(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-16
(45)【発行日】2024-08-26
(54)【発明の名称】流動床造粒機
(51)【国際特許分類】
B01J 2/16 20060101AFI20240819BHJP
C05C 9/00 20060101ALI20240819BHJP
C05C 1/00 20060101ALI20240819BHJP
C05C 3/00 20060101ALI20240819BHJP
C05D 9/02 20060101ALI20240819BHJP
C05G 5/12 20200101ALI20240819BHJP
B01J 2/00 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
B01J2/16
C05C9/00 A
C05C1/00
C05C3/00
C05D9/02
C05G5/12
B01J2/00 C
(21)【出願番号】P 2022525091
(86)(22)【出願日】2020-10-30
(86)【国際出願番号】 EP2020000185
(87)【国際公開番号】W WO2021083541
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-05-30
(31)【優先権主張番号】102019216894.9
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518211277
【氏名又は名称】ティッセンクルップ フェルティリツァー テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(73)【特許権者】
【識別番号】501186597
【氏名又は名称】ティッセンクルップ アクチェンゲゼルシャフト
【住所又は居所原語表記】ThyssenKrupp Allee 1 45143 Essen Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ポットホフ,マティアス
(72)【発明者】
【氏名】フランツレイヒ,ハロルド
【審査官】佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第07128936(US,B1)
【文献】特表2000-513991(JP,A)
【文献】特開平07-010508(JP,A)
【文献】特開2010-167415(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J
C05C
C05D
C05G
F26B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
造粒機内部(1)であって、第1の造粒機側壁(1a.1)、第2の造粒機側壁(1a.2)、前記造粒機側壁に対して横方向に延びる造粒機前壁(1a.3)、及び、前記造粒機内部(1)の、前記造粒機前壁の反対にある端部で、同様に横方向に延びる造粒機後壁(1a.4)を少なくとも備える、造粒機内壁(1a)を有する造粒機内部(1)と、
前記造粒機内部(1)を下方向に境界付ける、水平な有孔板(2)と、
少なくとも1つのシード入口開口部(3)及び少なくとも1つの顆粒出口開口部(4)と、
を少なくとも具備する、尿素含有顆粒又は硝酸塩含有顆粒の製造のための流動層造粒機であって、
少なくとも1つの顆粒出口開口部(4)が、前記造粒機後壁(1a.4)の前方に、距離をおいて配設され、
前記造粒機内部(1)に設けられた少なくとも1つの偏向デバイス(8、8.1、8.2、8.3)は、前記造粒機内部(1)にある顆粒粒子の流れに、前記顆粒出口開口部(4)に向かう前記顆粒粒子の初期の流れ方向とは異なる方向に前記顆粒粒子が少なくとも1回偏向されるように、偏向をもたらすものであり、前記顆粒出口開口部(4)が、2つ又は3つの側面を、前記造粒機後壁(1a.4)の向かい側には、偏向板(8)がない、又は、開口部が配設された偏向板(8)を有する、偏向板(8.1、8.1+i、ここでi=0、1、2、3、...)によって囲まれ、顆粒粒子が、まず前記顆粒出口開口部(4)を通過し、次に逆流方向に該顆粒出口開口部(4)の中に向かう、ことを特徴とする、流動層造粒機。
【請求項2】
少なくとも1つの顆粒出口開口部(4)が、前記有孔板(2)内に配設されることを特徴とする、請求項1に記載の流動層造粒機。
【請求項3】
前記造粒機内部(1)に設けられた少なくとも1つの偏向デバイス(8、8.1、8.2、8.3)が、前記造粒機内部(1)にある前記顆粒粒子の前記流れに、前記顆粒出口開口部(4)に向かう前記顆粒粒子の初期の流れ方向とは異なるように、多様な偏向をもたらすことを特徴とする、請求項
1又は2に記載の流動層造粒機。
【請求項4】
前記造粒機内部(1)に設けられた少なくとも1つの偏向デバイス(8、8.1、8.2、8.3)が、前記造粒機内部(1)にある前記顆粒粒子の前記流れに、前記顆粒出口開口部(4)に向かう前記顆粒粒子の初期の流れ方向とは合計180°異なるように、偏向をもたらすことを特徴とする、請求項
1から請求項3のいずれかに記載の流動層造粒機。
【請求項5】
前記偏向デバイスが、少なくとも1つの偏向板(8、8.1、8.1+i、ここでi=0、1、2、3、...)であって、前記顆粒粒子のほぼ流れ方向に、又は、前記顆粒粒子の前記流れ方向に対して鋭角に延在し、前記造粒機側壁(1a.1、1a.2)から距離をおいて配設される、少なくとも1つの偏向板を備えることを特徴とする、請求項
1から請求項
4のいずれかに記載の流動層造粒機。
【請求項6】
前記偏向デバイスが、少なくとも2つの偏向板(8、8.1、8.1+i、ここでi=0、1、2、3、...)であって、互いに鋭角若しくは直角を形成する、又は、互いに平行に配置される、少なくとも2つの偏向板を備えることを特徴とする、請求項
1から請求項
5のいずれかに記載の流動層造粒機。
【請求項7】
前記偏向デバイスが、少なくとも2つの偏向板(8、8.1、8.1+i、ここでi=0、1、2、3、...)であって、少なくとも2つの偏向板のうちの第1の偏向板が、前記顆粒出口開口部(4)に沿って距離をおいてもよい、前記顆粒粒子のほぼ流れ方向に延在し、少なくとも2つの偏向板のうちの第2の偏向板が、前記顆粒出口開口部(4)の前で、前記顆粒粒子の前記流れ方向に対してほぼ横方向に延在する、少なくとも2つの偏向板を備えることを特徴とする、請求項
1から請求項
6のいずれかに記載の流動層造粒機。
【請求項8】
前記造粒機内部(1)が、前記有孔板(2)の上方で、
流れ方向に見て、成長ゾーン(2a)及び冷却ゾーン(2b)に分割されることを特徴とする、請求項1から請求項
7のいずれかに記載の流動層造粒機。
【請求項9】
前記造粒機内部(1)が、前記有孔板(2)の上方で、流れ方向に見て、横方向に延びる隔壁(7)によって、成長ゾーン(2a)及び冷却ゾーン(2b)に分割されることを特徴とする、請求項
8に記載の流動層造粒機。
【請求項10】
第2のシード入口開口部が、前記造粒機前壁(1a.3)に配設され、且つ/又は、付加的に、さらなるシード入口開口部が、前記第1の造粒機側壁(1a.1)及び/若しくは前記第2の造粒機側壁(1a.2)に配設されることを特徴とする、請求項1から請求項
9のいずれかに記載の流動層造粒機。
【請求項11】
請求項
10に記載の、前記さらなる付加的なシード入口開口部が、成長ゾーン(2a
2、2a
3、など)と併せて配設されることを特徴とする、請求項
10に記載の流動層造粒機。
【請求項12】
前記顆粒出口開口部(4)が、前記有孔板(2)内に配設され、前記造粒機後壁(1a.4)に接触しないことを特徴とする、請求項1から請求項
11のいずれかに記載の流動層造粒機。
【請求項13】
前記偏向板(8.1、8.1+i、ここでi=0、1、2、3、...)が、U字形に、又は、前記偏向板が前記顆粒出口開口部(4)を鞘で覆うように、配置されることを特徴とする、請求項1から請求項
12のいずれかに記載の流動層造粒機。
【請求項14】
前記成長ゾーン(2a)と前記冷却ゾーン(2b)との間に配設された前記隔壁(7)が、通路開口部を有することを特徴とする、請求項
9に記載の流動層造粒機。
【請求項15】
少なくとも1つの偏向板(8)が、隔壁(7)の一部の形態をとることを特徴とする、請求項
5に記載の流動層造粒機。
【請求項16】
前記顆粒出口開口部(4)が、冷却ゾーン(2b
i)内に配設されることを特徴とする、請求項1から請求項
15のいずれかに記載の流動層造粒機。
【請求項17】
前記顆粒出口開口部(4)が、搬送デバイス(9)に接続されることを特徴とする、請求項1から請求項
16のいずれかに記載の流動層造粒機。
【請求項18】
前記顆粒出口開口部(4)が、粗い篩を介して、搬送デバイス(9)に接続されることを特徴とする、請求項1から請求項
17のいずれかに記載の流動層造粒機。
【請求項19】
前記搬送デバイス(9)が、下流の篩装置(10)に接続されることを特徴とする、請求項
17に記載の流動層造粒機。
【請求項20】
前記搬送デバイス(9)が、前記顆粒粒子の流れ方向において、前記第1の造粒機側壁(1a.1)の、又は、前記第2の造粒機側壁(1a.2)の全長の20%~80%の距離に、配設されることを特徴とする、請求項
17から請求項
19のいずれかに記載の流動層造粒機。
【請求項21】
前記搬送デバイス(9)が、前記顆粒粒子の流れ方向において、前記第1の造粒機側壁(1a.1)の、又は、前記第2の造粒機側壁(1a.2)の全長の20%~80%の距離に、前記第1の造粒機側壁(1a.1)の、若しくは、前記第2の造粒機側壁(1a.2)の外縁に、配設されることを特徴とする、請求項
17から請求項
19のいずれかに記載の流動層造粒機。
【請求項22】
前記顆粒出口開口部(4)が、最初に粗い篩に、続いて別個の流動層冷却器に接続されるか、又は、どの別個の流動層冷却器にも接続されないことを特徴とする、請求項1から請求項
21のいずれかに記載の流動層造粒機。
【請求項23】
前記有孔板が複数の傾斜開口部(2c)を有し、該複数の傾斜開口部(2c)が、前記有孔板(2)の表面に対して20°~60°の角度であることを特徴とする、請求項1から請求項
22のいずれかに記載の流動層造粒機。
【請求項24】
前記複数の傾斜開口部(2c)が、相互に異なる方向に傾斜していることを特徴とする、請求項
23に記載の流動層造粒機。
【請求項25】
前記複数の傾斜開口部(2c)が、前記顆粒粒子の流れ方向、又は、前記偏向板(8)を周る、前記顆粒出口開口部(4)の方向への、前記顆粒粒子の前記流れ方向に傾斜していることを特徴とする、請求項
24に記載の流動層造粒機。
【請求項26】
造粒機側壁(1a.1及び1a.2)の一方又は両方が、垂直配置にあることを特徴とする、請求項1から請求項
25のいずれかに記載の流動層造粒機。
【請求項27】
造粒機側壁(1a.1及び1a.2)の一方又は両方が、垂直方向に見て、前記流動層造粒機の中心線から外側に傾斜した配置にあることを特徴とする、請求項1から請求項
26のいずれかに記載の流動層造粒機。
【請求項28】
尿素含有及び/又は硝酸塩含有溶融物を提供するステップと、
請求項1から請求項
27のいずれかに記載の流動層造粒機に前記尿素含有及び/又は硝酸塩含有溶融物を噴霧するステップと、
前記尿素含有
及び/又は硝酸塩含有溶融物を造粒し、尿素含有及び/又は硝酸塩含有粒状材料を得るステップと、
を少なくとも含む、尿素含有
及び/又は硝酸塩含有粒状材料を製造するための方法。
【請求項29】
前記尿素含有及び/又は硝酸塩含有溶融物が、硫酸アンモニウム、単体硫黄、硝酸アンモニウム、微量元素、造粒添加剤、乳化添加剤及び/又はそれらの混合物を含む群から選択される、1つ以上の物質を含むことを特徴とする、請求項
28に記載の方法。
【請求項30】
尿素含有及び/又は硝酸塩含有粒状材料の製造のための、請求項1から請求項
27のいずれかに記載の流動層造粒機の使用方法。
【請求項31】
単体硫黄及び/又は硫酸アンモニウム含有の尿素含有粒状材料の製造のための、請求項
30に記載の流動層造粒機の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿素含有顆粒の製造のための流動層造粒機、尿素含有粒状材料を製造するための方法、および尿素含有粒状材料の製造のための本発明の流動層造粒機の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
世界的な人口増加に関して、柔軟で効率的な肥料の開発は大きな意義があり、ますます重要となる。ここで重要なのは、肥料自体、すなわち肥料の化学組成だけでなく、運搬可能な容器での処理作業、および現場への展開である。ここで最も重要なのは、同一サイズおよび同一特性の一様な粒子を得るための造粒である。ここで重要なパラメータは、低い粉塵形成、強度、低い凝集傾向、均一なサイズ、貯蔵性および安定性である。確立された造粒技術は流動層造粒であり、これは例えば、プリル化およびペレット化技術と比較して、改善された粒子特性を有する。
【0003】
流動層造粒による尿素含有肥料粒状材料の製造の一例は、国際公開第2010/060535号、例えば段落[0025]~[0035]、
図1、または米国特許第4701353号、独国特許出願公開第3116778号、および米国特許第4219589号に見つけることができる。
【0004】
世界的な肥料生産の非常に高い割合を、尿素含有肥料が占めている。この水溶性肥料は、土壌中で分解してアンモニウム塩または硝酸塩を生み出し、重要な基礎肥料である。この尿素含有肥料は、さらにカリウムなどの元素、リン酸塩、または硫黄化合物と組み合わせることができる。
【0005】
農業における尿素-硫黄肥料の使用は、古くから知られている。このような肥料混合物では、さらなる肥料を展開するための手段およびコストを省くことができるように、窒素および硫黄の2つの元素と同時に、植物を提供することができる。これにより、尿素と組み合わせて、例えば、初期段階の播種植物に、尿素を介して窒素を供給し、その後の成長期に硫黄を供給することが可能となる。
【0006】
そのため、尿素および硫黄の均一な分布を有する尿素-硫黄肥料は、ますます、より重要となる。例は、例えば、米国特許第4330319号に見つけることができる。
【0007】
尿素含有肥料顆粒のための現代の造粒プラントによって、1日当たり2000t(トン)~4000t(トン)の範囲の生産量が可能となる。これらの生産量は、流動層造粒機の、対応する大きさも同時に必要とする。例示的な流動層造粒機では、顆粒出口は、流動層造粒機の狭い側面にあり、顆粒/シード注入口は、流動層造粒機の反対の側面にある。小型の流動層造粒機(最大約30m2)の場合、これは、工業的実装において、一般的に問題ではない。
【0008】
粒状材料を篩い分け/粉砕の巡回にさらに運搬するために、初めに、大きな集塊または特大の粒子を除去するために流動層造粒機出口に配設された、粗い篩があり、次に、粒状材料を造粒建物内の上方へ篩まで搬送する、少なくとも1つのバケットコンベヤがあることが多い。次いで、固体材料は、造粒プラント内のこの最高点から、好ましくは重力のみに基づいて、造粒プラント内のすべてのさらなる工程段階および装置に移動する。篩から、例えば、粒状材料の約30%が、傾斜した傾斜台を介して、シード/帰還流として、流動層造粒機の入口側に戻される。入口側面は出口側面の反対にあり、これら2つはそれぞれ、流動層造粒機の狭い側面を形成する。これらの傾斜台の傾斜は、均一な製品の流れを保証するために、一方では製品が自由に流れるが、他方では急落しないように選択される。この効果は、顆粒出口側とシード入口側との間の水平距離の外部架橋もまた、例えば1.2倍~1.7倍の建物の高さの増加をもたらすことである。その結果、粒状材料を上方に搬送するバケットコンベヤだけでなく、建物全体もまた、建物の高さの増加に応じて、より高くなり、利用されない建物容積が大量に存在する。したがって、流動層造粒機の長さが増加する既存の設計では、流動層造粒機を収容する建物はさらに高くなる。
【0009】
欧州特許出願公開第2832439号は、コーティングされた流動層造粒機、およびその例示的な構造を開示している。
【0010】
欧州特許第1581333号は、硝酸塩含有粒子の造粒のための、コンパクトな設計の流動層造粒機を開示している。
【0011】
欧州特許出願公開第0900589号は、製品粒子のリサイクルを省くことができる、省エネルギー流動層造粒機および方法を開示している。
【0012】
先行技術の上述の欠点を有さない、流動層造粒機を提供することが、本発明の目的である。造粒建物は、尿素含有顆粒の生産量が多い場合、したがって非常に長い流動層造粒機であっても、利用されない空間の量が少ない、非常にコンパクトな設計であるべきである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】国際公開第2010/060535号
【文献】米国特許第4701353号
【文献】独国特許出願公開第3116778号、
【文献】米国特許第4219589号
【文献】米国特許第4330319号
【文献】欧州特許出願公開第2832439号
【文献】欧州特許第1581333号
【文献】欧州特許出願公開第0900589号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、請求項1に記載の、尿素含有または硝酸塩含有顆粒の製造のための流動層造粒機によって達成される。有利な構成は、従属請求項から明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
目的は、請求項26に記載の、尿素含有粒状材料を製造するための方法によっても達成される。有利な構成は、従属請求項から明らかであろう。
【0016】
本発明は、尿素含有粒状材料の製造のための本発明の流動層造粒機の使用をさらに包含する。
【0017】
尿素含有顆粒または硝酸塩含有顆粒の製造のための本発明の流動層造粒機は、少なくとも、
造粒機内部であって、第1の造粒機側壁、第2の造粒機側壁、造粒機側壁に対して横方向に延びる造粒機前壁、および造粒機内部の、造粒機前壁の反対にある端部で、同様に横方向に延びる造粒機後壁を少なくとも備える、造粒機内壁を有する造粒機内部と、
造粒機内部を下方向に境界付ける、水平な有孔板と、
少なくとも1つのシード入口開口部および少なくとも1つの顆粒出口開口部と
を備え、少なくとも1つの顆粒出口開口部が、造粒機後壁の前方に、距離をおいて配設される。
【0018】
本発明の好ましい発展形態では、少なくとも1つの顆粒出口開口部は、有孔板内に配設される。
【0019】
本発明の好ましい発展形態では、造粒機内部に設けられた少なくとも1つの偏向デバイスは、造粒機内部にある粒状材料の流れに、顆粒出口開口部に向かう顆粒粒子の初期の流れ方向とは異なる方向に顆粒粒子が少なくとも1回偏向されるように、偏向をもたらす。
【0020】
本発明の好ましい発展形態では、造粒機内部に設けられた少なくとも1つの偏向デバイスは、造粒機内部にある顆粒粒子の流れに、顆粒出口開口部に向かう顆粒粒子の初期の流れ方向とは異なるように、多様な偏向をもたらす。
【0021】
本発明の好ましい発展形態では、造粒機内部に設けられた少なくとも1つの偏向デバイスは、造粒機内部にある顆粒粒子の流れに、顆粒出口開口部に向かう顆粒粒子の初期の流れ方向とは合計約180°異なるように、偏向をもたらす。
【0022】
本発明の好ましい発展形態では、偏向デバイスは、少なくとも1つの偏向板であって、顆粒粒子のほぼ流れ方向に、または顆粒粒子の流れ方向に対して鋭角に延在し、造粒機側壁から距離をおいて配設される、少なくとも1つの偏向板を備える。
【0023】
本発明の好ましい発展形態では、偏向デバイスは、少なくとも2つの偏向板であって、互いに鋭角もしくは直角を形成する、または互いに平行に配置される、少なくとも2つの偏向板を備える。
【0024】
本発明の好ましい発展形態では、偏向デバイスは、少なくとも2つの偏向板であって、少なくとも2つの偏向板のうちの第1の偏向板が、顆粒出口開口部に沿って距離をおいてもよい、顆粒粒子のほぼ流れ方向に延在し、少なくとも2つの偏向板のうちの第2の偏向板が、顆粒出口開口部の前で、顆粒粒子の流れ方向に対してほぼ横方向に延在する、少なくとも2つの偏向板をさらに備える。
【0025】
互いに鋭角または直角を形成し、したがって元の流れ方向に流れる顆粒粒子から、まず顆粒出口開口部を遮蔽して、偏向をもたらす、個別の偏向板ではなく、例えば、1つ、2つまたは3つの側面で顆粒出口開口部を遮蔽するが、少なくとも造粒機後壁に面する側面に開口部を有するように成形された湾曲偏向板であって、偏向された顆粒粒子が側面に有する開口部から顆粒出口開口部に誘導されるような、湾曲偏向板を提供することも可能である。
【0026】
本発明の流動層造粒機は、造粒機内壁を有する少なくとも1つの造粒機内部を備える。造粒機内壁は、(好ましくは流動層造粒機の長い側面としての)少なくとも1つの第1の造粒機側壁、(好ましくは流動層造粒機の長い側面としての)第2の造粒機側壁、(好ましくは短い側面または狭い側面としての)造粒機前壁、および(好ましくは短い側面または狭い側面としての)造粒機後壁を備える。造粒機内部内に、好ましくは内部の基部の上方に水平に、配設されるのは、有孔板である。噴霧ノズルは、好ましくは、有孔板の内部、上方、または表面に取り付けられる。代替的に、噴霧ノズルはまた、有孔板から離れて、例えば有孔板の上方に、または造粒機空間内の側面に(例えば造粒機側壁に)配置されてもよい。噴霧ノズルは、好ましくは、尿素含有肥料溶融物を誘導するための、霧化ガス供給部および溶融物供給導管によって接続される。本発明の文脈における「尿素含有肥料溶融物」という表現はまた、(工業用純度の範囲内の、一般に1重量%~10重量%の含水率を有する)純粋な尿素溶融物もしくは尿素溶液、または造粒添加剤、例えばホルムアルデヒド、ポリビニルアミン、ポリエチレンビニル(例えばポリエチレンアミン)、ポリエチレンイミン、カルボン酸および/もしくはアルデヒドを含む、純粋な尿素溶融物もしくは尿素溶液を含む。霧化ガス供給部および溶融物供給導管はまた、複合導管に実装されてもよい。本発明の文脈における「霧化ガス供給部」という表現は、溶融物供給導管からの造粒すべき溶融物と共に、微細に分割された溶融物液滴(「霧化」液滴)を噴霧ノズル内に作り出すガス供給部を包含する。本発明の文脈における「霧化」という表現は、溶融物液滴の個別の原子への分割または分解を意味するのではなく、むしろ好ましくは1~200μmの範囲の小さな溶融物液滴の生成を意味する。本発明の文脈における「溶融物」という表現は、好ましくは尿素含有溶融物中に溶解すべき成分の割合が、0.5重量%より大きく、50重量%まで、より好ましくは、30重量%未満である、濃縮溶液、懸濁液、乳濁液または分散液を包含する。付加的に、1つ以上のシード入口開口部および1つ以上の顆粒出口開口部が含まれ、シード入口開口部と顆粒出口開口部との間の距離が、(理論上の)顆粒の流れ方向を規定する。「シード入口開口部」という表現は、1つ以上の、開口部または供給部を表し、1つ以上の、開口部または供給部を介して、(所望の顆粒サイズより小さい)比較的小さい粒子が、シード粒子として流動層造粒機に導入される。噴霧ノズルは、シード粒子を溶融物液滴と接触させるために使用される。この付着による増大が、シード粒子の連続的な成長をもたらす。粒子は、好ましくは、成長の結果として、微視的レベルで「ラズベリー状」の外観を有し、溶融固化(結晶化)液滴を有する核からなる。
【0027】
本発明の流動層造粒機は、顆粒出口開口部が、造粒機後壁から距離をおいて、前方に配設されることを特徴とする。結果として、粒状材料は、従来の流動層造粒機の場合のように、造粒機内部の、シード入口開口部に対して最も遠くにある除去された端部で排出されるのではなく、むしろ、適切な偏向デバイスによって、主な流れ方向以外の方向に偏向され、流れ方向に見て、造粒機後壁の前方で、距離をおいた領域にある顆粒出口開口部に供給される。
【0028】
また、顆粒出口開口部は、有孔板内に配設される。顆粒出口開口部は、本発明の構成において、例えば、造粒機後壁の向かい側には、偏向板がない、または開口部が設けられた偏向板を有する、偏向板によって、好ましくはu字状に囲まれる。偏向板は、ここで、迂回する流れをもたらし、続いて、流動層に存在する顆粒粒子が、まず顆粒出口開口部を通過し、次いで偏向板内を逆流方向に、顆粒出口開口部の中へ向かう偏向をもたらす。したがって、顆粒出口は、造粒機内部に配設することができる。これにより、驚くべきことに、流動層造粒機の、顆粒出口(顆粒出口開口部)と帰還/シード注入口(シード入口開口部)との間の距離が、約20~50%減少する。顆粒出口の移動に応じて、バケットコンベヤの必要な高さ、および造粒建物の建物高さが低くなる。
【0029】
好ましくは、造粒機内部は、流動化ガス供給部と、溶融物用供給部および霧化ガス用供給部を有する有孔板の、内部また表面に配設された噴霧ノズルとを含む。溶融物用供給部および霧化ガス用供給部は、個別の供給部または複合供給部を介して実装され得る。流動化ガス供給部によって、有孔板を通って底部から有孔板の上方に顆粒粒子の流動層を生成する、空気流またはガス流の導入が可能となる。
【0030】
造粒機内部は、好ましくは、有孔板の上方に、成長ゾーンおよび冷却ゾーンを備える。好ましくは、上述のような成長ゾーンには、有孔板に噴霧ノズルが配設され、冷却ゾーンには、噴霧ノズルがないか、または、成長ゾーンよりも少ない噴霧ノズルがある場合がある。成長ゾーンおよび冷却ゾーンが交互になることによって、粒子成長および温度分布の制御が可能となる。これは、高温でのビウレットを回避するのに特に有用である。
【0031】
好ましい構成では、2つのシード入口開口部は、造粒機前壁の領域に配設される。また、流動層造粒機のサイズに応じて、第1および第2の造粒機側壁に、さらなるシード入口開口部が配設されてもよい。本発明の文脈において、さらなるシード入口開口部もまた、他の場所に配設可能であってもよい。より好ましくは、第3および第4のシード入口開口部は、成長ゾーンと併せて配設される。付加的なシード入口開口部によって、顆粒粒子の成長プロセスの、制御および追加の温度制御が可能となる。
【0032】
造粒出口開口部は、好ましくは有孔板内に配設され、造粒機後壁に接触しない。
【0033】
さらに好ましい構成では、偏向板(8.1、8.1+i、ここでi=0、1、2、3、...)は、U字形に、または偏向板が顆粒出口開口部を鞘で覆うように配置される。「U字形または鞘で覆う」という表現は、偏向板の、円形配置、丸みを帯びた配置、直線状の配置、および角のある配置も含む。例示的な幾何学形状は、矩形の配置または正方形の配置であって、造粒機後壁の向かい側の側面が存在しない配置、または粒状材料を通過させるための開口部を有する、配置を含む。
【0034】
さらに好ましくは、隔壁は、成長ゾーンと冷却ゾーンとの間に配設され、隔壁は、好ましくは、通路開口部を備える。より好ましくは、下部領域にある通路開口部は、有孔板に近接、または隣接して配置される。
【0035】
さらに好ましい構成では、偏向板は隔壁の一部として設計される。この構成は、顆粒粒子のための通路開口部を有さない隔壁の部分も含む。
【0036】
さらに好ましくは、顆粒出口開口部は、冷却ゾーン内に配設される。
【0037】
好ましくは、顆粒出口開口部は、粗い塊および特大の顆粒集塊を除去するための粗い篩を介して、搬送デバイス、例えば1つまたは2つの、下流のバケットコンベヤもしくは他の搬送ユニット、に接続される。本発明の文脈における「接続された」という表現は、さらなる中間構成要素、例えば流動層冷却器を含む。搬送デバイスによって、造粒建物内の冷却された粒状材料を、好ましくは造粒建物の上方に配設された篩装置まで、上方向に、さらに運搬することが可能となる。篩装置によって、顆粒粒子を、好ましいサイズの範囲内(例えば、尿素含有粒子の場合、しばしば2mm~4mm)の顆粒粒子、好ましいサイズの範囲より小さい粒子、および好ましいサイズの範囲より大きい粒子に分離することが可能となる。好ましいサイズの範囲よりも大きい粒子は、好ましくは粉砕機または製粉機で粉砕され、好ましいサイズの範囲よりも小さい粒子と共に、シード粒子として、(1または複数の)シード入口開口部を介して造粒機内部にリサイクルされる。シード粒子は、シード粒子運搬のための装置の複雑さを最小限に抑えるために、好ましくは重力のみでリサイクルされる。この目的のために、例えば、傾斜角が粒状材料の安息角よりも大きい傾斜台が使用される。この配置は、造粒建物の高さを本質的に決定する。
【0038】
さらに好ましい構成では、搬送デバイスは、顆粒の流れ方向に見て、第1または第2の造粒機側壁の外縁から、第1または第2の造粒機側壁の全長の20%~80%の距離に配設される。流動層造粒機の本発明の構成によって、流動層造粒機の長手方向側面に対して、搬送デバイスの中央配置が可能となる。本発明の文脈において、「第1または第2の造粒機側壁の外縁から、第1または第2の造粒機側壁の全長の20%~80%の距離に配設される」という表現は、搬送デバイスが、造粒機前壁から、第1または第2の造粒機側壁の全長の20%~80%の距離に配設されることを意味する。第1または第2の造粒機側壁の例示的な側面の長さが20mである場合、搬送デバイスは、第1または第2の造粒機側壁に沿って、造粒機前壁から4m(20%)~16m(80%)の距離で、造粒機内部の外側に配設される。搬送デバイスからシード入口開口までの傾斜台を用いて覆うべき距離が減少するため、搬送デバイスおよび下流の篩装置を、より中央に配置することによって、造粒建物の全体の建物高さを低くすることができる。「配置された」という表現は、搬送デバイスの設置面積の中心に関する。
【0039】
代替構成では、顆粒出口開口部は、好ましくは粗い塊もしくは特大の顆粒集塊を除去するための粗い篩によって、別個の流動層冷却器に接続されるか、または顆粒出口開口部は、別個の流動層冷却器に接続されない。より好ましくは、顆粒出口開口部は、どの別個の流動層冷却器にも接続されない。この構成では、流動層造粒機および流動層冷却器は、本発明の流動層造粒機内で組み合わされる。
【0040】
好ましくは、有孔板は傾斜開口部を有し、より好ましくは、傾斜開口部は、有孔板の表面に対して20°~60°の角度を有する。本発明の文脈における「傾斜開口部」という表現は、有孔板に導入される、有孔板に配置される、または有孔板の変形によって得られる、開口部、打ち抜き、凹部、隆起部、切り欠きおよび同様の要素の、有孔板における配置であって、単純な平面状、場合によってはリング形状の開口部による垂直拡散とは異なる、空気流の偏向を可能にする、配置を包含する。傾斜開口部の最大直径は、好ましくは、1mm~3mmである。
【0041】
さらに好ましくは、傾斜開口部は、異なる方向に、より好ましくは顆粒の流れ方向に、特により好ましくは、偏向板を周る、顆粒出口開口部の方向への、顆粒の流れ方向に傾斜している。異なるように傾斜した開口部の配置は、流動層造粒機を通って、偏向板に沿って顆粒出口開口部に至るまでの、顆粒粒子の誘導に役立つ。
【0042】
本発明はさらに、少なくとも以下のステップを含む、尿素含有または硝酸塩含有粒状材料を製造するための方法を包含する。第1のステップでは、尿素含有および/または硝酸塩含有溶融物、または濃縮尿素含有溶液が提供される。溶融物は、好ましくは依然として重量割合で1重量%~5重量%の水を含有し、より好ましくは、残りの重量割合は、尿素、単体硫黄、造粒添加剤、乳化添加剤および/または硫酸アンモニウムを含む。次のステップにおいて、尿素含有溶融物は、上述のように、流動化顆粒粒子で満たされた流動層造粒機に噴霧される。さらなるステップにおいて、尿素含有および/または硝酸塩含有溶融物が造粒され、尿素含有または硝酸塩含有粒状材料が得られる。流動化粒子への溶融物液滴の投下は、粒子の表面で溶融物の固化をもたらし、尿素含有または硝酸塩含有粒状材料が得られる。
【0043】
好ましくは、本発明の方法で使用される尿素含有溶融物は、硫酸アンモニウム、単体硫黄、硝酸アンモニウム、微量元素、造粒添加剤、乳化添加剤および/またはそれらの混合物を含有する。より好ましくは、尿素含有融溶融物は、2重量%~30重量%の硫黄、特に好ましくは5重量%~20重量%の硫黄を含有する。本発明の文脈における「尿素含有肥料溶融物」という表現はまた、(工業用純度の範囲内の、一般に2重量%~10重量%の含水率を有する)純粋な尿素溶融物もしくは尿素溶液、または造粒添加剤、例えばホルムアルデヒド、ポリビニルアミン、ポリエチレンビニル(例えばポリエチレンアミン)、ポリエチレンイミン、カルボン酸および/もしくはアルデヒドを含む、純粋な尿素溶融物もしくは尿素溶液を含む。
【0044】
本発明は、さらに、尿素含有粒状材料、より好ましくは単体硫黄および/または硫酸アンモニウム含有の尿素含有粒状材料の製造のための、上述した本発明の流動層造粒機の使用に関する。
【0045】
本発明は、図面を参照して、以下に詳細に説明される。図面は、縮尺通りではなく、図面に示される実施形態に本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図2】本発明の例示的な流動層造粒機の概略上面図。
【
図3】本発明の流動層造粒機のさらなる概略上面図。
【
図4】本発明の流動層造粒機の代替構造のさらなる概略上面図。
【
図5】本発明の流動層造粒機のさらなる好ましい概略上面図。
【
図6】先行技術による流動層造粒機の概略的に簡略化された側面図。
【
図7】本発明の流動層造粒機の対応する概略的に簡略化された側面図。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1は、少なくとも1つの造粒機内部1であって、前記造粒機内部を境界付ける造粒機内壁1aを有する、少なくとも1つの造粒機内部1を備える、先行技術による従来の流動層造粒機の概略上面図を示す。造粒機内壁1aは、好ましくは上方向に流動層造粒機の中心線からわずかに外側に傾斜している、少なくとも1つの第1のほぼ垂直な造粒機側壁1a.1であって、第1の長手方向側面に沿って造粒機内部を境界付ける、造粒機側壁1a.1と、好ましくは上方向に流動層造粒機の中心線からわずかに外側に傾斜している、第2のほぼ垂直な造粒機側壁1a.2であって、第1の造粒機側壁から距離をおいて平行に延び、第2の長手方向側面に沿って造粒気内部を境界付ける、造粒機側壁1a.2と、好ましくは2つの造粒機側壁に対して横方向に延び、2つの造粒機側壁を互いに接続する、好ましくはほぼ垂直な造粒機前壁1a.3と、造粒機前壁から距離をおいて、好ましくは造粒機前壁に平行に延び、したがって造粒機前壁の反対にある、好ましくはほぼ垂直な造粒機後壁1a.4とを備える。したがって、実施例に示される流動層造粒機は、好ましくは、正方形でさえもあり得る、矩形輪郭の造粒機内部を有する。簡単にするために、本出願では、
図1および
図2の矢印によって示されるような、造粒機内部の顆粒粒子の搬送方向への、流動層造粒機の伸長に対応する、「長手方向側面」という用語が使用される。仕様を満たさない顆粒粒子が造粒機内部に入る側面にある造粒機前壁1a.3、および顆粒粒子が従来の流動層造粒機の造粒機内部から出る側面にある造粒機後壁1a.4は、したがって、横方向に、顆粒粒子の主な搬送方向を横切って延びる。
【0048】
顆粒粒子から流動層が作り出される造粒機内部1は、有孔板2であって、概して水平に延び、表示にしたがって、例えば(限定的ではないが)造粒機内部1の全長および全幅にわたって延在してもよい、有孔板2によって、底部で境界付けられる。したがって、この有孔板2の上方では、ほぼ立方状、またはトラフ状の容積で、顆粒粒子の流動層が生成される。有孔板の内部、上方または表面には、概して互いに間隔をおいて配置された、複数の噴霧ノズル5が取り付けられており、複数の噴霧ノズルは、例えば列状に配置されてもよい。噴霧ノズル5は、噴霧ガス供給部および溶融物供給導管(図示せず)によって接続される。付加的に、有孔板2の上方には、1つ以上の(1または複数の)シード入口開口部3が設けられ、有孔板2には、1つ以上の(1または複数の)顆粒出口開口部4が設けられ、シード入口開口部3と顆粒出口開口部4との間の距離が、(理論上の)顆粒の流れ方向(I)を規定する(矢印参照)。有孔板2には、底部から流動媒体、例えば空気が供給される(図示せず)。シード入口開口部3によって、シード粒子としての比較的小さい(所望の顆粒サイズより小さい)顆粒粒子の、流動層造粒機への導入が可能となる。流れ方向に見ると、造粒機内部は、好ましくは、各々が互いに間隔をおいて、造粒機の横方向に延在する、1つ以上の隔壁7も備える。シード入口開口部3は、顆粒の流れ方向に見て、それぞれ、第1の隔壁7と第2の隔壁7との間で、造粒機前壁1a.3および/または第1の造粒機側壁1a.1および/または第2の造粒機側壁1a.2に配設されてもよい。
【0049】
シード粒子は、噴霧ノズル5、ならびに溶融物6aおよび霧化空気6bのための供給部(図示せず)を介して、溶融物液滴と接触する。この付着による増大が、シード粒子の連続的な成長をもたらす。粒子は、成長の結果として、好ましくは、溶融固化(結晶化)液滴を有する核から構成される、微視的レベルで「ラズベリー状」の外観を有する。有孔板2は、成長ゾーン(2a、2ai、ここで、i=1,2,3,...)および冷却ゾーン(2b、2bi、ここで、i=1,2,3,...)を備える。成長ゾーン(2a、2ai、ここで、i=1,2,3,...)には、噴霧ノズル5が配設され、冷却ゾーンには、噴霧ノズル(2b、2bi、ここで、i=1,2,3,...)がないか、または適切な場合には、成長ゾーン(2a、2ai、ここで、i=1,2,3,...)よりも少ない噴霧ノズル5(図示せず)が存在する。成長ゾーン(2a、2ai、ここで、i=1,2,3,...)および冷却ゾーン(2b、2bi、ここで、i=1,2,3,...)が交互になることによって、粒子成長および温度分布の制御が可能となる。これは、特に、高温でのビウレットの形成を回避するのに有用である。流れ方向において、成長ゾーン2aと冷却ゾーン2bとの間には、隔壁7が付加的に配設され、好ましくは、隔壁は通路開口部(図示せず)を備える。これらは、例えば、隔壁7の下側の領域にある、例えば、隔壁7が有孔板2の上方で終端するので現れる、スロットであってもよく、したがって、1つのゾーンから次のゾーンへの流れ方向に、顆粒粒子のための通路開口部が存在する。
【0050】
図2は、本発明の流動層造粒機の概略上面図を示す。基本的な構造は、
図1を参照して上述した従来の流動層造粒機の構造に対応し、したがって、既に上述した特徴は、本明細書では繰り返されない。2つの図、
図1および
図2を比較すると、本発明の流動層造粒機では、顆粒出口開口部が、造粒機後壁1a.4の前方に、距離をおいて配置されていることがわかる。したがって、
図1による従来の流動層造粒機の場合、顆粒出口開口部4が、造粒機後壁1a.4の領域、したがって、シード入口開口部3から見ると、流動層造粒機の長手方向に見て実質的に反対の端部にあるため、流動層造粒機の同じ構造サイズを仮定すると、顆粒出口開口部4と、シード入口開口部3および造粒機前壁1a.3との間の理論上の最短距離は、従来の流動層造粒機の場合よりも本発明の解決策の場合の方が短い。
【0051】
また、顆粒出口開口部4は、有孔板2内に配設され、造粒機後壁1a.4に接触しない。顆粒出口開口部4で除去された顆粒粒子は、次いで有孔板2にある顆粒出口開口部を通って、例えば対応するシャフトを通って下方に落下する。その後、それ自体公知の方法で、搬送デバイスおよび篩が種々の顆粒粒子サイズを互いに区別し、要求仕様を満たさない顆粒粒子がシード入口開口部3に戻される。これらの詳細は、
図2には示されていない。
【0052】
顆粒出口開口部4は、複数の偏向板8、8.1、8.2、8.3の本発明の構成では、例えば、ほぼU字状に囲まれており、この場合、造粒機後壁1a.4とは反対の側面に、偏向板8が設けられないか、または開口部を有する偏向板8(図示せず)が設けられる。ここで、偏向板8、8.1、8.2、8.3は、迂回する流れをもたらし、続いて、流動層に存在する顆粒粒子が、まず顆粒出口開口部4を通過し、次いで偏向板8、8.1、8.2、8.3内を逆流方向に、顆粒出口開口部4の中へ向かう偏向をもたらす。これにより、流動層造粒機の、顆粒出口(顆粒出口開口部4)と帰還/シード注入口(シード入口開口部3)との間の距離が、例えば約20~50%減少する。規格外の顆粒粒子が流動層造粒機の上方の領域でシード入口開口部3にリサイクルされるため、顆粒出口開口部4の移動に応じて、搬送デバイスによってカバーされるべき高さ、および造粒建物の建物高さが減少し、本発明の解決策の場合には、目的に必要な装置の構造高さが低くなる。この態様は、
図6および
図7の概略図に関して、後に詳細に明らかにされる。
【0053】
図3は、本発明の流動層造粒機のさらなる概略上面図を示す。基本構造は、
図2で説明された構造に対応する。第1の造粒機側壁1a.1に、搬送デバイス9が配設されている。搬送デバイス9は、代替的に第2の造粒機側壁1a.2に配設されてもよい。さらなる代替として、2つの造粒機側壁1a.1、1a.2の各々に1つの搬送デバイスが配設されてもよい。顆粒粒子の流れ方向Fは、
図3の矢印によって概略的に示されている。先行技術の流動層造粒機と対比して、本発明の流動層造粒機によって、上述のように、特に造粒建物の建物高さに関して、はるかにコンパクトな設計が可能となる。
【0054】
図4は、本発明の流動層造粒機の代替構造のさらなる概略上面図を示す。基本的な構造は、
図3で説明された構造に対応する。しかしながら、顆粒出口開口部4は、有孔板2内で、第1の造粒機側壁1a.1および搬送デバイス9に隣接して配設される。この配置により、搬送デバイス9までの運搬距離が短くなる。
【0055】
代替的に、搬送デバイスおよび顆粒出口開口部4は、第2の造粒機側壁1a.2に隣接して配設されてもよい。さらなる代替構成は、各々が搬送デバイスを有する2つの顆粒出口開口部であり、各々が第1の造粒機側壁1a.1および第2の造粒機側壁1a.2に隣接して配設される。
【0056】
図5は、本発明の流動層造粒機のさらなる好ましい概略上面図を示す。有孔板2には、実際のサイズと比較して著しく拡大された形態で、概略的な傾斜開口部2cが示されている。設置された有孔板では、開口部は、例えば、1mm~3mmのサイズである。明確にするために、個別の傾斜開口部2cのみが示されている。空気Gまたは流動媒体の流れ方向は、例として黒矢印で示されている。傾斜開口部2cの配置は、顆粒粒子の流れ方向Fの操向に役立つ。
【0057】
流動層造粒機の本発明の設計の重要な利点は、
図6および
図7による概略側面図を参照して、以下で明らかにされる。2つの図面のそれぞれにおいて、造粒機前壁1a.3および造粒機後壁1a.4が見られ、シード入口開口部3で造粒機内部1に入る顆粒粒子は、造粒機前壁1a.3と造粒機後壁1a.4との間で、顆粒出口開口部4に向かって、流れ方向(長手方向)に搬送される。
図6によると、従来の装置では、この顆粒出口開口部4が造粒機内部1の端部にあるため、顆粒粒子は、顆粒出口開口部4に到達する前に、造粒機内部を通る距離全体に広がらなければならない。その結果、規格外の顆粒粒子を、流動層造粒機の上方に配設された篩を介して、シード入口開口部3に戻るシードとして、リサイクルすることができるように、対応する構造高さを有しなければならない、概略的に非常に簡略化された搬送デバイス9が、
図6の顆粒出口開口部4に配設されている。
【0058】
対照的に、本発明の解決策の場合、規格外の顆粒粒子が戻されなければならない、造粒機前壁1a.3、および造粒機前壁1a.3に配設された(1または複数の)シード入口開口部3までの距離が、格段に、より短く、それに対応して、搬送デバイス9および造粒建物の構造高さも著しく低くできるように、顆粒出口開口部4は、したがって顆粒出口開口部4から続く搬送デバイス9も、造粒機後壁1a.4からかなりの距離をおいて、造粒機側壁の、より中間の領域にある。
【符号の説明】
【0059】
1 造粒機内部
1a 造粒機内壁
1a.1 第1の造粒機側壁
1a.2 第2の造粒機側壁
1a.3 造粒機前壁
1a.4 造粒機後壁
2 有孔板
2ai 成長ゾーン
2bi 冷却ゾーン
2c 傾斜開口部
3 (1または複数の)シード入口開口部
4 (1または複数の)顆粒出口開口部
5 噴霧ノズル
6a 溶融物用供給部
6b 霧化ガス用供給部
7 隔壁
8i 偏向デバイス/偏向板
9 搬送デバイス
F 顆粒粒子の流れ方向
G 空気または流動媒体の流れ方向