(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】情報処理装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 8/61 20180101AFI20240820BHJP
G06F 3/12 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
G06F8/61
G06F3/12 303
G06F3/12 331
G06F3/12 387
G06F3/12 330
(21)【出願番号】P 2020023960
(22)【出願日】2020-02-17
【審査請求日】2023-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000039
【氏名又は名称】特許業務法人アイ・ピー・ウィン
(72)【発明者】
【氏名】芳村 智一
(72)【発明者】
【氏名】濱田 奨
【審査官】児玉 崇晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-009472(JP,A)
【文献】特開2018-205990(JP,A)
【文献】特開2006-133825(JP,A)
【文献】特開2015-125539(JP,A)
【文献】特開2017-102969(JP,A)
【文献】特開2013-218361(JP,A)
【文献】特開2018-173998(JP,A)
【文献】特開2006-085611(JP,A)
【文献】特開2003-208276(JP,A)
【文献】特開2019-053687(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/12
G06F 8/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリとプロセッサを備え、
前記メモリは、インストールするソフトウェアの動作に必要な設定を記憶し、
前記プロセッサは、
これから自装置にインストールするソフトウェアが、インストールされた後に動作可能であると判定された場合、当該ソフトウェアが正常に動作するために必要な設定を変更できない状態とするよう制御
し、
インストールするソフトウェアの動作に必要な設定を変更できない状態とするように制御した場合でも、使用者の要望に応じて当該設定の一時的な変更を許可し、
予め設定されたタイミングにおいて、一時的に変更された設定を前記メモリに記憶されている設定に戻すよう制御する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
インストールするソフトウェアの種類に応じて、それぞれ異なる設定を変更できないよう状態とするよう制御する
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
インストールするソフトウェアが、外部のサービスと通信する通信手段を利用して提供するサービスを実現するソフトウェアである場合、少なくとも通信に関する設定を変更できない状態とするよう制御する
請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
インストールするソフトウェアを実行するためには認証手段の利用が必要な場合には、少なくとも認証に関する設定を変更できない状態とするよう制御する
請求項2記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、一時的に変更された設定でのサービスの利用が完了した後に、一時的に変更された設定を前記メモリに記憶されている設定に戻すよう制御する
請求項
1記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記ソフトウェアのインストールが開始される前に、一時的に変更された設定を前記メモリに記憶されている設定に戻すよう制御する
請求項
1記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記ソフトウェアがインストールされ当該ソフトウェアが起動される前に、一時的に変更された設定を前記メモリに記憶されている設定に戻すよう制御する
請求項
1記載の情報処理装置。
【請求項8】
インストールするソフトウェアの動作に必要な設定を記憶するステップと、
これから自装置にインストールするソフトウェアが、インストールされた後に動作可能であると判定された場合、当該ソフトウェアが正常に動作するために必要な設定を変更できない状態とするよう制御するステップ
と、
インストールするソフトウェアの動作に必要な設定を変更できない状態とするように制御した場合でも、使用者の要望に応じて当該設定の一時的な変更を許可するステップと、
予め設定されたタイミングにおいて、一時的に変更された設定を記憶している設定に戻すよう制御するステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、アプリケーションプログラムをインストールする前に、インストール可能などうかを事前に確認し、インストール可能である場合にアプリケーションプログラムのインストールを開始するようにした画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、インストールした場合に動作可能であると判定されたソフトウェアが、実際にインストールされた際に、設定が変更されたことにより動作できなくなる事態の発生を防ぐことが可能な情報処理装置およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[情報処理装置]
請求項1に係る本発明は、メモリとプロセッサを備え、
前記メモリは、インストールするソフトウェアの動作に必要な設定を記憶し、
前記プロセッサは、
これから自装置にインストールするソフトウェアが、インストールされた後に動作可能であると判定された場合、当該ソフトウェアが正常に動作するために必要な設定を変更できない状態とするよう制御し、
インストールするソフトウェアの動作に必要な設定を変更できない状態とするように制御した場合でも、使用者の要望に応じて当該設定の一時的な変更を許可し、
予め設定されたタイミングにおいて、一時的に変更された設定を前記メモリに記憶されている設定に戻すよう制御する、
情報処理装置である。
【0006】
請求項2に係る本発明は、前記プロセッサが、インストールするソフトウェアの種類に応じて、それぞれ異なる設定を変更できないよう状態とするよう制御する請求項1記載の情報処理装置である。
【0007】
請求項3に係る本発明は、前記プロセッサが、インストールするソフトウェアが、外部のサービスと通信する通信手段を利用して提供するサービスを実現するソフトウェアである場合、少なくとも通信に関する設定を変更できない状態とするよう制御する請求項2記載の情報処理装置である。
【0008】
請求項4に係る本発明は、前記プロセッサが、インストールするソフトウェアを実行するためには認証手段の利用が必要な場合には、少なくとも認証に関する設定を変更できない状態とするよう制御する請求項2記載の情報処理装置である。
【0010】
請求項5に係る本発明は、前記プロセッサが、一時的に変更された設定でのサービスの利用が完了した後に、一時的に変更された設定を前記メモリに記憶されている設定に戻すよう制御する請求項1記載の情報処理装置である。
【0011】
請求項6に係る本発明は、前記プロセッサが、前記ソフトウェアのインストールが開始される前に、一時的に変更された設定を前記メモリに記憶されている設定に戻すよう制御する請求項1記載の情報処理装置である。
【0012】
請求項7に係る本発明は、前記プロセッサが、前記ソフトウェアがインストールされ当該ソフトウェアが起動される前に、一時的に変更された設定を前記メモリに記憶されている設定に戻すよう制御する請求項1記載の情報処理装置である。
【0013】
[プログラム]
請求項8に係る本発明は、インストールするソフトウェアの動作に必要な設定を記憶するステップと、
これから自装置にインストールするソフトウェアが、インストールされた後に動作可能であると判定された場合、当該ソフトウェアが正常に動作するために必要な設定を変更できない状態とするよう制御するステップと、
インストールするソフトウェアの動作に必要な設定を変更できない状態とするように制御した場合でも、使用者の要望に応じて当該設定の一時的な変更を許可するステップと、
予め設定されたタイミングにおいて、一時的に変更された設定を記憶している設定に戻すよう制御するステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る本発明によれば、インストールした場合に動作可能であると判定されたソフトウェアが、実際にインストールされた際に、設定が変更されたことにより動作できなくなる事態の発生を防ぐことが可能となる。
また、請求項1に係る本発明によれば、インストールしたソフトウェアの動作に必要なために変更できない状態となった設定であっても、一時的に変更することが可能となる。
【0015】
請求項2に係る本発明によれば、ソフトウェアの種類によって、動作するために必要な設定内容が異なる場合であっても、インストールした場合に動作可能であると判定されたソフトウェアが、実際にインストールされた際に、設定が変更されたことにより動作できなくなる事態の発生を防ぐことが可能となる。
【0016】
請求項3に係る本発明によれば、外部のサービスと通信する通信手段を利用して提供するサービスを実現するソフトウェアをインストール場合であっても、インストールした場合に動作可能であると判定されたソフトウェアが、実際にインストールされた際に、設定が変更されたことにより動作できなくなる事態の発生を防ぐことが可能となる。
【0017】
請求項4に係る本発明によれば、サービスを実行するためには認証手段の利用が必要なソフトウェアをインストール場合であっても、インストールした場合に動作可能であると判定されたソフトウェアが、実際にインストールされた際に、設定が変更されたことにより動作できなくなる事態の発生を防ぐことが可能となる。
【0019】
請求項5に係る本発明によれば、インストールしたソフトウェアの動作に必要なために変更できない状態となった設定が一時的に変更され場合であっても、そのソフトウェアがインストールされた場合に動作できなくなる事態の発生を防ぐことが可能となる。
【0020】
請求項6に係る本発明によれば、インストールしたソフトウェアの動作に必要なために変更できない状態となった設定が一時的に変更され場合であっても、そのソフトウェアのインストールが開始される前に変更された設定を変更前に戻すことが可能となる。
【0021】
請求項7に係る本発明によれば、インストールしたソフトウェアの動作に必要なために変更できない状態となった設定が一時的に変更され場合であっても、そのソフトウェアがインストールされて起動される前に、変更された設定を変更前に戻すことが可能となる。
【0022】
請求項8に係る本発明によれば、インストールした場合に動作可能であると判定されたソフトウェアが、実際にインストールされた際に、設定が変更されたことにより動作できなくなる事態の発生を防ぐことが可能となる。
また、請求項8に係る本発明によれば、インストールしたソフトウェアの動作に必要なために変更できない状態となった設定であっても、一時的に変更することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施形態の画像形成システムのシステム構成を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態における画像形成装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態における画像形成装置10の機能構成を示すブロック図である。
【
図4】本発明の一実施形態の画像形成装置10において、チェックプログラムを用いてインストールしようとするアプリが動作可能な否かを確認する際に、ロック状態となった設定の一時的な変更を許可しない場合の、動作を説明するためのフローチャートである。
【
図5】インストールするアプリの種類に応じた設定条件例を示す図である。
【
図6】あるユーザが認証モードを変更しようとして操作パネル40に表示された認証モードという設定項目を選択した場合の様子を説明するための図である。
【
図7】
図6に示した操作により操作パネル40上に表示される表示内容を説明するための図である。
【
図8】本発明の一実施形態の画像形成装置10において、チェックプログラムを用いてインストールしようとするアプリが動作可能な否かを確認する際に、ロック状態となった設定の一時的な変更を許可する場合の、動作を説明するためのフローチャートである。
【
図9】必要設定管理テーブル記憶部37において記憶される必要設定管理テーブルの一例を示す図である。
【
図10】ロック状態とした設定の一時的な変更を許可する際にユーザに表示する操作画面の一例を示す図である。
【
図11】必要設定管理テーブル記憶部37において一時的な変更が記憶された必要設定管理テーブルの一例を示す図である。
【
図12】一時的に変更されていた設定を元に戻すような変更が行われたことを操作パネル40上においてユーザに通知する場合の表示画面例を示す図である。
【
図13】一時的に変更されていた設定を元に戻すような変更が行われたことを機械管理者に通知する場合の電子メール例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0025】
図1は本発明の一実施形態の画像形成システムの構成を示す図である。
【0026】
本発明の一実施形態の画像形成システムは、
図1に示されるように、ネットワーク30により相互に接続された画像形成装置10、および端末装置20により構成される。端末装置20は、印刷データを生成して、ネットワーク30経由にて生成した印刷データを画像形成装置10に対して送信する。画像形成装置10は、端末装置20から送信された印刷データを受け付けて、印刷データに応じた画像を用紙上に出力する。なお、画像形成装置10は、印刷機能、スキャン機能、コピー機能、ファクシミリ機能等の複数の機能を有するいわゆる複合機と呼ばれる装置である。
【0027】
そして、本実施形態の画像形成装置10には、アプリケーションプログラム(以下、アプリと略す。)というソフトウェアをインストールすることにより各種の機能を追加することができるような構成となっている。
【0028】
しかし、このようなアプリを画像形成装置10にインストールした場合に、常に正常に動作することができるわけではない。インストールしたアプリが正常に動作するためには、このアプリが正常に動作するための稼働条件が満たされている必要がある。具体的には、画像形成装置10の各種設定が、インストールしたアプリが動作するために必要な設定となっている必要がある。
【0029】
そのため、アプリを画像形成装置10にインストールする際に、そのアプリがインストールされた場合に動作可能か否かを事前に確認する場合がある。例えば、カスタマエンジニアと呼ばれるメーカのエンジニアが画像形成装置10に新たなアプリをインストールする場合、そのアプリが正常に動作可能であるか否かを確認するためのチェックプログラムを用いて、機械管理者と呼ばれるユーザがカスタマエンジニアの来訪前に、そのアプリが画像形成装置10において正常に動作可能な否かを事前に確認するような場合がある。
【0030】
このような場合に、インストールされたアプリが動作可能であると判定された場合であっても、その後にアプリが動作するために必要である設定が他のユーザにより変更されると、アプリがインストールされたとしても動作しないという事態が発生してしまう。
【0031】
そこで、本実施形態の画像形成装置10では、下記で説明するような構成とすることにより、インストールした場合に動作可能であると事前に判定されたアプリが、実際にインストールされた際に、設定が変更されたことにより動作できなくなる事態の発生を防ぐようにしている。
【0032】
次に、本実施形態の画像形成システムにおける画像形成装置10のハードウェア構成を
図2に示す。
【0033】
画像形成装置10は、
図2に示されるように、CPU11、メモリ12、ハードディスクドライブ等の記憶装置13、ネットワーク30を介して外部の装置等との間でデータの送信及び受信を行う通信インタフェース(IFと略す。)14、タッチパネル又は液晶ディスプレイ並びにキーボードを含むユーザインタフェース(UIと略す。)装置15、スキャナ16、プリントエンジン17を有する。これらの構成要素は、制御バス18を介して互いに接続されている。
【0034】
プリントエンジン17は、帯電、露光、現像、転写、定着などの工程を経て印刷用紙等の記録媒体上に画像を印刷する。
【0035】
CPU11は、メモリ12または記憶装置13に格納された制御プログラムに基づいて所定の処理を実行して、画像形成装置10の動作を制御するプロセッサである。なお、本実施形態では、CPU11は、メモリ12または記憶装置13内に格納された制御プログラムを読み出して実行するものとして説明するが、当該プログラムをCD-ROM等の記憶媒体に格納してCPU11に提供することも可能である。
【0036】
図3は、上記の制御プログラムが実行されることにより実現される画像形成装置10の機能構成を示すブロック図である。
【0037】
本実施形態の画像形成装置10は、
図3に示されるように、認証部31と、操作入力部32と、表示部33と、データ送受信部34と、制御部35と、設定情報記憶部36と、必要設定管理テーブル記憶部37と、画像出力部38とを備えている。
【0038】
認証部31は、画像形成装置10を使用しようとするユーザの認証処理を実行する。ここで、画像形成装置10を使用するユーザには、一般ユーザと機械管理者という2種類のユーザが存在する。機械管理者は、例えば、画像形成装置10を使用している組織において画像形成装置10の管理を行うために選ばれたユーザであり、一般ユーザが行うことができない設定変更や一般ユーザでは利用できない各種機能を利用可能なように設定されている。そして、画像形成装置10を使用とするユーザが機械管理者であるのか一般ユーザであるのかの判定は認証部31により行われる。
【0039】
データ送受信部34は、端末装置20等の外部の装置との間でデータの送受信を行う。
【0040】
制御部35は、データ送受信部34を介して端末装置20から受信した印刷ジョブに基づいて印刷データを生成して、生成した印刷データを画像出力部38から出力する制御を行う。
【0041】
表示部33は、制御部35により制御され、ユーザに各種情報を表示する。操作入力部32は、ユーザにより行われた各種操作情報を入力する。
【0042】
画像出力部38は、制御部35による制御に基づいて、印刷用紙等の記録媒体上に画像を出力する。
【0043】
ここで、設定情報記憶部36は、画像形成装置10が各種機能を実行する際の設定情報を記憶する。そして、制御部35は、設定情報記憶部36に記憶されている設定情報に基づいて、画像形成装置10の動作を制御する。
【0044】
そして、あるアプリを画像形成装置10にインストールしようとする際に、そのアプリがインストールされた場合に正常に動作可能か否かを確認するために生成されたチェックプログラムを用いた確認が行われる。具体的には、制御部35は、外部から入力されたチェックプログラム等により、あるアプリがインストールされた場合に正常に動作可能か否かを確認する。そして、必要設定管理テーブル記憶部37は、インストールするアプリの動作に必要な設定を記憶する。
【0045】
そして、制御部35は、これから自装置にインストールするアプリが、インストールされた後に動作可能であると判定された場合、そのアプリの動作に必要な設定を変更できないロック状態とするよう制御する。
【0046】
なお、アプリの種類によっては、正常に動作するために必要な設定が異なるため、制御部35は、インストールするアプリの種類に応じて、それぞれ異なる設定を変更できないようロック状態とする。
【0047】
なお、制御部35は、インストールするアプリが、外部のサービスと通信する通信手段を利用して提供するサービスを実現するアプリである場合、少なくとも通信に関する設定を変更できないロック状態とする。
【0048】
また、制御部35は、インストールするアプリを実行するためには認証部31の利用が必要な場合には、少なくとも認証に関する設定を変更できないロック状態とする。
【0049】
なお、例えばアプリの動作のために必要だとしても、ある設定がロック状態となり変更不可能となってしまうと問題が発生する場合がある。例えば、急を要するある業務を実行しなければならないにもかかわらず、ある設定が変更不可能なためにその業務を実行することができないような場合、その業務を実行できなくなってしまう。
【0050】
そのため、制御部35は、インストールするアプリの動作に必要な設定を変更できない状態とするように制御した場合でも、ユーザの要望に応じてロック状態とした設定の一時的な変更を許可するようにしても良い。
【0051】
ただし、このように一時的な変更を許可した場合、変更された設定をそのままとしたのでは、インストールされたアプリが正常に動作することができなくなってしまう。
【0052】
そのため、このように一時的な変更を許可する場合、制御部35は、インストールするアプリの動作に必要な設定を必要設定管理テーブル記憶部37において記憶しておき、予め設定されたタイミングにおいて、一時的に変更された設定を必要設定管理テーブル記憶部37に記憶されている設定に戻すよう制御する。
【0053】
例えば、制御部35は、設定が変更されてから予め設定された時間、例えば1時間が経過した場合に、一時的に変更された設定を必要設定管理テーブル記憶部37に記憶されている設定に戻すよう制御する。
【0054】
また、例えば、制御部35は、一時的に変更された設定でのサービスの利用が完了した後に、一時的に変更された設定を必要設定管理テーブル記憶部37に記憶されている設定に戻すよう制御する。
【0055】
さらに、例えば、制御部35は、アプリのインストールが開始される前に、一時的に変更された設定を必要設定管理テーブル記憶部37に記憶されている設定に戻すよう制御する。または、制御部35は、アプリがインストールされ起動される前に、一時的に変更された設定を必要設定管理テーブル記憶部37に記憶されている設定に戻すよう制御する。
【0056】
次に、本実施形態の画像形成装置10の動作について図面を参照して詳細に説明する。
【0057】
まず、本実施形態の画像形成装置10において、上記で説明したようなチェックプログラムを用いてインストールしようとするアプリが動作可能な否かを確認する際の動作について
図4のフローチャートを参照して説明する。なお、
図4のフローチャートでは、ロック状態となった設定の一時的な変更を許可しない場合の動作について説明する。
【0058】
まず、制御部35は、ステップS101において、インストールしようとするアプリの種類に応じて、そのアプリが動作するために必要な設定条件が画像形成装置10の現在の設定により満たされているか否かを確認する。
【0059】
なお、アプリの種類により、そのアプリが動作するために必要な設定条件が異なっており、このようなアプリの種類に応じた設定条件例を
図5に示す。例えば、「アプリA」という名称のアプリを画像形成装置10において正常に動作させるためには、認証モードが「本体認証」となっていることと、プライベートプリントの有効/無効設定が「有効」となっていることという2つの設定条件が満たされている必要があることが示されている。
【0060】
ここで、「本体認証」とは、画像形成装置10に備えられている認証装置によりユーザの認証を行うような設定である。また、プライベートプリントとは、あるユーザが印刷ジョブを画像形成装置10に送信したとしてもすぐにはプリント処理が実行されず、そのユーザが認証処理を行った後に画像形成装置10の操作パネル上からプリントの指示を行った場合に、その印刷ジョブのプリント処理が実行されるような機能である。
【0061】
つまり、「アプリA」という名称のアプリが正常に動作可能な否かを事前確認する場合には、制御部35は、チェックプログラムに基づいて、認証モードが「本体認証」となっていることと、プライベートプリントの有効/無効設定が「有効」となっていることという2つの設定条件が満たされていることを確認する。
【0062】
そして、制御部35は、ステップS102において、確認結果に基づいてインストールしようとするアプリが自装置で動作可能であるのか否かを判定する。
【0063】
ステップS102においてインストールしようとするアプリが自装置で動作可能ではないと判定された場合、制御部35は、ステップS103において、そのアプリをインストールした場合に動作できない旨を、例えば表示部33上において表示することによりユーザに通知する。
【0064】
そして、ステップS102においてインストールしようとするアプリが自装置で動作可能であると判定された場合、制御部35は、ステップS104において、そのアプリの動作に必要な設定を変更できないロック状態とする。
【0065】
次に、このようにインストールしようとするアプリの動作に必要な設定が変更できないロック状態となった場合の画像形成装置10の動作について
図6、
図7を参照して説明する。
【0066】
こここでは、上記で説明したような認証モードが「本体認証」という設定内容でロック状態となっている場合について説明する。
【0067】
このような状態において、
図6に示すようにあるユーザが認証モードを変更しようとして操作パネル40に表示された認証モードという設定項目を選択した場合、操作パネル40上には
図7に示すような表示が行われる。
【0068】
図7では、操作パネル40上において、「以下の設定はアプリAをインストールするために、変更不可能です。」という表示が行われており、認証モードが「本体設定」から他の設定内容に変更することができないことを示している。
【0069】
次に、ロック状態となった設定の一時的な変更を許可する場合の動作について
図8のフローチャートを参照して説明する。
【0070】
なお、
図8のフローチャートは、
図4に示したフローチャートに対して、ステップS201~S205の処理を追加したものであるため、
図4のフローチャートにおいて説明したステップS101~S104の説明については省略する。
【0071】
図8のフローチャートでは、ステップS104においてアプリの動作に必要な設定を変更できないロック状態とした後に、制御部35は、ステップS201において、インストールするアプリの動作に必要な設定を必要設定管理テーブル記憶部37において記憶する。
【0072】
このようにして必要設定管理テーブル記憶部37において記憶される必要設定管理テーブルの一例を
図9に示す。
図9を参照すると、アプリ名が「アプリA」というアプリについては、動作するために必要な設定として、認証モードが「本体認証」となっていることと、プライベートプリントの有効/無効設定が「有効」となっていることであることが必要設定管理テーブルに記憶されている。
【0073】
また、
図9を参照すると、アプリ名が「アプリB」というアプリについては、動作するために必要な設定として、プロキシサーバが設定されていることと、サーバ証明書検証の有効/無効設定が「有効」となっていることであることが必要設定管理テーブルに記憶されている。
【0074】
そして、制御部35は、ステップS202において、このようにロック状態となっている設定の一時的な変更要求がユーザから行われた場合、ステップS203において、ロック状態とした設定についても一時的な変更を許可する。
【0075】
例えば、ロック状態とした設定の一時的な変更要求がユーザから行われた場合に、ロック状態とした設定の一時的な変更を許可する際にユーザに表示する操作画面の一例を
図10に示す。
【0076】
ここでは、あるユーザが、サーバ証明書が正しく設定されていない旧サービスに一時的に接続するために、サーバ証明書の検証の有効/無効設定を一時的に「無効」に変更したい場合について説明する。
【0077】
図10に示した操作画面例では、操作パネル40上に、「以下の設定はアプリBをインストールするために必要です。一時的な変更は可能ですが、変更した場合には1時間後に設定を強制的に戻します。」という文字が表示され、サーバ証明書の検証設定に対して設定変更が行われた場合、一時的に許可するが1時間後には強制的に元に戻す旨がユーザに通知されているのが分かる。
【0078】
ここでは、
図10に示した通知を確認したユーザが、サーバ証明書の検証の有効/無効設定を一時的に「無効」に変更した場合について説明する。
【0079】
このような設定の変更が行われた場合、制御部35は、一時的な変更が行われたことを必要設定管理テーブル記憶部37において記憶する。このようにして必要設定管理テーブル記憶部37において一時的な変更が記憶された必要設定管理テーブルの一例を
図11に示す。
【0080】
図11を参照すると、ユーザがサーバ証明書の有効/無効設定を「無効」に変更したことにより、アプリBの動作に必要な設定であるサーバ証明書の有効/無効設定が一時的に変更された状態であることが記憶されているのが分かる。なお、
図11では、一時的に変更された設定を1時間経過後に強制的に元の状態に戻すために、変更時刻の状態も合わせて記憶されているのが分かる。
【0081】
そして、ステップS204において、ユーザによる一時的な変更が行われてから予め設定された時間である1時間が経過した場合、または設定を変更にしたサービスのユーザによる利用が完了した場合、制御部35は、ステップS205において、必要設定管理テーブル記憶部37に記憶していた設定内容に基づいて、アプリの動作に必要な設定を再設定する。
【0082】
具体的には、制御部35は、設定情報記憶部36に記憶されている設定情報におけるサーバ証明書の有効/無効設定を「無効」から「有効」に戻すような処理を実行する。
【0083】
なお、一時的な変更が行われた設定を元に戻す再設定が行われるタイミングとしては、変更が行われてから予め設定時間が経過したタイミングや、ユーザによるサービスの利用が完了したタイミングだけでなく、このアプリが画像形成装置10にインストールされる際や、インストールされたアプリが起動される前のタイミング等でもよい。つまり、インストールされたアプリが起動されて動作を行う前であればどのようなタイミングであっても良い。
【0084】
そして、制御部35は、例えば
図12に示すような表示を操作パネル40上において行うことにより、一時的に変更されていた設定を元に戻すような変更が行われたことをユーザに通知する。
【0085】
なお、ユーザがかならずしもこの操作パネル40を見ているとも限らないため、制御部35は、例えば、
図13に示すような電子メールを、予め登録されていた機械管理者の宛先に送信するようにしても良い。
【0086】
さらに、設定の変更を行ったユーザに対して、
図13に示したような電子メールを送信するようにしても良い。ただし、この場合には、
図11に示した必要設定管理テーブルにおいて、設定の一時的な変更が行われた変更時刻の情報とともに、変更を行ったユーザのユーザ情報またはそのユーザの宛先情報を記憶しておく必要がある。
【0087】
上記各実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス等)を含むものである。
【0088】
また上記各実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0089】
[変形例]
上記実施形態では、画像形成装置にアプリをインストールする場合を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、画像形成装置以外のパーソナルコンピュータ、スマートフォン等の情報処理装置にアプリをインストールする場合でも同様に本発明を適用することができるものである。
【符号の説明】
【0090】
10 画像形成装置
11 CPU
12 メモリ
13 記憶装置
14 通信インタフェース
15 ユーザインタフェース装置
16 スキャナ
17 プリントエンジン
18 制御バス
20 端末装置
30 ネットワーク
31 認証部
32 操作入力部
33 表示部
34 データ送受信部
35 制御部
36 設定情報記憶部
37 必要設定管理テーブル記憶部
38 画像出力部
40 操作パネル