(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-16
(45)【発行日】2024-08-26
(54)【発明の名称】エアロゾル生成装置の電源ユニット
(51)【国際特許分類】
A24F 40/40 20200101AFI20240819BHJP
A24F 40/50 20200101ALI20240819BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/50
(21)【出願番号】P 2023520824
(86)(22)【出願日】2022-03-02
(86)【国際出願番号】 JP2022008856
(87)【国際公開番号】W WO2022239395
(87)【国際公開日】2022-11-17
【審査請求日】2023-06-26
(31)【優先権主張番号】P 2021079907
(32)【優先日】2021-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】青山 達也
(72)【発明者】
【氏名】川中子 拓嗣
(72)【発明者】
【氏名】長浜 徹
(72)【発明者】
【氏名】藤木 貴司
(72)【発明者】
【氏名】吉田 亮
【審査官】杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/244929(WO,A1)
【文献】特許第6858915(JP,B1)
【文献】特許第6831031(JP,B1)
【文献】特開平06-276737(JP,A)
【文献】特開2007-166782(JP,A)
【文献】特開2020-114197(JP,A)
【文献】特開2011-064824(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/40
A24F 40/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源と、
前記電源が接続される電源コネクタと、
前記電源から供給される電力を消費してエアロゾル源を加熱するヒータが接続されるヒータコネクタと、
前記電源から前記ヒータへの電力の供給を制御可能に構成されるコントローラと、
第1回路基板と、
前記第1回路基板から離間した第2回路基板と、
前記電源から供給される電圧を昇圧して前記ヒータへ出力する昇圧ICと、
外部電源に電気的に接続可能なレセプタクルと、
前記レセプタクルから供給される電力を用いて前記電源の充電を制御するように構成された充電ICと、
前記レセプタクルから供給される電力から前記充電ICを保護する保護素子と、
前記充電ICを経由せずに前記レセプタクルから供給される電力を用いて動作する電子部品と、
前記レセプタクルから供給される電力を前記電子部品へ供給する第2供給経路と、
前記第2供給経路に設けられるスイッチと、を備えるエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記電源コネクタ及び前記昇圧ICは、前記第2回路基板には実装されず、前記第1回路基板に実装され、
前記コントローラは、前記第1回路基板には実装されず、前記第2回路基板に実装され、
前記レセプタクルは、前記第1回路基板に実装され、
前記保護素子は、前記第2回路基板には実装されず、前記第1回路基板に実装され、
前記電子部品は、前記第1回路基板に実装されず、
前記スイッチは、前記第2回路基板に実装され、
前記第2回路基板は、前記第1回路基板を介してのみ前記電源コネクタへ電気的に接続される、エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記昇圧ICへ接続されるリアクトルを備え、
前記第1回路基板は、第1面と、前記第1面の裏面である第2面と、を含み、
前記昇圧ICは、前記第1回路基板の前記第1面に実装され、
前記リアクトルは、前記第1回路基板の前記第2面に実装される、エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項3】
請求項1に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記第1回路基板は、第1面と、前記第1面の裏面である第2面と、を含み、
前記昇圧ICは、前記第1回路基板の前記第1面に実装され、
前記電源コネクタは、前記第1回路基板の前記第2面に実装される、エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項4】
請求項3に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記昇圧ICへ接続されるリアクトルを備え、
前記リアクトルは、前記第1回路基板の前記第2面に実装される、エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記ヒータコネクタは、前記第2回路基板には実装されず、前記第1回路基板に実装される、エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項6】
請求項5に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記昇圧ICへ接続されるリアクトルを備え、
前記第1回路基板は、第1面と、前記第1面の裏面である第2面と、を含み、
前記リアクトル及び前記ヒータコネクタは、前記第1回路基板の前記第2面に実装される、エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
入力された情報を記憶可能な記憶回路を備え、
前記記憶回路は、前記第2回路基板に実装される、エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって
、
前記第1回路基板には、前記レセプタクルから供給される電力を前記第2回路基板へ供給する第1供給経路が実装されており、
前記第1供給経路には、過電圧保護ICが設けられている、エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項9】
請求項
1~8のいずれか一項に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
グランドと、
前記コントローラに内蔵される内蔵スイッチと、を備え、
前記電子部品の一端は、前記第2供給経路へ接続され、
前記電子部品の他端は、前記内蔵スイッチを介して前記グランドへ接続される、エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル生成装置の電源ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、2には、電力を昇圧及び/又は降圧する電圧変換ICを搭載したエアロゾル生成装置の電源ユニットが記載されている。これらのエアロゾル生成装置の電源ユニットでは、エアロゾルの生成効率を向上させるため、電源電圧を電圧変換ICで変換してからヒータへ供給する。
【0003】
これらのエアロゾル生成装置を高機能化しようとすると、電源ユニットは、回路基板の枚数や、回路基板上の電源電圧の種類が増加する。
【0004】
そこで、例えば、特許文献3には、充電端子及び抵抗器が形成された第1回路基板と、充電IC、MCU、及びスイッチが形成された第2回路基板と、を備えるエアロゾル生成装置の電源ユニットが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】中国特許出願公開第110547516号明細書
【文献】中国特許出願公開第104664605号明細書
【文献】日本国特許第6573737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、複数の回路基板を備えるエアロゾル生成装置の電源ユニットにおいて、電子部品を回路基板にどのように実装するかについては十分に検討されてこなかった。
【0007】
本発明は、回路基板上に電子部品が適切に実装されたエアロゾル生成装置の電源ユニットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
電源と、
前記電源が接続される電源コネクタと、
前記電源から供給される電力を消費してエアロゾル源を加熱するヒータが接続されるヒータコネクタと、
前記電源から前記ヒータへの電力の供給を制御可能に構成されるコントローラと、
第1回路基板と、
前記第1回路基板から離間した第2回路基板と、
前記電源から供給される電圧を昇圧して前記ヒータへ出力する昇圧ICと、
外部電源に電気的に接続可能なレセプタクルと、
前記レセプタクルから供給される電力を用いて前記電源の充電を制御するように構成された充電ICと、
前記レセプタクルから供給される電力から前記充電ICを保護する保護素子と、
前記充電ICを経由せずに前記レセプタクルから供給される電力を用いて動作する電子部品と、
前記レセプタクルから供給される電力を前記電子部品へ供給する第2供給経路と、
前記第2供給経路に設けられるスイッチと、を備えるエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記電源コネクタ及び前記昇圧ICは、前記第2回路基板には実装されず、前記第1回路基板に実装され、
前記コントローラは、前記第1回路基板には実装されず、前記第2回路基板に実装され、
前記レセプタクルは、前記第1回路基板に実装され、
前記保護素子は、前記第2回路基板には実装されず、前記第1回路基板に実装され、
前記電子部品は、前記第1回路基板に実装されず、
前記スイッチは、前記第2回路基板に実装され、
前記第2回路基板は、前記第1回路基板を介してのみ前記電源コネクタへ電気的に接続される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、回路基板上に電子部品が適切に実装され、エアロゾル生成装置の電源ユニットの耐久性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】ロッドを装着した状態を示す非燃焼式吸引器の斜視図である。
【
図5】非燃焼式吸引器の内部ユニットの斜視図である。
【
図7】電源及びシャーシを取り除いた内部ユニットの斜視図である。
【
図8】電源及びシャーシを取り除いた内部ユニットの他の斜視図である。
【
図10】吸引器の動作モードを説明するための模式図である。
【
図11】内部ユニットの電気回路の概略構成を示す図である。
【
図12】内部ユニットの電気回路の概略構成を示す図である。
【
図13】内部ユニットの電気回路の概略構成を示す図である。
【
図14】スリープモードにおける電気回路の動作を説明するための図である。
【
図15】アクティブモードにおける電気回路の動作を説明するための図である。
【
図16】加熱初期設定モードにおける電気回路の動作を説明するための図である。
【
図17】加熱モードにおけるヒータの加熱時の電気回路の動作を説明するための図である。
【
図18】加熱モードにおけるヒータの温度検出時の電気回路の動作を説明するための図である。
【
図19】充電モードにおける電気回路の動作を説明するための図である。
【
図20】MCUのリセット(再起動)時の電気回路の動作を説明するための図である。
【
図21】レセプタクル搭載基板の主面を示す図である。
【
図22】レセプタクル搭載基板の副面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明におけるエアロゾル生成装置の一実施形態である吸引システムについて図面を参照しながら説明する。この吸引システムは、本発明の電源ユニットの一実施形態である非燃焼式吸引器100(以下、単に、「吸引器100」ともいう)と、吸引器100によって加熱されるロッド500と、を備える。以下の説明では、吸引器100が、加熱部を着脱不能に収容した構成を例に説明する。しかし、吸引器100に対し加熱部が着脱自在に構成されていてもよい。例えば、ロッド500と加熱部が一体化されたものを、吸引器100に着脱自在に構成したものであってもよい。つまり、エアロゾル生成装置の電源ユニットは、構成要素として加熱部を含まない構成であってもよい。なお、着脱不能とは、想定される用途の限りにおいて、取外しが行えないような態様を指すものとする。又は、吸引器100に設けられる誘導加熱用コイルと、ロッド500に内蔵されるサセプタが協働して加熱部を構成してもよい。
【0012】
図1は、吸引器100の全体構成を示す斜視図である。
図2は、ロッド500を装着した状態を示す吸引器100の斜視図である。
図3は、吸引器100の他の斜視図である。
図4は、吸引器100の分解斜視図である。また、以下の説明では、互いに直交する3方向を、便宜上、前後方向、左右方向、上下方向とした、3次元空間の直交座標系を用いて説明する。図中、前方をFr、後方をRr、右側をR、左側をL、上方をU、下方をD、として示す。
【0013】
吸引器100は、エアロゾル源及び香味源を含む充填物などを有する香味成分生成基材の一例としての細長い略円柱状のロッド500(
図2参照)を加熱することによって、香味を含むエアロゾルを生成するように構成される。
【0014】
<香味成分生成基材(ロッド)>
ロッド500は、所定温度で加熱されてエアロゾルを生成するエアロゾル源を含有する充填物を含む。
【0015】
エアロゾル源の種類は、特に限定されず、用途に応じて種々の天然物からの抽出物質及び/又はそれらの構成成分を選択することができる。エアロゾル源は、固体であってもよいし、例えば、グリセリン、プロピレングリコールといった多価アルコールや、水などの液体であってもよい。エアロゾル源は、加熱することによって香味成分を放出するたばこ原料やたばこ原料由来の抽出物等の香味源を含んでいてもよい。香味成分が付加される気体はエアロゾルに限定されず、例えば不可視の蒸気が生成されてもよい。
【0016】
ロッド500の充填物は、香味源としてたばこ刻みを含有し得る。たばこ刻みの材料は特に限定されず、ラミナや中骨等の公知の材料を用いることができる。充填物は、1種又は2種以上の香料を含んでいてもよい。当該香料の種類は特に限定されないが、良好な喫味の付与の観点から、好ましくはメンソールである。香味源は、たばこ以外の植物(例えば、ミント、漢方、又はハーブ等)を含有し得る。用途によっては、ロッド500は香味源を含まなくてもよい。
【0017】
<非燃焼式吸引器の全体構成>
続いて、吸引器100の全体構成について、
図1~
図4を参照しながら説明する。
吸引器100は、前面、後面、左面、右面、上面、及び下面を備える略直方体形状のケース110を備える。ケース110は、前面、後面、上面、下面、及び右面が一体に形成された有底筒状のケース本体112と、ケース本体112の開口部114(
図4参照)を封止し左面を構成するアウターパネル115及びインナーパネル118と、スライダ119と、を備える。
【0018】
インナーパネル118は、ケース本体112にボルト120で固定される。アウターパネル115は、ケース本体112に収容された後述する絶縁性のシャーシ150(
図5参照)に保持されたマグネット124によって、インナーパネル118の外面を覆うようにケース本体112に固定される。アウターパネル115が、マグネット124によって固定されることで、ユーザは好みに合わせてアウターパネル115を取り替えることが可能となっている。
【0019】
インナーパネル118には、マグネット124が貫通するように形成された2つの貫通孔126が設けられる。インナーパネル118には、上下に配置された2つの貫通孔126の間に、さらに縦長の長孔127及び円形の丸孔128が設けられる。この長孔127は、ケース本体112に内蔵された8つのLED(Light Emitting Diode) L1~L8から出射される光を透過させるためのものである。丸孔128には、ケース本体112に内蔵されたボタン式の操作スイッチOPSが貫通する。すなわち、操作スイッチOPSは、インナーパネル118に設けられた丸孔128に配置される。これにより、ユーザは、アウターパネル115のLED窓116を介して8つのLED L1~L8から出射される光を検知することができる。また、ユーザは、アウターパネル115の押圧部117を介して操作スイッチOPSを押し下げることができる。
【0020】
図2に示すように、ケース本体112の上面には、ロッド500を挿入可能な開口132が設けられる。スライダ119は、開口132を閉じる位置(
図1参照)と開口132を開放する位置(
図2参照)との間を、前後方向に移動可能にケース本体112に結合される。
【0021】
操作スイッチOPSは、吸引器100の各種操作を行うために使用される。例えば、ユーザは、
図2に示すようにロッド500を開口132に挿入して装着した状態で、押圧部117を介して操作スイッチOPSを操作する。これにより、加熱部170(
図5参照)によって、ロッド500を燃焼させずに加熱する。ロッド500が加熱されると、ロッド500に含まれるエアロゾル源からエアロゾルが生成され、ロッド500に含まれる香味源の香味が当該エアロゾルに付加される。ユーザは、開口132から突出したロッド500の吸口502を咥えて吸引することにより、香味を含むエアロゾルを吸引することができる。
【0022】
ケース本体112の下面には、
図3に示すように、コンセントやモバイルバッテリ等の外部電源と電気的に接続して電力供給を受けるための充電端子134が設けられている。本実施形態において、充電端子134は、USB(Universal Serial Bus) Type-C形状のレセプタクルとしているが、これに限定されるものではない。充電端子134を、以下では、レセプタクルRCPとも記載する。ケース本体112の下面には、左右方向に長く上下方向に貫通する長孔129が設けられており、レセプタクルRCPは、この長孔129に配置されている。そして、レセプタクルRCPには、USB Type-C形状のプラグが長孔129を通って挿脱可能となっている。
【0023】
なお、充電端子134は、例えば、受電コイルを備え、外部電源から送電される電力を非接触で受電可能に構成されてもよい。この場合の電力伝送(Wireless Power Transfer)の方式は、電磁誘導型でもよいし、磁気共鳴型でもよいし、電磁誘導型と磁気共鳴型を組み合わせたものでもよい。別の一例として、充電端子134は、各種USB端子等が接続可能であり、且つ前述した受電コイルを有していてもよい。
【0024】
図1~
図4に示される吸引器100の構成は一例にすぎない。吸引器100は、ロッド500を保持して例えば加熱等の作用を加えることで、ロッド500から香味成分が付与された気体を生成させ、生成された気体をユーザが吸引することができるような、様々な形態で構成することができる。
【0025】
<非燃焼式吸引器の内部構成>
吸引器100の内部ユニット140について
図5~
図9を参照しながら説明する。
図5は、吸引器100の内部ユニット140の斜視図である。
図6は、
図5の内部ユニット140の分解斜視図である。
図7は、電源BAT及びシャーシ150を取り除いた内部ユニット140の斜視図である。
図8は、電源BAT及びシャーシ150を取り除いた内部ユニット140の他の斜視図である。
図9は、吸引器100の断面図である。
【0026】
ケース110の内部空間に収容される内部ユニット140は、シャーシ150と、電源BATと、回路部160と、加熱部170と、通知部180と、各種センサと、を備える。
【0027】
シャーシ150は、熱を通しにくい性質である絶縁性を有する材料、例えば樹脂から構成される。シャーシ150は、前後方向においてケース110の内部空間の略中央に配置され上下方向且つ前後方向に延設された板状のシャーシ本体151と、前後方向においてケース110の内部空間の略中央に配置され上下方向且つ左右方向に延びる板状の前後分割壁152と、上下方向において前後分割壁152の略中央から前方に延びる板状の上下分割壁153と、前後分割壁152及びシャーシ本体151の上縁部から後方に延びる板状のシャーシ上壁154と、前後分割壁152及びシャーシ本体151の下縁部から後方に延びる板状のシャーシ下壁155と、を備える。シャーシ本体151の左面は、前述したケース110のインナーパネル118及びアウターパネル115に覆われる。
【0028】
ケース110の内部空間は、シャーシ150により前方上部に加熱部収容領域142が区画形成され、前方下部に基板収容領域144が区画形成され、後方に上下方向に亘って電源収容空間146が区画形成されている。
【0029】
加熱部収容領域142に収容される加熱部170は、複数の筒状の部材から構成され、これらが同心円状に配置されることで、全体として筒状体をなしている。加熱部170は、その内部にロッド500の一部を収納可能なロッド収容部172と、ロッド500を外周又は中心から加熱するヒータHTR(
図11~
図20参照)と、を有する。ロッド収容部172が断熱材で構成される、又は、ロッド収容部172の内部に断熱材が設けられることで、ロッド収容部172の表面とヒータHTRは断熱されることが好ましい。ヒータHTRは、ロッド500を加熱可能な素子であればよい。ヒータHTRは、例えば、発熱素子である。発熱素子としては、発熱抵抗体、セラミックヒータ、及び誘導加熱式のヒータ等が挙げられる。ヒータHTRとしては、例えば、温度の増加に伴って抵抗値も増加するPTC(Positive Temperature Coefficient)特性を有するものが好ましく用いられる。これに代えて、温度の増加に伴って抵抗値が低下するNTC(Negative Temperature Coefficient)特性を有するヒータHTRを用いてもよい。加熱部170は、ロッド500へ供給する空気の流路を画定する機能、及びロッド500を加熱する機能を有する。ケース110には、空気を流入させるための通気口(不図示)が形成され、加熱部170に空気が流入できるように構成される。
【0030】
電源収容空間146に収容される電源BATは、充電可能な二次電池、電気二重層キャパシタ等であり、好ましくは、リチウムイオン二次電池である。電源BATの電解質は、ゲル状の電解質、電解液、固体電解質、イオン液体の1つ又はこれらの組合せで構成されていてもよい。本実施形態では、電源BATは、上下方向に延びた円筒形状を有する。
【0031】
通知部180は、電源BATの充電状態を示すSOC(State Of Charge)、吸引時の予熱時間、吸引可能期間等の各種情報を通知する。本実施形態の通知部180は、8つのLED L1~L8と、振動モータMと、を含む。通知部180は、LED L1~L8のような発光素子によって構成されていてもよく、振動モータMのような振動素子によって構成されていてもよく、音出力素子によって構成されていてもよい。通知部180は、発光素子、振動素子、及び音出力素子のうち、2以上の素子の組合せであってもよい。
【0032】
各種センサは、ユーザのパフ動作(吸引動作)を検出する吸気センサ、電源BATの温度を検出する電源温度センサ、ヒータHTRの温度を検出するヒータ温度センサ、ケース110の温度を検出するケース温度センサ、スライダ119の位置を検出するカバー位置センサ、及びアウターパネル115の着脱を検出するパネル検出センサ等を含む。
【0033】
吸気センサは、例えば、開口132の近傍に配置されたサーミスタT2を主体に構成される。電源温度センサは、例えば、電源BATの近傍に配置されたサーミスタT1を主体に構成される。ヒータ温度センサは、例えば、ヒータHTRの近傍に配置されたサーミスタT3を主体に構成される。前述した通り、ロッド収容部172はヒータHTRから断熱されることが好ましい。この場合において、サーミスタT3は、ロッド収容部172の内部において、ヒータHTRと接する又は近接することが好ましい。ヒータHTRがPTC特性やNTC特性を有する場合、ヒータHTRそのものをヒータ温度センサに用いてもよい。ケース温度センサは、例えば、ケース110の左面の近傍に配置されたサーミスタT4を主体に構成される。カバー位置センサは、スライダ119の近傍に配置されたホール素子を含むホールIC14を主体に構成される。パネル検出センサは、インナーパネル118の内側の面の近傍に配置されたホール素子を含むホールIC13を主体に構成される。
【0034】
回路部160は、4つの回路基板と、複数のIC(Integrate Circuit)と、複数の素子と、を備える。4つの回路基板は、主に後述のMCU(Micro Controller Unit)1及び充電IC2が配置されたMCU搭載基板161と、主に充電端子134が配置されたレセプタクル搭載基板162と、操作スイッチOPS、LED L1~L8、及び後述の通信IC15が配置されたLED搭載基板163と、カバー位置センサを構成するホール素子を含む後述のホールIC14が配置されたホールIC搭載基板164と、を備える。
【0035】
MCU搭載基板161及びレセプタクル搭載基板162は、基板収容領域144において互いに平行に配置される。具体的に説明すると、MCU搭載基板161及びレセプタクル搭載基板162は、それぞれの素子配置面が左右方向及び上下方向に沿って配置され、MCU搭載基板161がレセプタクル搭載基板162よりも前方に配置される。MCU搭載基板161及びレセプタクル搭載基板162には、それぞれ開口部が設けられる。MCU搭載基板161及びレセプタクル搭載基板162は、これら開口部の周縁部同士の間に円筒状のスペーサ173を介在させた状態で前後分割壁152の基板固定部156にボルト136で締結される。即ち、スペーサ173は、シャーシ150とともにケース110の内部におけるMCU搭載基板161及びレセプタクル搭載基板162の位置を固定し、且つ、MCU搭載基板161とレセプタクル搭載基板162とを機械的に接続する。これにより、MCU搭載基板161とレセプタクル搭載基板162が接触し、これらの間で短絡電流が生じることを抑制できる。また、スペーサ173は導電性を有し、MCU搭載基板161のグランドとレセプタクル搭載基板162のグランドがスペーサ173を介して接続されてもよい。
【0036】
便宜上、MCU搭載基板161及びレセプタクル搭載基板162の前方を向く面を、それぞれの主面161a、162aとし、主面161a、162aの反対面をそれぞれの副面161b、162bとすると、MCU搭載基板161の主面161aはケース110の前面と対向し、レセプタクル搭載基板162の副面162bは、シャーシ150の前後分割壁152と対向する。MCU搭載基板161の副面161bと、レセプタクル搭載基板162の主面162aとは、所定の間隔をあけて対向する。そして、MCU搭載基板161の副面161bと、レセプタクル搭載基板162の主面162aとの間には、MCU搭載基板161とレセプタクル搭載基板162とによって挟まれた空間SPが形成される。
【0037】
MCU搭載基板161とレセプタクル搭載基板162とは、フレキシブル配線板165を介して電気的に接続されている。
【0038】
LED搭載基板163は、シャーシ本体151の左側面、且つ上下に配置された2つのマグネット124の間に配置される。LED搭載基板163の素子配置面は、上下方向及び前後方向に沿って配置されている。換言すると、MCU搭載基板161及びレセプタクル搭載基板162それぞれの素子配置面と、LED搭載基板163の素子配置面とは、直交している。このように、MCU搭載基板161及びレセプタクル搭載基板162それぞれの素子配置面と、LED搭載基板163の素子配置面とは、直交に限らず、交差している(非平行である)ことが好ましい。
【0039】
LED L1~L8とともに通知部180を構成する振動モータMは、シャーシ下壁155の下面に支持され、導線を介してMCU搭載基板161に電気的に接続される。このようにして、振動モータMは、電源BATが延びる上下方向において、電源BATと並んで配置される。
【0040】
これにより、吸引器100のケース110の内部空間を有効活用して、振動モータMと電源BATとを配置できるので、吸引器100を小型化できる。
【0041】
シャーシ上壁154の下面には、上側クッション部材157が支持されており、シャーシ下壁155の上面には、下側クッション部材158が支持されている。上側クッション部材157及び下側クッション部材158は、ゴム、発泡体等の弾性材によって形成されている。上側クッション部材157には、負極側電源バスバー238における電源BATの負極端子との当接面が支持されており、下側クッション部材158には、正極側電源バスバー236における電源BATの正極端子との当接面が支持されている。
【0042】
そして、電源BATが電源収容空間146に収容されると、電源BATの正極端子が正極側電源バスバー236に当接し、電源BATの負極端子が負極側電源バスバー238に当接する。このとき、電源BATの上方には上側クッション部材157が配置され、電源BATの下方には下側クッション部材158が配置されることとなるので、吸引器100が外部から衝撃を受けた場合に、上側クッション部材157及び下側クッション部材158によって、その衝撃が電源BATに伝達することを緩和でき、電源BATを保護できる。
【0043】
さらに、シャーシ下壁155の下面に振動モータMが配置され、シャーシ下壁155の上面に下側クッション部材158が配置され、下側クッション部材158の上方に電源BATが配置されることとなる。したがって、上下方向において、下側クッション部材158は、電源BATと振動モータMとの間に配置される。
【0044】
これにより、下側クッション部材158によって、振動モータMの振動が電源BATに伝達することを抑制でき、さらに、振動モータMの振動が電源BATを介して他の電子部品に伝達することを抑制できるので、振動モータMの振動が電源BAT及び回路基板に与える影響を低減しつつ、振動モータMによる吸引器100の高機能化を実現できる。
【0045】
ホールIC搭載基板164は、シャーシ上壁154の上面に配置される。
【0046】
<吸引器の動作モード>
図10は、吸引器100の動作モードを説明するための模式図である。
図10に示すように、吸引器100の動作モードには、充電モード、スリープモード、アクティブモード、加熱初期設定モード、加熱モード、及び加熱終了モードが含まれる。
【0047】
スリープモードは、主にヒータHTRの加熱制御に必要な電子部品への電力供給を停止して省電力化を図るモードである。
【0048】
アクティブモードは、ヒータHTRの加熱制御を除くほとんどの機能が有効になるモードである。吸引器100は、スリープモードにて動作している状態にて、スライダ119が開かれると、動作モードをアクティブモードに切り替える。吸引器100は、アクティブモードにて動作している状態にて、スライダ119が閉じられたり、操作スイッチOPSの無操作時間が所定時間に達したりすると、動作モードをスリープモードに切り替える。
【0049】
加熱初期設定モードは、ヒータHTRの加熱制御を開始するための制御パラメータ等の初期設定を行うモードである。吸引器100は、アクティブモードにて動作している状態にて、操作スイッチOPSの操作を検出すると、動作モードを加熱初期設定モードに切り替え、初期設定が終了すると、動作モードを加熱モードに切り替える。
【0050】
加熱モードは、ヒータHTRの加熱制御(エアロゾル生成のための加熱制御と、温度検出のための加熱制御)を実行するモードである。吸引器100は、動作モードが加熱モードに切り替わると、ヒータHTRの加熱制御を開始する。
【0051】
加熱終了モードは、ヒータHTRの加熱制御の終了処理(加熱履歴の記憶処理等)を実行するモードである。吸引器100は、加熱モードにて動作している状態にて、ヒータHTRへの通電時間又はユーザの吸引回数が上限に達したり、スライダ119が閉じられたりすると、動作モードを加熱終了モードに切り替え、終了処理が終了すると、動作モードをアクティブモードに切り替える。吸引器100は、加熱モードにて動作している状態にて、USB接続がなされると、動作モードを加熱終了モードに切り替え、終了処理が終了すると、動作モードを充電モードに切り替える。
図10に示したように、この場合において、動作モードを充電モードに切り替える前に、動作モードをアクティブモードへ切り替えてもよい。換言すれば、吸引器100は、加熱モードにて動作している状態にて、USB接続がなされると、動作モードを加熱終了モード、アクティブモード、充電モードの順に切り替えてもよい。
【0052】
充電モードは、レセプタクルRCPに接続された外部電源から供給される電力により、電源BATの充電を行うモードである。吸引器100は、スリープモード又はアクティブモードにて動作している状態にて、レセプタクルRCPに外部電源が接続(USB接続)されると、動作モードを充電モードに切り替える。吸引器100は、充電モードにて動作している状態にて、電源BATの充電が完了したり、レセプタクルRCPと外部電源との接続が解除されたりすると、動作モードをスリープモードに切り替える。
【0053】
<内部ユニットの回路の概略>
図11、
図12、及び
図13は、内部ユニット140の電気回路の概略構成を示す図である。
図12は、
図11に示す電気回路のうち、MCU搭載基板161に搭載される範囲161A(太い破線で囲まれた範囲)と、LED搭載基板163に搭載される範囲163A(太い実線で囲まれた範囲)とを追加した点を除いては、
図11と同じである。
図13は、
図11に示す電気回路のうち、レセプタクル搭載基板162に搭載される範囲162Aと、ホールIC搭載基板164に搭載される範囲164Aとを追加した点を除いては、
図11と同じである。
【0054】
図11において太い実線で示した配線は、内部ユニット140の基準となる電位(グランド電位)と同電位となる配線(内部ユニット140に設けられたグランドに接続される配線)であり、この配線を以下ではグランドラインと記載する。
図11では、複数の回路素子をチップ化した電子部品を矩形で示しており、この矩形の内側に各種端子の符号を記載している。チップに搭載される電源端子VCC及び電源端子VDDは、それぞれ、高電位側の電源端子を示す。チップに搭載される電源端子VSS及びグランド端子GNDは、それぞれ、低電位側(基準電位側)の電源端子を示す。チップ化された電子部品は、高電位側の電源端子の電位と低電位側の電源端子の電位の差分が、電源電圧となる。チップ化された電子部品は、この電源電圧を用いて、各種機能を実行する。
【0055】
図12に示すように、MCU搭載基板161(範囲161A)には、主要な電子部品として、吸引器100の全体を統括制御するMCU1と、電源BATの充電制御を行う充電IC2と、コンデンサ、抵抗器、及びトランジスタ等を組み合わせて構成されたロードスイッチ(以下、LSW)3、4、5と、ROM(Read Only Memory)6と、スイッチドライバ7と、昇降圧DC/DCコンバータ8(図では、昇降圧DC/DC8と記載)と、オペアンプOP2と、オペアンプOP3と、フリップフロップ(以下、FF)16、17と、吸気センサを構成するサーミスタT2と電気的に接続されるコネクタCn(t2)(図では、このコネクタに接続されたサーミスタT2を記載)と、ヒータ温度センサを構成するサーミスタT3と電気的に接続されるコネクタCn(t3)(図では、このコネクタに接続されたサーミスタT3を記載)と、ケース温度センサを構成するサーミスタT4と電気的に接続されるコネクタCn(t4)(図では、このコネクタに接続されたサーミスタT4を記載)と、USB接続検出用の分圧回路Pcと、が設けられている。
【0056】
充電IC2、LSW3、LSW4、LSW5、スイッチドライバ7、昇降圧DC/DCコンバータ8、FF16、及びFF17の各々のグランド端子GNDは、グランドラインに接続されている。ROM6の電源端子VSSは、グランドラインに接続されている。オペアンプOP2及びオペアンプOP3の各々の負電源端子は、グランドラインに接続されている。
【0057】
図12に示すように、LED搭載基板163(範囲163A)には、主要な電子部品として、パネル検出センサを構成するホール素子を含むホールIC13と、LED L1~L8と、操作スイッチOPSと、通信IC15と、が設けられている。通信IC15は、スマートフォン等の電子機器との通信を行うための通信モジュールである。ホールIC13の電源端子VSS及び通信IC15のグランド端子GNDの各々は、グランドラインに接続されている。通信IC15とMCU1は、通信線LNによって通信可能に構成されている。操作スイッチOPSの一端は、グランドラインを介して、LED搭載基板163の内部に設けられたグランド163Gに接続されており、操作スイッチOPSの他端はMCU1の端子P4に接続されている。
【0058】
図13に示すように、レセプタクル搭載基板162(範囲162A)には、主要な電子部品として、電源BATと電気的に接続される電源コネクタ(図では、この電源コネクタに接続された電源BATを記載)と、電源温度センサを構成するサーミスタT1と電気的に接続されるコネクタ(図では、このコネクタに接続されたサーミスタT1を記載)と、昇圧DC/DCコンバータ9(図では、昇圧DC/DCコンバータ9と記載)と、保護IC10と、過電圧保護IC11と、残量計IC12と、レセプタクルRCPと、MOSFETで構成されたスイッチS3~S6と、オペアンプOP1と、ヒータHTRと電気的に接続される一対(正極側と負極側)のヒータコネクタCnと、が設けられている。
【0059】
レセプタクルRCPの2つのグランド端子GNDと、昇圧DC/DCコンバータ9のグランド端子GNDと、保護IC10の電源端子VSSと、残量計IC12の電源端子VSSと、過電圧保護IC11のグランド端子GNDと、オペアンプOP1の負電源端子は、それぞれ、グランドラインに接続されている。
【0060】
図13に示すように、ホールIC搭載基板164(範囲164A)には、カバー位置センサを構成するホール素子を含むホールIC14が設けられている。ホールIC14の電源端子VSSは、グランドラインに接続されている。ホールIC14の出力端子OUTは、MCU1の端子P8に接続されている。MCU1は、端子P8に入力される信号により、スライダ119の開閉を検出する。
【0061】
図12に示すように、振動モータMと電気的に接続されるコネクタは、MCU搭載基板161に設けられている。
【0062】
<内部ユニットの回路の詳細>
以下、
図11を参照しながら各電子部品の接続関係等について説明する。
【0063】
レセプタクルRCPの2つの電源入力端子VBUSは、それぞれ、ヒューズFsを介して、過電圧保護IC11の入力端子INに接続されている。レセプタクルRCPにUSBプラグが接続され、このUSBプラグを含むUSBケーブルが外部電源に接続されると、レセプタクルRCPの2つの電源入力端子VBUSにUSB電圧VUSBが供給される。
【0064】
過電圧保護IC11の入力端子INには、2つの抵抗器の直列回路からなる分圧回路Paの一端が接続されている。分圧回路Paの他端はグランドラインに接続されている。分圧回路Paを構成する2つの抵抗器の接続点は、過電圧保護IC11の電圧検出端子OVLoに接続されている。過電圧保護IC11は、電圧検出端子OVLoに入力される電圧が閾値未満の状態では、入力端子INに入力された電圧を出力端子OUTから出力する。過電圧保護IC11は、電圧検出端子OVLoに入力される電圧が閾値以上(過電圧)となった場合には、出力端子OUTからの電圧出力を停止(LSW3とレセプタクルRCPとの電気的な接続を遮断)することで、過電圧保護IC11よりも下流の電子部品の保護を図る。過電圧保護IC11の出力端子OUTは、LSW3の入力端子VINと、MCU1に接続された分圧回路Pc(2つの抵抗器の直列回路)の一端と、に接続されている。分圧回路Pcの他端はグランドラインに接続されている。分圧回路Pcを構成する2つの抵抗器の接続点は、MCU1の端子P17に接続されている。
【0065】
LSW3の入力端子VINには、2つの抵抗器の直列回路からなる分圧回路Pfの一端が接続されている。分圧回路Pfの他端はグランドラインに接続されている。分圧回路Pfを構成する2つの抵抗器の接続点は、LSW3の制御端子ONに接続されている。LSW3の制御端子ONには、バイポーラトランジスタS2のコレクタ端子が接続されている。バイポーラトランジスタS2のエミッタ端子はグランドラインに接続されている。バイポーラトランジスタS2のベース端子は、MCU1の端子P19に接続されている。LSW3は、制御端子ONに入力される信号がハイレベルになると、入力端子VINに入力された電圧を出力端子VOUTから出力する。LSW3の出力端子VOUTは、充電IC2の入力端子VBUSに接続されている。
【0066】
MCU1は、USB接続がなされていない間、バイポーラトランジスタS2をオンにする。これにより、LSW3の制御端子ONはバイポーラトランジスタS2を介してグランドラインへ接続されるため、LSW3の制御端子ONにはローレベルの信号が入力される。
【0067】
LSW3に接続されたバイポーラトランジスタS2は、USB接続がなされると、MCU1によってオフされる。バイポーラトランジスタS2がオフすることで、分圧回路Pfによって分圧されたUSB電圧VUSBがLSW3の制御端子ONに入力される。このため、USB接続がなされ且つバイポーラトランジスタS2がオフされると、LSW3の制御端子ONには、ハイレベルの信号が入力される。これにより、LSW3は、USBケーブルから供給されるUSB電圧VUSBを出力端子VOUTから出力する。なお、バイポーラトランジスタS2がオフされていない状態でUSB接続がなされても、LSW3の制御端子ONは、バイポーラトランジスタS2を介してグランドラインへ接続されている。このため、MCU1がバイポーラトランジスタS2をオフしない限り、LSW3の制御端子ONにはローレベルの信号が入力され続ける点に留意されたい。
【0068】
電源BATの正極端子は、保護IC10の電源端子VDDと、昇圧DC/DCコンバータ9の入力端子VINと、充電IC2の充電端子batと、に接続されている。したがって、電源BATの電源電圧VBATは、保護IC10と、充電IC2と、昇圧DC/DCコンバータ9とに供給される。
【0069】
電源BATの負極端子には、抵抗器Raと、MOSFETで構成されたスイッチSaと、MOSFETで構成されたスイッチSbと、抵抗器Rbと、がこの順に直列接続されている。抵抗器RaとスイッチSaの接続点には、保護IC10の電流検出端子CSが接続されている。スイッチSaとスイッチSbの各々の制御端子は、保護IC10に接続されている。抵抗器Rbの両端は、残量計IC12に接続されている。
【0070】
保護IC10は、電流検出端子CSに入力される電圧(抵抗器Raの両端に印加される電圧)から、電源BATの充放電時において抵抗器Raに流れる電流値を取得し、この電流値が過大になった場合(過電流)に、スイッチSaとスイッチSbの開閉制御を行って、電源BATの充電又は放電を停止させることで、電源BATの保護を図る。より具体的には、保護IC10は、電源BATの充電時に過大な電流値を取得した場合には、スイッチSbをオフすることで、電源BATの充電を停止させる。保護IC10は、電源BATの放電時に過大な電流値を取得した場合には、スイッチSaをオフすることで、電源BATの放電を停止させる。また、保護IC10は、電源端子VDDに入力される電圧から、電源BATの電圧値が異常になった場合(過充電又は過電圧の場合)に、スイッチSaとスイッチSbの開閉制御を行って、電源BATの充電又は放電を停止させることで、電源BATの保護を図る。より具体的には、保護IC10は、電源BATの過充電を検知した場合には、スイッチSbをオフすることで、電源BATの充電を停止させる。保護IC10は、電源BATの過放電を検知した場合には、スイッチSaをオフすることで、電源BATの放電を停止させる。
【0071】
電源BATの近傍に配置されたサーミスタT1と接続されるコネクタには抵抗器Rt1が接続されている。抵抗器Rt1とサーミスタT1の直列回路は、グランドラインと、残量計IC12のレギュレータ端子TREGとに接続されている。サーミスタT1と抵抗器Rt1の接続点は、残量計IC12のサーミスタ端子THMに接続されている。サーミスタT1は、温度の増加に従い抵抗値が増大するPTC(Positive Temperature Coefficient)サーミスタであってもよいし、温度の増加に従い抵抗値が減少するNTC(Negative Temperature Coefficient)サーミスタでもよい。
【0072】
残量計IC12は、抵抗器Rbに流れる電流を検出し、検出した電流値に基づいて、電源BATの残容量、充電状態を示すSOC(State Of Charge)、及び健全状態を示すSOH(State Of Health)等のバッテリ情報を導出する。残量計IC12は、レギュレータ端子TREGに接続される内蔵レギュレータから、サーミスタT1と抵抗器Rt1の分圧回路に電圧を供給する。残量計IC12は、この分圧回路によって分圧された電圧をサーミスタ端子THMから取得し、この電圧に基づいて、電源BATの温度に関する温度情報を取得する。残量計IC12は、シリアル通信を行うための通信線LNによってMCU1と接続されており、MCU1と通信可能に構成されている。残量計IC12は、導出したバッテリ情報と、取得した電源BATの温度情報を、MCU1からの要求に応じて、MCU1に送信する。MCU1は、残量計IC12が取得した電源BATの残容量に基づき電源BATからヒータHTRへの放電を制御する。即ち、MCU1は、電源BATの残容量が所定値以下の場合、ヒータHTRへの放電を禁止し充電を促す表示を行う。なお、シリアル通信を行うためには、データ送信用のデータラインや同期用のクロックラインなどの複数の信号線が必要になる。
図11~
図20では、簡略化のため、1本の信号線のみが図示されている点に留意されたい。
【0073】
残量計IC12は、通知端子12aを備えている。通知端子12aは、MCU1の端子P6と、後述するダイオードD2のカソードと、に接続されている。残量計IC12は、電源BATの温度が過大になった等の異常を検出すると、通知端子12aからローレベルの信号を出力することで、その異常発生をMCU1に通知する。このローレベルの信号は、ダイオードD2を経由して、FF17のCLR( ̄)端子にも入力される。
【0074】
昇圧DC/DCコンバータ9のスイッチング端子SWには、リアクトルLcの一端が接続されている。このリアクトルLcの他端は昇圧DC/DCコンバータ9の入力端子VINに接続されている。昇圧DC/DCコンバータ9は、スイッチング端子SWに接続された内蔵トランジスタのオンオフ制御を行うことで、入力された電圧を昇圧して、出力端子VOUTから出力する電圧変換制御を行う。なお、昇圧DC/DCコンバータ9の入力端子VINは、電源BATに接続され昇圧DC/DCコンバータ9の高電位側の電源端子を構成している。昇圧DC/DCコンバータ9は、イネーブル端子ENに入力される信号がハイレベルとなっている場合に、昇圧動作を行う。USB接続されている状態においては、昇圧DC/DCコンバータ9のイネーブル端子ENに入力される信号は、MCU1によってローレベルに制御されてもよい。若しくは、USB接続されている状態においては、昇圧DC/DCコンバータ9のイネーブル端子ENに入力される信号をMCU1が制御しないことで、イネーブル端子ENの電位を不定にしてもよい。
【0075】
昇圧DC/DCコンバータ9の出力端子VOUTには、Pチャネル型MOSFETにより構成されたスイッチS4のソース端子が接続されている。スイッチS4のゲート端子は、MCU1の端子P15と接続されている。スイッチS4のドレイン端子には、抵抗器Rsの一端が接続されている。抵抗器Rsの他端は、ヒータHTRの一端と接続される正極側のヒータコネクタCnに接続されている。スイッチS4と抵抗器Rsの接続点には、2つの抵抗器からなる分圧回路Pbが接続されている。分圧回路Pbを構成する2つの抵抗器の接続点は、MCU1の端子P18と接続されている。スイッチS4と抵抗器Rsの接続点は、更に、オペアンプOP1の正電源端子と接続されている。
【0076】
昇圧DC/DCコンバータ9の出力端子VOUTとスイッチS4のソース端子との接続ラインには、Pチャネル型MOSFETにより構成されたスイッチS3のソース端子が接続されている。スイッチS3のゲート端子は、MCU1の端子P16と接続されている。スイッチS3のドレイン端子は、抵抗器Rsと正極側のヒータコネクタCnとの接続ラインに接続されている。このように、昇圧DC/DCコンバータ9の出力端子VOUTとヒータコネクタCnの正極側との間には、スイッチS3を含む回路と、スイッチS4及び抵抗器Rsを含む回路とが並列接続されている。スイッチS3を含む回路は、抵抗器を有さないため、スイッチS4及び抵抗器Rsを含む回路よりも低抵抗の回路である。
【0077】
オペアンプOP1の非反転入力端子は、抵抗器Rsと正極側のヒータコネクタCnとの接続ラインに接続されている。オペアンプOP1の反転入力端子は、ヒータHTRの他端と接続される負極側のヒータコネクタCnと、Nチャネル型MOSFETにより構成されたスイッチS6のドレイン端子と、に接続されている。スイッチS6のソース端子はグランドラインに接続されている。スイッチS6のゲート端子は、MCU1の端子P14と、ダイオードD4のアノードと、昇圧DC/DCコンバータ9のイネーブル端子ENと、に接続されている。ダイオードD4のカソードは、FF17のQ端子と接続されている。オペアンプOP1の出力端子には抵抗器R4の一端が接続されている。抵抗器R4の他端は、MCU1の端子P9と、Nチャネル型MOSFETにより構成されたスイッチS5のドレイン端子と、に接続されている。スイッチS5のソース端子は、グランドラインに接続されている。スイッチS5のゲート端子は、抵抗器Rsと正極側のヒータコネクタCnとの接続ラインに接続されている。
【0078】
充電IC2の入力端子VBUSは、LED L1~L8の各々のアノードに接続されている。すなわち、入力端子VBUSには、LED L1~L8が並列接続されている。LED L1~L8の各々のカソードは、電流制限ための抵抗器を介して、MCU1の制御端子PD1~PD8に接続されている。MCU1には、制御端子PD1~PD8の各々とグランド端子GNDとに接続されたトランジスタ(内蔵スイッチ)が内蔵されている。
【0079】
したがって、LED L1~L8は、レセプタクルRCPに接続されたUSBケーブルから供給されるUSB電圧VUSBと、電源BATから充電IC2を経由して供給される電圧と、のそれぞれによって動作可能に構成されている。
【0080】
また、MCU1は、制御端子PD1と接続された内蔵スイッチをオンすることでLED L1に通電してこれを点灯させ、制御端子PD1と接続された内蔵スイッチをオフすることでLED L1を消灯させる。制御端子PD1と接続された内蔵スイッチのオンとオフを高速で切り替えることで、LED L1の輝度や発光パターンを動的に制御できる。LED L2~L8についても同様にMCU1によって点灯制御される。
【0081】
充電IC2は、入力端子VBUSに入力されるUSB電圧VUSBに基づいて電源BATを充電する充電機能を備える。充電IC2は、不図示の端子や配線から、電源BATの充電電流や充電電圧を取得し、これらに基づいて、電源BATの充電制御(充電端子batから電源BATへの電力供給制御)を行う。また、充電IC2は、残量計IC12からMCU1に送信された電源BATの温度情報を、通信線LNを利用したシリアル通信によってMCU1から取得し、充電制御に利用してもよい。
【0082】
充電IC2は、更に、VBATパワーパス機能と、OTG機能とを備える。VBATパワーパス機能は、充電端子batに入力される電源電圧VBATと略一致するシステム電源電圧Vcc0を、出力端子SYSから出力する機能である。OTG機能は、充電端子batに入力される電源電圧VBATを昇圧して得られるシステム電源電圧Vcc4を、入力端子VBUSから出力する機能である。充電IC2のOTG機能のオンオフは、通信線LNを利用したシリアル通信によって、MCU1により制御される。なお、OTG機能においては、充電端子batに入力される電源電圧VBATを、入力端子VBUSからそのまま出力してもよい。この場合において、電源電圧VBATとシステム電源電圧Vcc4は略一致する。
【0083】
充電IC2の出力端子SYSは、昇降圧DC/DCコンバータ8の入力端子VINに接続されている。充電IC2のスイッチング端子SWにはリアクトルLaの一端が接続されている。リアクトルLaの他端は、充電IC2の出力端子SYSに接続されている。充電IC2の充電イネーブル端子CE( ̄)は、抵抗器を介して、MCU1の端子P22に接続されている。更に、充電IC2の充電イネーブル端子CE( ̄)には、バイポーラトランジスタS1のコレクタ端子が接続されている。バイポーラトランジスタS1のエミッタ端子は、後述のLSW4の出力端子VOUTに接続されている。バイポーラトランジスタS1のベース端子は、FF17のQ端子に接続されている。更に、充電IC2の充電イネーブル端子CE( ̄)には、抵抗器Rcの一端が接続されている。抵抗器Rcの他端は、LSW4の出力端子VOUTに接続されている。
【0084】
昇降圧DC/DCコンバータ8の入力端子VINとイネーブル端子ENには抵抗器が接続されている。充電IC2の出力端子SYSから、昇降圧DC/DCコンバータ8の入力端子VINにシステム電源電圧Vcc0が入力されることで、昇降圧DC/DCコンバータ8のイネーブル端子ENに入力される信号はハイレベルとなり、昇降圧DC/DCコンバータ8は昇圧動作又は降圧動作を開始する。昇降圧DC/DCコンバータ8は、リアクトルLbに接続された内蔵トランジスタのスイッチング制御により、入力端子VINに入力されたシステム電源電圧Vcc0を昇圧又は降圧してシステム電源電圧Vcc1を生成し、出力端子VOUTから出力する。昇降圧DC/DCコンバータ8の出力端子VOUTは、昇降圧DC/DCコンバータ8のフィードバック端子FBと、LSW4の入力端子VINと、スイッチドライバ7の入力端子VINと、FF16の電源端子VCC及びD端子と、に接続されている。昇降圧DC/DCコンバータ8の出力端子VOUTから出力されるシステム電源電圧Vcc1が供給される配線を電源ラインPL1と記載する。
【0085】
LSW4は、制御端子ONに入力される信号がハイレベルになると、入力端子VINに入力されているシステム電源電圧Vcc1を出力端子VOUTから出力する。LSW4の制御端子ONと電源ラインPL1は、抵抗器を介して接続されている。このため、電源ラインPL1にシステム電源電圧Vcc1が供給されることで、LSW4の制御端子ONにはハイレベルの信号が入力される。LSW4が出力する電圧は、配線抵抗等を無視すればシステム電源電圧Vcc1と同一であるが、システム電源電圧Vcc1と区別するために、LSW4の出力端子VOUTから出力される電圧を、以下ではシステム電源電圧Vcc2と記載する。
【0086】
LSW4の出力端子VOUTは、MCU1の電源端子VDDと、LSW5の入力端子VINと、残量計IC12の電源端子VDDと、ROM6の電源端子VCCと、バイポーラトランジスタS1のエミッタ端子と、抵抗器Rcと、FF17の電源端子VCCと、に接続されている。LSW4の出力端子VOUTから出力されるシステム電源電圧Vcc2が供給される配線を電源ラインPL2と記載する。
【0087】
LSW5は、制御端子ONに入力される信号がハイレベルになると、入力端子VINに入力されているシステム電源電圧Vcc2を出力端子VOUTから出力する。LSW5の制御端子ONは、MCU1の端子P23と接続されている。LSW5が出力する電圧は、配線抵抗等を無視すればシステム電源電圧Vcc2と同一であるが、システム電源電圧Vcc2と区別するために、LSW5の出力端子VOUTから出力される電圧を、以下ではシステム電源電圧Vcc3と記載する。LSW5の出力端子VOUTから出力されるシステム電源電圧Vcc3が供給される配線を電源ラインPL3と記載する。
【0088】
電源ラインPL3には、サーミスタT2と抵抗器Rt2の直列回路が接続され、抵抗器Rt2はグランドラインに接続されている。サーミスタT2と抵抗器Rt2は分圧回路を構成しており、これらの接続点は、MCU1の端子P21と接続されている。MCU1は、端子P21に入力される電圧に基づいて、サーミスタT2の温度変動(抵抗値変動)を検出し、その温度変動量によって、パフ動作の有無を判定する。
【0089】
電源ラインPL3には、サーミスタT3と抵抗器Rt3の直列回路が接続され、抵抗器Rt3はグランドラインに接続されている。サーミスタT3と抵抗器Rt3は分圧回路を構成しており、これらの接続点は、MCU1の端子P13と、オペアンプOP2の反転入力端子と、に接続されている。MCU1は、端子P13に入力される電圧に基づいて、サーミスタT3の温度(ヒータHTRの温度に相当)を検出する。
【0090】
電源ラインPL3には、サーミスタT4と抵抗器Rt4の直列回路が接続され、抵抗器Rt4はグランドラインに接続されている。サーミスタT4と抵抗器Rt4は分圧回路を構成しており、これらの接続点は、MCU1の端子P12と、オペアンプOP3の反転入力端子と、に接続されている。MCU1は、端子P12に入力される電圧に基づいて、サーミスタT4の温度(ケース110の温度に相当)を検出する。
【0091】
電源ラインPL2には、MOSFETにより構成されたスイッチS7のソース端子が接続されている。スイッチS7のゲート端子は、MCU1の端子P20に接続されている。スイッチS7のドレイン端子は、振動モータMが接続される一対のコネクタの一方に接続されている。この一対のコネクタの他方はグランドラインに接続されている。MCU1は、端子P20の電位を操作することでスイッチS7の開閉を制御し、振動モータMを特定のパターンで振動させることができる。スイッチS7に代えて、専用のドライバICを用いてもよい。
【0092】
電源ラインPL2には、オペアンプOP2の正電源端子と、オペアンプOP2の非反転入力端子に接続されている分圧回路Pd(2つの抵抗器の直列回路)と、が接続されている。分圧回路Pdを構成する2つの抵抗器の接続点は、オペアンプOP2の非反転入力端子に接続されている。オペアンプOP2は、ヒータHTRの温度に応じた信号(サーミスタT3の抵抗値に応じた信号)を出力する。本実施形態では、サーミスタT3としてNTC特性を持つものを用いているため、ヒータHTRの温度(サーミスタT3の温度)が高いほど、オペアンプOP2の出力電圧は低くなる。これは、オペアンプOP2の負電源端子はグランドラインへ接続されており、オペアンプOP2の反転入力端子に入力される電圧値(サーミスタT3と抵抗器Rt3による分圧値)が、オペアンプOP2の非反転入力端子に入力される電圧値(分圧回路Pdによる分圧値)より高くなると、オペアンプOP2の出力電圧の値は、グランド電位の値と略等しくなるためである。つまり、ヒータHTRの温度(サーミスタT3の温度)が高温になると、オペアンプOP2の出力電圧はローレベルになる。
なお、サーミスタT3としてPTC特性を持つものを用いる場合には、オペアンプOP2の非反転入力端子に、サーミスタT3及び抵抗器Rt3の分圧回路の出力を接続し、オペアンプOP2の反転入力端子に、分圧回路Pdの出力を接続すればよい。
【0093】
電源ラインPL2には、オペアンプOP3の正電源端子と、オペアンプOP3の非反転入力端子に接続されている分圧回路Pe(2つの抵抗器の直列回路)と、が接続されている。分圧回路Peを構成する2つの抵抗器の接続点は、オペアンプOP3の非反転入力端子に接続されている。オペアンプOP3は、ケース110の温度に応じた信号(サーミスタT4の抵抗値に応じた信号)を出力する。本実施形態では、サーミスタT4としてNTC特性を持つものを用いているため、ケース110の温度が高いほど、オペアンプOP3の出力電圧は低くなる。これは、オペアンプOP3の負電源端子はグランドラインへ接続されており、オペアンプOP3の反転入力端子に入力される電圧値(サーミスタT4と抵抗器Rt4による分圧値)が、オペアンプOP3の非反転入力端子に入力される電圧値(分圧回路Peによる分圧値)より高くなると、オペアンプOP3の出力電圧の値は、グランド電位の値と略等しくなるためである。つまり、サーミスタT4の温度が高温になると、オペアンプOP3の出力電圧が、ローレベルになる。
なお、サーミスタT4としてPTC特性を持つものを用いる場合には、オペアンプOP3の非反転入力端子に、サーミスタT4及び抵抗器Rt4の分圧回路の出力を接続し、オペアンプOP3の反転入力端子に、分圧回路Peの出力を接続すればよい。
【0094】
オペアンプOP2の出力端子には抵抗器R1が接続されている。抵抗器R1には、ダイオードD1のカソードが接続されている。ダイオードD1のアノードは、オペアンプOP3の出力端子と、FF17のD端子と、FF17のCLR( ̄)端子と、に接続されている。抵抗器R1とダイオードD1との接続ラインには、電源ラインPL1に接続された抵抗器R2が接続されている。また、この接続ラインには、FF16のCLR( ̄)端子が接続されている。
【0095】
ダイオードD1のアノード及びオペアンプOP3の出力端子の接続点と、FF17のD端子との接続ラインには、抵抗器R3の一端が接続されている。抵抗器R3の他端は電源ラインPL2に接続されている。更に、この接続ラインには、残量計IC12の通知端子12aと接続されているダイオードD2のアノードと、ダイオードD3のアノードと、FF17のCLR( ̄)端子と、が接続されている。ダイオードD3のカソードは、MCU1の端子P5に接続されている。
【0096】
FF16は、ヒータHTRの温度が過大となり、オペアンプOP2から出力される信号が小さくなって、CLR( ̄)端子に入力される信号がローレベルになると、Q( ̄)端子からハイレベルの信号をMCU1の端子P11に入力する。FF16のD端子には電源ラインPL1からハイレベルのシステム電源電圧Vcc1が供給されている。このため、FF16では、負論理で動作するCLR( ̄)端子に入力される信号がローレベルにならない限り、Q( ̄)端子からはローレベルの信号が出力され続ける。
【0097】
FF17のCLR( ̄)端子に入力される信号は、ヒータHTRの温度が過大となった場合と、ケース110の温度が過大となった場合と、残量計IC12の通知端子12aから異常検出を示すローレベルの信号が出力された場合のいずれかの場合に、ローレベルとなる。FF17は、CLR( ̄)端子に入力される信号がローレベルになると、Q端子からローレベルの信号を出力する。このローレベルの信号は、MCU1の端子P10と、スイッチS6のゲート端子と、昇圧DC/DCコンバータ9のイネーブル端子ENと、充電IC2に接続されたバイポーラトランジスタS1のベース端子と、にそれぞれ入力される。スイッチS6のゲート端子にローレベルの信号が入力されると、スイッチS6を構成するNチャネル型MOSFETのゲート-ソース間電圧が閾値電圧未満となるため、スイッチS6がオフになる。昇圧DC/DCコンバータ9のイネーブル端子ENにローレベルの信号が入力されると、昇圧DC/DCコンバータ9のイネーブル端子ENは正論理であるため、昇圧動作が停止する。バイポーラトランジスタS1のベース端子にローレベルの信号が入力されると、バイポーラトランジスタS1がオンになる(コレクタ端子から増幅された電流が出力される)。バイポーラトランジスタS1がオンになると、充電IC2のCE( ̄)端子にバイポーラトランジスタS1を介してハイレベルのシステム電源電圧Vcc2が入力される。充電IC2のCE( ̄)端子は負論理であるため、電源BATの充電が停止される。これらにより、ヒータHTRの加熱と電源BATの充電が停止される。なお、MCU1が端子P22から充電IC2の充電イネーブル端子CE( ̄)に対してローレベルのイネーブル信号を出力しようとしても、バイポーラトランジスタS1がオンされると、増幅された電流が、コレクタ端子からMCU1の端子P22及び充電IC2の充電イネーブル端子CE( ̄)に入力される。これにより、充電IC2の充電イネーブル端子CE( ̄)にはハイレベルの信号が入力される点に留意されたい。
【0098】
FF17のD端子には電源ラインPL2からハイレベルのシステム電源電圧Vcc2が供給されている。このため、FF17では、負論理で動作するCLR( ̄)端子に入力される信号がローレベルにならない限り、Q端子からハイレベルの信号が出力され続ける。オペアンプOP3の出力端子からローレベルの信号が出力されると、オペアンプOP2の出力端子から出力される信号のレベルに拠らず、FF17のCLR( ̄)端子にはローレベルの信号が入力される。オペアンプOP2の出力端子からハイレベルの信号が出力される場合には、オペアンプOP3の出力端子から出力されるローレベルの信号は、ダイオードD1によってこのハイレベルの信号の影響を受けない点に留意されたい。また、オペアンプOP2の出力端子からローレベルの信号が出力される場合には、オペアンプOP3の出力端子からハイレベルの信号が出力されたとしても、ダイオードD1を介してこのハイレベルの信号はローレベルの信号に置き換わる。
【0099】
電源ラインPL2は、MCU搭載基板161からLED搭載基板163及びホールIC搭載基板164側に向けて更に分岐している。この分岐した電源ラインPL2には、ホールIC13の電源端子VDDと、通信IC15の電源端子VCCと、ホールIC14の電源端子VDDと、が接続されている。
【0100】
ホールIC13の出力端子OUTは、MCU1の端子P3と、スイッチドライバ7の端子SW2と、に接続されている。アウターパネル115が外れると、ホールIC13の出力端子OUTからローレベルの信号が出力される。MCU1は、端子P3に入力される信号により、アウターパネル115の装着有無を判定する。
【0101】
LED搭載基板163には、操作スイッチOPSと接続された直列回路(抵抗器とコンデンサの直列回路)が設けられている。この直列回路は、電源ラインPL2に接続されている。この直列回路の抵抗器とコンデンサの接続点は、MCU1の端子P4と、操作スイッチOPSと、スイッチドライバ7の端子SW1と、に接続されている。操作スイッチOPSが押下されていない状態では、操作スイッチOPSは導通せず、MCU1の端子P4とスイッチドライバ7の端子SW1にそれぞれ入力される信号は、システム電源電圧Vcc2によりハイレベルとなる。操作スイッチOPSが押下されて操作スイッチOPSが導通状態になると、MCU1の端子P4とスイッチドライバ7の端子SW1にそれぞれ入力される信号は、グランド163Gへ接続されるためローレベルとなる。MCU1は、端子P4に入力される信号により、操作スイッチOPSの操作を検出する。
【0102】
操作スイッチOPSは、ユーザによって押下されるときに、静電気等の外来ノイズが内部ユニット140に侵入しやすいが、操作スイッチOPSは、ユーザが押下するとグランド163Gへ接続される。これにより、操作スイッチOPSがユーザによって押下されるときに、外来ノイズが操作スイッチOPSから内部ユニット140に侵入した場合でも、外来ノイズをグランド163Gに逃がすことができるので、吸引器100の耐久性が向上する。
【0103】
さらに、前述したように、グランド163Gは、LED搭載基板163の内部に設けられているので、操作スイッチOPSがユーザによって押下されるときに、外来ノイズが操作スイッチOPSから内部ユニット140に侵入した場合でも、操作スイッチOPSから内部ユニット140に侵入した外来ノイズが、LED搭載基板163以外の回路基板に侵入することを抑制できる。これにより、LED搭載基板163以外の回路基板に実装された電子部品が外来ノイズによって故障することを抑制でき、吸引器100の耐久性が向上する。
【0104】
スイッチドライバ7には、リセット入力端子RSTBが設けられている。リセット入力端子RSTBは、LSW4の制御端子ONに接続されている。スイッチドライバ7は、端子SW1と端子SW2に入力される信号のレベルがいずれもローレベルとなった場合(アウターパネル115が外されており、且つ、操作スイッチOPSが押下された状態)には、リセット入力端子RSTBからローレベルの信号を出力することで、LSW4の出力動作を停止させる。つまり、本来はアウターパネル115の押圧部117を介して押し下げられる操作スイッチOPSが、アウターパネル115が外れた状態でユーザによって直接押し下げられると、スイッチドライバ7の端子SW1と端子SW2に入力される信号のレベルがいずれもローレベルになる。
【0105】
<吸引器の動作モード毎の動作>
以下、
図14~
図20を参照して、
図11に示す電気回路の動作を説明する。
図14は、スリープモードにおける電気回路の動作を説明するための図である。
図15は、アクティブモードにおける電気回路の動作を説明するための図である。
図16は、加熱初期設定モードにおける電気回路の動作を説明するための図である。
図17は、加熱モードにおけるヒータHTRの加熱時の電気回路の動作を説明するための図である。
図18は、加熱モードにおけるヒータHTRの温度検出時の電気回路の動作を説明するための図である。
図19は、充電モードにおける電気回路の動作を説明するための図である。
図20は、MCU1のリセット(再起動)時の電気回路の動作を説明するための図である。
図14~
図20の各々において、チップ化された電子部品の端子のうち、破線の楕円で囲まれた端子は、電源電圧V
BAT、USB電圧V
USB、及びシステム電源電圧等の入力又は出力がなされている端子を示している。
【0106】
いずれの動作モードにおいても、電源電圧VBATは、保護IC10の電源端子VDDと、昇圧DC/DCコンバータ9の入力端子VINと、充電IC2の充電端子batに入力されている。
【0107】
<スリープモード:
図14>
MCU1は、充電IC2のV
BATパワーパス機能を有効とし、OTG機能と充電機能を無効とする。充電IC2の入力端子VBUSにUSB電圧V
USBが入力されないことで、充電IC2のV
BATパワーパス機能は有効になる。通信線LNからOTG機能を有効にするための信号がMCU1から充電IC2へ出力されないため、OTG機能は無効になる。このため、充電IC2は、充電端子batに入力された電源電圧V
BATからシステム電源電圧Vcc0を生成して、出力端子SYSから出力する。出力端子SYSから出力されたシステム電源電圧Vcc0は、昇降圧DC/DCコンバータ8の入力端子VIN及びイネーブル端子ENに入力される。昇降圧DC/DCコンバータ8は、正論理であるイネーブル端子ENにハイレベルのシステム電源電圧Vcc0が入力されることでイネーブルとなり、システム電源電圧Vcc0からシステム電源電圧Vcc1を生成して、出力端子VOUTから出力する。昇降圧DC/DCコンバータ8の出力端子VOUTから出力されたシステム電源電圧Vcc1は、LSW4の入力端子VINと、LSW4の制御端子ONと、スイッチドライバ7の入力端子VINと、FF16の電源端子VCC及びD端子と、にそれぞれ供給される。
【0108】
LSW4は、制御端子ONにシステム電源電圧Vcc1が入力されることで、入力端子VINに入力されたシステム電源電圧Vcc1を、出力端子VOUTからシステム電源電圧Vcc2として出力する。LSW4から出力されたシステム電源電圧Vcc2は、MCU1の電源端子VDDと、LSW5の入力端子VINと、ホールIC13の電源端子VDDと、通信IC15の電源端子VCCと、ホールIC14の電源端子VDDと、に入力される。更に、システム電源電圧Vcc2は、残量計IC12の電源端子VDDと、ROM6の電源端子VCCと、充電IC2の充電イネーブル端子CE( ̄)に接続された抵抗器Rc及びバイポーラトランジスタS1と、FF17の電源端子VCCと、オペアンプOP3の正電源端子と、分圧回路Peと、オペアンプOP2の正電源端子と、分圧回路Pdと、にそれぞれ供給される。充電IC2に接続されているバイポーラトランジスタS1は、FF17のQ端子からローレベルの信号が出力されない限りはオフとなっている。そのため、LSW4で生成されたシステム電源電圧Vcc2は、充電IC2の充電イネーブル端子CE( ̄)にも入力される。充電IC2の充電イネーブル端子CE( ̄)は負論理のため、この状態では、充電IC2による充電機能はオフとなる。
【0109】
このように、スリープモードにおいては、LSW5はシステム電源電圧Vcc3の出力を停止しているため、電源ラインPL3に接続される電子部品への電力供給は停止される。また、スリープモードにおいては、充電IC2のOTG機能は停止しているため、LED L1~L8への電力供給は停止される。
【0110】
<アクティブモード:
図15>
MCU1は、
図14のスリープモードの状態から、端子P8に入力される信号がハイレベルとなり、スライダ119が開いたことを検出すると、端子P23からLSW5の制御端子ONにハイレベルの信号を入力する。これにより、LSW5は入力端子VINに入力されているシステム電源電圧Vcc2を、システム電源電圧Vcc3として、出力端子VOUTから出力する。LSW5の出力端子VOUTから出力されたシステム電源電圧Vcc3は、サーミスタT2と、サーミスタT3と、サーミスタT4と、に供給される。
【0111】
更に、MCU1は、スライダ119が開いたことを検出すると、通信線LNを介して、充電IC2のOTG機能を有効化する。これにより、充電IC2は、充電端子batから入力された電源電圧VBATを昇圧して得られるシステム電源電圧Vcc4を、入力端子VBUSから出力する。入力端子VBUSから出力されたシステム電源電圧Vcc4は、LED L1~L8に供給される。
【0112】
<加熱初期設定モード:
図16>
図15の状態から、端子P4に入力される信号がローレベルになる(操作スイッチOPSの押下がなされる)と、MCU1は、加熱に必要な各種の設定を行った後、端子P14から、昇圧DC/DCコンバータ9のイネーブル端子ENにハイレベルのイネーブル信号を入力する。これにより、昇圧DC/DCコンバータ9は、電源電圧V
BATを昇圧して得られる駆動電圧V
bstを出力端子VOUTから出力する。駆動電圧V
bstは、スイッチS3とスイッチS4に供給される。この状態では、スイッチS3とスイッチS4はオフとなっている。また、端子P14から出力されたハイレベルのイネーブル信号によってスイッチS6はオンされる。これにより、ヒータHTRの負極側端子がグランドラインに接続されて、スイッチS3をONにすればヒータHTRを加熱可能な状態になる。MCU1の端子P14からハイレベルの信号のイネーブル信号が出力された後、加熱モードに移行する。
【0113】
<加熱モード時のヒータ加熱:
図17>
図16の状態において、MCU1は、端子P16に接続されたスイッチS3のスイッチング制御と、端子P15に接続されたスイッチS4のスイッチング制御を開始する。これらスイッチング制御は、前述した加熱初期設定モードが完了すれば自動的に開始されてもよいし、さらなる操作スイッチOPSの押下によって開始されてもよい。具体的には、MCU1は、
図17のように、スイッチS3をオンし、スイッチS4をオフして、駆動電圧V
bstをヒータHTRに供給し、エアロゾル生成のためのヒータHTRの加熱を行う加熱制御と、
図18のように、スイッチS3をオフし、スイッチS4をオンして、ヒータHTRの温度を検出する温度検出制御と、を行う。
【0114】
図17に示すように、加熱制御時においては、駆動電圧V
bstは、スイッチS5のゲートにも供給されて、スイッチS5がオンとなる。また、加熱制御時には、スイッチS3を通過した駆動電圧V
bstが、抵抗器Rsを介して、オペアンプOP1の正電源端子にも入力される。抵抗器Rsの抵抗値は、オペアンプOP1の内部抵抗値と比べると無視できるほど小さい。そのため、加熱制御時において、オペアンプOP1の正電源端子に入力される電圧は、駆動電圧V
bstとほぼ同等になる。
【0115】
なお、抵抗器R4の抵抗値は、スイッチS5のオン抵抗値よりも大きくなっている。加熱制御時にもオペアンプOP1は動作するが、加熱制御時にはスイッチS5がオンになる。スイッチS5がオンの状態では、オペアンプOP1の出力電圧が、抵抗器R4とスイッチS5の分圧回路によって分圧されて、MCU1の端子P9に入力される。抵抗器R4の抵抗値がスイッチS5のオン抵抗値よりも大きくなっていることで、MCU1の端子P9に入力される電圧は十分に小さくなる。これにより、オペアンプOP1からMCU1に対して大きな電圧が入力されるのを防ぐことができる。
【0116】
<加熱モード時のヒータ温度検出:
図18>
図18に示すように、温度検出制御時には、駆動電圧V
bstがオペアンプOP1の正電源端子に入力されると共に、分圧回路Pbに入力される。分圧回路Pbによって分圧された電圧は、MCU1の端子P18に入力される。MCU1は、端子P18に入力される電圧に基づいて、温度検出制御時における抵抗器RsとヒータHTRの直列回路に印加される基準電圧V
tempを取得する。
【0117】
また、温度検出制御時には、駆動電圧Vbst(基準電圧Vtemp)が、抵抗器RsとヒータHTRの直列回路に供給される。そして、この駆動電圧Vbst(基準電圧Vtemp)を抵抗器RsとヒータHTRによって分圧した電圧Vheatが、オペアンプOP1の非反転入力端子に入力される。抵抗器Rsの抵抗値はヒータHTRの抵抗値よりも十分に大きいため、電圧Vheatは、駆動電圧Vbstよりも十分に低い値である。温度検出制御時には、この低い電圧VheatがスイッチS5のゲート端子にも供給されることで、スイッチS5はオフされる。オペアンプOP1は、反転入力端子に入力される電圧と非反転入力端子に入力される電圧Vheatの差を増幅して出力する。
【0118】
オペアンプOP1の出力信号は、MCU1の端子P9に入力される。MCU1は、端子P9に入力された信号と、端子P18の入力電圧に基づいて取得した基準電圧Vtempと、既知の抵抗器Rsの電気抵抗値と、に基づいて、ヒータHTRの温度を取得する。MCU1は、取得したヒータHTRの温度に基づいて、ヒータHTRの加熱制御を行う。ヒータHTRの加熱制御は、電源BATからヒータHTRへの放電の制御、ヒータHTRの温度が目標温度となるような制御などを含む。
【0119】
なお、MCU1は、スイッチS3とスイッチS4をそれぞれオフにしている期間(ヒータHTRへの通電を行っていない期間)においても、ヒータHTRの温度を取得することができる。具体的には、MCU1は、端子P13に入力される電圧(サーミスタT3と抵抗器Rt3から構成される分圧回路の出力電圧)に基づいて、ヒータHTRの温度を取得する。
【0120】
また、MCU1は、任意のタイミングにて、ケース110の温度の取得も可能である。具体的には、MCU1は、端子P12に入力される電圧(サーミスタT4と抵抗器Rt4から構成される分圧回路の出力電圧)に基づいて、ケース110の温度を取得する。
【0121】
<充電モード:
図19>
図19は、スリープモードの状態でUSB接続がなされた場合を例示している。USB接続がなされると、USB電圧V
USBが過電圧保護IC11を介してLSW3の入力端子VINに入力される。USB電圧V
USBは、LSW3の入力端子VINに接続された分圧回路Pfにも供給される。USB接続がなされた直後の時点では、バイポーラトランジスタS2がオンとなっているため、LSW3の制御端子ONに入力される信号はローレベルのままとなる。USB電圧V
USBは、MCU1の端子P17に接続された分圧回路Pcにも供給され、この分圧回路Pcで分圧された電圧が端子P17に入力される。MCU1は、端子P17に入力された電圧に基づいて、USB接続がなされたことを検出する。
【0122】
MCU1は、USB接続がなされたことを検出すると、端子P19に接続されたバイポーラトランジスタS2をオフする。バイポーラトランジスタS2のゲート端子にローレベルの信号を入力すると、分圧回路Pfによって分圧されたUSB電圧VUSBがLSW3の制御端子ONに入力される。これにより、LSW3の制御端子ONにハイレベルの信号が入力されて、LSW3は、USB電圧VUSBを出力端子VOUTから出力する。LSW3から出力されたUSB電圧VUSBは、充電IC2の入力端子VBUSに入力される。また、LSW3から出力されたUSB電圧VUSBは、充電IC2を経由せずにそのままシステム電源電圧Vcc4として、LED L1~L8に供給される。
【0123】
MCU1は、USB接続がなされたことを検出すると、更に、端子P22から、充電IC2の充電イネーブル端子CE( ̄)に対してローレベルのイネーブル信号を出力する。これにより、充電IC2は、電源BATの充電機能を有効化し、入力端子VBUSに入力されるUSB電圧VUSBによる電源BATの充電を開始する。このとき、MCU1は、スイッチS3とスイッチS4はオフとしたままエアロゾル生成のためのヒータHTRの加熱を行わない。言い換えると、MCU1は、端子P17に入力された電圧に基づいてUSB接続がなされたことを検出した場合、電源BATからヒータコネクタCnへの電力の供給を禁止する。したがって、充電時にのみ機能する電子部品であるレセプタクルRCP及び過電圧保護IC11は、加熱制御に伴う電圧変換制御が実行されていない時に機能する電子部品である。
【0124】
なお、アクティブモードの状態でUSB接続がなされた場合には、MCU1は、USB接続がなされたことを検出すると、端子P19に接続されたバイポーラトランジスタS2をオフし、更に、端子P22から、充電IC2の充電イネーブル端子CE( ̄)に対してローレベルのイネーブル信号を出力し、更に、通信線LNを利用したシリアル通信によって、充電IC2のOTG機能をオフする。これにより、LED L1~L8に供給されるシステム電源電圧Vcc4は、充電IC2のOTG機能で生成されていた電圧(電源電圧VBATに基づく電圧)から、LSW3から出力されたUSB電圧VUSBに切り替わる。LED L1~L8は、MCU1によって内蔵スイッチのオン制御がなされない限りは作動しない。このため、OTG機能のオンからオフへの過渡期における不安定な電圧がLED L1~L8に供給されるのは防がれる。
【0125】
<MCUのリセット:
図20>
アウターパネル115が外されてホールIC13の出力がローレベルとなり、操作スイッチOPSのオン操作がなされてMCU1の端子P4に入力される信号がローレベルになると、スイッチドライバ7の端子SW1と端子SW2が共にローレベルとなる。これにより、スイッチドライバ7は、リセット入力端子RSTBからローレベルの信号を出力する。リセット入力端子RSTBから出力されたローレベルの信号はLSW4の制御端子ONに入力される。これにより、LSW4は、出力端子VOUTからのシステム電源電圧Vcc2の出力を停止する。システム電源電圧Vcc2の出力が停止されることで、MCU1の電源端子VDDにシステム電源電圧Vcc2が入力されなくなるため、MCU1は停止する。
【0126】
スイッチドライバ7は、リセット入力端子RSTBからローレベルの信号を出力している時間が既定時間に達するか、端子SW1と端子SW2のいずれかに入力される信号がハイレベルになると、リセット入力端子RSTBから出力する信号をハイレベルに戻す。これにより、LSW4の制御端子ONがハイレベルとなり、システム電源電圧Vcc2が各部に供給される状態に復帰する。
【0127】
<基板の詳細説明>
次に、MCU搭載基板161及びレセプタクル搭載基板162に実装されたIC及び素子の配置について説明する。
【0128】
[レセプタクル搭載基板]
図21は、レセプタクル搭載基板162の主面162aを示す図である。上下方向に延設されたレセプタクル搭載基板162の主面162aには、上端部にヒータコネクタCnが実装され、下端部にレセプタクルRCPが実装され、ヒータコネクタCnとレセプタクルRCPとの間に昇圧DC/DCコンバータ9のリアクトルLcが実装される。
【0129】
また、レセプタクルRCPの近傍には、上方右側に正極側のバッテリコネクタ222(以下、正極側バッテリコネクタ222)が実装され、上方左側にスペーサ173を固定する開口部176が配置されている。さらに、リアクトルLcの左側には、負極側のバッテリコネクタ224(以下、負極側バッテリコネクタ224)及び電源温度センサを構成するサーミスタT1に接続される電源温度検出用コネクタCn(t1)が実装され、負極側バッテリコネクタ224に対し左右方向で反対側には、ヒータHTRの温度を検出するためのスイッチS4が実装される。正極側バッテリコネクタ222には、電源BATの正極端子から延びる正極側電源バスバー236(
図7、8参照)が接続され、負極側バッテリコネクタ224には、電源BATの負極端子から延びる負極側電源バスバー238(
図7、8参照)が接続される。
【0130】
スペーサ173を固定するレセプタクル搭載基板162の開口部176は、下端部に実装されたレセプタクルRCPに近接する位置、言い換えると中央に対し上端部より下端部側に設けられている。外部電源から供給される電力が通る経路の近くでは、この電流を原因とするノイズが生じている虞があるが、ノイズの影響を受けないスペーサ173をこの経路の近くに設けることで、レセプタクル搭載基板162の基板面積を有効活用できる。
【0131】
さらに、電源BATとレセプタクル搭載基板162とを電気的に接続する正極側バッテリコネクタ222は、下端部に実装されたレセプタクルRCPに近接する位置、言い換えると、上下方向において中央よりも下方に設けられている。導体である正極側バッテリコネクタ222は、少なからずノイズの影響を受けるが、正極側バッテリコネクタ222には大きな電流が通ることからノイズの影響は軽微であるため、この経路の近くに正極側バッテリコネクタ222を設けることで、レセプタクルRCPの基板面積を有効活用できる。これらの工夫により、レセプタクル搭載基板162のサイズが大きくなることを抑制できるので、吸引器100のコストとサイズを低減できる。
【0132】
図22は、レセプタクル搭載基板162の副面162bを示す図である。上下方向に延設されたレセプタクル搭載基板162の副面162bには、昇圧DC/DCコンバータ9、オペアンプOP1、及び保護IC10、過電圧保護IC11、ヒューズFs、及び、エアロゾル生成用のスイッチS3が実装される。
【0133】
過電圧保護IC11及びヒューズFsは、開口部176の下方に実装される。このように、レセプタクルRCPが実装される主面162aと反対側の副面162bに過電圧保護IC11及びヒューズFsを実装することで、過電圧保護IC11及びヒューズFsをレセプタクルRCPと同一面に実装した場合と比べて基板面積を有効活用でき、レセプタクル搭載基板162のサイズが大きくなることを抑制できる。これにより、吸引器100のコストとサイズを低減できる。
【0134】
過電圧保護IC11は、レセプタクル搭載基板162の素子配置面に直交する方向(前後方向)から見てレセプタクルRCPと重なる位置、即ち、前後方向においてレセプタクルRCPを投影した部分であるレセプタクル投影領域220に実装される。したがって、レセプタクルRCPのVBUSピン対と過電圧保護IC11の間の距離を極限まで短くすることができ、過電圧保護IC11で保護される前の電力がレセプタクル搭載基板162に実装される他の電気部品へ与える影響を低減できる。これにより、吸引器100の耐久性を向上させ、その動作を安定にすることができる。
【0135】
昇圧DC/DCコンバータ9、オペアンプOP1、及び保護IC10、及び、エアロゾル生成用のスイッチS3は、開口部176の上方に実装される。
【0136】
エアロゾル生成用のスイッチS3は、レセプタクル搭載基板162の副面162bの右上端部に実装される。オペアンプOP1は、レセプタクル搭載基板162の副面162bの上下方向における略中央の右端部近傍に実装される。昇圧DC/DCコンバータ9は、上下方向においてエアロゾル生成用のスイッチS3とオペアンプOP1との間であって、左右方向においてエアロゾル生成用のスイッチS3及びオペアンプOP1よりも左方に実装される。保護IC10は、上下方向においてオペアンプOP1と開口部176との間であって、左右方向において昇圧DC/DCコンバータ9と開口部176との間に実装される。
【0137】
このように、正極側バッテリコネクタ222及び負極側バッテリコネクタ224、並びに、昇圧DC/DCコンバータ9は、MCU搭載基板161には実装されず、レセプタクル搭載基板162に実装される。
【0138】
高電圧を扱う正極側バッテリコネクタ222及び負極側バッテリコネクタ224、並びに、昇圧DC/DCコンバータ9が、レセプタクル搭載基板162に集約して実装される。これにより、高電圧に由来するノイズなどが、MCU搭載基板161に実装される電子部品へ影響を及ぼしにくくなる。したがって、MCU搭載基板161に実装される電子部品が故障しにくくなり、吸引器100の耐久性が向上する。
【0139】
また、昇圧DC/DCコンバータ9は、レセプタクル搭載基板162の副面162bに実装され、リアクトルLcは、レセプタクル搭載基板162の主面162aに実装される。
【0140】
さらに、昇圧DC/DCコンバータ9は、レセプタクル搭載基板162の副面162bに実装され、正極側バッテリコネクタ222及び負極側バッテリコネクタ224は、レセプタクル搭載基板162の主面162aに実装される。
【0141】
リアクトルLcはヒータHTRへ供給される大電流が流れるため、サイズは電子部品の中でも特に大きくなる。そこで、リアクトルLcと昇圧DC/DCコンバータ9とを同一回路基板の別の面に実装することで、高電圧を扱う電子部品をレセプタクル搭載基板162に集約して実装しつつ、リアクトルLcと昇圧DC/DCコンバータ9とを同一の面に実装する場合よりもレセプタクル搭載基板162のサイズを小さくでき、吸引器100の小型化やコスト低減が可能となる。
【0142】
また、昇圧DC/DCコンバータ9と正極側バッテリコネクタ222及び負極側バッテリコネクタ224とを別の面に実装することで、スイッチングノイズが発生する虞がある昇圧DC/DCコンバータ9から、正極側バッテリコネクタ222及び負極側バッテリコネクタ224を物理的に離すことができるので、電源BATから放電される電流や電源BATへ充電される電流に、昇圧DC/DCコンバータ9で発生するスイッチングノイズが重畳されにくくなる。
【0143】
さらに、リアクトルLcは、レセプタクル搭載基板162の主面162aに実装されるので、昇圧DC/DCコンバータ9が実装される副面162bに実装される場合と比べて、レセプタクル搭載基板162の面積を有効活用できる。同時に、スイッチングノイズが発生する虞がある昇圧DC/DCコンバータ9から、正極側バッテリコネクタ222及び負極側バッテリコネクタ224を物理的に離すことができる。これにより、吸引器100の小型化やコスト低減を図りつつ、電源BATから放電される電流や電源BATへ充電される電流に、昇圧DC/DCコンバータ9で発生するスイッチングノイズが重畳されにくくなる。
【0144】
また、リアクトルLc及びヒータコネクタCnは、レセプタクル搭載基板162の主面162aに実装される。
【0145】
高電圧を扱うヒータコネクタCnは、MCU搭載基板161には実装されず、高電圧且つ高電流を扱う正極側バッテリコネクタ222及び負極側バッテリコネクタ224、並びに、昇圧DC/DCコンバータ9が実装されるレセプタクル搭載基板162に実装される。これにより、高電圧や高電流に由来するノイズなどが、MCU搭載基板161に実装される電子部品へ影響を及ぼしにくくなる。したがって、MCU搭載基板161に実装される電子部品が故障しにくくなり、吸引器100の耐久性が向上する。
【0146】
さらに、リアクトルLcにはヒータHTRへ供給される大電流が流れるため、リアクトルLcのサイズは電子部品の中でも特に大きくなる。一方で、ヒータコネクタCnにはリード線が接続されるため、ヒータコネクタCnにかかる応力の低減、及び、製造時の作業性の観点から、ヒータコネクタCnの高さ方向にはある程度の空間を確保することが好ましい。そこで、高さがあるリアクトルLc及び高さ方向にある程度の空間を確保することが好ましいヒータコネクタCnを同一基板の同一面に実装することで、吸引器100のケース110の内部空間を有効活用できるので、吸引器100を小型化できる。
【0147】
また、レセプタクルRCPは、レセプタクル搭載基板162に実装される。
【0148】
これにより、高電圧を扱うレセプタクルRCPは、高電圧を扱う電子部品が集約して実装されるレセプタクル搭載基板162に実装されるので、MCU搭載基板161に実装される電子部品が故障しにくくなり、吸引器100の耐久性が向上する。
【0149】
また、過電圧保護IC11やヒューズFsは、MCU搭載基板161には実装されず、レセプタクル搭載基板162に実装される。
【0150】
これにより、過電流や大きなノイズを含んだ電流などの好ましくない電流が、レセプタクルRCPからMCU搭載基板161へ供給されにくくなるので、MCU搭載基板161に実装される電子部品が故障しにくくなり、吸引器100の耐久性が向上する。
【0151】
[MCU搭載基板]
図23は、MCU搭載基板161の主面161aを示す図である。上下方向に延設されたMCU搭載基板161の主面161aには、レセプタクル搭載基板162の開口部176に対応する位置に、スペーサ173を固定する開口部175が配置され、開口部175の近傍にMCU1が実装される。
【0152】
MCU搭載基板161の主面161aには、ヒータ温度センサを構成するサーミスタT3が導線を介して接続されるヒータ温度検出用コネクタCn(t3)と、充電IC2と、LSW3と、昇降圧DC/DCコンバータ8と、FF17と、が実装される。
ヒータ温度検出用コネクタCn(t3)は、MCU搭載基板161の主面161aの上端部に実装される。
【0153】
充電IC2は、ヒータ温度検出用コネクタCn(t3)の下側、且つ、主面161aの上下中央よりも上方に実装される。
【0154】
LSW3は、充電IC2とMCU1との間に実装される。
【0155】
昇降圧DC/DCコンバータ8は、LSW3の左方であって、上下方向において充電IC2とLSW3との間に実装される。
【0156】
FF17は、開口部175及びMCU1よりも下方の右下端部に実装される。
【0157】
図24は、MCU搭載基板161の副面161bを示す図である。上下方向に延設されたMCU搭載基板161の副面161bには、振動モータMが導線を介して接続されるモータコネクタ226と、スイッチドライバ7と、ケース温度センサを構成するサーミスタT4が導線を介して接続されるケース温度検出用コネクタCn(t4)と、吸気センサを構成するサーミスタT2が導線を介して接続される吸気検出用コネクタCn(t2)と、FF16と、ROM6と、オペアンプOP2と、が実装される。
【0158】
モータコネクタ226は、開口部175の上側に実装される。また、モータコネクタ226は、MCU搭載基板161の副面161bの左右方向における中央より左側に実装される。
【0159】
スイッチドライバ7は、モータコネクタ226の上方に実装される。
【0160】
ケース温度検出用コネクタCn(t4)と吸気検出用コネクタCn(t2)とは、MCU搭載基板161の副面161bの上端部に実装される。本実施形態では、ケース温度検出用コネクタCn(t4)は、MCU搭載基板161の副面161bの左右方向における左端側に実装され、吸気検出用コネクタCn(t2)は、MCU搭載基板161の副面161bの左右方向における右端側に実装される。
【0161】
FF16は、ケース温度検出用コネクタCn(t4)とスイッチドライバ7との間に実装される。FF16は、MCU搭載基板161の副面161bの左右方向における左端側に実装される。
【0162】
ROM6は、FF16の右方に実装される。ROM6は、MCU搭載基板161の副面161bの左右中央よりやや右側に実装される。
【0163】
オペアンプOP2は、吸気検出用コネクタCn(t2)とROM6との間に実装される。オペアンプOP2は、MCU搭載基板161の副面161bの左右方向において、吸気検出用コネクタCn(t2)とケース温度検出用コネクタCn(t4)との間に実装され、MCU搭載基板161の副面161bの略左右中央に実装される。
【0164】
MCU搭載基板161とレセプタクル搭載基板162を電気的に接続するフレキシブル配線板165は、MCU搭載基板161及びレセプタクル搭載基板162のFPC接続部231、232同士を接続する。FPC接続部231は、MCU搭載基板161の右端部、且つ、上下方向において略中央部から下方に向かって開口部175近傍に至る箇所に位置する。FPC接続部232は、レセプタクル搭載基板162の右端部、且つ、上下方向において略中央部から下方に向かって開口部176近傍に至る箇所に位置する。したがって、フレキシブル配線板165は、MCU搭載基板161の右端部と、レセプタクル搭載基板162の右端部と、に実装される。
【0165】
このように、MCU1は、高電圧を扱う電子部品が集約して実装されるレセプタクル搭載基板162とは異なるMCU搭載基板161に実装される。加えて、入力された情報を記憶可能なROM6、FF16及びFF17も、MCU搭載基板161に実装される。
【0166】
これにより、MCU1に不具合が生じ難くなり、吸引器100の動作が安定する。加えて、ROM6、FF16及びFF17は、高電圧を扱う電子部品が集約して実装されるレセプタクル搭載基板162とは異なるMCU搭載基板161に実装されるので、ROM6、FF16及びFF17に不具合が生じ難くなり、吸引器100の動作が安定する。
【0167】
なお、レセプタクル搭載基板162(
図13の範囲162A)には、レセプタクルRCPから供給される電力をMCU搭載基板161(
図12の範囲161A)へ供給する第1供給経路が実装されている。第1供給経路は、レセプタクルRCPと充電IC2の入力端子VBUSとを接続する接続線のうちの範囲162Aに含まれる部分である。したがって、過電圧保護IC11及びヒューズFsは、
図13に示すように、第1供給経路に設けられている。
【0168】
これにより、過電流や大きなノイズを含んだ電流などの好ましくない電流が、レセプタクルRCPからMCU搭載基板161へ供給されにくくなるので、MCU搭載基板161に実装される電子部品が故障しにくくなり、吸引器100の耐久性が向上する。
【0169】
また、前述したように、LED L1~L8は、充電IC2を経由せずにレセプタクルRCPに接続されたUSBケーブルから供給されるUSB電圧V
USBと、電源BATから充電IC2を経由して供給される電圧と、のそれぞれによって動作可能に構成されている。そして、内部ユニット140は、レセプタクルRCPから供給される電力をLED L1~L8へ供給する第2供給経路を備える。第2供給経路は、
図19に示すように、レセプタクルRCPとLED L1~L8とを接続する接続線である。そして、過電圧保護IC11及びLSW3は、第2供給経路に設けられている。
【0170】
そして、LED L1~L8は、レセプタクル搭載基板162には実装されず、LED搭載基板163に実装され、LSW3は、MCU搭載基板161に実装される。
【0171】
レセプタクルRCPが実装されたレセプタクル搭載基板162に対し、LED L1~L8をレセプタクル搭載基板162とは異なる基板に実装し、加えて、LSW3をMCU搭載基板161に実装することで、LED L1~L8及びLSW3がレセプタクルRCPから離される。これにより、レセプタクルRCPが外部電源と接続した直後の過渡電流が、LSW3によってLED L1~L8に供給されにくくなる。これにより、LED L1~L8が故障しにくくなり、吸引器100の商品性が向上する。
【0172】
さらに、LED L1~L8の一端は、第2供給経路へ接続され、LED L1~L8の他端は、MCU1に内蔵された内蔵スイッチを介して、MCU1のグランド端子GNDに接続されたグランドラインからグランド161G(
図12参照)に接続される。
【0173】
したがって、LED L1~L8は、故障しにくいMCU1の内蔵スイッチがオンにならない限りは作動しないので、LED L1~L8が故障しにくくなり、吸引器100の商品性が向上する。
【0174】
以上、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しながら説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0175】
本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。なお、括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を示しているが、これに限定されるものではない。
【0176】
(1) 電源(電源BAT)と、
前記電源が接続される電源コネクタ(正極側バッテリコネクタ222、負極側バッテリコネクタ224)と、
前記電源から供給される電力を消費してエアロゾル源を加熱するヒータ(ヒータHTR)が接続されるヒータコネクタ(ヒータコネクタCn)と、
前記電源から前記ヒータへの電力の供給を制御可能に構成されるコントローラ(MCU1)と、
電子部品が実装される第1回路基板(レセプタクル搭載基板162)と、
電子部品が実装され、且つ、前記第1回路基板から離間した第2回路基板(MCU搭載基板161)と、
前記電源から供給される電圧を昇圧して前記ヒータへ出力する昇圧IC(昇圧DC/DCコンバータ9)と、を備えるエアロゾル生成装置の電源ユニット(非燃焼式吸引器100)であって、
前記電源コネクタ及び前記昇圧ICは、前記第2回路基板には実装されず、前記第1回路基板に実装される、エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0177】
(1)によれば、高電圧を扱う電源コネクタ及び昇圧ICが、第1回路基板に集約して実装されるので、第2回路基板に実装される電子部品が故障しにくくなり、エアロゾル生成装置の電源ユニットの耐久性が向上する。
【0178】
(2) (1)に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記昇圧ICへ接続されるリアクトル(リアクトルLc)を備え、
前記第1回路基板は、第1面(副面162b)と、前記第1面の裏面である第2面(主面162a)と、を含み、
前記昇圧ICは、前記第1回路基板の前記第1面に実装され、
前記リアクトルは、前記第1回路基板の前記第2面に実装される、エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0179】
(2)によれば、リアクトルはヒータへ供給される大電流が流れるため、サイズは電子部品の中でも特に大きくなるが、リアクトルと昇圧ICとを同一回路基板の別の面に実装することで、高電圧を扱う電子部品を第1回路基板に集約して実装しつつ、リアクトルと昇圧ICとを同一の面に実装する場合よりも第1回路基板のサイズを小さくでき、吸引器100の小型化やコスト低減が可能となる。
【0180】
(3) (1)に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記第1回路基板は、第1面(副面162b)と、前記第1面の裏面である第2面(主面162a)と、を含み、
前記昇圧ICは、前記第1回路基板の前記第1面に実装され、
前記電源コネクタは、前記第1回路基板の前記第2面に実装される、エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0181】
(3)によれば、昇圧ICと電源コネクタとを別の面に実装することで、スイッチングノイズが発生する虞がある昇圧ICから、電源コネクタを物理的に離すことができるので、電源から放電される電流や電源へ充電される電流に、昇圧ICで発生するスイッチングノイズが重畳されにくくなる。
【0182】
(4) (3)に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記昇圧ICへ接続されるリアクトル(リアクトルLc)を備え、
前記リアクトルは、前記第1回路基板の前記第2面に実装される、エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0183】
(4)によれば、昇圧ICとリアクトルとを同一の面に実装した場合に比べて、第1回路基板の面積を有効活用しつつ、スイッチングノイズが発生する虞がある昇圧ICから、電源コネクタを物理的に離すことができるので、エアロゾル生成装置の電源ユニットの小型化やコスト低減を図りつつ、電源から放電される電流や電源へ充電される電流に、昇圧ICで発生するスイッチングノイズが重畳されにくくなる。
【0184】
(5) (1)から(4)のいずれかに記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記ヒータコネクタは、前記第2回路基板には実装されず、前記第1回路基板に実装される、エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0185】
(5)によれば、高電圧且つ大電流を扱うヒータコネクタは、第2回路基板には実装されず、高電圧を扱う電源コネクタ及び昇圧ICが実装される第1回路基板に実装されるので、第2回路基板に実装される電子部品が故障しにくくなり、エアロゾル生成装置の電源ユニットの耐久性が向上する。
【0186】
(6) (5)に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記昇圧ICへ接続されるリアクトル(リアクトルLc)を備え、
前記第1回路基板は、第1面(副面162b)と、前記第1面の裏面である第2面(主面162a)と、を含み、
前記リアクトル及び前記ヒータコネクタは、前記第1回路基板の前記第2面に実装される、エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0187】
リアクトルにはヒータへ供給される大電流が流れるため、リアクトルのサイズ(特に高さ)は電子部品の中でも特に大きくなる。一方で、ヒータコネクタにはリード線が接続されるため、ヒータコネクタにかかる応力の低減、及び、製造時の作業性の観点から、ヒータコネクタの高さ方向にはある程度の空間を確保することが好ましい。
(6)によれば、高さがあるリアクトル及び高さ方向にある程度の空間を確保することが好ましいヒータコネクタを同一基板の同一面に実装することで、エアロゾル生成装置の電源ユニットの内部空間を有効活用できるので、エアロゾル生成装置の電源ユニットを小型化できる。
【0188】
(7) (1)から(6)のいずれかに記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記コントローラは、前記第2回路基板に実装される、エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0189】
(7)によれば、コントローラは、高電圧を扱う電子部品が集約して実装される第1回路基板とは異なる第2回路基板に実装されるので、コントローラに不具合が生じ難くなり、エアロゾル生成装置の電源ユニットの動作が安定する。
【0190】
(8) (1)から(7)のいずれかに記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
入力された情報を記憶可能な記憶回路(ROM6、フリップフロップ16、フリップフロップ17)を備え、
前記記憶回路は、前記第2回路基板に実装される、エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0191】
(8)によれば、記憶回路は、高電圧を扱う電子部品が集約して実装される第1回路基板とは異なる第2回路基板に実装されるので、記憶回路に不具合が生じ難くなり、エアロゾル生成装置の電源ユニットの動作が安定する。
【0192】
(9) (1)から(8)のいずれかに記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
外部電源に電気的に接続可能なレセプタクル(レセプタクルRCP)を備え、
前記第1回路基板には、前記レセプタクルから供給される電力を前記第2回路基板へ供給する第1供給経路が実装されており、
前記第1供給経路には、過電圧保護IC(過電圧保護IC11)が設けられている、エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0193】
(9)によれば、過電流や大きなノイズを含んだ電流などの好ましくない電流が、レセプタクルから第2回路基板へ供給されにくくなるので、第2回路基板に実装される電子部品が故障しにくくなり、エアロゾル生成装置の電源ユニットの耐久性が向上する。
【0194】
(10) (1)から(9)のいずれかに記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
外部電源に電気的に接続可能なレセプタクル(レセプタクルRCP)を備え、
前記レセプタクルは、前記第1回路基板に実装される、エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0195】
(10)によれば、高電圧を扱うレセプタクルは、高電圧を扱う電子部品が集約して実装される第1回路基板に実装されるので、第2回路基板に実装される電子部品が故障しにくくなり、エアロゾル生成装置の電源ユニットの耐久性が向上する。
【0196】
(11) (10)に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記レセプタクルから供給される電力を用いて前記電源の充電を制御するように構成された充電IC(充電IC2)と、
前記レセプタクルから供給される電力から前記充電ICを保護する保護素子(ヒューズFs)と、を備え、
前記保護素子は、前記第2回路基板には実装されず、前記第1回路基板に実装される、エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0197】
(11)によれば、保護素子によって、過電流や大きなノイズを含んだ電流などの好ましくない電流が、レセプタクルから第2回路基板へ供給されにくくなるので、第2回路基板に実装される電子部品が故障しにくくなり、エアロゾル生成装置の電源ユニットの耐久性が向上する。
【0198】
(12) (11)に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記充電ICを経由せずに前記レセプタクルから供給される電力を用いて動作する電子部品(LED L1~L8)と、
前記レセプタクルから供給される電力を前記電子部品へ供給する第2供給経路と、
前記第2供給経路に設けられるスイッチ(ロードスイッチ3)と、を備え、
前記電子部品は、前記第1回路基板に実装されず、
前記スイッチは、前記第2回路基板に実装される、エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0199】
(12)によれば、レセプタクルが実装された第1回路基板に対し、電子部品を第1回路基板とは異なる基板に実装し、加えて、スイッチを第2回路基板に実装することで、レセプタクルが外部電源と接続した直後の過渡電流が、スイッチによっても電子部品に供給されにくくなる。これにより、電子部品が故障しにくくなり、エアロゾル生成装置の電源ユニットの商品性が向上する。
【0200】
(13) (12)に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
グランド(グランド161G)と、
前記コントローラに内蔵される内蔵スイッチと、を備え、
前記電子部品の一端は、前記第2供給経路へ接続され、
前記電子部品の他端は、前記内蔵スイッチを介して前記グランドへ接続される、エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0201】
(13)によれば、電子部品は、故障しにくいコントローラの内蔵スイッチがオンにならない限りは作動しないので、電子部品が故障しにくくなり、エアロゾル生成装置の電源ユニットの商品性が向上する。
【0202】
なお、本出願は、2021年5月10日出願の日本特許出願(特願2021-079907)に基づくものであり、その内容は本出願の中に参照として援用される。
【符号の説明】
【0203】
100 非燃焼式吸引器(エアロゾル生成装置の電源ユニット)
1 MCU(コントローラ)
2 充電IC
3 ロードスイッチ(LSW、スイッチ)
6 ROM(記憶回路)
9 昇圧DC/DCコンバータ(昇圧IC)
10 保護IC
11 過電圧保護IC
16 フリップフロップ(FF、記憶回路)
17 フリップフロップ(FF、記憶回路)
161 MCU搭載基板(第2回路基板)
161G グランド
162 レセプタクル搭載基板(第1回路基板)
162a 主面(第2面)
162b 副面(第1面)
222 正極側バッテリコネクタ(電源コネクタ)
224 負極側バッテリコネクタ(電源コネクタ)
BAT 電源
Cn ヒータコネクタ
Fs ヒューズ(保護素子)
HTR ヒータ
L1~L8 LED(電子部品)
Lc リアクトル
RCP レセプタクル