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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-16
(45)【発行日】2024-08-26
(54)【発明の名称】SMT部品の浮動に対するバリア
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/34 20060101AFI20240819BHJP
   H05K 3/28 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
H05K3/34 502D
H05K3/28 B
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022565550
(86)(22)【出願日】2021-04-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-08
(86)【国際出願番号】 EP2021061288
(87)【国際公開番号】W WO2021219800
(87)【国際公開日】2021-11-04
【審査請求日】2022-10-26
(31)【優先権主張番号】20172361.6
(32)【優先日】2020-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】593045569
【氏名又は名称】ツェットカーヴェー グループ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】ハイデン、クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】シュピッツァー、ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】ライナー、クリストフ
【審査官】小南 奈都子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-029068(JP,U)
【文献】国際公開第2018/216646(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/168352(WO,A1)
【文献】特開2019-071427(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/34
H05K 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
SMD部品(1)を回路支持体(2)に位置安定的に半田付けするための方法であって、該方法は以下の工程:
a)半田ペースト(3)で被覆され、結合されるべきSMD部品(1)と電気的、熱的及び/又は機械的にコンタクトするよう構成された少なくとも1つの支持基板コンタクト面(2a)を含む回路支持体(2)を提供すること、但し、前記回路支持体(2)は、少なくとも前記支持基板コンタクト面(2a)の領域に、溶融した半田材料によって濡れ可能ではない充填された複数の貫通導通部(6)が貫通して設けられている;
b)前記回路支持体(2)に少なくとも1つの接着ポイント(4a、4b、4c、4d、4e)を、これらの接着ポイント(4a、4b、4c、4d、4e)が半田ペースト(3)で被覆された前記支持基板コンタクト面(2a)を該半田ペースト(3)の少なくとも1つの辺に割り当てられたエッジポイント(Ra、Rb)の付近に制限するよう、施すこと;
c)少なくとも1つの部品コンタクト面(1a)が前記支持基板コンタクト面(2a)とこれらの間にある半田ペースト(3)を介して電気的、熱的及び/又は機械的に接触するよう、前記少なくとも1つの部品コンタクト面(1a)を含むSMD部品(1)を半田ペースト(3)で被覆された前記支持基板コンタクト面(2a)上に載置すること、但しSMD部品(1)が少なくとも1つの接着ポイント(4a、4b、4c、4d、4e)と接触することなく半田ペースト(3)上に着座するように、SMD部品(1)の載置が実行され、かつ、工程b)における少なくとも1つの接着ポイント(4a、4b、4c、4d、4e)の位置が選択される
d)予め設定可能な期間tの間、前記少なくとも1つの接着ポイント(4a、4b、4c、4d、4e)の硬化プロセスの終了を待つこと;
e)前記SMD部品(1)の前記少なくとも1つの部品コンタクト面(1a)と前記回路支持体(2)の前記少なくとも1つの支持基板コンタクト面(2a)の間の電気的、熱的及び/又は機械的結合を形成するために前記半田ペースト(3)を加熱し、溶融し、その後、冷却すること、但し、前記少なくとも1つの接着ポイント(4a、4b、4c、4d、4e)を用いることによって、バリア(5)は、第1に、前記半田ペースト(3)の溶融状態において前記SMD部品(1)の垂直方向における沈み込みが可能にされ、第2に、溶融された前記半田ペースト(3)上における前記SMD部品(1)の水平方向における浮動が前記バリア(5)の方向において前記バリア(5)によって機械的に制限されるように、形成される、
を含むこと、
前記工程a)~e)は、この順で実行されること、
前記少なくとも1つの接着ポイント(4a、4b、4c、4d、4e)は球冠形状に構成されること
を特徴とする、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
工程a)において半田ペースト(3)で被覆された前記支持基板コンタクト面(2a)は、ソルダーレジスト膜(8)によって包囲されること、前記少なくとも1つの接着ポイント(4a、4b、4c、4d、4e)は、前記ソルダーレジスト膜(8)上に及び/又は前記支持基板コンタクト面(2a)の半田ペースト(3)で被覆されていない部分上に配置されること
を特徴とする、方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法において、
前記少なくとも1つの接着ポイント(4a、4b、4c、4d、4e)の高さ(h)は、非溶融状態にある半田ペースト(3)によって形成される半田ペースト層(3a)の高さ(h)の少なくとも40%、又は少なくとも60%、又は少なくとも100%であること、
前記バリア(5)は専ら前記少なくとも1つの接着ポイント(4a、4b、4c、4d、4e)自体によって形成されること
を特徴とする、方法。
【請求項4】
請求項1~3の何れかに記載の方法において、
少なくとも1つの第1接着ポイント(4a、4b、4c、4d、4e)はライン状のバリア(5)を形成するようライン状に伸展されること
を特徴とする、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、
第1接着ポイントに接触する少なくとも1つの第2接着ポイントが設けられること、
前記第2接着ポイントは、該第1接着ポイントと一緒になって前記SMD部品(1)を少なくとも部分的に包囲する実質的にL字状又はU字状の輪郭が形成されるように、ライン状に形成されること
を特徴とする、方法。
【請求項6】
請求項1~5の何れかに記載の方法において、
前記少なくとも1つの接着ポイント(4a、4b、4c、4d、4e)の高さ(h)は、少なくとも50マイクロメートル、又は少なくとも100マイクロメートルであること
を特徴とする、方法。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の方法において、
工程b)の後かつ工程d)の前に、少なくとも1つの制限体(7)が前記少なくとも1つの接着ポイント(4a)に載置され、前記バリア(5)は前記制限体(7)によって形成されること
を特徴とする、方法。
【請求項8】
請求項1~7の何れかに記載の方法において、
前記少なくとも1つの接着ポイント(4a、4b、4c、4d、4e)は熱硬化性材料から構成され、工程d)による前記少なくとも1つの接着ポイント(4a、4b、4c、4d、4e)の硬化は、前記回路支持体(2)を前記少なくとも1つの接着ポイント(4a、4b、4c、4d、4e)と一緒に温度上昇することによって行われること、
温度上昇は半田付けプロセスの進行中に行われること、
熱硬化のために必要な温度は半田材料の溶融温度未満であること
を特徴とする、方法。
【請求項9】
請求項1~8の何れかに記載の方法において、
接着材料は、接着剤体積が硬化中に最大で10%だけ減少するよう、選択されること
を特徴とする、方法。
【請求項10】
請求項1~8の何れかに記載の方法において、
接着材料は、熱硬化性に構成されており、及び、当該接着材料が工程d)に応じた硬化中の熱の供給下で延伸するよう選択されていること
を特徴とする、方法。
【請求項11】
請求項1~10の何れかに記載の方法において、
前記少なくとも1つの接着ポイント(4a、4b、4c、4d、4e)はディスペンサによって及び前記SMD部品(1)は自動装着装置によって配されること、
前記少なくとも1つの接着ポイント(4a、4b、4c、4d、4e)は工程b)において、当該少なくとも1つの接着ポイントが前記SMD部品(1)の目標位置の縁部領域に対する少なくとも1つの安全距離(s)を有するよう、位置決めされること、
この安全距離(s)は、前記ディスペンサ及び前記自動装着装置の位置決め公差、前記少なくとも1つの接着ポイント(4a、4b、4c、4d、4e)の寸法公差及び前記SMD部品(1)の部品公差の和から形成されること
を特徴とする、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法において、
前記SMD部品(1)は矩形の基底面(1c)を有し、及び、前記少なくとも1つの接着ポイント(4a、4b、4c、4d、4e)は、当該少なくとも1つの接着ポイント(4a、4b、4c、4d、4e)が工程b)における前記安全距離(s)の保持下での前記SMD部品(1)の装着後に前記矩形の基底面(1c)の1つの辺の直近に位置するよう、位置決めされること
を特徴とする、方法。
【請求項13】
請求項1~12の何れかに記載の方法において、
工程b)において、前記接着ポイント(4a、4b、4c、4d、4e)の個数は、前記SMD部品(1)の各辺及び/又は各角に丁度1つの接着ポイント(4a、4b、4c、4d、4e)が割り当てられるよう、選択されること
を特徴とする、方法。
【請求項14】
回路支持体の製造方法であって、
請求項1~13の何れかに記載の方法に応じてSMD部品(1)を回路支持体(2)に位置安定的に半田付けすること
を特徴とする、製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SMD部品を回路支持体に位置安定的に半田付けするための方法に関する。
【0002】
本発明は、更に、本発明の方法に応じて製造された回路支持体に関する。更に、本発明は、本発明に応じた回路支持体を含む自動車投光装置(前照灯)及び/又は制御装置にも関する。
【背景技術】
【0003】
SMD(表面実装)部品の位置安定的な半田付けを可能にするとされている方法は従来技術から既に知られている。例えば、半田付けされるべき電子部品が接着(剤)ポイントによって回路支持体に固定され、該接着ポイントが半田付けプロセスの開始前に硬化され、この方法で電子部品の浮動(ずれ)を妨げる方法がAT515071A1から知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】AT515071A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
原理的に、半田材料の体積は半田付けプロセス中にフラックスの蒸発によって減少することが知られている。この減少は例えば50%にまで至り得る。従って、電子部品がその位置において固定的に接着される場合、半田材料が収縮しても十分な量の半田材料が半田付け部位に存在することを保証(確保)するために、十分に過剰な半田材料が存在することが保証(確保)される必要がある。AT515071A1に記載されているように、半田付けされるべき部品が半田付けプロセスの前に既にその位置に固定される場合、半田材料の体積の減少は「オーバープリント(過剰塗布:ueberdrucken)」によって補償される。これ(オーバープリント)は、本来的なコンタクト部位についての溶融プロセスの際に過剰な半田材料が流れ込むことを可能にするために、本来的コンタクト部位を超えて突出する領域(複数)にこの過剰な半田材料を配することとして理解される。そうでなければ、半田結合は、より大きな介在気泡(エアギャップ)が存在するために、不十分であり得るか、又は、半田材料の不足のために、全面において導通するコンタクト(接触)は可能ではないであろう。
【0006】
更に、例えば、隣り合う部品(の配置)がこのオーバープリントを不可能にするため、或いは、既に半田材料層が回路基板レイアウト上に固定的に形成されており、回路支持体や半田材料層に変更を加えることとなく既存の回路基板レイアウトに専ら異なった寸法に形成された電子部品を装着することが望まれるため、そのようなオーバープリントが可能ではない状況(複数)が存在する。同時に、可及的に経済的な製造可能性が依然として保証されることが望まれている。
【0007】
それゆえ、本発明の課題は上記の問題に対する解決策を提供する方法を案出することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、本発明の第1の視点により、冒頭に掲げた種類の方法、即ち、SMD部品を回路支持体に位置安定的に半田付けするための方法であって、本発明に応じ以下の工程を含む方法によって解決される:
a)半田ペーストで被覆され、結合されるべきSMD部品と電気的、熱的及び/又は機械的にコンタクト(接触)するよう構成された少なくとも1つの支持基板コンタクト面を含む回路支持体を提供すること、但し、前記回路支持体は、少なくとも前記支持基板コンタクト面の領域に、溶融した半田材料によって濡れ可能ではない充填された複数の貫通導通部(Durchkontaktierung)が貫通して設けられている(該貫通導通部は例えば、例えば樹脂、とりわけエポキシ(樹脂)のような電気絶縁材料であり得るが、代替的に、例えば金属粒子で充填され、熱伝導性が高められたエポキシ(樹脂)のような、導電性材料又はそれらの組み合わせも使用可能であり、更に、セラミックスで充填されたエポキシ(樹脂)の使用も考えられる);
b)前記回路支持体に少なくとも1つの接着(剤)ポイントを、これらの接着ポイントが半田ペーストで被覆された前記支持基板コンタクト面を該半田ペーストの少なくとも1つの辺(側部)に割り当てられたエッジ(縁部)ポイントの付近に制限するよう、施すこと;
c)少なくとも1つの部品コンタクト面が前記支持基板コンタクト面とこれらの間にある半田ペーストを介して電気的、熱的及び/又は機械的に接触(コンタクト)するよう、前記少なくとも1つの部品コンタクト面を含むSMD部品を半田ペーストで被覆された前記支持基板コンタクト面上に載置すること、但しSMD部品が少なくとも1つの接着ポイントと接触することなく半田ペースト上に着座するように、SMD部品の載置が実行され、かつ、工程b)における少なくとも1つの接着ポイントの位置が選択される
d)予め設定可能な期間tの間、場合により予め設定可能な温度Tで、前記少なくとも1つの接着ポイントの硬化プロセスの終了を待つこと;
e)前記SMD部品の前記少なくとも1つの部品コンタクト面と前記回路支持体の前記少なくとも1つの支持基板コンタクト面の間の電気的、熱的及び/又は機械的結合を形成するために前記半田ペーストを加熱し、溶融し、その後、冷却すること、但し、前記少なくとも1つの接着ポイントを用いることによって、バリアは、第1に、前記半田ペーストの溶融状態において前記SMD部品の垂直(上下)方向における沈み込みが可能にされ、第2に、溶融された前記半田ペースト上における前記SMD部品の水平方向における浮動が前記バリアの方向において前記バリアによって機械的に制限されるように、形成される、
前記工程a)~e)は、この順で実行される、
該方法においては、更に、前記少なくとも1つの接着ポイントは球冠形状に構成される(形態1)。
更に、上記の課題は、本発明の第2の視点により、回路支持体の製造方法であって、本発明の方法に応じてSMD部品を回路支持体に位置安定的に半田付けすることを特徴とする、製造方法によって解決される(形態14)。

【発明を実施するための形態】
【0009】
ここに、本発明の好ましい形態を示す。
(形態1)上記本発明の第1の視点参照。
(形態2)形態1の方法において、
工程a)において半田ペーストで被覆された前記支持基板コンタクト面は、ソルダーレジスト膜によって包囲されること、前記少なくとも1つの接着ポイントは、前記ソルダーレジスト膜上に及び/又は前記支持基板コンタクト面の半田ペーストで被覆されていない部分上に配置されることが好ましい。
(形態3)形態1又は2の方法において、
前記少なくとも1つの接着ポイントの高さは、非溶融状態にある半田ペーストによって形成される半田ペースト層の高さの少なくとも40%、は少なくとも60%、又は少なくとも100%であること、
前記バリアは専ら前記少なくとも1つの接着ポイント自体によって形成されることが好ましい
形態)形態1~の何れかの方法において、
少なくとも1つの第1接着ポイントはライン状のバリアを形成するようライン状に伸展されることが好ましい。
(形態)形態の方法において、
第1接着ポイントに接触する少なくとも1つの第2接着ポイントが設けられること、
前記第2接着ポイントは、該第1接着ポイントと一緒になって前記SMD部品を少なくとも部分的に包囲する実質的にL字状又はU字状の輪郭が形成されるように、ライン状に形成されることが好ましい。
(形態)形態1~の何れかの方法において、
前記少なくとも1つの接着ポイントの高さ、少なくとも50マイクロメートル、又は少なくとも100マイクロメートルであることが好ましい。
(形態)形態1又は2の方法において、
工程b)の後かつ工程d)の前に、少なくとも1つの制限体が前記少なくとも1つの接着ポイントに載置され、前記バリアは前記制限体によって形成されることが好ましい。
(形態)形態1~の何れかの方法において、
前記少なくとも1つの接着ポイントは熱硬化性材料から構成され、工程d)による前記少なくとも1つの接着ポイントの硬化は、前記回路支持体を前記少なくとも1つの接着ポイントと一緒に温度上昇することによって行われること、
温度上昇は半田付けプロセスの進行中に行われること、
熱硬化のために必要な温度は半田材料の溶融温度未満であることが好ましい。
(形態)形態1~の何れかの方法において、
接着材料は、接着剤体積が硬化中に最大で10%だけ減少するよう、選択されることが好ましい。
(形態10)形態1~の何れかの方法において、
接着材料は、熱硬化性に構成されており、及び、当該接着材料が工程d)に応じた硬化中の熱の供給下で延伸するよう選択されていることが好ましい。
(形態11)形態1~10の何れかの方法において、
前記少なくとも1つの接着ポイントはディスペンサによって及び前記SMD部品は自動装着装置によって配されること、
前記少なくとも1つの接着ポイントは工程b)において、当該少なくとも1つの接着ポイントが前記SMD部品の目標位置の縁部領域に対する少なくとも1つの安全距離を有するよう、位置決めされること、
この安全距離は、前記ディスペンサ及び前記自動装着装置の位置決め公差、前記少なくとも1つの接着ポイントの寸法公差及び前記SMD部品の部品公差の和から形成されることが好ましい。
(形態12)形態11の方法において、
前記SMD部品は矩形の基底面を有し、及び、前記少なくとも1つの接着ポイントは、当該少なくとも1つの接着ポイントが工程b)における前記安全距離の保持下での前記SMD部品の装着後に前記矩形の基底面の1つの辺の直近に位置するよう、位置決めされることが好ましい。
(形態13)形態1~12の何れかの方法において、
工程b)において、前記接着ポイントの個数は、前記SMD部品の各辺及び/又は各角に丁度1つの接着ポイントが割り当てられるよう、選択されることが好ましい。
(形態14)上記本発明の第2の視点参照。
【0010】
一水平面におけるSMD部品の位置を一方では持続的に固定しかつ該部品の浮動(Verschwimmen)を阻止すること、及び、同時に回路支持体を基準とした該部品の沈み込みを可能にすること、それにより、ボイド(ないし気泡:Void)が殆ど無い一様な(均質な)半田付け部位を可能にすることが、本発明の方法によって可能になる。本発明においては、接着ポイントは―AT515071A1の場合とは異なり―SMD部品の絶対的な固定のためには使用されず、一水平面の内部におけるSMD部品の位置ないし運動性の制限のために使用される。本発明は、更に、半田材料によって濡れ可能ではない(非濡れ性の)複数の貫通導通部(Durchkontaktierungen)の存在(とりわけ半田付けされるべきコンタクト面に関し非対称的に配置された複数の貫通導通部の存在)は半田付けプロセス中のSMD部品の不都合な浮動を強く助長するないし浮動の程度を顕著に大きくするという発見を利用している(基づいている)。幾つかの状況においては、僅かな浮き(Einschwimmen)は許容可能であろうが、程度がより大きい浮動(Verschwimmen)は問題である。本書において、「浮き(Einschwimmen)」と「浮動(Verschwimmen)」という概念は以下のように理解される。用語「浮き(Einschwimmen)」は、非臨界的な(重大でない)範囲内での、即ち、半田結合の機能性が損なわれずかつ目標位置からのずれが後続のAOI(automated optical inspection:自動光学検査)の際に(疑似)エラーを生じさせない程に十分に小さい程度での、液状(流体状)の半田上における部品の運動として理解される。「浮動(Verschwimmen)」という概念は、例えば半田結合のあり得る損傷をもたらし及び/又は目標位置からのずれが場合により行われるAOIの際に(疑似)エラーが検出されるほど大きいがために、その程度に問題がある浮動運動として理解される。制限部(Begrenzung)としての接着ポイントの設置は技術的及び経済的難点と結びついているため、接着ポイントは、その使用が経済的に正当化される場所に使用されることが望まれる。それゆえ、接着ポイントは、そのような貫通導通部が関係している部品において目標を定めて(目的に適合するよう)使用される。ここで、貫通導通部(ビアとも称される)としては、とりわけ5型(Typ 5)のビアが考慮の対象となるが、この場合、貫通導通部は、支持基板に埋め込まれ、例えば樹脂が充填される銅スリーブによって構成されている。この場合、熱伝導は実質的に銅スリーブを介して行われる。充填されているため、半田(材料)はビアの内部に侵入できず、ないしはビアは濡れ可能ではない(非濡れ性である)。そのため、半田(付け)プロセス中に、浮動(位置ずれ)を助長する力が部品に作用し得る。このことは、とりわけ半田付けされるべき部品に対しビアが非対称的に配置されている場合に、当て嵌まる。
【0011】
用語「水平」は、支持基板コンタクト面によって形成される面に対し平行に配向される方向を意味する。工程e)の後に、更に、装着が行われた回路支持体の冷却及び取出しを含む工程f)を設けることも可能である。用語「SMD部品」は、回路支持体の表面に固定され(てい)る、即ち、「スルーホール」技術が用いられていない各部品として理解される。SMD部品は、例えばトップコンタクト接合(Top-Contack Bonding)によっても回路基板と電気的に接続されることができる。
【0012】
原理的に、バリアを形成するために少なくとも1つの接着ポイントが設けられる。これは、例えば部品が1つの方向においてのみ回転又はドリフトすることが確認できる状況においては充分であり得る。ここで、部品の回転方向ないしドリフト方向に対し反対方向に作用する接着ポイントは1つで充分である。残りの位置決めについては、場合によっては、(複数の)部品ピン(Bauteilpins)が対応し得る。尤も、2つ以上の接着ポイントを備えることも勿論可能である。接着ポイントの個数は任意に選択可能である。本発明において「少なくとも1つの接着ポイント」に関して言及されている特徴は全て―別段の定めがない限り―2つ以上の接着ポイントにも適用可能である。
【0013】
貫通導通部は、例えば5型(Typ 5)ビアないしV型(Typ V)-ビアであり得る。これは、熱抵抗を最小化するために、回路基板パッド(Pad)の領域に明白に含まれていることが極めて多い。とりわけ支持基板コンタクト面に関し非対称的に配置された貫通導通部(複数)の存在は浮動を助長する。そのため、そのような非対称的に配置された貫通導通部が存在する場合にバリアを設けることは格別に好適であることが(本発明によって)判明した。
【0014】
とりわけ、工程a)において半田ペーストで被覆された支持基板コンタクト面はソルダーレジスト膜(Loetstopplackschicht)によって包囲され、少なくとも1つの接着ポイントはソルダーレジスト膜上に及び/又は支持基板コンタクト面の半田ペーストで被覆されていない部分上に配置されることが可能である。接着剤は、格別に良好にソルダーレジスト膜に接着(付着)するよう、適合化されることができる。更に、この方法で、接着剤が半田材料と接触する(コンタクトする)ことが阻止される。代替的に―既述のように―接着ポイントは、(回路基板)パッド(即ち回路基板コンタクト面)上に孤立的に(単独で)使用されること又はパッド及び/又は回路基板のソルダーレジスト膜上に同時に施される(塗布される)ことも可能である。パッド上における半田ペーストの重ね塗布(Ueberlappung)も―望ましくない場合であっても―状況に応じて許容可能である。
【0015】
更に、少なくとも1つの接着ポイントの高さは、非溶融状態にある半田ペーストによって形成される半田ペースト層(半田ペースト積着部)の高さの少なくとも40%、好ましくは少なくとも60%、格別に好ましくは少なくとも100%であり、バリアは専ら少なくとも1つの接着ポイント自体によって形成されることが可能である。これにより、制限部は、追加の部材をそのために要することなく、接着ポイント自体によって既に形成されることができる。尤も、接着ポイントの高さは、確保(保護)されるべき部品が浮動の際に接着ポイントに衝突するよう、好都合な方法で選択される。この場合、半田(付け)プロセスによって半田がその体積の凡そ50%を失うことを考慮することができる。チップ(Chip)部品、例えばオーム抵抗器では、ペーストは例えば120μmの高さで塗布されることができる。
【0016】
とりわけ、少なくとも1つの接着ポイントは球冠(部分球)形状に(kugelkalottenfoermig)構成されることができる。この形状は、一方では、使用される接着剤の表面張力によって及び使用される方法によっても決定されることができる。例えば、いわゆる「ジェット(Jet)ディスペンサ」が使用可能である。そのような「ジェットディスペンサ」は、回路基板に衝突する際の噴射された接着剤「パーティクル」の変形によって大抵は球冠(部分球)に類似する形状を有する接着ポイントを与える。この方法の使用を使用することにより、これらの個別(接着)ポイントによって他の幾何学的形状、例えばいわゆる数珠繋ぎ状接着(剤)ビーズ(Kleberaupe)を形成することも可能である。勿論、接着剤を連続的に放出するいわゆるボリューム(vplumetrisch)ディスペンサも存在する。これは、接着剤のライン又は(ラインに)類似する幾何学的形状を生成するために使用可能である。
【0017】
更に、少なくとも1つの第1接着ポイントはライン状のバリアを形成するようライン状に伸展されることが可能である。これには、数珠繋ぎ状接着ビーズも接着ラインも含まれている。
【0018】
とりわけ、好ましくは第1接着ポイントに接触(コンタクト)する少なくとも1つの第2接着ポイントが設けられ、第2接着ポイントは、該第1接着ポイントと一緒になってSMD部品を少なくとも部分的に包囲する実質的にL字状又はU字(コ字)状の輪郭が形成されるように、ライン状に形成されることが可能である。これにより、固定されるべき部品の更なる一方向への浮動を殆ど阻止することができる。
【0019】
更に、少なくとも1つの接着ポイントの高さは、少なくとも50マイクロメートル、好ましくは少なくとも100マイクロメートルであることが可能である。
【0020】
とりわけ、工程b)の後かつ工程d)の前に、少なくとも1つの制限体が少なくとも1つの接着ポイントに載置され、バリアは該制限体によって形成されることが可能である。制限体を使用することにより、バリアを固定されるべきSMD部品のきわのより近くに移す(設ける)ことができる。更に、制限体の幾何学的形状はSMD部品の形状に目標を定めて(適切に)適合化されることができる。制限体は、例えばU字(コ字)状又はL字状とすることができ、或いは、直線的形状を有することも可能である。その際、ポリマないしプラスチック又はセラミックス及び金属からなる形状部材(Formen)が使用可能である。ポリマ又はセラミックスからなる形状部材の使用は経済的な利点を有する。使用される制限体の材料の融点は半田付けプロセスの最大温度を超えるべきであろうが、その表面は、接着剤が接着(付着)し続けるように(形状)形成される必要がある。
【0021】
更に、少なくとも1つの接着ポイントは熱硬化性材料から構成され、工程d)による少なくとも1つの接着ポイントの硬化は、回路支持体を少なくとも1つの接着ポイントと一緒に温度上昇することによって行われ、この温度上昇は例えばリフロー・半田付けプロセスの進行中に行われ、熱硬化のために必要な温度は半田材料の溶融温度(融点)未満であることが可能である。
【0022】
とりわけ、接着材料(接着剤の材料)は、接着剤体積が硬化中に最大で10%だけ減少するよう、選択されることが可能である。
【0023】
更に、接着材料は、熱硬化性に構成されており、及び、当該接着材料が工程d)に応じた硬化中の熱の供給下で延伸(伸展)するよう選択されることが可能である。延伸する材料の一利点は、球冠とは異なり、高さが小さな勾配で連続的に増大するのではなく、部品が滑りながら乗り上げることを困難にするより急勾配の制限(境界)の形状を有することである。液状(流体状)接着物質のほか、他の接着物質も使用可能であろう。例えば、以下の特性を有しディスペンス可能なペースト状の接着材料が使用可能である:耐熱性、熱供給による体積の増大、ソルダーレジスト膜に付着(接着)すること、及び、半田の溶融温度に到達する前に殆ど硬化すること。ここで、例えば、ポリウレタン系フォーム又はシリコーン(樹脂)も使用可能である。これの背景をなす思想は、そのような材料からなるディスペンスされた(接着)ポイントは加熱の際に延伸(伸展)し、そのため、側方へも上方へも広がるバリアを形成し、かくして、部品は、この形態のバリアを克服する(乗り上げる)ことが、通常は最大高さに至るまで殆ど連続的な上り勾配を有する接着ポイントの場合よりも、遥かにより困難にしかできないということである。
【0024】
とりわけ、少なくとも1つの接着ポイントはディスペンサによって及びSMD部品は自動装着装置(Bestueckungsautomaten)によって配され、少なくとも1つの接着ポイントは工程b)において、当該少なくとも1つの接着ポイントがSMD部品の目標位置の縁部(エッジ)領域に対する少なくとも1つの安全距離を有するよう、位置決めされ、この安全距離は、ディスペンサ及び自動装着装置の位置決め公差、少なくとも1つの接着ポイントの寸法公差及びSMD部品の部品公差の和から形成され、例えば少なくとも50マイクロメートルであることが可能である。目下のところ、SMD部品に対する接着ポイントの安全距離は少なくとも50マイクロメートルであり、例えば最大で300マイクロメートルである。既述のように、部品公差(複数)は一緒に考慮されるべきであろう、即ち、部品の何れもが同じ大きさであるというわけではない。例えば、メーカーの使用に対する部品寸法の差が+/-0.1mmとなることがあり得る。
【0025】
更に、SMD部品は矩形の基底面を有し、及び、少なくとも1つの接着ポイントは、当該少なくとも1つの接着ポイントが工程b)における安全距離の保持下でのSMD部品の装着後に矩形の基底面の1つの辺(一側部)の直近に位置するよう、位置決めされることが可能である。ここで、「1つの辺の直近に(in unmittelbarer Naehe zu einer Seite)」という語句は、最小の距離、例えば50マイクロメートル、のみが存在することを意味する。更に、矩形の基底面の角(コーナー)に対する距離も選択可能であろう。接着ポイントの個数は、SMD部品の各辺及び/又は各角(コーナー)に丁度1つの接着ポイントが割り当てられるよう、選択可能である。これによって、部品の浮動は全ての方向において制限される。ここで、用語「矩形の基底面」は必ずしも正確に矩形の形状として理解されるべきではない―角(コーナー)は平坦化(面取り)又は丸み付け(隅丸化)されること又は部品ピンがこの基底面を越えて外部に到達すること(これは例えばLFPAK/SOT669構造体に当てはまる)も勿論可能である。
【0026】
更に、本発明は、本発明の方法に応じて製造された回路支持体に関する。更に、本発明は、本発明の回路支持体を含む自動車投光装置(前照灯)にも関し得る。
【0027】
換言すれば、本発明は以下のようにも記述されることができる:
【0028】
Powerflat 5×6又はLFPAK/SOT669、更にはTO-277Aのような特定のSMT構造体は1つの辺(一側部)に幾つかの(個別の)小さな部品ピン(ないし接続ピン;例えばNチャネルMOSFETの場合:ゲートとソース)を有し、他方、パッケージ下面の大部分は大きな、大抵は全体的なサーマルパッドから構成されている(例えばNチャネルMOSFETの場合:ドレイン)。部品は、典型的には、極めて正確に半田ペースト層(積着部)上に装着されるが(<50μmの精度)、最適未満の(suboptimal)フットプリントサイズ、ビア技術又は仕上げ(Finish)のような要因のために、サーマルパッドを備えたこれらの部品がリフロープロセス中に浮動すること、即ち、部品パッドと回路基板パッドの間の重なり状態が最早理想的には与えられないことが起こり得る。これにより、自動光学回路基板検査(AOI)の場合、しばしば誤り(エラー)検出(Fehlerkennungen)がなされる(ここでは疑似エラー(Pseudofehlern)のことをいう。部品は(大抵は)機能するが、位置のずれはAOIについて許容可能であるより大きい)。なぜなら、部品は許される許容値より大きくその位置からずれ、最悪の場合には半田部位が不良に形成されるからである。原理的に既に長い間業界標準であった簡単な一方策は、部品がリフロー時に浮動しないようにするために、例えばハウジングエッジ(縁部)に沿って2又は4点において、SMT接着剤で接着することであろう。部品の直接的な接着は以下のように機能する(行われる):まず、ペースト層がプリントされ、次に、接着ポイント(複数)が、次に行われる部品の装着時に例えばそのエッジ(縁部)が接着剤中に位置するようになるように、ペースト層の近傍に塗布される。次に、装着された構造体群がリフローオーブン内へ投入されると、最初に、接着剤が、通常は半田ペーストが溶融する相当以前に、硬化される。かくして、部品はその極めて正確な装着位置において保持され、最早、液状(流体状)の半田(材料)上において浮動することができない。しかしながら、この既知の方法の欠点は、存在する半田ギャップ(Lotspalt)のために必要な半田量である:小さな部品がペースト上に(2~6Nの通常の力で)装着されると、この部品は容易にペースト層内へ押し込まれ、例えば50~100μmの高さの所に位置する;ここの場合のようにより大きな部品の場合、ペーストはそれに応じてより弱く押し潰され、該部品はステンシル厚み(Schablonendicke)(100μm~150μm)の範囲の高さの所に位置する。リフロー時、半田ペーストは溶融し、半田付け部位においてスズ成分のみが残留するため、その体積の凡そ50%を喪失する。そのため、接着剤固定がなければ、部品は―冒頭において既に述べたように―初期高さから下方へと沈み込み、遥かにより低い半田ギャップが生じることになる。部品の接着剤固定によって、ペースト量が同じ場合、例えば横方向(ラテラル方向)への、半田付け(領域)は縮小しなければならないであろう。これは、従来は、より多くのペーストがパッドの横の側部に塗布され、リフロー時に溶融した半田が流入溝(Einlaufschleusen)を介して部品の下方に流入することによって、補償されていた(例えばEP 323 3345 A1参照)。それ故、半田ペーストで被覆された比較的大きな支持基板コンタクト面を有する構造体のために及び従って(半田付け時にフラックスの気化のために必要な)半田ペーストのセグメント化のためにも、相対的に多くの側部オーバープリント(過剰塗布)が必要であった。これらの対策は全て回路基板の設計時に既に対処されていなければならず、製品ライフサイクルのより遅い段階では(例えば半田ギャップ高さが変更されるため)大掛かりな変更処理(Change-Prozess)又は再検証(Neuvalidierung)なしには最早行うことはできなかった。
【0029】
本発明は、今や、SMD部品の接着剤固定を放棄し、及び、その中又はその近傍に位置付けられた特定の部品についての半田付けプロセス中の浮動を阻止するバリア(障害物)を回路基板上に形成することを可能にする。更に、部品は、接着剤の塗布の際に、接着剤と接触せず、従って、あたかも接着されていないかのように、半田ギャップ(Lotspalt)を形成することになる。従来技術とは異なり、ここでは、半田付けプロセス中の部品の浮動は、直接の接着によって阻止されるのではなく、部品のぎりぎり直ぐ隣(直近)にある位置安定的かつ形状安定的な接着ポイント又はその上に装着される要素がリフロー中の浮動バリア(浮動阻止障害物)として作動することによって阻止される。
【0030】
以下の経過(フロー)はSMT製造プロセス中に生じ得る:
-ペースト塗布後、SMT接着ポイント(複数)が仮想の部品エッジ(縁部)のぎりぎり直ぐ隣(直近)に位置付けられる:
-次に、部品は、接着剤に接触することなく、自動装着装置(Bestueckautomaten)によって装着される;
-次に、実施態様に応じて、2つの可能性が存在する
・バリエーションA:接着ポイント(複数)自体が後にバリアを形成する;これによって、装着工程は終了する
・バリエーションB:追加のバリア要素がこの工程において部品の隣(近傍)において接着ポイント上に装着される
-接着ポイントはリフローオーブン内で急速に硬化し、その位置に留まり、それから漸く、半田は部品の下方において溶融開始する;
-部品は液状(流体状)半田上で浮き始めるが、浮動は、既に硬化された接着ポイント(バージョンA)又は接着剤によって固定されたバリア要素(バージョンB)によって(殆ど)阻止される;
-生じる部品の位置ずれはバリアがない場合よりも遥かにより小さい。
【0031】
部品は、(位置ずれ)阻止されなければ、数100μm浮動し得る(及びそのため許されるAOI許容範囲外に位置するであろう)が、本方法によって、浮動は容認可能な程度にまで低減されることができる(例えば100~200μm)。
【0032】
本発明は、以下において、図面に示された例示的かつ非限定的な実施例を用いてより詳細に説明される。なお、特許請求の範囲に付記した図面参照符号は専ら発明の理解を助けるためのものであり、本発明を図示の態様に限定することは意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】(a)従来技術に応じた回路支持体とその上に固定されるべきSMD部品の一部分の模式図。(b)図1(a)に応じた浮動して固定されたSMD部品。
図2】(a)半田付けされていない状態にある本発明に応じた一実施形態の断面図。(b)半田付けされた状態にある図2(a)に対応する断面図。(c)図2(b)の一細部。(d)図2(b)の更なる一細部。同図においては、SMD部品はバリアに衝突し、該バリアによってその位置が保持される様子が見出される。
図3】(a)本発明に応じた接着ポイントの構成の一バリエーション。(b)本発明に応じた接着ポイントの構成の更なる一バリエーション。(c)本発明に応じた接着ポイントの構成の他の一バリエーション。(d)本発明に応じた接着ポイントの構成の更に他の一バリエーション。
図4】(a)本発明に応じた制限体の構造の一バリエーション。(b)本発明に応じた制限体の構造の更なる一バリエーション。(c)本発明に応じた制限体の構造の他の一バリエーション。
【実施例
【0034】
以下に図面においては、別段の定めがない限り、同じ図面参照符号は同じ特徴を示す。
【0035】
図1(a)は、従来技術による、回路支持体2の一部分と該回路支持体2上に固定されるべきSMD部品1の一例を模式的に示す。図1(b)から見出すことができるように、部品1は、半田付けプロセス中に、図1に不図示の半田層(Loetdepot)3上で浮動しており、この浮動した最終位置において堅固に半田付けされている。
【0036】
図2(a)は、半田付けされていない状態における本発明に応じた一実施形態の一断面図を示す。同図には、本発明に応じた方法が実行される配置(構造)が示されている。本発明は、回路支持体2にSMD部品1を位置安定的に半田付けするための一方法に関し、図示の実施例において以下の工程a)~e)を含む。
【0037】
a)半田ペースト3で被覆され、結合されるべきSMD部品1と電気的、熱的及び/又は機械的にコンタクト(接触)するよう構成されている少なくとも1つの支持基板コンタクト面2aを含む回路支持体2を提供すること。回路支持体2は、少なくとも支持基板コンタクト面2aの領域に、溶融した半田材料による濡れが可能ではない充填された複数の貫通導通部(Durchkontaktierung)6が貫通して設けられている。これらの個数は原理的に変更可能であり、特定の値に限定されていない。
【0038】
b)回路支持体2に―この実施例では―2つの接着ポイント4a及び4bを、これらの接着ポイント4a及び4bが半田ペースト3で被覆された支持基板コンタクト面2aを半田ペースト3の夫々1つの辺に割り当てられたエッジポイントRaないしRbの付近に制限する(begrenzen)よう、塗布する(配設する)こと。ここで、エッジポイントは、半田ペースト3の1つの辺(側部)ないしその上方にあるSMD部品1の1つの辺(側部)に割り当てられたポイントとして理解される。また、用語「制限する(begrenzen)」は「狭く制限する(Eingrenzen)」として理解される。これは、エッジポイントが塗布中に接着ポイント4aないし4bによって接触されることを意味しない。反対に、以下において更に説明されるように、SMD部品1に対する最小距離が形成される。用語「制限する(begrenzen)」はSMD部品1の浮動(ずれ)現象を制限することを考慮しており、エッジポイント(複数)、とりわけRa及びRbは、夫々、例えば浮動現象の際にバリア(障害物)5ないし接着ポイント4aないし4bに突き当たる部品1の露出したエッジ(縁部)ないし突出部における(1つの)ポイントを表す。
【0039】
c)少なくとも1つの部品コンタクト面1aが支持基板コンタクト面2aとこれらの間にある半田ペースト3を介して電気的、熱的及び/又は機械的に接触するよう、該少なくとも1つの部品コンタクト面1aを含むSMD部品1を半田ペースト3で被覆された支持基板コンタクト面2a上に載置すること。ここで、SMD部品1が接着ポイント4a及び4bと接触することなく半田ペースト3上に静置される(着座する)ように、載置が実行され、かつ、工程b)における接着ポイント4a及び4bの位置が選択される。
【0040】
d)予め設定可能な期間tの、例えば1分間の2つの接着ポイント4a及び4bの硬化プロセスの終了を待つこと(より正確に言えば、このプロセスは温度に応じて例えば1~5分間持続する-典型的なリフローでは初期の150℃以下のプラトー期(Plateauphase)では、このプロセスは凡そ90~120秒間持続する)。
【0041】
e)SMD部品1の少なくとも1つの部品コンタクト面1aと回路支持体2の少なくとも1つの支持基板コンタクト面2aの間の電気的、熱的及び/又は機械的結合を形成(作製)するために半田ペースト3を加熱し、溶融し、その後、冷却すること。図2(b)においては既に硬化されている状態で示されている接着ポイント4a及び4bを用いることによって、バリア5は、第1に、半田ペースト3の溶融状態においてSMD部品1の垂直(上下)方向における沈み込みが可能にされ、第2に、溶融された半田ペースト3上におけるSMD部品1の水平方向における浮動がバリア5の方向においてバリア5によって機械的に制限されるように、形成される。バリア5は、この場合、接着ポイント4a及び4bの両者が共同で構成する。
【0042】
図2(c)は図2(b)の一細部を示す。同図において、今や硬化された半田材料3の分布が貫通導通部6の影響によって変化された様子を見出すことができる:具体的には、貫通導通部が同様にSMD部品1のコンタクト部のエッジ(縁部)領域に存在し、かつ、貫通導通部が半田材料3で濡れ可能でない(非濡れ性である)ことによって、半田材料3はSMD部品1の下方に位置する領域へと後退(縮退)している。この「後退(Zurueckziehen)」は、SMD部品1に対し、該部品1の浮動を助長する機械的な力(複数)を生じさせる。浮動は必ずしも生じないが、生じた場合には、部品1はその位置に留まらない。これに対し、図2(d)は、部品1がバリア5に突き当たり、バリア5によってその位置に保持される状況を示す。
【0043】
図2(a)及び図2(b)には、工程a)において半田ペースト3で被覆された支持基板コンタクト面2aがソルダーレジスト膜8によって包囲されており、2つの接着ポイント4a及び4bがソルダーレジスト膜8上に配置されていることが見出される。尤も、接着ポイント(複数)は必ずしもソルダーレジスト膜上に位置付けられている必要はなく、例えば回路基板の支持基板コンタクト面2a上にも配設可能である。
【0044】
接着ポイント4a、4b、4c、4d、4eの高さh図2(a)参照)は、非溶融状態にある半田ペースト3によって形成される半田ペースト層(Loetpastendepot)3aの高さh図2(a)参照)の少なくとも40%、好ましくは少なくとも60%、格別に好ましくは少なくとも100%であり、バリア5は専ら接着ポイント4a及び4b自体によって形成される。
【0045】
図2(a)及び図2(b)には、接着ポイント4a及び4bが球冠(球体セグメント)形状に(kugelkalottenfoermig)構成されていることが見出される。
【0046】
図3(a)及び図3(b)は、本発明に応じた接着ポイントの構成の種々のバリエーションを示す。図3(a)には、SMD部品1の1つの辺(一側部)の付近に位置付けられているただ1つの接着ポイント4aの使用が示されている。図3(b)は、接着ポイント4a及び4bがSMD部品1の夫々1つの角の付近に位置付けられている一変形例を示す。図3(c)は、角部接着ポイント4a及び4bに加えて、更に、1つの辺(一側部)の付近に配された接着ポイント4cも備えた一変形例を示す。図3(d)は、ライン状のバリア5を形成するよう一緒になってライン状に伸展されている5つの並置された接着ポイント4a、4b、4c、4d、4eの使用を示す(「数珠繋ぎ接着ビーズ(Kleberaupe)」)。原理的には、多数の更なる構成も考えられる。例えば、好ましくは第1の接着ポイントに接触する少なくとも1つの第2の接着ポイントが設けられ、該第2の接着ポイントが、該第1の接着ポイントと一緒になってSMD部品1を少なくとも部分的に包囲する実質的にL字状又はU字状の輪郭が形成されるように、ライン状に形成されることも可能である。
【0047】
図4(a)~図4(c)は、本発明に応じた制限体の構造の種々のバリエーションを示す。これらによれば、工程b)の後でかつ工程d)の前に、少なくとも1つの制限体7が、少なくとも1つの接着ポイント4a(これらの図においては不図示)に載置される。バリア5は制限体7によって形成されている。制限体は、U字(コの字)状(図4(c))又はL字状(図4(b))に形成可能であり、又は、直線的形状(図4(a))を有することも可能である。更に、複数の制限体7を使用することも可能である。
【0048】
接着ポイントは熱硬化性材料からなることが好ましい。この場合、その熱硬化温度は半田材料の溶融温度未満である。
【0049】
図3(a)~図4(c)には、SMD部品1が夫々1つの矩形状基底面1c(図面参照符号については図3(a)及び図4(a)参照)を有することが見出される。図3(a)からは、工程b)において安全距離sを維持しつつSMD部品1が装着された後に接着ポイント4aが矩形状基底面1cの1つの辺(一側部)の直ぐ近くにあるように、接着ポイント4aが位置付けられることが分かる。
【0050】
本発明は図示の実施形態(複数)に限定されず、(特許)請求の範囲の保護範囲全体によって規定(特定)される。更に、本発明のないし各実施形態の個々の側面については、個別に採用することも任意に組み合わせることも可能である。(特許)請求の範囲における適宜付記された図面参照符号は例示的なものであり、(特許)請求の範囲を限定することなく、(特許)請求の範囲をより容易に理解するためにのみ役立つ。
【0051】
ここに、本発明の可能な態様を付記する。
[付記1]SMD部品を回路支持体に位置安定的に半田付けするための方法。該方法は以下の工程を含む:
a)半田ペーストで被覆され、結合されるべきSMD部品と電気的、熱的及び/又は機械的にコンタクトするよう構成された少なくとも1つの支持基板コンタクト面を含む回路支持体を提供すること、但し、前記回路支持体は、少なくとも前記支持基板コンタクト面の領域に、溶融した半田材料によって濡れ可能ではない充填された複数の貫通導通部が貫通して設けられている;
b)前記回路支持体に少なくとも1つの接着ポイントを、これらの接着ポイントが半田ペーストで被覆された前記支持基板コンタクト面を該半田ペーストの少なくとも1つの辺に割り当てられたエッジポイントの付近に制限するよう、施すこと;
c)少なくとも1つの部品コンタクト面が前記支持基板コンタクト面とこれらの間にある半田ペーストを介して電気的、熱的及び/又は機械的に接触するよう、前記少なくとも1つの部品コンタクト面を含むSMD部品を半田ペーストで被覆された前記支持基板コンタクト面上に載置すること;
d)予め設定可能な期間tの間、前記少なくとも1つの接着ポイントの硬化プロセスの終了を待つこと;
e)前記SMD部品の前記少なくとも1つの部品コンタクト面と前記回路支持体の前記少なくとも1つの支持基板コンタクト面の間の電気的、熱的及び/又は機械的結合を形成するために前記半田ペーストを加熱し、溶融し、その後、冷却すること、但し、前記少なくとも1つの接着ポイントを用いることによって、バリアは、第1に、前記半田ペーストの溶融状態において前記SMD部品の垂直方向における沈み込みが可能にされ、第2に、溶融された前記半田ペースト上における前記SMD部品の水平方向における浮動が前記バリアの方向において前記バリアによって機械的に制限されるように、形成される。
[付記2]上記の方法において、
工程a)において半田ペーストで被覆された前記支持基板コンタクト面は、ソルダーレジスト膜によって包囲される;前記少なくとも1つの接着ポイントは、前記ソルダーレジスト膜上に及び/又は前記支持基板コンタクト面の半田ペーストで被覆されていない部分上に配置される。
[付記3]上記の方法において、
前記少なくとも1つの接着ポイントの高さは、非溶融状態にある半田ペーストによって形成される半田ペースト層の高さの少なくとも40%、好ましくは少なくとも60%、格別に好ましくは少なくとも100%である;
前記バリアは専ら前記少なくとも1つの接着ポイント自体によって形成される。
[付記4]上記の方法において、
前記少なくとも1つの接着ポイントは球冠形状に構成される。
[付記5]上記の方法において、
少なくとも1つの第1接着ポイントはライン状のバリアを形成するようライン状に伸展される。
[付記6]上記の方法において、
好ましくは第1接着ポイントに接触する少なくとも1つの第2接着ポイントが設けられる;
前記第2接着ポイントは、該第1接着ポイントと一緒になって前記SMD部品を少なくとも部分的に包囲する実質的にL字状又はU字状の輪郭が形成されるように、ライン状に形成される。
[付記7]上記の方法において、
前記少なくとも1つの接着ポイントの高さは、少なくとも50マイクロメートル、好ましくは少なくとも100マイクロメートルである。
[付記8]上記の方法において、
工程b)の後かつ工程d)の前に、少なくとも1つの制限体が前記少なくとも1つの接着ポイントに載置され、前記バリアは前記制限体によって形成される。
[付記9]上記の方法において、
前記少なくとも1つの接着ポイントは熱硬化性材料から構成され、工程d)による前記少なくとも1つの接着ポイントの硬化は、前記回路支持体を前記少なくとも1つの接着ポイントと一緒に温度上昇することによって行われる;
温度上昇は例えばリフロー・半田付けプロセスの進行中に行われる;
熱硬化のために必要な温度は半田材料の溶融温度未満である。
[付記10]上記の方法において、
接着材料は、接着剤体積が硬化中に最大で10%だけ減少するよう、選択される。
[付記11]上記の方法において、
接着材料は、熱硬化性に構成されており、及び、当該接着材料が工程d)に応じた硬化中の熱の供給下で延伸するよう選択されている。
[付記12]上記の方法において、
前記少なくとも1つの接着ポイントはディスペンサによって及び前記SMD部品は自動装着装置によって配される;
前記少なくとも1つの接着ポイントは工程b)において、当該少なくとも1つの接着ポイントが前記SMD部品の目標位置の縁部領域に対する少なくとも1つの安全距離を有するよう、位置決めされる;
この安全距離は、前記ディスペンサ及び前記自動装着装置の位置決め公差、前記少なくとも1つの接着ポイントの寸法公差及び前記SMD部品の部品公差の和から形成され、例えば少なくとも50マイクロメートルである。
[付記13]上記の方法において、
前記SMD部品は矩形の基底面を有し、及び、前記少なくとも1つの接着ポイントは、当該少なくとも1つの接着ポイントが工程b)における前記安全距離の保持下での前記SMD部品の装着後に前記矩形の基底面の1つの辺の直近に位置するよう、位置決めされる。
[付記14]上記の方法において、
工程b)において、前記接着ポイントの個数は、前記SMD部品の各辺及び/又は各角に丁度1つの接着ポイントが割り当てられるよう、選択される。
[付記15]上記の方法に応じて製造された回路支持体。
図1a
図1b
図2a
図2b-2d】
図3a
図3b
図3c
図3d
図4a
図4b
図4c