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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-16
(45)【発行日】2024-08-26
(54)【発明の名称】チャンバ
(51)【国際特許分類】
   B29C 43/56 20060101AFI20240819BHJP
   B29C 43/18 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
B29C43/56
B29C43/18
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023117041
(22)【出願日】2023-07-18
(62)【分割の表示】P 2022052297の分割
【原出願日】2022-03-28
(65)【公開番号】P2023145549
(43)【公開日】2023-10-11
【審査請求日】2023-07-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】植田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】山本 隆幸
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-012918(JP,A)
【文献】特開2011-224911(JP,A)
【文献】特開2009-166487(JP,A)
【文献】特開2001-215532(JP,A)
【文献】特開2001-300960(JP,A)
【文献】米国特許第5108532(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 43/00-43/58
H01L 21/56
H05K 3/00
H05K 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と積層フィルムとを少なくとも含む複数の処理対象を減圧下でそれぞれ押圧して複数の積層成形品を同時に製造するための積層ブロックに用いられるチャンバであって、
前記積層ブロックは、
前記処理対象の上側と下側のいずれか一方においてスライド不能に構成され水平面に平行な主面を有する中央盤と、
前記中央盤の上方において前記中央盤との距離が変動するように設けられた上盤と、
前記中央盤の下方において前記中央盤との距離が変動するように設けられた下盤と、
上下方向に延伸して前記上盤と前記下盤とにそれぞれ挿通して前記上盤と前記下盤とをスライド可能にガイドする複数のガイド軸とを有し、
前記チャンバは、
前記処理対象の上側に配置される上側枠体と、
前記処理対象の下側に配置される下側枠体と、を備え、
前記上側枠体と前記下側枠体とが、前記中央盤を基準として上下対称にそれぞれ構成されており、
前記上側枠体と前記下側枠体とは、前記処理対象を押圧するための前記積層ブロックの動きに追従するように、前記中央盤に付随する方がスライド不能であって、前記上盤及び前記下盤に付随する方が上下にスライド可能に設置され、
前記上盤及び前記下盤が前記中央盤に近づいた場合に、前記上側枠体と、前記下側枠体とにより密閉された空間をそれぞれ形成し、
前記上盤側及び前記下盤側のそれぞれの空間において、同時に前記積層成形品を製造するために、前記上盤側の空間及び前記下盤側の空間は連通している、
チャンバ。
【請求項2】
前記上側枠体及び前記下側枠体の少なくとも一方は、上下方向に摺動可能に組み合わされる内枠体外枠体を含み、
前記内枠体または前記外枠体は、前記積層ブロックの動きに応じて前記処理対象を押圧する空間の容積を変化自在とする、
請求項1に記載のチャンバ。
【請求項3】
前記上側枠体及び前記下側枠体は、
前記積層ブロックの上下動を補助するための複数のガイド部の内側であって、前記処理対象を押圧する押圧面を囲む領域に設けられる、
請求項1または請求項2のいずれかに記載のチャンバ。
【請求項4】
前記上盤側の空間及び前記下盤側の空間は、前記中央盤に設けられた空洞を介して連通する、
請求項1~3のいずれか1項に記載のチャンバ。
【請求項5】
前記上盤側の空間及び前記下盤側の空間内の空気を吸引する、共通の真空ポンプをさらに備える、
請求項1~4のいずれか1項に記載のチャンバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は積層成形装置および積層成形システムに用いられるチャンバに関する。
【背景技術】
【0002】
処理対象に積層フィルムをラミネートする積層工程を施すことにより積層フィルムが積層された積層成形品を製造する積層成形システムが存在する。
【0003】
例えば特許文献1には、真空積載装置と、積層成型プレス装置とを有する積層成形システムが開示されている。積層成型プレス装置において、上盤または下盤の少なくとも一方の盤に取付けられた加圧ブロックには、エンジリアリングプラスチックまたは熱硬化性樹脂の樹脂フィルムを介して加圧面を構成する金属薄板が設けられ、樹脂フィルムの樹脂はポリイミド等が用いられる。
【0004】
特許文献2には、真空積層装置と、第1のプレス装置と、第2のプレス装置と、を有する積層成形システムが開示されている。真空積層装置は、真空チャンバ内で積層成形を行う。第1のプレス装置は、真空積層装置の後工程に設けられ、加圧ブロックの表面から離れる方向に向かって金属薄板、耐熱性エラストマーの順に積層される加圧面が設けられている。第2のプレス装置は、第1のプレス装置の後工程に設けられ、加圧ブロックの表面から離れる方向に向かって緩衝材、金属薄板の順に積層される加圧面が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6900138号公報
【文献】特許第7025499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の積層成形システム全体のスループットは、タクトタイムが相対的に長い所定の装置により拘束される。例えば所定のプレス装置のタクトタイムが他の装置のタクトタイムに比べて長い場合、そのプレス装置の工程を分割して複数のプレス装置に工程を分担させるという方法により、スループットの向上を図ることが考えられる。しかし、この方法は、熱硬化性樹脂を含む積層成形品をプレスする場合において、材料に負荷を掛けることになり品質を低下させる虞がある。またスループットの向上を目的として、複数の積層成形システムを設けるという方法が考えられる。しかしこの場合は、設備を設置する面積を要し、システムを操作する人員の負担が増大する。
【0007】
本開示は、このような課題を解決するためになされたものであって、好適にスループットの向上を図ることができる積層成形装置および積層成形システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示にかかる積層成形装置は、基材と積層フィルムとを少なくとも含む複数の処理対象をそれぞれ押圧して複数の積層成形品を製造するものであって、中央盤、上盤および下盤を有する。中央盤は、水平面に平行な主面を有する。上盤は、中央盤の上方において中央盤との距離が変動するように設けられ、中央盤との距離が近づくことにより中央盤の上面に配置された上側処理対象を押圧する。下盤は、中央盤の下方において中央盤との距離が変動するように設けられ、中央盤との距離が近づくことにより中央盤の下面に配置された下側処理対象を押圧する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、好適にスループットの向上を図ることができる積層成形装置および積層成形システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1にかかる積層成形装置の基本構成図である。
図2】積層成形装置の工程を説明するための図である。
図3】実施の形態1にかかる積層成形装置の構成図である。
図4】実施の形態1にかかる積層成形装置のブロック図である。
図5】実施の形態2にかかる積層成形システムの構成図である。
図6】実施の形態3にかかる積層成形システムの構成図である。
図7】実施の形態4にかかる積層成形システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、特許請求の範囲にかかる発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、実施形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。説明の明確化のため、以下の記載および図面は、適宜、省略、および簡略化がなされている。なお、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0012】
<実施の形態1>
図1を参照しながら、実施の形態1にかかる積層成形装置の構成について説明する。図1は、実施の形態1にかかる積層成形装置10の基本構成図である。積層成形装置10は、基材と積層フィルムとを少なくとも含む複数の処理対象をそれぞれ押圧して複数の積層成形品を製造する。より具体的には、図1に示す積層成形装置10は、上下方向に平行に設置された2つの搬送フィルムのそれぞれに設置された上側処理対象M1および下側処理対象M2を受け入れ、受け入れた上側処理対象M1および下側処理対象M2をそれぞれ押圧して積層成形品を製造する。積層成形装置10は主な構成として、中央盤11、上盤121および下盤122を有する。基材は、例えばビルドアップ基板の製造に用いられる基材であって、表面に所定の深さと間隔を有する凹凸パタンを含んでいてもよい。積層フィルムは、例えば熱硬化性樹脂フィルムである。搬送フィルムは、例えば熱可塑性樹脂フィルムであり、ポリエチレンテレフタレート(PET)のように融点の高い樹脂であることが望ましい。
【0013】
なお、図1は理解容易にするために一部を切欠いて表示している。また図1は、構成要素の位置関係を説明するための便宜的なものとして、右手系の直交座標系が付されている。図2以降において、直交座標系が付されている場合、図1のX軸、Y軸、およびZ軸方向と、これらの直交座標系のX軸、Y軸、およびZ軸方向はそれぞれ一致している。
【0014】
中央盤11は、所定の空間に設置された板状の部材である。中央盤11は、水平面に平行な主面として、上押圧面111と下押圧面112とを有する。上押圧面111は、中央盤11の上側の主面であって、上側処理対象M1の下面を支持する。下押圧面112は、中央盤11の下側の主面であって、下側処理対象M2の上面を支持する。
【0015】
中央盤11は、鉄などの金属を成形することにより形成され得る。ただし、上押圧面111および下押圧面112は、別途形成された板材が連結されていてもよい。この場合、上押圧面111および下押圧面112は、金属に限られず、樹脂、ゴム、カーボンまたはガラスなどでもよいし、複数種類の部材が組み合わせられたものであってもよい。例えば、上押圧面111および下押圧面112は、ポリイミド、フッ素樹脂、またはシリコン樹脂のような耐熱性を有する樹脂であってもよい。
【0016】
上盤121は、中央盤11の上方において中央盤11との距離が変動するように設けられた部材である。上盤121は鉄などの金属を成形することにより形成され得る。上盤121は、下側の主面として上盤押圧面131を有している。上盤押圧面131は、中央盤11との距離が近づくことにより中央盤11の上面に配置された上側処理対象M1の上面を押圧する。上盤押圧面131は、上述の中央盤11と同様に、別途形成された板材が連結されていてもよい。
【0017】
下盤122は、中央盤11の下方において中央盤11との距離が変動するように設けられた部材である。下盤122は鉄などの金属を成形することにより形成され得る。下盤122は、上側の主面として下盤押圧面132を有している。下盤122は、中央盤11との距離が近づくことにより中央盤11の下面に配置された下側処理対象M2の下面を押圧する。下盤押圧面132は、上述の中央盤11および上盤押圧面131と同様に、別途形成された板材が連結されていてもよい。
【0018】
次に、図2を参照して積層成形装置10が積層成形品を製造する工程について説明する。図2は、積層成形装置10の工程を説明するための図である。図2には、上から下に向かって順に、第1工程P11、第2工程P12、第3工程P13および第4工程P14が示されている。
【0019】
第1工程P11は、基材A10にビア加工および回路パタン形成が施された状態である。基材A10は、例えばガラス繊維とエポキシ樹脂を混合して形成された板材である。ビアA30や回路パタンA31は、銅めっきをエッチング処理することにより形成されている。
【0020】
第2工程P12は、第1工程P11の基材A10の表面に、熱硬化性の積層フィルムA11およびA21が仮接着された状態を示している。積層フィルムA11およびA21の外側には、ラミネート処理の際に積層フィルムを保護するための保護フィルムA12およびA22が添付されている。第2工程P12に示す処理対象A1は、積層成形装置10に投入される前の状態であって、図1の上側処理対象M1および下側処理対象M2に該当する。
【0021】
第3工程P13に示す処理対象A1は、積層成形装置10に投入された後の状態である。第3工程P13は、第2工程で仮接着されていた積層フィルムA11およびA21を、基材A10にラミネートした状態を示している。
【0022】
第4工程P14に示す処理対象A1は、積層成形装置10から取り出された後に、保護フィルムを取り去った状態を示している。第4工程P14の後に、処理対象A1は、次の工程において、穴開けや、めっき等がさらに施されうる。また処理対象A1は、さらに積層フィルムが積層されても良い。その場合、あらたに積層フィルムが仮接着された処理対象A1は、再び搬送フィルムに設置されたうえで積層成形装置10に投入されて、積層フィルムがラミネートされる。
【0023】
以上、積層成形装置10の基本構成および積層成形装置10が製造する積層成形品について説明した。上述のように、積層成形装置10は、処理対象A1に相当する上側処理対象M1および下側処理対象M2をそれぞれ受け入れて、並行して押圧する処理を行うことができる。このような構成により、積層成形装置10は、設備の設置面積の拡大を抑制しつつ、好適にスループットの向上を図ることができる。また積層成形装置10は、特に中央盤11およびその周辺の部品を倍増させることなく、スループットの向上を図ることができる。
【0024】
次に、図3を参照して、積層成形装置10の詳細について説明する。図3は、実施の形態1にかかる積層成形装置の構成図である。積層成形装置10は、上側積層ブロック101と下側積層ブロック102とを有している。
【0025】
上側積層ブロック101は上側処理対象M1を押圧するブロックであり、積層成形装置10において中央盤11の上部に設けられた部分をいう。下側積層ブロック102は、下側処理対象M2を押圧するブロックであり、積層成形装置10において中央盤11の下部に設けられた部分をいう。上側積層ブロック101および下側積層ブロック102は中央盤11を共有し、中央盤11を基準に上下対称の構成を含む。
【0026】
中央盤11は、上側の主面に上側処理対象M1を押圧する上押圧面111を有している。また中央盤11は、上押圧面111の反対側の主面に下側処理対象M2を押圧する下押圧面112を有している。
【0027】
上側積層ブロック101は主な構成として、中央盤11、上盤121、上盤駆動機構151、上部支持板161および温度計172を有している。下側積層ブロック102は主な構成として、中央盤11、下盤122、下盤駆動機構152、下部支持板162および加熱器171を有している。上側積層ブロック101の上盤121と、下側積層ブロック102の下盤122とは中央盤11を介して対向するように配置されている。
【0028】
また積層成形装置10は、複数のガイド軸14を有している。ガイド軸14は、上下方向に延伸する軸であって、中央部において中央盤11と結合している。またガイド軸14は、上盤121と下盤122とにそれぞれ挿通して上盤121と下盤122とをスライド可能にそれぞれガイドする。積層成形装置10は、中央盤11を水平面に投影した場合に矩形である中央盤11の4か所の角部近傍に固定されている。
【0029】
またガイド軸14は、中央盤11の上側に突出する上盤ガイド部141を有している。上盤ガイド部141は、上盤121を上下方向にスライド可能に支持する。また上盤ガイド部141は、上端が上部支持板161に固定されている。上部支持板161は、積層成形装置10の上端において、ガイド軸14を固定すると共に、上盤駆動機構151を支持している。
【0030】
またガイド軸14は、中央盤11の下側に突出する下盤ガイド部142を有している。下盤ガイド部142は、下盤122を上下方向にスライド可能に支持する。また下盤ガイド部142は、下端が下部支持板162に固定されている。下部支持板162は、積層成形装置10の下端において、ガイド軸14を固定すると共に、下盤駆動機構152を支持している。
【0031】
上盤121は、上盤ガイド部141により上下方向にスライド可能に支持され、且つ、上側において上盤駆動機構151に接続している。上盤駆動機構151は上盤121を上下方向に移動させるための駆動装置と、その駆動装置が発生する力を上盤121に伝達する機構と、を含む。駆動装置は例えばサーボモータである。上盤駆動機構151は、上側処理対象M1を押圧するために上盤121を下降させて中央盤11に近づける。
【0032】
下盤122は、下盤ガイド部142により上下方向にスライド可能に支持され、且つ、下側において下盤駆動機構152に接続している。下盤駆動機構152は下盤122を上下方向に移動させるための駆動装置と、その駆動装置が発生する力を下盤122に伝達する機構と、を含む。駆動装置は例えばサーボモータである。下盤駆動機構152は、下側処理対象M2を押圧するために下盤122を上昇させて中央盤11に近づける。
【0033】
加熱器171は、下盤122に設けられた発熱装置であって、少なくとも下盤122を加熱する。加熱器171は温度制御可能な加熱が行えることが望ましく、例えばカートリッジヒータ、シースヒータ、赤外線ヒータ、ラバーヒータ、誘導加熱ヒータ(IH)である。また、加熱器171は例えばオイルやガスを循環させることにより加熱するものであってもよい。積層成形装置10において、加熱器171により生じた熱は、上方に伝達する。例えば中央盤11は、下方から受けた熱を上方へ伝達する。なお、加熱器171は、図3においてハッチングにより示したように、下盤122に加えて、中央盤11や上盤121に設置されていてもよい。
【0034】
中央盤11は、下から受けた熱を上へ効率よく伝達するために例えば比較的に熱伝導率が高い構造用炭素鋼や鋳鉄などの金属を含むことが好ましい。より具体的には例えば中央盤11は、熱伝導率が40W/(m・K)以上であることが好ましい。また中央盤11は、下方から上方へ温度を効率よく伝達するために例えば内部に油などの流体を循環させる構造を有していても良い。また中央盤11も加熱器を有していても良い。このような構造により、積層成形装置10は、下側積層ブロック102で使用した熱の余熱を、上側積層ブロック101に利用できる。
【0035】
温度計172は、少なくとも上盤121に設置され、上盤121または上盤121近傍の温度を測定する。なお、温度計172は1か所以上に設置されていればよく、上盤121以外の場所にも設置され得る。
【0036】
以上、積層成形装置10の構成について説明した。積層成形装置10は、上盤駆動機構151と、下盤駆動機構152とが、それぞれ別個に独立した駆動装置を有している。よって、積層成形装置10は、上側積層ブロック101と下側積層ブロック102とがそれぞれ独立した動作を行うことにより効率よく積層成形品を製造できる。
【0037】
また積層成形装置10は、少なくとも下盤122の下方において複数のガイド軸14を固定して支持する支持部材である下部支持板162を有している。これにより積層成形装置10は、上盤121および下盤122を支持するガイド軸14を保持する。すなわち積層成形装置10は、上側積層ブロック101と下側積層ブロック102とが共有するガイド軸を採用できるため、部品点数の倍増を押さえることができる。
【0038】
次に、図4を参照して、積層成形装置10の機能ブロックについて説明する。図4は、実施の形態1にかかる積層成形装置が有する制御装置103のブロック図である。制御装置103は、積層成形装置10の各構成を動作させて所望の機能を実現する。制御装置103は、MCU(Micro Controller Unit)またはCPU(Central Processing Unit)などの演算装置を含む回路基板およびこの回路基板上で実行されるプログラムにより構成され得る。制御装置103は例えば所定のアプリケーションプログラムが実行可能なコンピュータであってもよいし、専用の機器であってもよい。
【0039】
制御装置103は主な構成として、信号入出力部104、駆動制御部105、温度制御部106、表示部107および操作受付部108を有している。また制御装置103は、上盤駆動機構151、下盤駆動機構152、加熱器171および温度計172と所定の信号のやり取りを行う。
【0040】
信号入出力部104は、上盤駆動機構151、下盤駆動機構152、加熱器171および温度計172と信号のやり取りを行うためのインタフェースである。制御装置103は信号入出力部104を介して所定の指示信号等を上盤駆動機構151、下盤駆動機構152、加熱器171および温度計172に送信する。あるいは制御装置103は、信号入出力部104が、上盤駆動機構151、下盤駆動機構152、加熱器171および温度計172から送信された信号を受け取る。
【0041】
駆動制御部105は、上盤駆動機構151および下盤駆動機構152に対して所定の動作をさせるための指示をする。
【0042】
温度制御部106は、温度計172が測定した温度に関する情報を受け取り、受け取った情報を加味した上で、加熱器171を加熱するための信号を加熱器171に供給することにより、加熱器171を制御する。これにより、制御装置103は、上下方向に設置された上盤121、中央盤11および下盤122の温度を好適にフィードバック制御する。
【0043】
表示部107は、積層成形装置10を使用するユーザに対して種々の情報を提示するための表示装置である。表示部107は例えば、液晶ディスプレイやパイロットランプ、アナログメータなどを含みうる。
【0044】
操作受付部108は、ユーザから所定の操作を受け付け、受け付けた操作の内容を駆動制御部105や温度制御部106に供給する。操作受付部108は例えばユーザが操作するボタン、スイッチ、レバー、タッチパネルおよびキーボードなどの信号を受け付け、受け付けた信号を駆動制御部105や温度制御部106に供給する。
【0045】
以上、制御装置103について説明した。制御装置103は、上側処理対象M1を押圧する動作と、下側処理対象M2を押圧する動作と、温度制御部106の動作と、をユーザが所定の一か所で一括して制御できる構成となっている。例えば制御装置103は積層成形装置10の所定の場所に集約されている。よって、積層成形装置10は2つのユーザの負担を軽減できる。
【0046】
以上、実施の形態1について説明したが、本実施の形態にかかる積層成形装置10は、上述の構成に限られない。例えば、上盤121の上盤押圧面131、中央盤11の上押圧面111および下押圧面112および下盤122の下盤押圧面132は、例えば可撓性を有するダイアフラム状のゴムが設けられていてもよい。また上押圧面111および下押圧面112は、上側処理対象M1および下側処理対象M2に接触する樹脂ローラが設けられていてもよい。この場合例えば、樹脂ローラは、水平方向に往復可能に設置され、ローラの表面が上側処理対象M1および下側処理対象M2の表面と接触して押圧する。
【0047】
積層成形装置10は、周囲に熱が漏れるのを抑制する目的で、筐体を有しても良い。筐体を有することにより、積層成形装置10は、より効率よく上側積層ブロック101および下側積層ブロック102の熱を上側処理対象M1および下側処理対象M2に伝えながら押圧できる。
【0048】
積層成形装置10は、チャンバを併せて有することにより、上側処理対象M1および下側処理対象M2を押圧する空間を減圧し真空度の高い状態にできる構成であってもよい。これにより積層成形装置10は、効率よくラミネート処理を行うことができる。チャンバは積層成形装置10の全体を覆うものであってもよいし、積層成形装置10の一部に設けるものであってもよいが、好ましくは積層ブロックとガイド部の間の空間であって、積層ブロックに近い位置に設けられることが好ましい。また、チャンバを構成する枠体は、上側枠体と下側枠体の二つに分割され、上側枠体または下側枠体の少なくとも一方が、摺動可能に組み合わされた内枠体および外枠体を有することで、積層ブロックの動きに追従してチャンバの内部に設けられた上側処理対象M1および下側処理対象M2を押圧する空間の容積を変化自在とすることがさらに好ましい。これにより積層成形装置10は、効率よく上側処理対象M1および下側処理対象M2を押圧する空間を減圧し、真空度の高い状態でラミネート処理を行うことができる。
【0049】
以上、本実施の形態によれば、好適にスループットの向上を図ることができる積層成形装置および積層成形システムを提供できる。
【0050】
<実施の形態2>
次に、実施の形態2について説明する。図5は、実施の形態2にかかる積層成形システム200の構成図である。積層成形システム200は主な構成として、第1積層成形装置210、第2積層成形装置220、温度制御装置230および制御装置240を有している。
【0051】
第1積層成形装置210および第2積層成形装置220の基本的な構成は、実施の形態1において説明した積層成形装置10と同様である。ただし、第1積層成形装置210は、真空チャンバをさらに有し、上側処理対象M1および下側処理対象M2のそれぞれを大気圧よりも減圧された環境(例えば真空)でラミネートする。また第2積層成形装置220は第1積層成形装置210の後工程においてラミネートされた積層フィルムを圧締することにより平坦化処理を行う。また積層成形システム200は、複数の巻出装置と、この巻出装置に対応した巻取装置を有している。なお、「真空チャンバ」は「減圧チャンバ」とも称され得る。
【0052】
以下、第1積層成形装置210について説明する。第1積層成形装置210は、上側処理対象M1および下側処理対象M2をそれぞれ受け入れると、受け入れた処理対象を押圧して仮接着されている積層フィルムをラミネートする。第1積層成形装置210は主な構成として、第1中央盤211、第1上盤212、第1上盤駆動機構213、第1下盤214、第1下盤駆動機構215、第1加熱器216および真空ポンプ217を有している。
【0053】
第1中央盤211は、第1上盤212が下降することにより、第1上盤212と第1中央盤211との間に設置された上側処理対象M1を挟んで押圧する。第1上盤212は第1上盤駆動機構213により上下方向に駆動される。
【0054】
第1上盤212が下降して第1中央盤211に接近すると、第1中央盤211の上部と第1上盤212の下部とは、上側処理対象M1を処理する空間の周囲を密閉して上側真空チャンバを形成する。第1中央盤211と第1上盤212とが上側真空チャンバを形成すると、真空ポンプ217はこの空間を真空状態にする。第1中央盤211と第1上盤212とは、この真空チャンバ内において上側処理対象M1を押圧してラミネート処理を行う。なお、第1中央盤211および第1上盤212は、上側処理対象M1にラミネート処理を施すための弾性体等を有している。この場合、弾性体はポリイミド、フッ素樹脂、シリコン樹脂のような耐熱性を有する樹脂であることが望ましい。また、弾性体だけでなく、弾性体と金属や、弾性体とカーボンのように、複数の素材が組み合わされていてもよい。
【0055】
第1中央盤211は、第1下盤214が上昇することにより、第1下盤214と第1中央盤211との間に設置された下側処理対象M2を挟んで押圧する。第1下盤214は第1下盤駆動機構215により上下方向に駆動される。
【0056】
第1下盤214が上昇して第1中央盤211に接近すると、第1中央盤211の下部と第1下盤214の上部とは、下側処理対象M2を処理する空間の周囲を密閉して下側真空チャンバを形成する。第1中央盤211と第1下盤214とが下側真空チャンバを形成すると、真空ポンプ217はこの空間を真空状態にする。第1中央盤211と第1下盤214とは、この真空チャンバ内において下側処理対象M2を押圧してラミネート処理を行う。なお、第1中央盤211および第1下盤214は、下側処理対象M2にラミネート処理を施すための弾性体等を有している。この場合、弾性体はポリイミド、フッ素樹脂、シリコン樹脂のような耐熱性を有する樹脂であることが望ましい。また、弾性体だけでなく、弾性体と金属や、弾性体とカーボンのように、複数の素材が組み合わされていてもよい。
【0057】
第1加熱器216は、温度制御装置230により制御される加熱装置であって、第1中央盤211、第1上盤212および第1下盤214を加熱する。なお、図において第1加熱器216は第1下盤214に設けられていることを示しているが、第1加熱器216は第1積層成形装置210におけるその他の場所に設置されていても良い。第1加熱器216は1以上であれば、複数であってもよい。また第1積層成形装置210は図示しない温度計を有しており、温度制御装置230はこの温度計のデータを取得したうえで、第1加熱器216を制御する。
【0058】
真空ポンプ217は、第1積層成形装置210が形成する上側真空チャンバおよび下側真空チャンバの空気を吸引して真空状態を生成する。
【0059】
真空ポンプ217は、上側真空チャンバと下側真空チャンバとの両方に接続する1つの真空ポンプを有していても良い。この場合、第1積層成形装置210は、上側処理対象M1および下側処理対象M2に対して同時にラミネート処理を施す。このような構成により、積層成形システム200は、上側および下側の真空ポンプを共通化でき、構成の倍増を抑制できる。なおこの場合、上側真空チャンバと下側真空チャンバは実質的に繋がった空間であってもよい。例えば、第1中央盤211に設けられた空洞を介することにより、上側真空チャンバと下側真空チャンバが繋がっていてもよい。
【0060】
真空ポンプ217は、上側真空チャンバに接続する真空ポンプと、下側真空チャンバに接続する真空ポンプとをそれぞれ有していても良い。この場合、第1積層成形装置210は、上側処理対象M1および下側処理対象M2に対してそれぞれ別個にラミネート処理を施すことができる。
【0061】
続いて第2積層成形装置220について説明する。第2積層成形装置220は、上側処理対象M1および下側処理対象M2をそれぞれ受け入れると、第1積層成形装置210がラミネートした積層フィルムを加熱および押圧することにより平坦化処理を施す。第2積層成形装置220は主な構成として、第2中央盤221、第2上盤222、第2上盤駆動機構223、第2下盤224および第2下盤駆動機構225を有している。
【0062】
第2中央盤221は、第2上盤222が下降することにより、第2上盤222と第2中央盤221との間に設置された上側処理対象M1を挟んで押圧する。第2上盤222は第2上盤駆動機構223により上下方向に駆動される。
【0063】
第2中央盤221は、第2下盤224が上昇することにより、第2下盤224と第2中央盤221との間に設置された下側処理対象M2を挟んで押圧する。第2下盤224は第2下盤駆動機構225により上下方向に駆動される。
第2加熱器226は、温度制御装置230により制御される加熱装置であって、第2中央盤221、第2上盤222および第2下盤224を加熱する。図において第2加熱器226は第2下盤224に設けられていることを示しているが、第2加熱器226は第2積層成形装置220におけるその他の場所に設置されていても良い。第2加熱器226は1以上であれば、複数であってもよい。また第2積層成形装置220は図示しない温度計を有しており、温度制御装置230はこの温度計のデータを取得したうえで、第2加熱器226を制御する。
【0064】
次に、温度制御装置230および制御装置240について説明する。温度制御装置230は、第1積層成形装置210が有する温度計が測定した温度に関するデータを取得する。また温度制御装置230は、制御装置240からユーザが設定した温度に関する情報を受け取る。そして温度制御装置230は、温度計から取得した温度とユーザが設定した設定温度とから、第1加熱器216を制御する。同様に、温度制御装置230は、第2積層成形装置220が有する温度計が測定した温度に関するデータを取得して、取得した温度とユーザが設定した設定温度とから、第2加熱器226を制御する。
【0065】
制御装置240は、第1上盤駆動機構213に通信可能に接続し、第1上盤駆動機構213に対して第1上盤駆動機構213が第1上盤212を駆動するための指示信号を供給する。同様に、制御装置240は、第1下盤駆動機構215、第2上盤駆動機構223および第2下盤駆動機構225に対しても、駆動をするための指示信号を供給する。
【0066】
制御装置240は、積層成形システム200の各構成の動作を制御する。具体的には制御装置240は、温度制御装置230と通信可能に接続し、温度制御装置230に対して温度を設定する。また制御装置240は、真空ポンプ217と通信可能に接続し、適宜真空ポンプ217を動作させる。
【0067】
次に、巻出装置および巻取装置について説明する。積層成形システム200は、上側処理対象M1を搬送するための巻出装置251、巻出装置261、巻取装置252および巻取装置262を有している。また積層成形システム200は、下側処理対象M2を搬送するための巻出装置271、巻出装置281、巻取装置272および巻取装置282を有している。
【0068】
巻出装置251は、上側処理対象M1を所定の搬送方向に搬送するための上側第1搬送フィルムC11を巻き出す。上側第1搬送フィルムC11は、上側第2搬送フィルムC12の上面に設置された上側処理対象M1の上部を覆う帯状の搬送フィルムである。巻取装置252は、第1積層成形装置210および第2積層成形装置220を通過した後の上側第1搬送フィルムC11を巻き取る。
【0069】
巻出装置261は、上側処理対象M1を所定の搬送方向に搬送するための上側第2搬送フィルムC12を巻き出す。上側第2搬送フィルムC12は、上面に上側処理対象M1を乗せて第1積層成形装置210および第2積層成形装置220を通過する帯状の搬送フィルムである。巻取装置262は、第1積層成形装置210および第2積層成形装置220を通過した後の上側第2搬送フィルムC12を巻き取る。
【0070】
巻出装置271は、下側処理対象M2を上側処理対象M1の下方において所定の搬送方向に搬送するための下側第1搬送フィルムC21を巻き出す。下側第1搬送フィルムC21は、下側第2搬送フィルムC22の上面に設置された下側処理対象M2の上部を覆う帯状の搬送フィルムである。巻取装置272は、第1積層成形装置210および第2積層成形装置220を通過した後の下側第1搬送フィルムC21を巻き取る。
【0071】
巻出装置281は、下側処理対象M2を所定の搬送方向に搬送するための下側第2搬送フィルムC22を巻き出す。下側第2搬送フィルムC22は、上面に下側処理対象M2を乗せて第1積層成形装置210および第2積層成形装置220を通過する帯状の搬送フィルムである。巻取装置282は、第1積層成形装置210および第2積層成形装置220を通過した後の下側第2搬送フィルムC22を巻き取る。
【0072】
以上、積層成形システム200について説明した。積層成形システム200は、第1中央盤211および第2中央盤221よりも上側に設けられた工程により上側処理対象M1に対して第1積層成形装置210がラミネート処理を施し、その後の工程において第2積層成形装置220が平坦化処理を施す。また積層成形システム200は同様に、第1中央盤211および第2中央盤221よりも下側に設けられた工程により下側処理対象M2に対して第1積層成形装置210がラミネート処理を施し、その後の工程において第2積層成形装置220が平坦化処理を施す。
【0073】
また積層成形システム200は、上述の工程に関する制御を集約した制御装置240を有している。これにより、積層成形システム200を制御するユーザは、積層成形システム200が行う複数の工程の制御を一か所で一括して行うことができる。
【0074】
以上、本実施の形態によれば、好適にスループットの向上を図ることができる積層成形装置および積層成形システムを提供できる。
【0075】
<実施の形態3>
次に、図5を参照して、実施の形態3について説明する。図5は、実施の形態3にかかる積層成形システムの構成図である。実施の形態3にかかる積層成形システム300は、1つの中央盤に対して水平方向にそれぞれ配列された上盤および下盤を複数有する点が、上述の積層成形システムと異なる。積層成形システム300は、主な構成として、第1積層成形装置310および第2積層成形装置320を有している。
【0076】
第1積層成形装置310は、積層成形システム300において、実施の形態2にかかる第1積層成形装置210と同等の役割を担うラミネート処理装置である。ただし、第1積層成形装置310は、第1中央盤311の上方に、第1左上盤312および第1右上盤314を有している。また第1積層成形装置310は、第1中央盤311の下方に、第1左下盤313および第1右下盤315を有している。
【0077】
第1左上盤312は、積層成形システム300の処理対象を投入する側(X軸プラス側)から処理対象が進む方向(X軸マイナス方向)に沿って積層成形システム300を見た場合に、第1中央盤311の左上に位置する。第1左上盤312は、第1中央盤311と近づくことにより、上側処理対象M1に対してラミネート処理を施す。
【0078】
同様に、積層成形システム300は、処理対象を投入する側から処理対象が進む方向に沿って積層成形システム300を見た場合に、第1中央盤311の左下には、第1左下盤313を有している。第1左下盤313は、第1中央盤311との間に下側処理対象M2を受け入れて、受け入れた下側処理対象M2に対してラミネート処理を施す。
【0079】
積層成形システム300は、上述の方向に沿って積層成形システム300を見た場合に、第1中央盤311の右上に第1右上盤314を有し、第1中央盤311の右下に第1右下盤315を有している。第1右上盤314は上側処理対象M3を受け入れて、受け入れた上側処理対象M3に対してラミネート処理を施す。第1右下盤315は、下側処理対象M4を受け入れ、受け入れた下側処理対象M4に対してラミネート処理を施す。
【0080】
このように、第1積層成形装置310は、第1中央盤311の上側に、第1左上盤312と第1右上盤314とが水平方向にそれぞれ配列されている。また第1積層成形装置310は、第1中央盤311の下側において、第1左上盤312と第1右上盤314とにそれぞれ対向する位置に、第1左下盤313と第1右下盤315とが水平方向にそれぞれ配列されている。
【0081】
第1積層成形装置310は、上側処理対象M1、下側処理対象M2、上側処理対象M3および下側処理対象M4を並行して処理可能な構成となっている。また第1積層成形装置310は、第1中央盤311が上記4つの処理対象を並行して支持する構造となっている。このような構成により、第1積層成形装置310は、4か所の工程で用いる中央盤を共通化できる。また積層成形システム300は、第1中央盤311を1個の部材として成形することができるため、加工精度のばらつきの抑制が期待できる。さらに、第1中央盤311が蓄える熱量が大きくなるため、システム全体の熱効率の低下を抑制できる。
【0082】
第2積層成形装置320は、実施の形態2にかかる第2積層成形装置220と同様の役割を担う。すなわち第2積層成形装置320は、第1積層成形装置310の後工程において、処理対象の平坦化処理を行う。
【0083】
第2積層成形装置320は、処理対象の搬送方向に直交する方向(Y方向)に延伸する第2中央盤321を有している。また第2積層成形装置320は、第2中央盤321の上側に、第2左上盤322および第2右上盤324を有している。また第2積層成形装置320は、第2中央盤321の下側に、第2左下盤323および第2右下盤325を有している。
【0084】
上述の構成において、第2左上盤322はラミネート処理が施された上側処理対象M1に対して平坦化処理を行う。同様に、第2左下盤323はラミネート処理が施された下側処理対象M2に対して平坦化処理を行う。第2右上盤324は、ラミネート処理が施された上側処理対象M3に対して平坦化処理を行う。第2右下盤325は、ラミネート処理が施された下側処理対象M4に対して平坦化処理を行う。
【0085】
以上、実施の形態3の構成について説明した。なお、積層成形システム300は、それぞれの処理対象に対して施す工程の制御を、一括して行う制御装置を有しうる。
【0086】
なお、本実施の形態にかかる第1積層成形装置310および第2積層成形装置320は、処理対象の搬送方向に直交する方向に第1中央盤311および第2中央盤321が延伸し、それぞれの上盤および下盤は、同じく搬送方向に直交する方向に配列されている。ただし、本実施の形態にかかる積層成形システム300は、中央盤が処理対象の搬送方向に沿って延伸し、上盤および下盤が同じく搬送方向に沿って配列されていてもよい。
【0087】
以上、本実施の形態によれば、好適にスループットの向上を図ることができる積層成形装置および積層成形システムを提供できる。
【0088】
<実施の形態4>
次に、図7を参照して、実施の形態4について説明する。図7は、実施の形態4にかかる積層成形システム400の構成図である。積層成形システム400は、中央盤の構成が、上述の実施の形態と異なる。
【0089】
本実施の形態にかかる中央盤は、上盤に離合可能に配置された上側中央盤と、上側中央盤の下方において下盤に離合可能に配置された下側中央盤と、を有する。また本実施の形態にかかる積層成形システム400は、上側処理対象を押圧するために上側中央盤を上昇させて上盤に近づける第1駆動機構と、下側処理対象を押圧するために下側中央盤を下降させて下盤に近づける第2駆動機構と、を有する。さらに、積層成形システム400は、第1駆動機構と、第2駆動機構とが、互いに共通の駆動装置を有している。
【0090】
積層成形システム400は、中央盤として、上側中央盤411および下側中央盤421を有している。上側中央盤411は、上盤412に離合可能に配置されている。上側中央盤411は、下部において第1駆動機構431に係合している。下側中央盤421は、下盤422に離合可能に配置されている。下側中央盤421は、上部において第2駆動機構432に係合している。
【0091】
また積層成形システム400は、上盤412および下盤422を有している。上盤412は、上側中央盤411の上方において固定されており、上側中央盤411が接近することで、上側中央盤411と上盤412との間に設置された上側処理対象M1を押圧する。
【0092】
下盤422は、下側中央盤421の下方において固定されており、下側中央盤421が接近することで、下側中央盤421と下盤422との間に設置された下側処理対象M2を押圧する。
【0093】
第1駆動機構431は上側中央盤411の下部において上側中央盤411を支持し、上側中央盤411の上面が水平方向と平行な姿勢を維持しながら上下動する機構を有している。第1駆動機構431は、中央部が互いに交差して係合するリンクを有している。このリンクの2か所の下端部の水平方向の距離が変動すると、上側中央盤411が上下動する。
【0094】
第1駆動機構431は下端部が駆動部430により駆動する。駆動部430は水平方向に伸縮する軸を有しており、第1駆動機構431の2か所の下端部を水平方向に駆動することにより、上側中央盤411を上下動させる。このような構成により、上側中央盤411は、その上方に設けられた上盤412に接近し、上側中央盤411と上盤412との間に設置された上側処理対象M1を押圧する。
【0095】
第2駆動機構432は下側中央盤421の上部において下側中央盤421を支持し、下側中央盤421の下面が水平方向と平行な姿勢を維持しながら上下動する機構を有している。第2駆動機構432は、中央部が互いに交差して係合するリンクを有している。このリンクの2か所の上端部の水平方向の距離が変動すると、下側中央盤421が上下動する。
【0096】
第1駆動機構431と同様に、第2駆動機構432は上端部が駆動部430により駆動し、これにより、下側中央盤421は、下方に設けられた下盤422に接近し、下側中央盤421と下盤422との間に設置された下側処理対象M2を押圧する。
【0097】
駆動部430は、所定のフレーム等(不図示)に固定された上で、第1駆動機構431および第2駆動機構432に係合し、第1駆動機構431および第2駆動機構432を並行して駆動する。このような構成により、積層成形システム400は、上側処理対象M1を押圧するために上側中央盤411を駆動する構成と、下側処理対象M2を押圧するために下側中央盤421を駆動する構成とを共通化できる。なお、上述の第1駆動機構431および第2駆動機構432が有する機構は、上述の構成に限られず、様々な形態を採用できる。
【0098】
以上、実施の形態4について説明したが、本実施の形態にかかる積層成形システム400は、積層成形装置を複数有していても良い。これにより、積層成形システム400は、例えばラミネート処理と平坦化処理のように、複数の工程を行うことができる。積層成形システム400が有する上側中央盤411は、水平方向に配列された複数の上盤に接近することにより、複数の処理対象を押圧可能であってもよい。またこの場合、下側中央盤421は、水平方向に配列された複数の下盤に接近することにより、複数の処理対象を押圧可能であってもよい。
【0099】
以上、本実施の形態によれば、好適にスループットの向上を図ることができる積層成形装置および積層成形システムを提供できる。
【0100】
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記によって限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0101】
10 積層成形装置
11 中央盤
14 ガイド軸
101 上側積層ブロック
102 下側積層ブロック
103 制御装置
104 信号入出力部
105 駆動制御部
106 温度制御部
107 表示部
108 操作受付部
111 上押圧面
112 下押圧面
121 上盤
122 下盤
131 上盤押圧面
132 下盤押圧面
141 上盤ガイド部
142 下盤ガイド部
151 上盤駆動機構
152 下盤駆動機構
161 上部支持板
162 下部支持板
170 温度制御装置
171 加熱器
172 温度計
200 積層成形システム
210 第1積層成形装置
211 第1中央盤
212 第1上盤
213 第1上盤駆動機構
214 第1下盤
215 第1下盤駆動機構
216 第1加熱器
217 真空ポンプ
220 第2積層成形装置
221 第2中央盤
222 第2上盤
223 第2上盤駆動機構
224 第2下盤
225 第2下盤駆動機構
226 第2加熱器
230 温度制御装置
240 制御装置
251、261、271、281 巻出装置
252、262、272、282 巻取装置
300 積層成形システム
310 第1積層成形装置
311 第1中央盤
312 第1左上盤
313 第1左下盤
314 第1右上盤
315 第1右下盤
320 第2積層成形装置
321 第2中央盤
322 第2左上盤
323 第2左下盤
324 第2右上盤
325 第2右下盤
400 積層成形システム
411 上側中央盤
412 上盤
421 下側中央盤
422 下盤
430 駆動部
431 第1駆動機構
432 第2駆動機構
C11 上側第1搬送フィルム
C12 上側第2搬送フィルム
C21 下側第1搬送フィルム
C22 下側第2搬送フィルム
C33 左上搬送フィルム
M1 上側処理対象
M2 下側処理対象
M3 上側処理対象
M4 下側処理対象
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7