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特許7540227スパウト付きパウチおよび内容物入りのスパウト付きパウチ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】スパウト付きパウチおよび内容物入りのスパウト付きパウチ
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/38 20060101AFI20240820BHJP
【FI】
B65D33/38
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020127113
(22)【出願日】2020-07-28
(65)【公開番号】P2022024492
(43)【公開日】2022-02-09
【審査請求日】2023-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100153497
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 信男
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】畠 源英
【審査官】森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-058636(JP,A)
【文献】実開昭60-026839(JP,U)
【文献】特開2017-119529(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 33/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スパウトと、前記スパウトが溶着され、複数の層間を接着して成る積層フィルムを含み、袋状に形成されたパウチと、を備え、前記スパウトは、前記積層フィルムによってその注出筒部を内側から塞がれ、前記注出筒部を塞ぐ前記積層フィルムを前記注出筒部の外側から突き破ることで開封可能なスパウト付きパウチであって、
前記パウチには、内容物を充填するための充填用開口部が形成されており、
前記積層フィルムは、前記スパウトが熱溶着される最外樹脂層と、最内樹脂層と、前記最外樹脂層および前記最内樹脂層の間に配置された金属層とを備え、
前記最外樹脂層および前記金属層の間には、第1接着層を介して前記最外樹脂層の内側面に接着され、前記最外樹脂層よりも伸びが小さい第1中間樹脂層が設けられ、
前記最外樹脂層の内側面側および前記第1中間樹脂層の外側面側は、前記第1接着層との間で化学反応により結合し、あるいは、前記最外樹脂層の内側面および前記第1中間樹脂層の外側面には、微細な隙間が形成され、前記第1接着層を構成する接着剤が前記隙間に入り込んで、前記最外樹脂層の内側面側および前記第1中間樹脂層の外側面側は、前記第1接着層との間で物理的に結合し、
前記最内樹脂層および前記金属層の間には、第2接着層を介して前記最内樹脂層の外側面に接着され、前記最内樹脂層よりも伸びが小さい第2中間樹脂層が設けられ、
前記最内樹脂層の外側面側および前記第2中間樹脂層の内側面側は、前記第2接着層との間で化学反応により結合し、あるいは、前記最内樹脂層の外側面および前記第2中間樹脂層の内側面には、微細な隙間が形成され、前記第2接着層を構成する接着剤が前記隙間に入り込んで、前記最内樹脂層の外側面側および前記第2中間樹脂層の内側面側は、前記第2接着層との間で物理的に結合していることを特徴とするスパウト付きパウチ。
【請求項2】
前記積層フィルムは、前記金属層を基準として表裏対称の層構造を有することを特徴とする請求項1に記載のスパウト付きパウチ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のスパウト付きパウチと、前記パウチ内に収容された内容物とを備え、
前記充填用開口部が塞がれているとともに、前記注出筒部を塞ぐ前記積層フィルムが破られていない状態の前記パウチ内に、前記内容物が収容されていることを特徴とする内容物入りのスパウト付きパウチ。
【請求項4】
前記充填用開口部は、前記積層フィルム同士を熱溶着することで塞がれていることを特徴とする請求項3に記載の内容物入りのスパウト付きパウチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スパウト付きパウチおよび内容物入りのスパウト付きパウチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体等の内容物を収容する容器として、積層フィルムを熱溶着することで袋状に形成されたパウチを広く用いられている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
このようなパウチとして、図3に示されるように、注出口として機能するスパウト140が、その注出筒部141が積層フィルム130によって内側から塞がれるようにパウチ120の外面に熱溶着され、パウチ120の開封時(使用時)に、針等の開封具150によって注出筒部141の外側から注出筒部141を塞ぐ積層フィルム130を突き破ることで開封する、という態様のスパウト付きパウチ110も知られている。
【0004】
そして、上述したようなスパウト付きパウチ110では、積層フィルム130とスパウト140とを熱溶着するとともに積層フィルム130同士を熱溶着して製袋するために、積層フィルム130の最外樹脂層131および最内樹脂層132として、PE(ポリエチレン)フィルム等の熱溶着に適した材料を用いることが知られているとともに、パウチ120の遮光性、防湿性、気密性等を向上するために、中間層として、アルミフィルム等の金属層133を用いることも一般に知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-143335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、図3に示すようなスパウト付きパウチ110では、接着材によって各層131~133間を接着した場合、開封具150によって注出筒部141を塞ぐ積層フィルム130を突き破る時に、開封具150の先端の移動に従って、PEフィルム等から成る最外樹脂層131や最内樹脂層132が伸びてしまい、積層フィルム130を良好に突き破ることができないことがあるという問題があった。
【0007】
すなわち、接着層136、137を介して各層131~133間を接着した場合、蒸着等の手法を用いて金属層133を樹脂層131、132に固着した場合等とは異なり、開封具150によって積層フィルム130を突き破ろうとした時に、樹脂層131、132と金属層133との間で剥離が生じ、樹脂層131、132が単独で伸びを生じてしまい、樹脂層131、132を突き破り難い場合があった。
【0008】
そこで、本発明は、これらの問題点を解決するものであり、簡素な構成で、開封性を向上することが可能なスパウト付きパウチおよび内容物入りのスパウト付きパウチを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のスパウト付きパウチは、スパウトと、前記スパウトが溶着され、複数の層間を接着して成る積層フィルムを含み、袋状に形成されたパウチと、を備え、前記スパウトは、前記積層フィルムによってその注出筒部を内側から塞がれ、前記注出筒部を塞ぐ前記積層フィルムを前記注出筒部の外側から突き破ることで開封可能なスパウト付きパウチであって、前記パウチには、内容物を充填するための充填用開口部が形成されており、前記積層フィルムは、前記スパウトが熱溶着される最外樹脂層と、最内樹脂層と、前記最外樹脂層および前記最内樹脂層の間に配置された金属層とを備え、前記最外樹脂層および前記金属層の間には、第1接着層を介して前記最外樹脂層の内側面に接着され、前記最外樹脂層よりも伸びが小さい第1中間樹脂層が設けられ、前記最外樹脂層の内側面側および前記第1中間樹脂層の外側面側は、前記第1接着層との間で化学反応により結合し、あるいは、前記最外樹脂層の内側面および前記第1中間樹脂層の外側面には、微細な隙間が形成され、前記第1接着層を構成する接着剤が前記隙間に入り込んで、前記最外樹脂層の内側面側および前記第1中間樹脂層の外側面側は、前記第1接着層との間で物理的に結合し、前記最内樹脂層および前記金属層の間には、第2接着層を介して前記最内樹脂層の外側面に接着され、前記最内樹脂層よりも伸びが小さい第2中間樹脂層が設けられ、前記最内樹脂層の外側面側および前記第2中間樹脂層の内側面側は、前記第2接着層との間で化学反応により結合し、あるいは、前記最内樹脂層の外側面および前記第2中間樹脂層の内側面には、微細な隙間が形成され、前記第2接着層を構成する接着剤が前記隙間に入り込んで、前記最内樹脂層の外側面側および前記第2中間樹脂層の内側面側は、前記第2接着層との間で物理的に結合していることにより、前記課題を解決するものである。
本発明の内容物入りのスパウト付きパウチは、前記スパウト付きパウチと、前記パウチ内に収容された内容物とを備え、前記充填用開口部が塞がれているとともに、前記注出筒部を塞ぐ前記積層フィルムが破られていない状態の前記パウチ内に、前記内容物が収容されていることにより、前記課題を解決するものである。
【0010】
なお、各層の「伸び」を示す指標としては様々あるが、例えば、弾性率、ヤング率、降伏伸度、破壊伸度が挙げられる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、最外樹脂層および金属層の間に、第1接着層を介して最外樹脂層の内側面に接着され、最外樹脂層よりも伸びが小さい第1中間樹脂層が設けられ、最外樹脂層の内側面側および第1中間樹脂層の外側面側は、第1接着層の成分に対して相互作用を生じて結合し、最内樹脂層および金属層の間に、第2接着層を介して最内樹脂層の外側面に接着され、最内樹脂層よりも伸びが小さい第2中間樹脂層が設けられ、最内樹脂層の外側面側および第2中間樹脂層の内側面側に、第2接着層の成分に対して相互作用を生じて結合している。これにより、最外樹脂層と第1中間樹脂層との間の剥離および最内樹脂層と第2中間樹脂層との間の剥離を回避し、開封時において針等の開封具で積層フィルムを突き破る際に、最外樹脂層よりも伸びにくい第1中間樹脂層によって最外樹脂層の伸びを抑制するとともに、最内樹脂層よりも伸びにくい第2中間樹脂層によって最内樹脂層の伸びを抑制することが可能であるため、積層フィルムの突き破り易さを向上することができ、スパウト付きパウチの開封性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る内容物入りのスパウト付きパウチを示す説明図。
図2】スパウト側からスパウト付きパウチを見て示す平面図。
図3】スパウト付きパウチの参考例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の一実施形態であるスパウト付きパウチ10について、図面に基づいて説明する。
【0014】
スパウト付きパウチ10は、図1図2に示すように、複数の層間を接着して成る積層フィルム30を熱溶着することで袋状に形成されたパウチ20と、パウチ20の外面に熱溶着され積層フィルム30によってその注出筒部41を内側から塞がれるスパウト40とを備え、パウチ20の開封時(使用時)に、針等の開封具50によって注出筒部41を塞ぐ積層フィルム30を注出筒部41の外側から突き破ることで開封可能なものである。
【0015】
以下、スパウト付きパウチ10の各構成要素について、図面に基づいて説明する。
【0016】
まず、パウチ20は、図1図2に示すように、2枚の積層フィルム30の外縁付近を熱溶着した製袋用シール部21を形成することで袋状に形成され、具体的には、積層フィルム30の外縁付近において、2枚の積層フィルム30の最内樹脂層32同士を熱溶着した製袋用シール部21を形成することで袋状に形成されている。
【0017】
各積層フィルム30は、図1に示すように、パウチ20の製袋後の状態で最も外側に配置されるシーラント層としての最外樹脂層31と、パウチ20の製袋後の状態で最も内側に配置されるシーラント層としての最内樹脂層32と、最外樹脂層31および最内樹脂層32の間に配置される金属層33と、最外樹脂層31および金属層33の間に配置される第1中間樹脂層34と、最内樹脂層32および金属層33の間に配置される第2中間樹脂層35とを備えている。
【0018】
本実施形態では、最外樹脂層31および最内樹脂層32は、PE(ポリエチレン)フィルムから構成され、金属層33は、アルミフィルムから形成され、第1中間樹脂層34および第2中間樹脂層35は、PET(ポリエチレンテレフタラート)フィルムから形成されている。
各積層フィルム30は、図1に示すように、金属層33を基準として表裏対称の層構造を有している。
【0019】
また、各積層フィルム30の各層31~35間は、接着層を介して接着され、具体的には、図1に示すように、最外樹脂層31と第1中間樹脂層34との間は第1接着層36によって接着され、最内樹脂層32と第2中間樹脂層35との間は第2接着層37によって接着され、第1中間樹脂層34と金属層33との間は第3接着層38によって接着され、第2中間樹脂層35と金属層33との間は第4接着層39によって接着されている。
【0020】
第1中間樹脂層34は、第1接着層36を介して最外樹脂層31の内側面に接着され、最外樹脂層31よりも伸びが小さく形成され、すなわち、最外樹脂層31よりも伸びにくい性質を有している。
また、最外樹脂層31の(少なくとも)内側面側および第1中間樹脂層34の(少なくとも)外側面側には、第1接着層36に対して相互作用して結合を生じる。例えば、最外樹脂層31の内側面側および第1中間樹脂層34の外側面側は、第1接着層36との間で、共有結合や水素結合等の化学反応による結合を生じるように構成されている。具体的には、本実施形態の場合、最外樹脂層31については、PE(ポリエチレン)フィルムにコロナ処理を施されたものが用いられており、その結果、最外樹脂層31の表面には、イソシアネート、ポリオールから成る第1接着層36の成分に相互作用して結合を生じるCOOHやOH等の官能基が含まれ、また、第1中間樹脂層34については、PET(ポリエチレンテレフタラート)フィルムから成るため、第1中間樹脂層34の表面には、イソシアネート、ポリオール等から成る第1接着層36の成分に反応して結合を生じるCOOHやOH等の官能基が含まれている。あるいは、最外樹脂層31の内側面および第1中間樹脂層34の外側面の微細な隙間に第1接着層36を構成する接着剤が入り込んで物理的に結合を生じる場合もある。
これにより、最外樹脂層31の内側面側および第1中間樹脂層34の外側面側の接合強度が高まり、開封時において開封具50が積層フィルム30を突き破る際に、最外樹脂層31と第1中間樹脂層34との間の剥離を回避し、また、開封時において開封具50で積層フィルム30を突き破る際に、最外樹脂層31よりも伸びにくい性質の第1中間樹脂層34によって最外樹脂層31の伸びを抑制することができる。
これにより、積層フィルム30は、開封具50により突き破り易く、開封性が向上する。
【0021】
また、同様に、第2中間樹脂層35は、第2接着層37を介して最内樹脂層32の外側面に接着され、最内樹脂層32よりも伸びが小さく形成され、すなわち、最内樹脂層32よりも伸びにくい性質を有している。
また、最内樹脂層32の(少なくとも)外側面側および第2中間樹脂層35の(少なくとも)内側面側には、第2接着層37に対して相互作用して結合を生じる。例えば、最内樹脂層32の外側面側および第2中間樹脂層35の内側面側は、第2接着層37との間で、共有結合や水素結合等の化学反応による結合を生じるように構成されている。具体的には、本実施形態の場合、最内樹脂層32については、PE(ポリエチレン)フィルムにコロナ処理を施されたものが用いられており、その結果、最内樹脂層32の表面には、イソシアネート、ポリオール等から成る第2接着層37の成分に相互作用して結合を生じるCOOHやOH等の官能基が含まれ、また、第2中間樹脂層35については、PET(ポリエチレンテレフタラート)フィルムから成るため、第2中間樹脂層35の表面には、イソシアネート、ポリオール等から成る第2接着層37の成分に相互作用して結合を生じるCOOHやOH等の官能基が含まれている。あるいは、第2中間樹脂層35の内側面および最内樹脂層32の外側面の微細な隙間に第2接着層37を構成する接着剤が入り込んで物理的に結合を生じる場合もある。
これにより、第2中間樹脂層35の内側面側および最内樹脂層32の外側面側の接合強度が高まり、開封時において開封具50が積層フィルム30を突き破る際に、最内樹脂層32と第2中間樹脂層35との間の剥離を回避し、また、開封時において開封具50で積層フィルム30を突き破る際に、最内樹脂層32よりも伸びにくい性質の第2中間樹脂層35によって最内樹脂層32の伸びを抑制することができる。
これにより、積層フィルム30は、開封具50により突き破り易く、開封性が向上する。
【0022】
なお、第3接着層38および第4接着層39については、第1接着層36や第2接着層37と同様に構成されているため、詳細な説明を省略する。
【0023】
本実施形態では、パウチ20全体が積層フィルム30から構成され、すなわち、スパウト40が溶着される側の積層フィルムと、それと反対側の積層フィルムとが、積層フィルム30として同じ層構成のものを有しているが、少なくとも、パウチ20を構成する積層フィルムのうちスパウト40が溶着される部分が、本実施形態で説明した積層フィルム30の層構成となっていればよい。例えば、スパウト40が溶着される側と反対側の積層フィルムは、スパウト40が溶着される側の積層フィルムと層構成が違っていてもよい。スパウト40が溶着される側と反対側の積層フィルム(スパウト40が溶着される部分以外の積層フィルム)としては、例えば、(外側面側)PET/AL/PE(内側面側)、(外側面側)PET/AL/NY/PE(内側面側)を用いることができる。
【0024】
スパウト40は、PEやPP等の合成樹脂から形成され、図1に示すように、筒状に形成された注出筒部41と、フランジ部42とを有している。
スパウト40は、パウチ20の外面(積層フィルム30の最外樹脂層31)に熱溶着され、積層フィルム30によってその注出筒部41の内側を塞がれている。
【0025】
スパウト付きパウチ10は、内容物を充填する前の状態では、パウチ20に、内容物を充填するための充填用開口部(図示しない)が形成されており、本実施形態では、製袋用シール部21の一部において2枚の積層フィルム30同士を熱溶着していない箇所を設けて充填用開口部として利用している。そして、充填用開口部を通じてパウチ20内に内容物を充填した後、充填用開口部において積層フィルム30同士を熱溶着することで充填用開口部を塞ぎ、これにより、充填用開口部が塞がれているとともに注出筒部41を塞ぐ積層フィルム30が破られていない状態の、パウチ20内に内容物が収容された内容物入りのスパウト付きパウチ10が得られる。
【0026】
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行なうことが可能である。また、上述した実施形態や後述する変形例の各構成を、任意に組み合わせてスパウト付きパウチ10を構成しても何ら構わない。
【0027】
例えば、上述した実施形態では、パウチ20が、2枚の積層フィルム30の外縁を熱溶着することで製袋されたものとして説明したが、パウチ20の具体的態様は、これに限定されず、例えば、1枚の積層フィルム30を折り畳んで重なったフィルム部同士を熱溶着することで製袋用シール部21を形成してパウチ20を構成してもよく、また、3枚以上の積層フィルム30を所定箇所で熱溶着して製袋用シール部21を形成することでパウチ20を構成してもよい。
また、上述した実施形態では、積層フィルム30の最内樹脂層32同士を熱溶着することで製袋用シール部21を構成したが、製袋用シール部21のうち少なくとも一部を、最内樹脂層32と最外樹脂層31とを熱溶着することで構成してもよく、また、最外樹脂層31同士を熱溶着することで構成してもよい。
また、上述した実施形態では、積層フィルム30が、(層間の接着層36~39を除いて)5つの層31~35から成る5層構造で形成されているものとして説明したが、積層フィルム30の層構造は、これに限定されず、例えば、第1中間樹脂層34と金属層33との間や第2中間樹脂層35と金属層33との間に、合成樹脂や金属からなる1つ以上の他の層を設けてもよい。なお、当該他の層を設ける場合、積層フィルム30の突き破り易さを維持する観点から、全ての他の層を、最外樹脂層31や最内樹脂層32よりも伸びが小さく(伸びにくく)形成するのが好ましい。
また、上述した実施形態では、最外樹脂層31や最内樹脂層32が、PE(ポリエチレン)フィルムから成るものとして説明したが、最外樹脂層31または最内樹脂層32の少なくとも一方をPP(ポリプロピレン)フィルム等の他のフィルムから構成してもよい。
また、上述した実施形態では、第1中間樹脂層34や第2中間樹脂層35が、PET(ポリエチレンテレフタラート)フィルムから成るものとして説明したが、第1中間樹脂層34または第2中間樹脂層35の少なくとも一方を、NY(ナイロン)フィルムや、OPP(二軸延伸ポリプロピレン、Oriented PolyPropylene)フィルムやPBT(ポリブチレンテレフタレート)フィルム等の延伸樹脂フィルム等の、他のフィルムから構成してもよい。
また、上述した実施形態では、金属層33がアルミフィルムから構成されているものとして説明したが、金属層33を他の金属フィルムから構成してもよい。
また、上述した実施形態では、積層フィルム30が金属層33を基準として表裏対称の層構造を有するものとして説明したが、積層フィルム30を表裏非対称に形成しても何ら構わない。
また、開封具50の具体的態様については注出筒部41を塞ぐ積層フィルム30を注出筒部41の外側から突き破ることが可能なものであれば、スパウト付きパウチ10とは別に開封具50を独立して設けたものや、スパウト40の蓋に開封具50を一体に設けたもの等、如何なるものでもよい。
【符号の説明】
【0028】
10 ・・・ スパウト付きパウチ
20 ・・・ パウチ
21 ・・・ 製袋用シール部
30 ・・・ 積層フィルム
31 ・・・ 最外樹脂層
32 ・・・ 最内樹脂層
33 ・・・ 金属層
34 ・・・ 第1中間樹脂層
35 ・・・ 第2中間樹脂層
36 ・・・ 第1接着層
37 ・・・ 第2接着層
38 ・・・ 第3接着層
39 ・・・ 第4接着層
40 ・・・ スパウト
41 ・・・ 注出筒部
42 ・・・ フランジ部
50 ・・・ 開封具
60 ・・・ 内容物
図1
図2
図3