(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】送信装置、受信装置、送信方法、および、受信方法
(51)【国際特許分類】
H04L 1/00 20060101AFI20240820BHJP
H03M 13/29 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
H04L1/00 B
H03M13/29
(21)【出願番号】P 2020038839
(22)【出願日】2020-03-06
【審査請求日】2023-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100181135
【氏名又は名称】橋本 隆史
(72)【発明者】
【氏名】新井 雅裕
【審査官】川口 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-202070(JP,A)
【文献】米国特許第04261054(US,A)
【文献】特開2011-182419(JP,A)
【文献】国際公開第1993/021709(WO,A1)
【文献】特表平06-511371(JP,A)
【文献】特開2008-048111(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0182424(US,A1)
【文献】国際公開第1998/059451(WO,A1)
【文献】米国特許第06744746(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 1/00
H03M 13/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信単位のデータを変換するための変換法則で、低速データのnビットのビット列にそれぞれ対応する2のn乗個の前記変換法則であって、かつ、前記2のn乗個の変換法則がそれぞれ異なる前記変換法則を備え、エラー訂正の処理単位となる高速データに該高速データのエラー訂正符号が含まれた送信単位のデータを、前記低速データのnビットのビット列に対応する前記変換法則に基づき変換して送信データを生成する変換器
を備え、
前記送信データの送信開始前に前記高速データと前記低速データの送信レートに関連する
前記高速データと前記低速データの送信ルールを受信装置と交換する、
送信装置。
【請求項2】
前記変換器において、前記nビットは1ビットであり、前記変換法則として前記1ビットのビット値に対応する2個の変換法則を備える
請求項1に記載の送信装置。
【請求項3】
前記変換器において、前記2個の変換法則の一方は前記送信単位のデータの全ビット反転であり、前記2個の変換法則の他方は前記送信単位のデータの全ビット非反転である、
請求項2に記載の送信装置。
【請求項4】
エラー訂正の処理単位となる高速データに該高速データのエラー訂正符号が含まれた送信単位のデータを生成するエラー訂正符号化器をさらに備え、
前記変換器は、前記エラー訂正符号化器により生成された前記送信単位のデータより前記送信データを生成する
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の送信装置。
【請求項5】
請求項1に記載の送信装置より送信されたデータを受信する受信装置であって、
前記送信装置の2のn乗個の変換法則にそれぞれ対応して逆変換をするための2のn乗個の逆変換法則のそれぞれに基づいて受信データを逆変換し、2のn乗個の逆変換データを出力する逆変換器と、
前記2のn乗個の逆変換データのそれぞれを、前記送信装置で用いられたエラー訂正方法に対応したエラー訂正処理を行
い、エラー訂正処理後の2のn乗個のエラー訂正データを出力するとともに、2のn乗個のエラー訂正に関する結果を出力するエラー訂正器と、
前記2のn乗個のエラー訂正に関する結果から、エラー訂正処理可能であった前記逆変換データに対応する逆変換法則を特定し、前記送信装置における低速データのnビットのビット列にそれぞれ対応した2のn乗個の変換法則に対する逆変換法則の対応関係に基づいて、前記特定した逆変換法則に対応する前記nビットのビット列を低速データとして出力する判定器と、
前記2のn乗個のエラー訂正データより、前記判定器で特定された逆変換法則にてエラー訂正処理されたエラー訂正データを高速データとして出力する選択器と、
を備え、
前記送信されたデータの受信開始前に前記高速データと前記低速データの送信レートに関連する
前記高速データと前記低速データの送信ルールを送信装置と交換する、
受信装置。
【請求項6】
請求項2に記載の送信装置より送信されたデータを受信する受信装置であって、
前記送信装置の2個の変換法則にそれぞれ対応して逆変換をするための2個の逆変換法則のそれぞれに基づいて受信データを逆変換し、2個の逆変換データを出力する逆変換器と、
前記2個の逆変換データのそれぞれを、前記送信装置で用いられたエラー訂正方法に対応したエラー訂正処理を行い、エラー訂正処理後の2個のエラー訂正データを出力するとともに、2個のエラー訂正に関する結果を出力するエラー訂正器と、
前記2個のエラー訂正に関する結果から、エラー訂正処理が可能であった前記逆変換データに対応する逆変換法則を特定し、前記送信装置における低速データの1ビットのビット値にそれぞれ対応した2個の変換法則に対する逆変換法則の対応関係に基づき、前記特定した逆変換法則に対応するビット値を低速データとして出力する判定器と、
前記2個のエラー訂正データより、前記判定器で特定された逆変換法則にてエラー訂正処理されたエラー訂正データを高速データとして出力する選択器と、
を備える受信装置。
【請求項7】
請求項3に記載の送信装置より送信されたデータを受信する受信装置であって、
受信データの全ビット反転を行う逆変換器と、
前記受信データ、および、前記全ビット反転を行った受信データに対して、前記送信装置で用いられたエラー訂正方法に対応したエラー訂正処理を行い、エラー訂正処理後の2個のエラー訂正データを出力するとともに、2個のエラー訂正に関する結果を出力するエラー訂正器と、
前記2個のエラー訂正に関する結果から、エラー訂正のない、もしくは、エラー訂正可能であった前記エラー訂正データを特定し、前記送信装置における低速データの1ビットのビット値に対応した全ビット反転、全ビット非反転の2つの変換法則に対する逆変換法則の対応関係に基づき、前記特定したエラー訂正データの前記逆変換法則に対応するビット値を低速データとして出力する判定器と、
前記2個のエラー訂正データより、前記判定器で特定されたエラー訂正データを高速データとして出力する選択器と、
を備える受信装置。
【請求項8】
送信単位のデータを変換するための変換法則で、低速データのnビットのビット列にそれぞれ対応する2のn乗個の前記変換法則であって、かつ、前記2のn乗個の変換法則がそれぞれ異なる前記変換法則を備え、
エラー訂正の処理単位となる高速データに該高速データのエラー訂正符号が含まれた送信単位のデータを、前記低速データのnビットのビット列に対応する前記変換法則に基づき変換して送信データを生成する
送信方法であって、
前記送信データの送信開始前に前記高速データと前記低速データの送信レートに関連する
前記高速データと前記低速データの送信ルールを受信装置と交換する、
送信方法。
【請求項9】
請求項8に記載の送信方法より送信されたデータを受信する受信方法であって、
前記送信方法の2のn乗個の変換法則にそれぞれ対応して逆変換をするための2のn乗個の逆変換法則のそれぞれに基づいて受信データを逆変換し、2のn乗個の逆変換データを出力し、
前記2のn乗個の逆変換データのそれぞれを、前記送信方法で用いられたエラー訂正方法に対応したエラー訂正処理を行
い、エラー訂正処理後の2のn乗個のエラー訂正データを出力するとともに、2のn乗個のエラー訂正に関する結果を出力し、
前記2のn乗個のエラー訂正に関する結果から、エラー訂正処理可能であった前記逆変換データに対応する逆変換法則を特定し、前記送信方法における低速データのnビットのビット列にそれぞれ対応した2のn乗個の変換法則に対する逆変換法則の対応関係に基づいて、前記特定した逆変換法則に対応する前記nビットのビット列を低速データとして出力し、
前記2のn乗個のエラー訂正データより、前記特定された逆変換法則にてエラー訂正処理されたエラー訂正データを高速データとして出力する、
受信方法であって、
前記送信されたデータの受信開始前に前記高速データと前記低速データの送信レートに関連する
前記高速データと前記低速データの送信ルールを送信装置と交換する、
受信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信装置、受信装置、送信方法、および、受信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
装置間の通信において、性質の異なる情報、例えば、他装置に送る実データと、装置の状態情報に関するデータ、を1つの伝送媒体にて送る必要が生じる場合がある。このような場合、通常、実データの送信量と状態情報のデータの送信量には大きな違いがあることが一般的である。そのため、実データの送信においては高速での送信速度が必要になる一方、状態情報に関するデータ送信では実データでの送信速度に比べ低速での送信速度で十分なことがある。
【0003】
このような異なる性質の2つの情報をデータ量の多い高速データ、データ量の少ない低速データとして送信する方法として、高速データの伝送媒体を使って、装置の状態情報を示す低速データを伝送する方法である。この場合、装置の状態情報を伝送する時は、本来伝送するデータと装置の状態情報とを時分割して伝送する。この送信方法では、装置の状態情報を伝送するための専用の伝送媒体は必要ないが、装置の状態情報を時分割にてデータの伝送媒体を使って伝送するため、本来伝送するデータのデータ伝送効率が悪化する。
【0004】
特許文献1は、1ビットの信号を2ビットに変換して送信するCMI(Code Mark Inversion)符号の伝送を利用した低速データの送信方法を開示する。すなわち、特許文献1は、1ビットを2ビットに変化する方法を、低速データのビット値に応じてオリジナルのCMIから変更して送信することで、高速データに低速データを重畳して送信する方法を開示する。また、特許文献1は、その変更規則を受信側で識別して低速データを復元することを開示する。
【0005】
特許文献2は、64ビット幅のデータが互いに同時に変化したビットの数が所定の閾値を超えた場合、データをビット毎の極性を反転させて出力し、それ以外の場合、極性を反転させずに出力することを開示する。また、特許文献2は、出力されたデータと、変化したビットの数が閾値を超えたかどうかを示す反転指示信号とエラー訂正符号を送信することを開示する。さらに、特許文献2には、エラー符号訂正が行われた反転指示信号が変化したビットの数が閾値を超えたことを示す場合、エラー符号訂正が行われたデータをビット毎の極性を反転させて出力し、それ以外の場合、エラー符号訂正が行われたデータを出力することを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平4-252633号公報
【文献】特開2012-100210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献2の反転指示信号は、64ビット幅のデータの極性反転に関する情報であり、前述の高速データに対する低速データという関係ではない。特許文献1に開示の送信方法では、前述の高速データに対して低速データを重畳して送信しようとするものであるが、データ伝送時にエラーが発生した場合、本来のCMIで符号化したデータも、低速データも復元できなくなってしまう問題がある。
そこでこの発明は、上記課題を解決する送信装置、受信装置、送信方法、および、受信方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、送信装置は、送信単位のデータを変換するための変換法則で、低速データのnビットのビット列にそれぞれ対応する2のn乗個の前記変換法則であって、かつ、前記2のn乗個の変換法則がそれぞれ異なる前記変換法則を備え、エラー訂正の処理単位となる高速データに該高速データのエラー訂正符号が含まれた送信単位のデータを、前記低速データのnビットのビット列に対応する前記変換法則に基づき変換して送信データを生成する変換器を備える。
【0009】
本発明の第2の態様によれば、第1の態様に記載の送信装置より送信されたデータを受信する受信装置は、前記送信装置の2のn乗個の変換法則にそれぞれ対応して逆変換をするための2のn乗個の逆変換法則のそれぞれに基づいて受信データを逆変換し、2のn乗個の逆変換データを出力する逆変換器と、前記2のn乗個の逆変換データのそれぞれを、前記送信装置で用いられたエラー訂正方法に対応したエラー訂正処理を行いて、エラー訂正処理後の2のn乗個のエラー訂正データを出力するとともに、2のn乗個のエラー訂正に関する結果を出力するエラー訂正器と、前記2のn乗個のエラー訂正に関する結果から、エラー訂正処理可能であった前記逆変換データに対応する逆変換法則を特定し、前記送信装置における低速データのnビットのビット列にそれぞれ対応した2のn乗個の変換法則に対する逆変換法則の対応関係に基づいて、前記特定した逆変換法則に対応する前記nビットのビット列を低速データとして出力する判定器と、前記2のn乗個のエラー訂正データより、前記判定器で特定された逆変換法則にてエラー訂正処理されたエラー訂正データを高速データとして出力する選択器と、を備える。
【0010】
本発明の第3の態様によれば、送信方法は、送信単位のデータを変換するための変換法則で、低速データのnビットのビット列にそれぞれ対応する2のn乗個の前記変換法則であって、かつ、前記2のn乗個の変換法則がそれぞれ異なる前記変換法則を備え、エラー訂正の処理単位となる高速データに該高速データのエラー訂正符号が含まれた送信単位のデータを、前記低速データのnビットのビット列に対応する前記変換法則に基づき変換して送信データを生成する。
【0011】
本発明の第4の態様によれば、第3の態様に記載の送信方法より送信されたデータを受信する受信方法であって、前記送信方法の2のn乗個の変換法則にそれぞれ対応して逆変換をするための2のn乗個の逆変換法則のそれぞれに基づいて受信データを逆変換し、2のn乗個の逆変換データを出力し、前記2のn乗個の逆変換データのそれぞれを、前記送信方法で用いられたエラー訂正方法に対応したエラー訂正処理を行いて、エラー訂正処理後の2のn乗個のエラー訂正データを出力するとともに、2のn乗個のエラー訂正に関する結果を出力し、前記2のn乗個のエラー訂正に関する結果から、エラー訂正処理可能であった前記逆変換データに対応する逆変換法則を特定し、前記送信方法における低速データのnビットのビット列にそれぞれ対応した2のn乗個の変換法則に対する逆変換法則の対応関係に基づいて、前記特定した逆変換法則に対応する前記nビットのビット列を低速データとして出力し、前記2のn乗個のエラー訂正データより、前記判定により特定された逆変換法則にてエラー訂正処理されたエラー訂正データを高速データとして出力する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、送信時において、エラー訂正の処理単位となる高速データに高速データのエラー訂正符号が含まれた送信単位のデータを、低速データのnビットのビット列に対応する変換法則に基づき変換して送信データを生成する。また、受信時には、2のn乗個のエラー訂正データの処理結果に基づき2のn乗個の逆変換法則のいずれか特定し、特定した逆変換法則に対応するnビットのビット列を低速データとして出力する。また、受信時に特定された逆変換法則にてエラー訂正処理されたエラー訂正データを高速データとして出力する。これにより、高速データの送信に影響を与えないで低速データを送信する際にエラーの検出ができ、かつ、データ伝送時にエラーが発生した場合でもエラー訂正ができる範囲にて高速データも低速データも復元できる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態による送信装置の構成の概要を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態による受信装置の構成の概要を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態による送信装置の動作を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態による送信装置による送信データの処理の一例を示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態による受信装置の動作を示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態による受信装置による受信データの処理の一例を示す図である。
【
図7】本発明の他の実施形態による送信装置の構成の概要を示す図である。
【
図8】本発明の他の実施形態による送信装置の動作を示す図である。
【
図9】本発明の他の実施形態による受信装置の構成の概要を示す図である。
【
図10】本発明の他の実施形態による受信装置の動作を示す図である。
【
図11】本発明の一実施形態による送信装置、受信装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図12】本発明の一実施形態による送信装置の最小構成図を示す図である。
【
図13】本発明の一実施形態による受信装置の最小構成図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態による送信装置、受信装置を図面を参照して説明する。
図1は、送信装置1の構成の概要を示す図である。以下において、本来、高速で伝送するデータを高速データとし、高速データよりも低速で伝送するデータを低速データとする。
【0015】
図1において、送信装置1は、高速データ、低速データの入力を受け、データの変換処理を行い、送信データを生成して送信する。送信装置1は、エラー訂正符号化器11、変換器12を備える。
【0016】
エラー訂正符号化器11は、高速データの入力を受け、入力された高速データに対して、エラー訂正の処理単位毎にエラー訂正のためのエラー訂正符号(ECC:Error Correction Code)を生成する。また、エラー訂正符号化器11は、エラー訂正の処理単位となる高速データにエラー訂正符号を加えた送信単位データを出力する。
【0017】
変換器12は、エラー訂正符号化器11からの送信単位データの入力を受けるとともに、低速データの入力を受ける。また、変換器12は、送信単位データを低速データに即して符号化し、送信データを生成する。送信装置1は、生成された送信データを出力する。
【0018】
図2は、受信装置2の構成の概要を示す図である。受信データを入力し、処理することで、送信装置1からの高速データ、低速データの再構成をして出力する。受信装置2は、逆変換器21、エラー訂正器22、判定器23、選択器24を備える。
【0019】
逆変換器21は、送信データの入力を受け、送信装置1の変換器12で行われた変換処理に対する逆変換処理を行い、変換処理後のデータを出力する。
【0020】
エラー訂正器22は、エラー訂正器0・22-0、エラー訂正器1・22-1を備える。エラー訂正器0・22-0とエラー訂正器1・22-1とは同じ機能を備える。エラー訂正器0・22-0とエラー訂正器1・22-1は、入力されたデータよりエラー訂正符号を削除するとともに、エラー訂正符号を用いたエラー検出、エラー訂正処理を行い、処理後のデータを出力する。また、エラー訂正器0・22-0とエラー訂正器1・22-1は、エラー検出・訂正可能、エラー検出・訂正不可能、といったエラー訂正処理に関する結果も出力する。エラー訂正器0・22-0は、受信データに対してエラー訂正処理を行なう。一方、エラー訂正器1・22-1は、逆変換器21からの出力データに対してエラー訂正処理を行なう。
【0021】
判定器23は、エラー訂正器0・22-0とエラー訂正器1・22-1からのエラー訂正処理に関する結果を入力する。そして、判定器23は、エラー訂正に関する結果から低速データのビット値が“0”か、“1”か、を決定して低速データとして出力する。また、判定器23は、判定結果を選択器24に出力する。
【0022】
選択器24は、判定器23による判定結果に基づき、エラー訂正器0・22-0とエラー訂正器1・22-1とのいずれか一方からの出力を高速データとして出力する。
【0023】
送信装置1の動作について図を用いてより具体的に説明する。
図3は、送信装置1の動作を示す図である。
図3を用いた説明において、
図4に示す送信装置1によるデータの処理の一例を示しつつ説明する。
【0024】
処理されるデータの一例として、
図4に示すように、高速データの構成は、データをB0からB7の8バイトとし、この8バイトをエラー訂正の処理単位とする。
エラー訂正符号は、1バイトエラー訂正2バイトエラー検出とし、エラー訂正のためのエラー訂正符号は、C0からC2の3バイトとする。
また、送信装置1の変換器12は、低速データとして“0”を送信する時は、エラー訂正符号化器11からの出力の全ビットを非反転したデータを送信データとして出力する。また、変換器12は、低速データとして“1”を送信する時は、エラー訂正符号化器11からの出力の全ビットを非反転したデータを送信データとして出力する。
なお、
図4において、送信データとして記した(B0、B1、B2、・・・B7、C0、C1、C2)は非反転、
【0025】
【0026】
は反転を示す。
【0027】
送信装置1に高速データ、低速データが入力されるとことにより、送信装置1は処理を開始する。
【0028】
エラー訂正符号化器11は、訂正符号化の処理単位となる高速データの入力を受け、エラー訂正符号則となるエラー訂正、エラー検出に従い、エラー訂正符号を生成する。また、エラー訂正符号化器11は、処理単位となる高速データに対してエラー訂正符号を付加して、送信単位のデータとして出力する(ステップS11)。エラー訂正符号化器11からの送信単位のデータは、変換器12に対して出力される。
【0029】
図4の例では、エラー訂正符号化器11は、訂正符号化の処理単位となる8バイトの高速データ(B0、B1、B2、・・・、B7)の入力を受ける。エラー訂正符号化器11は、入力される高速データに対して、エラー訂正符号則となる1バイトエラー訂正2バイトエラー検出に従い、3バイトのエラー訂正符号(C0、C1、C2)を生成する。また、エラー訂正符号化器11は、8バイトの高速データに対して3バイトのエラー訂正符号を付加して、11バイトのデータを送信単位のデータ(B0、B1、B2、・・・、B7、C0,C1,C2)として出力する。
【0030】
変換器12は、送信する低速データの入力を受け、入力される低速データのビット値が“1”であるか否かを判断する(ステップS12)。
【0031】
変換器12は、低速データのビット値が“1”の場合(ステップS12:YES)、エラー訂正符号化器11からの送信単位のデータの全ビットを反転する(ステップS13)。また、変換器12は、全ビットが反転された送信単位のデータを、送信データとして生成する。送信装置1は、生成された送信データを送信する(ステップS14)。
【0032】
一方、低速データのビット値が“1”でない場合(ステップS12:NO)、変換器12は、エラー訂正符号化器11からの送信単位のデータをそのまま、送信データとして生成する。そして、送信装置1は、変換器12にて生成された送信データを送信する(ステップS14)。すなわち、変換器12は、エラー訂正符号化器11からの送信単位のデータに対する処理は行わず(全ビット非反転)、エラー訂正符号化器11からの送信単位のデータをそのまま、送信データとする。
【0033】
図4の例では、低速データのビット値が“1”の場合には、
【0034】
【0035】
の11バイトの反転されたデータが送信装置1より送信データとして出力される。
【0036】
また、低速データのビット値が“1”でない場合には、(B0、B1、B2、・・・、B7、C0,C1,C2)の11バイトの非反転のデータが送信装置1より送信データとして出力される。
【0037】
送信装置1は、更に送信すべきデータがあるか判断を行い、送信すべきデータがある場合(ステップS15:YES)、ステップS11に戻る。 一方、送信装置1は、送信すべきデータがない場合(ステップS15:NO)、送信処理を終了する。
【0038】
以上、説明したように、送信装置1では、低速データとしてビット“0”を送信する時は、送信単位データを非反転で、低速データとしてビット“1”を送信する時は、送信単位データを反転して送信する。受信側では、受信したデータが、非反転か、反転かを識別することによって、低速データを検出することができる。
【0039】
なお、
図4の例では、送信装置1は、高速データ8バイトに対して、低速データ1ビットが送信可能となる。送信データの送信速度に対して、低速データの送信速度がさらに遅くてもよい場合、予め決められた送信ルールに従い、訂正符号化の処理単位となる高速データの変換処理を行ってもよい。例えば、予め決められた送信ルールの一例として、低速データの送信ビットの変化があるまで、同じビット値の状態で、訂正符号化の処理単位となる高速データの変換処理を行ってもよい。この場合、送信装置1、受信装置2は、データの送受信開始前に、高速データと低速データの送信レート、あるいは、高速データと低速データの送信レートの比に関する情報など、高速データと低速データの送信ルールの交換を行ってもよい。
【0040】
予め決められた送信ルールの一例として、低速データの送信ビットの変化があるまで、同じビット値の状態で、訂正符号化の処理単位となる高速データの変換処理を行う場合、一例としては以下のようになる。高速データが8バイトで高速データ16バイトの処理の間に、低速データ1ビットを送信する際、訂正符号化の処理単位となる高速データ8バイトを2度処理する間、低速データ1ビットの値が同じとして、変換器12で処理を行うようにする。
【0041】
次に、受信装置2の動作について図を用いてより具体的に説明する。
図5は、受信装置2の動作を示す図である。
図5を用いた説明において、
図6に示す受信装置2によるデータの処理の一例を示しつつ説明する。
図6における例では、
図4同様、エラー訂正の処理単位となる高速データが8バイトでエラー訂正のための符号が3バイトであるものとする。また、
図6の例では、送信装置1からのデータは、11バイト(8バイト+3バイト)単位の送信データとして処理される。また、
図6では、送信装置から11バイト単位の送信データが時刻t
0~t
11まで送られる例とする。
【0042】
受信装置2は、送信装置1からのデータの受信により処理を開始する。
【0043】
受信装置2は、受信データを2系統に分岐する。受信装置2は、第1の系統の受信データは低速データのビット値が“0”であることを期待した処理を、第2の系統の受信データは低速データのビット値が“1”であることを期待した処理をおこなう。すなわち、第2の系統の受信データは逆変換器21に入力され、逆変換器21は、入力された受信データの全ビットを反転する処理を行い、逆変換データとして出力する(ステップS21)。
【0044】
第1の系統の受信データは、低速データのビット値が“0”を期待した系統である。低速データのビット値が“0”の時は、高速データを非反転で送信しているので、受信装置2は、受信データを非反転、つまり、受信データをそのままエラー訂正器0・22-0に入力する。エラー訂正器0・22-0は、受信データに含まれるエラー訂正符号に相当するデータを利用してエラーがあるかどうかを確認するとともに、エラー訂正可能であればエラー訂正をおこなう(ステップS22)。
【0045】
図6において、11バイトの受信データから3バイトのエラー訂正符号を利用したエラー訂正処理を行い、エラー訂正符号を外して、残りの8バイトのデータをエラー訂正データとして出力する。
図6の例では、エラー訂正器0・22-0(ECC0)から出力される8バイトのデータを(D0、D1、D2、・・・D6、D7)として示している。
【0046】
エラー訂正器0・22-0は、エラー訂正データを選択器24に出力する。また、エラー訂正器0・22-0は、訂正可能であったか、訂正不可能であったかを示すエラー情報を判定器23に出力する。なお、「訂正可能」とは、エラー訂正符号を用いることによりエラー訂正不要でることを確認した場合と訂正可能でエラー訂正をした場合を含む。「訂正不可能」とはエラー訂正符号を用いることによるエラー訂正ができない場合を言う。
【0047】
逆変換器21からの出力される逆変換データは、エラー訂正器1・22-1に入力される。エラー訂正器1・22-1は、逆変換データに含まれるエラー訂正符号に相当するデータを利用してエラーがあるかどうかを確認するとともに、エラー訂正可能であればエラー訂正をおこなう(ステップS23)。
【0048】
図6において、11バイトの逆変換データから3バイトのエラー訂正符号を利用したエラー訂正処理を行い、エラー訂正符号を外して、残りの8バイトのデータをエラー訂正データとして出力する。
図6の例では、エラー訂正器1・22-1(ECC1)から出力される8バイトのデータを(E0、E1、E2、・・・E6、E7)として示している。
【0049】
また、エラー訂正器1・22-1は、エラー訂正データを選択器24に出力する。また、エラー訂正器1・22-1は、訂正可能であったか、訂正不可能であったかを示すエラー情報を判定器23に出力する。
【0050】
判定器23は、エラー訂正器0・22-0およびエラー訂正器1・22-1からのエラー情報を基に、訂正可能なエラーが発生していない側がどちらのエラー訂正器を特定し、訂正可能な側のエラー訂正器を示す情報を選択器24路に出力する。また、判定器23は、特定結果に基づき、低速データのビット値を出力する(ステップS24)。すなわち、判定器23は、エラー訂正器0・22-0が訂正可能であったならば、低速データのビット値として“0”を、エラー訂正器1・22-1が訂正可能であったならば、低速データのビット値として“1”を出力する。
【0051】
図6の例では、エラー訂正器0・22-0(ECC0)からのエラー訂正データにおいて、エラー訂正できなかった8バイトのエラー訂正データを黒く示している。また、エラーなしあるいはエラーの検出がされたが訂正できた場合の8バイトのエラー訂正データを白く示している。
同様に、エラー訂正器1・22-1(ECC1)からのエラー訂正データにおいて、エラー訂正できなかった8バイトのエラー訂正データを黒く示している。また、エラーなしあるいはエラーの検出がされたが訂正できた場合の8バイトのエラー訂正データを白く示している。
【0052】
図6の時刻t0,t1では、エラー訂正器0・22-0においてエラー訂正可能であったことから、判定器23は、時刻t0,t1において、低速データのビット値として、それぞれ“0”を出力する。時刻t2からt6では、エラー訂正器1・22-1においてエラー訂正可能であったことから、判定器23は、時刻。時刻t2からt6において、低速データのビット値として、それぞれ“1”を出力する。また、時刻t7からt11では、エラー訂正器0・22-0においてエラー訂正可能であったことから、判定器23は、時刻t7からt11において、低速データのビット値として、それぞれ“0”を出力する。
【0053】
選択器24は、判定器からの訂正可能なエラーの発生状況の情報から、訂正可能であった側のエラー訂正器からの入力を、高速データとして出力する(ステップS25)。
【0054】
受信装置2は、更なるデータの受信があるか判断し(ステップS26)、データの受信がない場合(ステップS26:NO)、処理を終了する。一方、受信装置2は、データの受信がある場合(ステップS26:YES)、次の受信データの処理のために、ステップS21に戻る。
【0055】
以上のようにして、受信装置2は、高速データ、および、低速データの出力を行う。
【0056】
なお、
図6では、送信装置1は、高速データ8バイトに対して、低速データ1ビットを送信する場合における受信装置2の動作を例として説明した。送信データの送信速度に対して、低速データの送信速度がさらに遅くてもよい場合、予め決められた送信ルールに従い、受信装置2の判定器23は、低速データのビット出力を行ってもよい。この場合、送信装置1、受信装置2は、データの送受信開始前に、高速データと低速データの送信レート、あるいは、高速データと低速データの送信レートの比に関する情報などの送信ルールの交換を行なってもよい。
【0057】
図6では、伝送においてエラーが発生しない、あるいは、伝送でエラーがあってもエラー訂正の能力範囲、つまり、1バイトエラーである場合における受信装置2の動作として説明を行った。
【0058】
伝送で2バイト以上のエラーが発生した場合、何れのエラー訂正器においても訂正不可能なエラーになる。この場合、判定器23は、何れかの側のデータを高速データとして出力するような情報を選択器24に出力して、高速データを得るようにする。また、判定器23は、低速データも何れかのデータを出力する。受信装置2から出力される高速データおよび低速データは、誤ったデータであるが、これは、低速データを伝送したから発生したものでなく、発生すべくして発生したエラー訂正器の訂正能力を超えるエラーである。このようなエラーは、受信装置2に含まれる図示しない後段の回路にて、再送依頼の処理等、通常の受信装置におけるエラーデータの処理を行い得る。
【0059】
図1、
図2に示す、送信装置1、受信装置2において、低速データのビット値が“0”の時は送信データの全ビットが非反転で、ビット値が“1”の時は送信データの全ビットが反転されるものとして説明した。これに限定されるものではなく、例えば、低速データのビット値が“0”の時は送信データの全ビットが反転で、ビット値が“1”の時は送信データの全ビットが非反転としてもよい。
【0060】
さらに、低速データのビット値が“0”の時は送信データに対してデータを変換するための“変換法則0”を適用し、ビット値が“1”の時は送信データに対してデータを変換するための“変換法則1”を適用してもよい。この場合、“変換法則0”と“変換法則1”とは異なる変換法則であるものとする。この場合、送信装置1の変換器12は、エラー訂正符号化器11から出力されるデータに対して、低速データのビット値に応じて、“変換法則0”または“変換法則1”によるデータの変換処理を行なう。この場合、受信装置2は、受信データに対して“変換法則0”の逆変換を行う“逆変換器0”と、受信データに対して“変換法則0”の逆変換を行う“逆変換器1”を備える。そして、“逆変換器0”からのデータは、エラー訂正器0・22-0に入力されて処理され、“逆変換器1”からのデータは、エラー訂正器1・22-1に入力されて処理される。
【0061】
また、受信装置2は、エラー訂正器22が、エラー訂正器0・22-0、エラー訂正器1・22-1の2つを備えるとして説明した。しかし、受信する送信速度に対して、受信装置2の処理速度が十分に早い場合、エラー訂正器22は、1つのエラー訂正器を備えるものであってもよい。この場合、エラー訂正器22は、2つの系統の送信データを、交互に処理し、その処理結果を出力するようにしてもよい。
【0062】
上述の実施の形態では、低速データの1ビットに基づき、高速データに対して行う変換処理を変えるものとして説明した。これに限定されるものではなく、低速データのnビット(“n”は整数)に基づく場合、2のn乗個の変換法則を備えて処理するようにしてもよい。すなわち、高速データのエラー訂正符号が含まれたデータを、nビットのビット列に対応する変換法則を用いて、データ変換を行うようにしてもよい。この場合、受信装置2も、2のn乗個の変換法則にそれぞれ対応する、2のn乗個の逆変換法則に基づく処理をする2のn乗個の逆変換器を用いて処理をするようにしてもよい。
【0063】
以下、低速データのnビット(“n”は整数)に基づく変換処理を用いた送信装置1、受信装置2について説明する。
【0064】
図7において、送信装置1は、高速データ、低速データの入力を受け、低速データのnビットに基づきデータの変換処理を行い、送信データを生成する。送信装置1は、エラー訂正符号化器11、変換器12を備える。
【0065】
エラー訂正符号化器11は、
図1で説明したエラー訂正符号化器11と同じである。
【0066】
変換器12は、エラー訂正符号化器11から送信単位データの入力を受けるとともに、低速データの入力を受ける。そして、変換器12は、送信単位データを低速データのnビットの値に即して符号化し、送信データを生成する。変換器12は、スイッチ12aと、2のn乗個の変換器1・12-1、変換器2・12-2、・・・、変換器2n・12-2nを備える。また、各変換器は、それぞれ異なる変換法則を備える。
【0067】
スイッチ12aは、低速データのnビットの値に基づき、エラー訂正符号化器11からの出力されるデータを、いずれかの変換器に入力する処理を行う。例えば、nビットが、2ビットの場合、変換器12は、2の2乗個である4個の変換器を備える。また、スイッチ12aは、2ビットの値が“00”の場合には変換器1・12-1に、“01”の場合には変換器2・12-2に、“10”の場合には変換器3・12-3に、“11”の場合には変換器4・12-4に、エラー訂正符号化器11との接続(選択)処理を行う。
【0068】
図7に示す送信装置1の動作について図を用いてより具体的に説明する。
図8は、
図7に示す送信装置1の動作を示す図である。
【0069】
エラー訂正符号化器11は、訂正符号化の処理単位となる高速データの入力を受け、エラー訂正符号則となるエラー訂正、エラー検出に従い、エラー訂正符号を生成する。また、エラー訂正符号化器11は、処理単位となる高速データに対してエラー訂正符号を付加して、送信単位のデータとして出力する(ステップS31)。エラー訂正符号化器11からの送信単位のデータは、変換器12に対して出力される。
【0070】
変換器12は、送信する低速データの入力を受け、変換器12のスイッチ12aは、入力される低速データのnビットのビット列に対応する変換器とエラー訂正符号化器11とが接続されるよう、変換器の接続(選択)を行う(ステップS32)。
【0071】
接続(選択)され、エラー訂正符号化器11からの入力を受けた変換器は、その選択器に割当てられた変換法則に従い、エラー訂正符号化器11からの送信単位のデータを変換して、送信データを生成する(ステップS33)。
【0072】
送信装置1は、変換器12からの出力データを、送信データとして出力する(ステップS34)。
【0073】
送信装置1は、更に送信すべきデータがあるか判断を行い、送信すべきデータがある場合(ステップS35:YES)、ステップS31に戻る。 送信装置1は、送信すべきデータがない場合(ステップS35:NO)、送信処理を終了する。
【0074】
以上、説明したように、送信装置1では、低速データのnビットに基づき、エラー訂正符号の付された高速データを変換する。これにより、
図1に示す送信装置1より、低速データの送信速度がn倍早くても、低速データを送れるようなる。
【0075】
例えば、送信装置1は、エラー訂正符号を付す高速データの単位が8バイトに対して、低速データnビットが送信可能となる。送信データの送信速度に対して、低速データの送信速度がさらに遅くてもよい場合、予め決められた送信ルールに従い、訂正符号化の処理単位となる高速データの変換処理を行ってもよい。この場合、送信装置1、受信装置2は、データの送受信開始前に、高速データと低速データの送信レート、あるいは、高速データと低速データの送信レートの比に関する情報等の送信ルールの交換を行ってもよい。
【0076】
図9は、nビットを単位として低速データの再構成を行う受信装置2の構成の概要を示す図である。受信装置2は、受信データを入力、処理することで、高速データ、および、nビットの低速データの再構成を順次行い、出力する。受信装置2は、逆変換器21、エラー訂正器22、判定器23、選択器24を備える。
【0077】
逆変換器21は、2のn乗個の逆変換器1・21-1、逆変換器2・21-2、・・・逆変換器2n・21-2nを備える。2のn乗個の逆変換器には、送信装置1の2のn乗個の変換法則に対応してそれぞれ逆変換をするための2のn乗個の逆変換法則がそれぞれ割り当てられる。2のn乗個の逆変換器は、割り当てられ逆変換法則に従って、受信データの逆変換処理を行う。逆変換器21は、受信データの入力を受け、それぞれ異なる逆変換が行われた2のn乗個の逆変換データを出力する。
【0078】
エラー訂正器22は、2の2乗個のエラー訂正器1・22-1、エラー訂正器2・22-2、・・・、エラー訂正器2n・22-2nを備える。2のn乗個のエラー訂正器はそれぞれ同じ機能を備える。2の2乗個のエラー訂正器は、2のn乗個の逆変換器1・21-1、逆変換器2・21-2、・・・逆変換器2n・21-2nとそれぞれ接続される。2のn乗個のエラー訂正器はそれぞれ入力されたデータに対して、エラー訂正符号を削除するとともに、エラー訂正符号を用いたエラー検出、エラー訂正処理を行い、処理後のデータを出力する。また、2のn乗個のエラー訂正器はそれぞれエラー検出・エラー訂正可能、エラー検出・訂正不可能、といったエラー訂正処理に関する結果に関する情報も出力する。
【0079】
判定器23は、2のn乗個のエラー訂正器からのエラー訂正処理に関する結果の情報を入力し、エラー訂正に関する結果から低速データのnビットのビット列を決定し、低速データを出力する。
【0080】
選択器24は、判定器23による判定結果に基づき、2のn乗個のエラー訂正器からの出力のいずれか1つを高速データとして出力する。
【0081】
次に、
図9に示す受信装置2の動作について図を用いてより具体的に説明する。
図10は、
図9に示す受信装置2の動作を示す図である。
【0082】
受信装置2は、送信装置1からの受信データの受信により処理を開始する。
【0083】
受信装置2は、受信データを2のn乗個の系統に分岐し、2のn乗個の逆変換器にそれぞれ入力する。入力を受けた2のn乗個の逆変換器は、それぞれの逆変換器に割当たれた逆変換法則に基づき、入力された受信データの逆変換処理を行い、逆変換データとして出力する(ステップS41)。また、各逆変換器は、逆変換データを接続されるエラー訂正器にそれぞれ出力する。
【0084】
逆変換データの入力を受けた2のn乗個のエラー訂正器は、逆変換データに含まれるエラー訂正符号に相当するデータを利用してエラーがあるかどうかを確認するとともに、エラー訂正可能であればエラー訂正をおこなう(ステップS42)。
【0085】
判定器23は、各エラー訂正器からの2のn乗個のエラー訂正の結果に関する情報を基に、訂正可能であったエラー訂正器を特定し、訂正可能であったエラー訂正器を示す情報を選択器24路に出力する。また、判定器23は、特定結果に基づき、低速データのnビットのビット列を出力する(ステップS43)。すなわち、判定器23は、特定されたエラー訂正器に対応するnビットのビット列を低速データとして出力する。
【0086】
選択器24は、判定器からの特定結果から、訂正可能であったエラー訂正器からの入力を、高速データとして出力する(ステップS44)。
【0087】
例えば、例えば、nビットが2ビットの場合、送信装置1の変換器12において、2ビットの値が“00”の場合には変換器1・12-1に、“01”の場合には変換器2・12-2に、“10”の場合には変換器3・12-3に、“11”の場合には変換器4・12-4が選択されるものとする。受信装置2の逆変換器21には、各変換器に対応するように4個の逆変換器、逆変換器1・21-1、逆変換器2・21-2、逆変換器3・21-3、逆変換器4・21-4が設けられているものとする。このような場合において、送信装置1から送信される低速データの2ビット値が“01”であった際、エラー訂正器2・22-2が「訂正可能」との情報を出力する。その結果、判定器23は、低速データとして“01”を出力する(ステップS43)。また、選択器24は、判定器23がエラー訂正器2・22-2を「訂正可能」であったエラー訂正器であると特定する結果に基づき、エラー訂正器2・22-2が出力するデータを、高速データとして出力する(S44)。
【0088】
受信装置2は、更なるデータの受信があるか判断し(ステップS45)、データの受信がない場合(ステップS45:NO)、処理を終了する。一方、受信装置2は、データの受信がある場合(ステップS45:YES)、次の受信データの処理のために、ステップS41に戻る。
【0089】
以上のようにして、受信装置2は、受信データの入力に対して、高速データ、および、低速データの出力を行う。
【0090】
なお、
図9に示す受信装置2は、例えば、
図7に示す送信装置1が高速データ8バイトに対して、低速データnビットを送信する場合における受信装置2の動作を例として説明した。送信データの送信速度に対して、低速データの送信速度がさらに遅くてもよい場合、予め決められた送信ルールに従い、受信装置2の判定器23は、低速データのビット出力を行ってもよい。この場合、送信装置1、受信装置2は、データの送受信開始前に、高速データと低速データの送信レート、あるいは、高速データと低速データの送信レートの比に関する情報等の送信ルールの交換を行なってもよい。
【0091】
また、
図9において受信装置2は、エラー訂正器22が、2のn乗個のエラー訂正器1・22-1、エラー訂正器2・22-2、エラー訂正器2
n・22-2
nを備えるとして説明した。しかし、送信装置1からの送信データの送信速度に対して、受信装置2の処理速度が十分に早い場合、エラー訂正器22は、2のn乗個より少ないエラー訂正器を備えるものであってもよい。この場合、エラー訂正器22内の2のn乗個より少ないエラー訂正器は、1または複数の逆変換器からの出力の処理をするようにしてもよい。
【0092】
図10を用いた受信装置2の動作の説明において、伝送においてエラーが発生しない、あるいは、伝送でエラーがあってもエラー訂正の能力範囲、つまり、1バイトエラーである場合における受信装置2の動作として説明を行った。
【0093】
図10を用いた受信装置2の動作において、伝送で2バイト以上のエラーが発生した場合、何れのエラー訂正器においても訂正不可能なエラーになる。この場合、判定器23は、何れかのエラー訂正器のデータを高速データとして出力するような情報を選択器24に出力して、高速データを得る。また、判定器23は、低速データも何れかのnビットのデータを出力する。受信装置2から出力される高速データおよび低速データは、誤ったデータであるが、これは、低速データを伝送したから発生したものでなく、発生すべくして発生したエラー訂正器の訂正能力を超えるエラーである。このようなエラーは、図示しない受信装置2に含まれる後段の回路にて、再送依頼の処理等、通常の受信装置におけるエラーデータの処理を行い得る。
【0094】
上述の実施の形態で、エラー訂正符号は、1バイトエラー訂正2バイトエラー検出を例として説明しているが、これに限るものではない。例えば、エラー訂正符号としては誤り訂正可能な符号であればいずれであってもよく、例えば、畳み込み符号等であってもよい。
【0095】
送信装置1、受信装置2を構成する各処理器は、処理速度を考慮すると、専用の回路により構成することが好ましい。しかし、送受信されるデータに対して、十分に高速な汎用のプロセッサ、メモリ、バス等を用いて、ソフトウェアにより、送信装置1、受信装置2の機能を実現してもよい。そのような場合の送信装置1、受信装置2のハードウェア構成の一例を
図11に示す。
【0096】
図11では、送信装置1や受信装置2を実現するための計算機9のほか、ネットワーク81を例示する。計算機9は任意の計算機である。例えば計算機9は、Personal Computer(PC)、サーバマシン、または、タブレット端末などである。計算機9は、送信装置1や受信装置2を実現するために設計された専用の計算機であってもよいし、汎用の計算機であってもよい。
【0097】
計算機9は、バス91、プロセッサ92、メモリ93、ストレージデバイス94、入出力インタフェース95、および、外部インタフェース96を備える。バス91は、プロセッサ92、メモリ93、ストレージデバイス94、入出力インタフェース95、及びネットワークインタフェースともなる外部インタフェース96が、相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。ただし、プロセッサ92などを互いに接続する方法は、バス接続に限定されない。プロセッサ92は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、又は FPGA(Field-Programmable Gate Array)などの種々のプロセッサである。メモリ93は、RAM(Random Access Memory)などを用いて実現される主記憶装置である。ストレージデバイス94は、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、メモリカード、又は ROM(Read Only Memory)などを用いて実現される補助記憶装置である。
【0098】
入出力インタフェース95は、計算機9と入出力デバイスとを接続するためのインタフェースである。例えば入出力インタフェース95には、キーボードなどの入力装置や、ディスプレイ装置などの出力装置が接続される。
【0099】
外部インタフェース96は、計算機9をネットワーク81などに接続するためのインタフェースである。
図11は、外部インタフェース96がネットワークインタフェースであり、ネットワーク81と接続している場合について記しているが、これに限らない。図の場合、このネットワークは、例えば LAN(Local Area Network)や WAN(Wide Area Network)である。外部インタフェース96がネットワークに接続する方法は、無線接続であってもよいし、有線接続であってもよい。
【0100】
外部インタフェース96は、ネットワークインタフェースのほか、直接外部機器を接続するインタフェースであってもよい。例えば、USB(Universal Serial Bus)やIEEE1394などにより、他の装置と接続されるようになっていてもよい。
【0101】
ストレージデバイス94は、送信装置1や受信装置2の各処理器を実現するプログラムモジュールを記憶している。プロセッサ92は、これら各プログラムモジュールをメモリ93に読み出して実行することで、各プログラムモジュールに対応する機能を実現する。
【0102】
図12は、送信装置1の最小構成図を示す図である。送信装置1は変換器12を備える。変換器12は、送信単位のデータを変換するための変換法則で、低速データのnビットのビット列にそれぞれ対応する2のn乗個の変換法則であって、かつ、2のn乗個の変換法則がそれぞれ異なる変換法則を備える。変換器12は、エラー訂正の処理単位となる高速データに高速データのエラー訂正符号が含まれた送信単位のデータを、低速データのnビットのビット列に対応する変換法則に基づき変換して送信データを生成する。
【0103】
図13は、
図12に示す送信装置1からの受信データを受信する受信装置2の最小構成図を示す図である。受信装置2は、逆変換器21と、エラー訂正器22と、判定器23と、選択器24とを備える。
逆変換器21は、送信装置1の2のn乗個の変換法則にそれぞれ対応して逆変換をするための2のn乗個の逆変換法則のそれぞれに基づいて受信データを逆変換し、2のn乗個の逆変換データを出力する。
エラー訂正器22は、2のn乗個の逆変換データのそれぞれを、送信装置1で用いられたエラー訂正方法に対応したエラー訂正処理を行いて、エラー訂正処理後の2のn乗個のエラー訂正データを出力するとともに、2のn乗個のエラー訂正に関する結果を出力する。
判定器23は、2のn乗個のエラー訂正に関する結果から、エラー訂正処理可能であった逆変換データに対応する逆変換法則を特定する。判定器23は、送信装置1における低速データのnビットのビット列にそれぞれ対応した2のn乗個の変換法則に対する逆変換法則の対応関係に基づいて、特定した逆変換法則に対応するnビットのビット列を低速データとして出力する。
選択器24は、2のn乗個のエラー訂正データより、判定器23で特定された逆変換法則にてエラー訂正処理されたエラー訂正データを高速データとして出力する。
【0104】
以上、送信装置1、受信装置2を、上述した模範的な実施の形態に適用した例として説明した。しかしながら、送信装置1、受信装置2の技術的範囲は、上述した各実施の形態に記載した範囲には限定されない。当業者には、係る実施の形態に対して多様な変更または改良を加えることが可能であることは明らかである。そのような場合、係る変更または改良を加えた新たな実施の形態も、送信装置1、受信装置2の技術的範囲に含まれ得る。
【符号の説明】
【0105】
1・・・送信装置
11・・・エラー訂正符号化器
12・・・変換器
2・・・受信装置
21・・・逆変換器
22・・・エラー訂正器
22-0・・・エラー訂正器0
22-1・・・エラー訂正器1
23・・・判定器
24・・・選択器