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特許7539937ポリマー発泡体物品およびポリマー発泡体を作製する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-16
(45)【発行日】2024-08-26
(54)【発明の名称】ポリマー発泡体物品およびポリマー発泡体を作製する方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 44/00 20060101AFI20240819BHJP
   B29C 44/36 20060101ALI20240819BHJP
   B29C 45/00 20060101ALI20240819BHJP
   B29C 45/50 20060101ALI20240819BHJP
   C08J 9/04 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
B29C44/00 D
B29C44/36
B29C45/00
B29C45/50
C08J9/04 101
C08J9/04 CER
C08J9/04 CEZ
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2021577298
(86)(22)【出願日】2020-06-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-07
(86)【国際出願番号】 US2020040087
(87)【国際公開番号】W WO2020264484
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2023-06-13
(31)【優先権主張番号】62/867,516
(32)【優先日】2019-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521564445
【氏名又は名称】モクシーテック, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ミニッチ, ジェイソン エル.
(72)【発明者】
【氏名】ビッグス, トラヴィス ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ローデス, アリシン エム.
(72)【発明者】
【氏名】ドゥビン, オリヴィア ケー.
【審査官】田村 佳孝
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0052180(US,A1)
【文献】米国特許第05866053(US,A)
【文献】米国特許第03663668(US,A)
【文献】国際公開第98/008667(WO,A2)
【文献】欧州特許出願公開第02907647(EP,A1)
【文献】米国特許第04776356(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 44/00
B29C 44/36
B29C 45/00
B29C 45/50
C08J 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー発泡体物品であって、前記ポリマー発泡体物品は、前記物品の全体を通して複数の泡沫を画定する連続的熱可塑性ポリマーマトリクスを有し、さらに、前記物品の表面から500ミクロン延在する表面領域は、その全体を通して圧縮された複数の泡沫を備える、ポリマー発泡体物品。
【請求項2】
前記物品は、その表面から500ミクロンを上回って、圧縮された泡沫をさらに備える、請求項1に記載のポリマー発泡体物品。
【請求項3】
前記熱可塑性ポリマーは、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ(乳酸)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、テトラフルオロエチレン、ポリエーテルスルホン、ポリアセタール、ポリアラミド、ポリフェニレンオキシド、ポリブチレン、ポリブタジエン、ポリアクリレート、およびメタクリレートのコポリマー、アイオノマーポリマー、ポリエーテル-アミドブロックコポリマー、ポリアリールエーテルケトン、ポリスルホン、ポリフェニレンスルファイド、ポリアミド-イミドコポリマー、ポリ(ブチレンサクシネート)、セルロース系、または多糖類、またはその任意のコポリマー、合金、混和剤、または混合物から選択される、請求項1または請求項2に記載のポリマー発泡体物品。
【請求項4】
前記連続的ポリマーマトリクスは、ポリオレフィン、ポリアミド、イオン的に官能化されたオレフィンコポリマー、またはポリエーテル-アミドブロックコポリマーを備える、請求項1または請求項2に記載のポリマー発泡体物品。
【請求項5】
前記連続的ポリマーマトリクスは、混合されたプラスチック廃棄物を備える、請求項1~4のいずれか一項に記載のポリマー発泡体物品。
【請求項6】
前記連続的ポリマーマトリクスは、着色剤、安定剤、光沢剤、核化剤、繊維、微粒子、および充填剤から選択される1つ以上の付加的材料をさらに備える、請求項1~5のいずれか一項に記載のポリマー発泡体物品。
【請求項7】
前記連続的ポリマーマトリクスは、タルクまたは着色剤、または、タルクおよび着色剤の両方をさらに備える、請求項1~5のいずれか一項に記載のポリマー発泡体物品。
【請求項8】
前記ポリマー発泡体物品は、2cmを上回る厚さを備える、請求項1~7のいずれか一項に記載のポリマー発泡体物品。
【請求項9】
前記ポリマー発泡体物品は、5cmを上回る厚さを備える、請求項1~7のいずれか一項に記載のポリマー発泡体物品。
【請求項10】
前記ポリマー発泡体物品は、10cmを上回る厚さを備える、請求項1~7のいずれか一項に記載のポリマー発泡体物品。
【請求項11】
前記ポリマー発泡体物品は、1000cmを上回る体積を備える、請求項1~7のいずれか一項に記載のポリマー発泡体物品。
【請求項12】
前記ポリマー発泡体物品は、5000cmを上回る体積を備える、請求項1~7のいずれか一項に記載のポリマー発泡体物品。
【請求項13】
前記ポリマー発泡体物品は、2cmを上回る厚さおよび1、000cmを上回る体積を備える、請求項1~7のいずれか一項に記載のポリマー発泡体物品。
【請求項14】
前記ポリマー発泡体物品は、5cmを上回る厚さおよび1、000cmを上回る体積を備える、請求項1~7のいずれか一項に記載のポリマー発泡体物品。
【請求項15】
前記ポリマー発泡体物品は、5cmを上回る厚さおよび5、000cmを上回る体積を備える、請求項1~7のいずれか一項に記載のポリマー発泡体物品。
【請求項16】
前記ポリマー発泡体物品は、10cmを上回る厚さおよび5、000cmを上回る体積を備える、請求項1~7のいずれか一項に記載のポリマー発泡体物品。
【請求項17】
30%~85%の密度低減を備える、請求項1~16のいずれか一項に記載のポリマー発泡体物品。
【請求項18】
5%~70%の空隙率を備える、請求項1~17のいずれか一項に記載のポリマー発泡体物品。
【請求項19】
前記物品は、スフェロイドである、請求項1~18のいずれか一項に記載のポリマー発泡体物品。
【請求項20】
前記物品は、キューボイドである、請求項1~18のいずれか一項に記載のポリマー発泡体物品。
【請求項21】
前記物品は、ダンベル形状、食器形状、隆起した地理的特徴を有する装飾用地球儀形状、人間形状、動物形状、枠組または包装形状、またはねじおよび/またはボルト前記物品の中に入れるための形状を備える、請求項1~18のいずれか一項に記載のポリマー発泡体物品。
【請求項22】
前記スフェロイドは、3インチ[7.62cm]~6インチ[15.24cm]の直径を有する、請求項19に記載のポリマー発泡体物品
【請求項23】
前記スフェロイドは、前記泡沫の不在下の前記スフェロイドの密度を50%~85%下回る密度を有する、請求項19に記載のポリマー発泡体物品
【請求項24】
前記キューボイドは、約1インチ[2.54cm]の最小寸法と、前記泡沫の不在下の前記キューボイドの密度を35%~85%下回る密度を有する、請求項20に記載のポリマー発泡体物品
【請求項25】
前記キューボイドは、前記泡沫の不在下の前記キューボイドの密度を50%~85%下回る密度を有する、請求項20に記載のポリマー発泡体物品
【請求項26】
前記キューボイドは、約1インチ[2.54cm]×1インチ[2.54cm]×2インチ[5.08cm]、または約1インチ[2.54cm]×4インチ[10.16cm]×11インチ[27.94cm]、または約1インチ[2.54cm]×4インチ[10.16cm]×17インチ[43.18cm]または約1インチ[2.54cm]×12インチ[30.48cm]×12インチ[30.48cm]または約2インチ[5.08cm]×2インチ[5.08cm]×2インチ[5.08cm]、または約2インチ[5.08cm]×4インチ[10.16cm]×11インチ[27.94cm]または約2インチ[5.08cm]×4インチ[10.16cm]×4インチ[10.16cm]、または約4インチ[10.16cm]×4インチ[10.16cm]×4インチ[10.16cm]または約12インチ[30.48cm]×12インチ[30.48cm]×12インチ[30.48cm]の寸法を有する、請求項20に記載のポリマー発泡体物品
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2019年6月27日に出願され、「Method for Molten Foam Injection Molding of Foamed Parts」と題された、米国仮特許出願第62/867,516号の優先権を主張する。米国仮特許出願第62/867,516号は、本明細書に完全に記載される場合と同様に、参照することによって本明細書に完全に組み込まれる。
【0002】
発泡ポリマー物品は、密度、したがって、選択された体積の物品を形成するために使用されるポリマーの量の低減ももたらしながら、中実ポリマー物品と関連付けられる高強度を提供する非常に望ましい属性に起因して、業界において広く採用されている。加えて、業界は、依然として、ポリマー自体によってもたらされる強度、靭性、衝撃抵抗等の利点を取得しながら、その中実対応物と比較して発泡物品の重量における低減によって提供される利点を享受する。
【0003】
業界は、したがって、ガスを熱可塑性ポリマーの中に同伴し、そのような発泡体物品を作製するために、いくつかの現在標準となっている方法を開発している。ガスを使用して発泡熱可塑性ポリマー物品を成型するために、商業用ガイドラインおよび業界実践は、ガスまたはガスの源と熱可塑性ポリマーを融解混合しながら装置の内部内のガスの膨張を限定するような圧力を、さらに、熱可塑性ポリマーの融解温度を上回る温度に維持するように動作可能である、融解混合装置を採用する。そのようなプロセスおよび装置は、そうでなければ、溶融熱可塑性ポリマー内のガスの膨張によって形成されるであろう、泡沫、すなわち、ガスのポケットの形成を最小限にするように設計される。したがって、融解混合装置内に常駐し、その中に配置される間、熱可塑性ポリマーは、泡沫を含まずに、または実質的に泡沫を含まずに、ガスの源またはその中に溶解または分散されるガス自体を含み得る。泡沫を含まない、または実質的に含まない、大気圧において泡沫を形成するであろう、温度以上の温度である、溶融熱可塑性ポリマーとガスの混合物は、溶融空気圧混合と称され得る。ガス、すなわち、物理発泡剤が、大気圧において溶融空気圧混合の際に泡沫を形成するであろう、温度は、臨界温度と称され得る。当技術分野において周知の融解混合装置は、したがって、溶融空気圧混合物を作製および分注するように設計および適合される。さらに、そのような装置は、特性温度において放出される、または発熱性または吸熱性化学反応によって特性温度において形成される、新生、不顕性、または潜在的ガスを追加することによって、溶融空気圧混合物を作製するために好適である。新生、不顕性、または潜在的ガスの臨界温度は、反応が生じる、またはガスが熱可塑性ポリマーの中に放出される、温度である。全てのそのような材料およびプロセスは、広く理解されており、様々な設計の融解混合装置が、本目的のために広く商業的に入手可能である。一般に採用される融解混合装置は、加圧されたチャンバをスクリュの遠位端に有し、スクリュの動作によって混合し、溶融空気圧混合物を加圧されたチャンバに向かって押勢する間、進行する、溶融空気圧混合の設定量、すなわち、「ショット」を受容するように修正される、シングルスクリュまたはツインスクリュ押出機である。
【0004】
加圧されたチャンバ内に設定量、すなわち、ショットを構築することに応じて、溶融空気圧混合物は、融解混合装置から分注され、流動的に接続される管、パイプ等によって、所望の形状を取得する、金型の空洞の中に指向される。分注は、概して、熱可塑性ポリマーが、依然として、溶融されている間、圧力の放出によって、金型空洞内で生じる、発泡(泡沫形成)の量を最大限にするように実施される。空洞内で膨張された発泡体は、次いで、冷却され、発泡物品をもたらす。本方法論を使用して成型された発泡部品は、当技術分野において、射出成型された発泡体部品と称される。本技法は、概して、範囲において、約2cmまたはそれ未満の厚さを有する、部品を作製するように限定される。
【0005】
発泡体構造を成型された部品内に誘発するために物理発泡剤源を採用する、射出成型プロセスは、Bociaga et al., “The influence of foaming agent addition, talc filler content, and injection velocity on selected properties, surface state, and structure of polypropylene injection molded parts.” Cellular Polymers 2020,39(1)3-30による最近の査読された雑誌論文から理解され得る。本刊行物では、4.1mm厚の標準的射出成型されたISO試験片を成型するために典型的に採用されるプロセス条件は、プロセス設定および調合変数(物理発泡剤源の濃度、充填剤含有量、注入速度、注入時間、保持時間、および保持圧力)の16の異なる組み合わせを生成するように体系的に変化された。本著者は、プロセスおよび調合を操作することが、発泡体構造のいくつかの変化を結果として生じる発泡体部品に生産するが、全ての変数が、泡沫がない、または実質的にない、射出成型された発泡体物品の表面の近傍の非常に特性的領域を説明するための本技術分野の用語である、「スキン層」を有する、部品を生産するわけではないことを教示している。
【0006】
射出成型された発泡物品の表面および表面の約500ミクロン真下に任意の方向に延在する面積の点検は、中実熱可塑性領域を明らかにする、すなわち、その領域は、泡沫がない、または泡沫が実質的にない。従来の射出成型プロセスに従って射出成型から生じる発泡体部品は、スキン層特徴を含む。加えて、大部分のそのような部品のスキン層は、500μmより有意に厚く、採用される方法、装置、および材料に応じて、1mm、2mm、3mm、またはさらに厚くなり得る。
【0007】
大型発泡部品(例えば、パレットまたは手押し車本体等)を作製するために、上記の従来のプロセスは、大型金型空洞が、金型の充填の間、溶融空気圧混合物が流動および膨張するにつれて、過度の圧力降下を誘発し、泡沫が、形成され得るが、次いで、充填の間、合体する、または粘性ポリマー流動から漏出するため、不十分である。したがって、「構造的発泡体」成型のある場合には、複数のノズルが、大型または厚い金型空洞を迅速に充填するために、同時に使用される。他の場合には、有意な背圧が、金型空洞内に印加され、充填の間、泡沫形成を防止し得る。すなわち、金型を充填後の圧力の放出は、実質的に金型空洞内で泡沫形成を可能にするように動作する。両方のアプローチは、多くの場合、単一プロセスにおいて使用される。
【0008】
しかしながら、前述の構造的発泡体成型プロセスは、事実上、業界が大きく発展することを妨げている、問題を解決しない。広く理解されているように、溶融質量の表面の近傍の面積は、その内部より急速に冷却し、温度の冷却勾配が、質量内で発達する。質量内の最深点における冷却率は、最遅である。溶融ポリマーまたは空気圧混合物の質量で充填される大型金型空洞の観点から、質量の内部領域は、熱可塑性物の粘性流動が、泡沫合体を可能にし、大型のポリマーのないポケットを形成し、そのような発泡体を画定する、意図される連続的ポリマーマトリクスを途絶させるようにゆっくりと冷却し得る。本効果は、その融解遷移を下回る温度まで冷却するにつれて、ポリマー体積の収縮によって悪化され得る。大型発泡部品に関して、本効果は、部品の内部における発泡体構造の完全な圧潰にさえつながり得る。
【0009】
発泡物品と関連付けられる、組み合わせられた強度と密度低減は、部品全体を通した連続的ポリマーマトリクスを伴わずには実現されない。大型のポリマーのない面積または空隙を有する、発泡部品は、部品の構造的完全性を損なわせ、これは、そのような部品をその意図される使用のため不適合なものにする。これらの深刻な技術的問題は、多くのそうでなければ非常に有用かつ有益である用途に対してポリマー発泡体の業界用途を限定している。故に、発泡物品、特に、大型または厚い発泡物品を作製するための改良された方法を提供する、継続的必要性が存在する。全体を通して連続的発泡体構造を有する部品を取得する、継続的必要性が存在する。2cmを上回る厚さを有し、全体を通して連続的発泡体構造を有する、部品を取得する、特定の必要性が存在する。業界において、従来の装置および材料を使用してそのような必要性に対処する、継続的必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書に説明されるものは、溶融ポリマー発泡体を作製する方法である。本方法は、熱可塑性ポリマーおよび物理発泡剤源を押出機に追加するステップと、熱可塑性ポリマーおよび物理発泡剤源を押出機内において圧力下で加熱および混合し、溶融空気圧混合を形成するステップであって、溶融空気圧混合の温度は、物理発泡剤源の臨界温度を超える、ステップと、溶融空気圧混合の量を押出機の収集領域内に収集するステップと、膨張体積を収集領域内で画定し、圧力を収集領域内で降下させるステップと、画定後、膨張時間周期が経過することを可能にするステップと、溶融ポリマー発泡体を収集領域から分注するステップとを含む。実施形態では、膨張体積は、収集面積内の総予期溶融発泡体体積の10%~300%を提供するように選択される。実施形態では、膨張周期は、5秒~600秒である。実施形態では、溶融空気圧混合は、膨張周期の間、中断されない、または実質的に中断されない。
【0011】
実施形態では、分注するステップは、形成要素に分注するステップであって、いくつかの実施形態では、形成要素は、金型である。実施形態では、押出機の収集領域と金型との間の流体接続が存在する。実施形態では、分注するステップは、溶融ポリマー発泡体の中断されない流動である。実施形態では、分注するステップは、溶融ポリマー発泡体の線形流動である。
【0012】
実施形態では、本方法はさらに、分注された溶融ポリマー発泡体を熱可塑性ポリマーの融解遷移温度を下回る温度まで冷却するステップを含む。実施形態では、本方法はさらに、1つ以上の付加的材料を押出機に追加するステップを含み、1つ以上の材料は、着色剤、安定剤、光沢剤、核化剤、繊維、微粒子、および充填剤から選択される。実施形態では、物理発泡剤源は、物理発泡剤であって、追加は、加圧された追加である。他の実施形態では、物理発泡剤源は、重炭酸塩、ポリカルボン酸またはその塩またはエステル、またはそれらの混合物を含む。
【0013】
また、本明細書に開示されるものは、本明細書に説明される方法、材料、および装置を使用して作製される、ポリマー発泡体物品である。実施形態では、ポリマー発泡体物品は、複数の泡沫をその中に画定する、連続的ポリマーマトリクスとして特性評価される、発泡体構造をその全体を通して有する。実施形態では、ポリマー発泡体物品の表面領域は、圧縮された泡沫を備える。実施形態では、表面領域は、物品の表面から500ミクロン延在する、領域である。
【0014】
また、本明細書に開示されるものは、熱可塑性ポリマー発泡体物品であって、物品は、複数の泡沫をその中に画定する、連続的ポリマーマトリクスである、発泡体構造をその全体を通して有し、さらに、物品の表面領域は、圧縮された泡沫を備える。いくつかの実施形態では、表面領域は、その表面から500ミクロン延在する、物品の領域である。いくつかの実施形態では、物品は、その表面から500ミクロンを上回って、圧縮された泡沫を備える。実施形態では、ポリマー発泡体物品は、2cmを上回る厚さを備え、他の実施形態では、ポリマー発泡体物品は、1,000cmを上回る、1,000cm~5,000cm、またはさらに5,000cmを上回る体積を備え、さらに他の実施形態では、ポリマー発泡体物品は、1,000cmを上回る体積および2cmを上回る厚さ、1,000cmおよび~5,000cmの体積および2cmを上回る厚さ、または5,000cmを上回る体積および2cmを上回る厚さを備える。
【0015】
実施形態では、ポリマー発泡体物品を作製するために使用される材料は、特に、限定ではないが、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ(乳酸)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、テトラフルオロエチレン、ポリエーテルスルホン、ポリアセタール、ポリアラミド、ポリフェニレンオキシド、ポリブチレン、ポリブタジエン、ポリアクリレート、およびメタクリレートのコポリマー、アイオノマーポリマー、ポリエーテル-アミドブロックコポリマー、ポリアリールエーテルケトン、ポリスルホン、ポリフェニレンスルファイド、ポリアミド-イミドコポリマー、ポリ(ブチレンサクシネート)、セルロース系、多糖類、およびそのコポリマー、合金、混和剤、および混合物から選択される、熱可塑性ポリマーを含む。いくつかの実施形態では、熱可塑性ポリマーは、混合されたプラスチック廃棄物流である。連続的ポリマーマトリクスはさらに、随意に、着色剤、安定剤、光沢剤、核化剤、繊維、微粒子、および充填剤から選択される、1つ以上の付加的材料を含む。
【0016】
他の物体および特徴は、以降において、部分的に明白となり、部分的に指摘されるであろう。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
方法であって、
熱可塑性ポリマーおよび物理発泡剤源を押出機に追加することと、
上記熱可塑性ポリマーおよび物理発泡剤源を上記押出機内において圧力下で加熱および混合し、溶融空気圧混合を形成することであって、上記溶融空気圧混合の温度は、上記物理発泡剤源の臨界温度を超える、ことと、
上記溶融空気圧混合の量を上記押出機の収集領域内に収集することと、
膨張体積を上記収集領域内で画定し、圧力を上記収集領域内で降下させることと、
上記画定後、膨張時間周期が経過することを可能にすることと、
溶融ポリマー発泡体を上記収集領域から分注することと
を含む、方法。
(項目2)
上記膨張体積は、上記収集面積内の総予期溶融発泡体体積の10%~300%を提供するように選択される、項目1に記載の方法。
(項目3)
上記膨張周期は、5秒~600秒である、項目1または項目2に記載の方法。
(項目4)
上記溶融空気圧混合は、上記膨張周期の間、実質的に中断されない、項目1-3のいずれか1項に記載の方法。
(項目5)
上記分注することは、金型に分注することである、項目1-4のいずれか1項に記載の方法。
(項目6)
上記押出機の収集領域と上記金型との間の流体接続をさらに含む、項目5に記載の方法。
(項目7)
上記分注することは、上記溶融ポリマー発泡体の線形流動を含む、項目1-6のいずれか1項に記載の方法。
(項目8)
上記分注された溶融ポリマー発泡体を上記熱可塑性ポリマーの融解遷移温度を下回る温度まで冷却することをさらに含む、項目1-7のいずれか1項に記載の方法。
(項目9)
1つ以上の付加的材料を上記押出機に追加することをさらに含み、上記1つ以上の材料は、着色剤、安定剤、光沢剤、核化剤、繊維、微粒子、および充填剤から選択される、項目1-8のいずれか1項に記載の方法。
(項目10)
上記物理発泡剤源は、物理発泡剤であり、上記追加は、加圧された追加である、項目1-9のいずれか1項に記載の方法。
(項目11)
上記物理発泡剤源は、重炭酸塩、ポリカルボン酸またはその塩またはエステル、またはそれらの混合物を含む、項目1-9のいずれか1項に記載の方法。
(項目12)
熱可塑性ポリマー発泡体物品であって、上記物品は、複数の泡沫をその中に画定する連続的ポリマーマトリクスである、発泡体構造をその全体を通して有し、さらに、上記物品の表面領域は、圧縮された泡沫を備える、ポリマー発泡体物品。
(項目13)
上記表面領域は、その表面から500ミクロン延在する上記物品の領域である、項目12に記載のポリマー発泡体物品。
(項目14)
上記物品は、その表面から500ミクロンを上回って、圧縮された泡沫を備える、項目13に記載のポリマー発泡体物品。
(項目15)
上記熱可塑性ポリマーは、1つ以上のポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ(乳酸)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、テトラフルオロエチレン、ポリエーテルスルホン、ポリアセタール、ポリアラミド、ポリフェニレンオキシド、ポリブチレン、ポリブタジエン、ポリアクリレート、およびメタクリレートのコポリマー、アイオノマーポリマー、ポリエーテル-アミドブロックコポリマー、ポリアリールエーテルケトン、ポリスルホン、ポリフェニレンスルファイド、ポリアミド-イミドコポリマー、ポリ(ブチレンサクシネート)、セルロース系、多糖類、およびそのコポリマー、合金、混和剤、および混合物から選択される、項目12-14のいずれか1項に記載のポリマー発泡体物品。
(項目16)
上記連続的ポリマーマトリクスはさらに、着色剤、安定剤、光沢剤、核化剤、繊維、微粒子、および充填剤から選択される、1つ以上の付加的材料を含む、項目12-15のいずれか1項に記載のポリマー発泡体物品。
(項目17)
上記連続的ポリマーマトリクスはさらに、タルクを含む、項目12-16のいずれか1項に記載のポリマー発泡体物品。
(項目18)
上記連続的ポリマーマトリクスは、混合されたプラスチック廃棄物流を含む、項目12-17のいずれか1項に記載のポリマー発泡体物品。
(項目19)
上記ポリマー発泡体物品は、2cmを上回る厚さを備える、項目12-18のいずれか1項に記載のポリマー発泡体物品。
(項目20)
上記ポリマー発泡体物品は、1,000cm を上回る体積を備える、項目12-18のいずれか1項に記載のポリマー発泡体物品。
(項目21)
上記ポリマー発泡体物品は、2cmを上回る厚さおよび1,000cm を上回る体積を備える、項目12-18のいずれか1項に記載のポリマー発泡体物品。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1A図1A-1Bは、本明細書に説明される方法を行うために有用な融解混合装置を図示する。
図1B図1A-1Bは、本明細書に説明される方法を行うために有用な融解混合装置を図示する。
【0018】
図2図2-1は、実施例1に説明されるような、標準的発泡体成型プロセスに従って成型された部品の写真画像である。図2-2は、実施例1に説明されるような、溶融発泡体射出成型(MFIM)プロセスに従って成型された部品の写真画像である。図2-3および2-5は、実施例1に説明されるような、標準的発泡体成型プロセスに従って作製される部品から切断された部片の写真画像である。図2-2および2-3は、実施例1に説明されるような、MFIMプロセスに従って作製される部品から切断された部片の写真画像である。
【0019】
図3図3Aは、実施例2に説明されるような、標準的発泡体成型プロセスに従って作製され、2つの部片に切断され、断面を明らかにする、部品Aの断面の写真画像である。図3Bは、実施例2に説明されるような、MFIMプロセスに従って作製され、2つの部片に切断され、断面を明らかにする、部品Bの断面の写真画像である。
【0020】
図4図4Aは、実施例2に説明されるような、MFIMプロセスに従って作製され、2つの部片に切断され、断面を明らかにする、部品Cの断面の写真画像である。図4Bは、実施例2に説明されるような、標準的発泡体成型プロセスに従って作製され、2つの部片に切断され、断面を明らかにする、部品Dの断面の写真画像である。
【0021】
図5図5は、実施例3に説明されるような、試作Bのための種々の減圧時間に関する部品密度対減圧体積のプロットを含む、グラフである。
【0022】
図6図6は、実施例4に説明されるような、試作A、B、およびCにおいて作製される部品に関する歪み対時間のプロットを含む、グラフである。
【0023】
図7図7は、実施例4に説明されるような、部品A、B、およびCの異なる側面における図の写真画像を示す。
【0024】
図8図8は、実施例4に説明されるような、部品A’、B’、C’、およびD’の断面の写真画像図を示す。
【0025】
図9図9は、実施例5に説明されるような、2つの部品の描写である。
【0026】
図10図10は、実施例6に説明されるような、MFIMプロセスに従って作製される第1の部品の断層撮影走査の等角画像である。
【0027】
図11図11は、実施例6に説明されるような、図10に示される断面平面の画像である。
【0028】
図12図12は、実施例6に説明されるように作製される、第1の部品に関するセル真円度に対する平均セルサイズおよびセル計数のプロットを含む、グラフである。
【0029】
図13図13は、実施例6に説明されるような、第2の(球状)部品の断面のX線断層撮影画像の描写である。
【0030】
図14図14は、実施例6に説明されるように作製される、第2の(球状)部品に関するセル真円度に対する平均セルサイズおよびセル計数のプロットを含む、グラフである。
【0031】
図15図15は、実施例7に説明されるような、MFIMプロセスに従って作製される、破砕された3インチ径複合球体の破砕表面の顕微鏡写真である。
【0032】
図16図16は、実施例7に説明されるような、MFIMプロセスに従って作製される、破砕された3インチ径複合球体の破砕表面の顕微鏡写真の画像である。
【0033】
図17図17は、実施例7に説明されるような、MFIMプロセスに従って作製される、破砕された3インチ径複合球体の破砕表面の顕微鏡写真の画像である。
【0034】
図18図18は、実施例7に説明されるような、MFIMプロセスに従って作製される、破砕された3インチ径複合球体の破砕表面の顕微鏡写真の画像である。
【0035】
図19図19は、実施例8に説明されるような、標準的発泡体成型プロセス工程10、11、14、および15に従って作製される、ISO試験片部品からの断面の顕微鏡写真画像を示す。
【0036】
図20図20は、実施例8に説明されるような、MFIMプロセス工程9、10、15、および16に従って作製される、ISO試験片部品からの断面の顕微鏡写真画像を示す。
【0037】
図21図21は、実施例8に説明されるような、工程9のMFIMプロセスに従って作製される、ISO試験片部品の断面の顕微鏡写真と、工程9のMFIMプロセスに従って作製される、複製部品の応力-歪みプロットとを示す。
【0038】
図22図22は、実施例8に説明されるような、工程10の標準的発泡体成型プロセスに従って作製される、ISO試験片部品の断面の顕微鏡写真と、工程10の標準的発泡体成型プロセスに従って作製される、複製部品の応力-歪みプロットとを含む。
【0039】
図23図23は、実施例8に説明されるような、工程15の標準的発泡体成型プロセスに従って作製される、ISO試験片部品のX線断層撮影からの2つの画像を含む。
【0040】
図24図24は、実施例8に説明されるような、工程9のMFIMプロセスに従って作製される、ISO試験片部品のX線断層撮影からの2つの画像を含む。
【0041】
図25図25は、実施例9に説明されるような、MFIMプロセスに従って作製される、大型引張試験片部品のX線走査からの画像である。
【0042】
図26図26は、実施例9に説明されるような、MFIMプロセスに従って作製される、8つの大型引張試験片部品の断面を含む。
【0043】
図27図27は、実施例9に説明されるような、MFIMプロセスに従って作製される、大型引張試験片部品のX線断層撮影画像である。
【0044】
図28図28は、実施例10に説明されるような、MFIMプロセスに従って作製される、引張試験片部品内の異なる深度における一連のX線断層撮影画像と、標準的発泡体成型プロセスに従って作製される、引張試験片部品内の異なる深度における一連の画像とを含む。
【0045】
図29図29は、実施例10に説明されるような、MFIMプロセスに従って作製される、引張試験片部品に関するセル計数対深度のプロットと、標準的発泡体成型プロセスに従って作製される、引張試験片部品に関するセル計数対深度のプロットとを含む、グラフである。
【0046】
図30図30は、実施例10に説明されるような、MFIMプロセスに従って作製される、引張試験片部品に関するセル真円度対深度のプロットと、標準的発泡体成型プロセスに従って作製される、引張試験片部品に関するセル真円度対深度のプロットを含む、グラフである。
【0047】
図31図31は、実施例10に説明されるような、MFIMプロセスに従って作製される、引張試験片部品に関するセルサイズ対深度のプロットと、標準的発泡体成型プロセスに従って作製される、引張試験片部品に関するセルサイズ対深度のプロットとを含む、グラフである。
【0048】
図32図32は、実施例12に説明されるような、逆MFIMプロセスに従って作製される、サンプル20の写真である。
【0049】
図32は、実施例12に説明されるような、逆MFIMプロセスに従って作製される、サンプル20の写真である。
【0050】
図33図33は、実施例12に説明されるような、MFIMプロセスに従って作製される、サンプル10の写真である。
【0051】
図34図34は、実施例12に説明されるような、逆MFIMプロセスに従って作製される、サンプル20の断面を示す、写真である。
【0052】
図35図35は、実施例12に説明されるような、MFIMプロセスに従って作製される、サンプル10の断面を示す、写真である。
【0053】
図36図36は、実施例12に説明されるような、サンプル10(MFIM)およびサンプル20(逆MFIM)に関するセル計数対深度(表面からの距離)のプロットである。
【0054】
図37図37は、実施例12に説明されるような、サンプル10(MFIM)およびサンプル20(逆MFIM)に関するセルサイズ対深度(表面からの距離)のプロットである。
【0055】
図38図38は、実施例12に説明されるような、圧縮弾性率測定からのサンプル10(MFIM)に関する平均された応力対歪みのプロットと、サンプル20(逆MFIM)に関するプロットを含む、グラフである。
【0056】
図39図39は、実施例12に説明されるような、曲げ弾性率測定からのサンプル10(MFIM)に関する平均された応力対歪みのプロットと、サンプル20(逆MFIM)に関するプロットとを含む、グラフである。
【0057】
図40図40は、実施例14に説明されるような、異なる密度の3つのメタロセンポリエチレン(mPE)材料から作製され、かつMFIMプロセスに従って作製される、圧縮弾性率測定からの応力対歪みのプロットのグラフである。
【0058】
図41図41は、本明細書に説明される方法を行うために有用な金型構成を図示する。
【0059】
対応する参照文字は、図面全体を通して、対応する部品を示す。
【発明を実施するための形態】
【0060】
詳細な説明
本開示は、好ましい実施形態の参照を提供するが、当業者は、変更が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、形態および詳細において行われてもよいことを認識するであろう。種々の実施形態は、同様の参照番号がいくつかの図全体を通して同様の部品およびアセンブリを表す、図面を参照して、詳細に説明されるであろう。種々の実施形態の参照は、本明細書に添付の請求項の範囲を限定するものではない。加えて、本明細書に記載される任意の実施例は、限定であることを意図するものではなく、単に、添付の請求項のための多くの可能性として考えられる実施形態のうちのいくつかを記載するものである。
【0061】
別様に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的および科学的用語は、当業者によって一般に理解されるものと同一意味を有する。矛盾する場合、定義を含む、本書が、優先されるであろう。好ましい方法および材料が、下記に説明されるが、本明細書に説明されるものに類似または匹敵する方法および材料も、本発明の実践または試験において使用されることができる。本明細書に述べられた全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、参照することによってその全体として組み込まれる。本明細書に開示される材料、方法、および実施例は、例証にすぎず、限定することを意図するものではない。
【0062】
本明細書で使用されるように、「連続的ポリマーマトリクス」、「熱可塑性ポリマーマトリクス」、「溶融ポリマーマトリクス」、および同様の用語を含む、「ポリマーマトリクス」は、連続的固体または溶融熱可塑性ポリマー位相、または連続的位相を画定する、ある量の固体または溶融熱可塑性ポリマーを指す。
【0063】
本明細書で使用されるように、「溶融混合物」は、随意に、溶融熱可塑性ポリマーまたはそれらの混合物と混合される1つ以上の付加的材料を含む、溶融熱可塑性ポリマーまたは溶融熱可塑性ポリマーの混合物を意味する。
【0064】
本明細書で使用されるように、「溶融空気圧混合物」は、熱可塑性ポリマーと物理発泡剤源の混合物を意味し、ポリマーは、その融解温度を上回る温度にあって、混合物の温度は、物理発泡剤源の臨界温度を超え、さらに、混合物は、泡沫を有していない、または実質的に泡沫を有していないものとして特性評価される。溶融空気圧混合物は、泡沫形成を防止する、または実質的に泡沫形成を防止する、または物理発泡剤源をガスまたは超臨界液体のいずれかとして熱可塑性ポリマー内に溶解または分散させるために十分な圧力下に存在する。「泡沫形成を実質的に防止する」、「実質的に泡沫がない」、および溶融空気圧混合物に関する同様の用語は、圧力条件が、溶融混合物中の泡沫形成を防止するために使用され得る間、瑕疵、部品の摩耗、および処理機器内における同等物が、加圧された溶融混合物を取得および維持することに全体的に干渉しない、非意図的圧力損失を生じさせ得ることを意味する。
【0065】
本明細書で使用されるように、「発泡体」、「ポリマー発泡体」、「熱可塑性ポリマー発泡体」、「溶融発泡体」、「溶融ポリマー発泡体」、および類似用語は、概して、その中に分散される断続相として複数の泡沫を画定する、連続的ポリマーマトリクスを指す。
【0066】
本明細書で使用されるように、用語「泡沫」は、連続的熱可塑性ポリマーマトリクスによって画定され、それによって囲繞される、離散空隙を意味する。
【0067】
本明細書で使用されるように、用語「物理発泡剤」は、泡沫を溶融熱可塑性ポリマーマトリクス内に画定することが可能である、ガス状化合物を意味する。
【0068】
本明細書で使用されるように、用語「臨界温度」は、物理発泡剤源が大気圧において物理発泡剤を生産する、温度を意味する。
【0069】
本明細書で使用されるように、用語「物理発泡剤源」は、マトリクス中に溶解される、および/または超臨界流体としてその中に存在する等、熱可塑性ポリマーマトリクスに追加される、またはその中に存在する、または化学反応によって物理発泡剤を生産する、有機化合物の形態における、またはこれらの組み合わせの不顕性、潜在的、または新生物理発泡剤を指す、または物理発泡剤源は、物理発泡剤源の臨界温度特性において、物理発泡剤である、物理発泡剤になる、または物理発泡剤を生産する。
【0070】
用語「comprise(~を備える)」、「include(~を含む)」、「having(~を有する)」、「has(~を有する)」、「can(~することができる)」、「contain(~を含有する)」、およびその変形は、本明細書で使用されるように、付加的作用または構造の可能性を除外しない、非制限的移行句、用語、または単語であるように意図される。単数形「a」、「and」、および「the」は、文脈が別様に明確に決定付けない限り、複数参照を含む。本開示はまた、明示的に記載されるかどうかにかかわらず、本明細書に提示される実施形態または要素「comprising(を備える)」、「consisting of(から成る)」、および「consisting essentially of(から本質的に成る)」、他の実施形態も検討する。
【0071】
本明細書で使用されるように、用語「optional(随意の)」または「optionally(随意に)」は、続いて説明される事象または状況が、生じてもよいが、そうである必要はなく、説明が、事象または状況が生じる事例と、生じない事例とを含むことを意味する。
【0072】
本明細書で使用されるように、本開示の実施形態を説明する際に採用される、例えば、組成物中の原料の量、濃度、体積、プロセス温度、プロセス時間、収率、流率、圧力、および同様の値、およびその範囲を修飾する、用語「about(約)」は、例えば、化合物、組成物、濃縮物、または使用調合を作製するために使用される、典型的測定および取扱手順を通して、これらの手順における不注意による誤差を通して、本方法を行うために使用される開始材料または原料の製造、源、または純度における差異を通して、および同様の近接考慮点を通して生じ得る、数値量の変動を指す。用語「about(約)」はまた、特定の初期濃度または混合物を伴う調合の時効に起因して異なる量、および特定の初期濃度または混合物を伴う調合を混合または処理することに起因して異なる量も包含する。用語「about(約)」によって修飾される場合、本明細書に添付の請求項は、これらの数量の均等物を含む。さらに、「about(約)」が、ある範囲の値、例えば、「約1~5」を説明するために採用される場合、その列挙は、具体的に文脈によって限定されない限り、「1~5」および「約1~約5」および「1~約5」および「約1~5」を意味する。
【0073】
本明細書で使用されるように、用語「substantially(実質的に)」は、本用語が米国特許法において解釈されるように、「consisting essentially of(~から本質的に成る)」を意味し、本用語が米国特許法において解釈されるように、「consisting of(~から成る)」を含む。例えば、規定された化合物または材料が「substantially free(実質的にない)」、組成物は、その化合物または材料がなくてもよい、または意図するものではない汚染、副反応、または不完全な精製等を通して存在する、少量のその化合物または材料を有してもよい。「minor amount(少量)」は、微量、測定不能量、値または性質に干渉しない量、または文脈内に提供されるようなある他の量であってもよい。構成要素の提供されるリスト「substantially only(のみを実質的に)」を有する、組成物は、それらの構成要素のみから成る、または存在する微量のある他の構成要素を有する、または組成物の性質に著しく影響を及ぼさない、1つ以上の付加的構成要素を有してもよい。加えて、本開示の実施形態を説明する際に採用される、例えば、組成物中の原料のタイプまたは量、性質、測定可能量、方法、値、または範囲を修飾する、「substantially(実質的に)」は、意図される組成物、性質、量、方法、値、または範囲をなくす様式において、その全体的列挙される組成物、性質、量、方法、値、または範囲に影響を及ぼさない、変動を指す。「substantially(実質的に)」によって修飾される場合、本明細書に添付の請求項は、本定義に従って、均等物を含む。
【0074】
本明細書で使用されるように、任意の列挙される値の範囲は、範囲内の全ての値を検討し、列挙される範囲内の実数値である端点を有する任意のサブ範囲を列挙する、請求項を支持するものとして解釈されるものとする。仮説上の例証的実施例として、1~5の範囲の本明細書における開示は、以下の範囲、すなわち、1~5、1~4、1~3、1~2、2~5、2~4、2~3、3~5、3~4、および4~5のいずれかに対する請求項を支持するように検討されるものとする。
【0075】
本明細書に開示される実施形態では、溶融ポリマー発泡体を押出する方法は、熱可塑性ポリマーおよび物理発泡剤源を、押出機の第1の端部上に据え付けられる、入口に追加するステップと、熱可塑性ポリマーおよび物理発泡剤源を押出機内で加熱および混合し、溶融空気圧混合物を形成するステップであって、溶融空気圧混合の温度は、物理発泡剤源の臨界温度を超える、ステップと、ある量の溶融空気圧混合の量を、押出機の第2の端部の近位に位置する、押出機のバレル領域内に収集するステップと、膨張体積をバレル領域内で形成するステップであって、形成するステップでは、圧力をバレル領域内で降下させる、ステップと、圧力降下後、ある時間周期を経過することを可能にするステップと、溶融ポリマー発泡体を押出機から分注するステップとを含む、それから本質的に成る、またはそれから成る。
【0076】
実施形態では、押出機は、随意に、充填剤、核化剤、希釈剤、安定剤、光沢剤、および同等物等の1つ以上の付加的材料とともに、熱可塑性ポリマーおよびその混合物を融解、混合、および分注するために設計および適合される、任意の機械であって、さらに、押出機は、ある質量の混合された溶融材料を収集するための収集面積を含み、さらに、圧力降下と結合される、収集面積内に、膨張体積を形成することが可能である。押出機は、業界において周知であって、広義には、溶融熱可塑性ポリマーを融解、混合、および操作するために使用される。実施形態では、押出機は、熱可塑性ポリマーと物理発泡剤源の混合物を融解、混合、および分注するために適合および設計される。そのような押出機は、溶融空気圧混合物中の泡沫形成を防止または実質的に防止するために十分な圧力下で溶融空気圧混合物を取得するように適合される。
【0077】
実施形態では、本方法を行うために有用な押出機は、固体熱可塑性ポリマーを受容するために、さらに、その融解および混合を行うために設計および適合される、当技術分野において、押出機の「バレル」と称される、内部容積を含む。実施形態では、押出機は、固体熱可塑性ポリマーおよび物理発泡剤または物理発泡剤源を受容するために、さらに、少なくともポリマーの融解を行うために、および物理発泡剤または物理発泡剤源と溶融ポリマーを混合し、溶融空気圧混合物を取得するために設計される、内部容積を画定する。実施形態では、押出機はさらに、ある質量の溶融空気圧混合材料を収集するための収集面積を含む。実施形態では、押出機はさらに、圧力降下と結合される、収集面積内に、膨張体積を形成する手段を含む。
【0078】
実施形態では、押出機は、射出成型機械である。実施形態では、押出機は、Plustech Inc.(Schaumburg, IL)によって販売される、SODICKTM成型機械である。実施形態では、押出機は、当技術分野において「バレル」として知られる内部容積内に配置される、当技術分野において「スクリュ」として知られる、1つまたは2つの部材のいずれかを含む。実施形態では、スクリュは、全体的に、右旋形円筒形形状を有し、、さらに、「段差」と称される、1つ以上の突出する螺刻部材を含む。いくつかの実施形態では、押出機は、その軸の周囲の円柱の回転のために、その軸に沿った円柱の側方移動のために、または回転および側方移動の両方を含む、組み合わせられた移動のために、バレル内に移動可能に配置される、1つのスクリュを含むものとして定義される、シングルスクリュ押出機である。他の実施形態では、押出機は、相互に対して略平行かつ近接関係において、バレル内に移動可能に配置され、さらに、各スクリュが、その軸の周囲の円柱の回転のために、その軸に沿った円柱の側方移動のために、または回転および側方移動の両方を含む、組み合わせられた移動のために、バレル内に移動可能に配置される、2つのスクリュを含むものとして定義される、ツインスクリュ押出機である。ツインスクリュ押出機のスクリュはさらに、スクリュの作用が、逆回転方式において旋回されると、バレル内に配置される溶融熱可塑性ポリマーの設計された混合および移送パターンを画定するように配列される。
【0079】
実施形態では、押出機はさらに、固体熱可塑性ポリマーを受容するように適合および設計される。実施形態では、押出機のバレルはさらに、押出機の第1の端部の近傍に据え付けられ、固体熱可塑性ポリマーをバレルに追加するように適合される、入口を含むことによって、固体熱可塑性ポリマーを受容するように適合および設計される。固体熱可塑性ポリマーは、全て、当業者に馴染みのあるフォーマットである、任意の好適なフォーマット、例えば、ビーズ、ペレット、粉末、リボン、またはブロックにおいて、入口に追加される。実施形態では、押出機は、1つ以上の固体、液体、またはガスを含む1つ以上の付加的材料を押出機の内部容積に追加または導入するために、さらに、1つ以上の付加的材料と熱可塑性ポリマーを混合するために設計および適合される、第2、第3、またはさらに第4、またはより高次数の入口を含む。押出機の内部容積は、熱可塑性ポリマーおよび随意に1つ以上の付加的材料を受容、含有、および融解し、熱可塑性ポリマーおよび随意の1つ以上の付加的材料を熱、剪断、および混合に曝し、溶融混合物を形成する一方、同時に、概して、その第1の端部からその第2の端部に進む方向に、溶融混合物を移送するために適合される。押出機が、シングルスクリュ押出機またはツインスクリュ押出機である、実施形態では、剪断、混合、および移送は、スクリュを回転させる、または2つのスクリュを逆回転させることによって遂行される。
【0080】
実施形態では、押出機内部容積またはその一部は、1つ以上の熱源によって囲繞または部分的に囲繞される。押出機の内部容積を加熱するために好適に適合される、熱源は、種々の実施形態では、加熱された水外被、加熱された油外被、電気抵抗加熱器、開放または外被された火炎、または別の熱源を含む。熱源は、押出機の内部容積内の温度を上昇させるように動作可能である。温度は、熱可塑性ポリマーを融解し、および/または押出機の内部容積の一部内の所望の温度を維持するために、オペレータによって好適に選択される。実施形態では、押出機は、1つを上回る熱源を含むように適合され、熱源は、独立して、当業者がある範囲の温度「ゾーン」を内部容積内に提供することを可能にするように動作可能である。付加的温度ゾーンが、1つ以上の材料をその入口に追加するステップまたは1つ以上の材料をその出口から分注するステップと関連付けて、いくつかの押出機内に含まれてもよい。実施形態では、1つ以上の温度ゾーン内の温度は、熱可塑性ポリマーおよび随意に1つ以上の付加的材料の融解、混合、剪断、および移送の増加された制御および最適化のために、オペレータによって設定される。
【0081】
押出機は、従来、溶融混合物の加熱、混合、および移送の間、その内部容積内で圧力を印加および維持するように設計および適合される。実施形態では、押出機は、溶融混合物の加熱、混合、および移送の間、内部容積またはバレル内で第1の圧力を印加および維持するように設計および適合される。実施形態では、溶融空気圧混合物の加熱、混合、および移送の間のバレルの内側の圧力は、溶融空気圧混合物のバレルからの漏出を防止または実質的に防止するために十分である。実施形態では、バレル内の圧力は、バレル内の温度が物理発泡剤源の臨界温度を超えるとき、溶融空気圧混合物が泡沫を発達させないように防止するために十分である。実施形態では、バレル内の圧力は、バレル内の温度が物理発泡剤源の臨界温度を超えるとき、溶融空気圧混合物が泡沫を発達させないように防止するために実質的に十分である。本段落に説明される、そのような実施形態では、「substantially(実質的に)」は、当業者に馴染みのあるように、押出機および/またはスクリュの製造、時効、または使用様式に起因する、材料の不注意による漏出またはバレルからの圧力の不注意による損失を指す。さらにそのような実施形態では、「溶融空気圧混合物が泡沫を発達させないように防止するために十分である」という文脈における「substantially(実質的に)」は、物理発泡剤の最大10%等の小パーセンテージが、圧力が溶融空気圧混合物上に維持される間、泡沫を不注意に形成し得るが、泡沫が形成されないように防止するために十分な圧力を維持することがオペレータの目標であることを意味する。
【0082】
実施形態では、押出機のバレルは、溶融混合物を押出機から分注するステップに備えて、ある量の溶融混合物を収集するための収集領域を含む。溶融混合物の質量は、ユーザによって選択される。実施形態では、溶融混合物は、溶融空気圧混合物である。そのような実施形態では、押出機のバレルの収集領域内へのある質量の溶融空気圧混合物の質量の収集を説明するために使用される本技術分野の用語は、「ショットを構築する」と称される。射出成型の当業者によって理解されるであろうように、ショットを構築するために、ある質量の溶融空気圧混合物が、スクリュまたは複数のスクリュ(または別の混合要素)の回転によって、溶融空気圧混合物を押出機の第1の端部から第2の端部に向かって、すなわち、収集領域に向かって、かつその中に移送することによって、さらに、溶融空気圧混合物の所望の質量の全体が、収集され、バレルの収集領域内に配置されるまで、溶融空気圧混合物が、収集領域内に蓄積することを可能にすることによって収集される。収集領域は、スクリュまたは複数のスクリュと押出機の第2の端部との間に据え付けられ、バレルの残りと加圧連通する。
【0083】
熱可塑性ポリマー発泡体を形成するための従来の射出成型では、ある質量の溶融空気圧混合物、すなわち、「ショット」が、スクリュまたは複数のスクリュ(または別の混合要素)の回転によって、溶融空気圧混合物を収集領域に向かって、かつその中に移送することによって、収集領域内に収集または「構築」される。ショットは、溶融空気圧混合の選択された質量全体が収集領域内に配置されると、構築されたと言える。当業者は、押出機または他の融解混合装置の機械的要素および特徴等の融解混合装置の前述の説明、さらに、溶融空気圧混合物をショット内に作製および収集する方法の前述の説明が、溶融空気圧混合物を作製し、そのショットを構築するために、従来の装置およびそのような装置を使用する方法に従うことを理解するであろう。
【0084】
これらの公知の方法および装置に従って、溶融空気圧混合物のショットは、従来、混合、加熱、移送、および収集の間を含む、バレル内に存在する間、さらに、収集領域内に配置される間、泡沫を発達させないように防止または実質的に防止される。従来、所望のショットが、収集領域内で収集されると、収集面積と押出機の第2の端部上に据え付けられる出口との間に据え付けられる、ゲートまたはドアが、開放され、バレルから出口への流体接続を提供し、ショットを押出機から分注する。いくつかの実施形態では、ゲートまたはドアが、開放されると、機械的プランジャが、溶融空気圧混合物を、バレルから、出口を通して押勢するように印加される。実施形態では、スクリュまたは複数のスクリュは、好適には、押出機の第2の端部に向かう方向における側方移動において採用され、これは、ひいては、溶融空気圧混合物を、バレルの収集領域から、出口を通して押勢する。
【0085】
我々は、押出機の収集領域内での溶融空気圧混合物のショットを構築後、膨張体積を押出機の収集領域内に形成、提供、または画定することが有利であって、画定するステップが、収集領域内での圧力降下と、画定後、本明細書では、膨張周期と称される、時間周期が過渡させられるステップと、膨張周期後、ショットを押出機から分注するステップとを伴うことを見出している。ショットは、そのような実施形態では、溶融ポリマー発泡体の形態において分注される。実施形態では、膨張体積は、押出機の収集領域内に配置される、ショットに近接して画定される。実施形態では、ショットは、膨張体積が画定されているプロセス中の間、混合されない、または剪断または伸長の印加に曝されない。実施形態では、ショットは、膨張周期の間、移送されない。実施形態では、ショットは、膨張周期の間、収集領域内に、静置される、または常駐する、中断されないまたは実質的に中断されないことを可能にされる。前述の実施形態のいずれかでは、ショットは、膨張周期の間、加熱されてもよい。しかしながら、いくつかの実施形態では、熱は、膨張周期の間、ショットに追加されない。
【0086】
膨張周期が、経過または過渡後、溶融ポリマー発泡体は、押出機の第2の端部から分注されてもよい。溶融ポリマー発泡体は、複数の泡沫を含む。理論によって限定されるわけではないが、溶融空気圧混合物が膨張された体積および付随の圧力降下(第2の圧力)に曝されると、泡沫が形成されると考えられる。物理学の公知の原理に従って、泡沫の形成は、泡沫が物理発泡剤の作用によって形成される、膨張周期とともに、バレルの収集領域内における膨張された体積の画定および付随の圧力降下によって引き起こされる可能性が高い。いくつかの実施形態では、ショットを構築後、膨張体積を画定するステップは、分注される溶融ポリマー発泡体に起因する、より優れた性質をもたらす。換言すると、我々は、溶融空気圧混合物を圧力下で形成し、その後、(金型空洞の中等に)混合物を分注するステップに先立って、圧力を降下させ、付随して、画定された体積を形成するステップが続くことは、冷却に応じて、予期しないかつ高度に有益である物理的性質を有する、固化されたポリマー発泡体物品を提供する、溶融ポリマー発泡体をもたらすことを見出している。
【0087】
我々は、前述の方法に従って押出機から分注される溶融ポリマー発泡体が、有意な技術的利点を取得することを発見している。これらの利点は、溶融ポリマー発泡体を熱可塑性ポリマーの融解遷移温度を下回る温度まで冷却するから生じる、固化されたポリマー発泡体内に観察される。膨張周期後に押出機から分注される溶融ポリマー発泡体を使用して作製される、物品の構造は、巨視的および微視的の両方において、従来の方法によって作製されるポリマー発泡体と異なり、例えば、構造部材のために好適なより優れた性質を呈する。本明細書に説明される方法、装置、および材料を使用して作製される、ポリマー発泡体物品は、その全体を通して連続的熱可塑性マトリクスと、ポリマー発泡体物品の全体を通して分散される複数の泡沫とを有するものとして特性評価される。本特性評価は、2cmを上回る厚さ、1,000cmを上回る体積、または2cmを上回る厚さに加え、1,000cmを上回る、1,000cm~5,000cm、またはさらに5,000cmを上回る体積を有する、物品、さらに、1,000cmを上回る体積および2cmを上回る厚さ、1,000cm~5,000cmの体積および2cmを上回る厚さ、または5,000cmを上回る体積および2cmを上回る厚さを備える、物品に該当する。
【0088】
実施形態では、シングルスクリュ押出機内での膨張体積の画定は、スクリュを、押出機の第1の端部に向かって、かつショットが収集される、押出機の収集領域から離れるように側方に移動させることによって好適に達成される。実施形態では、ツインスクリュ押出機内での膨張体積の画定は、両方のスクリュを、押出機の第1の端部に向かって、かつショットが収集される、押出機の領域から離れるように、側方に移動させることによって達成される。側方移動は、随意に、スクリュまたは複数のスクリュの回転を伴う。すなわち、1つまたは2つのスクリュが、側方移動の間、回転されてもよい、または回転は、側方移動の間、停止されてもよい。1つまたは2つのスクリュの側方移動による膨張体積の画定は、有利なこととして、選択された膨張体積を提供するように押出機のオペレータによって選択されることを理解されたい。すなわちスクリュまたは複数のスクリュの側方移動の距離は、選択された膨張体積を画定するようにオペレータによって好適に選択される。
【0089】
故に、実施形態では、膨張体積は、総予期溶融ポリマー発泡体体積またはそのあるパーセンテージを収容するために十分な体積を収集領域に追加するようにオペレータによって標的化される。ショットの総予期溶融ポリマー発泡体体積は、さらに物理発泡剤源が全て、取得されるべき溶融ポリマー発泡体内の泡沫の形成に寄与するであろうと仮定して、熱可塑性ポリマーおよび物理発泡剤源に加え、ショットを構築するために追加される任意の付加的材料の量に基づいて計算されてもよい。当業者は、業界上取得される物理発泡剤源が、ショットを作製するために追加される物理発泡剤源の量および他の処理条件に基づいて総予期溶融ポリマー発泡体体積を計算するために好適な情報を供給されることを理解するであろう。実施形態では、膨張体積は、ショット体積と予期される溶融ポリマー発泡体体積との間の差異である。実施形態では、膨張体積は、収集領域内で総予期溶融ポリマー発泡体体積の10%~100%、例えば、ショット体積と予期される溶融ポリマー発泡体体積との間の差異の15%~100%、または20%~100%、または25%~100%、または30%~100%、または35%~100%、または40%~100%、または45%~100%、または50%~100%、または55%~100%、または60%~100%、または65%~100%、または70%~100%、または75%~100%、または80%~100%、または85%~100%、または90%~100%、または10%~95%、または10%~90%、または10%~85%、または10%~80%、または10%~75%、または10%~70%、または10%~65%、または10%~60%、または10%~55%、または10%~50%、または10%~45%、または10%~40%、または10%~35%、または10%~30%、または10%~25%、または10%~20%、または10%~15%、または15%~20%、または20%~25%、または25%~30%、または30%~35%、または35%~40%、または40%~45%、または45%~50%、または50%~55%、または55%~60%、または60%~65%、または65%~70%、または70%~75%、または75%~80%、または80%~85%、または85%~90%、または90%~95%、または95%~100%を提供するように標的化される。さらに他の実施形態では、膨張体積は、ショット体積と予期される溶融ポリマー発泡体体積との間の差異の100%~300%、例えば、ショット体積と予期される溶融ポリマー発泡体体積との間の差異の100%~105%、または100%~110%、または100%~115%、または100%~120%、または105%~110%、または110%~115%、または115%~120%、または120%~125%、または120%~150%、または150%~200%、または200%~250%、または250%~300%である。
【0090】
膨張体積が、画定された後、溶融ポリマー発泡体を押出機から分注することに先立って、ある時間周期が、過渡または経過することを可能にされる。実施形態では、時間周期は、膨張周期と称される。いくつかの実施形態では、膨張周期の間、混合、移送、剪断、または他の物理的操作または付加的体積変化は、膨張周期の間、収集領域内で実施されない。代わりに、そのような実施形態では、ショットが、膨張周期の間、収集領域内に静置されることを可能にされる。膨張周期の終了時、溶融ポリマー発泡体は、押出機出口から分注される。実施形態では、溶融ポリマー発泡体は、金型空洞の中に分注され、溶融ポリマー発泡体は、熱可塑性ポリマーの融解遷移を下回る温度まで冷却され、固化されたポリマー発泡体物品を取得する。
【0091】
実施形態では、膨張周期は、サンプルの質量、物理発泡剤源、およびショット内に存在する任意の付加的材料の量に応じて、約5秒~600秒であるようにオペレータによって選択される。実施形態では、膨張周期は、5秒~600秒、または5秒~500秒、または5秒~400秒、または5秒~300秒、または20秒~600秒、または20秒~500秒、または20秒~400秒、または20秒~300秒、または10秒~200秒、または20秒~200秒、または30秒~200秒、または40秒~200秒、または50秒~200秒、または5秒~190秒、または5秒~180秒、または5秒~170秒、または5秒~160秒、または5秒~150秒、または5秒~140秒、または5秒~130秒、または5秒~120秒、または5秒~110秒、または5秒~100秒、または5秒~90秒、または5秒~80秒、または5秒~70秒、または5秒~60秒、または5秒~50秒、または5秒~40秒、または5秒~30秒、または5秒~20秒、または5秒~10秒、または10秒~15秒、または15秒~20秒、または20秒~25秒、または25秒~30秒、または30秒~35秒、または35秒~40秒、または40秒~45秒、または45秒~50秒、または50秒~55秒、または55秒~60秒、または60秒~70秒、または70秒~80秒、または80秒~90秒、または90秒~100秒、または100秒~110秒、または110秒~120秒、または120秒~130秒、または130秒~140秒、または140秒~150秒、または150秒~160秒、または160秒~170秒、または170秒~180秒、または180秒~190秒、または190秒~200秒、または200秒~250秒、250秒~300秒、または300秒~350秒、または350秒~400秒、または400秒~450秒、または450秒~500秒、または500秒~550秒、または550秒~600秒である。
【0092】
前述の方法を使用することは、溶融ポリマー発泡体が、熱可塑性ポリマーの融解温度を下回る温度まで冷却され、固化されたポリマー発泡体をもたらすとき、下記の節に説明される、いくつかの有意な技術的利点を取得する、溶融ポリマー発泡体の形成をもたらす。ポリマー発泡体物品は、概して、物品の全体を通して分散される複数の泡沫を画定する、連続的ポリマーマトリクスを有する、モノリシック物品として特性評価される。実施形態では、ポリマー発泡体物品は、特に、物品の表面領域中に分散される複数の泡沫を画定する、連続的ポリマーマトリクスを有するものとして特性評価され、表面領域は、物品表面(ポリマー発泡体-空気界面)と表面から500ミクロン内部の距離との間の物品の面積として定義される。
【0093】
前述の方法を行うために有用に採用される、装置の代表的実施形態が、図1Aに示される。図1Aは、同様に本明細書に開示される溶融ポリマー発泡体およびポリマー発泡体物品を作製するために有用な本明細書に説明される方法を実施する、本明細書に開示される実施形態による、例示的シングルスクリュ射出成型装置20の概略図である。図1Aに示されるように、射出成型システム20は、モータまたは駆動区分24および金型区分26に取り付けられる、バレル21を含む。バレル21は、第1の端部21aと、第2の端部21bとを含み、中空内部バレル部分22を画定する。バレル部分22はさらに、バレルの第2の端部21bに近接する、ノズル36を画定する。スクリュ30が、バレル部分22内に配置され、スクリュ先端部分34を備える。スクリュ30は、その中心軸の周囲のスクリュ30の回転のために、または矢印Zによって示される側方移動のために、モータ区分24に動作可能に結合される。スクリュ30の側方移動は、概して、バレルの第1の端部21aからバレルの第2の端部21bに向かう方向に、またはバレルの第2の端部21bからバレルの第1の端部21aに向かう方向におけるものであってもよい。いずれかの方向におけるスクリュ30の側方移動は、随意に、回転移動とさらに結合される。スクリュ30はさらに、1つ以上の段差31を含み、これは、バレル部分22内に存在する材料を、概して、バレルの第1の端部21aからバレルの第2の端部21bに向かって混合および移送するための混合要素である。スクリュ30は、その中に加圧可能にシールされた関係において、バレル部分22内に配置され、バレル21内のスクリュ段差31によって、さらに、逆止弁32の据付によって、大気圧を超える圧力がバレル部分22内に維持されることを可能にする。閉止弁37は、第2の端部20bの近傍のバレル21に接続され、ノズル36と金型区分26との間の流体接続、加圧された接続、または両方を制御するように動作可能である。バレル部分22内に配置され、スクリュ30を囲繞する、逆止弁32は、背圧が、バレル部分22内に常駐する材料をバレルの第1の端部21aに向かって押勢しないように防止し、したがって、加圧可能にシールされた、流動的にシールされた、または加圧可能に流動的にシールされた関係を閉止弁37と逆止弁32との間に提供するように動作可能である。
【0094】
さらに、図1Aに関して、金型区分26は、示されるように、2つの金型区分38を含む。金型区分38は、空洞39を画定するように除去可能にともに継合される。いくつかの実施形態では、金型区分38のうちの1つ以上のものは、移動可能であって、固化されたポリマー発泡体物品のそこからの射出を可能にする。いくつかの実施形態では、金型区分38は、相互に触れた関係において据え付けられ、他の実施形態では、金型区分28は、間隙によって離間される。
【0095】
実施形態では、本明細書に開示される方法は、好適には、図1A-1Bに示されるシステム20等の装置を使用して実施される。図1Aでは、熱可塑性ポリマー、物理発泡剤源、および随意に、1つ以上の付加的材料の選択された量を備える、混合物42Aの選択された質量が、入口28を通して、矢印Aによって示されるように、バレル区分22に追加される。いくつかの実施形態では、物理発泡剤源は、物理発泡剤であって、入口28または別の入口(図示せず)は、バレル区分22に関連して加圧されたガス入口であって、物理発泡剤は、選択された圧力においてガス入口に追加される一方、非ガス状材料が、入口28に追加される。混合物42Aのバレル部分22への入口28を通した追加の間、モータ24は、スクリュ30を回転させるように動作可能である。スクリュ30の回転は、混合物42Aをスクリュ先端34に移送し、混合する。熱源(図示せず)は、好適には、熱をバレル部分22内の混合物42Aに追加するために採用される。モータ24は、スクリュ30を回転させ、スクリュ先端34に到達するまで、バレル部分22内に存在する混合物42Aを、概して、バレル21の第1の端部21aから第2の端部21bに向かって進む方向に移送する。加えて、スクリュ30の回転は、移送の間、混合物42Aの混合を提供する。混合物42Aが、スクリュ30の回転によって、移送および混合されるにつれて、バレル部分22に近接する加熱要素または加熱帯(図示せず)が、混合物42Aを加熱するように動作する。複数の加熱ゾーンが、バレル部分22に近接して存在し、バレル21の第1の端部21aと第2の端部21bとの間のバレル部分22の内側の温度を変動させてもよい。移送の間、バレル部分22内で回転するスクリュ30は、混合物42Aを混合するように動作可能であって、熱が、移送されるにつれて、混合物に追加され、それによって、混合物の温度を熱可塑性ポリマーの融点を上回って上昇させ、少なくとも、バレル21の第2の端部21bに到達するまでに、混合物42Aを溶融空気圧混合物42Bに変換する。加えて、さらに段差31が、スクリュ30の回転の間、バレル21と接触する、バレル部分22内のスクリュ30の配置は、逆止弁32、閉鎖位置における閉止弁37、または両方と組み合わせられ、バレル部分22内に加圧可能にシールされた関係を提供し、それによって、溶融空気圧混合物42Bは、大気圧を超える圧力下でバレル部分22内に存在する。バレル部分22内の圧力は、物理発泡剤源がその臨界温度を上回る場合でも、泡沫形成を防止または実質的に防止するために十分である。
【0096】
さらに、スクリュ30の回転は、加圧された溶融空気圧混合物をスクリュ先端34に向かって移送し、加圧された溶融空気圧混合物42Bの選択された質量をバレル部分22の収集領域40内に移送または構築するように動作する。収集領域40は、図1Aにおける逆止弁32と閉止弁37との間に延在する、バレル部分22の体積内の領域として、さらに、バレル21のX距離に沿って据え付けられる、バレル部分22の領域として定義される。加圧された溶融空気圧混合物42Bの選択された質量または「ショット」は、バレル部分22の収集領域40内に収集、すなわち、蓄積される。収集領域40内の圧力は、溶融空気圧混合物中の泡沫形成を防止または実質的に防止するために十分である。実施形態では、ショットは、収集領域40を実質的に充填する。
【0097】
溶融空気圧混合物42Bのショットの構築は、当業者に馴染みのある従来の方法を使用して達成される。射出成型のためのショットを構築するために採用される方法および材料の従来および公知の変形例は、本明細書に説明される方法によって包含される。いったんショットが、構築されると、本明細書に開示される方法に曝され、ポリマー発泡体およびポリマー発泡体物品を形成することに関する本明細書に開示される全ての技術的利点を取得し得る。例えば、ショットを形成するために、Trexel Inc.(Wilmington, MA)によって採用されるMUCELL(登録商標)高圧プロセスのような方法が、好適には、採用され、泡沫形成を防止または実質的に防止するための加圧された混合を伴う、ガスとしての物理発泡剤源の押出機への直接追加後、ショット収集が続く。種々の特許技術および商標刊行物は、混合および逆流パターンおよび同等物のための特殊スクリュ設計等、溶融空気圧混合物を取得し、ショットを形成するための特殊融解混合および伝達設計をさらに説明している。これらのいずれかが、本明細書に説明されるようなショットを形成し、融解混合装置の収集領域内に圧力下でショットを収集するために、前述のショット形成方法および装置と併せて、有用に採用され得る。
【0098】
いったんショットが、収集領域内で形成および収集されると、膨張体積が、その中に画定され、さらに、膨張は、収集領域内で、かつショットに近接して、圧力の降下を伴う。故に、図1Aは、スクリュ30がショットを収集領域40内に収集するように位置付けられる、溶融空気圧混合装置20を描写する。ショットは、溶融空気圧混合物42Bの選択された質量を含み、収集領域40内に圧力下で配置される。プロセスの本段階において、さらに図1Aに関して、図1Bは、スクリュ30が膨張体積44を収集領域40内に画定するように位置付けられる、装置20を描写する。幾分さらに詳細には、図1Bは、バレルの第1の端部21aに向かうスクリュ30の側方移動から結果として生じる位置におけるスクリュ30を示す、すなわち、スクリュ30は、図1Bにおいて、図1Aに対して後退される。収集領域40からのスクリュ30の後退および結果として生じる部分的変位は、膨張体積44を収集領域40内に画定し、さらに、圧力を収集領域40内で降下させる。いくつかの実施形態では、スクリュ30の回転は、後退の前に、停止される。いくつかの実施形態では、スクリュ30の回転は、後退の間または後退が完了した後に停止される。スクリュ30の後退距離、すなわち、バレルの第1の端部21aに向かったスクリュ30の側方移動の距離は、好適な膨張体積44を提供するようにオペレータによって選択される。
【0099】
図1Bにおいて表されるいくつかの実施形態では、膨張体積44は、ショットの総予期溶融ポリマー発泡体体積に合致する総体積を有する、収集領域40を提供するようにオペレータによって選択され、そのような実施形態では、膨張体積44を追加後の収集領域40内の総体積は、図1Bの溶融空気圧混合物42Bの総予期溶融ポリマー発泡体体積である。他の実施形態では、膨張体積44は、収集面積40内に常駐する溶融空気圧混合物またはショットの総予期溶融ポリマー発泡体体積のあるパーセンテージである総体積を有する、収集領域40を提供するようにオペレータによって選択される。すなわち、膨張体積44を追加後の収集領域40内の総体積は、総予期溶融ポリマー発泡体体積の約50%~120%に等しい。いくつかの実施形態では、膨張体積は、総予期溶融ポリマー発泡体体積の100%を収容するように、収集領域内に総体積を提供するように設定される。ショットの総予期溶融ポリマー発泡体体積は、さらに、物理発泡剤源の全てが取得されるべき溶融ポリマー発泡体内の泡沫の形成に寄与すると仮定して、熱可塑性ポリマーおよび物理発泡剤源の量に加え、ショットを構築するために追加される任意の付加的材料に基づいて、計算されてもよい。
【0100】
図1Bに示されるように、スクリュ30を後退させ、膨張体積44を画定後、「膨張周期」と称される、時間周期が、ショットが、図1Bに示されるように、収集領域40内に保持される間、経過または過渡することを可能にされ、具体的には、収集領域40は、膨張体積44を含む。膨張周期は、5秒~200秒となるようにオペレータによって選択される。実施形態では、膨張周期の間、ショットは、収集領域40内に中断されずにまたは実質的に中断されずに静置されることを可能にされる。実施形態では、「中断されない」は、ショットが、膨張周期の間、ショットの混合、剪断、または移送(流動)を引き起こす、任意のプロセスに曝されないことを意味する。実施形態では、「実質的に中断されない」は、ショットが、膨張周期の間に実施される混合、剪断、または移送プロセスによって、意図的に摂動されないが、例えば、熱差動、漏出、および他の製造問題が、膨張周期の間、収集領域内に常駐するショットへの不注意による応力または歪みにつながり得ることを意味する。
【0101】
膨張周期が、経過した後、図1Bに示されるようなノズル閉止弁37は、開放され、溶融ポリマー発泡体が、バレル22から分注される。図1A-1Bに示されるような実施形態では、溶融ポリマー発泡体は、空洞39の中に流動する。分注するステップは、スクリュの側方移動を使用した押込等の機械的手段による、または加圧されたガスを収集領域に印加することによる、加圧分注であってもよいが、圧力の印加は、いくつかの実施形態では、溶融ポリマー発泡体を分注するために必要であるわけではない。実施形態では、溶融ポリマー発泡体の分注の間の図1A-1Bに示されるようなノズル36における圧力は、図1A-1Bにおけるバレルの第2の端部21bに向かうスクリュ30の付加的側方移動を使用して、溶融ポリマー発泡体を押し込むこと等によって、外部圧力源を追加せずに、重力を1psi~20psi、例えば、3psi~20psi、5psi~20psi、7psi~20psi、10psi~20psi、15psi~20psi、1psi~15psi、1psi~10psi、1psi~7psi、1psi~5psi、2psi~5psi、5psi~10psi、10psi~15psi、または15psi~20psi超える。実施形態では、分注するステップは、ノズル36と空洞39との間の流体接続を維持することによって遂行される。いくつかのそのような実施形態では、流体接続はさらに、加圧された接続である。
【0102】
いったん図1A-1Bに示される金型部分38によって画定された空洞39内に配置されると、溶融ポリマー発泡体は、周囲環境の周囲条件内に存在する温度等の熱可塑性ポリマーの融解遷移を下回る温度に到達するまで、冷却される、または冷却することを可能にされる。膨張体積が、総予期溶融ポリマー発泡体体積の100%未満である、総体積を収集領域内に提供するように設定される、いくつかの実施形態では、泡沫は、溶融ポリマー発泡体が分注された後、かつ温度が熱可塑性ポリマーの融解遷移温度に到達するために十分に冷却する前に、核生成および/または発達し続け得る(サイズを成長させる)。溶融ポリマー発泡体の冷却は、射出成型された物品を冷却するための従来の方法を使用して遂行され、限定ではないが、金型を設定温度を有する液体冷却剤中に浸漬させるステップ、または金型に液体水等の液体冷却剤を噴霧するステップ、空気流を金型上に衝突させるステップ、周囲空気を冷却するステップ、および同等物を含む。
【0103】
前述の方法の代替実施形態では、図1Bに示されるように、構成される装置20が、溶融ポリマー発泡体を形成するために採用される。図1Bは、バレルの第1の端部21aに向かったスクリュ30の側方移動から結果として生じる位置におけるスクリュ30を示し、すなわち、スクリュ30は、図1Bにおいて、図1Aに対して後退される。収集領域40からのスクリュ30の後退および結果として生じる部分的変位は、収集領域40内の膨張体積44を画定し、さらに、圧力を収集領域40内で降下させる。図1Bに示されるような構成の装置20は、上記に説明されるものと実質的に同一方法において、溶融空気圧混合物42Bをバレル21の第2の端部21bに向かって混合、加熱、および移送するために採用される。加えて、さらに、段差31が、スクリュ30の回転の間、バレル21と接触する、バレル部分22内のスクリュ30の配置は、逆止弁32、閉鎖位置における閉止弁37、または両方と組み合わせられ、バレル部分22内に加圧可能にシールされた関係を提供し、それによって、溶融空気圧混合物42Bは、大気圧を超える圧力下でバレル部分22内に存在する。バレル部分22内の圧力は、物理発泡剤源がその臨界温度を上回る場合でも、泡沫形成を防止または実質的に防止するために十分である。しかしながら、本代替実施形態では、溶融空気圧混合物は、逆止弁32を通して、膨張体積44によってさらに付加される収集領域40の中に移送される。
【0104】
押出成形および射出成型のための従来の材料および装置が、本方法を行うために有用であることは、本開示の方法の利点である。特殊機器または材料要件は、開示される方法を行うために必要とされない。したがって、射出成型のため、および/またはポリマー発泡体を形成するために有用である、任意の熱可塑性ポリマーまたはそれらの混合物が、随意に、装置のオペレータによって選択されるような1つ以上の付加的材料とともに、標準的射出成型装置等の従来の技術を使用して、任意の業界上有用な物理発泡剤源と有用に組み合わせられる。
【0105】
実施形態では、本明細書に説明される方法、装置、および物品と併せて有用な熱可塑性ポリマーは、業界において、射出成型またはポリマー発泡体物品の射出成型のために有用であることが公知の任意の熱可塑性材またはそれらの混合物、およびそのようなポリマーの混合物を含む。有用なポリマーは、ショット形成等の射出成型において使用するために好適な融解流動粘度を有するものとして特性評価される。したがって、熱可塑性ポリマーは、熱可逆性である、またはそうでなければ射出成型プロセスのための十分な粘性融解流動を防止しない、架橋結合度を含んでもよい。
【0106】
実施形態では、本明細書に説明される方法、装置、および物品と併せて有用な熱可塑性ポリマーは、オレフィン、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリα-オレフィンおよび種々のコポリマー、および限定ではないが、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、線形低密度ポリエチレン(LLDPE)、熱可塑性ポリオレフィンエラストマ(TPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、および同等物を含む、その分鎖/架橋結合された変形例を含み、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリエステル、例えば、テレフタル酸ポリエチレン(PET)およびテレフタル酸ポリブチレン(PBT)、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)、例えば、ポリヒドロキシ酪酸(PHB)、ポリカーボネート(PC)、ポリ(乳酸)(PLA)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー(ABS)、ポリスチレン、熱可塑性ポリウレタンエラストマ(PU、TPU)を含むポリウレタン、ポリカプロラクトン、ポリ塩化ビニル(PVC)、テトラフルオロエチレン、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアセタール、ポリアラミド、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリブチレン、ポリブタジエン、ポリアクリレート、およびメタクリレート(アクリル)のコポリマー、アイオノマーポリマー(SURLYN(登録商標)および類似のイオン的に官能化されたオレフィンコポリマー)、ポリエーテル-アミドブロックコポリマー(PEBAX(登録商標))、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリスルホン、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリアミド-イミドコポリマー、ポリ(ブチレンサクシネート)、セルロース系、多糖類、およびそのコポリマー、合金、混和剤、および混合物は、限定ではないが、本明細書に説明される方法と併せて有用に採用される。
【0107】
ポリマー混成物および混合物の非限定使用に関して、我々は、再生プラスチックの混合流が、実施形態において熱可塑性ポリマーとして有用であることを見出した。したがって、実施形態では、海洋廃棄物プラスチックが、海洋および海岸から回収され、10%~90%ポリオレフィン含有量、10%~90%PET含有量、l%~25%ポリスチレン含有量、および1%~50%の未知のポリマー含有量の例示的含有量を有する、ポリマー廃棄物の混合流である。海洋および海岸から収集されるものに限定されない、そのような混合されたプラスチック流および廃棄物プラスチック流も同様に、本明細書に説明される方法および装置を使用して、溶融ポリマー発泡体およびポリマー発泡体物品を形成するために有用である。
【0108】
物理発泡剤源が、業界において広く入手可能であって、融解混合の間、物理発泡剤を展開するために有用な条件は、広く理解されており、広範に報告されている。故に、射出成型、反応射出成型、またはポリマー発泡体を作製する他の方法のために有用な任意の物理発泡剤源が、本明細書において、本明細書に説明される方法、装置、およびポリマー発泡体物品に従って溶融ポリマー発泡体および固化されたポリマー発泡体物品を形成するために有用である。本明細書に説明される方法および装置に関連して有用な物理発泡剤は、ビーズ、ペレット、および同等物の形態または不顕性形態のいずれかにおいて、熱可塑性材内にカプセル化されるものとして、空気、CO、およびNを含み、化学反応が、融解混合装置内で加熱されると、COまたはNを発生させる。そのような化学反応は、好適には、本明細書に開示される方法および装置と併せたその使用に関して、限定ではないが、発熱性または吸熱性である。好適な物理発泡剤源は、重炭酸ナトリウム、ポリカルボン酸、例えば、クエン酸またはその塩またはエステル、例えば、クエン酸ナトリウムまたはクエン酸ナトリウムのトリメチルエステルに基づく化合物、ナトリウム重炭酸塩と、ポリカルボン酸、例えば、クエン酸の混合物、p-トルエンスルホニルヒドラジド(p-TSH)および4,4’-オキシビス-(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)を含む、スルホニルヒドラジド、純および修飾されたアゾジカルボンアミド、セミカルバジド、テトラゾール、およびダイアジノンを含む。前述のいずれかでは、物理発泡剤源は、随意に、ショットの加熱、混合、および収集の間、融解するように設計される、担体樹脂内にさらにカプセル化された。
【0109】
実施形態では、有用な物理発泡剤源は、市販の組成物、例えば、全てClariant AG(Switzerland)から入手可能である、HYDROCEROL(登録商標) BIH70、HYDROCEROL(登録商標) BIH CF-40-T、またはHYDROCEROL(登録商標) XH-901、RTP Company(Winona, MN)から入手可能である、FCX7301、RTP Company(Winona, MN)から入手可能である、FCX27314、CelChemLLC(Naples, FL)から入手可能である、CELOGEN(登録商標) 780、Galata Chemicals(Southbury, CT)から入手可能である、ACTAFOAM(登録商標)780、Galata Chemicals(Southbury, CT)から入手可能である、ACTAFOAM(登録商標) AZ、ADEKA Polymer Additives Europe(Mulhouse, France)から入手可能である、ORGATERMB.BA.20、Endex International(Rockford, IL)から入手可能である、ENDEX1750TM、およびBergen International(East Rutherford, NJ)から入手可能である、FOAMAZOLTM 57を含む。
【0110】
いくつかの実施形態では、物理発泡剤源は、物理発泡剤であって、物理発泡剤は、ガスとして、図1A-1Bに示される押出機に類似する装置等の融解混合装置に印加される。そのような実施形態では、ガスは、融解混合装置内での直接加圧追加および混合によって、熱可塑性ポリマー内に溶解させられる。いくつかの実施形態では、ガスは、溶融熱可塑性ポリマーの中への溶解に先立って、またはそれと同時にのいずれかにおいて、加圧によって、超臨界流体になる。物理発泡剤を直接射出成型装置に印加するステップは、業界上、Trexel Inc.(Wilmington, DE)によって採用されるようなMUCELL(登録商標)プロセスと称される。熱可塑性ポリマーもまた、バレルに追加され、融解されるにつれて、バレルと加圧された関係を形成するための、ガスリザーバ(タンク、シリンダ等)から押出機装置の入口への調整され、加圧された流体接続等の特殊機器が、本プロセスのために要求される。そのような特殊機器が、入手可能である場合、物理発泡剤は、本明細書に説明される方法と併せて、溶融空気圧混合物を形成するための熱可塑性ポリマーおよび1つ以上の付加的材料への物理発泡剤の直接印加によって、物理発泡剤源として有用に採用される。
【0111】
物理発泡剤源は、熱可塑性ポリマー発泡体を形成するための望ましいポリマー発泡体密度および物理発泡剤および物理発泡剤源の動作と関連付けられる従来の技術に従って、熱可塑性ポリマーの選択された密度低減を標的化する量において、熱可塑性ポリマーおよび任意の随意に1つ以上の付加的材料に追加される。熱可塑性ポリマーに追加される物理発泡剤源の量は、特に、限定されない。故に、我々は、最大85%の密度低減が、ポリマーまたはガラス泡または同等物を使用せずに達成され、下記に報告されるユニークかつ驚くべき特性を有し、かつ最大85%の標的化された密度低減をさらに有する、ポリマー発泡体物品を提供することを見出している。本明細書で使用されるように、「密度低減」は、物品を作製するために物理発泡剤(源)を追加しない同一物品(すなわち、泡沫を除外または実質的に除外するポリマー物品)と比較した、ポリマー発泡体物品におけるパーセント質量低減を意味する。したがって、実施形態では、本明細書に説明される溶融ポリマー発泡体およびポリマー発泡体物品は、好適には、ガラスまたはポリマー泡を除外する一方、最大85%、例えば、30%~85%、例えば、35%~85%、40%~85%、45%~85%、50%~85%、55%~85%、60%~85%、65%~85%、70%~85%、75%~85%、30%~35%、35%~40%、40%~50%、50%~55%、55%~60%、60%~65%、65%~70%、70%~75%、75%~80%、または80%~85%の選択された密度低減を提供する。ガラスまたはポリマー泡を含むことはさらに、本明細書の方法に従って作製されるポリマー発泡体物品の入手可能な密度低減を拡大させる。いくつかの実施形態では、85%を上回る密度低減が、達成され得る。密度低減から利点を享受するポリマー発泡体物品は、それにもかかわらず、1,000cmを上回る、1,000cm~5,000cm、またはさらに5,000cmを上回る体積を有する、成型された物品、および1,000cmを上回る体積および2cmを上回る厚さ、1,000cm~5,000cmの体積および2cmを上回る厚さ、または5,000cmを上回る体積および2cmを上回る厚さの成型された物品を含む、泡沫がその中に分散される、全体を通して連続的ポリマーマトリクスを有するものとして特性評価される。
【0112】
上記に述べられるように、熱可塑性ポリマーに追加される物理発泡剤源の量は、特に、限定されない。故に、我々は、ポリマー発泡体物品の総体積の最大70%が、泡沫を備えることを見出している。ポリマー発泡体物品の総体積のパーセントとしての泡沫の総体積は、物品の「空隙率」と称される。したがって、最大約70%の空隙率が、ポリマーまたはガラス泡または同等物を含まずに達成され、下記に報告されるユニークかつ驚くべき特性を有し、かつポリマー発泡体物品の体積の最大70%の標的化された空隙率をさらに有する、ポリマー発泡体物品を提供する。したがって、実施形態では、本明細書に説明される溶融ポリマー発泡体およびポリマー発泡体物品は、好適には、ガラスまたはポリマー泡を除外する一方、最大70%、例えば、5%~70%、10%~70%、15%~70%、20%~70%、25%~70%、30%~70%、35%~70%、40%~70%、45%~70%、50%~70%、55%~70%、60%~70%、5%~10%、10%~15%、15%~20%、20%~25%、25%~30%、30%~35%、35%~40%、40%~50%、50%~55%、55%~60%、60%~65%、または65%~70%の空隙率を提供する。ガラスまたはポリマー泡を含むことはさらに、本明細書の方法に従って作製されるポリマー発泡体物品の入手可能な空隙率を拡大させる。いくつかの実施形態では、70%空隙率を上回る断片が、達成され得る。70%空隙率を有する、ポリマー発泡体物品は、それにもかかわらず、5,000cmを上回る体積、2cmを上回る厚さ、または5,000cmを上回る体積および2cmを上回る厚さの両方を有する、成型された物品を含む、泡沫がその中に分散される、全体を通して連続的ポリマーマトリクスを有するものとして特性評価される。
【0113】
いくつかの実施形態では、熱可塑性ポリマーおよび物理発泡剤源は、混和剤を加熱および混合するための融解混合装置に印加することに先立って、混和される。他の実施形態では、熱可塑性ポリマーおよび物理発泡剤源は、材料を融解混合装置に追加するために入手可能な2つの異なる入口またはポート等によって、融解混合装置に別個に追加される。さらに他の実施形態では、熱可塑性ポリマーおよび物理発泡剤源の両方を含む、固体混合物が、単一入力として、加熱および混合するための融解混合装置に追加される。
【0114】
実施形態では、1つ以上の付加的材料が、熱可塑性ポリマーおよび物理発泡剤源とともに、融解混合装置に含まれる、または追加される。そのような付加的材料は、好適には、熱可塑性ポリマー、物理発泡剤源、または両方と混合または混和される、または1つ以上の付加的材料は、融解混合装置への個々のポートまたは入口等によって、別個に追加される。好適な付加的材料の実施例は、着色剤(色素および顔料)、安定剤、光沢剤、核化剤、繊維、微粒子、および充填剤を含む。いくつかの好適な材料の具体的実施例は、タルク、二酸化チタン、ガラス泡またはビーズ、熱可塑性ポリマー粒子、繊維、ビーズ、または泡、および熱硬化性ポリマー粒子、繊維、ビーズ、または泡を含む。好適な材料の付加的実施例は、繊維、例えば、ガラス繊維、カーボン繊維、セルロース繊維およびセルロースを含む繊維、綿または羊毛繊維等の天然繊維、および、例えば、ポリエステル、ポリアミド、またはアラミド繊維であって、マイクロ繊維、ナノ繊維、捲縮繊維、破砕または細断繊維、位相分離され、混合された繊維、例えば、前述の述べられたポリマーのいずれかを含む二成分繊維を含む、合成繊維、および前述のポリマーのいずれかから形成される熱硬化性材を含む。好適な付加的材料のさらなる実施例は、必要に応じて、さらに破砕または細断され、織布または不織布ファブリック、布地、または紙を含む、廃棄物材料、砂、砂利、圧潰された石、スラグ、再生コンクリートおよびジオシンセティックス集合体、および他の生物学的、有機、および鉱物廃棄物流およびその混合流である。好適な付加的材料のさらなる実施例は、鉱物、例えば、炭酸カルシウムおよびドロマイト、粘土、例えば、モンモリロナイト、海泡石、およびベントナイト、雲母、珪灰石、水苦土石/ハンタイト混合物、合成鉱物、シリカ集塊岩またはコロイド、水酸化アルミニウム、アルミナ-シリカ複合コロイドおよび微粒子、ハロイサイトナノチューブ、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、沈殿された炭酸カルシウム、および酸化アンチモンである。好適な付加的材料のさらなる実施例は、炭素質充填剤、例えば、黒鉛、グラフェン、グラフェン量子ドット、カーボンナノチューブ、およびC60バッキーボールを含む。好適な付加的材料のさらなる実施例は、熱伝導率充填剤、例えば、窒化ホウ素(BN)および表面処理されたBNを含む。
【0115】
実施形態では、1つ以上の付加的材料が、熱可塑性ポリマーおよび物理発泡剤源とともに、熱可塑性ポリマーの質量の約0.1%~50%、例えば、融解混合装置に追加される熱可塑性ポリマーの質量の0.1%~45%、0.1%~40%、0.1%~35%、0.1%~30%、0.1%~25%、0.1%~20%、0.1%~15%、0.1%~10%、0.1%~9%、0.1%~8%、0.1%~7%、0.1%~6%、0.1%~5%、0.1%~4%、0.1%~3%、0.1%~2%、0.1%~1%、1%~50%、2%~50%、3%~50%、4%~50%、5%~50%、6%~50%、7%~50%、8%~50%、9%~50%、10%~50%、11%~50%、12%~50%、13%~50%、14%~50%、15%~50%、20%~50%、25%~50%、30%~50%、35%~50%、40%~50%、45%~50%、0.1%~2%、2%~5%、5%~10%、10%~15%、15%~20%、20%~25%、25%~30%、30%~35%、35%~40%、40%~45%、または45%~50%の量において、融解混合装置に含まれ、または追加され、ショットを形成する。
【0116】
故に、押出機ではない、融解混合装置において、以下の方法が、下記の節に説明される有意な技術的利点を保有する、溶融ポリマー発泡体をもたらすであろうことが、当業者によって理解されるであろう。溶融ポリマー発泡体を形成および収集する方法は、以下、すなわち、熱可塑性ポリマーおよび物理発泡剤源を加熱および混合し、溶融空気圧混合物を形成するステップであって、溶融空気圧混合物の温度は、物理発泡剤源の臨界温度を超え、溶融空気圧混合物に印加される圧力は、泡沫の形成を実質的に防止するために十分である、ステップと、溶融空気圧混合物の選択された量を集領域内に収集するステップと、溶融空気圧混合物に近接して、収集領域内で、圧力降下をもたらす、膨張体積を画定するステップと、ある膨張時間周期にわたって、膨張体積を維持するステップと、溶融ポリマー発泡体を収集領域から収集するステップとを含む。実施形態では、溶融空気圧混合物は、膨張周期の間、中断されないまたは実質的に中断されない。
【0117】
いくつかの実施形態では、溶融ポリマー発泡体を収集するステップは、溶融ポリマー発泡体を金型によって画定された空洞に印加するステップと、溶融ポリマー発泡体を熱可塑性ポリマーの融解温度を下回って冷却し、ポリマー発泡体物品を取得するステップとを含む。溶融ポリマー発泡体が金型の空洞に印加される、実施形態では、冷却されたポリマー発泡体物品は、金型の形状および寸法を取得し、さらに、ポリマー発泡体は、物品の全体を通して分散された泡沫を有する、連続的ポリマーマトリクスとして特性評価される。実施形態では、溶融ポリマー発泡体は、重力によって、溶融ポリマー発泡体が金型空洞に流動および進入することを可能にすることによって、金型空洞に印加され、いくつかのそのような実施形態では、流動は、中断されず、開放空洞の中に落下することを可能にされる。他の実施形態では、溶融ポリマー発泡体は、加圧された流動下で形成要素に印加される。実施形態では、溶融ポリマー発泡体は、ノズルまたは融解混合装置の収集領域からの溶融ポリマー発泡体の送達の他の手段からそこへの流体接続によって、金型空洞に送達される。
【0118】
例えば、実施形態では、押出機は、溶融混合物を、出口から、空洞をその中に画定し、溶融空気圧混合物等の溶融ポリマー混合物を受容するように設計および適合される、金型である、形成要素の中に分注するように適合および設計される。実施形態では、形成要素は、出口から分注される溶融熱可塑性ポリマーを受容するように構成および適合される、金型であって、さらに、金型は、概して、所望の物品の選択された形状および寸法を有する、空隙または空洞を画定するものとして特性評価される。
【0119】
実施形態では、押出機から分注するステップは、機械的押込によって、ガス状圧力を押出機のバレル内から印加することによって、またはそれらの組み合わせによって、遂行される。他の実施形態では、収集領域への出口、弁、ゲート、ノズル、またはドアが、膨張周期が過渡した後、単に、開放され、溶融ポリマー発泡体は、出口を通して、中断されずに流動することを可能にされ、溶融流動は、次いで、冷却または他の処理装置に指向される、または溶融流動は、形成要素の中に傾注されることを可能にされる。他の実施形態では、形成要素は、出口に流動的に接続され、さらに、溶融混合物が、冷却および固化されると、選択された形状を取得するように、溶融混合物で充填されるように設計および適合される。いくつかの実施形態では、形成要素は、圧力が、収集領域、出口、および形成要素または金型間に維持されるように、押出機出口に流動的に接続される。ポリマー発泡体物品等のポリマー物品の射出成型と関連付けられる、任意の従来の熱可塑性材成型または形成プロセスが、好適には、本明細書に説明される溶融ポリマー発泡体を成型するために採用される。
【0120】
溶融ポリマー発泡体が、出口を通して中断されずに流動することを可能にされる、または流動のさらなる妨害を伴わずに、圧力下で出口から押し込まれる、実施形態では、溶融流動は、最終的に、溶融流動の方向と略垂直な表面等の表面上に衝突する。我々は、そのような状況下での流動が、次いで、Batty and Bridson, “Accurate Viscous Free Surfaces for Buckling, Coiling, and Rotating Liquids” Symposiumon Computer Animation, Dublin, July 2008によって報告されるように、連続的溶融流動の間、略円筒形(コイル状)および平面(折畳)パターンを取得することを観察している。実施形態では、溶融ポリマー発泡体は、融解混合装置の出口から、開放コンテナとして構成される、金型の中に、中断されずに、流動することを可能にされる、または「傾注」される。実施形態では、開放コンテナ金型は、溶融ポリマー発泡体で完全に充填され、他の実施形態では、開放コンテナ金型は、溶融ポリマー発泡体で部分的に充填される。
【0121】
上記に説明されるコイル状溶融流動に関連する、いくつかの実施形態では、実質的に剪断がない、溶融流動、または略線形溶融流動、または略線形であって、剪断がない、溶融流動が、押出機の出口と金型空洞内との間の流体接続によって提供される。いくつかのそのような実施形態では、溶融流動は、その垂直表面上への衝突によって、または金型空洞の略垂直壁または側を辿って流動し、金型空洞の底部に収集されることによってのいずれかにおいて、コイル状溶融流動を取得してもよい。1つのそのような実施形態の略図は、図41に示され、これは、図1A-1Bの押出機の変形例を示し、装置20の金型26は、略水平表面100上に据え付けられる。図1A-1Bに示されるような要素を参照すると、閉止弁37がバレル21の遠位端21bに存在せず、代わりに、図41では、収集領域40は、金型26内に画定された金型空洞39に近接して据え付けられる、金型弁137まで延在する。したがって、金型弁137は、収集領域40を画定する、または溶融ポリマー発泡体を略線形水平流動110を介して金型空洞39に分注するための出口を提供するように動作可能である。金型弁137は、水平表面100の上方の高さH、すなわち、水平表面100上に据え付けられるような金型26の床または底部120の上方の高さH2に据え付けられる。図41を参照すると、金型弁137は、選択的に開放され、収集領域40と金型空洞39との間の流体接続を提供する。したがって、金型弁137は、選択的に開放され、金型空洞39に進入する溶融ポリマー発泡体の略線形水平流動110を提供する。金型空洞39に進入することに応じて、線形流動は、距離H2にわたって、下向きに流動し、いくつかの実施形態では、金型空洞39を充填するように進むにつれて、コイル状溶融流動を取得する。本明細書に説明されるようなコイル状溶融流動を提供するための方法および装置の他の関連変形例も、検討される。
【0122】
実施形態では、ポリマー発泡体物品を冷却し、図41に示されるように、据え付けられる開放コンテナまたは金型から除去することに応じて、コイル状および折畳流動パターンが、物品の表面において可視となる。そのような可視流動パターンの実施例は、例えば、図2-2および2-4に見られ得る。コイル状および折畳流動を使用して形成される、ポリマー発泡体物品の内部の極低温破砕および顕微鏡点検に応じて、物品の内部は、流動パターン、界面、またはコイルおよび折畳の他の証拠がない、または実質的にない。例えば、そのようなポリマー発泡体物品の極低温破砕は、コイルと折畳との間の任意の判別可能界面において破砕をもたらさず、そのようなポリマー発泡体物品の内部の巨視的および微視的両方の点検は、流動パターンに対して均質外観を取得する。そのようなポリマー発泡体物品の物理的性質は、融解混合装置の出口と金型との間の流体接続を介して、溶融ポリマー発泡体を指向される流体流動に曝す、または溶融ポリマー発泡体を加圧され指向される流体流動に曝すことによって取得される、物理的性質と一貫する。
【0123】
いくつかの実施形態では、本明細書における方法は、前述の説明される方法に従って形成される金型を溶融ポリマー発泡体で実質的に充填し、次いで、溶融ポリマー発泡体を冷却し、固化されたポリマー発泡体を形成するステップと、実施形態では、固化されたポリマー発泡体物品を金型からさらに除去するステップとを含む。実施形態では、冷却するステップは、熱可塑性ポリマーの融解遷移温度を下回る温度まで冷却するステップである。実施形態では、冷却するステップは、周囲環境の周囲温度と平衡する温度まで冷却するステップである。いくつかの実施形態では、金型はさらに、それを溶融ポリマー発泡体で充填する間、金型内の圧力等化のための1つ以上の通気口を含むが、他の実施形態では、通気口は、存在しない。冷却後、ポリマー発泡体物品は、さらなる修正または使用のために、金型から除去されてもよい。
【0124】
前述の説明のいずれかに従うと、表1は、示されるように、1つ以上の代表的熱可塑性ポリマーおよびクエン酸ベースの物理発泡剤源をさらに採用することによって、従来のシングルスクリュ押出機タイプ反応射出成型装置を使用して、溶融ポリマー発泡体を作製するために採用される処理条件の有用であるが、非限定的実施例を提供する。
【0125】
表1.溶融ポリマー発泡体を作製および成型するために有用な代表的熱可塑性ポリマーおよび条件。
【表1】
【0126】
実施形態では、本明細書に開示される方法および材料を使用して作製される、ポリマー発泡体物品を形成するために有用に採用される金型の寸法は、溶融ポリマー発泡体の単一ショットによって充填され得る、空洞、または溶融ポリマー発泡体の単一ショットによって充填され得る、一連の空洞を画定する、金型を含む。したがって、金型空洞のサイズは、ユーザによって採用される融解混合装置内に構築され得る、ショットのサイズによってのみ限定される。最大1×10cmの体積を有する、代表的金型空洞が、大型部品、例えば、自動車の車室内または外部部品、I型梁構造部品、およびポリマー発泡体を好適に採用する他の大型プラスチックアイテムを作製するために有用である。さらに、金型空洞の形状は、特に、限定されず、全体的形状およびさらに表面パターンおよび特徴の観点から、複雑化されてもよく、例えば、ダンベル、食器、隆起した地理的特徴を伴う装飾用地球儀、人間または動物または昆虫形状、例えば、電子物品、器具、自動車、および同等物を枠組に嵌める、または包むための枠組または包装形状、ねじ、ボルト、および他の非熱可塑性アイテムをポリマー発泡体物品の中に、またはそれを通して後に配置および嵌合するための形状、および同等物として認識可能な形状は全て、本明細書に説明されるようなポリマー発泡体物品を成型するために好適な金型形状である。いくつかの実施形態では、空洞は、空洞の1つ以上の領域に関して最大300%の厚さ勾配を含む。
【0127】
前述の説明のいずれかに従うと、表2は、金加圧された流動によって、または金型の中への溶融ポリマー発泡体の中断されない流動によってのいずれかにおいて、溶融ポリマー発泡体を成型するために有用な金型空洞体積および金型の寸法の有用であるが、非限定的実施例を提供する。加えて、最大100,000cmまたはより大きいもの等のより大きい金型体積も、ショット質量が好適に増加される場合、有用である。
【0128】
表2.溶融ポリマー発泡体を成型するために有用な代表的金型空洞体積および寸法。
【表2-1】
【表2-2】
【0129】
上記に説明される任意の方法、プロセス、使用、機械、装置、またはその個々の特徴は、ユニークかつ驚くべき特性を有する、ポリマー発泡体およびポリマー発泡体物品を形成するために、相互に自由に組み合わせ可能である。したがって、実施形態では、ポリマー発泡体物品は、前述の説明される方法、材料、および装置を使用して形成される。ポリマー発泡体物品は、任意の部品において、かつ上記に説明されるような溶融ポリマー発泡体を形成するための任意の様式において、組み合わせ可能である、上記に開示される方法および材料およびその変形例のいずれかに従って、溶融ポリマー発泡体を形成または成型することによって作製される、離散モノリシック物体である。
【0130】
故に、前述の議論における方法、材料、および装置を指すために使用される専門用語は、下記では、前述の議論において包含される1つ以上の方法、材料、および装置を使用して作製される、物品を指すために使用される。
【0131】
実施形態では、前述の方法の任意の組み合わせは、複数の泡沫を画定する、連続的熱可塑性ポリマーマトリクスを備える、それから本質的に成る、またはそれから成る、ポリマー発泡体物品の形成をもたらす。連続的熱可塑性ポリマーマトリクスは、固体熱可塑性ポリマーを備える、それから成る、またはそれから本質的に成る、すなわち、熱可塑性ポリマーは、その融解遷移温度を下回る温度で存在する。実施形態では、連続的熱可塑性ポリマーマトリクスはさらに、固体熱可塑性ポリマー中に分散される、1つ以上の付加的材料を含む。
【0132】
ポリマー発泡体物品は、熱可塑性ポリマーおよびポリマー発泡体を形成するために追加される任意の他の材料の密度に基づいて、ショットに追加される物理発泡剤源の量に基づいて選択されたパーセントの密度低減を取得する。実施形態では、30%、40%、50%、60%、70%の密度低減、およびさらに最大80%~85%の密度低減が、ユーザによって選択される。実施形態では、最大85%の密度低減が、ポリマーマトリクス内に断続的に分散される泡沫の存在のみによって達成される。実施形態では、ポリマー発泡体物品は、本明細書に説明される方法および装置を使用してポリマー発泡体物品を形成することに先立って、ショットに追加される、ポリマーまたはガラス泡等の中空微粒子を除外する。
【0133】
さらに、低減された密度と併せて、上記に述べられるように、本明細書のポリマー発泡体物品は、その全体を通して、または実質的にその全体を通して、連続的熱可塑性ポリマーマトリクスを有するものとして特性評価される。我々は、大型ポリマー発泡体物品が、複数の泡沫を画定する、連続的ポリマーマトリクスを含むように、本明細書に開示される溶融ポリマー発泡体から好適に形成され得ることを見出している。「大型」物品は、1,000cm以上、例えば、2,000cm以上、3,000cm以上、4,000cm以上、または5,000cm以上、または1,000cm~5,000cmの任意の体積、最大10,000cm、最大20,000cm、最大50,000cm、またはさらに最大100,000cm、またはそれを上回る体積を含む、体積を有するものである。したがって、大型ポリマー発泡体物品は、好適には、その全体を通して、複数の泡沫を画定する、連続的ポリマーマトリクスを含むように形成され得る。物品の体積は、金型空洞のサイズと、融解混合装置内に収集され得る、ショットのサイズとによってのみ限定される。実施形態では、大型物品は、融解混合装置の単一出口から、すなわち、溶融ポリマー発泡体流動の複数の同時分布パイプ、ノズル、または複数の溶融流を同時に単一金型空洞の中に指向する他の方法への分裂を伴わずに、分注される、単一ショットから形成される。
【0134】
加えて、我々は、厚いポリマー発泡体物品が、複数の泡沫を画定する、連続的ポリマーマトリクスを含むように、好適に形成され得ることを見出している。厚さは、本明細書で使用されるように、その表面上の任意の2つの点間のポリマー発泡体物品の内部を通した直線距離を指す。「厚い」物品は、2cm以上、例えば、3cm、4cm、5cm、6cm、7cm、8cm、9cm、10cm、15cm、20cm、25cm、30cm、35cm、40cm、45cm、またはさらに50cmまたはそれを上回る厚さを有するものとして定義される。いくつかの実施形態では、大型であることと、かつ厚さがあることとの両方であるものとして特性評価される、ポリマー発泡体物品は、本明細書に説明される方法および材料を使用して形成され、さらに、大型で厚いポリマー発泡体物品は、それにもかかわらず、物品全体を通して、複数の泡沫を画定する、連続的ポリマーマトリクスを有するものとして特性評価される。実施形態では、大型の厚い物品は、融解混合装置の単一出口から、すなわち、溶融ポリマー発泡体流動の複数の同時分布パイプ、ノズル、または複数の溶融流を同時に単一金型空洞の中に指向する他の方法への分裂を伴わずに、分注される、単一ショットから形成される。
【0135】
大型、厚い、または大型で厚いポリマー発泡体物品の製造は、そのような寸法を有する空洞の中に分注された後の溶融発泡体の冷却勾配に起因して、業界において問題となる。そのような物品の内部は、非常にゆっくりと冷却する傾向にあり、金型空洞内に配置される熱可塑性ポリマーの一部は、その融解温度を上回ったままであって、熱可塑性材が固体化する(その融解遷移温度を下回る温度に到達する)前に、泡沫の有意な合体が生じることを可能にし得る。際立って対照的に、我々は、大型の物品、厚い物品、および大型で厚い物品は、本明細書に開示される方法、材料、および装置を使用して、好適に形成され、さらに、形成されたポリマー発泡体物品が、物品全体を通して分散された泡沫を有する、連続的ポリマーマトリクスによって特性評価されることを見出している。より大きい物品の内部をより低速で冷却することは、冷却の間、泡沫合体の証拠を殆どまたは全く示さない。泡沫は、溶融ポリマー発泡体の冷却の間、無傷または実質的に無傷のままであって、冷却の間、合体せず、形成されるポリマー発泡体物品のサイズ、厚さ、または体積にかかわらず、連続的ポリマーマトリクスをもたらす。
【0136】
本明細書に説明されるポリマー発泡体物品の本特徴は、驚くべきことであって、予想外であって、先行技術の方法は、冷却の間、泡沫合体を受ける傾向にある、発泡体をもたらす。故に、金型の内部容積内に据え付けられる、従来の技術の溶融ポリマー発泡体は、泡沫が、完全に合体することが可能であるほどゆっくりと冷却し得、その結果、従来のポリマー発泡方法を使用して形成される大型または厚い物品の内部は、非常に大きな間隙またはさらに完全に圧潰された構造をその内部に取得し得る。際立って対照的に、本方法に従って形成される溶融ポリマー発泡体は、溶融ポリマー発泡体の冷却の間、連続的ポリマーマトリクスの実質的泡沫合体または圧潰を受けない。故に、全体を通して連続的ポリマーマトリクスを伴う、大型および厚いポリマー発泡体物品は、本明細書に説明される方法、材料、および装置を使用して達成される。
【0137】
前述の方法、装置、および材料に従う、ポリマー発泡物品の構造的特徴としての連続的ポリマーマトリクスは、その表面領域を含む、ポリマー発泡物品の全体を通して存在するものとして特性評価される。表面領域は、好適には、表面から500ミクロンまたはそれ未満のポリマー発泡体物品の内部面積として特性評価され得る。本明細書に定義されるような表面領域は、従来の方法を使用して作製されるポリマー発泡体物品内における、泡沫がない、または泡沫が実質的にない領域である、従来、「スキン層」と称される、発泡物品の面積の一部である。従来形成される発泡体物品は、少なくとも、表面領域と同じ厚さ、すなわち、500ミクロン厚である、スキン層を含むが、多くの場合、スキン層は、はるかに厚く、物品の表面から1mm、1.5mm、2mm、2.5mm、さらに3mm程度離れて進み得る。しかしながら、本開示の方法を使用して形成されるポリマー発泡体物品は、その表面から、その厚さおよび体積全体を通して、真の発泡体構造を取得する。実施形態では、顕微鏡点検が、本明細書に開示される条件、プロセス、および材料を使用して形成される、ポリマー発泡体物品の表面上の泡沫の証拠を明らかにする。故に、本明細書に開示される方法は、任意の方向に、かつ非常に大型および/または厚いポリマー発泡体物品の内部内、およびまた、物品の表面および表面領域内を含む、その領域の全てにおいて、ポリマー発泡体物品の全体を通したポリマーマトリクス構造の連続的性質の観点から、予期しない結果を取得する。
【0138】
下記の実施例は、本明細書に開示される方法を使用して作製され、本連続的発泡体構造を呈する、複数のポリマー発泡体物品の表面領域の分析を含む。巨視的に、本明細書に開示される方法を使用して作製されるポリマー発泡体物品は、スキン層を有するように現れ得る、すなわち、物品の表面領域は、物品の内部領域と異なるように現れ得る。しかしながら、我々は、泡沫の不在によって特性評価されるスキン層と際立って対照的に、本方法によって作製されるポリマー発泡体物品の表面領域が、複数の圧縮された泡沫を含むことを見出している。巨視的に、圧縮された泡沫は、スキン層を示唆する、外観を生成する。しかしながら、顕微鏡点検は、視覚的に明白な差異が物品の表面の近傍の連続的ポリマーマトリクスの「平坦化」または圧縮された配置から生じることを明らかにする。
【0139】
したがって、例えば、図17および図18に見られるように、本明細書に開示される条件、プロセス、および材料を採用することによって形成される、ポリマー発泡体物品の表面に向かって移動する、球状から圧縮された泡沫への漸次的遷移が存在する。したがって、実施形態では、本明細書に開示される方法を使用して作製されるポリマー発泡物品の表面領域は、複数の圧縮された泡沫を含む。実施形態では、圧縮された泡沫は、本明細書に開示される方法を使用して作製される、ポリマー発泡体物品の表面領域内に存在する。いくつかのそのような実施形態では、圧縮された泡沫は、表面から500ミクロンまたはそれ未満にある、ポリマー発泡体物品の内部面積内に存在する。いくつかのそのような実施形態では、圧縮された泡沫は、表面から2cm程度離れたポリマー発泡体物品の内部面積内に存在する。圧縮された泡沫は、1未満の真円度を有する、泡沫として定義され、ゼロの真円度値は、完全に非球状泡沫を表し、1の値は、完璧に球状泡沫を表す。実施形態では、0.9未満の真円度を有する、泡沫が、発泡ポリマー物品の表面領域内に観察され、さらに、表面領域内の泡沫の10%~90%、または10%~80%、または10%~70%、または10%~60%、または10%~50%、または10%~40%、または10%~30%、または10%~20%、または20%~80%、または20%~70%、または20%~60%、または20%~50%、または20%~40%、または20%~30%、または30%~70%、または30%~60%、または30%~50%、または30%~40%が、0.9またはそれ未満の真円度を有する。実施形態では、発泡ポリマー物品の表面領域内の平均真円度は、0.70~0.95、例えば、0.75~0.95、または0.80~0.95、または0.85~0.95、または0.90~0.95、または0.70~0.90、または0.70~0.85、または0.70~0.80、または0.70~0.75、または0.70~0.75、または0.75~0.80、または0.80~0.85、または0.85~0.90、または0.90~0.95である。
【0140】
実施形態では、圧縮された泡沫は、その表面から500ミクロンを上回る、ポリマー発泡体物品内に存在する。例えば、実施形態では、圧縮された泡沫は、ポリマー発泡体物品の表面から最大1mm、またはその表面から最大2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、1cm、またはそれを上回って存在する。いくつかの実施形態では、ポリマー発泡体物品内の圧縮された泡沫の領域は、物品の総体積の0.01%~70%、例えば、物品の総体積の0.1%~70%、または0.5%~70%、または1%~70%、または2%~70%、または3%~70%、または4%~70%、または5%~70%、または6%~70%、または7%~70%、または8%~70%、または9%~70%、または10%~70%、または15%~70%、または20%~70%、または30%~70%、または40%~70%、または50%~70%、または60%~70%、または0.01%~60%、または0.01%~60%、または0.01%~50%、または0.01%~40%、または0.01%~30%、または0.01%~20%、または0.01%~10%、または0.01%~9%、または0.01%~8%、または0.01%~7%、または0.01%~6%、または0.01%~5%、または0.01%~4%、または0.01%~3%、または0.01%~2%、または0.01%~1%、または0.01%~0.1%に対応する。
【0141】
図12および14は、本開示の方法を使用して作製される2つのポリマー発泡体物品に関する平均泡沫サイズおよび平均泡沫計数対平均泡沫真円度のプロットを示す。泡沫サイズおよび分布の定量的分析は、平均泡沫サイズと泡沫真円度との間の逆関係と、平均泡沫サイズと泡沫の数との間の逆関係とを明らかにする。
【0142】
図18は、加えて、泡沫が、本明細書に説明されるような方法、材料、および装置を使用して形成される、ポリマー発泡体物品の表面に存在することの視覚的証拠を示す。図18は、加えて、複数の圧縮された泡沫が、本明細書に説明されるような方法、材料、および装置を使用して形成される、ポリマー発泡体物品の表面から実質的に500ミクロンに存在することの視覚的証拠を示す。本意味において、本開示のポリマー発泡体物品は、先行技術の発泡体物品との有意な差異を取得する。「スキン層」、すなわち、従来のプロセスによって作製される発泡体物品の厚さの最初の500ミクロンは、泡沫を含まない、または泡沫を実質的に含まないが、概して、泡沫が、それらが位置する場所にかかわらず、球状であることが、先行技術発泡体物品の特徴である。したがって、泡沫が観察される、従来の発泡体物品内の厚さでは、それらは、概して、球状、ほぼまたは約1の真円度を有する。圧縮された泡沫は、発泡物品を作製するための従来の方法論を使用して形成されず、したがって、泡沫真円度の分布は、そのような従来の発泡体物品では観察されない。さらに、泡沫は、従来のプロセスによって作製される発泡体物品の最初の500ミクロン厚さ内にさえ形成されない、したがって、泡沫に関する比較は、本明細書に説明されるような発泡ポリマー物品および従来の射出成型方法を使用して作製される発泡物品の表面領域に関して描かれない。
【0143】
さらに、本明細書に開示される条件、プロセス、および材料は、好適には、標的化された最終使用または用途に応じて、異なる物理的性質を有する、ポリマー発泡体物品を形成するように最適化される。例えば、ポリマー発泡体物品の密度は、好適には、膨張体積の関数として変動される。膨張体積を降下させることによって、結果として生じるポリマー発泡体物品の密度は、例えば、図5に示されるように、略線形方式において減少される。また、図5から分かるように、膨張時間周期を増加させることは、より密度の高いポリマー発泡体物品を形成させる。全て本明細書に開示される条件、方法、および材料の範囲内である、そのような条件および他の変数は、好適には、結果として生じるポリマー発泡体物品の物理的性質を変動させるために使用される。
【0144】
本明細書に開示される条件、プロセス、および材料の1つの変形例では、溶融ポリマー発泡体は、好適には、溶融ポリマー発泡体の流動を、複数のポリマー発泡体物品を単一ショットから形成するための複数の金型または金型区分に向かう、2、3、4、またはより多くの経路に分裂させることによって分注される。本明細書に開示される条件、プロセス、および材料の別の変形例では、2つのショットが、単一金型を充填するために使用され、第1のショットは、熱可塑性ポリマー含有量または混合されたポリマーの比率、物理発泡剤源、随意に含まれる1つ以上の付加的材料、密度、空隙率、圧縮された泡沫の領域の深度、またはある他の材料または物理的性質差異の観点から、第2のショットと異なる。
【0145】
本明細書に開示される条件、プロセス、および材料の別の変形例では、本明細書に開示される方法を使用して作製されるポリマー発泡体物品は、ASTM D6117に従って、締結具引抜試験に曝された。ポリマー発泡体物品は、従来の発泡方法を使用して作製される発泡体物品より優れた引抜強度を取得する。さらに、本明細書に開示される材料、方法、および装置を使用して形成される、ポリマー発泡体物品は、締結具場所の事前穿孔、タッピング、またはエンジニアリングを要求しない。
【0146】
本明細書に開示される条件、プロセス、および材料のさらに別の変形例では、本明細書に開示される方法を使用して作製される、ポリマー発泡体物品は、衝撃試験に曝された。National Institute of Justice(NIJ) “Ballistic Resistance of Body Armor NIJ Standard-0101.06”の指針を使用して、一連の3インチ厚ポリマー発泡体物品が、クエン酸ベースの物理発泡剤源を使用して、ポリエーテル-アミドブロックコポリマー(PEBAX(登録商標))、線形低密度ポリエチレン(LLDPE)、およびポリプロピレンから形成された。これらの熱可塑性ポリマーの全3つを使用して作製される、ポリマー発泡体物品は、22口径LR拳銃銃弾を停止させ、NIJレベルIに合格したことが見出され、9mmLUGER(登録商標)拳銃銃弾を停止させ、NIJレベルIIおよびIIAに合格したことが見出された。
【実施例
【0147】
実験節
【0148】
以下の実施例は、本発明をさらに例証するように意図され、本発明の範囲を任意の様式において限定することを意図するものではない。実施例1および11は、Engel Duo 550 Ton射出成型機械(Engel Machinery Inc.(York, PA, USA))から入手可能)上で行われた。実施例2-4は、Van Dorn300射出成型機械(Van Dorn Demag(Strongsville, Ohio, USA)から入手可能)上で行われた。別様に示されない限り、残りの実施例は、Engel Victory 340 Ton射出成型機械(Engel Machinery Inc.(York, PA, USA)から入手可能)上で行われた。
【0149】
本明細書の実施例では、「cc」は、「立方センチメートル」(cm)を意味し、「sec」は、「秒」を意味する。
標準的発泡体成型およびMFIM
【0150】
本明細書の実施例では、本明細書では「標準的発泡体成型」および「溶融発泡体注入成型」(「MFIM」)と称される、2つの直接注入膨張発泡体成型技法が、採用された。
【0151】
標準的発泡体成型では、以下の一般的手順が、使用された。A)混合物が、ポリマー(ペレット、粉末、ビーズ、顆粒、および同等物の形態であってもよい)と発泡剤(膨張剤)および充填剤等の任意の他の追加剤を混成することによって調製された。混合物は、注入ユニットに導入され、回転注入ユニットスクリュが、混合物を注入ユニットバレル内で前方に移動させ、したがって、通常射出成型プロセスに従って、加熱された流体材料を形成した。B)材料の設定された体積が、スクリュの回転によって、注入ユニットのバレルの正面に投与され、したがって、設定された体積を給送ゾーンからスクリュの正面に移動させた。本給送ステップの間、スクリュは、回転され、融解された混合物をスクリュとノズルとの間のバレル内の空間の中に前方に平行移動させ、それによって、設定された体積を提供した。C)融解された混合物は、スクリュの前方平行移動および/またはスクリュの回転によって、金型空洞の中に注入された。
【0152】
溶融発泡体注入成型(MFIM)プロセスでは、以下の一般的手順が、使用された。A)混合物が、ポリマー(プラスチック粒子、ペレット、粉末、ビーズ、顆粒、および同等物の形態であってもよい)と化学発泡剤および充填剤等の任意の他の追加剤を混成することによって調製された。混合物が、注入ユニットに導入され、回転注入ユニットスクリュが、材料を注入ユニットバレル内の前方に移動させ、したがって、通常射出成型プロセスに従って、加熱された流体材料を形成した。B)材料の設定された体積が、スクリュの回転によって、注入ユニットのバレルの正面に投与され、したがって、設定された体積を給送ゾーンからスクリュの正面に移動させた。本給送ステップの間、スクリュは、回転され、材料をスクリュとノズルとの間で移動させ、それによって、設定された体積を提供した。C)いったん材料が、スクリュの正面に移動されると、本明細書では「減圧」と称される、ステップにおいて、スクリュが、材料のより多くのものがスクリュの正面に移動することを回避するように、回転せずに、または実質的に回転せずに、ノズルから離れるように後方に移動された。
【0153】
スクリュとノズルとの間の混合物がない空間が、バレル内に生成され、意図的空間は、本明細書では「減圧体積」と称される、体積を有する。D)材料は、本明細書では「減圧時間」と称される、時間周期にわたって、スクリュとノズルとの間のバレル内に置かれた。減圧時間の間、材料は、ステップ(C)において追加される空間によって生成された圧力降下に起因して、発泡した。E)溶融発泡体は、スクリュの前方平行移動および/またはスクリュの回転によって、金型空洞の中に注入された。
【0154】
(実施例1)
2つの部品が、Clariant AG(Muttenz, Switzerland)から入手可能な2%重量比Hydrocerol(登録商標)BIH70発泡剤と混成された低密度ポリエチレンの混成物を使用して、発泡成型された。成型は、Engel Duo 550 Ton射出成型機械(Engel Machinery Inc.(York, PA, USA)から入手可能)を使用して行われた。金型空洞は、直径6インチ(15.24cm)の(略)球状形状であった。第1の部品が、標準的発泡体成型プロセスを使用して成型され、第2の部品が、MFIMプロセスを使用して成型された。6インチ径球体空洞に給送する、低温スプルーおよびランナシステムを有する、アルミニウム金型が、両方の部品のために採用された。部品毎の融解送達システムは、処理条件の大部分において同一であった。対照として使用されるMFIMプロセスおよび標準的発泡体成型プロセスに関するプロセス設定は、表3に詳述される。各プロセスから、部品が、ほぼ同等質量から作製された。
【表3】
【0155】
第1および第2の部品は、写真撮影された。図2-1は、標準的発泡体成型プロセスを使用して成型された、第1の部品の写真画像である。画像に見られるように、標準的発泡体プロセスは、金型空洞を充填する、部品をもたらさず、部品は、金型の球状空洞の形状に合致しなかった。
【0156】
図2-2は、MFIMプロセスを使用して成型された、第2の部品の写真画像である。画像に見られるように、MFIMプロセスは、球状金型空洞を完全または実質的に充填する、部品をもたらし、部品は、金型の球状空洞の形状に合致または実質的に合致した。
【0157】
標準的発泡体成型プロセスを使用して成型された、第1の部品は、2つの部片に切断された。図2-3および2-5は、標準的発泡体成型プロセスに従って作製された、部品の部片のうちの1つの写真画像である。画像に見られるように、第1の部品は、大中空空洞を含有した。
【0158】
MFIMプロセスに従って成型された、第2の部品は、2つの部片に切断された。図2-4および2-6は、第2の部品の部片のうちの1つの写真画像である。画像に見られるように、第2の部品は、標準的発泡体プロセス部品の大中空空洞を欠いていた。MFIM部品は、全体を通して、セル構造を有した。
【0159】
(実施例2)
2つの部品が、発泡体射出成型によって形成され、部品Aは、標準的発泡体成型プロセスに従い、部品Bは、MFIMプロセスに従った。両方のプロセスにおいて、LDPE/タルクペレットが、発泡剤と乾燥混成され、成型機械の中への装填の間、混合された。
【0160】
部品Bに関して、低密度ポリエチレン(LDPE)、タルク、およびHydrocerol(登録商標) BIH70の混合物が、形成され、Van Dorn 300射出成型機械の中に給送され、ポリマーショットをバレルの内側に提供した。ショットがスクリュの正面に蓄積された後、スクリュは、MFIM方法に従って、回転せずに、注入ノズルから離れるように後方に平行移動され、空間をスクリュとノズルとの間に生成し、その空間は、減圧体積を有する。次いで、混合物は、金型の中への注入に先立って、空間の中に発泡した。
【0161】
同一手順が、部品Aのために使用されたが、ショットがスクリュの正面に蓄積された後、スクリュは、ノズルから離れるように後退されなかった、すなわち、減圧体積は、ゼロであった。ショットは、中実部品に対して10%重量低減の標的を伴う標準的発泡体成型条件下で金型空洞を充填するように計測された。
【0162】
下記の表4-7は、実施例2において使用されるポリマー、金型、機械、および処理設定を示す。
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【0163】
部品AおよびBはそれぞれ、半分に切断され、断面を明らかにする。図3Aおよび図3Bは、それぞれ、部品Aおよび部品Bの結果として生じる断面を示す。図3Aに示されるように、部品Aは、表面から約0.8インチ(20.3mm)延在する、厚い外側領域を有し、成型された部品の50%超が完全に中実であったことを示した。部品Aの密度は、0.84g/ccであった。
【0164】
図3Bは、表4および表5に示される設定を使用してMFIMプロセスに従って成型された、部品Bの断面を示す。図3Bに見られるように、部品Bは、セルサイズおよび形状の分布を含む、発泡体構造を有した。中実非発泡外側領域は、部品Bではほぼ不在であった。部品Bの密度は、0.35g/ccであった。
【0165】
球体空洞金型が、発泡体射出成型によって、さらなる2つの部品、すなわち、部品Cおよび部品Dを形成するために使用された。同一混合物組成のLDPE、タルク、Hydrocerol(登録商標) BIH70が、部品CおよびDを形成するために使用された。部品Cは、MFIMプロセスによって、部品Dは、標準的発泡体成型プロセスによって、作製された。両方のプロセスは、6インチ(15.24cm)径を有する、球状または略球状部品を生産した。部品CおよびDは、中央(最広部品)を通して、2つの部片に切断され、部品の断面を暴露させた。図4Aは、MFIMプロセスによって作製された部品C(471g、冷却時間160秒を要求した)の断面の写真画像である。図4Bは、標準的発泡プロセス標的を使用して成型された、部品D(1,360g、冷却時間800秒を要求した)の断面の写真画像である。
【0166】
類似結果が、ブロック金型と同様に取得された。MFIMプロセスに従って作製される、部品Cは、部品全体を通してセルを示した一方、標準的発泡体成型プロセスに従って作製される、部品Dは、セルがない、またはセルが実質的にない(「中実」)、部品の外面に隣接する領域を示した。部品Cは、部品Dより低密度であった。
【0167】
(実施例3)
実施例3では、ブロック部品は、種々の減圧体積(試作A)および種々の減圧体積および減圧時間(試作B)において、MFIMプロセスを使用して成型された。
【0168】
表8-10は、試作AおよびBのために使用される材料組成物、金型幾何学形状情報、および処理設定を示す。
【表8】
【表9】
【0169】
複合LDPE/タルクペレットが、成型直前に、発泡剤と混合された。
【0170】
試作A
【0171】
試作Aでは、全ての変数は、注入に先立ったバレル内のポリマーと減圧体積(空空間)の体積比率を除き、一定に保持された。試作Aのサンプル工程毎の設定は、表10に示される。
【表10】
【0172】
ポリマー空洞の中に注入される溶融発泡体の体積は、一定であったが、溶融発泡体の密度は、ポリマーショット/減圧体積比率の関数であった。ポリマーショット/減圧体積は、部品に表11に示されるような重量および密度を与えるように変動された。
【表11】
【0173】
表11における結果は、減圧体積の相当する増加に伴って、溶融発泡体ショット内のポリマーの質量および体積を減少させることによって、結果として生じる部品の密度が変動され得ることを示す。
【0174】
試作B
【0175】
試作Bでは、試作Aと同一条件下における5つの成型が、減圧時間20秒(試作Aと同一である)を用いて1回、70秒の減圧時間を用いて1回、および120秒の減圧時間を用いて1回と、3回、行われた。15の結果として生じる発泡体成型部品が、計量され、金型空洞の体積を使用して密度計算された。部品密度は、3つの減圧時間毎に、減圧体積の関数としてプロットされた。プロットは、図5に示される。図5に見られるように、部品密度は、減圧体積の関数として変動した。さらに、図5に示されるように、減圧時間が長くなるほど、部品の密度がより高くなる。
【0176】
(実施例4)
実施例4では、シリーズIおよびシリーズIIの2つの一連の試作が、MFIMプロセスを使用して実行された。シリーズIでは、一定注入速度が、使用されたが、金型閉鎖高さは、変動された。シリーズIIでは、金型閉鎖高さは、注入速度の増加に伴って増加された。シリーズIIでは、全ての条件は、注入速度(cc/秒)および金型閉鎖高さを除き、一定に保たれた。試作では、LDPE/タルクペレットが、発泡剤と乾燥混成され、成型機械の中への装填の間、混合された。
【0177】
下記の表12-13は、注入される混成物の材料組成と、試作のために使用される基本金型構成とを示す。
【表12】
【表13】
【0178】
シリーズI
【0179】
シリーズIでは、394立方センチメートル/秒の注入速度が、使用され、3つの試作が、実行され、試作Aは、1.02mmの金型閉鎖高さであって、部品Aを生産し、試作Bは、0.76mmの金型閉鎖高さであって、部品Bを生産し、試作Cは、0.51mmの金型閉鎖高さであって、部品Cを生産した。シリーズIの試作のための設定は、表14に示される。
【表14】
【0180】
各成型サイクル(試作A、試作B、および試作Cのそれぞれ)の間、歪みゲージ(Kistler Holding AG(Winterthur, Switzerland)から入手可能である、Kistler表面歪みセンサタイプ9232A)が、成型空洞の直上または内側に搭載された。歪みセンサは、成型サイクルの間、時間の関数としてアルミニウム空洞の歪みを測定する、2つの圧電センサを含有した。歪み測定は、溶融発泡体の注入および金型空洞内で生じた任意の後続の付加的発泡から結果として生じる、金型空洞の表面上に作用する力の間接測定値として使用された。空洞歪み測定は、図6に示され、試作Aに関しては、1.02mm間隙高さ(線A)であって、試作Bに関しては、0.76mm金型閉鎖高さ(線B)であって、試作Cに関しては、0.51mm金型閉鎖高さ(線C)である。図6では、歪み(ユニット長あたりのユニット延在)が、秒単位の時間に対してプロットされる。歪み曲線は、圧力が、試作Cにおいて、試作Bより高く、試作Bが、試作Aより高かったことを示す。
【0181】
図7は、部品A、B、およびCの側面図、上面図、斜視図、および底面図を示す、写真画像を含む。部品AおよびBは、部品が金型空洞形状に十分に合致しなかったため、圧潰の証拠を示した。部品Aは、部品Bより圧潰したことを示した。部品Cは、部品Cの縁が、より良好に画定され、部品Cが、金型空洞形状により良好に共形化し、部品の内部が、より均質に表れたという点で、部品AおよびBのいずれよりも完全に形成された。
【0182】
部品は、十分な圧力が、固化の間、空洞内の発泡体を安定化させるために供給されない場合、成型の間、空洞内で部分的に圧潰し得ると考えられた。故に、シリーズIIでは、金型は、成型の間、部品の圧潰を防止するために十分な圧力を維持するために、より低速の注入率において、より緊密に閉鎖された。
【0183】
シリーズII
【0184】
シリーズIIでは、金型半体間の間隙、すなわち、金型閉鎖高さが、注入率が減少されるにつれて、体系的に減少された。使用される成型条件は、シリーズIにおけるものと同一であったが、使用される注入率および金型閉鎖高さは、表15に示されるようなものであった。
【表15】
【0185】
4つの部品が、試作A’、B’、C’、およびD’において、それぞれ、部品A’、B’、C’、およびD’として生産された。
【0186】
部品A’、B’、C’、およびD’はそれぞれ、2つに切断され、断面が、写真撮影された。写真画像は、図8に示される。固化の前に圧潰しない、部品を生産するために、金型半体は、表15に示されるように、それらが実際にともに押圧される(負の寸法によって示されるように)まで、徐々に閉鎖される必要があった。
【0187】
部品A’、B’、C’、およびD’は、圧潰の証拠を示さず、良好に画定された縁および表面を有し、かなり均一に表れた。故に、部品は、注入の間、空洞内の圧力を制御することによって、例えば、金型閉鎖高さを変動させることによって、著しく異なる注入率を使用して、MFIMプロセスを使用して作製された。
【0188】
(実施例5)
実施例5では、実施例1-3と同一LDPE複合材料が、表16-18に示されるような成型パラメータを伴う、非標準的2つの空洞金型において使用された。
【表16】
【表17】
【表18】
【0189】
実施例5は、図9に示される部品51を生産した。注入の間、融解された溶融発泡体が、スプルー52を通して進入し、2つの別個のチャネルに分裂され、部品51を実質的に同時に充填する。故に、MFIMプロセスが、融解物を金型内の複数の経路の中に分裂させることによって、部品を形成するために使用され得る。
【0190】
(実施例6)
第1の部品が、15重量%タルク/85重量%ポリカーボネート複合材の調合を使用して成型され、射出成型機械の中への装填に先立って、3重量%Hydrocerol(登録商標)XH-901と混成された。第1の部品は、MFIMプロセスを使用して形成された。プロセス詳細は、表19および20内に提供される。部品は、524.4ccの金型空洞体積および17.4ccのスプルー体積を伴う、4×2×2ブロック金型(5.08×10.16×10.16cm)を使用して作製された。スプルーは、部品から切断され、部品は、次いで、X線断層撮影を受け、5.08×10.16×10.16cm幾何学形状内に形成されるセル構造を定量化した。
【表19】
【表20】
【0191】
X線断層撮影は、Zeiss Metrotom 800 130kV撮像システム(Carl Zeiss AG(Oberkochen, Germanyから入手可能)を使用して実施された。本器具は、構成要素幾何学形状および使用される材料の密度に起因して、X線放射線の減衰を測定した。カラムデータが、業界における標準的技法である、Feldkamp再構成アルゴリズムを使用して計算された。本器具は、本測定の条件下で3.5μmの究極分解能のために、1,536×1,920ピクセルの平坦パネル検出器を有していた。
【0192】
第1の部品の完全Zeiss3D断層撮影走査の等角画像が、図10に示され、中実ポリマー断片が、透明として示され、セルは、可視化のために陰影が付けられ、単一断面のための切断平面A-Aが、示される。図11は、X線データから選択された単一平面断面A-Aであって、閾値分析が、離散セル識別および後続定量的分析を可能にするために適用されている。
【0193】
セルの断面の真円度が、取得された。これらの断面の真円度は、セルの真球度の測定値として使用された。故に、真円度および真球度は、実施例において同義的に使用される。図12に示される定量的分析は、各セルの真円度の関数として計数および平均サイズの両方のセル分布を明らかにした。ゼロの真円度値は、完全非球状セルを表し、1の値は、完璧に球状セルを表す。データは、セルサイズおよび形状の分布を示した。最も変形されたセル(真円度スケール上での0.1~0.2によって示される)を除き、所与の真円度の平均セルサイズとセルの数との間には、逆関係が存在した。さらに、平均セルサイズとセルの数との間にも逆関係が存在する。
【0194】
MFIMプロセスを使用して、6インチ(15.24cm)の直径の第2の球状部品が、表21および表22に概略されるようなポリマー調合および処理パラメータを使用して、低密度ポリエチレン(LDPE)から成型された。LDPE/タルクペレットが、発泡剤Hydrocerol(登録商標) BIH70と乾燥混成され、成型機械の中への装填の間、混合された。
【表21】
【表22】
【0195】
図13は、球体の断面のX線断層撮影画像である。図13に見られるように、外側領域は、中心領域内により大きいセルを伴う、多数のより小さいセルサイズを含有した。
【0196】
図14は、平均セル真円度に対する平均セルサイズおよび平均セル計数のプロットを示し、平均セルサイズと真円度との間の逆関係と、平均セルサイズとセルの数との間の逆関係とを明らかにする。
【0197】
(実施例7)
MFIMプロセスが、3インチ(7.62cm)の直径を伴う、LDPE複合球体(92重量%ポリマー、5重量%タルク、および3重量%Hydrocerol(登録商標) BIH70)を成型するために使用され、結果として生じる発泡体セル構造は、図15-18に詳述される。成型条件は、表23内に提供される。部品は、カスタム設計された水冷却式アルミニウム金型内でEngel Victory 340 Ton射出成型押圧器上で成型された。金型空洞の体積は、15.38インチ(252cc)であって、ショットサイズは、5インチ(82cc)であって、バレル内の減圧体積は、5インチ(82cc)であった。減圧時間は、77秒であった。成型された部品重量は、80.31gであって、0.32g/ccの最終部品密度をもたらした。
【表23】
【0198】
金型からの除去後、部品は、24時間にわたって、周囲条件下で時効され、次いで、切れ目を入れられ、2分にわたって、液体窒素中に浸水された。液体窒素からの除去後、球体が、切れ目を入れられた表面線に沿って破砕され、破砕表面が、環境走査電子顕微鏡(ESEM)(FEI Quanta FEG650)を使用して撮像された。図15-18に示される画像は、大型電界検出器、すなわち、5.0kVおよび40Paの圧力を使用して、球体部品の破砕表面から撮影された種々の拡大率における顕微鏡写真である。
【0199】
図15における白色ボックスは、図16において詳述される面積を示す。図16における白色ボックスは、図17において詳述される面積を示す。
【0200】
図17では、画像の左のセルは、より大きく、比較的に球状である一方、写真の右側のそれらのセルは、それらが球体の表面に接近するにつれて、徐々に平坦化されて現れる。
【0201】
図18における画像は、図17における白色ボックスによって示される面積を詳述する。図18に見られるように、部品の表面に向かって移動する、球状から「平坦化」または圧縮されたセルへの漸次的遷移が存在する。
【0202】
(実施例8)
標準的発泡体成型条件下で製造される標準的厚さの部品間のベースライン差異を確立するために、標準的発泡体射出成型の最近公開された研究(Paultkiewicz et al, Cellular Polymers 39,3-30(2020))が、16工程統計分析設計実験(DOE)アプローチを使用して成型パラメータベースラインを確立するために使用された。材料(0重量%、10重量%、および20重量%のタルクと、0重量%、1重量%、および2重量%のHydrocerol(登録商標) BIH70(発泡剤)とを伴う、標準的成型グレードのポリプロピレン)が、ベースライン研究を近似的に模倣するために、刊行物内に概略される仕様に対して化合された。本研究は、射出成型された発泡体部品の選択された性質への発泡剤濃度、タルク含有量、およびプロセス条件の影響を調査するように設計された。4.1mmの厚さ、ゲージ長さにおける10mmの幅、および170mmの長さの空洞寸法を有する、標準的ISO引張試験片金型が、使用された。特殊な通気は、O試験片金型のために開発されなかった。射出成型機械、材料調合、およびプロセス窓が、Paultkiewicz et al.によって公開された結果を複製可能であることを確実にした後、第2の研究が、MFIMに特有のプロセス変数、具体的には、減圧体積および減圧時間を使用して実施された一方、圧力および保持時間(公開された研究内の重要な変数)はそれぞれ、ゼロkNおよびゼロ秒の一定値に設定された。
【0203】
成型は、水冷を装備する、Engel Victory 340 Ton機械を使用して完了された。使用された一定および可変プロセス条件は、「標準的」発泡体成型プロセスおよびMFIM成型プロセスの両方に関して、表24に示される。
【表24】
【0204】
設計された研究は、標準的成型およびMFIM成型研究毎に、処理条件/ポリマー調合の16の組み合わせ(16工程)を要求した。各工程の複数回の複製が、行われ、工程毎に、複製部品を生産した。表25は、標準的およびMFIM両方の設計工程における工程間の変形例を概略する。工程は、バイアスを回避するために、ランダム順序で行われた。ISO引張試験片に関するL/T比は、40.5である。
【表25-1】
【表25-2】
【0205】
2つの16工程DOE研究の32のユニークなプロセスの組み合わせを成型後、各一連の5つのサンプルが、引張強度に関して機械的に試験され、破砕表面が、破砕後に撮像された。標準的発泡体成型プロセスの工程10、11、14、および15からのISO試験片断面の代表的選択が、図19に示され、MFIMプロセスの工程9、10、15、および16からのISO試験片断面の代表的選択が、図20に示される。
【0206】
最近の文献から採用されるような標準的発泡体成型技法とMFIMプロセスとの間の差異は、断面画像を検査するときに明白である。標準的プロセス試験片内の構造は、全ての側にセルを欠いているポリマーの厚い領域が隣接する、比較的に少ないが、良好に画定された、球状セルから成る。標準的発泡体成型プロセスから取得される断面画像は、Paultkiewicz et al.による刊行物におけるものと良好に一致し、現在の業界標準を表す。対照的に、MFIM成型ISO試験片の典型的断面は、より非対称の変形されたセルを伴う、セル構造を表す。
【0207】
MFIM断面内のセルはまた、本明細書に説明される前の実施例と同様に、前述のものよりはるかに大きいL/T比(40.5)を伴うはるかに薄い部品であるにもかかわらず、ほぼ全ての場合において、表面に隣接する領域まで進む。結果は、MFIMにおける減圧ステップの採用が、保持圧力および時間の標準的発泡体成型プロセス変数を排除することと組み合わせて、成型された部品内に有意に異なるセル構造をもたらすことを明確に示す。
【0208】
MFIM工程9からの5つの複製部品の引張試験が、実行された。図21は、MFIM工程9から試験された5つの部品に関する代表的断面および一連の応力/歪みプロットを示す。
【0209】
標準的発泡体成型プロセスを使用して作製される、工程10からの5つの複製部品の引張試験が、実行された。図22は、標準的発泡体プロセス工程10から試験される5つの部品に関する代表的断面および一連の応力/歪みプロットを示す。
【0210】
MFIM工程9からの5つの部品の平均引張強度は、標準的発泡体成型プロセス工程10からの5つの部品の平均のもの未満であった。しかしながら、MFIM部品は、断絶においてより大きな歪み(伸長)を示した。
【0211】
工程10(19のセル)からの標準的発泡体成型プロセス部品においてよりも多くのセルが、工程9(102のセル)からのMFIM部品の断面において可視であった。
【0212】
X線断層撮影走査(実施例5に説明される条件下で完了された)が、標準的発泡体成型プロセスの工程15(図23に示される)からランダムに選択された複製部品に関して、かつMFIMプロセスの工程9(図24に示される)の間に生産されたランダムに選択された複製部品に関して完了された。図23および図24は両方とも、50%深度において撮影された「上面」図と、同様に50%深度において撮影された「側面」図とを示す。
【0213】
標準的発泡体成型プロセスISO試験片(図23)の発達されたセル構造では、セルは、円形形状であって、試験片の表面に隣接する領域は、セルを欠いていた。
【0214】
対照的に、図24に示されるように、MFIMプロセスを介して生産されるISO試験片は、多伸長セル集団数を含み、セルは、部品の表面に隣接する領域に見出される。
【0215】
(実施例9)
MFIM処理条件への最終セル構造の依存性を追求するために、LDPEの8つの引張試験片が、MFIMプロセスを使用して、Engel Victory 340 Ton射出成型機械上で成型された。金型は、24cmの長さと、2.54cmの厚さと、3.5cmの幅のフランジへとテーパ状になる、6cmのゲージ長および2.54cmのゲージ幅を伴う可変幅との寸法を有する、アルミニウム材料修正引張試験片空洞を含んだ。大型引張試験片は、1.0cmの直径のゲートを通して、低温スプルーおよびランナシステムから給送された。材料調合は、タルクの有無別のLDPEから成り、常時、2重量%発泡剤Clariant Hydrocerol(登録商標) BIH70を含有する。融解温度は、表26に詳述されるプロファイルに設定され、バレル内の滞留時間は、注入のためのショットを構築する前に、13分であった。ショットを構築する後、スクリュは、4.0立方インチ(66cc)または6.0立方インチ(98cc)のいずれかの減圧体積を与えるように後退され、LDPE発泡剤混合物は、15または45秒のいずれかにわたって、注入に先立って、空バレル空間の中に発泡することを可能にされた。本研究は、非充填LDPEおよび15%タルク充填LDPEの両方に関して完了された。詳細なプロセス条件は、表26に示される。
【表26】
【0216】
図25は、本研究からの部品のうちの1つのX線走査を示し、各部品の全体的形状を示す。
【0217】
図26は、示される可変パラメータを伴う、本研究において成型され、ゲージ長の中央から切断された、各試験片の断面を描写する。サンプルセットは、2つの一次群、すなわち、タルクを用いて作製されたサンプルと、タルクを用いずに作製されるサンプルとを含む。図26では、左側のサンプルセットは、タルクを用いずに作製されたそれらの部品を描写する。これらの部品は、部品のコア内により小さいセル構造を表し、発達されたセル構造の完全性は、主として、減圧比および減圧時間の変化によって影響されず、減圧比および時間が全て容認可能範囲内であったことを示す。
【0218】
右側のサンプルセットは、15重量%タルクを含有する、それらの試験片を描写する。部品表面上のある程度の不鮮明化が、低弾性率LDPE上のナイフ損傷から生じたが、部品品質を表すものではない。タルク部品内のセル構造は、一貫してより大きく、セルの真円度は、タルクのない均等物を若干下回った。
【0219】
X線断層撮影画像が、15%タルク、6インチ(98cc)減圧体積、および15秒減圧時間を用いて作製された、MFIM部品の主要な表面から約50%内部の断面から撮影された。画像は、図27に示される。
【0220】
(実施例10)
引張試験片部品が、実施例9に関して説明されるような処理パラメータを使用して、但し、MFIMプロセスの減圧ステップを伴わずに、15重量%タルクおよび2重量%Hydrocerol(登録商標) BIH70を装填されたLDPEから、標準的発泡体成型プロセスを使用して作製された。本標準的発泡体成型部品は、実施例9からの15%タルク、6インチ(98cc)減圧体積、および15秒減圧時間を用いて作製された、MFIM部品と比較された。実施例6に説明されるような方法を使用して、X線断層撮影画像が、主要な表面から種々の深度において、(MFIM成型および標準的発泡体成型)部品のそれぞれの中心部分から撮影された。断面画像はまた、記録された。画像は、図28に示される。
【0221】
セル計数、セル真円度、および平均セルサイズ(セルの最長寸法)のX線断層撮影分析が、主要な表面から各深度において、各引張試験片部品(MFIMおよび標準的プロセス材料)の画像上で実施された。セル計数、セル真円度、および平均セルサイズはそれぞれ、断面の深度に対してプロットされ、個別のプロットは、それぞれ、図29-31に示される。
【0222】
図29に示されるように、セル計数は、全ての深度において、MFIM成型部品より多い。実施例および図全体を通して分かるように、標準的発泡体成型プロセスを使用して成型された部品は、例えば、主要な表面から最初の約2.5mmの深度内の表面に隣接する領域または「スキン」内にセルを有していない、またはセルを実質的に有していないように現れる一方、セルは、表面の約2.5mm下方と表面との間の領域内のMFIMプロセスを使用して成型された部品に存在する。
【0223】
図30に示されるように、一般に、セル真円度は、MFIM部品の中央に向かって以外、MFIM形状の部品においてより標準的発泡体成型プロセスサンプルにおいて高く、真円度はまた、MFIM成型サンプルにおいて高い。
【0224】
図31に示されるように、セルサイズは、概して、標準的発泡体成型引張試験片部品に関してより大きかったが、外面に近接する領域内(例えば、表面の2.5mm以内)では、ゼロまで急降下した。対照的に、セルサイズは、MFIM成型部品の深度を通して、より均一であって、セルは、表面の右まで継続した。
【0225】
同一傾向は、図28に示される断面の視覚的検査によって認められた。任意の外面の2.5mm以内では、標準的発泡体成型部品は、セルを欠いているように現れる一方、セルは、MFIM部品では、外面まで可視である。
【0226】
(実施例11)
回収された海洋プラスチックの大型サンプルが、示差走査熱量測定を使用して分析され、約85重量%のHDPEから成り、残部は、ポリプロピレンおよび汚染物質を含むと推定された。
【0227】
4インチ×4インチ×2インチのブリックおよび15.24cm直径の球体の2つの部品が、MFIMプロセスを使用して、海洋プラスチックから正常に成型された。成型は、Engel Duo 550 Ton射出成型機械(Engel Machinery Inc.(York, PA, USA)から入手可能)を使用して行われた。両方の部品は、中心で開閉され、粘性コイル-折畳流動によって充填された。
【0228】
結果として生じる部品の処理パラメータおよび特性は、それぞれ、表27および表28に列挙される。
【表27】
【表28】
【0229】
(実施例12)
9インチ(22.86cm)の直径の球体である、「サンプル10」が、本明細書に説明されるMFIMプロセスを使用して成型された。さらに、9インチ(22.86cm)の直径の第2の球体である、「サンプル20」が、変形プロセスを使用して成型された。本明細書では「逆MFIM」プロセスと称される、変形プロセスは、以下の通りであった。
【0230】
A)混合物が、ポリマー(ペレット、粉末、ビーズ、顆粒、および同等物の形態であってもよい)と化学発泡剤および充填剤等の任意の他の追加剤を混成することによって調製された。混合物は、注入ユニットに導入され、回転注入ユニットスクリュが、材料を射出成型機械バレル内の前方に移動させ、したがって、通常射出成型プロセスに従って、加熱された流体材料を形成した。B)スクリュは、ホッパに向かって後方に移動され、意図的空間をバレル内のスクリュとノズルとの間に生成した。C)材料の設定された体積が、スクリュの回転によって、注入ユニットのバレルの正面に投与され、したがって、設定された体積を、給送ゾーンから、スクリュの正面に、かつステップBにおいて生成された意図的空間の中に移動させた。本給送ステップの間、スクリュは、回転され、融解された材料をスクリュとノズルとの間のバレル内の空間内に移動させ、それによって、設定された体積を提供した。しかしながら、設定された体積は、意図的空間の一部のみを占有し、それによって、ショットが発泡および膨張するための体積、すなわち、減圧体積を提供した。D)材料は、本明細書では「減圧時間」と称される、ある時間周期にわたって、スクリュとノズルとの間のバレル内に留まった。減圧時間の間、材料は、発泡に起因して膨張し、ステップ(B)において生成された空間を充填または部分的に充填した。E)溶融発泡体は、スクリュの前方平行移動および/またはスクリュの回転によって、金型空洞の中に注入された。
【0231】
したがって、通常および逆MFIMプロセスは、MFIMプロセスでは、スクリュが、後方に平行移動され、減圧空間を可能にする前に、スクリュが、回転され、ショットをバレルの正面に導入する一方、逆プロセスでは、スクリュが、回転され、材料のショットを意図的に生成された空間の中に導入する前に、スクリュが、後方に平行移動され、減圧空間を可能にするという点で、相互に異なった。
【0232】
サンプル10およびサンプル20は両方とも、2% Hydrocerol(登録商標) BIH70、2%タルク、および1%黄色着色剤を含有する、未使用LDPEから成型された。成型は、Engel Duo 550 Ton射出成型機械(Engel Machinery Inc.(York, PA, USA)から入手可能)上で実施された。金型は、低温ランナおよびスプルーによって給送される、アルミニウム金型内の球状空洞であった。
【0233】
処理パラメータは、表29に示される。
【表29-1】
【表29-2】
【0234】
サンプル10およびサンプル20の両方の部品の密度は、0.214g/ccであって、密度低減は、両場合において、77%であった。
【0235】
サンプル20の写真は、図32に示され、サンプル10の写真は、図33に示され、各球状部品は、スタンド上に搭載される。図から分かるように、「逆MFIMプロセス」を使用して作製される、サンプル20は、不均一表面を呈した一方、MFIMプロセスを使用して作製される、サンプル10の表面は、はるかに均一であった。平均皺深度が、光学顕微鏡検査およびX線断層撮影を使用して推定された。平均皺深度は、サンプル10に関しては、50ミクロン未満と測定されたが、サンプル20に関しては、565ミクロンであった。
【0236】
サンプル10およびサンプル20はそれぞれ、半分に切断され、最大直径における断面を提供した。4つの部片の断面が、写真撮影された。逆MFIM方法によって作製されたサンプル20の半分は、図34に示され、サンプル10の半分は、図35に示される。縁の精密検査が、サンプル10およびサンプル20では、標準的発泡体方法によって実施例のいずれかにおいて生産された部品と異なり、セルが、表面ぎりぎりまで、例えば、表面の2.5mm以内まで見出されたことを示した。
【0237】
X線断層撮影が、実施例6に説明される方法を使用して、サンプル10およびサンプル20のサンプルの最初のインチ深度上で実施され、セル計数およびセルサイズが、各サンプルの表面からの異なる距離に関して測定された。プロットは、図36および37に与えられ、「MFIM」は、サンプル10を指し、「逆MFIM」は、サンプル20を指す。
【0238】
2つのさらなる球体部品、すなわち、部品6および7が、サンプル10と同一条件下、同一ポリマー/タルク/着色剤/発泡剤混合物を用いて、すなわち、MFIM方法によって調製された。各約2インチ×2インチ×1インチの5つのキューボイド部品が、部品6および7のそれぞれから切断され、圧縮弾性率(応力対歪み)が、試験された。平均応力対平均歪み(MFIM方法)が、プロットされ、図38に示される。
【0239】
2つのさらなる球体部品、すなわち、部品22および24が、サンプル20と同一条件下、同一ポリマー/タルク/着色剤/発泡剤混合物を用いて、調製された。各約2インチ×2インチ×1インチ(約5.1cm×5.1cm×5.1cm)の5つのキューボイド部品が、部品22および24のそれぞれから切断され、圧縮弾性率(応力対歪み)が、試験された。平均応力対平均歪み(逆MFIM方法)が、プロットされ、また、図38に示される。図38に見られるように、MFIMプロセスによって作製された部品(部品6および7の平均)および逆MFIMプロセスによって作製された部品(部品22および24の平均)の圧縮弾性率は、類似する。
【0240】
5つの細片が、部品6および7(MFIM)および22および24(逆MFIM)のそれぞれから切断された。各細片は、約1インチ×1インチ×8インチであった。曲げ弾性率(応力対歪み)が、細片の全てに関して試験され、結果が、10のMFIM生産細片に関して平均され、結果が、10の逆MFIM細片に関して平均された。結果は、図39においてプロットされる。
【0241】
(実施例13)
表30に示されるような種々の形状および材料の部品が、本明細書に説明されるようなMFIM方法を使用して加工された。部品は、断面化された。全ての場合において、表面に近接する領域は、より小さいサイズのセルを含んだが、表面から離れるように移動するにつれて、セルサイズは、増加した。表面により近い低減されたセルサイズの領域は、表面からさらに離れるにつれて、より大きいセルサイズに遷移した。遷移は、漸次的であって、したがって、より小さいサイズの明確に異なる層およびより大きいサイズの明確に異なる層は、存在しなかったが、顕微鏡検査を使用して、より小さいまたは「圧縮」されたセルの領域とより大きいセルの領域の相対的面積が、目視によって推定され、光顕微鏡検査によって確認され、表30に示された。数字は、推定値のみであるが、画像の検査は、「圧縮」されたセルによって占有される領域およびパーセント面積の深度が、おそらく、部品形状、材料、および/または工程条件に応じて、広く変動したことを示した。
【表30】
【0242】
(実施例14)
98重量%メタロセンポリエチレンの調合物を使用して成型された第1の部品が、射出成型機械の中への装填に先立って、2重量% Hydrocerol(登録商標) BIH70と混成された。第1の部品は、MFIMプロセスを使用して形成された。プロセス詳細は、表31および表32内に提供される。部品は、2インチ×4インチ×4インチブロック金型(5.08×10.16×10.16cm)を使用して作製され、金型空洞体積は、524.4ccであって、スプルー体積は、17.4ccであった。スプルーは、部品から切断され、部品は、次いで、圧縮負荷試験を受け、2インチ×4インチ×4インチ幾何学形状内に形成される、セル構造の圧縮強度性質を定量化した。
【表31】
【表32】
【0243】
圧縮試験が、Instron Universal Testing System(Instron USA(Norwood, Mssachusetts, USA)から入手可能)上で実施された。各成型された発泡体ブロックが、試験プラテン間に設置され、試験に先立って、30℃で5分にわたって、環境チャンバ内で安定化された。器具は、250kNロードセルを装備した。圧縮試験率は、5mm/分であった。
【0244】
結果は、圧縮弾性率が、サンプルA(0.37g/cc)に関して、19MPaであって、サンプルB(0.45g/cc)に関して、39MPaであって、サンプルC(0.57g/cc)に関して、55MPaであったことを示した。図40に示されるように、メタロセンポリエチレン(mPE)ブロックの圧縮強度は、密度の増加に伴って増加する。
図1A
図1B
図2-1】
図2-2】
図2-3】
図2-4】
図2-5】
図2-6】
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
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