但し当該効果の有無は、一般に種々の要因、条件、及び/又は状態等に依存し、当該構成により必ず当該効果が得られるものではないと理解されるべきである。当該効果は、種々の要因、条件、及び/又は状態等が満たされたときに実施例に記載の当該構成により得られるものに過ぎず、当該構成又は類似の構成を規定したクレームに係る発明において、当該効果が必ずしも得られるものではない。
【0131】
以上、本開示の実施形態について詳述したが、本開示は上記した個々の実施形態に限定されるものではない。請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲において種々の追加、変更、置き換え及び部分的削除等が可能である。例えば、前述した全ての実施形態において、数値又は数式を説明に用いている場合は、一例として示したものであり、これらに限られるものではない。また、実施形態における各動作の順序は、一例として示したものであり、これらに限られるものではない。
図1
図2
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