(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-16
(45)【発行日】2024-08-26
(54)【発明の名称】医用システムおよび記録媒体
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20240819BHJP
A61B 6/58 20240101ALI20240819BHJP
【FI】
A61B6/03 573
A61B6/03 530Z
A61B6/58 500Z
(21)【出願番号】P 2024027949
(22)【出願日】2024-02-27
【審査請求日】2024-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】319011672
【氏名又は名称】ジーイー・プレシジョン・ヘルスケア・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】緒方 研太郎
【審査官】蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-23515(JP,A)
【文献】特開2013-215480(JP,A)
【文献】特開2013-132507(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0100517(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第117297637(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線管であって、第1の管電圧と第2の管電圧との間で前記X線管に印加される管電圧を切り替えることができるように構成されたX線管と、
前記X線管から照射されたX線を検出する検出器アセンブリであって、前記検出器アセンブリは、X線を検出する参照領域とフィルタとを含み、前記参照領域は、前記フィルタを通過したX線を検出する第1のサブ領域と、前記フィルタを通過していないX線を検出する第2のサブ領域とを含む、検出器アセンブリと、
1つ又は複数のプロセッサであって、
前記X線管に前記第1の管電圧が印加された場合、前記検出器アセンブリの前記第1のサブ領域で検出されたX線のエネルギー情報と、前記検出器アセンブリの前記第2のサブ領域で検出されたX線のエネルギー情報とに基づいて、前記第1の管電圧の第1の実効電圧値を決定すること、
前記X線管に前記第2の管電圧が印加された場合、前記検出器アセンブリの前記第1のサブ領域で検出されたX線のエネルギー情報と、前記検出器アセンブリの前記第2のサブ領域で検出されたX線のエネルギー情報とに基づいて、前記第2の管電圧の第2の実効電圧値を決定すること、
前記第1の実効電圧値に基づいて、ビームハードニングの補正に必要な第1の補正係数を計算すること、および
前記第2の実効電圧値に基づいて、ビームハードニングの補正に必要な第2の補正係数を計算すること
を実行する1つ又は複数のプロセッサと
を含む、医用システム。
【請求項2】
前記第1の実効電圧値を決定することは、
前記第1のサブ領域で検出されたX線のエネルギー情報を含む第1の信号値と、前記第2のサブ領域で検出されたX線のエネルギー情報を含む第2の信号値とに基づいて、前記第1の実効電圧値を決定することを含み、
前記第2の実効電圧値を決定することは、
前記第1のサブ領域で検出されたX線のエネルギー情報を含む第3の信号値と、前記第2のサブ領域で検出されたX線のエネルギー情報を含む第4の信号値とに基づいて、前記第2の実効電圧値を決定することを含む、請求項1に記載の医用システム。
【請求項3】
前記第1の実効電圧値を決定することは、
前記第1の信号値と前記第2の信号値に基づいて第1の指標値を計算すること、および
前記第1の指標値に基づいて前記第1の実効電圧値を決定することを含み、
前記第2の実効電圧値を決定することは、
前記第3の信号値と前記第4の信号値に基づいて第2の指標値を計算すること、および
前記第2の指標値に基づいて前記第2の実効電圧値を決定することを含む、請求項2に記載の医用システム。
【請求項4】
前記第1の指標値および前記第2の指標値は、前記第1のサブ領域で検出されたX線のエネルギー情報を含む信号値と、前記第2のサブ領域で検出されたX線のエネルギー情報を含む信号値との比によって計算される、請求項3に記載の医用システム。
【請求項5】
前記1つ以上のプロセッサは、
管電圧と指標値とを対応付けるベースラインに基づいて、前記第1の実効電圧値および前記第2の実効電圧値を計算する、請求項1に記載の医用システム。
【請求項6】
前記ベースラインは、複数の基準管電圧と前記複数の基準管電圧に対応する複数の指標値とに基づいて作成されるラインであり、
前記複数の指標値の各々は、前記第1のサブ領域で検出されたX線のエネルギー情報を含む信号値と、前記第2のサブ領域で検出されたX線のエネルギー情報を含む信号値との比である、請求項5に記載の医用システム。
【請求項7】
前記1つ又は複数のプロセッサは、
前記第1の実効電圧値に対応する第1の補正係数データを求めること、および
前記第2の実効電圧値に対応する第2の補正係数データを求めること
を実行する、請求項6に記載の医用システム。
【請求項8】
前記第1の補正係数データおよび前記第2の補正係数データは、前記検出器アセンブリのチャネルごとに得られた補正係数を含む、請求項7に記載の医用システム。
【請求項9】
前記医用システムが有する記憶装置又は前記医用システムがアクセス可能な記憶装置に、前記複数の基準管電圧に対応する複数の基準補正係数データが記憶されており、
前記1つ又は複数のプロセッサは、
前記第1の実効電圧値と前記複数の基準補正係数データに基づいて、前記第1の補正係数データを計算すること、および
前記第2の実効電圧値と前記複数の基準補正係数データに基づいて、前記第2の補正係数データを計算すること
を実行する、請求項7に記載の医用システム。
【請求項10】
X線管であって、第1の管電圧と第2の管電圧との間で前記X線管に印加される管電圧を切り替えることができるように構成されたX線管と、
前記X線管から照射されたX線を検出する検出器アセンブリであって、前記検出器アセンブリは、X線を検出する参照領域とフィルタとを含み、前記参照領域は、前記フィルタを通過したX線を検出する第1のサブ領域と、前記フィルタを通過していないX線を検出する第2のサブ領域とを含む、検出器アセンブリと、
1つ又は複数のプロセッサと
を含む医用システムの前記1つ又は複数のプロセッサによって実行される命令が記憶された非一時的な記憶媒体であって、前記命令は、前記1つ又はプロセッサによって実行されると、前記1つ又はプロセッサに、
前記X線管に前記第1の管電圧が印加された場合、前記検出器アセンブリの前記第1のサブ領域で検出されたX線のエネルギー情報と、前記検出器アセンブリの前記第2のサブ領域で検出されたX線のエネルギー情報とに基づいて、前記第1の管電圧の第1の実効電圧値を決定すること、
前記X線管に前記第2の管電圧が印加された場合、前記検出器アセンブリの前記第1のサブ領域で検出されたX線のエネルギー情報と、前記検出器アセンブリの前記第2のサブ領域で検出されたX線のエネルギー情報とに基づいて、前記第2の管電圧の第2の実効電圧値を決定すること、
前記第1の実効電圧値に基づいて、ビームハードニングの補正に必要な第1の補正係数を計算すること、および
前記第2の実効電圧値に基づいて、ビームハードニングの補正に必要な第2の補正係数を計算すること
を実行させる、記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビームハードニングの補正を実行する医用システム、および当該医用システムを制御するための命令が記録された記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
被検体を非侵襲的に撮影する医用装置としてCTシステムが知られている。CTシステムは、短いスキャン時間で被検体の断層画像を取得することができるので、病院などの医療施設に普及している。
【0003】
CTシステムは、X線管の陰極-陽極管に所定の電圧を印加し、X線を発生させる。発生したX線は被検体を透過して検出器で検出される。CTシステムは、検出器で検出されたデータに基づいて、被検体のCT画像を再構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
CTシステムの撮影技術として、SECT(Single Energy CT)が知られている。SECTは、X線管の陰極-陽極管に所定の電圧(例えば、120kV)を印加し、X線を発生させ、被検体のCT画像を得る方法である。しかし、SECTでは、異なる物質であってもCT値が近い値になることがあり、異なる物質の同定が難しい場合がある。
【0006】
そこで、DECT(Dual Energy CT)の技術が研究、開発されている。DECTは、異なるエネルギー領域のX線を利用して物質の弁別を行う技術であり、臨床現場での診断に有益な画像を取得することができ、広く普及し始めている。DECTの技術では、X線管の管電圧を、低い管電圧と高い管電圧との間で切り替えるkVスイッチング技術が知られている。
【0007】
また、CTシステムは、長期間使用することによって部品は経年劣化し、その結果、CTシステムで使用されるビームハードニングの補正係数が理想値から離れていく。そこで、CTシステムでは、ビームハードニングの補正をするためのキャリブレーションが定期的に実行される。特にkVスイッチングを用いたDECTにおけるキャリブレーションでは、高い管電圧に対応するデータと、低い管電圧に対応するデータとを収集するためにキャリブレーションスキャンが実行され、収集されたデータに基づいて、ビームハードニングの補正に必要な補正係数が求められている。
【0008】
一方、kVスイッチングでは、短時間で低い管電圧と高い管電圧とを切り替える必要がある。理想的には、管電圧を切り替えた場合、電圧は矩形状に変化することが望ましい。しかし、実際には、管電圧を切り替えた場合、管電圧が所望の値に到達するには、一定の立ち上がり時間が掛かる。一方で、上記のように、kVスイッチングでは、短時間で電圧を切り替える必要がある。したがって、管電圧を、例えば、低い管電圧から高い管電圧に切り替えた場合、高い管電圧が理想電圧値に到達しても、管電圧は直ぐに低い管電圧に切り替えられるので、理想電圧値が維持される時間は短くなる。これは、kVスイッチングの高速化が進むにつれて顕著に表れる。そこで、kVスイッチング技術において、高い管電圧および低い管電圧を考える場合には、管電圧の理想的な電圧値ではなく、実効電圧値を考えている。
【0009】
したがって、ビームハードニングの補正を実行する場合、管電圧の実効電圧値に基づいて必要な補正係数を求めている。
【0010】
一方で、実効電圧値は、ガントリの回転速度と、X線管の管電流に依存する。このため、キャリブレーションでは、回転速度と管電流との組合せをプリセットとして予めきめておき、プリセットごとに実効電圧値を求めるためのキャリブレーションスキャンを実行し、実効電圧値に基づいてビームハードニングの補正係数を求める必要がある。したがって、プリセットの数が多くなると、実行しなければならないキャリブレーションスキャンの回数が増えてしまい、キャリブレーションに多くの時間が掛かってしまうという問題がある。
【0011】
また、プリセットとして定められていない回転速度と管電流との組合せに対しては、キャリブレーションスキャンを実行することはできないので、実効電圧値を求めることはできない。したがって、ユーザが、プリセットとして定められていない回転速度と管電流との組合せを使用して被検体の検査を実行したいと考えたとしても、実効電圧値を求めることができないので、ビームハードニングの補正係数を求めることができない。このため、ユーザの希望する回転速度と管電流との組合せでスキャンをすることができないという問題がある。
そこで、ビームハードニングに必要な補正係数を簡単に求めることが可能な技術が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の観点は、X線管であって、第1の管電圧と第2の管電圧との間で前記X線管に印加される管電圧を切り替えることができるように構成されたX線管と、
前記X線管から照射されたX線を検出する検出器アセンブリであって、前記検出器アセンブリは、X線を検出する参照領域とフィルタとを含み、前記参照領域は、前記フィルタを通過したX線を検出する第1のサブ領域と、前記フィルタを通過していないX線を検出する第2のサブ領域とを含む、検出器アセンブリと、
1つ又は複数のプロセッサであって、
前記X線管に前記第1の管電圧が印加された場合、前記検出器アセンブリの前記第1のサブ領域で検出されたX線のエネルギー情報と、前記検出器アセンブリの前記第2のサブ領域で検出されたX線のエネルギー情報とに基づいて、前記第1の管電圧の第1の実効電圧値を決定すること、
前記X線管に前記第2の管電圧が印加された場合、前記検出器アセンブリの前記第1のサブ領域で検出されたX線のエネルギー情報と、前記検出器アセンブリの前記第2のサブ領域で検出されたX線のエネルギー情報とに基づいて、前記第2の管電圧の第2の実効電圧値を決定すること、
前記第1の実効電圧値に基づいて、ビームハードニングの補正に必要な第1の補正係数を計算すること、および
前記第2の実効電圧値に基づいて、ビームハードニングの補正に必要な第2の補正係数を計算すること
を実行する1つ又は複数のプロセッサと
を含む、医用システムである。
【0013】
また、本発明の第2の観点は、X線管であって、第1の管電圧と第2の管電圧との間で前記X線管に印加される管電圧を切り替えることができるように構成されたX線管と、
前記X線管から照射されたX線を検出する検出器アセンブリであって、前記検出器アセンブリは、X線を検出する参照領域とフィルタとを含み、前記参照領域は、前記フィルタを通過したX線を検出する第1のサブ領域と、前記フィルタを通過していないX線を検出する第2のサブ領域とを含む、検出器アセンブリと、
1つ又は複数のプロセッサと
を含む医用システムの前記1つ又は複数のプロセッサによって実行される命令が記憶された非一時的な記憶媒体であって、前記命令は、前記1つ又はプロセッサによって実行されると、前記1つ又はプロセッサに、
前記X線管に前記第1の管電圧が印加された場合、前記検出器アセンブリの前記第1のサブ領域で検出されたX線のエネルギー情報と、前記検出器アセンブリの前記第2のサブ領域で検出されたX線のエネルギー情報とに基づいて、前記第1の管電圧の第1の実効電圧値を決定すること、
前記X線管に前記第2の管電圧が印加された場合、前記検出器アセンブリの前記第1のサブ領域で検出されたX線のエネルギー情報と、前記検出器アセンブリの前記第2のサブ領域で検出されたX線のエネルギー情報とに基づいて、前記第2の管電圧の第2の実効電圧値を決定すること、
前記第1の実効電圧値に基づいて、ビームハードニングの補正に必要な第1の補正係数を計算すること、および
前記第2の実効電圧値に基づいて、ビームハードニングの補正に必要な第2の補正係数を計算すること
を実行させる、記憶媒体である。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、第1の管電圧でX線管からX線を照射し、検出器アセンブリでフィルタを通過したX線とフィルタを通過していないX線とを検出することにより、第1の管電圧の第1の実効電圧値を求める。また、第2の管電圧でX線管からX線を照射し、検出器アセンブリでフィルタを通過したX線とフィルタを通過していないX線とを検出することにより、第2の管電圧の第2の実効電圧値を求める。したがって、キャリブレーション時に医用システムの動作条件の組合せ(例えば、ガントリの回転速度とX線管の管電流)を変更しなくても、第1の管電圧と第2の管電圧のそれぞれの実効電圧値を求め、各実効電圧値に対応する補正係数を計算することができる。このため、キャリブレーションに掛かる時間を短くすることができ、ユーザの望む動作条件の組合せで被検体のスキャンを実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施形態におけるCTシステム100のブロック図である。
【
図3】検出器アセンブリ108の参照領域109の拡大図である。
【
図8】キャリブレーションスキャンにより得られたキャリブレーションデータ70を示す図である。
【
図9】被検体112の画像を生成するフロー図である。
【
図11】ビューv1(高kV)に対応する第1の指標値M(=MV1)の計算方法の説明図である。
【
図12】第1の指標値MV1に対応する第1の実効電圧値V1を示す図である。
【
図13】補正係数データの決定方法の説明図である。
【
図14】ビューv2(低kV)に対応する第2の指標値M(=MV2)の計算方法の説明図である。
【
図15】第2の指標値MV2に対応する第2の実効電圧値V2を示す。
【
図16】補正係数データの決定方法の説明図である。
【
図17】kVスイッチングを実行した場合のビューと実効電圧値との関係の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、発明を実施するための形態について説明するが、本発明は、以下の形態に限定されることはない。
【0017】
図1は、本実施形態におけるCTシステム100のブロック図である。
CTシステム100は、ガントリ102およびテーブル116を含んでいる。
ガントリ102はボア107を有しており、そのボア107に被検体112が搬送され、被検体112がスキャンされる。
【0018】
ガントリ102には、X線管104、フィルタ部103、前置コリメータ105、および検出器アセンブリ108などが取り付けられている。
【0019】
X線管104は、陰極-陽極管に所定の電圧が印加されることにより、X線を発生させるものである。X線管104は、XY面内において、回転軸206を中心とした経路上を回転することができるように構成されている。ここで、Z方向は体軸方向を表し、Y方向は鉛直方向(テーブル116の高さ方向)を表し、X方向は、Z方向およびY方向に対して垂直の方向を表している。本実施形態では、X線管104は、第1の管電圧と第2の管電圧との間でX線管104に印加される管電圧を切り替えることができるRapid kV switching方式に対応したX線管である。尚、本実施形態では、CTシステム100は1つのX線管104を備えているが、2つのX線管104を備えてもよい。
【0020】
フィルタ部103は、例えば、平板フィルタおよび/又はボウタイフィルタを含んでいる。
前置コリメータ105は、不要な領域にX線が照射されないようにX線の照射範囲を絞り込むための部材である。
【0021】
検出器アセンブリ108は複数の検出器素子202を含んでいる。複数の検出器素子202は、X線管104から照射され、患者などの被検体112を通過するX線106を検出する。したがって、X線検出器アセンブリ108は、ビューごとに投影データを取得することができる。
【0022】
検出器アセンブリ108により検出された投影データは、DAS214で収集される。DAS214は、収集した投影データに対して、サンプリング、デジタル変換などを含む所定の処理を実行する。処理された投影データは、コンピュータ216に送信される。コンピュータ216は、DAS214からのデータを記憶装置218に記憶する。記憶装置218は、プログラムや、プロセッサで実行される命令などを記録する1つ以上の記録媒体を含むものである。記録媒体は、例えば、1つ以上の非一時的でコンピュータ可読記録媒体とすることができる。記憶装置218は、例えば、ハードディスクドライブ、フロッピーディスクドライブ、コンパクトディスク読み出し/書き込み(CD-R/W)ドライブ、デジタル多用途ディスク(DVD)ドライブ、フラッシュドライブ、および/またはソリッドステート記録ドライブを含むことができる。
【0023】
コンピュータ216は1つ又は複数のプロセッサ217を含んでいる。コンピュータ216は、1つ又は複数のプロセッサを使用して、DAS214、X線コントローラ210、および/又はガントリモータコントローラ212に、コマンドおよびパラメータを出力し、データ取得および/または処理などのシステム動作を制御する。また、コンピュータ216は、1つ又は複数のプロセッサを使用して、後述するフローの各ステップにおいて、信号処理、データ処理、画像処理など、様々な処理を実行する。尚、
図1では、1つ又は複数のプロセッサ217はコンピュータ216に含まれているが、1つ又は複数のプロセッサ217は、コンピュータ216と他の構成要素(例えば、X線コントローラ210、ガントリモータコントローラ212、テーブルモータコントローラ118など)に分散させるように設けられていてもよい。
【0024】
コンピュータ216には、オペレータコンソール220が結合されている。オペレータは、オペレータコンソール220を操作することにより、CTシステム100の動作に関連する所定のオペレータ入力をコンピュータ216に入力することができる。コンピュータ216は、オペレータコンソール220を介して、コマンドおよび/またはスキャンパラメータを含むオペレータ入力を受信し、そのオペレータ入力に基づいてシステム動作を制御する。オペレータコンソール220は、オペレータがコマンドおよび/またはスキャンパラメータを指定するためのキーボード(図示せず)またはタッチスクリーンを含むことができる。
【0025】
X線コントローラ210は、コンピュータ216からの命令に基づいてX線管104を制御する。また、ガントリモータコントローラ212は、コンピュータ216からの命令に基づいて、X線管104および検出器アセンブリ108などの構成要素が回転するように、ガントリモータを制御する。
【0026】
図1は、1つのオペレータコンソール220のみを示しているが、2つ以上のオペレータコンソールをコンピュータ216に結合してもよい。
【0027】
また、CTシステム100は、例えば、有線ネットワークおよび/又は無線ネットワークを介して、遠隔に位置する複数のディスプレイ、プリンタ、ワークステーション、および/もしくは同様のデバイスが結合されるようにしてもよい。
【0028】
一実施形態では、例えば、CTシステム100は、画像保管通信システム(PACS)224を含んでいてもよいし、PACS224に結合されていてもよい。例示的な実施態様では、PACS224は、放射線科情報システム、病院情報システム、および/または内部もしくは外部ネットワーク(図示せず)などの遠隔システムに結合されていてもよい。
【0029】
コンピュータ216は、テーブルモータコントローラ118に、テーブル116を制御するための命令を供給する。テーブルモータコントローラ118は、受け取った命令に基づいて、テーブル116が移動するように、テーブルモータを制御することができる。例えば、テーブルモータコントローラ118は、被検体112が撮影に適した位置に位置決めされるように、テーブル116を移動させることができる。
【0030】
前述のように、DAS214は、検出器素子202によって取得された投影データをサンプリングしてデジタル変換する。その後、画像再構成器230が、サンプリングされデジタル変換されたデータを使用して画像を再構成する。画像再構成器230は1つ又は複数のプロセッサを含んでおり、このプロセッサが画像再構成の処理を実行することができる。
図1では、画像再構成器230は、コンピュータ216とは別個の構成要素として示されているが、画像再構成器230は、コンピュータ216の一部を形成するものであってもよい。また、コンピュータ216が、画像再構成器230の1つまたは複数の機能を実施してもよい。さらに、画像再構成器230は、CTシステム100から離れた位置に設けられ、有線ネットワークまたは無線ネットワークを使用してCTシステム100に動作可能に接続されるようにしてもよい。
【0031】
画像再構成器230は、再構成された画像を記憶装置218に記憶することができる。また、画像再構成器230は、再構成された画像をコンピュータ216に送信してもよい。コンピュータ216は、再構成された画像および/または患者情報を、コンピュータ216および/または画像再構成器230に通信可能に結合された表示装置232に送信することができる。
【0032】
本明細書で説明される様々な方法およびプロセスは、CTシステム100内の非一時的な記録媒体に実行可能命令として記録することができる。この実行可能命令は、1つの記録媒体に記録されていてもよいし、複数の記録媒体に分散させて記録されるようにしてもよい。CTシステム100に備えられる1つ以上のプロセッサは、記録媒体に記録された命令に従って、本明細書で説明される様々な方法、ステップ、およびプロセスを実行する。
【0033】
CTシステム100は上記のように構成されている。本実施形態では、CTシステムは、X線管104の管電圧を、高い管電圧(以下、「高kV」と呼ぶ)と低い管電圧(以下「低kV」と呼ぶ)との間で切り替えるkVスイッチング技術を使用して被検体の撮影をすることができるように構成されている。
【0034】
一方、CTシステムで使用されるX線は、低エネルギーから高エネルギーの幅広いエネルギー分布を持つ多色X線であり、単一エネルギーの単色X線ではない。このため、ビームハードニングアーチファクトが生じるという問題がある。そこで、CTシステムには、ビームハードニング補正に必要な補正係数に基づいて、CT画像を再構成している。
【0035】
しかし、補正係数の最適値は、CTシステムの使用状況に依存するので、定期的に補正係数を修正する必要がある。そこで、CTシステムのユーザは定期的にキャリブレーションを実行している。特にkVスイッチングを用いたDECTにおけるキャリブレーションでは、管電圧を高kVと低kVとの間で交互に切り替えるkVスイッチングが行われ、検出器アセンブリでX線を検出し、検出器アセンブリで検出されたX線のデータに基づいて、ビームハードニングの補正に必要な補正係数を求めている。
【0036】
一方、kVスイッチングでは、短時間で低kVと高kVとを切り替える必要がある。理想的には、管電圧を切り替えた場合、電圧は矩形状に変化することが望ましい。しかし、実際には、管電圧を切り替えた場合、管電圧が所望の値に到達するには、一定の立ち上がり時間が掛かる。一方で、上記のように、kVスイッチングでは、短時間で電圧を切り替える必要がある。したがって、管電圧を、例えば、低kVから高kVに切り替えた場合、高kVが理想電圧値に到達しても、管電圧は直ぐに低kVに切り替えられるので、理想電圧値が維持される時間は短くなる。これは、kVスイッチングの高速化が進むにつれて顕著に表れる。そこで、kVスイッチング技術において、高kVおよび低kVを考える場合には、管電圧の理想的な電圧値ではなく、実効電圧値を考えている。
【0037】
したがって、ビームハードニングの補正を実行する場合、実効電圧値に基づいて必要な補正係数を求めている。
【0038】
一方で、実効電圧値は、ガントリの回転速度と、X線管104の管電流に依存する。このため、キャリブレーションでは、回転速度と管電流との組合せをプリセットとして予め用意しておき、プリセットごとに実効電圧値を求めるためのキャリブレーションスキャンを実行し、実効電圧値に基づいてビームハードニングの補正をする必要がある。例えば、回転速度として、4つの回転速度r1、r2、r3、およびr4を考え、管電流として、A1、A2、A3、およびA4を考えた場合、回転速度と管電流との組合せとして、以下の16通りの組合せをプリセットとして予め決めておき、16個のプリセットに対してキャリブレーションスキャンを実行する必要がある。
【0039】
(r1,A1)、(r1,A2)、(r1,A3)、(r1,A4)
(r2,A1)、(r2,A2)、(r2,A3)、(r2,A4)
(r3,A1)、(r3,A2)、(r3,A3)、(r3,A4)
(r4,A1)、(r4,A2)、(r4,A3)、(r4,A4)
【0040】
したがって、プリセットの数が多くなると、実行しなければならないキャリブレーションスキャンの回数が増えてしまい、キャリブレーションに多くの時間が掛かってしまうという問題がある。
【0041】
また、実効電圧値は、一般には、プリセットごとに異なっている。したがって、上記の16通りの組合せに対して求められた実効電圧値は、上記の16通りの組合せとは異なる組合せに対しては使用することはできない。したがって、ユーザの希望する回転速度と管電流との組合せが、上記の16通りの組合せに含まれていない場合、ユーザの希望する条件でスキャンを実行することができないという問題がある。
【0042】
そこで、発明者等は、上記の問題に対処するために、鋭意研究し、簡単な方法で実効電圧値を計算することができる方法を考えた。以下に、本実施形態において実効電圧値を計算する方法について説明する。
【0043】
図2~
図7は、本実施形態において実効電圧値を計算する方法の説明図である。
図2は、検出器アセンブリ108の説明図である。
検出器アセンブリ108は複数の検出器素子202を有している。検出器アセンブリ108には、参照領域109が設けられている。参照領域109で検出されたX線のエネルギー情報は、後述する指標値Mを計算するために使用される。指標値Mについては後で詳細に説明する。参照領域109は、被検体112のスキャン中において、X線管104から照射されたX線のうち、被検体112を通過しないX線を検出することができるように、検出器アセンブリ108のx方向の中心位置120からできるだけ離れた位置に設けられている。本実施形態では、参照領域109は、検出器アセンブリ108の一方の端部121に設けられている。尚、参照領域109は、検出器アセンブリ108の一方の端部121だけでなく、検出器アセンブリ108の反対側の端部122に設けてもよい。本実施形態では、参照領域109は検出器アセンブリ108の一方の端部121のみに設けられているとして説明を続ける。
【0044】
また、検出器アセンブリ108は、散乱線による画質劣化を低減するために、フィルタ123を有している。検出器コリメータ123は、検出器素子202に対してX線管104側に配置されている。
【0045】
図3は、検出器アセンブリ108の参照領域109の拡大図である。
検出器コリメータ123は、隣り合う検出器素子202の境界の延長上に設けられている。
また、
図3には、X線104Aおよび104Bが示されている。X線104Aは、検出器アセンブリ108の参照領域109に設けられた複数の検出器素子202のうちの検出器素子202Aに向かって進むX線を表している。また、X線104Bは、検出器アセンブリ108の参照領域109に設けられた複数の検出器素子202のうちの検出器素子202Bに向かって進むX線を表している。
【0046】
検出器アセンブリ108は、フィルタ124を有している。フィルタ124は、例えば、銅、モリブデン、又はタングステンなどを使用して製造することができる。フィルタ124は、X線104Aの経路上には配置されていないが、X線104Bの経路上に配置されている。X線104Aは、フィルタ124を通過することなく検出器素子202Aで検出される。一方、X線104Bは、フィルタ124を通過し、フィルタ124でエネルギーが吸収された後のX線104Cが検出器素子202Bで検出される。したがって、検出器アセンブリ108の参照領域109は、フィルタ124を通過したX線を検出する第1のサブ領域109Bと、フィルタ124を通過していないX線を検出する第2のサブ領域109Aとを有している。
【0047】
本実施形態では、上記のように、CTシステム100は、参照領域109にフィルタ124を設けた検出器アセンブリ108を備えており、この検出器アセンブリ108の参照領域109で検出されたX線に基づいて、X線管104の実効電圧値を求めることができる。しかし、実効電圧値を求めるためには、予め実効電圧値を求めるために使用されるベースラインを準備しておく必要がある。このベースラインは、一般的には、CTシステム100を病院などの施設に設置するための設置作業が行われるときや、X線管の交換作業が行われるときに作成することができる。以下に、ベースラインの作成方法を説明する。
【0048】
図4は、ベースラインの作成方法のフロー図である。
ステップST1では、ベースラインを作成するために使用される管電圧の基準管電圧(以下、「基準管電圧」と呼ぶ)を決定する。本実施形態では、基準管電圧として、4つの基準管電圧VR1、VR2、VR3、およびVR4を決定する。基準管電圧VR1~VR4は、kVスイッチングで実際に使用される管電圧に基づいて決定することができる。本実施形態では、基準管電圧は、VR1=80kvV、VR2=100kV、VR3=120kV、およびVR4=140kVとするが、別の基準管電圧を採用してもよい。
【0049】
尚、本実施形態では、ベースラインを作成するために使用される基準管電圧として4つの基準管電圧VR1~VR4が決定されている。しかし、5つ以上の基準管電圧を、ベースラインを作成するために使用される基準管電圧として決定してもよいし、3つ以下の基準管電圧を、ベースラインを作成するために使用される基準管電圧として決定してもよい。尚、基準管電圧の数が少なすぎると、実効管電圧の精度の信頼性が低くなる恐れがあり、一方、基準管電圧の数が多すぎると、データ収集に時間が掛かるので、これらのバランスを考えて基準管電圧の数を決定することが望ましい。一例としては、本実施形態で採用した4つの基準管電圧VR1~VR4を、ベースラインを作成するために使用される基準管電圧として決定することが望ましい。4つの基準管電圧VR1~VR4を決定した後、ステップST2に進む。
【0050】
ステップST2において、X線管104の管電圧を、ベースラインを作成するために使用される基準管電圧に設定する。ここでは、ステップST1で決定された4つの基準管電圧VR1~VR4のうち、先ず、基準管電圧VR1(=80kV)を選択し、X線管104の管電圧を、基準管電圧VR1(=80kV)に設定する。基準管電圧を設定したら、ステップST3に進む。
【0051】
ステップST3では、X線管104に基準管電圧VR1(=80kV)が印加され、X線管104からX線が照射される。X線管104から照射されたX線は検出器アセンブリ108で検出される。検出器アセンブリ108で検出されたX線は、
図5に示すように、アナログデータとして、DAS214に出力される。DAS214は、検出器アセンブリ108から受信したアナログデータをサンプリングし、アナログデータを後続の処理ができるようにデジタルデータに変換する。デジタルデータは、コンピュータ216に出力される。
【0052】
ステップST4では、コンピュータのプロセッサ217は、デジタルデータに基づいて、参照領域109の第1のサブ領域109Bで検出されたX線(つまり、フィルタ124を通過したX線)のエネルギー情報と、参照領域109の第2のサブ領域109Aで検出されたX線(つまり、フィルタ124を通過していないX線)のエネルギー情報との違いを表す指標値Mを計算する。指標値Mの計算方法については、
図5を参照しながら説明する。
【0053】
本実施形態では、指標値Mは、以下の式で計算することができる。
M= Sfilt(E)/S(E) (1)
ここで、M:指標値
Sfilt(E):第1のサブ領域109Bの検出器素子202Bで検出されたX線(つまり、フィルタ124を通過したX線)のエネルギー情報を含む信号値
S(E):第2のサブ領域109Aの検出器素子202Aで検出されたX線(つまり、フィルタ124を通過していないX線)のエネルギー情報を含む信号値
【0054】
したがって、指標値Mは、フィルタ124を通過し第1のサブ領域109Bで検出されたX線のエネルギー情報を含む信号値Sfilt(E)と、フィルタ124を通過せずに第2のサブ領域109Aで検出されたX線のエネルギー情報を含む信号値S(E)との比で表すことができる。
【0055】
尚、信号値Sfilt(E)は、5つの検出器素子202Bのうちの1つ以上の検出器素子202Bから得られる信号に基づいて求めることができる。例えば、信号値Sfilt(E)は、5つの検出器素子202Bのうちの1つ検出器素子202Bから得られる信号の代表値(最大値、積分値など)などに基づいて求めてもよいし、5つの検出器素子202Bの2つ以上の検出器素子202Bから得られる各信号の代表値(最大値、積分値など)の平均値及び/又は合計値などに基づいて求めてもよい。
【0056】
同様に、信号値S(E)は、5つの検出器素子202Aのうちの1つ以上の検出器素子202Aから得られる信号に基づいて求めることができる。例えば、信号値S(E)は、5つの検出器素子202Aのうちの1つ検出器素子202Aから得られる信号の代表値(最大値、積分値など)などに基づいて求めてもよいし、5つの検出器素子202Aの2つ以上の検出器素子202Aから得られる各信号の代表値(最大値、積分値など)の平均値及び/又は合計値などに基づいて求めてもよい。
【0057】
したがって、X線管104の管電圧を80kVに設定し、検出器アセンブリ108の参照領域109で検出されたX線のエネルギーに基づいて、信号値Sfilt(E)およびS(E)を得ることにより、式(1)から、基準管電圧VR1(=80kV)に対応する指標値M(=M80)を計算することができる。
【0058】
上記のように、指標値M80を計算する場合、X線管104の管電圧は80kVで一定である。したがって、ガントリが回転している間、管電圧を高kVおよび低kVの間で切り替える必要がないので、ガントリが回転している間、管電圧の値は安定している。このため、ガントリの回転速度の影響を受けることなく、指標値M80を計算することができる。また、指標値M80は、X線のエネルギー情報に基づいて計算される値である。X線のエネルギーは、基本的にはX線管104の管電圧に依存し、管電流にはあまり依存しないので、管電流の影響を受けることなく、指標値M80を計算することができる。
【0059】
このように、基準管電圧VR1(=80kV)に対応する指標値M80は、ガントリの回転速度や管電流に実質的な影響を受けることなく計算することができる。
指標値M80を計算した後、指標値M80を記憶装置に記憶し、ステップST5に進む。
【0060】
ステップST5では、基準管電圧を変更するかどうかを判断する。ここでは、4つの基準管電圧VR1~VR4のうち、基準管電圧VR1の指標値M80しか計算していない。したがって、残りの基準管電圧の指標値Mを計算するために、ステップST2に戻る。
【0061】
ステップST2では、X線管104の基準管電圧を別の電圧値に設定する。ここでは、ステップST1で決定された4つの基準管電圧VR1~VR4のうち、基準管電圧VR2(=100kV)を選択し、X線管104の管電圧を、基準管電圧VR2(=100kV)に設定する。
【0062】
ステップST3では、X線管104に基準管電圧VR2(=100kV)が印加され、X線管104からX線が照射される。X線管104から照射されたX線は検出器アセンブリ108で検出される。検出器アセンブリ108で検出されたX線は、
図5に示すように、アナログデータとして、DAS214に出力される。DAS214は、検出器アセンブリ108から受信したアナログデータをサンプリングし、アナログデータを後続の処理ができるようにデジタルデータに変換する。デジタルデータは、コンピュータ216に出力される。
【0063】
ステップST4では、プロセッサ217は、式(1)を使用して、基準管電圧VR2に対応する指標値M100を計算し、指標値M100を記憶装置に記憶する。そして、ステップST5に進み、基準管電圧を変更するかどうかを判断する。ここでは、4つの基準管電圧VR1~VR4のうち、2つの基準管電圧VR1およびVR2の指標値M80およびM100は計算したが、残りの2つの基準管電圧VR3およびVR4の指標値は、まだ計算していない。したがって、残りの基準管電圧の指標値を計算するために、ステップST2に戻る。
【0064】
以下同様に、基準管電圧VR3(=120kV)に対応する指標値M120と、基準管電圧VR4に対応する指標値M140を計算するまで、ステップST2~ST5のループを繰り返し実行する。そして、基準管電圧VR4に対応する指標値M140を計算したら、ステップST5に進む。
【0065】
ステップST5では、基準管電圧を変更するかどうかを判断する。ここでは、4つの基準管電圧VR1~VR4の全ての基準管電圧に対応する指標値M80~M140が計算されている。したがって、ステップST6に進む。
【0066】
ステップST6では、計算した4つの指標値M80~M140に基づいて、実効電圧値を決定するために使用するベースラインを作成する。
【0067】
図6は、ベースラインの作成方法の説明図である。
コンピュータのプロセッサ217は、二次元座標上で、基準管電圧VR1~VR4と指標値M80~M140とを対応付ける。
【0068】
点P1は、基準管電圧VR1と、基準管電圧VR1に対して計算された指標値M80とを対応付ける点である。
点P2は、基準管電圧VR2と、基準管電圧VR2に対して計算された指標値M100とを対応付ける点である。
点P3は、基準管電圧VR3と、基準管電圧VR3に対して計算された指標値M120とを対応付ける点である。
点P4は、基準管電圧VR4と、基準管電圧VR4に対して計算された指標値M140とを対応付ける点である。
【0069】
そして、プロセッサ217は、点P1~P4に基づいて、管電圧と指標値Mとの関係を表すベースラインを作成する。このベースラインは、例えば、点P1~P4に最もよく当てはまるような曲線として求めることができる。
図7に、求められたベースライン60を示す。このベースライン60を表すデータは、CTシステム100の記憶装置又はCTシステム100と通信可能な外部の記憶装置に記憶される。
【0070】
ベースライン60を決定した後、上記の基準管電圧VR1~VR4ごとに、ビームハードニングの補正に必要なキャリブレーションデータを取得するためのキャリブレーションスキャンを実行する。
図8は、キャリブレーションスキャンにより得られたキャリブレーションデータ70を示す図である。
【0071】
キャリブレーションデータ70には、複数の基準補正係数データ71~74が含まれている。キャリブレーションデータ70の横軸は、検出器アセンブリ108のチャネル番号を表しており、縦軸は補正係数を表している。
【0072】
基準補正係数データ71は、基準管電圧VR1(=80kV)に対応する補正係数データであって、検出器アセンブリ108のチャネルごとに得られた補正係数を含んでいる。
基準補正係数データ72は、基準管電圧VR2(=100kV)に対応する補正係数データであって、検出器アセンブリ108のチャネルごとに得られた補正係数を含んでいる。
基準補正係数データ73は、基準管電圧VR3(=120kV)に対応する補正係数データであって、検出器アセンブリ108のチャネルごとに得られた補正係数を含んでいる。
基準補正係数データ74は、基準管電圧VR4(=140kV)に対応する補正係数データであって、検出器アセンブリ108のチャネルごとに得られた補正係数を含んでいる。
【0073】
これらの基準補正係数データ71~74を含むキャリブレーションデータ70は、CTシステム100の記憶装置又はCTシステム100と通信可能な外部の記憶装置に記憶される。
【0074】
このようにして、CTシステム100の設置作業時に、ベースライン60と、基準管電圧VR1~VR4に対応する基準補正係数データ71~74とを求めることができる。
【0075】
次に、上記のベースライン60およびキャリブレーションデータ70を用いて被検体112の画像を取得する方法の一例について説明する。
【0076】
先ず、CTシステム100を用いて被検体112のスキャンを実行する。検出器アセンブリ108はX線を検出し、DAS214に出力される。DAS214は、検出器アセンブリ108から受信したアナログデータをサンプリングし、アナログデータを後続の処理ができるようにデジタルデータに変換する。デジタルデータは、コンピュータ216に出力される。コンピュータのプロセッサ217は、デジタルデータに基づいて、被検体112の画像を生成する(
図9参照)。
【0077】
図9は、被検体112の画像を生成するフロー図である。
ステップST11では、プロセッサ217は、補正係数を求めるビューのビュー番号を設定する。
図10は、ビュー番号の設定方法の説明図である。本実施形態では、X線管の1回転に対してn個のビューv1~vnの投影データが取得されるとする。プロセッサ217は、ビューv1~vnの中から、補正係数を求めるビューを特定し、その特定されたビューのビュー番号を、補正係数を求めるビューのビュー番号として設定する。ここでは、補正係数を求めるビューのビュー番号として、ビューv1のビュー番号v=1を設定する。したがって、プロセッサ217は、v=1に設定する。ビュー番号を設定した後、ステップST12に進む。
【0078】
ステップST12では、プロセッサ217は、第1のサブ領域109Bで検出されたX線のエネルギー情報を含む信号値と、第2のサブ領域109Aで検出されたX線のエネルギー情報を含む信号値とに基づいて、ビューごとに実効電圧値を決定する。ここでは、v=1に設定されているので、ビュー番号v=1のビューv1に対応する実効電圧値を求める場合について考える。ビューv1は高kVに対応するビューであってもよいし、低kVに対応するビューであってもよい。ここでは、ビューv1は高kVに対応するビューであるとする。
【0079】
尚、ステップST12は、ステップST121およびST122を有しているので、各ステップST121およびST122について順に説明する。
【0080】
ステップST121では、プロセッサ217は、式(1)を使用して、ビューv1(高kV)に対応する第1の指標値M(=MV1)を計算する(
図11参照)。
【0081】
図11は、ビューv1(高kV)に対応する第1の指標値M(=MV1)の計算方法の説明図である。
プロセッサ217は、参照領域109から得られたデータに基づいて、式(1)の信号値Sfilt(E)と信号値S(E)を決定する。信号値Sfilt(E)は、第1のサブ領域109Bで検出されたX線のエネルギー情報を含む第1の信号値であり、信号値S(E)は、第2のサブ領域109Aで検出されたX線のエネルギー情報を含む第2の信号値である。プロセッサは、信号値Sfilt(E)と信号値S(E)を式(1)に代入して、ビューv1(高kV)に対応する第1の指標値M(=MV1)を計算する。第1の指標値MV1を計算したら、ステップST122に進む。
【0082】
ステップST122では、プロセッサ217は、第1の指標値MV1に対応する第1の実効電圧値を決定する。
図12に、第1の指標値MV1に対応する第1の実効電圧値V1を示す。プロセッサ217は、記憶装置からベースライン60を読み出し、ベースライン60に基づいて、第1の指標値MV1に対応する第1の実効電圧値V1を特定する。V1は、例えば、V1=132kVである。実効電圧値を決定した後、ステップST13に進む。
【0083】
ステップST13では、プロセッサ217は、ステップST12で決定した第1の実効電圧値V1に基づいて、高kVのビューv1に対応する補正係数データを計算する(
図13参照)。
【0084】
図13は、補正係数データの決定方法の説明図である。
プロセッサ217は、第1の実効電圧値V1と複数の基準補正係数データ71~74に基づいて、第1の実効電圧値V1に対応する補正係数データ75を補間する。補正係数データ75は、第1の実効電圧値V1に対応する補正係数データであって、検出器アセンブリ108のチャネルごとに得られた補正係数を含んでいる。このようにして、第1の実効電圧値V1に対応する第1の補正係数データ75を求めることができる。補正係数データ75を求めた後、ステップST14に進む。
【0085】
ステップST14では、プロセッサ217は、ビュー番号vが、v=nであるかどうかを判断する。ここでは、v=1であるのでステップST15に進む。
【0086】
ステップST15では、プロセッサ217は、ビュー番号vをインクリメントする。ここでは、ビュー番号vはv=1であったので、v=1をv=2にインクリメントする。ビュー番号vをインクリメントしたら、ステップST12に戻る。
【0087】
ステップST12では、プロセッサ217は、第1のサブ領域109Bで検出されたX線のエネルギー情報を含む信号値と、第2のサブ領域109Aで検出されたX線のエネルギー情報を含む信号値とに基づいて、ビューごとに実効電圧値を決定する。ここでは、v=2に設定されているので、ビュー番号v=2のビューv2に対応する実効電圧値を求める。ビューv2は低kVに対応するビューである。ステップST12では、以下のようにして、実効電圧値を求める。
【0088】
ステップST121では、プロセッサ217は、式(1)を使用して、ビューv2(低kV)に対応する第2の指標値M(=MV2)を計算する(
図14参照)。
【0089】
図14は、ビューv2(低kV)に対応する第2の指標値M(=MV2)の計算方法の説明図である。
プロセッサ217は、参照領域109から得られたデータに基づいて、式(1)の信号値Sfilt(E)と信号値S(E)を決定する。信号値Sfilt(E)は、第1のサブ領域109Bで検出されたX線のエネルギー情報を含む第3の信号値であり、信号値S(E)は、第2のサブ領域109Aで検出されたX線のエネルギー情報を含む第4の信号値である。プロセッサは、信号値Sfilt(E)と信号値S(E)を式(1)に代入して、ビューv2(低kV)に対応する第2の指標値M(=MV2)を計算する。第2の指標値MV2を計算したら、ステップST122に進む。
【0090】
ステップST122では、プロセッサ217は、第2の指標値MV2に対応する第2の実効電圧値を決定する。
図15に、第2の指標値MV2に対応する第2の実効電圧値V2を示す。プロセッサ217は、ベースライン60に基づいて、第2の指標値MV2に対応する第2の実効電圧値V2を特定する。V2は、例えば、V2=85kVである。実効電圧値を決定した後、ステップST13に進む。
【0091】
ステップST13では、プロセッサは、ステップST12で決定した実効電圧値に基づいて、低kVのビューv2に対応する補正係数データを計算する(
図16参照)。
【0092】
図16は、補正係数データの決定方法の説明図である。
プロセッサ217は、第2の実効電圧値V2と複数の基準補正係数データ71~74に基づいて、第2の実効電圧値V2に対応する補正係数データ76を補間する。補正係数データ76は、第2の実効電圧値V2に対応する補正係数データであって、検出器アセンブリ108のチャネルごとに得られた補正係数を含んでいる。このようにして、第2の実効電圧値V2に対応する第2の補正係数データ76を求めることができる。補正係数データ76を求めた後、ステップST14に進む。
【0093】
ステップST14では、プロセッサ217は、全てのビューに対して補正係数データが求められたかどうかを判断する。ここでは、ビューv1の補正係数データ75(
図13参照)とビューv2の補正係数データ76(
図16参照)が計算されたが、他のビューの補正係数データはまだ計算されていない。したがって、ステップST15に進む。
【0094】
ステップST15では、プロセッサ217は、ビュー番号vをインクリメントする。ここでは、ビュー番号vはv=2であったので、v=2をv=3にインクリメントする。ビュー番号vをインクリメントしたら、ステップST12に戻る。
【0095】
以下同様に、X線管104が1回転する間の全ビューv1~vnに対して、ビューごとに補正係数データが求められるまで、ステップST12~ST15を繰り返し実行する。そして、X線管104の1回転に対応する全ビューv1~vnの補正係数データが求められたら、ステップST16に進む。
【0096】
ステップST16では、プロセッサ217は、画像再構成に必要な全ての補正係数データを決定することができたかどうかを判断する。例えば、X線管104が2回転目に移行し、2回転目の投影データを収集した場合は、X線管104の2回転目の投影データに対して補正係数データを求める必要がある。したがって、X線管が2回転に移行した場合は、ステップST11に進み、ビュー番号をv=1にリセットして、X線管104の2回転目に対しても、ビューごとにステップST12~ST15を実行する。以下同様に、X線管104が1回転するたびに、ステップST11~ST15が実行される。そして、ステップST16において、プロセッサは、X線管104が画像再構成に必要な全ての補正係数データを決定することができたと判断したら、ステップST17に進む。
【0097】
ステップST17では、プロセッサ217は、ビューごとに求めた補正係数データに基づいて、画像を再構成する。
このようにして、
図9のフローを終了する。
【0098】
本実施形態では、CTシステムの検出器アセンブリ108は、フィルタ124を有している(
図5参照)。フィルタ124は、X線104Aの経路上には配置されていないが、X線104Bの経路上に配置されている。X線104Aは、フィルタ124を通過することなくサブ領域109A(検出器素子202A)で検出される。一方、X線104Bは、フィルタ124を通過し、フィルタ124でエネルギーが吸収された後のX線104Cがサブ領域109B(検出器素子202B)で検出される。そして、フィルタ124を通過したX線のエネルギーの情報を含む信号値Sfilt(E)と、フィルタ124を通過していないX線のエネルギーの情報を含む信号値S(E)とを使用して、指標値Mを計算する。この指標値Mは、実効電圧値を求めるために使用される。
【0099】
本実施形態では、指標値Mに基づいて実効電圧値を求めるための準備として、指標値Mと実効電圧値との対応関係を規定するベースライン60(
図7参照)を作成する。ベースライン60を作成する場合、4つの基準管電圧VR1~VR4を設定し、4つの基準管電圧VR1~VR4に対応する4つの指標値M80~M140を計算する。そして、4つの基準管電圧VR1~VR4と、4つの指標値M80~M140に基づいて、ベースライン60が作成される。このベースライン60は、CTシステムの記憶装置(又は外部記憶装置)に記憶されている。指標値M80~M140の各指標値は、それぞれ、管電圧をVR1(=80kV)、VR2(=100kV)、VR3(=120kV)、およびVR4(=140kV)の一定値に保持することにより求められる値である。したがって、指標値M80~M140は、管電圧を、高kVおよび低kVの間で切り替えなくても求めることができるので、ガントリの回転速度の影響を受けることなく、指標値M80~M140の各指標値を計算することができる。また、指標値M80~M140の各指標値は、X線のエネルギー情報に基づいて計算される値である。X線のエネルギーは、基本的にはX線管104の管電圧に依存し、管電流にはあまり依存しないので、管電流の影響を受けることなく、指標値M80~M140を計算することができる。したがって、指標値M80~M140の各指標値は、ガントリの回転速度や管電流に実質的な影響を受けないので、ガントリの回転速度と管電流との組合せごとに指標値を求める必要が無く、1つの基準管電圧に対して1つの指標値を計算することができる。本実施形態では、このようにして、4つの基準管電圧VR1~VR4に対して、4つの指標値M80~M140を計算することができるので、ガントリの回転速度と管電流との多数の組合せを考えなくても、管電圧と指標値との対応関係を表すベースライン60を作成することができる。したがって、kVスイッチングの技術を使用して被検体の撮影をする場合、被検体の撮影中に参照領域109で検出されたX線に基づいて、式(1)で表される指標値Mを計算することにより、ベースライン60から、ビューごと(投影データごと)に実効電圧値を特定することができる。このため、記憶装置に記憶された基準補正係数データ71~74(
図8参照)に基づいて、実効電圧値ごとに補正係数データを補間することができる。上記のように、実効電圧値はビューごと(投影データごと)に特定することができるので、補正係数データはビューごとに計算することができ、その結果、高品質な画像を再構成することができる。また、ガントリの回転速度と管電流との多数の組合せに対して補正係数データを求める必要が無いので、キャリブレーションに必要な作業時間を短縮することもできる。更に、実効電圧値ごとに補正係数データを求めることができるので、ユーザの希望する回転速度と管電流との組合せでスキャンをすることもできる。
【0100】
本実施形態の効果を具体的に説明するために、
図17に、kVスイッチングを実行した場合のビューと実効電圧値との関係の一例を示す。
【0101】
図17には、ビューv400~ビューv440の間において、高kVに対応する実効電圧値と、低kVに対応する実効電圧値が示されている。偶数番号のビューは高kVに対応する実効電圧値を表しており、奇数番号のビューは低kVに対応する実効電圧値を表している。
図17からわかる通り、高kVに対応する実効電圧値はビューごとにばらついている。同様に、低kVに対応する実効電圧値もビューごとにばらついている。したがって、従来の方法で、ビューごとに補正係数を求める場合には、各ビューの実効電圧値ごとに、回転速度と管電流と組合せをプリセットとして予め用意しておき、プリセットごとにキャリブレーションスキャンを実行する必要がある。しかし、この従来の方法では、実効電圧値ごとにプリセットを用意し、キャリブレーションスキャンを実行する必要があるので、キャリブレーションに膨大な作業時間が掛かることになる。そこで、従来では、キャリブレーションの作業時間の長時間化を回避するために、回転速度と管電流との組合せとして予め用意しておくプリセットの数を、例えば、16通りにしておき、キャリブレーションに掛かる時間が長時間にならないようにしている。しかし、これでは、ユーザの希望する回転速度と管電流との組合せが、上記の16通りの組合せに含まれていない場合、ユーザの希望する条件で被検体のスキャンをすることができないという問題がある。
【0102】
また、1つのプリセットのスキャンにおいてビュー数が1000の場合、ビューごとの実効電圧値にわずかにばらつきが生じるため、1つのプリセットに対して得られたキャリブレーションデータを他のプリセットに使用すると補正後のデータにばらつきが生じるという問題もある。
【0103】
これに対し、本実施形態では、ビューごとに指標値Mを計算しておけば、ベースライン60から、指標値Mに対応する実効電圧値を特定することができるので、特定された実効電圧値に対応する補正係数を補間によって簡単に計算することができる。したがって、本実施形態によれば、キャリブレーションに掛かる時間を短くすることができ、更に、ユーザの希望する回転速度と管電流との組合せで被検体のスキャンを実行することができるという効果を得ることができる。
【0104】
尚、本実施形態では、医用システムとしてCTシステム100を使用した例が示されている。しかし、本発明は、CTシステム100に限定されることはなく、X線源を被検体112に照射する医用システムであれば、CTシステム100以外の他のシステム(例えば、PET-CTシステム)に適用することができる。
【符号の説明】
【0105】
60 ベースライン
70 キャリブレーションデータ
71~74 基準補正係数データ
71 基準補正係数データ
72 基準補正係数データ
73 基準補正係数データ
74 基準補正係数データ
75 補正係数データ
76 補正係数データ
100 CTシステム
102 ガントリ
103 フィルタ部
104 X線管
104A X線
104B X線
104C X線
105 前置コリメータ
106 X線
107 ボア
108 検出器アセンブリ
109 参照領域
109A 第2のサブ領域
109B 第1のサブ領域
112 被検体
116 テーブル
118 テーブルモータコントローラ
120 中心位置
121 端部
122 端部
123 検出器コリメータ
124 フィルタ
202 検出器素子
202A 検出器素子
202B 検出器素子
206 回転軸
210 X線コントローラ
212 ガントリモータコントローラ
214 DAS
216 コンピュータ
217 プロセッサ
218 記憶装置
220 オペレータコンソール
224 PACS
230 画像再構成器
232 表示装置
【要約】 (修正有)
【課題】キャリブレーションに掛かる時間を短くすることができる技術を提供する。
【解決手段】X線管に高kVが印加された場合、検出器アセンブリの第1のサブ領域で検出されたX線のエネルギー情報と、検出器アセンブリの第2のサブ領域で検出されたX線のエネルギー情報とに基づいて、高kVの実効電圧値V1を決定すること、X線管に低kVが印加された場合、検出器アセンブリの第1のサブ領域で検出されたX線のエネルギー情報と、検出器アセンブリの第2のサブ領域で検出されたX線のエネルギー情報とに基づいて、低kVの実効電圧値V2を決定すること、実効電圧値V1に基づいて、ビームハードニングの補正に必要な補正係数を計算すること、および実効電圧値V2に基づいて、ビームハードニングの補正に必要な補正係数を計算することを実行する。
【選択図】
図15