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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13357 20060101AFI20240820BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20240820BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240820BHJP
【FI】
G02F1/13357
F21S2/00 444
F21S2/00 480
F21Y115:10
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020192652
(22)【出願日】2020-11-19
(65)【公開番号】P2022081233
(43)【公開日】2022-05-31
【審査請求日】2023-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】大谷 久
【審査官】近藤 幸浩
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/183563(WO,A1)
【文献】特開2009-080359(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0195772(US,A1)
【文献】特開2013-212694(JP,A)
【文献】特開2012-037570(JP,A)
【文献】特開2019-040842(JP,A)
【文献】特開2005-197072(JP,A)
【文献】特開2012-208451(JP,A)
【文献】特開2014-029448(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/13357
G02F 1/13
F21S 2/00
G09G 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶パネルと、
平面視における前記液晶パネルの表示領域のうちの周縁領域を除いた中央領域内で前記液晶パネルの背面側に設けられ、前記液晶パネルに向けて導光可能な導光板と、
前記導光板の一端に設けられ、前記導光板に光を出力する第1光源と、
平面視における前記液晶パネルの前記周縁領域内で前記液晶パネルの背面側に設けられる複数の第2光源と
平面視で前記表示領域を囲み、前記表示領域とともに視認可能な黒色の枠状の加飾部と
を含み、
前記複数の第2光源は、平面視で前記中央領域の周りを囲み、かつ、前記周縁領域の内縁と外縁との間で少なくとも複数列を構成するように配列されており
前記複数の第2光源のうちの少なくとも一部の輝度を低下させる際に、前記複数列のうちの外側の列に含まれる前記第2光源の輝度を前記複数列のうちの内側の列に含まれる前記第2光源の輝度よりも低くする制御部をさらに含み、
前記制御部は、前記液晶パネルに黒色を表示する際に、前記周縁領域のうち平面視で当該黒色の表示領域と重なる領域内において、前記外側の列に含まれる前記第2光源の輝度を前記内側の列に含まれる前記第2光源の輝度よりも低くする、表示装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記外側の列に含まれる前記第2光源を消灯することによって、前記外側の列に含まれる前記第2光源の輝度を前記内側の列に含まれる前記第2光源の輝度よりも低くする、請求項に記載の表示装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記導光板と前記複数の第2光源のうちの少なくとも一部との輝度を低下させる際には、前記導光板の輝度よりも、前記周縁領域内で最も内側の列に含まれる前記第2光源の輝度を低くする、請求項1又は2に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在表示装置として最も一般的に用いられているのは液晶パネルであり、そのことは民生品用、産業用共に同様である。液晶パネルは液晶分子をシャッターとして用いているもので自ら発光する有機EL(Electroluminescence)(OLED(Organic Light Emitting Diode)とも言う)とは異なり光源を必要とする。光源として外光を用いる反射型液晶パネルも存在するが、多くは透過型液晶パネルの背面からバックライトという光源で照光する仕組みが取られている。
【0003】
上記バックライトには大きく分けて2つの方式が存在する。1つはエッジ型と呼ばれるもので、液晶パネルの表示部とは重ならない領域にLEDを設置し、該LED発光光を導光板によって前記液晶パネル裏面全面を覆うように拡げて照射する方式である。この方式はLEDの個数が少なくて済むこと、表示装置全体を薄くすることが可能なことから最も一般的に採用されている。もう1つの方式は直下型あるいはダイレクト型と呼ばれるもので、液晶パネル表示部の真裏にLEDを配置する方式である。この方式は液晶パネル全面を照光する為に多くのLEDを必要とするという難点があるが、部分的に必要な箇所のみ発光させる(ローカルディミングという)ことで、表示上不要な部分のLEDを消光し、表示コントラストを高められるというメリットがあり、液晶テレビの高級機などに採用されている。
【0004】
また、この2つを組み合わせた特許出願もなされている。一例として、液晶パネルを背面から照光するバックライトにおいて、基板と、前記基板上に平面的に配列される第1LED(Light Emitting Diode)と、前記基板に積層される導光板と、前記導光板の前記第1LEDと平面的に重ならない部分に形成されたドットパターンと、前記ドットパターンの直下に配置された反射板と、前記導光板のエッジ部に配置された第2LEDとを含むバックライトがある。第2LEDから出力される光は導光板によってドットパターンに導かれ、一部は導光板に向かい、残りは反射板で反射されてから導光板に向かう。従来のバックライトは、平面視でドットパターン及び反射板が配置される領域と、複数の第1LEDが配置される領域とに分かれている。ドットパターン及び反射板が配置される領域では均等な照光を行い、複数の第1LEDが配置される領域ではローカルディミングを行っている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-040842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、表示領域の全体でローカルディミングを行えば、表示領域の全体でコントラストを向上させることができるが、液晶パネルの背面の全体に多数の光源(例えばLED)を配列することになるため、製造コストが高騰する。このため、ローカルディミングが可能な領域を表示領域の一部に限ることで低コスト化を図ることができる。
【0007】
ところで、液晶パネルに歪みがあると表示にムラが生じる場合がある。液晶パネルの歪みは、特に表示領域の外縁又は外縁に近い部分において応力の集中により生じやすく、表示のムラは、特に輝度の低い色(例えば黒)を表示する際に目立ちやすい(見えやすい)。この現象は、液晶が横電界で駆動されるタイプの液晶パネル、一般的にはIPSやFFSと言われる液晶パネルにおいて特に顕著に観測される。
【0008】
しかしながら、従来のエッジ型のバックライト、従来のダイレクト型のバックライト、又は、従来のローカルディミングを利用したバックライトのいずれにおいても、表示のムラを見え難くするような対策は行っていない。
【0009】
そこで、コストの低減を図りつつ、表示のムラを視認し難くした表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施形態の表示装置は、液晶パネルと、平面視における前記液晶パネルの表示領域のうちの周縁領域を除いた中央領域内で前記液晶パネルの背面側に設けられ、前記液晶パネルに向けて導光可能な導光板と、前記導光板の一端に設けられ、前記導光板に光を出力する第1光源と、平面視における前記液晶パネルの前記周縁領域内で前記液晶パネルの背面側に設けられる複数の第2光源とを含み、前記複数の第2光源は、平面視で前記中央領域の周りを囲み、かつ、前記周縁領域の内縁と外縁との間で少なくとも複数列をなすように配列される。
【発明の効果】
【0011】
コストの低減を図りつつ、表示のムラを視認し難くした表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態の表示装置100を示す図である。
図2図1におけるA-A矢視断面を示す図である。
図3】バックライト120を示す図である。
図4】表示装置100における輝度の分布の説明する図である。
図5】表示装置100の実証結果を示す図である。
図6】表示装置100の実証結果を示す図である。
図7】実施形態の変形例による表示装置100を示す図である。
図8】表示装置100をCIDとして用いる場合の表示及び構成を示す図である。
図9】実施形態の変形例の表示装置100M1の表示を示す図である。
図10】実施形態の変形例の表示装置100M2の表示を示す図である。
図11】実施形態の変形例の表示装置100M3の表示を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の表示装置を適用した実施形態について説明する。
【0014】
<実施形態>
図1は、実施形態の表示装置100を示す図である。図2は、図1におけるA-A矢視断面を示す図である。以下では、XYZ座標系を定義して説明する。また、以下では、説明の便宜上、-Z方向側を下側又は下、+Z方向側を上側又は上と称すが、普遍的な上下関係を表すものではない。また、以下では平面視とはXY面視をいう。
【0015】
表示装置100は、液晶パネル110、バックライト120、第1ドライバ130、第2ドライバ140、及びローカルディミング制御部150を含む。これらのうち、ローカルディミング制御部150は、制御部の一例である。また、液晶パネル110には、TCON(Timing Controller)50が接続される。TCON50は、液晶パネル110に画像を表示する際に必要なタイミングパルス等を出力する。以下では、図1及び図2に加えて図3を用いて説明する。図3は、バックライト120の平面構成を示す図である。
【0016】
表示装置100は、一例として車両に搭載される液晶ディスプレイパネルである。表示装置100は、例えばメータパネルとして利用可能な他、ダッシュボード、センターコンソール、又はフロントシートの背面(リアシートの前)等に配置することで、様々な情報を表示可能である。
【0017】
ここで、車両とは、例えばエンジン、及び/又は、モータ等を動力源として道路を走行可能なオートモービルである。車両には、例えば米国のSAE (Society of Automotive Engineers) Internationalによって規定された様々なレベルの自動運転機能が搭載されていてもよい。また、車両は、オートモービル以外の車両(例えば、鉄道等の車両)であってもよい。また、表示装置100は、車両以外の移動体(例えば航空機や船舶等)に搭載してもよいが、ここでは車両に搭載される形態について説明する。
【0018】
液晶パネル110は、一例としてドットマトリクス方式でカラー画像を表示可能な液晶パネルである。液晶パネル110は、近年の車両における表示情報の増加等に伴い大型化しており、ここでは一例として液晶パネル110のサイズは15インチである。液晶パネル110は、バックライト120の上に重ねて配置される。液晶パネル110は、カラーフィルタや偏光板等を含むがここでは省略する。
【0019】
液晶パネル110に画像を表示する際に必要なタイミングパルス等を発生するTCON50は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を含むコンピュータによって実現される。TCON50は、液晶パネル110にタイミングパルス等を出力するとともに、液晶パネル110に表示する画像に応じたバックライト120の照光の制御をローカルディミング制御部150に行わせる。ここでは、TCON50とローカルディミング制御部150とを別々に示すが、TCON50は、ローカルディミング制御部150と一体に構成されていてもよい。
【0020】
表示装置100がメータパネルとして利用される場合には、車速、エンジン回転数、モータの出力、燃料量、充電量、方向指示器の表示、及び積算距離等の他、ナビゲーションシステムの電子地図や案内表示等の種々の情報を表示可能である。
【0021】
液晶パネル110は、表示装置100の製造時に接着剤や固定具等でフレーム等に固定する際に、液晶パネル110の表示領域内に位置するガラス基板等に応力の分布が生じてガラス基板に変形が生じる場合がある。このようなガラス基板の変形は、平面的に均等な照光のバックライトで照光すると、液晶パネル110の表示にムラを生じさせる。表示のムラは、特に輝度の低い色(例えば黒)を表示する際に目立ちやすい。液晶パネル110は平面視における外縁又は外縁の付近でフレーム等に固定されるため、平面的に均等な照光のバックライトで照光すると、表示のムラは表示領域の外縁に近い部分(周縁部分)に生じやすく、周縁部分よりも内側の中央部分には生じにくい。
【0022】
図3には、液晶パネル110の表示領域110Aを示す。表示領域110Aは、表示装置100の上側から液晶パネル110に表示される画像を視認可能な領域である。ここでは表示領域110Aを中央領域110A1と周縁領域110A2とに分けて説明する。中央領域110A1は、表示領域110Aの中央側に位置する矩形状の領域である。周縁領域110A2は表示領域110Aの周縁の付近に位置する。平面視で表示領域110Aから中央領域110A1を除いた矩形環状の領域は、周縁領域110A2である。換言すれば、中央領域110A1は、表示領域110Aから周縁領域110A2を除いた領域である。
【0023】
中央領域110A1は、輝度の低い色(例えば黒)を表示して平面的に均等な照光のバックライトで照光した場合において液晶パネル110の中央部分の表示のムラが殆ど生じない部分に対応している。周縁領域110A2は、特に輝度の低い色(例えば黒)を表示して平面的に均等な照光のバックライトで照光した場合において液晶パネル110の周縁部分の表示のムラが生じやすい部分に対応している。周縁領域110A2の外縁から内縁までの幅は、液晶パネル110の表示のムラが生じやすい部分の外縁から内縁までの幅に応じて設定すればよい。
【0024】
バックライト120は、液晶パネル110を背面側から照光する装置である。バックライト120は、基板120A、導光板121、LED122、LED123A、LED123B、筐体124、及び拡散板125を有する。図3では筐体124及び拡散板125を省略する。ここで、LED122は第1光源の一例である。LED123AとLED123Bは、複数の第2光源の一例である。LED123Aは、内側の列に含まれる第2光源の一例であり、LED123Bは、外側の列に含まれる第2光源の一例である。
【0025】
基板120Aは、例えばFR-4(Flame Retardant type 4)規格等の配線基板であればよく、ガラス繊維にエポキシ樹脂を含浸させたガラスエポキシ樹脂で作製される。最近製品化が始まった曲面液晶パネルの場合に、FR-4等の基板に代わり、ポリイミド等の耐熱性樹脂を用いたFPC基板を用いることが望ましい。基板120Aは、開口部120A1(図3参照)を有する。開口部120A1は、平面視における基板120Aの中央部に設けられ、基板120AをZ方向に貫通している。平面視において、開口部120A1の内部には導光板121が配置される。基板120Aの上面の開口部120A1の周りにはLED123AとLED123Bが実装される。基板120Aの上面のうち、LED123AとLED123Bが実装されない部分には、反射シートが設けられる。
【0026】
導光板121は、一例として透明なアクリル樹脂等で構成されるライドガイドプレート(LGP)である。導光板121は、4つの側面のうちLED122が設けられる部分を除いた部分と、下面とに反射シートや反射層が設けられるが、ここでは省略する。導光板121は、開口部120A1の内部に設けられた状態で、基板120Aの下面側で筐体124に固定されている。
【0027】
導光板121は、平面視で表示領域110Aの中央に位置する中央領域110A1内に配置される。中央領域110A1の外縁は、導光板121の外縁と略一致している。導光板121から出力される光は平面視で拡がりながら上方向に伝搬するので、導光板121から出力される光が液晶パネル110に到達する範囲は、中央領域110A1よりも少し広い場合がある。
【0028】
導光板121の上面には反射シートや反射層は設けられない。導光板121の-Y方向側にはLED122が設けられている。導光板121は、LED122から入射する光を上面から出力するエッジ型の導光板である。導光板121から出力される光は、平面的に輝度が均一になるように構成されており、拡散板125を透過して液晶パネル110に入射し、液晶パネル110が表示する画像を照光する。
【0029】
LED122は、基板120Aの下面側において、導光板121の-X方向側に位置するように筐体124に固定されている。LED122は、基板120Aの配線等を介して第1ドライバ130に接続されており、第1ドライバ130によって駆動され、点灯/消灯の切り替えと、点灯時の輝度の調整とが行われる。ここでは一例として10個のLED122を示すが、LED122の数は幾つであってもよく、1つであってもよい。LED122は、一例として側面発光型であり、+X方向に光を出力する。このため、LED122が出力する光は導光板121内に入射する。
【0030】
LED123A、123Bは、平面視で中央領域110A1を囲むように周縁領域110A2内に配置されている。このため、LED123A、123Bは、平面視で導光板121を囲んでおり、液晶パネル110の直下(液晶パネル110の背面側)に設けられている。平面視で中央領域110A1を囲むとは、平面視で中央領域110A1の外縁の全体を囲むことである。ここでは中央領域110A1が平面視で矩形状であるため、LED123A、123Bは、中央領域110A1の四辺の周囲の全体を囲むように矩形環状に配置されている。
【0031】
LED123A、123Bは、周縁領域110A2の内縁と外縁との間で2列に配置されている。周縁領域110A2の内縁は、中央領域110A1の外縁と一致するため、中央領域110A1と周縁領域110A2との境界に相当する。周縁領域110A2の外縁は、表示領域110Aの外縁と一致する。LED123Aは、周縁領域110A2内に配置されるLED123A、123Bのうち、周縁領域110A2内において中央領域110A1に近い内側に配置されるLEDであり、図1及び図3では一例として、34個のLED123Aを示す。
【0032】
また、LED123Bは、図1及び図3では一例として、平面視で34個のLED123Aの周囲を囲む42個のLEDである。ここでは、周縁領域110A2内で矩形環状に配列されている34個のLED123Aが内側の列を構成し、42個の123Bが外側の列を構成している。ここでは周縁領域110A2内に2列のLED123A、123Bが配列される形態について説明するが、周縁領域110A2内では複数列のLEDが配列されていればよい。このため、周縁領域110A2内において矩形環状に配列されるLEDの列数は、3列以上であってもよい。
【0033】
なお、LED123A、123Bから出力される光は平面視で拡がりながら上方向に伝搬するので、LED123A、123Bから出力される光が液晶パネル110に到達する範囲は、周縁領域110A2よりも少し広い場合がある。
【0034】
以上のように、バックライト120は、エッジ型の導光板121と、液晶パネル110の直下に配置されるLED123A、123Bとを含むハイブリッド型のバックライトである。なお、ここでは、表示装置100の構成を簡略化して示すため、34個のLED123Aと、42個のLED123Bとを示すが、一例として液晶パネル110が15インチの16:9パネルの場合には、LED123A、123Bのように周縁領域110A2内に配列されるLEDの数は、約200個から約300個であり、LED122は約40個から約50個必要となる。このような周縁領域110A2内におけるLEDと等ピッチで15インチの液晶パネル110の表示領域110Aの全体にLEDを配置すると、約600個から約1000個のLEDが必要になるため、中央領域110A1に導光板121を配置することによって、LEDの数を約6割から約7割削減することができる。コストに換算しても、約5割強から約7割弱削減可能である。
【0035】
筐体124は、基板120Aの側面と底面を囲む部材である。筐体124には、導光板121、LED122、及び基板120Aが固定される。また、筐体124は、基板120Aよりも上方まで延在しており、拡散板125を保持している。また、ここでは詳細は省略するが、筐体124は、拡散板125よりも上方まで延在し、液晶パネル110の上に配置されるカバーガラスが固定される。液晶パネル110は、カバーガラスと下面と、拡散板125の上面側に設けられる輝度上昇フィルム等との間に固定される。
【0036】
拡散板125は、バックライト120の全体を覆うように導光板121とLED123A、123Bの上方に設けられ、筐体124によって保持されている。拡散板125の平面視でのサイズは、基板120Aのサイズよりも少し大きい。また、拡散板125の上面側には輝度上昇フィルム等が設けられるが、ここでは省略する。拡散板125の上には液晶パネル110が設けられる。
【0037】
第1ドライバ130は、LED122の駆動回路であり、基板120Aの配線等を介してLED122に接続されるとともに、ローカルディミング制御部150に接続されている。第1ドライバ130は、ローカルディミング制御部150から入力される点灯指令に基づいて、LED122の点灯/消灯の切り替えと、点灯時の輝度の調整とを行う。
【0038】
第2ドライバ140は、LED123A、123Bの駆動回路であり、基板120Aの配線等を介してLED123A、123Bに接続されるとともに、ローカルディミング制御部150に接続されている。第2ドライバ140は、ローカルディミング制御部150から入力される点灯指令に基づいて、LED123A、123Bの点灯/消灯の切り替えと、点灯時の輝度の調整とを行う。
【0039】
ローカルディミング制御部150は、第1ドライバ130及び第2ドライバ140に接続されるとともに、TCON50に接続されている。ローカルディミング制御部150は、は、CPU、RAM、ROM等を含むコンピュータによって実現される。ローカルディミング制御部150は、TCON50から入力されるバックライト120の制御指令に基づいて、LED122、123A、123Bの点灯制御を行うための点灯指令を生成し、第1ドライバ130及び第2ドライバ140を介してLED122、123A、123Bの点灯制御を行う。点灯制御は、点灯/消灯の制御と、点灯時の輝度の制御である。
【0040】
4つのLED122に対して行われる点灯/消灯の制御と、点灯時の輝度の制御とは、すべて同一である。これにより、導光板121は、平面的に均等な光を出力する。表示領域110Aの中央にある中央領域110A1は、平面的に均等に照光しても液晶パネル110の表示のムラが殆ど生じない領域であるため、導光板121で照光することとしている。ローカルディミング制御部150は、中央領域110A1内における液晶パネル110の表示に合わせて、LED122の点灯/消灯の切り替えと、点灯時の輝度を行う。
【0041】
これに対して、ローカルディミング制御部150は、各LED123Aと各LED123Bとに対しては、点灯/消灯の制御と、点灯時の輝度の制御とを個別的に行うことが可能である。すなわち、LED123A、123Bについては、すべてのLED123A、123Bのうちの少なくとも一部のLED123A、123Bについてローカルディミングが可能である。ローカルディミング制御部150は、周縁領域110A2内における液晶パネル110の表示に合わせて、各LED123Aと各LED123Bの点灯/消灯の切り替えと、点灯時の輝度を行う。
【0042】
周縁領域110A2内においてローカルディミングを可能にしたのは、周縁領域110A2は、平面的に均等に照光すると液晶パネル110の表示のムラが生じ得るからである。液晶パネル110の表示のムラは、輝度の低い色を表示する際に顕著になる傾向があり、特に黒色を表示する際に顕在化しやすい。また、表示装置100の表示領域110Aの周囲に、表示領域110Aとともに視認可能な黒色の枠状の加飾部が設けられている場合に、加飾部との境界において表示のムラが顕著に視認しやすくなる傾向がある。
【0043】
このため、以下では、液晶パネル110が周縁領域110A2において黒色を表示する場合におけるLED123A、123Bのローカルディミングについて説明する。ローカルディミング制御部150は、液晶パネル110に黒色を表示する場合に、周縁領域110A2のうち平面視で黒色の表示領域と重なる領域内において、外側の列に含まれるLED123Bの輝度を内側の列に含まれるLED123Aの輝度よりも低くする。このように内側から外側に向けて段階的に暗くすることによって、液晶パネル110が黒色を表示する場合に、周縁領域110A2において表示にムラが生じないようにする。黒色の表示領域の輝度を低下させて表示のムラを視認し難くするためであり、また、表示領域110Aの周囲に黒色の枠状の加飾部が設けられている場合に、加飾部との境界において表示のムラを視認し難くするためである。
【0044】
なお、ローカルディミング制御部150は、このように外側の列のLED123Bの輝度を内側の列のLED123Aの輝度よりも低くする際に、外側の列のLED123Bを消灯してもよい。輝度をゼロにすれば、表示のムラをより視認し難い状態にできるからである。
【0045】
また、ローカルディミング制御部150は、周縁領域110A2のうち、導光板121によって照光される中央領域110A1との境界に最も近いLED123Aの輝度を低下させる際には、導光板121の輝度よりもLED123Aの輝度が低くなるようにローカルディミングを行う。例えば、液晶パネル110の黒色の表示領域が中央領域110A1と周縁領域110A2とに跨がる場合には、周縁領域110A2の最も内側において表示のムラが生じないようにするために、導光板121の輝度よりもLED123Aの輝度が低くなるようにローカルディミングを行えばよい。黒色の表示領域の輝度を低下させると、表示のムラを視認し難くなるからである。このようにして、液晶パネル110の黒色の表示領域が中央領域110A1と周縁領域110A2とに跨がる場合においても、周縁領域110A2内において表示のムラを視認し難くすると同時に、中央領域110A1の黒色表示と周辺領域110A2の黒色領域の境界も視認し難くすることが可能となる。
【0046】
また、この際には、外側の列のLED123Bの輝度を内側の列のLED123Aの輝度よりも低くすればよい。液晶パネル110が黒色を表示する場合に、内側から外側に向けて段階的に暗くすることによって、周縁領域110A2において表示のムラを視認し難くするためであり、表示領域110Aの周囲に黒色の枠状の加飾部が設けられている場合に、加飾部との境界においてより一層表示のムラを視認し難くするためである。
【0047】
なお、ここでは一例として液晶パネル110が周縁領域110A2内で黒色の表示を行う場合に、ローカルディミング制御部150が黒色の表示領域内において、外側の列のLED123Bの輝度を内側の列のLED123Aの輝度よりも低くする形態について説明する。しかしながら、黒色以外の輝度の低い色を表示する際に表示のムラが生じる場合には、そのような黒色以外の輝度の低い色の表示領域において、外側の列のLED123Bの輝度を内側の列のLED123Aの輝度よりも低くしてもよい。
【0048】
次に、図4を用いて、表示装置100における輝度の分布について説明する。図4は、表示装置100における輝度(cd/m)の分布の説明する図である。ここでは、比較用に、図4(A)には液晶パネル110の背面の全体に1つの導光板を設けて照光する場合における輝度の分布を示す。また、比較用に、図4(B)には、液晶パネル110の背面の全体に複数のLEDを配列して照光する場合の輝度の分布を示す。図4(B)は液晶パネル110の表示領域の全体でローカルディミングが可能な形態である。図4(C)には表示装置100の輝度分布を示す。なお、図4では輝度分布を分かり易く示すために、通常の表示状態よりもISO感度を大きくした状態で示す。これは、後に説明する図5図6図8乃至図11においても同様である。
【0049】
また、図4(A)~図4(C)には、周囲が暗い夜間において、液晶パネル110の中央に白い四角い画像を表示する場合を示す。図4(A)では、1つの導光板で液晶パネル110の全体を照光している。図4(B)では、ローカルディミングによって液晶パネル110の白い四角い画像の表示領域を局所的に照光しており、白い四角い画像以外の部分のLEDは消灯されている。図4(C)では、中央領域110A1を導光板121で照光するとともに、周縁領域110A2内でLED123Aの輝度が導光板121の輝度よりも低く、かつ、LED123Aの輝度よりもLED123Bの輝度が低くなるように照光している。
【0050】
また、液晶パネル110の表示領域110Aの周囲には、黒く印刷された加飾部10が設けられている。加飾部10は、表示領域110Aとともに視認可能である。図4(A)~図4(C)の下側には、表示領域110Aと加飾部10とに跨がる部分のB-B矢視断面における輝度を示す。LCDと記す両矢印の区間は、液晶パネル110が存在する部分であり、表示領域110Aの区間である。BP(Black Print)と記す両矢印の区間は、加飾部10が存在する部分である。図4(A)~図4(C)には中央領域110A1と周縁領域110A2(図3参照)を示さないが、図3に示すように中央領域110A1と周縁領域110A2があるものとして説明する。
【0051】
図4(A)に示すように、液晶パネル110の背面の全体に1つの導光板を設けて照光する場合における輝度は、LCDの区間とBPの区間で差があり、LCDとBPの境界では大きな段差が存在する分布になっている。このような輝度分布では、周縁領域110A2は真っ黒ではなく白く浮かび上がって見え、周縁領域110A2において表示にムラが視認される。これは、人間の視覚特性が輝度差に敏感で、周辺のBP(Black Print)の部分と液晶パネル110との明るさの差を強く認識してしまうことが要因の1つである。
【0052】
図4(B)に示すように、液晶パネル110の全体についてローカルディミングを行う場合は、LCDとBPの境界での輝度差がかなり小さくなるため、加飾部10と表示領域110Aの境界が視認できなくなると同時に周縁領域110A2に発生する表示のムラも視認し難くすることが可能となる。
【0053】
図4(C)に示すように、実施形態の表示装置100では、中央領域110A1内の輝度は、図4(A)に示す全体を照光する導光板を用いる場合と同レベルであるが、周縁領域110A2に相当するLCDの外側の領域では、BPに近づくほどBPの区間における輝度に向かって輝度が低下している。このように、周縁領域110A2内における輝度が外側に向かって低下する分布を持たせることにより、周縁領域110A2内においてはローカルディミングを行った図4(B)の液晶パネル110と同様の原理で表示のムラを視認し難くすることが可能となる。
【0054】
次に、図5及び図6を用いて実証結果について説明する。図5及び図6は、表示装置100の実証結果を示す図である。実証結果は、実際に液晶パネル110に画像を表示した状態で背面側から照光した状態をデジタルカメラで撮像したものである。図5及び図6には中央領域110A1と周縁領域110A2(図3参照)を示さないが、図3に示すように中央領域110A1と周縁領域110A2があるものとして説明する。
【0055】
図5(A)~図5(D)には、表示領域110Aに黒色の背景を表示した状態で中央に白い四角い画像を表示する状態を示す。白い四角い画像は、中央領域110A1の内部にあり、中央領域110A1の外縁との間には間隔があることとする。また、図5(A)には矩形環状の加飾部10の位置を示すために加飾部10を白く示す。加飾部10は黒いため、図5(B)~図5(D)では殆ど見えていない。また、図5(B)~図6(D)では表示領域110Aと加飾部10の符号を省略する。
【0056】
図5(B)には、1つの導光板で液晶パネル110の全体を均等に照光している状態を示す。中央領域110A1と周縁領域110A2とがすべて1つの導光板121によって白い四角い画像を照光するための輝度で照光されるため、中央領域110A1における白い四角い画像の周囲と、周縁領域110A2とは、すべて等しい輝度で発光している。周縁領域110A2と加飾部10との境界は視認できるレベルである。これは、図4(A)に示すように、PCBとBPの輝度差に段差がある状態に相当する。周縁領域110A2は真っ黒ではなく白く浮かび上がって見えており、輝度が低下されている状態ではないため、周縁領域110A2で表示にムラが生じる。
【0057】
図5(C)には、ローカルディミングによって白い四角い画像の表示領域を局所的に照光しており、白い四角い画像以外の部分のLEDは消灯されている。このため、白い四角い画像のみが真っ黒の背景に表示された状態になっている。周縁領域110A2の外縁と加飾部10との境界は殆ど視認できない。
【0058】
図5(D)には、表示装置100において、中央領域110A1を導光板121で照光するとともに、周縁領域110A2内でLED123Aの輝度が導光板121の輝度よりも低く、かつ、LED123Aの輝度よりもLED123Bの輝度が低くなるように照光している状態を示す。導光板121の輝度は、白い四角い画像を照光するための輝度に設定されており、LED123Aの輝度は、導光板121の輝度よりも低く、LED123Bの輝度は、LED123Aの輝度よりも低くなっている。このため、図5(B)に示す表示と比べて周縁領域110A2内の輝度が外側になるほど低下していることが分かる。周縁領域110A2と加飾部10との境界は殆ど視認できないレベルであるため、周縁領域110A2において表示のムラを視認し難くすることができる。
【0059】
次に、図6を用いて説明する。図6には、車両のメータパネル用の表示画像の一例を示す。図6(A)~図6(D)には、表示領域110Aに黒色の背景を表示した状態でスピードメータ、タコメータ、ナビゲーションの案内表示、及び各種警告灯等を表す画像を表示する状態を示す。スピードメータは大きな2つの円形のメータのうちの左側のメータであり、タコメータは大きな2つの円形のメータのうちの右側のメータである。メータパネル用の表示画像のうちのスピードメータ、タコメータ、及びスピードメータとタコメータの間にあるナビゲーションの案内表示等は、中央領域110A1内に表示されている。スピードメータとタコメータの下にある警告灯等は、周縁領域110A2に表示されている。また、図6(A)には、図5(A)と同様に、矩形環状の加飾部10の位置を示すために加飾部10を白く示す。加飾部10は黒いため、図6(B)~図6(D)では殆ど見えていない。また、図6(B)~図6(D)では表示領域110Aと加飾部10の符号を省略する。
【0060】
図6(B)には、1つの導光板で液晶パネル110の全体を均等に照光している状態を示す。中央領域110A1と周縁領域110A2とがすべて1つの導光板121によってメータパネル用の表示画像を照光するための輝度で照光されるため、表示領域110Aの全体がすべて等しい輝度で発光している。周縁領域110A2と加飾部10との境界は視認できるレベルである。これは、図4(A)に示すように、PCBとBPの輝度差に段差がある状態に相当する。周縁領域110A2の輝度が低下されていない状態であるため、周縁領域110A2で表示にムラが生じる。周縁領域110A2は、スピードメータとタコメータよりも外側の領域であり、真っ黒い表示にはなっておらず、薄く点灯されて白く浮かび上がって見える。この黒色の表示領域は黒い加飾部10と隣り合うため、加飾部との境界がはっきりと分かり、デザイン的にあまり格好良くない状態になっている。
【0061】
図6(C)には、ローカルディミングによってメータパネル用の表示画像を局所的に照光しており、メータパネル用の表示画像以外の黒色の表示領域の直下のLEDは消灯されている。このため、メータパネル用の表示画像のみが黒い背景に表示された状態になっている。周縁領域110A2の外縁と加飾部10との境界は殆ど視認できない。メータパネル用の表示画像のみが真っ黒な背景に浮かび上がって見えるため、デザイン的に非常に格好良い。
【0062】
図6(D)には、表示装置100において、中央領域110A1を導光板121で照光するとともに、周縁領域110A2内でLED123Aの輝度が導光板121の輝度よりも低く、かつ、LED123Aの輝度よりもLED123Bの輝度が低くなるように照光している状態を示す。導光板121の輝度は、スピードメータ、タコメータ、及びスピードメータとタコメータの間にあるナビゲーションの案内表示等を照光するための輝度に設定されている。中央領域110A1の内部でもスピードメータとタコメータの間やスピードメータとタコメータよりも外側において黒色の表示領域が存在するが、中央領域110A1は表示のムラが生じにくい領域であるため、導光板121による均等な照光であっても問題はない。
【0063】
また、LED123Aの輝度は、導光板121の輝度よりも低く、LED123Bの輝度は、LED123Aの輝度よりも低くなっている。このため、図6(B)に示す表示と比べて周縁領域110A2内の輝度が外側になるほど低下していることが分かる。周縁領域110A2と加飾部10との境界は殆ど視認できないレベルであるため、周縁領域110A2において表示のムラを視認し難くすることができる。
【0064】
また、図6(D)では周縁領域110A2のうちの中央領域110A1よりも下の部分には、警告灯等が表示されているが、警告灯等は車両に警告灯等を点灯させる異常が生じていないときには表示されないため、異常が生じていない通常時は黒く表示される部分である。このような部分の輝度をLED123A、123Bで導光板121の輝度よりも低くすることができるので、図6(C)に示す表示画像と殆ど遜色のないデザイン的に非常に格好良い表示を実現することができる。
【0065】
以上のように、表示装置100は、表示領域110Aのうちの中央領域110A1に対応する部分を導光板121で照光し、表示にムラが生じやすい周縁領域110A2の直下にのみローカルディミングを可能にする複数のLED123A、123Bを設けた。このため、導光板121を設けたことによってコストの低減を図ることができる。
【0066】
また、周縁領域110A2内に配置される複数のLED123A、123Bは、平面視で中央領域110A1の周りを囲み、かつ、周縁領域110A2の内縁と外縁との間で少なくとも複数列を構成するように配列した。このため、周縁領域110A2の内縁と外縁との間で、中央領域110A1の輝度と、周縁領域110A2の周囲の輝度とに応じて、段階的に輝度を調整することができ、周縁領域110A2内で表示のムラを視認し難くすることができる。
【0067】
したがって、コストの低減を図りつつ、表示のムラを視認し難くした表示装置100を提供することができる。表示領域110Aの全体でローカルディミングを行うことができれば、図5(C)及び図6(C)に示すように、黒色の表示領域を真っ黒く表示することができ、様々な画像に応じて理想的な表示を実現することができるが、製造コストが高騰する。
【0068】
表示にムラが生じやすいのは、表示領域110Aの中央よりも外縁の付近である。このため、表示装置100は、表示領域110Aのうちの中央に位置する中央領域110A1に導光板121を配置して、均等な照光を行っている。中央領域110A1は表示のムラが生じにくいため、導光板121による均等な照光で問題が生じないからである。
【0069】
そして、表示領域110Aのうち、表示にムラが生じやすい周縁領域110A2の直下にのみ複数列のLED123A、123Bを配置して、周縁領域110A2の内縁と外縁を結ぶ方向で輝度を段階的に低下可能な構成を採用することで、周縁領域110A2内における表示のムラを視認し難くしている。
【0070】
また、表示領域110Aの全体でローカルディミングを行う場合に、LED同士の間のピッチを広く取ることによって、LEDの総数を減らしてコストを低減することが考えられる。しかしながら、LED同士の間のピッチを広げると、輝度を低下させたい表示領域内にヘイロ(Halo)のように輝度が高い領域が存在する場合があり、不自然な画質になり、全体を1つの導光板で均等に照光する場合よりも画質が低下するおそれがある。このため、表示領域110Aの全体でローカルディミングを行いつつ、LED同士の間のピッチを広く取ることは現実的な解決策にはならない。このような理由からも、表示装置100は、コスト面と表示における画質の改善との両立を図ることができ、利用価値が非常に高いと言える。
【0071】
また、特許文献1に記載の従来のローカルディミングを利用したバックライトでは、ローカルディミング用の第1LEDと導光板とが平面視で重なっており、導光板のうちのドットパターンが存在しない部分においても僅かに光が漏れるため、第2LEDが点灯していると第1LEDを消灯しても完全に発光をゼロにすることはできない。このため、第1LEDが配置される領域において、表示のムラが見える可能性がある。また、特許文献1に記載の従来のローカルディミングを利用したバックライトのように液晶パネルの表示領域の外縁にドットパターン及び反射板が位置する構成では、表示領域の外縁にドットパターン及び反射板が位置する部分において均等に照光することになるため、表示のムラが見える可能性がある。これに対して、本実施形態の表示装置100は、上述のように、表示領域110Aのうちの中央領域110A1に対応する部分を導光板121で照光し、表示にムラが生じやすい周縁領域110A2の直下にのみローカルディミングを可能にする複数列のLED123A、123Bを設けたため、周縁領域110A2の内縁と外縁との間で、中央領域110A1の輝度と、周縁領域110A2の周囲の輝度とに応じて、段階的に輝度を調整することができ、周縁領域110A2内で表示のムラを視認し難くすることができる。
【0072】
また、表示装置100では、導光板121は液晶パネル110よりも平面視で小さく、導光板121に光を出力するLED122は、平面視で中央領域110A1と周縁領域110A2との境界付近に配置される。このため、表示領域110Aの外縁(周縁領域110A2の外縁)までLED123Bで照光することができ、表示装置100の表示領域110Aの周りの額縁状の部分を細く(狭く)することができる。すなわち、挟額縁を実現できる。一方、特許文献1のバックライトは、表示領域の全体にわたって設けられる導光板の横に第2LEDが配置されるため、第2LEDが配置される部分の分だけ外形が大きくなる。また、第2LEDの下には第1LEDを配置できないため、第2LEDが配置される部分では表示領域の外側の縁の部分を細く仕上げることができない。すなわち、特許文献1の構成では、挟額縁を実現することが困難である。このように、表示装置100は、特許文献1の構成と比べて、挟額縁を実現できるというメリットがある。
【0073】
また、導光板121が液晶パネル110よりも平面視で小さいことにより、平面視で導光板121及びLED122よりも外側の部分の薄型化を図ることができる。表示装置100に対しては、周辺部分の厚さを薄くするニーズが有り得るため、このようなニーズに対応可能で、より優れたデザインに対応しやすい構成の表示装置100を提供することができる。
【0074】
なお、以上では、LED122,123A、123Bを用いる形態について説明したが、LED122、123A、123Bを用いる場合と同様に照光が可能であれば、LED以外の光源を用いてもよい。
【0075】
また、以上では、図3に示すように、基板120Aが開口部120A1を有し、導光板121及びLED122が基板120Aの下面側に設けられる形態について説明したが、導光板121及びLED122は、基板120Aの上面側に設けられていてもよい。図7は、実施形態の変形例による表示装置100を示す図である。
【0076】
図7に示すように、基板120Aの上面側に導光板121及びLED122が設けられていてもよい。この場合には、基板120Aは開口部120A1を有しなくてよい。また、導光板121及びLED122が基板120Aの上面側に設けられるため、表示装置100のZ方向の厚さを薄くすることができ、薄型化を図った表示装置100を提供することができる。
【0077】
また、以下で図8乃至図11を用いて説明するような構成であってもよい。図8は、表示装置100をCID(センターインフォメーションディスプレイ)として用いる場合の表示及び構成を示す図である。CIDとしての表示装置100は、一例として、車両のダッシュボードの中央、センターコンソール、又は、メータパネル等に配置することができる。CIDとしての表示装置100は、ナビゲーションの画像、音楽や画像等のエンターテインメント系の画像、天気予報やニュース等のインターネットでダウンロード可能な情報を表す画像を表示可能である。
【0078】
図8(A)には、CIDとしての表示装置100において、バックライト120によって照光された液晶パネル110の表示の一例を示す。図8(A)では表示領域110Aにナビゲーションの案内画像が表示されている。図8(B)に示すバックライト120は、図3に示すバックライト120と同一であり、平面視で中央領域110A1の位置と等しい。ここでは、図8(A)~図8(C)におけるバックライト120を同一サイズで示し、図8(B)の導光板121が存在する領域が表示領域110Aの中央領域110A1であり、導光板121よりも外側の領域が周縁領域110A2であるものとして説明する。
【0079】
図8(A)に示すナビゲーションの案内画像は、中央領域110A1内で表示されている。図8(C)は、図8(A)の案内画像を表示する際の輝度を保持して表示領域110Aの全体で黒色を表示した状態を示す。図8(C)では、中央領域110A1を導光板121で照光するとともに、周縁領域110A2内でLED123Aの輝度が導光板121の輝度よりも低く、かつ、LED123Aの輝度よりもLED123Bの輝度が低くなるように照光している。このため、中央領域110A1から外側に向かって段々と暗くなっており、周縁領域110A2において表示のムラを視認し難くすることができる。
【0080】
図9乃至図11は、実施形態の変形例の表示装置100M1乃至100M3を示す図である。図9(A)には、表示装置100M1において、バックライト120M1によって照光された液晶パネル110の表示の一例を示す。表示装置100M1は、図8に示す表示装置100のバックライト120をバックライト120M1に入れ替えた構成を有する。
【0081】
図9(A)では表示領域110Aにメータパネルの画像が表示されている。メータパネルは3連型で一体化されており、中央の速度計が最も大きく、左のタコメータと右のシフトポジションや燃料計等を表す部分との方が小さい。図9(B)に示すバックライト120M1の導光板121M1は、メータパネルの画像に合わせて、-X方向側で-Y方向側の角と+X方向側で-Y方向側の角とを面取りしたような平面視で六角形の形状を有する。
【0082】
バックライト120M1は、図9(B)に示すように複数のLED123を有する。LED123は、導光板121M1が面取りされていない部分の外縁と表示領域110Aの外縁との間では、図2に示すLED123A、123Bと同様に2列に配列され、導光板121M1が面取りされた部分121M1Aと表示領域110Aの外縁との間では、2列以上に配置されている。
【0083】
平面視における導光板121M1が配置される領域は、表示領域110Aのうちの中央領域と等しい。中央領域は六角形である。周縁領域は、表示領域110Aから六角形の周縁領域を除いた部分である。ここでは、図9(A)~図9(C)におけるバックライト120M1を同一サイズで示し、図9(B)の導光板121M1が存在する領域が表示領域110Aの中央領域であり、導光板121M1よりも外側の領域が周縁領域であるものとして説明する。
【0084】
図9(A)に示すメータパネルの画像は、中央領域内で表示されている。図9(C)は、図9(A)のメータパネルの画像を表示する際の輝度を保持して表示領域110Aの全体で黒色を表示した状態を示す。図9(C)では、中央領域を導光板121M1で照光するとともに、周縁領域内の内側にあるLED123の輝度が導光板121M1の輝度よりも低く、かつ、周縁領域の外縁に向かってLED123の輝度が低くなるように照光している。このため、中央領域から外側に向かって段々と暗くなっており、周縁領域において表示のムラを視認し難くすることができる。
【0085】
図10(A)には、表示装置100M2において、バックライト120M2によって照光された液晶パネル110の表示の一例を示す。表示装置100M2は、図9に示す表示装置100M1のバックライト120M1をバックライト120M2に入れ替えた構成を有する。
【0086】
図10(A)では表示領域110Aにメータパネルの画像が表示されている。図10(A)に示すメータパネルの画像では、スピードメータ及びタコメータが2つに分離されて間に間隔が設けられている。図10(B)に示すバックライト120M2の導光板121M2は、メータパネルの画像に合わせて、2つの長方形の角を丸く面取りした形状を有する。2つの導光板121M2は、スピードメータ及びタコメータの形状に合わせてX軸方向に長軸を有し、表示領域110Aの外縁に平行にX方向及びY方向に延在する区間を有する。
【0087】
バックライト120M2は、図10(B)に示すように複数のLED123を有する。LED123は、2つの導光板121M2のX方向及びY方向に延在する区間と表示領域110Aの外縁との間と、2つの導光板121M2同士の間とでは、図2に示すLED123A、123Bと同様に2列に配列されている。また、LED123は、2つの導光板121M2の角が丸く面取りされた部分の外縁と表示領域110Aの外縁との間では、少なくとも2列配列されていればよく、3列以上配置されていてもよい。
【0088】
平面視における2つの導光板121M2が配置される領域は、表示領域110Aのうちの2つの中央領域と等しい。中央領域は長方形の角を丸く面取りした形状を有する。周縁領域は、表示領域110Aから2つの中央領域を除いた部分である。ここでは、図10(A)~図10(C)におけるバックライト120M2を同一サイズで示し、図10(B)の2つの導光板121M2が存在する領域が表示領域110Aのうちの2つの中央領域であり、表示領域110Aから2つの導光板121M2を除いた残りの領域が周縁領域であるものとして説明する。
【0089】
図10(A)に示す2つのメータパネルの画像は、2つの中央領域内で表示されている。図10(C)は、図10(A)の2つのメータパネルの画像を表示する際の輝度を保持して表示領域110Aの全体で黒色を表示した状態を示す。図10(C)では、中央領域を導光板121M2で照光するとともに、周縁領域内の内側にあるLED123の輝度が導光板121M2の輝度よりも低く、かつ、周縁領域の外縁に向かってLED123の輝度が低くなるように照光している。このため、中央領域から外側に向かって段々と暗くなっており、周縁領域において表示のムラを視認し難くすることができる。なお、2つのメータパネルの間に位置するLED123は、2列に配列されるLED123のうちの内側のLED123と同一の輝度に設定すればよい。また、2つのメータパネルの間に3列以上のLED123が設けられる場合には、導光板121M2から2つのメータパネルの間に向かって段階的に暗くなるようにすればよい。
【0090】
図11(A)には、表示装置100M3において、バックライト120、120M1によって照光された2つの液晶パネル110の表示の一例を示す。表示装置100M3は、図8に示す表示装置100を+Y方向側(右側)に配置し、図9に示す表示装置100M1を-Y方向側(左側)に配置した構成を有する。ここでは表示装置100M3が2つの液晶パネル110と2つのバックライト120、120M1を含む形態について説明するが、2つの液晶パネル110の代わりに、2つの液晶パネル110を一体化した1つの液晶パネルを含んでもよい。
【0091】
図11(A)では左側の表示領域110Aにメータパネルの画像が表示されており、右側の表示領域110Aにナビゲーションの案内画像が表示されている。メータパネルは図9(A)に示すものと同一であり、ナビゲーションの案内画像は図8(A)に示す画像と同一である。また、図11(B)に示すように、左側にはバックライト120M1が設けられ、右側にはバックライト120が設けられている。
【0092】
図11(A)に示す左側のメータパネルの画像は、左側の表示領域110Aのうちの中央領域内で表示されており、図11(A)に示す右側のナビゲーションの案内画像は、右側の表示領域110Aのうちの中央領域110A1に表示されている。図11(C)は、図11(A)の左側のメータパネルの画像を表示する際の輝度を保持して左側の表示領域110Aの全体で黒色を表示するとともに、図11(A)の右側のナビゲーションの案内画像を表示する際の輝度を保持して右側の表示領域110Aの全体で黒色を表示した状態を示す。
【0093】
図11(C)では、バックライト120M1で左側の表示領域110Aのうちの中央領域を導光板121M3で照光するとともに、左側の表示領域110Aのうちの周縁領域内の内側にあるLED123の輝度が導光板121M3の輝度よりも低く、かつ、周縁領域の外縁に向かってLED123の輝度が低くなるように照光している。また、図11(C)では、右側の表示領域110Aのうちの中央領域110A1をバックライト120の導光板121で照光するとともに、右側の表示領域110Aのうちの周縁領域110A2内でLED123Aの輝度が導光板121の輝度よりも低く、かつ、LED123Aの輝度よりもLED123Bの輝度が低くなるように照光している。このため、中央領域から外側に向かって段々と暗くなっており、左側の表示領域110Aのうちの周縁領域と、右側の表示領域110Aのうちの周縁領域110A2において表示のムラを視認し難くすることができる。
【0094】
なお、以上では、液晶パネル120等がすべて長方形である形態について説明したが、長方形以外の異型のLCDであっても同様の構成が可能であり、同様に表示のムラを視認し難くすることができる。
【0095】
以上、本発明の例示的な実施形態の表示装置について説明したが、本発明は、具体的に開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0096】
100 表示装置
110 液晶パネル
110A 表示領域
110A1 中央領域
110A2 周縁領域
120 バックライト
121 導光板
122 LED(第1光源)
123A、123B LED(第2光源)
150 ローカルディミング制御部(制御部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11