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特許7539984水添共重合体、樹脂組成物、成形体、及び粘着性フィルム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-16
(45)【発行日】2024-08-26
(54)【発明の名称】水添共重合体、樹脂組成物、成形体、及び粘着性フィルム
(51)【国際特許分類】
   C08L 53/02 20060101AFI20240819BHJP
   C08L 101/12 20060101ALI20240819BHJP
   C08L 21/00 20060101ALI20240819BHJP
   C08F 297/04 20060101ALI20240819BHJP
   C08F 236/10 20060101ALI20240819BHJP
   C09J 7/30 20180101ALI20240819BHJP
【FI】
C08L53/02
C08L101/12
C08L21/00
C08F297/04
C08F236/10
C09J7/30
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022531702
(86)(22)【出願日】2021-06-08
(86)【国際出願番号】 JP2021021717
(87)【国際公開番号】W WO2021261241
(87)【国際公開日】2021-12-30
【審査請求日】2022-11-02
(31)【優先権主張番号】P 2020107264
(32)【優先日】2020-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】服部 剛樹
(72)【発明者】
【氏名】草ノ瀬 康弘
(72)【発明者】
【氏名】市野 洋之
【審査官】内田 靖恵
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2002/094936(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L53/02
C08F297/04
C09J7
C09J153
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物との共重合体の水添物である水添共重合体(A)と、
ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物との共重合体の水添物である水添共重合体(B)からなり、
下記要件(1)~(4)を満たす水添共重合体(X)。
(1):前記水添共重合体(A)は、共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物とからなるランダム共重合構造を有しており、前記水添共重合体(A)中の前記ランダム共重合構造の含有量が50質量%以上100質量%以下であり、前記水添共重合体(A)中のビニル芳香族化合物の含有量が30質量%以上80質量%以下であり、前記水添共重合体(A)のランダム共重合構造中のビニル芳香族化合物の質量分率(RS1)が10質量%以上80質量%以下である。
(2):前記水添共重合体(B)は、共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物とからなるランダム共重合構造を有しており、前記水添共重合体(B)中の前記ランダム共重合構造の含有量が40質量%以上100質量%以下であり、かつ、前記水添共重合体(B)中のビニル芳香族化合物の含有量が30質量%以上80質量%以下であり、前記水添共重合体(B)のランダム共重合構造中のビニル芳香族化合物の質量分率(RS2)が10質量%以上80質量%以下である。
(3):前記水添共重合体(B)の数平均分子量(Mn2)に対する前記水添共重合体(A)の数平均分子量(Mn1)の比(Mn1/Mn2)が0.25未満であり、
かつ、1000≦Mn1≦40000である。
(4):前記水添共重合体(A)の含有量と、前記水添共重合体(B)の含有量の質量比(A)/(B)が5/95~50/50である。
【請求項2】
前記水添共重合体(B)が、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックを少なくとも一つ有する、
請求項1に記載の水添共重合体(X)。
【請求項3】
前記水添共重合体(A)が、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックを少なくとも一つ有する、
請求項1又は2に記載の水添共重合体(X)。
【請求項4】
前記水添共重合体(B)の数平均分子量(Mn2)が12万以上である、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の水添共重合体(X)。
【請求項5】
前記水添共重合体(A)及び前記水添共重合体(B)の共役ジエン化合物由来の二重結合の水添率が40%以上である、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の水添共重合体(X)。
【請求項6】
粘弾性測定(1Hz)チャートにおけるtanδのピークが、-20℃以上40℃以下の範囲に少なくとも1つ存在する、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の水添共重合体(X)。
【請求項7】
前記水添共重合体(A)のランダム共重合構造中のビニル芳香族化合物の質量分率(RS1)と、前記水添共重合体(B)のランダム共重合構造中のビニル芳香族化合物の質量分率(RS2)との比(RS1/RS2)が、0.8~1.2である、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の水添共重合体(X)。
【請求項8】
前記水添共重合体(B)の数平均分子量(Mn2)に対する重量平均分子量(Mw2)の比(Mw2/Mn2)が1.15未満である、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の水添共重合体(X)。
【請求項9】
前記水添共重合体(B)の数平均分子量(Mn2)に対する前記水添共重合体(A)の数平均分子量(Mn1)の比(Mn1/Mn2)が0.12未満である、
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の水添共重合体(X)。
【請求項10】
前記水添共重合体(A)は、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックを有し、
当該水添共重合体(A)のビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックの分子量(MnS1)と、
前記水添共重合体(B)のビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックの分子量(MnS2)と
の比(MnS1/MnS2)が、0.9以下である、
請求項乃至9のいずれか一項に記載の水添共重合体(X)。
(MnS1及びMnS2は下記の方法で算出する。
MnS1=Mn1×BS1
MnS2=Mn2×BS2÷f
BS1:プロトン核磁気共鳴(1H-NMR)によって求めた前記水添共重合体(A)のビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックの含有量
BS2:プロトン核磁気共鳴(1H-NMR)によって求めた前記水添共重合体(B)のビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックの含有量
f:粘度検出器付きGPC-光散乱法測定法によって求めた水添共重合体(B)の分岐度
Mn1:水添共重合体(A)の数平均分子量
Mn2:水添共重合体(B)の数平均分子量)
【請求項11】
前記水添共重合体(A)及び(B)中のビニル芳香族化合物の含有量が30質量%以上80質量%以下である、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の水添共重合体(X)と、
前記水添共重合体(X)以外の熱可塑性樹脂及び/又は前記水添共重合体(X)以外のゴム状重合体と、
を、含有する樹脂組成物。
【請求項12】
請求項11に記載の樹脂組成物の成形体。
【請求項13】
基材層と、前記基材層上に粘着層とを有する粘着性フィルムであって、
前記粘着層は、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の水添共重合体(X)を含有し、
前記水添共重合体(X)を構成する前記水添共重合体(A)及び(B)中のビニル芳香族化合物の含有量が30質量%以上60質量%以下である、粘着性フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水添共重合体及び樹脂組成物、成形体、及び粘着性フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物との共重合体の水素添加物は、常温では天然ゴムや合成ゴムと同様の弾性を有し、また、高温では熱可塑性樹脂と同様の加工性を有し、さらには、耐候性、耐熱性にも優れている。これにより、従来から、プラスチック改質剤、自動車用部品、医療用成形品、アスファルト改質剤、履物、食品容器等の成形品、包装材料、粘接着シート、及び家電・工業用部品等の分野で幅広く利用されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物のランダム共重合構造を有するブロック共重合体の水素添加物である水添共重合体、及び当該水添共重合体を含む樹脂組成物が開示されている。
この樹脂組成物は、機械特性や耐摩耗性に優れているため、自動車内装材等への利用が進められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2004/003027号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1で開示されている水添共重合体を含む樹脂組成物は、剪断粘度が高く、実用上十分な成形性が得られないという問題点を有している。
近年、自動車内装材等の用途においては、デザイン性の向上や、成形の効率化が求められている。このような場合、従来のスラッシュ成形より射出成形が適している。しかしながら、射出成形はスラッシュ成形と比べ、材料となる樹脂組成物の粘度が低くなければ成形性が悪化し外観不良を引き起こすおそれがある。そのため、実用上十分な耐摩耗性を有し、かつ、剪断粘度が十分に低い樹脂組成物が得られる水添共重合体が求められている。
【0006】
そこで本発明においては、上記の従来技術が有する課題に鑑み、実用上十分な耐摩耗性を有し、かつ、剪断粘度が低く成形性に優れた樹脂組成物が得られ、外観が良好な成形体が得られる水添共重合体を提供することを第一の目的とする。
他方、剪断粘度が低くなるように設計した水添共重合体は、粘着性が高くなることも期待できる。粘着剤は、十分な粘着力を得るために水添共重合体に粘着付与剤を混和して製造することが一般的に行われているが、水添共重合体自体の粘着性が高まるように設計することにより、粘着付与剤の添加量を低減したり無くしたりでき、粘着剤の製造に当たって、粘着付与剤のコストを抑えたり、水添工程において粘着付与剤と水添共重合体とを混合する工程を省略したり、短くしたりすることが期待できる。
そこで、本発明においては、粘着性が高い水添共重合体を提供することを第二の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上述した従来技術の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物とからなるランダム共重合体構造を有する共重合体の水添物である水添共重合体(A)、及び水添共重合体(B)を含む水添共重合体(X)において、水添共重合体(A)及び水添共重合体(B)の数平均分子量の比を所定の数値範囲とし、水添共重合体(A)の数平均分子量を所定の数値範囲とし、かつ、水添共重合体(A)及び水添共重合体(B)の含有量の質量比を所定の数値範囲とすることにより、上述した第一及び第二の目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は以下の通りである。
【0008】
〔1〕
ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物との共重合体の水添物である水添共重合体(A)と、
ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物との共重合体の水添物である水添共重合体(B)からなり、
下記要件(1)~(4)を満たす水添共重合体(X)。
(1):前記水添共重合体(A)は、共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物とからなるランダム共重合構造を有しており、前記水添共重合体(A)中の前記ランダム共重合構造の含有量が50質量%以上100質量%以下であり、前記水添共重合体(A)中のビニル芳香族化合物の含有量が30質量%以上80質量%以下であり、前記水添共重合体(A)のランダム共重合構造中のビニル芳香族化合物の質量分率(RS1)が10質量%以上80質量%以下である。
(2):前記水添共重合体(B)は、共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物とからなるランダム共重合構造を有しており、前記水添共重合体(B)中の前記ランダム共重合構造の含有量が40質量%以上100質量%以下であり、かつ、前記水添共重合体(B)中のビニル芳香族化合物の含有量が30質量%以上80質量%以下であり、前記水添共重合体(B)のランダム共重合構造中のビニル芳香族化合物の質量分率(RS2)が10質量%以上80質量%以下である。
(3):前記水添共重合体(B)の数平均分子量(Mn2)に対する前記水添共重合体(A)の数平均分子量(Mn1)の比(Mn1/Mn2)が0.25未満であり、
かつ、1000≦Mn1≦40000である。
(4):前記水添共重合体(A)の含有量と、前記水添共重合体(B)の含有量の質量比(A)/(B)が5/95~50/50である。
〔2〕
前記水添共重合体(B)が、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックを少なくとも一つ有する、
前記〔1〕に記載の水添共重合体(X)。
〔3〕
前記水添共重合体(A)が、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックを少なくとも一つ有する、
前記〔1〕又は〔2〕に記載の水添共重合体(X)。
〔4〕
前記水添共重合体(B)の数平均分子量(Mn2)が12万以上である、
前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載の水添共重合体(X)。
〔5〕
前記水添共重合体(A)及び前記水添共重合体(B)の共役ジエン化合物由来の二重結合の水添率が40%以上である、
前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載の水添共重合体(X)。
〔6〕
粘弾性測定(1Hz)チャートにおけるtanδのピークが、-20℃以上40℃以下の範囲に少なくとも1つ存在する、
前記〔1〕乃至〔5〕のいずれか一に記載の水添共重合体(X)。
〔7〕
前記水添共重合体(A)のランダム共重合構造中のビニル芳香族化合物の質量分率(RS1)と、前記水添共重合体(B)のランダム共重合構造中のビニル芳香族化合物の質量分率(RS2)との比(RS1/RS2)が、0.8~1.2である、
前記〔1〕乃至〔6〕のいずれか一に記載の水添共重合体(X)。
〔8〕
前記水添共重合体(B)の数平均分子量(Mn2)に対する重量平均分子量(Mw2)の比(Mw2/Mn2)が1.15未満である、
前記〔1〕乃至〔7〕のいずれか一に記載の水添共重合体(X)。
〔9〕
前記水添共重合体(B)の数平均分子量(Mn2)に対する前記水添共重合体(A)の数平均分子量(Mn1)の比(Mn1/Mn2)が0.12未満である、
前記〔1〕乃至〔8〕のいずれか一に記載の水添共重合体(X)。
〔10〕
前記水添共重合体(A)は、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックを有し、
当該水添共重合体(A)のビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックの分子量(MnS1)と、
前記水添共重合体(B)のビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックの分子量(MnS2)との比(MnS1/MnS2)が、0.9以下である、
前記〔2〕乃至〔9〕のいずれか一に記載の水添共重合体(X)。
(MnS1及びMnS2は下記の方法で算出する。
MnS1=Mn1×BS1
MnS2=Mn2×BS2÷f
BS1:プロトン核磁気共鳴(1H-NMR)によって求めた前記水添共重合体(A)のビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックの含有量
BS2:プロトン核磁気共鳴(1H-NMR)によって求めた前記水添共重合体(B)のビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックの含有量
f:粘度検出器付きGPC-光散乱法測定法によって求めた水添共重合体(B)の分岐度
Mn1:水添共重合体(A)の数平均分子量
Mn2:水添共重合体(B)の数平均分子量)
〔11〕
前記水添共重合体(A)及び(B)中のビニル芳香族化合物の含有量が30質量%以上80質量%以下である、前記〔1〕乃至〔10〕のいずれか一に記載の水添共重合体(X)と、
前記水添共重合体(X)以外の熱可塑性樹脂及び/又は前記水添共重合体(X)以外のゴム状重合体と、を含有する樹脂組成物。
〔12〕
前記〔11〕に記載の樹脂組成物の成形体。
〔13〕
基材層と、前記基材層上に粘着層とを有する粘着性フィルムであって、
前記粘着層は、前記〔1〕乃至〔10〕のいずれか一に記載の水添共重合体(X)を含有し、
前記水添共重合体(X)を構成する前記水添共重合体(A)及び(B)中のビニル芳香族化合物の含有量が30質量%以上60質量%以下である、粘着性フィルム。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、第一の効果として、耐摩耗性及び成形性に優れた樹脂組成物が得られ、外観が良好な成形体が得られる水添共重合体を提供することができる。
また、本発明によれば、第二の効果として、粘着性が高い水添共重合体を提供でき、粘着性フィルム用の材料として利用できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」と言う。)について、詳細に説明する。なお、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではなく、本発明はその要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
【0011】
〔水添共重合体(X)〕
本実施形態の水添共重合体(X)は、
ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物との共重合体の水添物である水添共重合体(A)と、
ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物との共重合体の水添物である水添共重合体(B)と、
を、含み、下記要件(1)~(4)を満たす。
(1):前記水添共重合体(A)は、共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物とからなるランダム共重合構造を有しており、前記水添共重合体(A)中のビニル芳香族化合物の含有量が10質量%以上80質量%以下である。
(2):前記水添共重合体(B)は、共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物とからなるランダム共重合構造を有しており、前記水添共重合体(B)中のビニル芳香族化合物の含有量が10質量%以上80質量%以下である。
(3):前記水添共重合体(B)の数平均分子量(Mn2)に対する前記水添共重合体(A)の数平均分子量(Mn1)の比(Mn1/Mn2)が0.25未満であり、
かつ、1000≦Mn1≦40000である。
(4):前記水添共重合体(A)の含有量と、前記水添共重合体(B)の含有量の質量比(A)/(B)が5/95~50/50である。
【0012】
本実施形態の水添共重合体(X)は、実質的に前記水添共重合体(A)と水添共重合体(B)の混合体である。なお、混合体とは、複数種類の共重合体を混合する態様のみではなく、一つの反応器で複数種類の重合体を製造することにより、複数種類の共重合体が混合した態様も含まれる意味である。すなわち、一反応で複数種類の共重合体を製造する形態も含まれる。
本実施形態の水添共重合体(X)が上記の構成を備えることにより、第一の効果として、耐摩耗性及び成形性に優れる樹脂組成物が得られ、良好な外観の成形体が得られ、第二の効果として、粘着性が高い水添共重合体が得られ、粘着フィルムの材料として利用できる。
【0013】
(水添共重合体(A))
本実施形態の水添共重合体(X)は、水添共重合体(A)を含有する。
水添共重合体(A)は、ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物との共重合体の水添物である水添共重合体であり、ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物とからなるランダム共重合構造を有する。
水添共重合体(A)は、ビニル芳香族化合物の含有量が10質量%以上80質量%以下であり、水添共重合体(A)の数平均分子量(Mn1)が1000~40000である。
なお、本実施形態の水添共重合体(X)、及び水添共重合体(A)、水添共重合体(B)において、重合体中にビニル芳香族化合物が組み込まれている場合、重合体を構成する単量体単位の形態となるが、かかる場合においても、本明細書中、「ビニル芳香族化合物」と表記する。
同様に、重合体中に共役ジエン化合物が組み込まれている場合、重合体を構成する単量体単位の形態となるが、かかる場合においても、本明細書中、「共役ジエン化合物」と表記する。
【0014】
<ビニル芳香族化合物>
水添共重合体(A)を構成するビニル芳香族化合物としては、以下に限定されないが、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1-ジフェニルエチレン、N,N-ジメチル-p-アミノエチルスチレン、N,N-ジエチル-p-アミノエチルスチレン等のビニル芳香族化合物が挙げられる。
これらの中でも、入手性及び生産性の観点から、スチレン、α-メチルスチレン、4-メチルスチレンが好ましい。
これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0015】
<共役ジエン化合物>
水添共重合体(A)を構成する共役ジエン化合物としては、共役二重結合を有するジオレフィンであればよく、以下限定されないが、例えば、1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン(イソプレン)、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、2-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、ファルネセン等が挙げられる。
これらの中でも、入手性及び生産性の観点から、1,3-ブタジエン、イソプレンが好ましい。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0016】
水添共重合体(A)は、ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物とからなるランダム共重合構造を有する。
<本実施形態の水添共重合体(X)を樹脂組成物として利用する場合の水添共重合体(A)の好ましい態様>
本実施形態の水添共重合体(X)を樹脂組成物として利用する場合、水添共重合体(A)のランダム共重合構造中のビニル芳香族化合物の質量分率(RS1)は、30質量%~80質量%の範囲であることが好ましく、35質量%~75質量%の範囲であることがより好ましく、40質量%~70質量%の範囲であることがさらに好ましい。
前記(RS1)が前記範囲である場合、本実施形態の水添共重合体(X)を樹脂組成物に適用した際に、良好な耐摩耗性を発現する傾向にある。
【0017】
<本実施形態の水添共重合体(X)を粘着性フィルムの材料として利用する場合の水添共重合体(A)の好ましい態様>
本実施形態の水添共重合体(X)を粘着フィルムの材料として利用する場合、水添共重合体(A)のランダム共重合構造中のビニル芳香族化合物の質量分率(RS1)(以下、スチレンを用いる場合、ランダム構造中のスチレン含有量、ランダムスチレン量と記載する場合がある。)は、10質量%~60質量%の範囲であることが好ましく、15質量%~50質量%の範囲であることがより好ましく、20質量%~45質量%の範囲であることがさらに好ましい。
前記(RS1)が前記範囲である場合、本実施形態の水添共重合体(X)を粘着性フィルムの材料に適用した際に、良好な接着性と繰出し性のバランスを発現する傾向にある。
【0018】
水添共重合体(A)のランダム共重合構造中に含まれるビニル芳香族化合物の含有量は、核磁気共鳴(NMR)により測定できる。具体的には後述する実施例に記載する方法により測定できる。
水添共重合体(A)のランダム共重合構造中のビニル芳香族化合物の含有量は、重合工程におけるビニル芳香族化合物の添加量、添加するタイミングを調整することにより、上記数値範囲に制御することができる。
【0019】
<本実施形態の水添共重合体(X)を樹脂組成物として利用する場合の水添共重合体(A)の好ましい態様>
本施形態の水添共重合体(X)を樹脂組成物として利用する場合、水添共重合体(A)中の、ビニル芳香族化合物の含有量は、10質量%~80質量%であり、30質量%~80質量%の範囲であることが好ましく、35質量%~75質量%の範囲であることがより好ましく、40質量%~70質量%の範囲であることがさらに好ましい。
水添共重合体(A)中のビニル芳香族化合物の含有量が80質量%以下であると、本実施形態の水添共重合体(X)は低硬度となる傾向にあり、10質量%以上であると、優れた耐ペレットブロッキング性を発現する傾向にある。
また、水添共重合体(A)中のビニル芳香族化合物の含有量が10質量%~80質量%の範囲であると、本実施形態の水添共重合体(X)を樹脂組成物に適用した際、良好な耐摩耗性を発現する傾向にある。
【0020】
<本実施形態の水添共重合体(X)を粘着性フィルムの材料として利用する場合の水添共重合体(A)の好ましい態様>
本実施形態の水添共重合体(X)を粘着フィルムの材料として利用する場合、水添共重合体(A)中の、ビニル芳香族化合物の含有量は、10質量%~80質量%であり、10質量%~60質量%の範囲であることが好ましく、20質量%~55質量%の範囲であることがより好ましく、25質量%~50質量%の範囲であることがさらに好ましい。
水添共重合体(A)中のビニル芳香族化合物の含有量が80質量%以下であると、本実施形態の水添共重合体(X)は粘着力が高くなる傾向にあり、10質量%以上であると、優れた耐ペレットブロッキング性を発現する傾向にある。
また、水添共重合体(A)中のビニル芳香族化合物の含有量が10質量%~80質量%の範囲であると、本実施形態の水添共重合体(X)を粘着性フィルムの材料に適用した際、良好な接着性と繰出し性のバランスを発現する傾向にある。
【0021】
水添共重合体(A)中におけるビニル芳香族化合物の含有量は、プロトン核磁気共鳴(H-NMR)法により測定できる。具体的には、後述する実施例に記載する方法により測定できる。
水添共重合体(A)中のビニル芳香族化合物の含有量は、重合工程におけるビニル芳香族化合物の添加量を調整することにより、上記数値範囲に制御することができる。
【0022】
水添共重合体(A)の数平均分子量(Mn1)は、1000~40000であり、10000~40000が好ましく、10000~30000がより好ましい。
水添共重合体(A)の数平均分子量が40000以下であると、本実施形態の水添共重合体(X)は低剪断粘度化する傾向にあり、本実施形態の水添共重合体(X)を樹脂組成物に適用した際、射出成形時にフローマークの発生を抑制することができる傾向にある。
水添共重合体(A)の数平均分子量(Mn1)は生産性の観点から1000以上であり、1000以上であると本実施形態の水添共重合体(X)を樹脂組成物に適用した際、射出成形時にスプルー切れを起こしにくく、金型離型性に優れる傾向にある。
水添共重合体(A)の数平均分子量(Mn1)は、標準ポリスチレンを検量線としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下GPCと記載)で測定することができる。具体的には、後述する実施例に記載する方法により測定できる。
水添共重合体(A)の数平均分子量(Mn1)は、重合工程における単量体添加量、重合開始剤添加量等の条件を調整することにより上記数値範囲に制御することができる。
【0023】
水添共重合体(A)中の共役ジエン化合物に由来する脂肪族二重結合の水素添加率(水添率ともいう)は、40%以上が好ましく、60%以上がより好ましく、80%以上がさらに好ましい。
水添共重合体(A)の水素添加率が40%以上であれば、本実施形態の水添共重合体(X)の熱劣化(酸化劣化)を抑制することができる。加えて、耐ペレットブロッキング性も良好となる傾向にある。
【0024】
水添共重合体(A)中の共役ジエン化合物に由来する脂肪族二重結合の水素添加率は、例えば、水素添加時の触媒量を調整することによって制御することができ、水素添加速度は、例えば、水素添加時の触媒量、水素フィード量、圧力及び温度等を調整することによって制御することができる。
水添共重合体(A)、及び後述する水添共重合体(B)の共役ジエン化合物に由来する二重結合の水添率は核磁気共鳴装置(NMR)により測定できる。
【0025】
水添共重合体(A)の共役ジエン化合物中の水添前のビニル結合量は、5mol%~80mol%が好ましく、7mol~75mol%がより好ましく、10mol~70mol%がさらに好ましい。
水添共重合体(A)の水添前のビニル結合量が5mol%以上である場合、本実施形態の水添共重合体(X)は低硬度化する傾向にあり、水添共重合体(A)の水添前のビニル結合量が80mol%以下である場合、良好な耐ペレットブロッキング性を発現する傾向にある。
【0026】
なお、本実施形態において、ビニル結合量とは、全共役ジエンに対する、1,2-ビニル結合量(1,2-結合で重合体に組み込まれている共役ジエン)と3,4-ビニル結合量(3,4-結合で重合体に組み込まれている共役ジエン)の合計含有量(ここで、共役ジエンとして1,3-ブタジエンを使用した場合には、1,2-ビニル結合含有量、共役ジエンとしてイソプレンを使用した場合には、3,4-ビニル結合含有量)をいう。
【0027】
ビニル結合量は、核磁気共鳴装置(NMR)を用いて測定することができる。水添共重合体(A)中の共役ジエン化合物に由来するミクロ構造(シス、トランス、ビニル結合の比率)は、後述する極性化合物等の使用により任意に変えることができる。
【0028】
水添共重合体(A)は、ランダム共重合構造を含む構造であれば限定されないが、例えば、下記一般式で表されるような構造を有することが好ましい。

(a-c)
a-c-a
b-c
a-b-c
a-c-b
(c)-Z
(a-c)-Z
(a-b-c)-Z
(a-c-b)-Z
上式において、a、b、cはそれぞれ重合体ブロック(a)、(b)、(c)を示す。
なお、生産性の観点から、c又はa-cが好ましい。
また、水添共重合体(A)は、前記構造を複数種類、任意の割合で含む混合物でもよい。
【0029】
上述した水添共重合体(A)を表す各一般式において、(a)はビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックであり、(b)は共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックであり、(c)はビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物からなるランダム共重合ブロックである。
nは、1以上の整数、好ましくは1~10の整数、より好ましくは1~5の整数である。
mは、2以上の整数、好ましくは2~11の整数、より好ましくは2~8の整数である。
Zは、カップリング剤残基を表す。ここで、カップリング剤残基とは、重合体ブロック(b)間及び重合体ブロック(c)間において結合させるために用いられるカップリング剤の結合後の残基を意味する。
カップリング剤としては、以下に限定されないが、例えば、後述するポリハロゲン化合物や酸エステル類等が挙げられる。
【0030】
水添共重合体(A)は、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックを有することが好ましい。水添共重合体(A)がビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックを有することにより、本実施形態の水添共重合体(X)を樹脂組成物として利用する場合、耐摩耗性が向上する傾向にある。また、本実施形態の水添共重合体(X)を粘着フィルムの材料として利用する場合、糊残りが低下する傾向にあり、また、優れた粘着亢進性が得られる傾向にある。
【0031】
なお、本明細書において、「主体とする」とは、対象の単量体単位を対象の重合体ブロック中に、70質量%を超えて100質量%以下含むことをいい、好ましくは80質量%以上100質量%以下、より好ましくは90質量%以上100質量%以下含むことを言う。
【0032】
重合体ブロック(c)中のビニル芳香族化合物は均一に分布していても、テーパー状に分布していてもよい。さらに、ビニル芳香族化合物は均一に分布している部分及び/又はテーパー状に分布している部分がそれぞれ複数個存在していてもよい。さらに、上記重合体ブロック(c)には、ビニル芳香族化合物の含有量が異なる部分が複数個共存していてもよい。
【0033】
(水添共重合体(B))
本実施形態の水添共重合体(X)は、水添共重合体(B)を含有する。
水添共重合体(B)は、ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物との共重合体の水添物である水添共重合体であり、ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物とからなるランダム共重合体構造を有する。
水添共重合体(B)は、ビニル芳香族化合物の含有量が10質量%以上80質量%以下である。
【0034】
<ビニル芳香族化合物>
水添共重合体(B)を構成するビニル芳香族化合物としては、以下に限定されないが、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1-ジフェニルエチレン、N,N-ジメチル-p-アミノエチルスチレン、N,N-ジエチル-p-アミノエチルスチレン等のビニル芳香族化合物が挙げられる。
これらの中でも、入手性及び生産性の観点から、スチレン、α-メチルスチレン、4-メチルスチレンが好ましい。
これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0035】
<共役ジエン化合物>
水添共重合体(B)を構成する共役ジエン化合物としては、共役二重結合を有するジオレフィンであればよく、以下に限定されないが、例えば、1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン(イソプレン)、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、2-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、ファルネセン等が挙げられる。
これらの中でも、入手性及び生産性の観点から、1,3-ブタジエン、イソプレンが好ましい。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0036】
水添共重合体(B)は、ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物とからなるランダム共重合構造を有する。
<水添共重合体(X)を樹脂組成物として利用する場合の水添共重合体(B)の好ましい態様>
水添共重合体(B)は、前記ランダム共重合構造中のビニル芳香族化合物の質量分率(RS2)は、30質量%~80質量%の範囲であることが好ましく、35質量%~75質量%の範囲であることがより好ましく、40質量%~70質量%の範囲であることがさらに好ましい。
前記(RS2)が前記範囲である場合、本実施形態の水添共重合体(X)を樹脂組成物に適用した際に、良好な耐摩耗性を発現する傾向にある。
【0037】
<水添共重合体(X)を粘着性フィルムの材料として利用する場合の水添共重合体(B)の好ましい態様>
水添共重合体(B)は、前記ランダム共重合構造中のビニル芳香族化合物の質量分率(RS2)(以下、スチレンを用いる場合、ランダム構造中のスチレン含有量、ランダムスチレン量、と記載する場合がある。)は、10質量%~60質量%の範囲であることが好ましく、15質量%~50質量%の範囲であることがより好ましく、20質量%~45質量%の範囲であることがさらに好ましい。
(RS2)が前記範囲である場合、本実施形態の水添共重合体(X)を粘着性フィルムの材料適用した際に、良好な接着性と繰出し性のバランスを発現する傾向にある。
【0038】
水添共重合体(B)のランダム共重合構造中のビニル芳香族化合物の質量分率は、核磁気共鳴(NMR)により測定できる。具体的には後述する実施例に記載する方法により測定できる。水添共重合体(B)のランダム共重合構造中のビニル芳香族化合物の質量分率は、重合工程におけるビニル芳香族化合物の添加量、添加するタイミングを調整することにより、上記数値範囲に制御することができる。
【0039】
<水添共重合体(X)を樹脂組成物として利用する場合の水添共重合体(B)の好ましい態様>
水添共重合体(B)中の、ビニル芳香族化合物の含有量は、10質量%~80質量%であり、30質量%~80質量%の範囲であることが好ましく、35質量%~75質量%の範囲であることがより好ましく、40質量%~70質量%の範囲であることがさらに好ましい。
水添共重合体(B)中のビニル芳香族化合物の含有量が80質量%以下であると、本実施形態の水添共重合体(X)は低硬度となる傾向にあり、10質量%以上であると、優れた耐ペレットブロッキング性を発現する傾向にある。
また、水添共重合体(B)中のビニル芳香族化合物の含有量が10質量%~80質量%の範囲にあることで、本実施形態の水添共重合体(X)を樹脂組成物に適用した際、良好な耐摩耗性を発現する傾向にある。
【0040】
<水添共重合体(X)を粘着性フィルムの材料として利用する場合の水添共重合体(B)の好ましい態様>
水添共重合体(B)中の、ビニル芳香族化合物の含有量は、10質量%~80質量%であり、10質量%~60質量%の範囲であることが好ましく、20質量%~55質量%の範囲であることがより好ましく、25質量%~50質量%の範囲であることがさらに好ましい。
水添共重合体(B)中のビニル芳香族化合物の含有量が80質量%以下であると、本実施形態の水添共重合体(X)は粘着力が高くなる傾向にあり、10質量%以上であると、優れた耐ペレットブロッキング性を発現する傾向にある。
また、水添共重合体(B)中のビニル芳香族化合物の含有量が10質量%~80質量%の範囲にあることで、本実施形態の水添共重合体(X)を粘着性フィルムの材料に適用した際、良好な接着性と繰出し性のバランスを発現する傾向にある。
【0041】
水添共重合体(B)中のビニル芳香族化合物の含有量は、プロトン核磁気共鳴法(以下H-NMR法と記載)により測定できる。具体的には、後述する実施例に記載する方法により測定できる。
水添共重合体(B)中のビニル芳香族化合物の含有量は、重合工程におけるビニル芳香族化合物の添加量を調整することにより、上記数値範囲に制御することができる。
【0042】
水添共重合体(B)は、ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物からなるランダム共重合構造を有する。
また、それに加え、水添共重合体(B)は、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックを少なくとも一つ有することが好ましい。
【0043】
水添共重合体(B)は、以下に限定されないが、例えば、下記一般式で表されるような構造を有することが好ましい。
(d-e)
d-e-d
d-e-f
d-f-e
d-e-f-d
d-e-f-e
d-f-d-e
d-f-e-f
d-e-f-e-d
d-f-e-f-d
[(d-f)-Z
(d-e-f)-Z
(d-f-e)-Z
(d-e-f-e)-Z
(d-f-e-f)-Z
上式において、d、e、fはそれぞれ重合体ブロック(d)、(e)、(f)を示す。
本実施形態の水添共重合体(X)の機械強度の観点から、水添共重合体(B)は、重合体ブロック(d)を二つ以上有することがより好ましい。
また、水添共重合体(B)は、上記構造の重合体を複数種類、任意の割合で含む混合物でもよい。
【0044】
上述した水添共重合体(B)を表す各一般式において、(d)はビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックであり、(e)は共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックであり、(f)はビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物からなるランダム共重合ブロックである。
oは1以上の整数、好ましくは1~10の整数、より好ましくは1~5の整数である。
pは2以上の整数、好ましくは2~11の整数、より好ましくは2~8の整数である。
Zはカップリング剤残基を表す。ここで、カップリング剤残基とは、重合体ブロック(e)間及び重合体ブロック(f)間において結合させるために用いられるカップリング剤の結合後の残基を意味する。
カップリング剤としては、以下に限定されないが、例えば、後述するポリハロゲン化合物や酸エステル類等が挙げられる。
【0045】
水添共重合体(B)は、逐次重合によって重合されたものであることが、強度の観点で好ましい。「逐次重合によって重合された」とは、最終的に目標とするポリマー構造の片側の末端から、反対側の末端まで逐次重合していくことを意味し、カップリング反応を用いずに重合することをいう。
水添共重合体(B)中にカップリング剤残基を含まないことが強度の観点で好ましい。これにより、意図しない未カップリングポリマー等の混入を防ぐことができる。
【0046】
重合体ブロック(f)中のビニル芳香族化合物は均一に分布していても、テーパー状に分布していてもよい。さらに、ビニル芳香族化合物は均一に分布している部分及び/又はテーパー状に分布している部分がそれぞれ複数個存在していてもよい。さらに、上記重合体ブロック(f)には、ビニル芳香族化合物の含有量が異なる部分が複数個共存していてもよい。
【0047】
水添共重合体(B)の数平均分子量(Mn2)の下限は、12万以上が好ましく、15万以上がより好ましく、16万以上がさらに好ましい。
水添共重合体(B)の数平均分子量(Mn2)が12万以上であれば、高分子同士の絡み合いが増加し、機械強度が向上する傾向にあり、また、良好な耐ペレットブロッキング性を発現する傾向にある。
水添共重合体(B)の数平均分子量(Mn2)の上限は100万以下が好ましく、80万以下がより好ましく、50万以下がさらに好ましく、20万以下がさらにより好ましい。
水添共重合体(B)の数平均分子量(Mn2)が100万以下であれば、本実施形態の水添共重合体(X)は低剪断粘度化する傾向にあり、また、低硬度化する傾向にある。
また、水添共重合体(B)の数平均分子量(Mn2)が20万以下であれば、本実施形態の水添共重合体(X)を樹脂組成物にした際、当該樹脂組成物を構成する水添共重合体(X)以外の熱可塑性樹脂及び/又は水添共重合体(X)以外のゴム状重合体の粘度に影響されることなく、良好に混錬され耐摩耗性が良好になる傾向にある。
水添共重合体(B)の数平均分子量(Mn2)は、GPCで測定することができる。
水添共重合体(B)の数平均分子量(Mn2)は、重合工程における単量体添加量、重合開始剤添加量等の条件を調整することにより上記数値範囲に制御することができる。
【0048】
水添共重合体(B)の数平均分子量(Mn2)に対する重量平均分子量(Mw2)の比(Mw2/Mn2)は1.15未満が好ましく、1.14以下がより好ましく、1.13以下がさらに好ましい。
(Mw2/Mn2)が1.15未満であれば、機械強度が向上する傾向にある。(Mw2/Mn2)が1.15未満の重合体は、逐次重合により容易に製造できる傾向にある。
【0049】
水添共重合体(B)中の共役ジエン化合物に由来する脂肪族二重結合の水素添加率(水添率ともいう)は、40%以上が好ましく、60%以上がより好ましく、80%以上がさらに好ましい。
水添共重合体(B)の水素添加率が40%以上であれば、本実施形態の水添共重合体(X)の熱劣化(酸化劣化)を抑制することができる。加えて、耐ペレットブロッキング性も良好となる傾向にある。
水素添加率は、例えば、水素添加時の触媒量によって制御することができ、水素添加速度は、例えば、水素添加時の触媒量、水素フィード量、圧力及び温度等によって制御することができる。
なお、水素添加率は、NMRを用いて測定することができる。
【0050】
水添共重合体(B)の共役ジエン化合物中の水添前のビニル結合量は、5mol%~80mol%が好ましく、7mol~75mol%がより好ましく、10mol~70mol%がさらに好ましい。
水添共重合体(B)の水添前のビニル結合量が5mol%以上である場合、本実施形態の水添共重合体(X)は低硬度化する傾向にあり、水添共重合体(B)の水添前のビニル結合量が80mol%以下である場合、良好な耐ペレットブロッキング性を発現する傾向にある。
【0051】
(水添共重合体(A)と水添共重合体(B)の区分)
本実施形態の水添共重合体(X)は、水添共重合体(A)と水添共重合体(B)を含むため、GPCチャートは二つ以上のピークを有する。このうち、水添共重合体(A)とは数平均分子量が40000以下の全ての成分、又は、数平均分子量が40000以下の成分がない場合はGPCチャートのピークのうち最も低分子量である成分のことを指す。
【0052】
(水添共重合体(A)及び(B)の数平均分子量の関係)
前記水添共重合体(B)の数平均分子量(Mn2)に対する前記水添共重合体(A)の数平均分子量(Mn1)の比(Mn1/Mn2)は0.25未満であり、0.20未満が好ましく、0.17未満がより好ましく、0.12未満がさらに好ましい。
(Mn1/Mn2)が0.25未満である場合、本実施形態の水添共重合体(X)は加工性がよく、樹脂組成物に適用した際、射出成形時のフローマークの発生が抑制される傾向にあり、良好な耐摩耗性を発現する傾向にある。
【0053】
(水添共重合体(A)と、水添共重合体(B)との質量比)
本実施形態の水添共重合体(X)において、前記水添共重合体(A)と、水添共重合体(B)の、含有量の質量比(A)/(B)は、剪断粘度とペレットブロッキング性、樹脂組成物の耐摩耗性のバランスの観点から、5/95~50/50であるものとし、10/90~50/50が好ましく、30/70~50/50であることがより好ましい。
本実施形態の水添共重合体(X)に含まれる水添共重合体(A)が5質量%以上であることにより、水添共重合体(X)は良好な加工性を示す傾向にあり、樹脂組成物に適用した際、射出成形時のフローマークの発生が抑制される傾向にある。水添共重合体(A)が50質量%以下であることにより、樹脂組成物に適用した際、射出成形時のスプルー切れが抑制される傾向にあり、金型離型性が向上する傾向にある。
また、水添共重合体(A)単独では、コールドフローしてしまい成形体が形状を維持することが困難である。
【0054】
(水添共重合体(X)の粘弾性測定におけるtanδピーク)
本実施形態の水添共重合体(X)を樹脂組成物として使用する場合は、水添共重合体(X)は、粘弾性測定(1Hz)において-20℃~40℃の範囲にtanδピークを少なくとも1つ有することが好ましく、-10℃~30℃の範囲にtanδピークを有することがより好ましく、0℃~20℃の範囲にtanδピークを有することがさらに好ましい。
本実施形態の水添共重合体(X)のtanδピークが-20℃~40℃の範囲にあることにより、本実施形態の水添共重合体(X)を樹脂組成物としたとき、低硬度化が図られ、耐摩耗性が向上する傾向にある。
本実施形態の水添共重合体(X)を粘着性フィルムとして使用する場合は、水添共重合体(X)は、粘弾性測定(1Hz)において-20℃~40℃の範囲にtanδピークを少なくとも1つ有することが好ましく、-20℃~25℃の範囲にtanδピークを有することがより好ましく、-20℃~10℃の範囲にtanδピークを有することがさらに好ましい。
本実施形態の水添共重合体(X)のtanδピークが-20℃~40℃の範囲にあることにより、低硬度化が図られ、かつ粘着性が向上する傾向にある。
【0055】
水添共重合体(X)のtanδピーク温度は、水添共重合体(A)及び水添共重合体(B)の構造、及びそれらの含有量を調整することにより制御することができる。
水添共重合体(A)のランダム共重合構造中のビニル芳香族化合物の質量分率(RS1)が増加するほど、水添共重合体(X)のtanδピーク温度は上昇する傾向にある。
水添共重合体(B)のランダム共重合構造中のビニル芳香族化合物の質量分率(RS2)が増加するほど、水添共重合体(X)のtanδピーク温度は上昇する傾向にある。
また、水添共重合体(A)のtanδピーク温度が水添共重合体(B)のtanδピーク温度より低い場合、水添共重合体(A)の含有量が多くなるにつれて、水添共重合体(X)のtanδピーク温度は低下する傾向にあり、水添共重合体(A)のtanδピーク温度が水添共重合体(B)のtanδピーク温度よりも高い場合は、水添共重合体(A)の含有量が多くなるにつれて、水添共重合体(X)のtanδピーク温度は上昇する傾向にある。
【0056】
(水添共重合体(A)及び(B)のランダム共重合構造中のビニル芳香族化合物含有量の関係)
前記水添共重合体(A)のランダム共重合構造中のビニル芳香族化合物の質量分率(RS1)と前記水添共重合体(B)のランダム共重合構造中のビニル芳香族化合物の質量分率(RS2)の比(RS1/RS2)は、0.80~1.20の範囲であることが好ましく、0.82~1.18の範囲であることがより好ましく、0.85~1.15であることがさらに好ましい。
(RS1/RS2)が0.80~1.20の範囲にある場合、水添共重合体(A)と水添共重合体(B)の相容性が高く、耐ペレットブロッキング性が向上する傾向にある。
なお、水添共重合体(A)及び水添共重合体(B)の、それぞれのランダム共重合体構造中のビニル芳香族化合物の質量分率は、重合時のビニル芳香族化合物のフィード量を調整することにより、上記数値範囲に制御でき、NMRにより測定できる。
【0057】
(水添共重合体(A)及び(B)のビニル芳香族化合物を主体とするブロックの分子量の関係)
水添共重合体(A)及び水添共重合体(B)が、いずれもビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックを有している場合、前記水添共重合体(A)のビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックの分子量(MnS1)と、前記水添共重合体(B)のビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックの分子量(MnS2)の比(MnS1/MnS2)は、0.9以下であることが好ましく、0.8以下であることがより好ましく、0.7以下であることがさらに好ましい。
(MnS1/MnS2)が0.9以下である場合、本実施形態の水添共重合体(X)は低硬度となる傾向にある。
なお、(MnS1)及び(MnS2)は重合時の単量体の添加量によって調整することができる。
MnS1及びMnS2は下記の方法で算出する。
MnS1=Mn1×BS1
MnS2=Mn2×BS2÷f
・BS1:プロトン核磁気共鳴(H-NMR)によって求めた前記水添共重合体(A)のビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックの含有量
・BS2:プロトン核磁気共鳴(H-NMR)によって求めた前記水添共重合体(B)のビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックの含有量
・f:粘度検出器付きGPC-光散乱法測定法によって求めた水添共重合体(B)の分岐度
・Mn1:水添共重合体(A)の数平均分子量
・Mn2:水添共重合体(B)の数平均分子量
(Mn1)及び(Mn2)はGPCにより標準ポリスチレンを検量線として測定することができる。
(BS1)及び(BS2)はNMRにより測定することができる。
(f)は粘度検出器付きGPC-光散乱法測定法により測定することができる。
なお、具体的な測定法については後述する。
【0058】
ランダム共重合構造中のビニル芳香族化合物の質量分率(RS1)及び(RS2)、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックの含有量(BS1)及び(BS2)を測定する方法を、NMR法を適用し、ビニル芳香族化合物をスチレン、共役ジエン化合物を1,3-ブタジエンとした場合を例に挙げて具体的に説明する。
水添共重合体(A)及び水添共重合体(B)30mgをそれぞれ重水素化クロロホルム1gに溶解した試料を用いてH-NMRを測定し、ビニル芳香族化合物を主体とするブロック重合体構造(この場合、ポリスチレンブロックとなる)の含有量(BS)を全積算値に対する化学シフト6.9ppm~6.3ppmの積算値の比率から求めた。
ブロックスチレン強度(b-St強度)
=(6.9ppm~6.3ppmの積算値)/2
ランダムスチレン強度(r-St強度)
=(7.5ppm~6.9ppmの積算値)-3×(b-St)
エチレン・ブチレン強度(EB強度)
=全積算値-3×{(b-St強度)+(r-St強度)}/8
ポリスチレンブロック含有量(BS)
=104×(b-St強度)
/[104×{(b-St強度)+(r-St強度)}+56×(EB強度)]
ランダム共重合構造中のスチレン含有量(RS)
=104×(r-St強度)/{104×(r-St強度)+56×(EB強度)}
【0059】
(水添共重合体(B)の分岐度(f))
水添共重合体(B)の分岐度(f)は、粘度検出器付きGPC-光散乱法測定法によって測定できる。
水添共重合体(B)を試料として、粘度検出器付きGPC-光散乱法測定を実施し、標準ポリスチレンに基づいて、光散乱検出器とRI検出器結果から絶対分子量(M)を、RI検出器と粘度検出器の結果から固有粘度([η])を求める。
続いて、基準とする固有粘度([η])を、下記式にて算出する。
[η]=a×M
a=-0.788+0.421×(水添共重合体(B)のビニル芳香族化合物含有量)
-0.342×(RS2)-0.197×(BS2)
b=1.601―0.081×(水添共重合体(B)のビニル芳香族化合物含有量)
+0.064×(RS2)+0.039×(BS2)
RS2:水添共重合体(B)のランダム共重合構造中のビニル芳香族化合物の質量分率
BS2:プロトン核磁気共鳴(H-NMR)によって求めた前記水添共重合体(B)のビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックの含有量
M:水添共重合体(B)の絶対分子量
続いて、水添共重合体(B)の固有粘度([η])と基準とする固有粘度([η])の比として収縮因子gを算出する。
収縮因子(g)=[η]/[η]
その後、得られた収縮因子(g)を用いて、g=f/{(f+1)(f+2)}(f≧2)と定義される分岐度(f)を算出する。
【0060】
(水添共重合体(A)及び水添共重合体(B)の製造方法)
水添共重合体(A)及び水添共重合体(B)の製造方法としては、以下に限定されないが、例えば、特公昭36-19286号公報、特公昭43-17979号公報、特公昭46-32415号公報、特公昭49-36957号公報、特公昭48-2423号公報、特公昭48-4106号公報、特公昭51-49567号公報、特開昭59-166518号公報、等に記載された方法が挙げられる。
【0061】
水素添加前の共重合体は、以下に限定されないが、例えば、炭化水素溶媒中で有機アルカリ金属化合物等の重合開始剤を用いて、所定の単量体を用い、リビングアニオン重合を行う方法等により得られる。
炭化水素溶媒としては、特に限定されず、例えば、n-ブタン、イソブタン、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン等の脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘプタン等の脂環式炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類等が挙げられる。
【0062】
重合開始剤としては、一般的に、共役ジエン化合物及びビニル芳香族化合物に対しアニオン重合活性があることが知られている有機アルカリ金属化合物を用いることができる。
例えば、炭素数1~20の脂肪族炭化水素アルカリ金属化合物、炭素数1~20の芳香族炭化水素アルカリ金属化合物、炭素数1~20の有機アミノアルカリ金属化合物等が挙げられる。
重合開始剤に含まれるアルカリ金属としては、以下に限定されないが、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。
なお、アルカリ金属は、有機アルカリ金属化合物の1分子中に1種、又は2種以上含まれていてもよい。
重合開始剤としては、以下に限定されないが、例えば、n-プロピルリチウム、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム、n-ペンチルリチウム、n-ヘキシルリチウム、ベンジルリチウム、フェニルリチウム、トリルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとsec-ブチルリチウムの反応生成物、さらにジビニルベンゼンとsec-ブチルリチウムと少量の1,3-ブタジエンの反応生成物等が挙げられる。
さらにまた、米国特許5,708,092号明細書に開示されている1-(t-ブトキシ)プロピルリチウム及びその溶解性改善のために1~数分子のイソプレンモノマーを挿入したリチウム化合物、英国特許2,241,239号明細書に開示されている1-(t-ブチルジメチルシロキシ)ヘキシルリチウム等のシロキシ基含有アルキルリチウム、米国特許5,527,753号明細書に開示されているアミノ基含有アルキルリチウム、ジイソプロピルアミドリチウム及びヘキサメチルジシラジドリチウム等のアミノリチウム類も使用することができる。
【0063】
重合開始剤としてのリチウム化合物の使用量は、目的とする共重合体の分子量によるが、0.005~6.4phm(単量体100質量部当たりに対する質量部)が好ましく、0.005~1.3phrがより好ましい。
【0064】
有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として、共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物を共重合する際に、共重合体に組み込まれる共役ジエン化合物に起因するビニル結合(1,2-結合又は3,4-結合)の含有量の調整や、共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物とのランダム共重合性を調整するために、第3級アミン化合物やエーテル化合物を添加することができる。
【0065】
前記第3級アミン化合物としては、特に限定されないが、例えば、下記式で示される化合物が挙げられる。
R1R2R3N
(式中、R1、R2、及びR3は、炭素数1~20の炭化水素基又は第3級アミノ基を有する炭化水素基である。)
このような第3級アミン化合物としては、以下に限定されないが、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N-ジメチルアニリン、N-エチルピペリジン、N-メチルピロリジン、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N',N'-テトラエチルエチレンジアミン、1,2-ジピペリジノエタン、トリメチルアミノエチルピペラジン、N,N,N',N'',N''-ペンタメチルエチレントリアミン、N,N'-ジオクチル-p-フェニレンジアミン等が挙げられる。これらの中でもN,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンが好ましい。
【0066】
また、前記エーテル化合物としては、直鎖状エーテル化合物や環状エーテル化合物等を用いることができる。
直鎖状エーテル化合物としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジフェニルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等のエチレングリコールのジアルキルエーテル化合物、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のジエチレングリコールのジアルキルエーテル化合物等が挙げられる。
また、環状エーテル化合物としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、2,5-ジメチルオキソラン、2,2,5,5-テトラメチルオキソラン、2,2-ビス(2-オキソラニル)プロパン、フルフリルアルコールのアルキルエーテル等が挙げられる。
【0067】
第3級アミン化合物又はエーテル化合物の使用量は、前記有機アルカリ金属化合物の重合開始剤に対し、好ましくは0.1~4(モル/アルカリ金属1モル)、より好ましくは0.2~3(モル/アルカリ金属1モル)である。
【0068】
水添共重合体(A)、(B)の製造工程において、共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物の共重合を行う際に、ナトリウムアルコキシドを共存させてもよい。
ナトリウムアルコキシドは、以下に限定されないが、例えば、下記式で示される化合物である。特に、炭素原子数3~6のアルキル基を有するナトリウムアルコキシドが好ましく、ナトリウムt-ブトキシド、ナトリウムt-ペントキシドがより好ましい。
NaOR
(式中、Rは炭素原子数2~12のアルキル基である。)
水添共重合体(A)、(B)の重合工程におけるナトリウムアルコキシドの使用量は、ビニル結合量調整剤(第3級アミン化合物又はエーテル化合物)に対し、好ましくは0.01以上0.1未満(モル比)であり、より好ましくは0.01以上0.08未満(モル比)、さらに好ましくは0.03以上0.08未満(モル比)、さらにより好ましくは0.04以上0.06未満(モル比)である。
ナトリウムアルコキシドの量がこの範囲にあると、ビニル結合量が高い共役ジエン化合物を含む共重合体ブロックと、分子量分布が狭いビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックを有し、かつ分子量分布が狭い共重合体を高生産率で製造できる傾向にある。
【0069】
有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物を共重合する方法は、特に限定されず、バッチ重合であっても連続重合であっても、あるいはそれらの組み合わせであってもよい。
重合温度は、特に限定されないが、通常は0~180℃であり、好ましくは30~150℃である。
重合に要する時間は条件によって異なるが、通常は48時間以内であり、好ましくは0.1~10時間である。
また、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で重合することが好ましい。
重合圧力は、上記重合温度範囲でモノマー及び溶媒を液相に維持するために充分な圧力の範囲で行えばよく、特に限定されるものではない。
【0070】
さらに、重合終了時に2官能基以上のカップリング剤を必要量添加してカップリング反応を行ってもよい。
2官能基以上のカップリング剤としては、特に限定されず、公知のものを用いることができる。
2官能基カップリング剤としては、以下に限定されないが、例えば、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジブロモシラン等のジハロゲン化合物、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸フェニル、フタル酸エステル類等の酸エステル類等が挙げられる。
3官能基以上の多官能カップリング剤としては、以下に限定されないが、例えば、1,1,1,2,2?ペンタクロロエタン,パークロロエタン、ペンタクロロベンゼン、パークロロベンゼン、オクタブロモジフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエーテル、3価以上のポリアルコール類、エポキシ化大豆油、ジグリシジルビスフェノールA等の多価エポキシ化合物、2■6官能のエポキシ基含有化合物、カルボン酸エステル、ジビニルベンゼンなどのポリビニル化合物、式R1(4-n)SiX(ここで、R1は炭素数1~20の炭化水素基、Xはハロゲン、nは3又は4の整数を表す)で表されるハロゲン化珪素化合物、及びハロゲン化錫化合物、が挙げられる。
ハロゲン化珪素化合物としては、以下に限定されないが、例えば、メチルシリルトリクロリド、t-ブチルシリルトリクロリド、四塩化珪素、及びこれらの臭素化物等が挙げられる。
ハロゲン化錫化合物としては、以下に限定されないが、例えば、メチル錫トリクロリド、t-ブチル錫トリクロリド、四塩化錫等の多価ハロゲン化合物等が挙げられる。また、炭酸ジメチルや炭酸ジエチル等も使用可能である。
【0071】
水添共重合体(A)、(B)は、上述のような方法で得たブロック共重合体のリビング末端に、官能基含有原子団を生成する変性剤を付加反応させたものであってもよい。
官能基含有原子団としては、以下に限定されないが、例えば、水酸基、カルボニル基、チオカルボニル基、酸ハロゲン化物基、酸無水物基、カルボキシル基、チオカルボキシル酸基、アルデヒド基、チオアルデヒド基、カルボン酸エステル基、アミド基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、リン酸基、リン酸エステル基、アミノ基、イミノ基、ニトリル基、ピリジル基、キノリン基、エポキシ基、チオエポキシ基、スルフィド基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、ハロゲン化ケイ素基、シラノール基、アルコキシケイ素基、ハロゲン化スズ基、アルコキシスズ基及びフェニルスズ基からなる群より選ばれる官能基を少なくとも1種含有する原子団等が挙げられる。
【0072】
上述した各種の官能基含有原子団を有する変性剤としては、以下に限定されないが、例えば、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、テトラグリシジル-1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン、ε-カプロラクトン、δ-バレロラクトン、4-メトキシベンゾフェノン、γ-グリシドキシエチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルジメチルフェノキシシラン、ビス(γ-グリシドキシプロピル)メチルプロポキシシラン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、1,3-ジエチル-2-イミダゾリジノン、N,N'-ジメチルプロピレンウレア、N-メチルピロリドン等が挙げられる。
変性剤の付加量は、変性前の共重合体100質量部に対し、0.01~20質量部が好ましく、より好ましくは0.1~15質量部、さらに好ましくは0.3~10質量部である。
変性剤の付加反応温度は、好ましくは0~150℃、より好ましくは20~120℃である。
変性反応に要する時間は、変性反応条件によって異なるが、好ましくは24時間以内であり、より好ましくは0.1~10時間である。
【0073】
本実施形態の水添共重合体(X)を構成する水添共重合体(A)、(B)は、上述した重合工程後、又は上述した変性工程後に、水添工程を実施して製造される。
水添共重合体(A)、(B)を製造するために用いられる水添触媒としては、特に限定されず、例えば、特公昭42-8704号公報、特公昭43-6636号公報、特公昭63-4841号公報、特公平1-37970号公報、特公平1-53851号公報、特公平2-9041号公報等に記載された水添触媒を使用することができる。
好ましい水添触媒としては、チタノセン化合物及び/又は還元性有機金属化合物との混合物が挙げられる。
チタノセン化合物としては、特に限定されないが、例えば、特開平8-109219号公報に記載された化合物等が挙げられ、具体的には、ビスシクロペンタジエニルチタンジクロライド、モノペンタメチルシクロペンタジエニルチタントリクロライド等の(置換)シクロペンタジエニル構造、インデニル構造、及びフルオレニル構造を有する配位子を少なくとも1つ以上持つ化合物等が挙げられる。
還元性有機金属化合物としては、特に限定されないが、例えば、有機リチウム等の有機アルカリ金属化合物、有機マグネシウム化合物、有機アルミニウム化合物、有機ホウ素化合物、有機亜鉛化合物等が挙げられる。
水添反応の反応温度は、通常0~200℃、好ましくは30~150℃である。
水添反応に使用される水素の圧力は、好ましくは0.1~15MPa、より好ましくは0.2~10MPa、さらに好ましくは0.3~5MPaである。
水添反応の反応時間は、通常3分~10時間、好ましくは10分~5時間である。
なお、水添反応は、バッチプロセス、連続プロセス、あるいはそれらの組み合わせのいずれでも用いることができる。
【0074】
水添工程後、反応溶液から、必要に応じて触媒残査を除去してもよい。
水添共重合体と溶媒を分離する方法としては、以下に限定されないが、例えば、水添共重合体の溶液に、アセトン又はアルコール等の水添共重合体に対して貧溶媒となる極性溶媒を加えて、水添共重合体を沈澱させて回収する方法、あるいは、水添共重合体の溶液を撹拌下熱湯中に投入し、スチームストリッピングにより溶媒を除去して回収する方法、水添共重合体の溶液を直接加熱することによって溶媒を留去する方法等が挙げられる。
【0075】
本実施形態の水添共重合体(X)には、例えば、製造中に下記の酸化防止剤を添加するなどして、その表面及び/又は内部に酸化防止剤を含ませてもよい。
なお、後述する本実施形態の樹脂組成物にも下記の酸化防止剤を添加してもよい。
【0076】
酸化防止剤としては、以下に限定されないが、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤等が挙げられる。
具体的には、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、n-オクタデシル-3-(4'-ヒドロキシ-3',5'-ジ-t-ブチル-フェニル)プロピオネート、テトラキス-〔メチレン-3-(3',5'-ジ-t-ブチル-4'-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン]、トリス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4'-ブチリデン-ビス-(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、3,9-ビス[2-{3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、トリエチレングリコール-ビス[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6-ヘキサンジオール-ビス-〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4-ビス-(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)1,3,5-トリアジン、ペンタエリスリチル-テトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2-チオ-ジエチレンビス〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N,N'-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナマミド)、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート-ジエチルエステル、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)カルシウムとポリエチレンワックス(50%)の混合物、オクチル化ジフェニルアミン、2,4-ビス[(オクチルチオ)メチル]-o-クレゾール、イソオクチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ブチル酸,3,3-ビス(3-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)エチレンエステル、1,1,3-トリス-(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)イソシアヌレート、2-t-ブチル-6-(3'-t-ブチル-5'-メチル-2'-ヒドロキシベンジル)-4-メチルフェニル-アクリレート、及び2-〔1-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ペンチルフェニル)-エチル〕-4,6-ジ-t-ペンチルフェニルアクリレート等が挙げられる。
【0077】
(水添共重合体(X)の製造方法)
水添共重合体(X)の製造方法は、特に限定されないが、例えば、(1)水添共重合体(A)及び水添共重合体(B)をそれぞれ重合し、製造溶媒から回収する前に混合する方法、(2)水添共重合体(A)及び水添共重合体(B)をそれぞれ脱溶剤・脱触媒したのちに混合する方法、(3)重合反応時、重合開始剤を2段階に分けて添加する方法、(4)重合反応中に前記リビング末端に対する変性剤、又は、重合停止剤としてアルコール等のプロトン性試薬を添加し、一部のリビング末端の反応を停止する方法、(5)重合反応後に前記リビング末端に対する変性剤、又は、重合停止剤としてアルコール等のプロトン性試薬を添加し、全てのリビング末端の反応を停止した後、その溶液に新たに、重合開始剤、及びモノマーを添加し、重合を行う方法、(6)液状の水添共重合体(A)を水添共重合体(B)に対して押出混錬時に添加する方法等が挙げられる。
前記(1)の方法では、水添共重合体(A)及び水添共重合体(B)の水添反応前の重合溶液を混合した後に水添反応を実施する方法、水添共重合体(A)及び水添共重合体(B)を、それぞれ水添反応を行った後にそれぞれの溶液を混合する方法のいずれの方法を実施してもよい。また、水添共重合体(A)及び水添共重合体(B)の混合比率は、それぞれの重合溶液の濃度と溶液の混合量を調整することにより制御できる。
前記(3)の方法では、水添共重合体(A)及び水添共重合体(B)の混合比率は、ビニル芳香族化合物及び共役ジエン化合物のフィード速度、2段階添加する重合開始剤の量、重合開始剤の二段目の添加のタイミング等を調整することにより任意に制御することができる。
前記(4)の方法では、水添共重合体(A)及び水添共重合体(B)の混合比率は、ビニル芳香族化合物及び共役ジエン化合物のフィード速度、途中添加する変性剤又は重合停止剤の量及び添加のタイミング等を調整することにより任意に制御することができる。
水添共重合体(A)は低分子量体であり、分子の絡み合いが小さい。そのため、(1)、(3)、(4)及び(5)の方法のように脱溶剤前に混合したほうが、脱溶剤・仕上げ工程を高レートで行うことが可能となる。
(3)、(4)及び(5)の方法は、水添共重合体(A)と水添共重合体(B)を同時に生産することができ、水添共重合体(A)と水添共重合体(B)を別々に生産した場合と比べ、生産工程を減らすことができるため、生産効率を向上させることができる。
【0078】
重合停止剤としては、特に限定されないが、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、2-エチルヘキサノール、ヘプタノール、それらの混合物等のアルコール等が挙げられる。
【0079】
本実施形態の水添共重合体(X)は、ペレット化してもよい。
ペレット化の方法としては、例えば、一軸又は二軸押出機から水添共重合体(X)をストランド状に押出して、ダイ部前面に設置された回転刃により、水中で切断する方法;一軸又は二軸押出機から水添共重合体をストランド状に押出して、水冷又は空冷した後、ストランドカッターにより切断する方法;オープンロール、バンバリーミキサーにより溶融混合した後、ロールによりシート状に成形し、さらに当該シートを短冊状にカットした後に、ペレタイザーにより立方状ペレットに切断する方法等が挙げられる。
なお、水添共重合体(X)のペレットの大きさ、形状は特に限定されない。
水添共重合体(X)は、必要に応じて前記ペレットに、ペレットブロッキングの防止を目的としてペレットブロッキング防止剤を配合してもよい。
ペレットブロッキング防止剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンビスステアリルアミド、タルク、アモルファスシリカ等が挙げられる。
ペレットブロッキング防止剤の好ましい配合量としては、水添共重合体(X)に対して500~6000ppmであり、より好ましい量としては、1000~5000ppmである。ペレットブロッキング防止剤は、ペレット表面に付着した状態で配合されていることが好ましいが、ペレット内部にある程度含むこともできる。
【0080】
(水添共重合体(A)、(B)の分子量分布)
水添共重合体(A)の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは1.01~8.0、より好ましくは1.01~6.0、さらに好ましくは1.01~5.0である。分子量分布が上記範囲内にあれば、より良好な成形加工性が得られる傾向にある。
なお、GPCにより測定した水添共重合体(A)の分子量分布の形状は特に限定されず、ピークが二ヶ所以上存在するポリモーダルの分子量分布を持つものでもよいし、ピークが一つであるモノモーダルの分子量分布を持つものでもよい。
なお、水添共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)及び分子量分布〔Mw/Mn;重量平均分子量(Mw)の数平均分子量(Mn)に対する比〕は、後述する実施例に記載の方法でGPCによって測定したクロマトグラムのピークの分子量を、市販の標準ポリスチレンの測定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成)を使用して求めることができる。
【0081】
水添共重合体(B)の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは1.01~8.0、より好ましくは1.01~6.0、さらに好ましくは1.01~5.0である。分子量分布が上記範囲内にあれば、より良好な成形加工性が得られる傾向にある。
なお、GPCにより測定した水添共重合体(B)の分子量分布の形状は特に限定されず、ピークが二ヶ所以上存在するポリモーダルの分子量分布を持つものでもよいし、ピークが一つであるモノモーダルの分子量分布を持つものでもよい。
なお、水添共重合体(B)の重量平均分子量(Mw)及び分子量分布〔Mw/Mn;重量平均分子量(Mw)の数平均分子量(Mn)に対する比〕は、後述する実施例に記載の方法でGPCによって測定したクロマトグラムのピークの分子量を、市販の標準ポリスチレンの測定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成)を使用して求めることができる。
【0082】
〔樹脂組成物〕
本実施形態の樹脂組成物は、水添共重合体(A)及び(B)中のビニル芳香族化合物の含有量が30質量%以上80質量%以下であり、本実施形態の水添共重合体(X)と前記水添共重合体(X)以外の熱可塑性樹脂及び/又は前記水添共重合体(X)以外のゴム状重合体を含有する。
本実施形態の水添共重合体(X)を当該水添共重合体(X)以外の熱可塑性樹脂及び/又は前記共重合体以外のゴム状重合体と組み合わせることによって、各種成形材料に適した樹脂組成物を得ることができる。
本実施形態の樹脂組成物における、水添共重合体(X)と熱可塑性樹脂及び/又はゴム状重合体の配合割合は、質量比で、水添共重合体(X)/(熱可塑性樹脂及び/又はゴム状重合体)=1/99~99/1が好ましく、2/98~90/10がより好ましく、5/95~80/20がさらに好ましい。
本実施形態の水添共重合体(X)と当該水添共重合体(X)以外の熱可塑性樹脂及び/又はゴム状重合体を混合した場合、耐衝撃性や成形加工性に優れた樹脂組成物が得られる。
【0083】
本実施形態の樹脂組成物に用いる、前記本実施形態の水添重合体(X)以外の熱可塑性樹脂としては、以下に限定されないが、例えば、前記のビニル芳香族化合物の重合体;前記のビニル芳香族化合物と他のビニル化合物(例えばエチレン、プロピレン、ブチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、アクリル酸及びアクリルメチル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸及びメタクリル酸メチル等のメタクリル酸エステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等)との共重合樹脂;ゴム変性スチレン系樹脂(HIPS);アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合樹脂(ABS);メタクリル酸エステル-ブタジエン-スチレン共重合樹脂(MBS);ポリエチレン;エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-ブチレン共重合体、エチレン-ヘキセン共重合体、エチレン-オクテン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体及びその加水分解物等の、エチレンと他の共重合可能なモノマーとからなるエチレン含有量が50質量%以上の共重合体;エチレン-アクリル酸アイオノマーや塩素化ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂;ポリプロピレン;プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-アクリル酸エチル共重合体や塩素化ポリプロピレン等のポリプロピレン系樹脂、エチレン-ノルボルネン樹脂等の環状オレフィン系樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂及びその加水分解物等の、プロピレンと他の共重合可能な単量体とからなるプロピレン含有量が50質量%以上の共重合体;アクリル酸及びそのエステルやアミドの重合体;ポリアクリレート系樹脂;アクリロニトリル及び/又はメタクリロニトリルの重合体;アクリロニトリル系モノマーと他の共重合可能な単量体とからなるアクリロニトリル系単量体含有量が50質量%以上の共重合体であるニトリル樹脂;ナイロン-46、ナイロン-6、ナイロン-66、ナイロン-610、ナイロン-11、ナイロン-12、ナイロン-6ナイロン-12共重合体等のポリアミド系樹脂;ポリエステル系樹脂;熱可塑性ポリウレタン系樹脂;ポリ-4,4’-ジオキシジフェニル-2,2’-プロパンカーボネート等のポリカーボネート系重合体;ポリエーテルスルホンやポリアリルスルホン等の熱可塑性ポリスルホン;ポリオキシメチレン系樹脂;ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレン)エーテル等のポリフェニレンエーテル系樹脂;ポリフェニレンスルフィド、ポリ4,4’-ジフェニレンスルフィドなどのポリフェニレンスルフィド系樹脂;ポリアリレート系樹脂;ポリエーテルケトン重合体又は共重合体;ポリケトン系樹脂;フッ素系樹脂;ポリオキシベンゾイル系重合体;ポリイミド系樹脂;1,2-ポリブタジエン、トランスポリブタジエン等のポリブタジエン系樹脂等が挙げられる。
これらの熱可塑性樹脂は、水酸基、エポキシ基、アミノ基、カルボン酸基、酸無水物基等の極性基含有原子団が結合しているものでもよい。
本実施形態の樹脂組成物に用いる熱可塑性樹脂の数平均分子量は、1,000以上が好ましく、より好ましくは5,000~500万、さらに好ましくは1万~100万である。
なお、熱可塑性樹脂の数平均分子量は、上記した本実施形態の水添共重合体(X)の分子量の測定と同様に、GPCにより測定することができる。
また、本実施形態の樹脂組成物に用いる熱可塑性樹脂としては、成形性と軽量性、耐摩耗性の観点から、ポリオレフィン系樹脂が好ましく、ポリプロピレン系樹脂がより好ましい。
【0084】
上述した本実施形態の樹脂組成物に用いる熱可塑性樹脂及びゴム状重合体は、必要に応じて2種以上を併用することができる。
2種以上を併用する場合には、2種以上の熱可塑性樹脂や2種以上のゴム状重合体を用いてもよいし、あるいは熱可塑性樹脂とゴム状重合体を併用してもよい。
具体的には、樹脂状の組成物(すなわち、樹脂が大部分を占める組成物)の衝撃性を上げたり、低硬度化するためには、ゴム状重合体を併用したり、ゴム状の組成物(すなわち、ゴム状重合体が大部分を占める組成物)の強度や耐熱性を上げるためには、樹脂を併用することもできる。
【0085】
本実施形態の水添共重合体(X)及び樹脂組成物には、必要に応じて任意の添加剤を配合してもよい。
添加剤は、熱可塑性樹脂やゴム状重合体に一般的に配合されるものであれば特に限定はなく、「ゴム・プラスチック配合薬品」(日本国ラバーダイジェスト社編)等に記載されたものが挙げられる。
具体的には、補強性充填剤や硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機充填剤;カーボンブラック、酸化鉄等の顔料;ステアリン酸、ベヘニン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、エチレンビスステアロアミド等の滑剤;ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、オレイン酸アミド、ステアリン酸モノグリセライド、ステアリルアルコール、石油系ワックス(例えば、マイクロクリスタリンワックス)及び低分子量ビニル芳香族系樹脂等のブロッキング防止剤;離型剤;有機ポリシロキサン、ミネラルオイル等の可塑剤;ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系熱安定剤等の酸化防止剤;ヒンダードアミン系光安定剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;難燃剤;帯電防止剤;有機繊維、ガラス繊維、炭素繊維、金属ウィスカ等の補強剤;着色剤;及びこれらの混合物等を用いることができる。
【0086】
(樹脂組成物の製造方法)
本実施形態の樹脂組成物の製造方法は、特に限定されず、従来公知の方法を適用できる。
例えば、加圧ニーダー、バンバリーミキサー、インターナルミキサー、ラボプラストミル、ミックスラボ、単軸スクリュー押出機、2軸スクリュー押出機、コニーダ、多軸スクリュー押出機等の一般的な混和機を用いた溶融混練方法、各成分を溶解又は分散混合後、溶剤を加熱除去する方法等が用いられる。
本実施形態の樹脂組成物の形状は特に限定されないが、例えば、ペレット状、シート状、ストランド状、チップ状等を挙げることができる。
また、溶融混練後、直接成形体とすることもできる。
【0087】
〔樹脂組成物を用いた成形体〕
本実施形態の成形体は、上述した本実施形態の樹脂組成物の成形体である。
本実施形態の樹脂組成物は、特に限定されないが、例えば、押出成形、射出成形、二色射出成形、サンドイッチ成形、中空成形、圧縮成形、真空成形、回転成形、パウダースラッシュ成形、発泡成形、積層成形、カレンダー成形、ブロー成形等によって、実用上有用な成形体に加工できる。
本実施形態の成形体としては、特に限定されないが、例えば、シート、フィルム、各種形状の射出成形体、中空成形体、圧空成形体、真空成形体、押出成形体、発泡成形体、不織布や繊維状の成形体、合成皮革等多種多様の成形体が挙げられる。
これらの成形体は、例えば、自動車用部品、食品包装材料、医療器具、家電製品部材、電子デバイス部材、建築材料、工業部品、家庭用品、玩具素材、履物用素材、繊維素材等に利用できる。
【0088】
自動車用部品としては、以下に限定されないが、例えば、サイドモール、グロメット、シフトノブ、ウェザーストリップ、窓枠とそのシーリング材、アームレスト、アシストグリップ、ドアグリップ、ドアトリム、ハンドルグリップ、コンソールボックス、ヘッドレスト、インストゥルメントパネル、バンパー、スポイラー、エアバッグカバー等が挙げられる。
医療器具としては、以下に限定されないが、例えば、医療用チューブ、医療用ホース、カテーテル、血液バッグ、輸液バッグ、血小板保存バッグ、人工透析用バッグ等が挙げられる。
建築材料としては、以下に限定されないが、例えば、壁材、床材等が挙げられる。
その他、特に限定されないが、例えば、工業用ホース、食品用ホース、掃除機ホース、電冷パッキン、電線その他の各種被覆材、グリップ用被覆材、軟質人形等が挙げられる。
繊維素材としては、吸音材、服飾用部材、フィルター用不織布、衛生品等が挙げられる。
本実施形態の成形体には、適宜発泡、粉末、延伸、接着、印刷、塗装、メッキ等の加工を施してもよい。
【0089】
近年、自動車の新たな方向性として自動運転化やモビリティサービスが注目されている。この潮流により、自動車内装材に要求される性能にも変化が生じている。
例えば、自動運転化に伴い、自動車はより居住空間としての意味合いが強くなると予想されている。そのため、搭乗者がより快適に過ごせるような空間づくりとして、内装の高級化やインテリアデザインの多様性が進んでいる。これにより、自動車内装材の材料となる樹脂組成物には、従来よりも、より細かなデザインを成形できるような良好な加工性とともに、良質な質感(低硬度性)と外観が必要とされている。
また、モビリティサービスの観点からは、カーシェアの浸透に伴い、自動車の長寿命性と清潔性が要求されるようになると考えられている。そのため、自動車内装材は従来よりも清掃される回数が増加し、自動車内装材の材料となる樹脂組成物には、より高い耐摩耗性が必要となる。
上記のように自動運転化やモビリティサービスの浸透によって、近年では、樹脂組成物の材料である水添共重合体には、従来品以上の良好な加工性、良質な質感と外観、高い耐摩耗性が必要とされている。
しかしながら、一般に、加工性及び質感(低硬度性)と、耐摩耗性とは相反する高分子構造により発現する傾向にある物性である。
例えば、高分子の分子量を低下させていくことにより、水添共重合体の流動性は向上し、加工性が増す傾向にあるが、その一方で耐摩耗性は低下する傾向にある。
また、水添共重合体に含まれるビニル芳香族化合物の含有量を下げることで良質な質感(低硬度性)となる傾向にあるが、その一方で耐摩耗性は低下する傾向にある。
上述のような、自動車内装材料に要求される性能の変化と水添共重合体の課題を踏まえ、(1)良好な加工性を有し、成形品の外観特性にも優れ、(2)良質な質感(低硬度性)を有しつつ高い耐摩耗性を発現させるという課題を掲げ、本実施形態の水添共重合体(X)を含有する樹脂組成物に想到した。
本実施形態の水添共重合体(X)を有する樹脂組成物は、剪断粘度が低く薄肉成形などの加工が行え、かつ成形体にフローマーク等の外観不良を生じない。また、樹脂組成物は低硬度であるにもかかわらず、高い耐摩耗性を有しているため、長期間の使用にも耐えうる。
【0090】
〔粘着性フィルム〕
本実施形態の粘着性フィルムは、基材層と、前記基材層上に設けられ、本実施形態の水添共重合体(X)を含む、粘着層とを備える。粘着層に含有される水添共重合体(X)を構成する水添共重合体(A)及び(B)中のビニル芳香族化合物の含有量は、粘着性と繰出し性のバランスの観点から、10質量%以上60質量%以下である。好ましくは20~55質量%であり、より好ましくは25~50質量%である。
【0091】
本実施形態の粘着性フィルムの粘着層には、必要により粘着付与剤が含有されていてもよい。
粘着付与剤としては、粘着層に粘性を付与しうる樹脂であれば特に限定されるものではないが、例えば、水添テルペン樹脂、ロジン系テルペン系樹脂、水添ロジンテルペン系樹脂、芳香族変性水添テルペン樹脂、クマロン系樹脂、フェノール系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、水添テルペンフェノール樹脂、芳香族炭化水素樹脂、脂肪族炭化水素樹脂等の公知の粘着付与樹脂が挙げられる。
特に、水添テルペン樹脂、芳香族変性水添テルペン樹脂、水添テルペンフェノール樹脂、及びテルペンフェノール樹脂が好ましい。
粘着付与剤は1種のみを単独で使用してもよく、2種類以上混合して使用してもよい。
粘着付与剤の具体例としては、「ゴム・プラスチック配合薬品」(ラバーダイジェスト社編)に記載されたものが使用できる。粘着付与剤を用いることにより、粘着力の改良が図られる。
粘着層中における粘着付与剤の含有量は、粘着層中に0~50質量%含有することが好ましく、粘着亢進を効果的に防止し、剥離の際の糊残り量をより低減する場合には0~20質量%がより好ましく、0~10質量%がさらに好ましい。また、適度な低粘着亢進性と、適度な低糊残り性と、より強力な粘着力を得る場合には5~50質量%がより好ましく、10~30質量%がさらに好ましい。
【0092】
(基材層)
基材層の材料としては、特に限定されず、非極性樹脂及び極性樹脂のいずれでも使用できる。
性能や価格面等から、非極性樹脂としては、ポリエチレン、ホモ又はブロックのポリプロピレンが好ましいものとして例示できる。極性樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体及びその加水分解物等が好ましいものとして例示できる。
【0093】
基材層の厚みは、1mm以下が好ましく、300μm以下がより好ましく、10~200μmがさらに好ましい。
基材層の厚みが10μm以上であると、被着体の保護を十分に行うことができ、基材層の厚みが1mm以下であると、実用上良好な弾性率が得られ、良好な凹凸追随性が得られ、浮きや剥がれを効果的に防止できる。
【0094】
(粘着層)
粘着層は、本実施形態の水添共重合体(X)を含む。当該粘着層は、必要により粘着付与剤を含有してもよく、本実施形態の水添共重合体(X)以外のその他の水添共重合体を含有してもよい。
粘着層の厚みは、1~100μmが好ましく、2~50μmがより好ましく、5~25μmがさらに好ましい。
粘着層の厚みが1μm以上であると、被着体への粘着を十分に行うことができ、粘着層の厚みが100μmm以下であると、厚み斑の少ないフィルムが得られ、粘着亢進を効果的に防止し、剥離の際の糊残りの少ない良好なフィルムが得られる。
【0095】
(粘着性フィルムの粘着層を構成する樹脂材料の製造方法)
本実施形態の粘着性フィルムの粘着層を構成する樹脂材料は、例えば、水添共重合体(X)、及び必要に応じて加えられる他の成分を、ドライブレンドする方法、通常の高分子物質の混合に供される装置によって調整する方法等によって製造することができる。
混合装置としては、特に限定されないが、例えば、バンバリーミキサー、ラボプラストミル、単軸押出機、2軸押出機等の混練装置が挙げられ、押出機を用いた溶融混合法により製造することが生産性、良混練性の観点から好ましい。
また、特に、粘着層を構成する材料に粘着付与剤を配合する場合には、上記のドライブレンド法を用いてもよいが、粘着付与剤はベトツキ性が強く、フレーク状であるため、ハンドリング性が悪いため、上記の水添共重合体(X)に粘着付与剤を予め練り込んだマスターバッチを作製してもよい。
粘着層を構成する材料の混練時の溶融温度は、適宜設定することができるが、通常130~300℃の範囲であり、150~250℃の範囲であることが好ましい。
本実施形態の水添共重合体(X)を含む、粘着層には、低分子である水添共重合体(A)が含まれており、粘着付与剤を含まない、又は粘着付与剤が少ない場合でも高い粘着性を効果的に達成可能であることから、特に粘着付与剤を含まない場合は、前記粘着付与剤を含有させる場合における全ての工程を必要としない。また、粘着付与剤が少ない場合は粘着性フィルム生産時にドライブレンドするだけで粘着性フィルムが生産可能であり、製造工程が簡易化し、かつコスト低減化を図ることができるメリットがある。
【0096】
本実施形態の粘着性フィルムを構成する粘着層を構成する樹脂材料には、軽量化、柔軟化、及び密着性の向上効果を図るため、発泡処理を施してもよい。
発泡処理方法としては、以下に限定されないが、例えば、化学的方法、物理的方法、熱膨張型のマイクロバルーンの利用等がある。各々、無機系発泡剤、有機系発泡剤等の化学的発泡剤、物理的発泡剤等の添加、熱熱膨張型のマイクロバルーンの添加等により材料内部に気泡を分布させることができる。また、中空フィラー(既膨張バルーン)を添加することにより、軽量化、柔軟化、密着性の向上を図ってもよい。
【0097】
(粘着性フィルムの製造方法)
本実施形態の粘着性フィルムは、基材層上に水添共重合体(X)を含む粘着層を具備する。
本実施形態の粘着性フィルムの製造方法は、特に限定されないが、例えば、粘着層を構成する樹脂材料の溶液又は溶融物を、基材層を構成する所定のフィルム上に塗工する方法、フィルム押出機を用いて、基材層と粘着層とを積層させる方法等が挙げられる。
ここで、粘着層を構成する樹脂材料の溶液や溶融物を用いる場合は、樹脂組成物とした後に溶液や溶融物としてもよいし、水添共重合体(X)の溶液や溶融物に対して所定の材料を混合して樹脂組成物を得てもよい。
【0098】
粘着層を構成する樹脂材料の溶液を塗工する方法としては、以下に限定されないが、例えば、樹脂材料を溶解可能な溶剤に溶かし、コーター等を用い、基材層を構成するフィルム上に塗工し、溶剤を加熱乾燥する方法が挙げられる。
【0099】
粘着層を構成する樹脂材料を溶融させ、塗工する方法としては、以下に限定されないが、例えば、ホットメルトコーター等を用い、基材層を構成するフィルム上に溶融した樹脂材料を塗工する方法が挙げられる。この場合、塗工温度より高いガラス転移温度、融点又は軟化点を有する各種のフィルムを基材層として用いることが好ましい。
【0100】
フィルム押出機により、粘着性フィルムを得る方法としては、以下に限定されないが、例えば、樹脂材料を含む粘着層の成分と、基材層を構成しうる熱可塑性樹脂等の成分とを、溶融共押出機にて、二つの流れにして、すなわち、粘着層形成用流体と、基材層形成用流体とを、ダイス口内で合流させて単一流体を形成して押し出し、粘着層と基材層とを複合することによって製造する方法が挙げられる。
【0101】
フィルム押出機により、粘着性フィルムを得る方法の場合、粘着層を形成する樹脂材料は、予め粘着層用の各成分をドライブレンドすることによっても製造できるため、生産性に優れた方法である。また、フィルム押出機により粘着性フィルムを押出成形した場合、作製した粘着性フィルムの密着性、接着強度が特に優れる傾向にある。
【0102】
本実施形態の粘着性フィルムは、導光板やプリズムシート等の光学系成形体、合成樹脂板、金属板、化粧合板、被覆塗装鋼板、各種銘板等の表面に仮着し、これら被着体の加工時や搬送、保管時の傷防止や汚れ防止用の保護フィルムとして利用できる。
【0103】
〔水添共重合体(X)、樹脂組成物、成形体の用途〕
本実施形態の水添共重合体(X)又は樹脂組成物は、必要に応じて各種添加剤を配合して様々な用途に用いることができる。
本実施形態の成形体の用途としては、例えば、建築材料、制振・防音材料、電線被覆材料、高周波融着性組成物、スラッシュ成形材料、粘接着性組成物、アスファルト組成物、自動車内装材料、自動車外装材料、医療用具材料、食品包装容器等の各種容器、家電用品、工業部品、玩具等が挙げられる。
【実施例
【0104】
以下、具体的な実施例と比較例を挙げて本発明について詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
先ず、実施例及び比較例に適用した、評価方法及び物性の測定方法について下記に示す。
【0105】
〔水添共重合体(A)及び水添共重合体(B)の構造の特定方法、物性の測定方法〕
((1)水添共重合体(A)及び水添共重合体(B)のランダム共重合構造中のビニル芳香族化合物含有量(RS)とビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックの含有量(BS))
なお、以下のように定義する。
BS1:水添共重合体(A)のビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックの含有量
BS2:水添共重合体(B)のビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックの含有量
RS1:水添共重合体(A)のランダム共重合構造中のビニル芳香族化合物の質量分率
RS2:水添共重合体(B)のランダム共重合構造中のビニル芳香族化合物の質量分率
水添ブロック共重合体(A)、水添共重合体(B)を測定サンプルとし、プロトン核磁気共鳴法(H-NMR、JOEL RESONABCE社製ECS400)により、それぞれに含まれるビニル芳香族化合物を、「ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック」に由来するものと、「ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物からなるランダム共重合構造」に由来するものに区別した。
溶媒に重水素化クロロホルムを用い、サンプル濃度は50mg/mL、観測周波数は400MHz、化学シフト基準にテトラメチルシランを用い、パルスディレイ2.904秒、スキャン回数256回及び測定温度23℃で行った。
芳香族に帰属されるシグナルの積分強度、各結合様式の1Hあたりの積分値からランダム性とブロック性それぞれのスチレン含有量を算出した後、全スチレン含有量を算出し、ランダム共重合構造中のスチレン含有量(以降、ランダムスチレン量と記載)(RS1)(RS2)と、水添共重合体中のスチレンブロック含有量(BS1)(BS2)を算出した。計算法は以下の通りである。
ブロックスチレン強度(b-St強度)
=(6.9ppm~6.3ppmの積算値)/2
ランダムスチレン強度(r-St強度)
=(7.5ppm~6.9ppmの積算値)-3×(b-St)
エチレン・ブチレン強度(EB強度)
=全積算値-3×{(b-St強度)+(r-St強度)}/8
ポリスチレンブロック含有量(BS)
=104×(b-St強度)
/[104×{(b-St強度)+(r-St強度)}+56×(EB強度)]
ランダム共重合構造中のスチレン含有量(RS)
=104×(r-St強度)/{104×(r-St強度)+56×(EB強度)}
【0106】
((2)水添共重合体(A)及び水添共重合体(B)の数平均分子量(Mn))
GPC〔装置:東ソーHLC8220、カラムTSKgel SuperH-RC×2本〕を用いて測定した。
溶媒にはテトラヒドロフランを用いた。
測定条件は、温度35℃で行った。重量平均分子量が既知の市販の標準ポリスチレンを用いて作成した検量線を使用し、ポリスチレン換算した数平均分子量を求めた。
ここで、水添共重合体(A)の数平均分子量を(Mn1)とし、水添共重合体(B)の数平均分子量を(Mn2)とする。
【0107】
((3)水添共重合体(X)中の水添共重合体(A)及び水添共重合体(B)の含有量)
GPC〔装置:東ソーHLC8220、カラムTSKgel SuperH-RC×2本〕を用いて水添共重合体(X)の測定を行った。溶媒にはテトラヒドロフランを用いた。
測定条件は、温度35℃で行った。水添共重合体(A)及び水添共重合体(B)に由来するピークの面積比より、水添共重合体(X)に含まれる水添共重合体(A)及び水添共重合体(B)の含有量を算出した。
なお、水添共重合体(B)の含有量は100-水添共重合体(A)の含有量とする。
【0108】
((4)水添共重合体(A)及び水添共重合体(B)の二重結合水添率)
核磁気共鳴装置(BRUKER社製、DPX-400)により水添共重合体の水素添加率を測定した。
水素添加後の共重合体である水添共重合体を用いて、プロトン核磁気共鳴(H-NMR)により測定した。
具体的には、4.5~5.5ppmの残存二重結合に由来するシグナル及び水素添加された共役ジエンに由来するシグナルの積分値を算出し、その比率を算出した。
【0109】
((5)水添共重合体(B)の分岐度(f))
水添共重合体(B)の分岐度(f)は、粘度検出器付きGPC-光散乱法測定法によって測定した。
水添共重合体(B)を試料として、GPC(Malvern、GPCmax VE-2001、カラム:東ソー、「TSKgel G4000HXL」、「TSKgel G5000HXL」、「TSKgel G6000HXL」)を使用して、光散乱検出器、RI検出器、粘度検出器(Malvern社製の商品名「TDA305」)の順番に接続されている3つの検出器を用いて測定し、標準ポリスチレンに基づいて、光散乱検出器とRI検出器結果から絶対分子量(M)を、RI検出器と粘度検出器の結果から固有粘度([η])を求めた。
続いて、基準とする固有粘度([η])を、下記式にて算出した。
[η]=a×M
a=-0.788+0.421×(水添共重合体(B)のビニル芳香族化合物含有量)
-0.342×(RS2)-0.197×(BS2)
b=1.601―0.081×(水添共重合体(B)のビニル芳香族化合物含有量)
+0.064×(RS2)+0.039×(BS2)
RS2:水添共重合体(B)のランダム共重合構造中のビニル芳香族化合物の質量分率
BS2:プロトン核磁気共鳴(H-NMR)によって求めた前記水添共重合体(B)のビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックの含有量
M:水添共重合体(B)の絶対分子量
続いて、水添共重合体(B)の固有粘度([η])と基準とする固有粘度([η])の比として収縮因子gを算出した。
収縮因子(g)=[η]/[η]
その後、得られた収縮因子(g)を用いてg=f/{(f+1)(f+2)}(f≧2)と定義される分岐度(f)を算出した。
溶媒は5mmol/Lのトリエチルアミン入りテトラヒドロフラン(以下「THF」とも記す。)を使用した。
測定溶液100μLをGPC測定装置に注入して、オーブン温度40℃、THF流量1mL/分の条件で測定した。
【0110】
(水添共重合体(A)及び水添共重合体(B)のブロックスチレン分子量(MnS)の算出)
測定(1)及び(2)及び(5)で測定した(Mn1)、(Mn2)、(BS1)、(BS2)、(f)を用いて、水添共重合体(A)及び水添共重合体(B)のブロックスチレン分子量(MnS1)及び(MnS2)を下記計算式に則って算出した。
なお、計算結果は十の位を四捨五入し、500以下に関しては0とした。
MnS1=Mn1×BS1
MnS2=Mn2×BS2÷f
【0111】
(下記水添共重合体(X23)、水添共重合体(X31)の構成成分(A)(B)の分取)
水添共重合体(X23)、及び水添共重合体(X31)を、GPC〔装置:Waters社ACQUITY UPLC H-Class、カラム:Waters社ACQUITY APC XT900(2.5μm,4.6×150mm)、Waters社ACQUITY APC XT200(2.5μm,4.6×75mm)、Waters社ACQUITY APC XT125(2.5mm,4.6×75mm)直列〕を用いて、低分子成分(A)と高分子成分(B)に分取した。
溶媒はクロロホルムを使用した。
水添共重合体(X23)、及び水添共重合体(X31)のGPC測定チャートをもとに、低分子ピークと高分子ピークのそれぞれの成分に分取した。
【0112】
〔水添共重合体(X)の物性、及び特性の測定方法〕
((1)水添共重合体(X)の粘弾性測定(tanδピーク))
動的粘弾性スペクトルを下記の方法により測定し、損失係数tanδのピーク温度(tanδピーク温度)を得た。
まず、水添共重合体(X)を厚さ2mmのシートに成形した後に幅10mm、長さ35mmのサイズにカットし、測定用試料とした。
装置ARES(ティーエイインスツルメントー株式会社製、商品名)の捻りタイプのジオメトリーに測定用試料をセットし、実効測定長さは25mm、ひずみ0.5%、周波数1Hz、測定範囲-100℃から100℃まで、昇温速度3℃/分の条件により測定した。
【0113】
((2)水添共重合体(X)の硬度)
JIS K6253に従い、デュロメータタイプAで10秒後の値(10s硬度)を測定した。
硬度の値は、低いほうが成形体の触感が良くなると判断し、以下のように評価した。
◎:10s硬度の値が、60未満
〇:10s硬度の値が、60以上70未満
△:10s硬度の値が、70以上80未満
×:10s硬度の値が、80以上
【0114】
((3)水添共重合体(X)の剪断粘度)
水添共重合体(X)の剪断粘度は下記の方法で測定した。
キャピログラフ(東洋精機製作所、キャピログラフ1D PMD-C、バレル径=9.55mm、バレル長=350mm、オリフィス径=1mm)のバレルに水添共重合体のペレット30gを投入し、180℃で5分間サンプルを加熱したのち、測定温度180℃、ピストン速度:50mm/分で剪断粘度の測定を実施した。
剪断粘度の値は、加工性の観点から低いほうが良いと判断し、以下のような基準で評価した。
◎:剪断粘度が300Pa・s未満
〇:剪断粘度が300Pa・s以上450Pa・s未満
△:剪断粘度が450Pa・s以上600Pa・s未満
×:剪断粘度が600Pa・s以上
【0115】
((4)ペレットの耐ブロッキング性)
耐ブロッキング性は、以下の方法で測定した。
直径5cmの金属円筒に、水添共重合体(X)からなる、同じ形状(直径約3mm×3mmの円筒状)のサンプルペレット60gを入れ、その上から1160gの重りをのせた。
この状態で、42℃に加温したギヤオーブン中で20時間加温した後、円筒の中のペレットの付着状態を観察した。
具体的には、円筒から取り出したペレットの塊は崩れるので(但し、耐ブロッキング性の悪いものは塊のまま崩れない)、塊を崩したのちの3粒以上のペレットからなる塊の重量を測定し、ペレットの総重量(60g)に対するペレットの塊の重さの比(%)を求めた。
耐ブロッキング性の良否は、下記の基準に基づき評価した。
なお、各サンプルペレットには、2000ppm相当のステアリン酸カルシウムを添加した上で評価を行った。
◎:3連球以上の塊が5%未満
〇:3連球以上の塊が5%以上30%未満
△:3連球以上の塊が30%以上60%未満
×:3連球以上の塊が60%以上
【0116】
〔水添共重合体の製造〕
(水添触媒の調製)
共重合体の水添反応に用いた水添触媒を下記の方法で調製した。
窒素置換した反応容器に乾燥、精製したシクロヘキサン1リットルを仕込み、ビスシロロペンタジエニルチタニウムジクロリド100ミリモルを添加し、十分に攪拌しながらトリメチルアルミニウム200ミリモルを含むn-ヘキサン溶液を添加して、室温にて約3日間反応させ、水添触媒を得た。
【0117】
(水添共重合体)
後述する製造例1~41において水添共重合体(A1)~(A41)、製造例42~63において水添共重合体(B1)~(B22)、製造例64において水添共重合体(X23)、製造例65において水添共重合体(X61)、製造例66において水添共重合体(X31)、製造例67~68において水添共重合体(A42)~(A43)、製造例69~71において水添共重合体(B23)~(B25)を下記にようにして製造した。
【0118】
<製造例1:水添共重合体(A1)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン60質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)と、ブタジエン40質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.534質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.7モル添加し、70℃で1時間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量60質量%、ランダムスチレン量(RS1)60質量%、ブロックスチレン分子量(MnS1)0、数平均分子量(Mn1)1.5万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(A1)を得た。
【0119】
<製造例2:水添共重合体(A2)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン35質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)と、ブタジエン65質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.306質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.4モル添加し、70℃で1時間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量35質量%、ランダムスチレン量(RS1)35質量%、ブロックスチレン分子量(MnS1)0、数平均分子量(Mn1)3.0万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(A2)を得た。
【0120】
<製造例3:水添共重合体(A3)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン40質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)と、ブタジエン60質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.299質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.5モル添加し、70℃で1時間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量40質量%、ランダムスチレン量(RS1)40質量%、ブロックスチレン分子量(MnS1)0、数平均分子量(Mn1)3.0万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(A3)を得た。
【0121】
<製造例4:水添共重合体(A4)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン50質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)と、ブタジエン50質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.282質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.6モル添加し、70℃で1時間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量50質量%、ランダムスチレン量(RS1)50質量%、ブロックスチレン分子量(MnS1)0、数平均分子量(Mn1)3.0万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(A4)を得た。
【0122】
<製造例5:水添共重合体(A5)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン70質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)と、ブタジエン30質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.251質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.8モル添加し、70℃で1時間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量70質量%、ランダムスチレン量(RS1)70質量%、ブロックスチレン分子量(MnS1)0、数平均分子量(Mn1)3.0万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(A5)を得た。
【0123】
<製造例6:水添共重合体(A6)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン77質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)と、ブタジエン23質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.240質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.9モル添加し、70℃で1時間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量77質量%、ランダムスチレン量(RS1)77質量%、ブロックスチレン分子量(MnS1)0、数平均分子量(Mn1)3.0万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(A6)を得た。
【0124】
<製造例7:水添共重合体(A7)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン60質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)と、ブタジエン40質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.264質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.7モル添加し、70℃で1時間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量60質量%、ランダムスチレン量(RS1)60質量%、ブロックスチレン分子量(MnS1)0、数平均分子量(Mn1)3.0万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。その後、水添率が25%に到達した時点で、反応を停止した。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(A7)を得た。
【0125】
<製造例8:水添共重合体(A8)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。(濃度20質量%)
スチレン60質量部を含むシクロヘキサン溶液と、ブタジエン40質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.264質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.7モル添加し、70℃で1時間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量60質量%、ランダムスチレン量(RS1)60質量%、ブロックスチレン分子量(MnS1)0、数平均分子量(Mn1)3.0万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。その後、水添率が50%に到達した時点で、反応を停止した。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(A8)を得た。
【0126】
<製造例9:水添共重合体(A9)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン60質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)と、ブタジエン40質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.264質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.7モル添加し、70℃で1時間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量60質量%、ランダムスチレン量(RS1)60質量%、ブロックスチレン分子量(MnS1)0、数平均分子量(Mn1)3.0万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(A9)を得た。
【0127】
<製造例10:水添共重合体(A10)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン60質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)と、ブタジエン40質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.232質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.7モル添加し、70℃で1時間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量60質量%、ランダムスチレン量(RS1)60質量%、ブロックスチレン分子量(MnS1)0、数平均分子量(Mn1)3.4万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(A10)を得た。
【0128】
<製造例11:水添共重合体(A11)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン60質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)と、ブタジエン40質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して1.13質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.7モル添加し、70℃で1時間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量60質量%、ランダムスチレン量(RS1)60質量%、ブロックスチレン分子量(MnS1)0、数平均分子量(Mn1)0.7万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(A11)を得た。
【0129】
<製造例12:水添共重合体(A12)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン60質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)と、ブタジエン40質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.608質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.7モル添加し、70℃で1時間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量60質量%、ランダムスチレン量(RS1)60質量%、ブロックスチレン分子量(MnS1)0、数平均分子量(Mn1)1.3万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(A12)を得た。
【0130】
<製造例13:水添共重合体(A13)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン60質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)と、ブタジエン40質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.214質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.7モル添加し、70℃で1時間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量60質量%、ランダムスチレン量(RS1)60質量%、ブロックスチレン分子量(MnS1)0、数平均分子量(Mn1)3.7万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(A13)を得た。
【0131】
<製造例14:水添共重合体(A14)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン45質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)と、ブタジエン55質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.293質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.5モル添加し、70℃で1時間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量45質量%、ランダムスチレン量(RS1)45質量%、ブロックスチレン分子量(MnS1)0、数平均分子量(Mn1)3.0万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(A14)を得た。
【0132】
<製造例15:水添共重合体(A15)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン75質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)と、ブタジエン25質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.243質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.9モル添加し、70℃で1時間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量75質量%、ランダムスチレン量(RS1)75質量%、ブロックスチレン分子量(MnS1)0、数平均分子量(Mn1)3.0万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(A15)を得た。
【0133】
<製造例16:水添共重合体(A16)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン60質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)と、ブタジエン40質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して1.581質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.5モル添加し、70℃で1時間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量60質量%、ランダムスチレン量(RS1)60質量%、ブロックスチレン分子量(MnS1)0、数平均分子量(Mn1)0.5万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(A16)を得た。
【0134】
<製造例17:水添共重合体(A17)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン40質量部を含むシクロヘキサン(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.197質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.7モル添加し、70℃で30分重合した。
次に、スチレン36質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)と、ブタジエン24質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、40分重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量76質量%、ランダムスチレン量(RS1)60質量%、ブロックスチレン分子量(MnS1)15200、数平均分子量(Mn1)3.7万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(A17)を得た。
【0135】
<製造例18:水添共重合体(A18)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン50質量部を含むシクロヘキサン(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.192質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.7モル添加し、70℃で30分重合した。
次に、スチレン30質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)と、ブタジエン20質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、40分重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量80質量%、ランダムスチレン量(RS1)60質量%、ブロックスチレン分子量(MnS1)19600、数平均分子量(Mn1)3.7万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(A18)を得た。
【0136】
<製造例19:水添共重合体(A19)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン60質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)と、ブタジエン40質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.175質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.7モル添加し、70℃で1時間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量60質量%、ランダムスチレン量(RS1)60質量%、ブロックスチレン分子量(MnS1)0、数平均分子量(Mn1)4.5万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(A19)を得た。
【0137】
<製造例20:水添共重合体(A20)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン20質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)と、ブタジエン80質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.351質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.3モル添加し、70℃で1時間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量20質量%、ランダムスチレン量(RS1)20質量%、ブロックスチレン分子量(MnS1)0、数平均分子量(Mn1)3.0万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(A20)を得た。
【0138】
<製造例21:水添共重合体(A21)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン85質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)と、ブタジエン15質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.230質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.9モル添加し、70℃で1時間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量85質量%、ランダムスチレン量(RS1)85質量%、ブロックスチレン分子量(MnS1)0、数平均分子量(Mn1)3.0万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(A21)を得た。
【0139】
<製造例22:水添共重合体(A22)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
ブタジエン100質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.412質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.2モル添加し、70℃で1時間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた重合体は、スチレン含有量0質量%、ランダムスチレン量(RS1)0質量%、ブロックスチレン分子量(MnS1)0、数平均分子量(Mn1)3.0万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(A22)を得た。
【0140】
<製造例23:共重合体(A23)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン60質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)と、ブタジエン40質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.232質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.7モル添加し、70℃で1時間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量60質量%、ランダムスチレン量(RS1)60質量%、ブロックスチレン分子量(MnS1)0、数平均分子量(Mn1)3.4万であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(A23)を得た。
なお、本製造例23においては、水添反応を実施しなかったが、記載の便宜上、(A23)を、表3の水添共重合体(A)の欄に記載した。
【0141】
<製造例24:水添共重合体(A24)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン20質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.508質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.7モル添加し、70℃で15分間重合した。
次に、スチレン48質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)と、ブタジエン32質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で45分間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量68質量%、ランダムスチレン量(RS1)60質量%、ブロックスチレン分子量(MnS1)3100、数平均分子量(Mn1)1.5万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(A24)を得た。
【0142】
<製造例25:水添共重合体(A25)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン20質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.285質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.4モル添加し、70℃で15分間重合した。
次に、スチレン28質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)と、ブタジエン52質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で45分間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量48質量%、ランダムスチレン量(RS1)35質量%、ブロックスチレン分子量(MnS1)6100、数平均分子量(Mn1)3.0万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(A25)を得た。
【0143】
<製造例26:水添共重合体(A26)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン20質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.214質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.5モル添加し、70℃で15分間重合した。
次に、スチレン32質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)と、ブタジエン48質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で45分間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量52質量%、ランダムスチレン量(RS1)40質量%、ブロックスチレン分子量(MnS1)6100、数平均分子量(Mn1)3.0万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(A26)を得た。
【0144】
<製造例27:水添共重合体(A27)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン20質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.278質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.6モル添加し、70℃で15分間重合した。
次に、スチレン40質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)と、ブタジエン40質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で45分間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量60質量%、ランダムスチレン量(RS1)50質量%、ブロックSt分子量(MnS1)6100、数平均分子量(Mn1)3.0万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(A27)を得た。
【0145】
<製造例28:水添共重合体(A28)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン20質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.243質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.8モル添加し、70℃で15分間重合した。
次に、スチレン56質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)と、ブタジエン24質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で45分間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量76質量%、ランダムスチレン量(RS1)70質量%、ブロックスチレン分子量(MnS1)6200、数平均分子量(Mn1)3.0万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(A28)を得た。
【0146】
<製造例29:水添共重合体(A29)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン20質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.254質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.7モル添加し、70℃で15分間重合した。
次に、スチレン48質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)と、ブタジエン32質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で45分間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量68質量%、ランダムスチレン量(RS1)60質量%、ブロックスチレン分子量(MnS1)6100、数平均分子量(Mn1)3.0万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。その後、水添率が25%に到達した時点で、反応を停止した。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(A29)を得た。
【0147】
<製造例30:水添共重合体(A30)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン20質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.252質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.7モル添加し、70℃で15分間重合した。
次に、スチレン48質量部を含むシクロヘキサン溶液と、ブタジエン32質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で45分間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量68質量%、ランダムスチレン量(RS1)60質量%、ブロックスチレン分子量(MnS1)6100、数平均分子量(Mn1)3.0万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。その後、水添率が50%に到達した時点で、反応を停止した。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(A30)を得た。
【0148】
<製造例31:水添共重合体(A31)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン20質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.252質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.7モル添加し、70℃で15分間重合した。
次に、スチレン48質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)と、ブタジエン32質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で45分間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量68質量%、ランダムスチレン量(RS1)60質量%、ブロックスチレン分子量(MnS1)6100、数平均分子量(Mn1)3.0万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(A31)を得た。
【0149】
<製造例32:水添共重合体(A32)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン20質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.282質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.7モル添加し、70℃で15分間重合した。
次に、スチレン48質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)と、ブタジエン32質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で45分間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量68質量%、ランダムスチレン量(RS1)60質量%、ブロックスチレン分子量(MnS1)5500、数平均分子量(Mn1)2.7万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(A32)を得た。
【0150】
<製造例33:水添共重合体(A33)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン20質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して1.089質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.7モル添加し、70℃で15分間重合した。
次に、スチレン48質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)と、ブタジエン32質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止し、70℃で45分間重合した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量68質量%、ランダムスチレン量(RS1)60質量%、ブロックスチレン分子量(MnS1)1400、数平均分子量(Mn1)0.7万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(A33)を得た。
【0151】
<製造例34:水添共重合体(A34)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン20質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.587質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.7モル添加し、70℃で15分間重合した。
次に、スチレン48質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)と、ブタジエン32質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で45分間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量68質量%、ランダムスチレン量(RS1)60質量%、ブロックスチレン分子量(MnS1)2700、数平均分子量(Mn1)1.3万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(A34)を得た。
【0152】
<製造例35:水添共重合体(A35)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン20質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.206質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.7モル添加し、70℃で15分間重合した。
次に、スチレン48質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)と、ブタジエン32質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量68質量%、ランダムスチレン量(RS1)60質量%、ブロックスチレン分子量(MnS1)7700、数平均分子量(Mn1)3.7万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(A35)を得た。
【0153】
<製造例36:水添共重合体(A36)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン20質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.271質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.5モル添加し、70℃で15分間重合した。
スチレン36質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)と、ブタジエン44質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で45分間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量56質量%、ランダムスチレン量(RS1)45質量%、ブロックスチレン分子量(MnS1)6100、数平均分子量(Mn1)3.0万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(A36)を得た。
【0154】
<製造例37:水添共重合体(A37)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン20質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)と、ブタジエン25質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.238質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.9モル添加し、70℃で15分間重合した。
次に、スチレン60質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)と、ブタジエン20質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で45分間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量80質量%、ランダムスチレン量(RS1)75質量%、ブロックスチレン分子量(MnS1)6200、数平均分子量(Mn1)3.0万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(A37)を得た。
【0155】
<製造例38:水添共重合体(A38)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン20質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)と、ブタジエン40質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して1.525質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.5モル添加し、70℃で15分間重合した。
次に、スチレン48質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)と、ブタジエン32質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で45分間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量68質量%、ランダムスチレン量(RS1)60質量%、ブロックスチレン分子量(MnS1)1000、数平均分子量(Mn1)0.5万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(A38)を得た。
【0156】
<製造例39:水添共重合体(A39)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン20質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.381質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.7モル添加し、70℃で15分間重合した。
次に、スチレン48質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)と、ブタジエン32質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で45分間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量68質量%、ランダムスチレン量(RS1)60質量%、ブロックスチレン分子量(MnS1)4100、数平均分子量(Mn1)2.0万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(A39)を得た。
【0157】
<製造例40:水添共重合体(A40)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン60質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)と、ブタジエン40質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.293質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.7モル添加し、70℃で60分間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量60質量%、ランダムスチレン量(RS1)60質量%、ブロックスチレン分子量(MnS1)0、数平均分子量(Mn1)2.7万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(A40)を得た。
【0158】
<製造例41:水添共重合体(A41)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
ブタジエン100質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して、1.76質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.5モル添加し、70℃で60分間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた重合体は、スチレン含有量0質量%、ランダムスチレン量(RS1)0質量%、ブロックスチレン分子量(MnS1)0、数平均分子量(Mn1)0.7万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(A41)を得た。
【0159】
<製造例42:水添共重合体(B1)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン10質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.038質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.7モル添加し、70℃で20分間重合した。
次にスチレン48質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)と、ブタジエン32質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で50分間重合した。
次に、スチレン10質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で20分間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量68質量%、ランダムスチレン量(RS2)60質量%、分岐度(f)2、ブロックスチレン分子量(MnS2)21000、数平均分子量(Mn2)20.0万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(B1)を得た。
【0160】
<製造例43:水添共重合体(B2)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.047質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.3モル添加し、70℃で15分間重合した。
次にスチレン25質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)と、ブタジエン65質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で50分間重合した。
次に、スチレン5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で15分間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量35質量%、ランダムスチレン量(RS2)28質量%、分岐度(f)2、ブロックスチレン分子量(MnS2)10400、数平均分子量(Mn2)20.0万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(B2)を得た。
【0161】
<製造例44:水添共重合体(B3)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.044質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.5モル添加し、70℃で15分間重合した。
次にスチレン35質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)と、ブタジエン55質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で50分間重合した。
次に、スチレン5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で15分間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量45質量%、ランダムスチレン量(RS2)39質量%、分岐度(f)2、ブロックスチレン分子量(MnS2)10600、数平均分子量(Mn2)20.0万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(B3)を得た。
【0162】
<製造例45:水添共重合体(B4)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.041質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.6モル添加し、70℃で15分間重合した。
次にスチレン45質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)と、ブタジエン45質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で50分間重合した。
次に、スチレン5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で15分間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量55質量%、ランダムスチレン量(RS2)50質量%、分岐度(f)2、ブロックスチレン分子量(MnS2)10800、数平均分子量(Mn2)20.0万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(B4)を得た。
【0163】
<製造例46:水添共重合体(B5)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.038質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.7モル添加し、70℃で15分間重合した。
次にスチレン60質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)と、ブタジエン30質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で50分間重合した。
次に、スチレン5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で15分間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量70質量%、ランダムスチレン量(RS2)67質量%、分岐度(f)2、ブロックスチレン分子量(MnS2)11000、数平均分子量(Mn2)20.0万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(B5)を得た。
【0164】
<製造例47:水添共重合体(B6)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.036質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.9モル添加し、70℃で15分間重合した。
次にスチレン69質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)と、ブタジエン21質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で50分間重合した。
次に、スチレン5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で15分間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量79質量%、ランダムスチレン量(RS2)77質量%、分岐度(f)2、ブロックスチレン分子量(MnS2)11300、数平均分子量(Mn2)20.0万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(B6)を得た。
【0165】
<製造例48:水添共重合体(B7)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン10質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.038質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.7モル添加し、70℃で20分間重合した。
次にスチレン48質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)と、ブタジエン32質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で50分間重合した。
次に、スチレン10質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で20分間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量68質量%、ランダムスチレン量(RS2)60質量%、分岐度(f)2、ブロックスチレン分子量(MnS2)21000、数平均分子量(Mn2)20.0万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。その後、水添率が25%に到達した時点で、反応を停止した。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(B7)を得た。
【0166】
<製造例49:水添共重合体(B8)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン10質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.038質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.7モル添加し、70℃で20分間重合した。
次にスチレン48質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)と、ブタジエン32質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で50分間重合した。
次に、スチレン10質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で20分間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量68質量%、ランダムスチレン量(RS2)60質量%、分岐度(f)2、ブロックスチレン分子量(MnS2)21000、数平均分子量(Mn2)20.0万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。その後、水添率が50%に到達した時点で、反応を停止した。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(B8)を得た。
【0167】
<製造例50:水添共重合体(B9)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン10質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.055質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.7モル添加し、70℃で20分間重合した。
次にスチレン48質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)と、ブタジエン32質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で50分間重合した。
次に、スチレン10質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で20分間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量68質量%、ランダムスチレン量(RS2)60質量%、分岐度(f)2、ブロックスチレン分子量(MnS2)14700、数平均分子量(Mn2)14.0万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(B9)を得た。
【0168】
<製造例51:水添共重合体(B10)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン20質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.076質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.7モル添加し、70℃で25分間重合した。
次にスチレン48質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)と、ブタジエン32質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で1時間重合した。
さらに、ジメトキシジメチルシランをn-ブチルリチウム1モルに対して、0.25モル添加し、70℃で30分間反応した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量68質量%、ランダムスチレン量(RS2)60質量%、分岐度(f)2、ブロックスチレン分子量(MnS2)21000、数平均分子量(Mn2)15.0万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(B10)を得た。
【0169】
<製造例52:水添共重合体(B11)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン60質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)と、ブタジエン40質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.009質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.7モル添加し、70℃で1.5時間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量60質量%、ランダムスチレン量(RS2)60質量%、分岐度(f)2、ブロックスチレン分子量(MnS2)3800、数平均分子量(Mn2)90.0万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(B11)を得た。
【0170】
<製造例53:水添共重合体(B12)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン10質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.037質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.7モル添加し、70℃で20分間重合した。
次に、ブタジエン40質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で40分間重合した。
次に、スチレン24質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)とブタジエン16質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で40分間重合した。
次に、スチレン10質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で20分間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量44質量%、ランダムスチレン量(RS2)60質量%、分岐度(f)2、ブロックスチレン分子量(MnS2)24100、数平均分子量(Mn2)24.0万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(B12)を得た。
【0171】
<製造例54:水添共重合体(B13)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン10質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.038質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.7モル添加し、70℃で20分間重合した。
次に、スチレン42質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)とブタジエン28質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で50分間重合した。
次に、スチレン10質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で20分間重合した。
次に、スチレン6質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)とブタジエン4質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で20分間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量68質量%、ランダムスチレン量(RS2)60質量%、分岐度(f)2、ブロックスチレン分子量(MnS2)21000、数平均分子量(Mn2)20.0万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(B13)を得た。
【0172】
<製造例55:水添共重合体(B14)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン10質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.039質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.7モル添加し、70℃で20分間重合した。
次に、スチレン42質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)とブタジエン28質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で50分間重合した。
次に、スチレン10質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で20分間重合した。
次に、ブタジエン10質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で20分間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量62質量%、ランダムスチレン量(RS2)60質量%、分岐度(f)2、ブロックスチレン分子量(MnS2)20800、数平均分子量(Mn2)20.0万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(B14)を得た。
【0173】
<製造例56:水添共重合体(B15)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン10質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.039質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.7モル添加し、70℃で20分間重合した。
次に、ブタジエン5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で15分間重合した。
次に、スチレン42質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)とブタジエン28質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で50分間重合した。
次に、ブタジエン5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で15分間重合した。
次に、スチレン10質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で20分間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量62質量%、ランダムスチレン量(RS2)60質量%、分岐度(f)2、ブロックスチレン分子量(MnS2)20800、数平均分子量(Mn2)20.0万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(B15)を得た。
【0174】
<製造例57:水添共重合体(B16)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.05質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.3モル添加し、70℃で15分間重合した。
次に、スチレン15質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)とブタジエン75質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で60分間重合した。
次に、スチレン5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で15分間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量25質量%、ランダムスチレン量(RS2)17質量%、分岐度(f)2、ブロックスチレン分子量(MnS2)10200、数平均分子量(Mn2)20.0万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(B16)を得た。
【0175】
<製造例58:水添共重合体(B17)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン15質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.034質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.9モル添加し、70℃で25分間重合した。
次に、スチレン55質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)とブタジエン15質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で1時間重合した。
次に、スチレン15質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で25分間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量85質量%、ランダムスチレン量(RS2)79質量%、分岐度(f)2、ブロックスチレン分子量(MnS2)31500、数平均分子量(Mn2)20.0万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(B17)を得た。
【0176】
<製造例59:水添共重合体(B18)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン15質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.048質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.2モル添加し、70℃で25分間重合した。
次に、ブタジエン70質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で60分間重合した。
次に、スチレン15質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で25分間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量30質量%、ランダムスチレン量(RS2)0質量%、分岐度(f)2、ブロックスチレン分子量(MnS2)30000、数平均分子量(Mn2)20.0万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(B18)を得た。
【0177】
<製造例60:共重合体(B19)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン10質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.038質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.7モル添加し、70℃で20分間重合した。
次に、スチレン48質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)ブタジエン32質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で60分間重合した。
次に、スチレン10質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で20分間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量68質量%、ランダムスチレン量(RS2)60質量%、分岐度(f)2、ブロックスチレン分子量(MnS2)21000、数平均分子量(Mn2)20.0万であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、共重合体(B19)を得た。
なお、本製造例60においては、水添反応を実施しなかったが、記載の便宜上、(B19)を、表3の水添共重合体(B)の欄に記載した。
【0178】
<製造例61:水添共重合体(B20)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン10質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.061質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.7モル添加し、70℃で20分間重合した。
次に、スチレン48質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)ブタジエン32質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で60分間重合した。
次に、スチレン10質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で20分間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量68質量%、ランダムスチレン量(RS2)60質量%、分岐度(f)2、ブロックスチレン分子量(MnS2)12800、数平均分子量(Mn2)12.5万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(B20)を得た。
【0179】
<製造例62:水添共重合体(B21)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン10質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.070質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.7モル添加し、70℃で20分間重合した。
次に、ブタジエン80質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で60分間重合した。
次に、スチレン10質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で20分間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量20質量%、ランダムスチレン量(RS2)0質量%、分岐度(f)2、ブロックスチレン分子量(MnS2)15000、数平均分子量(Mn2)15万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(B21)を得た。
【0180】
<製造例63:水添共重合体(B22)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン10質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.070質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.7モル添加し、70℃で20分間重合した。
次にスチレン48質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)と、ブタジエン32質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で50分間重合した。
次に、スチレン10質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で20分間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量68質量%、ランダムスチレン量(RS2)60質量%、分岐度(f)2、ブロックスチレン分子量(MnS2)11500、数平均分子量(Mn2)11.0万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(B22)を得た。
【0181】
<製造例64:水添共重合体(X23)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン6質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.023質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.7モル添加し、70℃で20分間重合した。
次に、スチレン25質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)ブタジエン17質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で40分間重合した。
次に、スチレン6質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で20分間重合した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.158質量部添加し、その後、スチレ28質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)ブタジエン18質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で30分間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体を低分子成分(水添共重合体(A))と高分子成分(水添共重合体(B))にクロマトグラフィーにより分取し、それぞれ分析したところ、水添共重合体(A)はスチレン含有量60質量%、ランダムスチレン量(RS1)60質量%、ブロックスチレン分子量(MnS1)100、数平均分子量(Mn2)2.0万であり、水添共重合体(B)はスチレン含有量68質量%、ランダムスチレン量(RS1)60質量%、ブロックスチレン分子量(MnS1)21000、数平均分子量(Mn2)20.0万であった。
また、水添共重合体(A)と水添共重合体(B)の含有量の比は、(A)/(B)=40/60であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(X23)を得た。
【0182】
<製造例65:水添共重合体(X61)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン20質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.085質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.7モル添加し、70℃で20分間重合した。
次に、スチレン48質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)ブタジエン32質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で60分間重合した。
さらに、1,3-ジ{ジ(3-トリメトキシシリルプロピル)アミノ}プロパンをn-ブチルリチウム1モルに対して、0.08モル添加し、70℃で30分間反応した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体を低分子成分(水添共重合体(A))と高分子成分(水添共重合体(B))にクロマトグラフィーにより分取しそれぞれ分析したところ、水添共重合体(A)はスチレン含有量68質量%、ランダムスチレン量(RS1)60質量%、ブロックスチレン分子量(MnS1)5100、数平均分子量(Mn2)2.5万であり、水添共重合体(B)は分岐度(f)8、スチレン含有量68質量%、ランダムスチレン量(RS2)60質量%、ブロックスチレン分子量(MnS2)5100、数平均分子量(Mn2)20.0万であった。
また、水添共重合体(A)と水添共重合体(B)の含有量の比は、(A)/(B)=40/60であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(X61)を得た。
【0183】
<製造例66:水添共重合体(X31)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン20質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.305質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.7モル添加し、70℃で20分間重合した。
次に、スチレン48質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)ブタジエン32質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で60分間重合した。
さらに、テトラエトキシシランをn-ブチルリチウム1モルに対して、0.20モル添加し、70℃で30分間反応した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体を低分子成分(水添共重合体(A))と高分子成分(水添共重合体(B))にクロマトグラフィーにより分取しそれぞれ分析したところ、水添共重合体(A)はスチレン含有量68質量%、ランダムスチレン量(RS1)60質量%、ブロックスチレン分子量(MnS1)19300、数平均分子量(Mn2)9.0万であり、水添共重合体(B)は分岐度(f)3、スチレン含有量68質量%、ランダムスチレン量(RS2)60質量%、ブロックスチレン分子量(MnS2)19300、数平均分子量(Mn2)27.0万であった。
また、水添共重合体(A)と水添共重合体(B)の含有量の比は、(A)/(B)=50/50であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(X31)を得た。
【0184】
<製造例67:水添共重合体(A42)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン30質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.493質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.5モル添加し、70℃で15分間重合した。
次に、スチレン30質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)と、ブタジエン40質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で45分間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量60質量%、ランダムスチレン量(RS1)43質量%、ブロックスチレン分子量(MnS1)4800、数平均分子量(Mn1)1.6万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(A42)を得た。
【0185】
<製造例68:水添共重合体(A43)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン10質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.375質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.2モル添加し、70℃で10分間重合した。
次に、ブタジエン70質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で60分間重合した。
次に、スチレン5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)とブタジエン15質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で20分間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量15質量%、ランダムスチレン量(RS1)25質量%、ブロックスチレン分子量(MnS1)0、数平均分子量(Mn1)3.0万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(A43)を得た。
【0186】
<製造例69:水添共重合体(B23)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.052質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.3モル添加し、70℃で10分間重合した。
次にスチレン10質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)と、ブタジエン80質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で50分間重合した。
次に、スチレン5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で10分間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量20質量%、ランダムスチレン量(RS2)11質量%、分岐度(f)2、ブロックスチレン分子量(MnS2)10000、数平均分子量(Mn2)20.0万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(B23)を得た。
【0187】
<製造例70:水添共重合体(B24)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン7.5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.063質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して1.3モル添加し、70℃で30分間重合した。
次にスチレン20質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)と、ブタジエン65質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で60分間重合した。
次に、スチレン7.5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で30分間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量35質量%、ランダムスチレン量(RS2)24質量%、分岐度(f)2、ブロックスチレン分子量(MnS2)11300、数平均分子量(Mn2)15.0万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(B24)を得た。
【0188】
<製造例71:水添共重合体(B25)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
スチレン7.5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.057質量部と、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.5モル添加し、70℃で10分間重合した。
次にスチレン35質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)と、ブタジエン50質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で50分間重合した。
次に、スチレン7.5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で10分間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
上記のようにして得られた共重合体は、スチレン含有量50質量%、ランダムスチレン量(RS2)41質量%、分岐度(f)2、ブロックスチレン分子量(MnS2)11300、数平均分子量(Mn2)15.0万であった。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
得られた水添共重合体の水添率は98%であった。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水添共重合体(B25)を得た。
【0189】
〔水添共重合体(X)の製造〕
水添共重合体(X1)~(X22)、(X24)、(X26)~(X60)、(X62)~(X74)は、水添共重合体(A1)~(A17)及び(A19)~(A43)と水添共重合体(B1)~(B25)を、表1~表3に従い溶液の状態で混合し、脱溶剤したうえで、ペレット状に仕上げた。
水添共重合体(X25)は水添共重合体(A18)及び、水添共重合体(B13)を、それぞれ脱溶剤した後、押し出し機を用いて混合した。
なお、水添共重合体(X23)、(X31)、(X61)については、上記〔製造例64〕〔製造例66〕、〔製造例65〕で製造した。
なお、表1~表3中の、水添共重合体(A)の配合量(質量部)は、水添共重合体(X)を100質量部としたときの値である。
【0190】
〔ポリプロピレン樹脂組成物の製造〕
水添共重合体(X)80質量部とポリプロピレン20質量部二軸押出機(日本製鋼所製「TEX-30αII」、シリンダー口径30mm)によって、設定温度220℃で溶融混練してポリプロピレン樹脂組成物のペレットを得た。
射出成形温度220℃、金型温度40℃で成形し、ポリプロピレン樹脂組成物の成形体(厚み2.0mm、皮シボ付き)を得た。
ポリプロピレン樹脂としては、PM801A(PP/サンアロマー製;MFR=15)を使用した。
水添共重合体(X)としては上記の水添共重合体(X1)~(X63)を使用した。
【0191】
〔ポリプロピレン樹脂組成物の物性の測定方法〕
((1)成形性評価)
水添共重合体(X)のポリプロピレン樹脂組成物を射出成形温度220℃、金型温度40℃で平板(縦150mm、横100mm、厚さ2mm)成形し、ポリプロピレン樹脂組成物の成形性を評価した。
成形性は、水添共重合体(X)のポリプロピレン樹脂組成物を、射出成形した際の金型離型性と、射出成形品の外観特性(ヒケ・フローマークの有無・てかり)、について評価した。評価基準を下記に示す。
○:実用上問題無し。
△:ヒケ・フローマーク・てかりがわずかに生じる。
×:金型離型性が著しく悪い、及び/又は射出成形品の外観特性に著しく問題を生じる。
【0192】
((2)耐摩耗性評価)
[耐摩耗性(10000回)]
学振型摩擦試験器(テスター産業株式会社製、AB-301型)を用い、成形体表面(皮シボ加工面)を、摩擦布カナキン3号綿、荷重500gで摩擦後、サンプル成形体の質量減少量を測定した。
質量減少量が小さいほど、ポリプロピレン樹脂組成物の耐摩耗性は高いと判断し、下記の基準で評価した。
◎:摩擦回数10000回後に、質量減少量が0.015g未満
〇:摩擦回数10000回後に、質量減少量が0.015g以上0.03g未満
△:摩擦回数10000回後に、質量減少量が0.03g以上0.05g未満
×:摩擦回数10000回後に、質量減少量が0.05g以上
[耐摩耗性(2500回後布移り)]
また、摩耗試験中に摩耗布に対して成形体が付着する布移りが発生する場合がある。この布移りが少ないほど、ポリプロピレン樹脂組成物の耐摩耗性が高いと判断し、摩耗布の成形体接地面に対する布移りを以下の基準で評価した。
〇:摩擦回数2500回後に、布移りが生じている面積が10%未満
△:摩擦回数2500回後に、布移りが生じている面積が10%以上、50%未満
×:摩擦回数2500回後に、布移りが生じている面積が50%以上
[耐摩耗性(1000回後グロス変化)]
また、摩耗試験後に成形体表面にテカリや破れが生じることがある。このテカリや破れが生じないほど、ポリプロピレン樹脂組成物の耐摩耗性が高いと判断し、摩耗試験後の成形体表面の変化を以下の基準で評価した。
◎:摩擦回数1000回後に、成形体表面に変化が生じていない。
〇:摩擦回数1000回後に、成形体表面にわずかに摩耗跡(テカリ)が生じる。
△:摩擦回数1000回後に、成形体表面にはっきりと摩耗跡(テカリ)が生じる。
×:摩擦回数1000回後に、成形体表面に破れが生じる。
【0193】
((3)引張強度)
JIS K6251に従い、3号ダンベル、クロスヘッドスピード500mm/分で測定した。
引張強度は、下記の基準で評価を実施した。
◎:引張試験の最大強度が、18MPa以上
〇:引張試験の最大強度が、16MPa以上18MPa未満
△:引張試験の最大強度が、14MPa以上16MPa未満
×:引張試験の最大強度が、14MPa未満
【0194】
〔水添共重合体(X)の評価結果〕
実施例1~51(水添共重合体(X1)~(X62))と比較例1~12(水添共重合体(X28)~(X38)、(X63))の評価結果を、下記表にまとめた。
なお、評価基準に関しては、前記の水添共重合体の物性及び特性の測定方法、ポリプロピレン樹脂組成物の特性の測定方法に従うものとする。
【0195】
【表1】
【0196】
【表2】
【0197】
【表3】
【0198】
【表4】
【0199】
【表5】
【0200】
【表6】
【0201】
【表7】
【0202】
【表8】
【0203】
【表9】
【0204】
【表10】
【0205】
【表11】
【0206】
実施例1~51は本発明の構成要件を満たす水添共重合体(X)の評価結果であり、比較例1~12は本発明の構成要件を満たしていない水添共重合体(X)の評価結果である。
実施例には4つの評価項目の中に×が1つもない。一方で、比較例には×が1つ以上ある。このことから、実施例に比べ、比較例が劣ることが分かる
【0207】
〔粘着性フィルムの製造〕
基材層を構成するポリエチレン(HDPE、旭化成ケミカルズ社製、商品名「クレオレックス T5070L」、MFR(190℃、2.16kg荷重)=7.0g/10分)と、粘着層を構成する前記水添共重合体(X64)~(X74)、(X33)、(B24)、(B25)、及び(B24)と粘着付与剤とのドライブレンドを、実施例53~60、参照例52、61、62及び比較13~18に示す割合で配合して各々押出機に供給した。
多層Tダイ押出機((株)プラスチック工学研究所製、PLABOR)を用いて押出温度200℃、ダイ温度220℃の条件で共押出成形によって両層を一体化して共押出し、基材層厚さ40μm、粘着層厚さ10μmの粘着性フィルムを製造した。
前記ドライブレンドとは粘着層を構成する部分(水添共重合体、粘着付与剤)のブレンドを示す。
前記粘着付与剤としては、YSポリスターHU(水添テルペンフェノール樹脂/ヤスハラケミカル(株)製)を使用した。
【0208】
実施例53~60、参照例52、61、62及び比較例13~18で得られた粘着性フィルムの性能を評価するため、初期粘着性、粘着亢進性、繰出し性を測定し、評価した。
これらの結果を、表12~表14に示す。
【0209】
〔フィルムの粘着特性〕
測定装置としては、万能引張圧縮試験機「テクノグラフTGE-500N:(株)ミネベア製」を用いた。
(初期粘着力の評価)
実施例53~60、参照例52、61、62、比較例13~18において、作製した粘着性フィルムを25mm幅にしたものを、PMMA板(表面の算術平均粗さ:0.1μm)と、SUS304HL板の、各々に貼り付け、重さ2kgのゴムロール(直径10cm)を転がして貼り付け、温度23℃×50%相対湿度中で、30分間放置し、その後、引き剥がし速度300mm/分として、角度180度で引き剥がし、試験JIS K6854-2に準じて初期粘着力を測定し、下記の基準で評価を行った。
「PMMA板」
250(g/25mm)以上のものを◎とした。
150(g/25mm)以上、250(g/25mm)未満のものを〇とした。
100(g/25mm)以上、150(g/25mm)未満のものを△とした。
100(g/25mm)未満のものを×とした。
「SUS板」
150(g/25mm)以上のものを◎とした。
70(g/25mm)以上、150(g/25mm)未満のものを〇とした。
35(g/25mm)以上、70(g/25mm)未満のものを△とした。
35(g/25mm)未満のものを×とした。
【0210】
(粘着亢進性の評価)
実施例53~60、参照例52、61、62、比較例13~18において、作製した粘着性フィルムを25mm幅にしたものを、SUS304HL板に貼り付け、さらに重さ2kgのゴムロール(直径10cm)転がして貼り付けた。
その後、温度80℃のオーブンに1時間保管し、さらにその後、23℃×50%相対湿度中で30分間放置し、その後、引き剥がし速度300mm/分として180度の角度で引き剥がし、試験JIS K6854-2に準じて粘着力を測定した。
下記の式から粘着亢進性を評価した。
粘着亢進性=(80℃1時間加熱後の粘着力)/(初期粘着力)
粘着亢進性は、小さい値ほど良いと判断し、下記基準により評価した。
1.5以下を◎とした。
1.5を超え2以下を〇とした。
2を超え3以下を△とした。
3を超えるものを×とした。
【0211】
〔繰出し性の評価〕
実施例53~60、参照例52、61、62、比較例13~18において、作製した粘着性フィルムを25mm幅にしたものをHDPE板に貼り付け、重さ2kgのゴムロール(直径10cm)転がして貼り付け、温度23℃×50%相対湿度中で、30分間放置し、その後、引き剥がし速度300mm/分として180度引き剥がし、試験JIS K6854-2に準じて初期粘着力を測定し、下記の基準で評価を行った。
繰出し性は、小さい値ほど良いと判断し、下記基準により評価した。
12(g/25mm)未満のものを◎とした。
12(g/25mm)以上18(g/25mm)未満のものを〇とした。
18(g/25mm)以上26(g/25mm)未満のものを△とした。
26(g/25mm)未満のものを×とした。
【0212】
〔水添共重合体(X)の評価結果〕
実施例53~60、参照例52、61、62と比較例13~18の評価結果を、下記〔表12~14〕にまとめた。
なお、評価基準に関しては、前記粘着性フィルムの特性の測定方法に従うものとする。
【0213】
【表12】
【0214】
【表13】
【0215】
【表14】
【0216】
実施例53~60、参照例52、61、62は本発明の構成要件を満たす水添共重合体(X)の評価結果であり、比較例13~18は本発明の構成要件を満たしていない水添共重合体の評価結果である。
実施例には4つの評価項目の中に×が1つもない。一方で、比較例には×が1つ以上ある。このことから、実施例に比べ、比較例が劣ることが分かる。
【0217】
本出願は、2020年6月22日に日本国特許庁に出願された日本特許出願(特願2020-107264)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
【産業上の利用可能性】
【0218】
本発明の水添共重合体及び水添共重合体組成物は、補強性充填剤配合物、架橋物、発泡体、多層フィルム及び多層シート等の成形品、建築材料、制振・防音材料、電線被覆材料、高周波融着性組成物、スラッシュ成形材料、粘接着性組成物、アスファルト組成物、自動車内装材料、自動車外装材料、医療用具材料、食品包装容器等の各種容器、家電用品、工業部品、玩具等の分野において産業上の利用可能性がある。