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特許7540114情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-16
(45)【発行日】2024-08-26
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/1053 20230101AFI20240819BHJP
【FI】
G06Q10/1053
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2024106530
(22)【出願日】2024-07-02
【審査請求日】2024-07-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512313953
【氏名又は名称】株式会社ビズリーチ
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】萩野 貴拓
【審査官】関 博文
(56)【参考文献】
【文献】特許第7483170(JP,B1)
【文献】特許第7488974(JP,B1)
【文献】特許第7329159(JP,B1)
【文献】特許第7373091(JP,B1)
【文献】特許第7349219(JP,B1)
【文献】特開2021-93121(JP,A)
【文献】特開2024-8344(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理システムであって、
少なくとも1つのプロセッサを備え、
前記プロセッサは、プログラムを読み出すことで次の各ステップを実行するように構成され、
ベース情報取得ステップでは、組織内のポジションに関する情報を含むベース情報を取得し、
説明用情報取得ステップでは、組織データベースに登録された組織登録情報、又はネットワーク上の公開情報から、前記ポジションに応じて前記組織を説明するために必要な説明用情報を取得又は作成し、
説明文章作成ステップでは、前記説明用情報に基づいて、前記ポジションに応じて前記組織を説明する説明文章を作成し、
前記説明用情報取得ステップでは、前記組織登録情報に前記説明文章の作成に必要な必須項目が含まれない場合に、前記公開情報に対する検索によって前記組織登録情報を補足する補足情報を取得する、情報処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
前記説明用情報取得ステップでは、第1参照情報と前記ベース情報とに基づいて、前記公開情報に対する検索クエリを作成し、当該検索クエリを用いて前記補足情報を検索し、ここで、前記第1参照情報は、前記ベース情報と前記検索クエリとの相関関係を含む、情報処理システム。
【請求項3】
請求項2に記載の情報処理システムにおいて、
前記第1参照情報は、前記ベース情報を入力とし、前記検索クエリを出力することが可能なように学習されたクエリ作成モデルを含み、
前記説明用情報取得ステップでは、前記ベース情報を前記クエリ作成モデルに入力し、前記クエリ作成モデルに前記検索クエリを出力させる、情報処理システム。
【請求項4】
請求項2に記載の情報処理システムにおいて、
前記説明用情報取得ステップでは、ネットワーク上の検索エンジンを用いた前記検索クエリによる情報検索、又は組織に関する情報が登録された商用データベースにおける前記検索クエリによる情報検索によって、前記補足情報を取得する、情報処理システム。
【請求項5】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
前記説明用情報取得ステップでは、第2参照情報に基づいて、前記組織登録情報及び/又は前記補足情報から、前記必須項目に応じて構造化された前記説明用情報を作成し、ここで、前記第2参照情報は、前記組織登録情報及び/又は前記補足情報と構造化された前記説明用情報との相関関係を含む、情報処理システム。
【請求項6】
請求項5に記載の情報処理システムにおいて、
前記第2参照情報は、前記組織登録情報及び/又は前記補足情報を入力とし、前記必須項目に応じて構造化された前記説明用情報を出力することが可能なように学習された情報変換モデルを含み、
前記説明用情報取得ステップでは、前記組織登録情報及び/又は前記補足情報を前記情報変換モデルに入力し、前記情報変換モデルに前記説明用情報を出力させる、情報処理システム。
【請求項7】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
前記説明文章作成ステップでは、前記説明用情報を説明文章作成モデルに入力し、前記説明文章作成モデルに前記説明文章を出力させ、ここで、前記説明文章作成モデルは、前記説明用情報を入力とし、前記説明文章を出力することが可能なように学習された学習モデルである、情報処理システム。
【請求項8】
請求項7に記載の情報処理システムにおいて、
前記説明文章作成モデルは、
求人票に含まれる組織に関する第1情報と、同じ求人票に含まれる情報のうち、前記第1情報以外の第2情報とを組み合わせた学習データを用いて学習されるとともに、
前記説明文章作成モデルが前記第2情報に基づいて作成した前記説明文章と、前記第1情報との損失が小さくなるように学習される、情報処理システム。
【請求項9】
請求項7に記載の情報処理システムにおいて、
前記説明用情報取得ステップでは、前記ベース情報をクエリ作成モデルに入力し、前記クエリ作成モデルに検索クエリを出力させるとともに、当該検索クエリを用いて前記補足情報を検索し、
前記クエリ作成モデルは、求人票に含まれる組織に関する第1情報と、前記第1情報と同じ求人票に含まれる情報のうち、前記第1情報以外の第2情報に基づいて前記説明文章作成モデルが作成した前記説明文章との差分情報に基づいて当該差分情報を検索するための検索クエリを生成し、当該検索クエリで検索される検索情報と、前記差分情報との損失が小さくなるように学習される、情報処理システム。
【請求項10】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
前記プロセッサは、次のステップをさらに実行するように構成され、
組織情報登録ステップでは、前記説明文章を前記組織登録情報として、前記ベース情報に含まれる情報と関連付けて前記組織データベースに登録する、情報処理システム。
【請求項11】
請求項10に記載の情報処理システムにおいて、
前記組織情報登録ステップでは、前記説明文章に対するユーザからの編集を受け付け、編集後の前記説明文章を前記組織登録情報として前記組織データベースに登録する、情報処理システム。
【請求項12】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
前記プロセッサは、次のステップをさらに実行するように構成され、
求人票作成ステップでは、前記説明文章が挿入された求人票を作成する、情報処理システム。
【請求項13】
請求項12に記載の情報処理システムにおいて、
前記求人票作成ステップでは、前記ベース情報の少なくとも一部と前記説明文章とを求人票作成モデルに入力し、前記求人票作成モデルに前記説明文章が挿入された求人票を出力させ、ここで、前記求人票作成モデルは、前記ベース情報の少なくとも一部と前記説明文章とを入力とし、前記説明文章が挿入された求人票を出力することが可能なように学習された学習モデルである、情報処理システム。
【請求項14】
請求項12に記載の情報処理システムにおいて、
前記求人票作成ステップでは、前記ベース情報の少なくとも一部を求人票作成モデルに入力し、前記求人票作成モデルに前記説明文章が挿入されていない求人票を出力させるとともに、当該求人票に前記説明文章を挿入し、ここで、前記求人票作成モデルは、前記ベース情報の少なくとも一部を入力とし、前記説明文章が挿入されていない求人票を出力することが可能なように学習された学習モデルである、情報処理システム。
【請求項15】
情報処理方法であって、
請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の情報処理システムが実行する各ステップを備える、情報処理方法。
【請求項16】
プログラムであって、
コンピュータに、請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の情報処理システムの各ステップを実行させるための、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、求人票を作成する情報処理システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第7329159号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
求人票の作成時等において、組織、事業、部署等についての文章を作成する必要が生じることがある。
【0005】
本発明では上記事情に鑑み、組織等を説明する文章を効率的に作成できる情報処理システム等を提供することとした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、情報処理システムであって、少なくとも1つのプロセッサを備え、プロセッサは、プログラムを読み出すことで次の各ステップを実行するように構成され、ベース情報取得ステップでは、組織内のポジションに関する情報を含むベース情報を取得し、説明用情報取得ステップでは、組織データベースに登録された組織登録情報、又はネットワーク上の公開情報から、ポジションに応じて組織を説明するために必要な説明用情報を取得又は作成し、説明文章作成ステップでは、説明用情報に基づいて、ポジションに応じて組織を説明する説明文章を作成し、説明用情報取得ステップでは、組織登録情報に説明文章の作成に必要な必須項目が含まれない場合に、公開情報に対する検索によって組織登録情報を補足する補足情報を取得する、情報処理システムが提供される。
【0007】
このような態様によれば、組織データベースから組織登録情報が説明用情報として参照され、さらに組織登録情報の情報量が不十分の場合にはネットワーク上の公開情報によって説明用情報が補足された上で、この説明用情報に基づいて組織の説明文章が作成される。そのため、ポジションに応じた組織の説明文章を効率的に作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】情報処理システム1を表す構成図である。
図2】サーバ装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】求人者端末20及び求職者端末30のハードウェア構成を示すブロック図である。
図4】サーバ装置10(制御部11)、求人者端末20(制御部21)及び求職者端末30(制御部31)によって実現される機能を示すブロック図である。
図5】求人票JPの一例を示す図である。
図6】説明用情報取得部113によって実行される説明用情報取得処理の一例を示すフロー図である。
図7】情報処理システム1によって実行される情報処理(求人票の作成処理)の流れの一例(第1パターン)を示すアクティビティ図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0010】
ところで、一実施形態に登場するソフトウェアを実現するためのプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体(Non-Transitory Computer-Readable Medium)として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよいし、外部のコンピュータで当該プログラムを起動させてクライアント端末でその機能を実現(いわゆるクラウドコンピューティング)するように提供されてもよい。
【0011】
また、一実施形態に係る種々の情報処理において、入力と、入力に応じた出力とが実現されうる。ここで、入力の結果として出力が得られれば、かかる情報処理において参照される情報(以下、参照情報と称する。)の態様は、限定されない。参照情報は、例えば、データベース、ルックアップテーブル、所定の関数(統計学的手法によって構築された、回帰式等の判定式を含む。)等のルールベースの情報でもよいし、入力と出力との相関を予め学習させた学習済みモデルでもよいし、プロンプトを入力することで所望の結果を出力可能な大規模言語モデルでもよい。
【0012】
また、一実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらのハードウェア資源によって具体的に実現されうるソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含みうる。また、一実施形態においては様々な情報を取り扱うが、これら情報は、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0又は1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、又は量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行されうる。
【0013】
さらに、広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)、及びメモリ(Memory)等を少なくとも適当に組み合わせることによって実現される回路である。また、プロセッサは、汎用プロセッサでもよいし、専用の回路でもよい。すなわち、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等を含むものである。
【0014】
1.ハードウェア構成
本節では、ハードウェア構成について説明する。
【0015】
<情報処理システム1>
図1は、情報処理システム1を表す構成図である。情報処理システム1は、通信回線2と、サーバ装置10と、複数の求人者端末20と、複数の求職者端末30とを備える。サーバ装置10と、求人者端末20と、求職者端末30とは、通信回線2を通じて相互に通信可能に構成されている。サーバ装置10、求人者端末20及び求職者端末30の接続は有線でも無線でもよい。
【0016】
情報処理システム1は、例えば、複数の求人者(第1求人者U1及び第2求人者U2)と、複数の求職者(第1求職者U3及び第2求職者U4)とが利用する求人・求職システムの少なくとも一部を構成する。情報処理システム1は、求人者による求人票の作成、求職者の検索等を主に行う。一実施形態において、情報処理システム1とは、1つ又はそれ以上の装置又は構成要素からなるものである。以下、これらの構成要素について説明する。
【0017】
<サーバ装置10>
図2は、サーバ装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。サーバ装置10は、制御部11と、記憶部12と、通信部13と、通信バス14とを備える。制御部11、記憶部12、及び通信部13は、サーバ装置10の内部において通信バス14を介して電気的に接続されている。
【0018】
<制御部11>
制御部11は、サーバ装置10に関連する全体動作の処理・制御を行う。制御部11は、例えば中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)である。制御部11は、記憶部12に記憶された所定のプログラムを読み出すことによって、サーバ装置10に係る種々の機能を実現する。すなわち、記憶部12に記憶されているソフトウェアによる情報処理が、ハードウェアの一例である制御部11によって具体的に実現されることで、制御部11に含まれる各機能部として実行されうる。これらについては、次節においてさらに詳述する。なお、制御部11は単一であることに限定されず、サーバ装置10は、機能毎に複数の制御部11を有してもよい。また、それらの組合せであってもよい。
【0019】
<記憶部12>
記憶部12は、前述の記載により定義される様々な情報を記憶する。これは、例えば、制御部11によって実行されるサーバ装置10に係る種々のプログラム等を記憶するソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)等のストレージデバイスとして、あるいは、プログラムの演算に係る一時的に必要な情報(引数、配列等)を記憶するランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)等のメモリとして実施されうる。記憶部12は、制御部11によって実行されるサーバ装置10に係る種々のプログラム、変数等を記憶している。
【0020】
<通信部13>
通信部13は、USB、IEEE1394、Thunderbolt(登録商標)、有線LANネットワーク通信等といった有線型の通信手段が好ましいものの、無線LANネットワーク通信、3G/LTE/5G等のモバイル通信、BLUETOOTH(登録商標)通信等を必要に応じて含めてもよい。すなわち、これら複数の通信手段の集合として実施することがより好ましい。すなわち、サーバ装置10は、通信部13及びネットワークを介して、外部から種々の情報を通信してもよい。
【0021】
サーバ装置10は、オンプレミス形態であってもよく、クラウド形態であってもよい。クラウド形態のサーバ装置10は、例えば、SaaS(Software as a Service)、クラウドコンピューティングという形態で、上述の機能や処理を提供してもよい。
【0022】
<求人者端末20>
図3は、求人者端末20及び求職者端末30のハードウェア構成を示すブロック図である。図3Aに示されるように、求人者端末20は、制御部21と、記憶部22と、通信部23と、入力部24と、出力部25と、通信バス26とを備える。制御部21、記憶部22、通信部23、入力部24、及び出力部25は、求人者端末20の内部において通信バス26を介して電気的に接続されている。求人者端末20は、サーバ装置10によって提供されるサービスを受ける組織に属するユーザである各求人者が、業務において使用する情報処理端末である。制御部21、記憶部22及び通信部23の説明は、サーバ装置10における各部の説明と同様のため省略する。
【0023】
<入力部24>
入力部24は、ユーザによってなされた操作入力を受け付ける。操作入力は、命令信号として通信バス26を介して制御部21に転送される。制御部21は、必要に応じて、転送された命令信号に基づいて所定の制御や演算を実行しうる。入力部24は、求人者端末20の筐体に含まれるものであってもよいし、外付けされるものであってもよい。例えば、入力部24は、出力部25と一体となってタッチパネルとして実施されてもよい。入力部24がタッチパネルとして実施される場合、ユーザは、入力部24に対してタップ操作、スワイプ操作等を入力することができる。入力部24としては、タッチパネルに代えて、スイッチボタン、マウス、トラックパッド、QWERTYキーボード等が採用可能である。
【0024】
<出力部25>
出力部25は、ユーザが操作可能なグラフィカルユーザインターフェース(Graphical User Interface:GUI)の画面を表示する。出力部25は、求人者端末20の筐体に含まれるものであってもよいし、外付けされるものであってもよい。具体的には、出力部25は、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等の表示デバイスとして実施されうる。これらの表示デバイスは、求人者端末20の種類に応じて使い分けて実施されることが好ましい。
【0025】
<求職者端末30>
図3Bに示されるように、求職者端末30は、制御部31と、記憶部32と、通信部33と、入力部34と、出力部35と、通信バス36とを備える。制御部31、記憶部32、通信部33、入力部34、及び出力部35は、求職者端末30の内部において通信バス36を介して電気的に接続されている。求職者端末30は、サーバ装置10によって提供されるサービスを受けるユーザである各求職者が使用する情報処理端末である。制御部31、記憶部32、通信部33、入力部34及び出力部35の説明は、求人者端末20における各部の説明と同様のため省略する。
【0026】
2.機能構成
本節では、本実施形態の機能構成について説明する。記憶部12に記憶されているソフトウェアによる情報処理がハードウェアの一例である制御部11によって具体的に実現されることで、制御部11(情報処理システム1が備える少なくとも1つのプロセッサ)に含まれる各機能部として実行されうる。
【0027】
図4は、サーバ装置10(制御部11)、求人者端末20(制御部21)及び求職者端末30(制御部31)によって実現される機能を示すブロック図である。
【0028】
図4Aに示されるように、サーバ装置10(制御部11)は、基本表示制御部111と、ベース情報取得部112と、説明用情報取得部113と、説明文章作成部114と、組織情報登録部115と、求人票作成部116と、人工知能部120とを備える。図4Bに示されるように、求人者端末20(制御部21)は、表示部211と、操作取得部212とを備える。図4Cに示されるように、求職者端末30(制御部31)は、表示部311と、操作取得部312とを備える。
【0029】
<基本表示制御部111>
基本表示制御部111は、種々の情報を求人者端末20及び求職者端末30に表示させるように構成される。例えば、基本表示制御部111は、求人者が作成した求人票及びスカウト文書、求職者が作成した登録情報等を、求人者端末20の表示部211又は求職者端末30の表示部311に表示させる。
【0030】
求人者には、営利法人(例えば企業等)、非営利法人(例えば、協同組合、財団法人等)、公的法人(例えば地方公共団体等)等の組織が含まれる。また、求人者には、組織の代理人として、求職者と組織とを仲介する人材仲介業者も含まれる。人材仲介業者は、ヘッドハンター、エージェント等とも呼ばれる。
【0031】
求職者情報は、求職者データベースに登録された求職者に関する情報(登録情報)である。求職者データベースは、例えば、記憶部12に記憶される。また、求職者の登録情報には、求職者の履歴書、職務経歴書、その他のプロフィール情報が含まれる。なお、「履歴書」は、主に求職者のプロフィール、現況、学歴、職歴、希望の労働条件等が記載された文書であり、「職務経歴書」は、レジュメとも呼ばれ、求職者が求人者に対して、自身のこれまでの職務に関する経歴、経験、スキル、資格等を伝える文書である。また、求職者の登録情報には、求職者が希望する業種及び職種が含まれてもよい。
【0032】
<ベース情報取得部112>
ベース情報取得部112は、組織内のポジションに関する情報を含むベース情報を取得するように構成される。「組織内のポジション」とは、求人者が求人を行う組織内のポジション(後述される説明文章作成部114が説明文章を作成する対象のポジション)である。また、「ポジションに関する情報(ベース情報)」は、ポジション名、組織名、事業部門、部署、役職、職務内容(職務要件)、これらの組み合わせ等を表す、キーワード又は文章を含む情報である。
【0033】
ベース情報取得部112は、求人者端末20からポジションに関する情報の入力を受け付け、求人者端末20において入力された当該情報をベース情報として取得してもよい。また、ベース情報取得部112は、求人者端末20からポジションに関する記載が含まれる文書(典型的には求人票)の選択を受け付け、求人者端末20において選択された文書からポジションに関する情報(例えば、求人票の場合は、求人条件に記載されているポジションの説明)を抽出し、ベース情報として取得してもよい。さらに、ベース情報取得部112は、求人者端末20を利用している求人者の登録情報から、ベース情報の少なくとも一部(例えば、組織名、事業部門名等)を取得してもよい。つまり、ベース情報取得部112は、求人者端末20に入力された情報に、さらに情報を追加したものをベース情報として取得してもよい。
【0034】
また、ベース情報取得部112は、求人者端末20において入力されたポジション名に基づいて、ベース情報に含まれる職務内容を生成してもよい。例えば、ベース情報取得部112は、ポジション名を人工知能部120の職務内容生成モデルに入力し、職務内容生成モデルに職務内容を出力させてもよい。職務内容生成モデルは、ポジション名を入力とし、職務内容を出力することが可能なように学習された学習モデルである。
【0035】
<説明用情報取得部113>
説明用情報取得部113は、組織データベースに登録された組織登録情報、又はネットワーク上の公開情報から、ポジションに応じて組織を説明するために必要な説明用情報を取得又は作成するように構成される。
【0036】
「組織登録情報」には、例えば、事業内容を示す情報、業種を示す情報、組織規模を示す情報、業績を示す情報、取扱商材(製品又はサービス)を示す情報、財務状況を示す情報、経営計画を示す情報等の組織に関する情報が含まれる。また、組織登録情報には、組織全体の情報(例えば、組織全体の事業内容、業種、業績等)が含まれてもよいし、組織の一部(例えば、事業部門、所属部署等)の情報(例えば、一事業部門の事業内容、業種、業績等)が含まれてもよい。また、組織登録情報は、求人票における組織の説明文章としてそのまま利用可能な情報(文章)を含んでもよい。
【0037】
組織データベースは、情報処理システム1の内部データベース(つまり、外部に公開されていないデータベース)であり、例えば、記憶部12に記憶される。説明用情報取得部113は、例えば、ベース情報に含まれるポジション名、組織名、事業部門名、部署名、役職名、職務内容等のキーワードを用いて、ベース情報に対応する組織登録情報を検索する。説明用情報取得部113は、ベース情報が対象とする組織とは異なる組織の組織登録情報が検索で抽出されないよう、組織登録情報の検索に用いるベース情報の一部として、組織名を必ず使用する(検索条件とする)ようにしてもよい。また、説明用情報取得部113は、組織登録情報に付与された、事業部門、所属部署等を示すタグを用いて、ベース情報に対応する組織登録情報を検索してもよい。
【0038】
説明用情報取得部113は、組織登録情報に説明文章の作成に必要な必須項目が含まれない場合に、公開情報に対する検索によって組織登録情報を補足する補足情報を取得する。「必須項目」としては、例えば、ベース情報を取得したポジション(説明文章の作成対象のポジション)が扱う製品又はサービスに関する事業の内容、ミッション、業績、開発状況、ドメイン、人員、組織構成等が挙げられる。「ポジションが扱う製品又はサービス」は、例えば、説明用情報取得部113が、ベース情報に含まれる事業部門名、職務内容等から推測する。必須項目は、予め指定されていてもよいし、ベース情報(ポジションの内容)に応じて、説明用情報取得部113が動的に設定してもよい。指定される必須項目の数は、1つでもよいし、複数でもよい。複数の必須項目が指定される場合は、説明用情報取得部113は、全ての必須項目が組織登録情報に含まれていないと判定した場合に補足情報を取得するようにしてもよいし(AND条件)、複数の必須項目のうち1つでも組織登録情報に含まれていないと判定した場合に補足情報を取得するようにしてもよい(OR条件)。
【0039】
説明用情報取得部113は、例えば、組織登録情報を人工知能部120の必須項目判定モデルに入力し、必須項目判定モデルに当該組織登録情報の必須項目の充足の有無を出力させる。必須項目判定モデルは、組織登録情報を入力とし、必須項目の充足有無を出力することが可能なように学習された学習モデルである。
【0040】
必須項目判定モデルは、学習用の組織登録情報と、当該組織登録情報における必須項目の充足有無を示す情報との組み合わせを教師データとして学習される。必須項目判定モデルは、大規模言語モデルを含む生成AIであってもよい。この場合、説明用情報取得部113は、組織登録情報と必須項目とを入力とし、当該組織登録情報における必須項目の充足有無を出力する指示を含むプロンプトを必須項目判定モデルに入力し、必須項目の充足有無を必須項目判定モデルに出力させる。説明用情報取得部113は、組織登録情報における必須項目の充足有無を判定する指示を必須項目判定モデルへ与えるプロンプトを生成し、当該プロンプトを必須項目判定モデルへ入力してもよい。また、説明用情報取得部113は、必須項目の充足有無の判定・出力指示と組織登録情報及び必須項目とに加え、入力及び出力のサンプルとして、例えば、1以上の組織登録情報及び必須項目のサンプルと、それに対応する1以上の必須項目の充足有無のサンプルとを挿入したプロンプトを必須項目判定モデルに入力してもよい。必須項目判定モデルは、入力されたプロンプトにしたがって、必須項目の充足有無を判定する。
【0041】
説明用情報取得部113は、組織登録情報に必須項目が含まれていると判定した場合は、公開情報の検索及び補足情報の取得は行わない。一方、説明用情報取得部113は、組織登録情報に必須項目が含まれていないと判定した場合は、公開情報の検索及び補足情報の取得を行う。「公開情報」とは、例えば、インターネットを介してアクセス可能なウェブサイト上に公開されている情報である。
【0042】
説明用情報取得部113が補足情報を取得する(つまり、検索対象とする)ウェブサイトの種類は、組織に関する情報が少なくとも含まれるウェブサイトであれば限定されず、公式ウェブサイト、非公式ウェブサイト、及びその他のサイトが含まれる。公式ウェブサイトは、説明文章の作成対象である(つまり、ポジションを募集する)組織自身が開設しているウェブサイトであり、例えば、コーポレイトサイト、IRサイト、商材サイト(製品サイト又はサービスサイト)、ブランドサイト、プロモーションサイト、オウンドメディアサイト、キャンペーンサイト、ECサイト、会員向けサイト、採用サイト、ランディングページ等が挙げられる。非公式ウェブサイトは、説明文章の作成対象である(つまり、ポジションを募集する)組織とは異なる組織(外部の機関)が開設したウェブサイトであり、例えば、業界情報紹介サイト、ニュースサイト、経済情報提供サイト、商用データベースサイト等が挙げられる。非公式ウェブサイトには、無料の閲覧ページと有料の閲覧ページとの双方が含まれる。
【0043】
説明用情報取得部113は、第1参照情報とベース情報とに基づいて、公開情報に対する検索クエリを作成し、当該検索クエリを用いて補足情報を検索してもよい。これにより、インターネット上の公開情報の中から、幅広く補足情報を検索することができる。検索クエリは、少なくとも1つの検索キーワードを含む。検索クエリには、検索条件(数値パラメータ等)が含まれてもよい。
【0044】
説明用情報取得部113は、ネットワーク上の検索エンジンを用いた検索クエリによる情報検索、又は組織に関する情報が登録された商用データベースにおける検索クエリによる情報検索によって、補足情報を取得してもよい。これにより、広範的な補足情報の収集、又は信頼度の高い補足情報の収集を行うことができるため、説明文章を作成するために収集される説明用情報の質を高められる。なお、説明用情報取得部113は、検索エンジンを用いた情報検索及び商用データベースにおける情報検索の双方を実行してもよいし、一方のみを実行してもよい。
【0045】
検索エンジンを用いた情報検索は、当該検索エンジンが対象としている全てのウェブサイトが検索対象となる。説明用情報取得部113は、検索エンジンの検索条件の入力フィールドに作成した検索クエリを挿入し、検索を実行させる。また、商用データベースにおける情報検索では、説明用情報取得部113は、商用データベースに用意されている検索ツールに作成した検索クエリを入力し、検索を実行させる。
【0046】
第1参照情報は、ベース情報と検索クエリとの相関関係を含む。また、第1参照情報は、ベース情報及び必須項目(又は組織登録情報において不足している不足情報)と、検索クエリとの相関関係を含んでもよい。第1参照情報は、例えば、記憶部12に記憶されている。第1参照情報は、例えば、組織登録情報に含まれていなかった必須項目(つまり不足情報)を検索可能なキーワードを作成するための情報である。説明用情報取得部113は、第1参照情報を参照して、例えば、ポジションに対応する企業、事業名等を表すキーワードと、必須項目を表す又は必須項目に関連するキーワードとの組み合わせ等を含む検索クエリを作成する。
【0047】
第1参照情報は、ベース情報を入力とし、検索クエリを出力することが可能なように学習されたクエリ作成モデルを含んでもよい。この場合、説明用情報取得部113は、ベース情報を人工知能部120のクエリ作成モデルに入力し、クエリ作成モデルに検索クエリを出力させる。これにより、多数のベース情報に対する補足情報の検索事例、又は自然言語処理に基づいた、検索クエリの作成が可能となる。クエリ作成モデルは、ベース情報と、必須項目又は不足情報との組み合わせ(以下、「複合情報」)を入力とし、検索クエリを出力することが可能なように学習されてもよい。この場合、説明用情報取得部113は、複合情報をクエリ作成モデルに入力し、クエリ作成モデルに検索クエリを出力させる。クエリ作成モデルにおいて、学習によって算出、チューニング等されたパラメータが、第1参照情報の相関関係を構成する。
【0048】
クエリ作成モデルは、学習用のベース情報単体又は複合情報と、当該ベース情報又は当該複合情報に対応する検索クエリとの組み合わせを教師データとして学習される。クエリ作成モデルは、大規模言語モデルを含む生成AIであってもよい。この場合、説明用情報取得部113は、ベース情報単体又は複合情報を入力とし、当該ベース情報又は当該複合情報に対応する検索クエリを出力する指示を含むプロンプトをクエリ作成モデルに入力し、検索クエリをクエリ作成モデルに出力させる。説明用情報取得部113は、ベース情報又は複合情報に対応する検索クエリを作成する指示をクエリ作成モデルへ与えるプロンプトを生成し、当該プロンプトをクエリ作成モデルへ入力してもよい。また、説明用情報取得部113は、検索クエリの作成・出力指示とベース情報又は複合情報に加え、入力及び出力のサンプルとして、例えば、1以上のベース情報又は複合情報のサンプルと、それに対応する1以上の検索クエリのサンプルとを挿入したプロンプトをクエリ作成モデルに入力してもよい。クエリ作成モデルは、入力されたプロンプトにしたがって、検索クエリを作成する。
【0049】
また、クエリ作成モデルは、検索対象情報と当該検索対象情報を検索可能な検索クエリとを組み合わせた学習データを用いて学習されるとともに、求人票に含まれる組織に関する第1情報と、第1情報と同じ求人票に含まれる情報のうち、第1情報以外の第2情報に基づいて後述される説明文章作成モデルが作成した説明文章との差分情報に基づいて当該差分情報を検索するための検索クエリを生成し、当該検索クエリで検索される検索情報と、差分情報との損失が小さくなるように学習されてもよい。これにより、求人票における組織の説明文章を作成するための補足情報の検索精度が高められる。
【0050】
クエリ作成モデルの学習に用いられる求人票は、例えば、実際に求人が行われた又は行われている多数の求人票(例えば、情報処理システム1が管理し、求職者に公開される求人票データベースに登録されている求人票)である。第1情報は、求人票が対象とする募集ポジションに応じた組織の説明を含み、例えば、募集ポジションの組織名、事業部門、部署、役職、職務内容等についての記載を含む。第2情報は、組織の説明に直接関係しない情報であり、例えば、ポジション名、応募要件(必要な資格、スキル、経験等)等の記載を含む。図5は、求人票JPの一例を示す図である。図5の例では、求人票JPに含まれる情報のうち、第2項目I2(仕事内容・労働条件)に含まれる組織の説明部分が第1情報として抽出される。第2項目I2に含まれる情報のうち組織の説明とは関連しない情報と、第1項目I1(ポジション名)、第3項目I3(応募資格)、及び第4項目I4(求める人物像)は、第2情報として抽出される。なお、1つの求人票において全ての第2情報が学習に使用されてもよいし、一部の第2情報(例えば、応募要件のみ)が学習に使用されてもよい。
【0051】
第1情報及び第2情報は、例えば、ナレッジグラフを用いて分類される。また、第1情報及び第2情報は、それぞれ、元の求人票から分割されて蓄積されてもよい。すなわち、クエリ作成モデルの学習に用いられる学習データは、第1情報の集合と、第2情報の集合とで構成されてもよい。また、学習データにおいて、第1情報及び第2情報は、さらに項目(例えば、資格、スキル、経験等)ごとに分割されて蓄積されてもよい。
【0052】
具体的には、クエリ作成モデルは、検索対象情報(典型的には、組織登録情報において不足している不足情報)と公開情報から当該検索対象情報を検索可能な検索クエリとの組み合わせを学習データとする機械学習(第1学習)によって構築されるニューラルネットワークを含む。第1学習では、入力層に検索対象情報を入力した際に、出力層に検索クエリが出力されるように、ニューラルネットワークの重み付け(重み係数)が設定される。その後、第1学習では、第1損失が小さくなるように、ニューラルネットワークの重み付け(重み係数)が調整される。第1損失は、ニューラルネットワークの入力層に学習データの検索対象情報を入力した際に出力層に出力される検索クエリによって公開情報から検索される補足情報と、検索対象情報との損失(例えば、両者の乖離量や、損失関数によって評価される値等)である。
【0053】
クエリ作成モデル(ニューラルネットワーク)には、第1情報と第2情報とを学習データとする第2学習(重み付けパラメータの再調整)が行われる。具体的には、パラメータ出力モデルは、第2損失が小さくなるように学習される。第2損失は、以下の手順で求められる。まず、学習データの第2情報を説明文章作成モデルに入力し、説明文章作成モデルに説明文章を出力させる。次に、当該説明文章と、学習データに含まれる第1情報との差分情報(第1情報に含まれるが、説明文章に含まれない情報)を抽出する。さらに、当該差分情報をクエリ作成モデルに入力し、クエリ作成モデルに検索クエリを出力させる。最後に、当該検索クエリによって公開情報に対する検索を実行し、検索された検索情報と差分情報との損失(例えば、両者の乖離量や、損失関数によって評価される値等)を第2損失とする。
【0054】
第2学習は、例えば、第1学習によってある程度ニューラルネットワークの重み付けが調整されてから実行される。第1学習と第2学習とは交互に実行されてもよい。また、クエリ作成モデルは、新たな求人票が求人票データベースに登録されたタイミング等で、新たな学習データを用いた第1学習及び/又は第2学習によって逐次アップデートされる。
【0055】
また、第2学習で学習されるクエリ作成モデルは、必ずしも上述の第1学習で構築されたモデルでなくてもよい。すなわち、第1学習以外の手段で構築されたクエリ作成モデルに対し、第2学習が行われてもよい。換言すれば、第1学習が行われず、第2学習のみが行われてもよい。
【0056】
説明用情報取得部113は、公開情報に対する検索によって、組織登録情報にすでに含まれている情報も含んだ組織検索情報を取得し、当該組織検索情報から組織登録情報との重複部分を取り除くことで補足情報を取得してもよい。
【0057】
説明用情報取得部113は、公開情報に対する検索によって組織登録情報を補足する補足情報を検索できなかった場合(つまり、補足情報を取得できなかった場合)は、補足情報を取得できなかったことを示すアラートを求人者端末20に表示させてもよい。また、当該アラートを表示させる場合、説明用情報取得部113は、補足情報の入力を受け付ける入力フォームを求人者端末20に表示させ、求人者端末20から入力された補足情報を取得してもよい。
【0058】
説明用情報取得部113は、第2参照情報に基づいて、組織登録情報及び/又は補足情報から、必須項目に応じて構造化された説明用情報を作成してもよい。これにより、構造化された説明用情報が説明文章作成モデルに入力されるため、説明文章作成モデルによる説明文章の作成精度が高められる。なお、説明用情報取得部113による補足情報の検索が行われた場合は、組織登録情報及び補足情報を構造化等したものが説明用情報として取得され、補足情報の検索が行われなかった場合(組織登録情報に不足情報がなかった場合)は、組織登録情報を構造化等したものが説明用情報として取得される。また、組織登録情報に説明用情報として利用可能な情報が含まれない場合等には、補足情報のみを構造化等した説明用情報が取得されてもよい。
【0059】
「必須項目に応じた構造化」には、例えば、組織登録情報及び/又は補足情報に含まれる情報(キーワード又は文章)を、必須項目ごとにカテゴライズする処理(例えば、ナレッジグラフによる階層化、カテゴリに応じたタグの付与等)が含まれる。なお、いずれの必須項目にも分類されない情報は、カテゴライズが行われないか、又は「未分類」のカテゴリに分類される。
【0060】
第2参照情報は、組織登録情報及び/又は補足情報と構造化された説明用情報との相関関係を含む。第2参照情報は、例えば、記憶部12に記憶されている。第2参照情報は、例えば、組織登録情報及び/又は補足情報に含まる情報を構造化するための、カテゴリ名等の情報を含む。説明用情報取得部113は、第2参照情報を参照して、組織登録情報及び/又は補足情報に含まれる情報をカテゴライズする。
【0061】
第2参照情報は、組織登録情報及び/又は補足情報を入力とし、必須項目に応じて構造化された説明用情報を出力することが可能なように学習された情報変換モデルを含んでもよい。この場合、説明用情報取得部113は、組織登録情報及び/又は補足情報を人工知能部120の情報変換モデルに入力し、情報変換モデルに説明用情報を出力させる。これにより、多数の組織登録情報及び/又は補足情報の構造化例、又は自然言語処理に基づいた、説明用情報の構造化が可能となる。情報変換モデルにおいて、学習によって算出、チューニング等されたパラメータが、第2参照情報の相関関係を構成する。
【0062】
情報変換モデルは、学習用の組織登録情報及び/又は補足情報と、当該組織登録情報及び/又は当該補足情報に対応する構造化された説明用情報との組み合わせを教師データとして学習される。情報変換モデルは、大規模言語モデルを含む生成AIであってもよい。この場合、説明用情報取得部113は、組織登録情報及び/又は補足情報を入力とし、当該組織登録情報及び/又は当該補足情報に基づく、構造化された説明用情報を出力する指示を含むプロンプトを情報変換モデルに入力し、説明用情報を情報変換モデルに出力させる。説明用情報取得部113は、組織登録情報及び/又は補足情報に基づく説明用情報を作成する指示を情報変換モデルへ与えるプロンプトを生成し、当該プロンプトを情報変換モデルへ入力してもよい。また、説明用情報取得部113は、説明用情報の作成・出力指示と組織登録情報及び/又は補足情報に加え、入力及び出力のサンプルとして、例えば、1以上の組織登録情報及び/又は補足情報のサンプルと、それに対応する1以上の説明用情報のサンプルとを挿入したプロンプトを情報変換モデルに入力してもよい。情報変換モデルは、入力されたプロンプトにしたがって、構造化された説明用情報を作成する。
【0063】
必須項目判定モデル、クエリ作成モデル、及び情報変換モデルのうち少なくとも2つ以上は、統合された1つの学習モデルであってもよい。典型的には、説明用情報取得部113は、必須項目判定モデル、クエリ作成モデル、及び情報変換モデルが統合された統合モデルにベース情報及び組織登録情報を入力し、統合モデルに説明用情報を出力させてもよい。当該説明用情報は、組織登録情報及び/又は補足情報に基づいて作成される。
【0064】
図6は、説明用情報取得部113によって実行される説明用情報取得処理の一例を示すフロー図である。説明用情報取得部113は、まず、ベース情報に基づいて組織登録情報を組織データベースから取得する(ステップS110)。次に、説明用情報取得部113は、取得した組織登録情報に不足情報がないか(必須項目が含まれているか)否か判定する(ステップS120)。不足情報がある場合(ステップS120:YES)、説明用情報取得部113は、公開情報に対する検索クエリを作成する(ステップS130)。検索クエリの作成後、説明用情報取得部113は、当該検索クエリを用いて補足情報を検索する(ステップS140)。その後、説明用情報取得部113は、組織登録情報及び補足情報に基づいて、説明用情報を作成する(ステップS150)。
【0065】
ステップS120において、取得した組織登録情報に不足情報がない場合(ステップS120:NO)、説明用情報取得部113は、検索クエリの作成及び補足情報の検索は行わず、ステップS150において、組織登録情報のみに基づいて、説明用情報を作成する。
【0066】
<説明文章作成部114>
説明文章作成部114は、説明用情報取得部113が取得した説明用情報に基づいて、ベース情報取得部112がベース情報を取得したポジションに応じて組織を説明する説明文章を作成するように構成される。「説明文章」は、例えば、ポジションが所属する組織、事業部門又は部署、ポジションに該当する役職、ポジションに求められる職務内容等に関する、組織の情報(例えば、事業内容、業種、規模、業績、取扱い商材、財務状況、経営計画等)を記載した文章である。
【0067】
説明文章作成部114は、説明用情報自体をそのままの形で、又はフォーマット等を調整した形で説明文章としてもよい。また、説明文章作成部114は、説明用情報を人工知能部120の説明文章作成モデルに入力し、説明文章作成モデルに説明文章を出力させてもよい。説明文章作成モデルは、説明用情報を入力とし、説明文章を出力することが可能なように学習された学習モデルである。これにより、多数の説明用情報に基づく説明文章の作成事例、又は自然言語処理に基づいた、説明文章の作成が可能となる。
【0068】
説明文章作成モデルは、学習用の説明用情報と、当該説明用情報に対応する説明文章との組み合わせを教師データとして学習される。説明文章作成モデルは、大規模言語モデルを含む生成AIであってもよい。この場合、説明用情報取得部113は、説明用情報を入力とし、当該説明用情報に対応する説明文章を出力する指示を含むプロンプトを説明文章作成モデルに入力し、説明文章を説明文章作成モデルに出力させる。説明用情報取得部113は、説明用情報に対応する説明文章を作成する指示を説明文章作成モデルへ与えるプロンプトを生成し、当該プロンプトを説明文章作成モデルへ入力してもよい。また、説明用情報取得部113は、説明文章の作成・出力指示と説明用情報に加え、入力及び出力のサンプルとして、例えば、1以上の説明用情報のサンプルと、それに対応する1以上の説明文章のサンプルとを挿入したプロンプトを説明文章作成モデルに入力してもよい。説明文章作成モデルは、入力されたプロンプトにしたがって、説明文章を作成する。
【0069】
説明文章作成モデルは、求人票に含まれる組織に関する第1情報と、同じ求人票に含まれる情報のうち、第1情報以外の第2情報とを組み合わせた学習データを用いて学習されるとともに、説明文章作成モデルが第2情報に基づいて作成した説明文章と、第1情報との損失が小さくなるように学習されてもよい。これにより、求人票への挿入に適した、組織の説明文章の作成精度が高められる。
【0070】
具体的には、説明文章作成モデルは、第1情報と第2情報とを学習データとする機械学習によって構築されるニューラルネットワークを含む。この学習では、入力層に第2情報を入力した際に、出力層に説明文章が出力されるように、ニューラルネットワークの重み付け(重み係数)が設定される。その後、この学習では、ニューラルネットワークの入力層に学習データの第2情報を入力した際に出力層に出力される説明文章と、学習データにおける第1情報との損失(例えば、両者の乖離量や、損失関数によって評価される値等)が小さくなるように、ニューラルネットワークの重み付けが調整される。説明文章作成モデルは、新たな求人票が求人票データベースに登録されたタイミング等で、新たな学習データを用いた学習によって逐次アップデートされる。
【0071】
また、説明文章作成モデルのアップデートに伴い、説明文章作成モデルの出力(説明文章作成モデルが作成した説明文章)を利用して学習を行うクエリ作成モデルもアップデートされる。つまり、説明文章作成モデルの学習とクエリ作成モデルの学習とはリンクされ、並行して実行される。
【0072】
説明文章作成部114が作成した説明文章は、後述される組織情報登録部115、求人票作成部116等によって参照可能なように、ポジション(ベース情報)と紐づけられて、例えば記憶部12に記憶される。
【0073】
<組織情報登録部115>
組織情報登録部115は、説明文章作成部114が作成した説明文章を組織登録情報として、ベース情報に含まれる情報と関連付けて組織データベースに登録するように構成される。これにより、説明文章として利用可能な(つまり、不足情報が少ない)組織登録情報を追加することができるため、新たに作成される説明文章の精度が高められる。組織登録情報として登録される説明文章に関連付けられる情報としては、例えば、ポジション名、組織名、事業部門名、部署名、役職名、職務内容等の、組織登録情報の検索に利用可能な情報が挙げられる。
【0074】
組織情報登録部115は、説明文章に対するユーザ(求人者)からの編集を受け付け、編集後の説明文章を組織登録情報として組織データベースに登録してもよい。これにより、求人者が求める内容の説明文章が組織登録情報として登録されるため、新たに作成される説明文章の精度が高められる。
【0075】
具体的には、組織情報登録部115は、説明文章作成部114が作成した説明文章を求人者端末20に表示させるとともに、求人者端末20から説明文章の編集(例えば、キーワードの追加、削除、又は変更、文章の修正等)を受け付ける。
【0076】
組織情報登録部115は、説明文章に対するユーザの評価(例えば、修正の方向性を示すコメント、スコアリング等)を受け付けてもよい。組織情報登録部115が取得したユーザの評価は、例えば、説明文章作成モデルへのフィードバック(再学習)に使用される。
【0077】
<求人票作成部116>
求人票作成部116は、募集するポジションに対応する求人票を作成するように構成される。求人票作成部116が作成した求人票は、求人票データベースに登録される。求人票作成部116は、求人者端末20から文字等の入力を受け付けることで求人票を作成してもよいし、初期条件を人工知能部120の求人票作成モデルに入力し、求人票作成モデルに求人票を出力させてもよい。
【0078】
求人票作成モデルは、求人票を作成するために必要な初期条件を入力とし、求人票を出力とすることが可能なように学習された学習モデルである。初期条件は、例えば、ベース情報に含まれる情報(ポジション名、組織名、事業部門、部署、役職、職務内容等)である。また、求人票作成部116は、ベース情報とは別に初期条件の入力を求人者端末20から受け付けてもよい。
【0079】
求人票作成モデルは、初期条件と、当該初期条件に対応する求人票のデータとの組み合わせを教師データとして学習した学習モデルである。求人票作成モデルは、大規模言語モデルを含む生成AIであってもよい。この場合、求人票作成部116は、初期条件を入力とし、求人票を出力する指示を含むプロンプトを求人票作成モデルに入力し、求人票を求人票作成モデルに出力させる。求人票作成部116は、初期条件から求人票を作成する指示を求人票作成モデルへ与えるプロンプトを生成し、当該プロンプトを求人票作成モデルへ入力してもよい。また、求人票作成部116は、求人票の作成・出力指示と初期条件とに加え、例えば、1以上の初期条件のサンプルと、それに対応する1以上の求人票のサンプルとを挿入したプロンプトを求人票作成モデルに入力してもよい。求人票作成モデルは、入力されたプロンプトにしたがって、初期条件から求人票を作成する。
【0080】
求人票作成部116は、説明文章作成部114が作成した説明文章が挿入された求人票を作成してもよい。これにより、求人票において、募集するポジションに関する組織の説明文章を求人者が作成する工数を低減することができる。なお、組織情報登録部115において、ユーザによる説明文章の編集を受け付けた場合は、編集後の説明文章が求人票に挿入される。
【0081】
求人票作成部116は、求人者が手入力で作成した求人票、又は既存の求人票に、説明文章を挿入してもよいし、上述した求人票作成モデルが出力した(つまり自動生成された)求人票に、説明文章を挿入してもよい。例えば、求人票作成部116は、ベース情報の少なくとも一部を求人票作成モデルに入力し、求人票作成モデルに説明文章が挿入されていない求人票を出力させるとともに、当該求人票に説明文章を挿入してもよい。この場合の求人票作成モデルは、ベース情報の少なくとも一部を入力とし、説明文章が挿入されていない求人票を出力することが可能なように学習された学習モデルである。これにより、汎用的な求人票作成モデルを利用して、ユーザである求人者が入力又は指定したベース情報を元に、ポジションに応じて組織を説明する説明文章が挿入された求人票を生成することができる。
【0082】
求人者が手入力で作成した求人票に説明文章を挿入する場合、求人票作成部116は、求人者端末20の入力部24によって求人者が文章を入力することで作成された求人票を取得し、取得した求人票に、説明文章作成部114が作成した説明文章を挿入する。また、既存の求人票に説明文章を挿入する場合、求人票作成部116は、求人者端末20からのファイルのアップロード等の手段により既存の求人票を取得し、取得した既存の求人票に、説明文章作成部114が作成した説明文章を挿入する。
【0083】
また、求人票作成モデルは、ベース情報の少なくとも一部と説明文章とを入力とし、説明文章が挿入された求人票を出力することが可能なように学習された学習モデルであってもよい。つまり、求人票作成部116は、ベース情報の少なくとも一部と説明文章とを求人票作成モデルに入力し、求人票作成モデルに説明文章が挿入された求人票を出力させてもよい。これにより、ユーザである求人者が入力又は指定したベース情報を元に、ポジションに応じて組織を説明する説明文章が挿入された求人票を生成することができる。また、求人票作成モデルによって、説明文章を求人票に合わせてさらに調整することも可能となる。求人票作成モデルが生成AIの場合、求人票作成部116は、ベース情報の少なくとも一部と説明文章とを入力とし、当該説明文章が添付された求人票を出力する指示を含むプロンプトを求人票作成モデルに入力し、説明文章が挿入された求人票を求人票作成モデルに出力させてもよい。
【0084】
さらに、求人票作成部116は、既存の求人票と説明文章とを求人票作成モデルに入力し、求人票作成モデルに、説明文章が挿入された求人票を出力させてもよい。この場合、求人票作成モデルは、求人票と説明文章とを入力とし、当該説明文章が挿入された求人票を出力することが可能なように学習された学習モデルである。求人票作成モデルが生成AIの場合、求人票作成部116は、既存の求人票と説明文章とを入力とし、当該説明文章が添付された求人票を出力する指示を含むプロンプトを求人票作成モデルに入力し、説明文章が挿入された求人票を求人票作成モデルに出力させてもよい。
【0085】
求人票作成部116は、求人票作成モデルが出力した求人票に対するユーザからの編集を受け付けてもよい。具体的には、求人票作成部116は、求人票作成モデルが出力した求人票を求人者端末20に表示させるとともに、求人者端末20から求人票の編集を受け付ける。また、求人票作成部116は、編集後の求人票を求人票データベースに登録する。
【0086】
<人工知能部120>
人工知能部120は、各機能部から入力を受け付け、指示された出力を返すように構成されている。なお、サーバ装置10が各機能部において使用する人工知能は、共通のものであってもよいし、機能部毎に個別に用意されたものであってもよい。
【0087】
人工知能部120は、GPT(Generative Pretrained Transformer、GPT-1、GPT-2、GPT-3及びGPT-4を含む)、BERT(Bidirectional Encoder Representations from Transformers)、BART(Bidirectional and Auto-regressive Transformer)等を含むトランスフォーマ(Transformer)や再帰型ニューラルネットワーク(Recurrent Neural Network(RNN))等の言語モデル等の学習モデルを備えるAI(Artificial Intelligence)であって、生成AIを含んでもよい。
【0088】
言語モデルは、機械学習アルゴリズムによる学習モデルの一例である。機械学習の具体的なアルゴリズムとしては、最近傍法、ナイーブベイズ法、決定木、サポートベクターマシン、ニューラルネットワークを利用した深層学習(ディープラーニング)等が挙げられる。人工知能部120は、上記のアルゴリズムを適宜適用することができる。
【0089】
人工知能部120は、教師あり学習、教師なし学習、又は自己教師あり学習等の学習方法によって構築された学習済みモデルを有してもよい。教師あり学習では、教師データ(学習データ)を用いて機械学習を行う。教師データは、学習用の入力データ及び出力データ(正解データ)のペアで構成される。また、言語モデルは、特定のタスクのために訓練されたものだけでなく、幅広いタスクに対して汎用的に用いることができる汎用モデルであってもよい。
【0090】
人工知能部120は、人工知能として、膨大なデータを学習した大規模言語モデル(Large Language Models(LLM))のような汎用的な自然言語処理の学習モデルであってもよい。LLMは、テキストデータ等で構成される大規模なデータ(例えば、(i)インターネット上にあるWebコンテンツ、又は、(ii)所定のデータベースに蓄積されたデータ)を事前に大量に学習した学習モデルであり、タスクを与えることで様々な言語処理タスクを実行することができるものであり、与えられたプロンプトにしたがって、文章のパターンや文脈の把握、質問への応答、文章の生成等の幅広い自然言語処理タスクを行うことができる。このような汎用的な学習モデルは、One-shot LearningやFew-shot Learning等により、ファインチューニングなしで様々なタスクに対応可能な言語モデルを含む。また、汎用的な学習モデルは、Zero-shot Learningによっても、様々なタスクに対応可能に構成されてもよい。制御部11の各機能部において用いられる人工知能は、それぞれ別個の学習モデルであってもよいし、共通した汎用的な学習モデルであってもよい。
【0091】
人工知能部120に含まれる学習モデル(必須項目判定モデル、クエリ作成モデル、情報変換モデル、説明文章作成モデル等の、各機能部において使用される学習モデル)は、転移学習又はファインチューニングとして追加の学習を行うことが可能である。例えば、人工知能部120は、新たな求職者の登録情報、求人票の登録等が発生する都度、これらを新たな教師データとして、追加の学習を行ってファインチューニングされてもよい。これにより、学習モデルから出力される情報の精度が向上する。
【0092】
人工知能部120に含まれる学習モデルは、元となる学習モデルを用いた知識蒸留(Knowledge Distillation)により得られた学習モデル(蒸留モデル)であってもよい。知識蒸留では、大規模言語モデルなどの、学習済みモデルを教師モデルとし、教師モデルの出力(Sоft Target)に対する生徒モデル(蒸留モデル)の出力の損失(Sоft Target Loss)が小さくなるように、生徒モデルのパラメータを調整することで、生徒モデルの学習が行われ、その生徒モデルが蒸留モデルとなる。また、教師データ(学習モデルの入力データと出力データとの組合わせ)の正解ラベル(Hard Target)に対する生徒モデルの出力の損失(Hard Target Loss)が小さくなるように生徒モデルの学習が行われてもよい。蒸留モデルは、元となる学習モデル(教師モデル)に比べて、当該学習モデルと近い性能をもちつつ、パラメータ数が小さく、処理負荷が小さくなる。そのため、蒸留モデルを用いることで、情報処理システム1のコストを低減できる。
【0093】
例えば、必須項目判定モデル、クエリ作成モデル、情報変換モデル、説明文章作成モデル等は、大規模言語モデルにおける入力データと出力データとの組み合わせを教師データとして学習された蒸留モデルであってもよい。また、情報処理システム1の導入時には必須項目判定モデル、クエリ作成モデル、情報変換モデル、説明文章作成モデル等として大規模言語モデルを使用し、当該大規模言語モデルによる教師データが蓄積された時点で、当該教師データによる知識蒸留によって得られた蒸留モデルを必須項目判定モデル、クエリ作成モデル、情報変換モデル、説明文章作成モデル等として使用してもよい。
【0094】
<表示部>
求人者端末20の表示部211及び求職者端末30の表示部311は、それぞれ、サーバ装置10から送信されてきた画面データが示す画面を表示する。
【0095】
<操作取得部>
求人者端末20の操作取得部212は、求人者端末20を利用するユーザ(求人者)による操作を受け付ける。求職者端末30の操作取得部312は、求職者端末30を利用するユーザ(求職者)による操作を受け付ける。
【0096】
3.情報処理方法
本節では、サーバ装置10の情報処理方法について説明する。この情報処理方法は、サーバ装置10の各部が、各ステップとしてコンピュータにより実行される。
【0097】
この情報処理は、ベース情報取得ステップと、説明用情報取得ステップと、説明文章作成ステップと、組織情報登録ステップと、求人票作成ステップとを備える。ベース情報取得ステップでは、組織内のポジションに関する情報を含むベース情報を取得する。説明用情報取得ステップでは、組織データベースに登録された組織登録情報、又はネットワーク上の公開情報から、ポジションに応じて組織を説明するために必要な説明用情報を取得又は作成する。説明文章作成ステップでは、説明用情報に基づいて、ポジションに応じて組織を説明する説明文章を作成する。組織情報登録ステップでは、説明文章を組織登録情報として、ベース情報に含まれる情報と関連付けて組織データベースに登録する。求人票作成ステップでは、説明文章が挿入された求人票を作成する。
【0098】
図7は、情報処理システム1によって実行される情報処理(求人票の作成処理)の流れの一例(第1パターン)を示すアクティビティ図である。以下では、このアクティビティ図の各アクティビティに沿って、情報処理を説明する。
【0099】
求人票の作成処理は、ユーザである求人者によるポジションに関する情報(ベース情報)の入力から開始される。求人者は、求人者端末20において、ベース情報の少なくとも一部を入力する(アクティビティA101)。サーバ装置10は、求人者端末20に入力されたベース情報を取得する(アクティビティA102)。なお、サーバ装置10は、求人者端末20に入力されたポジションに関する情報にさらに情報を追加したものをベース情報としてもよい。続いて、サーバ装置10は、取得したベース情報に基づいて、組織登録情報を取得し、さらに必要に応じて公開情報に対する検索によって補足情報を取得する(アクティビティA103)。
【0100】
組織登録情報等の取得後、サーバ装置10は、取得した組織登録情報等に基づいて、説明用情報を作成する(アクティビティA104)。続いて、サーバ装置10は、作成した説明用情報に基づいて、説明文章を作成する(アクティビティA105)。説明文章の作成後、サーバ装置10は、作成した説明文章を求人者端末20に出力する(アクティビティA106)。これにより、説明文章が求人者端末20に表示される(アクティビティA107)。
【0101】
求人者は、求人者端末20において、説明文章の編集を行う(アクティビティA108)。サーバ装置10は、求人者端末20による説明文章の編集を受け付け、編集された説明文章を組織登録情報として組織データベースに登録する(アクティビティA109)。続いて、サーバ装置10は、編集された説明文章を挿入した求人票を作成する(アクティビティA110)。求人票の作成後、サーバ装置10は、作成した求人票を求人者端末20に出力する(アクティビティA111)。これにより、作成された求人票が求人者端末20に表示される(アクティビティA112)。
【0102】
4.作用
本実施形態の作用をまとめると、次の通りとなる。すなわち、組織データベースから組織登録情報が説明用情報として参照され、さらに組織登録情報の情報量が不十分の場合にはネットワーク上の公開情報によって説明用情報が補足された上で、この説明用情報に基づいて組織の説明文章が作成される。そのため、ポジションに応じた組織の説明文章を効率的に作成することができる。
【0103】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0104】
5.その他
上記実施形態では、サーバ装置10が種々の記憶・制御を行ったが、サーバ装置10に代えて、複数の外部装置が用いられてもよい。すなわち、種々の情報やプログラムは、ブロックチェーン技術等を用いて複数の外部装置に分散して記憶されてもよい。特に、人工知能部120は、サーバ装置10の外部構成であってもよい。その場合、外部構成である人工知能部120は、例えば、人工知能のサービスサーバによって提供され、サーバ装置10の各機能部から入力を受け付け、人工知能のサービスを実行する要求を受け付け、処理結果として指示された出力をサーバ装置10に返すように構成される。人工知能のサービスサーバは、学習モデルとして言語モデルを用いてサービスを提供するサーバであってもよいし、言語モデルを用いて言語処理タスクを実行するサーバであってもよい。人工知能のサービスサーバは、LLMによって構築されてもよい。人工知能のサービスサーバは、テキスト、画像、音声等によるプロンプトの入力を受け付け、当該プロンプトに対する回答を生成して応答する。
【0105】
また、情報処理システム1は、必ずしも求人票作成部116を備えなくてもよい。つまり、情報処理システム1が作成する説明文章は、求人票以外の用途に使用されてもよい。
【0106】
本実施形態の態様は、情報処理システム1に限定されず、情報処理方法であっても、プログラムであってもよい。情報処理方法は、情報処理システム1が実行する各ステップを備える。プログラムは、コンピュータに、情報処理システム1の各ステップを実行させる。
【0107】
次に記載の各態様で提供されてもよい。
【0108】
(1)情報処理システムであって、少なくとも1つのプロセッサを備え、前記プロセッサは、プログラムを読み出すことで次の各ステップを実行するように構成され、ベース情報取得ステップでは、組織内のポジションに関する情報を含むベース情報を取得し、説明用情報取得ステップでは、組織データベースに登録された組織登録情報、又はネットワーク上の公開情報から、前記ポジションに応じて前記組織を説明するために必要な説明用情報を取得又は作成し、説明文章作成ステップでは、前記説明用情報に基づいて、前記ポジションに応じて前記組織を説明する説明文章を作成し、前記説明用情報取得ステップでは、前記組織登録情報に前記説明文章の作成に必要な必須項目が含まれない場合に、前記公開情報に対する検索によって前記組織登録情報を補足する補足情報を取得する、情報処理システム。
【0109】
(2)上記(1)に記載の情報処理システムにおいて、前記説明用情報取得ステップでは、第1参照情報と前記ベース情報とに基づいて、前記公開情報に対する検索クエリを作成し、当該検索クエリを用いて前記補足情報を検索し、ここで、前記第1参照情報は、前記ベース情報と前記検索クエリとの相関関係を含む、情報処理システム。
【0110】
(3)上記(2)に記載の情報処理システムにおいて、前記第1参照情報は、前記ベース情報を入力とし、前記検索クエリを出力することが可能なように学習されたクエリ作成モデルを含み、前記説明用情報取得ステップでは、前記ベース情報を前記クエリ作成モデルに入力し、前記クエリ作成モデルに前記検索クエリを出力させる、情報処理システム。
【0111】
(4)上記(2)又は(3)に記載の情報処理システムにおいて、前記説明用情報取得ステップでは、ネットワーク上の検索エンジンを用いた前記検索クエリによる情報検索、又は組織に関する情報が登録された商用データベースにおける前記検索クエリによる情報検索によって、前記補足情報を取得する、情報処理システム。
【0112】
(5)上記(1)から(4)のいずれか1つに記載の情報処理システムにおいて、前記説明用情報取得ステップでは、第2参照情報に基づいて、前記組織登録情報及び/又は前記補足情報から、前記必須項目に応じて構造化された前記説明用情報を作成し、ここで、前記第2参照情報は、前記組織登録情報及び/又は前記補足情報と構造化された前記説明用情報との相関関係を含む、情報処理システム。
【0113】
(6)上記(5)に記載の情報処理システムにおいて、前記第2参照情報は、前記組織登録情報及び/又は前記補足情報を入力とし、前記必須項目に応じて構造化された前記説明用情報を出力することが可能なように学習された情報変換モデルを含み、前記説明用情報取得ステップでは、前記組織登録情報及び/又は前記補足情報を前記情報変換モデルに入力し、前記情報変換モデルに前記説明用情報を出力させる、情報処理システム。
【0114】
(7)上記(1)から(6)のいずれか1つに記載の情報処理システムにおいて、前記説明文章作成ステップでは、前記説明用情報を説明文章作成モデルに入力し、前記説明文章作成モデルに前記説明文章を出力させ、ここで、前記説明文章作成モデルは、前記説明用情報を入力とし、前記説明文章を出力することが可能なように学習された学習モデルである、情報処理システム。
【0115】
(8)上記(7)に記載の情報処理システムにおいて、前記説明文章作成モデルは、求人票に含まれる組織に関する第1情報と、同じ求人票に含まれる情報のうち、前記第1情報以外の第2情報とを組み合わせた学習データを用いて学習されるとともに、前記説明文章作成モデルが前記第2情報に基づいて作成した前記説明文章と、前記第1情報との損失が小さくなるように学習される、情報処理システム。
【0116】
(9)上記(7)又は(8)に記載の情報処理システムにおいて、前記説明用情報取得ステップでは、前記ベース情報をクエリ作成モデルに入力し、前記クエリ作成モデルに検索クエリを出力させるとともに、当該検索クエリを用いて前記補足情報を検索し、前記クエリ作成モデルは、求人票に含まれる組織に関する第1情報と、前記第1情報と同じ求人票に含まれる情報のうち、前記第1情報以外の第2情報に基づいて前記説明文章作成モデルが作成した前記説明文章との差分情報に基づいて当該差分情報を検索するための検索クエリを生成し、当該検索クエリで検索される検索情報と、前記差分情報との損失が小さくなるように学習される、情報処理システム。
【0117】
(10)上記(1)から(9)のいずれか1つに記載の情報処理システムにおいて、前記プロセッサは、次のステップをさらに実行するように構成され、組織情報登録ステップでは、前記説明文章を前記組織登録情報として、前記ベース情報に含まれる情報と関連付けて前記組織データベースに登録する、情報処理システム。
【0118】
(11)上記(10)に記載の情報処理システムにおいて、前記組織情報登録ステップでは、前記説明文章に対するユーザからの編集を受け付け、編集後の前記説明文章を前記組織登録情報として前記組織データベースに登録する、情報処理システム。
【0119】
(12)上記(1)から(11)のいずれか1つに記載の情報処理システムにおいて、前記プロセッサは、次のステップをさらに実行するように構成され、求人票作成ステップでは、前記説明文章が挿入された求人票を作成する、情報処理システム。
【0120】
(13)上記(12)に記載の情報処理システムにおいて、前記求人票作成ステップでは、前記ベース情報の少なくとも一部と前記説明文章とを求人票作成モデルに入力し、前記求人票作成モデルに前記説明文章が挿入された求人票を出力させ、ここで、前記求人票作成モデルは、前記ベース情報の少なくとも一部と前記説明文章とを入力とし、前記説明文章が挿入された求人票を出力することが可能なように学習された学習モデルである、情報処理システム。
【0121】
(14)上記(12)に記載の情報処理システムにおいて、前記求人票作成ステップでは、前記ベース情報の少なくとも一部を求人票作成モデルに入力し、前記求人票作成モデルに前記説明文章が挿入されていない求人票を出力させるとともに、当該求人票に前記説明文章を挿入し、ここで、前記求人票作成モデルは、前記ベース情報の少なくとも一部を入力とし、前記説明文章が挿入されていない求人票を出力することが可能なように学習された学習モデルである、情報処理システム。
【0122】
(15)情報処理方法であって、上記(1)から(14)のいずれか1つに記載の情報処理システムが実行する各ステップを備える、情報処理方法。
【0123】
(16)プログラムであって、コンピュータに、上記(1)から(14)のいずれか1つに記載の情報処理システムの各ステップを実行させるための、プログラム。
もちろん、この限りではない。
【0124】
最後に、本開示に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0125】
1 :情報処理システム
2 :通信回線
10 :サーバ装置
11 :制御部
12 :記憶部
13 :通信部
14 :通信バス
20 :求人者端末
21 :制御部
22 :記憶部
23 :通信部
24 :入力部
25 :出力部
26 :通信バス
30 :求職者端末
31 :制御部
32 :記憶部
33 :通信部
34 :入力部
35 :出力部
36 :通信バス
111 :基本表示制御部
112 :ベース情報取得部
113 :説明用情報取得部
114 :説明文章作成部
115 :組織情報登録部
116 :求人票作成部
120 :人工知能部
211 :表示部
212 :操作取得部
311 :表示部
312 :操作取得部
I1 :第1項目
I2 :第2項目
I3 :第3項目
I4 :第4項目
JP :求人票
U1 :第1求人者
U2 :第2求人者
U3 :第1求職者
U4 :第2求職者
【要約】
【課題】組織等を説明する文章を効率的に作成できる情報処理システム等を提供する。
【解決手段】本発明の一態様によれば、情報処理システムであって、少なくとも1つのプロセッサを備え、プロセッサは、プログラムを読み出すことで次の各ステップを実行するように構成され、ベース情報取得ステップでは、組織内のポジションに関する情報を含むベース情報を取得し、説明用情報取得ステップでは、組織データベースに登録された組織登録情報、又はネットワーク上の公開情報から、ポジションに応じて組織を説明するために必要な説明用情報を取得又は作成し、説明文章作成ステップでは、説明用情報に基づいて、ポジションに応じて組織を説明する説明文章を作成し、説明用情報取得ステップでは、組織登録情報に説明文章の作成に必要な必須項目が含まれない場合に、公開情報に対する検索によって組織登録情報を補足する補足情報を取得する、情報処理システムが提供される。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7