(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-16
(45)【発行日】2024-08-26
(54)【発明の名称】情報処理システムおよび情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/02 20230101AFI20240819BHJP
【FI】
G06Q40/02
(21)【出願番号】P 2023132132
(22)【出願日】2023-08-14
【審査請求日】2023-08-14
(73)【特許権者】
【識別番号】598049322
【氏名又は名称】株式会社三菱UFJ銀行
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100190355
【氏名又は名称】田中 紀央
(72)【発明者】
【氏名】今井 里香
(72)【発明者】
【氏名】福岡 美和子
(72)【発明者】
【氏名】内田 博之
(72)【発明者】
【氏名】樋村 友紀
(72)【発明者】
【氏名】中野 雅子
【審査官】山崎 雄司
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-303281(JP,A)
【文献】特開平09-147039(JP,A)
【文献】特開昭62-191966(JP,A)
【文献】特開平06-149856(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金融機関の複数の営業店舗の各々の営業店舗システムと通信接続され、前記営業店舗システムの業務処理において利用される複数のシステムを含む、情報処理システムであって、
前記複数の営業店舗のうちの廃店する営業店舗の情報または前記廃店する営業店舗の前記営業店舗システムの情報を含む廃店情報を取得する廃店情報取得部と、
前記廃店情報に基づき、前記廃店する営業店舗の前記営業店舗システムから前記複数のシステムの少なくとも一部への通信接続を制限するアクセス制御リストを生成するアクセス制御リスト生成部と、
前記アクセス制御リストに基づき、前記廃店する営業店舗の前記営業店舗システムから前記複数のシステムの少なくとも一部への通信接続を制限するアクセス制御部と、を含む、情報処理システム。
【請求項2】
前記複数のシステムの前記少なくとも一部は、勘定系システムである、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記廃店情報取得部は、前記廃店する営業店舗の情報が送信される送信元情報を特定し、特定された前記送信元情報が予め設定された送信元情報と一致するとき、前記廃店情報取得部が前記廃店情報を取得する、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
金融機関の複数の営業店舗の各々の営業店舗システムと通信接続され、前記営業店舗システムの業務処理において利用される複数のシステム、を含む情報処理システムにおける情報処理方法であって、
前記複数の営業店舗のうちの廃店する営業店舗の情報または前記廃店する営業店舗の前記営業店舗システムの情報を含む廃店情報を取得し、
前記廃店する営業店舗の前記営業店舗システムから前記複数のシステムの少なくとも一部への通信接続を制限するアクセス制御リストを生成し、
前記アクセス制御リストに基づき、前記廃店する営業店舗の前記営業店舗システムから前記複数のシステムの少なくとも一部への通信接続を制限する、情報処理方法。
【請求項5】
前記複数のシステムの前記少なくとも一部は、勘定系システムである、請求項4に記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記廃店情報は、前記廃店する営業店舗の情報が送信される送信元情報を特定し、特定された前記送信元情報が予め設定された送信元情報と一致するときに取得される、請求項4に記載の情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、金融機関の業務処理で利用される情報処理システムに関する。また、本発明の一実施形態は、金融機関の業務処理で利用される情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金融機関は、勘定系システム、情報系システム、および電子帳票系システムなど、業務処理に必要なシステムが統合された統合システムを有する。金融機関の営業店舗は、顧客に金融商品またはサービスを提供するため、通信接続を介して統合システムにアクセスし、統合システムに含まれる1つまたは複数のシステムを利用して業務処理を実行し、金融商品またはサービスを顧客に提供する。
【0003】
金融機関における統合システムは、業務処理の実行において必要不可欠な根幹となるシステムであり、国内の営業店舗からの通信接続だけでなく、海外の営業店舗からの通信接続においても利用される。そのため、統合システムそのものを入れ替えることは困難である場合が多い。特に、金融機関では、業務処理における高い信頼性および安定性が要求されるため、現在となっては古い技術で構築された統合システムであっても利用され続けている。なお、このように古い技術で構築されたシステムは、一般的にはレガシーシステムと呼ばれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
金融機関の統合システムのようなレガシーシステムにおいても、業務処理の変更および追加に合わせて新たな技術が導入される。しかしながら、業務処理の変更および追加に応じて部分的な修正および機能の追加が行われた結果、統合システムは、肥大化、複雑化、およびブラックボックス化し、統合システムを修正する作業者の負担が増大しているという問題が生じている。
【0006】
例えば、金融機関の営業店舗を廃店する場合、廃店の店番の削除、廃店する営業店舗のスケジュールの修正など、営業店舗の廃店に対応して統合システムを修正する必要がある。しかしながら、古い技術で構築された統合システムの修正にあたっては、統合システムの内容の解析に時間および人材を要し、上述したように作業者の負担が増大する。また、統合システムの修正に要するコストも増大しがちである。
【0007】
本発明の一実施形態は、上記問題に鑑み、金融機関の業務処理で利用される複数のシステムを含む情報処理システムであって、営業店舗の廃店に伴う廃店処理が容易な情報処理システムを提供することを目的の一つとする。また、本発明の一実施形態は、金融機関の業務処理で利用される複数のシステムを含む情報処理システムにおいて、営業店舗の廃店に伴う廃店処理が容易な情報処理方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態に係る情報処理システムは、金融機関の複数の営業店舗の各々の営業店舗システムと通信接続され、営業店舗システムの業務処理において利用される複数のシステムを含む、情報処理システムであって、複数の営業店舗のうちの廃店する営業店舗の情報または廃店する営業店舗の営業店舗システムの情報を含む廃店情報を取得する廃店情報取得部と、廃店情報に基づき、廃店する営業店舗の営業店舗システムから複数のシステムの少なくとも一部への通信接続を制限するアクセス制御リストを生成するアクセス制御リスト生成部と、を含む。
【0009】
複数のシステムの少なくとも一部は、勘定系システムであってもよい。
【0010】
廃店情報取得部は、廃店する営業店舗の情報が送信される送信元情報を特定し、特定された送信元情報が予め設定された送信元情報と一致するとき、廃店情報取得部が廃店情報を取得してもよい。
【0011】
本発明の一実施形態に係る情報処理方法は、金融機関の複数の営業店舗の各々の営業店舗システムと通信接続され、営業店舗システムの業務処理において利用される複数のシステム、を含む情報処理システムにおける情報処理方法であって、複数の営業店舗のうちの廃店する営業店舗の情報を含む廃店情報を取得し、廃店する営業店舗の営業店舗システムから複数のシステムの少なくとも一部への通信接続を制限するアクセス制御リストを生成する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一実施形態に係る情報処理システムまたは情報処理方法によれば、金融機関の営業店舗が廃店する場合において、作業者の作業負担を軽減するとともに、費用を削減することができる。また、本発明の一実施形態に係る情報処理システムまたは情報処理方法によれば、廃店した営業店舗での営業を再開する場合において、複雑な処理を実行することなく、容易に元の状態に戻すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る情報処理システムのアクセス制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る情報処理方法における営業店舗システムの廃店処理を説明するフローチャートである。
【
図4】本発明の一実施形態に係る情報処理システムにおいて、廃店処理後の営業店舗システムのアクセス制御を説明する模式図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る情報処理システムにおいて、廃店処理後の営業店舗システムのアクセス制御を説明する模式図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る情報処理システムにおいて、廃店処理後の営業店舗システムのアクセス制御を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。本実施形態は本発明の一例であって、本発明は、本実施形態に限定して解釈されない。すなわち、本実施形態に公知の技術を適用した変形例においても、本発明を実施することが可能である。
【0015】
本明細書において、各構成要素に付記される「第1」、「第2」、または「第3」などの文字は、各構成要素を区別するために用いられる便宜的な標識であり、特段の説明がない限り、それ以上の意味を有さない。
【0016】
本明細書において、「金融機関」とは、金融取引に関する業務を行うことができる機関をいう。「金融機関」としては、例えば、銀行、郵便局、保険会社、または証券会社などであるが、これらに限られない。
【0017】
本明細書において、「サーバ」とは、ネットワークを通じて、特定のサービスを提供することができるコンピュータまたはプログラムをいう。「サーバ」は、例えば、ワークステーションまたはパーソナルコンピュータなどのコンピュータであり、演算手段として中央演算装置(CPU)および記憶手段としてランダムアクセスメモリ(RAM)を含む。また、「サーバ」は、通信インターフェース、ユーザインターフェース、またはストレージなどを含んでいてもよい。「サーバ」において、CPU、メモリ、ストレージ、および通信インターフェースのそれぞれは、通信バスによって電気的に接続されていてもよく、クラウドコンピューティングによって接続されていてもよい。なお、「サーバ」は、1つのコンピュータであってもよく、複数のコンピュータであってもよい。
【0018】
本明細書において、「システム」とは、「サーバ」を指す場合がある。
【0019】
本明細書において、「情報通信端末」とは、ネットワークを通じて情報にアクセスすることができる情報機器をいう。「情報通信端末」としては、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット、またはパーソナルコンピュータなどであるが、これらに限られない。
【0020】
本明細書において、「ネットワーク」とは、複数のコンピュータを有線または無線によって接続し、相互に通信可能な状態にするシステムをいい、例えば、インターネットまたはイントラネットなどをいう。また、「ネットワーク」は、専用線であってもよく、VPNであってもよい。なお、金融機関内における閉じたネットワークでは、セキュリティの観点から専用線が用いられることが好ましい。
【0021】
<1.情報処理システム1の構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理システム1の構成を示すブロック図である。
【0022】
図1に示すように、情報処理システム1は、統合システム10、第1の営業店舗システム20-1、第2の営業店舗システム20-2、・・・、および第nの営業店舗システム20-n、ならびにアクセス制御装置30を含む。ここで、第1の営業店舗システム20-1、第2の営業店舗システム20-2、・・・、および第nの営業店舗システム20-nのそれぞれを特に区別しない場合には、便宜上、営業店舗システム20として説明する。
【0023】
統合システム10は、ネットワークNWを介してアクセス制御装置30と通信可能に接続されている。また、営業店舗システム20は、ネットワークNWを介してアクセス制御装置30と通信可能に接続されている。すなわち、営業店舗システム20は、アクセス制御装置30を介して、統合システム10と通信接続することができる。
【0024】
統合システム10は複数のシステムを含み、金融機関の複数の営業店舗の各々は、統合システム10の1つまたは複数のシステムで実行される業務処理を通じて、金融業務を行うことができる。すなわち、統合システム10は、金融機関の業務処理の基幹となる複数のシステムが統合されたシステムである。統合システム10は、勘定系システム11、情報系システム12、および電子帳票系システム13を含む。営業店舗システム20は、ネットワークNWを通じて、統合システム10に含まれる勘定系システム11、情報系システム12、および電子帳票系システム13を利用することができる。
【0025】
勘定系システム11は、送金、決済、融資、および為替などの勘定業務に関する業務処理を実行するシステムである。勘定系システム11には、取引が記録された勘定元帳が格納されており、勘定元帳に基づく業務処理が実行される。金融機関の営業店舗の各々は、勘定系システム11を利用することにより、送金、決済、融資、および為替などの金融商品およびサービスを顧客に提供することができる。
【0026】
情報系システム12は、金融業務の支援を目的とする業務処理を実行するシステムである。例えば、情報系システム12では、営業店舗のカレンダー情報を更新することができる。また、例えば、情報系システム12では、顧客情報および取引情報などの蓄積された情報を解析し、スクリーニング処理が実行される。これにより、不正送金などを検知することができる。また、金融機関の営業店舗の各々は、情報系システム12によって解析された情報に基づいて、顧客の要望に合わせた金融商品およびサービスを提案することもできる。
【0027】
電子帳票系システム13は、金融業務で利用される帳票の電子化に関する業務処理を実行するシステムである。金融機関の営業店舗の各々は、電子帳票系システム13を利用することにより、顧客に電子化された帳票を提供することができる。
【0028】
統合システム10では、勘定系システム11、情報系システム12、および電子帳票系システム13のそれぞれが独立して実行されてもよく、互いに連動して実行されてもよい。
【0029】
なお、統合システム10は、勘定系システム11、情報系システム12、および電子帳票系システム13以外のシステムを含んでいてもよい。例えば、統合システム10は、情報処理システム1を有する金融機関以外の他の金融機関のコンピュータおよびATMなどと通信接続するための対外系システムを含んでいてもよい。
【0030】
営業店舗システム20は、金融機関の営業店舗において、金融業務を行うために利用されるシステムである。営業店舗の従業員は、営業店舗システム20を介して統合システム10を利用し、顧客に金融商品またはサービスを提供することができる。換言すると、営業店舗システム20は、統合システム10と通信接続され、統合システム10を利用して、顧客の要望に応じた業務処理を実行することができる。
【0031】
営業店舗システム20は、例えば、複数の営業店舗の各々に設置されるサーバである。営業店舗の従業員は、それぞれが所持する情報通信端末を営業店舗システム20と通信接続することにより、統合システム10を利用して金融業務を行うことができる。但し、営業店舗システム20の構成は、前述した構成に限られない。営業店舗システム20は、例えば、営業店舗の従業員の情報通信端末であってもよい。この場合、従業員の情報通信端末には、統合システム10を利用可能なプログラムがインストールされており、プログラムが実行されることにより営業店舗システム20を利用することが可能となる。
【0032】
なお、営業店舗システム20では、統合システム10の利用に際して従業員ごとに異なる権限が設定されていてもよい。例えば、一部の従業員に対しては、勘定系システム11および情報系システム12を利用する権限を設定し、別の従業員に対しては、勘定系システム11のみを利用する権限を設定することができる。また、統合システム10の利用における権限の設定としては、勘定系システム11および情報系システム12のようなシステム単位での設定に限られず、勘定系システム11で実行される取引処理単位での権限が設定されていてもよい。
【0033】
アクセス制御装置30は、統合システム10と営業店舗システム20との間の通信接続の可否を制御する。アクセス制御装置30は、統合システム10に含まれていてもよく、統合システム10とは別個の装置であってもよい。また、
図1では、1つの統合システム10に対して1つのアクセス制御装置30が接続されているが、1つの統合システム10に対して複数のアクセス制御装置30が接続されていてもよい。例えば、国内の営業店舗と海外の営業店舗とに分けて、複数のアクセス制御装置30が備えられていてもよい。
【0034】
ここで、
図2を参照して、アクセス制御装置30の構成について説明する。
【0035】
<2.アクセス制御装置30の構成>
図2は、本発明の一実施形態に係る情報処理システムのアクセス制御装置30の構成を示すブロック図である。
【0036】
図2に示すように、アクセス制御装置30は、アクセス制御部31、アクセス制御リスト32、廃店情報取得部33、およびアクセス制御リスト生成部34を含む。アクセス制御装置30は、例えば、コンピュータまたは通信インターフェースである。アクセス制御装置30は、所定のプログラムを実行することにより、アクセス制御部31、廃店情報取得部33、およびアクセス制御リスト生成部34を機能させることができる。
【0037】
アクセス制御部31は、アクセス制御リスト32に基づき、統合システム10と営業店舗システム20との間の通信接続を制御する。
【0038】
アクセス制御リスト32は、統合システム10と営業店舗システム20との間の通信接続の可否の設定をリスト化したものである。例えば、アクセス制御リスト32には、第1の営業店舗システム20-1から統合システム10へのアクセスを否定し、第2の営業店舗システム20-2から統合システム10へのアクセスを許可するというような設定が含まれている。なお、アクセス制御リスト32における通信接続の可否は、営業店舗システム20の名称、営業店舗の店番、またはIPアドレスによって設定されていてもよい。また、アクセス制御リスト32では、統合システム10の全体へのアクセスの可否だけでなく、統合システム10の一部のシステム(勘定系システム11、情報系システム12、または電子帳票系システム13)へのアクセスの可否を設定することもできる。
【0039】
廃店情報取得部33は、廃店する営業店舗に関する廃店情報を取得する。営業店舗を廃店する場合には、作業者の入力操作によって生成された廃店情報がアクセス制御装置30に送信される。廃店情報がアクセス制御装置30によって受信されると、廃店情報取得部33が廃店情報を取得する。廃店情報は、廃店する営業店舗の情報(営業店舗の名称または店番など)または廃店する営業店舗の営業店舗システム20の情報(営業店舗システム20の名称またはIPアドレスなど)を含む。ここで、廃店情報がアクセス制御装置30に送信されるという構成には、廃店情報が通信接続を介してアクセス制御装置30に送信される構成だけでなく、廃店情報がアクセス制御装置30に直接入力される構成も含まれる。
【0040】
廃店情報取得部33は、所定の判定条件に基づき、廃店情報を取得してもよい。例えば、廃店情報取得部33は、廃店する営業店舗に関する情報が送信される送信元情報(例えば、IPアドレスなど)を特定し、特定された送信元情報が予め設定された送信元情報と一致するとき、廃店情報取得部33が廃店情報を取得してもよい。これにより、予め設定された送信元から送信される命令によってのみ廃店情報が取得されるため、情報処理システム1のセキュリティが向上する。また、送信元情報から営業店舗の廃店に関する廃店情報であることが容易に特定される。
【0041】
アクセス制御リスト生成部34は、廃店情報取得部33によって取得された廃店情報に基づき、アクセス制御リストを生成する。また、アクセス制御リスト生成部34は、生成されたアクセス制御リストを用いてアクセス制御リスト32を更新する。
【0042】
本実施形態に係る情報処理システム1では、アクセス制御装置30が上述した構成要素を含むことにより、作業者が廃店情報をアクセス制御装置30に送信するのみで、営業店舗の廃店と対応して、営業店舗システム20の廃店処理を実行することができる。
【0043】
ここで、
図3を参照して、情報処理システム1における営業店舗システム20の廃店処理について説明する。
【0044】
<3.情報処理システム1における営業店舗システム20の廃店処理>
図3は、本発明の一実施形態に係る情報処理方法における営業店舗システム20の廃店処理を説明するフローチャートである。また、
図4~
図6の各々は、本発明の一実施形態に係る情報処理システム1において、廃店処理後の営業店舗システム20のアクセス制御を説明する模式図である。
【0045】
図4に示すフローチャートは、ステップS10~ステップS30を含む。以下、順に各ステップについて説明する。
【0046】
ステップS10では、廃店情報取得部33が、廃店する営業店舗に関する廃店情報を取得する。金融機関の営業店舗の廃店が決定されたとき、作業者は、廃店する営業店舗の営業店舗システム20から統合システム10へのアクセスを制限するための廃店情報をアクセス制御装置30に送信する。廃店情報はアクセス制御装置30によって受信されるが、廃店情報取得部33は、受信された情報が廃店情報であるか否かを判定し、廃店情報であると判定された場合に廃店情報を取得する。例えば、廃店情報取得部33は、廃店情報に含まれる廃店命令コードを検出することにより、受信された情報が廃店情報であると判定することができる。
【0047】
廃店情報には、廃店する営業店舗の情報または廃店する営業店舗の営業店舗システム20の情報だけでなく、統合システム10の一部のシステム、例えば、勘定系システム11のみへのアクセスが制限される情報などが含まれていてもよい。
【0048】
また、ステップS10では、廃店情報取得部33が廃店情報を取得するとき、廃店情報取得部33が、命令の送信元を特定してもよい。例えば、命令の送信元のIPアドレスを特定し、特定されたIPアドレスが予め設定されたIPアドレスと一致するときに、廃店情報が廃店情報取得部33によって取得されてもよい。また、作業者が廃店する営業店舗の営業店舗システム20を利用して廃店情報を送信する場合、廃店情報取得部33は、廃店情報に含まれる営業店舗の情報または営業店舗システム20の情報が、廃店情報の送信元の情報と一致するか否かを判定してもよい。この場合、廃店情報に含まれる営業店舗の情報または営業店舗システム20の情報と廃店情報の送信元の情報とが一致するとき、廃店情報が廃店情報取得部33によって取得される。
【0049】
ステップS20では、アクセス制御リスト生成部34が、取得された廃店情報に基づき、アクセス制御リストを生成する。具体的には、廃店する営業店舗の営業店舗システム20から統合システム10へのアクセス、または営業中の営業店舗の営業店舗システム20から廃店する営業店舗の営業店舗システム20へのアクセスを制限するアクセス制御リストを生成する。
【0050】
アクセス制御リスト生成部34によって生成されるアクセス制御リストは、統合システム10へのアクセスを制限するだけでなく、統合システム10の一部のシステム、例えば、勘定系システム11のみへのアクセスが制限されるリストであってもよい。
【0051】
ステップS30では、アクセス制御リストが生成されたとき、アクセス制御リスト生成部34は、生成されたアクセス制御リストを用いてアクセス制御リスト32を更新する。これにより、アクセス制御部31は、更新されたアクセス制御リスト32に基づいて、営業店舗システム20のアクセスを制御することができる。
【0052】
ここで、
図4~
図6を参照して、ステップS10~ステップS30の廃店処理が実行された後の営業店舗システム20のアクセス制御について説明する。なお、
図4~
図6では、第1の営業店舗システム20-1が廃店処理されたものとして説明する。
【0053】
図4には、第1の営業店舗システム20-1から統合システム10へのアクセスが制限される場合が示されている。第1の営業店舗システム20-1において勘定系システム11を利用する業務処理を実行しようとしても、アクセス制御装置30によって、第1の営業店舗システム20-1から統合システム10へのアクセスが制限される。したがって、第1の営業店舗システム20-1を用いて業務処理を実行することができないため、第1の営業店舗システム20-1を利用していた第1の営業店舗は、実質的に廃店したものとして扱うことができる。
【0054】
図5には、第2の営業店舗システム20-2から第1の営業店舗システム20-1を介する統合システム10へのアクセスが制限される場合が示されている。例えば、第2の営業店舗から第1の営業店舗へ送金の勘定業務を行う場合であるが、第2の営業店舗システム20-2を利用して、第1の営業店舗システム20-1に送金しようとしても、アクセス制御装置30によって、第1の営業店舗システム20-1の勘定系システム11へのアクセスが制限されている。そのため、第2の営業店舗システム20-2を利用しても、第1の営業店舗システム20-1を利用する業務処理を実行することができない。したがって、この場合においても、第1の営業店舗システム20-1を用いて業務処理を実行することができないため、第1の営業店舗システム20-1を利用していた第1の営業店舗は、実質的に廃店したものとして扱うことができる。
【0055】
図6には、第1の営業店舗システム20-1から統合システム10の一部である勘定系システム11のみへのアクセスが制限される場合が示されている。例えば、第1の営業店舗システム20-1を利用して口座の残高照会を行う場合であるが、アクセス制御装置30によって、第1の営業店舗システム20-1から勘定系システム11へのアクセスが制限される。そのため、第1の営業店舗システム20-1から勘定系システム11を利用する業務処理を実行することができない。一方で、第1の営業店舗システム20-1から情報系システム12および電子帳票系システム13へのアクセスは許容される。そのため、例えば、第1の営業店舗システム20-1を利用して、統合システム10を運用する上での必要な処理、例えば、第1の営業店舗のカレンダー情報を更新することは可能である。しかしながら、この場合においても、第1の営業店舗システム20-1を利用して勘定処理を実行することはできないため、第1の営業店舗システム20-1を利用していた第1の営業店舗は、実質的に廃店したものとして扱うことができる。
【0056】
上記では、本実施形態に係る情報処理方法の1つとして営業店舗システム20の廃店処理について説明したが、本実施形態に係る情報処理方法では、廃店した営業店舗の営業店舗システム20を元の状態に戻すこともできる。具体的には、元に戻したい営業店舗の営業店舗システム20がアクセス制限されないようにアクセス制御リスト32を更新すればよく、情報処理システム1では、営業店舗システム20の廃店処理だけでなく、元に戻す処理も容易である。
【0057】
以上説明したように、本実施形態に係る情報処理システム1または情報処理方法によれば、金融機関の営業店舗を廃店する場合、アクセス制御装置30のアクセス制御リスト32が更新され、廃店する営業店舗の営業店舗システム20から統合システム10へのアクセスが制限される廃店処理が実行される。この廃店処理においては、作業者による統合システム10の修正および追加などの作業が発生しないため、作業者の作業負担が軽減され、費用を削減することができる。また、本発明の一実施形態に係る情報処理システム1または情報処理方法によれば、一旦廃店した営業店舗であっても、アクセス制御リスト32を更新することにより、容易に元の状態に戻すことができる。すなわち、再開する営業店舗の営業店舗システム20から統合システム10へのアクセス制限の解除も容易である。
【0058】
本発明の実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜構成要素を組み合わせて実施することができる。また、実施形態を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除、もしくは設計変更を行ったもの、または工程の追加、省略、もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0059】
上述した実施形態によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、または当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0060】
1:情報処理システム、 10:統合システム、 11:勘定系システム、 12:情報系システム、 13:電子帳票系システム、 20:営業店舗システム、 20-1:第1の営業店舗システム、 20-2:第2の営業店舗システム、 20-n:第nの営業店舗システム、 30:アクセス制御装置、 31:アクセス制御部、 32:アクセス制御リスト、 33:廃店情報取得部、 34:アクセス制御リスト生成部
【要約】
【課題】金融機関における営業店舗の廃店対応が容易な情報処理システムを提供すること。
【解決手段】情報処理システムは、金融機関の複数の営業店舗の各々の営業店舗システムと通信接続され、営業店舗システムによって業務処理が実行される複数のシステムを含む、情報処理システムであって、複数の営業店舗のうちの廃店する営業店舗の情報または廃店する営業店舗の営業店舗システムの情報を含む廃店情報を取得する廃店情報取得部と、廃店情報に基づき、廃店する営業店舗の営業店舗システムから複数のシステムの少なくとも一部への通信接続を制限するアクセス制御リストを生成するアクセス制御リスト生成部と、を含む。
【選択図】
図1