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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-16
(45)【発行日】2024-08-26
(54)【発明の名称】サーバ装置および情報提供方法
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/60 20140101AFI20240819BHJP
   A63F 13/35 20140101ALI20240819BHJP
   A63F 13/79 20140101ALI20240819BHJP
   A63F 13/5375 20140101ALI20240819BHJP
【FI】
A63F13/60
A63F13/35
A63F13/79
A63F13/5375
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022105835
(22)【出願日】2022-06-30
(65)【公開番号】P2024005588
(43)【公開日】2024-01-17
【審査請求日】2023-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】310021766
【氏名又は名称】株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(74)【代理人】
【識別番号】100134256
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 武司
(72)【発明者】
【氏名】越智 敬之
【審査官】池田 剛志
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-217542(JP,A)
【文献】特表2015-534657(JP,A)
【文献】特開2013-242717(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0011958(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 13/00-13/98
A63F 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバ装置であって、第1ゲームと所定の関係を有する第2ゲームを過去に複数のプレイヤがプレイしたデータを記録する記録装置と、ハードウェアを有する1つ以上のプロセッサを備え、第2ゲームは、第1ゲームと同じシリーズのゲームであって、第1ゲームよりも旧作のゲームであり、または第2ゲームは、第1ゲームと同じメーカにより製作された同じジャンルのゲームであって、
前記1つ以上のプロセッサは、
第2ゲームの過去のプレイデータを解析して、第2ゲームにおいて終了条件が設定されている複数のプレイ単位に関するプレイ履歴を示す情報を取得し、
第1ゲームにおける第1プレイ単位に類似する第2ゲームにおける第2プレイ単位を特定し、
第1ゲームにおける第1プレイ単位に関する情報を、第2ゲームにおける第2プレイ単位に関して取得されたプレイ履歴を示す情報をもとに生成する、
サーバ装置。
【請求項2】
前記1つ以上のプロセッサは、
第1ゲームおよび第2ゲームにおいて設定されているプレイ単位の名前、プレイ単位のタイプ、プレイ単位の説明文の少なくとも1つにもとづいて、第1ゲームにおける第1プレイ単位に類似する第2ゲームにおける第2プレイ単位を特定する、
請求項1に記載のサーバ装置。
【請求項3】
前記記録装置は、第1ゲームを過去に複数のプレイヤがプレイしたデータを記録しており、
前記1つ以上のプロセッサは、
第1ゲームの過去のプレイデータを解析して、第1ゲームにおいて終了条件が設定されている複数のプレイ単位に関するプレイ履歴を示す情報を取得し、
第1ゲームおよび第2ゲームにおける複数のプレイ単位に関するプレイ履歴を示す情報にもとづいて、第1ゲームにおける第1プレイ単位に類似する第2ゲームにおける第2プレイ単位を特定する、
請求項1に記載のサーバ装置。
【請求項4】
前記1つ以上のプロセッサは、
第1プレイ単位に関する情報として、第1プレイ単位をプレイしたときの時間に関する情報を生成する、
請求項1に記載のサーバ装置。
【請求項5】
前記1つ以上のプロセッサは、
第1プレイ単位に関する情報として、第1プレイ単位の次にプレイすることを推薦するプレイ単位を示す情報を生成する、
請求項1に記載のサーバ装置。
【請求項6】
ユーザに情報を提供する方法であって、
第1ゲームと所定の関係を有する第2ゲームを過去に複数のプレイヤがプレイしたデータを解析して、第2ゲームにおいて終了条件が設定されている複数のプレイ単位に関するプレイ履歴を示す情報を取得し、
第1ゲームにおける第1プレイ単位に類似する第2ゲームにおける第2プレイ単位を特定し、
第1ゲームにおける第1プレイ単位に関する情報を、第2ゲームにおける第2プレイ単位に関して取得されたプレイ履歴を示す情報をもとに生成し、
第1ゲームにおける第1プレイ単位に関する情報をユーザに提供
第2ゲームは、第1ゲームと同じシリーズのゲームであって、第1ゲームよりも旧作のゲームであり、または第2ゲームは、第1ゲームと同じメーカにより製作された同じジャンルのゲームである、
情報提供方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ユーザにゲームに関する情報を提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、複数のプレイヤにより実行されたアクティビティに関するイベントデータを処理するサーバ装置を開示する。このサーバ装置は、複数のイベントデータから複数のプレイヤによるアクティビティのプレイ時間を取得し、プレイヤのスキル値に応じてプレイヤを複数のクラスのいずれかに振り分け、各クラスにおける複数のプレイヤのプレイ時間にもとづいて、各クラスにおけるプレイ時間の代表値を決定する。サーバ装置は、ユーザのクラスに対応付けられたプレイ時間の代表値にもとづく予想プレイ時間を、ユーザに通知する。
【0003】
特許文献2は、ユーザが仮想的な褒賞であるトロフィを獲得することをサポートするサーバ装置を開示する。このサーバ装置は、複数のプレイヤが複数のトロフィを獲得した順番にもとづいてトロフィの獲得順に関する関係を抽出しておき、当該関係を参照して、ユーザが次に獲得する可能性のあるトロフィに関する情報を、ユーザに通知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2022-63756号公報
【文献】特開2022-57395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
サーバ装置が複数のプレイヤがゲームをプレイしたデータ(プレイデータ)を収集することで、様々な情報を統計処理により導き出し、ユーザに提供することが可能となる。しかしながら、発売開始からそれほど時間が経過していないゲームや、プレイするユーザが少ないゲームの場合、サーバ装置がプレイデータを十分収集できていないため、当該ゲームのプレイデータのみから精度の高い情報を導き出すことは容易でない。
【0006】
そこで本開示は、当該ゲームのプレイデータが十分収集できていない場合であっても、ユーザに対して当該ゲームに関する有用な情報を提供する
ための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示のある態様のサーバ装置は、第1ゲームと所定の関係を有する第2ゲームを過去に複数のプレイヤがプレイしたデータを記録する記録装置と、ハードウェアを有する1つ以上のプロセッサを備える。1つ以上のプロセッサは、第2ゲームの過去のプレイデータを解析して、第2ゲームにおいて終了条件が設定されている複数のプレイ単位に関するプレイ履歴を示す情報を取得し、第1ゲームにおける第1プレイ単位に類似する第2ゲームにおける第2プレイ単位を特定し、第1ゲームにおける第1プレイ単位に関する情報を、第2ゲームにおける第2プレイ単位に関して取得されたプレイ履歴を示す情報をもとに生成する。
【0008】
本開示の別の態様はユーザに情報を提供する方法であって、第1ゲームと所定の関係を有する第2ゲームを過去に複数のプレイヤがプレイしたデータを解析して、第2ゲームにおいて終了条件が設定されている複数のプレイ単位に関するプレイ履歴を示す情報を取得し、第1ゲームにおける第1プレイ単位に類似する第2ゲームにおける第2プレイ単位を特定し、第1ゲームにおける第1プレイ単位に関する情報を、第2ゲームにおける第2プレイ単位に関して取得されたプレイ履歴を示す情報をもとに生成し、第1ゲームにおける第1プレイ単位に関する情報をユーザに提供する。
【0009】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態にかかる情報処理システムを示す図である。
図2】情報処理装置のハードウェア構成を示す図である。
図3】情報処理装置の機能ブロックを示す図である。
図4】サーバ装置の機能ブロックを示す図である。
図5】プレイ時間の算出手法を説明するための図である。
図6】プレイタイミングの算出手法を説明するための図である。
図7】類似するアクティビティを特定する処理を説明するための図である。
図8】システム画面の例を示す図である。
図9】システム画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の概要を説明する。実施形態では、ユーザ端末装置である情報処理装置がゲームソフトウェアを実行する。ゲームソフトウェアは、ゲーム内でイベントが発生すると、発生したイベントを識別するイベント情報をシステムソフトウェアに出力する。イベントは、ゲームプレイの進行に変化があったり、ゲームキャラクタの行動に変化があったとき等に発生する。
【0012】
ゲームソフトウェアには、終了条件が設定されているプレイ単位が複数含まれる。プレイ単位には、開始条件が設定されていてもよく、この場合、開始条件が成立してから終了条件が成立するまでのゲームプレイが、1つのプレイ単位を構成する。
【0013】
プレイ単位は、ゲームに組み入れられているステージや、クエスト、ミッション、トーナメント、セッション等から構成されてよい。プレイ単位はゲームメーカにより適宜設定され、たとえばゲーム進行上に登場する1つのクエストが1つのプレイ単位を構成してよく、また複数のクエストが1つのプレイ単位を構成してもよい。複数のクエストが1つのプレイ単位を構成している場合、複数のクエストの全てを完了することが、当該プレイ単位の終了条件となる。
【0014】
実施形態におけるゲームソフトウェアは、プレイ単位の一種として、終了条件が設定されているアクティビティを含んでいる。アクティビティは、上記したステージや、クエスト、ミッション、トーナメント、セッション等によって構成されてよい。なおゲームメーカは、ゲームに組み込んだステージや、クエスト、ミッション、トーナメント、セッションの全てをアクティビティとして設定してよいが、ステージや、クエスト、ミッション、トーナメント、セッションの一部のみをアクティビティとして設定してもよい。上記したように、複数のクエストやミッションの組み合わせに対して、1つのアクティビティが設定されて、1つのプレイ単位を構成してもよい。
【0015】
ゲームソフトウェアは、アクティビティを開始すると、アクティビティを識別するアクティビティ識別子(アクティビティID)と、アクティビティの開始を示す情報を含むイベント情報をシステムソフトウェアに出力する。ゲームソフトウェアは、アクティビティを終了すると、アクティビティIDと、アクティビティの終了を示す情報を含むイベント情報をシステムソフトウェアに出力する。アクティビティの終了時、ゲームソフトウェアは、イベント情報に、アクティビティの結果(成功または失敗)を含ませてよい。システムソフトウェアは、ゲームソフトウェアから出力されたイベント情報に、ユーザを識別するユーザ識別子(ユーザアカウント)、ゲームを識別するゲーム識別子(ゲームID)および時間情報(タイムスタンプ)を付加したイベントデータを生成し、外部のサーバ装置に送信する。
【0016】
またゲームソフトウェアは、プレイ単位の一種として、仮想的な褒賞であるトロフィを獲得するための様々なクエストやミッション(以下、単に「ミッション」とも呼ぶ)を設定している。ユーザがミッションを完了すると、ミッションに対応するトロフィがユーザに付与される。ミッションの終了条件は、トロフィをユーザに開放するプレイ条件であり、トロフィの「アンロック条件」とも呼ばれる。トロフィミッションの終了判定は、システムソフトウェアが、ゲームソフトウェアが出力したイベント情報をもとに、トロフィのアンロック条件の成立有無を判定することで実施される。システムソフトウェアは、アンロックしたトロフィの獲得情報を、外部のサーバ装置に送信する。
【0017】
サーバ装置は、複数のプレイヤが操作する複数の情報処理装置から送信されるイベントデータを収集して、アクティビティに関するプレイ動向を分析する。たとえばサーバ装置は、複数の情報処理装置から送信されるイベントデータにもとづいて、複数のプレイヤによるアクティビティのプレイ時間を統計的に処理してよい。またサーバ装置は、複数の情報処理装置から送信されるイベントデータにもとづいて、1つのゲーム内で複数のアクティビティが実施されるタイミングや順番を統計的に導き出してよい。
【0018】
またサーバ装置は、複数のプレイヤが操作する複数の情報処理装置から送信されるトロフィ獲得情報を収集して、ユーザのトロフィ獲得に関するプレイ動向を分析する。たとえばサーバ装置は、複数の情報処理装置から送信されるトロフィ獲得情報にもとづいて、1つのゲーム内でトロフィが獲得される順番を統計的に導き出してよい。
【0019】
図1は、本開示の実施形態にかかる情報処理システム1を示す。実施形態の情報処理システム1は、ユーザのゲームプレイをサポートするゲームシステムであり、プレイヤであるユーザが操作する情報処理装置10とサーバ装置5とを備える。アクセスポイント(以下、「AP」とよぶ)8は、無線アクセスポイントおよびルータの機能を有し、情報処理装置10は、無線または有線経由でAP8に接続して、ネットワーク3上のサーバ装置5と通信可能に接続する。図1には、1人のユーザおよび1台の情報処理装置10が示されているが、情報処理システム1では、複数のユーザが操作する複数の情報処理装置10とサーバ装置5とがネットワーク3を介して接続していることを前提とする。
【0020】
情報処理装置10は、ユーザが操作する入力装置6と無線または有線で接続し、入力装置6はユーザが操作した情報を情報処理装置10に出力する。情報処理装置10は入力装置6から操作情報を受け付けるとシステムソフトウェアやゲームソフトウェアの処理に反映し、出力装置4から処理結果を出力させる。情報処理システム1において情報処理装置10はゲームを実行するゲーム装置(ゲームコンソール)であり、入力装置6はゲームコントローラなど情報処理装置10に対してユーザの操作情報を供給する機器であってよい。なお入力装置6は、キーボードやマウスなどの入力インタフェースであってもよい。
【0021】
補助記憶装置2は、HDD(ハードディスクドライブ)やSSD(ソリッドステートドライブ)などの大容量記録装置であり、内蔵型記録装置であってよく、またUSB(Universal Serial Bus)などによって情報処理装置10と接続する外部記録装置であってもよい。出力装置4は画像を出力するディスプレイおよび音を出力するスピーカを有するテレビであってよい。出力装置4は、情報処理装置10に有線ケーブルで接続されてよく、また無線接続されてもよい。
【0022】
撮像装置であるカメラ7は出力装置4の近傍に設けられ、出力装置4周辺の空間を撮像する。図1ではカメラ7が出力装置4の上部に取り付けられている例を示しているが、出力装置4の側部または下部に配置されてもよく、いずれにしても出力装置4の前方に位置するユーザを撮像できる位置に配置される。カメラ7はステレオカメラであってもよい。
【0023】
サーバ装置5は、情報処理システム1のユーザに対してネットワークサービスを提供する。サーバ装置5は、各ユーザを識別するネットワークアカウント(ユーザアカウント)を管理しており、各ユーザは、ネットワークアカウントを用いて、サーバ装置5が提供するネットワークサービスにサインインする。ユーザは情報処理装置10からネットワークサービスにサインインすることで、サーバ装置5に、ゲームのセーブデータや、ゲームプレイ中に獲得した仮想的な褒賞であるトロフィを登録できる。サーバ装置5にセーブデータやトロフィが登録されることで、ユーザが情報処理装置10とは別の情報処理装置を使用しても、セーブデータやトロフィを同期できるようになる。
【0024】
実施形態のサーバ装置5は、複数の情報処理装置10からイベントデータを収集する。サーバ装置5は、収集したイベントデータからアクティビティに関する情報を処理して、たとえばアクティビティごとの平均プレイ時間や、アクティビティがプレイされた平均タイミングなどを導出する。またサーバ装置5は、アクティビティが実施される順番を統計処理により導出することで、ユーザがあるアクティビティを完了したときに、次に実施する可能性の高いアクティビティを特定することが可能となる。
【0025】
また実施形態のサーバ装置5は、複数の情報処理装置10から、複数のプレイヤが獲得したトロフィの獲得情報を収集する。サーバ装置5は、収集したトロフィの獲得情報から、トロフィ獲得に関するプレイ動向を分析する。具体的にサーバ装置5は、トロフィが獲得される順番を統計処理により導出することで、ユーザがあるトロフィを獲得したときに、次に獲得する可能性の高いトロフィを特定することが可能となる。
【0026】
図2は、情報処理装置10のハードウェア構成を示す。情報処理装置10は、メイン電源ボタン20、電源ON用LED21、スタンバイ用LED22、システムコントローラ24、クロック26、デバイスコントローラ30、メディアドライブ32、USBモジュール34、フラッシュメモリ36、無線通信モジュール38、有線通信モジュール40、サブシステム50およびメインシステム60を有して構成される。
【0027】
メインシステム60は、メインCPU(Central Processing Unit)、主記憶装置であるメモリおよびメモリコントローラ、GPU(Graphics Processing Unit)などを備える。GPUはゲームプログラムの演算処理に主として利用される。メインCPUはシステムソフトウェアを起動し、システムソフトウェアが提供する環境下において、補助記憶装置2にインストールされたゲームプログラムを実行する機能をもつ。サブシステム50は、サブCPU、主記憶装置であるメモリおよびメモリコントローラなどを備え、GPUを備えない。
【0028】
メインCPUは補助記憶装置2にインストールされているゲームプログラムを実行する機能をもつ一方で、サブCPUはそのような機能をもたない。しかしながらサブCPUは補助記憶装置2にアクセスする機能や、サーバ装置5との間でデータを送受信する機能を有している。サブCPUは、このような制限された処理機能のみを有して構成されており、したがってメインCPUと比較して小さい消費電力で動作できる。これらのサブCPUの機能は、メインCPUがスタンバイ状態にある際に実行される。
【0029】
メイン電源ボタン20は、ユーザからの操作入力が行われる入力部であって、情報処理装置10の筐体の前面に設けられ、情報処理装置10のメインシステム60への電源供給をオンまたはオフするために操作される。電源ON用LED21は、メイン電源ボタン20がオンされたときに点灯し、スタンバイ用LED22は、メイン電源ボタン20がオフされたときに点灯する。システムコントローラ24は、ユーザによるメイン電源ボタン20の押下を検出する。
【0030】
クロック26はリアルタイムクロックであって、現在の日時情報を生成し、システムコントローラ24やサブシステム50およびメインシステム60に供給する。
【0031】
デバイスコントローラ30は、サウスブリッジのようにデバイス間の情報の受け渡しを実行するLSI(Large-Scale Integrated Circuit)として構成される。図示のように、デバイスコントローラ30には、システムコントローラ24、メディアドライブ32、USBモジュール34、フラッシュメモリ36、無線通信モジュール38、有線通信モジュール40、サブシステム50およびメインシステム60などのデバイスが接続される。デバイスコントローラ30は、それぞれのデバイスの電気特性の違いやデータ転送速度の差を吸収し、データ転送のタイミングを制御する。
【0032】
メディアドライブ32は、ゲームなどのアプリケーションソフトウェア、およびライセンス情報を記録したROM媒体44を装着して駆動し、ROM媒体44からプログラムやデータなどを読み出すドライブ装置である。ROM媒体44は、光ディスクや光磁気ディスク、ブルーレイディスクなどの読出専用の記録メディアである。
【0033】
USBモジュール34は、外部機器とUSBケーブルで接続するモジュールである。USBモジュール34は補助記憶装置2およびカメラ7とUSBケーブルで接続してもよい。フラッシュメモリ36は、内部ストレージを構成する補助記憶装置である。無線通信モジュール38は、Bluetooth(登録商標)プロトコルやIEEE802.11プロトコルなどの通信プロトコルで、入力装置6と無線通信する。有線通信モジュール40は、外部機器と有線通信し、AP8を介してネットワーク3に接続する。
【0034】
図3は、情報処理装置10の機能ブロックを示す。情報処理装置10は、処理部100および通信部102を備える。処理部100は、ゲームソフトウェア110、イベント情報取得部120、トロフィ処理部122、送信処理部124、ゲーム画像生成部130、プレイ時間管理部132、表示処理部140および情報取得部150を備える。
【0035】
情報処理装置10はコンピュータを備え、コンピュータがプログラムを実行することによって、図3に示す様々な機能が実現される。コンピュータは、プログラムをロードするメモリ、ロードされたプログラムを実行する1つ以上のプロセッサ、補助記憶装置、その他のLSIなどをハードウェアとして備える。プロセッサは、半導体集積回路やLSIを含む複数の電子回路により構成され、複数の電子回路は、1つのチップ上に搭載されてよく、または複数のチップ上に搭載されてもよい。図3に示す機能ブロックは、ハードウェアとソフトウェアとの連携によって実現され、したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0036】
ゲームソフトウェア110は、少なくともゲームプログラム、画像データ、音データおよびコンフィギュレーションファイルを含む。ゲームプログラムは、ユーザによる入力装置6の操作情報を受け、仮想空間においてゲームキャラクタを動かす演算処理を行う。ゲーム画像生成部130は、レンダリング処理などを実行するGPU(Graphics Processing Unit)を含んで、ゲームの画像データを生成する。表示処理部140は、生成されたゲーム画像を出力装置4から出力する。なお処理部100は、ゲーム音データを生成するゲーム音生成部およびゲーム音を出力する音出力部を備えるが、図3では図示を省略している。
【0037】
ゲームプログラムは、ゲーム進行中にイベントが発生すると、発生したイベントを示すイベント情報を出力する。イベント情報取得部120は、ゲームソフトウェア110からイベント情報を取得すると、トロフィ処理部122に提供する。またイベント情報取得部120は、イベント情報に、ユーザアカウント、ゲームIDおよびイベントが発生した時間を示す時間情報(タイムスタンプ)を付加したイベントデータを生成して、送信処理部124に提供する。なおゲームプログラムは、ゲームIDおよび/またはタイムスタンプを含むイベント情報をイベント情報取得部120に出力してもよい。送信処理部124は、生成されたイベントデータを、通信部102を介してサーバ装置5に送信する。
【0038】
ゲームプログラムにおいて、アクティビティの開始および終了はイベントとしてコーディングされている。ゲームプログラムは、ゲーム進行中にアクティビティを開始すると、アクティビティの開始イベントの発生を示すイベント情報を出力し、アクティビティを終了すると、アクティビティの終了イベントの発生を示すイベント情報を出力する。ゲームメーカは様々なイベントをゲームに仕込んでよい。たとえば、敵ボスとの戦闘アクティビティがゲームに組み入れられている場合、ゲームプログラムは、戦闘開始時に、戦闘アクティビティを識別するアクティビティIDと、戦闘アクティビティの開始を示す情報を含むイベント情報を出力する。プレイヤが敵ボスとの戦闘に勝利すると、ゲームプログラムは、戦闘アクティビティを識別するアクティビティIDと、戦闘アクティビティの終了を示す情報と、アクティビティの成功を示す情報を含むイベント情報を出力する。
【0039】
送信処理部124は、プレイヤにより実行されたアクティビティに関するイベントデータを、通信部102を介してサーバ装置5に送信する。情報処理システム1において、イベントデータの送信処理は、サーバ装置5に接続している全ての情報処理装置10により実施され、サーバ装置5は、複数の情報処理装置10から、様々なゲームの様々なアクティビティに関するイベントデータを収集する。なお送信処理部124は、アクティビティに関するイベントデータに限らず、アクティビティに関係しないイベントデータもサーバ装置5に送信する。イベント情報取得部120は、イベント情報をゲームソフトウェア110から取得すると、すぐにタイムスタンプを付加したイベントデータを生成し、送信処理部124がサーバ装置5に送信することが好ましい。
【0040】
ユーザのゲームプレイに対するモチベーションを高める目的で、ゲームにはトロフィを獲得するための様々なミッションが設定されている。ユーザがミッションを完了すると、ミッションに対応するトロフィがユーザに付与される。ゲーム内ではミッションの難易度に応じた複数種類のトロフィが用意され、難易度の簡単なものから順にブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナのトロフィが用意される。
【0041】
ゲームソフトウェア110に含まれるコンフィギュレーションファイルは、ゲームから出力されるイベント情報と、トロフィをアンロックするための条件との対応関係を記述する。たとえばコンフィギュレーションファイルは、「小ボスを倒す」イベントがブロンズトロフィのアンロック条件であることを記述する。同様に、コンフィギュレーションファイルは、「中ボスを倒す」イベントがシルバートロフィのアンロック条件であること、「最終ボスを倒す」イベントがゴールドトロフィのアンロック条件であることを記述する。
【0042】
トロフィ処理部122は、イベント情報取得部120からイベント情報を提供されると、コンフィギュレーションファイルを参照して、トロフィアンロック条件の成立判定処理を実施する。トロフィ処理部122は、アンロック条件の成立を判定すると、アンロックしたトロフィの獲得情報を生成して、送信処理部124に提供する。トロフィの獲得情報は、ゲームを識別する識別情報(ゲームID)、アンロックしたトロフィを識別する識別情報(トロフィID)、およびアンロックした時間情報(タイムスタンプ)を含む。
【0043】
送信処理部124は、生成されたトロフィの獲得情報を、通信部102を介してサーバ装置5に送信する。情報処理システム1において、トロフィ獲得情報の送信処理は、サーバ装置5に接続している全ての情報処理装置10により実施され、サーバ装置5は、複数の情報処理装置10から、様々なゲームのトロフィ獲得情報を収集する。トロフィ処理部122は、トロフィ獲得情報を生成すると、すぐに送信処理部124がサーバ装置5に送信することが好ましい。
【0044】
プレイ時間管理部132は、ゲームソフトウェア110が開始された時刻と、終了された時刻を管理する。プレイ時間管理部132は、ゲームソフトウェア110が起動されると、ゲームIDおよびゲーム開始時刻を含むゲーム開始情報を生成し、送信処理部124が、ゲーム開始情報を通信部102を介してサーバ装置5に送信する。またプレイ時間管理部132は、ゲームソフトウェア110が終了されると、ゲームIDおよびゲーム終了時刻を含むゲーム終了情報を生成し、送信処理部124が、ゲーム終了情報を通信部102を介してサーバ装置5に送信する。サーバ装置5は、ゲーム開始情報およびゲーム終了情報を受け取ることで、情報処理装置10においてゲームがプレイされていた時間を計測することが可能となる。
【0045】
図4は、実施形態のサーバ装置5の機能ブロックを示す。サーバ装置5は、処理部200、通信部202、プレイデータ記録部260、解析結果記録部270および情報記録部280を備える。処理部200は、プレイデータ取得部210、解析部220、ゲーム特定部230、プレイ単位特定部232、情報生成部240および情報提供部250を備える。プレイデータ取得部210は、イベントデータ取得部212、トロフィ獲得情報取得部214およびプレイ時間情報取得部216を有する。解析部220は、プレイ時間導出部222およびプレイタイミング導出部224を有する。プレイデータ記録部260は、イベントデータ記録部262、トロフィ獲得情報記録部264およびプレイ時間情報記録部266を有する。
【0046】
サーバ装置5はコンピュータを備え、コンピュータがプログラムを実行することによって、図4に示す様々な機能が実現される。コンピュータは、プログラムをロードするメモリ、ロードされたプログラムを実行する1つ以上のプロセッサ、補助記憶装置、その他のLSIなどをハードウェアとして備える。プロセッサは、半導体集積回路やLSIを含む複数の電子回路により構成され、複数の電子回路は、1つのチップ上に搭載されてよく、または複数のチップ上に搭載されてもよい。図4に示す機能ブロックは、ハードウェアとソフトウェアとの連携によって実現され、したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0047】
プレイデータ取得部210は、複数のプレイヤがゲームをプレイした様々なデータ(以下、「プレイデータ」とも呼ぶ)を取得し、プレイデータ記録部260に記録する。プレイデータは、ゲームプレイに関して生成されるデータであり、イベントデータ、トロフィ獲得情報、ゲームのプレイ時間情報を少なくとも含んでよい。プレイデータ記録部260は、過去に複数のプレイヤがゲームをプレイしたときの状況または結果等を示すプレイデータを記録する。
【0048】
イベントデータ取得部212は、複数の情報処理装置10から、複数のプレイヤにより実行されたアクティビティに関するイベントデータを取得し、イベントデータ記録部262に記録する。イベントデータ記録部262は、プレイヤのネットワークアカウントに紐付けて、ゲームタイトルごとにイベントデータを記録する。既述したように、イベントデータには、ゲームID、アクティビティID、アクティビティの開始または終了を示す情報、およびタイムスタンプが少なくとも含まれる。なおイベントデータ取得部212は、アクティビティに関係しないイベントデータを取得して、イベントデータ記録部262に記録してよい。
【0049】
プレイ時間情報取得部216は、複数の情報処理装置10から、ゲーム開始情報およびゲーム終了情報を取得し、プレイ時間情報記録部266に記録する。プレイ時間情報記録部266は、プレイヤのネットワークアカウントに紐付けて、ゲームタイトルごとにプレイ開始時刻とプレイ終了時刻を記録する。
【0050】
以下、解析部220が、複数のプレイヤによるゲームXの過去のプレイデータを解析して、アクティビティに関するプレイ履歴を示す情報を取得する例について説明する。上記したようにアクティビティは、ゲームにおいて少なくとも終了条件が設定されているプレイ単位であり、解析部220は、複数のプレイヤによるゲームXの過去のプレイデータを解析して、複数のアクティビティのそれぞれの平均プレイ時間や平均プレイタイミングを導出する。
【0051】
プレイ時間導出部222は、プレイヤごとにアクティビティのプレイ時間を取得する。プレイ時間導出部222は、イベントデータ記録部262に記録された、アクティビティの開始イベント情報を含むイベントデータ(開始イベントデータ)と、アクティビティの終了イベント情報を含むイベントデータ(終了イベントデータ)から、複数のプレイヤの当該アクティビティのプレイ時間を取得する。アクティビティのプレイ時間は、開始イベントデータに含まれるタイムスタンプと、終了イベントデータに含まれるタイムスタンプにもとづいて算出される。
【0052】
図5は、プレイ時間の算出手法を説明するための図である。図5は、1人のプレイヤによるアクティビティSの開始イベントおよび終了イベントを示し、具体的に“S開始”はアクティビティSの開始イベントを、“S終了”はアクティビティSの終了イベントを示す。開始イベントデータには、アクティビティSの開始時刻t1が含まれ、終了イベントデータには、アクティビティSの終了時刻t2が含まれており、プレイ時間導出部222は、当該プレイヤによるアクティビティSのプレイ時間を、(t2-t1)と算出する。プレイ時間導出部222は、算出したアクティビティSのプレイ時間を、プレイヤのネットワークアカウントに紐付けて、ゲームIDおよびアクティビティIDとともに解析結果記録部270に記録する。同様にプレイ時間導出部222は、他のプレイヤによるアクティビティSのプレイ時間を算出し、プレイヤのネットワークアカウントに紐付けて、ゲームIDおよびアクティビティIDとともに解析結果記録部270に記録する。
【0053】
プレイ時間導出部222は、ゲームXのアクティビティSについて導出した全てのプレイヤのプレイ時間を平均処理して、アクティビティSの平均プレイ時間を導出し、解析結果記録部270に記録する。プレイ時間導出部222は、他のアクティビティの平均プレイ時間も導出し、ゲームXにおける全てのアクティビティの平均プレイ時間を、解析結果記録部270に記録する。
【0054】
プレイタイミング導出部224は、ゲームXにおける各アクティビティのプレイタイミングを取得する。プレイタイミングとは、ゲームXをクリアしたプレイヤ(最終ステージまでクリアしたプレイヤ)が、各アクティビティをプレイしたタイミングを意味する。
【0055】
図6は、プレイタイミングの算出手法を説明するための図である。図6は、1人のプレイヤがゲームXのプレイを開始してから、クリアするまでのプレイ状況を示す。つまり、このプレイ状況は、プレイヤがゲームのファーストステージからファイナルステージまでをクリアしたときの状況を示している。
【0056】
図6に示す例でプレイヤは、ゲームXを30時間でクリアしている。プレイタイミング導出部224は、プレイ時間情報記録部266の記録内容を参照して、プレイヤがゲームXをプレイした時間を特定し、イベントデータ記録部262の記録内容を参照して、実施したアクティビティの時間表を作成する。プレイタイミング導出部224は、図6に示す時間表を作成することで、当該プレイヤが各アクティビティを実施したタイミングを特定できる。
【0057】
たとえばアクティビティSは、プレイヤがゲームを開始してから21時間後にプレイされている。プレイタイミング導出部224は、アクティビティSがゲームXのトータルプレイ時間のうちの70%(=21時間/30時間)が経過したタイミングでプレイされたことを導出する。実施形態において、プレイタイミング導出部224は、アクティビティSのプレイタイミングを70%と導出し、プレイヤのネットワークアカウントに紐付けて、ゲームIDおよびアクティビティIDとともに解析結果記録部270に記録する。同様にプレイタイミング導出部224は、他のプレイヤによるアクティビティSのプレイタイミングを導出し、プレイヤのネットワークアカウントに紐付けて、ゲームIDおよびアクティビティIDとともに解析結果記録部270に記録する。
【0058】
プレイタイミング導出部224は、ゲームXのアクティビティSについて導出した全てのプレイヤのプレイタイミングを平均処理して、アクティビティSの平均プレイタイミングを導出し、解析結果記録部270に記録する。プレイタイミング導出部224は、ゲームXに含まれる全てのアクティビティについて平均プレイタイミングを導出し、解析結果記録部270に記録する。なおプレイタイミングを導出する対象となるプレイヤは、ゲームXをクリアしたプレイヤであり、ゲームXをまだクリアしていないプレイヤは、プレイタイミング導出部224によるプレイタイミング導出処理の対象外となる。
【0059】
ゲームXの過去のプレイデータが豊富に存在している場合、プレイ時間導出部222は各アクティビティの平均プレイ時間を、高い精度で導出できる。平均プレイ時間を高い精度で導出できる場合、サーバ装置5は、まだアクティビティをプレイしていないユーザに、当該アクティビティの平均プレイ時間を提示することで、当該ユーザは、自分がプレイしたときのプレイ時間を予想できる。しかしながら、たとえばゲームXが発売されたばかりで、ゲームXの過去のプレイデータが十分に収集できていなければ、プレイ時間導出部222は、各アクティビティの平均プレイ時間を高精度に導出することができない。
【0060】
そこで実施形態では、ゲームXの過去のプレイデータが不足している場合に、サーバ装置5が、ゲームXと所定の関係を有する別のゲーム、つまりゲームXと近似したゲーム構成を有する別のゲームの過去のプレイデータを利用して、ゲームXに関する情報を生成し、ユーザに提供する機能を備える。
【0061】
この機能を実現するために、ゲーム特定部230は、ゲームXと所定の関係を有する別のゲームを特定する。ゲーム特定部230はゲームXの属性情報を参照して、ゲームXとゲーム構成が近似しているゲームを特定してよい。たとえばゲームXがシリーズ作品の最新作である場合、ゲーム特定部230は、ゲームXより過去に発売されているシリーズ作品の旧作ゲームを特定する。ゲームXがシリーズ作品である場合、その旧作ゲームはゲームXと同様のゲーム構成を有する傾向が高く、アクティビティやトロフィも近似していることが多い。
【0062】
またゲーム特定部230は、ゲームXと同じメーカにより製作された同じジャンルのゲームを特定してもよい。これ以外にもゲーム特定部230は、ゲームXとゲーム構成が近似しているゲームを特定してよい。以下においては、ゲーム特定部230が、ゲームXと所定の関係を有するゲームとして、ゲームXのシリーズ旧作であるゲームX’と、同じメーカにより製作された同一ジャンルのゲームYを特定した場合について説明する。なおゲームXと所定の関係を有するゲームは、サーバ装置5を運営する管理者により手動で特定されてもよい。
【0063】
実施形態において、プレイデータ記録部260は、情報処理システム1で流通している全てのゲームを過去に複数のプレイヤがプレイしたデータを記録している。したがってプレイデータ記録部260は、ゲームXと所定の関係を有するゲームX’、ゲームYを過去に複数のプレイヤがプレイしたゲームを記録している。
【0064】
また解析部220は、プレイデータ記録部260に記録されている全てのゲームの過去のプレイデータを解析して、複数のアクティビティに関するプレイ履歴を示す情報を取得し、解析結果記録部270に記録している。実施形態では、プレイ時間導出部222が、ゲームX’に含まれる全てのアクティビティについて平均プレイ時間を導出して、解析結果記録部270に記録しており、またゲームYに含まれる全てのアクティビティについて平均プレイ時間を導出して、解析結果記録部270に記録している。同様にプレイタイミング導出部224は、ゲームX’に含まれる全てのアクティビティについて平均プレイタイミングを導出して、解析結果記録部270に記録しており、またゲームYに含まれる全てのアクティビティについて平均プレイタイミングを導出して、解析結果記録部270に記録している。
【0065】
プレイ単位特定部232は、ゲームXにおけるアクティビティに類似するゲームX’、ゲームYにおけるアクティビティを特定する。
図7は、ゲームXにおけるアクティビティ3に類似するゲームX’、ゲームYにおけるアクティビティを特定する処理を説明するための図である。プレイ単位特定部232は、類似アクティビティを探すために、各ゲームにおいて設定されているアクティビティの名前、アクティビティのタイプ、アクティビティの説明文の少なくとも1つにもとづいて、ゲームXにおけるアクティビティ3に類似するゲームX’、ゲームYにおけるアクティビティを特定してよい。アクティビティの名前、タイプおよび説明文などのアクティビティの属性情報は、ゲームソフトウェアに含まれており、プレイ単位特定部232は、これらの属性情報を、各ゲームソフトウェアから読み出して参照する。なおサーバ装置5は、ゲームメーカから、アクティビティの属性情報を提供されてもよい。
【0066】
図7では、プレイ単位特定部232が、ゲームXのアクティビティ3に類似するアクティビティを、ゲームX’およびゲームYから探し出す。まずプレイ単位特定部232は、ゲームXのアクティビティ3の属性情報を、以下のように特定する。この例でアクティビティの説明文は省略している。
・ アクティビティ名 : Beat Boss XX
・ アクティビティタイプ : Fighting
またプレイ単位特定部232は、解析結果記録部270を参照して、ゲームXのアクティビティ3に関するプレイ履歴を示す情報を、以下のように特定する。
・ 平均プレイ時間 : 15分
・ 平均プレイタイミング : 30%
なおゲームXの発売直後で、アクティビティ3のプレイデータがプレイデータ記録部260に蓄積されていなければ、解析部220はアクティビティ3のプレイデータを解析できないため、プレイ単位特定部232は、上記のプレイ履歴情報を取得できない。
【0067】
プレイ単位特定部232は、アクティビティの属性情報およびプレイ履歴情報をもとに、ゲームX’およびゲームYにおいて類似するアクティビティを特定する。図7に示す例でプレイ単位特定部232は、ゲームX’のアクティビティ3’の属性情報を、以下のように特定する。
・ アクティビティ名 : Beat Boss XX
・ アクティビティタイプ : Fighting
またプレイ単位特定部232は、解析結果記録部270を参照して、ゲームX’のアクティビティ3’に関するプレイ履歴を示す情報を、以下のように特定する。
・ 平均プレイ時間 : 18分
・ 平均プレイタイミング : 28%
【0068】
プレイ単位特定部232は、ゲームXのアクティビティ3とゲームX’のアクティビティ3’の属性情報およびプレイ履歴情報を比較して、ゲームXのアクティビティ3とゲームX’のアクティビティ3’が類似していることを判定してよい。具体的にプレイ単位特定部232は、アクティビティ名およびアクティビティタイプが同一であること、また平均プレイ時間および平均プレイタイミングがほぼ同一であることから、ゲームXのアクティビティ3とゲームX’のアクティビティ3’が類似していることを判定してよい。なおゲームXのプレイ履歴情報は、そもそもサンプル数が少ない中で導出されているため、信頼度は高いとはいえない。そのためプレイ単位特定部232は、プレイ履歴情報の一致度よりも、属性情報の一致度に重みをおいて、アクティビティ3とアクティビティ3’とが類似していることを判定してよい。
【0069】
また図7に示す例でプレイ単位特定部232は、ゲームYのアクティビティ3”の属性情報を、以下のように特定する。
・ アクティビティ名 : Beat Boss AA
・ アクティビティタイプ : Fighting
またプレイ単位特定部232は、解析結果記録部270を参照して、ゲームYのアクティビティ3”に関するプレイ履歴を示す情報を、以下のように特定する。
・ 平均プレイ時間 : 15分
・ 平均プレイタイミング : 30%
【0070】
プレイ単位特定部232は、ゲームXのアクティビティ3とゲームYのアクティビティ3”の属性情報およびプレイ履歴情報を比較して、ゲームXのアクティビティ3とゲームYのアクティビティ3”が類似していることを判定してよい。具体的にプレイ単位特定部232は、アクティビティ名が近似しており、アクティビティタイプが同一であること、また平均プレイ時間および平均プレイタイミングが同一であることから、ゲームXのアクティビティ3とゲームYのアクティビティ3”が類似していることを判定してよい。
【0071】
プレイ単位特定部232が、ゲームXのアクティビティ3に類似するアクティビティを特定すると、情報生成部240は、ゲームXのアクティビティ3に関する情報を、アクティビティ3に類似するアクティビティに関して取得されたプレイ履歴を示す情報をもとに生成して、情報記録部280に記録する。上記例では、情報生成部240が、ゲームXのアクティビティ3に関する情報を、ゲームX’におけるアクティビティ3’および/またはゲームYにおけるアクティビティ3”に関して取得されたプレイ履歴を示す情報をもとに生成する。
【0072】
たとえば情報生成部240は、ゲームXのアクティビティ3をプレイしたときの時間に関する情報を、アクティビティ3’および/またはアクティビティ3”の平均プレイ時間をもとに生成してよい。実施形態において、アクティビティ3,アクティビティ3’、アクティビティ3”の平均プレイ時間は、以下のように導出されている。
アクティビティ3 15分
アクティビティ3’ 18分
アクティビティ3” 15分
【0073】
ここでゲームXのアクティビティ3の平均プレイ時間(15分)が不十分な量のプレイデータから算出されたものである場合、正確とはいえない。この場合、情報生成部240は、アクティビティ3をプレイしたときの時間に関する情報を、ゲームX’のアクティビティ3’の平均プレイ時間および/またはゲームYのアクティビティ3”の平均プレイ時間から算出してよい。アクティビティ3’の平均プレイ時間を“3’_avg_time”、アクティビティ3”の平均プレイ時間を“3”_avg_time”とすると、情報生成部240は、アクティビティ3の予想平均プレイ時間を、以下の式1で算出してよい。
(アクティビティ3の予想平均プレイ時間)
=α×3’_avg_time+β×3”_avg_time ・・・(式1)
ここでα+β=1
たとえば係数αと係数βの比は、アクティビティ3’の平均プレイ時間の算出に用いたサンプル数と、アクティビティ3”の平均プレイ時間の算出に用いたサンプル数の比に応じて(たとえば等しく)設定されてもよい。また、シリーズ作品であるゲームX’のアクティビティ3’の係数αは、シリーズ作品でないゲームYのアクティビティ3”の係数βより大きく設定されてよい。たとえば係数α=2/3,係数β=1/3と設定された場合、アクティビティ3の予想平均プレイ時間は、17分、となる。情報生成部240は、算出したアクティビティ3の予想平均プレイ時間を、情報記録部280に記録する。
【0074】
なおゲームXのアクティビティ3の平均プレイ時間(15分)は、不十分な量のプレイデータから算出されたものであるとはいえ、ある程度の信頼度は有する。そこで情報生成部240は、アクティビティ3の平均プレイ時間(3_avg_time)も加味して、アクティビティ3の予想平均プレイ時間を、以下の式2で算出してよい。
(アクティビティ3の予想平均プレイ時間)
=α×3_avg_time+β×3’_avg_time+γ×3”_avg_time ・・・(式2)
ここでα+β+γ=1
このとき係数αは、係数β、γよりも小さくされることが好ましい。
【0075】
情報生成部240は、ゲームXのアクティビティ3以外のアクティビティの予想平均プレイ時間についても算出する。情報生成部240は、算出したアクティビティの予想平均プレイ時間を、情報記録部280に記録する。
【0076】
情報提供部250は、情報処理装置10を操作しているユーザに対し、当該ユーザがまだ実行していないアクティビティの予想平均プレイ時間を通知する。情報提供部250は、任意のタイミングで、予想平均プレイ時間を通知してよい。
【0077】
情報処理装置10において、情報取得部150が、サーバ装置5から、アクティビティ3の予想平均プレイ時間に関する情報を取得する。表示処理部140は、情報取得部150が取得した情報を表示する。
【0078】
図8は、出力装置4に表示されるシステム画面の例を示す。表示処理部140は、情報取得部150が取得した情報からシステム画像180を生成し、出力装置4に表示する。システム画像180には、ゲームXのアクティビティ3のアクティビティ名「Beat boss XX」と、平均予想プレイ時間「17分」が表示される。カード形式で表示されるシステム画像180は、GUI(グラフィカルユーザインタフェース)であってよく、ユーザがシステム画像180を選択すると、当該システム画像180に対応するアクティビティ3が自動的にスタートされてよい。
【0079】
また情報生成部240は、ゲームXのアクティビティ3の次にプレイすることを推薦するアクティビティを示す情報を生成してよい。解析部220において、プレイタイミング導出部224は、各ゲームに含まれる全てのアクティビティについて平均プレイタイミングを導出し、解析結果記録部270に記録する。プレイタイミング導出部224が全てのアクティビティの平均プレイタイミングを導出することで、複数のアクティビティを実施する順番(たとえば図6に示すような時間表)が把握されてよい。したがって情報生成部240は、ゲームX’のアクティビティ3’の次にプレイされる傾向が示されるアクティビティを特定でき、またゲームYのアクティビティ3”の次にプレイされる傾向が示されるアクティビティを特定できる。
【0080】
なお解析部220は、プレイタイミングとは無関係に、複数の情報処理装置から送信されるイベントデータを統計処理して、アクティビティのプレイ順に関する関係を抽出してよい。たとえば解析部220は、ゲームX’において、アクティビティ3’をプレイしたプレイヤが、次にアクティビティ4’をプレイする割合が80%以上である場合に、アクティビティ3’の次にはアクティビティ4’がプレイされる傾向にあることを認識する。また解析部220は、ゲームYにおいて、アクティビティ3”をプレイしたプレイヤが、次にアクティビティ4”をプレイする割合が80%以上である場合に、アクティビティ3”の次にはアクティビティ4”がプレイされる傾向にあることを認識する。
【0081】
ゲームX’、ゲームYにおいて特定されたアクティビティのプレイ順を利用して、情報生成部240は、ゲームXのアクティビティ3の次にプレイすることを推薦するアクティビティを、ゲームX内で探し出してよい。具体的に情報生成部240は、ゲームX’のアクティビティ4’および/またはゲームYのアクティビティ4”に類似するゲームXにおけるアクティビティを、アクティビティ3の次にプレイすることを推薦するアクティビティとして設定してよい。なおゲームX’のアクティビティ4’および/またはゲームYのアクティビティ4”に類似するゲームXにおけるアクティビティは、プレイ単位特定部232により探索される。プレイ単位特定部232が、ゲームX’のアクティビティ4’および/またはゲームYのアクティビティ4”に類似するゲームXにおけるアクティビティがアクティビティ4であることを特定すると、情報生成部240は、アクティビティ3に関する情報として、アクティビティ3の次にプレイすることを推薦するアクティビティ4を示す情報を生成する。
【0082】
情報提供部250は、情報処理装置10を操作しているユーザに対し、当該ユーザがプレイしたアクティビティ3の次にプレイすることを推薦するアクティビティ4を示す情報を提供する。情報提供部250は、任意のタイミングで、推薦するアクティビティの情報を通知してよい。
【0083】
情報処理装置10において、情報取得部150が、サーバ装置5から、推薦するアクティビティの情報を取得する。表示処理部140は、情報取得部150が取得した情報を表示する。
【0084】
図9は、出力装置4に表示されるシステム画面の例を示す。表示処理部140は、情報取得部150が取得した情報からシステム画像182を生成し、出力装置4に表示する。システム画像180には、ゲームXのアクティビティ4のアクティビティ名「Beat rivals」と、平均予想プレイ時間「18分」が表示される。カード形式で表示されるシステム画像182は、GUI(グラフィカルユーザインタフェース)であってよく、ユーザがシステム画像182を選択すると、当該システム画像182に対応するアクティビティ4が自動的にスタートされてよい。
【0085】
以上、本開示を実施形態をもとに説明した。この実施形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。実施形態では、プレイ単位の例としてアクティビティを示したが、プレイ単位は、トロフィを獲得するミッションであってもよく、またはアクティビティやトロフィが設定されていないステージや、クエスト、ミッション、トーナメント、セッション等から構成されてもよい。
【符号の説明】
【0086】
1・・・情報処理システム、5・・・サーバ装置、10・・・情報処理装置、100・・・処理部、102・・・通信部、110・・・ゲームソフトウェア、120・・・イベント情報取得部、122・・・トロフィ処理部、124・・・送信処理部、130・・・ゲーム画像生成部、132・・・プレイ時間管理部、140・・・表示処理部、150・・・情報取得部、200・・・処理部、202・・・通信部、210・・・プレイデータ取得部、212・・・イベントデータ取得部、214・・・トロフィ獲得情報取得部、216・・・プレイ時間情報取得部、220・・・解析部、222・・・プレイ時間導出部、224・・・プレイタイミング導出部、230・・・ゲーム特定部、232・・・プレイ単位特定部、240・・・情報生成部、250・・・情報提供部、260・・・プレイデータ記録部、262・・・イベントデータ記録部、264・・・トロフィ獲得情報記録部、266・・・プレイ時間情報記録部、270・・・解析結果記録部、280・・・情報記録部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9