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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-16
(45)【発行日】2024-08-26
(54)【発明の名称】尿採取システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/10 20060101AFI20240819BHJP
   G01N 33/48 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
G01N1/10 V
G01N33/48 F
【請求項の数】 43
(21)【出願番号】P 2022525515
(86)(22)【出願日】2020-11-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-05
(86)【国際出願番号】 US2020060541
(87)【国際公開番号】W WO2021097310
(87)【国際公開日】2021-05-20
【審査請求日】2023-08-28
(31)【優先権主張番号】62/934,787
(32)【優先日】2019-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】300020418
【氏名又は名称】ザ ユーエイビー リサーチ ファンデイション
(73)【特許権者】
【識別番号】522170711
【氏名又は名称】ザ チルドレンズ ホスピタル オブ アラバマ
【氏名又は名称原語表記】The Children’s Hospital of Alabama
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アシュケナージ、デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ディル、リン
(72)【発明者】
【氏名】ホランド、マーティン ドーソン
(72)【発明者】
【氏名】レヴェレット、シェルビー
(72)【発明者】
【氏名】デカント、エリザベス
【審査官】森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】特開昭64-068258(JP,A)
【文献】特表2012-531253(JP,A)
【文献】特表平03-501812(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00-1/44
G01N 33/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
尿採取デバイスであって、
a)尿道を有する女性対象者の会陰部位に適合して尿を受けるように構成されたベースン部と、
b)前記ベースン部に取り付けられたリップ部であって、前記会陰部位に取り付けるための接触面を有するリップ部と、
c)前記ベースン部の内部から離れるように延びるリッジ部であって、前記リッジ部は前記ベースン部からの尿の漏れを防ぐために前記デバイスの下位部分に沿って配置され、また前記リッジ部は、弯曲した頂点を備え且つ互いから約25~65°の2つのステムを備える「V」字を形成する前方エッジを有する、リッジ部と、
d)前記尿を排出するための、前記ベースン部内の排液口と
を有する、尿採取デバイス。
【請求項2】
尿採取デバイスであって、
a)尿道を有する女性対象者の会陰部位に適合して尿を受けるように構成されたベースン部と、
b)前記ベースン部に取り付けられたリップ部であって、接着剤を使用して前記女性対象者に前記デバイスを付着させるのに十分な表面積を有するリップ部と、
c)前記ベースン部からの尿の漏れを防ぐための、前記ベースン部の下位端上のリッジ部であって、弯曲した頂点を備え且つ互いから約25~65°の2つのステムを備える「V」字を形成する前方エッジを有するリッジ部と、
d)前記尿を排出するための、前記ベースン部内の排液口と
を有する、尿採取デバイス。
【請求項3】
女性小児科対象者による使用ための尿採取デバイスであって、
a)ボウルとリムとを有するベースン部であって、前記ボウルは、前記対象者の尿道を覆うように寸法決めされて、前記リムは、前記尿道を囲む部位に接触するように寸法決めされている、ベースン部と、
b)前記ベースン部の前記リムから径方向に延びるリップ部であって、前記対象者の腹部又は恥丘に接触するように構成されたリップ部と、
c)前記ベースン部の下位側で、前記ベースン部の前記ボウルから離れるように延びるリッジ部であって、前記リッジ部は前記対象者の陰唇間に延びることによってシールをもたらすように構成され、また前記リッジ部は、弯曲した頂点を備え且つ互いから約25~65°の2つのステムを備える「V」字を形成する前方エッジを有する、リッジ部と、
d)前記ベースン部から尿を排出するために前記ベースン部上に位置づけられた排液口と
を有する、尿採取デバイス。
【請求項4】
女性小児科対象者による使用のための前記尿採取デバイスであって、前記小児科対象者は、新生児、乳幼児、又は幼児である、請求項1から3までのいずれか一項に記載の尿採取デバイス。
【請求項5】
前記ベースン部は、前記対象者の脚の間で、少なくとも前記尿道を超える距離まで延びるように寸法決めされている、請求項1から3までのいずれか一項に記載の尿採取デバイス。
【請求項6】
前記ベースン部は、前記尿道の上位の腹部から、前記対象者の脚の間で、少なくとも前記会陰まで垂直に延びるように寸法決めされている、請求項1から3までのいずれか一項に記載の尿採取デバイス。
【請求項7】
前記リップ部は、前記対象者の会陰部位の湾曲に対応する曲面を画定するように輪郭づけられている、請求項1から3までのいずれか一項に記載の尿採取デバイス。
【請求項8】
前記リップ部は、前記ベースン部の反対側に凹面を画定するように寸法決めされている、請求項1から3までのいずれか一項に記載の尿採取デバイス。
【請求項9】
前記リップ部は、約100~135°の弧の矢状断面内に輪郭を有する、請求項1から3までのいずれか一項に記載の尿採取デバイス。
【請求項10】
接着剤が、前記リップ部の上に配置される、請求項1から3までのいずれか一項に記載の尿採取デバイス。
【請求項11】
接着剤が、前記リップ部の前方表面と、前記リップ部の後方表面のうちの少なくとも一方の上に配置される、請求項1から3までのいずれか一項に記載の尿採取デバイス。
【請求項12】
接着剤が前記リップ部の上に配置され、また前記接着剤が医療用の感圧性接着剤である、請求項1から3までのいずれか一項に記載の尿採取デバイス。
【請求項13】
接着剤が前記リップ部上に配置され、また前記接着剤が医療用テープを有する、請求項1から3までのいずれか一項に記載の尿採取デバイス。
【請求項14】
前記リップ部は、内周と外周とで画定される表面を有し、前記内周と前記外周との間の幅が少なくとも約0.254センチメートル(0.1インチ)である、請求項1から3までのいずれか一項に記載の尿採取デバイス。
【請求項15】
前記リップ部は、内周と外周とで画定される表面を有し、前記リップ部の前記内周は、前額軸に沿って少なくとも約1.27センチメートル(0.50インチ)の幅を有する開口を画定する、請求項1から3までのいずれか一項に記載の尿採取デバイス。
【請求項16】
前記リップ部は、内周と外周とで画定される表面を有し、前記リップ部の前記内周は、垂直軸に沿って少なくとも約1.27センチメートル(0.80インチ)の長さ有する開口を画定する、請求項1から3までのいずれか一項に記載の尿採取デバイス。
【請求項17】
前記リップ部は、内周と外周とで画定される表面を有し、前記リップ部の前記内周は、垂直軸に沿った長さと、前額軸に沿った幅とを有する開口を画定し、前記長さは、前記幅の約2倍である、請求項1から3までのいずれか一項に記載の尿採取デバイス。
【請求項18】
前記排液口は、前記ベースン部の高位端上に位置づけられている、請求項1から3までのいずれか一項に記載の尿採取デバイス。
【請求項19】
前記排液口は、右側又は左側で、前記ベースン部の下位端に隣接して位置づけられている、請求項1から3までのいずれか一項に記載の尿採取デバイス。
【請求項20】
前記ベースン部から尿を排出するための前記排液口に流体結合された導管をさらに有する、請求項1から3までのいずれか一項に記載の尿採取デバイス。
【請求項21】
前記デバイスは、低アレルギー性材料で作られている、請求項1から3までのいずれか一項に記載の尿採取デバイス。
【請求項22】
前記デバイスは、シリコーン、ゴム、熱可塑性エラストマー、又はこれらの組合せを有する高分子材料で作られている、請求項1から3までのいずれか一項に記載の尿採取デバイス。
【請求項23】
前記リッジ部は、前記対象者の陰唇の間に延びるように寸法決めされている、請求項1から3までのいずれか一項に記載の尿採取デバイス。
【請求項24】
前記リッジ部は、前記対象者の陰唇間に延びて、防水フィットをもたらすように寸法決めされている、請求項1から3までのいずれか一項に記載の尿採取デバイス。
【請求項25】
乳幼児によって排泄される尿を採取する方法であって、
a)請求項1から24までのいずれか一項に記載の尿採取デバイスを前記乳幼児の会陰部位へ取り付けるステップであって、前記リップ部上に接着剤が存在する、ステップと、
b)前記乳幼児によって排泄された尿を前記尿採取デバイス内に採取するステップと
を有する、方法。
【請求項26】
乳幼児によって排泄される尿を測定する方法であって、
a)請求項1から24までのいずれか一項に記載の尿採取デバイスを前記乳幼児の会陰部位へ取り付けるステップと、
b)前記乳幼児によって排泄された尿を前記尿採取デバイス内に採取するステップと、
c)前記尿を定量化するステップと
を有する、方法。
【請求項27】
前記尿を採取容器中に排出するステップをさらに有する、請求項25又は26に記載の方法。
【請求項28】
前記排出するステップは、前記尿を前記採取容器中に排出するのを補助するために、負圧を供給するステップを有する、請求項25又は26に記載の方法。
【請求項29】
前記排出するステップは、前記尿を前記採取容器中に排出するのを補助するために負圧を供給するステップを有し、前記排液口は、前記ベースン部の上位端に位置している、請求項25又は26に記載の方法。
【請求項30】
前記排出するステップは、前記尿を前記採取容器中に吸引するステップを有する、請求項25又は26に記載の方法。
【請求項31】
前記排出するステップは、前記尿を前記採取容器中に圧送するステップを有する、請求項25又は26に記載の方法。
【請求項32】
前記取り付けるステップは、接着剤を使用して前記尿採取デバイスを前記乳幼児に取り付けるステップを含む、請求項25又は26に記載の方法。
【請求項33】
前記採取容器内への前記尿の流量を測定することによって、前記尿を定量化するステップを有する、請求項25又は26に記載の方法。
【請求項34】
電子式流量計を用いて前記採取容器内への前記尿の流量を測定することによって、前記尿を定量化するステップを有する、請求項25又は26に記載の方法。
【請求項35】
前記ベースン部に設置されたアッセイを使用して、前記尿内の分析物を検出するステップを有する、請求項25又は26に記載の方法。
【請求項36】
前記ベースン部内に位置する吸収体内に、ある量の前記尿を吸収するステップと、前記吸収体内の前記尿を定量化するステップとを有する、請求項25又は26に記載の方法。
【請求項37】
前記ベースン部内に位置する吸収体内に、ある量の前記尿を吸収するステップと、前記ベースン部から前記量を取り除くステップと、前記量内の分析物を検出するステップとを有する、請求項25又は26に記載の方法。
【請求項38】
小児科女性対象者によって排泄される尿を採取及び測定するシステムであって、
a)請求項1から24までのいずれか一項に記載の尿採取デバイスと、
b)前記尿採取デバイスの前記リップ部上の接着剤と
を有する、システム。
【請求項39】
前記尿採取デバイスと流体連通する採取容器を有する、請求項38に記載のシステム。
【請求項40】
前記対象者によって排泄された前記尿を定量化するように構成された前記尿採取デバイスと流体連通する採取容器を有する、請求項38に記載のシステム。
【請求項41】
前記採取容器は、導管を使用して尿採取デバイスに流体結合されている、請求項38に記載のシステム。
【請求項42】
前記尿採取デバイスから前記採取容器へと前記尿を吸引するように構成された吸引デバイスをさらに有する、請求項38に記載のシステム。
【請求項43】
前記尿内の物質のレベルに基づいて損傷又は感染症を検出するように構成されたインジケータをさらに有する、請求項38に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国及び他国の特許法の下で、2019年11月13日付けで出願した米国仮出願第62/934,787号の利益を主張するものである。
【0002】
本開示は、一般に、尿採取システムに関する。より具体的には、本開示は、小児科患者用の尿採取システムに関する。
【背景技術】
【0003】
正確な流体摂取量と排出量を測定することは、入院中の成人、小児、及び新生児のケアの一部である。正確な尿排出量評価の必要性は、ICU及び非ICUの環境の両方において存在している。残念なことに、新生児及び小児においては、このような情報は利用可能ではないか、信頼性がないことが多い。臨床医は、医療診断を行い、危篤の患者において適当な体液恒常性(fluid homeostasis)を維持するための処置を処方するために、正確で適時の尿排出定量化に頼っている。尿排出(UOP:urinary output)を確実に取り込むことのできる尿採取システムが、新生児及び小児に対するケアを改善するために必要とされている。
【0004】
残念ながら、新生児及び小児用の、安全で、使用が容易で、効果的な尿採取システムはまだ開発されていない。実際に、留置カテーテル(indwelling catheter)の設置は、小さな乳児では極めて困難であり、カテーテル関連尿路感染症(CAUTI:catheter-associated urinary tract infections)と関連している。加えて、現在利用可能な外部尿採取システム(バッグ)は、各排尿後に取り換えなければならず、漏れることが多いので、理想的ではなく、極端に脆弱で時には紙のように薄い皮膚を有する小さい乳幼児を傷つける可能性がある。さらに、おむつの重量を使用することは、大便と混合するときには困難であり、尿分析は可能ではない。おむつ内にコットン・ボール(cotton ball)を使用することは、タンパク質の不正確な測定を伴う。
【0005】
したがって、安全で、使用が容易であり、UOPを連続的に測定し、尿の容易なサンプリングを可能にする新生児用尿採取システムに対する、満たされていない必要性がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】Kellum JA、Lameire N、「for the KAKIGWG.Diagnosis,evaluation,and management of acute kidney injury:a KDIGO summary(Part 1)」、Crit Care、2013;17(1):204.
【文献】Sutherland SM、Zappitelli M、Alexander SR、他、「Fluid overload and mortality in children receiving continuous renal replacement therapy:the prospective pediatric continuous renal replacement therapy registry.」、American journal of kidney diseases:the official journal of the National Kidney Foundation、2010;55(2):316-325.
【文献】Mariano F、Mella A、Vincenti M、Biancone L、「Furosemide as a functional marker of acute kidney injury in ICU patients:a new role for an old drug」、J Nephrol.、2019.
【文献】Rewa OG、Bagshaw SM、Wang X、他、「The furosemide stress test for prediction of worsening acute kidney injury in critically ill patients:A multicenter,prospective,observational study.」、J Crit Care.、2019;52:109-114.
【文献】Basu RK、Chawla LS、Wheeler DS、Goldstein SL、「Renal angina: an emerging paradigm to identify children at risk for acute kidney injury.」、Pediatric nephrology(Berlin,Germany)、2012;27(7):1067-1078.
【文献】Diamond H,Meisel A、「Influence of volume expansion,serum sodium,and fractional excretion of sodium on urate excretion.」、Pflugers Arch.、1975;356(1):47-57.
【文献】Endre ZH、Kellum JA、Di Somma S、他、「Differential diagnosis of AKI in clinical practice by functional and damage biomarkers:workgroup statements from the tenth Acute Dialysis Quality Initiative Consensus Conference.」、Contrib Nephrol.、2013;182:30-44.
【文献】Ostermann M、Philips BJ、Forni LG、「Clinical review:Biomarkers of acute kidney injury:where are we now?」、Crit Care.、2012;16(5):233.
【文献】Stanski N、Menon S、Goldstein SL、Basu RK、「Integration of urinary neutrophil gelatinase-associated lipocalin with serum creatinine delineates acute kidney injury phenotypes in critically ill children.」、J Crit Care.、2019;53:1-7.
【文献】Kaddourah A、Basu RK、Goldstein SL、Sutherland SM、「Assessment of Worldwide Acute Kidney Injury RAaEI. Oliguria and Acute Kidney Injury in Critically Ill Children: Implications for Diagnosis and Outcomes.」、Pediatric critical care medicine:a journal of the Society of Critical Care Medicine and the World Federation of Pediatric Intensive and Critical Care Societies.、2019;20(4):332-339.
【文献】Siegel BI、Figueroa J、Stockwell JA、「Impact of a Daily PICU Rounding Checklist on Urinary Catheter Utilization and Infection.」、Pediatr Qual Saf.、2018;3(3):e078.
【発明の概要】
【0007】
患者の尿排出の全てを採取する能力があり、繊細な小児科患者に安全に締結することのできる、非侵襲性の尿採取システムが開発されている。以下は、特許請求される主題のいくつかの態様の基礎的な理解を与えるために、簡略化された要約を提示するものである。この要約は、広範囲の全体像ではない。キー要素又は重大要素を特定すること、又は特許請求される主題の範囲を描写することを意図するものではない。その唯一の目的は、いくつかの概念を簡略化された形態で、後に提示されるより詳細な説明の前置きとして、提示することである。
【0008】
第1の態様においては、尿採取デバイスであって、女性対象者(female human subject)の会陰部位にフィットして、尿を受け入れるように構成された、ベースン部と、ベースン部に取り付けられて、会陰部位に取り付けるための接触面を有する、リップ部と、ベースン部の内部から離れて延びて、ベースン部からの尿の漏れを防ぐためにデバイスの下位部分に沿って配置された、リッジ部と、尿を排液するための、ベースン部内の排液口とを有する、尿採取デバイスが提供される。
【0009】
第2の態様においては、尿採取デバイスであって、女性対象者の会陰部位にフィットして、尿を受け入れるように構成された、ベースン部と、ベースン部に取り付けられて、接着剤を使用して女性対象者の会陰部位にデバイスを付着させるのに十分な表面積を有する、リップ部と、ベースン部からの尿の漏れを防止するための、ベースン部の下位端上のリッジ部と、尿を排液するための、ベースン部内の排液口とを有する、尿採取デバイスが提供される。
【0010】
第3の態様において、女性小児科対象者による使用ための尿採取デバイスであって、ボウルとリムとを有するベースン部であって、ボウルは、対象者の尿道を覆うように寸法決めされており、リムは、尿道を囲む部位に接触するように寸法決めされている、ベースン部と、ベースン部のリムから半径方向に延びて、対象者の腹部又は恥丘に接触するように構成された、リップ部と、ベースン部の下位側で、ベースン部のボウルから離れて延びるリッジ部であって、対象者の陰唇間に延びることによってシールをもたらすように構成された、リッジ部と、ベースン部から尿を排液するために、ベースン部上に位置づけられている排液口とを有する、尿採取デバイスが提供される。
【0011】
第4の態様において、乳幼児によって排泄された尿を採取する方法であって、上記の尿採取デバイスのいずれかを乳幼児の会陰部位へ取り付けるステップであって、リップ部上に接着剤が存在するステップと、乳幼児によって排泄された尿を尿採取デバイス内に採取するステップとを有する方法が提供される。
【0012】
第5の態様において、乳幼児によって排泄される尿を測定する方法であって、上記の尿採取デバイスのいずれかを乳幼児の会陰部位に取り付けるステップと、乳幼児によって排泄された尿を尿採取デバイスに採取するステップと、尿を定量化するステップとを有する方法が提供される。
【0013】
第6の態様において、小児科女性対象者によって排泄される尿を採取して測定するシステムであって、上記の尿採取デバイスのいずれかと、尿採取デバイスのリップ部上の接着剤とを有する、システムが提供される。
【0014】
さらなる特徴及び利点は、以下に記載の図面と関係して提示される、以下の詳細な説明から、確認され得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1A】本開示の一実施例による、尿採取システムの前方斜視図である。
図1B図1Aに示されている尿採取デバイスの上面図である。
図1C図1Aに示されている尿採取デバイスの正面図である。
図1D図1Aに示されている尿採取デバイスの側面図である。
図2図1Aに示されている尿採取デバイスの分解図である。
図3A】本開示の例示的な実施例による、尿採取デバイスのリップ部の前方斜視図である。
図3B図3Aに示されているリップ部の正面図である。
図3C図3Aに示されているリップ部の上面図である。
図3D】線B-Bに沿った、図3Cに示されているリップ部の横断面図である。
図4A】本開示の例示的な実施例による尿採取デバイスのベースン部の前方斜視図である。
図4B図4Aに示されているベースン部の下位端の図である。
図4C図4Aに示されているベースン部の上面図である。
図4D】線A-Aに沿った、図4Cに示されているベースン部の横断面図である。
図4E図4Aに示されているベースン部の側面図である。
図4F】線B-Bに沿った、図4Eに示されているベースン部の横断面図である。
図5A】本開示の例示的な実施例による、尿採取デバイスのリッジ部の前方斜視図である。
図5B図5Aに示されているリッジ部の上面図である。
図5C図5Aに示されているリッジ部の正面図である。
図5D】線A-Aに沿った、図5Cに示されているリッジ部の横断面図である。
図5E図5Aに示されているリッジ部の側面図である。
図5F】線B-Bに沿った、図5Eに示されているリッジ部の横断面図である。
図6A】本開示の例示的な実施例による尿採取デバイスの導管の前方斜視図である。
図6B図6Aに示されている導管の側面図である。
図6C図6Aに示されている導管の正面図である。
図6D】線A-Aに沿った、図6Cに示されている導管の横断面図である。
図7A図1Aに示されている尿採取デバイスの後方斜視図である。
図7B図1Aに示されている尿採取デバイスの別の背面図である。
図8A】吸引排液用に構成された、本開示の別の実施例による尿採取デバイスの後方斜視図である。
図8B図8Bに示されている尿採取デバイスの横断面図である。
図9】患者の定位置に置かれているときのデバイスの実施例の図である。
図10】患者の会陰部位の定位置に置かれているときのデバイスの実施例の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
定義
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本開示の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。さらに理解されるように、一般的に使用される辞書で定義されているような用語は、本明細書の文脈におけるそれらの意味と一致する意味を有するものとして解釈されるべきであり、本明細書で明示的に定義されない限り、理想化された又は過度に形式的な意味で解釈されるべきではない。周知の機能又は構造は、簡潔さ又は明瞭さのために詳細に記述されない場合がある。
【0017】
用語「約」及び「およそ」は、一般に、測定の性質又は精度を考慮して測定された量に対する許容可能な程度の誤差又は変動を意味するものとする。典型的、例示的な誤差又は変動の程度は、所与の値又は値の範囲の20パーセント(%)以内、好ましくは10%以内、より好ましくは5%以内である。本明細書に与えられる数値量は、特に断らない限りは概算であり、明示的に記載されていない場合にも、用語「約」又は「およそ」が推測され得ることを意味する。
【0018】
本明細書で使用される用語は、特定の実施例を説明する目的のためだけのものであり、限定的であることを意図するものではない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が別途明確に示さない限り、複数形を同様に含むこと(すなわち、その冠詞が修飾するものの少なくとも1つ)を意図する。
【0019】
前述の説明及び/又は以下の特許請求の範囲における「comprise(含む)」又は「comprises(有する)」又は「comprising(有する)」という語の使用に関して、文脈上別段の要求がない限り、これらの語は、それらが排他的ではなく包括的に解釈されるべきであること、及びそれらの語の各々が前述の説明及び/又は以下の特許請求の範囲を解釈する際にそのように解釈されるべきであることに基づき、且つ明確に理解して使用される。
【0020】
用語「本質的に~からなる(consisting essentially of)」は、列挙された要素に加えて、クレームされるものは、その意図された目的のためにクレームされるものの実施可能性(operability)に悪影響を及ぼさない、その他の要素(ステップ、構造、内容物、成分など)も含んでもよいことを意味する。その意図された目的のためにクレームされているものの実施可能性に悪影響を及ぼさない他の要素のそのような追加は、クレームされているものの基本的且つ新規な特性における重要な変化を構成しないであろう。
【0021】
A及びBの少なくとも一方」などの用語は、「Aのみ、Bのみ、又はA及びBの両方」を意味すると理解されるべきである。同じ構造は、より長いリスト(例えば、「A、B、及びCの少なくとも1つ」)に適用されるべきである。
【0022】
用語「第1」、「第2」、「第3」などは、様々な特徴又は要素を記述するために本明細書で使用されるが、これらの特徴又は要素は、これらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、ある特徴又は要素を別の特徴又は要素と区別するためにのみ使用される。したがって、以下で論じる第1の特徴又は要素は、第2の特徴又は要素と呼ぶことができ、同様に、以下で論じる第2の特徴又は要素は、本開示の教示から逸脱することなく、第1の特徴又は要素と呼ぶことができる。
【0023】
本明細書で使用される場合に、用語「個体」、「対象者」又は「患者」は、哺乳動物、例えばマウス、ラット、その他のげっ歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、又は霊長類などの哺乳類、及びヒトを含む任意の動物を指す。この用語は、男性若しくは女性、又はその両方を指定するか、又は男性若しくは女性を除外することができる
【0024】
物理学的な方向、軸、及び平面が参照される場合、これらは、デバイスが患者に適切に設置された場合に当てはまる、方向、軸、及び平面を指すと解釈されるべきである。
【0025】
尿採取デバイス及びシステム
尿を採取して測定するデバイス、システム、及び方法が本明細書において開示される。適当な尿排出量評価は、経腸的又は非経口的な体液供給の適切な処方に対して有用である。それは、急性腎障害(AKI:acute kidney injury)、体液過剰、フロセミド・ストレス・テスト(利尿薬の投与後に作られた尿量に基づいて腎障害の進行を描写できるテスト)、及び腎狭心症指数(renal angina index)の診断のためのUOPの定量化に有用である。診断検査のための尿を取り込むことができることは、成人、子供、新生児において活発に研究されている、尿電解質、ナトリウムの部分排泄率、及び新しい尿バイオマーカーテストの評価に有用である。
【0026】
尿採取デバイスの実施例は、女性小児科患者にフィットして、尿の採取と定量化を可能にするように設計される。本開示の尿採取デバイスは、有利には、漏れを防止し、尿分析及び尿排出量の測定に対するアクセスを容易にする。このデバイスの実施例は、患者が乳幼児であるか、又は場合によっては新生児であるときでも、皮膚への炎症又は損傷なしに、接着剤を使用して確実に患者に設置することができる。
【0027】
図1A~1Dを参照すると、実施例による尿採取デバイス500が、非限定の例として示されている。尿採取デバイス500の図示されている実施例は、図9に示されるように、女性患者によって患者の尿道のまわりに外部から装着されて、尿道を通して排泄される尿を採取するように構成されている。この実施例において、女性患者は、小児科患者である。本明細書において使用されるとき、用語「小児の(pediatric)」は、乳幼児(infant)、子供、及び生誕から18才までの青年を指す。別の実施例においては、女性患者は幼児である。本明細書において使用されるとき、用語「幼児(toddler)」は、乳幼児及び1~5才の子供を指す。さらに別の実施例において、女性患者は乳幼児である。本明細書において使用されるとき、「乳幼児」は、1才未満の患者を指す。さらに別の実施例において、女性患者は新生児である。本明細書において使用されるとき、「新生児」は、年齢4週未満の患者を指す。さらに別の実施例においては、女性患者は、最長で37週間の妊娠期間で誕生し、満期であるはずの期間を4週間過ぎた年齢に達していない(「早産新生児(premature neonate)」)。
【0028】
図1A~1Dに示されているデバイス500の実施例は、女性患者によって排泄される尿がその中に採取される、ベースン部10を含む。ベースン部10は、女性患者の会陰部位にフィットするように構成されている。本明細書において使用される場合には、用語「会陰部位」は、恥骨(mons pubis)から臀裂(intergluteal cleft)まで延びて、尿生殖三角(urogenital triangle)を含む、太腿の間の部位を指す。ベースン部10は、患者に付着されるように構成された、それに取り付けられたリップ部15を含む。図示された実施例において、リップ部15は、ベースン部10のリムに取り付けられて、そこから半径方向に延びている。リップ部15は、患者の会陰部位に取り付けるための接触表面20を有する。デバイス500は、ベースン部10から離れて延びるリッジ部25も含む。図示された実施例において、デバイス500は、上位端115と下位端85とを含む、後方側(posterior side)120を有する。図示されたリッジ部25の実施例は、使用中にベースン部10から尿が漏れるのを防止するために、デバイス500の下位端85に沿って配置されている。例えば、リッジ部25は、リッジ部25が患者の陰唇間に延びて防水シールをもたらすように、下位端85に沿って配置されている。図示された実施例においては、排液口50が、尿を排液するためにベースン部10内に位置している。図1A~1Dに示されるように、導管30は、尿を排液するために、排液口50においてベースン部10に流体結合されてもよい。一旦排液されると、尿は、外部採取容器内に採取されてもよい(図示せず)。
【0029】
図2は、図1A~1Dに示されている尿採取デバイス500の実施例の分解図である。図2に図示されているように、リップ部15は、ベースン部10のリムへ取り付けるために構成されている。一実施例において、リップ部15は、ベースン部10に取り外し可能に取り付けられている。例えば、リップ部15は、接着剤、フックとループ締結具、ネジ、ピン、ボルト、又はリベット等の任意の非永久的締結手段によって、ベースン部10に取り外し可能に取り付けられている。これにより、清浄化と衛生化の目的でのベースン部10へのアクセスが容易になる。別の実施例において、リップ部15は、リップ部15がベースン部10から取り外し不能となるように、ベースン部10と一体的に形成してもよい。
【0030】
図2に示されるように、リッジ部25は、リップ部15の下位端85への取り付けのために構成してもよい。リッジ部25は、任意の締結手段(永久的又は非永久的)によってリップ部15に取り外し可能に取り付けてもよく、又はリッジ部25は、リップ部15と一体的に形成してもよい。
【0031】
ベースン部10のいくつかの実施例は、排液口50を含んでもよい。導管30は、排液口50においてベースン部10に流体的に結合されて、別個の採取容器(図示せず)への尿の排液を可能にしてもよい。このデバイスのいくつかの実施例において、導管30は、その他の排液機構をベースン部10に取り付けられ得るように、ベースン部10に取り外し可能に取り付けることができる。代替的な実施例において、導管30は、ベースン部10と一体的に形成してもよい。
【0032】
図3A~3Dは、本開示の例示的な実施例によるリップ部15を図示している。図3Aは、リップ部15の斜視図であり、図3Bは、リップ部15の代替的な斜視図である。リップ部15は、患者の尿道のまわりの患者の体に付着されるように構成されている。リップ部15は、患者によって排泄された尿を、漏れによる損失なく、それを通って採取できる通路を提供するように、ベースン部10と患者の体の間に液密シールを形成する。リップ部15の寸法は、接着剤を使用して尿採取デバイス500を患者の体に取り付けるための所望の表面領域の量を提供するように、選択することができる。例えば、リップ部15の接触表面20は、尿採取デバイス500を定位置に保持するために、患者の皮膚と接着接合部を形成するのに十分な表面積を有してもよい。
【0033】
一実施例において、接触表面20は、患者に取り付けるために、その上に配置された接着剤(図示せず)を含む。接着剤は、患者の定位置にデバイスを維持して、患者の皮膚の上に液密シールを提供するように構成されて、尿がリップ部15の側部から漏れ出すのを防止する。別の実施例において、接着剤は、リップ部15の接触表面20と反対側に配置してもよい。特定の実施例においては、リップ部15の接触表面20と反対側の全体、及び患者の皮膚の上にもテープを設置して、デバイスを定位置に保持してもよい。
【0034】
接着剤は、ヒトの皮膚上で使用するのに適する任意の接着剤としてもよい。接着剤の好ましい実施例は、無毒性、低刺激性、非刺激性、医療等級、及び感圧性である内の、1つ又は複数の性質を有する。さらに、接着剤の好ましい実施例は、所定期間の間、患者の体の上に液密シールを提供することができる。この接着剤は、過度の不快感、痛み、又は表皮損傷の1つ又は複数を与えることなく、接着剤を患者から除去することができる、容易性に基づいて選択してもよい。接着剤のいつくかの実施例は、少なくとも6時間、8時間、12時間、又は24時間等の最小期間の間、液密シールを定位置に維持するように構成することができる。
【0035】
接着剤は、接触表面20を患者の皮膚に固定するために、圧力がかけられるときに、接合部を形成することができる、感圧性接着剤としてもよい。例えば、接着剤は、感圧性テープ又はシリコーン・ゲル接着剤であってもよい。いくつかの実施例において、接着剤は、医療等級の感圧性接着剤などの、医療等級の接着剤としてもよい。好適な接着剤の例としては、限定ではなく、次のものが挙げられる:SIMPURITY DERMAPRO防水シリコーン・テープ(Safe n Simple、クラークトン、ミシガン州、米国);P-DERM(登録商標)PS-2041(高接着性シリコーン・ゲル接着剤、ポリウレタン・フィルム及び医療用感圧性アクリルからなる三層積層体-ポリマーサイエンス社、モンティチェロ、インディアナ州、米国)。
【0036】
図3Cは、本開示の例示的な実施例による、リップ部15の前方図である。図3Cの実施例においては、リップ部15の接触表面20は、内周55と外周60とで画定されている。上記のように、接触表面20は、患者の皮膚との接着接合部を形成するのに十分な表面積を提供するように寸法決めしてもよい。この表面積は、使用することを意図している接着剤と、患者の上の定位置にデバイスを維持するのに必要な接着強度とに基づいて設計してもよい。表面積が大きくなるほど、潜在的な接着強度が大きくなる。表面積が大きいと、さらに、より小さい表面積で必要とされるよりも、緩やかな接着剤を使用できるという利点がある。いくつかの乳幼児での実施例においては、接触表面20は、約3.226~9.678平方センチメートル(0.5~1.5平方インチ)(1平方インチ=6.452平方センチメートル)の範囲の表面積を有する。さらに別の乳幼児での実施例においては、接触表面20は、約4.839~8.065平方センチメートル(0.75~1.25平方インチ)の範囲の表面積を有する。特定の乳幼児での実施例においては、接触表面20は、約6.065平方センチメートル(0.94平方インチ)の表面積を有する。その他の実施例においては、内周55と外周60との間の幅は、少なくとも約0.254センチメートル(0.1インチ)としてもよい。別の実施例においては、内周55と外周60との間の幅は、少なくとも約0.508センチメートル(0.2インチ)である。さらに別の実施例においては、内周55と外周60との間の幅は、少なくとも約0.762センチメートル(0.3インチ)である。
【0037】
リップ部15の内周55は、ベースン部10の開口を画定する。開口は、垂直軸に沿って長さL1を有し、前額軸に沿って幅W1を有する。いくつかの実施例においては、開口の幅W1は、前額軸に沿って少なくとも約1.02センチメートル(0.40インチ)である。別の実施例においては、開口の幅W1は、前額軸に沿って少なくとも約1.27センチメートル(0.50インチ)である。さらに別の実施例においては、開口の幅W1は、前額軸に沿って少なくとも約1.40センチメートル(0.55インチ)である。その他の実施例において、開口の長さL1は、少なくとも約1.778センチメートル(0.70インチ)である。別の実施例において、開口の長さL1は、少なくとも約2.032センチメートル(0.80インチ)である。さらに別の実施例において、開口の長さL1は、少なくとも約2.286センチメートル(0.90インチ)である。さらに他の実施例において、開口の長さL1は、幅W1の約2倍としてもよい。
【0038】
図3Dは、線B-Bに沿った、図3Cに図示されているリップ部15の横断面図である。図3Dに図示されるように、リップ部15は、患者の会陰部位の曲率に対応する曲面を画定するように輪郭づけられている。図3Dに示される曲率は、それが、患者へのより快適で確実なフィットを可能にする、会陰部位の解剖学的形状に従う点において有利である。一実施例において、リップ部15の接触表面20は、凹面を画定するように輪郭づけられている。この実施例において、リップ部15は、約90度から約140度の弧の矢状断面(sagittal cross section)において、輪郭を有する。別の実施例において、リップ部15は、約100度から約135度の弧の矢状断面において、輪郭を有する。さらに別の実施例において、リップ部15は、約110度から約120度の弧の矢状断面において、輪郭を有する。例えば、リップ部15は、約118度の弧の矢状断面において、輪郭を有する。
【0039】
図4A~4Eは、本開示の例示的な実施例によるベースン部10を図示している。図4Aは、ベースン部10の後方斜視図である。図4Aに示されるように、ベースン部10は、ボウル40を画定するウォール35を含み、ボウル40はリム45を有する。ボウル40は、女性患者から排泄された尿を受け入れるために構成されている。ボウル40は、患者から排泄された尿を採取するために、患者の尿道を覆うように成形されて、寸法決めされている。示された実施例においては、ボウル40は、患者の脚の間を、少なくとも尿道を越える距離まで延びるように寸法決めされている。さらに別の実施例において、ボウル40は、尿道に対して上位の腹部から、患者の脚の間を、少なくとも会陰まで垂直に延びるように寸法決めされている。
【0040】
ベースン部10は、採取された尿を排液するための、ウォール35内の排液口50も含んでもよい。図示された実施例において、排液口50は、ベースン部10の下位端65に隣接して位置づけられている。この実施例において、排液口50は、ベースン部10の下位端65の左側、又はベースン部10の下位端65の右側に位置づけられてもよい。そのような実施例においては、排液口50に連結された、導管30は、左又は右へ、患者によって装着されたおむつの脚開口を通って延びてもよい。別の実施例においては、排液口50は、ベースン部10の上位端70上に位置づけられてもよい。そのような実施例においては、排液口50に連結された導管30は、上位方向に、患者によって装着されたパンツ又はおむつの腰部を通って延びてもよい。
【0041】
いくつかの実施例において、ベースン部10は、ボウル40内部に尿を保管するための吸収体を含んでもよい。例えば、ベースン部10の内部は、排液の前に、尿をボウル40内部に保管するのを助ける、スポンジ又はコットン等の吸収体を含んでもよい。そのような実施例は、吸収材料を取り外すことによって、尿を容易にサンプリングすることを可能にするという利点を有する。吸収体は、その量を測定するか(特に、尿の全部が吸収される場合)、又はそれを化学的に分析することによる等、尿を分析するために取り外すこともできる。デバイス500のさらに別の実施例において、吸収体は、吸収された尿が周期的に吸引によって取り除かれることを可能にするために、排液口50の近くに位置づけてもよい。
【0042】
図4Bは、ベースン部10の下位端65を示す。図示された実施例において、ボウル40は、ボウル40の(前額軸に沿った)幅が上位端70から下位端65まで減少するように、成形され、且つ寸法決めされている。ボウル40の減少する幅は、図4A及び4Bに図示されるように、会陰部位の解剖学的形状に対応することによって患者の上により確実に適合することを可能にする、形状をもたらす。一実施例において、下位端65における幅は、上位端70における幅の約3分の1までである。別の実施例においては、下位端65における幅は、上位端70における幅の約2分の1までである。
【0043】
図4Cは、図4Aに示されているベースン部10の後方図である。ベースン部10は、患者から排泄される尿を受け入れて保持するのに十分な任意の体積を有してもよい。いくつかの実施例において、ベースン部10は、前額軸に沿った幅W2が、少なくとも約1.52センチメートル(0.60インチ)である。別の実施例において、ベースン部10の幅W2は、少なくとも約1.78センチメートル(0.70インチ)である。さらに別の実施例において、ベースン部10の幅W2は、少なくとも約2.03(0.80インチ)である。ベースン部のいくつかの実施例において、W2は、1.57~2.34センチメートル(0.62~0.92インチ)である。ベースン部のさらに別の実施例において、W2は、1.70~2.21センチメートル(0.67~0.87)である。ベースン部のさらに別の実施例において、W2は1.83~2.08センチメートル(0.72~0.82インチ)である。ベースン部の特定の実施例において、Wは1.96センチメートル(0.77インチ)である。ベースン部10のいくつかの実施例は、少なくとも約2.79センチメートル(1.10インチ)の、垂直軸に沿った長さL2を有してもよい。別の実施例において、ベースン部10の長さL2は、少なくとも約3.05センチメートル(1.20インチ)である。さらに別の実施例において、ベースン部10の長さL2は、少なくとも約3.30センチメートル(1.30インチ)である。ベースン部のいくつかの実施例において、L2は、2.64~3.96センチメートル(1.04~1.56インチ)である。ベースン部のさらに別の実施例において、L2は、2.84~3.76センチメートル(1.12~1.48インチ)である。ベースン部のさらに別の実施例において、L2は、3.05~3.56センチメートル(1.20~1.40インチ)である。ベースン部の特定の実施例において、L2は、3.30センチメートル(1.3インチ)である。ベースン部は、その幅W2よりも大きい長さL2を有してもよい。ベースン部のいくつかの実施例において、L2はW2の1.0~2.4倍である。ベースン部のさらに別の実施例において、L2はW2の1.4~2.0倍である。特定の実施例において、L2はW2の1.7倍である。
【0044】
ボウル40のリム45は、リップ部15への取り付けのために構成されている。リム45の幅は、リップ部15の取り付けをサポートするために、十分な大きさにすべきである。一実施例において、リム45は、少なくとも約0.13センチメートル(0.05インチ)の幅W3を有する。別の実施例において、リム45の幅W3は少なくとも約0.18センチメートル(0.07インチ)である。さらに別の実施例において、リム45の幅W3は、少なくとも約0.20センチメートル(0.08インチ)である。さらに別の実施例において、リム45の幅W3は、少なくとも約0.25センチメートル(0.10インチ)である。ベースン部のいくつかの実施例において、リム45は、0.10~0.41センチメートル(0.04~0.16インチ)の幅W3を有する。ベースン部のさらに別の実施例において、リム45は、0.15~0.31センチメートル(0.06~0.12インチ)の幅W3を有する。ベースン部の特定の実施例において、W3は0.20センチメートル(0.08インチ)である。
【0045】
図4Dは、線A-Aに沿った、図4Cに図示されたベースン部10の横断面図である。図4Dに示されるように、リップ部15と同様に、ベースン部10は、患者の会陰部位の曲率に対応する曲率を画定するように輪郭づけられている輪郭を有する。しかしながら、ベースン部10は、患者から尿を採取するための十分な体積を可能にする、任意の輪郭又は形状を有してもよい。
【0046】
図4Eは、図4Aに図示されているベースン部10の側面図である。図4Fは、線B-Bに沿った、図4Eに図示されているベースン部10の横断面図である。図4Eに示されるように、排液口50は、ベースン部10の下位端65に隣接して位置づけられている。排液口50は、ベースン部10内に採取された尿の排液を容易化することのできる任意のタイプの取出し口としてもよい。以下により詳細に説明するように、排液口50はまた、導管30を接続するために構成してもよい。いくつかの実施例において、導管30は、尿採取デバイス500から離れて排液口50を通って流れる尿を排液するための排液口50に流体結合させてもよい。導管30のいくつかの実施例は、ベースン部10に一体化されている。
【0047】
図5A~5Fは、本開示の例示的な実施例による、リッジ部25を示す。図5Aは、リッジ部25の斜視図である。図5Bは、リッジ部25の後方図である。上記で考察したように、リッジ部25の図示された実施例は、リップ部15の上に配置されて、患者の陰唇間に延びて、使用中の防水フィットをもたらすように位置づけて、寸法決めされる。例えば、リッジ部25は、使用中にベースン部10の下位端65からの尿の漏れを防止する機能を果たすことができる。
【0048】
図5A及び5Bに図示されているように、リッジ部25は、前方エッジ(anterior edge)75を有する。一実施例において、前方エッジ75は、弯曲した頂点90と2つのサイド・ステム:第1のステム95及び第2のステム100、とを有する、「V」形を画定する。いくつかの実施例において、第1のステム95と第2のステム100とは、患者の陰唇間に延びるのに十分な角度で位置づけてもよい。一実施例において、第1のステム95と第2のステム100とは、互いに約25度から約65度で位置づけられている。別の実施例において、第1のステム95と第2のステム100とは、互いに約30度から約60度で位置づけられている。さらに別の実施例において、第1のステム95と第2のステム100とは、互いに約35度から約55度で位置づけられている。さらにその他の実施例において、第1のステム95と第2のステム100とは、互いに約40度から約50度で位置づけられている。リッジ部25の特定の実施例において、第1のステム95と第2のステム100の間の角度は、約44度である。
【0049】
図5Cは、リッジ部25の下方図を示す。図5Cに図示されているように、リッジ部25は、矢状軸に沿って、前方エッジ75と後方エッジ80の間に画定される、垂直高さH1を有する。この実施例において、前方エッジ75と後方側80の間の垂直高さH1は、尿がベースン部10の下位端65の外に漏れるのを防止するように、十分な大きさにするべきである。一実施例において、H1は、少なくとも約0.25センチメートル(0.10インチ)である。別の実施例において、H1は少なくとも約0.38センチメートル(0.15インチ)である。さらに別の実施例において、垂直高さH1は少なくとも約0.51センチメートル(0.20インチ)である。さらに別の実施例において、垂直高さH1は、少なくとも約0.64センチメートル(0.25インチ)である。リッジ部のさらに別の実施例において、H1は0.25~1.07センチメートル(0.10~0.42インチ)である。リッジ部のさらに別の実施例において、H1は0.38~0.81センチメートル(0.15~0.32インチ)である。リッジ部のさらに別の実施例において、H1は0.46~0.61センチメートル(0.18~0.24インチ)である。リッジ部の特定の実施例において、H1は0.53センチメートル(0.21インチ)である。
【0050】
図5Dは、線A-Aに沿った、図5Cに図示されているリッジ部25の横断面図である。図5Dに示されている横断面図は、第1のステム95の矢状断面を図示している。見て分かるように、第1のサイド・ステム95の後方エッジ80は、リップ部15の接触表面20の曲率に対応する曲率を形成する。この曲率は、リッジ部25がリップ部15上に配置されるとき、防水シールをもたらすのを助ける。
【0051】
図5Eは、図5A及び5Bに図示されているリッジ部25の側面図である。図5Eに図示されているように、弯曲した頂点90は、高さH2を有する。一実施例において、彎曲した頂点90の高さH2は、前方エッジ75と後方側80の間の高さH1よりも小さい。図5Eに示されているように、後方エッジ80から湾曲した頂点90へと延びるリッジ部25の形状は、角度をつけて形成してもよい。一実施例において、後方エッジ80から湾曲した頂点90へと延びるリッジ部25の形状は、約100度から約140度の範囲の角度で形成してもよい。別の実施例において、後方エッジ80から湾曲した頂点90へと延びるリッジ部25の形状は、約110度から約130度の範囲の角度で形成してもよい。さらに別の実施例において、後方エッジ80から湾曲した頂点90へと延びるリッジ部25の形状は、約115度から約125度の範囲の角度で形成してもよい。リッジ部25の特定の実施例において、その角度は約120度である。
【0052】
図5Fは、線B-Bに沿った、図5Eに図示されているリッジ部25の横断面図である。リッジ部25は、リッジ部25の幅がリップ部15の幅を超えないように、リップ部15上にフィットするように大きさ及び寸法を決めてもよい。一実施例において、リッジ部25は、少なくとも約1.27センチメートル(0.50インチ)の幅W4を有する。別の実施例において、リッジ部25は、少なくとも約1.40センチメートル(0.55インチ)の幅W4を有する。さらに別の実施例において、リッジ部25は、少なくとも約1.52センチメートル(0.60インチ)の幅W4を有する。
【0053】
図6A~6Dは、本開示の例示的実施例による、導管30を図示している。図6A及び6Bはそれぞれ、導管30の前方斜視図及び側面図を示す。図6A及び6Bに示されているように、導管30は、尿又はその他の液体を通過させることのできる細長い通路である。導管30は、ポート、チューブ、又はパイプ等の、液体の通過のために構成された任意のタイプの通路としてもよい。図示されている実施例において、導管30は、排液口50に流体的に取り付けられるように構成された、第1の端部105と、排液された尿の廃棄のための採取容器に流体的に取り付けられるように構成された、第2の端部110とを有する。第1の端部105と第2の端部110の各々は、任意好適な接続手段によって、それぞれ、排液口50と採取容器とに取り付けてもよい。例えば、第1の端部105と第2の端部110の各々は、対応するねじ付き治具に結合するように構成された、ねじ付き治具を含んでもよい。その他の実施例において、第1の端部105と第2の端部110の各々は、ねじ、ピン、ファスナ、又はリベットを使用して、排液口50又は採取容器に固定してもよい。デバイス500の代替的な実施例において、導管30は、一体的に形成された排液口50において、ベースン部110と一体的に形成される。
【0054】
図6Cは、導管30の正面図であり、図6Dは、線A-Aに沿った、図6Cに図示されている導管30の横断面図である。図6C及び6Dに示されているように、導管30は、尿及びその他の液体を通過させて外部採取容器中に入れることを可能にする内部中空通路を有する。導管30は、ベースン部10から採取容器へと尿を排液することを可能にするための任意好適な寸法を有してもよい。一実施例において、導管30は、少なくとも約1.78センチメートル(0.70インチ)の長さL3を有する。別の実施例において、導管30は、少なくとも約2.03センチメートル(0.80インチ)の長さL3を有する。さらに別の実施例において、導管30は、少なくとも約2.29センチメートル(0.90インチ)の長さL3を有する。さらに別の実施例において、導管30は少なくとも約2.54センチメートル(1.0インチ)の長さL3を有する。
【0055】
いくつかの実施例において、導管30には、採取容器中への尿の流量を測定するために構成された、流量計、例えば、電子式流量計を組み入れてもよい。代替的に、機械式又は光学式の流量計を使用するか、或いは尿の流量を測定するのに適した、その他の流量計を使用することができる。別の実施例において、導管30は、タンパク質、ケトン類、ヘモグロビン、亜硝酸塩、及び有害な病原体等の、尿中の特定の物質のレベルに基づいて、患者が感染又は損傷(障害)を有するかどうかを判定するように構成された、インジケータを含んでもよい。例えば、導管30又はベースン部には、尿の外観、濃度、及び成分を検査して、尿路感染症(URI)、腎臓病及び糖尿病等の広い範囲の医学的疾患を検出することのできる、テスト・ストリップ尿分析を組み入れてもよい。テスト・ストリップの具体的な実施例は、白血球、硝酸塩、ウロビリノーゲン(urobilinogen)、タンパク質、血液、pH、比重、ケトン、ビリルビン(bilirubin)、及びグルコースの内の1つ又は複数に対する比色アッセイを伴う、標準的な尿テスト・ストリップである。
【0056】
図7A及び7Bは、例示的実施例による尿採取デバイス500の背面図を示す。図7A及び7Bに示されているように、導管30は、デバイス500の前方側125の排液口50において、ベースン部10に流体結合させてもよい。導管30は、患者の体から離れて尿を排液するのを容易化するように位置づけして、これによって尿が患者の皮膚と接触している時間量を最小化してもよい。そのような排液は、本デバイスのいくつかの実施例においては、重力によって達成してもよい。本デバイスの代替的な実施例においては、排液を、吸引圧力又負圧の使用により達成してもよい。例えば、図7A及び7Bに示されるように、導管30は、患者の体から離れて尿を排液することを容易化するために、ベースン部10の縦方向軸に対して角度をつけて位置づけしてもよい。一実施例において、導管30は、少なくとも約80度の角度でベースン部10に流体結合させてもよい。別の実施例において、導管30は、少なくとも約85度の角度でベースン部10に流体結合させてもよい。さらに別の実施例において、導管30は、少なくとも約90度の角度でベースン部10に流体結合させてもよい。さらに別の実施例において、導管30は、少なくとも約95度の角度でベースン部10に流体結合させてもよい。
【0057】
いくつかの実施例において、図7A及び7Bに示されているように、導管30の位置づけによって、尿採取デバイス500を、おむつ等の下着と共に装着することが可能になる。例えば、排液口50が、(図示のように)右側又は左側のベースン部10の下位端65に隣接して位置づけされているとき、導管30は、おむつの脚の外側に延ばしてもよい。別の実施例において、排液口50がベースン部10の上位端70上に位置づけられているときには、導管30は、おむつの上部から外に、上方に延ばしてもよい。
【0058】
図8A及び8Bは、本開示の別の実施例による尿採取デバイス500を示し、この場合に尿採取デバイス500は吸引排液用に構成されている。図8A及び8Bに示されているデバイス500の実施例において、排液口50は、デバイス500の下位端85に位置しており、導管30は、デバイス500の上位端115まで続き、そこで導管30は、おむつ又はその他の衣服の腰部から外に出ることができる。図8Aに示されているデバイス500の実施例において、第1のベント130と第2のベント135とは、ベースン部10内に、上位端115に近接して位置しており、これによって、ベースン部10内の圧力を等化しながら、導管30を通して尿を吸引することが可能になる。図8Bに図示されているように、導管30にはまた、内部チューブ140を含めて、負圧によってベースン部10の上位端70から尿を吸引して出すことを可能にしてもよい。
【0059】
図9及び10は、患者200の上の定位置に置かれているときの尿採取デバイス500を示す。図9及び10に示されているように、尿採取デバイス500は、患者200の上に外から装着されるように構成されている。尿採取デバイス500は、患者200によって排泄された尿を尿採取デバイス500のベースン部10内に採取できるように、患者200の会陰部位を包囲するように位置づけられている。
【0060】
尿採取デバイス500は、任意の生体適合性材料で形成されていてもよい。好適な材料のいくつかの実施例は、非毒性、低アレルギー性、及び非刺激性の内の1つ又は複数の性質を有してもよい。一実施例において、尿採取デバイス500は、柔軟で、可撓性のポリマー材料で形成される。尿採取デバイス500を柔軟で、可撓性のポリマー材料で形成すると、尿採取デバイス500を患者の体に順応させて、使用中により快適にフィットさせる。好適なポリマー材料の例としては、それに限定はされないが、シリコーン、ゴム、熱可塑性エラストマー、又はそれらの任意の組合せを挙げられる。ポリマー材料の特定の実施例は、クラスVIの医療・ヘルスケア等級のシリコーン等の、医療・ヘルスケア等級のシリコーンである。ポリマー材料の別の特定の実施例は、TANGO BLACK PLUS FLX980又はVERO WHITE PLUS RGD835(StrataSys Ltd.、エデン・プレイリ(Eden Prairie)、ミネソタ州、米国により流通)等の、エラストマー3Dプリンティング・インクである。ポリマー材料のさらに別の実施例は、特にISO 10993-1:2018(2018)に準拠する、VERSALLO HEALTHCARE SERIES、(Avient Corporation、エイボン・レイク(Avon Lake)、オハイオ州、米国)である。
【0061】
本明細書に記載された尿採取デバイス500の寸法は、例示的寸法である。当業者には容易に明白であるように、尿採取デバイス500は、身長及び体重等の身体特性に基づいて各患者に対して、より良いカスタム・フィットを可能にするために、複数の異なる大きさで形成してもよい。いくつかの実施例において、尿採取デバイス500は、成人用に適合させてもよい。この実施例においては、尿採取デバイス500の寸法は、約3倍、好ましくは約4倍、さらに好ましくは5倍に拡大させてもよい。
【0062】
患者によって排泄された尿を採取して測定するシステムも、本明細書において提供される。一実施例において、このシステムは、本明細書に記載された尿採取デバイス500、及びリップ部15上に配置される、上記の接着剤のいずれかを含む。さらに別の実施例において、このシステムは、本明細書に記載された尿採取デバイス500と流体連通する外部採取容器をさらに含んでもよい。例えば、採取容器は、導管30を使用して尿採取デバイス500に流体結合させてもよい。採取容器は、患者によって排泄される尿を定量化するように構成することができる。尿排出量を定量化するための好適な採取容器の例としては、それらに限定はされないが、採取チューブ、尿採取バッグ、吸引キャニスタ、標本容器、標本トラップ、又はそれらの任意の組合せが挙げられる。容器は、容器上のマーキングされたボリューム・グラデーションを使用する等の様々な方法で、尿を定量化するように構成してもよい。
【0063】
いくつかの実施例において、本明細書において提供されるシステムは、尿採取デバイスから採取容器へと尿を吸引するように構成された、吸引デバイスも含んでもよい。例えば、本明細書において開示される尿採取デバイスは、尿採取デバイスに負圧をかけることによって排泄された尿を取り除くことを容易にするために、手動式又は動力式の吸引デバイスと共に使用するように適合させてもよい。吸引デバイスを使用することは、排液口50がベースン部10の上位端70に位置するときに特に有利である。吸引デバイスは、排液された尿を採取容器中に移送するための導管30と結合させてもよい。一実施例において、吸引デバイスは、スキーズ・ポンプ(squeeze pump)又はベローズ・ポンプ(bellows pump)等の手動式デバイスとしてもよい。別の実施例においては、吸引デバイスは蠕動ポンプ(peristaltic pump)としてもよい。さらに別の実施例においては、吸引デバイスは壁面吸引(wall suction)としてもよい。
【0064】
使用方法
本明細書に記載された尿採取デバイス500は、例えば、尿を採取して女性患者の尿排出量を測定するのに使用することができる。この方法は、本明細書に記載された尿採取デバイス500を、例えば、リップ部15上に配置された接着剤を使用することによって患者の会陰部位に取り付けるステップと、患者によって排泄された尿を尿採取デバイス500内に採取するステップとを含んでもよい。別の実施例において、この方法は、患者によって排泄された尿を測定するために使用してもよい。尿を測定するステップは、尿を採取容器中に排液するステップと、重量又は体積によって尿を定量化するステップとを有してもよい。
【0065】
さらに別の実施例において、本開示の方法は、採取容器中への尿の流量を測定することによって尿を定量化するステップを含んでもよい。例えば、採取容器中への尿の流量は、流量計によって測定してもよい。流量計の好適な例としては、電子式、機械式、及び光学式の流量計が挙げられる。さらにその他の実施例において、本開示の方法は、タンパク質、ケトン類、ヘモグロビン、亜硝酸塩、及び有害な病原体等の、尿中の特定の物質のレベルを測定するステップと、測定されたレベルに基づいて、尿道感染症(UTI)、腎臓病、及び糖尿病等の感染症又は傷害を検出するステップとを含んでもよい。例えば、測定ステップは、テスト・ストリップ尿分析を使用して実行してもよい。
【0066】
いくつかの実施例において、これらの方法は、接着剤と患者の皮膚との間に液密シールを形成することを容易化するために、会陰領域(例えば、尿道のまわりの部位)を準備するステップを含んでもよい。患者の体を準備するステップは、水、石鹸、及び/又はアルコールを使用して会陰領域及び尿道のまわりの領域を清浄化するステップと、任意選択で、清浄化された領域を乾燥させるステップとを含んでもよい。
【0067】
その他の実施例において、これらの方法は、尿を採取容器中に排液するのを補助するために、負圧を供給するステップをさらに含んでもよい。負圧を使用することは、横たわっているか、又は移動不能な患者に対して有利な場合がある。上記のように、負圧を使用することは、排液口50がベースン部10の上位端70上に位置づけられている場合に、尿を排液するのにも有用である。例えば、上述したように、尿は、吸引を使用して採取容器中に排液してもよい。別の実施例においては、尿を採取容器中に圧送することによって、尿を採取容器中に排液してもよい。さらにその他の実施例では、尿を採取容器中に排液するために、重力で十分である場合がある。
【0068】
例示的な実施例
上記されたもの又は現在クレームされているものに加えて、以下の実施例がクレームされ得ることが、具体的に企図されている。
【0069】
「実施例1」
尿採取デバイスであって、女性対象者の会陰部位にフィットして、尿を受け入れるように構成された、ベースン部と、ベースン部に取り付けられて、会陰部位に取り付けるための接触面を有する、リップ部と、ベースン部の内部から離れて延びて、ベースン部からの尿の漏れを防ぐためにデバイスの下位部分に沿って配置された、リッジ部と、尿を排液するための、ベースン部内の排液口とを有する、尿採取デバイス。
【0070】
「実施例2」
尿採取デバイスであって、女性対象者の会陰部位にフィットして、尿を受け入れるように構成された、ベースン部と、ベースン部に取り付けられて、接着剤を使用して女性対象者の会陰部位にデバイスを付着させるのに十分な表面積を有する、リップ部と、ベースン部からの尿の漏れを防止するための、ベースン部の下位端上のリッジ部と、尿を排液するための、ベースン部内の排液口とを有する、尿採取デバイス。
【0071】
「実施例3」
女性小児科対象者による使用ための尿採取デバイスであって、ボウルとリムを有するベースン部であって、ボウルは対象者の尿道を覆うように寸法決めされており、リムは尿道を囲む部位に接触するように寸法決めされている、ベースン部と、ベースン部のリムから半径方向に延びて、対象者の腹部又は恥丘に接触するように構成された、リップ部と、ベースン部の下位側で、ベースン部のボウルから離れて延びるリッジ部であって、対象者の陰唇間に延びることによってシールをもたらすように構成された、リッジ部と、ベースン部から尿を排液するために、ベースン部上に位置づけられている排液口とを有する、尿採取デバイス。
【0072】
「実施例4」
女性小児科対象者による使用のためであって、ヒト小児科対象者は新生児、乳幼児、又は幼児である、上記実施例のいずれか1つの尿採取デバイス。
【0073】
「実施例5」
ベースン部は、対象者の脚の間を、少なくとも尿道を超える距離まで延びるように寸法決めされている、上記実施例のいずれか1つの尿採取デバイス。
【0074】
「実施例6」
ベースン部は、尿道の上位にある腹部から、対象者の脚の間を少なくとも会陰まで垂直に延びるように、寸法決めされている、上記実施例のいずれか1つの尿採取デバイス。
【0075】
「実施例7」
リップ部は、対象者の会陰部位の曲率に対応する曲面を画定するように輪郭づけられている、上記実施例のいずれか1つの尿採取デバイス。
【0076】
「実施例8」
リップ部は、ベースン部の反対側で凹面を画定するように寸法決めされている、上記実施例のいずれか1つの尿採取デバイス。
【0077】
「実施例9」
リップ部は、約100~135°の弧の矢状断面において輪郭を有する、上記実施例のいずれか1つの尿採取デバイス。
【0078】
「実施例10」
接着剤がリップ部の上に配置されている、上記実施例のいずれか1つの尿採取デバイス。
【0079】
「実施例11」
接着剤が、リップ部の前方表面と、リップ部の後方表面のうちの少なくとも一方の上に配置されている、上記実施例のいずれか1つの尿採取デバイス。
【0080】
「実施例12」
接着剤がリップ部の上に配置され、接着剤は医療等級の感圧性接着剤である、上記実施例のいずれか1つの尿採取デバイス。
【0081】
「実施例13」
接着剤がリップ部上に配置され、接着剤は医療等級テープを有する、上記実施例のいずれか1つの尿採取デバイス。
【0082】
「実施例14」
リップ部は、内周と外周とで画定される表面を有し、内周と外周との間の幅は、少なくとも約0.254センチメートル(0.1インチ)である、上記実施例のいずれか1つの尿採取デバイス。
【0083】
「実施例15」
リップ部は、内周と外周とで画定される表面を有し、リップ部の内周は、前額軸に沿って少なくとも約1.27センチメートル(0.50インチ)の幅を有する開口を画定する、上記実施例のいずれか1つの尿採取デバイス。
【0084】
「実施例16」
リップ部は、内周と外周とで画定される表面を有し、リップ部の内周は、垂直軸に沿って少なくとも約1.27センチメートル(0.80インチ)の幅を有する開口を画定する、上記実施例のいずれか1つの尿採取デバイス。
【0085】
「実施例17」
リップ部は、内周と外周とで画定される表面を有し、リップ部の内周は、垂直軸に沿った長さと、前額軸に沿った幅とを有する開口を画定し、長さは幅の約2倍である、上記実施例のいずれか1つの尿採取デバイス。
【0086】
「実施例18」
排液口は、ベースン部の高位端上に位置づけられている、上記実施例のいずれか1つの尿採取デバイス。
【0087】
「実施例19」
排液口は、右側又は左側で、ベースン部の下位端に隣接して位置づけられている、上記実施例のいずれか1つの尿採取デバイス。
【0088】
「実施例20」
ベースン部から尿を排液するための排液口に流体結合された導管をさらに有する、上記実施例のいずれか1つの尿採取デバイス。
【0089】
「実施例21」
デバイスが、低アレルギー材料で作られている、上記実施例のいずれか1つの尿採取デバイス。
【0090】
「実施例22」
デバイスが、シリコーン、ゴム、熱可塑性エラストマー、又はこれらの組合せを有する高分子材料で作られている、上記実施例のいずれか1つの尿採取デバイス。
【0091】
「実施例23」
リッジ部は、対象者の陰唇の間に延びるように寸法決めされている、上記実施例のいずれか1つの尿採取デバイス。
【0092】
「実施例24」
リッジ部は、対象者の陰唇間に延びて、防水フィットをもたらすように寸法決めされている、上記実施例のいずれか1つの尿採取デバイス。
【0093】
「実施例25」
リッジ部は、弯曲した頂点を備え、互いに約25~65°の2つのステムを備える、「V」字を形成する前方エッジを有する、上記実施例のいずれか1つの尿採取デバイス。
【0094】
「実施例26」
乳幼児によって排泄される尿を採取する方法であって、上記実施例のいずれか1つの尿採取デバイスを乳幼児の会陰部位へ取り付けるステップであって、リップ部上には接着剤が存在するステップと、乳幼児によって排泄された尿を尿採取デバイス内に採取するステップとを有する、方法。
【0095】
「実施例27」
乳幼児によって排泄される尿を測定する方法であって、上記実施例のいずれか1つの尿採取デバイスを乳幼児の会陰部位へ取り付けるステップと、乳幼児によって排泄された尿を尿採取デバイスに採取するステップと、尿を定量化するステップとを有する、方法。
【0096】
「実施例28」
尿を採取容器中に排液するステップをさらに有する、上記実施例のいずれか1つの方法。
【0097】
「実施例29」
排液するステップは、尿を採取容器中に排液するのを補助するために、負圧を供給するステップを有する、上記実施例のいずれか1つの方法。
【0098】
「実施例30」
排液するステップは、尿を採取容器中に排液するのを補助するために負圧を供給するステップを有し、排液口はベースン部の上位端に位置している、上記実施例のいずれか1つの方法。
【0099】
「実施例31」
排液するステップは、尿を採取容器中に吸引するステップを有する、上記実施例のいずれか1つの方法。
【0100】
「実施例32」
排液するステップは、尿を採取容器中に圧送するステップを有する、上記実施例のいずれか1つの方法。
【0101】
「実施例33」
取り付けるステップは、接着剤を使用して尿採取デバイスを乳幼児に取り付けるステップを含む、上記実施例のいずれか1つの方法。
【0102】
「実施例34」
採取容器中への尿の流量を測定することによって、尿を定量化するステップを有する、上記実施例のいずれか1つの方法。
【0103】
「実施例35」
電子式流量計を用いて、採取容器中への尿の流量を測定することによって、尿を定量化するステップを有する、上記実施例のいずれか1つの方法。
【0104】
「実施例36」
ベースン部に設置されたアッセイを使用して、尿における分析物(analyte)を検出するステップを有する、上記実施例のいずれか1つの方法。
【0105】
「実施例37」
ベースン部内に位置する吸収体内の、ある量の尿を吸収するステップと、吸収体内の尿を定量化するステップとを有する、上記実施例のいずれか1つの方法。
【0106】
「実施例38」
ベースン部内に位置する吸収体内の、ある量の尿を吸収するステップと、吸引によって量の尿を取り除くステップとを有する、上記実施例のいずれか1つの方法。
【0107】
「実施例39」
小児科女性対象者によって排泄される尿を採取して測定するシステムであって、上記実施例のいずれか1つの尿採取デバイスと、尿採取デバイスのリップ部上の接着剤とを有する、システム。
【0108】
「実施例40」
尿採取デバイスと流体連通する採取容器を有する、上記実施例のいずれか1つのシステム。
【0109】
「実施例41」
対象者によって排泄された尿を定量化するように構成された尿採取デバイスと流体連通する採取容器を有する、上記実施例のいずれか1つのシステム。
【0110】
「実施例42」
採取容器は、導管を使用して尿採取デバイスに流体結合されている、上記実施例のいずれか1つのシステム。
【0111】
「実施例43」
尿採取デバイスから採取容器へと尿を吸引するように構成された吸引デバイスをさらに有する、上記実施例のいずれか1つのシステム。
【0112】
「実施例44」
尿内の物質のレベルに基づいて損傷又は感染症を検出するように構成されたインジケータを有する、上記実施例のいずれか1つのシステム。
【0113】
「実施例45」
ある量の尿を吸収する能力のある、ベースン部内の吸収体を有する、上記実施例のいずれか1つのシステム。
【0114】
(参考文献)
以下の参考文献は、上記の開示の理解を助けるために提供される。以下の参考文献のいずれかが、いずれかの法域における「先行技術」の法的定義を満たすこと、又はいずれかの参考文献が上記に開示されたものの特許性に関係するか、又は関係しないことを認めるものではない。
【0115】
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【0116】
(結論)
本発明の開示された実施例の任意の所与の要素は、単一構造、単一ステップ、単一物質、その他に具現化してもよいことを理解すべきである。同様に、開示された実施例の所与の要素は、複数の構造、ステップ、物質、その他に具現化されてもよい。
【0117】
前述の説明及び付随する図面は、特定のプロセス、機械、製造、及び物質の組成を例示して説明し、それらのいくつかは本発明を具現化する。そのような説明又は図解は、クレームできるものの範囲を制限することを意図するものではなく、クレームを理解し、クレームされたものを作成及び使用することを可能にし、発明の最良の使用方法を教示するのに役立つものとして提供される。この説明及び添付の図面が特定の実施例又は複数の実施例のみを開示すると解釈される場合、クレームできるものを、その実施例又は複数の実施例に限定するものと解釈されてはならない。本明細書に記載された本発明の任意の実例又は実施例は、クレームされるものが、そのような実例又は実施例と同延でなければならないことを示すことを意図しない。本発明又はその実施例が1つ又は複数の目的を達成すると述べられている場合、クレームされ得るものを、そのような全ての目的を達成できるバージョンに限定することを意図するものではない。先行技術を批判するこの説明のいかなる陳述も、先行技術のいかなる観点も除外するように、クレームされるものを制限することを意図するものではない。
【0118】
さらに、本開示は、開示されたプロセス、機械、製造、物質の組成、及び他の教示の特定の実施例を示して説明するが、本開示の教示は、他の様々な組合せ、修正、及び環境において使用することができると共に、本明細書で表現される教示の範囲内で変更又は修正することができることを理解されたい。
【0119】
本明細書におけるいずれのセクションの見出しも、37C.F.R.(§1.77)の推奨との一貫性を保つためにのみ提供されるか、又はそれ以外の場合は構成上のキューを提供する。これらの見出しは、本明細書に記載された発明を制限又は特徴づけてはならない。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10