IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友ゴム工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-ゴルフクラブヘッド 図1
  • 特許-ゴルフクラブヘッド 図2
  • 特許-ゴルフクラブヘッド 図3
  • 特許-ゴルフクラブヘッド 図4
  • 特許-ゴルフクラブヘッド 図5
  • 特許-ゴルフクラブヘッド 図6
  • 特許-ゴルフクラブヘッド 図7
  • 特許-ゴルフクラブヘッド 図8
  • 特許-ゴルフクラブヘッド 図9
  • 特許-ゴルフクラブヘッド 図10
  • 特許-ゴルフクラブヘッド 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-19
(45)【発行日】2024-08-27
(54)【発明の名称】ゴルフクラブヘッド
(51)【国際特許分類】
   A63B 53/04 20150101AFI20240820BHJP
   A63B 102/32 20150101ALN20240820BHJP
【FI】
A63B53/04 A
A63B102:32
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020131908
(22)【出願日】2020-08-03
(65)【公開番号】P2022028481
(43)【公開日】2022-02-16
【審査請求日】2023-06-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(74)【代理人】
【識別番号】100206586
【弁理士】
【氏名又は名称】市田 哲
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雅敏
【審査官】相川 俊
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0045795(US,A1)
【文献】特開2017-012743(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0244808(US,A1)
【文献】特開2017-038664(JP,A)
【文献】特開2010-005312(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 53/04
A63B 102/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に中空部が設けられたゴルフクラブヘッドであって、
フェース部、クラウン部及びソール部を含むヘッド本体と、補強バーとを含み、
前記ヘッド本体の前記クラウン部又は前記ソール部の少なくとも一方には、トウ・ヒール方向に延びる凹部が形成されており、
前記補強バーは、前記凹部が設けられた前記クラウン部又は前記ソール部に固定されており、
前記補強バーは、トウ・ヒール方向に延びており、
前記補強バーは、前記ヘッド本体のトウ側に固定されたトウ側固定部と、前記ヘッド本体のヒール側に固定されたヒール側固定部と、前記トウ側固定部と前記ヒール側固定部との間をトウ・ヒール方向に延びるバー本体とを含み、
前記バー本体の少なくとも一部が前記凹部の内部に配されており、
前記バー本体と、前記凹部とは離隔している、
ゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
前記バー本体と前記凹部との間に、弾性材料からなる補填材が介在している、請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
内部に中空部が設けられたゴルフクラブヘッドであって、
フェース部、クラウン部及びソール部を含むヘッド本体と、補強バーとを含み、
前記ヘッド本体の前記クラウン部又は前記ソール部の少なくとも一方には、トウ・ヒール方向に延びる凹部が形成されており、
前記補強バーは、前記凹部が設けられた前記クラウン部又は前記ソール部に固定されており、
前記補強バーは、トウ・ヒール方向に延びており、
前記補強バーは、前記ヘッド本体のトウ側に固定されたトウ側固定部と、前記ヘッド本体のヒール側に固定されたヒール側固定部と、前記トウ側固定部と前記ヒール側固定部との間をトウ・ヒール方向に延びるバー本体とを含み、
前記バー本体の少なくとも一部が前記凹部の内部に配されており、
前記バー本体と前記凹部との間に、弾性材料からなる補填材が介在している、
ゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
前記凹部は、前記中空部側に凹んだ溝状である、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
前記凹部は、開口を含む、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
前記バー本体の全部が、前記凹部の内部に配されている、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項7】
前記凹部は、前記ソール部に形成されている、請求項1ないし6のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項8】
前記凹部は、前記クラウン部に形成されている、請求項1ないしのいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に中空部が形成されたゴルフクラブヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、内部に中空部を有するゴルフクラブヘッドが記載されている。このゴルフクラブヘッドは、反発性能を向上するために、ヘッド外面に、フェース面の周縁に沿って延びる溝状部が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-279847号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近年では、さらなる反発性能に優れたゴルフクラブヘッドの提供が望まれている。
【0005】
本発明は、以上のような実情に鑑み案出なされたもので、反発性能のさらなる向上が期待できるゴルフクラブヘッドを提供することを主たる課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、内部に中空部が設けられたゴルフクラブヘッドであって、フェース部、クラウン部及びソール部を含むヘッド本体と、補強バーとを含み、前記ヘッド本体の前記クラウン部又は前記ソール部の少なくとも一方には、トウ・ヒール方向に延びる凹部が形成されており、前記補強バーは、前記凹部が設けられた前記クラウン部又は前記ソール部に固定されており、前記補強バーは、トウ・ヒール方向に延びている、ゴルフクラブヘッドである。
【0007】
本発明の他の態様では、前記凹部は、前記中空部側に凹んだ溝状とされても良い。
【0008】
本発明の他の態様では、前記凹部は、開口を含んでも良い。
【0009】
本発明の他の態様では、前記補強バーは、前記ヘッド本体のトウ側に固定されたトウ側固定部と、前記ヘッド本体のヒール側に固定されたヒール側固定部と、前記トウ側固定部と前記ヒール側固定部との間をトウ・ヒール方向に延びるバー本体とを含み、 前記バー本体の少なくとも一部が前記凹部の内部に配されても良い。
【0010】
本発明の他の態様では、前記バー本体の全部が、前記凹部の内部に配されても良い。
【0011】
本発明の他の態様では、前記バー本体と、前記凹部とは離隔していても良い。
【0012】
本発明の他の態様では、前記バー本体と前記凹部との間に、弾性材料からなる補填材が介在していても良い。
【0013】
本発明の他の態様では、前記凹部は、前記ソール部に形成されても良い。
【0014】
本発明の他の態様では、前記凹部は、前記クラウン部に形成されても良い。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、上記の構成を採用したことにより、反発性能のさらなる向上が期待できるゴルフクラブヘッドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態のゴルフクラブヘッドの斜視図である。
図2】第1実施形態のゴルフクラブヘッドの正面図である。
図3】第1実施形態のゴルフクラブヘッドの平面図である。
図4】第1実施形態のゴルフクラブヘッドの底面図である。
図5】第1実施形態のゴルフクラブヘッドの分解斜視図である。
図6図4のVI-VI線断面図である。
図7図4のVII-VII線断面図である。
図8】凹部の変形例を示すゴルフクラブヘッドの分解斜視図である。
図9】凹部の変形例を示すソール部の断面図である。
図10】凹部の変形例を示すソール部の断面図である。
図11】第2実施形態のゴルフクラブヘッドの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図面は、本発明の理解を助けるために、誇張表現や、実際の構造の寸法比とは異なる表現が含まれていることが理解されなければならない。また、複数の実施形態がある場合、明細書を通して、同一又は共通する要素については同一の符号が付されており、重複する説明が省略される。さらに、実施形態及び図面に表された具体的な構成は、本発明の内容理解のためのものであって、本発明は、図示されている具体的な構成に限定されるものではない。
【0018】
[第1実施形態]
図1~4は、それぞれ、第1実施形態のゴルフクラブヘッド(以下、単に「ヘッド」ということがある。)1の斜視図、正面図、平面図及び底面図である。また、図5は、本実施形態のヘッド1の下から見た分解斜視図である。
【0019】
[基準状態等の定義]
図1~4において、ヘッド1は基準状態に置かれている。図2に示されるように、ヘッド1の基準状態とは、ヘッド1が、当該ヘッド1に定められたライ角α及びロフト角(図示省略)で水平面HPに置かれた状態である。また、図3に示されるように、基準状態では、ヘッド1のシャフト軸中心線CLが、水平面HPと直角な基準垂直面VP内に配された状態で、ヘッド1がライ角α及びロフト角に保持されている。
【0020】
本明細書において、「シャフト軸中心線CL」は、ヘッド1のホーゼル部5に形成されたシャフト差込孔5aの軸中心線によって画定される。本明細書において特に言及されていない場合、ヘッド1は、基準状態にあるものとして説明されていることに留意されたい。
【0021】
また、ヘッド1の基準状態において、基準垂直面VPに直交する方向が、ヘッド前後方向(図1のx方向)として定義され、フェース部2の側が前側であり、その反対側が後側である。また、基準垂直面VP及び水平面HPにともに平行な方向は、トウ・ヒール方向(図1のy方向)として定義される。さらに、水平面HPに直交する方向が、ヘッド上下方向(図1のz方向)として定義される。
【0022】
[ヘッドの基本構造]
本実施形態のヘッド1は、例えば、ウッド型として構成されている。ウッド型のヘッド1は、例えば、ドライバー、フェアウェイウッド等と称されるヘッドを含む。他の実施形態において、ヘッド1は、アイアン型、ハイブリッド型等で構成されても良い。
【0023】
本実施形態のヘッド1は、ヘッド本体10と補強バー20(図4)とを含む。
【0024】
[ヘッド本体]
ヘッド本体10は、例えば、フェース部2、クラウン部3、ソール部4及びホーゼル部5などを一体に含み、内部には中空部(図1~4では省略)が形成されている。
【0025】
フェース部2は、ヘッド1の前側に形成されており、ボールを打撃する打撃面2aを備える。打撃面2aには、フェースラインと呼ばれるトウ・ヒール方向に延びる複数本の溝(図示省略)が設けられても良い。
【0026】
クラウン部3は、フェース部2の上縁からヘッド後方に延びており、その外表面がヘッド上面を形成している。クラウン部3のヒール側には、ホーゼル部5が設けられている。ホーゼル部5には、クラブシャフト(図示省略)を固定するためのシャフト差込孔5aが形成されている。
【0027】
ソール部4は、フェース部2の下縁からヘッド後方に延びており、その外表面がヘッド底面を形成している。ソール部4は、例えば、便宜的に、ホーゼル部5を除いて、ヘッド底面図で見える部分である。
【0028】
ヘッド本体10は、例えば、金属材料で構成されている。金属材料としては、例えば、ステンレス、マレージング鋼、チタン合金、マグネシウム合金、アルミニウム合金等が好適である。ヘッド1の一部(例えば、クラウン部3)が、繊維強化樹脂等の非金属材料で作られても良い。本実施形態のヘッド本体10は、チタン合金で形成されている。
【0029】
[ヘッド本体の凹部]
図4及び図5に示されるように、本実施形態では、ヘッド本体10のソール部4に、凹部6が形成されている。凹部6は、ヘッド1の底面図において、トウ・ヒール方向に延びる。図4から明らかなように、本実施形態の凹部6は、ヘッド前後方向の寸法(幅)Wよりも、トウ・ヒール方向の寸法(長さ)Lが大きく形成されている。凹部6は、その幅Wの中心線により、その長手方向が画定される。
【0030】
本明細書において、凹部6が「トウ・ヒール方向に延びる」とは、ヘッド底面図(又はヘッド平面図)において、凹部6の長手方向が、本実施形態のようにトウ・ヒール方向と平行である場合の他、トウ・ヒール方向に対して30°以下の角度で傾斜する態様が含まれる。
【0031】
本実施形態の凹部6は、中空部(ヘッドの内部)側に凹んだ溝部として形成されている。溝部は、例えば、溝底6aと、一対の溝壁6bとを含む。
【0032】
凹部6が設けられたソール部4は、ヘッド前後方向に撓み易くなる。したがって、ボール打撃時、ヘッド本体10は、凹部6を起点として、ヘッド前後方向に大きく撓むことができる。これは、ヘッド1の反発性能を高めるのに役立つ。
【0033】
上述の作用を高めるために、凹部6の幅Wは、好ましくは5mm以上、より好ましくは6mm以上、さらに好ましくは7mm以上であるのが望ましい。同様に、凹部6の長さLは、好ましくは20mm以上、より好ましくは25mm以上さらに好ましくは30mm以上であるのが望ましい。
【0034】
一方、凹部6が過度に大きくなると、ヘッド1の耐久性が悪化するおそれがある。このような観点より、凹部6の幅Wは、好ましくは20mm以下、より好ましくは17mm以下、さらに好ましくは15mm以下であるのが望ましい。同様に、凹部6の長さLは、好ましくは120mm以下、より好ましくは110mm以下、さらに好ましくは100mm以下であるのが望ましい。
【0035】
[補強バー]
図4及び図5に示されるように、本実施形態のヘッド1は、補強バー20を備える。補強バー20は、クラウン部3又はソール部4のうち、凹部6が設けられた側に設けられる。本実施形態では、凹部6がソール部4に設けられており、したがって、補強バー20は、ソール部4に固定される。
【0036】
本実施形態の補強バー20は、長手方向を有する棒状であり、トウ・ヒール方向に延びている。本明細書において、補強バー20が「トウ・ヒール方向に延びる」とは、ヘッド底面図(又はヘッド平面図)において、補強バー20の長手方向がトウ・ヒール方向と平行である場合の他、補強バー20の長手方向がトウ・ヒール方向に対して30°以下で傾斜する態様が含まれる。
【0037】
補強バー20は、ヘッド本体10のトウ・ヒール方向の剛性を高め、この方向での変形を抑制する働きをする。このような機能を発揮させるために、補強バー20は、例えば、金属材料又は繊維強化樹脂等で作られる。
【0038】
[補強バーの作用]
ボール打撃時のインパクトエネルギーは、ヘッド1をヘッド前後方向に撓ませる他、ソール部4にトウ・ヒール方向の振動(変形)を発生させる。このトウ・ヒール方向の振動は、反発性能の向上という観点では、エネルギーのロスといえる。本実施形態のヘッド1は、トウ・ヒール方向に延びる補強バー20を備えることで、ボール打撃時のソール部4のトウ・ヒール方向の振動を抑制し、インパクトエネルギーをヘッド本体10のヘッド前後方向の撓みに集中させる。これにより、本実施形態のヘッド1は、ボールの飛行方向に沿ってより大きな撓みが得られ、反発性能がより一層向上する。
【0039】
[補強バーの具体例]
補強バー20は、例えば、ヘッド本体10よりも比重が大きい材料で形成されるのが望ましい。このような態様では、補強バー20が重量物として機能し、ヘッド1の低重心化が可能になる。とりわけ、補強バー20は、ヘッド本体10よりも比重が大きい金属材料で形成されるのが望ましい。また、補強バー20の剛性を調節することで、例えば、ヘッド1の打球音も調整することができる。
【0040】
図6及び図7は、それぞれ、図4のVI-VI線及びVII-VII線の断面図である。図5ないし7に示されるように、補強バー20は、例えば、ヘッド本体10のトウ側に固定されたトウ側固定部21と、ヘッド本体10のヒール側に固定されたヒール側固定部22と、これらの間をトウ・ヒール方向に延びるバー本体23とを含む。
【0041】
本実施形態のバー本体23は、例えば、真っ直ぐに延びている。バー本体23は、例えば、円柱状とされている。他の態様では、バー本体23は、円筒状、角柱状、三角柱等といった様々な形状とされても良い。
【0042】
トウ側固定部21及びヒール側固定部22は、それぞれ、バー本体23からその両側に延びる板状に形成されている。トウ側固定部21及びヒール側固定部22は、例えば、ねじ等の着脱自在な固着具30を用いてヘッド本体10に固定されている。したがって、本実施形態の補強バー20は、ヘッド本体10に対して、着脱自在とされている。したがって、本実施形態のヘッド1は、ユーザーによる補強バー20の着脱が可能となり、ひいては、反発性能の調整が可能である。他の態様では、トウ側固定部21及びヒール側固定部22は、溶接や接着剤などの固着手段を用いてヘッド本体10に固定されても良い。
【0043】
図6に示されるように、本実施形態において、トウ側固定部21及びヒール側固定部22は、それぞれ、凹部6の溝底6aに固定されている。より詳細に述べると、凹部6の溝底6aは、溝深さが大きい中央部6a1と、中央部6a1よりも溝深さが小さいトウ側部6a2及びヒール側部6a3とを含む。中央部6a1、トウ側部6a2及びヒール側部6a3は、例えば、平行な平面で形成されている。そして、トウ側固定部21及びヒール側固定部22は、それぞれ、溝底6aのトウ側部6a2及びヒール側部6a3に固定されており、バー本体23は、中央部6a1に配置されている。
【0044】
なお、本実施形態の溝状の凹部6では、溝底6aの中央部6a1とトウ側部6a2との間、及び、中央部6a1とヒール側部6a3との間は、それぞれ、斜めに延びる傾斜壁で接続されている。このような凹部6は、ヘッド本体10のヘッド前後方向の剛性を低下させるが、トウ・ヒール方向には、さほど剛性を低下させない点で望ましい。これは、ボール打撃時のヘッド本体10のトウ・ヒール方向の振動を抑制するのに役立つ。
【0045】
バー本体23は、例えば、その少なくとも一部が凹部6の内部に配される。このような態様では、ソール部4の外表面からの補強バー20の突出高さが小さくなる。したがって、スイング中におけるヘッド1の地面との接触抵抗や空気抵抗が小さく、ひいては、ヘッドスピードの低下が抑制される。
【0046】
図7から明らかなように、本実施形態では、バー本体23の全部が凹部6の内部に配置されている。このため、バー本体23は、ソール部4の外表面から突出していない。したがって、図2のヘッド1の正面図においても、補強バー20は、完全に隠れており見えない。このような実施形態は、上記作用をさらに効果的に発現させる点で好ましい。
【0047】
また、図4のヘッド1の底面図においても、凹部6は、補強バー20を完全に収納するような輪郭形状を有する。本実施形態の凹部6の形状は、底面図において、補強バー20と相似形状の矩形状とされている。
【0048】
図6及び図7に示されるように、バー本体23と凹部6とは離隔していることが望ましい。本実施形態において、バー本体23は、凹部6の溝底6a及び溝壁6bのいずれとも接触することなく離隔している。このような態様では、ボール打撃時、バー本体23は、ソール部4のトウ・ヒール方向の振動を抑制しつつ、ヘッド本体10のヘッド前後方向の変形を妨げない。したがって、ヘッド1の反発性能のさらなる向上が期待できる。
【0049】
[補填材]
バー本体23と凹部6との間に隙間部分があると、ゴルフ規則に適合しない場合があり得る。このような観点より、バー本体23と凹部6との間に、補填材40を配置するのが望ましい。補填材40は、図6及び7に示されるように、いずれのヘッド断面においても、バー本体23と凹部6との間の隙間が埋めるように構成されている。また、本実施形態の補填材40は、ソール部4の他の部分と連続する外表面を形成するように、凹部6に配置されている。
【0050】
補填材40は、ヘッド本体10のヘッド前後方向の撓みを制限しないような弾性材料で形成されるのが望ましい。このような弾性材料としては、例えば、エラストマー、樹脂、ゴム等が好適である。
【0051】
補填材40は、例えば、予め別工程で作製されたものが、補強バー20とヘッド本体10との間に装着されても良い。他の態様では、補強バー20がヘッド本体10に固定された後、流動性材料を、補強バー20とヘッド本体10との間の隙間に流し込み、固化させることで補填材40が形成されても良い。また、補填材40に代えて、又は、補填材40とともに、凹部6を覆うようなカバー部材(図示省略)が、ヘッド本体10に装着されても良い。
【0052】
補填材40やカバー部材は、例えば、透明性を有する材料であることが望ましい。この場合、ユーザーは、補填材40やカバー部材を通して、補強バー20を視認することができる。これにより、ヘッドの外観性が向上し、また、ユーザーに、ヘッド1の高機能性を訴求できる点で好ましい。
【0053】
[凹部の変形例]
図4ないし6では、凹部6は、溝状で形成されているが、開口とされても良い。図8は、変形例のヘッド1の下から見た分解斜視図である。図9及び図10は、そのヘッド1のソール部4の断面図が示されている。ここで、図9及び図10は、それぞれ、図4のVI-VI線、VII-VII線の位置に対応している。
【0054】
図8ないし10に示されるように、凹部6は、ソール部4を貫通する開口とされている。この開口は、ソール部4をトウ・ヒール方向に延び、例えば、ヘッド平面視において、トウ・ヒール方向に長い矩形状の開口とされている。
【0055】
凹部6のトウ側及びヒール側には、例えば、補強バー20を取り付けるための受け部6c、6cがそれぞれ形成されている。好ましい態様では、図9に示されるように、受け部6cは、ソール部4の外表面よりも凹んだ位置に設けられる。
【0056】
補強バー20のトウ側固定部21及びヒール側固定部22は、固着具30で、それぞれ受け部6cに固定されている。これにより、バー本体23は、ヘッド本体10の凹部6とは離隔した状態で、ヘッド本体10に固定される。
【0057】
また、補強バー20のバー本体23の少なくとも一部が凹部6の内部に配されている。この例では、バー本体23の全部が、凹部6の内部(すなわち、ヘッド本体10の中空部iの内部)に配置される。
【0058】
さらに、この例では、補強バー20のトウ側固定部21及びヒール側固定部22も、凹部6の内部(すなわち、ヘッド本体10の中空部iの内部)に配置されている。これにより、ソール部4の外表面から、補強バー20は、突出していない。
【0059】
この例では、凹部6が開口とされていることから、ボール打撃時に、ヘッド1がヘッド前後方向にさらに撓みやすくなる一方、ヘッド1のトウ・ヒール方向の振動は補強バー20によって抑制される。したがって、ヘッド1の反発性能がさらに向上する。
【0060】
[第2実施形態]
図11には、本発明の第2実施形態として、ヘッド1の平面図が示されている。図11に示されるように、この実施形態では、凹部6は、クラウン部3に形成されており、補強バー20もこのクラウン部3に固定されている。
【0061】
ボール打撃時のインパクトエネルギーは、ヘッド1をヘッド前後方向に撓ませる他、クラウン部3にもトウ・ヒール方向の振動(変形)を発生させる。このトウ・ヒール方向の振動は、反発性能に関しては、エネルギーのロスといえる。本実施形態のヘッド1は、クラウン部3に、トウ・ヒール方向に延びる補強バー20を備えることで、ボール打撃時のクラウン部3のトウ・ヒール方向の振動を抑制し、インパクトエネルギーをヘッド本体10のヘッド前後方向の撓みに集中させる。これにより、本実施形態のヘッド1は、ボールの飛行方向に沿ってより大きな撓みが得られ、反発性能がより一層向上する。
【0062】
図示していないが、凹部6及び補強バー20は、クラウン部3及びソール部4の両方に設けられても良い。
【0063】
また、クラウン部3又はソール部4に、複数の凹部6及び補強バー20が設けられても良い。
【0064】
以上、本発明の実施形態が詳細に説明されたが、本発明は、上記の具体的な開示に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範囲内において、種々変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 ゴルフクラブヘッド
2 フェース部
3 クラウン部
4 ソール部
6 凹部
10 ヘッド本体
20 補強バー
21 トウ側固定部
22 ヒール側固定部
23 バー本体
40 補填材
i 中空部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11