(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-16
(45)【発行日】2024-08-26
(54)【発明の名称】サイトディスクのクリーニング装置
(51)【国際特許分類】
B60S 1/56 20060101AFI20240819BHJP
B60S 1/62 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
B60S1/56 120Z
B60S1/62 120D
B60S1/62 120Z
(21)【出願番号】P 2022555189
(86)(22)【出願日】2021-02-22
(86)【国際出願番号】 EP2021054305
(87)【国際公開番号】W WO2021190846
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-09-13
(32)【優先日】2020-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】593045569
【氏名又は名称】ツェットカーヴェー グループ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】ライター、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ピッテルレ、ゲオルク
(72)【発明者】
【氏名】ヤークル、クリスティアン
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】仏国特許出願公開第02841488(FR,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0266379(US,A1)
【文献】特開2019-011043(JP,A)
【文献】特開2017-022451(JP,A)
【文献】特開2018-118670(JP,A)
【文献】特開2018-042034(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0077377(US,A1)
【文献】国際公開第2019/105723(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗物の光学装置のためのカバー部材としてのサイトディスク(10)のためのクリーニング装置であって、
該クリーニング装置は、
・光学的に透明なサイトディスク(10)、
・前記サイトディスク(10)が固定されている、前記サイトディスク(10)のフレームとしての支持遮光器(15)、
・前記サイトディスク(10)の外側(11)に配された光学的に透明な疎水性防汚性被膜(25)、
・前記サイトディスク(10)に連結された少なくとも1つの振動要素(21)、但し該少なくとも1つの振動要素(21)は制御装置(40)によって活性化可能である、及び、
・前記サイトディスク(10)の内側(12)に配された光学的に透明な防曇装置(30)
を含むこと
、
前記少なくとも1つの振動要素(21)は前記支持遮光器(15)に連結されているか又は前記支持遮光器(15)に組み込まれていること
を特徴とする、クリーニング装置。
【請求項2】
請求項1に記載のクリーニング装置において、
前記少なくとも1つの振動要素(21)は前記サイトディスク(10)に固定されていること
を特徴とする、クリーニング装置。
【請求項3】
請求項1
又は2に記載のクリーニング装置において、
前記少なくとも1つの振動要素(21)はサイトディスク(10)及び/又は支持遮光器(15)と接合によって持続的に結合されていること
を特徴とする、クリーニング装置。
【請求項4】
請求項1~
3の何れかに記載のクリーニング装置において、
前記光学的に透明な防曇装置(30)は前記サイトディスク(10)の前記内側(12)に配された曇り止め被膜(31)であること
を特徴とする、クリーニング装置。
【請求項5】
請求項1~
4の何れかに記載のクリーニング装置において、
前記光学的に透明な防曇装置(30)は加熱フィルム(34)及び/又は電熱線(33)を有する加熱要素(32)を含むこと、
前記加熱フィルム(34)及び/又は前記電熱線(33)は前記サイトディスク(10)の前記内側(12)に固定されているか又は少なくとも部分的に前記サイトディスク(10)に組み込まれていること
を特徴とする、クリーニング装置。
【請求項6】
請求項1~
5の何れかに記載のクリーニング装置において、
前記サイトディスク(10)の前記外側(11)及び/又は前記内側(12)には反射防止膜が配されていること
を特徴とする、クリーニング装置。
【請求項7】
請求項1~
6の何れかに記載のクリーニング装置において、
前記少なくとも1つの振動要素(21)は超音波振動を生成するピエゾ素子であること
を特徴とする、クリーニング装置。
【請求項8】
請求項1~
7の何れかに記載のクリーニング装置において、
互いに対し離隔された2つ以上の振動要素(21)が前記サイトディスク(10)に連結されていること、
前記2つ以上の振動要素(21)は夫々制御装置(40)によって活性化可能であること
を特徴とする、クリーニング装置。
【請求項9】
請求項1~
8の何れかに記載のクリーニング装置において、
前記制御装置(40)は、前記光学装置と協働すること
を特徴とする、クリーニング装置。
【請求項10】
請求項1~
9の何れかに記載のクリーニング装置において、
前記制御装置(40)による前記少なくとも1つの振動要素(21)の活性化は、周期的に繰り返される活性化、手動による活性化、センサ信号を介した活性化、カメラ信号を介した活性化を含む群から選択される活性化スキームに従って実行されること
を特徴とする、クリーニング装置。
【請求項11】
請求項1~
10の何れかに記載のクリーニング装置において、
前記少なくとも1つの振動要素(21)に連結された前記サイトディスク(10)は交換可能であること
を特徴とする、クリーニング装置。
【請求項12】
請求項1~
11の何れかに記載のクリーニング装置において、
前記サイトディスク(10)は乗物のカバー部材の内部に配されること、
前記カバー部材は、以下の群:フロントガラス、サイドウィンドウ、リアウィンドウ、投光装置カバー部材(2)、光学レンズから選択されること
を特徴とする、クリーニング装置。
【請求項13】
請求項1~
12の何れかに記載のクリーニング装置(20)を少なくとも1つ含む乗物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、とりわけ乗物のサイトディスクのためのクリーニング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
投光装置のための、とりわけ乗物の投光装置(前照灯等)のための、種々のクリーニング装置は多数の具体的例で従来技術から既に知られている。例えば、クリーニング液が高圧で外部から投光装置の1つ以上のカバー部材(ないしカバープレート:Abdeckscheibe)に噴き付けられる投光装置用クリーニング装置は相当以前から既に知られている。とりわけ自動車の前照灯の場合、カバー部材の汚れはそのようにして確実に除去されることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】FR 2841488 A1
【文献】US 1040 1618 B2
【文献】US 2019077377 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そのような投光装置用クリーニング装置の欠点は、当該装置が、エラーが生じ易くかつ要整備性が大きい多数の部材及び部品からなることである。従って、大抵は多くの洗浄液を消費するそのような高圧洗浄装置の場合、数リットルの洗浄液を含む貯蔵タンクが必要になる。洗浄液としては、通常は、夏期における相応の昆虫除去剤又は冬期における適切な不凍剤のような相応の添加剤を含む水が使用される。この場合、そのような高圧装置のノズルは、水を可動のノズルから50barまでの圧力で外部から投光装置のカバー部材に噴き付ける。不適切な添加剤が使用されると、カバー部材は予定された時点よりも早くに濁る(くすむ)が、これは、この既知のクリーニング装置の更なる欠点である。この種の投光装置用クリーニング装置を備えた乗物の場合、その機能性も立法者によって検査される。その投光装置用クリーニング装置の高い水消費が気に入らず、そのため、当該装置を不活性化(無効化)する乗物所有者は、そのため、その乗物の運転免許の取り消しという危険を冒すことになる。
【0005】
更に、前照灯のためのそのような投光装置用クリーニング装置は歩行者保護の観点から問題がある。なぜなら、大抵はフロントバンパの領域に組み込まれる高圧クリーニングノズルは可動的に支持されているため、乗物と歩行者が衝突する際に怪我の危険が増大するからである。
【0006】
走行中に投光装置のカバー部材の外側を機械的にクリーニングする相当以前から知られているブラシないしワイパクリーニングシステムは、高圧ポンプを備えた既述の投光装置用クリーニング装置よりも、装置的に見て何倍もより大掛かりでありかつ要整備性がより大きい。更に、投光装置のカバー部材のための機械的に作動するクリーニング装置の場合、所定の駆動時間後のワイパ及び/又はブラシの摩損も不利である。
【0007】
現代の自動車では、本来的な前照灯(投光装置)に付加的に、大抵は、光学センサ、カメラ及びシースルーディスプレイ(Durchsichtdisplay)のような多数の光学装置も取り付けられている。これらの光学装置は通常はカバー部材によって天候の影響ないし汚れに対して保護される。例えば、光学センサは前照灯システム及び/又は尾灯システムに組み込まれること又は自動車のフロントウィンドウ(フロントガラス)、リアウィンドウ又はサイドウィンドウの後ろに配されることが可能である。
【0008】
しかしながら、視野(英語ではfield of view、FOV)即ち光学装置、太陽センサ、カメラの像面又はカメラ撮像センサの画角の領域を汚染、結露(Kondensatbeschlag)及び/又は霜(Vereisung)から免れさせるためには、従来技術から既知の従来の投光装置用クリーニング装置は適切ではない。光学センサやカメラは、そのようなカバー部材のクリーニングないし霜除去(Enteisung)又は結露除去(Abtauung)に関する自由な視界に対する明確により高い要求を有する。なぜなら、そうでなければ、そのようなセンサやカメラの信頼性のある機能を維持することができないからである。
【0009】
それ故、本発明は、乗物のカバー部材のためのクリーニング装置についての従来技術から既知の欠点を克服すること、そのために、可及的に少ないコンポーネント及び構造群によって可及的にコスト的に好都合にかつコンパクトに構成されており、とりわけ乗物に組み込まれる敏感な光学装置及び光学センサのための自由な視界(視野)を可及的に摩損なくかつメンテナンスフリーで保証するクリーニング装置を提供することを目的とする。更に、本発明の課題は、運転(作動)時に可及的に洗浄液又は他の消耗剤を使用しないで済むクリーニング装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、請求項1の上位概念に応じたクリーニング装置において、請求項1の特徴部に記載の特徴によって解決される。
即ち、本発明の第1の視点において、乗物の光学装置のためのカバー部材としてのサイトディスクのためのクリーニング装置が提供される。該クリーニング装置は、
・光学的に透明なサイトディスク、
・前記サイトディスクが固定されている、前記サイトディスクのフレームとしての支持遮光器、
・前記サイトディスク外側に配された光学的に透明な疎水性防汚性被膜、
・前記サイトディスクに連結された少なくとも1つの振動要素、但し該少なくとも1つの振動要素は制御装置によって活性化可能である、及び、
・前記サイトディスクの内側に配された光学的に透明な防曇装置
を含むこと、
前記少なくとも1つの振動要素は前記支持遮光器に連結されているか又は前記支持遮光器に組み込まれていることを特徴とする(形態1)。
更に、本発明の第2の視点において、本発明のクリーニング装置を少なくとも1つ含む乗物が提供される(形態13)。
【発明を実施するための形態】
【0011】
従属請求項は本発明の更なる有利な形態に関する。
(形態1)上記本発明の第1の視点参照。
(形態2)形態1のクリーニング装置において、前記少なくとも1つの振動要素は前記サイトディスクに固定されていることが好ましい。
(形態3)形態1又は2のクリーニング装置において、前記少なくとも1つの振動要素はサイトディスク及び/又は支持遮光器と接合によって持続的に結合されていることが好ましい。
(形態4)形態1~3の何れかに記載のクリーニング装置において、前記光学的に透明な防曇装置は前記サイトディスクの前記内側に配された曇り止め被膜であることが好ましい。
(形態5)形態1~4の何れかのクリーニング装置において、
前記光学的に透明な防曇装置は加熱フィルム及び/又は電熱線を有する加熱要素を含むこと、
前記加熱フィルム及び/又は前記電熱線は前記サイトディスクの前記内側に固定されているか又は少なくとも部分的に前記サイトディスクに組み込まれていることが好ましい。
(形態6)形態1~5の何れかのクリーニング装置において、前記サイトディスクの前記外側及び/又は前記内側には反射防止膜が配されていることが好ましい。
(形態7)形態1~6の何れかのクリーニング装置において、前記少なくとも1つの振動要素は超音波振動を生成するピエゾ素子であることが好ましい。
(形態8)形態1~7の何れかに記載のクリーニング装置において、
互いに対し離隔された2つ以上の振動要素が前記サイトディスクに連結されていること、
前記2つ以上の振動要素は夫々制御装置によって活性化可能であることが好ましい。
(形態9)形態1~8の何れかのクリーニング装置において、
前記制御装置は、前記光学装置と協働することが好ましい。
(形態10)形態1~9の何れかのクリーニング装置において、前記制御装置による前記少なくとも1つの振動要素の活性化は、周期的に繰り返される活性化、手動による活性化、センサ信号を介した活性化、カメラ信号を介した活性化を含む群から選択される活性化スキームに従って実行されることが好ましい。
(形態11)形態1~10の何れかのクリーニング装置において、前記少なくとも1つの振動要素に連結された前記サイトディスクは交換可能であることが好ましい。
(形態12)形態1~11の何れかのクリーニング装置において、
前記サイトディスクは乗物のカバー部材の内部に配されること、
前記カバー部材は、以下の群:フロントガラス、サイドウィンドウ、リアウィンドウ、投光装置カバー部材、光学レンズから選択されることが好ましい。
(形態13)上記本発明の第2の視点参照。
【0012】
一般的に、更に、例えば「水平」、「垂直」、「水平方向」、「垂直方向」、「上」、「下」、「前」、「その下」、「その上」、「内方」、「外方」等のような位置ないし方向に関する概念の割当ては専ら単純化(簡単化)のために選択されており、これらの概念は図面の記載に関し得るものであり、必ずしも、本発明に応じたクリーニング装置、その構成要素又はクリーニング装置を備えた乗物ないし自動車の実際の使用状態又は位置に関するものではない。
【0013】
本発明に応じ、とりわけ乗物のサイトディスク(Sichtscheibe)のためのクリーニング装置は、
・光学的に透明なサイトディスク、
・サイトディスクの外側に配された光学的に透明な疎水性防汚性被膜、
・サイトディスクに連結された(gekoppelt)少なくとも1つの振動要素、但し該少なくとも1つの振動要素は制御装置によって活性化可能である、及び、
・サイトディスクの内側に配された光学的に透明な防曇装置(Antibeschlagvorrichtung)
を含む。
【0014】
有利には、サイトディスクのクリーニングのための本発明に応じた一クリーニング装置においては、以下のコンポーネント(複数)が効率的に一緒に作動する:
(i)光学的に透明な(光透過性)サイトディスク。サイトディスクはその外側に光学的に透明な疎水性防汚性被膜(疎水性防汚性光透過膜)を有する。サイトディスクは汚粒子又は汚水の形での汚れを付着の最小化によりサイトディスクの被膜された外側には付着させず、汚粒子をサイトディスクから滴り落ちさせる;
(ii)少なくとも1つの振動要素。振動要素はサイトディスクに連結されている。振動要素は制御装置によって活性化可能に構成されている。振動要素は、汚れがサイトディスクの表面に付着し始めるときないしはそれが必要とされるときには常にサイトディスクを振動させ、それによってサイトディスクから汚物を振るい落とすことを可能にする;
(iii)光学的に透明な(光透過性)防曇装置。防曇装置はサイトディスクの内側に配されている。防曇装置はサイトディスクの内側も結露が生じないように維持する。
【0015】
有利には、サイトディスクのために本発明に応じたクリーニング装置を使用することによって、そのように構成されたサイトディスクは、とりわけ乗物の光学センサ又はカメラのためのカバー部材として格別に高い要求を満たすことが可能になる。
【0016】
本発明に応じた一クリーニング装置を備えたサイトディスクによって、光学装置、例えば太陽センサ、カメラの像面又はカメラ撮像センサの視野は確実に汚染、結露及び/又は霜(形成)によって塞がれないように維持されることができる。かくして、クリーニングないし霜除去又は結露除去に関連する自由な視界に対するより高い要求を有する光学センサ及びカメラの確実な(信頼性のある)機能(作動)は、サイトディスクとこれに割り当てられたクリーニング装置の使用によって保証(確保)されることができる。
【0017】
本発明に応じた一クリーニング装置では、実施形態に応じて、少なくとも1つの振動要素はサイトディスクに直接的に当接して固定されることが可能であり、又は、振動要素は例えば釣合い重りのような更なる要素(の上)に配されることも可能であり、その際、その下にある釣合い重りはサイトディスクに(密接して)固定されている。この場合にも、振動要素はサイトディスクに(密接して)固定されているが、例えばサイトディスクと振動要素の間の釣合い重りのような更なる層部材(Lage)を有する。
【0018】
更に、サイトディスクは、少なくとも1つの振動要素に結合されている支持遮光器(Traegerblende)又は相応の(嵌込)フレーム(Einfassung)に固定(結合)されることができる。そのようにして、サイトディスクの支持遮光器又はフレームは振動されることができ、少なくとも1つの振動要素の振動は直接的にサイトディスクへ伝達されることができる。カバー部材における振動要素の固定(結合)は、揺れないし振動が局所的にカバー部材へもたらされ、そのため、カバー部材のクリーニングは格別に効率的になるという利点を提供する。
【0019】
少なくとも1つの振動要素は、この場合、例えば16kHz以上の超音波領域の振動数でサイトディスクを直接的に又は―サイトディスクが支持遮光器又はフレームが振動要素に結合されている場合は―間接的な方法で振動させ、かくして、サイトディスクから汚粒子、小水滴又は霜の形での汚れを振るい落とす超音波発振器を含むことができる。
【0020】
疎水性防汚性被膜としては、例えばロータス効果(Lotus-Effekt)を利用するいわゆるナノ被膜(ナノコーティング)を使用することができる。この場合、汚れ及び表面は極めて小さい粘着力を受ける。湿潤粒子及び汚粒子は、その際、滴り落ちる水の中に包み込まれ、汚れは疎水性被膜から簡単に滴り落ちる。
【0021】
同様に、UV線によって硬化し、かつ、例えば光学的に透明なポリカーボネート(PC)又はポリメチルメタクリレート(PMMA)からなるサイトディスクの摩耗、化学的損傷、削れないしUV線による黄変に対する及び汚れに対する保護を提供する引掻きに強く耐候性の被膜材料は、疎水性防汚性被膜としてサイトディスクの外側に配されることができる。とりわけカバー部材の耐候手段として役立つそのような被膜は、シリコーンハードコート(Silikon-Hardcoat)とも称される。例えば、乗物投光装置のカバー部材の耐候性防汚性被膜として適するそのような被膜材料は、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社(Momentive Performance Materials Inc.)(www.momentive.com)からSilFORT*UVHC5000という商品名で販売されている。
【0022】
本発明に応じた一クリーニング装置では、有利には、少なくとも1つの振動要素はサイトディスクに(密接されて)固定されることができる。
【0023】
この実施形態は、直接的にサイトディスクに当接されてサイトディスクに固定されている1つの又は複数の振動要素によって、格別に効率的にかつ可及的に損失なしに振動をサイトディスクへ伝達することができるという利点を提供する。同様に、本発明の枠内において、少なくとも1つの釣合い重りがサイトディスクに(密接して)固定され、少なくとも1つの振動要素が当該釣合い重りに連結(gekoppelt)されていることも可能である。釣合い重りと結合している振動要素の揺れは、振動要素から釣合い重りへ伝達され、釣合い重りによって増幅されて直接的にサイトディスクへ伝達される。振動要素の振動作用は、当該振動要素に連結している釣合い重りの共振として増幅され、かくして、サイトディスクのクリーニング作用は更に改善される。
【0024】
同様に、本発明の枠内において、クリーニング装置では、少なくとも1つの振動要素は、サイトディスクに組み込まれることができる。
【0025】
この実施形態では、少なくとも1つの振動要素は損傷又は気候影響に対して格別に効果的にサイトディスクに組み込まれている。制御装置によって活性化される振動要素の振動は、有利には、クリーニングのための所望の部位において直接的にサイトディスクへ導入される。従って、振動の損失は確実に回避される。例えば光学的に透明なポリカーボネート(PC)又はポリメチルメタクリレート(PMMA)からなるサイトディスクでは、1つ又は複数の振動要素は、例えばインサート成形又は射出成形による製造プロセス中に、射出成形プロセスの際の振動要素を(金型内に)封入(埋設)することによってサイトディスクに組み込まれることができる。
【0026】
本発明の目的に適う更なる一実施形態では、クリーニング装置において、少なくとも1つの振動要素は、サイトディスクが(密接されて)固定されている支持遮光器に連結されることができる。支持遮光器とは、サイトディスクのための(嵌込)フレームとして理解されるべきものである。この場合、1つの振動要素が、又は複数の振動要素も、支持遮光器に連結されることができるか、又は、直接的に支持遮光器に組み込まれることができる。そのような支持遮光器ないしフレームは、サイトディスクがその縁(複数)が支持遮光器によって保護され、振動が一様にサイトディスクに導入されるという利点を提供する。かくして、サイトディスクは、クリーニング運転中においても、従って少なくとも1つの振動要素による振動の導入中においても、可及的に良好に機械的負荷から保護されている。
【0027】
本発明に応じた一クリーニング装置は、少なくとも1つの振動要素がサイトディスクの支持遮光器に組み込まれている(integriert)場合、格別にコンパクトに構成されることができる。
【0028】
有利には、サイトディスクは、支持遮光器に一体的に結合されており、支持遮光器と一緒に又は少なくともフレームと一緒に、必要時に交換されるないし取り換えられることができる。
【0029】
本発明の更なる一変形形態では、クリーニング装置において、少なくとも1つの振動要素は接合(Fuegen)によってサイトディスク及び/又は支持遮光器と持続的に結合されることができる。
【0030】
「接合」という概念には、DIN8593-1に応じて種々の接合法が含まれている。嵌合では、2つ以上の堅い物体、接合部材が、幾何学的に特定の態様で持続的に互いに結合ないし接合される。幾つかの接合法では、付加的に、「無定形の」補助材料、即ちその形状が定められていない材料が使用される。例えば、接着剤はそのような補助材料として理解される。
【0031】
具体的な例では、少なくとも1つの振動要素はサイトディスク及び/又は支持遮光器と例えば以下の接合法によって持続的に結合されることができる:
・接着剤による接着;
・ネジによるサイトディスクとの直接の及び/又は支持遮光器との螺合、又は、サイトディスク及び/又は支持遮光器におけるネジ取付部材の形での螺合;
・形状結合的熱カシメ(Heissverstemmen)。この場合、熱可塑性変形によって、サイトディスク及び/又は支持遮光器は振動ユニットのホルダ又はアダプタになる;
・振動要素とサイトディスク及び/又は支持遮光器とのバヨネット結合。バヨネット結合という概念については、当業者は、組立ないし捻り込み(Einrenken)を、押し込みと回転(捻り)の適切な組み合わせ及び連続的操作として理解する。捻り込みは、大抵は、直進運動(並進運動)とその後の回転運動によって行われる。バヨネット結合は形状結合(対応部材の輪郭形状間の嵌め合い(蟻継)による結合)によって維持され、その解除は静止摩擦及び/又は弾性力の克服によって及び/又は係止爪(Raststufe)又はロック手段(Sperre)の外しないし解除によって行うことができる;
・拡開結合(Spreizverbindung)。弾性的な拡開の際、接合部分は、まず、弾性的に変形される。嵌め込み又は挿入した後、弾性的なスプリングバック(ないし復元:Rueckfederung)が行われる。その例は、クリップ結合(フィット)(Klippverbindungen)、スナップ結合(フィット)、エキスパンドリング(Spreizringe)、金属板バネ(Blechfedern)及びサークリップ(Sicherungsringe)であり、これらは少なくとも1つの振動要素とサイトディスク及び/又は支持遮光器を固定(結合)するために使用できる。
【0032】
本発明に応じた一クリーニング装置において、光学的に透明な防曇装置はサイトディスクの内側に配された曇り止め被膜であり得ると、格別に目的に適う。
【0033】
この実施形態は、サイトディスクがその外側において外部の汚物及び天候の影響に対してクリーニングされることができるだけではなく、付加的のその内側においてもクリーニングされることができるという利点を提供する。内側とは、例えば投光装置、とりわけ乗物投光装置の組立状態において投光装置のハウジングの方へ配向されているサイトディスクの外側に対向する側(外側の反対側)として理解されるべきものである。湿気の高いないし寒い天気の場合にディスク内側の不所望の結露を阻止するために、本発明のこの実施形態では、サイトディスクの内側は曇り止め被膜を備えている。
【0034】
「曇り止め(Anti-fog)」と称されるそのような被膜は、例えば透明なポリカーボネート(PC)又はポリメチルメタクリレート(PMMA)からなるカバー部材については、MODIPER(登録商標)Hという名称の物がNOF Corporation(www.nof.co.jp)というメーカーから入手可能である。
【0035】
本発明の有利な一代替形態では、クリーニング装置において、光学的に透明な防曇装置は加熱フィルム及び/又は電熱線を有する加熱要素を含むことができ、加熱フィルム及び/又は電熱線はサイトディスクの内側に固定されているか又は少なくとも部分的にサイトディスクに組み込まれている。
【0036】
ディスク内側に配された曇り止め被膜の代わりに又は付加的に、サイトディスクの内側には、サイトディスクに組み込まれた加熱フィルム及び/又は電熱線を有する加熱要素も備えることができる。この種の電気的部材は、少なくとも1つの振動要素の活性化に役立つ同じ制御装置によって制御されかつ活性化されることが可能であると目的に適う。そのため、必要に応じ、サイトディスクのディスク内側の結露形成を迅速に阻止することができ、また、ディスク内側における曇り(Beschlaege)を迅速に乾かすことができる。
【0037】
本発明の一発展形態では、クリーニング装置において、サイトディスクの外側及び/又は内側には反射防止膜が配されることができる。
【0038】
反射防止コーティングとも称される反射防止膜は、透過損失が大きく減少されるという利点を提供する。付加的に、カメラを用いる応用例の場合、波長特異的な相応の反射防止膜によって、ライトモジュールによる固有眩惑(Eigenblendungen)を可及的に阻止することができる。かくして、カメラセンサの効率は向上する。
【0039】
LiDAR(light detection and ranging:光検出及び測距)、FIR(遠赤外線、15μm~1mmの長波長IR線)、SWIR(短波長赤外線、波長1.4μm~3μm)又はNIR(近赤外線、780nm~1400nmの波長)のようなセンサ技術を使用する場合、サイトディスクの反射防止膜は、有利には、雑音低減に寄与することができ、かくして、同様に、相応のセンサの効率は向上する。
【0040】
サイトディスクの内側も外側も反射防止膜を備えている場合、格別に効果的である。
【0041】
本発明に応じた一クリーニング装置においては、少なくとも1つの振動要素が超音波振動を生成するピエゾ素子である場合、格別に有利であり得る。
【0042】
超音波発生のために16kHz~200kHzの振動数で作動する圧電バイブレータ(圧電振動子)、即ち共振的に駆動されるピエゾアクチュエータは格別にコンパクトな構造という利点を提供するが、これは、とりわけ、投光装置ないし乗物投光装置のカバー部材に可及的に目立たないように固定(結合)されている可及的に小型に構成された振動要素ないしコンパクトな振動ユニットにおいて使用される場合、格別に重要である。そのようなピエゾアクチュエータないし圧電バイブレータの構造サイズは小さいため、これらは、直接カバー部材に組み込まれるためにも提供され、かくして、クリーニング装置の効率は―既述のとおり―更に向上することができる。
【0043】
本発明に応じた一クリーニング装置は、互いに対し離隔された2つ以上の振動要素がサイトディスクに結合されており、該2つ以上の振動要素が夫々制御装置によって活性化可能である場合、格別に効率的にクリーニングすることができる。
【0044】
クリーニングの課題に関する場所的な条件及び要求に応じ、複数の振動要素はサイトディスクの面にわたって分散配置されるか又は相互に離隔された部分(複数)においてサイトディスクに連結されることができる。そのために、サイトディスクの下方にあるセンサ又はカメラの光路には直接的に配されておらず、従ってセンサ又はカメラを妨げないサイトディスク上の又はサイトディスクに沿った振動要素(複数)の位置が選択されると目的に適う。
【0045】
本発明に応じた一クリーニング装置において、制御装置は、カメラと、及び/又は、センサ、好ましくは光学センサと協働する場合、格別に有利であり得る。
【0046】
クリーニング装置ないしその制御装置とサイトディスクの汚れを検出するカメラ及び/又はセンサとの信号による結合(接続)は、クリーニング装置が必要に応じ自動的に活性化するという利点を提供する。例えば、自動車の場合、例えば降雨又は降雪中における実際の気象条件によりサイトディスクのクリーニングが必要であるか否かについて、カメラによって検出することができる。
【0047】
本発明に応じた一クリーニング装置において、制御装置による少なくとも1つの振動要素の活性化は、使用地域及び天候に応じて、周期的に繰り返される活性化、手動による活性化、センサ信号を介した活性化、カメラ信号を介した活性化を含む群から選択される活性化スキームに従って実行される場合、目的に適い得る。
【0048】
例えば、少なくとも1つの振動要素の夫々制御装置による活性化のために以下のバリエーションが考えられる:
・周期的な繰り返し。定められた時間間隔で、少なくとも1つの振動要素は、所与の条件(水分、汚れ等)に応じて、活性化される。
・手動での活性化。例えば、乗物の場合、クリーニング装置の少なくとも1つの振動要素の活性化は、フロントウィンドウクリーニングの、「ワイパ」の活性化と組み合わせて実行可能である。制御装置は、そのために、フロントウィンドウクリーニングの信号を受信し、それに基づいて、クリーニング装置の振動要素は活性化される。
・乗物のフロントウィンドウ又は(投光装置の)カバー部材の雨センサによる振動要素の活性化。
・投光装置のカメラによるサイトディスクの汚れの検出。
【0049】
更に、本発明の枠内において、クリーニング装置の少なくとも1つの振動要素は制御装置によって種々異なる振動数及び/又は振幅及び/又はインターバル(時間間隔)及び/又は期間(持続時間)で活性化及び駆動されることができる。かくして、クリーニング装置は種々異なるクリーニングプログラムを利用することができ、そのため、可及的にその都度の個別のクリーニング目的に適合されることにより、クリーニング装置を備えたサイトディスクを可及的に効率的にクリーニングすることができる。例えば、サイトディスクのクリーニングは、乾燥した気候の場合、雨天時のクリーニング中よりも少なくとも1つの振動要素の振動の例えばより大きい振動数及び振幅で行われる場合、目的に適うことができる。例えば、降雨による湿った湿度の高い天候の場合、雨滴および水分を振い落すためのサイトディスクのクリーニングは、乾燥した天候の場合に適する場合よりも、1つ以上の振動要素の振動の比較的より小さい振動数及びより小さい振幅で行われる場合、十分であり得る。
【0050】
本発明に応じた一クリーニング装置において、少なくとも1つの振動要素に連結されたサイトディスクは交換可能である場合、格別に有利であり得る。
【0051】
サイトディスクは、例えば、交換可能モジュールとして支持遮光器又はフレームに結合(固定)され、必要な場合に簡単に交換されることができる。同様に、代替的一実施形態においては、サイトディスクが支持遮光器又はフレームと共に1つのモジュールを構成し、簡単かつコスト的に好都合に交換可能である場合、目的に適い得る。これは、例えば乗物に組み込まれておりかつ対応するサイトディスクによって外部に対し天候の影響から保護されている光学センサ又はカメラのような電子部品がサイトディスクの取り外しによって簡単に外部からアクセス可能であるという利点も提供する。従って、サイトディスクは、単独で又は取り外し可能な支持遮光器又はフレームと一緒に、その下方にある光学部品のための点検カバー部材及びメンテナンスカバー部材としても役立つ。
【0052】
迅速かつ確実な交換を保証するために、サイトディスクは、単独で又は支持遮光器の少なくとも一部分と一緒に、例えばクリックリリース式着脱機構又はバヨネット式着脱機構によって開放され(取り外され)、再び閉鎖される(嵌め込まれる)ことができる。この場合、相応のシール部材は、サイトディスクとそのフレームとの間のないしは、サイトディスクが例えば乗物投光装置の光学部材のカバー部材として組み込まれている場合、サイトディスクと例えば乗物投光装置の包囲ハウジングとの間の密封的に作用するシールを提供する。
【0053】
本発明の一発展形態では、一クリーニング装置において、サイトディスクは乗物のカバー部材の内部に配されることができ、該カバー部材は、以下の群:フロントウィンドウ、サイドウィンドウ、リアウィンドウ、投光装置(前照灯)カバー部材、光学レンズから選択される。
【0054】
クリーニング装置を備えたサイトディスクは、それ自体で見て、可及的に一様な特性を有し、より大きなカバー部材の内部の(1つの)モジュールを構成することができる。例えば、そのようなサイトディスクは乗物のフロントウィンドウ、サイドウィンドウ又はリアウィンドウの内部に配されるか又はそのようなウィンドウに組み込まれることができる。とりわけ支持遮光器がサイトディスクのフレームとして使用される場合、サイトディスクは格別に目立たない態様でその周囲を取り囲むカバー部材に組み込まれることができる。例えば、サイトディスクは、そのために、夫々のカバー部材の、例えばフロントウィンドウの、縁の着色(カラー)ストライプ(の領域)に配されることができる。
【0055】
同様に、クリーニング装置を備えたサイトディスクは、乗物の投光装置カバー部材に又は投光装置の光学レンズに組み込まれることができる。
【0056】
本発明に応じた一クリーニング装置の上記の利点(複数)は、クリーニング装置を備えた投光装置、とりわけ乗物投光装置(自動車前照灯等)にも同様に妥当する。本出願において、簡潔性のために、(1つの)クリーニング装置について夫々説明した。しかしながら、例えば格別に敏感な光学センサ又はカメラをカバーするための夫々1つのサイトディスクを備えた複数のクリーニング装置を有する投光装置も本発明に含まれることは勿論である。同様に、1つの又は複数の振動要素を備えた種々の実施形態もクリーニング装置の概念に含まれている。
【0057】
本発明の枠内において、更に、少なくとも1つのクリーニング装置を含む乗物が提供される。
【0058】
本発明の上記の利点(複数)及び作用(複数)は、本発明のクリーニング装置を有する1つの又は複数のサイトディスクを備えたそのような乗物についても同様に当て嵌まる。
【0059】
有利には、乗物投光装置に設けられている本発明に応じたクリーニング装置を備えたサイトディスクのクリーニングのために、外部の洗浄液及びそのために通常必要とされる液体タンク及び乗物投光装置のカバー部材に洗浄液を噴き付けるためのポンプ、供給ホース及び洗浄ノズルのような装置を不要とすることができる。
【0060】
本発明の更なる詳細、特徴及び利点は図面に模式的に記載された本発明の実施例(複数)についての以下の説明から明らかになる。なお、特許請求の範囲に付記した図面参照符号は専ら発明の理解を助けるためのものであり、本発明を図示の態様に限定することは意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【
図1】本発明に応じたクリーニング装置の一例を備えたサイトディスク(Sichtscheibe)を有する乗物投光装置(自動車前照灯等)の、斜め前方から見た等尺図。
【
図2】
図1に示したサイトディスクとこれに割り当てられたクリーニング装置の切断部分の、側方から見た部分断面図。
【
図3】サイトディスクとこれに割り当てられたクリーニング装置の
図2にマークした細部Aの、斜め上方から見た等尺図。
【
図4】クリーニング装置の一例と支持遮光器(Traegerblende)に固定されたサイトディスクの一例の、側方から見た断面図。
【
図5】本発明に応じたクリーニング装置の一例を有するサイトディスクを備えた乗物投光装置の平面図。付加的に、クリーニングのための複数の振動要素もカバー部材に組み込まれている。
【
図6】振動要素が組み込まれている振動ユニットを備えた、サイトディスクに固定されたクリーニング装置の一例の、斜め上方から見た等尺図。
【
図7】本発明に応じたクリーニング装置の一変形例とこれに割り当てられた制御システムの、側方から見た部分断面図。振動ユニットはサイトディスクに組み込まれている。
【
図8】本発明に応じたクリーニング装置の他の一変形例とこれに割り当てられた制御システムの、側方から見た部分断面図。
【実施例】
【0062】
以下に図面を詳細に説明する。
【0063】
図1は、本発明に応じたクリーニング装置の一例を備えたサイトディスク(Sichtscheibe)10が組み込まれているカバー部材2を有する乗物投光装置(自動車前照灯等)1の一例を示す。この図に記載された乗物投光装置1は、例えば透明なポリカーボネート(PC)又はポリメチルメタクリレート(PMMA)から製造されたカバー部材2を含む。カバー部材2は外側3を有する。カバー部材2の外側3は乗物投光装置1の組立状態において環境の影響に晒される。カバー部材2の内側4は、ハウジング6とカバー部材2によって形成される乗物投光装置1の内部空間5へ指向されている。
【0064】
図2は、
図1に示したサイトディスク10とこれに割り当てられたクリーニング装置20の一切断部分を示す。
【0065】
図3は、サイトディスク10とこれに割り当てられたクリーニング装置20の、
図2においてマークされた細部Aを示す。以下の図面の説明は
図2及び
図3の両図に等しく関係する。
【0066】
ここでは例えば乗物投光装置1に組み込まれているサイトディスク10のための本発明に応じたクリーニング装置20は、光学的に透明なサイトディスク10に加えて、サイトディスク10に連結(結合)された少なくとも1つの振動(バイブレーション)要素21を含む。振動要素21は、ここでは、サイトディスク10のフレーム(Einfassung)として役立つ支持遮光器15に取り付けられているか又は支持遮光器15に組み込まれていると目的に適合する。
【0067】
サイトディスク10は、ここでは例えばポリメチルメタクリレート(PMMA)から製造されており、外側11及び内側12を有する。サイトディスク10はその外側11に疎水性かつ防汚性被膜25を備えている。サイトディスクのための耐候手段として役立ち、防水性(疎水性)及び防油性(疎油性)に加工されている外側の防汚性被膜25として、ここでは、シリコーンハードコート膜が使用される。このシリコーンハードコート膜の膜厚は例えば8μm~12μmである。
【0068】
サイトディスク10の内側12には、防曇装置30が例えば曇り止め被膜31の形で配されている。サイトディスク10は、例えばその周囲にネジ山を有することができ、支持遮光器15に螺合可能に固定されることができる。この図示の実施例では、サイトディスク10は接着フィルム18によって支持遮光器15ないし振動要素21に固着されている。サイトディスク10と支持遮光器15のフレームとの間の中間シール部材16は、乗物投光装置のサイトディスク10によって保護された内部空間への湿気(水分)の不所望の侵入を妨げる。サイトディスク10の内側12における不所望の結露はこれによって可及的に阻止される。
【0069】
サイトディスク10の周方向において囲むように(全周に)配される振動要素21は、ここでは詳細には図示しない制御装置によって活性化(作動)されることができる。振動要素21は例えばピエゾ素子22ないし圧電バイブレータ(圧電振動子)22として構成される。圧電バイブレータ22は、16kHz~200kHzの振動数での超音波発生に役立つ共振的に駆動されるピエゾアクチュエータである。圧電バイブレータ22は、この実施例では、支持遮光器15のリング状切欠(溝)において固定(結合)される。接着剤18又は接着フィルム18によって、振動要素21はサイトディスク10の内側に固着される。支持遮光器15の内部における振動要素21の組み込みは、閉鎖されカプセル化された構造の利点をもたらす。振動要素21は、相応の制御装置によって活性化されるために、制御装置と電気的にコンタクト(接続)されればよい。
【0070】
支持遮光器15は、サイトディスク10及び支持遮光器15に組み込まれた振動要素21と共に、交換モジュールとして構成され、必要時に、簡単かつコスト的に好都合に交換されることができる。
【0071】
図4は、(断面において)側方から見た、クリーニング装置20の一例と支持遮光器15の一例に固定(結合)されたサイトディスク10の詳細を示す。図示の構造は
図2及び
図3についての上記の説明に実質的に対応する。
【0072】
サイトディスク10は、ここでは例えばポリメチルメタクリレート(PMMA)から製造され、外側11及び内側12を有する。サイトディスク10は、その外側11にシリコーンハードコート膜の形での疎水性かつ防汚性の被膜25を備えている。
【0073】
サイトディスク10の内側12には、ここでは電熱線33を有する加熱フィルム34の形での防曇装置30が配されている。防曇装置30は加熱要素32によって制御され、加熱要素32は中央制御装置40によって相応の信号ライン41を介して制御される。
【0074】
サイトディスク10は、接着フィルム18によって支持遮光器15ないし振動要素21に固着される。サイトディスク10と支持遮光器15のフレームとの間の中間シール部材16は、サイトディスク10によって保護され、例えばフォトセンサ42又はカメラ43が存在する内部空間への湿気(水分)の不所望の侵入を妨げる。サイトディスク10の内側12における不所望の結露はこれによって可及的に阻止される。
【0075】
サイトディスク10の周方向において囲むように(全周に)配される振動要素21は、制御装置40によって活性化(作動)されることができる。振動要素21は例えばピエゾ素子22ないし圧電バイブレータ(圧電振動子)22として構成される。制御装置40は、そのために、信号ライン41によって振動要素21に接続される。フォトセンサ42又はカメラ43によって、汚れ29は、例えばサイトディスク10の外側における汚物又は雨滴の形で検出される。従って、振動要素21の活性化は、カメラ43又はフォトセンサ42の信号の受信後に制御装置40によって行われる。センサ42は、例えば振動要素21ないしカメラ43の機能性の制御のために冗長的に作動することも可能である。
【0076】
図5は、本発明に応じたクリーニング装置20の一例を有するサイトディスク10を備えた乗物投光装置1の一例を示す。この場合、サイトディスク10はカバー部材2の内部に配されている。付加的に、この実施例では、更に、複数の振動要素21がクリーニングのためにカバー部材2に組み込まれている。カバー部材2は、ここでは同様に、その外側3に疎水性、防汚性被膜25を備えている。カバー部材2はその内側4に曇り止め被膜31を有する。個々の振動要素(複数)21は、信号ライン41によって詳細には説明しない制御装置に接続され、制御装置によって共通に(一緒に)活性化されることができる。そのため、この場合有利なことに、その後方ないしその下方にある敏感な光学センサ又はカメラの機能性を保証するために、そのために設けられたクリーニング装置20によって格別に徹底的にクリーニングされることができるのはサイトディスク10だけではない。付加的に、サイトディスク10を包囲しかつそれ自体既知の方法でその下方にある照明手段や投光装置のリフレクタやレンズのような光学部材を保護する乗物投光装置1のカバー部材2もクリーニング装置20によってクリーニングされることができる。振動要素(複数)21はサイトディスク10のクリーニングのためにもカバー部材2のクリーニングのためにも中央制御装置によって制御されることができ、目的に適う。サイトディスク10はその内側12に加熱要素と加熱フィルムを含む防曇装置を有する。この防曇装置は同様に中央制御装置によって調節及び制御されることができる。
【0077】
図6は、ハウジング24の内部において振動要素21が組み込まれている振動ユニット23を有し、サイトディスク10に結合されたクリーニング装置20の一例を示す。振動ユニット23は接着層18によってサイトディスク10の内側12に接着されている。ピエゾ素子22の形での振動要素21は、この場合、釣合い重りに結合されている。釣合い重りも、振動要素21もハウジング24の内部においてサイトディスク10に直接的に境を接している。そのため、振動ユニット23の振動は、格別に効率的に直接的かつ直にサイトディスク10に導入される。そのため、疎水性被膜25を備えたサイトディスク10の外側11に付着する汚れは、必要時に、圧電バイブレータ22の共振振動によって格別に効果的に振い落されることができる。
【0078】
同様に、乗物投光装置1のカバー部材2にも、例えば
図5に示されているように、そのような振動ユニット23をクリーニングのために配することができる。この場合、振動ユニット23は接着層18によってカバー部材2の内側4に接着される。
【0079】
図7は、本発明に応じたクリーニング装置20の一変形例とこれに割り当てられた制御システムを示す。この場合、振動ユニット23はサイトディスク10に組み込まれている。振動ユニット23は、この場合、サイトディスク10の凹部に埋設されている。(凹部の)空所は、次いで、振動ユニット23の埋設後、透明に(glasklar)硬化する接着剤18によって完全に充填された。
【0080】
サイトディスク10の後方には、例えばフォトセンサ42又はカメラ43が配される乗物投光装置1の保護された内部空間5が存在する。
【0081】
サイトディスク10に組み込まれた振動要素21は制御装置40によって活性化可能である。振動要素21は例えばピエゾ素子22としてないし圧電バイブレータ(圧電振動子)22として構成される。制御装置40は信号ライン41を介して振動要素21に接続される。フォトセンサ42又はカメラ43によって、汚れ29は、例えばサイトディスク10の外側における汚物又は雨滴の形で検出される。従って、振動要素21の活性化は、カメラ43又はフォトセンサ42の信号の受信後に制御装置40によって行われる。センサ42は、例えば振動要素21ないしカメラ43の機能性の制御のために冗長的に作動することも可能である。
【0082】
サイトディスク10の内側12には、防曇装置30がこの場合電熱線33を有する加熱フィルム34の形で配されている。防曇装置30は加熱要素32によって制御され、加熱要素32は同様に中央制御装置40によって相応の信号ラインを41を介して制御される。
【0083】
図8は、本発明に応じたクリーニング装置20とこれに割り当てられた制御システムの更なる代替的一変形例を示す。
【0084】
この実施例については、自動車投光装置(前照灯)1の一例の細部が示されているが、サイトディスク10は外側11に配された疎水性かつ防汚性被膜25を備えている。サイトディスク10の内側12には、ここでは、振動要素21を有する振動ユニット23は接着層18によって固定されている。内側12は、更に、例えば曇り止め被膜31の形での防曇装置30によって不所望の結露に対して保護されている。制御装置40は振動要素21の活性化のために役立つ。制御装置40は、そのために、信号ライン41を介して振動要素21ないし振動要素21に結合された運動センサ42に接続されている。投光装置1の内部空間5に配され、同様に信号ライン41によって制御装置40に接続されたカメラ43によって、汚れ29は例えばサイトディスク10の汚物又は雨滴の形で検出される。そのため、振動要素21の活性化(作動)は、カメラ43の信号の受信後に制御装置40によって実行される。運動センサ42は、ここでは、振動要素21の機能(性)の制御のために役立つ。
【0085】
カメラ43の代わりに又は付加的に、1つ以上のセンサ42、例えば光学センサ又は湿度センサも、少なくとも1つの振動要素21の活性化のために役立ち得る。この種のセンサ42、例えば雨センサは、そのために、サイトディスク10又はここでは不図示のカバー部材に直接的に固定(結合)されることができ、又はこれらに組み込まれている。乗物投光装置1の内部空間5において位置決めされており、汚れ自体が検出されかつ相応のカメラ信号が制御装置40へ送信された以降にその感度がプログラム可能なカメラ43は、汚れ29が局所的に生じた場合その機能を維持し続けるという利点を提供する。投光装置のカバー部材に結合(固定)される個々の小型センサは、カバー部材に局所的に生じたひどい汚れ29によってマスクされる(覆われる)ことがあり、その場合、場合によっては機能しなくなる。この理由から、センサ42によってかつカメラを使用することなくクリーニング装置20を活性化する場合、クリーニング装置20の冗長的な、可及的にフェイルセーフな(ausfallsicher)活性化を提供することは目的に適う。
【0086】
これは、例えば投光装置のサイトディスク10及び/又はカバー部材の複数の異なる位置に複数のセンサ42を設けることによって達成することができる。個々のセンサ42、とりわけ光学センサが局所的な汚れのために一時的に機能しない場合には、並列に接続された更なるセンサ42によって、サイトディスク10のためのクリーニング装置20の振動要素21は制御装置40によって活性化されることができる。
【0087】
本発明は以下の態様も可能である。
[付記1]とりわけ乗物のサイトディスクのためのクリーニング装置。
該クリーニング装置は、
・光学的に透明なサイトディスク、
・前記サイトディスクの外側に配された光学的に透明な疎水性防汚性被膜、
・前記サイトディスクに連結された少なくとも1つの振動要素、但し該少なくとも1つの振動要素は制御装置によって活性化可能である、及び、
・前記サイトディスクの内側に配された光学的に透明な防曇装置
を含む。
[付記2]上記のクリーニング装置において、前記少なくとも1つの振動要素は前記サイトディスクに固定されている。
[付記3]上記のクリーニング装置において、前記少なくとも1つの振動要素は、前記サイトディスクに固定された支持遮光器に連結されている。
[付記4]上記のクリーニング装置において、前記少なくとも1つの振動要素は前記支持遮光器に組み込まれている。
[付記5]上記のクリーニング装置において、前記少なくとも1つの振動要素はサイトディスク及び/又は支持遮光器と接合によって持続的に結合されている。
[付記6]上記のクリーニング装置において、前記光学的に透明な防曇装置は前記サイトディスクの前記内側に配された曇り止め被膜である。
[付記7]上記のクリーニング装置において、
前記光学的に透明な防曇装置は加熱フィルム及び/又は電熱線を有する加熱要素を含む。
前記加熱フィルム及び/又は前記電熱線は前記サイトディスクの前記内側に固定されているか又は少なくとも部分的に前記サイトディスクに組み込まれている。
[付記8]上記のクリーニング装置において、前記サイトディスクの前記外側及び/又は前記内側には反射防止膜が配されている。
[付記9]上記のクリーニング装置において、前記少なくとも1つの振動要素は超音波振動を生成するピエゾ素子である。
[付記10]上記のクリーニング装置において、
互いに対し離隔された2つ以上の振動要素が前記サイトディスクに連結されている。
前記2つ以上の振動要素は夫々制御装置によって活性化可能である。
[付記11]上記のクリーニング装置において、前記制御装置は、カメラと、及び/又は、センサ、好ましくは光学センサと協働する。
[付記12]上記のクリーニング装置において、前記制御装置による前記少なくとも1つの振動要素の活性化は、周期的に繰り返される活性化、手動による活性化、センサ信号を介した活性化、カメラ信号を介した活性化を含む群から選択される活性化スキームに従って実行される。
[付記13]上記のクリーニング装置において、前記少なくとも1つの振動要素に連結された前記サイトディスクは交換可能である。
[付記14]上記のクリーニング装置において、
前記サイトディスクは乗物のカバー部材の内部に配される。
前記カバー部材は、以下の群:フロントガラス、サイドウィンドウ、リアウィンドウ、投光装置カバー部材、光学レンズから選択される。
[付記15]上記の何れかのクリーニング装置を少なくとも1つ含む乗物。
【符号の説明】
【0088】
1 乗物投光装置
2 カバー部材
3 カバー部材の外側
4 カバー部材の内側
5 乗物投光装置の内部空間
6 乗物投光装置のハウジング
10 サイトディスク
11 サイトディスクの外側
12 サイトディスクの内側
15 サイトディスクの支持遮光器、フレーム
16 シール部材
18 接着物質、接着フィルム
20 クリーニング装置
21 振動要素
22 ピエゾ素子
23 振動ユニット
24 振動ユニットのハウジング
25 疎水性被膜
29 汚れ
30 防曇装置
31 曇り止め被膜
32 加熱要素
33 電熱線
34 加熱フィルム
40 制御装置
41 信号ライン
42 センサ
43 カメラ